「どうして自分だけ…」自己嫌悪や羨望を生む上方比較 SNSの劣等感を防ぐ感情の言語化テク
2/14(土) AERA DIGITAL
友人の成功報告を見て「どうして自分だけ」と落ち込んだ経験はありませんか?
他人と自分を比べる「上方比較」は、時に自己嫌悪や羨望を生み、心の健康に悪影響を与えます。
しかし、その感情を「言語化」し、物事の見方を少し変えるだけで、ネガティブな感情を抑え、自分のモチベーションに転換できることが研究でわかっています。
この記事では、言語学者の堀田秀吾さんの著書『最先端研究でわかった頭のいい人がやっている言語化の習慣』(朝日新聞出版)から抜粋して、SNS疲れを防ぎ、心のバランスを保つための言語化術を解説します。
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■感情の言語化で劣等感や自己嫌悪も防げる
――ヴュルツブルク大学のウェーバーらの研究
「上方比較」。つまり、自分と比べて「相手のほうが優れている」と感じる心の動き。この上方比較は私たちの気分や自己評価に影響を及ぼすことが多く、時には自己嫌悪や羨望を生み、心の健康に悪い影響を与えることもあります。
朝、SNSを開いて友人の旅行写真や結婚報告、仕事の成功報告を見る。
そんな何気ない瞬間にも、私たちは無意識に「比べる」スイッチを入れています。
そのたびに、自分の生活がどこか物足りなく感じたり、「どうして自分だけ」と落ち込んだりする。
ヴュルツブルク大学のウェーバーらの研究が、Instagramの上方比較が私たちの心にどのような影響を与えるのかを実験で明らかにしています。
たとえば、健康的で活動的なライフスタイルを投稿するアカウントを見ると、多くの人は「自分ももっと頑張らなきゃ」と感じたり、逆に「自分には無理かも」とネガティブな気持ちになったりすることがあります。
しかし、この感情をただ漠然と抱えるだけでなく、「今、私はこの投稿を見てこう感じている」「この人の生活は状況が違うこともあるかもしれない」とことばにして自覚すると、ネガティブな感情を抑えられるのです。
この研究では、感じ方を見直すための簡単なトレーニングが行われました。
具体的には、「その人が素敵に見えるのは、環境や偶然の要素もある」ということや、「自分の能力や生活は努力や成長によって変わるものだ」という考え方を伝えるというものです。
これは、「リフレーミング」に近い考え方です。
物事の見方を少し変えるだけで、同じ現実でも感じ方はまったく違ってくる。
たとえば、「うらやましい」と思った相手を「努力を続けている人」として見直すだけでも、自分のモチベーションへと転換できます。
■小さな言語化が自分を守る
こうした考え方を頭で理解し、ことばにできると、上方比較によるネガティブな感情が和らぎやすくなることがわかっています。
なぜなら、感じていることをことばにすることで、その感情がただの「漠然とした不安」や「負の感覚」から、「具体的な思考」として認識され、自分自身を客観的に見る助けになるからです。
たとえば「彼女の写真を見るとうらやましいけど、彼女も頑張っているんだろう。
私も少しずつ成長しよう」と言語化できると、モヤモヤした気持ちが整理されます。
また、このように自分の感じ方や考え方をことばにしてふりかえる習慣は、「自分は社会的比較をしやすいタイプなんだな」と気づくきっかけにもなります。
先の研究では、他者と自分を比較しやすいかどうかの違いが、SNSでの感情の変化に影響していることも示されています。
したがって、Instagramなどでたくさんの素敵な投稿を見るときは、ただ受け身で眺めるのではなく、「私は今こんなふうに感じている」「でも、この人の暮らしは私とは違う面もあるし、自分には自分のペースがある」と、一度ことばにしてみてください。
その小さな言語化が、自分を守り、心のバランスを保つ強い味方になるでしょう。
*書籍『最先端研究でわかった頭のいい人がやっている言語化の習慣』(朝日新聞出版)より。
【著者】
堀田秀吾(ほった・しゅうご)

