2019年09月23日

復旧したはずなのに…「隠れ停電」千葉県内で相次ぐ

復旧したはずなのに…「隠れ停電」千葉県内で相次ぐ
9/22(日) 読売新聞  

台風15号の影響による千葉県の大規模停電は、23日で発生から2週間になる。
停電が続いているのは約2300軒(22日午後8時現在)で、ピーク時(約64万1000軒)の1%以下になった。
ただ、県内では停電が解消したとされる地区で電気がつかないケースが頻発。
電柱から住宅に延びる引き込み線の損傷などが原因で、東京電力も詳細を把握できず対応に追われている。

 東電の発表で、19日に町全域で停電が解消したとされた多古町。町役場には、「家の電気がまだつかない」とする町民からの問い合わせが20日までに43件寄せられた。

 21日に解消が発表された山武市の山間部に住む男性(47)宅でも停電が続く。
男性は自家発電機での生活を余儀なくされており、「うちの復旧は忘れられているのか」と憤る。

 電気は変電所や電柱に設置された変圧器で少しずつ電圧を下げながら、家庭に送られる。
東電は台風の影響で損傷した高圧線の復旧を終え、通電したことを監視システムで確認すれば、その地区の停電が解消したと発表している。
 だが、低圧線や引き込み線には監視システムがないため、損傷や不具合で停電が続いていても、東電は確認することができない。

“隠れ停電”とも呼ばれ、東電にも利用者からの問い合わせが相次いでいるという。
 東電は実態を把握するため、県内各自治体の災害対策本部に社員を派遣。
千葉市では22日午前6時現在、98軒で停電が続いていることがわかった。
一方、寄せられた情報をもとに復旧にあたっているが、「数が多く、作業が追いついていない」(担当者)という。

問い合わせはフリーダイヤル
0120・995・007)へ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

入院できただけ幸せ

今まで 脊椎狭窄ステンド手術、股関節人工関節置換手術を受けた 川崎幸病院では 食事も管理栄養士さんが 管理して病院食が自前で「糖尿病」食がだされました。

病院全体で病気通院のPC管理で 食事・リハビリなど 横の連絡は万全でした。
味もレストラン並みの味で こんなにも美味しくなったのかと感動したものです。

30年近く前の「胆嚢がんの疑い」で胆嚢切除手術をうけた北区の病院では 病院食はエサなのかと思うほど「魚の名前」なども不明で冷えた食事で 長らく病院食は「不味いもの」とのとの固定観念があったのです。

今回の東邦大学医療センター大森病院も 食事は美味しかったです。
ただ 気になったのは、委託契約業者が納入していた点です。
12日昼から常食(中)になったったのですが、量が半端なく多い。

美味しいものでも量が多いと 食べきるには「地獄」
途中から 常食(小)に変更してもらったのですが、少なくなったのはごはんのみ。おかず量は変わらず。
監理栄養士と話しをしたいといったら 委託業者なので・・・。と看護師さん。

大学病院で「自前」は難しいでしょうが 私の世代は「食事を残さない」「食事はお百姓さんの苦労から調理してくれる人まで たくさんの人のおかげだ、粗末にしてはいけない」と教育され身についたものには、「多ければ残せばいい」という選択はできないのです。

********************
9月11日の手術後は 痛み止めは遠慮なく使ってくださいね。と自己調整の器具も使ってくれました。

次の日の課題は 導尿管が外せる条件「自前歩行」できるかでした。
看護師さん付き添いなので「倒れたら君の方に倒れるよ」と冗談を言っているうちに 目標距離に到達。
すぐトイレで 導尿管を抜いてもらいました。

そのあと ベットは血まみれ。浴衣も大きな「日の丸」状態。
その状態が16日(火)まで続き、血液検査で「貧血」状態に。

感染症防止のため 12日(木)から シャワー使用。
そのたびに看護師に頼み ガーゼ交換。

16日から状況一変。

退院したら 自分でガーゼ交換をしなくてはいけないから お手伝いはしますが 自分でする訓練をしましょう、と可愛い看護師さんが 笑顔で宣言。

鏡を見ての 貼りかえがなんとも難しいこと。
上下・左右がままならない。
始めは 30分近くかかりました。

毎日の担当看護師さんが 「やり方を考えました」と日々改善提案。

**********************
看護師の情報網
私のいった弱音・冗談などが 次の担当に正確に伝わり、次は確実に改善されました。
    (続く)
posted by 小だぬき at 15:53 | 神奈川 ☀ | Comment(3) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月25日

“突然うつ”が増加中。心がポキッと折れる原因は何なのか

*小だぬき、せっかく退院できたのに 疲労感が予想以上に酷く 「コメント」を残せない友達やペット君には申し訳ない思いです。
消毒の仕方を工夫しながら 早く訪問再開できるようにファイトします。

“突然うつ”が増加中。心がポキッと折れる原因は何なのか
2019年09月24日 SPA!

2019年8月、ネプチューン・名倉潤が手術の“侵襲”によるストレスが原因のうつ病を公表したことは記憶に新しい。
このように、それまで何の前ぶれもなく元気だった人が、意外な理由やきっかけで“急に”うつ状態になってしまう例は多いという。
そんな「突然うつ」とも言うべき現象はなぜ起きるのか?
 実態に迫った。

◆労働環境の悪化で予期せぬきっかけがうつを発症させる!

まずはQ1「これまでに、突然心が折れて“うつ状態”になったことがありますか?」の回答をご覧いただきたい。
全国の40代男性2580人に調査したところ、「はい」と回答したのは784人。
実に約30%の男性が、自分でも予期せず“突然うつ”と呼べるような状態に見舞われたことがあるという結果になった。
=== Q1 これまでに、突然心が折れて“うつ状態”になったことがありますか? はい 30.4% いいえ 69.6%
※全国の40代男性2580人を対象に7月30日〜8月5日にアンケート(以下、同) ===

 慢性的な抑うつ状態が続く従来のうつ病と違い、なぜ“突然”心が折れるのか。
人材育成コンサルティング企業代表の前川孝雄氏は、背景に労働環境の変化を挙げる。
「ただでさえ人員不足でギリギリの企業が多いなか、働き方改革の推進により、労働時間の短縮、作業の効率化、生産性の向上を急ピッチで進めるムードが高まった。
こうした急激な変化に心身が適応できず、コップの縁すれすれまで溜まった水のようにストレスを溜め込んでいる人が実は多い。
すると、仕事と関係がなくとも些細なきっかけで突然水があふれ、うつ状態に陥るんです」

 それを裏づけるように、Q2「心が折れた一番の原因はなんだと思いますか?」では、心が折れた一番の原因に「労働環境」(35.8%)を挙げる声が2番目に多かった。

=== Q2 心が折れた一番の原因はなんだと思いますか? 心が折れた人500人アンケート(Q1で「はい」と答えた人を対象に調査) 人間関係(上司のパワハラ・部下の教育など) 39.4% 労働環境(過労・残業・休日なし・ワンオペなど) 35.8% 人事(出世競争・配属・降格など) 7.0% 金銭・経済問題(借金・投資の失敗など) 6.8% 家族との関係(妻との離婚・不和・子供の非行) 4.8% その他 3.2% 女性関係(失恋・浮気・不倫など) 3.0% ===

 臨床心理士の緒方俊雄氏は、40代という加齢による変化もストレス慢性化の原因だと語る。
「連日の徹夜、土日出勤など、30代の頃は無理が利いたからと自分を過信し、体力が落ちてくる40代で同じことをやっていると、ふとしたはずみでポキッと心が折れることは十分にあります」

 うつ病のトリガーは、ほかにもネプチューン・名倉を襲った“侵襲”など健康起因のものもあれば、Q2の第1位「人間関係」(39.4%)もそうだ。
心に余裕がなくなれば、上司や先輩、同僚、友人、そして家族の何げない一言すら心を蝕み、生きる気力を奪ってしまう。
“最後の一滴”が何になるか本人や周囲も予想できないのが、突然うつの恐ろしいところだ。

◆突然うつに男性が多い理由
 さらに産業医の大室正志氏は、突然うつに襲われるのは女性より男性が圧倒的多数だと指摘する。
「男性は、『自分はまだ大丈夫』という体への過信やプライドの高さからうつ病の予兆に鈍感すぎるし、それが危険なシグナルだと認めたがらない傾向にあるからです」

 そんななか、全識者が愕然としたのがQ3「心が折れたことを職場に報告しましたか?」の結果だ。
「会社に報告した」人が35%にも満たなかったのだ。

=== Q3 心が折れたことを職場に報告しましたか? はい 34.2% いいえ 65.8% ===
「社員と企業に信頼関係が構築できていない証し。

働き盛りの男性のメンタル不調を放置すれば、ほかの社員へのうつ病の連鎖や企業活動全体に悪影響を及ぼすリスクが高い。まして、Q4にあるように会社に報告したら『減給・降格・解雇された』(10.5%)となれば、企業のブランドイメージを左右しかねません」(大室氏)

=== Q4 (Q3ではいと答えた方)報告した結果どうなりましたか?(複数回答可)
休職した 37.4% 通院しながらそのまま仕事を続けた 33.9% 退職した 18.1% 減給・降格・解雇などの処分を受けた 10.5% 無断欠勤・無断退職した 8.2% 精神科に入院をした 2.9% その他 18.7% ===  

些細なきっかけで発症し、さらには会社にも報告しづらい……突然うつの恐怖は、決して他人事ではないのだ。

<文/週刊SPA!編集部 
       アンケート協力/エコンテ>
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月26日

インフルエンザが9月なのに流行し始めた理由

インフルエンザが9月なのに流行し始めた理由
グローバル化やスポーツイベント開催に注意
2019/09/25 東洋経済オンライン

上 昌広 : 医療ガバナンス研究所理事長

インフルエンザと聞けば冬場の病気というイメージがあるだろう。
ところが、今まさに流行が始まっている。
国立感染症研究所の9月17日の発表によると、9月2〜8日の間のインフルエンザ感染者数は、定点医療機関あたり0.77人で、前週から倍増した。
大流行した2009年に次ぐ勢いとなっている。

流行のきっかけは2学期が始まったことだろう。
9月2日には東京都東村山市の中学校がインフルエンザで学級閉鎖となった。
それにしても、夏場にインフルエンザが流行するとは奇妙だ。
インフルエンザは冬場の乾燥した時期に流行すると考えられてきた。
近年、状況は変わりつつあるようだ。
なぜだろう。

東南アジアなどの熱帯・亜熱帯では夏にも流行
実は、インフルエンザの流行が冬場に多いのは日本など温帯地域の特徴だ。
東南アジアなどの熱帯・亜熱帯では、冬だけでなく、夏にも流行する。 インフルエンザは、湿潤で暑い季節にも流行しうる。

2009年の新型インフルエンザの流行は夏場に起こったし、今年8月には沖縄県でインフルエンザ注意報が発令されている。
まれではあるが、わが国でも夏場にインフルエンザが流行することがある。
なぜ、近年は夏場の流行が目立つのだろう。

このことを説明する前に、世界でのインフルエンザの流行のメカニズムをご紹介したい。
実はインフルエンザの流行は、世界中を「循環」している。
日本の冬場に北半球、夏場に南半球で流行する。
つまり、1年をかけて、北半球から南半球を「往復」する。
この結果、その途上にある熱帯や亜熱帯は半年に1度のペースで年に2回流行する。

近年、この状況に変化が生じている。
原因はグローバル化の加速だ。
とくに注目すべきは、夏休み期間の7〜8月には多くの日本人が海外に出かけ、海外からも旅行客が押し寄せることだ。
彼らがインフルエンザを海外から日本に持ち込むのだ。

南半球との交流が拡大 ポイントは南半球との交流が拡大していることだ。
この時期、南半球はインフルエンザ流行の真っ最中だ。
日本政府観光局によれば、今年の7〜8月にオーストラリアから6万1900人が入国している。
対前年比7.4%の増加だ。
日本人もオーストラリアに出かける。
JTB総合研究所が各国政府の発表統計より作成したデータによれば、今年7月に、オーストラリアを訪問した日本人は2万8000人だ。
8月分は未発表だが、合計すると5万人は越えるだろう。
日本とシドニー間の航空機での所要時間は10時間程度だ。
インフルエンザ感染の潜伏期は1〜3日間程度だから、オーストラリアで感染した人が発症する前に入国あるいは帰国してもおかしくない。

南半球はオーストラリア以外にも、ニュージーランドや南米、さらにアフリカがある。
近年、交流は加速している。
今秋はとくに注意が必要だ。
ラグビーワールドカップが開催されているからだ。
ラグビーはイギリス発祥の球技だ。
イギリスと、かつて植民地であったイギリス連邦で盛んだ。

現在、ラグビーの世界ランキングのトップ7はすべてイギリス連邦に属する国だ。
南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど、多くが南半球に存在する。
そして来年は東京五輪の開催を控える。
その規模はラグビーワールドカップとは比較にならない。

インフルエンザを含め、さまざまな感染症が海外から日本に持ち込まれるかもしれない。
流行を防ぐにはどうすればいいだろうか。
マスクを利用されている人もおられるだろう。
インフルエンザが流行るとマスクが売れる。
ところが、意外かも知れないが、インフルエンザ対策でマスクの有効性は証明されていない。

9月3日、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の研究者が興味深い研究結果を公表した。
彼らは2862人の医療従事者を、一般用のマスクと、「N95」という高性能マスクをつける群に無作為に割り付けて、予防効果を検証したが、両群に大きな差はなかった。
「N95マスク」は防塵マスクの規格を示す。
アメリカの労働安全衛生研究所が定めたもので、きちんと装着すると、フィルターを介して、固体粒子を95%以上補足する。

アメリカでは医療機関に「N95マスク」を導入する際、医療スタッフに対して顔面への密着度を評価するための「フィットテスト」が義務づけられている。
その後は年に1回の頻度で行う。
この詳細は「医療従事者のためのN95マスク適正使用ガイド」で公開されている。

医療用のマスクでも感染を防げない
筆者も「N95マスク」を装着したことがあるが、肌に密着し、息苦しさを覚えた。
市販のマスクとは粉塵の吸入予防効果はまったく違う。
ところが、「N95マスク」を用いても、インフルエンザの感染を防げなかった。

結局、インフルエンザ予防に有効なのはワクチンだ。
この論文を発表したCDCの研究者たちも、インフルエンザを予防するにはワクチンしかないと明言している。
インフルエンザワクチンは、感染を完全には予防できないが、罹患しても軽症で済む。

成人に接種した場合、2週間程度後から抗体が増え始め、4週でピークに達する。
その後、3〜5カ月で低下するが、感染者と接触するなどして、ウイルスに暴露され続ければ、効果はもっと長持ちする。

年末から年始に接種すれば、冬場だけでなく、来夏にも効果が期待できるかもしれない。
ぜひ、インフルエンザの予防接種を受けることを勧めたい。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月27日

テレビで話題「酢納豆」を勧める医師はデタラメ

テレビで話題「酢納豆」を勧める医師はデタラメ
2019年09月26日 PRESIDENT Online

「牛乳は超危険」「糖質ゼロは体にいい」といった健康情報はどこまで信用できるのか。
内科医の名取宏氏は「医師の中には、デタラメを言う人もいる。
『○○という食品が体によい/悪い』という情報は9割方は眉につばを付けて聞いたほうがいい」と指摘する――。

※本稿は、名取宏『医師が教える「最善の健康法」』(内外出版社)の一部を再編集したものです。

■「酢納豆」の効果に臨床的な証拠はなかった
外来で診察しているとき、高血圧の患者さんから「酢納豆が血圧を下げるって本当ですか?」と尋ねられました。
酢昆布なら知っていますが、酢納豆は初耳でした。

私「酢納豆って何ですか?」
患者さん「納豆に酢をかけたものです。テレビ番組で紹介されていました。体にいいというので毎日食べています」

私「味はどうですか? 美味しいのでしょうか?」
患者さん「正直言って、あまり好きではありません」

患者さんには「醤油の代わりに酢を使うことで塩分の摂取量が減り、わずかながら血圧が下がるかもしれません。
けれども、それ以上の特別な効果があるとは考えにくいです。
美味しくないのに、我慢してまで食べることはないでしょう」とご説明したところ、納得していただけました。

後日、インターネットで調べてみたところ、酢納豆はテレビだけではなく、ムック本や健康雑誌などでもすすめられていました。
酢納豆には、高血圧に対する降圧だけでなく、視力回復や体重減少、アンチエイジング、血糖降下など、様々な効果があるとされています。
しかし、体験談はありましたが、臨床的な証拠――つまり≪酢納豆を摂取する群≫と≪酢納豆を摂取しない群≫を比較して血圧が下がったというような研究結果は見あたりませんでした。
味も試してみました。酢をかけた納豆の味です。

「美味しい」と思う人が食べるのは、食べ方のバリエーションが増えて好ましいとさえいえます。
でも、私の口には合いませんでした。

■特定の食品で病気が治ると主張する「フードファディズム」
こういう特定の食品が様々な病気に効くという情報は、次から次に出てきます。
たぶん、本書が出版される頃には酢納豆は飽きられ、別の何かが流行していることでしょう。

酢納豆で高血圧や糖尿病などの様々な病気が治るという主張は、典型的な「フードファディズム」です。
フードファディズムとは、「食品や栄養が健康や病気に与える影響を過大に評価したり信奉すること」(※1)。
ちなみに「fad(ファッド)」というのは、英語で「一時的な熱狂」という意味です。
なんと的を射たネーミングでしょうか。
(※1)高橋久仁子著『「食べもの神話」の落とし穴:巷にはびこるフードファディズム』講談社

特定の食品が健康や病気に与える影響を評価するのは、かなり難しいことです。
特に長期的な影響を調べるには、当然ですが、長い時間がかかります。
酢納豆のように急に流行した食品(食べ方)については、何もわかっていないと断言できます。
ついでに言えば、食品(安全が確認されている食べ物)が健康や病気に与える影響は、もしあったとしても、多くの人を長い年月をかけて観察した研究でやっと差が出るか出ないかの小さなものでしかないのが通常です。

■食品が健康に与える影響を知るのに体験談は不向き
にもかかわらず、インターネットや健康雑誌では驚くような効能効果がうたわれています。
普通の食品ならセーフのようですが、これが健康食品の広告だったら法律的に完全にアウト。
効能効果の根拠は、たいてい体験談か自称専門家の推薦です。
つまり、芸能人の誰だれが好んで食べて効果を実感しているとか、ナントカクリニックの院長が大絶賛しているとか。

憧れの有名人が食べて体の調子がよくなったら、自分も食べてみたいと思うのは自然な感情でしょう。
しかし、食品が健康に与える影響を評価するには、体験談は不向きです。
タバコを吸うと肺がんになりやすいことは、ほとんどの方に納得してもらえるでしょう。
しかし、「タバコを吸っていても肺がんにならなかった」という体験談も、「タバコを吸わなくても肺がんになった」という体験談も、探せばいくらでもあります。
「これを食べたら体の調子がよくなった」という体験談も探せば出てくるわけです。

けれども、体調がよくなった理由が食品にあるとは限りません。
たまたま、その食品をとったときに体の調子がよくなっただけかもしれません。
体調がよくなるはずだという期待や思い込みによって、体調がよくなったかのように感じただけかもしれません。

■医師免許があってもいい加減な主張をする人はいる
大学教授やクリニックの院長が推薦していると信用する人もいるでしょう。
ただ、そうした「専門家」がきちんとした臨床的証拠を元に話しているとは限りません。
同じ医師として恥じ入りたくなりますが、医師免許を持っていても、いい加減なことを主張する人はいます。
医師のほとんどはきちんとしていると信じていますが、数多くいる医師(日本だけで30万人以上)の中にはデタラメを言う人もいるのです。

どこかのメディアが「酢納豆で病気が治る!」という記事の企画を立てたとします。
まともな医師に話を聞きにいっても「酢納豆で病気が治るというエビデンスはない」か、よくて「一部の病気に効く可能性がないとは言えない」くらいのコメントしかしてくれないでしょう。
これでは記事になりません。

しかし、中には「酢納豆はアンチエイジングにいい」、「酢納豆は高血圧にも効く」などと景気よく断言してくれる医師もいます。
本当に食品が効くと考えているなら、一般読者向けの記事にコメントするだけでなく、他の専門家に向けて学会で発表したり、医学論文を書いたりできるはずです。
しかし、私の知る限りでは酢納豆の効果についての論文はありません。
そうした医師は医学論文を書かなくても、一般向けメディアに載ることで名前が売れ、クリニックが繁盛するという利益が得られます。

メディア側にも、医師が期待通りのコメントをくれることで手軽に記事が書けるという利益があります。
両者は「Win‐Win」の関係です。
こうして、健康雑誌などに「酢納豆で病気が治る!」というフードファディズムを助長する記事が載ることになります。
テレビ番組でも同じことでしょう。
不利益を被るのは、不正確な情報に惑わされる読者や視聴者なのです。

■ナッツの糖質さえ気にするのは「フードファディズム」
特定の食品が「健康によい・病気が治る」とは反対に、「健康に悪い・病気になる」とするフードファディズムもあります。

もちろん、砂糖入りの清涼飲料水を大量に飲めば糖尿病になりかねませんし、赤肉や加工肉のとりすぎは大腸がんのリスクを上げます。
過剰摂取すれば健康に悪い食品はありますが、その影響を過大評価するのはフードファディズムです。
極端な糖質制限もフードファディズムです。
バランスを保ちながら適度に糖質を減らすのではなく、糖質こそが様々な病気の原因であり、減らせば減らすほど体によいと信じている人たちがいます。
糖質制限にも様々な流派があり、「糖質ゼロ」を目標に掲げている一派もあります。
そうした一派の人たちは、一般的な基準からいえば低糖質なナッツの糖質さえ気にします。
健康になることよりも、糖質を避けることが目的になっているかのようです。

■「牛乳は超危険」に科学的根拠はない
乳製品も「健康に悪い」とされることがありますが、科学的根拠はありません。
インターネットで検索すると「牛乳は超危険」などと不安を煽るサイトが見つかりますが、アレルギーや乳糖不耐症の人を除く大多数の人にとって、乳製品はカルシウム源として有用な食品です。

その他、前著『新装版「ニセ医学」に騙されないために』(※2)では、乳製品の摂取が乳がんリスクを下げるという研究を紹介しましたので、本書では別の研究を紹介しましょう。 (※2)
名取宏著『新装版「ニセ医学」に騙されないために』内外出版社
21か国における35〜70歳の成人、約13.6万人の食生活を調べた上で9.1年間フォローアップし、死亡と心血管疾患の数を数える大規模なコホート研究が行われたところ、乳製品を多く摂取している人は、そうでない人と比べて20%弱くらい死亡も心血管疾患も少なかったのです(※3)。

牛乳だけでも同様の傾向が見られました。
この研究によると、牛乳以外の乳製品なら、バターよりもヨーグルトのほうがよさそうです。 (※3)
Dehghan M et al., Association of dairy Intake with cardiovascular disease and mortality in 21 countries from five continents(PURE):a prospective cohort study., Lancet. 2018 Nov 24;392(10161):2288-2297.
ただ、ヨーグルトばかりを食べるのもフードファディズムです。
多くの人を対象に長期間調査した研究ではありますが、海外の研究なので日本人にどのくらい適用できるかはわかりませんし、各個人に当てはまるかどうかもわかりません。

今まで乳製品をとっていなければ「たまにヨーグルトも食べるといいかも」くらいに思っていただければ、ちょうどいいと思います。

■不正確な情報で無意味な我慢をするのは人生の大損
食の好みは大切です。
健康・長寿がいいといっても、人生が楽しくなければ意味がありません。
健康のために嫌いなものを我慢して食べ、反対に健康のために好きなものを我慢して食べないのはおすすめしません。
少しくらい健康に悪いとされる食品でも、持病などの理由で医師に止められていないのなら、量や頻度に気をつけて食べてもいいでしょう。

例えばマーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸は心疾患のリスクを高めるので規制されている国もありますが、日本ではトランス脂肪酸の摂取量は多くありません。
極端に外食が多い、揚げ物をよく食べる人でない限り、さほど注意する必要はありません。
まして、不正確な情報を信じて、健康に悪くない好きな食品を我慢するなんてことになったら人生の大損です。

テレビや雑誌やインターネットにあふれる「○○という食品が体によい/悪い」という情報は、9割方は眉に唾を付けて聞き、自分の好みを優先させるくらいがちょうどいいでしょう。
----------
名取 宏(なとり・ひろむ) 内科医
医学部を卒業後、大学病院勤務、大学院などを経て、現在は福岡県の市中病院に勤務。
診療のかたわら、インターネット上で医療・健康情報の見極め方を発信している。
著書に『新装版「ニセ医学」に騙されないために』(内外出版社)。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(7) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月30日

「がん検診」現役医師が教えるデメリットの数々

「がん検診」現役医師が教えるデメリットの数々
「不十分なエビデンス」に基づいた検診の弊害
2019/09/28 東洋経済オンライン
名取 宏 : 内科医

日本人の死因のトップである「がん」。
早期発見ができるよう「がん検診」に行く人もいるでしょう。
ですが、必ずしもすべてのがん検診が効果的とは言えません。
「がん検診のさまざまなデメリット」を、内科医の名取宏氏が新刊『医師が教える 最善の健康法』より解説します。
*******************
日本人の死因のトップは悪性新生物、いわゆる「がん」です。
ですから、健康で長生きするには、症状のない早期のうちに発見するため、なるべく多くのがん検診を受けたほうがいいと考える人もいるでしょう。

ところが、がん検診もさまざまで、確かにがん死を減らすことが証明されているがん検診はあるものの、中には利益が明確でないものもあります。

がん検診は「無害」ではない
それでも、「検診を受けるだけなら何も害はない。少なくとも損はしないのだから、たくさん受けたほうがいい」と思うかもしれません。
しかし、「検診には害がない」という考えは間違っています。

薬やワクチンに害(副作用)があることはよく知られていますが、検診の害についてはあまり知られていません。
医師でもよくわかっていない人もいます。
医師などの専門職向けに書かれた検診の教科書の序文には、「すべての検診には害がある」とあります(※1 Angela E. Raffle and J. A. Muir Gray著,Screening: Evidence and Practice, Oxford University Press)。

これまで、また現在も不十分なエビデンスに基づいた検診が行われ、結果として検診が害をもたらしていることに注意を促すためです。
序文はこう続きます。
「いくつかの検診は利益もあり、その中には妥当な費用で実施でき、害よりも利益が上まわるものもある」。
検診を受けるなら、害だけがある検診を避け、利益が害に勝るものを選んだほうがいいでしょう。

がん検診の害には、さまざまなものがあります。
最もわかりやすい害は、「偽陽性(ぎようせい)」でしょう。
がん検診の1次検査では、がんの疑いのある人を広く拾い上げ、精密検査で確定診断をします。
この1次検査の結果、がんが疑われて精密検査を受けたけれど、最終的にはがんではなかった場合を偽陽性といいます。

デメリット2:過剰診断
がん検診は、1次検査で大量の偽陽性を生み出します。
そして、精密検査では、がんの疑いのある組織を採取するなどすれば痛みを伴い、出血や感染といった合併症を起こすことがありますし、最終的にがんではなかったとしても「がんかもしれない」と言われて結果が出るまでの間、不安になります。
中には、がんではないという精密検査の結果が出ても、そちらのほうが間違っていることを恐れ、ずっと不安なままの人もいます。

「過剰診断」も、がん検診の害の1つです。
過剰診断とは、「治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない病気を診断すること」です。
無症状でがんと診断され、治療を受けた人の中には、治療をしなくても一生症状が出なかった人がいます。
過剰診断は珍しいものではなく、例えば検診で乳がんと診断された人の20〜30%が過剰診断です(※2 Bleyer A and Welch HG., Effect of three decades of screening mammography on breast-cancer incidence., N Engl J Med. 2012 Nov 22;367(21):1998-2005.)。

甲状腺がんは過剰診断が起こりやすく、韓国では甲状腺がん検診が盛んに行われたため、がんと診断される人が15倍になりましたが、その多くは過剰診断でした(※3 Ahn HS et al., Korea’s thyroid-cancer "epidemic"−screening and overdiagnosis., N Engl J Med. 2014 Nov 6;371(19):1765-7.)。
甲状腺がんや前立腺がんの一部のように治療をせずに経過観察するがんもありますが、多くの場合、がんと診断されると治療もされます。

過剰診断は「過剰治療」につながります。
「腫瘍マーカー」は意味がない では、具体的ながん検診を例に挙げていきましょう。

まず、PSA(前立腺特異抗原)以外の「腫瘍マーカーによるがん検診」はおすすめしません。
採血だけで測定できる腫瘍マーカーは、その手軽さのためか、がん検診によく利用されますが、利益は明確ではありません。

一般的に腫瘍マーカーはがんが進行しないと上昇せず、早期発見に向いていないのです。
保険適応となる腫瘍マーカーの使い方は、治療の効果判定、がんの手術後に再発していないかを調べるフォローアップ、画像で見つかった腫瘍の性質を知るための質的診断などを目的としたものです。

無症状の人からがんを見つけ出す検診目的では、全額自費になります。
数千円を払って、意味のない検査を受けるのは馬鹿馬鹿しいです。

「有効な検診」と「無効な検診」の差
例外的に、前立腺がんの腫瘍マーカーである「PSAによるがん検診」は、「前立腺がん死を減らすという研究結果」と「前立腺がん死を減らさないという研究結果」の両方があって議論があるところですが、日本では公的に推奨されていません。

アメリカ予防医学専門委員会(USPSTF)の推計によると、55〜69歳の男性1000人がPSAによる前立腺がん検診を受けると、10年間で100〜120人が偽陽性となり、精密検査を受けます。
場合によっては前立腺から組織を採取する生検が必要になり、一定の割合で出血や感染といった合併症が起きます。
一方で、利益は0〜1人の前立腺がん死の予防です(※4 Moyer VA et al., Screening for prostate cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation statement., Ann Intern Med. 2012 Jul 17;157(2):120-34)。
「前立腺がんで死ぬのだけは嫌だ」という人以外には、あまりおすすめしません。

医療機関によっては、「卵巣がん検診」「膵臓がん検診」「子宮体がん検診」も行われていますが、それらのがんにかかるリスクが家族歴などからきわめて高いことがわかっているといった個別の事情がない限り、おすすめしません。
卵巣がん検診はランダム化比較試験が行われましたが、がん死を減らすことは示されませんでした(※5 Buys SS et al., Effect of screening on ovarian cancer mortality: the Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian (PLCO) Cancer Screening Randomized Controlled Trial., JAMA. 2011 Jun 8;305(22):2295-303.)。

卵巣はお腹の奥のほうにあり、がんと確定診断するためには手術が必要になります。
偽陽性の場合に害が大きいことも、卵巣がん検診がすすめられない理由の1つです。

膵臓がん検診、子宮体がん検診も同様です。
国際的にがん検診が有効とされているがんは、「子宮頸がん」「乳がん」「大腸がん」ですが、これらはいずれも病変が体表面かそのすぐ近くにあり(消化管粘膜は、医学的には体表面)、確定診断のために組織を採取しやすいといえます。

「リキッドバイオプシー」の有効性
腫瘍マーカーよりも早期にがんを発見できる手法として、「リキッドバイオプシー」と呼ばれるものもあります。
リキッドとは「液体」、バイオプシーとは「生検」のこと。
血液や尿などの液体中のがん細胞の核酸を検出する「マイクロRNA検査」、がんにかかると血液中のアミノ酸濃度のバランスが変化することを利用した「アミノインデックス検査」、尿中に含まれる微量のがんのにおいに線虫が反応することを利用した「N‐NOSE検査」があり、よく新聞などで「血液1滴でさまざまながんを診断できる夢の診断法」などと紹介されます。

リキッドバイオプシーの欠点
しかしながら、これらの検査はすべて研究段階です。
がんを発見することはできても、まだ「リキッドバイオプシーを利用したがん検診」が「がん死」を減らしたことを証明したという臨床試験はありません。
将来に期待です。

検査によって利益が得られるというエビデンスはないのに、リキッドバイオプシーを用いたがん検診を提供している医療機関もあります。
保険適応はありませんので自費です。
腫瘍マーカー検査よりも高価で数万円ほどかかりますが、利益が証明されていないことや偽陽性の害に関する説明はされていません。
がん検診には害がないという誤解を利用して、お金儲けをしているように見えます。

公的機関が行っている進行中の研究に協力するならともかく、ビジネス目的の医療機関でこうした検査を受けることはおすすめしません。

さらに複数の臓器のがんを1回の検査で発見できると称するリキッドバイオプシーには、偽陽性のときに際限なく検査を行われかねないという欠点もあります。
さまざまな臓器のがんを発見できる点が長所だとしても、これは欠点にもなりうるのです。

「偽陽性の割合」は想像以上に高い
さて、ここで問題です。
どの臓器だろうと、今後1年以内に発症するがんをすべて発見できる検査があるとしましょう。
がんではない人を誤って陽性としてしまう確率は5%とします。

60歳前後の日本人のがんの罹患率はだいたい10万人当たり1000人です。
60歳前後の日本人が、この検査によるがん検診を受けた場合、陽性と判定された中での偽陽性の割合はどれくらいでしょうか。
5%じゃありませんよ。

仮に10万人が検査を受けると、本当にがんである1000人に加えて、がんでない9万9000人のうちの5%で、4950人が検査で陽性となります。
検査で陽性と判定される人は、1000+4950=5950人です。
つまり、検査で陽性と出た人の中の偽陽性の人の割合は、4950÷5950=約83%ということになります。
多くの方が思っていたよりも、偽陽性の割合はずっと高いのではないでしょうか。

どのような検査でも一定の割合で不正確な結果が出ます。
がんの人よりもがんではない人が圧倒的に多いので、がん検診で多くの偽陽性が生じるのは仕方がないことです。
それでも公的に推奨されているがん検診では、精密検査は特定の臓器だけを対象に行えばすみます。

肺がん検診だと胸部CT、大腸がん検診だと大腸内視鏡検査といった具合に、臓器ごとに精密検査を行えばいいのです。
一方、複数の臓器のがんを発見できる検査で陽性になった場合、全身を調べる必要があります。
胸腹部CT、腹部エコー、上部消化管内視鏡、下部消化管内視鏡、女性ならマンモグラフィーに乳腺エコー検査、脳腫瘍を心配するなら頭部CTに頭部MRIも追加し、全身PET検査まで行う人も出てくるかもしれません。

「カネ目当て」の医療機関もある
さまざまながんを一度に発見するような検査は、「がんではない人を正確にがんではないと判定する能力」が極めて高くないと実用的ではありません。
そして現在のところ、そこまで正確なリキッドバイオプシーは存在しません。

偽陽性が多く、検査がたくさん必要になると、検査を行う医療機関にとっては金銭的な利益になるということも指摘しておきます。
ただし、誤解してほしくないのですが、がん検診がすべてダメだと言っているわけではありません。

利益が害を上まわるがん検診もあります。
やみくもに検診を受けるのではなく、利益と害について理解したうえで、有効な検診を選んで受けましょう。
また、検診はあくまでも症状がない人が受けるものです。
がんを疑うような症状がある場合は、早めに病院を受診してください。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月03日

「金ピカ先生」年収2億でも「老後破綻」してしまったワケ

「金ピカ先生」年収2億でも「老後破綻」してしまったワケ
10/2(水) :現代ビジネス(加谷 珪一)

 かつてカリスマ予備校講師として一世を風靡した「金ピカ先生」こと、佐藤忠志氏が亡くなった。
地域包括支援センターのスタッフが訪問したが返事がなく、遺体で発見されたという。

 一時は年収が2億円にも達していたという佐藤氏だが、どのような経緯で孤独死を迎えることになったのか、故人の過去をあれこれ詮索するのは一般的には失礼にあたるだろう。
だが、佐藤氏はカリスマ予備校講師であり、亡くなる直前にも、あえて写真撮影を許可する形でメディアの取材に応じている。

 佐藤氏は生涯、根っからの教育者であり、孤独死という自身の末路も含めて、若い世代の人に何かを伝えようとしていたに違いない。
そうであるならば、佐藤氏の孤独死を引き合いに、長寿社会においてお金とどう付き合えばよいのか議論することは失礼にあたらないし、むしろ敬意を表する行為だと思っている。

年収が増えた分だけ消費を増やしてはいけない
 佐藤氏は全盛期には1コマの授業で200万円を受け取り、年収は2億円を超えていたという。
だが、カリスマ講師という「役回り」だけでなく、実際の私生活もかなり派手だったようである。
何台ものクラシックカーを乗り回し、8億円の豪邸を建てたという話もあった。
だが、こうした浪費をやめることができず、最終的にはまったくお金がなくなってしまった。

 一般的には年収2億と聞くと、それだけで一生暮らせると思ってしまうかもしれないが、ひとたび散財を始めてしまうと、2億円のお金などすぐに消えてしまう。
 年収が増えると、それ以上に支出がかさみ、あっという間に生活が困窮するというのはよくある話だが、これは、フローでお金を稼ぐ人全員に関係する話といってよい。

金額が佐藤氏と比べて極端に少ないとはいえ、フロー収入(いわゆる給与などの収入)がメインの一般的なサラリーマンにとってもそれは同じことである。
 フローでの収入が増えると、何割かの人は、自身の経済的状況について間違った見通しを持ってしまう。
 日本の所得税はかなり厳しい累進課税となっており、分かりやすく言えば、金持ちからむしり取る仕組みである。
したがって、年収が増えた分だけ、税負担率が高くなる。
多くの人は知識としてこの話を知っているが、現実の生活になると、それを忘れてしまうのだ。

 所得税には一定の控除があり、名目上の税率よりも、実際に徴収される税率はかなり低い。
年収400万円から500万円の人の平均的な所得税率はわずか1.8%程度しかなく、日本における中間層は、所得税に関しては実質的に無税といってよい状況だ(海外の場合にはしっかり税金が徴収される)。

 ところが年収800万円を超えたあたりから税率は大きく上昇し、1500万円では控除を加えても14%以上、2500万円以上では40%近くが税金で持って行かれてしまう。
つまり年収が増えた分だけ可処分所得が増えるわけではなく、使えるお金の割合は年収の上昇とともに減ってくる。
 ところが、多くの人は年収が増えた分だけ消費を増やしてしまうのだ。

年収が1000万円もあるのに貯金がゼロで、生活が苦しいという話をよく耳にするが、これは典型的なパターンといってよいだろう。

自分を「堅実」だと思っている人ほど危ない
 困ったことに、年収が上がると、将来はさらに年収が上がると楽観的に考える人が多く、多少、出費が増えても、将来、取り返せると考えてしまう。
佐藤氏も、おそらく、派手に消費しても何とかなると考えていたに違いない。
 自分はそんなことはないとは考えない方がよい。
過度な楽観論は、私生活が派手な佐藤氏のような人物だけにあてはまるものではなく、自分を堅実だと思っている人でも、陥りやすいという現実があるのだ。

  例えば年収が500万円だった人が600万円になると、その先は700万円、800万円になると考える人は多い。
だが、それは単なる楽観論でそう感じているのではない。
 人間のマインドというのはやっかいなもので、年収が上がるという甘い見通しを正当化するために、自分はこんなにがんばっているのだから800万円くらいもらって当然だといった形に、徐々に思考回路を変えてしまうのだ。
だが、年収を決定するのは自分ではなく、あくまでも会社側であるという現実を考えると、こうした思考回路も、過度な楽観論の一種と言わざるを得ない。

 年収が上がると、税金を考慮せずに支出を増やし、今後もさらに年収が上がるという思考バイアスによって、消費に拍車をかけてしまう。
支出の中身は豪邸やクラシックカーではないかもしれないが、ちょっとした高級車や、子どもの習い事、見栄えのよいマンションなど、正当化しやすい項目であれば結果は同じである。
こうした消費先行型のライフスタイルは、最終的には老後の生活を直撃することになる。

 報道によると、佐藤氏は今年の5月から生活保護を受けていたという。
生活保護の金額は、受給者の状況に応じて変わってくるので、いくらの扶助が受けられるのかはケースバイケースである。  

基本的には地域や家族構成ごとに算出される「最低生活費」を基準に、収入があれば、そこから収入分を差し引いた金額が給付される。
例えば最低生活費が月10万円で、年金収入が6万5000円だった場合には、生活保護として受け取れるのは3万5000円となる。
 佐藤氏の場合、無収入で電気やガスも止められていたという報道があるので、無年金状態か、年金があっても、満額を支払っていなかったため、金額が少なかったと考えられる。

これからは厚生年金でも生活が困窮する人が増える
 高齢者が貧困に陥る最大の原因はもらえる年金額が少ないことである。
年収が下がっても、働けるうちは、それなりの生活費を稼げるので、何とかなるケースが多い。
だが体力の低下や転倒によるケガなどが原因で、継続的に勤務することが難しくなると、一気に資金繰りが苦しくなる。

 日本の公的年金制度は、子どもが親を扶養するという世代間扶養を社会全体に拡張したものであり、公的年金だけで老後の生活を完全にカバーできるものではない。
サラリーマンが加入する厚生年金は、掛け金も多く、その分だけ受け取れる年金額も多いが、国民年金だけという場合には、年金収入だけでは暮らせないのが現実である。

 現在、国民年金の月額の給付金額は約6万5000円である。
だが、この金額を受給するには、毎月の保険料である約1万6500円を40年間払い続ける必要がある。
支払い期間や金額が足りない場合には、その分だけ年金の額は減らされてしまう。
 ちなみに現在の年金受給者のうち、年間100万円以下しか年金をもらっていない人は全体の4割、
150万円以下しかもらっていない人は全体の6割に達する。
つまり現時点においても、十分な年金をもらっていない人が多数を占めているのが実状である。

 これまでは、掛け金も少ない代わりに年金額も小さい国民年金の人が困窮しやすいというのが一般的なイメージだったが、現役世代の賃金低下が著しく、年金財政の悪化が予想されるこれからの時代は、所得が高くないサラリーマン(厚生年金加入者)でも同様の問題が発生すると考えられる。
 年金に入っているだけでは不十分であり、働けなくなった時に生活費を捻出できるだけの資産がどうしても必要ということになる。

カギを握る配偶者の存在
 佐藤氏も該当すると思われるが、高齢者が困窮するもうひとつの理由は配偶者の死亡や離別である。
 もし夫婦が国民年金で40年間、満額、保険料を収めていれば、それぞれ国民年金を受給できるので世帯月収は13万円になる。
だがここで配偶者と離婚したり、配偶者が死亡してしまうと、年金額が半分になるので、生活に困窮する確率が一気に高まる。
 現在、生活保護を受けている人は約210万人だが、このうち55%が高齢者世帯となっており、しかも、高齢受給者の9割以上が単身世帯である。

統計データには個別の情報はないが、配偶者との死別や離婚などで年金額が半減し、生活が破綻したことを如実に物語っている(あるいはもともと単身者ということもあり得る)。
 夫婦の生活には個人的な事情があるので、他人が口を挟むことではないが、もし年金以外に頼れる資金源がない人は、よほどなことがない限り離婚はしない方がよい。
また、死別などで孤独になった場合、子どもや兄弟など、頼れる親族がいるのかが重要なポイントとなる。
単身者や親類縁者が少ない人、関係が希薄という人は、そうでない人以上に、自身の資産を積極的に構築しておく必要があるだろう。

 先ほども説明したように、今後は国民年金だけでなく厚生年金でも、生活が困窮する人が増えてくる。
厳しいようだが、40歳前後の年収を基準に、そこから昇給を実現できた場合には、全額を資産形成に振り向けるくらいの覚悟を持っていないと、高齢化時代を生き延びるのは難しいだろう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月07日

関東以北を覆う秋の空気 台風はジワジワ日本の南へ

関東以北を覆う秋の空気
台風はジワジワ日本の南へ
2019/10/06 tenji.jp

季節外れの暑さが収まる関東は昨日(5日)との気温差が7度前後に。
台風19号は週後半に日本の南で猛烈な台風へ。

●6日 関東以北は秋の涼しさ 東海以西は残暑
きょう(6日:日曜)、日本付近は大陸からの高気圧に覆われる見込みです。
ただ、高気圧の中心が日本海北部や北日本付近を移動する影響で、関東や東北の太平洋側には高気圧の縁を周るようにして、海上から湿った冷涼な空気が流れ込むでしょう。

【全国各地の天気】
沖縄は晴れる見込みです。
九州、中国、四国、近畿は朝までは日本海側の地域を中心に雨の降る所がありますが、昼前からは広く晴れるでしょう。
東海も日中は晴れますが、通り雨の所がある見込みです。

お出かけの際は折り畳み傘を持つと役に立つでしょう。
北陸は朝まで雨が降り、雨があがった後も雲の多い天気が続くでしょう。

関東甲信は雲が多く、一時的に雨の降る所がある見込みです。
雨脚が強まることはなさそうですが、沿岸の地域は北寄りの風がやや強く吹くでしょう。

東北の太平洋側も午前中は所々で雨が降り、雨があがった後も曇り空が続く見込みです。
東北の日本海側も朝は雨が降りますが、日中は日差しが出るでしょう。
北海道も朝は日本海側で雨の降る所や霧のかかる所がありますが、日中は広く晴れて行楽日和となりそうです。

【全国各地の最高気温】
沖縄は平年並みで30度前後の予想です。
九州、四国、山陽、近畿、東海は28度前後で、30度以上の真夏日になる所もあるでしょう。
山陰と北陸は23度前後で平年並みの所が多い見込みです。

関東甲信は23度から25度くらいでほぼ平年並みでしょう。
季節外れの暑さになったきのう(5日:土曜)の昼間と比べて7度前後低くなる見込みです。
日差しも少なく、グンと涼しくなるでしょう。服装選びにお気をつけ下さい。
東北は20度前後で、特に太平洋側はきのう(5日:土曜)より5度前後低く暑さが収まるでしょう。
北海道は平年よりやや低く、南西部が17度前後、北部や東部は14度前後の予想です。
日差しの下でも少し空気がヒンヤリしますが、秋の装いを満喫することできるでしょう。

●台風19号は3連休に影響か
海面水温は南の海上で30度前後、日本近海でも27度くらいあり、平年より高い状態です。
つまり、台風が発達しやすい状況と言えます。
今朝午前3時に発生した台風19号「ハギビス」は南鳥島近海を西寄りに進み、8日(火)頃にはマリアナ諸島で「強い」台風へ、9日(水)頃には「非常に強い」台風へ、10日(木)頃には日本の南で「猛烈な」台風へと次第に発達する見込みです。

なお、10日(木)から11日(金)頃には次第に北寄りに進路をとり、日本列島にも特に3連休の頃にジワジワと影響が出る恐れがあります。
今後も最新の台風情報をこまめに確認するようにしてください。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月08日

不足する医療費「上級国民に払わせろ」は正しいか

不足する医療費「上級国民に払わせろ」は正しいか
2019/10/07 Japan Business (加谷 珪一 )

 団塊の世代すべてが75歳以上の後期高齢者となる、いわゆる2025年問題を目前に控え、医療制度改革が待ったなしの状況となっている。
現在、3割となっている自己負担の引き上げにはかなりの反発が予想される中、日本医師会が医療保険で優遇されている国家公務員と大企業社員の保険料率引き上げを提言している。
乱暴に言ってしまえば、「上級国民」からもっと徴収すればよいという話だが、料率の引き上げは効果があるのだろうか。(加谷 珪一:経済評論家)

日本の健康保険は5種類
 医療制度について適切に議論するためには、日本の公的医療制度の全体像を把握しておく必要がある。
 日本の医療制度は、国民皆保険制度となっており、全員が何らかの健康保険に加入する必要があるが、健康保険には大きく分けて以下の5種類がある。

健康保険組合」は主に大企業が独自に運営する健康保険で、当該企業の社員が加入する。
企業が単独で設立する場合には、常時700人以上の社員が在籍している必要があり、2社以上が協同で設立する場合には3000人以上の社員数が必要となる。
 独自で健康保険組合を設立しない中小企業の社員は、全国健康保険協会が運営する「協会けんぽ」に、公務員の場合には「共済組合」に、それぞれ加入している。
これらに該当しない自営業者などは、各市町村が運営する「国民健康保険(国保)」に、75歳以上の後期高齢者については「後期高齢者医療制度」に加入しているはずだ。

 各制度の加入者数は、健康保険組合が約3000万人、協会けんぽが3600万人、共済組合が900万人、国保が3300万人、後期高齢者が1600万人となっている。

極めて安価に病院にかかれる日本の医療制度
 日本では原則として3割の自己負担で病院にかかることができるが、これは世界的に見ても驚異的な制度といってよい。
普段意識することはないかもしれないが、ちょっとした風邪で受診した場合でも、患者1人に対しては軽く数万円の費用がかかっている。

自己負担の3割を除くと、これらの費用はすべて医療保険から支払われており、この制度がなければ、気軽に病院にかかれないだろう。
 がんなどの場合には、1人あたりの治療費が数千万円に達することも珍しくない。
こうした重篤な病気の場合、高額療養費制度による補助があるため、患者の負担はさらに低く抑えられている。

わずかな自己負担で、あらゆる医療に対応できるのは、国民皆保険制度が存在しているからである。
 だが、自己負担分を除いた7割について、すべてを保険料でカバーできているのかというとそうではない。
医療費全体に占める保険料の比率は半分しかなく、足りない分については税金(国庫負担と自治体の負担)からの補填が行われている。  

今後、高齢者が急増することで医療費の大幅な増加が予想されているが、政府や自治体の財政状況は厳しく、これ以上、税金による財政支援を期待することはできない。

そこで、国民皆保険制度を維持していくためには、
(1)自己負担率を上げて病院に行きにくくする、
(2)保険料の料率を上げて財政を改善する、
(3)医療の質を下げ、支出を抑制する、 という3つの解決策しかないというのが現実だ。

国家公務員と大企業の社員は優遇されている
 少し長くなったが、医師会が提言しているのは、上記のうち(2)の保険料率の引き上げということになる。
 一般的に医療財政を好転させるには、自己負担率の引き上げが最も効果が高いといわれる。
自己負担率が低いと、たいしたことがない病気でも気軽に受診してしまうため、どうしても医療費が増えてしまう。

 自己負担率を大幅に引き上げれば簡単には病院に行けなくなるので、確実に医療費の抑制につながる。
だが、貧困化が急速に進む日本では、3割の自己負担率でも厳しいという国民が増えている。
低所得層の中には、保険に加入しているにもかかわらず、自己負担分を支払えないため病院を受診できないという人もいる。

 自己負担率を大幅に引き上げた場合、貧困によって病院にかかれないという、戦後の日本ではあり得なかった問題が急拡大する可能性がある。
また、高齢者を中心に自己負担率の引き上げに対する反発は大きく、なかなか決断しにくいというのが現実だろう。

 医師会としては病院の受診者が減るのは困るという事情もあり、保険料率引き上げという提言につながったものと考えられる。
 先ほど説明した健康保険は、実は制度によって所得に対する保険料率が異なっている。

国家公務員の共済組合の料率は約8%、大企業の社員を中心とした健康保険組合は平均すると9.2%の料率となっており、他の制度とくらべてかなり優遇されている。
 一方、中小企業の社員が対象となっている協会けんぽの保険料率は平均すると10%、地方公務員共済は9.6%と負担率が高い。
もしすべての健康保険を協会けんぽ並みの10%に上げると、保険料収入は何と1兆円もの増収となり、医療財政は大きく好転する。

 医師会の提言は、相対的に優遇されている国家公務員と大企業の社員の負担を大幅に引き上げることで、医療費を確保しようという方策であり、言葉は悪いが、優遇されてきた「上級国民」からもっと徴収しようという考え方である。

医療費の問題は年金問題よりも深刻
 年金2000万円問題に代表されるように、世の中では公的年金の財政問題に対する関心が高い。
年金も医療と同様、国民から徴収する年金保険料だけでは、年金の支払いをカバーすることはできず、足りない分については国庫からの補填が行われている。
 だが、年金の場合には150兆円の積立金があることから、年金財政が急激に悪化しても、積立金を取り崩せばよいので、すぐに給付が減るといった事態は想定しにくい。

一方、医療については、徴収した保険料で、その年の医療費をカバーする必要があり、年金における積立金に相当するものは存在していない。
このため、医療費が高騰すると、急激に医療財政が逼迫するという特長があり、その意味では年金よりも医療の方が深刻な問題を抱えている。

 また生活保護受給者の医療費については、医療扶助という形で一般会計から支出されているが、近い将来、年金の減額が確実視されていることから、生活保護受給者の増加が見込まれている。
生活保護が増えれば、一般会計の支出も増えるので、医療保険に対する国庫支出が増加したことと同じ結果になってしまう。

 現時点で生活保護者に対する医療費の支出は約1兆8000億円と、医療費全体(約42兆円)と比較すればごくわずかだが、この金額が大きく増えてくるようだと、財源の問題が議論の対象となる可能性もある。

 いずれにせよ、今後、医療費が増大することは確実であり、医療の水準を下げるという決断を下さない限り、何らかの形で財源を確保する必要に迫られる。
「上級国民」から徴収することの是非はともかく、年金と同様、医療費についても国民的な議論をもっと活発にしていく必要があるだろう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(6) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月09日

暑さは凶器と知った夏

【私説・論説室から】
暑さは凶器と知った夏
2019年10月7日 東京新聞

台風15号による停電で苦しむ千葉の人々のニュースを気が気でない思いで見つめていた。
そのご苦労にははるかに及ばないけれど、この夏、暑さは凶器だと身をもって知った。
エアコンが故障していたのだ。

 風が冷たくならない。
ずぼらな性格なので、このままではまずいと思い始めたのは暑さが本格化した八月に入ってからだった。
管理会社に連絡し、最初に来たのはエアコンの設置業者だった。
冷媒ガスが漏れている可能性を指摘された。
配管からは漏れはなく、エアコン本体の修理が必要と分かった。
同様のトラブルが相次いでいたらしく、メーカーが来てくれたのはそれから何日も後だった。

 結局十日以上、エアコンが壊れた状態で過ごした。
水風呂で身体を冷やして眠り、ビジネスホテルに泊まった日もあった。
どんどん疲れはたまり、最後は床に寝転がって手足を投げ出しじっとしていた。
同じ姿勢で夏を過ごす犬や猫の気持ちがよく分かった。

 長期の大規模停電を経ても、電力業界は負担増となることを警戒し、電柱の耐風性強化や無電柱化には消極的だ。
この夏は京急の衝突事故もあり、踏切の立体交差化の必要性をあらためて感じた。

コストがかかる地味な作業を後回しにしてきたつけを、人口減少で縮んでいく社会でいかに解消していくか。
涼しさで人間性が回復してきた頭で考え始めている。 (早川由紀美)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月16日

超高齢化で医療を受けられなくなる日は来るか

超高齢化で医療を受けられなくなる日は来るか
2019年10月15日 PRESIDENT Online

『救急車が来なくなる日』の著者でジャーナリストの笹井恵里子さんは、救急車の現場到着時間と病院収容時間が年々延びていることを明らかにした。
そして救急車だけでなく、その先の医療現場でも混乱が起きている――。
※本稿は笹井恵里子『救急車が来なくなる日』(NHK出版新書)の一部を再編集したものです。

■救急医療の現場への負担
あらためて強調するまでもなく、日本は高齢化の一途を辿っている。
それに伴って、高齢者の救急患者が増えているのは言うまでもない。
さらには、家族の「介護疲れ」が背景にある高齢者の問題も、救急医療の現場に負担がのしかかっているのが日本の現状だ。

こうした状況のなか、高齢者はどうすれば救急の現場を混乱させず、適切なタイミングで必要な医療を受けられるだろうか。

高齢者の立場からすると、体調が悪い時に自分一人で病院に向かうことは難しい。
かといって、ほかに手伝ってくれる人もいない。
そんな時に、救急車を呼ぶ以外の方法で、どうやって病院に向かったらいいのかわからないだろう。

米国では、救急救命士の資格を持つ者が現場に行き、傷病者の状態を見たうえで、救急車が必要か、介護タクシーを使うかの判別を行っている。
しかし、日本国内ではやはり患者任せになったままである。

■高齢者に「救急車に乗るな」と言えるか
救急車以外の手段としては、民間救急車や介護タクシーなどが考えられるだろう。
通常のタクシーとの違いは、民間救急車の場合、患者が寝たままの状態で、点滴や酸素吸入を受けたまま乗車できる点だ。
つまり、救急車でストレッチャーによって運ばれるのと同様の形での移動が可能で、救急車を呼ぶほど緊急ではないケース、自分が希望の病院へ転院したい時に使える。

介護タクシーは乗用車タイプだが、車椅子のまま乗ることができるメリットがある。
緊急性がない病院への受診なら、救急車を占拠しないという点で、これらの方法を使うのが望ましいだろう。
しかし、どちらも有料で、通常のタクシーよりは割高だ。
仮にあなたの両親が遠方に住んでいるとして、電話で「具合が悪いので病院にかかりたい」と言われたらどうだろう。
無料の救急車ではなく、有料の民間救急車や介護タクシーを勧めることができるだろうか。
あるいは、一人暮らしの高齢者のもとをケアマネージャーが訪ね、具合が悪そうだったらどうするだろうか。
ケアマネージャーとしては、救急車を呼ぶしかないだろう。

■救急車有料化の罠
「もちろん『救急車は重症な時に使ってください』と言いますが、同じ青森県内でも田子町の人に『よく考えてください』なんて言えません。
うちの病院までタクシーで来たら一万円はかかるんですよ」 八戸市立市民病院の今医師が早口でまくしたてる。

「一方、八戸市内ならタクシーで八百円程度ですから。
でもね、地方で『救急車の適正利用』なんて言うなら、救急車の台数を増やすとか、救急車に準ずるような搬送車を作ってほしい。
私は、患者さん自身が必要だと思ったなら、救急車を使っていいと思っていますよ」

救急車の適正利用をめぐっては、有料化案もたびたび議論される。
しかし、筆者はこれには反対だ。
海外では一回の搬送につき数万円が徴収されるが、無料であることが日本の優れている点だと思う。
仮に救急車が一回数千円から一万円の有料になったとしたら、あなたは119番にコールするか迷うに違いない。
救急車の有料化は、突き詰めれば「受診抑制」につながる。
そこで切り落とされる命が、必ず出てくるだろう。

それならば、むしろ介護タクシーに国が補助金などを出し、少しでも国民の支払いを抑える方向に誘導したほうがよい。
どんな患者なら救急車を利用できて、どういう場合には利用できないのか。
そして「利用できない患者」を作る場合は、代替手段やそれにまつわる補助をどう整備するか。
国はこれらを考える必要があるだろう。

これは繰り返しになるが、制度が整っていないままに「適正利用」ばかりを叫ぶのは違和感がある。
ちなみに、お金をかけたくないし、救急車は申し訳ないという気持ちから、自家用車を運転するのは事故の面から避けたほうがいい。
近年、運転中に大動脈解離を発症して死亡したケースなど、運転手が意識不明となって他者を巻き込むような自動車事故が後を絶たない。
大事故を防ぐためにも、少しでも体調不良を感じたら運転を控えたい。

■ベッドが高齢者で埋まっている
高齢者が救急医療を受診する際の「手段」とともに、救急医療から入院した場合、退院するまでの「出口」問題も整備されていない。
身内で一人暮らしの高齢者がいて、何らかの原因で入院する状態になり、病院から「そろそろ退院してほしい」と言われて困った、というケースを聞かないだろうか。

これから大きな問題となりうるのは、高齢者がベッドを占拠してしまうために、病院側に重症の救急患者を受け入れる余地がなくなってしまうことだ。

人口の多い地域、とくに関東圏内では、ベッド数問題に悩まされている。
関東では人口十万人あたりの病床数が全国平均の千二百二十九床よりも少なく、神奈川で八百八床、東京で九百四十二床、千葉で九百四十四床、埼玉で八百五十二床となっている(厚生労働省「医療施設調査」二〇一六年)。

全国で最もベッドが少ない神奈川県の保健医療計画によると、二〇二五年には急激な高齢化によって、必要病床数が約一万一千床不足すると推計され、「必要病床数」と「既存病床数」の乖離が大きい横浜や川崎北部、横須賀などから病床の見直し、つまりは増床を含めて検討している。

「ベッドが満床の時は、救急患者を受け入れられません」
熊本赤十字病院救命救急センター長の奥本医師が言う。
病院が位置する熊本市の人口はおよそ七十万人、市内に救命救急センターは同院を含めて三つある。
「時には熊本市外からも患者が搬送されますから、三病院ともにべらぼうに患者さんが多いです。
当院でも救急搬送の要請には一〇〇%応えたいけれども、重症患者の場合、ベッドに空きがなくて応じられないということが少なくありません」
この地域では、三つの救命救急センターのいずれかが患者を受け、それ以上はたらいまわしをさせないという暗黙のルールがあるという。

■転院を拒む、“大病院志向”の患者
「救急隊から「あそこ(三つのうちの一つ)に依頼しましたがダメでした」と言われたら、こちらがとるしかないという気持ちでやっています。
逆のパターンもあるでしょう。
当院で断られたと聞いたら、残り二つで受けてくれます。
ただ、インフルエンザが流行する冬場は苦労するんです。
三つの救命救急センターがどこもベッドがいっぱいで……」

しかも大病院志向の患者は、二次病院へ転院の話を出されると「格下げ」と感じるようで、なかには「退院までここにいたい」とごねる患者が少なくない。

「一病院で完結するということよりも、「地域のベッド」だから、次に移るという理解を患者さんにしてもらえたら……」
病院によっては、救急専用のベッドを備えていないところもある。
たとえば、広島市立市民病院では七百四十三のベッドはすべて各科に振り分けられている。
やはり高齢者が多く、院内のベッドは常に満床状態だ。
救急科は初療に特化しているため、入院が必要な場合は各科に問い合わせることになるが、調整が難しいことが多いという。

■病院はホテルではない
その一方で、ベッドが比較的余る地域もある。
簡単にいってしまえば、人口あたりの入院ベッド数が多いのだ。
たとえば、高知は人口十万人あたり二千五百三十床、鹿児島は二千八十三床と、全国平均の二倍も備える。
ある救急医がため息をつく。

「入院の適応でない患者が、日本ではたくさん入院していると思います。
救急医療のベッドは急性期の治療のためのものですが、それ以外の、たとえば家族が『高齢者の一人暮らしが心配だから』という理由で入院を申し出るケースもあるんです。
『ホテルじゃありませんから』と言うのですが」
筆者も取材中にそのような事態を目にした。

高齢者の親を連れた娘が、夜間に救急外来を訪れた。
食欲がなく、しっかり歩けないので、脳梗塞ではないか詳しく検査してほしいと訴える。
熱はあったものの、ひととおりの検査で「異常なし」。
帰宅させようとする医師に患者の娘が「先生、入院は……」という言葉が出たのだった。

「地方で人口あたりのベッド病床数が多いところは、一人あたりの年間の医療費も高い傾向にあります。
入院していれば、当然お金がかかりますからね。
かといって民間の病院がベッドを削減すれば、赤字になってしまいます。
ですから、公の病院がベッドを削り、病院の規模を小さくするべきだと思います」

厚生労働省は、二〇二五年を目処に「地域包括ケアシステム」の構築を打ち出している。
重度な要介護状態になっても、住み慣れた地域で最後まで暮らすことができるよう、「住まい・医療・介護・予防・生活支援」を一体的に提供しようという主旨だ。

しかし、具体的な方策については、各自治体が「地域の特性に応じて作り上げることが必要」と述べるにとどまり、実現への過程が見えてこない。
言い換えると、病院から早く患者を出せということになるが、病院側、そして家族としては、出すに出せない状況である。

■次の行き先を探すのは病院の仕事なのか
東京女子医科大学の矢口医師が指摘する。
「独居が増えていますから、正直厳しいと感じています。
また、救急での治療を終えて地域に直接戻せたとして、そこでもし具合が悪くなったら、また急性期の治療に戻すしかないですよね。
その繰り返しが起きる可能性がある。
しかも、大抵は救急車によって救急医療に運びこまれてくるでしょう」

このように「救急(医療)」と「介護」はひと続きになっているのだ。
どこまでが医療で、どこからが介護になるのだろうか。
一般的に、高齢者は一度倒れると、そのあと元の一人暮らしの生活に戻れる可能性は少ないという。

「高齢者は重症化しやすいですし、回復にも時間がかかるので、病院に長期滞在になりがちです。
また、その患者さんたちは、なかなかすっと退院とはなりません。
それは仕方ないことなんです。
高齢者なんですから」

たとえば、ある病院が人工呼吸器や常時モニターの管理が必要という重症な救急患者の治療を終えたとしよう。
だが、食事も自分一人ではできないし、リハビリもしていく必要がある。
そんな時に、患者にあった療養型の病院確保をどうするか。
実は、これも各救急に任されている。

「大学病院は急性期の治療が終わった患者を抱えてはいけない、と国は言います。
それはわかりますし、私たちも急性期の治療を終えた患者さんを出さなければ、次の救急患者を受け入れられません。
でも「救急患者さんを受け入れること」と「次の行き先を探すこと」の両方を救急医や救急医療機関がやらないといけないんですか、と思います」

救急医が転院先の病院を探す事務作業に時間をとられれば、本来の業務である「救急患者を診る」時間が少なくなっていく。 二〇二五年以降は、これまで以上に医療や介護の需要が増加すると見込まれている。
必要な整備を進めておかないと、気づいた時にはもう手遅れだった、という状態になりかねない。

----------
笹井 恵里子(ささい・えりこ)
ジャーナリスト 1978年生まれ。
「サンデー毎日」記者を経てフリーランスに。
著書に『不可能とは、可能性だ パラリンピック金メダリスト新田佳浩の挑戦』(金の星社)、『週刊文春 老けない最強食』『週刊文春 温かい家は寿命を延ばす』(ともに文藝春秋)『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)がある。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(3) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月20日

「缶コーヒーで気合を入れる人」が危ないワケ

「缶コーヒーで気合を入れる人」が危ないワケ
2019年10月19日 PRESIDENT Online

Q. コーヒーを飲むべきは「起きた後」か「寝る前」か

■医学的に正しい食事術とは コーヒーはカフェインのせいで健康に悪いイメージがあるかもしれません。
しかし、糖尿病や動脈硬化を抑える効果があることがわかっており、1日に数杯程度を積極的に飲むのはいいでしょう。
私も愛飲しています。

ただ覚醒作用のあるカフェインが含まれるため、時間帯の配慮は必要です。
夕方以降の摂取は、言うまでもなく夜眠れなくなる場合があります。
そこで、夜に喉が渇いたときにオススメしている飲み物は、ハーブティー(ローズマリー、カモミール、ラベンダー、ペパーミントなど)。
リラックス効果があるので、仕事終わりに最適です。
もちろん、カフェインが入っていないものを選んでください。
どうしてもコーヒーが飲みたい場合は、デカフェを飲まれるといいでしょう。

上質な眠りのためには、夕食もできれば睡眠の4時間前までに終えること。
食べたものが消化吸収を終えるのには約4時間はかかるうえ、朝昼食とは異なり、夜は肉体も脳もほとんど使いません。
食べたものがそのまま脂肪として蓄えられてしまうので、できれば主食抜きのおかず中心にしておきたいですね。

朝昼晩の食事配分の理想は、「3:5:2」と覚えておいてください。

■お酒好きな方には朗報
ところで、お酒好きな方には朗報があります。
食事とともにお酒を飲むと、血糖値の上昇を抑えるエビデンス(証拠)があるのです。
糖質を多く含むビールや日本酒、紹興酒などは避け、抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富な赤ワインや、辛口の白ワイン、蒸留酒などがオススメです。
もっとも飲みすぎは厳禁。

アルコールの血中濃度を薄めるために、意識的に水は多めに飲んでください。
また、我々の体は固体より液体のほうがより早く糖質を吸収しやすいのです。

一見体に良さそうなオレンジなどの果物も、実際は「果糖」の塊。
もちろん、砂糖満載の清涼飲料水や缶コーヒーは「砂糖の塊が溶けた液体」と認識すべきでしょう。

これらは飲むと一時的にハイな気分になりますが、それは短時間で血糖値が上昇し、セロトニンやドーパミンなどの脳内物質が分泌された結果にすぎません。

「缶コーヒーで仕事前に気合が入った」=いわゆる「血糖値スパイク」が起きている状態であり、これを繰り返せば、脳は「再びあのハイ状態を」と、過剰に糖分を求め始めます。
これは「糖質中毒」と呼ばれ糖尿病の原因。
一時的なハイ状態は「至福点」とも呼ばれ、飲料メーカーはこれを計算しつくした商品開発を行っています。

最後に、コーヒーを飲む場合は、あくまで本格コーヒーをブラックで飲むこと。
砂糖たっぷりの缶コーヒーなどの“コーヒー飲料”と、「本格コーヒー」は全く別物であることを覚えておいてください。
▼缶コーヒーは本格コーヒーと別物注意
----------
牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。
2008年、生活習慣病や肥満治療のため、東京・銀座に「AGE牧田クリニック」を開業し、延べ20万人以上の患者を診ている。『医者が教える食事術2 実践バイブル』など著書多数。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(3) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月23日

"オーガニックなら安全"神話の恐るべき盲点

"オーガニックなら安全"神話の恐るべき盲点
2019年10月23日 PRESIDENT Online

形成外科医として長年肌と向き合ってきた落合博子さんは、世の中にある美容情報は科学的ではないことが多いと指摘します。
例えば、「天然成分」と聞くと「安全」「肌にいい」というイメージを抱きがちですが、実はそうとも限らないのだそう。
逆に「合成」「パラベン」のほうが安全なことも。
“オーガニック信仰”の意外な落とし穴とは?
※本稿は、落合博子『美容常識の9割はウソ』(PHP研究所)の一部を再編集しました。

■実は怖い日本の「オーガニックコスメ」事情
「オーガニック」と聞くと、「肌にも地球にもやさしい」というイメージがありますね。
しかし科学的な視点で見ると、オーガニック化粧品にもリスクがあるといえます。
理由は簡単。
日本には、化粧品に関するオーガニック認定基準がないからです。

そもそも「オーガニック」とは、化学肥料や化学農薬を使わない有機栽培のこと。
オーガニックコスメは、そうした「有機栽培で育てられた植物性の原料を使ってつくられたコスメ」ということになります。

海外では、オーガニックコスメとして販売するには、政府機関や認証機関による厳しい基準を満たさなければなりません。
たとえば、フランスにはECOCERT(エコサート)やCOSMEBIO、
ドイツにはdemeter(デメター)やBDIH、
アメリカにはUSDA、HOFAなどがあります。

オーガニックコスメとして認証を受けるためには、有機栽培された植物からとれる成分のみが原料であることはもちろん、リサイクル可能な容器であるか、流通経路や流通手段が環境に配慮されているかどうかなど、細かな基準が数多くあります。
海外では、こうした厳しい審査をとおった商品のみが、「オーガニック」という表記を許されるのです。

しかし、日本で販売されているオーガニック化粧品には、このような認定基準がありません。
そのため、たとえばオーガニック植物成分を1種類だけ少量配合しただけでも、「オーガニック」とうたうことができます。 もちろんなかには、しっかり海外機関の認定を受けている商品もあるでしょうが、メーカーの自己判断で何とでもいえてしまうのが実情なのです。

■天然であるほどリスクがある
「天然成分由来」や「植物エキス」と書かれていると、つい安心・安全だと感じますが、その感覚は残念ながら間違っています。
なぜなら、「天然=何が入っているかわからない」ともいえるからです。
まだ解析しきれていない成分が混入している可能性もありますし、自然界のものは天候や産地によって左右されるので、品質にもバラつきもあるでしょう。
そして植物のなかには、毒性があったり、かぶれやアレルギーの原因となる成分があることも忘れてはいけません。

たとえば漆などがそうですし、漢方にステロイド類似成分が含まれていることもあります。
植物由来だから万人に合って安心であるとは、けっしていえないのです。

■「合成」のほうがむしろピュア
一方、「合成」と名がつくものには、なぜか肌によくないイメージがありますが、じつはそんなことはありません。
合成成分とは、自然界に存在する薬効成分を特定して、それを化学的につくり出したもの。
ひとつの成分にフォーカスして生成されたものですから、曖昧で未知なるものを含む「天然」よりも、むしろピュアなのです。
もちろん、植物成分のすべてを否定しているわけではありません。
植物ならではの心地よさや香りのよさもありますし、それが自分に合っていて肌にトラブルが起きないなら、使うことに何の問題もありません。

ただ、天然であるがゆえのリスクもまた、知っておいていただきたいと思うのです。

■パラベンは肌に良くないのか
みなさんはパラベンにどんなイメージをお持ちでしょうか? 
肌によくないと思っている方もまだまだ多いようです。
そのせいか、「ノンパラベン」「パラベンフリー」など、防腐剤無添加とうたわれるスキンケア商品も数多く見られます。

「防腐剤」とはその名のとおり、商品の腐敗を防ぐために配合されている化学添加物のこと。
もちろん化粧品だけではなく、食品や医薬品などさまざまなものに入っています。
そのなかでも馴染み深いのがパラベン(パラオキシ安息香酸エステル類)ですが、パラベンは本当に肌やからだによくない成分なのでしょうか?

■いまいちばん安全な防腐剤・パラベン
たしかにパラベンは人工的に合成された添加物です。
しかし現在では、ラット検証や人体検証も含めた研究により、パラベンはもっとも低刺激ですぐれた防腐効果を持つ安全性の高い成分としてのエビデンスがとれています。
おそらく、この「パラベン=肌の害になる」というイメージは、パラベンが以前、表示成分のひとつであったことが原因のようです。

パラベンは30年以上前に当時の厚生省がつくった「アレルギー反応を起こす可能性のある表示成分」のリストに含まれていました。
ただ、先述したとおり、この旧表示指定成分の内容は古く、当時危険とされた成分のなかには、現在は健康食品としてサプリメントで販売されているものさえあるほど。
ですから、「パラベン=危険」の認識はあらためる必要があります。
安全性が保証されなければ、現在は許可が出ませんし、そもそも食品に使えるはずはありません。

パラベンやメチルパラベンは、防腐剤としてもっとも刺激がなく安全なものといえますから、悪者あつかいする必要はないのです。

■「防腐剤フリー」は基本あり得ない
では、最近多々見かける「パラベン不使用」商品についてですが、パラベンが使われていないということは、当然ながらほかの防腐剤が配合されているはずです。
そもそも化粧品として販売許可を得るためには、「未開封で3年間保存が可能」という条件をクリアする必要があります。
防腐剤の配合なしに、この条件をクリアすることはほぼ不可能ですから、たいていの化粧品には、防腐剤もしくは、それに代わる成分が添加されているでしょう。

ただし、もし防腐剤が本当に無添加で3年保存の条件をクリアできない場合、「消費期限を化粧品の目立つところに記載すること」で販売の許可を得られます。
つまり、本当に防腐剤不使用の化粧品には、かならず消費期限が明記されているはずです。
防腐剤がどうしても気になる方や、パラベンにアレルギーが出てしまう方は、こうした消費期限つきの製品を使うのがよいでしょう。

■成分にリスクはつきもの
ただ、注記しておきたいのは、どの成分にもアレルギー反応が出てしまうリスクはあるということ。
パラベンはかなり低刺激で安全性が高い成分ですが、それでもアレルギーを引き起こす可能性がゼロだとはいえません。
大部分の人にとって大丈夫であっても、ある人にとっては合わない可能性もあるのです。
しかし、これはどの成分にもいえること。

何かの作用があるということは、かならず副作用もあります。
成分にはいつもメリットとデメリットの二面性があるものだからです。
そうした二面性を考慮してもなお、パラベンはリスクがかなり低く安全な防腐剤であると位置づけることができます。

----------
落合 博子(おちあい・ひろこ)
国立病院機構東京医療センター形成外科医長、
再生医療研究室室長、日本抗加齢医学会専門医
1991年東北大学医学部を卒業。
医師免許取得後、形成外科、創傷外科の専門医としての勤務を経て、2003年より国立病院機構東京医療センターで形成外科医長を務める。
----------
posted by 小だぬき at 10:16 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月29日

「先に診察室に呼ばれる患者」の知られざる特徴

「先に診察室に呼ばれる患者」の知られざる特徴
待ち時間を少なくするためにできること
2019/10/28 東洋経済
平松 類 : 医師/医学博士

病院は待たされるというイメージがある方が多いと思います。
しかも、ほかの健康そうな患者さんが先に呼ばれたり、簡単な治療でもやたら待たされることもあり、病院がどのように運営しているのか、ますますわからない感じがします。

『知ってはいけない 医者の正体』の著者の平松類氏は現役の医者。
巨大な総合病院である大学病院から、街角にある小さな診療所まで全国各地の病院に勤務し、延べ10万人以上の患者さんと接してきたことから、患者からの「医者にすごく聞いてみたい質問」に数多く答えてきています。
そんな平松氏が、私たちがよく抱く疑問について解説します。

先に呼ばれる患者に共通すること
外来で呼ばれる順番が前後するのはなぜでしょうか? 
「病状により前後します」と書いてありますが、「どう見ても自分より調子がよさそう」なのに先に呼ばれる人がいて腹が立つこともあります。
それはいくつか理由があります。

先に呼ばれる患者さんでとくに多いのは、「ぱっと見では異常はないが、実は重症な人」
例えば、普通に見えるけれども、実は脳に出血が溜まっていて、「このままだと意識を失う可能性があるので手術が必要」といった人などです。

時間がかかる人も、先に呼ばれがちです
検査がいくつか必要で、先に診察をしてから検査をしたいという事情があります。

前回待たせすぎた患者さんも、早く呼ばれることが案外多くあります
例えば、「何時間も待たせて検査だけしたら、怒って帰ってしまった。なので次回の診察は、早い」ということです。

感染症の人も、早く呼ばれます
そのまま待たせておくと、人にうつしてしまうからです。
咳をしていなくても、感染症の人はいます。

待っていることを忘れられていることもある
とはいっても、「だから黙って待っていましょう」と言いたいわけではありません。
心配なのは、「私は忘れられていないのか?」ということだと思いますが、実は、忘れられることもあるのです。

病院は、医療ミスには神経質に考えますが(それでもゼロではないですが)、予約・待ち時間やお金のミスに関して、実はあまり深刻に考えていないところが多いです。

周りの人がどんどん呼ばれているが自分が呼ばれないときや、1時間以上も何の検査などもないときは、「それは仕方ないことだ」と思わず一言、「私、忘れられていませんよね?」と確認することは必要です。

ちなみに、「あと、どれくらいかかります?」という質問は、大抵「何とも言えない」と言われるか、適当な数字が返ってくるだけです。
なぜならば、質問された側も全体像をほぼ把握していないから。
それに「1時間で診察できる」と答えておきながら、実際は2時間になったら、職員の側としては困ります。
仮に、余裕を持たせて長めの時間を言ったとしても、「そんなに待つのか!?」と怒られるのも嫌だという心情です。

ずっと待合室で待っているのが嫌な場合は、
「1時間ぐらい外出していいですか?」
「トイレに行ってきていいですか?」というように具体的にお願いしたほうがいいです。
すると職員は答えやすいですから。

「院長の知り合い」であっても口にしてはならない
「院長の知り合いだ」というと優遇してくれると思っている人が、たくさんいるようです。
これ、完全にデマです。
そもそも優遇するといっても、せいぜい待ち時間を早くするぐらいで、治療を優遇することはありません。
なぜなら、どの人に対しても、医者ができる最大限の医療を行っているはずなので、それ以上が存在しないからです。

むしろ、「院長の知り合いだ」と言うほうが、逆効果になる可能性があります。

第一に、院長のことを大好きな職員ばかりではないという現実です。
職員同士でランチをとっている時に、「院長ってすごいよね」と言っている病院は結構少ないです。
むしろ愚痴が多いところもあります。

第二に「知り合いなら我慢してくれるよね」と受け取る職員も多いことです。
例えば私も、患者さんの中に友人がいた場合は、ほかの患者さんを優先させたくなります。
一般の患者さんを待たせるのは申し訳ないけれども、友人を待たせる分には「ごめんね、患者さんがいるからちょっと待ってて」と言いやすいからです。

第三に、「院長の知り合いだ」と声高に言うのは、暗に「俺を優遇しろ」と言っているように職員は感じます。
院長のご機嫌取りをするようなごく一部の志の低い職員は優遇してくれますが、一方で志の高い職員は職位で判断するのが嫌いです。
それなのに「院長の知り合いだから優遇しろって、どういうこと? 納得できない」と思う職員もいます。

政治家は待たされるけど、タレントは待たされない!?
ただ自分が医療関係者の場合は、相手に言ったほうがいいです。
そうすると、医者も説明がラクになります。
「この用語は知っていますよね?」と、一般の患者さんと違って、説明する時間が省けるからです。

市議会議員や国会議員など政治家の場合も優遇されませんし、あえて優遇しないように医者は気をつけていたりします。
変に優遇してしまうと「あの議員は優遇されている」と、悪い評判を得ることになってしまうからです。

ただし、テレビに出ているタレントさんなど有名人の場合は、場所によって扱いが違うと思います。
私ももともとは「タレントでも1人の患者さん。
順番を優遇するなんていけないことだ」と思って、実際に待ってもらっていました。

しかし、有名人が待ち時間にサインや握手を求められたり、病院で待っていることが、変にSNSなどで出回ってしまう可能性もありますし、実際に起きています。
このように、実際に接していくうちに有名人には一般の人にない苦労があることを知りました。

そこで私は、あまり目立たない場所で待ってもらったり、場合によっては早めに診たりすることがあります。
でもそれは、決して特別扱いしているのではありません。
普通にしていると、病院がうまくまわらなくなり、結果として周りを含め全員が困ってしまうからです。
とはいえ有名人の方々は「一般の方と同じように待ちますから」と言ってくれることが多いです。

午後の診察開始1時間後が狙い目
医者の時間割は病院の規模よって変わります。
だいたい、次のようになります。

医者が最も心の余裕がある時間帯は14〜15時頃、午後の診察開始から1時間程度経った頃となります
この時間帯が、お勧めの受診時間となるのです。
話をいつもより丁寧に聞いてくれることも多いです。

 患者さんの立場にしてみると、長くかかる病院は午前中に済ませたいし、せめて午後一番には終わらせたいことから、診療開始時刻から午後一番までは割と混みます。
その次に多いのが、診療時間終了間際になって「明日になる前に」と思って受診する患者さん。

このような事情から、午後の診察開始から1時間程度経った頃が狙い目の時間帯となるのです。
ちなみに、終了間際はスタッフのモチベーションがかなり下がります
疲れていたり、お腹が空いてきたりしているからです。

追加の診察が入って定時に帰れなくなると、口には出しませんが「えーっ、もう帰れると思ったのに……」と思っている職員もいると思います。

経済情報サイト『Sankeibiz』の調べによると、一般職員の過労死予備軍(平均労働時間300日以上・週75時間以上)は1.2%ですが、勤務医ですと14.5%に上るといわれています。
それだけ勤務医は、労働時間が長いのです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月30日

民間の「医療保険」に入るより貯金した方が合理的といえる理由

民間の「医療保険」に入るより貯金した方が合理的といえる理由
2019.10.29 ダイヤモンドオンライン
大江英樹:経済コラムニスト

 テレビや雑誌などで、医療保険の広告を見ていると「高まるリスクに保険で備えよう」という文言がよく出てくる。
一見すると当たり前のように思えるこの言葉だが、よく考えると、とんでもない論理矛盾が隠されている。

 そもそも保険というのは何のためにあるのか?ということを考えてみよう。
それはめったに起こらないけど、もし起こったら自分の蓄えではとても賄えないことに対処するためだ。
重要なキーワードは、“めったに起こらない”ということなのである

めったに起こらないことだからこそ、安い保険料で万が一の時の保障が手厚くもらえることになるのだ。
頻繁に起こることであれば、保険料が高くなってしまうのは当然だ。
これは生命保険に加入する時点での年齢に応じて保険料が高くなることからもわかるだろう。

つまりリスクが高まることに対して本来、保険はあまり向いていないのだ。
 これは損害保険を例にとるとわかりやすい。
自動車保険に加入する場合、対人の場合は金額が無制限だが、それほど保険料が高いわけではない。
一方、車両保険の場合はかなり保険料が高くなる。

人身事故というのはめったに起きることではないが、車庫入れや狭い道でこすったりすることは割とよくあることだ。
したがって起きる頻度によって保険料が違ってくるのは当然である。
 中には車両保険自体には入っていない人もいるし、入っていても免責額を高くすることで保険料を安くする、すなわち少々こすったぐらいであれば自分のお金で修繕できるので、高い保険料を払うのはもったいないと考える人がいてもおかしくはない。
 したがって、「高まるリスクに保険で備えよう」というのは自動車保険でいえば、「車庫入れでこすったりすることはよくあることだから、高い保険料を負担しても保険には入っておこう」というのと同じことになる。

年を取ると病気のリスクが高まるというのはその通りだが、問題はそれを保険で備えるのが正しいか、貯蓄で備える方がいいのかということだ。
頻繁に起きることであれば、それは保険よりも貯蓄で備えると考えるべきだろう。

 確かに病気になった時には、経済的な不安があることは事実だろう。
ところが民間の医療保険に入っていないと何の保障もないのかというと、決してそんなことはない。
日本は国民皆保険の仕組みであるから、医療費の本人負担は原則3割で済む。
とはいえ、入院した場合などでは医療費が月に100万円を超えるような高額になることも起こり得るだろう。
ただその場合でも1ヵ月の医療費が一定額を超えた場合に対して、超えた金額が払い戻される「高額療養費制度」がある。  

高額療養費制度は年齢や所得によって自己負担額の上限が異なるが、年齢が70歳未満で年収370〜770万円の人が、病気の治療を受けてその月の治療費に100万円かかったとしても、その場合の自己負担額は8万7430円で済む。
年齢が高くなって70歳を超えた場合は、さらに自己負担額は少なくなる。

年金生活者の場合、多くは年収370万円以下であろうから、自己負担の金額は5万7600円だ。
まさに年を取って病気のリスクが高まるからこそ、このような社会保険の給付制度が手厚くなっているのである。

個室料金などは貯蓄から支払う方が合理的である
 この程度の金額であれば、貯蓄で賄えないというわけではないだろう。
ただ、この高額療養費は健康保険が適用される医療行為に対してのものであるから、入院した場合の差額ベッド料や入院中の食事代等には適用されない。
いわば民間医療保険とは、こうした公的保険では賄えないものをカバーするために現金が給付されるわけだ。
とはいえ、入院した時の個室料金を支給してもらうために何年も、場合によっては何十年も年間数万円〜数十万円の保険料を払い続けるというのは、あまり合理的とはいえないだろう。
それらの費用もある程度貯蓄があれば、それで十分賄うことが可能だからだ。

 よく入院1日目から保険金が受け取れるという保険もあるが、これもあまり意味はない。
保険本来の役割からいえば、短期の入院や治療では保険金が下りなくても、一定の日数以上入院して初めて保険金が下りる方が大切だ。
なぜなら非常に長い期間にわたって入院を余儀なくされるといった場合、収入が途絶えることに対する不安が大きいからだ。

 また、その場合でも、サラリーマンであれば病気で休んだ4日目から最長1年6ヵ月の間、傷病手当金という制度で通常の収入のおよそ3分の2が支給される。
そうしたもろもろの制度を利用すれば、別に民間保険会社の医療保険に入る必要はない。

むしろ払い込む保険料に相当する分をしっかり貯金してさえいれば、あまり心配することはないといっていいだろう。
 実際、我が国で民間医療保険への参入が生命保険会社・損害保険会社によって始まったのは2001年のことである(それ以前は1974年から米アフラックががん保険で参入していたのみであった)。

では、それまでは病気になったら一体どうしていたのだろう?
言うまでもなく、公的医療保険で治療費が賄われており、入院の際の個室料金や病院に通うタクシー代は自分の貯金から出していたはずである。
 このように合理的に考えると民間の医療保険に入るという必要性はあまりないと考えて良いのだが、相変わらず医療保険に入っている人は多い。

筆者は行動経済学で考えると、その理由が割と容易に説明できると考えている。
それは「メンタルアカウンティング」といわれる心理だ。
メンタルアカウンティングというのは「心の会計」といって、同じお金でも出所が異なることで感じ方が違ってくる心理のことをいう。

 例えば保険で支払われるとありがたいと思うのに、貯金を取り崩すのは何だか自分のお金が減って損をしたような気持ちになるということだ。
そもそも貯金は「下ろす」というが、保険金は「下りる」と表現する。
何か、どこからかお金が降って湧いたように感じる。
しかしながら、保険金というのは自分が長年にわたって払い込んでいた保険料から支払われているにすぎない。

保険料支払額よりも給付される保険金は大抵少ない
 また、こんなデータもある。
公益財団法人「生命保険文化センター」が今年9月に公表した「生活保障に関する調査」によれば、入院時の自己負担額の平均は20万8000円となっている。
仮に民間医療保険に加入して、月に5000円程度の医療保険料を10年間払い続けたとすれば、60万円を払い込んだことになる。
前述の20万8000円を全部保険金で賄ったとしても、払い込んだ保険料の方が3倍近くも多い金額となる。

ところが、保険料として払い込んだお金のことは記憶が薄れてしまっているため、給付される保険金はとてもありがたいけれど、自分の貯金を取り崩すのは損だ、という気持ちになってしまうのだ。

 同じ「生命保険文化センター」の調査では、過去5年間の自分自身のケガや病気による「入院経験あり」の割合は13.7%となっている。
実際に保険金が支払われる確率は1割あまりしかないことがわかる。
仮に自分がその13.7%に入ったとしても、長年にわたって払い込む民間医療保険の保険料を上回るような保険金が給付されることはまずまれだろう。
だとすれば、医療保険には入らず、その保険料に相当する部分を貯金しておいて、そこから下ろせばいいだけのことだ。

 人間は知らず知らずのうちに、不合理な行動をすることで損をしているというケースがよくあるのだが、特に保険のように長期にわたって払い込む性格のものは、積もり積もって大きな金額になるため、気を付ける必要がある。

自分にとって必要かどうか、果たして損にならないのかどうかを、しっかりと考えておくべきだろう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月31日

なぜ悩みが多い人のほうが幸福な人生

榎本博明「人と社会の役に立つ心理学」
なぜ悩みが多い人のほうが、
悩まない人より幸福な人生を歩めるのか?
2019.10.30 ビジネスジャーナル
文=榎本博明MP人間科学研究所代表、心理学博士

 生き方に悩んでいる人は、なんの悩みもなさそうな人を羨ましく思うかもしれない。
悩みがちな人は、どうしてもそんな自分を否定してしまいがちだ。
そして、悩みグセのある自分から脱したいと願う。

 だが、ここでちょっと考えてみてほしい。
悩みグセのない自分ってどんな感じだろうか。
もしその悩みグセを失ったら、あなたの人生の深みまで失われてしまうかもしれないのだ。

悩みとは無縁の人に漂う「薄っぺらさ」
 私は心理学者として勤務先の学生だけでなく一般の人たちのカウンセリングも行ってきた。
そうした活動を通して感じるのは、何も悩むことのないお気楽な人よりも、生き方に悩む人のほうが、味わい深い人生を歩んでいるのかもしれないということだ
むしろ悩みとは無縁の人のほうに思慮の浅い薄っぺらさを感じることも少なくない。

 多くの人は、悩みを抱えて苦しんでいる人の悩みを取り除くのがカウンセリングの目的だと思っているはずだ。
でも、カウンセリングにとって大事なことは、それだけではない。
 もちろん、悩み苦しむ人の心をサポートするのがカウンセリングとして重要であり、本人が悩みを解消したり困難を乗り越えたりするのを手助けすることが大事なのは間違いない。

だが、周囲を見回してみると、何も悩むことなどなさそうな人よりも、常に自分の生き方に疑問をもってなんらかの悩みと格闘している人のほうが、どこか人間的な深みがあるといった感じはないだろうか。

 ただし、悩み方の問題もある。
悩み上手な人もいれば、悩み下手な人もいる。
体調を崩したり、やる気を失い投げやりになったりしてしまうようなのは悪い悩み方といえる。
悩みながらも、「このままじゃダメだ」「もっとなんとかしないと」というように、前向きにあがいている姿勢が感じられる場合、そうした悩み方はけっして悪いものではない
そこには自分の生活を向上させようといった強い意志が感じられる

悩むのも悪くない
 自分の仕事人生に意味が感じられず、むなしさに包まれ、急にやる気が失せてしまったという40代の男性は、その苦しい思いを次のように語った。

「私は、けっこうがんばり屋なほうだと思います。
でも、いくらがんばってもうまくいったことがないんです。
高校受験でも大学受験でもそうでした。
必死に受験勉強をしたのに、結局志望校には合格しませんでした。
就活もそうです。
要求水準を徐々に下げて、ようやく引っかかったっていう感じです。
就職してからも、けっしていい加減にやっているわけではないのに、同期に差をつけられてばかりです。
もうがんばるのがバカらしくて……」

悩むことで人生を意味あるものにできる
 そのようにこれまでを振り返って嘆きながらも、
「でも、そんな投げやりな自分も嫌いで……。
いったいどうしたらいいのか、悩んでしまいます」と前向きの姿勢も示しながら、心の中の葛藤を口にした。

 これまで誠実な仕事をしてきたのに報われず、すべてが嫌になったという30代後半の男性は、納得いかない思いについて、次のように語った。

「僕はバカ正直というか、不器用というか、調子よく振る舞うのが苦手なのですが、上司の前で調子よく振る舞い、裏で上司を軽んじるようなことを言う人物が上司から評価される。
なんだかなあ、って思います」
「そういう連中は、上司だけでなく仲間に対しても不誠実で、仲間の手柄を奪うようなことも平気でする。
仲間にバレバレなのに、悪びれずに上司に手柄をアピールするようなことを言う。
そんな連中が上から高く評価されるんですよ。
もうバカらしくて、まじめに仕事する気になれませんよ」

 こう憤りつつも、 「だからといって、あんな連中と同じようなことをして張り合う気にもなれないし、そんなみっともない姿をさらしたくないし……。
この先どうしたらいいんだろうって、このところ堂々巡りの自問自答をしている状態です」 と揺れ動く胸の内を明かす。

 世俗的な意味での成功を基準にした場合は、この2人はけっして成功者とはいえない。
仕事生活に行き詰まっていると言うべきだろう。
だが、そうした世俗的なモノサシを基準にして生きていないことに誇りをもっているからこそ、どう生きるべきか悩んでしまうわけである。

 私自身、似たような葛藤を抱えているとき、次のような言葉を記して自分を勇気づけたものだった。

「自己の探求、それは過去経験に対して納得のいく意味を与えることだ」
「『これでいいんだろうか?』と思い悩むとき、すでに前向きの一歩を踏み出している」
「むなしさに押し潰されそうな思い、それは『より良く生きたい気持ち』のあらわれだ」
「『こんな自分はイヤだ』と自己嫌悪する、それは向上心が強い証拠だ」

 こんなふうに考えれば、悩むのも悪くないと思えてくる。

悩むことで人生を意味あるものにできる
 そこで参考になるのが、第2次世界大戦中にアウシュビッツの強制収容所に収容されながらも生き延びることができた精神医学者であり心理学者でもあるヴィクトール・フランクルの言葉である。
フランクルの次のような言葉は、カウンセリングを学んでいた頃の私にとって非常に刺激的だったが、今でも深く考えさせられる重さをもって迫ってくる。

悩んでいる人の方が健康なのかもしれない
「わたしたちは患者に安らぎを与えなかった。
形而上学的軽率という見せかけの安らぎを与えなかった。
また患者が自分の実存の意味を見出して、自分自身に立ちかえらないかぎり、わたしたちは患者が安らぐのを許さなかった」(フランクル 真行寺功訳『苦悩の存在論』新泉社 以下、同書)

「人間をその病気から外へ引き出すことはすでに問題ではない。
問題なのは、むしろ患者をその人のありのままの事実へと導くことである」
「このあるがままの事実のために、患者をおどして、かれの形而上学的軽率から追い出さなければならない。
しかも一つの危険へ向けて、つまり少なくとも一時的に緊張が高まり、苦しみに満ちた体験が生じるという危険に向けて駆りたてなければならない。(中略)
とうにわたしたちは、古典的な心理療法が立ってきたところには立っていない。
人間を単に働くことができるようにし、またそれ以上に享受できるようにするという点に、心理療法の課題をわたしたちはもはや見ていない。
少なくとも同じ程度に人間を苦しむことのできるものにしなければならない」

 自分の日常に対して疑問をもたずに、安穏として、「見せかけの安らぎ」に甘んじている人に働きかけ、悩む存在へと追い込むことも大切だというのである。

悩んでいる人の方が健康なのかもしれない
 悩み苦しんでいる人からすれば、なんの悩みもなく、呑気に暮らしている人は羨ましいだろうが、自分の現状に疑問を抱くことなく、安易な安らぎに甘んじていることこそ不健康なのだと思えば、気持ちが楽になるはずだ。
悩んでいる自分のほうが健康だということになるわけだから。

 悩み苦しむことはストレスになり、心身共にきつい。
だから、気分転換したり、気晴らしをしたりして、ストレス反応を軽減することも必要だ。
でも、気分転換や気晴らしによってストレス反応をいくら軽減したところで、苦悩から解放されるわけではない。
悩み苦しむことで、私たちは成長し、成熟していく。
人間は苦悩する存在である。
苦悩するというのは、まさに生きている証でもある。
そう考えることで、前向きに苦悩することができるようになるはずだ。

 こうしてわかるのは、悩むことこそ人生においてとても大事なのだということである。
簡単に解決することばかりだとしたら、人生はどんなに印象が薄く、味気ないものになるだろうか。
人生には多少の摩擦が必要だ。
それが「思い切り、生きている」といった実感につながる。

 人生に挫折はつきものである。
思い通りにならないことだらけといってよいだろう。
そこで人は悩む。
それによって心は鍛えられ、印象深い人生の軌跡が刻まれていく。

 悩み苦しむことで視界は開け、人生の段階がレベルアップしていく。
悩めば悩むほど思索は深まり、味わい深い人間になっていく。
そう思えば、気持ちがラクになるだろう
悩みつつ楽しむ
それが味わい深い人生にするためのコツなのではないか。

ニュースサイトで読む:
https://biz-journal.jp/2019/10/post_125590.html Copyright c Business Journal All Rights Reserved.
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月01日

なぜ日本人だとバレた? 海外で目立つ日本人ならではの行動

なぜ日本人だとバレた? 
海外で目立つ日本人ならではの行動
2019.10.31 マネーポストWEB

 近年、訪日外国人客の急増がしばしば話題になるが、日本人の出国者数も着実に増えており、2018年は過去最高を記録。2019年はそれをさらに更新しそうな勢いだ。

日本人と韓国人、中国人、モンゴル人などは、日本人でも見分けがつかないことがあるが、海外に行くと、「あれは絶対日本人」と見抜かれるポイントがいくつかあるという。
それは一体どういう点なのだろうか。
 国籍は日本だが、海外生活のほうが遥かに長く、アメリカ、ドイツ、フランスなどに住んだ経験を持つダイジュさん(40代・男性)は、「日本人はとにかく不用心だ」という。

「尻のポケットから財布が飛び出していたり、カバンのファスナーが開いて財布が丸見えだったり、荷物を置いたまま席を離れたりと、見ているこちらがハラハラするような不用心な人は、まず日本人。
外国人の友達から、『あの日本人、危ないからちょっと注意してやれ』と言われたことは何度もあります。

“席をとっている”ことを示すためか、スマホを置いたまま席を離れる人もいますが、海外なら数分で盗まれてもおかしくないでしょうし、警察に行っても『置きっぱなしにした人間が悪い』という反応でしょう。
電車で寝るのも日本人ですね」(ダイジュさん)

 海外に行ったら気をつけろとは口酸っぱく言われるが、染み付いた習慣はなかなか抜けないということか。
日本の治安の良さは誇るべきことだが、海外でも日本にいるような気分でいれば、トラブルに見舞われるのは必至だ。

 一方、実害はないものの、海外で何となく気恥ずかしい気分にさせられるのがエレベーター。
欧米諸国を計10年以上渡り歩いたマサヒコさん(40代・男性)はいう。
「いつまで経っても慣れなかったのがエレベーターです。
私はアメリカ、フランス、ベルギーなどに住みましたが、エレベーターの“閉まる”ボタンは押さない人が圧倒的に多く、そもそも“閉まる”ボタンがないエレベーターも少なくありませんでした。
外国人の同僚とエレベーターに乗って、一生懸命“閉まる”ボタンを押していたら、『5秒で何ができる?』とからかわれたことがあります。
“閉まる”ボタンをバンバン押すのは、日本人ならではですね。

 フランスにいた時、事務所が入っているビルのエレベーターには“閉まる”ボタンがありませんでしたが、階数ボタンを押した後に“閉まる”ボタンを押すクセが染み付いており、階数ボタンの上にある非常ボタンを何度か押して係員に怒られていました(笑い)」(マサヒコさん)

 エレベーター以上に日常的に利用するトイレでも、日本人は特徴があるという。
ヨーロッパの有名観光スポットで働き、常日頃から多くの国の人と触れ合っているチカさん(40代・女性)がいう。
「私の職場では多くの人たちが働いていますが、彼らが口を揃えて言うのが、『日本人はなぜあんなにトイレに行くんだ?』という疑問です。
日本人なら、観光地に着いてバスを降りる度にトイレの場所を確認し、出発前にトイレに行くのは当たり前ですが、外国人の目には頻繁すぎると映るようです。
『日本人は、わざわざ飛行機に乗って、ヨーロッパのトイレを見に来たのか』と言われたこともあります」(チカさん)

 外国語が苦手な人間が多いのも日本人の特徴。
異国の地でトイレパニックに陥りたくない心境もあるのかもしれないが、貴重な滞在時間をトイレに費やしすぎるのは確かにもったいない気もする。

 最後に、“主に女性”という条件付きの特徴が、歩き方だ。
世界中から学生が集まるアメリカの大学に留学したヨウコさん(30代・女性)は、日本ではまったく気付かなかった事実を知り、ショックを受けたという。
「日本では1度もなかったのに、海外では『コンニチハ〜』とか『ニッポンジンですか〜?』など、男性からよく声を掛けられました。
基本的に無視していましたが、ある時、『何で日本人って分かるんだろう?』と思い、友達の男の子に聞くと、
『誰だって分かるよ〜。
日本人は綺麗だけど、歩き方が綺麗じゃないから』と言われました。
他の友達も頷いていたので、皆そのように思っているようです」

 ヨウコさんはそれ以来、歩き方を意識するようになり、その甲斐あって(?)「コンニチハ〜」と声を掛けられる回数は減ったそう。
歩き方に関しては、“これも日本人の個性”と開き直る手もあるが、外国人がそのように見ているという事実は知っておいても良さそうだ。
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月03日

お金やモノが増えると「心」が貧しくなる理由

お金やモノが増えると「心」が貧しくなる理由
2019年11月02日 PRESIDENT Online

■老後のお金が足りないのではないか
金融庁金融審議会が、「公的年金だけでは、老後の生活資金が2000万円不足する」という試算を出したことは記憶に新しく、老後の生活資金に不安を覚えた人もいるかもしれません。
しかし、会社に定年まで勤めて、厚生年金を受給しているシニア世代の多くは、贅沢をしなければ生活に困窮することはないでしょう。

それに、お金の多寡だけで、豊かさが決まるわけでもありません。
私の母は父を亡くした後、60歳から77歳で亡くなるまでの18年間、月約17万円の遺族年金を受け取り、家庭菜園の世話などをしながら、悠々自適の一人暮らしをしていました。
そして「あなたみたいに朝から晩まであくせく働かなくても、あなたよりもずっと心豊かな生活で幸せよ」と口にしていました。

そこで、老後の生活を考えるときにおすすめしたい本が、20世紀を代表する評論家の1人、中野孝次氏が著した『清貧の思想』です。
日本で古来、脈々と受け継がれてきた「清貧」を尊ぶライフスタイルに注目し、それを再評価したものです。

本書は、バブル経済崩壊直後の1992年に出版され、たちまちベストセラーになりました。
バブルの夢から覚めた日本人は、金銭欲と物欲を追い求める価値観を見失い、虚脱状態に陥っていました。
そこに「精神的な豊かさ」という新たな価値観を示され、心引かれたのでしょう。

■清貧を貫いた本阿弥光悦
そして本書では、清貧で知られた古の文化人たちを、人生の達人として紹介しています。
戦国末期から江戸初期にかけて幅広く活躍した芸術家、本阿弥光悦は、京都屈指の富豪に生まれながら、清貧を貫いた1人ですが、中野氏はその母、妙秀が、光悦の生き方に影響を与えたと指摘しています。
こんなエピソードが、本書に載っています。

光悦は若い頃、茶の湯に凝っていて、あるとき、お気に入りの「瀬戸(せと)肩衝(かたつき)の茶入れ」を買い、懇意にしていた大名、前田利長に見せにいきました。
すると、帰りがけに前田家の重臣たちから、「殿もお気に召したようだから、白銀300枚で譲るように」と懇願されましたが、丁重に断ったのです。
その顛末を帰宅してから妙秀に話したところ、「よくぞ、断った」と大いに喜んだそうです。

お金に左右されず、「純粋に茶の湯を楽しむ」という精神を優先した光悦の姿勢を、妙秀は高く評価したわけです。
清貧は、「貧乏」とは違います。

貧乏の場合、お金がなく、貧しい暮らしをせざるをえない
しかし、清貧の場合、お金があるにもかかわらず、「物質的に豊かな暮らし」をあえて求めないのです
所有するお金やモノが増えると、それらに人生を支配されるようになり、精神的な豊かさが奪われてしまうからです

また本書は、僧・源信が『往生要集』で示した
「足ることを知らば貧といへども富(ふ)と名づくべし、財ありとも欲多ければこれを貧と名づく」という教えを紹介しています。

財産は整理し、少数の気に入ったモノにこぢんまりと囲まれつつ、心豊かに暮らしていく。
そう考えていけば、老後のお金の心配など解消するのではないでしょうか。

----------
小宮 一慶(こみや・かずよし)
小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO
京都大学法学部卒業。米国ダートマス大学タック経営大学院留学、東京銀行などを経て独立。
『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』など著書多数。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月05日

活用されないマイナンバー、無駄の多さにウンザリ

活用されないマイナンバー、無駄の多さにウンザリ
まいどなニュース 2019/11/04
(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

昨年父が亡くなり、残された家族が行わなければならない手続きの大変さに直面した。
父の遺産相続、母が独りで住み続けることになった市営住宅の名義変更、遺族年金の請求など…。
手続きに次ぐ手続きの中で、マイナンバーがまったく活用されていない現実に愕然とした。
いささか愚痴っぽい内容かもしれないが、「手続きがもっと簡潔に効率よく進むようになってほしい」との思いを込めて、気になったことをまとめたい。

遺産相続からスタートして市営住宅の名義変更、そして遺族年金の請求と、すべての手続きが終わるまでに3カ月ほどの日数を要した。
一連の手続き書類を作成する際に何が面倒なのかを一言で言い表すと「同じことを何度も書かされること」だ
記入する内容に重複が多すぎる
どんな書類にもほぼ共通している記入事項は氏名・住所・生年月日・電話番号で、提出先によってはほかに死亡年月日・年金番号・続柄・金融機関の口座情報が加わる。
それを書類ごとに、いちいち書かねばならない。

なぜそうなってしまうのか理由は明らかで、書類ごとにフォーマットが異なるからだ。
同じ役所へ提出するのであれば、書類の名目が異なっても記入欄が同じ位置(たとえばA4サイズの左上など)になるようにフォーマットを整理して、カーボンで複写すれば1回の記入で済むはずだ。
   ◇   ◇
相続も遺族年金も、ひととおり手続きが済んで落ち着いた頃、区役所から1通の封書が届いた。
開けてみると「後期高齢者医療保険料還付通知書」という書類で、上半分が「納めた金額」と「返される金額」の内訳。
下半分が「還付請求書兼口座振替申出書」になっていた。

父が亡くなったことで、納め過ぎになっている保険料を返すから請求書に記入して提出しなさいという趣旨の書類である。
同封されていた記入方法の説明によると、被保険人(亡父)と入金先口座の名義人が異なる場合は、戸籍謄本を添えて提出するように書いてあった。

そのような手続きが発生することは仕方ないが、区役所へ提出する書類を区役所へ取りに行くという、まるで冗談のような無駄を強いられることが釈然としない
しかもこの書類は、これ以降、なぜか五月雨式に毎月送られてくるようになった。
何故こんなことになるのか、3回目が送られてきたときに役所へ電話をかけて問い合わせてみた。
「まだ続くのですか?」 「還付が発生している月数分あります」
「いっぺんに計算して、合算できないの?」 「月ごとに計算しますので――」

毎月続くということは、戸籍謄本もその都度取らないといけないのかと尋ねたら、電話の相手は「そうなりますね」という。もっとも請求期限が2年あるから、2回目以降の分は溜めておいて、あとから一度に出せばいい。
幸い、2回目に届いた請求書は提出せず、まだ手元にあった。

そもそもマイナンバーカードを使ってコンビニで戸籍謄本を取れる時代なのに、わざわざ「紙」で提出する必要があるのだろうか
請求書にマイナンバーを記入させて、データベースに照会すれば済む話ではないだろうか
さらに言えば、そうやって毎月のように還付請求書を送ってくるのであれば、口座情報も氏名もその都度書かせる意味があるのか疑問である。
変更があったら、そこだけ修正すれば済むはずなのに、わざわざ無駄に無駄を重ねているようにしか見えない。

後日、役所の保険担当職員と電話で話す機会があったとき、現状の手続き方法に無駄や重複が多いことと、改善に向けた検討をするよう上級機関へ進言してほしいと要望を伝えたことがある。
反応は予想に違わず、要約すると「現状を変えるつもりはない」と受け取れた。

思い返せば、遺族年金の手続きをする際にも、黙っていても年金事務所から「手続きを開始してください」という通知が届くことになっていたそうだが、区役所で死亡届を受理したあと年金事務所から通知を出すまで3カ月かかるといわれた。
あのときも、互いにデータをリンクさせておけば一夜で済む話ではないかと思ったので、窓口でそのように伝えてみたが返答は芳しくなかった。
そもそも遺族年金の請求書1ページ目には、マイナンバーを記入する欄が設けられていた。
あれは何のために書かせたのだろうか。

役所の手続き方法を決める権限のある方々には、利用者の負担を最小限に抑えるべく、手続きの簡素化に向けて努力をしていただきたく、切に願う
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月10日

お金をATMから少しずつ下ろす人が貧乏な理由

お金をATMから少しずつ下ろす人が貧乏な理由
2019年11月01日 AIIABOUTマネー
執筆者:午堂 登紀雄
ニューリッチへの道ガイド

ATMでちょくちょくお金を下ろす人が貧乏なのはナゼ?
昨今、銀行のATMはコンビニ内をはじめ、どこにでもあるため、私たちはいつでもどこでも、必要なだけのお金を下ろせる環境にいます。
だからといってお金がなくなるたびに、「しばらく必要そうな金額だけを下ろせばいい」と考えるとしたら、お金が消えやすい人の可能性があります。

お金をちょこちょこ下ろす人には、以下の行動特性があるからです。
・手元にたくさんあると、つい使ってしまう。
・財布を落とす、盗まれるなど、紛失を怖がる。
・日常的に少額のやりとりしかしない。

ATMでお金をすぐおろす人の特性
1.必要性の無いものまで買う傾向がある
まず「手元にたくさんあると、つい使ってしまう」というのは、気が大きくなって、さほど必要性の高くないものまでも買ってしまう傾向があるということ。
手元のお金は使ってもいい。そういう発想があるから、欲しいものがあると「必要かどうか」ではなく、手元にあるお金で「足りるかどうか」で考えてしまいます。
つまり合理性よりも「ほしい」という感情で行動するのです。
こんな購買行動を取る人は、お金を何に使ったのかよく覚えていません。
こうして急速にお金がなくなるわけです。

2.自己投資の発想が弱い
次の「財布の紛失を怖がる」というのは、不安としてはわかりますが、これを突き詰めると、お金やモノに執着する心理が投影されています。
お金を失うのが怖い。
だから、そもそも持たない。
それはつまり先行投資も怖い。
先に与えるということも怖い。
こうした人は、「自己投資」や「人をもてなす」という発想が弱く、結果として自己の能力向上や人的ネットワークの広がりがありません。
「そんなバカな」と思ったら、友人知人に「月に何回くらいお金を下ろしに行くか」を聞いてみましょう。
そして、その人が仕事面でどれだけの能力があり、真に仕事に役立つ人脈をどのくらい持っているかを確認してみると、なんとなくわかるのではないでしょうか。

3.投資チャンスを見過ごしやすい
最後の「日常的に少額しかやりとりしない」というのは、大金のやりとりが不安だからです。
少額ならば、何かあったとしても割り切れるが、大きな金額では怖い。
だから肝心なときにも思い切った投資ができず、チャンスを見過ごすことになるわけです。

そこでひとつの提案。
・給料が入ったら、 貯金したい金額を別口座に移す
・自己投資に充てるべき金額を別口座に移す(尊敬する人を招く会食費なども含む)
・残ったお金は生活費とし、現金は1カ月分の必要額を予測して月に1度まとめて下ろす
・それでも余ったお金は自由に使ってよし

というふうに、計画的にお金を使うトレーニングとしてはいかがでしょうか。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月13日

血液クレンジングだけじゃない……“トンデモ医療”で大金を稼ぐ「自由診療クリニック」はなぜ野放しなのか?

血液クレンジングだけじゃない……
“トンデモ医療”で大金を稼ぐ
「自由診療クリニック」はなぜ野放しなのか?
2019年11月12日 文春オンライン鳥集 徹

 先月、「血液クレンジング」なる治療法をめぐって、ちょっとした炎上騒ぎが起きました。
今もニュースサイトで記事が掲載され、厚生労働省が実態調査に乗り出すなど、関心の高い話題となっています。

 血液クレンジングは患者から100〜200ccの血液を採取し、オゾンガスを混ぜてから体内に戻す治療法だそうです。
グーグルで「血液クレンジング」と検索してトップに出たクリニックの宣伝によると、「抗酸化力の向上・血液の流れの改善・免疫力のアップなどの効果が期待でき、身体がもつ本来の力を高めます」とありました。
がんや心筋梗塞、HIV除去にまで効果があるとうたっているクリニックもあるようです。

■インフルエンサーたちがブログやSNSで発信
 私は20年以上、医療現場を取材して記事を書いていますが、恥ずかしながらこんな治療法があるとは知りませんでした。
この治療法は保険適用ではなく、自由診療として1回数万円の料金で提供しているクリニックが多いようです。
しかし、保険診療を行っている通常の医療機関でこの治療を実施しているところは、私が知る限りないと思います。

 この治療法に対して、医師などから医療効果を疑問視する声が相次ぎました。
この問題を追及しているBuzzFeedの記事によれば、NIH(米国国立衛生研究所)で免疫学やウイルス学を研究する峰宗太郎医師が論文を検索して科学的に検証したところ「オゾンの医療利用は、医学的にははっきりとした有用性は極めて限定的であり、かつ弱いエビデンス(証拠)しかなく、ほぼ無効であろうと言えます」とのことです(BuzzFeedNews 「『トンデモ医療であると、断言します』血液クレンジング、医学的に徹底検証してみた」 2019年10月21日)。 

 にもかかわらず、有名ブロガーの「はあちゅう」こと伊藤春香さんはじめ、歌舞伎役者の市川海老蔵さんや元AKBの高橋みなみさん、女優の仲里依紗さん、タレントの田中律子さん、総合プロデューサーの秋元康さん、幻冬舎社長の見城徹さんなどが、ブログやSNS等で血液クレンジングを受けたと発信していたことが判明。
「インフルエンサー」と呼ばれる影響力の大きな人たちが、このようなトンデモ医療を人びとに広めるような発信をするのはケシカランと、医師などから批判が渦巻いたわけです。

■「がん治療」にも多い怪しげな治療法
 医療行為としての疑問点や有名人が宣伝に加担する問題(ステマ疑惑を含む)についてはさまざまなニュースサイトで取り上げられ、当「文春オンライン」でも個人投資家で有名ブロガー・作家の山本一郎さんがお書きになっています( 「『血液クレンジング』なるニセ医療をめぐる健康情報の修羅を追って」 2019年10月31日)

ですから、すでに触れられていることはそちらに任せて、ここではあえて別の視点をクローズアップしたいと思います。
それは高度な専門職能集団としての「医師の責任」です。
 血液クレンジングに限らず、医療効果が証明されていないのに、自由診療で高額な料金をとって提供されている医療行為は、他にもたくさんあります。
たとえば、「がん治療」に限ってネットで探してみても、こうした治療法が出てきます。
「免疫細胞療法(活性化自己リンパ球療法や樹状細胞療法など)」「がんワクチン療法」「全身温熱療法」「高濃度ビタミンC療法」「サプリメント療法」「p53遺伝子治療」「還元電子治療」「アルテスネイトがん治療」「重水素減少水療法」……。

 こうした治療法の名前を見て、一目で「医学的効果は証明されていない」と見抜ける人がどれだけいるでしょうか。
「活性化自己リンパ球療法」「樹状細胞療法」「がんワクチン療法」「p53遺伝子治療」など、難しそうな医学専門用語が並んだ言葉を見て、がん専門医も認める最先端治療だと誤認してしまう人も多いはずです。

■「最先端のいい治療だ」と錯覚させ、大金を手にする
 さらに問題なのは、これらの治療をすべて「医師」が行っていることです。
「医師がやっているのだから、効果があるだろう」「医師がやっているのだから安全だろう」と、鵜呑みにしてしまう人が多いのではないでしょうか。
費用も高いだけに、「最先端のいい治療だ」と錯覚してしまう人もいることでしょう。

 インフルエンサーたる有名人は、一般の人にトンデモ医療を広めないよう注意し、その言動に責任を持つべきです。
ですが、EBM(科学的根拠に基づく医療)云々、エビデンスレベル云々、ランダム化比較試験云々、標準治療云々と言っても、一般の人に理解してもらうのは簡単なことではありません。
医療の素人である芸能人が、セレブ扱いされて気持ちよくなり、医師の言葉を鵜呑みにしてしまうのは、致し方ない面があります。
それだけ、日本最高の高偏差値エリート集団である医師の権威は一般の人にとって大きいのです。

 そう考えると、高額なお金をとって患者に効果の証明されていない治療を施している医師、そして、それを野放しにしている医学・医療界の責任は大きいと私は思います。

■多くのクリニックが堂々とネット広告を出している
 もちろん、こうした問題のある医療行為の横行を黙ってみている医師ばかりではありません。
今回の血液クレンジング騒動でも「トンデモ医療ハンター」とも呼べるような医師の方々が、血液クレンジングを行っている医師を非難し、専門職能集団たる医師の責任についても言及していました。

しかし、それが医学・医療界全体の責任問題にまで広がっていないことが問題だと私は思うのです。
 たとえば、冒頭にあげた「免疫細胞療法」は、6回程度を1クールとする治療を受けると全額自己負担で300万円前後の治療費がかかります。
活性化自己リンパ球療法や樹状細胞療法、がんワクチン療法などは、大学病院やがんセンターなどでも研究されてきました。しかし、目立った成果を上げることができず、今のところ保険適用とはなっていません。
にもかかわらず、多くのクリニックが堂々とネット広告を出しており、患者集めのセミナーなども開催され、現在もたくさんのがん患者が治療を受けています。

■医師が法的なペナルティを受けることはほとんどない
 科学的に効果が証明された「標準治療」を基準とする治療を行っている、まともながん専門医に取材すると、こうした効果が証明されていない治療を行って、藁にも縋る思いでいる患者や家族から多額のお金を取るのは問題だと眉を顰める人が少なくありません。
実際にがん専門医から構成される 日本臨床腫瘍学会 は、今年5月30日にがん免疫療法に関して、一般市民に注意喚起する文書を公表しています。
 こうした取り組みがされたことは、大いに評価すべきだと思います。
しかし、これくらいの注意喚起では、なかなか一般市民に広まらないでしょう。

なによりがん免疫療法をはじめ非証明治療を行っている自由診療クリニックには、ほとんど影響がなかったはずです。
 なぜ、医療界全体でもっと大きな声にできないのでしょうか。
それは医師に認められている医療行為の裁量権が大きく、いかにエビデンスのないトンデモ医療だと批判されようと、患者に傷害を負わせたり、明らかな詐欺を行ったりしない限り、法的にペナルティを受けることがほとんどないからです。

■有名人を批判するだけで終わってはいけない
  それだけでなく、たとえば大手のがん免疫細胞療法クリニックには、有名大学医学部出身の医師、有名大学病院の元准教授、有名がん専門病院の元部長などが所属しており、そのバックにある細胞培養会社の経営陣には、超有名企業のOBたちが名を連ねています。
そうしたこともあるせいか、現役のがん専門医が批判する際も「ここだけの話」といった感じで、大っぴらに批判する医師は、ほんの一部の気骨ある人に限られています。

 今回の血液クレンジング騒動も、有名人を批判するのはいいのですが、批判しやすいところを叩いているだけのように見えます。
もし医師の方々が本気でトンデモ医療を駆逐すべきだと思っているのならば、こうした問題のある医療に関わっている医師たちをどう処遇すべきか、またこうした問題ある医療行為の被害から患者をどう守るのか、これを機会に医学・医療界全体として徹底的に議論すべきではないでしょうか。

■「我々は間違っていない」と反論してくるなら……
 たとえば、日本医学会、日本外科学会、日本内科学会といった各学会の上に立つ中心的な組織が、「標準治療を基準とする適正な医療を行う」と誓った医師や医療機関に認証マークを発行し、患者が一目でわかるよう医療機関の玄関やホームページに表示させるような対策が考えられます。
 そうすれば、標準治療を基準とした適正な医療を行っている医療機関かどうか一般の人でも見分けられますし、有名人も認証マークがついていない医療機関の宣伝に加担するのはマズいと判断できるようになるでしょう。
さらに、認証マークの規約に違反した医師・医療機関や認証マークのない医師・医療機関があった場合は学会から厚生労働省に調査を依頼し、医療内容、ネット広告等に違法行為やガイドライン違反があれば摘発・指導してもらうといいのではないでしょうか。

 もしトンデモ医療だと名指しされた医師・医療機関側が「我々は間違っていない」と反論してくるなら、学会に呼んで徹底的に議論し、臨床試験を実施させるなど、適正な方向に向かうよう指導することもできるはずです。

 医師は日本有数の高偏差値を誇る超エリート集団です。
優秀な頭脳と良心を持つ医師の方々なら、きっといい知恵を出してくれて、すぐに実行してくれると信じています。
血液クレンジングを叩くことで終わるのではなく、これを機会にぜひ専門職能集団としての自浄作用を発揮していただきたいと願っています。
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月16日

寝ても疲れが取れない「朝疲れ」に要注意、高血圧や糖尿病の可能性も

寝ても疲れが取れない「朝疲れ」に要注意、高血圧や糖尿病の可能性も
2019.11.15 ダイヤモンドオンライン

睡眠は横になるだけで疲れを癒やすことができる最良の疲労回復法だ。
しかし、睡眠時間は十分なはずなのに目が覚めたときに疲労感がある、という人は“朝疲れ”状態に陥っている可能性が高い。高血圧・糖尿病など生活習慣病とも関わりが深い朝疲れについて専門医に聞いた。
            (清談社 真島加代

7時間寝ても疲れが取れない…… 朝疲れの正体
 睡眠は私たちの体や脳に休養をもたらす重要な生命活動のひとつだ。
近年では、慢性的な睡眠不足を「睡眠負債」と呼び、不健康な生活習慣として注目を集めている。
 しかし、睡眠負債の返済は、ただ睡眠時間を増やせばいい、というわけでもないらしい。

「十分な睡眠時間を取ったはずなのに、朝に目覚めたときに疲労を感じている人は要注意。
質の悪い睡眠による“朝疲れ”をしている可能性が高いです」
 そう話すのは、池谷医院(東京・あきる野市)院長の池谷敏郎氏だ。

池谷氏によると、朝疲れの原因は睡眠時間の短さだけでなく「睡眠の質の悪さ」が関係しているという。
「質が悪い睡眠とは、一晩の眠りが浅いこと。
たとえば、寝付きが悪かったり、夜中に何度も目が覚めてしまったりという悩みがある人は、全体の睡眠時間が長くても疲労が回復しにくい状態です。
また、眠りが浅い日が続くと体内時計が狂い、自律神経の乱れから、さまざまな体調不良を招いてしまいます」

 特に夏場は、日照時間の長さや寝苦しい夜が続く影響で、睡眠のリズムが狂っている人が少なくない。
そのため、近年のような猛暑の夏が終わり、眠りやすい秋になっても睡眠不足に悩むケースが少なくないのだ。

「熟睡の条件は“体の中心の温度を下げる”こと。
通常は手のひらや足の裏の血管を通して体温を外に逃がし、深い睡眠に入ります。
しかし、自律神経の乱れや血管のしなやかさが失われていると、上手に体温を逃がすことができません。
その結果、眠りが浅くなり、自律神経の乱れを引き起こす、負のスパイラルに陥ってしまうのです」

 睡眠不足が引き起こす、さまざまな血管疾患
 気温などの外的要因のほかに、中高年に多い睡眠時無呼吸症候群もまた熟睡を妨げる大きな原因だ。
「寝ても寝足りない、強い朝疲れを感じる人は睡眠時無呼吸症候群の可能性が非常に高い」と池谷氏は指摘する。
「睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中の血圧の変動が大きくなり、高血圧と低血圧を繰り返します。
その結果、心疾患や脳出血、脳梗塞などの脳卒中のリスクが高まると考えられます。

また、睡眠時無呼吸症候群は、日中の血圧にも悪影響を及ぼし、高血圧の原因にもなります。
睡眠時無呼吸症候群の有無にかかわらず、睡眠時間だけをみても、5時間未満しか寝ていない人は、高血圧のリスクが高まることも知られていますね」

 さらに睡眠不足の悪影響は高血圧だけにとどまらないようだ。
「睡眠不足は、血中の糖(血糖)が過剰になる2型糖尿病の発症リスクも高めます。
通常、私たちの体は血糖値が高くなると膵臓から『インスリン』というホルモンを分泌して血糖値を抑えます。
しかし、睡眠不足が続くとインスリンの効果が弱まる傾向があるので、血糖値が慢性的に高くなり糖尿病を発症してしまうのです」

 このように、朝疲れを感じても「ただ眠れていないだけ」と、軽視している人もいるかもしれないが、睡眠不足はさまざまな血管疾患につながる危険があるということを知っておくべきという。

「秋から冬にかけて、気温が低下すると、血圧が上昇しやすくなり、血管事故の発症リスクが高まります。
そこで、快適な睡眠を得られやすい季節とされる秋にこそ、質の良い十分な睡眠を得ることが大切です」
“秋の夜長”とはよくいったものだが、秋の眠りこそが健康のポイントになるようだ。

GABAを上手に活用して快眠をゲット
 池谷氏は「秋のうちに睡眠の質を高めておきましょう」と、アドバイスする。
なかでも食事内容の見直しが大切だという。
「覚醒作用があるカフェインがコーヒーに含まれていることは広く知られていますが、緑茶や紅茶、ウーロン茶にもカフェインは多く含まれています。
夕方以降にカフェインを取ると睡眠の質を下げるので控えましょう」

 寝酒と称してアルコールをたしなむのも考えもの。
酒を飲んで寝ることそのものが、睡眠の質を下げるそう。
「アルコールを飲んだときに発生するアセトアルデヒドは、交感神経を優位にして眠りを浅くします。
お酒を飲んだときの眠気は、ただの“寝落ち”なので疲労回復にはつながらないのです。
また、アルコールには利尿作用があるので、睡眠中に尿意を催して何度も目を覚ます原因にもなります」

 寝酒が日課になっている中高年男性は、慢性的な睡眠不足になりやすい。
快眠を得るためにも寝酒をやめる強い覚悟が必要だろう。
「疲れた体を癒やしたいのであれば、疲労回復に役立つといわれるイミダペプチドを多く含む“鶏むね肉”や“魚肉”がおすすめですよ」

 特におすすめなのは穀物や野菜、果実などに含まれるアミノ酸「GABA」を含む食材。
GABAには睡眠の質向上に役立つ働きがある、と池谷氏。
「GABAは緊張をつかさどる“交感神経”の働きを抑えて、休息・リラックスを促す“副交感神経”を優位にするので、快眠効果が期待できます。
大豆を発芽させた『大豆もやし』は、GABAが豊富で大豆イソフラボン、食物繊維、疲労回復を助けるアスパラギン酸などのさまざまな栄養素が手軽に取れる食材です。
大豆もやしをレンジで温め、レモン汁とごま油であえてナムルを作ると箸が進みますよ」

 朝疲れ解消のコツは“同じ時間に起きる”こと
 食事以外に見直すべきは、睡眠環境。
特に「枕」は首の血管にも影響を与える寝具なのでこだわるのが吉だ。
「枕が合っていないと首の筋肉が緊張して首の血管が圧迫されるので、熟睡ができません。
また、寝返りが打ちにくい枕はイビキや睡眠時無呼吸症候群を悪化させます。
ある程度の硬さがあり、横向きになったときに頭、首、体の中心が一直線になり、無理なく寝返りができる枕が理想ですね」

 パジャマは綿などの吸汗・速乾に優れた素材でゆったりとしたものを着用しよう。
そして何より、平日の朝疲れをリセットするカギは休日の過ごし方にあるという。

「平日の睡眠負債を一気に返済しようと、寝だめをする人もいると思います。
事実、寝だめにも一定の疲労回復効果が期待できるという研究結果もありますが、起きる時間を平日に合わせないと体内時計はさらに狂ってしまい、朝疲れがさらに重くなります。
休日は遅く起きるのではなく早寝をしましょう。
早く寝ていつもの時間に起き、睡眠時間を確保するのがポイントです」

 休みの日の日中は軽いウオーキングやゴルフなど、体を動かすことが良質な睡眠を得ることにつながる。
休日は活発に動いてバランスの良い食事を取り、良質な眠りにつく…これこそが、厄介な“朝疲れ”を解消するコツなのだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(6) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月19日

「パニック障害」10人に1人がかかる病の対処法

「パニック障害」10人に1人がかかる病の対処法
2019/11/18 東洋経済オンライン

岩波 明 : 精神科医
10人に1人がかかるといわれている「パニック障害」。
いったい、どんな症状で、どう対処すればいいのか? 
「金スマ」「世界一受けたい授業」にも出演した、精神科医の岩波明氏が解説します。

パニック障害という病名は、最近になって使用されるようになったものです。
それまでは、長らく「不安神経症」と呼ばれていました。
1990年代に「パニック障害」という用語が登場すると、そのキャッチーな響きが一般に広く受け入れられ、短期間のうちに浸透しました。

パニック障害の症状は、身体的な異常がないにもかかわらず、突然の動悸、呼吸困難、発汗、震え、目まいなどのパニック発作を繰り返す、というものです

パニック障害の負担
最も頻度の高い身体的な症状は、動悸と息苦しさです
発作の際には、強い不安や恐怖感を伴います
パニック発作そのものは、数分から数十分で治まります。
病院の診察を受けても身体的な異常は見つかりません。
それでも発作が起こっている最中は「このまま死んでしまうのではないか」「重大な病気にかかっているのではないか」と思うぐらい苦しいものです。

パニック障害の患者は、「また発作が起きるのではないか」という不安が強く、外出などの行動が制限されることもあります。
これを「予期不安」といいます。
パニック発作は多くの場合、特定の場所や状況で誘発されます。
とくに、電車や飛行機などの乗り物、エレベーターなどの閉鎖的な空間が誘因となりやすいのです。

こうした「パニックを起こしやすい状況」に対して不安を感じ、それを避けるために外出を控えるようになります。
うつ病と同様に、パニック障害は、出現する頻度の高い一般的な疾患であり、多くの患者さんが存在しています。
また、改善率、治癒率が良好で、比較的「良性」の疾患といえます。

「10人に1人」が経験する
パニック障害の診断基準においては、前述のパニック発作が繰り返し見られる状態をパニック障害と定めています。
ある時点での患者数は人口の2〜3%程度といわれています(生涯有病率はさらに高くなります)。
パニック発作だけならば、10人に1人の割合で、一生に1度はパニック発作を起こすことが知られています。

なお、発達障害の人がパニック障害を起こす比率は非常に高く、発達障害のない人の倍だといわれています。
また、うつ病とパニック障害を併存している例も非常に多く、パニック障害がうつ病の前駆症状として表れることもあります。
その場合、パニック障害で病院にかかっているうちに、徐々にうつ病の症状が顕在化してくる、ということがしばしばみられています。

なぜパニック障害になるのか?
パニック障害に、先天的な要因がないわけではありません。
遺伝的な素因が関与しているという報告がいくつもあります。
しかし、原因らしいものがないのに発作を起こすこともありますし、ストレスがきっかけになることもあります。

さらに特定の物質や状態が、パニック発作を誘発することもあります。
最も頻度が高い誘発物質は、コーヒーなどの中に含まれるカフェインです
その他、睡眠不足や過労が重なって、パニック発作が誘発されることがあります
アルコールもパニック発作の誘因になるので注意が必要です

直接的な発症のきっかけについては、「悪条件が重なって」発症するというケースが多いようです。
例えば、運悪く満員電車に閉じ込められて苦しくなった。
動悸や息苦しさが強く出現したが、なかなか外に出られなかった。
その後、そのときの経験を機に電車の中などにおいてパニック発作が起こるようになった、というケースです。

改善すべきは「悪い学習」
一度こうしたパニック発作が生じると、誘発物質や環境的な要因によって、繰り返し発作が起こりやすくなるのです。
この現象は、人の心の動きを理解するうえで、貴重な材料となります。

「パブロフの犬」についての研究をご存じの人も多いでしょう。
犬に餌を与えると同時にブザーを鳴らすことを続けると、やがてブザーを鳴らすだけで犬は餌をもらえると思い込み、唾液を垂れ流すようになる、というものです。

ここでは、「ブザーが鳴ると餌がもらえる」という「学習」によって、ブザーという聴覚刺激と唾液腺という本来は関係のないシステムの間に、新しい関連性が生じています。
これは、条件づけの学習と呼ばれています。

実は、パニック障害も同じような現象なのです。
いうなれば「悪い学習」です。
満員電車の中で、たまたま動悸と息苦しさが生じ、不安や恐怖感を覚えたとします。
すると、「満員電車」と「動悸や息苦しさ、不安や恐怖感」という、本来は関係のない現象が結び付いてしまうのです。
その結果、その人は電車に乗るだけで、あるいは駅に近づくだけで、パニック発作を起こすようになるのです。

治すためにはどうすればいい?
パニック障害は、薬物療法などによって完全に治る人もいます。
また、とくに治療をしなくても、自然と症状がみられなくなる場合もあります。
パニック障害の人が、自殺未遂や衝動行為などの問題行動に及ぶことはまれで、比較的治療しやすい疾患です。

ただし、完全に症状が消える症例は、おそらく全体の3分の1から半分程度の割合です。
1〜2割は抗うつ薬、抗不安薬を服用して症状をコントロールしながら暮らしていくことになります。

パニック障害という「悪い学習」を治すには、一時的に困難な状況に立ち向かうことも求められます
例えば、服薬をしながら、苦手な状況である満員電車に乗ってみることが治療の第一歩となることもあるのです。

できれば上司や産業医にも伝えたほうがいい
もっともこの場合には、初めから長時間の乗車は困難であるので、1駅だけなど短時間から練習をしていくことが重要です。 日常、無理を強いられることが少ない自営業や主婦の方は、どうしても無理をする必要がないために治療が進まないことが多いようです。
むしろ、毎日の通勤を余儀なくされる会社員のほうが、治療のモチベーションが高くなります。

一方で、「外出先でパニック発作を起こすのではないか」という恐怖から部屋に引きこもってしまう人もいます。
あるいは、電車に乗らずに出勤できるよう、自転車で通える距離の職場に変えた人もいました。
とはいえ、前述した通り、パニック障害は多くの人にみられるポピュラーな疾患です。
上司や産業医に説明すれば、理解を得やすいケースが多いのではないでしょうか。

症状によっては、通勤ルートを変える、出勤時間を変えるといった対処を相談することが望ましいでしょう。

発作もやがて治まる
幸いにも、発達障害やうつ病とは異なり、パニック障害のみの症状によって業務に支障を来し、休職に至るということはほとんどないと思います。
通勤などのつらさはありますが、パニック障害のために仕事を休むということにはならないということです。
実際には、「車内で具合が悪くなり倒れ、遅刻する」というケースは、まれではなくみられます。

パニック発作の苦しみは「このまま死んでしまうのではないか」と思うほどのものですが、臨時の薬を飲み、駅で休んでいるうちに発作は必ず治まります。
救急車で運ばれ診察を受けることもありますが、救急病院に着いた頃には発作も治まっていて、「体には異常ありません」と医師から告げられるのです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月21日

「ギャンブラーの誤謬」で悲劇も 宝くじ高額当せん者の末路

「ギャンブラーの誤謬」で悲劇も
宝くじ高額当せん者の末路
11/20(水) NEWSポストセブン

 今年も年末ジャンボ宝くじの発売時期がやってきた(11月20日〜)。
過去、幸運にも高額当せんをした人は、再び“一攫千金”を狙って多額の宝くじを購入する傾向があるというが、そこには行動経済学でも裏付けられる落とし穴があった。
ニッセイ基礎研究所主席研究員の篠原拓也氏が、具体例をもとに紹介する。
 * * *
 人の行動には、その人の性格が反映されやすいものだ
特に、お金の使い方には個性がハッキリと表れる。

・たとえば、好きなものには積極的にお金を使う「消費家」もいれば、
・欲しいものがあってもガマンして、堅実にお金を貯める「倹約家」もいる。
・もちろん、適度に使い、適度に貯める人もいるが、
どのタイプであるにせよ、お金の使い方には、その人の性格・個性が如実に映し出される。

 では、「お金の使い方」と「お金をどう稼いだか」の関係はどうか。
どう稼いだかによって、使い方は変わるだろうか。
そして、そこにも、やはり性格・個性が如実に反映するだろうか。
 こんなことを考えてみる。

いま手元に100万円があったとする。
この100万円を稼いだ方法として、つぎの2つを考えてみる。

・1年間、毎晩遅くまで残業をして、少しずつ稼いだ100万円
・幸運にも、たまたま買った宝くじで当たった100万円

 一方、このお金の使い道として、つぎの3通りの方法が考えられるものとしよう。
(1)海外旅行に出かけて、飲食や買い物などに豪快にお金を使う
(2)古くなった自宅の補修など、生活上必要な経費に回す
(3)将来の蓄えとして、銀行の口座に預金する

 稼いだ方法の違いによって、(1)〜(3)のお金の使い道に差が生じるだろうか。
ここで注意すべきことは、どう稼ごうと、いま手元にあるお金は同じ100万円だということだ。
すなわち、お金に色はない。
そのことは、誰でも頭ではわかっている。

 しかし、実際に1年間苦労して稼いだ100万円を目の前にすると、不思議なことに見方が変わってくる。
(2)や(3)のように将来のための預貯金や、何か後に残るものを買うといった使い方がふさわしい感じがしてくるのだ。

 一方、宝くじのように幸運でつかんだ100万円の場合は、(1)のようにあまりケチケチせずに、豪快にパッと使い切ってしまうのがよい、と考えてしまいがちだ。

◆ハウスマネー効果の落とし穴
 実際に、行動経済学の実験によると、苦労して少しずつ稼いだお金よりも、幸運で得られたお金のほうが、いっぺんに使われやすいという結果が出ている
これは、「ハウスマネー効果」といわれる。
「ハウス」はカジノなどの賭博場の意味で、賭博で儲けたお金は大胆に使われることが多いことから、そう呼ばれている。  

ギャンブルや投機的に資産の運用をする場合、ハウスマネー効果に注意が必要だ
たとえば、あるとき短期の為替取引で50万円を儲けたとする。
この50万円は、たまたま幸運で得られたもののように考えられがちだ。
 すると、「どうせ幸運で手に入ったお金なのだから、たとえ失ったとしても、気にならない」と考えやすくなってしまう。そして、「50万円までは損をしてもいい」と考えて、さらに大胆な短期の為替取引に取り組むこととなる。
よくありがちなケースだ。
 取引で儲けが続けば問題はないが、うまくいかないときも当然ある。
せっかく得られた50万円を、全部失ってしまうこともあり得る。
このときが、問題となる。

◆ギャンブラーの誤謬(ごびゅう)とは
 いさぎよく売買から手を引くことができればいいのだが、人間の心はなかなかそう簡単には割り切れない。

心の中の悪魔は、きっとこんな風にささやく。
「この前、あっさりと50万円も稼げたじゃないか。
儲かるか損するか、どうせ2つに1つだ。
最近こんなに損が続いたのだから、もうこれ以上、損をするはずはない。
つぎの売買で、きっと儲けられる。
そういえば、生活のために蓄えてきたお金があった。
あれを少し使って、儲けた後で戻しておけばいい。
きっとうまくいく……」

 ずっと損が続いたから、つぎこそ儲けられる、という考え方は、「ギャンブラーの誤謬」といわれる
 為替相場などが、何日間か連続して下落した後には、そろそろ上昇しそうだという気がするかもしれない。
しかし、経済学的にも、数学的にも、それを裏づける合理的な根拠は何もない。

 ハウスマネー効果と、ギャンブラーの誤謬が組み合わさると、投機上の悲劇が起こりやすくなる
こうした悲劇は、古くから発生しており、小説やテレビドラマ、映画等で何度も繰り返して描かれてきた。
 投機を始めるときには、心の中で、苦労して稼いだお金と、幸運で得られたお金の間に、仕切りを入れておいたはずだ。
それなのに、投機で損をしてしまうと、「どうせお金に色はない」として、都合よくその仕切りを取り払ってしまう。
同時に、損は続かないとする根拠のない自信が、さらなる投機を後押しする。

 宝くじの場合も、投機と似た心理が生まれやすい。
 たとえば、過去に100万円の当せんをしたことがあるとしよう。
それ以降、当せんがなくても、ギャンブラーの誤謬により、次回こそ当せんするだろうという気持ちが高まっていく。
ハウスマネー効果により、100万円までの宝くじの購入はさして気にならない。
そして、ついに購入額が100万円を超えて、生活のために蓄えてきたお金に手をつけて……。

 こうしたことは、冒頭で述べたように、人の性格・個性と言えるだろうか。
有史以来、さまざまな時代に、さまざまな国で、似たようなことが繰り返されてきたことを踏まえれば、多かれ少なかれ、人が誰でも持っている心情と見るべきだろう。
「金に目がくらむ」という言い回しがある通り、お金を前にすると、人は誰でも心が乱れがちになる。
性格・個性と言う以前に、本来、人は金銭的な誘惑に弱い存在だ

 宝くじなどに多額のお金を投じるときは、ハウスマネー効果やギャンブラーの誤謬を思い出して、理性を取り戻すことが必要だろう
宝くじをほどよく楽しむには、お金の持つ魔力に振り回されないよう、一歩引いて冷静に決断することが大事だと思われるが、いかがだろうか。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月23日

洗濯のプロが教える!「柔軟剤」の正しい使い方

洗濯のプロが教える!「柔軟剤」の正しい使い方
2019/11/21 All About
神崎 健輔(洗濯ガイド)

その柔軟剤の使い方、実はNG?
洗濯の時に柔軟剤を何気なく使ってませんか?
生地をふんわりとさせたい、好きな香りをつけたい。
臭いにおいを誤魔化したいなど使う理由は様々でしょうが、その使い方、本当に「正しい」といえるでしょうか?
ここでは、柔軟剤の正しい知識と使い方を伝授します。

そもそも柔軟剤の役割とは?
柔軟剤は「生地を柔らかくする」ことと「においケア」が代表的な役割として知られますが、主に5つの効果を得ることができます。

・生地を柔らかくする
・香料をつける
・帯電防止効果
・速乾性補助
・防臭(柔軟剤の成分による)

成分は界面活性剤やシリコーン、香料で構成されていて、界面活性剤とシリコーンが柔軟効果や帯電防止、抗菌作用による防臭効果を発揮します。
また生地が柔らかくなると水分の発散効率も高まるため速乾作用が生まれやすく、梅雨時期の乾きにくい時に少しでも早く乾かす材料として頼もしい味方でもあります。

柔軟剤で注意したい、3つのNG
こんな使い方をした経験はありませんか?

・もっとふんわりさせるため、もっと強い匂いをつけるため、柔軟剤の量を2倍、3倍と増やして使う
・他の柔軟剤と混ぜて使う
・面倒なので洗剤と一緒に最初から入れて使う

特に(1)の目的で量を多めにして使う人は多いのではないでしょうか。
これらの使い方は、すべて誤った使い方といえます。

下記のようなトラブルに心当たりはありませんか?

▼タオルが水分を吸収しない例えば、シリコーン等は生地をコーティングしていきますので、その付着量が多くなると必然的に生地が水分を吸収する量が低下します。
入浴後に、拭いても拭いても体から水気が取れないバスタオルが、まさにその状態です。

▼白物の黒ずみ衣類がふんわりする効果には限界があるため、適量から増やしたところで柔軟効果が比例して高まるわけではありません。
むしろ柔軟剤の成分は汚れも吸着しやすいため、せっかく洗ったのになぜか黒ずんでしまうなど、量を増やすことは衣類にとって悪影響も及ぼすのです。

▼洗濯物の汚れが落ちない……面倒だからといって洗剤と一緒に使ってしまうのもおすすめできません。
洗剤の成分と柔軟剤の成分は正反対の性質を持ち合わせているため、洗浄中に中和されてお互いの効果を打ち消してしまいます。
結果、汚れも落ちない上に柔軟効果も得られなくなります。
洗剤もそうですが、効果アップを狙って増量することで逆に効果がダウンすることが多く、メリットはひとつもないので、使用量は必ず守って使いましょう。

また、近年は柔軟剤の香料の効果が強くなり、香りによって他人を不快にさせたり体調に影響を与える「香害」と呼ばれるトラブルも増えてきています。
自分の衣類のみならず、周囲の誰かへのデメリットに繋がる可能性を意識することも大切です。

柔軟剤の素朴な疑問に「洗濯のプロ」が回答
最後に、柔軟剤についてよく聞かれることをQ&A形式でご紹介します。
柔軟剤は、使い方を間違わなければ、着心地の良い衣類を提供してくれる「強い味方」です。

▼Q1. 柔軟剤はすべての衣類に使えますか?
A1. 家で洗える衣類であれば使えますが、衣類の繊維によっては匂いのつき方が異なります。
例えばポリエステルなどの化学繊維は柔軟剤がまとわりつきやすく、匂いが強くなる傾向にあります。気になる場合は、繊維によって洗いわけすると良いです。

▼Q2. 柔軟剤は花粉症防止にいいって本当ですか?
A2. 柔軟剤の成分で繊維をコーティングし、繊維自体が滑りやすくなることで摩擦が低くなり、静電気が起こるのを抑制してくれます。
花粉は静電気で吸着しやすいため、静電気を抑えれば必然的に衣類への花粉の付着が少なくなり、花粉症予防のひとつになります。

▼Q3. 赤ちゃんにも安心して使えますか?
A3. 柔軟剤の成分は界面活性剤ではありますが、衣類に残すため肌に優しい成分で作られています。
ただ、必ずしも100%安心して使って良いというわけではありません。
アトピー体質など肌が弱い赤ちゃんの場合は肌荒れの原因になる可能性もあります。
逆に、柔軟剤成分が肌ずれを起こしにくくしてもくれるので、衣類の摩擦による肌荒れ防止になる場合もあります。
一長一短なので、様子を見ながら使用しましょう。

いかがでしたか? 柔軟剤を正しく使って、衣類にも他人にも優しい洗濯をめざしてみてください。
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☔ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月25日

相続で揉めないための、賢い「生前贈与」の方法とは

相続で揉めないための、賢い「生前贈与」の方法とは
2019.11.24 ダイヤモンドオンライン
出口秀樹:税理士

知らないと損をする節税のノウハウを、税理士・出口秀樹氏の新著『知れば知るほど得する税金の本』からの抜粋で徹底解説します。
今回のテーマは「贈与税」。

資産を持つ人にとっては、相続と併せて、生前に子供に財産を贈与できれば安心が増します。
なるべく税負担を少なくする贈与の仕方はあるのでしょうか。

生前にまとまった額の贈与が可能な制度
「贈与税」は、贈与を受けた人に対して課税されます。
その贈与を受けたことに対してかかるので、生活費、または社会慣習上以外のものについてはすべて課税されることになるのです。
 たとえば1年間でトータル100万円もらっても税金はかかりません。
すべての贈与ということに対して税金をかけていたら、税務署も納税する人も大変なことになります。
ですので、贈与税では「基礎控除額」を設けています。
それは年間110万円です。
やや中途半端な金額ですが、税法上そのように定められています。

 ただ、基礎控除額の110万円という金額では、大きな財産を移すことは基本的に不可能だといえます。
ある人が保有している財産を生前に移動させることが、税負担のためにできないというのは社会全体にとって、あまり良いことではありません。
 不動産や現金など、高齢者が保有し続けることで、その利用が停滞してしまい、景気に悪影響が出るとも考えられるからです。  
そこで、ある程度まとまった金額の財産を生前に子供に贈与しやすくするために考えられたのが、「相続時精算課税制度」です。

失敗しない「相続時精算課税制度」の使い方
 贈与税とは相続税を補完するための税金ですが、相続時精算課税制度は高税率の贈与税を課すのではなく、相続税の前払いとして一定の金額を概算で負担させておき、相続が発生した時点でそれを精算するという方法をとっています。
 そのため基礎控除額は2500万円というまとまった金額にし、それを超える場合はその超えた金額の20%を前払いとしての贈与税として支払うことにしているのです。

 相続税の基礎控除額は、平成27年から改正され、3000万円+600万円×法定相続人の数という金額ですので、明らかに相続税のほうが負担は軽くなっています。
 その贈与税に比べて軽い負担の相続税の税率を適用させる上で、相続時精算課税制度は最適なものだといえるのです。
「相続時精算課税制度」を利用するには、いくつかの注意点があります。

◆一度選択すると後戻りできない制度であること
 この相続時精算課税制度を利用すると、従来の基礎控除110万円の一般贈与制度で贈与することはできません。
一度選択すると、その人からの贈与に関しては、その後すべて相続時精算課税制度で計算されることになります。

◆適用する最初の年には必ず届出書を提出すること
 この相続時精算課税制度は、選択制なので所轄税務署長に適用初年度の申告期限までに、“相続時精算課税選択届出書”を一定の添付書類と一緒に提出しなければなりません。
贈与税がゼロであっても、贈与税の申告書も提出しなければなりません。

◆2500万円という金額は“累積”であるということ
 基礎控除額が2500万円というのは、“累積の金額”です。
つまり昨年2000万円贈与を受け、今年500万円の贈与を受けた場合、基礎控除額の余裕はなくなり、次の年の贈与分からは20%の税率で課税されてしまいます。
一般贈与の110万円の基礎控除は、1年ごとの金額なので、取り扱いがまったく異なります。

もめずに生前贈与するための制度
◆必ずしも相続税対策にならない制度であること
 相続税対策として贈与という方法を使うことは一般的ですが、こと「相続時精算課税制度」では必ずしも「税金」対策になるとはいえません。
相続時精算課税制度の場合、贈与した財産は贈与された人のものにはなりますが、相続税の計算をする際には贈与した人の財産として計算をするため、生前贈与をしてもしなくても最終的な結果は同じなのです。
相続時精算課税制度は“争族”対策であって、必ずしも相続“税”対策とはなりません。

将来、相続が起きた時に、争いがないように生前に財産の分配をこの制度を利用して行うということが、この制度を利用する上でもっとも効果が期待できるところなのです。

揉めずに生前贈与するための制度
税金対策としては、使われる機会は少ない相続時精算課税制度ですが、生前にまとまった財産を贈与することができるということを利用して、他にもこんな使い方が考えられます。

◆相続が起きると兄弟間で揉めそうなケース
 財産額が多い少ないに関係なく、遺産争いが起きる可能性はあります。
たとえば財産の大部分が土地の場合、それを各相続人に納得させた上で分けることは、なかなか難しいものです。
そのような場合、効果的なのは生前に分け方をある程度決めてしまい、その分け方に基づいて贈与するという方法です。
そういう時こそ相続時精算課税制度が効果を発揮するのです。

◆子供に早いうちから財産を与えるようなケース
 たとえば、子供がサラリーマンでマイホームを建てた場合には、かなりの借金を背負うことになります。
一方、親がまとまったお金を持っていて、日常生活に何の支障もないようなケースの場合、親からの生前贈与をお金で行い、その贈与されたお金で住宅ローン返済を行ったとすると、子供は無駄な金利を金融機関に支払わなくて良くなります。
親子一体でみれば、金利の節約が可能となります。

◆“収益力の贈与”を行うケース
 たとえば財産に賃貸用不動産を持っているような方が、この方法を使えます。
このケースでは子供に物件を贈与することにより、その後入金される賃貸料を、そっくり子供のものとすることができます。これを“収益力の贈与”といいます。
この場合、相続税対策となりますし、親子で所得を分散することによって、結果として所得税の節税になります。

注意して使えば節税につながる“連年贈与”
◆税金対策になるケース  この制度を利用しても、相続税の対策としてはそれほど期待できませんが、やりようによっては税金対策になるものもあります。
たとえば将来的に価値が上がりそうなものを、現在の低い評価のうちに贈与する場合です
その財産が将来的に値上がりをしたとしても、相続時の評価額は贈与時の価格のままなので、結果として相続税の節税になります。

 相続税の対策として、生前贈与(一般贈与)は有効なものの一つです。
生前に財産のうちの一部でも、先に子供に移動させることによって最終的な相続税の税額を抑えることが期待できます。
具体的なやり方としては、毎年贈与する方法が考えられます。
 最初に自分の財産総額と負債総額、その差額である純資産額の把握から始めます。
純資産額が把握できると、法定相続による相続税の概算金額を計算します。
そうすると純資産額に対する税金がどの程度の率で課されるかがわかるはずです。

 生前贈与は、この試算した相続税の実効税率より低い贈与税率で財産を毎年贈与することで、相続税と贈与税トータルの税金で節税を行うという考え方です。
ただし、生前贈与を行う上で注意しなければならないことがいくつかあります。

◆贈与したことを表す書類の整備
“贈与”は書面にすることで、確実なものになります。
口頭だけの約束、お金の移動だけでは、本当に贈与があったのかもわかりません。
“贈与証書”など書面で贈与の事実があったことを証明できるものを残しておく必要があります。

◆贈与のお金の流れは明確に
 特に現金で贈与する場合は、金融機関の振込などを利用して贈与すると良いでしょう。
振込という方法をとることによって、贈与の跡を残しておく工夫も必要なのです。

◆毎年同じ日、同じ金額を贈与しない
 毎年、同じ日、同じ金額を贈与したとすると、最初から毎年の贈与額×年数分を贈与するつもりだったと疑われかねません。
税務署から余計な疑いを持たれないようにするためにも、この方法での贈与は避けたほうが良いでしょう。

◆贈与された人に贈与の事実をきちんと知らせる  
よくあるケースで、子供に内緒で贈与している場合があります。
これでは、そもそも贈与になりません。
必ず贈与した事実がわかるようにしておいてください。

◆3年以内の贈与について
 相続開始前、3年以内の贈与については、贈与がなかったものとされ、贈与された財産は相続税の対象として計算されることになります。
できれば相続間近で贈与するのではなく、時間的に余裕を持って贈与したほうが良いのです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月28日

インフル流行 感染を広げないために

インフル流行 感染を広げないために
2019年11月27日 東京新聞「社説」

 今季のインフルエンザの全国的な流行期に入った。
例年並みだった昨年より一カ月ほど早い。
これから来年春にかけ流行は続く。
感染症への対策の柱は予防である。
社会や個人で備えたい。

 流行は、全国の医療機関から寄せられる患者数で判断される。
十一月上旬に基準を超えた。
 直近の期間に検出されたウイルスは二〇〇九年に新型として流行したA型が多い。
 ただ、複数の型が流行する可能性がある。
一度、感染し発症しても警戒は怠れない。

 今年は九月から沖縄県で患者が増えだした。
新学期が始まって感染が広がったようだ。
夏でも感染する地域があることにも注意を払う必要がある。

 個人でまずできる予防は周囲への気遣いだ
インフルエンザウイルスは感染した人のせきやくしゃみの飛沫(ひまつ)に乗って周囲に広がる。
せきをしている人はマスク使用はもちろん、手でせきを受け止めた際には、その手でドアノブなどを触って感染を広げないようすぐに手洗いをしてほしい。
日々の丁寧な手洗いも大切になる。

 予防接種も有効だ。
感染自体は防げないが、発症をある程度抑えたり重症化を防ぐ効果がある。
接種を受ければ数カ月は効果があるといわれる。

 高齢者や慢性疾患を持つ人は感染すると肺炎など重症化する場合がある。
接種を受けた高齢者は死亡の危険を五分の一に減らせることが期待できるという。
自治体によっては費用の一部を助成している。
積極的に受けたい。

 季節性のインフルエンザとは別に新型はいつどこで発生するか分からない。
ひとたび発生すると、多くの国民が免疫を持っていないため感染が一気に拡大し命や健康を脅かしかねない。
 政府は新型発生を想定した対策をつくっているが、国民への周知を引き続き行うべきだ。

 冬季はインフルエンザの流行だけではない。
手足や食品を介してノロウイルスなどに感染し、激しい下痢や嘔吐(おうと)に苦しむ感染性胃腸炎も発生する。
 どちらも介護施設や学校、保育所などで集団発生することがある。
施設側も正確な知識を基に対策を取ってほしい。

 来年の東京五輪・パラリンピックでは、今年のラグビー・ワールドカップ以上に海外から多くの人が訪れるだろう。
インフルエンザに限らず、はしかや風疹など感染症全般の対策を考えたい。 
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月30日

米国は「130/80以上」が高血圧!あなたは大丈夫?

米国は「130/80以上」が高血圧!あなたは大丈夫?
「末梢血管」を鍛えると、血圧がみるみる下がる!
2019.11.30 ダイヤモンドオンライン
池谷敏郎:医学博士

「末梢血管」とは、手や足など末梢にまで血液を届ける動脈の末端部分のこと。
この末梢血管が血圧を左右する重要なカギとなります。
このたび新著『「末梢血管」を鍛えると、血圧がみるみる下がる!』を出版した人気医師・池谷敏郎先生が、「末梢血管を開いて血圧を下げる」コツを教える本連載。

初回は、そもそも血圧とは何なのか、高血圧になると何が怖いのかについてのレクチャーからです。
生活習慣に問題がある人ほど 血圧は改善の余地がある

みなさん、高血圧でお悩みですか?
 高血圧の方は本当に多いです。
 現在日本では、高血圧者の数は、4300万人と推定されています。
しかし、放置できないレベルの高血圧であっても治療を受けていない人も多く、その数はおよそ1850万人と推定されています(日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2019』)。

 高血圧は高齢者になるほど増え、現在70代の2人に1人は薬を飲んでいるという調査結果が出ています(厚生労働省「平成 年度国民健康・栄養調査」)。
 みなさんの中にも高血圧で治療をしていて、薬を飲んでいる方も多いことでしょう。

 薬に関して言えば、「血圧の薬は飲み始めると一生飲まなければいけない」と思っている人も多くいますし、私も患者さんからよく聞かれることです。
実際に主治医にそのように言われたという人も少なくないでしょう。
しかし、そんなことは決してありません。

 生活習慣を改善することで、薬を減らしたり、やめたりすることだってできるのです。
 とくに現在、生活習慣に問題がある人、たとえば暴飲暴食によってメタボになっているという人ほど、改善の余地があります。
 健康的な生活習慣に自信のない方は、このタイミングを「チャンス」と思って、ぜひ生活改善に取り組んでいただきたいと思います。

 血圧をいかに下げるかという話の前に、まず「血圧とは何か」簡単に説明しておきましょう。
 血圧とは、心臓が体の隅々にまで血液を送り出すときに「血管の壁にかかる圧力」です。
「血液が血管を押す力」と言ってもいいでしょう。
 ホースに水を流すところをイメージしていただくとわかりやすいでしょう。
水の勢いが強かったり、水の量が多かったり、ホース自体が狭くなっていたりすると、ホースにかかる力(圧力)は高くなりますね。

 心臓は、ポンプのように「収縮」と「拡張」を繰り返 しながら、全身に血液を送り出します。
「収縮」した瞬間に血液が送り出され、「拡張」とともに全身から血液が戻ってきます。

 この心臓が血液を送り出している(収縮している)ときの最高圧を「収縮期血圧」、いわゆる「上の血圧」といいます。
そして拡張しているときの最低圧が、「拡張期血圧」、いわゆる「下の血圧」です。
 血圧は全身のすべての血管にかかっていて、部位によって数値も異なりますが、通常は血圧といえば、上腕で測る血圧のことを指し、これを「上腕血圧」と呼びます。

「140/90」を超えると 急に死亡リスクが高まる
 日本における高血圧の基準値は、「140/mmHg以上(診察室血圧)」とされています。
 この値は時代とともに移り変わってきていて、1987年には「180/100mmHg(以下単位省略)」だったものが、どんどん引き下げられてきた経緯があります。
 また現在、アメリカでは高血圧の基準は「130/80」となっています。
日本も将来的には高血圧の基準値が引き下げられる可能性はあると思います。

 ところが、高血圧の基準値の話になると、よくこのような意見が出ます。
「高血圧患者を増やして製薬会社を儲けさせようとする陰謀ではないか」
「個人差があるのだから血圧の基準値など意味がない」

 高血圧の人からは「そうだ、そうだ!」と歓迎されそうな(?) 意見ですが、ちょっと待ってほしいのです。
 高血圧の基準は決して国の方針や製薬会社の陰謀によって決められているのではなく、ちゃんと医学的根拠によって定められています。
 いままでは血圧をどこまで下げればいいのか、なかなかはっきりしたことがわからなかったのですが、近年では研究が進んで、やはり血圧が高い人ほど脳卒中や心筋梗塞などの「血管事故」で死亡する率が高いことが明らかになってきたのです。  

そしてその数値は「上の血圧が140、下の血圧が90」で、これを超えると急に、死亡リスクが高まるのです。
 このため140/90以上が高血圧の基準値となっているのです。
 さらに、120/80未満の場合がもっとも循環器病のリスクが低いため、「至適血圧」とされています。

血圧が130〜139/80〜89であっても、120/80未満の人に比べると、心血管系死亡リスクは1.5倍以上高いといわれます。
このためアメリカでは130/80を高血圧の基準としているのです。
 もちろん個人差はあります。
しかしこの基準内に血圧が収まっていれば、脳卒中や心筋梗塞などの血管事故を起こさず、健康で長生きできる確率が高いのです。
この範囲に入っていたほうが断然安心なのです。
posted by 小だぬき at 13:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月01日

職場の“いじめ”エスカレートさせるのは「同調圧力」

【高論卓説】
職場の“いじめ”エスカレートさせるのは「同調圧力」
2019/11/30  産経新聞
舟木彩乃 ストレス・マネージメント研究者

 “いじめ”といえば、以前は子供の学校でみられた問題であったが、近年は分別のある大人の世界でも起こる問題である。
職場のいじめに関する相談も増えているが、自分が被害者だけでなく加害者にもならないためには、いじめの起こるメカニズムについて知る必要がある。

人がいじめをする心理的背景について、Aさんの事例をもとに考えてみたい。

 ヒトを含めてほとんどの動物には、自分の利益を侵害しようとする他者を攻撃して排除する機能が先天的に備わっている。自分の地位を脅かす者を排除するための攻撃、パーソナルスペースなど自分の領域を守るための攻撃などが、これに該当する。

 私のところにカウンセリングにきたAさん(男性・30代後半)は、某企業の企画営業部長に引き抜かれたが、転職して3カ月ほどで出はなをくじかれた人である。
同部は長らく役員が兼任で部長を務めていたため、B課長(男性・40代前半)が実質的なトップで権力も握っていた。
そのため、いきなり部長で来たAさんは歓迎されず、同部の管理のための情報もなかなかB課長から得られない状態が続いた。
困ったAさんは正式に引き継ぎを申し入れたのだが、それをきっかけにB課長の態度が攻撃的になってしまったそうだ。

 会議でAさんが発言すると露骨に嫌な態度をしたり、「A部長を信用していいのか、でも優秀らしいし、給与も高いからね」などといじったりすることも始まった。
部の他のメンバーも最初は迷っていたが、やがてB課長に同調するようになり、指示しても堂々と無視したり、部員同士で目配せしたりするようにもなった。

Aさんは精神的に追い詰められていったが、いじめで悩んでいることを誰にも相談できなかったそうだ。
このような部員たちの心理には「服従の心理」や「同調圧力」といったメカニズムが背景にある。

 「服従の心理」は、常軌を逸した残虐行動を引き起こすことがあり、心理学者のミルグラムが「アイヒマン実験」(ユダヤ人虐殺実行責任者の名前を借りた実験)でそれを実証している。
実験に募集された市民が、学習者が課題を間違えると電気ショックを与え、かつ間違えるごとに電圧を上げるよう命令された。
すると、ほとんどの市民が、弱っていく学習者に対して「危険・強烈なショック」と書かれたレベルまで電圧を上げ続けたのである。
実はその学習者は弱っていく演技をしていただけだが、服従によって残虐になっていくことを示した実験として有名である。

 「同調圧力」は、「アッシュの線分組み合わせ課題」と呼ばれる実験が有名である。
人間は自分が間違った選択をしていると気付いていても、周りがみなその選択をしていると、自分の答えに自信が持てなくなり、周りに合わせてしまうというものだ。
つまり、「集団への同調」は自分の判断や捉え方にも影響するのである。

 Aさんに対するいじめは、リーダーが言うことは守らざるを得ない、服従しているだけだから責任をとる必要はないという「服従の心理」に、周りに合わせていたほうが安全だという「同調圧力」が加わってエスカレートしたのかもしれない。

いじめが起こっている職場では、誰しも知らないうちに加害者となって人を苦しめていることがある。
いじめに対して自分が傍観者になっていたら、既に加害者になっている可能性があると自覚すべきだろう。  

 ◇  
ふなき・あやの 
ストレス・マネジメント研究者。
メンタルシンクタンク副社長。
筑波大大学院ヒューマン・ケア科学専攻(博士課程)に在籍中。
著書に『「首尾一貫感覚」で心を強くする』(小学館)がある。
千葉県出身。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月06日

2025年から始まる医療現場崩壊…輸血用血液は86万人分不足

2025年から始まる医療現場崩壊…
輸血用血液は86万人分不足
2019年12月06日 女性自身

「団塊の世代すべてが75歳以上になる2025年ごろは、医療機関や介護施設で大きな混乱が予想されます。
しかし、それは日本の社会保障制度が崩壊する序章でしかないのです」
そう語るのは、ベストセラー『未来の年表』(講談社現代新書)の著者で人口減少対策総合研究所理事長の河合雅司さんだ。

人口減少社会で、日本の社会保障サービスの根幹をなす医療はどうなるのだろうか。
《’25年12月。
人口8万人の△×市にある実家に帰省していたA子さん(50)は、78歳になる母親が腹部の激痛を訴え、救急車を呼んだ。
ところが、救急車の到着は「119番」から30分後。
しかも、運び込まれたのは隣の市にある総合病院で、救急車で50分近く走ることに。
母親は治療を受けて入院。
そこで、トイレ介助を頼もうと、A子さんはナースコールを押した。
しかし、すぐに看護師からの返事はなく、やってきたのは30分もたってからだった……》

満足な医療サービスを受けられないA子さんの母親。
しかし、このシミュレーションは5年後、現実に起こりうるかもしれない。
厚生労働省は、’25年には内科医が1万4,000人、看護師をはじめとする看護職員が最大27万3,000人、不足すると試算しているのだ。

河合さんが解説する。
「都市部ではベッド不足が深刻化する一方で、地方では人口減少により、医師や看護師だけでなく、患者数も不足し、病院が経営難に陥ることも想定されます。
閉院する民間病院も出てくることでしょう。
結果として地方でもベッド不足が広がります。
また、’24年に、日本は全国民の3人に1人が65歳以上、6人に1人が75歳以上という超高齢者社会に。
75歳以上になると大病を患う人は増え、1人あたりの医療費が74歳以下の5倍近くかかるというデータもあります。
高齢者の増加で救急搬送が増えると、救急隊員の不足で、救急車がすぐに来ないという事態も起こりかねません」

’16年は通報から病院に搬送されるまでの平均時間は39分。
これが1時間を超えることも覚悟しなければならなくなるようだ。

シミュレーションは終わらない。
《’27年5月。
A子さんはステージ3の肺がんと診断され、すぐに開胸手術の必要があると言われた。
しかし、執刀医が不足しているうえ、A子さんの前にも手術待ちの患者が大勢控え、輸血用の血液の確保にも時間がかかるため、手術は2カ月後になるという……》

河合さんが語る。
「高齢者が増えることで、手術やがん治療などに使用される輸血用血液の需要も高まります。
一方、献血者は年々減少。
’27年には約86万人分の輸血用血液が不足するという試算もあります」

また、厚生労働省によると、’25年は手術患者数が1.3倍に増えるという。
「手術室が2〜3室ほどしかない地方の病院では、絶えず手術室が埋まっている状況も考えられます」
現状でも数週間かかる手術の待期期間が、数か月待ちになってもおかしくない。
なすすべはないのだろうか?

「たとえ出生数が増えても、その子どもたちが働くまでに約20年はかかり、問題は解決しません。
しかも、’25年ごろに団塊の世代が一斉に大病となるわけではありません。
状況は年々、悪化します」
posted by 小だぬき at 15:04 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月11日

上手に節約できて我慢や無理をしなくて済む「極意」とは

上手に節約できて我慢や無理をしなくて済む「極意」とは
2019.12.10 ダイヤモンドオンライン
大江英樹:経済コラムニスト

こまめな消灯で 本当にお金は貯まるのか?
 世の中が不景気になってくると「節約」が話題になることが増えてくる。
書店には節約のノウハウを記した“節約本”が出回るようになるし、ファイナンシャルプランナーの中にも「節約」指南が得意な人たちもたくさんいる。

 実際に節約本などを見ると、“電気はこまめに消す”だの、“風呂の残り湯の利用法”だのといった、実に細かいことがたくさん書かれている。
筆者はサラリーマンだったので、こういう節約ノウハウを見ると、業績悪化時における企業の予算削減と非常によく似ていることがよくわかる。

 業績が悪くなってくると真っ先に削られるのが3Kと言われる「交通費」「交際費」「広告宣伝費」だ
その理由はわかりやすいからで、「タクシーは使うな!」「飲み会は禁止!」「広告はなし!」等々、いずれも目に見えて、とてもわかりやすいものばかりである。
 しかしながら、企業が本格的にコストを下げるための構造改革をしようと思うなら、その方法はたった2つしかない。
1つは製造業の場合、「製造原価を下げること」、そしてもう1つは「業務プロセスの効率化」だ。
 人員削減なども、こうした施策を検討した結果として出てくる方法論の1つにすぎない。

ところが、この2つを実行するためには時間もかかるし、自社のみならず取引先との交渉なども必要になってくるため、すぐに実行することは困難だ。
そこでわかりやすい3Kが登場してくるのである。  

さらにもっとバカバカしいのは、「コピーで裏紙を使え」とか、揚げ句は「トイレットペーパーを二重から一重にしろ」といった類いの指示だ。
社員の気持ちを引き締めたり、危機感を植え付けたりするという意味においては一定の効果は見込めるかもしれないが、こんなことでまとまった経費削減の効果が上がるとはとても思えない。

 家計においてもこれは同じで、前述した電気の消灯とか風呂の湯の再利用などは、実行することで「自分はこんなに頑張ってるんだ」という意識を高める心理的効果はあるだろうが、実際に経済的な面で判断するとそれほど効果は高くない。
 節約するということ自体、別に悪いことではないが、節約するだけでは決してお金を貯めたり増やしたりすることはできない。
お金を増やすためには具体的に目に見える形でキャッシュフローが生まれ、それを別の方法で貯蓄なり投資なりをしていくことが必要だ
つまり具体的な金額目標を設定して、節約したものを金銭に換算していかなければ、何もならない

本当に節約すべき項目を多くの人は見ていない
 ところが節約は、往々にしてそれをすること自体が目的化してしまっていることが多い。
さらに節約するというのは“必要なものでも買わない” “欲しいものでも我慢する”というニュアンスがある。
すなわち結構、心の苦しみや不満を伴うのである。
ストイックに節約するのは、一時的に効果があったとしても決して長続きはしないだろう。

 家計において節約とか無駄をなくすということを実行する場合、多くの人は明らかに間違ったやり方をしている。
というのは支出には「管理可能なもの」と「管理不能な支出」があり、多くの人は前者を削ろうとしているのだ。
 ではこの両者の違いは一体どこにあるのだろう。

そもそも管理可能な支出とは一体どのようなものか、それは外食や趣味・娯楽費、あるいは交際費などもそれに含まれる。
これらはいずれも自分で金額を調節できる。
回数を減らしたり、内容を少しレベルダウンしたりすることで金額を減らすことは可能である。
ところが、これらの項目は、言わばいずれも「楽しむための支出」である。
それらを減らすのだから楽しいはずがない。
気分もどこか暗くなるだろう。
それでも背に腹は代えられないと、多くの人が我慢してこうした「管理可能な支出」を削っているのである。

 一方、「管理不能な支出」とはどういうものかと言えば、各種会費や保険料、固定料金のサービスなどがこれにあたる。
いずれも金額が決まっているので交渉で減らすことは困難だ。
そこでこういう支出には手をつけず、前者の自分で削れる経費を削ろうとするのだ。

 しかしながら、ここで発想を変えてみてはどうだろうか。
管理不能な支出を減らすのではなく、なくしてしまうのだ
具体的に考えてみよう。例えば会費で言えば、スポーツジムなどが代表だろう。
毎週熱心に通っているのであれば問題はないが、会員にはなっているもののほとんど利用していないということはないだろうか?
あるいは、以前に契約したままで全く見直しのされていない保険もそうだ。
 こうした支出はあまりチェックすることなく、払い続けているケースも多い。
本当に利用しているのか、あるいは本当に必要なのかどうかを、よく検討してみる必要がある
その上で必要なら続ければいいが、多くの場合、こうした管理不能な支出の中に多くの無駄が潜んでいる。

「我慢」しなくても 節約はできる!
 さらに言えば、前者の管理可能な支出の多くは、人生を楽しむためのものだから削るとなると寂しい思いをするのは、前述した通りだ。
これでは、一体何のために働いているのかわからなくなってしまうだろう。

ところが、後者の支出はなくしても生活感にはほとんど変化がない。
つまり、節約をしているという感覚を持たなくても支出が減るというメリットがあるのだ。
 実際に子どもが独立して夫婦2人の生活になっているにもかかわらず、多額の保険に入り続けていたり、定年になって時間はたっぷりあるから、ネットで調べたり、図書館に行けばいいのに、現役時代の習慣で、新聞や雑誌を取り続けていたりするのも見直すべきだろう。
そう、管理不能な支出こそなくすべきなのだ

 このように、ひとくちに節約と言っても、そのやり方やどれを対象とするかによって気分は大きく変わってくる。
 どうも節約というのは、欲しいものでも我慢するというイメージがつきまとう。
でも本当に大事なのは節約ではなく「無駄をなくす」ということである

冒頭で紹介した企業の経費節減の例においても、本質を考えるのではなく、目についたもの、わかりやすいものを節減することにいきがちだ。
 なんでもかんでも節約という感覚にとらわれるのではなく、本当に必要なものとそうでないものを峻別し、実効性の高いものから取り組んでいくことが大切なことではないだろうか
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月14日

血液クレンジングは「即刻禁止にすべき」

血液クレンジングは「即刻禁止にすべき」
透析専門医が警鐘、有名人を利用し国民に拡散
2019.12.12 Business Journal
文=ヘルスプレス編集部

「血液クレンジング」という医療行為の是非をめぐって、さまざまな見解が飛び交った。
 ブロガーのはあちゅう、歌舞伎役者の市川海老蔵、教育評論家の尾木直樹氏、タレントの高橋みなみなどが、自身のインスタグラムやブログなどで血液クレンジングを受けてきたと報告し、一時期関心が高まった。
その後しばらく沈静化していたが、10月から再び医療関係者らから「トンデモ医療である」といった批判の声が沸き起こり、話題になった。

 10月21日にBuzzFeedが「『トンデモ医療であると、断言します』血液クレンジング、医学的に徹底検証してみた」と題する記事を出した。
この記事ではNIH(米国国立衛生研究所)で免疫学やウイルス学を専門とする峰宗太郎医師が、関係する論文を科学的に検証したところ「オゾンの医療利用は、医学的にははっきりとした有用性は極めて限定的であり、かつ弱いエビデンス(証拠)しかなく、ほぼ無効であろうと言えます」と結論づけている。

この記事の掲載以後、医療者や研究者の発言も増えている。

あまりにも適用範囲が広い、夢のような治療法
 血液クレンジングは、患者の血液を採血して「医療用オゾン」を混ぜ、再び自分の体に戻すという治療法で、実施しているクリニックのHPでは、次のような疾患を適応として挙げている。

「がん、悪性リンパ腫、自己免疫疾患(慢性関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、アトピー性皮膚炎、エリテマトーデス)、線維筋痛症、ウイルス性疾患(B型・C型肝炎、HIV、パピローマウイルス、帯状疱疹)、慢性腎不全、慢性疲労症候群、脳神経退行性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、痴呆)、呼吸器疾患(肺気腫、COPD)、真菌感染症、眼科疾患(白内障、緑内障、加齢性黄斑変性症)、動脈閉塞性疾患(心筋梗塞、脳梗塞)、下肢静脈瘤、糖尿病(糖尿病性末梢神経障害、糖尿病性壊疽)」

 適応範囲が広すぎ、“万病に効きます”と謳っているようにさえみえる。

透析専門医は「この治療法は即刻禁止にすべき」
 自らの血液を体内から抜き、手を加えて再び体内に戻すというこの治療法に対してそれほど抵抗が生じない理由のひとつは、非常に類似し、しかも保険診療として確立された治療があることだ。
 もっともよく知られているのは、慢性腎不全患者に対する血液透析療法だろう。
一般的に血液から不要、あるいは有毒な物質を除去する治療方法は「血液浄化療法」といわれ、血液透析以外にも血漿交換 、血漿吸着など、さまざまな方法がある。

 手法だけ聞くと、血液クレンジングもさほど異様な治療法だとは感じられないかもしれない。
しかし、日本腎臓学会および日本透析学会専門医、指導医の横山隆医師は、次のように語る。

「血液クレンジングに関しては、『まやかし療法』『野放図療法』『私たちを欺く治療』だと断言できます」
 その根拠として、以下の5つを指摘する。
(1)本療法に関する「有効性」を証明できる、エビデンスがない。
日本国内はもとより、欧米でも証明されていない。
医学雑誌でも、特にオゾンを使用した患者と偽薬(食塩水など)を投与した患者で、有意差をもってクレンジング療法の効果が認められたとの報告がない。
(2)HIV、インフルエンザウイルスの除去効果は、いかなる方法で証明するのか、また証明したのか、まったく不明。
(3)悪性腫瘍、白血病の免疫力を高めることによる治療効果についても証拠がない。
(4)心筋梗塞、狭心症についても、冠血流を改善する証拠がない。
(5)老化抑制に関しても、まったく証拠がない。

「血液クレンジング療法を我が国で、『自由診療』として行っているのは、公的病院ではなく、怪しいクリニックが<金儲け>を目的として、野放図に治療行為をしているのです。
許せないのは、医学的知識のない有名人に協力してもらい、この治療を国民に拡散させていることです」(同)

 さらに、透析専門医の立場から「血液クレンジングによって腎不全が改善でき、透析を不要とすることができれば、ノーベル賞級の治療法なのですが、残念ながらそれは現在のところ不可能でしょう。
この治療法は即刻禁止すべきです。規制は必要です」と主張する。

関係学会との連携で問題は解決するのか
 11月6日の衆議院厚生労働委員会で、血液クレンジングが取り上げられた。
厚生労働省は、その効果やリスクについて現時点では確認できていないとした上で、「関係学会と連携しながら情報収集を進めたい」との考えを示した。
 関係学会が、どの学会のことを示すかは不明だが、主にこの治療法を推奨する日本酸化療法医学会では、血液クレンジング療法について非常に詳しくその機序や論文等を掲載し、そのエビデンスがあると主張している。
この学会の説明だけを読んで、一般人がこの療法の是非を判断することは不可能だろう。
しかも、血液クレンジングを実施する医療機関の検索ページまであり、全国165施設(12月2日現在)あると紹介されている。
つまり、少数の特殊で実験的なクリニックのみで実施されている治療方法ではないのだ。

 医師には裁量権というものがあり、提供できる医療行為の制限はない。
だが、これだけの批判がある治療方法に関しては、そのエビデンスが妥当なものなのかきっちりとした説明責任を果たすべきだろう
そして医療界の多くが認め、可能であれば保険診療として提供できるように努力されるべきだろう。
ましてや、血液クレンジングのように多くの医療機関で実施されている治療法であれば、なおさらのこと学会などの責任は大きい。

患者のために客観的な評価指針やガイドラインの整備が必要  
あらゆる代替医療の有効性を徹底的に検証した大書『代替医療のトリック』(サイモン・シン&エツァート・エルンスト)でも、酸素療法に言及している。
「代替医療の酸素療法はどんなタイプのものも、信頼できる科学的根拠はないと言ってよい。
したがって、潜在的な危険性のほうが、主張されている効果よりも大きいことは明らかだろう。
結論は明白だ。
酸素は、通常医療ではさまざまに利用されているが、代替医療における役割は、生物学的には考えにくい説にもとづいている。
代替医療の酸素療法は有効性が示されていないばかりか、有害にもなりうる。
この療法は受けないようにしよう」

 代替療法、民間療法、自由診療には同様にエビデンスのないもの、曖昧なものが多い。
したがって、当然のことながら積極的に推奨はされるべきではない。
しかし、標準医療で効果がない患者や、エビデンスのない、あるいは低い治療方法でも「この治療方法はいいと思う」「受けてみたい」「自分には効果があるかもしれない」「できる治療はなんでも試してみたい」などと考えることまでは否定できない
ケースによっては、追い詰められている切実な場合も少なくないはずだ。

 すべての保険外診療が否定されるべきではないだろうし、そのなかにも将来の標準治療になり得るものがあるかもしれない。
そうであれば、なんらかの客観的な評価情報や基準が求められるべきではないのか
そろそろこの分野にもEBM(根拠に基づく医療)の網がけを本格的に始動させる時期に来ているのではないか。

ニュースサイトで読む:
https://biz-journal.jp/2019/12/post_131593.html Copyright c Business Journal All Rights Reserved.
posted by 小だぬき at 06:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月15日

膝関節・頸椎・腰痛の手術で痛み除去は2割未満

膝関節・頸椎・腰痛の手術で痛み除去は2割未満
2019年12月15日 PRESIDENT Online

■頼れる整形外科はどうやって探すか
「整形外科に通って電気治療を続けているけれど、なかなか治らない」――そんな不満を耳にすることがあります。
私からすれば、それはある意味、当たり前。
他の医科と違って、整形外科は通えば必ずしも治るものではないのです

たとえば消化器だったら痛みの原因を特定して、それを除去すれば大体は治ります。
しかし整形外科は、画像診断で飛び出した椎間板(ヘルニア)が痛みの原因ではないかと特定して、手術で切除しても、「まだ痛い」「しびれが残る」と患者が感じることはしょっちゅう
再発することも少なくない。

股関節の手術だけは比較的成功しますが、膝関節、頸椎、腰痛の手術になるとあまりうまくいきません。
総合的に見て、整形外科の手術で痛みがなくなるのは2割にも満たないのではないでしょうか

なぜそうなるかというと、整形外科が扱う症状は膝関節炎など、加齢による痛みが多いからです
そうした痛みを全部なくすことは難しい。
医師もそのことはわかっていますが、「年をとって痛いのは当然」と言っていたら、商売として成り立たない。
診察したりリハビリをしたりして、患者をつなぎとめておくのです。

では、いい整形外科をどう見つけるのか。
他の医師の選び方が整形外科にはそのまま通用しないのが、難しいところです。
私には「外科医は肩書よりも手術実績を参考にすべき」「空いている病院には行かないほうがいい」という持論があります。

外科医は経験豊かで手先が器用な医師が名医であって、手術数の多さと腕のよさは関連しやすい。
しかし、整形外科医は数多く手術をこなしていても、その成功率はなかなか見えてこない。
病院が繁盛しているからといって、腕がいいとはかぎらないのです。

アドバイスとしては、「慎重な整形外科医を選んだほうがいい」ということ
整形外科の手術はリスクが高い。
特に年をとったら、全身麻酔で体にかかる負担も大きい。
車椅子になるリスクだってあります。
靴をはくときに痛みを感じる程度なら、加齢の痛みと折り合いをつけて、だましだましやっていくのもひとつの手段です。

■医師に「私だったらやりません」と言われて回避
私自身、ヘルニアや脊柱管狭窄症に悩まされました。
後者は30人ぐらいに相談して、手術寸前までいったけれど、ある医師に「私だったらやりません」と言われて回避しました。今も痛みますが、後悔していません。
すぐに手術をしようとしない医師は、ひとつの目安になるでしょう

もしあなたが腰痛や関節痛に悩んでいるなら、必ずしも整形外科を選ぶ必要はないと思います。
整形外科は医療行為だから信用できるというのは勝手な考え。
指圧や整骨で治ることもあるし、民間療法も試す価値は大いにあります。
視野を広げて、選択肢の範囲を広げたほうが賢明です。
----------
富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト
東京慈恵会医科大学卒業。
開業医、病院経営、早稲田大学講師、日本女子体育大学助教授などを経て、医療コンサルタントに。
慈恵医大相撲部総監督。
著書は『不要なクスリ 無用な手術』など、65冊以上。
----------
posted by 小だぬき at 14:11 | 神奈川 | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月17日

「人は見た目」の真実、残念な印象は服装や振る舞いで克服できる

「人は見た目」の真実、残念な印象は服装や振る舞いで克服できる
『印象はしゃべらなくても操作できる』木暮桂子著
2019.12.16 ダイヤモンドオンライン

レビュー
 ビジネスシーンにおいて、多くの人はコミュニケーション能力を重要視している。
自分の伝えたいことが正しく伝わるようにと、話し方やプレゼンのレッスンを受ける人も多い。
だが実は、話す前から、人は見た目の印象で判断されているのだと著者はいう。

 コミュニケーションの中には、言葉を使った言語的なコミュニケーションの他にもうひとつ、しぐさや姿勢、表情、装いなど、主に見た目の印象のことを指す「非言語コミュニケーション」が存在する。

「人を見た目で判断してはならない」と考える人は多いが、その人を信頼できるか、ビジネスパーソンとして仕事ができそうかどうかを、誰もが見た目の第一印象で判断しているという。
そしてその印象を覆すには、多大な労力が必要になる。

 せっかく言語的なコミュニケーションを磨いても、話をする前からマイナスの印象を相手に与えてしまっては、チャンスを手放すことになってしまう。
本書『印象はしゃべらなくても操作できる』は、日本ではまだあまり注目されていない「非言語コミュニケーション」に焦点を当て、しぐさや装い、表情、声など、項目ごとに具体的な改善策とトレーニング方法を紹介している。

著者は、ビジネスアピアランスコンサルタントとして数万人の「外見」を激変させてきたというから、信頼性は抜群だ。
 本書の内容を実践すれば、たちまち周囲に与える印象が変わるはずだ。そして、信頼されるビジネスパーソンとして、成果を出すことができるだろう。(池田明季哉)

本書の要点
(1)第一印象が及ぼす影響は大きい。その印象の大半は、見た目やしぐさ、振る舞いなどといった非言語コミュニケーションがもたらしている。
(2)表情は、相手がどのような人であり、どんな状況にあるのか、どう思っているのかを判断する材料になる。
表情をコントロールし、相手に誤解を与えないようにしたい。
(3)非言語コミュニケーションは、究極的には相手への気遣いだといえる。
そしてそれは、仕事にもしっかり気を配れる人だというメッセージにもなりえる。

要約本文
◆あなたの印象は、驚くほど見た目に左右されている

◇印象は非言語コミュニケーションで決まる
 誰もが、人を見た目で判断している。
特に第一印象が及ぼす影響は大きい。
最初の印象が悪いと、それを覆すのには多大な労力を要することになる。

 人の印象は、言語的なコミュニケーションと、見た目やしぐさ、振る舞いなどといった非言語的なコミュニケーションによってつくられる。
その割合は、言語的なコミュニケーションが35%、非言語的なコミュニケーションが65%だ。
つまり、非言語コミュニケーションの方が圧倒的に重要なのだ。

◇外見よりも中身が大切?
 よれたスーツや変色している靴、背中を丸めた自信のなさそうな姿勢、機嫌が悪そうな眉間のシワなど、ビジネスパーソンの中には、見た目で損をしている人が多くいる。
彼らは、「仕事で必要なのは外見ではなく中身」と考えているようだ。
 だが、よれたスーツを着ている人と、パリッとスーツを着こなしている人であれば、後者の方が圧倒的に優秀そうに見えるだろう。
どんなに中身が優れていても、第一印象がネガティブなものだと、その実績を見てもらう機会さえ得られないかもしれない。

「見た目」といっても、気を配るべきは装いだけではない。
振る舞いやしぐさ、表情、声、場所や時間の設定など、さまざまな要素が影響し合って人の印象を形成している。
それらすべてを引っくるめて「非言語コミュニケーション」と呼ぶのだ。

◆知らない間につくっている「残念な印象」

◇ネガティブな印象を与える立ち方・歩き方
 知らず知らずのうちに、自分が思ってもいないような印象を与えてしまうことがある。
例えば、立ち方だ
自分ではまっすぐ立っているつもりでも、首が前に出てしまっていることがある。
そうした立ち姿は、貧相で自信がなさそうな、不健康そうな印象を与えてしまう。
 歩き方も重要だ。
歩く速度が遅い、歩幅が狭い、目線を下に向けているなど、適切でない歩き方は、自信がなさそう、不機嫌そう、消極的などといった印象を与える。
 歩き方を意識すべきは、プレゼンなどの特別なシチュエーションに限らない。
ダラダラとした歩き方は、知らず知らずのうちに周囲の人に悪い印象を刷り込んでしまうからだ。

◇面接のときに見られている意外なポイント
 印象がものを言う場として、企業の採用面接が挙げられる。
面接で特に重要なのは、「椅子に座るまでの10秒間」だ。
この10秒間で採否が決まるといってもいい。

つい自己アピールに一生懸命になりがちだが、本当に見られているのは、身なりや姿勢、歩き方、表情、振る舞いなどといった非言語コミュニケーションである。
 場合によっては、人事などの面接のプロではなく、現場の担当者が面接官を務めることもある。
彼らは、より「印象」を重要視するだろう。
つまり、自分の部下として迎え入れたい人に見えるかどうかだ。

 また、面接の場だけでなく、企業の受付での態度も重要だ。
受付担当に失礼な態度を取る人がいたら、そちらが本性だと認識されるのは当然のことではないだろうか。

◇外見の変化がチャンスをくれる
 心の持ちようは顔に表れるといわれるが、逆に表情が気持ちを左右することもある。
嫌なことがあったとき、無理矢理にでも笑ってみると、気持ちが晴れるかもしれない。
 それと同様に、すぐに幸せになったり自信を持ったりするのは難しくても、まずは行動や見た目を変えてみるといい。
行動や見た目は人から見えやすい部分であるため、変化が一目で伝わる。
周りからの見る目が変わったことを実感できると、その実感が自分を変え、自信がつくだろう。

 内面とは違い、外見の変化は周りに伝わりやすい。
外見が変わると、自分を正しく理解してもらえたり、あらゆる方面から声がかかったりといったチャンスにも恵まれるだろう。

必読ポイント!
◆「ふるまい」で印象を操作する

◇常に表情を意識する
 表情は、相手がどのような人であり、どんな状況にあるのか、どう思っているのかを判断する材料になる。
裏を返せば、表情をコントロールしなければ、本意でない印象を与えてしまい、誤解されてしまうかもしれないということだ。
 とはいえ、日常的にどんな表情をしているのか、どんなクセがあるのかを自分で知るのは難しい。

著者が勧めるのは、仕事場のデスクに小さな鏡を置いておくことだ。
そうすれば、意識的に鏡を見たときとは違う、自分の無意識の表情を知れる。
その上で表情を修正していけばいい。
親しい人に、自分の表情やクセでおかしなところはないか、思いきって尋ねてみるのも効果的だ。

◇声のトーンとスピードを使い分ける  
 非言語コミュニケーションにおいては、姿勢やしぐさ、表情と並んで、「声」も重要な要素である。
声の印象を決定する要素としては、「トーン(高さ)」「スピード」「滑舌」「声量」の4つがある。
これらを場面によって適切に使い分けることで、声が与える印象を変えることができる。

 声の雰囲気は、「トーン」を縦軸に、「スピード」を横軸にして、4つの型に分けられる。
ハイトーンでゆっくり話す「理解優先型」、
ハイトーンで速めに話す「情熱型」、
ロートーンでゆっくり話す「誠実型」、
そしてロートーンで速めに話す「スキル型」である。

 まず重要なのは、自分の普段のしゃべり方はどの型にあたるのかを理解しておくことだ。
そのうえで、場面に応じてトーンとスピードを調整して、印象を変えていけばいい。

「しつらえ」で印象を操作する

◇パーソナルスペースを尊重する
 著者が本書でいう「しつらえ」とは、「場」と「時」の要素だ。
「場」は距離感、座る位置、会議の場や会食の店の選び方のこと。
「時」は、訪問やメール、電話などのタイミング、時間の使い方などを指す。

「場」で印象を操作する方法の一つとして、心理的負担をかけない「距離感」がある。
人間には「パーソナルスペース」があり、それを越えて近づいてくる人がいると、不安感を抱いたり、落ち着かない気分になったりする。
パーソナルスペースは人や状況によって異なるが、日本のビジネスシーンでは、腕を伸ばして相手に触れることのできる距離は近すぎると考えていいだろう。
 距離感は目に見えないものだが、意外なほどに大きな影響力を持つ。
距離感の取り方は、コミュニケーションにおいて重要なポイントだ。

◇行動は早め、早めを意識する
 メールを返信するスピード一つとっても、その人の時間の使い方がわかる。
すぐに詳細な内容が返せないのであれば、ひとまず受け取った旨だけでも返信するように心がけよう。
 アポイントも同じだ。
10時からのアポイントがあるとしよう。
夏のアポイントなら、ぎりぎりに受付に着いた場合、10時になってもまだ汗が止まらないかもしれない。
そんな場合、落ち着いてコミュニケーションを取るのは難しいだろう。
相手に「どうぞ、ごゆっくりしてから」などと言わせてしまいかねないし、清潔感に欠け、とても好印象を与えることはできない。
 こんなことにならないためにも、アポイントの前、せめて15分前には近くに到着していたいものだ。
そうすれば、落ち着いて準備する時間もできる。

◆「よそおい」で印象を操作する

◇清潔感を保つ
「装い」では、清潔感が何よりも大事だ。
ネクタイにあるシミ一つでも「清潔感のない人」というレッテルを貼られてしまう可能性がある。
それを肝に銘じ、チェックを欠かさず、必要に応じて洗濯やクリーニングをすることが大切だ。

 シミや汚れのほかに、「八元」は清潔感を大きく左右するといわれる。
これは、「目元」「口元」「耳元」「襟元」「胸元」「手元」「膝元」「足元」の8つの「元」のことだ
これらのうち一つでも欠けていたら、清潔感は一気にダウンしてしまう。
その結果、信頼を損なうかもしれない。
八元は常に意識し、清潔に保つことが大切だ。

◇においに気を配る
 五感の中で脳の最も原始的な部分に訴えかけるのは「嗅覚」だといわれている。
また、記憶に最も長く残るのもにおいである。
つまり、においで相手から悪い印象を持たれてしまったら、致命的だ。
きちんと気を配っておかないと、無意識のうちに最悪の印象をもたらしてしまうことになりかねない。

 ただ、自分のにおいは自分では気付きにくいものである。
だからこそ親しい間柄の人にきちんと確認するべきだ。
清潔感を常に意識し、シャツは毎日替えること。
タバコのにおいにも気を付けたい。

◆「人への気遣い」はすべての基本

◇爽やかに挨拶する
 自分の印象は見た目を整えることで操作できるが、その基本には相手への気遣いがある。
見た目を整えて自分の印象を操作することは、実は相手への礼儀であり、気遣いなのだ。
そして、見た目に気を遣えるということは、仕事にもしっかり気を配れる人だというメッセージにもなりえる。
 人への気遣いの基本といえば、「挨拶」である。
挨拶一つで印象が大きく変わるのは、多くの人が実感しているところだろう。
だからこそ、爽やかにきちんと、素敵な笑顔で挨拶をしよう。
立場がどうあれ、自分から挨拶すれば、確実に好印象を与えることができる。

 また、挨拶をするときは、相手の名前を呼ぶように心がけたい。
肩書きだけでなく、できるだけ早く名前を覚え、名前で呼びかける。
一度目の名刺交換でしっかり名前を頭に入れ、次に会うときには名前で呼ぶようにしよう。
これも相手への気遣いである。

一読のすすめ
 本書では、図やイラスト、シンガポール航空のCAとして活躍した著者の経験談などを用いながら、相手に好印象を与える非言語コミュニケーションのコツがわかりやすく提示される。
本書を一読し、実践に移すことによって、ビジネスシーンにおける印象をより良いものにすることができるだろう。
評点(5点満点) 総合3.5点(革新性3.0点、明瞭性3.5点、応用性4.0点)

著者情報
木暮桂子(きぐれ けいこ)
ビジネスアピアランスコンサルタント/株式会社ディグニータ代表取締役
 大学卒業後、シンガポール航空に入社し、キャビン・アテンダントとしてシンガポールに駐在。
在職中にhigh achiever of compliments(年間を通じてお客様からの感謝状が多かったクルーに対して授与)のトップ10として表彰される。
 その後帰国し、株式会社グロービスの創業期から現在のグロービス・マネジメント・スクール、グロービス経営大学院の立ち上げに関わり、東京校のスチューデント・オフィスの責任者として戦略立案、マーケティング、営業全般に広く携わる。
また法人向け研修としてビジネスアピアランス・スキルトレーニングプログラムを開発、自ら講師を務める。
 現在はディグニータにて多くの経営者、政治家、コンサルタント等をクライアントに持ち、パーソナルプランディングやスピーチトレーニング、非言語コミュニケーションのコンサルティングを行う。
 これまでにのべ数万人以上の「ビジネスアピアランス強化」を実施。
「見た目」を整えることで「印象が大きく変わった」「評価されることが増えた」という声が多数寄せられている。
 著書に『ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる』(ダイヤモンド社)がある。

(1冊10分で読める要約サービス flier)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月18日

「75歳以上医療費2割負担」は、ニセモノの格差是正ではないか

「75歳以上医療費2割負担」は、ニセモノの格差是正ではないか
12/17(火) 現代ビジネス(赤木 智弘)

「世代間格差の是正」と言うが…
 政府が75歳以上の後期高齢者の外来診療の窓口負担を、現行の1割から、2割に引き上げるよう、調整に入っているという。
 現状では、現役世代の窓口負担が3割。
70〜74歳が原則2割、75歳以上はが原則1割となっている。

これを75歳以上の枠を無くして70歳以上はすべて原則2割にしようという話である。
「原則」というのは、現役並に稼いでいる人は年齢が70歳以上でも、現役世代と同じ3割負担になるということを指す。
 どうして高齢者の窓口負担を引き上げなければならないのか。
それは「世代間格差の是正」のためなのだと政府は主張しているようだ。

 少子化により現役世代一人あたりが支える高齢者の数が増えてしまい、現役世代にとっては大きな負担となっていると言われる。
これが「世代間格差」だ。
 世代間格差をわかりやすく表すための図が、わり算ような図式の分母側に現役世代を、分子側に高齢者をのせて「高齢者1人あたりを支える現役世代の人数が、将来どんどん減って、大変になっていきますよー」と見せるあの図だ。

 産まれる子供が減る一方で、かつての人口ボリューム層がどんどん老齢化していき、高齢化のリスク層と捉えられるようになっている
 内閣府の資料によれば、1970年頃には高齢者1人を現役世代10人ほどで支えられていたが、2017年時点では高齢者1人を現役世代2.2人で支えなければならなくなってしまっている。
もちろん今後は更に支える側の現役世代の負担は増え、2065年には高齢者1人を1.3人で支えることになると推定されている。

そもそも少子化が起きた原因とは
 この先、人口が減っていくことは確実視されており、先の見えない少子高齢化の流れの中で、「生涯現役」を推進して高齢者を働き手として現役世代扱いすると同時に、高齢者の保険料や負担の引き上げや、社会保障の引き下げなどをしなければ、現役世代がとても耐えられない。
だからこそ世代間格差の是正が必要であるとアナウンスされているのである。

 しかし、僕はこの説明はとてもおかしな話だと考えている。
 そもそも少子化が起きた原因は何か。
高学歴化で育児や教育のコストが増大したとか、女性の社会進出によって晩婚化が進んでいるとか、まぁ理由は多岐にわたる。
しかし、少なくとも確実に1つ、政府の失策が導いた少子化の原因がある

それは「団塊ジュニア世代に対する経済支援の致命的な遅れ」である。
 戦後、経済成長を当然としていた日本経済が直面したのは、これまでに経験のない不景気であった。
戦後直後は毎年おおむね9%程度の経済成長、1974年のオイルショック後には毎年おおむね4%程度の経済成長を当然としてきた日本は、1990年以降のバブル崩壊によって1%程度しか経済成長しない国になってしまったのである。
 経済成長の著しい鈍化の影響をもろにかぶったのが、この頃に社会に出た団塊ジュニア世代だ。

団塊ジュニア世代は景気の先行きが不透明な中で、企業の新規雇用の抑制に見舞われた。
 更に不幸だったのが、この団塊ジュニア世代が団塊世代の子供の世代という、人口ボリューム層だったことだ。
企業が新卒採用を絞る中、前の世代よりも多くの新卒学生が安定した職を求めたのである。

 かくして就職市場は圧倒的な買い手市場になり、多くの若者が苦渋を舐め、低い待遇に甘んじたり、フリーターになるなどするしかなかったのである。
 当然、経済的に弱い立場にあれば、結婚したり子供を産んだりすることに躊躇するのは当たり前であり、放置すれば人口ボリューム層の再生産ができなくなることを意味する

企業に所属できない若者たちは…
 こうしたときにこそ、迅速に行政が介入し、若者たちに対する支援を行うことが期待されたが、行政の労働者支援と言えば、公共事業を発注してハコモノを作らせるようなことばかり。
こうした支援は企業自身や、運良く企業に滑り込むことのできた若者にとっては助けになったのかもしれないが、苦汁をなめた側であるはずの企業に所属できない若者たちにとっては、何の助けにもならなかった。

 また、個人に対する金銭的な支援にしても、自動車関連減税や住宅ローン減税という、高額のローンを組んで人生設計できる正社員に対する支援ばかりで、企業に所属できない若者には富を循環させる事ができなかった
 結局そのまま、30年近い時間が経ち、団塊ジュニア世代の子供たちが形成するはずだった次の人口ボリューム層は発生せずに、現代に至ってしまったのである。

 以上のように、少子高齢化はいまさら避けられない現実である。
だからこそ、現役世代に重い負担がかかっているのは事実なのだから、高齢者に対して適切な負担を求めていくのは当たり前ではないかという考え方もある。

団塊ジュニア世代の20年後
 だが、この考え方こそが、ますます問題を混迷に導いていると僕は考える。
 確かに現在の高齢者というのは、経済成長を前提とした社会で現役世代を過ごした人たちであり、当たり前のように家族を得て家を建て、十分な収入を得て生活してきた人たちだ。
それに対して現役世代のうち50歳以下の人たちは、人生のほとんどを低成長社会であがいてきた人たちである。
故に、裕福である今の高齢者に対する負担を強め、現役世代を守るという考え方は正しい。

 しかし、これから20年後、30年後はどうだろうか?
 20年後には団塊ジュニア世代が65歳に、30年後には75歳になる。
 本当に世代間格差そのものを問題にするのであれば、当然「じゃあ、団塊ジュニア世代はずっと景気が悪くて苦労してきた世代だから、高齢者世代の負担を軽くしよう」と考えなければならない。
 しかし、絶対にそんな考え方にはならないと言い切れる。

たとえ団塊ジュニア世代が高齢者になったとしても、これまでと同じ「高齢者世代が現役世代に負担をかけている」という文脈で、高齢者世代負担は重くなり続けるだろう。
 先に述べたとおり、少子高齢化は今後も続く。
内閣府の推計によれば、団塊ジュニア世代が60代後半になる2040年には高齢者1人を現役世代1.5人で、後期高齢者となる2050年には1.4人で支えることになると見られている。

 つまり「数少ない現役世代で高齢者を支えなければならない事態」というのは、今後も変わりようがないのである
これまでと同じ考え方で「高齢者1人を現役世代何人で支えるか」を根拠に世代間格差の是正をしなければならないと考えることは、格差を是正するどころか、現役時代に稼げず、資産も持てなかった貧しい高齢者を地獄に叩き落すことになるのである

富む人も貧しい人も
 そもそも「世代間格差」という考え方自体が極めて粗雑な考え方である。
 確かに経済成長でぬくぬくと正社員を謳歌した高齢者は多いだろう。
しかし、そのような時代にだってドヤ街はあったのである。
逆に、就職氷河期世代であっても、ぬくぬくと正社員を謳歌している人も普通にいる。

 富む人も貧しい人も、全部ごちゃまぜにして「同じ世代」としてひとくくりにすることは、その世代の文化や考え方の一致などを研究する社会学的な見方としては妥当だとしても、税制や再分配を考える上での指標としては不適切だ。
ましてや、その世代の人数が多いことが、その世代が他の世代よりも豊かであるという根拠にはならないのである。

 では、どのように考えるべきか。
 世代ではなく、各自の収入や資産を負担率の指標と考えるべきなのだ。
単純に税制の論理で、多く稼いだ人から多く取り、稼げない人に再分配すればいいのである。
そもそも、現在の医療費負担だって、年齢で3割だ1割だと決めるのではなく、年収で負担額を決めればいいのである。

ニセモノの格差是正
 持つものが払い、持たざるものが受け取ることが真っ当な社会保障だ。
世代における人口ボリュームが現役世代と比較して多いからといって、それがその世代の人達の裕福度を決めることはない。高齢者と現役世代の比率を根拠に、高齢者の社会保障を削るのは間違いである。

 僕は世代間格差の是正とは、一見人道的に見えても、その実は格差を助長するための「ニセ格差問題」であると考えている。
 現在の高齢者が裕福なのは経済成長の時代に稼ぐことができたからであり、決して高齢者だから裕福なのではない
これから団塊ジュニア世代が高齢者になれば、高齢者は裕福という前提は失われる

 しかし、ニセモノの格差是正を格差是正になると信じ続ける限り、低成長時代に苦労した人たちは年老いても十分な社会保障を得られず、貧困にあえぐことになる。

本来、是正しなければならないのは「世代間格差」ではなく「格差」そのものである。
 「格差」とは持つものと持たざるものの間にこそ発生しているのであり、高齢者と現役世代の間に発生しているのでは無い
この勘違いが団塊ジュニア世代にもたらす影響は、極めて過酷なものとなるだろう。 
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月20日

寒さが厳しい時期に免疫力を上げる小さな習慣

寒さが厳しい時期に免疫力を上げる小さな習慣
2019年12月19日 PRESIDENT Online

いよいよ年末。
もっとも寒い時期といわれる「冬至」は、外出も億劫になり、運動不足になりがち。
この時期の効果的な乗り切り方を知り、ココロとカラダを養生しましょう。

■冬の折り返し点である、冬至。
ここから春に向けて鋭気を養おうそして、骨には 12月22日から1月4日は冬至で、昼がもっとも短く、夜が長いのが特徴です。
夜が長いということは陰が強く、陽が不足している状態です。
陽は太陽の光に代表される暖かいエネルギーなので、冬至は、一年でもっともカラダが冷える時期かもしれません。

一方、冬至は冬の折り返し点であるため、少しずつ春の準備をしなければなりません。
この季節にちょうど新年を迎えるため、春に向けて鋭気を養っていきましょう。

寒さのピークを迎える冬至。
カラダを温めることで今の季節を乗り越え、春に向けた準備も行いましょう。
季節のはじまりの初候は、ゆず湯に入ってカラダを温め、風邪の予防に努めましょう。

この時期にはちょうどマグロが旬を迎えます。
季節が進む次候では、新年を迎えるための最終段階。
12月29日は「苦」を連想させるため、28日までには準備を終わらせ、心身を整えることが大切です。
ちょうどこの頃、カボチャや魚のコイが旬を迎えます。
季節の終わりである末候には、正月を迎えます。
おせち料理には、健康長寿を願うさまざまな願いが込められていますので、思いをかみしめながら味わいましょう。

■運動不足が、免疫力を低下させる理由とは
この時期は、寒さもピークになり、外に出るのが億劫になります。
そのため、運動時間が減ることで足腰が弱くなり疲れやすくなることで、病弱になりがちです。
運動は免疫力を高めるため、運動時間の低下は免疫力の低下につながり、感染症などのさまざまな病気に発展していきます

特に、重力のない宇宙に行くと骨がもろくなることが知られていますが、寝てばかりの生活や運動不足は骨に圧力がかからないので同様に骨がもろくなるとと考えられます。
骨には免疫細胞を産生するなど役割があり、骨が弱ると免疫細胞を産生できなくなり、さまざまな感染症にかかりやすくなります
そのため、この時期は免疫力を上げるような対策が必要です。

冬至の時期には新年もはじまることから、心機一転、何事にも頑張りたいとき。
しかしながら、体調が悪いと足腰に力が入らずに動き出すことがしんどくなったり、パワーが出ないこともあります。
カラダの衰えは気力の衰えにつながるので、周りの変化に比べて自分だけが頑張れていないと感じるかもしれません。
この時期のココロの落ち込みは体力の衰えによるものかもしれませんので、あまり気にせずに、ココロだけでなく、カラダに目を向けたケアを行うようにしましょう

■骨の免疫細胞産生力をアップさせる、負荷運動をしよう
「カラダとココロの養生法」骨に負荷をかける運動には、レジスタンストレーニングが効果的です。

レジスタンストレーニングは、筋肉に負荷(自重・重りなど)をかけながら行う運動で、骨だけでなく筋肉の発達にも効果的です。
一番簡単な方法は自重トレーニングです。
例えば、背部のトレーニング(プランク)は仰向けになり、ヒザを直角に曲げた姿勢から、息を吐きながら腰を持ち上げます(図表1)
このとき呼吸は自然に続けます。
腰を上げすぎず低すぎず、首からヒザまでが一直線の状態を維持します。腰を下げるときは、首のほうからゆっくりと床に下ろします。
また、前腕のトレーニング(バックブリッジ)では、手を床に肩幅より広めにつき、ヒザ(または、つま先)を床につけます(図表2)
頭から床についたヒザ(またはつま先)が一直線の状態を保ったまま、ヒジを曲げて上体を下ろします。
このとき、腰が反るまたは曲がってしまわないように意識します。
ヒジを曲げて下ろせるところまで上体を下ろしてから、ヒジを伸ばして元の姿勢に戻ります。

■旬のカボチャと、足ツボマッサージで免疫力をアップ
「食養生」この季節の旬はカボチャです。
カボチャはカラダを温める作用があり、ビタミン・ミネラルが豊富な食べ物です。
収穫の時期は夏なのでカラダを冷やすように思われがちですが、ビタミンやミネラルが豊富であるため、免疫力を高め、風邪の予防にも効果的です。
また、黒豆も旬を迎えます。

黒豆はおせち料理にも含まれますが、精をつけるとともに造血作用もあります。
大豆イソフラボンは、ホルモンの源となり、心身のバランスを整えてくれる成分です。
「お勧めのツボ」冬至を乗りきるためのおすすめのツボは湧泉(ゆうせん)です(図表3)

湧泉は土踏まずの前方の中央にあり、足の指を曲げたときにもっとも凹むところです。
このツボは、カラダの元気が湧き出る泉であり、ここを刺激することで足腰を強くしてくれます。
イタ気持ちいい程度に10秒程圧迫し、5秒空けて5回程度刺激するようにしましょう。

■マッサージとレジスタンストレーニングで、腎臓を鍛えよう
【タイプ別・腎臓を鍛える方法】
東洋医学では冬は「腎(じん)」と関連が深いと考えらえています。
「腎=腎臓」ではありませんが、共通点も多いようです。
例えば、腎臓の働きが低下すると、老廃物や不要物のろ過・排泄が十分にできなくなってしまい、さまざまな症状を引き起こします。
また、カラダの中に老廃物が蓄積した状態では、免疫機能が低下し、カラダを守る防御力の低下が起こります。
そのため、健康な人と比べて風邪などの感染症のリスクが高まるのです。そのため、腎臓を鍛えて健康を維持することが大切となります。

一生懸命頑張りすぎている頑張り屋さんタイプの人は、寒さやストレスで交感神経が亢進しています。
交感神経の亢進は、血圧を上げ、腎臓を傷つけることになるため、副交感神経の活動を高めることが大切です。
そのためには、腎臓とその上にある副腎を刺激するようにしましょう。
副交感神経の活動を高めるためには、お腹と背中を刺激してみましょう(図表4)
まず、両手の指の第1・第2関節だけを曲げ、おヘソのすぐ横に押し当て、両手をグリグリ上下に動かしながらもみほぐします。
同様に指2本分外側をもみほぐす。
さらに手を外側に移動させ、脇腹の中央をもみます。
そして、両手握りこぶしを脇腹中央から背中へと移動させ、第3関節で腰の筋肉を左右にもみほぐします。

生活リズムの乱れが原因の生活習慣タイプの人は、減塩が必要です。
腎臓は食事として摂取した塩分を尿として排泄する働きがあり、塩分を摂り過ぎると過剰排泄となり、腎臓に大きな負担がかかります。
また、腎臓は食事として摂取したタンパク質を代謝し、尿素やクレアチニンなどの老廃物を尿として排泄。
タンパク質を多く摂り過ぎると、腎臓からしか排泄することができない尿素やクレアチニンなどが体内で増加し、腎臓への大きな負担になります。
そのため、食事の調節が大切です。

日本人の塩分摂取量は1日11〜12gといわれていますが、厚生労働省は生活習慣病の発症予防として、男性は8g以下、女性は7g以下と定めていることから、塩分の多い食べ物には注意しましょう。
また、タンパク質に関しても極力量を減らすことが望まれますが、タンパク質は必須アミノ酸に含まれているため、主食であるご飯や麺類を減らし、おかずからタンパク質を取るようにするといいでしょう。

年齢による加齢タイプの人は、お腹や腰周りの筋肉が低下しています。
腹筋や背筋のレジスタンストレーニングを行うことで、筋力強化を。
プランクやバックブリッジ、さらにはサイドブリッジ(図表5)を行いましょう。
サイドブリッジはヒジから下の腕と、足の外側で姿勢をキープします。
ヒジは肩の真下にし、目線は前に置くのがポイントです。

いずれの筋トレもそのままの状態を5〜10秒キープする運動を1回とし、1日10回程行いましょう。
なお、自分のカラダのタイプに関しては、カラダの状態を入れるだけで簡単にわかる無料アプリYOMOGIを利用すると便利です。
月に1回(毎月10日まで)入力すると、あなたに合ったその月の養生法が送られてきます。

冬至は冬の折り返し点
寒さのあまり外に出たり、運動することが極端に減ることで、足腰が弱くなり、腰が曲がったり、骨がもろくなったりします。
そのため、室内で自重トレーニングを行うようにし、骨や筋肉を鍛えながら、新年を迎える準備をしましょう。

「冬至の特徴」
●心身の症状
カラダ:筋力が低下する、疲れがたまる
ココロ:やる気や気力がない
●季節に多い症状 免疫力の低下(風邪・感染症)
●心身の養生法 腎臓を鍛える(レジスタンストレーニング・腎マッサージ)
●食養生に効く食材 カボチャ・黒豆
●ツボ 湧泉(ゆうせん)

----------
伊藤 和憲(いとう・かずのり)
明治国際医療大学大学院/養生学寄付講座教授 鍼灸学医学博士・全日本鍼灸学会理事。
同大学附属鍼灸センター長。
トリガーポイント鍼治療の第一人者であり、慢性痛の緩和治療に精通。
現代女性のための、東洋医学に基づく心身のセルフケアも指導している。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月22日

ちょっと「非常識な人」事例集、商品を棚に戻さない・割り込み乗車…

ちょっと「非常識な人」事例集
商品を棚に戻さない・割り込み乗車…
2019.12.21 ダイヤモンドオンライン
鎌田和歌:フリーライター

「普通」とはいっても、全員にとっての「普通」は存在しない。
同じように暮らしていても人によって常識は少しずつ異なっていたりする。
そしてふとしたきっかけで、それが露呈することがある。
 (取材・文/フリーライター 鎌田和歌)

誰かにとっての「普通」は
誰かにとっての「普通じゃない」
 グローバル化という言葉を見かけぬ日はないほど、毎日のように国際化が叫ばれる昨今。
価値観は昔と比べ物にならないほど多様化している。
 誰かにとっての「普通」は、誰かにとっての「普通じゃない」。
だからこそ、ちょっと嫌なことがあったとしても、「価値観の違い」と呪文のように唱えてスルーするスキルも必要になってきた。

 20年ほど前、当時10代で大ブレイクした女性歌手が、歌番組で年長の男性司会者に対して敬語ではなくタメ口で話したことがあった。
「敬語を使わないなんて」という顰蹙(ひんしゅく)の声もあったが、一方で「彼女はアメリカナイズされているから年上にも敬語を使わないのだ」なんて声もあった。
 最近でもまったく同様に、年長の司会者に対して敬語を使わない若手アーティストがいたが、彼らには帰国子女といった経験はなかった。
もちろん批判的な声もあったが、「そういう価値観の若者なのだろう」と受け入れた人も多かったようだ。

 そもそも礼儀やマナーといったものは、時代や地域によって、あるいはコミュニティによっても変わってくるものだ。
最初言ったことに戻るが、あるコミュニティでは「ちょっと非常識」でも、別の場所では「アリ」なことはある。
 あなたも「これが非常識なのか否か」の線引きで迷ったことはないだろうか。
いくつかのケースを挙げて考えてみたい。

ケース1 カフェにあるコンセントを使うが、その席には座らない
「よく使うカフェは窓際がコンセントを使える席になっているんです。
自分はパソコンで仕事をするとき、その席によく座っています。
あるとき、隣の席のコンセントで女性が携帯電話の充電を始めたんです。
 普通は当然、その席に座りますよね?
 でもその女性は、窓際席には座らず、奥のソファ席に座ったんです。
1人で席を2人分使うことになるわけだし、携帯電話という個人情報がつまった貴重品を離れた場所に置く神経にも驚いてしまって。
 ただ、そのときカフェはそれほど混んでいなくて、店内の席が6割程度埋まっているぐらいの状態でした。
店員も特に注意していなかったので、そういうものなのかなあ……と。
怒るほど非常識と思ったわけではないですが、驚きましたね」(Aさん/30代男性)

 なにか事情があったのだろうか……と考えてみたが、「どうしても充電しなければいけない状況」と「体の都合でソファ席に座りたかった」がかち合ったのでは……というぐらいしか考えつけなかった。
ソファ席が好きだけど充電もしたいという欲張りさんだった可能性が高いようにも思う。
 店の迷惑にならないなら非常識とまでは言えないだろうが、Aさんの言うように、携帯電話を盗まれたらどうしようという恐れはないのだろうか。

ケース2 駅で必ずエレベーターを使う
「友人と話していたとき、彼女と話がどうしても合わなかったのが『駅では必ずエレベーターを使う』という話。
私からすると、エレベーターは優先席のようなもので、お年寄りやベビーカー、妊婦さん、体の不自由な方のためのものと思っています。
 彼女はどれにも当てはまらないけれど、かなり遠回りにならない限りは利用するそう。
エスカレーターもあるのだからエレベーターにこだわらなくてもいいと思うので、それがどうしても不思議です。
 エレベーターを待つ時間がもったいないし、自分が乗ることで本来の利用者が乗れなくなったらとも思うし」(Bさん/20代女性)

 健康のために階段しか使わない人はたまに存在するが、必ずエレベーターを使うとはどういった意味でのこだわりなのだろう。
箱型の乗り物が大好きな人なのかもしれない。
ベビーカーなどには譲るというのであれば迷惑とは言えないが、若干気になる習性ではある。

ケース3 病名をしつこく聞く
「以前、1泊2日で入院したことがありました。
入院前日にたまたま会った友だちにそれを話したところ、『なんの病気?』と聞かれ。
仲のいい友だちとはいえ、そういうプライベートは聞かれたくない。
体のことなんて一番プライベートじゃないですか。
『言いたくない』と言っていたら、『もしかして深刻なヤツ?』『えっ、もしかして恥ずかしい病気なの?』とどんどん詮索(せんさく)されて。
もしそう疑っても聞かないでほしいですよね。
これで縁を切るとかはないけれど、非常識だなあとは思いました」(Cさん/30代男性)

 親しき仲にも言いたくないことあり。
誰にでも言える人もいるかも知れないが、言いたくない人もいる。
たとえ自分が言える人であっても、言いたくない人に無理強いをしないでほしいものだ。
 このケースの場合、相手も相手で「病名ぐらい明かしたっていいのに、そんなに嫌がるなんておかしなヤツだ」と思っているかもしれない。

ケース4 さりげない割り込み乗車
「通勤ラッシュ時の整列乗車で、次の電車の列からふらっと割り込んでくる人。
さりげないから注意しづらく、注意されないのをいいことに割り込んでくる。
あとは逆に、空いているホームでも、他の人がパーソナルスペースを取って並んでいるのをいいことに、堂々と割り込んでくる人がいる。
 あれはもしかしたら本人たちは、『ちゃんと並んでないほうが悪い』と思ってるのかもしれませんね。
一度は『割り込まないでください』と言ってみたいけれど、大人気ないかな……という気持ちも邪魔して言えたことがない。

 一番悲しい気持ちになるのが、高齢の方が必死に割り込んでくるとき。
『割り込まなくても自分なら席を譲るのに』とか『割り込まなくても座れるぐらいの混み具合なのに』とか『過去によっぽど嫌な目にあったのだろうか』とか『自分は年をとってもこうはならないぞ』とか、いろんな思いが錯綜します」(Dさん/20代男性)

 割り込みもそうだが、降りる人を押しのけるようにして電車に乗り込む人もなかなか品が良くない。
我先にと電車に乗り込む人を見ると、なんだか虚しい気持ちになってしまう人も多いのではないだろうか。

ケース5 店で商品を適当に棚に戻す
「昔付き合っていた恋人と100円ショップで待ち合わせをしたことがあるんです。
私が店についたら彼はもういて、私を見てうれしそうに笑って……と、ここまでは良かったのですが、手に持っていた商品を棚に雑に戻したんですよね。
ん?と思って見てみたら、ビニール袋をホッチキスの棚に……みたいに、元の棚とはぜんぜん違う場所に商品を戻していたんです。
『なんでそこに置くの?』って聞いたら、まったく悪びれずに『買おうと思ったけどやっぱりいらないと思って』と。
普通、ちゃんと本来の棚に戻しますよね?
 ドン引きしてしまいました。

 それまで半年ぐらい付き合っていて、嫌いなところも全くなく仲良しだったんですが、どうしてもこの価値観の相違は無理だと思ってお別れしました」(Eさん/30代女性)

 たまにスーパーなどで、誰かが「やっぱいらない」と思ったものをもとに戻さず目の前にあった棚に置き去ったのであろうと思われる商品を見かけることがある。
悪いマナーの主はそこにおらず、遺物だけが残っている状況。
 筆者は、その商品を正しい棚に戻すほどの善人ではないが、Eさんはもしかしたら見つけ次第戻すタイプかもしれない。

ケース6 初デートで居酒屋?
「これは私が非常識だったのかもしれない、という話です。
社会人になったばかりのころ、合コンで出会った男性と意気投合して、デートすることになったんです。
映画を見てから夕飯を一緒に食べるというよくあるパターン。
 どこで食べようかという話になったとき、近くにおいしそうな焼き鳥屋があったので『ここは?』って聞いたんです。
そしたら彼が笑顔で『え? そこは居酒屋だよね?』と……。
 私の感覚だと、居酒屋最高! 焼き鳥最高!
 初デートでフレンチとか、お高いものを食べるのって敷居が高すぎませんか……?

 よく考えてみると、私は二流大学出身だったけど、彼はいわゆるエリート。
住む世界が違うってこういうことなのかなって思ってしまいました。
 彼は気を使ってくれたのか、その後なんでもないように小洒落たイタリアンに入ったのですが、私はもう居酒屋ショックが抜けず……。
結局、その後はどちらからともなく連絡を取らなくなりました。

 最近だと、『初デートでファミレスを嫌がる女性は多い』とか、女性が初デートにそれなりのものを求めて男性がうんざりするってタイプの価値観の違いエピソードをよく聞きますが、逆パターンのほうが惨めな気持ちになるのは間違いないです」(Fさん/30代女性)

 育ってきた環境が違うから〜とはいえ、初デートで打ちのめされたら回復は難しそうだ。
これは非常識というよりも、感覚の違いによるところが大きい話だろう。
しかし切ない。

 自分は常識人だと思っていても、誰かには非常識と思われていることがあるのではないか。
細かいことは気にしすぎずいきたいものだが、身近な人の非常識or常識ラインを改めて聞いてみるのも面白いかもしれない。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

今すぐやめたい「お金に嫌われる節約術」3つ

今すぐやめたい「お金に嫌われる節約術」3つ
2019年12月22日 PRESIDENT Online

節約に一生懸命になるあまり、返ってお金に嫌われてしまうという皮肉なことが起きることも。
ファイナンシャルプランナーの西山美紀さんが、いますぐやめたいお金の習慣を紹介します。
※本稿はALL Aboutモヤフォー研究所『すててもやめてもうまくいく』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。

■お金に嫌われる習慣にさよなら
節約は何のためにしていますか?
「自分の好きなものを買うため」「家族で年に一回は旅行をするため」「子どもにやりたいことをさせてあげるため」など、節約って本来は、楽しい・嬉しいを得るために始めたはずですよね
それなのに、いつの間にか「とにかく節約しなきゃ」と、節約すること自体が目的となっていないでしょうか?
実はこうした「節約、節約」と、安さばかりを追い求める行動は、お金に嫌われてしまう行動です。

例えば
1.常に底値をチェックして買い物
2.クーポンがないところでは買わない
3.衝動買いはしないと自分に課している1円でも安くなるように、使わないようにと損得勘定ばかり考える人はお金に嫌われてしまいます。

誰だってお金に好かれたいですよね。
そのために、今当てはまる行動をしていたならば迷わず捨てて、お金に好かれる行動を身につけていきましょう。

■節約対象は2パターンにしぼる
お金に好かれるには、先ほどの行動を全て逆にし、こういう行動をしてみてください。

1.最安値を比較して買うことをやめる
最安値を比較しだすと、物を選ぶ際には「安いかどうか」が重要視され、自分が本当に欲しいものを見失うことになりますつまり、自分の価値観が失われる危険性があるのです

店舗での買い物でもそうですが、ネットでの買い物でも、「送料込みでどちらが安いだろう」と10円20円の差を比較しつづけたりして、時間が過ぎ去るのはなんとももったいない。
育児もがんばっているワーママにとって、10分20分の時間も貴重ですよね。
ただし、比較を全くしない、というわけではないのです。

「あれもこれも比較」はやめて、「比較して節約するものはあらかじめ決めておく」という方法をおすすめします。
その判断基準は「買う頻度の高い物」「金額が大きな物」の2点。

例えば、毎日牛乳を1本飲む家庭であれば、同じ銘柄の牛乳が158円と198円で売っている場合、安いほうを選ぶと、1年で差額40円×365日=1万4600円という大きな金額の節約になります。
ところが買う頻度が月1回の柔軟剤は、100円安く買えるものを選んだとしても100円×12回=1200円の節約にしかなりません。
それなら、安い店をはしごする時間や体力を他にまわそう、と考えることもできます。
まずは自分の家庭の購入頻度が高い物を節約対象にしましょう。

■大きな買い物に潜む落とし穴
次に、年に一回の買い物だとしても、大きな金額の買い物の場合は節約を考えてみることをおすすめします。
大きい額の買い物をする際に陥るのが、「10万円も12万円も変わらないというような感覚になってしまうこと」。
感覚が麻痺してしまうので、店員さんのアドバイスに乗せられて高いほうを買ってしまうことになりがち……。

でも10万円と12万円では、当然ですが2万円の差で、それを日々の節約で埋めていくのは結構大変です。
よく考えて判断しましょう。

■欲しいものに出合ったら迷わずに買う
2.クーポンに振り回された買い物をしない

最近は紙のクーポンだけでなく、スマホ画面を見せると割引になるなど、何かしらクーポンサービスをしている店も増えてきました。
ただし、「クーポンがあるからここで買うか」ではなく、「たまたま行きたかったお店、買いたかったものにクーポンがあって嬉しい」くらいの気持ちでいることが大切です。
クーポンありきの買い物になると、結果的には満足のいく買い物にならずにストレスが溜まるからです。
クーポンはあくまで「あればラッキー」という存在に。ポジティブな発想はお金に好かれる人を作ります。

3.「衝動買いはダメ」をやめる
「え? 本当に?」と思われた方。
本当です。
節約するには「衝動買いをやめる」は必須だと言われます。
確かに欲しいものを手あたり次第に衝動買いしてしまっては、お金はなくなってしまいます。
そのような衝動買いはおすすめしません。

ここでいう衝動買いとは、「欲しいものに出合った際には迷わずに買う」という満足度の非常に高い買い物方法です。
いい判断をするためには、欲しいものをリストアップしておくことが必要。
欲しいものリストが出来ると、お金を使う優先順位がおのずと決まっていくんです。
大事なものから買うようになるため、同じお金を使うとしても満足感が高まりストレスが軽減します。
結果的に余計な買い物を防ぐことにもなって節約になる好循環が生まれるわけです。

衝動買いで自己嫌悪に陥るとしたら、本当は欲しくないのについ買ってしまった時。
たとえ「衝動買いをしてしまった」と思っても、それが自分の本当に欲しいものだとわかっていれば「欲しかったんだから、まあいいか」と嬉しい気持ちになるもの。

自分の価値観がはっきりしていると、お金をプラス方向に動かしていくことができますよ
欲しい物リスト作りは、節約にも満足度の高い買い物にも、大いに役に立ってくれるでしょう。
リストを見るとその人の価値観がわかるので、夫婦で見せ合うと、お互いをより理解していく機会となります。
このリストが夫婦間のお金の話題をポジティブなものにするきっかになれば嬉しいです。

お金に好かれる人の行動の根底にあるのは「自分の価値観に沿った選択をして楽しく過ごす」というマインドです
「安いから」「サービスがあるから」に惑わされず、自分が何に価値を見出しているのかを大切にしましょう
自分の価値観に沿って楽しく生きていける人が、お金に好かれる人なのです

----------
西山 美紀(にしやま・みき)
貯蓄ガイド うるおいのある毎日のためのお金の使い方・貯め方を伝授。
出版社で編集・マーケティングに携わった後、独立。
FPの資格を取る。
マネー誌『あるじゃん』の編集・執筆に携わり、現在は女性誌のマネーコラム連載の他、Web等で取材・執筆・記事監修、講演等を行う。
男女2児の母。著書に『お金が貯まる「体質」のつくり方』(すばる舎)がある。
----------
posted by 小だぬき at 14:57 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月27日

年始に立てた「今年こそ…」という目標がすぐ挫折する心理的理由

年始に立てた「今年こそ…」という目標がすぐ挫折する心理的理由
2019.12.26 ダイヤモンドオンライン
片桐あい
カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役・代表講師、
産業カウンセラー

毎年、年始に「今年はこれをやる!」と目標を掲げ、仕事始めには見事にそれが習慣化されずに、「チャレンジが終わってしまった…」という方は少なくないでしょう。
でも、うまくいかないのには、うまくいかないなりの理由があったのです。
「今年こそは!」と思っている方に、ぜひお勧めしたいことをお伝えします。

「失敗は成功への道のりの 一部でしかない!」と考える
 今年の年末年始休暇は9連休の方もいるかと思います。
毎年、年始には「今年こそは!」と、気合を入れて1年の目標を立て、そして、休み明けにはチャレンジが終わってしまうという、新年早々ガッカリした気持ちから仕事が始まる人も多いのではないでしょうか?

 目標を達成するためには、ある程度の苦痛が伴うと思う方もいるでしょうが、結局はこの「苦痛が伴うことは継続が難しい」のです。
 例えばダイエットをしようと思ったとき。「炭水化物を抜く」と決めて我慢をしても、結局はどこかで反動が出て牛丼をお腹いっぱい食べてしまい、自己嫌悪と後悔を感じたとします。
 そうなると、「あー、今回もうまくいかなかった。ダメな人間だ。やっぱり今回も続かない」と、チャレンジが終わってしまう人も多いことでしょう。

 このときが一番大切なのですが、うまくいかない人はこのときに「『またダメだった』という負の感情でチャレンジが終わってしまうという失敗を体験」したことになります。
そして、失敗したことが、その人にとってのすべてになってしまいます。

 ところが、その経験は失敗ではなく、「成功への道のりの一部でしかない!」と思うだけで、新たな勇気が湧いてくるのです。
 ダイエットの最中に牛丼を食べたら、その経験に「失敗」というレッテルを貼って「できないシナリオの自分を演じる」のか、もしくは「成功の材料」というレッテルを貼って、この失敗も成功へのストーリーの一部だと思い、「うまくいくシナリオの自分を演じる」のか、どちらか一つに決めるだけです。

 考え方の違いですが、後者は、「失敗した!」と思った後にも、すぐさま前向きな行動が取れるのです。
 失敗は終わりではなく、成功への一部。むしろ、成功までのストーリーを面白くするためのエピソードだと思えば、罪悪感もなければ落ち込むこともなく、次のアクションに気持ちよく移れます。
 感覚的にはRPGのゲームのように、やられてもライフが回復して、また続けてチャレンジができるようなイメージです。

「できなくても、途中続かなくても、気持ちをリセットして前に進める人」が、結果的には目標達成まで走り続けることができるのです。

目標達成のためのアクションを 仕事納めの前から始める
 年始に立てた目標が瞬時に崩れるのは、年明けの「通常モード」の生活に戻った時が多いのではないでしょうか?
「休み中は頑張ったんだけどね。会社が始まると同時にチャレンジしていたことも忘れてしまった」という方もいらっしゃいます。

なぜ、年始にセットした目標が、仕事始めで崩れるのでしょうか?
 それは、目標が「長期休みの間に立てた」ものであるため、休み明けの「忙しい状態」で継続することが難しいからなのです。
 仕事始めは、職場や顧客への年始のごあいさつや、たまっていた仕事に追いつくだけで大変です。
そんな中、まだ定着していない新しい習慣である「今年の目標達成に向かうためのアクション」が入る余地があるでしょうか?
 休みの日にはできていたことも、仕事モードに入った瞬間、気が付くと忘れ去られていることが多いわけです。

 では、どうしたらよいのでしょうか?
 それは、「年始の目標達成のためのアクションを、仕事納めの前から始める」ことです。
そして、目標達成するための「最初の一歩」は、なるべく小さくしておくとよいでしょう。

 人の機能として備わっている「ホメオスタシス」(恒常性維持機能)というものは、急な変化に対して揺り戻しをしようと働きます。
ダイエットが進むにつれて停滞期に入るのも、このホメオスタシスが関係しているといわれています。
 そのために、ホメオスタシスに気付かれないように、少しずつ変えていくようなイメージで、目標を達成するための一歩を踏んでいけるように計画を立てられれば、必ずうまくいきます。

 これもRPGゲームでいうと、ボスキャラを倒すためには、ちょっとずつ進みながら弱い敵を倒していきますよね。
そんなイメージで楽しみながら進めていくことがコツです。

よりよい目標を立てるための 「SMARTの法則」
 一般的によりよい目標を立てるためは「SMRATの法則」というものがあります。
これは、多くのビジネスパーソンはご存じかと思いますが、
なかでも一番大切なのは “Attractive”(魅力的なものであること)です。

では、誰にとって魅力的であることが大切なのでしょうか?
まず、「自分」です。
目標を達成して達成感を感じるのも、その過程で経験するさまざまなことも自身の資産です。
 しかし、目標達成でうまくいかないときに支えてくれるのが周囲の人です。
ですから、その「目標達成に協力してくれる人にとっても魅力的であることが非常に大切」なのです。

 自分の目標達成をするうえで、支えてくれる周囲の人は誰でしょうか?
 例えば家族や職場の人、仕事仲間やお客様かもしれません。
その人にとって、「目標達成ができれば、どんな魅力的な世界が待っているのか」を一緒にイメージしてもらいます。
 そこに共通のゴールが見つかれば、その人はあなたの目標達成のための応援団になり、コーチになり、ペースメーカーになってくれます。
そして、運命共同体として一緒に頑張ってくれる可能性があります。

 この目標達成をするうえで協力者にとっても魅力的な目標であれば、あなた一人の都合や意思で目標達成を諦めることはできなくなります。
そして、目標達成ができたあかつきには、達成を分かち合い、信頼関係はより強固なものになることでしょう。
 まずは「何を達成したいのか」という目標を決めて、それを達成するために協力してくれる人を探すことを今日から始めてください。

 きっと、年始には何か一つ進んでいて、さらに仕事始めには「小さな成果」が手に入っているかもしれません。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月29日

「年末食べまくり」も腹は凹む!運動・食事6秘訣

「年末食べまくり」も腹は凹む!運動・食事6秘訣
2019/12/28  東洋経済オンライン
池谷 敏郎 : 医学博士/池谷医院院長

内科、循環器科の専門医として、数多くの患者と日々接している医学博士の池谷敏郎氏。
血管、心臓などの循環器系のエキスパートとして『モーニングショー』(テレビ朝日)、『深層NEWS』(BS日テレ)などテレビにも多数出演しているが、過去15キロ以上の減量に成功し、57歳でも体脂肪率10.6%を誇ることはあまり知られていない。
その減量メソッドを全公開した著書『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える内臓脂肪を落とす最強メソッド』が13万部のベストセラーになっており、日テレ系列『世界一受けたい授業』(12月7日放映)にも出演した池谷氏が、「飲み会などたくさん食べる機会が多い年末でも『お腹が凹む食べ方過ごし方』」について解説する。

忘年会続き…ダイエットは諦めなければいけない!?
12月に入ると、「忘年会」「飲み会」「家族での食事」などでたくさん食べる機会が多くなりますよね。
この時期はダイエットを続けている人でも、「1年の締めくくりだから」「1年間、お世話になったみなさんへのお礼もかねて」というような理由をつくったりして気持ちも緩みがちです。

しかし、どんどん飲み会が続いてしまうと「このままではダイエットは再開できないんじゃないか」「こんなに食べ続けてしまったから、もう無理かも……」と、ダイエットに対して「諦めモード」になってしまう人も少なくないと思います。

私の医院に通う患者さんの中でも「平均週3回前後の接待があって、自分が食べないわけにはいかない」という方もいらっしゃいます。
確かに、仕事関係の飲み会などは、「ダイエット」を理由に参加を断るのは、なかなか厳しいことが多いかもしれませんね。

しかし、飲み会があった「翌日の過ごし方」を工夫すれば、たとえ飲み会が続いたとしても、諦めることなくダイエットを続けることができます。
そして、その工夫はとても簡単にできるものばかりです。

ここでは、私がおすすめする「たくさん食べることの多い年末の時期でも『内臓脂肪』をためない6つのコツ」を紹介します。

まず、1つ目のコツが、食べすぎた翌日でも「朝食は抜かない」ということです。
電車の「ひと駅分」を効果的に利用する

【1】朝食は抜かず、ヨーグルトや野菜ジュースをとる
「医師が警告!『糖質制限したい人』、ここに注意」でも解説しましたが、朝食抜きはNGです。
「昨夜食べすぎたから……」という理由で、朝食を抜いてしまう人も多いかもしれませんが、午前中の集中力が低下してしまうだけでなく、ランチにドカ食いしてしまう可能性も出てきます。
これではますます悪循環に陥ってしまいます。

ここでおすすめなのが、野菜や果物が入ったジュースやコーヒー、ヨーグルトなどです。
「手づくりジュース」「蒸し大豆や蒸し黒豆をトッピングしたヨーグルト」「コーヒー」は私の朝食の定番でもあります。

ただし、ここで注意してほしいのは、コーヒーとヨーグルトは「無糖」にすることです。
どれか一品でもいいので、とるようにしましょう。

【2】電車や家事の合間に「かかとの上げ下げ運動」
飲んだ翌朝の電車や家事は、とくにつらく感じると思いますが、「かかとの上げ下げ運動」をしてみましょう。
家事の合間に、あるいは電車の中の吊り革につかまって「ギュッとかかとを上げて、止めて、下ろす」という簡単な運動です。
ふくらはぎの血管は、重力に逆らって血液を心臓に送り返すために、ポンプのような働きをしています。
この運動をすることで、ふくらはぎの「血管のポンプ機能」が促進され、「血液循環の滞り」を解消するとともに、「脂肪燃焼」を促す効果も期待できます。
だるい体もスッキリしてくるかもしれません。

この運動は1回1〜5分、1日に3セットほど行うのが理想的ですが、電車に乗っているときなら、例えば「ひと駅分やってみる」などでもいいと思います。
ちょっとの隙間時間でできるので、電車のなかだけでなく、仕事中でも気がついたときにでも少しずつやってみてもいいと思います。
ちょっとした運動では、「かかとの上げ下げ運動」のほかに「ドローイン」も効果的です。
ランチは意識して「たんぱく質」を多くとる

【3】「ドローイン」で下腹を凹ませる
「なぜ痩せない?「『お腹太りの人』が陥る5大盲点」でも紹介しましたが、お腹と背中がくっつくようなイメージで、下腹を凹ませる「ドローイン」も効果的です。
お腹を引っ込めたままで、呼吸は普段と変わりなく行います。
たったこれだけのことですが、「体幹(インナーマッスル)」を鍛えてくれる強力なエクササイズです。

立っていても座っていても、歩きながらでもOKです。
いつでもどこでもできるので、「かかとの上げ下げ運動」よりやりやすいかもしれません。
「ドローイン」をしようとすると、つい呼吸を止めたり、浅くなったりすることがありますので、普段の呼吸になるように気をつけましょう。

【4】コンビニを活用した「最強の調整ランチ」
ランチはできるだけたんぱく質がとれるメニューが理想なのですが、外食だと、どうしても糖質が多くなりがちになってしまいます。
そこで、コンビニをフル活用した「最強の調整ランチ」をおすすめします。
「コンビニ食は健康によくない」というイメージがあるかもしれませんが、選び方次第で「最強の調整ランチ」が可能です。

ここで、いくつかメニューを紹介しましょう。

【スープカレー+もち麦】
スープカレーは一般的なカレーより低糖質。
もち麦はかなり低糖質です。

【蒸し大豆入り春雨スープ+サラダチキン】
春雨スープに蒸し大豆を入れ、サラダにサラダチキンをのせます。栄養バランスも◎。

【コンビニサラダ+豚肉の生姜焼き(パック)】
ドレッシングなしでも野菜をおいしく食べられます。
ゆで卵を追加してもOK。

私自身も、ランチはコンビニをよく活用していますので、ぜひ試してみてください。

5つめのコツは、入浴タイムを効率的に使った「自転車こぎ体操」です。

【5】お風呂で「自転車こぎ体操」をする
「シャワー派もOK!「お腹が凹む入浴法」3大秘訣」でも紹介していますが、湯船の中で「自転車こぎ体操」を行ってみましょう。
入浴がちょっとしたトレーニングタイムに変わり、ダイエット効果も期待できます。
お風呂の中では、浮力とともに適度な水圧がかかるので、膝関節に過度の負担をかけずに、エネルギー消費量をアップさせることができます。

下半身には全身の6〜7割の筋肉が集中していますから、下肢を動かすことは「効率のいい運動」なのです。
コツは、思い切りよく、バシャバシャやること。
ただし、自分のペースにあわせて無理のない範囲で行ってください。
のぼせやすい人、高血圧の人は負担が大きいので行わないでください。

【6】お風呂上がりに「1杯の氷水」
お風呂上がりは汗をかいて水分が失われていますので、入浴後の水分補給をしましょう。
ポイントは「氷水での補給」にすることです。
人間には体温があるため、冷たい水を飲むとその分だけ「体温を上げよう」としてエネルギーを使います。
このエネルギーは体内の糖分や脂肪を燃やしてつくるので、それだけ代謝がアップします。

ただし、大量に一気飲みはしないようにしましょう。
氷水を一気に飲むと、血圧が上昇したり胃腸に負担がかかったりすることがあります。
飲むときは、ゆっくり少量ずつ飲むようにしましょう。

2020年は「スリムな見た目」を手に入れよう
食べすぎが続いてしまったりすると、「せっかくダイエットを頑張ったのに、これでもう台なし……」と、諦めてしまいがちですが、食べすぎが続いてしまっても、そこでアウトではありません。
そこで挫折しないで、そのときからまたスタートすればいいのです。

また、今回紹介したものでも、全部やろうとしなくても、その日にできるものをチョイスするだけでも大丈夫です。
「ちょっとしたコツと工夫」で、40代以降も、「内臓脂肪」を落とし、お腹を凹ますことは十分可能です。

みなさんにとって2020年が、ダイエットを成功させ、「スリムな見た目」を手に入れることで「心も体も若返った健康な1年」になるよう、私もまもなく58歳を迎える医師として、応援しています。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月31日

ゆく年 来る年

2019年 
ご訪問ありがとうございました
tanuki06.gif
4月の「股関節人工骨置換」手術
・肺機能の低下で 全身麻酔が危惧されましたが、無事成功。

歩く大変さを痛切に感じました。
 *術後3日から4日は、ベットでの寝返りや身体起こしも痛い
 *同時に身体のリハビリ開始。
   *車椅子1日→徐々に 歩行器の難易度を上げ 杖歩行2日。

・一番患者の仲のいい病室と看護師さん達から評価
 *不思議と病室の仲間意識で 普段考えていることや思いを率直に交流。

・看護師さん達の支え
 *1週間ほど、トイレにも看護師同伴。
  私的なことなどを含め、交流。
 *歩行器での歩きを観察してくれていて、主治医に自分のことのように嬉しそうに話してくれました。
 *なにか「孫娘」達との会話をしてしているように甘えられました。
糖尿病予備群としての食事指導
 *栄養教室や栄養士さんの話に率直に質問
・尻膿嚢胞が酷くなり 出血。

若い看護師さんやリハビリ、同室の仲間達の支えで2週間で退院。

尻膿嚢胞からの出血で 
     外科→痔専門病院→大学病院へ
・股関節手術退院後、歩行リハビリと並行して 尻からの出血治療。
 *痔を゛疑い 痔専門病院を紹介され通院
 *専門病院での手術不可で紹介され 大学病院消化器外科通院・手術

痔ではなく膿皮症で 
   尻の肉(脂肪)を大きく抉る手術
・9月に手術、直前まで「痔」想定が 直前MRIで「膿皮症」と診断。
・手術終了後も 大量の出血、
手術後3日め 配膳を下げようと 廊下にでると 看護師の悲鳴。
 *本人がオロオロしていると 鏡に案内され 患者着の後ろが血まみれ。
 「ムリしなくていいのよ」と丁寧にガーゼ取り換えと部屋着の交換をしてもらいました。
 それ以後、3日は 取り替えてもらえると 懲りずに配膳を下げるも 出血少量。
かわいい顔をして「自分で取り替える」訓練を とキリっと看護師宣言
  *シャワー許可と同時に 看護師立ち合いのガーゼ取り換え訓練。
  不器用なのか、テープで上手くガーゼに止められない。
・家では 自分でやるしかないのだからと工夫の助言

来年3月、傷口が塞がる見込みで 抗生剤と皮膚薬を塗る日々
月1度の 傷口観察のための通院
・ここで肺気腫との新たな病名、これはしばらく無視。


今年は 昨年7月の「脊椎狭窄」手術に続き、2度の外科手術。
病気・手術・リハビリ・通院の年でした。
精神的ダメージが大きかったのは 8月に50年近く「姉貴」として頼りにしていた従姉の突然死でした。

通院科目も 〇精神科 〇脳外科 〇整形外科 〇糖尿内科 〇皮膚科 〇歯科 〇消化器外科 と増えました。

この1年を無事終えることができるのは、多くのブログ友達との「コメント交流」でした。
感謝しかありません。
今後ともよろしくお願いいたします。

皆さんの ご多幸な新年であることを
こだぬき01.gif
弱者が泣くことのない世の中へ前進する年に
posted by 小だぬき at 16:00 | 神奈川 ☁ | Comment(6) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月01日

新しい年のスタート

明けましておめでとうございます 
ねずみ着物.png
幸多き1年にしていきたいです。
「ダメなものはダメ」
「イヤなことはイヤ」
「間違いは間違い」
素直に表現したいです。

昨年 流行り言葉になった忖度などぶっ飛ばし
素直な目を大切にして 閉塞感を「希望」に
変えられるように 「聴き、視て、考え、行動
できる」自分になりたいと念じています。
tanuki06.gif
本年も「小だぬきのつれづれ日記」が成長でき
ますように 叱咤激励をよろしくお願い致します。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(11) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年は祝日のない月が増える? 月別に休日数をチェックしてみた

2020年は祝日のない月が増える?
 月別に休日数をチェックしてみた
2020年1月1日 BCN+R

 ついに2020年がやってきた。
今年は、東京五輪をはじめとしたビッグイベントが盛りだくさんだ。
ところで、この時期に気になるのが「2020年の祝日」。

土曜日と被って休みが減っているのではないか、大型連休で何日休めるのか。
2020年のカレンダーをもとに月別で祝日数を調べてみた。  

まず、1月の祝日は「成人の日」の1日。毎年第2月曜日と定められているので、祝日の数に影響はない。
今年は、11〜13日が3連休になる。

2月は、昨年まで「建国記念日」の1日だったが、今年からは新たに「天皇誕生日」が追加される。
建国記念日の11日は火曜日。
天皇誕生日は23日の日曜日なので、翌日の24日が振替休日になる。

3月の祝日は、「春分の日」の1日。
今年の20日は金曜日なので、20〜22日が3連休になる。

4月の祝日は、「昭和の日」の1日。
人によってゴールデンウィークになる初日が、今年は水曜日となっている。  

「憲法記念日」「みどりの日」「こどもの日」と3日の連続した祝日がある5月は、土曜日被りで休日が潰れる可能性が高いが、今年はセーフ。
3日の憲法記念日が日曜日なので、6日が振替休日になる。
暦通りなら5連休。
4月30日、5月1日を休めれば8連休。
さらに7日、8日を休めれば12連休となる。

6月は、もともと祝日がない月なのでスルーする

7月は、10月第2月曜日の「体育の日」が7月24日に移動。
「スポーツの日」と名称を変えて祝日になる。
これは、東京五輪の開会式に合わせた20年のみの措置だ。
それに伴い、「海の日」は前日の23日にスライド。
23〜26日が4連休になる。  

8月の唯一の祝日である「海の日」は月曜日。
お盆の週がまるまる休みになる人であれば、8〜16日で9連休になる。

9月の祝日は、「敬老の日」「秋分の日」の2日。
どちらも土曜日被りはなく、19〜22日が4連休になる。

「体育の日」が7月にスライドした関係で、10月はなんと祝日が0日に。

11月は、「文化の日」「勤労感謝の日」の2日が祝日。
「文化の日」は飛石連休だが、「勤労感謝の日」は月曜日なので21〜23日が3連休になる。

12月も10月と同じく「天皇誕生日」が2月にスライドした影響で、祝日の数は0日。
参考までに、クリスマスイブが木曜日、クリスマスが金曜日でどちらも休日とはならない。
おまけで年末年始休暇の日数を調べてみると、21年の3が日が金〜日曜日となるため、例年より少ない7日間の連休になる人が多そうだ。

 総括するとトピックは以下の通り。
「祝日の土曜日被りはなし(2016年以来、3年ぶり)」
「2日分の祝日が移動(2月23日の天皇誕生日、7月24日のスポーツの日)」
「6月だけでなく10月と12月も祝日がない月になる」。

祝日が減らず休日の日数が多いのはうれしいが、祝日がない月が増えるのは頭の痛いところだ。
ただ、3日以上の連休の数は多いので、旅行やレジャーの計画を立てるには絶好の1年といえるだろう。
(BCN・大蔵大輔)
posted by 小だぬき at 19:39 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月02日

正月三が日にやってはいけない6つのタブー

正月三が日にやってはいけない6つのタブー
2019/12/31 All About
たぬき02.gif
正月三が日……
縁起をかついで、やってはいけないこと
日本人の暮らしに息づくタブーはたくさんありますが、「正月、三が日にやってはいけないこと」が意外と多いのはご存知ですか?
掃除、煮炊き、ケンカ……縁起をかついで、やらない方がいいとされている風習があるのです。

そもそも三が日とはいつのことか、松の内との違いはなにか?などの基礎知識を解説しつつ、 代表的な「三が日のタブー」をご紹介します。

そもそも正月の「三が日」とは?
「実用日本表現辞典」で「三が日」の意味を調べると、次のように記されています。
“正月の元日から三日まで。
新年を祝賀する期間で、事実上の祝日となっている”
つまり、三が日とは、1月1日、2日、3日の3日間のことをいいます。
慌ただしい大晦日から一夜明けるとお正月に。不思議なくらい新鮮な気持ちになります。

1日(元旦)は家族そろってお屠蘇やお雑煮、おせち料理でお祝いをします。
最近は少しずつ変わってきてはいますが、三が日の間に、初詣や書初め、お年玉を贈るなど、お正月ならではの特別な行事が執り行われます。

「正月」「三が日」「松の内」の意味の違い 正月の「正」には「初め・改まる」という意味があります。
すなわち「年が改まった最初の月=1月」となります。
現代では三が日を正月というのが一般的。
しかし古文書などを調べると、かつては1月すべてを正月といっていたそうです。

また「松の内」とは、年神様がいる期間。
住む地域によって変わりますが、一般的に1月7日まで(地方によっては10日、15日の場合も)、お正月飾りである松飾り(門松)を飾っておきます。
諸説ありますが、ここでは代表的な6つをご紹介したいと思います。

タブー1:掃除をしてはいけない
お正月には、歳神(としがみ)様という神様が、福を持って家を訪ねてきてくれます。
それなのに掃除をして追い払うなんて、もってのほか! 福を払いのけてはいけませんね。

同じ意味で、キッチン、バス、トイレの掃除、そして洗濯も神様を水で洗い流すことになるので、縁起が悪いのです。
水仕事全般がタブーにあたります。
掃除のような根拠はありませんが、「元旦にお布団を干してはいけない」、昔ながらの風習も残っています。
年の初めには歳神様がこられるので、忙しく家事などせず、ゆっくり休んでお出迎えしなさい……ということなのでしょう。

タブー2:刃物を使ってはいけない
この理由にも、いくつか説があります。
「三が日に刃物など使わなければ、この1年を無事に健康で過ごせる(もし切ったりして怪我をしては大変!)」、「包丁で切ることは、縁を切ることにつながってしまう」、「三が日の間は包丁も使わないで休ませてあげる」など……。

三が日は、お雑煮、おせち料理と前もって作り置きしたものをいただき、台所仕事をせずにゆっくり休むようにとも考えられますね。
住む地域によっては、自分の身体の一部である爪を切ってしまっては、家族との縁も切れてしまう……というジンクスもあるそうです。

タブー3:火を使う煮焚きをしてはいけない
煮焚きすると必ず灰汁(あく)が出ます。
この「灰汁(あく)を出す」が「悪く(あく)を出す」の意味につながっています。
かまどなど、火を使うところには、火の神としてまつられる「荒神様(家の中心にあって家人を守護する)」がおられます。正月早々に火を使うと、その「荒神様」は怒ってしまいます。
せめて三が日ぐらいは、火を使わずに、「荒神様」を休ませてあげるための風習だといわれています。

タブー4:四足(よつあし)歩行の動物の肉を食べてはいけない
四足とは、漢字の通り、4本の足を持って歩く動物。
「豚」「牛」「馬」が代表的ですね。
仏教の教えからきている(殺生禁止)、天武天皇が僧侶の肉食禁止令を出した、など、理由はいろいろ考えられます。
一昔前のおせち料理では、当然肉を入れるのは避けられていました。

地域によっては、「豚」「牛」を食べない風習が残っているようですが、現在は気にせずに食べている場合が多いです。
神経質になりすぎるのもよくありませんが、二本足の「鶏」は例外ですから、気にされる方は鶏肉を食べてください。

タブー5:ケンカをしてはならない
皆が新しい年を良い年にしたいと願うのが年の初めです。
実際ケンカをしたところでその年が最悪の年になるとは限りませんが、1年の運勢が決まる大事な時に争いなどして、悪い運気を植え付けたくないという考えから生まれた、縁起かつぎともいえます。

タブー6:お金を使ってはいけない
これは住む地域に残る風習などによって、変わってきます。
「年の初めにお金を使いすぎると、その1年はお金が貯まらない」のだそうです。
ですが、神様に手向ける初詣でのお賽銭は大丈夫だといわれています。
大事なのは、この1年浪費せず、お金の使い方を考え、先を見据えてしっかり計画するようにと自らを戒めること。
2日からは早速初売りセールが始まるご時世ですが、少なくとも元旦は初詣のお賽銭までに留めておくのが無難でしょう。
posted by 小だぬき at 09:36 | 神奈川 ☀ | Comment(3) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月03日

真冬に下半身を冷やすとなぜ老化が進むのか

真冬に下半身を冷やすとなぜ老化が進むのか
2020年01月02日 PRESIDENT Online
こたぬき01.gif
いよいよ寒の入り。
もっとも寒い季節に起こりやすい「冷え」の症状。
その改善方法を知り、ココロとカラダを健やかに保ちながら、来たる春への準備をしましょう。

■新年のスタートは、内臓疲れを癒やすことから
1月6日〜1月19日は小寒(しょうかん)で、冬至が過ぎて寒さが次第に厳しくなる頃です。
小寒の節に入ることを「寒の入り」といい、立春までの1カ月が寒の内です。

1月7日には、春の七草である、セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロを入れた七草がゆを食べ、新しい年の健康を祈ります。
春の七草は、お正月に無理をさせた内臓、特に胃腸を休ませる意味があるとも言われています。

新年のスタートでもあるこの時期は、まず内臓の疲れを癒やし、カラダに新鮮なエネルギーを送れるように調整しましょう。 一年の中でもっとも寒いこの季節は「寒」といいます。
「小寒の氷、大寒に解く」と言われるように、小寒が一番寒い時期といえるでしょう。

寒い夜は空気も澄みきっており、星がきれいに見えるのもこの時期の特徴です。
季節のはじまりの初候は、五節句の1つにあたる1月7日の「人日(じんじつ)」に健康を祝って春の七草の入った七草がゆをいただくことからはじまり、松飾りを外して年神様を天に送る「どんど焼き」が行われます。

季節が進む次候では、春菊、氷下魚(コマイ)が旬を迎え、十日戎(とおかえびす)で商売繁盛を願うとともに、11日には鏡開きを行います。
季節の終わりである末候には、カブやアンコウが旬を迎え、雄のキジがメスを求めて甲高い声で鳴く声を聞き、淡い黄色の蝋梅(ろうばい)の花がいくつも咲き、少しずつ春が近づいていることを教えてくれます。

■季節の冷えと、内臓の冷えでカラダはピンチに!?
この時期は、暴飲暴食によっても内臓機能が低下し、内臓の冷えが起こります。
そこに、小寒という季節の冷えが重なることで下腹部、さらには下肢全体(足)が冷えてしまいます。

特に下腹部や下半身は腸・腎臓・膀胱・子宮・卵巣などの臓器と関連が深いことから、単純な泌尿器や生殖器のトラブルだけでなく、ホルモン分泌が乱れやすくなるため、老化が進むと考えられています
そのため、冷えが強い人は、食習慣を整えるとともに、下腹部や足も温めるように心がけましょう。

新年に入り、新たな気持ちで頑張ろうと誓ったことでしょう。
しかし、忙しい日々の中で、確実に時間は経過しています。
新年に誓った新たな思いが三日坊主にならないように、ここで今一度、気持ちを引き締めなければいけません。
この時期はとても寒いことから、何をするにも億劫(おっくう)になりがち。
新年に決めた思いを最後まで貫きましょう 。

■ツボ押しと熱になる食材で、カラダを内側から温める
「カラダとココロの養生法」
この時期はカラダ、特に手足を温めることが大切です。

足を温める方法としては、手足の血液循環を改善する「指もみ」がいいでしょう。
ツメの生え際あたりを心地よい程度に5秒くらい圧迫した後、3秒ほど休憩してまた5秒ほど圧迫する。
このような指もみを毎日各指10回ほど行いましょう。
また、普段から1日30分程度の散歩を行うことは、全身の筋力や循環を改善するには効果的。
もし、運動ができない場合は、手指足指の「グーパー」運動や、つま先立ち運動などを行うようにし、下肢の血液循環や筋肉の維持に努めましょう。

また、おヘソの真裏で背骨のライン上にある「命門(めいもん)」、首の後ろの一番出っ張った骨より2つ下の骨から指2本分外側にある「風門(ふうもん)」、足裏の真ん中よりやや指側で、足の指をキュッと曲げると一番へこむ場所にある「湧泉(ゆうせん)」といったツボは、カラダの中心を温めてくれるツボです。
お灸やカイロなどを貼り、温めるようにしましょう。

「食養生」
この季節の旬は豚肉です。
豚肉はカラダを温める作用があるとともに、ビタミンB1も豊富で、滋養強壮、免疫力アップに効果的です。
また、東洋医学では冬の季節と関連が深い腎(じん)に属す食べ物で、冬に向いている食材と考えられています。
また、春菊もこの季節に重要な食べ物です。
甘味と辛味を兼ね備えた涼性の食べ物で、ストレスの軽減効果とともに、腫れものを抑え、痰(たん)を切る作用があることから、風邪気味時に効果的な食材です。

「お勧めのツボ」
小寒を乗りきるためのお勧めのツボは照海(しょうかい)です(図表1)
照海は内くるぶしの真下にあり、押すと痛みを感じるくぼみの部分です。
このツボは、元気を高め、カラダを温めてくれるだけでなく、耳鳴りやめまい、頭痛にも効果的です。

イタ気持ちいい程度に10秒程圧迫し、5秒空けて5回程度刺激するようにしましょう。
なお、足の内くるぶしあたりを触って冷たい場合は、ドライヤーで温めたり、お灸を行うのがお勧めです。

■年代別・症状別、「冷え」の対処法を知ろう
【タイプ別:お腹が冷える原因と対処法】
東洋医学では冬はカラダが冷える時期で、カラダを温めることが必要とされています。
特に、お腹の周りには大切な臓器が集中しているため、お腹を温めることで内臓機能を高め、全身の熱産生を上げるようにしましょう。
なお、冷えといっても、年代により冷え方が大きく異なります。

大まかには20〜30代はストレス中心のストレス冷えですが、
40〜50代は内臓機能の低下による内臓冷え、
さらに60代以降は筋肉量の低下に伴う老化冷えです。

これは年代よりも個人のライフスタイルに依存しているため、自分のタイプを知ることが大切です。
一生懸命頑張りすぎている頑張り屋さんタイプの人は、寒さやストレスで交感神経が亢進(こうしん)しているため、手足の末梢(まっしょう)血管が収縮することで血流が中心に集まり、冷えを起こしていると思われます。
対処法は、手足を温め、全身の循環を良くすること。
まずは、手足の温浴を行ってみましょう。

温浴は、洗面器(両手首や足首まで十分に入るもの)に、普通の入浴温度よりやや熱めのお湯(40〜42度)を用意し、10〜15分程、手または足を浸します。

気持ちが落ち込みやすい場合やストレスが強い場合は、ラベンダーや柑橘系のアロマエッセンスオイルを、お湯に入れることも効果的です。
また、時間がないときは手首周辺や足首周辺を温めるためのリストバンドやレッグウォーマーなどを利用するのも有効です。

生活リズムの乱れが原因の生活習慣タイプの人は、冷たいものやカラダを冷やすものを食べすぎることで、内臓の冷えや内臓機能の低下が引き起こされています。
そのため、内側からカラダを温める食習慣が大切となります。

これまでは、カラダを温めるには冬に旬を迎える根菜類や色の濃いものを紹介してきましたが、今回は飲み物について考えてみます。
まず、ホットココアは、ココアに含まれている「テオブロミン」という成分が、手足の末梢血管を広げる働きがあります。
また、紅茶やほうじ茶は、茶葉を発酵させてつくられている発酵食品でもあるため、飲むことでお腹の調子を整え、内臓機能を回復する働きがあります。

なお、紅茶の中にはカラダを冷やすカフェインを多く含むものがあるため、注意が必要です。
甘酒や味噌(みそ)汁も麹(こうじ)や味噌などの発酵食品を利用していることから、飲み物ではありませんがカラダを温める作用があります。

年齢による加齢タイプは、全身の筋肉量が低下しており、熱産生能力が低下しています。
運動で筋肉量を増やし、熱産生をアップさせることが大切です。
腰やお腹の筋肉が弱っているため、腰周りだけでなく肩回りの筋肉も動かしましょう(図表2)

特に肩甲骨の周りには褐色脂肪細胞と呼ばれる脂肪を燃焼し、熱を産生する筋肉が存在しています。
肩や腰を回して、熱産生を促進しましょう。
なお、いずれの運動も1セット10回程度とし、合計1日3セット程行います。

なお、自分のカラダのタイプに関しては、カラダの状態を入れるだけで簡単にわかる無料アプリYOMOGIを利用すると便利です。
月に1回(毎月10日まで)入力すると、あなたに合ったその月の養生法が送られてきます。

小寒は冬の寒さが厳しい時期です。
しかし、カラダの冷えは外気温の影響だけでなく、内臓の冷えが関係している可能性もあります。
まずは食生活を整え、お腹の健康を保つことで、カラダの中から温めてみましょう。

「小寒の特徴」
●心身の症状
カラダ:カラダ(下腹部・下半身)が冷えやすい
ココロ:やる気や気力がない、億劫に感じる

●季節に多い症状
お腹・下半身の冷え

●心身の養生法
ツメもみ、手足の運動、お腹・背中・足裏のお灸

●食養生に効く食材
豚肉・春菊
●ツボ
照海(しょうかい)

----------
伊藤 和憲(いとう・かずのり)
明治国際医療大学大学院/養生学寄付講座教授
鍼灸学医学博士・全日本鍼灸学会理事。
同大学附属鍼灸センター長。
トリガーポイント鍼治療の第一人者であり、慢性痛の緩和治療に精通。
現代女性のための、東洋医学に基づく心身のセルフケアも指導している。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月05日

不眠ループから抜け出すための行動療法とは

不眠ループから抜け出すための行動療法とは
2020年01月04日 PRESIDENT Online

ここ数年、「睡眠負債」という言葉が話題になるなど、睡眠不足や不眠に注目する人が増えている。
不眠に対する正しい知識やその改善法を知り、快適な睡眠を手に入れよう。
たぬき02.gif
■睡眠不足と感じる人が増加。でも、その実態は……?
「毎日、忙しくて睡眠時間が短い」など、働く女性の中には睡眠不足を感じている人も多い。
平成29年の厚生労働省の調査では、「ここ1カ月間、睡眠で休養が十分にとれていない」と回答した人は、平成21年に比べ、ほとんどの世代で増加。
特に40代に睡眠不足を感じている人が多い。

うまく眠れない日々が続くと、「もしかして不眠症では……?」と疑う人もいるが、そもそも「不眠」とは、どのような状態を指すのだろうか。
東京家政大学 睡眠行動科学研究室 岡島 義 准教授にお話を伺った。

「『不眠』とは、ストレスなどで十分に眠れない状態を指し、
『不眠症』とは、不眠が原因で、日中に倦怠感、意欲・集中力の低下、頭痛、めまいなどの支障が出ることをいいます。

つまり、日中、元気に活動ができて、仕事などに支障がなければ不眠症ではなく、睡眠時間の長さにこだわる必要はないのです」
日中の活動に支障が出ないために必要な睡眠時間は、人それぞれ。9時間必要な人もいれば、5時間程度で十分な人もいる。
また、睡眠時間がしっかりとれ、日中の活動に支障がないにもかかわらず、睡眠の途中で目が覚めるなどして『全然、眠れていない』と不満感を抱く人も多い。

■あなたの不眠の原因は? チェックしてみよう!
では、日中の活動に支障が出る不眠の原因には、どのようなものがあるのだろうか。
次のチェックリストで、各項目1〜4のどれに当てはまるかチェックしよう。
1:そうではない 2:そうかもしれない 3:どちらかというとそうだ 4:そうだ

□日頃、運動をほとんどしない
□朝食はとらない
□寝る前にお酒を飲んだり、タバコを吸ったりしている
□就寝3〜4時間以内に、カフェインを摂っている
□日中は、よく昼寝をする
□寝る前に熱いお風呂につかっている
□寝室の温度や湿度が快適でない
□寝室の電気は「昼白色」「昼光色」(いずれも白っぽい光)だ
□夜更かしなどで不規則な生活を送っている
□眠くなくても決まった時間に布団に入る

監修/東京家政大学 睡眠行動学研究室 准教授 岡島 義先生、厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針2014』をもとに編集部作成
岡島先生は「4に○のついた行動が不眠症の原因の可能性があります。
しかし、本当に睡眠に影響しているかどうかは、日中の支障と照らし合わせてみないとわかりません。
このように行動と睡眠の因果関係を明らかにし、不眠を改善していくのが『認知行動療法』です」と話す。

■「認知行動療法」で、不眠ループから抜け出す!
「認知行動療法」は不眠症やうつ病など、さまざまな身体的・精神的疾患に使われる心理療法。
困っている症状を、その人のせいにするのではなく、その人の「クセ=振る舞い、考え方、身体反応など」に注目し、そのクセを修正することを目的とする。

不眠を改善する場合、治療薬より効果に維持力があるといわれている。
認知行動療法で不眠を改善するには、まず「毎日の睡眠」と「日中の支障」を記録する「睡眠日誌」をつけることが重要だ。睡眠日誌はノートにつけても、スマートフォンのアプリを利用してもOK。
「何時に布団に入り、だいだい何分くらいで寝ついて、何時に起きたか。
そして、不眠の原因と思われる行動の有無と、日中、どんな支障があったか」を記録する。

すると、自分が何時間眠れば日中の活動に支障をきたさないかがわかるうえ、不眠の原因と思われる行動と睡眠の関係が見えてくる。

例えば、テレビを見ながら寝てしまう習慣が不眠の原因だと思っていたが、テレビを見ても見なくても、日中の活動に支障が出るようなら、ほかにも不眠の原因が隠れているといえる。

また、不眠の原因となる行動を変えようと思っても、なかなか思いどおりにはいかないもの。
例えば、「明日から運動をしよう」と決めても、続けることは難しく、多くの人は「意志が弱いから続かない」と思いがちだ。
しかし、認知行動療法では、どうしたら続けることができるか、その方法を具体的に考えることからスタートする。
「自分の生活や活動パターンを具体的にイメージしながら、いつ、どのように運動を取り入れるかを考えます。
できなかったことを自分自身の性格のせいにしてしまうと、事態は何も進展しません。

できなくても気にせず、できることから始める。
そして、一つの行動を修正し、睡眠に変化がなければほかを試せばいい。
特に不眠の改善は、数日で結果が出るものではありません。
気長に取り組むことが、不眠ループから抜け出すコツです」

■寝室を見直して、心地いい睡眠を
ベッドなどの寝具を見直したり、部屋の模様替えをしたりするなど、眠る環境を見直すことも不眠解消につながる。
最近では、角度をつけて入眠をサポートし、眠ったら自動でフラットになるベッドや、睡眠中の心拍や呼吸をモニタリングし、眠りを分析する機能のついたベッドもある。
また、肌触りのいいベッドファブリックや着心地のいいパジャマを取り入れたり、リラックスできるよう寝室の模様替えをしたりするのもおすすめ。

睡眠日誌をつけつつ、睡眠環境を見直して不眠を解消し、仕事のパフォーマンスを最大限に発揮しよう。

岡島 義(おかじま・いさ)
東京家政大学 睡眠行動科学研究室 准教授
公認心理師・専門行動療法士・産業カウンセラー
著書に『認知行動療法で改善する不眠症』(共著・すばる舎)、『不眠の科学』(編共著・倉書店)など。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月06日

"時間使いのコツ"4つ

一日の充実度が倍増する"時間使いのコツ"4つ
2020年01月05日 PRESIDENT Onlin
tanu103.gif
毎日忙しく「やらなければいけないこと」ばかりに追われていませんか?
 2020年を「やりたいこと」をやる年にするにはどうすればいいのでしょう。
お正月休みのうちにゆっくり考えたい「時間の使い方」についての作戦です。
※本稿は有川真由美『いつも機嫌がいい人の小さな習慣』(毎日新聞出版)の一部を再編集したものです。

■生活の優先事項を3つ以内に絞る
現代人はほんとうに忙しい。
社会生活を送っていると、「やらなきゃいけない」と感じることがつぎつぎに押し寄せてきます。
いい仕事をすること、家族サービスをすること、人と交流すること、学ぶこと、運動をすること、服に気を使うこと……。
情報をたくさん集め、1日に多くの予定を詰めることが「充実している」と思うかもしれません。

しかし、「たくさんのことをするのがいい」という価値観や時間の使い方は、そろそろ卒業しませんか?
あれもこれもと、あきらめない姿勢は、一見、パワフルに見えますが、現実は、どれも中途半端で不満が残り、疲れてしまうはずです。
なにより、ほんとうに大切なことがわからなくなってしまうでしょう。

それよりも、自分にとって大切な優先事項を3つ以内に絞って、「あとは適当でいい」と手放してしまったほうが、幸せを実感できます
私たちが「やらなきゃいけない」と思っていることのほとんどは、実は「やらなくてもいいこと」なのです。
やることを広げるよりも、やることを絞って深めていったほうが、「自分はなにを大切に生きるのか?」という自分の軸ができて、充実感も、満足感も得られます

手放したものは、永遠になくなるわけではありません。
「いまは、これを大事にしたい」でいいのです
だれがなんと言おうと「いまは趣味が第一。あとは適当でいい」という人もいるし、「夢に向かって生きる」「家族ファースト」という人もいます。
自分の大切なものをちゃんと理解している人は、幸せで魅力的に見えます。
優先事項を絞る習慣で、人生の時間を大切にできるようになるのです。
人生でもっとも大切なスキルは、大切なことを絞る力です

■「時間がない」と言わない
「時間がない」という言葉は、あまり言わないようにしています。
「スケジュール管理能力がない」と言っているようなものですから。
もちろん、時間の余裕がないことはあります。
優先順位の低いことはやりません。
しかし、強烈に「これはしたい!」「この人に会いたい!」と思ったことは、かならず実行するようにしています。

「時間がないからできない」ではなく、「時間がないなか、どうしたらいいか?」と考えると、なんとかなるものです
先日は、仕事がたんまりあるなか、ずっと尊敬していた人に会えることになり、スケジュール帳とにらめっこ。
「なんとかなりそう!」と膝を打ち、台湾に夕方着いて、翌朝帰る……という無茶なことをやってしまいましたが、「行ってよかった!」と満足感でいっぱい──そんな経験は、一生の財産になると思うのです。

かつては「時間がない」とやりたいことを先送りすることもありました。
ですが、忙しい人をよく観察すると、そんな人にかぎって、ちゃっかり遊んでいたり、しっかり勉強を続けていたり、じっくりなにかに取り組んでいたりする……。
彼らは「あれこれやるぞ!」とやみくもにがんばっているのではなく、優先順位をハッキリさせて、「限られた時間でも、できる方法はある」と時間の使い方に注力しているのです

仕事と子育てで忙しい友人は、電車での通勤時間に勉強をして、いくつもの資格を取得しました。
練習時間の短い進学高校のスポーツ部が、時間をかけた強豪校に勝利することがありますが、限られた時間で効率的な方法を編み出しているからでしょう。

時間は1日24時間、ひとしく与えられています。
「時間がないから遊べない」「勉強できない」なんて言っていたら、人生が終わってしまいますよ。
「時間がないからできない」と言っている人は、時間があってもできません。

■だれかのために時間を使う
ある男性がこんなことを言っていたことがありました。
「男はよく『家族のために毎日がんばってる』なんて恩きせがましく言うけど、あれは違うよね。
仕事は自分が認められたいとか、役に立ちたいって気持ちがあるからやってるわけで、そもそも家族を養うのも、そうしたかったからでしょう」
たしかに「100%だれかのための時間」というのはありえないと思ったのです。

「自分のための時間」「だれかのための時間」は、単純に割り切れるものではありません。
「あの人にはこれだけやってあげた」「親が望むように生きてきた」「会社のために働いてきた」という人は、自分の時間を犠牲にしてきたと思っているのでしょう。
わかっておきたいのは、人生の時間はすべて「自分で選択できる自由時間である」ということ。
どう使うかは、一人ひとりに委ねられています

「いや、そんな自由はない」と思うなら、「〜しなくては」という呪縛に縛られているのかもしれません。
「だれかのための時間」でも、「自分がそうしたいから」と思えば、「自分のための時間」になります
その意識がなければ、他人に振り回されてばかりの時間です。

「だれかのため」とだけ考えては、自分の気持ちが置いてきぼりで、身がもちません。
逆に「自分のための時間」ばかりでも、虚しさがあるものです。
人は「だれかのためだからがんばれる」ということが多い。
仕事をするのも、食事を作るのも、遊びの計画を立てるのも「あの人の喜ぶ顔が見たい!」と思えば、張りきります。
人の役に立ったり、認めてもらえたりすることで、安心感も幸せも得られます。

自分のための時間も必要ですが、「だれかが喜んでくれることが自分の幸せ」と思える時間をもてたら、より大きな幸せがもたらされるのではないでしょうか。
「あの人の喜ぶ顔が見たい」は自分を育ててくれます。

■「与えられた人生の時間」を意識する
大切な友人が、この世界から旅立っていきました。
家族のいない彼女は、亡くなる数カ月前に主治医から「動けるのはあと2〜3カ月ですから、いまのうちに会いたい人に会って、行きたいところに行っておいてください」と言われたといいます。
そのとき、「そんなこと、いまさら言われなくても、ずっとやってきたあたりまえのことよね」と笑った彼女は、たしかに、それまでと同じ時間との向き合い方をしていました。

やりたいことをやり、やりたくないことはしない。
・会いたい人に会い、会いたくない人には会わない。
・自分の好きな世界を大切にする。
・人のためにできることをする……。

ホスピスに入ってからも「もっといろいろなことを知りたい」と本を読み、お見舞いにきた友人たちと大いに笑い、持ち物はきれいに処分して去っていきました。
悲嘆するのではなく、「いまの幸せな時間」を心から喜んでいました。
10代20代で大病をした彼女は、人生の時間をいつも意識していたのかもしれません。
よく「残された時間」などと言いますが、ほんとうは「与えられた人生の時間」ではないでしょうか。
そもそも生まれたこと、生きていること自体が奇跡なのですから。
「与えられた時間」を意識する習慣のある人、まったく意識していない人では、時間の過ごし方はまったく変わってきます。

「与えられた時間」を意識していれば、ほんとうに大切なことに時間を使いたいと思います。
人を恨んだり、後悔したりしている場合ではなく、人生のストーリーを的に、真剣に考えるようになります。
将来を漠然と不安がるのではなく、現実的に時間に向き合うようになります。
どの時点を切り取っても「いい時間を過ごした」と思える生き方がしたいものです。
「時間には限りがある」とわかっている人は強いのです。

----------
有川 真由美(ありかわ・まゆみ) 作家
鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。
化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。
韓国、中国、台湾でも翻訳される。
旅をするように国内外で転々と住らし、旅エッセイも手掛ける。
2014・2015年内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室「暮しの質」向上検討会委員。
日本ペンクラブ会員。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(3) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月08日

介護保険改正で施設入居者の貯金が狙われる! どう対策するか

介護保険改正で施設入居者の貯金が狙われる!どう対策するか
2020.01.07 マネーポストWEB

 厚労省はさる12月16日、2021年からの介護保険制度改正に向けて大幅な制度改革案を社会保障審議会に提出した。
厚労省資料によれば、施設への入居費用の補助が削られるとともに、介護サービスの自己負担上限引き上げられる。
 さらに見落とせないのが高齢者の「貯金」が狙われていることだ。

介護施設に入所した際の軽減措置(補足給付)には、収入とは別に重要な“基準”がある。
現行制度では入所者の貯金額が1000万円以上あれば、収入がどれだけ低くても軽減措置を受けられない。
 新制度ではこの預金基準がさらに厳しくなる。

具体的には、年金月額10万円超の人は「貯金500万円」以下でなければ入所時の軽減措置を受けられず、同6万7000円なら貯金550万円以下、同3万円は貯金650万円以下が軽減措置の条件になる。

 この基準はどうやって算定されたのか。
厚労省資料にはこう書かれている。

〈介護保険三施設の本人支出額の平均と年金収入を比較し、補足給付を受けながら本人の年金収入で15年入所できる水準にする〉
 お役所言葉でわかりづらいが、要は年金だけでは入居費用をまかなえない人が、貯金を取り崩しながら支払っていった時に、年前後で貯金が尽きるように逆算して基準を作ったということだ。

「年金収入の範囲内で入居費用をまかなえるように補助する制度」から「入所者の老後資産を介護費用で吸い上げる仕組み」への大転換と言っていい。

対策は2つある。ファイナンシャルプランナー・小谷晴美氏が語る。

「介護保険は要介護度が高いほど手厚い介護サービスを受けられる制度ですが、要介護認定の際には、比較的重度の要介護度4の患者でも中度の要介護度3とされたり、中度なのに特養に入れない要介護度2など低めに認定される傾向があるようです。

 要介護認定は調査員の本人調査と主治医の意見書によって行なわれる。
日頃から主治医とコミュニケーションをとって患者の状態を正確に理解してもらい、十分な給付を受けることができる認定をしてもらうことが重要です」

 もうひとつ、老後資金を介護費用で使い果たさないために最も有効なのが生前贈与だ。
介護アドバイザーの横井孝治氏が語る。
「親を施設に入れる前、あるいは自分が施設に入所する前に、金融資産を子供に生前贈与して預金残高を500万円など基準額以内に減らしておく。
そうすれば、介護施設での費用は軽減措置で安く抑え、資産を次の世代に残すことが可能になります」

※週刊ポスト2020年1月3・10日号
posted by 小だぬき at 01:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月11日

「がん保険」はぼったくり…民間の医療保険は本当に必要か?

「がん保険」はぼったくり…
民間の医療保険は本当に必要か?
2020年01月10日 SPA!

三大疾病「がん・脳卒中・心筋梗塞」が急激に増える40〜50代。
実際にそれらを発症しながら生還した人、病の実情と生き残る方法や気になる治療費など徹底取材した。
今回は本当に必要な保険とは何か考える。

◆命とお金の天秤の不正解。本当に必要な保険とは!?
「ほとんどの病気は、健康保険と50万円程度の貯蓄で対応できると見ています」と語るのは、保険コンサルタントの後田亨氏だ。
その理由は?
「三大疾病において、安全と有効性が証明された標準治療は既に保険適用になっています。

保険適用外の先進医療とは、実効性が十分証明されていない治療です。
また、健康保険には所得や年齢によって支払う医療費の上限が決まる『高額療養費制度』があります。
自己負担額が抑えられるんです。

 例えば、年収336万〜600万円だと、自己負担の上限は4か月目までは月『8万100円+α』で、それ以降はさらに引き下げられます。
私の顧客の現役医師たちも『大病であっても、保険適用の治療を受ける限り、医療費は50万円程度まで見ておけばいい』と言います」

 とはいえ、「命とお金は天秤にかけられない」という考え方もあるが……。
「国立がん研究センターのデータによれば『現在40歳の男性が10年以内』にがんと診断される確率は1%。
50歳で5%です。
これらの確率から計算すると『がん保険』の保険料は暴利を疑われる水準です。

 健康保険が使えない治療なども含め『あらゆる手を尽くしたい』という気持ちは、わかるつもりですが、民間の保険でお金を用意するには、妥当とは思えないコストがかるのです。
広告などに恐怖を煽られてはいないか、冷静に判断すべきです。

加入するにしても、会社員は社員向け団体保険から検討したほうがいいです」
 特に終身型に飛びつくのは、愚の骨頂だ。
「遠い将来のリスクを正しく把握できる人などいませんから、長期契約になるほど保障内容が時代に合わなくなる可能性が高まります。
保険が有効なのは、当面の保障なのです」

 有効な保険の入り方は?
「子供がいる世帯主の死亡保険、病気やケガで長期間働けなくなった時に備える就業不能保険は、大金が必要になることもあるので検討に値します。

保険料が安い『団体保険』やネット生保などから検討しましょう」
 お金を多く払えば命が助かるわけではなし。
冷静に。

保険の正解
1.医療保険の代わりに50万円貯蓄しておく
2.会社員はまず団体保険を検討する
3.お金と命の保障は別物。冷静な判断をするべき

後田 亨氏】保険コンサルタント オフィスバトン
「保険相談室」代表。保険の有料相談の第一人者。
『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春出版社)など著書多数

取材・文/週刊SPA!編集部
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月13日

医師が教える「病院で円滑に診察を受けるコツ」

医師が教える「病院で円滑に診察を受けるコツ」
どうすれば「症状」をうまく伝えられるのか
2020/01/12 東洋経済オンライン
上原 桃子 : 医師・産業医

冬到来のこの時期、風邪やインフルエンザなどで医療機関を受診される方が多くなると思います。
しかしいざ診察が終わってみると、思うように自分の症状が伝えられなかった経験はありませんか?
 今回はそうなってしまう原因と、その対策についてお伝えしたいと思います。

医師と話すのは緊張するもの
初対面の人と1対1で話すのは、誰でも緊張するものです。
さらに病院の診察室は医師からすればおなじみの空間ですが、患者にとっては非日常の空間です。
しかも自分の症状を伝えて判断を下されるわけですから、さながら面接室のように捉える方もいるかもしれません。
また、近年は電子カルテの普及によって、パソコンの入力画面ばかり見て患者のほうを見ない医師もいます。

人は自分の話をするとき、相手の表情や仕草、いわゆるリアクションを見ながら話をします。
仏頂面でノーリアクションの人と、うんうんと笑顔でうなずいてくれる人、どちらが話しやすいかといえばきっと後者でしょう。
画面のほうを向いて無表情でうなずくような医師に対して話すとき、私たちはより一層圧迫感を覚え、何を話せばいいのかわからなくなってしまうのです。
これは医師側の問題ではありますが、一方で、患者から聞いた情報を正確に書き留めておくのもまた、医師にとって必要な仕事です。

患者側も、矢継ぎ早に、とりとめもなく話すのではなく、伝え方に工夫をすることでお互い余裕をもって話ができるのではないでしょうか。
例えば、自分なりに伝えたいことのメモを事前に作っておく。
これだけでも自分の中で話題が整理され、伝え忘れもぐんと少なくなると思います。
発熱を伝えるときの体温の変化など、言葉で表しにくいことは、メモを直接医師に見せてもよいでしょう。

そうは言っても、何をどうやって伝えたらいいのかわからない。
そんな声を多く聞きます。
その原因の1つは、診察のはじめに聞かれるお決まりの質問、「今日はどうされましたか?」にあると思います。

「はい、いいえ」や「AかBか」で答えられない、この答えの幅が広い質問はOpen Questionと呼ばれます。
患者が話したいことを自由に話せるように、という趣旨の質問ですが、何を話せばいいのか、かえって混乱してしまうのです。

そんなときは、今自分が一番困っている症状を話しましょう。
そのまま自分が話し続けるか、医師から質問が来るかはその状況次第ですが、ここで診察の流れを知っておくとスムーズです。
医学生は診察のトレーニングをする際、症状を聞く基本的な流れをOPQRSTという語呂合わせで覚えます。

O(Onset)はいつから症状が出たのか、
P(palliative/provocative)は症状がよくなる(悪くなる)行動、
Q(quality/quantity)は症状の様子、
R(region/radiation)は症状の場所、
S(associated symptom)はその他の症状、
T(time course)は時間の経過です。

頭痛を例にしますと、「2週間前から痛い・眠ると頭痛がおさまる・ズキズキ痛む・頭の後ろが痛い・発熱と鼻水もでる・これらが2週間続いている」といった具合です。
経過についてはなるべく時系列に沿って伝えるといいでしょう。

このように、症状を伝えるときには、一番困っている(気になる)症状を主にして伝えるようにしましょう。
すべての医師がこれに沿うとは限りませんが、少なくとも自分から症状を伝える際は参考になるかと思います。
情報の過不足は医師が決めることで、もし足りなくても追加で質問されるので問題ありません。

多くの症状を伝えることに遠慮してしまう
とはいえ、熱もある、鼻水も出る、腰もちょっと痛いかも……と次々に症状が浮かんでくると、こんなに多く情報を伝えるとかえって医師を混乱させてしまうのでは?と思ってしまう方もいらっしゃいます。
その結果、「よく考えると、たいしたことないかも」と自分で勝手に決めつけてしまい、本来重要であるかもしれない症状を伝えずに診察を終えてしまうのです。

「聞かれなかったからそれ(症状)は言わなかった」という話もよく聞きます。
しかしながら、先程も申し上げましたように、情報を集めて過不足があるか、重要かどうか判断するのは医師です。
いくら診察に慣れた医師でも、顔を見た瞬間に相手の生活状況や隠れた症状、病気の名前がわかるわけではありません。
幾つかのキーワードを繋ぎ合わせて、知識と経験則から診断するのです。
少しでも気になることがあれば遠慮せず伝えましょう。
もしかしたらそれが、診断につながる重要なキーワードになるかもしれません。

対策をまとめると、
@必要ならばあらかじめメモを作っておき、
A自分がいま一番困っていることから時系列に沿って詳しく話すこと。
Bその際に、一番気になることを主軸に伝えること。
➃どんなに小さなことでも、気になることは医師に伝えること。

診察は、医師と患者のコミュニケーションです。
医師が患者に話しやすいと思われるよう努力するように、患者側からも医師へ歩み寄る姿勢が医師との信頼関係を築きます。

これらを1つでも心に留めておくことで円滑な診察を受けられると思いますので、ぜひ実践してみてください。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月14日

故・日野原重明さんは、あの「地下鉄サリン事件」でどう行動したか

故・日野原重明さんは、あの「地下鉄サリン事件」でどう行動したか
1/13(月) 現代ビジネス

「とにかく助ける」
 誰の人生にも、大きな決断を求められる瞬間というのはやってくる。
そういうときにこそ、人間の度量が試されるものだが、元聖路加国際病院院長の日野原重明さん('17年に105歳没)にとって、それは'95年に83歳で遭遇した「地下鉄サリン事件」だった。

内科医として、聖路加看護大学の学長や、国際内科学会会長などの要職を歴任してきた日野原さんは、80歳にして院長への就任を請われ、無給で職務にあたっていた。
 3月20日の午前8時30分、日野原さんはいつもどおり朝の6時40分に自宅を出て病院に出勤し、7時半から幹部を集めた定例の会議を開催していた。
そこに、事件の一報が届く。

 「地下鉄で、大きな爆発事故が起きたようだ」
 8時40分には、病院内に緊急の呼び出しがかかり、医師たちが救急センターに集まってくると、救急車がけたたましいサイレンを鳴らしながら、次々と患者を運んできた。
 「目が痛い」と泣き叫ぶ人がいれば、すでに心肺停止の人もいる。

 「いったい、何が起こっているのか」
 目を覆いたくなるような光景に、日野原さんは絶句した。
当時、聖路加病院の救急部の医員として現場に立っていた奥村徹氏が回想する。

 「火事か爆発かという話だったのに、実際に患者が来てみると、誰も煙を見ていないし、爆発音も聞いていない。
みんなが『なにか、おかしいな』と考えている間にも、重症や重体の人々が次々と運ばれてくる。
 普通、心肺停止の人は瞳孔が広がるものですが、それがあのときの患者は全員が『縮瞳』といって、小さくなっていた。『これは異常だ』と現場も動揺していました」

 今でこそ、そうした健康被害がサリン散布の影響によるものだったことは広く知られているが、事件直後にその状況は明らかになっていない。
 何もわからぬまま、集まってくる患者の数は刻一刻と増えていく。
パニックになってもおかしくはない状況のなか、日野原さんはベテラン医師らしい冷静さで状況を見極めていた。

 「何が起きているかはわからないが、いまはとにかくこの患者さんたちを助けるしかない」

「責任は自分が取る」
 一度腹をくくると、日野原さんの動きは年齢を感じさせないほど早かった。
すぐさま緊急事態宣言を出し、その日の外来診療の受付を中止。
すでに麻酔のかかっていた患者を除くすべての手術を延期してオペ室を空けた。
 短時間の間に約100人の医師と、300人の看護師や助手、そして聖路加看護学校の学生も含め、病院の総力をあげて緊急態勢を整えた。

 ちなみに当時、建て替えられたばかりだった病棟は、大災害の発生を見据えた日野原さんの要望により、壁面に酸素の配管が2000本近く張り巡らされ、収容所として使えるように広いロビーや礼拝堂施設まで設けられていた。
こうした環境が、応急処置場として活用されることになる。

 「日野原先生は、あれだけの人なのに権威主義的なところがまるでなくて、院内で『ひのじぃ』とあだ名される存在でしたが、あのとき見せたリーダーシップは素晴らしかった。
 『来た患者さんは責任を持って聖路加で診る。断るな』と基本方針を決め、『最終的な責任は俺が取るからあとは自由にやってくれ』と。
現場を信頼し、すべてを任せてくれた。
おかげで、みんなが持てる力を尽くして処置にあたることができました」(前出・奥村氏)

 日野原さんはまず、外科系の副院長に「トリアージ」を実施させた。
これは、患者の症状を見極めて、重症、中症、軽症にわけ治療の優先順位をつけていくというもの。
 患者の生死を左右するため、一瞬の判断力が要求される。
平時の医療現場では行われることはないが、サリン事件のように症状の程度が違う患者が次々と搬送される状況には不可欠の処置だった。

 そして内科系の副院長には原因の究明を指示
看護部長を兼務した副院長には、退院できる患者を退院させて治療のスペースを確保させた。

「救える人を救うのは当たり前じゃないか」
 こうして、トップとしての決断が必要な部分で的確な指示を出すと、あとは部下たちに任せて、病院内を飛び回った。  

「外部に対する情報の公開も迅速でした。
混乱している患者さんや一般の人たちに向けて『いま、何が起きて、どこまでわかっているのかをすぐに伝えなくてはダメだ』と、10時半には緊急の記者会見を開いた。
 運ばれてきた患者さんたちに向けては、状況を説明した小さな紙を作って随時配布していました」(奥村氏)

 この一日だけで聖路加国際病院は640人の患者を収容、事件後1週間で対応した延べ患者数は、約1600人にのぼった。  

のちに病院のある日比谷線の築地駅は、小伝馬町駅、霞ケ関駅に次いで多くの被害者が出た駅だったことが判明する。
全病院をあげて患者を受け入れるという日野原氏の見事な決断がなければ、犠牲者はもっと増えていただろう。
 「あとになって『いろいろな病院に分散して治療するのが正しかったのではないか』と批判する声もありましたが、日野原先生はどこ吹く風という感じでした。
『緊急時に救える人を救うのは当たり前じゃないか』という感覚だったのだと思います」(奥村氏)

 そしてこの経験は、日野原さん自身のその後の人生にも大きな変化をもたらした。
翌'96年に院長を退き、理事長に就任すると、自らの経験を世の中に伝える活動に精を出すようになったのだ。
 生前、日野原さんが死の直前まで連載を続けていた雑誌『ハルメク』の副編集長・岡島文乃氏が回想する。
 「晩年まで信じられないような過密スケジュールの中で仕事をされていました。
内科医として診療の現場にも立っていたし、各地で講演もたくさん入っていた。

 『医療の最新情報はやっぱり向こうに行かないと手に入らない』と、年末にはかならずアメリカに出張もされていた。
あまりにもお忙しいので、お昼ご飯のあいだや、移動中の車内などで話を聞かせていただくことも度々でした」

誰のために100年を生きるか
 なぜ、そこまでして働き続けるのか。
日野原さんは「召命」という言葉で表現していた。

 「『この命は人のために生きるよう授かったものなのだ』ということでした。
お父さんが牧師さんなので、キリスト教の考え方もあったと思いますが、いっぽうで、地下鉄サリン事件など医師として立ち会った極限の現場で見たことが、先生の人生観に大きな影響を与えたことは間違いないでしょう。
 本当に立派な方でしたが、チャーミングなところもたくさんありました。
講演会でも『いくつですかと聞かれると、いつも65歳と答えちゃうんですよ』なんて冗談を飛ばして会場をドカンドカンと沸かせていた」(岡島氏)

 むろん、誰もが日野原さんのように、最晩年まで働き続けることができるわけではないし、無理をしてまで誰かに尽くそうとする必要もないだろう。
 だが、「何歳からでも創めるのに遅くはない」と説き続けた日野原さんの生きざまは、我々に勇気を与えてくれる。

 「今のように『人生100年時代』と言われるずっと前から、
日野原先生は『人はいくつになっても変わることができるのだ』と信じ、自身も最期までそれを実践された方でした。
 『より良く生きたいという思いを抱き続ける人にこそ、幸せは訪れる』。
先生の言葉を、私は生涯忘れることはないと思います」(岡島氏)
 105年という途方もない道のりを、鮮やかに駆け抜けた一生だった。

 週刊現代
2019年12月28日・2020年1月4日合併号より
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月17日

医師の苦悩「疑似医療への転院希望を断れない」

医師の苦悩「疑似医療への転院希望を断れない」
2020年01月16日 PRESIDENT Online

大学病院の医師たちが「疑似医療」に手を焼いている。
闘病で不安な患者は、怪しげなクリニックであっても、ウソと科学的根拠を巧みに混ぜた口上に欺かれてしまう。
患者がそうした治療を受けたいと言い出せば、止める方法はないという――。
※本稿は、鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 3杯目』の一部を再編集したものです。

■医師側は「嘘っぱち」とは言いづらい
鳥取大学医学部附属病院 呼吸器内科の阪本智宏助教は疑似医療に手を焼いている医師の一人である。
「ぼくたちがよく治療しているのは、W期の肺がんの患者さんです。
つまり一番進行している肺がんです。
まずはW期の肺がんですと伝えます。
その後、言葉遣いには気をつけながらも、根治はもう望めない状態であることを理解してもらった上で、延命と(症状の)緩和を目的とした、いわゆる抗がん剤を含む薬の治療をすることになります。
そして、患者と話し合って、具体的にどのように治療を進めて行くのかを決めます」

ところが、あるとき患者からこんな風に相談を受けた。
――こんなものを見つけました、ここを紹介してほしい。
疑似医療を行うクリニックだった。
「選ぶ権利は患者さん側にあるので、『こんなのは嘘っぱちです』とは言いづらい。
とはいえ目を覚ましてほしいので、散々オブラートに包んだ話をした後、『あなたが私の親だったら殴っても止める』と強い言葉を使うこともあります。
それでも行きたいというのならば止めることはできないので、手紙(紹介状)は書きます」

■嘘とエビデンスのある事実を「サンドイッチ」
ことを複雑にしているのは、そんななかに医師免許を持った人間が運営しているクリニックがあることだ。
阪本はそうしたクリニックの「宣伝文句」はずる賢いと嘆く。

「“これでガンが治ります”と書いてあると流石に嘘っぽいから、そうはしない。
嘘とエビデンスのある事実をサンドイッチにしている。
ここまでは合っているけれど、さらっと嘘が入っている。
疑似医療には裏付けとなるデータがないのだとよく言われますよね。
それに対して、データはある、論文はこれだけ出ていると広告を打っている。
でも金を払えば論文を出してくれるところがある。
ぼくたちは“ハゲタカジャーナル”と呼んでいます」

退官間近の有名大学教授の看板を利用することもある。
「データがないっていうけれど、こんな有名な大学の先生が論文を書いている。
(阪本)先生はどれだけ知っているんだって言われると、この(疑似医療の)治療法については全く知りませんと答えるしかない」

また、医療現場で使われている「標準治療」という言葉が誤解を招くこともあるのではないかと阪本は感じることがある。 「これが一般的な標準治療ですと言われると、標準ではないもっと上の治療があるのではないかと思う患者さんがいる。
(金銭的に)余裕のある方は特に『いくら掛かってもいいから、一番いいのをやってくれ』とおっしゃることがある。
標準治療というのは、今までのデータの積み重ねで決められたものです。
これが(現時点で)一番いい治療なんだということを納得してもらうのが大変」

■プラセボ効果が疑似医療を守ってきた
金銭を払えば、現時点で病院が行なっていないもっといい治療が受けられるのではないかという、藁(わら)をも掴(つか)もうとする患者の気持ちにつけいるのが疑似医療である。
疑似医療の歴史は古い。
それどころか、科学的根拠に基づく医療が広まる前には、疑似医療が主流だった時期がある。

例えば「瀉血(しゃけつ)」である。
古代ギリシアでは、病気の原因は血液が淀むことだとされていた。
そのため、肝臓の病気ならば右手の血管を切る、あるいは脾臓(ひぞう)の病気ならば左手の血管を切る――瀉血が有効だとされていたのだ。
この瀉血は長く効果があると信じられていた。
アメリカ初代大統領のジョージ・ワシントンは瀉血により死亡したとされている。
風邪をこじらせた彼は、繰り返し瀉血を受け、大量の血を失ったのだ。

また、プラセボ(偽薬)効果も結果として疑似医療の守り神となってきた。
プラセボとは〈私を喜ばせるであろう〉という意味のラテン語だ。中世イギリスの詩人たちは、このプラセボを〈気休め〉の意で使っている。

■臨床実験さえも逆手にとられる
プラセボ効果がはっきりと示されたのは第二次世界大戦末期のことだった。
野戦病院に勤務していたアメリカ人の麻酔科医ヘンリー・ビーチャーが、傷ついた兵士にモルヒネの代わりに、生理的食塩水を注射。
鎮痛剤であるモルヒネが不足していたのだ。
するとモルヒネと同じような効果があった。
プラセボ効果は猛烈な痛みさえ押さえ込んだのだ。

人間と他の生物を区別するのは想像力である。
人間は信じ込むことで何ら効能のない処置に対しても身体が反応する。
もっとも、プラセボ効果は一時的に症状を好転させることはあるが、根本的な治療にはつながらない。
プラセボ効果を過信して、治療を放置、症状が悪化する場合もある。

プラセボ効果を排除し、本来の効果があるかを臨床実験で測定することが、医学界の大きな課題でもあった。
ただし、疑似医学に手を染める人たちは、こうした臨床実験さえも逆手にとってきた。

阪本はこう指摘する。
「改ざんとはまでは言わなくとも、作為的なデータは出せる。
このデータを拾うと不利になるからやめよう、そしてよくなったように見えるデータを引っ張ってくることは可能なのです」 問題の根は深いのだ。

■免疫療法は効果が証明されていない
とりだい病院内には「がん相談支援室」が設置されている。
臨床心理士の資格を持つ、吉岡奏がん専門相談員は自らの仕事をこう定義する。
「医師に治療についての説明を受けたけれども、なかなか理解しきれない。
そうした患者さんに対し、もう少し詳しく知るためのツールの紹介や、医師に質問する際に正確に伝え、聞くための事前準備のサポートなどが私たちの主な仕事です。
そういったなかに免疫療法などの代替医療についての相談もあります」

代替医療とは現代西洋医学以外の医療行為の総称である。
「免疫療法をやっていますかという相談に対し、どのような治療をイメージしているのかを聞きます。
その上でいわゆる自由診療で行う免疫療法はここではやっていないと説明します。
そして国立がん研究センターのがん情報サービスというサイトの“免疫療法”などの情報を紹介しています」

〈免疫療法 まず、知っておきたいこと〉というページではこう書かれている。
〈これまでの研究では、残念ながらほとんどの免疫療法では有効性(治療効果)が証明されていません〉
そして免疫療法を2つに分けている。
効果が証明されている免疫療法と、さまざまな治療法を含む「広義」の免疫療法である。
この広義の免疫療法は効果が証明されておらず、保険治療が認められていない。
そのため患者が全額治療費を支払う自由診療である。
この選択をする場合は〈公的制度に基づく臨床試験、治験などの研究段階の医療を熟知した医師〉にセカンドオピニオンを求めるように注意を促している。

■健康食品の過剰摂取で死に至ることも
吉岡は続けてこう話す。
「患者さんは、そういう不確かなものを頼りたくなるほど不安なのです。
私としては、なぜそれを試したいと思ったのかひとまず気持ちを聞く。
その上で現状で改善できる点を探っていくようにしています。
その後、どのような結論を出すのかは患者さんにお任せします。
今の治療が一番なんですね、と納得して帰ることもあります」

がんを宣告された患者、そして家族の心情は揺れ動くものだ。
だからこそ、安易に言い切ることはしない。
良心的な医療従事者の一つの選択である。

一方、がんに対する免疫療法のように生死に直接関わらない、いや、関わらないと思われているからこそ大胆な宣伝広告を打っているのが、健康食品である。
矢野経済研究所の『2018年版健康食品の市場実態と展望』によると健康食品の市場は緩やかな右肩上がりを続けており、2017年には1.2兆円に膨れ上がった。
健康食品メーカーはテレビを始めとしたメディアの大口スポンサーでもある。
テレビを付ければ健康食品のCMを毎日のように見かける。
とりだい病院も健康食品、サプリメントの過剰摂取により他の医療機関から紹介、あるいは緊急搬送されてくる患者がいるという。

鳥取大学医学部附属病院薬剤部の島田美樹部長は複数の健康食品を長期的に使用する場合、特に注意を払う必要があると警告する。
「たとえば、ダイエット食品。痩せる効果を期待して一種類ではなくいくつかの製品を同時に摂る。
これは、ある成分を重複してしまうことになります。
さらに長期間に亘って摂り続けると肝臓の細胞が死に始め、ひどい場合は劇症肝炎から死に至ることもあります」

簡単に手を出しやすい健康食品も、実は生死に関わるのだ。

■天然成分が身体にいいとは限らない
また、よかれと思って摂取した健康食品が身体に知らず知らずのうちに害を与えることもある。

「例えば沖縄県は長寿県で、みんな○○を含む食品を食べて健康だとされると、その食品の成分を抽出したものが健康食品として出回るわけです。
しかし、長生きで健康なのは、バランスのよい食事のなかで適度にそうした成分を摂っているからです。
その成分が凝縮された製品を日々ずっと摂り続けると、本来ならば肝臓で代謝されて体外に排出されるはずのものが蓄積していきます。
肝臓の働きが追いつかない。結果的に肝臓に負担を掛けてしまうことになります」

天然成分という謳い文句も注意が必要だ。
島田によると、人間を含めた生物は、外来異物に対する適応能力を持つという。
島田が学生の講義でよく使うのは、煙草の葉に生息する芋虫の話だ。
「最初、芋虫はニコチンを含む煙草の葉を食べた時、ニコチン中毒を起こしてぐったりしてしまう。
しかし、これを食べないと生き残っていけないとなると、芋虫の体内にニコチンを解毒する酵素が増えてくるのです。
人間も同じです。
天然成分だから安心、食品として使われているものだから大丈夫というわけではない。
ある程度の量までは適応できるが、それ以上になると体内に蓄積される、あるいは一気に摂ると適応できないという天然成分もあるのです」

■まっとうなことをやると、お金儲けにならない
また実際には効果の期待できない成分を含んだサプリメントも多い。
「グルコサミンは関節の痛みを緩和しない(※)、ヒアルロン酸は肌に浸透しないと散々言われている割にはどんどん商品が出ている。
プラセボ効果なのです。
謳い文句を信じて飲んでいるとよくなったような気になってしまう」

まちがった情報が垂れ流しになっている現在、我々がすべきなのは、疑問を感じたときには信頼できる医師や薬剤師に相談、そして公式機関の見解を慎重に参照することだ。
前出の阪本は一つの見極めは、治療のマイナス面をきちんと説明しているかどうかだと言う。

「自分たちの治療に対して、プラスの情報ばかり与えてくる人は信用したら駄目です。
治らないと一方で言われて、別のところから治ると言われると、人は信じてしまう。
しかし、治るし副作用もないというのはありえない。
うまい儲け話は信用したら駄目というのと同じです」

そしてこう続ける。
「医療って金になると思われているじゃないですか。
でもまっとうなことをやっていると金にならないんです。
ぼくらも新しい治療法を患者さんに届けたいという思いでやっています。
しかし、正規の手順でやっていると、一切お金儲けにならない。
ノーベル賞を獲った人が研究費がない、それが今の現状です。

それにも関わらず適当なやり方で金を荒稼ぎしている人がいる。
そして患者さんも不幸になっている。
こんな馬鹿な話はないと思いますよ」
山中伸弥のiPS細胞研究所への一部補助金の打ち切りが検討されたことは記憶に新しい。
疑似医療が栄え、まっとうな医療従事者が天を仰ぐ。
これも医療の現実である。

※「グルコサミンは関節の痛みを緩和しない」について:厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』「統合医療」

情報発信サイトWEBページ
▼正しい情報を得るときはこちらを参照
日本医師会WEBページ 健康・医療に関する各種情報を提供。健康食品に関する注意喚起も掲載。
・がん情報サイト「オンコロ」WEBサイト 治験・臨床試験を支援事業をする企業の情報提供サイト。 がん医療の情報を分かりやすく発信している。
・国立がん研究センターがん情報サービスWEBサイト 肺がんや乳がんなど、がんに関する詳しい解説や、がんと診断を受けた時から療養に至るまでの情報を提供。
・厚生労働省「健康食品」に関するWEBページ 健康食品に関する詳しい解説や注意喚起を掲載。
・消費者庁WEBページ 健康食品に関する情報を紹介。

『代替医療解剖』 サイモン・シン,エツァート・エルンスト著 青木 薫 訳 2013/9/1新潮社文庫刊
代替医療と総称される治療の数々を歴史背景も分析した上で、科学的な見地からその危険性について追及している。
著者の一人であるサイモン・シンは、本書出版の同時期、英国ガーディアン紙のウェブ版コラムを発表。
その内容が名誉毀損であると英国カイロプラクティック協会に訴えられたが、のちに勝訴した。

        (カニジル編集部)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月18日

テレビドラマ「刑事・医療系が75%」の危険水域

テレビドラマ「刑事・医療系が75%」の危険水域
まだ変わらぬ視聴率至上主義の中高年シフト
2020/01/17 東洋経済オンライン
木村 隆志 :
コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

年明け早々から2020年代最初の連ドラがスタートしていますが、気になるのは放送前の段階から
「相変わらず人が死ぬ刑事ドラマばかりでしんどい」
「医療ドラマばかりで見ていて気が滅入る」などのネガティブな声が続出していること。
それも無理ありません。

今冬は最も視聴者の多いプライムタイム(19〜23時)に放送される16作中、刑事ドラマが6作、医療ドラマが6作という極端に偏ったラインナップなのです。

【刑事(事件)ドラマ】
「絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜」(フジテレビ系、月曜21時)
「相棒」(テレビ朝日系、水曜21時)
「科捜研の女」(テレビ朝日系、木曜20時)
「ケイジとケンジ 所轄と地検の24時」(テレビ朝日系、木曜21時)
「駐在刑事 Season2」(テレビ東京系、金曜20時)
「ハムラアキラ〜世界で最も不運な探偵〜」(NHK、金曜22時)

【医療ドラマ】
「病院の治しかた〜ドクター有原の挑戦〜」(テレビ東京系、月曜22時)
「恋はつづくよどこまでも」(TBS系、火曜22時)
「アライブ がん専門委のカルテ」(フジテレビ系、木曜22時)
「病院で念仏を唱えないでください」(TBS系、金曜22時)
「心の傷を癒すということ」(NHK、土曜21時)
「トップナイフ―天才脳外科医の条件―」(日本テレビ系、土曜22時)

救うにしても死んでしまうにしても 全体の75%が、救うにしても死んでしまうにしても、命をめぐるシリアスなストーリーであり、「しんどい」「気が滅入る」と言いたくなるのも仕方ないのです。
極端に偏ったラインナップになったことで懸念されるのは、若年層のドラマ離れ。

例えば、「アライブ」はがん、「トップナイフ」は脳外科に特化した物語であり、中高年層がターゲットであることは明らかです。
若年層に「がんや脳の病気に興味を持て」「学校や職場から帰ってきたあとに命を救うドラマを見て」というのは無理があるでしょう。
そのほかの刑事・医療ドラマも、ほとんどが中高年層をターゲットにしたもの。
さすがにここまで偏ってしまうと、その中高年層ですら「飽きてしまった」「ドラマはもう見ない」という声をネット上にあげるなど、ドラマ全体のイメージダウンにつながってしまいます。

月曜2作、
火曜1作、
水曜1作、
木曜3作、
金曜3作、
土曜2作と、
ほぼ毎日放送され、「テレビは刑事・医療ドラマ専門チャンネル」と揶揄されるほどの危機的状況は、なぜ訪れてしまったのでしょうか?
 また、どんな改善策が求められるのでしょうか?

刑事・医療ドラマが多いのは今冬にはじまったことではなく、2010年代は何度か全体の約半数を占めることがあり、そのたびに「偏りすぎ」「食傷気味」という声があがっていました。
しかし、今冬ほど極端に偏ったことはなく、それが2020年代の幕開けだったことに危機感を抱かざるをえません。

全体の75%に至った直接的な理由は、テレビ朝日以外のテレビ局で刑事・医療ドラマが増えたから。
もともとテレビ朝日は刑事・医療ドラマが全体の80〜90%を占めていましたが、今冬はテレビ朝日が3作/3作(100%)、フジテレビが2作/2作(100%)、NHKが2作/2作(100%)、テレビ東京が2作/2作(100%)、TBSが2作/3作(66%)、日本テレビが1作/2作(50%)という高比率になったことが原因なのです。
 ※関西テレビは0作/1作(0%)、読売テレビは0作/1作(0%)

なかでも象徴的なのはフジテレビ。
2010年代の低迷で少しでも視聴率を獲得したいだけに、一定の成果が期待できる刑事・医療ドラマの割合を高めているのです。
ちなみに月9ドラマは7作連続で刑事・医療ドラマ(刑事事件を扱う1話完結の「SUITS/スーツ」を含む)が放送され、6作で2ケタ視聴率を獲得したことが、その裏付けとなっています。
さらに、本来は視聴率獲得の必然性が薄いNHKが2作/2作(100%)だったことに驚かされました。

昨年、番組のネット同時配信や受信料徴収の是非が叫ばれる中、大河ドラマや朝ドラの視聴率が下がったことで危機感を抱き、一定の成果が期待できる刑事・医療ドラマに走ったとしても不思議ではありません。
しかし、民放のテレビマンにしてみたら、「NHKまで刑事・医療ドラマで視聴率を狙うなんてひどい」という心境でしょう。

ともあれ、「ドラマの視聴率が大きく下がりはじめた2010年代に、各局がそれを打破すべく試行錯誤を続けた結果、2020年代の幕開けが刑事・医療ドラマが75%に偏ってしまった」という感は否めないのです。

高視聴率ドラマ「トップナイフ」の矛盾
日本テレビが中高年層の支持が厚い天海祐希さんを主演に据えた医療ドラマ「トップナイフ」を手がけることも見逃せません。
「日本テレビは2作/3作(50%)でいちばん低い割合じゃないか」と思うかもしれませんが、同局はスポンサーのニーズに応えて広告収入を得るために、コアターゲットをC層(4〜12歳)、T層(13〜19歳)、1層(20〜34歳)、2層(35〜49歳)に定め、一般的な視聴率にはとらわれず他局とは一線を画すドラマを制作してきました。
つまり、「中高年層向けの番組では、視聴率が取れてもスポンサーからの広告収入が得られないから、コアターゲットから外している」のです。

実際、昨年は他局が二の足を踏む学園ドラマの「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」「俺のスカート、どこ行った?」を続けて放送したほか、異例の2クールミステリー「あなたの番です」で考察合戦を促すなど、目先の視聴率にこだわらず、中高年層以下の視聴者層を獲得しました。

刑事・医療ドラマでも、「白衣の戦士!」の中条あやみさん、「ニッポンノワール」の賀来賢人さんなど主演に若手俳優を起用するなど、他局とはまったく異なる制作方針だったのです。
それだけに、天海祐希さん×医療=ガチガチの中高年向けである「トップナイフ」は意外でしたし、日本テレビの戦略がブレたことに危うさを感じました。

「トップナイフ」は視聴率こそ13.0%ながら、主な視聴者層がコアターゲットではない中高年層だったことで、「広告指標としての評価はあまり高くない」と聞きました。
もちろん視聴率も取れたほうがいいに決まっていますが、これまで支持されてきたコアターゲット(4〜49歳)やスポンサーの期待に応えたとは言えないのです。
いずれにしても、各局が目先の視聴率を追い求めたことで、ここまで偏ってしまったことに疑いの余地はありません。
その結果、ドラマの多様性は失われ、刑事・医療ドラマのイメージは悪化し、若年層どころか30〜40代のドラマ離れにつながってしまった感があります。

クリエーティブなスタッフの流出
刑事・医療ドラマに偏ってしまうことの弊害は、視聴者のドラマ離れだけに限りません。
離れてしまうのは、ドラマを作るクリエーターたちも同様。
今冬は「アンナチュラル」「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)などで知られる人気脚本家・野木亜紀子さんが深夜帯の「コタキ兄弟と四苦八苦」(テレビ東京系)を手がけることで、テレビマンやドラマフリークを驚かせています。

近年はこのような人気も実力もある脚本家やプロデューサーが、視聴率至上主義で刑事・医療ドラマが量産されるプライムタイムを避け、見る人が少なくても自由度の高い深夜帯を選ぶ傾向が加速。
さらには、「カルテット」(TBS系)、「Mother」(日本テレビ系)などを手がけた坂元裕二さんのように深夜帯どころかテレビそのものから距離を取る脚本家もいますし、動画配信サービスなどにやりがいを見いだしてテレビ局を退社するスタッフも少なくありません。

現在プライムタイムのドラマを手がけているクリエーターは、「刑事・医療ドラマの制作に慣れている」「連ドラらしい連続性より、気軽に見られる1話完結の物語が得意」「視聴率獲得のために割り切ったドラマ作りを徹底できる」というタイプが多数派を占めるようになりました。
すなわちプライムタイムのドラマでは、質の高い1点物の逸品を作るクリエーティブさより、少しずつ色や形を変えて日用品を作るそつのなさが優先されているのです。

テレビ局にとって、ドラマを手がけるクリエーターたちは、強みであり宝とも言える存在。
最も多くの人々が見るプライムタイムに、その強みや宝を生かせない現状こそ、危険水域に入ったことの証しなのです。

視聴率獲得を狙うほどガラパゴス化
最後にもう1つあげておきたいのは、刑事・医療ドラマのガラパゴス化。

もともと刑事・医療ドラマは海外でも人気のジャンルであり、海外番販(海外への番組販売)やリメイクという点で期待できるはずなのですが、日本の作品は必ずしも世界各国で受け入れられるとは限りません。
日本国内で視聴率を獲得するために作られた刑事・医療ドラマは、日本人の一定層にだけ響く作品になりがちで、脚本、演出、演技、美術、音楽、放送回数などの面で「海外の人々にフィットしない」というケースが少なくないようなのです。
そもそも「日本国内ですら中高年層以外の支持をなかなか得られない作品を海外の人々に買ってもらうことが難しい」のは当然でしょう。

ドラマというコンテンツそのものは、動画配信サービスの発達と普及によって、世界中の人々に見てもらえるチャンスが広がっています。
だからこそ刑事・医療ドラマを制作するにしても、日本国内で視聴率を獲得するための作品ではなく、クリエーティブなものが求められているのではないでしょうか。

ちなみに今冬に放送されている刑事・医療ドラマ以外の作品には、
謎が連鎖する長編サスペンス「10の秘密」(関西テレビ、フジテレビ系)、
週刊誌が舞台のお仕事ヒューマン作「知らなくていいコト」(日本テレビ系)、
タイムスリップを絡めたファンタジーミステリー「テセウスの船」(TBS系)、
アクションを絡めた痛快ミステリー「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」(読売テレビ、日本テレビ系)。

この4作は高視聴率を獲得できないかもしれませんが、日本テレビがコアターゲットにするなど広告収入につながりやすい4〜49歳の支持は厚く、その点ではそれなりの成果を収めるでしょう。
75%を刑事・医療ドラマが占める今冬では、なおさら希少価値が高く、最後までドラマフリークたちのよりどころとなりそうなのです。

バラエティーも中高年向けで危険水域に
ここではドラマに焦点を当てて書きましたが、危険水域に入っているのはバラエティーも同じ。
目先の視聴率を獲得するために、健康、家事、カルチャー、教養などがベースの中高年層向け番組が増える一方で、若年層の心をつかんでいるとは言えないのです。

ドラマもバラエティーも、まさに大同小異で「テレビはそういうもの」とみなされかねません。
このような極端に偏った状況が続けば、自分に向けて作られたコンテンツを選んで、好きな場所で、好きなタイミングで見られるネットコンテンツに多くの視聴者を奪われてしまうでしょう。

各局に求められているのは、苦しい状況だからこそ広い視野を持つこと。
自社の利益だけでなく、業界の利益につながることができるか?
 目の前の成果にとらわれず、中・長期的な成果を見据えられるか?
指標としてすでに矛盾が生じている視聴率を各局で奪い合っている業界の未来が明るいはずはありません。

「ドラマもバラエティーも似た番組ばかり」というイメージを払拭し、1人でも多くの人に「テレビは面白い」と思わせるには何をすればいいのか。
番組の多様性を取り戻していくことはもちろん、それぞれの質を高めていくことが、広告収入にしろ、視聴収入にしろ、ビジネスとしての成功を収めることにつながるでしょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月19日

ヒートショック対策3つ 湯船に入る際の声にも意外な効果が

ヒートショック対策3つ
湯船に入る際の声にも意外な効果が
2020年01月17日 日刊ゲンダイ

 冬場のお風呂はお父さんにとって天敵。
厚労省によると、入浴中の心肺停止は年間1万9000件(13年度)。
12月から2月にかけ5割が集中しており、ヒートショックが大きな原因とみられる。

トイレや玄関先でのヒートショックを加えれば、おそらく年間で軽く1万人以上の人が命を失っていることになる。
 ヒートショックとは急激な寒暖差に心臓がびっくりし、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすこと。
意外や北海道民は全国で2番目に少なく、香川県や兵庫県など比較的温暖な地域で事故例が多い。

 では、日頃はどんな対策を講じるべきか。
キッチンやバス給湯器で知られる「リンナイ」が池谷医院・池谷敏郎院長(循環器専門医)の監修でヒートショックになりやすい人、そうならないための対策を発表している。
「10の設問のうち、
『暖房はリビングのみ』
『上着やストール等を羽織らずにトイレに行くことが多い』
『運動習慣がない』という人が高い率でいました。
いずれもヒートショック予備群になる生活習慣になります」(リンナイ広報担当者)

 一方、「部屋の乾燥」も危険なひとつ。
暖房で部屋が乾燥すると、知らず知らずのうちに脱水症状に。
その状態で脱衣所やトイレに行けば、フラッと立ちくらみしてしまうのだ。
脱水によって低血圧の状態になり、血液もドロドロになっている。
その意味で、部屋を乾燥させない床暖房は理にかなった暖房機なのだという。

 さらに、ヒートショックにならない3つの対策がある。
「池谷院長はYouTubeで『オネェ体操』という動画をアップしています。

・体をもじもじさせるように小刻みに動かし、乾布摩擦のように血行を促します。
・2つ目は『ほっトマト甘酒』。
甘酒1にトマトジュース2の割合で注ぎ、温かくして飲む。トマトのGABAが高めの血圧を安定させるのです」(前出の担当者)  
・そして3つ目の対策が思わず笑ってしまう。
「昔の親父のように湯船に入る際、または上がる際に『あ〜』とか『う〜』とか大声を出すことが大事のようです。
声を出すことは血圧上昇を緩和する作用があるそうです」(同前)
 あり得ないくらい熱いお湯の銭湯で、おっさんたちが「あ〜」とうめくのは、ちゃんと理由があったのだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(6) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月23日

「意思を尊重する」と言いながら既定路線は決まっている?

【がんと向き合い生きていく】第149回
「意思を尊重する」と言いながら既定路線は決まっている?
1/22(水) 日刊ゲンダイデジタル

佐々木常雄/東京都立駒込病院名誉院長

 コンピューター会社に勤務していたAさん(77歳・男性)が、病院で外来診察を受けて午後になって再度来院されました。
セカンドオピニオンのため、他院への診療情報提供書とCT検査の画像データが入ったCDを取りに来られたのです。
 胃がんの手術を受けてから2年経った今回のCT検査で、Aさんの腹腔内にはごく小さいリンパ節が見られました。
手術した病院で6カ月前に受けたCT検査と比較するために持参する今回のCT画像を書き込んだCDができるのを待っていた時のお話です。

 Aさんは、もしこれが再発である場合は覚悟をしなければならないと思っていました。
「先生! 私はいざとなった時のために『延命治療はいりません』『人工呼吸器はつけません』『胃ろうは作りません』、そう書いたものを仏壇に置いてあります。それでいいですよね?」
 Aさんはそう言うと、さらにこんな話を続けました。  

   ◇  ◇  ◇ 
 3年前のことです。肺がんだった兄が病院から退院して自宅に戻り、「相談があるから来てくれ」と言うので足を運びました。
兄が寝ているベッドの脇に往診の医者と看護師と奥さんがいて、そこに私も加わりました。

 医者が肺がんの治療はもう無理な状態であることを説明した後、
「あなたにとって最善の方法を考えましょう。あなたの意思を尊重しますよ」と言いました。
続けて、看護師が「食べられなくなった時は胃ろうは作りません。人工呼吸器はつけません。なるべく苦しまないように希望する……それでよろしいですね」と、ゆっくり繰り返します。

 兄は一つ一つにうなずき、それと一緒に医者と看護師もうなずいて、それを看護師が記録しています。
 私は黙って聞いていましたが、その時、なんとなく違和感を持ったのです。

医者は「あなたにとって最善の方法を考えましょう。
あなたの意思を尊重する」と言いながら、既定路線は決まっている。看護師が「胃ろうを作らない。呼吸器もつけない」と確認し、兄が同意するのが当然といった感じでした。
なんだか医者や看護師の思い通りに進めるための単なる儀式に思えたのです。

■「生きたい」と思ってもなかなかそうは言えない  
医者や看護師の考え方が、きっと間違っていることではないのでしょう。
ですから、私は反論することもありませんでした。
後で分かったのですが、あれが「人生会議」ってやつだったと思うのです。
でもあれじゃあ、本当の人生会議ではないですよね。

 医者と看護師が帰って兄と私だけになった時、「兄さん、あれで良かったの? 私には『いい治療法があったら探してくれ』と言っていたじゃないか。
もう、探さなくていいの?」と尋ねました。
すると、兄は「いいんだ。最後はあの医者と看護師に頼むしかないのだから」と答えます。

 私は思いました。
 病気になった者は立場が弱い。あんなになると負け組なんだ。
「あなたにとって最善の方法を」と言われても、「なにかいい治療法はないか……生きたい」と心で思っても、なかなかそんなことは言えない。
もし、そんなことを言ったら、きっと「お金持ちでもないのに、あの年寄りがまだ生きたがっている」そう思われるだけなんだ。
「いつでも考えを変えていいです」と言われても、話し合った記録を文書で残すわけだから、これをひっくり返すのはとても大変で、無理ですよ。
「この前、『なにもしない』って希望しましたよね。ここに書いてありますよ」と言われるだけだよね。

  ◇  ◇  ◇ 
 2週間後、Aさんはセカンドオピニオンの返事を持って来院されました。
「小さいリンパ節は、よく見ると前のCTでもありました。
PET検査をしてみましたが、問題はなく、再発は考え難いと思います。
念のため、6カ月後のCT検査を見ていただければと思います」
 不安が解消され、Aさんは大喜びでした。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月25日

生活保護ケースワーク「外部丸投げ」で始まる、福祉現場の崩壊

生活保護ケースワーク「外部丸投げ」で始まる、福祉現場の崩壊
2020.1.24 ダイヤモンドオンライン

みわよしこ:フリーランス・ライター

「福祉事務所の民営化」が 現実になるかもしれない不安
 生活保護ケースワーカー業務は、自治体職員が、自治体の設置した福祉事務所で行う原則となっている。
人間の生死を左右する職務であり、最もデリケートな個人情報を預かる業務であるからだ。

しかし、2019年後半から急激に、外部委託の可能性が現実味を帯びてきた。
「外部委託」という選択肢の提案は、2006年、全国知事会と全国市長会が設置した検討会が行った。
検討会で重要な役割を果たしたメンバーの叙述によると、目標の1つは、政府から見た地方自治体を「陳情団」から「シンクタンク」へと脱皮させることであった。

 とはいえ、この提案には、生活保護費という「コスト」を圧縮することに関する具体的な方策が、「手段を選ばず」という感じで列挙されていた。
日本国憲法、生活保護、そして地方自治の原則と相反する内容も多く、生活保護を深く知る人々からは、「荒唐無稽すぎる」「実現しないだろう」と考えられていた。

 しかし2013年以後、提言の内容は次々と現実化されてきている。
まだ現実化していない残り少数のうち1つが、福祉事務所の外部委託である。
 地方自治体の行政職員たちは、官僚と同様に行政のプロフェッショナルであり、地方の実情と住民の実像を深く知っている。
福祉事務所の外部委託については、どのような思いを抱いているのだろうか。

今年度、厚労省が開催した「生活保護担当指導職員ブロック会議」で取りまとめられた地方自治体の声から、読み取ってみたい。
 厚労省からの質問は、「ケースワーク業務の一部を外部委託することや、非常勤職員が行うことについて、どのように考えますか」
「(外部委託や非常勤職員が行うことに賛成の場合)どの業務について委託や非常勤職員の対応が可能と考えますか」の2段階となっている。

外部委託および非常勤職員によるケースワーク業務の是非については、賛成 44%、反対 26.4%、その他 29.6%であった。しかし、「おおむね半数が賛成している」と考えてよいのだろうか。
内容を詳細に見てみると、疲弊する地域、削られる資金、不足する人員の中で模索する自治体の姿が浮かび上がってくる。

「外部委託」と「非常勤職員」で 自治体の反応に大きな違い
 最初の質問は、ケースワーク業務の一部を外部委託、または非常勤職員に行わせることの是非に関するものである。
しかし外部委託の場合、委託で来た職員に対して直接の指示や指導を行うと、「偽装請負」となる。
このことについては、厚労省が質問で注意を喚起している。

 回答の自由記述欄を見ると、外部委託については「反対」「業務を限定して慎重に」という内容が目立つ。
この点に注目して集計してみると、反対63(50.4%)、「この業務だけなら」などの条件付き賛成34(27.2%)、賛成25(20%)、不明3であった。
どう見ても「賛成多数」とは言えない。

 自由記述欄を見ると、「外部委託してもよい」と考えられている業務には、生活保護法29条に基づく資産調査などの業務に加えて、安定している世帯の訪問調査が目立つ。
単純な業務(通知の封入や入力など)や専門性の高い業務を外部委託したいという意見もあるが、「受給者と関わらない業務なら可」という意見もある。

 生活保護の根幹に関わる決定などのコア業務を「外部委託すべき」という意見は非常に少数であり、しかも政府に対する皮肉とも取れる「生活保護業務を全部一括で外部委託しなくては非効率で無意味」といった意見が混じる。
「システム業務に関する外部委託なら可能」としつつ、そのシステムは「国が」「全国統一のシステムを導入」し、「運用する委託業者の指定・管理」をすることを求める自治体もある。

 現在のところ、生活保護業務は外部委託できない。
非常勤職員は、「生活保護世帯80世帯に対してケースワーカー1人」という基準の“頭数”には含まれない。
しかし、外部委託も非常勤職員の配置も、実態として進行してしまっている。

現状追認を求める自治体に 国はどう対応すべきか
 1990年代以来の地方分権改革により、地方自治体では人員も資金も不足が続いている。
必要に迫られて致し方なく判断するのであれ、新自由主義推進のために積極的に判断するのであれ、いずれにしても「福祉事務所のケースワーカーを含め、正規雇用の職員を増やす」という“王道”は選択しにくい。

 中には、「正規職員は不足しており、定期異動もあるため、専門性と特殊性を持った法人がケースワークを行うべき」という意見もある。
その自治体の正規職員の役割は、外部委託先に仕事をさせる、鵜飼いの鵜匠のようなものなのだろうか。

 働ける年齢層に手厚いケースワークを行って就労を促進し、高齢者は生存確認プラスアルファ程度に留めるという“割り切り”を表明している自治体もある。
しかも、高齢者のケースワークはすでに外部委託しているという。
同様の”割り切り”を迫られた自治体は全国にいくつかあるけれども、堂々と表明する自治体は限られる。
この自治体は、自由記述欄で「大阪府」であることを表明している。

筆者としては「やっぱりね」なのだが、現在、不適切とされる運用に関する“開き直り”はいただけない。
 障害者や高齢者に関して介護事業所と連携し、「訪問調査回数として計上可にしてほしい」という自治体もある。
専門性が高い事業所との連携は必要だが、ケースワーカーによる訪問調査まで任せることには疑問を感じる。

障害福祉や介護が生活保護とは一応は切り離されていることが、本人にとっての救いとなる場面もあるはずだ。
 ともあれ、人員削減を強いられている以上、法も制度も整備されていない現状の中では、外部委託や非常勤職員に頼らざるを得ない。
人員削減を強いているのは、今回このアンケートを行っている厚労省、そして政府である。
自由記述欄には、このことに関する意見もある。
「人事がなかなかケースワーカーを増員しない。
最低限の確保のために非常勤職員の採用を考えなくてはならない。
そうすると、職員不要ということにされるだろう」
「非常勤職員を採用すると、正規職員が増員されなくなる」

 筆者には、行間から「真綿で首を締め続けているのは、どなたでしょうか?」という皮肉を含んだ怨念のつぶやきが浮かび上がってくるように感じられる。
さらに、期待される負担軽減やコストカットなどの効果に対する疑問の声もある。
「最終的には正規職員が判断することになり、負担軽減にはつながらない」
「深刻な人員不足である。外部委託すると、指揮命令や職種多様化でさらに業務が困難になる」
「採用、労務管理、委託業者への指示など、正規職員の仕事が増える」
「業務内容や裁量による判断が多い。すべて契約書に書くことは難しい。外部委託は無理」

 地域と業務の現場に向き合っている各自治体の人々だからこその、具体的な「対案」もある。
「ケースワーカーの負荷は、業務の簡素化で減らすべき」

「現状は、どこの誰の責任?」 声にならない自治体の憤懣
 現在の生活保護業務は、不正受給対策や就労促進など数多くの名目のもとで、複雑になりすぎている。
しかしケースワーカーたちは、求められる業務をこなすしかない。
2013年と2018年の生活保護法改正、および改正された法に基づく数多くの規定が要求しているからだ。
「ケースワークの効率化は、システムの一元化、他自治体への委託、複数自治体での福祉事務所の共同設置などで行うべき」

筆者は、「国は、国自身の役割や地方の権限拡大や業務の効率化を、何であると考えているのでしょうか?」というメッセージを行間に読み取った。
 ケースワーク業務の「外部委託」という文言を見ただけで、自治体福祉の外部委託や指定管理に食い込んでいる巨大企業の社名を思い浮かべる方もいることだろう。
しかし、企業名が透けて見えるほど具体的な外部委託について考える前に、行政として、自治体として、そして政府として、すべきことがありそうだ。

外部委託や不安定雇用の職員に ケースワーク業務は任せられるか
 非常勤職員の導入に関する各自治体の回答は、賛成51(40.8%)、条件付き賛成22(17.6%)、反対30(24.0%)、不明22(17.6%)であり、外部委託よりは受け入れやすいようだ。
反対の理由は主に「目が届かない」「業務の質が落ちる」というものだが、退職した職員を再任用している場合、そうなるとは限らない。
経験者の再任用に関しては、現在は行っていないと見られる自治体からも「賛成」の声がある。

 とはいえ、深刻な人材不足に悩む地方からは、「外部委託や不安定雇用の職員がケースワーク業務を?」という声もある。どの業務でも、「とりあえず頭数が揃っていれば、いないよりはマシ」ということはないであろう。
生活保護ケースワークは、特にそうであるはずだ。

 そもそも、必要な「雇われ力」を持った人が一定数いるという前提がなければ、「必要とされる能力を持った人に、必要なときだけ業務に就いてもらう」という選択肢は存在しない。
疲弊し人材難に苦しむ地方では、正規雇用と人間らしい生活を営める業務量、さらに時間をかけた教育が「正解」ということになるのかもしれない。
国の役割は、それが可能な分配を行うことではないだろうか。

 まずは、地域の自治体のありように目を向けよう。
地方選挙に行き、首長や議員を選ぼう。
今後も住んでいたい地域が維持されることは望ましくても、「税金が高すぎて住んでいられない」ということになっては困る。
そして、民主主義のもとで住民にできることは多い。

(フリーランス・ライター みわよしこ)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

血圧の基準値 140以上で受診勧奨だが150でも妥当と専門医

血圧の基準値 
140以上で受診勧奨だが150でも妥当と専門医
2020年01月25日 NEWSポストセブン
小だぬきさんimg.jpg
 毎年、多くの人が受ける健康診断。
切り離せないのが「基準値」だ。
血液検査や血圧検査の結果は、数値の一覧表として渡される。
その表では各検査項目に定められた基準値に沿って、「正常」「要注意」「要精密検査」といった判定が下され、患者は表をまじまじと見つめて「思ったより良かった」「もうダメだ」などと一喜一憂してしまう。

 だが数値だけに振り回されてはいけない。
NPO法人医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師が指摘する。
「検査そのものは受診後の健康管理に役立つ有益なものですが、そこで示される基準値はあくまで“目安”だということを理解しておかなければいけません」

 そもそも健康診断における基準値は、各臨床学会のガイドラインなどをもとに厚労省が定めている。
健診後に生活習慣病改善のための保健指導が必要となるレベルは「保健指導判定値」、
重症化防止のための治療が必要となるレベルは「受診勧奨判定値」として示される。

 例えば高血圧については、上の血圧(収縮期)が130mmHg以上なら保健指導の対象、140mmHg以上なら受診勧奨となる。
「たとえば、親を脳卒中で亡くしている人は、血圧が140程度でも脳卒中リスクに注意したほうがいいでしょう。
一方で、かつて血圧の基準値は『年齢+90』といわれ、現在でも家族歴のない高齢者の血圧が高い分には問題ないとする見方もあります。
 薬で血圧をむやみに下げると血流が悪化して血栓ができやすくなり、脳梗塞が発生しやすくなるともされる。
基準値は判断の目安として必要ではありますが、“絶対に正しいもの”ではありません。
血圧が140でも医師が降圧剤を処方するケースもあれば、150でも投薬なしという判断はあるのです」(同前)

“基準値を超えても健康な人は多く存在する”ということを統計的に示したデータもある。
日本人間ドック学会が2014年に発表した約150万人の検査の解析結果では、「上の血圧が147でも健康」という結果が出たのだ。
人間ドック学会は血圧の他に27項目についてこの基準範囲を示している。

 健康診断の数値に詳しい、東海大学名誉教授の大櫛陽一氏がこう語る。
「私が全国約70万人の健診データを解析した結果では、55〜59歳の健康な男女の血圧上限は160mmHgでした。
人間ドック学会の発表も踏まえたうえで言えることは、『現行の基準値である140mmHgは厳しすぎる』ということでしょう。
私は、血圧は年齢プラス90〜95が妥当で、60歳なら150〜155までは問題ないと考えています」

※週刊ポスト2020年1月31日号
posted by 小だぬき at 13:19 | 神奈川 ☁ | Comment(8) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月26日

この国で「長時間労働」がまかり通る本当の理由

この国で「長時間労働」がまかり通る本当の理由
2020年01月25日 PRESIDENT Online

なぜ過労死や長時間労働の問題はなくならないのか。
弁護士の明石順平氏は「労働基準法にはさまざまな抜け道がある。
また違法残業の罰則は企業に甘く、事実上ブラック企業は野放しだ」という――。
※本稿は、明石順平『人間使い捨て国家』(角川新書)の一部を再編集したものです。

■原則は「1日8時間、1週40時間」以内
労働基準法(以下、労基法)の原則では、1日8時間、1週40時間以上労働させてはならないことになっている(労基法32条)。
また、休日は週に1日又は4週で4日以上である(同法35条)。
休日の決まりはこうなっているものの、1週40時間という縛りがあるので、多くの会社は土日休みの週休2日制を取っている。

使用者が、労働者の過半数で組織する労働組合か、それが無い場合には労働者の過半数を代表する者との書面による協定を締結して労基署にこれを届け出た場合、この「1日8時間、1週40時間」を超える残業や、休日労働をさせることができる。
この決まりが労基法36条に規定されているので、一般に「三六(サブロク)協定」と呼ばれている。
そしてこの協定は事業場ごとに締結する必要がある。

この三六協定であるが、そもそもこれすら締結していない企業が非常に多い。
やや古い統計になるが、厚労省の平成25(2013)年労働時間等総合実態調査によると、三六協定を締結していない事業場の割合は44.8%にものぼる。
これを日本の企業の99%超(従業員数でいうと約70%)を占める中小企業に限定すると、なんと56.6%が三六協定を締結していない。

■「三六協定」がなければ1分でも違法残業
締結していない理由は「時間外労働・休日労働がない」が43.0%と一番多いが、皆さんはこれを信じられるだろうか。
私はとても信じられない。
締結していなければ1分労働時間がはみ出しただけでも違法なのだから、締結しない理由が無い。
ただ単にめんどくさかったから、というのが本当の理由ではないかと思う。

一方、2位以下を見ると、「時間外労働・休日労働に関する労使協定の存在を知らなかった」(35.2%)、「時間外労働・休日労働に関する労使協定の締結・届出を失念した」(14.0%)、「就業規則等で規定を設けるのみで十分と思っていた」(1.0%)となっている。

1位の理由に比べればまだこちらの方があり得る。
特に規模の小さい企業の経営者の場合、本当に法律に無知な場合が多く、まさに「俺が法律」となっていることがある
三六協定すら締結しない企業が、残業代をきちんと払うだろうか。
私はそうは思わない。
この三六協定締結率の異常な低さは、極めて多くの残業代不払いが発生していることを推認させると言ってよいだろう。

■抜け道で残業時間は青天井だった
そもそも締結すらしていない企業が全体で4割を超え、中小企業に限っては約6割にのぼるこの三六協定であるが、協定の際には上限を決める必要がある。
では、その上限は労使で合意さえすれば限界はないのか。

2019年4月に改正労働基準法が施行される前までは、この上限について、大臣告示(平成10年労働省告示第154号)が存在するだけであった(図表1)
ざっくり言えば、1カ月45時間、1年360時間ということである。
1カ月45時間だとおおむね毎日2時間程度の残業になる。
なお、年合計360時間以内に収めるという縛りがあるので、毎月で平均すれば残業を30時間以内にする必要がある(360時間というのは、45時間を単純に12倍した数字ではない)。
それだと、毎日の残業時間はだいたい1時間20分程度にしなければならない。

ただ、これはあくまで大臣告示なので、法律と同じ拘束力を持つわけではない。
その上、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合、「特別条項」を設ければ、限度時間を超えられる、という抜け道が用意されていた。
そしてこの抜け道がフル活用されていたのである。
すなわち、残業時間は事実上、青天井という状態であった
図表2は特別延長時間の上限についての調査結果である。

■過労死ライン超えが許されていた
特に大企業に注目していただきたい。
特別条項付き三六協定を締結している企業の割合は58.6%にも達し、うち過労死ラインである80時間を超えるものは14.6%、100時間を超えるものが3.9%もある。
かつては特別条項を設けさえすれば、過労死ライン超えの残業をさせることが可能な状況だったのだ。
これでは意味がない。

なお、中小企業はその割合が小さくなっているが、これは、先ほど指摘したとおり、中小企業の場合はそもそも三六協定自体締結していない企業が約6割を占めているからであろう。
大企業より中小企業の方がマシというわけではない。
私の経験から言うと、大企業と中小企業の違いは「文書が整っているかどうか」に過ぎず、異常な長時間労働をさせるという点はまったく同じである。
企業規模が大きくなれば、法務部門にも人的リソースをかけることができるので、文書だけはきちんと整っている。

■法改正で青天井は解消されたが…
2019年4月から改正労働基準法が施行され、従前は大臣告示で定められているだけだった前述の上限時間が法制化された(ただし、中小企業への適用は2020年4月から)。
原則は1カ月45時間、1年360時間である。
特別条項を付ければこの上限を超えられるが、従前とは異なり、この特別条項による延長時間にも上限が設けられた(図表3)
つまり、青天井状態は解消された。

非常にややこしいのだが、この特別条項の限度時間規制を要約すると次のとおりである。

@時間外労働が年720時間以内
A時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
B時間外労働と休日労働の合計について、「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」がすべて1カ月当たり80時間以内
C時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6カ月が限度

@については、「休日労働時間が含まれない」という点がミソである。
なぜか休日労働の時間が除外されているため、大幅に時間が削られてしまう。
A〜Cの規制は、要するに過労死ラインに到達しないようにしろと言っている。
裏を返せば、過労死ラインまでの残業が許容されているということである
月45時間という原則は、年6カ月までなら超過できてしまう。

■過労死や過労うつは簡単に無くならない
これで過労死や過労うつがなくなるのだろうか。
私は到底そうは思えない。
「過労死ライン」というのは、「そこに到達しなければ全部セーフ」というものではない。
人によってストレス耐性には差があるし、過労死の認定に当たっては、労働時間以外のほかの要素も考慮されるからである。

現に、月50時間台の残業で労災認定されたケースもある。
また、中小企業への上限規制適用は2020年4月からであるが、それ以外に、上限規制の適用が5年間猶予される業務がある(図表4)
このうち、建設事業と自動車運転の業務は、いずれも脳・心臓疾患の労災認定件数の上位を占めている「過労死・過労うつの発生件数が多い」業種である(図表5)

見てのとおり、道路貨物運送業(中分類)は圧倒的に1位であり、道路旅客運送業(中分類)も5位に入っている。
また、建設業も、大分類で「建設業」に分類されるものが、6位、8位、14位に入っており、上位に位置する。
このような状況であるにもかかわらず、これらの業種に対する上限規制は5年も猶予されてしまうのだ。

■人命、安全よりも長時間労働が優先された
これはだれにとっても他人ごとではない。
これらの業種に従事する労働者たちの命が危険にさらされることはもちろん、疲労困憊したドライバーが運転する事故に巻き込まれたり、疲労のため施工ミスをした建物が倒壊するといったケースがあることを想像してほしい。
人の命よりも、安全よりも、長時間働かせることが優先されてしまっている。

さらに、医師についても、以前から長時間労働が問題視されているにもかかわらず、上限規制が5年間猶予されてしまっている。
人々の命を助ける医師自身の命が危険にさらされているという状況である。

そして、新技術・新商品等の研究開発業務については、上限規制の適用が、猶予ではなく、単に除外されている。
なお、この業務につき、1週間当たり40時間を超えて労働した時間が月100時間を超えた労働者に対しては、医師の面接指導が罰則付きで義務付けられた。
事業者は、面接指導を行った医師の意見を勘案し、必要があるときには就業場所の変更や職務内容の変更、有給休暇の付与などの措置を講じなければならないとされている。
しかし、このような措置が歯止めになるとは到底思えない。

以上のとおり、上限が定められ、以前よりはマシになったと言えるかもしれないが、多くの抜け道が用意されており、極めて不十分である。

■企業側に甘すぎる罰則
三六協定を締結しないで残業させた場合や、締結しても前述の上限を超えて残業させた場合の罰則はどうなっているのかというと、懲役6カ月又は罰金30万円である(労基法119条)。
懲役刑が科されることはまず無いので、事実上は罰金のみ。
なお、この罰則は残業代不払いについても同じである。

行き過ぎた長時間労働は人の命にかかわることであるにもかかわらず、それを規制する法律に違反した場合の罰則がたったの30万円なのである。
こんな軽い罰則だと、三六協定の締結すらしない企業が大量発生し、残業代不払いも無くならないのは当然であろう。

■電通への罰金「たったの罰金50万円」
あの高橋まつりさんの過労死事件も、電通に科された刑事罰はたったの罰金50万円であった(遺族に対する民事的な賠償は別途されている)。
なお、なぜ30万円を超える金額になったかというと、次の理由による。
電通が起訴された事件は、高橋まつりさんを含む4名の社員に対し、三六協定で労使が定めた上限を超える残業をさせた(労基法32条違反)というものであった。
このような場合、罰金刑の上限は、単純に4名分を合算することになるので、30万円×4=120万円となる。 つまり、法定の上限からすると、70万円も減額されていることになる。
尊い命が奪われたにもかかわらず、このような軽い刑で済ませて良いのだろうか。

■国の姿勢は「企業優先」「人命軽視」
確かに実務上はどんな刑罰であれ、上限いっぱいの刑が科されることは稀であるものの、そもそもその上限が低すぎる
したがって、そこからさらに軽くする必要性はあるのか非常に疑問である。
50万円など、電通にとっては痛くもかゆくもない。
この罰則の異常な軽さは、次のとおり、ほかの法律と比較すると際立つ。

・著作権法の場合、著作権侵害に対する罰則は10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金。
法人に対する罰金は最高で3億円。
・特許法の場合、特許権侵害に対する罰則は10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金。
法人に対する罰金は最高で3億円。
・金融商品取引法の場合、有価証券報告書の重要事項に虚偽の記載のあるものを提出した場合は10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金。
法人に対しては最高で7億円の罰金。

このように、いずれも個人に対する法的責任の上限は10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金となっており、法人に対しては、著作権法及び特許法が3億円、金融商品取引法については7億円にも達する。
これらと比較すれば、罰金30万円など無に等しい。
これら3つの法律に共通するのは、このように罰則を重くしないと、企業の営業活動に大きな支障が出る点であると思われる。他方、その企業を支える労働者に対する保護は、恐ろしいほどに軽く見られている
「企業優先、人命軽視」というこの国の姿勢が透けて見える。

----------
明石 順平(あかし・じゅんぺい) 弁護士
1984年、和歌山県生まれ、栃木県育ち。弁護士。
東京都立大学法学部卒業、法政大学法科大学院修了。主に労働事件、消費者被害事件を専門に弁護を行う。ブラック企業被害対策弁護団事務局長。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月27日

医師と製薬会社社員が「絶対に飲まないクスリ」

医師と製薬会社社員が「絶対に飲まないクスリ」
2020年01月26日 PRESIDENT Online

病院や診療所で医師から、飲みきれないほどのクスリを処方されることがある。
忘れてはいけないのは、クスリには必ず副作用が伴うこと。
いま飲んでいるクスリは大丈夫か。
クスリに精通する医師や製薬会社社員に「本音」を聞いてみた。

■高くても飲みたいクスリ、自分では飲まないクスリ
これから飲むクスリが効くか効かないか、飲んでみなければわからない。
だが、失敗はしたくない。
そこで、クスリを処方する側の医師、クスリを開発・製造する側の製薬メーカーの関係者に飲みたいクスリ、飲まないクスリについて率直に聞いてみた。

医師や、製薬会社の社員は、仕事柄、本当は飲んでいいクスリ、飲んではいけないクスリを熟知しているのではないだろうか。
現在わが国の保険診療で使われている医療用医薬品はおよそ1万6000品目あるといわれている。
今回は、生活習慣病、がん、感染症、うつ病、骨粗鬆症、認知症、風邪、痛みなどの治療で使われる薬剤を中心にまとめる。

▼降圧薬・血糖降下薬・コレステロール低下薬
生活習慣で治せる病気に、クスリはいらない
降圧薬には現在、ARB阻害薬、ACE阻害薬など、血管を拡張させて血圧を下げるものが多い。
だが、ただ数値を下げるために副作用のあるクスリを飲み続けるのはよくない。
「日本ではARB阻害薬がよく飲まれていますが、より効果が高く薬価が安いACE阻害薬は、アメリカやヨーロッパでは人気があります」というのは、製薬メーカーの元営業マンのA氏だ。

A氏自身が高血圧でACE阻害薬を服用しているという。
糖尿病で怖いのは、高血糖の状態が続くと、血管が傷つき合併症を引き起こしやすくなること。
脳や心臓の血管で動脈硬化が進むと脳梗塞や心筋梗塞が起きやすくなる。
糖尿病も高血圧も、治療はまず食事療法と運動療法を行い、効果がない場合は薬物療法を行う。

福岡徳洲会病院人工関節・リウマチ外科センター医長の陳維嘉氏は「糖尿病の治療でよく使われているSU薬やグリニド薬などは、食事療法や運動療法がきちんとできないと低血糖になるリスクがあり、生活が不規則な自分が患者なら飲みたくないクスリです」ときっぱりという。

コレステロールは体の細胞膜の主要な材料であり、副腎皮質ホルモンや性ホルモンなどの原料だが、増えすぎると血管壁にたまって動脈硬化が起きやすくなる。
ナビタスクリニック川崎(神奈川)の内科医、谷本哲也氏は「血糖値やコレステロール値が少し高いぐらいであれば、クスリに頼る前にまず生活習慣を見直すべきです。
治療にかかる費用をトレーニングジムに回すなどして、できるだけ運動を」と勧める。

A氏は「病気は自覚症状が強いほどクスリに頼りたくなります。
生活習慣病の多くは自覚症状が乏しく、その結果心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしやすくなります」と話す。
クスリに頼らず、文字通り「生活習慣」を変えることを第一に考えるべきだろう。

▼抗がん剤・白血病
■治るクスリの登場で、治療がガラッと変わった
近年、抗がん剤の開発は目覚ましい。
最近では、免疫の反応を強化してがん細胞を攻撃する免疫療法の実用化が進んでいる。
その代表が免疫チェックポイント阻害薬だ。
オプジーボは現在、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がんなど、7種類のがんで保険が適用され、さらに適応が広がっている。

A氏は「オプジーボやキイトルーダなどの免疫チェックポイント阻害薬が開発されて、以前なら余命数カ月の患者でも、生存期間が3〜5年延長する時代になりました。
がん克服にさらに一歩近づいた画期的なクスリだと思います」と評価する。

不治の病と恐れられていた白血病の治療も分子標的治療薬のグリベックやイレッサによって大きく変わり、治癒が望める病気になってきた。
谷本氏も「もし私が白血病にかかったら、グリベックを飲むと思います」という。

▼風邪薬・胃腸薬・肝炎
■日本では抗生物質を3〜4割減らすべき
風邪は主に、ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルスなどのウイルス感染により発症し、原因の多くは細菌ではない。

細菌性の病気には抗菌薬(抗生物質)が処方されるが、ウイルスに抗菌薬は全く効果がない。
また、風邪のウイルスに有効なウイルス薬はほとんどない。
しかし、念のために抗菌薬が使われがちで、クスリに対する抵抗性を持った菌(薬剤耐性菌)の出現が世界中で問題になっている。
「日本でも抗菌薬をムダに使いすぎる傾向があり、3〜4割は減らすべきでしょう。
薬剤耐性菌が蔓延すると、以前は治っていた感染症が致命的になる恐れもあります」と、谷本氏は警鐘を鳴らす。

胃腸薬は進化を遂げている。
治療薬としてプロトンポンプ阻害薬(PPI)、H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)などがよく使われる。
A氏は「H2ブロッカーの登場によって胃潰瘍の手術がほとんどなくなりました」と話す。
ガスターなどが代表的なクスリだ。

C型肝炎も画期的なクスリで治る病気になった。
C型肝炎ウイルスに感染して慢性化すると、やがて肝硬変から肝臓がんへと移行していく。
薬物治療は、DAA内服薬の登場で大きく変わった。
DAAは高価なクスリで薬剤費は100万円単位でかかるが、外資系製薬会社に勤務するB氏は、「適切な治療薬を選択すれば、ほぼ完治するようになりました。
C型肝炎になったら迷わずソバルディやハーボニー配合錠の治療を受けます」と話す。

▼鎮痛剤・骨粗鬆症治療薬
■クスリで痛みを取るほうが、治療が効果的になる
慢性痛は治りにくく、薬物治療も一筋縄ではいかない。
陳氏は、「痛みを我慢することで日常生活に支障が出るので、我慢しないこと。
痛みを我慢して増悪してから鎮痛薬を飲むと効果が薄れます。
痛みが生じたらすぐクスリを使うと効果的」とアドバイスする。

痛みの治療に使われるクスリには、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン、ステロイド、麻酔薬など、さまざまなものがあるが、「私は鎮痛薬ではロキソニン、ボルタレン、アスピリン、バファリンなどのNSAIDsより、副作用が少ないアセトアミノフェンを処方することが多い」というのが谷本氏の治療方針。

陳氏も「NSAIDsには消化管潰瘍などの副作用があるので要注意です」と話す。

骨粗鬆症の治療でよく使われているビスホスホネートは骨を壊す破骨細胞を抑制する作用がある。
骨は、骨を作る細胞と壊す細胞が常に再生と破壊を繰り返している。
このバランスが崩れて、骨を壊すほうに傾くと骨の強度が低下する。
これが骨粗鬆症だ。

ビスホスホネートについて陳氏は「安価で費用対効果に優れたクスリ」と評価する。
だが、クスリを飲む前に、「普段運動しない人、糖尿病の人、ステロイドを毎日5ミリグラム以上3カ月以上投与されている人は骨粗鬆症の予防が必要です」と注意を促す。

「予防は運動することと、食事やサプリメントなどでビタミンDを摂ること。
骨粗鬆症は生活習慣の改善である程度防げる病気です。
私自身、生活習慣で治せる病気ならクスリは飲みたくありません」。

▼抗うつ薬・認知症治療薬・睡眠薬
■向精神薬は、死ぬまで飲むようになっている
うつ病の治療薬は、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI、SNRI、NaSSAなどがある。
ベスリクリニック(東京)の理事長で産業医の田中伸明氏は、「抗うつ薬など向精神薬の選択基準は効果があって、副作用が少ないこと。
最も重視すべきは服薬を中止しやすいことです」と指摘する。

「SSRIのパキシル、デプロメール、ルボックス、SNRIのサインバルタなどは副作用が強く、服薬を中断すると離脱症状が現れるために、やめるにやめられないクスリです。
生涯にわたって服薬するようになっています。
私は、効果があって、副作用が少なく、離脱しやすいクスリ、SSRIならレクサプロ、ジェイゾロフト、SNRIならイフェクサーなどを処方しています」。

認知症の治療薬には、アリセプト、レミニール、リバスタッチ(イクセロン)、メマリーの4種類があるが、いずれも根本的に治す効果はない。
飲むと攻撃的になるような副作用も見られる。

「認知症に対しては、今も治せるクスリが出ていない」(B氏)。
薬物の依存症で精神科に入院する原因として覚せい剤・危険ドラッグに次いで多いのが抗不安薬・睡眠薬といわれている。

「抗うつ薬と同じく離脱が難しいデパスやエチゾラムは処方せず、依存性の弱いマイスリー、ロゼレム、ベルソムラなどを処方します」(田中氏)。
同クリニックでは、精神疾患の治療に磁気刺激治療(TMS)を行っている。
TMSによる“脳のマッサージ”と薬物を併用した治療を短期間で集中的に行い、急性期を乗り切ったら、脳のトレーニングを始めることで、うつ病や発達障害、PTSDが「クスリに頼らない」で劇的に改善するという。

▼ジェネリック
■製薬会社社員は、ジェネリックを飲まない
医療用医薬品は、新医薬品(先発薬)とジェネリック医薬品(後発薬)に分けられる。
先発薬と同じ有効成分を含み、有効性・安全性が先発薬と同等であるとして国から製造・販売が認められたのがジェネリック医薬品だ。

ただ、有効成分以外にも、製法や製造にも特許があり、これらの特許が切れなければ同じ添加物を用いたり、同じ工程で製造したりすることはできない。
そのため、ジェネリック医薬品は厳密には先発薬とは異なっている。

谷本氏によると、ジェネリック医薬品は製薬メーカーが国内の自社工場で製造するばかりでなく、中国やインドなど海外から原料や製剤を輸入して製造されるケースが増え、工程の不備で発がん性物質が混入し、製品が回収される事態も起こっているという。
「先発薬のメーカーが同じ工場で製造する、オーソライズドジェネリック(AG)と呼ばれる後発薬は比較的信頼性が高いといえそうです」(谷本氏)。

抗てんかん薬、抗がん剤、抗真菌薬以外は自社製品をすべて飲んだというA氏も、ジェネリックには抵抗があるという。
「正直なところジェネリックは避けたいですね。
できれば先発薬が安心です」と本音を明かす。

B氏は「診療報酬ではジェネリックを使用することで保険点数が加算されるようになっています。
それでも製薬メーカーの社員の中にはジェネリック医薬品は絶対に飲まないという人もいます」。
同じ治療薬なら古い薬より新薬を使ってみたいと思うのは医師も患者も同じだろう。
しかし、谷本氏は「新薬は効果の点で期待できても、まれな副作用のデータが少なく値段も高いので、安易に飛びつくのは勧められません。
クスリには、副作用はつきものです。
新薬の発売後、半年から1年ぐらいたって使用経験の情報が集まるまで待つのも1つでしょう」と釘を刺す。

----------
谷本哲也 石川県生まれ。鳥取県育ち。
九州大学医学部卒業。内科医。
探査ジャーナリズムNGO・ワセダクロニクルと医療ガバナンス研究所の共同プロジェクト、「製薬会社と医師」に参加。
著書に『知ってはいけない薬のカラクリ』など。

陳 維嘉 中国・上海市出身。
1997年、九州大学医学部卒業。
2005年、九州大学医学部医学博士。
日本整形外科学会専門医。
現在は、福岡徳洲会病院人工関節・リウマチ外科センター医長。
国際医療支援室室長を務める。

田中伸明 熊本県人吉高校出身。
鹿児島大学医学部卒業。日本神経学会認定医。
厚生労働省、外資系コンサル会社などを経て、現在、心療内科ベスリクリニック理事長。
ビジネスパーソンのメンタル障害の解決に尽力している。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月12日

小太りは長生きする?「内臓脂肪=悪」は間違った認識かも

小太りは長生きする?
「内臓脂肪=悪」は間違った認識かも
2020年02月11日 SPA!

◆痩せすぎは早死にのリスクが高く、小太りこそ長寿の秘訣!?
「メタボ肥満は万病のもと、痩せれば健康!」などと脅されて、右往左往する姿は痛々しい。
だが、そんな痩身迷子たちに朗報だ。
最新の調査から、その努力は必要ないようなのだ。

◆小太りは長生きする……その医学的根拠が判明!?
 歴史を振り返れば、’80年代に一世を風靡した「りんごダイエット」や「ゆで卵ダイエット」に始まり、昨今では「糖質制限ダイエット」や「サバ缶ダイエット」など、毎年のように新しい「○○ダイエット」がテレビや雑誌を賑わせている。
ネット上ではさらに珍奇なダイエット法が怪しげな効果効能を謳っており、いまや我が国は一億総痩せ体形を目指して突っ走っているかのようだ。

 東京都健康長寿医療センター研究所は、’87年から東京大学および米ミシガン大学と共同で、60歳以上を対象にした追跡調査を実施している。
その最新の結果(’17年)によれば、肥満指数(BMI)の低い痩せ形は死亡リスクが高い一方で、軽度や中度の肥満であればリスクは変わらなかったのである。
 この傾向は働き盛りの40〜59歳の中高年世代でも同様で、国立がん研究センターの研究者らが、すでに’02年に論文を発表している。

それによると、最も死亡リスクが高いのは男女ともにBMIが最も低い層である14〜18.9の層だったことが判明した。
BMIとは、健康診断の際、肥満や低体重の判定に使用されるもので、「体重(s)÷身長(m)の2乗」で算出される。WHO(世界保健機関)による肥満度判定基準では、18.5〜25未満を普通体重と定めている。
これを日本人に当てはめ、平均身長を170cmとすると体重53〜72sにあたるのだ。
 だが、このレンジに入っている人々の死亡リスクは、一部を除いて軒並み高い。
つまり、苦労して痩せるよりは、BMI 23〜26.9、体重換算で66〜78sの小太り体形のほうが死亡リスクが低いのである。

 こうした調査結果に大きく頷くのは、外科医の今津嘉宏氏。
これまで数々のがん手術を扱ってきた今津氏は「小太りな人は健康」を現場で実感してきた。
「ここで注意したいのは男性のほうが、より『小太りは健康』の傾向が強いことです」

◆「内臓脂肪=悪」は間違った認識!?
 確かに男性のほうが女性よりもBMI 23〜26.9の人の死亡リスクが底を打つように低くなっているのがわかる。
「世間には、『太るのは悪』と考える人が多いですが、『小太りこそ健康で長生き』というのは外科の現場では一般的な考え方です。
術後の経過をよくするにはどうすればいいか外科医は長年にわたって考えてきました。
 その結論として言えるのは、やはり痩せている人よりも小太り気味の人のほうが、術後の体調もよく、傷の治りが早いのです。
だから患者さんには『肉を避けて野菜中心に食べるなんてことをしてたらすぐに死ぬ。ちゃんと食事をして、体重を増やさないとダメですよ』と必ず説明しています」

 もちろん病気になる前の段階でも、小太りは命を守ってくれる。
「人は食べないと栄養を取れずに死ぬ。
当たり前のことですが、痩せている人というのは、生きるために必要な栄養が不足しています。
そうすると病気への抵抗力が弱まりますから、治りも悪くなります。
死亡リスクが高いのは当然でしょう。

 一方、小太りの人は、病気に対する貯金をたくさん持っていると考えてください。
不規則な生活の人であっても、しっかりごはんを食べて小太りになれば病気のリスクを抑えられます」
 さらに、メタボの脅しとセットで語られがちな超悪玉・内臓脂肪も、健康にプラス効果をもたらすことがあるという。

「内臓脂肪は、脂肪をため込む白色脂肪細胞と、脂肪を燃焼させる褐色脂肪細胞から構成されています。
実は内臓脂肪が増えると、白色脂肪細胞から動脈硬化や糖尿病を防ぐ効果のあるアディポネクチンという善玉物質が分泌されるのです。
しかし、肥満状態になってしまうと、白色脂肪細胞が肥大化して数も増加し、善玉物質の分泌が減り、代わりに悪玉物質が生成されるので要注意です」
 過ぎたるはおよばざるがごとし。
適度な小太りを維持することが大切なのだ。

◆太りにくい人は腸内環境を改善  
一方、ダイエットに詳しい専門家はこの議論をどう捉えるのだろうか。
中高年向けのジムを主宰している枝光聖人氏に聞いた。
「確かに、痩せている人に比べて、体重がやや重い人のほうが元気で長生きという実感はあります。
ただし、BMIは身長と体重から割り出しているため、筋肉量と体脂肪量が考慮されていません。
脂肪よりも筋肉量が多くて重い人のほうが健康的ですね」

 いうなれば「筋肉小太り」が最強の健康体ということか。
確かに、筋肉量が健康に及ぼす影響について調べた米ミシガン大学の最新研究によれば、「筋力が弱い人ほど寿命が短い」ことがわかっている。
特に握力の強さが健康状態を測る上で有力な判断材料になっているという。

「なぜ握力が寿命と関係しているのかといえば、指は日常生活で必ず使うから。
その力が落ちているということは、下半身の筋力など、ほかの部位も相当衰えている証拠になるのです。
そうなればもう日常生活もおぼつかないです」

 好きなものを食べて飲んで、筋トレなどには目もくれずに小太りを維持しながら長寿を望む……はさすがにダメということか。
「かといって、ムチャな食事制限をするのは絶対に避けてください。
どんなに健康な人でも、40歳以降になれば、自然に筋肉量が少しずつ落ちていきます。
そんななかで低カロリーダイエットや低糖質ダイエットをして十分に食事を取らなければ、さらに著しく筋肉が減ってしまいます」

 つまり、しっかり食べて筋肉量を増やすことで、結果的に普通体重よりも小太りのポジションに達することが大切というわけだ。
 こうまで言われると、いくら食べても太れない、痩せやすい体質の人たちは不安になるだろう。
そんな方に今津氏がすすめるのは腸内環境へのアプローチだ。
「腸にいる腸内細菌の種類によって代謝が変わり、痩せやすい人と太りやすい人がいることが最近の研究でわかってきました。
ですから痩せやすい体質の人は、無理をしてたくさん食べるのではなく、納豆、味噌、ヨーグルト、チーズなどの発酵食品を積極的に食生活に取り入れてみましょう。

 1週間同じものを食べ続けて、いつもより便の調子がよければ、その食品が自分に合っていて腸内環境が改善されているということ。
何をしても太れない人に関しては、漢方薬で腸内細菌のタイプを変えるという方法もあります」

 小太りへの道は、すべての人に開かれている。

【外科医師・今津嘉宏氏
芝大門いまづクリニック院長。
外科医の豊富な経験を生かしつつ、漢方医として体質改善、栄養指導にも取り組んでいる

【パーソナルトレーナー・枝光聖人氏
日本初の中高年専門パーソナルトレーニングジム「心身健康倶楽部」代表。
これまで延べ2万回の指導実績を持つ

取材・文/福田晃広 野中ツトム(清談社)
posted by 小だぬき at 00:01 | 神奈川 ☀ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月15日

悪質な「医者・治療法」の見抜きかた、悩めるがん患者と家族は絶好のカモ

悪質な「医者・治療法」の見抜きかた、
悩めるがん患者と家族は絶好のカモ
2020.2.14 ダイヤモンドオンライン

悪質な自由診療や広告による医療・美容の消費者被害が後を絶たない。
最近、どんな医療被害が起きているか、その現状を把握するとともに、社会はどのように対応していくべきかを提案する。(医療ジャーナリスト 福原麻希

自分にできることは何でも
   根拠乏しい治療に600万円
 スキルス胃がんの患者・家族のための「希望の会」を運営する轟浩美さんは、3年前、夫の哲也さんを看(み)取った。
区の胃がん検診で再検査になり、クリニックで診てもらったが、最初は胃炎と診断されピロリ菌の除去を受けた。
だが、食後の胃の強い痛みがおさまらず、2つ目のクリニックで診察、X線検査も内視鏡検査でも異常なしだった。
「ストレス性の胃炎」と診断された。
 やがて、食べ物がのどでつかえる感じもあり、ゲップをうまく出せなくなった。
しばらくすると、食事中に胃が動かないような重苦しさを感じるようになり、食べる量も減った。
1年後、再び、区の胃がん検診を受けたところ、スキルス胃がんと診断された。

 4年間、標準治療(公的保険で受けられる治療。科学的根拠に基づき、安全性と効果について、最も信頼性が高いと推奨される治療)を受けながら、「がんの治癒に役立つのではないか」と補完代替療法(「民間療法」とも呼ばれる)も試した。

「補完代替医療」とは、現代西洋医学(通常の治療)以外の医療で、健康食品やサプリメント、特定の食事療法、鍼灸や気功の伝統医学などがある。
浩美さんは、当時をこう振り返る。
「私が妻としての役割を果たせていなかったから、夫が病気になったと自分を責めていました。
友人や知人から『あなたが患者さんを支えてあげてね』と言われ、『わたしにできることは何でもしよう、何か1つでも怠ってはいけない』と考えるようになり、周囲から勧められたことは何でも試しました」

 そこで、哲也さんにはサプリメント、ビタミンC大量点滴療法、血液クレンジング、ニンジンジュース、水や塩など、何でも試してもらった。
温熱療法のための温熱器も購入した。
哲也さんは「標準治療以外は信じない」と言ったが、妻の気持ちを思いやり、黙って浩美さんに付き合っていたという。
 主治医からは「効果がある治療は公的医療保険で治療を受けられるはずです。それでも気が済むなら……」と言われていた。
だが、やがて抗がん剤の副作用が強く出るようになり、哲也さんから「やめたい」と強く言われた。
結局、哲也さんには15種類以上の補完代替医療を試してもらって、約600万円をつぎこんでいた。

 補完代替医療は安全性や効果に関する科学的根拠がまだ乏しく、国内では公的医療保険が使える治療と認められていない。患者を標準治療から遠ざけてしまうこともあり、医療者などからたびたび警告が出されている。
 このほか、浩美さんはがんに関する情報なら、何でも読みあさった。
図書館に並ぶ書籍、新聞や雑誌に掲載されている記事にも広告にも、疑問を持つことはなかった。
 だが、医師免許を持っていても、医学博士号を取得していても、実は必ずしも、科学的根拠が確立した治療や情報発信をしているとは限らない

たとえ、著者が逮捕されていても書籍の出版はできる。
日本は言論や出版の自由が保障されているからだ。
 また、新聞や雑誌の記事の中に「広告」と小さい文字が入っている場合は、商品の販売目的の情報が書いてある。
このため、読み手に適正な情報が出ているとは限らない。

 浩美さんはこう話す。
「これらの情報の渦に巻き込まれ、混乱した生活を送っていました。
夫に補完代替医療を押し付けてしまった日々を、いま、とても後悔しています」

 国立がん研究センターがん対策情報センターの若尾文彦センター長は、患者・家族が置かれている背景について、こう説明する。
「がんと診断されると『死んでしまう』と思ってしまい、頭の中が真っ白になり正しい判断ができなくなるものです。
しかし、現在、がんは国民の2人に1人がかかるポピュラーな病気です。
しかも、昔のような不治の病ではなく、5年生存率(診断から5年たったときの治療効果として生存している患者の割合)が平均約6割になり、病気とともに生きていく人が多くなっています

 どんな病気と診断されても、あわててはいけない。
特に、がんになったときは主治医や担当医、あるいは、がん診療連携拠点病院(厚生労働省が指定したがん医療を提供する病院)のがん相談支援センターでさまざまな相談ができることを知っておきたい。
全国のがん患者会でも相談を受けている

 国立がん研究センターがん対策情報センターではインターネットサイト「がん情報サービス」で科学的根拠に基づいた情報を発信している。
 補完代替療法に関する情報は、厚労省が情報発信等推進事業としてインターネットサイト『「統合医療」情報発信サイト』を掲載している。

医療に関わる被害は 身体的にも経済的にも救済困難  
このような消費者による相談は、がん医療だけではない。
消費者庁が毎年出版する消費者白書によると、相談窓口に寄せられた被害には医療サービス、美容サービス、健康食品、化粧品、歯科治療が毎年のように上位にくる。
国民生活センターサイトのトップページ。
消費者被害に関する注意喚起情報が発表されている

 消費生活アドバイザー(元内閣府消費者委員会委員)の唯根(ゆいね)妙子さんは20年間、消費者相談を受けてきて、こう話す。
「消費者被害は新聞の折り込み広告やインターネット広告がきっかけとなりやすい。
特に、医療や美容に関する内容が専門的なため、記載事項から悪質な会社や不適切な情報を見分けることはとても難しいといえます。
しかし、被害が起こったとき、身体的にも経済的にも救済が難しいという特徴があります」

 消費生活相談データベースPIO(パイオ)−NETによると、
特に美容医療に関する相談件数は近年、毎年2000件前後にのぼる。
フェイスリフト、美容(プチ)整形(目・鼻・口・美白・豊胸など)、包茎治療、レーザー脱毛、脂肪融解・吸引は被害が多い。
 歯科はインプラントや矯正、ホワイトニングなどの審美歯科で、
 がん治療では免疫療法や温熱療法、
このほか、眼科のレーシック治療、白内障手術、血液クレンジング療法、ニンニク注射、オゾン療法、アンチエイジング等で被害の訴えが起きている。

 これらの被害情報は、国民生活センターで詳細が掲示されている。
 具体的には、こんな手口や報告がある。

▽医師が患者に考える間も与えず、診察日当日に手術を迫る。
▽裸で手術台に載っているとき、「医療は個別性が高い。あなたの場合は、こういう治療も必要になる」と治療の種類が増える。
▽術後、腫れや痛みがひどかったが連絡が取れず、別の病院へ飛び込んだ。
▽効果が出るまでには○カ月かかると、繰り返し来院させる。
▽治療を繰り返した結果、あなたには目に見える効果は出にくかったと言われる、など。

 だが、いずれも医療行為を提供するときは本人の同意のもとで行われるため、弁護士を立てて争うことは可能だが難しい。手術を受けるときは同意書に署名することになっているが、医療機関(病院・クリニック)によっては「施術後は異議申し立てをしない」と記載されていることがあるともいう。

 特に、自由に医療サービスの提供価格を設定できる「自由診療」では治療費が高額に設定され、医学的な合理性や必要性に乏しくても、患者へのインフォームドコンセント(医師による患者への説明と、納得した合意)が不足したまま、強引に患者から形式的な承諾を取って進めていることもあるという。

 自由診療とは、
(1)病気以外で医療を受けるとき(出産・健康診断・予防接種・美容整形など)、
(2)歯科の詰め物などで公的医療保険適用以外の材質を用いるとき、
(3)厚労省が承認していない治療法や医療機器などを用いるとき――の診療の形で、公的医療保険は使えない。

厚労省が承認していない医療とは、その安全性や効果について正式には認めていないという意味。
自由診療を受けると、全額、患者負担になる。
 一方、公的医療保険の下で医療を提供する保険医療機関や薬局では全国どこでも同一に価格が設定され、支払う人の年齢区分によって自己負担割合は異なる。
また、日本では安全性と効果の科学的根拠がそろえば、ほぼ必ずその治療は公的医療保険に適用されることを知っておいてほしい

 宮城綜合法律事務所の宮城朗弁護士はこう指摘する。
「違法・不適正な広告によって消費者被害が発生する根本的な要因は、自費診療では利益率が非常に高いことです。
そのため、一部の医療機関側の運営が過度に商業ベースになり利潤追求に走っています」

 そんな医療機関では、必ずしも十分な医学的根拠がそろっていなくても、学会などの治療ガイドラインが未整備であっても、その治療の効果・効能を過大に強調している。
一方で、治療にともなう副作用、手術の合併症のリスクの話は曖昧なことが少なくない。

「派手な広告による集客のため、効率的に多数の患者をさばくことになり、経験不足の医師でも現場に投入されている。
これらが医療被害発生の要因となっているとも聞いています」と宮城弁護士は説明する。
 また、「広告に無料説明会や無料相談、無料カウンセリングと書いてあり、参加したところ、施術を受けるまで帰れなかった」
「インターネットでお試しのサプリメントを購入した。やめようと思っていたところ、2回目が届いた。最低4回の定期購入だった」などの相談もあったという。
 近年、「詳細はこちらへ」とウェブサイトへ誘導される形が増えている。
それは利用者が自分から入手した情報である場合、広告規制にのっとっていれば広告が許可されるからだ。
ここも落とし穴の一つだ。

医療被害への対策 国民への情報発信を強化
 これらの医療被害に対して、国や関連企業も看過できないと考えている。
 例えば、グーグルは検索機能の健全化に乗り出し、誤解を招く医療広告は上位に掲載されないように工夫している。
だが、その結果「YouTubeやInstagramなど検索機能に引っかからないツールでの不適切な情報が増えている」とインターネットのSEO(検索エンジン最適化)に詳しいJADE取締役の辻正浩さんは指摘する。

 2017年には医療法が改正になり、従来の「情報提供」から「広告」とみなされるようになり、医療機関のウェブサイト、メールマガジン、申し込みにより送付されるパンフレットなども規制対象になった。
特に、虚偽広告は医療消費者に判断を誤らせるとして、医師免許剥奪、および、刑罰(罰金・懲役)が科せられる。
この広告規制の内容から、悪徳医療機関を見分けることができる(表参照)

広告規制の内容から悪徳な医療機関などを見極めることができる
例えば、人間の体は非常に複雑で個々でも異なるため、同じ病名と診断され同じ治療を受けても、同じ結果になるとは限らない。
不確実なことが多く、医療には限界もある。
このため、「必ず成功する」「絶対に安全な治療」「がんが絶対に治る」と記載してしまう医療機関は広告の段階から誠実ではない。

 さらに、厚労省では3年前からウェブサイトの監視を強化するための「医療機関ネットパトロール」事業を実施している。
市民がウェブサイトで「医療広告ガイドライン」に違反する不適切な表示や表現を見つけたら、その内容を通報するという仕組み。
厚労省の発表資料によると、2018年度のネットパトロールへの通報件数は8358件だった。
 厚労省から2017〜18年の同事業を委託された日本消費者協会では、通報内容を専任の消費生活コンサルタントが確認した。
ホームページのどこに違反内容があるか、広告で必要な要件は記載されているかなどを目視で丁寧に確認後、その内容を医師と弁護士で構成される諮問委員会で広告規制違反かどうかを判定した。
 違反と判定された医療機関には通知(上の写真参照)を出して改善を求めた。

2018年度は1191の医療機関へ送った。
この中には通報以外にも、同協会が監視としてキーワード検索をした結果も含まれている。
 さらに、一定期間後、再度、当該の医療機関のウェブサイトを確認し、改善されたかどうかをチェックした。
その結果、約8割が改善に応じたという。
 2019年度もネットパトロール事業は継続されるとともに、都道府県で医療機関を指導する体制などをより強化している。

現在は医療機関のサイト(広告)のみの通報を受けているが、そのほかの広告に関する規制を求める声もある
 このようなネットパトロール事業などで違反と判定された医療機関名、あるいは、悪質な手口の医療被害を起こした医療機関名を公表するよう求める声も聞く。
だが、それは現時点で企業や組織にとって不利益な内容を公表できるための法的根拠がない。
さらに、行政による企業名公表は公権力による侵害にも相当するため難しい。
 その場合、医学関係学会が声明を出し、厚労省が通知を出すことで社会に注意喚起する方法もある。

例えば、昨年4月、(一社)日本形成外科学会、(一社)日本美容外科学会(JSAPS)、(一社)日本美容外科学会(JSAS)、(公社)日本美容医療協会が「豊胸目的で非吸収性充填剤を注入することは実施すべきでない」と共同声明を発表した。
 このように専門家が集団でエビデンス(科学的根拠)を示した上で声明を出したことによって、厚労省が即日、都道府県に対して通知を発出し、国民向けのチラシを作成し配布した。
そのチラシでは、美容医療を受けようとする人が自分で治療に関するチェックができる形式になっていた。

 また、昨年5月、日本臨床腫瘍学会も「がん免疫療法に関する注意喚起について」の声明を発表した。
公的医療保険が適用になっている治療法と承認されていない治療法の違いや注意の説明が出ている。

 これまで医学関係学会は、血液クレンジングのように社会的問題が指摘された治療についても見て見ぬふりをすることが多かった。
社会的影響を軽視しているのだろう。
 もう何十年も続く「悪質な医療機関からの消費者被害」「補完代替医療に傾倒しすぎて標準治療を受ける機会を妨げられる患者」がこれ以上増えることがないよう、国民に対する注意喚起のメッセージを発していくことは必要である。

 乳がんサバイバーで、キャンサーソリューションズ代表取締役社長の桜井なおみさんは「日本は公的機関から国民への情報発信が弱いと思います。
米国のFDA(Food and Drug Administration:米国食品医薬品局)のような信頼できる組織から、明確でわかりやすい注意喚起の情報(*)が出れば、患者会の中で情報共有できるだけでなく、有害情報について発言するときも誹謗中傷のように見えなくなります」と指摘する。

 テキサス大学MDアンダーソンがんセンターに腫瘍内科医として勤務する上野直人医師は「FDAの警告情報はよくメディアで流れています。
日本は不適切な情報提供に対する警告や情報提供の量が少ない印象があります」と指摘する。

 私たちマスメディアも、各組織がホームページで発表している消費者被害についての情報をもっと伝えていかなければならない。
 健全な消費社会を形成していくために、私たちはもっと国全体で被害情報を共有する必要があるだろう。

*FDAとは米国保健福祉省下の組織で、食品、人・動物用医薬品、生物学的製剤、医療機器、化粧品、放射線を放出する製品の安全性と有効性を保証している。
公式ホームページにはRecalls, Market Withdrawals, & Safety Alerts(無料修理、市場撤退、安全警告)として、公告や企業からのプレスリリース情報が一覧表で公表されている。
3年間分のアーカイブも残されている。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月16日

「転院」で後悔しないためのチェックポイント

「転院」で後悔しないためのチェックポイント
2020年02月15日 PRESIDENT Online

病気がよくならないときによぎる「転院」の2文字。
しかし、転院がすべてよい結果をもたらすとは限らない。
後悔しない決断をするために、知っておくべきこととは?

■転院すべき人とすべきでない人の差は
「病気がよくならない」「医師と性格が合わない」「ネットでよさそうな病院を見つけた」というとき、転院したくなるかもしれません。
しかし、転院すれば必ず事態が好転するとは限りません。
転院前にチェックすべきポイントをおさえましょう。

まず知っておきたいのが、転院したがる患者の中には、しばしば病院や医師への要求レベルが高すぎる人がいるということ。「ホテルのようなサービス」「医師の学歴」「スーパードクター」等々……。
ドラマのような「失敗しない女医」「1時間で治療が完結する病院」を探すと、永久に漂流することになるでしょう。
また、胃炎・高血圧・糖尿病といった内科系の慢性疾患は、医師のスキルに差が出にくいため、決まった病院に通い続けたほうが、結果的に早く治ることが多いのです

平凡な医師でも長年の通院で気心が知れて、診察室で顔を合わせただけで「また胃ですか?」と不調を察知してもらえる関係になれば、それがあなたにとってのスーパードクターなのです。

また、ネット上の情報にも注意してください。
たとえば「○○がん」と検索すると、上位にヒットするのが「心と体に優しいがん免疫治療」のような怪しい自費診療クリニックのサイトです。
オシャレな写真が載った「奇跡の回復」ブログなどは読みやすいデザインです。

一方、「国立がん研究センター がん情報サービス」のような正統派サイトは、検索順位もデザイン性も低いので、病気で弱った患者は前者にハマってしまいがちです。
治療法をネット検索するときには、教科書的で読みづらくても、大学病院や公立医療機関が作成したページや、そこからリンクされたページを参考にしてください。

■病院に行くのは病気を治すため
先述のような理由で、安易に転院することはお勧めしませんが、スキルが劣っていたり、コミュニケーション能力の低い医師が一部に存在することも確かです。
その場合でも、基本的に黙って転院することはNG。
イラッとするかもしれませんが、病院に行くのは病気を治すためであり、闘うべき相手は病気であって横柄な医師ではないのです
ですから「転勤が急に決まった。転院先はこれから探します」のような適当な理由をつけ、とにかく紹介状を書いてもらいましょう。
詳細なコピーには追加料金がかかることがありますが、次の病院での検査を省略できたり、診断精度の向上が見込めたりと、値段以上の価値があります。
近年では「セカンドオピニオン外来」という主治医以外の専門家に相談できる外来を設ける病院も増えているので、利用してもよいでしょう。

また、医師のほうから転院を勧められるケースもあります。
考えられるのは「長引くカゼと思っていたら、白血病の疑いがある」「不妊治療の体外受精など、専門病院のほうがよい結果を見込める」「筋ジストロフィーなど特殊な疾患」などのケースです。

患者がやみくもに探すよりも、医師同士ならば「この検査ができるのは○○病院だけ」のような情報を持っているので、多くの場合は勧めに従って転院したほうが、その後の治療がスムーズです。
紹介先が大学病院の場合、宛先が准教授や講師でも、ガッカリすることはありません。
専門に分化した大学病院では、整形外科医同士でも「背骨」「手」「膝」と専門分野が分かれていることが多く、「膝チームのトップが准教授」だと准教授宛てになるのです。
安心して受診しましょう。

▼「転院したい」と思ったら、必ずしておきたいポイント

@可能な限り主治医に紹介された病院や医師を受診する
医師にコネクションがある病院の場合、スムーズに入院できることも多いのです。
また、大学病院には「ネズミの実験で論文を書いて出世した教授」も実在します。
近隣の開業医は「メスを持たすとヤバい教授」を把握しており、自分の患者を穏便に遠ざける手段として紹介状を作成することもあります。

A有料でも治療データや画像のコピーなどは必ずもらう
紹介状だけでなく、転院先に渡せるデータはすべて渡すべき。
精度の高いコピーには追加料金が必要なこともあるが、「数千円で重複する検査の回避や、診断精度の向上が買える」と考えると、安い買い物だといえます。

B迷ったらセカンドオピニオン
がんなどの重大な病気では、「セカンドオピニオン外来」という主治医以外の専門家に相談できる外来を設ける病院も増えており、病院はネットで簡単に検索できます。
診察に疑問を持ったら、利用するのも一手です。

C目的は「病気を治すこと」だということを忘れない
横柄な医師にあたってしまい転院を言い出しにくい……というケースはあります。
こういう場合は嘘も方便です。
「急に転勤が決まってしまったので、通えなくなりました」など、無難な理由をつけて紹介状やデータをもらいましょう。
目的は「医師と闘う」ことではなく、「病気を治す」ことなのですから。

----------
筒井 冨美(つつい・ふみ)
フリーランス麻酔科医、医学博士
地方の非医師家庭に生まれ、国立大学を卒業。
米国留学、医大講師を経て、2007年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。
本業の傍ら、12年から「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」など医療ドラマの制作協力や執筆活動も行う。
近著に「フリーランス女医が教える「名医」と「迷医」の見分け方」(宝島社)、「フリーランス女医は見た 医者の稼ぎ方」(光文社新書)
----------
(フリーランス麻酔科医、医学博士 筒井 冨美 構成=プレジデント編集部)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月17日

現役医師がバラす「いい医者ヤブ医者」の境界線

現役医師がバラす「いい医者ヤブ医者」の境界線
2020年02月16日 PRESIDENT Online

いい医者にかかりたい、ヤブ医者にはかかりたくない――。
誰もがそう望むが、医療の専門家ではない私たちが見分けるのは至難の業だ。
そこで識者に、その見極め方を聞きに行った。

■医者のどこを見れば良悪がわかるのか
病院には日常的に世話になるのに、一般人と医療従事者との知識のギャップは甚だしく大きいのが現実だ。
私たちは、いい医者、ヤブ医者をどのように見分ければいいのだろうか。

「いい医者の条件を強いて1つ挙げるなら、『コミュニケーションがとれること』です」
そう語るのは、外科医・病理医の裴英洙(はいえいしゅ)氏。
医療機関向けのコンサルティングを行うハイズの代表でもある。
裴氏は「もちろん、治療実績は大事です。
しかし、たとえ診断、治療の能力が高かったとしても、コミュニケーションがとれない医者はいい医者とは言えない」と語る。

「いわゆるヤブ医者の要素は、1つではありません。
ヤブ医者は『集合体』なんです。
というのも、誤診、間違った治療、民間医療を勧める、コミュニケーションがとれない……そんな要素が少しずつ集まった結果、集合体として“ヤブ医者”になる。
もちろん、エビデンスのない非科学的な医者は論外です。

一方で、近年の医学界では『コミュニケーションが重要である』という認識がますます高まっており、医学部でも、診断や治療の説明において、患者さんとうまくコミュニケーションをとるための講義が取り入れられているほどです」
医者には患者目線でいてほしいものだが、実際には話の通じない、自分勝手な医者に悩まされたことがある、また悩んでいる人は多いだろう。

そんなコミュニケーションがとれないタイプのヤブ医者の特徴について、裴氏は「患者を主語にするのではなく、医者や病院を主語にして話す」ことを挙げる。
「医者に求められるのは、患者さんに対する『解説力』です。
専門用語を連発したり、患者のリテラシーのなさをいいことに説明不足のまま自分のペースで診療を進める医者は、解説する力に欠けています。
対して、患者さんに必要なのはこの治療や薬です、という話し方をする医者は、自然とわかりやすい説明をするようになる。

また、医療は不確実性の学問。
100%正しいということはありえません。
『絶対に治る』『必ず効果がある』『間違いなく』など、まともな医者なら口にできない。
そういった形容詞や副詞を使う医者は眉唾物です。
嘘をついているか、信じられないほど凄い技術を持っていて自信があるかのどちらかですが、後者は普通の感覚ではありえません。
外的損傷など、診断結果がわかりやすい外科治療では判断が可能な場合もありますが、内科の疾病については、診断しても、例えば初期の段階では『風邪です』と断定はできず、風邪の可能性が高い、としか言えないんです。
症状がだんだん変化していって、治療の効き目が出てはじめて、後から考えれば、『やはり風邪でしたね』と言えるだけ。『後医は名医』という言葉のとおりです」

厚生労働省が定める医療広告ガイドラインでも、「絶対に」「必ず治る」「100%」などの言葉を使用することは禁じられている。
このような「不確実性を否定する言葉」を使う医療機関を避ける判断力は、患者としても最低限身に付けなければいけない。 「患者さんは医者に100%を求めてしまうんです。
不安になればなるほど、早く病名を確定してほしいし、絶対に治るとか確実な治療法を知りたがるのは、当たり前の心理。
そのギャップを、いかにうまく説明して、不安を解消できるかが医者の実力と言えます」

■「様子を見ましょう」そのセリフの真意
病院に通っていると、「様子を見ましょう」「何か変化はありましたか?」といった言葉を、医者から度々聞くことになる。

「様子を見るって、よくわからない。放って置かれているんじゃないか」
「変化ってどこまでが変化なのだろう。それを検査して調べてほしいのに……」とモヤモヤとした気持ちになった人もいるのではないだろうか。
しかし、これは「経過観察」という1つの技術なのだと裴氏は言う。

「病気というのは、静止画ではなく、動画で見なければいけません。
どのように症状が変化したのかを見ることで、何の病気かがわかり、治療法も変わってくる。
しかし実際には医者は症状の瞬間、瞬間の定点観測しかできません。
だからそれをつなげて、いわばパラパラ漫画のように連続のものとして見る。
それが、『様子を見る』『変化はありましたか?』という質問につながる。

鼻水の色だったり咳の出方だったり、『いつもと違うところ』が医者にとって一番のヒントになるんです。
後から見ると、これは風邪だったね、副鼻腔炎だったね、と診断できる。
患者さんから変化をいかに引き出せるかが、医者の腕の見せどころと言えます」

■患者と医者の「相性」も問題になってくる
もちろん医者も人間。
患者と医者の「相性」も問題になってくる。

例えば、こんなケースもある。
「医者としては患者さんの自己決定権を尊重するのが一般的ですが、しかし患者さんのなかには『命令されたい人』もいます。
例えば、糖尿病などでは、『節制しなければダメです』『運動しなさい』と、キツく言われたほうが安心するという患者さんは少なからずいらっしゃいます。
『AとB、どちらにしますか?』と選択肢から判断して、一緒に治療方針をつくっていきたいタイプと『あんた、こんなことしていたら死ぬよ』と言われてピリッとしたいタイプといったように、いろいろなタイプに分かれる。
何が患者さん思いのコミュニケーションかというのも、難しいところです」

さらに医者のコミュニケーション力は、患者だけでなく「医療従事者とコミュニケーションをとっているか」も大事な見方になるという。
現代医学において、診断から治療まですべてを1人の医者がまかなうことは、いまや少ない。
医者のみならず、薬のエキスパートである薬剤師や看護師がうまく連携した、よいチームをつくることが求められている。
各者が高度な専門性を持つからこそ、自分の足りない部分をはっきりと自覚し、及ばない部分を任せられる医者を知っていること、医療従事者とよりよいチーム関係をつくれることが、名医の条件となってくる。

「専門性の高い分野をネットワークでつなぐのが現代の医療。
いわゆる名医は、どこかその名医のネットワークに関係しているものです。
例えば甲状腺がんを専門にした先生には、一緒に治療した同僚や部下、過去に同じチームで研鑽を積んだ知己の医者がいる。

名医は名医を知る。
そうでなければ質の高い医療を提供できない時代なんです。
反対に、そうした医者のネットワークにもひっかからないのが、ヤブ医者と言えますね」

このような状況には、「医療訴訟のリスク」が広く認識されたという背景もある。
医者が自分の手元でワンストップで判断するのではなく、より適した診断や治療ができる医者に任せたほうが、誤診やミスも減って、結果的に訴訟リスクも低減するという考え方が、主流になっているのだ。
その意味でも、「ゲートキーパー(門番)」になって治療の道案内ができる、患者と伴走してくれる医者は優れた医者と言えるだろう。

病院へ行く前に、いい所かどうかを判断する方法はないのだろうか。
方法の1つは、インターネットの活用だ。
多くの人が病院をインターネットで調べる。
気になる病院のホームページはもちろん、口コミを気にする人も多いだろう。
裴氏が強調するのは、ウェブでの情報をチェックするのは重要だが、「参考にすべきは一般人のものではなく専門家による発信だ」ということ。

「ある程度の専門的な医者が書いているブログなどの情報発信を見るべきです。
一般人の情報発信は安易に信じてはいけません。
医療界の正確な情報は、それこそ医者同士のネットワークで広まります。
有益な情報だけでなく、ネガティブな情報についても同じ。

例えば民間療法や反ワクチン、エビデンスのない治療法についても、医療界ではNGでも、そういうヤブ医者に限って、患者さん受けがよかったりするもので、ネットでも高評価になってしまうことがある」

この「それなりの医者」であるか否かを調べるための基準の1つが、内科や外科などといったメジャーな「基本領域」の学会に所属しているかどうか、そしてさらにエキスパートである専門医の肩書を持っているかどうかだ。
「複数持っていることは、医者同士のつながりがあるということだし、信頼やこれまでの努力の証明になる」。

所属学会や専門医といった情報は、医者として当然、標榜するメリットがある。
患者の評判を高め、広告にもなるからだ。
だからこそ、病院のホームページにも、持っていれば積極的に掲載するのが道理というもので、あえて載せない、ということは考えにくい。
私たち患者にとっても指標にしやすい情報の1つになる。

■病院のホームぺージで見るべきポイント
さらに、先述の「コミュニケーション力」については、病院のホームページでも推し量ることができる。
つまり、患者にわかりやすい説明ではなく、「医学辞典のコピーアンドペースト」のような難しい解説をサイトに載せているようだと、患者本位ではない病院である恐れは高まる。
用語解説が丁寧にされているか、問診票が掲載されている場合はどこまで詳しいものなのか、そのあたりも判断材料になる。

さらに裴氏が注目するのは、病院が掲げる「理念」が掲載されているかどうかだ。
「院長からのメッセージが患者向けの言葉で掲載されているかを私は見ますね。
もちろん、『患者さんの話をよく聞きます、いつでも来てください』という言葉が真実かどうかは実のところわかりませんけれど、それでも患者さんに対しての姿勢を打ち出しているかは重要です。
病院も企業も一緒。
まずは理念があって、それを働く人が共有しているところが、いい医療機関なんです」

■ガイドライン違反の表記をしている病院は避けよう
言うまでもなく、ウェブサイト上で、先述した「絶対に」「必ず治る」「100%」といったガイドライン違反の表記をしている病院は、「絶対に」避けよう。
あらためて、私たちがちょっとした体調不良や、体の違和感に気づいたときには、まずは近所の身近な「かかりつけ医」で診療を受けることになる。
かかりつけ医は基本的にはクリニック(病床数20床未満)だ。
「最初から大きな病院に行くことは、いまの時季だと大勢の風邪やインフルエンザの患者さんの中に飛び込んでいくようなものですし、長い待ち時間の間に症状も悪化しますので、避けたほうがいい。

もし何科に行けばいいのかわからないときには『総合診療医』を選ぶことをお勧めします。
比較的新しい分野ではありますが、幅広い診療ができ、かかりつけ医から専門医を紹介する『道案内』の能力に長けた医者のことです。
専門医ではなくても、トレーニングを積んだ医者が増えていますし、サイトで確認するのがいいでしょう」

裴氏は、ヤブ医者にかからず、いい医者とつきあう「賢い患者」になるためには、「医術を魔術と勘違いしないこと」が大切だと念を押す
「患者さんも皆さん忙しいですから、すぐに体調を治したいと思ったり、不安にかられて甘い言葉に揺れ動いてしまったりします。
『何とか薬で治りませんか』『リスクなしの方法はありませんか』と尋ねられても、そんな魔法みたいなことはありません。
1度の診察、治療ですべてが解決するのだと思わず、より確実なところを紹介してもらったほうがいい。

患者さんの病気の9割はコモン・ディジーズという日常的な病気。
しかし、なかには1割の大変な病気がある。
それをどう見つけるかがかかりつけ医の腕の見せどころ。
そこからどう治療するかは、専門が分割されていますから、正しい医者は、プロに任せます。
すべてが簡単にすまないからこそ、道案内がうまい医者、医者とつながりのある医者を見つけることが大切なんです」

----------
「 英洙(はい・えいしゅ) ハイズ代表
金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)修了。
慶應義塾大学特任教授。
厚生労働省「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」構成員。
----------
(ライター 伊藤 達也 )
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月18日

怠慢の安倍政権…中韓と新型肺炎対策“本気度”の差浮き彫り

怠慢の安倍政権…中韓と新型肺炎対策“本気度”の差浮き彫り
2020/02/17 日刊ゲンダイ

 新たなフェーズに入った新型肺炎。
国内感染の広がりに歯止めがかからないだけでなく、感染経路の捕捉もできず、政府は右往左往だ。
一方、震源地の中国や陸続きの韓国は感染抑止に死に物狂いで、効果が見え始めているという。
事態を過小評価し、予算措置をケチった安倍政権との違いが浮き彫りだ。
  ◇  ◇  ◇  
政府は先月30日に新型コロナウイルス感染症対策本部を設置。
ウイルスを高精度で検出するPCR検査をめぐり、先週12日の会合で安倍首相は「5日の対策本部での私からの指示に基づき、民間の検査機関でも検査できるよう、その態勢整備に努めてきました」とドヤ顔だった。

18日までに1日当たりの検査能力は1000件超に増える見通しだというが、やっていることはデタラメだ。
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏はこう言った。
「なぜ希望者全員にPCR検査を実施する方向になかなか舵を切れないのか。
検査キットは1件1万円ほどで、1万人検査に要する費用は1億円、100万人でも100億円程度。
民間の医療機関などの協力を仰ぎ、早急に誰でも検査を受けられる態勢を整えようとしなかったのは、官僚の既得権益も絡んでいるのか。
そんな疑問さえ抱いてしまいます」

■脆弱な検査態勢と対策費をケチった代償
 政府が検査態勢の整備でモタモタした結果、対象を広げるほど感染者が次々に確認され、クルーズ船関係者を含む感染者数は400人超え。
死者も出た。
日本は中国に次ぐ感染国だ。
感染が初確認されてから1カ月。
なぜいつまで経っても検査能力が脆弱なのか。

 コロナウイルス検査に用いる遺伝子関連試薬でアジア最大手のタカラバイオは、主力工場がある中国・大連市から緊急要請を受けて今月上旬以降、生産量を週25万人分、通常の50倍規模の増産態勢を取っている。
中国サイドの要請に日本メーカーが対応しているわけで、日本政府だって同様のことができたはずだ。
実際、同社は政府などからの要請があれば供給できるとしている。

 一方、韓国では16日、5日ぶりに1人の感染が判明したものの、感染者は29人にとどまり、重症化せずに退院するケースが続いている。
先月20日に感染初確認を受け、28日に総額208億ウオン(約19億3000万円)の防疫予算を組み、すでに約8000人がPCR検査を受けている。
さらに、今月6日には新型コロナウイルス関連の研究開発に約10億ウオン(約9300万円)の予算を立てた。

12日までソウルに滞在していた国際ジャーナリストの太刀川正樹氏は言う。
「韓国政府は感染を前提に動いたため、予算措置も検査態勢の拡充もスピーディーでした。
2015年に中国と韓国で流行したMERS(中東呼吸器症候群)によって、韓国内で38人が死亡したほか、133万人の死者を出した朝鮮戦争も経験している。
緊急時となればそうした知見を生かし、多少荒っぽくても素早く実行する土壌があるのです」

 WHO(世界保健機関)シニアアドバイザーの進藤奈邦子氏は14日、「中国以外のほかの国では感染経路の追跡ができている。
接触者の調査を行って一つ一つ消し止めることで感染は広がりを見せていない。
日本だけが少し様相が異なっている」と指摘。

「クルーズ船への対応も含め、世界中が今後の日本の対応を注視している」とクギを刺した。
米国ではメディアからも議会からも日本批判が噴出している。

支持者の顔色をうかがい、安倍は何かと中韓を見下してきたが、危機管理能力はそれ以下。
このままじゃ、「世界の真ん中で嫌がられる日本」へまっしぐらだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月19日

コロナ防衛「当然なのにできない」不都合な真実

コロナ防衛「当然なのにできない」不都合な真実
予防をどれだけ徹底できるかが拡大抑制の肝
2020/02/18 東洋経済オンライン

鈴木 貴博
: 経済評論家、百年コンサルティング代表

2月15日、加藤勝信厚生労働大臣は新型肺炎について感染経路が判明していないケースが複数出ていることなどから状況が新しいフェーズに入ったとして、水際対策から発症者の早期発見と治療に重点を置く方針転換を発表しました。
今回の新型肺炎は潜伏期間が長いこと、症状を発症しない感染者がいること、検査能力が限られていることといった要因を背景に、すでに国内に一定数の感染者および感染者との濃厚接触者が存在していると考えるべきであり、そのため判明している感染者や発症者とその周辺の関係者を重点観察するだけでは感染拡大を抑えられないという判断です。

さてそうなると私たちはどのように感染拡大から身を守ればいいのでしょうか。
今回の記事は医療の話ではありません。
経済の専門知識をもとにどうすればいいのかについて述べさせていただきます。

結論を先に言います。
基本的な対策「国民全体で実行」しかない
「なるべく不要の外出はしない」
「外出時にはマスクを着用する」
「帰宅時などこまめに薬用せっけんで手洗いをし除菌をする」 という基本的な3つの対策を「国民全体で実行する」ことです。

先に重要なことを指摘すると、メディアを通じて「マスクをしても意味がない」という専門家の意見が報道されていますが、社会学的にいうとこれは間違いです。
ただ厄介なことにこの意見はお医者さんが主張する傾向があります。
私も「なぜ日本人にマスクをする人が少ないのか」という記事を書いた直後、何人かのお医者さまから丁寧に「マスクではコロナウイルスの感染は防げません」というご指摘をいただきました。
その結果「マスクをしなくてもいい」という誤解が広がっているのですが、どこで誤解が生じたのかおわかりでしょうか?

マスクをしていてもウイルスはマスクの網の目よりも微細なので入りこむことができる。
またウイルスはドアノブなど金属のうえで数日間生き続けているので指先経由で口に入ったりもする。
マスクは防具としては能力が低いというのが医学的な事実です。

一方でマスクは感染者が他人にウイルスをうつさないという観点では一定の役に立つ。
飛沫感染タイプのウイルスの感染者がマスクなしでくしゃみをまき散らすのと、マスクで止めるのでは効果に雲泥の差があります。
ですから社会学的には電車の中で全員がマスクをしている状態と、4割ぐらいマスクをしていない人がいる状態では、感染の拡大予防について非常に大きな差が出るわけです。
医学的な事実と、社会学的な対策にはこのように視点の違いがある。
ここを誤解しているから専門知識のある方が「本当はマスクをしなくていいですよ」といった発言を不用意にするという現象が起きるのです。

さて本題の話をしましょう。
私が現在、専門的に研究をしている経済分野のひとつが格差論で、その関係で貧困国の実態について比較的詳しく情報を集めています。
一見私たちと関係なさそうな貧困国での病気の実態が、最後の最後に今回の新型肺炎についての対策の参考になるという話をさせていただきます。
貧困国では老人や乳幼児のような弱者の死亡率が残念ながら高い。
ある統計では年間900万人の乳幼児が5歳の誕生日を迎えることができないといいます。
その死因の5分の1は下痢です。
このような不幸な状況を止めようと世界的な取り組みが行われていて、何をすればいいのかもわかっています。

下痢を引き起こす細菌やウイルスは塩素で殺菌できる。
下痢を発症した子どもに治療として与えるべき経口補水塩(ORS)の主成分は塩と砂糖です。
この塩素と塩と砂糖が安価に手に入るようにしたうえで、国連機関からNPOまでがその普及努力をしています。
予防できるはずなのに9割が予防しない ところが購買力平価の日本円換算(以下同じ)によってひと月20円で塩素が手に入り、それが下痢を予防できることを国民の98パーセントが知っている国で、塩素を使う人の割合は1割にすぎないという問題が起こります。

彼らにとって20円は安くはないとはいえ決して高くもない。
年収が6万円ぐらいのひとたちが年間240円で予防できるはずの下痢について、なぜか9割の人が予防しないという現象が起きている。
これがひとつめの例です。

同様にマラリアが深刻な問題になっている国々があります。
1500円ぐらいで入手できる蚊帳を使えばマラリアの感染は劇的に防ぐことができるのですが、それが経済的に手に入らないひとたちがいます。
そこで国際的な寄付金を利用したNPOが蚊帳の価格を80円に下げて普及をしようとしたところ、それでも買わない人のほうが多い。
蚊帳がマラリアを防ぐことを知っていて価格も手に入るところまで下げてもそれを買わない。
これがふたつめの例です。

それでそのような国では病気にかかる子どもたちが必然的に出てくる。
すると両親は必死になって医者に治療を頼む。
ある調査では貧困層の8パーセントの世帯が彼らの年収と匹敵する医療費、これは日本円で4万円程度の金額になりますが、それを払っていたといいます。
予防にはほとんどお金をかけない彼らが、家族が病気にかかると注射や薬に莫大なお金をかける。
これが3つめの例です。

あるNPOが貧困国で無料の子どものワクチン接種率を上げようと努力をしていたそうです。
無料なのに予防接種を受けにくる人が少ないのは、子どもを連れて村から町まで歩いて医療センターに行くのが親から見ると1日仕事になり、その間、報酬が得られないからです。
そこで予防接種を受けに来た人にダール豆という彼らの主食を1日分与えるルールにしたところ、予防接種を受ける人の数が劇的に増えたという事実があります。
これが4つめの例です。

これらの例から医療について、行動経済学的にわかる事実があります。
人間は予防にはほとんどお金をかける気がない。
一方で病気にかかってしまった後では治療にはプライスレスでお金を支払おうと行動する。
予防のほうが治療よりもコストが200分の1で済むのに、それをしない。
これが人間です。

「お金を積んでも治療できない病気」が目の前に
さてさて、私たちの目の前にある新型肺炎のリスクがこれと同じ状況であることにお気づきでしょうか。
先進国で暮らす私たちが普段、考えてもみなかった「お金を積んでも治療できない病気」が目の前にあるのです。
新型肺炎は治療法がありません。
できるのは対症療法だけで、集中治療室に入れて気道送管で空気を送り込む。
それでも一定数の患者さん、それは高齢だったり持病があったりする方が中心になるという意味ですが、そのような患者さんの中から残念ながらもお亡くなりになってしまう可能性があります。

【2020年2月18日8時40分追記】
初出時、経口補水塩(ORS)の和訳と対処療法の方法について誤りがありましたので、上記のように修正しました。
WHOの関係者の話では治療薬を開発するのには1年半かかり、簡易診断キットを作るのですら半年かかる。
現状では感染が疑われる人の検査すら1日1000人しか行えない。
これから感染者が増加した場合、入院するベッドの数も限られている。
あとになって発症することになる日本人にとっては、医者や薬が不足して、毎年何万人もの弱者が死ぬ貧困国の例と状況的に同じです。
そして新型肺炎の拡大を防ぐためには「なるべく不要の外出はしない」「外出時にはマスクを着用する」「帰宅時などこまめに薬用せっけんで手洗いをし除菌をする」という3つの対策を国民全体が実行すれば拡大はある程度予防できることがわかっています。

ここは医者が言う「それでも防げませんよ」という言葉には耳を貸さずに実行すれば「感染拡大の確率は確実に下げられる」ということは言える。
完全に防ぐことと、拡大を抑えることは違うからです。
しかしこの予防をしないのが人間だというのが社会学的に判明している。
ここがこの問題の最大のポイントであり、人間という生物の矛盾です。

強制してでも予防策を取ってもらったほうがいい
だとしたら、本当の意味で効果的な新型肺炎対策は、権力によるマスクと手洗いの強要です。
これは暴論として言っているのではなく、行動経済学的な知見から導かれる不都合な結論です。
具体的には「公共交通機関の利用の際にはマスク着用を義務づける」「官庁、大企業、大規模商業施設、そして病院など人が集まる場所の入り口では手をアルコール殺菌してからでないと入館できないようにする」といった強制策です。

それが今のところ民主主義で自由主義の国家では強要できない。
でも強要されない人間は予防にはコストはかけてくれないことが問題です。
実際、いまでも電車にマスクをつけずに乗ってせきをしている人を見かけます。
マスクが買えないことを理由にしますが、ここではペーパータオルと輪ゴムでつくる簡易マスクでもできる対策の話をしています。
経口再水和溶液(ORS)が入手できない国でも塩素と塩と砂糖で作り方を教えている。
でもやらない人と同じ議論です。

結局はメディアがせきエチケットを強調するだけの対策しかできないのが自由主義国家日本です。
悪い結果にならないことがいちばんですが、もしかして今回の新型肺炎の教訓がのちのち「中国のような統制型の国家体制のほうが人間の生活を守りやすい」などという結論につながらなければいいと私は心から思います。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(6) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月20日

新型肺炎、日本の危機管理に「足りないもの」を専門家らが指摘

新型肺炎、日本の危機管理に「足りないもの」を専門家らが指摘
2/19(水) 現代ビジネス

松村 むつみ(放射線科医、医療ライター)

 新型コロナウイルス肺炎で、国内でも13日、ついに死者が出た。
その後も都内や名古屋市で感染例が相次いでいるが、いずれも感染経路が不明な状態だ。
16日に政府が行った第一回新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では、「国内発生早期」の段階ではあるが、「国内感染の状況が進行する可能性」が示されている。

 そんななか、政府の対応に関して懐疑的な人も多く、「初期対応がまずかったのでは」という声も上がっている。
日本の対応は実際にまずいのか、海外の事例に詳しい専門家2人に話を聞いた。

武漢からの帰国者への対応はどうだったのか
 パリ在住でフランスの医療政策に詳しい、日本医師会総合政策研究機構 フランス駐在研究員の奥田七峰子氏は、「日本政府が迅速にチャーター便を出して自国民を出国させ、フランス同様病院近くのリゾートホテルに隔離したのは評価できるのではないでしょうか」と言う。
 ヨーロッパではじめてコロナウイルス感染が確認されたフランスでは、報道の混乱が一部で見られたものの、医療機関のプレス対応も混乱することなくきわめて落ち着いていたという。

奥田氏はさらに続ける。  
「1月25日、パリで2名、ボルドーで1名、新型コロナ・ウィルス陽性の患者が入院しました。
いずれもSAMU( 日本における三次救急に特化した救急システム)とSOSメデゥサン(民間の往診ドクターサービス)の迅速な連携で救急外来も通らず感染症病室(陰圧室)に即入院しました。
3人とも症状が軽く、検疫・隔離のための入院でした。
 フランス政府は、<武漢に行った、または行った人と接触して風邪症状のある方は、病院には来ないで下さい、かかりつけ医に行かないで下さい、SAMUに電話して指示に従って下さい>とアナウンスしました」

 フランスと日本の初期対応はよく似ているが、チャーター便で帰国後の対応は一部異なっている。  
「武漢からのチャーター便での帰国者は、チャーター機から降りると直接バスで隔離施設(南仏のバカンス村)に運ばれ、2週間隔離されました。
その後、8人の陽性患者が発見され、合計11名になっています。
いずれの患者も、中国と直接関係のある人からの感染です。
15日現在、80歳代の中国人旅行者の死亡が確認された以外は、全員軽症で、退院したり、検疫期間が終わった人もいます」

 日本ではチャーター機の第一便の帰国者の一部を検査が陰性だということで自宅に帰し、後に発症がわかったケースもあり、詰めの甘さがあるのは否めない。
フランスはすべての帰国者を隔離施設に2週間隔離しており、施設内での二次感染も報告されていない。

国民のマスクに対する認識にも差
 また、奥田氏によると、日本とは異なり、パリではマスクをしている人は少なく、マスクをつけることは感染者ではないかとかえって疑われる行為なのだという。
マスク単独での予防効果のエビデンスはなく、むしろマスクは、感染をしている人が周囲への感染をおさえるためにするものであるので、フランスの人々の認識のほうが適切かもしれない。
 フランスでは、基本を押さえた組織的対応が、過剰にならず、冷静になされているといえる。
 ただ、「流行の中心はアジアです。
日本とフランスとでは、中国との地理的関係やチャーター便で帰国した感染者数にもそもそもの違いがあり、単純に比較をして、『フランスの対応が日本よりも優れている』と言うことはできません。
あくまで、事実を正確に理解するのが大切です」と、奥田氏は付け加えた。

〔PHOTO〕gettyimages 感染症対策の専門機関が必要
 フランスと比べると対応にやや甘さが見える日本。
新型コロナウイルス肺炎ではないかと症状を訴える人に対する国や自治体の対応の方針も一貫性に欠ける部分があり、その都度会議が開かれるものの、専門家との連携も十分とはいえず、「場当たり的」な対応になってしまっている。
これまで、医師が「検査が必要」と判断した人に対し保健所が検査を断る、などの小さな混乱も生じている。
 また、クルーズ船の中で感染者数が増え続けていることについて、当初は検疫前に感染していた人々とみなされていたが、検疫官や事務職員の感染が明らかとなり、マスク着用や手指消毒のルールが遵守されていなかったことから、検疫後も二次感染が続いていた可能性が示唆されている。

 専門家の間では、専門機関の不在が「場当たり的」対応の原因になっているのではないかという見方がある。
「CDCがないので、日本では感染症に対する系統的な対応ができにくくなっています」と語るのは、神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授だ。
 CDC(Centers for Disease Control and Prevention:疾病管理予防センター)とは、アメリカで1946年に設立された、国民の健康と安全の保護を主導する立場にある連邦機関だ。
感染症においても、専門的に調査・対策を担っている。
アメリカでは、専門家集団が独立性を保ちつつ官民との緊密な連携を構築し、感染症対策に当たることが可能になっている。

 ヨーロッパでも、EUの機関として2005年に設立されており(ヨーロッパのCDCは、感染症の調査や解析を行っているが、対応は基本的に各国に任されている)、中国や韓国にもCDCは存在する。
日本では、厚生労働省と国立感染症研究所がCDCに相当する業務を行っているが、独立性が十分ではなく、組織化されているとは言いがたい。

 「自治体や省庁においても、専門家とは言えない人々が対応する仕組みになっているので、バックグラウンドへの洞察が足りず、継続的な政策をするのは困難です。
 今後の対応としては、国内でも武漢のような局所的大流行が起こったときに、都市を遮断するのかを決定する覚悟が必要でしょう。
オリンピックをどうするか、学校やビジネスをどうするかもあわせて考えていく必要があります」(岩田教授)

「クルーズ船はCOVID-19製造機」
 また、岩田教授は2月18日に二次感染が疑われるクルーズ船に実際に乗船しており、その内部の惨状についてYouTubeで、もはや「COVID-19(新型コロナウイルス)製造機」であると指摘している。
 本来、ウイルスがある危険なレッドゾーンとそうでないグリーンゾーンに区分けして、レッドゾーン内でのみ防護服やマスクに身を包むべきところ、それがぐちゃぐちゃになっており、どこにウイルスがあるのか、どこが危険でどこか安全なのかがまったくわからず、いつ誰が感染してもおかしくない状態になっていた、という。

 岩田先生は、「この仕事を20年以上やってきて、エボラ出血熱やSARSなどいろいろな現場に立ち向かってきたが、自分が感染症にかかる恐怖を感じことがなかった。
でも、クルーズ船は悲惨な状態で、心の底から怖いと感じた」と動画内で語っている。
 また、現場に常駐している感染症対策の専門家が一人もおらず、たまに訪れる専門家がアドバイスしようとしても、厚生労働省の官僚がそれを聞き入れない状況にあるという。
 こうした対応の不備を見ても、日本において感染症の専門機関の設立や組織的対応の充実が急務である。

 クルーズ船の乗客は陰性だった人から2月19日から21日頃にかけて順次下船し、陽性で症状のない人は愛知県岡崎市にある藤田保健衛生大学の未開院の病院で経過観察がなされる運びになっている。
下船した乗客からの二次感染が起こらないよう、一刻も早く対策を講じる必要がある。

 最後に改めて、感染を防ぐために私たち一人ひとりができることについてお知らせしたい。
大切なのは、事実を知り、冷静にリスクを判断すること
マスクの買い占めや、「症状がなくても検査をしてほしい」と保健所に電話をするような行為は避けよう。
そして、石鹸による頻回な手洗い、手指のアルコール消毒、十分な栄養と睡眠をとるなどの基本的生活習慣が何より重要だ。

 こうした基本に加え、以下の対応も推奨される。  
1. リモートワークをする
2. 風邪症状のある人は無理に出社しないでなるべく休む
3. 不要な人混みへの外出は避ける
4. 集会・会合はできるだけ行わず、可能なら延期を
5. 高齢者施設や病院にはできるだけ行かない  

発熱などの風邪の症状が見られるときは、厚生労働省が2月17日発表した「新型コロナウイルスの相談・受診の目安」を参考にしてほしい。
こちらにも記されているが、感染が疑われる場合はすぐに病院に行かず、まず「帰国者・接触者相談センター」に相談するようにしよう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月22日

コロナ“現地対策本部長”橋本議員 写真削除で露呈した無能

コロナ“現地対策本部長”橋本議員 写真削除で露呈した無能
2020.2.21 日刊ゲンダイ

 厚労省は20日、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗っていた日本人2人が新型コロナウイルスに感染して死亡したと発表。
船内の感染対策に批判が殺到する中、集中砲火を浴びているのが“現地対策本部長”の橋本岳厚労副大臣だ。
「現在、当選4回、“厚生族のドン”として総理大臣にまで上り詰めた故・橋本龍太郎の次男です。

しかし、2009年の衆院選では比例復活もかなわず、まさかの落選。
永田町では『総理大臣の息子が負けるなんて……』との評価でした」(政界関係者)
 “親の七光”もあってか、厚労副大臣の肩書を得ているが、落選したように、政界での評判は「エラソーだ」などと良くない。
過去には夫人へのDV騒動が週刊誌にすっぱ抜かれた。

 コロナ対策でも、船内の管理体制のずさんさを動画で告発した神戸大学医学研究科感染症内科の岩田健太郎教授を「承知していない」との理由で船外に追い払っている。

■不潔・清潔の根拠がサッパリ不明
 岩田教授は動画で船内の様子について、ウイルスのいそうな「レッドゾーン」と、そうでない「グリーンゾーン」がゴチャゴチャの「悲惨な状態」だと指摘。
 この告発への反論なのか、橋本氏は21日、自身のツイッターに、〈左手が清潔ルート、右側が不潔ルート〉(原文ママ)との説明と一緒に船内の様子を収めた一枚の写真を投稿(現在は削除済み)。

隣接する「清潔ルート」と「不潔ルート」の扉の写真を、岩田教授からツイッター上で〈この手前(写真撮ってるとこ)が清潔不潔が完全にクロスするゾーンになる、ということがおわかりいただけますでしょうか〉と皮肉られる始末だった。

山野美容芸術短大客員教授の中原英臣氏(感染症学)がこう言う。
「クルーズ船内で検疫を始めた当初から『レッドゾーン』と『グリーンゾーン』をきちんと分けていたら、船内が武漢と同じような状態になるわけがありません。
同じ空間内でどこが『不潔』で、どこが『清潔』なのかも根拠が不明です。
そもそも専門家なら『不潔』や『清潔』といった言葉を使いません。
船内にいる人に不快感や不安感を与えてしまうからです」

 20日は厚労省の40代男性職員と内閣官房の30代男性職員の感染も発覚。
副大臣として官邸に出入りする橋本氏は、感染しないように、十分に気を付けているのだろうか。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月23日

「貯まらない家計」に潜むお金の病気

「貯まらない家計」に潜むお金の病気
2020/02/22 All About
横山 光昭(マネーガイド)

頑張っているのにお金が貯まらない!
「こんなに節約を頑張っているのに、お金が貯まらないのです」。
こういう相談は結構多いもの。
聞けばすごく細かな節約方法を、ストレスをためながらも継続して頑張っていたり、お金について真剣に考えている様子がうかがえるのに、いっこうにお金が貯まるようなやりくりになっていかないのです。

なぜでしょうか?
それは、貯金生活を頑張る方が陥りやすい落とし穴、「お金の病気」にかかっているからなのです。
今回はその病気の代表的なものについて、症状や対処方法などを紹介していきます。

頑張っているのに……が要注意!
・日々節約を意識し頑張っている。
・買い物は特売品を狙って、支出を抑えている。
・家計簿をつけている、または過去につけていて、家計の流れがわかっている。
・安いものを買いだめして節約している。

これらのようなことを頑張っているのにお金が貯まらない……という方は、チャートを試してみてください。

c All About, Inc.
潜在的な金銭管理における問題を見つけるチャート。
お金をためる.jpg
お試しあれ! ご自分の傾向が見えたはずです。
実は隠れた病気が潜んでいるかもしれませんよ。

知らず知らずにかかっているお金の病気の中身はこれだ!
節約を頑張ってもうまくお金のやりくりがつかない人に多い、心に潜む主な問題の特徴を説明します。
改善策も合わせて紹介しますので、今後に役立ててみてください。

▼ちょっとゼイタク症候群
特徴 特売品より産地直送、有機野菜、少しいいもののほうが長持ちするなどこだわりを持っている。それが拡大し、生活用品すべてにこだわりを適用しがちで家計は火の車に。
改善策 商品の価格に見合った価値があるかを考える習慣を。
こだわりを続けるときは、支出を抑えるものを決めて。

▼節約しているつもり症候群
特徴 バーゲン、特売に目がなく、行かないと損をした気持ちになる。
使うお金は少額だが、同じような買い物を繰り返し、消費が浪費になってしまっている。
改善策 買い物の総額を知ること。
買い物時は本当に必要か、在庫がなかったかを考える習慣を持つこと。

▼お金はどこに消えた症候群
特徴 ムダ遣いや贅沢はしていないのに、気が付いたらお金がない。
ムダな支出はないという割に、何にいくら使ったかわからない。
改善策 簡単でよいので家計簿をつけて、何にいくら使っているかを知ろう。
クレジットカードは支出を混乱させるのでしばらくお休み。

▼すべてが投資症候群
特徴 飲み会、エステ、洋服、本など、交際費や教育費、外見を飾る支出のすべてが自己投資と勘違いしている。
投資と称し、実は浪費になっている部分が多い。
改善策 価値観の影響が強いので、自分で気付くことが大切。
「消費・浪費・投資」を意識した家計管理を90日続ける。

▼仕方がないわよね症候群
特徴 収入が少ない、子供がいるなどの環境、今の支出額は一般的に「ふつう」であるとし、仕方がないと納得している。
重症になると、家計は破たんする。
改善策 支出に優先順位をつけて、メリハリを出しましょう。
自分に必要なものを考え、価値観を形成しましょう。

ドキッとしたものがあったのではないでしょうか?
気が付いたら、その時点で修正していくよう心掛ければ、日ごろ頑張っている節約も効果の出るものに変わってくるはずです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月25日

【新型コロナ対策】体温が1度低下すると免疫力30%ダウン

【新型コロナ対策】
体温が1度低下すると免疫力30%ダウン
2020年02月24日 日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルスの感染拡大で、免疫力の注目度がアップしている。
いまさら多くの説明は必要あるまいが、免疫力とは、体内に発生したがん細胞や、外から侵入してきたウイルスなどを攻撃する自己防衛システムのことだ。

 免疫力が低下すると、インフルエンザなどの感染症にかかりやすい、アレルギーが出る、疲れやすくなる――ともいわれている。

 一般的に、免疫力をアップするには――
@腸内の善玉菌を優位にして腸を元気にする
Aカラダの代謝を上げ、体を冷やさない
Bストレスをためずに自律神経にメリハリをつける
 これらが大事だとか。

たとえば、@では、乳酸菌を含むヨーグルトや、オクラなどのヌルヌル食品、食物繊維たっぷりのコンニャクなどを食べるのが効果的。  
Aには、体温を上げるような運動や入浴がいい。
免疫力を正常に保つには、体温は36・5度が最適とされ、体温が1度下がると免疫力は30%低下し、1度上がると免疫力は一時的に最大5〜6倍アップするそうだ。

 参考までに、カラダを芯から温めるには、“38〜40度のお湯に20〜30分つかる”といい。
家庭の風呂でもできないことはないが、週に1度は銭湯や日帰り温泉に出かけて、頭のてっぺんからつま先まで温めるのもアリか。
 入浴してリラックスすることは、Bにもつながる。
我々の自律神経は、昼間は交感神経が優位に働き、夜間は副交感神経が優位に働くが、この緊張状態とリラックス状態のバランスが崩れると、免疫力が下がってしまう。

 自律神経の切り替えの意味では、睡眠前の入浴はタイミングのよい転換点。免疫力アップに影響することを覚えておくべきだろう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

診察時の「服装マナー」 ワンピースはダメ、ゼッタイ

察時の「服装マナー」 ワンピースはダメ、ゼッタイ
2020年02月24日 NEWSポストセブン

 とりあえず体調が悪くなったら病院に行けばいい──そう思っている人も少なくないかもしれない。
しかし、病院や医師に関する正しい知識を持っていないと、ベストな治療が受けられないのだ。
 たとえば、「診療所」と「病院」、その違いを正確に把握しているだろうか?

◆「診療所」と「病院」なら、まずは「診療所」へ行こう
 実は、初診時は「病院」より「診療所」(クリニック、医院など)にかかるのがおすすめだという。
待ち時間が短く、初診料が安いからだ。
 また、何科に行くべきか迷ったときも的確に判断し、紹介状を書いてくれる。

現役外科医の山本健人さんはこう話す。
「自分の診療所で治療できる限界を知っていて、この症状なら大病院で治療した方がいいと判断し、すぐに紹介状を書いてくれる医師は信頼できると思います」
 地元で長く経営している診療所は、たいてい大病院との連携も強いので安心だ。

◆診察しやすい格好を ワンピースはNG!
 診察を受ける際の服装も重要だ。
「ワンピースの女性患者さんが受診すると、衣服を胸元までまくし上げられないため、服の上から聴診器を当てることに。
そうなると正確な情報を得にくいんです」(山本さん)

 素早く正しく診察してもらえるよう、脱ぎ着しやすい服装で来院するのが、患者のマナーだ。

※女性セブン2020年3月5日号
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月28日

【香山リカ氏書評】新型肺炎騒動を生んだ「健康自己責任論」

【香山リカ氏書評】新型肺炎騒動を生んだ「健康自己責任論」
2/27(木) NEWSポストセブン
【書評】『病気は社会が引き起こす インフルエンザ大流行のワケ』/木村知・著/角川新書/840円+税
【書評】香山リカ(精神科医)

 新型ウィルスが世界をパニックに陥れている。
「有効な治療法もワクチンもないのです!」とテレビは絶叫し、私のクリニックにも「寒気がする。例の肺炎では」と駆け込んでくる患者があとを絶たない。
その顔面はたしかに蒼白だが、それはウィルスではなくて恐怖や不安によるものだろう。

 本書は現役医師である著者が、社会的な視点からいまの日本の医療をめぐる問題を鋭く語った一冊だ。
実は臨床の名医には、この“社会的な視点”が驚くほど欠けていることが多い。
 本書にあるように、日本の企業社会が「カゼくらいで休むな」「カゼは体調管理ができてない証拠」といったスパルタ精神で成り立っていることさえ、知らない医師がほとんどなのだ。

そして、企業戦士である患者に乞われるがままに、熱を下げる薬やカゼのウィルスには効果ゼロの抗生物質などを処方してしまう。
 また著者は、豊富な臨床での経験を通して、「病気は自業自得、自己責任というのは的外れ」と言い切る。
医療費を抑えたいならば、むしろ社会保障が必要な人にきちんと行きわたるようにするのが得策なのに、貧しい人や住居がない人たちを追い詰め、必然的に病気になる人を大量に増やすのはまさに本末転倒。

 このように、一歩、離れて眺めれば、いまの日本の医療にはおかしな問題がたくさんある。
その多くは、本書で指摘されているように、「経済性や効率が最優先」「すべては自己責任」という価値観に基づいて、社会の制度が設計されていることにある。

「困ったときはお互いさま」「カゼを引いたときは休める」などあたりまえのことを思い出せばよい、と著者は言葉をかえて何度も呼びかける。
 マスクの買い占めから中国人差別までが起きている新型ウィルスについても、本書で述べられているインフルエンザ対策がそのままあてはまる。
すなわち、「調子が悪いなら、自宅で安静にし、人に接触しない」。
落ち着いて、ひとへの思いやりを忘れずに、社会全体の健康を守りたい。

※週刊ポスト2020年2月28日・3月6日号
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(7) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月04日

「睡眠が上手に取れる人」に共通する5つの法則

「睡眠が上手に取れる人」に共通する5つの法則
ムダな眠気に悩まず、すっきり仕事できる
2020/03/03 東洋経済オンライン
小林 孝徳 : ニューロスペース社長

よい眠りが取れているビジネスパーソンは、日中高い集中力を発揮し、ここぞというときの判断力にも長けています。
拙著『ハイパフォーマーの睡眠技術 人生100年時代、人と組織の成長を支える眠りの戦略』でも詳しく解説していますが、私が運営する会社が1万人以上のビジネスパーソンから睡眠に関わるデータを集めてわかったことは、よりよい睡眠を取れている人ほど、会社からの評価だけでなく、周囲からの信頼が厚く、数字での結果を残していることです。

ハイパフォーマーの睡眠の定義
仕事ができる人――つまり、「ハイパフォーマーであるビジネスパーソン」の睡眠の定義は3つです。

<1>朝起きたときに頭がすっきりしている
<2>日中に来る眠気をコントロールできている
<3>リラックスしたいときに眠気が来る

<1>は、とくに起きてから4時間以内に強い眠気が来ないことが指標となります。
前の晩に質のよい眠りがとれていれば、起床後4時間以内に強い眠気は起きづらい傾向があります。

<2>は、眠気によって仕事に支障をきたしていないことがハイパフォーマーの睡眠の定義の1つです。
「そもそも、ハイパフォーマーは眠気を感じないのでは?」という声が聞こえてきそうですが、そんなことはありません。
私たち人間には、起きて光を浴びたタイミングからだいたい7〜8時間後に眠気を感じる「サーカディアンリズム」と呼ばれる身体のメカニズムが備わっています。
これは、正常な睡眠がとれているのであれば誰しもに訪れるもので、この日中の眠りに対して適切に対応できているのが、ハイパフォーマーの特徴です。

<3>は、寝る時間、つまりリラックスしたい時間帯にちゃんと眠気が来ているかどうかということが重要です。
ハイパフォーマーには、身体のオンとオフの切り替えがしっかりとあり、寝たいときに眠れる身体のリズムを持っています。

【ハイパフォーマーの睡眠の法則】

@ベッドに入ってからの寝つきがいい
A起床時間が整っている
B本睡眠前にうとうとしていない
C仮眠をフルに活用している
D寝る時間に拘束されない

ビジネスパーソン1万人以上の睡眠データから導き出した法則は、以上の5つです。
順番に解説していきましょう。
(外部配信先では図表やグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

効率のいい睡眠とは?
@ベッドに入ってからの寝つきがいい
N(Normal)は、一般的なビジネスパーソンのもの、H(High)はハイパフォーマーの定義に当てはまるビジネスパーソンの睡眠習慣を表した図です。
@の部分に着目すると、Hはベッドにいた時間と寝た時間にほとんど差が見られないのに対し、Nは、ベッドに入ってからしばらくの間、眠れていないことがわかります。
寝つきのよさは「睡眠効率」といい、次の公式によって割り出すことができます。

(寝ていた時間)/(ベッドにいた時間)×100=睡眠効率(%)
このパーセンテージが高いほうが効率よく睡眠がとれたことになり、逆に低くなるほど睡眠効率が悪いことを示します。
例えば23時にベッドに入り、眠りに落ちたのは午前1時。起床時間が6時だったとすると、睡眠効率は「5時間(寝ていた時間)/7時間(ベッドにいた時間)×100」となり、71.4%となります。

質のよい睡眠は、睡眠効率85%以上になります。
そもそもなぜ、Nはベッドに入ってからなかなか寝ついていないのか。
それは、眠りに関係のないこと、スマートフォンやパソコンをいじる、読書をするなどの行為をベッドの上で行っているのです。
これを習慣化してしまうと、脳は寝室を「遊ぶ部屋」「学習をする場」と認識します。
脳は行為をセットで記憶するため、こういった行動を続けていると寝室を「眠る場所」として認識しなくなり、その結果、寝つきにくくなったり、眠りの質が悪化したりしてしまいます。

ただ、寝つきがよすぎるのも問題。
ベッドに入ってから1分以内に眠ってしまう状態は慢性的な睡眠不足の証拠です。

理想的な寝つき方は3〜10分かけてまどろみを感じ、徐々に入眠していくことです。

A起床時間が整っている
次に、2つの図のAの部分、起床時間を見比べてみましょう。
Hは土日を含めて起きる時間がほとんど整っていますが、Nは起床時間にばらつきがあります。
とくに土日は、昼頃まで寝ている様子がうかがえます。

結論からいうと、ハイパフォーマーと呼ばれるビジネスパーソンは、1週間を通して起床時間が整っています。
一定の時間に起床し、光を浴びる。
このセットを継続することによって身体のサーカディアンリズム(概日リズム、一般的に体内時計とも言う)が規則的になります。
逆に、極端なズレが生じると、リズムが後ろ倒しになり、眠気に襲われやすくパフォーマンスの低下につながってしまうのです。

平日と休日の生活リズムに悩むBさん
起床時間を整えろと言われて悩むのが平日と休日の生活リズムです。
私が睡眠アドバイスを行ったコンサルティング業界に勤めている30代OLのBさんは、毎週月曜の朝に「会社に行きたくない……」という気持ちに悩まされていました。
いわゆるブルーマンデー症候群といいますが、月曜日に限らず、長期連休明けなどにこの症状に陥る人も多いです。

私は、Bさんにサーカディアンリズムを整えることを提案し、土日の起床時間も平日と同じ時間にそろえることを推奨しました。
睡眠のリズムを一定に保つことを徹底し、週末の過ごし方を変えたBさんは、ブルーマンデー症候群の特徴である、だるさや意欲の低下を感じなくなったことはもちろん、自分のベストパフォーマンスが発揮できる時間帯を見つけられたと言います。

起床時間を整えたことで、「平日のとくに13時頃になると眠たくなる」「10時頃は集中力を出しやすい」といった自分のパフォーマンスの傾向が見えてきたBさんは、うまく業務の振り分けができようになったのです。

重大な決断をする会議や頭を使う資料作成をパフォーマンスが発揮しやすい時間帯に、逆に眠気に襲われやすい時間帯は頭を使わない単純作業をするなど、仕事を割り振ることで業務効率は飛躍的にアップします。

B本睡眠前にうとうとしていない
仕事を終え、帰りの電車内。座ったとたん、つい、うたた寝をして最寄り駅を乗り過ごしてしまった……多くの人がこのような経験をしています。
座席も温かく、電車のゆらぎによって寝つきやすくなってしまうことは否定しません。
しかし、この時間帯に寝てしまうと、夜の睡眠に悪影響が出てしまいます。
図の帰宅時間帯の部分Bを見比べてみると、Nのほうは平日の21時前後に短時間眠っている箇所がいくつかありますね。
帰りの電車でのうたた寝、もしくは帰宅後に自宅のソファーに座ってそのまま寝落ちしてしまったといったところでしょう。

逆にハイパフォーマーであるHの図を見てみると、眠気を感じてはいるものの、帰宅時間帯に寝ている様子は見当たりません。
睡眠の仕組みは、バネの原理に似ており、起きている時間が長いほど眠る力がたまっていきます。
これを専門用語で「睡眠圧(睡眠の恒常性)」といい、深く長い眠りである「本睡眠」に向け、この睡眠圧をしっかりと貯蓄していくことが大切になってきます。
ためにためてきた睡眠圧を本睡眠の直前に一気に解放することが、深い眠りに入るための条件となるのです。

C仮眠をフルに活用している
先ほども書いたように、私たちは起きて光を浴びてから7〜8時間後には、眠気が訪れます。
また、睡眠圧の原理によって、起きている時間が長ければ長いほど眠気を感じやすくなることにも抗えません。
これらの眠気を感じることは、身体の異常ではなくむしろ正常なリズムを持っている証しです。

ここで重要になってくるのは、日中に感じてしまうこの眠気をどう解消していくかです。
眠気を解消したいとき、多くの人はコーヒーなどカフェインを取っていますが、それはただ眠気を一時的にブロックしているにすぎません。
この対処法はドーピングのようなもので、根本的な眠気の解決にはならず、一定の時間をすぎるとまた眠気が押し寄せて、再びパフォーマンスが低下します。

質のよい仮眠を取るための方法
質のよい仮眠をとるためには、以下の3つが重要です。
(1)仮眠時間は15〜30分
(2)心臓より頭が上にくるように眠る
(3)仮眠前にカフェインを取る

この3つを意識すると、質のよい仮眠が取れ、その後のパフォーマンスがアップします。

D寝る時間に拘束されない
これは大変シンプルなことですが、ハイパフォーマーは早く眠れるときは、潔く早く寝ています。
睡眠において大切なのは、リズムであり、寝る時間を一定にすることではありません。
早く寝られるときに、早く寝ることが、日頃の睡眠不足を解消するために大切なのです。

なぜ、改めてこのことに言及するのかというと、「睡眠のリズムを一定に保つ」という強い意識のせいで、かたくなに寝る時間を一定に保とうとする人がいるからです。
「絶対に0時に寝て6時に起きる。6時間睡眠を死守する」という意識の人は思いのほか多いのですが、眠れるときは眠る時間を確保することが大切です。

基本的には「眠い」と感じたら、それは身体が眠りを求めているサイン。
疲れ具合や脳の負担は毎日同じではないため、身体と脳の状態に耳を傾け、早く寝たいときは身体に正直になるといいでしょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(8) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月06日

コロナショック「食の中国依存」露呈した危うさ

コロナショック「食の中国依存」露呈した危うさ
2月2週にはニンニク・タマネギの輸入量激減
2020/03/05 東洋経済オンライン
山田 稔 : ジャーナリスト

新型コロナウイルス感染の歯止めなき拡大で日本列島はもはやパニック寸前の状況に陥っている。
影響は、連日伝えられる感染者数拡大だけではない。
昨秋の消費税増税でGDP大幅減の日本経済に強烈なダメージを与えている。

観光・宿泊関連、運輸、百貨店、製造業、そして株価。
旅館やコロッケ業者、クルーズ船会社が経営破綻するなど、コロナ倒産危機が現実のものとなってきた。
見過ごせないのが食の輸入現場だ。

日本にとって中国は、アメリカに次ぐ世界第2位の農林水産物輸入相手国である。
その依存の実態を明らかにしよう。

中国はアメリカに次ぐ第2の食材供給基地
2019年の農林水産物の輸出はトータルで約9121億円。
輸入合計は9兆5166億円。
圧倒的な輸入大国である。

国別の輸入金額は、
@アメリカ:1兆6470億円
A中国:1兆1911億円
Bカナダ:5694億円の順。

中国のシェアは全体の12.5%となっている(農林水産省「農林水産物輸出入情報」)。
日本の食卓にとって、中国はアメリカに次ぐ、なくてはならない食料供給地なのである。
その中国国内での新型コロナウイルスの爆発的感染と移動制限などで食材の収穫、流通が滞り、中国からの輸入が大きく落ち込んだ。

家庭の食卓でもなじみの深いニンニクと外食産業で欠かせないタマネギの最近の輸入状況を農水省の植物検疫統計で前年の同時期と比べてみよう。

■ニンニク 2019年2月第2週:31万3709s・第3週:11万7863s 2020年2月第2週: 1万0632s・第3週:17万9372s
■タマネギ​(加工) 2019年2月第2週:516万4450s・第3週:317万0860s 2020年2月第2週: 57万9300s・第3週:291万9180s

2月第2週(2〜8日)の落ち込みが強烈だ。
ニンニクは、前年同期比でなんと96%減となってしまった。
タマネギも前年同期比で89%減である。

第2週は、ネギ、ニンジン、ゴボウ、キャベツなども軒並み8、9割減となった。
価格も上昇し、仕入れ値は一時的に通常の7割高になったという。

輸入量は第3週に入って持ち直しているものの、先行きは中国国内の状況次第で不透明だ。
日本は中国からどんな食材を輸入しているのか。

輸入品は肉類、畜産品、野菜、果実、水産物、各種加工品まであらゆる分野に及ぶ。
輸入金額合計に占める中国のシェアは12.5%だが、輸入農林水産物約400品目中、中国がシェアトップは110以上もあり、輸入品目のシェアは25%を超える。
対中依存度の高さを示す数字である。

農水省の農林水産物輸出入情報で年間の輸入金額が大きい品目を調べてみた。

農産物:合計7171億8110万円
水産物:合計3147億9726万円
林産物:合計1591億0282万円
農産物が全体の60%を占めている。

農産物の内訳はどうなっているのか。
もっとも多いのが「野菜・その調製品」で2498億円。
さらに、その細目を見ていくと次のような品目が上位となっている。

●その他の野菜調製品:1084億6035万円
●冷凍野菜:934億2815万円
●野菜缶・びん詰類等:615億7146万円
野菜調製品というとわかりにくい。

農水省の国際経済課に確認したところ「冷凍、加熱、味付け処理したもの」だという。
冷凍野菜などの調製品や野菜缶など加工された形で輸入された農産物の比率が高いことがわかる。

個別の野菜などで輸入額の多いもの
個別の野菜などで輸入額が多いのはどんなものがあるか。

●タケノコ調製品:140億9947万円
●たまねぎ:128億9091万円
●乾燥した豆:110億4001万円
●茶・マテ:78億3481万円
●ネギ:70億9382万円
●冷凍ブロッコリー:49億7820万円
●冷凍枝豆:39億1292万円

スーパーで見かけるタケノコの水煮や冷凍枝豆が上位に入っているのだが、中国産のタマネギはまず見かけない。
それもそのはず、大半が外食業界や惣菜業界での需要なのだ。
「中国からのタマネギは皮がむかれた形で入ってきます。
調理現場で皮むきの手間が省けるわけです。
飲食業界は人件費がアップし、人手が足りない状況が続いていますから、少しでも手間が省ける食材の需要が高い。
皮がむかれた里イモも人気ですね」(外食業界関係者)

食品企業や飲食店の中には「中国産食材は使用しない」と宣言しているところもあるが、人手不足に加え価格競争が厳しい外食業界にとって中国産野菜は必需品となっているようだ。

水産物も中国依存が高い。
中国からの輸入総額3148億円は水産物輸入総額1兆7397億円の18%。
輸入品の代表的存在はウナギとイカだろう。
・中国産ウナギは、生きている活ウナギが182億2520万円で、2位台湾(63億6300万円)の3倍。
加工品の調製ウナギは342億4503万円で、2位台湾(4億2195万円)のなんと81倍。断トツである。
・イカも高シェアだ。
イカ(活・生・蔵・凍モンゴウ含む)は289億9597万円で2位ベトナム(63億5413万円)の4.6倍。
イカ(調製)は268億6219万円で2位ペルー(21億4647万円)の12.5倍となっている。
・マグロ類も輸入額が大きい。
生・冷蔵・冷凍含めた輸入額は241億9889万円で、1位台湾(360億3743万円)に次いで2位。

このほか、中国産がシェアトップとなっている品目は、フグ、ハマグリ、ホタテ貝、貝柱、タラの卵などがある。
近年、サンマやイカの日本近海での不漁が深刻化している。
スルメイカ漁が記録的な不漁となっている函館では、函館港の11月のイカ輸入額が16億1400万円となり、1979年以降で最高となった。

これまでの中国産に加えロシア産が増えているという。
水産加工業者にとって輸入イカの存在は生命線だ。
中国産水産物の需要はスーパーで売られているウナギやアサリ、ワカメなど一般家庭向けだけではない。
回転ずしや居酒屋、中華料理店など外食業界にとってもなくてはならない存在だ。

イカ、ネギトロ、ウナギ、アナゴ、そしてガリや海苔。中国産の食材や加工品を扱っているチェーン店は少なくない。

意外な食材、物品も中国産だった
主だった食材関連の中国からの輸入品目の実情を見てきたが、意外な農林水産物も中国から入ってきている。
シェアトップの品目の中から、拾ってみると……。

羊毛98億2221万円、
カシミヤ山羊の毛11億6293万円、
生糸14億3551万円、
ワッフル・パイ・ケーキ65億3667万円、
梅(調製品)39億9980円、
リンゴジュース67億2137万円、
フレンチマッシュルーム(缶詰)11億1288万円、
こんにゃく20億2661万円、
朝鮮人参56億5263万円、
飼料用ビタミン調製品9億9660万円、
すだれ19億7181万円、
木炭30億3829万円など。

日常生活のあらゆる場面に中国産の食材や製品が組み込まれているのである。
今回のコロナショックで野菜など一部食材で輸入の大幅減と価格上昇がみられたが、事態が長期化して中国産物品の輸入が大きく減るようなことになったら、外食業界はもちろん、スーパーをはじめとする小売店舗の食品売り場、惣菜製造業者らは大きな影響を受けることになる。

それは消費者の食卓、食事の現場にも及んでくる。
すでに食品企業、外食業界などでは中国に代わる調達ルートを探しているというが、輸入依存率、そして中国依存率があまりにも高い現実が変わらなければ、食の危機はいつ起きても不思議ではない。

この先、国際的な資源戦争が懸念される中、日本は食料自給率の引き上げをはじめ、根本的な資源確保対策の構築が必要だ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月07日

「取り立て屋」さながらに生活保護費を召し上げる自治体の変質ぶり

「取り立て屋」さながらに生活保護費を召し上げる自治体の変質ぶり
2020.3.6 ダイヤモンドオンライン
みわよしこ:フリーランス・ライター

生活保護費の不正受給は問題だが どこに向けた対策か
 国であれ地方であれ、政府は強力な権限を持っている。
行政は常に、「全員が賛成しているわけでも納得しているわけでもない」という状況下で、何かを行わなくてはならない。
役所の仕事の1つは、納税したくない億万長者や、建築基準法違反のタワーマンションを建てたいディベロッパーや、生活保護も利用したい年収1000万円超の守銭奴に対して、毅然と「ダメです」と言うことだ。
「ダメ」の根拠は、法律・省令・条例・通知・通達などに示されている。

 特に生活保護の世界では、毅然たる「ダメ」を貫くために、長年にわたって注意が払われてきた。
生活保護の対象になれば、医療サービスなどを含めて、1人あたり年間約200万円の給付を受けることができる。
他人に生活保護を利用してもらって上前をハネる貧困ビジネスも、なかなか美味しい商売だ。

 資金難ではあるけれど愛人を囲っておきたい社長は、愛人に生活保護を受けさせれば、小遣いやプレゼントや旅行の費用だけで維持できる。
行政としては、そういう不適切な生活保護の使い方をさせず、生活保護を必要とする人に確実に提供する必要がある。
少なくとも、名目上はそういうことになっている。

 もちろん、名目だけではない。
不正受給対策は実際に行われ、その体制は年々強化され、今や多くの福祉事務所に警察OBが配置されている。
不正受給の対策に関連する費用は、人件費だけでも膨大な金額になるだろう。

 しかし、もしもケースワーカーが自分の担当する生活保護受給者に対して不法行為を行っており、「不法行為を受け入れなくては保護費を渡さない」と迫り続けているようなことがあれば、そのケースワーカー自身や福祉事務所の「不正受給対策」を信用するわけにはいかないだろう。
そして、それは「もしも」ではなく、筆者が約30年にわたって居住している東京都杉並区で実際に起こった出来事だ。

生活保護費で借金返済 気づきにくい不正受給の罠  
杉並区に住むサクラさん(仮名・68歳)は、病気のため就労を継続できなくなり、2015年から生活保護で暮らし始めた。
当時はローンの残っているマンションに住んでいたが、生活保護費をローンの返却に充てることはできない。
このため、杉並区はマンションの売却を指導した。
サクラさんは指導に応じ、2016年にマンションを売却した。
売却益は366万円だった。

 サクラさんは生活保護が開始されるまで、なんとか自力で頑張ろうと必死の努力を重ねたようだ。
マンションのローンは、親族からの借金を重ねて返済し続けていた。
回復して再び働けるようになるまでの期間が半年未満なら、もしかすると、その選択は「正解」になるかもしれない。
しかし、結局は生活保護以外の選択肢がなくなり、親族からの借金は多額に達していた。
 マンションの売却益を手にしたサクラさんは、そのほぼ全額を、すぐに親族からの借金を返済することに充てた。
ところがサクラさんは、生活保護で暮らしている以上、生活保護基準以上の生活をすることができない。
過去に自ら購入し、ローンを払ってきたマンションの売却益は、生活保護費以外の収入である。
この収入には手を付けず、まず、福祉事務所に「収入申告」を行う義務がある。
いずれにしても、この売却益を返済に用いることはできなかった。
 サクラさんにも不正受給のつもりはなく、売却完了時には福祉事務所に報告をしており、区に対して特段の隠し立てはしていなかった。
そのことは、毎年末に杉並区に提出する資産申告書にも示されていた。
しかし、杉並区は不正受給と判断した。

 この経緯は複雑で、マンション売却益の返還処分と取り消し、保護費に関する返還処分が重なっている。
保護費の返還処分には、不正受給ではないものと不正受給とされたものの2つが含まれる。
いずれにしても、現在のルールでは、原則として返還すべきものである。
ただし、「生活保護開始にあたっての厳しすぎる資産要件」というルールには、見直しが必要かもしれない。
 サクラさんは、2017年2月、東京都に対して不正受給扱いに対する審査請求を行った。
2019年8月、東京都は訴えを棄却したが、2020年2月、サクラさんは処分の取り消しを求めて東京地裁に提訴している。

審査請求の棄却を偽り返還を強要
悪徳商法にも似た杉並区職員の言動  
問題は、審査請求の結果がまだ判明していない段階で、担当ケースワーカーが「もう棄却された」という事実に反する説明をし、サクラさんに保護費の返還を求め、関連する書類への署名捺印を求め続けたことである。
書類は当初、返還義務と金額を承認して返還を誓約する書類であった。
審査請求の棄却後は、保護費からの天引きを認める書類が加わった。

 担当ケースワーカーは、保護費を金融機関振り込みにせず、毎月、福祉事務所に受け取りにくるように求めた。
ちなみに、窓口での保護費の手渡しは、ケースワーカーによる横領などの犯罪につながる可能性があるため、厚労省はなるべく行わせない方針としている。
 むろんサクラさんは、生きるために、保護費を受け取りに行かざるを得ない。
するとケースワーカーは、「書類にサインしないと保護費を渡さない」と、毎回1時間以上粘ったという。

 2019年5月8日の電話のやりとりの録音によれば、ケースワーカーはやりとりの中で、審査請求の結果が「ぱぱんと出て」棄却となっており、「審査庁、小池百合子」の名でそのように記されていると語った。
結果として棄却されたのであるが、その時点ではまだ棄却されていなかった。
女性初の東京都知事となった小池百合子氏は、自分の名前がそのように利用され、働いてきた1人の女性を苦しめることを想定していたであろうか。

保護費を盾にした 「兵糧攻め」という実態
 費用の徴収を急ぐ担当ケースワーカーは、「この件も、もうバシッと結論付けて、次の、たとえば口座振り込みにするとか、あるじゃないですか。
次のステップに行きましょう」と語ったという。
「口座振り込み」が月々の保護費のことであるとすれば、窓口で保護費を手渡ししていた目的は何だったのだろうか。
どうしても、考えざるを得ない。

 さらにこのとき、別の福祉事務所職員が、「応じないと月々の天引きが高くなっちゃいますよ」と口添えしている。
むろん、そんなことはない。
不正受給した生活保護費の返還額の上限については、厚労省が目安を示しており、単身者の場合で5000円である。
 筆者は、やりとりを本記事に記しながら、「この人たちは何者なのだろうか?」と思ってしまう。
ヤミ金の取り立てだろうか。
「腎臓を売れ」と言っていないだけ、まだ本物のヤミ金よりは紳士的なのかもしれないが、福祉の現場で働く公務員とは思えない。
また、「保護費をダシにした兵糧攻め」という表現も思い浮かべてしまう。

 サクラさんは結局、2019年9月に保護費を受け取りに行った際、保護費からの天引きを承諾する書類にサインしてしまった。
このとき審査請求は棄却されていたが、サクラさんは処分の取消訴訟を検討しているところだった。
一部でも保護費を返還すると訴訟で不利になる可能性を考えたサクラさんは、サインするつもりはなかった。
しかし担当ケースワーカーは、「その話は(中略)裁判所でやってください。
ここは生活費を渡して、そのうち1万円を返してもらう場所なんです」と言った。

住むことに恐怖感も 変質した自治体の姿
 サクラさんは、その日は保護費を受け取らずに帰ることにした。
ケースワーカーは「これ(保護費)いらないんですか?」と言ったが、ケースワーカーの手元にはサクラさんの印鑑があった。
窓口での保護費の受け取りの場合、まず担当者に印鑑を渡し、担当者が目の前で受領書に捺印し、保護費とともに印鑑を返す習慣があるからだ。
しかし、サクラさんはまだ保護費を受け取っていない。
当然のこととして、サクラさんは印鑑の返還を求めた。
 ところがケースワーカーは、「私が個人的にお金を取っちゃうことになるから、横領になっちゃうの」「即決で(筆者注:天引き額が)8000円。
もう次だったら、また1万円からの交渉になりますよ」
「今、今日決めたら8000円」などと繰り返し、結局サクラさんに署名捺印させてしまったのである。

 筆者は再び、ため息をついてしまう。
どうしても、地方公務員の言動とは思えないのだ。
少なくとも正規職員なら、東京特別区の採用試験を突破し、人物と学力をそれなりに保障されているはずである。
 もっとも、杉並区が「紛争になりそうな再開発計画があるし、福祉制度を利用希望者から守る必要もあるから、地上げ屋や取り立て屋といった“民間活力“を活用する」という方針をとり、求められる人材の雇用と確保と育成に務めているのなら、その限りではない。

 なお、サクラさんと代理人弁護士は、2020年2月21日、この精神的苦痛に関する損害賠償を求める訴訟を起こした。
要求している損害賠償金は100万円。
付け加えておくと、もしもサクラさんが勝訴して杉並区から100万円が支払われても、収入認定されて杉並区に戻ることになり、サクラさんの手元には残らない。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月09日

YOSHIKI「3.11 はまだ終わっていない」 「みなさんの健康と安全を祈っています」コロナウィルス対策にも支援を表明

YOSHIKI「3.11 はまだ終わっていない」
「みなさんの健康と安全を祈っています」コロナウ ィルス対策にも支援を表明
3/8(日) BARKS

YOSHIKIが、東日本大震災から9年目となるこの3月に、YOSHIKIFOUNDATION AMERICAを通じて、日本赤十字社に1,000万円の寄付を行った。
今回の寄付に際し、YOSHIKIは以下のようにコメントしている。
◆   ◆   ◆
「世界的な規模で新型コロナウィルスが猛威を振るっていますが、2011年に日本を襲った震災の後、苦しみや哀しみの中、日本人一人一人がとった、冷静な行動、助け合いの気持ちが、世界から絶賛されました。

今、自分達に何ができるのか、何をしなければいけないのか、をもう一度考えなければと思っています。
未知のウイルスとの戦い、または長期的な意味では共存なのかもしれないですが、その解決策を模索している間に、僕らが今、どのような行動を取ればいいのか、冷静な判断が必要だと思います。

今、皆さんが行っている経済的なダメージを伴う自粛や、治療薬やワクチンの開発などの研究に対して、国や企業そして僕らも支援できる受け皿となる機関が至急必要なのでは、と思っています。
その場合、自分も支援をさせていただきます。

今は国境を超えて、世界中のこの分野の専門家の人達がそれぞれの情報を共有し、1日も早い事態の終息に務めることが大切だと思います。
そんな中、東日本大震災から9年が経過しましたが、まだまだ復興に向けての支援が必要とされています。
3.11はまだ終わっていません。
復興が進まない地域や、心身の痛みが癒えない方々に対しても、支援が継続的に行われることを願っています。
微力ながら、ファンの皆さんと共に続けているチャリティ活動が、少しでも世の中のために役立つことができれば、と思います。
みなさんの健康と安全を祈っています」  
 ◆   ◆   ◆
自らの基金を通して東日本大震災以外にも世界中で人道的支援を続けているYOSHIKIだが、その積極的な慈善活動と影響力が評価され、2019年末に『Forbes Asia』が発表した“アジア太平洋地域の最も優れた慈善家30人”のひとりに選ばれている。
東日本大震災に対する支援だけでも、
主なところで2011年に愛用のクリスタルピアノのオークション落札額約1,100万円、
X JAPANとして出演したライブイベントの出演料全額、
2015年に石巻で行ったX JAPANの震災復興ライブの収益金約2,800万円、
2016年に復興支援オークションのドラムセット落札額約600万円の寄付を行なっている。

なお、日本赤十字社は、義援金の受付を2021年3月31日(水)まで延長している状況だ。
自身の基金YOSHIKIFOUNDATION AMERICAを2010年に設立して以来、様々な支援活動を行っているYOSHIKIだが、2020年に入ってからも、オーストラリア森林火災の災害救助と復興支援を行っている豪赤十字と、熱帯雨林の保護活動を行っている米レインフォレスト・トラストの保全活動基金に対し、総額10万ドル(約1,000万円)の寄付を行ったばかりだった。

ここ近年の主な支援活動は以下の通り。
2019年
・台風19 号の被災者支援の為、日本赤十字社に対し1,000万円 ・台風15 号の千葉県の被災者支援の為、日本赤十字社に対し1,000万円
・レオナルド・ディカプリオが立ち上げたEarth Allianceによる「アマゾン熱帯雨林基金」へ10万ドル(約1,000万円) ・「京都アニメーション支援金の預かり専用口座」へ1,000万円
・アメリカのマイアミ大学フロスト音楽校へ15万ドル(約1,600万円)
・韓国・江原道山林火災で被災した子供達の支援の為、「ChildFund Korea」へ1億ウォン(約1,000万円)

2018年
・北海道胆振東部地震の際、日本赤十字社に対し1,000万円
・西日本豪雨災害の際、日本赤十字社に対し1,000万円 2017年
・アメリカで発生したハリケーン・ハービーの被災者の為、グラミー賞を主催することで知られるレコーディング・アカデミーのチャリティ財団MusiCares(C)を通じて10万ドル(約1,000万円)

2016年
・熊本地震の際に日本赤十字社に対し1,000万円 その他にも、日本赤十字社、メイク・ア・ウィッシュ財団、米グラミーファウンデーションや小児がんの子供達を支援する米パブラブファウンデーションなど、国内外問わず、継続的な支援を行っている。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月12日

災害時に家族の運命を左右する「備蓄品」、家のどこに保管すべきか

災害時に家族の運命を左右する「備蓄品」、
家のどこに保管すべきか
2020.3.11 ダイヤモンドオンライン(ホームライフ取材班)

2011年3月11日の東日本大震災が発生してから今年で9年。
近年では激しい集中豪雨が頻発し、昨年の台風19号は各地で甚大な被害をもたらしました。
さらに、首都直下地震や南海トラフ地震なども予想されています。
こうした災害から命を守るには、適切な判断や日頃の備えが重要になってきます。

そこで前回に続き、『「防災」のやってはいけない』(青春出版社)から、災害に備えて日頃ができる正しい対策を具体的に紹介します。

家でできる!リビングでの地震対策とは
 いつか来る地震の対策を心がけることは大切ですが、意識し過ぎるとしんどくて、続かなくなってしまうでしょう。
しかし日常のなかでも無理なく地震に備えることは可能です。

たとえば、家の中で地震の揺れから身を守れるのは次のうちどちらでしょうか?

(1)リビングにはクッション、和室には座布団をいつも置いている
(2)すっきりさせたいので、クッションや座布団は置いていない
 正解は(1)。

震度6強や7の激しい揺れが発生したら、這って逃げることも難しくなります。
こういった場合、とにかく頭だけは守りたいところですが、手近にガードできるものがなければ、無防備なままでいなければなりません。
 そこでリビングにクッションや座布団があれば、それを頭にかぶって、危険な落下物からガードできます。
リビングや子ども部屋にはクッション、和室には座布団を出しておくだけOK。
何の手間もかからず、意外に有効な防災対策になるので、やっておかない手はないでしょう。

地震で揺れても割れない食器の重ね方とは
 地震が発生すると、悲惨な状態になりやすいのが食器棚。
コップが倒れて粉々になるのはもちろん、重ねて収納していた皿も揺れでずれ落ちて割れることもあります。

安全性の高い収納方法は次のうちどちらでしょうか?

(1)大皿を一番下にして、次に中皿を置き、その上に小皿の順で重ねる
(2)中皿を一番下にして、次に大皿を置き、その上に小皿の順に重ねる  
正解は(2)。

食器棚の中で、皿は数枚を重ねて収納されることが多いでしょう。
圧倒的多数の人がやっているのが、最も下に大皿を敷き、その上に中皿、さらに小皿という順番で重ねる方法です。
 しかし、じつは揺れると、より広い大皿の上で中皿が、中皿の上で小皿が動きやすく、あっけなく崩れてしまいます。
揺れても皿が動きにくいのは、最も下に中皿を置き、その上に大皿、そして小皿を乗せる重ね方です。
こうすると、大皿が動きにくいため、小皿の動きも小さくなり、地震が起こっても崩れにくいのです。
 かなり変則的な方法ですが、試してみる価値は十分にあります。

サイズの違う皿の間には、キッチンペーパーを敷いておくと、滑り止めになって揺れにくくなるので、この方法も試してみてください。

1週間をしのげる量の食料を気軽に備蓄できる方法
 首都直下地震などの大規模災害を想定すると、被災後1週間をしのげる量の水や食料を備蓄しておくことが望ましいでしょう。
とはいえ、その膨大な量をどのように用意して備蓄しておけばよいのでしょうか?

(1)普段食べるものも備蓄品として、カウントし1週間分を備えておく
(2)災害用の非常食を、常に1週間分備蓄しておく
 正解は(1)。

1週間分の備蓄が必要といわれると、頑張って乾パンをはじめとする非常食を大量に購入し、マンションの収納スペースや家の押し入れに目いっぱい入れておいている人も少なくないでしょう。
 しかし、「備蓄品=防災用の非常食」というわけではありません。
普段の暮らしのなかで食べているレトルト食品や乾麺、缶詰なども備蓄品にカウントしてかまわないのです。

 おすすめは「ローリングストック」という備蓄の仕方。
普段から、レトルト食品などを多めに買っておき、食べたら追加する方法です。
こうすれば、常に相当な量が備蓄できていることになります。
食べ慣れたものを被災時に口にできるというメリットもあり、食のストレスが小さくなって一石二鳥です。

災害時用の備蓄品は家のどこに保管しておくのが正解?
 いざというときの災害に備えてストックしておく備蓄品。
被災したときの使いやすさを考えると、家のどこに保管しておくのがよいのでしょうか。

(1)取り出しやすいように1カ所にまとめて保管しておく
(2)玄関や納戸などに分散して保管しておく  
正解は(2)。

最低でも3日分、大規模災害が予想される地域では1週間分を備蓄すると、先ほど紹介した「ローリングストック」を心がけても、やはりそれなりの量になります。
どこにストックしておくのがいいのでしょうか。
 必要になるのは何年先なのかわからないからと、押し入れやクローゼットの奥などに、まとめて詰め込んでおくケースもあるでしょう。
けれども、1カ所に集約しておくのは問題です。

地震の揺れによって、そこまでの通路がふさがれてしまうと、せっかく用意していた備蓄品をまったく使えなくなってしまうからです。
 こうしたリスクを避けるため、備蓄品は分散して保管しておくのがよいでしょう。
マンションの場合、キッチンや玄関、廊下収納、クローゼットなどに分散させるのがおすすめでです。
一戸建てなら、1階と2階に分けておくと、水害の際にも対応できます。

停電になっても安心な冷凍庫の使い方
 災害時に停電になった時、冷凍庫に保存している食べ物が気がかりになるでしょう。
防災面から見た場合、冷凍庫での保存の仕方が優れているのは次のうちどちらでしょうか?

(1)冷凍庫にはいつも食品をいっぱい詰めている
(2)冷凍庫にはいつも食品を少なめに入れている  
正解は(1)。

地震や台風で停電になった時のことを考えると、冷凍庫内はぎゅうぎゅう詰めにしておくのがよいでしょう。
冷凍庫に食品が詰まっていると、それら自体が保冷剤の役割を果たし、停電後、冷凍状態をより長くキープできるからです。

 これに対して、冷凍庫に入っている食品が少ないと、電源がオフになったあと、庫内の温度が早めに上昇してしまいます。冷凍庫をいっぱいにしておくのは、防災だけではなく、省エネの面からもおすすめなのです。
凍った食品同士が接することにより、効率良く冷やせるので、無駄な電気代がかかりません。

 いつどこで発生するかわからない災害。
もしもの時に正しい判断で行動できるよう、日頃から防災対策を確認しておくことが大切です。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(5) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

病院でいい治療を受けるため「避けたほうがいい」言葉遣い

病院でいい治療を受けるため「避けたほうがいい」言葉遣い
2020年03月12日 PRESIDENT Online
東京医療センター 総合内科医 尾藤 誠司

最善の治療を受けるためには、どうすればいいのか。
東京医療センターで総合内科医を務める尾藤誠司氏は「最善の治療は、患者の価値観や希望と、医師の専門知識の両方を考え合わせて実現する。
たとえば『お任せします』とは言わないほうがいい」という??。
※本稿は、尾藤誠司『医者のトリセツ 最善の治療を受けるための20の心得』(世界文化社)の一部を再編集したものです。

■患者と「白衣の人たち」との間に溝がある
私は、都内の総合病院で「総合内科」という看板で医師をしています。
総合内科という診療科名は聞きなれないかもしれませんが、要するに皆さんが体に変調をきたしたときに最初に会う医者、と考えていただければ結構です。
そして、そんな立場で医者を続けている中で感じていることが、医療を受ける主体である患者さんと提供する側である医師や看護師など「白衣の人たち」との間にある、深くて大きな溝のようなものの存在です。

例えば、治療法を選択する場面で、“患者が気をつけたい言葉”の一つが、「お任せします」です。
安易に使うと医師との間に認識のズレが生じ、思わぬ方向に進んでしまう事態になりかねません。
医師の説明を聞き終わると、いよいよ治療法の選択という重大な局面を迎えます。
このとき、患者が医師に対して使いがちだけれど、安易に口に出してしまうと望まない結果を招きかねない危ない言葉が「お任せします」です。

■「自分で考えるのが面倒くさい」のではないか
この言葉が頭に浮かんだら、どのような思いで任せようとしているのかを自分に問いかけたほうがいいでしょう。
つきあいの長いかかりつけ医など、相手への信頼がベースにあり、「この先生なら間違いなく私を、私にとって最善の道に導いてくれるだろう」との確信に基づいて積極的に任せようと思うのか。
それとも「自分で考えるのが面倒くさいから任せてしまおう」「難しくて手に負えないので任せるしかない」など、消極的な動機からなのか……。

たとえば、がんのような重大な疾患で大病院にかかり、まだつきあいの浅い医師と向き合った場合は、自ずと後者のケースが多くなるでしょう。
これは患者さんの“主体性の放棄”にほかならず、治療方針が不本意な方向に進んでしまう可能性があります。
なぜなら「お任せします」といわれた医師は、「患者さんは私の説明をきちんと理解し、私を信頼して任せてくれた」と勘違いし、患者さんにとってではなく医師が最善と思う治療法を迷わず選択することになるからです。

■最善の治療は「患者の価値観」と「医師の専門知識」で実現する
安易に医師に委ねるのでなく、自分自身で最善の決断をするための基本は、時間と心の余裕を持って対応すること。
結論をいつまで待てるかを確かめ、その間に情報や自分の考えを整理し、信頼できる人と相談する期間などを設けることが大事です。
この場合、治療のバリエーションは多いほうが、望ましい道を選べる可能性も広がります。
より多くの選択肢を提案してもらうには、医師に自分の情報を伝えることが必要です

患者さんが医療に関する専門知識や十分な情報を持たないのと同じように、医師には患者さんの仕事や家庭の事情、生きがいや趣味など価値観に関する十分な情報がありません。
それらを医師と共有することで、治療を受けないという道も含めて選択肢が増え、より主体的に医療を受けることができます。

ポイントは、自分が「絶対に嫌だ。これだけは譲れない」と思う事柄や心配事を伝えること。
痛いのは耐えられない、仕事を長期間休むわけにはいかない、食べる楽しみだけは奪われたくない、など。それらは裏を返せば自分が望む状況であり、医師の頭を刺激して「それならこういう方法もあります」と新たな提案がもたらされることにもつながります。
最善の医療は、患者さんの価値観や希望と、医学的専門知識の両方を考え合わせて初めて実現するのです。

■治療に迷った時に集める「4つの情報」

【ケース1】 医師が、手術を前提に詳しく説明をしている……。
できれば切りたくないのだが MRI検査で胸部動脈瘤が見つかったAさん(55歳)。
直径は5ミリ程度で、自覚症状はありません。
医師はパソコンの画面を見せながら、人工血管に置き換える手術法について詳しく説明し始めました。
しかし、Aさん自身は手術の必要性を感じておらず、痛いのが苦手なこともあって極力手術は受けたくないと考えています。

医師の説明内容も専門的で難しかったのですが、そのことよりも手術を前提に話が進んでいくことに大きな不安と不満を感じ、この流れをどう変えたらよいものかと戸惑っています。
患者の心得 「治療を受けないという選択肢」もあることを念頭に置くどんな症状や病気にも、手術を受けない、薬を飲まないなど「治療を受けないという選択肢」が存在します。

ところが医師の説明は、患者さんは治療を受けるのが当然であり、受けないのであれば私のやることはないといったニュアンスで行われる場合が往々にしてあります。
その治療を受ける場合と受けない場合、それぞれのメリットとデメリット(つまり、合計4つの情報)は、知っておくべき重要な判断材料です

不安な気持ちを伝え、手術を受けない場合、今後どのような展開が予想され、病気とどうつきあっていけばいいかを聞いてみるとよいでしょう。

■「緊急度」がわからなくて困った時の対処法
【ケース2】 糖尿病の薬をすすめられた。 どれほど必要な薬なのか、緊急度がよくわからない
健康診断で糖尿病が見つかり、かかりつけ医の指導のもと、生活習慣に気をつけているBさん(52歳)。
しかし思うように効果が上がらず、医師から「そろそろ血糖値を下げる薬を飲み始めてはどうでしょうか。
すぐに処方しますよ」と薬物療法を提案されました。
副作用や、飲み始めると長く続けなければならないことを考えると、薬に頼るのは最終手段としたいBさん。
もうしばらくは食事療法と運動療法を頑張って血糖値をコントロールしたいのですが、病状の緊急度がよくわからず対応に迷っています。

患者の心得
医師の”おすすめ度”を 五段階で具体的に聞いてみる糖尿病、高血圧、高脂血症などの年単位で飲み続ける必要のある薬は、それほど焦って飲み始めなくても問題のないケースが多いものです。
ただ、せっかちな医師は少なくないので、自分がどれほど“のっぴきならない”状況なのかを確かめ、「少し考えたいので2〜3週間先に決めても問題はないでしょうか」などと尋ねることです。

また、医師がその治療法をすすめる度合いを知ることも判断の目安になります。
たとえば薬ならば、「どちらでもいい」を真ん中に「飲まなくてもいい」から「飲むべきだ」まで医師の考える必要度を五段階で聞いてみるとよいでしょう。

■「先生の母親だったら?」がダメな理由

【ケース3】 ある質問が医師を困らせた
認知症で寝たきりの90歳の母親に、胃ろうによる人工栄養を提案されたCさん。
判断に迷い、主治医に「先生の母親だったらどうしますか」と聞くと、困惑されただけで何も答えてもらえませんでした。
患者の心得 「親だったら?」と聞くのは避ける医師には医療の専門家としての意見を聞くべきで、息子(娘)の立場の考えを尋ねることは医療の範囲外だといえます。
多くの医師は答えることに躊躇(ちゅうちょ)するでしょうし、答えたとしても参考にはなりません。
原則として避けたほうがいい質問です。

----------
尾藤 誠司(びとう・せいじ)
東京医療センター 総合内科医
1965年、愛知県生まれ。
岐阜大学医学部卒業後、国立長崎中央病院、国立東京第二病院(現・東京医療センター)、国立佐渡療養所に勤務。
95~97年UCLAに留学、臨床疫学を学び、医療と社会との関わりを研究。
総合内科医として東京医療センターでの診療、研修医の教育、医師・看護師の臨床研究の支援、診療の質の向上を目指す事業に
関わる。
----------
posted by 小だぬき at 21:12 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月14日

コロナ禍で見えた日本のセーフティネットの実態、結局は生活保護しかない

コロナ禍で見えた日本のセーフティネットの実態、
結局は生活保護しかない
2020.3.13 ダイヤモンドオンライン
みわよしこ:フリーランス・ライター

リーマンショックの教訓は Covid-19にどこまで通用するか
 Covid-19(新型コロナウイルス)の影響による経済的打撃は、過去に類例のないものとなりそうだ。
何よりも、「広範囲・長期間にわたって、先行き不透明」というストレスは、計り知れない

 とりあえず、2009年のリーマンショックと世界同時不況の教訓は、よくも悪くも世界の制度に反映されている。
日本においては、働ける人や働いている人に対する施策の必要性に注目が集まり、数多くの制度改革や制度創設が重ねられた。
 生活保護には、当初から就労継続支援が含まれている。
しかし、それは現在、おおむね忘れられてしまっているようだ。
大蔵省(当時)や財務省の締め付けが厳しくなるたびに、働ける人や働いている人を生活保護の対象から除外する傾向が強まり続け、現在に至っている。

 セーフティネットの構造を考えると、このことには一定の合理性がある。
通常、セーフティネットは「雇用」「公的保険」「公的扶助」の3層モデルで考えられている

雇用のネットで支えられなくなった人は、失業給付や年金といった公的保険で支えられるはずだ。
公的保険でも支えられなかった人は、公的扶助で支えられる。
雇用で支えられるはずの人を、生活保護や児童扶養手当のような公的扶助で支える必要はないかもしれない。
 しかし1990年代のバブル崩壊以後、日本の雇用の劣化は進行するばかりだ。
このことは、雇用・公的保険・公的扶助の各層に対するニーズを重ね、混ぜ合わせた。
もしかすると、どの層にも救われず、「制度の谷間」に落ちてしまう人々が増えてしまっているのかもしれない。

 既存の、あるいは新設された官民の支援策をフル活用して、今回のCovid-19のインパクトに立ち向かうことは可能だろうか。
 まず、セーフティネット3層モデルの最上層の「雇用」から、“使えそう”なものを整理してみよう。

「雇用」を守る政策は 何があれば機能するのか
 2月までに政府が公表した施策は、経営を通じて雇用を守ることに集中していた。
 経済産業省が公表した数々の施策は、「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」というパンフに分かりやすくまとめられている。
また厚労省も、雇用調整助成金やテレワーク推進を含む時間外労働等改善助成金に特例を設け、小学校の休校に伴う保護者支援を創設、個人事業者も対象としている。
日本政策金融公庫も、災害時に準じる形で、融資や返済の相談に応じている。

 現在、何らかの形で雇用され報酬を受け取って生活を営んできている人々にとって、最も望ましいのは、現在の雇用と労働環境がそのまま続くこと、できれば改善することであろう。
「トリクルダウンは起こらない」という認識が常識化した現在ではあるが、経営を支えなければ雇用が守られないことも事実である。
 ただし、結果として雇用が守られるためには、「助成金のうち、人件費に使用する比率は最低70%以上(例)のこと」といった条件が必要であろう。
ただし、人件費への確実な使用を求めるのであれば、企業を通さず、本人に直接配布する方が確実かつ効果的かもしれない。

 また融資に関しては、当然ながら、「将来、返済が待っている」という点に関する注意が必要だ。

民間の支援は 小規模事業者を守れるか
 Covid-19の影響に最初に直撃されたのは、飲食・イベント・音楽・芸能・芸術などの分野だ。
「不要不急業種」だからかもしれない。
 アーティストの助成金申請を支援してきた株式会社ペイノアは、今回のCovid-19の影響を受け、2月15日以後にキャンセルされたコンサート等による損害を全額助成する方針を打ち出している。
ただし、将来、予定どおりに開催された場合の収益は、ペイノアのものとなる。

 類似の支援策は、他業種にも見られる。
たとえばフードテックのGigi株式会社は、サービス「さきめし」を開始し、各消費者が応援したい飲食店に対して飲食料を先払いすることを支援している。
営業時間の短縮や休業を迫られ、減収を避けられない状況下で、店舗の賃貸料などの固定費を支払わなくてはならない飲食店にとっては、救いとなるかもしれない。

 しかし筆者は、「根本的な救済になるのだろうか」という疑問も抱く。
ロックバンドのコンサート1回分、あるいは飲食店の1カ月分にあたる収益が現在得られれば、目先の危機を乗り切ることは可能になるかもしれない。
しかし将来、まだ打撃から回復しきっていない状況で、目の前の収入にならないコンサートを1回開催したり、今日の収入にならない1カ月分の来客に飲食物を提供したりすることになる。
とはいえ、打撃の緩和に役立つ可能性は高い。
異なるタイプの支援策との組み合わせがポイントとなりそうだ。

学術研究の特性をフル活用した 「オンライン学会」の試みも
 多様な研究者支援を展開するするアカデミスト株式会社も、ユニークな企画を用意している。
同社は「お蔵入りになってしまった学会発表、オンラインで聞かせて下さい!」というキャッチフレーズで、オンライン配信の「アカデミスト学会」を開催する。
3月は各学会の大会シーズンなのだが、数え切れないほどの大会が中止となったため、急遽企画された。
配信予定は3月14日、オーディエンスから最多の称賛を獲得した研究者には10万円が贈呈されるという。

 研究者たちは、大会中止によって、直接的に経済的損失を被っているわけではなく、むしろ旅費が浮くことになる。
しかし研究費の多くは単年度予算、しかも、よりによって年度末である。
浮いた旅費に関し、多様な負荷が発生するはずだ。
もちろん、「せっかく準備した発表資料と、そのために使った自分や同僚や指導者たちの労力がムダになる」
「大会に行って研究成果を発表し、同じ分野の参加者から質問やコメントをぶつけてもらい、夜は居酒屋で人脈を広げてホンネの議論をする貴重な機会が、失われてしまう」という損失もある。

「既に完成していた発表資料を使って、オンライン配信で幅広い関心層に聞いてもらう」という機会は、どのような意味でも新たなダメージをもたらさず、メリットのみなのだ。
このことは、アカデミスト社の創業者が過去に研究者を志していたことと、大いに関係があるだろう。

 その人・そのグループ・そのお店の業務のスタイルや業種によって、適切かつ有効な支援は、それぞれに異なるのが当然だ。
さらに数多くの支援策が出現し、誰もが「確実に自分の役に立つ組み合わせ」を見いだせるようになることを期待したい。

「最後のセーフティネット」の手前で 社協の貸付を利用することの是非
 とはいえ、事業や職業に関する支援は、間に合わなかったり不足したりしがちだ。
既に、自分と家族の目先のサバイバルが課題になっている多数の人々がいるはずだ。
失業してしまった人々のうち「社保完」の職場にいた人々は、失業給付の対象となる。
しかし、それ以外の場合は、いきなり無収入状態となりかねない。

 国民健康保険料や年金保険料は、新規に支払う前に減免を申請しておくのが賢明だ。
窓口は、自治体の役所となる。
条件は厳しく、自治体によっては条件を公表していない。
その上、計算にあたっては前年の所得が対象となる。
すぐに適用を受けるのは困難かもしれない。
しかしながら、無保険状態の住民が増えると自治体も困るはずだ。
何らかの救済措置の出現を期待したい。

 既に「手持ち資金がない」「もう無保険状態」という場合には、無料低額診療事業を利用することができる。
対象医療機関は、各都道府県のホームページなどで確認できる(例:東京都)。

 並行して、あるいは先立って、目先の現金を確保する必要があるだろう。
生活に困窮する個人を対象として政府が最初に打ち出した方針は、社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」の利用を勧めることであった。
しかし、この貸付は低利子ではあるが、審査が非常に厳しい。
安定した収入または確実な保証人が条件となる。
緊急に貸付が必要な状況なら、利用できない可能性が高い。
貸付が受けられたとしても、返済期間中に生活保護が必要になった場合、保護費のやりくりで返済することになる。

長年にわたって東京都内の生活保護の現場で働いてきた田川英信さん(社会福祉士)は、「福祉事務所は、たとえば月あたり3000円ずつでも返済していただくようにお伝えします。
場合によっては、返済していることを確認したり、社協に同行したりすることもあります」と言う。

なんとか就労して生活保護から脱却すると、まだまだ苦しい暮らしの中から返済を続けることになる。
生活保護が視野に入る状況で貸付を利用すると、生活再建がより困難になってしまうのだ。

結局は「生活保護しかない」 日本のセーフティネットの実態
「仕事と収入が復旧するまでの短期間をしのげれば充分」という場合には、生活困窮者自立支援制度に基づく住宅確保給付金(その地域の生活保護の家賃援助の上限まで)、およびハローワークの求職者支援制度による職業訓練と給付(月10万円)の組み合わせが使える。
しかし、住宅確保給付金は、最長で9カ月までしか受け取れない。
ひとり親世帯なら児童扶養手当もあるのだが、それだけで暮らせる金額ではない。
いずれにしても、雇用状況の悪化が継続すると、「結局は生活保護」ということになるだろう。

生活保護に対するニーズは確実に高まっているはずだ。
しかし政府はいまだ、「まず、向こう1年間の保護費として、20兆円を用意しますから、大いに使ってください」とは言ってくれていない。
さらに2018年、生活保護基準が見直され、生活保護の利用資格を自己判断することは困難になっている。
 日本の複雑で不完全なセーフティネットを利用して生き延びるには、練達の専門家による支援がどうしても必要だ。3月13日(金)・14日(土)には「ユニオンみえ」による多言語対応の無料電話ホットライン、15日(日)には、ホームレス総合相談ネットワーク及び困窮者支援にかかわる弁護士・司法書士の無料電話ホットラインが、それぞれ予定されている。

いずれも、対象としている地域は日本全国だ。
必要としていそうな方に、ぜひお勧めいただきたい。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月23日

社会を分断する「水貧困」を生み出す水道民営化。日本の水道が危ない<岸本聡子氏>

社会を分断する「水貧困」を生み出す水道民営化
日本の水道が危ない<岸本聡子氏>
2020/03/22 ハーバー・ビジネス・オンライン

「社会的共通資本」を外資に売り渡す水道民営化の愚
 公共サービスとは、国民の生命、安全と直結しており、効率だけで行われるべきものではない。
経済学者の宇沢弘文が喝破したように、それらは「社会的共通資本」であり、市場原理に委ねるべきものではない。
 特に「水道」は生命と直結しており、「水は人権」という考え方が広く言われるようになっている。
そのため、世界でも水道民営化の失敗から「再公営化」に踏み切る国が増えているのが現実だ。

 しかし、安倍政権はフランスなどの水メジャーに、日本人の水を売り渡しかねない水道民営化を強行採決した。
 危機に瀕する「日本人の水」について、3月21日発売の日本の自立と再生を目指す闘う言論誌『月刊日本 4月号』では、「トランスナショナル研究所」(TNI)研究員であり、経済的公正プログラム、オルタナティブ公共政策プロジェクトのコーディネーターでもある岸本聡子氏の論考を紹介している。
今回はこの記事を転載、紹介したい。

民営化によって水道料金が高騰
―― 岸本さんは新著『水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』(集英社新書)で、欧州での水道民営化の弊害を明らかにし、再公営化を求める市民の運動にスポットをあてています。
欧州で水道と民主主義の問題に取り組んできた視点から、欧州の水道民営化のどこに問題があったのか教えてください。

岸本聡子(以下、岸本)
欧州の市民の怒りの発端は、水道料金の高騰でした。
民営化すれば経営が効率化し、水道料金が下がるというふれこみで民営化をしたら、実際には料金が上がってしまった。
そんなケースがじつに多いのです
 極端な例ですが、ポルトガルの地方都市では、民間企業が水道料金を以前の4倍に値上げしました。
そのうえ、人口減少により予測利益に到達しなかったといって、市に対して1億ユーロ(約120億円)の補償請求書まで送りつけてきたのです。
 料金の値上げは、そうした人口減少に悩む町だけの話ではありません。

パリ、ロンドン、ベルリンなど大都市でも、大幅な値上げがあり、市民の怒りが爆発し、「再び公営化を!」という運動に火がつきました。
 考えてみれば簡単なことです。
民間企業の場合、株主配当や役員報酬などが発生します。
設備投資をするときも、利率の低い公的融資を受けるのではなく、金融市場から資金を調達し、利息を払っていかなくてはなりません。
これらはすべて公営時代には、不要だったコストです。
当然、その分は水道料金に反映されてしまうでしょう。

 加えて、水道事業は自然独占(消費者は水道管を選ぶことができないため、自然と地域一社独占になること)なので、いったん運営権を手にすれば、その後は競合する他社がいません。
水道料金値上げを目指すのは自明です。

AEしかも、多くの場合、民間水道サービス企業の収支は、会計上のテクニックを駆使して不透明にされています。
 欧州では、噴出するこうした問題に気づいた市民と地方自治体が手を取り合って、再び公営化する方向に舵を切り、すでに178件もの水道事業が民営から公営に戻っています。

 ところが、日本はその逆の道を進もうとしています。
2018年暮れに可決した改正水道法により、上水道の民営化が可能になったのです。

民営化は効率化なのか?
―― しかし、大企業の手によって民営化したほうが事業は「効率化」しますよね?

岸本
その効率はどこからくるものだと思いますか。
要は、人員削減や賃金カット、そして必要な設備投資の先延ばしによって、数字が改善したように見えるだけです。
 あるいは災害対策に必要な経費を削減するわけですよ。
もし災害が起こって水道管にトラブルがおこれば、公営の場合は水道職員が真っ先に現場に駆けつけます。
しかし、民間企業であれば、危険を顧みずに現場に駆けつけるようなことは絶対にしません。
そんなことをしても利益にならないからです。
 結局、民間企業の「効率化」のツケは、その地域にまわってきます。

水道を管理できる人材が自治体から消え、徴収された水道料金は、グローバル資本に吸い取られ、町の外に流れていく。
 水道民営化とはすなわち、人材もお金も失う、地域窮乏化政策です。
そのうえ、さらに高額な水道料金という負担を地域住民全員が強いられるのです。

―― とはいえ、水道料金が多少あがっても、影響は限定的なのではないですか。

岸本
一般に、上下水道料金が世帯収入の3%超えると支払いの負担を大きく感じ、5%を超えると支払いが困難な状態に追い込まれると言われています。
この状態のことを「水貧困」(water poverty)と呼びます。

 水道を完全民営化したイギリスでは、2011年の段階ですでに、収入の3%以上を上下水道料金にあてている世帯が23.5%、収入の5%以上をあてている世帯は1割にも達していました。
今はもっとひどいと思います。(ヨーク大学研究プロジェクト「イングランドとウェールズにおける水貧困」より)

 「水貧困」に苦しむ家庭では、トイレの水洗やシャワーの回数を減らすなど極端な節約を強いられていて、社会参加に支障をきたすほどです。
「水貧困」は、社会の分断につながっていくのです。
 日本でも民営化後の水貧困の蔓延は、リアルな可能性として考えたほうがいい
年間の上下水道料金が9万円、月額で7500円ほどになると、年収300万円の世帯は水貧困に陥りますが、現状月額5000円程度の水道料金が1.5倍になるだけで、そうなるわけです。

国家と結託する水メジャー
―― 欧州で水道民営化への批判が強くなっている中、なぜ日本は周回遅れの民営化に踏み切ったのでしょうか。

岸本
インフラの老朽化に対応する財源がないことが表向きには理由にされていますが、五輪やカジノ、リニアといった無駄なものにお金が使われている現状からすると、これは正しい説明にはなっていません。
 むしろ、水メジャーの視点から見たほうが分かりやすい。
欧州の市場が縮小しているために、新たな市場として日本を見出したという側面が否定できないからです。

欧州では水道民営化のデメリットが知れわたり、新たな民営化の契約を獲得することが難しくなっています。
数十年にわたる契約の満期を迎えた自治体も、契約の更新をせず、再公営化を選ぶようになってきています。
 また、水メジャーにとって日本市場は魅力的。
水質もよく、漏水率もわずか5%前後。
少ない投資で多くの利潤の見込める大都市もたくさんある。
たとえば東京都の水道局の純利益は333億円です。

 さらにいえば、水メジャーは水道以外の公共サービスも狙っています。
彼らは複合企業化しており、交通やゴミ処理、清掃など、様々な公共サービスのアウトソーシングを受注したり、民営化したサービスの経営を手がけたりしています。
日本は欧州に比べて公共サービスの民営化が進んでいないので、新たなビジネスチャンスの宝庫なのです。

 しかも日本政府が民営化ビジネスの市場を7兆円規模にまで拡大させる方針を打ち出しています。
ようは日本の国家の指導層とグローバル資本が結託しているのです。
それに対抗して、市民が地方自治体とともに立ち上がってNOといえるかどうかが分岐点です

奪われた「水への権利」を取り戻す
―― 欧州での再公営化の起爆剤は市民運動にあると指摘なさっていますね。

岸本
ええ。先ほど178件の水道再公営化があったと申し上げましたが、それは間違いなく、「水への権利」を市民の手に取り戻そうとする運動が巻き起こった結果です。
 水は誰にとっても必要なもの。人権なのです。
あるいは、みんなの公共財・共有材〈コモン〉だとも言えます。

民間企業の独占的な経営にゆだねるのではなく、公のものとして、市民も参加しながら管理するという方向を打ち出した運動が欧州では広がってきているのです。
 たとえば、スペインのバルセロナ市では、水道の再公営化を求める市民運動から地域政党「バルセロナ・イン・コモン」が誕生し、市長を二期連続して擁立することに成功しました。
 いま、その勇気ある市長が、水メジャーと必死に闘っています。
それを常に支えているのは、地域の市民運動です。

―― なぜ、中央ではなく、地方から再公営化運動は立ち上がってきたのでしょうか。

岸本
日本でも水道民営化に熱心で地方にそれを押し付けているのは、グローバル資本と結びついた国家のほうですよね?
それは欧州でも同じです。
新自由主義的な中央政府やEUに対して、地方からNOという運動が展開しているのです。
 水道民営化に反対する自治体は、世界中の自治体と協力し、国境を超えた運動に発展してきました。
こうした動きは「ミュニシパリズム」(地方自治体主義)と呼ばれ、さらには「フィアレス・シティ」(恐れぬ自治体)と呼ばれる世界的な自治体運動ネットワークに発展してきました。
恐れぬ、というのは、国家やグローバル資本に対して恐れずNOをつきつけるという意味です。

 2020年現在、フィアレス・シティの拠点数は欧州49都市をはじめ、総計77にも及んでいて、東アジアではデモで北京に抵抗するあの香港が参加しています。
 フィアレス・シティのネットワークでは、市長や市議などが参加して活発に国際会議などを行い、地方から民主主義を活性化し、〈コモン〉である水やエネルギーや交通の運営権を再び自治体の手に取り戻す道を探っています。
 要は闘い方の戦略会議です。

知識も〈コモン〉ですから、お互い、惜しみなく情報と戦略の交換をしています。
そうでもしなければ、グローバル資本と闘うことはできません。
実際、パリとジャカルタとバルセロナが闘っている企業は、同一の水メジャーです。
だから自治体どうしの連帯が非常に有効なのです。

水から変わる日本の民主主義
―― 日本の地方経済の衰退や地方議会政治の沈滞ぶりとはだいぶ違うようで、「フィアレス・シティ」など遠い話に感じます。

岸本
いえ、地方の政治家の汚職が絶えなかったり、経済が苦しかったりするのは欧州も同じです。
むしろ経済の状況はもっと悪い国もあるくらいです。
EUの財政規律のせいで苦しい思いをしているのも地方自治体です。
その財政規律も、民営化に誘う絶好のカードになっています。

 しかし、だからこそ、水という、生きていくためにはどうしても必要なもののためにこそ、市民運動が活発になっているのです。
 日本では「フィアレス・シティ」の運動がほとんど報じられていないので、イメージしづらいだけで、でもその萌芽はいくらでもあります。
 たとえば、安倍政権が新型コロナウイルス感染予防のために学校に対して一斉休校を要請しましたよね。
あまりに唐突で、生活している人たちの姿や地方経済の構造がまったく見えていない。
単に「やってる感」の演出でした。

 そんな稚拙なトップダウンに対して、地方自治体にはむしろ住民の暮らしや生命、そして地元の経済を守ろうという気概がまだ残っている。
実際、多くの自治体の首長が、安倍政権を恐れず、一斉休校に反発しましたよね。
 それがすなわち、「恐れぬ自治体」の精神です。
そういう気概をもった議員や首長たちを、住民は声をあげて支えるべきです。
それがあと少しで、大きな波として可視化されていく気配を感じています。

―― しかし、地方議会も自民党が与党のところが大半です。

岸本
だから、起点は住民でなくてはならないのです。
浜松市の水道民営化反対運動は、地元住民たちが立ち上がって、きちんと成果をあげました。
水道民営化に反対する3万筆以上の署名を集め、民営化検討作業を一時中止に追い込んだ。
 浜松市の市長は自民党系ではありませんが、民営化の旗振り役は市長。
その市長が、民営化反対運動の勢いに怖気づいたのです。
ちょうど市長選の前でした。

 自民党支持であろうが、保守系議員を応援していようが、水という共有材〈コモン〉の運営が民間企業の手にわたったときの弊害の情報を共有できれば、住民は運動に参加していきます。
共有材〈コモン〉を企業の儲けの論理で、好き勝手にされていいのか、という「怒り」が、運動の起爆剤になるからです。  この署名活動を主導したのは「浜松水道ネット」(浜松市の水道民営化を考える市民ネットワーク)という市民グループです。
彼らは地道に勉強会を開き、毎週水曜日には駅前に立ち、商店街で署名を集めました。
選挙前には各政党に質問状を送り、水道民営化に対する立場を聞き出す。
ある意味、古き良き草の根運動を展開し、市政を変えたのです。
これを日本中に広げていきたい。

 水という国民全員にかかわる問題だからこそ、日本の民主主義を変えていく力を秘めていると思うからです。

(聞き手・構成 中村友哉)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月30日

「ニセ医学」にだまされる人がハマる落とし穴

「ニセ医学」にだまされる人がハマる落とし穴
ウソ情報に振り回されないための7箇条伝授
2020/03/28 東洋経済オンライン
桑満 おさむ : 五本木クリニック院長

近年、SNSなどで誰もが気軽に情報を発信できるようになり、巷には「ニセ医学」が蔓延しています。
例えば、「ワクチンを打つと自閉症になる」「アトピーでステロイドを使うのは危険」など、標準医療を否定して、医学的には根拠のない、矛盾だらけのトンデモ健康法を吹聴するのです。
知らず知らずのうちに身近なところへと忍び寄る「ニセ医学」に惑わされないための心得を桑満おさむ氏の著書『”意識高い系”がハマるニセ医学が危ない!』より紹介します。

みんな「コラーゲンでお肌プルプル」にダマされてる!
身近なところでいえば、「コラーゲンでお肌プルプル」というのもニセ医学。
確かにコラーゲンは人間にとってとても重要な成分であり、肌の弾力を支える成分の1つです。
しかし、コラーゲンを摂取しても、体の中でコラーゲンとは似ても似つかない物質にまで分解されてしまいます。
中には「私は効果を感じている!」という人もいるかもしれません。
しかし、その実感は、おそらくプラセボ(偽薬)効果でしょう。

プラセボというのは、効き目のある成分は何も含まれていない「偽」の「薬」です。
「肌がいつもよりプルっとしてる気がする!」と言っている人がいますが、これなども、まさしくプラセボ効果だといえます。
効果がないものを売ってもよいのかと疑問に思うかもしれませんが、事実、コラーゲン食品の宣伝をよく見てみると、「たるみが治る」「肌が若返る」など、直接的に効果効能をうたってはいません。
きれいな女性が出てきてコラーゲン食品をとったあと、肌を触りながら「プルルン」など弾力を思わせる言葉を言っているだけなのです。

テレビも新しい情報を求め、結果、小さなトピックを盛りに盛って紹介したり、スポンサーに配慮した偏った情報を流すなど、ニセ医学に加担しています。
このような例は「メジャーなニセ医学」といえるでしょう。

マスメディアは影響力が大きいため、間違った情報が広がりやすいのが問題です。
十数年前、健康情報番組がブームになったときがありました。
各局がこぞって簡単なダイエット法や、よりセンセーショナルな健康情報を流そうとしのぎを削った結果、行われたのが悪質なヤラセともいわれています。

それよりもさらに近年、私が危ぶんでいるのは、インターネットを中心に広がる反医療の「マイナーなニセ医学」。
ニセ医学にハマっている人は、総合していうと、言葉は悪いかもしれませんが、ヒステリックな自然派といえます。
ネットの情報には玉石混淆で、トンデモない嘘があふれています。

一方で公的機関のホームページなどを当たれば正確な情報が簡単に手に入ります。
しかし、自然派をこじらせるタイプの人は、自分の考えが正しいという視点でスタートするため、賛否両論を比較して公正に判断しようとはしません。
そのため、インターネット上で見かけた「ニセ医学」に対して感情的になり、簡単に受け入れてしまうのです。

ダニング=クルーガー効果と意識高い系
ダニング=クルーガー効果というのは、能力が低い人ほど、自分に対して過大評価をするという認知バイアスであり、つまり、自分が信じたものは正しいと信じて疑わず、周りの人に否定されても、相手は「正しいことを知らないのだ」と見下し、他人にも認めさせようとしてしまいます。
つまりヒステリックな自然派になりやすいのは、「意識高い系」と呼ばれるタイプの人に多いと考えられます。

ここから、ニセ医学にダマされないための7箇条をお伝えします。
ニセ医学を勧める人とそれに影響されやすい特徴や状況があり、特に注意するべき事象を解説します。

1:「始めると体から毒が排泄されたことを示す身体的変化が現れます」
そのニセ医学を取り入れることで、毒が出たことを意味する身体的な変化が現れる、もしくは、逆に「身体的変化が現れないと毒がたまっている」などと言われます。
後者は「○○しても変化がなければ、免疫力が低下している証拠」などとも言われます。
毒や毒素などそれっぽいが抽象的な表現には理屈がないことが多く、注意が必要です。

2:「好転反応」という言葉
ニセ医学を取り入れることで不調が起こっても、好転反応であり、よい兆しのように言われます。
例えば対象者がアトピーであれば、ステロイド剤を止めさせてニセ医学をすすめるわけですから、せっかく抑えていた炎症が再燃します。
それは別にニセ医学によって毒出ししている時期なのではなく、単にステロイドを止めたことで症状が悪くなっているだけです。
つまり、悪化すれば好転反応であり、そのうちによくなればニセ医学の手柄になるという、「負けなし」の、好都合なシステムになっているということです。
さらにいえば、ニセ医学の広告やSNSの体験談などは、「治った人だけ」であることを忘れてはいけません。

3:不妊に悩む人、妊娠中、育児中の人は狙われやすい
妊娠したい人、妊娠している人、育児中の人をコアターゲットにするというのも、最近のニセ医学の特徴です。
子どもができないのは冷えているから、心が整っていないから、ひどいものでは前世のカルマなどと、人の弱みにつけこんで怪しい施術や物を売り込んできます。
妊娠、出産すれば、妊娠中に取り入れた添加物や化学物質が「胎毒」となり、子どものアレルギーや発達障害につながるから「毒出しをさせろ」と言い始めます。
ニセ医学は次から次へと怖い言葉を作るのが上手ですが、そんな事実はないので、まともに取り合ってはいけません。

4:「何でも治せます。がんでも治せます」
現代医学では完治が難しい病気について、例えばがんであっても「治せる」と安請け合いするのがニセ医学の特徴です。
がんであれば種類を問わず、ステージ4で全身状態が悪化した末期がんと呼ばれる場合でも、「何でも来い」と無責任に受け入れます。

5:「海外では当たり前。日本は遅れている」
日本は世界的に見ても添加物大国だとか、トランス脂肪酸を規制していないのは先進国では日本だけというような、国ごとの特徴を考慮せず、おまけに正しくもない情報を好みます。
また、「(対象のニセ医学は)日本ではあまり知られていないけれど、海外では当たり前だよ」という決めゼリフも得意です。

6:難しい言葉を使ったもっともらしい説明
例えば、「エントロピー」、「量子力学」など、難しい単語を多く繰り出して、「もっともらしいような説明」を行うなど、ニセ医学を吹聴する人たちは特異な話術に長けていることが多いです。

7:批判に対して攻撃的
ニセ医学の施術者もそのファンもなぜか攻撃的な人が多く、批判的なことを言う人にはこぞってSNSに攻撃的な反論を寄せてきます。
さらには、それならば科学的根拠を示せと疑問を投げかけられた場合、「6:難しい言葉を使ったもっともらしい説明」を行います。

正しい知識を身につけることが重要
ニセ医学を信じてしまうと、誤った知識を披露してしまった際に自分が恥ずかしい思いをするだけではなく、自分や自分が一生懸命守ろうとしている家族や友人に、深刻な健康被害がおよぶ可能性があります。
大げさな話に思われるかもしれませんが、医療現場にはニセ医学を信じた挙句、最終的にはさじを投げられた人たちが実際にやってきます。
だからこそ、ニセ医学に取り込まれる人が少しでも減るようにと、私は情報を発信し続けています。
皆さんも自分がニセ医学に取り込まれないように正しい知識を身につけていきましょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 🌁 | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月07日

「高額ながん治療法は期待できる」と考えるのはなぜ間違いなのか

「高額ながん治療法は期待できる」と考えるのはなぜ間違いなのか
2020年04月06日 ダイヤモンドオンライン

「糖質を摂取しなければがんが小さくなる」、 「にんじんジュースには抗がん作用がある」、 「血液クレンジングはがん予防に有効」……。
インターネットにあふれているこのような話には、明確な効果が期待できません。
しかし、これらを信じてしまい、怪しい業者に大金を払ってしまったり、病院で治療を受けるのをやめてしまったりして命を危険にさらす患者さんが後を絶ちません。

国民の2人に1人が生涯のうち一度はがんになる時代になり、がんは身近な病気になりました。
しかし、がんについて学ぶ機会はほとんどありません。
仮にがんと告知され、心身共に弱り切った状態でも、怪しい治療法を避けて正しい治療法を選ぶにはどうしたらいいのでしょうか。

このような「トンデモ医療情報」の被害を抑えようと情報発信をしている3人の医師・研究者が書いたがんの解説本が、ついに発売されます。
新刊『世界中の医学研究を徹底的に比較して分かった最高のがん治療』は、発売前の3/27からアマゾンの「ガン」カテゴリで1位を取り続け、SNS上で大きな話題になっています。
医療データ分析の専門家である津川友介UCLA助教授、抗がん剤治療のパイオニアである勝俣範之日本医科大学教授、がん研究者である大須賀覚アラバマ大学バーミンガム校助教授の3人が、それぞれの専門分野の英知を詰め込んで、徹底的にわかりやすくがんを解説。
読めば必ず正しい選択ができる一冊に仕上がりました。
本書の刊行を記念して、本書の内容の一部を要約してお伝えします。

■代替療法だけを受けている患者さんの生存率は低い
****************************
標準治療
科学的根拠に基づいた観点で、すでにある治療法の中で最も有効性が高いと考えられるもの。
保険が適用される。

代替療法
一般的にクリニックなどの医療機関で自費で行われている自由診療や、健康食品、ヨガ、マッサージなどの民間療法、音楽療法、芸術療法、温泉療法、漢方薬などを総称した治療法のこと。
基本的に全額自費。
一部には、がん患者さんの生活の質を改善したり、副作用を改善したりする科学的根拠があり、漢方薬や鍼灸などは一部保険適用になっている。
しかし、がんを縮小させたり、延命効果を示したりするような直接的な治療効果は明確に証明されていない。
****************************
 これまでの記事で、がん治療においては保険が適応される標準治療を選ぶことが重要であること(第6回)や、保険が効かない代替療法を選ぶことには注意が必要であること(第7回)を解説してきました。

 では、実際に標準治療を選択せずに、代替療法を選択してしまった場合に、どのぐらいのデメリットが生じてしまうのか、実際の患者さんのデータをもとに検証した研究論文を紹介して、その危険性を解説したいと思います。
 「JNCI」という権威ある雑誌に発表された論文では、アメリカで標準治療を行わずに代替療法のみを行った患者281例を検討しています(*1)。
 標準治療を受けた患者さんと、代替療法を受けた患者さんの予後を観察すると、明らかに生存率に違いがあります(図表1)。
標準治療と代替療法の比較 図表1.jpg
治療開始から6年経過時点で標準治療を受けている患者さんのグループは75%生存しているのに対して、代替療法のみのグループでは50%の方しか生存していません。
このデータは、標準治療を行わないことは、極めて危険だということを示しています。

 代替療法ががんに効くという科学的根拠はほとんどなく、過度の期待をするべきではありません。
劇的な効果を生むものはほぼ皆無であり、これに時間やお金をかけ過ぎるのは避けたほうがいいでしょう。

 ただし、標準治療を適切に受けたうえで、ほかに何か試せるものがないかを探した結果、高額でなく、標準治療の妨げにならない範囲であれば、代替療法を少し受けても大きな問題はないと思います。
精神を落ち着かせる意味もあるでしょう。
 特に標準治療でできる処置がなくなってしまった患者さんにとっては、代替療法が最後の望みとなっていたりもします。
たとえ可能性が低くとも、何かの治療をしたいという気持ちが起こるのは当然のことです。
そのような気持ちは受け入れるべきだと思います。

■「高額な治療法ほど効果がある」と考えてはいけない
 がん治療法を選ぶ際には、家電製品を選ぶのと同じ考え方で選んではいけないという点も覚えておいてください。
 普通の人が何らかの家電製品を選ぶ場合、指標にするものがあると思います。
値段だったり、アマゾンのレビューだったり、自分なりの基準があるはずです。
しかしがん治療法に関しては、家電製品を選ぶ際の指標とは性質がまったく違います。

 がん治療法に対するよくある誤解が、高額な治療ほどいいに違いないという考えです。
これは明らかに間違っています。

 標準治療には保険が適用されるので、患者さんが払う金額は比較的安価で済みます。
逆に、保険が適用されていない代替療法は高額であることが多く、治療を受けるのに数百万円かかるものもあります。
 家電の感覚でいると、十万円の標準治療よりも、百万円の代替療法のほうが効きそうだと思えてしまいますが、これは間違いです。

 保険が適用されている標準治療は、実際、安いわけではありません。
効果のある治療法を国民に広く受けてもらいたいから、国が費用を補助しているのです。
実費で払おうと思えばかなり高い。
請求価格だけで判断してはいけません。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(6) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月09日

お菓子も立派な非常食。防災のプロが教える最新「食の備蓄」

お菓子も立派な非常食。
防災のプロが教える最新「食の備蓄」
2020/04/05 扶桑社

いざというときのために、防災食や備蓄は常にチェックしておきたいもの。
また、外出自粛モードになっている現在も、とても役立ちます。

最新の防災事情では、毎日の持ち物を見直すことが大切とわかってきました。
今回は「食の備え」について、危機管理アドバイザーの国崎信江さんに教えてもらいました。

お菓子も十分な備蓄になります
いつも食べているものを非常食に!
「防災用に特別な食品を用意するのではなく、普段食べているものを利用すれば問題ありません。
備蓄の目安は1週間から10日分

乾パンなどの非常食だけで備蓄するのは大変ですが、いつも食べているものを少し多めに買って、消費しながら備蓄していく方法ならムダも出ません」と国崎さん。

食べ慣れたものを災害時にも食べられるように備えておくことが大事なんです。

<食の備蓄(1)そのまま食べられるもの>
フルーツ、肉・魚加工品、缶づめ、チーズ
火や水を使わなくてもそのまま食べられるものは、災害時に重宝します。
食べる順番を考えて賞味期限が近いものから消費。
缶づめと缶切りをセットで用意しておくことも忘れずに。

<食の備蓄(2) お湯を注いだり、ゆでて食べるもの>
カップ麺、レトルト食品、パスタ乾麺 カップ麺はうどんやそばなども取り入れると、バラエティーがあって食べる楽しみになります。
レトルト食品はひじき煮、キンピラゴボウ、サバのみそ煮など総菜系もストックを。

<食の備蓄(3) 水以外の飲み物>
ジュース、コーヒー ミネラルウォーターだけにこだわらず、家族の好きな飲み物も備えるようにしましょう。
野菜ジュースは野菜不足がカバーでき、カップつきの飲み物はカップがあとで役に立ちます。

<食の備蓄(4) お菓子>
クッキー、チョコ、せんべい
糖分があるお菓子はエネルギー補給にもなります。
被災して食欲がないときや気持ちが不安定なとき、甘いものを食べることで元気がでることも。
個包装のものが重宝します

<食の備蓄(5) 携帯できるもの>
ドライフルーツ、ナッツ類
避難所に移動する際に持ち出せるものや歩きながら食べられるものがやはり便利。
ドライフルーツ、ナッツ、チーズ、バランス栄養食品など栄養価の高いものを備えておくのがおすすめです。

災害時にあると便利なお助けアイテム

●キッチングッズはコンロ、深めの鍋、ハサミなど
カセットコンロとガスボンベがあれば、電気やガスが止まっても温かいものがたべられます。
深めの鍋はレトルト食品の湯せんなどいろいろ使えて便利。
キッチンバサミは、まな板なしで食材がカットできます。

●ラップで食器を汚さない
被災時の調理はできるだけ水を使わないようにするのがポイント。
食器にラップをかぶせて使用すれば、食器を洗わずにすみます。
箸やスプーンも1回ずつ洗わずに、ウエットティッシュでふいて水を節約!

ESSE5月号では、このほかにも災害に備えるための「衣の備え」「住の備え」、そして「切り取って使える防災マニュアル」を特集しています。
ぜひ、チェックしてみてください。

< 取材・文/ESSE編集部>
【監修/国崎信江さん】
危機管理アドバイザー、危機管理教育研究所代表。
自然災害や防犯について研究し、国や自治体などの防災・防犯対策に携わる
posted by 小だぬき at 14:00 | 神奈川 | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月10日

血液クレンジングはなぜはやったのか?悪質な「ニセ医学」が蔓延する理由

血液クレンジングはなぜはやったのか?
悪質な「ニセ医学」が蔓延する理由
2020.4.9 沼澤典史:清談社

血液クレンジング、肛門日光浴など最近は信じられないような健康法にハマる有名人やインフルエンサーが多い。
少し考えればインチキだと分かるような医学になぜ人はハマるのか。
理由と見極め法を『“意識高い系”がハマる「ニセ医学」が危ない!』(育鵬社)の著者で五本木クリニック院長の桑満おさむ氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)

意識高い系、ヒステリックな自然派が ハマるニセ医学とトンデモ療法
 空前の健康ブームの昨今、にわかには信じられない医療法、健康法がちまたにははびこっている。
最近、話題になったのは「血液クレンジング」。
ドロドロの血液を体外に取り出し、オゾンで洗浄することでサラサラの血液にするという触れ込みだ。
また、肛門を日光に当てることでビタミンDを吸収しやすくするなどといわれ、インスタグラムでバズった「肛門日光浴」も記憶に新しい。

 こんな怪しい療法について、五本木クリニックの桑満おさむ院長(ブログはこちら)はまず「医師が介入しているものが、より危険である」と話す。
私の個人的な定義ですが、中学理科レベルで変だと感じるものはトンデモ療法。
一方で、もっともらしく医療従事者が唱えて、下手をすれば被害者が出るかもしれないものはニセ医学と定義しています。

肛門日光浴なんかはトンデモ医療で、血液クレンジングはニセ医学。
医師による権威付けがされている分、ニセ医学のほうが悪質です」

 さらに、桑満氏はニセ医学、トンデモ療法にハマってしまう人の特徴をこう分析する。
「ハマってしまう人はいわゆる“意識高い系”が多い印象です。
“意識高い系”は、能力はないのに自己評価が高く、理由なき優越感を持ってしまう『ダニング=クルーガー効果』のバイアスが働いている可能性が高い。
マウンティングを取ろうと、マイナーで真偽不明な医療法を周りに喧伝するのです

 またそのような意識の高い人は、往々にして「ヒステリックな自然派」になってしまうケースも。
これは「ワクチンを打たない」「合成添加物を毛嫌いする」など、天然由来に固執する考えである。
「ヒステリックな自然派は、特に『母親』が多いです。
できるだけ子どもを健康に育てたいという思いから、怪しい医療にハマってしまうのでしょう。
また、ママ友同士でも『こんなの子どもに食べさせてるの?』というマウンティングで間違った情報が拡散されていきます。

本来は、行政などが配布する『はじめての出産』のようなリーフレットの情報で十分なのです」

検証をくぐり抜けた治療よりも 素人ライターの記事を信じるのか
 医療において、現在利用できる最良の治療であることが示され、一般的な患者に推奨される治療のことを「標準治療」という。
これを否定したり、もしくは標準医療に追加して、怪しげな治療法をしたがる患者や医師も、ニセ医学蔓延の原因であるという。
「『標準』という言葉から、まだプレミアムの治療があるのではないかと思う人がいます。
そういう人はネットの素人ライターが書いた根拠のない治療を信じてしまう。
また、医師が標準治療に加えてニセ医学を施すケースもあります。
しかも、悪意ではなく善意で行っている医師もいるので、ニセ医学は厄介なのです」

 そのような医師に「エビデンスがあるんです」と言われれば、我々は簡単に信じてしまいそうだ。
しかし、桑満氏は「エビデンスが軽んじられ過ぎている」と話す。
「エビデンスは試験管レベルから始まり、動物実験、人体への治験を繰り返して確保できます。

『医学論文になっている』と権威付けする場面を見ますが、論文は探せばいくらでもあり、同様にそれを否定する論文も必ずあります。
標準治療は論文レベルではなく、エビデンスにエビデンスを重ねた、いわば“エリート治療”。
これに追加してなにか行うのはムダ、もしくは逆効果になる場合もあります。

『それでもアナタは“エリート”ではなく、雑多な治療を選びますか?』ということです」
 専門知識とまではいかなくても、どの段階までエビデンスが確保されているのか、しっかり理解しておくべきだろう。

マスクは予防にならない 「除菌」もまったく効果なし
 また、現在は医学的常識のようになっていることにも嘘があるという。
現在、新型コロナウイルスの脅威にさらされ、マスク不足が叫ばれている。
しかし、マスクによる予防効果は無に等しいのだ。

感染している人が拡散させないようにするのには効果的ですが、健康体の人が予防のためにする必要はまったくありません。
不安なのは分かりますが、それよりも手洗いの徹底。
また、スマホの画面も汚染されているのでこまめに吹くことを心がけましょう。
ちなみに『消毒』『滅菌』は医学用語ですが、『除菌』はグッズ業界の造語なのでまったく効果はありません。
こうしたもっともらしいワードにも注意が必要です」

 怪しいワードはほかにもあり、ニセ医学やトンデモ医療を見極めるフィルターになる。
「『自宅で簡単』『○○食べて○○治す』『免疫力アップ』などと書いていたら怪しいです。

『○○食べてがんは治る』も嘘です。
がんを予防できる食材はあるかもしれませんが、治す食材はありません。
また、『○%の医師が推薦』といううたい文句も、どこでどんな医師にアンケートしたのか公表されてない場合が多い。
そのような文句やグラフを見たら注意しましょう」 「うまい話には裏がある」ということ。
また、こうした医療に対する情報リテラシーをはぐくむことも必要だ。

そのためにも桑満氏はSNSの活用をすすめる。
「Twitterで実名、匿名で医師が発信しています。
匿名でもどこの病院の医者かを僕らは知っており、医師同士でも失言や間違ったことを発信していないか、フォローし合ってお互いに監視しています。
誰が誰をフォローしているのかをチェックすると、おのずと信頼できる医師が分かってきます。
そうした一手間をかけ、信頼できる情報を発信している医師を見つけると余計な情報に惑わされにくくなります」

 有象無象の情報をうのみにせず、少しでも疑問があったら注意してかかる。
そして、標準治療に準ずる、というのが最善で最良の方法なのだろう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月12日

日本に「未曾有の事態」を乗り越える力はあるか

日本に「未曾有の事態」を乗り越える力はあるか
東日本大震災で学んだことを未来につなげる
2020/04/11 東洋経済オンライン
井上 岳一 :
日本総合研究所創発戦略センターシニアスペシャリスト

9年前、東日本大震災の発災から1カ月程が過ぎた頃にボランティアで宮城県石巻の被災地を訪れた。
何もかもが破壊され、ぐしゃぐしゃになった被災地の様子を見て、津波の破壊力の凄まじさを知った。
あれから9年。
いま、被災地を訪れると、その変わりように驚く。
津波に押し流されたかつての漁師町は区画整理された更地となり、見渡せたはずの海は防潮堤に遮られている。
もとの東北とは違う風景がそこにはある。

あの震災で何を学んだのか
風景を変えてしまうほどの巨大な防潮堤を建設することの是非は、震災直後から議論になっていた。
しかし、津波の悲惨さを経験した人々は、少しでも安心できる道を選んだ。
いや、どこまで選んだという実感を1人ひとりが持てていたのかはわからない。
どこか自分のあずかり知らないところで、あずかり知らない力によって決まっていったのだと言う人もいるし、あの時はそれが正しいと思えたのだ、と言う人もいる。

確かに言えることは、あの状況の中、住民の総意を束ねることなどできようがなかったし、冷静な判断を下すことも不可能であったということだ。
だから防潮堤の是非を今更とやかく言うつもりはない。
ただ、海を見えなくさせている防潮堤の存在を見るたびに思うのは、私たちはあの震災で何を学んだのだろう、ということだ。

20世紀のテクノロジーは、人間や自然の限界を克服し、あるいは自然の脅威から人を守るために使われてきた。
1972年に田中角栄が発表した『日本列島改造論』の、「改造」という言葉には、山を削り、海を埋め立て、コンクリートで塗り固めることで、この列島を好きなように作り変えることができるのだという強い自信なり自負なりを感じる。
国土は変えられる。
国土の限界を我々は克服することができる。
そう私達は信じて、この列島の山野河海にコンクリートを注ぎ込み続けてきたのである。

だが、東日本大震災によって、私達の自信は脆くも崩れ落ちた。
どれだけ「改造」を施したところで、私達は自然の脅威から自由になることなどできないのだということを思い知った。
地震、噴火、津波、台風、洪水、山地崩壊。
これら全てを人為で、技術の力で防ぐことは現実的には不可能だ。
資源が少ない国土の制約を乗り越えるための切り札とされてきた原子力についても、それを使いこなすだけの技術も知識も持っていないことが露呈してしまった。

私達は東日本大震災から多くを学んだはずだ。
しかし、巨大な防潮堤は、この列島を改造し直し、技術の力で再武装すれば、自然の脅威から身を守れるのだと主張しているように見える。
もしそうだとすれば、私達はあの大震災から一体何を学んだのだろう。
私は最初のボランティアから毎月のように東北の被災地に通い続けている。
通い続ける中で気づいたことがある。
東北地方に存する自然の圧倒的な豊かさだ。
時に牙を剝くにしても、人を生かすに足る圧倒的な自然の豊かさがそこにはある。

自然のポテンシャルに満ちた国
人間の活動にとって制約であり、克服すべき対象として見られてきた自然とは別の、豊穣で恵みに満ちた側面を東北の自然に垣間見るにつけ、何とこの地は豊かなのだろうと思う。
東北に通い続ける中で、東北の自然のそういう側面に魅せられるようになっていったが、果たして震災が起きる前、そのことをどれだけ認識していたのだろう。
あの震災によって発見し、認識し直したのは、この列島の自然が持つ破壊力の凄まじさと共に、生きとし生けるものの生命を支えるポテンシャルの高さ、生命にとっての生きる場としての豊穣さだった。

いかに災害と隣り合わせの危険な国に住んでいるのかということを思い知らされたのと同時に、いかに自然のポテンシャルに満ちた国であるのかということを再認識させられ、私は、そのことにこの国に生きることの希望を感じるようになったのである。
以来、日本の各地を巡りながら考え続けてきたことを、先般、『日本列島回復論――この国で生き続けるために』にまとめた。
その中に、9年前に東北で見たある光景の描写がある。
私は、その光景を見た時に感じた希望、この国の可能性を多くの人と共有したいと思った。
以下、該当部分をここに引用させて頂く。
* *
東日本大震災から1カ月ほどが過ぎた4月の終わり頃、ボランティアとして宮城県石巻市を訪ねました。
南三陸町との境にほど近い石巻市郡部の海岸沿いは、津波に流され通れなくなっていた道路を、自衛隊が何とか通したというところでした。
このため、リアス式海岸沿いの、湾ごとに点在する小さな集落は、それまで支援の手が届かない孤立集落となっていたのです。

現地で緊急支援にあたっていたボランティア団体から、手が回っていないので、そこに支援物資を届けてほしいと言われて、そのうちの一つの集落を訪ねたのですが、実際に行ってみて驚いたのは、そこの集落では、漁師のお父さん達が中心になって、皆で助け合いながら、和気藹々と生活していたことでした。

停電はしていましたが、漁船に積んでいた発電機を利用して電気は使えていましたし、ガスはもともとプロパンの地域ですから、コンロとボンベを直結して、問題なく使えていました。
裏は杉山ですから、いざとなれば薪はいくらでもあり、煮炊きにはまったく困らない状態です。
また、被災地で一番困るのがトイレと水ですが、山と海に囲まれた場所ですから、自然のトイレで用が足りてしまうし、水も、震災後に裏山の沢から引いて作ったお手製の簡易水道で使い放題。
おまけに、瓦礫の中から拾ってきたという風呂桶に簡易な小屋をかけ、脱衣場を備えた共同浴場まで手づくりしていました。

その直前までいた石巻の市街地では、たくさんのボランティアが入って、支援物資も潤沢でしたが、電気もガスも水道も使えず、多くの人が不便な避難所生活を強いられていました。
処理しきれない汚物やゴミを詰めたビニール袋が溢れ、津波が運んできたヘドロの臭いと相まって、衛生状態はかなり劣悪でした。

孤立集落で目撃した共同体の力
しかし、郡部の孤立集落では、ボランティアもおらず、支援物資もないけれど、住民たちは、毎日お風呂に入ることができ、ゴミや汚物とも無縁な、清潔で快適な生活を送ることができていたのです。
もちろん、完全に孤立し、支援物資も届かなかった間は、それなりに大変だったようですが、その時も、流されなかった家に残った食べ物を持ち寄って、皆で均等に分け合って何とかしのいだそうです。
この孤立集落と出会った時の衝撃はいまだに忘れられません。

そこで目撃したものは、何よりも共同体の力でした。
昔からそこに住んできた人達ゆえの結束力の強さと助け合いの力の凄さ、それが第一に感じたことでした。
まるで集落全体が一つの家族と化しているようで、“つながり”とか“コミュニティ”と言った都会的な言葉では言い表せない、“共同体の絆”とでも呼ぶしかないものが、そこにはありました。

私は学生時代から山村調査で各地の村に入り、村落共同体のことを研究していましたし、紀伊半島の小さな集落に一年半にわたって住んだ経験もあるので、共同体の世界はわかっているつもりでした。
しかし、非常事態に直面した時に共同体が発揮する力は想像以上でした。
同じ石巻市でも、市街地にはこのような強固な共同体はありません。
普段から海と山に囲まれた狭い湾の中で肩を寄せ合うようにして暮らしてきた人達ならではの結束力なのでしょう。

このような共同体の力に加えて印象的だったのが、自然の力、特に森の力でした。
森には木と水と土があります。
木があれば、薪で暖をとったり煮炊きをしたりできるし、小屋もかけられます。
水は命の源であるだけでなく、炊事洗濯洗浄に使えるので、健康で清潔で文化的な暮らしをもたらしてくれます。
そして土は、生ゴミや糞尿を土に戻してくれるため、悪臭やゴミとは無縁の生活をかなえてくれます。

市街地の避難所がどこもゴミの山となって、悪臭が漂っていたことを考えると、このゴミや糞尿を受け止め分解してしまう土の力は、人間にとって、本当にかけがえのないものだと心の底から思いました。
それだけではありません。
木と水と土からなる森には、春には山菜が芽吹き、秋にはキノコや木の実が実り、野生鳥獣たちが1年を通じて暮らすのです。これらもまた森の恵みです。
恵み豊かな森さえあれば、私たちは、とりあえず食べていける。
そう考えると、森はいざという時に頼れるセーフティネットと言えるでしょう。

三陸海岸のように、森と海が隣接していれば、なお言うことはありません。
山の幸だけでなく、魚介や海藻などの海の幸に恵まれるからです。
豊かな森と豊かな海があれば、人は狩猟・採集・漁撈で十分に生きていけます。
実際、原日本人とも言える縄文人は、山野河海の恵みだけで1万年以上もの長きにわたって高度な文明を築いて暮らしていくことができたのです。

日本列島を豊かにする「山水の恵み」
日本列島に豊かに存する山野河海の恵み。
それをここでは「山水の恵み」と呼ぶことにします。
東北地方、とりわけ世界でも屈指の漁場に面した三陸沿岸は、この山水の恵みにあふれた日本列島の中でも、特に恵まれた場としてあり続けたところです。

山水の恵みは、ただし、それを生かす技術を人の側に要請します。
「Into the Wild」という映画があります(ショーン・ペン監督、2007公開)。
人間嫌いの青年が、人間の穢れのない正常な場所での暮らしをしようとアラスカの大地を目指す物語ですが、この青年は、狩猟採集の技術が乏しかったため、動植物に恵まれたアラスカの大地で、なんと最後は餓死してしまうのです(実話です)。
鳥獣を射止め、さばき、腐らせたり虫がわいたりしないように干し肉や燻製にする技術、食べられる植物かどうかを見分ける技術、怪我や病気に対処するための薬草の知識等々、山水の恵みを生かすには、山水に対する知識と技術が必要です。
そういう知識と技術がない人には山水は厳しい存在になりますが、逆に、知識と技術さえあれば、山水は恵みに満ちた存在となります。

孤立集落で出会った漁師達は、山水の恵みを生かす力を持った人達でした。
「山水の恵みを生かす力」とは、例えば、沢の水を引いてきて水道を作ったり、ありあわせの材料で小屋や共同浴場を作ったりと言った、そこにあるものや自然の素材を使って、当面、生きていくのに必要なものを生み出してしまえる力のことです。 それはきちんとした設計図や材料がなくとも、見よう見真似で何とかしてしまえる手業と、試行錯誤しながら新しいものを生み出し、生きられる世界をつくることのできる知恵とから成ります。
その手業と知恵は、山水と共に生きる中で自然と身につけてきたものです。

三陸の孤立集落には、共同体の力に加え、豊かな山水の恵みとそれを生かす力がありました。
それらが組み合わさることによって、お金のあるなしに関係なく、人が生きられる世界がつくり上げられていました。
津波の被害に加え、道路が通れなくなって孤立するという非常事態にあっても、誰も置き去りにすることなく、皆が人間らしい暮らしができる世界がそこにはあったのです。
これこそが究極のセーフティネットだと思いました。
この究極のセーフティネットと出会って教えられたのは、逆説的ですが、人のつながりだけではダメなんだということでした。
共同体なり、コミュニティなりに裏打ちされた人のつながりは、確かに人に安心感をもたらしてくれます。
しかし、人のつながりは、生存を保障するものにはなりません。
生存の保障のためには、山水の恵みと、それを生かすための手業・知恵も必要になるのです。

すなわち、人のつながりと山水の恵み、そしてその恵みを生かす力の3つが揃って初めて、私達は本当の意味での安心を手に入れることができるのです

「山水郷」には究極のセーフティネットが残っている
それらが揃うのは都市ではなく、田舎です。
田舎の中でも、森が豊かで、水に恵まれ、川や海や湖があって、かつ、人が古くから住んできた場所です。
「古くから」とあえて言うのは、人が古くから住んできた場所は人が住むのに適している上、豊かな手業や知恵の伝統が受け継がれているからです。
このような場所を「山水郷」と呼ぶこととします。
山水郷には絶対的な安心の基盤、究極のセーフティネットが残っています。

この山水郷に残る安心の基盤をうまく生かすことで、今の日本社会が直面している困難を乗り越え、普通の人でも安心して生きられる社会をつくることができるのではないか。
三陸の孤立集落で究極のセーフティネットの姿を垣間見て以来、私は山水郷に次の社会をつくるカギがあるのではないかと考えるようになったのです。
 **
ここに書いたように、私は、三陸の孤立集落で見た光景から、山水郷にある人のつながりと山水の恵み、そしてその恵みを生かす力に、次の社会をつくるカギがあると予感した。
その予感は、その後、各地の山水郷を訪ね歩く中で、確信へと変わっていった。
何をバカな、と思う人も多いことだろう。

現実問題として、山水郷と呼ぶべき地域の多くは過疎に悩んでいる。
だから、都市に暮らす人にしてみればもちろんのこと、山水郷のことをよく知る人ほど、もはや山水郷になぞ未来はないと思っているのではないかと思う。
だが、山水郷にある安心の基盤は、今の社会に絶対的に必要なものだ。
それを何とか現代に生かすことができれば、私達はこの国が直面している困難を乗り越えることができる。

そのために必要なのは、新しいテクノロジーだ。
山水郷を改造することで都市に近づけようとした20世紀的なテクノロジーでなく、山水郷のポテンシャルを最大限に引き出し、生きる場としての機能を回復するような、21世紀の新しいテクノロジーが求められている。
幸いなことに、今、私達は第4次産業革命と呼ばれる新しいテクノロジーの勃興期を迎えている。

AI、IoT、ロボットなどの新しいテクノロジー群を使えるようになる。
この新しいテクノロジー群を使うことで、山水郷を生きる場として回復させることができる。
都会だけでなく、山水郷で暮らすことが現実的な選択肢になる分散型の社会を作ることができるのである。

9年前の大震災によって大震災によって山水郷の持つ、生きる場としてのポテンシャルの高さを教えられた。
あの未曾有の事態にあっても、山水郷では人々が生き生きと暮らしていた。
私達はあの大災害から学んだことを、どう未来につなげてゆけるのか考える時が来ている。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月02日

夏に多いこむら返り 足を伸ばす7つの動作で予防

夏に多いこむら返り
足を伸ばす7つの動作で予防
2018/07/17 NIKKEI STYLE

 暑さが厳しい夏は、実は足がつりやすい季節でもある。
エアコンによる冷えや運動不足による血行不良に陥りがちなうえ、発汗でミネラルを放出しやすいのが原因だ。
足の筋肉をこまめに伸ばして予防しよう。

 足つり(こむら返り)は、ふくらはぎに起こる痛みを伴う筋けいれんを指す。
ふくらはぎの一部の筋線維が強く縮んで、他の筋線維とズレが生じて痛みが出るものだ。
激しい運動の後や睡眠中に起こりやすい。

 夏場はスポーツで多量に汗をかいたり、下痢や水分摂取の不足で脱水状態に陥ったりして、体液のナトリウムやカリウムなど電解質のバランスが崩れて神経や筋肉が興奮しやすくなる。
日中はエアコンの効いたオフィスや自宅で過ごすという人も油断は禁物。
室内にいても汗をかくうえ、運動不足や冷えによる血行不良も足つりを招くからだ。

 今回紹介する運動は一見地味だが、実際に試すと筋肉にジワリと効く。
体力と相談しながら取り組むとよい。
こむら返り@.jpg
まずはじめに、脚を前後に開いて、後ろの足のふくらはぎを伸ばす(写真上)。
子供から大人まで、広く知られている運動だが、実は誤った方法で取り組んでいる人が非常に多い。
大切なのは、伸ばすときに反動をつけないこと、後足のつま先を真っすぐ前に向けること、上体をかがめて無理に力まないことだ。
こむら返りA.jpg
 寝る前にできる運動もある。
あおむけに寝転び、片足を天井に向けて軽く伸ばして、膝の裏に手を添える。
息を吐きながら、5秒程度、かかとを天井に突き上げよう。
つま先を伸ばし、円を描くように回すのも効果的だ。

 睡眠中に足がムズムズして、つりそうな気配を感じたら、寝たままの姿勢でかかとを押し出すようにしてリラックスするとよい。
こむら返りB.jpg

 こむら返りC.jpg
 次に壁などに手を添えて、かかとを上げて背伸びしたり、つま先を上げたりして、ふくらはぎ全体を鍛える。
余裕があるなら、片足を台に乗せて、反対側のかかとを上げて軸足だけで背伸びしよう。
こむら返りD.jpg
体力に自信のある人には「かかと上げ・ちょこっとスクワット」をお勧めする。
つま先を60度程度開いて立つ。かかとを寄せながら上げて、離れないように注意しながら膝を軽く曲げ伸ばしする。
最後にかかとをゆっくり下す。
丁寧に5回ほど繰り返そう。
こむら返りE.jpg
 体力に自信のない人や座り仕事が多い人は、椅子に座ったままでかかとやつま先を上げる動きを繰り返そう。

 ふくらはぎがつった時は、バランスを失わないように安定した壁や柱に手を添えて、ふー、ふーと息を吐きながら、つま先を体の方に引き寄せて足首を曲げる。

息をこらえると、筋肉が縮んで逆効果になるので注意しよう。

 足つり予防の観点からも、夏の間は水分とミネラルの積極的な補給が欠かせない。
日ごろからふくらはぎと周辺の筋肉のストレッチを取り入れつつ、暑さに負けず適度な運動やウオーキング、こまめな家事などを心がけて、つらい足つりを防いでほしい。

(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木邦子)
[NIKKEIプラス1 2018年7月7日付]
続きを読む
posted by 小だぬき at 10:00 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月03日

他人を許せない正義中毒という現代人を蝕む病

他人を許せない正義中毒という現代人を蝕む病
攻撃対象を見つけ罰することに快感を覚える
2020/04/27  東洋経済オンライン
中野 信子 : 脳科学者

芸能人、著名人の不倫報道の中でよく聞かれるのが「許せない」という言葉です。
「家族を裏切るなんて許せない」「清純派だと思っていたのに許せない」など、対象者への怒りや憎しみの感情がたくさんの「許せない」を生み出しています。
もちろん、不倫は法律上してはいけないことですし、もし自分や自分の近しい人が何らかの被害を受けたのであれば、憤りや怒りが湧くのは当然でしょう。

しかし、自分や自分の身近な人が直接不利益を受けたわけではなく、当事者と関係があるわけでもないのに、強い怒りや憎しみの感情が湧き、知りもしない相手に非常に攻撃的な言葉を浴びせ、完膚なきまでに叩きのめさずにはいられなくなってしまうというのは、「許せない」が暴走してしまっている状態です。

われわれは誰しも、このような状態にいとも簡単に陥ってしまう性質を持っています。

「正義の制裁」を加えるとドーパミンが放出
拙著『人は、なぜ他人を許せないのか?』でも詳しく解説していますが、人の脳は、裏切り者や社会のルールから外れた人といった、わかりやすい攻撃対象を見つけ、罰することに快感を覚えるようにできています。
他人に「正義の制裁」を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質であるドーパミンが放出されます。
この快楽にはまってしまうと簡単には抜け出せなくなってしまい、罰する対象を常に探し求め、決して人を許せないようになるのです。

こうした状態を、私は正義に溺れてしまった中毒状態、いわば「正義中毒」と呼ぼうと思います。
この認知構造は、依存症とほとんど同じだからです。
この「正義中毒」は、危機的な状況になればなるほど、盛り上がりやすい素地ができます。
現在は新型コロナウイルスの蔓延と同時に、世界恐慌というべき側面になってきていますが、「正義中毒」の現象がさらに強く起きてくると思います。

有名人の不倫スキャンダルが報じられるたびに、「そんなことをするなんて許せない」と叩きまくり、不適切な動画が投稿されると、対象者が一般人であっても、本人やその家族の個人情報までインターネット上にさらしてしまう、企業の広告が気に入らないと、その商品とは関係のないところまで粗探しをして、あげつらう……。
こうした炎上騒ぎを醒めた目で見ている方も多いと思います。

しかし、正義中毒が脳に備わっている仕組みである以上、誰しもが陥ってしまう可能性があるのです。
もちろん、私自身も同様に気をつける必要があると思っています。
他人の過ちを糾弾し、自らの正当性が認められることによってひとときの快楽を得られたとしても、日々他人の言動にイライラし、許せないという強い怒りを感じながら生きる生活を、私は幸せとは思えません。

ここでは、誰しもが陥ってしまう「人を許せない」状態から、解放されるための科学的な方法、そして、穏やかな気持ちで生きるための「物事の捉え方のコツ」について触れていきましょう。

「なぜ、許せないのか?」を客観的に考える
まずは自分が正義中毒状態になってしまっているのかどうかを、自分自身で把握できるようになることがとても重要です。
そのためのサインとして、まず「相手を許せない!」という感情が湧いてしまう状態そのものを把握する必要があります。
どんなときに「許せない!」と思ってしまうのかが自身で認識できるようになれば、自分を客観視して正義中毒を抑制することができるようになるからです。

相手は対・人でなくても構いません。
「このテレビ番組は馬鹿ばかしい」「○○党は許せない」「最近の若い連中はなってない」などといった怒りの感情が湧いたときは、その感情を増幅させてしまう前にひと呼吸置いて、「自分は今、中毒症状が強くなっているな」と判断するようにします。
正義中毒に陥らないようにするカギは、メタ認知です。

メタ認知とは、前頭前野の重要な機能で、自分自身を客観的に認知する能力の事です。
「私は今こういう状態だが、本当にこれでいいのか?」と問いかけることができるのは、前頭前野が働いているからであり、メタ認知が機能しているからなのです。
残念ながら、前頭前野は加齢に伴って萎縮してしまうのですが、脳もあくまで体の一部なので、その部位をよく使っている人とそうでない人とでは機能に違いが出てきます。

前頭前野が衰えていない人は、普段から「自分はこう思う」「こうに決まっている」といった固定化された通念や常識・偏見を鵜呑みにせず、常に事実やデータを基に合理的思考や客観的思考を巡らせている人だと言えるでしょう。
メタ認知ができていない人は、他者に共感したり、他者の立場で事情を斟酌したりすることができません。
同時に、自分自身が現在どのような状況にいるのかということも、うまく把握できなくなってしまいます。

「今、自分は正義中毒になっているかもしれない」と思ったときは、まずメタ認知を意識することから始めてみてください。

「どうでもいい」という感覚
正義中毒の対象は他人です。
誰かに対して自分の正義を主張したり、他人に自分の正義を強要したりすることは、結局のところ誰かを縛る行為にほかなりません。
そもそも他者、そして自分自身にも一貫性を求めること自体、不可能なことなのです。

人間である以上、言動に矛盾があるのは当たり前、過去の発言や振る舞いを覆してしまってもしょうがないのです。
今は絶対的な真実と信じていることだって、いつかその間違いに気づく日が来るかもしれません。
そのように「信じていたこと」を裏切られたと感じることこそ、摩擦やいざこざの原因にもなったりするわけですが、それを回避する一番いい方法は、そもそも他人に「一貫性」を求めること自体をやめることではないかと思います。

この典型的な例は、「芸能人○○が不倫!」というスキャンダルが報じられたときの世間の反応を見ればわかります。
不倫のインパクトは、その芸能人のキャラクターから受けるイメージが不倫からかけ離れていればいるほど強く、バッシングも激しくなります。
しかし考えてみれば、芸能人のキャラクターは芸能人としての「商品」であり、本来の人間性とは違っていて当然です。

芸能人としての表向き・仕事用のイメージと、一個人としての私生活はまったく別ものですし、それ以前に自分とまったく関係のない他人の行動、よそ様の人生なのですから、自分に直接的な被害が及ばない限り、たとえ何をしようとも、他人が指図したり、糾弾したりするようなものではありません。

バッシングされている出来事から、社会をよりよくするための一般的問題が浮かび上がるのなら大いに議論すべきでしょうが、個人攻撃をして、ほんのひととき痛快な気持ちになったところで何かが変わるわけでもありません。
およそどうでもいいことでしかありません。

この「どうでもいい」という感覚が、他人に一貫性を求めないためのいい距離感になるのではないでしょうか。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月04日

ボケ防止の7か条

イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常
ボケ防止の7か条
2015年7月3日 読売新聞

 2日続けてテレビの生放送に出演してきました。
とても楽しかったです。
その中でボケない秘訣ひけつを披露し、それに対するいろいろなご意見がありました。

今日のコラムは僕が思っている「ボケ防止の7か条」に関して書きます。

ともかく歩くこと。歩ける体をつくるためにダンス、太極拳、水泳も。
指先を使うこと。家事、裁縫、盆栽、絵を描く、写経、楽器演奏など。
アウトプットを。おしゃべり、歌う、ゲーム、人や犬の世話。
・ボランティアを。無償の奉仕はやっぱりいいようです。
・同居の人に優しくされすぎない。やることを見つける。
ボケ始めてもできることを。高尚な趣味はボケ始めるとできない。
・最後まで社交的でいること。

 この7か条に科学的根拠はありません。
僕がたくさんの高齢者の方々を拝見し、診察し、投薬してきて至った結論です。

その高齢者の中に僕の母も含まれています。
母は85歳までは相当元気でした。
90歳でもしっかりしていました。
でもその後は認知症を患い、家族で介護しました。
ですから認知症は結構よくわかるのです。

認知症の進行を止める薬はない

 まず、認知症の進行を止める薬はありません。
現在認知症に有効だとして保険適用が認められている薬は数種類ありますが、どれも進行を遅くするだけです。
飲んでも認知症は進行するのです。

いろいろと試して、「家族がなんとなくいいかなと思える薬を続行するのが最良」と思っています。
認知症は頭の中の病気です。
つまり薬は頭の中に入ります。
ですから、内服してかえって症状が悪化したり、凶暴になったり、反対にふさぎ込んでしまったり、いろいろなことが起こります。

本人はどれが効いているかはわかりませんので、家族がしっかり薬の効果を見て、継続や変更・中止を主治医と話し合う必要があります。

母を介護して、数年前に、「せめて1年前にもどるような薬はないのかな」と思いました。
でも、ありませんでした。

 認知症は家族も大変です。
介護している人を認識できる間は、まだ介護している甲斐かいがあります。
でも身内さえもわからなくなると、「なんで生きているんだろう」と思うことがあります。

そんな生きている理由を考えさせられたことも、認知症の母を介護していたからこそと思っています。

歩き続けられることが大切

 歩かなくなると、ボケは進行すると思っています。
整形外科の先輩は、骨折をして歩けなくなるとだいたい1年前後でお迎えがくると教えてくれました。
ともかく歩き続けられる体がなにより大切です。

 指先の神経支配は大脳の多くの部分を占めています。
家事、裁縫、盆栽、絵を描く、写経、楽器演奏など何でもいいのです。
指を動かすことが日課の人はボケにくいと感じています。

 内にこもるのではなく、表現することはとてもいいようです。
おしゃべり、歌、ダンス、踊りなどなんでもいいのです。
アウトプットを大切にしてください。

 ボランティアをしている人は、多くが元気です。
人の世話をする、人のために無償で働くことは、ボケ防止になると確信しています。

少し遠くから温かく見守る

 一人暮らしのお年寄りが、やさしいお嫁さんや娘さんと一緒に住むようになると急にボケることがあります。
今まですべて自分でやっていたことの多くを、家族がやってあげるからです。
何かお年寄りができることを残してあげましょう。
少し遠くから温かい視線で見守ることが、何でもやってあげることよりも大切です。

 認知症になった方をたくさん診ていると、認知症になり始めてからの経過が異なることに気が付きます。
ボケ始めてから頑張れる人と、ボケ始めると一気に進行する人です。

母は読書が大好きでしたが、ボケ始めてからは本をめくるだけで読めなかったようです。
そして一気にボケが進みました。
高尚な趣味はボケ防止には不向きです。

 おしゃべりはいいと思います。
老人会や、世代を超えた集まりには積極的に参加しましょう。
そして家族が少々無理強いをしても参加させましょう。
井戸端会議や世間話は、ボケ防止には最良と思っています。

 ボケに関して母から教えてもらったことは膨大です。
少しずつご披露していきます。
早く教えてくれという方は、拙著「死ぬならボケずにガンがいい」(新潮社)も参考にしてください。
 人それぞれが、少しでも幸せになれますように。

◆ 新見正則(にいみ まさのり)
    帝京大医学部准教授
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

老いた体と上手に付き合う

老いた体と上手に付き合う
2015年3月19日 読売新聞
山本紘子・藤田保健衛生大名誉教授

 健康長寿を願うなら若い時からの摂生が大切です、と前回書きました。

では、既に高齢となり、あちこちに支障をきたしている人はどうしたらよいでしょうか?

 長年の酷使で、内臓や骨、関節に生じた不具合は、すっきりとは治らず、少しずつ進行することも多いのです。

私は80歳の方であれば、「あなたは築80年の家です。家に不具合が起きたら、もう古いから、仕方がないとあきらめ、ちょっと手を入れて上手に住むか、新しく建て直すでしょう。
あなたの身体も同じで、新築のようにはできないので、上手に付き合っていきましょう」と話しています。

 上手に付き合うというのは、身体を酷使せず、大事にし過ぎもせず、毎日同じ調子を保って生活をすることです。

ついつい運動をさぼったり、食べ過ぎたりするなど規則正しく生活することは容易ではありません。

同じように生活していても、年を重ねれば、新しい不具合が生じてきます。
昨日までできた動作が、今日はスムーズにできないと、病気じゃないかと考えがちですが、加齢現象かもしれません。

私は、今日が一番若く、明日は未知との遭遇ですと伝え、年を重ねる自分を客観的に見つめるようすすめています。

 90歳になった方が敬老の日にいただいたお祝い金を老後のために貯金されたという話を聞いたことがあります。

自分が生涯のどの辺りにいるかは意外に意識されていないようです。

 私が医師になった頃は、「もう年だから」と言われる患者さんが多かったのですが、今は老化は克服できるという風潮が強く、年と言われると拒否反応が起きます。

いつまでも若々しいことは素晴らしいことですが、楽観的過ぎず悲観的過ぎず、改めてほどほどを認識したいものです。
posted by 小だぬき at 12:00 | Comment(6) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月05日

片づけられない人の6つの習慣

片づけられない人の6つの習慣
2019.09.07 ビジネスジャーナル

吉川永里子
=収納スタイリスト、整理収納アドバイザー

片づけが苦手な人がついやってしまう行動  
私もかつて片づけられない女だったので、その当時は片づけが苦手な人がやってしまいがちな行動をとっていました。
片づけが苦手・できない人は、第一に正しい片づけ方を知らないことが多く、そのためついうっかり、苦手な人が陥りがちな行動をとってしまっています。

 片づけ方が苦手な方がとってしまうあるある行動は、いくつかあります。
例えば次のような6つです。

1.一気に片づけようと、まとまった時間を取ろうとする
2.心配だからと、ついストックをたくさん買い込む
3.とりあえず取っておこうとして袋にしまう
4.言い訳が多く、すぐやらずに先延ばしにする
5.処分するモノを売ろうとして、いつまでも手放せない
6.見えないように棚や引き出しの隙間に突っ込む  

今回は、6つの行動のうち、前半の3つに着目します。

一気に片づけようと、まとまった時間を取ろうとする
 片づけが苦手な方は、片づけにとても時間と労力がかかると思っています。
だからゴールデンウィークや年末の休みなど、まとまった休みのタイミングに片づけようと考えます。
 でも、片づけってそんなに一気に終わりません! 
まして、片づけが苦手な人ならなおさらです。

 私たちのような片づけのプロと一緒に行うなら別ですが、自分一人で片づけるなら、コツコツやるのが基本
毎日5分とか毎週末30分とか、コツコツ時間をつくって、少しずつでいいから片づけを進めましょう!

 片づけを始めるタイミングは、片づけたいなと思ったその瞬間がベスト。
まとまった時間を取ろうとしていたら、いつまでたっても片づけはスタートしませんよ!

心配だからと、ついストックをたくさん買い込む  
別にゴミや要らないモノを溜め込んでいるわけではないのですが、片づけられない人がいます。
それが、あらゆるモノをストックし過ぎな人です。
 洗剤、テッシュペーパー、化粧品、ラップやゴミ袋などの日用品。
ペットボトルの水、缶詰、乾物、お菓子、コーヒーなど多種多様な食品。
子どもがいる場合は、オムツやお尻拭き、まだサイズの大きい洋服なども買い込みがちです。

 ストックをたくさん持ってしまう人は、総じて心配性なところがあります。
足りなくなるかも? まだあったかしら?
 次はいつ特売になるかわからないし! と、不安な気持ちからついつい買ってしまいます。
ただし、そのうち使うモノだとしても、ストック量が過剰だと収納スペースを圧迫してしまいます。
 まずは、在庫がなくなって必要になるまで買わない! というルールを設定し、過剰なストックを減らす生活を心がけましょう!

とりあえず取っておこうとして袋にしまう 
 これは片づけが苦手な人のほとんどがやってしまう、あるある行動です。
さらにこの行動が、余計に片づかない環境をつくってしまうという、絶対にやめたい悪習慣です。
整理収納サポートで多くのお宅に伺っていますが、そこで見るのは、紙袋やビニール袋にガサッと入った、書類や小物の数々。
 テーブルの上に散らかっているモノを、とりあえずまとめて入れて部屋の隅によける。

 とりあえず袋に入れる→部屋の隅によける→また別のモノの塊をとりあえず袋に入れる→部屋の隅によける――。

こうやって繰り返されていくことで、モノがごちゃっと入った袋が地層のように部屋に溜まっていきます。
 袋の中に入れたモノは見えないので、何がどこにあるのか、まったくわからなくなり、結局すべて死蔵することになります。

部屋を見渡してみて、分類されていないままモノがごちゃごちゃ入っている袋があったら要注意!
 見えないモノはないのと同じです。
今すぐ袋から「全部出し」して、中身が見えるようにしましょう。
行動を変えれば片づけられるようになっていきます!
 少しずつでOK! 小さな範囲でOK!
 袋1つでもいいんです。
思い立ったときに整理して、モノを減らす行動を意識してください。

(吉川永里子=収納スタイリスト、整理収納アドバイザー)

【吉川永里子プロフィール】
収納スタイリスト・整理収納アドバイザー
2008年より収納スタイリストとして活動を開始。
片づけられない女だった過去の経験を活かし「片づけはストレスフリーに生きる近道」をモットーに、ざっくばらんに整理収納について説く。
働く女性やママの目線で行うライフスタイル提案が好評で、個人宅のアドバイスから、メディア出演・講演など、テンポのいいわかりやすい言葉で女性の暮らしを全力サポート。
これまでに10000人以上に片づけをレクチャー。
プライベートは、賃貸住宅で夫と4人の息子たちに囲まれて暮らすステップファミリー。

ニュースサイトで読む:
https://biz-journal.jp/2019/09/post_117279.html Copyright c Business Journal All Rights Reserved.
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(6) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

頑張れない自分は「負け組」ですか? 坊主となった辻仁成が答えます 「人の期待なんか、ほっとけ」

頑張れない自分は「負け組」ですか?
坊主となった辻仁成が答えます
「人の期待なんか、ほっとけ」
9/8(日) withニュース

作家の辻仁成さんがお坊さんとなって10代の悩みに答える「遁走寺の辻坊主」。
女子高生が打ち明けた「親も先生も頑張れっていうんだけど、頑張れないんです」という相談に、辻坊主が授けた教えとは?

今日の駆け込み「頑張れません。どうしたらいいでしょう?」

わしがここの住職、辻坊主である。
この都会の小さな貧しい寺の名前は遁走寺という。
遁走とは「逃げだすこと」だが、それでか、いつのころからか逃げ出したい子供たちがよく訪れるようになった。
あそこに行くと話を聞いてくれるという噂が広まったらしい。
話を聞くだけで、とくに立派なことが言えるわけじゃない。
暇なので、話し相手にちょうどいいのかもしれんね。

わしは御覧のとおり、昼間から寝転がってぐうたらしているのでこの辺の大人たちからは変わり者の生臭坊主と後ろ指さされておる。
御覧の通り、ここはビルに囲まれたつぶれかかった寺なので、檀家もほとんどいなければ、仕事もほとんどない。
わしは猫の百地三太夫(ももちさんだゆう)と暮らしている。
三太夫の猫語が理解できるおかげでわしは退屈せずにすんでおる。

さて、いつものように三太夫と濡れ縁で午睡しておると、 「辻坊主」 と声がしたので、薄目をあけてみると、かわいらしい女子高生が立っておった。
わしは半身を起こし、どうした、と訊き返した。
「ここに来たら、辻坊主が話を聞いてくれるというので来ました」
「そうか、よく来たね。で、なんだい、その話とは」

だいたい、誰もがこんな感じでいきなり話しかけてくる。
でも、本当ならば、まず名を名乗るべきだろう。
そのことをやんわり指摘すると、 「あ、ごめんなさい。ミノリです。ミノと学校では呼ばれてるけど、どっちでもいいです」 と戻って来た。
よしよし。 三太夫が起き上がり、ミノリ君と向き合った。
「かわいいだろう。三太夫という名じゃ」
「太ってますね」 すると三太夫がわしを振り返り、猫語で、けしからん、と呟いた。
もちろん、ミノリ君には、にゃあ、と聞こえただけである。

「何かわしに相談があって来たのかね? そこに座りなさい」 ミノリ君が濡れ縁に腰かけ、寺を囲むビルを見上げた。
三太夫が再び寝転がる。
「あの、頑張れないんです。親も先生も頑張れっていうんだけど」 ミノリ君がぼそっと呟いた。
「頑張らないでいいよ」 わしはそう言った。
「でも、頑張れって、言われる」
誰の人生じゃ?」 え、とミノリ君がわしを振り返った。
「それ、誰の人生じゃね」 「わたしのです」
「じゃあ、人の命令とかきかんでいい。そんな期待、ほっとけ。頑張るな」 あ、とミノリ君がわしをじっと見つめて動かなくなった。

わしはつるつるの頭をかいて、にこりと微笑み、 「頑張るもんか、で行け」 と繰り返した。
「頑張るもんか、ですか」 みゃあ、と三太夫が鳴いた。
がんばらにゃあ、とわしに同意したのだが、ミノリ君には猫語が理解できない。

「でも、負けるな戦えってパパが言う。もっと頑張りなさい、とママが言うの」
「戦うな、頑張るな、逃げてよし、とわしは言うぞ」 三太夫がにゃあと鳴いた。
「でも……」 「なにがでもだ。

戦って苦しむなら、逃げ出していい。
勝てとかわしはいわない。
自分を大事にしろとだけ言う。
自分を大事にしなさい。
誰の人生だ?

するとミノリ君が、わたしの人生、と呟いた。
「無理して戦ってなんになる。
誰に勝つ? 何に勝つ? 君は自分の人生を大事に生きることが何よりの使命だ。
それは人の期待に応えるために自分を殺すことじゃない。だろ?」 三太夫がにゃあと鳴いた。
「な、そんなに苦しむことじゃない。そこで昼寝していきなさい。寝て起きたらすっとする」

「……ありがとう」 ミノリ君は濡れ縁にごろんと寝転がって昼寝をしはじめた。
わしは狭い庭の掃除をしなきゃならなかったので、下駄に足を入れて、竹ぼうきを掴んで庭におりた。
最後に掃除をした日が思い出せない。
まさに、生臭である。
でも、関係ない。
誰の人生じゃ。誰の人生だよ」 わしはブツブツ、そう呟きながら、落ち葉を払うのだった。

辻仁成さんが、実際に相談機関などに寄せられた10代の悩みをもとに創作しています。     

◇ 文・辻仁成(つじ・ひとなり)
1959年、東京都生まれ。
『海峡の光』(新潮社)で芥川賞、『白仏』(文芸春秋)で仏フェミナ賞外国文学賞。
『人生の十か条』(中央公論新社)、『立ち直る力』(光文社)など著書多数。
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☀ | Comment(5) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月07日

心の老化 防ぐ10のポイント

心の老化 防ぐ10のポイント
2019年12月19日 All About
宇山 恵子(アンチエイジングガイド)

■おしゃれする気が起きないのは心の老化が原因?
「化粧やおしゃれをする気がなくなった」「人と会うのが面倒」「やる気が出ない」「集中力がない」……10代までは、いつも笑顔で友だちとおしゃべりできたのに、だんだんと笑顔が少なくなって、作り笑いもおっくうに感じたりしたら、それは心の老化が始まったサインかもしれません。
そう! 「体同様に心も老化する」と私は考えます。

■喪失感が心を老化させる
では心の老化の原因は何なのでしょうか?
心はいろいろなものを「失う」ことで老化するもの。
「喪失感」をご存知ですか?
かわいがっていたペットを失ったり、恋人と別れて心にポッカリ穴が開いて、元気がなくなった、などという気持ちが喪失感。ひどい場合はうつ病や自殺願望を抱くまで、自分を追い詰めてしまうこともあるのです。

■加齢と共に失うものも多くなり自信も失いがちに
年を取れば失うものも多くなります。
若さ、美しさ、かわいらしさ、新鮮な気持ち、そして人生の残り時間など……。

女性なら特に加齢と共に「喪失感」を感じやすくなるものです。
これが原因で、自分に自信が持てなくなったり、自分を価値のない存在に思ってしまうと、心が常に不安と不満とストレスでいっぱいになります。
物事をネガティブに考え続けていると、うつ病や対人恐怖、パニック障害、社交不安障害などに陥ってしまいます。

■心のエイジングケアとは?
ではどうすれば、心の老化を防げるのでしょうか?
私は世界中の科学者が研究した結果をもとに、「心を老けさせないエイジングケアのポイント」を10カ条にまとめてみました。
すべてを実践する必要はありませんが、そのときの自分の気分で、「ああ、これやってみよう!」と思ったことにトライしてください。
どれもみんな簡単にできることばかりです。

■1. 恋をする〜恋は心の鎮痛剤
恋をすることは、人を前向きにして、ストレスなどを克服する力を与えてくれるもの。

米国・スタンフォード大学のSean Mackey准教授らがPLoS ONE 2010年10月13日号に発表した研究で、激しい情熱的な恋愛感情には、鎮痛薬やコカインと同等の鎮痛作用があることが明らかになりました。
「身を焦がすような激しい恋」といいますが、実は激しい恋に落ちた人は、その痛みを感じないということなのでしょう!
恋は痛みを忘れる鎮痛剤になるのです。

■2. 運動をする〜運動でストレスを発散
運動することで、ストレスから解放され、若さと健康を保つことができます。

米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のElissa Epel准教授らがPlos one 5月26日オンライン版に発表した研究で、強い運動をすることにより慢性的ストレスがテロメアを短縮することを妨げる効果があることがわかりました。
テロメアが短いことは、心臓病や糖尿病などの病気や短命と関係していることがわかっています。

■3. よく笑う、思いっきり笑う
よく笑うことで人生を楽しく感じさせることができます。
もちろんよく笑い、笑顔が大きい人のほうが長生きすることも、デトロイトのウェイン州立大学Ernest L Abel教授らがPsychological Science Online Firstに発表した研究で明らかになっています。

教授らはアメリカ大リーグの選手の写真と寿命の関係を分析。選手の平均寿命は72.9歳で、口元だけ笑っていた選手の寿命は75歳、目まで笑う大きな笑顔の選手の寿命は79.9歳だったそうです。
笑うことで、免疫細胞(NK細胞)を活性して、病気になりにくい体をつくるという笑顔の効果も報告されています。

■4. 楽観的に考える
物事を悪いほうに考えずに、自分の都合のいいように楽観視することも大切。
95点のテストでも、「100点満点でなければ意味がない」と思っては、暗い気持ちになってしまいます。
特に忙しいときやストレスが溜まっているときには悲観的に考えずに、自分に甘く「よくがんばっている、エライ!」、現実に甘く「何とかなるよ、がんばれ!」と楽観的に考えましょう。

アメリカケンタッキー大学心理学部教授のSuzanne C Segerstrom博士が行った研究で、124人の学生を対象に免疫能を測定し、学生たちが楽観的なときのほうが免疫反応が活発で、悲観的になると免疫反応が鈍くなることがわかりました。

■5. 怒らない、嫉妬しない
アメリカのUniversity of Delawareの Steven Most教授らが、Emotionという雑誌に発表した研究によると、嫉妬の感情に駆られた女性は注意力がなくなり、実際には見えるはずのものが見えなくなったりしてしまうことがわかりました。
嫉妬や怒りはとても強いエネルギーが必要ですし、とても疲れます。
後悔して自分を責める原因にもなるので、とにかく怒らず、嫉妬せず、大らかな気持ちでいましょう。
怒りの表情を続けていると、ほうれい線や眉間のシワの原因にもなりますよ!

■6. 緑の中を散歩する
英国・エセックス大学のJo Barton博士らがEnvironmental Science & Technology に発表した研究によると、たった5分間緑豊かな環境でウォーキングなどをするだけで、気分が良くなるなど、心の健康にプラスの効果があることがわかりました。

■7. 音楽を聴く、特にロマンチックな曲がオススメ
お気に入りの音楽を聴くことで、気持ちが明るく、ストレスや不安、暗い気持ちが改善されます。
特にロマンチックなバラードなどは、恋をしたくなる気持ちを盛り上げてくれるようです。

フランス南ブルターニュ大学Nicolas Gueguen教授らがPsychology ofn Musicに発表した研究で、若い女性はロマンチックな歌詞のバラードを聞くと、男性のデートの誘いに乗りやすくなることが明らかになりました。
またフィラデルフィア州テンプル大学のChryl Dileo博士がCochrane Database of Systematic Reviewに発表した研究で、音楽を聴かせることで人工呼吸器を使用している患者さんの不安やストレスが改善されることが明らかになりました。

■8. よく写っている自分の写真を眺める
自分が最高にキレイに写っている写真を眺めましょう。
「そんなのない!」という人は、モデルさんのようにキレイに写真撮影してくれるスタジオで記念写真を撮りましょう。
一生の記念になりますし、自分のかわいさ、美しさ、新しい魅力を発見するチャンスになります。
自分の顔やスタイルの悪いところばかりを気にし続けているとだんだんと心が落ち込んで自分が嫌いになってしまいます。

カリフォルニア大学Feusner博士らのArchives of General Psychiatryに発表した研究で、自分の姿形を正しく認識できないと、自分の見かけに対する嫌悪感が芽生え、恐怖症や強迫観念になって、心的ダメージを与えることがわかりました。

■9. 楽しい予定を立てる
「人と会う」「レストランを予約する」「パーティーを開く」「遊園地に行く」など、楽しい予定を立てておくことで、それに向かってがんばろうといういい刺激になり、生活にメリハリが生まれます。
何も予定がない毎日では、明日に向かって生きる張り合いがないですからね。

オハイオ州立大学Matthew J. During教授らがCellに発表した研究によると、身体的・精神的に適度な刺激があるほうが、ストレスがまったくない状況よりもがんを抑制する効果があることがマウスの実験でわかりました。

■10. ブランド品、お気に入りアイテムを持つ
お気に入りのアクセサリーや服を身につけたり、ブランド品を持ったりすることで、自分に自信が持てるようになります。
全身をブランドで固めなくても、何かひとつだけ、お気に入りのブランドを身につけてみましょう。
ブランド品を持つと自分に自信が持てるようになることが、ミネソタ大学Debora Rordder John教授らがJournal of consumer researchで発表した研究で明らかになっています。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月26日

「がんが治る」保証ないニセ情報が危険すぎる訳

「がんが治る」保証ないニセ情報が危険すぎる訳
間違った治療を選択しても責任は患者にある
2020/06/25 東洋経済オンライン
岩澤 倫彦 : ジャーナリスト
新型コロナウイルスに関してさまざまなニセ情報が飛び交い、人々を翻弄している。
とくにSNSなどで拡散されたのが、「食事で新型コロナを予防できる」という情報である。
「納豆」「オリーブ葉エキス」「マヌカハニー(蜂蜜の一種)」「海藻」「ミドリムシ」「各種ビタミン」などの名が挙がるたびに、関連商品の品切れが続出した。
国立健康・栄養研究所では、30種類におよぶ食品について調査を行い、「新型コロナウイルスに対する効果を示した食品・素材の情報は見当たりません」という見解を公表している。

実は、がん治療においても、同様のニセ情報が飛び交っていることをご存知だろうか。

水素で、がんも新型コロナも治る?
「誰もが知っているグローバル企業の元社長に、あなたの身体が心配だから使ってみないか、と勧められました。
やんわりお断りしましたけれど、自分に効果があったのでぜひ使ってほしいと。
がんが再発しないか心配している、とあつくおっしゃるので、断りきれなかったのです」
数年前、がんの手術をした会社経営者の自宅に配達されたのは、「水素ガス吸入器」だった。
大きめの電気ポットのような形状で、爆発しない濃度にコントロールされた水素を吸入できるという。
そして元社長の部下からは、次のようなメールが届いた。
「無料レンタル期間は1カ月間です。効果を感じたら購入して下さい。価格は70万円です」
この製品を販売している会社のホームページには、「水素ガスががん患者さんのQOL(生活の質)の改善やがんの退縮効果を示すのは事実です」と記載されている。

医療機器ではない製品が「効能効果」をうたうことは、医薬品医療機器等法で禁じられている行為だ。
この会社は、「中国では新型コロナの治療に水素が使用されている」という紹介もしている。
「試しに使用してみましたが、効果は何も感じられませんでした。
相手の機嫌を損ねないように平謝りして、製品は返却しています」(会社経営者)。

市販されている「水素吸入器」は、数万円から約160万円の製品まで、多くの企業が参入しているが、あくまで家庭用であり、臨床試験で有効性が確認された「医療機器」ではない。
「水素吸入療法」に関しては、慶応義塾大学病院の救急科が、厚生労働省から先進医療Bの指定を受けて、心停止後症候群の患者を対象にした臨床試験を実施している。
これは、心停止から回復した患者の後遺症に水素吸入療法の有効性を確認する臨床試験。
「がん」や「新型コロナ」の治療や予防効果とはまったく関係ない。

「今あるガンが消えていく食事」「ウイルスにもガンにも野菜スープの力」「死なない食事」「ガンは食事で治す」……。
書店に並ぶ本のタイトルを見ていると、まるで食事を工夫するだけで、がんが治ってしまうと錯覚するかもしれない。
実際、アマゾンの「がん関連」の売れ筋ランキング上位100冊のうち、実に37冊が食事関連の本が占める(6月21日時点)。

私は拙著『やってはいけない がん治療 医者は絶対書けないがん医療の真実』を上梓するなど、医師には絶対書けないがん医療のタブーや、詐欺的ながん医療を目利きするヒントなどを追っている。
がん患者やその家族が、食事療法を信じる最大の理由は、「医師」や「歯科医」が提唱していることだ。
加えて、国内外の名門大学で「教授だった」という経歴は、食事療法の信憑性を高める効果を持つ。

「肩書き=信用」という価値観が、私たちに刷り込まれているからだろう。
ただし、巷に氾濫する食事療法の本について、詳しく内容を分析してみると、臨床試験などの科学的手法で、有効性を証明したものは1つも見当たらなかった。
「食事でがんが消えた」のカラクリ 本で紹介されているのは、各医師による独自の食事療法で「がんが消えた」とされる「物語」ばかり。
しかも、食事療法だけで「がんが消えた」のではなく、がんの治療法として確立されている「標準治療」を併用しているケースが大半を占める。

食事療法の本から、象徴的な1例を挙げてみよう。
「乳ガンから、肺や脳など全身に広がった転移ガンが完全消えた」とされる56歳女性のケース。
しぼりたてニンジンジュースを1日3回、400〜500ミリリットル、3食を十穀米入り玄米、おかずは野菜やキノコ類、豆腐など。
こうした食事を続けるように指導した結果、全身に点々とあったがん細胞が、すべてキレイになくなった」
本の著者である医師は、食事療法の成果として、このケースを誇らしげに紹介しているが、患者は同時に、脳腫瘍をガンマナイフ(放射線治療の一種)、頭蓋骨転移は開頭手術、そしてホルモン療法を行っていた。
「最適な医学的治療を行いながら徹底した食事療法を行うと、このように改善しうる」と医師は述べているが、治療効果の主体はどう考えても、ガンマナイフなどの標準治療とみるのが自然である。

「にんじんジュースでがんが消える」という書籍は多数出版されているし、「食事療法の権威」としている人たちの多くが、にんじんジュースを強く勧めている。
しかし、国内外の臨床試験で、「にんじんジュースでがんが消える」ことを証明したものは1つも見当たらない。
そればかりか、アメリカ・国立がん研究所は、にんじんの主成分「β-カロチン」のサプリメントを摂取した人は、肺がんリスクが上昇した、と公表した。
実際、にんじんジュース等による食事療法を実践した患者や家族に聞くと、栄養のかたよりや食欲が減退するなど、かえって悪影響が出てしまったという。

日本の国立がん研究センターは、「食道がん・胃がん・肺がんについては、野菜と果物をとることで、がんのリスクが低くなることが期待される」とする見解を出したが、明確な結論は出ていないと付記している。

高額サプリメント「フコイダン」の罠
新型コロナの予防に効くとされた、フコイダン。
もちろん、有効性は何も証明されていない「ニセ情報」だった。
このフコイダンは「がんに効く」として、一部のがん患者たちに信じられており、極めて高額なサプリメントが今も販売されている。
フコイダンの原材料は、「もずく」や「がごめ昆布」などの海藻。ぬめり成分に「抗がん作用がある」とされているが、がん患者を対象にした臨床試験で、有効性を証明したものは見当たらない。
2019年8月、「フコイダンエキス」という健康食品を、3年間で28億7000万円を売り上げた会社社長ら4人が逮捕された。医薬品として承認を受けていないのに「がん細胞が自滅する」と宣伝・販売した、医薬品医療機器等法の違反(未承認医薬品の広告、販売)容疑である。
約3000円で仕入れた商品を、5万円超の価格で販売したというから、典型的な「がんビジネス」だったことがうかがわれる。

がん患者が「フコイダン」に多額のお金を使うのは、効果を信用しているからだ。
大きな影響を与えているのが、ある国立大学研究室の存在である。
所属する研究員によるウェブサイトは、効果を次のようにうたう。
「低分子化フコイダンは、がん細胞に直接作用し、がん細胞を自然死(アポトーシス)に導きます。
また、がん細胞に栄養を運ぼうとする血管が新たにできることを抑制し、患者さん自身の免疫力を高めます」

この国立大学研究室は実験によって、「フコイダン」の抗がん剤作用を確認したと公表している。
ただし、同研究室が行った実験は、「in vitoro(イン・ビトロ)」=「試験管の実験」の段階だった。
試験管の中で確認されたことが、患者の体内で同じく作用するとは限らない。
だから、多数の患者を対象にした臨床試験によって、有効性を確認することが必須になっている。

「間接的に聞いているし、自分も確信している」
ちなみに同研究室は、医学系ではなく、農学系に属している。
担当の研究者は、電話インタビューに対して次のように答えた。
 「自分は医者ではないので、臨床研究論文は書いていない。
フコイダンの効果については間接的に聞いているし、自分も確信している。
フコイダンの研究は食品の範囲内であり、医薬品にする計画はない」

  新型コロナウイルスの感染がピークアウトした現在、国内の死亡者数は1000人に満たない。
これに対して、がんで命を落とす人は、年間約37万人。
中には、根拠のない医学情報や高額なサプリメントを信じた結果、適切な治療を受けられずに亡くなった患者も存在しているはずだ。
たとえ、間違った治療を選択しても、大半の医師は強く引き留めない。
患者の自己選択権を尊重するのが、現代医療の基本だからだ。
ニセ情報を見抜き、正しい治療を選択する責任は患者側にあることを、ぜひ自覚してほしい。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月17日

ワイドショー賑わす「芸人枠の医者」に現場は大迷惑!【医師覆面座談会】

【医師覆面座談会】
ワイドショー賑わす「芸人枠の医者」に現場は大迷惑!
2020.7.16 ダイヤモンドオンライン
ダイヤモンド編集部 野村聖子:記者

日本中が新型コロナウイルスに翻弄された時期に実はガラガラだった病院や診療所、ユーチューブやワイドショーを賑わす“コロナ芸人”の医者たちの正体、医師免許を取ったときには想像もしていなかった“失職危機”――。
ツイッター医師たちが、一般メディアでは決して報道されない本音と医者という職業の行く末を、身内への忖度なしに語り尽くす。

不要不急の受診減にあえいだ数カ月、コロナバブルに群がる“芸人枠”の医者は黙ってろ!
――コロナの業務への影響はいかがでしたか。

D 2月から3月上旬はコロナ関連業務の医師が、バイト先病院に来ないで欲しいと言われた案件の代打等で忙しかったんですけどね。
東京からの医師派遣はお断りだけど、埼玉の医師はOKとか(笑)。
3月下旬には仕事は減りはじめて、更に株で失敗した先生が死に物狂いで案件を奪いあうようになって、4、5月は悲惨。
そのかわり執筆業の仕事はバブルでした。

C 僕もD先生と同じフリーランスで、週4回、それぞれ違う職場で読影(レントゲンやCTなどの画像診断)の仕事をしています。
3月くらいから株価が下がって慌ててはいたんですが(笑)
直接仕事に影響してきたのは4月から。
緊急事態宣言でまず一つの職場が一時的に閉鎖、別の職場は常勤だけで回せるようになり、非常勤が全員切られ、週4日のうち2日、仕事が無くなっちゃいました。

D コロナの画像って見ました?

C 週2で行ってる総合病院がコロナ受け入れ病院なので、緊急事態宣言後にちょくちょくコロナのCTが出てきてました。
正式な名称ではありませんが「マリモサイン」(写真参照)という初期のコロナ肺炎に特徴的な所見が見られることがあって、ツイッターでは話題なんですよ。
普通の肺炎ではあまり見られない所見です。
 その病院は奇跡的に非常勤切りがなかったですけど、本当に暇で。
出勤しても1日半分も働いてないような状況が続いてました。

D 我々フリーランスは雇用の調整弁ですからね。
C先生は不動産賃貸経営もしてるけどそっちは?

C 4月から賃料減免要請が来た上に、貸してるテナントが休業要請で休んだり、2部屋が退去になったりで、こっちも結構痛いです。

B 僕は開業してちょうど10年。
耳鼻科って、毎年3月が突出して患者数が多い月なんですね。
4月5月6月で減って、9月が底で、冬にかけてまた増えていく。
その差が倍以上あるくらい季節変動のある科なんですけど、その3月にコロナ騒ぎが(笑)。
うちはまだ10年目なのでまだ耐えられる体力もあるんですけど、開業して1、2年のときにこれがきたら、ちょっと死活問題なんじゃないかと思います。

A 僕のところは大学病院なので、もともと不要不急の受診は勧めないということで、コロナの時期は患者さんに電話再診を促して、待合室の混雑を防がなければいけないという風に動きました。
結果、病院としては明らかに減収になったと思われます。
幸いそれが直ちに減俸にはならないですけど、病院以外に診療に行っている外勤先から「来るな」と言われたというのはありましたね。

D 防護服ってどうでした?
開業医にも回ってくるものですか。

B それが、全然回ってこなくて。
医師会から透明のカッパやら、ゴーグルも見たことないふにゃふにゃの、どこ製のかも分からないものが(笑)4月の終わり頃にやっと送られてきました。

A 2011年の東日本大震災の時も思ったけど、厚生労働省って現場への物品配給について一切責任を持ってない。
大学病院でさえ配慮されないし、今回もまざまざとそれを感じましたよね。

B 普段マスクは卸業者から買うんですけど、テレビが本格的にマスク不足を報道する前、3月初めの時点で、卸業者に「マスクはもう卸せません」と言われて。
それで速攻アマゾンで見たら、すでに値段が上がってましたけど、仕方なくまとめて買いました。
周りの開業の先生も、みんな自分たちで何とか調達していましたね。

D 私も病院に防護具がなくて、ワークマンに自分で買いに行ったのもその頃ですね。
今にして見ると、物の不足具合って株価と連動してるなと思う。
株といえばC先生、その頃底値買いした?

C 結構買っちゃいました(笑)。
承認欲求をこじらせたユーチューバーや、自称“専門家”に現場は大迷惑

D そういえばA先生、ダイヤモンド・プリンセス号(以下、ダイプリ。注1)に関して物申したいことがあるとか?

A “例”の先生のことですか(笑)。
「何してくれてんの」って感じですね。
いろんな国に対応を断られていたのを日本が引き受けて横浜に停泊させたにもかかわらず、世界中からボロクソに言われた。その日本の国益を損なうきっかけになったのが例の先生の誤認を含んだ英語のユーチューブ。
結局削除したけど訂正はしなかった。

D なまじ英語ができる人は困りますよね。

C あの先生って、昔からああいう感じなんですか?
僕は、今回の騒動までよく知らなかったんですけど。

B 僕の後輩が例の先生の下で働いていたことがあったんですけど、もう先生たちもご存じの通り、“研修医のカリスマ”。
全国から若い研修医が、信者のごとく先生のところに集まってきていた感じでしたね。

D 私、あの先生と米国に留学してた時期が近いんですけど、当時、米国留学帰りの内科の医者ってパッとしない人が多かった中、教授になって、当時方々でスター扱いでしたよね。
なのに、今回スターが10年たって諸行無常、みたいな。

A まさに“希望の星”でしたよね。

B ただ、スタンドプレーが過ぎるというか。
感染症内科って、いろんな診療科に感染制御のコンサルティングに行くわけですけど、今までの現場のやり方をまずバッサリ斬って、他の科の先生方に嫌な顔されるという(笑)。
それであちこちで衝突して、というのは有名な話です。
日本の感染症分野の第一人者であることは誰もが認めるところなんですけどね。

D 今回も、ヒーローになろうとして、盛大にコケたって感じでしたね。

A ああいう性格なのは、感染症かいわいでは周知の事実なので、厚生労働省が招集したダイプリの班にも入れてもらえなかったわけで。

B あの件、実は他の先生たちが忖度して言えなかった検疫上の問題点を、例の先生を船内に入れたら、ユーチューブで告発みたいなことを必ずやると、みんな分かっていて逆に利用したんじゃないか、みたいなうわさも耳にしましたけどね。
 あちこち空気読まずに指導しだして、現場が変な空気になるのは、みんな絶対分かっていたはずですしね。

(注1)英国船籍のクルーズ船。2020年2月に船内で新型コロナウイルスの集団感染が発生して入港先を探していたところ、日本政府が入港を許可し、船内で検疫に当たった

D “希望の星”といえば、今回(元WHO<世界保健機関>西太平洋地域事務局長で政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長の)尾身(茂)先生と、国会に招致されて並んで答弁しちゃった先生の話もします?

A あれはひどかった。ダイヤモンドさんにお聞きしたいんですけど、ああいう人ってやっぱりメディア的に便利なんですか? 

D あの先生も、福島県の大野病院事件(注2)で、産婦人科の医師が逮捕されたときは、医療側をまとめてマスコミと戦うリーダー、まさに“希望の星”だったんですけどね。

A そうそう。

D 16年に東北医科薬科大学に医学部が新設されるときに、対抗筋を応援していたようだけど、あれがコケちゃってからおかしくなったのかなあ。

A かつて血液内科で辣腕を振るっておられて、医局という制度を嫌って大学を離れたのに、結局は巡り巡って自分の派閥というか、医局まがいのものをつくってしまったという。
すごく頭のいい人なんですけど、いわゆる承認欲求をこじらせて、とにかく全ての主張の軸が「厚労省憎し、医系技官憎し」。
確かに、この文脈でなされる主張の中には一部正しいこともあるけど、今回のコロナ危機では、もう厚労省憎しが前面に出過ぎて、言ってることが科学的にメチャクチャ。
これをワイドショーをはじめとするメディアが取り上げまくって、最前線の先生方がどれだけ迷惑したか。

D 国会まで行きましたからね。
途中からテレビに登場し始めた、「WHOの方から来た」産婦人科医?ともツーカーの仲でしょ。
しかも、2人とも東大出身。
A先生、先輩じゃないですか(笑)。

B あの“WHO”の人、4月から突如スターとして躍り出ましたよね(笑)。

A 恥ずかしいですね。
“WHO”の人なんて、経歴詐称ギリギリでしょ。
本当に、ああいう人たちは、大義があるように見せて、実のところはゆがんだ承認欲求を満たしたいだけ。
がん領域にも超有名な先生がおられますけど、承認欲求をこじらせた元エリート医師が及ぼす害悪というのは、厄介なものです。

D 今回のコロナは、東大“人材豊富”でしたよね。
ダイバーシティをアピールしたというか。

A “みんな違ってみんなダメ”でしたね。
本当にメディアの皆さんには“芸人枠”の医者を使わないよう、くれぐれもお願いします。

(注2)04年、福島県立大野病院で産婦人科の医師が帝王切開手術をした後、妊産婦が死亡し、その2年後に医師が業務上過失致死罪と医師法違反の容疑で逮捕・起訴された事件。
08年には無罪が確定するも、事件を「医療ミス」とする過熱したマスコミ報道の影響で、全国の産科医が激減し、今日に至る周産期医療の崩壊を招いたといわれている。
同病院は11年に東日本大震災により閉鎖。

Key Visual by Noriyo Shinoda, Graphic:Daddy’s Home
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月18日

関東も危ない豪雨降らせる「線状降水帯」の正体

関東も危ない豪雨降らせる「線状降水帯」の正体
集中豪雨を引き起こす大きな原因の1つ
2020/07/17 東洋経済オンライン
今井 明子 : 気象予報士・サイエンスライター

2020年7月上旬から日本列島の幅広い範囲で豪雨による災害が発生しています。
この7月の豪雨は熊本、鹿児島、福岡、佐賀、長崎、岐阜、長野の7県で大雨特別警報が出され、7月3日0時から15日5時までの総雨量は、高知県馬路村の魚梁瀬で1491.5ミリ、長野県大滝村の御嶽山で1462.0ミリ、大分県日田市の椿ヶ鼻で1351.0ミリとなりました。

また、この豪雨に伴い熊本県の球磨川をはじめとする複数の河川が氾濫を起こし、流域では浸水や土砂災害が発生。
7月16日12時現在で、死者は76名、心肺停止が1名、行方不明者が8名となり、この豪雨は「令和2年7月豪雨」と命名されました。
今回のように激甚な災害をもたらした気象現象には名前がつくものですが、気象現象が終わったあとに命名されることがほとんどであり、気象現象が続くさなかに命名されるケースはまれです。
いかにこの豪雨による被害が大きいのかがうかがい知れます。

「線状降水帯」とは?
200名以上の犠牲者を出した西日本豪雨からたったの2年で、またこのような甚大な被害を出した災害に見舞われてしまうとは。
新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の災いが起こっている中で、今度は豪雨が私たちを痛めつけます。
本当に自然とは容赦しないものだと思わずにはいられません。

さて、毎年梅雨の後半になると必ずといっていいほど集中豪雨が起こり、大きな災害が発生するものです。
特に、今回の令和2年7月豪雨のような数十年に1回レベルの集中豪雨を引き起こす大きな原因のひとつが「線状降水帯の停滞」です。

では、線状降水帯とはいったい何なのでしょうか。
具体的には、このレーダーエコーのような状態の現象のことをいいます。 この画像は、気象レーダーでの観測に基づいた降水強度の分布図ですが、赤や黄色などの強い雨が降っている場所が、まるで線のような細長い形で表示されています。
線状降水帯には長さや幅などに厳密な定義があるわけではないのですが、雨の降っている場所の幅が20〜50km、長さがおよそ100km以上であるもののことを線状降水帯と呼ぶことが多いです。

線状降水帯の正体は積乱雲です。
積乱雲というのは、いわゆる雷雲と呼ばれるもので、しとしとと降る雨ではなく、土砂降りの雨をもたらします。
夏の夕立を発生させる犯人です。
しかし、夏の夕立は1時間程度であがってしまいます。
また、夕立が降っているときに気象レーダーの画像を見ても、雨の降っている場所は丸い形をしています。
これはなぜかというと、夕立は基本的に単体の積乱雲からもたらされることが多いからです。

積乱雲の水平方向の直径は、だいたい数km〜十数km。そして、積乱雲の寿命は1時間程度です。
だから、単体の積乱雲がもたらす夕立の範囲は狭く、1時間程度で雨がやんでしまうのです。

「積乱雲の世代交代」が行われている
では、なぜ積乱雲の寿命は1時間程度なのでしょうか。
まず、積乱雲というのは、強い上昇流によって発生します。
空気が上昇流によって上空にまで運ばれると、その空気中の水蒸気が水の粒(雲粒)や氷の粒(氷晶)に変わります。
これが積乱雲です。
そして、氷晶や雲粒がまわりの水蒸気を取り込んだり、お互いがぶつかりあったりして粒が大きくなると、重力の影響を受けて落下します。
これがです。

雨粒は落ちるときに周囲の空気も一緒に引きずりおろすので、下降流が発生します。
すると、この下降流が積乱雲が発達するために必要だった上昇流を打ち消してしまいます。
こうして次第に積乱雲の勢力が弱まり、最後には消えてしまうのです。
つまり、積乱雲は強い上昇流によって成長し、雨が降ることで下降流が発生して衰弱していくというわけです。

このように積乱雲単体の寿命は1時間程度なのですが、集中豪雨では土砂降りの雨が数時間続きます。
これはなぜなのでしょうか。
それは「積乱雲の世代交代」が行われているからです。

たとえば、地面の近く(下層)で温かく湿った風がずっと山や前線に向かって吹きつけていれば、上昇流が発生し続けます。このとき、地面から3kmほど上空(中層)の風が、地面近くの風と同じ方向に吹き続けると、衰弱した積乱雲は風下の方に流されていきます。
こうして、イキのいい積乱雲が同じところでずっと発生し続けてしまい、長時間大雨が降り続くことになってしまうのです。

なお、このような線状降水帯のタイプは「バックビルディング型」と呼ばれるもので、線状降水帯にはほかにも、積乱雲を発生させる下層の風と、積乱雲を移動させる中層の風の風向きが約90°の場合に発生する「バックアンドサイドビルディング型」や、下層の風と中層の風がぶつかり合うように吹くと発生する「スコールライン型」があります。

線状降水帯が特に危険視されるのは、線状降水帯が移動せずにその場で停滞する場合です。
先ほど挙げた線状降水帯の3つのタイプの中でも、集中豪雨をもたらすのはほとんどが「バックビルディング型」と「バックアンドサイドビルディング型」なのですが、それはこのふたつのタイプが積乱雲が同じ場所にできやすいものだからです。

西日本だけに発生するわけではない
なお、線状降水帯はなにも梅雨末期だけしか登場しないわけではありませんし、西日本にしか発生しないわけでもありません。
たとえば2015年の9月に鬼怒川が氾濫した関東・東北豪雨も、線状降水帯が次々と発生したことがわかっています。
このときは、台風から変化した温帯低気圧と、それとは別の台風によって発生しました。
つまり、梅雨が明けたら安心だとか、東日本に住んでいるから安心というわけではないのです。

もっと詳しく線状降水帯のことを知りたいのであれば、JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)のホームページに掲載された茂木耕作副主任研究員による「線状降水帯の停滞が豪雨災害を引き起こす」というコラムがオススメ。
このコラムでは球磨川の氾濫を引き起こした今年の7月3日や4日の集中豪雨の原因や、なぜ線状降水帯が動かなかったかについて考察されています。

茂木研究員は、今年に限らず、以前から線状降水帯が発生しやすい季節にコラムを執筆し、ホームページで発信してきました。
それはなぜなのか尋ねたところ、「線状降水帯という言葉をもっと広めたい」という気持ちが発信の原動力になっているとの答えがありました。
「線状降水帯という言葉がメディアに登場したのは、私の記憶でいうと8年ほど前からだったのですが、しばらくはなかなか広まりませんでした。
毎年この言葉を発信し続けてきたこともあり、この2〜3年ほどでようやく線状降水帯という言葉が一般の人々の会話にも出てくるようになってきたと実感しています」(茂木研究員)

なぜ、線状降水帯という言葉を広めたいのか。
それは、1人1人の防災意識を高めてほしいという気持ちがあるからと言います。
「大雨が降る前に、天気予報では降水確率がいくらになりそうだとか、予想降水量が何ミリになりそうかなどを伝えますよね。
でもこの数字だけを聞くと、どうしても他人事な受け止め方になってしまいがちです。
だから、避難指示が出ても避難しない人が出てしまう。
でも、線状降水帯という言葉が浸透すれば、雨が降るとレーダーの観測結果を見るようになると思うんです。
もし、自分のいる場所付近で赤や黄色の線が出ていて、それがしばらく動かなさそうなら、『これはまずい』と直感でわかります。
そして、どうしようかを自分の頭で考えるようになります。
そうやって状況を自分事としてとらえ、主体的に動けるようになってほしい」(茂木研究員)

15時間先までの降水量分布がわかるサイト では、事前に線状降水帯をチェックするにはどうすればよいのでしょうか。
まずは、気象庁ホームページの「今後の雨(降水短時間予報)」をブックマークしておくことをおすすめします。
このページには、レーダーとアメダスなどから観測した降水量分布が表示されています。
15時間先までの降水量分布がわかるため、この先自分の住んでいる地域に線状降水帯がかかりつづけるのかどうかがわかるのです。
そのうえで、実際に雨が降りだしたら、「今後の雨(降水短時間予報)」の隣のタブの「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」や「危険度分布」もチェックしましょう。

「雨雲の動き」では1時間先までの降水の状況がよりきめこまかに表示されますし、雨雲が今後どの方向に動いていくかもわかります。
もし、雨雲がしばらく動かないのなら、それはとても危険な状態になるということが、想像がつくわけです。
さらに、「危険度分布」では自分の近くの場所の洪水・浸水・土砂災害の危険度が色分けされて表示されます。
自分のいる場所付近の色を見れば、そこが危険かどうかもすぐにわかります。

大雨災害は、地震と違って事前に予測できるため、適切な行動をとれば命を守ることにつながります。
命を守るコツは、自分から主体的に情報を取りに行き、自分の頭で状況を判断して、適切な行動をとれるようになることです。
そのためにも気象用語に敏感になり、危険な情報を示す言葉を耳にしたら気象情報をこまめにチェックする習慣を身につけてほしいと思います。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 🌁 | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月21日

精神科医が「職場の人間関係は悪くて当然」と断言するワケ

精神科医が「職場の人間関係は悪くて当然」と断言するワケ
2020.7.20 ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

「全員仲良し」なんてありえない
「職場での人間関係」に関するある調査では、84%もの人が問題を抱えているというデータがあります。
さらに、転職者に対する別の調査では、「人間関係が転職のきっかけになった人」が、53%にも及んでいます。
「うちの会社は人間関係がよくない」という話をよく聞きます。
逆に、「うちの会社は人間関係が最高だ」「こんなに働きやすい職場はない」という話は、滅多に聞きません。
なぜでしょう。
それは、「すべての職場は人間関係がよくない」からです。

私は、今まで10ヵ所以上の病院で勤務してきましたが、「人間関係がとてもよかった」という病院は、1ヵ所もありませんでした。
どんな組織でも、数十人から数百人のバラバラな性格の人が集まっているので、全員が仲良しというのは、ほぼありえない話です。
たとえば、小学校、中学校、高校のクラスを思い出してみましょう。
40人ほどのクラス全員が仲良しで、いじめや仲間はずれなどまったく存在しない、人の悪口を言う人も誰もいない。
そんなクラスが存在したでしょうか。
あなたは自分の職場を「人間関係が険悪」と思うでしょうが、多くの職場を見てきた私から言わせると、それはごく「普通」のことです。

「職場の人間関係はよくない」のがスタンダードなのです。
ですから、「職場の人間関係が悪い」という理由で転職すると、次の職場も「人間関係が悪い」、また次の職場も「人間関係が悪い」と、何度転職しても、理想の職場は見つからないはずです。
考え方を変えるべきなのです。

職場の人間関係は深めるな
「対人関係の三重円」という考え方があります。
円の一番内側が、「重要な他者」である家族や恋人、親友。
円の2番目が、友人や親戚。
円の一番外側が「職業上の人間関係」です。
つまり、「職場の人間関係」は、心理学的に見ると重要ではないのです

それなのに多くの人は、「職場の人と仲良くなる」ことを重視し、「友人」と同レベルに親密度を深めようと膨大な時間と精神エネルギーを費やします。
結果として、精神的に疲弊し、「今の職場を辞めたい!」と思うのです。
「まったく話をしない」「目も合わせない」「相手を引きずり下ろすための嫌がらせが日常茶飯事」など、仕事に支障をきたすと困りますが、職場の人間関係は最低限のコミュニケーションがあれば十分なのです。

社会人になってすぐの人は、それまでの人間関係を引きずります。
たとえば、「高校、大学のクラスメイト」や「部活の仲間」のイメージで、「職場の人間関係」をとらえます。
ですから、職場の仲間とも、今までの「友人」と同じような「深い関係」を築こうとする。
結果としてそれは実現されないので、悩み、疲れるのです。

職場の人間関係は、もっと「ドライ」でいいのです。
職場の人と「仲良くなろう」という意識を捨てましょう。
「仲良くなる」や「好かれる・嫌われる」ではなく、報告・連絡・相談など仕事に必要なコミュニケーションをすることのほうが、100倍、1000倍重要です。

チームは「8人」が限界
Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏の「2枚のピザ理論」という考えがあります。
チームの仕事を効率的に行うのに適切な人数は、ピザ2枚でまかなえる人数。
つまり、5〜8人程度の人数。
10人を超えると、相互の意思疎通が希薄になり、仲間割れがおきる、派閥に分かれるなど、チームワークが破綻する可能性が高いのです。
「ピザ2枚で空腹を満たすことができない人数で会議をしてはならない。」  ―― ジェフ・ベゾス(Amazon創業者)

「すべての職場は人間関係がよくない」と書きましたが、例外もあります。
8人以下の職場であれば、「全員と仲良し」ということは、十分にありえます。
私の経験でも、外来部門だけだと、医師、看護師、事務員で5、6人ほどのチームとなりますから、全員と意思疎通ができてとても仕事がしやすいというところもありました。
中小企業や、小さな部署、自分が所属する5〜8人以下のチームなど「小グループ」であれば、コミュニケーションがとりやすく、関係性が密になりやすいのです。
ですから、それ以上の人数がいる組織では、「全員と仲良くしよう」という発想に無理があります。

あなたのことを嫌う人もいるのは当然。
あなたが、好きになれない人がいるのも、実に当然の話です。
逆に言うと、「会社全体の人間関係」が悪かったとしても、あなたの所属する5〜8人程度のチーム内で、コミュニケーションがとれていて、まずまずの人間関係ができていれば、仕事上、大きな支障にはなりません。
そして、それは個人の努力でも、ある程度は実現可能なはずです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月22日

精神科医による「職場での孤独」を打ち破る方法

精神科医による「職場での孤独」を打ち破る方法
2020.7.21 ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

 コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。 ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。

あなたの味方を「たった1人」だけ作ろう
職場での孤独や人間関係で悩むことは多いと思います。
そのとき、気軽に相談できる人がその中に1人いるだけで、精神的に楽になります。
人間は「孤独」が一番つらいものです。

誰にも相談できないと、ストレスは溜まる一方です。
アドバイスや助言ももらえないと、八方塞がりで事態はさらに悪化していきます。
先輩や同僚などに「あなたの味方」「相談相手」が1人いるだけで、職場のストレスは大きく減じ、問題解決に向かいます。

「キーマン」という概念があります。
直属の上司や部下など、職場でいちばん大切な人のことです。
その「キーマン」と「相談相手」の計2人との人間関係に集中するだけで、ものすごく仕事がしやすくなります。

「人間関係の輪」に入れないワケ
新しい職場に勤めはじめた場合、「自分だけ浮いている」「自分だけ仲間の輪に入れていない」と思う人も多いでしょう。
あなた以外の社員は、5年、10年、20年も、その会社に勤めているなら、中には、10年以上も同じ部署にいて毎日顔を合わせている人もいるはず。
その人たちが、仲が良いのは当然でしょう。
その輪の中に、新参者のあなたがいきなり入って、すぐに溶け込むのは、不可能としか言いようがありません。
だから、新しい会社に勤めると多くの人は、「自分だけ輪に入れない」「自分にだけよそよそしい感じ」を受けるかもしれませんが、悲観する必要などありません。

「信頼関係の5ステップ」という概念があります。
どんな人間関係も、「警戒」「疑心」「理解」「共感」「信頼」という5つの段階を踏んでいきます。

最初のステップは「警戒」です。
あなたが、職場の人間関係を「警戒」の目で観察しているのと同様に、職場の人たちは「新参者」であるあなたを、警戒の目を持って、あなた以上に観察しています。
「この新入りは、どれだけ仕事ができるのか?」「仲間として活躍してくれるのか?」「前向きに仕事に取り組んでいくのか?」「今どきの若者は、すぐに辞める奴が多いから、こいつもそうじゃないか」と、「期待」に加えて「不信」「危惧」「心配」など、複雑な感情を持ちながら、あなたの一挙手一投足を観察しています。

そこであなたができることは、自らが「警戒」や「疑心」を解きながら、「理解」に向けて進むことです。

なんといっても成果を出すこと
あなたが職場で理解されるもっとも確実で、簡単な方法は「仕事で成果」を出すことです。
職場の人があなたに望んでいるのは、「良好な人間関係」ではありません。
「仕事ができるかどうか」「与えられた仕事がきちんとこなせるか」「早く一人前の会社の戦力となって、自分たちを助けてくれるか」という点です。
ですから、「この会社は人間関係がよくない」と言っているヒマはありません
あなたがすべきことは、一刻も早く仕事を覚えて、一人前の戦力となり、バリバリと働くことです。
そのことによって人間関係は「共感」「信頼」へとステップアップします。

「職場の人間関係の輪に入れない」という人は、順番が逆なのです。
あなたが仕事で結果を出し、その対価として「信頼」が与えられるのです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(6) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月23日

「死んでも睡眠は削るな!」コロナ禍に精神科医が断言するワケ

「死んでも睡眠は削るな!」コロナ禍に精神科医が断言するワケ
2020.7.22  ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

 コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。  ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。

「眠れない」を放置するリスク
そもそも、「眠りの質が悪い」とはどういうことでしょうか。
脳と体には「睡眠」というシステムがあります。
疲労回復、免疫力アップ、新陳代謝、細胞修復、脳内の情報の整理などの役割を持ちます。
睡眠は生物にとって絶対に必要な機能なのです。

「眠れない」というのは、生物にとってかなりの異常事態です。
不規則な生活やストレスなどによって、「正常な睡眠機能」が破綻したということです。
人間の体には、「自然治癒力」が備わっています。
昼もある程度働きますが、免疫活動が活発になる「睡眠中」にこそ自然治癒力は働きます。
睡眠時間が短かったり、睡眠の質が悪かったりすると、自然治癒ができず、やがて「病気」を発症します。

「眠れない」というのは体からの「警告」です。
その警告に耳を傾け、不摂生な要素を取り除かないと、あなたはメンタル疾患や心筋梗塞、脳卒中などの身体疾患、あるいは突然死や過労死のリスクを抱えることになります。

「眠れない」は、「健康」と「病気」の中間、「未病」の状態なのです。
慢性的な不眠を抱えている人といい睡眠がとれている人とでは、うつ病の発症率は40倍の違いがあります。
認知症のリスクの差は5倍にもなります。
あらためて、質の悪い睡眠を放置すると、極めて高い確率で病気になることを知っておきましょう。

逆にいうと、生活習慣さえ改善すれば、健康で長生きができるのです。

睡眠不足の3大デメリット
睡眠不足が健康に悪いというのは知っていても、本当の睡眠不足の恐ろしさを多くの人は知りません。
睡眠不足のデメリットは、大きくまとめると3つあります。

(1)病気になる(寿命が縮む)
睡眠不足による病気のリスクを、たくさんの研究が示しています。
睡眠6時間以下の人は、そうでない人と比べて、がんが6倍、脳卒中が4倍、心筋梗塞が3倍、高血圧が2倍、糖尿病が3倍、風邪が5倍のリスクです。
死亡率が5.6倍も上がるという研究もあります。

健康に悪い生活習慣は「喫煙」が一般常識ですが、「喫煙よりも睡眠不足のほうが健康に悪い」と主張する研究者も多くいます。
若い頃は大丈夫と思っていても、そのときの睡眠不足が、10〜20年してから「生活習慣病」としてあらわれてきます。

(2)仕事のパフォーマンスが下がる
睡眠不足の人は気づいていませんが、睡眠を削ると脳のパフォーマンスは劇的に下がります。
6時間睡眠を14日間続けると丸2日徹夜したのと同程度の認知機能になります。
つまり、毎日6時間睡眠を続けている人は、「毎日徹夜明けで仕事をしている状態」で仕事をしているということです。

睡眠を削ると、集中力、注意力、判断力、実行機能、即時記憶、作業記憶、数量的能力、数学能力、論理的推論能力、気分、感情など、ほとんどすべての脳機能が低下することが明らかになっています。
睡眠不足の人は、本来持つ能力の3〜5割減くらいの能力で、毎日仕事をしているのです。

(3)太りやすくなる
「睡眠を削ると太る」というリスクもあります。
ダイエットを失敗する人が多いのは、睡眠不足の状態でダイエットをしているからです。
睡眠時間と肥満についての研究では、睡眠時間5〜6時間で1.2倍、4〜5時間で1.5倍、4時間以下では1.7倍も太りやすくなるそうです。
「睡眠不足の人は、1日385キロカロリー余計に摂取している」というデータもあります。

睡眠不足の人は、猛烈に食欲がアップします。
睡眠不足によって、食欲増進ホルモンのグレリンの分泌が増え、食欲抑制ホルモンのレプチンが減り、ショ糖、脂肪、ジャンクフードの摂取欲求が増えます。
食欲が増え、甘い物や油っぽいものを食べたくなるのです。

睡眠不足になると、体は「危険性」を感じて、必死でエネルギーを蓄えようとするのです。
痩せたければ、「ダイエット」の前に「睡眠」です。

必要な睡眠は「何時間」なのか
さまざまな研究とデータがあるのですが、必要な睡眠時間は、質のいい睡眠を「7時間以上」というのがひとつの答えです。 カリフォルニア大学の睡眠時間と死亡率を調べた研究によると、睡眠時間「6〜7時間半」の人が、最も長生きをしています。それより睡眠時間が短くなると、死亡率が高まります。

睡眠時間と死亡率の関係は、V字形となります。 厚労省の調査では、40代の約半数が睡眠6時間未満で、5人に1人が睡眠に関する悩みを抱え、20人に1人が睡眠薬を服用しているのが現実です。
多くの日本人にとって、睡眠は深刻な問題です。
7時間以上の睡眠を確保しましょう。

「睡眠ファースト」で1週間を過ごそう
睡眠不足の自覚がある人は、「睡眠時間を1時間だけ増やすこと」からはじめるといいでしょう。
「1週間だけ」でいいので、いつもより1時間早く寝て、1時間睡眠を増やしてみる。
スマホ、テレビ、ゲームなどの余暇時間を削ったり、掃除や洗濯などの家事を少々サボってでも、睡眠時間を増やします。
たった1時間増やすだけで脳の機能は著しく改善します。
仕事のパフォーマンスは上がり、生産性は上がります。
仕事が早く切り上げられるようになれば、そこでさらに睡眠時間が確保しやすくなるでしょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月25日

「私たちは苦しみの多い社会をどう乗り切るか、という宿題を与えられ生きている」

「私たちは苦しみの多い社会をどう乗り切るか、という宿題を与えられ生きている
2020年07月24日 日刊ゲンダイ
篠原鋭一.千葉県成田市の曹洞宗長寿院住職

【Q】友人たちと居酒屋に行ったりで、女性のいる飲み屋さんに行くのが楽しみで、それを元気の糧に仕事をしていたのですが、コロナ以降、飲み会がほとんどなくなってしまい、女性のいる店も行けない雰囲気になって、ストレス解消ができません。
ひとり暮らしなので、家に帰っても寂しいだけで、悶々とする日々を送っています。

【A】お酒なんかひとりで飲んでいればいいんですよ。
コロナというこんな事態がなかったら、毎晩毎晩新橋や新宿で飲み歩いていいたような人は、いまが自分を見つめなおすいい機会です。
どうせ飲み歩いても中身のある話なんてしないんですから。
ひとりで飲む酒を楽しめばいい。

 私は成田空港の近くの長寿院という寺の住職をしているのですが、いまはコロナで飛行機があまり飛ばなくなって、本当に静かなんですね。
そこで静かにひとり酒を飲んでいると、竹のすれる音とか、虫や鳥が鳴く音とか、いままでも聞いたこともあるような気がするけど、こんなにたくさんの種類があったかなあ、という音が、たくさん聞こえてきます。
そんななかでひとり酒を飲んでいると、まるで俳人の松尾芭蕉の時代に還ったかのようで、実に味わいがあります。

 そうしてひとりで酒を飲んでいると、ある種の瞑想の時間のようになって、いままで気付かなかったことや思いつかなかった考えが、ふっと浮かんでくる。
インドでは古来から人生を学生期、家住期、林住期、遊行期と分けて、年齢によって生の在り方が変化していくと教えます。そのなかで中年を過ぎると林住期といって、森林に隠栖して修行する時期が来るというのですが、そういう得難い時が来たと思えばいい。

自分の人生の生まれてから今までをゆっくり思い返して、ありがたい時間を持つことができたなあ、と思えばいいんです。
そのほうが、お姉ちゃんたちと騒いで飲んでいるよりよっぽどいい。
自分の部屋だと雑音が多くて静かな気分にならないというのなら、ぜひ長寿院までいらっしゃい。
ソーシャルディスタンスで私とは2メートル離れて、ゆっくりお酒を飲めばいいでしょう。

 コロナのためにあれもできなくなった、これもできなくなったとマイナスでばかり捉えるから、苦しみばかりがつきまとってしまう。
もともと世の中自体に不安がつきもので、私たちは不安と同居しながら生きていくものなのです。
だからこの世界を娑婆、苦しみの多い社会と呼ぶのです。
私たちはそんな社会をどう乗り切っていくかという宿題を与えられながら生きている。

この答えを見つけにいくのが面白いととられられたら、物の見方が変わってくる。
自分の生きている時代に、こんな大変化に遭遇した。
これは面白い。
この大転換期に遭遇して、自分という人間の在り方はどう変わっていくだろうかと、面白がる気持ちになれば、苦しさもなくなります。

飲み歩いて騒いで、落ち着かない疲れる生活から、静かにひとりを楽しむ生活に、一段階上昇したと思えば、残念がる理由など何もないはずですよ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月26日

精神科医が「これだけは食べていい!」と断言する5つの食べ物

精神科医が「これだけは食べていい!」と断言する5つの食べ物
2020.7.25 ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

「いい、悪い」は議論されている
「健康にいい食べ物は何ですか? 健康に悪い食べ物は何ですか?」「結局、何を食べていいのかわかりません」と思っている人は多いでしょう。
しかし、たくさんの本や論文を読んで研究していると、それぞれで書いてある内容が異なり、似た研究でも実験結果が相反することも多くあります。
学者によっても議論が巻き起こる食事ですが、その中でも、「これだけは知っておいたほうがいい」という内容だけを厳選してまとめます。

これが科学的に正しい「5つ」だ!
科学的に健康にいいとされている食べ物は何でしょうか。
数多くの研究によって本当に健康にいい、つまり脳卒中や心筋梗塞、がんなどのリスクを下げると考えられている食品は、次の5つです。

1 魚
2 野菜と果物(フルーツジュースとじゃがいもは含まない)
3 茶色い炭水化物(玄米、蕎麦、全粒粉のパン)
4 オリーブオイル
5 ナッツ類

逆に、健康に悪いと考えられているのが、
「赤い肉(鶏肉は含まない。ハム、ソーセージなどの加工肉は特に悪い)」
「白い炭水化物(白米、うどん、パスタ、小麦粉を使ったパン)」
「バターなどの飽和脂肪酸」です。

健康に悪い3つの食品を避けて、健康にいい5つの食品を増やすのが、最も科学的に健康な食事法です。

「白米よりも玄米。
肉よりも魚。
バターよりもオリーブオイル。
間食にナッツをつまむ」という食事が、科学的根拠に基づいた健康的な食事と言えます。

その他、健康にいい可能性が高い食べ物
白米が「健康に悪い食品」に分類されるのは意外ですが、精米した白米は栄養や食物繊維などが取り除かれてしまい、また血糖も上昇しやすいため、たくさんとると糖尿病のリスクを高めます。
玄米は、「完全栄養食」と言われています。
ビタミン・ミネラル・食物繊維を豊富に含んでおり、人間が健康を保つために必要とされる栄養素のほとんど(ビタミンC以外)を摂取できるためです。

玄米は、「硬い」「炊飯時間が長くかかる」というイメージがありますが、白米と比べて水を2〜3割多く入れて、一晩吸水させると、普通の炊飯器で白米とさほど変わらない軟らかさに炊くことができます。

他にも、健康にいい可能性が示唆された食品は、「ダークチョコレート」「コーヒー」「納豆」「ヨーグルト」「酢」「豆乳」「お茶」が挙げられています。
ぜひ、取り入れてみてください。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月27日

同じことをして「楽しめる人、楽しめない人」たった1つの思考の違い

同じことをして「楽しめる人、楽しめない人」たった1つの思考の違い
2020.7.26  ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

せっかくの人生、楽しんだほうがいい
同じことをしていても、「楽しめる人」と「楽しめない人」に分かれます。
物事はすべていい面と悪い面を持ち合わせているので、そのどちらを見るか。

1日を振り返って、良かったことと悪かったことが2つあったとき、そのどちらにフォーカスするかで人生は決まります。
せっかく同じ人生を送るのなら、物事のいい面を見つけ、人生を楽しんだほうが幸せです。
その考え方について見ていきます。

「楽しいこと」を脳がブロックしていないか?
「人生を楽しむ人」には重要な共通点があります。
それが「素直さ」です。
「素直さ」は、成功の条件としてもよく出てくるキーワードです。

偏見や先入観を持たずに「ニュートラル(中立)」な状態になることです。
多くの人は先入観を持っています。
「そんなことをやっても、つまらないに違いない」「前も同じパターンで失敗しているから、今度も失敗するに違いない」など、先入観は過去の経験に大きく縛られ、行動に制約をかけます。
そんなときに、ニュートラルな状態になれれば、他の人からアドバイスや助言を受けたときに、「とりあえずやってみよう」と、素直に受け入れることができます。
それにより、チャンスや出会いが広がり、当然、「楽しいこと」「おもしろいこと」と出会える機会も増えます。

先入観が強いと、それを失い、今と同じような生活を繰り返します。
よって、「楽しいこと」「おもしろいこと」が起きるはずがないのです。
どんなに素晴らしい情報でも、ニュートラルな状態でないと、脳はその情報をブロックします。
聞いているのに、右から左へと、情報が抜けていくのです。

「とりあえずやる」が最強の戦略
素直になるためには、「とりあえずやってみる」ということです。
「この本、おもしろいよ」と言われたら、とりあえず読んでみる。
「あの映画、すごかったよ」と言われたら、とりあえず観てみる。
「今度のパーティー、ぜひ来てよ」と誘われたら、とりあえず行ってみる。

先入観を取り払い、相手の「おすすめ」や「誘い」を信じて、受け入れてみるのです。
その先には、無限の出会いとチャンスが広がっています。
おもしろいことや楽しいことは思わぬところからやってくるものです。

「宝物」はどこにある?
日々、私たちが生活している領域が、「コンフォートゾーン(快適領域)」です。
いつも行く場所、いつも会う人、いつも食べるもの。
それが、コンフォートゾーンです。

日々の生活が「楽しい」と思えないのなら、それは「今のコンフォートゾーン」の中に「楽しいこと」がないのです。
「楽しいこと」はコンフォートゾーンの外にあります。
コンフォートゾーンの外には、無限の世界が広がっていて、勇気を出して、外の世界に足を踏み出すことで、「宝物」(楽しい、幸せ)を発見できます。
「宝物」は、初めての場所、人、イベント、お店などに隠れています。

もちろん、コンフォートゾーンから出ることは、「苦しいこと」「困難なこと」への挑戦でもあります。
しかし、そこにはあなたの無限の可能性が秘められています。
勇気を出して一歩を踏み出し、人生を楽しんでみましょう。

「ウィッシュリスト」を書いてみよう
先ほどのコンフォートゾーンは、外側からのアプローチでしたが、内側からのアプローチもあります。
自分にとって何が楽しいのか、何をしたいのか、何を実現したいのか、何を手に入れたいのかを明らかにするのです。
そのためには、「ウィッシュリスト」がおすすめです。
ウィッシュリストは、1年ごとに振り返り、どこまで達成したかを評価し、そのアップデートをしましょう。

私の場合は、ウィッシュリストに書いた内容は1年で半分、2〜3年で7〜8割が実現しています。
「願望」「夢」「目標」を好きなだけ書いて、7〜8割が実現するわけですから、書かないほうが損です。

それでは、なぜ、ウィッシュリストは書くだけで実現するのでしょうか。
それは、自分の「やりたいこと(Wish)」に対して、脳のアンテナが立つからです。
たとえば、「ハワイに行きたい」と書いたとしましょう。
あなたの友達から「今年の夏休みはハワイに行きたい」と話が出たときに、「じゃあ一緒に行こう」と瞬時に反応することができます
もし、ウィッシュリストで願望が顕在化していないと、「いいね」だけで終わってしまいます。

ウィッシュリストを書くことで、それに関する情報が目につくようになり、実現へのスピードがより速まるのです。
新年や年度初めなどに、年間の目標を立てる人は多いでしょう。
そのときに、「遊びの年間目標」を書く人は少ないと思いますが、ぜひ書き入れてください。
私の場合は、「年間120本の映画鑑賞」「1年のうち6週間を海外で過ごす」という遊びの年間目標を作っています。

また、朝に今日1日の「ToDoリスト」を書く人であれば、そこにも「遊びのToDo」を書き込んでください。
「19時半から映画『○○』を観る」というように書けば、「じゃあ19時頃には必ず仕事を終えていないといけないな」と緊迫感が生まれ、仕事がはかどり、遊ぶことができます。
「平日に映画なんて観られるわけがない」と先入観を持っている人は、いつまで経っても変わりません。

「遊びの目標」「遊びのToDoリスト」を書くことにより、「遊び」の機会が増えるだけでなく、仕事のパフォーマンスも高まります。
ぜひ、人生を「楽しめる人」になってください。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月28日

生活や人づきあいがちょっとラクになる「いい人」のやめ方

生活や人づきあいがちょっとラクになる「いい人」のやめ方
『他人のことが気にならなくなる「いい人」のやめ方』
2020.7.27 ダイヤモンドオンライン
名取芳彦(なとり ほうげん)真言宗豊山派密蔵院住職

『他人のことが気にならなくなる「いい人」のやめ方』の要点

(1)幼少期から他人の評価を受け続けて育った私たちは、人からの評価を気にしがちである。
それを認識し、人からどう思われるかを気にしない、自分流のやり方で幸せになれる目標に向かっていこう。
(2)あなた自身のやりたいことに取り組んでいれば、「我慢してまで叶えたい目標か」と考えることで嫌なことにノーと言いやすくなる。
目標を理由に気乗りのしない誘いを断ることもできる。
(3)ときには依存してくる人と一線を引いたり、関わりたくない人と縁を切ったりすることも必要である。
大切なのはあなたの今やこれからだ。

【必読ポイント!】
◆人と比べないラクな生き方のヒント
◇私はこれでいい  
私たちは小学校に入学して以来、他人の評価を受け続けて育ってきた。
そんな私たちが、人からの評価を気にするのは仕方のないことでもある。
人からの評価はよいに越したことはない。
自己肯定感も高まる。
しかしそのためにあえて媚を売ったりしていると、自分が嫌になってくることもあるだろう。
 そんなときこそ、人からどう思われるかを気にしないでいられる自分をつくるチャンスだ。

仏さまは、「慈悲で悟りを目指します!」などと向かうべき目標ややり方も自分で決めている。
私たちも自分流のやり方で目標に向かっていけば、人の目を気にする必要はなくなる。
ぜひ自分なりの幸せになれる目標を立てて、前に進んでみよう。

◇気づかいは疲れるもの
「人に気をつかって疲れる」と言う人がいるが、かといってわがまま人間になってしまうわけにもいかない。
人に気をつかうのは立派なことだ。
相手のためにする気づかいは人との関係をあたたかなものにしてくれる。

問題なのは、疲れてしまうことの方にある。
 気をつかったら疲れるのは当たり前だ。
そう思えば、疲れることに対して腹を立てなくなる。
その余裕を持つには、他人に気をつかわないでいい空間や時間を確保する必要がある。
散歩や読書、気のおけない人たちとの時間、のんびりした時間を意識的にもつようにすると、心のバランスが取れて、気持ちがラクになるはずだ。

◇仮面を外そう
 他人から期待される人物像に合わせて「いい人」「いい子」を演じる人がいる。
そうして仮面をかぶりつづけていれば、当然のように息苦しくなってくる。
 世間一般の「いい○○」のイメージはあまり当てにならないものだ。

たとえば、「いい子」は親の言うことをなんでも聞く孝行者のイメージがあるが、そのために自分の考えや価値観が持てなくなっては困りものだ。
「いい上司」の理想像は優しい人だと考える人もいれば厳しい人だと考える人もいる。
「いい部下」にしても従順、気骨がある、など人の好みはさまざまだ。

このような人物像をすべて網羅し、演じることは不可能である。
 周りから期待される人物像を演じようとするより、自分が理想とする人物像を思い描き、それに近づこうとするほうがよい。
自分の魅力や才能を発揮できるようになるだろう。

◆嫌なことを我慢しすぎなくていい
◇嫌なことにノーと言おう
 花を見て怒る人はいないので、仏教で花は優しさのシンボルである。
また、寒さに耐えて美しい花を咲かせることから我慢の大切さをも教えてくれる。
優しさと我慢の思いを託して仏壇やお墓に花を供えるとき、亡き人や仏さまはその心を3割だけ受け取り、7割をこちらに返すと言われている。

 我慢について知っておいたほうがいいのは、我慢は目標がないとできないということだ
誰でも我慢は嫌なものだが、「この目標を達成したい」という思いがあれば、耐える力が湧くものである。
 人から嫌なことをされたのにノーと言えない人は、我慢してまで叶えたい目標があるのかを考えてみよう。
嫌なことをされれば自尊心が傷つく。
それを放置していれば相手はますます図にのり、こちらの傷は増えていく。

自分に自信を持って、尊厳を大切にして生きるためには、「気分よく暮らしたい」といった目標を立てて、ノーと言えるようになることが大事だ。

◇愚痴は流していい
 愚痴はもともと仏教語だ。
仏教語大辞典には、「通俗には、心愚かなため、言っても効果のないことを述べたてるのを、愚痴をこぼす、という」とある。
つまり、愚痴は言っても効果がないものなのだ。
解決策を探そうとする「相談」とは異なり、愚痴の目的は不満を述べることにあるので、聞く側には忍耐が要求される。
ネガティブな人に接すると自分もつい暗くなってしまうが、こちらにも笑顔でラクに生きる権利があるのだから、負けてはならない。

「あの人が嫌い」と愚痴を言う人がいたら、「向こうもそう思っているよ」と言ってしまってもよい。
「あのやり方は納得できない」と否定的なことを言う人がいれば、「どんなやり方なら納得できる? それをあなたができる自信はある?」と詰め寄るフリをしてもよい。
対応したくなければ、「ネガティブなことばかりに聞こえるけど、何かいいことはないんですか?」とでも返す。
愚痴やネガティブな発言を重く受けとめる必要はないのだ。

◇えこひいきはどこにでもある
 龍には九匹の子どもがいて、その一匹が贔屓(ひいき)という。
姿は亀に似ていて、重いものを背負うのが好き。
神社仏閣では境内の石碑を支えていることがある。
これに「怙(頼りになるもの)に依る」という意味の「依怙」がついて、「えこひいき」だ。

 平等を前提にしない状況であれば、自分によくしてくれる人や好感を持ってくれる人をえこひいきするのは当たり前だ。
だからえこひいきに目くじらを立てても仕方がない。

問題になるのは、平等に対応すべき人が特別な人だけをえこひいきすることだ。
 仕事の場で、あまりにも上司のえこひいきが激しくて正当な評価が得られないのであれば、上司から気に入られるよう振る舞うか、いっそのこと転職するのもやむを得ないだろう。
えこひいきをする上司からの正当な評価などはハナから期待せずに仕事にはげむ。
その姿を陰から見てくれる人はいるものだ。

◆あなたの目標を大事にしよう
◇誘いより「やるべきこと」
 30代のころ、人づきあいのよかった先輩が、ある時期からレジャー系の集まりに参加しなくなったことがあった。
「最近つきあいが悪くなった」と陰口を言っていたが、先輩がカウンセリングの勉強を始めているという話を風の便りで聞いて、己の至らなさに気づいた。
先輩は自分の今やるべきこと、やりたいことに取り組んでいたのだ。
 それからというもの、誘いがあったら行けるようにと自由時間を確保するのに必死だった日常は変わった。

住職をしているお寺で写仏の会を立ち上げ、ライブハウスで声明のライブを行うことにしたのだ。
こうしてやるべきことができたので、仲間からの誘いを断らなければならなくなることが続いた。
 気乗りのしない誘いを断れないのは、「誘いを断ってまでやるべきこと」がないことが原因だ。
「月に10本映画を観ることにした」「今日はフルコースを家で作る」といった個人的な目標でも大義名分になり、誘いや頼まれごとを断る立派な理由になる。

周りに流されずにあなた自身のやりたいことに取り組めば、あなたの人生は前に動き出すはずだ。

◇固有の「らしさ」などない
「女は女らしく」「男は男らしく」という言い方があるが、「〜らしい」と一口に言っても、それぞれ抱くイメージは違うものだ。
仏教の「空(くう)」の教えでは「すべてのものに、変化しない固有の実体はない」と考える。
これを踏まえれば、固有の「らしさ」などは存在しないということになる。

 時代や国によって「らしさ」の定義は異なる。
自分にしか定義づけのできない「自分らしさ」であっても、時や状況とともに変化していくはずだ。
 すべてのものは変化し続けていて同じ状態のままではないのに、「これはこういうものだ」とレッテルを貼るのは、ただのこだわりにすぎない。
この場合のこだわりとは良い意味ではなく、「つまらないことにとらわれている」ことを意味する。
何かにこだわって1カ所に留まっていては、周りにある素晴らしい考え方や世界を知ることもできなくなってしまう。

「らしさ」を押し付けられたら、「レッテルを貼って物事を固定化して安心したいタイプの人なんだな」と受け流す。
自分も含めて、すべてのものの変化を楽しむようにしよう。

◆ときには縁を手放そう
◇依存してくる人とは線を引こう
 メールやSNSでのやりとりがなかなか終わらない人、返事をしないと文句を言う人がいる。
そんな人は「あなたと私は特別な関係だ」と一方的に思い込んで、「私との関係を大切にして!」と言ってきているようなものだ。
自立している人は豊かなネットワークを持って生きている、ということが見えなくなってしまうのだろう。
こういう困った人に調子を合わせていると、相手は自分が依存していることにも気づかず、ますますまとわりつくようになる。
この状態は相手のためにもならないし、自分の生活を守るためにもよくない。

「私は私でやりたいこと、やるべきことがあります」ときっぱりと伝えて距離をおく方が、お互いにとってよい方向へ向かえるだろう。
 メールで相談を受けたときは早い段階で、「私にメールしなくても笑顔でいられるようになるといいですね」と伝えている。
相手が依存状態になることを防ぐためだ。ブログのコメントを個人宛に送ってくる人は、自分が相手と「特別な関係」だと思っているので、「感想は誰でも読めるブログのコメント欄へお願いします」とつれない対応をする。
冷たいと思われるのは承知のうえで、自立した大人として距離をとっているのだ。
自分に依存しようとする人と距離をおくことを、そもそも冷たいと思う必要もない。

◇みんなに好かれる必要はない
 実生活での人づきあいは、自分の世界を広げてくれるものである一方、状況や相手によってはわずらわしいものにもなり得る。
したいことがあるのにそれを我慢して対応しなければならないような状況では、特に面倒に感じるだろう。

相手があまりにもこちらの都合を考えない場合には、自己主張も必要だ。
わずらわしさを感じる人にまでいい顔をしなくてもいいのだ。
私たちは、全員から好かれることも嫌われることもないのだから。

 あまり縁を持ちたくない人なのに向こうから媚びるように近づいてくる場合には、嫌われる勇気を持って、そっけない態度を取るのもやむを得ない。
たとえ相手を怒らせたとしても、あなたがその人とのつきあいを続けてストレスをかかえるのはよくない。
 縁は大切なものだが、ときには断ち切る勇気を持とう。
つながっていた縁を終わりにすることが大切な場合もあるのだ。

◇過去より今を楽しもう
 私たちが出会う人とのつながりは、永遠に持続するわけではない。
結婚して子どもができたら独身の人と話が合わなくなるように、かつて仲が良かった人と疎遠になっていくのは仕方のないことだ。
 そうして疎遠になる人がいる一方、新しい仲間も次々に現れる。
そうして仲良くなる人が増えるのだから、全員と関係を保ち続けることは不可能だ。
会うは別れの始まり」である。
仲が良かった人と疎遠になることを寂しく感じるのなら、縁をつなげられるよう、「お茶でもしない?」とこちらから連絡すればよい。
もちろん、そうして誰かに会う分、会えなくなる人も出てくる。

なくしたものを嘆くより、今あるものを大切に」と思えば、人生を振り返らずに進んでいける。
古きよき時代を懐かしむより、「今」と「これから」を楽しみにしよう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(6) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月30日

「なぜか貧乏になる人」の3つの特徴

「なぜか貧乏になる人」の3つの特徴
2020年07月28日 All About

誰もが「貧乏になりたくない!」と感じています。
しかし、「貧乏になりたくない!」といっている人が、自ら貧乏への道に転がり落ちていってしまうのはなぜなのでしょうか。
そこで、貧乏になりやすい人の3つの特徴を紹介します。

■貧乏になる人には3つの特徴がある!
金融心理学者のブラッド・クロンツ博士の研究によると、お金持ちになれない人には3つの特徴があるのだとか。
その特徴は、以下の3つです。

・特徴1:お金儲けが嫌い!
・特徴2:資産運用を怠る!
・特徴3:お金の勉強を怠る!

これら3つについて、「私にも当てはまるかも……」と感じた方は要注意。
そんな方は貧乏体質かもしれません。
これから、それぞれの特徴について詳しく解説しましょう。

■特徴1:お金儲けが嫌い!
エラスムス大学の研究によると、僕ら人間には「お金稼ぎ=悪」と考えてしまう傾向があるようです。
貧乏体質な人は、「お金を稼ぐ=他人からお金を奪う行為」と考えがちです。
この考えに頭を支配されると、「お金を稼ぐ=悪いこと=自分はお金を稼いではいけない」というように、心がお金を遠ざけるようにプログラミングされていきます。
結果として、お金嫌いが過ぎる人は目の前に大きなチャンスがやってきても、「お金儲けは悪いことだから……」と遠ざけ、チャンスを逃してしまうのです。

しかし、「お金稼ぎ=社会貢献の証」な訳ですから、嫌う必要はありません。
もし本当に「お金儲け=悪いこと」なのであれば、世界の長者番付には悪人ばかりがズラリと並ぶことでしょう。
実際、世界の長者番付には、アマゾンを立ち上げたジェフ・ベゾス氏や、マイクロソフトを立ち上げたビル・ゲイツ氏が名を連ねています。
彼らが世界にもたらした恩恵を考えてみれば、「お金儲け=良いこと」と考えるのが自然ではないでしょうか。

■特徴2:資産運用を怠る!
貧乏体質の人は資産運用を怠ります。
そのせいで、お金を増やす機会を失い、損をしてしまうのです。
ありがちなのが、「資産運用はギャンブルだ」と勘違いしているパターンです。
たしかに、巷にあふれる投資本にはガセも多く、「資産運用=ギャンブル」と思われても仕方がないのかもしれません。
間違ったイメージのせいで、上手にお金を使えない方もたくさんいます。

しかし、実際には資産運用とギャンブルはまったくの別物です。
それこそ、宝くじなどの純粋確率で結果が決まるギャンブルと違い、上手に資産を運用すれば(思い通りにいくとはいえないまでも)お金を増やすことも可能です。

■特徴3:お金の勉強を怠る!
貧乏体質の人はお金の勉強を怠ります。
そして、いい加減な噂話や、素人の助言に振り回されてお金を動かし、痛い目にあってしまうのです。
貧乏から脱却するには、お金の勉強が欠かせません。

とくに大切なのが、「家計の改善」と「資産の管理」につながる勉強です。
難しい理論を学んだり、分厚い参考書を読む必要はありません。
ウェブの記事などを参考に、まずはお金の勉強をはじめてみましょう。

■まとめ:今すぐ行動に移して!
あなたも、本記事を読んでいるということは、「貧乏は嫌だ!」「貧乏になりたくない!」と強く願っているハズです。
筆者も、大学時代は工場で働いていた時期もあり、極貧の生活を送っていたこともありました。
貧乏の辛さを知り、「早く抜け出したい!」という一心で、お金について必死に学び続けてきた背景があります。

人生は変えられます。
何から変えられるか考えて、今すぐ行動に移してみましょう。

【参考文献】
:なぜか貧乏になる人の3つの特徴https://allabout.co.jp/gm/gc/9022/47記事下段に記載

(文:中原 良太(マネーガイド))
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月31日

言い返せない人は反撃のコツがわかっていない

言い返せない人は反撃のコツがわかっていない
いつも悔しい思いをしているすべての人へ
2020/07/30 東洋経済オンライン
ゆうきゆう : 精神科医/作家

「言い返したい! でも、言い返せない…」
皮肉やあてこすり、叱責、誹謗中傷など、心ない言葉を投げてくる人、誰の周りにも多かれ少なかれいるのではないでしょうか。
距離を置きたいけれど、仕事関係や親族、ご近所付き合いなど、どうしても離れられない人もいます。
ほとんどの場合、できることといったら、ただ「ガマンする」だけ。
そして後から思い出して、「なぜあのとき、何も言い返せなかったんだろう…」と、自分を責めてしまうものです。

実は、しがらみに負けて何も言い返せず、言われるがままというのは得策とは言えません。
我慢し続けるあなたの行動が、相手を調子づかせ、さらにはあなたの評判を落とす原因になりかねないのです。
相手を完膚なきまでにたたきのめす必要はありません。
大切なのは、「ちょっとだけ反撃」をして自分の身を守ること。

ここでは、人間関係にできるだけ波風を立てないようにしながら、「どのようにして、ちょっとの反撃をするか」についてご紹介しましょう。

◎強い相手に応戦するには、とにかく、ゆっくり話すこと
議論や口論などで勝つには、受け身ではなく、能動的に会話をしていく必要があります。
相手の勢いをいかに抑えて、自分がどんなタイミングでしゃべればいいのか。
その点にかかっていると言っても過言ではありません。

まず何よりも大切なのは、とにかく「ゆっくりと話すこと」です。
人間は無意識に相手の話のペースに合わせてしまうもの。
相手のペースに巻き込まれず穏やかに とにかく相手の気持ちをゆるめたければ、あなた自身が落ち着くこと。
相手のペースに巻き込まれず、穏やかに話してみてください。

とくに、相手が興奮して矢継ぎ早に話しかけてきたときに、あなたが早口で応戦すれば、相手はますますヒートアップしてしまいます。
相手を興奮させて、火に油を注ぐようなやり方をしては、勝ち目はないでしょう。

やりとりをしていくうちに、さりげなく相手の攻撃の牙を抜き、上手になだめて話を終わらせてしまうのがベストなんです。

◎あれこれ考えないで、とにかく返す!「反射の戦術」
高圧的な態度の人と接すると頭が真っ白になってしまう。
とっさに「うまい切り返し」ができる人はそう多くないでしょう。
そういうときには、「反射の戦術」がおすすめです。

相手の話を、反射的に「要約して返す」だけ。
たとえば、取引先やお客様から、クレームでいきなり怒鳴りつけられたとしても、勢いにのまれてはいけません。
詳細も分からないまま即座に謝罪すれば、負けを認めたも同然です。

必要なのは「要約力」のみ
また、言葉を選んでいて返答を遅らせてしまえば、勢いづいている相手はさらに強力な攻撃で追い打ちをかけてくる可能性もあります。
こんな場合は、とにかく即座に相手にリアクションを返すことが重要です。
しかも、ここで必要なのは、「要約力」のみ。
これなら、多少心が動揺していても、何とか対処できるはず。

だまりこまずに、まずは相手の一方的な攻撃の流れを止めてください。

「反射の戦術」は、次のような効果も期待できます。
まず、相手の苛立った感情をある程度やわらげられます。
「相手の話を要約して返す」という行為は、「話をちゃんと聞いていますよ」「まずは、あなたの話を受け入れますよ」という好意的なメッセージになるのです。
また一旦、相手に言葉を投げ返すことで、「そうだ。私は○○○で困っているのだ」と、相手に冷静に考えさせる効果もあります。
客観的に自分の怒りや欲求を見つめ直す機会にもなるのです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月07日

あやしいがん治療が日本でなくならない理由

あやしいがん治療が日本でなくならない理由
『世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療』著者・勝俣範之インタビュー
2020.8.6  ダイヤモンド社書籍編集局

日本では「トンデモ医療」の 情報が規制されていない
――『最高のがん治療』は、がん治療の専門医・勝俣範之先生と、新薬開発の研究者・大須賀覚先生、医療データ分析の専門家・津川友介先生の3人の共著ですね。
なぜこの3人で本を書くことになったのでしょうか?

勝俣範之(以下、勝俣)
 津川先生も大須賀先生も、日本にがんについての正しい情報が少ないことをずっと懸念されていました。
それは私もまったく同じで、以前、津川先生と対談したときに、「正しいがん情報を伝えたいですね」という話になったんです。
その後、津川先生から連絡をいただいて、「正しいがん情報だけまとめた教科書のような本を大須賀先生と3人で作りましょう」と。
そこから話がはじまりました。

――日本にはがん情報があふれていますが、それはほとんど正しくないと?

勝俣 
 特に一般向けの情報はそうですね。
新聞、テレビ、書籍、ネットの情報も含めて、日本のメディアのがん情報はひどいものですよ。
「こうすればがんが治る」、「こうすればがんが消える」といった「トンデモ医療」が多くて、どこもそれを規制しませんから、よっぽど悪質でない限り問題になりません。
新聞の全国紙でさえも、がん治療のトンデモ広告を一面に載せているのが現状です。

――よくあるトンデモ医療に、「糖質を摂取しなければがんが小さくなる」、「にんじんジュースには抗がん作用がある」、「オゾン療法(血液クレンジング)はがんの予防・再発防止に有効」といったものがあると本の冒頭にも出てきます。

勝俣
 それはほんの一部です。
他にもあやしい治療法が日本のメディアで広められています。
海外では、医療情報はかなり厳しく規制されているので、比較的まともです。
命に関わることですから。グーグルの検索画面で間違ったがん情報がトップ画面に出ないようにしていますし、怪しげな医療の広告も載りません。
一方日本では、「がん治療」と検索すると、怪しげな医療情報や、怪しげな医療広告のリンクがたくさん出てきます。

――つまり、それだけ一般に向けて正しい情報を発信するメディアや機関が少ないわけですね。

勝俣
 トンデモ医療が増える一番の原因は、そのほうが注目されやすいからです。
トンデモ医療は基本的に、都合がよく、わかりやすく、センセーショナルで意外性があるという特徴を持っています。
がんを治したい人、がんになりたくない人の弱みにつけこんで、ワラにもすがる人たちが飛びつきやすい情報を垂れ流しているのです。
 医療の世界も例外ではありません。
効果が証明されていない治療法を「自由診療」として医師が提供して、数十万円から数百万円単位の高額な治療費を請求しているケースが非常に多いんですね。

――本では、「自由診療」の代表的なものとしてビタミンC療法を挙げています。
でも、長年の研究で有効性はまったく証明されていない(注1)と知って驚きました。
アメリカの政府機関である食品医薬品局(FDA)は、ビタミンC療法を行っている施設は違法だと注意喚起をしている(注2)そうですが、日本は野放しですよね。

注1 Jacobs C, Hutton B, Ng T, Shorr R, Clemons M (2015) “Is there a role for oral or intravenous ascorbate (vitamin C) in treating patients with cancer? A systematic review,” Oncologist; 20(2): 210-23.
注2 FDA, Warning Letter https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminalinvestigations/ warning-letters/vitamin-c-foundation-514071-04172017

勝俣
 そうなんです。
本にも書きましたが、インターネットで検索すると、300件以上のクリニックが、がんのビタミンC療法をやっていることがわかります。
海外先進諸国では基本的に、根拠のない治療を医師が勝手に自費でがん患者さんに投与することは厳しく規制されています。日本のこの現状はかなり異常だと言わざるを得ません。
がんに直接効果があると 証明された民間療法はひとつもない

――ほかにも医師によって提供されない「民間療法」も本で問題視しています。
健康食品、サプリメント、ヨガ、漢方薬、鍼灸などは、信じて続けている人もいます。
でも、がんに直接治療効果があると証明された民間療法は、本のデータによるとたったのひとつもないんですね……(注3)。

注3 日本緩和医療学会『がんの補完代替療法、クリニカル・エビデンス』金原出版、2016年版

勝俣
 本当にがんに効くのだったら、われわれ医師がまず提供していますよ。
世の中には、「がんに効く」とうたっている治療法が何百とあります。
その中で、我々のようながん治療の専門医が提供している「標準治療」、つまり保険が適用される治療法というのは、どれだけ厳しいプロセスを経て世界で承認されているか、知っていますか?

――たしか本には、マウスなどを使った細胞実験から、実際のがん患者さんの臨床試験まで、効果がきちんと証明された薬は1万個に1個ほど(注4)と書いてありました。

注4 United States Government Accountability Office (2006) “NEW DRUG DEVELOPMENT: Science, Business, Regulatory, and Intellectual Property Issues Cited as Hampering Drug Development Efforts.”

勝俣
 正解です。
スポーツ選手でいえば、全国大会で活躍したようなスーパーエリートしか、「標準治療」の薬として認められていないんですね。
現在標準治療として認められている抗がん剤は、何十年もの間、研究者が競い合うように実験したなかで残ったものしか使われていません。
割合にすると0.01%ですが、現在までに承認された抗がん剤は、150種類ほどになります。
ですから、科学的に有効性が認められていない高額なトンデモ医療を受けるのは、よい選択肢とはいえないんですよ。
教育レベルと収入が高い人ほど トンデモ医療を信じる傾向がある

――本を読んでさらに驚いたのは、教育レベルと収入が高い人ほど、トンデモ医療を信じる傾向がある(注5)ということです。

注5 Johnson SB, Park HS, Gross CP, Yu JB (2018) “Use of Alternative Medicine for Cancer and Its Impact on Survival,” J Natl Cancer Inst; 110(1), 121-4.

勝俣
 教育レベルと収入が高い人ほど、「自分はたくさん調べているから大丈夫だ」、「知識はあるから自分で判断できる」と思ってしまう傾向があります。
本やインターネットを調べていくうちに、間違った情報やがん経験者の極端な体験談にどんどん触れてしまい、次第にトンデモ医療を受け入れてしまうのです。
 逆に、自分は何もわからないし、お金もないから、医師のアドバイスに従うしかないと思っている人は、保険適用で標準治療を受ける人が多いです。
標準医療を受けた患者さんと、代替医療のみを受けた患者さんを比較したら、代替医療を受けた患者さんのほうが生存率が低いというデータも出ていますからね(注5、図表1)

――では、本で紹介されている標準治療の、「がんを摘出する手術」、「放射線治療」、「抗がん剤治療」の三大治療さえしっかり受ければいいと?

勝俣
 基本的にはそうなんですが、知っておいてほしいのは、これらの三大治療を受ければ、必ず治るということではありません。
最善の治療が三大治療というわけです。
また、治す治療には限界もあるということです。
 しかし今では、治すことは難しくとも、共存できる時代になっています。
緩和ケアも標準治療の一つであることは、あまり知られていません。
一部のがんには、延命効果も示されています(注6)。
また、緩和ケアは、患者さんの生活の質を高めるためには必須の療法です。
緩和ケアを受けながら、がんとうまく付き合い、うまく共存を目指し、正しく向き合ってほしいと思います。

注6 Temel JS, Greer JA, Muzikansky A, Gallagher ER, Admane S, Jackson VA, Dahlin CM, Blinderman CD, Jacobsen J, Pirl WF, Billings JA, Lynch TJ (2010), “Early palliative care for patients with metastatic non-small-cell lung cancer,” N Engl J Med; 363(8): 733-42.

トンデモ医療を見分けるには どうしたらいいか
――なぜ日本には、専門的な正しい知識を発信する人が少ないのでしょうか。

勝俣
 一般の方向けに専門的な知識をわかりやすく伝えるのが、非常に難しいからです。
医療の世界では、「こうすれば治る」「この治療法で大丈夫」と簡単に言い切れない、不確定な要素が多いんです。
専門医は、情報発信のプロではないですから、わかりやすく伝えるのは難しいことなんですね。
 がん治療は、まだまだ難しく不確実なことも多いので、一般の方やがん患者さんが不安を募らせるのも無理はありません。そういった際には、耳に優しく聞こえる安易な「こうすれば治る」「〇〇治療で必ずよくなる」といった情報には少し慎重になるべきだと思います。
 あと、信頼できる情報源かどうかを確認することが重要です。
人の口コミ情報などは、それがたとえどこかの大学教授が言ったことであったとしても、特定の個人による言葉だけでは、信頼性は乏しいです。
国立がんセンターなどの公的機関の発信する情報や、学会の発信するガイドラインなどの情報を確認するのがよいと思います。

――では、日本で正しいがん情報を入手したいときは、本で紹介されている国立がん研究センターの「がん情報サービス」(注7)をはじめとした情報源を確認すればいいわけですね。

注7 国立がん研究センター「がん情報サービス」 https://ganjoho.jp/public/index.html

勝俣
 基本的にはそうです。
『最高のがん治療』で紹介している情報源はどれも、がん治療について科学的根拠にもとづいた解説をしています。
 インターネットにはよく、「私は〇〇を飲んだらがんが良くなった」などの、個人の体験談が載せられているのを見かけます。
こうした口コミ情報や体験談の情報には注意が必要です。
がんの種類やタイプ、治り方はそれこそ千差万別で、人それぞれです。
 個人の体験談というのは、本当にその治療法に効果があったかどうかは、厳密にはわかりません。
その治療をやらなくても自然によくなったかもしれないし、他のがんの治療と併用していてその効果なのかもしれない。
「効果があった」という事実がそもそもでまかせだった可能性もある。
本当に効果があったかどうかを証明するには、個人の体験談レベルというのは非常に科学的な信頼性が低いということなんです。
 一方、「標準治療」で使われている抗がん剤は、厳しく評価する臨床試験を何段階も重ねます。
最後には、新治療とこれまでの標準治療とをランダムに割り付けて、長期間の効果を第三者が厳密に評価する臨床試験(臨床第三相試験、ランダム化比較試験とも言います)によって、効果が正確に評価されたものしか使われません。
その違いをぜひ知っておいてほしいと思います。

『世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった 最高のがん治療』著者からのメッセージ

『世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療』
津川友介、勝俣範之、大須賀覚 著
定価(本体1500円+税)ダイヤモンド社刊

 がんを治せるなら、いくらお金を出してもいいと思っている方はたくさんいるでしょう。
残念なことに、そこにつけ込んで怪しい治療法をがん患者さんに売りつける業者が実際に存在します。
それだけでなく、手術や抗がん剤治療などの有効な治療法を悪く言うことで、怪しい治療法を信じ込ませようとさえします。

 そのような状況を少しでもよくしようと思い、『世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療』を書くことにしました。
 がんの専門家の間には、世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった、現時点でがんに最も効果が期待できる治療法が共有されています。
その治療法をやさしく解説することが、本書の目的です。

 なぜ「現時点でがんに最も効果が期待できる」と言い切れるのか、根拠に触れながらわかりやすく解説するので、きっと納得していただけると思います。治療法だけでなく、食事との関係、発生原因、情報の見分け方、検診、予防法に関してもご説明します。
一読すれば、がんについての必要な情報がひととおりわかるようになるでしょう。  

「がんは国民病」と言われているのに、学校ではがんについて十分に習うことはありません。
最低限の知識がなければ、だまされてしまうのも無理のないことです。
学校では習わないけれど、皆さまに知ってほしいとても大事なことがある。
そう思いながら、この1冊を書き上げました。
 この本を読んでいただくことで、間違った情報で苦しむ方が1人でも多く減るのであれば、これに勝る喜びはありません。
posted by 小だぬき at 01:00 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月08日

言い負かされる人と言い返せる人の決定的な差

言い負かされる人と言い返せる人の決定的な差
ありえない一言を放たれたときの賢い対処法
2020/08/07  東洋経済オンライン
ゆうきゆう : 精神科医

相手の話に対して即断を避ける
◎押し切られそうになったら、「延期の戦術」
 この方法はいたってシンプル。
ただ単に「延期」するだけ。
相手の話に対して、とにかく即断を避け、「考えさせてください」と言うのです。

「今ここでは決められません。すみませんが、考えさせてください」
「おっしゃることは分かりました。ちょっと持ち帰ってもいいですか?」

延期のための言葉はこの際、何でも構いません。
大切なことは、とにかく「即断しない」ことです。
人は「雰囲気にのまれてしまう」ということがよくあります。
言い返せない人の大半は、相手の勢いについその場でうなずいてしまうもの。
そのため、いったん冷却時間をおいて、相手の主張や要求をじっくり冷静に考えてみることが大切なのです。

どんなに勢いに押されている場合でも、「ストップ」することによって、冷静になり、戦況を立て直すことができるのです。 しかも、ゆっくり考えてみれば、実は相手の主張もたいしたことを言ってないことに気がつくことが多いもの。
この戦術は、自分の権威を振りかざして強引にコトを進めたがる相手には、特に有効です。

◎「ありえない」ひと言は、「そのまま」返せ!
たとえば、あなたに、 「てめえ、そんなことも分からねぇのか! 小学校からやり直せ!」 と叱責する上司がいたとしましょう。
こんなときに、相手と同じように「てめえ」とやり返すのもひとつの手ですが、現実的ではありません。
「相手の言い方」を“間接的に表現する” 簡単なのは、「相手の言い方」を“間接的に表現する”ことです。
返答の代わりに、その言葉を繰り返す。つまり、「オウム返し」が一番効果的です。

「『てめえ、そんなことも分からねぇのか』、ですか…」 「『小学校から』、ですか…」
人は自分の状態を意識させられるだけで緊張してしまうと言われています。
あなたに自分の言葉を繰り返された相手は、自分の言葉の録音を聞かされたようになり、少しだけ恥ずかしくなってきます。それと同時に、自分の暴言の愚かさに、気がつかされることになります。

相手は、「そうだよ! だから、なんだよ!」と反応するかもしれませんが、それ以降、少しずつそういう言い方は減るはずです。
ぜひ一度、試してみてください。

◎イヤミな一言には「無邪気に」切り返す
「きみってよく、カメみたいだって言われない?」
こんなふうに、ちょっとイラっと来る皮肉を言われました。
さてこんなとき、どうするのがいちばんでしょうか?

@ 無言のまま、反論しない
A 「人のこと言えるんですか?」
B「どういう意味でしょうか?」

このような「皮肉っぽい悪口」を言ってくる人は多いもの。
さすがにハッキリ言うのは、カドが立つと思っているのでしょう。
そのために「カメみたい」などとあえてボカしてくるわけです。
言われたほうは、「どういう意味だろう。まさか…!?」というように、自分で考えることになります。
これを「自己説得効果」といいます。
自分で考えて答えを出すことで、ハッキリ悪口を言われるより、ずっと強く心に響いてしまうのです。

「どういう意味でしょうか?」が効く ですから、
@の無言のまま、反論しないというのはいちばんよくありません。
その言葉を何度も心の中で反芻することになってしまいます。
だからといって、Aのように売り言葉に買い言葉で反撃するのも、いい答えではありません。
後悔する可能性だってあるでしょう。

正解はBの「どういう意味でしょうか?」。
こう聞かれたら、悪口を言った相手は発言した手前、それを説明しなくてはならなくなります。
何かを分かりやすく説明するというのは、かなり大変なこと。
それだけでも、相手の気勢は削がれます。

さらに当然ですが、説明すると「ハッキリとした悪口」になってしまいます。
それを言う勇気がないからこそボカしているわけで、「いや、もう、いいよ…」と及び腰になるはず。
そして、その後に同じことを繰り返す可能性は少なくなるでしょう。

たまに、「そういう意味だよ」「自分で考えれば?」などと言う人もいますが、その場合はもう一度、「ごめんなさい。だから、分からないので、教えてください」と言えばいいでしょう。
これは、セクハラ発言の場合でも使えます。

「○○くん、最近、夜の調子ってどうなの?」
これに対して、「え、どういう意味ですか?」と聞かれて、ハッキリ言える人はいないでしょう。
相手は「これは、怒っている…!」と気がつくはずです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月09日

「あなたを嫌う人の9倍、あなたを応援する人がいる」精神科医が断言する人間関係の教え

「あなたを嫌う人の9倍、あなたを応援する人がいる」精神科医が断言する人間関係の教え
2020.8.8  ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

好意の1対2対7の法則
人から嫌われたくない人は、多くいることでしょう。
「誰からも嫌われたくないか」と質問したある調査によると、42%が「はい」と答えました。
特に20代女子では嫌われたくない傾向が強く、54.6%にも及んでいます。

その対処法について説明していきましょう。
次の一節を、初めて読んだとき、私はドキッとしました。

「10人の人がいるとしたら、そのうちの1人はどんなことがあってもあなたを批判する。
あなたを嫌ってくるし、こちらもその人のことを好きになれない。
そして10人のうちの2人は、互いに全てを受け入れ合える親友になれる。
残りの7人は、どちらでもない人々だ。 ―」(ユダヤ教の教え、『嫌われる勇気』より)

私の経験でも、SNSのネガティブなコメント1に対して、好意的なコメントは2倍以上あり、そして7割ほどはコメントせずにただ読むだけの「サイレントマジョリティ」であると感じていました。

「嫌い1、好意2、中立7」。
これを「好意の1対2対7の法則」と呼びましょう。
この「サイレントマジョリティ(物言わぬ多数派)」は、積極的な意見は出しませんが、自分をフォローしている人たちです。
だから、明らかに好意です。
「中立」は、「プチ好意派」と考えてよいのです。
すると、あなたを嫌い、批判する人が1人いる場合、あなたを応援している人は9倍もいるわけです。

職場の人間関係に当てはめよう
「好意の1対2対7の法則」は、あなたの周囲にも当てはまると思います。
職場に20人いるとしたら、あなたを嫌う人は2人くらいで、親しい人が4人という数字になるのではないでしょうか。
いろいろな性格や考え方の人がいます。
あなたと気の合う人もいれば、気の合わない人もいる。
それは、当然です。

「全員と気が合う」ということもなければ「全員と気が合わない」ということもありません。
そんな状況の中で、「誰からも嫌われない」とか「全員と仲良くする」というのは不可能です。
あなたを嫌う人の2倍、好意的な人がいるし、まったく嫌っていない人がその7倍もいるのです。

たった1人からの誹謗中傷を受けて、SNSの投稿をやめてしまう人がいます。
しかし、その9倍の人たちが、あなたの投稿を楽しみに待っているとすると、とても残念なことです。
あなたは「嫌いな1割」の人に迎合することを優先し、その他の人を犠牲にするのですか。
それとも、あなたのことを大好きな2割の人を大切にして生きますか。
どちらが幸せに生きられるかは歴然としています。

「1対2対7の法則」をイメージするだけで、「自分には味方がいる!」ということが明確になり、勇気が湧いてくるのです。

「ストレスへの対処法」は不変のスキルだ!
私の臨床経験では、「几帳面でまじめな人ほどうつになりやすい」傾向を感じます。
なぜなら、ストレスの原因を真正面から受け止め、不安になり、悩み続け、リセットできないからです。
悪いストレスをなくしていくことが、「ストレスフリーな人」になるためには重要です。
あなたの「考え方」「受け止め方」を少し変えるだけで、ストレスを受け流せるようになります。それだけで、「不安」や「悩み」の9割は消すことができます。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月14日

クリニック騒動記

昨日 クリニック上りエスカレーターの中段から バランスを崩し転落。
8時 糖尿外来受診前検査のため 尿検査・血液検査をして血圧-身長測定。
普段、高血圧で「降圧剤」を服用しているのですが、その時の数値は 110-51。

何かがおかしいと思いつつ 診察室移動のためエスカレーターへ。
2階から3階は無事通過、3階から4階に移動途中、バランスを崩し 頭と腰を打ち 立ち上がれず、約4時間のストレッチャー生活。

5年前と同じか・・・
5年ほど前、突然意識を失い 倒れるということが 頻繁に起こり クリニック「脳外科」を受診。

2015/11/26のMR検査で
「両側基底核、側脳室周囲、半卵円中心に低吸収が認められ、ラクナ梗塞と慢性虚血性変化と思われます。
左側頭部に 石灰化病変がみとめられます(髄膜腫などの可能性があります)」と読影医の診断。

職場近くの 板橋愛誠病院内科から 川崎幸クリニック「内科」「脳外科」に転院。
月に1度の外来、高血圧剤処方で 突然倒れる症状は治まっていました。

今回のエスカレーター転落の 診断も「ラクナ梗塞と虚血性変化」
5年前と 同じ画像とのこと。

また 突然の意識喪失がはじまるのか・・と不安を口にすると、
「睡眠不足の改善、3度の食事、脱水を防ぐ」熱中症対策と同じで 出る可能性は減るとのこと。

尻。背骨も悪いなりに変化なし
人工股関節は 正常な位置にある。
背骨は、以前の検査と変化なし「背骨の曲がり、椎間板2ケ所の摩滅」「脊柱管狭窄症」
今回の転落での新たな所見なし。
不安になり 整形の先生に「このままにしていて大丈夫ですか??」と聞くと、「まずは大丈夫」とのこと。

ネットワーク情報管理
2015年から 精神科以外は 板橋愛誠病院から幸クリニックに転院しているのですが、
今までの検査記録、外来記録が 瞬時にPC画面に現れることにビックリ。
「泌尿器科」「心臓外科」「脳外科」「皮膚科」「整形外科」「内科」「糖尿内科」「呼吸器科」・・・。

クリニック内での転倒だったので 大事にはいたりませんでしたが、これがショッピングモールだったら どこか他病院救急にまわされ 検査漬けになりかねませんでした。

大人しく寝てなさい!!
意識がハッキリしてくると ストレッチャーに乗り 若き看護師に移動をお願いすることが 無性に恥ずかしくなり、起き上がろうとすると「先生の許可がでるまでは、おとなしく寝ていてください」「私たちは これが仕事ですから 気にしないでください」とピシャリ。

異変があればすぐ来てください
「頭部打撲は 後で内出血する場合があります。吐き気や眩暈を感じたら 躊躇なく来院してください」と、12時過ぎに ストレッチャーから解放されました。

銀行へは 父の七回忌のお布施などの費用を下ろす予定でしたが 延期し タクシーで帰宅。

打撲の傷みが遅れて・・
帰宅後、腕が痛い・腰が痛い・尻が痛いと 打ち身したところの傷みが出ましたが、定期通院の整形外科から貰っていたシップを貼りまくりました。
大げさですが、「痛みも生きている証拠」と感じた昨日でした。

教訓
・普段と違う 検査結果がでたら 慎重に移動する
・かかりつけ医を持つことの 大切さ
・日中の移動は 水分補給をこまめに
・人体の疲労、故障とうまくつきあうこと

今も 行動が慎重になっています。
看護師さんを独占できるとの妄想は 健康だから言えることで、その立場になったら ただただ「ありがとう」
posted by 小だぬき at 04:19 | 神奈川 | Comment(6) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月17日

病院送迎バス・・・

今日は 整形外科の主治医診察。

9時予約なので  余裕を取り 自宅を8時10分に出発、
普段は 約1.5qのクリニックに20分弱で着くのですが、暑さで慎重になったのか 30分かかってしまいました(歩数3210)。

クリニックに入ると エスカレーター側に「事故危険、よろしければエレベーターをお使いください」の張り紙。

ウッ、木曜日の私の転落の影響か・・、受付の女性にそれとなく聞くと「先週 転落事故があり、救急から 安全のためにエレベーターに誘導するようにと要請があった」とのこと・・。
今日は 図々しく「第二、第三の事故防止・注意喚起になったのだ」と居直り エレベーターに。

待合室で クーラーで涼んでいると 多くの待機者の中で 9時ジャストに「小だぬきさーん」。
主治医と対面すると
すぐ「ころんだんだって??」と・・
小「幸い 人工股関節が無事でほっとしました。」
主医「本当ですよ、外れたら即再手術だったんだよ、気をつけてね。痛みはない??」
小「痛みは出ていません(嘘)、臨時でいただいた 塗り薬の予備を頂ければ・・・」
主医「塗り薬でいいんだね。お大事にね」

!5分かけ 終了。

薬局では 「もう無くなりましたか??」
小「いや 次の通院日までの予備をもらいたいと・・」
薬「効きました? 」
小「冷ーっとするだけ 効いている気がします」

何か薬剤師と患者の漫才のような会話をしてしまいました。

川崎駅までの「送迎バス」を待っていると
後から来た人が並ばず 先頭に立ち 定員オーバー。

このこと2台、諦めのいい小だぬきが 黙って待つこと30分。
見かねたのか 案内の職員から「旦那さん、人がよすぎますよ。次は 先頭に立てるよう 私が乗車整理をしますから・・・」

3台めが来たとき 職員の方が「この方が先頭です。後ろに並んでください」と整理してくれて 無事乗車。

世間的には「人が好い」より「とろい」「バカ」になるんでしょうね。

川崎駅で法事の水戸駅までの 特急券が買えればいい程度の思いだったので 我先にの人の迫力に負けたのが原因。

その後、川崎駅地下商店街のクーラーを浴びながらのウィンドーショッピング。
南武線までの暑さに耐える「決意?」ができるまで。
posted by 小だぬき at 16:10 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月18日

ネットで中傷する人が変わるには 依存症専門家が必要と説く「周囲の変化、心のつえ」

匿名の刃〜SNS暴力考
ネットで中傷する人が変わるには 依存症専門家が必要と説く「周囲の変化、心のつえ」
2020年8月17日 毎日新聞
野村房代/統合デジタル取材センター】

 SNS上の誹謗(ひぼう)中傷に加担してしまう人の心理とは、どんなものなのだろうか。
一部には「ネット依存」状態にある人もいるという。
ネット依存の人とその家族の相談に乗っている精神保健福祉士の八木真佐彦さん(56)は、「『罵詈雑言(ばりぞうごん)を書き込むなんてとんでもないやつだ』という視点だけでは、解決しないと思います」と語る。
【野村房代/統合デジタル取材センター】

ネット依存とは 昼夜逆転など日常生活に支障、つながっていないとイライラ、憂鬱  
――専門的見地から、どういう状態を「ネット依存」と判断するのでしょうか。  

◆SNSや(主にSNSで提供され、他のプレーヤーと協力したり競い合ったりする)ソーシャルゲームをするために睡眠時間が削られ、昼夜逆転になるなど学業や仕事といった日常生活に支障をきたしている状態です。
また、ネットにつながっていないとイライラしたり憂鬱になったりして感情の抑制が利きづらくなり、時にはネット上でも感情的なやり取りを繰り返してしまいます。  

――ネット依存の相談者は、どんな人なのでしょうか。  

◆2013年からゲーム依存を含めたネット依存の相談に乗っていますが、相談時間は当事者とその家族を合わせて月80時間を超えます。
 相談に来るのは中高生とその家族が6割ほどで、不登校や引きこもりになってから家族が駆け込んでくるケースが多い。
成人の当事者は2割に満たず、ネット上の課金サービスで借金が膨らむなどした結果、親族が持て余してようやく相談に来る、といったことが多くみられます。

「自己肯定感が低く、つらい現実から逃れる手段がネットしかない」
 ――当事者本人が相談しに来ることは少ないのですね。  

◆その通りです。
なぜかというと、周囲に「助けて」と言いにくい、孤立した環境で過ごしているからです。
ネット依存者には、次のような特徴がよく見られます。
親が高学歴だったり高い地位に就いていたりして、過度なプレッシャーにさらされている
▽モラルハラスメントやドメスティックバイオレンス(DV)が家庭内にあり、安心できる居場所がない
▽感覚過敏など発達障害の特性を周囲に正しく認識されず、常に否定されている――。
つまり、総じて自己肯定感が低く、つらい現実から逃れる手段がネットしかない、ということです。
 また、他の依存症と比べると、IQが高い人が多いと感じます。
偏差値70以上の高校に合格したのに親族に『バカ』などと言われ、褒められたことがない、という女の子もいました。
日本では、知的な遅れに対しての特別支援学級などはありますが、知能が高すぎる人への支援はほとんどない。
知能が高すぎることもまた、集団になじめず孤立する原因となります。
知能は高いけれども視野が狭かったり、人にだまされやすかったり、ということは珍しくありません。
ゲーム依存とネット依存の本質は同じ  

――ゲーム依存とネット依存の双方の相談に乗っているのはなぜですか?  

◆それは両者の本質が同じものだからです。
ゲームで勝って評価されることと、SNSでたくさんの『いいね!』をもらうことは、どちらも承認欲求を満たすものです。
またソーシャルゲームは、他者とのつながりを求めてやっている人が多いという点で、SNSと共通しています。
つまり、いずれも現実社会に安心できる居場所がない、肯定してもらえない人が、それらを求めて依存を深めているとみることができます。
 それなのに、ゲーム依存がメディアで近年よく取り上げられるのに対し、SNSなどのネット依存は注目度が低く、顕在化しにくいのが現状です。
ゲーム依存は扱っていても、ネット依存は対象にしていない医療者や相談機関が多い。
両者を分断することなく、統一的に対処法を考えるべきだと思います。

「誹謗中傷は同時に自分も傷つける。一方的に悪いというのは逆効果」  
――現実社会で生きづらく、ネットに居場所を求めているはずの人が、他者を傷つけるようなことを書き込んでしまうのはなぜなのでしょうか。  

◆誹謗中傷を書き込むことは同時に自分も傷つける行為なので、ある意味でリストカットと同じことなんです。
死にたい思いや自暴自棄になる気持ちを抱えていて、中傷を書き込むことでそうした思いが緩和され、精神の安定を保っている人もいます。
 攻撃する多数派に回り、「いいね」をもらうことで自己肯定感を感じることもあるでしょう。
ですから一方的にSNSが悪い、ゲームが悪いと言って、それらを取り上げるのは逆効果なんです。
必要なのは、ネット以外にも「心のつえ」を見つける「置換スキル」です。  

――具体的にどんな方法でしょうか。  

◆例えば、ジェットコースターに乗ったりラフティングを体験したりするといった、物理的な刺激を感じること。
大声を出したりドラムをたたいたり、やったことのない料理をしたりすることもその一つです。
ストレスとなる家庭や学校、会社とは関係のない場所に居場所を作り、人生を楽しむ複数の方法を見つけ出せると良いでしょう。

「環境を変えるだけで改善されることもある」  
――家族や周囲の人はどのように接すればいいのでしょうか。

◆家族を含めた環境を、安心して弱音を吐ける雰囲気に変えることが重要です。
時には本人に直接関わらなくても、環境を変えるだけで改善されることもあるくらいです。
アディクション(依存)の反対はコネクション(つながり)。
現実世界につながりが感じられないから、SNSやゲームの評価に過剰に依存する。自他ともに完璧を求めず、責めずに受け止めてくれる温かな環境づくりが大事なのです。

やぎ・まさひこ  1963年、神奈川県生まれ。
東北福祉大卒業。社会福祉士・精神保健福祉士。
2004年から法務省東京保護観察所で社会復帰調整官として約9年間、医療観察対象となった患者の支援に携わる。
13年からネット依存問題に取り組み、現在は「周愛荒川メンタルクリニック」(東京都荒川区)で当事者と家族の相談に乗っている。
共著に「ゲーム依存からわが子を守る本」(大和出版)。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

思い出した時は アウト!!

小だぬきは 最近 小さな字が読みにくい。
先週12日、うつ病発症以来 外していて 引っ越しのどさくさで紛失した 眼鏡の再購入を決意して眼鏡店へ。

もともと 視力というより「乱視」を重視した眼鏡だったので 10数年 視力的には困らないまま放置していました。
もっとも「鬱病」って 気力がわかず集中して何かに取り組むことが困難なので 目が疲れたら寝るではなく 起きられたら見る状態が長かったのです。

最近 やたらと小さい字が見えず 百均の老眼鏡でみていたのですが いつの間にか プラス0・5からブラス4・5に。
身体の最後の防衛ラインの目まで 悪くし失明でもしたら 年金=医療費・介護費になりかねない。

眼鏡店で約1時間の検査の上 購入。

検査結果の比較は 以前裸眼0・7→0・2
                          矯正視力1・2→0・7   
             乱視はより進行。

もう「温泉療法」で使い 無くなっているハズの「定額給付金」にブラスした値段でとの 変な計算で契約。
もういちど、支給があると きちんと計算が成立するので 安倍さん おねがい・・。

予想外の悲劇

22日引き渡しの「引き渡し書と領収書・検査票」が ウッカリミスで 白紙ボロボロに。
晴れの日、何を血迷ったのか バックを洗濯、おまけに陽にあて乾かしてしまってのです。

取り込んでから ふと あの書類はどうしたっけ?? と思い出した時、バックポケットにゴワゴワした紙発見。
慎重に剥がしていっても 白紙また白紙。
変わり果てた姿の 書類。 
洗濯の上 陽にあてたのですから インクと感光紙は踏ん張りきれず。

教訓
・何か急に普段と違うやる気が出た時こそ 慎重さを・・。
・いつ このような場合があるかもしれないので 全額前払いではなく 引き渡し払いにするのが賢明。
・出入りの店は 変えない。値段より 信頼。

 眼鏡屋さん 引渡し書がなくても 引き渡してね。
posted by 小だぬき at 17:08 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月19日

ゆるりと生きる

香山リカのココロの万華鏡
ゆるりと生きる
2020年8月4日 毎日新聞 東京地方版

 難病にかかった人が医師に安楽死を依頼したとされる事件、そして有名な俳優が自ら命を絶つ事件と大変なニュースが続き、診察室で「生きる意味について考えてしまった」という話を相次いで聞いた。
「私は病気で仕事もできないし、世の中に役に立つこともできません。
こんな私の人生に価値なんてあるんでしょうか」
「ご自分の人生にまじめに取り組んでるんですね」などと言葉をはさみながら、まずはその人の話をじっくり聞く。

そういうときに決まって思い出すことがある。
 それは、漫画家・水木しげるさんの妻である武良布枝さんが書いたエッセー集「ゲゲゲの女房」のことだ。
この本を原作とするテレビドラマも大ヒットしたから、名前を聞いたことがある人も多いだろう。
 私が診察室で思い出すのは、本の内容のことではなく、表紙の下に巻かれる「帯」に書かれていた、水木さんの言葉だ。

そこにはこうある。  
<家内は、「生まれてきたから生きている」というような人間です。
それはそれでスゴイことだと水木サンは思う。>
 それ以上の説明はないので、この言葉の正確な意味はわからない。
おそらくは、妻のおおらかさやこだわりのなさを、夫なりにほめたのだろう。

 「生まれてきたから生きている」とは、それにしても強烈な言葉だ。
「なぜ生まれてきたんだろう」とか「私の人生にはどういう価値があるんだろう」などとあまり考えることなく、とにかく目の前の生活に一生懸命に取り組む。
先のことを心配しすぎずに、日々の楽しみを大切にする。

「ゲゲゲの女房」にはたしかに武良さんのそんなひたむきさや、くよくよしない一面が描かれており、だからこそテレビドラマも多くの人の共感を呼んだのだろう。

 もちろん、「生まれたからには人の役に立てる、意味のある人生を送りたい」と思う気持ちは大切で、そこから夢や目標も
生まれてくる。
 しかし、人生は思い通りにはいかない。いろいろなアクシデントもつきものだ。
そんな壁にぶち当たったときは、「生まれてきたから生きている、でいいじゃない」とつぶやいてみるのはどうだろう。

実は、私もときどきこの言葉をおまじないのように唱えている。
 たいていは一生懸命。
でもときには「これでいいじゃない」と、思い詰めるのをやめる。
そんなゆるりとした生き方はどうだろう。
             (精神科医)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月26日

「たいしたことない」

香山リカのココロの万華鏡
「たいしたことない」
2020年8月25日 毎日新聞都区内版

 総理大臣が検査のために病院を受診したことが、テレビや新聞で大きく報道されていた。
検査を受けるだけでニュースになってしまうのだから、地位のある人はたいへんだ。
 「その点、あなたは自分が医者だから、何かあったらつとめ先の病院で診てもらえていいね」と言われることがある。
でも、私は自分がいる病院にはなるべくかからないようにしている。
たとえばおなかが痛くて同僚の医者に診てもらったとしても、つい「たいしたことはないのですが」と平気なふりをしてしまうからだ。

 先日、じんましんが出て皮膚科を受診した。あえてまったく知らない病院に行った。
待合室では大勢の患者さんが診察を待っており、私を含めて座れない人もいた。
看護師さんがときどき待合室に来て、立っている人には「だいじょうぶですか」と声をかけていた。
私は、条件反射のように「平気です」と笑顔で答えた。

 しばらくして順番が来て、診察室に呼び入れられた。
自分よりずっと若いドクターに「どうしましたか」ときかれると、ここでもつい「それほどたいしたことではないのですが」と言ってしまった。
同業者の前では弱音を吐きたくない、というのが身にしみついてしまっているのかもしれない。
 その医師は「じんましんとはたいへんでしたね」と必要な薬などを出してくれたからよかったが、「たいしたことないなら治療もいらないですね」となったら、何のために受診したかもわからない。

 私の場合、「たいしたことない」は強がりから来ているが、まわりの人に心配をかけたくないと思って、「たいしたことない」と言ってしまう人もいるのではないか。
そういえば私のマンションの管理人さんも、「忙しそうですね」「疲れるでしょう」と何をきいても「いえ、たいしたことは……」と答える。
 「たいしたことない」は、強がりだけではなくて、気づかいや思いやりの言葉でもあるのだ。だからこそ、相手からその言葉を聞いたら、「それはよかった」と言う前に、「本当ですか? 無理はいけませんよ」と声をかけることにしたい。

 そして、自分でもつらいことがあるのに「たいしたことない」を連発するのはやめて、正直に「疲れた」「実はしんどくて」と言うようにできたらもっといい、と思う。
私も自分が受診するときは、今度こそ「先生、体調が悪いんです」と正直に話せるようにしたいものだ。
             (精神科医)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月01日

お金が逃げる!「超貧乏体質な人」の特徴

お金が逃げる!「超貧乏体質な人」の特徴
2020.8.31   All About

自己評価の低さと否定的思考が「超貧乏体質」を招く!
貧乏体質の三大原則は、「罪悪感」「争うこと」「我慢をすること」――。
この3つに加え、さらに輪をかけた貧乏体質の持ち主がいるのだといいます。
それが、「超貧乏体質」。
いったい何が違うのでしょうか。
心理カウンセラーの石原加受子さんにレクチャーしていただきました。

「超貧乏体質に共通しているのは、自己評価が低く、否定的な思考をしがちなこと。
罪悪感の強さと自己評価の低さが混ざり合って“私は幸せになってはいけない。どうせ幸せになれない”と考えてしまうのです」(石原さん)

例えば、衝動買いがやめられず、借金を重ねてしまう人もこれに当たります。
「店の人からちやほやされることで、“認められた”“愛された”と錯覚してしまうのです」
しかし、寂しさや不安が解消されるのもつかの間。その後は、「私って何て意志が弱いのだろう」と自分の愚かさを責めて自己嫌悪。
自己評価はますます下がり、無意識に「私は幸せになる資格がない、お金持ちになる資格がない」と思い込んで自分を愛することができなくなってしまいます。

人から親切にしてもらったとき「ありがとう」よりも「すみません」が先に出る人も、超貧乏体質の要素アリ。
「人から恩を受けたり、お金を借りた時に、それに見合うものを返せる能力がないと自分を低く見積もっているため、つい“すみません”と言ってしまうのです。
卑屈な気持ちの表れともいえるでしょう。
お金からも、自分からも目を逸らしているからチャンスもめぐってこないのです」

さらに、貸したお金を「返して」と言えない人も危険信号です。
お金を請求することは、自分を愛する行為であり、財運指数をアップさせます。
お金を貸したらきちんと返してもらうことで、あなたの善意は完了するのです。

マイナス思考に支配されているとこんな弊害が……
いつも不平不満でいっぱい。
置かれた状況に文句を言ってばかりで、周りに感謝できない否定的な思考の持ち主。
できれば近寄りたくない人物ですが、こういう人は当然お金からも愛されません。
その理由を石原さんはこう話します。

「マイナス思考に支配されていると、収入が増えません。
たとえ良いアイデアが浮かんでも、否定的な思考からあれこれと悩み始め、お金を生むような行動に移せない。
いろんな悩みに翻弄され、収入を得るための行動に集中することができないのです」

発する言葉も少しずつ変えていくことが大切。
例えば「ここを辞めたらもう自分を雇ってくれるところはない」とか「どうせまたダメだろう」など、自分の価値を下げるような言葉ばかりを発していると、“私は価値のない人間”と自分自身にインプットし続けているようなものです。
物事を頭から否定してばかりいると、視野も狭まり、頭も固くなります。
そうした状況では、なかなかアイデアも浮かびません。

マイナス思考や否定がすべて悪いわけではありませんが、それをどうプラスに転じるかを考える視点を持つことが大切。
やるべき目標に集中することで、お金を稼ぐ力がついていくでしょう。

幸せなお金持ちになるための「5つの魔法の言葉」
貧乏体質・超貧乏体質を脱するためには、自分の心のスイッチを切り替える必要があります。
そのための「魔法の言葉」を石原さんが伝授!
声に出して体に響かせながら唱えることで、願いをかなえる意識状態を作り出すといいます。
毎日の習慣にぜひトライしてみましょう。

・私はお金持ちになる価値のある人間だ
・自分を愛する人はお金に愛される
・私が豊富な資産を得るのに罪悪感はいらない
・私が潤沢な財産を所有するかどうかは私に決定権がある
・私が「自分を優先」できれば、比例してどんどん財力もアップする

教えてくれたのは……
石原 加受子(いしはら かずこ)さん 心理カウンセラー。
「自分中心心理学」を提唱する心理相談研究所「オールイズワン」代表。
心理学校メンタルヘルス学会会員、厚生労働省認定「健康生きがいづくり」アドバイザー。
独自の心理学で性格や対人関係、親子関係などの改善を目指すセミナー、カウンセリングを28年以上続け、老若男女にアドバイスを行う。


取材・文:西尾英子 文:あるじゃん 編集部
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月03日

「子供をばい菌扱いするな!」絶叫する子と正義ぶる大人の罪

「子供をばい菌扱いするな!」絶叫する子と正義ぶる大人の罪
9/2(水) 日経ビジネス(河合 薫)

 「日本から出て行け!」「学校をつぶせ!」――。
 8月中旬、100人以上のサッカー部員らが新型コロナウイルスに感染した松江市の私立高校には、学校や生徒らを誹謗(ひぼう)中傷する電話や書き込みが80件を超えた。
「感染した社員をクビにしたのか」「従業員の指導がなってない」――。
 7月下旬、岩手県で初めてのコロナウイルス感染者となった男性が勤める会社には、県内外から100件近い電話やメールが殺到。
インターネット掲示板で社名が取り沙汰されてアクセスが集中し、サーバーが一時ダウンする事態になった。

 「なんでこの時期に東京から来るんですか? さっさと帰って下さい! みんなの迷惑になります」――。
 8月7日、東京から青森市の実家に帰省した男性を中傷するビラが、玄関先に置かれていた。
 男性は8月5日に帰省したが、仕事の関係でPCR検査を2回受けていて、10日前の検査でも陰性だったという。
 耳を疑うような罵詈(ばり)雑言、どんなに「怖いのはウイルスじゃない。人だ」と言われようとも、愚かな言動を繰り返す人々、「感染者を出した! 謝れ!!」という圧力の数々……etc.、etc.  

コロナウイルスの感染拡大が深刻化した3月下旬ごろから問題になっているコロナ感染にまつわるバッシングが、半年たった今も後を絶たない。
国内のコロナウイルスの累計感染者が6万6481人(8月30日時点)にまで増え、誰もが市中感染などで「かかるリスク」があるにもかかわらず、だ。
 「でもね、みんな怖いからでしょ」
「そうそう。専門家によると、こういうのって『感染への不安からだ』って言ってるもんね」  なるほど。

確かにウイルスのように目に見えない恐怖を感じると、私たちは見えている「誰か」を危険な存在だと見なし、排除することで、恐怖から逃れようとする心理を持ち合わせている。
恐怖という感情は「人の生存欲求」と密接につながっているので、恐ろしくなればなるほど利己的で、幼稚で、暴力的な言動が引き出さられてしまうのだ。

 だが、ホントにそれだけなのだろうか?
 「感染への不安から」という至極まっとうな専門家の意見が繰り返されること自体が、人間の愚かさを認めてしまっているのではないか。
「だってみんな怖いもん。仕方がないよ」と。

●風邪すら引けないコロナ禍の生活
 個人的な話になるが、私は仕事がら、「絶対にかかっちゃいけない」というプレッシャーを日々感じている。
なんせ、40度の熱が出ようとも絶対に仕事に穴は開けられない生活から、ちょっとでも具合が悪けりゃ「穴を開けなければならない」生活に180度変わってしまったのだ。

 テレビやラジオなら、たとえ「穴を開ける」ことになってしまっても、ピンチヒッターをお願いできる。
が、講演会やイベントは無理。
予定されていた時間が「空白」になり、イベント自体が飛ぶ。
何人もスタッフが関わり、たくさんのお金が動いているのに、「微熱がある」だけで欠席せざるをえない。
なので、風邪ひとつ引けないし、もし、こんな生活で感染したら、どこで、どうやって感染したのか絶対に分からないくらい、徹底した「感染しないための生活」を続けている。

 だからといって、私は感染した人たちを誹謗中傷しないし、しようとも思わない。
もちろん外出したときに近くで大声でペラペラ話す人や、換気がされていない環境に不安を抱くことはある。
でも、そういう場合は自分が移動する、
あるいは一言「換気してもいいですか?」と言えば済む話だ。

 要するに、恐れることと他人を攻撃することは全く別のお話であり、そもそも誹謗中傷を繰り返す人たちは、「自分は正しいことをやっている」としか思っていないのではないか。
 東京都の職員が防護服に身を包んで、夜の街関連の施設に立ち入り調査をしてるのと、マインド的には近い。
 「あんたたちがそんなことやってるから、感染するんだよ!」と、“正義”の名を借りた中傷合戦に参加し、自分の存在意義を誇示する恍惚(こうこつ)感に浸っているのだ。

 と同時に、心のどこかで「感染し、たたかれる人」を、いい気味だと思っているのではないか。
 このような感情は心理学ではシャーデンフロイデ(ドイツ語)と呼び、「他者の不幸、悲しみ、苦しみ、失敗を見聞きしたときに生じる、喜び、うれしさといった快い感情」と定義される。
 日本語では「欠損のある喜び」「恥知らずの喜び」と呼ばれ、「他人の不幸は蜜の味」的感情である。

 一般に自己愛の強い人ほどシャーデンフロイデが強く、その不幸がさほど深刻ではない場合に沸き立ち、逆に、深刻さが増すと消されていくことが多いとされている。

●「寝ながら泣いてしまう」という子供たち
 ……いずれにせよ、人間の究極の愚かさが正義と快感につながっているとは、実に恐ろしいことだ。
 誹謗中傷と「社会的地位や自己アイデンティティー」を主張したい欲望が、背中合わせという不都合な事実に決して踊らされないよう、「私」たちは常に胸に手を当てて自分の言動を考えてみる必要がありそうである。

 というわけで、かなり前置きが長くなった。
今回はその「人間の愚かさの末路」について、書こうと思う。
 先週、国立成育医療研究センターが2020年6〜7月に実施した「コロナストレス」に関する調査結果を公表した。
 この調査では、子供たちのコロナ禍におけるいじめやスティグマ(否定的ならくいん)に着目して質問を構成。
全国の子供(7〜17歳)と保護者、合わせて6772人が回答している。
 その結果、なんと「子供の72%」に、何らかのストレス反応が認められたというのだ。

 子供たちの気持ちを自由に書いてもらったところ、コロナのことを考えると寝ながら少し泣いてしまう(小学低学年男児)死にたくなる(小学高学年女児)コロナのことを考えたりニュースで見たりするとなんとなくイライラする(中学女児)  など、かなり深刻な状態に追い詰められている子供がいることが分かった。
 また、「こどものことを決めるとき、おとなたちはこどもの気持ちや考えをよく聞いていると思いますか?」という問いに対して、小学校低学年の15%、小学校高学年の25%、中高生の42%が、「あまりそう思わない」または「全くそう思わない」と回答。

飲み屋さんとかで大人たちが騒いでいるのを見ると、私たちが普段学校とかでしている対策は何なんだろうなと思う(中学女児)
「子供がずっと家にいるのがストレス」って言うけど子供も同じだし、自分の存在を否定されるのはつらい(中学女児) 子どもをバイ菌あつかいしないでほしい(中学女児)大人はおさけをのみにいけるのに、こどもがあつまってあそぶのはダメなのはなんで?(小学低学年男児)
子どもがかわいそうだから……とか大人はよく言うけど実際思ってないくせに……と思う(小学中学年女児)  etc.etc.…・、かなり辛辣である。

●子供に影響を与える大人の言動
 さらに、注目すべきはスティグマに関する結果だ。
ご覧の通り、32%の子供は「もし自分や家族がコロナになったら、そのことは秘密にしたい」と回答し、また40%の子供が「コロナになった人とは、コロナが治っても、あまり一緒には遊びたくない人が多いだろう(付き合うのをためらう人が多いだろう)」と答えた。
 一方、保護者では、29%が「もし自分や家族がコロナになったら、そのことは秘密にしたい」、73%が「もし自分や家族がコロナになったら、そのことは秘密にしたいと思う人が多いだろう」、7%が「コロナになった人とは、コロナが治っても付き合うのをためらう(あまり一緒には遊びたくない)」と回答した。

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00089/?SS=imgview&FD=-1298512866 出所/国立成育医療研究センター「コロナストレス」に関する調査  

さて、この結果をどう捉えるか?
 私は「大人たちの言動が子供に影響を強く与えている」と解釈している。

 3年前にいじめられていた福島県の子供の「手記」を思い出してほしい。
少年は福島から横浜市内に自主避難してきたことから、壮絶ないじめに遭った。
 転校した直後からいじめは始まり、名前に「菌」を付けて呼ばれ、鬼ごっこの鬼ばかりさせられた。
 そして、両親が公開した手記にはこうつづられていたのだ。
 「いままでなんかいも死のうとおもった。でもしんさいでいっぱい死んだから、つらいけどぼくはいきるときめた」
 「みんなきらいだ、むかつく、学校も先生も大きらいだ」  
「教室のすみ、防火扉にちかく、体育館のうら、『人目が気にならないところに持ってこい。
賠償金あるんだろう』と言われた」

 何度読んでも胸がつまる。
生き抜いてくれたとことに頭が下がる思いだ。
賠償金? いったいなぜ、子供たちの間で「賠償金」なんてことがいじめにつながったのか?  答えは実にシンプル。
大人が言っているからだ。
いじめは子供世界だけのお話ではない。
 いつの時代も、子供の世界は大人社会の縮図だ。

 子供は大人が考える以上に、大人たちの言動を観察し、まねる。
 母親が「先生の悪口」ばかり言う家庭の子どもは、先生をバカにする。
母親が「○○さんの奥さんって、△△なのよ〜」と愚痴り、それを聞いていた父親が「○○さんのところは、××だからな」とバカにするやりとりを見ていた子供は、両親と同じように○○君をバカにする。

●なぜ子供たちが感染を秘密にしたいのか
 大人たちは子供のいじめが発覚する度に、学校や先生の対応ばかりを批判するけど、学校にいる大人も、家庭にいる大人も、テレビの中の大人も、みんなみんな子供たちの“お手本”なのだ。
 件の調査で明かされた子供たちの「声」からも、子供は大人が考える以上に、「大人たちの言動」に敏感なことが分かるであろう。
ちょっとでも具合が悪いと、「コロナだ!」と騒ぎ立てられ、親が医療従事者というだけで、いじめの対象になる。
そういった言動は「見ている」傍観者の子供たちにもストレスになる。
 これが大人たちが繰り広げる誹謗中傷の末路だ。

 専門家は必ず言う、「子供の不安に寄り添ってください」と。
 テレビのコメンテーターたちは必ず言う、「いじめは許されない」と。
 全くその通りだし、そういった見解に異論は1ミリもない。
 でも、その前に「私」の言動をもっと見つめ直してほしい。
なぜ、子供の32%が「コロナに感染したら秘密にしたい」と回答したのか? 
なぜ、秘密にしなければいけないのか?

 繰り返すが、コロナ感染を恐れることと他人を攻撃することは全く別。
「自分は正しいことをやっている」って!?
 そんなもんは“正義”の名を借りた刃(やいば)でしかない。
これ以上、子供のいじめに加担しないでほしい。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月04日

睡眠の「質」を今日から上げる3つの方法

睡眠の「質」を今日から上げる3つの方法
2020.9.3 ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。
ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。

いますぐ睡眠の質を改善したい!
睡眠の質を改善する「睡眠に良い習慣」を紹介しましょう。

(1)「正しい入浴」をする
スタンフォード大学の西野精治教授は、「入浴こそがぐっすり眠るための最も重要な方法だ」と結論を出しています。
「寝る前90分までに入浴を終えること」をすすめています。
深い睡眠に入るためには、「体の深部体温が下がること」が必須です。
風呂から上がると体温が徐々に低下し、90分経つと深部体温が下がった状態となり、成長ホルモンもたっぷり分泌されます。 また、「入浴の水温は40度、湯船に入る時間は15分」が目安です。
それ以上の熱い風呂に入りたい人は、寝る2時間以上前に風呂から上がるようにしてください。

(2)日中に体を動かす
オレゴン州立大学の研究によると、1週間に150分の運動を行うことにより、睡眠の質が65%改善、
日中の眠気が65%減少、日中の疲労感や集中力が45%も改善しました。
1日20分程度の運動(早歩きも可)で睡眠の質が劇的に改善するのです。
「45〜60分以上の中強度の運動を週2回以上行う」と、さらに効果的です。

(3)照明と室温を整える
パソコンやスマホが発する「ブルーライト」は睡眠の大敵です。
また、蛍光灯もブルーライトを発します。
白熱電球またはLED電球の「電球色」に変えましょう。
寝るときは、「真っ暗」な環境で眠ると、最も睡眠の質がよくなります。
豆電球をつけて寝るのも避けましょう。
薄いカーテンも外の光が入るのでNGです。
わずかな光でも、睡眠物質のメラトニンを抑制してしまいます。

また、「室温」もかなり重要です。
快適に眠るための室温は、夏は25〜26度、冬は18〜19度といいます。
「18〜19度」はやや肌寒い温度ですが、深い睡眠に入るためには「深部体温が下がる」ことが必須です。
室温は低めのほうが睡眠の質がよくなります。
風邪を引かない程度に、涼しい環境で眠ってください。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月05日

「あれがやめられない」と悩む人を救う対処法

「あれがやめられない」と悩む人を救う対処法
2020/09/04 東洋経済オンライン
ニール・イヤール : 作家、ビジネスコンサルタント

衝動を抑え込むのではなく
シアトルにあるフレッドハッチンソンがん研究所の心理学者ジョナサン・ブリッカーは、行動を変えるとがんになるリスクが下がることを証明してきた。
「ほとんどの人は、がんを行動の問題とは考えていないが、禁煙や減量、定期的な運動のように、がんになるリスクを減らし、長く質のよい人生を送るためにできることは必ずある」とブリッカーは書いている。

ブリッカーのアプローチの1つに、想像力を鍛えて物事を別の角度から見る、というものがある。
認知行動療法(ACT)の一環としてある技法を学べば、有害な行動につながりがちな不快感や不満が和らぐことを明らかにした。
ブリッカーは禁煙に焦点を絞って、インターネットでACTを提供するアプリを開発した。
主な利用対象は禁煙を目指す人々だが、このプログラムの原理によってさまざまな衝動を効果的に抑えられることが、証明されてきた。

このセラピーのカギになるのは、自分が何を渇望しているかを認識して受け入れ、その渇望を健康的に処理することだ。
ACTでは、衝動を抑え込むのではなく、一歩離れて、衝動の原因に気づき、観察し、最終的にそれが自然に消えることを目指す。
しかし、なぜ衝動と真っ向から戦わないのか。
なぜ、「ノー」と言うだけではだめなのだろうか。

ロシアの文豪ドストエフスキーは1863年に、「シロクマのことを考えないという難題を自分に課せば、シロクマが絶えず頭に浮かんでくるだろう」と書いた。
その124年後、社会心理学者ダニエル・ウェグナーは、ドストエフスキーの主張が正しいかどうか実験した。
被験者は、5分間シロクマのことを考えないように、と指示された。
すると彼らは平均で1分間に1回、シロクマのことを考えた。
まさにドストエフスキーが予言したとおりだ。

しかし、ウェグナーの実験はそれだけでは終わらなかった。
同じグループの被験者と最初の実験には参加していない別のグループに、今度はシロクマのことを思い浮かべるよう指示すると、後者より前者のほうが、シロクマのことを思い浮かべる回数がずっと多かった。
「この結果は、最初の5分間に考えないようにしたせいで、心の中でリバウンドが起きて、より頻繁に考えるようになったことを示している」と、ウェグナーはモニター・オン・サイコロジー誌の論文に書き、のちにこの傾向を「皮肉過程理論」と名づけ、何かを考えないようにするのが難しい理由を説明した。

この理論が「皮肉」と呼ばれるのは、欲求をいったん抑制し、のちにそれを解くことで、その欲求がより多くの報酬をもたらすようになり、習慣化するからだ。
欲求を抑え込み、反すうし、結局は屈する、というサイクルを繰り返すと、そのサイクルは永続的なものになる。

望ましくない習慣の多くは、このサイクルに駆り立てられている。

タバコへの渇望の意外な要因
例えば、喫煙者の多くは、タバコへの渇望をもたらしているのはニコチンだと考えている。
間違いではないが、まったく正しいわけでもない。
ニコチンは神経を刺激し、多幸感をもたらすが、客室乗務員を被験者とする実験により、タバコへの渇望は、かつて考えられていたほどにはニコチンとは関係のないことが明らかになった。

この実験では、タバコを吸う客室乗務員の2つのグループを、イスラエルから別々の旅客機で送り出した。
一方のグループは、3時間のフライトでヨーロッパへ、
もう一方のグループは10時間のフライトでニューヨークへ向かった。
もちろん、客室乗務員がフライト中にタバコを吸うことは禁止されている

両グループは、フライトの前と途中と後で、タバコへの渇望の度合いを点数で記録するように指示された。
もし、ニコチンが脳に及ぼす影響だけが原因なら、どちらのグループも、最後にタバコを吸ってから同じ時間が経つとタバコを吸いたくなり、時間が経てば経つほど、彼らの脳はニコチンを科学的に渇望するようになるはずだ。
だが、事実は違った。

ヨーロッパに向かった客室乗務員たちは、ヨーロッパに到着したときに、タバコへの渇望がピークに達していた。
一方、ニューヨークへ向かった旅客機は、その時間にはまだ大西洋上にあり、客室乗務員たちが報告した渇望の度合いは弱かった。
なぜそんな差が出たのだろうか。

ニューヨーク行きの便に乗っていた客室乗務員のタバコへの渇望が最も強かったのは、目的地が近づいたときだった。
飛行時間と最後に喫煙してからの時間は、渇望の程度には影響しなかった。
実は、渇望に影響したのは、最後に喫煙してからの時間ではなく、次に喫煙できるまでの時間だった。
もし、この研究が示すとおり、ニコチンのように中毒性があるものへの渇望をコントロールできるのなら、ほかの不健康な欲求も、脳をだますことでコントロールできるのではないだろうか。

ありがたいことに、そのとおりなのだ。

◎注意散漫の欲求をいなすための4つのステップ
ある種の欲求は、その対象についての考え方を変えることで、完全に鎮めることはできなくても、和らげることができる。
頭に浮かぶ感情や考えをコントロールすることはできないが、それに対してとる行動はコントロールできる。

ブリッカーが行った、ACTを利用する禁煙プログラムの研究が示唆するのは、私たちは渇望を抑え込む方法ではなく、うまく対処する方法を学ばなければならない、ということだ。
それは、スマホを頻繁にチェックしたり、ジャンクフードを食べたり、買い物をしすぎたりといった衝動についても言える。

衝動と戦わずにどう対処したらいいか
衝動と戦うのではなく、頭に侵入してくる思考に、より効果的な方法で対処する方法がある。
次に挙げる4つのステップはその助けになるだろう。

【ステップ1】
注意散漫になる前に現れる不快な感情(内部誘因)を探し、注目する
執筆中の私をしばしば妨害するのは、何かをグーグルで検索したいという衝動だ。
それが難しい仕事から逃れるための口実であることを、私はよくわかっている。
ブリッカーが勧めるのは、不安、渇望、落ち着かない気分、無力感といった、注意散漫の前に現れる不快な感情に注意を払うことだ。

【ステップ2】
内部誘因を書きだす
ブリッカーは、その不快な感情、すなわち、内部誘因を書きだすことを勧める。
その後あなたが誘因に屈したかどうかは関係ない。
注意散漫につながる不快な感情に気づいたらすぐ、そのときに自分が何をしていたか、どう感じたかを紙に書きだす。

自分に語り聞かせるように
ブリッカーによると、人は、外部誘因には気づきやすいが、「重要な内部誘因に気づけるようになるには、いくらかの時間と努力を要する」。
ブリッカーは、その衝動について客観的に語ることを勧める。
例えば、「緊張を感じた。私はアイフォーンに手を伸ばそうとしている」というように、第三者であるかのように、自分に語り聞かせるのがコツだ。
そうした行動に気づけるようになれば、やがてそれをコントロールできるようになる。
「不安は消え、その感情は弱くなるか、ほかの感情に取って代わられる」とブリッカーは記している。

【ステップ3】
自分の感覚を調べる
ブリッカーは次に、その感覚を掘り下げることを勧める。
例えば、注意散漫の前に指がぴくぴく動くとか、子どもといるときに仕事について考えると胸がざわつくといった感覚の高まりや鎮静をどのように感じるか。
ブリッカーは、衝動に突き動かされる前に、その感覚をしっかり受け止めることを勧める。

この手法の効果は、禁煙に関する研究で実証されている。
自分の渇望に気づき、それを掘り下げることを学んだ被験者が禁煙に成功する確率は、アメリカ肺協会の最も成功した禁煙プログラムの2倍だった。
ブリッカーがとくに気に入っているのは、「小川を流れる葉」という手法だ。

本来望まないことをやろうと誘惑する不快な何かを感じたときは、「静かに流れる小川のほとりにあなたが座っていて、目の前を何枚もの木の葉が流れている光景を思い描こう。
心の中にある考えの1つひとつを、1枚1枚の葉に載せなさい。
それは思い出かもしれないし、言葉か、心配事か、イメージかもしれない。
そうしたら、葉の1枚1枚が流れに乗ってくるくると回りながら遠ざかっていくのを、座ったまま、じっと見届けよう」。

【ステップ4】
境界の瞬間に注意を向ける
境界の瞬間とは、1つの行動から別の行動へと移る「ちょっとの間」のことだ。
車の運転中、信号が変わるのを待つ「ちょっとの間」、スマホを手にとり、信号が青になった後も、運転しながらまだスマホを見ていたという経験はないだろうか。
あるいは、タブレットでブラウザを開いたものの、読み込みの遅さにいらついて、「ちょっとの間」だけと、ほかのサイトを開いたことはないだろうか。

注意散漫のわなを避ける「10分間ルール」
この注意散漫のわなを避けるには、「10分間ルール」が効果的だ。
私はほかにすべきことを思いつかなくて、気を紛らわせるためにスマホのメールをチェックしたくなると、「それは悪いことではないが、今はそのときではない」と自分に言い聞かせる。
そして何もしないで、10分過ぎるのを待つ。
この方法は、執筆の手を止めて検索するとか、退屈なときにジャンクフードを食べるとか、「疲れすぎて眠れない」ときにネットフリックスの番組の続きを見るといった、あらゆる注意散漫を防ぐ助けになる。

このルールによって、行動心理学者が「衝動サーフィン」と呼ぶ手法を実行する時間が得られる。
衝動を感じたら、それに注意を向け、追い払ったり、従ったりするのではなく、サーフィンをするようにその波を乗りこなし、衝動が鎮まるのを待つ。
衝動サーフィンや、衝動に注意を向けるほかの方法によって、喫煙者が吸うタバコの本数を減らせることが対照実験で立証されている。

10分間、衝動サーフィンをしたのちに、まだその行動をしたいのであれば、してもよいが、そうなることはめったにない。
境界の瞬間は過ぎ、私たちは本当にやりたかったことに取り組める。
衝動サーフィンや、小川を流れる葉に渇望を乗せる方法は、メンタルスキルを高めるための訓練であり、注意散漫を避ける助けになる。
これらの方法は私たちの心を修復し、何かに反応するのではなく掘り下げることで、内部誘因から逃れられるようにする。

ガーディアン紙の記者、オリバー・バークマンが記事に書いたように、「興味深いことに、否定的な感情に穏やかに注意を向けると、それらは消え、肯定的な感情が育っていく
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月06日

猛烈台風・豪雨にどう備えるか、ハザードマップでは見えないリスクの正体

猛烈台風・豪雨にどう備えるか、ハザードマップでは見えないリスクの正体
2020.9.5 ダイヤモンドオンライン
山村武彦:防災システム研究所所長

例年、巨大台風が列島を襲い、甚大な被害が出ている。
また、“特別警報級”の勢力になるといわれている台風10号が九州・沖縄地方に接近している。
自然の脅威を前に、どのような対策を講じるべきなのだろうか。
自宅でチェックしておくべきポイントやコロナ禍も踏まえた避難の原則について、防災システム研究所・山村武彦所長が解説する。
(聞き手・構成/ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

まずはハザードマップで 正しくリスクを確認
 この10年間を振り返ると、毎年大雨が降り、各地で災害が起こっています。
異常気象だといわれますが、今や“異常気象が常態化”しているような状況です。
 では、そうした災害のリスクに対してどのような備えを講じておくべきでしょうか。

 まず一つは、ハザードマップで自分が住んでいる地域の危険性を把握しておくことです。
その際、「2015年以降に作られたハザードマップかどうか」を確かめることがポイントです。
 15年5月に、水防法が改正されました。
法改正以前の洪水ハザードマップは、100〜200年に一度程度の雨を基準にしていました。
しかし15年以降、各自治体は洪水浸水ハザードマップを大幅に改定。
1000年に一度レベルの雨、つまり、想定し得る最大規模の豪雨を基準に策定されることになったのです。
 これによって、以前は「浸水の恐れなし」とか「浸水してもせいぜい50センチ程度」だといわれていたところが、場所によっては3メートルになっているなど、浸水想定区域が大きく変わっています。

昔のハザードマップを見て、うちは大丈夫と思っていてはダメ。
市区町村が出している新しいハザードマップを見て、自分の家がある場所が安全かどうかをまず確認することが重要です。  

また、ハザードマップの見方には、2つのポイントがあります。

1つは、「家屋損壊等氾濫想定区域」にあるかどうかということ。
この区域は、河川の氾濫が起こったときに家屋が流される可能性がある場所を指しています。
つまり、この区域に住んでいる人は、大雨で洪水警報が出たらただちに避難しなくてはなりません。

もう1つは、浸水の深さと浸水継続時間です。
浸水継続時間とは、浸水深が50センチ以上となってから50センチ未満に水が引くまでにかかる時間のことを指します。
場所によっては7日ほどになるところもあります。
自分の家が浸水しなくても、周辺地域一帯が孤立してしまうリスクもあるのです。
 まずはそうしたリスクを、ハザードマップで調べてみることが重要です。
自分の地域のハザードマップが手元になければ、国土交通省のハザードマップポータルサイトを見てみましょう。

ハザードマップでは見えない 「逆流浸水」の危険性
 しかしながら、ハザードマップでは分からない浸水の危険もあります。
 昨年10月に東日本に甚大な被害をもたらした令和元年東日本台風(台風第19号)により、タワーマンションが浸水したという報道を覚えている方も多いでしょう。
私はその現場である武蔵小杉駅周辺に行ってみたのですが、通常であれば浸水するような場所ではありませんでした。
では、なぜ浸水してしまったのか。

 多摩川の水が排水管から逆流してきて、町中で噴出していたのです。
これが、「逆流浸水」です。
 逆流浸水が起こり得る場所は、ハザードマップでは分からないのですが、一つ言えるのは、周辺の土地に比べて低い場所が危ないということです。
海抜が高くても、周りと比べて低いところは要注意。

また、川のそばもこうした現象が起こる可能性があります。
 逆流浸水への対策としては、土のう袋や水のう袋を用意しておくのが有効です。
ごみ袋を二重にしたところに水を10リットルほど入れて、ある程度空気が抜けるようにした上でしっかりと口を結べば、各家庭でも簡単に水のう袋を作ることができます。
これを、お風呂場やトイレなどの排水溝の上に置いておきましょう。

コロナ禍での避難 チェックすべきポイントは?
 洪水の危険性がある場合の避難の原則は2つ。

1つは、早めに「水平避難」をすること。
外が明るく、冠水していないうちに、浸水の可能性がある危険な場所から避難しましょう。
一方で、避難しようと思ったら道路が冠水していて危険である場合には「垂直避難」。
自宅の2階など、高いところに避難することです。

 もっとも、ハザードマップや最新の情報などを確認し、自宅が安全な場所にある場合は自宅にとどまる「在宅避難」が大原則です。
 避難に関しては、今年は新型コロナウイルスの感染対策も大きな課題の1つです。
感染リスクを低下させるためには、指定避難所に行くという選択肢だけでなく、「分散避難」を考えてみましょう。

 分散避難とは、近くの安全な場所にある親戚や友人の住まいに避難することです。
あるいは、明るいうちに大雨になる前であれば「車中避難」をして、車で安全な場所に移動することを考えてもよいでしょう。
 また、政府からの通知により、コロナの状況に対応するために自治体は避難所を増やしています。

 今までの避難所は、1人当たりの専有面積がせいぜい1.2〜2平方メートルくらいだったのですが、コロナ対策の観点からいうと4平方メートル以上はないと3密抑制にはなりません。
必要な距離を保とうとすると、通常の半数しか収容できないことになります。
そのため、避難所の数を増やそうとしているのです。
 これに伴い、避難場所が昨年から変わっている可能性もあります。
自治体のウェブサイトで最新情報を確認しておきましょう。

もしもに備えて用意すべき 避難所で便利なあるものとは?
  もしもの時のために、用意すべきものの備蓄の量や内容を確認しておくことも重要です。
大雨を想定し、防水の懐中電灯やラジオは用意しておきましょう。
また最低限度の水、食料、そして衛生管理上、予備マスクや体温計、消毒薬を持っておくことも必要です。
 また、今年7月に豪雨被害を受けた熊本の被災地を回った中で、各家庭で準備しておくとよいと特に感じたものはビニール袋です。
濡れたものを入れる袋として活用できるのはもちろん、避難所で食べ物が配られてもしまっておくところがないといったときにも役に立ちます。
大中小、いろいろな大きさのものがあるとよいでしょう。

 携帯電話やスマートフォン、そして濡れたり汚くなったりすると使いものにならないマスクなどを濡らさないためにジッパー付きの保存袋も用意しておきたいですね。

 いざというときのためには、まず自宅のリスクを把握すること。
その上で、家族で話し合い、避難経路や準備の内容を確認し、外が明るいうちに避難することが重要です。

できれば一度か二度、雨の日に避難場所まで歩いてみるとリスクを把握できるのでおすすめです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月07日

認知症の発症予防=認知症予防財団会長・新井平伊氏

認知症の発症予防
=認知症予防財団会長・新井平伊氏
2020年9月1日  毎日新聞

「人生100年時代」の到来が近い。
年齢を重ねても自分らしく生きたいが、気になるのは認知症の問題だ。
公益財団法人・認知症予防財団==の新井平伊会長(67)=順天堂大名誉教授、アルツクリニック東京院長=は「薬の研究開発が進む。

予防とともに早期の発見、治療が脳の健康寿命を延ばす決め手になる」と説く。
       【聞き手・明珍美紀】

早期発見、生活見直しを
――2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になるという厚生労働省の推計(12年)があります。

認知症の早期発見の方法は。
 認知症のごく初期の症状には、自分だけが物忘れを感じる主観的な認知機能の低下(SCD)と、物忘れが少し目立つものの日常生活や仕事は普通にこなせる軽度認知障害(MCI)があります。
 手がかりは、本人と家族からの問診です。
次いで記憶力、判断力などを調べる認知機能検査を行い、CT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像)などの画像検査で脳の萎縮や血管の変化、脳梗塞(こうそく)などの病変の有無を調べます。

認知症の約7割を占め、最も多いアルツハイマー病は、脳の中心にある海馬やその周辺から機能が衰える。
海馬は記憶に関わる器官で、比較的新しい記憶を覚えておくことが難しくなります。
「アミロイドβたんぱく」という物質が関わっているとみられ、早い人では、40代後半から脳にアミロイドβたんぱくがたまり始め、60代後半から70代で発症することが疫学調査で分かっています。

 ただし、MRIによる脳ドックではSCDでのアミロイドβたんぱくの発見はできません。
そこで、私が昨春、大学を退任後、東京に開いたクリニックで「アミロイドPET検査」を導入しました。

――PETとは。

 陽電子放射断層撮影のことで、微細ながん細胞の発見などに使われています。
この検査は脳の断面を撮影してアミロイドβたんぱくの蓄積度を画像で確認する。
米国で約20年前に開発されました。
日本ではアルツハイマー病の治療薬の臨床試験でアミロイドPETの検査例が500ほどありますが、SCD段階での実施はほとんどありません。
保険診療ではないのですが、クリニックではこれまで約80人がこの検査を受け、データを収集しています。
発症前に異常が見つかれば極めて早い段階で予防に取りかかることができます。

――予防と治療法は。
 予防にも三つの段階があり、発症させない1次予防は難しいものの、発症を遅らせる2次予防、進行を遅らせる3次予防は可能になってきました。

認知症は、アルツハイマー病のほか、頭部の病気、甲状腺疾患やビタミン欠乏症、さらには心臓、肝臓、腎臓の病気、薬物の影響などによって症状が起きるものがあり、それらの原因を取り除けば治る可能性が高まります。

生活習慣病はきちんと治療すること。
65歳未満の若年性で最も多いのは脳血管性認知症ですが、脳梗塞など脳血管障害を起こさなければ血管性認知症にはなりません。
あとはバランスのとれた食事と適度な運動、十分な睡眠です。

 一方、治療で現在、使われている薬は、進行や悪化を遅らせるなど対症療法と言えます。
でも、ホットニュースがあります。
日米の製薬会社が合同で開発している認知症治療薬の新薬申請がこの夏、米国食品医薬品局(FDA)に受理されました。
認可されればアルツハイマー病の発症を抑制する薬になる可能性があります。

――認知症への理解を深めるために訴えたいことは。

 認知症で脳の働きが悪くなるのは記憶や判断に関する部分だけで、例えるなら脳の5%ほど。
認知症になった人に尊厳を保ちながら関わることは非常に大切です。
新型コロナウイルス感染問題で認知症予防財団も事業が中止、延期になるなど影響を受けました。

認知症への対応は急務ですが、認知症になっても安心して暮らせる長寿社会を築かなければなりません。

聞いて一言
 認知症で最も多いアルツハイマー病は「超早期発見」が可能な時代になった。
一方で予防は「バランスのとれた食事、適度な運動、十分な睡眠」と他の病気と基本的に変わらない。
「長い老後をどう生きるかは、いまの生活を見直すことから始まる」と肝に銘じた
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月08日

「世間体」という「戒律」に縛られた日本社会の病

「世間体」という「戒律」に縛られた日本社会の病
9/7(月) 現代ビジネス
ヤマザキマリ 漫画家、文筆家

戒律としての「世間体」
 緊急事態宣言下で商業施設の自粛が決まったとき、それでも営業を続ける店はその名前を公表する、というのが日本の行政処分の限界だったようです。
しかし、「名前を公表しますよ」というのはつまり、「世間の目に晒しますよ」という罰則です。
感染リスクの危機が差し迫った状況で、自治体が事業者に言える唯一のことが「世間から制裁を下されなさい」というのは、あまりにちぐはぐです。

 しかし日本の場合は、往々にしてこの世間体が、自粛を促すプレッシャーとして機能する。
言わば「戒律としての世間体」です。
法でも宗教でもない、世間が起こす圧力が日本ほど強い国はほかにそうありませんし、その効能が法律にまで影響することに愕然としました。

イタリア人の夫とこの話になったとき「名前の公表? それは逆に集客効果をもたらす宣伝になるんじゃないの?」とさっぱり意味を理解していませんでした。
 世間体は「空気」と言い換えても成立しますね。

日本は言葉の応酬をせずとも、空気を読み合ってコミュニケーションを取ることを良しとする国です。
場の空気を的確に読める人を評価し、読めない人のことを排除する。
その空気に照らして、休業要請に従わない事業者を処分してもらうというわけです。

 世間体の戒律に従わないものは「異質」や「異端」と烙印を押され、共同体という群れのなかから排除される。
この異質なものを取り去ることで同質性の純度の高い群れを守り、保とうという考え方は、とても日本的だと思います。

世間体が優位となった親子関係
 この世間体の戒律が作用するのは、新型コロナだけとは限りません。
特に近年は親子の関係性のなかでさえ世間体が優位を占めています。

たとえば2018年の春、5歳の女の子の虐待死事件が起きました。
女の子は両親から毎朝4時に起こされては平仮名の練習をさせられ、モデルにするためだと、食事もろくに与えられなかった。
 この両親は結局、自分の娘がどんな性格の子で、そのとき何を訴え、どんな気持ちでいるかを慮ることより、娘を世間から高評価を得られるような人間にさせることしか考えていなかったのです。
それは娘への愛情からの行動ではなく、「子育てに成功した自分たちが世間から評価されたい」という承認欲求に基づくもので、娘を使って群れから認められることを目指していた。
まさに子どもの人格を無視した虐待です。

 虐待死までいかなくても、子どもより世間体が優先されることは、日本の家庭でしばしばあることだと思います。
 たとえば学校で自分の子がいじめられて帰ってきたとします。
大多数の親はまず「どうしていじめられるようなことをしたの?」と子どもに聞く。
それはすなわち「あなたのほうが学校という世間に背いたのでは?」という意味で、その時点で親は子どもにとっての敵になる。
いわば自分をいじめた一味です。
親はもう、苦境に追い詰められた自分を無条件で助けてくれる存在ではなくなってしまうわけです。

子どもが帰属すべきは家族
 この世間体優位の考え方は、西洋のキリスト教的倫理観のもとでは信じがたいものです。
 イタリアの場合、子どもがいじめられて帰ってきたら、まず事情を確認するべく親が学校へ向かいます。
子どもを守るため、対立した相手の子どもや親との話し合いにも行くでしょうし、時には転校を決める。
「適応できない場所に、つらい思いをして無理に合わせることはない」と子どもを家族で守ります。

子どもが帰属すべきは家族で、社会ではないのです。
 イタリアでは、学校とは学習教育を受けさせる場で、子どもの人格や倫理観を育むのは家庭だという理念がはっきりしています。
またいじめが起きても、保護者はその責任が学校にあるとは考えません。
しかし日本の場合、まず学校にその責任が向かう。
まったく考え方が違っています。

 とはいえ、北部イタリアのような経済活動が活発な地域では、家族のあり方が変わってきた気配もあります。
数年前、テストの点が悪くて親から叱られることを危惧し、自殺してしまった子どもがいましたし、豊かな家族を装うことで経済的に破綻し、無理心中した家族もありました。
いずれにせよ、それまでのイタリアからすれば前代未聞の事件です。

 コロナで変わらざるを得ない社会を生き抜く術とはどういうものなのか。
これから先、世間体による評価が生きるうえでの優先順位となるような事態が、イタリアでも起こり得るのか。
私は不安を覚えています。

※本記事はヤマザキ マリさんの新著『たちどまって考える』(中公新書ラクレ)より著者の許可のもと抜粋・再構成したものです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月09日

脳のネットワークを構築し直す方法

脳のネットワークを構築し直す方法
2020.9.8  ダイヤモンドオンライン
ホルスト・ルッツ 繁田香織:翻訳家

身体の動きを自在に操る
 身体能力についてお話しします。子どもは、座る、立つ、走る、知覚する、表情や身振りを表わすことなど、非常に複雑な行動過程をごく短期間のうちに身につけることができ、子どもの学習能力は計り知れません。
 ただ、その能力は年々低下し、とくに思春期からは大幅に下がっていきます。
「習うなら若いうち」ともいいますからね。
でも大丈夫。
誰でも、生涯にわたって学習することができます。

 学習する時間は人によって長くなったり、短くなったり、増えたりします。
 60歳でスキーや車の運転、新しい楽器の演奏を覚えることに苦労している人もいれば、同じ60歳でも、あっという間にできてしまう人もいるのです。
 しかし、ある特定の動きを練習して覚えれば、身体を自在にコントロールできるようになるというわけではありません。
一生涯のうちでまったく同じ状況が何度も起こることなどないため、特定の動きを覚えるだけではあらゆる状況に備えておくことは不可能です。

 身体を自在にコントロールするというのは、そのときどきの状況に合わせて身体を柔軟に反応させるということなのです。  もちろん、若いときにスポーツを行なっており運動経験が豊富な人であれば、そうした能力はほかの人よりも優れているでしょう。
ただ、運動経験さえあれば十分、とはいえません。

 もし、すでに習得した動きで対応できるはずの課題ができないようであれば、脳のネットワークを構築し直すための学習も必要となってきます。
 スポーツ選手の中には、ある特定の動きを長い年月をかけて誤って習得してしまった選手もいるでしょう。
そのようなスポーツ選手は皆、動きを直すことがどれほど難しく時間のかかることであるのかわかっています。
しかし脳は、未知の状況を経験すればするほど、このような新たな状況に対応するための措置をよりうまく講じることができるようになります。

 ここで、簡単なテストをしてみませんか?
全30パターンの指の組み合わせ、20秒以内にできる?

 机か何かの天板の前に座り、両方の手の平を下へ向け、天板の上を軽く指で触れてください。
その後、両手を天板から約10センチメートル上まで上げ、そこから図の「まっすぐ伸びた指」で天板を軽く叩いていきます。
「天板に置いた指」が図と合っていれば、そのまま両手を上方へ上げ、次の図の指を下ろしていき天板に置きます。
これらは、親指以外の指で行ないます。

 まずは、左手はこぶしにして、右手の人差し指を天板に置きます。
次に、両手を上方へ上げ、今度は両手の人差し指を置きます。
また両手を上方へ上げ、右手の人差し指と中指、左手は人差し指のみを置きます。
その後で、左手の中指も合わせ、両手の人差し指と中指を置きます。

このように続けていき、天板に8本の指を置いたら、今度は逆の順番で指を置いていきます。
 そのまま2周目を続けます。
2周目は、左手の人差し指から始めて、右手は左手の指を追うようにして置いていきます。
天板に8本の指を置いたら、今度は右手の指を先に引っ込めていきます。
そして、この全30パターンを行なっている間の時間を計ります。

 以上の手順をよく理解するために、一度だけ非常にゆっくりと行なってみてください。
その後すぐにテストを開始します。
図の順番通りに進めて、その時間を計ってください。  

あなたがこの全30パターンを行なうのに20秒以上かかったとしたら、あなたの能力を改善できる余地がまだいくらかあるということです!
指の動き30パターン.jpg
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月10日

なぜ成功する人たちは、間違いや無知を積極的に認めるのか?

なぜ成功する人たちは、間違いや無知を積極的に認めるのか?
2020.9.9 ダイヤモンドオンライン
ナイジェル・カンバーランド:作家、リーダーシップ・コーチ

成功者の習慣2「人の力を借りている」
成功する人は恥ずかしがらずに「わかりません」と言い、成功しない人は自分の無知を認めない
「自分を笑い飛ばせず、大きく見せようとしてばかりの人は滑稽に見える」 ヴァーツラフ・ハヴェル(チェコの劇作家)

 知ったかぶりをせず、「わかりません」と言うのは勇気がいります。
しかし、傲慢にならず、謙虚に自分の無知を認められるのは、成功に欠かせない価値ある態度です。
「わからないことを素直に他人に尋ねる」ことほど、成功に役立つスキルはありません。

 完璧であろうとするほど、物事はうまくいかないものです。
知らないことやできないことを潔く認め、頭を下げて教えを請えば、自然に周りの人が助けてくれるようになります。

 私たちは家庭でも職場でも、「何でも知っていなければならない」という大きなプレッシャーを感じ、本当はわからないのに、わかっているふりをしようとしてしまいます。
 わからないことがあったら、会話の途中でも、正直にそれを相手に伝えましょう。
それまでの自分の言動と矛盾するからといって、人の意見に耳を閉ざしてはいけません。

 成功する人たちは、間違いや無知を積極的に認めます。
人生では何が起こるかわかりません。
常に正しくあり続けることなどできないのです。

成功のための 格言
完璧であろうとするほど、 物事はうまくいかなくなる
If you aim to be perfect, you’ll only end up disappointed.

実践しよう!
■自分の死角を意識する
 次の質問に答えてみましょう。
「自分の考えを頑固に主張してばかりいないか? 視野が狭くなっていないか? 配偶者や恋人との口論に勝とうとしたり、年下の人の言うことに耳を傾けようとしなかったり、“どんなことをしてでも勝つ”という考え方で生きていないか?」

 柔軟な心で、思考や行動を変えていきましょう。
日々、「見逃していることはないか?」と考えるのを習慣化します。

■他人に欠点を教えてもらう
 自分で自分の死角に気づくのは簡単ではありません。
家族や友人、同僚の助けを借りて、自分には見えていないところを指摘してもらいましょう。
周りにダメ出しをしてくれる人がいないと、私たちは簡単に裸の王様になってしまいます。
耳が痛いと思うこともあるでしょうが、世間の笑い者になるよりはマシです。

■自分を笑い飛ばす術を身につける
 成功する人は、自分を大きく見せようとはせず、自分の失敗や間違いを笑いのネタにできます。
謙虚に振る舞い、いつでも自分を笑い飛ばせるようにしておきましょう。

 【著者からのメッセージ】

成功者がしている100の習慣
ナイジェル・カンバーランド 著/児島 修 訳

成功の可能性を最大限に引き出す 「マインド」と「行動」
 あなたにとって、成功とは何でしょう?
 望んでいるのは、どんな成功ですか?  
成功とは、目的や目標、夢、希望を実現することです。
 その定義は一人ひとり違います。

 ある人にとっては大きな夢でも、別の人にとっては興味のないものもあります。
有名なシェフになりたい人もいれば、料理嫌いの人だっているのです。
 つまり「成功した人生」とは、自分にとって大切な大小様々な夢や目標を多く達成した人生だと言えます。
 そしてこの本は、あなたの成功を大きく手助けするための本です。
 これから、野心的な夢から小さな目標まで、あなたが何をすれば成功を手に入れやすくなるかを、詳しく説明していきます。
 まずは、自分にとって成功が何を意味するのかを考えてみましょう。
・会社で昇進する
・仕事で能力を発揮する
・痩せる
・毎晩ジョギングする
・本を書く
・健康な老後を過ごす
・子育てをまっとうし、孫の顔を見る
・心穏やかに生きる
・住宅ローンを完済する
・資格を取る
・後悔せずにやりたいことをする
・家族や仲間との時間を大切にする
・外国語を学ぶ
・病気を治す
・貯金をする
・仕事を愛し、ストレスなく働く
・いま手にしているものに満足して生きる

 本書を読み進める前に、まずは自分の目標や夢が何かを一覧にしておきましょう。
 順番は気にせず、心に浮かんだものを書き出します。
 目標や夢は、いくらでも浮かんでくるはずです。その日の気分によっても変わります。
 一つの山の頂上に立てば、別の山々の景色もそれまでとは違って見えてくるものです。
目標の優先度も、一つを達成したことで変わっていきます。
 本書でこれから紹介する「成功者がしている100の習慣」は、仕事や人間関係、育児、マネー、健康、老後生活など、あらゆる領域であなたの夢や目標の達成に役立ちます。
 100の習慣は、それぞれを二つのセクションに分けて説明していきます。
 前半のセクションでは習慣のポイントを説明します。
 後半のセクションではその習慣の具体的な実践方法を紹介します。
今日からでも始められる、成功の可能性を最大限に引き出す「マインド」と「行動」にぜひ取り組んでみてください。
 本書で紹介する習慣のなかには、当たり前のように感じられるものもあれば、新鮮に感じられるものもあるでしょう。

いずれにしても、大切なのは頭で理解するだけではなく、実践することです。
新しい習慣をつくることは、あなたを成功に導く「心のソフトウェア」を書き換えるようなものなのです。
 本書で紹介する「成功者のマインドセット」を普段から意識し、行動に結びつけている人はわずかしかいません。
 そしてそのわずかな人こそが、成功者なのです。
 本書で紹介する習慣は、すぐにでも実践してみたいと思うものもあれば、そうでないものもあるはずです。
どんな習慣に興味を持つかは、あなたの現在の状況と強く結びついているからです。
「今の自分にはあまりピンとこないな」と思ったトピックは読み飛ばしても構いません。
しばらくして興味が湧いてきたら、またページを開いてみてください。

なぜ著者は成功に関心を持つようになったのか?  
本書のアイデアは、一五年以上にわたり世界中の様々な人々にコーチングをしてきた私の経験から生まれました。
大勢の人々とそれぞれが抱える問題の解決に取り組むなかで、私は成功する人には年齢や分野を問わず共通する習慣があることに気づきました。
 その習慣を最重要の一〇〇個に厳選し、読者のみなさんの成功に役立つ情報としてお届けするのが本書です。
 私自身、本書の内容の実践に取り組んできました。
五○年の人生のなかで、私は失敗や挫折を通して学びながら、次のようなことを成し遂げてきました。
・幸せな結婚をし、二人の素晴らしい子どもを育てている(一六歳の息子、二四歳の継娘)。
・ケンブリッジ大学で職を得て、二六歳のときにはFTSE一〇〇企業の支店のファイナンスディレクターに昇格。
・世界を旅するという夢を実現し、合計二六年間を八ヵ国で暮らした。
・共同創業者として起業した会社を成功させ、数百万ドル規模で売却した。
・著者、講演者として豊富な実績を積んだ。
・コーチングを通して世の中の人たちの役に立ちたい、という願いを実現させた。
・自分自身であること、人生で手にしたことに満足する術を学んだ(これはおそらく私の人生にとって最大の成功です)。  

私は、読者であるあなたが成功を手にすることを心から願っています。
 そして、本書で紹介する習慣やその実践方法は、あなたが夢や目標を実現するために必ず役に立つと確信しています。 (『成功者がしている100の習慣』はじめに より)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月12日

老後が不安…みんなはどこに不安を感じている?

老後が不安…みんなはどこに不安を感じている?
9/11 あるじゃん(All About マネー)

◆20代から老後に不安を感じ、40代が最も不安度が高い結果に!
人生100年時代に入り、「老後」が長くなっています。
そのため、老後に何らかの不安を感じている人は多いと思われます。
そんなことを裏付ける調査結果が発表されました。
メットライフ生命の「『老後を変える』全国47都道府県大調査」(2019年11月発表)です。
この調査結果のなかから、筆者が興味深いと感じた結果をピックアップして紹介するとともに、意見を述べてみたいと思います。
回答を詳しく紹介しましょう。
「不安がある・ややある」と答えた性別・年代をみてみます。

性別では、男性79.7%、女性83.3%でした。
女性の方が長生きの傾向が強いので、これは納得できる結果といえます。

年代別では、下記の通りです。
・20代=84.1%
・30代=86.8%
・40代=87.1%
・50代=86.9%
・60〜70代=72.1%

20代からすでに老後に不安を感じ、年代を重ねるごとに不安が増し、40代がピークです。
20代から老後に不安を感じることはないだろうに、と思わないでもないですが、20〜30代は「自分たちはもらえないから……」と、公的年金の先行きを不安視している年代なので、高い数字になったのでしょう。
40代も公的年金への不安、そして、老後資金を貯める時間があまり残されていないことへのあせりからでしょうか、最も不安度が高くなっています。
50代からは数字が下がりますが、それでも、50代は86.9%、60〜70代は72.1%と、不安度は高い水準です。

◆20〜70代のすべての年代で、認知症が不安要因ワースト3に入っている!
では、老後に対する不安要因は何でしょうか?
ワースト1は、20〜50代が「お金」、60〜70代は「健康」をあげています。

人生100年時代に入って「老後」が長くなっていることを考えると、不安なのは「お金」の準備ができるのかということなのでしょう。
60〜70代は、「お金」より「健康」が不安というのは分かるような気がします。

さて、ちょっと意外だと思ったのは、「認知症」がどの年代でも順位が高いことです。
20代と60〜70代は2番目、50代は3番目、30、40代は4番目。若い世代は身内か親類、知り合いが認知症を発症したのを見たり、聞いたりして不安なのでしょう。
60〜70代は、そろそろ「自分事」として不安なのだと思います。

◆「老後」に対する意識に世代ギャップが!
人生100年時代、「あなたは何歳から<老後>だと思いますか」の答えは、20代は63.8歳、30代は64.2歳、40代は65.4歳、50代は66.7歳、60〜70代は70.9歳でした。
年代が上がるほど、その年齢も上がっています。

とくに60〜70代は50代と4歳以上の差があり、唯一70歳超となっているのが大きな特徴です。
各年代の意識の違いの理由は「老後と感じるきっかけは何だと思いますか」という質問で見えてきます。
20代は「退職したら」、30代と40代は「年金を受給し始めたら」、そして50代と60〜70代は「身体が思うように動かないと感じたら」が回答のトップでした。
これら回答を年齢に当てはめると、先の各年代の回答とほぼ一致します。

しかも60〜70代だけが、他の世代で高い回答を得ている「退職したら」「年金を受給し始めたら」が3位までに入っていません。
他の世代からは「すでに老後」もしくは「老後にさしかかった」と見られるものの、本人たちは身体が動くうちは「まだまだ現役」という思いが強い。
そんな姿が浮き彫りになります。

人生100年時代はしばしば、それだけ老後が長く、それを支える資金が必要という「リスク」や「危機意識」を持って語られます。
しかし、老後そのものの定義や意識が変わりつつあるのも確か。
必要以上に不安視せず、しっかりと自身ができる準備をすることが大切だと感じます。

※All About生命保険ガイド・小川千尋さんの記事を編集部が最新情報に加筆
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月13日

わたしがドジなだけ? 当たり前のことでつまずく生活あるある

わたしがドジなだけ? 当たり前のことでつまずく生活あるある
2020.9.12 googirl

生活しているといろいろな壁にぶつかりますよね。
他の人がスマートに行っていることでも、なぜか自分だけがうまくいかなかったり……。
でも、意外とみんなそれなりにつまずくことがあって「わかる!」となることが多いんです。
何食わぬ顔でやり過ごしているけれど、実はやらかしがちな女性たちのエピソードを集めてみました。

つまずきがちな生活あるある
ドアの「押す・引く」がわからない
「ドアの『押す・引く』でいつもつまずく。
表記を見ずにみんなあっさり通過していくのを見ていると、なぜ感覚で『押す・引く』がわかるのか不思議でしょうがない」(27歳・女性)

▽ 両開きのドアでは、左右で「押す・引く」が違ったりするので、そこでも混乱しそう。
感覚でドアの開閉をしている人に聞いてみたところ、「経験からなんとなくわかる。逆に意識しすぎるとつまずくかも」だそうです。
あまり考えずに通過してみると、意外とうまくいくかもしれません!

三つ折り財布がうまく使えない
「小さいバッグがはやるのと同時に、財布も三つ折りのものを新調。
戸惑ったのは、閉まりの悪さ。
カードやお札がちょっと増えただけでパカッと開いてしまう。
三つ折り財布をさらっと使いこなすには、なにかコツがあるの?」(28歳・女性)

▽ 三つ折り財布、かわいいですよね!
新品のものは形が馴染んでいないので、閉まりが悪いことが多いです。
使い込むうちにカードやお札の量に合わせて折り目がつき、
パカッと開かなくなっていくのでご安心を。
使いこなせるようになったときの三つ折り財布は、さらにかわいく思えますよ。

トイレットペーパーの量の加減がヘタ
「彼氏の家に泊まったとき、私1人で1日かからずにワンロール使い切ってしまったときは焦った。
人の家でもつい多く巻き取ってしまうクセが……。
みんな1回に付き、どれくらいの量を使うものなんだろう」(30歳・女性)

▽ 女性のみなさんは用途に合わせ、ペーパー量は調整していますか?
しっかり拭き取る、ささっと拭き取るなど、性格によっても量が変わってきそうですね。
節約家の女子では「1回30センチまで」という話も聞きますが、それはちょっと足りない場合もあるかも……。

パック醤油がどこからも切れない
「パック醤油に『どこからでも切れます』と表示されているのに、どこからも切れないのはなにが悪いのか」(29歳・女性)

▽ みなさんにも共通の「パックの調味料あるある」なのでは?
表記を信じて「こんなところからでも切れるってことね!」と力を入れると、パックのふちがただ伸びただけ……。
場所を変えてみても切れず、1周してしまったなんていうことも。
技量のせいでなく、きっとハズレだっただけです。

出口から入りがち
「とりあえず目の前のドアから入りがち。
人の流れに逆らいながら入店して、『実は出口だった』と気づくことが多い。
気づいた途端、いたたまれない気持ちになる」(31歳・女性)

▽ 入る人より出る人のほうが多いなと思っていたら「出口じゃん!」となること、なかなかあります。
お店側には、お客さんの出入りがスムーズになるようになど、なにか理由があるのかも。
ドアの「押す・引く」は意識しすぎず、「入口・出口」は意識して堂々と入店しましょう。

まとめ
当たり前のことが「なぜ自分だけふつうにできないの?」と、焦ることもありますよね。
でもそれは1つの個性だと思って、小ネタとして人に笑いを届けてみてはいかがでしょう?
「え、あなたも?」と、意外な共通点が見つかり、仲が深まるかもしれません。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月15日

「他人から受ける批判」に疲弊していませんか

「他人から受ける批判」に疲弊していませんか
「外食の誘い」を断り続けるのがストレスに
2020/09/14 東洋経済オンライン
大野 萌子 : 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。
自粛生活も長引き、先行きも不透明な中、人との関係性に苦慮しているケースが多く見受けられます。
とくに価値観の違いが浮き彫りになり、正しいことが何かさえも判断が分かれる中、必要以上に自分を追い込んでしまう人が増えています。

在宅勤務に対する感覚に大きなギャップ
最近もこんな相談がありました。
テレワーク中に上司から急ぎの案件で電話が入った。
タイミング悪くトイレに立っていて、戻ってきたら2回着信が入っているのに気づき、急いでかけ直したところ、いきなり怒鳴られたというのです。
この間、数分間だったにもかかわらず「すぐに電話に出られないとは何事だ! 反省してもらわないと」と言われたとのこと。
その後、トイレにまで携帯を持ち込むようになって、つねに気が休まらないとのことでした。

出社して何もしていない人に対しては甘いのに、在宅勤務=ラクしている(さぼっている)というような感覚を持っている人は本当に多く、このギャップは顕著です。
同じ部署のメンバーや上司に、このタイプがいると、まず気持ちがやられてしまいます。
こちらの意向を伝えようにも、それこそ、オンライン上でうまく伝えられずに疲弊してしまい、うつ状態になるケースもあります。

オンラインだから伝えられないのではなく、オンラインなんかで話してくるなという相手の受け入れる姿勢がすでにないからです。
本社機能を都心から地方へ移すことや、事務所自体をなくす企業も増えて、働く場所を選ばないことが今後進んでいく中でも大きな足かせになると感じます。

人は基本的に、変わりたくないという意識を持ち、変化へ抵抗を示す傾向があります。
そんな中で、今までとは違う行動をとる人に対して嫌悪感を抱いたり、批判や非難をする、また自分の考えを押し付けてくるケースも増えています。

ケース1 
「そろそろいいんじゃない?」誘いを断るたびに自己嫌悪
同じ小学生の子どもを持つ学生時代からの友人。学生の頃からお互いの家を行き来したり、一緒に出掛けたりという付き合いをしてきた。
コロナの影響を受けてから、直接会うことはなくなっていたが、緊急事態宣言解除後あたりから、食事などの誘いが来るようになった。
最初のうちは「まだ控えたい」ということで収まっていたが、最近「いつになったら終わるかわからないのに、ずっと家にいるつもり?」
「○○ちゃん(子ども)もかわいそうね……」と言われ、自分が気にしすぎているのかと自己嫌悪になる。

ケース2 
上司からの誘いを断りづらい
この半年、飲み会もほとんどなくなってはいたが、そろそろ……といった誘いも増えつつある。
もとより上司と2人きりは避けたいが、今までのように「みんなが参加するなら」と言いにくくなり、少人数なら安心だからと言われると、逆に断りづらくなっている。
「最近は話す機会も減ったし、今後のことも含めて話をしたい」
「テレワークになってしまっているので、たまには直接会わないと」と言われてしまうと非常に困る。

ケース3 
在宅ワークに後ろめたさ
在宅か出社かを選べる環境にいる。
在宅ワークを選択しているが、最近、出社組からの圧を感じる。
言葉の端々に嫌みを含んでいることも増えてきた。
業務連絡のちょっとした行き違いがあった日に「出てこないから情報共有ができないんだ」とあたかも来ないやつが悪いという言い方をされ、この先が不安になった。

柔軟性を高め、意見の違いを認め合う コロナ前も、もちろん個々人の価値観はさまざまだったと思いますが、それが顕著に感じられるようになったことも確かです。
今までは、付き合いやすいと思っていた相手でも、感覚や価値観が違ったと多くの人が実感しています。

だからこそ、自分がどう考えてどうしたいのかを伝え、相手がどう思っているのかを認識することが、これまでよりもっと重要になってきます。
是非を求めずに感覚を大切にしてほしいと思います。

そして、相手と自分の意見が違うからといって、否定するのはNGです。
「私はこうしたいけれど、どう?」と、あくまでもお互いの意見を認め合うスタンスを意識しましょう。
とくに同じ職場で長年やり取りのあった人や親しい間柄ほど、「感覚が同じ」と思い込みがちです。
考え方の違いがあって当然、ということを忘れないように心掛けられたらと思います。

仕事だとなかなか難しい部分もありますが、自分軸をしっかりと持って、相手に振り回されないようにすることが大切です。 また、高齢の両親や妊婦の妻がいるというだけでテレワークを許可されるのは納得いかない、独身の自分だって混雑した電車に乗って出勤するのは怖いといった声や、正社員は在宅OKだが、派遣はNGなどと暗黙の了解があるなどの不平等さや不公平さを訴えるケースも増えてきています。

子どもがいるからOKなどのルール作りをしてしまうと、どうしても不平等感が生まれてしまいます。
職場やコミュニティにおいて、平等感はとても大切で、誰かが自分よりも優遇されている、ひいきされているといった日々の感情は、不満感を持ってしまうだけでなく、対象者への攻撃やモチベーションの低下につながります。
より一層、個々への対応が必須です。

直接会わないからコミュニケーションが取れないわけではなく、見えているから安心なのでもなく、今まで見ないようにしていた部分を今一度問い直す時期に来ているのではないでしょうか。
「○○すべき」という固定観念に固執せずに柔軟性を高めていくことで、自分自身にも、そして他者に対しても優しくなれるのでは、と思います。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月19日

余計なアドバイスがやっぱり有害な科学的根拠

*小だぬき→精神科の安定剤が減薬になり、身体にまだ馴染んでいないのか「眠気」が酷く 「拍手」にコメントを残すのが困難になっています。
読み逃げになってしまうことが多くなりそう・・。しばらくお許しください。
余計なアドバイスがやっぱり有害な科学的根拠
一番の防御策は「成功している」と思えること
2020/09/18 東洋経済オンライン
クリスティーン・ポラス
: ジョージタウン大学マクドノー・スクール・オブ・ビジネス准教授

嫌な扱い、無礼な扱いを受けたことを誰かに相談するとよく、「つまらない愚痴を言うな」「細かいことを気にするな」「たいしたことじゃないだろう」「もっと大事なことを考えろ」などと言われたことはないだろうか。
もちろん、こういう助言であっても、あなたが前へ進む助けになるのだとしたら、有用だと言えるでしょう。
しかし、どれも本当は的外れな助言です。

では、いったい何が無礼な扱いから守ってくれるでしょう。
「的外れだ」という科学的根拠
まず、なぜ先に挙げたアドバイスが的外れなのでしょうか。
それは、人は生まれつきそれぞれに違っているというのを忘れているからです。
誰かの行動が無礼かどうかは、あくまで「された側」が決めることです。
無礼な態度が、その標的になった人にとってどのくらいストレスになるかは、立場の上下によっても大きく変わります。
自分より上の立場の人に無礼な態度を取られた場合、これまでの調査では、全体の3分の2近くのケースで、同等からそれ以下の人に同様のことをされた場合よりもストレスが強くなるとわかっています。
また上司の命令や、会社の方針により、無礼な同僚とともに働くことを強制された場合には、絶望感が強くなることもわかっています。

マウスを使った実験、
または人間を対象にした実験では、ストレスのかかる状況に直面した時、自分の力でその状況を変えるのが難しい場合に、苦しみは特に大きくなることがわかっています。
自分で何もできないという絶望感との戦い方が重要になるのです。
無礼な態度を取る人間がいれば、それにうまく対処する必要があります。

無礼な態度のネガティブな影響を乗り越えるのに最も重要なのは、「自分は成功している」と思えることです。
たとえなにも対策を講じなくても、自分自身がエネルギーに満ち、生き生きと活動していて、しかも日々成長していれば、またそれを実感できていれば、誰かに無礼な態度を取られても、さほど悪影響を受けることはありません。

いくつもの業界を対象に実施した調査でも、「自分は成功している」と思える人は、健康で、なにかあっても回復が早く、また仕事への集中力が途切れにくい、という傾向があるとわかっています。

成功しているという自信がわずかでもあれば、それが自分を守ってくれます。
ストレスを感じにくく、注意力が散漫になることも、考えが後ろ向きになることも少なくなるのです。
また、自らを成功しているとみなす社員は、自分に対する自信も平均的な社員より52パーセント強く、状況を自分の力で変えられるという気持ちも強いこともわかっています。

仮に他人から無礼な態度を取られたとしても、それによって考えがネガティブになったり、集中力が削がれたり、自らを疑うようになったりすることはあまりないということです。

仕事への悪影響も軽減
自分は成功していると思える人は、悪いことが起きても、それを簡単にいいようにとらえ直すことができます。
そのため、大きく傷つくことが少ないです。
あなたに対して無礼な態度を取る人間がいるとします。
そのままでは何もいいことはありません。

その状況から何か学べることはないか、と自分に問いかけるだけで違うでしょう。
ある状況で私たちが幸せを感じるかどうかは、脳内の神経細胞の配線パターンによって半分くらいは決まるといいます。
そして、40パーセント程度は、起きた出来事を私たちがどう解釈し、その出来事にどう反応するかで決まります。
また残りの10パーセントは、私たちを取り巻く環境によって決まります。

同じ出来事をどう解釈するかは、自分の意思である程度は変えることができます。
出来事にどういう意味を持たせるか、どういう物語を与えるかを自分で決めることも不可能ではありません。
自分の気分を悪くするかどうかも、部分的には自分で調節できるのです。

強くなれば、どんな困難も乗り越えられるなどとは言いません。
それはあまりに非現実的です。
しかし、他人に言われたこと、されたことを気にしすぎないように注意することはできます。
仕事で成功していれば、ひどい態度を取られても、それをあまり気に病まずに済むことが多いです。
投げかけられた言葉、されたことを悪い方に取ることは少なくなります。

何かあっても、自分は、自分のしていることは間違っていないと思うことができるのです。
誰かに無礼な扱いを受けたときに仕事の業績が悪化することも少なくないです。 成功の自覚がある人は、ない人に比べ、他人の無礼な態度の業績への悪影響が34パーセント少ないというデータもあります。
これは大きな違いでしょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月20日

あなたらしい文章が書けるようになる7つのチェックポイント

あなたらしい文章が書けるようになる7つのチェックポイント
2020年09月19日 PRESIDENT Online
中野 巧(なかの・こう) 株式会社studio-K 代表取締役社長

文章の質を上げるにはどうすればいいのだろうか。
『稼ぐ人の「超速」文章術』(Discover 21)を出した中野巧氏は「読み手の読み方を強制はできない。しかし、せっかちな人に合わせて文章を書くことで幅広い人に伝わる文章になる」という??。

■読まれる文章には「あなたらしさ」が求められる
「はたして、この文章でいいのだろうか?」と悩んだときは、7つのセルフチェックポイントを参考にしてみてください。
チェックポイントがあるだけで、書く過程での安心感(後でチェックすればいいので、まずは書き進めよう、というポジティブな感情)にもなりますし、文章のクオリティアップにもつながります。

1.あなたらしい情報・視点・アイデアがあるか?
2.生き生きした描写があるか?
3.飛ばし読みしても、6割程度理解できるか?
4.「感情」と「論理」のバランスは?
5.スムーズに読み進められるか?
6.読み手になりきって読んでみたか?
7.時間をおいて読み直してみたか?

1.あなたらしい情報・視点・アイデアがあるか?
文章が書き上がったらひと呼吸おいて、あなた独自の視点や情報、アイデアがあるかを、客観的に見直してみましょう。
SNSやブログなど、ソーシャルメディア時代の到来により、誰も情報配信者として影響力をもてるようになると同時に、現代人が1日に触れる情報量は、平安時代の一生分、江戸時代の1年分にあたるという説があるほど、私たちの日常には情報が飽和しています。

そういった状況の中で、「“何を”伝えるか」と同じか、それ以上に「“誰が”伝えるか」に読み手はフォーカスするようになってきています。
結論から言ってしまえば、読まれる文章には「あなたらしさ」が求められるのです。

■新しいアイデアは既存のものの組み合わせ
同じことを話せる人が、世の中にはたくさんいます。
しかし、その人らしく語れる人は、“あなたしかいない”のです。
その「らしさ」に人は引きつけられます。

「あなたらしさ」、つまり、あなた独自の視点や情報、アイデアが文章にあるかをチェックしてみてください。
難しい……と感じた方は、次のことを参考にしてみてください。
アイデアに関する名著『アイデアのつくり方』(ジェームス W.ヤング著)には、次のように書かれています。
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
つまり、 「既存のアイデア」+「既存のアイデア」=「新しいアイデア」=「あなたらしい独自の視点や情報、アイデア」 ということですね。

2.生き生きした描写があるか?
文章で共感されるためには、視覚的描写をして、読み手にイメージを膨らませてもらうことが重要です。
読み手はイメージできないことを行動に移せないからです。
イメージしてもらうコツは、読み手の目の前でその状況が浮かび上がるように、耳元で音が聞こえてくるように、肌で感じられるように、五感すべてに訴えることです。

■幅広い読み手に届く文章のコツ
人間の五感は大きく分けると、視覚、聴覚、体感覚(触覚、嗅覚、味覚)の3つに区分され、NLP(神経言語プログラミング)において、次のそれぞれ頭文字をとって「VAKモデル」と呼ばれます。

NLPとは、リチャード・バンドラーとジョン・グリンダーによって提唱された、心理学と言語学をもとに体系化されたコミュニケーション技法です。

・視覚(Visual)
・聴覚(Auditory)
・体感覚(Kinesthetic)

人によって、VAKのどれにより強く反応するかは異なります。
いろいろなタイプの人に響く言葉をちりばめることで、多くの人のイメージに届き、反応率を高めることができます。
たとえば、左記のようにタイプによって腑に落ちやすい言葉が異なります。

・視覚(V)優位の方は……「見える」「明るい」「思い浮かべる」など
・聴覚(A)優位の方は……「聞こえる」「響く」「リズムが合う」など
・体感覚(K)優位の方は……「感じる」「触れる」「腑に落ちる」など

おそらく、あなたが書いた文章を読み返してみると、VAKのどれかに偏りがあることを発見するでしょう。
VAKを意識的にまんべんなく使うことで幅広い読み手に届く文章になります。
表現が単調でつまらなく感じるときにも有効です。
少しやりすぎかもしれませんが、この文章にもVAKをちりばめています。あなたの文章の「VAK」をチェックしてみましょう。

■せっかちな人に合わせて文章を作る
3.飛ばし読みしても、6割程度理解できるか?
「エネルギーを込めて書いた自分の文章をじっくりと隅々まで読んでほしい」
書き手として、この気持ちは当然です。
しかしながら、下記のように、読み方は人それぞれです。

・分析的にじっくりと読む人(じっくり君)
・衝動的に気になる部分だけを飛ばし読みする人(せっかち君)
・飛ばし読み(せっかち君)でザッと読んだあとに、じっくりと読む人(じっくり君)

読み手の読み方を強制することはできません。
ですから、こちらが、じっくり君が読んでも、せっかち君が読んでも問題ないように書くことが大切です(書き手はじっくり君の視点で書くことが多いです)。

せっかち君に対応させることで、
・自分の中で伝えたい内容が明確になる。
・じっくり君に対してもより効果的な文章を書くことがでる。
結果、文章にメリハリが生まれ、クオリティがアップします。
急いでいる人が、ザッと読み飛ばしていっても、あなたが伝えたいことが伝わるかどうかを考えながら、

・文章の冒頭
・見出し
・太文字
・赤字
・記号
・改行(段落)
・図解 などを工夫していきましょう。

特に、見出しだけを読んで内容が6割くらい理解できるようになっていると、
見出しだけを読んでなんとなく理解する(せっかち君) → 興味があれば → 冒頭から詳細をじっくり読む(じっくり君) といった読み方ができるので、読み手に過度な時間やストレスをかけることなく、あなたのメッセージを必要とする相手に届けることができます。

あなたの文章を「見るように」読んでも、ある程度の内容を理解できるかをチェックしてみましょう。

■「ワクワクするメッセージ」と「冷静なデータ」は必要不可欠
4.「感情」と「論理」のバランスは?
「人は『論理』で納得し、『感情』で行動する」 もしくは、 「人は『感情』で決定し、『論理』でそれを正当化する」
ビジネスにおいて、ぜひ理解しておきたいことですが、文章においても「感情」と「論理」はとても大切です。

・「感情」だけでは、信頼性(説得力)のない文章になります
・「論理」だけでは、つまらない(盛り上がらない)文章になります

相手の心を動かす文章には、「感情」と「論理」がどちらも必要なのです。

・感情的なメッセージ:読むと感情が刺激されワクワクするようなメッセージ
・論理的なメッセージ:読むと冷静になるような客観的事実や数字を含むメッセージこれらを意識しながら、あなたが文章を書くことによるゴールが達成できそうか、あなたの文章における「感情」と「論理」のバランスをチェックしてみましょう。

5.スムーズに読み進められるか?
「読み手に、スムーズに、読んでもらえる文章を書きたい」
せっかく、精魂込めて書いた、充実した文章でも、読みにくければ読みにくいほど、残念ながら、最後まで読んでもらえません。
読み手が、どれくらいその情報を欲しているかにもよりますが、「読みにくい文章、だけど内容は濃い」よりも「読みやすい文章だけど、内容は薄い」方が最後まで読んでもらえるでしょう。

■音読をすれば文章の読みやすさが分かる
内容の充実はもちろん、大切です。
ただ、それと同じくらい、「読みやすい」「分かりやすい」ことがとても重要です。
「どうすれば、読みやすい文章にできるのか?」
私がよく使う、手っ取り早い方法は、「声に出して読んでみる」ことです。

自分の文を声に出して読んでみて、「スムーズに読めない」「リズムが悪い」「なんだか気持ち悪い文章だな」と思うようであれば、要注意です。
声に出さず黙読していても、頭の中で声に出しながら、読み進めていく人がとても多いからです。
私自身、文章を確認するときには、声にこそ出しませんが、頭の中で思いっきり、音読しながら、文章の読みやすさをチェックしています。
そのとき、もっとも気にかけるポイントは「リズム」。
リズムよく、読めるか読めないかは、とても大切です。
リズムよく読める文章は心地よく読み進められ、伝わりやすくなります。

句読点や改行の位置、行間の取り方などに悩んだ場合も、「リズムよく読めるか」という視点で、チェックしてみましょう。

6.読み手になりきって読んでみたか?
自分が読み手になりきって、文章を読み、疑問に思うこと、反論したくなること、不思議に思うこと、理解しにくいことがないか、チェックしていきます。
そして、読み手が感じる質問や反論を予期することができれば、それに先回りして対応することができます(疑問/反論の解消)。
また、あなたにとっては当たり前でも、読み手にとっては理解できなかったり、飛躍した展開に感じないかどうか、などもチェックしていきます。

■文章に悩んだら、思い切っていったん手放す
あなたが対象としている読み手の数だけ、読み手になりきって、あなたの文章を読み直してみましょう。
文章の構成や表現、追記や編集などの大きなヒントになるはずです。
あなたが想定する読み手になりきって、あなたの文章を読みながらチェックしてみましょう。
わざと疑問や反論の余地を残こすこともありますが、上級テクニックです。

・そういった感情になる人には読んでほしくない(読み手の選別)
・疑問に思って問い合わせしてほしい
・反論があるからこそ、その答えを知りたくなりアクションを起こす

7.時間をおいて読み直してみたか?
文章を書いていると、手が止まってしまったり、なんとなくしっくりこない感覚を持つことがあるかもしれません。
的確な表現が思い付かないこともあるでしょう。
ある程度時間をかけて思い浮かばない場合や手が止まってしまう場合は、いったん手放してしまいましょう。

手放している間もあなたの潜在意識(右脳)は24時間考え続けてくれています。
手放した後は、楽しいことやリラックスしながら、普通に過ごしていると、たいていは48時間以内に、欲しい情報が向こうからやってくる、と信じるのがコツです。

また単純に時間をおいて読み直すことで、客観的な視点に切り替わり、主観的な状態ではどうしても気がつけなかったポイントが浮かび上がってきます。
時間をおいて読み直すことで、自分の文章を客観的にチェックしてみましょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月21日

他人に「ものすごく言いにくいこと」を上手に伝えるすごいコツ3つ

他人に「ものすごく言いにくいこと」を上手に伝えるすごいコツ3つ
2020年09月20日 PRESIDENT Online
小野 和俊(おの・かずとし)
クレディセゾン常務執行役員CTO

人のマイナス面を目の当たりにして、つい厳しい一言が出てしまった経験はないでしょうか? 
働き方が多様化している現代で、相手を傷つけずに言わなければならないことを伝えるのは難しいですよね。
クレディセゾン常務執行役員CTOの小野和俊さんに、ネガティブな言い回しにならない工夫を聞いてみました。

■クセのあるチームをまとめるには
チームは2つに分けられる。
1つは、同質の人たち「だけ」で構成されるチーム。
もう1つは、異質な人たちで構成されるチームだ。

いま、デジタル化の波が押し寄せ、あらゆる企業が方針転換を迫られている。
前者は歴史ある日本の大企業でよく見かける。
製造業等、過去の成功体験をしっかり踏襲していくことが重要視される世界では、こうしたチームがいまも強いのかもしれない。
一方で、後者のチームはいつもカオスで、環境が目まぐるしく変わっていく状況に強い。
ITベンチャーはその典型だ。
前者の「同質化により秩序を保つことが是とされてきた」チームであっても、後者の文化を受け入れ、変化に対応する力を高めていかなければならない。
異質で突出した能力を持ち、そしてクセのある人たちが1つのチームで仕事をしていくとき、どうすれば協力できるのだろうか。

■言うべきことを言わないことは、優しさではない
プログラミングの世界では、「レビュー」が重要視されている。
ミスやバグが原因で、セキュリティー上の重要な問題が発生したり、お金の計算が合わなくなったりすることもあるからだ。 加えて、ソースコードの美しさや読みやすさに関するチェックも行う必要がある。
美しく設計されたコードは再利用性が高く、そうではないコードは変化に弱く、応用が利かない。
さらに読みやすさは、チームのレベルも加味しながらチェックする必要がある。

ところが、この「レビュー」には問題がある。
それは、相手を傷つけてしまうことだ。
プログラマーはみな、自分の自信作のソースコードのことで、他人からとやかく言われたくないのだ。

例えば料理を作ったときに、食べている人がその料理のダメなポイントを列挙し始めたらどんな気持ちになるだろうか。
みな嫌な気持ちになるだろう。
自分が丁寧に作り上げた作品に文句を言われたくないのだ。
「相手を傷つけてしまう」ことを重く見て、それを回避するために「あえて言わない」人もいる。
こうした「言わない優しさ」は美徳として受け止められる場合もあるかもしれないが、レビューの際には持ち出してはいけない。
後に問題が発覚したとき「なぜレビューで見抜けなかったのか?」と、レビュアーに返ってくるからだ。
場合によってはレビューされた人から「どうして言ってくれなかったの!」と詰め寄られることもある。

■「ここがちょっと、ピヨピヨしてるね」
レビューの難しさは、「言わなければならないこと」と「傷つけないようにすること」の2つを両立させなければならない点にある。
レビューの難しさとどう向き合っていくべきなのかを協議した結果、私たちは「ひよコード」という表現を発明した。
未熟で修正の必要があるソースコードに直面したとき、「なにこのクソコード」とは決して言わず、その代わりに「少しここがひよコードだね」
「この箇所が少しピヨピヨしてるね」とコメントする。

ひよコードとは、「ひよこ」と「コード」(ソースコードの略)をかけ合わせた言葉だ。
ひよこはかわいらしく人から愛される生き物だ。
そしてこれから成長していくことを暗黙のうちに期待されている。
つまり、伸び代しかないということだ。
だからネガティブなことを言わざるを得ないとき、精いっぱいの愛情を込めて「ひよコードだね」と伝えるのだ。

■ネガティブなことを伝えるときの心がまえ
レビュー文化の浸透した開発チームでは、プログラマー同士の会話は、ときに知的ボクシングのような様相を呈する。
「ここはもう少しこういう書き方のほうがよいかと」 「いや、こうしたのには理由があって。○○を重視してあえてこうしたんです」
「そのやり方は少し前に流行ったやり方なんだけど、現代的ではないよね。なぜ廃れていったかというと、××という問題があり、いまは使われていないわけで」
こんなやりとりがかわされる。

角のある発言をすることは、この知的ボクシングのグローブに釘を仕込むのと同じだ。
レビュアーの宿命を引き受けたうえで、このグローブをふかふかのクッションにしなければならない。
これはレビューだけでなく、さらに言うとビジネスだけでなく、人間関係にも同じことが言える。
コミュニケーションはいつだって、楽しさや笑いに満ちていたほうがいい。
ではどうすれば、グローブをソフトで心地よいものにできるのだろうか。

■心地よい言い回しをするコツ3つ

@優しく言う
「ちょっと思ったんだけど」「〜かもね」 ときには「ひよコード」でさえ凶器になる。
「またひよコードかよ」と言ってはいけない。
何かを指摘しなければならないときには「ちょっと思ったんだけどさ」と優しく語りかけるように心がける。
確実に問題があるときでも「〜という課題があるかもね」と、最後に「かもね」をつけるだけで一気にマイルドになる。

A自分が過去に同じミスをした話から入る
「ここはミスしやすいところなんだよね、昔自分も……」 「問題点に気づくのは、かつて自分も同じミスをしたから」という場合も多い。
相手に問題点を指摘する前に、自分も同じミスをしたことがあることを告白しよう。相手との関係を「レビューする人とレビューされる人」から「同じミスをしたことのある仲間同士」へと転換することができる。

B相手に敬意を払う
「○○さんの言うことは本当にそうだなって思って」 「そもそもそれは間違ってますよ」などと言うと、内容を聞く前に相手が精神的ガードを上げてしまう。
「○○さんの言うことは本当にそうだなって思って」と相手の考えを理解し、敬意を払う。
そのうえで、「それで言うと、ここも直したほうがいいかなって思ったんだよね」と問題点を伝えよう。
ただし、これは相手の言っていることと問題点とのつながりを見出したときのみ使える手法だ。
むやみに使うと説得力が落ち、さらに頭が悪いと思われるので気をつけてほしい。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月22日

つらい不眠症を防ぐ正しい知識と効果的な方法

つらい不眠症を防ぐ正しい知識と効果的な方法
「自己流の対策」でこじらせないための処方箋
2020/09/21 東洋経済オンライン
上原 桃子 : 医師・産業医

現在、布団に入ってもよく眠れない、眠りが浅いと訴える方が多くなっています。
こうした症状は睡眠障害のひとつ「不眠症」と呼ばれます。
睡眠時間が少ないと労働生産性が低下するというデータがOECDの調査で得られています。
自身の健康のためにも、気持ちよく仕事をするためにも不眠症の対策が重要といえます。

不眠症の原因は?
不眠症は日本人の約5人に1人が悩まされていると言われており、その症状は大きく以下の4つのタイプに分けられます。

@入眠困難 布団に入ってもなかなか(2時間以上)眠れない
A中途覚醒 一度眠っても翌朝までに何度も(2回以上)目が覚める
B早朝覚醒 通常時の2時間以上前に目が覚め、眠れなくなる
C熟眠障害 眠っているはずなのに、熟睡した感じがない

ただ、1日や2日上記のような症状が出たとしても、過剰に不安になる必要はありません。
体調の変化等で一時的に睡眠の質が下がることがあっても通常は数日で元に戻ります。
週2回以上症状があり、それが1カ月以上続いている自覚がある場合に病院の受診を検討しましょう。

不眠症の原因はさまざまですが、とくにA中途覚醒B早朝覚醒は加齢のほか、うつ病や寝る前の飲酒で見られやすい傾向にあります。
寝つきが悪いとき、少量のアルコールを寝酒として飲むことでリラックスできる方もいらっしゃいますが、飲む量や頻度には気を付けましょう。
習慣化させてしまうと気づかないうちにアルコール依存状態となり、不眠症や日中の生産性低下につながります。
そうなっては本末転倒です。

また、腰の痛みや頻尿といった身体症状によって眠れない「身体的要因」も重要です。
そしてやはり働く世代における不眠症の主な原因は、交代勤務などによる「睡眠リズムの乱れ」とストレス・不安などによる「心理的要因」です。
まずは不眠症を引き起こす原因を突き止め、それを解決していくことが重要となります。

不眠症の予防に有効なこと
不眠症のいちばんの対策は、まず不眠にならないよう予防することです。
ちょっとした生活習慣の改善で寝つきよくぐっすり眠れるようになります。
以下にいくつか対策をあげますが、すべて一度にやろうとはせず、改善できそうなところから取り組むのがよいでしょう。

まず朝は起床時間をできるだけ一定にし、朝日を浴びることが重要です。
ヒトは朝日のような強い光刺激で生活リズムを整えているため、毎日決まった時間に1日をスタートさせることが大切です。

昼寝をしたい場合は30分以内を心がけましょう
パワーナップ(power nap・積極的仮眠)も最近労働生産性を上げる方法のひとつとして話題になっています。
これはヒトの生体リズムが午後2〜4時に眠気を訴えるようにできているため、その頃に20分程度の短い睡眠をとることで適度に脳を休憩させ、午後の能率を上げるというものです。
勤務時間内の昼寝は難しくても、お昼ごはんの後に少し仮眠をとる時間を設けてみてはいかがでしょうか。

ちなみに不眠の原因としても有名なカフェインですが、摂取から約20分後に身体に効くことを利用して、あえて寝る前に一杯のコーヒーを飲むことですっきりパワーナップから目覚めることもできるようです。

帰宅後のリラックス方法としては、38〜41℃程度の湯船に浸かることで、身体を休ませる働きのある副交感神経を優位にすることができます。
それ以上の温度ではむしろ身体が興奮してしまう(交感神経が優位になる)ため、熱いお湯が好きな方は少なくとも寝る2時間前には入浴を済ませるようにしましょう。
普段シャワーで済ませる方も、時々は湯船でリラックスすることをおすすめします。

寝る直前はなるべくスマートフォンの光や、ニコチン(タバコ)やカフェイン(コーヒーなど)を避けます。
温かいスープやカフェインレスのお茶で少し身体を温めてもよいでしょう。

どうしても寝付けない場合は睡眠時間にこだわらず、一度布団を出ることが効果的とされています。
静かな音楽を聴く、本を読むなど身体を休めるうちに自然と眠くなるはずです。
それでも不眠症になってしまったら とはいえ多忙な勤務生活で日々の余裕もなく、すでに不眠症気味……という方もいらっしゃるかと思います。

原因の回避、つまり勤務形態の改善やストレス要因の除去がいちばんですが、難しい場合は産業医の先生に相談する、直接ご自身で近くのクリニックを受診するなどで薬物療法に一時的に頼ることもひとつの選択肢です。

睡眠薬というと「飲み始めたら最後、依存してしまってどんどん量が増える」といった強い抵抗感を持つ方もいらっしゃいますが、これは誤った認識です。
医師側は患者の睡眠障害の程度を見ながら最終的には薬をゼロにできるように処方をしっかり調整しています。
したがって、患者が自己判断で勝手に中断したり、増量したりしなければ比較的安全に使うことができます。
飲まなければ依存性もなくなるのでは?と思う方もいらっしゃいますが、睡眠薬は突然中止するとむしろ以前よりも強い睡眠障害がでる(反跳性不眠)ため、十分注意が必要です。

近年は副作用の少ない睡眠薬(メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬等)が用いられるようにもなっていますので、睡眠薬に対する不安があれば遠慮せず医師に相談しましょう。

不眠症は日々の生活に潜む反面、ちょっとした対策で予防することもできます。
この機会に生活習慣を見直していただくことで、健康的な睡眠の助けとなれば幸いです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月23日

隠れ「糖分過多」を防ぐ5つの方法、健康意識が高い人も要注意!

隠れ「糖分過多」を防ぐ5つの方法、健康意識が高い人も要注意!
2020.9.22 ダイヤモンドオンライン
笠井奈津子:栄養士、食事カウンセラー

健康意識が高くても 知らない間に糖分過多に!?
「できるだけ砂糖をとらないようにしています」という話を時折、聞きます。
でも、外食や中食が多い食生活だと、無自覚のうちに摂取している砂糖も少なくありません。
 たとえば、手軽に買える食べきりサイズのヨーグルトや、牛乳の代わりに豆乳で作ってもらった飲み物、サラダのドレッシングに使われていたりと、砂糖は甘いお菓子以外の“体に良いと思ってとっているもの”にも使われていることが多々あるのです。
 一方で、“砂糖”ではなく“はちみつ”となると急に「体に良いもの」という扱いになり、少し摂りすぎている方もいらっしゃいます。

 今回は、5つのお悩み別に、砂糖をはじめ、甘いものと上手に付き合っていく方法を考えていきましょう。

お悩み(1)
レシピの砂糖の分量を減らしたい!
「レシピの砂糖の分量が多い気がしたから減らしてみた」…そうして作った料理の味がなんとなくボヤけたように感じたことはありませんか?
 それは、他の調味料との比率が崩れてしまったからかもしれません。
少し減らすくらいなら良いかもしれませんが、おもいっきり減らしたい、というときには、比率はそのままに、醤油など他の調味料も同じ割合で減らし、薄味に仕上げた方が味は決まりやすくなります。
また、薄味にすると、ご飯が進みすぎることがなく、気になる糖質の摂りすぎ対策にもなります。

 ただ、砂糖に限らず、みりんまで料理から除こうとすると、仕上がりの味もかなり変わってきます。
そうなると、同居する家族やパートナーの嗜好とのすり合わせも必要です。
料理が急に薄味になると、外で味の濃いものを欲するようになり、家族の健康のために良かれと思ってしたことが裏目に出てしまうケースも…。
どうして砂糖を減らそうと思ったのか、自分の考えと同時に、相手にとってのメリットも含めて話してみるのが良いでしょう。

お悩み(2)
料理に使う“甘いもの”は何が良いの?
「○○はダメで△△は良い」というような話の中で、栄養成分量を比べることをありますが、それらをよくみると100gあたりで比べられていることがほとんど。
一般的な食生活で100gもの砂糖をとることは考えられず、1回あたりの可食量でいえば、すごく体に良い、すごく体に悪い、と一概にいえるような話ではありません。
また、砂糖も、こだわりを持つようになるとなかなかな値が張るものもありますよね。

 料理に使うなら、少ない量でもおいしい料理ができること、を基準に選んでみるのはどうでしょうか。
 たとえば、三温糖は煮物に、炒めものやヨーグルトのトッピングならはちみつを、素材の持ち味を生かしたいジャム作りにはグラニュー糖などというように。
ココナッツシュガーは香りが強い分、パンケーキなどにシロップ代わりに使うと、少量でも満足できます。
「これが良い」と思うとどうしても摂りすぎてしまいます。
どんなに良いものでも摂りすぎには注意して、家での味の標準が濃くならないように気をつけましょう。

お悩み(3)
飲み物に入れるのは何が良いの?
 嗜好の問題はあるかと思いますが、少量でも満足しやすいのは“はちみつ”。
はちみつならではのコクが、少量でもしっかりと“甘いものをとった”気にさせてくれます。
また、はちみつは消化吸収が早いので、仕事中に疲れを感じたときなど、早く疲労回復したいときにも良いでしょう。
はちみつにはオリゴ糖が含まれ、腸内で善玉菌を増やす働きもあるので、腸内環境を整えて免疫力をあげたい方にもおすすめです。

 また、コーヒーに牛乳を入れて飲むようになったら砂糖を入れなくなった、という方もいらっしゃいます。
飲み物に砂糖を入れるのは“習慣”になってしまっていることがほとんどなので、砂糖抜きで飲み物を飲むファーストステップとして、こうした違う飲み方をしてみるのもおすすめです。
 一方で、あえて飲み物に少量の糖分を加えることで間食断ちに成功したケースもあります。
1日トータルで甘いものを摂りすぎないようにするにはどうしたら良いのか、飲み物とあわせて考えられると良いですね。

お悩み(4)
甘いものがやめられない…
「甘いものがやめられない」と話す方の中には、“てんさい糖を使った”“オリゴ糖入り”など、健康に良さそうな商品を手に取る人も少なくありません。
でも、そうして何となく罪悪感を減らすことによって、結果的にその選択を頻繁にするようになり、やめられない状況を作ってしまっているケースも見られます。
比較したときにより良いものを食べることも大事ですが、それで習慣を変えられないのだとしたらもったいない!でも、いきないゼロにするのも難しいですよね。

0か100かで考えるのではなく、「今よりも減ったら良し」として、食べる分量を減らす分、本当に好きなものを食べるようにしましょう。
 また、甘いものがやめられないという方の食事記録をみると、太るのを気にして炭水化物をあまり食べていないというケースが多く見られます。
しっかりご飯を食べることで甘いものへの欲求が落ち着くこともあります。
どんなときに甘いものが食べたくなるのか、数日分の食事内容を振り返ってみるのもおすすめです。

 そして、甘いものをとる人ほど、普段の食事で野菜を意識してとりましょう。
どうしても食後にケーキを食べたいから、食事量をへらす(もしくは食事は抜く)というのはNG。
今ある汁物を具だくさんにする、炒めものにもう1種類野菜を加えるというくらいで構いません。
野菜のように食物繊維を多く含む食品は、血糖値の上昇をゆるやかにするだけでなく、低カロリーにもかかわらず、かさがあるのでその後の食べすぎ予防にもなります。

お悩み(5)
罪悪感を感じずに甘いものを食べたい
 甘いのはよくないと思ってナッツ類を食べている…なんて話もよく聞きますが、量をたずねると、食べすぎかも…というケースも多々あります。
ナッツ類は重量あたりのカロリーが高いので、お腹にたまるくらい食べるとなると今度はカロリー面が気になってきます。  

そこでおすすめしたいのが、甘いものとして生の“果物”をとること。
旬の果物であれば、ビタミンやミネラルもより豊富に含まれます。
ビタミンCは加熱に弱いので、生のまま食べられる果物はビタミンCの効率の良い摂取源にもなります。
 食事記録を見ると、果物は高い…と日常的に摂取している方はかなり少なくなってきました。
でも、嗜好品の選択肢のひとつ、と考えれば、スイーツやナッツ類よりも手頃な価格で買えるものも多くあります。
1回あたりの量で考えれば、毎日買っているペットボトルの飲み物よりも手頃かもしれません。
 果物は、ビタミンC以外にも、ビタミンAやビタミンB群、カリウム、食物繊維などが多く含まれ、健康維持やダイエットにも有効です。
 甘いものと上手に付き合って、お腹も心も満たせる食生活を送れると良いなと思います。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月24日

「眠りが浅い人」が熟睡できるほんの少しのコツ

「眠りが浅い人」が熟睡できるほんの少しのコツ
1日中使った脳と体は、なかなか休まらない
2020/09/23 東洋経済オンライン
山田BODY : プロストレッチトレーナー/お笑い芸人

周りの環境が気になって、なかなか寝つけない。
そんな人も多いのではないだろうか。
だが、きちんとした睡眠をとらないと、脂肪をため込む原因にも繋がってしまう。
山田BODY氏、初の著作『がんばらなくていい!しっかり寝るだけ! 最高の睡眠ダイエット』から一部抜粋・転載し、熟睡するための睡眠のコツを紹介する。

今あなたが寝ている環境を思い出してください。
隣に寝ているパートナーの動きや音が気になる、足や指先がいつも冷えている、枕がフィットしていない……など実は気になることがあるという人が多いはずです。
日中に動かした体と情報を収集して疲れた脳を休めたいのに、こんな状況では質の高い睡眠は得ることができず、睡眠不足で脂肪をため込んでしまう体になってしまいます。

寝つきをよくして、睡眠を持続させるには体の内部の温度である「深部体温」を約1度下げる必要があります。
深部体温は上げた分だけ下がる≠ニいう性質があるので、寝る90分前に入浴をして、一度体温を上げておき、睡眠時に下がるように調節しましょう。
また手足から体温を放出するので、基本的には靴下などを履かない方が深い睡眠に入ることができ、最初のノンレム睡眠の質がグッと高まります。

首のくぼみに合った枕がオススメ
寝具は硬すぎず柔らかすぎないものがおすすめです。
立っている状態をそのまま仰向けにした姿勢が、無理のない寝る姿勢になります。
ですから、適度な硬さの敷布団、そして首のくぼみに合った枕がおすすめです。

首に合う枕がないという人は、バスタオルで枕を作るのもおすすめです。
バスタオルを縦半分に折り、クルクルと端から巻いて首と後頭部の間のくぼみにフィットする高さになればOKです。
タオルを巻いた方を首のくぼみに入れて枕代わりにしましょう。
1日の1/3を過ごす寝室だからこそ、ベストな環境を整えておきたいですね。

寝ている間に代謝がされているからといって、食事のケアを怠るのは、もったいないことです。
私がエクササイズを指導している方たちに伝えている食事のケアで一番大切にしているのは、「朝は多くの栄養を摂れるようにバランスのよい食事をする」ということです。
朝起きて、体重計に乗って体重が減っていると、つい「朝食を抜いてもっとダイエットを加速させよう!」と考えてしまいがちです。
しかし、これが大きな落とし穴なのです。
寝ている間にしっかり代謝が行われると、朝起きたときには前日の食事で摂取したエネルギーはほとんど残っていません。
朝食を食べずエネルギーが不足したままの体は筋肉を分解し、それをエネルギーの源とする「糖新生」を行います。
つまり、朝ごはんを食べないとせっかく前の晩に筋肉を刺激し、成長ホルモンによって筋肉を鍛えたにもかかわらず、それがエネルギーとして使われてしまうため、筋肉量が落ちてしまうのです。

筋肉量が減れば、基礎代謝も下がり、自然とやせる体が作れなくなるどころか、脂肪をため込む体となってしまうのです。
糖新生以外に、インスリンの過剰分泌も危険です。
仮に6時間寝て、朝食を抜いて昼まで我慢をしたとすると、約12時間はなにも口にしていないことになります。
そうなると血糖値がどんどん下がってしまい、その分、次に食事をしたときに急激に血糖値が上がり、「インスリン」が過剰に分泌されることになります。

インスリンは肥満ホルモンともいわれ、血糖値が急激な乱高下を繰り返すたびに肥満ホルモンが分泌され、ますます脂肪をため込みやすい体になってしまうのです。
日常の動作を大きくしてみる ちなみに食べたものを消化吸収するのにもエネルギーは消費されます。
タンパク質は約6時間、食物繊維は約3時間、炭水化物は20分から2時間程度で消化されます。
より代謝をアップさせるなら、積極的にタンパク質や食物繊維を摂ってください。

食事時間や、食事の選び方でも、自らやせる体は作れるのです!
僕がおすすめするのは日常の動作をすべて大げさにすることです。
毎日の通勤や通学時の歩行、掃除をするときの動きなど、日常行っている動作を少し大きくするだけで、消費カロリーをアップさせることはできるのです。
ちなみに普通に歩くより、早めに大股で歩くだけで、なんと消費カロリーは1.4倍になるといわれています。
日常の動作を大きくすることで代謝&筋力アップさせて、基礎代謝をさらに上げて寝ている間にもっともっと燃える体を作りましょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月26日

「預金引き出し事件」あなたが安全といえない訳

「預金引き出し事件」あなたが安全といえない訳
「ドコモ口座事件」で考える今すべき「自衛策」
2020/09/25 東洋経済オンライン
松崎 のり子 : 消費経済ジャーナリスト

NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」に端を発した不正引き出し被害が拡大している。
口座名義人ではない悪意ある第三者が、銀行口座から預金を決済サービスへと移動させ、勝手に使ってしまうという手口だが、とくに件数が突出していたのがゆうちょ銀行だ。

ドコモ口座(d払い)のほか、PayPay、LINE Pay、PayPal、メルペイ、Kyashでも被害を確認。
ゆうちょはこれらの決済業者を含めた計10業者への即時振替サービスを停止した。
被害は全額補償する方針だが、ぞっとするような事態が起きたことに変わりはない。

今回の犯罪は何らかの方法で入手した口座情報等を基に、預金者の名義で決済業者のアカウントを開設し、そのチャージ元として銀行口座をひもづけたことで不正引き出しが起きたのだが、口座ひもづけの際の本人確認が甘かったせいではと指摘されている。

昨今、国策でキャッシュレス決済が強力に推進されてきた。
国の未来投資会議で、決済インフラの見直しおよびキャッシュレスの環境整備は重点項目の1つとされ、さらに銀行は2017年の改正銀行法によって電子決済等代行業者との連携を進めよと求められてきた。
また、銀行免許を持たない事業者でも1件100万円を超える送金ができるようになる改正資金決済法も成立。
新型コロナ禍も後押しし、決済のデジタル化をとにかく進めよと国を挙げて前のめりになっていたといえなくもない。
残念ながら、その負の面が突かれた事件ともいえる。

われわれがサイバー犯罪を完璧に防ぎきることはできないだろう。
しかし、なるべく被害に遭わないに越したことはない。
銀行利用者が、自衛策としてできることをいくつか挙げてみたい。 (※以下の取り組みは各銀行のサービスによって異なる)

自衛のためにできること
ネットバンキングで通知メールの登録をする
今やどの銀行でも、インターネットやスマホアプリでのネットバンキングを推奨している。
オンライン上で取引確認ができるので、まだネットバンキングの登録をしていない銀行があれば早めにしておきたい。
とくに、通知メールの設定は忘れずに。

ログインがあった、パスワードの変更があった、振り込みをしたなどの際にメールで通知が届くからだ。
一部のネット銀行は、普段使っていないデバイスからログインしたときもメールが来る。
どこまで通知してくれるかは銀行によって異なり、通知サービス自体がない銀行もあるが、その場合は銀行のスマホアプリや家計簿ソフトを利用して、定期的に確認する方法を取ろう。

セキュリティーを重視するなら、メール通知サービスがある銀行を利用するほうが安心だ。
とくに自分のメインバンクがどこまでお知らせをしてくれるか、改めて確認しておくといい。

送金や出金限度額を下げておく
ネット上での手続きで、自分の口座から振り込み・送金できる金額の上限を設けることができる。
銀行によって異なるが、1回ずつの限度額、1日当たりの限度額というように上限を決めておけば、それを超えた送金はできない。
あまり振り込む機会がない人なら、1回に送れる額を数万円まで下げておいてもいいのではないか。
また、ATMからの引き出し金額の上限は通常50万円だが、それをもっと少なくすることもできる。
万が一キャッシュカードをだまし取られても被害を抑えることにつながるだろう。
最近のキャッシュカードはデビット一体型カードも多いが、デビット支払いの利用金額についても、1回当たり、1日当たり、ひと月当たりで上限設定できる銀行は多い。

個人の家計管理レベルなら、数十万円を一度に引き出したり支払ったりという機会はそれほどないのでは。
振り込みも出金も、必要以上に高額の設定になっているようなら今のうちに変更しておこう。

すぐには引き出せない定期預金にスイッチする方法も 普通預金には多額のお金を置かない
給与振り込み口座にうなるほどお金があるという人は少ないかもしれないが、聞いてみると「給与口座に全部入れっぱなし」という人も結構いる。
住宅ローンやカード利用料、公共料金の引き落としなどのために一定額を残しておく必要はあるが、なんとなくお金はそのまま……というのでは、もし不正引き出しのターゲットにされたら泣くに泣けない。
そこで、すぐには引き出されない定期預金にスイッチしておくのも方法だろう。

例えば、1カ月や3カ月といった満期が短い定期を月をずらして数本作り、自動継続にしておく。
お金が必要なときには満期が来たものを解約すればよく、普通預金感覚で利用できる。
もちろん、その金額をコツコツと積み立て投資に回すのも悪くない。

証券口座にあるお金は、預金以上に簡単には引き出せないからだ……と思ったら、なんと9月16日にSBI証券で証券口座からの不正流出事件が起きてしまった。
なんて世の中だろう。

休眠している口座は速やかに整理する
ほとんど使っていない口座は誰にもある。
大した金額はなかったはずと思っても、こうした事件が起きて該当の銀行に口座があったりすれば気になるものだ。
そもそも通帳だってどこにあるかわからなければ残高確認のしようもない。
平時のうちに、使っていない口座は解約しておくほうがいいだろう。

それに、2年間取引がない口座(不稼働口座)に口座管理手数料をかけるという動きが銀行間に起きている。
りそな銀行はすでに導入済みで、昨年には三菱UFJ銀行が2020年秋から年間1200円の手数料を検討しているとの報道が出た。
もし実現すれば、ほかのメガバンクもそれにならうことだろう。

銀行はさまざまなコスト削減策や手数料の引き上げ・新設をもくろんでおり、使わない口座を抱えていることは逆に自分のお金を減らすことになりかねない。
また、いざ不正被害に遭ったときも、口座数を適切に絞っていれば気づきやすいだろう。

ゆうちょ銀行はなぜ狙われたのか
ここまで自衛のためにできることを挙げてきたが、それで十分では決してない。
というのも、改めて被害の大きかったゆうちょ銀行を見ると、書いてきた対策がほとんど実行できるのだ。
まずはメール通知。連絡が来るのは、ログインがあったこと、振り込みなどの取引、ログインパスワードの変更や再登録時などかなり細かい。
ログインするにも生体認証式やパスワード以外に合言葉が必要だったりと、結構面倒だ。
さらに、振込金額の上限やATM等での1日の引き出し回数を決めたりもできる。

推測でしかないが、もしゆうちょの利用者があまりネットバンキングを利用しない高齢者が多いとすれば、目をつけられやすいのだろうか。
被害に遭った方々が、どんな手続きをしていたかは気になるところだ。
とはいえ、残念ながら「完璧な防御策」はない。

今回の事件では、メールやスマホのSMS(ショートメッセージサービス)を利用したフィッシング手法により銀行の情報が盗まれていたのではとも言われている。
とくに最近では、宅配業者を装って不在通知をSMSで送り、URLをクリックさせることで偽サイトに誘導するといった手口が多く、各銀行が注意喚起をしている。

メールであれSMSであれ、それに付帯しているURLはクリックしないに限る。
銀行のログインパスワードや何らかの暗証番号を入力する場合は、必ず正規のサイトから行うという慎重さが必要だ。
筆者はサイバーセキュリティーのプロから話を聞いて以来、携帯会社からスマホに届いたSMSのURLですら開かないでいる。どれが本物か、素人には絶対に見破れないからだ。
実に嫌な時代だが、まずは自助だと新総理にも言われたではないか。改めて肝に銘じよう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月28日

これだけは絶対に見逃さないで! 知らないと損する「脳梗塞」の前兆

これだけは絶対に見逃さないで! 知らないと損する「脳梗塞」の前兆
2020.9.27 ダイヤモンドオンライン
秋津壽男 秋津医院院長

「片側だけの異常」は脳からのSOSサイン
 脳梗塞は、動脈硬化でせまくなった脳の血管が詰まることで起こる病気です。
脳の病気というと激しい頭痛を想像しますが、脳梗塞に頭痛はあまりありません。
激しい頭痛をともなうのは、くも膜下出血と脳出血で、とくにくも膜下出血は、脳動脈瘤が破裂した際に激しい頭痛が起こります。

 痛みが少ない脳梗塞では、いかにその前兆に気づくかがカギとなります。
このとき大きな情報となるのが、体の片側だけの異常です。

脳の病気の特徴として、体の半分に症状が出ることがあげられます。
片手だけが動かないとか、片足をひきずるとか、必ず体の半分に異常が起きるのです。
 そのため、歩くと一方向に傾いたり、ろれつがまわらなくなったりします。
ろれつがまわらないのは、舌がどちらか一方に曲がっているため、うまくしゃべれないからです。

顔の半分だけが麻痺して右と左の顔つきが変わるなど、顔の表情に変化が起きることもあります。
 なお、片側だけの異常は、脳梗塞の前兆としてあらわれることもあります。
一時的に脳の血管が詰まることで起きる症状で、一過性脳虚血性発作(別名TIA)と呼ばれるものです。
 血管が詰まったけれど、血栓が小さいなどで再び血が流れて、5〜20分ほどで症状がなくなります。
片手や片足だけが急にだらりとしたり、ろれつがまわらなくなったけれどすぐに治ったり……そんな脳梗塞の軽い症状が出た際は注意しましょう。

「気のせいかな」「治ったからいいや」と思わず、必ず脳外科で検査を受けてください。
それで助かった人がたくさんいます。
 そのまま放っておくと、ほとんどはその後に脳梗塞を起こして、体に麻痺が残り、最悪の場合、命を落とすことになります。
(本原稿は、秋津壽男著『放っておくとこわい症状大全』からの抜粋です)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月29日

精神科医が教える、同調圧力に負けない「たった1つの方法」

精神科医が教える、同調圧力に負けない「たった1つの方法」
2020年09月28日 ダイヤモンドオンライン
樺沢紫苑 精神科医

■「自分の意見」をしっかり作っておく
同調圧力に負けないために重要なのは、
「自分の意思をきちんと持つ」ということ。
「自分のやりたいことを明確にする」こと。

自分のやりたいことが明確になっていないから、他人の意見に惑わされるのです。
自分のやりたいことが100%明確になっているなら、他人の意見など気にならなくなります。
自分の進みたい道に向かって、一直線に進むだけです。

ですから、まずは自分がどう生きたいのか、何をしたいのか、どこに進みたいのかを、普段から自問自答しておくことが必須なのです。
あなたは、自分の意見を持っていますか。

以下の質問に答えてください。
この2つの質問に迷わず答えることができたなら、人の意見に流されない、自分の生き方をしっかり持っていると言えます。

■書くことで「自己洞察力」を鍛える
「自分の意見をしっかりと持とう!」と言われても、「自分のやりたいことがわからない」「自分の考えや意見がない(わからない)」という人は多いでしょう。

自分の考えを明確にするためのトレーニングが、アウトプットです。
アウトプットとは、「話す」「書く」「行動する」です。
言葉に出すことで、思考、思索は前に進み、実際に行動することで、その考え、判断がよかったのか、悪かったのかも明確になります。
自己洞察力を鍛えるおすすめのトレーニングは「日記を書く」ことです。
今日あった楽しかった出来事を文章として表現するのです。
自分のノート、日記帳に書いてもいいですが、SNSに投稿することで、さらに効果は高まります。
他人が見る、他人に批判されるかもしれない緊張感が、あなたを真剣にし、アウトプットの効果を高めるのです。

ニュースについて、自分のコメントを数行書いて「シェア」「リツイート」するだけでも、自分の意見を明確にするトレーニングになります。

今の自分の考えや感情、気持ちを「文字」にする。
これを毎日続けていると、「自分の考え」を「文字」や「言葉」で表現する能力が高まります。
「今の自分が何を考えているのか?」 「自分は、何をしているときが楽しいのか?」 自分の得意・長所がわかるようになると、「自信」もついてくる。
自分自身を客観的に観察できるようになってくる。
結果として、自己洞察力が鍛えられるのです。

普段からさまざまな問題を考え、自分なりの「最適解」を用意しておく。
何も考えていない人は、反論もできないので相手の意見に流されるしかありません。
文章を書くことで、自己洞察力を深めておく。
「自分の意見」を持っていれば、いつでもそこに立ち返ることができ、人の意見には流されなくなります。

■「事前に書いておくだけ」で流されなくなる
6人が参加する会議で、プロジェクトの賛成・反対の採決をする場合を考えましょう。
順番に意見を聞いていくと、「反対」「反対」「反対」と3人連続で「反対」が続いたとき、その次に意見を言うあなたは「賛成」と思っていても「賛成」と言えるでしょうか。
おそらく同調圧力に屈して、「反対」と言ってしまうはずです。

なので、会議で採決をする場合、「口頭」で投票するのはやめたほうがいいと言われます。
では、どうすればいいのでしょうか。
最初に紙を配って、「賛成」「反対」を記入してもらうのです。
次に、1人ずつ自分の紙に書いた「賛成」「反対」を読み上げてもらいます。
そうすると、同調圧力とは無関係に、全員が紙に書いた通りの意見を述べることができるのです。

事前に自分の考えや結論を、紙に書いておくだけで「同調圧力」の影響を回避できます。
人の意見に流されなくなるのです。
たとえば、会議などで自分の意見を求められる場合、自分の発言の要旨を紙に書いて準備しておきます。
あとは、それを読めばいいだけです。

よく患者さんで、「先生の前に座ると、緊張して、言いたいことが言えません」と言う人がいます。
そんな人には、「伝えたいことを事前にメモに書いてきてください」と言います。
実際に患者さんはメモに書いてくる。
「それを、そのまま読んでください」と言うと、患者さんはそれを読みます。
こうするとどんな患者さんでも、緊張や圧力に負けずに、伝えたいことをストレートに伝えられるのです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「秋のせい」で過眠に過食、倦怠感 毎年やる気出ないのは「季節性感情障害」かも

「秋のせい」で過眠に過食、倦怠感 毎年やる気出ないのは「季節性感情障害」かも
2020年09月28日 J-CASTニュース

ようやく酷暑が収まったが、秋に変わってから心身に不調を感じる人が出てきている。
ツイッターには「秋のせいなのかいまいち元気がない」、「眠たすぎる」、「10月病」というつぶやきが見られる。

「秋のせい」とは、あながち間違いではないようだ。
秋から冬にかけてうつ症状が現れ、春先の3月ごろになると改善するパターンを繰り返す「季節性感情障害(SAD)」という病が実際に存在する。

治療法は「高照度の光を照射」
済生会の公式サイトによると、SADは「1984年に精神科医のローゼンタールらにより『冬季うつ病』として初めて報告された精神疾患」で、発症年齢は20歳代前半、女性に多い。

冬季うつ病は
(1)過眠、(2)過食、(3)体重増加、といった「典型的なうつ病とは異なる非定型な症状が多く」、精神面でも「『意欲低下や思考が進まない』『倦怠感がある』などの抑制症状が中心」とある。

(1)は、夜の睡眠時間の延長と日中の眠気の増加が同時に起こるという。
また、食欲亢進(編注:食欲がたかぶること)は午後から夜にかけて増強し、白米やパン、パスタなどの「炭水化物」に特徴が出る。
チョコレートなどの菓子類を好むケースも多いようだ。

同サイトはSADの原因について、「日照時間の変化と、個体の概日リズム障害」との関連が推定されているとしている。

「概日リズム障害」とは、いわゆる体内時計がずれている状態のこと。
そのため1〜2時間程度、2500〜1万ルクスの高照度の光を照射する治療法が第一に選択される。
「毎年のことと考え、病気だと気づかない人も多い」
光照射以外に、普段の生活で気をつけておくとよいポイントもある。

札幌市のさっぽろ麻生メンタルクリニックの公式サイトには、 ・規則正しい生活をして積極的に日光を浴びる。
具体的に朝は起きてすぐにカーテンを開け、朝日を浴びる。
午前中に外出し、夜は早めの就寝 ・ストレスをためない ・セロトニンを増やすビタミンやたんぱく質を十分に摂(と)り、食生活に気をつける とある。

また「冬季うつ病は、毎年のことと考え、病気だと気づかない人も多い」ので、疑わしい症状がある場合の早めの相談・受診を勧めている。
ツイッターには、秋になると「毎年悲しくなる」と、ふさいだ様子が散見される。
無理に我慢したり、やり過ごそうとしたりせず、必要に応じて医療機関の助けを得ることが大切だ。
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月30日

「えっ、うれしい!」人が本能的に喜んでしまう10のこと

「えっ、うれしい!」人が本能的に喜んでしまう10のこと
2020.9.29  ダイヤモンドオンライン
イングリッド・フェテル・リー、 櫻井祐子

新型コロナウィルスの影響で外出時間が減った今年、なんとなく、日々重たいような気分を感じているという人も多いのではないだろうか。
そんな中、世界トップのデザインファームIDEOのフェローによる、きわめて画期的な本が上陸した。
『Joyful 感性を磨く本』(イングリッド・フェテル・リー著、櫻井祐子訳)だ。

著者によると、人の「喜び」の感情は、ふだん目にしているもの、手に触れているものによって大きく変わるという。
たとえば、人はものが大量にある「豊かな」環境を前にすると、原始的本能を刺激されてうっとりする。
大自然の「自由」な映像を見るだけで、暴力衝動が減る。
細かなものが整列している「調和」を目にするだけでうれしくなる。

つまり、そうした身のまわりの「もの」を調整するだけで、人は自在に自らやまわりの人の内面に影響を与えることができるのだ。
著者はそうして感性を刺激する、前代未聞の方法を「10の扉」として本書にまとめた。
本国アメリカでは、アリアナ・ハフィントン(ハフポスト創設者)が「全く新しいアイデアを、完全に斬新な方法で取り上げた」、スーザン・ケイン(全米200万部ベストセラー『QUIET』著書)が「この本には『何もかも』を変えてしまう力がある」と評した他、アダム・グラント(『GIVE & TAKE』著者)、デイヴィッド・ケリー(IDEO創設者)など、発売早々メディアで絶賛が続き、世界20ヵ国以上で刊行が決まるベストセラーとなっている。

その驚きの内容とはどのようなものか。
本書より、特別に一部を紹介したい。

具体的な「もの」が喜びを生み出す
 私は教授団を前に、ドキドキしながら立っていた。
 私のうしろに置いた作品──ヒトデ形のランプ、丸底のティーカップのセット、カラフルな発泡体でつくった3つのスツール──を見る教授たちの顔つきは険しく、前途有望なデザイナーのキャリアを離れてデザイン系の大学院に進むという私の選択はまちがっていたのではないかと考えてしまった。

 すると長い沈黙を破って、教授の一人が言った。
「あなたの作品には『喜び』が感じられるね」  ほかの教授たちもうなずいた。
 気がつくと、教授たちはみなほほえんでいた。
私はホッと胸をなで下ろした。

プラット・インスティテュート、インダストリアル・デザイン科の最初の審査に合格したのだ。
でも安堵はすぐに困惑に変わった。
 喜びは、はかなくとらえどころのない感情で、見ることも触ることもできない。
なのに、なぜカップやランプ、スツールといった単純な物体が、喜びをかき立てることができるのだろう?

 そう問いかけたが、教授たちはためらい、口ごもり、「ただそうとしか言えない」と答えただけだった。
私は礼を言って引き下がったが、夏休み前の荷造りをする間も、この疑問が頭を離れなかった。(中略)

「本能」に素直になる
 最近では、環境と心の健康の間に明確な関係があることを示す研究報告が相次いでいる。
たとえば日当たりのよい職場で働く人は、薄暗い職場で働く人に比べてよく眠りよく笑うことや、花が人々の気分だけでなく記憶も向上させることが、研究で示されている。
 こうした発見をくわしく調べるうちに、喜びはかたちのない抽象的なものではなく、より具体的で実体のあるものに思えるようになった。

長年の内省や規律正しい生活からしか手に入らない、得がたいものには思えなくなった。
世界にはいつでも好きなときに訪れることのできる、前向きな感情が湧き出る泉があるのだ。(中略)

うれしくなるものには「共通の法則」がある
 私は、知人はもちろん、街角で出会った人たちにも片っ端から声をかけて、「どんなものや場所に喜びを感じますか」と聞いてみた。
 答えはさまざまで、「おばあちゃんの台所」や「グレイトフル・デッドのサイン入りポスター」「ミシガン湖畔の別荘のカヌー」といった、具体的で個人的なものもあれば、好きな食べ物やスポーツチームといった、文化的伝統や育ちの影響を受けたものもあった。
 だがそれ以外に、個人的でも文化的でもないものがあった。

ある友人は、夏の夕方、帰宅途中に突然大雨が降り出したときのことを話してくれた。
傘を忘れた見ず知らずの人たちと、いつ止むだろうと話しながら軒下で雨宿りをしていた。
 嵐は数分で過ぎ去り、みんなで歩道を歩き始めると、一人が「見て!」と叫んだ。
エンパイアステートビルの真上の空に、美しい虹が架かっていたのだ。みんな足を止め、雨に濡れた服が体にまとわりつくのも気にせず、満面に笑みを浮かべて虹を見上げた。

 この物語のありとあらゆるバリエーションを聞いた。
人々は凍えるような日や蒸し暑い日に、友人や見知らぬ人たちと一緒に、コンサートや山頂やヨットで、虹を見ていた。
虹はどんなところにも喜びを運ぶように思われる。

 私はこういった、多くの人からくり返し聞くものをリストアップし始めた。
ビーチボールや花火、プール、ツリーハウス、気球、それにアイスクリームサンデーのカラフルなトッピング。
 これらの喜びは、年齢や性別、民族の垣根を越えているように思えた。

そこでそういったものの写真を集めて、スタジオの壁に貼っていった。
毎日少しずつ時間をかけて写真を追加し、種類ごとに並べ替えてはパターンを探そうとした。

ものの「見た目」が感情に大きな影響を与える
 ある日写真を見ながらひらめいた。
 棒付きキャンディとポンポン、水玉は、どれも丸い。
 色鮮やかなキルトとマティスの絵画、虹色のキャンディは、どれも純色に満ちている。
 大聖堂のバラ窓には、最初首をひねったが、雪の結晶とヒマワリの隣に並べるとわかった。
どれも放射状に対称なかたちをしている。

 シャボン玉と風船、ハチドリにも共通点があった。
どれもふわふわと宙に浮かぶものだ。
 こうしてすべてのものを並べて一覧することによって、喜びの感情は謎めいていてとらえどころがないが、その感情は実体的な物質的属性を通して呼び覚ますことができるのだと知った。

 具体的にいえば、喜びの感情を引き起こすのは、デザイナーが「エステティクス(美学、美的特性)」と呼ぶ、物体の外観や質感を定義する特性である。
 私はこのときまでずっと、美学を装飾的で、やや軽薄なものとさえみなしていた。

私がデザインスクールで学ぼうと決めたのは、人々の生活をよりよくするものをつくりたかったからだ。
 人間工学的で機能的で環境に優しいプロダクトをつくる方法を探すことが、私の関心事だった。
色や質感、造形、動きの扱い方の授業を楽しんではいたが、こうした要素を必要不可欠なものではなく、おまけのようなものとして扱っていた。
 これは私たちの文化に一般的な姿勢だ。

誰もが美学には少なからず注意を払っているが、気を使いすぎたり、外見に力を入れすぎたりするのは見苦しいと考えられていて、へたをすると「浅い」とか「中身がない」などと思われかねない。
 だがスタジオの壁に貼った美学の集まりは、たんなる装飾をはるかに超えて、深い感情的反応を引き起こす何かを持っていた。

人が喜んでしまう「10のこと」
 私が特定した「喜びの美学」は10に上る。
その一つひとつが、喜びの感情と、身のまわりのものの実体的な性質との結びつきを明らかにしている。

・エネルギー:鮮やかな色と光
・豊かさ:みずみずしさ、数の多さ、多様さ
・自由:自然、野生、広々とした空間
・調和:均衡、シンメトリー、流れ
・遊び:円、球、泡のかたち
・驚き:コントラスト、斬新
・超越:上昇、軽やかさ
・魔法:見えない力、幻想
・祝い:同期性、

きらめき、はじけるようなかたち
・新生:開花、拡大、曲線  

これらの美学は、私たちの感情とどのように関係しているのだろう?
 またこれらの美学が喜びの感情を促すのはなぜだろう?
 こうした疑問に触発された私は、世界中のとくに喜びにあふれる場所をめぐった。
これからの章で、ツリーハウスのB&B(民宿)や、色によってつくりかえられた都市、老化を防ぐ住宅、球だけでできた海辺の邸宅に旅しよう。
 日本の桜の開花のような自然の驚異や、アルバカーキの砂漠上空に一斉に飛び立つ数百機の気球のような人工の驚異を見ていこう。
 またそうした旅をしながら、なぜこれらの場所や経験に、喜びを解き放つとてつもない力があるのかを説明する、心理学や神経科学の分野の新しい研究の知見を紹介しよう。
(本稿は、イングリッド・フェテル・リー著『Joyful 感性を磨く本』からの抜粋です)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月01日

精神科医が教える「他人の目を気にしなくなる方法」

精神科医が教える「他人の目を気にしなくなる方法」
2020.9.30  ダイヤモンドオンライン
樺沢 紫苑:精神科医、作家

なぜ、人と比べてしまうのか
「あの人は自分より仕事ができる」「頭がいい」「かっこいい」「金持ちだ」……。
人は、ついつい他人と自分を比較しますが、比較するほどに落ち込んでしまいます。
あるいは、「なんて自分はダメなんだ」と自分を責める。

嫉妬心から「引きずり下ろしてやる」とか「嫌がらせしてやろう」とか、他人を攻撃するようなネガティブな考えが浮かぶこともあるでしょう。
そんなネガティブな考えが出ても、落ち込む必要はありません。
それは、誰にでもあることなのです。

「社会的比較理論」の提唱者、フェスティンガーは、人が他人と自分を比較してしまうのは、本能、あるいは無意識の反応であると言っています。
つまり、ほとんどの人は、他人と自分を比較する心理的なクセを持っているわけで、「他人と自分を比較して落ち込んでしまう」という心理は、あなただけのものではなく、ほとんどの人に存在するものです。
ですから、他人と比較する自分を責めたり、落ち込んだりする必要はまったくありません。

人と自分を比べると「不幸」になる
他人と自分を比べると、確実に不幸になってしまうものです。
自分より優秀な人は、この世の中にいくらでもいます。

日本人の中で、「仕事」「勉強」「スポーツ」「収入」「容姿」が自分よりも良い人、高い人は山ほどいるのです。
それをいちいち比較していたら、それだけで人生は終わります。

仮に、スポーツのある種目で日本一になったとしても、自分よりも収入が高い人は必ずいるし、自分よりかっこいい人も必ずいます。
あるいは、日本一になったとしても、世界レベルで見ると箸にも棒にもかからないでしょう。

他人と比較すると、死ぬまで落ち込み続けるしかないのです。
他人と自分を比べるほど、あなたは不幸になります。

自分より上の人と自分を比較する心理を「上方比較」と言います。
上方比較には、「自分もそうなりたいからもっと頑張ろう!」というポジティブな要素もありますが、ほとんどの人は、他人と比較して自分の欠点を探し出す、ネガティブな上方比較を無意識に行っています。

他人ではなく「自分」と比べる
他人と比べると不幸になる。
では、どうすればいいのか?
他人や周りの人と比べるのではなく、「自分」と比べましょう。
過去の自分と今の自分を比べるのです。
3ヵ月前の自分、1年前の自分、3年前の自分、10年前の自分。

今の自分がダメだとしても、3年前と比べると、少しは進歩、上達しているのではありませんか?
もし、過去の自分と比べて、進歩していないのであれば、今から頑張って、3ヵ月後に結果を出す。
そうすると、「3ヵ月前の自分と比べて、これだけ進歩したよね」と言えるはずです。

「20万円の安月給。でも、去年は18万円。2万円も増えている!」
「TOEIC400点。でも、前回より30点もアップしている!」
「今日も残業。でも、昨日は終電ギリギリだった。今日は22時に帰れてラッキー!」

このように、過去の「マイナスの状態」と比べると、現在は「ポジティブな状態」にいることが明確になります。
自分のポジティブな成長を実感できると、「もっと頑張ろう」とモチベーションが湧いてきます。
少しずつでも「結果」が出はじめると、毎日が楽しくなり、さらに「やる気」も湧いてきます。

他人と比べると「自分のマイナス部分」が浮き彫りにされ、過去の自分と比べると「自分の変化した部分」が浮き彫りにされます。
その中から自分のプラスの自己成長に気づくことで、自己成長が高まり、自分に自信が持てるのです。

他人と比べたい衝動に駆られたときは、「1年前の自分はどうだった?」と過去の自分と比較したイメージを想像して、その衝動を振り払いましょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月02日

インフルのワクチン接種が解禁、「子どもは後回し」に感じる大きな疑問

* 小だぬきも 1日に接種しました。
インフルのワクチン接種が解禁、「子どもは後回し」に感じる大きな疑問
2020.10.1 ダイヤモンドオンライン
久住英二ナビタスクリニック理事長、内科医師・血液専門医

10月1日はインフルエンザの予防接種の解禁日。
今シーズンの予防接種について、厚生労働省は定期接種対象の65歳以上の高齢者を優先し、それ以外の希望者には接種を待ってもらう方針を発表している。

つまり、「子どもは後回し」という格好だが、この方針は高齢者への感染リスクを考えた場合、臨床医として非常に不安と疑問を感じる。
その理由と問題点を指摘したい。
(ナビタスクリニック理事長、医師 久住英二)

進まぬ小児のインフル接種助成
さらに開始時期を遅らせる政策  
インフルエンザの予防接種シーズンが始まろうとしている。
解禁日は毎年10月1日。
ただし、今年は去年までと“ルール”が異なるようだ。遡ること1カ月、厚生労働省は定期接種対象の65歳以上の高齢者を優先し、それ以外の希望者には接種を待ってもらう方針を発表した。
メディアでも大きく報じられたので、認識されている方は多いだろう。

 その結果、日本感染症学会が「接種が強く推奨される」とした「医療関係者、高齢者、ハイリスク群(妊婦等)、小児(特に乳幼児〈生後6カ月以上〉から小学校低学年〈2年生〉)」のうち、高齢者以外は事実上、優先的な接種が保証されない状況となりつつある。

 この政策が本当に吉と出るのか。
高齢者を守るための施策が、かえって高齢者をリスクにさらすことにならないか。
毎年インフルエンザの予防接種と診療に追われてきた臨床医として不安を覚えた。

しかし問題は、インフルエンザの主たる患者となる子どもたちである。
例年、患者全体の約5割前後を0〜9歳が占める。
14歳まで含めれば、全体の7割近くに上る。
また、インフルエンザ脳症のリスクも未成年は成人に比べて高い。

 気になって、試しに東京都(島嶼部を除く)の基礎自治体について、子どもへのインフルワクチン助成とその開始時期を調べてみると、下記の図のようになった。
東京都の子供のインフルエンザ助成.jpg
とにかく白い。
実に53あるうち32市区町村は、子どものインフルエンザ予防接種に関して何の助成も行わず、予定もしていなかった。
さらに、助成はあっても3つの市で開始が10月1日より遅く、4つの区・市では対象は乳幼児のみに限られていた。
助成額は1000円から全額(無償)まで、ばらつきが大きかった。

 この状況を見る限り、子どもたちが高齢者と並んで「接種が強く推奨される」対象に挙げられていることは、ほとんど考慮されていないようだ。
65歳以上の高齢者が、インフルワクチンを定期接種として無償で、10月1日から確実に受けられるのとは処遇に差がありすぎる。

子どもへのワクチン接種が 「高齢者を救う」というエビデンス
 これだけ私が子どもたちへのインフルワクチン接種にこだわるのは、一つには先の通り彼らのかかりやすさとリスクゆえ(日本小児科医会も「小児への接種時期を一律に遅らせることは避けるべき」とする独自の声明を9月17日に発表)
だが、それだけではない。
「子どものインフルワクチン接種が、高齢者のインフルエンザ関連の死亡や入院を減少させる」という研究が、日露米などから報告されているからだ。

 日本の接種率の変化とインフルエンザ関連死亡の変化を調べた研究がある。
国内では1962〜1987年の15年間、学童のインフルエンザ予防接種は、学校で集団接種として行われていた。
その間、日本の冬季の超過死亡数は、高齢者の大幅な増加にもかかわらず減少していったという。

しかし、集団接種が中止されて以降、超過死亡数は増加し始めた。
さらに、定期接種から任意接種に切り替わった1994年からは急増した。
論文ではこうした推移から計算し、約420人の子どもへのインフルワクチン接種で、高齢者の死亡を1人減少させられるとしている。

 ロシアの研究では、モスクワの幼稚園と小中高校で実施された集団予防接種(有効性60〜68%)の結果、60歳以上の高齢者15万8451人について、インフルエンザやその合併症が有意に減少した。
 インフルエンザと見られる疾病は70%以上減少し、それに伴って合併症とされる7つの疾患も減少したという。
肺炎は62%減、気管支喘息60%減、慢性気管支炎41%減、心血管疾患71%(調整後50%)減、糖尿病57%減、胃腸疾患54%減、慢性腎盂腎炎41%減となった。

 さらに米国の研究からは、高齢者自身にワクチン接種をするよりも、子どもたちに接種した方が高齢者にとって有益である可能性が示されている。
 通常、インフルエンザの罹患率は、高齢者の加齢とともに増加する。
しかし、米ボストン・タフツ医科大学が、2002〜2006年の高齢者の入院記録約500万件と、子どもおよび高齢者のインフルエンザ予防接種率データを分析したところ、子どもの接種率上昇に伴い高齢者のインフルエンザでの入院が抑えられていた。
 ところが、高齢者自身のワクチン接種は、高齢者のインフルエンザ発症とは有意に関連していなかったという。
論文では、子どもへのインフルワクチン接種が、高齢者のインフルエンザに対する集団免疫を誘導する可能性があるとしている。

 要するに、高齢者をインフルエンザから守るためにも、子どもたちのワクチン接種を同等に優先させるべきなのだ。

「強く推奨」にもかかわらず 3週間以上待たせる厚労省
 実はこのことは、私のような“町医者”にとってみれば決して意外ではない。
米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、インフルエンザワクチンの有効率は、小児では74%に上るのに対し、高齢者は40%となっている。
この数字は診療している実感にもなじむ。
 高齢者はワクチンを打っても効きづらいのだ。

 今さら説明するまでもないが、そもそもインフルワクチン接種が「高齢者優先」と言われ始めたのは、新型コロナウイルスの流行に端を発する。
今冬はインフルエンザとの同時流行が危惧される。
両方の感染症に同時罹患する可能性がある。

日本感染症学会によれば、新型コロナ⼊院患者の4.3〜49.5%にインフルエンザとの混合感染が認められたという。
B型インフルエンザとの合併症例では重症化も報告されている。
 のみならず、同時流行は医療現場の逼迫にも追い打ちをかける。

例年と違い、今年はインフルエンザでの受診や治療薬の処方に実質的に制約が生じるかもしれない。
予防が肝心だ。
 人々が合理的に判断するならば、インフルワクチン接種希望者は例年以上に増えるだろう。
一方、ワクチンの供給量は、約3178万本(2015年の4価ワクチン導入以来最大)となる見込みだ。
1人1回接種でも日本の人口の4分の1以下しかカバーされない。
 そこで捻り出されたのが、件の高齢者優先策である。

厚労省からの「事務連絡」として、全国の自治体に対し9月11日付で正式に周知された。
 その中で、高齢者と同じく「接種が強く推奨される」はずの「乳幼児(生後6カ月以上)〜小学校低学年(2年生)の方々」は、「10月26日(月)まで接種をお待ちいただくよう」に、と明確な“呼びかけ”が行われたのである。
「事務連絡」には法的拘束力はないが、自治体では具体的に法令を運用する際の指針として機能している。

予防接種そのものは各自治体の自治事務でも、予防接種法に基づく以上、厚労省から「事務連絡」が出されれば自治体はそれに則るのが基本だ。
 また、日本医師会も、厚労省からの「事務連絡」を都道府県および群市区医師会に転送し、「関係医療機関等に対する周知」を促している。
 その結果、自治体の施策では高齢者の優遇措置ばかりが徹底され、インフルワクチン接種は「高齢者は10月1日から、それ以外は10月26日から」が何の疑問も持たれずに“標準仕様”となった。

ワクチンは追加注文できない
子どもの接種時に不足する可能性
 毎冬インフルエンザ治療の最前線に立つ身として、この解禁日に懸念を抱かざるを得ない理由が、まだあと2つある。
 東京都感染症情報センターのグラフによれば、毎年第44週、つまり11月初旬からインフルエンザ患者が出始める。
ただ、増えるのはインフルエンザだけではない。
11月には気温が下がって体調を崩しやすくなるため、普通の風邪も増加する。
インフル感染推移.jpg

 ワクチン接種希望者にしてみれば、受診した患者からウイルスをもらうリスクは少しでも避けたいだろう。
医療機関としても、待合を分け、混み合わないよう誘導し、加湿や換気など十分配慮するが、受診者が集中すれば手厚い対応は困難になる。

 10月中の感染症患者の少ない時期にインフルワクチン接種を済ませるのが、希望者にとっても医療機関にとっても合理的だ。
まして小児科など高齢者が受診しない医療機関に10月26日までただ待機させておくのは、ナンセンスでしかない。
 また、我々のクリニックのように複数の診療科(内科、小児科)でインフルエンザワクチンを扱っている場合、実質的に後回しにされた小児科分の在庫が不足する恐れもある。
ワクチンの在庫管理は科をまたがって一括して行っているためだ。

 インフルエンザワクチンの発注は、8月末に済んでいる。
卸業者は、医療機関の各ワクチンの前年度実績に基づき、それに見合う数しか売ってくれない。
高齢者が先行して接種し子どもたちに接種するワクチンがなくなっても、追加発注はできないのだ。

 相対的に効果の低い高齢者への接種が徹底され、より高い効果の期待できる子どもたちへの接種を不確かにした厚労省の“呼びかけ”。
救いは、これがあくまで“呼びかけ”であることだ。
 実際の解禁日は、各医療機関の賢明な判断にゆだねられている。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月03日

人生100年は幸せか

花谷寿人の体温計
人生100年は幸せか
毎日新聞2020年10月1日 東京夕刊

 100歳以上の高齢者が初めて8万人を超え、50年連続で過去最高を更新した。
長寿はめでたい。だが政府の「人生100年時代」のお題目には違和感がある。

 <高齢者から若者まで全ての人が元気に活躍し……>
 社会保障制度を維持するため、老いても隠居せず、元気で働いてもらいたいのが本音だろう。
だからといって、それが理想の社会だと国が唱えることは、果たして幸せをもたらすのだろうか。
   ◇
 この夏出版の「死を受け入れること」(祥伝社)は医師の小堀鷗一郎さんと、ベストセラー「バカの壁」の著者で解剖学者の養老孟司さんの対談集。
ともに82歳。
 小堀さんは埼玉県で患者の自宅を訪問する在宅医療を担う。
体験記録「死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者」(みすず書房)は2019年の日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。

 東大病院などで外科医として40年間勤務した。
「患者をどうやって生かそうかと考えていましたが、今は患者をどうやって死なそうかと考えるのが仕事です」。
高齢者の終末期に接し「その人らしい死に方とは何か」を考えるようになったという。

診てきた高齢者の大半はお金や健康に恵まれず、社会の支援も乏しい。
 内閣府主催のフォーラムで講演を頼まれた時のこと。
80歳を過ぎても元気に働く自分のような人間をモデルに、国民を勇気づける催しだと気づいた。

 だが、多くの高齢者がそれで力を得られるわけがない。
講演で国の姿勢を皮肉った。
それと同時に、恵まれない境遇でも豊かな老後を送る患者の話をした。

 学校へ行けず、字を覚えたいという女性がいた。
新聞や雑誌からノートに書き取る。
「葵(あおい)」はどんな花ですか。
そう聞かれた小堀さんは「今度デジカメで撮ってくるよ」と答えたが、約束を果たせぬまま女性は亡くなる。
「元気で活躍する」ことはなくても、彼女の老後は幸せだったと思う。   
   ◇  
森鷗外に短編「妄想」がある。
老人は本を読み、摘んできた草花をルーペで見る。
<折々のすさびである>。
すさびとは、心の思うままにという意味だ。
死を恐れず、死に憧れることもなく。

 鷗外は小堀さんの祖父。文豪が生きた時代より、高齢者は幸せになっただろうか。
           (論説委員)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月04日

コロナリストラがどれだけキツくても会社を辞めてはいけない7つの理由

コロナリストラがどれだけキツくても会社を辞めてはいけない7つの理由
10/3(土) プレスゼントオンライン

三菱自動車、ジェットスター、東芝など、9月に入って大手企業が次々に人員整理を発表している。
自分の会社でリストラが始まったとき、どうすればいいのか。
リストラ評論家の砂山擴三郎氏は「退職金を加算されても、絶対辞めてはいけない」と断言する。
その理由とは――。

※本稿は、砂山擴三郎『今どきサラリーマンのためのリストラされずに会社にぶら下がる方法』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。

■あなたはそれでも辞めますか?
   2回リストラを経験し、多くのリストラ退職者の再就職支援をしてきた私から言わせれば、会社の勧奨に応じて退職を決断するのはまったくの短慮に思える。
「愚の骨頂」なのだ。

 会社側の厳しいプレッシャーに抗しきれないこともあるだろう。
こんな会社にいてもろくなことがない。
倒産したら元も子もないし給料がカットされるのも確実だ。
今なら退職金満額がさらに加算され、再就職支援サービスで次の仕事もみつけられそうだ。

 だが、それでも退職することには賛成できない。
じっと我慢し、リストラの大嵐をやり過ごすか跳ね返してほしい。
業績不振は経営者の責任。
そのために自分と家族の人生が犠牲にされることはない。
まして、そんな会社に義理立てする筋合いはない。
どうするかはもちろん、自己責任・自己判断になるが、考えるための材料を以下に提供したい。

人生、我慢で得られる幸せもあるのだ。

■理由1 リストラで会社は持ち直す
 「大の虫を生かすために小の虫を殺す」の言葉がある。
大の虫である会社を助けるため、小の虫である社員を犠牲にすることだ。
犠牲にされた社員を踏み台に会社は生き残る。
お荷物社員を辞めさせれば、利益が出ると考えるからリストラをする。
そのために必要な巨額の資金も「数年で元が取れて回収できると判断するから」金融機関は資金を貸すのだ。

 よく「リストラをする企業には未来はない」とか「リストラをした会社の末路は知れている」と言われるが、それは事実に反するまったく感情的なもので、実はリストラの先には「明るい未来がのぞめる」ことが多いのだ。

■理由2 退職金に加算がされても得しない
 「来月から大幅に給料がカット、ボーナスも多分出ないだろうし何よりもこのまま行くと倒産して退職金は出ないだろう」、さらに続けて上司は囁きかける。
「だけどね、今辞めたら退職金は加算されるし、再就職支援サービスも受けられて万々歳だよ」

 サラリーマンの収入は一時的な損得で判断しないほうがよい。
幸いすぐ再就職ができても、中高年者は特に給料が大幅減になるのが当たり前。
なぜなら勤続10年、20年の年功部分を喪失するのだから。

給料が下がれば、公的年金受給時に報酬比例部分も少なくなる。
 退職金の加算金額や再就職先での給与額にもよるが、生涯給与で比較するとリストラ退職は圧倒的に損な選択になることが多いと言える。

私自身、57歳でリストラ・自営化の道を選択したが、その際将来的にみると金銭面ではマイナスになると覚悟はしていた。
しかし、残留を選択した同期と比較してこれほど大損になるとは思わなかった。
 退職金で住宅ローンや教育ローンを返済でき、再就職先の安い給料でも女房と二人食っていければいいという人もいるだろう。
退職後の生活設計ができるから辞めてもいいという判断だ。
しかし中高年にとって、マイホームと子どもの教育資金をクリアしても、親の介護や自分たちの老後の資金問題がある。
当面ではなく将来設計をしたうえでの判断がのぞまれる。

 リストラをすることによって会社は大きな利益を生み出し再建を果たそうとする。
社員も同じように利益を得られるかというとそうではない。
社員が損をすることによって、会社が得をすることを忘れてはならない。
両方得をすることは労働経済学上ありえないのだ。

■理由3 リストラ退職は一生引きずる
 再就職支援会社でカウンセラーをしていてわかるのは、どんな人も退職後数カ月は「リストラされた」ことを引きずることだ。
 愛着もあり会社のために頑張ってきたと思っているのに情け容赦なく「戦力になっていない、働く場所はない」と「辞めろコール」を浴びせかけられたのだから、そのショックたるや計り知れない。
裏切られた、生きていく気力が失せた、と心に大きな傷を受ける。
さらに自分自身の自信と誇りを失い、プライドもずたずたにされている。
再就職活動をはじめるどころではないのだ。
こういうケースで、家族が本人の気持ちを推し量って対応してくれればいいのだがそうでないことも多い。

 「夫がリストラされたなんて、親戚や近所に恥ずかしい」と食ってかかる奥さんも珍しくない。
「いつになったら就職が決まるの」と毎日就職活動で疲れて帰ってくるたびに家族から罵声を浴びせられる。
精神的に追い込まれ、帰宅恐怖症になる人もよくみかける。
 仮に運良く就職が決まっても、このときの心の傷がトラウマとなり、家族との間にできた溝が修復されず人生の敗残者のようになってしまう人も出てくる。
再就職支援会社のロビーやブースの異様な静けさは、リストラされた人の精神状態そのものと思わずにはいられないのだ。

■理由4 再就職が難航する、長期化する
 リストラされた人を見る世間の目は厳しい。
仕事ができないから、努力して頑張らないから、本人のせいでリストラされたとまったく見当はずれの見方が多い。

求人に応募しても、中高年者や長年勤めた会社を辞めた場合はまずリストラを疑われる。
面接で根掘り葉掘り聞かれ、そのうえ敬遠されることが実に多い。
リストラ時に再就職支援サービスが提供されても、当てにできないと感じる人も多いのだ。
 会社面接でいくら説明しても、「ああ、あの会社でリストラされた人ね」と決めつけられ、能力や意欲に疑問符をつけられる。
そのため厳しき門になり、採用されても処遇が一段低くされることがある。
リストラの烙印を押され色眼鏡で見られてしまうのだ。
 求人企業と求職者の間に立って就職のお世話をする人材紹介会社は、就職が決まれば求人企業から紹介料を受領する。
顧客企業からは「リストラされた求職者の場合、半分にしてほしい」とか、ひどい場合は「無料にしろ」、というケースもあるという。

 労働力調査によると、完全失業者は214万人(2020年4〜6月平均)中、失業期間が1年を超える人が55万人、前年同月比で4万人増えている。
新型コロナで企業の業績が急激に悪化し、新卒の内定取り消しも出ている中、条件の悪い中高年のリストラ退職者は必然的に苦戦せざるをえないのが実情だ。

「しばらくゆっくりして」という方もいるが、しばらくが一生になりかねないことに気付いてほしい。
自分一人でも起業するだけの気概やバイタリティー、それに能力がなければ転職はしないほうがいい、という人もいる。

■理由5 リストラ、一度あることは二度三度ある
 仕事上、リストラされた方を大勢見てきた。
能力や意欲は人それぞれであるが、仕事の取り組み方・周囲の人との接し方・性格などこれほど似ているのかと思うくらいに似ていることが多い。
何かリストラされやすい、会社から目をつけられやすい特徴を持っている可能性があるのでは、と思ってしまう。

 今の世の中、大樹はない。
この会社は危ないと思ってリストラに応じて再就職しても、その会社が長期安定している保証はない。
ましてや一度リストラされた人は、そうでない人に比べて自分では気が付かないリストラされやすい何かがあるかもしれない。
そういう意味では一度あることは二度あるとも言える。

■理由6 とにかく一呼吸おいて時間稼ぎが有効
 この会社はもう見込みがない、と見切りをつけるにしても、そうすぐに再就職先は決まらないだろう。
厚労省の調べではリストラされた人が1年以内に再就職できたのは約4割だ。
次の就職先を決めるための準備、貯金などの生活設計の見直し、人脈作り、資格の取得、キャリアの充実とやることは山ほどある。
「ため」をできるだけ多く作っておけば、飛ぶときに高く飛べる。
決めたら急ぐことはない。

■理由7 残り者に福来たる
 歯科材料メーカー営業主任の山室健太さん(仮名。33歳)は、「あのとき辞めずにいて良かった」と大声で叫びたい気分だと語る。
1年前、製品クレーム対応を誤った会社は従業員3割減の大リストラに着手。
山室さんも何回も部長から肩たたきを受けた。
ところが直属の課長が家業を継ぐために退職、危うくセーフとなったのだ。

山室氏は退職する課長から、懇切丁寧にクライアントの引き継ぎを受け、長年培った営業の心構え、テクニックを教わった。そのせいもあるのか半減した営業部員の中でトップセールスにのし上がったのだ。

 リストラで残った者には地獄が待っている。
給料カット、ボーナスも出ない、おまけに残業も認められない。
それなのに人が減って仕事の量が異常に増え、赤字の会社は仕事の成果のハードルを高くしてくる。
やってられないとまた人が辞めていく。
会社全体が悪循環に陥って……と、よく聞かれる話だ。

しかしこのピンチは逆にチャンスなのだ。
人が減って仕事が増えることはポストが空いて昇格するチャンスなのだ。
給料がカットされても、再就職先での給料と比較すればずっと上かもしれない。
そのうち会社再建がなされれば、カットされた給料以上になるだろう。
社員が減った分、潤い方が多くなるに違いない。

 去るも地獄残るも地獄なら、天国になる可能性が高い地獄を選択したい。
嵐はいつまでも続かない、
辛抱すればそのうち止むのだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月05日

人ごとじゃない、詐欺に騙される人たちの意外な共通点とは

人ごとじゃない、詐欺に騙される人たちの意外な共通点とは
2020.10.4 TRILL

さんきゅう倉田です。芸人をしています。
芸人という仕事も、もちろんコロナの影響で仕事が減っています。
その分、勉強をしたり何かを作ったり発信したりして、売上を増やす努力が必要です。

世の中には、努力をせず、楽して儲けようと考える人がいます。
もちろん、少ないコストで大きなリターンが得られるのなら、とても良い仕事だと思います。
しかし、楽して儲かる仕事を、他人が紹介してくれることはないと、必ず認識しておかなければいけません。

なんで参加してしまったんだ…
知人が1万払ったセミナー 知人、といっても、全然親しくない、ほとんど赤の他人が、有料の投資セミナーに参加しました。 参加費は1万円。安くない金額です。
それでも、秋葉原のとある貸し会議室に100人以上が集まっていました。
平たく言うと、儲かる投資話が聞けるようです。
テーブルごとに、オードブルと缶チューハイが置かれていて、奥には高砂があります。
スタッフは20代の男性が5人ほどで、全員、スーツのズボンと色付きのシャツ、ベストを着ていました。
身なりは若手実業家風を装っていた、と知人は言います。

しかし、会場の隅っこで、コンビニ弁当を食べており、彼らが儲かっていない様子が覗えました。
ただ、時間がなくて、コンビニ弁当で済ませているのかもしれません。
念の為、腕時計も確認すると、大学生が古着屋で買うような時計やG-SHOCKをはめていたそうです。

身長155cm体重60kg「浅黒い」怪しいリーダー登場
定刻になると、主催者側のリーダーと思われる男性が、高砂に上がり、マイクを手に話し始めました。
「今日は、とても良い料理を用意しました。存分に召し上がってください」
こいつらは、ラーメン屋でテーブルの周りの「当店のこだわりPOP」を見たこともないのか。
本当に美味いのなら「良い料理です」なんて言わない。
なぜ良いか、何にこだわっているのかを言うのだ。

何も言うことがない時、「本当に良い料理です」と言い「閑静な住宅街です」と言うのだ、ばかめ。知人はそう思ったそうです。
リーダーはそれから1時間、中身のない話をしました。
「とにかく、今はSNSです。SNSで発信すること。これが儲かる。絶対やってください。まず、SNSです。ガンガン発信すること。とにかくSNS。そして情報を集めること。それにはSNS。すぐ初めましょう。

FacebookもTwitterも全部始めましょう。
なぜか?情報です。
では、情報を集めるためには、どうするか?SNSをやるんです!
今、みなさんに足りないものはなんだと思いますか?情報です!
そして、何があれば儲かると思いますか?情報です!

では、どうするべきか、SNSを始める!Facebook、Twitterなんでも良いです!すぐに始めてください。
いいですか?いいですね?」 ずっと、同じ話を繰り返したそうです。
それを参加者は真剣に聞いていました。
参加者はどのようなきっかけでこのくだらないセミナーに参加しているのかわかりませんが、50代〜70代でした。
そのあたりの世代がよく見るサイトか何かに広告を載せていたのかもしれません。

このセミナーは、SNS黎明期に行われたものではありません。
今から4年ほど前です。 それでも、くだらない内容に憤慨して大声を出すような参加者はいませんでした。
知人の推測ですが、リーダーはこのようなセミナーや情報商材の販売で利益を得ているようでした。
こういうセコい騙し商売に巻き込まれないためには 利益を得ていると言っても、安物のスーツにせこい腕時計、テンションと抑揚だけの下手なパフォーマンス、鍛えられていないたるんだ肉体、贔屓目に見ても美容に興味のない肌から、規模は小さいとわかります。

それでも、良くないものや普通のものを誇張することで、リーダーの話に騙される人がいる。
なぜかというと、嘘をつかない人は、他人が嘘をつくとは考えないからです。
ぼくも、芸人になって数年経ってから、平気で嘘をつく人がいると知りました。

大切なのは友人でもない他人の儲け話を信用しないこと、根拠を説明しない人を信用しないことだと思います。
話のつまらない二流社長にならないためには 真贋を見抜けるお金持ちには、いくつかの共通パターンがあります。
怒らない、鷹揚に構える、他人を否定しない、身繕いをきちんとしている、 必要な分野についての勉強をコツコツ続ける。
そんなお金持ちの類型を抽出して、電子書籍を出版しました。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月06日

「ちょっといいかな」リストラ面談の崖っぷちで大逆転する8つの裏ワザ

「ちょっといいかな」リストラ面談の崖っぷちで大逆転する8つの裏ワザ
10/5(月) プレジデントオンライン

三菱自動車、ジェットスター、東芝など、9月に入って大手企業が次々に人員整理を発表している。
自分の会社でリストラが始まったとき、生き残るにはどうすればいいのか。
リストラ評論家の砂山擴三郎氏が「リストラ面談に呼ばれたときの8つの裏ワザ」をアドバイスする――。
 ※本稿は、砂山擴三郎『今どきサラリーマンのためのリストラされずに会社にぶら下がる方法』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。

■会社のペースに乗せられるな
 早期退職・希望退職を会社側が募集し、個別に社員に退職勧奨(いわゆる肩たたき)する場合に必ずつきものなのが、会社側による対象者への「面談」だ。
一方的に会社都合で退職させたり解雇することの難しさを知っている会社の狙いは、「面談」を通じて本人を説得し、納得させて退職させることなのだ。

 会社側は戦力外社員とみなせば、退職してもらうためにあらゆる手を尽くす。
普通のやり方ではなかなか本人が「承知」しない。
中には「連日のように面談、休憩なしの長時間拘束、大声・威嚇・暴力・嫌がらせなどを伴う面談、多人数による面談」で強引に明らかな法違反の退職強要がなされることもある。
 それだけに会社ペースでの面談になって、退職に追い込まれることのないように自衛手段を講じる必要が出てくるのだ。
以下、会社側を押し返すための8つの裏ワザをお教えしよう。

■裏ワザ1 想定問答のロールプレーイングする
 ある程度の規模のリストラをする企業は、専門企業から手ほどきを受けるのが普通だ。
その場合、リストラ対象者との面談のやり方のスキル・テクニックを二日間ほどの研修で面談者に徹底的に覚え込ませるときに使われるのが「リストラマニュアル」(別名「辞めさせマニュアル」)である。
新聞や週刊誌の特ダネ記事とかスクープとして報じられることがしばしばあるが、今はネット上で容易に入手できる(「リストラマニュアル」で検索)。

 このマニュアルは何種類もあるが、ほとんど内容は変わらないのでどの会社のケースにも使えるだろう。
これを見れば、面談者の心構え・注意事項・面談のやり方・問答内容が詳細に記述されている。
読めば相手の手のうちがよくわかるので「百戦危うからず」だ。
 特に問答内容はビックリするくらい同じ。
こう言われたらこちらもこう切り返そうと事前の準備が完璧にできる。
あまりにも想定どおりに対応できるので、不謹慎だがゲーム感覚で対応できる。
そのため、ある人が思わず「笑み」をもらしたため面談者から叱責された、と聞かされたことがある。

 問答のポイントについては、拙著『仕事のできるあなたが、なぜリストラされるのか』に詳しくある。
なお、会社側がリストラマニュアルを使っているかどうかを確かめる方法は簡単だ。
面談室で面談者が自席の斜め前に座っていれば(もう一人いる場合は自席の横手)、このマニュアルを使っていると判断できる。
試しに座る場所を変えると、面談者も変えてくるはずだ。
「真向かいに座る」ことは対立関係になるからと、マニュアルでは禁じているからだ。

■裏ワザ2 面談記録をマメにとる
 突然の場合でも、「リストラ宣告だな」とピンときたら、とにかく記録をとり始めなければならない。
そのために日ごろから、少なくともメモ帳と筆記用具は携行しておきたい。
それにICレコーダーも必須ツールだ。
 これによって相手は気勢をそがれ、これは一筋縄ではいかないと思うだろう。
脅かし半分の下手な発言もしてこなくなるのが普通だ。

記録はいろいろなところで相談に乗ってもらう場合も利用でき、何よりも裁判などになったときは力強い武器になる。
やれば導入から圧倒的優位に事を進められる。
 この辺は相手もよく知っているので、そういったものの使用を止めさせたり牽制したりする。
これは100%近くあると考えたほうがよいだろう。
 「なにそれは。そんなんじゃあ、話せる事も話せないでしょうが。そういうことされるとお互いの信頼関係も崩れてしまうので遠慮してよ」

 何を言われても、その場でノートを広げ、「2020年10月5日、月曜日、今10時11分。第一会議室、面談者は山本和夫部長。部長が『それは遠慮してください』と発言」とドンドン大きな字で書けばよい。
ICレコーダーも前に置いて「録音スタート」とスイッチオンすればよい。
使うことはなんの問題もない。

 激しく抗議されることも、その場の雰囲気もあるだろう。
難しければICレコーダーは無理に使わなくてもよい。
とり上げられたり、机の上にオフして置かされたりすることに備えて2台持ちが今や常識になっている。
 馬の耳に念仏でほうっておけば、苦笑しながら黙認される場合も多い。
こうなれば、まず初戦は大勝利でのスタートとなる。
さらにノートパソコンを持ち込んで発言をいちいちインプットする輩も出てきている、と嘆く人事担当者もいるくらいだ。  

「そうですよ、部長のおっしゃるとおりですよ。これはあくまで言った言わないの話になった場合の確認用です。駄目なら私はこれから一切無言で通します」
 「金持ち喧嘩せず」の対応で既成事実を作ればよい。できるだけ細かく、要約しないでありのままの発言と様子を書く。相手側に、「こうですよね」と確認をとるのも高等戦術だ。
 ある人は、録音された一部始終をそのつど聞いて「こんな事言われて、絶対負けない」と励みにしていると聞いたことがある
さまざまな使い方があるものだ。

■裏ワザ3 とにかく時間を稼ぐ
 各部署や人事にはリストラ目標人員があり、いつまでにという時期も決まっている。
よって、トラブルが起きそうだとか時間がかかりそうな人は後回しになりがちだ。
ここが狙い目で、そうこうする内に台風一過。
あれはなんだったのかということがしばしばある。
景気が回復して急にリストラが中止になったり、希望退職の応募人員が募集枠を超えたり、上司の異動でリストラ候補から外されたり……。
だからとにかく時間を稼ぐのだ。
 普通、面談で設けている「週1回以内」「1回が長くて1時間」の基準をこの際活用するのだ。

そのやり方として、
 ★2回目以降の面談では、メモや録音したものを基に前回の詳細な問答記録を作って面談者に渡す。
そして一つ一つ読み上げて確認。
違っていれば修正し、最後にサインさせる。
 イチャモンをつけられたら、「大事な打ち合わせだから、キチンと議事録を作り、互いに確認するのが当然でしょう」と涼しい顔で受け流せばよい。
 ★家族と示し合わせて面談中に携帯電話をかけさせる。
電話応答したあと、溜息をつきながら「女房がうつになって」「子どもが不登校で」「母親が徘徊して」と家族のマイナス情報を面談者に伝える。
時間なので。ちょっと心臓の調子が悪くて医者からは早く手術するように勧められていまして。
発作がいつ起きるかわからないのです」と語る。
面談が中断し、面談者も勢いがそがれ、また無理押しできないという印象を与える。
 ★面談者の説明や説得の内容を細かく確認して質問する。また持論をとうとうと述べる。  「会社が収益悪化した原因なんですが、私が思うに……」
 ★事前の想定問答に基づき、ああ言えばこう言うスタイルで自分の考えに引き込んでいく。
 ★面談者が答えにくい質問をする。
 「それは就業規則の何条何項に規定されているのか、今まで適用された事例はどうか」
「社長の経営責任について聞きたい。そもそも会社がこんな危機に陥ったのは○○事業に新規進出したせいではないか。どんな成算があったのか聞きたい」

■裏ワザ4 無言で貫き通す
 沈黙は「金」というが、無言で腕組みして一切何も答えないのだ。
そのときに「じっとにらみつける」「顔面を引きつらせる」といったことを併せてやるとより効果的になる。
 実は人事が面談でおそれているものの一つが「無言」で、「のれんに腕押し」状態はベテラン人事もどうしたらいいのかわからなくなるのである。
わかったのか、わからないのか、何を考えているのか、まったくわからないので対処できず、音を上げてしまう。
 本人が黙り込めば黙り込むほど相手は話しかけてくるものだ。
そうせざるをえないのだ。
なぜなら、本人は黙っていても何も困らないが、なんとか説得し了解を取りつけようとする相手(会社側)は焦りまくる。
「何か言ってくださいよ。頼みますよ」と懇願するまでになる。
 本人にとって一秒一秒が苦しく辛い。
無限とも思える魔の時間だが、相手はそれ以上に苦しい。
辛抱し我慢し耐え抜きたい。
リストラされたときの大変さに比べれ これしきはどうってこともないはずだ。この方法は「誰でも・簡単に・いつでもできる、失敗しない」方法だ。

■裏ワザ5 常套句ですべて切り返す
 事前にさんざん問答を練習していても雰囲気にのまれたり、相手に気後れしたりするので十分に返答できないことがある。それに備えて「常套句」をいくつか準備し、相手の問いかけに対して的外れでもなんでも構わないのでそれで答えよう。
無表情で答えるとより有効だ。

 「私は辞めません」
 「それはなぜですか? 」(どんな返事に対しても3回繰り返す)
 「それはどういうことですか? 」(どんな返事に対しても3回繰り返す)  

何を言われても、単純にして明快なこれら3つの言葉ですませる。
繰り返し繰り返しこの言葉を呪文のように唱えるのだ。
私はこの言葉を「魔法の文句」と称している。
ぜひ、ご活用を。
この威力のほどを実地に試してください。
 相手は付け込む隙を見つけようと、例えば「なぜ辞めないのですか? 」と反応してくるが、そのときでも「辞めません」でOKなのだ。
そして黙って相手の目を見るといい。

 3つでも多いという人は、「私は辞めません」一つだけでも大丈夫。
忘れないようにと、手のひらにマジックで書いた人もいます(笑)。
 「辞めたくない、絶対に。辞められないんです。だから、何をされても何を言われても辞めません」。
まさに「踏まれても蹴られてもついていきます下駄の雪」の心境だ。
家族の顔を思い浮かべながら、ひたすら耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んでいくのだ。

■裏ワザ6 体全体を使って相手に自分の意志を表現すること
 例えば、こうだ。
 「目を大きくむきながら、両手に力こぶしを作り、椅子から立ち上がって大声で声を震わせながら、『私は絶対辞めません』の言葉を3回繰り返す」
 動作、アクションでは、  「溜め息をつく」「頭を抱える」「頭をかきむしる」「突然奇声を発する」「手を震わす」「手を振り回す」「声を震わす」「泣きそうな目」「荒い吐息」「握り拳を作る」「急に立ち上がる」「とろんとした目」「机をこぶしで叩く」「あらぬ方向に目を向ける」……

 自分の気持ちや心情を体で表現する効果的な方法を考え出して、自分で自分を演じる役者になることだ。

■裏ワザ7 面談者の失言を徹底的に追求すること
 面談者も速成教育を受けたばかりの管理職であったり、他部署からの応援人事だったりする。
落とさなければならない気持ちが先行してついつい口にしてはいけないことを言ってしまうというミスをしがち。
これが狙い目なのだ。

 激昂して、「この馬鹿者が」「だから君は駄目なんだ」とか、「もうクビだ」「僕も本当はリストラなんかしたくないんだけどね」などと絶対使ってはならない言葉を使ったりする。
 「部長、今、私をクビだと言いましたよね、整理解雇ということですか。このあとすぐ労働組合に相談します。説明と発言が違うじゃないですか、どうしましょう」
 レコーダーにもバッチリ入っている、もう面談者は逃げられない。
ここで攻守所を変えることになる。
すぐその場で言うのが効果的だが、次回に発言メモを見せたり、テープを聞かせたりしてもいいだろう。
次から対応がはっきり変わってくるはずだ。

■裏ワザ8 面談者への個人対応をする
 面談者にとって避けたいのは、前述した「記録をとられること」「対象者の無言」と、もう一つあるのが「自分への個人対応」だ。
 面談前に面談者の個人情報を集めるようにする。
フェイスブックで検索したりして、社内人脈・住所・家族構成・学歴・趣味など幅広く知りたい。
これが武器になるのだ。
そのうえで機を見て「会社じゃあ、時間もないし、立場上言えないこともあるでしょう。
部長の自宅の最寄り駅は、確かJRの○○でしたよね。一度夜にでもお邪魔しますよ」と、これでいい。

 リストラマニュアルによると、「会社は……と考えている」「会社は……を決して許しません」などの言い方を面談者に推奨する。
要は、「こんなことをしたりやったりするのはすべて会社で私個人ではない。私はこういう立場にあるから仕方なくやっているのだ」と心のやましさを覆い隠すと同時に個人攻撃に待ったをかけている。
面談者個人に矛先が向けられることは会社として困る、やめてほしいということだ。
これが狙い目になる。
 この個人対応に耐えられる人はほとんどいないだろう。
しかしこれは乱用してはならない。
必ず「素振り」だけにしておくことだ。
要は、「私に退職を強く求めるとあなた自身も返り血を浴びますよ」という印象を与えておくことが必要なのだ。
一番やられたくないことなので、扱いがガラッと変わる可能性がある。
---------
- 砂山 擴三郎(すなやま・こうざぶろう) キャリアコンサルタント
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月07日

なんでも「正解」が欲しい日本人に足りない視点

なんでも「正解」が欲しい日本人に足りない視点
オックスフォード大学式チュートリアルとは
2020/10/06 東洋経済オンライン
大仲 千華 : マインドセットコーチ・トレーナー、明治学院大学教員

未曾有のウイルスによって働き方やライフスタイルに大きな変化が起きている。
先が見えない中、どう行動するのが正しいのか、誰を信用すればいいのかなど、「唯一無二」の答えが存在しない状態となっている。
こうした中、『自分の軸で生きる練習』筆者で、プロコーチングとして活躍する大仲千華氏は、「万能な答えのない状況では、1つの答えを追求するより、いかに自分で考えるかということのほうが重要だ」と話す。
本記事では同氏がオックスフォード大学で学んだ自分の頭で考えて、自分に必要な答えを導き出す方法を紹介する。

1つの答えを出すより、「いかに考えるか」が重要
私たちはいま、前例のない「答えのない時代」を生きています。
国際情勢から為替の変動、そして新型コロナウイルスまで、「未知なこと」や「予測不能なこと」が日常的に勃発し、一つひとつの出来事が複雑に影響し合って、日々の生活や働き方などが思わぬ方向に進む事態も発生しています。
その変化の速度は、ますます加速しているといえます。
このような状況下では、すべての問題を解決してくれる唯一無二の答えなど存在しません。
そんな「答えのない時代」に、自分にとって必要な答えを導き出すためには、どんな能力が必要なのでしょうか?

その1つが、考え方の考え方、つまりは「考え方の軸」を持つことです。
万能な答えのない状況では、1つの答えを追求するより、「いかに考えるか」ということのほうが重要だからです。
私はイギリスのオックスフォード大学大学院で、答えのない状況での考え方の軸を本格的に学びました。
オックスフォードに入学して驚いたのは、教授と学生が1対1、もしくは1対2で対話をしながら学ぶ「チュートリアル」という指導体制がとられていたことです。

多くの大学では、講義における議論への参加ぶりや提出した課題の内容によって評価されるのに対し、オックスフォードではこのチュートリアルこそが、学びの中枢になります。

まずは、そのステップをご紹介しましょう。

@これまでの論点を言語化し、整理する
毎週新しいテーマに関する文献を大量に読むことによって、テーマを理解して言語化し、論点を整理します。
何十年、何百年もかけて積み上げられた先行研究の内容を「自分の言葉」で表現する作業です。
それをもとに、いままでに何が明らかになっていて、どんな課題があるのかという点について、自分なりの結論を出して小論文にまとめます。
オックスフォードではこの作業を1年間で8週間×3学期=計24週間繰り返します。

A不明確な点を明確にする
完成した小論文を教授に提出すると、チュートリアルが始まります。
教授によく聞かれたのは、「それはどういう意味?」という質問でした。
この単純な質問を繰り返されると、不明確だった部分が明確になっていきます。
自分の中できちんと理解できている場合はそれなりに回答できるのですが、理解できていない場合はうまく言葉にできずに説得力のある答えができないからです。
この質問のおかげで、自分の理解の曖昧な点を明らかにすることができます。

答えは1つではないことを知る

B結論に至った思考の前提を確認する
次に聞かれたのは「どうしてそういう結論になったのか?」ということでした。
この質問によって、全体の論理展開に矛盾がないか、自分の考えのもとになっている前提は何かを確認していきます。

C洞察を深める
そのうえでさらに、洞察を深めていきます。
自分の理解や情報が足りない点をクリアにしたうえで、さらにどう思うか聞かれたり、「こういう別の見方もあるけど……」と、反対意見に対する考えを求められます。
自分とは違う意見と比較することで、自分の視野や選択肢を広げ、そのうえで改めて「自分にとっての結論は何か?」をよりはっきりさせることが狙いです。

D理解を積み上げる
こうしたプロセスの中で、唯一の答えを求められることはありませんでした。
むしろ、答えは1つとは限らず、多彩な視点があってよいことが強調されます。
そして、「誰も1人では理解を深めることはできない」という前提のもと、自分とは違う意見にオープンに耳を傾けて、自分自身の思考プロセスを確認する作業を続けるように促されました。

チュートリアルでは、クラスメートの存在や教授からの「なぜその結論になったの?」という問いかけのおかげで、「なぜあなたはそのテーマに興味があるのか?」といつも自分の根源について問いかけられているような気になったものでした。
この思考のプロセスを繰り返すうちに、私は「理解や答えはある日、突然湧き出てくるものではない」ということに気がつきました。

ひらめきが何千回、何万回もの地道な情報収集と試行錯誤の末にやってくるのと同じで、「考える」作業も、成功体験を一つひとつ積み重ねていくことで、新しい答えやオリジナルな答えに到達します。
つまり、「理解する」ということは、思考と洞察の「積み上げ」によってもたらされるのです。

かつてアインシュタインは、「大切なのは、疑問を持ち続けることだ。神聖な好奇心を失ってはならない」と言いました。
彼の言うように、この変化の激しい時代において力になるのは、疑問や好奇心を通じて自分自身への理解を深めることであり、同時に、他者と意見を交わしながら、丁寧に目の前の課題に対して向き合っていくプロセスです。

オックスフォードでの体験によって、私は答えのない課題に向き合うための「メンタリティー」と「考え方の軸」を構築することができました。
とはいえ、現在学校に通っていない方は普段の生活や仕事をしていく中で、自分自身でどのように課題に向き合っていけばいいか、理解を深めていけばいいか、イメージしにくいかもしれませんね。

答えがないときに大事な3つの問いかけ 答えがないように見えるときこそ、次の3つの「問いかけ」を行い、目の前の課題を整理してみてください。

@「何が問題なのか?」
A「これまでに何が明らかになっているのか?」
B「どのような選択肢・対策がいいのか?」

オックスフォードを卒業して数年後、私は国連で東ティモールや南スーダンといった民族や宗教が複雑に絡み合う「予測不可能」な紛争の現場で働くことになるのですが、そこでこの力が助けになるとは、まだ夢にも思いませんでした。
これらは、現在コーチングのプロとして活動する中でも、つねに念頭に置いている思考のステップです。

一見複雑に見える出来事や新しいテーマであっても、自ら調べ、一つひとつわかる範囲が増えていき、自分の中での理解が深まっていくにつれ、これまではわからなかったことが確実にわかるようになっていきます。
この3つの問いを繰り返しながら、知識と理解を積み上げていくと、一見難しいことに対しても自分で必要な「答え」がわかり、自ら判断できるようになっていきます

自分で答えを導き出し、「わかっていく」体験は、確実に自信となり、人生においても大きな力となってくれることでしょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月08日

中高年の「目の疲れ」、本当に効く方法とは

中高年の「目の疲れ」、本当に効く方法とは
2020.10.7 ダイヤモントドオンライン
川口友万:サイエンスライター

読書の秋である。
秋の夜長は、“積ん読”になっていたビジネス書や小説を一気に片づけたいところだが、何とも困るのが目の疲れ。
40代半ばあたりから老眼が進み、本を読むのもひと苦労。
ピントが合わずに視界がかすむ。
年を取ると、なぜこんなに目がかすむのだろう。
目の筋肉の衰えと細胞の劣化、そして涙が減るためらしい。
どうすれば改善するのだろうか。
   (サイエンスライター 川口友万)

ドライアイの チェックリスト
 年を取ると目の調子がどんどん悪くなる。
かすんだり長く開けていると疲れて、本を読む気がうせる。
目が見えにくくなっている時、目はどうなっているかというと乾いている。
涙の量が減っている。いわゆるドライアイだ。

ドライアイとはどういう症状か?
 目薬の製薬会社が作ったチェックリストによると、以下のうち5項目が当てはまるとドライアイの恐れがある。

1.目が疲れやすい
2.目やにが出る
3.目がごろごろする
4.重たい感じがする
5.目が乾いた感じがする
6.何となく眼に不快感がある
7.目が痛い
8.涙が出る
9.ものがかすんで見える
10.目がかゆい
11.光を見るとまぶしい
12.目が赤い

深いまばたきが ドライアイを防ぐ
 結構、みなさん当てはまるのではないか。
 ドライアイの最大の原因はパソコンだ。
パソコンの画面を見ながら作業をすると、肩が凝ったり目がかすんだり腰が痛んだりと、いろいろな症状を併発する。
長時間、モニターを見ながらキーボードとマウスで作業するという、今までなかった体の使い方が引き金になる。

 眼科医によれば、パソコンを使っている時は、まばたきの回数が極端に減るのだそうだ。
普通、私たちは1分間に20回ぐらいまばたきをしているが、パソコンを使って作業をするとまばたきの回数がおよそ3分の1に減ってしまうという。

 角膜の表面は、まばたきによって涙腺から押し出された涙で潤っている。
まばたきが減ると涙が減り、涙で角膜が潤わなくなる。
乾燥した目の表面にはガラスにひびが入ったような細かい傷ができ、異物感が出たり、視力が低下する恐れもある。
これがドライアイだ。

「異物感などの自覚症状」
「涙の分泌量・質の低下」
「角膜もしくは結膜に傷がある」
という3つの症状があると、ドライアイと診断される。

 厚労省によれば、およそ2000万人にドライアイの危険があるというから、もはや国民病と呼んでいいだろう。
 年を取った人の方がドライアイになりやすく、症状は深刻だ。

涙液は油層、ムチン層、水層の3層からなっている。
 若い時は油層が分厚いため、涙が蒸発しにくい。
それだけドライアイになりにくいが、年を取ると涙の質が劣化し、油層が薄くなってしまう。
 ドライアイは、パソコンでの作業時間が長ければ長いほど発症しやすい。
1時間より2時間、2時間より4時間、長く連続して作業が続けば続くほど目は乾いていく。
 厚生労働省では、1時間ごとに10分の休憩を取るように指導している。
この時、涙を出すことが目を守ることになる。
まばたきを意識的にする、まばたきを深くすることによって涙液が出る。

 普段のまばたきは案外と浅く、瞳孔の下まできちんとまばたきをしていない。
そのため、目の下の角膜がずっと乾いた状態になっていることが多い。
一番下まで意識的にまばたきをすることで涙が補充され、ドライアイを防ぐことができる。

冷やした目薬は 目の疲れに逆効果
 ドライアイの発症には男女差があり、女性に発症しやすい。
 パソコンでの作業者のうち、女性の有病率は48%と、およそ2人に1人がドライアイだ。
一方、男性の有病率は27%と、女性の半分程度。

 女性の発症率が高い理由の一つとして、化粧を指摘する声もある。
 アイメイクをする際に涙腺のうち油分を分泌するマイボーム腺が化粧品で塞がれ、油分の量が減ってしまうというのだ。  

目にはたばこも良くない。
タバコの煙にさらされると涙の分泌が不安定になり、炎症の細胞が増えて目に負担がかかる。
 コンタクトレンズもドライアイの原因だ。
 コンタクトレンズは、それ自体が水分を吸う性質がある。
そのため、涙がコンタクトレンズに吸収されて、目の表面が乾きやすくなる。

パソコンを使う時はコンタクトを外してメガネに変えた方がいい。
 ドライアイが悪化すると角膜に穴が開く。
穴が大きくなると目の組織が中から出てきてしまい、角膜移植しなければ失明することになる。
おかしいと思ったら、早めに医師に見せた方がいい。

 ドライアイの症状が軽い場合は人工の涙液、角膜が傷ついている場合はヒアルロン酸入りの点眼薬を使う。
 医療用は市販薬と違って、防腐剤やメンソールなどの刺激物が含まれていないので目に優しい。
市販の点眼薬を使い過ぎると、角膜の表面に防腐剤が蓄積して表皮が荒れるので注意が必要だ。
 よりひどい症状の時は、涙点プラグを使う。
涙が蒸発するのは10%程度、残りは涙小管という管を通って鼻へと流れ込む。
そこで管の入口にあたる涙点を栓で塞ぎ、涙が流れ出すのを防ぐ。
コラーゲンを注射器で流し込み、栓をするキープティアという施術もある。

 では、普段の目の疲れはどうすれば改善するのか? 
 目を温めればいいのだ。
 温めるとまぶたの縁にある皮脂線の詰まりがなくなり(皮脂の融点は体温よりも若干高く約38度)、涙の分泌を促すことができる。
 目が疲れたからといって、冷蔵庫で冷やした目薬をさすのは逆効果なのだ。
温めたタオルなどで目を温めると疲れが取れ、涙が再び流れ出す。

加齢による目の疲れは 若い時と何が違うのか
 ドラッグストアの目薬売り場などでは、1500円前後もする目薬が数多く並んでいる。
それらの中には、加齢による疲れ目やかすみ目に効くという商品が多い。
 加齢による疲れ目やかすみ目と若い時の疲れ目とは違うのか。
 製薬会社は次のように説明する。
「(若い時の疲れ目と中高年の疲れ目では)疲れの原因が異なります。
疲れ目の主な原因は目を酷使することにより目の筋肉(毛様体筋)が疲労することです。
中高年の場合、目の筋肉の疲労に加え、加齢により目の筋肉の機能が低下していることが考えられます」(ロート製薬広報部)

 疲れ目=目の筋肉が疲れる点では年齢は関係ないが、中高年は筋肉自体が衰えているので、目が疲れやすい。
 中高年になると、なぜか目がまぶしくて、物を長時間見られないことも起きるが、あれも目の老化現象だ。
「また、角膜では皮膚と同様に、古くなった細胞が剥がれて新しい細胞が作り出されています。加齢により新しい角膜細胞を作り出す機能が低下すると、角膜細胞が減り表面がデコボコになります」(同)

 角膜が滑らかさを失うと角膜の表面で光が乱反射し、光がチカチカとまぶしくなる。
 年を取ると細胞の代謝がスムーズに行われないのは、小さなケガさえいつまでも治らないので実感する。
目の表面でも同じような代謝の劣化が起きているのだろう。
 そうした加齢特有の症状に合わせて、目薬も成分が変えてある。
中高年向けの製品に共通して含まれているのがネオスチグミンメチル硫酸塩という成分だ。
ネオスチグミンメチル硫酸塩は筋肉を収縮させる働きがある。

なぜ筋収縮剤が加齢のかすみ目に関係するのか。
 レンズの働きをする水晶体を厚くしたり薄くしたりしてピントを合わせるのが、毛様体筋の働きだ。
近くを見る時、毛様体に力が込められて水晶体がぐっと厚くなり、ピントが手前で合う。
 ところが年を取ると毛様体の力がなくなってしまい、力を入れてくれなくなるのだ。
水晶体が厚くならず、近くにピントが合わなくなる。
これが老眼であり、かすみ目の正体だ。
 そこでネオスチグミンメチル硫酸塩で毛様体筋を収縮させ、水晶体を厚くしてピントを合わせるわけだ。

 眼科で処方する目薬には、ネオスチグミンメチル硫酸塩が市販薬とは、文字通り桁違いの量が配合してある。
疲れ目がひどい時は、医師の診察を受けて処方薬をもらうことをお勧めする。
 加齢による目の疲れは筋肉の衰えなので改善は難しい。
目薬で筋肉を動かしながら、涙を増やすように目の周りをあたため、こまめに目を休めたり、太陽光を直接見ないように気をつけたりするぐらいしかない。

 最近はルテインやゼアキサンチンという成分が目に良いことがわかっている。
網膜の黄斑部に分布し、高い抗酸化作用で網膜を守るのだ。
この2つの成分は、ホウレン草やケール、ブロッコリーなどの緑黄色野菜にたくさん含まれている。
ポパイではないが、目を良くする(少なくとも悪くさせない)ためには、緑黄色野菜を食べるのもいいだろう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月09日

「誰もが『生きたい』と思える社会」が議論の前提

「誰もが『生きたい』と思える社会」が議論の前提
2020年10月7日 毎日新聞
香山リカ・精神科医

 京都で起きた難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)の嘱託殺人事件を受け、同じ病を患う参院議員の舩後靖彦氏が、<ALS患者嘱託殺人 誰もが「生きたい」と思える社会を>という論稿を書いた。
 「尊厳死や安楽死の議論の前に、まずはだれもが『生きていたい』と思えるような環境、社会づくりを」という舩後氏の主張をどう受け止めるか。

さらに、「死の自己決定権」や新型コロナウイルスの感染拡大でしばしば話題になる「命の優先順位」をどう考えるか。
読者に呼びかけたところ、多くの意見が寄せられた。

 まず私が感銘を受けたのは、この問題を経済合理性の観点で語ろうとした人が、今回ひとりとしていなかったことだ。
京都の事件では、難病患者の依頼を受けて薬物を投与して死に至らしめた医師のひとりのSNSアカウントが特定されたが、「回復の見込みがない難病や高齢の患者の医療を続けるのは、カネとマンパワーの無駄」といった内容の投稿が多くを占めていた。
 それに対してネットでは批判の声が渦巻いたが、一部ではあったものの「この医師の言うことは正論」などと評価する人がいたのも事実だ。
さらにごく一部には、「仕事もできず生産性がない人たちには生きる価値はない」という優生思想的な発想から、尊厳死や安楽死を積極的に認めようとする声もあった。  

さらに事件が発覚した7月23日、日本維新の会代表の松井一郎代表が「維新の会国会議員のみなさんへ、非常に難しい問題ですが、尊厳死について真正面から受け止め国会で議論しましょう」とツイッターで呼びかけた。
これにも「殺人事件が判明した当日に尊厳死の議論を呼びかけるとは」という非難とともに、「お願いします」「必要かと思います」と肯定する声もあった。

 こうした流れを受けて、医療財源の節約といった経済合理性の観点から一気に尊厳死や安楽死の法制化の動きにまで進むのでは、と私も一時は緊張した。
 しかし、今回寄せられた意見の多くは、舩後氏に賛意を示すものだった。
のちほど紹介する「議論は必要」という人もあくまで患者自身の観点に立って見解を述べており、「このままじゃ医療費のムダづかい」「生かしておく必要はない」などの経済至上主義や優生思想からそれを語ろうとはしていなかった。

 人間としてそれはごくあたりまえのことなのかもしれないが、最近の世相はとかくすさんでおり、私など「誰もが生きられる社会を」という言葉を口にするだけで、SNSでは「きれいごとを言うな」「じゃあなたが障害のある人、全員を面倒見ろ」といった攻撃が飛んでくる。
その中で今回のような誠実な意見を目にすると、それだけで心が洗われるような気がした。
 今回は、障害や病気の当事者や家族の方も多く意見を述べてくれた。

脊髄(せきずい)損傷の障害がある『木村俊夫』さんは、はっきりと「少なくとも今の日本の自己責任論や生産性云々(うんぬん)、弱者切り捨ての風潮が蔓延(まんえん)している社会では尊厳死や安楽死の議論はすべきではないと思います」と言う。
 また、障害があるという『匿名希望』さんは、「私自身は消極的安楽死に賛成で、日本尊厳死協会に加入している」としながらも、命が「自分の意思とは関わりなく優先順位を決定されるのではないかという危惧は常にある」と正直に自分の気持ちを語ってくれた。

 さらに、当事者にしかわからない話を書いてくれた人もいた。
『大道寺玲子』さんのように、かつて病から何度も死を考えたが、「今、つくづく『あの時死ななくて本当に良かった』と思っています」という。
 『猫派です』さんは母親の自殺未遂を経験したという家族の立場から、「それを見て自殺は駄目なことなんだと学びました」と思いを打ち明けてくれた。
 もちろん、今回、当事者の立場から尊厳死、安楽死を望む、という声もいくつかあった。
進行性の膠原病(こうげんびょう)を患っているという『ニャン子ママ』さんは、「不治の病は本人にしかわからない苦しみがあり、それは家族であっても理解する事は不可能だと私は思います」として、安楽死に肯定的な立場だと明らかにする。  『ぴー』さんはがんで苦しんで亡くなった母親をみとった家族の立場から、「本人が望むなら安楽死もありだと思います」と述べる。
これも重い意見である。

 また、現在は病や障害はないが、将来、他人の手を煩わせるのはいやだ、安楽死の権利があった方が不安が減って生きやすくなる、という意見もいくつかあった。
さらに、脳神経内科医だという『Neurologist』さんは、病で終末期を迎えた人は時間がたつにつれて死を受容し、延命治療を望まなくなるという論文を紹介しながらも、「『命の優先順位』は論外です。
これでは収入の多い人の方が少ない人より価値があるなど優生学的思想を産みます」と語った。

 いずれの人たちの言葉も本当にリアルでかつ重いと思う。
今回の意見を通して私は、尊厳死や安楽死の問題は原則的に、当事者や家族、現場の医療従事者以外から語られることがあってはならないのだ、という思いを強くした。
 つまり、松井・日本維新の会代表のように、当事者でもない立場の人が外から「さあ、そろそろ考えませんか」などと切り出すべきではないのではないか。
 そして、こういったすべての議論の前に、まずは舩後氏の言う「誰もが『生きたい』と思える環境、社会」があるべきだ、というのはすべての投稿の根底にある認識のようだった。

中には、「相模原の事件が絶対に起こらないと言い切れない今の日本では、議論すら拙速にすぎると思います」
「まだ差別主義者が跋扈(ばっこ)するこの日本で命の選別に関わる議論など百年早い」と言い切る人もいた。
本当にその通りであろう。

 今回、「命」に関する本質的な議論の中で、冷笑主義的な詭弁(きべん)や経済優先の表面的な意見ではなくて、誠実かつ率直な「正論」を多くの人から聞けたことは、私にとってもたいへん有意義であり、心から投稿者のみなさんに感謝している。
「尊厳死、安楽死は是か非か」といった拙速な議論ではなく、またこうして「命とは何か」「人生とは何か」という問題をじっくり読者と考える機会を持ちたい。 
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月11日

急増する「コロナ詐欺」10の手口と、身を守るために今すぐ実践できること

急増する「コロナ詐欺」10の手口と、身を守るために今すぐ実践できること
10/10(土) All About

◆新型コロナウイルスの大流行に便乗するサイバー犯罪
ここ数年サイバー犯罪の検挙件数は右肩上がりで増えており、その中でネット詐欺も広まっています。
新型コロナウイルスの影響で外出を自粛し、その分自宅でインターネットを利用する人が増えました。
サイバー犯罪者は、そんな機会を見逃しません。
これから紹介する10の手口は、どれも新型コロナウイルスをネタにして横行する犯罪の数々です。
このコロナ詐欺について、主な手口と対策を解説します。

◆手口1:ECショップをかたるフィッシング詐欺
緊急事態宣言が出た4月には、ECショップをかたる詐欺サイトが2019年4月と比べて、なんと5倍以上に激増しました。
実在するサイトを装い偽のWebサイトに誘導するフィッシング詐欺の手口です。

◆手口2:マスクや消毒液の販売に便乗したネット詐欺
2020年前半は、マスクを格安で販売するとだまして、金銭を奪うネット詐欺が流行していました。
今はマスクの流通が正常化したので、姿を消しています。
同じように、消毒液などのウイルス対策用品のネット詐欺もありました。
筆者もAmazonでマスクを購入したところ、いつまで経っても届かないので購入履歴を確認したところ、見覚えのないタオルに差し替わっていたことがあります。
もちろん、マスクどころかタオルも届きませんでした。
マスクの価格は1円などの激安ですが、送料を1万円や2万円と高額に設定する手口も流行しました。
ユーザーが合計金額を確認せずに購入するのを狙ったものです。
しかも、返品&返金処理をしても、通常は送料は返ってこないので、1円しか返金されないということになります。
現在は対策され、この手口は見られなくなっています。

◆手口3:個人情報リストをターゲットにしたフィッシング詐欺
金銭ではなく個人情報をターゲットにしたフィッシング詐欺もあります。
例えば、マスクを無料で配布するという名目で、住所や氏名などを入力させるのです。
もちろん、入力してもマスクは届きません。
盗まれた個人情報はリスト化され、ダークウェブなどで販売されます。
すでにフィッシング詐欺に引っかかっている被害者のリストですから、これからネット詐欺を行うつもりのサイバー犯罪者にとってはお金を払っても欲しいリストとなります。

◆手口4:持続化給付金の申請手続きを狙ったネット詐欺
持続化給付金を受け付けている期間は、面倒な申請を代わりにするので手数料を取るというネット詐欺が登場しました。
ちなみに、手数料を支払っても、申請はしてもらえません。

◆手口5:PCR検査や助成金を利用した詐欺
厚生労働省は、「費用を負担するので新型コロナウイルスの検査を受けるように言われ個人情報を聞かれた」や「50万円の助成金を受けられる」と電話が来る詐欺事例を公開しています。
2020年上半期に警察が把握した電話でのコロナ詐欺は88件、被害金額は8395万円にも上っています。

◆手口6:LINEアンケートを真似た詐欺
LINEは国内8300万人のユーザーに対して、新型コロナウイルスに関するアンケートを取りました。
このアンケートを真似たメッセージを送り、クレジットカード情報を入力させようとするのです。

◆手口7:投資家を狙った詐欺
新型コロナウイルスの影響で全世界的に経済がダメージを受けていますが、そのようなときは「金」に投資しよう、というメールもばらまかれました。
実際、そんな傾向もあるのですが、詐欺師がばらまいているメールから購入しようものなら、よくて高額の手数料を取られ、通常はお金や個人情報を盗まれるだけでしょう。

◆手口8:新型コロナウイルスの感染マップアプリを騙ったマルウェア攻撃
新型コロナウイルスの感染マップアプリを騙ったマルウェアも登場しています。
不正なアプリをユーザー自身にインストールさせようとするのです。
ランサムウェアに感染するとPC内のすべてのファイルが暗号化され、復号化したいならお金を支払うように求められます。

◆手口9:「コロナ・マネーミュール」という名のネット詐欺
海外の事例になりますが、コロナ・マネーミュールというネット詐欺も発生しています。
とても巧妙な手口で、ぱっと見被害者がいないように見えるのがポイントです。
ある日、慈善団体から新型コロナウイルス対策の仕事を手伝ってくれないか、と連絡が来ます。
近くの薬局でマスクの価格を調べるといった簡単な作業すると報酬が振り込まれます。
その際、例えば30万円が入金され、報酬の1万5000円を引いた分を、慈善団体のビットコインウォレットに送金するように指示されます。
お金は先払いですし、本当に1万5000円はもらえます。
しかし、これはマネーロンダリングの手先にされているネット詐欺なのです。
犯罪で得たお金を足が付かないようにビットコイン化する手口で、被害者はそのリスクを肩代わりすることになります。

◆手口10:治療薬を偽った詐欺
アメリカでは、新型コロナウイルスにかかりにくくなるとか、かかっても治ると謳った製品が多数販売されています。
FDA(米国食品医薬品局)はメーカーや商品名を名指しして警告しているほどです。
エッセンシャルオイルやハーブ製品、はちみつといった商品が多く、FDAによると製品の謳い文句通りに機能しない可能性が高いとのことです。

◆ネット詐欺に引っかからないための対策
これらのネット詐欺に引っかからないためには、事例を学ぶとともに正しいデジタルリテラシーを身につける必要があります。
とはいえ、対策は簡単です。
まず、メールやメッセージで送られてきた怪しいURLは絶対に開かないことが重要です。
もし、政府機関や企業のWebサイトを開きたいなら、自分で検索して本物のURLからアクセスしましょう。
アプリをインストールする際は、アプリストアなど信用できるところを利用することもポイントです。
野良アプリはそもそもマルウェアの可能性があるので注意してください。

ノーリスクで儲かるといった美味しい話などありません。
その手の話が来た時点で、ネット詐欺を疑ってください。
コロナ・マネーミュールのように看破しにくいこともあるのですが、事例を知っていれば相手にせずに済みます。
サイバー犯罪者は何百万何千万と餌をまき散らし、ごくごくわずかに引っかかる人たちを狙っています。
デジタルリテラシーを身につけ、自衛してください。

          柳谷 智宣(スマートフォンガイド)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月13日

脳科学が教える、逆境で心折れる人と平常心を保てる人の決定的な違いとは

脳科学が教える、逆境で心折れる人と平常心を保てる人の決定的な違いとは
2020年10月12日 PRESIDENT Online
博士(医学) 細田 千尋

虐待や災害、貧困……。
強いストレスにさらされても、そこから立ち直っていける人は何が違うのでしょうか。
そして私たちは、どうすれば立ち直る力を鍛えることができるのでしょうか。
脳科学の専門家が解説します。

■同じストレス下でも折れる人と折れない人がいる
誰しも、苦しいことや悩みを抱えながら人生を歩んでいます。
恵まれているように見える人でも、逆境にいるように見える人でも同じです。
そして同じようにストレスフルな体験をしても、大きな精神的打撃を受けて立ち直れなくなってしまう人と、立ち直れる人がいます。
これは年齢を問わず、大人でも子どもでも当てはまります。

実際に、研究上、同じネガティブな環境(虐待や災害、貧困など)の下に育っても、心理的な不適応に陥ってしまう人とそうでない人がいることが明らかにされています。
逆境にさらされたり、ストレスフルな出来事が起きたりして、精神的な傷を受けて一時的に落ち込んでも、そこから立ち直り、環境に適応していくことができる人の特性のことを「レジリエンス」と言います。

このレジリエンスは、逆境からの立ち直りだけでなく、内的な成長にもつながることがわかっています。

■レジリエンスが強い人の10の特徴
過酷な環境下にいながらも、PTSDなど精神的に崩れることのなかった人の特徴などから、レリジエンスの高い人の10の特徴が明らかにされています。

@楽観主義、
A利他主義、
B確固とした道徳的基盤をもつ、
C信仰心やスピリチュアリティを持つ、
Dユーモアがある、
E自分の役割のモデルを持っている、
F他人の社会的なサポートを受けられる環境を持つ、
G恐怖を直視できる、
H使命感が強い、
Iメンタルトレーニングを受けている。

また、脳科学の研究からは、レジリエンスの強い人は、幸福感に関わるオキシトシンやセロトニンなどが多く分泌されていることがわかっています。
さらに幸福感と関連している左眼窩前頭皮質の体積が大きいこともわかってきています。

米国心理学会は、レリジエンスを高める方法として以下の10個を挙げています。

@ 家族や友人・他人と良い関係を作ること
A 克服できない問題と捉えてしまわない
B 変化を生活上での一部分としてきちんと受け入れる
C 何かしらの目標に向かって進むこと
D (流されず)断固とした行動を取ること
E 自己発見のための機会を探すこと
F 自分に対する肯定的な見方(自己効力感)を持つこと
G 物事の捉え方についての展望を持つこと
H 希望に充ちた見方を持つこと
I 自分自身を大切にすること

ただ、おそらく多くの悩める人にとっては、この項目が成立しないから悩んでいる、苦しんでいるのだと思います。

■マインドフルネスは科学的に効果があるのか
上記10個ができずに苦しんでいる人にとって、レジリエンスを高める方法としてのマインドフルネス瞑想があります。
マインドフルネスは、さまざまな媒体で取り上げられ広く一般認知されている反面、その伝わり方から、怪しい印象を持っている人もいるかもしれません。
でも実際、科学的にもその効果が検証されているものです。

ここでは、心理学、科学的に沿った正しいマインドフルネスの説明をしてみたいと思います。
マインドフルネスとは、「意図的に今この瞬間に、価値判断をすることなく注意を向けること」で、仏教にその起源をもつ概念です。
ここで最も大事なことは、今の経験を過去の記憶や未来への期待と関係づけず、今起きていることに注意を向けることです。そして良い・悪いといった評価をせず、ありのままに観察することです。
そしてこれは、瞑想(マインドフル瞑想)を通してできるようになります。

■感情に左右されない力を鍛える
マインドフルネス瞑想によって、
@注意制御(今だけに意識を向ける)、
A感情調整(感情をのせずに事実だけに目を向ける)、
B自己知覚(正しく自分を知る)が導かれ、結果的に自己コントロールができるようになり、効果を得られるとされています。

人は、他人と比較し安心感や不安感を行き来したりしがちです。
けれども、置かれている環境・状況について、良い悪いといった価値判断をしたり、不快だ、と感情的に反応したりせずに、自分の状態や思考の癖について俯瞰することが重要です。
そこで初めて、感情にとらわれずに選ぶべき選択や、とるべき行動をとることができるのです。
その結果、問題を大きく考えすぎてしまったり、破局的な解釈(何もかも終わりだ、等)といった、悩んでいる時に起こりがちなことも避けられます。

近年、“マインドフルネスをすると集中力が高まる“といった言葉だけが独り歩きしています。
マインドフルネス瞑想によって鍛えられるのは、「自分を俯瞰し目の前の事実のみに着眼する力(感情のコントロール)」で、それにより、自分自身も自身を取り囲む周囲についても、肯定的に受け入れられるようになります。
この「状況を俯瞰し感情に左右されない力」が、ビジネスや人間関係といったあらゆる場面で効力を発揮してくるのです。

理不尽なことも多く、それをなぜ自分が受け入れなければいけないのか? と受け入れられず苦しむ時、マインドフルネス瞑想などを活用しながら、感情コントロール訓練をし、レリジエンスを高めることができれば少し生きやすくなるでしょう。

<参考文献>
・Adler, A. B., Williams, J., McGurk, D., Moss, A., & Bliese, P. D.(2015). Resilience training with soldiers during basic combat training: Randomisation by platoon. Applied Psychology: Health and Well-Being, 7, 85?107.
・Southwick,S.M., Vythilingam,M., & Charney, D.S.(2005). The psychobiology of depression and resilience to stress: implications for prevention and treatment. Annual Review of Clinical Psychology 1: 255-91.
・American Psychological Association. “10 Ways to build resilience ” in The road to resilience.
佐伯年詩雄 2007.「スポーツ・野外活動・自然体験が育むもの」『児童心理』第61巻,pp.254-258. 52
・H?lzel, B. K., Lazar, S. W., Gard, T., Schuman-Olivier, Z., Vago, D. R., & Ott, U. (2011). How does mindfulness meditation work?: Proposing mechanisms of action from a conceptual and neural perspective. Perspectives on Psychological Science, 6, 537?559.
・Tang, Y. Y., H?lzel, B. K., & Posner, M. I.(2015).The neuro science of mindfulness meditation.Nature Reviews Neuroscience, 16, 213?225.
----------
細田 千尋(ほそだ・ちひろ) 博士(医学)
東京大学大学院総合文化研究科研究員/科学技術振興機構さきがけ研究員/帝京大学医学部生理学講座助教。
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科認知行動医学卒業後、英語学習による脳の可塑性研究を実施し、研究成果が多数のメディアに紹介。その研究をきっかけに、「目標達成できる人か?」を脳構造から判別するAIを作成し特許取得。
現在は、プログラミング能力獲得と脳の関連性、 Virtual Realityを利用した学習法、恋愛と脳についても研究をしている。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月14日

年金は貯蓄ではなくて、保険である理由

年金は貯蓄ではなくて、保険である理由
2020.10.13  ダイヤモンドオンライン
大江英樹:経済コラムニスト

年金は3種の不幸に備える 「保険」である
 公的年金に関しては、最近ようやく少しずつ世の中の人の誤解が解けつつあるような印象がある。
筆者もあちこちで年金について記事を書いているが、以前はまったく見当外れでエビデンスも無ければ、論理的でもない「年金破綻論」がコメントとして寄せられることが多かった。
だが、そういう感情的な議論は影を潜め、まともな議論が出てきたのはとても喜ばしいことである。

 ただ、それでも年金についてはまだまだ多くの誤解が存在しているのだが、そんな誤解の中でも最も基本的な部分、つまり「公的年金の本質」、もっと突っ込んで言えば「公的年金の存在意義」について十分な理解がされていないように感じられる。
 結論から言ってしまうと、公的年金の本質は「保険」なのである。
ところが、多くの人は年金を「貯蓄」だと思っている。
金融の専門家の人たちも公的年金について正しく理解していない人たちは多いのだが、彼らのように優秀な能力と頭脳を持っているにもかかわらず年金について間違った理解をしているのは、根本的に「年金が保険」であることを理解していないからだろう。

優秀な“ファイナンス脳”を持っているがゆえに年金について誤解し、「年金は積立方式にすべし」という論が出てくるのだと思う。
 年金を積立方式にすることが、いかに非現実的なことであるかは後で述べるが、まずは年金=保険であることの意味について考えてみよう。
 そもそも保険の目的とは何か?
それは「将来起こりうる不幸な出来事に対してみんながお金を出し合って備えること」である。
これに対して貯蓄の目的は「将来の楽しみや安心のために自分でお金を蓄えて備えること」である。
保険は共同で、貯蓄は自分で備えるものなのだ。

したがって、保険と貯蓄ではその仕組みや構造が異なるのは当然である。
では、年金が保険であるとすれば、それは一体、将来起こりうるどんな不幸に対して備えるものなのだろうか?

公的年金は3種類の不幸に備えるようにできている。
「長生きすること」は 幸せとは限らない?
 まず最初の不幸は「長生きすること」である。
「長生きが不幸とは、どういうことだ?」と思われるかもしれないが、長生きが幸せなのは「健康でお金が十分ある場合」だ。
 ところが誰でも年を取ると働けなくなり、収入が途絶えるわけだからお金に対する不安が出てくるのは当然だ。
もし世の中に年金制度がなかった場合、働けなくなった老後をまかなうためには自分で貯蓄するしかない。
 しかし、何歳まで生きるかは誰にもわからないから、どれくらい貯蓄しておけば安心なのかもわからない。
だからこそ死ぬまで受け取れる「公的年金」には大きな意味があるのだ。
この役割を果たすのが「老齢年金」であり、公的年金の最も大切な役割である。
言わば終身支給の保証がついた「所得保障保険」なのである。

「病気・怪我」「自身の死亡」への 備えにも
 2番目の不幸は「病気や怪我によって自身が障がい者になること」である。
これに対応するのが「障害年金」である。
老齢年金は支給開始が65歳からであるが、障害年金は、年齢に関係なく、一定の条件の下で支給されるので、万が一の場合でも安心できる。

 そして3番目の不幸は、自分自身が病気や事故で亡くなってしまった場合である。
これは本人というよりも、むしろ残された家族にとっての大きな不幸である。
そこで残された家族に対してその生活を支えるために支給されるのが「遺族年金」である。
これは民間の生命保険の役割を果たしていると言ってもいいだろう。

 言うまでもないことだが、こうした「老齢年金」「障害年金」そして「遺族年金」はいずれも別々のもので、それぞれに加入しなければならないということではない。
単に支給方法が違うということであって、公的年金に入っていれば該当する事象が生じた場合は、いずれの年金も受給することができる。

年金を「損得」で考えるのは 本質的ではない理由
 よく年金を損得で考える人がいるが、たしかに貯蓄や投資であれば損得で論じることが重要だろう。
自分が出したお金がどれぐらいになって戻ってくるかが貯蓄や投資の成果なのだから、これは当然である。

 ところが年金は保険なのだから、「元を取る」という発想はあまり意味がない。
元を取るということで言えば、世の中の保険はほとんど元のとれないものばかりだ。
 保険に求められる最大の意義は「安心」なのである。
何か不幸な事態が起きてもそれに対して経済的な心配をしなくても良い、という安心感だ。
投下資本に対するリターンを評価することに長けている“ファイナンス脳”を持った金融のプロフェッショナルの人たちが年金の理解を間違えるのもこの点にある。

 さらに言えば、現役世代が年金の受給世代を支える「賦課(ふか)方式」は少子高齢化が進む時代では支えきれなくなるので、自分の年金を自分で作る「積立方式」にすべしという意見もしばしば金融のプロから出てくる。
が、しかしこれも保険であるという本質を考えると間違った意見である。
 そもそも年金の制度運営として「積立方式」はそぐわない。理由は2つある。

 1つは前述したとおり、自分の寿命が何歳まであるのかは誰にもわからないことである。
これだけあれば大丈夫と思って積み立てをしても予想以上に長生きした場合は原資が枯渇する恐れがあるからだ。
だからこそ、その時代に働く人がみんなで保険料を拠出し年金給付に充てるというやり方の方が、老後生活をまかなう制度としては向いている。

年金制度が積立方式になると 年金積立金の運用リスクも
 2つ目の理由は、もし将来の年金支給原資を全て積み立てていくのであれば、それらが常に運用のリスクにさらされてしまうということだ。
 現在の年金は毎年徴収される保険料をその年の年金受給者に払うやり方で、言わば単年度決済であるから運用のリスクはない。
ただし、今までこのやり方で余った分を積立金として蓄え、運用を重ねた結果、その残高が約200兆円となっている。
この積立金は今後の年金財政にとってはバッファーとして重要ではあるものの、200兆円という巨額の資金を運用していくのは結構大変だ。
 現実に今年の1〜3月で大きなマイナスが出た時は話題になったし、過去にもリーマンショックの時には一時的に評価損が膨らみ、メディアも野党もこぞって攻撃をした。

賦課方式で毎年決済していてもこれだけの積立金があるのだから、将来に向けて年金保険料の全てを積み立てるとすればその金額は恐らく1000兆円を超えるだろう。
 仮に今回のような大きな下げが起きると、評価損だけで100兆円、すなわちほぼ年間の社会保障給付費ぐらいの金額がマイナスとなってしまう。
そうなれば今とは比較にならないぐらい大変な騒動になるだろう。

 それに将来起こるかもしれないインフレに対しては、投資でもって完璧に対応できるとは限らない。
なぜなら、平成の30年間のように市場が長期にわたって低迷することもあり得るからだ。
ところが物価が上昇するということは極端なハイパーインフレでない限り、経済成長に伴って賃金も上がる。
 したがって、賃金をもらっている世代が保険料を負担するというのは、どんな時代にあっても最も合理的な方法なのである。

事実、先進国である程度の人口規模の国において積立方式をとっている国はない。
 もちろん現在の公的年金制度にもまだ色々と問題点があることは事実だ。
そのために5年毎に健康診断である公的年金の「財政検証」がおこなわれ、それに沿って制度の手直しがおこなわれているのである。

ただ、公的年金は今流行の言葉で言えば、「公助」ではなく「共助」、つまり社会を構成する多くの人が共に助け合うという制度なのだ。
だからこそ年金は保険なのである。
本質を間違えないようにすることが大切だろう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月15日

本当のことの伝え方

香山リカのココロの万華鏡
本当のことの伝え方
2020年10月14日 毎日新聞首都圏版  

「ファクトチェック」ということばがはやっている。
世の中に影響力を持つ政治家などがテレビやSNSで発したことばがファクト(事実)かどうか、あとからじっくり調べていくことを意味する。

アメリカのニュース番組を見ていると、しょっちゅう「このあいだの大統領のことばはファクトではない」
「この発言はファクトと言ってよいだろう」などとやっている。
 政治の世界で事実が大切にされるのは、もちろんよいことだ。

では私たちの日常生活はどうだろう。
 たとえば私がいる医療の世界でも、最近は「患者さんには本当のことを伝える」のが基本になっている。
かつては胃がんがあっても、医者が「胃潰瘍ができていますから、手術で切っちゃいましょうかね」と言うことがあったが、いまは違う。
内視鏡検査の画像を見せながら「ここに見えるのが悪性腫瘍つまりがんです。CTを見ると転移はないようですね。手術して胃を4分の3、取るのがよいと思いますが、よろしいですか?」などとはっきり伝える。
いきなり言われてショックを受け、頭の中が真っ白になった、という人の話も聞いたことがある。

 医者の先輩が、かつてこう言っていたのを思い出す。
「なんでもファクト、事実を伝えるのがいいのかな。
昔はよく“やさしいウソ”と言ったものだよ。
患者さんが高齢だったり気が弱そうだったりしたときは“良性でしたからご心配なく”とウソを言ってもいいんじゃないかな」
 そのときは、私たち後輩は「ダメですよ。やっぱりちゃんと本当のことを伝えなきゃ」と言ったが、だんだん自分がシニアに近づいてくると「もし自分に悪い病気があったら、“やさしいウソ”の方がいいかも」とも考えるようになった。

 とはいえ「ファクトが大事」という流れが変わることはないだろう。
もしかしたらこの先はAI診療が普及して、診断結果がメールなどで送られてくることになるかもしれない。
でも、病の再発率や余命なども書かれている、というのはやっぱりやめてほしい。

 医療以外の世界でも「本当のことを伝えたら傷つくだろうな」と伝え方に迷う場面は、実はけっこうあるのではないか。
相手のために事実とは違うことを伝えたことがある、という人もいるはずだ。

 政治の世界ではファクトを。
でも、生活の中では“やさしいウソ”も少しだけ許してほしい――。
そんなことを言うのは身勝手すぎるだろうか。
              (精神科医)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月17日

コロナで加入増加!民間医療保険は本当に必要か?

コロナで加入増加!民間医療保険は本当に必要か?
2020.10.16 ダイヤモンドオンライン
早川幸子:フリーライター

新型コロナウイルスの猛威は一向に衰える気配を見せず、冬に向けてインフルエンザとの同時流行も懸念されている。
「コロナの陽性となって入院したら、たくさん医療費がかかるのではないか?」
「感染して仕事を休んだら、収入が減ってしまうのではないか?」といった不安を持っている人もいるだろう。
 こうした不安を手っ取り早く解消できそうなのが、民間の医療保険への加入だ。
そのせいか、保険の見直しを専門とするファイナンシャルプランナーのもとには、新たに医療保険の加入を検討する人からの相談が増えているという。

コロナ患者には宿泊施設の療養でも 特例的に入院給付金が支払われる
 民間の医療保険は、病気やケガで入院や手術をした場合に、あらかじめ決められた入院給付金や手術給付金などが支払われる。
新型コロナウイルス感染症も、疾病(病気)に該当するため、万一、罹患して所定の入院や手術を受けた場合は、給付金の支払い対象になる。
 ただし、入院給付金は、病気やケガで入院した場合に「1日あたり1万円」などが支払われるもので、その保険契約の内容が記載されている約款で定められている病院や診療所に入院しなければ給付を受けることはできない。
 新型コロナウイスル感染症の治療では、医療崩壊を防ぐために、無症状の病原体保有者や軽症患者は、ホテルなどの宿泊施設や自宅で療養するケースも出ているが、本来は、こうしたケースは給付金の支払い対象外だ。
 だが、今回は金融庁からの要請によって、医療機関以外の宿泊施設や自宅でコロナの療養をしている人も、特例的に入院給付金の支払い対象として取り扱ってもらえる措置が取られている。

 万一、コロナに罹患した場合に、ホテルや自宅で療養していても、入院給付金をもらえれば、安堵感を得られるのは間違いない。
だが、医療保険に加入していないと、コロナになった時の医療費が支払えないかというと、そんな心配は無用だ。

指定感染症の医療費は公費負担 患者の自己負担は原則なし
 新型コロナウイルス感染症については、まだ分からないことも多いが、これまでの調査・研究で感染しても無症状のままの人もいれば、重症化する人もいることは明らかになっている。
 無症状ですめばよいが、肺炎の症状が出て重篤化すると、抗ウイルス薬の投与、集中治療室での人工呼吸器などによる治療が行わるようになり、医療費も高額になることが予想される。
 ただし、新型コロナウイルス感染症は、1月28日の閣議で、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」で定められている「指定感染症」に決定された。
そのため、感染拡大を防ぐための医療の提供体制、医療機関による患者数の届け出のほか、医療費の負担についても、法律に基づいた運用が行われている。

 指定感染症に定められると、都道府県知事は、患者に対して検査や入院の勧告、感染拡大を防止するための就労制限などを行えるようになる(10月9日の閣議で措置内容が見直され、24日から入院対象が重症化リスクのある高齢者や基礎疾患のある人に限定される予定)。
 感染症の蔓延防止のためとはいえ、強制的な入院は一時的にせよ個人の権利を制限することになる。
そのため、感染症法の第三十七条では、自治体の勧告や措置による入院の場合、治療にかかった一連の費用(検査、診察、医薬品、医学的処置、入院費など)は、公費負担にすることを定めており、原則的に患者の自己負担はない。
ただし、第三十七条の2で、患者やその配偶者などの扶養義務者が、入院費用を負担できると判断する場合は、その費用を患者に求めてもよいとしているため、自治体の多くは、所得の高い人に対しては、指定感染症であっても治療費に一定の自己負担を設定している。

 例えば東京都では、市町村民税の所得割(住民税のうち、収入に応じて決まる部分)が56万4000円を超える人は、月額2万円を限度とした一部負担金がある。
 このように高所得層には一定の自己負担はあるものの、決して高額ではない。
ほとんどの人は、コロナに感染して治療費そのものは高額になったとしても、そのすべてが公費で賄われるので、医療費の心配はないのだ。
 また、会社員や公務員などで、被用者保険(企業や団体などに雇われて働く人のための健康保険)に加入している人は、新型コロナウイルスに感染して仕事を休むと、その間は傷病手当金をもらえる。

コロナで仕事を休んでいる間は 傷病手当金が支給される
 傷病手当金は健康保険の給付で、病気やケガで仕事を休んで、給料を払ってもらえなかったり、減額されたりした場合の所得保障だ。
 1日あたりの支給額は、平均的な月収(※)を30日で割った金額の3分の2で、連続して3日休んだあとの4日目から最長1年6カ月の間に、実際に休業した日数分が支払われる。

※傷病手当金が最初に支払われた日から連続した、過去12カ月の各月の標準報酬月額(月収)の平均。
就職後すぐに病気やケガをして、休職までの期間が12カ月に満たない場合は、就職から休職までの標準報酬月額の平均額と、28万円(協会けんぽの場合。全加入者の標準報酬月額の平均)を比べて、少ない方の金額をもとに支給額を計算する。
 支給要件は「労務不能の状態」なので、入院や通院をしていなくても、自宅療養も対象になる。
仕事をできない状態かどうかは、原則的に主治医が判断する。
しかし、 新型コロナウイルス感染症については、感染拡大防止のために医師の診察を受けずに自宅療養している人がいる可能性もあるため、特例的に事業主が証明すれば給付対象になる措置が取られている。
 現状では、傷病手当金の制度があるのは被用者保険のみで、都道府県が運営している国民健康保険の加入者は病気やケガで仕事を休んだ場合の所得補償はない(特定業種で運営している国保組合のなかで、財源に余裕のある一部の組合には傷病手当金の制度があるところも一部ある)。

派遣社員やパートタイマーなどの非正規雇用の労働者も、厳密には企業や団体に雇われて給与をもらって生活している被用者だ。
ところが、労働時間などの加入要件の線引きによって勤務先の健康保険に加入できないために、仕方なく国民健康保険に加入している人もいる。
こうした人がコロナに罹患して休業を余儀なくされると、無収入になってしまう。
 そこで、これも特例として、国保に加入している被用者を対象に、国が財政支援をすることで、被用者保険と同様の傷病手当金が支給されることになっている。
 支給されるのは、新型コロナウイルスに感染、または発熱などで感染が疑われ、休業した日から3日経過したあとの4日目から、最長1年6カ月の間に実際に休業した日数分。
 適用期間は、当初2020年1月1日〜9月30日までの間とされていたが、感染拡大を受けて12月31日まで延長されることになった。

保険でカバーできるリスクは限定的 貯蓄を妨げない程度に抑えよう
 このように、正規雇用の労働者だけではなく、非正規雇用の派遣社員やパート社員なども、コロナに感染して休業を余儀なくされた場合は、加入している健康保険から傷病手当金がもらえるようになっている。
 自営業者やフリーランスの人には傷病手当金は支給されないが、コロナの影響で売り上げが減少した場合は、持続化給付金や家賃支援給付金などの申請ができる。
万一、罹患した場合はこうした助成によって当面の生活費はカバーできそうだ。

 前述のように、新型コロナウイルス感染症の治療費は自己負担がないうえに、休業中は、健康保険や国からの所得補償も受けられる。
 そもそも、保険は日々の収入や手持ちの預貯金では賄えないような、大きな経済的リスクに備えて加入すべきものだが、医療費や当面の生活費は、民間の医療保険に加入していなくても、ある程度の貯蓄があれば賄える。
本当に医療保険に加入しなければカバーできないリスクなのかどうかは疑問だ。

 その一方で、今、問題になっているのは解雇や雇い止めなどによる減収だ。
総務省統計局が10月2日に発表した「労働力調査(基本集計)」によると、8月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイントアップの3.0%。
完全失業者数は、前年同月比49万人増の206万人で、7カ月連続で増加しており、多くの人が雇用保険の基本手当の給付を受けながら暮らしている。

 コロナ禍によって起きている経済的リスクは、感染症の罹患による医療費や収入減だけではなく、企業の倒産や解雇などによって、仕事を失うことでも発生している。
 だが、民間の医療保険から給付を受けられるのは、病気やケガで入院や手術をした時だけで、解雇や雇い止めにあっても給付金はもらえない。
 保障を得るためには相応のコスト(保険料)もかかるが、お金を受け取れる範囲は限定的だ。
そこに保険料をたくさんつぎ込んでしまい、貯蓄がままならなくなると、その他のリスクに対応できなくなってしまう。

 人生は、何が起こるか分からない。
昨年の今頃は、だれも世界がコロナに見舞われて、オリンピックが先送りになるなんて考えもしなかっただろう。
 想像を超えるリスクに対応するためには、使い道が限定される保険商品よりも、何にでも使える貯蓄をできるだけ増やしておくことが有効だ。
そのためにも保険商品の利用は最低限に抑えて、その分を貯蓄に回し、ちょっとやそっとのことでは倒れない骨太の家計を日頃から作っておきたい。 (フリーライター 早川幸子)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月18日

いつもの日常に疲れたとき「心を楽にする小さな習慣」

曹洞宗住職が教える、いつもの日常に疲れたとき「心を楽にする小さな習慣」
2020年10月17日 PRESIDENT Online

曹洞宗徳雄山健功寺の住職である枡野俊明さんは、「現代人には非日常が必要」と言います。
疲れたときに、気軽にできる心のリフレッシュ法とは――。
※本稿は、枡野俊明『人生は凸凹だからおもしろい 逆境を乗り越えるための「禅」の作法』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

■日本人の美「わび、さび」とは
千利休の茶の湯は「わび茶」といわれます。
わびは漢字を当てれば「侘び」で、わびしいこと、また、質素、簡素なことを意味しています。
一方、さびは「寂び」。
その意味はさびれていること、枯れていること、古びている、ということです。

どんなものも、ときの移ろいのなかでさびれたり、枯れたり、古びたりしていきます。
もともとの姿を失い、どんどん不完全になっていく。
しかし、そこにはもとの姿にはない、もとの姿とは違った、美しさがあります。
それがさびの美といえるでしょう。
さびの美はわびしさをともなったり、どこまでも質素、簡素であったりします。
ともすると、それらは美しさを損なう要素とも受けとられますが、そう受けとるのではなく、そこに風情、趣、おもしろみ……といったものを感じていくのがわびです。

質素でわびしい佇まいの茶室という空間で、簡素に徹した茶道具や花、軸などを用いて、茶の湯の世界を展開する。
それが利休のわび茶といっていいでしょう。
その流れが現在にまで受け継がれているのは、わび、さびに感応する心、それを美しいとする心を日本人がもち合わせているからである、といっていいと思います。
たとえば、それは古い禅寺の苔むした灯籠に趣を見る心です。
満開の桜より、散りゆく桜のはかなさに美しさを感じる心です。

■「何もない環境」になぜ人は惹かれるのか
わび、さびに対する憧憬は古くから日本人のなかにあったと思われます。
僧侶であり、歌人でもあった西行法師は、平安末期に由緒ある武家の家系に生まれます。
しかし、若くして裕福な武士の立場をみずから捨て、出家して諸国を漂泊するのです。
最終的に西行が選んだ暮らしは、京都北麓の山中に結んだ庵での隠遁生活でした。
わび、さびへの憧れがそうさせたといっても、けっして過言ではないでしょう。

衣食住のどれをとっても、武士としての生活は、豊かでなに不自由のないものだったと想像されます。
それに比べて隠遁生活は、いずれも満たされるものではなかったでしょう。
しかし、その満たされないところに、不完全なところに、あえて西行は身を置いたのです。
そして、その生活を受け容れた。
山中の庵では季節の移ろいを肌で感じることができたでしょう。
小鳥のさえずりや川のせせらぎ、風のそよぎの心地よさを思うさま楽しむことができたはずです。
それは、満たされないがゆえに手に入れることができた暮らし、不完全がもたらした美しい暮らしではなかったでしょうか。そのなかにいて西行は、わび、さび(の美)を満喫していたのだと思います。

■利便性を手放して気づく豊かさ
日本で曹洞宗を開いた道元禅師にこんな言葉があります。
「放てば手に満てり」 もっているものを手放すことで、よりすばらしいものが満ちてくる、という意味でしょう。
この言葉はどこか、この時代に対する警鐘にも聞こえます。
たくさんのものをもち、多くの利便性に囲まれている、というのが現代人の暮らしです。
しかし、誰もが心のどこかで満たされない思いを感じているのもたしかでしょう。
いっときでもそれらを手放す、それらから離れる時間をもつことが必要なのではないでしょうか。
たとえば、携帯電話をもたずに山あいの鄙びた温泉宿で一日、二日過ごす。
利便性から離れたその時間は、わび、さびの世界(利便性が崩れた不完全な世界)に身を置く時間といっていいかもしれません。
そして、それは、心を穏やかさ、あたたかさ、潤い……で満たすはずです。
年に一度でも、二度でも、そんな機会をもちませんか。

■一日のスケジュールを少しだけ変えてみよう
ふだんの生活のなかでもわび、さびに触れる時間をもつ。
現代人にはとても大切なことではないでしょうか。

人の一日のスケジュールはだいたい決まっているものです。
夕方までは仕事がその中心になりますし、仕事が終わってからも同じようなことをして過ごしているという人が多いのだと思います。
晩酌をしながら夕食をとり、テレビを観たり、音楽を聴いたりしたあと、就寝するといったものが、いわば「お定まり」のパターンになっている。
その定型を崩しませんか。
ときにはベランダでも庭でもいいですから、戸外に出てひとときを過ごすのです。
月をただボーッと眺めるというのでもいいのです。
できれば、満月ではなく、雲がかかっている月、欠けている月がおすすめです。

■日々の暮らしにこそ、わび、さびを
村田珠光は次のような文言を残しています。
「月も雲間のなきは嫌にて候」 月も満月はつまらない。
やはり、雲の間に見え隠れする月にかぎる、といった意味でしょう。

珠光は千利休のわび茶の流れをつくった人です。
見え隠れする月にわび、さびの美しさがある、と考えていたことは疑いを入れません。
雲間に光る月、満月から徐々に欠けていく月を眺めることは、まさしく、わび、さびの美に触れることなのです。
もちろん、それはお定まりの日常を変化させますし、日々に新たな味わいを添えてくれることにもなるでしょう。
秋には虫の声も聞こえるでしょう。
美しい音を響かせてくれていた鈴虫が思わぬところで鳴くのをやめる。
そこで、「なんだ、もっと聞いていたかったのに……」とは思わないでください。
こちらの思いとはかかわりなく、聞こえたり、聞こえなくなったりする、その不確実さにわび、さびの風趣があるのです。
風が花びらや紅葉の葉を散らすのも、雪がわずかずつ降り積んでいくのも、わび、さびの美しさといっていいでしょう。
四季を通してわび、さびを味わうことはできます。
ぜひ、定型を捨て、外に出ましょう。
----------
枡野 俊明(ますの・しゅんみょう)
「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶 1953年生まれ。
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学環境デザイン学科教授。
大学卒業後、大本山總持寺で修行。
禅の思想と日本文化に根ざした「禅の庭」を創作する庭園デザイナーとして国内外で活躍。
著書に、『心配事の9割は起こらない』(三笠書房)、『傷つきやすい人のための 図太くなれる禅思考』(文響社)、『禅、シンプル生活のすすめ』(知的生きかた文庫)など。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月19日

「次々に湧いてくる不安」を心から消すたった一つの方法

禅の世界に学ぶ、「次々に湧いてくる不安」を心から消すたった一つの方法
2020年10月18日 PRESIDENT Online

コロナ禍がもたらした生活の大きな変化により、どうにもならない不安を抱える人は多いのではないでしょうか。
曹洞宗徳雄山建功寺住職であり、『心配事の9割は起こらない』『上手な心の守り方』(三笠書房)を著書にもつ枡野俊明さんに不安の解消方法を教えてもらいます。
※本稿は、枡野俊明『人生は凸凹だからおもしろい 逆境を乗り越えるための「禅」の作法』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

■どうにもならないことは、無頓着でいい
人は誰でも不安に駆られたり、悩みに押し潰されそうになったりすることがあるはずです。
不安も悩みも、いってみれば、生きている証ですから、生きているかぎり、それらがなくなることはありません。
ただし、どうでもいい不安や悩みに振りまわされるのはつまらないことです。

不安については、禅にこんなエピソードがあります。
禅宗の始祖である達磨大師と二祖となった慧可和尚に関するものです。

達磨大師のもとにやってきた慧可がこう尋ねます。
「わたしはこれまで仏典を学び、修行もしてきましたが、どうしても不安を断ち切ることができません。
どうか、わたしの不安をとり除き、安心を与えてください
達磨大師はこう応じます。
「それなら、おまえがいう“不安な心”とやらをここにもっておいで。
そうしたら、おまえを安心させてやろう」
慧可は必死になって不安な心を探します。
しかし、いくら探しても見つかりません。
慧可は再び達磨大師のもとに赴いてそのことを告げます。
「不安な心を探したのですが、どこにも見つかりません」
その慧可に達磨大師はこういいます。
「ほら、おまえの心を安心させてやった」

最後の言葉で達磨大師のいわんとしたのはこういうことです。
いくら探しても見つからないのは、もともと不安などというものには実体がないからだ。
自分の心が勝手につくり出しているに過ぎないのである。
そのことに、つまり、見つからないことに、実体がないことに気づいたら、すなわち、それが安心なのだ。
これは「達磨安心」という公案のもとになっているエピソードですが、不安や悩みの「正体」を的確にいいあてているといっていいでしょう。

不安も悩みも、じつは自分の心がつくり出しているのです。

■「不安」は不確実な未来だと自覚しよう
不安を抱くのは将来、未来に対してです。
「このご時世ではいつまで仕事がつづけられるかわからない。
家族のいまの生活を維持していけるだろうか?」
「いずれ親の介護の問題が起きてくるだろう。
きょうだい間で押しつけ合いになったりしたらどうしよう」
「子どもが引っ込み思案で心配。
このままで社会生活に適応できるのか?」

いずれも先のことを見越して、不安になっています。
しかし、将来どうなるか、未来に何が起きるかは、誰にもわからないのです。
不確実性のなかにあるのが将来、未来です。
そのわからないことに対して、手の打ちようがあるでしょうか。
何かできることがありますか。
ありません。

わからないことは、いくら不安を感じようが、悩もうが、どうしようもない。
どうにもならないのです。
禅はこう教えます。
「どうにもならないことは放っておきなさい」
そう、どうにもならないことには頓着しない、無頓着でいるのがいちばんいいのです。
頓着することで、自分が不安をつくり出してしまう。
仕事がつづけられなくなった自分を想像して、親の介護をめぐっていがみ合っているきょうだい間を思って、社会に適応できなくなった子どもに頓着して……不安になるわけでしょう。

不安は想像の産物、思いの産物、頓着の産物です。
そこに実体はありません。
いい替えれば、現実にはなっていないのです。
そして、人が何かできるのは、いま、目の前にある、現実に対してだけです。

■「いま」にこだわる大切さ
即今、当処、自己」 この禅語を知ってください。
たったいま、その瞬間に、自分がいるその場所で、自分自身ができることを精いっぱいやっていく、そのことが大切である、という意味です。

たとえば、仕事をつづけられなくなった自分を想像するのではなく、「いま」自分がやるべき仕事に全力でとり組む、いがみ合うきょうだい間を思うのではなく、「いま」親の介護についてきょうだい間で話し合うことを提案する、子どもの将来に頓着するのではなく、「いま」子どもを誘っていっしょに外の世界(世間)に触れる……などなど、できることはいろいろあるはずです。

こんな言葉もあります。
人はきのうにこだわり、あすを夢みて、きょうを忘れる
過去にとらわれたり、未来に頓着したりするから、いまが疎かになるのです。
できること、やるべきことは、いまにしかないのに、そのことに全力を注げなくなる。
ひたすら注力すべきはいま、いましかありません。
将来、未来は不確実、不透明ですが、それがどのようなものであっても、常に「いまを精いっぱい」で臨んでいれば、怖いものなし。
そこに、楽しさも、おもしろさも、必ず、見出すことができます。

■おなかから声を出そう
わたしは毎朝、四時半には起きます。
それからすべての窓を開け放って各部屋の空気を入れ換え、寺の門を開けます。
その後、朝のお勤めになるわけですが、その際の読経が「健康法」になっているのではないか、と思っています。

読経ではおなか(丹田=おへその下、約七・五センチ)から声を出します。そうしないとよく通る声にはならないのです。
おなかから声を出すには姿勢を正しくしなければなりません。
腰(骨盤)を立て、背骨を真っ直ぐ伸ばす。
少しそっくり返るような感覚がするかもしれませんが、それが頭のてっぺんと尾てい骨が一直線上に位置している正しい姿勢なのです。
読経のときは正座ですが、足を結跏趺坐というかたちに組んでおこなう坐禅でも、上半身の姿勢はまったく同じです。
前屈みの姿勢でいると、内臓が圧迫されて負担が大きくなります。
内臓にいちばん負担がかからないのが正しい姿勢です。
声もよく響きます。
そのときの呼吸は深く、ゆっくりしたものになっています。
酸素が十分にとり込まれる呼吸です。
その結果、全身の血のめぐりがよくなる。
おなかから大きな声を出すと、身体があたたかくなってくるのはそのためです。
血流のよさは健康であるために欠かせない条件でしょう。
読経が健康法になっている所以がそこにあります。

■「声だし習慣」は健康状態のバロメーターになる
一般的な日常生活とお経は縁がないと思われているかもしれませんが、朝、仏壇の前で『般若心経』をあげているという人は、案外、少なくないのです。
『般若心経』は二六〇字余りの短いお経ですから、生活にとり入れるのもそれほど難しいことではないと思うのですが、いかがでしょうか。
もちろん、お経でなくてもかまいません。
おなかから声を出す習慣をもつことは、健康上とてもよいことだと思います。
気に入った詩や文章の一節を音読する、その日のスケジュールを声に出して確認する、歌をうたう……。
何か自分に合ったものを見つけたらいかがでしょう。

声を出すことを習慣にしていると、それがその日の健康状態を知るバロメーターになります。
わたしの場合がまさにそうなのですが、日によって声の出方が違うのです。
体調がいいときは部屋中に響くような声が出るのに対して、体調が思わしくないときはくぐもったような声になるのです。

体調がわかれば、その日の行動調整ができます。
「きょうは調子がいいから、少々、がんばっても大丈夫だな」
「体調がイマイチだから無理をしないように心がけよう」 といった具合。

体調に合わせた動き方をすることで、大きく健康を損なうことがなくなります。

■今日からできる「声だし習慣」入門編
「朝、声を出す習慣ね。
たしかにいいと思うが、ちょっとハードルが高い気がする」
そんな人もいるでしょう。
「入門編」もあります。

手始めに大きな声で挨拶することを家族間の朝のルールにするのです。
かつての日本では祖父母、両親、子どもたちという三世代が同じ家に暮らすというのがふつうでした。
その時代の朝は、「おはようございます!」「おはよう!」という元気な声が飛び交っていたものです。
挨拶はしつけの基本中の基本だったからです。

しかし、時代を経たいま、核家族化が進み、しつけは蔑ろにされ、家族間でも挨拶を交わさない、という家庭が増えているように感じます。
かつての姿をとり戻すべきでしょう。
家族間に新しいルールをつくることで、家庭の空気は変わります。
慣れ親しんで(馴れ合って)いるゆえにどこか停滞した空気感に、清々しい風が吹き込みます。

----------
枡野 俊明(ますの・しゅんみょう)
「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶 1953年生まれ。
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学環境デザイン学科教授。
大学卒業後、大本山總持寺で修行。
禅の思想と日本文化に根ざした「禅の庭」を創作する庭園デザイナーとして国内外で活躍。
著書に、『心配事の9割は起こらない』(三笠書房)、『傷つきやすい人のための 図太くなれる禅思考』(文響社)、『禅、シンプル生活のすすめ』(知的生きかた文庫)など。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月20日

まじめな人ほど「疲れが取れない」納得の理由

まじめな人ほど「疲れが取れない」納得の理由
10/19(月) 東洋経済オンライン

ITコンサルティング会社から独立後、1度も営業せずに月収96万円を達成したフリーランスのシステムエンジニア・末岐碧衣氏による連載『友達0のコミュ障が「一人」で稼げるようになったぼっち仕事術』。
エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボにより一部をお届けする。

■ON/OFFの切り替え、できてますか? 
 休んでも休んでも疲れが取れない!  そんな経験ありませんか? 
 いつでもどこでも仕事ができてしまうリモートワークのオフィスワーカー、フリーランス、経営者など、休みも含め、ある程度自分の裁量に任されているような人は、意識的に仕事のON/OFFを切り替えないと、つねに仕事中という状態になりかねません。
 私も独立して自宅で仕事をする時間が増えた頃は、切り替えがまったくできませんでした。
それでつねに仕事をしていないと不安で、休んでいても仕事のことを考えてしまう日々が続き、結果として半年もしないうちに精神的にも肉体的にも息切れ状態になったのです。

 私ほどではないにしても、終業後だらだらと仕事をしたり、休日も仕事のメール見たりしてしまう人は少なくないように思います。
今回は、コミュ障でぼっちだからこそ気づけた、そんな状態から抜け出すのに効果的なテクニックを紹介したいと思います。

 ●まじめな人ほど、身体を休めるのが下手? 
 なぜ、休んでいても仕事のことを考えてしまうのか。それはまじめすぎるからだと思います。
 休むことに罪悪感や不安・焦りを感じてしまう、もっと仕事で評価されたい、お客さんのためにベストを尽くしたい、仕事が楽しくてほかのことに興味が持てないなど、理由は人それぞれですが、まじめな人ほど自分を追い込んでしまいがちです。  
 例えば、こんなことをしたことがありませんか? 

・その日の作業に一区切りついているにもかかわらず、まだ眠くないからもうちょっとやろうかなと深夜・明け方までサービス残業? してしまう
・忙しくても仕事を引き受けてしまう
・仕事の連絡に即レスするために頻繁にスマホをチェックしてしまう
・仕事が終わらないときはすべて自分の責任だと考え、誰かに相談することなく睡眠時間や休日を犠牲にして仕事をしてしまう

 頑張った分評価されるかもしれませんが、そうした無理は蓄積してしまうもの。
知らず知らずのうちに、仕事を忘れてゆっくり休めない身体になってしまい、気づいたときには、自分ではコントロールできない状態になっている――というのが、いわゆるワーカホリックの怖いところです。

 私が陥ってしまった状態の話をすると、ずっとONのモードが続き、少しずつ息切れしてきたというか、仕事はやれるんだけれど元気がなくなっていったという感じでした。
平日の業務時間中はいつも眠くて疲れていて集中できず、ダラダラと夜遅くまで仕事をしてしまう。
それにもかかわらず無駄やミスが多くなかなか終わらないので、休日も平日の遅れを取り戻すために仕事をしなければならない、という悪循環に陥ったのです。
 加えて、「休日に連絡しても対応してくれる人」という印象をもたれてしまい、土日だろうが年末年始だろうが仕事の連絡が来るようになりました。
休日なのでそもそも対応する必要はないのですが、駆け出しのころは自信がなく、それくらいサービスしないと自分には価値がないと思い込んでいたのです。

 そんな働き方を続けていたところ、
何のために仕事してるんだっけ?  
何が楽しくて生きてるんだっけ? 
 みたいなことをぐるぐる考えるようになりました。
それで眠れなくなった私は、眠るための飲酒が癖になり、浅くて短い睡眠しか取れない日々にさいなまれることに……。
夢の中でもプログラミングの仕事をしていて、上司にミスを指摘されて言い訳する自分の声で飛び起きたこともありました。

 極めつけは、2時間の映画すらまともに見られなくなったこと。
始まって30分も経たないうちに気づけば仕事のことや将来のことをモヤモヤ考えてしまい、話の筋を見失うようになったのです。
30分も集中力がもたない、というのは自分でもかなり衝撃で、ずいぶん気落ちしたのを覚えています。

■情報を遮断したら元気になった! 
 そういう状態になって私は、運動してみたり、仕事量を減らしてみたり、自然に触れるようにしてみたり、いろいろやってみました。
中でもいちばん効果があったのが、スマホを持たずネットもできないような状態にして、オフラインにするというものでした。

 前職でお世話になった人の中に、非常にまじめで、休日だろうが風邪で休んでいようが、自宅にパソコンを持ち帰って仕事するタイプの人がいました。
毎年必ず、1人で沖縄の美ら海水族館を訪れてジンベイザメの水槽の前でぼんやり1日過ごしている、という変な人で、チーム内でちょっとしたネタにされていました。
 初めて聞いたときは「何それ、楽しいの?  変なの」って思いましたが、今なら理解できます。
おそらく、今で言うマインドフルネスに近い効果があったのではないかと思います。
なお、マインドフルネスには、うつの改善や集中力アップの効果が認められています。

 思い返してみると私は、ニュースを見たりSNSをチェックしたりしているときに不安が強まり、仕事のことを考えるループに入り込むことが多かったです。
 テレビをつければさまざまなニュースが流れていて、それに対してコメンテータがいろいろ言っていて、CMでは知りたくもない新商品の情報が次々紹介され、電車に乗ってもそこら中に広告が貼ってあり、スマホにはLINEやらTwitterやらSNSの通知がひっきりなしに飛んできて、YouTube動画は毎日新しいものがアップされます。

 今の若い世代は年金もらえないから貯金しろだの、会社がなくなっても大丈夫なように副業を始めようだの、今日生きるのでいっぱいいっぱいなのに、読むだけで疲れる情報が毎日飛び交っています。
休日でもお構いなしに仕事メールが飛んでくることもあります。
 そうした外からの情報を遮断しただけで、私の頭の中の声(不安をあおったり焦らせたりする)は静かになりました。
その状態で、黙々と掃除をしたり、瞑想をしたり、好きな本を読んだり、料理をしたりして過ごすと精神的に落ち着き、すごく安らぐのです。
まぁ、本を読みながら、うっかり登場人物と自分を比較して不安になったり、仕事のことを考え出して気づいたら話の筋を見失っていたりと、最初から完璧に切り替えることは難しかったのですが……。
 ともかく、そんなふうにオフラインを取り入れた結果、今では当時の1/5くらいの時間で同じ量の仕事を集中してこなせるようになりました。
2時間の映画も、最後まで楽しめる状態に回復しています。
 それだけではなく、ワーカホリックになる前よりも、仕事への集中力が増し、ON/OFFの切り替えも自分でコントロールできている感覚が、人生の幸福度を高めている感じがします。
調子のよいときは、午前中にすべての仕事を終えることができ、午後は軽い足取りで散歩や買い物に出かけたりするのがささやかな楽しみになっていたりするのです。

■オフラインな時間の作り方
 いやいや、スマホを手放すなんて無理だよ!  そんなことぼっちにしかできないよ!   そう考えてしまうのもわかります。
オフラインな時間を実現するにはちょっとした準備が大切です。
仕事や友人から連絡がひっきりなしに来てしまうような場合、それをオフラインだからと無視するのはなかなかに精神力を要することで簡単ではありません。

 例えば、私はオフラインの時間を決めたら「この日のこの時間帯は所用のため連絡が取れませんので、あらかじめご了承ください」と周知しておくようにしています。
休日よりも限定的なので、相手に悪印象をもたれる心配もありません。
 もう1つ、忙しかったり暇だったりの波が激しいので、あえてオフラインな時間は固定していません。
例えば、メインの仕事は月・水・金という契約になっているので、それ以外の曜日で適当にオフラインな時間を作るようにしています。
 つまり、あらかじめ「オフラインの時間を取る!」ということだけ決めておき、ある程度自由度をもたせて、周囲に迷惑をかけないようにしておくのがよいのかなと思います。

 ただし、こんな感じで連絡が来ることの対処ができたとしても、スマホを見るのが習慣づいてしまっている人(多くの現代人がそうだと思いますが)は、オフラインな時間そのものに抵抗を感じるかもしれません。
 私も以前は、つねに何かしていないと落ち着きませんでした。
寝る前だけでなく仕事中、散歩中、運動中でさえ、動画やラジオ、オーディオブックを聞き流すのが癖になっていて(一時期は、同時に2冊の本が高速で読めると思って片耳イヤホンの左右で違うオーディオブックを、倍速で聞き流したりしていました。〈笑〉)、無音だと落ち着かない、何かしら情報が入ってきていないと耐えられないという末期症状(? )でした。

 でも、情報のシャワーをつねに浴びて過ごすというのは、脳にストレスを与え続けているような状態です。
脳は情報という刺激が大好きなので、自然とやってしまいがちなのですが、実は休んでも疲れが取れないことの根本的な原因はここにあるように感じています。
だからこそ、強引にでも情報を遮断する必要があるのかなと。
 ちなみに、私がまず手始めにやったのは、スマホを持たずにぶらぶらと近所の禅寺まで散歩するというものです。
禅寺では時々、清潔な作務衣(さむえ)を身に着けたお坊さんがホウキで石畳を掃いていたりして、眺めているとなんとなく自分の心もきれいになっていく感じでした。

■ちゃんと休めているか、改めて考えてみよう
 私は、オフラインな時間を意識的に作ることで、情報ジャンキー的な悪癖も減り、無意味に変な焦り方もしなくなりました。
仕事のことで不安になる時間も減り、仕事中は仕事で集中し、休みは休みで切り替えて楽しめるようになったのです。

 「何をやっても楽しくない、何をやってもうまくいかない」と感じたときはいったん立ち止まって、自分に向かって「疲れていないか、本当に休めているのか」を尋ねてみる必要があるのかなと思います。
それでもし心当たりがあるようだったら、情報を遮断したオフラインの時間を過ごしてみると、よくなるかもしれません。

■まとめ
・まじめな人ほど、休むのが下手
・休めてないと感じたら、オフラインの時間を過ごしてみる
・オフラインになるときは、周囲迷惑をかけないようにしておく
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月22日

お金が手に入る「おいしい話」に乗った人の末路 「…だけ」には要注意

お金が手に入る「おいしい話」に乗った人の末路 「…だけ」には要注意
10/21(水) LIMO(山内良子)

 かつて消費者金融会社に勤めていた筆者。
その当時、お客さんからお金に関する「おいしい話」が原因のトラブルについて相談されることも多く、その末路を知ることも少なくありませんでした。 
 今回は実際に筆者が見聞きした、おいしい話とその結末について紹介します。

生活に余裕がない人ほど騙されやすい
筆者が経験上感じたのは、生活がカツカツの人や借金のある人は「とにかく、この生活から抜け出したい」と焦ってしまうことが少なくないということです。
そのため、「簡単に儲かる」「ラクに稼げる」「簡単な副業」など、すぐにお金が手に入りそうな誘い文句に興味を持ちやすく、それに賭けてみようという心理に陥りやすいようです。

たとえば、家族に内緒で借金をしている人が騙されやすいのは、「保証人や担保なしで貸してあげる」という言葉です。
そういう場合に危ないのは利息の高い闇金だけとは言えません。
新型コロナウイルスでも問題となった個人間融資では、見返りに法外な利息や性行為のようなことまで求められるケースも。

そして、甘い言葉に乗せられて一度借りてしまうと「バレたくない」という気持ちを利用され、下記のような泥沼に発展しやすいのです。

借金をしていた相手に頼まれて保証人になってしまったケース
個人経営の化粧品店で働いていたある女性は、会社を経営する男性と玉の輿婚をしたものの、お金にシビアな夫が財布をガッチリ握っていたため消費者金融に借金し、ブランドの新作を買い漁って支払いに困窮。
勤務先の化粧品店のオーナーに「貸すよ。あるとき払いでいいから」と囁かれ、借りてしまいます。
そんな生活が半年ほど続き、これでは申し訳ないという気持ちが募っていたとき、オーナーに「人に騙されて今月の家賃が支払えない。保証人になって」と持ちかけられたのです。
夫に黙って保証人になったところ、オーナーが夜逃げして消費者金融や闇金の厳しい取り立てにあい、夜の店で働いて借金を返すハメになってしまったと嘆いていました。

副業の「支度金」が戻ってこなかったケース
また、現実離れした金額だと怪しいと疑う人も多いものですが、「月に3〜5万円くらい稼げる副業」と言われると、つい信じてしまうこともあるようです。
筆者の元同僚も、しっかり者だったにもかかわらず「在宅で5万円稼げます」の謳い文句につられて支度金の2万円を支払い、そのお金が返却されずに悔しい思いをしていました。
仕事の内容は封筒に住所を書いてチラシを入れるというもの。
支度金2万円の内訳は、送料と仕事を放棄したときの補償金で、補償金は3か月仕事をすると返却されるというものでした。
このように「補償金」や「登録料」などの名目で、働く前にお金が必要になる仕事は怪しいと言えるでしょう。  

「詐欺ではないが低単価」というケース
「まずは副業から」などの謳い文句でライターやウェブデザインの募集をかけているものの、時給換算※すると300〜400円で労力と収入が見合っていなかったり、「能力に応じて昇給」などの甘い言葉を使い低い単価でどんどん仕事を依頼してくるケースも少なくありません。

筆者のこれまでの経験では、給料や報酬の安い仕事のほうが制限されることが多く窮屈で、細かい部分まで執拗なほどチェックが入り、精神が疲れてヤル気が削ぎ落とされました。
長期的にみて、収入が見合わないと続かないことが多いので、パソコンやスマホを通じて自宅でできる業務委託の場合でも、単価や仕事内容に注意するのが賢明でしょう。
※時給換算するときは事前準備から業務完了までの時間で計算しましょう

「…するだけ」は怪しい可能性大
「…するだけ」など、大したことはないような印象を与えたり、誰もが簡単にできそうだという印象を抱かせるのも、怪しい話を見分けるポイントです。
筆者の元顧客の中にも、「…だけ」に騙されて悲惨な末路を迎えた人がたくさんいました。  

クレジットカードを不正利用されたケース
元顧客の息子(20代前半の学生)は、「クレジットカードを作るだけで5万円あげる」と言われて作成して渡したところ、いつの間にか枠いっぱいまで使われていたことが発覚。

借金の名義貸しをしてしまったケース
元顧客の公務員(40代男性)は、「奥さんに内緒でお金を借りたいから、名前だけ貸して」と頼まれて名義貸しをしてしまい、頼んできた人が債務整理をしたため自分が全額返済するハメに。

「保証人の欄に名前を書くだけのバイト」に乗ってしまったケース
やはり元顧客で70代の年金暮らしの男性はパチンコに入れあげてお金に困り、「保証人の欄に名前を書くだけで1万円のバイトがある」と誘われるがまま、次々に保証人に。
ところが、保証人を頼んできた人が1人夜逃げし、また1人破産し、借金の取り立てで首が回らなくなり、結局、息子夫婦が弁護士に相談して解決を図ることになりました。

おわりに
生活が苦しかったり、借金をしたりしている人は、早くラクになりたいと焦る気持ちから、お金に関する「おいしい話」に騙されやすくなる傾向があります。
もしも簡単にお金が手に入るという話に遭遇したら、「自分だったら、そんなおいしい話をわざわざ他人に教えるか?」と、まずは自分自身に問いかけてみてください。
そうすれば、目の前にふってわいたその話がほぼ100%の割合で、詐欺まがいや犯罪がらみ、もしくは危険なことだと気づくことができるでしょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月24日

脳はストレスとどう戦っているのか?

脳はストレスとどう戦っているのか?
2020年10月23日 ダイヤモンドオンライン
ホルスト・ルッツ 繁田香織:翻訳家

国民病1位を引き起こすストレスをどう脳が処理をするかに注目。
同じ事象でもポジティブに受け取る人がいれば、ネガティブに受け取る人もいます。
脳がどう受け取るかがすべて。
では、脳はストレスとどう向き合うべきなのか。

■ストレスを減らす方法
 ストレスは、基本的に悪いものではありません。
むしろ、ストレスは人間が生き延びるために必要なものなのです。
 狩猟や木の実などの採集のみで食料を手に入れていた時代には、敵に襲われそうになったときに闘ったり逃げたりする身体の反応、いわゆる「闘うか逃げるか反応」は生死にかかわるほど重要でした。

 たとえばライオンに遭遇したときに、身体はストレスホルモンを一瞬のうちに全身にかけ巡らせ、すばやく「闘うか逃げるか」の反応を起こすことができるようにしていたのです。
しかし、ライオンに槍を射った後は安心して、ストレスホルモンの分泌量は正常になり、落ち着いてきます。

現代でも、命にかかわる事態に見舞われ、それを乗り越えようとするときには、同じ反応が起きます。
つまり、ストレスはよいものでもあるのです。

 ただ、現代では、ストレスは国民病を引き起こす原因の第1位です。
過度のストレスが原因である病気は、高血圧や睡眠障害、さらに血管の狭窄、胃酸過多、疲労困憊、燃え尽き症候群、心筋梗塞など数多くあります。
 技術者疾病金庫〔医療保険金庫の1つ〕が2015年に実施した調査によると、ドイツでは精神疾患による欠勤の日数は2006年から急激に増加しており、精神疾患が欠勤原因の第2位となっています。
 つまり、ストレスを生じさせる事態が絶えず起こると、ストレスホルモンの分泌量がほぼずっと高いままで調整されることがないため、自然な心拍変動〔脈と脈の間隔が短くなったり長くなったりすること〕が保たれず、つねに「闘うか逃げるか」モードになっているのです。

 では、こうした場合にどうすればいいのでしょうか? 
「ストレスを和らげるべきだよ」と気遣ってもらえると確かにうれしいですが、そのような人から実際に何かしてもらえるのでしょうか?
 あるいは、自分で簡単にストレスを和らげることができるのでしょうか?
 いいえ、おそらく簡単にはできないでしょう。

ストレスに対応する身体のシステムが、これまでネガティブなストレスを生じさせていた状況について、ストレスを生じさせない状況と判断できるようにならなければいけないのですから。

ここでちょっとした例を挙げてみましょう。
 あなたが幹線道路で車を運転し、前を走っている車を追い越そうとして反対車線に出たとします。
しかし、反対車線を走っているあなたの車が、追い越そうと思っている車とほぼ横一列に並んだとき、向かいから予想以上のスピードで車が走ってきました。
ハラハラする瞬間です!
 元の車線にうまく戻れるでしょうか?
 アクセルを思いっきり踏み、うまくいけと願います!
 何とか元の車線に戻れて、事故を起こさずに済みました。
もちろん、向かいから走ってきた車はすごい勢いであなたにパッシングをし、元の車線を走っていた車も、あなたに危険な横入りをされたとパッシングをしてきました。

 さて、この場合の心理状態には2パターンあります。
このパターンのどちらに当てはまるかで、あなたのタイプがわかります。  

1つ目は身体中が震えて、頭に血が上り、脈が非常に速くなり、心筋梗塞を起こす一歩手前の状態になる。  
2つ目はわりとリラックスしており、満足げな笑みを浮かべ、心の中でこぶしを上げて「いや〜、すごくうまくいった! こうでなくては!」とつぶやいている。

 1つ目のパターンは、ストレスホルモンが過度に分泌され、非常にストレスを感じている状態です。
 2つ目のパターンは、アドレナリンも分泌されていますが、比較的リラックスしており、自分の運転テクニックに興奮している状態です。
 この2つの心理状態を起こした状況は、どちらもまったく同じですから、状況自体がネガティブなストレスを生み出しているのではないといえます。

 誰もが自分一人で、それ自体はニュートラルである状況からネガティブなストレスを引き起こすシナリオや、ネガティブなストレスを引き起こさないシナリオをつくっています。
ただ通常、これは意図して行なわれるものではなく、身体の中で自動的に起こります。
 しかし、ライフキネティックのトレーニングを行なうと、ネガティブなストレスを引き起こさないシナリオをつくることができるようになるのです。

記事抜粋 「脳が活性化する世界最先端の方法」
***************************
 ライフキネティックでは、簡単なエクササイズによって、脳内でまだ利用されていない領域を活動させていくことを目指しています。
(中略)ライフキネティックのエクササイズには、知覚(とくに視覚)の能力と、すばやく情報を処理して動きに反映させるための集中力が非常に求められます。
 このことは、とても簡単な動きを行なうエクササイズにもいえます。
これらすべての要素を満たしているのが、ライフキネティックなのです。
つまり、ライフキネティックの公式は次のようになります。

「知覚+脳トレ+動き=能力の向上」

 ライフキネティックでは、この3つの要素を使って、脳内のネットワークを改善し、それにより脳のあらゆる領域を一層活用させることを目指しています。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月25日

なぜ2度あることは3度あると思ってしまうのか

なぜ2度あることは3度あると思ってしまうのか
2020年10月24日 東洋経済オンライン
小幡 績 : 慶應義塾大学大学院准教授

世の中は、馬鹿馬鹿しいほど明らかな間違いにあふれている。
今回はアメリカ大統領選挙を例に取りながら、簡単な行動経済学的視点で「なぜ間違いが生まれるのか」を解説してみよう。

バイデン氏優勢なのに日本では「まだわからない」の謎
いよいよアメリカの大統領選挙は大詰めを迎えている。
10月22日夜、最後の「一騎打ち」の討論会が行われた。
PBSという公共放送主催で行われたために第1回目よりも冷静に行われ、ドナルド・トランプ大統領に有利な初回のセッティングよりも、民主党のジョー・バイデン大統領候補に結果的に有利になったようだ。
バイデン氏とトランプ氏の支持率の差は、トランプ氏のコロナ感染以後の1カ月で大きく開いた。
足元ではやや差が縮まったが、この討論会も無風であったため、大統領はほぼバイデン氏で確定だ。

同国での調査もすべて「バイデン氏ほぼ確実」を示しているし、かんべえ氏(吉崎達彦・双日総合研究所チーフエコノミスト)の好きなリアル・クリア・ポリティクスの「大統領選挙賭けサイト」でのオッズも、バイデン氏が圧倒的に優勢だ。
そして金融市場もバイデン大統領を織り込んで、再生エネルギー銘柄が上昇。
一方で債券市場は民主党による財政支出拡大を前提にアメリカ国債の利回りは上昇している。

それにもかかわらず、日本国内では「まだわからない」という記事や専門家のコメントが目立つ。
なぜなのだろうか。
理由は2つある。
第1に、日本人の専門家は民主党が大嫌いだからである。
このバイアスは驚くほど広く存在する。
外務省の官僚が書いたといわれる「YA論文」でも、民主党政権の外交政策は日本に望ましくないことが背景にあり、勢いあまって「トランプ政権は日本の安全保障にとって悪くない」ようなことをのたまってしまう。

なぜ、民主党が嫌なのか。
それは、アメリカの東部エリート層が伝統的に持つ「弱者の味方である自分に陶酔する思想」が嫌いだからである。

日本人から見ると、自分たちは苦労したこともなく、その痛みもまったくわからないくせに、偽善的に振舞っているような印象となるようだ。
これはアメリカの低所得者層にもある程度共通で、前回の「アンチヒラリー(・クリントン)」、今回のトランプ氏への根強くかつ熱狂的な支持、さらには「エリートとワシントンとメディアの連合が生み出すフェイクニュースという都市伝説」を信じる土壌ともなっている。

アメリカや日本のアンチ民主党の是非はともかく、この結果、日本の知識層、官僚、保守寄りのメディアは、願望を込めて「民主党バイデンが負けることもありうるんじゃないか?」と予想している。
これは、行動経済学でいうところの確証バイアスである。
しかし、トランプ氏が勝つかもしれないと、ありえないことをまともな人々が言っている最大の理由は、前回トランプ氏が事前の予想に反して勝利を収めたことが一種のトラウマになっていることだ。
前回もそうだったから、今度もありうるんじゃないか。
そういうことである。

8人に1人は「為替の神様」になれる
普通は、人間は一度の意外な出来事では見方を変えない。
1回目は偶然、いわば、まぐれである。
しかし2回続くと、それはこれまでの見方を変更する動きにつながる。
3度起これば、もうそれが必然になる。

「為替相場の神様」などと呼ばれる人はよく現れる。
なぜなら、為替は上がるか下がるか、2択に過ぎないからである。
「円高になる」と予言して、1回当たると、それはたまたま。
2回連続で当たると、彼は天才。
3回連続となると、彼は為替の神様になるのである。

しかし、これは2の3乗で確率8分の1だから、少なくとも8人に1人は神様がいることになる。
「2度あることは3度ある」というのは、2度ありえないことが起きると「2回連続のショックは大きすぎて、その例外事象が、普通に起こるような気がしてくる」ことを表す。

2016年の「トランプショック」の場合は、実は伏線はブレグジット(イギリスのEU離脱)ショックにあった。
ブレグジットは、金融市場も想定外の出来事で、当日地域ごとに票が開くにつれて、「意外、あれ、あれれ、あれれれれ、まさか!」となって、そこからドカーンと英ポンドが大暴落し始めた。
もっともブレグジットの場合、事前の世論調査では、ほとんどの調査で五分五分だった。
それにもかかわらず、金融市場は「ブレグジットなどありえない」という予想で、完全に国民投票の結果は「紆余曲折があるも、否決になる」と勝手に決めてかかっていた。
これも前述の確証バイアスであるが、仕方がない面もあった。

サプライズとなった理由は主に2つだ。
第1に、そもそもブレグジットなどという誰にとっても得にならないうえに、イギリスの運命としては壊滅的な結果、歴史が終わってしまいかねないような選択肢を、あえて国民が結果として選ぶというのは、どう考えても合理的でない。
「あまりに不合理だ」というのが、現実を直視できなかったもっとも大きな原因であろう。
第2の理由は、国民投票というのは、ほぼ初めての出来事だったからだ。
国民投票はめったに行われないし、行われたとしても毎回議決すべき事項は異なる。
したがって、客観的な予測をしようにも、データどころか、1度の前例もない。
確率分布が描けないという意味で、リスクではなく、ナイトの不確実性に近いイベントだったと捉えられる。
歴史的に一度きりの事件であるから、客観的な予測をしようにもどうしていいかわからない、ということだ。

ブレグジット後にトランプ当選のサプライズがあった
この結果、ブレグジットはあまりに衝撃的な結果をもたらした。
この衝撃が大きすぎて、人々、とりわけ市場と専門家たちの間には強いトラウマとして「世論調査などの予測は当てにならない」という印象が深く刻みこまれたのである。
そして、トランプ氏が大統領に当選するという、この年2度目のサプライズが、その4カ月後に起きた。
こちらも、ブレグジット以上のサプライズだったことは、4年前になるが誰もが覚えていることだろう。
理由はブレグジットと同様だ。

トランプ氏はこれまでも大統領選挙に出馬しようとしていて、ほぼ泡沫候補扱いだったのが、共和党にほかにはろくな候補がいなかったので、あれよあれよという間に共和党の候補になってしまった。
共和党内部からも強い反対が残り、一枚岩でないどころか誰もワシントンでは支持しないという有様だった。
結果からすると、それが逆に効果的で、ワシントンの外にいて「これまでのエリートたちとは違う」、という保守的な低所得層の支持を受けて当選してしまった。

「トランプ大統領」が想像できない以上「そんなことは起こるわけがない、と信じていた、いや希望していた。
両者が混乱したまま、思考停止になっていたのだ。
その中で、前述の確証バイアスで「ヒラリー有利」の情報だけを受け入れていた。
事前調査では「拮抗している」という情報もかなりあったのに、それは無視された。
さらに、この場合は「ある種の想定外」、ということで「現実に悲惨なことになるシナリオに目をつぶる」「臭いものに蓋」「想定外の事象を過小評価する」という現象とも言えるだろう。
ブラックスワンである。

「言論ギャンブラー」の私でさえ怖くなる
しかし、ここで問題なのは、トラウマになるような現象が2度続けて起きたことである。
これで有識者と言われてきた人々はすっかり自信をなくしてしまった。
それで「トランプの逆転はありうる」というあり得ない予想に、「それはありえない」と言えなくなってしまっているのである。
私も「もしトランプが当選したら、もうこのコラムの執筆は辞める!」と言いたいところだが、「言論ギャンブラー」の私でさえ、少し怖い。

なぜトランプ氏が負けると自信を持って言えるのか。
それは、事前調査の結果がそうなっているからである。
それはみんな知っている。
ブレグジットも、前回のアメリカ大統領選挙も、それで結果は違ったではないか。
ではなぜ今度だけ自信を持てるのか。
そういう疑問を多くの方がお持ちだろう。

あなたは、すでに行動経済学でいうところの罠にはまっている。
それまでの2回と今回は、まるで違うのである。

第1に、2回のサプライズはサプライズでもなんでもなかった。
かなり拮抗していて、ブレグジットなどは、完全に五分五分の事前調査だったのに、信じなかっただけだ。
今回は、明らかに差がついている。
第2に、ブレグジットの事前調査は予測精度が高くなかったと思われる。
国民投票はほぼ初めてだったし、事前調査に答えるサンプル有権者たちも自分がどう行動するか、よくわかっていなかったと思われる。
したがって、回答者がよくわかっていないのだから、回答があまり役に立たないのは当然で、結果がサプライズだろうが、調査予測としてはサプライズではない。
予測しようがなかったからだ。

それに対し、アメリカ大統領選挙は長年の伝統と蓄積がある。
データとして積み重ねがあるということは、データとして絶対的に重要だ。
そして、答えるほうも、大統領選挙のベテランが多い。
何度も投票に行っているから、答えは決まっているし、アメリカのほとんどは事前に民主党か共和党か決まっているから、事前調査はかなり正確だ。
気分で投票先が変わることは、ほぼない。

サプライズはなくても、予測できないことが1つある
しかし、これが前回の落とし穴だった。
トランプ氏の支持者は、これまで選挙に行ったことがないような人々も投票した。
さらに、共和党、民主党という枠組みを超えた、アンチエリート、アンチワシントン、アンチヒラリーの票が多すぎて、事前の予想がこれまでの大統領選挙の予測と異なり、構造変化が起きていたことを捉えられなかったのだ。
今回は違う。
トランプ氏の2回目の大統領選挙だ。
しかも、前回のサプライズで懲りているから、調査会社も有権者もかなり慎重になっているし、分析も慎重だ。
「慎重に見積もって、バイデン」なのだから、今度はサプライズはないはずだ。

バイデン当選は確実だが、予測できないことが1つある。
新型コロナの影響だろうって? まさか。
そんな些細なことではない。
それはトランプ氏が敗戦を認めずにどう行動するかだ。

だが、世の中にとってはサプライズだし、それを利用して投資家たちは自分たちの都合がよいように、混乱に解釈をつけ、乱高下で儲けようとするだろう。
怖いのはコロナなどではなく、トランプ氏のわがままぶりと、投資家たちの強欲さだけだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月26日

「伝わりやすい文章」を書くために必要なたった1つのポイント

「伝わりやすい文章」を書くために必要なたった1つのポイント
2020.10.25 ダイヤモンド社書籍編集局
『死の講義』著者・橋爪大三郎インタビュー
取材・構成/川代紗生

文章は「結論」から書く

──伝わりやすい文章を書くために、おすすめの方法はありますか?

橋爪 
「トピック・センテンス・メソッド」というものがあります。
ひと言で言うと、結論から言うということだ。
考えているときには、結論って、最後に出てくるでしょう? 
ああでもない、こうでもないと考えて、最後に結論にたどり着くのが、頭にとっては自然なんです。

 でも、書くときにこの順番でやったら、全部の「思考のプロセス」を読者にお付き合いさせないといけないわけです。
時間がかかるし、負担が大きいですよね。
もちろん、そういう本もあっていい。
だけど、ビジネスで使う文章や、実用書に載せる文章は、結論から書くべきですね。
著者が責任をもって、「これが結論です」と提示する。

 「結論を提示する」ということは、前提や、途中のプロセスや、条件を理解しているということなんですよ。
結論が出てくるプロセスを体系的に理解して、把握していないと、結論から書くことはできない。
だから、文章の品質を保証するために、結論から書く「トピック・センテンス・メソッド」は、とてもいいやり方だと私は思う。  
「トピック・センテンス・メソッド」については、日本では『理科系の作文技術』(中公新書)という本の中で木下是雄先生が紹介されているので、くわしく知りたい人はそれを読んでみてください。

表現の幅を広げたければ「小説」を読め

──橋爪先生の本を読んでいると、的確でわかりやすい表現が散りばめられているのがわかります。
ボキャブラリーを増やし、表現の幅を広げるためにできる習慣などはありますか?

橋爪
 いろんな小説を読むことでしょうね。
だって、小説家って語彙のプロじゃないですか。
あらんかぎりの能力を駆使して、情景を描写している。
日本語の限界を試しているわけですよね。

 買い物に行くとき、ふつうは自転車か、せいぜいファミリーカーかなんかに乗っていくでしょう。
でも、小説というのは、スーパーに買い物に行くのに、ランボルギーニか何かの、そういう高速スポーツカーで行くみたいな話なんですよ(笑)。
いろいろな能力や備品が満載なんですね。

 日本語というのは、漢語と和語と片仮名でできているんです。
漢語というのは2000年ぐらい前、途中で徐々に入ってきた外国語で、片仮名というのは、つい最近やってきた欧米語ですよね。

そのなかで、言葉との距離感がなく、一番、「わかった感」が生まれるのは、和語なんです。
 それから、スピーチのときにはとくに役に立つと思うんだけど、故事の言い回しをリストアップして、使えるような字引があるといい。
たとえば、「負けるが勝ち」とか、「転ばぬ先の杖」とか、「江戸の敵を長崎で討つ」とか、熟語辞典に出ているようなものや、日常的な言い回しも。
「あ! これ、いいな」と思っても、すぐ忘れちゃう。
だから、そういうのをまとめて、これを活用しましょうみたいな本があるといいですよね。

 たとえば、政治家の演説を聞いていると、官邸官僚が彼らの専門用語で書いているから、和語はほとんど出てこないですよね。
中央省庁の文書は役人同士が理解できればいいので、日常語を切り離して置き換えるという、自己防衛の固まりなんです。  『パワースピーチ入門』(角川新書)という本にも書いたんですが、日常語でもスピーチができるはず。
「本年度予算」とかは、どうしても漢語にしないといけないわけだから、それ以外のところを和語にする。
言い訳をしないで、枝葉を削る。

執筆スピードを上げる習慣術

──ご多忙な中でたくさんの本を同時進行で書かれている、橋爪先生の執筆ルーティンを教えてください。

橋爪
 12時過ぎには寝て、8時ぐらいに起きる。
ちゃんと寝て、食事もちゃんと取る。
きわめて普通ですね。
寝る前には、「こういうことを解決しないといけない」という仕事上の疑問を考えて寝るようにします。
そうすると、寝ているあいだに頭が勝手に考えてくれる。

 たとえば、今書いているものがあったとして、「その次、どう書こう?」みたいなことですね。
考えても、そのことを、すぐ書けるわけじゃないでしょう。
たとえば30ページ〜50ページ書くとすると、5つか、6つのトピックを巡っていくわけじゃないですか。

今、書いているのは、このトピックなんだけど、その次、その次の次……というように、ぼんやり考えながら、今のところを書いている。
実は書いてみるまで、どうなるかわからないんですよ。
 だから、「ここはほぼ書き終わったので、次、これを書こう」みたいなことを確認して寝るわけですね。

──橋爪先生は、1日何時間ぐらい執筆されているんですか?

橋爪
 起きているあいだはなるべく。
修士論文を書くときに、最後の章が、まだ書けてなくて、あと24時間しかないということになったときに、下書きなしで60枚、しかも、ワープロがなかったから手書きで書いたことがあったけど、あれは新記録でしたね(笑)。
 ワープロになってからは、書くのが楽になったし、スピードも速くなりましたね。

──執筆スピードを速くするコツは何でしょう?

橋爪
 ややこしいことを、ややこしく書こうと思わないことですね。
「こんなりっぱなことを書ける、りっぱな著者なんですよ」っていうふうに書かないことです。
そういう意識がちょっとでもあると、難しい語彙や複雑な言い回しで書こうとしてしまう。
そうすると、時間がかかるし、読むのも時間がかかる。
見通しが悪くなるから、何を言っているのかもわからなくなる。
自分でもわからなくなるんだ。

──世の中に出ている本には、そういうものが多かったのでしょうか?

橋爪
 学術的なものは9割方がそうですね。
文章がわかりやすいと批判しやすいんですよ。
何を言っているかわかるから、間違っていたら、すぐに批判できる。

でも、反証可能性があるということは、学問の基礎ですから、文章はわかりやすくなければならない。

 本質はアイデアなんだから、アイデアで勝負すべきであって、アイデアがあるかのように見せかけて、勝負するのはダメなんだ。
 「プレーン・センテンス」(シンプルで素直な日本語)で書くことにすれば、書くことに神経をほとんど使わないから、速く書ける。
あ、文学は凝らないといけないんだけどね。
でも、文学じゃない場合は、プレーン・センテンスで書けばいい。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月28日

認知症やがんのリスクが高まる「睡眠負債」とよく眠るための8つの習慣

認知症春目春目やがんのリスクが高まる「睡眠負債」とよく眠るための8つの習慣
10/27(火) ハルメクWEB

更年期以降は注意。
認知症やがんのリスクが高まります
睡眠不足や睡眠の質の低下から、知らぬ間に蓄積していく「睡眠負債」。
この負債が認知症やがん、生活習慣病などのリスクを高めると注目されています。
睡眠の悩みが増える更年期以降は、睡眠負債をためないように質のよい睡眠法を身につけましょう。

睡眠負債とは?
寝付きが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝起きたとき、すっきりしない……。
そんな心当たりのある人は、「睡眠負債」を抱えているかもしれません。
睡眠負債とは文字通り、眠りの借金がたまっていること。

米スタンフォード大学医学部精神科教授で、同大学睡眠生体リズム研究所所長の西野精治(にしの・せいじ)さんは、「日々の睡眠不足が知らぬ間に蓄積して、脳や体にダメージを与えてしまう。
この負債は睡眠時間の短さだけでなく、睡眠の質の低下によってももたらされます」と話します。

そもそも睡眠は年齢とともに変化するといいます。
「特に女性は更年期以降、睡眠の質が低下しがち。
女性ホルモンが減少するため、体温調節や睡眠そのものにも影響が出やすいのです」(西野さん)

十分寝ているつもりなのに、朝疲れがとれていなかったり、日中に強い眠気を感じたりするなら、睡眠の質が低下しているサイン。
また休日になると、いつもより寝坊してしまうという人も要注意です。
「普段より2時間以上も多く寝ているようなら、睡眠負債がかなりたまっている証拠」と西野さん。

さて、あなたは大丈夫?
 まずは次のチェック表で確認してみましょう。

睡眠負債かどうかのチェックリスト
1つでも当てはまったら睡眠負債かも?

・寝付くのに30分以上かかる
・夜中に5回以上目が覚める
・朝、起きたときに疲れている・
・日中、やる気が出ずに眠気を感じる
・休日は2時間以上起床が遅い

よくイライラする 睡眠の大切な役割と健康効果を知っておこう
睡眠にはいろいろな健康効果があります。
例えば
・日中に活動した脳と体を休ませる、
・記憶を定着させたり、
・逆に嫌な記憶を消去したりする、
・成長ホルモンなどのホルモンバランスを整える、
・免疫力を増強して感染症やがんなどの病気を遠ざける、など。

最近の研究によると、脳の老廃物を除去する働きもあるそう。
「例えばアルツハイマー病では、脳内に大量の老人斑が沈着しています。
この原因となるのがアミロイドβという物質ですが、睡眠中はこれを除去する働きが最も高まることがわかっています」と西野さん。
不要になった物質を排出する、いわば脳のお掃除タイムというわけです。

【睡眠の5大ミッション】

・脳と体に休息を与える
・記憶を整理して定着させる
・ホルモンバランスを調整する
・免疫力を上げて病気を遠ざける
・脳の老廃物を排出する

ベストな睡眠時間と睡眠負債による健康への影響は?
30〜102歳までの110万人を6年間追跡調査した結果、死亡率が最も低かったのは7時間睡眠の人たちでした。
7時間睡眠を基準にすると、それより短くても長くても死亡率は上昇。
最大で1.3〜1.4倍高くなりました。

睡眠が本来持つ働きを妨害するのが、睡眠負債。
この負債がたまると、脳と体にさまざまなダメージが及びます。
なんと死亡率まで上がるというのです。

「米国の大規模研究では、死亡率が最も低かったのは7時間睡眠の人たち。一方、睡眠時間が極端に短い人や長い人では死亡率が1.3〜1.4倍上がるという結果でした。
つまり、睡眠時間は多過ぎても少な過ぎても死亡率が上がることがわかったのです。
他にも肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病、がん、認知症などのリスクも高まると報告されています」(西野さん)
睡眠負債のツケはかくも大きいのです。

とはいえ、更年期以降の女性は一般に睡眠時間も短くなりがち。
「個人差が大きいので7時間睡眠にこだわる必要はありませんが、自分に合った質のよい睡眠をとることが何より重要」と西野さん。眠りの質を高め、睡眠負債をためない生活を始めましょう! 睡眠負債を解消する睡眠の質を上げる鍵とは? ハルメクWEB 睡

眠負債をためない、あるいは既にある睡眠負債を返済する――。
そのために手に入れたいのが、質のよい眠りです。
西野さんによると、睡眠の質を高める鍵は、「寝始めの90分間」にあるといいます。
「睡眠には、脳も体も眠っている『ノンレム睡眠』と、脳は起きていて体が眠っている『レム睡眠』とがあります。
寝ついてすぐに訪れるのが最も深いノンレム睡眠で、これは90分間ほど続きます。
新陳代謝を促して健康やアンチエイジングに貢献する成長ホルモンが最も多く分泌されるのも、このとき。

最初の90分間をいかに深く、ぐっすり眠るかが、睡眠の質を決定的に左右するのです」 いわば“黄金の90分間”。
これが得られれば朝の目覚めもスッキリで、日中、眠気に悩まされることもありません。
逆に、この90分間の質がよくないと、いくら長く寝ても熟眠感がないのだそうです。

では、黄金の90分間を得るにはどうしたらいいでしょうか。
ポイントは「体温」だと西野さんは説明します。
「体の中の深部体温は、日中は高く、眠るときは低くなります。
逆に言うと深部体温が十分に下がらないと、ぐっすり眠れないのです。
この仕組みを知った上で、深部体温の上がり下がりをうまくコントロールすることが重要です」

また眠りの準備は「朝から始まっている」とも。
「よい眠りは、よい覚醒があってこそ。
朝起きて行うことや昼間の過ごし方の中にも、睡眠の質を高める大事な条件があります」。
そう語る西野さんに、最高の睡眠を得る8つの方法をアドバイスしてもらいました。早速試してみましょう。


覚えておこう!8つの睡眠負債の解消方法
1 入浴は就寝90分前までに
ぐっすり眠るために西野さんがすすめるのが、入浴。
「条件にもよりますが、お風呂に入ると深部体温が0.5℃ほど上がります。
深部体温は上がった分だけ下がろうとしますから、入浴後に急降下が起こります。
れがスムーズな入眠と熟眠につながるのです」(西野さん)。
つまり、深部体温を「上げて下げる」のがコツ。
深部体温が元に戻るまでに約90分かかるので、入浴は就寝90分前に済ませておくのがベストです。

2 アラームは2つの時間設定で
西野式アラーム活用術は、「2つの時間設定」。
1回目のアラームはごく微音で短くセット。
2回目は通常の音にして20分後に設定を。
「朝方は眠りの浅いレム睡眠が多いので、小さな音でも覚醒しやすく、目覚めもよいはず。
もし深いノンレム睡眠中なら、2回目のアラームで目が覚めます」

3 寝るときは靴下を脱いで
足が冷たいからと、靴下をはいて寝ていませんか。実はこれは逆効果。
「手足がぽかぽかしてくると、自然と眠くなるもの。これは手足の末梢血管が拡張して熱を放散し、その結果、深部体温が低下するからです。
靴下をはいたままだと、この熱放散が妨げられるので、深部体温が下がりにくく、寝つきも悪くなるのです」(西野さん)。靴下をはくのは寝る直前まで。寝床に入るときには脱ぎましょう。
どうしても冷たいときは、足湯で血行をよくするのが効果的です。

4 寝床にスマホは持ち込まない!
寝る前のスマホやパソコンにも注意を。
「画面から出るブルーライトを網膜が感知すると、覚醒度が上がることがわかっています。
またスマホを操作することで、脳も興奮します」と西野さん。
スマホは寝床に持ち込まないのが得策です。

5 朝起きたら日光を浴びる
人の体内時計は1日より少し長く、約24.2時間。
「このズレを修正してくれるのが、太陽光。朝起きたら、日光を浴びて覚醒のスイッチを」と西野さん。
なお白内障などがあると光に対する感受性が鈍り、眠りや体内リズムに影響を及ぼす可能性も。

6 日中は20分程度の仮眠を
日中に眠くなったら、仮眠を。
ただし、夕刻の長い仮眠は夜の睡眠に影響するので禁物。
西野さんは午後3時までの「20分程度の仮眠がいい」と話します。
30分未満の昼寝をする人は、昼寝習慣がない人に比べて認知症発症率が6分の1程度だったとの報告もあります。

7 素足で覚醒度を上げる
朝起きたらスリッパは履かず、あえて素足で立ち上がる――。
これは効率的に覚醒度を上げるテクニックなのだとか。
「脳の奥にある脳幹部には上行性網様体という部位があり、ここを刺激すると覚醒することがわかっています。
ひんやりとした床に足がじかに触れると皮膚感覚が刺激され、上行性網様体も活性化。覚醒スイッチが入るわけです」(西野さん)。
冷たい水で手や顔を洗うことも、皮膚の温度を下げて脳を目覚めさせてくれます。

8 「眠れない」という思い込みを捨てる
「寝つきの悪さや中途覚醒を過大評価して『眠れない』と訴える人がいますが、検査をしてみると実はよく寝ていたという例も多いのです」と西野さん。
寝つくのに20分ほどかかる、夜中に3、4回目が覚めるというのは正常範囲。心配無用です!

いびき、眠気……睡眠負債につながる病気にご用心!
ぐっすり眠れない、朝の目覚めが悪い、日中、強い眠気に襲われる……。
こんな悩みの背景には、病気が隠れていることもあります。
「代表的なのが、睡眠時無呼吸症候群。
肥満体形の中年男性に多いイメージがありますが、女性や、痩せている人も無縁ではありません。
高齢の方の場合は、心不全などの病気に合併して発症することもあります」と西野さん。
女性は閉経後に発症率が増えるという報告も。
いびきがひどい、途中で呼吸がとまっていると家族に指摘されたら早めに専門の医療機関で検査を受けましょう。

■教えてくれた人
西野精治さん にしの・せいじ
 米スタンフォード大学医学部精神科教授。
同大学睡眠生体リズム研究所(SCNラボ)所長。
医師、医学博士
著書『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版刊)が30万部を超え、コミック版も発売。
女性、子供、高齢者の睡眠問題も解説した「スタンフォード大学教授が教える熟睡の習慣」(PHP新書刊)。
最新刊に『睡眠障害 現代の国民病を科学の力で克服する』 (角川新書刊) 。

取材・文=佐田節子 
※この記事は、「ハルメク」2017年10月号掲載の記事を再編集しています。 
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月29日

「人望がある」は幻想!“いい人”をやめるべき理由

「人望がある」は幻想!“いい人”をやめるべき理由
2020.10.28 ダイヤモンドオンライン
弘兼憲史:漫画家

「人生100年時代」という言葉が根付き、生涯現役が謳われている昨今。『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』など数々のヒット作を生み出した漫画家・弘兼憲史氏も、70代の現在が人生で一番楽しいと感じているといいます。
とはいえ、実際は体力的にも精神的にも制約が出てくる人生後半戦を、どうすれば楽しく過ごせるようになるのでしょうか。弘兼氏の最新エッセイ『弘兼流 やめる!生き方』(青春出版社)から、人生後半戦を楽しく過ごすための生き方を紹介します。

「いい人」と「魅力がある人」の違いとは  
前回は、自分の親や妻に対して「いい人」でい続ける必要はないというお話をしました。
では、会社の人間関係ではどうでしょうか。
「課長 島耕作」に登場した中沢部長は、「理想の上司像」なんていうランキングでトップになったこともありました。
部下が失敗した時には責任をとる、自分の部下は守る、何があっても動じない器の大きさを持っている、常に前向きな姿勢、それでいてクールな判断を下す経営能力まで兼ね備えているのですから、完璧な上司と言えるかもしれませんね。
だからこそ、社長まで上り詰めるわけです。

 しかし、僕は彼を完璧な上司であり有能なビジネスマンとして描いていても、完璧な人間としては描いていません。
あえて読者が想像する糊代を残し、家庭のことは描かなかったのですが、ホステスとの間に生まれた息子が登場し、最期も愛人宅が舞台です。
漫画の世界ですから、幸せな家庭と仕事を両立させるような完璧人間を描くことだってできるのですが、それでは人間的な魅力に欠けるんですね。

「いい人」と「魅力がある人」は必ずしも一致しないのは、みなさんも感じていることだと思います。
漫画を描いていても、「悪い人」や「不良」のほうが、魅力的に描きやすい。
一時期流行った「ちょい悪オヤジ」なんていうのも、誰しもが不良に魅かれる部分をくすぐる存在でしょう。

「いい人」とは他人から見た基準だった
 いつだったか、「人望というものは錯覚に過ぎない」という文章を書いたことがあります。
「いい人」が誰からも好かれるというのは思い込みだから、「いい人」を演じるのはつまらないことだと言いたかったのです。
 いつでも相談に乗ってくれる、誘ったら断らない、頼み事を聞いてくれるといった「いい人」は、便利だから人が集まります。
 でも、誘いを断ったり頼み事を断ったりして、便利な存在でいることをやめると、「いい人」ではなくなってしまうわけです。
 そうなってみて、自分の周りに人が集まっていたのは、人望があったからではなくて都合のよい存在だったからだと気づく。
「いい人」というのは、まわりの人間の願望を満たす存在なのですよね。

 性格がいい人、人の気持ちがわかる人、誠実な人、優しい人。ひと言で「いい人」と言っても、それこそいろいろなタイプがあるわけですけど、「いい人」が必ず好かれるとは限りません。
「あの人は、いい人なんだけどねぇ……」という言い方をする時は、相手にとっての願望が満たされていないわけです。
「こうあってほしい」「こういう人でいてほしい」という願望がなければ、その人が「いい人」であろうとなかろうと、どうでもいいはずなのですから。
 つまり、「いい人」かどうかというのは、自分ではなく、他人からの基準ということになります。

人生後半戦は、自分にとっての「いい人」を目指す
 みなさんの職場にも、部下から「人望が厚い、いい上司」として慕われている人がいるのではないでしょうか。
でも、そういうタイプの人は「いい人」を演じているだけなのかもしれません。
もちろん、サラリーマンであれば、多かれ少なかれ本来の自分とは違う人間を演じるところがあるかと思います。

部下の気持ちをつかむために演出があってもいい。
人から嫌われないということは、仕事をうまく運ぶためにも、敵を増やさず安全に生きるためにも大事なことです。

 でも、60歳からの人生では「いい人」を演じるのはやめたほうがいい。
エネルギッシュに突き進んでいる時期は免疫力も高く苦水を飲んでも排出できるのですが、新陳代謝が落ちてくるとダメージが大きくなって、なかなか回復できません。
 だいぶ前から、メンタルケアを扱う本では、人から好かれようとするのをやめてラクになろうとか、完璧主義をやめてストレスを減らそうといった「いい人をやめよう」という流れが出てきています。

「いい人」を演じることがストレスの原因になるからよくないと言っているわけです。
「いい人」を演じ続けると、自己否定につながって自分のことが嫌いになってしまうこともあります。
これはうつ病の原因にもなります。
 どんなに他人から好かれていたとしても、自分のことが嫌いだったら幸せな人生は送れません。
だからこそ、人生後半戦では、誰かの願望を満たすための「いい人」であろうとするのはやめて、自分の幸せのために生きたいですね。
 これまでさんざん誰かにとっての「いい人」を演じ続けてきたのなら、これからは自分にとっての「いい人」を目指しましょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月30日

できないことは、やらないほうが成功できる?

できないことは、やらないほうが成功できる?
2020.10.28 All About

成功しているように見える人、活躍しているように見える人、キラキラ充実しているように見える人がいます。
どこにその秘密があるのでしょうか。

自分の得意や強みを磨く
自分の持ち味そのままで生きられる環境に身を置くには、やはり向き不向きがあります。
たとえば、イチローが野球ではなくサッカーに打ち込んでいたら、今ほどの偉業を成し遂げられるかというとそれはわかりません。

私の知人に、内気で人見知りな男性がいるのですが、彼は当時勤めていた住宅メーカーでトップセールスになりました。
営業部に配属されたばかりの頃、彼はその内気な性格が災いし、全く売れませんでした。
2年目に入り、さらに4カ月経っても1棟も売れず、そうなると普通は辞職や転職を考えるのが、その業界の通例といいます。

そのとき彼は、こう考えたそうです。
自分からアプローチするのは苦手だし、やりたくない。
ならば、客の方から会いに来てもらえるようにできないか――と。
それで思いついたのが、今ではポピュラーなマーケティング手法となっているセールスレターです。
彼は対面でのコミュニケーションは苦手でも、文章を書くのは得意だったからです。
彼はそのレターに、満足できる家の選び方や顧客の声など、これから家を買おうとする人に役立つ情報、自社や自分の住まいに対する思い、自身の近況などを書いて、展示場の来場者や資料請求した人に送り続けました。

そしてしばらくすると、客の方から「具体的に相談したい」と連絡してくるようになり、やがてトップ営業マンとなった彼は、脱サラして現在は営業コンサルタントの仕事をしています。

短所より長所に目を向ける
エネルギッシュで社交的な人がうらやましい、そうでない自分は情けないなどと落ち込むのではなく、自分が内向的なら、内向的でも活躍できる仕事や職場を選ぶ。
コミュニケーション能力が低いなら、それを底上げする努力をするよりも、コミュニケーション能力が低くてもできる仕事に就く。
そうやって、自分が得意で誰かの役に立つ分野に注力し、そこに打ち込み成功体験を積むことです。

欠点を直すには、多大なエネルギーを要する上に、たいして楽しくないでしょう。
そこで、「それはどうしても直さないといけない欠点なのか?」「ここの場所で努力するメリットはあるのか?」「この我慢を続ければ、本当に明るい未来が待っているのか?」と、振り返ってみることです。

他人と比較しない
成功しているように見える人、活躍しているように見える人、キラキラ充実しているように見える人がいます。
心の中を見ることはできませんから、本当のところはどうなのかわかりません。
しかし、明らかに自分よりも恵まれていそうな人や幸せそうにしている人を見て、嫉妬したり落ち込んだりしたことはないでしょうか。

特にネット情報で、成功したという結果だけを瞬時に見ることができるし、SNSはそういう自慢の場として大勢の人がアピールしていますから、他人と比較して自分はしょぼいなどと暗い気分になってしまう人も少なくないようです。
ただし、SNSは自己愛を満たすには手軽なツールですから、そこでリア充アピールをしている人は、承認欲求が満たされていない人がほとんどです。
なのでそれらを見て落ち込む必要はまったくないと知ることです。

成功している人は、自分自身をよく知っている
とはいえ、実際に成功して活躍している人はやはりいます。
彼らが輝いて見えるのは、自分の長所を認識し、そこで勝負しているからです。
自分の特技や強みがわかれば、それをどう表現すればよいかを模索しようとします。

サッカー選手にお笑いの才能がなくても、誰も気にしないでしょう。
やはり得意な分野で勝負をすることが、自分を輝かせる唯一の方法です。

しかし多くの人は、自分にはお金がない、才能がない、チャンスがない、頭が悪い、人付き合いが下手、などマイナスの部分をより強調して認識しやすい傾向があります。
あるいは、それをコンプレックスとして引きずってしまう。

なぜか自分の欠点はよく見えるのに、長所や強み、伸ばすべき能力はなかなか見えないものです。
たとえば、芸能界の仕事と一言でいっても、歌、芝居、ドラマ、映画、漫才、リポート、お天気解説、料理、ミュージカル、バラエティなど、いろいろな分野があるわけで、すべての領域で秀でる必要はありません。
それらの中のどれか1つで輝けばよいのです。

実際、お笑い芸人としては芽が出なくても、料理の分野で売れている人がいますし、歌は下手でも演技力で活躍している人はいるでしょう。
だから自分には向かないと思ったら、すぐに方向転換することです。
それは3日坊主でもよいということではなく、自分との適正を冷静に峻別するという意味です。

それにはやはり、自分はどういう人間で、どういう性格や傾向を持ち、何が得意で何が苦手か、何をしているときに幸福を覚え、何をしているときが苦しいかを見極めておく必要があります。

出典:『「できないことはやらない」で上手くいく 嫉妬、コンプレックスを「捨てる」技術』(WAVE出版)
文:午堂 登紀雄(マネーガイド)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月31日

「格安スマホ」は本当にお得?乗り換え前に確認したい「9つのデメリット」

「格安スマホ」は本当にお得?
乗り換え前に確認したい「9つのデメリット」
10/29(木) LIMO [リーモ]
石倉 博子(ファイナンシャルプランナー)

通信費の節約には、格安スマートフォン(スマホ)が大きく貢献します。
通信費が年間数万円安くなるかもしれないと聞いたら、すぐにでも格安スマホにしたくなりますよね。
でも、ちょっと待ってください。
メリットだけではなく、デメリットもあることを理解しておかないと後悔することになります。
格安スマホへの乗り換えを考えている人、必読です。

格安スマホ2つのメリット  
1.料金が安い
「格安スマホ」と名前が付くわけですから、一番のメリットは料金が安いことです。
ドコモ、au、ソフトバンクの三大キャリアが持つ通信回線を借りてサービスを提供しているため、初期費用や維持費がかからないことが料金を抑えられる理由です。
さらに、実店舗を持たない会社や、店舗がある会社でも大手キャリアに比べて少ないため、人件費や設備費が抑えられることも、料金の安さに結びついています。

格安スマホの会社やプランによって様々ですが、大手キャリアの月額料金と比べると3,000円〜5,000円程度安くなる場合が多いようです。  

2.料金体系がシンプル
基本はデータ通信料+通話料となっており、その他に、かけ放題プランなどのオプションを付けることができます。
普段の使い方と合ったプランを選択すれば無駄がありません。
大手キャリアの場合、プランが複雑だったり、オプションが多かったりするため、無駄な料金を払ってしまうケースがあります。

意外に多い?!格安スマホ「9つのデメリット」
「安い」というわかりやすいメリットに対し、デメリットは少し細かく見ていきます。
安易に乗り換えて後悔しないためにも、しっかりと頭に入れておきましょう。  

1.通信速度が安定しない
先述したように、大手キャリアの通信回線を借りているため、混雑する時間帯によっては、通信速度が遅くなることがあります。
これが一番のデメリットと感じている人は多いと思います。
しかし、中には大手キャリアとほとんど変わらない通信速度を実現できている格安スマホもあります。
そこで、選ぶ際に、通信速度を最優先にして選ぶとよいかもしれません。  

2.サポート体制が弱い
店舗がない、あっても数が少ないため、何かトラブルがあった時に、大手キャリアのように近くの店舗に行って相談することができないことはデメリットといえるでしょう。
ただ、最近は家電量販店や大型店の一角に店舗を設けている格安スマホ会社も増えてきています。
サポートが不安な人は店舗がある会社を選んだ方がよいでしょう。  

3.初期設定を自分でしなければならない
購入時、大手キャリアの場合、すぐに使える状態で渡されますが、格安スマホの場合は、初期設定を自分で行わなければなりません。
説明書を読めば、問題なく設定できるものですが、デジタル機器に不慣れな人や設定が苦手な人は、相談できる店舗がある会社を選ぶとよいでしょう。  

4.故障した時の対応が面倒
格安スマホは、通信プランである「格安SIM」とスマホ本体を表す「端末」を合わせた総称です。
大手キャリアの場合、元々がセットで売っているため、故障の対応はすべてやってくれますが、格安スマホの場合、SIMと端末のサポートは別々になります。
そのため、本体が壊れた場合は、メーカーに直接修理を依頼しなければなりません。  

5.通話料が高くなる
キャリアの場合、家族間や同キャリア間では通話無料などのサービスがありますが、格安スマホには、基本、このようなサービスはありません。
よく通話をする人は格安スマホにしたことで、却って料金が高くなってしまうこともあります。

ただ、格安スマホにも、「かけ放題プラン」をオプションで付けられる場合があるので、通話が多い人は利用しましょう。
また、LINEやFaceTimeなどの無料で通話できるアプリもあるので、代用できればそれほどデメリットとはならないでしょう。  

6.キャリアメールが使えない
「@docomo.ne.jp」「@ezweb.ne.jp」「@softbank.ne.jp」といったキャリアメールが使えません。
そのため、メールを使う場合は、GmailやYahoo! メールなどのフリーメールで代用することになります。
ただ、MMD研究所の調査(※)によれば、日々のメールやメッセージのやりとりを、キャリアメールで行う人よりも、LINEやショートメールを使う人の方が多くなっている現状では、それほどデメリットにはならないかもしれません。  

7.キャリア決済が使えない
キャリア決済とは、ネットショッピングなどで購入した代金を月々の携帯料金と一緒に支払うことができるサービスです。
最初にIDとパスワードを入れてログインをしておけば、あとは暗証番号を入れるだけで決済ができます。
クレジットカードを持っていない人や、カード番号の入力に抵抗がある人には有用です。

ただし、限度額が低く設定されていたり、使える店舗が限られているなどのデメリットもあるので、クレジットカードで十分という人には使えなくても問題はないでしょう。  

8.テザリングができない場合がある
テザリングとは、ネット環境がない外出先などでパソコンを使う場合に、スマホを使ってインターネット接続をすることです。
格安スマホでも、基本、テザリングは可能ですが、一部のスマホや格安SIMでは、テザリングに対応していない場合があるようです。
購入前に各社のWebサイトやサポートセンターを利用して、確認をしておきましょう。  

9.格安SIMと端末の相性を判断するのが難しい
格安スマホは格安SIMと端末で成り立ちますが、格安SIMによって、使える端末と使えない端末があり、それを初心者が判断するのはなかなか難しいといえます。
そのため、今使っている端末をそのまま使いたい場合でなければ、格安SIMと端末のセットで購入するのがよいでしょう。

格安スマホ「向いている人」「向いていない人」
ここまで、格安スマホのメリット、デメリットを見てきましたが、デメリットが多くなってしまったため、格安スマホの乗り換えに不安になってしまった人もいるでしょう。
しかし、これらのデメリットの多くは代用ができたり、ちょっとした手間を挟めば解決できるものなので、あとはそうした行為ができるかできないかといった適性の問題になってきます。

そこで、格安スマホが向いている人と向いてない人をまとめてみました。  

<格安スマホが向いている人>  
・とにかく通信費を安くしたい人  
・電話をあまり使わない人  
・サポートがいらない人  
・自宅にインターネット環境がある人  

<格安スマホが向いていない人>  
・今使っているスマホを使い続けたい人  
・電話をよく使う人  
・デジタル機器の扱いに慣れていない人  
・キャリアメールやキャリア決済を続けたい人  
・通信速度の安定を求める人

格安スマホにして、いろいろ問題が出てくるのではないかと不安になっている人には、その問題がはっきりして、解決策がわかれば不安はなくなります。
一方で、問題の解決方法がイメージできない人は無理して格安スマホに乗り換える必要はないのかもしれません。
まずは自分に合っているかどうかを判断してみてくださいね。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月01日

「健康か経済か」、みんな自分のことは自分で決めましょう。

「健康か経済か」、みんな自分のことは自分で決めましょう。
──内田樹の凱風時事問答舘
10/31(土)  すずき

思想家にして武道家、道場兼寺子屋の凱風館館長にして神戸女学院大学名誉教授、そして質問回答の哲人ウチダ先生に、今月はZoomでお話をうかがいました。

Q: Go To トラベルキャンペーン、日本経済のためにも出かけたほうがいいでしょうか?

A: 健康か経済か 感染は拡げたくないけど、海外からの観光客の激減で壊滅的な被害を受けている観光業は支援してあげたい。
「あちらを立てれば、こちらが立たず」です。
なんとかしてあげたいけれど、感染は拡げたくない。
だから、悩む。それしかないと思います。

だって、「こうすれば万事まるく収まる」という正解がないんですから。
誰が考えたって、人の行き来が増えるほど感染拡大のリスクは高まる。
感染抑制のためには、理屈では全員が自宅から一歩も出ないのが一番効果的です。
そうすれば感染はいずれ終息する。
でも、そんな生活をいつまでも続けられるはずがありません。
経済が回らないとかいう以前に、人間が壊れる。

ダニエル・デフォーの『ペスト』には、17世紀のロンドンのペスト禍の時に、大量の食糧を買い込んで、屋敷を釘付けにして閉じこもり、ペストが終息してから外に出てきて「え、あんた生きてたの?」と周囲をびっくりさせた人の話が出てきます。でも、その人は精神のある部分が壊れてしまっていたんじゃないかと思います。
囚人を半年独房に閉じ込めておくと脳にはっきりと器質的な損傷が生じるそうですから。

「健康か経済か」という二者択一的な選択を迫る人がいますけれど、実際には、健康を優先するあまり、外に出て、人と触れ合うことを止めてしまうと、人間の心と身体は回復不能な仕方で傷みます。
だから、僕は「外に出るか/自閉するか」の判断は、最終的にはひとりひとりが自分の心身の状態を基準にして決めたらいいんじゃないかと思います。
僕はこの夏海水浴にも行きましたし、温泉旅行も武道の合宿もやりました。
お客さんが来なくて困っている定宿に行って応援したいからです。

僕の場合は多少の健康リスクを引き受けても、そうした方が僕の心身の健康にはプラスになると判断しました。
誰かに決めてもらうことではありません。
みんな自分のことは自分で決めましょう。

Q: 最近、巷で多くなっているZoom会議で気をつけることがあったら教えてください。

A: 「気配」が伝わらない
Zoom会議は僕もいろいろやっていますが困るのは、次に誰が発言するかうまく予測できないことですね。
生の会議だと、気配でなんとなくわかる。
ちょっとした表情や息づかいで、「あ、この人、次に何か言いたそうだ」とわかる。

でも、Zoomだと解像度があまりよくないバストショット画像だけですからその「気配」が伝わらない。
だから、よく発言がぶつかります。
話がまだ終わってないのに腰を折ったり。
逆に、それを気づかって、言いたいことを一息がまんしたせいで、誰も何も言わない無意味な沈黙がしばらく続く……。
だから、いま程度のカメラとマイクの精度だと、会議を長く続けるとひどく疲れますね。
対面の会議だったら、腕を組むとか、足を前に投げ出すとか、身を乗り出すとか、メモをとるとかノン・バーバルなシグナルで「言いたいこと」がだいたい察知できるので、相手の顔を必死に注視する必要なんかない。
Zoomに関しては時間を対面の半分に短縮することを基本ルールにしませんか?

Q: 21世紀に入って、世界中で貧富の差が広がっています。
こうなると、マルクス主義は復活するでしょうか?
いまからでも読んだほうがよいでしょうか?

A: マルクスは何度でも甦る
マルクスが復活する気配はありますね。
白井聡さんの近著『武器としての「資本論」』が売れてます。
マルクスの資本論の解説書ですよ。
いくら白井さんのロジックの切れ味がよいとはいえ、資本論を正面から解説した本が7万部売れるというのはたいしたものです。

斎藤幸平さんもまだ30代ですけれど、最年少でドイッチャー賞をとったマルクス研究者です。
白井さんと同じく、怖いもの知らずで、スケールが大きい。
彼らのような若い世代のマルクスの読み方は、僕たちの世代までの教養主義的な読書ともセクト主義的な読書とも違います。読み方がもっと深いし、実践的です。
思想的利器としてのマルクスを縦横に活用している。
それにしても「マルクスは何度でも甦る」と思いますね。
いつの時代の、どういう歴史的状況でも、「マルクスだったらどう言うだろう」と仮定すると思いがけない展望が広がってくる。
そんな思想家は他にはなかなかいません。

でも、7月の都知事選では、社会主義的な公約を掲げた宇都宮健児や山本太郎を抑えて、小池百合子が約60%の得票率で圧勝しました。
有権者は何を基準に都知事を選んでいるのか、どのような政策を選好しているのか。
選挙後のアンケートだと、有権者たちは「小池百合子は弱者に対するいたわりがない」とか「本当のことを言わない」とか答えていました。
それがわかった上で投票している。
どうしてそんなことになるのか?
たぶん今の日本では「勝った人間が正しい。多数派を制したものが正しい」というイデオロギーが蔓延しているからだと思います。

長い物には巻かれろ
選挙で過半数をとったということと掲げた公約や政治的主張の真偽理非の間には相関がありません。
圧倒的多数派の意見が結果的に国を滅ぼした例は歴史上無数にあります。
多数派というのは単に一時的、相対的な多数者のことで、ある時点で頭数が多いということはその主張が一般的に正しいものであることを意味しません。当たり前です。

でも、今の日本ではそうなっていない。
多数を制するものは「正しいこと」を述べているから多数を制しており、少数派は「間違ったこと」を言っているから少数にとどまっているのだという推論をする人が多い。
だから、現職知事はいま現職にあるわけだから「正しい」のだろうと推論する。

人間的には問題が多いし、公約もほとんど実現させられなかったが、彼女が現に権力者である以上、これに逆らうべきではない。こういう考え方を「事大主義」と言います。

「長い物には巻かれろ」とか「寄らば大樹の陰」とか、昔からあるしけた処世術に過ぎないのですけれども、現代人はいつのまにかそれが「しけた処世術」ではなく「クールな生き方」だと信じ込むようになった。

だから、「勝って欲しい人」ではなくて「勝ちそうな人」に投票する。
東京がどういう都市になって欲しいのか、どういう行政を実施して欲しいのか、その明確な希望が有権者の側にないんだから仕方がありません。
そもそも現代人はこれからの社会のあり方について「希望を語る」ということをしたがりません。

「レジスタンス」を知らない人たち
たぶん、「希望を語ること」が格好悪いと思っているんでしょう。
だって、「希望を語る」人は要するに現在不遇だということですから、論理的に言えば弱者・敗者だということになる。
「弱者・敗者は間違った生き方をしているからそうなったのだ」というのが事大主義的推論ですから、「希望を語る」ということはイコール「間違っている」ことになる。

一方、強者・勝者は現状に満足しているので、未来について特段のビジョンはない。
こういう世界になって欲しいという希望がない。
「希望がない」ということ自体が強者であることの証明だと見なされている。
だから、「多数派にいたい、強者・勝者の側に身を置きたい」と思っている人たちは競って「希望を持たない」ように努める。

「現状でいいじゃないか。何が不満なんだ。じたばたしても、何も変わりゃしねえよ」と冷笑することで自分が「支配する側」にいるような錯覚が得られる。
希望を語らない理由の一つは「今あるシステム」とは違うシステムが存在していたということを知識として知らないからだと思います。

学校教育の「成果」なんでしょうけれど、世界史の知識がごっそり抜けている。
最近いちばん驚いたのはカミュ論を書いて送稿したら、後で編集者から「レジスタンス」に注を入れて欲しいと言われたことです。
編集者がちょっと気になって周りの若い編集者に僕の原稿を見せたら、「パリ解放」も「ヴィシー政府」も「ペタン元帥」も意味がわからないと言われたそうです。
「レジスタンス」を知らない人たちの耳に革命や抵抗が空語にしか聞こえないのは当然ですね。

歴史を知らない人たちには、いま目の前にある現実が「あるべき唯一の現実」に見えてしまう。
だから、希望を訊かれると「もっと金が欲しい」「もっと暇な時間が欲しい」というレベルにとどまって「こういう社会を実現したい」という希望を語る言葉が出てこない。
白井さんの本も斎藤さんの本も、若い人たちが「今目の前にある現実以外の現実」を想像するための手がかりになるはずです。
そういうものを読みたいという若い人が出て来たのならいいんですけど。
**********************
うちだ・たつる
1950年生まれ。神戸女学院大学名誉教授。
思想家、哲学者にして武道家(合気道7段)、そして随筆家。
「知的怪物」と本誌スズキ編集長。
合気道の道場と寺子屋を兼ねた「凱風館」を神戸で主宰する。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月02日

秋口の「冷え」解消につながる3つの入浴法

秋口の「冷え」解消につながる3つの入浴法
11/1(日) ウェザーニュース

秋が深まるにつれて朝晩と昼間の寒暖差も激しくなり、徐々に冷えを感じる人も増えているのではないでしょうか。
寒暖差によって自律神経が乱れると、一層冷えを感じやすくなるといいます。

この時期辛い冷えに効果的なお風呂の入り方を“お風呂博士”に教えていただきます。

毎日の入浴で体をメンテナンス!
入浴は単に汚れを落とす行為ではなく、体のメンテナンスという意味でも役立つものです。
株式会社バスクリンの「チームお風呂博士」のひとりで、つくば研究所の石澤太市さんがこの季節に特におすすめしたいのは、「冷え」対策だと言います。

「秋が深まって“冷え”が体にこたえるようになりますね。
冷えは、血流が悪くなることで生じます。
血流が悪くなる原因は、ストレスや不規則な生活、筋肉量の不足など、さまざまです。

お風呂に入ると温熱作用、水圧作用、浮力作用により、体がリラックスし、体温が上昇します。
全身の血流が良くなるため、さまざまな原因の冷えに対して効果が期待できるのです」(石澤さん)

「冷え」に効く3つの入浴法
血行促進効果を上げるための、入浴のポイントを教わりました。

(1)たっぷりのお湯で浮力と温熱を感じる
お風呂に浸かるときは、温かさとともにゆったりと浮力も楽しむのがよいといいます。
「お湯の温熱には血行を促進する効果があります。
そして、浮力には、関節や筋肉の負担を和らげ、脳の緊張を緩和させるなど、リラックス効果があることがわかっています。できるだけたっぷりのお湯でゆったり気分を味わいましょう」(石澤さん)

(2)ぬるめのお湯にしっかり浸かる
40℃程度のお湯で10〜15分、しっかり浸かりましょう。
「朝晩がひんやりとしてくる秋は、少しぬるめのお湯がおすすめです。
熱めのお湯に比べて体温の上昇は緩やかですが、緩やかに上がる分だけ体の芯まで温まり、体温が冷めにくくなります。
10〜15分は意外と長い時間なので、時計などできちんと計るといいでしょう。
また、入浴は気づかぬうちの汗をかいて水分を奪われるので、水分補給はしっかりと行いましょう。
また、体調に合わせて、無理をしないよう気をつけてください」(石澤さん)

(3)半身浴でもOK
湯船に長い時間浸かっているのが苦手な人は、半身浴でもよいそうです。
「まず、体を温めるために5分ほど全身浴をします。
次に、体を起こしたりお湯を減らすなどして、水面がみぞおちの辺りにくるぐらいにして、15分程度半身浴をします。
この状態で顔を残してお風呂の蓋をすれば、サウナ状態になってより効果的です」(石澤さん)

「寝る前の手足の冷えが楽になったか、寝つきがよくなったか、靴下なしで眠れそうか、など自分の体への効果を実感してください。
ただ、入浴はやればやるほど効果が高くなるというものではありません。
決して無理をせず、体調や気分に変化があったらすぐに中断してください。
また、浮力の心地よさを感じるという意味では、新型コロナ感染症対策に気をつけた上で、温泉やスパなどの広い浴槽で楽しむのもいいかもしれません」(石澤さん)

入浴剤を上手に活用することも、体を温める点で効果的だそうです。
「さら湯より効果的に体を温め、浴後もぽかぽか感が続きます。
さらに炭酸ガス系入浴剤は血管拡張作用もあり、オススメです」(石澤さん)

寒さはしだいに厳しくなってきますが、お風呂で体をいたわり、寒くなるこれからの季節も「冷え」知らずでお過ごしください。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月03日

不安で集中力が続かないときの対処法4つ

不安で集中力が続かないときの対処法4つ
2020年11月2日 ライフハッカー[日本版]

「さあ、仕事を片付けよう」と思って机に向かうと、パンデミック、経済、失業、政治、時事問題、ホリデーショッピングなど、心の中に潜んでいるあらゆる心配事が雑音になって頭の中で響き始めます。
今は、集中力を発揮できなくて悩んでいる人がたくさんいます。
Total Brainの最近のMental Health Indexによると、今年の8月は、労働者の集中力とタスクを完了させる能力が、パンデミック前のレベルと比較して31%も低下していたことがわかりました。

一般的に、人間は先が見えない状態で長期間暮らすことに適していないのです。
しかし、大事な締切があったり、チームに頼りにされているときに、「今はパンデミックの最中なので、集中できません」は、言い訳になりません。

ですから、最近集中力が続かなくて困っている人は、以下にご紹介する4つのアプローチで集中力を取り戻してください。

1. 「自分でコントロールできている」という意識を持つ
不安に苛まれていると、身体の生理的反応が集中力を妨げることがあります。
人間の身体は、一般的に、コルチゾールというストレスホルモンを分泌してストレスに反応します。
Total BrainのCEOであるLouis Gagnon氏は、次のように述べています。
慢性的にストレスがあると、高レベルのコルチゾールが長期間にわたって分泌され、脳、心臓、消化器系の主要な機能を損ないます。

ストレスは人間の心を委縮させ、さまざまな事を視野に入れたり、創造したり、他人と協力するために必要な認知能力の柔軟性を低下させます。
ですから、何がそこまで強いストレスの原因になっているのか把握して対処する必要があります。

「まず、自分でコントロールできることから着手しましょう」と、ライフコーチで以前は心理学の研究者をしていたBrooke Smith氏は言います。
世の中で起こっていることに苛立ちを覚えている場合は、入って来る情報量を制限して、「ネガティブなソーシャルメディアの投稿や情報ばかり読み漁ること」はやめてください。
不安を感じたり、心が傷ついたり、怒りを感じているなら、状況の受け止め方を変えて、そこから教訓やチャンスを見つけるようにしましょう。

自分の力でコントロールできない外的要因は、少なくとも一時的に無視して、体調を整え、脳に余裕をもたせることをSmith氏は提唱しています。

2. 仕事量を管理する
次に、本当に片付ける必要があるタスクを把握しましょう。
「人間は、NOと言う能力の欠如や引き受けた仕事に対する熱意の犠牲になることがあります」と精神科医でHallowell Centerの創設者であり、『Driven to Distraction: Recognizing and Coping With Attention Deficit Disorder』の著者でもあるEdward Ned Hallowell氏は語っています。

彼は、仕事に関して、減らす(curtail)、他人に任せる(delegate)、削除する(eliminate)の頭文字を取ったCDEを実践すべきだとアドバイスしています。
ToDoリストに目を通して、やる必要がないものは容赦なく削除し、他人に任せられるものは任せましょう。
残ったタスクのうち、自分にできて実際にやるつもりがあることの範囲を定義しましょう。

「多くの有毒なストレスは、仕事が多すぎて参ったと感じることと関係しています」とHallowell氏は言います。
環境を整え、タスクを整理すると、「自分でコントロールできている」という感覚が得られ、集中して物事に没頭できるようになります、と心理学者で『Find Your Focus Zone』の著者でもあるLucy Jo Palladino氏は言います。

タスクを絞り込んで着手し始める際は、5分か10分で片付き、簡単に「達成感」を得られるタスクを選択しましょう。
タスクをやり遂げるたびに、ドーパミンが少し分泌されます。
「何かをやり遂げるたびに、ちょっとブーストがかかるので、もっとやりたくなるのです」とPalladino氏は言います。

3. 心身をケアする
身体の基本的なケアとメンテナンスを行うと、より高い集中力を維持しやすくなるとHallowell氏は言います。
身体が必要なものを使い果たしても補給せずに、必要なときに身体に集中力を期待することはできません。
ですから、しっかり水分補給して、規則正しい食事を心がけ、適度な時間に就寝するようにしてください。
そういうケアを、環境にも周囲の人間関係にも広げましょう。

Hallowell氏は、「ライチの木を剪定し、ユリを育てる」ことをすすめています。
この場合のライチは、実りを増やすために時間とエネルギーを費やす人々やプロジェクトに該当します。
ユリは喜びをもたらし、自分を支えてくれる人間関係や試みを意味します。
どんなに大変でも、時間をかける価値がある人やプロジェクトに時間を使いましょう。
そうすれば、「悪性」のストレスが減り、「良性」のストレスが増えます。
ユリを育てると、ストレスや不安を抱えてサポートが必要なときに頼れる人間関係も得られます。

「一人で悩まないでください。ストレスが多いときほど、本腰を入れて頑張ってしまいがちですが、そんなことをするのは、本当にばかげています。」とHallowell氏は言います。
誰かに助けを求めると、すぐに気分が良くなり、孤独ではないことをあらためて実感できる上に、頼る相手によっては、問題の解決策がすぐに見つかるかもしれません。
ですから、相談したり助けを求めてください。

4. 自分自身を知る
自分のエネルギーと集中力が1日のうちで最も高くなる時間帯を把握して、その時間帯を大事に過ごしましょう。
Hallowell氏は次のように語っています。
多くの人は、朝がその時間帯に当たります。
私はこれを「朝の絶好調」と呼んでいます。
最高の状態で本気で1時間働ける「朝の絶好調」になるまで、メールは読まないことです。
絶好調になる時間帯が夜の場合も、その時間帯を大事にしましょう。

クロノタイプと生産性の関係。
1日の中で最も集中できる時間帯はいつ?
瞑想が集中力を取り戻すきっかけになる人もいれば、屋外に出て元気にランニングすると効果が出る人もいます。
1杯の熱いコーヒーを好む人もいます(カフェインは、その効果が切れるまで短期的に集中力を取り戻す手立てになれるとHallowell氏は言います。)

ライフコーチのSmith氏は、要するに、自分自身のことを知ること、そして自分に役立つ行動やヒントを誰よりも把握することが肝心だと言います。

集中力が続かなくて困るときは、全身をざっと確認して、ストレスを感じている場所を特定しましょう。
ほんの数分でいいので、時間を取って呼吸を整え、平常心を取り戻しましょう。
そうすれば、今、この瞬間に自分が最も必要としているものがわかってきます。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月04日

眠れない夜にやってみて! たった2分で眠りにつく米軍式テクニック

眠れない夜にやってみて! たった2分で眠りにつく米軍式テクニック
11/2(月) Get Navi web(佐藤まきこ)

最近、Twitterでトレンド入りしたのが、「#あなたは日本人のなかでどれだけ睡眠不足か」のハッシュタグ。
名前を入力するだけで、日本人のなかで自分の睡眠不足の順位がいくらか表示する診断メーカーがあり、これを試して投稿する人が急増したようです。

しかし実際のところ、私たちのなかには「すぐに眠りたいのに、全然眠れない」という悩みを抱えている方も少なくないでしょう
そこで本稿では「2分で眠れる」米軍のテクニックをご紹介します。
このテクニックの出典はスプリントコーチとして有名なロイド・ウィンターの著書「Relax and Win: Championship Performance」。
もともとこの技は陸軍向けに開発されたそうで、軍人は戦闘のような緊迫した状態でもしっかり睡眠をとることが求められるため、このような方法が編み出されたようです。
米軍がこの睡眠方法を6週間にわたって訓練したところ、96%の確率で成功したとも言われていますが、

その睡眠方法は4つのステップからなります。

1 目のまわりや舌、顎など、顔の筋肉を緩める。
2 左右の肩をできるだけ下げ、上腕から下腕の順に力を抜く。
3 ゆっくりを吐いて、上半身から下半身の順にリラックスさせる。
4 次の3つのいずれかをイメージしながら、10秒かけて頭の中を空っぽにする。
・静かな湖のほとりでカヌーに横たわっているイメージ
・黒のベルベッドのハンモックで寝ているイメージ
・「何も考えない、何も考えない……」と自分に言い聞かせ続ける

では、このテクニックの効果はどのくらいあるのでしょう?
筆者が試してみましたので、まずは個人的な経験を報告します。
私は寝つきが良いほうではなく、眠れずに目が冴えてしまう夜が数多くあり、そんな夜に試してみました。
その結果、ひとつひとつの手順を確認する行程が入ってしまったためか、心身ともにリラックスするには至らず、そのまま眠りに落ちることはありませんでした。
しかし、同じようにこのテクニックに毎日連続で挑戦したあるアメリカのメディアの記者は、4日目の挑戦で「効果を実感した」と述べています。
3日目まではまったく効果がなかったのに、4日目には普段よりも早く眠りにつけたのだそう。
2分で眠ることはなくても、普段より30分近く早く眠れることもあったのだとか。

日本人は特に試してみる価値があるかも
経済協力開発機構(OECD)が世界33か国を対象に行った調査によると、日本人の平均睡眠時間は442分(7時間22分)。中国の542分(9時間2分)、アメリカの528分(8時間48分)、フランスとイタリアの513分(8時間33分)など、他国に比べてかなり短く、33か国中最下位でした。
この調査は対象年齢や調査時期が各国で異なる場合もあるため、単純に比較はできませんが、それでも日本人の睡眠時間が短いことは確かな模様。
しかも今年は新型コロナウイルスの影響で、仕事や生活スタイルが変わり、収入や家族のことなど悩みを抱える方も少なくないはず。
不安を胸に眠れない夜を過ごすことも増えているかもしれません。

睡眠不足の順位を調べる診断メーカーがトレンドになったのも、いつも睡眠不足を感じている人が多いことの表れかもしれません。
1回の挑戦だけで簡単に効果が得られるわけではにけれど、毎日続けていくことで、不安感を落ち着かせ、普段よりも早く眠れるようになるのかもしれません。
ベッドに入ってから眠るまで1時間近くかかっていたところを30分に短縮できたら、それだけ睡眠時間を長くできます。
興味のある方は、この秋に試してみてはいかがでしょうか?
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月05日

寿命は長いが、健康寿命は意外に短い。病気への備えは本当に大丈夫?

寿命は長いが、健康寿命は意外に短い。病気への備えは本当に大丈夫?
11/4(水) ダイヤモンドオンライン(板倉 京)

 何歳までこの会社で働くのか? 退職金はどうもらうのか? 定年後も会社員として働くか、独立して働くか?
 年金を何歳から受け取るか? 住まいはどうするのか? 定年が見えてくるに従い、自分で決断しないといけないことが増えてきます。

会社も役所も通り一遍のことは教えてくれても、“あなた自身”がどう決断すれば一番トクになるのかまでは、教えてくれません。
税や社会保険制度の仕組みは、知らない人が損をするようにできています。
定年前後に気を付けるべき「落とし穴」や、知っているとトクする裏ワザを紹介したシニアマネーコンサルタント・税理士の板倉京先生の話題の著書「知らないと大損する!定年前後のお金の正解」から、一部を抜粋して紹介します。

本書の裏ワザを実行するのとしないのとでは、総額1000万円以上も「手取り」が変わってくることも! ● 

一生涯にかかる医療費のうち6割は65歳以上でかかる
 2020年に発表された日本人の平均寿命は、男性81・41歳、女性は87・45歳。医療の進化などにより、平均寿命は延びています。
ちなみに、1960年の平均寿命は、男性が65・32歳、女性が70・19歳。
約60年前と比べて男女ともに「老後」が15年以上延びているということです。

 一方で「健康寿命」(日常生活が健康上制限されることなく送れる期間)は、意外に短く、男性が72・14歳、女性は74・79歳といわれています(2016年厚生労働省調べ)。
 つまり、あなたが今60歳であれば、今と同じように元気で動ける平均的な期間は、男性は12年、女性は15年弱しかないのです。
そして、健康寿命から寿命までの間、男性で約10年間、女性で約13年間は、医療や介護のお世話になる平均的な期間といえます。
 もちろんずっと元気でいられるに越したことはありませんが、この「現実」をちゃんと頭に入れ、その間の医療や介護費の負担にもしっかり備えておかなければならないということです。
 厚生労働省の推計では、1人の人に一生涯でかかる医療費は、2700万円。そのうちの6割が65歳以降にかかるといわれています。

とはいえ、今の健康保険制度では、医療費の自己負担は1〜3割。
また、一定額を超えると「高額療養費制度」が、超えた分を負担してくれます。
介護費用に関しても、医療費と同様、費用の一部を負担すればいい制度になっています。
 しかし、これで安心していいかと問われれば、私はそうは思いません。

● 健康保険はすごいスピードで改悪中
 今後、高齢化社会が進めば、今の健康・介護保険制度も変わってくるでしょう。
 実際、かつては、70歳以上の高齢者の医療費は無料でした。
それが、月400円等の負担となり、次は「1割」負担。
そして、今は年齢や所得によっては「2割」「3割」とすごい勢いで負担が増え、国の医療保険制度はどんどん改悪されているのです。  

「知らないと大損する!定年前後のお金の正解」では、将来の予測が難しい現在、今使える制度を徹底的に活用して医療費を抑える方法と、万が一に備えて個人的に準備しておいたほうがいいことについても説明しています。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月09日

脳科学者・中野信子が語る、正義をかざした「バッシング中毒」の虚しさ

脳科学者・中野信子が語る、正義をかざした「バッシング中毒」の虚しさ
2020年11月08日 PRESIDENT Online

“初の自伝”『ペルソナ』(講談社現代新書)が話題の脳科学者・中野信子氏は、「ポジティブ心理学が嫌い」だと語る。
「理想的なあるべき姿」を描きすぎ、そこに禍々しい明るさ、胡散臭さを感じるのだという。
「正しさ」「ルール」に思考停止し、翻弄されて生きる人間の滑稽さを白日の下にさらけ出す、同書の一部を特別公開する。
※本稿は、中野信子『ペルソナ』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。

■人間が「個人的な思い込み」に縛られるワケ
人は、自分がこういう人間だ、と認知の中に像を結んでしまうと、それを変えることがなかなかできない。
状況が変わって、違和感を覚えたり、不本意で居心地悪くなっても、その姿を最後まで貫こうとしたり、無理してでも貫き通したほうが美しいと感じたりする。
母親だから頑張らなくちゃ、だとか、男子たるもの、涙を見せるべきではない、だとか。自らの立場をひとたび明確にし、それにコミットしてしまうと、途中で変更することにストレスを感じてしまうのだ。
これを、人の心理における、一貫性の原理、という。

■「一貫性の原理」という謎の機能
何か自分で決めたことを最後まで貫くことができないと、自分を情けない、醜い存在だとみなすようになってしまう。
もしかしたらある程度の年齢以上の人なら周りにそういう人がいるかもしれないが、特定の思想の持ち主だった人が「転向」すると、必要以上に反動が起きたり過剰に自虐的になったりする。

なぜ人間にそんな性質があるのだろう?
一貫性がないと困る、という一見不必要な制約が、脳に備え付けられているのだとしたら、それはどんな目的のためなのだろう?
この答えは、残念ながら脳科学的にもまだクリアにはなっていない。

■人はみな「キメラ」である
私は、自分の思考がモザイク状、もっといえばキメラ状(異なる遺伝情報が混ざった状態)にできているのを感じることがしばしばある。
一貫性を持たせることは難しく、意外かもしれないが、これは自然にできることではないのだ。 よく観察してみれば、キメラでない人など、本当はどこにもいない。
けれど、ほとんどの人は少なくとも自分で見える範囲内だけは滑らかに化粧して、驚くほど能天気に、自分は一意に定まるもの、と信じ切っている。
心地よく日々を過ごしていくためには、そこを忘れ去り、無視できるという能力も重要なものなのだろう。

■「ブレる気持ち」を持ったことのない人の方が少数派
もっと下世話な書き方をした方が、わかりやすいだろうか。
たとえば、自分が好きになってそれなりの努力をして結婚できた妻がいて、今でも満足していて愛しているのに、シチュエーションが変わっただけで、まったく別の女性にあっさり誘惑されてしまうとか。 そうして、この人は一貫性を保持できていない、と世間に認知されるとどうなるか。
言うまでもなく、バッシングが始まってしまう。

実にありふれていてどこにでもあるつまらない話だから、本当は不倫の話など書くのもうんざりなのだが、周囲を見渡してみれば、こうした「ブレる気持ち」を持ったことのない人の方が、むしろ少数派なのではないだろうか。
私が夫のことをメディアでのろけ気味に語るたびに、結婚して10年もたつのに、珍しいですね、といわれるのだから、きっとそうなのだろうと思っている。

■「あるべき姿」という欺瞞
あるべき姿でない、というだけで、いかがなものか、といつでも言いたがっている正義中毒者たちにとっては、いかにもおあつらえむきのおいしい獲物になってしまう。
格好の娯楽の対象になってしまうわけだ。
誰かが何かをやらかすことを、いつも心待ちにしていて、いったんそういう人が出てくると、2〜3カ月はそのネタを心ゆくまで愉しもうとする。
あなた方はもしや、アマゾンの飢えた肉食魚なのではあるまいか。

私は、ポジティブ心理学というものが嫌いだ。
好き嫌いで学問を評価すべきでないことは承知しているが、人間のあるべき姿を理想的に描き過ぎているように思う。
事実を観察する前に臆断すべきではない。
また、ポジティブであることを必要以上に強要されてしまう感じも苦手だ。

人間が自然なネガティブさを持っていることを許さない、というような、どこか禍々しい明るさに、私はむしろ胡散臭さを感じてしまう。

■思考停止しやすい人々の生きる国
こうした「正しい」パラダイムの中では、常に正しい選択肢を選ばなければならない。
誤った選択肢を一度でも選べば、激しい攻撃にさらされてしまう。
冷静な見方ができる人は、残念ながら少ない。
特に私たち日本人は他国で生まれ育った人に比べて、定時性の中で生きなければならないという環境圧力に対して敏感であり、きちんとしていなければならない、という呪いをかけられながら生きている。

ルールに従うことは、選択の自由を放棄していることと同じだともいえる。
ルールというのは、便利な側面もあるが、むやみに濫用すれば、人々は思考停止させられてしまう。
いかなる返答をするのも自由、ときれいごとでは言われながら、やはりテンプレートに従い、社会の理解の枠組みに合わせて答えなければならない。
思考停止しやすい人々の生きる国は、どんな形をしているか。メディアに出るということが、その観察を可能にしてくれる。カメラの向こう側に、巨大な実験室があるようなものだ。
人々の反応をレンズ越しに見られるのは、端的に言って面白い。

----------
中野 信子(なかの・のぶこ)
脳科学者、医学博士、認知科学者 1975年、東京都生まれ。
東京大学工学部卒業後、同大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了、脳神経医学博士号取得。
フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。
東日本国際大学教授として教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を生かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。
著書には『サイコパス』『不倫』(以上、文春新書)、『空気を読む脳』(講談社+α新書)、『ペルソナ』(講談社現代新書)、『引き寄せる脳 遠ざける脳』(プレジデント社)、共著書に『脳から見るミュージアム』(講談社現代新書)、『「超」勉強力』(プレジデント社)などがある。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月10日

高血圧は何が問題? 医師が詳しく解説

高血圧は何が問題? 医師が詳しく解説
11/9(月) 両丹日日新聞

 今年度第3回の医師・歯科医師の健康教室が5日、京都府福知山市役所隣のハピネスふくちやまで開かれ、福知山医師会の田儀英昭さんが「高血圧って何が問題なん?」と題して講演した。

 田儀さんは、1998年から2年間、福知山市民病院循環器科に勤務したことがあり、現在は上篠尾二区のたぎ内科医院院長。健康教室では、「血圧って何なん?」「高血圧とは、何が問題なん?」「どうしたらいいん?」の3点について話した。

 高血圧治療について日本の臨床医は、日本高血圧学会が発表しているガイドラインを参考にしており、高血圧は診察室測定で140/90以上、家庭測定で135/85以上を指す。

 高血圧の原因は、不明のものが9割で、食塩の取り過ぎ、運動不足・肥満、飲酒・喫煙、ストレスなどに遺伝因子が合わさり、加齢も加わって発症する。
原因があるものは1割で、腎血管狭窄やホルモン異常などによるもの。
これは手術などによる原因の除去によって治療が期待できる。

 高血圧は、血管や心臓の病気を発症する重要な要因になる。
血管は老化すると硬くなり、さまざまな合併症を引き起こし、どれも身体機能に著しい障害をもたらすことが多く、生命の危険もあり得る。
心臓も狭心症、心筋梗塞などを引き起こす。

 血圧は高くてもなかなか症状が出ないため、普段から血圧を測り、自身の状態に気を留めることが大切。
家庭で測って135/85以上が続くようなら、血圧記録を持って内科医に相談することを勧めた。
 また、血圧を下げるための生活習慣の改善も必要。

食塩を制限、野菜・果物を摂取し、飽和脂肪酸、コレステロール摂取の回避、適正体重の維持、運動、節酒、禁煙などが組み合わさると、降圧は大きくなることが期待できると説明した。

 治療としては薬物療法があるが、勝手に飲むのをやめると狭心症を誘発するものもあるため、飲みたくない場合は医師に相談することが大切だと念を押した。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月11日

お薬手帳、お持ちですか? 意外と知らない活用術

お薬手帳、お持ちですか? 意外と知らない活用術
11/10(火) ラジオ関西・ラジトビ

 姫路市を中心に28店舗を展開しているぼうしや薬局が発信する「町の薬局のつぶやき」。
地域一番薬局を目指すぼうしや薬局が、地域の皆さんに向けて様々なテーマで発信していきます。
今回のテーマは「お薬手帳」についてです。

 薬局に行くと必ず「お薬手帳はお持ちですか?」と聞かれますよね。
読者の方のなかには「毎回聞かれてめんどくさいなぁ」と思っている方もいるかもしれません。
実は、お薬手帳は、みなさんの健康を守る大切な手帳なのです。
今回はそんなお薬手帳についてお話いたします。

 お薬手帳には、皆さんの「これまで飲んできた薬の記録」がぎっしり詰まっています。
いつ、どの病院で、どんな薬を、どれだけの量処方されたのかなどの情報が一目でわかるようになっており、薬剤師はお薬をお渡しする際、この情報と今回処方されたお薬を見比べ、「薬の飲み合わせは大丈夫か」「重複がないか」「過去に同じような薬で副作用が出ていないか」など、患者さんが安全に薬を飲めるかどうかをチェックします。

今、ほかで飲んでいる薬がなくても、過去に飲んだことがある薬がわかれば、その薬では副作用が出にくいという情報が得られますので、ぜひ持参していただくことをお勧めします。

 また、災害時や旅行中などの緊急時に急遽、受診しなけらばならない場合、かかりつけの病院にかかることができないことがあります。
その際にも、お薬手帳があれば現在服用中の薬や副作用歴などが一目でわかるので、お薬を覚えていなくても正確にお薬の情報が伝えられるというメリットもあります。
『自分の健康を守る』要素が詰まった、お薬手帳。今後もぜひ活用していきたいものです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月12日

「怒り」や「不安」は消えない、上手な向き合い方とは?

「怒り」や「不安」は消えない、上手な向き合い方とは?
2020.11.11 ダイヤモンドオンライン
大平哲也:福島県立医科大学医学部疫学講座主任教授

長期化するコロナ禍で不安やストレスに晒される日々が続いています。
こういった「負の感情」は、心の病気だけでなく、高血圧や糖尿病といった生活習慣病を引き起こす要因にもなります。
先行き不透明で精神的にも不安定になりがちなウィズコロナ時代、「負の感情」に振り回されて病気にならないように感情とうまく付き合っていくにはどうすればよいのでしょうか。
そこで前回に続き、福島県立医科大学医学部疫学講座主任教授の大平哲也氏の著書『感情を“毒”にしないコツ』(青春出版社)から、今回は「怒り」や「不安」といった負の感情との上手な向き合い方を紹介します。

「怒り」「不安」の感情に振り回されないために
 怒りや不安を感じたとき、それを上手に手放す方法はあるのでしょうか。
怒ったときの対処法はいろいろ紹介されています。
たとえば、キレそうになったとき、10まで数字を数えて……などといわれることがありますが、怒っている人に「ひと呼吸おいて」などといっても、耳に入ってこないでしょう。
それができないから怒ってしまうわけです。

 正直なところ、怒りをなくしたり、怒りそのものに対処したりするのは難しいと私は思っています。
もし怒りの原因がわかっているのであれば、その原因に対して対策を講じるしかないでしょう。
怒る「前」の対処が重要です。

 それ以外に怒りについてできるのは、普段の生活に気をつけることです。
睡眠不足や栄養バランスの乱れなど、不規則な生活からイライラが生じることが多いので、生活習慣から心身の健康を保つ努力はしてほしいと思います。
また、怒りはずっと続くわけではないので、怒ってしまった「あと」にどのような行動をとるかが大切です。
ここは自分で制御できるのではないでしょうか。

 一方、不安も自分でなくせるものではないため、基本的にはそのままにしましょう。
そのまま“ある”ものとしておき、闘ったり、あらがおうとしたりしないことです。
これまで何度も不安を経験してきた人や、パニック症状がある人ならなおさら、経験的に不安がいつかは消えるものだとわかっているはずです。
不安がずっと続くことはないのです。
つまり、嵐が過ぎ去るのを待つのです。
 そのうえで、自分がこれまでやってきて効果があったことをやってみるのもいいでしょう。

不安を経験してきた人は、だんだん何をしたらリラックスできるのか、不安を減らすことができるのか、わかるようになるものです。
 今まで試したもので比較的よかったもの、例えば歌を歌うのもいいですし、好きな音楽を聴いてお茶を飲むのもいいですし、寝てしまうのでもいい。
何かしら自分がおこなうことで不安を減らせるのであれば、それだけで十分です。
不安があるから何もできないという状態よりも、何か自分でできることがある状態のほうが、ずっとラクになれます。

 よく、「何が不安なのか客観的に考える」とか、「自分の不安としっかり向き合って」などといわれることがあります。
もちろん、人によっては、「これが起こると不安になる」と原因がはっきりわかっている方もいます。
そういう人はその不安と向き合って対処してもいいのですが、なかには、なんだかわからないけれど不安がワーッと押し寄せてくるという人もいます。
 そういう原因不明の不安については、実際、抑えようにも抑えられませんし、対処することも難しいのです。
そういう不安については、不安は不安としてあるがままに受け入れるというのが1つの方法だと思います。

感情を変えるのではなく「行動」を変える
 ストレスやネガティブな感情というものは、個人個人の力だけではなくせないものです。
また、ストレスはある意味、人生のスパイスという見方もあります。
ストレスがまったくない人生も退屈かもしれません。
むしろスパイス程度のストレスがある生活によってメリハリがついたり、生きがいを感じたりすることもあるでしょう。

 人は自分自身で感情をコントロールすることは非常に難しいものです。
先にもお話ししたように、怒りや不安は自分で完全に抑えられるものでもありません。
でも、「行動」を変えることはできるのです。

 不安だからといっても、歩くことも、食べることも、笑うことだってできるわけです。
感情に対して、感情そのものをどうにかしようとするよりも、行動を変える。
非日常の体験を取り入れることが、感情を切り替えるコツでもあり、そのほうがずっと早いのです。

 日常生活のルーティンが続くと、それがストレスになることがあります。それをいったんリセットするには、非日常的な体験がおすすめです。

「非日常体験」で負の感情をリセットできる
 非日常体験というと、ハードルが高そうな印象を受けるかもしれませんが、とても簡単です。
具体的には、
・歌を歌う
・運動する
・映画館に行く
・ちょっといいレストランで食事する
・温泉やマッサージに行く  などがあります。

 歌を歌うときは、できれば自分の部屋ではなく、違う環境で歌うほうが効果的です。
新型コロナウイルスの影響で、なかなかカラオケも行きにくくなってしまいましたが、自分の部屋だったとしても、できるだけ歌手になりきって歌うとストレス解消になります。
 また、運動をすることは気分転換になるのはもちろんですが、運動によって血流がよくなり、脳内のドーパミン(快楽物質)が増える効果もあります。
 家でDVDを観るよりも映画館で映画を観るメリットは、そこが非日常空間であることです。
家にいればスマホをチェックしたり、ちょっと家事をしてしまったりしますが、日常と断絶された空間で映画に入り込むことで、日常生活を忘れ、ストレス解消につながりやすくなります。

 いつもより少しいいレストランでおいしいものを食べるのもおすすめです。
ストレスがたまると、人はどうしても甘い物や脂っこい物に手が伸びてしまいがちですが、そうなる前に、おいしいものを食べて気持ちをリラックスさせることで、ストレスによる無駄な食べすぎを防ぐ効果もあります。
もちろんレストランでなくても、それが美容院だったり、温泉やスーパー銭湯やマッサージでもなんでもいいのです。

 忙しくてストレスが多い人は、得てしてすぐに「時間がない」といいます。
運動する時間がない、ごはんを食べに行く時間がない、映画を観る時間がない、というように。
でも、非日常的な時間というものは、意識的につくったほうがいいでしょう。
まず先に、スケジュールに非日常時間のための予定を入れてしまうくらいしないと、難しいかもしれせん。

 ちなみに私自身のストレス解消法は、「ジョギングをしながら落語を聞くこと」です。
落語が終わるまでなんとなく走ってしまうので、途中で止めにくいというメリットがあます。
運動と笑いのダブルの効果があるのでおすすめです。
笑いながら走っているので、怪しまれてしまうことがあるのが難点なのですが……。

 それ以外にやっているのは、「寝ること」です。
睡眠が妨げられると翌日のパフォーマンスが落ちますし、イライラもします。
仕事のためにも、ストレス解消のためにも、睡眠時間はしっかりとるようにしています。

 先行きが見えない時代、私たちはこれからも多くの種類のストレスや不安と向き合っていかなければなりません。
どんな小さなことでもよいので、生活の中に「生きがい」「楽しみ」「目標」といったポジティブなものを増やしてみてください。
それが、きっとストレスや不安とうまくつき合う自分をつくってくれるでしょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月15日

名前を聞くとしぼむクレーマー、「匿名」で強気になる人の心理とは?

名前を聞くとしぼむクレーマー、「匿名」で強気になる人の心理とは?
11/13(金) オトナンサー編集部

「しつこく文句を言う」「暴言を吐いて、相手を威圧する」。
仕事などで、このような「クレーマー」と接する機会のある人もいることでしょう。
 ところで、クレーム対応を行う現場では「履歴などからクレーマーの名前を特定し、電話口で名前を確認すると相手が一気にトーンダウンした」「店頭で『上の者から改めて謝罪しますので…』と伝え、名前と連絡先を聞くと相手が気まずそうに去っていった」など、相手の名前を尋ねることで効果的に対応できるケースもあるようです。

 ネット上では「理不尽なクレームには効きそう」「匿名だから、好き勝手言えると思っているんだろうな」「匿名のときだけ強気なのはネット上も同じ」など、さまざまな声が上がっています。
匿名が通用する環境で強気になりやすい人の心理について、心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。
言動に責任を持たせること

Q.
一般的に、クレーマーの、相手に文句を言いたい心理とはどのようなものでしょうか。

小日向さん
「相手に文句を言いたいという心理は、精神医学者のフロイトが唱えた『防衛機制』という心理メカニズムで解釈できます。防衛機制には『逃避』『同一化』『抑制』『退行』『反動形成』『投影』『昇華』などがあります。
例えば、理不尽なクレーマーの代表的なものは防衛機制の中の『逃避』であることが多いです。
現状が苦しいために、自分以外の他のものに心的エネルギーを注いで、紛らわそうとしているのです。
また、他人を引き連れたり、背後の存在をにおわせて圧力をかけたりするなど、いわゆる脅しの手法で文句をつけてくるタイプは、防衛機制の中でも『同一化』が強く働いていると考えられます。
同一化とは、自分一人では不安なので自分以外のものと融合した一体感を持とうとすることです。
防衛機制自体は自我を安定させるために誰もが持っている心理なので“悪”ではありません。
しかし、自分の自我を安定させるために、他者を不快にさせてよいということはありません。
そうした意味で、クレーマーの真理は『過剰な自己防衛』『ゆがんだ自己防衛』であるといえます」

Q.
相手の名前を尋ねる、声に出して相手の名前を言うことで、文句を言っていた相手がトーンダウンしたり、文句を言うのをやめたりすることがあるようですが、これはなぜだと思われますか。

小日向さん
「名前を聞くことは『相手の言動に責任を持たせる』ということです。
従って、名前を尋ねた途端に相手の発言がトーンダウンしたり、文句がおさまったりした場合は『責任を問われ、無責任に発言をしていたことに気付いて怖くなった』という心理状態になったと考えられます。
そのため、懲罰や社会的批判を理解しつつも無責任に発言をしている人ほど、この『恐怖』は大きくなるといえるでしょう」

Q.
匿名が通用するときだけ、相手に対して強気になるのは、どのような心理によるものなのでしょうか。

小日向さん
「そもそも、他人に対して強気になるときとは先述したように、自己防衛心が強かったり、闘争心が高かったりするときであり、心にストレスがかかっている状態です。
そのストレスを発散するために他人を巻き込むのであれば、自分自身も痛みを伴う覚悟が必要になります。
しかし、匿名の人はその覚悟が希薄です。
つまり、匿名のとき“だけ”強気になる人には『ストレスは発散したいけれど、自分が痛みを伴うのは嫌だ』という自己中心的な思考があるといえます」

Q.
名前を呼ぶ行為が特に効果的だと考えられるクレーマーのタイプ・特徴などはありますか。

小日向さん
「大きく分けて、次の2つのタイプに有効だと考えられます。
一つは言動が犯罪行為になり得るなど、悪質性が高いクレーマーです。
このタイプは名前を呼ぶことによって、発言の責任を明確に意識させるため、これ以上の暴走を防ぐために効果が期待できます。
そして、もう一つはいわゆる『かまってちゃん』タイプのクレーマーです。
このタイプは基本的に寂しがり屋で、常に他者からの承認を求めています。
名前を呼ぶという行為は『私はあなたの言葉を認めていますよ』という承認の行為でもあります。
自己の承認欲求が満たされることでクレームの戦意がそがれ、その後の対応によっては対話者に親和感情を抱き、逆に穏やかになることも考えられます」

Q.
匿名が通用する環境で強気になりやすい人はクレーマーのみならず、昨今のネット上にも多くいると思われます。
場合によっては大きなトラブルにも発展しかねない、匿名で強気になる心理と、本人や周囲がうまく付き合っていくコツとは。

小日向さん
「まず、匿名で強気な発言をしている人をあおらないことを心掛けてください。
匿名といってもネット上ではアカウント名やユーザーネームなどを使い、『匿名だけども特定の個人』として大きな影響力を持つ人が存在します。
こうした形で存在する人の発言は気軽に同調してしまいがちです。
書き込んだ人は現実社会を生きている『人間』ですが、それがアカウント名やユーザーネームという“よろい”によって、ぼやけてしまうのです。
しかし、彼らは架空の人物ではありません。
彼らに犯罪となり得る言動があれば、あおった人も罪に問われる可能性はあります。
これは自身がそのような存在である場合もしかりで、匿名の場合、自身の発信に対する同調が多くなると勢いがついてしまう傾向があります。
匿名であってもハンドルネームであっても、発信者は全員、社会に存在しているリアルな『人間』です。
それを忘れないことが、あおりたくなる気持ちを防ぐ上で重要だといえるでしょう」
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月18日

嘘をついている人を見抜く方法

嘘をついている人を見抜く方法
11/17(火) ライフハッカー(春野ユリ)

どんな人にも真実だけを語って欲しいのはやまやまですが、たまに「この人、嘘をついているな」とわかってしまうことがあります。
人間は常に嘘をついています。
公人は公の場で嘘をつき、害がないこともあれば、キャリアに悪影響を及ぼすこともあります。

生きていれば、残念ながら嘘にも嘘つきにも(英文)遭遇してしまいます。
ですから、嘘を見抜けることが大切です。
誰かにだまされているかどうかを見極めるための一般的な手がかりはたくさんあります(英文)。
言葉で見抜けることもあれば、ボディランゲージを見て判断することもできます。

どうしたら嘘を見抜けるでしょうか?
正直に言動しているときの状態を把握する
相手がこちらをだまそうとしているのかどうか判断するには、まず、その人が正直に言動しているときの振る舞い方を把握して、それをベースラインとして定める必要があります。
そのベースラインは、ありふれた日常的な状況下でのふるまいで決まります。

その人がこのベースラインから外れるとどうなるでしょうか。
そわそわして注意が散漫になったり、口調が優しくなり控えめになるなど、よく観察して記憶しましょう。
つまり、普段とは極端に違う雰囲気になっていたら、何かまずいことが起こっているのかもしれません。
ベースラインを定める自信がなくて、他人が呼吸するように嘘をついている気がしたら、それがその人のベースラインかもしれません。

文脈で判断すべき
嘘が一番よくばれるのは、相手がベースラインから明らかに外れた言動をするときですが、『 The Body Language of Liars 』の著者であるLillian Glass博士によると、「文脈こそがすべて」です。
彼女はメールで次のように回答しています。
誰かがあるボディーランゲージを使ったり、ある言葉を使っても、文脈によっては、必ずしも嘘をついているとは限りません。
たとえば、普段は陽気で社交的な友人でも、こちらが不快な質問をすると、口数が減り控えめに見えることがあります。
その場合は、必ずしも相手が嘘をついているわけではありません。
たとえば、自宅のガスを消し忘れて外出してしまったかな、と心配しているのかもしれません。

「この人は、嘘をついているのかな」と疑わしく思ったら、多くの要因がその人の行動に影響を及ぼしている可能性があることに注意しましょう。 ただし、たとえば著名な公人が嘘をついていると繰り返し非難されているなら、文脈がどうであれ、外的な状況は関係ないのかもしれません。
その人物にとって、嘘をつくことが習慣になっているのかもしれません。

顔の表情の変化
嘘は顔に出ます。
人間は嘘をつくとき、唇の動きが不自然になったり、視線をそらす傾向があることが多くの研究(英文)でわかっています。 嘘をついている最中は、唇をすぼめたり舐めたり、過度にまばたきしたり、「突然目をそらしします(視線が上、下、横のどこに向くかは関係ありません)」とGlass博士は書いています。

普段はそうした振る舞い方をしない人なら、「相手は本当のことを言っていないと仮定しても良いかもしれません」とGlass博士は書いています。
カナダのダルハウジー大学にあるStephen Porter氏の法医学心理学研究所が2008年に行った研究(英文)では、顔と嘘の関係が詳しく観察されています。
この研究の筆頭著者の1人であるStephen Porter氏は、当時次のように述べています。

誰かが、たとえば「終身刑」になるといった悲惨な結果になる重大な嘘をついていると、その嘘はいずれにしろばれてしまいます。
ボディーランゲージと違って、自分で自分の顔の表情をチェックしたり完全にコントロールすることはできないからです。
ボディランゲージ 探偵やFBI捜査官が容疑者に尋問する際に、ボディーランゲージに細心の注意を払うのには理由があります。

Glass博士も言うように、「身体は嘘をつかない」からです。
嘘をついている疑いがある人間は、精神的に脅かされると、
ある身体行動が現れます。
「一般的には知られていませんが、人間の脳にストレスがかかると、脳の温度が上昇し、額や鼻の下に汗をかくことがよくあります」と行動分析者であり尋問官でもあるRoger Strecker氏は2017年にNBCニュースに語っています。

NBCにStrecker氏は次のように述べています。
人間が顔に触わるのは、赤ちゃんの「おしゃぶり」みたいなものです。
ストレスを感じている脳を落ち着かせる効果があるからです。
足を軽くたたく、手を落ち着きなく動かす(ベースラインでは手、脚、足がそのような動きをしない場合ですが)といった動作に注意する必要があります。
とは言うものの、知り合いやテレビに出ている人が、リモートで質問されると常に嘘をついているように見えるなら、このボディーランゲージの法則の多くは通用しない可能性があります。

Photo: Janice Storch / Shutterstock Source
: APA,Sciencedaily,NBCニュース
Sam Blum ─ Lifehacker US[原文]
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月22日

コロナワクチン効果「90%以上」の誤解 数字の罠に要注意

コロナワクチン効果「90%以上」の誤解 数字の罠に要注意
2020年11月21日 NEWSポストセブン

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。
心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。
今回は高い有効性が示され話題になっている新型コロナウイルスのワクチンについて。
 * * *  
新型コロナウイルス感染拡大の第3波が危ぶまれる中、アメリカの製薬会社で開発されているワクチンが90%以上という高い有効性を示したことが大きく報じられた。
もしかすると、来年のオリンピック前には日本でもワクチンの接種が始まるかもしれない、と期待させるには十分なニュースだろう。

 このワクチンを開発しているのは、新興製薬会社のモデルナと大手製薬会社のファイザーだ。
両社のワクチンには「メッセンジャーRNA(mRNA)」という新しい技術が使われている。
小学生の頃、学校の体育館でワクチンを打った記憶がある人も多いだろうが、それら従来の「BCGワクチン」は、病原菌やウイルスを弱体化させ、病原性をほぼ無くしたもの。
接種することで体内に抗体を作り出し感染に備えることが出来るが、この方法は病原体そのものを体内に入れるうえ、培養にも莫大な時間とコストがかかる。

 一方、mRNAワクチンは病原体そのものではなく、新型コロナウイルスの表面のたんぱく質を使って作られるため比較的安全で、ウイルスの遺伝子配列さえ分かれば素早く人工的にワクチンを作ることが出来るという。
 ファイザーは、最終段階の臨床試験で予防効果が95%と発表。
中間報告を行ったモデルナのワクチンも有効性は94.5%と高かった。

ファイザーのワクチンはマイナス70〜80℃で保存しなければならず、「そんな温度で保存できる冷蔵庫が日本のどこにあるんだ?」と話題になっていたが、モデルナのワクチンは2〜8℃で30日間の保存も可能という優れものらしい。

 94.5%と聞けば、かなりの安全性が担保されているという印象を受ける。
100人にワクチンを打ったら94人には効くと思いがちだが、ここが落とし穴だ。

発表によると、治験の対象者は3万人。
半数にワクチンを投与し、残り半数には偽薬が投与された。
だが、感染した95人のうち、ワクチンを接種していたのは5人、残る90人は偽薬を打っていたという。
 免疫学の第一人者である大阪大学名誉教授の宮坂昌之氏は、11月18日付けの毎日新聞ネット版で、90%以上というワクチンの有効性についてこう語っている。
「『有効性』とは、ワクチンを打たなかった人(非接種者)の発病率を1としたときに、
接種してその発病率がどのぐらいの割合に下がるかを推定したものを言う。
『9割の有効性確認』を言い換えると『ワクチンを打たずに発病した人の9割は、ワクチンを接種していたら発病しなかったはず』ということを表している」。

臨床試験で高い「予防効果」は確認出来たものの、「ワクチンを接種すれば94.5%の人が感染しない」と断定するものではないのだ。
 このように、同じ情報であっても、伝え方次第で捉え方や見方が変わることを「フレーミング効果」という。
ファイザーもモデルナも、「接種すれば90%以上の人は感染しない」のではなく、感染した人の90%は打っていれば感染しなかった“かも”ということなのだ。

 ワクチンの有効性の高さばかりに目を奪われるが、モデルナの治験者数はまだ3万人に過ぎず、サンプルサイズにこそ注意しなければならない。
人は数値を示されると、それを鵜呑みにしてサンプルサイズに目を向けない傾向があると言われる。
少数のサンプルによる結果でも、十分に正しいデータが得られていると思い込みやすいのだ。
まして、全世界で一日も早いワクチンの開発が望まれているのだから、希望のある明るいニュースは好まれやすく、数値ばかりが独り歩きしやすい状況でもある。

 もちろん、まだワクチンが完成したわけではないが、高い有効性が示され、副反応についても「明らかな安全性の懸念は報告されていない」と言われても、効果の持続性など分からないことは多い。
田村憲久厚生労働大臣は、11月13日の衆議院厚生労働委員会で、ワクチンについて「国民にしっかりと情報提供したうえで、本人の意思に基づき、それぞれの判断で打ってもらう」と述べた。

飛び交う情報をどこまで信じて良いのか判断するのは自分次第だ。
慎重になるかリスクを覚悟するか。
いよいよ接種が可能になった時、あなたならどちらを選択するだろうか。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月23日

当選確率は「2000万分の1」!?それでも宝くじが買われる理由とは。

当選確率は「2000万分の1」!?それでも宝くじが買われる理由とは。
11/21(土)  LIMO

2020年もあとわずか、今年も「年末ジャンボ宝くじ」の季節がやってきました。
毎年多くの人が宝くじ売り場に並んでいるのを目にします。
にもかかわらず、高額当選を経験する人はほんの一握り。
ほとんど当たらない、つまり損をすると分かっていながら、毎年たくさんの人が宝くじを購入するのです。
これはどうしてでしょうか?
  そんな心理について、今回は行動経済学の「プロスペクト理論」から読み解いていきます。

「プロスペクト理論」って?
人は必ずしも、いつも合理的に判断しているわけではありません。
その場の感情や感覚で選択をすることも多いでしょう。
そういった人の心理や行動を説明したのが「行動経済学」です。

今回紹介するプロスペクト理論は、この行動経済学の中で最も代表的な理論の一つとされています。
プロスペクト理論は、行動経済学者のダニエル・カーネマン氏とエイモス・トベルスキー氏によって1979年に提唱されました。
プロスペクト(prospect)とは日本語で「見通し、予測」という意味です。
どうなるか分からない状況において、人がどう予測してどう行動するか? を明らかにした理論となります。
プロスペクト理論は「価値関数」と「確率加重関数」という2つの柱で成り立っています。

(1) 価値観数:価値の感じ方のゆがみを示したグラフ
(2) 確率加重関数:確率の感じ方のゆがみを示したグラフ

人は同じ大きさの「利得」と「損失」では感じ方が違う、ということを示したのが(1)です。
そして、得をするよりも損をする方が1.5〜2.5倍痛みを感じる、ということが分かっています。
加えて、人は高い確率は低く、低い確率は高く感じてしまう傾向があります。これを示したのが(2)です。

宝くじを買う心理は、この(2)確率加重関数から説明することができます。
当たる確率は低いのに、なぜ期待してしまうの? 普段私たちは「合格率○%」「成功率○%」「降水確率○%」などと、さまざまな確率に触れて過ごしています。

数字で示されることで分かりやすいと感じますが、実は正しく理解できているわけではありません。
先ほど述べたように、プロスペクト理論の確率加重関数では、以下の傾向が示されています。

・高い確率は、実際よりも低く感じる(過小評価する)  
・低い確率は、実際よりも高く感じる(過大評価する)
例えば、90%成功する手術と言われても、残りの10%の失敗が大きく見えてしまいます。
あるいは、80%の社員はリストラしないと告げられた場合、数字以上の不安を覚えるのではないでしょうか。

一方で、事故や大きな病気、自然災害に対する“万が一”は、実際に起こる確率が非常に低くても、その可能性を大きく考えてしまいます。
だから多くの人は備えとして保険に加入するのです。
また、天気予報で降水確率20%の日に、折りたたみ傘を持っていく人は珍しくありません。
このように人は、確率という数字に対して、正確に捉えず主観的に感じているのです。

年末ジャンボ宝くじ1等の当選確率は2,000万分の1、つまり0.000005%。
こう見ると、ほぼ0とも言えるほど極めて低い確率です。
しかし宝くじを買う人は、この数字(客観的確率)を実際よりも高く見積もっているからこそ、その機会を購入するのです。

「もしかしたら当たるかもしれない」「誰かは当選するのだから」と、実際の確率よりも大きな期待をしてしまう…それが人の心理なのです。

「2000万分の1」を何かにたとえると・・・
ところで、「2000万分の1」とは、例えるならどれほどの感覚でしょうか。
総務省統計局「日本の統計2020」によれば、2018年推計人口は東京都が約1382万人、千葉県が約626万人となっています。
つまり、東京と千葉に住む全員を足しておよそ2000万人、その中でたった1人が選ばれる…それが2000万分の1という確率です。
(※1) そう考えると、「夢の1等当選」は非常に難しいということが分かるでしょう。
しかし、1等とは言わずともせめて1000万円、いや100万円でも当たれば! という人も多いはずです。
確かに2等、3等となるにつれて当選本数は増え、当選金を手にできる確率は上がります。

ただし一つ知っておくべきことは、宝くじの還元率は「当せん金付証票法」という法律で、50%を超えないよう定められているということです。
したがって、最初から半額程度しか還元されないように設計されています。
この還元率は、他の公営競技に比べてもかなり低い数字です。
(※2) 1枚300円で購入したとしたら、その時点で戻りが期待できる金額(期待値)は150円未満となります。
理論上は、買えば買うほど損をする仕組みといえるでしょう。

しかし、人の心理として当選確率を高く見積もる傾向があることは、先に述べた通りです。
客観的な確率や期待値から判断することなく、毎年宝くじを買ってしまうのは、やはり「一攫千金のチャンス」という夢の大きさが数字を惑わしているのかもしれません。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月25日

詐欺に騙されないためには…「彼らと一流営業マンは紙一重」元知能犯担当刑事に聞く

詐欺に騙されないためには…「彼らと一流営業マンは紙一重」元知能犯担当刑事に聞く
11/24(火) 日刊ゲンダイ

 不況になると詐欺がはびこると言われる。
このような詐欺や儲け話にひっかからない術はあるのか。
知能犯罪と闘ってきた森透匡氏はこう指摘する。
「持続化給付金の不正受給などのようにわかりやすい詐欺はありますが、詐欺をやる連中はその都度ネタを変えます。
なにを専門ってことはありません。
今でも仮想通貨などの詐欺話は続いていますしね」

 典型的なものが一獲千金を狙う投資話だ。
「投資話は深入りしないことが一番です。
それでもという人には、あえていくつかアドバイスをしましょう。
まず誰が投資話を持ってきたかが大事。
詐欺師グループは詐欺被害者のリストを持っています。
信じられないでしょうが、騙される人はホントに何度も騙されるんですよ。
信用できない人からの話には絶対に乗らないことが大前提です」

 ただ、信用している旧知の人でも、その人が話を理解していない場合や騙されている場合があるので要注意だそうだ。
そんな場合にどうしたら詐欺話を確認できるのか。
「話の根拠を把握することです。
あなたは実際にそれをやっているんですか?
 どういう利益が出た実績があるんですか? 
と質問をして相手の話を自分自身で確認すること。
私も投資はしていますが、投資って結局は自己責任になりますよ」

 インターネットで調べることは意味があるのか。
「ネットにはいろいろな情報が書いてあります。
ある投資話が危ないと否定をしていても、その記事があなたをひっぱりこむ目的のために書かれているってことがよくあるんです。
ネットだけで正しい情報かどうかを判断するのは難しいです」

 確かに各種不正取得やダイソン詐欺のように、生身の人間を介さないネット完結型の詐欺も目立つ。
「ともかく最終的な判断をする前に誰かに相談をすることです。
詐欺師は口がうまくて、よくしゃべる。
どんな質問をしてもなんとなくすべて答えてきます。
しかも人間に慣れていて、コミュニケーション能力がとても高い。
詐欺師と一流営業マンは紙一重と言われるゆえんです。
そして第三者に相談できないような状況や心理状況に持ちこみます。
振り込め詐欺はまさにそうですよね。
そして誰にも相談できないまま気づけばおカネを渡しています。
とにかくいったん立ち止まって気づくということが大事です」
 欲が出ると自分で秘密を抱えてしまうもの。
公的機関など、どこかに相談することが大事なのだ。

▽森透匡(もり・ゆきまさ)
 一般社団法人日本刑事技術協会代表理事。
某警察の元警部。詐欺・横領・贈収賄事件を扱う知能犯、贈収賄事件を20年の間担当。
東日本大震災を契機に独立。
毎年180カ所の講演をこなしている知能犯罪対策のプロ。
近著に「ウソや隠し事を暴く全技術」(日本実業出版社)。
******************************
◆有名大学生も持続化給付金の不正受給
 緊急性があることからネット上の手続きだけで最大100万円が支給される持続化給付金に不正受給が相次いで発覚している。
不正受給を繰り返し1億円以上受給した神戸市の会社役員には10月26日に懲役3年の求刑。
 10月21日には関西有名校、同志社大学の学生ら2人が組織的に持続化給付金を不正受給したとして逮捕。
学生らはサークルを使って仲間を勧誘していたともされる。
「朝日新聞」電子版(10月21日配信)によれば、愛知県警が相談を受けた申請者の半数以上が10代から20代だったという。

◆Go To トラベルの電子クーポン不正取得
「Go To トラベル」の電子クーポン券はチェックインする日の午後3時に発券される。
千葉県のホテルでは大人8人、5連泊、総額62万9200円分の予約があった。
午後3時に宿泊費の15%にあたる電子クーポン9万4380円分が発行されたものの予約者はついに現れなかった。
制度の隙間をついたネット詐欺とみられる。

◆ダイソンの偽サイト詐欺
 高級掃除機ダイソンの偽サイトが発覚。
格安だと思わせて買わせ、さらにニセ商品を間違えたと送りつけて油断させる。
その間に入金は完了させてしまうという手法のネット詐欺。

◆オーナー投資詐欺? 
  高級車専門カーシェア会社破綻
 ローンを組んでポルシェやメルセデスなど高級車のオーナーとなり会社に預け、ローン支払い分と同額のレンタカー収益を得るというオーナー系投資話。
しかし運営会社(埼玉県)の破綻により600人以上が数百万円から数千万円のローンを抱えた。
運営会社は新車ではなくコストの低い中古車を購入していた手口も明らかになっている。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月27日

「人は人、自分は自分」言葉の意味から学ぶ人生の法則とは

「人は人、自分は自分」言葉の意味から学ぶ人生の法則とは
2020.11.25 Grapps

座右の銘として「人は人、自分は自分」という言葉がありますが、この言葉をただ知っているだけでは意味がありません。
心から自分と他人を分けて考えられるようになるために、以下ではこの言葉の意味をより掘り下げて考えていきます。

人と違っても良いという意味
自分だけが他の人と違う物を好んだり、選んだりする事が続くと「自分も他の人と同じものを好きにならなければ」と考えてしまう事は珍しいことではありません。
人は群れで生きる生き物なので、どうしても「周囲と同調できなければ不安に感じてしまう本能」が存在するからです。
しかし同調することと自分のやりたいことをやるというのは時には反発してしまうものです。
そんな時は自分を殺して同調するか、同調を拒んで孤独だけど自分のやりたいことをやるかという選択になってしまいますし、どちらを選んでも完全に満たされることは無いかもしれません。
そんな時は「人は人、自分は自分」と考えることで無理に共感する気持ちを抑える事ができます。
自分のやりたいことを選んだ方が気持ちはスッキリしやすいでしょう。

人それぞれに優れている部分が違う
自分も精一杯頑張っているのに、どうしても他の人のように良い成果を出せなかったりする事はよくあります。
しかし、それは人によって得意分野が違うだけであり、その人が何にどれくらい練習時間を割り振ったか、というだけの話でしかありません。
どんなに優れている人にも苦手とする分野は存在しますし、別分野の勝負になればあなたはその人に圧勝するかもしれません。
なにか一つの勝負で負けたからと言って「自分はダメなんだ」と思うのはやめましょう。

「人は人、自分には自分の得手不得手がある」ということを忘れないようにし、様々な分野で競えばあなたのほうが優れている部分もあるはずだと思うようにしましょう。

人の持っているものを羨む必要はない
例えば他の誰かがおしゃれな物を好んでいたり、おしゃれな料理を毎日のように食べていたりという話を聞くと、羨ましいな、自分も同じものが欲しいなと思うかもしれません。
しかし、物の価値と言うのは人によって大きく変わります。
周りの人やテレビなどで持て囃されているから欲しくなるものの、実際に手に入れると大して魅力を感じない物というのは実は非常に多くあります。

今あなたが日常的に使っている物というのは、あなたが無意識に「これが自分に最適だ」と感じているからこそ手に入れたものです。
「人は人、自分は自分」に最適なアイテムや物があるため、高価なものを持っている人を羨んでも仕方有りませんし、高くても自分にとって使いやすく良い物だとは限らないのです。

人の基準に振り回されず自分らしく生きよう
「人は人、自分は自分」という言葉は「人はみんな個性や好みがあり、無理に同じになろうとしても不毛で実りがない」という注意喚起でもあります。
周囲の人や噂に惑わされて自分が本当に望んでいるものを見失うことが無いように、誰かを見て羨ましく思った時は「人は人、自分は自分」という言葉の意味を思い出しましょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月29日

インフルエンザ報告数まだ極端に少ない 12月から本格的な寒さへ 要注意

インフルエンザ報告数まだ極端に少ない 12月から本格的な寒さへ 要注意
11/28(土)  tenki.jp

厚生労働省によりますと、47週(11月16日〜22日)のインフルエンザ報告数は前年同時期に比べて極端に少なくなっています。
ただ、12月以降は本格的な寒さが予想されるため、感染症に注意が必要です。

インフルエンザ報告数
 まだ極端に少なく 厚生労働省が11月27日発表した「インフルエンザの発生状況」によりますと、47週(11月16日〜22日)のインフルエンザの指定医療機関の報告数は「46」と前年同時期の総数「15,390」に比べて1%未満と、まだ極端に少なくなっています。
感染症対策などの効果が考えられ、47週だけでなく、今年は極端に少ない状況が続いています。

12月以降、寒さが本格化
ただ、油断はできません。
今後、本格的な寒さが予想されます。
最新の3か月予報では12月の平均気温は全国的に平年並みで、師走らしい寒さになるでしょう。

1月は北日本(北海道・東北)では平年並みか高いですが、東日本(北陸・関東甲信・東海)は平年並みに、西日本(近畿〜九州)や沖縄・奄美では平年並みか低くなりそうです。
西日本を中心に寒気が流れ込みやすくなるでしょう。

2月は北日本は平年並みか高いものの、東・西日本、沖縄や奄美では平年並みの予想で、寒さは続きそうです。
今年は去年のような記録的な暖冬にはならず、冬らしい寒さになるでしょう。
太平洋側では空気の乾燥する日も多くなりそうです。

インフルエンザだけでなく、今年は新型コロナウイルスの感染拡大も心配されますので、体調管理には一段と注意が必要です。
             日本気象協会 本社 吉田 友海
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月30日

仰向け、うつ伏せ、横向き、どの姿勢で寝るのが一番いいの? 医師が回答

仰向け、うつ伏せ、横向き、どの姿勢で寝るのが一番いいの? 医師が回答
11/28(土) ニッポン放送

「睡眠時の姿勢」に関して、ニッポン放送「健康あるあるWONDER4」(9月7日放送)で解説された。
番組に寄せられた健康の疑問『夜寝るとき、小学生の子どもと一緒の布団で休んでいます。
ふと気になったのですが、人間は仰向け、うつ伏せ、横向き、どの姿勢で寝るのがいちばんいいでしょうか?』に対して、日本健診財団の監修のもと、以下のように解説した。

「仰向け、うつ伏せ、横向きの姿勢には、それぞれメリット・デメリットがあります。

仰向けのメリットは、全身を大きく伸ばせるために血液がめぐりやすいこと、また寝具から体が受ける圧力が分散されるため、体への負担が小さくなることなどが挙げられます。
一方、仰向けのデメリットは、顔を上げて寝ることで空気の通り道である気道が狭くなり、いびきをかきやすくなることです。
寝ているときに短時間呼吸が止まってしまう『睡眠時無呼吸症候群』につながるリスクも、仰向けでは考えられるため注意が必要です。

横向きのメリットは、仰向けに比べて気道が狭くなりにくいです。
それから、いびきをかきにくいという点が挙げられます。
デメリットは、片側だけに体重がかかるため、体の歪みを引き起こしてしまうことです。

最後にうつ伏せは、乳幼児には突然死との関連が考えられるため、厳禁です。
息をするために首をひねって、顔を左右どちらかに向けなければならず、歯並びへの影響なども心配されます」

協力:医療ライター・横井かずえ
監修:日本健診財団
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月02日

本当の専門家って何?

香山リカのココロの万華鏡
本当の専門家って何?
2020年12月1日 毎日新聞東京版

 医者になって30年以上たつ私だが、先日、診察室でショックなできごとがあった。
患者さんに「私、この病気じゃないかと思うんですけど」と伝えられた病名を知らなかったのだ。
「ごめんなさい。その病気、はじめて聞きました」と正直に伝えると、その人はスマホを取り出してその病気について解説したページを見せてくれた。

 症例数は少ないが、最近、報告が相次いでいるようだ。
私は診察中であることも忘れ「治療法も書かれてるんですか?」と患者さんに質問してしまった。
 休憩時間に若手の医者に「ベテランなのに知らないことがあるなんて情けない」と弱音を吐いた。
するとその若手は「患者さんの方が検査や治療に詳しいってこと、私もときどき経験しますよ」となぐさめてくれた。

 「とくに若い人は、情報を集める力がすごいですよね。
診察室に来るときには“診断”がついて“治療方針”まで決まってる人さえめずらしくないです。
家庭でできる検査も増えましたしね」

 ひと昔前なら、一般の人たちは医学書を見る機会などなく、例えば胸焼けがしても「何の病気でしょう」と不安いっぱいで病院にやって来た。
 そこで医者は「ご安心ください。これから専門的な検査をします」と採血をしたり胃カメラを行ったりして「診断は逆流性食道炎です。
でもこれは悪いものではないので心配はいりません」と詳しい説明をして薬の処方箋をわたす。
症状が改善すれば、その医者は「あの先生は名医だ。診断もすぐついたし治療もバッチリだ」とほめられるかもしれない。  

でも、いまは違う。
その気になれば医学書でも学術論文でも、ネットから簡単にアクセスすることができる。
「専門家にしかわからないこと」などほとんどない。
油断をすると私のように医者の方が知識がない、ということにもなりかねない。

 ちょっとした知識や技術だけでは「専門家」と名乗れない時代がやって来た。
医者のような専門家はどうあるべきか。
若手に相談すると「先生は気さくな雰囲気で患者さんをホッとさせるワザがあるから、だいじょうぶですよ」と言われた。  

うーん、医者として自慢できるのは雰囲気だけか、と残念な気持ちになったが、いまこそ「本当の専門家って何?」と考えるチャンスなのかもしれない。
いろいろな専門家に「情報があふれるこの時代、あなたが一般の人より秀でているのはどんなところ?」と聞いてみたい気がする。(精神科医)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月05日

「ネガティブな想像」実現する確率は1割のワケ

「ネガティブな想像」実現する確率は1割のワケ
それでも人々はなぜ不安になってしまうのか
2020/12/04 東洋経済オンライン
星 渉 : 作家・講演家・起業家プロデューサー /
前野 隆司 : 慶應義塾大学大学院
  システムデザイン・マネジメント研究科教授

私たちの幸福度に影響を与える感情は3つあります。
@ポジティブ感情
Aネガティブ感情
B人生満足度

3つそれぞれが影響するから、ネガティブ感情を感じる機会はできる限り少ないほうがいい。
ネガティブパワー「100」よりも、ネガティブパワー「1」のように、小さいほうがいいのは明らかです。
さまざまな幸福学の研究で、ネガティブ感情は「心配事や不安」が影響することがわかっています。
つまり、心配なことや不安なことが多かったり、大きかったりすると、よりネガティブになりやすいということです。

では、ここで問題です!私たちの心配事は、どのくらいの確率で実際に起きてしまうでしょうか?
A:90%以上  
B:60%以上  
C:40%以上  
D:10%以上

答えは、Dの10%以上。
正確に言うと、私たちの心配事が実際に起きるのは 13%の確率でしかないのです。
「降水確率13%」だったら、あなたは傘を持って出かけますか?
 そう、「まっ、大丈夫かっ」と傘を持たなくてもいいレベルでしか、私たちの心配事は実際には起きないのです。

ネガティブ感情は消そうとするほど大きくなる
しかも、13%の実際に起きた心配事のうち80%は「自力で解決できるもの」だと、国際認知療法学会会長のロバート・L・リーヒ博士の研究は明らかにしています。
つまりは、本当に解決できない心配事が起きる確率はたった3%となるわけです。
降水確率3%で傘を持って出かけますか?
そう考えるだけでも、心配事を気にしなくなりますよね。

ネガティブ感情は「消す」ではなく「記録する」。
不安、心配、緊張などネガティブな感情を消そう〞とする人がいますが、その考え方はNG。
ネガティブな感情は消そうとすればするほど大きくなります。
ネガティブな感情を感じたら、記録を取ることが有効です。

先ほど、「心配事は13%しか実際に起きない」とお伝えしましたが、そうは聞いても、やはり心配で不安に思ってしまうという人もいるでしょう。
「不安に思っていることが実際には起きない」と言われてもなお、なぜ不安に思うことをやめられないのか?
それは「実際には起きないという実感がないから」です。

では、なぜ実感がないのか?
それは、不安に思ったことが実際にはほとんど起きないので、不安に思ったこと自体を忘れてしまっているから、です。
さらに、不安に思っていたことを忘れては、また新しい不安が襲ってくる。
そして、また実際に起きなかったから忘れる。
そして、また新しい不安が……ということを繰り返し、「いつも不安」な状態から抜け出せないのが、私たちなのです。

「記録を取る」ことが大切!
そこで、心配事は実際に起きないのだと「実感」するために「記録を取る」。
これが「ジャーナリング」という手法です。
さっそく手順を紹介しましょう!

【「ジャーナリング」を試してみましょう!】
@ 心配に思うことがあったら、その心配に思うことを手帳にメモする(スマホのメモ機能などを使ってもOK)
A それを1カ月間続ける
B 1カ月後、メモした内容(心配に思ったこと)を見返して、それが実際に起きたかどうか○×をつける
C 心配に思ったことがどれだけ起きていないかを実感する

この4ステップを実践するだけで、客観的に心配事はそんなに実現しないのだと実感できるでしょう。
余裕があれば、
@の心配事をメモする際に、心配の大きさを10段階評価で書いておくとさらに効果的です。
自分の感覚で構わないので「この心配レベルは、すごく心配だから8だな」「これは、そこまで心配ではないから2だな」という感じです。

なぜこれがネガティブ感情に対して効果的なのか?
その理由は、私たちがどんな心配事に対しても「心配だ」という1つの言葉でしか表現していないことにあります。
夜も眠れないくらい心配なことについても「心配だ」。
いいタイミングで電車が来るか心配なときも「心配だ」。
全部同じ「心配だ」で表現するので、必要以上の心配をしていることが多々あるのです。

そこで、記録を取るときに心配のレベルを記載すると、「あっ、これはそこまで心配してないんだ」と実感でき、ネガティブ感情がその場で小さくなります。ぜひ、試してみてください。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月06日

トイレが近い…医師に聞いた「頻尿」の原因と改善法

トイレが近い…医師に聞いた「頻尿」の原因と改善法
12/5(土) コスモポリタン

大切なデートや友人と遊びに出かけたとき、何度もトイレに行きたくなって、気まずい思いをしたことはありませんか?
または外出先でトイレが見つからず、ヒヤッとしたことがある人もいるかもしれません。
年齢を重ねるにつれ、または妊娠中、出産後に排尿の回数が増えることは知られていますが、中には頻繁にトイレに行く必要があるという体質の人もいます。

自分の頻尿の原因をきちんと把握しておくことは、とても大切なこと。
そこで本記事では、医師が解説する「頻尿になる原因とその改善法」を、<コスモポリタン イギリス版>から紹介。
心当たりがある人は、よくチェックしてみて。

頻繁にトイレに行きたくなる理由
これには“誰でもに当てはまる”という答えはありませんが、もともとトイレが近いという人なら、それほど心配する必要はなさそう。
ただ、排尿量(頻度)が急激に変化したというときは、その原因を考えるべきかも。
当たり前のことだけれど、水分摂取量が増えれば排尿量もおのずと増えるもの。水分を多めに摂るようにしていてトイレの回数が増えているなら、摂取量を減らせばトイレの回数も減らせるはずです。

イギリスの美容医療クリニック「Berkshire Aesthetics」のセレーナ・ラングドン医師は、以下のように解説しています。
「1日の排尿の回数は水分摂取量や何を飲んだかなど、多くの要因によって変わってきます。
十分に水分を摂っているかは、尿の色をチェックすることで判断できるもの。
理想的には明るい麦わら色。
色が濃い場合は水分摂取を増やした方が良いでしょう。
尿が明るく澄み切った色になれば安心です」

また、水分摂取をするうえでも「何を飲むか」が大事になってくるよう。
「たとえばカフェインには利尿作用がありトイレが近くなるので、摂取する飲み物に気をつけることも大切です。
水分摂取量には問題がないのに依然として頻尿の症状がある場合は、病気の可能性もあるので病院で診察してもらいましょう。
頻尿は糖尿病や膣炎の兆候、骨盤の不調としてあらわれる場合もありますし、過活動膀胱のせいかもしれません」
「更年期、通常40代後半の閉経期前後の女性によく見られるのが緊張性尿失禁、いわゆる尿漏れです。
(改善法として)骨盤底筋体操をしたり、場合によっては薬物療法で治療するのがおすすめです」

また「トイレが近くにない」というだけで不安に駆られ、心理的にトイレに行きたくなる頻度が増えることもあるのだとか。

女性は男性よりも排尿回数が多い?
女性の排尿量が男性よりも多いということは、必ずしも真実ではありません。
ただし「女性は尿道が短いため、尿路感染症を起こしやすいと言るでしょう」とラングドン医師。
「尿路感染症を予防するには水分を多く摂り、排尿後は前から後ろに拭き取るようにすること。
デリケートゾーンにデオスプレーなどを使用することは、避けた方が良いでしょう」
また、避妊薬を使用している場合、ホルモンも尿路感染に影響をおよぼす要因に。

骨盤底筋体操は効果がある?
骨盤底筋体操で膣を鍛えると、頻尿対策としても役立つとラングドン医師は説明。
「男女ともに言えることですが、特に女性にとって骨盤底筋体操はとても重要です。
骨盤底筋の健康度がもっとも高いのは、運動量が多い20代。
けれど骨盤底筋運動は年齢を重ねてからでも、始めるのに遅すぎるということはありません」

骨盤底筋体操のやり方 「やり方がわからないという場合は、まずは排尿するときに、途中でいったん尿を止めてみてください。
その止める動きこそが、骨盤底筋の働きです。
筋肉を引き締めることによって尿を止め、2〜3秒間引き締めたままにしてそしてゆるめる。
これを毎日10〜15回繰り返して鍛えるのが理想的ですね」
排尿量について心配があったり、排尿時に痛みをともなう場合は医師に相談を。
また、日頃から「排尿チェック」や骨盤底筋体操を続けていきましょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月19日

岡田晴恵教授が警告する年始年末の注意点「マスク会食はマスト」

岡田晴恵教授が警告する年始年末の注意点「マスク会食はマスト」
2020年12月18日 女性自身

第3波の不安が広がるなか、いつもと違う年末年始がやってくる。
白鴎大学教授の岡田晴恵先生に、あらためて年末年始ならではのシチュエーションでの注意点、そして感染してしまった場合の対処法を聞いた。

【Q】帰省、会食、買い出し。年末年始ならではの場面の注意点は?

「まず帰省について。私は、なるべく控えたほうがいい、という意見です。
みなさん、ご存じとは思いますが、人が移動するからウイルスも移動する。
健康だと思っていても無症状なだけで感染はしているという方もいます。
安全なほうを選択しては、と思っています。

会食はするのであれば、最近推奨されている“マスク会食”がマスト。
マスク代わりに扇子を口に当てるという人もいますが、小さな飛沫は扇子では防げません。
また、12月末はお正月のための買い出しで小売店が混み合いますよね。
“人ごみができない時期にずらして早めに行く”“家族を連れず一人で行く”などの対策を。
そして、特にお伝えしたいのが、今後起こりうる自宅待機や自宅療養のための備蓄品を買い物リストに入れていただきたいということ。
誰もが感染しうる現状ですから、自分や家族が感染した場合を想定しておく必要があると思います。
現在、政府の方針で、感染者で入院をするのは、重症の場合や、高齢者や基礎疾患があるなど重症化のリスクが高い人にしぼられています。
重症度をはかる基準の一つは“酸素飽和度(血液のなかにどれだけ酸素が含まれているか)”ですので、発熱だけでは重症とみなされず、都道府県が用意した施設での宿泊療養、もしくは自宅療養になる場合があります。
もし自宅待機や自宅療養になっても、年末年始だと休業する小売店もあって、必要なときに必要なものを手に入れられない心配がありますよね。
ですから備蓄はすべき。
リストをつくりましたので、参考になさってください」

【Q】もし自分や家族の感染が疑われた場合、どうしたら?

「まず、感染が疑われる場合には、かかりつけ医に連絡・相談、または居住地の保健センターに連絡して指示を仰ぎましょう。
感染者が出た時点で、感染者が触れた可能性があるものは、すべて消毒や洗濯を行いましょう」

【Q】自分や家族が自宅療養をすることになった場合の注意点は?

「感染者は、同居家族と生活空間を分けましょう。
同居家族も感染している可能性があるため、できる限り外出は控えてください。
感染者の入浴は家族の最後にして、シャワーですませましょう。
洗面所やトイレは感染者が使った後はすみやかに家庭用洗剤で清掃して消毒します。
感染者が使ったパジャマなどの洗濯は、ほかの家族のものと一緒でも大丈夫です。
ただし便などが付着しているときは消毒しましょう。
自宅療養中に急に症状が悪化して即座に医療機関の受診が必要になる場合もあります。
そういうときは慌ててしまいがちですから、もしものときのために事前に医療費のためのお金、保険証、かかりつけ医の診察券、おくすり手帳を準備しておくとよいでしょう」

【Q】看病する側はどうしたら?

「感染拡大防止のため、看病する人は一人に決めます。
看病者は感染リスクが高い妊婦や高齢者、基礎疾患がある人は避けてください。
看病するときの服装ですが、まず接触感染を防ぐために使い捨てのビニール手袋を。
また、ビニールのカッパのような全身を覆うものを着ます。
カッパがなければ、大きなビニール袋を切ってかぶるのでもいいと思います。
目の結膜からも感染するので、ゴーグルやメガネをつけてください。
もちろんマスクもマストです。
看病後は、手袋やマスク、ビニール袋はきちんと処理し、ゴーグルやカッパは消毒してください。手も必ず洗いましょう」

【Q】最後に岡田教授から不安に思う読者へ一言お願いします!

「いつもと違う過ごし方で戸惑う方も多いと思います。
ただ、家のなかでも娯楽はありますし、楽しみを見つけていい年末年始を過ごしていただければと思います」

「女性自身」2020年12月29日号 掲載
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月22日

知らず知らずのうちにストレスが蓄積。多忙な年末年始を乗り切る、驚くほど簡単なスキル

知らず知らずのうちにストレスが蓄積。多忙な年末年始を乗り切る、驚くほど簡単なスキル
12/21(月) HARBOR BUSINESS Online<取材・文/山口博>

 年末を迎えて、輪をかけて忙しさが増している人が多いに違いない。
忙しさだけでなく、四半期に1度、年に1度のやり慣れていない仕事や、ほかのメンバーの仕事をカバーするなど、日常の定例業務ではない仕事が多くなる時期だ。

ストレス発生の原因は「ギャップ」
 休暇を楽しみになんとか乗り越えようとモチベーションが上がっていることもあるので、取り組んでいる最中はあまり気にならないものだが、年末年始は知らず知らずのうちにストレスが蓄積されていることが多い。

 ストレスは人間関係、職場環境、業務内容から発生することが多い。
いずれも、それらと自分とのマッチング度合で捉えることができる。
ほかのメンバー、自分と環境、自分と業務が合っていればストレスはあまり感じないし、合っていないと、それがストレスの元になる。

 このように申し上げると、自分とほかのメンバーの何が合っているか、合っていないか考えればよいのだろうかという疑問を持つだろう。
私はそれを、自分のモチベーションファクターとほかのメンバーのモチベーションファクターが合っているか、合っていないかというように捉えている。
 同じように、自分と職場環境、自分と業務内容のモチベーションファクターのマッチング度合で考えれば、ストレスが発生しやすいかどうか把握しやすい。

動機づけすることでギャップを埋める
 モチベーションファクターとは自分の意欲を高める要素で、何によって意欲が高まるかを示すものだ。
日本のビジネスパーソンのそれは、
「目標達成」「自律裁量」「地位権限」「他者協調」「安定保障」「公私調和」の6つにだいたい均等にわかれる。

 自分はチャレンジする目標達成のモチベーションファクターだが、相手は現状維持の安定保障のモチベーションファクターの持ち主で、お互いにそのことを把握していないと、話がすれ違ったり対立が生じやすく、ストレスが発生する。
 ほかのメンバーと交流しながら仕事を進めることを好む、他者協調のモチベーションファクターの持ち主にとっては、ほかの人とコミュニケーションができない在宅勤務の職場環境は、ストレスを生んでしまう。

 やり慣れてない仕事を急に振られると、ストレスを感じることが多いものだ。
自分はユニークな発想で仕事をしたい自律裁量のモチベーションファクターの持ち主だが、指示された仕事は、ひとつひとつエラーをつぶしていく安定保障の仕事だった場合、そこにストレスが生まれるわけだ。

 こうした状況の際に、「上司は選り好みできない」
「仕事だから、自分が好きなことばかりできるわけがない」と自分自身に動機づけすることはひとつの解決方法だが、こうして我慢すること自体がストレスをため続けることになるので、根本的な解決にならない。

 ストレスを発生させないために有効なのは、自分のモチベーションファクターと、相手や環境や仕事のモチベーションファクターの両方を満たすように、動機づけすることだ。

自分と仕事、それぞれの要素をすり合わせる方法
 たとえば、目標達成の人が安定保障の人と取り組む場合は、「リスク回避の方法を考えて(安定保障)、それが実行できるかどうかチャレンジする(目標達成)」というように、両方の人のモチベーションファクターをセットする。
 他者協調の人が在宅勤務で連携が取れない場合は、「在宅で個別に実施して(他者協調が満たされない状態)、その結果を共有フォルダに各自保存して、チーム全員で確認できるようにする(他者協調が満たされる状態)」というように、他者協調が満たされない状態と、満たされる状態の両方を適える状態をつくる。
 自律裁量の人が安定保障の仕事をする場合に、「コツコツとエラーを発見して解消することを実施しながら(安定保障)、エラー解消のための独自の方法を生み出す(自律裁量)」というように、自分と仕事のそれぞれのモチベーションファクターをプロセスに組み込む。

このように、自分と相手、自分と環境、自分と仕事のモチベーションファクターを組み込むと、驚くほどストレスが軽減する。
ストレスを溜めやすいこの時期に、是非試してみていただきたい。

意識的にモチベーションファクターを合致させよう
 質問:モチベーションファクターが合っていない場合の切り替え方法
 自分のモチベーションファクターに合っていない仕事をする際の気持ちの切り替えは、具体的にはどのように行えばよいのでしょうか?

 回答:意識を切り替えて、それらに動機づけをする
 たとえば、「ひとつひとつエラーを見つけていく」という安定保障の人に合った仕事をほかのモチベーションファクターの人がする場合に、自分自身で次のように意識を切り替えるとパフォーマンスが上がりやすくなります。
 上司が部下に業務の指示をする場合にも、相手のモチベーションファクターに合わせて指示の仕方を変えていけば、パフォーマンスが上がりやすくなるのです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月23日

「正義中毒」が蔓延する社会をいかに変えるか――中野信子(脳科学者)【佐藤優の頂上対決】

「正義中毒」が蔓延する社会をいかに変えるか――中野信子(脳科学者)【佐藤優の頂上対決】
12/22(火) ディリー新潮

 激化する不倫バッシングに、些細な失言をあげつらっては炎上させるネット空間。
そしてコロナ禍の中で現れたマスク警察や自粛警察。
平穏な日常が失われた時代に、他人を叩く「正義」が跋扈している。
いまや怪物と化したこの「正義」を制御する方法はあるのか。
脳科学研究からの提言。
 *  *  *
佐藤 帯に「自伝」とある最新作『ペルソナ』を拝読しました。

中野 ありがとうございます。

佐藤 ただ、これは一般的な自伝ではないですね。

中野 そうですね。現在から過去へと遡る形で書いていますし、思考にフォーカスしていますから、時代が前後したり、何があったのか具体的なことには触れずに、その時に感じたことだけを書いているところもあります。
ですから自伝といっても「内面の自伝」なんです。

佐藤 別の言い方をすると「精神の歴史」ですね。
中野先生の生い立ちを追ったり、成績表を見つけたりしてきても、中野さんの心の中までは書けませんから、それを書き残しておくことは大切です。
でも自分のことですから、なかなか書きにくかったでしょう。

中野 しんどかったですね。

佐藤 本の中で、人間というものは、確固たる一貫したものがあるのではなく、さまざまな要素を寄せ集めたモザイク、キメラ(ライオンの頭に山羊の体、蛇の尻尾を持つギリシア神話上の怪物)だという部分には非常に共感しました。

中野 脳から見れば、一貫している方がおかしいんです。
脳は毎晩、夢を見ながら再構成される。
いわば、人間は毎朝生まれ変わっているようなものです。
よく中野信子は何者かわからない、と言われますが、日々、変わっているわけですから、そんなことを言われても困る(笑)。

佐藤 脳から見れば、キメラでない人はいないわけですね。

中野 とくに私たちの世代は、ロスト・ジェネレーションですから。
公害まみれの1970年代に生まれ、凄絶な校内暴力の只中で学生時代を送り、過酷な受験戦争にも晒されてきました。
それを勝ち抜いて入った大学を卒業したら、就職氷河期。
「失われた世代」である私たちは、自我を確立させすぎないことによって、環境に合わせる能力を温存し、生き延びてきたんじゃないかと思うんです。

佐藤 日本全体がどんどん失速していった時代でした。

中野 そうでしたね。
「団塊ジュニア世代」という言い方もありますが、人数が多いというのは、多数の中に埋没することが運命づけられているということです。
集団と個の関係も、かなり意識させられてきました。

佐藤 中野先生は書く仕事、大学で教える仕事、研究する仕事に加えてテレビ出演と、ほんとうに多方面で活躍されています。
当然、それぞれで見せる顔も違っていますよね。

中野 かなり違うと思います。
今年はコロナもあって、やはり書く仕事が増えました。
パソコンの画面に向かっている時間がほとんどでしたね。
そのためなのか、世界の手触りが変わってきたという感覚があります。

佐藤 どういうことですか。

中野 日本人の多くは「不安遺伝子」を持っていて、自分をネガティブな方向に寄せていく傾向があります。
自分が考えているよりももっとダメだと思うことで、何が起きてもたじろがないよう準備をしている。

佐藤 自己防御ですね。
私にもその傾向があります。ネガティブに考えておくことで、自分を守るわけですね。

中野 そうです。でもネガティブに寄せていくと、ほんとうに自分が自信を持つための最後のよすがまで消してしまうことがあります。
だから人は他の人に会うことで、本来の自分の基準はここだとキャリブレーション(較正(こうせい)・調整)しながら生きている。
でも外に出て人とコンタクトする時間が減りましたから、較正の機会が失われてしまった。
それで世界の見え方が変わってきたのだと思います。

佐藤 確かに人と会うことで、自分の立ち位置ははっきりしますね。

中野 人と直接会わなくても、LINEなどSNSでやりとりすればいいじゃないか、と言う人もいますが、そうしたやりとりって、コミュニケーションじゃなくて「自問自答」なんですよね。

佐藤 そう思います。あの短さの中で自分をどう表すかですから。

中野 Zoomでやりとりしている時も、相手の顔を見ているのではなく、そこにある自分の顔を見ている人が多い。

佐藤 Zoomでは、コミュニケーションは深まりませんよ。
すでに知っている学生や作家、編集者が相手なら補助手段になりますが、それは前からの関係があるからです。
初対面の人だと難しい。

中野 変な喩えですが、蟹を食べたことがあれば、カニカマを食べても本物の蟹の味を思い出しますが、食べたことがなければわからない、ですね(笑)。

東大女子の受難
佐藤 自分をネガティブな方向に寄せるというのは、東大女子がバカなフリをする、あれもそうですね。
上野千鶴子先生もよく言われたことですが。

中野 そうしないと生きていけなかったと多くの人が告白していますね。
1994年入学の私の代では、東大の女子の比率は16%程度だったと思います。
工学部に進学するとさらに少なくなり、応用化学科は50人中5人。理学部応用物理科だと、学年に1人とかゼロという年もありました。

佐藤 やはり理系はかなり少ない。

中野 女子の場合、東大に入った時点で「第三の性」みたいな扱いを受けるんです。
東大女子は入れないインカレのサークルがありましたし、入れるサークルでも飲み会となると、男子5千円、女子千円、東大女子3千円と区別されていました。

佐藤 私は外務省時代の1996年から2002年まで教養学部の後期課程で教えていました。
国際関係論と地域文化論の両方が重なっている講座で、国際関係論コースは、内部進学点では法学部よりも高いんですね。
だから独特の雰囲気がありました。

中野 もともと頭のいい子が行くとこではありますが、みなさん、やっぱりすごくプライドをお持ちですよ。

佐藤 東大生は外から見ると、同じ頭で成績のいい人たちですが、文科一類、二類、三類の違いや、学部に上がる際の内部進学点の差などを見ていくと、かなり幅があって非常に面白い。
それを社会に出ても引きずっている東大出身者もいます。

中野 理系は当時、8割方は大学院へ進学しましたが、最近は起業する人が多くなりました。
ただ彼らが考えているのは、起業して3年くらいで大きくし、上場で大金を手にしたらあとは投資家として生きるというモデルではないでしょうか。
社会に資する企業を、粘り強く淡々と作っていこうというのとは少し違っているように思います。

佐藤 この連載や、以前に「プレジデント」でも企業トップと対談をしてきましたが、東大出身のトップはさほどいないんですね。
ボード(取締役会)までは多いのですが。

中野 トップになりたがらないんじゃないですか。

佐藤 やりたがらないのか、それとも何かマイナスの要因があるのか。
私は、東大生の一番の弱点はトレンドに弱いところだと思っているんです。

中野 トレンドに弱い自覚があるからこそ、学歴を必要とする。

佐藤 官僚をはじめ、いろんな東大出身者と付き合ってきて、最近、東大文系の劣位集団の特徴に気がつきました。

中野 へぇ、どんなところですか。

佐藤 大学入試時の2次試験で出た4問の数学の問題について、滔々(とうとう)と話をする人。
僕は2問解けたとか、2問半だとか、ここは部分点がついているとか、お酒を飲みながら2時間以上、それで盛り上がる。

中野 何年も前の話なのに、ちょっと痛々しいですね。

佐藤 普通は問題など覚えていないでしょう。
だから彼らはいま必ずしも幸せじゃないんだな、と思います。
文系の人は特に数学にこだわりますね。

中野 数学はやっかいな分野で、私は「女子なのに数学ができるんだね」と言われたこともあります。
女であることと理系であることが両立しないという浅い通念があった。

佐藤 アカデミズムの世界では、まだまだ女性であることでいろいろ障壁にぶつかるでしょう。

中野 それはもう大変です。
女だと論文書いても「ふーん、子供は産んだの?」とか「旦那はどういう人なの?」と言われますし、独身なら「女を捨てている」とかね。

佐藤 セクハラもあるでしょう。

中野 腐るほどありました。
先生から抱きつかれても「やめてください」と邪険にすると、評価が下がって奨学金を受けるのに不利になるので、告発できないんです。
そういう時の賢明な対処法があって、「先生も疲れているんですね」と、やんわり腕を解いて宥める。

佐藤 そうすると、バカのフリをするではないけれど、自分の感情も意思も押し隠して生きることになる。

中野 何も知らないフリをしながら、例えば心の中に「少年」の自分を飼っておいて、それが分かる人とは通じ合う。
そんな感じでした。

佐藤 お互いに同じようなものを持っている人同士なら分かり合える。

中野 そういう人に出会えると楽しかったですね。
ただ知らないように振る舞うことに慣れてしまうと、本当に自分の基準がわからなくなってくる。

脳内化学物質セロトニン
佐藤 『ペルソナ』にもありますが、中野先生は社会が押し付けてくる正義や健全さに一貫して違和感を表明されています。印象的なのは「正義中毒」という言葉です。
これは中野先生の造語だと思いますが、いつから使い始めたのですか。

中野 今年の初めに『人は、なぜ他人を許せないのか?』という本を出しましたが、もともとはバカ論を書きませんか、というお話でした。
誰かをバカ呼ばわりする時に、ヒトには独特の高揚感が生じるようである。
その生理的機序を考えているうちに、これは「集団バイアス」に関係していると考えるようになりました。
自分たちは正義、他の集団は貶(おとし)めていい、というバイアスです。
そうした現象は世界中に見られます。

佐藤 それがさまざまな紛争の元になっていますね。

中野 私はバカという言葉が好きではないので、この現象についての本を書かせてくださいと掛け合いました。
そして「正義中毒」という言葉に行き当たったんです。

佐藤 そうしたらコロナがやってきて、マスクをしないと糾弾したり、お店を開けているだけで嫌がらせをする正義中毒が次々と出てきた。
自粛警察なんて、まさに正義中毒です。

中野 だから何か予言の書のようになってしまったのですが、コロナ以前から不倫バッシングや不用意な発言の炎上は多々あって、ずっと続いていることですよね。

佐藤 年々、そうした現象が激しくなっている気がします。

中野 私はネットと自然災害によって加速したと考えています。
ネットは多様に見えて、嫌なものはスルーできますね。
SNSは、言ってみれば「同じ意見の繭」です。
そうしたツールが広まる中で、観測史上初めて、というような大きな自然災害が次々に起きた。
そこでは共同体の絆が強調され、一丸となって支援することが求められました。
そこに同調できない人は、悪になったわけです。

佐藤 危機には同調圧力が高まります。

中野 危機に直面すると、正義のありどころがわからなくなるので、自分の正義を振りかざして、社会を守ろうとするんですね。
でも危機ではそれぞれの正義が分散します。
だからスーパーでお惣菜を買おうとしただけで、見知らぬおじさんから「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言われてしまう。
その人にとっては、母親がお惣菜を買うのは、些細なことでも不正義です。
いまは、そういう現象がどんどん起きている。

佐藤 中野先生はこうした現象を脳からも説明されていますね。

中野 セロトニンですね。
精神の安定や安心感の源となる脳内化学物質ですが、集団形成にも関係し、ネガティブエフェクトとしては、妬みの感情も強めるようなのです。
これは社会の維持に大きな役割を果たす一方、そこから逸脱する者を懲らしめなければ、という感情を引き起こします。

佐藤 それがバッシングになる。

中野 人間は共同体に一定の貢献をし犠牲も払う一方で、利益を享受しています。
そこにただ乗りするフリーライダーを許さない。
それでバッシングが生まれますが、日本人はその傾向が強い。
ただ日本人はセロトニンの量を調節するセロトニントランスポーターの密度は低いんです。
これに関しては、まだ見つかっていない別の要素があるのかもしれません。

佐藤 正義中毒現象はまだまだ続きそうですね。

中野 いまがどれだけ不安定で、社会のリソース(資産)が減っているかという証拠です。
実はもう豊かでない社会を生きているんですよ。
自分よりちょっと得をしているだけでも他人が許せない。

佐藤 それを皮膚感覚でわかっていたのが公明党ですね。
10万円の特別定額給付金は初め、所得制限をつけて30万円給付で進んでいました。
でも例えば年収250万円で線を引いたら、260万円の人はものすごく怒りますよ。
そうすると社会の分断がより深刻になる。
それで彼らが覆した。

中野 どんな金額でも所得制限すれば、反発は避けられないでしょうね。

正義は戦略でしかない
佐藤 中野先生は、フリーライダーたちに、人々が惹きつけられてしまうことも指摘されています。

中野 彼らの多くはダークトライアドと言って、代表的なのはサイコパスです。
脳の内側前頭皮質の活動が活発でないという特徴があります。
集団の価値基準や同調圧力を意に介さず堂々と振る舞うので、あたかもその人の基準が全体の基準のような印象を与え、一部からは強い支持を集めます。

佐藤 いわゆる社会のトリックスターやボーダー(境界性パーソナリティ障害)、ヤクザの中にもいるでしょうね。
みんな、周りを巻き込んでいく特殊な能力を持っていますから。

中野 社会のリソースをうまく掬(すく)い上げられますから、社会で要職にあったり、企業のCEOになる人も多い。
彼らに付いていくと、自分も得をすると思わせる何かがある。

佐藤 だからフォロワーがいる。

中野 短い言葉をうまく使って人を感動させたり、敵をいなしたり、洗脳とまではいかなくても支持を取り付ける特殊能力があります。
それは規範から自由だからそう見えるということもあります。

佐藤 女性にもモテますね。

中野 女性はサイコパス、マキャベリスト、ナルシストの3要素を持っている男性に惹かれやすいことがわかっています。
まさに不倫相手となる男性たちです。
彼らは「新奇探索性」に富み、性的にもアクティブですから、その遺伝子を広く拡散する。
女性にしてみれば、ダークトライアドの男性との子孫を作れば、その子孫もあちこちでその遺伝子をバラまきますから、効率よく自分の遺伝子を残せるわけです。

佐藤 遺伝子に支配されている。

中野 彼らの魅力に抗えないのは、脳の中の古い皮質が私たちに指令を出しているからです。
でも、そもそも結婚の形態は、ある地域に生きる集団にとって、そこで最も繁殖に適した形がスタンダードになったものにすぎません。
それは一夫一婦制も同じです。
実は私たちが「倫理的」ととらえているものは、ごく最近になって形成されたのかもしれず、不倫=悪というのも、一夫一婦制が定着した後に後付けで広まった概念と考えたほうがいいと思います。

佐藤 正義についても同じことがいえますね。

中野 その通りです。
正義も別に不変でも普遍でもなく、ただ種として生き延びるためにビルトインされた戦略のひとつにすぎません。

佐藤 そこが中野先生の思索の核心部分ですね。

中野 もちろん正義は重要ですが、そこだけを強調してしまうと、過剰に自責的になる人たちが出てきます。
私はポジティブ心理学が苦手で、一定の効果はありながらも、かえって鬱になる人を生み出したと思います。
その反動により、ネガティブ感情の意味を考える研究が進んできました。

佐藤 これから中野先生ご自身は、どんな研究をするつもりですか。

中野 グループ・ダイナミクス(人の行動や思考が集団から影響を受け、逆に集団に対しても影響を与える特性)に興味がありますから、集団の意識について、心理学からリサーチしてみたいと思っています。

佐藤 具体的にはどの部分を掘り下げようとしているのですか。

中野 集団の意識を定量化することで、価値や意思が決まりますよね。
まさに民主主義は民意の定量化の仕組みです。

佐藤 その基礎にはみんな同質で同じ存在というアトム的な人間観があります。

中野 でもほんとは違いますよね。
能力も取り巻く環境もみんな違う。
さまざまな人がいるのだから、定量化でない意思決定の方法が必要です。

佐藤 それはファシズムに近くなりませんか。

中野 ファシズムに行かない方向での仕組みは、もう思いついているのですが、どう説明すれば誤解を生まないか、考えています。
民主主義でもファシズムでもないところで、集団の中の民意をどう拾い、どう未来に活かしていくのか、そこを考察していきたいと思っています。


中野信子(なかののぶこ) 
脳科学者 1975年東京生まれ。東京大学工学部応用化学科卒。
2008年同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。
08〜10年、フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRIセンター)に勤務。
15年より東日本国際大学教授。
テレビのコメンテーターとしても活躍する。
『サイコパス』『不倫』『悪の脳科学』『空気を読む脳』など著書多数。

    「週刊新潮」2020年12月17日号 掲載
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

来年は「いつものように」

香山リカのココロの万華鏡
来年は「いつものように」
毎日新聞2020年12月22日都内版

 長いあいだ精神科医をやっていると、不思議なことがいろいろと起こる。
「いつも同世代の患者さんが多い」というのもそのひとつだ。
20代から30代にかけては若い患者さんを診る機会が多く、40代になるとアラフォー、アラフィフの女性の来院が増えたのだ。
 そして、いま。ミドル世代は相変わらず来院するが、次第にシニアが増えてきた。
よく考えればそれは当然で、クリニックのホームページで医師の年齢を確認して「この人なら同世代だから」と選ぶ人も多いのだろう。
もしかしたら、若い世代で一、二度来院して「この医者、ずいぶん年上で話が合わないな」と離れる人もいる一方で、同じような年齢の人はなんとなく通い続けてくれているのかもしれない。

 そういうわけで、いまは診察室で還暦あたりやさらに年上の人たちと話すことが増えた。
こちらもつい同級生感覚で「そういうこと、ありますよね」などと意気投合する場合も多い。

 最近の話題は、なんといっても「今年はたいへんでした」ということ。
定年で再任用の予定が新型コロナウイルスの影響で取りやめに、施設に入っている母にも遠くに住んでいる孫にも会えない、といった話を聞いて「たいへんですよね」と心から同情している。
 ある時、そんな男性のひとりがこう言った。
「やっている事業、今年は最後のがんばりと思っていましたが、コロナのせいで全面ストップです。
今年はなかったと同じようなものですよ」

 私が「いっそ今年はなかったものと考えるのはどうですか」と言うと、彼はこう返した。「そうしたいけどほら、この1年で白髪とおなかの脂肪が増えちゃって。これだけは“なかったこと”になってくれないんですよ」
 それを聞いて「そうですよね、からだだけは確実に年齢を重ねてるんですよね」と思わず大笑いしてしまった。

これは若い人にはなかなかわからない感覚なのではないか。
 「時よ止まれ、おまえは美しい」というのはドイツの文豪、ゲーテの「ファウスト」に出てくるセリフだっただろうか。
でも、今年に限っては本当に時間が止まった感覚を味わった、という人も少なくないだろう。
そして、それは決して美しくはなく、つらかったりしんどかったりすることも多かった。

 来年こそは、時間がいつものように進み、若い世代もシニアも予定や計画を着々とこなしていける年になるように、と願っている。
            (精神科医)
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月24日

“自分に都合よい情報”だけを信じる心理、日常生活にどう影響する?

“自分に都合よい情報”だけを信じる心理、日常生活にどう影響する?
12/23(水) オトナンサー

11月の米大統領選では、トランプ、バイデン両候補の支持者の一部がそれぞれにとって都合のよい情報だけを信じて主張し、激しく対立しました。
彼らに限らず、「自分にとって都合のよい情報を選んで、それだけを信じようとする」という傾向は多かれ少なかれ、全ての人の心に潜んでいるのではないのでしょうか。
ネットの世界では、好きな情報、都合のよい情報だけを閲覧できる環境が整っています。

 自分にとって都合のよい情報を選んで、それだけを信じたいという思いが強まると、日常生活にどのような影響があるのでしょうか。
心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

物事にハマりやすい人は強く
Q.人は自分にとって都合のよい情報を選んで、それだけを信じたい傾向があるようですが、この心理は何と呼ばれているのでしょうか。


小日向さん「『確証バイアス』と呼ばれています。
確証バイアスは人間がもともと持っている心理ですが、近年はネットの検索サイトがユーザーの属性(男女別、年代、居住地など)から、『ユーザーが見たいであろう情報』を上位で表示したり、『ユーザーの見たくない情報を遮断する機能』を提供したりするようになっており、見たい情報だけが集まる状態になりやすく、確証バイアスはさらに働きやすくなっていると考えられます。
こうした背景を考えると、興味を持った事象や人物をネットで深掘りしていくことが好きで、物事にハマりやすいタイプの人は確証バイアスが強くなりがちだといえるでしょう」

Q.自分にとって都合のよい情報を選んで、それだけを信じたい思いが強まると、日常生活にどのような影響があるのでしょうか。

小日向さん「バイアスとは『偏り』を意味しますが、日常生活における確証バイアスの影響は『傾倒する』ことだと考えると分かりやすいかもしれません。
例えば、
(1)ある人のファンになると、その人の発信するSNSや好意的な情報だけを信じるようになる
(2)ある思想に傾倒すれば、同じ思想を持つ人の情報だけを信じる
(3)ある情報サイトでの予測が当たると、そのサイトで発信される情報ばかり信じるようになる――などです。

これは、傾倒していく本人にとっては高揚感や安心感、帰属意識の醸成など心地よい感情を持てるため、日常生活が楽しくなる要素が強いです。
しかし、反対意見に激しくかみつく、仲間同士での過剰な結束など、周囲の人から好意的に受け止められない場面も出てきます。
さらに、傾倒したことによって、反社会的な行為や道徳に反する行為につながってしまうと、最終的には、本人も大きな後悔を感じる事態になる可能性があります」

Q.今は「都合のよい情報を選んで信じる」ことをしていない人が知らないうちに、そうした心理状態になる可能性はありますか。ある場合、どのようなことをしていると、そうした心理が強まりやすいのでしょうか。

小日向さん「可能性はあると思います。
例えば、今まで安定した職を得ていた人が急に失業したときです。
そうした場合、ほとんどの人は将来の不安を払拭(ふっしょく)しようと、ネットでキーワード検索をするのではないでしょうか。

そうした際は、これまで意識して中立を心掛けてきた人でも『自分が安心できる情報』ばかりを探すようになってしまいます。
つまり、それが意図したものであってもなくても、精神的に『足元がぐらつく』という不安な状態になってしまうことが確証バイアスを強める要因になるのではないでしょうか」

Q.ネット上には、自分の都合のよい情報だけを信じて、異なる意見を全否定するコメントも見られます。
こうしたコメントを投稿する人は普通のバランス感覚の取れた社会人であることも多いようですが、ネット上と日常生活とで心理を使い分けることができるのでしょうか。

小日向さん「一人の人間が異なる顔を使い分けすることで、心のバランスを取っていることは珍しいことではありません。
むしろ、『バランス感覚のある社会人』ほど異なる顔を使い分けている可能性があります。
なぜなら、有能な人は自分の主義や価値観に確固たるものを持っている傾向が強いのですが、実際の社会に迎合して、バランスよく生きていくためには自分を抑える場面の方が多いのも事実だからです。

そのため、もちろん、自分が信じる情報を世間に浸透させたいがために他の人の反対意見をつぶしている人もいると思いますが、実はそれほどその情報に固執していない人もいると思います。
そうした人は社会生活で抑圧されたストレスを発散させることがメインで、そのために、異なる意見に対して過激なまでに反論しているのではないかと思います」

Q.「自分にとって都合のよい情報を選んで、それだけを信じる」ことがないようにするには、どのようにすればよいでしょうか。

小日向さん「まず、すでに多くの人が感じていると思いますが、ネットで自動表示される情報はすでに選別された情報であるという事実を忘れないようにすることです。
そして、日常生活が都合のよい情報によって振り回されていないかを時々点検することも重要です。
具体的には、自分が満足する情報を得られるまでネットサーフィンをやめられなくなる、書き込みに夢中になるなどにより、睡眠や食事、仕事、入浴といった日常生活が大きく乱れていたら要注意です」

Q.自分に都合のよい情報だけを信じる人は今後も増えていきそうでしょうか。理由も含めて教えてください。

小日向さん「現代はネットの検索機能によって、個人が自由に情報を取捨選択できるようになりました。
また、先述したように、検索サイトも個人に与える情報を操作しています。

実際、心理学のカウンセリングの場でも、本人に都合が悪いアドバイスになると『でも、ネットではこのように書いてあります!』とネットの情報を盾にして、自分に都合がよい言葉を引き出したい心理が垣間見える場面が増えたと感じています。
ネット社会が衰退する可能性は低いと思いますので、やはり、今後もこうした人は増えていくのではないでしょうか」

posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月25日

2021年をよりよくするために!良い目標の立て方

2021年をよりよくするために!良い目標の立て方
2020.12.23 ヵナウ

  2020年の今年はコロナが大流行して、仕事や生活に変化があった人も多いでしょう。
まだまだ収束の見込みもつかず、先が見えないご時世ですが、そんな混沌とした時代の中でも、自分の夢や希望を叶え飛躍の2021年になるように、良い目標の立て方をご紹介します。

まずは今年の振り返りから
今年1年を振り返ることで、より明確なビジョンの2021年の目標が立てられるようになります。
「達成できなかった目標」「出来るようになったこと」「続けられていること」「楽しかったこと、辛かったこと」「失敗したこと」「新しく挑戦したこと」「新しく身につけたスキル」「印象に残っている出会った人」 など、悪い部分を反省するだけでなく、良かった面も振り返ってノートに書き出します。

108個の目標を書き出す
今年の振り返りを踏まえて、2021年どのような目標を掲げ、成就したいのか、せっかくなので煩悩の数108の実現したい目標を書き出しましょう。
内容は、「本を出版」「会社を企業」のような大きなことから「毎日ヨガを続ける」「5キロダイエット」などの日常的なことまで。 「いつも違う選択を心がける」「ポジティブシンキング」など心の在り方の指針なども含めても良いでしょう。
例えば、「彼氏が欲しい」と漠然と書くよりも、「趣味が合うイケメンの彼氏が欲しい」など、なるだけ具体的にすると良いでしょう。

目標を絞り出す
108個の目標の中から、絶対に達成したい8個〜10個くらいの目標を選び出しましょう。
その絞り出した目標を1年間の大きな目標として、それを実現するまでに、具体的に必要ないくつ化のステップを考えます。

例えば「日常レベルの英会話を身につける」という1年を通した目標を立てたとします。
それを実現するために「毎日英会話のリスニングを聞きながら通勤」「外国人の友達を作る」「英会話教室に通う」「外国映画を字幕なしで見る」などです。
全ての目標は手帳などに書き出しておきます。

クリアしたものから印を付けるなどすると他の目標を達成するモチベーションにもなります。
なので、108個も目標の中には、確実にクリアできる目標もいくつか加えておきましょう。

目標を実現化するポイント
「今年こそ10Kgのダイエット!」など、毎年、同じような目標を掲げ、ズルズルと達成できないでいるものもあると思います。
それでも諦めたくない目標はどうしたら実現化できるのでしょうか?
失敗したことを責めない 今までに達成できていないことに対して「なんで出来ないダメな自分なんだ。」と自分を絶対に責めてはいけません。
自己否定は目標達成を遠ざけてしまうのです。

意識を変える
今まで続けてきて達成できていない目標を達成するには、意識改革が必要です。
今までと同じでは、いつまでも同じ失敗のループスパイラルの落とし穴に陥ってしまいます。
例えば、ずっと英会話の勉強を続けているが全く成果が見られない場合。
英会話が出来るようになりたい動機は仕事で海外へ進出したいという理由でやっていたとします。
それを、外国の人を好きになり、彼ともっと話したいから英会話が出来るようになりたいという動機に意識が変わった途端、英会話がグンと上達することもあります。

今までと同じモチベーション、動機、意識、その物事に対する見方ですと、現状維持になってしまいがちなので、目標を達成できないという結果も変わりにくいのです。
なので、目標に対する意識を変えれば、案外すんなりと目標は成就したりしますよ。

行動を変える
意識を変えると行動も自然と変わってくるものです。
しかし、意識的に行動も変えると、目標達成までの流れがより良くスピーディーに変化します。
英会話が上手く喋れるようになりたいという未だ達成出来ない目標があったとします。
仕事で使えるようになるためにという動機から、外国人彼氏ともっと話したいからという動機に意識を変えました。
そして、行動は、英会話教室に通っていたところから、外国人彼氏を含め、外国人の友達と遊ぶ機会を増やすという行動に変えたとします。
「英会話の上達」という同じ目標でも、動機と動機に基づく行動が変われば、今まで達成出来なかったことが、自然と達成、成就できるのです。
さいごに 2021年があなたにとって飛躍の年になりますように。 現状維持、保守的にならず、挑戦し続けましょう。
        (ライター/キタミカ)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(3) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月26日

備蓄が必要なモノと必要ないモノの見分け方

備蓄が必要なモノと必要ないモノの見分け方
2020.12.26 ダイヤモンドオンライン
石阪京子:片づけアドバイザー

片づけられない人たちの“最後の駆け込み寺”として有名なカリスマ片づけアドバイザー・石阪京子先生の最新刊『一回やれば、一生散らからない「3日片づけ」プログラム
これが最後の片づけ!』が、ついに発売に!在宅ワーク化が進んだり、備蓄も必要だということが分かったwithコロナ時代。捨てるだけの片づけ術では対応しきれなくなった新時代の片づけ術とは?
絶対リバウンドしないための収納方法や家事のやり方とは? この連載では、本書の一部を抜粋しながら、石阪メソッドをご紹介します。
どこにも行けない長期休暇は、家族で楽しみながら3日間の「片づけ合宿」をやってみてはいかがでしょうか?

過不足ない備蓄をするにはどうすればいいのか?
 何を備蓄しておけばよくて、何が不要なのか。なるべくモノを少なくしたいのに、余分なモノまで備蓄する余裕はありませんよね。
詳しくは本書で紹介しておりますが、その考え方の基本をご紹介したいと思います。

 感染症対策の日用品で備蓄しておくのは、売り切れて買えなくなったら衛生上困るモノです。
手を消毒するアルコールジェルや、食品にも使えるアルコールスプレー(例えばドーバー パストリーゼ77)、ビニール手袋などは必ず備蓄しておきましょう。

 また、今回のコロナ禍で売り切れたマスクやトイレットペーパーも、1ヵ月分はストックを用意しておきましょう(量の目安は本書の巻末のリストに)。
また、これらの日用品も不安から買いすぎてしまう人がいますが、「余計なモノを増やさない」ということも大切です。
次の三つを心がけていただければと思います。

(1)定数管理をする
(2)何でもかんでもストックしない
(3)一つで色々な用途に使えるマルチなモノを選ぶ

(1)は、例えば下着や靴下、パジャマやタオルといった生活必需品にも通じるのですが、必要最小限の数しか持たないということです。

 私は、パジャマは2枚、下着や靴下は5枚、タオルは家族の人数+2枚と決めています。
パジャマと靴下は年に2回、春と秋に買い替えますし、タオルは年に一回新しくします。
使い倒して買い替えるので、考えようによっては経済的です。
ちなみに、パジャマは災害時にそのまま外に出てもおかしくないジャージやスウェットがおすすめです。

 また、マスクやアルコールジェル、トイレットペーパーのように感染症が流行した時に買えなくなると困るモノはストックしておく必要がありますが、すべての日用品を+1本ストックしておく必要はありません。

 例えば、歯磨き粉は、なくなりかけたらすぐにわかるし、なくなったとしても命に関わらないですよね。
だから、ストックは持たずに、なくなりかけたら買うということでいいと思います。
対して、サランラップは、残量がわかりにくいので突然なくなってしまう。
そういうモノは1個は余分に持っておいた方がいい。そういう考え方です。

(3)は、一つのアイテムで色々な役割を果たせるモノを選ぶということです。
これは日常の家事のアイテムを選ぶ時にも通じます。詳しくは本書のp170で紹介しています。

【著者からのメッセージ】

たった3日で片づいて、絶対リバウンドしない!
片づけアドバイザーの石阪京子と申します。

新型コロナウイルスの感染拡大を機に、片づけに対する意識は大きく変わりました。
家にいる時間が長くなることで、「家が片づいている人と、散らかっている人とでは圧倒的に幸せ感が違う」という事実に、改めて多くの人が気付かれたと思います。

毎日がバタバタしていて、部屋が散らかっていても、ダイニングテーブルにモノが山積みで家族一緒にご飯を食べられなくても、これまで「仕方ない」「まぁ、いいか」とやり過ごしてきた方は多いでしょう。

でも、家族と家で過ごす時間が増え、他人と気ままに触れ合えない分、日々の暮らしのありがたさや家族の大切さに気が付いた方が多いのではないでしょうか。

だから、今こそ、日々の暮らしや家族との毎日を快適にすることについて、真剣に考えてみませんか? そのスタートとなるのが、「片づけ」です。

これからは「捨てるだけ」の片づけはNG
ここ数年、なるべくモノを持たずに生活する「ミニマリスト」的な生き方も人気でしたが、コロナ禍を機に、やはり、いざという時のためにある程度のモノを「備え」ておかねばならないという意識が高まっているように感じます。

新型コロナウイルスのような感染症ばかりでなく、地震や水害などの自然災害にも備えておかなければ、いざという時、命が守れないこともあります。

備えるためにも、やはり最初に必要なのが「片づけ」です。
モノが多い家は、地震など自然災害の時にも危険です。
また、備蓄品を買っても置き場所がなかったり、万が一の時に必要なモノをさっと取り出せなければ、備えている意味もありません。

withコロナ時代には「備えながらスッキリ暮らせる片づけ方」が求められていると私は考えています。
その方法を書いたのが『一回やれば、一生散らからない「3日片づけ」プログラム これが最後の片づけ!』です。

この冬は家族で「片づけ合宿」に取り組もう
本書の片づけ方法は、最短3日間で家一軒が片づいて、しかも、一回やると一生リバウンドしません。
これまで、何回もいろんな片づけ法にチャレンジして失敗をし続けた方でも、本書の方法通りに行えば、二度と散らからない「最後の片づけ」にすることができます。

旅行に出かけない冬休みは、家族で「片づけ合宿」をするのに最適です。
働き方や暮らし方の価値観がガラリと変わった今だからこそ、二度とリバウンドしない「最後の片づけ」に、本気で取り組んでみてはいかがでしょうか?
posted by 小だぬき at 16:02 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月28日

「心が折れる」という人と考えてみたい"心の形"

「心が折れる」という人と考えてみたい"心の形"
実際のところ、心はどういう形をしているのか
2020/12/27 東洋経済オンライン
いしわたり 淳治 : 作詞家・音楽プロデューサー・作家

あるときから「心が折れる」という表現をよく耳にするようになった。
目標に向かって頑張っていたのに、障害にぶつかって意欲がなくなったり、諦めたりすることを指しているようだ。

「心の形」とは?
この言葉を初めて聞いたときに、私は素直に「えっ、心って棒状だったんだ?」と思ったのを覚えている。
一般的に「心」と言われて思い浮かぶのは“ハートマーク”で、それは平面か、あるいは少し膨らんだ立体の状態で描かれるのが普通だ。
だから、「心が割れた」なら平面だろうし、「心が砕けた」なら立体なのかなと思うが、「心が折れた」となると、実は心は棒状だったということになる。

しかし、実際のところ、心というのはどういう形をしているのだろう。
心にまつわる表現の中には、「心がへこむ」という表現もある。

棒状でかつ、へこむ。
ということは、パイプ状の形をしているのだろう。
中は空洞なのだろうか。
「心を開く」「心にふたをする」という表現もあるから、中に何かを入れられて、閉じ込められる形状をしているのかもしれない。
筒状の容れ物ということだろうか。
ほかにも「心がはずむ」という表現もある。
はずむということは、ゴムのようなものでできているのだろうか。
言われてみるといつまでも心がへこんだままの人はあまりいないので、よほどゴムが劣化しない限りは元に戻るのだろう。

前述の「心が折れる」というのも、もしかしたら過度なストレスによってゴム状の素材がカチカチに劣化した先で起こる現象なのかもしれない。
「心がはずむ」以外にも、「心が揺れ動く」なんて表現もあるから、やっぱり心は元々は柔らかくて弾力のある素材に違いない。
そういえば「心をわしづかみにされる」なんて表現もある。
なるほど。筒の直径は手で握れるくらいなのだろう。
誰の手のサイズを基準にするかで違ってくるが、成人男性の平均的な大きさから考えても、せいぜい直径10p以下くらいだろうか。

ほかにも、「心が晴れる」という表現もある。
晴れるということは、心は基本的には透明な素材でできているのだろう。
普段はきれいに透きとおっているのだが、何かのきっかけで曇ったり濁ったりすることがあるのだろう。

よし、だんだんわかってきた。
心は“ゴムのようなものでできた直径10p以下の透明な筒状の容れ物”なのだ。
いや、待てよ。「心に刻む」という表現もある。これは大きな問題である。
せっかくの透明できれいな心に、私たちは大胆にも文字や映像を刻むことがあるのだという。
何ということだろう。
忘れたくない素敵な言葉や思い出を刻むことで、そのせいで心は曇ってしまわないだろうか。
そういえば、「思い出が邪魔して未来が見えない」なんて面倒くさいことを言い出す人もたまにいるから、何でもかんでも心に刻みすぎるのは、よくないことなのだろう。

心には本当に、本当に、大事なこと以外は刻んではいけないのだ。
これは今すぐ肝に銘じなければならない。

心の「長さ」は?
心にまつわる表現はほかにないだろうか。
うわっ、「心が騒ぐ」という表現もあるではないか。
自分の意思とは関係なく勝手に心がざわざわすることを指す表現だ。
勝手に騒ぎ出すなんて、それはもう心が意思を持った私とは別の生き物であるということである。
かなり衝撃的だが、でもまあ、考えてみれば私たちの腸内にも無数の細菌が暮らしているのだから、今さら体内にほかの生き物がいると言われてもそこまで驚きはしない。

そうか、心は“ゴムのようにやわらかい直径10p以下の透明な筒状のふたのある容れ物に似た私の中に住んでいる生き物”なのか。
と、ここまで考察してもまだわからないのは、その「長さ」である。
「心がせまい」だの「心が広い」だのという表現がある以上、その容積に個人差があることは明らかだ。
大体の直径もわかった今、容積に違いをもたらす要素は長さしかないから、あとは心の長ささえ判明すれば、私の中で「心の形」はバシッと決定するのだけれど。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月29日

コロナ禍で軽んじられる看護師の命と罪深き「天使幻想」

コロナ禍で軽んじられる看護師の命と罪深き「天使幻想」
12/27(日) 日経ビジネス(河合 薫)  

「正体がつかめない未知のウイルスへの恐怖に、泣きながら防護服を着るスタッフもいた。
防護服の背中に名前を書いてあげながら、仲間を戦地に送り出しているような気持ちになった」
 「『頑張れ、永寿病院 地元有志一同』の横断幕が目に入り、まだ私たちはここにいてもいいんだと思えた」
 これらは2月26日に脳梗塞の診断で入院した1人の患者さんを起点とする新型コロナウイルスの集団感染が発生し、214人が感染、43人が亡くなった永寿総合病院(東京・台東)の看護師さんたちの言葉である。

●精神的にも肉体的にも限界……
 コロナ感染第1波で“炭鉱のカナリア”となった同病院の院長が、当時の状況をつまびらかに報告・説明したのは2020年7月のこと。
 「私どもの経験をお聞きいただくことで、新型コロナウイルス感染症に対する皆様のご理解や、これからの備えにお役に立てれば」と、院長は会見で話していたけど、再び、いや、“このとき以上”の悲鳴が、日本全国の医療現場で上がっている。  

そして、その悲鳴はもはや「目の前の人をとにかく助けたい」という、医療従事者たちの使命感だけでは乗り切ることができない事態に発展していることは、連日メディアで医師や院長先生が窮状を訴えているので、皆さんもご承知のとおりだ。

 そこで今回は、現場の医療スタッフから話を聞くことができたので、この話題を取り上げようと思う。
 ただし、病院によっては現場の看護師や医師にSNSなどでの発信を禁じているケースもあるし、今回答えてくれた私の知人も、「医療関係者ということ以外の属性は決して出さない」という条件で、掲載を承諾してもらった。
 なので、“いち医療関係者の声”ということで、まずは聞いてほしい。  
「世間では医療崩壊が起きるだの、医療崩壊を起こさないようにしなければだのといったコメントが氾濫していますが、起こる起こらないに関係なく、すでに看護師や医師は精神的にも肉体的にも限界です。
 同僚の中には、家族に『もうやめてほしい』と言われて辞めた人もいます。

 若い看護師の中には子供がいる場合もあるし、みな家族に感染させる不安を抱えているので、1人が辞めてしまうと退職者が続くことも少なくありません。
 幸いうちの病院ではそういった状況にはなっていませんが、もともと職場の人間関係や上司との折り合いが悪かった看護師は、やっぱり辞めちゃいますよね。
 でもね、それを誰が責められますか?
 責められないですよ。それほどまでに疲弊してるんです。

 だいたいコロナ感染の最前線で働いている看護師たちは、通常の業務だけを任されているわけではありません。
患者さんが高齢の場合には、意思疎通が難しく時間がかかったり、着替えやトイレなどの介護業務を兼任したりするケースもあります。
コロナ感染ではさまざまな書類を記録しなくてはいけないので、そういった業務に割かれる時間も負担です。

●犠牲を「美徳」とする空気
 病院からクラスター(感染者集団)は絶対に出せないという恐怖感は、ものすごいプレッシャーです。
看護師は患者さんの検温を繰り返し行い、症状や呼吸器の確認も頻繁に行うので、感染リスクは当然高くなります。
 なのにクラスターを出した病院への誹謗(ひぼう)中傷は、ものすごいです。
プロ意識が欠けているとか、医療従事者として失格だとか。
なんでそこまで言われてしまうのかと情けなくなる。
感染の不安からうつ傾向になってしまう看護師もいるほどです。

 自宅に帰っていないスタッフは、精神的な疲れを癒やす時間もありませんし、院内では飲食の提供をしていた店をクローズしているので、食事ひとつ取るのも大変です。
 ただ……個人的には、今に始まったことじゃないという思いもあります。
確かに今の状況は限度を超えてますが、もともと看護の現場は決して楽なものではありませんでしたし、理不尽を感じることも度々ありました。
 夜勤できる看護師は限られていますので、よほど経営状態がいい病院以外は慢性的に人手不足です。
世の中には看護師の給料は高いと思い込んでいる人もいるようですが、決して高くありません。
 そもそも医師と看護師は両方とも専門職として対等なのに、医師の下に看護師がいるという、いわば看護師を医師の補助的な役割とする昔ながらの認識がいまだに強く残っているんです。

 それって、どういう意味かわかります?
 看護師という仕事では、常に女性性が求められてしまうのです。
もちろん患者さんに寄り添った看護はプロとして必要です。
 でも、『女だからこれくらいして当たり前』といった見方が強い。
『女の癖にこんなこともできないのか』と叱られることもあります。
なのに産休が取りづらい空気があり、出産と育児のために退職し、その後、非常勤で勤めているというパターンが多いんです。
 極論を言うと、患者さんや医師のために自分を犠牲にしてでも、身を粉にして働くことが美徳とされてしまうのです。
そういった空気が、コロナ感染拡大でも余計に看護師たちを追い詰めているんじゃないでしょうか」

 ……さて、いかがだろうか。
 件のコメントにあったような連鎖退職は、今後さらに増えるのではないか。
私がコンタクトした他の医療関係者も、そのことを懸念していた。
第1波における、4月の緊急事態宣言のときも、松井一郎大阪市長が、「医療崩壊させないためのとりで」としてコロナ専門病院に位置付けた大阪市立十三市民病院では、多くの離職者が出た。
コロナ患者が一時的に減った6月ごろから医師や看護師らの離職が相次ぎ、10月までに医師4人、看護師14人を含む25人ほどの職員が病院を離れてしまったのだ(12月2日付朝日新聞)。

 朝日新聞の取材によれば、今回の第3波で病院を運営する地方独立行政法人大阪市民病院機構や市などは、市立総合医療センターなどから、看護師や医師を十三市民病院に派遣することを決めたという。
 しかし、十三市民病院の西口幸雄院長は「精神的な負担を考えると、離職を防げないかもしれない。
やっていけるのかという不安は変わらない」とコメントしている。

●今起きている問題、根っこはコロナ前から
 また、自衛隊の「看護官」ら10人が、旭川市の病院と福祉施設に派遣され、12月15日には7人が大阪市に設置される大阪コロナ重症センターに派遣されることになったが、看護官たちが普段勤務している自衛隊の病院でも多くのコロナ感染者を受け入れているので人手は限られる。
 岸信夫防衛相が「(医官と看護官の)余力を精査しているところ。
派遣要請をそのまま受け入れるのは困難を伴うと思う。
現段階ではできる限り対処していきたい」と12月8日の記者会見で述べたように、“看護官”も“看護師”と一緒。
厳しい状況で身を粉にして働いてるのだ。

 そして、何よりも問題なのは、もともと医師、看護師は、介護士と同様に人手不足が深刻な職種の代名詞で、1990年に1万2199床あった感染病床は、2019年には1888床まで減少しており(厚労省「令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」)、今回のようなパンデミックに耐えられる状況ではなかった。
 “医療崩壊”という言葉から、あたかも医療現場のひっ迫ぶりは「コロナによるもの」と受け止められがちだが、これまで繰り返し書いているとおり、コロナ禍で起きているすべての問題はコロナ前の社会に内在していたもので、それが顕在化したにすぎない。

 冒頭の医療従事者の話からもわかるように、医療現場にかねてあった“ひずみ”がコロナ感染拡大で、より激しくなってしまったのだ。
 だいたい夏前から「冬場の感染者は増える」と専門家たちが散々警戒を促していたのに、悲しいかなその声は届かなかった。
もちろん国だって何もしなかったわけではないし、それなりの準備はしてはいたのだろう。
が、備えは薄かったと言わざるを得ない。

 NHKが全国の医療機関で感染対策にあたる看護師を対象に調査したところ、「医療用の手袋が不足している」とおよそ60%が回答(「しつつある」も含む)。
価格が2倍以上になり、病院の経営もギリギリなので入手困難になっているという(12月8日付NHKサイトなど)。
 6月には厚労省が在庫が底を突きそうな医療機関を対象に優先的に配布したけど、全く足りていない。
世界的な品不足に加え医療現場以外の「必ずしも必要ではない人」たちが購入しているなど、「必要な人に必要なモノ」が届くようにコントロールできていないのだ。

●軽んじられる看護師たちの命
 必要な人も、必要な物も、必要な金も、足りていないのに、現場の人たちには「やる」という選択肢しかない。
いつだって不合理のしわよせは現場に押し付けられる。
医師も、看護師も、介護士も、保健師も、「労働者」である以前に「人」なのに、「人」として守られていないのだ。
 そんなギリギリの状態で「私」たちを助けるために踏ん張っている人たちに、刃を向ける人たちもいる。
あれだけ第1波のときにも、「医療従事者に心ない言葉をぶつけるのはやめて!」と医師たちが声を大にして訴えたのに、今もなお、医療従事者差別なるものが「ある」と知人の一人は断言する。

 大阪府が5〜7月に、新型コロナ対応にあたる医療従事者約1200人を対象に実施した調査では、13%が「中等度以上のうつ症状」にあることがわかり、日本赤十字医療センターが4〜5月に2000人に行った調査でも、3割が「うつ状態」。
 「人の命は何よりも重い」と誰もが言うけど、医師や看護師の命は?
 目の前の命を助けるために奮闘している人たちの命が軽んじられている。

医者は聖職でもなければ、看護師は天使でもない。
私たちと同じ「人」だ。
 なのに、その“当たり前”が忘れられている。
いや、正確には「忘れ続けられている」。
 その結果として、再び医療現場が戦場と化してしまったのだ。

 前述したとおり人手不足の代名詞である看護師だが、看護師の数自体は増えているのに全く足りていないという、日本ならではの問題がある。
 例えば、看護師の数だけを見ると08年の約87万7000人から、18年は約121万9000人で、10年間で約1.4倍も増加している(厚生労働省「平成30年衛生行政報告例の概況」)。
 また、海外と比較しても人口1000人あたりの看護師数は11.8人で、OECDの平均を上回り看護師の数は決して少なくない[Nurses(indicator)。
doi: 10.1787/283e64deen]。

 一方、制度が異なるので単純に比較はできないけど、病院ベッド100床あたりの看護師数はドイツやフランスの半分程度しかいないのに、看護資格の必要のない仕事(ベッドメーキング、配膳、薬剤などの在庫管理、心電図モニターの保守点検など)や医師の業務を任されていて、「看護師は専門職としてではなく、使いやすい安価な労働力とされ続けている」という批判もある。
 医療現場に代表されるヒューマンサービスの現場では、相手の人格やプライベートにまで踏み込んだ理解が必要な場合もあり、そこに費やされるエネルギーは並大抵ではないのに、看護師は「低賃金で都合よく使われている」。

 その背景にあるのが、看護師=医師の補助的な仕事=女性の仕事 という価値観の根深さだ。

●柔軟な働き方ができない看護師のリアル
 最近は、病院に行くと男性看護師が増えていると実感する人も多いかもしれないけど、男性看護師割合は7.3%(平成28年衛生行政報告例の概況)。
つまり、看護職は90%以上が女性で、「働く女性の20人に1人が看護職」といわれるほどジェンダー化されている。
 冒頭の医療関係者が指摘するように、育児との両立が難しいどころか、育児休暇を取るのも厳しい。
夜勤もあるので、家族の理解も必要になる。
 女性が活躍している職業なのに、女性であることの犠牲を強いられる。
柔軟な働き方だの、育児と仕事の両立だのといわれるのに、それができない環境がある。

看護師の数は増え続けているのに、その陰では(65歳以下で資格を持っているのに、現職の看護師として臨床現場で働いていない)潜在看護師も増え続けているという悪循環が生じている。
 一方、ジェンダー化されていることで、「男なんだから機械に強いでしょ」「男なんだからこれ運んで」といった男性看護師差別問題もあとを絶たない。

 厚生労働省の推計によれば2025年には6万〜27万人の看護師が不足すると推計されているのに、看護師さんたちが安心して働き続けられる環境になっていないのだ。
4年に1度行われる「平成30年度 厚生労働科学特別研究事業 『看護職員確保対策に向けた看護職及び医療機関等の実態調査』」でも、様々な事情や希望に対応した、柔軟な働き方ができるような環境整備が職場に求められていることがわかっている。
 そんな状況で起きたコロナ感染拡大。
今、この時間も必死で働いている医療関係者たちのために、私たちができること。
それぞれの立場でできること。たくさんある。
どうか誹謗中傷や差別だけは絶対にやめてください。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月30日

悲しい別れが多かったけれど…来年こそは明るい一年に!

山田邦子 人生いろいろ
悲しい別れが多かったけれど…来年こそは明るい一年に!
2020/12/29 日刊ゲンダイ

今年もいよいよ後少し。中止になった仕事もたくさんあったけど来年以降も続くようないくつかの新しい仕事とも巡り合った。
多くの友人に支えられ、どさくさに紛れて還暦も迎え、何よりも動ける体に、そして健康に感謝した。
 残念だが、悲しい別れもあった。
大先輩・内海桂子さん、浅香光代さん、林家こん平さん、小松政夫さん。お別れは仕方のないことかもしれないが、寂しい。来年2月になっても、もう桂子師匠と一緒に豆まきが出来ない。
小松さんは、バラエティー番組などでもたくさん共演させていただいたが、電線音頭やしらけ鳥、どーかひとつ長い目で、知らない知らない、アンタはエライ、ベンベラベラベラベン〜などなど、ギャグの宝庫。

中でも私は“小松の親分さん”が大好きで今でも気分を上げたい時には楽屋や、誰もいなければ道路でもツーステップをしながらやっている。
特に落ち込んだ時などにやると、全てがバカバカしくなってあっという間に元気になるので後輩や知人にもオススメしている。
実際の小松さんはクールでスマートだった。

 2020年は他にもいくつかの悲しいお別れが。
カッコ良かった・宍戸錠さん、上着をくれた・梓みちよさん、ダンディー・志村けんさん、ズバズバ明るい・岡江久美子さん、銀座でお花を買ってくれて「隠れファンです」と言ってくれた・渡哲也さん、可哀想だった・木村花さん、三浦春馬くん、竹内結子さん、いつもカッ飛んでいて元気な・山本寛斎さん、高田賢三さん、素晴らしい・坂田藤十郎さん他々、そして 天才・堅田喜三久さんも12月17日に虚血性心不全で亡くなった。

85歳。歌舞伎長唄囃子、鳴り物の人間国宝。
まさに日本の宝が逝ってしまった。
演奏、たたずまい、呼吸、その全てが一流で、初めて会った瞬間からとりこに。
邦楽の番組、公演、イベントなどでお世話になり「邦子ちゃんのことだったら」と、ペーペーの私ごときの発表会の演奏にも特別に加わってくださり、ありえない幸せをありがとうございました。

素顔はサングラスに革ジャンの時もあり、サッと現れ、お名前のとおり“きさく”な“かた”だった。
今年はコロナで流れてお会いできなかったが来年はまたずうずうしくもお願いしたい演奏会があった。残念だ。謹んでお悔やみ申し上げます。  さあいよいよ新年が来ます。

2021年は明るい年にしたいですね。
先輩たちが残してくれた良いものは受け継ぎ、新しいチャレンジもしていきますのでど
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月31日

病床逼迫・大寒波・変異種…新型コロナが日本の正月を直撃

病床逼迫・大寒波・変異種…新型コロナが日本の正月を直撃
2020/12/29 日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルス第3波の勢いが止まらない。
27日までの1週間平均の新規感染者数は3000人超と過去最多水準が続く。
28日から「Go To トラベル」が全国で一時停止されたが、時すでに遅し。
好転の兆しが全く見えない中、迎える年末年始。
新型コロナの3つの悪材料が横たわる。

【病床逼迫】
 医療提供体制は深刻な状態だ。
25日の厚労省の発表によると、コロナ感染者用の病床使用率は、23日時点で大阪67%、兵庫62%、群馬62%、高知60%、東京54%など8都道府県で、病床逼迫が最も深刻なステージ4(爆発的感染拡大)の指標50%を上回った。

ステージ3(感染急増)の指標25%超は、先月4日時点で5都府県だったが、23日時点では26都道府県と5倍超に膨れ上が っている。

 病床が逼迫する中、コロナ患者が増えるとの予測もある。
26日時点の東京都の患者(入院、宿泊、自宅療養、調整中の合計)は約7000人。27日時点のグーグルの予測は、12月24日から1月20日の28日間で都の患者数は、1日当たり最大1万2000人超と見込んでいる。
 医療提供体制が手薄になる年末年始に患者急増とは踏んだり蹴ったりである。

【大寒波】
 今年は30日ごろから日本上空に強い寒気が流れ込み、大寒波が列島を襲う見通しだ。
寒波は年明けまで居座るとみられている。
気象庁によると、正月三が日の東京の平年の最低気温は1・4〜1・6度だが、今年はマイナス1〜0度の予報だ。
27日の最低気温は5度程度で、正月は今より5〜6度程度低い。

北京大のグループは、気温が1度下がると感染者が約3%増えると解析している。
単純計算すると、気温要因で現在より15〜18%も感染者が増えかねない。

【変異種】
 英国で確認された感染力1・7倍の変異種ウイルスは世界各国に感染が広がっている。
日本でも、とうとう空港検疫以外で2人の感染が確認された。
さらには27日、英国滞在歴のある50代女性が、帰国時の検疫では陰性だったものの、その後、陽性だと分かった。
検疫をすり抜けての確認で、「水際対策」の限界が明らかになった。

ウイルスが市中に広がっている可能性も出てきたわけだ。
 加えて、日本で変異種ウイルスが発生する懸念もある。
「1日数万人の感染者が出ている欧米やアフリカに比べて、日本の感染者数はケタが少ないので、可能性は低いですが、日本国内で感染力が高い変異種が発生することも考えられます。
水際対策に加えて、日本で起きる変異にも警戒すべきでしょう。
英国はウイルスの遺伝子配列をしっかり調査していたので、変異種を早期に発見できました。ところが、日本の感染研などはウイルスの遺伝子調査や情報公開に後ろ向きです。タイムリーにウイルスの変異情報をつかんで対応できるのか疑問です」(医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(3) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月01日

本年のスタート いい年に

本年もよろしくお願いします。

牛2.jpg
tanuki06.gif体調が一定せず ご心配をおかけして
います。早く心身を安定させ 皆様のブログに
訪問したいです。
いい年にしていきましょうね。

posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(4) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月02日

年始に始める「新習慣」が、だいたい挫折で終わる根本原因

牛布袋様.png牛布袋様.png牛布袋様.png牛布袋様.png
箱根大学駅伝往路→神奈川大学のシード権獲得への応援もよろしく

年始に始める「新習慣」が、だいたい挫折で終わる根本原因
2021年01月01日 PRESIDENT Online

「目標にしていた英語の勉強ができなかった」「ダイエットがちっとも続かなかった」──昨年1年を振り返って嘆く人は多いのでは。
新しい習慣を「習慣化」できずにさまよう私たちのために、習慣化コンサルタント・古川武士氏がセブン‐イレブン限定書籍『習慣化のプロが教える 幸福感を高める7つの小さな習慣』(プレジデント社)を刊行。
同書から、やる気があってもなぜ「新しい習慣」が三日坊主で終わるのか、その根本的な理由について特別公開します。
※本稿は、古川武士『習慣化のプロが教える 幸福感を高める7つの小さな習慣』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■「新しい習慣」をなかなか身につけられないワケ
「いい習慣」を身につけることは簡単ではありません。
新しい習慣を身につけるのは非常に難しく、人間とは、いわば「続けられない生き物」なのです。
では、なぜ習慣化は難しいのでしょうか? 

その答えは、人間には「新しい変化に抵抗し、『いつもどおり』を維持しようとする傾向」があるからです。
人間を含む生き物は、環境の変化などに対して生理状態を一定に保つようにコントロールする働きを持っています。
「ホメオスタシス(生体恒常性)」と呼ばれるこの働きにより、わたしたちは周囲の変化から身を守っているのです。
たとえば、このホメオスタシスは体温にも見られます。
みなさんの体温は、気温が40度近い猛暑の日も、気温が氷点下となる真冬の日も、ほとんど変わりないですよね。
周囲の環境の変化に流されず、みなさんの体は自動的に体温を調節し、それぞれの平熱を維持しようとするのです。

■「変化」は、心にとって「脅威」
また、ホメオスタシスが作用するのは、体内環境に限りません。
心にも作用します。
たとえば、もし性格が周囲の影響でどんどん変わっていくとしたらどうなるでしょうか?
朝に社交的な人と会えばその影響を受けて社交的になり、昼に怒りっぽい人に会えば怒りっぽくなり、夜に心配性の人に会えば心配性になる……。

なんだかつきあうのも面倒そうですし、そんな人がまっとうな社会生活を営めるとはとても思えません。
体も心も、「いつもどおり」を維持できなければ、わたしたちは変化の波に振りまわされ、多くの問題に直面することになります。

人間にとって「いつもどおり」であることは居心地がよく安全で、変化は脅威なのです。
そして、「いつもどおり」を維持しようとするホメオスタシスは、習慣化のプロセスにも作用します。
わたしたちは、新しい習慣を身につけるという変化を脅威に感じるために、なかなか習慣化できないのです。

■習慣化を阻害する「心の機能」
わたしは、習慣化に作用するホメオスタシスの働きを、「習慣引力」と呼んでいます。
この習慣引力は、いまお伝えした2つの働きを持っています。

1つは、「新しい変化に抵抗する」というもの。
身につけようとしている習慣がどんなにいいものだとしても、変化には変わりありません。
変化は脅威ですから、わたしたちの脳は一生懸命に抵抗します。
そういう意味では、三日坊主を繰り返すことは、脳が正常に働いている証ともいえます。

そして、習慣引力のもう1つの働きが、「『いつもどおり』を維持する」というもの。
過度の飲酒や喫煙など、本人がどんなに「やめたい」と思っている悪習慣でも、なかなかやめられないのは、脳がその習慣を「いつもどおり」だと認識しているからです。
習慣引力が持つこれらの働きを思えば、「新しい習慣を身につけるのは難しい」ことがよくわかっていただけると思います。 でも、見方を変えれば、「習慣引力があるからこそ習慣化できる」ともいえるのです。

身につけたい習慣を一度「いつもどおり」に組み込むことさえできれば、その後は特別な努力など必要なく習慣を維持することができます。
それが「いつもどおり」のことになったからです。

■「複数の習慣を一度に身につけようとする」から続けられない
新しい習慣を身につけるのが難しいことの要因は、「習慣引力」の働きだけではありません。
「複数の習慣を一度に身につけようとする」ことも、習慣化を難しくさせている要因の1つです。
複数の習慣を一度に身につけようとした場合、その習慣化の難易度は、「成功しにくい」といったレベルではありません。
多くの人の習慣化をお手伝いしてきたわたしの経験からいえば、「無謀」という言い方をしてもいいでしょう。
でも、多くの人は、つい複数の習慣を同時に身につけようとしがちです。

■「やる気」が習慣化の邪魔をする
みなさんが新しい習慣を身につけようとしているときは、どんな気持ちになっているでしょうか?
 おそらく、「やる気満々で張り切っている」という人がほとんどであるはずです。
わざわざ新しい習慣を身につけようとしているのですから、「このままの自分では駄目だ!」「わたしは変わらないといけない!」「今度こそいい習慣をしっかりと身につけるぞ!」と思っているのですから、やる気満々で張り切っていて当然です。 すると、人間はつい欲張ってしまいます。

たとえば、「出勤前の朝に勉強をする」という習慣を身につけたいという人がいるとします。
では、その人は、「出勤前の朝に勉強をする」という習慣だけを身につければいいのでしょうか? 
その答えは、「NO」です。
そもそも、出勤前の朝に勉強をするには、その勉強時間を確保する必要があります。
つまり、「出勤前の朝に勉強をする」という習慣を身につけるためには、「早起きをする」という習慣も同時に身につけなければならないのです。

■複数のアクションを同時に習慣化することはできない
しかも、やる気満々で張り切っている人の場合、それだけで終わらないということもあります。
「せっかくだから」と考えるのです。
「せっかく早起きするんだから、勉強だけでなく運動もしよう」「せっかく早起きするんだから、勉強だけでなく掃除もしよう」というふうに、ついつい欲張ってしまうという具合です。

つまり、この場合には、「早起きをする」「出勤前の朝に勉強をする」「出勤前の朝に運動をする」「出勤前の朝に掃除をする」という、じつに4つもの習慣を一度に身につけようとしていることになります。
冷静に考えれば、そんなことが簡単にできるはずはありません。

■習慣化は1つずつ行うこと
きちんと早起きできたとしても、勉強する気にならないこともあるでしょう。
このケースの場合、勉強に加えて運動も掃除もしようとしているわけですから、たとえ勉強する気になっていたとしても、運動や掃除をする気にならないこともありえます。
そして、どれかひとつでもできなければ、「きちんとできなかった……」と思ってしまう。

すると、習慣化の天敵である、「どうせ自分にはできない」という「学習性無力感」におちいってしまうリスクも高まっていきます。
「習慣化」の際は、複数の習慣を同時に身につけようとすることなく、興味を持ったものから1つひとつ身につけていくことを心がけてほしいと思います。
   ----------
古川 武士(ふるかわ・たけし)
習慣化コンサルタント
習慣化コンサルティング株式会社代表取締役。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月03日

コロナ禍の"寝正月”睡眠リズムを崩さず早く取り戻す3つのコツ

年末イラスト.jpg牛2.jpg
箱根駅伝往路、皆様の応援のおかげで 神奈川大が8位でした。
今日の復路でシード権がとれるか決まります。昨日に増しての応援 よろしくお願いいたします。

たぬき02.gif
ロナ禍の"寝正月”睡眠リズムを崩さず早く取り戻す3つのコツ
2020年12月30日 日刊ゲンダイ

 コロナ禍で迎える今年の正月休みは、自宅にこもって“寝正月”なんて人も多いだろう。
ただ、深夜まで起きていて昼すぎまで寝ている……なんてパターンを休みの間ずっと続けていると、睡眠のリズムが崩れて休み明けに不調を招いてしまう。
睡眠リズムを大きく崩さず早めに取り戻す方法を東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏に聞いた。

 休み中も普段と同じ時間に起床すれば問題ないが、せっかくの休みだから寝坊したい。
そんな人でも、睡眠リズムを大幅に崩さないコツがある。
「睡眠のリズムは1時間ずれると元に戻すには1日かかるとされています。
ですから、正月休み中でも、普段の起床時間から3時間以内に起きるように心がけましょう。
その上で、仕事が始まる3日前くらいから起床時間を1時間ずつ早めていけば、スムーズに普段の睡眠リズムに戻せます」 

休み中にいつもより遅く起きる場合でも、起床したらすぐにカーテンを開け、日の光を浴びることが重要だ。
「睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンは、神経伝達物質のセロトニンをもとに作られます。
日の光を浴びるとセロトニンの分泌が始まり、脳と体を覚醒させます。

朝に光を浴びてセロトニンをしっかり作っておくことで、夜にはセロトニンからメラトニンが合成され、自然な眠りへ誘います」

■朝食でリズムのズレを調整
 また、良質な睡眠を取るためには、自律神経の日内リズムとバランスを整えることが欠かせない。
昼間は活動時に活発になる交感神経を優位にして、夜にはリラックス時に活発になる副交感神経を優位にする必要がある。
日の光は、自律神経の日内リズムをつくったり、調整するための基準になっている。

目覚めたらまず日の光を浴びる習慣を身に付けておきたい。
 起床したら朝食を取ることも睡眠リズムの調整にとって大切だ。
 われわれは、食事と食事の間=絶食している時間が最も長かった後の食事をきっかけに生体リズムをスタートさせる仕組みが備わっている。
ほとんどの場合、夕食と朝食の間が最も長い絶食時間だから、朝食を取った時点から自然と活動的になっていく。
朝食で生体リズムのずれを調整しているのだ。

「朝食は自律神経を目覚めさせる重要なスイッチです。
朝にしっかりスイッチを入れることで、その日一日の生体リズムがうまくつくられ、睡眠リズムも整ってきます。
起床してから1時間以内に取るのが理想的です」

 睡眠リズムを整えてすっきりした休み明けを迎えたい。牛2.jpg
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月05日

「今年こそ」を実現するほんの少しの取り組み

「今年こそ」を実現するほんの少しの取り組み
自分を好きになり、叶う目標を掲げるポイント
2021/01/04 東洋経済オンライン
大野 萌子 : 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。
昨年は、取り組みたいと考えていたことが、思うようにできなかった方が多いと思います。
もちろん、物理的に難しくもあり、状況が許さなかったこともあったと思います。
しかし、もしかしたら、「コロナ」を大義名分にして先送りしていたこともあるかもしれません。

実行できる目標の立て方
やりたい、したいと思っていたことが、長いことかなわないと、できない自分、できない状況を恨みがちになります。
自己否定にもつながり、前向きな気持ちを阻害して、モチベーションを下げてしまう原因にもなります。
達成感や満足感を次につなげていくためにも、実行できる目標を設定することが大切です。
そうした目標の立て方をお伝えします。

私の研修の中で、行っていることをご紹介します。
まず、「私は、○○できない」という文章をいくつか作成してみましょう。
日々やりたいと思っていることや、やりたくてもなかなかできずにいることを2〜3つほど挙げていただけるとよいかと思います。
「私は、部屋の掃除ができない」「私は、ダイエットを続けることができない」「私は、資格試験の勉強に取りかかることができない」などです。
いかがでしょうか。

書き終えたら、文章を書き直します。
すべての文末は、「〜できない」になっているかと思います。それを「〜しない」に変換して、文章すべて書きうつします。そして、書き直した文章をもう一度読み直してみてください。
胸に去来することが少なからずあるはずです。

先週も研修に参加していた方々の中から「うわ、確かに」「やられた」といった声が漏れ聞こえていました。
できないのではなく「やらない」「やっていない」だけのことが実はとても多いのです。
そもそも、すぐに取りかかれないということは、すぐに取りかかろうとしていないことでもあり、実は、ご自身の中での優先順位は低いのです。

人が行動に移す原動力は気持ちです。
もし、何が何でもやりたいという強い気持ちがあれば、できない理由を挙げるのではなく、何とかしてやろうとする方法を探し始めます。
それをしていないということは、ご自身では気づいていないうちに、やらなくてもいい目標を掲げ、やれない自分に自己嫌悪してしまっている可能性があります。
できない自分を感じ続けることは、それだけで、自己肯定感を低くしてまい、日々の生活の質を下げてしまいます。
ですので、思い切って、その目標は断捨離してしまったほうがよいかもしれません。
できないことを長いこと抱えているのは、かえってよくありません。
スッキリ手放しましょう。

今まで、抱えていたもやっとしたものがなくなれば、次の新しい目標が手に入るかもしれません
手放すと、そこに余裕ができるので、新しいことに気持ちが向くようになるからです。

物事は少しずつの積み重ね
しかし、もし書いた文章を読んで、「いや、手放したくない。
これは自分にとって大切で、やりたいことだ」と再認識したのなら、ぜひ今日から始めてください。
物事は少しずつの積み重ねです。
とにかくどんなことでもよいので、それにつながるようなことをささいなことでも始めることが大切です。
今日の1歩が大切で、続けていくことこそが目標を達成するためのプロセスなのです。
一度に全部をクリアしなくてよいし、そもそも一度にゴールまで達することなど不可能です。

例えば、小学生のお子さんが、理科が苦手で、得意にしたいという思いがあったとします。
国語は好きで、言わなくても宿題をしたり、問題集に取り組む。
ところが、理科だけはなかなか進まない。
もともと嫌で苦手なことは、そもそも苦痛を伴います。
毎日全教科1ページずつ、問題集をやるという目標を立てれば、途端に挫折するでしょう。
好きな教科、得意な教科は、1ページを難なくこなせても、理科はそうはいきません。
それでも、無理して計画を変えずにいたら、今日もできなかったと、ますます理科を遠ざけてしまい、苦手科目としての認識が強まってしまうと思います。
その場合の対策は、理科は1問にすることです。
たったの1つです。
問題1の(1)だけです。
これを毎日行えば、ひと月で30問、3カ月経つ頃には100問ぐらいを解き終えます。
この頃にはおそらく、最初の苦手意識はかなり改善されていると思われます。
いつの間にか知識が増えて得意にさえなっているかもしれません。

「雨垂れ石を穿つ」というように、嫌でもどうしてもやらなければならないなら、そんなに苦にならないほんのちょっとを積み重ねていくことで、知らず知らずのうちに変化が起こるのです。
私が学生時代に予備校の合格者体験で聞いた話です。
高校1年生のときに「東大に入るにはどうしたらよいですか」と先生に尋ねたら、まずピーナッツを1袋買うように指示されたとのこと、そして、これから3年間、1日も欠かさずにピーナッツを1粒ずつ食べることができたら、きっと合格するといわれ、それを愚直に実行し、1日も欠かさずピーナッツを食べて無事に東大に合格したという話でした。

目標を達成するために取捨選択から始めよう
もちろん、ピーナッツを食べたから合格したとは誰も思わないと思いますが、ほんの少しを継続できる力が実を結ぶことの力を実感していただけたらと思います。
小学生の勉強は、ある程度必須な部分があるとは思いますが、大人の皆さまは、まずは、目標の取捨選択から始め、繰り返しになりますが、思い切って手放すことを考えましょう。
それができない、したくないなら、ほんの少し毎日できることを見つけて、取り組んでいただけたらと思います。
今年の終わりには、きっと違う景色が見えていること間違いなしです。
皆さまにとって、目標達成の1年となりますように。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月07日

最強の第三寒波襲来へ、猛吹雪や大雪に厳戒を

最強の第三寒波襲来へ、猛吹雪や大雪に厳戒を
1/6(水) ウェザーニューズ
杉江勇次 | 気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

最強の第三寒波襲来へ
日本列島に再び強烈な寒波が襲来しようとしています。
今季の目立った寒波という意味では、昨年12月半ばの第一波、年末の第二波、そして今回の第三波ということになりますが、今回の寒波がこの三波の内で最も強力な最強寒波の襲来となりそうです。

上空1500メートル付近の寒気の強さを、第一波、第二波の解析値、及び第三波の予想値でみてみると、いずれも西回り(西日本周り)で流れ込んできていますが、福岡や鳥取に流れ込む強さでみてみると、第一波は−9度ライン、第二波は−12度ライン、そして今回の第三波はこれよりもさらに強い−15度ラインの南下が予想されています。

図中の濃い青色表示でも分かりますが、これは厳冬期の今の平年値よりも10度前後も低い、まさに数年に一度レベル(あるいはそれ以上)の強烈な寒波の襲来ということが出来るでしょう。

海水温は低下傾向でも要警戒
昨年12月半ばの第一波襲来時には群馬県や新潟県の山沿いで24時間降雪量が100センチ以上に達するような記録的な大雪となり、関越自動車道では大規模な立ち往生の被害も発生しました。

この時、話題となったのが日本海の海水温の高さで、第一波襲来時をみると、暖かかった秋の影響もあり、平年より2度前後も高く、日本海中部でも15度前後あります。
この相対的に暖かな日本海から多量の水蒸気が蒸発し、活発な雪雲(雨雲)が発生して降水量がかなり多くなったのが記録的な大雪の一因でもありました。
その後、年末の第二波襲来を経て冷やされた結果、徐々に海水温は低下傾向(2度前後低下)となっていますが、それでも直近の1月4日ではまだ全体として平年よりやや高い値となっています。
海水温はやや下がりましたが、上空の寒気は今回の第三波が最も強いということで、やはり今回も記録的な大雪となる所があるかもしれません。
なかでも降雪量が増えそうなのが活発な雪雲の流れ込みやすい新潟県を中心とした北陸地方で、24時間の降雪量は最大で90センチが予想されており、これが国道などを直撃すると再び大規模な立ち往生などが発生するおそれもあり、厳重な警戒が必要です。

もちろん北陸だけではなく、西日本の平地でも積雪が予想されますので、雪の降る所では、週末9日(土)頃までは不要不急の外出はなるべく避けた方が無難かもしれません。
”爆弾低気圧”で猛吹雪に 今回の第三寒波は大雪だけではなく、見通しがほとんどきかないような猛吹雪に厳重な警戒が必要です。
その原因は寒気に伴って急速に発達する低気圧、いわゆる爆弾低気圧の存在です。

7日(木)は日本海で二つの低気圧が発生し、それが夜には津軽海峡付近で一つにまとまり、さらに発達する予想です。
急速に(急激に)発達するため、低気圧周辺では平均風速20メートル前後、最大瞬間風速30メートルから35メートル程度の暴風となる予想で、特に低気圧が通過し、寒波襲来とともに非常に強い北西風の吹き付ける東北の日本海側では見通しのほとんどきかないような猛吹雪に見舞われるおそれがあります。

青森県、秋田県、山形県を中心に7日(木)夕方から夜にかけて、急激に天候が悪化するおそれがありますので、厳重な警戒が必要です。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月08日

医療危機に「国民のがんばり」で立ち向かう、戦時中と変わらぬ日本の姿

医療危機に「国民のがんばり」で立ち向かう、戦時中と変わらぬ日本の姿
2021.1.7 ダイヤモンドオンライン
窪田順生:ノンフィクションライター

緊急事態宣言の再発令で 疲弊する医療機関にトドメか
 いよいよまた、緊急事態宣言が発出される。
「再び全国で緊急事態宣言を出すべきだ」という声が世論調査などで6割を超え、専門家などからも「遅すぎだ」「もっと早く出すべきだった」という声があふれる中で、こんなことを言うと「非国民」扱いされてしまうかもしれないが、筆者は今回の緊急事態宣言には反対だ。

 まず、よく言われることだが、大した休業補償がない中で8時以降の営業をやめさせるというのは、飲食業などの人々への負担があまりに大きい。
前回の緊急事態宣言後に廃業や失業が相次いで、コロナの死者数を上回るほどの自殺者が出たことを踏まえると、社会へのダメージが大きすぎる。
 また、ただでさえ疲弊する医療機関にトドメを刺す恐れもある。

 昨年末、『医療崩壊の真実』(エムディエヌコーポレーション)を上梓した、全国800以上の急性期病院のビッグデータを有するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの分析でも、緊急事態宣言を境に多くの病院の経営が急速に悪化していることが明らかになっている。
外出自粛で新規感染者数は減ったが、同時に感染を恐れてコロナ以外の患者も病院に近づかなくなったことで、通常の医療をしている病院の収入がブツリと途絶えてしまったからだ。

 人の流れを止めれば、確かに感染者数は減る。
が、それは「カネ」の流れを止めることでもあるので、多くの人々が「経済死」する。
医療は商売ではないが、医療費で運営されている以上、この構造はそれほど変わらない。
つまり、緊急事態宣言の乱発は回り回って、疲弊する医療従事者の皆さんの「経済死」を招くことになり、医療体制をこれまで以上にシビアなものにするだけなのだ。  

という話をすると、「これだけ感染者が出ているのに、経済死だなんだと言っているような場合ではない!」と怒る方たちがたくさんいらっしゃると思うが、筆者からすれば、いくらコロナを恐れるからといって、それはあまりにも「経済死する人」の命を軽視している。

国民に「経済死」を強いる政府が まだ手を尽くしていないこと
 本来、国家が国民に「経済死」を強いるなどということは、最後の最後にやる奥の手だ。
しかし、今の日本政府はまだ手を尽くしたとは言い難い。
 その最たるものが、コロナ医療資源の「偏在」の解消である。
 今回の問題の本質は、1400万人という世界有数の大都市であり、医師が4万人以上、看護師が10万人以上もいる東京が、コロナ重症患者100人たらずで「崩壊」してしまったように、日本の医療資源のポテンシャルを活かしていない「戦略ミス」にあることは明白だ。
 前回の「『多すぎる病院』が、コロナ禍で医療現場の危機を招きかねない理由」の中でも触れたが、世界一病院も病床も多い日本で、諸外国と比べてケタ違いに数が少ない感染者、重症者によって医療がパンクをしてしまっているのは、よく言われる「2類相当の指定感染症」という非効率な対応方針もさることながら、コロナ治療に投入する医療資源が偏りすぎていることが大きい。

 わかりやすく言えば、一部の病院だけに重症患者が集中して「野戦病院」のようになっている一方で、コロナ患者を受け入れることなく、いつも通りにのんびりとした診療を行っている病院も山ほどあるのだ。
 この「偏在」の問題を解消したうえで、それでもなお持ちこたえられないというのなら、営業自粛でもロックダウンでもなんでもやればいい。というか、躊躇なくやるべきだ。

 しかし、今のコロナ医療はまだ見直すべきところが山ほどある。にもかかわらず、早々に「国民のがんばり」に依存するのは、あまりにもご都合主義というか、筋が違うのではないかと申し上げたいのだ。
「コロナの専門家でもないくせに、わかったような口を叩いて、医療従事者にすまないと思わないのか!」というお叱りを受けるだろうが、国民の一致団結が求められるムードの中であえてこんなことを言わせていただいたのは、これが日本の陥りやすい「負けパターン」だからだ。

「無策」を放置して、「国民一丸となって頑張るぞ」と突き進むと、結局最前線で戦っている人たちや国民に、多数の犠牲者が出る。
そんな悲劇が過去にもあった。そう、先の太平洋戦争だ。
 いろいろな分析がなされているが、日本が戦争に敗れてしまった原因の1つに「無策」があったということに、賛同する方は少なくないのではないか。
 その象徴が、一説には140万人とも言われる日本軍の膨大な餓死者だ。自身も復員経験のある歴史学者の藤原彰氏の『餓死した英霊たち』(ちくま学芸文庫)によれば、日中戦争以降の軍人・軍属の戦没者数約230万人のうち、140万人(全体の61%)は餓死、もしくは栄養失調による病死だと推察されるという。

「国民のがんばり」に頼って 大量の犠牲者を出した戦時中の教訓
 なぜこんなことが起きたのかは、専門家によって意見もさまざまだ。
「兵站」を軽視していたという人もいれば、「いや、日本軍のインフラは当時でも世界トップレベルだった。能力以上に戦場を広げすぎたことが敗因だ」という人もいる。
 いずれにせよ、「お国のために1人でも多くの鬼畜米英を殺して来い!」と送り出され、時に玉砕まで命じられた日本の若者たちの多くは、戦闘ではなく飢えや病で亡くなっているのだ。

「無策」のツケを「国民のがんばり」で払うという意味では、これほどわかりやすく、これほど残酷なケースはない。
 もちろん、この構造は戦地の兵士だけではなく、国民にも当てはまった。
「欲しがりません勝つまでは」などというスローガンのもとで、「贅沢は慎め」と自粛ムードが社会を支配する中で、国民一丸となって頑張った。
飛行機をつくる鉄が足りないと鍋や釜を差し出して、食料も取り上げられて「経済死」をする人もたくさんいたが、「戦地で戦う兵隊さんのため」と文句を言わずに歯を食いしばった。
 しかし、戦地で140万人の餓死者が出たことからもわかるように、この「国民のがんばり」は意味がなかった。

戦争に負けたのは、日本人の「がんばり」が足りなかったからではなく、もっと根本的な国家の方針や、戦争のやり方が間違っていたからだ。
 つまり足りなかったのは、世の中のムードに流されず、「この方向で突き進んだらやばいかも」と立ち止まる勇気や、自分たちが置かれた状況を客観的に分析する、冷静な視点だったのである。
 そんな戦時下のムードと、昨年1年間の日本のムードは妙に重なる。
「コロナに負けるな」「みんなでステイホーム」などのスローガンのもと、自粛ムードが支配する社会において、国民一丸となって頑張った。
営業自粛を強いられて「経済死」をする人もたくさんいたが、「現場で戦う医療従事者のため」と文句を言わずに歯を食いしばった。

責任感の強い人たちは、自粛をしない人たちを探し出して注意もした。
感染拡大地域のナンバーをつけた自動車に石を投げる人もいた。
やっていることは、戦時中の「非国民狩り」と変わらなかった。
 しかし、そんな国民の血のにじむような努力も、最前線の医療従事者を救うことはできなかった。
日本看護協会が昨年、コロナ感染者を受け入れた病院の21%で看護師が離職したことを明らかにしたことからもわかるように、「第1波」時程度の感染者数であっても、コロナ医療の現場は日本軍のガタルカナル島の戦いのように、厳しい消耗戦を強いられたのだ。

 戦時中の国民の自粛が最前線の兵士にとって何の役にも立たなかったように、「国民のがんばり」がコロナ医療の現場に届いていないのである。

政府が後ろ向きな緊急事態宣言を 自ら求める日本人の「自粛意識」
 ただ、このような共通点もさることながら、筆者が今の日本と戦時中の日本のムードが丸かぶりだと感じるのは、政府が後ろ向きな「緊急事態宣言の発出」を多くの国民が望んでいるという点だ。
要するに、国民の「自粛意識」が政府のそれを飛び越えてしまっているのだ。  実は、戦時中もそうだった。
わかりやすいのが娯楽規制だ。
 戦争中の映画、ラジオ、演劇、落語などの大衆娯楽は軍部が厳しく弾圧したというイメージが定着しているが、最近の研究ではそうではなく、軍は国民の「自粛ムード」に突き動かされていたことがわかっている。

 金子龍司氏の『「民意」による検閲―「あゝそれなのに」から見る流行歌統制の実態』(日本歴史 2014年7月号)によれば、ラジオの選曲が西洋風だと「日本精神に反する」と怒りのクレームを寄せる「投書階級」と呼ばれる人々がたくさんいた。
投書は年間2万4000件にものぼり、番組編成や検閲当局にも影響を与えていたという。
言論統制や娯楽統制を強く求めたのは、軍ではなく実は「民意」だったのだ。

 当時の日本には、このようなポピュリズムが蔓延していた。
『戦前日本のポピュリズム』(筒井清忠著 中公新書)でも、大衆を支持基盤とする近衛文麿とポピュリズム外交をしていた松岡洋右が、日本の開戦を引き返せないところまでもっていったとして、日米開戦を引き起こしたのはポピュリズムだったと考察している。

令和日本のポピュリズムが 「コロナ敗戦」を招く
 令和日本にもそんなポピュリズムの匂いが漂う。
菅義偉首相は緊急事態宣言に対してずっと消極的な姿勢を貫いていた。
しかし、世論調査で支持率が急落して世間から叩かれ始めた途端、あっさりとその信念を覆した。
ニコニコ生放送で「どうも、ガースーです」などと柄にもないことを口走ったように、菅首相もポピュリズムに傾倒しつつあるのだ。

 ということは、令和日本も太平洋戦争時の日本と同じ道を辿る恐れがあるということでもある。
つまり、最前線で戦う人々が援軍もないまま次々と倒れているのに、「戦略ミス」を認めず、ただひたすら国民に「自粛」を呼びかける。
根本的な問題が解決されないので、犠牲者はどんどん増えていくのだ。

 ちなみに今問題になっている、政治家が国民に自己犠牲と我慢を呼びかける裏で、実は優雅な会食やパーティをして叩かれるという現象は、太平洋戦争時にもあった。
時代背景は違うが、社会のムードは驚くほど酷似している。

 今回の「戦争」の犠牲者は、前回と異なって「経済死」や「自殺」なのでわかりづらいが、今のまま「国民のがんばり」で押し切ろうとすれば、甚大な被害を招くはずだ。
ましてや数カ月先には、100人程度の重症患者で医療崩壊している東京で、世界中からアスリートを招いて五輪を開催するという「無謀な作戦」も控えている。
「コロナ敗戦」という言葉が頭にちらつくのは、筆者だけだろうか。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月10日

「正義に燃える人」ほど他人に危害を与えてしまう理由

「正義に燃える人」ほど他人に危害を与えてしまう理由
1/9(土)  東洋経済オンライン
弘兼 憲史 :漫画家

正義を尊ぶ気持ちは、時に他者を傷つける刃ともなりうる。
正義感に溺れてしまった人の危うさを、『島耕作』や『黄昏流星群』などでおなじみの漫画家・弘兼憲史氏による新書『弘兼流 やめる! 生き方』より一部抜粋・再構成してお届けする。

 僕は全共闘世代ですから、大学時代には人とぶつかったほうがカッコイイと思って、ディベートなどをやった時期もありました。
 当時、大部分の学生たちは確固たる思想があって討論しているわけではなかったので、自分が間違っていると気がついても突っ張って曲げようとしません。
それで最後はつかみ合いになる。
そんな現場を見ているうちに、「くだらんことだなあ」と思って参加するのをやめました。
「人と言い争ってもプラスになることはない」「人とぶつからないようにしよう」と思うようになったのは、その頃からです。

■「正義」が抱える危うさ
 僕が大学生だった1960年代の後半は、正義の名のもとにベトナム戦争に介入したアメリカが戦線を拡大する一方で、反戦運動が盛んになっていく時代でした。
 「正義」によって戦争をするということは、「自分は正しい」という大前提のもと、「対立するやつらは悪だ」「だから懲らしめる」という論理。
お互いの国に正義があるから戦争になるのです。

だから、正義を声高に主張するのは、相手の立場を受け入れないという意思表示でもあるわけです。
 こういうことに気づいたときから、正論を主張したり正義をかざしたりすることはやめました。
そういう「議(自分の中にある意思)」というものは口に出さず、自分がやるべきことを黙ってやればいいと思うようになったのです。

 「自分からは争いに参加しない」という考え方は、今も変わりません。
誰かとぶつかりそうになったら、その場から逃げるか、話題を変えます。
 新型コロナウイルス感染が広がる中で現れた「自粛警察」と呼ばれる人たちは、感染症という不安や恐怖が根底にあるものの、論理は過激な反戦運動家と同じです。

 感染を防ぐためにはマスクをしていなければいけない、ソーシャルディスタンスを守らなければいけない、他県から移動してくるなんてもってのほかだ、という正義を掲げて、相手にどういう事情があるかということは考えずに懲らしめようとするわけです。
 不安の裏には必ず願望があります。
自粛警察と呼ばれる人たちは、安全でいたい、健康でいたいという「願望=自分の正義」を脅かされることが怖いために、視野が狭くなり、感染症の実情や他人の事情が見えなくなってしまうのでしょう。
まじめに自粛している自分の正義を否定されたくないという願望もありそうです。
 正義を口にしたくなるのは、自分の願望が脅かされることへの恐れから生まれるものだということがわかれば、そこで争う必要などなくなります。
黙って自分の不安や恐れと向き合い、冷静に願望への対処を考えればいいのです。

■争わなければストレスも減る
 テレビの仕事をしている頃、何度もオファーをもらっていたのに、自分の中でこれだけは出るのをやめようと決めていた番組がありました。
深夜から朝まで討論する有名な番組です。
お互いに自分が正しいということを声高に主張し、相手を否定し合う、議論とはほど遠い内容が嫌だったからです。
 視聴者は、論破というよりも、大きな声と矢継ぎ早の口調で誰かが誰かを打ち負かすところが観たいのでしょう。
そんな討論ショーに自分が出ても何のプラスにもならないと思って、ずっとお断りしていました。

 銀座でクラブ活動(笑)をしていた頃には、知らない男から「あんたの漫画はつまらない」などと絡まれることもありました。
 学生時代だったら、正論をかざして相手を論破しようと思ったでしょうけど、「それは失礼しました。これからはもっと面白い漫画を描けるように頑張ります」とあしらって、その場を離れました。
 最初から争うつもりがなければ、ムキになることもなく、ストレスを感じることもないのです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月22日

人生の失敗・不幸はすべて自分の責任?安易な「自己責任論」が追いつめる先

人生の失敗・不幸はすべて自分の責任?安易な「自己責任論」が追いつめる先
1/22(金) 現代ビジネス..吉野 なお(モデル)

 生活の困窮、パートナーからのDV、予期せぬ妊娠……コロナ禍で苦境に立たされる人が増えている。
SNSやネットニュースのコメントでそんな状況の告白に対して、自己責任や考えの甘さを指定するレスが、増えている。  SNSを中心に、体型に関するポジティブなメッセージを配信し続けている、プラスサイズモデルの吉野なおさん(モデル名:Nao)のところにも、自己責任論を突き付けられて苦しむ人たちからの悩みが増えているという。

 「太ったのはだらしない生活のせい」「デブと言われるのは自業自得」「心が弱いから摂食障害になる」といった刃物のような言葉たち。
今回は、ネットに増加する、呪いの「自己責任・自業自得」について、自らの経験とともに執筆してくれた。

人生の失敗や不幸はすべて自分の責任なのか?
 あなたはこれまでの人生で「あのとき、あんなことしなければよかった」「別の選択肢を選べばよかった」と後悔したり、反省した経験はあるだろうか? 
 就職した会社がブラック企業だったとか、良い人だと思って付き合ったらモラハラ男だったとか、安く買えたと思った物がすぐ壊れてしまったとか。
物事の程度に差はあれ、後になってもっと良い選択に気づくパターンは、誰もが身に覚えがあると思う。

 日本人の私たちは、日常生活で悪いハプニングが起きると、その人自身の過去に悪い原因を探してしまいがちだ。
「日頃の行いが悪かった」「因果応報だった」「自業自得だった」などの言葉で受け入れ難いことをまとめようとしたりもする。
でも、何も悪いことをしていなくても、良い行いをしていても、悪いことは起きるし、止むを得えず導き出した答えの後、ハプニングが起きることだってある。

 最近、ニュースやSNSをみていてちょっとモヤモヤすることがある。
それは『その状況にならざる負えなかった人』が傷付き助けを求めているときに、「あなた自身に問題の原因がある」と責め立てる人を見るときだ。
 例えば、コロナ禍で生活が困窮している人に「貧乏は個人責任。仕事はいくらでもある」、モラハラ夫に苦労している人に「悪い人だと見抜けず結婚したあなたが悪い」、コロナ感染した人に「そこへ行ったあなたにも責任がある」などなど……。すでに傷ついている人の傷を更にえぐる言葉が最近、あまりに増えている。

 人の人生は簡単に他人に語れるほど単純ではないのに、表層の情報とイメージで他人を解釈し、傷ついた人を説教するくだりには、傲慢さを感じてしまう。
もう変えることができない過去の原因や選択を責め続けても、困っている現状は変えられないのに……。

『自己責任』という言葉が人をより孤独にさせる
人から非難やマウントをさけて、声に出せなくなっている人も……。
 かくいう私も、『自己責任』『自業自得』という言葉に囚われ、人を頼りにできなかった経験が何度かある。
 私は、昔から人を頼りにするのが下手だった(今でも得意な方ではないけど)。
 例えば、オフィスワークの仕事をしていた時には、『他人に頼むより自分がやればいいや精神』『頼まれたら断れない性格』で仕事を抱え込み、キャパオーバーになって体調を崩した。
摂食障害だったときには、余計な心配をされないよう他人の前では『大丈夫な人』のフリをして明るく自分のキャパ以上に明るく振舞っていたが、心の中はまったく大丈夫ではなかった。

 モラハラ男性にひどい扱いをされたときも、その事情を知って助けてくれようとしてくれた人がいたのに「いいのいいの、大丈夫!」と頼らず自己解決しようとしたことで、状況が悪化した。
あのとき素直にその助けに乗れていたら、どうなっていただろうかと思う。
 でも当時の私は、例え目の前に自分の声に耳を傾けてくれる人がいたとしても「自分の性格や考え方が悪いのだ」「相手に迷惑をかけてしまうかもしれない」という思考になっていて、悪い状況であっても今のままでいるほうが、リスクを減らすことができると感じて、頼ることができなかったのだ。
過去の私のような思考に陥っている人は少なくないように思う。

 いざ勇気を出して相談してみたところで、万が一『つらい人はもっといる理論』や『根性論』を持ち出されたりすると「もう誰にも話さないでおこう」となってしまったり、相談すべき相手を間違えてしまう場合もある。
 よく「独りにならないで」という言葉があるが、これは物理的に誰かと一緒にいることが大事なのではない。
本当の孤独や不安は、誰かと一緒にいるときにも感じるものなのだと思う。

 仕事・人間関係・子育て・介護など、自責して自己解決しようとしたことで心身の病を患ったり、『正しい人』を頼れず物事がもっと悪い方向へ進んでしまったという話は、枚挙にいとまがない。
切羽詰まった人間は、他の選択肢に気づけなかったり、判断力が鈍ってしまうからだ。
家族の無理解な助言が孤立を深めてしまうことも 認知のゆがみが起きている摂食障害。
ここへの理解なく、食べろ食べるな、そんなことになるのはおかしい! という声は逆に症状を悪化させてしまう。
 過去に私自身が摂食障害だったこともあるので、摂食障害に苦しむ女性からよく相談を受けるのだが、よく聞くのが、家族に過食症の症状を否定されるという悩みだ。

 過食症は、理解の無い人からすると『単なる大食い』だと思われることが多い。
そういった無理解な人が身近な存在の家族にいると「また食べてるの!? 太るよ!」「いい加減にしないと怒るよ!」と呆れられたり、ひどいときには家族の勝手な判断で食べ物を隠されてしまったりする。
こういった否定や拒否行為は、本人にとっては相当つらいことになり、逆効果になることも多い。
本人にとっても過食症は辞めたいことであり、自責していることであり、そして、自分の意思ではコントロールできないから困っているのだ。
 また過食症のことを家族に説明しても「考えすぎ。あなたがそんな病気なはずはない!」(家族は励ますつもりでこういった言葉を使いがちだ)なんて言われると、家庭の中で落ち着く場所が無くなっていく。
『過食症』を知らない人には、過食という行為自体に問題があるように見えるが、そういった症状が起きている背景に、このようにもっと複雑な問題が起きている場合がある。
これでは逆効果で、本人はますます一人で我慢していくことになる。
 この場合だと、理解のない家族と距離を置けるような、働いていて自立できるような状況であればまだ良いが、働く気力も金銭的余裕もない場合は、八方塞がりになってしまう。
また、過去の私のように「これは自分の問題で、人に話しても解決しない」と思い込み、友達やカウンセリングに相談しない人も多い。

傷ついた人が求めているのは「共感」
周囲の声を恐れ、相談できず孤立してしまったり、間違った相手に相談をし、闇の中に埋もれてしまうケースも。
 そういった“心の居場所”の無い状況下で、SNSを通して話を聞いてくれる男性が現れ「可愛いのに、かわいそう」「僕なら理解してあげられるのにな」「そんなに困ってるなら、家においでよ^^」と言われたら、フラっと行ってしまう人もいるかもしれない。
側から見たらどう考えても怪しいのに、本人からすると藁をも掴みたいみたい状況なのだ。

 心の居場所の無い女性を探し当て、利用したり支配しようとする男性は残念ながら実在する。家出したい少女をSNSで待ち構えている輩や、「自信がない女は褒めればすぐに落とせる」と解説する輩までいる(裏を返せば、それは対等な立場の女性と向き合えないということでもあるのだが)。
 「でも、需要と供給があってるんだからいいだろう」と弁明する男性もいるが、彼女たちが本当に必要な繋がりは、もっと別なところにあるのではないだろうか。
1月5日に死刑確定した『座間9人殺害事件』が過去に発生しているが、こういった犯罪に巻き込まれる可能性は大いに高くなる。

 また、これは女性に限ったことではないが、金銭的余裕の無い人に対し投資という名目の詐欺や、犯罪の共犯を持ちかける行為も存在する。
「誰にでも出来る簡単な仕事です! スマホ一台で完結します!」という言葉に誘われ、怪しいネットワークビジネスに契約させられたり、何かの運び屋や振り込み詐欺の出し子になってしまった話もある。

 日本でも少しずつカウンセリングに行く人が増えてきたように感じるけれど、まだまだ心に抱える悩みを自己解決しようとする人は多い。
私も以前は『人に相談すること=意味がない』と諦めていたので、その気持ちはよくわかる。
しかし今思うと、身の回りの人やカウンセリングに相談することだけが選択肢ではなかった。
当時は知らなかっただけで、ピアサポートや悩み相談ホットライン、NPO支援団体など、利用できるサービスが様々あったのだ。
そういったところを当たってみれば、生きやすくなる選択肢がもっとあったのかもしれない。

 『自立とは、依存先を増やすこと』という言葉を最近よく耳にする。
主催したワークショップイベントや講演に参加した女性たちからも「自分以外にも同じように悩んでいる人がいると知れてよかった、共感できて少し安心した」などと言われることがよくある。

 コロナ禍の今、SNSなどのネットツールがコミュニケ―ションの大きな柱になっている。
だからこそ、他者への言葉には心を砕きたいと思う。
困った人や傷ついた人にまず必要なことは、少なくとも「自己責任でしょ」「自業自得でしょ」と責められることではなく、『共感』という癒しなのだと思うのだ。
posted by 小だぬき at 10:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月26日

コロナ患者「退院後12.3%死亡」の衝撃!回復しても3割が再入院

コロナ患者「退院後12.3%死亡」の衝撃!回復しても3割が再入院
1/25(月)  日刊ゲンダイ

 回復したからといって安心ではない――。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く英国で衝撃の研究結果が発表された。
退院した新型コロナ患者の3人に1人が5カ月以内に再入院し、うち8人に1人が亡くなっているというのだ。
 ◇   ◇   ◇
 研究論文を発表したのは、英レスター大と国家統計局から構成される研究チーム。
昨年1月から8月末までに入院していた英国内の新型コロナ患者を対象に追跡調査を行い、コロナに感染していないグループと再入院の割合や死亡率を比較した。

 査読をまだ受けていない論文ではあるものの、研究結果によると、治療を受けて退院しても、短期間に再入院や死亡する割合が高いというから驚きだ。
 論文によると、退院した元コロナ患者4万7780人のうち29.4%が退院後140日以内に再入院。
さらには、全対象者のうちナント、12.3%が死亡したという。
しかも、コロナ感染していないグループと比較すると、再入院は3.5倍、死亡率は7倍も高かった。

 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)がこう言う。
「回復したにもかかわらず、1割以上の人が亡くなるとは、感染症では考えられません。
普通なら『治ったら終わり』ですからね。
例えば、糖尿病や心臓病など、持病のある高齢者がコロナ感染によって体力を削られ、回復しても亡くなってしまう、ということは考えられます。
高齢者だけに限って調査しているわけでもないので、いずれにしても、なかなか説明のつかない数字です。
コロナウイルスとの因果関係が認められるのか、英国だけの現象なのかなど、さらに精査する必要があるでしょう」

■高齢者や民族集団に限定されるものではない
 回復後の死亡リスクが論文の数字通りに高いのであれば、「治ったから安心」なんて考えは通用しない。
研究グループは論文で、コロナ回復後の患者に生じた意図しない症状や病気などの「有害事象」はコロナに感染していないグループに比べ、呼吸器障害や糖尿病、心疾患や腎臓病の割合が高いと指摘。こう結論付けている。

〈コロナ感染後に退院した患者は死亡や再入院、多臓器不全の割合が高く、そうしたリスクの増加は高齢者や民族集団に限定されるものではない〉
〈回復後の症状に関するリスク要因をさらに理解するため、緊急の調査が必要であり、そうすることで、統計的にも臨床的にもリスクにさらされている集団に、より適切な治療を提供できるだろう〉

 コロナ感染の後遺症で倦怠感や味覚・嗅覚障害などに悩まされている人もいる。
 注意してもし過ぎることはない。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月07日

なぜ、日本は「ワクチン後進国」なのか? 豊田真由子が思う「理由」と「背景」

なぜ、日本は「ワクチン後進国」なのか?
 豊田真由子が思う「理由」と「背景」
2/6(土) まいどなニュース

新型コロナウイルス感染症の収束に向けた鍵のひとつは、ワクチン接種です。
しかし、日本の国産ワクチン開発はなかなか進まず(行われてはいます)、そして、購入を約束していた海外メーカーのワクチンは、(当然に予想されたことではありますが)世界で争奪戦の様相を呈しており、新型コロナワクチンが日本国内に入ってくるのは、当初の予定より大幅に遅れることが判明しました。

こうした中で、「日本は世界有数の科学技術・経済大国であるはずなのに、どうして、国内でワクチンが製造されず、輸入に頼らなくちゃいけないの?国や国内のメーカーは、何をしているの?」というご質問を受けます。
実は、これには、歴史的経緯に基づく、日本の特異な事情があります。

物事は、なんでもそうだと思いますが、「ある特異な状況が生じるには、相応の理由・背景があり、その状況を解決するためには、その理由・背景がなんであるかをきちんと知り、そこから根本的に対応していく必要がある」と思いますので、そこを明らかにしていきたいと思います。
(※「ワクチンの効用とリスクを考える」(2020年12月4日)も、併せてご参照ください。) 主な理由として、以下のようなことがあります。

(1)1970年代からのいわゆる「予防接種禍」の帰結として、国、国民、メディア、メーカー等が皆、予防接種そのものについて消極的になり、国内の開発・製造力が、極めて限定的になった。
(2)新興感染症への対応は、国家の危機管理の問題であり、ワクチンは、国と国民を守るための国防のひとつでもある、という意識が欠如している。
  ◇   ◇   ◇
(1)予防接種禍を受けた流れ
日本は1980年代まで、世界的に見てもワクチン開発国のひとつでした。
しかし1970年代以降、種痘(天然痘)ワクチンによる脳炎や、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風三種混合)ワクチン、MMR(麻疹・流行性耳下腺炎・風疹新三種混合)ワクチンによる無菌性髄膜炎など、重篤な副反応の報告があり、ワクチンへの不信感が広まっていきました。

そして、国の責任や補償について、各地で集団訴訟が相次ぎ、裁判は長期化。結果として、国側の敗訴あるいは和解となり、「予防接種は効果の少ない一方で、副反応が多発するこわいもの」という、正しくない認識が、国民のみならず医療者の間にも定着してしまいました。

特に予防接種は、乳幼児を中心にしたものでもあり、保護者の間に、子どもにワクチンを受けさせたくない、という考えが広まりました。
こうしたことにより、国は予防接種に消極的になり、以降、ワクチン政策はほぼ止まってしまいました。

1994年の予防接種法改正により、接種要件が「義務」から「勧奨」接種へと緩和され、接種形態も「集団」から「個別」接種へと、移り変わっていきました。
このような状況を受け、それまで世界に先駆けて、水痘や、百日咳、日本脳炎ワクチンなどの開発に取り組んできた日本の製薬業界も消極的となり、国内での新たなワクチンの大規模な開発は、ほとんど行われなくなりました。
2000年代に入っても、日本脳炎ワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(ADEM)発症やHibワクチンと小児用肺炎球菌ワクチン同時接種後の死亡事案、子宮頸がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種勧奨差し控え等の事例があり、ワクチンの負の面を強調する報道もあり、国民の不安は増大しました。

もちろん、実際に重篤な副反応で亡くなった方・苦しむ方とご家族にとっては、本当に取り返しのつかないことであり、甚大な苦しみであり悲しみです。
『ワクチン接種によって、重篤な副反応が発生する確率は高くはない(数十万人・数百万人に一人程度)』といっても、ご本人とご家族にとっては、それは『1分の1』、人生のすべてなのです。
公的な救済も必要ですし、耐え難い苦しみを、広く伝え、理解を深めていくことも、とても大切です。
ただ、そのことと、社会全体におけるワクチンの効用を否定することは、やはり、分けて考える必要があります。

一般的に、ワクチンを接種することで、一定程度、個人の感染を予防する・重症化を防ぐことができ、公衆衛生の観点からは、ワクチン接種により地域や国で多くの方が免疫を得ることで、感染拡大を抑えることができます。
ワクチンを接種しなかったことで、「接種していたならば失われなかった命」が失われ、「接種していたならば救えたはずの重症化や後遺症」が生じます。

我が国では、麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜなど「ワクチンで予防することができ、他の先進国では、ほぼ制圧された疾患」の流行が繰り返されています。
これを日本人が旅行等で海外に持ち込むため、例えば海外メディアで「日本は麻疹の輸出国」などと非難・揶揄されることがあります。
これは、「感染症の発生動向を監視し、ワクチンによって感染症をコントロールするという戦略そのものの考え方」の問題ですから、当然、新型ウイルスによる新興感染症への対応についても、この流れが続くことになります。

2010年6月、新型インフルエンザ(H1N1)パンデミックを受け、専門家による対策総括会議は「ワクチン製造業者を支援し(略)生産体制を強化すべき」と結論付けました。
国内のワクチン生産力は著しく衰えていましたので、政府の資金的支援が必要でしたが、実際に行われたことは逆でした。
国の研究機関における基礎研究と、民間企業の開発応用を、資金的に橋渡しする財団が、いわゆる『事業仕分け』の対象となり、国として研究開発をサポートする仕組みは機能しませんでした。

今、日本で新型コロナワクチンが手に入らないことには、こうした経緯・理由があります。
したがって、こうしたことを踏まえた上で、では、一体、今後どうしていくことにするのか? 「ワクチンには、態様・頻度は様々であるが、避けがたい副反応が出ることがある。リスクをゼロにはできない。
それでも、ワクチンには、個人・社会の感染を防ぐ、死者・重症者を減らすという重大な効用がある。
だから、希望する人がワクチンを使用する。」ということの意味を、改めて、考えるべきときだと思います。

(2)感染症対策のひとつであるワクチンは、国の危機管理の問題
日本が購入予定の新型コロナワクチンのひとつに、米バイオ企業モデルナのmRNAワクチンがあります。
モデルナは、2010年創業、2014年からワクチン開発に参入した新しい企業ですが、新型コロナ禍が発生すると、2020年3月半ばにはすでに臨床試験を開始しました。
「ワープ・スピード」を掲げる米政権の後押しを受け、モデルナには米国保健福祉省の生物医学先端研究開発局(BARDA)経由で9億5500万ドルの補助金が出され、米政府は、1億回分を15億2500万ドルで購入する契約を結んでいました。
これは、新型コロナ禍が発生してからの政権の動きですが、本当のポイントは、それよりずっと前にあります。

モデルナは、2013年の段階で、mRNAワクチン等の開発で、国防総省傘下の防衛先端技術研究計画局(DARPA)から、約2450万ドルの補助を受けていました。
これは何を意味するのでしょう?
人類の長い歴史を見ても、戦争においては、直接の戦闘によるものだけではなく、飢餓や疾病、特に感染症による軍の被害は甚大でありました。
特に、軍が、大きく地域を移動し、「その現地の人々にとっては一般的であっても、当該国の兵士にとっては、免疫を持たない新たなウイルス」に直面した場合、当該軍における感染は急激に拡大します。

したがって、国防という観点からも、「感染症を如何に防御するか」というのは、極めて重大な問題なのです。
(なお近年は、細菌・ウイルス兵器への対応等も求められています。) 新興感染症対策は、国家の危機管理の問題です。

台湾が2019年12月末の時点で、いち早く武漢での新型肺炎の発生を、WHOに報告できたのはなぜか?韓国が、個人のプライバシーも含め、国民に対する国家の強いコントロールが可能になっているのはなぜか。(一般論として、これが民主主義国家として望ましいかどうか、という議論は、もちろんあるわけですが。)

イスラエルで、すでに国民の36%(330万人)が、新型コロナウイルスワクチンの接種(一回目)を終えられた(2021年2月5日現在)のはなぜか?
もちろん、SARS,MARSなどの教訓を踏まえているといったこともありますが、そもそも、これらの国・地域は、それぞれ、中国、北朝鮮、アラブ諸国と、極めて高度の緊張関係にあり、国と国民の中に、戦時危機とそのために何をすることが必要であるか、という意識が常にあります。
「国と国民の命を守る」ということについて、政府や国民が、常日頃から、どれだけ真剣に考え、具体的に準備をしているかが、反映されているのです。
  ◇   ◇   ◇
もちろん、どのウイルスのワクチンであれ、ワクチンを接種するかどうかは、最終的に個人の判断に委ねられることです。
ただ、今現在も、そしてこれまで長きにわたっても、我が国で、その判断の根拠となる正確な情報がきちんと広く届けられてきたか、また、新型コロナワクチンについていえば、接種を希望する人にとって、必要なワクチンが入手できる状況にあるのか、地域や国の感染拡大を抑える有効な策として、ワクチンが適時に提供されるのか――

我が国の現下の状況は、悲惨な状況にあると言わざるを得ません。
そして、それは決して、今に始まった問題ではなく、歴史的に、ある種の民意の反映として、ワクチン接種に消極的な国とならざるを得なかった、そして、“平和”が長く続いてきた中で、一方で「真に国と国民を守るとはどういうことか、そのために何をしなければならないか」といった根本的な問題について、我が国では、きちんと考えられてこなかった、ということの結果でもありました。

感染拡大を抑えるために、新型コロナワクチンの接種が、希望する人に、迅速に適切に進められていくよう尽力するとともに、上述したような前提に立って、改めて、個人は、あるいは、国は、なにをどう考えて、変えていくのか(あるいは変えていかないのか)といった議論を、意義あるものとして、進めていくべきではないかと思います。

◆豊田 真由子 
1974年生まれ、千葉県船橋市出身。東京大学法学部を卒業後、厚生労働省に入省。
ハーバード大学大学院へ国費留学、理学修士号(公衆衛生学)を取得。
医療、介護、福祉、保育、戦没者援護等、幅広い政策立案を担当し、金融庁にも出向。
2009年、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部一等書記官として、新型インフルエンザパンデミックにWHOとともに対処した。
衆議院議員2期、文部科学大臣政務官、オリンピック・パラリンピック大臣政務官などを務めた。
          まいどなニュース
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月13日

自衛隊メンタル教官が教える疲労コントロール法、疲れた心をリセット!

自衛隊メンタル教官が教える疲労コントロール法、疲れた心をリセット!
2021年02月12日 ダイヤモンドオンライン

仕事、生き方、人間関係…誰しも人生の中で一度は「やめるか?やめないか?」という問題に直面したことがあるでしょう。

何かを「やめる」ということは、これまでの努力や歩んできた道を一部否定することでもあるので、本人にとって悩ましく厄介な問題です。
そんな「やめる・やめない」問題で悩んで身動きが取れなくなり、苦しみを長引かせている人も多くいます。
そこで今回は、陸上自衛隊でメンタルケアに携わってきた下園壮太さんの著書『自衛隊メンタル教官が教える 心をリセットする技術』(青春出版社)から、「やめられない心」の原因の一つである疲労との向き合い方について解説します。

「やめる・やめない問題」をラクにする自衛隊の考え方
 私は自衛隊で心理幹部として隊員へのメンタルヘルス支援を行ってきました。
自衛隊は決めたことを初志貫徹する組織、という印象を持つ人が多いかもしれませんが、実は、任務に対してはとても柔軟に対応をする組織です。
 例えば、緊急性のある災害支援などは、準備していったことと現場で求められていることがまったく食い違っていた、というようなことは日常茶飯事です。
刻々と変わる任務に対応するには、まず「健康で動ける隊員」が必要です。
 次に「目標を仮置きし、少し動いて、状況の変化を観察すること」が必要です。

平たく言うと、考えすぎず、思いついたらやってみて、それでまた考える、というサイクルを上手に回していくのです。
 実は、自衛隊におけるこのような作戦の進め方が、自分の中で固定しやすい「やめる・やめない問題」を柔軟に動かしていくのにぴったりなのです。
この方法なら、いたずらに自信を失うこともなく、疲労したり不安で動けなくなることが少ないからです。

 これらの経験の中で、私がつかんだ「やめられない心」をラクするためのポイントを紹介します。

自衛隊訓練で重視するのは「疲労のコントロール」
 何をおいても優先して取りかかりたいのが、「エネルギーのケア」です。
「やめること」とエネルギーはまったく関係ないと思われる方が多いでしょう。
しかし、私が自衛隊で隊員の精神面のケアをするときに気づいたのが、「エネルギーケアが何より大切なのだ!」ということでした。
 日頃からトレーニングを積み、体を鍛えているとはいえ、災害の救援活動や紛争周辺地域での任務は、肉体的、精神的に過酷なものです。
予測できないトラブルが起こったときにもすみやかに状況を把握し、任務を遂行しなければいけません。
鍛えられた隊員でも、活動を続けているうちに集中力がなくなってきて、ミスをしはじめ、協調性がなくなり、ケンカをしやすくなります。
こうなってくると、何をやっても悪循環で、判断ミスで命の危険にさらされる事態になりかねません。

 そんなときに私は、隊員たちに繰り返しこう伝えました。
「人間は疲れると、体調が悪くなるだけでなく、能力が落ち、性格も悪くなる」
 頭痛・不眠など身体不調が出る、ミスが多くなる、イライラする、悲観的になる、人間関係が悪化する……。
これらは、根本的には疲れが原因であることがほとんどなのです。
そしてこれは、人間の基本原則と言えるものなのです。

 この基本原則を忘れないように、軍隊組織では、時に冷徹なくらい、疲労のコントロールを優先します。
例えば派遣された災害現場や救助活動において、「ここまでやりたい、やらなければいけない」と隊員が思っていても、むしろそのように感情的、感傷的になっている現場であればあるほど、隊員たちを取りまとめる指揮官は予定通りに撤収し、隊員たちが充分に休息できる時間を確保します。
 なぜなら、後ろ髪を引かれて中途半端な判断をすることによって、かえって心身の疲労を引きずり、危険を引き寄せる場合があることを指揮官は知っているからです。

重視すべきは短期の目標ややりがいではなく、長期的な目標達成です。
長期戦であるほど、長期にわたる疲労を見据えて「ここでやめておく」というつらい決断をするのが、指揮官の役割でもあるのです。

「疲労メーター」で自分の疲れに気づこう
 実は、疲労を回復して体の条件が整えば、それだけで「やめる・やめない問題」に決着がつく人もいるのです。
エネルギーがなくなっているからやめられなかったんだ、ということに、人は元気になって振り返ってからやっと気づくのです。
 こういった気づきにくい疲労に気づくために、ここでは疲労の指標となる「疲労メーター」を示しましょう。
多く当てはまるほど、あなたの疲れのレベルは上がっています。
 私は、クライアントとはじめて接するときには、必ず疲労の度合いを把握するようにしています。
疲労が強いと、自己改善にチャレンジしても、「やめる・やめない問題」に取り組んでも、満足のいく成果が極めて出にくいのです。
まずはエネルギー対処を優先します。

◎疲労メーター

□ついこの間までできていた同じ作業にすごく時間がかかる
□以前より環境は改善したのに、なぜか元気がない。疲れが抜けない
□取るに足らないことでイライラしたり傷つきやすくなった
□この先のことが漠然と不安だ
□趣味を楽しめなくなってきた。意欲が湧きにくくなった
□責任を負うこと、新しいことを避けたくなる
□人に会うのが億劫だ

 どんなに元気そうにふるまっても、しがみつこうとしても、無理には限度があります。
「人間は、がんばれても、3カ月から半年である」と、私は自衛隊時代から感じてきました。
自衛隊でも、海外勤務は3カ月から半年で終わらせるようにしているほど、この法則は明白です。
負荷が強い状態が続く場合、何とか持ちこたえても、半年を過ぎたころにはエネルギーが尽きて、ガクンと落ちてしまうのです。

 がんばることで苦境を乗り越えてきた人ほど、疲れているという感覚を感じていても、頭で「大丈夫だ」と否定してしまいます。
しかし、「あなたがダメなわけじゃない、努力が足りないわけでもない。ただ疲れてしまっているから、今いろいろうまくいかないだけなんですよ」とお話しして、本人が疲れに気づくだけでも、直面しているトラブルの5割以上は、解決してしまうのです。

 疲労は、「最近、どうもいろいろうまくいかない……」という思いの奥底に流れています。
だから、疲労に気づき、休もうと思うことが、まず大切なのです。

疲労回復に効果的な「おうち入院」のすすめ
 疲労を回復する最も効果的な方法を、私は「おうち入院」と呼んでいます。
入院中は、人は治療を受け、回復するためにじっとしています。
パソコンを持ち込んで仕事なんてしていたら、医師に怒られます。
入院しているつもりで、ぼーっとする。
スマホは見ない、本も読まない、家事もしない。
ただ、眠ります。
眠ることによって、頭の中で必要のない情報がお掃除されて、重たかった脳のデータもうんと軽くなるのです。

「おうち入院はよさそうだけど、休みなんて取れない」という人も多いでしょう。
私自身も、自衛隊時代は土日も講演などで埋まっていて、おうち入院は難しい状態でした。
 それでも何とか工夫してエネルギーを回復する方法はないだろうかと思い、考えついたのが、月曜の午前に半休を取ることでした。
 週はじめの半日は、朝礼や会議でつぶれてしまいます。
自分が必ずいる必要がある会議もそう多いわけではありません。
そこで、月曜午前に半休を取ってみることにしました。
朝はゆっくりと目覚め、通勤ラッシュのない中、ゆっくり出勤できる。
実際にやってみると、これは確かに心身の休息になっているな、と実感し、そのリズムで毎週、半休を取るようにしたのです。

 子育てや介護で忙しい人も、なかなか休めないものです。
1〜2時間でもいいから子どもやご両親と離れて、自分だけの時間を確保できる方法はないか考えてみてください。
家族と過ごすと、どうしても「がんばらなくては」という気持ちを発動させることになり、知らずにエネルギーを消耗してしまいます。

 確保した大切な時間を過ごすときには、「『やめる・やめない問題』についてあまり考えない」ことも大切です。
休憩タイムは、人や仕事からも距離を置きましょう。
SNSのチェックもやめます。

 あなたが、あまりエネルギーを使わず、リラックスできて、リフレッシュできること、楽しいと思えることは何でしょうか。
自分が楽しければ、何をしてもいいのです。
 楽しいことと言っても、本を一冊読破するとか、資格試験のため○○を覚え切る、などと、お休みにまで何らかの課題や目標を設定してしまう人がいます。
それでは、リフレッシュするはずが疲れをためることになりかねません。
「今日は一日、生産性のあることは何もしないでぼーっとした!」。
そんなふうに言えるのが、本当の「お休み」なのです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月14日

1円玉は損なのか、500枚預けても預金額は「0円」…手数料の仕組み

1円玉は損なのか、500枚預けても預金額は「0円」…手数料の仕組み
2021年02月13日 読売新聞

[New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。
今回のテーマは「硬貨」。

 窓口で大量の硬貨を預け入れる際に手数料を課す金融機関が急速に増えている。
1円や100円といった硬貨の種類に関係なく、「101〜500枚で550円」が平均的な相場となる。
この結果、大量の1円玉を預けても全て手数料に取られ、「1円玉は持つだけ損」という状況になりかねない。

■「1円玉お断り」駄菓子屋の悲鳴
 「当店は1円玉の利用はできません」。
東京都北部にある駄菓子屋は、店内にこんな掲示を貼り出している。
たとえば税込み110円のお菓子を買う時でも、「100円玉と5円玉を各1枚、1円玉を5枚」といった支払いは遠慮してもらう。
1日50〜60人の来店客の半数は近所の小学生が占め、以前は1円玉を握りしめて来る子供も多かった。
男性店主は「1円玉で支払いを受ければ商売にならない。
背に腹は代えられない」と肩を落とす。

 駄菓子屋の苦境は、硬貨を入金する際にかかる手数料に原因がある。
多くの金融機関は、現金自動預け払い機(ATM)での硬貨受け入れを1回あたり100枚までとしている。
これより多いと窓口に持ち込む必要があり、その際、500枚までは「550円」、その後は500枚増えるごとに「550円」ずつ上がるのが標準的な水準となる。

窓口でも100枚まではATMと同様に無料だ。
 1円玉でも500円玉でも同じ1枚と数えられ、数千枚、数万枚の1円玉を持ち込んでも手数料の方が高くなり、口座への入金額は「0円」だ。
10円玉だけ500枚入金する時でも11%分に相当する550円の手数料がかかる。

薄利多売の駄菓子屋をはじめ、多くの小銭を扱うゲームセンターやさい銭を受け入れる寺社にとっても深刻な問題といえる。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月22日

「ぽっちゃり体形は健康」は本当か?予防医学専門誌で検証

「ぽっちゃり体形は健康」は本当か?予防医学専門誌で検証
2021年02月21日 日刊ゲンダイ  

健康診断で「肥満」と診断されると、「健康のために体重を減らしましょう」と言われます。
 体重が増えたことで中性脂肪や血糖値が上昇したり、肝機能が悪くなったりしていれば「肥満が健康を害している」と理解できるので、前向きにダイエットに取り組もう、という気持ちになります。
 しかし、中には他の検査値には異常がなく、「体格だけが異常」と判定されていることがあります。
こうした場合にも本当に肥満は悪いのでしょうか? 

 体形には個人差があり、少し痩せている方が体調の良い人がいる一方で、少し太めの方が体調が良いという人もいます。
 また同じ体重でも、筋肉が多いか脂肪が多いかで、その状態にも違いはありそうです。
 今年の予防医学の専門誌に、運動習慣と体格との関連を検証した論文が掲載されています。

 体格の指標であるBMIという数値で、肥満と判定されている人に運動療法を施行して、運動をあまりしていない肥満のない人と比較しました。
 すると、たしかに運動をしていない同じ体格の人と比べれば、運動をしている人は健康的で、糖尿病などの病気のリスクも低かったのですが、肥満があると、それだけで糖尿病などのリスクは増加していて、運動習慣もそれをゼロにすることはできませんでした。

「運動をしていても、健康な肥満はない」と、そう考えた方がよさそうです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月23日

コロナに便乗した不当解雇が横行している。ユニオン交渉員の証言

コロナに便乗した不当解雇が横行している。ユニオン交渉員の証言
2021年02月22日 SPA!

2月2日の厚生労働省の発表ではコロナ解雇・雇い止めの人数が8万4000人を超え、長期化するコロナ禍で会社や自分の将来に不安を感じる人も多いだろう。
 今回は正規・非正規を問わず全国から不当解雇やハラスメントなどの無料相談も受け付けている「みんなのユニオン」で、交渉員として業務にあたる竹永一樹氏にコロナ禍での労働トラブルの実態を聞いた。

◆コロナ便乗解雇とは?
「『みんなのユニオン』で最も多く扱っているのは不当解雇です。
日本の労働法では解雇に対し、非常に厳しい扱いをしており、経営者が『当然解雇できるはず』と考える事案でも、実際の裁判では解雇が次々に無効とされています」と語る竹永氏。

 法律事務所で、刑事事件や交通事故の案件にパラリーガルとして従事した後、2020年4月の同ユニオン立ち上げ時から解雇・雇い止め・内定取消などの相談に対応している。
そもそもユニオンの交渉員の仕事とはどのようなものなのか。
「相談者からヒアリングした上で会社に内容証明を送り、不当解雇の事実を伝えて、適正な慰謝料等を労働者に払ってもらえるよう交渉を行っています。
労働事件の裁判は1〜2年かかりますが、仮に裁判で争って正式に解雇が無効になった場合、会社側は判決が出るまでの間の賃金を全額支払う義務が課せられます。
 それではお互い弁護士費用もかかりますし、経済合理性の観点から不毛なので、我々は会社側がそのリスクを負わない現実的な範囲で金額を提示し、裁判前に和解を提案するんです。
和解金の額は賃金ベースの計算になり、具体的事情によって変動します。
そこは組合員さんの希望を最大限叶えられるよう、会社さんと交渉をしていきます」

 同ユニオンでは団体交渉に加え、会社に無料&匿名で届けられる通知書サービス活動も行い、多角的に会社にプレッシャーをかけ、適法な職場環境が守られるよう働きかけている。
「政府が雇用調整助成金などの支援金を大きく打ち出しているため、倒産件数も想定程多くはなく、リーマンショックや東日本大震災の時などに比べれば、コロナを理由として適法に解雇できる件数は少ないほうだと思います。
とはいえ業種、性別、地域などを問わず『便乗解雇』の相談は多いです。
会社側も労働法で定められた解雇できる要件への理解が浅く、コロナで会社の売上も下がったタイミングで、ずっと解雇したかった人員を安易に解雇してしまうようなケースです。
解雇に関する相談件数は波もありますが、特に11月後半から12月末にかけては急増しました」

◆解雇された証拠があれば交渉で有利
 コロナによる便乗解雇では“縁起”的な問題も介入することも少なくないようで、中には新年に向けて悪い運気を取り除くために解雇されたというケースまで実際にあったそうだが、副業関係のトラブルも増えているという。
「医療関係のクライアントで、コロナの影響で始めた副業が偶然バレ、『副業先の職場でコロナにかかると影響が大きい』という理由から解雇されてしまった事例もありました。
たとえ副業禁止でも減給処分や注意による改善を求めることなく、いきなり解雇というのはまず認められず、最終的に金銭による和解に持ち込めました。
 会社が債務超過で事実上従業員を雇えなくなった場合や、もしくは労働者が刑事事件で起訴され、かつ実名報道されたために会社へ著しく損害を与えた場合など、そのレベルの話となれば解雇も認められる可能性もありますが、経営が少し傾いたから解雇、とはできないのが日本の法制度ですね」

 売上が立たずに苦しい経営に直面している経営者も多いだろうが、整理解雇も単に経営が赤字という理由だけでは要件を満たしたことにはならない。
竹永氏はどんな形でも解雇されたらまずはユニオンに相談することを勧める。
「整理解雇の条件には役員報酬やボーナスのカットなどの回避努力義務があり、程度もありますが、むしろ手続きとしては先に減給などをするべきなんです。
実際に雇用調整助成金など助成金もある中で解雇の必要は全くないのに、いきなり解雇してしまう会社さんは多いんですが、これは会社さんにとって非常に不利な状況になります。

従業員10人の会社さんの事例で、6人を解雇すれば事業を維持できたにも関わらず、10人全員を解雇したという理由で解雇が無効になったという例も過去にはあります」
 懲戒解雇も同様で、例えば会社のレジからお金を抜いていたなどの横領が発覚して解雇された場合も、自主退職の打診、減給や自宅待機処分などを行わなければ簡単に解雇は有効にならないという。
「みんなのユニオン」では交渉にあたって組合費や事前の着手金などは発生しない。
相談前に注意すべき点はあるだろうか。
「裁判や示談の交渉では会社さんは都合の良いことしか言わないので、解雇通知書や解雇理由証明書をもらったり、メールや電話で問い合わせて解雇された言質をとって録音したり、解雇された事実を証拠として残しておくことが必要です。
あとは我々に依頼していただければ、最終的に和解するまで会社との交渉をまとめるので、ご自身でやっていただくことはありません」

◆中年会社員を襲う“退職勧奨”対策
「内定取り消しもかなりの件数を受けていますが、基本的には解雇と同じで、まず内定が法的に認められる証拠が必要です。具体的には給与や勤務場所、勤務時間、出社日など基本的な条件が記載された労働条件通知書や雇用契約書といった書面、そうした内容がわかる会話の録音データなどですね。
結局、会社さんに『解雇していない』『内定を出していない』などと言わせないことが、交渉を進めるためのスタート地点になります」

 トラブルに発展しそうな会社との重要なやりとりは全て書面や録音、メールなどで押さえておくことが鉄則。
残業代未払いの問題でも具体的に会社から業務の指示があったのかがポイントになる。
「メールでもビジネスチャットでも、まずは残業の申請や報告をして会社側が残業を認知したことを裏付ける必要があります。
残業代未払いは職種によってはサービス残業が長年の慣習になっていて、そもそも何が問題なのか把握されていないこと、当たり前だと思い込んでいる点も根本的な問題です」
 コロナ禍が長期化することで、会社側も労働者側も経営状況が悪化し、便乗解雇が容認される空気が醸成されることを懸念する竹永氏。

◆安易に同意しないことが大切
 中年会社員のケースでは新しく若い社員が入ったことを理由に退職勧奨が行われるケースも増えていると紹介した。
「退職勧奨はあくまで打診なので、それ自体に法的な問題はありませんが、これに関しては安易に同意しないことが大切です。
拘束されて無理やり書かされた、記入したら退職金が増額されると騙されて同意したなど、よほどの理由や証拠がない限り法的に取り消すことができず、自主退職になってしまいます。

『いますぐ書いてください』と言われても、大前提として会社からそうした書類が提示されたら、労働組合や知り合いに相談すると言って、その場では記入しないようにしましょう」
 従業員の地位を奪う解雇や雇い止めがいかに難しいことか、会社にも従業員にもいま一度広く認知させていくことが大切なようだ。
<取材・文/伊藤綾、取材協力/みんなのユニオン>

【伊藤綾】 1988年生まれ道東出身。
いろんな識者にお話を伺ったり、イベントにお邪魔するのが好き。SPA!やサイゾー、マイナビニュース、キャリコネニュースなどで執筆中。
毎月1日に映画館で映画を観る会"一日会"(@tsuitachiii)主催。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月24日

銀行手数料の「改悪」相次ぐ、利用者にいちばんやさしい銀行はどこか

銀行手数料の「改悪」相次ぐ、利用者にいちばんやさしい銀行はどこか
2021.2.23 ダイヤモンドオンライン
松崎のり子:消費経済ジャーナリスト

メガバンクが次々発表している「紙の通帳有料化」。
無料で享受してきた銀行サービスが、もはや“昔話”になりつつある。
あらゆるサービスが有料に向かうなか、うっかりしていると利用者が余計な手数料を負担させられることも増えるだろう。
知っておくべき「有料」と「無料」の境目を知り、これからの銀行選びのポイントを探っていこう。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)

メガバンクで続々と有料化
 3大メガバンクの中で「通帳有料化」に2021年からかじを切ったのがみずほ銀行。
2021年1月18日以降に口座を新規開設した場合、通帳発行・繰り越しごとに1冊1100円(税込み)の手数料が発生する(通帳発行・繰り越し時に70歳以上の利用者は無料)。
みずほ銀行は1冊ごとという点がポイントで、お金の出し入れが多く通帳をどんどん繰り越す人は不利といえそうだ。

 続いて、三井住友銀行。2021年4月1日以降に新規開設した普通預金口座で紙通帳を使う場合は、年間550円(税込み)を対象口座から自動的に引き落とすという(18歳未満または75歳以上は対象外)。
 もし口座残高が手数料額に満たない場合は、通帳不発行型口座へ自動的に切り替えとなる。
これは、みずほも同じ扱いだ。

 通帳発行手数料だけを見れば三井住友の方が安いが、気を緩めてはいけない。
2021年4月から新設される手数料がまだあるからだ。

新生活で新たに口座を開く場合は要注意
 4月1日以降に新規開設した普通預金口座で、Web通帳の選択またはSMBCダイレクトの利用登録を済ませていない、さらに2年以上入出金がなく、かつ残高が1万円未満なら、年間1100円(税込み)がかかる。
要は、大した金額も入金せず、ほとんど使わない口座には維持管理のため手数料をかけるぞ、という話だ(※18歳未満または75歳以上、同じ支店に定期性預金口座・外貨預金口座等がある場合は対象外)。
 同様の手数料を発表しているのが三菱UFJ銀行。
7月1日以降に開設した口座で、2年以上利用がない場合は「未利用口座管理手数料」として年間1200円(税抜き)を徴収しますとお知らせが来る(ほかに定期預金、外貨預金、投資信託等が1円以上ある、または借り入れがある場合は除く)。
お知らせから3カ月たってもノーリアクションだと、この金額を口座から引き落とし、残高が手数料を賄えなくなったら口座を解約する。

 まず押さえておくべき点は、紙の通帳にしろ口座維持手数料にしろ、新規に開く口座のみが対象ということ。
これから新生活シーズンを迎え、勤務先や各種引き落とし等の都合で新たに口座を開くときは注意が必要になる。
なお、りそな銀行は2004年4月1日新規開設分からすでに年間1320円(税込み)の未利用口座管理手数料を導入している。

4月からATM手数料も上がったり下がったり
 もっと身近な手数料の変更もある。
三菱UFJ銀行は4月1日からローソン銀行ATMでの入出金について、時間外・時間内手数料を100円上げる。
その代わり、毎月25日と月末日は時間内手数料が無料になる(※この日が休みの場合は前日が無料)。そのほかの提携コンビニATMも、すでに25日と月末は時間内手数料が無料に変更済みだ。
 同じく三井住友銀行も4月5日より、毎月25・26日のコンビニATM時間内手数料は無料とし、それ以外の日は110円引き上げる。
ただでさえ混雑する給料日がもっと密になりそうで、これは喜ぶべきか、悲しむべきなのか(ちなみに三井住友と三菱UFJはATMで提携しており、提携を示すステッカー付の店舗外ATMなら、同じく25・26日が無料だ)。

 そういうケチケチしたことを考えたくない人は、ゆうちょ銀行一択しかない。
全国の郵便局のほか、ファミリーマート等にもATMの設置がある。
なんといっても、時間外はおろか土日祝日も入出金に手数料がかからない。
台数も約3万2000台(2020年3月)とセブン銀行ATMを超えている。
この先、リモートワークで郊外に引っ越したり、ワーケーションでリゾートで働こうと考えたときにも、郵便局さえあればお金を引き出せるので、やはり最強といえるだろう。

最初からデジタルシフトのネット銀行が「安い」と限らない
 店舗なし・通帳なし・ATMなしのネット銀行は、レガシーを引きずるメガバンクよりいろんな手数料が安い気がするが、さにあらず。
 例えば、自社ブランドのコンビニATMを持つ、セブン銀行とローソン銀行。
コンビニ自体は原則24時間開いているというのに、24時間無料で使えるわけではない。
セブン銀行の場合、平日・土日ともに出金は7時〜19時以外は110円がかかる。
ローソン銀行もセブン同様、無料の時間帯は7時〜19時だけだ。
 逆に無料時間が長いのはイオン銀行。
ATMを設置している店舗が開いてさえいれば、その時間は無料で引き出しできる。

 お金がかかるのは、実は引き出し時だけではない。リアル・ネット含めた多くの銀行では、取引内容や残高に応じ、利用者をステージ・クラス別に振り分けているところが多く、より活発に使ってくれるユーザーには手数料無料回数を増やすという方式を取っている。
そのステージ判定に乗らない、単に口座を開いただけのフラットな状態で比較してみると意外な差が見えてきた。
なんと、「入金にも手数料がかかる」ケースがあるのだ。

条件を満たさないと入金に手数料がかかる銀行は、以下の通りだ。
・auじぶん銀行 ・ジャパンネット銀行 ・楽天銀行 ・ローソン銀行  それぞれへの入金が「無料にならない」ケースを見ていこう。

入金しただけで手数料を取られる?その条件を確認
 まずauじぶん銀行だが、残高が10万円未満のステージ「じぶんプラス1」相当だと、出金だけでなく入金にも110円がかかる。
給与振り込みやスマホデビット利用などでステージを上げることはできるが、条件未達だと入金もおちおちできない。

筆者はauPAYのチャージにこの銀行を使っているが、残高が10万円未満のため他行の無料振り込み特典を使って口座に振り込んだうえでチャージ、という迂回方法を使っている。
 ちなみに三菱UFJ銀行からの振り込みは無料だし、定額自動入金サービス(毎月6日または26日に他行口座より指定金額をじぶん銀行口座へ入金してくれる無料サービス)で10万円をキープする方法もあるにはある。

 次にジャパンネット銀行。
ここは毎月1回目は無料で入出金できるが、2回目からは3万円以上でないとやはり手数料がかかる。
4月からはPayPay銀行と名を改めるが、このあたりがどうなるのか注目したい。

 次に楽天銀行。
1月19日に国内インターネット銀行として初めて1000万口座を突破と勢い華々しいのだが、意外なことに、実は楽天銀行も3万円未満の入金には手数料がかかってしまう。
ただし、口座開設から3カ月目までは無条件で5回まで無料という特典があるので念のため。
楽天銀行に口座を開く人は、ほとんどが楽天カード保有者かつ楽天グループのサービスを小まめに利用する層と考えられるので、くれぐれも決済代金を入金する際には自分が該当するステージに気を付けよう。

 ラストのローソン銀行は、7時〜19時以外だと入金にも110円かかる。
コンビニ銀行の割に便利さがいまいちと感じるのは残念だ。

なんだかんだ手数料が安いのは、あの銀行
 先にも書いたように、ネット銀行が必ずしも手数料が安いわけではなく、引き出し手数料についてもバラバラだ。
この比較は定期的に行っているが、流通系を外したネット銀行のうち取引等条件なしで無料引き出し回数が最も多いのは、ソニー銀行で4回。続いて、GMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行の2回と続く。
なお、あおぞら銀行BANK支店は、ゆうちょ銀行ATMに限り、回数制限なしに引き出し無料となる。

 キャッシュレスへの流れで言えば、現金の入出金が有料か無料かはささいな話になっていくだろうが、うっかり引き出したために220〜330円も取られるのはつらい。
土日祝日も無料、コンビニ内ATMとしても使えて利用時間も気にしなくていい点では、やはり、ゆうちょ銀行が最強と言わざるを得ない。
 しかし、光もあれば影もある。
ゆうちょ銀行がドコモ口座不正引き出し事件のメインターゲットにされたのは記憶に新しいところだ。
使い勝手がよく、多くの人が口座を持てば持つほど、悪意ある人間に目を付けられやすい。
ゆうちょ銀行をはじめ、各行が不正対策を取っているが、やはり利用者自身が自衛することが欠かせない。

紙通帳の有料化、不稼働口座への手数料等を
きっかけに、保有する口座の確認・整理ももう一度しておきたいところだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月01日

「日本人は貧乏になった」その残酷な事実に気付かない人が多すぎる(前編)

「日本人は貧乏になった」その残酷な事実に気付かない人が多すぎる(前編)
2/28(日) プレジデントオンライン
相場 英雄(あいば・ひでお)小説家

いまや日本社会は外国人労働者なしには成り立たない。
それは健全なのか。
作家・相場英雄氏は最新刊『アンダークラス』(小学館)で、外国人技能実習生の問題を取り上げた。
相場氏は「日本人は貧乏になった。だから労働力を外国人に頼らざるを得ない。
その事実に気付いていない人が多すぎる」という――。(前編/全2回)

■ニューヨークでは「ラーメン一杯2000円」が当たり前  
――『アンダークラス』で技能実習生の問題に着目したいきさつを教えてください。

 僕の仕事場は新宿・歌舞伎町の近くにあるのですが、この数年、人の流れが目に見えて変わってきました。
 朝方、24時間営業のハンバーガーチェーンで、大きなバックパックを背負った配達員が眠りこけている。
その隣には、たくさんの荷物が入った手提げ袋を抱えた若いホームレスが力尽きたように休んでいる。
外には店内に入れずに一晩中、歩いている人がいる。
しかも、ハンバーガーチェーンやコンビニで深夜から早朝に働いている店員は、ほとんどが外国人。
いびつな風景だと感じました。

 日本は、いったい、どんな国なのか。なにかがおかしい。そんな違和感が、外国人労働者や、技能実習生に注目したきっかけでした。
 もう一つが、海外での体験です。
 数年前、ニューヨークに行く機会があり、ラーメンを食べました。
日本では通用しないマズいラーメンが一杯2000円。
小皿料理を注文し、ビールを飲んだら5000円を超えました。
これはアメリカの経済が成長を続け、物価も給与水準も上がっているからです。

一方、日本は経済が低迷し、物価が下がり続けています。
日本はもはや先進国ではない、と感じたのです。

■「日本人はとっくにお金持ちじゃなくなった」
 ――作中に登場するベトナム人技能実習生の「日本人はとっくにお金持ちじゃなくなった」というセリフが印象的でした。  

それが外国人の実感だと思いますよ。
 4年前、取材旅行で訪ねた香港で、紹介制の高級レストランに行きました。
店の前にはリムジンがずらりと並び、店内にいるさまざまな国の人たちは一目で裕福だとわかりました。
日本人のわれわれが、明らかにもっとも金がない存在でした。

 活気にあふれた香港から東京に戻ると、日本全体が寂れたシャッター街のように見えました。
にもかかわらず、ほとんどの人が日本が転落した現実に気づいていません。

 2000年代に入り、タイやベトナムなどの東南アジアの国々も一気に経済成長しました。
日本が1950年代から70年代に約20年もかけて達成した高度経済成長を、わずか5年から10年程度で成し遂げつつある。
少し前まで、アジアの国々に対して、日本が面倒を見ている発展途上国というイメージで捉えていた人が多かったのではないかと思いますが、いまその国々が日本を上回りつつある。

■インバウンドが増えていたのは、日本の物価が安いから
 ――この数年、「日本食がおいしい」とか「日本の伝統文化がスゴい」というテレビ番組が人気ですが、経済が後退した反動なのかもしれませんね。

 コロナ以前は、インバウンドが増えていました。
もちろん日本への憧れをもって来日する人もいたとは思います。
しかし、もっと違う理由があるのではないかという気がしていました。
 一昨年まで高校時代から北米に留学した息子の友だちが、よく日本に遊びにきていました。
当初、気を遣って「狭いけど、うちに泊まるか? 」と聞いていた。
でも「大丈夫。日本は物価が安いから。インペリアルのスイートに泊まれる」と言うんです。
確かに、帝国ホテルの値段では、アメリカの中堅ホテルにも泊まれない。
日本の物価が安いからインバウンドが増えた。
そう考えると日本をめぐる現状が腑に落ちてきます。

 雇用状況を見てもそうでしょう。物価が下がり続けるから、もっと安い労働力が必要になる。
そこで、格差が激しく、いまも貧しい生活を強いられているベトナムやミャンマーなどの農村から来日する技能実習生という名の労働者に頼るしかなくなった。

■「派遣切りのときよりもずっと残酷」  
――2019年4月から改正入管法が施行され、受け入れがさらに拡大されました。

 2010年以降、団塊世代が大量に離職し、日本の労働人口が一気に減りました。
とくに低賃金で、仕事がきついというイメージがついた職種は人手不足に悩まされています。
それにデフレのなか、下請け、孫請けの企業は、日本人の派遣労働者を使っていては高コストで収益をあげられない。
だからより賃金が安い技能実習生が必要とされている。
そこまで日本は追い詰められているんです。  

――登場人物のひとりが「万が一、リーマン・ショックのような事態に直面した際、大量に受け入れた海外の人材をいきなり切り捨て、母国に帰れ、と命じるのですか。派遣切りのときよりもずっと残酷で、外交問題になりますよ」と発言しています。

コロナ禍のなか、技能実習生はリーマン・ショック時以上の苦境にあります。
 『アンダークラス』の連載は、2018年から19年でした。当時はまさか、新型コロナウイルスが流行するなんて、思いもしていなかった。

■「悪徳ブローカー」に国はなんの対策も打たなかった
 実際、コロナ禍の影響で、働く場を失い、国にも帰れない外国人労働者がいる。
豚や果物を盗んで逮捕された不良外国人について報道されましたが、ぼくには起こるべくして、起こった事件と感じました。  

本来なら受け入れを拡大する前に、技能実習生の働き方や生活をサポートする体制や、悪徳ブローカーを取り締まる仕組みをつくるべきでした。
しかし実際には、国はなんの対策も打たなかった。
だから奴隷のような環境で働かされる技能実習生や、働き口をなくして犯罪に走らざるをえない人が出てしまっている。  

――そうした技能実習生の状況に対して、世間の関心が薄いように感じます。

 それは技能実習生や外国人労働者の問題が、自分とは無縁だと考えているからです。
かつて中間層と言われていた人たちは、いまだに自分たちは安泰だと思っている。
不都合な現実を直視したくない気持ちはわかりますが、長引く不況に加え、コロナ禍で勤務する会社がいつまで持つかもわからない。
現に「洋服の青山」が160店舗を閉店し、400人の希望退職者を募るとニュースになりました。
 ずっと会社に守られ、企業の看板を背負って仕事をしてきたサラリーマンが、社会に放り出されたとき、なにができるのか。
 近い将来、これまで技能実習生にまかせていたような仕事をせざるをえない人も出てくるはずです。
日本の貧困は、そこまで行き着いてしまった。
 日本はもはや先進国ではない。
まずは、その現実を直視するところから考えていかなければならないのではないでしょうか。
                                      (後編に続く)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月03日

無罪の元少年「違法捜査」地獄の12日間 警察官の姿、今も恐怖心

無罪の元少年「違法捜査」地獄の12日間 警察官の姿、今も恐怖心
3/2(火) 西日本新聞

熊本県へ賠償訴訟あす判決
 熊本地震の避難所で当時小学6年の女児に「わいせつな動画を見せた」として逮捕され、熊本家裁で刑事裁判の無罪に当たる不処分の決定を受けた当時19歳の会社員の男性=熊本市=が「違法な取り調べで苦痛を受けた」として熊本県に損害賠償を求めた訴訟の判決が3日、熊本地裁で言い渡される。

  訴状などによると、男性は2016年5月、「スマートフォンでわいせつな動画を見せた」として県少年保護育成条例違反容疑で県警に逮捕され、取り調べのため12日間拘束された。
しかし、男性のスマホからわいせつな動画の閲覧履歴が確認されず、家裁は同10月、「非行事実なし」と結論付けたという。

男性は「県警の取り調べで黙秘権を侵害され、接見内容を聞き出そうとされた」と主張している。
 男性は17年6月、県公安委員会に苦情を申し立てたが、県警は「職務執行は適正」と回答。
一方、うその被害を申告したとして女児の母親を相手に損害賠償を求めた訴訟で、二審福岡高裁判決は昨年9月、賠償請求は棄却したものの「母親の供述は信用性が乏しく、一部は虚偽で違法」と認定。判決は確定している。
 熊本県警は「訴訟中のためコメントできない」としている。 (綾部庸介、松本紗菜子)

警察官の姿 今も恐怖心
3日の判決を前に、原告の20代男性=熊本市=が西日本新聞の取材に応じた。
男性は逮捕当時を振り返り「熊本県警は冤罪(えんざい)と認めて謝罪してほしい」と訴えた。
 「あなたに容疑がかかってます」。
熊本地震1カ月後の2016年5月16日朝、勤務先に現れた警察官の一言で、男性の人生は一変した。  
「思い当たることがない」と言っても聞き入れてもらえない。
署で逮捕され、避難所で隣り合う場所にいた女児の母親が「娘がわいせつ動画を見せられたところを見た」と県警に訴えたと知った。
 取り調べの口調は日に日に厳しくなった。

非行を前提に「反省の色がない」「(男性に)不利になるものばかり出てきている」などと言われた。
10歳ほど年上の警察官には「自分で自分の首を絞めよっとぞ」と詰め寄られた。
 男性が否認し続けられたのは、面会に来る母親や弁護士に励まされたからだ。
「認めた方が楽、とまでは思わなかったが、母や弁護士の支えがなかったら…」。

27日の釈放まで続いた12日間の取り調べを「地獄」と振り返る。
 釈放後1カ月ほど、自宅にひきこもった。
次第に外出できるようになったが、職場復帰した夏のある日、ストレスが爆発した。
 母親によると、飲み会に出掛けた男性が「何があったか覚えていない」と言い、真っ青な顔で震えながら帰宅した。
繁華街で大勢の警察官を見掛けたことが引き金だった。それ以来、記憶を突然失う「解離性健忘」の症状が現れ、メモ帳が手放せなくなった。

通院し数カ月で改善したが、逮捕から1年間は下痢などの体調不良が続いた。
 地震から間もなく5年。男性は逮捕された日が近づくと今でも不安になる。
「出勤するのが怖くなる。警察がいるような気がして」
 昨年9月、訴訟の尋問で、当時取り調べを担当した警察官は、男性の代理人弁護士に「今でも彼(男性)の話を信用していないのか」と問われ「そうですね」と答えた。
男性は「このままではまた、同じような被害者が出ますよ」とため息をついた。 
            (綾部庸介)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月04日

生活保護の割合、一般の4.6倍 障害年金受給者、低所得で

生活保護の割合、一般の4.6倍 障害年金受給者、低所得で
3/3(水) 共同通信

 国の障害年金を受け取っている人のうち、生活保護を受給している人の割合(保護率)が全人口に比べ4.6倍に上ることが、厚生労働省の障害年金受給者実態調査で分かった。
調査は2019年に実施され、全人口の保護率(18年度)は1.66%だったが、障害年金受給者では7.6%だった。

 14年の前回調査に比べると、全人口の保護率は微減したが、障害年金受給者では2割近く上昇した。
年金だけでは生活できず、所得保障として不十分な実態が浮かんだ。
 障害年金には「基礎」と「厚生」の2種類があり、支給額は基礎1級で月約8万1千円、2級で月約6万5千円。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月06日

「洗脳、マインドコントロールの被害に遭うのは、むしろ善良で、常識人で、賢い人たちだ」“ママ友”による支配事件に心理学者が指摘

「洗脳、マインドコントロールの被害に遭うのは、むしろ善良で、常識人で、賢い人たちだ」“ママ友”による支配事件に心理学者が指摘
3/5(金)  ABEMA  

「長きにわたり碇家の家庭内の事情に精通し食生活一切を管理する、碇家の食事の元となるお金を搾取する、というような本件の主導的立場にあった」(福岡県警捜査本部の会見)。

 碇翔士郎ちゃん(当時5)を餓死させた疑いで、母親の碇利恵容疑者が逮捕された事件。
単なる虐待事件ではなく、背景には共に逮捕された“ママ友”赤堀恵美子容疑者による碇容疑者の「洗脳」「マインドコントロール」「支配」があったと報じられている。

警察によると、2人は5年前に子どもが通っていた幼稚園で知り合い、家族ぐるみで付き合うようになったというが、赤堀容疑者は碇容疑者に対し「夫が浮気をしている」との嘘を信じこませて離婚に追いやり、裁判費用などの名目で約200万円を詐取。さらに架空のトラブルや実際には存在しないヤクザのことをちらつかせ、総額1000万円以上を奪ったという。

■“洗脳、マインドコントロールの手法と類似”
 4日の『ABEMA Prime』に出演した新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(心理学)は「洗脳というのは殴る・蹴る、あるいは眠らせない、飯を食べさせないといった暴力的な方法を使うもの、マインドコントロールはそうではなく、もっと洗練された方法を使うものと研究者は分類している。
碇容疑者は優しく子ども思いであったが、赤堀容疑者と知り合って以降、急激に考え方や行動が変わっていったと報じられているので、やはり洗脳、マインドコントロールによる“心の支配”をされていたのではないか」と話す。

情報遮断と上位存在
 「過去の事件でも夫と離婚させるというケースがあったが、洗脳、マインドコントロールの手法としてよくあるのが、まず人間関係を断絶し、周囲からの情報を遮断させる。
そして頼る相手が自分しかいない、という状況にするというものだ。
加えてヤクザのような怖い存在、あるいは立派な先生や占い師とか、さらには神や仏といった“自分よりも上の存在”があることを示唆し、“自分はその指示に従ってやっているだけ”、あるいは“自分はあなたへの怒りを一生懸命抑えている”いった説明をすることで、あくまでも善人として振る舞うことができるようにする。

 大きな組織の場合はこれを学んで何千人を相手にやるし、霊能力者が数人を操るために用いることもある。
ある悪質な宗教団体のケースでは、病院から出てきた人に“占ってあげる”と声をかけ、最初は“すばらしい”と言う。
しかし一転、“このままだとあなたの家族はとても不幸になる”などとして不安を高めていく。
人気商売である芸能界の方なども、そうした不安につけこまれる場合がある。

 個人の場合も、中には生まれつき自然にできてしまう天才的な人もいるし、人を操ることが楽しく、罪悪感を感じない人もいて、家庭内で伴侶を支配することもある。
長く持続させなければいけない組織の場合、手法もどんどん洗練され、あまり無茶なことはしなくなるが、個人は一度成功するとエスカレートし、刑事事件になってしまうこともある」。

■“本人はおかしいことをしているとは思えない” 児相は気づけず…
 碇容疑者は赤堀容疑者の要求に応じるため生活保護費にも手を付け、さらには工面のため、借金をしていたとも報じられている。
また、「元夫との裁判に勝つためには、質素な食生活を続けないといけない」と、一家に食事制限を指示。
結果、翔士郎ちゃんは体重わずか10kg程度と、平均の半分にまで衰弱、死亡するに至ってしまった。

 スタジオの出演者から「自分がおかしいことをしていると思わないのだろうか」との疑問が出ると、碓井氏は「それは私たちが冷静な視点で見ることができているからそう思うのであって、本人はおかしいとは思えない、ということだ。
心が支配された状態になると、その人からの言葉だけが絶対なものとなる。
離婚をしたことも、子どもにご飯を与えないことも、碇容疑者とっては良いことをしている、という感覚だったのだと思う」と指摘する。

赤堀容疑者が“支配“?  
「マインドコントロール的な手法を使いつつ、食事制限のような洗脳的な手法もやっていく。
その点では、これまでの事件との共通点もある、典型的な事件だと思うが、このような被害者は、実は山のようにいる。
心理学的には、洗脳やマインドコントロールをした人こそが悪いのだと言いたいが、司法の現場では実行犯が悪いということになってしまう。

家族が警察へ訴えたりもするが、洗脳やマインドコントロールを禁ずる法律はないし、大人が自らの考えで共同生活を送ったり、お金を渡したりすることについては関与できない。
そういう難しさがあると思う。

オウム事件の裁判では知人の心理学者が精神鑑定をした結果、被告がマインドコントロールされていたと主張したが、やはり認められにくかった」。

■“罠にかかるのは、むしろ善人で、常識人で、賢い人たち”
  番組視聴者からは「子育てしているママさんの中には、すごく孤独な人もいる」「ママ友の世界には独特なものがあるなと思うし、子どものこととなると親は視野が狭くなりがち」「洗脳とかマインドコントロールされているんじゃない?と諭して逆ギレされたことがある」といったコメントが寄せられた。

 また、フリーアナウンサーの柴田阿弥は「お子さんを死に至らしめたことは決して許されることではないが、私は絶対に大丈夫とは言い切れない気がする。
そもそも私たちは“常識”や“当たり前”を刷り込まれて社会で生きていると思うし、完全に自分の意思だけで動けるという人はそういないのではないか。
そして、やはり人間は弱いものなので、苦しい時、辛い時には何かに頼りたくなるもの。
それがスピリチュアルなものや、時には良くないものに行ってしまうこともある。
今回の事件もセンセーショナルに報じられているが、誰でも洗脳やマインドコントロールをされてしまう可能性あると思う」と訴えた。

社会で悪用されるマインドコントロール
 碓井氏も「こうした罠にかかる人は、決して心の弱い人だけではない。
むしろ善良で、常識人で、賢い人たちだ。
そして、日頃はそうでもない人でも、何かの拍子に不安になることはあるし、そこに巧みにつけ込んでくるケースもある。
そこに怖さがある。
その意味では、陰謀論にも似ているかもしれない。

陰謀論を信じる人たちも、決して愚かではなく、むしろ賢い。情報弱者ではなくて、むしろ情報強者だから引っかかっていくこともある。
 やはり早い段階できっぱりNOと言うことが必要だ。
また、“逆ギレされた”という意見もあったが、それもよくあるパターンだ。
自分が信じている人のことを悪く言われるわけだから、注意した人こそが悪者になってしまう。

このことを踏まえると、人間関係を修復し、“いつでも私たちのところに戻っておいで”という状態を作りつつ、適切な質問をして本人に考えさせていくというのが、基本的な脱出のための作戦だ」。
      (ABEMA/『ABEMA Prime』より)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月08日

「白米好きの日本人」を襲ったヤバい病気の正体

「白米好きの日本人」を襲ったヤバい病気の正体
大正期には1年で「約3万人」もの命が奪われた
2021/03/07 東洋経済オンライン
新 晴正 : 作家

白米ばかり食べる日本人を襲った「ある病気」の正体とは?
作家の新晴正氏による『謎と疑問にズバリ答える! 日本史の新視点』より一部抜粋・再構成してお届けする。

米を主食にする国々の中でも、日本人ほど品種や炊き方にこだわる人々も少ないと言われている。
わたしたちが普段食べるうるち米だけでも、のべ440品種以上が登録(平成29年度)されているというから驚く。
最近は健康面を考えて白米に玄米や雑穀を混ぜて炊く家庭も増えているが、やはり食べておいしいのは白米だけで炊いたご飯、すなわち白ご飯だ。
炊きたての白ご飯に味噌汁とぬか漬けの一品でもあればあとは何もいらない、という人も少なくない。

かつては「ごちそう」だった白ご飯
そんな日本人になじみ深い白ご飯だが、一体いつごろから食べられているのか調べてみると、意外なことがわかった。
実は一部の大都市圏を除き、常食するようになったのは明治時代に入ってからなのだ。
たとえば江戸時代、江戸に住む人たちに限っては長屋暮らしの八っつあん熊さんたちでも日に3度、白ご飯を食べていたが、一歩江戸の郊外に出ると、米農家であっても作った米の大半が年貢として取られてしまうため、白ご飯を食べることができたのは祭礼の日などに限られた。
まさに「ハレ」の日のご馳走だったのである。

したがって大方の日本人は白米を常食するようになってまだ百数十年しかたっていないのだ。本稿ではそんな白米食の歴史と、なぜ江戸っ子だけが白ご飯を食べることができたのか、そしてそれによって生まれた「江戸患い」と呼ばれた白米食の弊害についても語ってみたい。
玄米を精米して食べるようになったのは奈良時代のことらしい。
精米によってビタミンという栄養を含んだ胚芽部分やぬか層を捨ててしまうことになるのだが、もちろんそんな知識は当時の人たちにはない。
胚芽やぬか層が残っていると、たんに食べたときに味や食感、消化も悪くなるからそうしただけのことである。 しかし、この精米作業はなにぶん重労働なので、庶民は玄米を軽く精米したものを蒸して食べる「強飯(こわいい)」を長く常食してきた。

白米は貴族など一部の特権階級に限られていたらしい。
室町時代に入ると農業技術の進歩や新田開発もあって、全国的に米の生産量が増大する。
しかし、庶民が日常的に白米を食べるまでにはまだ至っていない。
それが少しずつ改善してきたのは江戸時代になり、世の中が安定して米の生産量が一段と増大するようになってからである。

中国から足踏み式精米が伝わり、精米作業が大幅に省力化されたことも大きかった。
それまでは餅をつくように臼と杵で精米していたのだが、これは大変な重労働であった。
その点、シーソー式の足踏み精米なら労力は半減するうえ従来より大量の玄米を短時間で精米できた。
さらに江戸も中期になると、水車を動力にして精米する技術が広がり、精米がより簡単に、より大量にできるようになったのである。
こうして精米された白米は、大消費地である江戸にどんどん流れ込んだ。

白米ばかり食べる人を悩ます「江戸患い」とは?
江戸っ子は元来が見栄っ張りである。
おかずを削ってでも白ご飯を食べることを好んだ。
水道で産湯をつかったことと、日に三度白ご飯を食べられることが、何よりの自慢だったという。
これは江戸が急造都市で肉体労働者が多かったことと無縁ではないだろう。

日々、肉体労働に汗を流すと、どうしても塩気の多いおかずが欲しくなり、そうしたおかずには分づき米で炊いたご飯よりも断然白米で炊いたご飯のほうが相性は良かった。
もう一つ、江戸っ子に白ご飯が好まれた理由に、当時の食習慣が関係していた。
当時の家庭はどこでも炊飯は朝一回きりで、昼も夜も朝炊いた残りを食べた。
そうなると玄米に近い分づき米だと、夜ともなればご飯がプーンと不快なにおいを放つようになる。
夏場なら尚更だ。
それが嫌で極力白米を選んだわけである。

ところが、大好きな白米を買うと、それほど稼ぎがあるわけではないので、おかずを買うまでの余裕はない。
そこで自然、ご飯だけをたくさん食べることになる。
その結果、ビタミン不足が原因で中枢神経が侵されて足元がふらついたり倦怠感や心不全、いらいらなど様々な脚気症状を招いてしまった。
この病気は参勤交代で江戸に暮らす勤番侍に多かったことから「江戸患い」とも呼ばれた。

日本史上、「脚気」が原因で亡くなったと思われる有名人は少なくない。
徳川将軍家などは3代家光、5代綱吉、13代家定、14代家茂とまさにオンパレードである。
なかでも14代家茂の場合は特にかわいそうだった。
家茂は20歳かそこらで長州征討のさなかに病死するのだが、相思相愛だった夫人の皇女和宮もその後32歳の若さで亡くなっている。
夫婦そろって脚気が原因とみられている。

脚気は「贅沢病」だった?
近年の研究では、豊臣秀吉も脚気で亡くなったとする説が有力視されている。
晩年の秀吉が悩まされていた、下痢や失禁、精神錯乱などはまさにビタミン不足によるものだという。
してみると、秀吉が晩年になって甥の秀次に切腹を命じたり、朝鮮出兵を言い出したりしたことも、脚気のせいだったと考えると、少しは同情したくなるのだが、これは筆者だけだろうか。

この脚気は、いったん患うと数日で亡くなることも珍しくなかった。
飽きやすく何をしても長続きしない人のことを嘲って「三日坊主」というたとえがあるが、この言葉は本来、脚気を患ってたった3日で亡くなってしまい、坊主(僧侶)を手配しなければならなくなった、という意味だとも言われている。
真偽は定かでないが、それほど江戸の人々にとっては怖い病気だったということである。

脚気が江戸患いとも言われ、勤番侍に罹患する者が多かった。
これは、国元では滅多に食べられない白ご飯が江戸ではいくらでも食べられることに感激し、在府中に白ご飯ばかり食べ続けたからである。
したがって、国元に戻っていつもどおりの玄米に近い分づき米に雑穀や大根などを混ぜて炊いたご飯(「かてめし」という)を食べていると、いつのまにか体調不良がケロッと治ってしまった。
このことから「贅沢病」と言われたりもしたという。
こうしたことを江戸時代の人々は体験的に知っていたのである。

とりわけ江戸っ子たちにぬか漬けやそばが好まれたが、ぬかは精米時に玄米から取り除いたものだし、そばも現代ではビタミンをたっぷり含んでいることがわかっている。
こうした食べ物から、精米で捨ててしまったビタミンを無意識のうちに補っていたわけである。

この脚気という厄介な病気は、江戸時代が終わって、明治、大正時代になっても日本人を悩ませ続けた。
特に明治から大正時代にかけては江戸時代よりもはるかに多くの患者を出し続けたとみられており、肺結核と並んで二大国民病とも言われた。
脚気による死亡者数がピークとなった大正12年にはなんと2万6796人もの人々が1年間に亡くなっていた。

明治・大正期に脚気が蔓延した大きな理由は、「軍隊」にあった。
明治の世となり、政府は西欧列強に追いつくため「富国強兵」と「殖産興業」をスローガンに掲げたことはご存じのとおり。 特に富国強兵策として明治6年に「徴兵令」を公布し、全国の農村から若者を集めた。
その際政府は、若者たちに対し軍隊に入れば1日6合の白米を食べさせると約束したのである。
この条件は当時の農村の若者たちにとっては実に魅力的だった。
御一新を迎えるまでは年貢年貢で締め付けられ、ほとんど白ご飯を食べられなかっただけに、それが毎日腹いっぱい食べられるとあって農家の次三男坊は喜んで軍隊に飛び込んだ。
そして、白ご飯を食べまくった。
このことが脚気患者を著しく増やす原因となった。

日清戦争(明治27年)では約20万の兵を動員したが、その2割までが脚気患者だった。
これは公式に認定された数字で実数はもっと多いとみられている。
しかも、患者の大半は陸軍の兵であった。
海軍のほうはビタミンの存在にこそ気づかたよいていなかったものの、偏った栄養摂取が脚気の原因であると考え、早くから兵食改革に乗り出していた。
そのことが功を奏したのである。
一方の陸軍は、脚気は伝染病の一種で空気感染によって起こるという東大医学部が唱えた説を頑なに支持していて、その後も兵らに与える食事に対しなんら対策を講じなかった。

脚気を食い止めなかった森鷗外の失敗
その結果は10年後の日露戦争でもはっきり表れた。
戦病死者3万7200余人のうち、脚気による死者は実に約75パーセントに当たる2万7800人を数えた(『医海時報』明治41年10月)。
この数字から逆算すれば脚気にかかった陸軍兵士の総数は30万人を超えていたとみられている。
一方の海軍はこの日露戦争での脚気の罹患者は87人で、亡くなったのは3人にとどまっている。
ここにきてさすがの陸軍も兵食改革に着手するかに思われたが、世の中全体が戦勝ムードに浮かれていたこともあり、改革どころか陸軍幹部の責任も一切問われなかった。

その責任を負うべき中心的人物に、当時は陸軍省医務局の幹部だった森鷗外(のちの文豪)がいたことは記憶にとどめておきたい。
その後、明治43年になり、農芸化学の鈴木梅太郎博士が、ぬかの中からビタミンを抽出することに成功する。
しかし、鈴木博士は医学者ではなかったため医学界からは何年も黙殺された。
これも脚気患者を増やす一因となった。
日本人の永い永い脚気との戦いにようやく終止符が打たれたのは大正時代も末期になってからであった。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月13日

沖縄から「寮付き派遣」27歳男を待っていた地獄<労災隠し、コロナ切り、無低への強制入居…

沖縄から「寮付き派遣」27歳男を待っていた地獄
労災隠し、コロナ切り、無低への強制入居…
2021/03/12 東洋経済オンライン
藤田 和恵 : ジャーナリスト

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。
そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。
本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

慣れない仕事で腰が筋肉痛になったのかな――。
最初はそう軽く考えていた。
しかし痛みはひどくなる一方。
あっという間に夜眠れなくなり、トイレに行くのにも苦労するようになった。
2年ほど前、愛知県にある大手自動車メーカー系列の工場の派遣労働者だったシュウゴさん(仮名、27歳)は椎間板ヘルニアを発症したときの様子をこう振り返る。
「バンパーの溶接部分をチェックする仕事でした。
1日に500台、多いときで800台。(バンパーの)下部は腰を折り曲げて、左右の側面は腰をひねって確認します。
働き始めて間もない職場で覚えることも多く、寮と工場の往復でしたから、仕事が原因としか思えなかったのに……」

「前例がない」と労災を認められなかった
痛みを訴えたシュウゴさんに対し、派遣先会社の上司らは備え付けの救急箱から湿布をくれた。
ただ同時に「病院には、絶対に1人では行かないように」と強く念押しされたという。
指示に従って上司と共に病院に行ったところ、医師からは椎間板ヘルニアと診断されたうえ、「仕事が原因と疑われます」と告げられた。
ところが数日後、派遣先会社からは労災は認められないと伝えられた。
理由は「前例がないから」。
これまでこの職場で腰を痛めた人はいない、というのだ。
上司は追い打ちをかけるようにこう言った。
「仕事以外のところで、自分の不注意で痛めたのではないか」。

一方の派遣元会社はどのような対応だったのか。
担当者の口から出たのは信じがたい屁理屈だった。
「正直こっちも困ってる。君のせいでうちも泥を塗られた形。
(労災ではないという)派遣先の判断に従えないなら、次の仕事を紹介するのは厳しい。
(その場合は)寮を出ていってもらう。
でも、もしこちらに全部任せてくれるなら、ちゃんと面倒は見るから」

要は、派遣元会社にとって大手自動車メーカー系列の派遣先会社は大切な取引先なので、労災なんて起こされたら困る、ということだ。
派遣元会社が用意した寮で暮らしていたシュウゴさんにとって、退寮は即ホームレスになることを意味した。
やむをえず、今後治療費は請求しないといった旨が書かれた示談書に署名。
まさに泣き寝入りである。
その後、派遣元会社はたしかに別の職場を用意してくれた。
しかし、腰痛のせいで仕事は休みがちに。
結局1年たたないうちに雇い止めにされた。
「派遣先会社からは労働基準監督署に労災を申請したけど認められなかったと説明されましたが、今思うと、それも本当かどうかわかりません。
労災は自分でも申請できるとか、個人でも入れるユニオンがあるとか、当時はそうした知識もありませんでした」

シュウゴさんは沖縄出身。農業で生計を立てていた実家は貧しく、シュウゴさんは小学生のときから新聞配達をして家計を支え、中学卒業後は建設現場などで働いた。
ところが、両親はシュウゴさんの知らないところで、彼の名義で消費者金融やクレジットカードで借金。気がついたときには金額は600万円を超えていた。
20歳を過ぎた頃、それらの借金をめぐり父親と刃傷沙汰寸前の争いになったときのことだ。
父親は「親が子どもを使って何が悪いか!」と開き直ったという。
この出来事をきっかけにシュウゴさんは家族と縁を切り、故郷を出ようと決めた。

身ひとつで、知らない土地で働くには寮付き派遣しかなかった。
ただ当時のシュウゴさんは夢や期待のほうが大きかった。
「学歴も、職歴もない自分に飛行機代も出してくれる、住まいも用意してくれる。
入社祝い金やクオカードももらえる。
寮付き派遣って、いいことずくめじゃないか」。

「寮付き派遣あるある」の実態
しかし、実際の派遣労働は期待外れの連続だった。
沖縄を出る前は時給1600円と聞いていたのに、現地に着くと「今その仕事の空きはない。時給1250円の仕事ならある」と説明された。
ただ、どちらの時給の仕事も業務内容は同じだという。
納得できなかったが、いまさら沖縄に戻るわけにもいかず、やむなく時給1250円で働いた。
その後、何度か派遣先は変わったが、事前の約束より時給が下がることはあっても、上がることはなかった。

派遣元会社が用意する寮の家賃も割高だった。
寮といっても、派遣元会社が借り上げた民間アパート。
あるとき、築40年以上の木造アパートで毎月約8万円の寮費を引かれたことがある。
高すぎると感じ、不動産会社に直接問い合わせたところ、実際には家賃5万円ほどの物件であることがわかったのだという。

シュウゴさんに言わせると、派遣元会社が相場より高い寮費を取るのは「寮付き派遣あるある」。
残業の有無にもよるが、収入は手取りで月18万円ほどで、昇給もボーナスもない。
揚げ句の果ての仕打ちが労災隠しである。

愛知の派遣会社を雇い止めにされたシュウゴさんは、その後どうなったのか。
シュウゴさんは別の寮付き派遣などの仕事を探して神奈川や群馬、埼玉を転々とした。
そして昨年4月、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で雇い止めに。
住む場所もなく、所持金も尽きたので、関東近郊のある自治体で生活保護を申請したところ、悪質な無料低額宿泊所(無低)に強制的に入居させられた。

無低では、劣悪な住環境にもかかわらず、入居費、食費として約8万円をピンハネされ、シュウゴさんの手元に残るのは毎月たったの1万円ほどだった。
しかも無低から最寄り駅までは歩いて1時間。
就職活動のため駅まで歩き、そこから電車でさらに1時間以上かかる都心の面接会場に行き、汗だくになって帰ってきても、施設内で決められた入浴時間に間に合わないことがたびたびあった。
風呂の時間に少しでも遅れると、罰として食事を抜かれたという。

この間、生活保護の担当ケースワーカーが無低まで面談に来ることは一度もなかった。
代わりに電話でたびたび心ない言葉を浴びせられた。
「若いのに生保に頼らなきゃいけないなんておかしいよ」
「もっと働けるでしょう」「身内に頼れないのは、あなたにもやましいところがあるからじゃない?」。
こうした暮らしは、シュウゴさんが貧困問題などに関わる市民団体に助けを求めるまで4カ月間にわたって続いた。
シュウゴさんは昨年夏、市民団体の助けを借りてアパートに転居。
自己破産の手続きをして、今年1月には腰の手術も受けた。

いびつな関係がはびこる「労働者派遣」
それにしても。若者を低賃金で使い倒し、使えなくなったらゴミのように捨てる会社を放置し、最後のセーフティーネットであるはずの生活保護では、悪質無低の食い物にさせる――。
この国の雇用政策と福祉行政は、いつからここまで狂ってしまったのか。

労働者派遣においては、派遣労働者と派遣元会社、派遣先会社は三角関係にある。
1990年代以降、経済界の要望に押される形で労働者派遣の規制緩和が進んだが、それは3者の関係が対等であることが前提だったはずだ。
しかし、貧困問題の取材現場では、3者は対等どころか、「派遣先会社>派遣元会社>派遣労働者」といういびつな関係がはびこっていると痛感する。
まさに当初懸念されていたとおり、立場の弱い労働者が中間搾取の対象になっているのだ。
禁止されている事前面接や日雇い派遣、偽装請負も横行している。
3者の適切な関係を維持できないなら、労働者派遣など即刻やめて、従来の直接雇用に戻すべきだ。

それに今回、シュウゴさんの腰の手術費用は生活保護の医療扶助で賄われたが、これは本来、派遣元会社が加入する労災保険から支払われるべきものである。
生活保護のケースワーカーはシュウゴさんに福祉に頼るなというたわごとを言っていたようだが、むしろ不当に福祉に頼っているのは、結託して労災隠しに走った派遣元、派遣先会社なのではないか。

シュウゴさんのケースだけではない。
コロナ感染拡大の中で多くの非正規労働者が解雇や雇い止めに遭った。
もともと低賃金、不安定雇用だった彼らの一部は生活保護を利用することになったわけだが、簡単に雇用調整をして、あとは国の福祉制度にぶん投げていいなら、企業経営とはずいぶんお手軽だと思うのは私だけだろうか。

シュウゴさんとは、彼が無低から“脱出”して間もない昨年10月と、今年2月の2回会った。
今回、シュウゴさんは右脚を引きずっていた。
手術から1カ月、まだ痛みがひかないのだといい「また普通に歩けるようになるかな」と不安そうにつぶやいた。

日雇い派遣には戻らないと考えを変えた理由
これからの仕事について、昨年は「それでも手っ取り早く働けるのは派遣だから」と、なおも日雇い派遣に戻ろうとしていたが、今回は「人は掃いて捨てるほどいると思っているのが派遣会社だから」と言い、できれば日雇い派遣には戻りたくないと話す。
どうして考えが変わったのか。
「今は住むところがあるからです。
落ち着ける場所があるから、こういう考え方ができるようになった。
住むところがなければ、やっぱり日雇い派遣しかないと焦ってしまうと思います」。
シュウゴさんはそう言って、アパート転居に尽力してくれた市民団体に感謝する。
シュウゴさんと会ったのは2回ともお昼どきだった。
いずれもふらりと入った定食屋で、昨年は鮭のハラスとイクラを、今回は牛タンを食べながら話を聞いた。
シュウゴさんにとっては、どれも初めて食べるものだという。
イクラの食感に目を丸くして驚き、牛タンを口にして「世の中にこんなにおいしい食べ物があることを知った」と笑う。

私が牛タンには麦飯ととろろがセットになっているのだと伝えると、私のまねをしてとろろを麦飯にかけていた。
たまにイクラや牛タンをたべるぜいたくもしてこなかったのか――。
目の前の優しい笑顔とは裏腹に、私の心は複雑だった。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月16日

緑内障、白内障、飛蚊症…「本当に怖い目の病気」の危険なサイン

内障、白内障、飛蚊症…「本当に怖い目の病気」の危険なサイン
2021年03月15日 1 日刊大衆

 誰もが毎日使っている「目」。
スマホの普及で目を酷使する機会が増えたこともあり、視力の低下や目の疲れなど、今ではほとんどの人がなんらかの目の不調を抱えていると言っても過言ではないだろう。

だが、これを“よくあること”と、軽く見てはいけない。
「加齢で目が衰えると、病気のリスクは確実に高まります。
また、重大な目の病気の多くは、初期症状が出ません。
つまり知らず知らずのうちに、病が進行しているケースが多いんです」(医療関係者)
 つまり、何か症状が出た時点で、すでに重大な目の病気を患っている可能性もあるというのだ。

「失明に至る病もありますし、目の不調を体からの“危険サイン”と捉えて、注意深くケアすべき。
これを無視しては、自ら死を選ぶようなものですよ」(前同)

 ささいな目の不調にも、敏感になっておく必要がある。
そこで今回は、我々が注意すべき目の病気をおさらいしつつ、誰もが抱える目の不具合について、原因と対処法を検証したい。

 まずは、重大な目の病から。要注意なのが「緑内障」だ。
 眼圧の上昇などで視神経に障害が起き、視野が狭くなる病気で、我が国の失明原因のトップともいわれている。
一度、破壊された視神経は再生できないため、失明を避けるためにも治療は早いほどいいのだが、めぼしい初期症状はない。 『松原クリニック』

(東京都豊島区)の松原正裕院長も、「うちのクリニックでも、コンタクトレンズの処方や花粉症など、違う理由で来られて、緑内障が見つかることがほとんどなんです」と証言するほどだ。
 だが、有効な手立てがないわけではないという。

『眼ウォーキング』(メタモル出版)の著書もある『福与眼科医院』(東京都北区)の福与貴秀院長(医学博士)は、こう語る。
「かなり進行しないと緑内障に気づかないのは、視野が狭くなっても両目で補ってしまうから。
しかも視野は、鼻のほう(右目なら左端、左目なら右端)から欠けてくることが多 いから、なおさらなんです。
そこで大事なのが、定期的に片目で見てみること。
そして、視界に何か違和感を持ったなら、受診することを勧めます」
posted by 小だぬき at 06:00 | 神奈川 | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月18日

どうなる?緊急事態宣言 尾身会長“お手上げ”のテキトーさ

どうなる?緊急事態宣言 尾身会長“お手上げ”のテキトーさ
2021/03/16 i日刊ゲンダイ

「発症数、病床使用率とか客観的な数字を参考にしながら、専門家の意見を聞く中で判断したい。
もうしばらく時間をかけたい」

 21日まで延長された新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言は果たして解除されるのか。
16日、菅義偉首相は東京都内で記者団の質問にこう答えていたが、「どうしたらいいのか分からない」のが本音ではないのか。というのも、菅首相が「意見を聞く」とした「専門家」がすでに“お手上げ状態”を認めているからだ。

 15日の参院予算委。政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は、首都圏で感染の下げ止まり傾向が続いている状況について、「見えない感染源があるのではないかというのが我々の判断」
「そのことを放置したままにただ延長、また解除をしても本質的な解決にならない」などと説明していたからだ。

「見えない感染源がある」のは昨年春から分かっていたこと。
だからこそ、昨年の早い時期から民間の医療従事者らは「PCR検査の拡大による無症状感染者のあぶり出しと徹底隔離」の必要性を訴えていたのだ。
 ところが、尾身会長はそういった声を無視し、「感染拡大を防ぐだけが目的なら、中国と同じことをやればよい。しかしもっと合理的な21世紀型の対策があるはずだ」(昨年2月の日経新聞座談会)などと言って、政府として具体的な防止策を講じてこなかったのだ。

■今さら「重要なことはしっかりとした現状の把握だ」と
 尾身会長は同予算委で、「重要なことはしっかりとした現状の把握だ」と言って検査体制の強化などを主張していたが、この発言もまた、「今さら感」を覚えざるを得ない。
尾身会長は昨年10月に横浜市で開催されたバイオ産業のイベントに出席した際の基調講演で、無症状感染者のPCR検査についてこう言っていたからだ。
「経済活動に参加できるよう、安心のために(PCR)検査を受けるというのは理解できる。(しかし)感染拡大の防止には役立たない」
「感染拡大の防止に役立たない」とハッキリ言っていたのに、今は検査強化が必要だなんて、あまりにいい加減過ぎるだろう。

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏がこう言う。
「政府分科会や厚労省がPCR検査を拡大しなかったのは、自分たちの権益を守るため。改正前の感染症法では、民間の医療機関や検査会社は、厚労省や国立感染症研究所、保健所の指示がなければ検査できず、濃厚接触者以外の医療従事者やエッセンシャルワーカー、社会的弱者を無症状でも検査できる建て付けになっていませんでした。

そこで法改正を訴える声が強くなったわけですが、改正法で民間機関や検査会社でも無症状感染者を検査できるようになってしまうと、自分たちが自由に差配できなくなる。
当然、カネの流れも把握できなくなるわけです。
だから、検査拡大に必死で抵抗したわけですが、改正法でもその部分は変わらなかったため、今度は『検査拡大が必要』などと言い始めているのです」

 権益維持に執着して必要な対策を講じず、今になって「見えない感染源」などと言いだす。
専門家がこの調子では、日本の新型コロナ対策が進まないのも当然だ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月19日

飲食店「協力金バブル」の落とし穴。もう普通の日常には戻れない

飲食店「協力金バブル」の落とし穴。もう普通の日常には戻れない
2021年03月18日   SPA!

いよいよ首都圏に発令されていた緊急事態宣言も解除され、ワクチンの接種も順次進んでいるとなれば、待っているのは「日常の復活」である。
多くの人が、コロナ禍以前の日常が再び訪れることを心待ちにしているだろうが、中にはとある理由から不安を覚えている人たちも……。

◆「協力金バブル」に浮かれて…
「夫は昨年の秋以降、ほとんど働いていません。
一度店を覗いたんですが、店頭に夫はおらず、結局、別の居酒屋で飲んでいた。
バブルに浮かれ、普通の生活が戻っても前のようにちゃんと働いてくれるのか不安です」

 こう話すのは、神奈川県内で飲食店を経営する本島祥子さん(仮名・30代)。
夫(40代)が両親から引き継いだ居酒屋など数店を夫妻で経営する。
当然コロナの煽りを受け、休業や時短要請などに従う形で営業を続けてきた。
 だが、夫に危機感はゼロ。
昨年から今年にかけ、さまざまな名目で支払われた協力金や補償金のおかげで、もはや以前のように働く気はなさそうだと嘆く。
「夏までは慣れないランチ営業、弁当販売などもやっていました。
ですが、夫は協力金が手元に蓄えられるようになってからは、ほとんど店のことをやらなくなった。
メインの居酒屋にはたまに顔を出しますが、馴染み客が来ると一緒に飲んで、そのままどこかに行ってしまう。
それ以外の店は従業員に任せっきりです」(本島さん、以下同)

 飲食店に対する1日6万円の協力金、いわゆる「協力金バブル」に浮かれ、気がゆるんでいるという経営者の話が週刊誌の報道などで漏れ伝わってくる。
本島さんの夫は、まさにその急先鋒だった。

◆普通の生活には戻れない
 役所などへの申請関係、
店の通帳は夫が握っているため、本島さんは協力金がいくら入ったのか正確な額はわからないという。
だが、その一部、もしくは少なくない額を夫は持ち出し、遊興の限りを尽くしている様子なのだとか。
「夫の羽振りがいいということで、怪しい友人が群がってきているようで。みんなを引き連れて、以前は行かなかったような女性がいるお店に通っていると、知人がこっそり教えてくれたこともありました」
 もちろん注意をしているが、夫は「コロナが終われば働く」とぶっきらぼうに言ってみては、すぐにふて寝をするか酒を飲み始める。
世間では「コロナ明け」に期待が高まる中、本島さんの精神状態は悪くなる一方なのだ。
「夫は、まるで人が変わってしまったようです。コロナが終息しても普通の生活には戻れないでしょう」

◆フードデリバリーサービス配達員の懸念
 東京都内在住で、昨年4月からUber Eats(ウーバーイーツ)などのフードデリバリーサービスの配達員を行っている依田篤志さん(仮名・20代)が不安を吐露する。
「日常が戻るとなると、仕事は減るでしょうね。不景気で新規の参入者も増えているし、これで食えなくなれば、また無職に戻ってしまうのか」(依田さん、以下同)

 大学を中退後は仕事をすることもなく、3年ほど実家でニート生活を送っていたが、コロナ禍によりタクシー運転手である父の収入が激減。
母親から泣きつかれ、これでは流石にまずいと一念発起、ようやく始めた仕事が配達員だった。
 依田さんの収入は、ここまで順調に右肩上がりを続けてきた。しかし……。
「ステイホームが呼びかけられ、特に昨年の夏以降は本当に注文数が増えました。
都内であれば、1日1万円以上稼げる日ばかり。
働けば働くほど稼げるので、労働の楽しさを知りました。
ですが、配達員の数も同じように増加。
今は配達リクエスト(注文数)が増えているのでいいですが、コロナ禍が終われば、確実に受けられる数は減るでしょう」

◆“コロナ”を口実に人とのやりとりが最低限で済むのが良かった
 事実、緊急事態宣言の最中でありながらも、天気の良い休日などは、街に人が繰り出すようになっていた。
その数に反比例して配達リクエストは減る。
Uber Eatsのほか複数のフードデリバリーサービスに登録し、なんとかしのいでいるが、以前のようには稼げなくなってきていることも痛感している。

「やっと社会復帰できたと思っていたところ、また試行錯誤をするハメになりそうで……。
もともと人とのコミュニケーションがうまくありません。
正直、“コロナの感染対策”を口実に、人と会うことが最低限で済ませられるというのがよかったんです。
普通の仕事は、たぶん僕にはできない。

 新しい生活様式なんて言いながら、みんな外に出たいに決まっています。
正直、コロナがもっと続いてくれればと思います」
 すっかりコロナ禍の日常に慣れてしまった私たち。
そこには一定数、“コロナありき”の生活でお金を得ていた人たちも存在する。
そんな人たちにとってみれば、「普通の生活」の再来は頭の痛い問題なのだ。

  <取材・文/森原ドンタコス>
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月21日

「指の骨が砕けるほどの拍手で歓迎」入会者を2日間で洗脳する巨大イベントのヤバい光景

「指の骨が砕けるほどの拍手で歓迎」入会者を2日間で洗脳する巨大イベントのヤバい光景
2021年03月20日 PRESIDENT Online
(ライター 雨宮 純)

マルチ商法などの悪徳商法は、どのようにして構成員を集めているのか。
ライターの雨宮純氏は「その手法はカルト集団と類似しており、手口が分かっていても簡単には抜け出せない。
勢力は拡大しており、幕張メッセに約3000人を集めて、有名芸能人のネタ披露を催したこともある」という??。(第4回)

■「君ら、何かの宗教とちゃうよね?」
「君ら、何かの宗教とちゃうよね?」
大規模コンベンションセンターのステージでは、テレビでよく見る若手芸人がネタを披露した後、こう不安げに茶化して、参加者約3000人の笑いを取る。
これは悪徳商法集団の「環境」で開催されている「全体会議」の一コマだ。

「初回参加のDさんです! 意気込みをどうぞ!」
別のプログラムでは、ステージ上に会員が立ち、求められるままに一言メッセージを述べる。
すると、約3000人の構成員たちが異常にも思える拍手で祝福する。
この連載で取り上げている悪徳商法集団の「環境」では、多額の上納金や不衛生なシェアハウス、激しい勧誘といった負担を構成員に強いている。
このような負荷を掛けながらも大勢に所属させ続けるため、「環境」ではセミナーで繰り返し承認を与えて動機付けを行っている。
本稿では彼らのセミナーと、そこで与えられた承認により団体の活動を手伝わせる「プロジェクト」という名のタダ働きの実態について迫る。
 なお、前回と同じく元会員への取材をもとに構成している。

■2泊3日でセミナー漬けにされる
「環境」のセミナーには、大きく分けて内部セミナーと外部セミナーがある。
このうち優先度が高いのが外部セミナーだ。
これは外部の業者に委託しているセミナーで、入会者全員に勧められる基礎コースは2泊3日で行われ、会場は大阪にあるという。
この期間中、入会者は全員セミナー漬けにされる。

セミナー費用は約10万円で、東京に住んでいた脱会者のDさんの場合は宿泊交通費を入れると10万円を越えたという。
もちろん、全額自己負担だ。
「部外者にはセミナーの内容を口外しない」という趣旨の誓約書を書かされているため全容は語らなかったが、集団を密室に閉じ込め、精神的に動揺させられるゲームや瞑想を行うようだ。
00000ナーと言いつつトレーナー役は全員師匠やリーダー(一定数の勧誘実績がある構成員)で、人生の目標も「環境」での活動に結び付けられる。
そして、このセミナーの最後には、ある意味で“強制的に感動させる演出”が待っていた。

■感動的な演出で“スイッチを押されたかのよう”に泣いてしまった
「セミナーの最後に『家族や友人、師匠のことを思い浮かべて下さい』と言われて瞑想が始まり、しばらくして促されるままに後ろを振り向くと、紹介者が立っていたんです。
そして『これから一緒に頑張っていこう』という内容の手紙を渡されます。
ずっと密室で過ごしていたのと、感動的な音楽が掛かっていたこともあり、気付いたら感動し泣いていました。
今思い返すと、まるで何かのスイッチを押されたようでした。」

自己啓発セミナーでは巧妙な集団心理操作が行われ、運営側が狙った心理状態へと誘導される。
これにより勧誘にいそしむ動機を植え付けていると考えられ、外部のセミナーを優先して受けさせていることもうなずける。 また「環境」には多種多様な内部セミナーがある。
入会するとまず100人規模の「スタートアップセミナー」が行われ、これが終わるとマインドセットや活動内容を学ぶ「基礎トレ」、その復習やロールプレーイングを丸一日かけて行う300人規模の「ワークショップ」が行われる。
そのほかにも、各管轄で結果を出しているメンバーが表彰されスピーチをする500人規模の「ビジネスセッション」というイベント性の高いセミナーもあるという。

これを1カ月サイクルで毎週末に繰り返していく。「環境」では、「成果=やる前提×やり方×やる量」という方程式が重要視されており、やる前提とやり方を基礎トレで学び、やる量である現場をこなすことで成果につながると指導される。

■「指の骨が砕けるほどの拍手を!」と指示される
また、セミナーでは入会数はもちろんのこと「初参加」「新規友人数」「プロジェクト参加(プロジェクトについては後述)」といった形で行う表彰が毎回行われる。
表彰の基準は厳しくないため、真面目に活動していればかなりの割合で表彰されるが、これにちょっとした高揚感があるそうだ。
セミナーではオーバーリアクションが推奨されており、表彰されると耳が割れんばかりの拍手が沸き起こるという。
これは幹部から「指の骨が砕けるほどの拍手を!」と指示されているからだ。
この他にも師匠の話を聞く『師匠の部屋』や、師匠がさらに上位の幹部に質問する『東京カリスマ』など、幹部とのコミュニケーションが取れるセミナーもあるという。

また、脱会者のDさんがもっとも記憶に残っていると語ったのが、「自己投資」と呼ばれる毎月15万円の上納金を達成していると参加できる限定セミナーだ。
このセミナーは上納金を支払っているだけで「自己投資を達成した」ということで表彰される。
活動の成果ではなく、単にお金を払っているだけで表彰されることに衝撃を受けたという。

「環境」では毎週末のセミナーを通じてある種の勧誘マニュアルを教え込んでいるが、それは同時に承認の場にもなっている。
数百人の前で熱烈に承認される場を普段から得られている人は稀であり、頻繁に承認儀礼を行うことで所属の動機付けをしていると考えられる。
そして、この動機付けとして団体内で強く機能しているのが「全体会議」だ。

■有名芸能人も多く参加する「全体会議」
「全体会議」というのは毎月行われる「環境」全体のセミナーで、月初か月末の土日で開催される。
例年は関東か関西のコンベンションセンターで開催されていたが、数千人が集まるイベントということもあって昨年の緊急事態宣言でいったん中断された。 だが、宣言解除後に復活し、今年の緊急事態宣言発令後も行われているようだ。
内容としてはセミナーや表彰のほか、ゲストを招いてのインタビューや余興など、さまざまなプログラムが用意されている。また、テレビでよく見る芸能人もトークショーなどに参加していたという。

筆者が確認したゲスト一覧には、テレビにもよく出演している辛口で有名な女性芸能人や若手お笑い芸人など、芸能人が数多く含まれていた。
「有名芸能人がゲストとして来ているのを見ると、すごい団体に入会したような気持ちになった」とDさんが語っており、この芸能人のゲスト出演によって、入会者の心をつかんでいたと考えられる。
芸能人への出演交渉は、クラウドファンディングなどの運営を行う「環境」のフロント団体が取り仕切っているという。
なお、現在でもフロント団体のホームページには、全体会議のゲストも含めた芸能人へのインタビュー記事が掲載されている。
また、初回参加の場合は、それだけで紹介者も含め会場の座席を前方に設定される。
前方に座れるのは成果を出している人で、団体内では名誉なことだとされている。
さらに、新規入会というだけで壇上に上がることができ、表彰された上にスピーチの機会まで与えられる。
数千人の前で拍手されるという非日常的な経験をすることで、多くの参加者が充実した気分を味わうという。
このように新規参加者に充実感を与える仕組みを作っているのだ。

 ■オンラインサロンでは身分証明書を提出させている
ほかにも、「太っている人集合」や「童貞集合」というミニイベントも開催されていたようだ。
普通なら指摘されたくないネガティブな特徴だが、壇上で顔を売れるのは気分が良いため、多くの構成員が登壇していたという。

普段は自分から言うと恥ずかしい特徴も、それを材料にして目立ち、肯定されるのは快感だ。
これには強引に自己開示を行わせ、承認することでカタルシスを得させて組織への所属欲求を高める効果があると考えられる。
「全体会議」は関東か関西で行われるため、長距離移動が多く発生する。
その実態も過酷なものだった。
「『全体会議』への移動には『環境』が借り上げたバスが使われます。
バスは四列シートで、人数が多いため補助席で過ごす人もいました。
金曜日の夜に出発し、月曜日の朝に帰ってくるのですが、そのまま出社するためスーツを持ち込む人も多かったです。
補助席で東京から大阪と聞くとハードに聞こえると思いますが、当時は普段から深夜まで勧誘やミーティングをしていたため、何も現場を入れる必要のない出発前はむしろ楽でした。
さらに、月曜日に帰ってきた日か、その翌日の夜には振り返りのミーティングが設定されていました。
学習してから48時間以内に振り返りを行うことで、内容を定着させるためです。

また、『全体会議』に参加するためには、『環境』が管理している月額1万円のオンラインサロンに登録する必要があり、これが参加チケット代わりとなっています。
この登録にはなぜか運転免許証やパスポートといった身分証明書の画像提出が必要でした。」
「環境」ではオンラインサロン登録時に身分証明書を提出させるため、ここで主な個人情報を握られてしまう。このため、取材の中でも身元割れが強く警戒されており、実際に取材を直前でキャンセルした脱会者がいた。

■構成員を動員して通販サイトのランキングを操作
「全体会議」をはじめとしたセミナーの運営は構成員によって行われており、無給であるという。
「環境」ではこのような活動を「プロジェクト」と呼ぶ。
具体的には、店舗の手伝いが「店舗プロジェクト」、大規模イベントや出版の手伝いが「全体プロジェクト」と呼ばれている。
「店舗プロジェクト」はオーガニックショップ開店準備や仕入れの手伝い、飲食店の従業員などを指す。 

飲食店の場合は給料をもらえることがあるようだが、オーガニックショップの場合はほぼ無給。
このため、無給労働を行わせる場合は、従業員ではなくインターンとして働く趣旨の誓約書を書かされるという。
また、「全体プロジェクト」というのはイベントや出版の手伝いがメインだ。

全体会議の開催前にスタッフ募集のメールが流され、構成員はGoogleフォームで応募する。
この際、応募条件には「自己投資15万円達成」や「勧誘実績3人以上」といった参加資格が設けられている。
出版については、幹部が出版した本をWeb購入するよう指示され、恣意的にランキングを上昇させていたという。
同様に、団体が応援するアーティストの曲を同時期にダウンロードしたり、師匠のブログにアクセスすることもあったようだ。
しかも、支払いは自腹である。
一方で、「プロジェクト」に参加しているとセミナーで表彰されるため、無給労働や自腹購入と引き換えに構成員に承認を与える仕組みになっていたと考えられる。

■勧誘の初期段階で連絡を絶つべき
「環境」はさまざまセミナーで承認機会を繰り返し用意し、芸能人を呼んで組織の大きさを印象付け、特に新入りは特別扱いして組織に染めていく。
集団の前で繰り返し承認する方法はカルト集団と類似しており、所属への強力な動機付けとなっている。
そうして所属し続けているうちに、15万円の上納金を支払うだけでなく、「プロジェクト」という名のタダ働きにも参加してしまう。
数千人の前で壇上に立ち、はちきれんばかりの拍手を向けられれば、手口が分かっていても心理的影響を受けることは十分に考えられる。
勧誘の初期段階で連絡を絶つことを強くおすすめする。
----------

雨宮 純(あまみや・じゅん) ライター
都内在住の30代。思春期にカルト宗教による事件が多発したことから、新宗教に関心を持つ。
オカルト検証好きが高じて理工系大学院を修了し現在に至る。
悪質商法、疑似科学、陰謀論、オカルト史などについて調査し記事や動画で情報発信中。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月23日

麻生財務相、記者に逆質問「マスクいつまで?」…専門家「パンツのように常識化も」

麻生財務相、記者に逆質問「マスクいつまで?」…専門家「パンツのように常識化も」
2021年3月20日  スポーツ報知

 麻生太郎財務相が19日の閣議後記者会見で、質問した記者に対し「マスクなんて、暑くなって口の周りがかゆくなって、皮膚科がはやってるそうだが、いつまでやるのか」と逆質問する場面があった。
政府は新型コロナウイルスの緊急事態宣言解除後も引き続きマスクなどの感染対策に留意するよう求めており、期限を明確には示していない。
「マスクはいつまでやることになってるのか。あんたら、新聞記者ならそれぐらい知っているだろう」。
スポーツ報知の記者はその場にはいなかったが、麻生財務相の疑問に答えるべく、2人の専門家に見解を聞いてみた。

◆自治医科大付属病院感染制御部長・森澤雄司准教授
 いつまでマスクを着用するのか、明確な期間は分かりませんが、少なくともワクチン接種が国民に広く行き届くまでは最低でも必要でしょう。
 米国のCDC(疾病対策センター)は「ミーティングをする場合、ワクチンを接種した人同士であれば、室内でもマスクを外すことを許可する」という暫定的な指針を出しています。
ただ、再感染のリスクなど科学的根拠が乏しいことに加え、あくまで2回接種を完了してから2週間経過した人同士という条件ですから、日本国内では相当先になると考えられます。

 政府は4月12日から高齢者の優先接種を開始するとしていますが、それまでに医療従事者が打ち終わることは絶対にないと言えるでしょうし、一般の方がいつになるかは全く分からない。
政府の方で責任を持って「ワクチンがいつまでに打てるから、それまでマスク着けることを我慢してください」と言うのが筋ではないでしょうか。
 マスクの意義は「自分の身を守るため」よりも「他の人にうつさないため」という方が大きい。
マスク着用は、他の人の命を守るという観点からも極めて重要な点です。
そこを今一度理解し、マスク着用を続けてワクチン接種の順番を待つほかないと考えます。  

◆日本医科大・北村義浩特任教授
 あまりに不確定要素が多すぎて一概には言えませんが、考え得る最良のケースでも2〜3年後でしょう。
ワクチンが全国民に行き渡り、長期的な有効性も確認されることが前提になります。
 さらに可能性が低いことを挙げると、特効薬が開発されること。
コロナが「死に至る病」でなくなれば、マスクのない生活に移行するかもしれません。

 よく「集団免疫」ができればという意見も聞きますけど、集団免疫は全体のうち7割なら7割に免疫ができることに過ぎず、100%ではない。
残り3割のリスクを無視して「もうマスクはいらない」とはならないでしょう。
 さらに、日本人は衛生への意識も集団への意識も高い国民性を持っています。

現状から改善されても、誰もがマスクをしなくなるような社会にはなかなか戻らないと思います。
むしろ長期化により、マスクがニューノーマルとなる可能性も十分あると思います。
確実にもっと快適なマスクも製品化されると思いますし。

 かつて人間が「不衛生だからズボンの下にはパンツを履こう」と決めたことが定着したのと同じように、マスクをすることは常識になっていくと考える方が自然かもしれません。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

糖質制限ダイエットに隠れた「危険な落とし穴」

糖質制限ダイエットに隠れた「危険な落とし穴」
「流行りのダイエット」を鵜呑みにできない理由
2021/03/21 東洋経済
松村 むつみ : 医師・医療ジャーナリスト

最近流行りの「糖質制限ダイエット」。
主食である白米やパンなど炭水化物を抜くことで効果的に痩せられると話題のダイエット法ですが、その一方で「リスク」があることも忘れてはいけません。
糖質制限ダイエットのデメリットを、医師で医療ジャーナリストの松村むつみ氏による新書『「エビデンス」の落とし穴』より一部抜粋・再構成してお届けします。

糖質制限によるダイエットがブームです。
わたしの周囲にも、「白米を食べないようにしている」と話す人が増えています。
コンビニやスーパーで売られているサラダチキンは、糖質制限の追い風もあって、売り上げが増えて、種類も豊富になっています。

今までは、ダイエットというと「全体のカロリーを下げる」のが主流でした。
しかし、糖質制限をすると効率よく体重が落ちることがわかり、昨今の糖質制限のダイエットブームにつながりました。
糖質制限に関しては、「やせることができ、健康によい」という意見と、「やせる一方で、健康被害が出ている」という意見があります。実際のところはどうなのか見ていこうと思います。

糖質制限をすると、減量効果があることは数々の研究でわかっていますが、「減量効果」がはたして「健康」と直結するのかどうかが重要です。
「やせる」というのは、あくまで「健康になる」ことの通過点にすぎないので、最終目標がどうなのかを検討することが必要だからです。

医学的に「健康になる」とはどんな状態か?
まず考えなければならないのは、「健康になる」という目標が、どんなことであるのか、ということです。
普段生活している中で、わたしたちは、漠然と「やせる」「運動する」「野菜を食べる」と考えますが、医学的には、「死亡率を減らす」「心筋梗塞などの深刻な病気を減らす」ことが取りあえずのゴールになります。
「健康」というと、メンタル面や生きがいなど、実際にはもっと多くの要素があるのですが、糖質制限などの食事法・健康法について検討する場合には、その「良い」「悪い」は、死亡率や深刻な病気のリスクという観点から検証しているということを踏まえて、以降の文章を読み進めてください。

世の中には、「糖質制限」をはじめとして、「脂肪制限」「カロリー制限」など、さまざまな食事法があります。
これまでの研究では、糖質制限は、脂肪制限と同じような減量効果があることがわかっています。
また、心筋梗塞や脳梗塞などを起こりやすくする因子(これをリスク因子と言います)を改善する可能性も指摘されています。

炭水化物は、量ではなく、質が大事なのだ、という研究も多くあります。
具体的には、白いパンよりも、全粒粉を使ったほうがいいという結果です。
イギリスの医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)』に掲載された論文によると、「全粒粉は、心筋梗塞やがんによる死亡リスクを下げる」という結果が示されています。

欧米およびアジアの複数の研究を統合したメタアナリシスで、白米は糖尿病のリスクを上げるという結果も出ており、日本においても、白米を多く摂る女性は糖尿病のリスクを上げるという研究があります。

しかし、日本人において、白米と玄米を比較した質の高いエビデンスがあるわけではありません。

糖質制限で「死亡リスクが増える」研究も
一方、糖質制限では、糖質を控えたぶん、相対的に脂質を多く摂取しがちになるため、かえって死亡リスクが増えるのではないかという意見があります。
2019年、欧州心臓学会誌に、糖質制限食を続けると、心血管系の合併症(心筋梗塞などの血管が詰まる病気)が増えて死亡リスクが上がるという研究結果が報告されました。

薬による治療や食事療法を行うのは「死亡リスクを下げる」のが最終目的です。
ダイエットにより、体重が減って一見健康になったようにみえても、死亡する人が増えては意味がありません。
このエビデンスからは、糖質制限は長期的には健康によくないという可能性も否定はできなさそうです。

最後に、ハーバード大学の長期研究を紹介しましょう。
25年の長期にわたって、炭水化物の摂取量と、病気や死亡率との関係をみた研究です。
その結果、「炭水化物の摂取が多すぎても少なすぎても死亡リスクが高い」という結果が出ました。
炭水化物のエネルギー割合が50-55%の人がもっとも死亡率が低く、40%未満と70%以上はいずれも死亡リスクが高かったのです。
これは、貴重な長期にわたる大人数の研究結果ですが、「バランスの取れた食事をすることの大切さ」を示唆していると言えます。

「こういう食事がいい!」といったん話題になると、多くの人がその食事パターンを真似しようとします。
ただ、どれだけ「体にいい食事」だったとしても、それを続けられなければ意味がありません。
ダイエット研究で、被験者にいつもと違う食事を長く続けてもらうことは難しいですし、加えて、食事パターンを長期にわたって追いかける研究を行うことも非常に難しい、という現実があります。
また、ダイエットの研究は、「アンケート」によるものも多く、正確性に疑問符がつくことも珍しくありません。

健康診断などでは、「お酒を飲みますか? 飲むとしたら、週何回、一日に何合飲みますか?」という質問項目をよく目にすると思います。
このような質問には、受診者の多くが過少申告をする傾向が知られていますし、わたしが実際に問診をする際にもそれを実感します。

「極端なダイエット」は避けたほうがいい
さまざまなダイエットはどれも短期的には効果があるけれども、長期では体重減少や重病のリスク因子を減らす効果はなくなるという研究もあります。
また、どのタイプのダイエットを選ぶかよりも、きちんとやれるかどうかのほうが重要だという意見もあります。
禁欲的なダイエットをずっと続けるのは難しく、リバウンドのリスクもあります。
そういう意味では、大病をしていない健康な人であれば、極端なダイエットに走るのではなく、できるだけゆるい、続けられるダイエット法を選んだほうがいいかもしれません。

糖質制限には、短期的にはかなり多くのエビデンスがあります。
しかし、今まで繰り返し申し上げてきたように、「多くのエビデンスがあるから正しい」と言えるものではありません。
「やせる」「短期的に、心筋梗塞のリスク因子を改善するようだ」ということは、いくつかの研究で証明されています。
ただし、もっとも大切なのは、「長期間にわたって、死亡率を改善するのかどうか」ということです。
糖質制限においては、「長期にわたる研究」が絶対的に少ないのです。

「メタアナリシス」もいくつかありますが、1年程度の研究も多く、何十年にわたって検証されたものはほとんどありません。
最終的な結論を出すには、もう少し時間が必要でしょう。

また、糖質制限の効果については、「研究対象がどんな人か」にも注意を払わなければなりません。
「糖尿病患者」に対して効果があっても、一般の人に対して効果があるかどうかはわからないからです。
糖質制限だけではなく、食習慣に関する膨大な最新のエビデンスを見ていくと、死亡リスクを減らす「よい食事」と考えられるものと言えば、
「肉よりも魚を摂取したほうがよい」
「肉の中では、牛や豚、あるいはハムなどの加工肉よりは、鶏肉を食べたほうがいい」
「白いパンよりも全粒粉などの茶色いパンがいい」
「食物繊維をたくさん摂ったほうがいい」などがあります。

「ほどほどに、適切な範囲で」 このような「常識」を念頭に置きつつ、極端に走らず、結局のところ「ほどほどに、適切な範囲で」を守ることが重要だと言えそうです。
わたしは、人間ドックの結果説明の際には、「食事はバランスが一番大事です。何かをやめればいいものでもないし、特定の食品ばかり摂取すればいいものでもありません。
極端な糖質制限はお勧めしません。
全体のバランスを考える必要があります」と、お話ししています。
25年間にわたるハーバード大学の研究とも一致する考えです。

糖質制限をするにしても、あまり極端ではなく、ゆるやかな形でされるのがいいと思います。
posted by 小だぬき at 07:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月24日

コロナで借金デビューする人たち。スマホで借りられる手軽さが盲点に

コロナで借金デビューする人たち。スマホで借りられる手軽さが盲点に
2021年03月23日 SPA!

新型コロナによる収入減が家計を直撃し、借金で生活を支えざるを得ない人が増えている。
これまで借金とは無縁だった人まで、借金に手を出し始めているのだ。
一体どんな人たちがコロナ禍を借金でしのいでいるのか? 専門家に聞いた。

◆「コロナ禍で借金を背負う」人たちの特徴は?
 新型コロナによって借金苦に陥るのはどのような人たちなのか。
 SPA!が行った新型コロナ流行後に借金をした人へのアンケート結果では、「コロナ流行後の借入額」は半数以上が30万〜100万円と答えた。
何百万円もの借金ではなくとも、収入が減った分や急な出費を借金で補てんした人が多い印象だ。

 実際、過去5000件以上の債務整理を手がけてきた「ひまわり司法書士法人」の本松紳司氏のところにも、「コロナをきっかけに借金が返せなくなった」という声が多く寄せられているという。
「リストラされて借金が返せなくなってしまった人や、残業代やボーナスがカットされて借金頼みの生活になってしまった人など、全体の6割ほどはコロナが原因で返済苦に陥ったという相談です。
 皆さん複数の金融機関を利用していて、借入額は平均で300万円ほど。
車や家のローンがあると『手取り25万円のうち返済額が23万円超』という方もいて、そうなってしまってはもはや自己破産を考えないといけません」

◆知識や免疫のない若い層が、借金をせざるを得ない状況に陥っている
 また、コロナ禍で新しく借金デビューを果たす人もいる。
「先日も20代の若者から『コロナでバイトできなくなり20万円の借金をしてしまった。返せないので自己破産したい』と相談がありました。
 その額では少なすぎて破産はできませんし、そんな知識や借金に免疫すらない若い層が、コロナ禍で借金をせざるを得ない状況に陥っているのでしょう」

◆若者の借金を加速させる?スマホ「借金テック」の全貌に迫る
 いまやスマホがあれば家にいながら即座にカネを借りられる時代。
そんななか、LINEやメルカリなどIT企業による「借金テック」とも呼べそうなサービスが存在感を強めている。
借金情報サイト「借金道」管理人のシロウ氏が話す。
「特に注目しているのが『LINEポケットマネー』です。
’19年8月からスタートした個人向けローンサービスで、申し込みや審査、借り入れまですべてLINEアプリ内で完結します。

去年4月から、2か月で24%も総貸付残高を伸ばしていて、昨年4月の月間新規申込数は3.9万人と、アコムの3.3万人を上回っています」
 利用者は、20〜30代の若年層が大半を占めているという。
「危惧しているのは、手軽すぎて借金だという実感が薄いことです。
借りた額が最短でその日のうちにLINE Pay残高としてチャージされ、コンビニのATMを使えば簡単に現金化もできます。 しかし、実際は最大年率18%なので、決してお得とはいえません」

◆メルペイの「スマート払い」は、実質リボ払いと変わらない
 また、メルカリのスマホ決済サービス「メルペイ」は、月20万円を上限に毎月定額で支払うサービス「スマート払い」を始めている。
「『定額払いの申し込みで、500円分のクーポンプレゼントキャンペーン』などキャンペーンをどんどん打ち出していますが、定額払いの“手数料”は年率15%で、これは実質リボ払いと変わりません」

 ほかに、ファミリーマートも自社スマホ決済アプリ「ファミペイ」を活用した、小口貸し付けや後払いができるサービスの開始を予定しており、今後もこういったサービスは増えそうだ。

便利なだけに使う際は慎重になりたい。

【本松紳司氏】
「ひまわり司法書士法人」代表。債務整理や自己破産などの相談も多く、年間300件以上の無料相談を行う。独自に行った「コロナ禍での借金に関する実態調査」も公開中

【シロウ氏】
元消費者金融社員で、自身も長年借金を抱える経験を持つ。
借金情報サイト「借金道」を長年運営し、アドバイザーとして、これまで1000 件以上相談を受けている

<取材・文/週刊SPA!編集部>
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月25日

“整形業界の真実”を美容医療アプリ広報が告白。自身の失敗経験も

“整形業界の真実”を美容医療アプリ広報が告白。自身の失敗経験も
2021年03月24日 女子SPA!
文/もちづき千代子

新型コロナウイルスの影響により、密かに注目を集めている分野があります。
それは「美容整形」。
 リモートでの在宅勤務が増え、外出時にはマスク着用が当たり前となった今、その需要は増加傾向にあるといいます。
特にプチ整形や美肌医療については、ますますカジュアル化が進みそうな気配があるとか。

 しかし、そんな中でも「もしも整形が失敗したら……?」という不安があります。
そもそも美容整形業界は、その特性から情報が開示されにくく、「どれくらい費用がかかるのか」「どんな医師にかかればいいのか」がわかりづらいという難点があります。
せっかく受けるのであれば、絶対に後悔しない方法を選びたいですよね。
 そこで今回は美容医療の口コミ・予約アプリ「TRIBEAU(トリビュー)」の広報である本田りこさんに、「後悔のない美容整形」の極意を聞きました。

◆コロナ禍における美容整形のトレンドとは
 コロナ禍で美容整形の需要が増えた理由としては、在宅勤務や外出自粛によって人と会う機会が減ったり、メイクをする機会が減ったことが挙げられるそう。
また、外出する際はマスク着用になったことも大きな要因とのことです。

「二重埋没などのプチ整形の需要は変わらず圧倒的人気なのですが、コロナ前に比べると土台美容に流れる人が増えました。主にシミやホクロ除去、毛穴治療などの肌に関する治療で施術は割とライトなものになります。
施術後に肌が赤くなってもマスクで隠せるというのがポイントですね。
 また、肌以外だと鼻や顔の脂肪吸引も増えてきています。
2019年からの対比でいえば、圧倒的な伸び率なんですよ」

 このご時勢を機に初めて美容整形を受ける人も増加しているようですが、あらためて受診するとなると、どうやってクリニックを探したらいいのかがわからない女性も多い模様。
これまでは、テレビCMや電車広告で見かけたことのあるクリニックにまずは相談をするのが定番でしたが、最近ではそこにも変化が生じているそうです。

◆医師に言われるまま施術を受け数百万円になることも
「まず知っていただきたいのが、施術部位によって医師にも得意不得意があるということです。
自分が今必要としているのは、どういう医師なのかを考えてクリニックを選んだほうがいいと思います。
弊社のアプリを使って、整形したい部位や解決したい悩みからクリニックを検索することもできますし、最近ではInstagram に力を入れている医師も増えているので、そこから探してみるのもテですね」

 美容整形に必須となるのが、施術前の事前のカウンセリング。
ただ、無知な状態で医師と1対1で向き合うのは要注意だそう。
「目の整形を希望してカウンセリングに行ったものの、オプションを色々付けられ費用が高額になるというのはよくある話です。
当日そのまま契約すれば施術費用が安くなるクリニックもあります。
また、症例数を増やすために、医師があまり経験のない施術を勧められることもあります」

 医師と話しているうちに「言われた通りにすれば可愛くなれる」と思い込んでしまい、勧められるがままに施術を受けて結果的に数百万円の代金を支払った、なんて事例も実際に存在するとか。
さらに、整形の流行は移り変わりが激しいため、以前は鼻の施術が得意だった医師でも、流行りによっては苦手になっている可能性もあるといいます。

「つい最近までは派手めな存在感のある鼻が流行りだったんですけど、今は反対に『忘れ鼻』といわれる目立たない小さい鼻がブームなんです。
こうした流行の変化に対応できる医師であるかどうかも、クリニック選びの際に頭に入れておいた方がいいかもしれません」

 こうしたトラブルを防ぐために有効なのが、オンライン上でのカウンセリング。
最近多くのクリニックで取り入れ始めており、直接足を運ばずとも見積もりを出してもらうことが可能です。
「オンライン上では、料金や施術内容もいろんなクリニックとの比較検討ができるし、冷静に考えた上で施術に踏み込むことができます。
断る勇気がない、やっぱり整形は怖いと思われている方はオンラインでのツールをどんどん活用すべきです。
住んでいる場所から別のエリアのクリニックで施術を受けたいという人にもオンラインカウンセリングはオススメです」

◆美容医療にハマったきっかけは韓国のクリニック
 実は本田さん自身も美容整形をしており、もともとは自社アプリである『TRIBEAU(トリビュー)』のユーザーであったことも告白してくれました。
「大学生の時にエラボトックスを打ったのが初めての美容整形でした
ただ、本格的に美容医療にハマったのは、韓国の美容クリニックに行ったのがきっかけです。

 当時、韓国の化粧品会社に勤めていたこともあり韓国に行く機会が多く、韓国に住んでいる友人ができました。
その友人に自分の肌荒れやニキビ跡を相談したところ、クリニックに行くことを勧められました。
それまでは、コンシーラーやカバー力の高いファンデーションで隠していたのですが、クリニックでのレーザーやピーリングの施術を受け、悩みを解消することができたんです。

 整形=パーツを変えるものと思い込んでいましたが、そうではない美容医療もあると知り、そこから悩みを解決するための施術探しやクリニック探し、実際に施術を受けた体験談を見たくて『TRIBEAU(トリビュー)』を使い始め、いつの間にか広報として働くようになっていました(笑)」

 アプリを見てみると、皆の整形ビフォーアフター写真や経過写真を投稿していて、なかなか凄まじいですね。
実際にこれまで、どんな施術を受けてきたのかも聞きました。
「こまごましたところで、唇、あご、涙袋にヒアルロン酸、口角、エラ、肩に ボトックス、肌管理系のレーザーやピーリングの施術ですね。
一番大きな施術としては、二の腕の脂肪溶解注射や太もものプチ脂肪吸引。これは韓国でやってもらいました」

◆120万が60万円に?!美容整形の価格幅問題
 多くのクリニックに通ってみて気づいたことは、美容整形をするには情報や知識が不可欠だということ。
本田さんも、大きな失敗を体験したことがあるそうです。
「顔の糸リフトと口の中からフェイスラインの脂肪を取る施術を受けに行ったんです。
長い休みが取れないので、 クリニックをあまり調べずに、すぐ施術ができる某大手クリニックでカウンセリングを受けたのですが、なんと見積額が120万円。
私の希望施術でこの金額はおかしいと思って、つい『高すぎませんか?』と言ってしまったんです」
 すると、先方は半額である『60万円』を提示。本田さんはそれでも高いと感じたそうですが、これ以上下がることはなかったといいます。
「結果、顔のラインはすっきりしたものの右側だけ引っ張られ左右非対称になってしまいました。
クリニックに術後の状態を話したら『アゴにヒアルロン酸を入れてみましょう』と提案されましたが、根本的な解決ではなく顎のラインを変えて誤魔化(ごまか)すという提案だったことに驚きました。
事前にクリニックやドクターをしっかり調べなかったことを本当に後悔しました」

◆適切な情報と自分自身の要望を照らし合わせて選んで
 本田さんはハッキリと金額について疑問を提示できましたが、もし初心者だったら「これでいいだろう」と思ってしまうだろうと、現状の業界に苦言を呈していました。
事実、美容整形におけるトラブルは価格での失敗が多いといいます。
「美容整形は自由診療なので価格幅があることは確かです。
例えば『TRIBEAU(トリビュー)』のレビューでも、とあるレビュアーさんが『100 万円』で書いていても、別の方が『同じ施術で200万円で提示されました』なんてコメントしていたこともありました。それくらい幅広いものなんです」

 ちなみに二重埋没の相場は 5〜20 万円ほど。
しかし、広告では安く出ているのに行ってみ たら 50万円以上の請求があることも珍しくはないといいます。
だからこそ、本田さんは大手だから有名だからだけでない、自分に合ったクリニック選びをして欲しいとのこと。
「美容医療業界を健全な方向に向かわせるのが、私たちの目標でもあります。
ぜひ適切な情報と自分自身の要望をしっかりと照らし合わせて選んでください。
自分に合うクリニックに巡り合えますように!」
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月27日

年金は「65歳から」「将来も本当にもらえるか?」に衝撃回答

年金は「65歳から」「将来も本当にもらえるか?」に衝撃回答
3/26(金) 幻冬舎ゴールドオンライン

「年金、将来、自分たちも本当にもらえるのか?」という不安を現役世代からよく聞きますが、実際に制度としては、社会・経済の変化にあわせて改正されていくものです。
どのような改正が行われるのでしょうか。
直近のものから考察していきましょう。

これまでより「長い期間にわたり」働くようになる…
令和2年6月5日「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が公布されました(5月29日成立)。
厚生労働省のホームページから、「改正の意義」をみていきましょう。
“今後の社会・経済の変化を展望すると、人手不足が進行するとともに、健康寿命が延伸し、中長期的には現役世代の人口の急速な減少が見込まれる中で、特に高齢者や女性の就業が進み、より多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり多様な形で働くようになることが見込まれます。

こうした社会・経済の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図る必要があります。
”『厚生労働省ホームページ』より

「多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり」「働くようになる」と、はっきりと記述されています
これにより年金の受給開始時期が遅くなったのかと言えば、必ずしもそうではありません。
では、どのように変わったのでしょうか。
“高齢期の就労の拡大等を踏まえ、高齢者が自身の就労状況等に合わせて年金受給の方法を選択できるよう、繰下げ制度について、より柔軟で使いやすいものとするための見直しを行います。

現行制度では、60歳から70歳まで自分で選択可能となっている年金受給開始時期について、その上限を75歳に引き上げます。
繰下げ増額率は1月あたり、プラス0.7%(最大プラス84%)となります。
この制度改正は、令和4年4月から適用され、令和4年4月1日以降に70歳に到達する方(昭和27年4月2日以降に生まれた方)が対象です。
なお、現在65歳からとなっている年金支給開始年齢の引上げは行いません。”『厚生労働省ホームページ』より

「なお、現在65歳からとなっている年金支給開始年齢の引上げは行いません」と太字で記されているように、今回の改正で受給開始が遅くなるというものではありません。
あくまで個人の意思で、受給開始を遅らせる選択をした場合には、その分、得をするという制度になっています。

平均寿命が伸びているとはいえ、自身の寿命がどれくらいであるかは誰にもわかりませんから(定期的に健康診断を受診することである程度ははかれるかもしれませんが)、受給開始時期を遅らせるかどうかは、悩ましいところではないでしょうか。

年金制度が破綻している…ことは「全くありません」
改正に関しての同ホームページのQ&Aでは、記事冒頭に記した「年金、将来、自分たちも本当にもらえるのか?」という不安について明確に回答していました。

“Q.少子高齢化が進行すると、若い世代の年金額は減ってしまうのではないでしょうか?
A.年金制度は、5年に一度、健康診断のような形で行う「公的年金の財政検証」によって100年先までの見通しを検証しており、令和元年の財政検証では、若い世代が将来受け取る年金は、経済成長と労働参加が進むケースでは、引き続き、将来の時点で働いている人々の賃金の50%を上回る見込みです。
年金制度が破綻している、若い世代は年金を受け取れない、といったことは全くありません。

” 回答にある「公的年金の財政検証」は2019年(令和元年)に行われています。
「2019(令和元)年財政検証結果のポイント」より前提となったデータをみると、前回との比較(中位推計)において、出生率は1.35(2060年)から1.44(2065年)に向上、平均寿命は男性84.19歳・女性90.93歳(2060年)から男性84.95歳・女性91.35歳(2065年)は伸長、高齢化率は40.4%(2065年)から38.4%(2065年)に低下となっています。

平均寿命は伸長としているものの、出生率の向上、高齢化率の低下が前提とされており、翌年に公布された「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が少子高齢化による現役世代の減少を前提としていたことと照らし合わせると、違和感を覚える人もいるかもしれません。
また、前回との比較において、労働参加は就業率58.4%(2030年)から60.9%(2040年)に進展、と強調されていることも、コロナ禍を経験した現在からみると、前提が変わってくるのではないかと、気がかりではあります。

「公的年金の財政検証」は5年に一度実施されているので、コロナ禍を経て、次回の前提はまた変わってくるでしょう。
踏まえて、また改正がされる可能性もありますが、状況を鑑みると、受給年齢の引上げは大いにありそうです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月28日

「福岡5歳餓死事件」に見るカルト的手口の異様

「福岡5歳餓死事件」に見るカルト的手口の異様
オウム真理教の内側と重なって見える
2021年03月27日 東洋経済オンライン
青沼 陽一郎 : 作家・ジャーナリスト

5歳の子どもが、実の母親から十分な食事を与えられずに餓死する。
福岡県篠栗町で昨年4月に起きた事件。
保護責任者遺棄致死罪で母親の碇利恵被告(39)と、知人の赤堀恵美子被告(48)が、今月初めに逮捕され、23日に起訴された。

親族以外の人物が保護責任者遺棄致死の罪に問われるのもきわめて異例のこと。
そこに浮かび上がるのは、典型的なカルトの構図だ。

「ママ友が悪口を言っている」とでっち上げて親密に
報道によると、2人はいわゆる「ママ友」として知り合ったが、3年前に赤堀被告が「ほかのママ友たちがあなたの悪口を言っている」とウソの話から「私は味方だ」と碇被告に持ちかけ、周囲から距離を置いた親密な関係がはじまったという。
その後、「保護者から子どものトラブルで訴えられた。暴力団とつながりのある“ボス”に仲裁してもらおう」などと架空の話をでっちあげ、碇被告から50万円を詐取する。
さらには「お前の夫が浮気している」「浮気調査費用を“ボス”が立て替えている」などと、これまた虚偽の話で碇被告からカネを引き出すと、ついに2年前の5月に離婚に追い込む。
そのうえで「元夫との裁判や慰謝料で今後お金がいるので質素な生活をしなければならない」「慰謝料を多く取るために生活が困窮していると見られたほうが有利だ」などと言って、2019年8月ごろから碇被告の3人の子どもにも食事制限をさせるようになった。
その際も「ボスが怒るから食べすぎたらいけない」「12台の監視カメラでボスが見張っている」などと碇被告を脅している。

しかも、同年11月から碇被告は生活保護を受給していたが、それも赤堀被告に手渡していた。
赤堀被告は他にも児童手当など計約200万円を騙し取ったとして、詐欺罪などで起訴されている。
詐取した総額は1000万円を超えるとみられている。

赤堀被告は、碇被告の預金通帳を預かり、食費も与えず食料は自ら運んで差し入れるなど、家庭の生活全般から食事の量も管理。
昨年3月には食事の差し入れが減り、10日間、水しか与えられないような生活の末に、三男で当時5歳の翔士郎くんが重い低栄養状態に陥り、4月18日に餓死した。
死亡時の体重は約10キロで、5歳児の平均18.9キロの半分ほどしかなかった。
まさに骨までしゃぶりつくすような赤堀被告の所業だが、母親である碇被告もどうしてそこまで相手の指示に従順だったのか。

結果からすると、この母親は相手から逃れられない呪縛に陥っている。
それはカルトにおける教祖と信者の関係もいっしょだ。
極端に聞こえるかもしれないが、この2人の関係を置き換えると、かつて殺人まで犯したオウム真理教の内側と重なって見える。
比較してみればよくわかる。
その道筋と6つの共通点をみていく。
不安に駆り立てられた人を囲い込む

@不安と生きづらさ
2人の関係は、「ほかのママ友たちが悪口を言っている」と告げられたウソからはじまっている。
言われた側は、突然のことに驚いたはずだ。
しかも、真面目な性格だったのだろう。
人に嫌われたくないという思いが、不安を駆り立てる。
それまでの生活が、急に生きづらいものになる。
オウム真理教の場合は小さなヨーガ教室から始まり、生きることの辛さを説いた教祖の麻原彰晃(本名・松本智津夫)の著作に傾倒した若者たちが参集してくる。
20世紀の終わり。
バブル経済まっただ中。
その時代を生きた者にしか理解し難いかもしれないが、現代とは明らかに違った空気が漂っていた。
そこに不安も生まれる。
物欲にまみれたこの豊かさが本当の幸せなのだろうか。
この幸せもいつまで続くか。
このころに「幸福の科学」や「ワールドメイト」といった新興宗教が相次いで誕生してブームとなったことも、時代が後押ししたひとつの証だろう。

麻原も最初は、少なくとも表面上は信者に寄り添うようにして、人心を掌握していく。
赤堀被告が「私は味方だ」と声をかけたように。

A情報の遮断と敵視
赤堀被告は「私は味方だ」と言って悪口をいうママ友を敵視させ、碇被告を引き離した。
そうすると正確な情報にはアクセスできない。
赤堀被告の都合のよいものだけになる。
次に偽の浮気情報で夫婦の仲を切り裂き、離婚させて孤立させる。
もはや赤堀被告の言葉を信じるしかない状況ができあがる。
オウム真理教は、富士の麓に巨大な教団施設を作って、信者を外界から遠ざけたことは周知の事実だ。
社会とのトラブルを起こしながらも、悪いのは社会のほうだと敵視し、自分たちが優れ、虐げられているという都合のいい情報ばかりを共有する。
内部の情報操作で教祖を神格化させていく。

B威厳と畏怖
赤堀被告は、自分の背後に暴力団とつながりのある“ボス”の存在があると言った。
ボスの怒りをかう恐ろしさを示唆している。
オウム真理教では、あがめ立てる神仏が教祖についていた。
というよりも、神仏のお告げを受けられるのは自分だけだと言った。
時には、そのお告げを利用して信者を煽動した。

C監視
碇被告は生活が12台のカメラで監視されていると信じた。
赤堀被告がそういうからだ。
実際には赤堀被告に監視、隔離されている。
教祖に超能力があるとされたオウム真理教では、教祖が信者の心の中までを見透かしていると信じた。
実際には、教団施設に監視カメラが置かれ、信者が互いを監視して告げ口していた。

経済的に孤立させ、苦しい状況に追い込む

D財産没収
赤堀被告は、母親から通帳を取り上げ、保護費も提供させて、経済的にも孤立させている。
そうして私腹も肥やす。
オウム真理教では、出家にあたって全財産のお布施を強要した。
教団から逃げられないようにする目的だったが、結果的に教団の資産が増えることになり、それがテロ事件の下支えともなった。

E苦行
まるで極限修行のような食事制限、貧困生活は心から正常な判断を奪う。
それでも、我慢して従ったのは、それで離婚問題もすべて解決すると信じたからだ。

オウム信者の修行の先にも「解脱」という到達点あり、それによって乱れた今生の「救済」という大義があった。
だが、睡眠不足と疲労を招くばかりの出家生活は、やはり正常な判断を奪う。
気がつけば指示に従って動くテロ組織の一員になっていた。
教祖の指示とは言え、実行したのは信者たちだ。

福岡のケースも子どもが死んではじめて異常に気がつく。
司直の手によって閉鎖的な環境から解き放たれて、後悔と自責の念に襲われる母親。
ただ、これを洗脳だとか「マインドコントロール」と論評する報道も少なくないが、一連のオウム裁判では弁護側がマインドコントロール理論を主張したものの、ことごとく否定されている。
そうして190人が有罪となり、うち13人の死刑が執行された。

不安な時代は判断を狂わす
小さな命と多くの命を奪った2つの事件に教訓があるとすれば、結果的には抜け出せない呪縛に陥っていたとしても、その入口はこの世界のどこにでもあるということだ。
オウム真理教の誕生にあった、当時の時代的背景。
カネとモノにあふれたバブル経済にわいていた特異な時代。
その当時はなかった「ママ友」という世界。
そこから放逐される恐怖。

今はコロナ禍にある。
この状況がいつまで続くのか、不安は募る。
経済的に追い込まれている人たちも少なくない。
自粛生活による孤独。
そうしたところで、ふっとしたことがきっかけで詐欺にひっかかったり、甘い言葉を信じたくなったりすることがあるかもしれない。

普通なら心が奪われることはなくても、環境が人の心を左右する。
判断を狂わせる。
そしてカルト的なものにはまる。
取り返しのつかない事態に落ちる。

誰もがそうなってもおかしくはない、いや、むしろなりやすいと自覚したほうがいいかもしれない。
そういう未知の時代を生きている。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月29日

「コロナで自分たちは頑張っている」と主張する医療業界が、ひた隠しにする不都合な真実

「コロナで自分たちは頑張っている」と主張する医療業界が、ひた隠しにする不都合な真実
2021年03月28日 PRESIDENT Online

日本の病床数は人口当たりで世界一を誇る。
それなのに、なぜ「コロナで医療崩壊」という事態に陥ったのか。
ジャーナリストの鳥集徹さんが、医師の森田洋之さんに聞いた――。※本稿は、鳥集徹『コロナ自粛の大罪』(宝島社新書)の一部を再編集したものです

■病床数世界一の日本で医療崩壊が起きる理由

【鳥集】ところで、森田先生は第三波が襲い、医療崩壊が騒がれる前から、日本の医療が抱える問題をいち早く指摘されてきました。
日本は人口当たりで世界一の病床数です。
また、コロナの陽性者数も、欧米各国に比べると数十分の一にすぎません。
それなのになぜ、全国の重症者が1000人を超えたくらいで医療が逼迫してしまうのか。

【森田】それは日本の医療が機動性に欠けるからです。
一般病床を感染の増減に応じて、柔軟にICU(集中治療室)やHCU(高度治療室)に転換するのが「縦の機動性」。
そして、他科や他施設の医師・看護師をコロナ病棟に派遣したり、医療がまだ余裕のある他地域に患者を移送したりするのが「横の機動性」。
欧米の国々では、こうしたことを柔軟にやっているのです。
にもかかわらず、なぜ日本ではできないのか。
その大きな要因の一つとして、日本の医療機関は民間が8割で、公的医療機関が2割しかないために、政府・厚労省の指揮命令系統が及びにくいことが挙げられます。
また、医療を競争原理に任せて運営してきたために、医療機関同士がライバルになってしまっている。
平時では、それが医療の質やサービス向上につながるけれど、有事になると上手に連携がとれない。
そうしたことを放置してきたツケが、コロナ禍になって回ってきたのだと思うのです。

■世界中の国が臨機応変に対応した

【鳥集】コロナ感染者や重症者に対応するために、民間病院なども協力して、機動的に医療体制を変えていくべきだという指摘は、森田先生だけでなく、多くの識者が提言しています。
ところが日本医師会をはじめとする医療側からは「そんな簡単にはできないのだ」という声が聞こえてきます。
たとえば、「院内感染が起こり、クラスターが発生すると、病院を閉鎖せざるを得ず、経営が立ち行かなくなる」とか、「病院数が世界一といっても日本は小さな病院が多く、人手が足りない」とか、「コロナの重症者を診たことがない病院が引き受けると、かえって悪い結果になる」とか。
こういう話を聞いて、森田先生はどうお感じになりますか。

【森田】それには、2つ論点があると思います。
まず、「できない」と言うんですが、できている国がたくさんあるわけですから、そこを見習って、どうすればできるのかを考えるのが当たり前ではないでしょうか。
コロナに機動的に対応できなくて、世界中が困っているというなら話は別です。
しかし、多くの国は臨機応変に対応して、機動的に動けています。

【鳥集】森田先生がよく例に挙げておられるのが、スウェーデンですね。

【森田】はい。どうしてスウェーデンを例にしているかというと、突出して優れているわけではないんですが、一般病棟をコロナ用に転換した数などが、きちんとデータとして出ているからです。
たぶんドイツでもアメリカでもイギリスでも、それなりに対応していると思いますよ。

■コロナの重症患者はがん専門医でも対応できる

【森田】スウェーデンで外科医として働き、ツイッターで発信している宮川絢子先生に聞くと、彼女が働くカロリンスカ大学病院では感染のピーク時には外科病棟がすべてコロナ病床に転換され、全体でも半数くらいがコロナ病棟になったそうです。そのため、通常のオペ(手術)はすべて延期となった。
もちろん、外科病棟には感染症の専門家なんていません。
じゃあ、どうしているかというと、感染症専門医が毎日1回まわってきて、何をすべきか指示してくれる。
コロナの重症患者でも、よほどのことがない限り、それぐらいで対応できるんです。

【鳥集】実は、がん研有明病院でもコロナ患者を十数名受け入れていて、がん専門医がローテーションを組んで担当しているそうです。
最初はどうすればいいかわからなかったけど、毎朝のカンファレンスで感染症や呼吸器の専門医の指示を受けながら対応している。
その指示を聞いていると、対応の仕方が徐々にわかってきたと、取材させてもらった副院長の大野真司先生(同院副院長兼乳腺センター長)は話していました。
つまり、コロナの重症患者はがん専門医でも対応できるということです。
ただ、がんの患者さんなどは、手術が延期されたら、すごく心配になるでしょう。

■医師会はICU病床数を正しく把握しているのか

【森田】実は、スウェーデンでは、それも統計を取っていて、ネットでグラフを見ることができるんです。
それを見ると、待機手術という、急がなくても命に別条がない手術は、コロナの感染拡大とともに急激に減っています。
しかし、緊急性を要する手術は延期していないことがわかります。
感染症というのは波があって、ドーッと増えたかと思うと、ピークを迎えた後、サーッと引いていく。スウェーデンでは、それに合わせて一般病床を一気にコロナ用の病床に転換し、波が引いたらすぐに元に戻している。
なので、延期していた待機手術もすぐに数が復活するんです。
これはすごく大事なことで、日本ってなぜか、一度つくったものは維持しようとしますよね。
コロナ用のICUをつくったら、今度はそのまんまにしている。
でも、感染症は波があるんだから、臨機応変に変えて、対応していくことがとても大事です。
それから、もう一つの論点として、上に立つ人たちが、きちんと数字を把握していないことです。
たとえば、日本医師会の中川俊男会長は2021年1月14日の定例記者会見で、新型コロナ向けの病床を大幅に増やせない理由として、民間病院は公的病院に比べてICU等の設置数が少なく、専門の医療従事者がいないことなどを挙げています。
確かに、人口当たりの医師や看護師は多くないですが、日本は諸外国と比べてもICU病床は少なくないんです。

■病床数の嘘

【鳥集】そうですね。私もOECD(経済開発協力機構)のサイトなどで各国比較のデータを見たことがあります。

【森田】ええ、日本はICUしか統計に入れていません。
でも、他国はHCUも救急病床も入れて統計を出している。
日本も救急病床とかHCUを入れれば、そんなに少ないわけではない。
また、日本は病床数は多いけど、慢性期病床とか精神科病床が多いといわれるんですが、これも嘘です。
急性期病床だけで比較しても日本は多いんです。
いずれにせよ、感染者数、死亡者数は何十倍も差があるわけですから、やれないじゃなくて、やらなきゃいけないんですよ、本当は。

■一部の医療従事者に負担が集中する構図

【鳥集】どうして、やれないって言ってしまうんでしょうか。

【森田】医療業界は、「自分たちは頑張っている」と言いたいんです。
ツイッターを見ていても、「うちの病棟は満床だ」「コロナ病棟は大変だ」と訴えるツイートを、たくさんの人がリツイートしています。
しかし、医療従事者みんながコロナ病床で働いているかというと、まったくそうではありません。

【森田】コロナ病棟の最前線で働き続け、大変な思いをしている看護師さんや医師の方々には敬意を表しますが、そもそもコロナ用として全病床の数パーセントしか使っていないわけですから、一部の医療従事者に負担が集中するのは当たり前なんです。

【鳥集】たとえば、森田先生のいる鹿児島で感染爆発が起こって、地元の開業医の方々で輪番制を組んでコロナ病棟を手伝いに行くことになったら、森田先生も協力しますか。

【森田】もちろんです。そういう取り組みも、あっていいと思います。

【鳥集】人工呼吸器の操作や感染管理に慣れていない医師が多いという話もよく聞きますが、そうなのでしょうか。

【森田】確かにそのとおりなのですが、だからといってまったくできないかというと、それもまたおかしな話です。
僕なんかでも、病院勤務時代は何の問題もなく人工呼吸器を操作していました。
もう10年くらいそうした現場からは離れていますから、アップデートはしなくてはいけませんが、たぶん2〜3日学べばできるようになると思います。

【鳥集】しかし、他科の医師や民間病院、開業医まで総動員して、コロナを診ようという声が、なかなか聞こえてきません。

■日本の医療が「専門分化」しすぎた弊害

【森田】専門分化しすぎている弊害もかなりありますね。
2004年に臨床研修制度が改定され、医学部卒業後2年間は、すべての科を回って、ジェネラリストを育てようということになりました。
それで少しはよくなったかなと思っていたのですが、2年間の研修が終わったら、98%が専門医コースに進むのが現実です。私のような総合診療医になる専門医の制度もできましたが、選択してくれる研修医は2%くらいしかいません。

【鳥集】総合診療医の人たちは、感染症を診るのは当然という意識はあるんですか。

【森田】もちろんです。
だって、受診される患者さんの発熱って、多くが感染症ですからね。
感染症を診ないという総合診療医は、あり得ないです。

【鳥集】一方で外科や他科の医師は、自分はコロナを診ることはできない、あるいは自分には関係がないと思ってしまうのでしょうか

【森田】そうですね。
まあ、外科の先生でも、普通の風邪ぐらいは診ている先生のほうが多いとは思いますけど、自信をもってやれているのかというと、ちょっと引き気味な感じにはなってしまうでしょうね。


(医師/南日本ヘルスリサーチラボ代表 森田 洋之、ジャーナリスト 鳥集 徹)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月30日

「水を1日2リットル飲むと体に良い」は大嘘。腸内環境を改善する習慣

「水を1日2リットル飲むと体に良い」は大嘘。腸内環境を改善する習慣
2021年03月29日 SPA!

長引く自粛生活や在宅勤務の影響で、暴飲暴食に走りがち、メンタルが不安定になりがちな人が多い。
人生100年時代と言われる今、できるだけ長く健康でいたいものである。
健康のために何を食べるかばかり重要視されるが、それを消化する腸内環境が悪ければ元も子もない。
腸内環境がいかに大切なのか、専門医師に聞いた。

◆腸内環境の改善は水分摂取と温度の調節を習慣づける
 腸管免疫に詳しい田中保郎医師は、これまで西洋医学では軽視されていた「小腸」こそが、腸の中で最も重要であると提唱する。
「人間の体内で各臓器に情報を伝えるのは神経とホルモンであることは周知の事実ですが、そのホルモンは味覚を感じる舌先やあらゆる臓器に存在している基底顆粒細胞から分泌されています」
 この基底顆粒細胞が特に多く集まっている部位を東洋医学では「ツボ」と言うが、湿布や鍼などで刺激することによって細胞が反応してホルモンを分泌するため、痛みが和らいでいくという。
「特に小腸内に存在する基底顆粒細胞からは、セロトニンやソマトスタチン、ニューロテンシン、エンケファリンなど脳に存在するすべてのホルモンが放出されていることが明らかになっています」

◆暴飲暴食は「心の病」につながることも
 しかし暴飲暴食を続けると、小腸内の基底顆粒細胞が飽食状態となり、脳内ホルモンの分泌が滞って生きる意欲を喪失するなど「心の病」も発症してしまう。

「心は脳ではなく腸がつくりだしている。
腸内環境を整えれば脳内ホルモンが正常に分泌されます」
 小腸が正常に機能していれば基底顆粒細胞も正常化し、腸内細菌も活性化され、免疫力や消化吸収力も高まっていく。
「食事面では、食べて寒さを覚える食材は自身の体に合っていない証拠なので、食べ過ぎないこと。
また、小腸内の水分調節と温度調節の習慣化が必要です」

 水分調節とは、ビールや水を大量に飲んで小腸の“根腐れ”を起こさないこと
喉の渇きを覚えた際は水を一気に飲まず、少しずつゆっくり摂取することを習慣化しよう。
 温度調節とは、腸を温めること。就寝時に腹巻きをしたり、足湯をすることで循環が良くなり、腸を効率よく温められる。

◆腸内環境を改善する習慣
・水をガブ飲みしない
「水を一日2?飲むと体に良い」は大嘘。喉が渇いたときだけゆっくり飲むこと

・足や腹を常に温める
腹巻きをして寝る、足湯で末端を温めることで循環が良くなり、腸内環境の改善に?がる

◆酒を飲んだ直後、横にならない
「声のかすれや喉の違和感から咽頭がんを疑う患者が多いですが、実際は逆流性食道炎」と言うのは、耳鼻咽喉科医の五島史行氏。
 そうした人々は、遅い帰宅で飲酒後すぐ就寝しがち。
朝起きると喉がイガイガして声がかすれていると、胃酸で喉がやけている証拠だ。
「睡眠時無呼吸症候群を合併していることも多いです」

 就寝2〜3時間前から飲食をしないのが改善策だが、やってしまった場合は「すぐに平らに寝ないで頭を上に30度くらい角度をつけて寝れば多少は変わります」という。

【内科医・田中保郎氏】
西諌早病院東洋医学外来東洋医学センター長などを歴任。
「東洋医学の名医」と呼ばれる。新著『腸を診る医学』(山中企画出版)4月刊行

【耳鼻咽喉科医・五島史行氏】
東海大学医学部付属病院准教授。
専門はめまい、耳鳴り。著書に『薬に頼らずめまいを治す方法』(アチーブメント出版)など多数

<取材・文/週刊SPA!編集部> ―[70歳まで健康習慣]―
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月31日

“少年院でご飯を1日3食食べると初めて知った” 「普通」がわからない少女たちのリアル

“少年院でご飯を1日3食食べると初めて知った” 「普通」がわからない少女たちのリアル
3/29(月) 文春オンライン

 全国に9か所ある女子少年院。
犯罪に手を染めてそこへ入ることになってしまった少女たちは、“普通”が何かわからないという。
「自分も同じ思いだった」と語る中村すえこさんは、自身も少年院に入院したという経験を活かし、ノンフィクション『 女子少年院の少女たち ―「普通」に生きることがわからなかった 』(さくら舎)を上梓した。

 中村さんが著書出版に至るまでの経緯を教えていただいた前編に続き、後半では取材を重ねた女子少年院の少女たちの実態について詳しく伺った。
(全2回の2回目。 前編 を読む)
性的虐待を受けても「お母さんが幸せそうだったから言えなかった」

――少女たちを取材していて印象的だったエピソードをお聞かせください

中村 「幸せになるのが怖い」、「幸せを感じたことがない」、「少年院に入った自分が幸せになっていいのか」、そんな言葉を何度も彼女たちの口から聞きました。
そんな思いを抱えるに至るまで、今まで一体どんな生活を送ってきたんだろうか。
それは女子少年院を回り始めたときから、そして取材をしていくなかでもずっと感じていて。
 他にも、初めてご飯を1日3食食べることを知ったとか、初めて信頼できる大人に出会ったのが少年院だったっていう子もいましたね。

 東北の女子少年院に、お父さんを刺したという女の子がいました。
刺した理由は、お父さんから性的虐待を受けていたから。なんでお母さんに相談しなかったのって聞いたら、「お母さんが幸せそうだったから言えなかった」って。
自分も幸せになっていいはずなのに、この子はずっとお母さんに遠慮して我慢していたようです。

 こういった子が少年院に送致される理由というのは、親を刺した罪だけが理由ではなくて、子供を置いておけない環境の家から引き離すという意味もあります。

「孤独」という言葉では片づけられない犯罪に手を染める少女

――そんな、やむなく罪を犯してしまう少女たちに、共通点はあるのでしょうか。

中村 女子でも男子でも、「居場所がない」とか「孤独だ」とか「どうせ私なんか」って感じる気持ちは一緒なんだなって思いました。
かつて私が抱いていた気持ちを今の子たちも感じている。
そういった意味では、犯した犯罪はそれぞれ違っていても、根底にある問題は同じ。
 ただ、手を差し伸べてくれる人や理解してくれる人が、私の10代のときよりも減っていて、無関心な人が増えているのかなということも感じています。
当時金髪になった私を見ても、近所のおじさんやおばさんは声をかけてくれましたから。
今は昔と比べたら孤独になりやすい環境かもしれません。この言葉だけで片付けたくはないのですが……。

――“孤独”が犯罪に手を染めるきっかけになりやすいと。

中村 子供たちが立ち直るために大切なのは、“独りじゃない”、“自分を認めてくれる人がいる”と思えるようになること。
そのために、子供にとって信頼できる大人がちゃんとその子と向き合うことで、彼ら自身も変わっていけると信じています。

 特に不良系の子は、“自分のことを思ってくれてるかどうか”に敏感なんですよね。
単純に、この人は自分のことを好きだって感じたら、自分も好きになれる。
生活の支援をしてくれるとか面倒を見てくれるとかじゃなくても、自分のことを思ってくれる気持ちが伝われば、その人を裏切りたくないっていう心が育つはずです。
 生まれたときから不良なんて人はいないですからね。

一人で変われる力を持った人もいるかもしれないけれど、人との関わりはとても大切です。
 そういった意味では“子供を変える”、“社会を変える”、この2つに優先順位はなくて、同時に変えていかなければいけない
課題かなと思いますね。
子供に“独りじゃない”と感じさせるのも大切。
一方で「助けて」と言えない子に手を差し伸べられる環境を作るのも同じくらい重要です。

映画化と著書出版 思いがけない少年院側の変化

――映画の制作、そして書籍化。反響は大きかったそうですね。

中村 映画を観てくれた人にアンケートをとったら、「家に帰って子供と話したくなった」とか、学校の先生からは「自分にもっとできることがあるんじゃないかと思った」というコメントを頂きました。
本を読んだ中高生からは「司法を学びたいです」、「Zoomで話が聞きたいです」というようなメールも。  
私が作ったもので、何かしらを伝えることができたんだなって実感しましたし、若い子が高い意識を持ってくれているってことがわかってとても嬉しかったです。

――では、活動を続けていくなかで中村さんが社会に感じた変化は?

中村 かつての少年院は、“ここを出たら、もう2度と戻ってくるんじゃないよ”っていうスタンスだったんですけど、今はむしろ出てからが大事だという考えに変わってきていて、退院後のケアを重んじるようになっています。
 やっぱり退院してからの社会環境は大事であってそこで築く人間関係が大切。
それは『セカンドチャンス!』として活動していくうえで“社会に出てからこうして更生できた”という事例を発信し続けたことで浸透させられたと思います。
 12年前に『セカンドチャンス!』ができたときは、当事者支援団体ってなかったんですよ。
その団体の影響力っていうのは、この10年余りですごくあったんじゃないかな。
(※『セカンドチャンス!』…少年院出院者同士が経験や将来の希望をわかちあい、仲間として共に成長していくことを目的としたNPO法人)
法改正で少年院を出た後でも先生に電話を掛けられるように

――具体的にどう変わったんでしょうか。

中村 平成27年に66年ぶりの法改正があって、少年院を出た後でも少年院の先生に電話を掛けられるようになったんです。今までは退院したら先生を含めた少年院出身者とは接触を取ってはいけなくて、このことはなかったことにして生きていきなさいみたいな教えでした。
 でも、少年院出身者同士だから共有できる痛みもあるし、プラスになることも多いんじゃないかという発想になってきた。そういった考えは以前の少年院側にはなく、我々がいくら説いても認めてもらえませんでした。
 ただ、そのなかでも「実は俺もそう思ってたんだ」と賛同してくださる先生もいて。そういった先生たちが出世したりして、今に至るいい変化をもたらす後押しをしてくれたんじゃないかと思います。
子供たちにとって、何か困ったことがあったときに、お世話になった先生を頼ることができるのは心の支えになりますからね。

――社会で少年を支援する保護司や更生保護団体の負担も増えていきそうですね。

中村 そうなんです。支援者って大変なんですよ。
24時間365日、仕事をしているようなもの。
彼らももちろん人間ですから、子供たちと冷静に接することができないときもあります。
 子供側だけじゃなく、支援する側の負担がかかりすぎないように、勉強会を開いたり、現場の状況を把握したりして、どういうことが必要なのか、彼らが追い詰められない現場作りのために国が動いてくれているんです。
私としても、彼らも大変なんだっていうのは多くの人に伝えたいなと思っています。

次のテーマは“少年が犯罪を繰り返す理由”

――現在は映画の続編制作に向けて準備中のようですね。

中村 そのための資金集めと、4月以降始まる撮影の準備を進めていて、今のところ公開は2022年の7月を予定してます。
今回は、男子少年院の少年たち3、4人を退院後も含めて追っていく予定です。
 男子は3人に1人が再犯するというデータが出ていて、“少年はなぜ犯罪を繰り返すのか”という面に焦点を当てようとしています。
少年らの根底にある、もう自分なんてどうなってもいいんだという思いから、再犯に手を染めそうになったとき、何が彼らを止められるのかと思って。
 そしてその答えは、すでに私のなかにあるものを言い切ってしまうんじゃなくて、観た人が“こういうことをすれば再犯を防げるんじゃないのか”とそれぞれの答えを出せるように、そのきっかけになるような内容にしたいなと考えています。

――どういった少年院を撮影していく予定なんでしょうか。

中村 取材予定の男子少年院は2つあり、少年院側も今はこういう教育にすごい力を入れているんだっていうのを見せていきたいです。

――1作目で出た彼女たちのその後は?

中村 佳奈(仮名)は2作目にも登場してもらう予定で、今も追っている途中。映画として、やっと“少女たちにはこういうことが必要なんだ”ということを伝えられるものが撮れたんじゃないかなと思っています。
映画では顔にボカシを入れているので表情まではわからないんですが、彼女たちの表情もだんだん大人びていって、顔つきも本当によくなっているんですよ。
“人は変われる”、“社会は変えられる”。
そのために多くの人々の意識をほんのちょっとだけでも変えていって、それを証明していけたらと思います。
   (文=二階堂銀河/A4studio)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月02日

14歳の少女が精神病院で体験した「極限の地獄」

14歳の少女が精神病院で体験した「極限の地獄」
4/1(木) 東洋経済オンライン

精神疾患により医療機関にかかっている患者数は日本中で400万人を超えている。
そして精神病床への入院患者数は約28万人、精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占めるとされる(数字は2017年時点)。
人口当たりで見ても世界でダントツに多いことを背景として、現場では長期入院や身体拘束など人権上の問題が山積している。
日本の精神医療の抱える現実をレポートする連載の第11回。

 「かゆいときも自分ではかけず、寝返りもいっさい打てません。
一度大嫌いなクモが天井から降りてきた事があり、動かせない顔の数センチ横に落ちましたが、どうにもできませんでした。身体拘束された77日間で、『死』よりも『いつ地獄が終わるのかわからない生』のほうが、とてつもなく恐ろしいと知りました」
 14歳の時に摂食障害(拒食症)で都内の総合病院の精神科に入院し、77日間にわたり身体拘束された女性Aさん(27歳)は当時の経験をそう振り返る。

■「思ったより体重あるんだね」の一言をきっかけに
 Aさんは中学2年の冬からダイエットを始めた。
「始めたきっかけは単純で、学校の友達に『思ったより体重あるんだね』と言われたという、ささいなことでした」
 完璧主義者だったAさんは、ほんの少しでも体重が増えると摂取カロリーを過度に抑えるような食事制限を自らに課していた。
生理がなくなったりふらついたりする状態を心配した両親とともに、中学3年の春となる2008年5月にこの病院を受診し、入院した。

 「医学知識はありませんでしたが、拒食症という病気であるならば治さなければならないと思い、また開放病棟での任意入院と聞き安心し、入院にも納得していました」
 受診後、入院するまでの数日間、Aさんはどこかで入院生活を楽しみにしている自分もいたと話す。
「今まで病気らしい病気になったことがなかった自分に病名がつき、皆が自分の体を心配してくれることがうれしくすらありました。
入院中、友達に手紙を書きたいし、家族の面会も楽しみ、同じ病室・病棟の子と仲良くできたらいいな、などと考えていました」

 ところが入院当日、そうした浮かれた考えは一気に打ち砕かれた。
案内されたのは病棟の奥にある、ベッドとポータブルトイレだけがある、無機質な独房のような個室だった。
鉄格子のついた窓の外はつねに日陰で、その日の天気もわからなかった。
 「両親は『頑張ってね』と泣いて私を見送りましたが、私も両親もまさか次にお互いの顔を見ることができるのが、約4カ月半も先になるとは想像もしていませんでした」

 入院にあたって、まず行われたのが持ち物検査だ。
眉をそるためのカミソリはおろか、携帯電話や音楽を聴くためのiPod、書籍や筆記用具、コンタクトレンズまで持ち込みが許されなかった。
一つひとつ選んで持ってきた大切なぬいぐるみは手乗りサイズ1つを残し、すべて持ち帰りが命じられた。

■ベッド上に寝たままで勝手に動かないように
 入院後、Aさんが主治医からきつく課されたのが、ベッド上に寝たままで勝手に動かない(床上安静)ということだ。
ベッドサイドに腰掛けることも認められない。
また個室内の衝立(ついたて)のないポータブルトイレすら勝手に使うことが許されず、看護師の許可を得て利用し使用後確認させることが求められた。
 つまりAさんが自由を許されたのは、個室のベッドの上で横になり、小さなぬいぐるみをひたすらなでることだけだった。

 同じく主治医からは、出された普通食を3分の2以上平らげることを厳しく求められた。
しかも病院ではそれまで胃が受け付けないと避けていた、天丼やカレーなど重い食事が頻繁に提供された。
揚げ物の衣の油がきつく、できれば食べたくなかったが、そうできないのには訳があった。
 「主治医との最初の面談で、3分の2以上食べなければ、鼻から胃に直接栄養をいれる『経鼻胃管』に切り替えると告げられており、胃もたれに苦しみながら必死で食べ続けました」
 テレビも読書も音楽も禁止され、両親や友人との面会はおろか手紙や伝言も許されないなど、外界とつながりが隔絶された日々に、Aさんの病院と主治医への不信感は高まっていった。

入院から約1週間後、Aさんは両親に会いたいとの懇願を看護師にあしらわれると、一連の処遇への不満から点滴を自己抜去した。
 駆けつけた主治医に、Aさんは思いの丈をぶつけた。
「ほかの精神科へ転院させてください」「それが無理なら小児科病棟に移してください」。
主治医に却下されると、最後の希望をかけて、「私は任意入院だと聞いています。
権利があるはずなので退院して自宅に帰ります」と訴え、出ていこうとした。
そのAさんに主治医から非情な一言が告げられた。  
「ああ、今から医療保護入院になるから、それは無理だよ」
 本連載で何度も取り上げたとおり、医療保護入院は精神科特有の入院制度で、本人が拒絶しても、家族など1人の同意に加え、1人の精神保健指定医(経験年数やレポート提出など要件を満たした精神科医)の診断があれば強制入院させられる。

Aさんの両親は入院時に主治医から求められて、あらかじめ同意をさせられていた。
 「『もういいかな?  じゃあやっておいて』と主治医が手慣れた様子で言い放つと、病室に入ってきた4人の看護師が手足を押さえつけ、手際よく柔道着の帯のような平たい頑丈なひもを私の体に巻き付け、ベッドの柵の下側に結んでいきました」
 両手、両足、肩の身体拘束が終わると、次に鼻の穴から、経鼻胃管のチューブが挿管された。
チューブは胃カメラのときに入れるものよりも太くて固い。それが常時入れられたままになる。

 「経鼻胃管をされると、24時間ずっと鼻とのどに食べ物や飲み物が詰まっているような、何ともいえない違和感があります。
例えるなら、柱がのどに突き刺さっているような感覚です。
とにかく、苦くて痛い、そして苦しくかゆいとしか言いようがありません」

■意識が鮮明ゆえの「極限の地獄」
 排尿は、尿道バルーンが自動的に尿を吸い出す形で行われた。
拘束が外れた後も筋力が回復して自力でトイレに行けるようになるまで、2カ月半ほど付け続けた。
 「経鼻胃管の痛みと違和感が強すぎて、尿道バルーンの痛みや違和感はそこまで記憶していません。
ただ、恥ずかしさはとても大きかったです」

 より恥ずかしかったのは排便だ。
おむつを付けさせられたうえ、排便時にはナースコールをして看護師におむつを脱がされ、お尻とベッドの間にちり取りの形をした「おまる」を入れられ、そこにしなければならなかった。
 「排便時もおなかに1枚タオルをかけてくれたぐらいしか、プライバシーへの配慮はありませんでした。
3日に1回お通じがなければ浣腸され、無理やり排便させられました。
恥ずかしいし情けないし、思い出したくない経験です」

 当然のことながら、摂食障害で入院したAさんは意識も鮮明で、はっきりと意思の疎通もでき、もちろん幻覚を見たり幻聴を聞いたりすることもなかった。
「意識が完全にクリアな中でされる身体拘束や経鼻胃管、尿道バルーンの経験は、まさに『極限の地獄』でした」。
 入浴もできず、数日に一度の看護師による手か足の部分浴か清拭のみがなされた。
 「点滴が落ちるのを見ることぐらいしかできない身体拘束中は、1分1秒、時間が経つのがとても長く感じました。
その間、私はどうしたらこの拘束が解け地獄から抜け出せるのか、必死で考え続けました」

■禅問答続きでの拘束継続
 主治医からは身体拘束の理由について、「自分を見つめなおすため」「自分と向き合う時間を作るため」といった抽象的な説明ばかりで、Aさんのその時点での状態の説明や治療目的、どうすれば拘束が外れるかの具体的説明などは、何ひとつなかった。  
「だからいろいろな話し方をして、試してみました。
時には身体拘束を含めすべてを受け入れるような従順な発言や主治医を信頼しているような発言をしてみたり、別のときには激しい口調で反抗的な態度をとってみたり。
それでも『どうしてそう思うのかな?』などと返させる禅問答続きで、一向に状況は変わりませんでした」

 いつまで続くかわからない身体拘束から逃れるべく、必死で考え続けるAさんを前に、主治医はこんな雑談をしたこともあった。
 「この前、映画の『崖の上のポニョ』を娘と見に行って楽しかったと言って、こんな歌なんだよと、『ポーニョ、ポーニョ、ポニョ、さかなの子〜〜』と主題歌を歌いだしたこともありました。
私から奪い取っている外の世界の楽しい様子をなぜ私に聞かせるのか。
私がこんな目に遭っているときに、この人は人生を楽しんでいるんだろうなと、絶望的な気持ちになりました」

 考え続けた結果、Aさんが生育過程での母親との関係性の悪化について話をするときだけ、禅問答のような聞き返しがなく、Aさんの話を納得したように黙って聞いてくれることに気がついた。
 「主治医はこの病気の原因を母親との親子関係に結び付ければ満足してくれるのだと思い、その方向で話を合わせるようになってからは、拘束が緩んでいくのが早くなりました」
 結局、全拘束が解除されたのは8月上旬、5月下旬から77日間にわたって、24時間拘束が続いたことになる。
両親と面会が許されたのは、それからさらに1カ月半先の9月末のことだ。
退院はさらに2カ月後となる11月末、入院からちょうど半年が過ぎていた。
退院後、両親との関係は悪化した。

 「両親に対して、どうして拘束に同意したのか、どうして早く助けてくれなかったのかと何度も責めました。
両親は面会や連絡が許されない中、『拘束しなければあなたが死ぬって、主治医が言うから仕方なく同意した』と言いますが、それにしてもなぜあんなことを許したのかと、わだかまりは残りました」

 半年間の入院で体力が落ち通学自体が肉体的にきつく、さらに半年にわたり主治医から自分の意見を否定され続けたため、親しい友人たちともうまくコミュニケーションが取れなくなっていた。
「緊張してどもってしまったり、文字が書けなくなったり、逆に1人で話しすぎたりと、円滑な関係を築くことができなくなっていました」。
 結局、復学後、数カ月で不登校になり、進学した高校も1日も登校できず退学を余儀なくされた。
専門学校やアルバイトも続かなかった。
 「このころは1日2時間くらいしか起きていられず、あとはずっと寝たままでうつ病状態となり、薬の過剰摂取を繰り返し、救急車で搬送されたこともありました」

 Aさんは19歳のときにいまの配偶者と出会い、結婚。
それをきっかけに精神的な面はだいぶ回復し、2018年5月、不当な身体拘束を受けたとして、この病院に損害賠償を求める裁判を起こした。
現在、東京地方裁判所で係争中だ。

 身体拘束は患者の行動の自由を完全に奪う、最も強度な身体の自由に対する制約だ。
精神科病院における身体拘束は、精神保健福祉法で
@ 自殺や自傷の危機が切迫 A 多動や不穏が顕著 B 患者の生命に危険があるなどのときに、ほかに方法がないと精神保健指定医が認めたとき  のみ、行うことができるとされている。
 裁判所に提出された準備書面によれば、原告側の複数の専門医たちは、Aさんの入院当時の体重は、各種医学文献や摂食障害におけるガイドラインに照らしても、生命に危険が及ぶおそれがある数字ではなかったという。
 またAさんは治療の必要性を理解し、身体拘束されるまで入院中の食事を経口摂取できていたこと、点滴抜去の防止のために拘束以外の代替手段を検討した形跡がないことなどから、身体拘束は要件に欠いた違法なものだと主張する。

 これに対して、病院側は取材依頼に対して、「個別案件についての取材には、応じかねます」とするが、裁判所に提出した準備書面では、「拘束を中止したら、(点滴の)自己抜去や自殺企図、自傷行為の恐れ、安静を守れず過活動や運動もあると判断した。
身体拘束以外に代替方法はなく、継続が必要だった」「両親や友人との交流を避けることが症状改善に必要なので、治療の一環として当面は家族との面会連絡を行わない治療方針で了解を得ている」などと主張している。
 また病院側は「身体拘束を内省や医療従事者に心を開く手段として用いるようなことはしていない」と主張する。
だが、2020年11月、裁判所での証人尋問で、この担当医は耳を疑うような発言をしている。
 「(身体拘束されている患者は)付きっきりのように、もうほかの患者と比べれば、数倍もの時間を医師も(費やしている)、ですから御本人さんが身体拘束が外れたときにものすごく寂しいと言って、特別な座から降りるんだと、まさにそのような、もう病棟患者さんから見れば、ものすごい羨望を集めるような特別待遇なんですよ」

■今も続くフラッシュバック
 この言葉を聞いたAさんは憤りを込めて訴える。
 「精神科医にはぜひ、いつ解除されるかわからない身体拘束を、一度体験してみてほしい。
結果的に1時間で終えたとしても、当事者が訴える、先の見えない底なしの恐怖の一端は感じ取ってもらえると思います。
私は結婚して精神的に安定した今でも、急に手首を握られたときなど、身体拘束のフラッシュバックに苦しめられることがあります」

 今年2月下旬、厚生労働省は精神病床における身体拘束の実態に関する、初めての調査結果を発表した。
2017年夏に当時の塩崎恭久厚労相が近年の身体拘束の急増についての調査と対処に言及してから、すでに3年半が経っていた。
 そこでは患者に対する身体拘束のうち約3割で、1週間以上の拘束指示がなされていたことが明らかになった。
最大日数は15年半におよぶ5663日と、驚くべき数字となっている。
 密室性が高く、情報公開意欲にも乏しい環境の中で、身体拘束のような人権侵害の度合いの強い行動制限が柔軟に行われている日本の精神医療の現場では、患者と医療関係者間の力関係の差は歴然としている。

そうした中で昨年、ある西日本の病院で大規模な患者虐待事件が発覚した。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月07日

ペットボトルは大丈夫?「隠れ老化」6つのSOSサイン

ペットボトルは大丈夫?「隠れ老化」6つのSOSサイン
2021年04月06日   日刊大衆

 なんだか最近、よく息切れする腰が痛い歯がグラグラする……人間、誰しも“老い”には勝てない。
 ただ、気づかないうちに、衰えが進む“隠れ老化”には用心が必要だという。
これを放置しておくと、さらに老化が進んでしまう恐れがあるからだ。

 隠れ老化の恐怖……
たとえば、「新品のペットボトルのフタがうまく開けられない」経験をした人はいないだろうか。
これは、末梢神経と筋力の衰えのせいだという。
 また、家族に「テレビの音量が大きすぎる」と言われたことはないだろうか。
「この症状は、鼓膜などの聴覚器官の衰えが原因。補聴器で改善できます。

一方で、居酒屋など雑音の多い場所では会話が聞こえにくいという症状は、脳が特定の音(人の声)を拾う能力が低下して起こることもあり、補聴器では対応できないケースもあります」(都内の耳鼻科医)
 循環器の専門医で、中高年の心身医療に詳しい医学博士の石蔵文信氏は、「老化現象については、どこが老化しているのかを判別するのが難しいケースがあるのため、注意が必要です」と、指摘する。

 脳の老化では、ズボンのチャックが開けっぱなしというものも。 「今年で66歳になる私も、思い当たる節があるんですが、最近、車を駐車スペースにピシッと止められないんです。これも、脳が老化している証拠だと言えます」(石蔵氏=以下同)

 脳の老化を防ぐには、「まず、血圧や血糖値などを、しっかり管理すること。老化は血液や血管から始まるんです」
 便秘も、体の発する老化の“SOSサイン”。
「食が細くなり、腸を動かす筋肉が弱くなっていることが主因です」
バランスの良い食事を心がけ、腸に良いとされる発酵食品を食べよう。

 医食同源老化防止には食生活の見直しが有効だとされるが、“気持ちの切り替え”も重要だという。
「老化するのはある意味、しかたがないこと。
“老いを受け入れる気持ち”を持つことも大切なんです」
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月08日

6時間睡眠の人ほど「体調不良に陥る」納得理由

6時間睡眠の人ほど「体調不良に陥る」納得理由
ミスが多いのはただの「睡眠不足」が原因かも
2021/04/07 東洋経済オンライン
樺沢 紫苑 : 精神科医、作家

忙しい日本のビジネスパーソンは総じて、睡眠不足に陥りがちです。
しかし、「睡眠時間を削って働く」よりも「睡眠時間を1時間増やす」ほうが、圧倒的にパフォーマンスが上がるということが、科学的にも証明されているのをご存じでしょうか?

書籍『ブレイン メンタル 強化大全』から、精神科医の樺沢紫苑氏が「パフォーマンスを上げる睡眠法」についてご紹介します。

6時間睡眠続けるだけで「酔っぱらい状態」に
睡眠時間を削ると脳のパフォーマンスが著しく低下します。
どのくらい下がるのかというと、6時間睡眠を14日間続けると48時間徹夜したのと同程度の認知機能になります。
別の研究では、6時間睡眠を10日間続けただけで、24時間徹夜したのと同程度の認知機能になるという研究もあります。
これは具体的には、日本酒を1〜2合飲んだときの「酔っぱらい状態」での認知機能に相当します。

つまり、毎日6時間睡眠を続けている人は、「毎日徹夜明けで仕事をしている」「お酒を飲みながら仕事をしている」のと同じくらい低いパフォーマンスで、日々仕事をしているということです。
睡眠を削ることで、集中力、注意力、判断力、実行機能、即時記憶、作業記憶、数量的能力、数学能力、論理的推論能力、気分、感情など、ほとんどすべての脳機能が低下することが明らかにされています。
さまざまな実験や研究の結果から、睡眠不足の人は、本来持つ自分の能力の1〜2割も低い能力で、毎日仕事をしていることがわかっているのです。

がんばっても仕事がはかどらない。
ミスや失敗が多く叱られる。疲れやすい。感情が不安定。人間関係も悪化する……。
睡眠時間を少し増やしただけで、仕事や人間関係の悩みが解決するとしたら、どんなに素晴らしいことでしょうか。
多忙な人にこそやっていただきたいのが、「1週間限定、睡眠時間1時間アップチャレンジ」です。
今日から、「ずっと」睡眠時間を1時間増やさなければいけない、というと「難しい」と感じるかもしれません。
なので、ずっとやる必要はありません。
「1週間限定」でいいので、いつもより1時間早く寝て、1時間だけ睡眠時間を増やしてください。
スマホ、テレビ、ゲームなどの余暇時間を少しだけ削る。
帰宅後の家事も1週間だけサボッてみる。
1週間だけなら、できるのではないでしょうか?

睡眠時間6時間以下の人は、集中力、注意力、判断力、記憶力など著しい脳機能の低下を伴っており、「徹夜明け」と同程度の認知機能、作業能力しかないことをお伝えしました。
「そんなわけはない」と思うかもしれませんが、「認知機能が下がっている人は、自分の認知機能の低下に気付かない」という研究があります。
慢性的な睡眠不足による仕事のパフォーマンス低下には、自分では気付けない。
仕事が終わらないので残業が必要になる。
残業が多いので睡眠時間を削らざるを得ないという悪循環なのです。

さらに疲労やストレスもたまり、何をやってもうまくいかないという泥沼の状態に陥っているのです。
それは、単なる「睡眠不足のせい」です。
たった1時間睡眠を増やすだけで脳の機能は著しく改善します。
仕事のパフォーマンスは上がり、仕事の生産性は上がります。
仕事のミスも減り、仕事は効率化し、仕事が早く切り上げられるようになり、そこで睡眠時間が確保できるようになります。

睡眠不足では、「10キロ」の足かせをしているのと同じ。
それを取り除けば、今までとは別次元のパフォーマンスが出せるのは当然のことです。
「しっかり眠ると、こんなに調子がいいんだ」という気付きを得るだけで「睡眠改善」へと、大きな一歩を踏み出すことができるはずです。
「睡眠時間を1時間増やす」は、最も簡単で、最も効果が得られる最強の仕事術なのです。

「26分の仮眠」で能率が向上する研究も
平日、睡眠不足の人は、「仮眠」をとるといいでしょう。
仮眠によって、日頃の睡眠不足がなしになるわけではありませんが、「集中力低下」などの脳のパフォーマンスを改善し、健康に対する害を減らすことが可能です。
アメリカのNASAの研究によると、26分の仮眠によって、仕事効率が34%アップ、注意力が54%アップしたそうです。
アメリカでは、Googleやナイキなど、仮眠室やナップポッドと呼ばれる睡眠マシンを導入する企業が増えています。

では仮眠の場合、何分眠るのがいいのでしょう?
仮眠についてさまざまな研究がありますが、20〜30分が効果的と考えられます。
30分を超えると効果が徐々に悪くなり、1時間を超える仮眠は、脳のパフォーマンス的にも健康的にも悪影響を及ぼします。

1時間を超えると深い睡眠に入ってしまうため、その後、目を覚ましてもすぐに脳は正常のパフォーマンスには戻りません。また、1時間を超える仮眠は、夜の睡眠に悪影響を及ぼします。
仮眠の健康に対する影響ですが、1日30分以下の仮眠が、アルツハイマー病の発症リスクを5分の1にするという研究があります。
しかし、1時間以上の仮眠は、アルツハイマー病のリスクを2倍に増加させます。
働く男性の場合、週に3回以上、毎回30分の昼寝をする人は、死亡率が37%低く、心臓病での死亡率は64%も低くなります。
また、糖尿病に関しても同様で、毎日30分程度の仮眠をとる人は、糖尿病のリスクが低く、逆に1時間以上の仮眠をとる人は、糖尿病のリスクが45%高くなる、という研究があります。

まとめると、1日30分前後の仮眠は、疲労回復、認知症予防、心臓病予防、糖尿病予防、身体の健康という観点からも、非常にいい。
1時間を超える仮眠は、健康によくない、といえます。

「正しい仮眠」を取るための5つのルール

1:30分以下20〜30分が効果的 60分を超えないように注意してください。

2:眠る前にカフェイン摂取
眠る前に、コーヒーや緑茶などカフェインを摂取しておくと、約30分後にはカフェインの効果があらわれるため、自然に目覚めやすくなります。

3:できれば身体を横に 理想的には平らなところで眠るのがベストです。
難しい場合は、リクライニングチェアで60度くらい角度をつける。
できるだけ身体をリラックスさせたほうが、身体の疲労回復効果が得られやすいです。

4:15時までに終了 15時以後の仮眠は、夜の睡眠に悪影響を及ぼすので、マイナス効果となります。

5:30分で食事、30分仮眠 60分の昼休みがある方は、30分で食事をして、残りの時間を仮眠に当てると、ちょうど、20〜30分を仮眠時間として確保できます。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月09日

生きることに疲れた人が「手放すべきもの」とは?

生きることに疲れた人が「手放すべきもの」とは?
生きづらいのはあなたのせいではない
2021.4.8 Diamondオンライン
クルベウ 藤田麗子

長引くコロナ渦中。引きこもりがちな毎日に、ストレスを感じている人も多いのではないだろうか。

寝ても疲れが取れない、ちょっとしたことですぐ不安になる、自分だけが取り残されているように感じる……という人にぜひ読んでほしいのが、2021年4月14日に刊行する『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(クルベウ著 藤田麗子訳)だ。

原著は韓国で2020年7月に発売。
発売後5ヵ月で6万部を突破し、韓国の大手書店でもベストセラーランキング入り。
「つらいときにひとりで読みたい」「低くなった自尊心を満たしたいときはこの本が役立つ」「誰が読んでも共感できる内容」と絶賛の声が数多く寄せられている。

著者のクルベウ氏は事業に失敗し、自分を励ますためにSNSに投稿していた癒しの言葉が多くの共感を集め、2015年に作家デビュー。
処女作『心配しないで』はBTSのファン感謝イベントでJ-HOPEから「メンバーのJINにおすすめしたい本」として紹介され、ファンの間で「BTSおすすめの作家」として話題に。クルベウ氏は韓国では著書累計55万部を突破するなど、「韓国のSNS作家として一番人気」との呼び声も高い。
そんな人気作家のベストセラーエッセイの邦訳が2021年4月14日に刊行となる。
「自分らしく、豊かに生きるためのメソッド」が詰まった本書。今回は、日本版から「人生に訪れる三度のチャンス」について、一部抜粋・編集して紹介する。


人生に訪れる三度のチャンス
タクシーに乗ったとき、運転手からこんな話を聞いた。
その運転手はふだんは、とある企業の理事をしていて、会社のプロジェクトの一環として、タクシーを運転しながら客の悩みを聞く活動をしていると言う。

生きていれば、誰にでも三度のチャンスが訪れる。
でもほとんどの人々は、そのチャンスがジャンボ宝くじに当選するとか特別な幸運に出会うとか特別な人が自分に会いにくることだと考えている。

でも、それはチャンスじゃない。
すでに完成された幸運だ。
実際、人生においてそんな幸運は、たった一度巡ってくるかこないかだ。

人生に訪れる三度のチャンスはこういうものだ。

1つ目は、まるで反りが合わない人やまったく自分に合っていない仕事を手放すチャンス。
この機会を逃してはならない。これを逃したら、間違ったことにとらわれ続けて人生をムダにしてしまう。

あまりにも自分に合わないことを続けていると、経験だと見なすことすらできなくなる。
心が傷だらけになって、新しいことに挑戦するために必要な勇気を失ってしまうからだ。

「あなたを大切にしてくれる人」を大切にしているか

2つ目は、自分を心から愛してくれる人をもっと大切にしながら共に生きていくチャンス。
人は本当に奇妙だ。
いくら好きでも時が過ぎれば慣れてしまう。
それが大きな問題だ。

慣れのせいで感謝の気持ちと相手を大切に思う気持ちが消える。
そして、この世に2つとない相手の思いやりが、どうでもいいもののように感じられる。
その状態が続くと、いろいろなことが気に食わなくなって、相手に憎しみを感じ、愛が冷めていく。
その結果、大切な人を失って、ひとりになってから後悔の念にさいなまれたり、
この先の人生において二度とそんな相手に出会えなくなったりするかもしれない。

もし今、家族や友だち、恋人など、あなたを心から心配して、あなたを心から愛してくれて、あなたを心から大切に思い
あなたと一緒に過ごしたいという人がいるなら あなたにはその気持ちを大切にして、かけがえのない人を守るチャンスがあるんだ。

年齢は関係ない!得意分野は必ず見つかる

3つ目は、年がいくつであろうと、今どんな状況に置かれていようと、誰にでも必ずある、得意分野を見つけるチャンス。
私は会社に勤めながら、さまざまな人を見てきた。
それぞれに好みがあって気質もちがうが、誰にでもうまくやれることが存在する。

仕事を辞めてそれを探せと言っているわけじゃない。
もちろん、自分が望むならそうしてもいいけれど、大切なのは好きなことを見つけるのをあきらめない姿勢だ。

誰の人生にも、好きなことを探すチャンスがある。
そのチャンスを捨ててはならない。
好きなことはたいてい、時間が経つにつれて得意なことになっていく。

生きる「速さ」を見直そう

そして、最後にもう1つ付け加えるとしたら、自分を愛するチャンスだ。

生きていれば、どんな慰めの言葉も耳に入らず、二度と立ち上がれそうにない困難が訪れることもある。
積み上げた砂の城を波がさらっていくように、一瞬にして心が崩れることもある。

そのときにできるのは、自分をもっと愛することだ。
あなたには、自分を愛するチャンスがあるということを忘れないでほしい。

自分をもっと理解して
自分にもっと寛大になり 生きる速度が速すぎるときは立ち止まって自分のためになることとは何なのか、真剣に考えてみるといい。

話を聞いているうちに、いつのまにか目的地に到着していた。
降りるために私が荷物をまとめていると、運転手は言った。

美しく咲く人よ
日々の小さな出来事に失望せずに
今日も明日も幸せに過ごせますように。

(本原稿は、クルベウ著 藤田麗子訳『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』からの一部抜粋・改変したものです)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月10日

平均月給は28万円弱…日本のサラリーマン「唖然の手取り額」

平均月給は28万円弱…日本のサラリーマン「唖然の手取り額」
4/9(金) 幻冬舎ゴールドオンライン

厚生労働省のレポート「令和2年賃金構造基本調査」によると、日本のサラリーマンで、いわゆる平社員の平均給与(所定内給与額)は27万8400円(平均年齢40.7歳、平均勤続年数10.2年、平均所定内実労働時間165時間、超過実労働時間平均11時間)。
手当や賞与などを加味すると、平均年収は442万6800円となる。

税率は高くなり、物価も上がるなか、どのような生活をしているのか。

手取りにすると「月収約24万円」という悪夢
日本のサラリーマン、平社員の平均月給27万8400円は、手取りにすると約24万円となる計算だ。
「老後2000万円不足する」「いや、余裕がある暮らしいは3500万円は必要だ」などと言われるなか、コツコツと貯蓄するにあたっても、あまりにも少ない。
厚生労働省は「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日 働き方改革実現会議決定) を踏まえ、副業・兼業の普及促進を図っている。

令和2年9月には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定された。
ガイドラインには、副業・兼業の促進の方向性に関して、 “労働者が副業・兼業を行う理由は、収入を増やしたい、1つの仕事だけでは生活できない、自分が活躍できる場を広げる等さまざまであり、業種や職種によって仕事の内容、収入等も様々な実情があるが、自身の能力を一企業にとらわれずに幅広く発揮したい、スキルアップを図りたいなどの希望を持つ労働者がいることから、
こうした労働者については、長時間労働、企業への労務提供上の支障や業務上の秘密の漏洩等を招かないよう留意しつつ、雇用されない働き方も含め、その希望に応じて幅広く副業・兼業を行える環境を整備することが重要である。

” と書かれており、「収入を増やしたい」「1つの仕事だけでは生活できない」という労働者の切実な思い(それは切迫した家計によるものであろう」が、理由としてまずあげられていることに注目される。

実際、生活にはどのくらい余裕がないのであろうか。
家賃は収入の25%〜30%くらいで設定することが貯蓄のポイントとしてよく言われる話ではあるが、手取りを約24万円とすると、6万円〜7万2000円……都内では1Kでも厳しいところがある。
これに食費・光熱費・スマホ代と加わってくるわけだから、自由に使えるお金などまるでなく、貯蓄などはしたくてもできないジリ貧の状況が続く。

つみたてNISAやiDeCoなど税メリットのある制度を国が用意しても、そもそもカツカツに節約してようやく生活が成り立つ収入であるわけだから、投資資金などは準備できるわけがない。

お金もないが、時間もない…サラリーマンの実態
ならば、と副業・兼業が推進されているわけだが、そもそも日本のサラリーマンは「時間がない」のも実情だ。
働いた分、稼ぎが増えるならばいいが、大手でなければいまだにサービス残業のような風習は根強い。
文京区に勤務する30代の安西さん(仮名)はこう語る。
「給与にみなし残業が含まれているので、残業代をもらったことはありません。
タイムカードも手書きで上長がチェックする雑なものなので、なんとか時間内におさまるように適当に記入するのに、また頭を使って時間をかける……という本末転倒な状況になっています」

労働基準監督署に訴えるという方法は取れないのだろうか。
「労基に訴えて、我々の労働環境が是正されたところで、今度は会社がうまく回らなくなるのは目に見えています。
それでは自らの首をしめるようなものです。
転職をしたいと考えていたこともありましたが、コロナ禍でいつの間にか人材市場は買い手市場になってしまいました。
生活は苦しいですが、動くことで今よりよくなる見込みがありません」

政府は「副業・兼業」も推進しているが。 「仕事もプライベートも、今あることをただただ懸命にこなすことで、なんとか生活できているという状況です。
副業をする時間など捻出できません。
片手間にやって成功するものでもないでしょうし、そもそもうちの会社が副業を認めているかどうかもわかりません。
もし少しの稼ぎがそれでできたとしても、今度は確定申告をやらなければならなくなるでしょう。
会社から提出を要請される年末調整の書類でさえ記入するのに精一杯なんです。
よほど大きく儲かる見込みがなければ、費用対効果も合わないと思います。

疲労が蓄積し、仕事にも影響が出て、会社にも迷惑がかかります」
「働き方改革」は誰にとっても「人ごとではない」

「お金がない」というリアル
会社での労働で忙しく、副業などする時間はないという安西さん(仮名)。
政府は「働き方改革」も進めているがその実感はない。

厚生労働省のホームページには、「働き方改革の目指すもの」として、下記のように書かれていた。
“我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。
” 政府の取り組みをみるかぎり、日本は、超少子高齢化という問題を抱えるなか、「企業で働く」ことだけでは、個人が満足に生活できない社会に突入しているようだ。

安西さんのように「とはいえ動けない」労働者も、「動かざるをえない」状況にまで追い込まれる日は近いかもしれない。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月13日

「みんなマスクしていますよ」なぜ日本人はこう言われると弱いのか

「みんなマスクしていますよ」なぜ日本人はこう言われると弱いのか
2021年04月12日 PRESIDENT Online
ルポライター 早坂 隆

日本人は海外からどう見られているのか。
『世界の日本人ジョーク集 令和編』(中公新書ラクレ)を出したノンフィクション作家の早坂隆さんは「新型コロナの感染拡大で、日本人の独特な行動様式は海外から不思議がられた。
当の日本人は無自覚だが、真の変人とはそういうものだ」という――。
※本稿は、早坂隆『世界の日本人ジョーク集 令和編』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したのもです。

■コロナによって浮き彫りになった国民性 【パンデミック】
●外出 コロナ禍において、世界各国の政府が国民に外出を控えるよう求めることになった。
アメリカ政府はこう発表した。
「外出は正義に反する」 アメリカ国民は外出しなくなった。

イギリス政府はこう発表した。
「外出は紳士的ではない」 イギリス国民は外出しなくなった。

中国政府はこう発表した。
「外出したら拘束する」 中国国民は外出しなくなった。

フランス政府はこう発表した。
「外出しろ」 フランス国民は外出しなくなった。

日本政府はこう発表した。
「外出の自粛を要請します」 日本国民は外出しなくなった。

2020年、新型コロナウイルス感染拡大という災厄は、世界各国それぞれの「お国柄」を見事に浮き彫りにしました。
否、「本性を炙り出した」と言ったほうが良いでしょうか。
いわゆる「第1波」の際、アメリカでは銃弾の売れ行きが急増。これは日用品不足に端を発する略奪行為に市民が備えた結果でした。
いかにも「銃社会」のアメリカらしい反応でしたが、ネット上には「ウイルスより銃のほうが怖い」「銃メーカーがウイルスをばらまいているのでは?」といった投稿が溢れました。

フランスでは人気サッカークラブ「パリ・サンジェルマン(PSG)」の試合が無観客試合となりましたが、スタジアムの周囲には数千人ものサポーターが集結。
大声でチャント(応援歌)を唄いながら、花火を上げたり発煙筒を焚いたりしました。
フランスのネット上には「彼らが感染して亡くなれば、フランス国民の知能水準があがる」といったシニカルなコメントが相次ぎました。

アフリカのチュニジアでは「感染の予防にニンニクが効く」とのデマがSNSを通じて拡散。
ニンニクの価格が急騰しました。

日本を含むいくつかの国々では、トイレットペーパーが品薄に。こちらもデマが原因でしたが、オーストラリアではトイレットペーパーを巡る乱闘騒ぎが勃発。香港ではついに「トイレットペーパー強盗」まで登場しました。
そんな一連の騒動を皮肉って、SNS上にはこんなツッコミも。
「そんなにトイレットペーパーを買っても、お尻は一つしかないよ」。

■世界が驚いた「ジャパン・パラドックス」
結局、欧米などの多くの国々ではロックダウン(都市封鎖)を実施。
罰則を伴う厳しい外出禁止令に踏み切りました。
しかし、日本はあくまでも「自粛要請」という「緩い」かたちでの対応を選択。
当初、海外のメディアはこのような日本の姿勢に対して、かなり懐疑的でした。
「罰則がなければ外出者数を抑え込めるわけがない」というのが世界の常識だったのです。

国際社会は「日本人は甘すぎる」と冷笑しました。
しかし、日本人は外出を控えました。
感染者数や死亡者数は、欧米諸国などよりも低い水準で推移し、今に至っています。
結果、世界のメディアは態度を一変。
「ミラクル」「ジャパン・パラドックス」といった言葉を使って、日本のコロナ対応を評価するようになりました。
もちろん、日本政府のコロナ対策が万全だとはとても思えませんが、例えばイギリス紙「ガーディアン」(電子版)はこう報じています。
「日本は確固たる証拠を持って、新型コロナ対策に成功した国だと主張することができる」。
2021年1月には再び緊急事態宣言が発令され、改めて外出の自粛が呼びかけられました。
さすがの日本人も、一回目の時ほどの自粛には至りませんでしたが、それでも街の人出は総じて減少傾向に転じました。

●コロナ対策
ヨーロッパの感染症医が新聞記者に言った。
「日本のコロナ対策は断崖絶壁の一歩手前である」
新聞記者が尋ねた。 「それではヨーロッパのコロナ対策は?」 感染症医が答えた。 「日本より一歩進んでいる」

■奏功した日本の「マスク文化」 【マスク】
●AIの解答
日本人の研究者グループが最新式のAI(人工知能)を搭載したスーパーコンピューターを使って、新型コロナウイルス対策を立てることにした。
ワクチンの開発方法や、新たな感染予防策の提示などを期待して、ウイルスに関するデータをすべて入力した。
数分後、スーパーコンピューターが話し始めた。
「最適な解決策がわかりました」 研究者たちは歓喜した。
スーパーコンピューターが続けて言った。 「マスクをしてください」

●マスク政策
コロナ禍において、各国の政府が国民にマスクの使用を求めることになった。

アメリカ政府はこう発表した。
「マスクをすればあなたは英雄です」

ドイツ政府はこう発表した。
「マスクをするのがルールです」

イタリア政府はこう発表した。
「マスクをすると異性にモテます」

日本政府はこう発表した。
「みんなマスクしていますよ」

このジョークには元ネタがあります。
それは「沈没しそうな客船から乗客を海に逃がす際、船長は各国の人々に何と言えば良いか」というもの。

アメリカ人には「飛び込めば英雄です」、日本人には「みんな飛び込んでいますよ」というわけ。
このネタがコロナ禍によって「変異」しました。
余談ですが、かつてこの「沈没ジョーク」を紹介した拙著の広告コピーが「みんな読んでいますよ」。
出版社側のアイデアでしたが、なかなかシャレが効いていました。

■マスク警察の登場…もはや笑い事ではなくなった
さて、そんな「集団主義」が特徴の一つとされる日本人。
今回のコロナ禍では「同調圧力」という表現が話題になりました。
「外出時にマスクをしていないと周囲の反応が怖い」と感じる人が少なくないという調査結果も報告されています。

マスク未着用の人に対して過度に攻撃的な「マスク警察」なる人々の登場に至っては、もはや笑い事ではありません。
ただし本来、集団主義自体が悪いわけではないはずです。
自分の身の回りに丁寧に気を配り、他者の迷惑にならないように留意し、自身の行動を律していくという行為であれば、それはむしろ「日本人の美徳」とも言えるでしょう。
このような公共心こそが、ウイルスの感染拡大を抑制することにつながっているのではないでしょうか。

実際、マスク着用の動機について、「自分が感染したくない」という心理と同時に「他者を感染させたくない」という思いが日本人には強いと言われています。
個人主義の強いアメリカでは、マスクの使用を嫌がる傾向が根強く続いています。
アメリカ国民によれば、「呼吸は神様から与えられた権利」とのこと。
しかし、そのような理由で「マスクをしない」という選択をすることは、「公」よりも「個」の価値観を優先している証拠と言えるでしょう。
無論、アメリカ人にとって「個の自由」は建国以来の重要な理念ですが、個人主義と利己主義の境界線というのは至って曖昧なものです。

■個人主義の強いアメリカ
米テレビ局FOXニュースの有名司会者が、新型コロナウイルスに対するアメリカ人と日本人の国民性を比較したツイートをしたところ、次のようなコメントが集まりました。
「我々アメリカ人は『俺たちはできる』という自信ゆえに、常識に従うことができない。
日本人は風邪をひいた時、周囲を守るために何十年もマスクをしてきた」
「日本は『我々』という部分を意識する。
だが、ほとんどのアメリカ人は違う。
アメリカ人が心配するのは『私』。

アメリカの利己的な部分が破滅の原因」
アメリカのマスク反対派の中には、「わざと穴を開けたマスクをして街を歩く」といった動画をSNSにアップする人まで登場。
「風刺が効いている」「ユーモアがある」という意見があった反面、「くだらない」「レベルが低い」といった反応も多く寄せられました。

●感染拡大
東京で暮らすアメリカ人の子どもが、新型コロナウイルスに感染してしまった。
母親はすぐに子どもを連れて病院を訪れた。
病院はすでに多くの感染者で溢れていたが、医者はすぐにその子を入院させ、薬の投与を開始した。
その後、その子の体調は回復し、数週間で無事に退院することができた。
病院を出る際、母親が医者に言った。
「私は治療費を払いたくありませんわ。なぜって、私はこの病院をたっぷり儲けさせたのだから」
医者は怪訝な顔をして聞いた。
「どういう意味でしょうか? 医療費はどの患者さんも同じです。
私はあなたから特別に儲けさせてもらったことなどありませんよ」
すると母親が言った。
「冗談じゃありませんわ。
この街でマスクもせずに遊びまわっていたのは、うちの子だけですのよ」

■欧米人が抱いていたマスクへの悪印象
今回のコロナ禍以前から、日本人は風邪や花粉症の予防にマスクを使用してきましたが、そのような光景は欧米人などから「おかしい」「不可思議」などと笑いのネタにされてきました。
欧米社会ではあくまでも「マスクは医療関係者や病人がするもの」であって、街で予防的に使うものではないという認識が広く共有されてきたのです。
世界的な感染症学者であるベルギー人のピーター・ピオット博士は初めて日本を訪れた際、マスクをしている日本人を見て、「パラノイア(偏執病)だと思った」と述べています。
そんな博士も、今では日本のマスク文化を称賛しています。

そもそも欧米には「顔を隠すのは犯罪者」というイメージが強くあります。
2017年、オーストリアは公共の場で顔を覆うベールやマスクなどの使用を禁じる「覆面禁止法」を制定。
「マスクは犯罪者の道具」という理屈からでした。
さらに、欧米人がマスクに抵抗を示す背景の一つには、「相手の表情や感情がわかりにくくなるのが嫌だ」という理由もあるようです

日本人と欧米人では「顔のどこを見て相手の気持ちを読み取っているか」が異なると言われています。
日本人は相手の目から感情を理解しますが、欧米人は口の動きを見るというのです。

■マスクを嘲笑した欧米人の反省
例えば、日本で用いられる顔文字は、「(^_^)」「(*_*)」「(T_T)」のように、目の変化によってその感情を表します。しかし、欧米では「:-)」「:-D」「:-(」のように口元の違いで喜怒哀楽を伝えるのです。
欧米で流行した「スマイルバッジ」を見ても、口元が強調されたデザインになっています。
一方、日本には「目は口ほどにものを言う」という表現もあります。

つまり、欧米人にとって口元とは、他人とコミュニケーションを深める上でとりわけ大事なものなのです。
日本人よりも欧米人のほうが歯並びを気にして矯正する人が多いというのも、このような背景が作用しているのかもしれません。
そんな彼らにとって、口元を隠すマスクという道具は、日本人にはピンとこない抵抗感を生じさせるものなのでしょう。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって、マスクとの付き合い方も転換せざるを得ない状況に。
日本のマスク文化を嘲笑していた国際社会は、ついにその態度を改めることとなりました。

■「何かのジョーク?」海外にも拡散したアベノマスク
さて、そんな「マスク大国」のはずの日本ですが、コロナウイルスの第1波が花粉症の時期と重なったこともあり、国内は深刻なマスク不足に。
ドラッグストアの開店前にマスクを求める人々の行列ができるというような悲喜劇的な光景が出現しました。
そのような状況を解消するため、安倍政権(当時)が打ち出したのが「全世帯にガーゼ製のマスクを二枚ずつ配布する」という緊急対応策でした。
これには安倍政権の経済政策の通称である「アベノミクス」をもじって「アベノマスク」なる俗称がすぐに生まれました。
その政策に対する意見は様々ですが、結局、「アベノマスク」という言葉は海外にも拡散。

「日本人は不思議すぎる」「何かのジョークだろう」といった報道が相次ぎました。
発表が4月1日だったことから「エイプリルフールのジョークに違いない」とも言われました。
しかし、「国民へのマスク支給」という政策は、その後、イタリアやフランスといった多くの国々が追随することになりました。
また、日本では「マスクが小さい」との声があがりましたが、ベルギーでは某自治体の配布したマスクが「大きすぎる」と問題に。
顔全体を覆うほどの大きさのマスクに「パンツみたい」「パラシュート?」といった苦情が続出しました。
これに対して自治体側は「熱いお湯でマスクが縮むまで洗うように」とコメント。
さらなる炎上を招いたのは言うまでもありません

●マスク不足
深刻なマスク不足に陥った東京。
とある店でマスクが販売されると聞いた主婦が、バスに乗って買いに行くことにした。
やがて、店の近くの停留所に着いたので、主婦はバスから降りようとした。
すると運転手がこう声をかけてきた。
「マスクを買いに行くつもりですか?」 「ええ。そうですが」
「それなら三つ先の停留所まで行ったほうがいいですよ」 主婦は怪訝な表情を浮かべて聞いた。
「どうしてですか?」 運転手が答えた。
「そこまで行列が延びていますから」
----------
早坂 隆(はやさか・たかし) ルポライター
1973年、愛知県生まれ。
『昭和十七年の夏 幻の甲子園』で第21回ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。
日本の近代史をライフワークに活躍中。
世界各国での体験を基に上梓した「世界のジョーク」の新書シリーズも好評。
----------

小だぬきの68歳 誕生日。年々月日が 早く過ぎ去ります。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月16日

「欲しいもの」は本当に欲しいもの? 一か月買わずに我慢してみる

ひろゆき連載コラム「僕が親ならこうするね」
「欲しいもの」は本当に欲しいもの? 一か月買わずに我慢してみる
2021年04月15日 SPA!

◆「欲しいもの」は、本当に欲しいもの? 立ち止まり考える力
 子供たちが大人になって路頭に迷わないよう、お金がなくても生活できる方法を義務教育で教えたほうがいい。
そんなことを数回にわたって書いてきたわけですが、普通の人は自分が欲しいものを得るために働いてお金を稼ごうとしますよね。
 ただ、昨今は不景気なので企業勤めしてもなかなか昇給しない時代です。
「頑張っても稼げない」と感じている人もいて、「お金がない状態で、欲しいものを手に入れる方法はないのか?」と考えたりする人もいると思います。
 でも、子供の頃からいろいろと考える癖を身につける訓練をしておくと、大人になってからこういう問題に直面したときに困らないのではないかと思っています。

◆コンビニ弁当も容器を底上げ
 最近は、世の中がギスギスしていて、「アコギなことはしないほうがいいよね」という価値観がだんだん薄れ、「騙されるほうが悪い」という考えでも問題ない状況になりつつあるような気がしています。
大手メーカーでも「水素水」など科学的根拠が全くないものを売っていたり、コンビニ弁当も容器を底上げして内容量をかさ増しするステルス値上げをしていたりと、キリがない感じです。

 今までは「大手企業は、そんなことしないよね」という信頼がブランドにつながっていたと思うのですが、ブランドよりも消費者を騙して利益を取ったほうが得という時代になってしまったのですね。
「消費者を騙すのは良くない」という正義感では、お腹が膨れないわけです。

◆自分が騙されていると思いたくない
 だもんで、世の中の多くの人は企業などから消費者として騙され、利用されていることに気づかないまま暮らしていたりします。
例えば、「サプリ」と呼ばれる栄養価としてはほぼ無価値なものにお金を払う人も多いです。
自分は欲しいと思っているけど、実は「欲しいと思わされている」状況というのは、世の中には多くあって、例えばCMを観なければ欲しくならないのにCMを観たことで本当は不必要なものが欲しくなってしまうわけです。

 ただ、多くの人間は、自分が騙されていると思いたくないので、「自分が欲しいと思っている」「自分の欲望は正しい」「自分の感情に従うことが自分らしさ」などと自己肯定とか自分を騙して、消費者としてまんまと騙されていろいろとものを買ってしまったりするわけです。

◆欲しいものが本当に必要なものなのか?
 新型コロナ禍でアパレル業界の売り上げが減りまくって業界全体が厳しくなっている昨今ですが、リモートが増えたことでマスクもしているから「化粧も服も要らないよね」ということが、ようやく理解してもらえるようになってきました。
身だしなみに気をつけたからといって、それが直接的に仕事の効率を上げるわけでもないです。
小綺麗な格好をした仕事のできない人よりも、汚い格好でも仕事ができる人に業務をお願いしたくなるのは、普通のことだしそれが現実です。
服にいくらお金かけたってモテない人はモテないし、モテる人は何を着ていてもモテたりするのですね。

 なので、「お金がないけど欲しいものを手に入れるには?」を考える前に、例えば、欲しいものを一か月買わずに我慢して、問題なければ必要ないなどの訓練をして「欲しいものが本当に必要なものなのか?」と考えられるようにすることが大事なんじゃないかと。

そういうことを子供の頃からやっておくと、そもそもお金を使わなくても暮らしていける能力というか考え方が身につくと思うのですよ。
―[ひろゆき連載コラム「僕が親ならこうするね」]―

【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)’76年、神奈川県生まれ。フランス在住、たまに日本。2ちゃんねる・ニコニコの元管理人で、英語圏最大の掲示板サイト『4chan』現管理人。
SPA!誌面にて11年間にわたり「ネット炎上観察記」を連載。
近著に『自分は自分、バカはバカ』(SBクリエイティブ)など
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月17日

JRの車椅子乗車拒否と生活保護叩きの意外な共通点

JRの車椅子乗車拒否と生活保護叩きの意外な共通点
2021.4.16 Diamondオンライン

障害者と生活保護が 繰り返し叩かれる理由とは
 4月4日、コラムニストの伊是名夏子さんが「JRで車いすは乗車拒否されました」と題する記事を公開し、賛否ともに大きな反響を呼んでいる。
 先天性の身体障害を持ち、外出時は常に電動車椅子を必要とする伊是名さんは、新聞へのコラム連載や講演など、幅広い社会活動を行っている。
結婚・出産・妊娠も諦めず、現在は夫とともに、2児の子育てに奮闘中だ。

 社会の多様性や共生に関心を持つ人々の中での伊是名さんの知名度は、もともと高かった。
今回のコラムと「ネット炎上」は、伊是名夏子さんの知名度をさらに否応なく高めたのではないだろうか。
「そうなんです。『それを狙ったんじゃないか』という反応が多くて、びっくりしています。
全然狙ってなかったんですけど」(伊是名さん)

 とはいえ、伊是名さんは社民党の常任幹事でもある。
注目されるとき、何らかの政治的意図を勘繰られるのは、必然かもしれない。
 筆者は、伊是名さんの一件をめぐる「ネット炎上」に、時折発生する「生活保護叩き」を重ね合わせてしまった。
伊是名さんに対する激しい批判と非難は、「障害者叩き」と言い換えることも可能だろう。
 しかし冷静に考えてみると、生活保護を利用していない障害者と生活保護で暮らす人々の間には、共通点はあるものの、相違点の方が多い。

公共交通機関の利用やバリアフリー化は、誰もが必要に応じて利用できる現物福祉のようなものである。
世帯や個人に生活費や住居費が手渡される生活保護とは、やはり決定的に異なる。
それなのに、なぜ似たような「炎上」「叩き」が盛り上がってしまうのだろうか。

 まずは、伊是名さんが「JRに乗車拒否された」とした出来事を検証してみたい。

充分に伝えられていない 「乗車拒否」の真相
 4月1日、東京都内在住の伊是名さんは、子ども2人・友人・業務として同行していたヘルパーと共に、静岡県熱海市への1泊旅行のために出発した。
小田原駅でJR線に乗り換え、来宮駅まで行く予定だったのだが、来宮駅は無人駅である。
エレベータはなく、階段を利用する必要がある。
駅員は「1駅前の熱海駅までなら」と言い、熱海から来宮まではタクシーで移動することを提案したが、伊是名さんは応じず、来宮駅までの乗車および降車にあたっての介助を粘り強く求めた。
 結局、熱海駅から駅員4名が同乗し、来宮駅での降車時の介助、および人力で車椅子を運搬するなどの介助を行った。
駅員の提案に応じなかった伊是名さんに対しては、「クレーマー」という批判もある
実際のところは、どうだったのだろうか。

筆者自身も電動車椅子を利用しているため、非常に気になる。
そこで、伊是名さんに出来事の詳細を聞かせていただいた。
 JR上野東京ラインを利用すれば、小田原駅から来宮駅まで、在来線で乗り換えなく行くことができる。所要時間は31分だ。
伊是名さんたちは、予定していた電車の発車30分前に、小田原駅の窓口で来宮駅まで乗車したい旨を伝えた。
その時点では断られておらず、「発車15分前に案内するので、そのときにまた来てほしい」と言われたという。
「車椅子で乗りたい」という旨を伝えてから発車までの間に鉄道会社で行われる作業は、まず降車駅と連絡を取り、降車介助の了解を得ることである。
来宮駅は無人駅であるため、人手と機材の確保が必要になる。
 無人駅であっても、スロープ板や車椅子用の階段昇降機は配備されている場合が多い。
しかし、「スロープ板のロッカーの鍵が開かない」「階段昇降機が故障している」といったトラブルがつきものだ。
機材の出番が数ヵ月に1回しかないような駅では、特に機材トラブルが起こりやすい。
その駅に備え付けられているのに使えない場合は、近隣の駅から運んでくることになる。
台車タイプの階段昇降機なら、他の駅から運んできて利用することができる。
 いずれにしても来宮駅は無人駅であるから、介助人員とともに、動作確認できている機材を運んで使用することが最も合理的であろう。

小田原駅や熱海駅なら、人員が比較的多く、機材の備えも期待できる。
 伊是名さんたちが、指示されたとおり、発車15分前に小田原駅の窓口を再度訪れると、来宮駅には階段しかないということを理由として、「熱海まででいいですか?」と言われたという。
これは、筆者から見ても「えっ」と驚く対応だ。
何もしていなかったのか。それとも、乗車手配をしようとしたが予定の電車には絶対に間に合いそうになかったのか。

 筆者が伊是名さんに詳しく尋ねてみたところ、他の駅から運べる階段昇降機の可能性については、もちろん聞いてみたそうである。
小田原駅の駅員は、「は〜」という感じの応答だったそうだ。

「熱海駅まででいいですか?」 駅員の残念な対応にも冷静に対応
 結局、伊是名さんたちは予定より1時間遅れて小田原駅から乗車した。
熱海駅から、駅長を含む4人の駅員が乗車し、来宮駅で伊是名さんたちを無事に降車させ、車椅子を地上へと運んだ。
伊是名さん自身は、ヘルパーに抱きかかえられて移動した。
そして、予約していたレストランで、予定どおりに食事を楽しむことができた。
間に合ったのは、小田原駅から乗車した時点で1時間30分の余裕がある予定を立てていたからである。
「車椅子での移動は、本当に何が起こるかわかりません。障害のある人が、何も調べていないということはありません。様々な予測をしながら行動しているものです。それなのに、このような結果になり、残念です」(伊是名さん)

 筆者自身、公共交通機関の利用では、乗り換え1回につき30分の余裕を見込むようにしているが、それでもギリギリになる場合がある。
複数のトラブルが重なると、1回の乗り換えで2時間が必要になる場合もある。
そこに空腹や寒さが重なり、体力の限界への挑戦になる場合もある。
今回の伊是名さんの場合は、幼少の子ども2人もいた。
それでも、あくまでも冷静に丁寧に対応したようだ。

「小田原駅の駅員さんたちは、熱海駅までしか乗せないことが正しい対応だと考えていたようですが、そうは言いつつも『どうしましょうか』とも言っていたんです。
ですから、怒りませんでした。
駅員さんではなく、体制の問題ですから」(伊是名さん)

「生活保護叩き」との 共通点と相違点はどこに?
 伊是名さんのブログ記事の「ネット炎上」には、「生活保護叩き」との共通点はあるものの、相違点の方が大きいように思われる。
「生活保護叩き」の原因には、「申請と審査を経て認められる」という生活保護の仕組みそのもの、選別主義に起因するものが多い。
申請手続きそのものに関する情報を充分に得られなかったり、支援団体とつながることができなかったりする人々は、生活保護の対象となることが難しい。
生活保護で暮らす人々に対する「不当にトクをしている」という批判の原因の1つは、生活保護制度の選別主義的な性格そのものにある。         
そこから、「不当に恵まれている」「義務を果たさず権利ばかりを主張する」「納税者に損をさせている」といった各種のパターンが派生する。
さらに、そういった憤懣が政策的に利用される場合もある。

 今回の伊是名さんの移動の目的が旅行であり、ヘルパーを同行させていたことは、「不当に恵まれた障害者」という妬みにつながったかもしれない。
また、熱海駅から自費でのタクシー移動を行わなかったこと、前日や1週間前に事前の申し入れをしていなかったことは、「義務を果たさず権利ばかりを主張する障害者」という怒りにつながったかもしれない。
 しかし、病気や負傷によって、一時的に歩行が困難になることは有り得る。

障害者がいつでも安心して利用できる公共交通機関は、誰もが必要に応じて、安心して利用できる公共交通機関でもある。
生活保護の今後について、「現金給付から現物福祉へ」という意見もあるが、公共交通機関のバリアフリー化や介助体制は、まさに「現物福祉」そのものだ。
それなのに、なぜ「ネット炎上」が起こったのだろうか。

 福島県で、障害を持つ娘とともに生活保護で暮らすミサトさん(40歳代)に、意見を求めてみた。
ミサトさん自身も、複数の持病を抱え、療養生活を送っている。

生活保護当事者への 「らしさ」の呪縛
「健常者にとっては、駅の階段を上り下りすることも、エスカレーターを使うことも当たり前です。
バリアフリー化されてエレベータが設置されたら、便利な手段が増えるだけです。
でも障害者は、エレベータを利用せざるを得ない状況があるから利用するわけですよね」(ミサトさん)

 生活保護叩きについては、どうだろうか。
「生活保護もまた、利用せざるを得ない状況があるから利用するわけです。
そこにぶつけられる『自分はこんなに苦労しているのに、ナマポもらって、のうのうと暮らしやがって』という悪意は、完全な『やっかみ』だと思います」(ミサトさん)

 伊是名さんの今回の出来事との共通点は、どこにありそうだろうか。
「共通点というより、似ているところは、『らしくしろ』という見方にあると思っています。
『生活保護受給者なら受給者らしく』『障害者なら障害者らしく』というところでしょうか。
だから、生活保護や駅員の介助が『特別扱い』に見えるのでしょう」(ミサトさん)

 生活保護を必要とする事情は、個人の努力ではどうにもならない形で押し寄せることがある。
私たちは今、コロナ禍でその状況を経験し続けている。
そして健常者は、誰もが「まだ障害者になっていない人」である。
健康に高齢期を迎えても、加齢の影響は必ず現れる。

 国交省鉄道局鉄道サービス政策室の職員は、今回の伊是名さんの経験について、「詳細には把握していませんし、JRさんという会社の対応について役所として申し上げることではありませんが」とした上で、「基本的に、乗り降りに制限があるべきではありません」と述べる。
「最終的には目的地まで移動できているわけですが、時間はかかっています。
JRさんとしても、今回の件が全く問題ないとは考えていないでしょう。
国もそうですが、経験値を重ねながら、改善していく必要があると思っています」(国交省鉄道サービス制作室)
 個人が経験する困難やトラブルを、希望ある未来へとつなぐことはできるだろうか。
それは、行政や施策に対する市民の視線と関心にかかっている。
    (フリーランス・ライター)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月18日

いじめのピークは「小2」低年齢化の衝撃の実態

いじめのピークは「小2」低年齢化の衝撃の実態
10年前は中1だったのがなぜ変化したのか
2021/04/17 東洋経済オンライン
石井 志昂 : 『不登校新聞』編集長

学校でのいじめというと何歳くらいが多いイメージがあるでしょうか。
最新の調査を聞くと多くの人が驚くかもしれません。 文科省の調査によると、小学校2年生がいじめのピークであることがわかりました。
また、コロナ禍でいじめが増えていくことが予想されています。

『不登校新聞』の編集長としていじめや不登校を20年にわたり取材してきましたが、子どもたちの実態をお伝えします。

小1から陰湿ないじめが
eスポーツの分野で活躍中の永田大和さん(19歳)は、小学校2年生から小学校4年生にかけていじめを受けていました。 「同級生からは『居ない者』として扱われることが多かったです。
ほかのも、物を隠されたり、心当たりのない噂を流されたりすることもありました。
殴る、蹴るという暴力もありましたが、多かったのはそういうネチネチしたやつでした」

無視や噂話などのいじめは「コミュニケーション操作系のいじめ」と呼ばれています。
その特徴は見えづらいこと。殴る・蹴るといった見えやすい暴力ではなく、被害や攻撃性が見えにくい言わば「陰湿ないじめ」です。
陰湿ないじめといえば中高生というイメージが私にはあります。
むしろ見た目もかわいい小学生がまさかそんな陰湿ないじめをするとは思ってもいませんでしたが、永田さんと同様の陰湿ないじめのケースも最近は聞くようになってきました。

今年、小学5年生になった男児は、小学校の入学当初からいじめを受け始めていました。
男児が言うには同級生から「間接的に否定されることが多かった」と。
具体的には
(1)鬼ごっこの際にずっと鬼にさせられる、
(2)遊びの拍子に強く殴られる、
(3)「赤ちゃんみたいだね」など意図がわかりづらい言葉で否定されるなどです。
いじめのストレスから、男児は寝ているあいだに歯ぎしりがひどくなり、ある日、大泣きして学校へ行きたくないと母親に訴えたそうです。
男児はいじめを訴えると「みんなの空気が悪くなる」と思って黙っていたそうです。

小学校にとどまらず、幼稚園から「コミュニケーション操作系のいじめが始まっていた」と語るのは現在20歳の女性でした。女性は幼稚園のころから、仲間外れなどのいじめを受けていたため、小学校に入ってからは、いじめられないキャラを研究。その後は「自分を取り繕うように生きてきた」と話してくれました。
仲間外れや無視などの陰湿ないじめは小学校低学年でも確実に起きており、最近の文科省の調査をみると、それが広がっているという傾向が顕著に表れていました。

2019年度に起きた小・中・高のいじめは61万2496件。
学年別でみると、もっとも多いのは「小学校2年生」。
ちなみに10年前の調査結果を見ると中学1年生がピークでした。
多くの人の感覚と近い調査結果だと思いますが、現在はトップ3が小学校1年生から3年生が占めるなど、いじめの低年齢化は顕著なのです。

専門家の指摘を総合すると、いじめの低年齢化が進んだ要因は2つです。
ひとつは調査の定義が変わったこと。
ひやかしや悪ふざけといった軽微な事例も報告するよう文科省が求めており、これに応じて小学校低学年のいじめ件数は増えました。
ある小学校教員によれば、そもそも小学校低学年の場合の子たちによる人間関係のトラブルはよく起きていたそうです。
もうひとつの要因は、小学校低学年の子どもたちが感じるストレスが増加したことです。
不登校の子どもたちなどを長年にわたり見てきた西野博之さん(フリースペースたまりば)は、ストレスのあまり暴発してしまい、人間関係を築きづらい子も増えてきたと感じているそうです。

背景に早期教育の影響も
西野さんによれば、自分より弱い立場の子どもに暴力を振るうのは、子どもの性格が悪くなったわけではなく、小さいころからストレスをためこむ子が増えたからだと指摘しています。
要因は早期教育。
幼稚園や保育園のころから、学校に適応するための教育が盛んになり「手遅れにならないように」と習い事を掛け持ちするなど、余裕のない生活をする子が増えているそうです。
それだけが理由ではないと思いますが、「子どもたちの生きづらさはピークに達している」と西野さんは言います。

30年以上にわたり、小学校教員を務めてきた先生も「子どもたちの生きづらさ」を指摘していました。
チャイムが鳴る前に座らせることや、班ごとに決めたマナーやルールを守らせるなど「子どもたちに求める規範意識が年々、高くなってきていて、子どもがすごく生きづらそう」だと先生は語っていました。
高い規範意識を年少のころから求めた結果、子どもたちは表面上は「よい子」や「問題のない子」に見えるものの仲間内で暴力が横行してしまうのだそうです。
またコロナ禍でいじめが増えることも懸念されています。

NPO法人「共育の杜」の調査によれば、コロナ禍の影響によって9割の教職員が「今後いじめが増える可能性が高い」と回答していました(※2)。

コロナ禍の今だからこそ
そもそも4月は大人の注意が必要な時期です。
進学・進級により人間関係が刷新され、「問題がない」と見られていた子もいじめの標的になってしまうことがあります。
この時期に大人にお願いしたいことは、たったひとつです。

今回の記事の前半で紹介した小学校5年生の男児は「子どもがやったからといって軽く扱わないでほしい」と話してくれました。
いじめが起きていても「子どもどうしで起きたことだからしかたがない」や「悪ふざけだから大げさにしなくてよい」と判断をするのはいじめを受けた本人であり、先生や親ではありません。
苦しんだ人の年齢が幼少であっても「SOSを邪険にしないこと」は最も大切なことです。

もしもSOSを受けた場合、いじめを受けているとわかった場合は2つの対応をお願いします。
ひとつめは子ども本人が言った話を記録すること。
学校や相談機関と話し合いの資料になるからです。

もうひとつは、子どもの安全を確保すること。
いじめがある場合は躊躇せずに学校を休ませてください。
学校を休めば「社会性や学力が身につかない」と不安視される方もいますが、いじめを受け続けて身につくのは学力や社会性ではありません。憎しみや自己否定感です。
親に訴えても救ってくれなかったという不信感です。

私はたくさんのいじめ経験者に取材してきましたが、避難が早かった人ほど、心の回復は早い傾向がありました。
子どもが苦しいときほど、安心・安全が最優先という原則をぜひ実行してもらいたいと思っています。


※1・令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(2020年10月22日発表)。
また、いじめ件数の呼称は「発生件数」ではなく 「認知件数」 に2006年度から改められている。
いじめは第三者からは見えづらく「教員が認知できた件数は真の発生件数の一部である」という認識からの呼称変更。
文中では端的に「件数」と省略。
※2・NPO法人「教育改革2020『共育の杜』教職員勤務実態調査(2020年8月21日発表)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月21日

尾木ママ、怒りと危機感で政府に注文 「戦時下である認識に立って」

尾木ママ、怒りと危機感で政府に注文 
「戦時下である認識に立って」
2021年04月20日  しらべえ

「尾木ママ」の愛称で親しまれている教育評論家の尾木直樹氏が19日夜、自身の公式ブログを更新。
大阪府や東京都が政府に緊急事態宣言発令の要請する方向であることについて改めて言及した。

■「まんぼうはやっぱりマンボウ」
各地で「まん延防止等重点措置」が適用される中、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況が続いている。
尾木ママは「『まんぼう』はやっぱりマンボウだった!!」のタイトルで、「途中から『まん延防止等措置』となどと慌てて言い換えしたものの、やはりマンボウさんのように、ぬるっと可愛いお魚さんでしたね」と切り出した。
「先手打たないと変異株に勝てません」

■まるで国民総動員体制
続けて、「何のことありませんでしたね! 国民のほとんどが効果なんか期待していません。その通りでした。いやはや、『言葉に騙された感』が強烈です!」と指摘。
「新聞、テレビ、コメンテーター、そして、恥ずかしいことに尾木ママまでも、騙す側に立って大反省」と、自身も当初は効果を期待していたことを振り返った。

効果的な対策が示せないまま、国民が我慢を強いられていることに「中身がなんにもないくせに、まるで国民総動員体制みたい。表現の自由まで自己規制してしまいかねません! 反省、反省の尾木ママです」と記した。

■政府へ3つの提言
尾木ママは20日朝に更新したブログでも、「極めて危険性が高い限界ギリギリのような怖さ感じるのは尾木ママだけかしら?」と現状に危機感を募らせている。
感染防止対策について、「政治は専門家プロジェクトチームの判断をそのまま受け止めるだけで、変に『経済回す』とか考えないで」「規制の仕方と数理統計学など科学的予測データに基づく<収束の時期>と<ワクチン接種の個人見通し>提示する」「さらに【経済的保障】をちまちまじゃなく、全員にたっぷりする」と提言。

「以上3点さえ押さえれば、ワクチン接種時期も見えてきている中、希望の光も見えてきて、【短期集中】で国民はこの泥沼化から脱出できるように思います!!」と綴った。

■大阪の失敗から学んだ
さらに、感染拡大が止まらず、医療崩壊も叫ばれる大阪府の状況に触れ、「反面教師じゃないですが【大阪の失敗】から学びました。病床確保は必須事項ですね」とし、「政府はウイルスとの戦いはある意味、戦時下である認識に立ってほしいですね」と呼びかけた。
尾木ママの提言に、「本当にそう思います。まずは感染症専門家に従うこと。彼らは感染症のプロです」
「規制の仕方は学校閉鎖など、やはり厳しいものでないと、もう国民にはひびかないのでは、と思いました」
「日本型ロックダウンを考えるべき」など共感するコメントが寄せられている。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月22日

ワクチン「説得」は逆効果? #健康警察 、善意の「おすすめキャンペーン」の落とし穴 カギは「共感」

ワクチン「説得」は逆効果? #健康警察 、善意の「おすすめキャンペーン」の落とし穴 カギは「共感」
4/21(水) withnews

新型コロナの収束の切り札ともいわれるワクチン。
一般の高齢者に対する接種も始まりましたが、SNS上では「副反応も不安だし、打ちたくない」という声も。
それに対して「心配しすぎ!  打つのが正しい」と説得するやりとりも見受けられます。
でも考えてみると、そもそも説得されたり批判されたりすることで、人の行動は変わるものなのでしょうか?(医療ジャーナリスト・市川衛)

「新型コロナウイルスワクチン」打ちたくない!人を批判したくなる心理
2021年4月現在、新型コロナウイルスワクチンに関しては、イスラエルなど実際に接種を行った国から、有効性を示すデータが次々と出ています。
安全性についてもいまのところ、予想外といえるほどの重篤な副反応は報告されていないようです。
この先に筆を進める前に、「まずはお前のスタンスを明確にせよ」というお声もありそうなので示しますと、私は少なくとも現在国内で接種されているファイザー社製の新型コロナワクチンに関しては、多くの人が打つ意義があると思っていますし、私の順番が来れば、できるだけ早く接種したいなあと思っています。
その前提で、でもこんな声があるのもの事実です。

最大の問題は「偽情報」
 ワクチンをめぐる在米研究者の警告(毎日新聞 2021年2月14日) <「コロナのワクチン打ったほうがいいのかな?」。80代の義母から電話があった。副反応が怖いという。
「打つ利益の方がリスクより大きいと思う」と即答したものの、胸がちくりとする。>

「胸がちくりとする」……、良い表現ですね。
記者さんの葛藤が伝わってきます。
前述のとおり、私自身は「打ちたい」と思っている立場です。
なので、もし近しい人から「副反応が怖い」という声を聞いたとしたら、認識を正してあげたいと「いやいや!そんなことないんですよ! このデータ見てください。ほら……」と説得したくなってしまいそうです。
でも、この連載のテーマは「自分の #健康警察 の高まりを感じたら、一度『立ち止まって考えてみる』を実践すること」です。

そこで考えてみました。
「そもそも人は、説得されることで行動や気持ちを変えるものなのだろうか?」
--そしてちょっとフカボリして調べてみると、「人の気持ちって、そんなに簡単なものではない」ことがわかってきました。

データを示しても、物語を示しても、不安な人の考えは変えられない
ワクチンに対して不安を抱える人に、どんなコミュニケーションをすれば、接種する気持ちが高まるのか?
 実はこの問題、公衆衛生の世界では、世界的に大きな関心ごとなのだそうです。
例えば赤ちゃんのときに接種するワクチンとして国際的に使われているものに、「MMRワクチン」があります。
麻疹、風しん、おたふくかぜという3種類の感染症に対するワクチンが混合されているものです(日本では、麻疹と風しんの2種類が混合されたMRワクチンが使われています)。
このMMRワクチン、1998年にランセットという権威ある医学雑誌に、「接種が、自閉症などと関係しているのでは?」と指摘する論文が掲載され、不安の声が広がりました。
この論文は、その後に撤回されたのですが、いまだにSNSなどを中心に副反応を心配する声があり、ワクチンの接種を拒否したり、不安に思ったりする人が後を絶ちません。

そこで2014年、米ダートマス大学の研究チームは、「どんな情報を提供したら、ワクチンに対する接種意欲が上がるのだろうか?」を調べる大規模な調査を行いました。
まず、子どもを持つ親1759人に協力をお願いし、子どもにMMRワクチンを接種したいかや、自閉症と関連すると思うかどうかなどを回答してもらいます。
その後、ランダムに5つのグループに分かれてもらい、それぞれに以下のような異なる情報を聞いてもらいました。

(1)ワクチンと自閉症の関係を否定するデータ
(2)ワクチンで防げる感染症のデータ
(3)感染症で重症化した子をもつ親の「語り」
(4)感染症にかかった子どもの写真(を見る)
(5)ワクチンとは関係のない情報

そして、時間をおいてからもういちどアンケートを行い、どのような情報を提供すれば、接種への意欲が向上するかを調べたのです。
結果は、どうだったでしょうか?
なんと意外にも、「全て効果なし」でした。
どの情報も、接種意欲の向上には結びつかなかったのです。

さらに驚くべきことに、(1)のグループの中で、もともとワクチンに不安を抱えていた人は、接種意欲が以前より「低下」。要は、子どもにもっと打たせたくなくなってしまいました。
「ワクチンと自閉症は関係ない」というしっかりしたデータを見せたのに、以前よりもっと打たせたくなくなる。
これは矛盾しているように思えます。
いったいなぜなのでしょうか?

研究チームは考察の中で、背景に人間の心理的なクセのひとつ、「バックファイヤー効果(逆噴射効果)」があると指摘しています。
簡単にいえば、人は「自分の信条を否定されると、かえってその信条に固執したくなる」ということです。
どういうことか、ひとつ、例をあげてみましょう。

あなたが、どこか地方都市に住んでいるとします。
ある日、東京在住の人に「地方なんて住むもんじゃない! 車を使うから歩かないし、肥満が多いってデータもあるんだぜ!」と言われたらどう思いますか? 
「ああ、確かにそうだ。東京に住まないと……。
引っ越しを考えようかなあ」と思うでしょうか。 そんなことないですよね。
きっとカチンときて、すぐさまスマホを取り出し、東京の住みにくさを示すデータを探すはずです。
そして、東京に住むと健康に「悪そう」な情報はすぐに見つかります(生活費が高いことを示すデータや、部屋が狭いことなど都会にストレス感じてる人の声など)。
それを見て、あなたは「あー、やっぱ、地方に住んでいてよかった!」と強く確信するはずです。

つまり自分の現状を否定されると、そうされる前より、もっと自分の考えに「確信」を持つようになることがあるわけです。難しいですね。
相手を説得するのではなく、やる気を引き出す「共感」がカギとなる では、どうすればいいのでしょう?
 最近では、否定的なデータを示したり不安や恐怖に訴えたりする #健康警察 的な手法を改める動きが起きています。

ワクチンに不安を抱える人の気持ちに「共感」し、そのうえでコミュニケーションをとろうとするやり方です。
イギリスで家庭医として働き、いま日本で教育活動を行っているマハム・スタンヨン医師(福島県立医科大学)に聞いた話です。
ワクチンに不安を抱える人にかける言葉として、否定は禁物のとのこと。
その場では納得したように見えても、その後、二度と病院に来なくなってしまい、結局は目的が果たせないことが多いのだそうです。
そこで彼女がかけているのは「気持ちはわかるわ。お子さんのことを思って、とても良く勉強されていますね」という言葉。一回受け入れたうえで、続けます。

「ちなみに私も、個人的に調べていることがあるので、もし興味が出てきたら、お話しさせてくださいね」。
まず共感。そして、データを伝えるにしても「相手側がその気になる(準備ができる)時を待つ」。
ある意味で遠回りのように思える態度も、「あえて」とっていると話していました。
なお、こうした「相手を説得するのではなく、やる気を引き出す」方法として「動機づけ面接(Motivational Interviewing)」がありますが、実際、医療現場で行われた72の研究を調べたところ、その8割で従来のアドバイスより相手の行動が変わるなどの良い効果があることがわかっています。

ワクチンに限らず、喫煙でも運動不足でも、私なんぞはどうしても、自分から見て「不健康」な暮らしをしている人にひとこと言いたくなってしまいます。
それは「健康になってほしい」という善意からなのですが、相手にとっては「大きなお世話」であり、かえってその行動に固執するようにし向けていたのかもしれません。

ああ、また私の中の #健康警察 は、きちんと思考を深める前に、誰かを悪者にしようとしていた……。
毎度のことで恐縮ですが、反省します。
自分の #健康警察 の高まりを感じたら、いちど「立ち止まって考えてみる」を実践していけるよう、今後も精進していきます。
posted by 小だぬき at 01:00 | 神奈川 ☀ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月26日

「健康番組の情報」鵜呑みにする高齢者の超危険

「健康番組の情報」鵜呑みにする高齢者の超危険
インターネットの健康情報も怪しいものが多い
2021/04/25 東洋経済オンライン
松村 むつみ : 医師・医療ジャーナリスト

ある調査によれば、高齢者の多くが健康情報の多くを「テレビ」から得ているそうです。
依然として大きな影響力を持つテレビ。
しかし、テレビが発信する健康情報の多くはいまだ玉石混淆とも言えます。

正しい情報を得るには、どうすればいいのでしょうか?
医師で医療ジャーナリストの松村むつみ氏による『自身を守り家族を守る医療リテラシー読本』より一部抜粋・再構成してお届けします。

2017年に国内の雑誌に発表された、高齢者が医療健康情報をどこから得ているかの調査を図に示しました。 (画像:『自身を守り家族を守る医療リテラシー読本』より) これは、東京都と長野県で合計518人の60歳以上の高齢者に対して行われた調査の結果で、
テレビから得る情報は、「医者や専門家」から直接得る情報よりも割合が多くなっています。
調査によっては、「かかりつけ医」「健康診断」などがテレビよりも上位にきているものもありますが、どの項目も、総じてテレビが上位にきており、特に高齢者においては、インターネットの影響はそれほど高くはありません。

情報を得る先として「テレビ」、「医者や専門家」に次いで多いのは、「新聞」、「友人や家族」となっています。
また、株式会社インテージヘルスケアが全国11万人に対して行った調査によると、年齢が高くなるほど「かかりつけ医」「健康診断」などの信頼できる情報源から情報を入手する割合が高くなると報告されています。
この調査では、若い人ほど、テレビCMや家族や友人などの口コミから情報を得る割合が高い、という結果でした。
高齢になるほど病院にかかり、専門家から直接情報を得る機会が多いことを反映していると思われます。

依然として、テレビは大きな影響力を持っています。
文字情報だけではなく、映像や音声などを駆使して総合的に情報を伝えるのがテレビといえますが、昔と比較して正確性が求められるようになったとはいえ、医療情報に関しては、番組や局によってはまだまだ玉石混淆の情報を発信しているようです。

視聴者のリテラシーが試されます。
印象に残る情報に触れたときほど冷静になり、深呼吸して、自分で調べたり、さまざまな角度から検討してみたりすることが必要です。
高齢になるほど、かかりつけ医などから情報を得ることが多くなるという調査結果があるのは、喜ばしい傾向であるといえるでしょう。
最近は、薬局で薬をもらう際に、薬のことや病気のことについて、薬剤師に気楽に尋ねられる環境ができつつあります。
以前は、病院でないと処方してもらえなかった薬が薬局で手に入ることも増えました。

医療者と患者さん、一般の方々とのコミュニケーションを考えると、薬剤師が果たす役割は大きくなってきていると思います。
何か疑問があれば、薬局で気軽に聞いてみるのも、一つの方法です。

インターネットの健康情報も怪しいもの多い
薬や病気の治療について調べたいとき、インターネットであれば「どのサイトを見るか」は非常に重要です。
一つ安心できるのは、以前ディー・エヌ・エーにより運営されていたメディア「WELQ」の誤情報が問題となった際、グーグル社はSEOを変更して公的な情報や信頼できる情報が上位に表示される仕組みに変更しました。
このため、本書執筆時点では多くの医療情報に関して、公的ページが上位に表示される仕組みになっています。

 例えば、「大腸がん」をキーワードに検索エンジンのGoogleで検索すると、国立がん研究センターの「がん情報サービス」が最上位に表示され、診断や治療についての正確な情報が手に入るようになっています。
どうしても、テレビやインターネットのメディアが扱う情報は断片的になりがちです。
インターネットを使って何か情報を得ようとするのなら、まずはこのような公的なページで病気について一通り調べ、基本的なことがらを把握するのがよいでしょう。

また、病気になったときに使える制度は、厚生労働省や自治体のページに掲載されています。
あわせてそちらも見てみましょう。
(画像:『自身を守り家族を守る医療リテラシー読本』より) がんをはじめとするさまざまな疾患について、現在は「ガイドライン」が出版されています。
日本で診療ガイドライン作成を支援している、Minds(厚生労働省委託事業EBM普及推進事業)によると、診療ガイドラインとは、「診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその相対評価、益と害のバランスなどを考慮して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」と定義されています。
簡単な言葉で言い換えると、さまざまなエビデンスを統合して、診断や治療に対して、どの方法がどの程度勧められるのか、あるいは勧められないのかが書いてある文書のことです。

ガイドラインでは、その診断や治療を勧めるのにどの程度確証があるかを、A−Dに分けています。
一般的には、AやBであれば、その診断法や治療法は勧められるということを意味します。

A=行うよう強く勧められる。
B=行うよう勧められる。
C=行ってもよいが、十分な科学的根拠がない。
D=行わないよう勧められる。

ところで、「ガイドライン」は通常、あくまでも医師をはじめとする医療従事者が、診療の指針として使用するものであることに注意しなければなりません。
しかし、大腸がんや乳がん、子宮がん、膵がんなどでは、患者さんのためのガイドラインや、ガイドライン解説の本も出版されています。
これらの本は、自分が受ける予定の治療の説明を聞くのにも参考になりますし、医師への質問や、医師との話し合いにも参考として使用できます。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月27日

ワクチン会社から謝礼を受け取っていた番組コメンテーター医師の実名

ワクチン会社から謝礼を受け取っていた番組コメンテーター医師の実名
4/26(月)  NEWS ポストセブン

 テレビで連日、コロナワクチンの有効性についてコメントをする医師たち。
ワクチン接種を待つ視聴者にとって、専門家の発言は判断を左右する重要な情報だが、気になるデータが存在する。
 NPO法人「医療ガバナンス研究所」と探査報道メディアの「Tansa」は、共同で「製薬会社から医師個人に支払われた金銭」をデータベースとして公開している。

医療ガバナンス研究所の調査責任者である尾崎章彦医師が言う。
「医療者(医師)が処方する薬の売り上げが製薬会社の収益の大部分を占めている。
両者の関係性について透明性を高める必要があると考え、作成しました。
製薬会社がホームページで公開している医療者への支払い情報を基に、金額を調査した」

 製薬会社が医療機関や医師に支払う謝礼は、「研究開発費」「学術研究助成費」「原稿執筆料等」「情報提供関連費」「その他の費用」に分類されるが、尾崎医師らが着目したのは、病院を通すことなく医師個人に渡される「原稿執筆料等(講演料や新薬開発のコンサル料)」だ。
 そうした金銭を受け取る医師たちには、テレビでコメンテーターとして活躍する専門家もいる。

 本誌・週刊ポストが確認すると、「2020新型コロナ関連専門家・テレビ番組出演本数ランキング」(ニホンモニター調べ)の上位10人のうち4人がワクチンメーカーから謝礼を受け取っていた。
 一番金額が多かったのは、昭和大学医学部客員教授の二木芳人医師(出演本数1位)だ。
 すでに公開されている2016年度(337万9300円)と2017年度(286万3811円)、未公開の2018年度分(90万3690円)を合わせると、3年間でファイザーから約714万円、アストラゼネカからは11万1370円(2017年度)、ジョンソン・エンド・ジョンソンの製薬部門であるヤンセンファーマからも5万5685円(2017年度)を受け取っていた。

「コロナ前」のものとはいえ、製薬会社から謝礼を受け取っていて、客観的なコメントができるのか。二木医師に質した。 「全部講演料で、肺炎球菌のワクチンに関する講演をファイザーさんから頼まれることが多かった。
昨年医療現場をリタイアしてからは、ほとんど講演をしていません。
今はワクチンに対する不安が必要以上に大きくならないよういろんな情報をお伝えするように努めている。
特定のメーカーの肩を持つことはありません」

 次に金額が多かったのは愛知医科大学大学院教授の三鴨廣繁医師(出演本数10位)。
ファイザーからは約504万円、ヤンセンファーマから17万6366円となっている。

国際医療福祉大学主任教授の松本哲哉医師(出演本数4位)はファイザーから2017年に約154万円など計約348万円、
東京歯科大学市川総合病院教授の寺嶋毅医師(出演本数5位)もアストラゼネカから約139万円を受け取っていた(いずれも2016〜2018年度の合計)。

 寺嶋医師は、 「呼吸器系がテーマの勉強会や講演の座長や講演料だったと記憶しています。
2019年、2020年も講演はあったと思いますが、今までもそしてこれからも、謝礼金などで発言が左右されることはありません」  と回答。
松本医師、三鴨医師からは回答を得られなかった。
前出・尾崎医師が語る。
「謝礼を受け取ること自体に違法性はないが、テレビ局側もその医師がどれくらいのお金を受け取っているかを把握していないはず。
視聴者に誤解を生まないためにも、社会に影響力が大きい医師にはもう少し厳格なルールを設けるべきです」

 彼らの意見を参考にするにあたり、製薬会社との“距離感”は、視聴者も把握しておくべきだろう。

  ※週刊ポスト2021年5月7・14日号
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月29日

生活費の値上がりが家計直撃!ポークカレーで検証すると…

生活費の値上がりが家計直撃!ポークカレーで検証すると…
2021/04/28 日刊ゲンダイ

 総務省は先週23日、2020年度の全国消費者物価指数(2015年=100)を公表した。
前年度と比べると0・4%の下落で、マイナスは4年ぶりだ。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う原油安によるガソリンなどのエネルギー価格の大幅下落の影響が大きいという。

■消費者物価は10年ぶりの下げ幅でも…
 低下幅は10年度(0・8%下落)以来、10年ぶりの大きさだった。
物価が下がれば生活は楽になるはず。
でも、そんな実感を持つサラリーマンは多くない。

緊急事態宣言が発令され、外出は自粛。居酒屋で飲む回数は減り、自宅時間が長くなった。
家での食事は増加し、その分、料理の食材やインスタント食品を購入する頻度は増えている。
「確かにガソリンや灯油など下落している品目はあります。
ただ、生活に必要な食品や日用品に目を向けると上昇しているものがたくさんあるんです。

生鮮野菜は5・9%上昇し、生鮮果物も5・3%上がっています。
庶民感覚では生活費はかなりアップしていると思います」(市場関係者)

夕食にポークカレーを作ると…
 夕食にポークカレーを作るとどうなるか。
じゃがいも(23・7%アップ)とにんじん(18・1%アップ)は昨年より高くなった。
たまねぎ(マイナス0・5%)やカレールー(マイナス1・3%)は安くなったが、豚肉(3・3%アップ=国産ロース)は値上がりしている。
 ビール(マイナス2・1%)は値下がりしたとはいえ、350ミリ缶で200円を超す。
一方、100円ちょっとで購入できる第3のビール(5・3%アップ)は高くなった。
ビール類は酒税改定の影響が大きいとはいえ、家飲みが増えた分、家計への負担は増している。

つまみにピッタリのえだまめ(3・6%アップ)も値上がりだ。

鮮魚も高騰
 鮮魚の上昇も激しい。庶民の味方、さんま(24・5%アップ)やししゃも(10・4%アップ)、あじ(2・5%アップ)も高騰した。
「物価の上昇はティッシュペーパーやトイレットペーパーなど在宅時間が長くなったことで消費量が増えた日用品にも及んでいます。
電子レンジや炊飯器なども値上がりです。
コロナ禍で需要が拡大した空気清浄機も上昇でした」(前出の市場関係者)

 東京や大阪など4都府県では5月半ばまで緊急事態宣言が続く。物価上昇の少ない食材や食品でしのぐしかない。 
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月06日

言葉にしなければ伝わらない

言葉にしなければ伝わらない 会いたいときは会いたいと言おう
2021.5.5  Diamondオンライン
クルベウ 藤田麗子

長引くコロナ渦中。一部地域には緊急事態宣言が出されるなど、引きこもりがちな毎日に、ストレスを感じている人も多いのではないだろうか。
寝ても疲れが取れない、ちょっとしたことですぐ不安になる、自分だけが取り残されているように感じる……という人にぜひ読んでほしいのが、2021年4月14日に発売後、即重版が決定した『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(クルベウ著 藤田麗子訳)だ。
そんな人気作家のベストセラーエッセイの邦訳が2021年4月14日に刊行。 「自分らしく、豊かに生きるためのメソッド」が詰まった本書。
今回は、日本版から「言葉にしなければ伝わらない」について抜粋して紹介する。

忘れがちな大切なこと
申し訳ないと思ったらごめんなさいと言い
感謝を感じたらありがとうと言い
悔いがあるなら後悔していると言い
会いたいときは会いたいと言おう。

言葉にしなければ相手には伝わらない。

★自分よりも他人を優先してしまうあなたへ
一生懸命がんばっているのに、 いくら必死に生きても幸せに感じられないとき、 私たちは不安になる。
どこを目指して生きればいいのか、 わからなくなってしまうから。 (「はじめに」より)

「痛みを認めることは 痛みと向き合うベストな方法だ。」 (本文より)

「誰かに言われた悪い言葉を すべて受け入れる必要はない。 なぜなら、それは真実ではないから。」 (本文より)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月07日

不調を引き起こす「不安」から逃れる4つの方法

不調を引き起こす「不安」から逃れる4つの方法
病気について冷静に判断するための情報収集
2021/05/06 東洋経済オンライン
樺沢 紫苑 : 精神科医、作家

医師から病名を告げられると、これから自身がどうなってしまうのか不安に陥りがちなものです。
しかし「この『不安』が新たな不調を引き起こしてしまう」と『精神科医が教える病気を治す 感情コントロール術』の著者である精神科医の樺沢紫苑氏は語ります。

人間は大事なことを感情で決めてしまうところがあり、とくに病気に関することについては、誤った選択肢を取ってしまいがちなのだそうです。
感情を上手にコントロールして、病気を治すことにつなげる方法を樺沢氏が解説します。

不安にあおられず冷静に判断する方法
病名を告知されると、さまざまな不安が頭をよぎります。
しかしながら、その不安のほとんどは「予期不安」です。
予期不安とは、「会社に復帰できなくなったらどうしよう?」「後遺症が残ったらどうしよう?」「薬で重い副作用が出たらどうしよう?」といった、将来に対する過剰な不安で、その9割以上は実際には起こらない、現実にならないものです。

実際に起こらないことに対して、あれこれ考え、不安な気持ちになり、落ち込んでしまう。
完全に取り越し苦労です。
実際に起こってから悩むようにするだけで、人間の不安の9割はなくなります。
ではなぜ、人は「予期不安」に悩まされるのでしょう。
その原因は、「情報不足」です。

「この薬、吐き気の副作用が出やすいって聞いたけど、そうなったらどうしよう?」という不安。
しかし、「副作用として吐き気が出る確率は10パーセント、激しい吐き気はその中で3人に1人。それに出たとしても命に別状はない」というデータが添えられていたらどうでしょう。
つらい症状は30人に1人も出ないとわかれば「それほど多くないし、万が一なっても大丈夫だな」と思えるのではないでしょうか。

たとえば、最近メディアを騒がせている、新型コロナワクチン問題。副作用があるということで、ワクチンを打つことを躊躇している人も少なくないようですが、実際に起きている副作用の割合が25万から35万分の1と言われていること、症状が人によってさまざまで軽い症状の方もいらっしゃることについてきちんと知っている方は、ほとんどいないでしょう。
こうした情報を知ることで、副作用のリスクと新型コロナに感染することのリスクを冷静に比べることができるのではないでしょうか。

このように答えや詳しい情報に知識、数字やデータなどが得られるだけで、不安にあおられることなく、冷静に考えることができるようになります。

上手に情報を得るための4つの方法
ムダな不安を取り除き、冷静に判断するためには、上手に情報を得ることが大切です。
誰からどんな情報を得るとよいのか、おすすめの方法を4つご紹介しましょう。

1 主治医に質問する
病気についての対処法や今後の治療の方向性、家での療養の仕方を知りたい場合、主治医に聞くのがいちばんです。
わからないことがあるのに質問しないのは、自分で自分の「不安」を増殖させているということです。
「忙しそうなので質問しづらい」という意見も聞きますが、3分診療であっても、質問の1つくらいは答える時間はあります。自分の病気を治すためですから勇気を出して質問しましょう。

医者に積極的に質問する患者さんは、何も質問しない患者さんよりも、「治療意欲が高い」ので、私は好感を抱きます。
医者の前では緊張して、頭が真っ白になってしまう、何を質問したかったか忘れてしまう人は、事前にメモ用紙に内容を箇条書きにしておくといいでしょう。
メモを見ながら質問すれば、何を質問するのか忘れた。
あるいは、うまく質問できなかったということを避けられます。

2 主治医に質問できない場合の対処法
「主治医に質問できません」「質問する雰囲気ではありません」という場合は、本来であれば主治医本人に説明してほしいところですが、もし無理であれば、看護師に聞いてみましょう。
看護師は医者のそばにいて、診療を毎日見ています。
患者さんの「よくある質問」には、ほとんど答えてくれることでしょう。
また、薬に関する質問なら、薬剤師が答えてくれます。
「薬は食後になっていますが、ご飯を食べなかったときはどうしたらいいのですか?」「この薬の吐き気が出る副作用は何パーセントですか?」といった質問に対しても、丁寧に、時にはデータを調べて親切に答えてくれます。
わからないことがあるときは、声をかけるといいでしょう。

3 病気について書かれた本を、1冊、通して読んでみる
「あなたはパニック障害です」と言われたら、パニック障害の本を1冊読んでみましょう。
「あなたは糖尿病です」と言われたら、糖尿病の本を1冊読んでください。
病気について書かれた本には、その病気の原因、治癒までの期間、治療の内容、生活習慣改善の方法、生活上の注意などが一通り書かれています。
患者さんが抱く疑問はほとんど網羅されているので、その病気について必要な情報、知識の全体像が学べます。
では実際、どんな本を選べばよいのでしょうか。
まず、できるだけ大きな書店に行ってください。
そして、自分の病気について書かれている本が並んでいるコーナーに行ってみましょう。
実際、手に取り、何冊かパラパラとめくってみて「いちばんわかりやすいもの」を選びましょう。
ネットで注文すると、本の内容をチェックできないので、思った以上に難しい本が届き、結局読まないまま終わったりしますので、書店に足を運ぶことをおすすめします。
ネットは家庭用医学書の代用にならない

4 ネットの医療情報は安易に信用しない
病気について知りたいとき、多くの人がインターネットで検索することでしょう。
しかし、インターネットの情報を利用する場合は、十分な注意が必要です。

アメリカの医師グループの調査によると、「ウィキペディア(世界最大のインターネット百科事典)」で主要な疾患の記述を調べたところ、90パーセントのページに誤りが認められたそうです。
ウィキペディアは、家庭用医学書の代用にはならないのです。
日本医科大学らの研究(2019年)によると、「がん治療」について紹介する約250のインターネットサイトを調べたところ、医学会の診療ガイドライン(指針)を根拠にしたものは1割程度。
自由診療など科学的根拠(エビデンス)がはっきりしないものが4割にも上っています。

インタット上の医療情報は玉石混淆で、役に立つ情報もある反面、完全な間違いも多く、そのまま信じると病気や健康を悪化させる情報も見られます。
ネットの情報は安易に信用しないことです。

  わからないことがあると、不安はどんどん大きくなります。
必要な情報は自分から得るようにして、不安を減らしていきましょう。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月08日

「政府よ、目を覚ませ」水谷修氏がコロナ禍の失政に喝!「今やるべきは4週間のロックダウン」

「政府よ、目を覚ませ」水谷修氏がコロナ禍の失政に喝!「今やるべきは4週間のロックダウン」
5/7(金) まいどなニュース

 政府は、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に出されていた新型コロナウイルスの感染急拡大に伴う緊急事態宣言を当初の期限とした今月11日から同31日まで延長し、愛知県と福岡県も対象地域に加えることになった。
変異株を含む新規感染者数が増加する中、「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は「政府よ、目を覚ませ」として中途半端に終わった「失政」の責任を問い、4週間の「ロックダウン」導入の必要性を訴えた。     ◇    ◇    ◇  

新型コロナウイルスの感染拡大が、止まりません。
にもかかわらず、政府の対応は、多くの国民にとって、煮え切らないものです。
なぜ、このような事態が起こってしまったのでしょうか。

 政府は、昨年3月13日に成立した「新型コロナウイルス対策の特別措置法」に基づいて「緊急事態宣言」を発令し、一時的には、世界から高く評価されるほど、感染の拡大を抑え込みました。
これは、高く評価できます。
すべての学校は、休業そしてリモート授業に
多くの企業も、リモートワークに移行し、国民生活に直接関わる業種を除いた飲食、商店は休業し、政府を支えました。
政府もそれに答え、不十分ではありましたが、様々な給付金によって、国民生活や企業を守ろうとしました。

 問題は、そのあとです。
外国からの渡航者、帰還者に対する対応が不十分となりました。
本来なら、すべてを、シャットアウトするか、もし入国を認めるとしても、2週間は、用意した施設で隔離すべきにもかかわらず、自宅での健康観察に。
これが、イギリス変異株の新型コロナウィルスが、日本に持ち込まれる原因となりました。

 外国からの渡航者、帰還者に対する対応は、依然として不十分なものです。
このままでは、更なる脅威となるインド変異株が、次なる感染拡大の主因となるでしょう。
 また、「Go to トラベル」の政策です。
観光、交通、宿泊、飲食等の業界が、「緊急事態宣言」によって悲惨な状況となっているから、それを支えるという理由で、大切な国民の税金を湯水のようにばらまきました。
しかも、税金だけではなく、新型コロナウイルスを、各地にばらまく主因ともなりました。失政です。

困っているのは、その業種だけではなかったはずです。
しかも、支えようとした業界の人たちは、一時は救われても、今は、さらに悲惨な状況に追い込まれています。
 その一方で、医療が崩壊するからと、大々的なPCR検査は実施せず、専門の病院や医療施設の新設もしませんでした。
しかも、中国やロシアですら開発したワクチンについて、政府や厚生労働省は、その開発に積極的に動いていません。
それどころか、ワクチンを全国民分早急に手に入れることすら失敗しています。
そして、今回の感染拡大です。

 政府は、一部都府県に「緊急事態宣言」を、そして一部地域に「まん延防止重点措置」を適用し、感染拡大を抑えようとしています。
しかし、全国の学校は未だに授業を続け、学校内での集団感染が発生し、飲食店については、時間や酒類の提供を禁止していますが、その一方で、感染者の自宅待機によって、家庭内感染が拡がっています

また、そのような危機的状況にもかかわらず、政府や東京都は、オリンピック、パリンピックを強行し、外国から9万人を超える人たちを入国させようとしています。
 我が国の政府は、一体何を考えているのかわかりません。
また、過去の失敗の反省はないのでしょうか。

すでに、1万人を超える人たちが、この新型コロナウイルスによって亡くなっています。
本来、政府の対策がきちんとなされていれば、命を失うことのなかった人たちです。
 政府よ、目を覚まして欲しい。
今やるべき事は、4週間の完全な「ロックダウン」しかありません。
諸外国のように完全に外国からの入国を認めず、国内においても不要な外出を禁止する。
その一方で、これまで、国民から預かってきた税金を、その支払金額に応じて返金、還元する。
また、生活困難な家庭については、その保護に動く。
ぜひ、それをして欲しいと望みます。

 経済は、復興できます。
しかし、一度失った命は二度と戻りません。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月17日

ワクチンで「黒幕が人類管理」「人口削減が狙い」…はびこる陰謀論、収束の妨げにも

ワクチンで「黒幕が人類管理」「人口削減が狙い」…はびこる陰謀論、収束の妨げにも
5/16(日 読売新聞

 新型コロナウイルスを巡り、SNS上で「感染拡大はウソ」「世界の黒幕が、ワクチンで人類を管理するのが目的」といった虚偽の言説が広がっている。
欧米では昨年から、不満や不安を背景に同種の陰謀論が浸透し、社会問題になった。
日本でも緊急事態宣言下で経済的に困窮する人が増えており、惑わされないよう注意が必要だ。

各地でデモ
「コロナは茶番」「マスクを外そう」
 大型連休中、JR大阪駅前で、そんな文言が書かれたパネルを持った約10人のグループが街頭演説をしていた。
主催したのは神奈川県の40代の男性。
東京や福岡など全国で毎週デモなどをしており、ツイッターで呼びかければ共感した人が集まるという。

 通行人に配っていたビラでは「コロナはただの風邪。世界の資本家が各国の政府を操り、でっち上げている」「ワクチンで人間にマイクロチップを埋め込むのが目的」などと主張。
 根拠のない話だが、男性は「ネットで調べて『真実』を知った」と言う。

 大阪市内の30代の女性は、小学5年の息子を連れて参加した。
きっかけは昨年、自殺した人気俳優の「他殺説」を唱えるユーチューブ動画などだった。
何度も見るうちにコロナの陰謀論の動画を目にするようになり、信じ込むようになった。
 女性は「ワクチンは人口削減が狙いで、5年で死ぬと聞いた。息子にも教えている」と話した。

収束の妨げ 
 他にもデモで同じような陰謀論を流布させるグループが複数あり、ツイッターやユーチューブで連日投稿して数万人の登録者を集める者もいる。
信じた人が拡散しており、誰でも目に触れる可能性がある。
 休業や時短要請の対象となっている飲食店経営者の中にも、デモなどに参加する人がいるという。

 欧米ではコロナ陰謀論の拡散が、マスク着用などの感染対策への大規模な反対運動に発展した。
 千葉大病院の谷口俊文医師は2月、医師の有志でウェブサイト「こびナビ」を開設。
コロナワクチンの正確な情報の発信を始めたが、誤った情報に基づいて「ワクチンは危険」「ウソをつくな」などと批判するメッセージが多数届くという。
 谷口医師は「コロナに疲れた人が、虚偽の情報に引き寄せられる可能性がある。
さらに広まれば感染収束の妨げになりかねず、非常に危険だ」と懸念する。

都合よい情報信じる危険…
東京大特任講師・内田麻理香さん(科学コミュニケーション論)  陰謀論は荒唐無稽に見えるが、政府などが科学的に正しい情報を発信するだけでは広がりを防ぐのは難しい。
全ての人間に備わっている「認知バイアス」が関係しているからだ。

 人は知らず知らずのうちに自分が不快な情報を避け、生きづらくないように解釈するくせがある。
 今の日本はコロナ禍の収束が見通せず、不安や不満が高まっている。
生活が苦しくなっている人も多い。
そんな状況で「黒幕によって仕組まれた」「我慢しなくていいんだ」という誤ったストーリーに飛びついてしまう人が増えてもおかしくない。

 一度信じてしまうと、他人に否定されても、より強固に信じてしまうことがある。
「バックファイア効果」と呼ばれ、ネット上には考えに合致する都合のよい情報がいくらでもあり、「やはり正しかった」と錯覚してしまう。
 重要なのは、誤った情報が広がらないよう、もっと否定情報を出していくことだ。

国や専門家、メディアなどは、陰謀論を受け入れてしまう人間の認知バイアスを理解して、発信方法を工夫する必要がある。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月19日

終業まで「まだ1時間もある」と「もう1時間しかない」では人生がまったく違う

終業まで「まだ1時間もある」と「もう1時間しかない」では人生がまったく違う
2021年05月18日 PRESIDENT Online
筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授 外山 美樹

終業まで「まだ1時間もある」と「もう1時間しかない」、あなたはどう捉えることが多いだろうか。
筑波大学大学院の外山美樹准教授は「物事のとらえかたは『説明スタイル』によって大きく変わる。
自分がどんな説明スタイルを採りやすいかを知っておいたほうがいい」という――。(第2回/全2回
※本稿は、外山美樹『勉強する気はなぜ起こらないのか』(ちくまプリマー新書)の一部を再編集したものです。

■無気力状態になりがちな人の特徴
友だちにあなたが傷つくようなことを言われた時、あなたはどう考えるかを想像してみてください。
ここでは、次の二つの選択肢のなかから選んでください。
A 友だちはいつも人を傷つけることを平気でいう。
B 友だちは虫の居所が悪くて、たまたま私に当たったのだ。

選択肢Aのように、起こってしまった悪い出来事を、「いつも」とか「決して」という言葉で考え、いつまでも続くと思っている人は、「永続的な」説明スタイルをとっていることになります。
一方、選択肢Bのように、「たまたま」とか「時々」という言葉で考え、状況を限定し、悪い出来事は一過性のものであると考える人は、「一時的な」説明スタイルをとっていることになります。

このように、なにかの出来事の理由を説明しようとする際の態度を「説明スタイル」というのです。
この質問では、説明スタイルのうち出来事の「永続性」について尋ねたものになります。
すぐにあきらめて無気力状態になりやすい人は、自分に起こった不幸は長く続くもので、いつまでも自分の人生に影響を与えるだろうと考えてしまいがちです。
「説明スタイル」でいうと、永続的であるといえます。

逆に、無気力状態になりにくい人は、不幸の原因は一時的なもので、長くは続かないと信じています。
このように考える人は、一時的な説明スタイルの持ち主になります。

■普遍的な説明スタイルと、限定的な説明スタイル
ではもう一つ、「ある人に告白したがフラれてしまった」という出来事を想像してみましょう。
あなたは次の二つの理由のうち、どちらのせいだと考えますか?
A 私には身体的な魅力がないので、フラれたのであろう。
B 私には魅力を感じるものが全くないので、フラれたのであろう。

この質問は、説明スタイルの「普遍性」の側面について、尋ねたものです。
普遍性の側面は、「限定的」な理由によるものか、それとも「全般的」な理由によるものか、にわけられます。
選択肢Aのように、限定的な(特定の)説明をする人は、ある分野では無気力になるかもしれませんが、他の分野ではしっかりと歩み続けることができます。
たとえば、自分には身体的な魅力はないかもしれないけれど、その他の面では良いところがある、と捉えているのです。
身体的な魅力について落ち込むことはあっても、それ以外の分野で無気力になることはありません。

一方、選択肢Bのように、自分の失敗に普遍的な説明をしてしまう人は、ある一つの分野で挫折するとすべてをあきらめてしまい、無気力が一般化してしまいます。
私たちが不幸な出来事を経験しても無気力状態にならず、希望を持って生きていけるかどうかは、説明スタイルの二つの側面、つまり、永続性と普遍性にかかっているのです。

■無気力状態になる人は限定的な考え方ができない
それでは、先ほど紹介した人間を対象にした学習性無力感の実験と説明スタイルがどのような関係にあるのかみていきましょう。
再度確認すると、「逃避不可能群」の実験参加者は、どんな組み合わせでボタンを押しても、騒音を止めることができませんでした。
そして、こうした状況に置かれたときに、無気力状態になる人と無気力状態にならない人がいました。
その違いは、その人の説明スタイルの違いに基づいています。

無気力状態にならなかった人は、どんな組み合わせでボタンを押しても騒音がなり響くという状況を、「この嫌な状況は、すぐに終わるだろう」と考えていた、つまり、一時的な説明スタイルをとっていたのです。
また、「複雑なボタンを正しい組み合わせで押すといった、このような課題は苦手なんだよな〜」といったように、限定的な説明スタイルをとっているのです。
これは、この課題(のみ)が苦手なだけであって、他の課題は苦手としていないことを意味します。
そのため、限定的な説明スタイルをとっている人は、別の課題を出された時には、無気力状態におちいることなく取り組むことができます。

一方、どんな組み合わせでボタンを押しても騒音がなり響くという嫌な状況に対して、無気力状態になった人は、「この嫌な状況は、いつまでも続くだろう」といったように、永続的な説明スタイルをとっていました。
そのため、二つ目の実験でもずっと続くと考えて、騒音を止めようとはしなかったのです。
あるいは、この人たちは「このような課題だけでなく、他の課題も自分にはできない。自分は何もできない」といったように、普遍的な説明スタイルをとり、無気力状態におちいるのです。
嫌な出来事を同じように経験したとしても、無気力状態になる人とそうならない人がいるのは、ある出来事をどのようにとらえる傾向にあるのかといった説明スタイルの違いによるのです。

■自分の説明スタイルに自覚的になることが重要
さて、みなさんは、先ほどの二つの質問において、どのような説明スタイルをとっていましたか?
悪い出来事をどのように捉える傾向にあるのかといった説明スタイルは、みなさんがこれまで身につけた長年の習慣(くせ)によるものなので、すぐに変えるのは難しいかもしれません。
でも、無気力になりにくい説明スタイルをとるような習慣を意図的につけることは、できるのではないでしょうか。
そのためにまず大事なことは、自分がどのような説明スタイルをとっているのかに気づくことです。
説明スタイルは、知らず知らずのうちに身についてしまうものなので、意識しないと、自分がどのような説明スタイルをとっているのか、なかなか気づくことができません。
自分が常日頃、無気力になりやすい説明スタイルをとっていることに気づいたのならば、それとは違った理由を考える習慣をつけるように、心がけてみるとよいですね。
考え方次第で人生のあらゆる出来事の捉え方は変わってきます。

■大きな失敗をしたときにどう考えればいいか
たとえば、「テストが一週間後にある」という、おそらく多くの人にとって嫌な出来事に対して、みなさんはどのように考えますか?
「あ〜あ、テストか。勉強をしなくてはいけない。嫌だな……」と考えてしまった時点で、不安や憂うつな感情におそわれ、胸がしめつけられるような身体的反応を経験するかもしれません。そうなると、嫌々ながらテスト勉強に取り組むことになります。
しかし、「テストが一週間後にある」という同じ出来事に対して、「テストは知識を得るチャンスだ!」と考えてみたらどうでしょうか(これは、第二章で紹介した「勉強って大事だと思う作戦」になります)。
何だか、やる気がわいてきませんか?

続いて、「大きな失敗をした」という時には、みなさんはどのように考えるでしょうか。
「恥ずかしい……。もう何もかも終わりだ」と考えてしまったら、本当に終わってしまうかもしれません。
一方で「失敗は成功の第一歩だ。失敗から学ぶこともたくさんある。 それに一度失敗したからといって、すべてが終わるわけではない」と考えてみたら、どうでしょうか?

■無気力になりにくい説明スタイルを身につけるべき
私たちの周りの景色は、考え方次第で違って見えてきます。
同じ一時間であっても、「もう一時間しかない」と考えるよりも「まだ一時間もある」と考えるほうが、その一時間の使い道は変わってくるでしょう。
ただし、人によっては、「もう一時間しかない」と考えたほうが、やる気が出るかもしれません。
たとえば、第五章で紹介した防衛的悲観主義者のように。 あなたが抱えるやる気の問題も、出来事や事象をどう捉えているのか、といった考え方に起因しているのかもしれません。
無気力になりにくい説明スタイルを身につければ、人生によくある挫折に対してもっと肯定的に対処できるようになりますし、大きな失敗からも以前よりはずっと早く立ち直れるようになります。

勉強でもスポーツでも仕事(バイト)でも、もっと良い成績を上げられるようになり、長い目で見れば健康状態も良くなるのです。
やる気がわいてくるのも、無気力状態におちいってしまうのも、それはあなたの考え方次第なのかもしれません。
----------
外山 美樹(とやま・みき)
筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授
1973年生まれ。筑波大学大学院博士課程心理学研究科中退。博士(心理学)。
専門は、教育心理学。
著書に『行動を起こし、持続する力―モチベーションの心理学』(新曜社)、『実力発揮メソッド―パフォーマンスの心理学』(講談社選書メチエ)、共著に『やさしい発達と学習』(有斐閣アルマ)、『ワードマップ ポジティブマインド』(新曜社)などがある。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月20日

「第2の酒鬼薔薇聖斗」はなぜ野放しにされたのか?少年院を満期出所も繰り返された悲劇

「第2の酒鬼薔薇聖斗」はなぜ野放しにされたのか?少年院を満期出所も繰り返された悲劇
2021年05月19日 SPA!

なぜ、モンスターは野に放たれたのか……?  
’19年、茨城県内で起きた一家4人殺傷事件で茨城県警は岡庭由征容疑者(26)を逮捕した。

◆矯正不可能な「元少年」を社会はどう包摂すべきか?
 岡庭は中学生の頃から、セミやカエルを切り刻んで遊び、高校では切断した猫の生首を教室に持ち込むなど、少年時代から「サイコキラー」の片鱗を見せていたという。
 異常行動は年を重ねるごとにエスカレートし、岡庭が16歳だった10年前には、隠し持っていた刃物で中学3年生の女子生徒と小学2年生の女児を襲撃。
 この「連続通り魔事件」の公判で岡庭は、凶行に用いた包丁に付着していた被害女性の血を舐め、自慰行為に及んだことを告白しているが、少年法の壁で刑事罰を受けることはなかった……。

「『第2の酒鬼薔薇』のようだ」
 今回の事件はまだ容疑段階であり、全容解明が待たれるが、岡庭の常軌を逸した残虐性に、’97に年神戸連続児童殺傷事件を起こし、社会を震撼させた酒鬼薔薇聖斗こと少年Aとの類似点を指摘する声も多い。

◆酒鬼薔薇聖斗こと少年Aとの共通点
 精神科医の片田珠美氏は岡庭と少年Aとの共通点をこう分析する。
「2人とも性的サディズムです。 他人を傷つけたり殺したりすることに性的快感を覚えており、性衝動と攻撃性が密接に結びついています。
また、猫を殺すなど小動物を虐待することから始まって、徐々に攻撃をエスカレートさせ、ついには殺人に至った点も共通しています。
 さらに、岡庭容疑者も少年Aも動物虐待や殺人そのものに性的興奮を覚えており、快楽殺人犯です。
ふつうの人が性行為で得る快楽を、殺人で得ていると考えられます」

 連続通り魔事件後、岡庭は家裁から検察に逆送される。
再犯の恐れもあり、刑事裁判にかけられたが、精神鑑定で「広汎性発達障害」と診断がおり、医療少年院に送られることとなった。

◆当時の司法判断は正しかったのか?
 果たして、当時の司法判断は正しかったのか?
「岡庭容疑者はゲミュートローゼ(情性欠如者)である可能性が高いと思います。
これは精神病質人格の一種で、思いやりや良心を持たず、反省も後悔もしない。
だから、人を殺しても罪悪感を覚えない。
10年前の通り魔事件の裁判ではニヤニヤして反省の色が見えないと報じられましたが、ある意味、当然です。
医療少年院で治療を受けてはいますが、更生は極めて難しい。
 彼は’18年に医療少年院を満期出所し、’19年に茨城一家殺傷事件を起こしているので、医療少年院で治療にあたった精神科医を批判する向きもあるようです。
しかし、満期出所なので、少なくとも早めに野に放ったわけではない。
しかも担当した精神科医が治療困難と感じていても、現行法では規定以上に長く少年院に留め置くことはできません」

◆「また起こすだろう」繰り返される悲劇
 神戸連続児童殺傷事件、光市母子殺害事件をはじめ、少年による数々の凶悪事件を取材し、ルポルタージュを刊行してきたジャーナリストの門田隆将氏は「またも起きてしまった」と悔しさをにじませる。
「快楽殺人者たちは他人の痛みに対して、共感性を持たず、生きものに憐憫の情を抱くということがないモンスターです。
岡庭もそう。周りの誰もが『また事件を起こすだろう』と思っているのに少年法によって止められない。
どうして裁判では医療少年院の期間を5年程度と決めたのか、裁判官は遺族にきちんと説明するべきです」

 来春、民法改正によって成人の年齢が20歳から18歳に引き下げられる。
それに伴い、少年法改正の議論も今国会で大詰めを迎えているが、改正案では18〜19歳を「特定少年」に位置付け、少年法の保護対象のまま。
ただ一部の犯罪については、これまでは原則匿名だった実名報道が起訴後は解禁される。
「そもそも山口二矢(’60年に日本社会党浅沼稲次郎委員長を殺害)や永山則夫(’68年に4人を連続射殺)の名前や顔を知っている人はいるのではないでしょうか?
 それは新聞やテレビが報じたからです。 彼らは犯行時に17歳と19歳で未成年でした。
 実名や写真を禁止する少年法61条ばかりが取り上げられますが、少年法1条には、少年法の目的は『非行のある少年に対して』特別の措置を講じること、とある。つまりカッとなり、殴り合って殺してしまったなどの殺人ならまだ非行の延長ですが、最初から殺意を抱いて人を殺すことは非行とはまったく違います。
少年法の適用範囲をその段階で超えているわけです。だから凶悪事件の少年は実名で報じられていたのです」

◆「犯人には“犯罪者にならない権利”もある」
 被害者遺族だけでなく、多くの加害者への取材も重ねてきた門田氏は、「犯人には“犯罪者にならない権利”もある」と訴える。
「取り調べでの供述や裁判の証言で、サイコキラーたちは自らの性癖や欲望を赤裸々に語っています。
岡庭も通り魔事件で逮捕されたとき、捜査員に『人を殺したかった』と語っています。
それは将来『俺を殺人者にしないでくれ』という心の叫びでもある。
彼らには、“犯罪者にならない権利”もあるのです。
 たとえば、再犯率の高い性犯罪者には、米国の半分以上の州で出所後もGPSをつけさせています。
イギリスやフランス、ドイツ、韓国もそうです。
日本では日弁連や一部のリベラルを称するマスコミが、そのような社会全体で犯罪を防ごうという声を人権無視だと潰してきた。 その陰で悲劇が繰り返されているのです」
 次の「酒鬼薔薇聖斗」の出現は防げるのか。

◆岡庭は新たな事件を計画していた?
 ’20年、埼玉県警は殺人予備容疑で岡庭の自宅を家宅捜索した。
自室からはサバイバルナイフや鉈など計78本の刃物のほか、有毒な硫化水素を発生させる原料となる約45kgもの硫黄や猛毒のリシンを含有するトウゴマ、さらには熊撃退用の催涙スプレーも押収されている。
岡庭は次の標的を探していたのか。

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!5月18日発売号より
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月23日

「ワクチン打ったらマスク不要」の大きな勘違い

「ワクチン打ったらマスク不要」の大きな勘違い
身を守るために知っておきたい「2つの新常識」
2021/05/22 東洋経済オンライン
久住 英二 : ナビタスクリニック内科医師

 一瞬耳を疑った。知り合いの知り合いの話だが、医療従事者の結婚式に出席したところ、列席者のうち医療従事者とみられる人は披露宴会場で終始マスクをしていなかったという。
おそらく「新型コロナワクチンを接種済みだから、マスクは不要」という考えだったのだろう。
この判断は正しいだろうか?
 いや、そのはずがない。

日本の現状からすれば、接種済みであっても室内でマスクを外し、大勢で歓談しながら会食を楽しむことは、適切ではない。

米英での着用義務解除も、個人に対してではない
接種の進んだ米英ではたしかに、マスクの着用義務を解除する動きが広がっている。
アメリカCDC(疾病対策センター)は4月27日、新型コロナワクチンの規定回数の接種が済んだ人は、屋外でのマスク着用を不要とする旨を発表していた。
5月13日にはその対象を拡大し、屋内であってもマスクを着用しなくてもよいとした。

例外として、公共交通機関や食料品店、病院などの一部施設のほか、自治体規則やビジネス上の規定がある場合は、引き続き着用することとされている。
英国でも予定どおり5月17日から、中学以上の学年に相当する全学校で、生徒たちのマスクの着用義務が解除された。

勘違いしてはいけないのは、米英でマスク着用義務の解除が始まったのは、あくまで社会全体として接種が進んだからだ。
その状態に至るまで、「接種した人はマスクを着用せずに室内で誰とでも和気あいあいと会食してよい」としていたわけではない。
例えば5月17日にはアメリカ・ニューヨーク州もCDCの方針に倣い、マスク着用のみならず施設の人数制限の多くを解除することを発表。
その前提として、ワクチン接種の広がりと、その効果とみられる感染者の減少がある。

クオモ州知事のTwitterによれば、同州では17日までに成人の52%が接種を完了し、検査陽性率は1.26%まで低下。
16日の死者数も15人にまで減少している。
CNNによれば、カリフォルニア州やミシガン州でもマスク着用義務を解除する動きがある一方、ニュージャージー州は解除に対し慎重な姿勢を見せている。
社会全体の状況次第、ということだ。

英国の学校現場でのマスク着用解除についても、ウィリアムソン教育相が5月6日付のデイリー・テレグラフ紙に、「感染率が低下し続け、ワクチン接種プログラムが成功を収めているため」と述べている。
他方、米英に比べて接種が遅れている欧州各国から、「接種の済んだ個人はマスク着用義務を解く」といった話は、当然ながらまったく聞こえてこない。

高齢者完了でも感染減少は「1割」
 政府は目下「7月完了」を掲げ、高齢者への接種を強力に推し進めている。
だが、東京都の直近のデータでは、65歳以上の新規陽性者に占める割合はわずか11%だ。
つまり高齢者の接種が完了しても、新たな感染者を1割減らせるにすぎない。

そもそもワクチンの接種を受けた人でも、新型コロナの感染リスクがゼロになるわけではない。
CDCによれば、ファイザーとモデルナのワクチンの“感染”予防効果は、2回接種完了後に2週間経過した時点で90%に上る(“発症”予防効果はそれぞれ95%、94%)。
また初回接種後2週間でも、80%の“感染”予防効果が得られるという。
非常に期待の持てる数字である。
だが、ゼロではないのだ。

 実際、国立感染症研究所は5月13日、ファイザーのワクチンを接種した110万人超の医療従事者(4月30日時点で2回接種完了者は約104.3万人[94.7%])について、その後の感染状況を報告している。
接種後に感染が報告されたのは281人[0.03%]で、このうち2回接種完了者は47人[16.7%]だった。
報告によれば、男女比では女性が約7割、年齢構成では20〜40代が約7割を占めている。

気になるのは、報告時に無症状だった人の割合だ。
1回目の接種後に診断された感染例のうち無症状例は20.0%だった。
一方、2回接種完了後の感染では、報告時に無症状例だった割合は40.7%に達したという。

「自分はもう打ったから……」と油断していて万が一にも感染した場合、無症状・無自覚のままウイルスをばら撒いてしまいかねない、ということだ。
社会全体での接種率の低い日本では、家庭内を含めた外部のコミュニティに飛び火しないほうが難しい。
接種が完了した人であっても当分の間は、ソーシャルディスタンス、マスク、手洗いの徹底と、場所や状況によっては行動自粛を継続するしかないだろう。
こうした認識が共有できていないとすれば、同じ医療従事者として言葉を失う。

空気感染とほぼ同義の「エアロゾル感染」
 新型コロナが発生し世界に広がり始めた当初、この未知のウイルスから身を守る術は手探りかつ不十分だった。
患者等のデータの蓄積がなかったため、初期症状の似ているインフルエンザに関する知見を準用するしかなかった。
その後の研究によって認識が大きく変わったのが、エアロゾル感染と、マスクの効果だろう。

インフルエンザの場合は、基本的には接触感染のほかは「飛沫感染」に注意すればよいとされてきた。
感染した人のくしゃみや咳で出るしぶきを浴び、粘膜にウイルスが付着することで起きる感染だ。
ただし飛沫は直径が比較的大きく、すぐ地面に落ちるため、感染者の顔から1〜2mの距離にいなければ飛沫感染のリスクはそれほど高くない。

これに対し新型コロナでは、「エアロゾル感染」の実態が明らかになってきた。
エアロゾルとは、飛沫より小さく、例えば雲の粒や、日本に飛来する黄砂あるいはPM2.5レベルの大きさの粒子だ。
小さく軽いため、空気中を飛沫より長時間漂い、より遠くまで達することもある。

新型コロナウイルスでは、空気中に漂うエアロゾルの状態で、3時間ほど感染力を保っていることが報告されている(4月16日New England Journal of Medicine)。
そして、飛沫と異なり、2メートル以上離れていても、エアロゾルは飛んでくるのだ。
新型コロナでは、「感染者の気道から呼気と共に吐き出される水蒸気にウイルスが含まれ、空気中を漂った末にエアロゾル感染を引き起こす」というのが、新たな科学的知見だ。
用語の明確な定義がないため混乱もあるが、世界的には「エアロゾル感染」と「空気感染」という言葉をほぼ同義と捉えるようになっている。
WHOも先月末、ウェブサイト上にこれを明記した。

だが、科学者たちが空気感染のエビデンスが「合理的な疑いを超えて」示されていると広く警告を発したのは、昨年7月のことだ。
32カ国・239人のさまざまな専門分野の科学者(ウイルス学、疫学、エアロゾル物理学を含む)が、WHOに「空気感染の潜在リスクを認識すべき」との公開書簡を送った。
当時、WHOは「近距離でのエアロゾル感染が起きる可能性を排除できない」としていたが、ここへ来てようやく「ウイルスを含んだエアロゾル」による感染を正面から認めた形だ。

5月7日にはCDCも、「エアロゾル粒子の吸入」を新型コロナの感染経路として明記している。

マスクの効果はウイルスごとに違う
マスク着用が日常となった現在、その効果にあえて疑問を持つ人は少ないだろう。
一方で、「白い眼で見られるから」「なんとなくマナーとして」といった以上の考えもなく、体面あるいは習慣で身に着けている人も多そうだ。
たしかに新型コロナ以前は、インフルエンザ予防においてマスクは「人に感染させないためには有効だが、感染から身を守る効果についてはエビデンスがない」との知見止まりだった。
しかし、新型コロナをきっかけに、マスクの感染予防効果が世界中で注目され、ホットな科学研究対象となった。

昨年4月に「Nature」に発表されたアメリカ・メリーランド大学の論文では、サージカルマスク(外科用不織布マスク)は、症状のある感染者からの新型コロナとインフルエンザの感染を予防できる効果が示されている。
呼吸器症状のある3000人以上を検査し、コロナ、インフルエンザ、ライノのいずれかのウイルスが検出された246人を対象に、実験が行われた。
結果、マスクはエアロゾル中のコロナウイルスと飛沫中のインフルエンザウイルスの検出を大幅に減少させた。
また、コロナについては飛沫中のウイルスも減少傾向が見られた。

興味深いのは、新型コロナについては飛沫よりもエアロゾル感染の予防効果が高かったこと、またインフルエンザでは飛沫感染の予防効果は明白だったが、エアロゾル感染については有意差が得られなかったことだ(これまでの知見と整合する)。
さらに、一般的な風邪の原因の1つであるライノウイルスについては、飛沫でもエアロゾルでも有意差がなかったという。

このように未知のウイルス感染症である新型コロナについては、知見が日進月歩でめまぐるしく更新されていく。昨日の“常識”が今日も“常識”とは限らない。
最前線で医療に従事する者として肝に銘じ、これからも勉強を重ねつつ目の前の患者さんと向き合っていくつもりだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月25日

「日本の水が外国から狙われている」のは本当か

「日本の水が外国から狙われている」のは本当か
土地の所有者が、その地下水も所有できる実態
2021/05/24 東洋経済
橋本 淳司 : 水ジャーナリスト

日本の水資源が外国から狙われている――。
こんな話を聞いたことがある人は少なくないだろう。
実際、世界中で水不足が発生する中、世界各地で水争奪戦は激化している。

「自分が住んでいる地域は関係ない」と思うことなかれ。
例えば、あなたが所有する土地の近くに誰かが土地を取得し、その誰かが外国資本だった場合、あなたが使う水にどんな影響があるだろうか。

北海道の森林を買う外国勢
「都市伝説でしょ?」と言われていた、外国資本の土地買収が明らかになったのは、いまから10年以上も前のことだ。
2010年、北海道が外国資本による森林の売買状況の調査を行った。
すると、道内の私有林7か所、計406ヘクタールがすでに外国資本に買われていた。
1ヘクタールは100メートル×100メートルだから野球グラウンドくらいの大きさ。それが406個分買われていたのだ。
場所は、倶知安町とニセコ町が各2件、砂川市、蘭越町、日高町が各1件。
購入者の内訳は、企業が4件(中国企業3件、英国企業1件)、個人が3件(オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールの3カ国)だった。

利用目的は、資産保有、牧草地用で、水目的とはされていなかったのだが、この時、北海道議会が政府に提出した意見書には、こう書かれていた。
「我が国における現行の土地制度は、近年急速に進行している世界規模での国土や水資源の争奪に対して無力であると言わざるをえない」。

なぜ北海道議会は「土地を買われた」ことを「水資源の争奪」と解釈したのか。
実は、森林を取得した場合、保安林等の法的規制がかかっていなければ、所有者は比較的自由に開発できる。
木を伐採してもよいし、温泉を掘っても、地下水を汲み上げてもいいと考えられる。
日本の土地取引は所有者と購入希望者の合意で成立し、取得後の所有権は非常に強い。
そして、民法第207条には、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と規定されている。

法的には、土地の所有者に、その地下にある水の利用権があると解釈されている。
北海道議会の動きは、国や地方自治体に大きなインパクトを与えた。
各地の市町村議会では「うちは大丈夫か?」といった行政への質問が相次いだ。
議員は、「水源林が予想外の地権者に渡り、乱開発や過度の取水で住民の生活が脅かされるようになっては手遅れ。いますぐ手を打つ必要がある」と口を揃えた。

これに対して行政側は「現時点で外国資本による大規模な森林買収の動きは確認していない」とし、「事態に適切に対応するため組織を設置する」などと回答した。

外国人による土地取得の規制がない日本
日本には現状、安全保障上の懸念がある地域でも外国資本による土地取得の規制はなく、外国人であっても自由に所有可能だ。
外国人が土地を所有できる国はアジアでは珍しい。
共産圏である中国、ベトナムなどは外国人の土地所有を認めていないし、韓国、インド、シンガポールなどでは土地の所有は可能だが、いずれも条件つきとなる。

農水省が2010年から公表し始めた外資による山林買収状況によると(累計値)、2010年は43件、831ヘクタールだったのが、2020年には465件、7560ヘクタールと10年間で面積は9倍に拡大。
農地は2018年から公表され、2020年は3件、47ヘクタールだ。
一見少ないが、日本人や日本法人をダミー的に登記名義人にしたケースや未届出のケースはカウントされていない。
また、太陽光発電、風力発電の用地(推定20万ヘクタール)の中にも外資分が相当あるが、こちらも詳細は不明だ。

政府のこれまでの調査では、中国系資本が太陽光発電などのエネルギー事業者として買収にかかわったとみられる土地は、全国で約1700カ所に上る。
リゾート開発なども含めた中国系資本が自衛隊施設などの周辺で土地買収にかかわったとみられる事例も約80カ所確認されている。
こうした中で、重要なのは「水は誰のものか」という問題だ。

日本では、水は長らく「私のもの」と解釈されてきた。
1896年の大審院の判決では、「地下水の使用権は土地所有者に付従するものであるから、土地所有者は自由に使用し得る」とされた。
1938年の大審院判決はさらに強く、「土地所有者はその所有権の効力として、その所有地を掘削して地下水を湧出させて使用することができ、たとえそのために水脈を同じくするほかの土地の湧水に影響を及ぼしても、その土地の所有者は、前者は地下水の使用を妨げることはできない」とされた。

法律が実態に即していない現状
だが、これは手掘り井戸で小規模な取水しかできなかった時代の話であり、揚水技術の発達した現代は明らかに状況が違う。 また、土地は動かないが、水は動いている。
地下水は地面の下にじっと止まっているものではなく、所有外の土地から流れて、所有する土地を通過し、所有外の土地へと流れていく。
だから土地所有者のものであるという考え方は、そもそも実態と異なっているのだ。

例えば、飲料水メーカーの取水口があるとしよう。
このメーカーは自分の土地の下にある自分の水を汲み上げているわけではなく、自分の土地の下を流れる地域の共有財産を汲み上げていることになる。
こうした中、日本でも戦後になると、「私水論」を前提としながらも、公の立場から地下水の汲み上げや汚染を制限する考え方が登場した。
1960年代には、地盤沈下問題を受け、「工業用水法」や「ビル用水法(建築物地下水の採取の規制に関する法律)」が、1970年代には「水質汚濁防止法」が制定された。
ただし、これらは地盤沈下や水質汚染などを防止するもので、直接的に地下水を管理する法律ではない。

1970年代半ばには「地下水法案」も公水論をベースに提案されたが、地下水を利用する企業の反対、地下水を管理したい省庁間の綱引きなどから成立しなかった。
2014年に成立した水循環基本法では「水は国民共有の財産」と定められている。
ただ、あくまで理念法であり、具体的に地下水の保全や活用について触れたものではない。

対策として独自に条例を設けている自治体もある。
条例は2タイプに分けられる。
1つは土地取引のルール、もう1つは地下水の保全や活用に関するルールだ。

土地取引のルールの代表は、北海道の「水資源の保全に関する条例」だろう。
内容は、@水資源保全地域を指定、A指定された区域内の土地の権利を移転する場合には、土地所有者は契約の3カ月前までに届出を行わなくてはならない、というものだ。
地下水の保全や活用に関するルールの代表は、熊本県の「地下水保全条例」だろう。
地下水を大口取水する事業者は知事の許可が必要としている。
この条例は地下水を「私の水」ではなく「公共の水」であるとしていることが特徴で、地下水は水循環の一部であり、県民の生活、地域経済の共通の基盤である公共水であると明記されている。

条例制定も容易ではない
だが、条例制定に二の足を踏む自治体も多い。
問題は3つある。

1つ目は、条例が適切かどうか。
自治体としては、不適切な条例を作って、行政訴訟などのトラブルが起きるのは避けたい。
2つ目は、自治体内が必ずしも一枚岩ではないこと。
地下水保全を考えるグループがある一方で、地下水を資源として販売するなど積極的に活用したいグループがある。
3つ目は、自治体間の調整。
地下水の流れは自治体の垣根を超えるケースがあり、近隣自治体と考え方が違う場合にどう調整をつけるかなどに頭を悩ませている。
なかでも1つ目の「条例が適正かどうか」は大きな問題だ。

「国に地下水に関する法律がないのに独自の規制をつくるのは不安」「行きすぎた規制をつくって行政訴訟になるのが怖い」というのが悩みだ。
土地取引ルールについて捕捉すると、前述の通り、日本には現在、土地取得に関して外資規制がなく、これを問題視する向きから「重要土地等調査法案」の審議が始まっている。
自衛隊基地や国境離島など安全保障上重要な土地の利用を規制するというものだ。
法案は、防衛関係施設や原子力発電所、空港など重要インフラの周囲約1キロと国境離島を「注視区域」に指定。
また、自衛隊の司令部や無人の国境離島など、特に重要な場所は「特別注視区域」と位置づけ、一定面積以上の土地取引について、当事者に氏名、国籍、利用目的の事前届け出を義務付ける。

現在、淡水は世界的に不足し、外国資本による地下水独占が住民の生活を脅かすケースが各地でおきている。
今後は一層の水不足が懸念されており、同じ事態が日本で起こらない保証はまったくない。
だから「外国資本が水を狙っている」という主張は理解できる。

地下水に関する一定のルールが必要
しかし、注意しなくてはならないのは、地下水を汲み上げ過ぎ、周辺に迷惑をかけるのは外国資本だけではない、ということだ。
あらゆる利用者に、その可能性がある。
また、地下水があるのは森林などの水源地だけではない。
地下水が大量にあるのはむしろ盆地や平野部だ。
平野部では土地取引は活発に行われており、規制をかけるのも難しい。
外国資本に限らず、土地取得者による地下水濫用を避けるには、地下水に関する一定のルールが必要だろう。

さまざまな議論があるなかで、今年3月、有識者で構成される水循環基本法フォローアップ委員会は「水循環基本法への地下水関連規定の追加に関する報告書」を、水制度改革議員連盟石原伸晃代表へ提出している。
報告書では、地下水採取の制限を条例で定めることができる規定を条文に追加することについて提案している。
地下水の状況は地域ごとに異なるため、国が平均的なルールを作るより、自治体が主導して地元の状況にあったルール作りをすることが望ましい。
そして、国はそれを後ろから支えるべきである。

たとえば、「地下水の見える化」だ。
表流水と地表水の最大の違いは、目に見えるか、見えないか。
地表水は人の目に触れるから実態把握が容易であり、課題がわかりやすい。
一方で、地下水は実態把握が難しい。
現状把握の調査について、国は支援すべきであろう。
さらに言えば、ゴールはルールをつくることではない。
ルールができたあとの運用が大事だ。
地域の地下水利用者が、それぞれ状況に応じて、保全しながら活用することだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月28日

サラリーマン川柳「会社へは 来るなと上司 行けと妻」

サラリーマン川柳「会社へは 来るなと上司 行けと妻」
2021年5月27日 朝日新聞(津阪直樹)

 第一生命保険は27日、第34回サラリーマン川柳コンクールの上位10句を発表した。
1位は「会社へは 来るなと上司 行けと妻」で、2位以下も「リモートで 便利な言葉 “聞こえません!”」「お若いと 言われマスクを 外せない」などが続いた。
新型コロナウイルスにまつわる作品が上位に多く入った。
 全国から6万2542句の応募があった。第一生命が優秀作として100句を選び、一般投票を実施。10万1149票が投じられ、順位を決めた。(津阪直樹)

上位10句に選ばれた作品

1位 会社へは 来るなと上司 行けと妻
2位 十万円 見る事もなく 妻のもの
3位 リモートで 便利な言葉 “聞こえません!”
4位 嫁の呼吸 五感で感じろ! 全集中!!!
5位 じいちゃんに J.Y.Parkの 場所聞かれ
6位 我が部署は 次世代おらず 5爺(ファイブジイ)
7位 お父さん マスクも会話も よくずれる
8位 YOASOBIが 大好きと言い 父あせる
9位 お若いと 言われマスクを 外せない
10位 抱き上げた 孫が一言 密ですよ
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月31日

ワクチン接種の大混乱に浮かぶ日本の致命的弱点

ワクチン接種の大混乱に浮かぶ日本の致命的弱点
2021年05月29日 東洋経済オンライン
岩崎 博充 : 経済ジャーナリスト

日本のワクチン接種が他国に比べて遅れている。
先進国どころか、世界全体で見ても大きく遅れていると指摘されている。
メディアは連日、ワクチン接種率が世界的に見てどん底に近いと報道し続けている。
実際にNHKの報道によると、世界のワクチン接種回数は累計で、中国の約4億5000万回(5月21日現在)を筆頭に、アメリカが2億7000万回、インドが1億8000万回なのに対して、日本は750万回と2桁も違うのが現実になっている。
こうしたワクチン接種の遅れを、メディアはさまざまな角度からさまざま方法で分析しているが、その大半が「国内ワクチン開発の遅れ」や「ワクチン接種の準備不足」「ワクチン接種の現場での混乱」「東京五輪を優先した弊害……」といったアプローチでの分析となっている。

とりわけ、メディアの格好の取材対象となっているのが、各自治体でのワクチン接種の混乱ぶりだ。
余ったワクチンを捨ててしまう、行政のトップが医療関係者と称して先に接種するといった話題が、日々機関銃のように報道されている。

しかし、日本のワクチン接種の遅れは、もっと奥深いところ、根源的な部分にあるのではないだろうか……。
一部メディアでは「日本人の完璧主義による弊害」や「法律の不備」といった曖昧な部分での指摘も相次ぐ。
毎日毎日、同じニュースを流し続けるテレビや新聞に対する弊害を指摘する人もいる。

なぜ、「日本のワクチン接種は遅れたのか……」。
今回のパンデミックによって、日本政府はむろんのこと、日本国民全体でも「リスク管理」がきちんとできていなかったことは間違いない。
とはいえ、日本人全体が能天気に平和ボケしてきたわけでもない。
現場は、いまでも24時間体制でコロナと戦い続けている。
なぜ、こんな状況になったのを正しく分析することで、次の「有事」の糧としなければならないだろう。

日本のワクチン接種が遅れた4つの要素
すでにさまざまなメディアで報道されているように、日本の新型コロナウイルスのワクチン接種が遅れた理由は、数多くが指摘されている。
ざっとその内容を整理してみると、その本質が見えてくるはずだ。

@ワクチンが調達できなかった
Aワクチン接種の準備が遅れた
Bワクチン接種で混乱が起きた
Cワクチン接種のロードマップが見えない

簡単に整理すると、こんなところだろうか。
順番に見ていこう。
ワクチンが調達できなかった点について、大きく分けて日本には2つの問題がある。
ひとつは、国内の製薬会社がいまだにワクチン開発に手こずっていること。
これは、「日本のワクチン開発が企業任せで政府の後押しがなかったため」という一言で説明できる、という報道が多い。
ワクチンは「安全保障の切り札」にもかかわらず、政治家や行政に安全保障の認識が欠けていた、という視点だ。

日経新聞によると、アメリカはトランプ政権が「ワープ・スピード作戦」と称して、バイオ医薬品開発の「ノババックス」に16億ドル(約1720億円)の助成金を出している。
モデルナも、アメリカ生物医学先端研究開発機構(BARDA)から最大で4億8300憶ドル(約520億円)の助成金を受け取ることで合意したとウォール・ストリート・ジャーナルが報道している。
アメリカ政府が、ワクチン開発に補助金を出した金額はBARDAを通したものだけでも192億8300万ドル(2兆0825億円、2021年3月2日時点)に上ると、アメリカ議会予算局が公表した資料で報告されている。

イギリスも、2020年5月にオックスフォード大学に対してワクチン開発のために6億5500万ポンド(約1000億円)を支援すると発表している。
ちなみに、ファイザーはトランプ政権から資金を受け取らなかったことはあまり知られていない。
科学者を政治的な圧力から守るためにアメリカ政府の補助金を受け取らずに、研究開発費は全額自前で賄ったとニューズウィークが伝えている。

日本政府も補助金は出しているが…
一方、日本の厚生労働省はどうか。
定期的に「新型コロナワクチンの開発状況について」というレポートを発表しているが、この3月22日の更新情報によると日本の国内ワクチン開発は、塩野義製薬、第一三共、アンジェス、kmバイオロジクスなどの各グループが開発を急いでいるが、いまだに実用化のめどは立っていないそうだ。
日本最大の製薬会社である武田薬品はノババックスと委託業務契約を結び、今年の下半期から年間2億5000万回分以上のワクチン供給を実施する予定と報道されている。
塩野義製薬のグループには、生産体制等緊急整備事業から223億円が援助され、第一三共グループにも同じく60億3000万円の補助が行われている。
アンジェスのグループは同93億8000万円、KMバイオロジクスは同60億9000万円が補助されている。
日本政府も補助金は出してはいるものの、桁が1つ違う印象を受ける。

NHKでは、こうした政府の対応を「平時対応」という言葉で、東大医科学研究所教授の言葉として取り上げている。
もっとも、本来製薬開発で日本は世界的に見ても、スイスと並んで優れた技術を持っているといわれる。
にもかかわらず、スイスと日本はコロナのワクチン開発には揃って手こずった。
今回のコロナのワクチン接種では、最速で開発したファイザーも、2番目となったモデルナも遺伝子分析による開発技術を使った「mRNA」ワクチンで成功した。
日本の第一三共やアンジェスも、mRNAによる開発を試みているが、もともと日本は官民を挙げてワクチン開発には消極的だったと指摘・分析する見方も多い。

日本独自の薬事検査で2カ月の出遅れ?
日本には、1970年代に天然痘による副作用をめぐる集団訴訟があり、天然痘は絶滅に至るものの、政府自身が予防接種に消極的になったという経緯がある。
1990年代には、麻疹、おたふくかぜ、風疹の3種混合ワクチンが、小児無菌性髄膜炎の原因と指摘されて任意接種に切り替えた。
さらに、子宮頚がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンも、海外ではその有効性が高く評価されているのに、現在の日本では集団訴訟に発展したために、積極的な摂取推奨を取り下げている。

ようするに、厚生労働省や政府は、訴訟のリスクを重視して、全体の利益=予防接種の方針を曲げてしまう。
今回のコロナワクチンでも、なぜか日本は独自の薬事審査にこだわった。
たとえば、ファイザーのワクチンに関しては、アメリカでは昨年12月10日にFDA(食品医薬品局)は、緊急使用の許可を出している。
イギリスでも2020年10月に承認申請が行われ、12月2日には承認が下りている。
2カ月弱で承認申請にこぎつけたということだ。

日本はどうかというと、2020年12月18日に承認申請が行われたものの、ファイザー製ワクチンが正式に承認されたのは2021年2月14日となった。
なぜイギリスで12月に承認が下りている同じ薬が、日本では2月になってしまったのかということだ。
これについては、欧米とは違う基準での審査を日本でも行わなければならず、独自の審査が行われたとの報道がなされている。
通常、ワクチン開発の臨床実験では第1相から第3相までの段階に分かれて、それぞれ100人未満、数百人単位、数千人単位と段階を踏んでいくのだが、今回の審査では日本独自の審査として160人に対して臨床実験を行い安全性や有効性に関するデータを揃えたといわれる。

筆者は医療の専門家ではないことをまず断る。
そのうえで、160人という数字が「とりあえず審査はやった」というアリバイ作りにしか思えないのは筆者だけだろうか。
政府主導で、早期に積極的なワクチン接種を実施していれば、また違った展開になったはずだ。
もともとワクチンの有効性についての審査は、副反応の分も含めて数万人単位で実施してみてはじめてその実態がわかるものだ。
後でなんらかの副反応がある可能性は高く、アストラゼネカのように100万人当たり4人に血栓ができるといった指摘も出てくる。
よく自国でワクチン開発ができなかったために、日本は遅れたという指摘を耳にするが、イタリアやフランス、スペインでも自国でワクチン開発はできていない
にもかかわらず、日本のワクチン接種率を大きく上回っている。
それが、この2021年1〜3月期のGDP成長率にも現れている。
ワクチン接種が進んでいるアメリカや欧州は、大きくプラスに転じているにもかかわらず、日本はいまだに前年同期比で−5.1%とリーマンショックを下回る経済成長率しかない。

ワクチン接種の準備が遅かった
イギリスのオックスフォード大学などのグループが集計しているデータによると、5月10日時点で人口に占める1回目の接種を終えた人の割合は、イスラエル63%(NHKホームページより、以下同)、イギリス52%、アメリカ46%。日本はわずか2.91%で、世界で131番目となっている。
発展途上国にも大きく遅れをとっているのが現状だ。

なぜ、これほどワクチン接種の開始が遅れたのか……。
たとえば、イギリスは、昨年の夏にはワクチン接種の準備に取り掛かっていたと報道されている。
菅政権の支持率がこうした報道で大きく下げたのはやむをえないにしても、8年も続いた安倍政権が、ほとんど何の準備もしなかったことが大きかったのではないか。
他の国が、ワクチン接種に取り掛かっているときに、日本では呑気に「Go To トラベルキャンペーン」の準備にかかりきりだったとも言える。

海外で承認されたワクチンだからといってすぐに国内で認可されるものではない――という発想は、いってみれば「平時の発想」だ。
しかし現在はコロナという「バンデミック=戦時下」にある。
日本政府にはこうした「有事」の発想がなかったのかもしれない。
「最悪の事態を想定して行動する」という有事の発想があれば、また違った展開があったはずだ。
ワクチン接種の準備が遅れたのはセキュリティーに対する意識が低かったといわれても仕方がないが、その後のワクチン接種のスタートでもさまざまな問題があった。

予想された「混乱」や「トラブル」は、メディアも加担して大混乱となった。
自衛隊による大規模集団接種が始まった5月24日の新聞報道を見てみると、朝日新聞は「ワクチン予約サイト、プロが示す『最悪シナリオ』対処法」の中でワクチンの予約サイトがITのセキュリティーが弱く混乱に拍車をかけている。
さらにサイバー攻撃の標的にされるのではないかと懸念も示している。
日本経済新聞も「都市部で接種予約停滞 計画前倒し、対応難しく」(2021年5月24日)の中で、政府は高齢者向けのワクチンを7月4日までに配送完了する計画を立てたといわれているが、大都市圏では滞りが目立っており、まだ接種券も届いていないというところが多い。
なかには9月までかかると答えた自治体もあるといわれている
自治体が主催する大規模接種会場の進捗状況次第ではこれからも混乱が予想されるかもしれない。

なぜこれほどまでに、ワクチン接種が遅れ、しかも混乱しているのかと言えば、一言でいえば政府がすべてを「自治体任せ」にしたことに尽きるのではないか。
厚生労働省全体の問題なのか、それともワクチン接種チームのせいなのか、はっきりはしないが、自治体任せにして一元的に管理するシステムが構築されていなかったことが大きい。
総務省が莫大な税金を使って進めてきた「マイナンバーカード」はなぜ使えなかったのか。
厚生労働省と総務省という「タテ割り行政」の弊害に見えるが、いまだに日本政府はこんなに無駄なことを既得権を守るためにやっているのかと思うと、かなり情けない気持ちになる。

そもそも、自治体任せにするということで、国家公務員や政治家は、自分たちの責任を回避したように思えてならない。
せめて混乱を避けて平等性を保つためには、国が強いリーダーシップを発揮して、ワクチン接種の「全国統一のプロセス」を示すことが必要だったと言える。
新潟県の上越市が実施して高い評価を得た方法のように、高齢者の自宅に「×月●何日14時、A会場」というように、時間と場所をあらかじめ指定すれば、そこにいけない人だけが、決められた連絡先にアクセスすることになり、少なくとも大混乱は避けられたように思えてならない。

日本全体が「責任回避社会」に
日本全体が「責任回避社会」になっているとも言える。
まさに、日本では「責任を持って物事を決めていくリーダーシップ」を発揮できる人材が、決定的に不足しているのではないか。
もっとも日本国民もそういう政治体制を支持してきたのだから責任は国民にもある。
こうした一連のワクチン接種が遅れた状況について、さまざまな分析が行われているが、その中に「ひとつのミスも許されない完璧主義」という雰囲気が日本のワクチン接種を遅らせたのではないか、という指摘があった。
ある意味で当たっているのかもしれないが、完璧主義であるかどうかはかなり疑問だ。

ひとつのミスも許されない、という雰囲気になってしまっているのは、日本の場合はテレビや新聞、そして週刊誌に至るまで、同じ報道を繰り返し、繰り返し報道する傾向が指摘されるからだ。
政治家や行政の失敗を批判するニュースが目立つ。
それも通常のニュースだけではなく、「ニュースショー」と称するバラエティー番組で繰り返し、細かな点にまでミスをついてしまう傾向が強い。

ワクチン接種について、日本政府が消極的なのも、メディアが長年にわたってワクチンによる副反応をことさら強調する報道を繰り返してしまったのもひとつの要因といっていいのかもしれない。
日本のメディアは、記者クラブ制があって、すべて横並びで報道するため、きちんとしたエビデンスや調査に基づく報道が弱い。
感情的な報道をしたほうが視聴者や読者にも受けて収益も上がる。
こうした報道ができるのは、資金面で余裕のある大手メディアしかないのだが、残念ながら日本ではその大手メディアほど記者クラブで得た情報をだらだらと報道する傾向が高い。
こうした傾向は日本だけの問題ではないが、日本のコロナ対策が後手に回っている要因のひとつといっていい。

ミスをした人間を容赦しない日本のメディア
そもそも、日本にはメディアに一度叩かれたらとことんやられてしまう、という恐怖心が官僚や公務員、政治家、そして一般の国民にあるのも事実だ。
日本のメディアはとりわけ、ミスをした人間を容赦しない。
タレントであろうが政治家であろうが一般人であろうが、どことなく許せないという雰囲気を作ってしまう。
こうしたメディアの姿勢が、パンデミックのような状況には大きな負の要因になってしまった傾向がある。

日本は太平洋戦争のときにメディアも揃って政府・軍部の言いなりとなって、一直線に戦争に進んでしまった経緯がある。
これと似たような状況が、現在のメディアには見え隠れする。
これは、ある意味でメディアの驕りなのだが、スポンサーである企業や視聴者である国民にもその責任の一端があるのではないか。
感染症という病気と闘う以前の日本全体の雰囲気に原因があるような気がしてならない。

日本の教育制度は、ある一定の枠の中に人間の個性を封じ込めて集団行動させることに大きな意味を見いだしている。
個性を伸ばす教育が不足している。
ある意味で、第2次世界大戦前の教育の方向性が本質的なところでは変わっていないと言ってもよい。
そして、企業も個性を捨てた人間の集団をつくり続けている。
パンデミックという「有事」に巻き込まれている今、日本はこうした根源的な部分でももう一度立ち返ってみる必要があるのかもしれない。

法的整備の不備は政治家の怠慢?
そして、もうひとつ忘れてならないのは、法律がないからという理由で何もしなかった政治の怠慢がある。
法律がなかったのはどこの国もほとんど同じだ。
しかし、イギリスではすぐに新しい法律を作って対応した。
日本では、そもそも議員立法という概念が希薄で、ほとんどの政治家がパンデミックの中で結局何もしなかった、といっても過言ではない。
せっかく莫大な予算を使って立法府のシステムがあるのに、なぜ日本の政治家は法律を作らないのか……。
ここにも制度上の欠陥がありそうだ。

そもそも、日本には「通達行政」という便利な制度がある。
法律など改正しなくても、通達1本で国民の生活スタイルを変えてしまうことが何度かあった。
官庁相手のみならず、民間企業である私立大学への通達などはそのいい例だ。

そして、最後に東京五輪の存在だ。
オリンピック開催にこだわったことが、コロナ対策に大きな影響を与えた。
政府与党が東京五輪開催によって、総選挙を有利に導こうとしていることは明らかだし、逆に総選挙で政権を明け渡すようなことだけは避けたいと考えている。
“日本売り”が始まり、株式や円、国債をも売られることになるはずだ。

日本のワクチン接種が遅れた原因は日本が固有に抱えるさまざまな問題点を浮き彫りにした。
政治家や行政だけではなく、国民自身も省みなければならない。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月02日

ワクチン輸出国だった日本が、「輸入ワクチン頼み」に落ちぶれた根本原因

ワクチン輸出国だった日本が、「輸入ワクチン頼み」に落ちぶれた根本原因
2021年06月01日   PRESIDENT Online

■ようやく「国産ワクチン」の開発に踏み切るが…
一向に収束する気配が見えない新型コロナウイルス。
ようやく日本が「国産ワクチン」の開発に踏み切る。
6月2日の「COVAX(コバックス)ワクチンサミット」で菅義偉首相は、国産ワクチンの研究開発拠点の整備構想を表明、官民あげてのワクチン開発が動き出す。

コバックス・サミットは日本政府と国際機関の共催だ。
ワクチンの接種が遅れる日本は米国から「渡航中止勧告」を出されるなど、世界から孤立しつつある。
このため、米国や欧州の主要国など30の国・地域の参加を要請。各国を巻き込んで「ワクチン後進国」の汚名返上をアピールしたい考えだ。
日本は米国のファイザーやモデルナなど3社のワクチンが薬事承認され、供給体制が整いつつある。
東京や大阪など大都市を中心に65歳以上の接種が始まった。
しかし、海外産のワクチンに頼る状況には変わりない。
変異株がまたぞろ出てくれば、それに対応したワクチンの開発が必要になり、日本への供給は後回しになる。
「コロナ優等生」と言われた台湾でも変異株が蔓延。
ワクチンの接種が遅れる蔡英文総統は一転して苦しい立場に置かれている。

■日本は1980年代までは「ワクチン先進国」だった
日本と同様、台湾や韓国は国産ワクチンの開発に後れを取った。
ワクチン接種の遅れが「経済回復の遅れ」を招く中で、日韓台の焦りの色は日に日に濃くなるばかりだ。
起死回生を目指す日本はコバックスサミットで、資金や体制面での支援のほか、実用化までの国の制度の再構築を掲げる。
世界トップレベルの研究開発拠点を設けて、治験や新薬の承認などの面で規制を緩和し、大学や製薬会社が共同研究に取り組む体制を構築する。
製薬会社の資金面での懸念を払しょくするために開発したワクチンを政府が買い上げる仕組みや基金設立に向けても検討する。

今や、他国のワクチンに頼る日本だが、1980年代までは「ワクチン先進国」だった。
水痘、日本脳炎、百日ぜきなどのワクチンを世界に先駆けて開発、米国などに技術供与していたほどだ。
では、なぜ、ワクチンの開発が途絶するまで衰退したのか。
その大きな要因の一つが訴訟だ。

■副作用を恐れる保護者の判断などで接種率は一気に低下
70年ごろから、天然痘ワクチンやはしかや風疹、おたふくかぜなど予防接種や子宮頸がんワクチンでの健康被害が社会問題化し、国は相次いで起訴された。
その様子をみた企業も需要が安定した予防接種用の既存ワクチンの製造だけを担う「護送船団方式」で細々と続け、新規開発に及び腰になった。
決定的だったのが92年の東京高裁での国の全面敗訴だ。
世論に押される形で国は上告を断念した。

94年には予防接種法が改正されて接種は「努力義務」となり、副作用を恐れる保護者の判断などで接種率は一気に下がり、それと同時に日本の製薬会社はワクチン開発から身を引き始めた。
そして薬害エイズ事件がとどめを刺した。
エイズ患者に投与する血液製剤はワクチンと同じ生物製剤だ。
この事件で当時の厚生省の担当課長が業務上過失致死罪で有罪判決を受けた。
ワクチン接種を許可する行政も一気に腰が引けた。

■米国はワクチン開発と供給に約2兆円を投資
一方、海外は事情が異なる。
2000年ごろから重症急性呼吸器症候群(SARS)やエボラ出血熱、中東呼吸器症候群(MERS)など、致死率の高いウイルス感染症が次々と流行。
それへの対応策として、ワクチン開発が急速に進んだ。
新型コロナワクチンとして注目を集めるmRNAワクチンはもともとがんの治療手段として研究されていたが、新型コロナに応用された。

米国は01年の炭疽(たんそ)菌事件を契機に、感染症に対する制度や体制を抜本的に見直した。
有事には保健福祉省(HHS)が司令塔になって、製薬会社や研究機関などと連携。
ワクチン開発資金の支援や臨床試験(治験)、緊急使用許可といった取り組みが一気通貫で進む。
中国の隣国である台湾で、新型コロナウイルスの感染初期に感染者の爆発を防げたのはSARSでの手痛い経験があったからだ。
米国はトランプ政権時にワクチン開発と供給の計画を立ち上げ、およそ2兆円を投資した。
バイデン政権は国防生産法に基づいてワクチン製造支援に企業を注力させる方針を打ち出した。
中国も政府主導でワクチンを開発し、海外で供給する「ワクチン外交」に乗り出している。

■画期的技術をもっていたUMNファーマは債務超過に
現在、日本では主に5社が開発に取り組み、うち4社が臨床試験中だが、年内に供給できる見通しは立っていない。
寒々とした状況だが、一回消えかけたワクチン開発が盛り上がる機運はあった。
09年から10年にかけて蔓延した新型インフルエンザの世界的流行だ。
日本でも推定で2000万人が感染、200人を超える死者を出した。
この際、政府は約1000億円の補助金を出して国内3社に新型インフルエンザワクチンの製造工場を整備させた。
しかし、インフルエンザの収束であえなく計画は立ち消えとなる。

有事にしか使わないワクチンの製造設備を民間企業が維持するのは過大な負担となるからだ。
さらに14年には、鶏卵で培養する従来方法ではなく、遺伝子組み換え技術を用いて開発した同ワクチンを厚労省所管の「医薬品医療機器総合機構」に新規メーカーのUMNファーマが承認申請した。
鶏卵培養だとワクチン製造に約半年かかるところ、この方法なら1〜2カ月に短縮できる画期的技術だ。

当時、UMNファーマは最大8000万人分のワクチン生産能力を有する工場をもち、同社の季節性インフルエンザワクチンの原液はその後、仏サノフィの米子会社にも提供された。
米国では承認されていたためだ。
しかし、同機構は明確な理由を示さないまま、UMNファーマの申請を3年間放置し、同社は2017年に取り下げを余儀なくされた。
その後、UMNファーマは債務超過になり、今は塩野義製薬の傘下に入っている。

■日本の「mRNAワクチン開発」は予算カットで18年に凍結済み
2010年には政府の有識者会議もワクチン製造会社の支援や開発の推進などの提言をしていたが、結局、この提言が日の目を見ることはなかった。
新型コロナワクチンの開発に道を開いたとされるmRNAワクチンでも国立研究開発法人である医薬基盤・健康・栄養研究所が開発を進めていたが、臨床試験の予算がカットされ、18年には計画が凍結された。
米バイオのモデルナが13年に47億円、16年に135億円の支援を国防省や保健社会福祉省からそれぞれ受けていたのとは対照的だ。
平時での備えがあったからこそ、新型コロナの世界的感染から1年余りで同社が新型ワクチンの開発ができたのだ。

■責任をすべて行政に押し付けるのは得策ではない
米国や中国のワクチン開発は安全保障との絡みで語られることが多い。
しかし、日本がいつまでもワクチンの輸入に頼るようなことにとどまれば、変異を繰り返すコロナの猛威が起きるたびに、新たなワクチンの供与を要請する事態が繰り返されることになる。
財政支出で「買い占める」ことをすれば、諸外国から集中非難を受けることにもなりかねない。

ワクチン開発には巨額な資金がかかる一方で、実際に感染が起こらなければワクチンが使われることもない。
研究施設や製造設備の維持にかかる負担を企業だけに課すことは難しい。
英国では製薬会社に毎年一定額を支払い、必要な時に必要な量を優先的に受け取れる「サブスクリプション(定額制)」方式の新薬の調達契約を導入している。
同方式であれば、製薬会社も資金回収への懸念を抱えることなく設備を維持できる。

新型コロナ以外の感染症は今後も続く可能性はある。
副作用が起こるかもしれない新型ワクチンの認可に厚労省の役人が慎重になる心情は理解できる。
責任をすべて行政に押し付けるのは得策ではない。
これまでの失敗を生かし、ワクチンを含めた新たな薬や治療法の開発を進められる仕組みを作らなければ、日本の感染症対策はいつまでたっても世界に劣後することになる。
(プレジデントオンライン編集部)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月05日

コロナワクチン副反応の出やすさに『3つの特徴』…1回目より2回目・男性より女性か・高齢者より若い人

コロナワクチン副反応の出やすさに『3つの特徴』…
1回目より2回目・男性より女性か・高齢者より若い人
6/4(金) 東海テレビ

 三重県は5月24日、新型コロナウイルスのワクチン接種後に、女性3人にアナフィラキシーの症状が出たと発表しました。
ワクチン接種の副反応について、特徴をまとめました。
 40代の女性は2回目のワクチン接種後に気分が悪くなり、咳や嘔吐、血圧上昇などの症状が出ましたが、医療機関の処置で2時間後に回復しました。
 別の40代の女性も、2回目の接種後に咳の症状が出ましたが回復しました。
 20代の女性も、2回目の接種後に血圧や脈拍が低下するなどの症状が出ましたが、アドレナリン注射をして回復しました。  3人とも基礎疾患はありませんでした。

 副反応については
「1回目より2回目の接種の方が出やすい」
「男性より女性の方が出やすい可能性がある」、
そして「高齢者より若い人の方が出やすい」という特徴があります。

 厚生労働省の「2回目の接種後に起きた発熱や倦怠感の発生率」のデータを見ると、60代・70代と比べて20代・30代の発生率が高いのがわかります。
 この理由について、愛知県がんセンター病院の伊東先生は「若い人ほど免疫力が強いため、異物であるワクチンにも強く反応して、副反応が強く出ると考えられる」と話しています。
 東海テレビ放送
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

新型コロナワクチン 接種直後に急死した日本人85人詳細データが公表

新型コロナワクチン 接種直後に急死した日本人85人詳細データが公表
2021年06月04日 NEWSポストセブン

 菅義偉首相の「7月末までに高齢者ワクチン接種完了」の方針により、大規模ワクチン接種が進んでいる。
その陰に隠れる形で悲劇も起こっていた。
5月下旬、政府はひっそりとワクチン接種後に急死した日本人の詳細データを公表していた。

 予約が殺到し、各地で混乱が続く新型コロナウイルスワクチンの大規模接種。
打った人からは「ホッとした」「打ててよかった」と、安堵の声が聞こえてくる。
一方で、新聞やテレビはほとんど報じていない、ある事実がある。
接種開始から約3か月強の5月21日までで85人が接種後に亡くなっていたのだ。

 5月26日、厚生労働省は接種から死亡するまでを詳細に記録したデータを公表した。
その《新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要》(以下、報告書)には、ワクチン接種後に亡くなった85人について、それぞれの年齢、性別、既往歴、死因などが記されている。
 亡くなったのは25〜102才で、男女別では女性が47人、男性38人。
死因は心筋梗塞、急性心不全、くも膜下出血などさまざまだが、《ワクチン接種との因果関係》については、85件中59件が「評価不能」、6件が「不明」。
約3分の2のケースで因果関係が明らかになっていない。

「遺族が解剖を望まないケースが多く、詳細な検査がされないことが、原因の特定を難しくしています。
というのも、亡くなった人は、接種から24時間以内が10件以上、3日以内が約半数もいて、急死といっていいでしょう。
突然の別れに死を受け止めきれず、解剖までしてほしくないというのは自然な遺族の思いです」(全国紙社会部記者)
 だが、なかには因果関係を認めたケースもある。

91才の女性、Aさんの急死がそうだ。
4月27日、Aさんは朝食を残すことなく食べ、元気にワクチン接種会場に向かった。
予診を受け、注射を打ってもらったのは午前9時45分頃。
接種後、会場での40分間の観察時間にも体調の変化はなかったという。
 しかし、約2時間後の12時頃、Aさんの体を異変が襲う。
急に無呼吸になり、心肺停止となったのだ。
すぐに蘇生措置がとられ、心臓マッサージと電気ショックを与える除細動器で一時的に心拍は回復したものの、自発呼吸はできないままだった。
そして午後1時55分、家族の承諾を得て人工呼吸操作を止めると、その15分後には心拍も停止し、Aさんの死亡が確認された。
ワクチン接種からわずか4時間あまり。あまりにも突然の最期だった。
 Aさんにはアルツハイマー型認知症と慢性心不全などの既往歴があったが、報告書は、《アナフィラキシーの皮膚症状・粘膜症状は認められていないが、心肺機能が突然停止する原因が他に見当たらない。
関与があると考える》と記し、ワクチン接種による急死の疑いを認めた。
 Aさんのように90代以上の超高齢者は26人亡くなっているが、20代3人、30代1人、40代6人、50代4人と、現役世代も多く含まれている。

特に若い20代のケースでは、「原因はワクチン以外あり得ない」と遺族は考えているようだ。
 26才女性のBさんは看護師で、3月19日に医療従事者としてワクチンを接種した。
だが、その4日後の23日、自宅リビングで食事をしているときに、体調が急変。
テーブルで嘔吐したBさんは座った状態のまま仰向けに倒れこんだ。
救急隊員と警察官が到着したとき、Bさんの体はすでに冷たくなっていたという。
検死の結果、Bさんの死因は小脳からの脳出血と、くも膜下出血と判明。既往歴や基礎疾患はなかった。

 同様に既往歴のない25才男性Cさんは、ワクチン接種後に異常行動を起こして亡くなった。
Cさんは医療従事者で、4月23日にワクチンを接種。
2日後、友人と一緒にいたところ、立ちくらみや手足の震えなどの異変をおぼえ、友人に送られて帰宅。
37.1℃の微熱があり、家で休養していたが、27日、熱が下がったため出勤したという。
 しかし、病院内の薬品庫内で無断で薬をあさるなど逸脱した様子を見せた上、居合わせた職員に質問されても受け答えがままならなかったという。
そのときのCさんの様子は、資料にこうある。
《(Cさんは)言いたくない、ダメだ、ダメだ。何、やべぇ、最悪、最高です。楽しい、違う、、。
わからない。返答は答えにならず、ブツブツという。誰かの声が聞こえるかと問うと、「ハイ」と。》
 異常行動が見られたため、病院には両親も駆けつけた。Cさんは両親と一緒に車で自宅へ向かったが、帰途の高速道路で、突然車から飛び降りて後続車に轢かれて死亡した。
Cさんの死について報告書には、死因が《精神異常、自殺》とあり、《ワクチン接種が誘因となった可能性あり》と書かれている。

女性特有の薬が思わぬリスクに  85人のうち、「因果関係あり」と報告されているのは4人で、ほとんどは「評価不能」とされている。
しかし、太融寺町谷口医院院長の谷口恭さんはこう話す。
「厚労省は死因とワクチン接種について多くのケースは『因果関係ははっきりしない』という見解ですが、個人的には疑っています。
 血管内の血液が固まる血栓症という副反応が起きると問題視されているのはアストラゼネカ製のワクチンですが、日本人に打たれているファイザー製にもリスクはある。
今回、報告されている死因の多くは脳卒中や心不全など血管系の疾患で、ワクチンによる血栓が原因である可能性は捨てきれません。
出血も“血栓がたくさんできることで、止血機能が不充分になる”から起きるのです」

 では、どういった人がワクチン接種によるリスクを抱えやすいのか。
厚労省のホームページには副反応についてこう書かれている。
《まれな頻度でアナフィラキシーが発生します》
 アナフィラキシーとは、アレルギー反応のことで、複数の臓器や全身にアレルギー症状が表れ、重症になると死に至る可能性もある。
そのリスクは病歴や常用薬などからもわかるという。
「アナフィラキシーが起きたとき、アドレナリンを投与して状態を改善しますが、その際、注意すべき病気や常用薬があります。
高血圧や心不全、不整脈の患者さんが服用しているβブロッカーという薬です。
 これは、アドレナリンの作用を遮断し、効きにくくしてしまう。
さらに、ステロイド、一部の抗精神病薬、低用量ピルを含めて、副反応としての血栓が起こり得る薬剤は、ワクチンを接種することで、血栓のリスクをより高めてしまいかねません」(前出・谷口さん)

 副反応は女性の方が多いが、その原因を次のように考える医師がいる。
「5月2日までにアナフィラキシーを起こした107人のうち、女性が99人と圧倒的に多い。
理由ははっきりしませんが、ワクチンの原料の1つであるPEG(ポリエチレングリコール)が原因ではないかといわれています。
PEGは化粧品などにも含まれていて、繰り返し使用することでアナフィラキシーを起こすことがあるからです」(コロナ病棟に勤務する医師)
 この医師は、これらのリスクを踏まえさらにこう続けた。
「通常、ワクチンの開発は3年から5年はかかるものを、この新型コロナワクチンは、わずか1か月以内に初期のワクチンが作られています
リスク管理は不充分だと言わざるを得ない。
私はワクチンを接種するつもりはありません」

 もちろん、ワクチンの効果で感染拡大が防げるというデータがあり、一方の副反応はごく一部だ。
だが、死亡者が出ているのも事実。
どんな薬にもリスクがあることは知っておくべきだろう。

   ※女性セブン2021年6月17日号
posted by 小だぬき at 05:45 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月07日

藤井聡教授 コロナ禍に警鐘「政府はアホやけど、アホにアホと言わない日本人もおかしい!」

藤井聡教授 コロナ禍に警鐘「政府はアホやけど、アホにアホと言わない日本人もおかしい!」
6/6(日)  東スポ

 関西弁全開でユーモアたっぷりにしゃべっていたかと思えば、全身で怒りを表現しながら鋭く問題点を切り裂く――。
そんな姿とトレードマークのちょび髭がすっかりおなじみの京都大学大学院の藤井聡教授(52)がコロナ禍に苦しみ続ける日本の現状を解説。
今後進むべき道を提示した。

【藤井聡教授インタビュー(1)】
 ――緊急事態宣言が延長された

藤井 理不尽極まりない。
日本は欧米に比べると感染被害はほとんどなく、こんな経済被害を受けるような状態じゃないのに、昨年はEU全体の2倍の落ち込みをした。
なぜかというと、自粛しているから。自粛したから死者数が減ったかというと、ほぼ関係ないんです。
この時点で相当アホです。

 ――何でこんなことに
藤井 政府がやるべきコロナ対策をしなかったから、状況は抑えられてるのに「医療崩壊がー」ってなるんです。
重症者がいても耐えられるものを作ってこなかったんだから、国民は批判すればいいんですよ。
「蛙の面に水」なんて言葉がありますけど、無礼なことや筋の通らんことをされたら人間って怒るはず。
でも、今の日本人は怒らない。
蛙と同じ。
政府はアホやけど、アホにアホと言わないのもおかしい。そのせいで日本人が亡くなってる。こんな理不尽な話はない。

 ――日本人はおとなしい
藤井 専門家が脅してだますからです。
尾身(茂・新型コロナ対策分科会会長)さんとか西浦(博教授)さんとか感染症の専門家が「自粛しないと感染を広げて人を殺す」という。
医療崩壊する患者は、ほぼすべて高齢者なので、高齢者の感染対策をすれば医療崩壊リスクは下がるんです。
だから若年層が高齢者にうつす行為を徹底して避ける。
この一つだけなんですけど「家族と住んでいる」とか「非現実的だ」と嫌がる。
「8割活動を自粛」と掲げる方がよっぽど非現実的ですよ。

 ――言うと批判される
藤井 「素人のお前が言うな」と僕が叩かれるんですね(苦笑)。
僕は都市社会工学が仕事で感染症対策も入っている。
学会もシンポジウムも開催してるし、感染症の専門家と学術論文も書いている。玄人なんです。

 ――議論がない  
藤井 こういう議論自体が不謹慎と言われますね。
思考自粛を要請されてる。
感染を許容するという要素が1ミリでも入ると不謹慎となる。
作用と副作用すべてを踏まえた最も適切な感染症対策、つまりコロナで亡くなる方、経済で亡くなる方、うつ病になる方、後遺症に苦しむ方、みんなを見すえた上で一番被害が小さくなるようなベストウェイを探りましょうと言っていますが、当然ベストウェイというのは一部感染を許容するものなので、嫌なんですね。
僕は社会心理学が専門ですが単なる集団ヒステリー。これが1年以上続いていて、テレビと一部の専門家が不安心理をあおっている。

 ――ゼロリスク主義  
藤井 コロナへのゼロリスクを求めるあまり、ベストウェイが見過ごされコロナ以外のリスクがすべて無視されている。
その結果うつ病が増え、小中高生の自殺は過去最多を記録、若者の教育機会は奪われ、失業・倒産が増加し、所得は下がっています。
ゼロリスクを求めるのは、死を意味する。日本全体が滅びることになる。
決して諸外国はそんなこと、していない。
民主主義国家だから国民の意思に基づいて政治を行いますが、今、日本人に民主主義ができるか問われていると思いますよ。  

☆ふじい・さとし 1968年10月15日生まれ。
奈良県生駒市出身。京都大学工学部卒。
同大学院工学研究科(都市社会工学専攻)教授、および同大レジリエンス実践ユニット長。
都市社会工学、社会心理学、行動経済学などさまざまな分野に精通し、第2次〜第4次安倍内閣では内閣官房参与を務めた。表現者クライテリオン編集長としても意見を発信している。
趣味はプロレス、釣り、音楽など。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月10日

「50代で貯金0円」全世帯の約37%に。老後破綻しないためのお金の使い方とは

「50代で貯金0円」全世帯の約37%に。老後破綻しないためのお金の使い方とは
2021年06月09日 SPA!

厚生労働省の調べによれば50歳で「貯金0円世帯」は約37%に上る。
このままでは老後破綻が必至な情勢だが、意外にも生き方一つで明るい老後を迎えられることが判明。
50歳貯金0円男でも、幸せに老後を生き抜く方法を真剣に考えてみた!

◆全世帯の4割が該当。「50代貯金0円世帯」
 住宅ローンや子供の学費などを抱え、自分の老後の資金づくりに手が回らない50代は少なくない。
 このような「50代貯金0円世帯」は’19年の「家計の金融行動に関する世論調査」によると3割に上っている。
こうした夫婦はすでに老後破綻の危機に直面している。
 だが、50歳からの生き方一つで老後破綻を免られるという。
ファイナンシャルプランナーの長尾義弘氏が世帯年収510万円と仮定して、解説してくれた。

◆ローン&学費で貯金ゼロ……世帯年収510万円の場合
 50歳のサラリーマン、素波太郎一家(世帯年収510万円・妻50歳・娘18歳)をモデルケースに、50歳からのお金の使い方をシミュレーションしてもらった。
夫:素波太郎(50歳) 年収410万円/都内の中小企業に新卒で入社(勤続28年目の課長職) 妻:素波花子(50歳) 現在パート勤務/年収100万円(30歳まで正社員、その後専業主婦やパート) 娘:素波佳子(18歳) 大学1年生(今春4年制私立文系学部入学)
 夫の給与と妻のパート代を合わせた世帯年収は、510万円。
15年前に東京郊外に2500万円でマンションを買い、35年ローンで毎月7.5万円を返済している。
今春、子供が私立大学に進学し、入学金・授業料などを払ったことで、夫も妻も貯金はゼロになった。

◆54歳から毎月5万円を貯金できるかがカギになる
「素波家のような場合、夫婦が65歳からもらえる年金額は月22万3000円(現時点)。
社会保険料などを引くと、約21万円で老後の生活をすることになります。
これでは、安心した生活を送ることはなかなか難しい。

しかし、50歳貯金0円でも、ここから貯金すればまだ間に合います」(長尾氏)
 素波家の手取り月収は約35万円。住宅ローンと子供の学費を考えると、53歳まで貯金するのは難しい。
それどころか、大学の学費を考えると、家計支出は収入を上回り、42万円ほどの借金を抱えてしまうことになる。
「それでも、子供が大学を卒業してしまえば、家計はグッと楽になります。同年収で最も平均的な住宅ローンは7万5000円とし、他の生活費を見直せば、月5万円は頑張れば貯金に回せるはずです」

◆葬儀代や医療費を考え月3万円を取り崩す
 月5万円貯金できれば、982万円の資産形成が可能だ。
つみたてNISAやiDeCoを使えば、さらに資産を増やすこともできるだろう。
 しかし、貯金0円から900万円超の資産ができたからといって安心してはいけない。
ここから葬儀代(全国平均で約195万円)や医療費を考えると、平均寿命付近の85歳時点で約350万円は死守したいところ。毎月貯金から使える金額は3万円が限界だ。

 ちなみに、一旦要介護になると総額約800万円がかかるという試算も。
貯金0円男は健康第一であることを肝に銘じておきたい。
「それでも、年金+貯金で月22万円の生活費を確保することができます。
決して贅沢な暮らしはできませんが、老後破綻は免れることはできるはず。
 老後も、常に固定費の見直しと節約は重要。

貯金を取り崩して生きることは、凄まじいプレッシャーと恐怖を人間に与えます。
できるだけ年金支給額に支出を近づけることが明るい老後生活のキモとなります」

【ファイナンシャルプランナー 長尾義弘氏】
出版社勤務を経て独立。’04年にFP2級を取得し、お金や保険についての情報を発信。
『定年の教科書 お金 健康 生きがい』(河出書房新社)など著書多数

<取材・文/沼澤典史(清談社)>
posted by 小だぬき at 08:18 | 神奈川 ☀ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月11日

“五輪開催”党首討論かみ合わず…尾身氏改めて警鐘

“五輪開催”党首討論かみ合わず…尾身氏改めて警鐘
6/10(木) 配信 テレビ朝日

 9日、国会で2年ぶりに党首討論が開かれましたが、新型コロナ対策や東京オリンピックの開催を巡って、議論がかみ合わない場面が目立ちました。

■菅総理“57年前の思い出話”語り…
 立憲民主党・枝野幸男代表:
「3月に(宣言)解除が早すぎたのではないかと、私は思わざるを得ません。
私たちのような厳しい基準(一日の新規感染者50人程度)を明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか」

 菅義偉総理大臣:
「まさにワクチン接種こそ切り札だというふうに思っております。きのうは100万回を超えてきました。
今年の10月から11月にかけては、必要な国民・希望する方すべてを終える。そういうことも実現したいというふうに思います」

 宣言解除の基準は答えず、ワクチン接種をアピールしました。
そのうえで、今年の10月から11月には、希望する国民全員に接種を終えられるよう取り組む考えを明らかにしました。
 最大の焦点となったのは、東京オリンピック・パラリンピック開催についてです。

 枝野代表:
「『国民の命と健康を守る』とおっしゃるのは、開催を契機として国内で感染が広がる、それが国民の命と健康を脅かさない。こういうことも含むという意味でよろしいですね」

 これに対し、菅総理は「来日する関係者を縮小する」などの対策を述べたうえで…。
 菅総理:
「実は私自身、57年前の東京オリンピック大会。高校生でしたけれども、いまだに鮮明に記憶しています。
例えば、『東洋の魔女』と言われたバレーの選手。
回転レシーブというのがありました。
マラソンのアベベ選手も非常に影響に残っています。
そして何よりも、私の記憶に残っていますのは、オランダのヘーシンク選手です。
敗者である神永選手に対して敬意を払った。あの瞬間というのは私は忘れることができなかった。
こうしたすばらしい大会をぜひ、今の子どもや若者が見て希望や勇気を与えて、伝えたい。
そして、こうして様子をテレビで40億の人が見るということも言われています」

 ヤジも飛ぶなか、自身の“57年前の思い出話”をとうとうと語りました。

これには、枝野代表も…。
 枝野代表:
「命と暮らしを守れるのかどうか(国民から)注目されています。
総理の後段の話は、ここにはふさわしくない話だったのでは」

■五輪開催の“意義”も明言避ける
 共産党の志位和夫委員長は、開催の“意義”をただしました。
 共産党・志位和夫委員長:
「国民に長期間の我慢を強いながら、オリンピックを開催することで、新たに亡くなる方が増えるなんてことはあってはならない。
そうまでしてオリンピックを開催しなければならない理由をどう説明しますか」

 菅総理:
「当然、尾身先生のご意見も参考にして、感染対策の詰めは行っていく」

 志位委員長:
「私が聞いたのは、今、命をリスクにさらしてまで、オリンピックを開催しなければならない理由ですよ!」

 菅総理:
「国民の命と安全を守るのが私の責務ですから。守れなくなったらやらないのは、これ当然だと思いますよ」
 開催の意義については、明言を避けました。

■尾身会長「一般市民の理解が得られない」
 一方、政府分科会の尾身茂会長は、改めて感染対策の徹底を求めました。

 政府分科会・尾身茂会長:
「コロナの患者さんで手いっぱいなのに、オリンピックをやるのは、なかなか一般市民の理解が得られないので。
やるならば、そういうこと(医療逼迫(ひっぱく))が起こらないようなやり方をするのが、オリンピック委員会および日本政府の務めではないか」
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月12日

薬は月600錠に…処方された「痛み止め」に依存した50代男性の地獄

薬は月600錠に…処方された「痛み止め」に依存した50代男性の地獄
2021.6.11 Diamondオンライン
木原洋美:医療ジャーナリスト

起床時の手指のこわばり 「疲れが溜まっている」と思った
(あれ、おかしいぞ)  起床時、スマホに手を伸ばしたマサオミさん(仮名・当時55歳)はある異変に気付いた。
手がおかしい。
右手の小指と薬指がこわばって動かしにくく、うまく持てないのだ。
鈍く痛んでいるような気もする。きつい手袋をしているような感覚だろうか。
 スマホを離し、改めて手を握ったり開いたりしてみると、他の指も動かしにくい。
特に薬指が曲がらない。こんなことは初めてだったが、PC作業で根を詰めたときに似たような感じになったことがあるため、(指の使い過ぎかもしれない。様子を見てみよう)と考え、いつも通り出勤した。
 ただ、異変は手指だけではなかった。
なんとなく手首や肩などの関節もギシギシとさびついたように動かしにくかったし、何より熱っぽく、身体が鉛のように重くだるい。微熱があるようだ。

(まいったな、疲れがたまっているのかな。こりゃあ、倒れてしまうかもしれない)  不安に駆られながら帰宅し、夜は早々に就寝。翌朝を迎えた。
(手指の具合はどうだろう)確かめるように動かすと、症状はさらに悪化していた。
左手の指も右手同様にこわばり、曲げにくくなっていた。
 もはや様子を見ている場合ではない。急いで近所の整形外科を受診すると問診・触診、血液検査、X線検査をしてもらい、「結果は1週間後」。
再診すると医師は検査データを見ながら言った。 「関節リウマチの可能性が高いです」
 結果が出るまでの1週間、マサオミさんは自分の症状をネットで調べまくり、(関節リウマチかもしれない)とは予想していた。というのもその後、体の不具合が怒涛(どとう)の勢いで進行したからだ。
 当初右手だけだった手指のこわばりは、すぐに両手の全部の指に広がった。
さらに腕がずっしりと重たく感じ、両肩に激痛が走る。ただ事ではないと思った。

「関節リウマチとは、関節に炎症が起きて、痛みや変形が生じる病気です。女性、高齢者の病気というイメージがありますが、患者の約20%は男性ですし、近年は増加傾向にあります。特に30〜60代の働き盛りの男性で発症する方が多いんですよ。
 原因は明らかにはなっていませんが、男性の場合、喫煙や感染症が主な原因になります。
喫煙はいけませんよ。関節リウマチの発症リスクは2〜14倍に増加しますし、関節リウマチの治療効果も20〜60%減弱しますからね」

 淡々とした医師の説明は、マサオミさんをいら立たせた。
「喫煙はしません。人生で一度も吸ったことはないです。お酒だって、付き合い程度しか飲まないし、食事にも気を付けて、運動も週2回プールに通って泳ぐことを習慣にしてきました。それなのにどうして…」
「そうですね。こればかりはどうにも。ただ以前は、関節リウマチに対する有効な薬はありませんでしたが、現在では炎症や炎症の原因となる免疫の異常を起こりにくくする薬が次々と登場しています。
早期に治療を始めることで、骨の変形を防ぎ、寛解(かんかい。病気が落ち着いて安定している状態)を保つことができるようになっています。
 残念ながら現在の医学では完全に治すことはできませんが、治療しながら普通の生活を送ることは可能です」

耐え難い苦痛の日々 医療用麻薬を勧められた
「普通の生活を送ることは可能」という医師の言葉を信じ、マサオミさんは前向きに病気と向き合った。
処方された薬をきちんと飲み、適度な運動を心がけ、「リウマチに効く」とされる温泉に通い、健康食品も試してみた。
 だが治療効果は上がらず、病状は悪化した。
膝が曲がりにくくなり、足裏にも痛みが出るようになったため歩行がつらく、布団から起き上がれなくなり仕事を休んだ。
いっそ手足を切り落としてしまいたいと思うほどの痛みが四六時中治まらず、(もうすぐ薬が効いてくれるはずだ)と自分に言い聞かせながら一日一日をなんとかやり過ごす。

強い痛み止めも併用していたが効いている気がしない。
痛みと闘いながら眠るために、毎夜睡眠薬を使うようになった。
(あと5年で定年なのに、このままでは勤め上げられそうもない。退職したら、夫婦で旅行したり、趣味の民族楽器で演奏会をしたりするつもりだったのに、何もかもおしまいなのかな。
こんなに痛いんじゃ、もう死んだほうがましだ。  いや、待てよ。ここで弱気になっちゃダメだ。世の中にはもっとつらい病気と闘っている人がいる。
俺はとりあえず、生命に関わる病状ではないんだから、我慢しないと。だけどつらい。死にたいよ。ダメだな俺は。なんて弱い人間なんだ。生きている価値がない)

 そうして1カ月が過ぎた頃、治療効果が見えないことにいら立ったマサオミさんは主治医に食ってかかった。
「先生、せめて痛みだけでもなんとかしてください。気が狂いそうです」
「今お出ししている薬は効果が見えるまでもう1〜2カ月は様子を見たほうがいいんですよ。でも痛みはつらいですよね。モルヒネを使ってみますか」  そう医者は提案した。
「え、モルヒネですか。どんな薬ですか」
「医療用麻薬とかオピオイドとか呼ばれている鎮痛薬です。がん患者さんの痛み止めにも使われている薬で、とてもよく効きますよ」
「でも、麻薬なんですよね。依存症になったりしませんか」
「大丈夫ですよ、法律で医療用に使用が許可されている麻薬ですから。
痛みの治療を目的に適切に使用すればいいんです。
楽になりますよ。リウマチの薬の効果が見えるまで、モルヒネで痛みを抑えながら頑張りましょう。

主な副作用は、便秘と吐き気ですが、それを軽減させる薬も一緒に出しますからね」

「依存性はない」はずが 薬は月600錠に激増
 モルヒネは劇的に効いた。痛みが消えるだけでなく、気持ちが明るくなり、マサオミさんは病気になる前よりも陽気になった。
あまりにも気分がいいので、当初は飲み過ぎないよう痛みをギリギリまで我慢してから飲むように心がけていたが、やがてブレーキが利かなくなった。
処方された量では、次回の予約日まで全然持たない。
「先生、モルヒネはとてもよく効く、素晴らしい痛み止めですね。ただこの頃、効果がすぐ切れるようになってきたのでもっとたくさんもらえませんか」
 せっせと通院し、機嫌よく依頼すると、主治医は気軽に応じてくれた。
結局、最初のリウマチ薬は効果が出ず、さらに効きそうな薬を試しているうちにモルヒネの量はどんどん増え、1カ月分で600錠にもなった。

「えっ、あなた。こんなにたくさん薬を飲んでいるの。飲み過ぎなんじゃないの」  ポリ袋に入れた大量の薬を見た妻が一度、驚いた顔で聞いてきたことがあった。
「大丈夫だよ。医者も痛みのコントロールが目的で飲む分には問題ないって言ってたよ。ちょっと便秘がつらいんだけどさ。リウマチの痛みが強すぎて、これがないともう寝たきりになりそうなんだ。
大丈夫、リウマチの薬が効いて、寛解って状況になったら、すぐやめるから。今だけ、この薬が必要なんだ」

 慌てて言い返したが、実は本人も心配で、モルヒネを飲むのを何度か我慢してみたことがあった。
するとたちまち、いたたまれないような不安感、激しい動悸(どうき)、鳥肌、大量の発汗、筋肉のけいれんなどに襲われ、とてもじゃないが耐えられない。
休日、家に1人でいる時だったので、誰にも見とがめられることはなかったが、もし誰かに見られたら(絶対に、薬物依存だと思われるだろう。
公務員の自分がそんなことになったら、大問題だ。
絶対に薬を切らすわけにはいかない)と考え、以降は万が一早めに薬の効果が薄れたときに備え、レスキュー薬と呼ばれる速放性(すぐ効果の出る痛み止め)の薬も処方してもらって飲むようになった。
 それから2年間、淡々とした日々が過ぎた。
リウマチのほうは効果がある薬が見つかり、進行を食い止められるようになっていたが、モルヒネを減らすことはできなかった。
尋常でない量を飲み続ける不安も、いつの間にか忘れた。
 だが、そんな毎日に突然終わりが来た。
主治医が隠居し、大学病院の勤務医だった息子が新院長になったのである。
マサオミさんがいつものように薬をもらいに行くと、カルテを見た新院長は絶句した。
「驚いた、すごい量を飲まれていますね。これ、全部飲んでいるんですか。それとも家に保管しているだけですか」
「なくなると大変なので、多めに出してもらってはいますが、それくらいの量は絶対に必要です」
 うろたえながらも、懸命に訴えた。
モルヒネを減らされるかもしれないと想像しただけで、冷たい汗が流れた。

非がん性慢性痛患者の 大量使用は増加傾向にある
「麻薬をこんなに飲むなんて、本当に大変な痛みだったんですね。つらかったでしょう」
 ここは某大学病院の「痛みセンター」。
難治性の慢性痛患者の治療と研究を専門に行うことを目的に設置された医療機関だ。
新院長からの紹介でやってきたマサオミさんが持参した薬の束を見た医師は、優しくいたわるように話し出した。
 薬物中毒患者として、軽蔑されたりあきれられたりすることを想像していたマサオミさんは、凍り付いていた心が解け出したように、涙を流した。

 違法ではない医療用麻薬を処方され、依存症になってしまったマサオミさんにはまったく罪はない。
では悪いのは誰なのか。こんなことは通常では起こりえないことなのか――。
医療用麻薬の不適切(大量)使用問題に詳しい獨協医科大学の山口重樹教授は次のように語る。
「医療用麻薬(オピオイド鎮痛薬)は適切に使用されている限りは非常に良い鎮痛薬です。
しかし、次第に依存症の問題が深刻化し、オピオイドクライシス(アメリカ社会のオピオイドによる危機的状況)が叫ばれるようになりました。
2017年にはトランプ大統領が公衆衛生上の法に基づく非常事態宣言を行い、アメリカでは年間7万2000人(2019年)、カナダでは4571人(2018年)が関連死しています。

 日本では専ら、がん患者用の痛み止めとして使用されていますが、アメリカやカナダでは『痛みの緩和は人権=必要最低限の医療』という考え方に基づいて、積極的な処方が推奨された時期があったのです。
 当初は痛みの緩和目的で適切に使用されている限り依存性はないと考えられていましたが、間違いでした。
実は短期間でも精神的依存になりやすい、量がどんどん増えてしまうといった特性があり、依存症患者が急激に増加してしまいました。
 もともと医療用麻薬はがん患者を中心に投与されていたもので、かつてはがん患者の生命予後も限られていましたので、処方の終了は患者の死でした。

しかし、非がん性の慢性痛は、いつ薬をやめたらいいのか分かりません。
何カ月までなら問題ないのかは、誰も分かっていない。
 どうも使用が長期化するほど、やめにくくなることが明らかとなり、必要最少期間にとどめるべきとの意見が一致し、世界中のガイドラインでは、投与期間について3カ月とか6カ月とかしっかり区切るようになってきました。
マサオミさんの場合も、モルヒネの処方を始める際、期限を約束して、厳格に守るべきでしたが、医師はこのことを理解していなかったんですね。
そういう意味では、医療行為が病気を引き起こした医原病です。

リウマチ、慢性疼痛、薬物依存と3つの病気をマサオミさんは背負うことになってしまったわけです。
少しずつですが、私のところでもマサオミさんのような患者さんは増えています。氷山の一角かもしれません」

 マサオミさんは、現在、適切なオピオイド治療に修正してもらい、適切に痛みを緩和しながら、モルヒネによる便秘も改善し、安定した日々を送っている。
リウマチの再燃も見られない。
「適切なオピオイド治療とは、必要かつ適切な患者に、オピオイドによる有益が不利益を上回る必要最小限の量で、必要最少期間投与することです」と最後に山口教授は強調した。
※本稿は実際の事例・症例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため患者や家族などの個人名は伏せており、人物像や状況の変更などを施しています。

(医療ジャーナリスト 木原洋美、
監修/獨協医科大学医学部麻酔科学講座教授 山口重樹)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月13日

コロナ禍で増える“誇大表示”に怒りの声

「まつげ美容液」にも措置命令! コロナ禍で増える“誇大表示”に怒りの声
2021年06月11日 アサ芸能

 消費者庁は6月3日、大阪市にある化粧品・健康食品販売会社が、“塗るだけでまつ毛に伸びる”効果があるように表示してまつ毛美容液を販売していたことが景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして、措置命令を出した。
同社は「真摯に受け止め、表示の改善を進めている」と謝罪している。

「問題となっているまつげ美容液は、同社の公式サイトで『2週間で2mm伸びる!』などと、塗るだけでまつ毛が伸びる効果があるように表示していましたが、消費者庁によれば『裏付けを示す資料の提出を求めたが、合理的な根拠は認められなかった』といいます。
まつ毛美容液に同庁の指導が入るのは、今回が初のことです」(社会部記者)

 ネット上では《こういうのって詐欺でしかない。返金にも対応させるべきでは?》と批判の声が噴出。
さらに《他にもあるよね。こういう大丈夫かなっていう商品》
《芸能人がインスタでステマしてる商品も怪しいものが多い》
《消費者庁には頑張ってほしい。他にも酷い例はいっぱいある》など、景品表示法違反にあたる商品は他にも多くあるとの指摘も相次いでいる。

「昨年から新型コロナウイルスが感染拡大したこともあって、“空間除菌をする除菌スプレー”や“首から下げるだけで除菌できるカード”“
摂取するだけでコロナへの感染予防になるサプリメント”など、数々の商品に消費者庁の指導が入りました。
まつげ美容液はコロナ禍でマスクの着用が当たり前となった今、目元を美しく見せるために売上も伸びていたといいますが、コロナ便乗の商品には十分注意しなければなりません」(ITジャーナリスト)

 購入者側の見分ける力も必要だろう。 (小林洋三)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月14日

日給3万「ワクチン仕事」に看護師が苦悶する理由

日給3万「ワクチン仕事」に看護師が苦悶する理由
フリー看護師が見た「コロナ待遇格差」の実態
2021/06/12 東洋経済オンライン
浜田 敬子 : ジャーナリスト

長引くコロナ感染拡大を現場で支える医療従事者たち。
彼らを今、驚くべき「給与格差」が戸惑わせ、混乱を引き起こしている。

フリーランスの看護師として働くAさん(40代)。
昨年8月から全国の病院のコロナ病棟やクラスターが発生した高齢者施設、軽症者療養用のホテルなどで働いてきた。
目の前で何人もの患者が命を落としていく厳しい現場も体験した。
そこで見たのは、命に直結するような過酷な現場ほど、看護師が足りないという現実だった。

一方、ワクチン接種の現場や軽症者療養ホテルなど、重症病棟に比べれば「それほどキツくない」(Aさん)現場は、人を集めるために高給を提示され、一種の「コロナバブル」が起きているという。
いったい今、何が起きているのか。

クラスターが発生した高齢者施設で見た「現実」
5月下旬。Aさんは中国地方のクラスターが発生した高齢者施設に、NGOからの要請で応援に入った。
それまで十数人いたスタッフは1人を残して他の部署に異動していて、圧倒的に人が足りない状態だった。
利用者の中には3週間入浴できておらず、シーツが交換されていない人もいたという。
人手不足から、利用者が転倒して亡くなるという事故も起きていた。

応援に入ったAさんは数日間、毎日朝7時半から夜20時30分まで働いた。
他のスタッフも8日連続勤務、5日連続夜勤という過酷な勤務状況だった。

引き金は、あるスタッフからクラスターが起きたことだった。
利用者に感染が拡大し、その本人はもちろん、濃厚接触したスタッフも休まねばならなくなった。
こうして極端な人手不足に陥り、残ったスタッフの勤務状況は過酷になるという悪循環に陥った。
「スタッフは自分から感染させてしまったと激しい自責の念にかられ、利用者の家族からも感染させたことを責められます。高齢者施設のスタッフはもともと待遇がよくないのに、自身も感染リスクにさらされながら働き、疲弊しています。
こうした状況に、自身の家族から反対されて、退職を選ぶ人もいます」(Aさん)

幸い、Aさんら応援スタッフが入り、施設を感染リスクの有無でゾーン分けしたり、防護服の着脱を指導したりするうちに状況は落ち着いてきた。
しかし、その中でAさんはこの1年弱感じてきた“矛盾”を再認識した。
Aさんは派遣元であるNGOから1日2万円という報酬を受け取っていた。
1日12時間働いていたが、宿泊費など実費も別途、支給された。
もともとその施設で働いていた職員の給料に比べると、フリーのAさんのほうがはるかに条件がよかったのだ。

フリーで働くことになったのは、昨夏、沖縄県知事が「看護師が足りない」と訴える姿をテレビで見て、募集に応じたことだった。
それまでコロナについて医療従事者のグループで学んできたAさんは、そのことを活かしたい、という気持ちだったという。

過酷なコロナ病棟は、軽症者施設の「時給半分」
最初に派遣されたのは、沖縄県内の軽症者療養ホテル。
基本は1日2度、療養者に電話をかけて体調の確認をする、重症化した患者を病院に送る、療養者が退所したら部屋を掃除する、などが仕事だった。
時給は2700円、宿泊費・食費は別途支給された。

その後に移ったのが、沖縄県内の県立病院だ。
コロナ専用病棟が立ち上げられた直後から約3カ月働いた。
ここはAさんがこの1年弱で入った職場で、もっとも厳しい労働環境だった。
昼ご飯を食べる時間もなく、朝から夜中1時まで勤務しているスタッフもいた。
いったん感染が少し落ち着くと、コロナ病棟のベッドは空く。しかし、ベッドを空けたままにしておくと、病院側の収益が悪化してしまう。
そこで、病院側は他の救急患者を受け入れるため、感染リスクのある患者を受け入れるレッドゾーンを減らし、リスクのないグリーンゾーンに戻す。
部屋の隅々から医療機材すべてをアルコールで拭きあげる作業も、看護師らが担っていた。
そこでの給与水準は、県立病院の規定報酬に沿っていた。
沖縄の県立病院の2021年5月現在の募集要項を見ると、フルタイムの看護師で月額15万7700円〜20万400円。
パートタイムの場合、時給1009円〜1282円だ。

つまりその前に働いていた軽症者用ホテルより、はるかに過酷な仕事にもかかわらず、時給換算だと半額で働いていたことになる。
Aさんはこの病院に応援に入るときには、「もともとその病院で働いていた職員より高い給料は払えない」と言われたという。後から応援に入った人のほうが高いと、もといた職員が辞めてしまうから、という理由だった。

「この病院ではコロナ治療の最前線で働けて、いろいろ学ばせてもらったので、私自身は報酬が低いことに不満はなかったのですが、コロナ病棟の仕事は誰でもできるわけでもありません。
それなりのスキルや経験も必要なのに、軽症者用ホテルよりも報酬が低いのです。
感染のリスクもある中では“危険手当”のような仕組みも必要だと思うのですが……」(Aさん)

Aさんはその後、派遣会社を通じて関西の民間企業が運営を委託された軽症者療養ホテルや、重症者専門病院でも働いた。
軽症者用ホテルではリーダー格だったこともあり、月給は45万円ほどになった。
他の県の軽症者療養ホテルで働く看護師を募集する人材会社のサイトを見ると、時給2000円台が多いが、中には九州で時給5000円台、日給4万円台というものもある。
軽症者用ホテルの仕事はどこも、1日数回の電話による体調確認などが主な仕事だ。

仕事内容の割に報酬もいいため、派遣会社を通じて募集に応じた看護師が全国から集まっていて、「いろいろな立場や考えの人がいて、人間関係には苦労した」(Aさん)というが、逆に人間関係のしがらみも少ないので、辞めたければすぐ辞められるともいう。
もともといる看護師のほうが待遇が低くなる 一方で、「病院でもともと働いていた看護師は辞めたくても辞められず、私が応援で入った病院では、辞める順番待ちをしていました」とAさんは明かす。

今春、ちょうど第3波が落ち着きを見せる頃には、あるコロナ専門病院で働いていた。
求人情報を見ると時給は4200円〜5000円台。
仮に時給5000円として、1日8時間、月20日働くと月80万円もの収入になる。
この自治体の公立病院の看護師の給与を見ると、4大卒の基本給が月約22万円。もちろんボーナスや各手当はあるとしても、そのボーナスなどがコロナ患者を受け入れたことによって経営が悪化し、カットされている医療機関は少なくない。

昨年、病院が示した夏のボーナスゼロに看護師400人が一斉に退職の意向を示したという東京女子医大のケースは記憶に新しい。
国からはコロナの重症・中等症患者を診る病床に対して1日4万1000円の補助のほか、医療従事者に対する特別給付金も支給されているが、その額は決して十分とは言えず、給付の遅れが経営悪化に拍車をかけている(新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況の調査)。
同調査によると、調査に応じた約4400病院のうち、2020年冬季ボーナスを満額支給できた病院は約6割にとどまっている。 そこに今、さらに医療従事者たちを戸惑わせる事態が起きている。
それが、ワクチン接種に従事する看護師の大量募集だ。
求人情報を検索すると、東京23区の場合、日給1万5000円〜3万円。
東京・大手町の大規模接種会場の日給(9時〜17時)は3万円だ。
「7月末までに高齢者すべてにワクチンを」の政府の掛け声に自治体も翻弄されているが、課題はワクチンの「打ち手不足」問題。
その解消のためにもワクチン接種に従事する看護師の報酬が高止まりしているのだ。
日給3万円の「ワクチン仕事」に看護師が流れる 6月に入り、Aさんも1日、ワクチン接種の看護師を募集する派遣会社を通じて、接種業務を経験した。
1日約400人を5ブースに分けて接種をする会場で、会場には接種を担当する看護師が5人、ワクチンを希釈する看護師が3人、接種後に体調不良が起きないか観察する看護師が2人という構成で、役割は午前と午後で交代したという。
この会場の日給は2万円。この条件の派遣会社のサイトを確認すると、10月末ごろまでの応募がすでに「募集終了」となっていた。
Aさんが接種を体験した会場にはコロナ病棟をやめてきていた看護師もいたという。

Aさんはこう話す。
「もちろんワクチン接種は大事で、多くの看護師が必要なことはわかります。
でも一方で、1年以上コロナ病棟で働く人たちの待遇はまったく改善されておらず、休みさえ十分に取れていない。
まだまだ重症病棟や高齢者施設では日々亡くなっていく人もいる厳しい状況で、ここで働く人たちの待遇改善は急務です。
もちろんコロナ禍で、失業したりしている人のことを考えれば、仕事があるだけでもありがたいです。
でも一部の職種だけがバブルのようになるのではなく、看護師全体の待遇の底上げをしてほしい」
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月16日

1回目接種の施設で集団感染

1回目接種の施設で集団感染
2021年06月15日  TBS

 静岡市は、1回目のワクチン接種を済ませた高齢者が入居するグループホームでクラスターが発生したと発表しました。

 「1回目の接種直後は抗体が増えるのではなく免疫力が下がるらしい、その間に感染リスクは高まる」(静岡市 保健予防課 杉山智彦課長)

 静岡市は、市内の高齢者グループホームできょうまでに入居者3人と職員2人のあわせて5人の感染が確認されたため、クラスター発生と認定しました。

このグループホームでは、今月2日に入居者と職員あわせて33人全員が1回目のワクチン接種を受けていましたが、9日に職員が発症したのを最初に、感染者が増えていきました。

 市はワクチン接種からある程度の時間が経過しないと抗体が十分に作られないとして、ワクチンを打ったとしても、しばらくはマスクなどの感染対策を続ける必要があると注意を呼びかけています。
        (15日17:10)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月17日

梅雨時の頭痛・メンタル不調はなぜ?「6月病」を防ぐ4つのポイント

梅雨時の頭痛・メンタル不調はなぜ?「6月病」を防ぐ4つのポイント
2021.6.16  Diamondオンライン
池井佑丞:医師

関東甲信地方でついに梅雨入りが発表された。
じめじめとした天気が続くと、「何だか体の調子が悪く感じる」「気分が憂うつ」という人も多いのではないだろうか。
今回は、梅雨時に起こりやすい体調不良の要因と、予防する上でのポイントを解説する。(医師 池井佑丞)

梅雨時に感じる 体調の悪さ…原因は?
 6月に入り、気温と共に湿度の上昇を感じるようになってきました。
西日本は歴史的な早さで梅雨入りした一方、東日本では梅雨入りが例年より遅れていた今年。
6月14日、関東甲信地方でついに梅雨入りが発表されました。

 日本気象協会が行った調査によると、男女300人のうち75%の人が、梅雨を「嫌い」と回答したそうです。
 その理由の中には、  
・憂うつになる、ストレスがたまる  
・体調が悪くなりやすい  といった心身の不調に関するものも見られます。

 読者の方にも、はっきりとした体調不良はなくても「梅雨時はなんとなく具合が良くないな」と感じている方は多いかと思います。
 まだ医学的に解明はされていませんが、「気象病」という概念に注目が集まり始めています。
「気象の変化によって症状が起きる、または悪化する」といった状態を総称した言葉です。

 実際、大学生を対象としたある調査では、天気が悪い日に「頭痛」や「体のだるさ」といった気象病の症状があると答えた人が全体の44.2%であったという結果が出ています。
また、そのうちの79.2%の人は、天気が回復すると症状も回復すると回答しています。

 そこで今回は、梅雨時によく見られる疾患や体調不良に焦点を当てていきたいと思います。

自律神経の乱れが影響した頭痛も 梅雨時でも熱中症に要注意!
「気象病」の症状としては、「頭痛」を訴える方が最も多いことが分かっています。
気象と頭痛の関係性はまだ全て明らかになってはいませんが、気圧の変化などによって自律神経が乱れ、その結果頭痛が引き起こされると考えられています。
 現在、気圧の変化は「内耳」で感じ取っているということが分かってきており、研究が進められています。
また梅雨時は雨の日には涼しく、合間に晴れるときには蒸し暑いといった「寒暖差」が大きいことも、同じく自律神経に影響する要素となります。

 自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあり、
交感神経が優位になると脳血管が収縮、逆に副交感神経が優位になると脳血管が拡張するのですが、梅雨時には気圧や気温の変動によるストレスで交感神経が活発になり、脳血管が収縮したり筋肉が硬くなったりすることで頭痛が起きやすくなると考えられます。
 さらに交感神経が活発な状態が続けば、エネルギーの消費や筋肉のこわばりから、疲労やだるさを起こすこともあります。

 また、梅雨時にも注意しておきたいのが、熱中症です。
 昨年の6月から9月の間で、全国で約6.7万人もの方が熱中症により救急搬送されました。
その大部分は8月に集中していますが、6月だけで見ても全体の1割近くに当たる6336人が搬送されており、熱中症対策はこの時期から大変重要であることが分かります。
 梅雨時に起こる熱中症には、次に挙げる要因が深く関わっていると考えられます。
 気温は、春から真夏に向けて徐々に上昇していきます。
この変化に人の体は無意識に対応し、少しずつ高い気温に順応していくようになっています。
しかし、梅雨の時期は寒暖差が大きく、急に気温が上がってしまうことがあります。
そうすると、体はすぐに順応することができず、熱中症を起こしてしまうリスクが高くなるのです。

 今年の梅雨は全国的に平年並みかそれ以上の気温になると予測されていますから、天候による温度差には特に注意が必要です。
 また、コロナ禍によって外出の機会が減っている今、空調の効いた室内で多くの時間を過ごしている方も多いと思います。そういう方は、気温の変化を感じることが少ないでしょうから、梅雨時を過ぎてからもなおのこと注意が必要です。

 熱中症を引き起こす環境要因は「気温の高さ」だけではありません。
 環境省が「熱中症予防情報サイト」で発表している「熱中症警戒アラート」は、気温に加え、湿度や周辺の熱環境を取り入れた「暑さ指数(WBGT)」を採用しています。
「湿度の高さ」も熱中症を引き起こす重要な要素となっているのです。
 気温が上昇して体温が上がると、体は熱を逃がすために汗をかきます。
汗が蒸発する際の気化熱を利用して体温調整を行うわけですが、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなってしまうので身体に熱がこもり、熱中症のリスクが高まってしまうのです。
体温が下がらないと、体はさらに汗をかいて体温を下げようとするため、脱水のリスクも高くなります。

環境変化+気象変化による 「6月病」に要注意
 天候の悪い日が続くと、気が滅入りますよね。
冒頭にご紹介した調査で梅雨時に「憂鬱になる、ストレスがたまる」と回答した方は全体の3分の1ほどに上りました。
誰でも感じる当たり前のこととも言えますが、梅雨時のストレスはメンタル不調に発展しやすいと考えられます。

「5月病」は皆さんご存じでしょう。
新年度で進学や就職、異動や転勤など、環境の変化を迎えた方が、そのストレスによりメンタル不調を起こしがちなのが、5月頃だと言われています。
 そして、最近は「6月病」という言葉を聞くことも多くなってきました。
上記の環境変化に6月の天候不良が重なった結果、不調が長引いたり、悪化したりしてしまうことがあるのです。

前述の通り、気圧の変化や湿度の上昇が引き起こす自律神経の乱れによるストレスや体調不良も、メンタルリスクを高める要因となっています。
 そして5月病や6月病は慢性化したり、さらに悪化したりしてしまうと適応障害やうつ病へと進行してしまう可能性があります。

梅雨時の不調を防ぐ すぐに実践できる四つのポイント
 これらの体調不良を予防するためには、気候の変化にうまく順応していくことが重要です。
そのために簡単に実行できる方法をいくつかご紹介します。

(1)ゆっくり湯船につかる
 気圧変動や湿度による自律神経の乱れを予防するには、湯船にゆっくりと浸かることがおすすめです。
このとき、熱いお湯だと交感神経が刺激されてしまうので注意してください。
 就寝30分〜1時間ほど前に入浴し、上昇した体温が下がるタイミングで眠りにつくと良く眠れます。
入浴〜就寝のリズムを作ることで、自律神経の切り替えがなめらかに行えるようにしましょう。

(2)汗をかく
 涼しい日が続いた直後に気温が上がった場合、体がうまく汗をかくことができず、熱が体にこもってしまうことがあります。
日ごろから汗をかく習慣を身に付けておくと良いでしょう。
普段スポーツやトレーニングで汗をかいているという方は、そのままの生活を続けましょう。
 普段運動をしない方は、「入浴時に汗をかく」というのが取り組みやすいでしょう。
この場合には熱いお湯がおすすめです。
そのため、就寝直前の入浴は避けてください。
毎日ではなく週に1〜2度取り組むだけでも効果があります。
 ただし脱水状態になる危険もあるため、合わせて水分補給を行うことも重要です。
汗が蒸発しにくく体温が下がらない場合、さらに汗をかいてしまうので、のどの渇きを感じなくてもこまめに水分を摂りましょう。

(3)日光をあびる
 梅雨の時期、外出を嫌って引きこもりがちになってしまう方も多いかと思いますが、メンタルバランスを整えるには午前中5〜15分程度の時間、日光を浴び、セロトニンの分泌を促すことが必要です。
曇りや雨の日でも、外出をすれば屋内の倍以上の照度の光を浴びることができます。
 また、セロトニンは目から光を取り込むことで生成が促されると言われていますので、外に出られない時には窓の外をよく眺めるなど工夫をすると良いでしょう。

(4)通常の活動量・活動リズムを保つ
 睡眠時間の変化や活動量の低下、外出頻度の減少などはメンタル不調の原因となります。
 例えば、1日当たりの歩数が4000歩を下回るとメンタル不調のリスクが高まることが分かっています。
睡眠時間が6時間を下回ったり、9時間を超えたりするとメンタルに悪影響を及ぼすという調査結果もあり、毎日決まって7〜8時間の睡眠を取り続けることが望まれます。
 これはコロナ禍の自粛生活にも同じく言えることですが、外出のできない日にも、規則正しく活動的な生活を送るよう心掛けることが何より大事なことです。

これら四つのポイントを心の片隅に置き、梅雨を乗り切っていただければ幸いです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(3) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月21日

ワクチン接種直後196人死亡で考える「打つべき人」と「打たないほうがいい人」

ワクチン接種直後196人死亡で考える「打つべき人」と「打たないほうがいい人」
6/20(日)  NEWSポストセブン

 7万2000人に1人──その数を多いと感じるか、少なく感じるかは人それぞれだが、これが新型コロナウイルスワクチン接種後に亡くなった人の割合である。
ワクチン接種が前倒しスケジュールで進む中、いま一度、「メリット」と「リスク」を考えるべきときだ。

 新型コロナウイルスのワクチン接種が加速し、「1回目」を終えた65才以上の高齢者は3割に達した。
東京と大阪の大規模接種会場では予約の空きが目立つようになり、6月17日から18〜64才への接種が始まる。
また、これから先、各市区町村でも各自の裁量で64才以下の接種が始まっていく。
 たとえば若年層の感染者が多い東京・新宿区は20〜30代の予約を優先する。
沖縄や奈良など観光が盛んな地方では、宿泊業や飲食店の従業員を優先する動きがある。

小池百合子東京都知事は「暮らしに直結するエッセンシャルワーカーにいち早く接種させていただく」との方針を打ち出した。
 だが、国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんは、「年齢」や「職業」による優先順位の割り振りに異を唱える。
「重要なのは、年齢や職業をひとまとめにして優先順位を決めるのではなく、個々の持病や副反応を考慮して、接種を判断することです。
 ワクチン接種は個人の状況に応じた『メリット』と『リスク』があります。
仮にワクチンを打たずコロナに感染するとして、自分は重症化したり死んでしまう可能性が高いと判断するなら、多少の副反応のリスクがあっても、接種して感染をできるだけ避けるというメリットを選ぶことが賢明です。

 一方で、ワクチンを打つことで命にかかわる副反応が生じるリスクがあると予測できれば、接種しないという選択肢が出てくる。
そうした可能性を突き詰めて、“長所が短所を上回るかどうか”をしっかり見極める必要があります」(一石さん)

 ワクチンを打つべきか、打たざるべきか──その境目はどこにあるのか。
厚生労働省が優先接種の対象として指定するのが「基礎疾患」を持つ人だ。
 厚労省のリストでは、「慢性の呼吸器の病気」「慢性の心臓病・腎臓病・肝臓病」「血液の病気」「睡眠時無呼吸症候群」など15項目の基礎疾患が指定されている。
血液内科医の中村幸嗣さんが指摘する。
「たとえばヘビースモーカーで咳が頻繁に出る人は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)という慢性の呼吸器の病気が疑われます。肝機能を示すγ-GTPの数値が悪ければ、アルコール性肝炎や慢性肝炎に該当する可能性があります。
いびきがひどい人が受診すれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されて、地域によっては優先接種の対象になるかもしれません」

 医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんが「優先接種すべき」と指摘するのは次のような人たちだ。
「ワクチンを早めに打つべきなのは、コロナに感染すると重症化しやすいと考えられる人です。
たとえば免疫不全の人がコロナにかかると免疫が働かずに重症化しやすいし、糖尿病や肥満なども血管がもろくなっていて、ひとたび感染したときの危険性が高くなる。
コロナは一律に重症化したり、死亡したりする病気ではないので、重症化するリスクが高い人ほど早めに接種した方がいい」

 意外な研究結果もある。
慶應大学らの共同研究グループによれば65才未満で血液型がAB型の人は重症化リスクが高く、リスクが最も低いO型に比べて1.6倍高かった。
 欧州20か国を対象とし、精神医学誌「ランセット・サイカイアトリー」に掲載された調査では、統合失調症や双極性障害など精神疾患を抱えている人は、コロナ感染による死亡率が1.5〜2倍になった。
研究者はその結果から、「精神疾患の患者はワクチン接種を優先すべき」と訴える。

気をつけるべき人は小柄な女性
 逆に副反応リスクが高いのはどういう人だろうか。
 日本では、2月17日から6月4日までにワクチンを接種した約1412万人のうち、196人が死亡。
割合にすると、7万2000人に1人がワクチン後に亡くなったことになる。
厚労省が分析を行った139例の死因トップは出血性脳卒中(31件)で、以下、心肺停止(19件)、心不全(17件)が続いた。
 死亡者のタイプでは、心房細動や腎不全、脳梗塞などを有する人が目立つ。
「厚労省は接種に際し、『心臓、腎臓、肝臓、血液疾患などの基礎疾患がある人は注意が必要』と指摘しています。
実際に心臓や腎臓、肝臓などの主要臓器に重篤な疾患を長期間患っている人は、外からはわからないが血管などの状態が悪化していることがあり、突然死のリスクが高く、ワクチン接種に伴うストレスが引き金になる可能性もあります」(中村さん)

 5月28日には、兵庫県神戸市の73才女性がワクチンを打った後に容体が急変。
呼吸が荒くなり緊急搬送されたが、病院に着いたときにはすでに心肺停止状態だったという。
接種から3時間半あまりで死亡した。
女性には、15年前から糖尿病の持病があった。

 この女性のように、糖尿病や高血圧、高脂血症や肥満などの生活習慣病を持つ人が死亡するケースも数多い。
「生活習慣病があると、動脈硬化が進んで血管にダメージが蓄積します。するとワクチン接種による免疫反応性の炎症によって出血や血栓が生じやすくなり、副反応のリスクが高まると考えられます」(中村さん)
 不整脈や血栓症などに処方されるワーファリンをはじめとする「抗凝固薬」、いわゆる「血液をサラサラにする薬」を服用している人も要注意。
「それらの薬を服用している人は、血管からの出血が止まりにくくなります。
たとえばワクチンによる免疫反応によって毛細血管から出血するようなことがあれば、止まらないと脳出血などのリスクが高まります」(中村さん)

 4月2日には、前日に2回目のワクチン接種を受けた62才男性が自宅の浴槽で意識を失って死亡した。
 男性は肥満体形で糖尿病を患っており、血液をサラサラにする抗血栓薬を服用していた。
死因は入浴中の「溺死」だったが、接種により血管性の疾患が生じた疑いがある。
 持病や薬の服用のほかに、上さんが注目するのは「ワクチンの量」だ。
「日本人は欧米人より体が小さいのに同じ量のワクチンを打ちます。
日本人女性の平均体重は45kgで、アメリカ人男性の平均体重90kgとは2倍の差がありますが、接種するワクチンの量は同じです。
日本は欧米に比べて高齢者の死亡例が多い印象ですが、ひょっとするとワクチンの量が関係しているかもしれません。
特に小柄な女性は注意した方がいい」(上さん)

 亡くなった196人のうち103人が40才以上の女性で、同男性の約1.2倍だった。
 死までにはいたらない副反応も女性に多い傾向がある。
国内では5月2日までにアレルギー反応を示すアナフィラキシーが起きた107人のうち、実に99人が女性だった。
 海外も同様で、アメリカのCDC(疾病対策予防センター)が約1380万回分の接種データを分析したところ、接種後に副反応を訴えた人のうち78.7%が女性で、スイスでも副反応が出た597例のうち68.7%が女性だった。

「20〜30代の女性の50%は、2回目の接種後に37・5℃以上の発熱があるとのデータもあります。
接種時の状態によって過呼吸などの症状が出やすくなることも報告されています。
 原因としてまず考えられるのは、エストロゲンやプロゲステロンなど女性ホルモンの影響です。
女性はホルモンバランスが一定でなく浮き沈みがあるため、どうしても精神的にやや不安定になるためでしょう。
 また、化粧品に含まれるポリエチレングリコール(PEG)はファイザー製とモデルナ製のワクチンに含まれます。
過去に化粧品を通じて長くPEGと接触していると接種時にアレルギー反応が生じてアナフィラキシーが発症する可能性があります。
あくまで仮説ですが、化粧品にかぶれやすい人は気をつけた方がいいかもしれません」(中村さん)

一石さんは「やせ型の若い女性」のリスクを指摘する。
「注射時の緊張や恐怖により、心臓や血管の働きを調節する副交感神経が過剰に働いて心臓の動きが弱くなり、脳への血流が減少する『血管迷走神経反射』が生じる可能性があります。
若くやせ型の女性で起きやすいとされ、立ち眩みのように倒れてけがをする危険性があります」

 子供へのワクチン接種も、国論を二分している。
 いままでの日本においてのコロナ感染による死亡者は、60代以上の1万人超に対し、10代の死者はゼロだ。
 12〜15才への集団接種を始めた京都府伊根町に「人殺しに加担している」と批判が殺到。
岡山県総社市も小・中学生への集団接種を予定していたが批判が集まったため取りやめ、個別接種に切り替えた。

 上さんは「10代の接種の意義はある」と指摘する。
「この先は国内の流行が変異株であるインド株に急激に置き換わると考えられます。
インド株は若年層でも多く感染して重篤化する可能性がある。
若年層から上の世代に感染を広げていくリスクもあるため、10代からワクチンを接種して感染拡大を食い止めることは合理的です」(上さん)
 小・中学生の接種は保護者の同意が前提となるので、「メリット」と「リスク」をしっかり考えたい。

 ワクチンを接種すべきかどうかは個々の状況で異なる。
特に持病がある人は、判断に迷うかもしれない。
その場合は、専門家に相談するのがベストだ。
「接種の際に不安な点があれば、まずはかかりつけ医に相談すべきです。
かかりつけ医がいない人は、これまでの病歴がわかる資料やお薬手帳などを持参して、ワクチン接種会場の問診医に尋ねてみてください」(一石さん)

 メリットとリスクを天秤にかけて最適の選択をしたい。

   ※女性セブン2021年7月1・8日号
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月24日

幸せを感じられなくなったときの心の処方箋

幸せを感じられなくなったときの心の処方箋
私たちの幸せは“自由”にある
2021.6.23 Diamondオンライン
クルベウ 藤田麗子

季節の変わり目。急な気温の変化に、心身に疲れが出やすくなる人も多い。
寝ても疲れが取れない、ちょっとしたことですぐ不安になる、自分だけが取り残されているように感じる……という人にぜひ読んでほしいのが、2021年4月14日に発売後、ネット書店、リアル書店で売り切れが続出、発売1ヵ月半で5刷重版が決定した『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(クルベウ著 藤田麗子訳)だ。

原著は韓国で2020年7月に発売。発売後5ヵ月で6万部を突破し、韓国の大手書店でもベストセラーランキング入りしている。
日本の読者からは「このタイトルは私そのもの」「すべての文章が刺さった」「大切な人にプレゼントしたい」と共感・絶賛の声が相次いでいる。
著者のクルベウ氏は事業に失敗し、自分を励ますためにSNSに投稿していた癒しの言葉が多くの共感を集め、2015年に作家デビュー。
処女作『心配しないで』はBTSのファン感謝イベントでJ-HOPEから「メンバーのJINにおすすめしたい本」として紹介され、ファンの間で「BTSおすすめの作家」として話題に。
クルベウ氏は韓国では著書累計55万部を突破するなど、「韓国のSNS作家として一番人気」との呼び声も高い。
「自分らしく、豊かに生きるためのメソッド」が詰まった本書。
今回は、日本版の「私たちの幸せは“自由”にある」から、一部抜粋・編集して紹介する。

「幸せ」を感じる瞬間とは?
「私は氷水が好き」という人でも、とても寒い冬がやってきて身体が冷えれば、氷水を飲まなくなる。
「歩くのが嫌い」という人も、自分の胸を弾ませる恋人と美しい道を歩くときは歩くことが苦痛ではなく、幸せになる。

私たちは“何をしたから”幸せになるのではなく、状況に合わせて、自分の望みが叶えられたときに幸せを感じる。
それを一言で表現するとしたら、「自由」だ。
私たちは自由なときに幸せを感じる。
逆に、自由でいられないときは、不幸だとたびたび考えるようになる。

話したくない相手とやむを得ず会話を続けなければならないときに、「話さない」という自由が選べなければ、不幸だと感じる。
働きたくないのに、働き続けなければならないとき、食べたいものがあるのに食べられないときも、自由が奪われたように思えて、不幸だと感じる。

しかし、自分の求める“自由”があれば、他人の目には大変そうに見えたとしても、本人は幸せだ。
極寒の中でずっと登りたいと思っていた高山に登る人、自分の意志でとても遠くにいる恋人に会いに行く人。
幸いなことに、自由な人生とは誰かに授けられるものではなく、生きていく中で自分が選択できるものである。
誰でも自由に生きる権利を持っているのだ。

今こそ「自由」を選択しよう
しかし、自由に生きることを阻む思考がある。
「私はみんなと同じじゃないといけない。 他の人々に後れを取ったり、ちがうことをしてはいけない。 そうしないと、間違った人生になってしまう」 こんなふうに考えていては、自分らしく自由に生きることはできない。
「過去の誰かのせいで、あるいは、過去の出来事のせいで私は不幸だ」 こんな考えもまた、あなたの“現在”から自由を奪う。

過去にとらわれていると、現在を自由に生きることができず、何1つまともにできなくなってしまう。
「私は何をやってもダメ。もう遅い。私にできるわけがない」と、自分で自分の限界を決めてしまう思考のクセもあなたの自由を阻む。
それは、広大な土地にとても小さな円を描き、そこから出てはいけないと自分に言い聞かせて、その中だけで生きていくようなものだ。

あなたの自由は誰かに授けられるものではなく、誰かの許可によって発生するわけでもない。
「今の選択」によって決まる。
何もかも自分の望みどおりにはならないとしても、ずっと自由がなくて不幸だという気がしているのなら、今までもどかしさに苦しんできたのだとしたら、今こそ、これまで選べなかった自由を選択すればいい。
どう進めばいいのか、人生の方向性がわからなくなったら、「自由」に向かって進んでみよう。

(本原稿は、クルベウ著 藤田麗子訳『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』から一部抜粋・改変したものです)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月25日

2022年、高齢者医療費負担が2割に上昇!慌てる前に確かめるべき「実態」

2022年、高齢者医療費負担が2割に上昇!
慌てる前に確かめるべき「実態」
2021.6.25 Diamondオンライン
早川幸子:フリーライター

医療制度改革関連法の成立により2022年から、現在医療費の窓口負担が1割だった後期高齢者の一部の負担が、2割に引き上げられることになった。
是非を巡りさまざまな議論がなされているが、その引き上げの“実態”はどうなるのか。
連載「知らないと損する! 医療費の裏ワザと落とし穴」の第224回では議論に紛れて見落とされがちな「高齢者医療費の値上げの実態」について取り上げる。(フリーライター 早川幸子)

75歳以上の高齢者、医療費の窓口負担が2割になるのはどんな人?
 6月16日、第204回通常国会が閉幕した。
今回は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「改正新型インフルエンザ特措法」、憲法改正の国民投票を行うための「改正国民投票法」などの61本の法案が成立した。
医療分野では「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(医療制度改革関連法)」が、6月4日の参議院本会議で可決、成立した。

この法改正で、耳目を集めていたのが、75歳以上の高齢者の医療費の自己負担割合をめぐる問題だ。
いわゆる「医療費2割負担法」である。
 決着までには、診療側と支払い側、双方の論戦が繰り広げられたが、引き上げ対象の範囲で政治的な駆け引きが行われた末に、関連法は成立した。

 2022年は、いわゆる「団塊の世代」の先頭集団が75歳となり、後期高齢者の仲間入りをする年である。
そのため、現役世代の健康保険料から負担する後期高齢者支援金の増加が見込まれている。
そこで、22年10月から、75歳以上でも一定以上の所得がある人の医療費の自己負担割合を、これまでの1割から2割に引き上げることになったのだ。
 実際には、どのような人が引き上げ対象となったのだろうか。
次ページから詳しく見ていこう。

*22年から自己負担が2割に増えるのは、本人年収200万円以上の後期高齢者
*激変緩和措置の導入によって25年までの3年間は負担増が最大月額3000円に
*高額療養費制度により外来での自己負担は月1万8000円が上限
*負担増対象者は約370万人で1人当たりの平均自己負担額は年間2万6000円の増加に

現役世代への負担軽減目指し全世代負担型に移行 でも対象は「一定以上の所得がある人」のみに限定
 近年の医療制度改革は、13年8月に出された「社会保障制度改革国民会議」の報告書で描かれた青写真に沿って行われている。
この報告書では、「給付は高齢世代中心、負担は現役世代中心」という負担と給付の関係を見直して、「全世代型の社会保障に転換する」という方向性が示されている。
 高齢者に対する福祉は高度経済成長期に公的な年金保険や健康保険が整備されることによって充実してきた。
その一方で、90年代以降、雇用環境の悪化によって若い世代にも貧困が見られるなど、負担と給付のあり方が問題になっているからだ。

 そこで、ここ数年の改革では、従来のように一律に年齢で区切るのではなく、高齢者でも一定以上の所得がある人には、相応の負担を求めるような見直しが行われている。
 ただし、前出の報告書では、同時に「低所得層への配慮」という言葉も繰り返し使われている。
また、75歳以上の人の医療費の窓口負担について言及した、19年12月の「全世代型社会保障検討会議」の中間報告書では、次のように、具体的な方向性が示されている。

後期高齢者の自己負担割合の在り方 (中略)

・後期高齢者(75歳以上。現役並み所得者は除く)であっても一定所得以上の方については、その医療費の窓口負担割合を2割とし、それ以外の方については1割とする。
・その際、高齢者の疾病、生活状況等の実態を踏まえて、具体的な施行時期、2割負担の具体的な所得基準とともに、長期にわたり頻繁に受診が必要な患者の高齢者の生活等に与える影響を見極め適切な配慮について、検討を行う。

 このように、医療改革を進めるための国の文書では、低所得層に配慮することが示されている。今回の見直しも、75歳以上の全ての人の窓口負担を引き上げるのではなく、一定以上の所得がある人のみに限定された。

適用範囲は利害関係者の攻防の末 年収200万円以上で政治決着した
 現在、75歳以上の後期高齢者の医療費の自己負担割合は、原則的に1割だ。
ただし、年収383万円以上(単身者、課税所得145万円以上)の現役並み所得者は、すでに3割を負担している。
 今回、自己負担割合の引き上げ対象になったのは、これまで1割負担だった人の中で、所得が上位に位置する人だ。
 引き上げ議論の争点となったのは、対象にする人の年収ラインで、厚生労働省が20年11月19日の社会保障審議会(医療保険部会)で示したのが、次の五つの選択肢だ。

1は、本人の年収240万円以上で、介護保険の2割負担の対象者の割合と同じで、約200万人が対象。
2は、70〜74歳の平均収入額を上回る水準の人で、約285万人が対象になる。  
3は、平均的な収入で算出した年金額を上回る水準で、約370万人が対象。  
4は、本人に所得税の課税対象となる所得がある水準で、約520万人が対象。  
5は、本人に住民税の課税水準を超える所得がある人で、約605万人が対象。  

この案が示された後も、利害が対立する人々の間で意見が割れた。医療団体などの診療側は、患者が受診を抑制することを懸念して、できるだけ引き上げ適用の範囲を狭めるように求めていた。
一方、後期高齢者制度への支援金を抑えたい健保組合などの支払い側は、原則2割負担を提案した。
また、この秋に衆議院議員選挙を控えていることもあり、政府与党内からも有権者に配慮して適用範囲を広げない声が聞かれた。
だが、最終的には、与党内での話し合いで、3の平均的な年金水準である本人年収200万円以上のラインが採用されて政治決着した。

 では、75歳以上で窓口負担が2割となる所得水準と、具体的な負担増のイメージを確認してみよう。
激変緩和措置の導入によって 3年間は負担増が最大月額3000円に  75歳以上の人が、2割負担になるかどうかの線引きは、「所得」と「収入」の二つで判断される。  まず、所得は、年金や勤務先からの給与などの合計から、必要経費や各種控除を差し引いた課税所得が28万円以上あるかどうかを確認する。
課税所得が28万円未満なら、1割負担のままだ。
 課税所得が28万円以上でも、全ての人が2割負担になるわけではない。
 課税所得のほかに、収入にも判断基準があり、単身者は年収200万円以上が引き上げライン。夫婦2人など、75歳以上の人が2人以上の世帯は、収入の合計が320万円以上になると2割負担になる。
 ただし、激変緩和措置として、22年10月から3年間は、外来(通院)での窓口負担の増加額が最大でも月額3000円までに抑えられることになっている。
 例えば、1カ月当たりの医療費が5万円の場合、1割負担だと窓口で支払う自己負担額は5000円。2割負担になると、自己負担額は1万円となり、これまでより5000円負担が増えることになる。だが、25年10月までは経過措置によって、負担が増えた5000円のうち、患者が支払うのは3000円までになる。実質的に負担するのは8000円なので、当面は、通院の医療費が単純に2倍になるわけではない。

 さらに、今回の引き上げ対象となる所得層には、高額療養費に通院のみの上限額(外来上 高額療養費は、1カ月に患者が支払う自己負担額に上限を設けることで、医療費が家計に過度な負担とならないように配慮した制度だ。手術や化学治療などを受けて医療費そのものが高額になっても、自己負担するのは一定額までで、通常の負担割合より少ない額になる。
 75歳以上の人の高額療養費の限度額は、所得に応じて6段階に分かれているが、今回の引き上げ対象となった年収200万〜383万円(単身者の場合)の人には、入院(世帯単位)の限度額とは別に、外来のみの限度額が設けられている。

 この所得層の人の外来上限特例は、月1万8000円(年間上限14万4000円)が限度額となっており、どんなに医療費が高額になっても、外来で自己負担するのは月1万8000円までだ。  例えば、1カ月にかかった外来の医療費が15万円だった場合、単純に計算すると、1割だと自己負担額は1万5000円。2割になると3万円になると思うかもしれない。だが、このケースでは、外来上限特例が適用されるので、自己負担するのは1万8000円まででよい。

 厚生労働省の試算では、今回の見直しで2割負担となるのは約370万人で、全体の23%。
1人当たりの平均自己負担額は、年間2万6000円の増加となっている。
 病気やケガをするのはつらいことだし、そのための医療費が増加するのも喜ばしいことではないだろう。
だが、経過措置や高額療養費があるので、自己負担割合が1割から2割に引き上げられても、単純に医療費が2倍になるわけではない。

 負担増に対する備えは必要だが、対象となるのは一定の年金収入が見込まれる人なので、年間2万6000円程度の増額なら、家計を見直せば、なんとか捻出できる金額ではないだろうか。  高齢者の自己負担割合の引き上げについて、不安をあおるような報道も見かけるが、見直しの内容を正しく理解したうえで、自分はどのように医療費に備えるかを考えたい。
posted by 小だぬき at 08:21 | 神奈川 ☁ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月30日

ワクチンは人体実験、皆殺し作戦…永田町「反ワクチン集会」彼らの主張とは

ワクチンは人体実験、皆殺し作戦…
永田町「反ワクチン集会」彼らの主張とは
2021年06月29日 SPA!

◆拍手に包まれた永田町「反ワクチン集会」詳報
「新型コロナワクチンに警鐘を鳴らす医師と議員の会」による記者会見が6月24日、東京都千代田区の参議院議員会館で行われた。
会見前には医師390人、地方議員60人の計450人による「接種中止を求める嘆願書」が厚生労働省に提出された。
質疑応答も含めておよそ2時間弱。
ワクチンの危険性を訴える“過激派”が集まった記者会見をリモートで視聴した。

 議員として筆頭に名を連ねたのは日野市議会議員の池田利恵氏。
全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会で活動、ワクチン忌避の急先鋒として有名な人物だ。
会見は終始、池田氏の軽妙な司会で進んだ。

 発起人は「クリニック徳」(名古屋市)の高橋徳医師。
ウィスコンシン医科大学名誉教授の肩書きで、ネット上の反ワクチン論者からよく名前が挙がる。
同医師のクリニックは「波動医学」「(オーラを浄化し強くする)スピリチュアルヒーリング」などを推奨している。
 高橋医師は会見の冒頭で、今回のワクチンとインフルエンザワクチンの接種後の死者数の比較などを紹介。「ワクチン接種後」と「ワクチンが原因」は意味が違うのを医師なら知っているはずだが、そうした説明はあえて飛ばしたのか。
会見を通じ、高橋医師の「接種後に356人死んだ」「ワクチンは有害無益である」との主張がメインとなり、登壇者から投げかけられた。

 高橋医師と並んで会の中心となっているのは中村篤史医師。独自栄養学による代替医療「オーソモレキュラー」で診察をするナカムラクリニック(神戸市)の院長だ。
SNSでワクチン忌避を煽る寄稿を続け、その界隈の支持を集める存在である。

◆「ワクチンは人体実験だ」と述べる市議会議員
 中村医師はスライドを使い、mRNAワクチンの仕組みを解説。
「リスクが少ないと言われるが、これだけ亡くなっている」と高橋医師に同調し、「(死亡例には)ちゃんと理由があってメカニズムも分かっている」と分析に自信を示した。
問題ないと報告されている妊婦の接種についても、米国疾病予防センターの有害事象報告(VAERS)を引用し、その中からワクチン接種後に流産したという個人の訴えを一つひとつ紹介。
さらに、接種者の母乳を飲んだ赤ん坊が「頭からつま先までぶつぶつだらけになって治療後に死んだ」などと伝えた。

 中村医師はこれら全てをワクチンが原因だと疑っているようだ。
健康な妊婦でも流産は一定の割合で起こり、乳幼児の発疹や突然死症候群などもよくあるようだが、そういった説明はなかった。

 メンバーのど真ん中に座り、ひときわ発言力があったのは谷本誠一呉市議会議員だった。
ハキハキと通る高い声で、「(厚労省が)コロナ死の水増しを公文書で支持した」「(厚労省はPCR陽性とコロナ死の関係については)答えようがない。
はっきり答えたら矛盾が暴露され、政権が吹っ飛んでしまうからだ」などと持論を展開。

 多くのファクト・チェックによって否定されている「治験が終わっていない」という説や、陰謀論混じりの「作られたパンデミック」も堂々と述べた上で、「国民は人体実験の対象」として「即刻、このコロナワクチン接種事業を中止ではなく、廃止すべきと考えている」と声を上ずらせ、拍手を浴びて演説を締めくくった。
根拠が曖昧なものについては政治家らしく「と、言われても仕方がない」「と、言えるのではないか」などの言い回しが印象的だった。

◆「ワクチンは人類皆殺し作戦である」
 集会は上記の医師と議員が中心だったが、その後ろの席にも医師、歯科医、ジャーナリストらが並んだ。
 中でも異彩を放ったのが、ジャーナリストの船瀬俊介氏。
 司会の池田市議から「この会の統一の見解ではないが、こういう意見もある」と振られて発言を許された船瀬氏は「一言でいえばワクチンは人類皆殺し作戦」「闇の連中が9割人口を減らすと言っている」「奴らは皆殺しを始めた」などと発言。
さすがに途中で池田市議に「ハイ、ありがとうございましたー。あくまでも個人的な見解です」と止められ、会場からは笑いが起こった。
 そして、終盤の質疑応答。

 同日に河野太郎ワクチン担当大臣が「ワクチンデマについて」とのブログを更新し「医師免許を持っていてもデマを流す人が」と指摘したことを問われ、高橋医師は「厚労省が出したデータに基づいてワクチンは有害無益だと言った。 デマでもなんでもない。出所は厚労省のホームページです」と不機嫌そうに返答していた。
 これに対し池田市議が「デマを流している医者というのはテレビでご活躍されている方々では」と発すると、会場から大喝采が沸き起こった。
池田市議はその流れで、前年度よりも全国の死者数が減ったことを厚労省の資料から紹介し「誠実な数字を誠実に伝えていくことがこの会の趣旨」と語った。

◆「子供と親が率先してノーマスク宣言を」という提言も……
 他の質問では子ども達へのマスク着用の懸念に話が及び、谷本議員が「強制はできないからお子様と保護者がノーマスク宣言をして増やしていけばいい。
ボトムアップで既成事実を作ってひっくり返すしかない」と話してまた歓声を浴びていた。
ワクチン同様にマスクにも懐疑的な集まりだったようで、会見中に着用している人はわずかだった。

 テレビや新聞の記者の出席はなかったのだろうか。
質問者がこの会への感謝の言葉を述べたり、中には「ぜひWHOに代わる組織を」との要望まで飛び出したりしていた。
名乗らずとも多くの人が司会進行に名前を知られていたことも気になった。
ほぼ全員がこの会の主張に初めから賛同しているような空間であり、まるで内輪の集まりのようだった。
 参議院議員会館内でこうした思想的な集会が認可されたことは物議を醸すだろう。

高橋医師は、ワクチン接種中止に関する署名を一般にも広める意向で「何十万と集めて大きな流れにしていきたい」そうだ。  接種を進めたい政府の思惑とは裏腹に、扇動的な「反ワクチン運動」が、奇しくも永田町から始まってしまった様相だ。

<文・黒猫ドラネコ>

【黒猫ドラネコ】
大分県出身。Webライター。
主に怪しいスピリチュアル界隈や信者ビジネスなどを観察し潜入取材も敢行。
赤坂のイベントBar「三代目」に出没します。
Twitter:@kurodoraneko15
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(1) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月01日

ワクチン「打つ・打たない」決める重要なポイント

ワクチン「打つ・打たない」決める重要なポイント
強要されるのではなく、自分で決めるのが大事
2021/06/30 東洋経済オンライン
西村 秀一 : 国立病院機構仙台医療センター
          臨床研究部ウイルス疾患研究室長

新型コロナウイルスの感染予防対策や治療などをめぐっては、さまざまな情報が出回っており、私たち1人ひとりの「リテラシー」も重要になってきている。
デマやフェイ情報に振り回されないためにはどうしたらいいのか。
本稿では、仙台医療センター臨床研究部ウイルス疾患研究室長の西村秀一氏の著書、『もうだまされない 新型コロナの大誤解』から、日本でも急速に進んでいる新型コロナ予防のワクチンについて解説する。

ワクチン接種は自分自身で決めるもの
新型コロナウイルスと上手に付き合っていく覚悟が必要なのですが、具体的にどう付き合うか。
過剰な対策は長続きせず論外ですし、ずっと今の様な状態が続くなんて、正直言ってまっぴらですよね。
ウイルスは進化的には、最終的に病原性は低下していく運命にありますが、今を生きる私たちにそれを待っている余裕はありません。
我々がウイルスに対抗する武器をあげれば、適切な感染管理と治療、そして、今後開発が望まれる薬とワクチンです。
そこで気になるのがワクチンです。

多くの人が問題解決の切り札と位置付けています。
また、世界の中で先行して接種が行われたアメリカ、イギリス、イスラエルで、社会集団での流行がかなり抑えられているとの心強い報告が相次いでいます。

ただ、そこで大切なことは、ワクチン接種は個人に強制されるものではなく、1人ひとりが自分で情報を集めて恩恵とリスクを天秤にかけ、自分自身で決めるものだ、ということです。

ワクチンの恩恵ですが、期待されるのは、感染しにくくなり感染しても重症化しにくくなることです。
それでも、今のところそれが断言できるわけではありません。
恩恵を考える上で考慮すべきポイントがいくつかあります。
かかって苦しんだり死んだりするのが怖いからというのも、あるいは家族をそんな目に合わせたくないというのも十分な視点ですが、他にも1つ大きなポイントがあります。それは自分の生活スタイルです。

例えば接客業など、人と会う機会の多い仕事に就いているような人なら、ワクチンを打つことで得られるメリットが大きくなります。
接種の前と後で、自分の生活がどう変わるかを考えてみるといいでしょう。

ワクチン接種のリスクは?
一方、リスクに関しては、接種後の副反応の不安があると思います。
数種類ある新型コロナのワクチンのうち、日本でも最初に接種が始まったファイザー社やモデルナ社のワクチンは、長くなるので詳しい解説は省きますが、mRNAワクチンという過去にないタイプのものです。
このタイプのワクチンだから、短期間で開発・製造できました。
直後に現れる副反応については、これまで想定されていなかったメカニズムによる副反応があるかどうかや、何年も経ってから体の中で悪さをしないかどうかなどは、今の時点ではどんな専門家にも明言できません。

大きな健康被害になる可能性が、あるともないとも断言できないのです。
ほかにも今の段階でよく分かっていないこととしては、今年の接種の後のことで、

・ 接種したらどのくらい抗体が続くのか
・ ウイルスの変異があったらどうなるのか
・ ワクチンを接種すれば、マスクなしで社会生活を続けられるのか ――といったことがあります。

アメリカのCDC(疾病対策センター)はマスクなしの生活が可能と発表しましたが、本当にそれが可能なら朗報だと思う半面、接種を受けた人たちが本当に他に感染を広めないかどうかについては、まだデータの蓄積を待っているところです。
ただ言えるのは、ある程度の感染の進展は抑えられるということ。
そう思って私も恩恵の方を選んで接種を受けています

仕事柄というだけでなく、こんな鬱々とした生活がいつまでも続くのはごめんだからです。
よりよく生きるために希望は必要です。
気になる副反応について、少し詳しく見てみましょう。

体の中に異物が入ってくれば、それに対して何らかの体の反応が起こります。
免疫ができることはまさにワクチンの目的です。

しかし、望まない反応として「痛み」「腫れ」「発熱」「全身疲労感」「体調不良」「アナフィラキシー」などがあります。このうち最大のリスクはアナフィラキシーです。
起きるとして接種後まもなくで、下手をすれば命に関わる可能性もあります。
アナフィラキシーはワクチンに限らず、さまざまなアレルギー物質で起きる症状でそれに対抗できる薬としてエピネフリン(アドレナリン)があり、すぐ使えば特効的に効くので大丈夫です。
日本でも接種の場にはそれを準備しておくことになっています。
それ以前に、アナフィラキシーが起きないために、接種前の問診でリスクが高ければ知らされます。
また接種後も一定時間は会場にとどまって、アナフィラキシーが起きないか観察も行われます。
万が一、重大な副反応が起きて治療が必要になった場合は、国の予防接種健康被害救済制度が適用され、必要な治療のための費用が支払われます。

副反応を許容するかどうか
アナフィラキシーと対極的な軽い副反応が、接種した部分の張りや痛みです。
これらは何やら悪いもののように扱われていますが、実は体が正常な免疫反応を起こしている証拠だと考えられています。
ワクチンには人工的に軽い炎症反応を起こさせて免疫反応を高める目的で、アジュバントという物質を加えることがありますが、私たちが受けているワクチンにも、意図して加えているわけではないもののそれに相当するものが存在すると考えられており、免疫を活性化させているのです。
腕に現れる局所の反応だけでなく、頻度はそれより低い発熱や全身倦怠などの重めの全身症状が出ることがあるのもわかっていますが、各症状と免疫獲得の程度がどれだけ関連があるかはまだわかっていません。

ただ、それらをワクチン接種回避の理由とすべきか、それとも、抗体を得ることと引き換えに許容するか。
どちらを選ぶかは、接種を受ける人の考え方次第です。
自分で決めるのは勇気がいることです。
それでも、行政に強制されたりや誰かに言われたりしたからではなく、何か起きた時に「自分の意志だから」と言えるだけの覚悟を持つことが大切です。

副反応に関して、過剰にビクつかないために、1つ知っておいてほしい問題があります。

「打った=かからない」ではない
それは「紛れ込みの有害事象」です。
大勢の人がワクチンを接種すると、翌日に亡くなる人が必ず出てきます。
高齢者の接種が増えればなおさらです。
冷静に考えれば、亡くなる人が出ても当たり前だとわかります。
なぜなら、ワクチンとは関係なく日本国内では1日に3800人ほどが亡くなっているからです。
 事故や事件で亡くなる人もいれば、老衰や心筋梗塞、脳梗塞、末期癌などなど、原因は人それぞれです。
慢性疾患で闘病中の人で直前まで元気でも急に亡くなることがあります。
そういった状況の中でワクチン接種が始まると、ワクチンとは無関係でもたまたま接種の直後に亡くなるケースが出てきます。
そうなると、たとえこの現象があることを知っていたとしても、家族からすれば「接種の次の日におじいちゃんが死んじゃった」と、ワクチンとの関係を疑いたくなるものです。
中にはもしかしたら本当に、ワクチン接種が引き金となった死亡例もあるかもし れません。
本当にワクチンのせいなのか、それとも違うのか、その答えを出すのはとても難しい問題です。

ただ、もし「ワクチン接種した人が亡くなった」というニュースを耳にしたら、すぐにワクチンが原因と決めつけて怯えるのではなく、冷静に受け止めてほしいと思います。

最後にひとつ言っておくべきことがあります。
それは、ワクチンも、特に気道上皮で増えるウイルスに対するワクチンの場合は、インフルエンザワクチンを考えればわかりやすいと思いますが、打ったことが必ずしも「もうかからない」ということを意味しません。
実際ワクチンの2回接種を終えた高齢者施設で流行が起きたアメリカの報告があります。
ただ、重症化の阻止には役立っていたとのことですので安心してください。

要は、
@ワクチンを打っても油断禁物 、
A高齢者や免疫力が弱っている人の場合は、効果は低めになりやすいので注意 、
Bよって、高齢者周辺で高齢者を世話する人たちがワクチンを受けることが大事、ということをよく知っておいてください。なお、これらは、すべてインフルエンザワクチンで経験済みのことです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月05日

倉持仁院長が菅首相発言に憤慨「日本においては努力や英知は結集せず。ほぼほぼ自助」「なんの絆かはわかりません」

倉持仁院長が菅首相発言に憤慨「日本においては努力や英知は結集せず。ほぼほぼ自助」「なんの絆かはわかりません」
7/4(日) 中日スポーツ

 東京五輪・パラリンピック開催について、ラジオ番組で改めて意欲を示した菅義偉首相に対し、新型コロナ感染症の診療する宇都宮市のインターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長が4日、自身のツイッターを更新。
「日本においては努力や英知は結集せず。ほぼほぼ自助」と憤った。

 菅首相は4日、FMのNACK5の番組に出演し「世界全体がコロナ禍という困難に直面しているからこそ、人類の努力や英知を結集して乗り越えられるということを世界に発信したい」と述べ、感染対策に万全を期す考えを強調した。

 これに対して倉持院長は「残念ながら日本においては努力や英知を集結はせず、ほぼほぼ自助ときおり共助、ほぼなし公助、そして絆。なんの絆かはわかりません」と反論。

さらに、感染拡大で苦境に立たされているエンタメや文化・芸術の業界にフリーターの関与が多いとして、社会保障制度の見直しに首相が意欲を示したことについても「『フリーターが関与していることが多い』。
なんの話でしょうか? 
1年前の話ならやる気を感じ、納得します!」と手厳しくコメントした。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月08日

「庭のカエルがうるさい!」隣人クレーマー続出時代には“S言葉”で対応せよ

「庭のカエルがうるさい!」隣人クレーマー続出時代には“S言葉”で対応せよ
2021.7.7 Diamondオンライン
援川 聡:(株)エンゴシステム代表取締役

庭のカエルの声がうるさい!で裁判沙汰に
 梅雨の湿気を帯びた、うっとうしい暑さが体にこたえる季節です。
先日、とある裁判のニュースを読みました。
 隣接した一戸建てに住む60代男性同士のトラブルで、片方の家の庭の池に住み着いたアマガエルが深夜までうるさいという、カエルの鳴き声への騒音苦情が原因でした。
隣の住民に対して騒音の差し止めやカエルの駆除などを求めるという驚きの裁判でしたが、裁判官が出した判決は「仮にうるさい音が発生していたとしても、カエルの声は自然音の一つ。騒音には当たらない」というもの。
東京地裁で請求が棄却されたとのことでした。

4月下旬、ちょうど水の張られた田んぼへの田植えが終わり、田舎の家にもカエルたちの声が響く季節のニュースでした。 「こんなささいなことが裁判沙汰になるのか。まったく理解に苦しむ……」  そう思った方も多いと思います。
もし、こうした裁判が身近に起こり、自分が当事者になったらと思うと、頭が痛くなることでしょう。
 このニュースを読み終えた私の素直な感想は、「所変われば事情も変わる」。
そして、警察官だったころの騒音苦情を思い出しました。

昭和50年代の大阪では、カエルの騒音苦情は珍しくなかった
 今から40年以上も前、昭和50年代の大阪では“カエルやセミの鳴き声”で警察に騒音苦情が入ることはさして珍しいことではありませんでした。
その理由は、田園が残る新興住宅地に引っ越してきたばかりの人が、迫力のあるカエルやセミの鳴き声に驚き、そんな環境の変化についていけずに、つい苦情を入れていたからです。
110番通報を受け対応する警察側も、こうした事情を察していますから「今は苦痛でも、じきに環境に慣れてきますよ」と説明したり、どうしても我慢できないという人には「自ら環境を変えるしかない」とアドバイスをしたり、あるいは当事者が折り合いをつけ、諦めるようにと勧めるなどしていました。

 昭和の時代はこれで済んだのですが、令和の今は、こうした問題が発生すれば、本人同士で折り合いをつけることができずに、裁判沙汰にまで発展してしまうということなのでしょう。
隣人がある日、突然モンスタークレーマーに変貌するわけです。
話が通じない、折り合いのつかない時代になったのだと思い知らされるとともに、憂いの気持ちが起こりました。

不安な時代、狭い空間に閉じこもる日々はトラブルを生みやすい
 考えてみると、去年以来のコロナ禍の時代においては、ずっと家にいなくてはならず外に出かけられない、制限が多い日々にイライラしがちと、隣人トラブルが起きやすく、裁判に発展することもあるのだろうと想像できます。
どこにでもいる普通の市民が、それぞれの納得できる結果を求めて、裁判という形で勝負を挑んでいるようにも感じます。「そんなことで?」と驚くようなささいなトラブルをきっかけに、誰でも裁判の当事者になる可能性を秘めているのです。

 今回のトラブルも、客観的に見れば「コロナで自宅にこもらなければならない時代が故の息苦しさ」で苦痛が大きくなり、折り合いをつけることができなかったからでしょう。
 マンションや自宅でのリモート生活が続けば、その狭い空間が、その人の世界になります。
それは、引きこもりを家族にきつくとがめられ、行き場を失う恐怖感などから家族を殺傷してしまう事件の背景と共通するものがあります。
ある意味では、訴訟に至ったものの、爆発して重大事件にならなかったことは幸いだったのかもしれません。

 緊急事態宣言が再び“解除”されましたが、変異株の毒性の強さに関する情報は増え続け、終息の気配は見えていません。
ワクチン接種は進んでいるものの、変異ウイルスのしぶとさを考えるに、ワクチン接種が完了した途端にすべての生活がもとに戻るかといえば、それは無理な話です。
将来への不安は強く、日に日に自由な生活への渇望は高まるばかりです。

「D言葉」よりも「S言葉」を
 そんな時代だからこそ、プライベートでの生活やトラブルの際にも役立つのが、私が以前よりお伝えしているクレーム対応の鉄則「D言葉禁止」という考え方です。
 D言葉とは、相手の抗議や主張に対して「だから」「ですから」「だって」「でも」の言葉を使って、とっさに反論してしまうこと。
クレーム対応の現場でも、初期段階で発した不用意な一言で、相手をヒートアップさせてしまうケースは多いものです。
相手の話が的外れだったり、堂々巡りになったりすると、つい口にしてしまいがちですが、相手からは「上から目線」「逃げ腰」あるいは「反抗的」と思われ、クレームを激化(長期化)させてしまうことから、クレーム対応の場面では禁断のフレーズだと伝えています。
 そんなD言葉の代わりに推奨するのが「S言葉」です。「失礼しました」「承知しました」といった、相手の感情を一度受け止める傾聴のフレーズ。
もし突然隣人から怒鳴り込まれたとしたら、言葉として「そうなんですね」「すみませんでした」などのフレーズで一度受け止める姿勢を見せること(受け身の対応)をお勧めします。

 S言葉は、その場で炎上させないテクニックなので、その後は、速やかに信頼できる第三者や行政機関・警察に“相談”してアドバイスを受けるとともに、相談の実績をつくっておくことが重要です。
ご存じの方も多いでしょうが、行政機関や警察は1件の相談だけで事件(案件)として扱うわけではありません。相談を受けた段階では即対応できないケースがほとんどです。
ましてや隣人トラブルという、事件性や緊急性が判断しにくい案件の場合は、その傾向は強くなります。

 隣人トラブルでいきなり110番通報をする人はほとんどいないと思いますが、警察に相談に乗ってもらいたい。
そういうときは、所轄署や交番の窓口で顔の見える相手にまずはトラブルについて話を聞いてもらってください。警察にいる人がすべて強面というわけでもありません。
相手が優しそうな人であれば比較的気楽に相談できるでしょう。こうした相談に直接出向くべきかどうか迷うときには、相談ダイヤル「#9110」を活用しましょう。

なぜ“暴走老人”が生まれるのか
 カエル騒音で裁判になったというニュースでもう一つ気になったのは、双方が60代男性だということです。
私も同世代の人間として、どうしても年齢的な背景をスルーできませんでした。
 年々、残された時間が少なくなっていくシルバー世代は焦りが募り、不満や不安が大きな風船のようにはち切れんばかりに膨らみがちなのでしょう。
先日、ラジオを聞いていて、リスナーの投稿を紹介するMCの言葉に耳を奪われました。
 その内容は「年々、移ろう時間が早くなる」というものでした。
興味を持って耳を傾けると、ご自身の経験から「10代は時速10キロくらいで思い出いっぱいだったのに、社会に出た20代は倍になり、40代になると時速40キロと年々速度を速めていった。今、70代になったが、移ろう時間の早さはあっという間で、法定速度を上回る70キロ以上になったと感じている」と言うのです。
「なるほど!」と思わず手を打ちました。

私も、年々時間が早く過ぎると感じていたのですが、それは年相応であり、齢を重ねると生き急ぐ傾向にあるのは自然なことなのです。
毎日のように、もみじマークを付けた高齢ドライバーの生き急ぐ(先を急ぐ)運転にドキリとするのも、そういう人が多いということかと合点がいきました。

 コロナ禍で、不自由な暮らしを強いられる。旅行も飲み会もできず、孫にも会えない。
オリンピックにより変異株が拡大すれば、さらなる緊急事態に陥る可能性もあり、我慢の限界である。
残された時間が少ないのにコロナ禍で2年も無駄にしてしまった。
今、こうした鬱憤(うっぷん)をためてイライラしながら生活していると、時の移ろう速度がさらに上がり「暴走老人」状態になりかねません。

 自戒を込めて、あらがっても「どうしようもないこともある」と、生き急がずに自分の足元を見つめ直せば、世の中の見方も変わります。
「仕方ない」と諦めることも肝心であり、コロナ禍の時代は頑張りすぎない生き方を模索する“分水嶺”なのかもしれないと思っています。
    (エンゴシステム代表取締役 援川 聡)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 🌁 | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月09日

「窓が空きにくい」「風呂の水は…」危ないマンションチェックリスト

「窓が空きにくい」「風呂の水は…」危ないマンションチェックリスト
2021年07月08日 女性自身

多くの人が住んでいたマンションが突然崩れて……。
米国で起きたそんな悪夢は日本でもあるのか。
自分や家族の命や生活を危うくする物件の見分け方は? 専門家に聞いたーー。

6月24日、米国マイアミ郊外で、12階建てのマンションが倒壊した。
24人の死者のほか、およそ120人もの住人の安否がわかっていないという(7月5日時点)。
中立な立場からマンションの維持管理のコンサルティングを行っている「さくら事務所」のマンション管理コンサルタント・土屋輝之さんは、こう分析する。

「築40年のマンションというのは米国ではめずらしくありませんが、このような事故は前代未聞です。
調査が終わるまで断言できませんが、鉄筋量が少ない、地盤が弱いなど、何かしらの“欠陥”があった可能性が高いでしょう」 このような事故が日本で起きないか、気になるところだが……。

「日本は地震大国のため、諸外国に比べて建築基準が厳しくなっています。
マンションが基準どおりに造られていれば、あのような事故が起きることは考えづらいです」(土屋さん、以下同)
しかし、気になるのは“欠陥住宅”の存在だ。
定期的にマンションの“欠陥”の発覚は報じられてきた。
「お住まいのマンションが本当に建築基準を満たしているのか、管理組合が中立の検査会社などに依頼するケースはわずかです。
9割ほどの物件が、施工会社や管理会社のチェックに頼り切っているのが現状。
これでは“甘いチェック”となる可能性があります。
実際に調査すると、一定の頻度で構造的な欠陥が見つかるのです」

■2年、10年を前にプロの目を入れる
命にかかわる構造上の欠陥ばかりでなく、生活上、ストレスのたまる欠陥もある。
「特に多いトラブルがカビ。壁の裏側の断熱材が足りず、結露が発生するケースがあります」
排水のトラブルも多い。
「水を流すため、排水管は緩やかに勾配がつけてあるのですが、それが足りていないことがあります。
適切に排水されず、漏水となれば下の階にも被害が出ることがあるので、対応が必要です」
こうした欠陥がないか、セルフチェックすることが必要だ。

■「危ないマンション」自分で見抜くチェックリスト
(※取材をもとに本誌作成。確定的な診断は専門家への相談が必要です)

〈命にかかわる欠陥〉
【1】外壁に亀裂やたわみがある。タイルが浮いている □ 剥落して落下することがある
【2】窓のサッシやドアがスムーズに開かない □ 建物が傾いている可能性がある。窓やドアに欠陥がないのに、開きにくい場合は要注意
【3】施工業者がほかのマンションで耐震偽装や手抜き工事をしていたことが発覚 □ その業者が不正の常習だったら危険

〈生活の利便性にかかわる欠陥〉
【4】断熱材が入っていない、入っているが薄い □ 風呂場の点検口から見ることができる場合がある。吹き付けタイプの断熱材の場合、点検用のピンが奥まで入っていることが目安に。ただし、しっかりとした検査には専門家への依頼が必要
【5】床を足で押すとたわんでいたり、音がしたりする場所がある □ 床材の施工が不十分な可能性がある
【6】洗面所の蛇口を目いっぱい開いた状態で、お湯を入れたバスタブの栓を抜くと、水がうまく流れない □ 水を流すための勾配が足りない、あるいは排水の施工不良の可能性がある

〈欠陥ではないが確認すべきこと〉
【7】各種ハザードマップの危険地帯になっている □ 購入時は参考に。すでに住んでいる場所は適切な備えをとる
【8】管理組合が機能していない。管理会社に任せきりである □ 管理会社は必要最低限のことしかしないことが多い 「建物が歪むとアルミサッシなどに影響が出ます。窓やドアの開閉がスムーズかを確かめてみる。水道の水をいっぱいに流しながら、風呂の水も流して、排水機能を確かめるなど、さまざまな方法が考えられます」

そして、忘れてはならないのが立地の再確認。
「各自治体が公表しているハザードマップで災害リスクを知り、その物件にどのような対策が施されているのか調べることも重要です」
しかし、建物の構造的な欠陥を見つけることは、素人では困難だ。2年の保証期間や、10年の瑕疵担保責任期間が切れる前や、大規模修繕などの節目に、“プロの目”でチェックすることが勧められる。
「管理会社への相談も重要ですが、デベロッパーの子会社のケースが多いので、正しいジャッジができない可能性も。
第三者の検査会社に依頼するのが安心でしょう。

そして、なにより重要なのは、いざというときに住民が一枚岩になれるよう、しっかりと管理組合の運営に参加することです」
マンションは、人生でもっとも高い買い物。
命と資産価値を守るため、住民も意識を高く持つべきなのだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月11日

《ワクチン接種翌日に急死》「主人は泡をふいて搬送先で息絶えた」遺族が訴える厚労省“副反応調査”の問題点

《ワクチン接種翌日に急死》「主人は泡をふいて搬送先で息絶えた」遺族が訴える厚労省“副反応調査”の問題点
7/10(土) 文春オンライン

「ワクチンが危険だと言いたいわけではありません。
ただ、私たちの父がワクチンを打った翌日に息を引き取ったこと、そしてその後の警察や行政の対応に翻弄されたのも事実なんです……」
 そう語るのは、6月10日に急性の「虚血性心疾患の冠状動脈硬化症」で亡くなった川崎市在住の岡部哲郎さん(仮名、71)の三男だ。

哲郎さんは亡くなる前日の6月9日、川崎市の大規模接種会場で1回目のモデルナ製ワクチンの接種を受けていた。

「ワクチンの接種と父の死に関連があるのでは?」という疑念
「ワクチンの接種と父の死に関連があるのではないか?」と遺族は不安に思い、警察もまた哲郎さんの死因について外部の医療機関に委託して、検査を行った。
その結果、哲郎さんの死とワクチン接種との間には「関連がない」と結論付けられたが、遺族にはその検査の詳細については知らされなかった。
 また、遺族側は「哲郎さんの死因を調べた検査結果」が厚労省の「ワクチンの副作用について検証する」部会で活用されるよう望んだが、担当した医師は当初「報告するケースに当たらない」として、遺族側の要求を拒んだという。

哲郎さんの三男は、文春オンラインの取材にこう訴えた。
「多くの人の命を救うワクチンは大事なものだからこそ、ワクチンを打った後に人が亡くなるケースが生じた場合には、それがワクチンの接種と関連があったのかどうか遺族が十分に納得できるまで検査することが必要だと思うんです。
そうでないと私たち遺族は何時まで経っても『父はワクチンを打ったから死んだのではないか』という疑念を拭い去ることができません。
そういった観点からも、国はもう少し手厚い体制を整えるべきではないでしょうか。
残された家族が抱える大きな負担についてもぜひ広く知ってもらいたいです」

『接種した部分の腕が痛いなあ』とずっと言ってた
 川崎市内のアパートで暮らす哲郎さんの妻が、哲郎さんが亡くなった当時の状況を語ってくれた。
「6月9日の14時ころ、川崎市が設置している大規模接種会場のNEC玉川ルネッサンスシティホールに夫婦2人で接種に行きました。
横に並んでそれぞれワクチンを打ってもらって接種はすぐに終わり、15分様子をみましたが問題はなくそのまま帰ることになりました。
主人は『接種した部分の腕が痛いなあ』とずっと言っていましたが、私も痛かったのでそれほど気にはしていませんでした」

 哲郎さんはもともと血圧が高く持病もあり病院にかかっていたが、かかりつけ医からは5月20日に「ワクチンを打つのは問題ない」という診断を受けていたという。
しかし、一夜明けても哲郎さんは腕の痛みを訴え続けた。
「翌日になっても、痛みを紛らわすためか趣味の将棋のゲームをずっとやっていました。
それでも痛みがおさまらないようで、接種の案内の紙に書かれていた川崎市の問い合わせ先に主人が『湿布でもした方がいいのか』と尋ねる電話をしました。
担当の女性は専門家ではなかったようで『後で折り返します』と言われ、主人も電話番号を伝えたのですが、その後今に至るまで折返しの連絡は来ていません。

主人は泡を吹いていて、救急隊が懸命に心臓マッサージを…
 昼に主人が好きなアイスの『ガリガリ君』を食べて、夕方には日課の散歩に行きました。
その間もずっと『腕が痛い』と言い続けていました。
それでも食欲も普段どおりで、夕飯の里芋の煮っころがしとアジの干物も私の分までペロリと食べていました。
20時半頃にまたアイスを食べて、寝る前にトイレへ行ったのですが……」
 しばらくして妻が部屋を出ると、哲郎さんがトイレの前で仰向けに倒れていたという。
「最初は寝ているのかと思い『こんなところで寝ていたら風邪ひくで』と言ったのですが、反応がない。
慌てて隣の家の方にも助けを求めて、救急車を呼んでもらいました。
そのときには主人は泡を吹いていて。
救急車の中では救急隊の方が懸命に心臓マッサージをしてくれましたが、搬送先の病院で23時43分に死亡が確認されました。
あまりにも突然でその時は何も考えられなかったんですが、徐々に『もしかしたら前日に打ったワクチンが原因だったのでは』という思いが大きくなっていったんです」

「一方的に100%と言われても…」
 死因を詳しく調べるために、哲郎さんの遺体は11日の未明に神奈川県警が委託する県内の医療機関に移送された。
哲郎さんの三男が続ける。
「その日のうちに『死因は心臓によるものです。詳しく検査するため、3〜4日後に連絡します』と警察から伝えられました。遺体は葬儀屋さんからすぐに病院に送り返され、医療機関はCTや血液の検査をしたようです。解剖などはありませんでした」  最終的に、検査に当たった医師から死因について電話で説明を受けたのは2週間後の6月25日だった。
「先生から死因は『虚血性心疾患の冠状動脈硬化症』と説明された上で『ワクチンと岡部さんの死亡には100%因果関係がない』と聞かされました。
詳しい検査結果も見せてもらえず、ただ一方的に100%と言われても……。

もっとできる検査があるのではないかと納得がいかなかったし、せめて直接先生と会って、お話を伺いたいとお願いしました」(哲郎さんの三男)
 さらに今度は神奈川県警高津署から連絡があり、哲郎さんの遺族は「岡部さんの死亡事例は厚生労働省に報告されない」という説明を受けたのだという。

新型コロナワクチン接種後に死亡した事例は累計556件
 新型コロナのワクチン接種は予防接種法上の公的接種にあたるため、法律に基づき、接種後の副反応が疑われるケースは医療機関から報告され、外部の専門家でつくる厚労省の部会で安全性を検討することになっている。
高津署が言う「厚労省への報告」とは、この部会への報告のことを指している。

 大手紙社会部でワクチンについて取材する記者が解説する。
「部会では、安全性を検討することになる『接種後の副反応の疑い』について、『接種による副反応』と『接種と因果関係のない偶発的な事象』のどちらかすぐに判断できないものと定めています。
全国から報告される『副反応の疑い』があるケースについては、詳細に調査が行われており、7月7日に開かれた厚労省の部会では、新型コロナワクチン接種後に死亡した事例が累計556件あったと報告されました。
 このうち大部分はファイザー社製のワクチンを接種した後に死亡したケースで、5月22日に接種が始まったモデルナ社製のワクチンを打ったあとに死亡したケースは2件のみでした。
556件のうち、死亡と接種の因果関係が『認められない』とされたのが7件、現在『評価中』だったのが101件、情報不足などで『評価できない』としたのが451件でした(重複を含む)。
また、この報告の中でファイザー社製ワクチンの2回目接種を行った7日後に死亡した80歳の女性について『(死亡が)接種との因果関係が否定できない』と踏み込んだ認定をされたことも注目を集めました」

厚生労働省への報告対象にすら入らなかった。
 接種の副反応を調べるために「国は接種後に亡くなったケースについてはできるだけ厚労省に報告をあげるよう各医療機関に働きかけている」(同前)という。
しかし、哲郎さんの死は「接種後の副反応が疑われる」ケースにすら該当しないと判断されたのだ。
 哲郎さんの三男が続ける。
「警察は『報告をあげる基準に達していない』というのですが、肝心の基準が何なのかは教えてもらえませんでした。
疑問に感じて調べてみると父と同じ『動脈硬化症』で亡くなった方について厚生労働省に報告され、因果関係が『評価できない』という結果になったケースもありました。
接種後に自殺で亡くなった方さえ『接種後の死亡』ということでワクチンの副反応を調べる調査に含まれていたんです。
それなのに父のケースが報告されないだなんて、とても納得できませんでした」

 7月8日には、高津署で遺族と警察、哲郎さんの遺体を検案した医師とで「話し合い」の場がもたれた。
そこで医師は「ワクチンによるアナフィラキシー反応(臓器などにアレルギー反応が出る症状)は確認できておらず、厚労省に報告をあげる必要はない」と再び説明したという。
遺族側が「アナフィラキシーではなくても報告されているケースもある」などと説得すると、医師は当初は「医者によって判断は違う」と答えていたが、最後には「遺族がそこまで言うなら」と厚労省に報告することに決まったという。
「ワクチンの副反応を調べているはずなのに、遺族がお願いしないと報告さえされないのはなぜかと思いました。

厚生労働省に報告されたことで、父の死がせめてワクチンの副反応を調べるための何らかの助けになることを望んでいます」(哲郎さんの三男)

1カ月が経った今も遺体を火葬できていない
 哲郎さんの家族は、死亡から約1カ月が経過した現在もまだ哲郎さんの遺体を火葬できずにいるという。
「父の死因について、やっぱりまだ納得できない部分がありまして……。
死因について詳しく知りたいと思い、警察側が行った(遺体の)検査記録の詳細をもらおうとしたのですが、警察は『先生に聞いてくれ』、医者は『警察に聞いてくれ』とたらい回しにされてしまいました。
いま私たちの手元にあるのは、“虚血性心疾患による冠状動脈硬化症”と簡単に死因が書かれた1枚の紙切れだけです。
これでは父の体に本当は何があったのかわからない。
どのような検査をしてどのような結果だったのか。
このまま、警察から記録の詳細がもらえないままだったら、どこか別のところで改めて遺体を調べてもらうしかないのではないか。そう思って父の遺体を未だに火葬できずにいます」

 哲郎さんの妻が振り返る。
「主人は中学校を卒業してから50年間、大工一筋でした。
昭和49年に知人の紹介で知り合って、3人の子供を一緒に育ててきました。
喧嘩をすることもありましたし頑固なところもありましたが、本当に優しい人でした……。
数年前に大工を引退してからは家の天井まで届くような大きな絵を描いたりして、二科展でも入選したんですよ。
自慢の夫でした」

検証してもらってこそ、父の死も誰かの役に立てる
「ワクチンで救われる命がたくさんあるのも分かります。
一方でワクチンに不安を持っている人もいるし、少ない症例かもしれないけれど副反応が強く出る人もいます。
だからこそ、国にはしっかりとデータを集めて検証してもらいたいんです。
因果関係があったにせよなかったにせよ、検証してもらってこそ、父の死も誰かの役に立てるのではないかと思うんです……」
 哲郎さんの三男は最後にこう語ると、静かにため息をついた。

「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月15日

名鉄電車は眠くなる? 列車やクルマでつい寝てしまう理由とは カギは「不規則なリズム」

名鉄電車は眠くなる?
列車やクルマでつい寝てしまう理由とは カギは「不規則なリズム」
2021年07月13日 乗りものニュース

乗りもので眠くなる理由は諸説ありますが、近年注目されているのが「1/fゆらぎ」と呼ばれる不規則なリズムです。
名古屋鉄道が行った調査では名鉄電車にリラックス効果があることが判明。
走行音に含まれるリラックス効果に注目してみます。

車内でウトウトする理由は不規則なリズム
 電車やクルマの助手席で眠くなる――多くの人が経験するこの現象について、ある研究が注目されています。
それは「1/fゆらぎ(えふぶんのいちゆらぎ)」という走行音に含まれる刺激が関係しているという説です。
 2020年1月、名古屋鉄道は「電車の音にはリラックス効果があると判明」という発表を行いました。
名鉄電車の走行音を分析したところ、集中力アップやリラックス効果が期待できる「1/fゆらぎ」が含まれていたというのです。

「1/fゆらぎ」の正体は、音や光、振動など人間が五感で感じる刺激の一種で、人はこの刺激を感じることで身体が自然に揺らいでいる心地よい状態になる効果があると言われています。
その特徴は不規則なリズムにあり、焚き火の光などが代表例です。
 もっとも、列車の走行音に 「1/fゆらぎ」があることは一部の 鉄道ファンなどには知られていたものの、これまでは俗説の域を出ないものでした。
科学的に分析できたという意味では目新しい発表となりましたが、では名鉄電車の走行音はどこから「1/fゆらぎ」が出ているのでしょうか。

 実際に分析を行った名城大学都市情報学部 西野隆典教授によると「様々な要因があるため詳細はわかりませんが、ひとつは走行時の“カタン、カタン”というリズムにあると思われます」とのこと。
枕木の間隔やレールの長さが要因となって「1/fゆらぎ」が現れている可能性があると言います。
 名鉄以外の鉄道ではどうなのかというと、乗客のその日の感情や環境など複雑な要因が多いため、実験が難しいものの、リラックス効果がある(「1/fゆらぎ」が含まれる)可能性は十分に考えられるそう。

また、電車内でよく見る「イヤホンをしながら寝ている人」というのは、「走行音は聞こえていないが振動を感知してリラックス状態になっている」可能性があるということです。

高級車は眠くなりにくい?
 クルマの助手席や後部座席で眠くなる現象についても「1/fゆらぎ」が関係しています。
 西野教授によると、「一般道では信号や右折・左折などがあるため変化が大きいですが、高速道路では一定スピードで走行するため1/fゆらぎが含まれる路面の音などの影響を受ける可能性はある」とのこと。
一方で「車内の防音性が高い高級車では、外部の音を拾いにくいため1/fゆらぎを感じにくい」と指摘します。

「1/fゆらぎ」を人工的に取り入れて、車内環境の向上を図った例もあります。日産「フーガ」に搭載された「フォレストエアコン」は、風量を一定ではなくランダムに制御して自然風に近づけたシステムです。
 また、海外では寝つきが悪い子供をドライブに連れて行く習慣がありますが、これもエンジン音と走行音などでリラックス状態にする効果があるとされます。

そこで日産は、電気自動車「リーフ」が発する様々な音や、内燃エンジンの音などから楽曲を製作し、「ドリーム・ドライブ」という名のサウンドトラックを制作、海外で発表しています。  今後、この分野の研究がさらに進めば、車内の活用法も今とは違ったものになるかもしれません。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月20日

なぜ若者はワクチン接種に消極的なのか? 接種に不安を抱える若者たちのホンネ

なぜ若者はワクチン接種に消極的なのか?
接種に不安を抱える若者たちのホンネ
FNNプライムオンライン 2021/07/19

将来のリスクは?デマだけじゃない…不安の原因
今、新型コロナウイルスの新規感染者数が再び増えている中、ワクチンの接種率を上げることが急がれる。
そこで、ワクチン未接種の若者3600人を対象に番組でアンケートを行ったところ、「受ける」人が49%、「受けない」人が19%、「迷っている」人が32%という結果になった。

若者はなぜ、ワクチン接種に消極的なのか?
Mr.サンデーが、街で、ちょっと聞いただけでも…

会社員(21):
このワクチンを打ったせいで人生がなくなってしまったら、元も子もないんじゃないですか。

大学生(18):
10年後とかに急に副反応とか出て、仕事できないようになったりするのが怖いんで。まだ18なので。

大学生(21):
自分は将来的なリスクの方が怖いです。

と、次々上がる不安の声。
だが、現実には、18日の東京都の新規感染者数は1008人。
中でも、20代は、およそ3割と最多だった。

そんな中、18日の朝、フジテレビの番組に出演した河野ワクチン担当大臣は巷に出回る、根拠のないデマに惑わされる若者について…

ワクチン担当 河野太郎規制改革相:
若い世代になればなるほどSNS、あるいはYouTube、フェイクニュースも混ざっているものに接する機会の多い若者の方が不安を感じる割合というのが、恐らく高くなるんだろうと思いますので… と、

そこへ橋下徹氏が…

橋下徹氏:
デマもそうなんですけど、僕も子どもと接しながら痛感したのは、若者たちはリスクがないことをすごく思っていて。
一番は、社会防衛のために、他人の危険性・リスクを減らすために、ある程度自分も負担を負わなきゃいけないという、これがいい意味でも悪い意味でも、戦後の個人主義の、個人の自由を守っていく、個人の尊厳が第一だっていう教育の中で、社会防衛のために負担を受けるっていうことに対して、ちょっと僕らの感覚と違うなと。

確かに、6月から「校内接種」が始まった近畿大学でも実際の接種率は、およそ6割に留まり4割近くの学生は希望しなかった。
その現実を目の当たりにした担当者はこう述べた。

近畿大学 世耕石弘経営戦略本部長:
なるべく早く、まず全面的に対面授業を復活させていきたいというふうに考えてますので、まあ7割から、8割ぐらいの学生さんに、接種してもらいたかったなという風には思ってるんですけれども。

自らの意思で、接種を見送った学生に話を聞くと…

近畿大学 学生 林さん:
まず第一に、分からないことが多すぎるっていうのが一番大きな要因で、自分の体の安全の責任みたいなものを持てないと思ったんです。
彼女がまず指摘したのは、人類史上初めて使われる「メッセンジャーRNAワクチン」がなぜ安全と言い切れるのか?というものだった。

5年後、10年後も本当に安全性が覆されることはないのか?

近畿大学 学生 林さん:
それが100%正しいかもまだわかっていない状態なので、だから急いで打つ必要はないかなっていう感じなので。
だからと言って、もし自分が感染者となり人にうつすような事態は避けたい。
そこで彼女は、帰宅の際にも必ずアルコールスプレーで除菌し、外出時には、マスクの中に、さらにガーゼを重ねる。

近畿大学 学生 林さん:
ちっちゃい努力を積み重ねていますね。
打たない選択をした自分の責任だからこそ、その責任がある分、周りにもできるだけ迷惑をかけない。

迷っていた若者がワクチン接種希望…
ある大学の取り組み 一方で、正しい知識に触れる機会さえあれば接種率が上がるのではと考えた大学もある。
それが、感染症の専門家によるオンライン説明会を開いた城西国際大学だ。
ここの看護学科では、もともとの接種希望者が267人中、111人と、およそ4割だったが…

城西国際大学看護学長 鈴木明子教授:
6月11日の時点で、モデルナのワクチンで、523,900回分の接種がありました。
うち死亡報告数0件。ただし、この後6月23日に死者1人、これは94歳の男性が接種。翌日にくも膜下出血で亡くなったというような報告が上がってきています。
これはワクチン接種との因果関係は評価中になっています。

説明会で行ったのは、徹底した情報開示と、SNSなどで拡散した噂のファクトチェックだ。

城西国際大学看護学長 鈴木明子教授:
ワクチンが生殖能力に影響を与えることを示唆する証拠や、裏付けるデータは存在していません。
海外の調査では流産は増えていません。
卵巣に蓄積して不妊になるという話は、ラットの実験から否定されています。
ワクチンにはマイクロチップが含まれているので監視されるという、まことしやかな噂も聞いたことがありますが、筋注用23ゲージの針の内腔0.35ミリより小さいマイクロチップは作れません。

当然な情報ばかりにも関わらず、説明会後に再び学生にアンケートをとってみると、ちょっと考えたいと言っていた学生が、8割9割方の学生が、(ワクチン接種を)希望しているというような状況になっていると鈴木教授は言う。
1時間足らずのオンライン説明会でなぜ、ここまで考えが変わったのか?
当の学生たちに聞くと

説明会に出席した学生(18):
それこそ、マイクロチップの質問したのは僕だったんですよね。
マイクロチップが通るような注射針は、まだないんだよって言うことを説明していてだきました。
やっぱり自分がうつしてしまうかもしれないっていう可能性と、注射の痛みを天秤にかけた時に、注射の痛みを我慢してでも、受ける必要があると感じました。

説明会に出席した学生(20):
みんなが打つことによって防げるんだったらそっちの方がプラスになるんじゃないかなって思いました。

こうした学生が多かった反面、説明を聞いてなお悩み続ける学生がいたのも、また事実…

説明会に出席した学生(21):
やっぱり5年から10年の副反応っていうのがまだ日本でもアメリカでもわかってないので、自分が1番最初に打つっていうことはちょっと怖いです。

江戸時代にもデマが…
新たな医学で未来を拓いてきた人類
なぜ、リスクの少ない自分たちが接種を受けねばならないのか?
そのギモンに答えるように鈴木教授が、オンライン説明会の中、語ったのは

城西国際大学看護学長 鈴木明子教授:
江戸時代に緒方洪庵という医者が蘭学者がいました。
緒方洪庵(おがた・こうあん)とは、日本にまだワクチンという概念がない時代、牛の膿から作ったワクチンの普及に努め、日本の天然痘治療に貢献した蘭学者である。

城西国際大学看護学長 鈴木明子教授:
今まで見たことも聞いたこともやったことない、牛の膿を人に接種する。
“牛痘をすると牛になる”というような噂が流れ、なかなか浸透しなかった。
かなり苦労したという話が伝わっています。

当時、人々に配られたチラシには「牛痘(ワクチン接種)法というのは、一番新しく、優れています。
みなさんも迷いを捨て、早く安心するほうがきっと幸せになれるでしょう…」とあった。

城西国際大学看護学長 鈴木明子教授:
このように江戸時代の人々の行動と言うか、今の時代のコロナにも通じる話だなという風に思います。
新しいことを恐れるのは、いつの時代でも同じなんだと思います。
確かに、5年後、10年後に絶対安全かと問われれば、それに答えられる人間は、どこにもいないに違いない。
しかし、人類は、いつの時代も未知の医術を恐れ、おののきながら未来を拓いてきたことも、また事実だ。

(「Mr.サンデー」7月18日放送分より)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月25日

ダブル台風 6号で沖縄は24日土曜も大荒れ 8号は珍しい進路で本州に接近・上陸か

ダブル台風 6号で沖縄は24日土曜も大荒れ 8号は珍しい進路で本州に接近・上陸か
2021/07/24 tenki.jp

週末〜来週は、6号と8号、2つの台風に警戒です。
台風6号の影響が長引くため、沖縄は24日土曜も大荒れで、暴風や高波などに警戒が必要です。
一方、台風8号は珍しい進路で北上し、27日火曜頃は、本州に接近・上陸するおそれもあります。
台風8号の発達の程度によっては、本州でも大荒れの天気になるおそれがありますので、早めの台風対策を、心がけてください。

●台風6号 沖縄は 24日土曜も大荒れの天気
台風6号は、24日土曜も、強い勢力を保ったまま、東シナ海を北上する予想です。
この台風の特徴は「ノロノロと進むこと」。
24日土曜の日中〜夜も、1時間に15キロと、自転車並みの速さで進むと予想されています。
そのため、沖縄地方は、24日土曜も大荒れの天気で、奄美地方でも、台風の影響が長引くでしょう。
沖縄地方は、24日土曜も、猛烈な風や非常に強い風が吹いて、うねりを伴った猛烈なしけが続きそうです。
25日日曜は、大しけでしょう。
奄美地方は、25日日曜にかけて強い風が吹き、うねりを伴なった大しけとなりそうです。
【24日土曜に予想される最大瞬間風速】 沖縄地方で45メートル、奄美地方で30メートルです。
【25日日曜にかけて予想される波の高さ】 沖縄地方で10メートル、奄美地方で7メートルとなっています。
また、台風周辺の暖かく湿った空気が流れ込むため、24日土曜も、雨量が更に増えるでしょう。
【25日日曜6時までの24時間に予想される雨量】 いずれも多い所で、奄美地方150ミリ、沖縄地方120ミリです。 沖縄地方は、暴風や高波、高潮に厳重に警戒し、土砂災害、低い土地の浸水、川の増水や氾濫に警戒が必要です。
奄美地方では、高波に警戒してください。

●台風8号 珍しいコースで北上
 来週は本州へ接近・上陸の可能性 一方、23日金曜21時に、南鳥島近海で、台風8号が発生しました。
台風8号は、北よりに進み、その後、進路を西よりに変える予想ですが、まだ予報円が大きく、進路が定まりません。
ただ、27日火曜頃、北日本から東日本に接近し、上陸するおそれもあります。
なお、1951年の統計開始以来、東北の太平洋側に上陸した台風は、1つだけです。
016年の台風10号は、8月30日に、岩手県大船渡市付近に上陸しました
更に、さかのぼると、1989年の台風13号も、本州に上陸した後、北西へ進みました。

今回の台風8号も、予報円の真ん中を進めば「本州を東から西へ進む」という珍しい進路が予想されています。
台風8号の発達の程度によっては、27日火曜頃、東北や関東など北日本や東日本では、大荒れの天気や、大しけとなるおそれがあります。
本州でも、早めの台風対策が必要です。

●台風が近づく前に備えること 確認すべきポイントは
今回、台風8号が近づくことで、東北や関東を中心とした太平洋側で、雨や風が強まることが心配されます。
台風に対して、日頃から備えていただきたいことが、2つあります。

「備え」の1つめは、ハザードマップなどで、避難経路や危険個所を確認しておくことです。
ポイントは、避難場所だけでなく、そこへ行き着くまでの安全な避難経路を確認することが大切です。
川が増水する危険性がありますので、なるべく川沿いを避けた避難経路を探しておくとともに、浸水(冠水)した際は避難経路が限定されますので、複数の避難経路を確認しておきましょう。
特に、夜間は昼間より周囲の状況が把握しづらくなります。
避難経路は、あらかじめ目印を決めて覚えておくのが、おすすめです。
自治体からハザードマップを入手し、氾濫の恐れがある河川や土砂災害の恐れがある所を確認しておけば、避難場所や避難経路を決める際に役に立ちます。

「備え」のもう1つは、非常持ち出し袋など、防災用品の準備・確認をすることです。
ポイントは、避難場所で数日間過ごすことを考え、非常用持ち出し品の準備や食料確保をしておくことです。
また、暴風で電柱が倒れたり、電線が切れて、夜間に停電になったりすることがありますので、懐中電灯を用意し、既に用意している場合は点灯するか確認しておきましょう。
断水になった場合に備えて、飲み水や生活用水の確保、備えをしておくことも大切です。

いずれも、台風が近づいてから備えるのではなく、最新の台風情報を確認して、備えは早めに行ってください。
posted by 小だぬき at 01:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月26日

子どもの疑問「天気予報はなぜ外れる?」の答え方

子どもの疑問「天気予報はなぜ外れる?」の答え方
気象キャスターくぼてんきが「天気の謎」を解説
2021/07/25 東洋経済オンライン
くぼてんき : 気象予報士・気象キャスター、防災士

夏は天気が変わりやすい季節のため「朝の情報番組で一日の天気予報を確認してから外出する」という習慣がある人は、多いのではないでしょうか。
ボクが気象キャスターとして出演している日本テレビ「ZIP!」でも、そのニーズに応えられるよう、時間ごとの変化や服装についてのアドバイスなどを心がけています。
知っているようで知らない天気について、お子さんに質問されて困った人もいるのでは。
そこで、夏休みももう間もなくということで、大人も子どもも知りたい天気予報の「ナンデ?」について、ボクが書いた本『くぼてんきの「天気のナンデ?」がわかる本』より解説します。

天気予報はいつからあるの?
1643年ごろ、イタリアのエヴァンジェリスタ・トリチェリが水銀の気圧計を発明したのが、気象観測の始まりと言われています。
その後、1820年ごろにはドイツのハインリヒ・ブランデスが世界初の「天気図」を発表しました。
日本においては、1875年に気象庁の前身である東京気象台ができ、1884年6月1日に最初の天気予報が発表されました。
その内容は、「全国的に風向きは決まらず、天気は変わりやすいですが、雨が降りがちでしょう……」と、何ともざっくりしたものでした。

その後、1960年にアメリカで世界初の気象衛星が打ち上げられて、天気予報の精度が一気に上がりました。
日本の気象衛星「ひまわり」が打ち上げられたのは1977年で、2014年からはカラー映像に変わりました。

■現在の天気予報はどんなもの?
日本国内に約1300カ所設置されているアメダス(Automated Meteorological Data Acquisition System)「地域気象観測システム」で、気温や湿度、降水量のほか、風向や風速、日照時間などを測定し、そのデータをコンピューターが解析したものが、現在の天気予報のもとになっています。

「こういう空の状態からは、こういう天気になっていくことが多い」というデータを踏まえて、過去のデータと照合したり、地域ごとの特性などを加味したりしながら、予測の誤差をうめて完成させるのが、気象予報士の仕事となります。
このように、天気予報は、観測システムとコンピューターと気象予報士の共同作業によって出されているのです。

さらに、ボクのようにテレビ番組などで予報を伝える気象キャスターの仕事をしている気象予報士には、「予報した天気をわかりやすく伝える」という任務もあり、「この場所が降りやすい」「この時間が降りやすい」といった可能性まで、しっかり伝えるように心がけています。

天気予報の的中率は? 気象庁の「きょうの予報」では、2019年の的中率86%。
年々精度は上がっているものの、100%的中はまだまだ難しそうです。

ただ、現在の「天気予報」は「はずれる」というよりも「ズレる」という表現が近いように思います。
予想外に風と風がぶつかったりすることで、雲の発達具合や移動速度が速まったりして、「夕方から雨と言っていたのに、昼過ぎから降りはじめた」とか、「降る場所が予想よりも南側だった」という、ズレが生じてしまうのです。

中でも、ズレやすい季節は夏。夏は夕立が多く、その発生場所がズレてしまうことがよくあります。
ゲリラ豪雨はまさにそうで、大気が不安定になることははっきりわかっていても、時間や場所をピンポイントに特定するのは難しいのです。

■「晴れ時々くもり」「晴れ一時くもり」の違いは?
予報用語の「時々」と「一時」は、天気予報でしょっちゅう出てきます。
その現象が起こる合計期間が予報期間の4分の1以上、2分の1未満の場合は「時々」、その現象が連続して起こり、その期間が予報期間の4分の1未満の場合は「一時」を使うことになっています。
24時間分の予報の場合は、6時間以上・12時間未満が「時々」、6時間未満なら「一時」。
つまり、「晴れ一時くもり」のほうが、晴れている時間が長いのです。
もちろん、晴れ以外の雨でも雪でも使い方は同じです。

■空を見て天気を予想する方法
現在の天気予報のように精度は高くありませんが、空を見て、雲や風、さらに生き物たちの行動から天気を予想することを「観天望気」と言い、昔から暮らしの中で役立てられています。
「星がきれいにまたたく夜は、翌日の強風に注意」 「ツバメが低く飛んでいると雨になる」 「クモが巣を張ると晴れ」 「遠くの音がよく聞こえるときは、間もなく雨が降る」

とくに天気を予想しやすいものは雲で、「大きな積乱雲ができていたら雨が降る」など。
知っていれば、役に立つものばかりです。

「注意報」「警報」が出たらどうすればいい?
「注意報」は災害が起こるおそれがあるときに、警報は重大な災害が起こるおそれがあるときに出されます。
その基準は地域によって違いますが、「警報」は、「出ているときに外にいたら死の危険がある」というほど高いレベルのものです。
もちろん、「注意報」の段階から十分気をつけなければならないのですが、危険度が上がると「注意報」→「警報」になることは覚えておいてください。
そして、「警報」の基準を超えてより重大な災害が起こるおそれが出てくると、「特別警報」が出されることもあります。

「大雨特別警報」「暴風特別警報」などが出されるということは、もうすでに災害が発生している可能性が高いので、その前に、避難したり、命を守る行動をするように心がけてください。

天気予報にまつわる、いくつかの謎についてお話しいたしました。
これらを知っているだけでも、天気への理解レベルがぐっと上がったと思いますが、天気の不思議は、まだまだ尽きることがありません。
まずは、空を見上げて、雲の形や風の流れを楽しんでください。
見上げるごとに、きっといろいろな発見があると思います。
明日はどんな天気でしょうか?
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月27日

60歳4人に1人が貯金ゼロ 原因は晩婚化による“支出三重苦”

60歳4人に1人が貯金ゼロ 原因は晩婚化による“支出三重苦”
2021年07月26日 女性自身

「今年4月、PGF生命が現在60歳の2,000人にアンケートを取ったところ、貯金が100万円以下が25%、つまりほぼゼロという人が4人に1人という衝撃の数字が出ました。
昨年の同調査では20%で、ここ1年で5%も増えたことになります」

こう話すのは“年金のプロ”として老後資金の問題にくわしいファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。2年前、金融庁の市場ワーキング・グループが「老後資金は2,000万円が必要」と報告して話題になったが、2,000万円どころか、60歳世帯の4分の1が老後資金をほとんど用意できていないのが現実なのだ。

「貯金ゼロ家庭が増えているのには、ふたつの大きな原因があります。
ひとつは、この国では過去20年間、ずっと実質賃金が下がり続けている現実。多くの家庭で貯金にまわせるお金が過去20年間どんどん少なくなったということです。

もうひとつが晩婚化による“支出三重苦”ではないでしょうか」
人生の中でもっともお金がかかる3大支出といわれるのが(1)住宅ローン、(2)教育資金、(3)老後資金だ。
「日本人の平均額は住宅資金3,000万円、教育資金1,000万円(私学文系大学のケース、子ども1人の金額)、老後資金2,000万円で合計6,000万円は必要と試算されています。
もし20代で結婚した場合、住宅ローンが30〜60歳、教育資金が50歳まで、それ以降の余剰資金を老後に振り分けられたのですが、30代で結婚すると、住宅ローンと教育資金をやりくりするなかで、老後資金も貯めなければならない。実質賃金も下がるなか、これははっきり言って無理というもの。

60歳で貯金ゼロ世帯が急増しているのは当然といえるでしょう」

■頼みの綱の退職金はローン返済に充てられ……
60歳貯金ゼロ世帯には、まだまだ困難が待ち受ける。
「住宅ローンを組むとき、60歳以降のローンの残りは退職金で返済すれば大丈夫と思っている人も多いはず。
ところがこのコロナ不況も相まって、退職金が大幅に減っている企業が多い、つまりローンを払い終えられない。
もしくは退職金のすべてがローンに消えてしまうことも少なくありません。
そうなると、老後の頼みの綱だった退職金もなくなり、しかも60歳からの再雇用は収入が半減するケースがほとんど。
人生の終着点のつもりで60歳まで働いてきたのに、待っていたのは崖っぷちというのが、いまの現実です」
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月29日

たった一晩の睡眠不足を甘く見てはいけない理由

たった一晩の睡眠不足を甘く見てはいけない理由
ぐっすり眠れていないと体と心に影響を及ぼす
2021/07/27 東洋経済オンライン
印南 敦史 : 作家、書評家

いまでは人間の脳の働きについて、かつてないほど多くのことがわかっている。
にもかかわらず、不安や疲労を感じながら、絶望の淵で静かに苦しんでいる人の数も少なくない。
どう考えてもおかしな話だが、『GENIUS LIFE ジーニアス・ライフ:万全の体調で生き抜く力』(江口泰子 訳、東洋経済新報社)の著者、マックス・ルガヴェア氏によれば、本書はそんな状況を変えるための本なのだそうだ。
つまり、気だるさや不安、抑うつを追い払い、活動的で記憶力の確かな毎日を送るための“パワフルな戦略”が紹介されているのである。
食品に関する知識、体内時計を正しく整える方法、エクササイズの方法など話題は多岐にわたっているが、いずれにしてもここに書かれていることを実践すれば、アルツハイマー病やがん、心臓疾患などの病気にかかるリスクも減らせるのだという。 そして注目すべきは、「からだと環境との関係」にルガヴェア氏が焦点を当てていることである。その考え方を、少なくとも私は理にかなったものだと感じた。

つまり、こういうことだ。
現代は私たちのからだに大きな負担を与えている 現代は、私たちの祖先が暮らしていた世界とは大きく変わってしまった。
私たちのからだと脳は、祖先が暮らしていたかつての世界で繁栄するために設計されたものだ。

21世紀の生活とその象徴──超加工食品やデジタルな娯楽、有害な化学物質など──はどれも、私たちのからだに大きな負担を与え、その防御システムを圧倒して不調や不快感をもたらし、時には寿命までも縮めてしまう。
からだと脳、からだと環境の関係を修復すること。それこそが「ジーニアス・ライフ」を送るカギだ。 (「序章 現代生活が私たちの脳とからだにもたらすもの」より)

脳の問題は脳の中だけで完結できるものではなく、からだのすべての器官と関係しているということなのだろう。
当たり前ではあるが、日常生活においては意識する機会が少ないことでもあるかもしれない。
だからこそルガヴェア氏は、「本書を読めば、健康になるためには何が必要かを深く理解できるだろう」と記しているのだ。

たとえばその必要なことの1つが、毎日の習慣をほんのちょっと変えてみること。
そうするだけで明るい気持ちになり、将来の健康を大きく改善できることがわかるというのだ。
これは、健康的な日常生活を送ることの大切さを説いてきた、過去のさまざまな論文や主張とも重なる考え方ではないだろうか?
どこか1カ所に手を加えればすべてが改善するというような問題ではなく、バランスが大切だということ。
だから本書の守備範囲も広いのだろうが、今回はその中から、「睡眠」に関する考え方に焦点を当ててみたい。

睡眠が私たちのからだに与えるパワフルな効果
「ジーニアス・ライフ」にとって、からだにいい食生活を送り、太陽の光を浴びることと同じくらい重要なのは、質の高い眠りだ。
睡眠は血圧と血糖値を下げ、ホルモンを調節し、代謝を促し、からだを強くしてくれる。究極のアンチエイジングであり、とりわけ脳を若々しく保ってくれる。(247ページより)

睡眠の効果についてはよく知られたところだが、それは、睡眠不足になると逆のことが起きてしまうということでもあるだろう。
ルガヴェア氏もここで、睡眠時間が慢性的に4時間未満の人は、認知能力の脳年齢が一気に8歳も進んでしまうという話を引き合いに出している。
どうあれ慢性的な睡眠不足が、からだのあらゆるシステムに影響を及ぼすであろうことは想像にかたくないのだ。
そして、その一部は代謝機能の低下が原因で起きるのだという。
動物実験でも人間の臨床試験でも、睡眠時間が減ると、インスリン感受性が低下し、グルコース代謝に異常が現れるそうだ。からだがより多くのインスリンを生成し、血糖値が高いままの状態が続いてしまうということだ。

アメリカ内分泌学会が発表したある研究によれば、睡眠時間がたった一晩、8.5時間から4時間に減っただけで“一夜にして”代謝性肥満が生じるのだという。
それは、体重が9〜14キロ増えたときの影響に相当する。
肝臓で糖と脂肪の産生が増え、血糖の効率的なコントロールができなくなっていたことが原因であるようだ。
高血糖は血管を傷つけ、脳を含む全身の器官に酸素を運ぶ血管の働きを阻害するので、影響は決して小さくなさそうではある 。
だが、そうした影響は避けられるものでもあり、元に戻すことも可能。つまり、睡眠の質を向上させればいいわけである。
睡眠はまた、脳を毎晩、脳脊髄液に浸すことで冴えた頭脳を維持する。
この脳の洗浄プロセスは睡眠中に必ず起きる。

脳内には、グリンパティック系(グリア細胞+リンパ系の造語)と呼ばれる配管システムがある。
この脳内リンパ系のおかげで、睡眠中に脳脊髄液が脳内に滲み出して、有毒な老廃物を押し流してくれるのだ。
睡眠の裏をかくことはできない。
眠っているあいだにグリア細胞が60%も収縮して大きな隙間をつくり出し、脳脊髄液が流れ込みやすくなるからだ。(248ページより)

メンタルヘルスの面から睡眠を考える
ルガヴェア氏は、年齢に関係なく、睡眠の重要性をメンタルヘルスの面から考えてほしいと訴えている。
現代では心の問題に苦しんでいる人は少なくないが、成人の6人にひとりは薬で対処しようとし、しかも多くの人が長期にわたって服用する。
問題は、睡眠障害がほぼすべての精神疾患に影響を及ぼすということだ。
長引くうつ病の原因は睡眠障害にある、と結論づける研究結果も増えてきたという。

睡眠とうつ病との関係は、つまるところ、脳の奥深くに位置する扁桃体に行き着くのかもしれない。
このアーモンド型の部位は負の情動に深く関わり、“恐怖センター”と呼ばれることも多い。
不確実な出来事が起きた時の脳の反応を調整する。不確実性は常にリスクを伴うからだ。(249ページより)

睡眠が足りているときには、前頭前皮質の“理性の声”が扁桃体の働きを抑制する。
前頭前皮質がその抑制効果を解除するのは、本当に危機が訪れたときのみ。
ところが睡眠不足になると、その仕組みが機能しなくなるのだそうだ。

過敏な扁桃体は、ささいな出来事でも大きなストレス要因と捉える。
驚くべきは、たった一晩睡眠不足だっただけで、扁桃体が約60%も反応しやすくなるというルガヴェア氏の指摘だ。
たとえば睡眠不足のときにイライラするのも、それが理由であるようだ。

もちろん、最善の解決策は、ただよく眠ること。
睡眠が足りていると、幸せを感じ、ストレスに強くなる。
なんとなく理解できる話だが、そればかりでなく、十分な睡眠は人間的な魅力をも高めてくれるようだ。
逆にいえば、睡眠不足はコミュニケーションにも影響を与えるということだ。

カリフォルニア大学の神経科学及び心理学部教授のマシュー・ウォーカーは、睡眠負債(毎日の睡眠不足の積み重なり)が社交生活に及ぼす影響について研究している。
ウォーカーによれば、睡眠不足が蓄積すると人づきあいを避けるようになるという。
それだけではない。引きこもりのような効果を生み、人づきあいを避けたがっているというシグナルを周囲の人間に送ってしまい、周囲があなたとのつきあいを躊躇してしまうのだ。(251ページより)

社交生活を円滑にするため、アルコールの力を借りる人も多いが、まずは基本的な事柄、すなわち睡眠の質を改善することこそが大切なのだ。

ぐっすり眠るための秘訣とは
 だとすれば気になるのは、どれくらいの睡眠時間が必要なのかということである。
この点についてルガヴェア氏は「一般的に、成人の場合は7〜8時間、10代であれば9〜10時間が望ましい」と記しているが、いずれにしても睡眠の長さは重要。
なぜなら私たちは、入眠後の時間帯によって2つの異なる睡眠状態を体験するからだ。
これはよく知られた話だが、まず入眠直後には深いノンレム睡眠が訪れ、大脳が休息する。
そして、その後に訪れるレム睡眠では、記憶を定着させ、思考を整理するのだ。
したがって、ぐっすり眠り、朝は自然に目覚めるのがベスト。

睡眠の質について言えば、大切なのは午前中に明るい光を浴びることだ。
太陽の光が望ましいが、照度が充分にあれば人工的な照明でも効果がある。
明るい光を浴びれば、睡眠ホルモンのメラトニンが1日の早い時間に産生されるだけでなく、夜、眠りにつきやすくなる。(252ページより)

寝室は涼しくして約18℃を保ち、暗くすることが大切。
目覚まし時計の表示などの、どんな小さな光でもまぶたを通して入ってくるため、睡眠の質が低下し、翌日の認知機能が妨げられてしまうからだという。

ともあれ最後に、ルガヴェア氏による「ぐっすりと眠るための秘訣」を確認してみることにしよう。
▶︎毎日同じ時間にベッドに入ろう
しっかり眠るためには、毎晩、同じ時間にベッドに入ること、すなわち就寝時間を守ることが大切。
眠る時間を遅らせると逆効果になり、からだが警戒態勢のままになり、不眠症につながるかもしれないというのだ。
▶︎エクササイズをしよう
定期的なエクササイズは、睡眠の質を向上させる。
エクササイズの習慣がない人も、夜にエクササイズをするだけでぐっすり眠れるようになるかもしれない(ただし、就寝の2時間前までには終わらせたほうがよいようだ)。
▶︎就寝前に入浴するかシャワーを浴びる。
入浴やシャワー後に深部体温が下がると、からだが眠る準備をはじめるのだそうだ。
▶︎グリシンかマグネシウム、あるいはその両方を試す
グリシンやマグネシウムを摂取すると、睡眠の質が自然に高められる。
しかも、そのどちらにもパワフルなアンチエイジング効果が。
ぐっすり眠るためには、グリシン酸マグネシウムを300〜500ミリグラムと、純グリシンを3〜4グラムずつ摂取するといいという。
▶︎ベッドは就寝と性行為だけに使おう
目が覚めたらすぐにベッドから出て、夜までベッドに入らないこと。
ベッドのなかで食べたり、仕事をするなどももってのほか。
▶︎アルコールを避ける
アルコールを飲めば早く眠りにつけるが、レム睡眠の時間が減ってしまう。
そこで、飲んだときには酔いをさましてから寝るのがよいようだ。
▶︎就寝2〜3時間前になったら、ブルーライトカット眼鏡をかける
スマートフォンやラップトップ、テレビの画面が発するブルーライトが眠りを妨げるのは有名な話。
翌朝を“光の二日酔い”にしてしまうという。
▶︎カフェイン禁止時間を決めよう
午後4時を過ぎたらカフェインの摂取を控えるべき。
▶︎オメガ3系脂肪酸や食物繊維をたっぷりと
炎症は睡眠の質に影響を与えるため、オメガ3系脂肪酸(サーモン、サバ、ニシンなどの冷水性海水魚に含有量が多い)や、食物繊維をたくさん摂取すると、ぐっすり眠れて元気が回復する。
▶︎就寝2〜3時間前には食べない
夜遅い時間に食事をした翌朝、ひどい気分になったりするのは、夜食が睡眠の質を妨げてしまうからだとか。
■バランスの保たれた生き方を目指そう
もちろん冒頭で触れたように、大切なのはバランス。
睡眠だけを気にしていればすべてが解決するわけではないということだが、とはいえこれらを意識しておいて損はなさそうだ。
そして同じように、からだにまつわるほかの問題にも留意したい。
バランスの保たれた日常があってこそ、充実した健康的な生き方を実現できるに違いないのだから。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月03日

「スポーツには人命を救う力はない」医師が五輪礼賛ムードに抱く底知れぬ怒り

「スポーツには人命を救う力はない」医師が五輪礼賛ムードに抱く底知れぬ怒り
2021年08月02日 PRESIDENT Online
医師 木村 知

東京五輪が開催される中、全国では1日あたりの感染者数が1万人を超えるなど、新型コロナウイルスの感染が拡大している。医師の木村知さんは「医療現場で働く身からすると、五輪の熱狂が異次元の世界に見える。
五輪に関する世論の手のひら返しが、戦時下と重なり恐怖さえ感じる」という――。

■開会後に急速に変わった空気
とうとうコロナ禍のなか東京五輪が開催されてしまった。
新型コロナ感染拡大が収まらない状況で開催中止を求める声は高まり、スポンサー企業でさえも五輪から距離を置く姿勢を見せ始めた。
それにもかかわらず、開催は文字通り強行されてしまった。
その後も感染者の急増は止まらない。

都内での新規感染者はついに3000人を超え、今や過去最悪の状況となった。
このままではこの傾向は収まるどころかいっそう拡大、医療崩壊ももう避けられないだろう。
開催前の5月22日と23日に東京新聞などが行った世論調査では、中止すべきという意見は60%超、多数派であった。
しかし開会式が開催され、じっさいに競技が始まり日本人選手が金メダルを獲得し始めると、その空気は急速に変わり始めた。

NHKは総合、Eテレともに終日五輪一色
民放でも今まで開催に懐疑的な意見を流していた番組ですら、手のひらを返すように日本人選手の活躍ぶりを歓喜と興奮にあふれる声で大々的に取り上げるようになったのだ。

未曾有の感染急拡大の一方で、反対の声を無視して開催に突き進んだ政府、それに無批判に迎合して五輪礼賛番組を流し始めるメディア、さらにそれらの番組に嬉々としている人々の声を聞くと、ウイルスそのものへの恐怖にも増して群衆心理への恐怖を感じずにはいられない。

■感染者急増の中の五輪開催こそ緊急事態だ
「ここまで来たのだから、いまさら引き返せない。どうせやるからには小難しいことなど言わずに楽しもうではないか」
「ここで中止してしまったら選手たちが可哀想。賛否両論あったけれど、もうやると決まったのだから皆で選手を応援しようよ」
「心配だったけど、開会式を見て気が変わった。だんだんワクワクしてきた。やっぱり開催して良かったんじゃないかな」
「私は五輪反対派。ネット署名までしていたけど、いざ日本人選手のメダルラッシュ見てしまうとやっぱり感動! 選手は悪くない。もうテレビから目が離せない。選手たちを応援します!」

まさに政権の思惑どおり。ネットやテレビではこのような意見をたびたび見かけた。
こうなれば、延期や中止の世論は五輪礼賛へと一気に雪崩を打つことになる。
そして「この期に及んでまだ中止を叫んでいる人」は一転、“ややこしい人”とのレッテルが貼られて少数派になってゆく。
菅義偉政権が確信を持って期待していたのは、まさにこの現象であろう。

NHKが先頭に立って、日本人選手の活躍を嬉々として伝えた直後のニュースで感染者急増を報じ、またそのニュースが終われば何事もなかったように熱狂中継に戻る、というまさに絵に描いたようなディストピアを体現しているが、この極めて奇異な現象を、今や地上波で公然と批判する者は皆無だ。
これぞ危機的緊急事態ではないか。

■医師からは五輪の熱狂が異次元の世界に見える
私は診療所の医師であるし、主たる業務は訪問診療だから、発熱外来も担当しているとはいえ新型コロナ感染者の治療全般を担っているわけではない。
しかし自分が診察した患者さんからの陽性確認を今まで経験したことのないハイペースで次から次へと実体験している私にしてみれば、開会式後から手のひらを返したように五輪礼賛ムード一色となったテレビ番組を観るにつけ、まったく異次元の世界に来てしまった感覚に陥らざるを得ないのである。

無邪気に熱狂している人たちにとってコロナは、じっさいに自身が感染を経験したわけでもなく感染した人に接したこともなければ、現実でない異次元の出来事に思えてしまうのかもしれない。
それならば合点もいく。
そもそも今回の五輪招致は、国民の共感を喚起するために復興五輪という大義名分が与えられたが、その本質は東日本大震災によって引き起こされた原発事故を覆い隠すためのものと言っても過言ではない。
事故は発生から10年たった今なお収束のメドすらつかず、故郷を追われた人々もいまだに数多く取り残されている。
しかし五輪を開催にこぎつけ、日本人選手の活躍によって多くのメダルが獲得できれば、これら政府にとって不都合な負の記憶は多くの国民の脳裏から消し去ることが可能となる。

じっさい、アンダーコントロールという虚偽の言葉を公然と安倍晋三前首相が用いても、招致が成功したことで、この明らかな虚偽がまるで真実であるかのようなお墨付きを国際的にも得たことになってしまった。

■感染者3000人突破でも中止の考えなし
「復興五輪」がいつの間にか姿を消し、次には「コロナに打ち勝った証し」が、そして打ち勝てないことが明白になると、今度は「コロナと闘う姿」や「困難を乗り越えて成功させる」というスピリチュアルな世界に日本政府は迷入していくことになった。
政府は批判の声をかき消すように“安全安心”を必死にアピールし続けるが、その根拠を問われても頑なに明示しようとしない。

「開催断念するのはどのような事態に陥った場合か」という問いに対しても不誠実な態度を貫きとおし、開催に突入した。その結果が今である。

7月28日、ついに都内での新規感染者数が初めて3000人を突破した。
政府はこの感染急拡大を見ても、五輪との因果関係は証明できないとして中止する根拠とはならないとの見解を示すに違いない。
じっさい菅首相は前日のぶら下がり会見において、感染急拡大の現状にあっても人流は減っているなどとして中止する考えのないことを明言。
3000人突破の報を受けても記者の質問を無視して素通りした。

公明党の石井啓一幹事長は「現在の感染者数は2週間前を反映しているのだから開会とは関係ない」と発言し、IOCのマーク・アダムス広報部長も「パラレルワールドみたいなものだ」として五輪と感染再拡大は無関係との認識を強調した。

■五輪だけが原因であると特定する必要はない
Twitterでは #オリンピックは関係ない というタグまで現れ、むしろ多くの人が自宅にこもってテレビで観戦することで人流を減らすことができるなどという奇妙な五輪擁護論まで出てくるようになってきた。
もちろん感染拡大にはさまざまな因子が絡みあうから、五輪という単一の因子で感染急拡大の原因を説明することはできないだろう。
しかし冷静に考えれば、五輪だけが原因であると特定する必要は一切ないのである。

感染者急増と医療資源枯渇という「事実」と、国内外から多数の人を首都圏に呼び込む世界的イベントが行われている「事実」、これら2つの厳然たる「事実」が同時に首都圏に併存しているという「事実」さえあれば十分なのだ。
そしてこの2つの事実が併存することによって、感染制御と医療が五輪開催によって妨害されている「事実」も生じる。
この事実の存在こそが、私も含め多くの人が開催中止を訴えてきた理由である。

では五輪開催は、医療と感染制御にいかなる妨げをもたらしているのだろうか。

■政府の言動の矛盾で国民の不満が爆発した
すでに多くの識者の指摘もあるが、政府の言動の矛盾がその最たるものと言えるだろう。
緊急事態宣言を出し不要不急の外出をするなと国民の行動制限をしておきながら、国内外から多くの人を呼び込み、あげくに五輪関係者の行動制限は形ばかりのものとしていた。

飲食店での酒類提供を制限させておきながら、競技会場の中ではアルコールを提供しようとしていた。
これらの「五輪は特別」というメッセージは少なからぬ人たちに「五輪がよくて、なぜ私たちは我慢しなければならないのか」という気持ちを芽生えさせた。
じっさい五輪のために作られた7月22日からの4連休、都内の人出は緊急事態宣言がなかった去年7月の連休よりも大幅に増加した。
これは国民の我慢の限界が、政府の矛盾に満ちたメッセージによって爆発したものと言えるだろう。

これらについて「政府は誤ったメッセージを出してしまった」と批判する声があるが、私の見方は少し違う。
政府が感染拡大を真剣に制御しようとしていたにもかかわらず、その本心と異なったメッセージを出してしまったならその通りだが、これまで政府が国民に示し続けてきた言動は、それとはまったく異なる。
私に言わせれば、これらは「誤ったメッセージ」ではなく「感染制御よりなにより五輪開催が最優先である」との政府の「本心からのメッセージ」だ。

■「熱中症」の観点からも五輪開催には疑問が残っていた
実は私はコロナ禍以前から東京五輪開催には反対だった。
理由は猛暑だ。
詳細については2019年に上梓した拙著『病気は社会が引き起こす インフルエンザ大流行のワケ』(角川新書)で論じているが、新型コロナの流行がなくとも真夏の東京でのスポーツイベントはあまりにも危険だ。
そもそも開催してはならないのだ。
すでに熱中症による被害者が五輪選手に出始めているが、被害者は選手にとどまらない。

“猛暑下でも五輪開催できる”という誤ったメッセージによって、子どもたちも危険にさらされるのだ。
今は夏休みのはずだが、通勤電車にはあきらかに運動部員とみられる生徒たちが大きなスポーツバッグを背負って乗ってくる。
本来、熱中症の危険がある状況での屋外運動は禁止だ。
しかし五輪が開催されてしまっている現状では、行政としても猛暑の危険を大々的にアナウンスできない。
「五輪はできるのに、なぜ部活はダメなのか」いや「部活が危険なら、五輪も危険ではないのか」という声が高まれば、せっかくの五輪フィーバーに水を差すことになってしまうからだ。

猛暑による危険を国として認めてしまえば「晴れる日が多く、かつ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」との虚偽を用いて招致したことを改めて全世界に知らしめてしまうことにもなる。

■五輪が医療現場に余計な負荷をかけているという事実
当然ながらこの状況で部活を行うことは感染にも大きなリスクだ。
じっさい高校生の部活でクラスターも生じている。

今回の五輪開催は炎天下でのスポーツ全般を正当化し、それによって子どもたちを熱中症の危険にさらすとともに、新型コロナ感染リスクさえも負わせている。
これらは五輪開催さえしなければ防げたはずだ。
新型コロナの急拡大によって医療体制が逼迫し始めてきた状況で、行政は医療機関に対してコロナ病床の拡充のため通常診療の縮小や不急の予定手術の延期を検討するよう要請している。
その首都圏には五輪が数万人の余計な人口増加をもたらしている。
そしてこれらによって増えた人たちにも新型コロナに限定しない医療需要が生じ得る。

熱中症と新型コロナでただでさえ逼迫する医療現場に、さらに余計な負荷をかけているのが東京五輪なのだ。
#オリンピックは関係ない という人たちの思考からは、こういう医療提供体制への視点と配慮が完全に欠落している。
開催されたことと感染急拡大は無関係だとしきりに強調するが、そもそもその因果関係など問題ではない。
五輪開催が感染制御と医療提供体制の足を引っ張り妨害していることが最も重要な問題なのだ。

■五輪と戦争が孕んでいる「装置」
それに引き換え、日本人選手が金メダルを多数獲得しようが、素晴らしいプレーが感動を与えようが、逆境を跳ねのけて出場した選手が希望をもたらそうが、これらの事象には私たちが現在直面している新型コロナ感染急拡大を抑止する能力も効果も一切ない。
人命を救うことももちろんできない。
「スポーツの力」など、今の状況ではまったく無力なのだ。

「ここまで来たのだから……」「ここで中止してしまったら……」という気持ちは、ひとつの感情としては分からなくもない。
しかしその感情を国民の総意であるかのように位置づけることは非常に危険だ。
先の戦争、私は当事者ではない。
しかし歴史を学べば知ることはできる。
何度も踏み止まったり引き返すことができた時点があったにもかかわらず、批判や懸念の声はかき消され、結果、わが国は多くの尊い人命を失った。

「私、本当は今回の東京五輪には反対だったんです。でもいざ始まったら連日のメダルラッシュに胸が熱くなった。選手たちを応援しよう!」と開会式後に言い出した人と、
かつて戦時下で「私、本当は今回の戦争には反対だったんです。でもいざ始まったら連戦連勝に胸が熱くなった。兵隊さんに感謝しよう!」と手のひら返しをしたといわれる人に、私はまったく同じメンタリティを見る。

当然ながら五輪と戦争は別ものだ。同列に語るべきではないとの声も知っている。
しかしそのどちらも国の威信や愛国心という、統治者にとって国民をコントロールするにあたって極めて有用な「装置」をその根底に孕んでいる。

■「敗戦の日」を目前にして感じる恐怖
この危機的状況で五輪さえも中止できない国が、もし戦争へと向かう状況に置かれた場合に引き返すことはできるのだろうか。
戦争となれば人が死ぬ。
スポーツの負け試合とは比較にならない次元が違う「屈辱」に、国民はいとも容易く感情的になるだろう。
「ここで引けるか、仕返しだ」という世論は雪崩をうって開戦慎重論を踏み潰し、よりいっそうの泥沼にハマっていく……。
五輪すら中止できない国においては容易に起こり得ることではなかろうか。

「選手は悪くない」「選手を批判するのは違う」との言葉もよく聞かれる。
たしかに選手には五輪開催の適否を決める権利も手段もないかもしれない。
しかし選手もアスリートである以前に、ひとりの人格ある人間である。
意思表示を行う権利も手段も有している。

猛暑やコロナ禍の中での五輪開催について、不安や不満をひとりの人間として発言することはできたはずだ。
今からでも発言してもいいはずだ。
心の中にそうした不安や不満があるにもかかわらず、それを自由に発言することのできない「空気」が彼らを覆っているとするならば、それは戦時下となんら変わらない。

「やると決まったからには、自分のできることを全力でやるだけです。
日の丸を背負って」という選手たちの言葉、それを無批判に絶賛する声が、開会式というほんの数時間のイベントを契機として急増してしまう群衆のメンタリティ。

「敗戦の日」を目前にして、こうした選手たちの姿を出征兵士の姿に重ねあわせて底知れぬ恐怖を感じる私は、妄想におかされた、ややこしすぎる人間だろうか。

----------
木村 知(きむら・とも) 医師
医学博士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。
1968年、カナダ生まれ。
2004年まで外科医として大学病院等に勤務後、大学組織を離れ、総合診療、在宅医療に従事。
診療のかたわら、医療者ならではの視点で、時事・政治問題などについて論考を発信している。
ウェブマガジンfoomiiで「ツイートDr.きむらともの時事放言」を連載中。
著書に『医者とラーメン屋「本当に満足できる病院」の新常識』(文芸社)、『病気は社会が引き起こす――インフルエンザ大流行のワケ』(角川新書)がある。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月05日

「地獄のような嘘」東京五輪の暑さに海外から批判続出。“理想的な気候”と招致したのに

「地獄のような嘘」東京五輪の暑さに海外から批判続出。“理想的な気候”と招致したのに
8/4(水)  女子SPA

「東京五輪は、史上最も暑いオリンピックになる」
 うだるような暑さの中で開催されている東京オリンピックに対し、海外メディアからは選手の体調を心配する声とともに、招致のために東京が「気候に関して嘘をついた」との批判が高まっています。

倒れる選手が続出
「温暖で晴れの日が多い東京の夏は、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」
 海外メディアが疑問視しているのは、日本のオリンピック組織委員会が大会招致に向けてアピールしていた気候に関するこの一文。

 トップの選手がフィニッシュラインで倒れ込み嘔吐、その他の選手も次々倒れ、さながら戦場のような光景となったトライアスロン男子のゴール地点。
「残忍な湿度」「死ぬかもしれない」「今まで経験した中で最悪な暑さ」と、相次ぐ選手たちからの苦情を受けて試合開始時間を変更したテニス。
 女子アーチェリーの試合後には、選手が熱中症で気を失い担架(たんか)で運ばれる事態となりました。

招致での「理想的な気候」は「地獄のような嘘」
 米『ヤフースポーツ Yahoo Sports』はこの惨状を受け、日本の大会組織委員会は「地獄のような嘘をついた」と痛烈批判。
招致のために使ったフレーズを“茶番だ”と切り捨て、「アスリートがこの天候によって疲弊し続けることについて、(日本は)全ての人に謝る義務がある」と指摘。
“アスリートファースト”とは真逆のオリンピックが敢行されている現状に苦言を呈しました。

「世界が東京に謝罪を求めている」という記事を掲載したオーストラリアの『ニュースドットコム News.com』は、「息苦しいほどの蒸し暑さは、アウトドアスポーツに大混乱をもたらしした」と批判。
「アスリートを大虐殺に至らしめた虚偽の主張に、世界から厳しい目が向けられている」と糾弾しました。

 一方、『デイリー・ビースト Daily Beast』は「この時期に東京を訪れたことのある人なら誰もが知っているように、この一文は楽観的な見方に過ぎず、言い方を変えれば嘘をついたということ。
しかし問題は、IOC(国際オリンピック委員会)がなぜそれを真実として受け入れたかという点だ」と指摘。
 この時期の東京が高温多湿になるのは周知の事実なのに、それでも開催地に東京を選んだIOCの決定にも責任があることを言及しました。

“ぼったくり男爵”バッハ会長がこの時期にこだわる理由
 2013年の招致決定以来、東京の酷暑は懸念材料として常に浮上し、春や秋への開催スケジュール変更に関しても度々議論に挙がっていました。
 米『Yahoo Sports』 は、1964年の前回大会が東京の酷暑を避けて10月に開催されたことに触れ、それでもIOCがこの時期の開催にこだわり続けるのは、巨額な放映権料を払うアメリカのテレビ局NBCの存在が大きいことを指摘。
 北米ではアメリカンフットボールをはじめ人気スポーツの中継と視聴率争いをする必要がなく、新学期前でカレッジスポーツとも競合しない7月末から8月中旬は高視聴率が見込めるため、NBCにとってこの時期以外に夏のオリンピック開催の選択肢はないのだといいます。

 “ぼったくり男爵”ことトーマス・バッハ率いるIOCも、夏冬あわせ計10大会に対して1兆3,000億円ともいわれる放映権料を支払ってくれているNBCの意見を無視するわけにいかなかったのだろう、と各メディアが伝えています。
 筆者の経験からすると、アメリカでの五輪放送はプライムタイムに放送されるダイジェスト版がメインで、生で試合をじっくり観ているような人たちはほとんどいない認識ですが……。
観ている人はあまりいなくてもCM料でがっぽり稼げるというのですから、オリンピックビジネスとは摩訶不思議です。

 アスリートの健康よりビジネスファーストになってしまったオリンピックの衰退ぶりを嘆く人は、世界中にいます。
各国選手団も暑さ対策  とはいえ、東京の夏が「理想的な気候ではない」ことを知っていた国は多く、各国の選手団はそれぞれ暑さ対策をした上で来日。
 アメリカは選手団が開会式で着用するラルフローレンのジャケットに、着用者の体温を自動で調節してくれる温度冷却装置「RLクーリング」を搭載することで長時間の開会式で選手がバテないように対応。
 オーストラリア選手団は「東京ヒートプロジェクト」と銘打って、数年前から東京の猛暑に備えたトレーニングを行ってきたといいます。
 しかし、高い湿度とセットになった東京の暑さは想像のはるか上を行くものだったようです。

五輪史上最暑!? 想像を遥かに超える東京の酷暑
『タイム TIME』は、毎年東京では熱中症で多くの死者が出ることを紹介し、東京の夏がいかに危険かを示唆。
2020年には東京近郊の都市で40 度を超える高温を記録したことにも言及しています。
 同誌によると、1964年以降で最も暑いオリンピックとして記録されているのは、開催中の最高気温が34.2度だった2004年のアテネオリンピック。
32度だった1996年の米アトランタ、30度だった2008年の北京が後に続きます。
 連日30度を超え、湿度も60%前後と高く、体感温度は35度を軽く超えている東京。海外メディアが「史上最も暑いオリンピックになるだろう」と予測し、「こんなに暑いなんて聞いてない」と批判するのも仕方のないことのように思います。

 そんな中、五輪招致を主導した元東京都知事を猪瀬直樹氏が、批評家からの指摘を受けて猛暑開催を疑問視する声に反論し、「涼しい夏は言語矛盾で夏はどこもそれなりに暑い。(中略)7月半ばまでの雨季と9月からの台風シーズンの端境期で総合条件でもっとも適している」とツイート。
 この反論で納得してくれるアスリートや海外メディアがいるかどうかは疑問です。
Sources:「Yahoo Sports」「News.com」「Daily Beast」「Time」
<文/橘エコ>

【橘エコ】
アメリカ在住のアラフォー。
出版社勤務を経て、2004年に渡米。
ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月06日

【保存版】コロナワクチン「素朴な10の疑問」効果、副反応、接種の工夫を専門医が解説

【保存版】コロナワクチン「素朴な10の疑問」効果、副反応、接種の工夫を専門医が解説
2021年08月05日 日刊ゲンダイ

新型コロナウイルス対策の切り札であるワクチンは、先月末で国民の35%が1回目の接種を終えた。
2回目終了は25%と3割に満たない。
多くの人が、これから接種するのが現状だ。
その供給不足もあるが、副反応をはじめとする不安も接種を遅らせる要因か。
そこでワクチンの効果や副反応など素朴な疑問について、国立病院機構仙台医療センターウイルスセンター長の西村秀一氏に聞いた。   ◇  ◇  ◇

【Q】接種すれば感染しないのか?
「国内で接種されているワクチンは主にファイザー製とモデルナ製です。
導入当初は高い発症予防効果が認められました。
しかし、デルタ株の登場でワクチン接種した人にも感染するブレークスルー感染が拡大していて、発症予防効果は薄れつつあります。
それでも、重症化予防効果は高い」
 臨床試験での発症予防効果は、ファイザーが95%、モデルナが94%だった。
ワクチン接種が進むイスラエルでは、ファイザー製の予防効果は64%から39%に低下したが、重症化予防効果は91%。米疾病対策センターによれば、ワクチン完了者のコロナ感染死は0.001%未満という。

【Q】ファイザー製の接種間隔は3週間。モデルナ製は4週間。間隔をより延ばす方が効果的?
 英オックスフォード大の調査によると、ファイザー製の場合、ウイルス感染を抑制する中和抗体の産生は、3週間隔より10週間隔の方が多かったとするが……。
「接種間隔の延長で抗体価が上がるとする報告が海外で相次いでいるのは事実ですが、3カ月も4カ月も先延ばしするのは現実的ではありません」
 仕事や家庭の事情で規定の間隔での接種が難しくても、せいぜい1回目から6週間後までには2度目の接種を終えるべきだろう。

【Q】痛みや発熱が不安。ほかの副反応は?
 厚労省研究班は先月21日、新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)を公表。
ファイザー製とモデルナ製で副反応の表れ方を比較した()。

 1回目は、モデルナで発熱がファイザーよりやや多いくらいで、全体的な傾向はほぼ同じ。
接種部位の痛み、倦怠感、頭痛が典型で、発熱はそれほど多くはない。
 顕著なのは2回目で、モデルナは発熱、発赤、熱感、頭痛でファイザーの発現率を大きく上回る。
特に38度以上の発熱はファイザーの3倍近い。
37.5度以上は同2倍で8割が経験する。

「モデルナ製だけでなく、ファイザー製も、2回目は副反応が出やすい。
発熱や発赤、頭痛などは接種の翌日がピークで、2、3日で治ることがほとんど。
この特徴を頭に入れておくと、副反応に動揺せずに対処できるでしょう」

【Q】男が生理痛用の鎮痛剤を使って大丈夫?
 タレントの中居正広は1回目のワクチン接種に備え、薬局で解熱鎮痛剤を購入。
出されたのが生理痛用の薬で動揺したことをラジオで語った。
「ワクチン接種が始まった当初、痛みや発熱など副反応対策にアセトアミノフェン系の解熱鎮痛剤が推奨されましたが、米疾病対策センターや厚労省もそれに加えて非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用を認めています」
 中居が使用したのはアセトアミノフェン系の生理用鎮痛剤とみられる。
男性ももちろんOKだ。
市販のアセトアミノフェン系鎮痛剤は、カロナール、タイレノール、バファリンルナJなど。
同NSAIDsは、ロキソニン、バファリンEX、イブ、ナロンエースなど。

【Q】鎮痛剤でベターなのはアセトアミノフェン?
「アセトアミノフェンは小児や妊娠中、授乳中の人も服用できるため、NSAIDsより比較的、安全性が高いといえます」
 ただし、製品によって対象年齢が異なる。
持病がある人は、服用している薬との兼ね合いもあるだろう。
「いずれの薬を服用するときも、主治医や薬剤師に相談することが大切です」

【Q】接種前に鎮痛剤を服用する人もいるが……
「解熱鎮痛剤を予防的に服用することは、認められていません。
服用するときは、発熱や痛みなどの副反応が表れてからです」

【Q】モデルナ・アームになったら?
 モデルナ製に特徴的な副反応として、接種後1週間程度してから接種部位が赤く腫れてかゆくなる遅延性皮膚症状がある。モデルナ・アームと呼ばれる。
「ドイツ留学中にモデルナ製を接種した娘も、この副反応が見られましたが、3日ほどで治ったそうです。
発赤がかなり大きいこともあり、驚くかもしれませんが、すぐによくなるので、つらければ、軟膏などを塗るとよいでしょう」

 記者も1回目の接種からちょうど1週間後に接種部位がややかゆくなった。
その日は大したことなく気にしなかったが、翌朝かゆみが強くなり、患部を見ると15センチほどの大きな発赤に驚いた。
手持ちのステロイド軟膏を塗り続けたところ、4日ほどで消失した。
 厚労省研究班の報告では、モデルナ・アームの発現率は2.15%で、最長出現期間は何と25日、最大径は20センチという。人によってはかなり症状が強いため、つらいときは皮膚科を受診するといいだろう。

【Q】自治体接種のファイザー製か職域接種のモデルナ製かで迷っていて……
 住んでいる地域によってはワクチンを選べる人もいるだろう。
その選択基準はどうするか。
「モデルナ製の副反応を気にする人もいるかもしれませんが、より早く接種できる方のワクチンを予約して、なるべく早く接種すべきです。
たとえば、モデルナ製は予約できるが、ファイザー製はできないというケースで、予約できるまでファイザー製を待ち続けるのはよくありません。
今は、感染拡大が先か、ワクチン接種が先か、という状況ですから」

 これまで説明したように、副反応には対処法がある。
それを頭に入れておけば、モデルナ・アームだって怖くない。

【Q】家族での接種は日程をまとめるか分けるか?
 記者にとってつらかった副反応は、モデルナ・アームと接種翌日の痛みのみ(2回目はまだ)。
食欲もあり、日常生活に支障をきたすことはなかった。

しかし、副反応の強さによっては支障をきたす。
知人は、モデルナ接種の2回目の後、高熱で2日ほど寝込んだ。
飲み物しか喉を通らず、かなり困ったという。
「お子さんや親と同居している場合は、夫婦が同じ日にワクチンを接種して副反応で寝込んでしまうと、子供の世話や親の介護ができなくなるかもしれません。
接種日は、夫婦でずらすこと。
特に一方が2回目を接種した翌日は、もう一方が休みを取るか、家事などができるスケジュールにするのが無難です」

【Q】日本もいずれ3回接種が必要になるか?
「デルタ株の猛威を考えると、その可能性はあるかもしれません。
でも、いまは接種を希望する人には、一日も早く2回接種を完了することが大切です」  
◇  ◇  ◇
 西村氏は、「今年の秋冬は、昨年より厳しい感染状況になる恐れもあるだろう」という。
厄介な事態を免れるには、ワクチン接種が一番だ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月07日

人を元気づける たった1つのコツ

人を元気づける たった1つのコツ
2021年08月06日 ダイヤモンドオンライン

人気シリーズ17万部突破!『精神科医Tomyが教える 1秒で元気が湧き出る言葉』から、きょうのひと言!

自分のことだけを考えずに、誰かのために何かをするって大事ですよね?
他人の幸せを願う「利他」の心は、回りまわって自分の心を育ててくれるといわれます。
他人のためとはいえ、一方的なひとりよがりのやり方だと逆効果になりかねません。
1つ大事なコツがあるんです。
そのことを精神科医Tomy先生がズバリ教えてくれます!

■人を元気づけるのは

人を元気づけるのは、 やり方じゃなくて、
アナタの役に立てたら という気持ち。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月08日

台風10号は関東に接近 増える9月の上陸

台風10号は関東に接近 増える9月の上陸
8/7(土) YAHOOニュース
片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属

 台風10号は8日(日)午前にかけて関東に最も近づく見通しで、東京都心でもまとまった雨が降りそうだ。
今年10年ぶりの平年値改定で、9月が上陸トップとなった。

高い海面水温が秋台風を活発化させている。

8月は予想が難しい
 台風10号は7日(土)午前9時現在、日本の南海上を1時間に25キロの速さで北東に進んでいます。
中心の気圧は990ヘクトパスカルで、今の勢力を維持したまま、7日夜から8日(日)午前にかけて、伊豆諸島から千葉県の房総半島沖を進む見通しです。
 3日前の予想では関東に近づく頃の予報円の大きさが直径1,400キロもあり、本州がすっぽりと入ってしまうほど巨大な予報円でした。
その後は徐々に小さくなり、今は直径130キロです。

8月は台風を流す風が弱いため、ちょっとした気圧配置の変化に敏感で、予想進路が定まるまで時間がかかることがあります。
東京都心はまとまった雨に  発達した雨雲が台風の北側に広がっていて、7日昼前から関東地方にかかり始めました。
台風はあまり強くないとはいえ、台風が関東地方に近づく8日午前は雨、風が強まる可能性が高いです。

台風 平年値に変化
 昨シーズン(2020年)は12年ぶりに台風の上陸がない、珍しい年になりました。
今年はすでに台風8号が宮城県に上陸し、台風10号も関東に接近しています。
今年は早いうちから台風の影響が出始めているように感じています。

 今年は10年ぶりに台風の基準となる平年値が改定されました。
 この10年で発生数は減り、上陸数は増えました。
しかし、その差はわずかで、大きな変化とはいえません。

 しかし、月別に詳しく見てみると、ある傾向が浮かび上がってきました。
これまでは8月が発生数、上陸数ともに一番多かったのですが、新しい平年値では上陸数トップが9月になりました。
そして9月は発生数も増えています。

なぜ、9月上陸が増えているのか  猛暑が定着し、海面水温の高い状態が秋まで続くこと、太平洋高気圧(夏の高気圧)の後退が遅れ、台風が日本列島に近づきやすい気圧配置が長く続くことが挙げられます。

 秋台風は大型化しやすく、被害が甚大化しやすい特徴がありますが、ますますこの傾向に拍車がかかっているように感じています。

 2011年静岡県浜松市に上陸した台風15号、関西国際空港が高潮被害に見舞われた2018年の台風21号、千葉県で停電被害が深刻化した。
2019年の台風15号など記憶に残る台風がいくつもあります。

台風シーズン長引く予想も
 このところの暑さの影響で、海面水温は非常に高く、日本海から北日本で平年を大幅に上回っています。
そして、9月、10月は太平洋高気圧が日本の南で強く、季節の進みは例年より遅れる見通しで、台風シーズンが長くなる可能性があります。
【参考資料】 気象庁ホームページ:過去の台風資料
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月16日

失言、パワハラ、セクハラ…なぜ「老害」化する高齢者が増えているのか

失言、パワハラ、セクハラ…なぜ「老害」化する高齢者が増えているのか
2021年08月15日 PRESIDENT Online
勝間 和代 経済評論家/中央大学ビジネススクール客員教授

富と名誉を得た権力者たちが「老害」と呼ばれるこのご時世。
「老害」とそうでない人の違いとはいったい何でしょうか。
また、老化からあらがうにはどうしたらよいのでしょうか。
勝間和代さんが、「長生きリスク」とその回避方法を考察します――。
※本稿は、勝間和代『健康もマネーも人生100年シフト! 勝間式ロジカル不老長寿』(宝島社)の一部を再編集したものです。

■「老害」は何が悪いかわかっていない
老化というと、私たちはつい身体的な面ばかりを注目してしまいます。
しかし、もっと怖いのは、身体よりもその中身の老化のほうです。
つまり、価値観や感性の老化です。
もしくは、知覚や認知の老化、と言ってもよいでしょう。
私たちの社会というのは常に前進しています。
10年前、20年前に比べて、ありとあらゆることがよくなっています。
多様性を尊重することや人権、人間の尊厳に対する価値観に対する老化は、最も典型的なものでしょう。
ひと昔前だったら当たり前とされていたような発言や冗談も、今日ではパワハラやセクハラとされます。
私たちがなぜ、ある程度、年齢のいった人たちと話が合わなくなるかというと、こうした価値観が違いすぎるからなのです。そこには、老化の問題も大きく関わっているだろうと私は考えています。

日本オリンピック委員会の臨時評議員会の場で、森喜朗さん(当時、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会会長)が、女性に対して「発言が多すぎる、わきまえていない」などという無防備な失言をしたことで、会長職を辞することになりました。
みなさんも記憶に新しいことと思います。
私は、その後の釈明記者会見をたまたまリアルタイムで、テレビでずっと見ていました。
本人は何が悪いのかさっぱりわかっていない様子で、「謝れと言われたのでとりあえず謝っている」感が満載だったのです。 私は、森さんの肩を持つわけではありませんが、正直、気の毒だ、とも思いました。
これまでの経験や業績を買われ、さまざまなスポンサーからお金を集めるために会長となり尽力してきたのです。
「老害」と一言で片付けてしまえば簡単な話ですが、会長としてさんざん、使われたあげくに、1回の失言であれだけ糾弾されたのですから、たまりません
しかし、これも価値観の老化といえば、そういうことだと思います。

■ティーグラウンドで立ち小便するメイワク高齢者
私はゴルフをよくやりますから、自分のクラブのオープン・コンペや他クラブに1人で予約を入れたときには、さまざまな高齢者の方とお会いすることがあります。
正直に言えば、そうした高齢者のなかには、この人とはもう二度とゴルフをしたくないなというひどいマナーの人が稀にいるのです.
もちろん若い人のなかにもそういう人はいますが、大概は高齢者である確率が高いのです。
いったいそれはどうしてなのか。
ゴルフのマナーも年々、進化していますので、昔よりもずっとマナーには厳しくなっているのですが、そうした変化についていけず、マナーを守れない高齢者が増えているのではないかと思います。
プレーヤーの前に出ない、前の組に打ち込まないなどというのは、最近ゴルフを始めた私にとっては当たり前のことなのですが、30〜40年も前に始めた人たちにとっては堅苦しいルールなのでしょう。
こうしたある種のコンプライアンスを守る気配が、このような人たちにはまったくないのです。

さらに、いちばん私が驚いたのは、ティーグラウンドの横で80代くらいの男性が立ち小便をしたときでした!
「これから小便するから」と言われたときには、私は聞き間違えたのかなと思ったのですが、本当にそこで立ち小便をしてしまったのです。
正直、私はその光景が、トラウマになりそうです。
自分のメンバークラブなのに、もうそのティーグラウンドには立ちたくありませんし、違うクラブの会員権を買おうかと思ったくらい、衝撃的な出来事でした。
もちろんすべての80代男性が、こんなかたちでゴルフのラウンドを回っているとは思いません。
また、その男性は高齢で足も悪いため、尿意も我慢しづらくなっているうえにトイレに行くのも大変だったことも、重々理解しているつもりです。
それでも大変失礼ですが、嫌なものは嫌なのです。
これはもう生理的な嫌悪なので、私にはコントロールしようがありません。

■長生きリスクは3つある
私たちは100歳まで長生きすることを前提とした時代、つまり今日の人生100年時代を生きる場合には、とりわけ70〜80歳を超えたときに、次の3つのリスクに対峙しなければならなくなります。

その1 身体的衰えのリスク
その2 金銭的収入減のリスク
その3 社会的つながり減のリスク

ここでは、その概要について、お話ししたいと思います。

■長生きリスクその1 身体的衰えのリスク
まずはその1の身体的衰えのリスクからです。
身体的衰えのリスクは、老化が人間について回る、死に至る慢性病であるからこそ、人生の最後まで回避することは不可能です。
それは、人間も含めた動物すべてがいまのところ、みな死すべき定めの存在だからです。
しかし、その老化スピードをコントロールすることは可能です。
老化スピードをうまくコントロールしながら、頭だけは柔軟に保ち、身体的な衰えを経験と知恵でカバーしながら歳を重ねること。
これが、長生きリスクのうち、身体的な衰えのリスクへの対処法と言えるでしょう。

■長生きリスクその2 金銭的収入減のリスク
次は、2番目の金銭的収入が落ちるリスクです。
いまでも多少、その慣例は残っていますが、かつての日本は年功序列が当たり前で、歳を取るとともに収入も上がっていく時代でした。
この時代は非常に長かったのですが、現在は新卒から入社年数が経過したとしても、大した昇給は望めない時代になっています。
自分でしっかりとしたスキルアップや転職、独立などを重ねないと、一向に収入は増えません。
その反面、年功序列システムが崩れたということは、逆に個人事業主にとっては、インターネットなどを駆使してさまざまな方法で小規模ながら事業を起こすことができるようになりました。
また、それにつれて年齢差別もだんだんとなくなってきました。

そのため、本人の希望と覚悟、そして戦略さえあれば、本当に頭や身体が動かなくなる、死に至るその直前まで、現役の仕事を行うことだって可能になったのです。
仮に定年後も自由自在に頭も身体もよく動き、さらに仕事も楽しければ、わざわざ定年だからと仕事をやめる必要もないのです。
勝手に「定年」なんて年齢の区切りを作る必要はありません。
むしろ、定年後のほうが、これまでの経験や知識の蓄積を生かして、社会に貢献し、楽しく仕事ができるようになるでしょう。
では年金生活における最大のリスクとは何かというと、月々の収入は増える見込みがほとんどないということです。
つまり、よい変化が期待できないのです。
私たちは、そもそもどういうときに幸せを感じるのかというと、現状よりもよい生活が手に入るという希望がある、そうした希望が感じられるときにより多幸感が強まるようになっています。

人類の進化を考える進化人類学という学問や心理学の研究蓄積からわかってきたことなのですが、私たちの生体には、安定した状態に保とうとするホメオスタシスという性質があります。
恒常性とも訳されますが、これは逆にいえば、一度得た幸せな状況や環境にはすぐに適応し、慣れて不感症のような状態になってしまうことを意味しています。
だからこそ、より高みを目指しよい生活を送ろうと努力を積み重ねてきたことが、今日までの人類の発展と進化につながっているのだそうです。
ですから、多少収入が低かったとしても、その後に増える見込みがあるときのほうが、安定した収入があるけれどもこれ以上増える見込みがないときよりもずっと幸せを感じやすいのです。
この意味で言うと、年金生活の問題点は、必ずしも収入は潤沢ではないうえに、さらに増えていく見込みがない、ということなのです。
そのため、収支の差分については、これまでの蓄えを少しずつ切り崩して使うことになります。
自分の資産がだんだんと目減りしていくのを好ましいと思う人はどこにもいないでしょう。

■フローの現在価値のほうが重要
私は「生涯の財産」ということをよく考えますが、金融資産というのはあくまでもそのときのストックを指すものにすぎません。
これはよく言われていることですが、金融資産よりも、その人がどのくらい、将来お金を稼ぐことができるかというフローの存在価値のほうが、資産面で言うと実はより重要なのです。
つま、年金生活の問題は、フローの現在価値が一定の数値に決まっており、それ以上まったく増えようがない、ということなのです。
しかし、自分の稼ぐ能力が年を経るごとに衰えないどころか、だんだんと経験を積んでいき、逆に上がっていくのであれば、長生きをすることのリスクは少なく、むしろリターンの多い、好ましい状況だと言えるでしょう。
歳を取ること自体が、歓迎すべきことになります。

このように長生きリスクを避け、長生きリターンを享受するためには、どんな収入体系を作っておけばよいのか、30代〜50代の間が勝負と言えるでしょう。
30代、40代、50代とやっておかなければいけない長生きリスクへのマネジメントが、そこにはあるのです。

■長生きリスクその3  社会的つながり減のリスク
次は、3番目の社会的つながり減に対するリスクについてです。
この社会的リスクについては、意外と警戒している人は少ないのではないでしょうか。
身体的リスクについては、本人の予防措置や努力次第でどうともなりますし、金銭的な部分では健康保険だってあります。
また、金銭的リスクについては、一応、最低限のレベルは、国が年金というかたちで保証してくれています。

しかし、社会的なつながり、人間関係の構築については、残念ながら政府は何も保証してくれません。
人間関係は、本人の努力ももちろん必要ですが、相手もあることですから、それだけではだめでしょう。
また、私たちは高齢になればなるほど、若い人たちからは敬遠されがちだということについては、十分に自覚する必要もあると思います。

老化の大きな問題は、何も筋力の衰えといった体力的なことだけではありません。
脳には認知や思考、判断し行動する機能を司る前頭葉という領域がありますが、歳を取ると特にこの部分が衰えやすくなるのです。
前頭葉の大部分は前頭前野と呼ばれる領域で、人間の大脳のうち約30%を占めています。
この前頭前野を含む前頭葉が衰えるということは、もの忘れが増えたり、思考能力が低下したり、感情のコントロールが効かなくなるので、キレたり、感情的になったりします。

なかでも社会的なリスクとして問題になるのは、やる気の低下でしょう。
さまざまな社会事象に対する興味も薄れてしまい、考え方はアップデートされません。
若い人たちにとって、そんな頑固で保守的な年上の人間と付き合うメリットはありませんから、当然、新しい付き合いもなくなるでしょう。

結果、年老いた人たちは、同世代の人間たちとばかりつるむこととなりますが、同世代の人たちも同じように年老いています。
亡くなってしまったり、病気になったりする人も増えてきますから、新しい付き合いができない人は、老後の期間が進むにつれ、どんどん孤独になっていきます。
同世代の人としかつるめない高齢者というのは、若年層の人たちには魅力のない人たちです。
そういう人たちがつるんでいるわけですから、ある意味、魅力のない人たちの集まりでしかない。
社会的なつながりとしては、代わり映えもせずに面白くもない。
そして、自分もその一員と思われているということで、自己肯定感も下がってしまうでしょう。

■仕事を続けることがカギ
それでは豊かな社会的つながりを保つにはどうしたらよいか。
その最良の方法のひとつは、私は仕事だと思っています。
定年後の年齢になっても仕事を続けていられる人は、みんな生き生きしていますし、人間付き合いも自分の同世代だけに限らず、若い人と積極的に交流をしている人が多いものです。
おそらく、そうでなければ定年後も生き生きと働くことは難しいのでしょう。
たとえ、仕事ではなくプライベートで会った人でも、仕事の話をしてくれる人は高齢者であってもとても魅力的です。

また、高齢者であっても社会に貢献し、対価として金銭を得るには、それなりの魅力を保っていないと実現できないことだと思います。
長生きをすることのメリットのひとつは、若い人に比べて、これまでの経験や蓄積が多く、経験値として自分の資産となっていることでしょう。
しかし、そんな資産もうまく生かせなければ意味がありません。
結局、社会的に興味を持たれず、孤独を抱え、最悪な場合、孤独死なんてこともざらにあることだろうと思います。

----------
勝間 和代(かつま・かずよ) 経済評論家
/株式会社監査と分析取締役/中央大学ビジネススクール客員教授
1968年東京生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。
アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガンを経て独立。
少子化問題、若者の雇用問題、ワーク・ライフ・バランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言を行う。著書に『勝間式食事ハック』(宝島社)、『勝間式超ロジカル家事』、『勝間式超コントロール思考』『ラクして おいしく、太らない! 勝間式超ロジカル料理』(以上、アチーブメント出版)などがある。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月17日

「朝食を食べない派の人」が招く超危険の正体

「朝食を食べない派の人」が招く超危険の正体
毎日食べる人ほど「脳卒中リスク低い」結果も
2021/08/16 東洋経済オンライン
池谷 敏郎 : 医学博士/池谷医院院長

あなたがイライラする原因は「朝食を抜くこと」が原因かもしれない?
朝食べない習慣が招くデメリットを、テレビでも活躍する話題の医師・池谷敏郎氏の新刊『健診・人間ドックではわからない!かくれ高血糖が体を壊す』より一部抜粋・再構成してお届けします。

20代から40代の男性の4人に1人は、朝食を食べていないそうです。

・できるだけ長く寝たいから、朝食はあきらめている。
・朝はそんなにお腹がすいていないから、昔から食べない。
・朝は食べないほうが、頭が冴える。

いろいろな「朝、食べない」「食べられない」理由があるでしょう。
でも、「朝食抜き」にはいくつかの危険があります。

朝食を抜く人ほど「血糖値」が上がりやすい
ひとつは、朝食を抜くと、昼食後の血糖値スパイクがより大きくなるということ。
朝食をとらない分、お腹がすくので昼食の量が増えて血糖値が上がりやすいということもありますが、それだけではありません。
たとえ食べる量が同じでも、朝食を抜くと血糖値は上がりやすいのです。
なぜでしょうか。

寝ている間、血糖値は下がっていますが、活動のためにはある程度、血糖値を上げなければいけません。
朝食をとらないと低血糖状態が長く続くので、「インスリン拮抗ホルモン」という血糖値を上げるホルモンがたくさん分泌されて、血糖値を下げないようにしています。
その状態で食事をすると、いつもと同じ食事内容だったとしても、いつも以上に血糖値が上がりやすいのです。
また、低血糖状態が続くと交感神経が緊張するので、イライラして甘いものを食べたくなってしまいます。

血糖値を上げるホルモンがたくさん出て、血糖値が上がりやすくなっているときに甘いものを食べたらどうなるか。
言うまでもありませんね。
「朝食を抜くと脳出血が増える」という研究結果も出ています。

国内で行われた研究で、45〜74歳の男女8万人以上を対象に、約13年間追跡調査を行ったところ、「朝食を毎日とっている」と答えた人に比べて、「週5〜6日」の人は1.1倍、「週3〜4日」の人は1.22倍、「週0〜2日」の人は1.36倍、脳卒中のリスクが高くなっていました。

朝食は立ちながら食べたほうがいい
朝食をとったほうが血管にいいとはいえ、糖質や脂肪のとりすぎは避けたいところ。
とくに私は、仕事(外来診療)中は座っている時間が大半なので、朝食は「無糖コーヒーと手作りの野菜ジュース」が基本です。
なおかつ、キッチンで野菜ジュースをつくって、そのままキッチンカウンターで立って飲んでいます。
単純に朝の時間短縮のためにはじめた習慣ですが、慌ただしい朝は食後に歩いたり、体操をしたりする時間を確保しにくいので、食後高血糖対策にはおすすめです。

じつは池谷家では、朝だけではなく夕食も、軽くすませたいときには立食スタイルにしています。
キッチンカウンターにつまみを並べて軽くお酒を飲みながらの夕食です。
「行儀が悪い」と思われるかもしれませんが、血管にはやさしいスタイルです。
それに、いつもと違う食べ方のせいか、よりおいしく感じることも。
池谷式立食、ぜひ試してみてください。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月22日

残暑でも油断大敵 突然死も招く“ステルス熱中症”にご用心

残暑でも油断大敵 突然死も招く“ステルス熱中症”にご用心
2021年08月21日 女性自身

「今年の夏は急激に暑くなったうえに、コロナ禍で迎えた2度目の夏。
これまで以上に熱中症になるリスクが高まっています」
そう語るのは、熱中症に詳しい済生会横浜市東部病院・患者支援センター長の谷口英喜先生。

消防庁の発表によると、今年6月1日から8月8日までに熱中症で救急搬送された人は3万4,768人にのぼる。
これは昨年同時期間の2万1,995人からじつに1.6倍にも増加している。

なぜ今年は熱中症リスクが上がっているのだろうか? 谷口先生が解説する。
今年は梅雨入りが早く、汗をかいて体内の熱を発散する機会が少ないまま真夏を迎えました。
暑さに体が慣れる『暑熱順化』ができず、急激な気温の上昇に体がついていけない人が多くいます。
そして1年以上にわたる外出自粛から運動不足になり、筋肉が衰えている人が少なくありません。
体の水分の4割を蓄える筋肉の量が減ると、それだけ熱中症のリスクも高まってしまうのです

熱中症といえば、屋外の蒸し暑い環境で発生する印象が強いが、もっとも多いのは住居で起こるもので、4割以上を占める。 「室内で2時間座っているだけでコップ1杯分の水分が失われています。
特に女性は男性よりも筋肉量が少ないため、熱中症のリスクが高い。
家にいるから大丈夫と思っていたら、熱中症になって倒れてしまう女性も意外と多いのです」(谷口先生・以下同)

今年は“家の中”で“気づかないうち”に熱中症になっていて不調を抱える人が増えているという。
「頭痛や胃のもたれがあっても、不調を夏バテのせいだと思い、季節が変われば改善するだろうと軽く考えている人がいます。
しかし調べてみると、その原因が軽度の熱中症というケースがあるのです」

密かに私たちの体に忍び寄る、いわば“ステルス熱中症”が、この夏は増えているという。
夏の疲れと見分けるサインはあるのだろうか?

「症状は脳、消化器、筋肉の3つの臓器に現れます。
これらの臓器は水分が多く、熱中症になりかけるといち早くSOSを発します。

頭がボーっとする、頭痛がする、眠くなるなど脳の症状、
下痢や便秘など消化器の症状、
そして痛みやしびれなど筋肉の症状。
これらが重なっている場合は、熱中症の初期段階だと考えていいでしょう」

■ステレス熱中症の主な症状とは 次の項目はステルス熱中症によって脳、消化器、筋肉に現れる主な症状だ。
当てはまる項目がA、B、Cの分類にまたがる場合は、あなたにもステルス熱中症が忍び寄っている可能性が高い。

【A】脳の症状
めまい、立ちくらみがする
□ 集中力の低下を感じる
□ 頭がボーっとしたり、頭痛がある
□ 日中に強い眠気を覚える
□ 寝つきが悪い、夜中に起きてしまう

【B】消化器の症状
食欲がない
□ 胃がもたれる
□ 腹部の不快感がある
□ 便秘や下痢を繰り返す
□ 腹痛や嘔吐することがある

【C】筋肉の症状
□ 体がだるい
□ 足の筋肉が頻繁につる
□ おなかの筋肉がけいれんする
□ 筋肉痛やしびれがある

軽い初期症状と侮ってはいけない。
放置していると、命に関わることもあるのだという。
「気づかないうちに体が常に脱水症状になっているため、いずれ重い熱中症を発症する可能性が高くなります。

重度の熱中症は生命に関わることも。
適切な処置をすることで命を落とすことは防げても、後遺症が残ってしまうことが少なくありません。
特に脳へのダメージが大きいと、記憶障害や判断力が鈍ったり意欲が低下したりする高次脳機能障害や、歩行障害などの重い後遺症が懸念されます」

これから先も、平年よりも高い気温が続き、残暑も厳しくなる予報も出ている。
ステルス熱中症から自分の体を守るため、くれぐれも油断は禁物だ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月24日

吉川美代子アナ コロナ感染拡大に「まさに戦時。ちゃんとした医療受けられないまま死ぬ人が多い状況同じ」

吉川美代子アナ コロナ感染拡大に「まさに戦時。ちゃんとした医療受けられないまま死ぬ人が多い状況同じ」
8/23(月) スポニチ

 元TBSでフリーアナウンサーの吉川美代子(67)が23日、日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」(月曜〜金曜後1・55)に生出演し、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない現在の状況について語った。

 全国の新型コロナウイルス重症者が11日連続で過去最多を記録するなど感染が爆発的に拡大する中、病床は増えず容体急変が懸念される自宅療養者が急増。
全国の自宅療養者の数は10万人にも迫ってきている。

 MCでフリーアナウンサーの宮根誠司(58)から「東京を中心にコロナにもなれないし、それこそ(医療がひっ迫して)交通事故にあっても入院させてもらえない、手術もしてもらえないってなことが今起きてるんですよね」と話を振られた吉川アナは「私の知り合いは、盲腸で手術のはずだったのが、やっぱりできませんっていって延ばされた人実際にいます」と明かした。

さらに、感染が広がる現状を「戦争中、南の島で日本が玉砕して薬もない、ちゃんとした医療も受けられないまま死んでいく人が多い状況と同じ。まさに戦時ですよね」と例えた。

 「現場で見てらっしゃるお医者様も『今戦時なんです、コロナは』っておっしゃって。それでも関係ないわって思って夜まで遊んだりとか外で路上飲みしたりとかって、戦時体制で頑張っている人と、息が苦しくて死にそうな人と全然関係ないよって外で飲んで遊んでる人の落差が大きすぎますよね」と語った。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月27日

バナナの熟成度と栄養素. 便秘解消に効果的なのは「青めバナナ」

便秘解消に効果的なのは「青めバナナ」。
バナナの熟成度と栄養素
2021年08月25日  MELOS

バナナは、色の変化(熟成度)で栄養素や期待できる効果が変わります。

熟成が進んでいない青いバナナ、黒い点のある熟成しきったバナナ。熟成度ごとの注目栄養素と働きについて、東京慈恵会医科大学付属病院栄養部で管理栄養士を務める赤石定典さんに聞きました。

バナナの成熟度と期待できる働き

青めバナナ
難消化性デンプンが多く含まれ、整腸効果、便通改善が期待できます。
「バナナに含まれるオリゴ糖、食物繊維が腸内環境を整えてくれます。
ですから、便秘解消には有効なフルーツです」(赤石さん)

黄色バナナ
ビタミンB2やB3(ナイアシン)、B6が多く美肌など美容効果が期待できます。
「バナナの栄養をしっかりと摂るには、完熟させてから食べましょう。

組み合わせは得たい健康効果にもよりますが、無難なところではヨーグルトと一緒がよろしいかと思います。
バナナに含まれる食物繊維が、ヨーグルトの効果もアップしてくれます。完熟後は痛みが早いので、皮をむいて密閉袋に入れて冷凍するといいですね」(赤石さん)

シュガースポットが出た茶色バナナ…… IL-12という物質増加で免疫力アップが期待でき、普通の果物では珍しい燐(りん)脂質を含有して胃潰瘍の抑制効果が期待できます。

[監修者プロフィール]
赤石定典(あかいし・さだのり)
管理栄養士。
1991年3月、学校法人華学園栄養専門学校を卒業後、4月より東京慈恵会医科大学附属病院栄養部に勤務。管理栄養士として栄養管理や栄養の重要性を広く伝えるために書籍監修、メディア出演にも関わる。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月31日

山口真由氏“コロナは空気感染”論に「飲食店に特化した対策が正当化できなくなる」

山口真由氏“コロナは空気感染”論に「飲食店に特化した対策が正当化できなくなる」
8/30(月) デイリー

 テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」が30日、研究者らが27日に空気感染が新型コロナウイルスの主な感染経路だとする緊急声明を出したと報じ、弁護士・山口真由氏は「もしこれが本当ならば、飲食店に特化した今の対策が正当化できなくなる」と問題視した。

 研究者らが出した声明は「空気感染が主な経路だと最新の研究で明らかになっている。
エアロゾル(空気中に漂う微粒名粒子)滞留濃度を下げることで感染阻止は可能。
対策が尽きてしまったというほどのことはなされていない」というもの。

 キャスターの羽鳥慎一が「今のところ厚労省は飛沫感染と接触感染が主な感染経路としていますが、研究者の中では、いや空気感染もあるよという声明ですがいかがでしょう」と問いかけると、
国際医療福祉大学主任教授・松本哲哉氏は「この提案は大事。少なくとエアロゾル、飛沫よりもまだ小さい粒子が感染を広げてしまうんだという考え方は私もそうだと思う」と断言。

 「飛沫は重さがあるのでせいぜい2メートルの距離しか届かないし、地面に落ちてしまう。
ところがエアロゾルは漂いますので、吸い込んでしまえば結構離れた人も感染してしまう。
これをどういうふうな呼び方…空気感染という呼び方が正しいのか、エアロゾル感染という形でまた別の定義を捉えるのか、私たちも学会で話し合いをしている。
考え方をもう少し広げて対策を取ることが大事だというのはその通りだと思う」と、最前線の動きを絡めて説明した。

 山口氏は「もしこれが本当ならば、飲食店に特化した今の対策が正当化できなくなる。
飛沫感染というのを前提として今飲食店対策をしているわけだが、今までの研究というのは人流抑制に偏重し過ぎていて、実はそうじゃなくても実効性のある対策ができるんだということを提言しているわけで」と、“飲食店いじめ”とさえ言われる休業・時短要請の方針への影響を指摘。

 「こういう科学的な知見を厚労省の方も十分に生かして、対策を合理的なものにアップデートしていかないと、いつまでも飲食店偏重っていうのは、飲食店の中にも国民の中でものめないっていう声が大きくなってくるんじゃないかと思う」と対策も改良していくべきだと訴えた。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月08日

「糖尿病は血糖値を下げればOK」と勘違いする人を待ち受ける恐ろしい結末

「糖尿病は血糖値を下げればOK」と勘違いする人を待ち受ける恐ろしい結末
2021年09月06日 PRESIDENT Online
(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)

コロナ自粛の中、糖尿病が境界型に突入、あるいは発症にまで至る人が急増している。
新著『医者が教える最強の解毒術』が話題の糖尿病専門医・牧田善二医師は「『糖尿病は血糖値だけ下げればOK』と勘違いしている人が多いのですが、一番の課題は血糖ではなく、合併症対策、とりわけ糖尿病腎症予防が重要です」と警鐘を鳴らす──。

■糖尿病で「知るべきポイント」5つ
コロナ禍(か)のリモートワーク、巣ごもりといった「自粛生活」で、運動不足や偏った食事の問題から高血糖になる人が増えています。
中には糖尿病を発症する人も……。
糖尿病の患者さんは、新型コロナウイルスに感染した際の重症化リスクが3.4倍になるというデータもありますから(JMDC、2021年)、糖尿病の患者さんや、発症リスクが高い、いわゆる「境界型」の人の多くが不安を抱えていると思われます。

私は医師になって40年以上にわたり、糖尿病合併症と闘ってきた糖尿病専門医です。
現場の専門医の立場から、糖尿病に関して「押さえておくべき5つのポイント」について、お話ししたいと思います。
なお、とくに断りなく「糖尿病」と記述しているものは、2型糖尿病のことを指しています。

■@糖質制限に過剰に期待しない
「糖尿病には糖質制限こそ一番いい方法なのだ」という誤解がいまだにあります。
糖質制限がブームになる前から、いち早く、糖質制限が血糖値のコントロールに有効だということや、人間を太らせるのはカロリーではなく糖質、つまり、ごはんやパン、麺類などの炭水化物だということを広く世に伝えてきた立場で断言しますが、近年、糖尿病治療は革命的ともいえる進化を遂げました。
もはや厳しい糖質制限などせずともよい時代になっています。
そして、糖尿病患者、あるいは糖尿病が心配な人は、年代別に上手に糖質制限と付き合うことをおすすめします。

■44歳以下
まだまだ人生の先が長いこの年代は、太りすぎないように、BMIを標準レベルにまでもっていったほうがいいでしょう。
男女共BMI25未満を目標にしましょう。
というのも、この年代から肥満していると、糖尿病をはじめとする病気にかかりやすくなり、健康で長生きすることが難しくなる可能性があるからです。

食べすぎ、炭水化物の摂りすぎ、体重増加傾向にあるこの年代の人は、糖質制限を取り入れることは意味があるといえます。一番効果があるのは、夕食に糖質制限を取り入れることです。
またランチも、丼物やチャーハン、ラーメンなどをなるべく避け、定食のおかずを多く食べるようにしましょう。
そして運動は、減量目的というより、仕事のストレス解消に好きなことをやったらいいと思います。
お菓子を食事の代用とする女性が多いのもこの年代。
まだ若いために、めちゃくちゃな食生活でもなんとかなってしまいます。
しかし、体の中では高血糖の問題が起きている可能性が高いといえます。
そして、それが数十年後の大きなわざわいとなって現れますから、注意が必要です。
とくにコロナ禍の自粛生活において、若い世代ほど気をつけていただきたい点です。

■45〜64歳
45歳を過ぎたあたりから、これまで健康自慢だった人もだんだんと検査の結果に異常が出始めるはずです。
糖尿病や高血圧といった生活習慣病はもちろんのこと、がんにかかる人も増えてきます。
働き盛りで、家のローンや子どもの教育費などお金もかかることから、「いま倒れるわけにはいかない」と、体が心配になる年代です。
この年代は、男女共にBMI30未満を目標にしましょう。
ここまでゆるやかな基準にするなら、厳しい糖質制限は必要ありません。
この基準を超えるときだけ、糖質制限を行って体重を調整すれば十分です。
運動は、まだ筋肉減少の心配はありませんから、血管系を強くする有酸素運動をしっかりやることをおすすめします。
新型コロナ感染対策による健康二次被害を避けるという観点から、スポーツ庁がガイドラインを示しています。
糖尿病に限らず、健康を維持するために意識的に運動・スポーツに取り組んでいくことが大切です。

■65歳以上
いよいよ仕事をやめて年金生活に入るという人が増えるこの年代は、生活スタイルが激変するタイミングです。
まず、現役時代より運動量が減る。
加えて、基礎代謝が大幅に低下します。
以前と同じように食べていると体重が増えていき、その一方で、やせにくくもなります。
かつては一日一食だけ炭水化物を抜く「プチ糖質制限」でも体重は落ちたのに、そうはいかなくなります。

■70歳を超えたら糖質制限は不要…
それでも、とりわけ70歳を超えたら、BMIにかかわらず糖質制限は不要だと私は考えています。
自分の経験からしても、もはや色気より食い気。
おいしいものを食べることがいちばんの喜びになってきます。
それを我慢して、なんの人生かと思います。
後述するがんや心臓病、脳卒中などの検査をしっかり受けて、あとは好きなものを好きに食べていいのではないでしょうか。

ただ、いわゆるロコモティブ症候群に陥(おちい)りやすくなりますので、運動は必須。
それゆえ、65歳をすぎたら、糖質制限より運動を重視したい。
具体的には、有酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチをバランスよく行うことをおすすめします。

* 糖質制限の効果は、あくまで「やせること」と「血糖値をコントロールできること」の2点のみです。
それ以上に健康効果が得られると期待するのは誤りです。
「糖質制限さえしていれば糖尿病は大丈夫」という間違った思い込みに陥らないように、この点は十分に注意してください。

■A血糖値を下げることは糖尿病治療ほんの一部にすぎない
「糖質制限さえしていれば大丈夫」という残念な「糖質制限信者」が生まれてしまった背景にあったのが「糖尿病治療=血糖値を下げること」という勘違いです。
現実には、いまも患者さんも医師も、血糖値を下げることがすべてと信じ、躍起(やっき)になっている傾向は否めません。
しかし、その考え方や治療法は、もうすでに古く、間違っています。

糖尿病で怖いのは合併症です。
この病気は、血糖値が高いことではなく、そのことによって起きる合併症が問題なのです。
だから、多くの病気のように糖尿病そのものを治すことができないとしても、合併症を治すことができれば、この病気は解決したといえます。
かつて糖尿病治療薬といえば、血糖値を下げる薬をイメージしましたが、近年、最も重要な合併症を治す治療薬の開発が進んでいます。
糖尿病治療の現場は、かつてとは一変したと言ってもいいくらいなのです。

■合併症の真犯人はAGE
そして、合併症を引き起こす真犯人はAGE(終末糖化産物)という物質です。
たんぱく質に糖がくっつき劣化する「糖化」反応でできるもので、体中で炎症を起こし、いわゆる「老化」を促進する原因物質とされています。
実は、世界ではじめて血中AGEの測定に成功したのは、私です。
糖尿病専門医としてのキャリアを通してAGE、そして腎症(腎臓)の研究に没頭してきました。
AGEは一度できると体内に長く留まります。
そのため、「忘れたころ」に合併症が出てくるというたちの悪い物質なのです。
たとえば、糖尿病患者で、いま血糖値の状態がいい人でも、20年後には半分以上に腎症が出てきます。
それが糖尿病という病気であり、侮(あなど)ることができません。

そして、糖尿病性腎症になるとAGEが加速度的に増えてしまうのです。
ところが、糖尿病が専門でない医師の中には、「血糖値コントロールこそ、患者に施すべき治療だ」といまだに思い込んでいる人がいます。
糖尿病専門医からすれば、血糖値コントロールなど、治療の1割くらいにすぎません。
「この患者さんの場合、どういう薬を組み合わせれば合併症が防げるか」 「もし合併症が出たら、今後どういう治療をしていこうか」 「血圧はどのくらいに抑えてもらわなければならないか」 「眼科との連携をどう取っていこうか」 患者さん一人ひとりに合わせて、糖尿病専門医は、絶えずこんなことを考えています。
血糖値以外にも気を配るべきものがたくさんあり、「糖尿病の治療は、合併症とほかの病気へのフォローが9割」と言っていいのです。

■B血糖値が上がることを気に病む必要はない
糖尿病患者はこれまで、高血糖が続くことを極度に恐れてきました。
主治医から「血糖値が高いままだと、いずれ合併症でたいへんなことになりますよ」と、さんざん脅(おど)かされてきたのですから、それも当然です。
しかし、いまでは医学の進歩によって糖尿病合併症は薬で治せるようになりました。
そのため、以前ほど血糖値を気にする必要はなくなりました。
血糖値が200mg/dL以上になっても心配はいりません。
ただし、「きちんとした治療ができる糖尿病専門医」にかかることが大前提であることは言うまでもありません。

私の患者さんでは、40年以上にわたってインスリンの注射を打っていて、毎日計っている血糖値は200mg/dLどころか400、500ということが月に何度もある、1型糖尿病の90代の男性患者さんがいました。
HbA1cは9%前後です。
ところが、どこにも合併症が出ていません。
血糖値が200mg/dLを超えるような状態が40年以上続いても、正しい治療を行えば合併症と無縁でいられることをこの患者さんが証明しています。
ただし、「命にかかわる血糖値のボーダーライン」はあります。
HbA1cは7.9%以下に抑えましょう。
これを超えると、免疫力が低下して感染が起きやすく、縫合不全の可能性もあるため手術ができなくなるリスクが高まります。
だからHbA1cが8.0%を超えないように血糖値をコントロールすることは必要です。
しかし、それができていれば、血糖値に一喜一憂する必要はありません。

■Cきちんとした治療を受ければ、人工透析と無縁でいられる
実は、糖尿病そのもので死ぬことはありません。
糖尿病が恐ろしいのは、さまざまな合併症を引き起こすからです。
合併症には腎症、網膜症、神経障害の3つがありますが、その中でももっともやっかいなのは腎症です。
網膜症で失明することは避けたい。
しかし、失明で命を落とすことはありません。
神経障害も不便ですが、血糖値コントロールをすれば改善できます。
一方、腎臓はあらゆる老廃物を濾過(ろか)する重要臓器であり、腎臓が動かなくなれば体内に毒素が溜まって死に至ります。そのため腎症が進行すると、人工透析が必要になります。
腎臓に代わって機械に老廃物を濾過してもらうのです。
機械で濾過できる老廃物は正常な腎臓の1〜2割にすぎず、人工透析を行っている患者さんは疲れやすく、顔色も悪くなります。
また、人工透析は1回の治療に4時間程度かかり、週に複数回、それが一生続きます。
しかし、糖尿病専門医にかかり「きちんとした治療」、すなわち、血糖値を下げることではなく、腎臓の合併症を治す治療を受ければ、生涯人工透析と無縁でいられます。
とくに強調したいのが、「尿アルブミン検査」の重要性です。
似た名称の検査に血液中の血清アルブミンの検査がありますが、まったく別物です。

私の患者さんが地方に転勤した先でかかった病院で、勘違いした医師がいて驚いたことがありますが、「尿検査でアルブミン値を調べること」、これが最重要です(単位はmg/g creatinine)。
私は15年前から、この検査がいかに大切かを本に書いて啓蒙(けいもう)してきました。
しかし、残念ながらいまだ普及が見られていません。
しかし、読者のあなたはいま知りました。これをチャンスと思って、ぜひ試してみてください。

尿アルブミン検査こそ、糖尿病の患者さんが真っ先に受けなければならない検査です。
これを定期的に(3カ月に1回くらい)受けていれば、人工透析をまぬがれることができます。
糖尿病の人はもちろん、そうでない人も、尿アルブミンが300mg/g creatinineを超えたら、腎症がかなり進行して透析の危険が迫っています(糖尿病腎症のステージでは第3期。第5期になると透析です)。
この検査を定期的に実施し、腎症を治すことができる信頼できる専門医にかかりましょう。

「専門医にかかりましょう」としつこく書いているのには理由があります。
かつて、私も面識のある作家が、糖質制限を過信し、「医者いらずで糖尿病を克服した」と周囲に吹聴したものの、命を落とす結果になった悲しい出来事があったからです。
糖尿病は完治することはなく、上手に共存していくべき病気であり、合併症治療には専門医の知識と経験が必須です。
ここはしっかりご理解いただきたい点です。

■D糖尿病の最大の敵は「がん」「心筋梗塞」「脳卒中」
糖尿病になって、命に直結する最大の問題は何かといえば、血糖値でも合併症でもなく、命を奪うがん、心筋梗塞(しんきんこうそく)、脳卒中です。
糖尿病患者さんは、そうでない人に比べて平均寿命が10年短いというデータがありますが、糖尿病になることで、こうした命にかかわる病気になるリスクが急上昇するからなのです。
ですから、糖尿病の患者さんは、これらの病気にかかる頻度が高いことを自覚して、確実な検査をすることがどうしても必要になってきます。
たとえば、たった20秒で済んでしまうCTスキャンによる検査を毎年受けていれば、肺がんなどで死ぬことはありません。
ですが、実際には、実践している人はほとんどいないと思います。

その観点から、糖尿病患者さんが受けるべきは、@胸部と腹部のCT、A胃腸のカメラ、B脳のMRIの3つです。
胸部と腹部のCTで首からお腹の下まで輪切りにして見ることで、肺、膵臓(すいぞう)、胆嚢(たんのう)、肝臓、腎臓、卵巣など、とくに予後が悪いといわれるがんをはじめ、ほぼ全身のがんを完治可能な早期段階で発見することが可能になります。
また、心臓の血管に異常があれば胸部CTに映りますから、改めて冠動脈CTで詳しく調べることで、心筋梗塞などを防ぐことができます。
これでカバーできないのが消化器のがんで、胃カメラと大腸カメラ(内視鏡検査)で直接粘膜を見る必要があります。
胃、大腸、食道、十二指腸の異変をすべて早期にチェックでき、また、小さな病変であればその場で切除ができますから、非常に優れた検査といえます。
これに脳のMRIを加えればほぼ完璧です。
脳のMRI検査で破裂しそうな動脈瘤(りゅう)や小さな梗塞を見つけることができますし、この段階で予防的な処置ができれば、命を落としたり後遺症が残ったりするような大発作も回避できます。
また、脳腫瘍も早期に見つけることが可能です。
とくに、くも膜下出血は働き盛り世代に多発するので注意が必要です。
罹患(りかん)しやすい体質が遺伝するといわれていますから、親類縁者にくも膜下出血の患者さんがいれば調べておくことをおすすめします。

■「血糖値を下げる」から「糖尿病と生きる」へ
見てきたように、糖尿病患者さんが血糖値に翻弄(ほんろう)される時代はすでに終わりを告げました。
糖尿病のみならず、合併症や命にかかわる病気への対処と治療を、「人生100年」を見据(みす)えていかに継続していくかを考える時代になっています。
とりわけ、患者さんのQOL(生活の質)の維持の観点からは、「腎症とどう付き合うか」、これが最大の課題となっていると言っていいと思います。

本稿の冒頭で、糖尿病になると新型コロナの重症化リスクが上がるという話をしましたが、実は、HbA1cが8.1%と血糖コントロール不良の人は新型コロナウイルス感染による死亡率が一般の人よりなんと10倍に上がるという報告もあります。
すなわち、糖尿病の治療は、新型コロナの重症化リスク低減にも寄与する、糖尿病患者にとってとても大事なポイントになっているのです。
糖尿病や糖尿病性腎症についてさらに詳しく知りたい方は、拙著『医者が教える最強の解毒術』『日本人の9割が誤解している糖質制限』『糖尿病で死ぬ人、生きる人』などにもあたっていただき、健康長寿の実現に向けた生活の改善を今日からスタートしていただきたいと願っています。

----------
牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長 1979年、北海道大学医学部卒業。
地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。
この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。
1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。
2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。
世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。
----------
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月12日

税務署も諦める「最強の相続対策」、ポイントは通帳!

税務署も諦める「最強の相続対策」、ポイントは通帳!
2021.9.11 Diamondオンライン
橘慶太:税理士

コロナ禍では、お金を増やすより、守る意識のほうが大切です。
相続税は、1人につき1回しか発生しない税金ですが、その額は極めて大きく、無視できません。
家族間のトラブルも年々増えており、相続争いの8割近くが遺産5000万円以下の「普通の家庭」で起きています。
本連載は、相続にまつわる法律や税金の基礎知識から、相続争いの裁判例や税務調査の勘所を学ぶものです。
著者は、日本一の相続専門YouTuber税理士の橘慶太氏。
チャンネル登録者数は6万人を超え、「相続」カテゴリーでは、日本一を誇ります。
また、税理士法人の代表でもあり、相続の相談実績は5000人を超えます。
初の単著『ぶっちゃけ相続 日本一の相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!』も出版し、現在3.8万部。
遺言書、相続税、不動産、税務調査、各種手続きという観点から、相続のリアルをあますところなく伝えています。

税務調査を寄せつけない申告書を作るポイントは2つあります。

@亡くなった方の過去10年分の預金通帳の入出金を事前に確認し、問題点を精査する
A書面添付制度を使い、税務署に@の内容を事前に伝える  

まずは@から見ていきます。
過去10年分の預金通帳をチェック
 調査官は銀行や証券会社から過去10年分の取引履歴を取り寄せて、多額の現金引き出しや、家族間の資金の移動がないかを、徹底的に調べます。
ならば、調査官と同じ目線で過去の取引履歴をチェックし、問題点があれば、事前に処理をしてしまえばいいのです。
 しかし税理士の中には、亡くなった方の過去の預金通帳をまったく確認せず、相続発生時の残高証明書だけを見て申告書を作成する人もいるそうです。
 これでは、過去に生前贈与があったかどうかも確認できませんし、相続発生の直前に現金の引き出しがあったかどうかもわかりません。
過去の預金精査に対する税理士事務所の方針はバラバラで、まったく確認しない事務所もあれば、相続開始3年前や5年前の預金通帳だけ確認する場合などさまざまです。
 しかし、私の経験上、相続税の申告をするなら過去10年分は確認するべきだと断言します。
※ちなみに亡くなった方の過去の取引記録は、相続人であれば単独で過去10年分取り寄せることができます。

書面添付制度とは?
 続いて、税務調査を寄せつけない申告書を作る上で必ず知っておいて欲しいのが、書面添付制度です。
 これは「税理士が税務署の代わりに、納税者のことを調査しました」という書面を作成し、それを申告書に添付して申告する制度で、税理士だけが行うことを認められています。
この制度を利用すると、税務調査に選ばれる可能性が、利用しない場合と比べて低くなります。
 また、通常の税務調査では、調査官が直接納税者の家に訪問して調査が行われますが、書面添付制度を利用した場合には、先に税理士だけが税務署に呼ばれます。
そして、その場で調査官の疑問をすべて解消できた場合には、その後の税務調査は省略されます。
 ただ、実際に書面添付制度を使って相続税の申告をしている税理士は、全体の約2割しかいないそうです。

素晴らしい制度なのに使わない税理士が多いのはなぜでしょうか。
 それは、書面添付制度を利用し、もし、その書面に虚偽の記載があった場合には、その税理士が懲戒処分の対象になるからです。
納税者にとっては良い制度ですが、申告書を作成する税理士の立場からするとリスキーな制度なのです。
 しかし、過去の預金通帳の流れをしっかりと確認している税理士にとっては、自信を持って書面添付制度を利用することができます。
ただ、書面添付制度を利用しても中身がスカスカでは、ほとんど意味がありません。
 税務署はコストパフォーマンス(調査に入って、短時間でどれだけ多くの追徴課税をとれるか)を重視する組織です。
「この家庭を調査しても、既に10年分の預金通帳を確認しているなら大きな追徴課税は狙えないな……。仕方ない、違う家庭にいくか」と思わせられるかどうかがポイントです。

 過去10年分の預金精査と書面添付制度。
この2つをしっかりと行っている申告書であれば、税務調査対策は盤石です。
(本原稿は、橘慶太著『ぶっちゃけ相続ーー日本一の相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!』を編集・抜粋したものです)

相続争いの大半は「普通の家庭」で起きている 「相続争いは金持ちだけの話」ではありません。
 実は「普通の家庭」が一番危ないのです。
 2018年に起こった相続争いの調停・審判は1万5706件。
そのうち、遺産額1000万円以下が33%、5000万円以下が43.3%。
つまり、相続争いの8割近くが遺産5000万円以下の「普通の家庭」で起きています。

さらに、2000年から2020年にかけての20年間で、調停に発展した件数は1.5倍以上に増えており、今後もさらに増えていくことが予想されます。

 相続トラブルはなぜ起こるのか?
なぜ、普通の家庭で相続争いが起こるのでしょうか?
「財産がたくさんある家庭」が揉めると思われがちですが、それは間違いです。
揉めるのは「バランスが取れるだけの金銭がない家庭」です。

 例えば、同じ5000万円の財産でも、「不動産が2500万円、預金が2500万円」という家庭であれば、一方が不動産を、もう一方は預金を相続すれば問題ありません。
 しかし、「不動産が4500万円、預金が500万円」ならどうでしょうか?
不動産をどちらか一方が相続すれば、大きな不平等が生じます。
こういった家庭に相続争いが起こりやすいのです。

 多くの方が「私たちの家庭事情は特殊だから」と考えがちです。
しかし、相続にまつわるトラブルには明確なパターンが存在します。
パターンが存在するということは、それを未然に防ぐ処方箋も存在します。

日本一の相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!  
はじめまして。円満相続税理士法人の橘慶太(たちばな・けいた)と申します。
この度『ぶっちゃけ相続 日本一の相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!』を出版しました。

 私は、相続税専門の税理士法人の代表として、これまで5000人以上の方の相続相談に乗ってきました。
また、これまで日本全国で500回以上、相続セミナーの講師を務めた経験もあります。
 限られた人にしか伝えることができないセミナーよりも、もっと多くの人に相続の知識を広めたいと想い、2018年からYou Tubeを始めました。
現在、チャンネル登録者は6万人を超えており、相続に関する情報発信者としては、間違いなく日本一の実績を持っています。

 相続にまつわる法律や税金を解説した本は星の数ほどあります。
しかし、本に書いてあることと、実際の現場で起きていることはまったく別物です。
「教科書的な本ではなく、相続の現場で起きている真実をぶっちゃけた1冊にしたい!」という想いを込めて、本書を執筆しました。
 専門用語は使わず、イメージがつかみやすいよう随所に工夫をちりばめました。
ただ、わかりやすさを追求しつつも、伝えるべき相続の勘所(ポイント)は一切カットしていません。
この1冊で、相続にまつわる法律や税金の基礎知識から、相続争いの裁判例や税務調査の勘所といった深い部分まで学べる内容になっています。

 さらには2019年、約40年ぶりに相続にまつわる法律が改正され、遺言書のルールが大きく変更されたり、配偶者居住権という新しい制度が始まったりするなど、「相続の常識」が大きく様変わりしました。
もちろん本書は、この大改正に完全対応しており、変更点・注意点をあますところなく解説します。
 本書を読み終わるころには、相続にまつわる網羅的な基礎知識が身につき、円満相続への準備が整うこと間違いありません。
自分が今すべきことが明確になり、暗中模索だった状態から、パーッと目の前が明るくなることをお約束します。
 そして巻末資料として、「知りたいことすぐわかるお悩み別索引」「いつまでに何をすべきかがわかる相続対策シート」も完備。
ここを読むだけで、相続にまつわる網羅的な知識が身につき、円満相続への準備が整うこと間違いありません!
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月13日

倉持仁院長 国民皆保険制度が壊れている「早く気づけ、ばか」

倉持仁院長 国民皆保険制度が壊れている「早く気づけ、ばか」
9/12 デイリー

 宇都宮市「インターパーク倉持呼吸器内科」の倉持仁院長が11日にツイッターに、虫垂炎を発症して「死にそうになりました」と投稿した。
倉持院長は、あらためて国民皆保険制度に感謝し、「この素晴らしい制度が今壊れています。早く気づけ、ばか、ぼけ、あほ!」と投稿した。

 倉持院長は「私事ながら、先日不覚にも盲腸(虫垂炎)がぶっつぁけ、死にそうになりました。
その時助けてくださったのがJCHOの方々です。
命を助けてくださったから今があります。
コロナでもそうでなくともきちんと医療が受けられ、助かる仕組みが必要です。
一般診療もコロナ診療もどちらも大切です!」と訴えた。

 続く投稿で倉持院長は「でも自分の盲腸が裂けたことで患者さんの立場が本当によく分かりました。
苦しくて、看護師さんを呼べばすぐ来て優しく看護してくれる。
ほんとうに感謝以外ありません」と看護師に深く感謝。

その上で「この素晴らしい制度が今壊れています。早く気づけ、ばか、ぼけ、あほ!」とコロナ禍で国民皆保険制度が十分に機能していないことに怒りを表した。
 倉持院長は別のツイートでも「指定感染症の枠組みと皆保険制度の軋轢が出ています。政治が動き、至急解決しなければいけない問題です」としている。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月15日

「読んではいけない反ワクチン本」 遺伝子改変、不妊、何年か後に副作用…偽情報を徹底検証

「読んではいけない反ワクチン本」 遺伝子改変、不妊、何年か後に副作用…偽情報を徹底検証
2021年09月14日 文春オンライン

「文藝春秋」2021年10月号より「読んではいけない『反ワクチン本』」(大阪大教授・忽那賢志氏)を全文公開します。(全2回の1回目/ #2 に続く)

 いま日本国内で新型コロナワクチン接種が急ピッチで進められています。
8月末時点で2回接種を終えた人の割合は、総人口のうち約45%に達しました。
 ワクチン接種が進む一方で、新型コロナワクチンの危険性を喧伝する「反ワクチン本」が多数出版されています。
その内容を見ると、「遺伝子改変が起こる」「不妊になる」など、医学的に誤った情報があふれています。
「よくこんなことを考えつくな」と驚くようなものもありました。

 そうした書籍の中には、ネット通販で売れ行きランキングの上位に入っているものもありますし、本にある誤情報が、個人のSNSを通じてネット上にも出回っている状態で、さすがに看過できません。

■反ワクチン論者たちは不安につけこんでいる
 もともと日本は、ワクチンへの信頼性が低い国です。
1940年代には、「京都・島根ジフテリア事件」などをきっかけに、ワクチンへの不信感が広がりました。
近年では、子宮頸がんなどを予防する「HPVワクチン」のミスリーディングな報道のため、ワクチン全般に対する不安が一層強まりました。

 ですから新型コロナワクチンについても、不安を抱く人は一定数いるだろうと予想はしていました。
反ワクチン論者たちは、その不安につけこんでいるわけです。
 ワクチンを接種するかどうかは、あくまで個人の判断にゆだねられています。
「何が何でも打ったほうがいい」というものではなく、打たない選択肢もあります。
 ただ、ワクチンを打てば感染や重症化は高い確率で防げます。
大阪府の調査では、今年3月以降、ワクチンを2回接種した感染者の中には死亡や重症化したケースがなかったと明らかになりました。
東京でも今年7月19日以降の1カ月間で、2回接種で亡くなった方は全体の2%だという調査結果が出ています。

 一方、ワクチンに副反応はつきもので、100%の安全性を求めることはできません。
 これらの効果と副反応を天秤にかけた上で、接種するかどうかを判断するわけですが、このとき医学的に誤った情報やデマに惑わされて、接種の機会を逃してしまうのは、ご自身にとっての不利益につながりかねません。
接種をためらっている読者の方々には、正しい情報を知った上で、ワクチンを打つかどうかを決めていただきたいです。
 そこで今回、「反ワクチン本」の偽情報やデマを紹介し、医学的・科学的な視点から、しっかり検証していきたいと思います。
正確性をより追求するため、新型コロナワクチンについての正確な情報を発信する団体「こびナビ」副代表の木下喬弘医師にも監修をお願いしました。

■「メッセンジャーRNAワクチン」の特徴
 反ワクチン本の詳細に入る前に、「新型コロナワクチンはなぜ効くのか」をご説明したいと思います。
 現在、日本で接種が進められている主な新型コロナワクチンは、米ファイザー社製と、米モデルナ社製。
どちらも新技術を使用した「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」です。

 ワクチンの古典的な手法は元々、大きく分けて「生ワクチン」と「不活化ワクチン」があります。
「生ワクチン」は、ウイルスを弱毒化させたものを体内に接種して免疫をつけるもので、麻疹や風疹のワクチンに使用されています。

一方の「不活化ワクチン」は、ウイルスの一部だけを体内に接種するもので、代表的なものにインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンが挙げられます。

「不活化ワクチン」はウイルスの活性を完全に殺してしまっているので、「生ワクチン」に比べて免疫がつきにくい。
免疫がついても、長期間持続しないという特徴があります。

 mRNAワクチンは従来の2種類と違い、ウイルスそのものは使用しません。
 具体的な仕組みを説明しましょう。
新型コロナウイルスは王冠のような見た目をしており、表面に「スパイクタンパク」と呼ばれる、トゲトゲとした突起物が存在します。
このスパイクタンパクの構造についての遺伝情報を、mRNAと呼ばれる遺伝物質に載せて体内に運ぶのです。
 mRNAはすぐに分解されないように、脂質ナノ粒子と呼ばれる脂質に包んで体内に注入します。
mRNAが体内の細胞に取り込まれると、細胞内の「リボソーム」と呼ばれる器官が遺伝情報を読み込み、新型コロナウイルスのスパイクタンパクを細胞内で生成する。
それに人間の免疫が反応して抗体が作られ、免疫が誘導されるという仕組みです。

 ワクチンは基本的に、体内に“異物”を投与することで、感染症に対する免疫をつけるものです。
免疫を活性化させるのですから、副反応は十分起こりうるものとして考える必要があります。
主な例としては、接種部位の腫れ、痛み、発赤。
また、全身症状としては、だるさ、頭痛、筋肉痛、寒気、発熱などが見られます。
いずれも許容範囲内のレベルであり、接種後2日くらいまでにほとんど消失します。

■科学的に正しくない記述(1) ?「ワクチンが遺伝子的変化を引き起こす」
 ワクチンの大前提を押さえたところで、反ワクチン本の実際の内容に触れていきたいと思います。
〈遺伝子組み換えRNA/DNA技術は、人の身体に永続的な未知の遺伝子的変化を引き起こすだろう。あなたを「遺伝子組み換え生物」に変える設計がされている〉(高橋徳・中村篤史・船瀬俊介『コロナワクチンの恐ろしさ』成甲書房、p.51)

 mRNAワクチンは遺伝子を用いた技術のため、多くの書籍でこのような記述が見受けられます。
 かつて「遺伝子組み換え食品」の安全性について議論が巻き起こったこともあり、「遺伝子」という言葉に敏感に反応される方も多いのでしょう。
ワクチンを打てば自分の遺伝子も組み替えられ、改変されてしまうのではないか、と。

 誤解を解くため、まずは細胞の仕組みを確認しましょう。
遺伝情報を持つDNAは、細胞内の「核」と呼ばれる部分に存在し、しっかりとした構造の中で守られています。
外部から簡単に書き換えられないように作られているのです。
 また、人間の細胞の中にはもともと多数のmRNAが存在しており、タンパク質を生成するために使用する情報を運んでいます。
それらは普段、「核」の内部には入ってこられない仕組みになっている。
よって、ワクチンを使ってmRNAを体内に注入しても、遺伝子がある細胞の核内に入り込むことは不可能です。遺伝子の改変はあり得ません。

■科学的に正しくない記述(2) 「新型コロナウイルスワクチンは動物実験さえやっていない」
〈従来のワクチン開発ですら、5〜10年間という歳月をかけて、培養した細胞や動物を使った実験、実際に人間に投与する臨床試験などのプロセスを経てつくられています。
一方で、新型コロナウイルスワクチンの開発期間は、各社とも約1年足らずです。
しかも動物実験さえもやっていませんから、世界中で「人体実験だ」と反発が起こるのも無理はありません〉(内海聡『医師が教える新型コロナワクチンの正体』ユサブル、p.130)

 確かにmRNAワクチンの開発から承認までは、従来のワクチンと比べて非常に速いものでした。
 これほど短期間でワクチンの開発が進んだ理由は複数あります。
例えば、いくつかの動物実験や臨床試験を同時並行でおこなう工夫をして、効率よく研究が進められたこと。
mRNAワクチンは従来のワクチンと違ってウイルスそのものを必要としないので、ウイルスを培養する時間が省けたことなどです。
 だからと言って、「動物実験さえやっていない」というのは明らかに誤りですし、臨床試験でも必要なプロセスを省略しているわけではありません。
ファイザー社もモデルナ社もプロセスをきちんと踏んでいる。
臨床試験(第三相)で実施する大規模治験は数万人を対象としており、従来のワクチンの臨床試験と比べても大がかりなものでした。
有効性と安全性が厳格に確認された上で承認が出ているのです。
臨床試験に参加した人々については、より長期に有効性や安全性が認められるかどうかについて、引き続き追跡調査がおこなわれています。

■科学的に正しくない記述(3) 「長期的には後遺症のリスクがある」
〈数カ月、数年後の身体の異変はまったく研究されていない〉(『コロナワクチンの恐ろしさ』p.77)
〈副作用や後遺症や遺伝子の変化は、遺伝子が組み込まれていく関係でタイムラグが生じる恐れが高いのです。つまり、すぐには症状として表れないということです〉(『医師が教える新型コロナワクチンの正体』p.152)

 mRNAワクチンの技術は新型コロナワクチンで初めて実用化されました。
また、人間への接種開始からまだ1年も経っていないため、「接種から何年か後に重大な副作用が生じるのではないか」と、長期的な安全性を懸念する声もよく聞きます。
 結論から言うと、mRNAワクチンの成分が長期的に体内に残ることはありません。
mRNAは、細胞内でタンパク質を合成するリボソームで数日以内に使用され、その後すぐに分解されるからです。
mRNAによって産生されるスパイクタンパクも、接種後2週間で体内から消失すると言われています。
 こうした機序(薬が効果を発揮する仕組み)から見ても、接種後1年以上が経過してからの副反応は、極めて考えにくいのです。
実際、これまでのワクチン接種では、重篤な副反応は投与後の数週間以内でしか確認されていません。
 また、mRNAワクチンは確かに新しいプラットフォームのワクチンではありますが、全く新しい技術というわけではありません。
 実はmRNAワクチンの技術は何十年も前から、多くの科学者によって研究されてきました。
インフルエンザウイルス、ジカウイルスなど、まだ実用化にいたっていないものの、多くの分野でワクチンに応用すべく研究されています。

何十年にもわたるmRNAワクチンの研究では臨床研究も実施されましたが、長期的な副反応は認められていません。 ( #2 に続く) 〈不妊、血栓症、逆に重症化、5G、磁石…〉“反ワクチン本”のウソを医学的・科学的にしっかり検証 へ続く

(忽那 賢志/文藝春秋 2021年10月号)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月26日

「マスクしない人」を避けたほうがいい本当の理由

「マスクしない人」を避けたほうがいい本当の理由
コロナ感染への心配だけではないハイリスク
2021/09/25  東洋経済オンライン
木村 隆志 : コラムニスト

9月22日は「今月末で“全面解除”検討“マスク外し”増加」、23日は 「“マスクしない人”“意識の差”何が違う?」。
朝の情報番組「めざまし8」(フジテレビ系)が2日連続でマスクをしない人の問題をトップニュースとして採用し、ネット上で反響を集めています。
そもそも2日目もトップニュースとして扱われたのは1日目の反響が大きかったからであり、「いかに世間の人々がマスクをしない人の問題に関心があるか」を物語っていました。
その他でも、「大分県臼杵市の“鼻マスク”市議 発言許可されず」というニュースもさまざまなメディアで全国的に報じられるなど、マスク関連の話題が続いています。

これらの背景にあるのは、「感染者数などの数値が下がってきた」「2回分のワクチン接種者が国民の半数を超えた」などの変化ですが、一方で感染拡大や医療現場の逼迫などの不安が払拭されたわけではありません。
第6波への懸念があるほか、ワクチンを接種していても感染してしまう「ブレイクスルー(感染)」が起きていることも発表されています。

そんな今、「あごマスク」を含め、なぜマスクをせずに過ごす人が増えているのでしょうか。
彼らの言葉から、その心理状態を掘り下げていくと、本当の問題点が浮かび上がってきます。

「マスクは日本だけ」は偏った理屈
「めざまし8」が実施したアンケート(都内在住10〜70代、計1000人)では、「周囲の人がマスク非着用だと気になる?」という質問に対して、「気になる」が81%(807人)、「気にならない」が19%(193人)でした。
ただ、「気になる」と答えた約8割にも“あごマスク”を多用している人や、「気にならない」と答えた約2割にも「常にマスクをつけている」という人もいるなど、あくまで心理面での参考データにすぎないでしょう。
また、シチュエーション別のマスク着用率では、公共交通機関 する95.5%・しない4.5%、車内(家族のみ) する45.2%・しない54.8%、自転車 する79.4%・しない20.6%、飲食店 する91.2%・しない8.8%、公園 する87.5%・しない12.5%、職場 する93.9%・しない6.1%という結果を発表。
こちらも、緊急アンケートに協力するのはマメな人が多いことから、実際にはもう少し着用率は下がるような気がします。

「なぜマスクをしないのか?」の理由を尋ねる街頭インタビューでは、「ワクチン打ったからです。2回打ちました。(マスクは)電車に乗るときくらいしかしないです。日本くらいですからね、ワクチン打ってこれだけ『マスクしろ』って言うのは。他の国は全然してないですから」
「2回ワクチン打ってますし、『そもそもマスクでコロナ防げないよね』って。飛沫防げるけど、こんなことやってるの日本だけでしょ。『バカかな』みたいな感じで」という声をピックアップしました。
もちろんこういう人がすべてではありませんが、ブレイクスルー感染が発生している以上、ワクチンの理屈は通っていません。
それ以上に、「外国と比べる」という考え方は、自分に都合のいい情報だけを抜き取って正当化する利己的思考そのもの。
マスク着用の義務化や解除を政府が決める国が多い中、日本は「推奨」や「お願い」をするだけで強制力はなく、1人ひとりに自由がある状態です。
つまり、「外国を模倣する」という考え方は、自由につながるより、「国などから制限をかけられるリスクを含んでいる」ということ。
それを無視して都合のいいところだけを見て「日本はダメ」と言うのは偏った思考回路にすぎないのです。

マスク以外でも、何かと「外国はこうだから」と言う人がいますが、日本で暮らすことで得られるさまざまなメリットをスルーしている上に、「自ら外国ではなく日本を選んで過ごしている」という現実がある以上、潔くない姿勢にしか見えません。

周囲への優しさや配慮に欠ける言葉
さらに20代の大学生グループへのインタビューでは、「昼は(マスクを)してるんですけど、夜はしていないです。『結局みんなしていないから、しなくてもいいかな』と」
「自分の尊敬している大先輩が『マスクするなら渋谷に来るな』って言ってたんで。その方は本当にマスク持ってないです。俺が1回あげたら捨ててました」などの声が紹介されました。

気になってしまうのは、「みんなしていない」「尊敬している大先輩が」と他人のせいにしていること。
これは「自分は責任を取らない」と言っていることになり、まだ大学生と言えども、緊急事態で生きる社会の一員として見ると残念な姿勢でしかありません。
ただ、学生若者たちだけではなく、大人の中にも多くの人々に似た姿勢が見られます。
大人たちへの街頭インタビューの中で、「やっぱり夏場は暑いよね。ずっとやってると耳に違和感とかあるし。ただ今の状況でマスクやらなきゃ怖いしね」
「1年前は慣れてなかったから『嫌だな』と思ってつけてなかったりもしたんですけど、今はだいぶマスクモラルっていうのが高まってきて、『どんなところに行くときでもマスクしなきゃ』ってストック持ってたりしてます」というコメントがありました。

「暑い」「耳に違和感」「怖い」は、すべて自分目線のみの言葉であり、そこに他者への優しさや配慮はありません。
自分が「感染させられるかもしれない」という視点が全面に出てしまい、ともに生きる人々を思いやるような姿勢が感じられないのです。
さらに、「マスクモラルが高まってきた」とありましたが、この人の言うモラルは自画自賛のみで、ともに困難なときを生きる人々への配慮や優しさは含まれていませんでした。

たとえば、基礎疾患を持つなど感染リスクの高い人、日々奮闘を続ける医療従事者、さらには一刻も早い経済活動の再開を願う人々のことが頭になく、自分中心の思考回路の人が増えていることが気がかりなのです。

「地元ではノーマスク」の大間違い
おそらくマスクをしない人たちに「自分のせいで医療現場を逼迫させることになってもいいのか?」
「医療従事者の奮闘や亡くなった人のことをどう思っているのか?」と尋ねても、まともな返事は得られないでしょう。

また、「マスクをする」という前提があるからこそ、ようやく行動制限が緩和され、経済活動を再開できるのに、マスクをしない人が増えたらそれを危うくしてしまうかもしれない。
早い周期で再び緊急事態宣言が発出されたら、生きていけないという人が増えてしまうかもしれない。

本来は、ともに社会を形成する一員である以上、そんなリスクを軽減するための小さな協力として、「マスクくらいつけよう」と考えるのが自然ではないでしょうか。
しかし、繁華街に限らず住宅街でも、日中はほとんどの人がマスクをつけているのに、夜になると様相が一変。
マスクをせずに会話を交わす人、「声が聞きにくいから」とマスクを外して電話をしている人、人通りのある道をマスクなしでランニングしている人など。
自分のやりたいことを優先させるあまり、他者への優しさに欠ける人が日に日に増えています。
また、「自宅最寄りの駅についたらマスクを外して家に帰る」という声もよく聞きますが、それこそ外出先や電車などで感染したウイルスを地元でまこうとしているようなもの。
家族や地元などの「より大切なものへの優しさが足りない行為をしている」ことに気づいていないのです。

肌や呼吸などの健康的な理由を除けば、マスク着用を嫌がる人にさしたる理由はないでしょう。
「これくらいはいいだろう」と自分に甘く、他人への優しさや配慮に欠けるというだけで、「多くの人々とともに生きている」という自覚が足りないことの表れでしかないのです。

ルール違反を犯し負担をかける人々
「マスクをしない人に近づかないほうがいい」のは、新型コロナウイルスの感染予防という観点では当然でしょう。
しかし、ここまで書いてきた「周囲への優しさや配慮が足りない」という意味で、マスクをしない人々は異なるリスクを持つ存在にも見えてきます。

その意味で見逃せないのは、「マスクをしない」というだけではなく、同時にルール違反をしている人々。
マスクをしない人の中には、「喫煙所以外でもマスクを取ってタバコを吸う」
「路上でマスクをせずにお酒を飲んでさわぐ」
「店からの要請があるにもかかわらず食事以外のときにマスクを外して話す」
「人数制限があるエレベーターへマスクをせず強引に乗り込む」
「狭い道を横に広がって話しながら歩く」などのルール違反をしている人をよく見かけます。

さらに言えば、「飲食店で店員からマスク着用を求められて逆ギレした」
「たまたま顔を見ただけで『何か文句でもあるのか?』と凄まれた」というエピソードを聞いたことがありました。
どちらも精神的な苦痛だけでなく、マスクをしていないため、飛沫を浴びてしまったのは間違いないでしょう。
つまり、今さしたる理由がなく、マスクをつけていない人は、単に利己的なだけでなく、「ふだんから周囲に何らかの負担をかけているタイプの可能性が高い」ということ。

コロナ感染はもちろん、その他のリスクを踏まえても、物理的な距離を取っておいたほうがいい人物なのです。

ドイツではマスク着用をめぐり射殺事件が発生
最悪のケースでは、「9月18日夜、ドイツ西部のガソリンスタンドで、マスクをつけずに買い物にきた49歳の男が、マスクの着用を求めた20歳の店員と口論になり、銃で射殺してしまう」という痛ましいニュースがありました。
「ここで外国の話を持ち出すな」と言う人がいるかもしれませんが、前述したように街頭インタビューで「外国はマスクなんてしないのに日本はバカ」と言っている人がいる以上、残念ながら日本でも似たケースがないとは言い切れません。

マスクに限らず、もし周囲への優しさや配慮がない人がこれ以上増えてしまったら、外国のように政府が義務化をしなければいけないことが増えていくでしょう。
まだまだコロナ禍が続く中、そんな事態を防ぐためには、まず家族、次に地元、さらに職場や出入り先、引いては日本中の人々への優しさと配慮が欠かせないのです。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月27日

台風16号は猛烈な勢力に 関東への最接近は10月1日(金)頃か

台風16号は猛烈な勢力に 関東への最接近は10月1日(金)頃か
9/26(日)  ウェーザーニュース

台風16号(ミンドゥル)は沖ノ鳥島近海で発達し、9月26日(日)15時に最も強いランクである「猛烈な」勢力になりました。
猛烈な勢力まで発達するのは、2号、14号に続いて今年3つ目です。
衛星画像では中心付近に非常にはっきりとした台風の目が形成されていて、密集した積乱雲が大きな雲の渦を作り出しています。
台風の接近時は電車の遅延や運休、高速道路の通行止めなどの可能性も考えられるため、最新の台風情報や交通情報を確認の上、早めに対応するようにしてください。

▼台風16号 9月26日(日)15時
中心位置   沖ノ鳥島近海  
大きさ階級  //  
強さ階級   猛烈な  
移動     ほとんど停滞  
中心気圧   920 hPa  
最大風速   55 m/s (中心付近)  
最大瞬間風速 75 m/s

非常に強い勢力で関東最接近か 台風16号
 予想進路 28日(火)にかけて勢力をさらに強めながらゆっくりと北上する見込みです。
30日(木)頃からは進路をやや東よりに変えて、10月1日(金)にかけて伊豆諸島近海を通過する予想となっています。
30日(木)15時の時点の中心気圧は925hPa、最大風速が50m/sと非常に強い勢力で、関東の最接近する1日(金)も非常に強い勢力を維持する予想です。
暴風域も半径150km以上が見込まれるため、陸地から少し離れた所を通っても影響の出るおそれがあります。
次第に進路は絞られつつあるものの、少しの進路の違いで本州への影響が変わってきますので、こまめな情報の確認が必要です。

関東沿岸部は暴風域に入る確率が30%以上 台風の暴風域に入る確率
26日(日)15時に気象庁が発表した5日先までに台風の暴風域に入る確率の分布を見ると、30〜70%の赤い領域が伊豆諸島から関東の南部沿岸や静岡県まで広がっています。
最も確率が高いのは伊豆諸島南部の八丈島で59%、台風の進路によっては中心がかなり近く通ることも考えられますので、その場合は厳重な警戒が必要です。
千葉県や神奈川県、静岡県の一部も30%以上、東京23区も東部が28%と、台風に近い沿岸部ほど影響が大きくなる可能性があります。

台風が非常に強い勢力のまま近づいてくることから、暴風域の外側でも風雨の強まるおそれがありますので、確率の小さい所も油断はできません。

台風の名前 台風の名前は、国際機関「台風委員会」の加盟国などが提案した名称があらかじめ140個用意されていて、発生順につけられます。
台風16号の名前「ミンドゥル(Mindulle)」は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が提案した名称で、「たんぽぽ」を意味する言葉からとられています。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月28日

「認知症にならないためにはどうすればいいのか」そう心配する人が根本的に勘違いしていること

「認知症にならないためにはどうすればいいのか」そう心配する人が根本的に勘違いしていること
2021年09月27日 プレジデントオンライン

自身が認知症になるのを心配する人は多い。
そうした不安に応えるためか、政府は認知症を減らすための数値目標を掲げようとした。
高齢者精神科専門医の上田諭さんは「認知症の原因は医学的に解明されておらず、根治療法も確かな予防法もない。認知症を減らすことよりも、受け入れる社会づくりのほうが重要だ」という――。
※本稿は上田諭『認知症そのままでいい』(ちくま新書)の一部を再編集したものです。

■政府の「認知症を減らす数値目標」の衝撃
認知症を減らすための数値目標なるものが2019年5月に政府から発表され、メディアに大きく取り上げられた。
70歳代での認知症の人の数を、2025年までの6年間で6%減少させるというものだ。
これを、認知症に関する国家戦略となる認知症対策の「大綱」に新しく盛り込むとされた。
会見で根本匠厚労相(当時)は「十分実現可能な目標」と語っていたという。
この報道を耳にした時、私は何かの間違いではないか、エイプリルフールのニュースではないかと一瞬頭をよぎるほどだった。

報道内容は、あり得ない話だからである。
大部分の認知症は、医学的になぜ起こるのか原因は明らかではない。
それゆえ、根治療法はなく確かな予防法もない。
それをどうやって減らすというのか。
政府の専門家の方々は世界が驚く予防法の大発見でもしたというのだろうか。
報道によれば、運動不足解消の活動や保健師らの健康相談、予防の取り組みガイドライン作成などを通じて削減を目指すのだという。
これまで「大綱」では認知症の人との「共生」を柱にしていたが、今後は「予防」との2本柱にするという。

■予防法がない病気をどう「予防」するのか
奇妙でおかしなことである。
医学的に予防法はないのに、予防を柱にするという。
幻想やイメージだけに頼って、政策を決めているとしか思えない。

予防策の一つとして具体的に言葉にあがった「運動」についていえば、現時点の医学的常識では、認知症の予防とはならないことがわかっている。
2018年1月に米国で発表された世界の医学論文の大規模データ分析で、運動の予防効果には医学的根拠がないとされた。 2019年には、運動不足は認知症の危険因子(病気を引き寄せる要因)とはいえないという英国の大規模研究も発表された。
認知症を避けようと運動不足を目のかたきにしても仕方ないということである。

■高齢者になったらだれもが認知症になり得る
ところが現実には全国で「介護予防」「認知症予防」の名目で、体操や歩行など運動が盛んに奨励されている。
定期的な「教室」を催している地域も少なくない。
たしかに、掛け声の一つである「介護予防」つまり筋力低下の防止や転倒防止、身体的健康の維持には効果がある。
そのためにはどんどんやってもらえばよい。しかし、認知症予防には効果がない。
認知症になりたくないから、ではなく、認知症でもいいので歩行できる身体でいたいから、と思って運動をすればよいのである。

認知症予防に医学的根拠がないのはわかっているのに、なぜ削減の数値目標などというものを政府は出してしまったのか。
それは、認知症対策についての大綱の柱として「共生」をうたいながら、認知症の人を尊重し「そのままでよい」と認める思想が、政府の人々の中にないからではないか。
高齢になれば、だれもが認知症になる可能性がある。それが理解されているのだろうか。
超高齢社会となって、その可能性はますます増えている。だとすれば、予防ではなくその備えこそ第一に重要ではないか。

■認知症は「ふつう」で、認知症でないことが「特殊」
認知症にならないための方策を医学的根拠が乏しいままに掲げ、減らす目標数値を世間に公表するのは、「認知症になってはいけない」「認知症は予防しなければいけない」という思想が根底にあるからであろう。
これらがさらに推し進められれば、「予防の努力をしていない人が認知症になる」というメッセージになりかねない。
だれもが認知症になってよい。高齢になれば、顔にしわが増えるのと同じように、どんな人でもなる可能性がある。
90歳を過ぎたら、認知症の人の比率が認知症でない人を上回る。

超高齢の年代では、認知症が「ふつう」、認知症でないことが「特殊」なのである。
もし認知症になったとしても、悲観したり卑下したりする必要はない。
健常な人と同様に、堂々と生きていけばいい。
世の中の人々がそう感じ、互いを思いやって暮らす社会を作っていく。それが政府の目指すべき目標でなくてはいけない。
その姿勢がいまの政府には欠けている、あるいは足りないというしかない。

■削減目標は「否定的なイメージを助長しかねない」
今回のことで、社会の成熟を感じさせる動きもあった。
認知症の削減目標の報道後、新聞社が懸念と批判を提示したのだ。
朝日新聞は、社説で「認知症に対する否定的なイメージを、助長しかねないと懸念する声がある」
「予防に努めれば認知症にならないかのような印象を与える目標の打ち出し方は問題」(2019年5月21日付)と書いた。

これまで認知症について否定的なイメージを多く繰り出してきた大新聞に、明らかな進歩の跡がみえた。
認知症の人たちで作る当事者団体も、「認知症になる人は予防の努力が足りないからだ」という間違った考えから新たな偏見が生まれかねないと批判の声をあげた。
与党内からも疑問視する声が出たという。
結局、同年6月になって、「認知症削減の数値目標」は撤回に追い込まれた。

朝日新聞(2019年6月5日付)の記事によれば、厚労相は「予防の取り組みは、認知症の人の尊厳を守り、共生の議論の上で進めることが大前提」と述べたという。
根拠なく、できもしない予防策をもとにした目標の愚かさに政府が本当に気づいたのだとすれば、遅すぎることではあるが、それも社会の進歩の一端といえるのかもしれない。

■アミロイド撃退薬に飛びついたメディアの罪
認知症に対する社会の関心はとても大きいので、例えば次のような話を講演ですると、とても驚かれる。
「アルツハイマー病を代表として認知症の原因はわかっていないので、確かな予防法も根治療法もありません」。
さらに最近、一般の聴衆の方から「脳にたまるアミロイドたんぱくが原因とわかったとテレビでやっていた。アミロイドをなくす薬がもうすぐできると聞いた」と、時々反論を受けるようになった。
このテレビの情報は、半分正しく、半分間違っている。

アミロイド、正確にはアミロイドベータたんぱく(以下アミロイドと略)は認知症の人の脳に蓄積する物質だ。
かつては、アルツハイマー病の人の脳に沈着するものとして、老人斑と呼ばれる物質が知られていた。
認知症研究者が、亡くなった患者の脳を解剖して調べることによってみつけたものだ。
この老人斑の実体が、アミロイドという異常たんぱくだった。
一時は、アミロイドがアルツハイマー病の主な原因で、アミロイドをなくせば認知症を治せると、世界中の研究者がわき立った。
アミロイドをなくす薬の研究も世界中で始まった。
講演で反論された聴衆の方がみたテレビ番組は、おそらくそれを取り上げたのだろう。
しかし現在の医学界は、すでにアミロイドが主な原因だという見方はなくなってしまった。
テレビやメディアはどうしても人々の関心を引く情報に飛びついてしまう。
その時の期待の高まりのままに、いまだ確定的でない事実まで報じてしまう。
それを一般の人々が信じてしまうと、過剰に期待を抱かされ、結局はぬか喜びに終わることになる。
当時からの研究で「アミロイドをなくす薬」の開発も続いているのは間違いないが、それが認知症を「治す」薬になるわけではない。

■アミロイドでアルツハイマー病を診断できるのか
アミロイドがアルツハイマー病の主たる原因だと叫ばれるようになって、アミロイドの脳への蓄積の程度をみることができる画像装置が開発された。PET(ペット)という装置である。
身体各部にがんがないかをみつける全身PETを行う人間ドックがあるが、これは同じPETを用いて脳のアミロイド沈着をみられるようにした「アミロイドPET」である。
アミロイドが多くたまっている人(アミロイド陽性者)は、脳内が赤く染まって映り、赤く染まらない陰性者と区別できる。特別な検査装置なので、まだ国内で備えている病院や研究所は少ない。

当初は、このアミロイドPETが陽性ならアルツハイマー病だと診断できると考えられていた。
ところが、実際に臨床場面で用いてみると、ほとんど認知機能の低下がない高齢者でも赤く染まる人が何人も出てきた。
これは、近い将来アルツハイマー病になる予測を表すのではないかとも考えられたが、その後数年しても認知症にならない人も少なくなかった。

■「アミロイド原因説」はもう古い
2015年に世界の研究結果をまとめた論文で、その謎がわかった。
アルツハイマー病の人は、40〜90歳までほとんどの人がアミロイド陽性であった一方で、約1900人の正常な人を調べると、年齢が上がるにしたがって陽性になる人の率が上昇していた。
90歳では、アルツハイマー病の人も健常な人も、陽性率にはわずかしか差がなかった。
つまり、認知機能が正常な人でも年齢を重ねればアミロイドが脳にたまるということがわかったのだ。
さらには、認知症になる人では、発症する20〜30年前の正常な年代(40〜50歳)からアミロイドがたまり始めることも明らかになった。
アミロイドPETでの認知症診断は参考程度にすぎなくなり、同時に「アミロイドが認知症の主な原因」という考え方も修正を余儀なくされた。
2015年ころの国際学会ではすでに研究者らのアミロイド熱は急速に冷めつつあり、「アミロイドは原因のごく一部だ。本当の原因はわからないが、加齢(歳をとること)が要因なのは間違いない」という言い方になっていた。

■抗認知症薬の効果は「症状を改善させること」ではない
アミロイドが原因とされていた当時の確信に支えられ、脳でアミロイドが合成できないようにしたり、できたアミロイドを減らしたりする薬の開発が世界で多数進められた。
しかし、そのほとんどがうまくいかず中断してしまった。
かろうじて1種類の薬が承認される見通しになった。
アミロイドがたまり始めてはいるがまだ少なめの人に投与する薬で、認知症の発症を遅らせ、発症後の進行を緩和させることを狙っている。
認知症になってから改善させるのは不可能、という現代医学の限界はそのままだ(ちなみに、現在流通している抗認知症薬も最大の効果が「現状を悪くせず維持する」である)。
アミロイドPETで陽性(アミロイドがたまっている)だが認知機能の低下はわずかで、生活や仕事上は問題のない人(「軽度認知障害」)と、ごく軽度の認知症の人が対象になる見込みだ。
将来認知症になる可能性はあるが、まだ認知症でない、すなわち病気でない人も対象とする「薬」ということになる。

通常、薬とはなんらかの病気をもった人が服用するものだ。
病気でない人が予防のために服用するなら、感染症予防で行うワクチン接種に近い「予防薬」というものになるのかもしれない。
認知症は、アミロイドに関する限り、前述のように、発症する30年くらい前からたまり出す。
発症してからでは改善させられないのだから、発症前の人も対象に含む特殊な「薬」になる。

■注目される新薬には大きな壁と限界がある
薬がもし承認されたとしても、発売には課題は多い。
アミロイドがたまっている正常対象者をどうやって確実にみつけるのか。
アミロイドPET装置は国内にまだ少なく、血液検査でみつける方法が検討されているが、いまだ見通しは立っていない。
また、生活や仕事に支障はなくて、ごく軽度に認知障害のある人をどう見極めるのか。 逆に、「認知症発症を食い止められる」という楽観的な効果予想だけがやみくもに伝わると、薬の希望者が急増して医療費がまかなえない。

さらには、「認知症を発症する時期が遅くなった」「認知症が軽くすんだ」という期待される効果の判定も難しい。
2021年6月、この新薬が米国で承認された。
これで日本でも年内承認の可能性が出てきた。
いま述べた懸念のほか、月1回点滴での投与で年600万円という費用の問題など、実際に用いるには壁がいくつもある。
この新薬に注目はしても、過剰な期待はできない。
認知症が治らない病気であることに変わりはない。
だからこそ、治さなくてよい、いまのあなたでいい、と受け入れたい。

----------
上田 諭(うえだ・さとし)
  高齢者精神科専門医
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月03日

バリウムより胃カメラがオススメ、2つの理由とは?

バリウムより胃カメラがオススメ、2つの理由とは?
2021.10.2 Diamondオンライン
森勇磨。産業医・内科医

人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。
しかし40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。
国立がん研究センターによれば、40〜49歳のがん患者数は、30〜39歳と比べると3倍以上です(2018年)。
もちろん50代、60代と年齢を重ねるにつれ、がん患者数はどんどん増えていきます。
本連載は、毎日の食事から、大病を患ったあとのリハビリまで、病気の「予防」「早期発見」「再発予防」を学ぶものです。著者は、産業医×内科医の森勇磨氏。
「予防医学ch/医師監修」の管理人でもあり、動画は「わかりやすい説明で参考になる」「怖いけど面白い」と評判で、チャンネル登録者は27万人を超えています。
初の単著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版し(9月29日発売)、がん、糖尿病、高血圧、食事、生活習慣、人間ドック、メンタルというさまざまな観点から、病気にならない知識と習慣をあますところなく伝えています。

 胃がんの早期発見に欠かせないのが「バリウム検査」と「胃カメラ検査」です。
「バリウム」とは造影剤の一種です。レントゲンやCTを撮影するとき、コントラストをくっきりさせるために使います。
 実際の検査ではバリウムを飲み、台の上で回転させられ、その中でレントゲンを撮影していきます。
このバリウム検査は「対策型検診」として公費で賄われているにもかかわらず、受診率は1〜2割と非常に低いのです。
 原因としては「バリウムの味が独特で飲みにくい」「気持ち悪くなる」などがあります。
また「医者は絶対にバリウム検査を受けない」「バリウム検査は危険だ」という噂も耳にします。

 まずバリウム検査に関しては、日本で行われた複数の研究結果からは、受診することで男女ともに死亡率が下がったという結果になっており、有効性は証明されています(※1)
 確かにバリウムが腸に詰まってしまう「腸閉塞」や、腸に穴が開く「腸管穿孔(せんこう)」というリスクも存在します。しかし、入院が必要となるレベルの合併症が起こった人は10万人中0.18人、割合にすると0.00018%にすぎません(※2)
この割合を考えれば、バリウム検査は有効性が証明されていて、かつ合併症も少ない素晴らしい検査だと言えるでしょう。  

 一方でバリウム検査とは別に、「胃カメラを受ける」という胃がん検診の選択肢も存在します。
胃カメラも2014年から対策型検診に追加されましたので、非常に受けやすくなりました。
この胃カメラも死亡率減少を示すデータが出ており、オススメできる検査です(※3、4)

バリウム検査と胃カメラの違いは?
 次に両者の特徴と違いについてです。
まず、胃カメラは「早期胃がん」の発見に適しているといわれています。
カメラで胃の壁を内側から直接目視するので、バリウム検査で見落としがちな腫瘍や、でっぱりを発見できる場合があります。
 ただ一方で、「スキルス胃がん」に関してはバリウム検査のほうが発見に適しているとも考えられます。
スキルス胃がんとは、胃の壁全体にしみ込んでいくように病巣を拡大していくがんで、明らかに壁がでっぱったり、膨らんだりすることが少なく、カメラで内側から見ても変化がわからないことが多く、早期発見しにくいものです。

 しかしバリウム検査だと全体の胃の形を俯瞰して観察できるので、スキルス胃がんの発見につながる場合があります。
 バリウム検査は外から全体を俯瞰する検査である一方、胃カメラは内側から局所の早期がんを見つけやすい検査であり、お互いに違った利点があるわけです。
 2つの検査を紹介しましたが、もし「どちらかを選べ」と言われたら、個人的には「胃カメラ」をオススメします。

胃カメラのほうがオススメ! 2つの理由  
バリウム検査には「レントゲンを読影する医師に結果が左右されやすい」という課題があります。
あまり見慣れていない医師が読影することもあります。
病変があっても見逃されてしまうリスクが存在します。
 一方、胃カメラは「消化器内科」という胃の専門の医師が行うことがほとんどです。
「胃カメラができる医師≒胃の粘膜の病変を確認する能力がある医師」なので、胃カメラのほうが安心感は上です。

 オススメの理由はもう1つあります。
胃カメラであれば、咽頭や食道の部分を含めて目視で表面を確認できます。
 早期発見が難しい咽頭がん、食道がんの早期発見に役立つケースもあります。
現在は鼻から挿入できる胃カメラもあり、苦痛の面も安心です。
鎮静剤を使用すれば、ほぼ眠った状態で検査を受けることもできます。
とはいえ、この意見は個人的なものですし、あくまで「強いて言えば」です。

「医者はバリウム検査を絶対に受けない」という通説は極論です。
私の知る限りでもバリウム検査を受ける人、胃カメラを受ける人がそれぞれ存在します。
 バリウム検査も胃カメラ検査も優れた検査方法ですので、どちらでもいいのでしっかり定期的に受けるようにしてください(バリウム検査は「40歳以上に毎年」、胃カメラ検査は「50歳以上に2年に1回」、公費の対策型検診として受診可能です)。

【出典】
※1 坪野吉孝 久道茂 症例対照 研究による胃がん検診の死亡率減少の評価 . 日消集検誌1999;37:182 5
※2 日本消化器がん検診学会:平成28 年度胃がん検診偶発症アンケート調査報告 . 日消がん検診誌 57:1231 1240
※3 Hamashima C,Ogoshi K,Okamoto M,et al.A community based,case control study evaluating mortality reduction from gastric cancer by endoscopic screening in Japan.PLoS One 2013; 8 :
※4 Matsumoto S,Yoshida Y.Efficacy of endoscopic screening in an isolated island : a case control study.Indian J Gastroenterol 2014;33:46 9.

(本原稿は、森勇磨著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を編集・抜粋したものです)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月08日

インフルエンザ「今季は大流行の恐れ」…学会がワクチン接種呼び掛け

インフルエンザ「今季は大流行の恐れ」…学会がワクチン接種呼び掛け
2021年10月07日   読売新聞

 日本感染症学会が、冬に備え、インフルエンザワクチンを積極的に接種するよう呼びかけている。
昨季はコロナ禍でマスク着用や手洗いなどの対策が徹底され、インフルエンザ患者が激減した。
海外との往来制限が緩和され、ウイルスが持ち込まれれば、今季は大流行の恐れがあるという。

 昨季は新型コロナとの同時流行も懸念されたが、全国のインフルエンザ患者数は推計1・4万人で、現在の調査手法になった1999年以降で最も少なかった。
同学会はウェブサイトに見解を公表、「患者が極めて少なかったため、社会全体の集団免疫が形成されていない」とした。
ワクチン接種で患者を減らせれば、医療現場の負担軽減にもつながる。
秋以降の新型コロナ患者の急増への備えとしても重要だとした。

 見解の作成に携わったけいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師は「今季は例年以上の大規模な流行を起こす恐れもある。多くの人たちにワクチンを接種してほしい」と話している。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月10日

お得な「ふるさと納税」だけど…注意したいこと

お得な「ふるさと納税」だけど…注意したいこと
2021年10月09日   All About

ふるさと納税が注目され、多くの人が利用しているようです。
しかし、ふるさと納税は都道府県、市区町村への「寄附」。
その金額に応じて住民税や所得税が控除されるという仕組みです。
自己負担2000円で返礼品がもらえる……と安易に考えていてはいけませんよ。
後から、そんなはずではなかった……となるかも。ということで、ふるさと納税を利用するにあたっての注意点を紹介します。

■納税者でないと恩恵なし
ふるさと納税はあくまでも寄付です。
寄付した金額に応じて、住民税や所得税が軽減されるというものです。
払うべき税金の金額が減るということですから、そもそも税金を払っていない人には関係のない話。
令和元年度に住民税(均等割と所得割)の納税義務があったのは5895万人で、人口の半分を満たしていません(総務省「市町村税課税状況等の調」より)。
ということは、ふるさと納税をして税金がかえってくる人は国民の半分以下。
住民税の税負担をしていない専業主婦やパート主婦が、自分の名前でふるさと納税をしても、単に寄付をしただけの話になります。必ず、納税者の名前で寄付をしましょう。

■減税なので一時的には全額負担
自己負担2000円といっても、一時的には寄付金全額を手元のお金から払わなくてはいけません。
その後、所得税から還付され、翌年6月から翌々年の5月まで支払う住民税が減額され、トータルで計算すると自己負担が2000円になるというわけです(ワンストップ特例制度を利用した場合は、住民税のみが減額となります)。

最近では、ふるさと納税をクレジットカードで支払える自治体もあります。
負担分は2000円のつもりで、高額な寄付をクレジットカードで決済。
後からその支払いに苦労したという話も聞きます。
寄付の金額は一時的には全額支払わなくてはいけないので注意しましょう。

■自己負担2000円の限度額には要注意
この自己負担が2000円になるためには、収入や家族構成などによって寄付の上限金額が決まっています。
扶養している親族の数にもよりますが、所得税や住民税を多く払っている人ほど上限金額が高くなります。
例えば、独身又は夫婦共働き、中学生までの子どものみがいる場合の納税上限額(自己負担が2000円となる)をみてみましょう。
給与収入が400万円の時は4万2000円、600万円で7万7000円、800万円だと12万9000円、1000万円で17万6000円となります(住宅ローン控除や医療費控除など、他の控除を受けていない場合)。
総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」 などで、給与収入、家族構成別の上限目安やシミュレーションエクセルシートなどがありますので、確認してください。
ただし、他の控除(住宅ローン控除、医療費控除など)を行う予定の人は、上限額は出てきた目安金額より減少しますので注意が必要です。

■ワンストップ特例が使えない場合もあるので注意
ふるさと納税をしただけでは、税金が減ることはありませんよ。
ワンストップ特例の申請もしくは、確定申告の手続きをしなくてはいけません。
ワンストップ特例は2015年度の税制改正に伴い始まった制度です。
確定申告が必要がないサラリーマンが対象で、手軽にふるさと納税を利用できるようにとのことで、確定申告をすることなく手続きができます。 ワンストップ特例では、寄付した自治体に特例申請書を送るだけで手続きが完了。
後は、自治体間で納税の減額調整などをしてくれます。

ただし、この特例が適用されない場合は以下の3点です。
1)医療費控除の申告などのために確定申告をした(又は住民税の申告をした)
2)6自治体以上にワンストップ特例を申請した
3)寄付した翌年1月1日の住所地と申請書に記載した住所が違う

※3)の場合は、寄付した翌年の1月10日までに申請先に届け出を行う必要あり 5自治体以内で確定申告をする必要がない場合は、ワンストップ特例が便利です。
ワンストップ特例が利用できない場合は、確定申告をしましょう。

■返礼品は絶対もらえるわけではない
返礼品を目当てにふるさと納税をする場合にも注意をしましょう。
住んでいる自治体への寄付では返礼品がもらえないところもあります。
また、年に2回以上寄付をしても、返礼品は最初の1回のみという自治体も。

令和元年6月1日より、新たなふるさと納税指定制度が施行されており、総務大臣による指定を受けていない地方団体に対する寄付は、ふるさと納税の対象外となります。
指定を受けない自治体は数少ないですが、注意しておきましょう。
また、ふるさと納税と称した偽サイトなども増えてきています。
自治体のHPなどで確認した上で利用するようにしましょう。

そもそも、ふるさと納税は応援したい自治体への寄付です。
返礼品はあくまでも、自治体の好意によるもの。必ず返礼品がもらえるわけではありません。
災害復旧への応援、生まれ故郷などお世話になった自治体への寄付など本来の目的を忘れないように利用しましょう。

   文:福一 由紀(マネーガイド)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月13日

米価下落で農家の怒り爆発!

10.31衆院選「農村ショック」に自民党が戦々恐々 米価下落で農家の怒り爆発!
2021年10月12日   日刊ゲンダイ

 公示まで1週間となった10.31衆院選で“農村ショック”が起きるかもしれない。
2021年産の米の価格が全国的に下落し、米どころから悲鳴が上がっているのだ。
 米価下落の原因は、新型コロナ禍により外食産業のコメ需要が激減し、在庫が積み上がっているうえ、今年は豊作となり、さらに余剰感が膨らんでいることがある。

 コメの販売をJAに委託する農家が出荷時に受け取る仮渡し金である「概算金」は、東北6県の主要銘柄米(1等米60キロ)で軒並み前年比2000〜4000円程度下落した。
例えば、あきたこまち(秋田)は昨年の1万2600円が、1万600円。1万円を割り込む銘柄も続出し、「肥料や農薬にも費用がかかるのに」と農家がガックリ肩を落としている。

「『作柄が平年並みの100を割り込んで98程度なら値崩れしなくていいんだが』と話していましたが、夏ごろには100を超えそうだと分かり、大変だとなった。

菅前首相は秋田の農家出身なので、農政に力を入れてくれるのではないかと期待していたのですが、動いてくれなかった。
自民党総裁選でも農政はほとんど話題にならず、忘れられています」(JA関係者)

 農村票は全国に130万票あるとされる。選挙が近づき、慌てた自民党は、11日の衆院代表質問で、岸田首相が甘利幹事長の質問に対し「(コメの)需要減に対応する15万トンの特別枠を新たに設けて、飲食店や子ども食堂への販売、提供を支援する」と答弁、“自作自演”のアピールに必死だ。

「東北の農家の怒りは、2年前の参院選でも爆発し、秋田や山形で自民党候補者が落選した。
今回の米価下落は東北だけでなく、北海道や北信越の米どころにも広がっている。
衆院選では、より広範囲な農家の反乱が起きる可能性があります」(農政記者)

 無策のツケだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月15日

テレビ通販「下取り値引き」の安さは本物か

テレビ通販「下取り値引き」の安さは本物か
古くて新しい「二重価格問題」への向き合い方
2021/10/14 東洋経済オンライン
細川 幸一 : 日本女子大学教授

モノを購入するときに、消費者にとって価格は最重要ポイントだろう。
同じ商品やサービスなら、より安く購入したいのは当然だ。
そうした消費者の意向は売る側のマーケティングにも大きな影響を与える。

例えば、5千円で売りたい商品があるとき、単に「5千円」と表示するより、「特別価格5千円」とか、「定価1万円を50%オフの5千円」という表示をする場合がある。
定価や通常価格と称した価格と実際の販売価格の双方を示し、安さを強調する価格表示はよく見られる。
これを「二重価格」という。

二重価格自体は昔からみられ、ただちに違法ではない。
しかし、たびたび消費者問題になってきた。
高度経済成長時に起きた「カラーテレビ二重価格問題」が有名だ
消費者団体主導の大規模な不買運動に発展した。

二重価格は景品表示法(景表法)により、「有利誤認」として不当表示とされることがあり、近年も、ECビジネスの増大によるテレビ・ネット通販で従来考えられなかった新たな問題が生じている。
ここではそれらの違法性判断と消費者が価格表示についてどのように理解し、購買行動に結びつけるべきかについて考えたい。

消費者運動史に残るカラーテレビの二重価格問題
1960年代後半にはカラーテレビが家庭に徐々に普及していったが、国内の販売価格は高額であった。
しかし、アメリカに輸出しているカラーテレビの価格は、国内よりはるかに安い価格だったことがわかり、不当廉売(ダンピング)が問題視された
そこで、公正取引委員会の委託により、消費者団体がカラーテレビの価格の実態調査を実施したところ、国内において二重価格が存在していることがわかった。

調査を行った消費者団体は定価そのものがおかしいと問題を提起し、そのことがカラーテレビの不買(買い控え)運動へと発展した。
この運動は全国的に広がり、企業はカラーテレビの在庫を大量に抱えることになった。
その後、公正取引委員会の警告などもあり、家電メーカーが新機種からの価格引き下げを発表し、運動は収束した。

下取りありで安くなる理由は?
筆者が不思議に思うのは、テレビやネット通販で多く見られる下取り価格だ。
エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの家電製品を中心に、例えば、通常価格11万9800円の洗濯機を下取り品があれば2万円引きの9万9800円や、4万9800円の掃除機を下取り品があれば1万円引きの3万9800円といった値引き販売だ。
下取り品の古さ、メーカー、故障の有無にかかわらずどんなものでも下取りをするというもの(業務用は除外などの一定条件はある)
だが、家電リサイクル対象商品についてはリサイクル料金+収集・運搬料金を、それ以外の製品は小物だと500円程度の下取り手数料を支払うことで大幅な値引き価格で購入できる。
下取り品があると購入商品が安くなるという取引で従来からあるのは、自動車販売の場合だろう。
今、乗っている自動車を下取りに出して新車を購入するという買い替えはよくある。
その場合の下取り価格とは、下取りに出す車を中古車市場での価値に基づいて査定して下取り価格を決め、その価格分を新車の購入価格から値引くというものだ。
しかし、最近のテレビ・ネット通販等で見られる下取りでは、販売会社は下取り品は廃棄すると言っている。
すなわち、下取り品に市場価値がないのに大幅な値引きがなされる。

そこで疑問に思うのは、そもそも下取り品がないときの通常価格とは何なのか、下取り品がなくても値引きできるのではないかということだ。

廃棄することが明らかな商品の場合は問題ないのか
数年前に、筆者が兼任講師として指導する立教大学法学部消費者法ゼミのゼミ生がこの問題を調べたことがある。
ある商品に下取り価格をつけて、販売商品から値引くのはマーケティングとして事業者の自由だが、一方で、財産的価値がなく、廃棄することが明らかな商品に下取り価格をつけて、その分を引く行為は、不当な二重価格ではないかといった疑問からだ。

景表法では「優良誤認」と「有利誤認」を主な不当表示として規定している。
簡単に言うと、「優良誤認」は商品の品質等に関する不当表示、「有利誤認」は価格などの取引条件に関する不当表示だ。
二重価格は、「有利誤認」として問題になることがあり、消費者庁は「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)で考え方を明らかにしている。

例えば、販売実績のない価格を「通常価格」としたり、メーカーが公表していない価格を「メーカー希望小売価格」として比較対照価格に用いる場合等には不当表示とみなされる。
下取り値引きの場合は、実際に下取りなしの価格設定が事実であれば問題はないと消費者庁は判断していると思われ、この問題で同庁が措置命令(旧・排除命令)を出したことはない。
立教大のゼミで当時、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会に問い合わせたところ、「下取りなしの価格と下取り価格の両方の価格で実際に販売をしていれば有利誤認には該当しない」との回答を得ている。
要するに、下取り価格を設定している販売会社としては、下取り品があるときには大幅値下げをすると表示することにより、買い替え需要を喚起し、買い替えでない消費者が値引きなしの販売価格による購入を敬遠するとしても、結果として購入者が増えるということを期待した販売戦略だろう。

そこで、消費者が確認すべきは、見た目の値引き幅に惑わされることなく、実際の販売価格が市場価格と比べて安いのかということである。
この点も立教大のゼミで市場調査をした。
冷蔵庫、エアコン、洗濯機それぞれ3機種(計9機種)について、下取り値引きをしているテレビ通販会社の下取り品ありの販売価格と、池袋にある家電販売店2店舗との販売価格を比較した。
冷蔵庫3機種ではすべて家電販売店のほうが安く、エアコンでは同一価格が1機種、テレビ通販会社の下取り価格のほうが安かったもの2機種、洗濯機ではテレビ通販会社の下取り価格が1機種で家電販売店2社の価格差の中間、2機種が一番安いという結果だった。

すなわち、市場価格と比較し、新しい製品の購入時に中古品を引き取ってくれることの便利さとそのときの下取り費用を勘案して購入すべきだろう。
二重価格が不当とされる事案も相次ぐ 一方、テレビ・ネット通販の普及とともに二重価格表示が不当表示とみなされ、消費者庁から措置命令を受けた事例も多く見られる。

ここでは、将来の販売価格を通常価格とする二重価格が不当表示とされた事例を紹介しよう。
将来価格を通常価格として、一定期間のみそれより安く販売し、それを値引き価格と表示するものだ。
2018年3月16日、消費者庁はテレビ通販で不当な二重価格表示があったとして、「ジュピターショップチャンネル」に対し、景品表示法違反(有利誤認)で措置命令を出した。
通販番組内でテレビとズワイガニについて「セール価格」と将来の販売価格である「明日以降価格」を併記して紹介したことが処分の対象となった。
セール後に「明日以降価格」で販売した期間が短期間で、将来価格として表示することは問題があり、有利誤認と認定した。将来価格の表示に対する初めての処分となった。

ズワイガニは、過去の番組で実施したセール企画「食の祭典!24時間グルメ祭り」において、
〈32%OFF!〉
明日以降¥14,580 本日価格 ¥9,800 と価格を表示した。
しかし、実際に「明日以降」と称された価格による販売はセール後に2日間と短期間で、将来の販売価格として十分な根拠とは認められなかった。

テレビについては、32型テレビと40型テレビについて不当表示とされた。
32型テレビの一時期のセールを例にすると、 「オールスター家電祭 2016冬」と称するセール企画として
<49%OFF>
 ¥199240  ¥97,800 と、実際の販売価格に当該価格を上回る「明日以降」と称する価額を併記した。

これにより、「明日以降」と称する価額は、セール企画終了後に適用される通常の販売価格であって、実際の販売価格が当該価格に比して安いものであり、かつ、実際の販売価格は他の販売事業者では通常設定できない安いものであるかのように表示していた。
しかし実際には、セール企画終了後に販売される期間は3日間のみであって、ごく短期間のみ「明日以降」と称する価額で販売するにすぎず、当該価格での販売実績も同社において実質的に問われないものであって、将来の販売価格として十分な根拠のあるものとは認められず、かつ、その時点において、本32型テレビを同社と同程度または下回る価格で販売する他の販売事業者が複数存在していた。

従来の二重価格は過去の販売価格と比較して現在の価格の安さを強調するものであったが、このように将来販売する価格を通常価格として、現在の価格の安さを強調する表示が見られる。
消費者庁は将来の販売価格での販売期間や確実な予定があるかを問題視しているが、そもそも表示した時点で販売実績のない将来の価格を通常価格として「〇〇%オフ」と表示すること自体、問題ないのであろうか。

いたるところで見られる二重価格 二重価格はマーケティング戦略として、いたるところで見られる。
飲食店でクーポンを発行し、それを提示すると10%オフなどはよく見受けられ、得した感じがして頻繁に利用する人も多いだろう。
しかし、本当に得しているのだろうか。
クーポン券を絶えず店の前で配っていたり、店の外にバケットを置きいつもクーポン券がそこにあるような店もある。

筆者の経験だが、勤務する日本女子大学のゼミで飲み会をすることになり、学生が50%引きのクーポン券利用で2500円で飲み放題の店を探してきたことがある。
料理は質も量もひどいもので、初めから2500円の価格設定としか思えず、クーポン発行会社にクレームを入れたことがある。
発行会社は一応、当該居酒屋にヒアリングしたようで、たしかに5000円のコースを値引きしているということであった。
覆面調査でもしない限り、本当のことを言うわけがないだろう。

「同一ではない商品の価格を比較対照価格に用いて表示を行う場合」も消費者庁は前述ガイドランで不当表示としているが、製品と違って、飲食店の料理の比較は難しい。
50%引きの2500円で飲み放題と聞いただけで筆者はそのからくり、質を想像するが、経験に乏しい学生などはそうではない。

法的規制も重要だが、賢い選択をすることができるようにする消費者教育も重要だ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月16日

「認知症」の超初期段階とは?予防に役立つ生活習慣を医師が解説

40代から始まる「認知症」の超初期段階とは?予防に役立つ生活習慣を医師が解説
10/15(金) 婦人画報

認知症全体の70%近くを占めるアルツハイマー病。女性に多いことも知られています。

このアルツハイマー病は15〜20年かけて徐々に進行します。
つまり、60代後半から発症すると仮定すると、40代から病気の芽が少しずつ大きくなってくるということになります。

お話を伺ったのは……
新井平伊先生(アルツクリニック東京院長 順天堂大学医学部名誉教授)
●順天堂大学大学院医学研究科修了。
順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て2019年より現職。
アルツハイマー病の基礎と臨床を中心とした老年精神医学が専門。
著書に『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』(文藝春秋)ほか。
取材・文=増田美加(女性医療ジャーナリスト) 
『婦人画報』2021年11月号より

認知症はいつから始まっている?
アルツハイマー病では、脳にアミロイドβというタンパク質が蓄積し、それが引き金となりタウというタンパク質が蓄積します。
このタウが神経細胞を傷害し、脳萎縮を起こすことがアルツハイマー病の原因のひとつといわれています。
脳の萎縮が起こると記憶障害に加え、日常生活でさまざまな症状が現れます。
「一般的なMRIの脳ドックや認知症心理検査などで兆候が見られるのはMCI(軽度認知障害)の段階であることが多いのですが、実際にはその15〜20年前から症状の進行は始まっているのです。

一般的に60代後半で発症するとすれば、40代の段階から発症リスクをできるだけ軽減する取り組みが必要なのです」と新井平伊先生。

いま知っておくべきSCD(主観的認知機能低下)とは?
認知症の前段階といわれるMCIは、周囲もその変化に気づき始める段階です。
じつはMCIにはさらにその前段階があり、自分だけが気づく変化が現れるSCD(主観的認知機能低下)という段階があることがわかってきました。
「その変化を早い段階で捉えてアクションを起こすこと。つまり早期発見・対策が何より大切です」と新井先生。

症状はもの忘れだけでなく、注意、集中、意欲、気分の低下など。そこに女性は更年期の女性ホルモンの低下によるさまざまなダメージも加わります。
「最初にどんな症状が出てくるかは、個人差が大きいのです。見極めのキーワードは“変化”。
以前との変化に気づくことが大切です。
MCIの段階でも早期発見し、適切に対処すれば、16〜41%の人が正常に戻るというデータも報告されています。
さらに、その前のSCDの段階で気づき、生活改善を行って危険因子を減らすことは、重要で確かな認知症の予防となるのです」と新井先生。

脳機能は年齢により低下しますが、50歳からの低下が顕著になります。
更年期世代はいますぐ始めることが大切です。

認知症予防のためにいまから改善すべき生活習慣とは?
「脳機能の老化を予防する対策は、最も始めやすい生活習慣の見直しからがいいでしょう。
肥満、糖尿病、高血圧、歯周病などの生活習慣病は、認知症と密接につながっています。
これらの生活習慣病の人は、これを改善することで、確実に脳寿命を延ばすことができるのです。

生活習慣病でない人でも、これを予防できる生活習慣かどうかの見直しを。身体活動(運動)は十分か、バランスのよい栄養摂取はできているか、認知トレーニングはできているか、です。

認知トレーニングは、わざわざ計算問題などに取り組まなくても、現役世代は日々の仕事でこなしている推理→判断→決定のプロセスで鍛えられます」

また睡眠不足は、脳にアミロイドβを溜め込む原因になるため、質のよい睡眠は、運動と同様に非常に重要です。
「睡眠時間は短すぎても、長すぎてもよくありません。6.5〜7時間程度が最適とされています。
眠れない人は、睡眠剤を飲んで寝たほうがよいです。
寝酒は睡眠の質を悪くするのでNG。お酒より睡眠剤のほうが安全です。
睡眠時無呼吸症候群がある人は認知症予防のためにも治療しましょう」と新井先生。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

あくびには知られざる効能

あくびには知られざる効能が!ストレスを最速で解消し快眠効果も
2021年10月15日 女性自身

頭が重い、冷える、心が落ち着かない……そんな「なんとなく不調」は原因がわからず、困ってしまう。
そのような諸症状が、解決するかも! ぜひ、試してみようーー。

「あくびのように口を大きく開け閉めすることを繰り。返すことによって、脳の活性化につながります」
こう話すのは鍼灸師で間脳セラピー開発者の駒川耕司さん。
駒川さんは、幼少期より極度の肩こりや腰痛に悩まされていたことをきっかけに治療家の道に入り、カイロプラクティック、鍼灸や整体、マッサージなどさまざまな施術を長年実践してきた。
「なかには劇的に症状が改善されるものもありましたが、一時的な改善が多く、根本的な解決にはなっていないことも体験しました。
根本的な治癒の方法を求めて模索しているうちに、あくびの動作にヒントがあることがわかってきたのです」(駒川さん・以下同)

誰しも生活習慣による体のゆがみやねじれ、左右差があるものだが、ゆがみやねじれを正すことは、体が整うだけでなく、脳幹にも影響を及ぼすことに気づいたのだという。
「脳幹は脳の中でも私たちが生命を維持するうえで重要な働きをつかさどっています。自律神経のコントロール、ホルモン分泌・呼吸・体温・食欲・感覚の管理などです。
あくびの動作は頭蓋骨の真ん中にある蝶形骨を介して脳幹とつながっています。
脳幹が正しく働いていると、自己治癒力が高まり、心身ともに健康になるのです」

■「あくび」が脳幹の働きを促し、健康に
そして駒川さんが編み出したのが、大きく口を開けてあくびの動作をする「ライオンあくび体操」だ。

【座ってライオンあくび体操!】
〈ステップ1〉※事前チェック(1)〜(4)

(1)背筋を伸ばして座る。立位の場合は姿勢を正して正面を向く。
(2)顔を右に向けて口を大きく開けて鼻から空気を吸う。ここでは、力まずにできるだけ大きく開ける。
(3)顔を左に向けて口を大きく開けて右と同様に呼吸をする。
(4)左右のどちらが大きく胸式呼吸をしやすいかを確認する。
(5)呼吸がしやすい方向に顔を回した後、少しゆるめて、その位置で大きく口を開ける。呼吸は鼻から自然に行う。
(6)力まずに全開で5秒間キープし、口を閉じる。
(7)2回繰り返し、3度目は力まず全開で20秒間キープ。
(8)口を開けたまま顔を正面に戻す。
(9)事前チェックと同様、顔を左右に向けて試し、呼吸しやすさの左右差を確認する。
差異があれば(5)〜(7)を繰り返す。

〈ステップ2〉

(10)前を向いたままで口を開き呼吸がしやすいほうに顔を傾け、口をゆっくり大きく開ける。呼吸は鼻から自然に行う。力まずに全開で5秒間キープし、口を閉じる。
(11)2回繰り返す。3度目は力まず全開で20秒間キープ。
(12)口を開けたまま顔を正面に戻す。
(13)顔を左右に傾けて、呼吸のしやすさの差異を確認する。差異があれば(10)〜(12)を繰り返す。
頭を回す、傾けるなどの動作をするとき、その動作をしやすいかの目安は、行っていて気持ちよく感じるかどうか。違和感がないか、気をつけてみよう。 また、力いっぱい口を開けると効果は期待できない。リラックスして無理せず取り組もう。

〈ステップ3〉

(14)正面を向いて口を大きく開ける。
(15)力まずに全開で5秒間キープし、口を閉じる。
(16)2回繰り返す。3度目は力まず全開で20秒間キープ。呼吸は鼻から自然に行う。
20秒以上開け続けると筋肉が緊張し始めるため、最長で20秒程度。
この体操で、脳幹にある間脳が脳全体を活性化させる。それにより、呼吸のしやすさの左右差はなくなる。

正面でのあくび動作をする前に左右差を確認し、できるだけ左右差をなくしてから、最後に仕上げで正面で行うと効果的だ。 「回しやすいほうに顔を向けたり、傾けた状態で口を開閉することで、筋肉や深部の筋膜がゆるみます。
全身の筋膜がほぐれることで脳幹からホルモンが分泌され、全身にエネルギーが通るのです」
同時に全身の血流も促進されるようになる。

「アメリカの研究に『あくびは神経のストレスを最速で解消する方法のひとつであり、心配を減少させ幸福感に満たされる作用をもたらす』という報告があります。

これまであくびは、脳に酸素を送り込んで脳の温度を下げる効果が知られていましたが、脳幹が働くと思考も静まり、あれこれ悩んだり、クヨクヨしなくなります。
コロナ禍で鬱っぽくなっている人がライオンあくび体操を行うと前向きになれます」

【脳幹が活性化すると、12もの効果が!】

(1)体の重心が整う
(2)骨格や関節のゆがみが整う
(3)筋肉の緊張がゆるみ、無駄な力みがなくなる
(4)関節が柔軟に!
(5)内臓機能が活発に
(6)基礎体温が上がる
(7)熟睡できるようになる
(8)疲労感が消える
(9)食欲が適正化する
(10)精神面が安定する
(11)更年期障害が和らぐ
(12)冷え性が和らぐ 簡単にでき、しかも全行程3分程度

1日何度やってもいいし、誰がやってもいい。
全身を緩める効果があるから、あくびが出やすくなる。
就寝前にあおむけの姿勢で行うと入眠効果バツグンでぐっすり眠れる。
ゆるんでゆがみをとって心身共、健康な体を手に入れよう!
posted by 小だぬき at 09:38 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする