2025年02月19日

絶望感が半端ない…。「冤罪」をテーマにした海外映画の傑作(5)妻は病んで人生崩壊...無自覚な悪が恐ろしい

絶望感が半端ない…。「冤罪」をテーマにした海外映画の傑作(5)妻は病んで人生崩壊...無自覚な悪が恐ろしい
2/17(月) 映画チャンネル

身に覚えのない罪を被せられ、投獄される恐ろしさを想像したことがあるだろうか。
無罪を主張する声が、差別や偏見、権力などに押しつぶされていく絶望感…。
平凡な人生がいかに大切かを考えずにはいられない。今回は、冤罪をテーマにした映画を5本セレクトしてご紹介する。第5回 。(文・シモ)

『間違えられた男』(1956)

監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:マクスウェル・アンダーソン、アンガス・マクファイル
原作:マクスウェル・アンダーソン『The True Story of Christopher Emmanuel Balestrero』、ハーバート・ブリーン『A Case of Identity』

出演:ヘンリー・フォンダ、ヴェラ・マイルズ

【作品内容】

 バンドのベーシストとして生計を立てるマニー(ヘンリー・フォンダ)。
 妻のローズ(ヴェラ・マイルズ)の歯の治療代を工面するために、保険会社を訪問すると、窓口係に不審な顔をされる。
以前、保険会社の強盗に入った男と瓜二つだったのだ。
 警察に逮捕され釈放までこぎつけたマニー。
彼は、妻のローズと共に証人を探すが、すでに証人2人は死んでしまっていて…。

【注目ポイント】

 本作は、1953年にニューヨークで起きた実話をもとに作られたサスペンス映画である。
顔が似ているというだけで、犯人に仕立て上げられてしまう男の悲劇。
ヒッチコック特有のユーモアを交えた一連のサスペンス映画とは異なり、冤罪に巻き込まれた男の一部始終をシリアスに描いているのが特徴だ。

 主人公のマニーは、連続する強盗事件の犯人と顔が似ているという理由だけで逮捕される。
逮捕を決定づけるのは、客観性を欠いた2人の刑事の独断的な判断である。

 例えば、バレストレロが刑事に書くように求められたメモの書き間違い。
マニーのメモが、犯人の残したものと同じだというのだ。

 指紋を取られ、留置所に閉じ込められるマニー。
彼の上半身がぐるぐると回転するショットは、彼の絶望的な気持ちを現わしているようで真に迫る。

 最終的には、真犯人が現われて彼の疑いは晴れるのだが、妻は精神を一時的に病んでしまう…。
それにもかかわらず、彼を犯人と思い込んで窮地に追いやった者や、誤認逮捕した警察による謝罪の言葉はない。

 冤罪のために元の生活が壊される恐ろしさや、記憶違いによって冤罪に加担する者の無自覚な悪に、身につまされる作品である。

シモ

***********************
小だぬき
日本でも「松本サリン事件」で河野義行さんが冤罪になった経過・問題点を扱った優れた作品があります。

タイトル       日本の黒い夏[冤罪]

脚本・監督    熊井 啓
キャスト     中井貴一(当時報道の指揮をとった新聞社社会部キャップ)
                          寺尾 聰(冤罪被害者の河野義行さん)

DVD紹介文   1994年6月27日夜、長野県松本市で起きた「松本サリン事件」は、多数の死者を出す大惨事になった。
        そして事件の第一通報者である一市民とその家族は、被疑者不詳のまま。警察により家宅捜査ヲ受け    た。殺人容疑をかけられて・・・。
        「日本の黒い夏 冤罪」は、実際に起きた事件を題材に、罪の無い被害者を冤罪へと陥れ、迫害していく警察・マスコミ・そして市民たちの姿を鋭く描く。
日常と隣り合わせにある恐怖を抉り出すクライムサスペンス・ムービーの決定版!!

小だぬきが忘れられない理由
・母校、神奈川大学工学部教授が「サリンはちょっと科学知識があれば作れる」と証言したことにより 河野さん犯人説が補強された。
・オウム真理教の「地下鉄サリン事件」が起こり オウムの犯行とわかるまで、河野さんは犯人視される。
・いつ自分が冤罪にされるかは 「運」が左右するという危うい現実を突きつけられたこと。       

posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック