高齢者のひとり暮らしに不可欠な3つのポイント「生活サポート」「お金」そして…。専門家が教える《老親が離れていても安心》を叶えるための10ヵ条
8/13(水) 婦人公論.jp
気力体力が衰えて日々の暮らしに不安を感じる親、いつもどこかで親の様子を気にしてしまう子ども。離れて暮らしていても、それぞれが安心を手に入れる方法を専門家が紹介します(構成:村瀬素子 イラスト:たかまつかなえ)
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◆年を重ねてもひとり暮らしはできる
昨今、子どもと住まいを別にし、80代、90代でひとり暮らしをしている方は珍しくありません。
日本には高齢者の暮らしをサポートする公的な制度や民間のサービスなどがあるため、年を重ねて日常生活に不便を感じるようになっても、自宅で暮らし続けることはできるのです。
高齢者が安心してひとりで暮らすために不可欠なのは、「生活サポート」「お金」「安全な住まい」の3つ。
いざという時に、本人はもとより、離れて暮らす子どもが過剰な心配をしなくて済むよう準備を進めておきましょう。
1つ目は「生活サポート」。自治体や非営利団体、民間企業などが提供するサービスを活用して、子どもの手を借りなくてもひとりで日常生活を送れる態勢をつくります。
サポート内容は、配食サービス、ゴミの訪問収集、家事援助、病院の付き添いなどさまざまで、介護が必要な人だけでなく、元気なシニアも利用できるものがほとんど。
「重い物を運べない」「腰痛で電球交換ができない」といった不便や困りごとを、プロの手を借りて解消することで、生活の質を維持していくことができます。
次に「お金」。親が倒れたり認知症になったりした時、子どもは親の口座から勝手にお金を引き出すことができません。
いつかのためにお金を準備していても、使えなければ意味がありませんから、必要な時にスムーズに活用できる仕組みをつくっておくことは必須なのです。
まずは親本人が、預貯金、年金額、株式、不動産、負債も含めた財産の洗い出しを行います。
そして子どもに財産状況と、万が一の時にどのお金をどう使えばいいかを伝えましょう。
そのうえで、子どもが親のお金を引き出すことができる手続きをしておきます。
最後に「安全な住まい」。転倒リスクを減らす住環境づくりはもちろん、何かあった時に、すぐに家族などへ連絡がいくよう準備をしておくこと。
隣近所の人に「一日中カーテンが閉まったままだったら、息子に連絡して」などとお願いするのも1つの方法ですし、民間の見守りサービスやグッズを利用するのも良策です。
次ページから、具体的な方法を紹介していきます。
◆【生活サポート】
自治体が提供する生活サポートには、要支援・要介護認定を受けていなくても活用できるものがたくさんあります。
まずはどんなサービスを受けられるのか、情報を集めることから始めましょう
●10ヵ条(1):地域包括支援センター健康、暮らし、福祉、介護などに関するさまざまな相談に対応する総合窓口。全国に5400ヵ所以上設置されており、65歳以上のすべての人が利用できる公的機関です。
ひとり暮らしの不安や困りごとなどにも応じ、関係機関などの情報を提供してくれます。
親本人はもちろん、子側は親が住む地域を管轄するセンターを訪ね、繋がっておくと安心材料になるでしょう
《地域包括支援センターの役割》
(1)総合相談
心配や困りごとの相談、各種サービスの紹介・手続き支援など
(2)権利擁護
悪質な訪問販売や高齢者虐待の防止など、安全な生活を送れるよう支援
(3)包括的・継続的ケアマネジメント
自治体、医療機関、介護サービス事業者などと連携し、地域での生活をサポート
(4)介護予防ケアマネジメント
高齢者が要介護状態になることを防ぐための支援
(イラスト:たかまつかなえ)
●10ヵ条(2):自治体独自のサービス市区町村など各自治体が独自に行うサービスは、少額の自己負担、または無料で利用できます。
多くの自治体が、65歳以上の人がその地域で受けられるサービス内容や申し込み先などの情報を一冊にまとめた「便利帳」を作成しているので、役所で入手しておきましょう
《自治体の生活サポート例(東京都目黒区の場合)》
・ゴミの訪問収集
集積所へのゴミ出しが困難な場合、自宅までゴミを集めに来てくれる。無料
・理美容室介助
理美容室に行く際の送迎サポート。利用料金は1時間400円(交通費別途)。※自力で行くことができないなどの要件あり
・銭湯介助サービス
銭湯への送迎、入浴前後の着替え、入浴時の介助。1時間400円( 入浴代、交通費別途)。※自力で行くことができないなどの要件あり
・さわやかコール
週に1〜3回、定期的に安否確認の電話をしてくれる。無料
●10ヵ条(3):有償ボランティア社会福祉活動の推進を目的とする非営利の民間組織「社会福祉協議会」は各市区町村に設置されており、高齢者や障害のある地域住民を対象に、有償ボランティアサービスを提供しています。
地域によって内容は異なりますが、買い物代行や家事援助、病院の付き添いなどのサービスを割安な料金で利用可能です
《社会福祉協議会が提供するサービス例(東京都目黒区の場合)》
・家事援助
掃除、洗濯、買い物、料理、話し相手など。利用料金1時間900円
・すっきりさせ隊
窓ふき、ベランダ掃除、荷物の整理。利用料金1時間1100円(原則2時間以内)
・困りごとお助けサービス
電球の取り換え、体調不良時の薬の受け取り、簡易な家具の移動など。利用料金1回500円(原則30分以内)
・介護援助
通院介助、外出介助など。利用料金1時間1100円
《民間企業》スーパーやコンビニでは商品の宅配、清掃会社は掃除や片づけ代行など、民間企業が業種によってさまざまなサービスを用意しています。
費用はかかりますが、サービス内容が豊富で、年齢や体の状態などの条件もなく、緊急時にも利用しやすいのがメリット。
家具の移動や大きなゴミを処分するなど、人の手を借りたい時に対応してくれる《街の便利屋》さんを見つけておくのもおすすめです
(構成=村瀬素子)
太田差惠子

