2025年05月09日

股関節の痛みには「貧乏ゆすり」「つま先立ち」が効果的!検査で見落としやすい「変形性股関節症」は“洋式”の生活スタイルで改善を

股関節の痛みには「貧乏ゆすり」「つま先立ち」が効果的!検査で見落としやすい「変形性股関節症」は“洋式”の生活スタイルで改善を
5/8(木) 介護ポストセブン

股関節の違和感には大きな疾患が隠れていることも

 体を支える重要な役割を担う股関節。

年を重ねると筋力が低下し、軟骨や骨も弱くなるため知らないうちに股関節周辺に異常が生じることも。
痛みや違和感が感じる前に予防したいもの。
股関節に負担をかけない生活習慣や痛みを和らげるトレーニング方法を専門家に教えてもらった。

教えてくれた人
杉山肇さん/日本股関節学会前理事長・神奈川リハビリテーション病院病院長

股関節は異常を見落としやすい“沈黙の関節”

 大きな疾患が隠れている可能性があるのが、股関節の痛みだ。

 日本股関節学会の前理事長・杉山肇さん(神奈川リハビリテーション病院病院長)が指摘する。

「足の付け根にある股関節は骨盤と大腿骨を繋ぐ関節で、人体で最も大きな関節です。
歩く、座る、腰をかがめる、体をひねるといった生活上の動作に密接に関係する重要な関節ですが、周りにある大きな筋肉で隠れているため検査でも異常を見落としやすい。言わば“沈黙の関節”です」

 股関節の痛みの大半は変形性股関節症によるものとされるが、厄介なのが痛む場所の特定が難しいことだという。

「長年上半身を支えてきた股関節の軟骨が加齢などですり減ると、変形性股関節症を発症して神経に痛みが生じます。
重い物を運んだり、立ち仕事の人や肥満が原因となりやすい。
初期段階では歩き始めや立ち上がる際に鼠径部に軽い痛みが生じますが、進行すると長時間の歩行時や階段の昇り降りでも痛みを感じるようになってきます。
しかし神経は股関節だけではなく腰や足に繋がるため、お尻や太もも、腰の痛みを訴える患者もいます。
専門医でないと診断できず、変形性股関節症に気づいた時には手術が必要なほど進行しているというパターンが珍しくありません」(杉山。以下「 」内は同じ)

 変形性股関節症の患者数は推計500万人ほどとされているが、「実際には見逃されている患者が多数いる」と杉山さんは見ている。

布団よりベッド、ちゃぶ台よりテーブル。洋式の生活スタイルで股関節の負担を軽減!

 股関節の痛みは、生活スタイルが「和」か「洋」かで大きく左右されるという。

「和式の生活は床に座る、床から立ち上がる動作が多いので避けましょう。
特にちゃぶ台での食事や和式トイレの使用は股関節に負担がかかるので、痛みが悪化しやすいのです。
和式トイレより洋式トイレ、布団よりもベッド、ちゃぶ台よりテーブルといったように、洋式の生活スタイルを送るほうが股関節には優しいと言えます」

 重い荷物を持ち運ぶのも股関節の痛みを悪化させやすい。

「極力キャスター付きのキャリーバッグなどを活用しましょう」

 痛みを消す習慣として、杉山さんは股関節周辺の筋肉を上手に使う軽いトレーニングを提唱する。
なかでも「貧乏ゆすり」は効果が高いという。

「『ジグリング運動』と言い、椅子に座りつま先を床につけたまま片足ずつかかとを上下に20秒ほど小刻みに動かすことで、圧迫された関節を広げる効果があります。
また、関節液の循環を促して股関節周りの筋肉をほぐす効果もある。
1日に何度行なってもOKです。
貧乏ゆすりを続けたら痛みが和らいだという患者さんは多いです」

 このほか、日常生活の僅かな隙間時間でも股関節周辺の筋肉を刺激することができるという。

「足腰の筋肉が弱っている人は、10秒間のつま先立ちでもいい。
電車でつり革を持って踏ん張ることも効果的です。まずは1駅程度で試してみましょう」

 一方でハードな運動は厳禁だ。

「痛みが出ている患者さんにはランニングも禁止しています。
ダンベルを使うような、自重以外のおもりを用いた筋トレもNG。
あくまでも負荷の少ない運動を習慣にすることが大切です」

 体が悲鳴を上げる前に、日頃からできるケアを心がけたい。

股関節の痛みを消すor悪化させる習慣

「股関節」に精通する名医に聞いた「痛みを消す」or「悪化させる」習慣を一覧にした。毎日の生活で無意識に行っていないかチェックしよう!

痛みを消す習慣

※項目/ポイント

【1】洋式便器を使う和式便器に比べて立ち上がる時の股関節への負荷が少ない

【2】貧乏ゆすりをする椅子に座りつま先を床につけて片足ずつ上下に動かす。圧迫された関節を広げる効果がある

【3】10秒間のつま先立ちをする足を肩幅程度に開いて10秒つま先立ちをすると股関節周辺の筋肉を鍛えられる

【4】電車のつり革に掴まって立つ電車の揺れに対抗して踏ん張ると股関節の周囲の筋肉を鍛えられる。一駅分でもよい

【5】散歩中は15分に1度休憩する股関節の筋肉を酷使しないように5分程度の休憩を入れる

【6】39〜40℃で入浴するぬるめの湯に15分程度浸かると股関節周囲の筋肉がほぐれる

【7】ベッドで寝る布団の上げ下ろしの手間がなく、負担が少ない

【8】寝たままストレッチをする寝た状態でひざを立てて足を開閉するストレッチを1日10回2セット行なう

悪化させる習慣

※項目/ポイント

【1】ちゃぶ台で食事するちゃぶ台に座る際に股関節に負荷を与えやすい

【2】早歩きする早歩きをすると股関節に体重の10倍の負荷がかかる

【3】重い荷物を持つ荷物を運ばなければならない場合はキャスター付きのキャリーバッグを使う

【4】自転車で坂道を登る強くペダルを踏み込む時に股関節に負荷がかかる

【5】階段を使う昇り降りで痛みを発症しやすいため、どうしても階段を使う時は手すりや壁を使う

【6】ランニング股関節への負担が大きく、痛みが悪化しやすい

※週刊ポスト2025年5月9・16日号
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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