2026年01月27日

60代男性の8割は夜、トイレに起きる…頻尿対策法、試してみては?

60代男性の8割は夜、トイレに起きる…頻尿対策法、試してみては?
1/26(月) 読売新聞(ヨミドクター)

Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」

 こんにちは。精神科医で睡眠専門医の三島和夫です。
睡眠と健康に関する皆さんからのご質問に科学的見地からビシバシお答えします。

 今回のテーマは夜間頻尿です。
頻尿で眠れないのか、眠れないからトイレに行ってしまうのか、患者さんからよく聞かれる質問にお答えします。

一晩に3回以上排尿する70代男性は1割以上

 睡眠障害外来の診察でもっともよく聞く困りごとの一つが夜間頻尿です。

 国立長寿医療研究センターが行った調査によれば、男性の場合、60代では約80%、70代では約90%、80代以降ではほぼ全員が夜間に少なくとも1回、夜間に排尿していたそうです。

 一晩に3回以上排尿する人も70代で10%以上、80代以降では30%以上いました。

 女性で夜間に1回以上の排尿がある人の割合は、男性よりも各年代で約10%程度少ないのですが、いずれにしても多くの高齢者が夜間頻尿に悩んでいます。

 排尿回数が多いということは、同じだけ夜中に覚醒してトイレに歩行していることを意味しています。

 そのため、夜間頻尿のせいで目を覚ますのか、不眠による中途覚醒のせいでトイレに行きたくなるのか、「ニワトリと卵」のような疑問を持つ方が多いようです。

 結論から言えばどちらのケースもあります。詳しくご説明します。

 日本排尿機能学会と日本泌尿器科学会が作成した「夜間頻尿診療ガイドライン第2版」でも、夜間頻尿の原因として、前立腺肥大や過活動膀胱(ぼうこう)など頻尿を呈する「下部尿路疾患」、糖尿病などによる「夜間多尿(尿量増加)」と並んで、「睡眠障害」を取り上げています。

前立腺肥大と過活動膀胱

 下部尿路疾患の代表が前立腺肥大です。前立腺肥大は男性に特有の病気で、頻尿が男性に多い理由の一つです。

 前立腺肥大により尿道が圧迫されると膀胱内部の圧が高まり、少量の尿で尿意が生じるため夜間に覚醒しやすくなります。

 特に、加齢によって膀胱の筋肉量が減り組織も固くなると、収縮力や柔軟性がなくなり尿をためておく力が低下して、夜間に少し尿がたまっただけで尿意が生じます。

 同じく下部尿路疾患である過活動膀胱では、尿の蓄積に対して膀胱が過敏になり、尿が十分にたまる前に収縮してしまうため頻尿となります。

 夜間頻尿だけではなく、尿の出にくさ、尿が途中で止まる、排尿時間が長い、尿意切迫感(急な我慢できない尿意)や残尿感がある、尿量が非常に多い――などの症状があるときは泌尿器科に相談しましょう。

睡眠障害を疑うケース

 一方で、下部尿路に問題がなく、尿量も正常なのに、何度も目を覚ましてしまう人がいます。

 「夜間頻尿診療ガイドライン第2版」にも書かれていますが、その場合は睡眠障害を疑います。

 夜間頻尿は主に中高年の症状ですが、その年代でかかりやすい代表的な睡眠障害は不眠症、閉塞性睡眠時無呼吸、周期性四肢運動障害、レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)などです。

 これらの睡眠障害では夜間の深い睡眠が減り、中途覚醒しやすく、目覚めた際に尿意を感じてトイレに行きたくなります。

 本稿では個別の詳しい解説はしませんが、診断には専門的な知識や検査装置が必要です。心配な場合は精神科、神経内科、睡眠障害の専門医などに相談してください。

 原因が下部尿路疾患と睡眠障害のいずれであろうと、いったん夜間に目が覚めると、軽い尿意であっても「また目が覚めてしまうのでは……」という不安からトイレに向かう人が多いようです。

 トイレへの歩行をすることでしっかりと目覚めてしまい、その後の睡眠が浅くなり、また軽い尿意でも目が覚めるという悪循環に入ってしまいます。

負担の少ない夜間頻尿対策

 「夜間頻尿診療ガイドライン第2版」は自宅でできる夜間頻尿の対策法も、いくつか紹介しています。

 科学的エビデンスは十分ではないものの、非侵襲的(患者の負担が少ない)なので最初に試みるべきだとしています。

1.夜間の飲水過多、アルコール、カフェインを避ける

2.減塩

3.禁煙

4.夕方あるいは夜間における運動療法(散歩、ダンベル運動、スクワットなど)。運動することでふくらはぎに水分がたまりにくくなる。

5.下肢をあげた状態での30分以内の昼寝(巻いたタオルケットなどの上に脚をおいて横になる)。ふくらはぎから水を追い出す効果がある。

 夜間頻尿に悩んでいる方、まずここらあたりから対策をはじめてはいかがでしょう。

三島和夫(みしま・かずお)
posted by 小だぬき at 06:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック