2025年05月14日

「あいまいな情報」や「虚偽情報」ほど拡散されやすい!? うわさや予言との向き合い方は 危機管理の専門家とともに考える

「あいまいな情報」や「虚偽情報」ほど拡散されやすい!? うわさや予言との向き合い方は 危機管理の専門家とともに考える
5/13(火) ABCニュース

 去年12月、13年ぶりに仙台と香港を結ぶ定期便が復活したばかりのグレーターベイ航空は、週に4往復運航していましたが、旅行需要の減少を理由に今週から10月末まで週3往復に減便。徳島への定期便も、減便することが決まっています。

 一体何が起きているのでしょうか?原因の一つと言われているのが日本のあるマンガです。

 過去に「2011年の東日本大震災を予言していた」と話題になった、たつき諒さんの作品「私が見た未来 完全版」です。
「7月に日本列島の太平洋側が大津波にのみ込まれる夢を見た」などと描かれていて、うわさが拡散しているのです。

 さらに、香港の風水師も根拠のない日本の大地震を予言し、香港で日本への旅行を控える動きが広がったといいます。

 何が本当で何が嘘か…世にあふれるうわさや予言と私たちはどう向き合っていけばいいのでしょうか。

■「7月に大災難」うわさや予言 なぜ拡散? 専門家の見解は…

日本大学危機管理学部 福田充教授
 危機管理の専門家、日本大学危機管理学部の福田充教授は、こうした予言について「科学的根拠は全くない」としたうえで、人々の間で広まってしまう背景について分析します。

福田教授:
 実際、南海トラフ巨大地震に関する長期予測が発表されており、去年の夏には臨時情報も発表されましたので、頭の中にある社会不安が影響してくると思います。

 こうした事例は過去にもあり、その度に社会を混乱させますが、結局何も起きなかったということが繰り返され、すぐに忘れられてしまいます。どう向き合うべきかが問われていると思います。

■背景に“不安な社会状況” 深刻な事件を引き起こす恐れも…

不安な状況下が判断を狂わせ、深刻な事件に発展

 デマが深刻な事件を引き起こすケースもあります。
1923年の関東大震災時に「朝鮮人が井戸に毒を入れた」といううわさが広がり、多くの朝鮮人が殺害されました。

 福田教授は
「デマは不安な状況下で起きやすく、人々の判断を狂わせてしまう」と指摘します。

 福田教授:
 平常時であれば、だまされることはないかと思いますが、当時は水道がほとんどなかったので井戸水が生命線でした。
しかし、そこに毒を入れられたと聞くと、あまりにもショッキングで騙されてしまう、流言パニックが起こりやすかったのでしょう。

 今はSNSが流通しており、視聴者数を増やすためにデマを流そうとする人もいるので、騙されないことが大切です。

■あなたは気付いている?
SNSに潜む「エコーチェンバー」の危険

ネットの世界は広いようで、実は“閉じた世界”にいることも…

 SNSは情報収集に便利な一方で、「エコーチェンバー」にも注意が必要です。
エコーチェンバー」とは、SNSなどで自分と似た興味・関心を持つユーザーをフォローして意見を発信すると、実際に似たような意見が返ってくるので「自分と同じような意見を持っている人がたくさんいるから、自分の主張は正しいんだ」と思い込んでしまう現象です。

 例えばYouTubeで「地震 予言」と検索して動画を視聴すると、似た内容の動画がおすすめとして表示されやすくなります。そして「みんな同じ予言をしているから事実なのでは」と信じてしまう恐れがあり、福田教授は注意を促します。

福田教授:
 「エコーチェンバー」は、「こだま」「反響する」という意味です。
SNSで何か発信したり、何か検索すれば、関連のものばかりオススメされるという意味で、実はネットは広いようでいて閉じられてる、狭い蛸壺化している状況があるということに、私たち利用者も気づく必要があります。

■「あいまいな情報」「虚偽情報」ほど拡散されやすい!?

あいまいな情報は“確認”を通じて拡散されやすい

 拡散されやすいうわさには、一定の法則があるといいます。アメリカの心理学者・オールポート&ポストマンは、うわさの流布量は「重要量×あいまいさ」に影響するとしています。つまり、重要であればあるほど、あいまいであればあるほど拡散されやすいといいます。

福田教授:
 重要度が高くなければ誰も話題にしませんので広がらないのは当たり前で、「これは絶対に起きる」と確定していれば誰も疑わないし、コミュニケーションもしません。

 逆に「これは絶対嘘だ」と判断できれば、誰も拡散しませんが、「これってどうなんだろう、正しいのかな」とあいまいな時ほど、みんな確認したくなって、人に話したくなる。または、ネットで拡散したくなります。

 情報があいまいであればあるほど、“確認”というコミュニケーションによって、ネットワークを通じて社会に広がっていくという構造があります。

「虚偽情報の方が伝わるスピードが早い」研究も

 そしてその拡散のスピードについても、アメリカのマサチューセッツ工科大学での研究によると「Twitter(現X)で伝わるスピードは、正しい情報よりも虚偽情報の方がはるかに速い」ということです。

福田教授:
 これは定説になりつつあります。
例えば、政府でもテレビや新聞でも一般的に言われている当たり前の情報については「その通りだろう」と思うので、誰も広めませんし受け取るだけです。

 一方、テレビや政府が発表している情報を信用できない人たちは、今どんどん増えておりますので、そういう人たちが「新聞やテレビで言ってることと逆を言ってるぞ。こっちの方が真実なんじゃないか」ということを思ったら、そういう人たちがどんどん拡散していって、広がっていくという意味では一般に流布されている情報の反対の情報、もしくは虚偽の情報ほどスピードを持って拡散するという傾向があります。

■どう向き合えばいいのか?

 では私たちは今後、情報とどう向き合っていけばいいんでしょうか?福田教授に聞きました。

福田教授:
 まず「SNSなどで不用意に投稿や拡散はしない」ことが大切です。
閲覧数を稼ぐことを目的とする人もいるので、投稿や拡散する前にまず内容を確認し、投稿していいか判断しましょう。

 もう一つは「情報源を確認する」ことです。
公的機関など信頼できる情報源か、信頼できる情報源が複数あるかどうか。最近よく言われる「ファクトチェック」です。

 テレビや新聞やネットやYouTubeなど情報源が多様化しているので、何が本当の情報なのか認識するのが難しい時代になっています。
そういうときこそ、自分が持っている情報は本当に正しいのか、1個ずつ疑ってかかる。
「メディアリテラシー」と言いますが、個人が情報の真偽を判断することが求められており、学校教育・社会教育で必要になってくる時代です。

(『newsおかえり』2025年5月12日放送分より)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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