五月病になりやすい人?チェックリストと乗り越え方なりやすい人?チェックリストと乗り越え方
メンタルクリニック 院長芦澤裕子 先生
MELOS
新年度を迎えて環境が変化し、いわゆる「五月病」らしき症状が出ている人も少なくないでしょう。
変化というのは良くも悪くも疲労を生み出すものですから、心も体も疲れてしまっている人がいるのではと思います。
では、五月病とは具体的にどのような症状が出るのでしょうか?精神科医の芦澤裕子先生に聞きました。
なりやすい人の特徴やつらい症状を乗り越えるための方法も解説します。
連休明け、仕事に行きたくない人・やる気が起きない人などは必見です。
五月病とは? 症状や原因
「五月病」とは、そういった病名があるわけではなく、医学的には「適応障害」「うつ病」と診断されることが多い、春に起こりがちな抑うつ症状があらわれる状態のことです。
精神的または身体的なストレスや疲労によって、以下などの状態になることを指します。
●脳がうまく働かず、ぼーっとしてしまう
●精神的に不安定になる
●無気力になる
五月病の主な原因
新しい環境に馴染めないなどのネガティブな原因だけではなく、志望通りの進学や昇進など、ポジティブな変化であっても、五月病のような状態になることがあります。
夜遅くまでストレスの原因となる事象について考え込んでしまい、眠れなくなる人も多いようです。
その結果、心身が回復しないまま日々を過ごし、抑うつ症状が増悪することがあるので睡眠状態に気を配ることが大切です。
あなたは五月病になりやすい人?
チェックリスト
下記項目のうち2項目以上チェックがつく人は、環境の変化によるストレスや疲労を貯めて五月病になってしまうリスクがあるそう。
●完璧主義である
●この春、仕事や家庭において人間関係の変化があった
●勤務時間が1日10時間以上の日がほとんどである
●リモートワークであまり日中外出しない
●1日中スマートフォンやPCなどを見ている
●愚痴を言う家族、同僚、パートナーがいない
●寝不足と感じる日が多い
●糖質や脂質に偏った食事など、栄養バランスの悪い食事をすることが多い
●お酒を頻繁に飲んでいる
●軽い運動すらする習慣がない
いくつ当てはまりましたか? 2項目以上当てはまった人・五月病の疑いがある人は次のページの「乗り越え方」をチェックして対策しましょう。
乗り越え方を、4つの視点で解説します
五月病の乗り越え方として、4つをご紹介します。
〇コミュニケーションにおける対策
特定の人と会うと動悸がするなど、ストレスの原因が明らかな場合は、その人物から距離を取るなどの物理的な対処が1番の対策です。・
また、連休があまりに楽しく充実した時間だと、仕事復帰後のギャップで精神的な落ち込みが大きくなるリスクも。
〇睡眠における対策
五月病の症状を乗り切るには、疲労を回復し、体に栄養や酸素がいきわたっている状態を作ることが重要です。
そして、疲労回復には睡眠の量や質が深く関わってくるので、以下のことを試してみてください。
人間の生体リズムは約25時間。1日の24時間より1時間ほど長いと考えられます。この差を修正するためには、以下のことを実践して24時間周期にリセットしましょう。
・朝、光を目の中に入れる
午前中に光を一定時間浴びることで、自律神経や脳神経を正常化するために役立つホルモン・セロトニンの正常な分泌にも役立ちます。
五月病の症状を乗り切るには、疲労を回復し、体に栄養や酸素がいきわたっている状態を作ることが重要です。
そして、疲労回復には睡眠の量や質が深く関わってくるので、以下のことを試してみてください。
起床時刻を一定にする
人間の生体リズムは約25時間。1日の24時間より1時間ほど長いと考えられます。この差を修正するためには、以下のことを実践して24時間周期にリセットしましょう。
・起床時刻を一定にする
・朝、光を目の中に入れる
午前中に光を一定時間浴びることで、自律神経や脳神経を正常化するために役立つホルモン・セロトニンの正常な分泌にも役立ちます。
〇バランスの良い食事を摂る
睡眠の質を改善するまるために、日々の主菜にたんぱく質などが豊富な肉や魚を取り入れましょう。主食には、GABAが豊富な発芽玄米がおすすめです。
他にも、ビタミンB12が豊富なしじみやあさりなどの貝類、グリシンが豊富なエビやウニ、トリプトファンが豊富な豆腐や納豆も積極的に摂ってみてください。
・栄養素の働き
タンパク質 神経伝達物質を作る
GABA ストレスを和らげ、興奮した神経を落ち着かせる
ビタミンB12 脳神経の正常な働きを助けてくれる
グリシン 体の末端部分の血行量を増やして深部体温を冷やす
トリプトファン 神経伝達物質の原料となる
お酒はNG!カフェインは夜眠る時間の5時間前まで
お酒は睡眠の質を下げてしまい、利尿作用によって就寝中に目を醒ませてしまうなどデメリットが大きいです。
神経を覚醒させ、入眠しづらくなってしまうカフェインもNG。摂るならば就寝時間の5時間前までに済ませましょう。
食べ過ぎや油っぽいものはおすすめしません
食べ過ぎや油っぽい食べ物の摂取によって、胃もたれを起こす可能性が。その結果、身体的負担・精神的ストレスにつながり、睡眠の質を下げる恐れがあります。
食事、特に夕食は腹八分目を心掛けましょう。理想は就寝の3時間前、難しい場合は、2時間前には食べ終えるようにしましょう。
〇運動における対策
午前中に屋外で15分以上散歩をするなど、ほんのり汗をかく程度の運動がおすすめです。メリットは、以下の通りです。
身体が疲労回復しようとするため、入眠しやすくなる
全身の血流が良くなり、思考の処理などが行われやすくなる
体力がつき、仕事の集中力・意欲の維持につながる
〇入浴における対策
春夏の暖かい季節は、睡眠の1時間前までに、38度〜40度のぬるめの半身浴で入浴を。20分ほどゆったり浸かりましょう。
副交感神経が優位になりやすくなり、入眠サポートにつながると考えられます。
大型連休中の理想の過ごし方・おすすめしない過ごし方
大型連休明けに「仕事に行きたくない」「体調不良でしんどい」とならないためには、連休中の過ごし方にも注意が必要です。
おすすめの過ごし方
気を許せる家族やパートナー、友人たちと、ほどほどに予定を入れて、夜は早めに眠る。そんな連休の過ごし方がおすすめです。
おすすめしない過ごし方
大型連休だからと「ここぞ!」と楽しもうとして予定などを詰め込んでしまう過ごし方は、残念ながらおすすめはできません。
計画的にみっちり動き回ろうとすることが、逆に精神的な疲労につながることがあります。
また、連休があまりに楽しく充実した時間だと、仕事復帰後のギャップで精神的な落ち込みが大きくなるリスクも。
五月病かも? 病院に行く目安とは
なんとか仕事ができている場合は大丈夫ですが、起床時から気力が湧かず、布団に身体が張り付いてしまって起き上がれないくらいの場合は、精神科を受診しましょう。
プライベートでは軽やかに動けるけれど、仕事など、明確なストレス環境に行くことだけに気力が湧かないという人もたまに見られますが、そういったケースでも病的に重度な場合があるので要注意です。