「自分で決めなければ自分の人生の主人公にはなれない」鎌田實医師が断言する日本人に一番欠けている“自己決定”ができる人間になるために
5/7(水) 集英社オンライン
スマホで即答を求めるあまり、「わからないまま受け止める力」を失っている現代人。
その一例として、遺伝子で子どもの特性を事前に知ろうとする風潮に疑問を投げかけているのがこれまで数々の子どもたちと接してきた医師の鎌田實氏だ。
人生を切り開くための「失敗する自由」とは。
悩める人生を前向きに生きるための知恵が多く収録された『17歳のきみへ 人生で大事なことは、目には見えない』より一部抜粋、再編集してお届けする。〈全3回のうち3回目〉
人には失敗する自由がある
「わからないことをわからないまま受け止める力」が低下しているということに危機感を抱いています。
いつもスマホを手放さず、さくっと検索するのが習慣の現代人は、手っ取り早く答えを得ることに慣れてしまいました。
人生に対して遺伝子検査を活用しようという発想も、手っ取り早く子どもの特性や才能を知って、それに合うように育てていけば失敗はないはずという考えが反映されているように思えてなりません。
しかし、人間はそんなに単純ではありません。
将来の仕事を探すこと一つにしても、自分に何が向いているかわからないからこそ、何にでも挑戦することができるのです。
もし、遺伝子検査で身長が高くならないからバスケットボールは向いていないと判定されたら、身長167cmの富樫勇樹選手や、172cmの河村勇輝選手のようなトッププレーヤーは生まれないでしょう。
いろんなものに挑戦し、その結果「やっぱり違うな」と思って方向転換しても、その経験は何かの形で生きるはず。
人には失敗する自由もあるのです。
日本人に一番欠けていることは自己決定です。
未来への可能性はいっぱいあります。
でも自分で決定しなければ、自分の人生の主人公にはなれないんです。
僕も恥ずかしい失敗をいっぱいしました。
でも失敗しても逃げないこと、失敗から何かを学ぶこと、恐れないことと自分に言い聞かせて今まで生きてきました。
若者には、できそうなことを目指すより、できるかわからないけれど、やりたいことに挑戦する勇気を育んでほしいと思います。
自分を第三者の視点から捉えなおす
Q
ポジティブな気持ちを定着させるには、どうしたらいいですか?
A
「みのる(自分の名前に置き換えて)、もうちょっと明るくしろよ」「〇〇〇、下ばっか向いてちゃダメだろ」と繰り返し自分に言い聞かせてください。
自分に三人称で呼びかけると、背中を押しやすくなります。僕は何度もこの手を使いました。
「面白い人生を生きるには、ここは鎌田くん勝負だよ。ここだけは耐えきろう」と呼びかけ、自分でもう一人の自分の背中を何度も押してきた。
第三者のように「おい、〇〇〇……」と言い聞かせていると、人間は習慣に弱いから習慣が現実になっていく可能性がある。でも友達に聞かれるとカッコ悪いから自分の頭の中で。人に言われると反抗したくなる僕でも、自分で自分を注意する言葉は聞く耳をもつことができました。
文/鎌田實 写真/Shutterstock

