昼間は安全?誤解です 空き巣多い10月、対策に「植木鉢と数万円」
10/11(土) 毎日新聞
秋が深まる10月。
外で過ごしやすい日も増え、さまざまなイベントを控えている人も多いだろう。
だが、注意したいのが自宅の防犯だ。
10月は空き巣などの侵入窃盗の発生が多いと指摘されている。なぜなのだろうか。また必要な防犯対策とは
◇泥棒は見ている
犯罪白書によると、住宅や事務所などへの侵入窃盗の月別の認知件数は2023年、10月が4363件と最も多かった。
15年〜23年の平均値でも、5月と10月が5185件と同数で、最多だった。
10月に侵入窃盗が多いのはなぜなのだろうか。
小宮信夫・立正大教授(犯罪学)は「10月は暑くも寒くもなく、外出機会が増えます。
在宅時間が減って、犯罪の機会が増えるからです」と説明する。
小宮教授は、犯罪は「機会」がないと実行されないと考える「犯罪機会論」に基づき、犯罪が発生した「場所」に着目した防犯対策を講演や著書などで呼びかけている。
犯罪白書のデータを見ると、10月という「時期」も犯罪の「機会」が増える傾向があるといえそうだ。
小宮教授は「10月は例えば、旅行シーズンで家を長く空ける、運動会や文化祭などのイベントに出かけたら終わるまで家に帰ってこないなど、犯罪の機会が多くなります」と分析する。
◇犯罪者は「暗さ」を嫌う
では、どんな対策を取ればいいのだろうか。まず取り組んでほしいというのが自宅の点検だ。
「犯罪の発生現場の共通点は『入りやすく見えにくい場所』です。
そのような場所が自宅にないか点検し、『入りにくく見えやすい場所』にする工夫をしましょう」
見えやすくするためには、自宅の植木や塀の高さは大人の視線を遮らない150センチ以下が望ましい。
また、視界の通りがいい、スリット(すき間)の入ったフェンスを選ぶといいそうだ。
「守りが弱い」ことが多いのが勝手口だ。
入りにくくするために、防犯性能の高い「CPマーク」がついた鍵の増設や、扉の前に植木鉢などを置いて侵入を妨害することも有効という。
「昼間は安全」という誤解が多いことにも警鐘を鳴らす。
警察庁によると、侵入窃盗全体の時間帯別認知件数は、午前2〜4時の発生が多いが、侵入窃盗の4分の1を占める「空き巣」に限ってみると、午前10時〜正午が多い。
「明るいと、足元や手元が確認しやすいため、侵入しやすく逃げやすい。実は犯罪者は明るさを好み、暗さを嫌うのです」
◇強盗と鉢合わせたら
「闇バイト」が絡んだ強盗事件が相次いだことを受け、小宮教授が25年6月に出版した著書「最新防犯理論が解き明かす 犯罪者が目をつける『家』」(青春出版社)ではさまざまな防犯対策が紹介されている。
相次ぐ強盗事件では激しい暴力を振るわれた被害者もいる。
防犯対策をしても、もし強盗に入られてしまったら――。
小宮教授は命を守るための行動をこう提案する。「強盗をやめさせようと立ち向かうより、ある程度の金額を渡す方が賢明です」
玄関のそばの棚に現金をしまっておき、もし強盗が入ってきたら、それを差し出す。現金は犯人が納得できると思われる金額が必要で、数万円はあった方がいいという。
「犯人も極度の緊張状態にあります。刺激すると、取り返しのつかない事態を招くかもしれません」【御園生枝里】

