2024年03月12日

知らないうちに心身の健康をむしばむ、意外なストレス要因3選とその対策

知らないうちに心身の健康をむしばむ、意外なストレス要因3選とその対策
3/10(日)  ELLE DIGITAL

死別や離婚、失業、病気、けがなど、大きな出来事によるストレスはよく知られている。
しかし実は日常の些細なことの中にも心身の健康に悪影響を与える要因は潜んでいる――ガラスの破片のようにチクチクと意識の表面を突く小さな刺激物が、いずれ精神的・肉体的な病気を引き起こすのだ。
ここでは特に女性が抱えやすい、普段あまり意識していないストレス要因3つとその対策を紹介しよう。

【見えないストレス要因・その1】社会的孤立
孤独は単に気分を落ち込ませるだけではない。
世界で最も長生きする人々の習慣を研究してきた、『The Blue Zones American Kitchen』の著者ダン・ビュトナーは、実際に孤独によって人生が何年も短縮される可能性があると警告する。
「コミュニティへの帰属意識が強い人は、より孤立した人たちよりも長生きする傾向があります」

社会的孤立は高血圧、心臓病、肥満、免疫力の低下、不安、うつ病、認知機能低下、アルツハイマー病、さらには死亡のリスク増加と関連する。
ポッドキャスト「Dear Therapists」の共同司会者であり、 『Emotional First Aid』の著者でもあるガイ・ウィンチ博士は「慢性的な孤独感は、私たちの長期的な健康に1日15本のタバコを吸うのと同じダメージを与えることがわかっています」と述べている。

社交をスケジュールに入れる
社会的孤立を避けるためには、社交をスケジュールに組み込んで、半ば強制的に行うことが有効だ。
長寿で有名な世界の地域(日本の沖縄やイタリアのサルデーニャ、カリフォルニアのロマリンダなど)では、信仰が人々を結びつける上で大きな役割を果たしている。
ビュトナーは、現在あなたが宗教コミュニティに属している場合はより積極的な役割を果たすことを提案している。
そうでない場合は、毎週の瞑想クラスやウォーキンググループに参加したり、ボランティアをしたり、読書クラブを始めたりしてみよう。
重要なのは、共通の価値観を持つ他者とつながり、有意義な絆を築くために必要な時間と労力を投資することだ。

家では家族の時間を優先。
毎晩家族全員がディナーの席に集まって、携帯電話は手の届かないところに置くなど、家族を団結させる毎日の習慣を確立しよう。
また、家族以外の人間関係にも目を向けて、自分の仲間は誰なのかを定義しよう。
『Real Self-Care』の著者で精神科医のプージャ・ラクシュミン医師は、友人関係に関しては量ではなく質に焦点を当てるべきだと述べる。
たとえ遠く離れて住んでいても、定期的に“Zoom飲み”を設定するなど、毎週時間をとってその人たちと過ごそう。

【見えないストレス要因・その2】スマホ画面のスクロ~ル
子犬がアヒルと戯れるネット上のバイラル動画を無限に見てしまう、といった経験はあなたにもないだろうか。

アメリカ心理学会の2017年の調査ではアメリカ人の43%がソーシャルメディアを常にチェックしていると回答した。確かに、あなたはかわいい動物の動画を見るためにSNSにアクセスしているのかもしれない。
しかし、「いいね!」された投稿やプライベートメッセージ、ミームを探して画面をスクロールしている間も、フィルターをかけられ、慎重に編集されたありえないほど完璧な体や顔、バカンス、家などの画像があなたの幸福をゆっくりとむしばんでいる。

『Journal of Neurology and Neurophysiology』に掲載された研究ではソーシャルメディアプラットフォームが依存症と同じドーパミンループを引き起こすと報告している。
テキスト、「いいね!」、またはメッセージを受け取ることは本質的に報酬系を刺激する。
そして、一時的な高揚感が消えると、ユーザーはさらに多くのものを求めて、気を散らすための終わりのないサイクルにはまり込んでしまう。
このことは、より持続的で有意義な精神の充足を妨げる可能性がある。

特に若い女性にとって、ソーシャルメディアは不安、うつ病、睡眠障害、ボディイメージの問題の増加に関連しているとされている。

デジタルデトックスする
中毒性のある画面のスクロールから逃れるために、定期的なデジタルデトックスを試してみよう。

学術誌『Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking』に掲載された2022年の研究結果によると、ソーシャルメディアを1週間休止するとうつ病や不安の軽減が見られたという。
1週間も無理だと考える場合は、ティファニー・シュレインが著書『24/6: The Power of Unplugging One a Week a Week』の中で勧めるように、ほんの少しの期間のデジタルデトックスでも有効だ。
彼女の場合はユダヤ教の習慣である安息日に従って金曜の夜から土曜の夜までを設定しているが、どの曜日でも大丈夫だ。

彼女はデジタルデトックスをより容易く成功させるために、昔ながらの必需品を常備しておくことを勧めている。
メモアプリの代わりに鉛筆とメモ帳。
緊急の連絡対応のために固定電話、スマートウォッチの代わりに従来型の時計、そしてラジオがあれば良いだろう。
シュレインはデジタルデトックスをしている間は家族と一緒に本を読んだり、日記を書いたり、料理をしたり、友達を家に招いたり、自転車に乗ったり、音楽を演奏したり、芸術作品を作ったり、あるいは「時には何もしない」と語っている。

日常的な携帯電話の使用時間の制限も検討するべきだ。
毎朝SNSをスクロールして1時間を無駄にすることが本当に自分にとって必要だろうか?
 その自由時間を瞑想したり、ストレッチしたり、感謝の日記を書くのに数分間使ったら、どれだけ生産的で穏やかになれるか考えてみよう。

【見えないストレス要因・その3】感情労働
夫婦である程度家事の分担はできているかもしれない。
しかし、子供が学校の劇に参加できなかった、と泣き出した場合はどうだろうか?
 たいていの場合、子どもに手を差し伸べるのは母親の方だ。
この不均衡は他の対人関係にも展開していると『Emotional Labor』の著者であるローズ・ハックマンは言う。
家庭でも職場でも、接客業やヘルスケアなど、精神的に大変な業界では女性の数が男性を大きく上回っており、女性は心のケアや平和の維持に関連する目に見えない精神的な仕事という過酷な挑戦に直面している。

無愛想な客が温かいラテを投げつけてきたときに「笑顔でサービス」を提供しなければならない女性バリスタや、臨終間際の男性が孫と初対面できるように静かに規則を破り(そして、自分の昼休みを犠牲にする)看護師もいるかもしれない。
「感情労働とは、他人の感情に良い影響を与えるために、自分の感情を調整、操作する行為です」とハックマン。
「これは、目に見えないことが多く、高度に女性化され、価値を低く見積もられてきた仕事ですが、それでも私たちの社会にとって不可欠なものです」

感情労働の概念は新しいものではない。
カリフォルニア大学バークレー校の社会学教授アーリー・ホックシールドは、大きな影響を与えた1983年の著書『The Managed Heart』の中でこの用語を生み出した。
しかし近年、社会の根本的な変化により、より広い認知と変化の必要性が浮き彫りになっている。

先のコロナウイルス感染症のパンデミック中には約200万人の女性が病気の家族の世話をしたり、リモート授業中の子どもたちを監督するために家にいることを余儀なくされ、仕事を辞めざるを得なかった。
「この国(アメリカ)では女性が社会的セーフティネットとして機能しています。
ジェンダー平等に気を配るなら、集団的な価値観の根本的な変化がどうしても必要になる段階に達しています」とハックマンは言う。

一人で抱え込まないことが大切
「女性の感情労働に関連する燃え尽き症候群の多くは、その正しい価値の見落としや不可視性に起因します」とハックマン。「誰も立ち止まって感謝してくれなかったり、仕事をしているところさえ見られなかったりする中で、たゆまぬ仕事を続けることほど最悪なことはありません」

ハックマンは感情労働が現実であり、非常に重要であることを理解し、女性たちは承認と公平性の両方を要求する必要があると述べ、「この仕事を女性や、マイノリティを含む他の疎外されたグループに押し付け続けることはできません」と語っている。

これは人間関係においては、「いい子」を演じるのではなく、自分の気持ちを正直に話し、感情的なケアの重荷を他の家族と分かち合うことを意味する。

例えばパートナーに泣き叫ぶ子供をなだめるよう頼んでみたり、自分のきょうだいに対して、年老いた親の精神的健康を気遣う電話をかけるよう言ってみたり。
最初は負担を共有することを不自然で不快に感じるかもしれないが、そうすることで将来的に自分が苦しむことを防ぐことができるだろう。

Translation & Text : Naoko Ogata
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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