2012年07月06日

パワハラ:国が定義

パワハラ:国が定義 暴言、無視…行為を提示 「指導」との違い明確化へ

毎日新聞 2012年03月16日 東京朝刊

◇「職場内の優位性を背景に、精神的・身体的苦痛を与え、職場環境を悪化させる行為」 

業務上の適切な指導か、度を超えた嫌がらせか−−。

性的な嫌がらせ(セクシュアルハラスメント=セクハラ)と異なり、判断が難しく、防止のための対策が十分に浸透しているとはいえない職場のパワーハラスメント(パワハラ)。
厚生労働省の作業部会は1月末、職場のパワハラについての報告書をまとめ、政府として初めてパワハラの定義を打ち出した。
全国で急増しているパワハラの防止対策の一歩になるか、注目される。【水戸健一】


 厚労省は、職場のいじめや嫌がらせの対策を検討する有識者会議を昨年7月に設置した。その作業部会が今年1月、「職場のパワハラ」について、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える、職場環境を悪化させる行為」と初めて定義した。


 また、パワハラ行為を明確にするため、
(1)暴行、傷害(身体的な攻撃)
(2)脅迫、暴言(精神的な攻撃)
(3)隔離、無視(人間関係からの切り離し)
(4)過大な要求
(5)過小な要求
(6)私的なことに過度に立ち入る個の侵害
−−の六つに類型。

(4)、(5)、(6)については、業界や企業の文化で業務上の適正な指導との線引きが必ずしも容易でないとして、各職場で認識をそろえる取り組みを行うよう促している。

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「マインドコントロール=自由意思の選択」論は誤りと弁護士

「マインドコントロール=自由意思の選択」論は誤りと弁護士
※週刊ポスト2012年7月13日号

【書評】
『2時間でいまがわかる! マインド・コントロール』(紀藤正樹/アスコム/1000円)


【評者】香山リカ(精神科医)
* * *
 最近もマインドコントロールをめぐる問題が次々、起きている。
占い師の言うなりだったという人気芸人「オセロ」の中島知子、逮捕されてもいまだに教祖・麻原に帰依しているオウム真理教の高橋克也容疑者らが話題だ。


 こういう話題が出ると、テレビには「彼らは自由意思で選択したのだから、マインドコントロールではない」と主張する識者が出てくる。

しかし、その人たちは正しくこの問題を理解していない、とこれまで弁護士として多くの被害者を救済してきた著者は憤りを隠さない。


 支配する側とされる側に上下関係、力関係が存在し、法規範や社会規範から逸脱した影響力の行使が認められれば、それはマインドコントロールと言える、という法の専門家ならではの明快な定義に私ははっとした。

心の専門家である私は、どうしても「信じる側の心の問題」も考慮してしまい、「本人がそれでよいなら」などと考えがちだからだ。


 著者はマインドコントロールの具体例をあげながら「必要なのは法的規制」と主張する。
フランスには「無知・脆弱性不法利用罪」があり、たとえばカルトの構成員がマインドコントロールにより支配され被害者的な立場にあるなら、それだけで教祖の行為を不法と見なすことができるそうだ。


 こういった法律がない日本では、いくら家族から「ウチの子はマインドコントロールでおかしな宗教に入ってしまったのです。
入院させて助けてください」と頼まれても、そこに重大な疾患がなければ私たち精神科医は無理やりその子を教団から引き離すことはできない。

実際にそうして逆に「強制的な監禁だ」と教団から訴えられ、精神科医側が敗訴した例もあるのだ。


 さらに、著者は日本の既存宗教に対しても、「魂の救済にコミットしていないことを猛省せよ」と呼びかける。

深い悩みごとを抱え、誰かに話したい、決めてもらいたいという人たちは多い。
彼らにこたえるべきは、精神科医か宗教者か、はたまた……。考えさせられることが多い一冊だ。

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2012年07月13日

調査の「ゴール」が違う

香山リカのココロの万華鏡:
調査の「ゴール」が違う
毎日新聞 2012年07月10日 東京地方版 

昨年10月、滋賀県大津市で当時、中学2年の男子生徒が自殺した問題。
背景には、深刻ないじめがあったことが明らかになった。


 市の教育委員会がこの生徒が自殺した後に全校アンケートを実施したところ、16人が「(死亡した生徒が)自殺のリハーサルをするように強制されたと聞いた」などと回答を寄せていたという。

しかし、その後、市教委は加害者とされる生徒への聞き取りなどを経て、「いじめはあったが、それと自殺の因果関係は判断できない」との見解を示した。


 これまでも自殺をめぐる問題で、「因果関係は特定できない」というフレーズが使われてきた。
「職場でのいやがらせはあったが、それと自殺との因果関係は明らかではない」というように、「長時間の過酷な労働」「上司からのハラスメント」「夫婦間の暴力」そして今回のような「学校でのいじめ」などが、「被害者の自殺との因果関係ははっきりしない」と結論づけられてきたのだ。

こういった調査では、そもそものゴールが間違っている。因果関係を特定するのが目的なら、それは「判断できない」という答えにたどり着くのは目に見えているのだ。
それを証明できる唯一の人である本人が、もうこの世にいないからだ


 「原因はこれです」と言える人がいなければ、条件が厳密に整えられた科学の実験でもない限り、ひとつの原因とひとつの結果との関係を証明するのはきわめてむずかしい。
就職試験に失敗した人が、「面接で声が小さかったからかな」と想像しても、ほかにも話の内容や態度など考えられる原因はいくつもある。
そうなると、決め手は採用者に「私を落としたのは、声の大きさに問題があったからですか」と尋ねるほかなく、それができないならいくら考えても「因果関係は明らかではない」という答えしかなくなる。


 今回の問題でも、やらなければならなかったのは自殺の原因探し、犯人探しや因果関係の証明ではなかったはずだ。
まずは「深刻ないじめがあった」という事実を認め、なぜ起きたか、なぜ防げなかったか、今後の対策は、といった具体的な検討を行うべきだ。

それにしても、学校でのいじめはなぜなくならないのだろう。

「命の大切さを教える」とか「厳罰化を進める」といった対策では解決できない深い問題がいまの教育の現場にはあり、いじめを行う側の心も相当、ゆがめられ追い詰められているのだと思う。
なぜいじめたくなるのか。なぜ「いじめられてる」とSOSを出せないか。もう一度、考えてみたい。

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2012年07月23日

『週刊ダイヤモンド』7月28日号の特集「不眠・不安・疲労 職場と家庭のうつ全対策」

眠れていますか? 不安を抱えていませんか?
不眠、不安、疲労、うつ――。
職場と家庭の“心”の健康に迫る

12/7/28号】 2012年7月23日
 週刊ダイヤモンド編集部

連日3時まで眠れず
大事な書類でエラー

 時計の針は午前3時を回ろうとしていた。「駄目だ!眠れない!」。
橋本武彦さん(仮名・44歳)は空のグラスに手を伸ばし、ウイスキーを注いだ。
すでに4杯目。祈るようにして一気に飲み干した。


 酒の力でようやく眠りに落ちたのもつかの間、悪夢にうなされて何度も目が覚めた。仕事で大きなミスをして首になるという空恐ろしい夢だった。
ぐっすり眠れないまま目覚まし音が無情に鳴った。


 商社マンの橋本さんは1年前に課長に昇進した。
複数のプロジェクトと部下の管理も任されて業務の負荷は一気に増えた。
大きなプロジェクトがちょうどヤマ場を迎えていたこともあり、終電で帰宅する日々が続いた。
帰宅しても寝付けなかったり、途中で目が覚める日が増えるようになった。


 ある時期からは、ほぼ毎日寝付けなくなった。
ちょうどこのころ、大きなプロジェクトの取引先の部長から理不尽な注文や嫌みを浴びせられることが悩みの種になっていた。

 布団に入るとその部長の顔が浮かんでイライラする。
寝酒を飲むようになったが、1杯では眠れなくなり、日を追って2杯、3杯と量が増えた。
朝になっても疲れが取れず、疲労感を引きずって出社した。


 連日寝付けなくなってから3ヵ月目、上司に怒鳴られた。
大事な書類の数字を1桁間違って記入していたのだ。
上司に「体調でも悪いのか」と尋ねられ、状況を打ち明けた。

上司の言葉に従って受診すると、「不眠症」と診断された。
まず酒をやめるよう指導され、睡眠薬が処方された。
上司の計らいで業務量が少し抑えられ、残業を減らした。
休日は仕事を持ち込まず、軽めの運動でストレスを発散するようにした。


 生活を整えることで気持ちにゆとりができ、仕事の効率は上がった。
取引先の部長の嫌みもさほど気にならないようになった。


 主治医である林田健一・スリープ&ストレス クリニック院長によると、橋本さんの場合、仕事のプレッシャーが増えて不眠がちのところに、取引先との人間関係が2つ目のストレスとして加わり発症。「睡眠の質を悪くする酒に頼ったのがよくなかった」という。

過労が不眠症を招き
不眠症がうつ病を引き起こす

 都内のコンサルティング会社に勤務する伊藤浩さん(仮名・30代)は4年前にうつ病を発症した。
新卒で就職したIT会社では、同僚が次々に過労で倒れていった。
身の危険を感じてシステムエンジニア(SE)からコンサルタントへ転身した。


 ところが転職先でも激務は続いた。
疲れているのに寝付けない不眠の症状に苦しんだ後、うつ病になった。


 伊藤さんは、うつ病患者として最悪なる“王道”を進んでしまった。最初の一歩は「過労」だった。
SEとコンサルタントといえば、うつ病になる人が多い職種として、つとに有名。彼らが発症に至る原因の多くは長時間勤務による過労だ。
厚生労働省の調査によると、職場ストレスの上位に「職場の人間関係」とともに「仕事の量」が挙がっている。

 次の一歩は「不眠症」、それに「うつ病」が続いた。不眠症の段階で治療すればよかったが、多くの不眠症患者が陥っているように、放置してうつ病を引き起こしてしまった。

厚生労働省は2011年末、労働安全衛生法の改正案を国会に提出し、すべての事業者に対して全従業員へ毎年ストレスチェックを行うよう義務付ける内容を盛り込んだ。
施行は早くても来年以降になるとみられるが、背景にはストレスの多い職場環境がうつ病患者、ひいては自殺者を増やしていることがある。


 11年の自殺者数は14年連続で3万人を突破し、その自殺原因のトップはうつ病だ。うつ病を含む気分障害は増加を続け、すでに100万人を突破している。

プレッシャーに苦しむ「昇進うつ」
環境変化がストレスに

 “心の病”に陥る罠はそこらじゅうに転がっている。
まず、勤務する会社に合併や買収、リストラといった大きな変化が起こったときにストレスは生じやすい。

 さらに、入社や異動、転勤、昇進、定年など、勤め人であれば当たり前のように通過する小さな環境変化も心の病に陥る大きな原因となり得る。
本人が感じるストレスの大小は変化の大きさとは比例しないものだ。


 例えば、本来は喜ばしいことであるはずの「昇進」がきっかけで陥るのが「昇進うつ」だ。
新しいポストで負う責任の重さを過剰に感じてしまったり、上司と部下の板挟みとなって人間関係が苦痛になる。
周囲の期待と羨望を込めた視線もプレッシャーになってしまう。


 昇進うつとは逆に、昇進したくてもできないことがストレスとなるのが「上昇停止症候群」である。
ライバルや同期、あるいは後輩や部下が自分よりも先に昇進していく中で「自分はこれ以上出世できない」と行き詰まりを感じ、不安が大きくなってしまうのだ。
上昇志向が強く、仕事一筋でやってきた人ほど、このときのストレスは大きく、仕事への熱意が消えてしまう。


 こうしたストレスが原因となって、不眠症やうつ病が引き起こされるのである。
夜に布団へ入っても寝付けない「不眠症」、
やる気に溢れて疲労感に気付かない「隠れ疲労」、
頭痛にうつ症状が隠れている「仮面うつ病」、
上司と部下との板挟みになってストレスを抱える「サンドイッチ症候群」、
あがり症でプレゼンテーションが苦手な「社交(社会)不安障害」──。どれこれもビジネス マンに多い病気や症状です。

なかでも不眠は日本人の5人に1人がかかっている国民病。自分や周囲に心当たりはないでしょうか。


『週刊ダイヤモンド』7月28日号特集「不眠・不安・疲労 職場と家庭のうつ全対策」では、「不眠」「不安・うつ」「疲労」の最適な治療法や対処法を全58ページに詰め込みました。


「快適な夜を演出する睡眠グッズ集」
「睡眠薬と抗うつ薬の最新事情」
「予防や部下育成にも活用できる認知行動療法」
「駄目な医師を見抜く秘訣」
「紹介状がなくても教授・准教授級が診てくれるクリニックの一覧」
「妻、子ども、老親を襲う心の病への対処法」など盛りだくさん。
『ツレがうつになりまして。』の著者、細川貂々氏に学ぶ「うつ病の夫・恋人を上手に支える7ヵ条」も必見です。


 忙しかったり、疲れている人ほど、「自分は大丈夫」と軽視しがち。しかし、早期の発見と対処は最強の自己防衛術です。

ストレス職場を舞台にした「疲労・不眠・不安・うつ」の事例集と自己診断シートも盛り込んだ本特集で、心と体をセルフチェックしませんか?

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 臼井真粧美)
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2012年08月01日

社説:発達障害者判決 厳罰より社会支援を

社説:発達障害者判決 厳罰より社会支援を
毎日新聞 2012年08月01日 02時30分

姉を殺害したとして起訴された42歳の男の裁判員裁判で大阪地裁は、被告を広汎(こうはん)性発達障害の一つ、アスペルガー症候群と認定したうえで、殺人罪の有期刑の上限となる懲役20年を言い渡した。

検察側の懲役16年の求刑が軽いと判断したものだ。


 判決は、家族が同居を断っており、「社会に障害に対応できる受け皿が何ら用意されておらず、その見込みもない」との理由で「許される限り長期間刑務所に収容し、内省を深めさせる必要がある」と述べた。

家族の支援が望めないならば刑務所に入れという結論で「それが社会秩序の維持にも資する」とも指摘した。


 被告は不登校から引きこもりとなった。
それを姉のせいだと思い込み、恨みを募らせての犯行に、アスペルガー症候群が影響したと判決は認めた。

一方で、最終的に被告の意思で犯行に踏み切ったとして、障害の影響を考慮すべきだという弁護側主張を退け、計画的で残酷な犯行であり刑事責任は重大と判断した。


 発達障害者の社会支援は05年の法施行以降、各都道府県に支援センターが設置された。
福祉サービスを受けて地域で暮らしている発達障害者は大勢いる。

罪を犯した障害者についても地域生活定着支援センターが全都道府県に設置されている。

長崎県雲仙市の社会福祉法人は罪を犯した発達障害者・知的障害者を受け入れ、社会復帰の訓練が検察庁や裁判所から評価されている。

そのため懲役刑ではなく、その更生保護施設での処遇を求める求刑や判決が出ている。
判決の「受け皿が何ら用意されておらず、その見込みもない」というのは間違っていないか。

 また、国内の刑務所には発達障害の特性に合った矯正プログラムがほとんどない。
アスペルガー症候群の特徴として、相手の感情や周囲の空気を読み取るのが苦手で、自ら深く反省する気持ちがあってもそれを表現することがうまくできないことが指摘される。

刑務所に長期間収容するだけでは内省を深めることが期待できず、むしろ再犯リスクが高まり、社会の秩序維持にとってもマイナスだ。
受刑することの意味を真に理解し内省を深めるためには、障害の特性に合ったコミュニケーションや心理的アプローチが必要だ。


 「発達障害は伝統的な子育てで予防できる」と指摘した家庭教育支援条例案を議員提出する動きが5月に大阪市議会であった。
内容に根拠がなく偏見を助長するとの抗議を受け撤回したものの、障害への誤解も後を絶たない。

地域の施設で立ち直りを図ることが結果的に社会の安全につながる。
ケアが再発防止に有効という意識が不可欠だ。

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2012年08月13日

思い込みから解放される 

香山リカのココロの万華鏡:思い込みから解放される 
毎日新聞 2012年08月07日 地方版


 全国的に夏休みシーズンに入った。
「診察室もヒマでしょう」と言われるが、実はその反対。例年、夏休みには、女性の受診者が増える傾向がある。


 とくに多いのは、「子どもがずっといるのがしんどい」と訴える母親たち。
誤解がないように言うが、子育てを放棄したり虐待したりしているわけではない。いつも一生懸命、子どもに向き合う熱心な母親たちだ。


 ある母親は言っていた。「自分ひとりだと昼ごはんも朝の残りなどで適当にすませますが、子どもがいるとなるとそうもいかない。

暑いのに火を使って調理するのが、とても苦痛なんです」。
お子さんもいっしょに朝の残りをアレンジしてすませるのはどうですか、と言ってみたが、「それでは栄養バランスが悪くなります」と首を振った。

また別の女性は、毎年のお盆に夫の実家に帰省するのが恐怖、と話した。
「私たちには子どもがいないのですが、実家には夫のきょうだいの子どもたちも集まり、とてもにぎやかです。

その中で必ず“あなたたちはまだなの”という話題になって……」。
この人には「まあね」と笑顔の演技をするかイヤならその場から立ち去ってもいいんじゃない、と助言したのだが、「それではひどい嫁と思われてしまいます」と真剣な表情で言われた。


 夏休み恐怖症の彼女たちは、みんな「子育てはこう、夫の実家ではこう」と自分で決まりごとを作り、それからはずれてはならない、といつも緊張している。

もっとゆるく考えて「なるようになるさ」と思ったり、その場をとりつくろうお芝居で乗り切ったりするのは、「やってはいけない不まじめなこと」と思いこんでいるのだ。


 夏休みは、子どもだけではなくておとなも休むためにある。
その時期さえ気を張って、「こうしなくちゃ」と自分に課題を突きつけるのは、たしかに疲れることだろう。
あまりルールを作らずに、できることをやればいいのではないだろうか


私自身は旅行やアウトドアなどの趣味がないため、夏休みはまとまってとらずに、細切れに何度も取って、ふらっと好きなプロレスを見に行ったり早い時間からビアガーデンに出かけたりする。

もちろんそんなときにはルールなどなく、チケットが売り切れていたり雨でビアガーデンが中止になったりしていたら、急きょ予定を変更、映画や居酒屋に出かけるだけだ。

 夏休みはこうすごさなくちゃ。これをしないようにしなきゃ。そんな思い込みから解放される、それが夏休みの第一歩なのではないだろうか。
posted by 小だぬき at 07:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月24日

夜更かしで「時差ボケ」に 

香山リカのココロの万華鏡:夜更かしで「時差ボケ」に 
毎日新聞 2012年08月21日 東京地方版

 オリンピックが終わったらお盆休みで、夜更かしの習慣がなおらない。
そんな人が多いのではないだろうか。

 夜更かしをすると、その分、朝の目覚めも遅くなる。

とはいえ、仕事があるとそうはいかないので、睡眠不足の状態で無理やりいつもの時間に起きる。
そうすると日中は頭が働かず、昼休みや会議の時間についウトウト。

退社時間が来る頃にようやく頭がスッキリしてきて、その晩もまた夜更かし……。
日本にいながら、「時差」のある生活を送っているような感じだ。

医学的にはこのパターンが重症になると、「睡眠相遅延症候群」とも言われ、治療の対象となる。

脳の中にあって「眠りと目覚め」のリズムを調整しているとされるいわゆる「体内時計」の機能がおかしくなっているのが原因と考えられ、大量の光線を当てて「体内時計」をリセットしたり、このリズムを調節する鍵を握るとされる脳内の「メラトニン受容体」に働きかける薬を使うこともある。

“特効薬”としては、布団に入る時間を思いきってさらに遅くしていき、1週間くらいかけて「午後10時」など希望の時間までずれたところで固定する方法もある。

睡眠相遅延の状態にある人は、「もっと早く寝なさい」と言われてもできないが、「あと3時間起きていて」と就寝時間を後のほうにずらすことならできるからだ。

しかし、このやり方を実行するには今日は午前5時、明日は午前8時……と、日中にも就寝時間をもうけることが必要なので、学校や仕事があるときはとてもできない。


 何かと夜更かしが多い現代の生活では、この「日本にいながら時差ボケに苦しむ」という睡眠相遅延症候群の人はけっこう多い。
中には完全に昼夜逆転リズムという人もいる。

とはいえ、よほど深刻な状態でない限りは、あまりむずかしく考えることはないし、特殊な治療も必要ない。

要は、「忙しくても決まった時間に布団に入る」「睡眠時間もしっかり確保」、これが基本。
「海外とのビジネスが多いので、夜中も2時間ごとに起きてネットをチェックするんですよ」などというのはカッコいいが、人間のからだはこんな生活が送れるようにはできていない。
「ああ、もう夜も更けてきた」と思ったら布団に入り、いったん寝ついたらそれなりの時間はからだを静かに横たえる。
このリズムまで自分でコントロールできると思い込むのは、あまりにごうまんだ。


 オリンピックも終わり、穏やかな気候の秋がやって来る。
からだと脳をゆっくり休めてあげてはどうだろう。

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2012年08月25日

物忘れとの闘い=近藤勝重

しあわせのトンボ:
物忘れとの闘い=近藤勝重
毎日新聞 2012年08月24日 14時05分

 この時期、友人らに会うと、「盆休み、どうだった」という話になる。

 祖母の里の静岡に帰省したという友人の話には笑った。
帰り際、運転席に座って忘れ物はないか、助手席や後ろに乗っている家族に声をかけて走り出したところ、誰かが「おばあちゃんがいない」と言いだした。

急いで引き返すと、おばあちゃんは隣近所に「お世話になりました」とあいさつして回っていたそうだ。
「おばあちゃんに『大きな忘れ物したね』って皮肉を言われたよ」。
友人は苦笑しつつ、「忘れ物もよくするけど、年々、物忘れもひどくなる一方で」と話を続けた。

聞けば、
▽朝、顔を洗ったかどうか思い出せない
▽風呂に入って体を洗い、湯船につかってぼーっとしていると、体を洗ったかどうか気になり、また洗う
▽冷蔵庫を開けて、何で開けたのかわからず立ち尽くす
▽クスリを飲んだかどうか覚えていない−−といったことがあるそうだ。

なるほど、かなりの物忘れだが、クスリの話は人ごとではない。


 クスリを飲んだ、飲んでいないは、つい今しがたのことなのに、確かに思い出せない時がある。
ぼくが飲むクスリは気管支の炎症を防ぐ抗生物質で、2錠続けて飲むのは医師に厳禁されている。
それで何とか思い出そうと、朝刊を読んでからパンとサラダの朝食を取り、コーヒーをいれ、そのあとは冷蔵庫からヨーグルトを出して……と30分ほど前に時間を戻す。
そうしてひとコマひとコマを思い浮かべるのだが、肝心のクスリのところで記憶はあいまいにぼやけてしまう。

友人は、その対策として1日に飲むクスリを小さい箱に入れてチェックし始めたそうだ。
飲んだかどうかを確認する上では、いいアイデアだが、同じようにしてみようとは思わない。


 一つには記憶をたどってもがくところに、何か自分との闘いに似た感を覚えるからだ。
かつそれで思い出せれば、その快感はちょっとしたもので、まだ脳は大丈夫だ、と妙に自信がついたりもするのだった。


 とはいえ、どうあがいても思い出せない日が、やがてやって来るだろう。

その時はどうするか。ふと思い出したのはある医師の一言だ。

 「病気を治すには病気にとらわれず、忘れることです」


 クスリどころか病気も忘れてしまう−−いいなあ、これ。(専門編集委員)

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2012年09月01日

佐藤浩市「生きる」朗読

谷川俊太郎さんの詩「いきるということ」

小学校の卒業を祝う会などで 群読に挑戦された方も多い 詩です。

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2012年09月03日

防災の日

「小たぬきのつれづれ日記」
2009.9.1 より


防災袋の入れ替えをしました。

欲張っていれた ペットボトルや缶詰ラジオ懐中電灯を出し、新たにペットボトル1本とそのままでも食べられるインスタントラーメン、ポケットティシュ、タオル、ライター、簡易トイレ防災ライト付き手動充電ラジオをいれました。

自分の今の体力では 10キログラム以下にしないと とてもではないが担げないからです。

常備薬・持病の薬(1週間分)は 1ヶ月ごとに交換しています。

また、午後から避難所までの散歩をしてみたいと思っています。図々しく 最新構造のマンションなども勝手に 公的避難所にたどり着くまでの「休憩所」としてチェックしてきます。

実のところ避難所にたどり着くまでが 危険なのです。広い車道を 3回も横切らないといけないのです。

*********************
8月の静岡地震の時、元職のときに 「防災博物館」などで模擬体験を毎年のように繰り返していたのに、寝床で「揺れているな・・・」と揺れが止まるまで動けなかった小だぬきです。

気持ちだけでも「自分だけは大丈夫」という根拠のない思いは捨てる。
「人間性」が問われるのが、災害時。
秩序正しく 助け合いながら「救援を待てる」ようになりたいものです。

両親の家は10階建ての9階、築40年以上経つ 公団分譲アパート。
まずは両親の救援にたどり着けるかもわからない状況。85歳を超えた両親には 階段避難はとても無理でしょう。

もう いつあってもおかしくないと言われる大地震
なんとしてでも「生き残る」ことを優先です。自分だけでなく多くの人が・・・・

寝ている時の地震なら なまじっか重傷より、眠ったまま気づかずにご先祖の元に・・・・
*********************
またまた主治医のいう「うつ思考」、いけない、いけない・・・

個人があれこれ想定しても 助かる準備はできても、あとは実際に地震に遭遇したときの臨機応変さですよね。

地震対策も考える1日にしましょうね。
posted by 小だぬき at 07:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月05日

時計の難しさ、・・前 ・・後

・・・前、・・・後  の難しさ

今、小学校の時計計算で 混乱する子が増えています。

針式時計ではなくデジタル時計になり、60進法という特殊な計算になる。しかも日常言語と違う・・・

朝礼で1歩前と言われれば、前に一歩すすみますね。

通常は、進むとき「前」
後退するときは「後」ですよね。

時計計算だと その常識から早く抜けて 時計時計と割り切らないと混乱するのです。

午後3時の「30分前」は、午後2時30分ですよね。でも、初期段階では 午後3時30分という答えが圧倒的に多いのです。

大人だと気にもしない「・・前」「・・後」が 時計の場合、その時刻の「前が早い時間」「後がおそい時間」とわかるまでが一苦労なのです。

教員で体形移動や整列を指導した後は、時計計算はできないね、というほど難物なのです。

*********************
うつ病も 時計計算のようなこんがらがりが頭に生じていると考えた方が理解は早いと思います。

喜怒哀楽や対人関係、自分の評価の軸がズレている。

水道のチョロチョロ水をコップに受け、満杯になったから一口で飲む、すると次に満杯になるまで時間がかかりますよね。

普通だと蛇口を開いて水を多く出せば2杯目が 早く満杯になるのに、蛇口をひねらず チョロチョロ水でコップが満杯になるのを待つっている状態なのです。

私は、豪快に水を飲むタイプなので 病態変化の上下がはげしいのかな・・なんて感じます。
posted by 小だぬき at 17:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月06日

香山リカのココロの万華鏡:タブー犯しても真実を

香山リカのココロの万華鏡:タブー犯しても真実を
毎日新聞 2012年09月04日 東京地方版

水俣病とは診断されていないものの、神経障害など一定の症状がある人に一時金の支給などを行う「救済策」の申請はこの7月末で締め切られた。

その申請総数は国の想定の2倍を超す6万5000件にも達したという。

これに対して、私も所属する日本精神神経学会は「本当は被害者であっても申請しない、申請できないでいる人が相当数いる可能性」を指摘したうえで、「7月末の申請打ち切りで、水俣病事件を幕引きすべきではない」というかなり厳しい口調での見解を発表した。

 この見解では、そもそも「水俣病の認定基準じたいが誤り」だと医学の領域にまで踏み込んだ批判が述べられている。
国の認定基準作りにかかわった医師たちや県の認定審査会の医師たちも「医学的に誤った主張や判断を続けた」とする。

なぜ、そんなことが起きたのか。見解書は言う。
「長年にわたって自分たち内輪の神経内科医だけで、直接、学会や専門家と話し合わなかったためにこのような事態が生じた」。

1991年、中央公害対策審議会にかかわった医学者たちも、補償の問題やこれまでの政策との整合性ばかりを意識し、事実から目をそらしていたことが、当時の議事録により明らかにされている。
つまり、科学者であるべき医師が、いつのまにか政策に協力して真実を隠す側にまわってしまったのだ。


 医学の世界では、同業者である医師がやったことを批判するのは一種のタブーとされる傾向がある。
まして、個人レベルではなく、学会として特定の医学者や医師を批判するのはきわめて異例である。

しかし、精神神経学会は水俣病事件の実態が明らかにされないままであることは「違法」だとし、「もしこのまま違法状態が続くようであれば当事者の納得が得られることはなく、当事者間の疑心暗鬼は増すばかりでしょう」と事態の深刻さを実感して、このたびの見解発表に踏み切ったのだ。

本来は常に患者さんのためにあるべき医師が、時の政府や官庁あるいは企業の利益のために、最も重要な医学的真実さえゆがめてしまうこともある。

これは水俣病だけの問題だろうか。いままた原子力をめぐって、科学者は同じ態度を取ってはいないだろうか。


 いささか手前味噌(みそ)になるが、同業者批判も辞せず今回の見解を発表した精神神経学会の勇気を評価したい。
そして、「医学者、科学者も権力のためにはあえて誤りを犯す」というこの重要な問題に、世間ももっと関心を持つべきではないだろうか。

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2012年09月08日

若者に急増! 就活うつを防ぐ3つのヒント

若者に急増! 就活うつを防ぐ3つのヒント
2012年9月7日(金)10時1分配信 All About

■就活を機にうつ病化する若者が急増している

 この春から企業の新卒採用試験にチャレンジしてきた学生は、夏休みを過ぎても就職先が決まらないと、たまらなく不安や劣等感を感じてしまうものです。

 かくいう私も、今をさかのぼること20年ほど前、春からチャレンジした新卒試験にことごとく失敗し、やっと内定をもらえたのは9月のことでした。

半年もの間、一社からも採用通知をもらえない状態では、さすがに自尊心もへし折られ、「どこにでもいいから入れて!」と20年ほどたった今でも、このとき感じた挫折感、卑屈な気持ちなどをありありと覚えています。

 私の新卒当時も、バブル崩壊後の不況で就職が困難な時期でしたが、今はリーマンショック後の世界的不況やユーロの信用不安による歴史的な円高による影響などから、より困難になっていると思います。

そんな厳しい状況のなか、就活を機にうつ病を発症する若者たちが続出しているようです。

 警視庁の調査によると、2011年には20代まで150人もの若者が就職の失敗を理由に、自ら命を絶っていることがわかりました。
2007年には60人でしたから、この年の2.5倍ほど増加している結果になります。
また、労働問題に詳しいNPO法人 POSSEが2010年度に学生約600人へのアンケートにより集計した「就活調査」によると、就活経験者の7人に1人が「就活うつ」の状態になっているという結果です。

 就活の失敗から生きる気力を失っていく若者が、後を絶たない現代。
次世代を担う「社会の宝」である若者が、社会に出る前に自己効力感を失い、将来に希望を持てなくなるような状況では、日本の未来も心配です。

■「就活うつ」を防ぐ3つのヒントとは?

 企業の採用人数が激減するなか、そもそも希望の会社にストレートで就職できる人は少ないもの。
そんななか、たくさんの若者が就活を機に自己否定感や挫折感を経験します。
さらに、何度挑んでも失敗する状況では、抑うつ的になってしまうのも無理はありません。

 しかし、本格的なうつ病に進行する前に、ぜひ次の3つのポイントを参考にしてみてください。

□1:「今の気持ち」をカウンセラーにまるごと話す

 「どうして自分だけ落ち続けるんだろう」「もうどこにも雇ってもらえないのだろうか」……就活に失敗し続けると、こんな思いが頭の中をぐるぐると駆け巡ります。
そうした気持ちは、ためたり押し殺したりせず、ぜひ吐き出してしまいましょう。

 両親やきょうだいなど、身近な人が受容的に聞いてくれれば何よりです。
しかし、残念なことに、家族に弱音を吐くことで逆に責められ、精神的にますます追い込まれてしまうケースも少なくありません。

そもそも叱責を受けても、就活がうまくいくはずがないのです。

 たとえば大学生なら、学内のキャリアセンターや就職支援センターなどの就職相談窓口、学生の心理相談を行っている学生相談室を訪れて、まずはまるごと「今の気持ち」を聞いてもらいましょう。
カウンセラーは、相手の立場に立って話を聞き、長所やストレングス(強み)を引きだす技術を持っています。
また、一人ひとりの学生にあった就職先や働き方を一緒に、真剣に考えてくれるでしょう。

 また、全国のハローワークには若者の就職活動を応援する「ジョブカフェ」があります。
キャリアカウンセリングの他、セミナーやイベントなども充実しています。
共感的に話を聞き、一緒に就活の課題を考えるキャリアカウンセラーが常駐していますので、ぜひ利用してカウンセラーと一緒に自分自身の就活の課題を考えてみるといいでしょう(各地のジョブカフェについては、最寄りのハローワークにお尋ねください)。

□2:「オール・オア・ナッシング思考」を見直す

 就活を続けていくうちに、考え方がとても狭くなっていく傾向があります。
「大手企業に入社できなければ、負け組になってしまう」「こんなに落ち続けている自分は価値のない人間だ」……このように勝ち負けにこだわった極端な考え方に傾いていく危険が高いのです。
この極端な考え方は「オール・オア・ナッシング思考」といい、就職活動をしている人に特有の「認知のゆがみ」です。

 そもそもキャリアの道は、新卒入社で決まるわけではありません。
「大企業」に入らなくても、自分なりにスキルアップをしながら理想的な仕事に就いていく人もいます。
臨時職員やアルバイトとして働きながら資格を取得し、数年後に正社員として就職した人もいます。
企業の規模や年商にこだわらず、その会社独自の発想や展望に共感して就職を決める人もいます。
また、就職してから本当にやりたいことに気づき、キャリアチェンジをしていく人もいます。

 仕事に就く道は一つではなく、また世間で言われる評価が、必ずしも自分に適したものとは限らないのです。
「オール・オア・ナッシング思考」に傾いている自分自身の認知のゆがみに気づき、「今の自分の考え方は、本当に正しいのだろうか?」と問い直してみましょう。

□3:自分を追い込まず、いったん休みを挟んでみる

 休みなくたくさんの会社に応募し続けていると、心がすり減り、精神的な疲労を抱えてしまいます。
その状態では、2で紹介した「認知のゆがみ」も強固になりますし、企業研究も雑になります。
元気を出せず、表情も暗くなり、充実した就活ができなくなるでしょう。

 そうした状態なら、いっそのこと一度就活から離れてゆっくり休み、頭の中をからっぽにしてみてはどうでしょう? 
気分転換に、どこかに出かけてみてもいいと思います。
そうして少し元気が出てきたら、1で紹介したキャリアカウンセラーや心理カウンセラーと一緒に、自分らしい働き方、就職先について、もう一度考えていくといいでしょう。

■ロングスパンで自分のキャリアを築いていく

 就活は長距離走であり、キャリア形成もまた長距離走なのです。
たとえ、理想からかけ離れた就職先しか見つからなかったとしても、そこからスタートできる「自分らしいキャリア」があります。
目指すべきは、ロングスパンで職業人としての自分を育てていくという発想。
会社は自分自身ではなく、キャリアを磨き、生かすための「器」にすぎません

このことに気づけば、就職する会社にこだわりすぎる必要もなくなります。
自分を育てるのは、会社ではなく自分自身です。
長距離走で形成していくキャリアを念頭に置きながら、就活の目標をもう一度考え直してみましょう。きっと、就活への思いも変わってくると思います。
【ストレス:大美賀 直子】
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2012年09月12日

香山リカのココロの万華鏡:気をつかう子どもたち

香山リカのココロの万華鏡:気をつかう子どもたち
毎日新聞 2012年09月11日 東京地方版

 「いじめ」が原因と思われる子どもの自殺が、何件も起きている。
教育委員会や学校は「いじめの事実があったかどうかは調査中」と判で押したように言うが、家族も含めて「本当に気づいていなかった」というケースも少なくないはずだ。
いじめが原因でうつ病になって受診する子どもや若者もときどきいるが、ほとんどの家族は「これまでまったく知らなかった」と話す。

 では、まわりは無関心なのか、というとそれも違う。
中には「いじめられてるんじゃない?」と繰り返し尋ねたのに、本人が「ううん、そんなことはない」と否定する場合もある。

どうしてそこで正直に、「本当はいじめられてるんだ」と言えないのだろう。
それは、子どもや若者はおとな以上にまわりに気をつかい、「心配かけたくない」「自分のせいで迷惑かけたら生きていけない」と思っているからだ。

「私が悪いからこんな目にあうんだ」と思っている子どももいる。

 どうやら、子どもはおとなが思っているより、ずっとクヨクヨしやすいようだ。

 もちろんそれは考えすぎで、おとなは「迷惑だなんて、思うわけないじゃないか!」「相談してくれたほうがうれしいのに」と考えているのに、それがうまく伝わらない。

そしてすぐに、「私なんていないほうがいいんだ」とさえ思ってしまう。

 そんなことはない。
「いないほうがいい」なんていう人は、ひとりもいない。
そして、悩みを相談したり心配かけたりするのは、迷惑でもなんでもない。
それだけで親や先生が「この子はダメな子なんだ」と思ったり見放したりすることもない。
逆にみんな
、「私を頼ってほしいな」「なんとかしてこの子の助けになりたいな」と待っているはずだ。
もちろん、中には自分のことで忙しすぎて、相談したのにあまり真剣にきいてくれないおとなもいるかもしれないが、そういうときは別の人に話せばいい。

 ひとりがダメだったからといって、「結局、誰も助けてくれないんだ」と思い込むのはあまりに早すぎる。


 診察室や大学の教室では、子どもや若者たちにそう伝えようとしているが、彼らは半信半疑な目でこちらを見る。
「そんなこと言っても、相談したら“うっとうしいな”と思うんでしょう?」とズバリ言われたこともある。

「話すだけで相手にとって迷惑」と思い込み、「自分のせいなんだから自分でなんとかしなきゃ」と殻に閉じこもる子どもに、どうやって「あのね、私……」と話してもらえるのだろう。

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2012年09月19日

香山リカのココロの万華鏡:大きな話より目前の現実 

香山リカのココロの万華鏡:大きな話より目前の現実 
毎日新聞 2012年09月18日 東京地方版

政治の世界があわただしい。
民主党の代表選、自民党の総裁選、そして次の選挙の「台風の目」といわれる「日本維新の会」では衆院選の候補者の公募を開始。


 連日、いろいろな政治家たちがテレビの報道番組などで、力を込めて自分の思いを語っている。
新党「日本維新の会」の代表に就く橋下徹氏は新党の結成を宣言する際、「これから大いくさが始まる」と言っていたが、多くの政治家や周辺の人たちは戦いに臨む気持ちなのだろう。


しかし、国のリーダーたちがいくら勇ましい気持ちになり、心を奮い立たせても、社会で生活している人たちもそうなれるとは限らない。

診察室にいると、多くの人は政治の世界の競争や決戦とはかかわりのないところで、日々の仕事や家庭、学校などの問題に追われながら暮らしている。
被災地にいる人たちも、傷ついた自分の心と向き合いながら、毎日の生活を送るだけで精いっぱい、という気持ちなのではないだろうか 

こんな時だからこそ、広い視野で日本全体のことを考え、未来を夢見ることが必要なのだ、という意見もあるはずだ。
たしかに、心の視野が狭くなるとどうしても考えが暗い方に傾きがちなので、少し深呼吸をして遠くのこと、先のことも考えた方がよい場合もある


 とはいえ、「この国の未来のために」「必ず日本を再生させる」といった政治家たちのあまりに大きすぎる話は、どこか人ごとのように聞こえ、心に響いてこないこともたしか。
「壮大な話や勇ましい言葉もいいけれど、それよりもまず明日のことを何とかしてよ」とつい言いたくなる。

7年前、小泉純一郎首相の時代の衆院選、いわゆる郵政選挙の時も社会は必ずしもよい状態ではなかったが、だからこそひととき目の前の現実を忘れ、私たちは“小泉劇場”ともいわれた首相のパフォーマンスや政治家たちの対決に心を奪われ、熱狂にも似た気分を味わった。

しかし今、世の中にはあのとき以上に深刻な問題が山積みだ。
それでも私たちはまだ、勇ましいリーダーたちの対決に高揚できるのだろうか。
私は診察室で「今を何とかして」と訴える人たちを見ていると、今の日本や人々には政治に熱狂や興奮するだけの心の余裕もエネルギーもないのではないか、と思っている。

 大きな話より、まず目の前のことを。遠い先より、まず今のことを。
そんなことを言うと、「いくさ」に夢中な男性政治家たちに笑われてしまうだろうか。

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2012年09月21日

記者の目:向精神薬被害=和田明美

記者の目:向精神薬被害=和田明美
毎日新聞 2012年09月21日 00時08分


◇実態把握し安全治療の実現を
 「日本うつ病学会」が今年7月、治療の際に、睡眠薬や抗うつ薬など、人間の中枢神経に作用する「向精神薬」を何種類も処方する多剤処方を戒め、単剤処方を治療の基本とするガイドラインを作成した。
日本には、うつ病などの気分障害といわれる症状の患者だけでも104万人(08年厚生労働省調査)いるとされ、治療の必要性が高まる一方、多剤処方の影響で、中毒死や過量服薬による自殺未遂が増えている。
今回のガイドライン作成を安全な精神医療の第一歩とするよう関係者に強く要望したい。

◇多剤処方で依存 自殺の「手助け」

 本来は、病気を治すのが医師の仕事のはずだが、精神医療の現場では、多剤処方の結果、自殺や中毒死の「手助け」をしてしまっている事例が後を絶たない。

私は3年前、30代女性の死の経緯を取材して、この問題に直面した。

 女性は05年1月の朝、自宅のベッドの上で呼吸が止まっていた。
夫が抱き上げ、119番通報したが、既に死亡していた。解剖の結果、女性の胃と血液から処方されていたバルビツール酸系睡眠薬の成分などが検出され、薬物中毒死と鑑定された。

カルテによると、女性は97年から不眠でクリニックに通い、最初は「大量に飲んでも死なない薬」といわれるベンゾジアゼピン(BZ)系の抗不安薬や睡眠薬を2、3種類処方された。
しかし、次第に薬の種類や量が増え、04年には1日に11種類33錠の向精神薬を処方されるようになった。
その中には、抗うつ薬や、遺体から検出されたバルビツール酸系睡眠薬も複数含まれていた。

 バルビツール酸系睡眠薬は、呼吸抑制作用が強く、死に至りやすい特徴がある。米女優マリリン・モンローが、1962年の死亡時に服用していたと報じられたのも、この種類の睡眠薬だった。
依存性が高く、飲み始めるとやめるのは難しいといわれる。


 命の危険がある重症患者を受け入れる3次救急の北里大学病院救命救急センター(相模原市)では昨年、自殺を試みた252件の救急患者を受け入れた。そのうち向精神薬の飲み過ぎによる患者は全体の46%にあたる117件に上った。
この件数は09年のおよそ1.5倍という急増ぶりだ。

多くの患者は処置を受けて一命を取り留めるが、間に合わず死亡する場合もある。

命は助かったとしても薬の作用で、ふらふらしてガラスに頭を突っ込み鼻に大けがをしたケースがあるなど、向精神薬の過量服用につながる多剤処方の危険性は極めて高い。
薬はBZ系の抗不安薬・睡眠薬、抗うつ薬、バルビツール酸系睡眠薬が目立ち、1カ月分として処方された向精神薬を1回で飲んでしまった例が多い。
その量は1人1回平均110錠。
中には40〜50錠を飲めば死に至る薬もあり、致死量を一度の処方で渡されている例も少なくないという。


◇指針強制力なくプロの良心頼み
なぜ、そんな処方が行われるのか。

同センターの救急医で、精神科医でもある上條吉人教授(中毒・心身総合救急医学)は「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬は、『たくさん飲んでも死なない安全な薬』と製薬会社が宣伝するので、安易に処方されている。
だが実際は、依存性があってやめられなくなるし、使っているうちに耐性ができて量を増やしたり、より強い薬にしないと効かなくなってくる」と説明する。
上條教授は向精神薬の危険な副作用を指摘し、「向精神薬の本来の効果とは逆に、薬の作用でいらいらしたり、興奮したり、衝動性が高まることもある。
患者さんに話を聞くと『いやなことがあって、忘れようと思って薬を多めに飲んだら、死にたいという気持ちが湧いてきて、衝動的に、まとめて薬を飲んじゃいました』という人もいる」と話す。


 こうした状況にも配慮して「日本うつ病学会」は、今回の単剤処方を原則とするガイドライン策定に踏み切った。
さらにBZ系やバルビツール酸系薬物の問題点にも言及している。
作成に関わった北里大学の宮岡等教授(精神医学)は「多剤処方の原因の一つに医師の不勉強がある。
患者さんは治療に問題があると思ったら、医師にガイドラインを見せてよく話し合ってほしい」と話している。

しかし、今回のガイドラインには医師に対する強制力はない。
一方、うつ病などの治療に対する社会の要請は、今後、さらに増え、それに伴う多剤処方の影響による死亡などの被害実態は深刻になっていくだろう。
医療関係者は、そうした事態をきちんと受け止め、プロの良心で被害をなくしていく責務を負っていることを忘れないでほしい。
    
     (大阪編集制作センター)

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2012年09月26日

優先座席に座って白眼視…“見えない障害”に理解を

優先座席に座って白眼視…“見えない障害”に理解を
2012/09/23 22:32    産経新聞

外見上は病気や障害を抱えていることが理解されにくい人を支援する「見えない障害バッジ」がインターネット上で、少しずつ広がっている。
当事者のツイッターでのつぶやきがきっかけになり、昨年10月からの1年間で約1万個が配られた。
バッジにはサン・テグジュペリの童話「星の王子さま」に出てくる「大切なものは目にみえないとの言葉が刻まれ、「まずは知ってほしい」との当事者の願いが込められている。(加納裕子)


 ■説明しても分かってもらえない…

 「イメージがわかないのか、説明しても分かってもらえないことが多いです」

 バッジの普及活動に携わる兵庫県尼崎市の弁護士、青木志帆さん(31)は、小児脳腫瘍の後遺症による障害を抱えている。
幼いころに2回の手術を受けて腫瘍はなくなったが、後遺症で視野が狭くなり、ホルモン分泌が阻害されているため薬が切れると頻尿の症状が起こる。
頭痛などもあるが、見た目には健康そうに見られてしまう。


 子供のころから理解されない悩みに苦しんできた。
授業中にトイレに行こうとすると先生に「何で休み時間にいかなかった」と怒られたり、体育の授業を休んだことをさぼっていると勘違いされ、「次は許さへん」とどなられたり。

弁護士になって依頼者と話すうちに、実は内部疾患や精神疾患、発達障害など、見えない部分で困難を抱える人の多さに気付いた。
「障害が理解されないことが離婚や破産の原因になったりもしている。
当事者にならないと気付かないかもしれないけれど、見えない障害は、決して特別なことではないんです」


 ■始まりはツイッターから

 バッジを発案したのは、25歳で原因不明の自己免疫疾患を発症した作家、大野更紗さん(28)。
難病患者になって初めて障害者や難病者の苦しみを知り、「社会でほとんど認知されていない『見えない障害』を抱える人たちを知ってもらうため、何かできないかと考えた」と話す。


 たとえば、立っているのが苦痛で優先座席に座っているのに白い目で見られたり、「若いのに」と嫌みを言われたりする。
職場などでも「怠けている」「わがまま」と誤解されるなど、周囲の人に「見えない苦痛があるのかも」との発想がないために、つらい思いをすることがあるという。


 平成22年秋ごろ、大野さんはツイッターで、バッジ製作を提案。ツイッターをフォローしていた会社員と大学院生、ウェブデザイナーの3人がボランティアで実現に動き、昨年2月に試作品が完成。
青木さんが「誰でも入手できるようにして」と希望し、同年10月にウェブサイト「わたしのフクシ。」(http://watashinofukushi.com/)を立ち上げ、申し込みの受付を始めた。


 バッジは「見えない障害」をイメージした透明なリボンのデザイン。障害を持つ人が付ける「当事者用」(赤いハートマーク付き)と支援者を対象にした「啓発用」の2種類で、いずれも400円。大きさは約4センチで、目立つことよりもさりげなさとかわいらしさにこだわっている。


 ■「大切なものは目に見えない」広がる助け合い

 特徴的なのは、どういった症状が「見えない障害」に含まれるのかの線引きをあえてしていないことだ。
それは、障害の有無を何らかの基準で線引きすることで、福祉の対象にならずに苦しむ人が多かったとの問題意識からだという。


 こうした姿勢が共感を呼んだのか入手希望が相次ぎ、一時は生産が追いつかなくなるほどに。
大野さんは「強く呼びかけてはいないのに、自発的な動きでここまで広がった」と驚く。

 障害者支援を志して弁護士になった青木さんは、当事者用と啓発用を両方、身に付けている。
「当事者用は『助けてほしい』、啓発用は『困っていたら助けるよ』という意思表示で、2つのバッジがつながれば助け合いが生まれる。
バッジを見て『何に困っているの?』という会話が生まれればうれしい」と話す。


 事務局を務める会社員、児玉剛さん(44)は「見えない障害を抱えている人は優先座席に座っていて嫌みを言われるなど、理解されずに傷つけられた体験があり、周囲の人が怖い。
啓発用バッジをつけている人を見れば、『この人は理解してくれている』と思える。
それだけで助けになる」という。
席を譲ると行った直接的行為だけではない広がりを期待している。

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2012年09月27日

「私は私。私のことは私が決めたい」

香山リカのココロの万華鏡:サイコオンコロジー 
毎日新聞 2012年09月25日 東京地方版

日本サイコオンコロジー学会が主催した「精神腫瘍医研修コース」に参加してきた「サイコオンコロジー」を日本語にすると「精神腫瘍学」、どちらもなじみがない言葉だが、「がんになった患者さんや家族の心の苦しみやストレスを理解し、適切に対応する方法を研究し、実践する」という新しい心の医学の領域だ。


 研修でいちばん印象的だったのは、いろいろなケースやデータから、患者さん本人が「自分の病気や見通しについて知りたい、いろいろなことを自分で決めたい」と思っているのがわかったことだ。

 日本ではまだどうしても、「不必要な情報は本人には伏せておいたほうが」とすべてを伝えなかったり、「病気になると気持ちも弱るだろうから、むずかしいことは決めさせないように」とまわりが気をきかせたりする場合がある。
しかし
「私のことは私が決めたい」と考える人は確実に増えているようだ。

さらに、「自分で決めると治療にもプラス」ということを示唆するデータもある。

アメリカの最近の論文には、「がんになったときに、早い段階から終末期の選択肢なども含めてきちんと本人と話し合えたケースのほうが、結果的に命の期間が延びた」という報告が載っているそうなのだ。

もちろん、「患者さんが自分で考え、決められたことが、がんを消した」などというのは言いすぎだと思う。
ただ、「まだ早期なのに、“終末期になったら延命治療を望みますか?”などときくのは希望を奪い、からだにも良くないのでは」と考えるのは必ずしも正しくない、ということは言えそうだ。

 たしかに、がんに限らず重い病気になると、検査するのも治療するのも医者をはじめとした医療関係者で、本人や家族は“かやの外”に置かれる場合も少なくない。しかし、いくら病気になったとしても、「私は私。私のことは私が決めたい」という気持ちまで失う必要はないのだ。

病気になったときにも、患者さん自身になるべく意思決定してもらう。
そのためには、本人や家族の心のサポートを行える、サイコオンコロジーの知識を持った看護師、医師などの存在も大切だ。

私の医者人生もいよいよ後半から終盤にさしかかりつつあるが、重いからだの病気の人が、最後まで自分らしく生きられるためのサポートができる精神科医になりたい、と“五十の手習い”に励むつもりだ。

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2012年09月30日

ありがとうといえる人は いる!!



イジメ自殺が報道されるたびに思うのです。
家族や友達、周りの人の中に 気持ちを共有してくれる人は必ずいると・・・・
「死」ぬしかないと思い込む気持ちは、「鬱病」自殺未遂の私も理解できます。
ただ、今 いえることは「生きていて良かった」ということです
「登校拒否」でも「通信制」でも いくらでも選択はできます。
今の辛さを 乗り切れれば あとは前進あるのみ。

私は 現職の頃 理不尽なことをいう管理職に「きっと倍返しで落とし前をつける」などと 教員らしからぬ思考をしてきました。
鬱病になり ブログを始め 多くの友人と出会えたことも幸せでした。

「未来」「明日」の、喜怒哀楽の感情表現が豊かになることを信じて。
「死」だけは思いとどまってください。
寿命がくれば イヤでも「天国から
」お迎いがくるのですから・・・
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2012年10月01日

人間ドック結果での精密検査、MRI

今日の10時半予約で MRI検査。
普段は朝食抜きでも平気なのに 「禁止」と言われた今、やたらとお腹が減っているように感じる天の邪鬼。

今の所、胃だけがAで 肝臓囊胞・腎臓囊胞と結石・膵臓囊胞と結石・脾臓囊胞と結石、腸憩室、肺活量成人の1/3、血糖値上昇、高血圧、狭心症、高脂血症・・・・
*胆嚢はがんの疑いで 24年前 切除

先生に 臓器移植希望できるものはありますか?? と聞いたら、「臓器移植より大学の病理解剖献体かな・・・」ですって。

今日の結果で 10月のスタートから 食事療法させられそうです。

あ〜ぁ。

本格更新は 夕方になりそうです。ごめんなさい。

posted by 小だぬき at 07:40 | Comment(3) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月03日

「信用できる情報源とは 

香山リカのココロの万華:信用できる情報源とは 
毎日新聞 2012年10月02日 東京地方版


 学生たちと話していて「ニュースや情報、どうやって手に入れるのがいいと思う?」ときくと、「新聞やテレビはダメですよ」とある男子学生が言った。

「大事なことも数秒、数行になっちゃうじゃないですか。
取捨選択されていることもあるみたいだし、信じられませんね。
じゃ、何ならいいの、ときくと「ネット」と答える。
すると別の女子学生が「ネットなんてもっと信じられない。デマやうわさレベルの情報も少なくないと思う」と異議を唱えた。

 それからいろいろ議論する中、「やっぱりナマの情報に触れるしかない」という声が上がり、パソコンを立ち上げ、電力会社や県知事の記者会見なども編集なしで最初から最後まで中継しているサイトを見てみた。
たしかにそこにはウソはなく、“そのまま”が映し出されている。

 しかし、それをすべて見るにはたいへんな時間と労力が必要だ。
「それに、もしほかの誰かに『あの記者会見どうだった?』ときかれて、短くまとめて伝えたらそこで正確じゃなくなっちゃうかもしれないですよね。
だとしたら、また一部始終を再現して伝えなければならない、ってことでしょう。
そんなの、不可能ですよ」とある学生が言い、笑いが広がった。。

 雑誌や新聞などを見てそこに書かれている情報をうのみにすることなく、「もしかして真実は違うんじゃないかな?」と疑う姿勢は間違いではない

しかし、何もかもを疑ってかかっても、結局は自分ですべての情報を集められるわけではないので、妥協が必要になる。学生たちとの話し合いでは、「結局、どこまで疑い、どこから信じるのかは、その人自身でポイントを決めるしかない」というところに落ち着いた。

 診察室には、そのポイントを決められず、いろいろなウワサに右往左往し、心が不安定になる人が大勢やって来る。

誰が本当のことを言っているのか、もしかすると全員がウソを言っているのではないか、と疑心暗鬼になるのは、人間の心にとっては大きなストレスだ。

 「あの人ならだいたい信じられる」「この新聞、この番組ならまあまあ真実に近い報道をするだろう」とよりどころにできるような人やマスコミがあれば、気持ちもずいぶん落ち着くはずだが、それを見つけることすらむずかしい世の中だ。
情報があふれ返っているからこそどれを信じていいのかわからない、という皮肉な事態が訪れているいま、「自分にとって信用できる情報源とは何か」とチェックし直してみるのもいいかもしれない。

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2012年10月04日

マスコミは「自民党」応援団か??

なにか 最近のマスコミ報道・世論調査がおかしい。

3年前に 自民党の族議員達による税金の無駄遣い、福祉の切り捨て、大企業優先・雇用の不安定化 などの生活の不安定感・閉塞感を打破するために 民主党のマニフェストに「希望と夢」を託し 政権交代をしたはずですよね。

民主党の鳩山・管・野田政権が マニフェスト実現のため 果敢に党をあげて挑戦したのならともかく、現状追認・自民党以上の民意無視をしたから 支持を失ったのです。
私から見ると 自民党政権が50年やりたくても実現できなかった治安・福祉・労働法制・公務員攻撃と賃下げなど 自民党以上に自民党的悪政をしてマニフェストの根幹の「国民の生活第一」をなおざりにしたから 国民の不支持ばかりではなく離党者も多数だしたのです。

そうならマスコミは 「国民の生活第一」や「日本共産党」「みんなの党」などの 野党の政策を紹介して 選択の可能性を保障するべきですよね。

明らかに 自民党・公明党・民主党政権が 経済・労働問題・外交に失敗をしている。
日本維新の会は 橋下徹大阪市長の個人的教養の是非で決まる橋下商店。

何か今のマスコミは、50年前の燃費が悪く・故障の多い外車の自民党と 新製品なのに故障の多い民主党、発売公表はしたけれど「設計段階にもない車」の「維新の会」が 次期衆議院選挙の政権争いの主役だとして 国民を洗脳しているようです。

それほど 国民をなめてもらっては困る、また愚民だと見下しているなら大間違いです。

3年前の 民主党マニフェスト原理主義と「国民の生活第一」をマスコミは揶揄していますが、3年前に夢・希望を託したのは そのマニフェストです。

今注目されていいのは 野党11党の民主連合です。
ネックになっている 日米安保問題は、小沢一郎氏の「駐留なき安保」で合意できれば 政権奪取は可能でしょう。

「国防」「治安」「経済」は、「国民の生活第一」
「公務員改革、特別法人改革、無駄の洗い出しは、「みんなの党」
「厚生労働省」は、「日本共産党」「社会民主党」
「エネルギー」は、「新党日本」「大地」「きづな」などに 
11党それぞれが責任分担し、書記局会議ですり合わせることが できれば、自民党回帰より うんと国民にとって 夢のある政権交代が可能なのにと思う、小だぬきです。

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2012年10月05日

MRI結果、1週間延期。ゾンビ

結果を今聞くのが怖く、母の通院介助と来週金曜の精神科受診と同時を理由にパスします。
24年前の癌胆嚢摘出手術のことを 突如思いだし 今 長期入院はできないと、悪い方に悪い方にと うつ的思考が 姑息な延期を選ばせました。

この1週間、ゾンビ映画にはまっていたことも背景にありそうです。

初期のブーブー教の「死者生き返り」は、ゾンビを労働力として協力してもらうという設定でした。
それが 細菌などの汚染・軍の兵士化計画など 設定を変えて、「集団で人間を襲う」に変わってきました。

ここで 変なこだわりのある 小だぬきの脳が悩みだしたのです。

映画の画面に出てくるゾンビたちのように「あまり腐敗していない」人数??の個体の土葬が どのくらいなされているのか・・・。
また「バイオハザード」の1作目の細菌汚染での大量ゾンビ化の設定はついていけても 2作目以降の ゾンビにキズつけられた人間が 感染してゾンビ化するまでは許容範囲なのですが、本能の食欲によって 生体を食べるとなると矛盾が生じるのです。
1作目で感染した男性が 隔離され 怪物に変身しているのですが、明らかに会社での実験のため完全隔離したことになります。
では、集団発生の原因は・・・と ここでまた矛盾が出てくるのです。

また映画では、エスカレートして 人間をゾンビが食欲の本能で食べ尽くす場面がでてきます。そうすると ゾンビの個体は増殖しないことになります。
本能で生体を襲っているがごときに描かれているのですが、ゾンビと生体の識別能力も備わっていることになる。

それと 対抗する人間が銃や弓などで 対抗しているのですが、火葬にするのが本筋ではないでしょうか??

いつの間にか 細菌事故でなく 会社の意図的世界支配となっているのですが、ゾンビを本能以外にコントロールできる技術がなければ、その会社の従業員は 永久に地上に出られないし、衣食住も会社で保障しなくてはならなくなる。

ゾンビは生体が見あたらない時は どう食欲を満たすのか・・・・

「バイオハザード」のファンとしては、制作者もなんとか矛盾を解消しようとして工夫していたようですが、3作目以降は「アクション映画」として ゾンビそのものの解明を放棄したようで 悲しいです。

娯楽も納得できない所がでてくると あれこれと考える うつ特有の拘りが 新作をみることを躊躇させています。
ブログ仲間からは 笑われそうでが・・・。

posted by 小だぬき at 06:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月08日

祝日を制定日に戻せ!! 亡国の祝日法


今日が「体育の日」、本来は 東京オリンピック開会日(1964.10.10)を記念しての旗日は 10日でした。
旧旗日で育ったものには、他にも「成人の日」「建国記念日」「海の日」「敬老の日」など 旗日移動の「休日法」についていけないのです。

確かに景気の良かった時代は、「旗日の意味」を無視してでも 連休にすることで 労働時間短縮・観光などに一定の効果はあったのでしょう。

しかし、今の経済状態で 旗日の持つ意味を無視してまで 連休を維持・増加させることが適切なのか・・・、国を愛するのは「国旗・国歌」だけでなく、旗日の尊重が原点ではないかと思うのです。

盛んに「愛国心」をいう政府が 旗日を尊重しない、おかしくありませんか?

連休法で困るのは 弱者です。
まず 観光地の宿泊料金が高くなり 経済的に遠出が困難。
パートや非正規雇用、失業者の雇用が制限される。
サービス業労働者などは 休めずに振り替えになり 子供達に寂しい思いをさせる。

もっと深刻なのは、要介護の当人やヘルパーさん、慢性疾患を抱え通院を要する人、
突然の病気発症など 介護施設と病院の問題なのです。

確かに救急指定病院は ありますが、その人の病状の経緯を知っている主治医の病院が「指定病院」とは限らない。
私などのように 職場で検査などを受けていた病院を退職しても使っている例もあるでしょう。

もっと深刻なのは、銀行がATMは利用できても 休みに入るため 約束手形や当座預金の利用ができずに 倒産なんていう悲劇もおきかねない。

安易に移動可能な祝日は 廃止したほうがいい。
でなければ 元の日付に戻し きちんと祝日の意味を考える日にして欲しい。

今の「休日法」で 恩恵を受けるひとより、弊害を受ける人のほうが多いようにおもうのです。

元職の小学校教員の立場だけでも、連休の後の「学習習慣」「生活リズム」の立て直しには 大変な時間を要したものです。

今一度、祝日の意味を考えたいものです。
posted by 小だぬき at 08:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月09日

香山リカのココロの万華鏡:タレントと比べないで 



香山リカのココロの万華鏡:タレントと比べないで 

毎日新聞 2012年10月09日 東京地方版

「産後ダイエット」の本が大はやりだ。
本に登場するのは、出産を経験した女性タレントたち。
妊娠して10キロ以上、体重が増加したけれど、産後数カ月で以前の体形に元通り。そのために役立ったのがこの体操や食事法なんです、と写真つきで紹介している本も多い。


 興味本位でながめてみると、そこにはおなじみのタレントが輝くばかりの笑顔で写っている。
「へえ、独身時代よりむしろきれいになったみたい。やっぱり子どもを産んだ直後の女性は最高に美しいってホントなのかな」と子どもを持ったことのない私はちょっぴりうらやましくなる。


 でも、これは万人に当てはまるわけではないようだ。
診察室で1歳と3歳の子どもを持つ女性が言っていた。
「出産後、体形も戻らないし、だいたい美容になんか気をつかう時間も気持ちのゆとりもないですよ。
見てください、肌もボロボロだし髪もバサバサ……。
このあいだ夫がテレビを見ながら“このタレント、子どもが3人もいるのにきれいだなあ”と言って、比べるような目でこっちを見たので、キレて怒鳴ってしまいました」


 ふだん夫は仕事に追われてほとんど育児にも協力してくれず、女性はひとりですべてをこなさなければならない。その上、タレントと自分とを比べられては、たまったものではないだろう。


 たしかに診察室にいると、「産後、美しく輝く女性」より「産後、疲れとストレスからうつになる女性」に会う機会のほうがずっと多い。
そういう女性たちにとっては、「こんなに美しくなりました!」という出産タレントたちの本は、かえって目に毒だと言えるかもしれない。


 「自分はボロボロ」と嘆く女性には、こう声をかけた。
「考えてみてくださいよ、タレントさんたちには子育てを手伝ってくれる人もいるでしょうし、ダイエットや美容法を実践するのがある意味、仕事なのだから、専門家が大勢ついているわけでしょう。うのみにして自分と比べる必要なんてないですよ。夫にも、私がそう言っていたと伝えてください」


 出産しても抜群のスタイルと美貌、生き生きと前と同じように仕事をこなす女性は、たしかにあこがれの的ではあるが、自分と比較して落ち込む対象ではない。

「へえ、こうなるためにはずいぶん多くの人がサポートしてるんでしょうね」とちょっとナナメに見るくらいが、ちょうどいいのではないだろうか。

〔都内版〕
posted by 小だぬき at 13:41 | Comment(0) | TrackBack(1) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月12日

膵臓と脾臓は正常に・・・MRI検査

皆さんのコメントのお陰です。消化器系は無事でした。

今日は 7時40分 家を出発

病院着 8時50分

精神科 9時〜9時40分

○最近、短時間睡眠で 夢でおきるのです。
○多少 母の介助に疲れぎみでが、散歩のつもりで頑張っています。
○不要 買い物紙袋を処分しました。
*なかなか いい習慣づけになっていますよ。
*睡眠剤の変更は 次の通院までの様子できめましょう。
*頑張りすぎないように注意されました。

内科 10時半から11時

○先生の「死刑宣告」を受けにきました。
*MRIで 肝囊胞が大きくなっていて 超音波では誤認したらしい

*小だぬきさん 内臓の提供ができるものがみつかりましたよ。
○実は癌化予防手術になるかと 心配でたまりませんでした。
*結果がでるまでの検討会で「手術を含めて 話し合っていたのは事実です」とのこと

実家到着 12時20分
すぐに 車イスの準備をして 整形外科病院のリハビリルームへ

リハビリ開始 12時〜14時

実家に送り届けたあと メッセージの返事でも書かなくちゃとPCを立ち上げたら、母から「病院で着る服をかいたいから 車イスお願いできる」との電話。

15時より16時30分まで。

なんと母親が 躊躇している中、私と社長??(素敵な奥様)で 話し合いで決めて 母に提示。
「いいわね」で一見落着。 
その後 ついでに 安売り店ローソン100に行こうと言いだし、また決断させるために 店内を3周車イスでまわる。

再度アパート帰着 17時。

それからPCを立ち上げ ナナコポイントで買った「猿の惑星  創世記」の梱包状態を確かめる。
な、なんと 9日には店に届いているとのことで 届いた店にとりに・・・・・。

なんと現職時の勤務時間(8:30〜17時15分)に近い 活動量でした。

万歩計が 9600歩を記録していました。

明日の心身の反応が楽しみのような怖いような・・・

本当にご心配を おかけしました。
posted by 小だぬき at 21:13 | Comment(2) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月13日

歳とともに疲れはすぐでないものな・・

私の単純さか、朝起きる時に 職業病の「椎間板ヘルニア」がでてないことにうれしくなり、普段は 読めない??新聞に目を通し、のんびりと朝食。

9時30分に迎えに実家へ。
車イスも軽やかに 直進・カーブも見事に決まりました。

父母の整形外科のリハビリ中、多くの患者さんと挨拶や雑談。

数日前は 歩けず 1日入院していた若い子・20代ですが、なんともうしっかりと歩けて 奥さんと仲の良い所を見せつけてくれたので、「もう奥さんに頭があがらないね」と冷やかすと「もう感謝で 頭があがりません」「これからも支えてくれるというので 4日間の休みで会社にでています」と のろけられました。

若い子の治りの早さとリハビリの順調さにびっくりです。

また 一人暮らしの老婦人が 母に「あなたは幸せよ、きちんと毎日面倒をみてくれるお父さんと息子さんがいて、私なんて連れ合いがなくなって2年、一人暮らしで介護の人を頼まないと 風呂にもはいれないのよ」「辛いのはわかるけれど 幸せなのよ」と 話してくれました。

今日は まだ痛みも疲労感もないんだと 父に言うと、歳取ると とんでないときに筋肉痛や疲労がでるんだ・・・。
できれば 明日にでてくれれば 月曜日からまた頼めるとのこと。

87の父に「歳をとると・・・」とはね。
鬱病2級のプライド??が ちょっぴり傷ついたなんて・・。
最近は 疲れより睡眠過多気味、主治医からは 当面の目標ができ 適度に運動でき小だぬきさんにとっては いいことだと・・・。

早く温泉旅行やカメラ撮影の気力を 取り戻したい小だぬきです。
posted by 小だぬき at 20:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月17日

高齢者こそ町へ出よう、でも環境整備が遅れている

小だぬきー下記のコラムの大筋は納得できるものの、実際 車イス介助や鬱障害に悩む私には、「町が障害を抱える人に優しい町並みか」となると疑問になるのです。

健康な時は 想像もできなかった段差や歩道橋などがどれだけ 負担になるか・・。通院時の駅の乗降客との交差歩行にどれだけ神経を使うか・・。

介護保険のディーサービスも介護認定度で 回数が限定される。
その立場になってみないと解らない困難や制度の複雑さがあるものです。
*******************************
香山リカのココロの万華鏡:高齢者こそ町へ出よう 
毎日新聞 2012年10月16日 東京地方版

 東京都世田谷区の住宅地で、80代の男性が60代の女性を殺害したとされる事件が起きた。
男性は自殺したためくわしいことはわかっていないが、植木やネコの扱いをめぐってのいわゆる“近隣トラブル”が関係していたと言われる。


 診察室にも、近隣に住む人たちとの問題で頭を悩ませ、不眠などに陥って相談に来る人がときどきいる。
激しく苦情を言ってきたり、いやがらせを仕掛けてきたりする“加害者”の多くは、60代以降の人たちだ。
おそらくこの中には、老人性の認知症によって怒りっぽくなっていたり妄想を抱いていたりするケースもあると思う。


 ただ、より広く考えれば、そこには日本特有の高齢者事情も関係していそうだ。
仕事を引退したり子どもを育て上げたりした人たちは、それから何をして老後を暮らすのか。
カルチャー教室や家庭菜園などを楽しみにする人もいるだろうが、日ごろから社交的ではない、あるいは家に菜園を作るほどの庭はない、という場合は、どうしても家にこもりがちとなる。
とくに日本の場合、高齢の人たちがバーでお酒を傾けながらおしゃべりに興じたり、ドレスアップしてコンサートに出かけたり、といった文化は育っていない。


 知人の内科医も、訪問診療に出かけると都心の一等地の住宅でひとり、テレビを友だちに生活する高齢者が多いのに驚かされる、と話していた。
「食事は宅配サービスを利用して、あとは誰にも会わずに話すこともなく、いちにちじーっとしているんだよね」


 そういう引きこもりの高齢者にとっては、近隣とのささいな問題も見逃しがたい重大事に感じられる。
生活雑音や玄関先の植木鉢、裏庭の洗濯物なども気になり、がまんできなくなってつい怒鳴りこんで行ってしまったり、いきなり過激な行動に出てしまったりする場合もある。
そこから思わぬトラブルに発展したり、相手もしくは自分に心身の不調が生じたりすることになるのだ。


 もちろん、すべての高齢者が外に出て社交的にすごすべきだとは思わないし、そうできる状態にある人が少ないのもわかる。

ただ、なるべく「この狭い家がすべて」となってしまわないように、社会が「外に出ようとする高齢者」を温かく迎え入れることも大切なのではないだろうか。
「書を捨てよ、町へ出よう」と若者に呼びかけたのはかの寺山修司だが、高齢者にこそ「町へ出ようよ」と誘い出してみてはどうだろう

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2012年10月21日

ワクチンは無意味!? 本当にインフルエンザを防ぐ方法5つ

ワクチンは無意味!? 本当にインフルエンザを防ぐ方法5つ
2012年10月20日(土)22時0分配信 美レンジャー

10月も下旬になり、風邪やインフルエンザに気をつけなければいけない季節になってきました。


みなさんは、どのような対策をされていますか? 今回は、インフルエンザや風邪から身を守るためのセルフケア術をご紹介します。



■インフルエンザワクチンは効かない!?


みなさんは、インフルエンザワクチンを打ったのに、インフルエンザになってしまったことはありませんか?

元国立公衆衛生院の疫学部感染症室長、母里啓子さんによると、インフルエンザワクチンはほとんど効かないワクチンなのだそうです。


インフルエンザウイルスは、絶えず変異するもので、体内でウイルスが増える間に、ウイルスの遺伝子構成が変わることがあるのだそうです。
ワクチンはウイルスから作られます。
しかし、ウイルス自体は人工では作れないため、ワクチンが作られるまでに採取されたウイルスが使われます。

しかし、ワクチンが流通するまでに、ウイルスは別のものに変異してしまい、せっかく作ったワクチンが効かないことがあるのです。
つまり、インフルエンザから身を守るには、ワクチンに頼りすぎてはいけないのです!


■免疫力をあげるコツ5つ


ワクチンを打ったから安心、とはいかないことがご理解いただけたかと思います。
では、自分で免疫をアップさせるためのコツをご紹介しましょう。


(1)免疫力をアップさせる食材を積極的に食べる

免疫力を高めるには、色のうすい食べ物が有効です。
緑黄色野菜ももちろん大切ですが、この季節は特に、大根やカリフラワー、キャベツなどを積極的に食べましょう。
柑橘系も免疫力アップによいです。

みかんがおいしい季節ですので、ぜひおやつにはみかんを食べましょう。
(2)ヨガで免疫力アップ

ヨガも、免疫力を高めてくれます。
ヨガを行うことで、新陳代謝を上げ血流をよくし、体のエネルギーをアップすることができるので、ウイルスに強い体づくりができるのです。
1ポーズでもよいので、毎日続けることがポイントです。

(3)ゆっくりお風呂につかる

みなさんは、お風呂をシャワーのみで済ませていませんか?
お風呂に毎日つかることは、免疫力アップにつながります。
41度のお湯にゆっくりつかると、血行が促進され、免疫力が上がるのです。

また、副交感神経 が優位になるので、ストレス解消、リラックス効果も得られます。
毎日お湯につかって、一日の疲れをしっかり癒しましょう。

(4)たくさん笑う

笑うことも免疫力を高めます。
日々イライラしたり、不平不満が増え、笑う回数が減ったりはしていませんか?

毎日がんばりすぎて、友達と会う回数が少なくなっていたり、バラエティ番組を観るのはばかばかしいと思っている方、力を抜いて、たくさん笑える時間をもつことも、とても有益なことです。
意識して笑う時間を作るようにしてみましょう。

(5)しっかり睡眠をとる

睡眠も免疫力アップの重要なカギです。
毎日6時間以上の睡眠時間を取りたいものです。
でも、睡眠は量よりも質が大事。「良質な眠りにつくための“快眠サポート”アプリ2つ」や「不眠はブスになる!知っておきたい“快眠テク”まとめ【1/3】」の記事で、良質な睡眠をとる方法を紹介していますので、ぜひご覧ください。


いかがでしたか? インフルエンザワクチンだけに頼らず、自分の体は自分で守れるよう、毎日の生活を見直してみてくださいね。

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2012年10月30日

うつ病理由の自殺が最も多い 他の健康問題を大きく引き離す

うつ病理由の自殺が最も多い 他の健康問題を大きく引き離す
2012.10.30 07:01   NEWSポストセブン

 不眠症やうつ病を始めとする精神的ストレスで悩む人が増えたことで、国内では精神科を標榜する医療施設が増えている。
その数は2008年には一般病院で1539件、診療所で5629件に上る。これは1996年の約1.6倍だ。


 日本大学医学部精神医学系主任教授の内山真氏はこう語る。

「不眠症やうつ病は早期に発見し治療しないと悲劇につながります
近年、患者数が増え、うつ病を“心の風邪”のようにとらえる風潮もありますが、うつは重症になるほど完治が難しいのです。
この点を理解して、初期段階できっちりと診察を受けてもらいたい」


 うつ病では悲観的で否定的な思考が繰り返されるが、そこに不眠の症状が重なると肉体的にも疲労感が増すことになる。
その結果、自殺という最悪のパターンを引き起こすことも少なくない。


 日本では14年連続して自殺者が3万人を超えているが、健康に関する原因・動機のトップはうつ病である。

2009年には約7000人もの人がうつ病を理由に自殺しているが、これは統合失調症など、他の健康問題を原因にした自殺者の数を大きく引き離している。
うつ病と、それを引き起こす不眠症が国民にとって重大な問題であることを表わしている数字だろう。


「何となく眠れない」という違和感を覚えたときは、すぐに治療を受けることが重要だ。不眠とうつの“負の鎖”を断ち切ることが、現代社会を生き抜く術なのである。

※週刊ポスト2012年11月9日号
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2012年11月26日

学会も警鐘 “軽症”を“重症”に追い込む「うつ病治療」の落とし穴(1)

学会も警鐘 “軽症”を“重症”に追い込む「うつ病治療」の落とし穴@
2012年11月24日(土)15時0分配信 週刊実話

  日本うつ病学会は先ごろ、多様化するうつ病を適切に治療するための医師向けの指針をまとめた。
次々に開発される抗うつ薬の有効性や副作用に関する情報を盛り込み、“軽症者の安易な薬物療法”に警鐘を鳴らしたのが特徴になっている。

 同学会は、最新の医学的知見を盛り込み、現在の医療体制や現場の実情を考慮した指針が必要と判断。急増している患者の多くは、軽症か、うつ病の診断基準以下の「抑うつ状態」であるとし、臨床現場では「慎重な判断が求められる」としたのだ。

軽症者に 抗うつ薬の使用を開始するには、焦燥感や不安感の増大などの副作用に注意し、少量から始めることを原則としている。

一方で、乱用や転売目的で抗不安薬や睡眠薬を入手するための受診が社会問題化しているとして、指針では「大量処方や漫然とした処方は避けるべき」、「安易に薬物療法を行うことは厳に慎まなければならない」と強調している。

 さらには、若者に多くみられる、仕事ではうつ状態になるが余暇は楽しく過ごせるような、いわゆる「新型うつ病」に関しては、「精神医学的に深く考察されたものではない」として取り上げていないのも特徴だ。

 都内のサラリーマンAさん(58)は、若い頃からバリバリの営業マンだったが、数年前からどうも仕事に身が入らない。朝起きるのが億劫で、新聞に目を通す気にもなれず、体もだるいし食欲もない。

思いあまったAさんは、心療内科を受診したという。
 「仕事のし過ぎ。疲れているんですよ」

 医師は抗うつ剤を処方してくれた。しかし、Aさんの症状は一向に改善しない。
 「自分は嫌なことがあっても持ち越さないタイプ。それが若い時からの身上だった。それなのに、どうなってしまったのか…」

 そんな不安をよそに、通勤途中や移動中や何気ない時にも動悸がするようになった。しかも、普段から汗かきなのだが、首から上が妙にのぼせるようにもなった。
さらには軽い耳鳴りがするようになり、人と目線が合うと避けるようになった。

 クリニックを変えたところ「自律神経失調症ではないか」との診断。
結局、原因はわからないまま、今度は安定剤をもらった。
しかし効果はなく、どんどん自分がイヤになり落ち込んでいったのだ。

 性格が前向きで営業マンが天職だというAさん。
それが一転、人に会いたくないと思うようにもなっていった。

 何度かクリニックを変えたところ、最後に受診した精神科クリニックで「男性更年期かもしれない」と言われた。
男性ホルモンのテストステロンが不足することによって起こる障害である。
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学会も警鐘 “軽症”を“重症”に追い込む「うつ病治療」の落とし穴(2)

学会も警鐘 “軽症”を“重症”に追い込む「うつ病治療」の落とし穴A
2012年11月25日(日)15時0分配信 週刊実話

 銀座泰明クリニックの茅野分院長が言う。
 「一般的に精神科=精神病=重症というイメージが強いため、軽症の患者さんはなかなか気軽に精神科を受診できませんでした。
一方で、内科や心療内科へ精神科疾患の患者さんの多くが受診する傾向にありました。
このため、一部には安易にうつ病薬を処方してしまい、時に混乱を生ずることもあったのです」

 うつ学会の示した指針は、そんな事情も考慮してのことだというのだ。
 「2012年の医療計画においては、『精神疾患』を癌・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病に加え『5疾病』とし、重点的な医療・政策が講じられることになりました。

しかしその反面、うつ病の診断や治療において、疑問や誤解を認められるようにもなりました。
その理由は、
精神医学・医療が科学として発展途上であり、各医師の知識や経験にゆだねられていることが挙げられます。

『うつ』と一口に言っても“うつ状態”を呈する疾患はうつ病、気分変調症(抑うつ神経症)、双極性障害(躁うつ病)、適応障害といくつもある。
その他、統合失調症の前駆症状や発達障害の二次症状(重ね着症候群)などを加えると、種類や組み合わせはさらに増えるのです」(茅野院長)

 数ある「うつ状態」がどのような経過を経て現在に至っているかを、的確に診断しなければならないというのである。

 「軽症うつ病はじめ、全てのうつ病の治療の前提に、患者の背景、病態理解に努め、支持的精神療法と心理教育を行います。
軽症の場合、抗うつ薬の使用は必要に応じて行う。

しかし、気分変調症(抑うつ神経症)や適応障害の場合は、カウンセリングや環境調整などをして、本人の考え方や周囲の関わり方を変えていく必要もあるのです」(同)

 双極性障害の場合は、抗うつ薬よりも気分安定薬を中心に服用し、うつを治すより、むしろ軽躁状態を抑え、“低目安定”こそが“無難な人生”であることに気づくことが望まれるという。

 「うつ病(軽症・中等症)の治療アルゴリズムはまず、『SSRI/SNRI』という抗うつ薬を少量から開始し、一定の改善を認めるまで増量する。
また、必要に応じて少量のベンゾジアゼピン(抗不安薬・睡眠薬)を併用します。
4〜8週を経過しても無効な場合や十分に有効といえない場合は、他の抗うつ薬へ変更したり、リチウムを追加して効果増強を試みたりする。

ただし、むやみに抗うつ薬を増量することはせず、休養や環境調整を前提とすることが大事なのです。

また、副作用に注意しながら必要量まで増量しますが、多剤・大量処方とならないように注意することも大事。
注意すべきなのは、『精神療法』や『薬物療法』など、一つの治療法に偏り過ぎないこと。
どれも一長一短があるので、それぞれの長所を上手に生かした治療を受けられることが望まれるのです」(同)
 
 
患者側も、ある程度の知識を持って治療に臨むべきだろう
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2012年12月01日

がん生存率に根拠なし 人生不良の方が長生きすると医師指摘

がん生存率に根拠なし 人生不良の方が長生きすると医師指摘
2012.11.30 07:00   NEWSポストセブン

国民の2人に1人ががんを患う時代。
医学の進歩により、がんを克服したり、がんを抱えながら長生きしたりする事例は無数に溢れているものの、多くのがん患者は「あと何年生きられるのか?」といったネガティブ思考から抜け出せないのが現実だ。


10月に全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)がネット上で公表した「5年生存率」も、一時アクセスしづらくなるほど大きな反響を呼んだ。

がん治療を行う31施設から収集した胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの10万症例(2001年〜2003年)を生存率で割り出したデータである。


 結果だけを見ると、全症例の3人に2人は5年生存していることになり、「がんは怖くない」との安心材料にもなろう。

だが、「あくまで参考程度にしかならない」と話すのは、順天堂大学医学部特任教授の奥村康氏である。


「いまだに日本人の死因はがんが圧倒的に多く、その数は年々増え続けています。がんは治る病気になったと言われる一方で、亡くなる人が減らないのは明らかに矛盾していますよね。

結局、このがんにはこの治療法が絶対に効くという正解がありません。だから、次々と発表される『生存率』や『臨床実験』のデータも鵜呑みにできないのです」


例えば、年間約8万人が発症し、6〜7万人が死亡している肺がんの5年生存率は平均で40.6%。
乳がんの90%と比べれば治りにくいがんであることはうかがえる。

しかし、より数値を細かく見ると、施設間で24.8%〜58.1%と大きな隔たりがあった。
これを「生存率の高い病院は治療水準が高い」と捉えるのは早計だと、奥村氏はいう。


「調査したがん患者の年齢が高ければがん細胞も弱いので生存率は上がりますし、若くても早期に発見されれば治癒率は上がるはずです。

でも、いくら最先端の手術と放射線、抗がん剤治療でがん細胞を完全にやっつけても、体を痛めつけ過ぎたために人間が持っている免疫力や自然治癒力を破壊して、
後に亡くなられる方だってたくさんいます」(前出・奥村氏)


 5年生存したからといって、誰もが“がんの3大治療”に納得しているとは限らない。ならば、日頃から免疫力を高めて「がんに負けない体」を作ることのほうが先決だと、免疫学の権威である奥村氏は唱える。

リンパ球の一種「NK(ナチュラルキラー)細胞」を活性化させることで、あらゆる病気の予防やがん細胞までも遠ざけてしまおうというのだ。


 そんな強力な働きをするNK細胞ゆえに、活性化させるのも容易ではないと構えてしまうのだが、意外にも拍子抜けするほどシンプルな方法でそれが可能になる。


「好きなことをしてストレスフリーになればいいだけ。
NK活性の働きを司るのはホルモンで、これは理性ではコントロールできずに感情に支配されます。

いつもピリピリ神経質、またはクヨクヨ悲観的なマジメ人間は交感神経が緊張しっ放しでストレスホルモン(コルチゾール)が分泌されます。
この状態が長く続くほどNK活性は弱まり、ウイルスにもがん細胞にもつけこまれてしまうのです」(奥村氏)


 では、具体的にどうすればNK細胞を増やすことができるのか。

キーワードはずばり“不良”になることだという。


「好きなものを食べて、好きなたばこや酒を嗜んで、好きな友達と他人の悪口でもいいからワイワイ盛り上がってゲラゲラ笑う。NK活性はこれに尽きます。

かつてフィンランド政府が行った追跡調査でも、酒やたばこ、塩分を抑制されたグループが後にがんや心臓血管系の病気にかかる人が多く、自殺者まで出ました。

片や健康診断さえ受けない不良グループのほうが明るく長生きしたという結果が出ています」(奥村氏)


「健康」「長寿」の鉄則とばかりに、やたらと「〜ねばならない」と我慢を強いる世の中。しかし、禁欲の押しつけこそ病魔を呼び寄せる一因になって寿命を縮めると説く奥村氏の理論を聞いて、溜飲を下げる人も少なくないはずだ。

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2012年12月12日

香山リカのココロの万華鏡:12月が身にしみる

香山リカのココロの万華鏡:12月が身にしみる
毎日新聞 2012年12月11日 東京地方版

 クリスマスや年末が近くなり、楽しい気分の人もいるかもしれないが、そうではないという人も多いだろう。

 とくに診察室にいると、「忘年会にパーティーでウキウキします」などという人に会うことはまずない。

クリスマスソングを耳にすると孤独が身にしみると涙ぐむシングルの女性、
人前に出ると緊張するのに取引先の忘年会に出なければならずにつらいと訴える会社員、
年賀状に「今年も無職です」と書くのかと苦笑する青年、
夫の実家への帰省を考えるだけで頭痛がしてくると顔をしかめる主婦。
みんな「12月なんてなければいいのに」とため息をつく。


 実は私も12月は好きではない。
「今年もできないことのほうが多かった」と自己嫌悪に陥るからだ。

しかし、診察室で肩を落とす人たちには、必ずこんな話をすることにしている。
「この季節、きらいですか。でも12月になったということは、今年もなんとか乗りきったということじゃないですか」


 これは慰めで口にしているわけではない。
私のような年齢になると、毎年、身のまわりでたくさんの知人や親族が病気になったりこの世を去ったりする。
「いよいよ仕事が立ち回らなくなったので、実家に帰ってひっそり暮らす。
もう連絡することはないと思う」などと言って、突然メールアドレスを変える友人もいる。

とにかくなんとか無事に1年を乗りきり、この季節までたどり着き、「今年もクリスマスか。
あまり楽しくないな」などとつぶやけるのは、実はとても幸せなことなのではないだろうか。


そんな幸福とも呼べないようなささやかな 「生きる喜び」を味わわなければならない私たちにとっては、「議席が何百まで伸びるか」「選挙後は連立で強大な政権を」といった“景気のいい話”にはあまり現実味が感じられない。


 ノーベル賞の授賞式のためにスウェーデンを訪れた山中伸弥教授は、「ずっと夢の中にいるよう」と語っていた。
もちろんこれは「いい夢」だが、大震災以降、いやそれよりかなり前から、日本にいる人たちの多くは「ずっと悪い夢の中にいるよう」と感じているのではないか。
ささやかな喜び、幸せを見つけなければ、私たちは生きていけない


でも、その中でも、満面の笑みをたたえた候補者を乗せた選挙カーが、「あと一歩です!」と大声を残しながら走り去る師走の街並みの中で、自分はどんどんテンションが下がっていくのを感じてしまった。

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2012年12月14日

ネットを捨てれば心の病が治る?

ネットを捨てれば心の病が治る?
2012.12.14 17:00   R25編集部

“夜回り先生”こと水谷修氏が、7日の公式ブログで、心を病んでいるたくさんの人からの相談に対し、「心の病を簡単に治す方法」を紹介し、ネット上で話題をよんでいる。

夜回り先生によると、心の病を簡単に治す方法は、たった2つ。

1)昼間、ともかく徹底してからだを動かす。
10キロ以上は、歩き、美しいものにふれる。
ともかく、昼間くたくたになるまで、からだを疲れさせる。
そして、三食をきちんと食べる。

2)すぐに、インターネットや携帯電話、メールの機器を、捨てる
というもので、ネット上で注目を集めている。

まず、2ちゃんねるでは、特にこの2)の“ネットを捨てる”という部分に反応しているユーザーが多い様子。
2ちゃんねるのニュース速報板に立ったスレッド「夜回り先生 『心の病を簡単に治す方法があります。
1体を動かす 2インターネットや携帯電話を捨てる』」では、「これはホントだ」「ぐぬぬ正論だわ…」と納得する人がいる一方で、
「あたってるけどそれが難しい」
「正論だけどそれが簡単に出来ないから治らないんだけどね」
「その通りなんだが、一時的に全部止めて健康的になっても その後にそれらをコントロールできるかが問題なんだな」と、賛同しながらもネットから離れらることの難しさを説く人もいた。

また、「ネットあるから、こうやってオマエラともたわいもない雑談出来るのがすごくイイ気晴らしにもなるんだがな」
「今ネット捨てたら逆に鬱になりそう」
と、ネットの利点を強調する人も。

一方、ツイッターでは、水谷氏の意見のなかで「運動」についての言及が目立つ。
例えば、
「これ、ほんとだと思う。欝気味だったのがジョギング始めたらかなり消えた」
「ネットやメールは捨てる必要はないと思いますが、体を動かしたほうが良いのは私の経験上もそう思います。

ただ、鬱がひどい時は、体なんて 動かせません。そういう場合は、体の一部だけでも良いので日光に当てて、寝ていて下さい」という経験者の声
また、「夜回り先生の言ってることは間違ってはいませんが、本当に鬱の時は、クタクタになるほど体を動かすなんて無理です」

「健全な精神は健全な肉体に宿る、という言葉は完璧な人を褒め讃える言葉であって、どちらかに欠点、弱点がある人にはマイナスでしかないと思う」と、
「一概には言えないのでは?」といった指摘もあがっている。

個々人によっての“程度問題”であるため、いちがいに言い切るのは難しいだろうが、ネットと運動について改めて考えさせられた人が多かったのは間違いないようだ。
(R25編集部)
※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、web R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております
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2012年12月22日

ノロウイルス 対策はまず敵を知ろう

ノロウイルス 対策はまず敵を知ろう
2012年12月22日  東京新聞社説

ノロウイルスとみられる感染性胃腸炎が流行している。
子どもから高齢者まで感染は拡大の一途だ。強い感染力のあるウイルスを封じ込めるには、まず敵の特徴や具体的な対策を知ることである。


 ノロウイルスは冬に多く発生する食中毒の原因だ。
食事などを介して感染すると小腸で増殖する。
一〜二日の潜伏期間の後、猛烈な嘔吐(おうと)や下痢に繰り返し襲われる。
重症だと一日十回以上にわたって苦しめられる。
治療薬はなく対症療法しかない。


 体力が低下した高齢者は感染すると深刻化する場合がある。
今月、大分県内の病院に入院中の男性患者(84
)がノロウイルスによる感染性胃腸炎で死亡した。
介護施設などのほか小学校や保育所などでも被害が出ている。


 感染は世代を問わない。千葉県内のホテルに宿泊中の中学生らが症状を訴え、六十人以上が病院に搬送された。
広島県内の海上自衛隊基地でも隊員ら四十八人が下痢や発熱などの症状を訴え、一部の人からノロウイルスが検出された。

国立感染症研究所によると、最近一週間に全国約三千の小児科の医療機関が報告した感染性胃腸炎患者数は六万一千人を超えた。
この十年間では二〇〇六年に次ぐ猛威だ。
患者発生のピークは例年十二月で引き続き警戒が要る。

ノロウイルスの特徴はその強力な感染力だ
感染拡大を防ぐには手洗いや、家族間のタオルの共有を避けるなどインフルエンザと同じ対策に加え、さらに注意点がある


まずそれを具体的に知ることが大切だ。

患者の嘔吐物には大量のウイルスが含まれる。
〇六年にホテルでカーペットに付いた患者の嘔吐物の消毒が不十分で、乾燥したウイルスが空気中に浮遊して三百人超が発症したケースもある。

嘔吐物の処理には使い捨てのエプロン、マスク、手袋を着用する。
拭き取った後の床などは塩素系薬剤で消毒する。
拭き取りに使ったペーパータオルなどはビニール袋に入れ密閉して廃棄する。

便にもウイルスが混じっているのでトイレのドアノブを消毒したり、患者の汚れた衣服は熱湯消毒するなど細心の注意が必要だ。

 感染が疑われたら医療機関で治療を受け、感染経路を調べて拡大を防ぐことも重要になる。
インフルエンザも流行期に入った。年末年始は多くの人が移動し感染を広げやすい。正しい知識で防ぎたい。

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2012年12月26日

香山リカのココロの万華鏡:簡単ではない“人間支援”

香山リカのココロの万華鏡:簡単ではない“人間支援” 
毎日新聞 2012年12月25日 東京地方版

とてもおもしろい本を読んだ。
文章表現インストラクターというユニークな活動を続ける山田ズーニーさんの「おかんの昼ごはん」。
親の老いに直面したときの戸惑いを記した本、といった新聞広告を見たので、その問題に切実に関心のある私はすぐに買った。


老いた親とどう向き合うかというパートもとてもリアルだったのだが、それよりもこの本は「仕事をどう選び、どう決めるか」という問題に多くが割かれていた。
当初の期待とは違ったのだが、それがおもしろかったのだ。

 読んでいて、自分の名前が出てきてギョッとした。
教育分野で仕事をしてきたズーニーさんは、大震災のときにこう思ったというのだ。「『生きてるだけでいいんです!』という精神科医の香山リカさんの言葉が、どんなにかっこよく感じたか」。

つまり、「医療」の現場にいる私は、「病気を治し、命を救う」ということをゴールとしているから「生きていればオッケー!」と力強く言えるが、
教育の場にいるズーニーさんは、「命はある」という前提で、そこから「より良く」「さらに先に」と導かなければならない、だから大震災のときには自分の無力さを感じた、というのだ。

実は、「生きてるだけでいいんです」は、この連載をまとめた本のタイトルだ。
それがたまたま大震災の直後に出版されたのだ。
たしかに私は震災とは関係なく、日ごろから診察室で「生きていて今日も診察日にここに来れた。それだけでもすばらしいじゃない」などと言っていた。
それは私が個人的に本当にそう思っているからだと信じていたのだが、ズーニーさんの指摘を読みながら「やっぱりこれは“医者ならでは”の発想なのか」と考え直した。

 とはいえ、人はなかなか「生きてるだけでオッケー」などとは思えない存在、ということもよくわかる。

診察室でも、本当にその人を救うのは「誰かの役に立った」「以前、できなかったことができるようになった」といった「より良く」「さらに先に」だからだ。

悟りを開いた修行者でもなければ、「何もしなくても自分に満点」などとは思えないだろう。


 まず「あなたはそのままでいい」とその人の存在そのものを認め、それから「でも、もう一歩、先に行けるよね」と背中を押し、自分の中にある力を花開かせる手伝いをする。
医療、福祉、教育が一体となった“人間支援”ができるようになるのがいちばんだが、それはもちろん言うほど簡単ではない。

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2012年12月27日

休職教員:「心の病」 仕事量増加、同僚の支えなく 現場、ゆとり失う

休職教員:「心の病」 仕事量増加、同僚の支えなく 現場、ゆとり失う

毎日新聞 2012年12月25日 東京朝刊


 文部科学省が24日公表した、昨年度に「心の病」で休職した5200人余りの教員たち。
休まざるを得なくなった教員の体験からは、子供の荒れや保護者への対応、増える一方の事務に追われる中で、真面目な人が追い詰められていく現場の実情が浮かび上がる。


 大阪府内の中学に勤める40代の女性教諭は1年半前、うつ病で休職した。
学力や生活上の課題を抱える生徒が多く、保護者との関わり方に神経を使う学校だった。
「成果がはっきり見えない仕事だけに教員同士で支え合って子供のためになることを話し合うべきなのに、そのゆとりがなくなってきている」という。


 府内の小学校で教諭だった60代女性も10年前、休職に追い込まれた。
多動で授業中に他の子供の邪魔をする児童がクラスに2人いたが、管理職に「あんたの責任」と突き放された。


 「2本しか手がないのにどうやって2人に目を配りながら、他の子たちを世話するのか」。悩むうちに家から出られなくなり、最終的に辞職した。


 東京都教職員互助会が運営する三楽病院(千代田区)精神神経科の真金薫子(まがねかおるこ)部長は「学校全体で仕事量が増え、みんな余裕がなくなっている。仕事量を調整する必要がある」と指摘する。


 真金部長は教職員の精神疾患が専門。同病院では相談件数が年々増加し、電話で臨床心理士が応対した場合も含む昨年の相談件数は約2500件で、今年も同様の水準だ。【林田七恵、苅田伸宏】

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2012年12月29日

長期休暇で起こる“正月うつ”に注意 予防には「朝日と1日3食」

長期休暇で起こる“正月うつ”に注意 予防には「朝日と1日3食」
2012.12.28    zakzak

 さあ、年末年始の連休。羽を伸ばして旅行に出る人は6年ぶりに3000万人を突破する勢いだ。
しかし、すっかり楽しんだ連休明けに、突然、出勤拒否症となってしまい、五月病ならぬ「正月病」に陥る人がいるという。専門医に実情を聞いた。

 【休日落ち込み症候群】

 もともと日照時間の短い冬場は、うつ状態になりやすいといわれる。
しかも、年末年始の休みで、生活リズムが乱れると、その状況に拍車がかかりがち。
日頃から特に趣味もなく、仕事中心の日々を過ごしている人は要注意だ。

 『週末うつ』(青春出版社刊)の著書がある杏林大学医学部精神神経科学教室の古賀良彦教授が説明する。

 「生活リズムというのは、心身の健康を維持するのにとても重要です。
仕事中心の生活を送っている人は、仕事、帰宅、早朝起きて出勤、仕事というリズムに身体が慣れています。
このリズムが休日に乱れてしまう。
加えて、日常会話も客先ではなく家族に変わるため、週末のリズムをつかみにくい。特に連休が長いと、うつ状態に陥りやすいので注意してください」

 仕事人間の人は、仕事がないとリズムが乱れ、週末だけでもうつ状態に陥ることがある。
大型連休はなおさらだ。
その状態が長引くと「うつ病」へと移行する可能性があるのでご用心。

 
長期旅行でもうつに

 正月休みに海外旅行などを楽しむ人にも、影が落ちる。
帰国後の翌日に、いつものように朝刊を読み、出勤しようとしたその瞬間、玄関で靴を履く気力が出ない。
自分では履こうとするのだが、なぜか履けない。
足を靴の中に入れることができないまま欠勤。
家族からすれば見た目は元気なのに、「どうしちゃったの?」と思うのだが、それがうつの恐ろしい魔の手だ。

 「一般的に、楽しい休日の翌日に出勤したくないと思うのは、決して珍しい話ではないでしょう。
しかし、海外旅行の時差で生体リズムが乱れていると、その状態に拍車がかかってしまう。
穏やかでニコニコして、一見うつとは思えないよう人でも、うつ病を発症することがあるのです」と古賀教授が警鐘を鳴らす。

 仕事人間は休日に落ち込み、そうでない人は休み明けに気分がダウン。
大型連休後は、誰もがうつ病へ移行する落とし穴があるのだ。

 【初日の出を見る】

 連休のうつ状態を防ぐには、生活リズムを整えることが大切。
しかし、大みそかは除夜の鐘を聞き、真夜中に初詣に行く人もいるだろう。
元日は昼まで熟睡。その乱れがよくないといわれても…。

 「うつ予防は、
(1)朝日を浴びる(2)1日3食(3)人とのコミュニケーションをとることにあります。

年末年始は(1)や(2)が乱れがちです。
それを防ぐには、除夜の鐘を聞いたら一度寝て、初日の出を見ることが大切。
雨や雪でも早朝に玄関から一歩外に出て、空を見上げてください」(古賀教授)

 時差のある海外旅行に出掛ける人は、帰国後に2日間は休みを取って、「時差ボケ」を治すことがポイントという。
連休を目いっぱい旅行に使ってしまうと、時差ボケが解消されないまま、「正月病」に突入しやすい。
せっかくの楽しい思い出も、暗転しまうのだ。

 「たった1日でもうつになります。
それを防ぐために、生活リズムを意識してください。
もちろん、うつになったと感じたら、早めに専門医に相談することも心掛けましょう」と古賀教授はアドバイスする。
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2012年12月31日

被害者の怒り渦巻く 来年は変わるのか?

被害者の怒り渦巻く 来年は変わるのか?
2012.12.28   読売新聞「精神医療ルネッサンス」佐藤光典
 「ならずもの医療」編の連載中だが、2回目は年明けの掲載とし、今回はこの1年を振り返ってみたい。

2012年、最も反響をよんだ記事のテーマは、「抗不安薬・睡眠薬依存」だった。
新聞とこのコーナーで繰り返し取り上げ、12月も朝刊連載「医療ルネサンス」で、治療に取り組む病院などを紹介した。
そこでも書いたが、今や、病院で専門治療を受ける薬物依存症患者の2割が、処方薬依存の患者となっている

特に、女性患者は処方薬依存の割合が高く、入院する薬物依存症患者の4割を占める病院もある。
タガが外れた漫然投薬によって、被害が急速に拡大しているのだ。


 厚生労働省も、処方薬依存の深刻さを認識し始めている。
11月から定期的に開かれている「依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会」では、私だけでなく、医師や当事者ら複数の構成員から、処方薬依存の早急な実態調査と対策を求める声が上がった。
被害者もさらに声を上げ、及び腰の医療関係者を動かしていく必要があるだろう。

精神科医の暴言特集も、朝刊記事やこのコーナーで大きな反響を呼んだ。
患者に対する蔑視が感じられるこうした実態に対し、「精神医療を変えたい」と第一線で努力する精神科医が漏らした言葉が忘れられない。

 「精神科医はこれまで統合失調症患者に甘え過ぎた」

 統合失調症患者を「内向的で、思いやりがあり、やさしい人たち」とみる精神科医は多い。
病気で一時的に乱れる事はあっても、統合失調症患者は総じて「控えめ」だという。「最近は話していて疲れる患者が多いので、統合失調症患者が来るとほっとする」と語る精神科医もいる。
そうした、いわば「羊」のような人たちを相手に、精神医療は成り立ってきた。


 ところがこの10数年、精神医療の対象がどんどん拡大した。社会の第一線で働く人たちが、「うつ病」「不安障害」「双極性障害」などと診断される時代。
おかしいものを、はっきりと「おかしい!」と言う人たちが、精神科の患者になったのだ

そうした人々が、精神科の診察室や病棟で目にしたのは、驚きの実態だった。

 「精神科医の言動が変だ」「どちらが病気なのか分からない」「主治医に処方薬依存の記事を見せたら急に怒り出した」「インクのシミの見え方(ロールシャッハテスト)だけで人格に問題があると決めつけられた」「初診で抗不安薬が2剤と睡眠薬が3剤出た」「担当医が変わる度に診断名が変わる。私は一体なんなのでしょうか」……。

そうした類のメールが、数え切れないほど届いた。
会社員、会社役員、主婦、大学生、国家公務員、地方公務員、医師、看護師、薬剤師、精神保健福祉士、教師など、さまざまな立場の人たちが、精神医療への怒りをぶちまけた。

自分自身や家族が、不適切な精神医療で被害を受けた人も多い。


 ネットの特性で、海外からのメールもよく届く。
国外に出ると、当たり前と思っていた日本の医療技術や医療システムが、実はとても良かったことに気付かされるものだが、」精神医療に限っては「日本の異常さを思い知ったとする声が多い。

「海外赴任をきっかけに、子どもを誤診と過剰投薬から救うことができた」というメールもあった。
精神医療の問題は、諸外国でも数多く指摘されているが、それでも日本よりはマシということなのだろうか。


 最後に、メールをひとつ紹介しよう。こうした患者の訴えを、「極端だ」と聞き流していては何も改善しない。精神医療を変えるには、精神科医が患者や家族の声を真摯に受け止め、変わるしかない。来年こそは、その兆しが各地で見られることを期待したい。


 精神医療が、あたり前のようにまかり通っている世の中が嫌でたまりません。患者の心を救うはずの向精神薬の中には、依存性の高い、言わば麻薬の様な薬もあります。それなのに、精神科医は平気でそんな薬を処方する。

 どんなに薬の事を精神科医に話しても、「ネットの情報は見るな!」「薬の本は見るな!」と言う。しかも、私が通院する病院の医師や看護師、精神保健福祉士、作業療法士はみな、言葉が横柄。一番、患者を傷付けてはいけないそんな医療スタッフが、平気で患者を傷つけるありさまなのです。

 医師にそれを訴えたところで、改善されるどころか薬を増やし、あろう事か「うっぷんがたまっていますね。カウンセリングを受けた方がよい」と言う。「は?」。意味がわからない。

 しょせん患者は金のなる木。私が通う病院も、こんな時代に病棟が新しくなる。患者の為の治療ではない。平気で患者を薬漬けにし、スタッフの暴言で患者を追い詰め(実際に自殺した患者までいる)ている。国はもっと、日本の精神医療のあり方をしっかり考えて欲しい。患者がどんなにこの現状を訴えたところで、何も変わらないのが私は悲しい。

2012年12月28日 読売新聞)
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2013年01月09日

香山リカのココロの万華鏡:“ふつうの人たち”の絶望

香山リカのココロの万華鏡:“ふつうの人たち”の絶望 
毎日新聞 2013年01月08日 東京地方版

 暮れも押し迫った時期に、岩手県山田町を訪れる機会があった。
人口1万7000人ほどの小さな町だが、東日本大震災では震災関連死を含めて800人近い住民が亡くなった。
現在も多くの人たちが町内の約2000戸の仮設住宅で暮らしており、「高台移転か、かさ上げした元の地域に戻るか」といった町の再建計画もいまだ定まっていないという。

震災発生後、働きづめの町役場の職員の疲労もピークに達しており、私は彼らに心身の健康の保ち方や休養の大切さについて話すために出かけたのだ。
業務が終わって集まった職員たちの中には、いまも作業服姿の人も多い。
とくに年末ということもあり、ひと目で「疲れているんだな」とわかる人もいたが、
「弱い人だけがストレスを受けるわけではない。
まじめで責任感が強い人ほどダメージが大きい」「スーパーマン」はいない。
交代で休み、業務を離れる時間が必須」といった話を真剣に聞いてくれた。
居眠りをしたり携帯電話をチェックしたりする人は、誰もいない。

 私が訪れた頃、山田町はたまたま、被災者らを雇用するNPO法人が委託事業費を使いきり、雇用した人たちへの給与が未払いのままという問題で大きく揺れていた。

町は、国の「未払賃金立替払制度」を活用する方針だが、働いたのに賃金を受け取れないままの人たちからは「納得いかない」と町の責任を追及する声も上がっているという。

 「最初はとてもうまく行っていて、職場を失った住民に働く場ができた、と喜んでいたのですが」と役場のひとりは肩を落とした。
「がんばって働いた人には本当に申し訳ない。
でも町で未払いの賃金を肩代わりしようにもそんな財源は……」。あまりに気の毒で、かける言葉も見つからなかった。

その時期、中央ではちょうど組閣も終わり、“アベノミクス”効果で株価はどんどん上昇。
円安も進み、投資家や経営者は笑顔で年の瀬を迎えていたに違いない。

一方で、大震災から1年半以上、黙々と働き続けてきた中でさらに難題が降りかかってきて、途方に暮れながら年末を迎えた山田町の職員のような人たちもいる。


  いや、困難や絶望に直面しているのは、被災地の人々だけではない。

そして、今やこういう人たちは決して「少数者」や「一部の弱者」ではなく、この日本社会では“ふつうの人たち”になりつつあることを忘れてはならない。
「またがんばりますよ」という山田町の人たちの笑顔に「忘れません」と誓ったことを思い出しながら、新しい年を迎えた。

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2013年01月11日

真健康論:朝食の意義=當瀬規嗣

真健康論:朝食の意義=當瀬規嗣
毎日新聞 2013年01月07日 東京朝刊

朝食を取らない日本人が増えつつあることが、厚生労働省の平成22年国民健康・栄養調査で報告されています。
全体では男性の13・7%、女性の10・3%の人が朝食を取っていないのです。

1食抜くぐらいのことに目くじら立てなくてもと、思われるかもしれませんが、朝食の意義やメリットを考えると、放置できないと考えています。

 そもそも、なぜ朝食を取るのかというと、それは睡眠と関係があります。
日本人の平均の睡眠時間は7時間ぐらいですが、そうすると、朝起きたときには少なくとも7〜8時間は食べていないことになります。
もし夕食を夕方に食べたとすると、食べていない時間は半日近くになります。

1食分の食べ物を消化吸収し終わるのに4〜5時間かかると言われています。
つまり、朝起きた時には、体は一種の飢餓状態になっていて、朝食を取るのは極めて自然な行為なのです。

もし朝食を取らなかったとすると、お昼まで、さらに5時間程度、飢餓状態が続くことになります。
この状況は、体に少なからず悪影響を及ぼします。
朝食を取らないと、集中力が低下して、仕事や勉学などの効率が下がることが明らかになっています。


 では、朝食を取ることのメリットは何でしょうか。
一つは、食べることで、まだ完全には目覚めていない体を起こす効果があります。
また、食べた栄養素が吸収される際に体に熱が生じるのですが、これが体を温めて活動的になることも期待できます。

とくにたんぱく質は熱を生じる作用が強いので、牛乳、卵、納豆、ハム、みそ汁などを朝食に取り入れると効果的です。
さらに、朝食を含めて1日3食取ることで、食事内容がバラエティーに富み、栄養バランスを取りやすくなります。


 最近の研究では、たとえ1日に食べる量が同じだとしても、朝食抜きの2食で取るより朝食を含めて3食の方が太らないということが明らかになっています。
ダイエット目的で朝食を取らない人が多いと言いますが、むしろ逆効果であるということなのです。
さらに、朝食を取らない人は肥満になりやすいので、高血圧や糖尿病のリスクが高まると指摘されています。

 早起きして、ゆっくり朝ごはんを食べてはいかがでしょうか。健康になりますよ。
(とうせ・のりつぐ=札幌医科大教授)

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2013年01月15日

香山リカのココロの万華鏡:怒りの対象は他にいる? 

香山リカのココロの万華鏡:怒りの対象は他にいる? 
毎日新聞 2013年01月15日 東京地方版

1月の診察室では、「正月の帰省」をめぐる話題がよく語られる。
それも、どちらかというと「家族とぶつかった、傷つけられた」というネガティブな話が多い。


 中でも目につくのが、実家で久しぶりに顔を合わせたきょうだいと衝突した話だ。
とくにお互いおとなになっていたり家族を築いていたりすると、きょうだい間でも“格差”が生まれる。
「兄一家が帰省したけれど何もせず、妹の私ひとりが働いた」「妹がウチの子どもにお年玉をくれなかった。
私はあげたのに」など、何かにつけ比べては「ひどい、ずるい」と相手を非難する。
そして最後につけ加わるのが、「そういえばあの人は子どもの頃からそうだった」というひとことだ

 きょうだい間の嫉妬、憎み合いなどの葛藤に、心理学者のユングは「カインコンプレックス」という名前をつけた。
カインとは旧約聖書に出てくる人物で、「自分よりも神さまに気に入られた」という理由で弟のアベルを殺害してしまう。
 面白いのは、愛情に差をつけたのは神さまなのに、カインは神をではなくて弟を憎んだことだ。

一般のきょうだいもそうかもしれない。
もともとはきらいではないのに、親が自分よりもきょうだいのほうを愛しているように感じる。
あるいは、天までもきょうだいに味方して、向こうばかりがラッキーに生きている気がする。
本来なら親や天に「どうして? 私だって一生懸命なのだから、こっちを向いてくれてもいいじゃない」と抗議すべきなのに、そうしない。
そして、良い思いをひとりじめしているように見えるきょうだいに、恨みや憎しみを向けてしまうのだ。


 きょうだいに腹が立つ、という人は一度、考えてみたらどうだろう。
私が怒っているのは、本当にそのきょうだいに対してなのか。
もしかすると、「もっと私のことも見て、やさしくして」と要求したい相手は、どこか別にいるのではないか。


 診察室でいつも弟の悪口を言っていた女性は、時間をかけて話す中で、「自分の妬みの原因は、弟がその妻に大切にされているのに、自分の夫は私に無関心なことなんだ」と気づいた。
そして「今年はまず自分が夫を理解しよう」と心を決めたら、イライラの気持ちも消えていった、と話してくれた。

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2013年01月21日

歯周病 食道、胃、血液などガンの危険因子になる可能性もあり

歯周病 食道、胃、血液などガンの危険因子になる可能性もあり
2013.01.20 16:02 ※週刊ポスト2013年1月25日号

シニア世代の歯の悩みの筆頭にあげられるのが歯周病だ。
歯の生活習慣病といわれ、40〜50代で急増し、50代の83%、60代の85%以上が歯周病と推定されている(平成23年厚労省歯科疾患実態調査)。


 感染を放置すると、歯肉(歯茎)に炎症が起きて腫れや痛み、出血が起きる。
やがては、歯肉の炎症だけでなく歯を支える歯槽骨にまで影響が及んで骨が溶け、歯を失うことになるが
、歯周病の怖さは口腔内に限った話ではない。

歯周病が全身の病気に深くかかわっていることを裏付ける研究やデータが近年、数多く報告されている。


歯周病が口腔がんだけでなく、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、膵臓がん、胃がん、血液のがんに対して危険因子になり得るという論文が世界的に権威あるイギリスの医学誌『ランセット』などに発表されました」(明海大学歯学部臨床教授の河津寛・河津歯科医院院長)


 高齢者の死亡原因のトップである誤嚥性肺炎との因果関係も指摘される。
誤嚥性肺炎は口腔内の細菌が肺に侵入して起こるが、口腔内を清潔にすることでリスクが激減する。


 また、口腔内の歯周病菌が心臓の内膜に付着して細菌性心内膜炎を起こしたり、糖尿病を悪化させたりすることもある。
歯周病を治療すると血糖値が低下するという結果も臨床現場から多数報告されている。

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2013年02月04日

ちょっと危ない?と思ったら 自分でできるうつ予防

ちょっと危ない?と思ったら 自分でできるうつ予防
2013/2/3 6:30  日本経済新聞ヘルス


「エンジンがかからない」
「攻撃的になっている?」
「いつもの音量なのにテレビの音がうるさい」……それは、うつっぽくなっているサインかもしれません。
パワーがゼロになる前にセルフケアを
。 
 

うつの根底にあるストレスは、どう解消すればいいのか。
「人に話を聞いてもらうのは一つの方法。

米国の女性を対象にした研究では、かかりつけの精神科医を持っている人より、話を聞いてくれる女友達を持っている人の方がうつになりにくい、という結果が出ています」(国際医療福祉大学三田病院精神科の平島奈津子教授)。

あのときこうしていれば良かった……という「たら・れば」思考でぐるぐる考えながら落ち込みそうになるときは、ぐるぐるを断ち切るメソッドをいくつか持っているといい。

例えば、冷たい水で手を洗う、好きなCDを聞く、香りのいいお茶をのむなど、簡単なことでいい。一つやってみて、ダメなら次、というように試していく。


また、会社から家に帰る間に、寄り道をすることも、仕事のストレスを置き去りにする点で有効。「元気がある人なら会社帰りにスポーツクラブで汗をかくと能動的な癒やしになる。

とてもそんな元気はない、という人はマッサージやエステなど、受動的な癒やしがお薦め」と、パークサイド日比谷クリニックの立川秀樹院長は言う。

セロトニンを活性させるには朝日を浴びるといいが、落ち込んでいるときにはそもそもベッドから出られない人が多い。

「防犯面の問題がなければ、カーテンを開けっ放しで寝るといい。
起きるころにはいやでも朝日を浴びているので、ベッドから出なくていい」(立川院長)。

「これ以上頑張れない」状態のうつの人に「頑張って」という言葉で励ましてはいけない、ということは常識化しつつある。

まずは「つらい」という気持ちを聞いて、吐き出させる。そして「それはつらいね」と、共感して、「一人じゃないから、大丈夫」だと伝えてあげよう。

 とはいえ、友人などに長電話で何度も「苦しみ」を聞かされたのでは、聞く側のストレスになってしまう。
そういうときは、相手が「拒否されたのではない」と感じるように、優しく、かつきっぱりと断っても大丈夫。

 「『あと30分で外出だから、そろそろ切るね。日曜日ならゆっくり話せるけど、どう?』
『電話だとあなたの顔が見えないから、都合のいい日にお茶でも飲みながら話さない?』など、代案とセットに」(平島教授)。

また、甘やかさないことも優しさだ。
「うつを理由に遅刻や無断欠勤を許したり、腫れ物に触るように甘やかしてはいけない。
優しい言葉と態度で、しかし、きっぱりと、社会のルールを守らせよう」(立川院長)。


【立川式「冬うつ&非定型うつ対策」5カ条〜】

1.ストレスや嫌なことを書き出す
 「上司に叱られた私はダメ人間」など、思いついたことを書く。一度読んでみて「もしかして、八つ当たりされただけ?」など、別の視点から他の可能性を検討。

2.その日あったいいことを3つ書き出す
 落ち込んでいるときは、身近ないいことになかなか目が向かない。「ホームに着いた途端に電車が来た」など、ちょっとした「うれしい」を毎日3つ書き出してみよう。

3.友人や家族に悩みを話してみる
 苦しい気持ちを聞いてもらうだけでも楽になる。「それ、あるある!」とか「私もそうだったよ」といわれて、悩んでいるのは自分だけじゃないと分かる。

4.会社から家の間に寄り道してみる
 体を動かすのが苦にならない人はスポーツジムやサウナ、嫌な人は居心地のいいカフェやマッサージ店など、仕事から家に帰る間にワンクッション置いて気分転換を。

5.カーテンは開けたまま眠る
 朝、体が重いときは寝床から出てカーテンを開けるのはハードルが高い。夜カーテンを開けたまま寝てしまえば、朝は眠っているうちから朝日が浴びられる。

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2013年02月06日

香山リカのココロの万華鏡:広がる「嗜癖」の範囲 

香山リカのココロの万華鏡:広がる「嗜癖」の範囲 
毎日新聞 2013年02月05日 東京地方版

 よく一般の人から、「うつ病って言っても、血液検査やレントゲンで診断がつくわけじゃないんでしょう?
 医者や国によって診断にバラつきが出ることもあるよね」と言われる。
放っておくとそうなるかもしれないがそれでは困るので、世界の精神科医たちはなるべくみな同じ診断基準を使うことにしている。
そこで使われているのが、アメリカ精神医学会が作成したDSMという指針だ。


 それがこのほど約20年ぶりに改訂され、「DSM−5」として今年の5月ごろから使われることになった。


 なんだ、精神医療の業界でマニュアルがかわっただけじゃない、と言われそうだが、これはいまの社会の“心の問題”を反映するものであり、また逆に社会にじわじわと影響を与えるものでもあるのだ。


 たとえば、改訂版からはアルコールや薬物などへの「依存」という用語が消えて、「使用障害」という分類でまとめられている。

そして、一度、診断基準から消えた「嗜癖(しへき)(アディクション)」という大きな概念が復活している。


 この問題にくわしい精神科医・松本俊彦氏は、学会のシンポジウムで「この『嗜癖』という用語は、偏見を助長する侮蔑的表現としてではなく、より新しい意味をまとって復活した」と述べている。
その上で、この背景にあるのは、お酒にせよ薬物にせよ、何かに病的にハマってやめられないという問題の中心は、「身体依存の有無ではなく、人が物質にとらわれ支配される事態、『コントロール喪失』であり、今日ふうにいえば『精神依存』」だと考える。

そうか、アルコール依存はやっぱりからだの病気じゃなくて、こころの持ちようなんだな、という意味にとらないでほしい。

嗜癖」というより広い概念を提示しなければならないほど、いま「コントロール喪失」が原因で自分を抑えられず、さまざまな“やってはいけないこと”に手を出し、ついには生活や人間関係の破綻にまで進んでしまう人が増えているということだ。

また、そのハマる対象も古典的な酒や覚醒剤に限らず、ギャンブルや買い物、さらにはスマホやSNSなどより目に見えにくい方向へと広がりつつある。

今回の改訂では「嗜癖(アディクション)」はまだその範囲が限られているが、今後、「コントロール喪失」に陥る人がさらに増えれば、また変わるかもしれない。

「あの人もこの人もアディクションで治療中」という社会が来ないことを望みたい。

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2013年03月21日

脱プチうつ!沈んだ気分をハッピーにする魔法の言葉4個

脱プチにする魔法うつ沈んだ気分をハッピーの言葉4個
2013.03.20 16:00 NEWSポストセブン

めっきり春らしい陽気な日が続きますが、おだやかな天気とはうらはらに、気持ちがドーンと沈んでいるなんてことはありませんか?

大好きな彼に振られた、仕事でありえないミスをした、とにかく花粉症が辛い……等々、気が滅入ることがたび重なると、「自分には人生の春なんて絶対に訪れない!」なんて自暴自棄にもなってしまいますよね。

そんなネガティブ全開のあなたがハッピーの糸口を見つけるにはどうすればいいのか? 昔から“口癖はその人を形作る”なんて伝えられているように、いつも口にするフレーズによって、人の運不運は左右されるともいえます。

イヤなことがあると、つい愚痴や泣き言ばかりになってしまいますが、だまされたと思ってまずはポジティブな言葉を口癖にしてみませんか?

当記事では、セラピストの紀野真衣子さんから教えてもらった“気分が沈んだときにハッピーになれる魔法の言葉”4個を紹介したいと思います。

■1:「ラッキー」

「イヤな出来事があった場合、ただ落ち込んだり自己嫌悪したりするのではなく、それをポジティブに変換してみましょう。
たとえば、寝坊した場合は、“ゆっくり寝られて疲れがとれた! ラッキー”と変換。
好きな人に振られたら、“もっと私にぴったりな人と付き合える! ラッキー”といった感じです。
無理やりな変換の場合でも、その無理やり具合が面白く感じてしまうかもしれません」

■2:「私にできることは何?」

「八方ふさがりの状態で“私なんかに何もできない……”と否定的な考えかたをしていると、脳の機能も低下してしまいます。

まず、“何ができるだろう?”と問いかけることが大事。
すると、無意識のうちにあなたの脳が“できること”を探そうとするので、自然とハッピーなことや自信が回復できることが起こりやすくなるでしょう」

■3:「
ありがとう」

「どんな出来事もあなたの学びのために起こります。イヤな出来事はあなたが成長するために起こってくれたのだと感謝しましょう」

■4:「私ってなんてかわいそうなの!」

「これまで紹介してきた3つのフレーズについて、“うーん、どの言葉も気分が乗らないなぁ。ていうか嘘っぽいし……”と思うあなたにはこれ。

思いきり芝居がかった声で言ってみてください。悲劇のヒロインぶっている自分を客観視することができます。
そうすることで、一生懸命ドラマに浸っていた自分をほほえましく思い、励ますことができるでしょう。

大事なのはネガティブな気持ちを抑圧するのではなく解放すること。
本当に辛いときにはポジティブな言葉を口にする前に、大声で泣いたり、叫んだりして感情を
解放
してくださいね」

以上、気分が沈んだときにハッピーになれる魔法の言葉4個をお届けしましたがいかがでしたか?
 紀野さんによれば、これ以外にも自分オリジナルの“切り替えワード”を決めておくのもオススメとのこと。
元気の出る名言、あるいは、これまで誰かに言われて嬉しかったフレーズなど、あなたにぴったりの“切り替えワード”をぜひ探してみましょう!

【取材協力】

紀野真衣子・・・カウンセラー・セラピスト。
「自由なヒロインになって思い通りの人生を創る」がコンセプトの“ヒロインセラピー”を行う。
潜在意識に働きかけ、思考パターンを書き換えることを得意とする。
ブログでは“ヒロイン思考を手に入れるヒント”など、潜在意識についての記事が満載。



掲載の記事・写真・イラスト等のすべてのコンテンツの無断複写・転載を禁じます。

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2013年03月30日

うつ病のサインを見逃さず

うつ病のサインを見逃さず
2013.3.29   読売新聞「生き生き快適生活」

かかりつけ医に まず相談


 誰もがなる恐れのある「うつ病」。
高齢者は体の衰えなどもあり、とくにかかりやすいとされる。
予防を心がけるとともに、本人だけでなく、家族など周囲も発症のサインを見逃さず早期発見につなげたい。


 東京都西東京市で14日、高齢者のうつ病について学ぶ講演会が開かれた。
精神科医の百瀬千春さんが、具体的な症例に基づいて、高齢者のうつ病の特徴などを説明した。


 ある70代の女性は、夫や息子と死別し、娘の家で同居を始めたところ、しきりに頭痛や息苦しさなどを訴えるようになった。

しかし身体に問題はなく、心療内科で診察したところ、うつ病だとわかった。
「この女性は、肉親を失ったこと、生活環境が大きく変わったことが、うつ病の引き金になったと思われます」と百瀬さん。


 慶応大教授の三村将さん(老年精神医学)によると、高齢者の場合、

〈1〉夫や妻、親しい友人と死別する
〈2〉定年で仕事や社会的役割を失う
〈3〉老化とともに健康が損なわれる
――といった「喪失感」が、うつ病を招くことが多いという。

「退職して人と会う機会が減ったり、本人が年齢的な衰えと思っていたりして、発見が遅れる傾向もあります」


 厚生労働省の2011年の患者調査によると、うつ病(そううつ病を含む)の総患者数は95万8000人。
このうち、65歳以上は27万8000人とほぼ3割を占める。

三村さんは「職場で受診を促される会社員などと違い、高齢者は、うつ病でも医師の診察を受けていない人も多く、実際の患者数はこれよりかなり多いと思われます」と推測する。


 高齢者のうつ病の場合、一般的なうつ病の特徴である「抑うつ気分」が必ずしもみられないことも、早期発見を難しくしている。
物忘れが激しくなって認知症かと思われたが、実はうつ病のため集中力が低下していた、ということもある。


 一方、高齢者のうつ病には、体の不調を繰り返し訴えたり、漠然とした不安や焦りで、むやみにイライラしたり、といった特徴がある。
「周りに迷惑をかけている」などと、根拠のない考えにとらわれるケースもみられるという。


 高齢者のうつ病は、悪化すると家族の負担も大きくなる。
ただ、早い段階で発見できれば、治療によって改善しやすい。

寝付きが悪くなったり夜中に目が覚めたりといった不眠、食欲不振、疲れやすく常に体がだるいという自覚症状が2週間以上続いた場合は、他の病気とともに、うつ病も疑ってみる。
周囲も、最近やせてきた、口数が少なくなった、外出が減って家に閉じこもるようになった、飲酒量が増えた、といったサインに気づくことが大切だ。


 こうした兆候があった場合は、精神科や心療内科で診てもらうのが望ましい。ただ、高齢者には、精神科の受診に抵抗がある人も少なくない。
百瀬さんは「まず、かかりつけの医師に相談してみましょう。各地の地域包括支援センターに話してみるなど、本人や家族だけにとどめないでください」と話している。


高齢者のうつ病を防ぐ生活習慣
・規則正しい食事や睡眠など、生活のリズムを守る
・気が向いた時はなるべく外出し、日光を浴びる
・無理のない範囲で、適度に体を動かす
・趣味や孫の世話などの「生きがい」を持つ
・地域活動への参加など、積極的に人づきあいする
 (百瀬さん、三村さんの話をもとに作成)
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2013年05月15日

香山リカのココロの万華鏡:回復へ一歩ずつ歩んで 

香山リカのココロの万華鏡:回復へ一歩ずつ歩んで
毎日新聞 2013年05月14日 東京地方版 


 オランダ王室の行事に出席し、無事に帰国された雅子さま。
海外での公務は11年ぶりだったがテレビ映像で見るかぎり、いつも笑顔でお元気そうだった。


 よく知られているように、雅子さまは「適応障害」というストレス性の不調を抱え、長い間療養生活を送っている。

その中でも長女の愛子さまの登校に付き添ったり、東日本大震災の後は被災地を訪問するなど「自分でなければできないこと」を中心に、いろいろな活動に取り組んでいる

その都度、私のように不安と期待が入り交じりながらテレビなどを見て「体調も安定なさっているみたい」とか、「もしかしてお疲れぎみかも」などと思っている人もいるのではないだろうか。


 考えてみれば、これはご本人にとっては大変な負担だと思う。
診察室でも時々、「夫の実家や職場から毎週、体調を尋ねる電話がかかってきます。

ありがたいのですが『そんなに注目しないで』と言いたくなることも」という声を聞くことがある。
「早く治さなきゃ」と一番感じているのは本人なのに、周囲から「どうですか? まだ来られませんか?」「この間ちょっと会ったときは元気そうだったけれど、あと何週間くらいで薬をやめられそう?」などと言われると、余計に焦りを感じてしまう。

結果的には、そのプレッシャーが回復を遅らせてしまうこともあるのだ。


 雅子さまの場合も、医師団や皇太子さまは「温かく見守って」と繰り返し、国民やマスコミに呼びかけている。
しかし、「関心を持ちすぎずに見守る」ということには限界もある。

特に自分自身もストレス性の症状を抱える人にとっては、「雅子さま、公務にお出かけしたみたいだから、私もあきらめずに外に出てみます」と、雅子さまの行動が直接、参考になることもある。

診察室で「あんなに素晴らしい方でも心身のバランスを崩されるんですね。
だとしたら私が病気になっても当然かも、と思えました」と語った女性もいた。
ご本人には伝わっていないかもしれないが、雅子さまの存在は多くの人のなぐさめ、励ましになっているのだ。


 回復ということだけを考えれば、みんながあまり注目せず、ご自分のペースでリハビリしていただくのが一番望ましい。
とはいえ皇太子妃という立場上、誰も見ない、報じない、ということはほぼ不可能。

難しい環境の中で治療を続け、今回大きな仕事をクリアすることができた雅子さま。これからも一歩ずつ、回復に向けて歩んでいっていただきたい。

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2013年05月24日

「新型うつ病」という言葉の功罪について考える

「新型うつ病」という言葉の功罪について考える
鈴木 伸一/早稲田大学人間科学学術院教授
読売新聞オピニオン

「新型うつ病」とは


 「新型うつ病」という言葉が、テレビや新聞で取り上げられることが増えている。
気分の落ち込みや無気力な状態を示す反面、たのしいことがあれば気分が高揚し、一見するとわがままなようにも見え、若者に多く、他罰的で、自分が病気であることを周囲の者や医師にすすんで報告する。

このような状態像を表現する通称として使われる。

また、「現代型うつ」「逃避型うつ」「未熟型うつ」などの表現もされることがあり、一般の人には、いろいろなタイプの新しいうつ病が登場したかのような印象を与えている。
しかし、これらの「○○うつ」と呼ばれる病気は、現行の標準的な診断基準におけるうつ病のサブタイプとしては存在しない。

日本うつ病学会(うつ病の診断と治療に関する専門学術団体)も、2012年に公表した「日本うつ病学会治療ガイドライン 大うつ病性障害2012ver.1(日本うつ病学会NEWS、 Vol.9、 2012)」において、“「現代型(新型)うつ」は、マスコミ用語であり、精神医学的に深く考察されたものではなく、治療のエビデンスもない”、と見解を述べている。


 つまり「新型うつ病」に代表されるいくつかかの新しい名称は、現代社会にうまく適応できず、不全感を訴え、刹那的な自己防衛的態度に終始するかのように周囲から見えてしまう若者の状態を表現したものに過ぎない。

それらの中には、もちろん何らかの精神疾患の診断基準に合致し、適切な治療が必要とされる者が含まれているが、一方で、周囲が、あるいは自分が「うつ病である」という認識を持つことで(そうではないのに・・)、本来ならば乗り越えていくべき成長のためのステップを先送りしてしまっているケースも存在するといえるだろう。


 このような混沌とした状況は、正しいメンタルヘルスの普及という観点からは、決して望ましいことではない。
なぜなら、この十数年間、行政、医療機関、そして企業は、年間3万人の自殺者を出している日本の現状を打開するべく、連携しながらうつ病をはじめとする精神疾患の早期発見、早期治療、そして社会復帰の支援に取り組んできた。

しかし、「○○うつ病」という言葉の登場によって、「結局、うつ病は、怠けているだけ、つらいことから逃げているだけ」という印象が広まりつつあり、これまで力を注いできたメンタルヘルスの基盤づくりに水を差しかねない状況が生じている。

第二として、メンタルヘルスの本質的な命題は、病気の発見や治療ではなく、ストレス社会に負けない「人間力」や「折れない心」を育むことである。

しかし、「○○うつ病」に限ったことではないが(たとえば、アダルトチルドレンや○○シンドロームなど)、特定の精神病理に関する「造語」が登場し、それらを連想させる状態が少しでもみられると(自分が感じると)、生活行動のすべてがそのラベルに帰属され、本人が持っている多様な可能性を矮小化してしまう。
結果として、成長の機会や周囲からの本来得られるべき適切な支援が阻害されてしまうのである。

背景にある若者への危惧


 「新型うつ病」は、造語とはいえマスコミ用語として広く共感を得るのには、それなりの理由がある。
そこには、未熟で傷つきやすく、困難を乗り越えようとする力強さが貧弱であり、ゲームやインターネットコミュニケーションなどの即時的なフィードバックには熱中するものの、中長期的な我慢と努力の結果としてでなければ得られない成果には興味を示さない、といった若者への危惧が背景としてあるのかもしれない。

おそらくこのような「若者の危うさ」はいつの時代にも存在していたのかもしれないが、
その危うさが故の失敗や困難を経験する中から「一人前」に成長していくプロセスが、個人の中にも社会の中にも、かつてはあったのであろう。

しかし、「こども」が「おとな」へ成長していくプロセスを取り巻く、家庭、教育、そして社会環境が変化していく過程で、「一人前」になることを先送りするのを許してしまう(あるいは、黙認する、放置する)時代になってしまったのかもしれない。

その詳細については、社会病理学者に委ねるとして、臨床心理学の専門家として強調したいのは、
こころのケア」の基盤をしっかりと整えることと、「現代社会を生き抜く人間力を育む」ことは相反しないということである。

つまり、現代的な若者を「おとな」へと導くプロセスは、「しっかりしろ」と突き放すことではないし、ましてや腫れ物に触るように接することでもない。

具体的な目標を示し、温かく導きながらも、しっかりと自分で責任を取ることの重要性を毅然として教えていくことだといえるだろう。

個人主義やITコミュニケーションが社会全体に浸透し、「踏み込まない人間関係」が是とされるが故に、人間力を育む厳しさと温かさを兼ね備えた豊かな人間関係が持ちにくくなり、結果として、心身の不調のサインを見逃してしまう。

さらには、心身の不調が発覚した後も、社会復帰の支援基盤となる豊かな人間関係が脆弱であるために、本人も周囲も「どうしたらよいかわからない」という状態で迷走するというケースが少ないように思われる。
このような若者と周囲の困惑が「新型うつ病」の正体なのかもしれない。


 「新型うつ病」という造語を、憂慮する若者像をラベリングするための「便利語」として見るのではなく、若者の危うさを改めて咀嚼し、人間力を育むための具体的策を考えるきっかけとして活用していく必要があるのかもしれない。

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2013年05月29日

香山リカのココロの万華鏡:リワークプログラム 

香山リカのココロの万華鏡:リワークプログラム
毎日新聞 2013年05月28日 東京地方版

 会社勤めをしていたが、うつ病で長期にわたり休職しなければならなくなった。
これは今、珍しいことではない。
職場を対象にした調査で、6割前後が「メンタルヘルスに問題を抱えている社員がいる」と回答している。


 その人たちはその後どうするのか。
まず精神科や心療内科などを受診し、必要なら休職の診断書をもらい心身を休めながら適切な治療を受けるだろう。

回復の兆しが見えてきて、本人にも「また働きたい」という意欲が出てきたら、主治医はこう言うに違いない。


 「いきなり復職するのは危険だから、少しずつ『慣らし出勤』したほうがいいですね」


 なぜ「治ったから復職」は危険か。
症状が治まったとはいえ、家で休んでいる状態と通勤して仕事をしている状態とでは大きな差がある。
特にうつ病では、回復後もしばらくは「心身のエネルギーの使いすぎ」を避けなければならないので、急にフルタイムで働き出すことでの緊張感で大きなエネルギーを消耗してしまうのは望ましくない。

だから、まずは通勤に慣れる。
それから短時間の単純業務や同僚との顔合わせなど、慎重な「慣らし出勤」を経てからの復職が必要なのだ。


 とはいえ企業や事業所には、「ウチには『慣らし出勤』なんて制度はない」というところも少なくない。
また、実際に職場へ行く前に、もう少しハードルの低いリハビリをしたいという人もいる。

 そういう人たちのために医療機関や行政、あるいはNPO法人などで提供するのが、復職支援(リワーク)プログラムだ。

そこでまず、毎日決まった時間に電車などに乗り、決められた場所に行く練習。
家族以外の人と話をする練習。
さらにはパソコンや調べものに取り組んだり、うつの気分に陥らないためのスキルを身につけたりして復職に備える。
そんなリワークプログラムが、最近のメンタルヘルスの世界で熱い注目を受けている。


 私が勤務する診療所にはこのプログラムがないので、復職を考える患者さんを別の医療機関などにお願いしながら、いつも思う。
うつ病で休職した場合に限らず、何事も一旦ペースを落としたら、突然またバリバリ再開するのは危険なのだ。

 風邪など体の病気。
身内の不幸で休んだ場合。
失恋など個人的な事情で仕事に集中できない日々を送った後だって同じだ。

焦らず慌てず
、「休んだ分を挽回しよう」なんて思わずに、
少しずつ元のペースに戻していく。普段からそう心がけてはどうだろう。

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2013年06月28日

「天」が うつ病退職を与えてくれた・・??

何か「天」が 鬱退職を与えてくれたような感謝の日々だと 今は思います。

退職を本気で考えたのは、休職中に精神障害2級の障害者手帳と障害年金2級が決まったこと。

休職前から 仕事(当時 支援級担任)と弟の所沢の防衛医大救急搬送で、川口と所沢、川崎の介助の日々による疲労蓄積、
どう理性的に受け取ろうとしてもパワ―ハラスメントとしか思えない校長の言動。

最初の精神科受診で主治医の管理職にたいする宣言「今 休ませないと自殺に走る恐れがある」ととった休職。
平気で教育委員会学務課の説明と違う手紙を校長は送り付け、ストレス対策で学務課が私と直通連絡をするようになる。

退職してから、弟の入院と転院・死、父の手術・入院・介助、母の腰椎骨折の介護と今日のような救急搬送。

今日は、母のディケアーの日だったことが幸いし 施設管理者には救急車手配などでお世話になりました。
施設で30分ほどリハビリしていたら 腹痛を訴え 血圧も安定せず 低下したとのこと。

原因は、脱水と宿便と夜から朝の食事の取り過ぎということで 心臓・血液検査では異常なし。

(トイレへ行くのが多くても便秘ぎみだったのと、朝父親の食欲がないというので 大き目のクロワッサン2個(両親用)を差し入れしていたのですが、それを夜 トイレに行くたびに2つとも食べ、その上 ディケアーに行く前に 食パンとおかずもたべたとのこと・・)

付き添い・母の自宅までの介助、薬局、また借りた入院着の返却と バタバタ。
どんなに憎まれ口を叩かれても 生きて欲しいと救急救命室をでるまで不安でした。

父の通院介助を妹に頼み、母の様子観察。

今は 早期退職して本当に良かったと思いました。

いつも疲れの反動は大きいのですが、何かあっても 他の人・家族のためなら 動ける自分を発見できるのは 一歩前進かな? と思います。
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2013年10月07日

丸岡いずみ、うつ病の体験を告白=「首をつろうと思った」

丸岡いずみ、うつ病の体験を告白
                =「首をつろうと思った」
2013/10/06-14:53  時事ドットコム

 元ニュースキャスターの丸岡いずみが6日、東京都内で自著「仕事休んでうつ地獄に行ってきた」の出版記念トークショーを行った。

同書はうつ病を患った体験をつづったエッセーで、丸岡は「父のベルトを見ただけで、首をつってしまおうかと思った。
『生きていない方がいいのでは…』と考えたこともあった」と告白。
休むことも生きることというメッセージを伝えたい」と本に込めた思いを明かした。

 丸岡は東日本大震災の発生直後に岩手県陸前高田市で取材するなど、キャスターとして多忙な日々を送っていたが、次第に心のバランスを崩し、うつ病を発症した。

トークショーでは「私の場合は下痢がひどく、食べられず、眠れなかった。リポートでは言葉がスラスラと出なくなり、(原稿の)『山』や『川』に振り仮名を書いていた」と振り返った。

 その上で、「うつ病ではないかという思いがどこかにあったが、(病気を)認めたくなかった。
心の持ちようで治ると考え、(初めのうちは)薬を飲まなかった」と述べ、「(療養した故郷の徳島県の)のどかな山と川に癒された。
東京に一人で残っていたら、間違いなく死んでいた」と続けた。

 また、夫で映画コメンテーターの有村昆から「トークショーを開くまで回復し、夢のようです」などとするメッセージが読み上げられると、感極まって涙を流し、「どれだけの人に支えられて今の自分があるのか、うつになって初めて分かった。
見守ってくださった視聴者に感謝しています」と話した。

 今後の活動については、「書きたいテーマがあるので本を執筆したいし、新たな挑戦としてテレビのバラエティー番組にも出演したい」と意欲を見せ、「新しい家族ができればいいな」とも語った。
posted by 小だぬき at 19:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月19日

元テレビキャスター 丸岡いずみさん うつ病(1)

一病息災  うつ病 
元テレビキャスター 丸岡いずみさん

2013年12月12日 読売新聞)


被災地での取材 頭皮に発疹 テレビから一昨年の夏、突然消えた。
眠れず、食べられず、の体調不良が1週間も続いていた。
「このまま東京にいたら、死んでしまうかもしれない」とまで思い詰め、徳島県の実家に帰っていた。


 北海道の地方局のアナウンサーから、29歳で日本テレビの中途採用試験に合格した。

初めは報道局の社会部記者も経験した。
人気番組での司会者との掛け合いが評判となり、その容姿と当時の年齢から「奇跡の38歳」と言われた。

2010年から夕方のニュース番組の看板キャスターを務めていた。


 「東京のキー局での仕事は、高速道路をノンストップ、ハイスピードで爆走している感じでした」。
雑誌カメラマンの追っかけや隠し撮りにも、神経を使っていた。


 運命の年となる11年は、格別に忙しかった。

2月のニュージーランド大地震では、翌日には現地入りした。
帰国して間もなく、東日本大震災が起きた。
帰宅難民で大混乱の東京都内の取材が終わると、翌朝、被災地に向かった。


 津波に傷つけられた数多くの遺体と、がれきの山。
あまりにも悲惨で、私のすべての感情が一瞬にして凍りついた気がした


 1回目の現地取材は約2週間だった。
その間に頭皮に発疹ができ、どんどん広がっていった。これこそ、あの病気の前兆だった。        
◇         ◇
元テレビキャスター 丸岡(まるおか)いずみさん 42

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2013年12月20日

病気に偏見 薬飲めず 丸岡いずみさん。うつ病(2)

一病息災  うつ病 (2)
元テレビキャスター 丸岡いずみさん
病気に偏見 薬飲めず
2013年12月19日 読売新聞)

  東日本大震災から間もない2011年4月、英国皇太子の結婚式をロンドンでリポートした。

帰国すると、また定期的に大震災の被災地に入った。


 6月には海上自衛隊の護衛艦に同乗して、行方不明者の捜索を独占取材した。
小型ボートで海上にも出た。

かなりの時間がたった遺体に、息をのんだ。
艦内には女性用の部屋も風呂もなく、緊張感に包まれた4日間だった。


 翌月からあまり眠れず、食欲がなくなってきた。

8月後半になると、一睡もできなくなった。
「心も体も悲鳴をあげている状態でした」


 民主党代表選挙の会場から秒刻みでリポートしていて、ついに言葉に詰まった。
「ポキンと折れた」と自覚し、局に休暇を申し出た。
「しばらくは東京には戻れない」と覚悟して、故郷の徳島に戻った。


 親類が勤務する総合病院に入院し、週1回、別の病院の精神科に通った。予想していた通り「うつ病」と診断された。

だが、処方された薬が飲めなかった。

この病気に偏見を持っていて、「この薬を飲んだら、本当のうつ病患者になってしまう」と思い込んでいた。


 病状は悪化する一方だった。
インターネットのニュースに「長期休暇の真相は、うつ病」という記事が流れた。周辺が騒がしくなり、さらに追い詰められていった。


◇         ◇         ◇
 元テレビキャスター 丸岡(まるおか)いずみさん 42
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2013年12月27日

うつ病(3)被害妄想で過呼吸…再び入院

元テレビキャスター 丸岡いずみさん
うつ病(3)
被害妄想で過呼吸…再び入院
2013年12月26日 読売新聞

 テレビから突然消えて1か月がたった2011年9月末、うつ病の診断書を会社に提出した。
そして、看板キャスターを務めていた夕方のニュース番組の降板が発表された。


 もらった薬は、こっそり病室の隅に放り投げていたから、体調は悪化するばかりだった。
しかし、2か月も入院したので、帰宅することになった。

マッサージや神社に祈願などに通ったが、回復しなかった。
体力が落ちて、実家の2階へは、階段をお尻ではって移動した。


 悪いことばかり考えていた。髪が数本抜けると、「全部抜けて、ツルツルになるに違いない」と。
父のズボンのベルトを見たら、「これで首をつったら、らくになるだろう」とも。


 「親たちには、うつ病で帰ってきた娘は重荷でしかないはずだ」などと思い込んだ。
「こんな状態になったのは、母がヒ素を盛ったからだ」とさえ信じ始めた。
被害妄想に陥っていた。


 とうとう過呼吸で、口がパクパクの状態になる「過換気症候群」を起こし、精神科の病院に入院した。

この入院がすべてを救ってくれた。
看護師の前で薬を飲まねばならず、ごまかせなかったのだ。


 きちんと薬を飲むようになると、すぐに眠れるようになり、食欲も出てきた。
わずか2週間で体調が戻り、被災地の取材から出来た頭の発疹も消えていた。

◇         ◇         ◇
元テレビキャスター 丸岡いずみさん 42
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2014年01月05日

うつ病 「脳の病気」きちんと薬を

元テレビキャスター 丸岡いずみさん
うつ病(4)「脳の病気」きちんと薬を
2014年1月2日 読売新聞

  薬を飲んだら、すぐ快方に向かい、精神科の医師からは「薬が教科書的に効く人ですね」と言われた。
入院してから1か月足らずの大みそかに仮退院できた。


 家族と穏やかな正月を過ごした。
突然の帰郷以来、4か月ぶりにテレビを見た。
「うつ地獄から帰ってきたことを実感しました」。
間もなく正式に退院した。


 父がガーデニングをやっていたので、一緒に初めての土いじりを楽しんだ。ところが、「農家に転身」という記事を書かれてしまった。
うつ病発症の前だったら動揺しただろうが、「どん底まで落ちて戻ってきたので、好き勝手にお書きくださいと、開き直ることができました」。


 発病の前後に知り合った映画コメンテーター、有村昆さんの存在が、退院後の支えとなった。
当初は男性として意識していなかったが、東京から徳島まで何度も会いに来てくれた。
2012年8月に東京で2人の生活を始め、翌月、退社した。


 体調は8割まで戻ってきたと感じている。
でも、「ニュースキャスターの仕事は自分では全うした気持ちなので、しばらくは距離を置こうと思っています」。


 今回の闘病を通してこう呼びかける。
「うつ病は“心の風邪”ではなく、脳の病気。
きちんと薬を飲んで治しましょう」(文・斉藤勝久)

◇         ◇         ◇
 元テレビキャスター 丸岡(まるおか)いずみさん 42
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2014年01月30日

精神障害者手帳が見つからず パニック中の今

精神障害者手帳がない!!

月曜日の朝、母の通院のためにタクシーを呼んだ時までは 確かにポケットに入っていました。

手帳の中に退職互助会会員証・バス定期券・タクシー会社名刺がはいっているので 手帳を見て電話したことまでは 鮮明に覚えているのです。

火曜日は 意識せず 時計の電池替えや本の整理。

水曜日に銀行に行くために バス定期券が必要なので いつも置いてある場所を見たら「ない!!」

月曜日に昼食をとったジョナサンは・・・・「忘れ物なし」の記録
こうなるとありそうな場所の家探し。どこにも「ない!!」

しばらく治まっていた「うつ症状」の再発。
他人に悪用されたら・・・とか、悪い方へ悪い方へと思考が行き、眠れない。
とうとう徹夜してしまいましたが 徒労。

今日は 記憶を頼りに薬局・スーパー・コンビニに保管してないか 周るつもりです。
どうも 落ち着かない朝をむかえました。
しばらく症状が酷くなかったのは、マイペースでもあるべきものがあったからと 改めて「うつ2級」を思い知らされました。

見つかるまで不安定な更新になることをお許しください。
posted by 小だぬき at 07:08 | Comment(2) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

障害者手帳が、見つかりました。

悩むより行動ですね。

朝から眠れずに実家へ 妹は在宅で母を、私は父の通院介助に午前中を費やしました。

妹に「手帳探しで2日間眠れず」といったら、「兄貴、警察に届けた・・」との問い。
いつも 何気なく置いているので どこかに置いてあると部屋整理しながらさがしていたんだ」と返事。
父と帰宅したら 妹から「所轄警察」「区役所」の電話番号を渡されました。

さっそく所轄警察に電話すると「何色の手帳ですか・・他に何かいれていますか?」というので詳しく答えると すべて一致しました。届いていますとのこと。

10年パスポート(一度も使用しないで8年目)を身分証明にし 受取り印のみで14時過ぎに 所轄署から 障害者手帳を受領しました。

届けて頂いた人はと聞くと ローソン100の店員さんが 27日月曜日午後にとのこと。
 
薬の量が多いので 27日14時に薬局→スーパー→ローソン100→ジョナサンとカートを引きながら散歩したのですが・・・。
ローソン100で大量の文具・飲料・食品を買い込み、お釣のないようにポケットをさぐっている時落ちたようです。

すぐ ローソン100店舗に電話をしてお礼。

現金なもので 自分の不注意にも関わらず 見つかったことで心身とも軽く警察まで往復。今、無性に眠くなっています。

妹の言うとおり、一通り探しても見つからなければ すぐ警察に・・・を心掛けていきます。
落ち込み、「冬眠」に入りそうだった小だぬきが 一本の電話で生き返りました。

今日は いい睡眠ができそうです。
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2014年02月04日

憂楽帳:ぼっちにしない

憂楽帳:ぼっちにしない
毎日新聞 2014年02月03日 大阪夕刊

「障害者をひとりぼっちにしないことが原点」。

兵庫県宝塚市の男性(63)は20年以上、精神障害者が互いの悩みなどを語り合う自助グループ活動に取り組んできた。

家族にも分かってもらえない病苦を、似た症状や同じ経験を持つ人に聞いてもらうことで心が軽くなる、という参加者が多いという。

自身も約30年、うつ病に苦しんできた。「仲間ができ、自立の第一歩」とその効用を説明する。


 同県尼崎市の別のグループは4月で発足7年。

再び社会との接点を探り、就職など次の段階に踏み出す人もいる。

「判断力が低下し、仕事で『自分で考えろ』と突き放されると途方に暮れる」などと意見を出し合い、こうした課題が福祉政策にも反映されるよう行政に提言もしている。

事務局長の女性(44)は「人知れず苦しんでいる人も多く、こうした場があることを広く知ってほしい」と。


 精神障害は外見的に分かりにくく、周囲の理解や支援が得られにくい。

だからこそ、当事者が互いに支え合って前へ進もうという取り組みの必要性は高い。
こうした活動に、温かい社会であってほしいと願う。
                  【花牟礼紀仁】

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2014年04月11日

悩みを溜め込んではダメ!自分で自分のメンタルを守るための5箇条

悩みを溜め込んではダメ!
自分で自分のメンタルを守るための5箇条
2014.04.11 12:00 NEWSポストセブン

桜も咲き終わり、日に日に暖かくなって、なんとなくワクワクする季節ですね。

その一方で、“五月病”という言葉もあるように、職場の異動や環境の変化などで、「なんとなく自分のメンタルが落ち込み気味……」という人も増えているのではないでしょうか。

人間関係や環境の悩みを溜め込んでしまって、「気付いたらうつ病かも……」と手遅れになってしまっては大変です!

 そうなる前に、自分で自分を助ける“セルフヘルプ術”を知っておきましょう。
そこで今回は、マリアージュカウンセラー・斎藤芳乃さんの近著『一週間で自分に自信を持つ魔法のレッスン』を参考に、うつ病予防に取り入れたい、“自分で自分のメンタルをコントロールし穏やかに保つ方法”を、ご紹介します。

■1:無理に頑張らない

<できないものをできるようにする必要はありません>
無理に頑張ったりしないことが重要です。
苦しい時は自分一人で抱え込まず、誰かに助けてもらうという選択肢も増やしてみて下さい。
<楽になることを目的に行動する> このような考え方ができると、目の前のストレスから解放されます。

■2:関わる人を選ぶ

<自分から関わりたい人や環境を選ぶ>
自分にとってストレスを感じる人をなるべく避けて、素直な気持ちを話せる人とだけ積極的に関わるとよいそうです。
また、さみしい時は、自分を孤独にさせないことも重要とのことです。

■3:自分で自分に幸せを与える

幸せにしてほしいと感じる時は、誰かに満たされることばかり求めるのではなく、自分で自分に幸せを与える手段を選ぶことで、次第に満ち足りた時間も増えてくるといいます。

■4:傷つけられた時は守ってもらう

<誰かに傷つけられたときは怒ってもいい>
傷つけられ、怯える前に、怒ってもいいのです。
また、そんな時は、 <友人であれ、弁護士であれ、上司であれ、誰かに守ってもらうことで、傷つけられた痛みや不安は改善>
自分一人で抱え込むと、どんどんネガティブな気持ちが膨らんでしまいますよね。
そんな時は守ってもらうことも重要です。

■5:休む勇気を持つ

なにかをしていて苦しいな、と感じたら無理して続けずに休む勇気を持って下さい。
完璧にする必要はないし、休む自分を自分自身が許せることで、 <「できないからダメなんだ」と自分を傷つけてしまうことも減っていきます>

以上、“自分で自分のメンタルをコントロールし穏やかに保つ方法”をご紹介しましたが、いかがでしたか?

頑張り屋さんな人ほど、自分自身に厳しくなってしまい自分を追い込んでしまうということがあります。
放っておくと、うつ病になる可能性があるので、ぜひ今回の記事を参考に、自分で自分を守る“セルフヘルプ術”を身につけてくださいね。
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2014年04月16日

香山リカのココロの万華鏡:夢見るのは悪くないけど 

香山リカのココロの万華鏡
:夢見るのは悪くないけど 
毎日新聞 2014年04月15日 首都圏版

 STAP論文問題をめぐる騒動が収まらない。
研究や論文執筆で中心的な役割を担った理化学研究所の小保方晴子リーダーの記者会見は、テレビで生中継され、新聞でも大きく取り上げられた。

 いろいろな分析や感想があると思うが、私が気になったのは何度か出てきた「役に立ちたい」という言葉だった。

STAP現象に出合って以来、「いつか多くの人々の役に立つ技術にまで発展させていける日を夢見て」、研究を続けてきたのだという。

 小保方さんの気持ちにウソはないのだろう。
大学でも「社会で必要とされる人間になりたい」「大勢の人たちのために何かしたい」と将来の夢を語る学生は少なくない。

「私さえよければいい」という自己中心的な考えに比べれば、「役に立ちたい」という気持ちは立派だと言える。

 しかし、そこに一つ落とし穴がある。
それは、「役に立たなければダメなのか」という問題だ。

診察室では、世の中や人々のために何かしたいと考えていたのに挫折した人が、ときどきやって来る。
まずは自分の健康や楽しみのために生きてもいいんじゃないですか」と助言すると、「それでは人生の意味がない」と首を横に振ってこう言う人もいる。
「誰かの役に立たなければ、私が生きていることにも気づいてもらえない」

 「役に立ちたい」は「認めてもらいたい」という欲求と裏表の関係にある。
そういう人は時として、なんとか認めてもらおうと夢中になり、いつの間にか「役に立つ」という、はじめの目的を忘れてしまうこともある。

 社会の役に立つのはすばらしいことだが、それだけが生きる意味ではない。
自分がまずその日、その日をしっかり生きて、大勢に知られなくても手ごたえのある暮らしを送る。
季節の移り変わりを楽しみ、身近な家族や友人と笑いあう。
「人生はそれで十分」という気もする。

 小保方さんは「役に立ちたい」と思いすぎ、「病気で苦しむ人も子宮がなくて出産できない女性も、みんなが救われる」とあまりに大きな夢を追いかけすぎたのではないだろうか。
もしかすると、それくらいのことを達成できないと科学者人生には意味がない、と思ったのかもしれない。

 夢を見るのは悪いことじゃないけれど、夢がかなわなくたって生きる意味はある。
もっと等身大の生活を送る道もあったのではと、「とにかく役に立ちたい」と繰り返す学生たちの顔を思い浮かべながら考えてしまった。
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2014年04月17日

従業員半減で不調倍増…おさえておきたいうつ病必須知識

従業員半減で不調倍増…
おさえておきたいうつ病必須知識
2014.4.16 日刊ゲンダイ

仕事でストレスゼロの人はほとんどいないだろう。

「景気回復」といわれているが、それを実感できている人がどれくらいいるか…。
だれが、いつうつ病を発症してもおかしくない時代

サラリーマンとして知っておくべきうつ病対策など、東京女子医大東医療センター精神科・山田和男教授に聞いた。

■同僚・部下のうつ病サインを見逃さない

 山田教授があるメーカーの産業医から聞いた話だ。
以前は心の不調に関する相談者数は月5〜10人だったのがリストラで社員数が半分に減ったら、月の相談者数は2倍に増えたそうだ。

「社員数が減り、1人当たりの仕事量が増えたのが原因です。
残業ゼロでもうつ病になるリスクはありますが、残業時間が増えるとリスクがより高くなる傾向があります」

 残業が増えると、睡眠時間が減る。
興奮状態の時に働く交感神経から、リラックス状態の副交感神経への切り替えがうまくいかなくなり、自律神経の働きが悪くなる。
すると、精神の疲労が蓄積され、うつ病を発症しやすくなる。

同僚や部下のうつ病サインを見逃さないためのポイントとして、残業45時間以上をひとつの目安にし、『仕事のパフォーマンスが落ちた/ミスが多くなった』『明らかに食欲が落ちている』のどちらも見られるようなら、うつ病が疑われます

 最近は“典型的なうつ病(メランコリー型)”より、“一見では分かりにくいうつ病(非定型)”が増えているので、うつ病サインでよくいわれる「抑うつ気分」「意欲・気力の低下」
「興味の喪失」などは周囲から分かりにくい。

家族ではなく、会社の仲間ならなおさらだ。

「しかし、仕事のミスなどは目立ちますし、食の進み具合も比較的チェックしやすい。

この2点があるようなら、会社に産業医、保健師、衛生管理者がいるなら彼らへ、いないなら心療内科医や精神科医への相談を勧めた方がいいでしょう」

■復職後のポイント

「休んでいた分を取り戻さなければ」とシャカリキになるのは厳禁。
うつ病を再発しかねない。

山田教授が10年以上産業医を務めている製造業では、試行錯誤の末、復職後のうつ病再発を回避するためのプログラムを次のようにした。

「主治医が復職可能としても、“ならし勤務”をしてもらいます。
最初の1カ月は午前中出社。
うつ病は午前中の調子が悪いので、その時間帯に仕事ができるかを見ます」

 この間、締め切りのある仕事は任せず、メールの整理などをしてもらう。
「土日祝日以外は1日も休まずに勤務できたら、次の1カ月は定時までの勤務。
こちらは9割以上勤務できればOKです」

 半日勤務、あるいは定時までの勤務が途中挫折したら、もう一度イチから始めてもいい。
ただし、“ならし勤務”は最大3カ月。

この間に半日勤務と定時までの勤務を1カ月ずつ続けられないなら、復職はまだ早い。

「半日勤務も、定時までの勤務も、『1カ月続ける』ことがポイント。
うつ病から十分に回復していなければ、1週間は頑張れても、2週間目あたりから息切れがしてきます。
無理して復職し、うつ病再発となれば、治りが悪くなります

 企業の体制で“ならし勤務”のようなことができなければ、クリニックなどで「復職プログラム(リワーク)」を設けているところがあるので、利用するのも手だ。

ただし、内容は千差万別なので、きちんとリハビリになりそうなところを選ぶことが大切だ。
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2014年05月01日

うつ病の人を支えるときに必ず知っておきたいこと9つ

うつ病の人を支えるときに
必ず知っておきたいこと9つ
2012/05/12 21:00 by 中田綾美 Menjoy!

大切な人がうつ病になってしまったら、あなたはどのように振る舞いますか?

 「大切な人がうつ病のときにあなたがやるべき9つのこと【前編】・【後編】」では、医学の専門家からのアドバイスをお届けしました。

さらに、心理学の専門家からのアドバイス9つを3回にわたって紹介していきます。

うつ病の人を支えるときに必ず知っておきたいこととして、今回は、

1:苦しんでいる相手に寄り添う、2:会話以外の方法でもコミュニケーションを図る、3:判断しない・批判しない、の3つを見ていきましょう。

■1:苦しんでいる相手に寄り添う

うつ病の人にあなたが出来る最も大切なことは、そばにいてあげること。
心理学者のデボラ・セラーニ氏は、自身のうつ病体験を振り返りながらこう話します。

「うつ病で苦しかったとき、最も癒されたのは泣いている私のそばに愛する人が寄り添ってくれたこと。何も言わずに手をとってくれたこと。
あるいは、“あなたは私の大事な人だよ”とか“私に何かできることがあれば言ってね”と優しい言葉かけてくれたことです。
自分がされて嬉しいことを、うつ病の人にもしてあげてください」 何も特別なことをする必要はありません。
ただ、そばにいるだけでも、うつ病の人の心を支えることができるのです。

■2:会話以外の方法でもコミュニケーションを図る

うつ病になると、普段のように会話を楽しむことができません。
場合によっては、言葉を交わすことで、ますます気分がふさぎこむおそれもあります。
なので、うつ病の相手に対しては、会話以外の方法でコミュニケーションを図ることも大事でしょう。

たとえば、メモを渡したり、メールしたり、留守番電話にメッセージをふきこんだりなどです。 「こういう働きかけは、自分と相手が愛情で結ばれていることを感じさせてくれるものです。
また、暗い気持ちで沈んでいる人にとって、一筋の光明にもなるでしょう」
うつ病の症状のひとつとして、理由のない孤独感が挙げられます。
「いつもあなたのことを気にかけているよ」というあなたの気持ちがこもったメッセージによって、その孤独感が少しでも緩和されるのではないでしょうか。

■3:判断しない・批判しない

あなたの言葉は、うつ病の人にとって強力なインパクトがあります。
健康な人の視点から、うつ病の人を判断したり、批判したりするのは避けてください。

たとえば、「コップ半分の水を見て、“半分しか入っていない”と思うのではなく、“半分も入っている”と思うことが、今のあなたには必要なのよ」という説教。

うつ病になると、どうしても“半分しか”という発想から逃れられず、だからこそ彼らは苦しんでいるのです。
また、「頭のなかでクヨクヨ考えてたって仕方がないわ。ベッドから起きて、体でも動かせば、少しは気分が晴れるんじゃないの」という提案。

根性論では、うつ病は治りません。
こうした無神経な発言は、「うつ病になったのは、あなたの考え方や気の持ちようのせい」と言っているようなもの。
あなたの愛する人をますます孤独に追い込むことになりかねません。
まずは、うつ病の人を支えるときに必ず知っておきたいことを3つお届けしましたが、いかがでしたか? 次回はさらに3つのことを紹介します。




前回の記事では、うつ病の人を支えるときに必ず知っておきたいことをまずは3つ紹介しました。
引き続き今回は、4:叱咤激励はマイナスと心得る、5:苦しみを過小評価しない、6:むやみにアドバイスしない、という3点を見ていきましょう。

■4:叱咤激励はマイナスと心得る

愛しているからこそ、厳しく接するほうが、相手のためになるのではないかと考えている人も少なくありません。
たとえば、わざと相手に非寛容になったり、距離を置いたり、沈黙してみたり、冷淡になったり、あるいは「とっとと立ち直らないと別れるからね」などと最後通牒を突きつけたり……。

たしかに、弱音を吐いた男性を甘えさせるのではなく、敢えて「しっかりしなさい!」と尻をたたく肝っ玉女房のほうが、男を成長させるアゲマンということもあります。

しかし、うつ病の人にとって、こうした態度は無意味・有害でしかありません。
がん患者の人に何ら治療を施さず、「気合いで治せ」と言っているようなものです。

前回の記事でも述べましたが、うつ病は決して考え方や気の持ちようが原因ではありません。
相手を立ち直らせたいという善意であっても、むやみに叱咤激励することは避けてください。

■5:苦しみを過小評価しない

うつ病の人がちょっとしたことで涙ぐんだり、悲観的なことばかり口走ったりするのを見ると、健康な人は「一体全体なにがそんなに辛いわけ?」と理解に苦しむかもしれません。

しかし、あなたの物差しでうつ病の人を判断することは避けるべきです。
たとえば、「あなたは神経過敏すぎるのよ」とか「なんでそんな小さなことでクヨクヨするの?」といった発言は、相手の面目をまるつぶしにするだけでしょう。

うつ病は、甘えや性格の問題ではありません。
相手の苦しみを評価するのではなく、ただ“この人は今すごく苦しんでいるのだ”という事実だけをどうか受け止めてあげてください。

■6:むやみにアドバイスしない

愛する人に何か役立つことをアドバイスしたいというのは自然な感情です。
とりわけ、相手が何か大変な目に遭っているときには、その苦しみを少しでも取り除いてやりたいと思うことでしょう。

しかし、「●●したほうがいいよ」といったアドバイスをうつ病の人にすることについて、心理学者のデボラ・セラーニ氏は警鐘を鳴らしています。
「うつ病の人が助けを必要としているのはたしかですが、安易なアドバイスは禁物です。
それによって、彼らは自尊心が傷ついたり、自分のことをダメ人間だと感じたりして、余計に心を閉ざすおそれがあります」

「●●したほうがいいよ」と相手の行動を促すのではなく、「何か私にできることない?」と声をかけるほうが、うつ病の人にとって救いになるでしょう。
そうすることで、相手が助けを求めやすくなるからです。

ただでさえ、心のエネルギーが消耗しているうつ病の人にとって、アドバイスは重荷にしかなりません。
人から言われなくてもそうすべきだとわかっていても、体が動かないのです。
なので、うつ病の人の行動を変えようとするよりも、相手があなたに気兼ねなく頼みごとをできる環境を作ってあげるほうが大事だといえるでしょう。
前回に引き続き、うつ病の人を支えるときに必ず知っておきたいことを3つ紹介しました。次回は残りの3つをお届けします




うつ病の人を支えるときに必ず知っておきたいこと9個のうち、前回の記事及び前々回の記事で6つまで紹介してきました。
今回は残りの3つです。7:無理に共感しようとしない、8:うつ病について学ぶ、9:回復を気長に待つ、という3つを見ていきましょう。

■7:無理に共感しようとしない

自分が辛い思いをしているときに、その気持ちを共感してもらいたいことってありますよね。
ただし、あなた自身がうつ病になった経験がないのであれば、うつ病の人に共感を示すことは避けるほうがいいでしょう。

また、仮にうつ病の経験がある場合でも、症状の程度は人によって様々なので、安易に「辛いよね、わかるわ」といった言葉をかけると、かえって相手を傷つけることになるかもしれません。 うつ病の状態では、物事を悪いほうへ悪いほうへ解釈しがちです

そのため、あなたが相手の孤独感を癒したくて発した共感の言葉も、うつ病の辛さを軽く見ているように受け取られかねません。

■8:うつ病について学ぶ

うつ病について学ぶことによって、誤解したり、対応を誤ったりするのを防ぐことができます。

うつ病の症状や進行、回復までのプロセスについて理解できれば、愛する人をよりうまくサポートすることができるようになるでしょう。

たとえば、うつ病の人も、日によっては元気そうに見えることもあります。
ただ、一時的に調子が上向いたのを見て、「もう治ったのね」と判断するのは早計です。

「うつ病は症状が安定しません。小康状態を見て“もう大丈夫”と誤解する人が多いのですが、まるで潮の満ち引きのように状態がよくなったり悪くなったりするので、またすぐに症状がぶり返してしまいます」
そう話すのは、心理学者のデボラ・セラーニ氏。セラーニ氏によれば、うつ病で絶望感のある人でも冗談を聞いて笑うことはあるし、また、うつ病の子どもが学校で優秀な成績を修めたり、表面上は明るく見えたりすることもあるのだそうです。

「実際のところ、うつ病は、よくなったように見えてもまだまだ完治していないことがよくあります。見た目ではわかりにくい病気だということを知っておくのは非常に重要です」

■9:回復を気長に待つ

愛する人を支えるためには、回復を焦らず気長に構える忍耐力も不可欠です。
「うつ病は、症状が現れてから回復するまでにかなりの期間を要することもありますが、あなたが気長な姿勢を見せることで、患者も安心することができるでしょう。

気長に待つことで希望が見えてきます。
希望を見出すというのは、うつ病の人にとっては難しいことなので、まずはそばで支える人間が希望を持ち続けることが大切です」
うつ病の人を支える過程で、あなたは綱渡りのような気分を味わうこともあるでしょう。

「何を言うべきか、言わざるべきか? 何をしてあげればいい? これはNG?」というように、事あるごとに頭を悩ませるかもしれません。
しかし、あなたがそばにいて、いつでも手助けできる姿勢を見せることは、うつ病の人にとって何よりの支えになるということを、どうか忘れないでください。

以上、3回にわたって、うつ病の人を支えるときに必ず知っておきたいこと9つをお届けしましたが、いかがでしたか?

 あなたの大切な人にもしものことがあれば、ここで紹介した9つを思い出しながら、支えてあげてくださいね。
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2014年05月24日

1999年の画期的な抗鬱剤の日本上陸が鬱病大発生させた原因か

1999年の画期的な抗鬱剤の
日本上陸が鬱病大発生させた原因か
2014.05.23 11:00 NEWSポストセブン
※週刊ポスト2014年5月30日号

 ほんの15年ほど前まで、うつ病は日本人にとってそれほど身近な病気ではなかった。
1990年代後半まで、うつ病患者数は40万人前後で、ほとんど増減しなかった。

フジ虎ノ門健康増進センター長で精神科医の斉尾武郎氏がいう。
「1990年代後半までは、精神科で治療の対象となる患者は、強い妄想を抱いたり、自殺の恐れがあったり、通常の生活を営むことができない重篤な症状を持つ人だけでした。
だから、研修医を受け入れるような大病院でもうつ病患者は数えるほどしか入院していなかった」

 しかし、2000年代に入ると患者数は右肩上がりで増え、1996年には40万人超だったものが2008年には100万人を突破。それに伴い、日本の抗うつ薬の市場規模も1996年の8倍と爆発的に伸びている。

 最近では、うつ病は深刻な社会問題にまでなっている。
精神疾患を抱える人が学校に通えなかったり、会社を長期休養したりするケースが頻発しているからだ。
なぜ、1990年代までは病名さえ一般的でなかったうつ病の患者が、ここまで増えてしまったのか。

 一般的に、日本でうつ病が増えた原因は、「バブル崩壊後の日本経済の停滞」や「非正規労働者の増大」「グローバル競争の苛烈化」など、経済状況や労働環境の悪化の文脈で説明されてきた。
しかし、それだけでは2000年頃から爆発的に増加した理由にはならない。

 パナソニック健康保険組合メンタルヘルス科東京担当部長の冨高辰一郎氏の著書『なぜうつ病の人が増えたのか』(幻冬舎ルネッサンス新書)によると、イギリスやアメリカでは、日本より約10年先行してうつ病患者が増えている。

その増加曲線を経済の好不調に照らし合わせると、不況だからといってうつ病患者が増えるわけではなく、それらの因果関係は薄いという。

 それではなにが原因なのか──。
実は1999年、日本に新しい“画期的”な抗うつ薬が上陸したのだが、それがうつ病を大発生させたと見られているのである。

「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」。
1999年に初めて日本で認可されたこの薬は、セロトニンの血中濃度を高めることによって、うつ症状を軽減させようというものだ。

現在、フルボキサミン(商品名デプロメール、ルボックス)、パロキセチン(同パキシル)、セルトラリン(同ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(同レクサプロ)の4種がSSRI系の抗うつ薬として日本で認可されている。

「これらSSRIの登場によって、日本のうつ病を巡る環境は一変した」と、前出の斉尾氏が語る。

「従来型の抗うつ薬は薬価(薬の価格)が安かった。
だから、製薬会社にしてみれば“売ってもあまり儲からない”ということで、精神科医を営業の対象にはしていなかった。

それが、従来の抗うつ薬に比べて3〜5倍も値段が高いSSRIが認可されると、抗うつ薬市場は一気に製薬業界にとって“オイシイ”マーケットになって、精神科医は大のお得意様になった」  

前述した患者数と抗うつ剤市場のデータによると、患者数は2倍なのに、抗うつ薬の売り上げが8倍になっていることを、不思議に思わないだろうか。
このデータは、単に患者が増えただけでなく、高額な薬を売ることで、製薬業界は大きな利益を上げたということを示しているのだ。

 それにしても、画期的な新薬が登場したのならば病人が減るのが普通だろう。
本当にSSRIがきっかけでうつ病患者が増えたのか。

 実は、日本よりおよそ10年早くSSRIが承認された先進各国でも同様のことが起きている。
前出の冨高氏によると、イギリスやアメリカでも、それまでは変化のなかったうつ病患者数が、SSRIが承認された年から10年足らずで2倍になった。

さらに、現在の日本同様、休職率は悪化し、抗うつ薬市場が急成長するという現象が起きたという。
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2014年05月29日

信念の強さがアダに!「心が疲れて折れやすい人」の特徴5つ

信念の強さがアダに!
「心が疲れて折れやすい人」の特徴5つ
2014/05/29 05:45 by 坂本正敬
WooRis(ウーリス)

うつ病や摂食障害、睡眠障害など、メンタルと深く関係のある病気の話題について、最近いろいろな場所で耳にします。
実はそうした病気になりやすい人には傾向があると、ご存じでしたか?
そこで今回は、厚生労働省がまとめたウェブサイト『こころもメンテしよう』の情報をもとに、心の病気になりやすい人の特徴を5つご紹介します。

■1:“オール・オア・ナッシング”思考の人

白か黒か、善か悪か、好きか嫌いか、何でもはっきりと決めないと気が済まない潔癖な人は、心の病気になりやすいそうです。
ほどほどを知らないこの手のタイプは、自身の心の病気へのリスクを自覚する必要があるかもしれません。

■2:“べき”思考の人

「30代の独身女性はこうあるべき」、「主婦はこうあるべき」、「夫婦はこうあるべき」、「上司と部下の関係はこうあるべき」といった感じで、何でも“べき”と思いこんでしまう人も、心の病気になるリスクが高いそうです。
思い込みや信念が強過ぎる人は、自身のメンタルリスクを知った方がいいかもしれませんね。

■3:“せい”思考の人

「自分のせいで負けた」、「自分のせいで場がしらけた」、「恋人ができない理由は自分の顔のせいだ」、「周りの人が変な顔をする理由は、自分の体臭のせいに違いない」など、何でも自分の“せい”にしてしまう人も、心の病気になるリスクが高いそうです。
自分の過ちを反省する能力には優れているので、一見するとそれほど問題は無いように思えますが、この考え方がいき過ぎると、心が疲れてしまうそうです。

■4:過小評価・過大評価が強い人

自分の仕事の成績が良ければ自信満々になり、一方で成績が下がると落ち込んで立ち直れなくなるといった、過小評価・過大評価が強い人も心の病のリスクが高いといいます。
自分への評価が簡単に逆転してしまうので、心が落ち着かず疲れてしまうそうなのです。

■5:被害妄想・悪い方向への思考フィルターがある人

何でも悪い方向に考え、傷付いたり不安になったりする人も要注意だといいます。
何気ない他人からの注意を必要以上に悪くとらえてしまったり、ちょっとしたトラブルに過剰に不安になってしまったりする人は、心の病のリスクが高いと知っておいた方がいいかもしれません。

以上、心の病気に注意したい人のパターン5つをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?  誰にでも多かれ少なかれ上述のような傾向があるはずなので、当てはまるからといって深刻になる必要はありません。

ただ、心が疲れて折れそうになったとき、 「おいおい、それは被害妄想じゃないの?」 「べき思考にとらわれ過ぎかな?」 などと、自分の極端な考え方にツッコミを入れるだけで、かなりのガス抜きになるようです。

なかなか自分の考えにツッコミを入れるなど簡単ではないかもしれませんが、心の病気になりやすい人の典型的なパターンを学んでおくだけでも、違ってくるかもしれませんね。
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2014年08月02日

うつ病で「障害年金」が支給されないケース

石井苗子の健康術
うつ病で「障害年金」が支給されないケース
2014年7月29日 読売新聞

(もっと簡単に保障を手にすることができないものでしょうか

 元気な元会社役員で70歳の方が、年に約500万円の年金を受給しているとおっしるので、「将来もらえないかもしれない若い人たちに申し訳ない気持ちになりませんか?」とお聞きすると、「冗談いっちゃいけない。元気でやりたいことが山とある」と言われてしまいました。

一生懸命働いてきてやっと年金がもらえるようになって「今ここで死んでなるものか!」という思いなのだそうです。
お気持ちはよく分かります。

未来の自分に投資してきたお金を「どうしてもらってはいけないのだ」という思いでしょう。  

給与から多額の掛け金を天引きされ続けた人たちが、定年後に受給が始まり、長生きすると年金制度が破綻すると思っているでしょうが、それはとんでもない話です。

 同じ年金でも、現役の世代の方から「障害年金」の受給ために診断書を書いてほしいと心療内科に申し出る方がいます。
この方は今すぐにでももらいたいという年金です。

診断書は主治医が書くものですが、「われわれは治ることを目標にしているのであって、障害年金のために診断しているのではありません」と、ひと言おっしゃる医師に、患者側との気持ちの食い違いがあり、しばしばトラブルになることがあります。

 一度も年金の掛け金を納めたことのない個人に障害年金は給付されません。

私の妹のように、家族が生活をみていたが、とうとう家の中でも足腰が立たなくなったと言っても、障害年金は支給されません。

 肉体的なことは他にも対処方法がありますが、障害年金対象の中に「うつ病疾患」があり、これが医師とのコミュニケーションが成立しないということがネックとなっています。

 たとえば、体の節々に釘くぎをさされたような痛みが発生し、それが慢性的になっていく「線維筋痛症」という病気があります。
次第に歩けなくなる方もいらっしゃいます。

職場の人間関係などから根底にうつ状態が存在していたが、精神科ではなく、心療内科で治療を受けてきたので、障害年金の診断書が必要となると心療内科医が書くことになります。
最初から精神科を受診している場合より難しくなります。

 「線維筋痛症」という病名では障害年金が支給されない場合が多いからです。
 初診日がいつかによって給付される金額が違ってくるので、初診から診察してもらっている医師に診断書を出してもらいたいでしょうが、身体的な痛みで初診したとなると、うつ病の対象にならない場合があります。

 先日お会いした方から、「誰も知らない最強の社会保障:障害年金というヒント」(三五館)という本をいただきました。

社労士(社会保険労務士)という厚生労働省管轄の国家資格者が、上記のような問題に対して法律に基づく書類等の作成代行、医師との摩擦の解消についても解決策を考えてくれるのです。  しかし、できることなら自分で申請ができ、もっと簡単に保障を手にすることができないものかと、患者側は思われるでしょう。

この本を読んでみて、長年経過したカルテは処分されてしまい初診日が分からなくなったり、国のPRが徹底していなかったりということも、よく見えました。

国の経済が先か、人の命が先かの瀬戸際に来ている日本なのかもしれません。
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2014年08月08日

当てはまったら気をつけて!「うつに陥りやすい性格」3つのパターンとは

当てはまったら気をつけて!
「うつに陥りやすい性格」3つのパターンとは
WooRis(ウーリス)2014年08月07日18時00分

眠れない、食欲がわかない、気分が落ち込む、何をしていても楽しくない……といったことを日々感じている人は、“うつ病”の可能性があるそうです。

病院でうつ病と診断されなくても、季節の変わり目、ホルモンバランスの変化など、ちょっとしたことで、うつ傾向になってしまうことを経験された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

とくに女性は、男性よりもうつ病になりやすいといわれていますが、うつ病になりやすい性格の傾向があるそうです。

それを知っておけば、いざ大きなストレスがかかったときにどう対応するかを事前に心構えておくことができるかもしれません。

そこで今回は、中小企業診断士、社会保険労務士、職場メンタルヘルスコンサルタントの上江誠さんに、“うつ病になりやすい人の性格傾向3つ”をうかがってきました。

■1:まじめな性格

まじめで几帳面、気配りもできてルールや約束もキッチリ守るという、一見完璧にみえる性格の人はうつ病になりやすい性格の1つであると、上江さんは言います。
「このような性格の方は、人間関係や物事の秩序を重んじるので、これらのバランスが崩れたときに大きなストレスを受けてしまいます。
つまり、融通が利かない、変化に弱いタイプとも言えるでしょう」

お客様対応の担当者、期限やお金の管理を担当している事務職の方などは、お客様からのクレームや自分で対応しきれない業務やトラブルが起こったときに、自分の許容量以上に抱え込んでしまう場合が少なくないので要注意とのことです。

■2:粘着気質の性格

「うつ病になりやすい性格の2つ目は、エネルギーにあふれ、集中力があり、正義感や責任感が強いという、いわゆる“優等生タイプ”の性格です。

凝り性な一面もあります。

ただ、仕事では理屈や正論だけではうまくいかないこともありますよね。

このような方は、強すぎる正義感や責任感が裏目となり、大きなストレスを抱えてしまうことがあります」と上江さん。

バリバリ仕事ができるタイプの方などが、昇格し管理職や職場のリーダーとなって仕事内容が変わったときに、チームの成果や部下・後輩の育成で悩み、抱え込んでしまう場合があるので気をつけた方がいいそうです。

■3:失敗の原因を他人に求める性格

「3つ目の性格としては、“新型うつ病”と言われる方にみられる性格で、“他責傾向”がありますね。
つまり、”仕事でミスをしたのは、上司や先輩が適切な指導をしなかったせいだ”など失敗やミスをしても、自分の責任ではなく他人に責任を押しつけるという傾向がみられます」

「なお、医療の現場で明確に定義された言葉ではありませんが、“従来のうつ病”の方は、仕事も日常生活でも気力がわかないという症状に対し、“新型うつ病”の方は、仕事をするのは困難だけど、普段の生活では旅行や飲み会などは行くことはできるといった症状のようです」

“新型うつ病”は新入社員に多く、社会人になるまで、困難や挫折を経験したことがないため、そういったものに直面したときにうまく対応できないという、“社会的に未熟な面”を持っている方がなりやすいと言われているそうです。

以上、うつ病になりやすい人の性格傾向3つをご紹介しましたが、いかがでしたか?

実は、うつ病の原因ははっきり分かっておらず、性格だけではなく様々な原因があると考えられています。

ただ、過度なストレスはうつ病につながりやすいと言われております。

大事なことは、自分の性格が今回紹介したものに当てはまるかどうかではなく、何かの出来事の際に、自分が大きなストレスを受けやすいかどうかを知っておくことでしょう。
事前に知っていれば、より適切な対応も可能となるのではないでしょうか。
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2014年11月23日

不用意な発言が病気を悪化させる? うつ病の人に言ってはいけない3つの言葉

不用意な発言が病気を悪化させる?
うつ病の人に言ってはいけない3つの言葉
2014年11月22日 20時45分 All About

 気持ちが落ち込んでいたり、イライラしている時は相手のちょっとした言葉にカチンとくることもあると思います。

例えば「あなた何してるの?」「まだなの?」といった言葉に思わずムッとすることもあるかもしれませんが、多くの場合、その気持ちは引きずらないでしょう。

 でも、うつ病で気持ちが落ち込んでいる人は相手の言葉に過敏になっていることが少なくありません
相手を思いやって言った言葉が逆に相手を追い込んでしまうことも起こり得ます。
 ではいったい、どんな言葉が相手を傷つけてしまうのか?
うつ病の人にはタブーの言葉とその理由について詳しく述べたいと思います。

■タブー1:うつ病を軽視する言葉

 うつ病になると、自分の大切な人に愛情を求める一方、相手から拒絶されないか不安な気持ちもあります。
相手の言葉をネガティブに受け止めやすいのも、うつ病的な思考パターンです。
 うつ病を軽く見るような発言は相手の病状に無頓着あるいは無責任な発言になり、「自分のことを全然分かっていない!」といった気持ちに相手をさせやすいものです。

以下のような言葉は軽い気持ちで言わないようにしましょう。
・誰でも時には気分が落ち込むもの
・たいした問題ではない
・世の中にはあなたよりもっと困っている人がいるのよ
・いったいどうしちゃったの? ・カラオケにでも行かない? 落ち込んだ時はそれが一番!

■タブー2:感情的な言葉

 うつ病になると欲求のレベルが低下しがちです。
せっかく美味しい物を作ってあげても食べてくれない、あるいは夜、誘ってみてもあっさり拒絶されてしまう。
また、何をするにも億劫になり、場合によっては怠けているだけのように見えてしまうかもしれません
 さらに、うつ病の人は自責の念が強く、自信を失っていることが多いので、以下のような感情的な言葉は抑えましょう。
・せっかくあなたのために作ってあげたのに
・いい加減にして!
・私を困らせたいだけなの?
・役立たず ・あっちへ行って
・だらだらしていないで、何かしたら?

 また、うつ病になると、不安やイライラが強くなりがちです。
場合によっては壁に物を投げつけてしまう、あるいは、ふとしたことから感情を爆発させてしまうかもしれません。
その時は共に冷静さを失わないよう、相手と直に向き合うのは避け、相手の感情が落ち着くまで、そっとしておきたいものです。

■タブー3:励ましの言葉

 意外なことに、うつ病では励ましの言葉もよくありません。
頑張りたくても頑張れなくなってしまうのが、うつ病なのです。

頑張れないことに悩んでいる相手に励ましの言葉をかければ、かえって相手を追い詰めてしまう可能性があります。
以下のような言葉には十分ご注意ください。
・頑張って!
・たまには笑顔を見せて
・元気を出して

■うつ病の人への正しい接し方

 まず、相手の話を十分に聞くということをしっかり考えて頂きたいです。
うつ病になると気持ちが不安定になり、自分の周りのいろいろなことをネガティブに感じやすくなります。
相手がたとえグチをこぼすだけであっても、話すことによって相手の心の緊張が軽減することは、聞く側はしっかり認識しておきたいです。

 そして、相手が話している間は、なるべく口を挟まないなど、相手が話しやすいように持っていきましょう。
また、相手を励ましたいときは、言葉よりむしろ、相手の背中をさするなどスキンシップが良いと思います。

 以上のようなことを家族やパートナーが注意していても、時には何気ない言葉で相手が傷ついてしまうかもしれません。

また、病気の経過にも個人差があり、場合によっては、2歩前進して1歩後退的な時期もあるかもしれません。
でも治療を続けていくうちに多くの場合、症状は改善していきます。
あせりは禁物です。
気長に相手を見守っていける態勢を家族やパートナーにはご考慮いただきたいと思います。

 なお、うつ病になってしまった時は、自殺のリスクがあることは決して忘れないでください。
もし自殺をほのめかすようなことがあれば、それは緊急こと態とご留意ください。
決して軽く考えず、相手の様子に十分注意を払い、すぐに主治医に報告するか、精神科(神経科)を受診するなど、迅速なる対処をお願いします。
      【うつ病ガイド:中嶋 泰憲】
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2015年04月25日

精神保健指定医 「性善説」では立ち行かぬ

精神保健指定医 
「性善説」では立ち行かぬ
2015年4月24日 東京新聞「社説」

 聖マリアンナ医科大病院(川崎市)で発覚した精神保健指定医の資格取得の不正は、精神医療体制の根幹を揺るがす重大事件だ。

医師の「性善説」に立った制度設計を抜本的に見直さねばならない。

 厚生労働省は先週、同病院を舞台とする精神保健指定医の資格の不正取得があったとして、医師二十人の資格を取り消した。

 指定医には精神保健福祉法に基づき、精神障害者の自由を制約できる強い権限が与えられる。順法精神や倫理にもとる行為はいささかも許されない。

医師の業務自体を停止するべきだ。

 資格申請の主な要件は、精神科での三年以上をふくめ五年以上の実務経験を持ち、指導医の下で診断や治療をした八症例以上のリポートを厚労省に提出することだ。

 十一人は先輩が作成したリポートを書き換え、自らが担当したように装って申請していた。
九人は指導医だったのに、その確認を怠って署名していた。

同病院ではリポートの使い回しが常態化していたというから悪質極まりない。

 約一万五千人に上る精神科医のほとんどが有資格者だ。

同病院での不正行為は厚労省職員が気づいたが、氷山の一角ではないか。
全国規模の徹底調査が急がれる。

 精神障害によって自傷他害に及ぶおそれがあると判断した場合には、指定医は患者の意思にかかわらず入院を強制したり、退院を制限したりできる。
院内での隔離や身体拘束といった行動制限の指示もでき、権限は強大だ。

 指定医制度は患者を保護し、医療を受ける権利を守るために導入されたが、今や精神科医にとっては欠かせない資格という。
権限や診療行為の幅が広がり、診療報酬も優遇されるからだ。
それで一人前とみなされる風潮も根強い。

 最大の問題は、資格審査の仕組みが医師への過剰な信頼を前提にして設計されている点だ。

同病院は症例を一元管理してリポートの使い回しを防ぐというが、危機意識が希薄すぎないか。身内任せにしている限り、再発する可能性は否めない。

 資格を取得できるかは、症例集めにかかっているのが実情だ。
リポートの条件を満たすため、入院期間や入院形態を意図的に操作するといった衝撃的な話も聞かれる。

患者が置き去りにされている。

 利権の温床のようになっている以上、外部の目を入れて厳しくチェックする仕組みが必須だ。障害者権利条約の理念に照らし、人権擁護の視点を一段と強化したい。
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2015年04月29日

香山リカのココロの万華鏡:服薬と運転の関係

香山リカのココロの万華鏡:
服薬と運転の関係
毎日新聞 2015年04月28日 首都圏版

 俳優としてテレビや映画で活躍していた萩原流行さんが、バイクの転倒事故で亡くなった。
萩原さんはうつ病を患って治療を受けていることを公表していた。

病状や服薬していた薬と運転の関係も取りざたされているが、萩原さんの妻は取材に応じて「運転する前には薬は飲んでいなかった」と話している。

 こういった事故が起き、本人が心や神経の病で治療中だと報道されると、一部の人から免許取得や運転を制限すべきではないかという声が上がる。

実際に警察庁の有識者検討会が出した提言に「運転免許を暫定的に停止すべき」「医師による病名の届け出を義務化」といった内容が盛り込まれたことがあった。

 それに対して日本精神神経学会は「医学的根拠がない。学会の意見を無視して免許を奪う方向に極端に傾斜している」と強く批判する声明を発表した。

運転の全面的な制限は、病を持った人の社会参加や差別解消といった倫理的な観点から望ましくないばかりではなく、実際のケースを検討した結果、「医学的にも精神や神経の病を持っている人は事故を起こす確率が高い」という結果が得られなかったのだ。

また、万が一、こういった措置に踏み切った場合、もっとも懸念されるのは、運転しなければ生活できない患者さんたちが症状を隠したり受診をやめてしまったりすることだ。

 もちろん、うつや不安の改善の目的で処方する薬の中には、副作用として眠気などが出る場合もある。
添付文書に「服用中は運転を避けること」とある場合にはそれに従うべきなのは当然だが、そうでない場合でも一般的に薬を始めたり変えたりした直後は運転を控えたほうがよい。

そして「この薬、この量では眠気は出ない」と確認してから運転を少しずつ再開してもらう。
実はこういった内容はくわしいガイドラインに定められており、精神科医はみな学んで従うことになっている。

 また、これも言うまでもない大前提だが、心の病に限らずどんな病気でも病状が良くないときには運転をすべきではない。

そのためにも、医師には正直に具合を話し、「じゃ今週だけ運転はやめておきましょうか」などとざっくばらんに話せる雰囲気が必要だ

 萩原さんの死はたいへん残念なことだし、家族や友人、ファンの悲しみはどれほどかと胸が痛むが、ここから「やっぱりうつ病の人はいっさい運転するべきではない」といった誤解が広まらないように願っている。
          (精神科医)
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2015年05月18日

「新型うつ」急増の一因!

「新型うつ」急増の一因!
2015/5/17 18:00 - フムフム

最近、テレビや新聞でよく目にする「新型うつ」。

仕事や学業という、いわゆる”本業”となるとうつ症状が現れるけれど、趣味やレジャーとなると以前と変わらず楽しめるという、一見すると単なる怠け者のようなこの病が近年急増しているという。

2000年代から降って湧いたかに見えるこの病の出現の背景には、SNSの普及があるのではないかと、精神科医の香山リカ氏は著書『ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか』の中で指摘する。

■もはや、本音と建前の文化ではない!?

インフルエンザで1週間の自宅療養となったけれど、最初の3日で体調が回復してしまった場合、あなたはどうするだろうか?

つい、マスクをして映画館や温泉に行ってしまった人もいるのではないだろうか。

日本人は責任感が強く、マジメで几帳面であるとよく言われるが(自分たちもそう思っている節があるが)、その建前の裏にある本音の部分では、けっこういいかげんであることが古典落語の中でも描かれている、と香山氏。

ただ、最近は本音を隠さなくなっているという。

従来のうつ病の場合、2ヶ月間療養と言われても早く治った場合、遊びに行きたいなと思いつつも、公園で散歩するくらいにとどめていたのが、

新型うつの場合はスカイダイビングに行くなど、あくまで自分の基準でなんでも行ってしまう。

その自分本位な主義・主張の一方向性が、SNSにおける人々の振る舞いに重なるものがあるという。

■匿名の悪意と実名の自慢

SNSは双方向のメディアだ。
しかし、実は、「一方的な発信を双方向的なコミュニケーションだとカン違いさせる、世にも気持ち悪い装置」なのではないか、と香山氏は指摘する。

誰もが発信力を得られるようになり、Twitterなどの匿名のメディアでは自分の主義・主張を自由に発信できるようになった。

しかしその匿名性が非抑制性となって、誹謗中傷や”炎上“につながる攻撃性、嫉妬や憎悪などの、人の心の奥にある悪意を解放してしまう、と香山氏。

一方、Facebookのような実名のメディアになるとまた様相が異なってくる。

ここでは、リアルな生活と同じような、あるいはそれ以上の比べ合い、自慢し合いがはびこり、それがユーザーを負の一人相撲へと追い込んでいるという。

昨年の春頃、女性ファッション誌の以下のコピーが、誌面のキャプチャ画像と共にSNS上に拡散され、ネットユーザーに衝撃を与えたことも記憶に新しい。

「三連休初日。最近ネタ切れで「いいね!」不足な私のfacebookのために、車で1時間かけて話題のバケットを買いに。恭子にも分けてあげよう」(『STORY 4月号』より)

■「ネタ消費」と「ネットde真実」

ただ「いいね!」をもらいたいだけなら、そのパン屋のURLを貼り付けて、「ここに行ったよ!」と投稿すればいいところを、わざわざそのお店へ行く。

ネタのためにお金と時間を消費するこのような現象を、香山氏は"ネタ消費"と呼ぶ。

少し前までは、ネットにはファクト(事実)はないと揶揄されていた。
しかし今、ネットはファクトでないと許されない時代へと移行しつつあるという。

ファクトではあれど、少し盛ったり、ウソをつくにしても、限りなくファクトに近いウソをついたり。それを忠実に守っていたのが木嶋佳苗被告であると、香山氏は言う。

結婚詐欺で騙していた男性たちに自らのプロフィールを偽っていたが、それは事実を少し変えたものであったり、また、そのプロフールをファクトにするために、実際に料理学校などに通ったり、セレブな生活をしたりしていたのである。

その結婚詐欺のためにネタ消費をし、ネタ消費のせいでお金がなくなり、ターゲットとなる男性がどんどん増えていく…というスパイラルが生まれていたのだ。

また、ネットにはファクトがあると信じすぎたゆえに起きている現象もあるという。
それが、"ネットde真実"だ。これは、テレビや新聞では報じられていない情報をネットで初めて知ることを指している。

そしてその情報の多くは、陰謀論で占められている。
冷戦終了後に米ソの対立といった"大きな物語"がなくなり、グローバル経済によってフラット化した"物語なき世界"を生きる私たち。

しかし、物語のない世界を生きる若者は、今度は自分自身に人生の意味や価値を問わなければいけなくなった。
自己実現できる人にとっては良い社会だが、そうでない人にとっては苦しい。

そのストレスから、大きな物語を求める人が、ネット上に転がる大きな物語である陰謀論を、それが真実であると信じきってしまうのだという。

 ■つながりの功罪

人間関係が希薄になりがちな現代社会においては、特に2011年3月11日に東日本大震災という"新たな大きな物語"が誕生して以降は、絆とつながりを生むツールとしてさらに爆発的に普及しているSNS。

しかし、この絆とつながりがもたらす、強くて濃い人間関係にも注意が必要だと香山氏は言う。

『「心を病む人が多いのは、人間関係が希薄になったから」と言う人がいるが、実際はその逆で、診察室に来る人の多くは濃すぎる人との関係や家族からの過剰な介入、支配がストレスとなって、うつ病や摂食障害を発症させるのだ。

「絆やつながりがないという孤独感から心の病になった」という人は、これまで30年近い精神科医生活のなかで、おそらく数例だったと思う。』 (『ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか』より引用)

だったら、独りでいた方が簡単で楽なのではないか。
筆者の頭の中に、都築響一氏の著書『独居老人スタイル』の中の次の一節が浮かんだ。

『統計によれば、高齢者の自殺率で、いちばん多いのが三世帯同居、いちばん低いのがひとり暮らしだという。

ひとりで生きることの寂しさやつらさより、家族関係のもつれのような、ひととひとのごちゃごちゃのほうが、はるかにひとのこころを壊すのだ。』 (『ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか』より引用)

独りでいるか、誰かとつながるか。
きっと、人生のどこかで選択する時がくるのかもしれない。
しかし、最初から独りでいることを選択したくない。
できれば、誰かと上手くつながる努力をしてからにしたい。

地震や津波を前に手を強く握り過ぎた私たちは今、手を離さない程度の柔らかな握り方に変える段階にきているのかもしれない。
        (文:ツジコ エリコ)
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2015年05月20日

脳に直接働きかけて「うつ」を治す 「磁気刺激療法」が注目され始める

脳に直接働きかけて「うつ」を治す
 「磁気刺激療法」が注目され始める
2015/5/19 10:20 J-CASTニュース

投薬による治療しかないと思われていた「うつ病」に、新たな方法が確立されるかもしれない。

「磁気刺激治療(TMS)」と呼ばれるやり方だ。

厚生労働省の認可を受けていない医療機器なので、社会保険などが適用されず費用が高いなどの課題があるものの、米国ではFDA(米食品医薬品局=日本の厚生労働省にあたる)が認可、成果を上げているという。

投薬治療は「非定型うつ病」と「2型双極性障害」には効きにくい

うつ病は「定型うつ病」と「非定型うつ病」と、「双極性障害」の1型と2型の4つに大別できる。

新宿メンタルクリニックの川口佑院長は、
定型うつ病は、一般的にメランコリーな状況に陥るうつ病です。
定型型は投薬治療でも効果が見られます。
しかし、非定型うつ病2型双極性障害の患者さんは抗うつ剤での改善効果はあまり見られません」と指摘する。

非定型うつ病と2型双極性障害は、患者によって症状に差はあるものの、激しい昂揚感(躁)と激しい虚脱感(うつ)を繰り返す「躁うつ病」的な症状を示す。

「本人が病院にかかるときは、うつ病だと思っていますが、じつは躁の状態にあることを本人が認識していなかったり、周囲が見てもわからなかったりすることがあります。
そのため、病院では『定型うつ病』と判断してしまうことがあるのです」(川口院長)。

薬を飲んでいるのに効かない、投薬治療のため、もう何年も病院に通っているのに一向によくならない。こうした状態に陥るのには、そんな背景があるという。

新しい治療法は「ニューロスター」(米ニューロネティクス社製)という特殊な機器を用いて頭部に磁気刺激を与え、脳の前頭葉を調整するというものだ。

川口院長はその原理を、「認知や意欲、判断を司る、前頭葉のDLPFC(左背外側前頭前野)の機能が低下すると、脳の奥にあり、恐怖や不安、悲しみなどを司る扁桃体の過剰活動を抑制できなくなります。
それによって、うつ病の症状が現れてくるのです。

そこでDLPFCに磁気を当てて刺激することで判断力や意欲を高め、二次的に扁桃体の過活動にブレーキをかけることができるようになるので脳の機能を回復するわけです」と説明する。

TMS、診療費は1セット180万円

この磁気刺激療法(TMS)の効果は、日本でも徐々に認められつつある。

昭和大学烏山病院の岩波明院長は、「うつ病に対するTMSの効果は、少なくても投薬と同等かそれ以上のものです。
副作用はごくわずかで安全性が高いほか、外来で治すことが可能で、治療中に治療者との会話もできます。

つまり、患者さんの安心感が高いわけです」と話す。

しかし、TMSは日本ではまだ医療(薬事)行為として認められていない。
自由診療、あるいは一部の医療機関が行っているうつ病治療でのTMSの臨床研究に、治験者として参加するしかないのが実情で、厚生労働省が現在、薬事承認を審査している最中だ。

つまり保険などが使えず、医療費がかさむのが「弱点」というわけだ。

米国では2008年にFDA(米厚生省)が認可。TMSはすでに、米国内で500か所以上の医療機関に導入されている。
もちろん保険が適用され、活発に利用されている。

一方、日本で唯一大規模なTMS治療施設をもつ新宿メンタルクリニックの例では、自由診療ということもあり、1回30〜40分の診療を1セット(30回)行う治療で、およそ180万円かかるという。

国立精神神経医療研究センター病院・精神先進医療科の鬼頭伸輔医師は、「TMSは抗うつ剤による治療が効かなかった患者さんの約3割に効果が見込めることが、これまでの臨床結果などからわかっています」と、その効果については期待を寄せながらも、「(TMSの)治療は、それだけ患者さんに経済的にも時間的にも負担がかかってしまいます。

通常は、中等度以上の患者さんには投薬治療からはじめるのが手順。効果が見込めるからといって、いきなりTMSでの治療というのはリスクがあります」と、慎重な運用を提案している。

日本国内のうつ病患者は年々増加する傾向にある。
厚労省によると、1996年は43.3万人だったが、2011年には95.8万人に達している。
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2015年05月22日

乱れた食生活 うつの一因…食事指導で精神疾患改善

こころ元気塾
乱れた食生活 うつの一因
…食事指導で精神疾患改善
2015年5月21日 読売新聞

肥満解消 栄養素の補充

うつ病は実はメタボの人に多い――。
肥満を招く偏った食生活や、栄養素の不足が、抑うつなどの精神症状を引き起こすことが近年の研究で分かり、患者の食事指導を行う病院も出てきた。

 栄養の基礎的な研究から、外来の食事指導まで幅広く行う国立精神・神経医療研究センター病院(東京都小平市)の取り組みを見た。

 病院の一角にある栄養管理室。
定期的な精神科外来の日に、ここで食事指導を受ける患者が増えている。
最近、室長の今泉博文さんら管理栄養士に、真っ先にスマートフォンの画面を見せる患者が目立つ。

 「どうですか。頑張りましたよ」
 「いいですね。野菜もしっかりとっている」

 患者のスマホには、この日までに口にした食べ物の写真が記録されている。
3食きちんと食べて、ご飯の量は少なめ、野菜や果物も加えていれば、今泉さんはほめてくれる。
細々としたカロリー計算は、患者の負担になるので求めない。

 「コンビニ弁当の日も、野菜の総菜を一つ加えたり、砂糖無添加の野菜ジュースを飲んだりするだけで栄養バランスは良くなります。

患者さんは一人暮らしの人が多いので、楽に継続できることが大切です」と今泉さんは語る。  

うつ病などを発症する人は、食事を中心とした生活リズムが大きく乱れていることが多い。

深夜にいつも間食をし、朝起きられない肥満気味のうつ病の男性は、今泉さんの食事指導で夕食を早くとり、早く床につくようにした。
すると次第にやせて活動的になり、うつ病も回復していった。

 うつ病患者は、食事がのどを通らずやせ細るというイメージを持たれやすい。
だが、むしろ肥満気味で中性脂肪や血糖値が高い人に多いことが、同センター疾病研究第三部部長の功刀くぬぎ浩さんらの研究で分かった。

 食欲を調整する脳の部位は、ストレスを調整する部位でもあるので、うつ病患者に「ストレス太り」が多いのは納得できる。

糖尿病などの代謝異常が起こると、体内の組織に慢性的な軽い炎症が起きてうつ病の発症リスクが高まったり、血糖値を下げるインスリンの機能が低下して、脳機能に悪影響が出たりするとの指摘もある。

 栄養素の不足も精神症状を引き起こす。
例えば鉄分
不足すると、集中力低下や疲労感、焦燥感などが起きることが知られている。

多量の出血を伴う出産後、抑うつ的になる産後うつは、鉄分不足との関係が指摘されている。
功刀さんは「産後うつの全てに効くわけではないが、鉄分の補充で改善する人はいる」と話す。  

緑黄色野菜に多い葉酸は、不足すると神経伝達物質の働きに影響して意欲低下を招くなど、精神症状に関係する栄養素は多い。

 ただ、サプリメントでとり過ぎると体に害を及ぼす栄養素もあるので注意が必要だ。

 うつ病治療は、薬物療法とカウンセリングが両輪とされてきたが、功刀さんは「生活習慣病と同様に、食事や栄養、運動の指導を丁寧に行うことも重要になる」と話している。
                              (佐藤光展)

◇  外来の食事指導
 国立精神・神経医療研究センター病院では、医師が必要と判断した患者に行っている。栄養バランスの良い献立は、今泉さんと功刀さんの著書「うつ病の毎日ごはん」(女子栄養大学出版部)に詳しい。
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2015年06月06日

精神科医に聞く、「彼氏がうつ病かもしれない」と思ったらどうすればいい?

精神科医に聞く、
「彼氏がうつ病かもしれない」と思ったら
どうすればいい?
2015年6月5日(金)17時0分配信 マイナビニュース

恋人や配偶者など大切な人が、もしかしたらうつ病かもしれない――。
そう感じたときはどうすればいいのだろうか。
「ゆうメンタルクリニック」総院長で、精神科医・心理研究家のゆうきゆうさんに聞いた。
* * * * *
もしも「あなたのパートナーがうつ病かもしれない」と感じたら、まずはよく相手の話を聞いてあげてください。
相手の状態を知る意味でも、相手の受け口になるという意味でも、「聞く」ということはとても大切です。

○焦って何とかしようとすることが彼の負担にも

自分にとて大切な存在が「うつかもしれない」と感じた時、多くの人は動揺します。
そして、なんとか解決しようと評判のいい病院を勧めたり、民間療法などでも良いと言われることを実践したりしようとします。

それらは決して悪いことではないのですが、残念なことにうつになった本人の状態や気持ちを置き去りにしてしまっていることが多いようです。


どうしてそういったことが起きるのでしょう?
それは「相手の状態を異常だ」と感じ、そのことに不安や恐怖を感じ、動揺して「なんとか元に戻そう」としてしまうからです。

解決策を探そうとすることはとてもいいことですし、心の動揺も人として自然なことです。
しかし自分に余裕がないため、相手の状態をよく見ずに動揺した自分の気持ちだけで行動してしまいがちです。

そんな風に周囲が焦って何とかしようとするほど、「うつになった自分が悪い」「申し訳ない」と負担をかけてしまうことがとても多いものです。


また、うつの方がふさぎ込んでしまう原因のひとつに、「理解してもらえない」「受け入れてもらえない」と感じてしまうことがあります。

自分自身でもうつの状態を受け入れられないのですが、周囲からも受け入れてもらえないと感じることで身の置き場が無くなってしまい、さらに心理的な負担が増してしまうことが多くあります。

○まずは彼の話をよく聞いて

だから、まずは相手の話を聞いてください。
相手が話し始めるまで待って、相手が本当に話し終わるまで、ただ聞いてあげてください。

自分の状態の受け入れ先があるだけで、人はずいぶんホッとするものなんですよ。
だからまずは、「ただ、聞く」ということを実践してみてほしいのです。
否定せず、さえぎらず、途中で切り上げたりもしません。
そこで原因を探そうとするのではなく、相手の言葉や表情・そこから読み取れる感情を受け止めてあげてください。

パートナーであるあなたもショックかもしれませんが、相手だって自分の状態に戸惑っているはずですし、つらい気持ちを感じているはずです。

そこになるべく同化せず、相手に関心を持って気持ちを受け止める練習をしていってみてください。
また、治療は長期化することがありますから、支える側の焦りは禁物です。

「励ましてはいけない」というのはよく知られるようになりましたが、これは相手に焦りを感じさせたり、「もっと頑張らなければ」と思わせてしまったりするためです。

しばらくは見守るつもりで「少しずつよくなってるよ」
「人間は気分にムラがあって当たり前なんだから、そんなに重く受け止めないようにしよう」など、前向きな言葉をかけていけるといいですね。

もし支えている自分も「危ないな」と感じたら、迷わず受診しましょう。

共倒れにならないよう自分自身をこれまで以上にいたわることも、とても大切なことですよ。
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2015年06月19日

うつ状態の深刻化を医師が指摘 「朝型勤務」はこんな危険

うつ状態の深刻化を医師が指摘
「朝型勤務」はこんな危険
2015年6月18日 日刊ゲンダイ

 仕事を効率的に片付けるために、1、2時間早めに出勤するサラリーマンは少なくない。
こうした「朝型勤務」は健康的なイメージがあるが、そこに一石を投じる民事訴訟が行われている。

関西在住の女性(45)が10年前に自殺した夫の元勤務先を訴えているのだ。
 夫は金融機関に勤め、連日午前6〜7時台に出勤。
時間外労働が最長で109時間に及び、過労自殺した。

女性は夫の勤務先に賠償を求める裁判を起こし、1審では勝訴したが、2審で敗訴。
現在上告中だ。

 夏になると早めに仕事に取りかかろうというサラリーマンが増えるが、そこには落とし穴が待ち構えている。

「医療法人社団すずき病院」理事長で精神科医の坂本博子氏が言う。
朝型勤務で仕事がはかどる人がいる一方で、うつ状態に陥り、命を絶つという悲劇も起きています。
原因の多くは睡眠不足。
早朝から働き始めながら夜も残業に追われる“残業サンドイッチ”になった結果、“このきつい状態がずっと続くのか”“自分は生きる価値がない”と絶望的になってしまうのです。
会社を辞めればいいのだけど、精神的に追い詰められた人は“退職したら家族に迷惑がかかる”と我慢し、最悪の結末を迎えてしまいます

 もともと早起きが苦手な人は朝型勤務をしないほうがいいかも。

健康的な人でも早朝は脳内伝達物質のセロトニンの分泌が少ないため、頭が冴えず体がうまく動かないものです。
ましてや、うつの人にとって早起きはつらく、病気が深刻化してしまいます。
『モーニングデプレッション』と呼ばれる現象です。
朝型勤務が健康にいいと安易に考えるべきではありません」(医学博士の米山公啓氏)

 日本企業は“朝型勤務”の導入を始めているが、本当に大丈夫なのか。

厚労省は1日に6時間は眠るよう呼びかけている。
睡眠不足を甘く見てはならない。
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2015年07月02日

梅雨はうつになりやすい? 雨と心の関係


梅雨はうつになりやすい?
     雨と心の関係
2015年6月29日(月)16時53分配信 Doctors Me
*お詫び、今日精神科通院日なので「置手紙」などの返信が夕方になることを ご了承ください。

梅雨の季節はなんだかうっとうしくって、気分が晴れない! という方が非常に多いのではないでしょうか。
中には、この気候が災いしてうつ状態に陥ってしまうというケースもあるようです。
今回は、そんな梅雨とうつの関係性について解説いただきました。

■ 季節性うつ病に要注意!

「季節性うつ病」は、特に冬季に起こりやすいことで知られていますが、じつは日照時間と関係があることがわかってきました。
私たち人間は太陽の光を浴びる時間が少なくなると、メラトニンやセロトニンというホルモンが減少。
これにより気分が沈みやすくなったり、やる気が低下する抑鬱気分の他、睡眠や覚醒リズムが崩れたりするのです。

■ 日照時間+湿度=梅雨のうつ

つまり、雨の続く梅雨の時期も、冬同様に太陽を浴びる時間が短くなることで憂鬱な気持ちになりやすいわけです。
加えて、雨のために湿度が上がり、体感する不快指数もグッと高くなるので体調のバランスも崩れやすくなり、うつ状態が続きやすいと考えられます。

■ 梅雨のうつは、こんな症状が……

梅雨の時期に起こるうつでは一般的な鬱同様、次の症状が現れやすくなります。

・気分が落ち込む
・元気ややる気がでない
・物事を楽しいと感じられない
・イライラが続く
・人と会ったり外出が億劫になる
・性欲が減退する
・午前中の方が症状が強

■ 梅雨のうつを吹き飛ばす3つの改善策

1. 晴れた日は屋外へ!
季節性のウツは、日照時間が短いことが関与しているので、雨が降っていない時はできるだけ屋外に出て日光に当たるようにしましょう。たとえ、曇りでも散歩などをするだけで気分が改善されるはずです。
2. 軽い運動
軽い運動を習慣付けましょう。
適度な運動はホルモンバランスを整える上で有効です。
3. ひとりで抱え込まない
ツラいと感じるときは、家族や仲間に相談を。
ひとりで抱え込まず、誰かに理解と協力を得るようにすると改善が見込めます。

■ 医師からのアドバイス

どんなに改善策をとろうとも、症状がツラいときはあります。
そんなときには、内服治療や、光を照射する治療などが効果的ですので、心療内科や精神科を受診するのもおすすめです。
これから始まる本格的な梅雨シーズン。
抑鬱気分をうまく対処して、すっきり過ごしたいですね。
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2015年07月06日

性能力の衰えがショックでうつ病になる男性が多い!?

性能力の衰えがショックで
うつ病になる男性が多い!?
2015.07.05 R-30

何だか体調が優れない、やる気が出ない、シモの元気もない。

それは男性更年期障害(LOH症候群)の可能性あり。
ホルモンバランスの崩れによる更年期障害は、女性のみならず男性にもあることが近年明らかになっている。

◆バイアグラは血管の薬。
性行為がない日もムダな一錠ではありません 男性更年期障害

 男性が自らの更年期障害を自覚するきっかけは、「性」の症状が最初の場合が多い。
「男性の精力・性欲は、テストステロンの値とともに20代半ば頃から緩やかに減少を始めます。

そして『セックスの快楽が薄まった』
『朝立ちがなくなった』
『EDになった』という症状が本格的に目立ち始めるのは40歳の頃からですね。
20歳までに子供をつくり、40歳で隠居をしていた江戸時代ならそれで問題もありませんが、今の40歳は未婚者や子づくりの最中の人も多い。

そのため性の部分の衰えは現代の男性に多大なストレスになり、ショックからうつ病に至る例も多いんです」(渋谷駅前クリニック院長の木下隆央氏)

 ED治療を専門とする木下氏のクリニックに訪れる患者も、「男性としての自信を失い背中の丸まった人が目立つ」とのこと。
それほどに性の能力の衰えは、男性にとって致命傷になるというわけだ。
「なお性機能も運動機能の一つですから、使わなければそれだけ衰えも早まりますし、治療を始めてからの回復も遅くなる傾向があります。

パートナーがいない方でも、普段から一人で“素振り”をしておくことは、ED予防になるといえるでしょう」(同)

◆男性更年期により離婚に至る可能性も

 田中病院院長・田中優子氏によると、
EDの日本人男性の割合は、40代では20%。
50代では40%、
60代では80%にもなる。

そして男性更年期障害に伴うEDは、「既婚者の場合、夫婦関係を壊すきっかけにもなる」と警告する。
「夫婦仲がよく何でも話せる関係であれば二人で乗り切れるでしょう。
ただ、男性の側がEDを隠してセックスレスになった場合、夫婦仲は確実に悪化します。
また男性更年期障害に伴う気分変調で、イライラを奥さんにぶつけるようになれば、夫婦関係は完全に破綻するでしょうね」(田中氏)

― 40代以上を襲う[男性更年期]が危険すぎる! ―
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2016年04月05日

大黒柱だった夫が「うつ」に… その心理状況を知る

大黒柱だった夫が「うつ」に
 その心理状況を知る
2016年4月4日(月)14時38分配信 Mocosuku
執筆:Mocosuku編集部

まじめな人ほど陥りやすい「うつ病」。
病前は大黒柱だった夫が、一転して、家でうつうつとして自分を責め、家族に申し訳ながって生活していることに、とまどい・不安・怒りを感じ、理解や容認ができなくて、家族が危機に瀕していることが多いようです。

見えない病気;精神の病としての「うつ病」

事故でケガをしたとか、感染症で炎症がひどいなど、身体の病気は目に見えて症状が現われやすいのに対して、精神疾患、とりわけ「うつ病」は外見上、目に見える病気ではありません。
本人も周囲も、何が病気なのか、理解できなかったり、認められなかったりすることが多いようです。
一番身近な奥さんはともかく、子どもや夫の両親などは、以前のがんばりを知っているだけに「そんなはずはない!」と、にわかに病気、それも精神疾患であることを認めたくない心理も働くのでしょう。

「怠け病」と思ってしまう

それだけに、本人も周囲も病院で「うつ病」と診断されても、今の状態を「怠けている」と思ってしまうようです。
頑張れない自分を「情けなく」感じ、そんな自分になったことは、全部「自分が悪い」と断罪し、家族や周囲に「申し訳ない」気もちになっていることがしばしばです。

脳の神経細胞のシステムダウン

脳内には約1000億個の神経細胞が詰まり、それぞれが1万個もの別の神経細胞とリンクしていると言われています。
神経細胞同士はシナプスという「つなぎ目」によって連携していて、情報は、神経細胞内は活動電位として流れ、シナプスでは「神経伝達物質」が、その役目を担います。

とくに「うつ病」の場合、神経伝達物質の中でもセロトニンの量が減少することが知られ、抗うつ剤は、少なくなっているセロトニンなどを効率的に活用することで、抗うつ作用を確保しています。
つまり、1000億×1万個という超巨大システムとしての脳がシステムダウンすることによって、意欲が低下したり、興味や関心がなくなったり、記憶が滞ったり、食欲や性欲が減退したり、眠れなくなったりといった、うつ病の症状が起こっているのです。

それでも見えない!

画像診断技術が飛躍的に発達し、脳科学が進歩しても、こうしたうつ病のシステムダウンしている状態は素人には見えません。
ミクロな世界とはいえ、世界の人口は72億5千万人余りですから、脳の超巨大システムがシステムダウンしていることが、どんなに大変なことか想像するのはさほど難しくはないはずなのに、依然、見えないがゆえに、「怠けている」という烙印を押されてしまうのが「うつ病」なのです。


治療はあっても生活援助は少ない

うつ病になると、診断や治療は医療機関で行われ回復に向かいますが、案外、この間の生活サポートが少なく、結果として、本人や家族など周囲も苦難を背負い込むことが多い現況でしょう。
まず、休息をとって脳を休ませ、栄養を摂ってセロトニンを増やし、それから、ストレスからうつ病に至ったプロセスを振り返って、病気に陥った特徴を明らかにし、そうならないように改善を試み、その目途が立ったところでリハビリにかかると、再生のプログラムは盛りだくさんのはずです。
が、今のところ多くの場合、それを半年から数年にわたる休職期間等に、自力で達成しなければならないところに、大きな課題があるでしょう。
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2017年11月02日

うつ病の予防のカギは運動・睡眠〜休日の睡眠がいつもより2時間以上長ければ<寝不足>

うつ病の予防のカギは
運動・睡眠〜
休日の睡眠がいつもより
2時間以上長ければ<寝不足>
2017.10.31 ヘルスプレス
文=里中高志
精神保健福祉士。
フリージャーナリスト。
1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。
精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。
著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。  

2014年に行なわれた患者調査によると、うつ病を中心とする気分障害の患者数はおよそ112万人――。
 また、少し古いデータになるが、2002年〜2005年に行なわれた疫学調査によると、日本の成人人口をおよそ1億500万人とすると、220万5000人が過去12カ月の間にうつ病の診断基準を満たしたと推計できるという。
 もはや<国民病>とも言えるうつ病だが、じつは「生活習慣病」に似ているところがある。

健康なときから自身の心と身体の状態に気を配ることで予防することができる」と話すのが、国立精神・神経医療研究センター、精神保健研究所の西大輔医師だ。
  西医師は、かつて災害医療センターで自殺未遂患者の救急医療に携わっていた経験から、深刻な事態に至る前に<うつを予防する方法>を研究するようになり、2012年には『うつ病にならない鉄則』(マガジンハウス)という著書も刊行している。
 西医師のナビゲートのもと、
@睡眠と運動、
A栄養、
B思考パターンの3回に分けて、うつの予防法について紹介したい。

休日の睡眠が平日より
2時間以上長ければ
<睡眠不足>の証拠  
「現在行なわれているうつ病の治療法は、抗鬱薬によるものが主体です。
しかし、私は薬物ではないアプローチ、たとえば栄養や運動でうつ病を予防できないか――という研究をしています」  
「気をつけていただきたいのは、<薬は必要ない>と言っているわけではないということ。
重症のうつ病に薬物療法が有効であることは明らかですが、そのような深刻な状態に至る前に、うつを予防したり重症化を防いだりするためのエビデンスを集めています」

 こう話す西医師が、まず提唱するのは睡眠の重要性だ。
不眠が続くとうつ病が発症しやすくなるだけでなく、睡眠不足によって肥満や糖尿病などの生活習慣病になりやすくなること、さらにうつ病と生活習慣病との間に密接な関係があることも明らかになっているという。
 「平日の睡眠時間が少なくても『休日に寝だめをすれば大丈夫だ』と考えている人は多いのですが、それはいわば<平日に借金をして休日にその返済>をしている状態」
 「どうしても忙しくて睡眠を長く取れないのなら仕方ないが、休日の睡眠時間が平日より2時間以上長かったら、それは平日の睡眠が足りていないのだと自覚をすることも大切です。
睡眠時間を30分〜1時間増やす余裕がまったくない人って、じつはそれほどいないものです」  

ついつい寝る前にネットサーフィンやゲームに時間を費やす人も、<睡眠時間の確保=うつ病の予防>を意識して、少し早めに眠りにつく習慣をつけるのがいいかもしれない。

うつが深刻になる前に
カラダに目を向けること  
 そして、西医師が睡眠と並んで力説するのが運動などを通して<身体に目を向けること>だ。たとえば、有酸素運動などを継続的に行うことでうつ症状が改善することが多くの研究から示されている。
また、最近では寝る前の10分程度のストレッチでも寝付きがよくなり、メンタルヘルスが改善することを示した研究結果もあるという。
軽いジョギングやウオーキングでも人によっては効果的かもしれない。
 だが、その程度の運動でも、うつが重くなると、とてもではないがやる気が起きなくなるだろう。
だからこそ西医師は、うつになってしまう前から身体に目を向けることを勧めるのだ。

 「予防のうえで一番大切なのは、運動量よりも自分の身体に目を向けること。
身体のちょっとした不調や体の使い方のクセなどは気持ちの変調に気づくためのサインになりますし、身体から働きかけてメンタルヘルスがよくなることを実際に経験しておくと、落ち込んだ時にも役に立つと思います」
(取材・文=里中高志)

西大輔(にし・だいすけ)
国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所精神保健計画研究部
システム開発研究室長。

2000年、九州大学医学部卒。
国立病院機構災害医療センター
精神科科長を経て2012年より現職。
2016年より東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻精神保健政策学分野連携講座准教授を併任。
著書に『うつ病にならない鉄則』(マガジンハウス)がある。
専門:精神保健学、うつ病・PTSDの予防、栄養精神医学、産業精神保健、レジリエンス。
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2017年11月29日

うつ病予防、最大のポイントは「自分の思考パターン」を知ること

うつ病予防、
最大のポイントは
「自分の思考パターン」
         を知ること
2017.11.27 Business Journal
取材・文=里中高志

「うつ病の予防」をテーマにした本連載では、睡眠と運動、栄養といった側面をからアプローチしてきた。
 それらを踏まえた上で、国立精神・神経医療研究センターの西大輔医師は、
いちばん大切なのは、自分の思考パターンを知ること」と話す。
今回は、「思考」からうつ病の予防法にアプローチする。

自分のパターンに
気付けているかどうか?
「うつ病の原因については、脳内の神経伝達物質をはじめ諸説ありますが、私は“自分のパターン”に気づくことが、予防のうえで最大のポイントだと考えています。
調子を崩した時、自分のパターンに気づいて自分を客観視できると、受け止め方はずいぶん変わります。

 たとえば、電車が遅れるたびに、すごくイライラして腹が立つ人がいたとします。
その人は、電車が遅れたのが悪い、自分が腹を立てるのは当たり前のことだと思っています。
でも、もし『当たり前』であれば、電車を待っている他の人たちも同じように腹を立てているはずです。
 逆に言えば、電車が遅れた時だけ腹を立てて、それ以外の状況で腹を立てない人というのは、まずいませんよね。
つまり『電車の遅れ』という出来事がきっかけで、『腹を立てやすい』というその人の傾向が表に出てきているわけです。
 つまり、『電車のせい』ではなくて『自分には腹を立てやすいパターンがある』ということに気づくことが大切です。

しかし、ここで『腹を立てやすい自分はダメな人間だ』などと思う必要はありません。
おそらく、昔のある時期に、腹を立てたり怒りを見せたりすることが問題解決の役に立ったことがあるから、そのパターンが残っているのでしょう。

 また、強い感情を感じたときの身体の反応にも、人によってパターンがあります。
たとえば、イライラしたときに呼吸が浅くなり首や肩に力が入ってしまうという人がいます。
そういう場合、呼吸の浅さや首・肩のこりから、自分のイライラに気づくこともできます。
そして気づけば、それだけで自然に気持ちにも変化が生まれます。

 うつ病になってから、自分の内面を見つめるのは簡単ではありません。
うつ病になる前に、自分のパターンを客観視できるようになっておくと、うつ病になりにくくなると考えています

元気な今だからこそ始めよう
 うつ病を予防したり悪化させたりしないためには、うつの予兆が表れたときに、早めに察知することが大切だ。

 うつの予兆としては、
不眠や頭痛などの身体の不調、疲れやすさ、無力感や不安、イライラ、焦り、自己否定感などがある。
新聞や本の内容が頭に入らないという状態も、うつによる集中力の低下から起きているかもしれない。

自分のパターンに気づくことで役立つのは、うつの予防だけではありません。
気持ちに余裕が生まれますし、これまでは知らなかった可能性が見えてくることもあります。
そして、これまでお話してきた睡眠や身体に目を向けること、栄養などは、すべてこの気づきにつながってくるのです」(同)  

 まだうつになっていない今だからこそ、始められるこれらの予防策。
セルフケアとして、試してみる価値があるはずだ。

西大輔(にし・だいすけ)
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計画研究部システム開発研究室長。
2000年、九州大学医学部卒。
国立病院機構災害医療センター精神科科長を経て2012年より現職。
2016年より東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻精神保健政策学分野連携講座准教授を併任。
著書に『うつ病にならない鉄則』(マガジンハウス)がある。
専門:精神保健学、うつ病・PTSDの予防、栄養精神医学、産業精神保健、レジリエンス。

里中高志(さとなか・たかし)
精神保健福祉士。フリージャーナリスト。
1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。
大正大学大学院宗教学専攻修了。
精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。
メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。
著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。
※ 初出/健康・医療情報でQOLを高める「ヘルスプレス」

ニュースサイトで読む:
http://biz-journal.jp/2017/11/post_21347.html Copyright c Business Journal All Rights Reserved.
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2018年02月13日

心の病気の回復期に「ポジティブ思考」が重要なワケ

心の病気の回復期に
「ポジティブ思考」が重要なワケ
2018/02/10 All About
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心の病気からの回復期に
     重要な「ポジティブ思考」
新しい物事や難しい局面に直面したとき、楽観的な気持ちで臨める人もいれば、悲観的になりがちな人もいます。
これは当人の元々のパーソナリティによるもので、どちらがよい結果につながるかも、その時々の状況により変わるものです。

例えば何かの問題に対して思い切った行動を取って、非常に良い結果につながった場合、楽観的な性質が役立ったと思われるかもしれません。
しかし反対に、慎重に思いとどまったことで大きな失敗を回避でき、結果的に大事に至らずに乗り越えられた場合、物事を少し悲観的に見る性質が役立ったと思われることもあるでしょう。
このように、人は必ずしもいつも楽観的であるべきとは言えないものなのです。

しかし、心の病気の回復時においてはそうではありません。
心の病気の快復においては、物事をなるべくよい方向に考えるポジティブ思考が非常に重要です。
今回は心の病気から回復していく過程での重要な要素として、当人だけでなく、ご家族も気持ちを前向きにしていくことの大切さを詳しく解説します。

心の病気治療のゴールは
「元の日常生活」を取り戻すこと
心の病気の経過、治療についてお話するにあたり、まずは心の病気治療の「ゴール」が何かを知っておいていただきたいと思います。
心の病気には、うつ病、統合失調症などを始め様々なものがありますが、深刻な症状で入院が必要になったようなケースでも、現在はある程度症状が落ちついた後は自宅で療養し、外来通院で治療にあたるのが一般的です。
そして「心の病気から回復する」というゴールの考え方自体も、一昔前とは大きく変わってきています。
「心の病気から回復する」ことは、単にその問題症状が落ち着くだけではなく、元の日常に戻ることを指します。
元の生活が戻り、初めて回復とみなすようになってきているのです。
そして心の病気で深刻な症状が現われた場合でも、今日では多くの場合は適切な治療を受けることで、元の日常生活に戻ることが充分可能になってきています。

一方で、心の病気の治療期間は、一般に数ヶ月、数年単位になりやすいものです。
自宅で療養する方は、家庭環境がある程度整っている方が望ましいことは言うまでもありません。
ストレスが少なく、家族間のコミュニケーションが良好な状態が理想です。
それらがもたらすメリットは、単に当人の療養生活が楽になるというだけではありません。

うつ病、統合失調症など心の病気は、一般にその経過において、生活の場でのストレスがしばしば症状を増悪させる要因になってしまいます。
また、生活環境でのストレスが、一度は落ち着いていた症状の再発の引き金になることもあります。
元の生活を取り戻すというゴールを見据えた場合、適切にストレスに対処していく気持ちや環境を整えることは、心の病気の経過を良好にし、再発リスクを減ずるためにも重要な要素だということがお分かりいただけるかと思います。

ネガティブ思考回避の第一歩は
「正しい知識を持つこと」
しかし現実に心の病気を発症してしまった場合、当人はもちろんご家族も普段はないようなストレスを感じ、ネガティブ思考に陥りうることは、無理もないことです。
そのような状態で、「ストレス対策が大事。ポジティブ思考を大切に」と言われても、どうしていいか分からなくなってしまう……という方もいらっしゃるかもしれません。

ですので、まずは当人とご家族がネガティブ思考に陥らないために、最も大切な基本をお伝えしたいと思います。
心の病気に限らず、深刻な病気になってしまうのはやはりショックなものです。
そして、うつ病や統合失調症などの心の病気を発症した場合、その疾患特有の症状のために、日常生活にも深刻な問題が現われているケースは多いです。
それらの症状が、当人やご家族にも深刻なストレスを与えてしまうこともあります。

例えばうつ病を発症すると、何をやっても楽しく感じられないといった心理傾向になりがちです。
塞ぎこんでいる様子を見て、何か気晴らしをさせたいとご家族が楽しいことに誘ってみても、浮かない表情で断られるかもしれません。
このような場合、ご家族の方は、それは病気が生み出した症状による問題なのだとしっかり理解しておく必要があります。
自分の親切に対して心ない対応ばかり取る、などと相手の気持ちの問題だと誤解してしまうと、より強いストレスにつながりかねません。
介護うつ診断法
心の病気から回復する上で、家族を始めとする周りの方のサポートは欠かせないものですので、当然こういった誤解によるストレスや軋轢は、スムーズな回復にプラスにはなりません。
同様に、統合失調症の場合は何らかの妄想観念が頭を占めることも少なくありません。
「自分は誰かに狙われている」といった被害妄想が強まることもあります。
外へ出るのを極端に怖れ、自分の部屋に閉じこもってしまうこともあるでしょう。
こうした場合も、ご家族は必要以上に動揺しないよう、それが病気による精神症状であることと、治療薬で対処できる問題であることを理解し、不要なストレスを抱え込まないようにしたいものです。

もし正しい理解がないままご家族までもがストレスを溜めこんでしまい、病気になってしまった当人の人格を責めるようなことになってしまえば、当人は心が大きく傷つくだけでなく、自分は何をやってもダメなんだといったネガティブ思考を深めてしまうかもしれません。
これは病気からの回復はもちろん、症状が治まった後に元の生活に戻っていくというゴールを目指す上でも、大きな障壁になってしまいます。

まずは病気についての正しい知識を持ち、ストレスやネガティブ思考を意識的に回避していくことが大切です。

自他ともに具体的に誉めることが、
ポジティブ思考の第一歩
病気などで一度自信を失ってしまうと、悪い面ばかりに目が向き、視野が狭まってしまうことは少なくありません。
例えば病気の治療中に四肢の協調運動に問題が出てしまい、動作が少しぎこちなくなってしまったとしましょう。
こうした不調はごく軽度のものであっても、病気と闘っているご本人にとっては非常に気になるものだと思います。
普段通りにできなくなった、もう身体がおかしくなってしまった……とできないことばかりに目を向け、深刻に思い詰めて悩んでしまうと、当然気持ちは前向きになりにくくなります。

一旦深刻なネガティブ思考に陥ると、自分が本来得意にしていたことや楽しいことすら、考えづらくなってしまうでしょう。
例えば絵が好きでとても上手かったとしても、深刻なネガティブ思考に陥ると、本来そういった趣味・特技があること自体を忘れてしまったり、趣味を楽しむために回復したいという前向きな気持ちを持てなくなってしまったりする可能性もあります。
症状が落ち着いた後に、元の日常にいかに戻っていくかは心の病気の大きな課題です。
その際に大きな力になるのが、当人の趣味や本来得意だったことへの意欲だったりもします。
本人がそれを充分意識して、気持ちを前に向けていくことは回復にも少なからず影響するものです。
自分でそういった気持ちを思い出して自信を持つことはもちろん、周りにいる方も、当人の優れた点や元々の特技、よい面などを、具体的に言葉にしてはっきり伝えることは、本人の気持ちを大いに楽にする可能性があります。

たとえ誉めた側はすぐに忘れてしまったとしても、誉められた方はずっとそれが頭に残り、これからを頑張る原動力になることがあるのです。
ご家族の方が、病気から回復中の当人を誉めることは、回復の大きな要素でもある「自信」を取り戻し、気持ちを前向きにしていく上で大きな力になります。

回復期にポジティブ思考を習慣化する方法
ポジティブ思考を習慣化していくのは時間がかかるかもしれませんが、まずは気持ちを意識的に前向きにすることを心がけるだけでも、変わってきます。

辛い状況に「もうだめだ……」と肩を落としそうになったら、「とにかくできるだけやってみよう!」と意識して前向きに踏み出すことで、同じ状況でも、感じるストレスはかなり違ってくるはずです。
ポジティブ思考の実践の方法として、最も簡単で効果的なのは、なるべく具体的に前向きな言葉を口に出すことでしょう。
自分自身はもちろん、家族内や仲間内で前向きな言葉を交わすことを、あえて意識することは有効です。

今回はポジティブ思考の重要性と実践法について、詳しく解説しました。
冒頭にも述べましたが、「心の病気から回復する」ことは、単にその問題症状が落ち着くだけではありません。
ゴールは元の日常に戻ることです。

病気の発症前と同じように自分に自信を持つことも回復のために欠かせない要素。
それを助ける上で、ポジティブ思考が大きな役割を持つことを、どうか念頭に置いていただければと思います。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(5) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月14日

うつ病と上手につき合う

香山リカのココロの万華鏡
うつ病と上手につき合う
毎日新聞2018年2月13日 東京都内版

 ときどき受ける質問に、「うつって治りますか?」というものがある。
「もう少しくわしく教えてください」と言うと、だいたい、次のような話をされる。

 自分や家族、友人がうつ病で薬を飲んでるのだが、まだ落ち込みが続いて元気が出ない。
いつかこれがもとに戻って、薬や通院も必要なくなるのだろうか。
すっきりさわやかな気持ちになれる日があるのだろうか。

 私はこんな答えを返すことが多い。  
「元気にはなると思いますよ。
薬がいついらなくなるかは、人によって違いますね。
そして、“すっきりさわやか”ですけれど、うつ病じゃなくても、なかなかそういう気分にはなれないのではないでしょうか

 つまり、うつ病は適切な治療を受けたり、月日がたって波が去ったりすると、必ず回復する。ただし、それまでにどれくらいの時間が必要か。
それは予想できず、残念ながら再発してしまうこともある。
だから、完全に薬がいらなくなるかどうかも、なんとも言えない面があるのだ。

 ただ、「うつ病が治る」とは、必ずしも元気はつらつ、毎日が楽しくて仕方ない、ということではないはずだ。
 たとえば、私はうつ病ではないと思うが、どうしてもやる気が出ずにダラダラする日がある。家族と口げんかをして落ち込むこともある。
 気持ちに波があったり、ゆううつになってクヨクヨしたりすることは、人生につきもの。
だから、それをもって「まだうつ病が治っていないんだ」と思う必要はない。
 それに、薬を飲みながらでもふつうの生活ができるなら、その時点で「うつ病はある程度、おさえ込んだ」と思ってよいのではないか。
世の中には、血圧や血糖を下げる薬を飲みながら、自分を病気だと意識せずに働いたり、遊んだりしている人がたくさんいる。

 うつ病も同じように「闘って克服する病」と考えずに、「上手につき合っていく仲間」くらいに考えてはどうだろう。
 うつ病が完全に治らなくても、楽しいことはいくらでもある。
気分が完全に明るくならなくても、それなりに生活することもできる。
薬を飲みながらでも、友人に会ったり、旅行に行ったりすることもできる。

 うつ病をやっつけてやろう、と思いすぎなくても、だいじょうぶ。
「治りますか?」と心配そうに尋ねる人には、そう返事をしたい。
     (精神科医)
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☀ | Comment(4) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月04日

「うつ病の意外な兆候にも気づいてほしい」

丸岡いずみ、
うつ病体験をさらけだす
「うつ病の意外な兆候にも気づいてほしい」
2018/3/3 週刊女性2018年3月13日号

 丸岡いずみさんが自らのうつ病体験を役立てたい! と執筆した『休むことも生きること 頑張る人ほど気をつけたい12の『うつフラグ』』(幻冬舎)が話題だ。

 キャスターとして忙しい日々を送りながらも、周りのスタッフからは「タフで病気知らず」として知られていた丸岡さん。
2011年の東日本大震災の取材後、湿疹が出る、眠れない、下痢が続くといった症状が出ても、「ちょっと疲れているだけだろう」と考え、相変わらず仕事に邁進(まいしん)する毎日を続けていた。

心の病ではなく、うつは脳の病気
「私は落ち込むといった精神症状はまったくなく、身体にいろんな症状が出るタイプだったので、まさか自分がうつ病だとは思いもよりませんでした。
うつ病は身体に現れることもあるんです。
また、うつ病は心が弱い人がなるという誤解をされている人もいますが、脳の病気なので、明るく元気な人でもかかります。
私自身もうつ病について誤解をしていて、重症化させてしまったので、今回、自分の体験をさらけだして書くことで、うつ病の意外な兆候にも気づいてほしいと思いました」

 丸岡さんが、うつ病を悪化させた要因のひとつが薬を拒絶したことだった。
「精神安定薬や抗うつ薬を飲むと、人格まで変わってしまうのではという思い込みがありました。
そして医師には処方された薬を飲んでいないのに“飲みました”とウソをつき、どんどん病状を悪化させてしまいました。
私が薬嫌いになったのは、薬の話は医学書にしか書いてなくて、難しく、副作用が恐ろしいイメージがあったからです。

そのため、この本では、うつ病体験者であり、カウンセラーでもある視点から、薬についてもわかりやすく解説しています」

 本のタイトル「休むことも生きること」は、昨年3月に亡くなったお父様が丸岡さんにかけてくれた言葉だという。
「仕事一筋で止まることなく走り続けてきた私は、父から言われたこの言葉にはっとさせられました。
うつ病になって、“仕事もできないし、私にはもう価値がない”と自信をなくしていましたが、仕事だけが人生ではないことに初めて気づくことができたんです

うつ病の人への対応もアドバイス  
本の中では、うつ病の人への声がけについても触れられている。

「“うつ病の人に頑張ってと言ってはいけない”というような話がありますが、私自身は“頑張って”と言われてイヤな気分になったことはありませんでした。
頑張ってという言葉の中に、“あなたが本当によくなるまで待っている” “応援している”という意味が含まれているのがわかれば、素直にありがたいと受け取れます。

“うつ病の人だからこういう言葉をかけないといけない”と深く考えるのではなく、“大変だよね”“お大事にね”と寄り添う言葉をかければ十分だと思います」

 丸岡さんがうつ病で苦しんでいるとき、夫で映画評論家の有村昆さんの対応にも救われたという。
「当時はまだお付き合いはしておらず友人という関係だったのですが、うつ病だと伝えると、“誰でもなるもんだよね”と、こっちが拍子抜けするくらいさらっとした対応だったんです。大げさに騒がれるのが辛かったので、彼の言葉に気持ちがラクになりました。
また彼の家に行くと、うつ病の本がたくさんあって、私の病気を理解しようと勉強してくれていたことがわかり、ありがたかったです」

 うつ病の人に「死にたい」と言われたら、周囲はおろおろしてしまいがちだが、そのときの対応にもポイントがある。
うつ病で自殺願望がわくのは普通のこと。風邪でせき、鼻水が出るのと同じなんです。
自殺という行動をとらせないようにすることは大切なのですが、“死にたいなんてとんでもない考え方だ”とうつ病の人を否定すると、“わかってもらえない”という気持ちが強くなってつらくなります。
“死にたいくらいつらいんだね”と共感し、“死にたいと思うのは、うつ病だから大丈夫”と言ってもらえると安心します。

本の中には、こういった、うつ病の方への対応に悩んでいる家族の方にも役立つことも盛り込みました」

現在は、仕事一辺倒にならないよう、夫との家庭生活をベースにマイペースに過ごしている丸岡さん。
「いま思い返すと、昔は高速道路を爆走しているような仕事中心の生活でした。
今はプライベートな時間が持てるようになり、バランスがとれて、自分らしく生きられていると思います」

『休むことも生きること』丸岡いずみ=著(税込み1188円/幻冬舎)

 もう薬は飲んでいないが、うつ病が再発しないよう、自分が好きなことをする時間を多くもつことも大切だ。
「幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが不足すると、うつ病にかかりやすくなることがわかっています。
自分が楽しいと思える趣味をたくさん持っているほうが、うつ病からの回復が早いともいわれています。
私は温泉や土いじりが大好きなので、こういった趣味に没頭する時間を大切にして、セロトニンを分泌することを意識しています」

 うつ病経験を話す機会が増えるうちに、体験談だけではなく、医学的根拠に基づいた説得力のある話をしたいと思い、執筆したという今回の本。

うつ病予防のためにも多くの人に読んでもらいたい一冊だ。

ライターは見た! 著者の素顔
 本が大好きだという丸岡さんですが、ふだんはどういう本を読んでいるのでしょうか?

「昔は仕事で役立つ実用書ばかり読んでいましたが、今はただただ楽しめる本を読むのが幸せです。
最近のおすすめは『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(神田桂一・ 菊池良=著・宝島社)。
村上春樹、太宰治、三島由紀夫、夏目漱石、星野源、小沢健二など100人の文体を模倣して、カップ焼きそばの作り方が書かれており、かなり笑えます」

<プロフィール>
まるおか・いずみ
◎1971年、徳島県生まれ。
元日本テレビ記者兼キャスター。
2011年の東日本大震災の取材後、重度のうつ病を発症。
回復後、2014年にメンタルヘルスカウンセラーの資格を取得。
うつ病に関する講演も行う。
著書に『仕事休んでうつ地獄に行ってきた』など。
今年1月、代理母による出産で長男が誕生。
(取材・文/紀和静)
posted by 小だぬき at 18:00 | 神奈川 | Comment(2) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月08日

激増!「職場うつ」が重症化しやすい人の特徴

激増!「職場うつ」が
重症化しやすい人の特徴
仕事量・人間関係…心が病む原因とは?
2018年05月07日 東洋経済

ムーギー・キム :
『最強の働き方』『一流の育て方』著者

世の中には、実に多種多様な「健康書」が氾濫している。
しかし医者によって言っていることも大きく違い、何を信じたらいいのかわからない。

「人生100年」時代、本当に信頼できて、誰でもお金を掛けずに毎日できる簡単な健康習慣とは、いったいどのようなものなのか。
4月26日、東洋経済オンラインのメルマガでもおなじみのムーギー・キム氏の渾身の著作『最強の健康法―世界レベルの名医の本音を全部まとめてみた』(SBクリエイティブ)が、『ベスト・パフォーマンス編』と『病気にならない最先端科学編』の2冊セットで刊行された。

本書は日本を代表する50名に上る名医・健康専門家による直接解説を、東大医学部で教鞭をとる中川恵一氏、順天堂大で教鞭をとる堀江重郎氏が二重三重にその正確性をチェックしたうえで制作されている。
東洋経済オンラインでは同書を元に、多くの名医たちが実践しているおカネの掛からない確かな健康法を紹介していく。

第2回は、「職場うつ」の傾向と対策を解説する。

産業医として28社もの企業に関わる医療法人社団同友会産業保健部門の大室正志氏は、「近年、職場うつが激増しています」と話す。
厚生労働省が集計したアンケートによると、発症した原因にはいくつか傾向があるという。
圧倒的に多い原因は「仕事量」
「まず圧倒的に多いのは『仕事量』です。
仕事が多すぎて心身が休めないと、誰だってうつっぽくなりますよね。
続いて職場の人間関係。
これも非常に大きいです。
一緒に働く他人は、自分でコントロールできない問題ですから。
また、自分の適正と仕事内容のミスマッチも大きな原因です。

こうした職場要因の他にも、家庭の要因、たとえば親の介護などが加わった複合的要因のケースなどもありますね」(大室氏)
また、安定した大企業でずっと同じ仕事をしてきた人が、肩たたきにあったり、窓際に追いやられたりして発症したうつ病は、重症化しやすいという。
「年をとってから仕事環境が変わると、他に選択肢がありません。
そこで精神的に追い詰められてしまうのです」と大室氏は説明する。

ちなみに、うつ病の診断基準には「2週間以上、抑うつ状態が続いている」などチェックリストがあるが、実情はそれほど単純ではないという。
うつ病ではないけれど、その周辺領域の「うつっぽい状態」には明確で排他的な診断はつけづらいという。
うつ状態になる原因は人それぞれ 「たとえば、救急車で緊急搬送されてきた人が『おなかが痛い』と言っているけれど、検査機器を調べてもわからない、というときにはとりあえず『発熱と腹痛』と診断書を書きます。

同様に、うつになっていることは事実だけど、統合失調症の初期症状かもしれないし、双極性障害(旧称『躁うつ病』)かもしれないけれど、実態はよくわからない、というときは全部まとめて『うつ状態』とします」(大室氏)
こうしたうつ状態になる原因は人それぞれであり、中には「幸せな気分にさせるセロトニンが出にくい」といった体質的な要因を抱えているケースもあるという。
では、どう対策すればいいのだろうか。

本書に登場する長尾クリニックの長尾和宏院長によると、歩くだけでセロトニンが分泌されるため、実は歩くだけでうつ病対策になるという。
同じく本書に登場する新宿溝口クリニックの溝口徹院長によると、セロトニンなど脳内物質の原料として重要なビタミンBや鉄分を摂る、栄養面のアプローチで治す人もいるという。

うつ病は原因も深刻さも多様だが、大室氏が語るように
仕事量・人間関係で無理をせず、他にも選択肢のある生き方、考え方を心がけたい。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(2) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月08日

発達障害の僕が「うつの底」で体験した地獄 自己肯定感に「根拠」がある人は危ない

発達障害の僕が
「うつの底」で体験した地獄
自己肯定感に
「根拠」がある人は危ない
2018/06/07 東洋経済オンライン(借金玉)

「自分は発達障害かも……」「発達障害の同僚がいて困っている」など、職場で大人の発達障害が話題にのぼることが増えました。
『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』の著者であり、発達障害の当事者である借金玉さんの体験談は、きっと多くの人の参考になるはずです。

発達障害の二次障害で、
人生最大級のうつがやってきた
 はじめまして。借金玉と申します。
現在32歳で、不動産営業マンとして働いています。
僕は大学生のときにADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けた発達障害者です。
 僕の社会人生活は、ピカピカのホワイト企業から始まりました。
就職活動で、何を間違ったか大変立派な金融機関に入り込むことに成功したのです。
しかし当然のごとく仕事はうまくいかず、人間関係も壊滅。
2年ともたず職場を敗走することになりました。

 その後、よくわからない力を発揮して数千万円の出資金をかき集めて起業。
一時は社員2桁あたりまで会社を成長させるも、昇った角度で落下。
30歳の節目をすかんぴんの無職として迎えることとなりました。
どれだけお役に立つかわかりませんが、今回は、そのときの僕の体験談をお話しできればと思います。

 僕は起業に失敗した後、人生最大級のうつに襲われていました。
今日で僕の起業が完全に失敗してから1年半ほどが経つのですが、そのうち半年はほとんど動けない状態にあったと言っても過言ではないと思います。
 うつが訪れた理由は、二次障害の双極性障害の周期的なものに加え、何より僕が自身の生存を肯定できる理由をすべて失ってしまったのがいちばん大きいと思います。

 僕は、自分の能力の欠損を社会的な肩書やおカネといったもので埋め合わせることを目指して30歳まで生きてきました。
それは傍から見ると滑稽で無様な人生だったと思いますが、それでもそこには「前進をやめたら死んでしまう」という強烈な切迫感が存在していました。

「自分は劣った人間であり、そのままでは人間としての価値を認められることはできない。
だから成果を出して社会をねじ伏せるしかない」というモチベーションです。
僕の人生の原動力は往々にしてコンプレックスそのものでした。
 大学入試も就職活動もそうですが、社会的地位や名誉を手に入れれば自分の欠損が免罪されるのではないかという大きな期待があったのです。
そして得た成果から
「僕はこれだけの結果を出している。だから僕は自分を肯定していい、生きていていい」という自己肯定感を得ていました。
 それはもっと言えば、
「僕より結果を出せていない人間はたくさんいる。僕はあいつらよりは生きる価値がある」という、他人を見下して得る自己肯定感でもありました。

 最初の仕事を辞した後は、「自分はこれから起業するんだ。新たなチャレンジに打って出るんだ」という考え方で自己肯定感を確保していました。
しかし、起業が失敗に終わったことが確定的になったとき、僕を支えていた自己肯定感は跡形もなく吹き飛びました。

毎日、「飛び降りるビル」を下見していた
 そして、やってきたのが巨大なうつです。
当たり前ですよね。
自分自身の信奉する価値観に照らして、30年近くの間自分を支えた信念に照らして、まさに自分に生きる価値がないことが証明されてしまったのですから。
 いやー……キツかったですね。
対外的にはそれなりに振る舞っていましたが、毎日ほとんど寝て暮らし、ちょっと気力があれば死ぬための身辺整理を行い、飛び降りる予定のビルを下見する。
 そんなことを繰り返していました。
ここまで希死念慮が強まると、「下見」をしていたり「準備」をしているときはむしろ安らぎがやってくるのです。
まるで仕事を投げ出して旅行に行く準備をしているような心地好さがありました。
思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか。

 ではなぜ死ななかったかというと、会社の残務整理があったからです。
会社の事業の9割方が売却されても、最後の最後にほんのちょっとした事業は残っていて、そこには従業員も1人残っていたのです。
 結局は、事業の本体がダメになってしまった後にその付属物であった小さな事業ひとつを継続しても意味はないと判断して売却しましたが、従業員に会社を離れてもらい諸々の整理を行う、この作業が長引きました。
僕が死ななかった理由は主にそれです。

 僕のように、単なるうつ状態を超えてしまった段階の「重いうつ」に関しては、経験上ひとつ明確な答えがあります。
うつのどん底でできることは、服薬して眠る以外に何もないということです。
まさに「うつの底」です。
 それは、雪山で吹雪に閉ざされたときに似ています。
雪洞を掘って、身体を丸めて眠る。
できることはそれだけなのです。
そして、それは生き残るための「行動」なのです。

吹雪は永遠にやまないかもしれない。
二度とここから動けないかもしれない。
それは十分ありうることです。

枕元に魔法瓶を置く
 うつのどん底にいたときに僕が最も助けられたアイテムは、魔法瓶です。
これに温かい紅茶を詰めて枕元に置くのです。
希死念慮がやってきたときは「とにかく温かいお茶を飲もう、それだけでいい」で意識をそらし、次は「お茶を補給しよう、それができれば十分」で達成感を回復しました。

 僕のどん底は冬でしたので、「寒い。
しかしストーブの灯油を補給する気力もない」ということはよくありました。
そんなときに温かな魔法瓶のお茶は本当に大きな救いでした。
これで、玄関まで歩いて灯油を補給する気力を引っ張り出せました。
 中身は、シンプルにひたすら甘いストレートの紅茶がおすすめです。
ミルクは胃に重くて飲めなくなるので推奨しません。
レモンは悪くないです。

食べ物は、カロリーメイトなどを大量に買って枕元に置き、紅茶で湿らせて食べるのがおすすめです。
まるで遭難者ですが、実際に遭難者なのです。
 どん底中のどん底だった1週間ほどが過ぎて、お風呂に入れるようになったときに「底を抜けた」と感じました。

 うつの経験がある方はわかると思いますが、うつがひどくなるとシャワーひとつ浴びることができなくなります。
これは若い頃の話ですが、やはりうつのどん底にいたとき、僕はトイレまで歩くことができず失禁し、その処理すらできず、悪臭の中で1日横たわっていました。

うつというのは悪化すると、そこまでに人間のすべてを奪う病気です。
 「うつのどん底」を抜けて少し回復が始まったとき、次は何とか「自己肯定感」、少なくとも自分が生きていていいという感覚を取り戻すための戦いが始まりました。
 僕の場合、まだ希死念慮が抜けていなかったこのタイミングで、人生に絶望した友人から電話がかかってきたのが大きな救いになりました。

 「死にたい。自分には生きる価値がない」と言う友人に対して、僕は極めて自然に「価値がなくたって死ぬ必要はない」と主張しました。
 自分でもなぜそんなことを言ったのかわかりません。
もちろん、何の根拠もない話です。
自分自身が生きる価値を見失って死にたいと思っていたところなのだから、欺瞞もいいところです。
 僕自身の価値観に照らせば、「確かにおまえに生きる価値はない」と言うべきところです。
この電話は「お互い何とか生きようよ」というところで終わったのですが、とても大きな示唆を僕に与えてくれました。

 自己肯定は無根拠であるに越したことはないのです。
根拠のある自己肯定は、根拠が失われれば消え去ってしまう。
 では、無根拠な自己肯定を手に入れる方法は何か。
それは無根拠に他者の生を肯定することそのものだと思います。
他者を肯定した分だけ、自分も肯定していいという考え方です。

少なくとも、自分の生を無根拠に肯定するよりは他者の生を無根拠に肯定するほうが簡単です。
 誰だって、友人が「俺には生きる価値がない」と言っていれば「そんなことはないし、価値なんかなくたって生きていていい」と言いたくなるでしょう。
それを「利用」するのです。

他者を見下して笑った
自分の人差し指は自分を突き刺す
 自分が何かを(おカネを、あるいは社会的地位を)持っていることで他者を見下して自己肯定感を得ていた場合、それが失われたときには間違いなく自己肯定感を失います。
 しかし、他者に対して「何もなくてもあなたは生きる価値がある。
そこには根拠はいらない」と普段から主張していれば、それを自分に適用するのはそう難しいことではないでしょう。
少なくとも、かつて他人を見下した自分の目に、他者を指差して笑った自分の人差し指に突き刺されることは防げます。
 他者を見下す無意識の目線は恐ろしいです。
それを他人に向けているうちは問題ないですが、自分が「見下される」側になったとき、まるで槍のように降り注ぎます。

人間がうつの底で異様に謙虚になってしまうあの現象も相まって、本当に危ない状態に陥ります。
 もちろん、「自分は自己肯定の根拠を失うことはない。
他者に対して自分が優越していることはモチベーションの源だ」という考え方も一理あります。
人生が好調に推移しているとき、それは強力なエンジンになるでしょう。
 しかし、自分が「すべてを失うこともありうる」と考えるならば、この考え方は採用しないほうがいいと思います。
倫理的な問題ではまったくなく、リスク管理の問題として。
 根拠ある肯定感は、根拠が消し飛べば一緒に消えてなくなります。
具体的な自己肯定の根拠は助けになることもありますが、実を言えばリスクと隣り合わせです。
あらゆるものは失われる可能性があるのですから。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月11日

うつ病は「心のかぜ」ではなく「心のがん」

一色伸幸さん
うつ病は「心のかぜ」ではなく
「心のがん」
2018年10月09日 日刊ゲンダイ

ボクが2007年に「うつから帰って参りました」というエッセーを上梓したのは、うつの患者本人より、その家族や友人や周りで関わる人たちにうつの人の内面をわかってほしいと思ったからです。
病人を支える家族は「第2の患者」と言われるほど大変です。
それなのに、誰からもいたわられない。
うつの人の心の中が具体的にどうなっているのか、少しでも知ることができたら何かのお役に立つのではないかと……。

そのエッセーをさらに見やすく漫画にしたのが近著「さよなら、うつ。」です。
 うつの正体は、実際のところわかりません。
でもひとつだけ言えるのは、「気の持ちようなどではない」ということ。
個人的には「心のかぜ」ではなく、「心のがん」だと思ってます。

がんと同じ「病気」です。
がんなら1〜2年闘病することを誰もためらわないでしょう。
でも、うつだとなかなかそうはいかない。

わかってほしいのは、治療しないと死を選んでしまうこともあるし、治りきらないまま仕事に復帰すると再発を繰り返す可能性があるということです。
 ボクは幸い、丸2年間、すべての仕事を休んで療養に専念できました。
そのおかげで復帰から20年以上経ちますが、とても元気です。

 うつ病になったのは、2人目の子供が生まれ、脚本家として切れ目なく仕事をしていた30代前半です。
自分で言うのもなんですが、わりと生真面目なタイプで、書き始めると昼夜を問わず仕事にのめり込んでしまう生活でした。そしてなぜか“死”や“無になる”という思いにとらわれ始めてしまったんです。

 映画やドラマがヒットしても、大きな賞を受賞しても手放しでは喜べず「もっとできたはずだ」と自分を追い込んでいました。
眠れなくなり、睡眠導入剤を常用するようになりました。
ボクはお酒を飲まないのですが、サラリーマンが仕事帰りに一杯やるくらいの気持ち良さがその薬にはあったのです。
気づけば1日何十錠も飲んでいました。
 そのうちに何も書けなくなり、階段から転げ落ちたり、家のコンセントカバーを全部外したり、家の廊下で見えない人に道を譲ったり、意味不明なことをするようになっていたようです。

 見かねた妻に引っ張られて精神科医の元へ行ったのは34歳のときです。
母親の同級生のご主人で、子供の頃からよく遊びに行っていた病院でした。
幼い頃のボクを知る顔見知りの先生だったことが治療にもいい影響を与えたと思います。

 じっくりとしたカウンセリングで「うつ病」と診断された後は、4〜5種類の薬を使い、組み合わせや割合を変えて2〜3週間ずつ試していきました。
自分に合う組み合わせになったのは半年後ぐらい。
昼間の眠気が減り、夜眠れるようになったんです。

■生きていることが退屈な映画そのもの
 一番うつがひどいときは、布団から出られませんでした。
なんのやる気も起きません。
幼いわが子が話しかけてくれても何も感じないんです。
 うつは、脳と心をつなぐ糸が切れてしまった状態だと思います。

たとえばジョークが笑えるのは、「こんな発想で、こんなゴロ合わせで今この人は笑いをつくった」と脳が理解して、それが心につながって、「面白い!」と感じるからです。
でも、糸が切れていると脳で理解したものが心まで届かない。
食事をしても、出汁の風味や鮮度の良さは十分わかるのに、それが「おいしい!」につながらない。
とてもキレイな女性が耳元で色っぽい言葉をささやいても、ウキウキもムラムラも起きないのです。
 うつの最中は、うれしいとか楽しいとか、悲しいとか憎たらしいとか、そういった“心の揺らぎ”がひとつも起こりません。  想像してみてください。

心がまったく動かない退屈な映画を。
うつ病の患者にとっては、生きていることが退屈な映画そのものなのです。
景色や音楽、ストーリーやセリフに感動も驚きもない。
そんな映画を延々と見させられたら、映画館を出て行きたいと思いませんか?
 それがつまりうつの「希死念慮(死にたい気持ち)」です。
決して自殺願望ではなく「その映画館を出たい」だけなんです。

 ボクは2年間寝ていました。
その選択は正しかったと思います。
脳と心をつなぐ糸を修復する一番の薬は「時間」なんじゃないかな。
今でも気分が沈むことはありますが、そんな日は仕事をやめちゃう(笑い)。
少し無責任になって休めば治るからです。
そうでなくても、夕方4時には仕事を切り上げて近所を走ったりします。

心掛けているのは気持ちの切り替え。
でも、決め事はなるべくつくりません。
気分転換が義務になったら本末転倒ですから。


▽いっしき・のぶゆき 1960年、東京都生まれ。
1982年に脚本家デビューし、87年の映画「私をスキーに連れてって」で一躍脚光を浴びる。
映画「僕らはみんな生きている」「病院へ行こう」で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。
うつ病療養から復帰後も精力的に作品を書き続け、2013年には東日本大震災後の女川を舞台にしたNHKドラマ「ラジオ」で数々の賞を受賞。
近年は小説も次々と出版している。
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2019年02月11日

日本の「精神医療」は患者をダメにしているのか

日本の「精神医療」は患者をダメにしているのか
2/10(日) 筒井 幹雄 :東洋経済 記者

「患者のため」の身体拘束が招く死。
処方薬の影響で体中に入れ墨をした女性、万引を繰り返した会社員や衰弱後に突然死した自閉症患者。
担当医は患者家族から逃げ回り、「親の代わりに殴った」と開き直る。

半世紀前と変わらない医療現場がある。
『なぜ、日本の精神医療は暴走するのか』を書いたリサーチャーの佐藤光展氏にその実態を聞いた。

■リアルな患者の姿を見せていない

 ──にわかには信じられないような事例だらけです。

 1970年に朝日新聞の記者だった大熊一夫さんが精神病院内での患者への暴力をルポして、社会問題になりました。
1987年に精神衛生法が精神保健法へと改正され、改善されたと思っていたが、医療担当記者として取材していると、誰も開けない扉がある。
好奇心から開けたら人がばたばたと倒れている。
自分では“蘇生”できないので「これ、おかしいでしょ、助けませんか」という気持ちで書いています。
臭い物にふたは一般的ですが、精神医療には社会のひずみが凝縮していると感じます。  

──昨年8月に毎日新聞が、精神病院に50年以上入院している人が1773人いると報じました。

 こうした状況を、多くの人はおかしいと感じるはずですが、そうなっていないのは、まさに患者を病院に閉じ込めて、リアルな患者の姿を見せていないから。
ある精神科医に言わせると、従順ないい人だから何十年も入院しているわけで、世間が考える突然暴れ出すような人たちなら、暴動が起きて病院は潰れている。  

──これだけひどいと、「極端な例だ」という声もあるのでは。

 そういう反応は必ず出ます。
ただ、メディアが取り上げるのは何であれ極端な例がほとんどです。
殺人事件は年間約300件で年々減っていますが、報道しなくていいという話は聞きません。
事件の背景にある社会の問題や被害者の命の重さは伝えなくてはいけない。
それが、精神疾患の患者の場合なら、虐げられても一部だからいい、というのは理解できません。  

──なぜ、考えられないような医療が続いているのでしょう。

 医療は医者の見た目(視診)と検査の数値に基づいて行われますが、精神科は見た目がすべて。
iPS細胞による治療がスーパーカーなら、精神医療は人力車。
人力車だからダメ、ではないんです。
患者の話を聞いて癒やせればいい。
例えば「眠れてますか」に始まって、「そんなに仕事が大変なら会社と交渉しましょうか」というのが本来の精神科です。
ところが、ろくすっぽ話も聞かずに「眠れない?  じゃあ薬飲んで」となっちゃう。
ここに大きな問題がある。

■患者が半減してもやっていける  

──話を聞かないのは診療報酬制度にも問題があるようですね。

 お金に困ってない精神科の重鎮が開業して、1時間かけて患者の話を聞くと、大して薬を使わなくても1〜2カ月でうつ病が著しく改善したりします。
じっくり患者に向き合っても報酬は変わらないので、ある種ボランティア。
ここに矛盾があるのは確かですが、1人当たりの診察時間を5分から10分にして患者が半減してもやっていける報酬はもらっているはずです。
逆に、稼ごうと思ったら数をこなして投薬になる。  

──治さずに薬漬けにしたほうが儲かる構造ですね。

 ほとんどの精神科医は治したいと思っている。
ただ、検査や手術という方法がなく、あるのは薬だけ。
また、医療の質を問う場合、どれだけ治したかという評価基準が必要ですが、精神疾患は何をもって治ったとするかが難しい。
うつ病だと社会復帰でしょうが、会社に行ったらまた症状が出たという例は身近にあると思います。  

──製薬会社による「うつは心の風邪」といううつ病の啓発活動が安易な受診を助長すると批判されたことがありました。  

あのフレーズは、今思うとある意味正しかったという気がします。
風邪の発熱などが体を休ませるための指令なら、脳の活動の低下も同じように疲弊した体を休ませるための指令かもしれない。
 問題は、心の風邪や、それ以前のちょっと疲れていて眠れば回復するような人まで病気と診断して投薬してしまうことです。
本当に必要な休息を取らないで薬だけ飲んでも治りません。
その結果、「よくなりませんね、重症ですね」と薬が増え、副作用で患者が本来できることもできなくなってしまう。
副作用に鈍感な医者はとことん鈍感で、症状の悪化と投薬の関係を疑ったりしません。  

──医師の処方内容をチェックすべき薬剤師は機能していない? 

 もっと医者に「この処方はおかしい」と言わなきゃいけないけれど、門前薬局なんかは医者に干されるおそれがあって言えないというのはまだあります。
また、睡眠薬などは長期間服用すると適正量でも薬物依存になりますが、処方が適正量だと言いにくいと思います。  

──短時間診療に過剰投薬。患者を人として扱っていませんね。

 精神医療関係者が患者をバカにしているというのは感じます。
本書に書いた、夫のDVから逃れようと110番通報した女性が、精神錯乱者とされて、措置入院(編集部注:知事などの権限による強制入院)させられたのは好例です。
警察官、保健所員、精神科医の誰もまともに女性の話を聞かず、レッテル貼りをして病院に入れてしまう。

■犬猫のほうが大事にされている  

──精神科医のうち一人は「措置というほどではありませんね」と言いながら「要措置」としました。

 石郷岡病院において、暴行がもとで患者が死亡したと看護師が起訴された裁判員裁判では、意味不明な理由により罰金30万円で終わり。
医療現場のひずみを社会が正さないのです。
精神疾患患者への社会の薄情さが医療現場に反映されている。
犬猫のほうが大事にされていると思います。  

──状況を変えるには? 

 患者やその家族が声を上げるしかないでしょう。
部外者の私がいくら声を上げても「極端な例だ」と言われてしまう。
無力感があるのかもしれないが、社会にいちばん響くのは彼ら彼女らの声です。
医療にめちゃくちゃにされた患者はそれどころじゃないでしょう。
それでも声を上げる必要がある。

 精神科の診断基準は、その症状によって本人の社会生活に著しい影響があるかを必ず問題にしています。
要は本人が困っていなければ病気ではないのです。
発達障害で顕著ですが、変わった人がいて困っているのは周囲の人ではないのか。
社会の受け入れ方次第で患者自体が減ると思います。
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2019年02月19日

睡眠時の無呼吸を放置することに潜む危険性

睡眠時の無呼吸を放置することに潜む危険性
記憶力障害やうつ病に発展する研究結果も
2019/02/18 「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部
文:松丸さとみ
当記事は「ニューズウィーク日本版」
(CCCメディアハウス)からの転載記事です。

オーストラリアの研究チームが、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)を患っていると記憶力に問題が生じ、うつ病に発展する危険性があると発表した。

睡眠時の無呼吸、記憶障害とうつに
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、寝ている間に息が止まるなどして呼吸が阻害される症状だ。
なかでも肥満などが原因で上気道が閉塞されて起こるものを閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)といい、世界で9億3600万人がこの症状を患っていると言われている。

オーストラリアのメルボルンにあるRMIT大学はこのほど、OSAの症状があるものの治療を受けたことがない人が、どの程度の記憶障害を抱えているかを調査。
OSAを患っていると記憶力に問題が生じ、うつ病に発展する危険性があると発表した。

今回調査を行なったのは、RMIT大学のメリンダ・ジャクソン博士率いるチームだ。
これまで、OSAの人は記憶力に問題がある場合が多く、うつ病になる割合も高いと指摘されてきた。
2014年に発表された調査では、OSAの人の46%にうつの症状が見られた。

ジャクソン博士は、うつと記憶には深い関係があると説明。
人生で起こったことの詳細をあまり覚えていない(自伝的記憶が乏しい)場合、なかなか治らないうつ病へと発展するリスクがあるとされているため、これを足場として今回の調査を行なったと述べている。

なお「自伝的記憶」とは、個人の人生における経験に関する記憶を意味する。

灰白質が著しく失われている
調査では、OSAを患っているが治療していない成人44人のグループと、健康的な成人44人からなるコントロール・グループを比較した。
実験参加者には、子供時代、青年期、そして現在とそれぞれの時期にあったさまざまな出来事を思い出してもらった(自伝的記憶)。

OSAの人は人生の細かい点を思い出せない
その結果、OSAを患っている人の記憶は、そうでない人の記憶と比べ著しく概括的(つまり詳細まで覚えていない)ということが分かった。
記憶が概括的すぎて詳細まで覚えてない割合は、コントロール・グループが18.9%だったのに対し、OSA患者のグループは52.3%だった。

調査チームはまた、自伝的な意味記憶とエピソード記憶をそれぞれどれだけ思い出せるかも調査した。
意味記憶とは、事実や概念に関する記憶のことで、ここでいう自伝的な意味記憶とは例えば学校の先生の名前などが該当する。

一方でエピソード記憶とは、実際の出来事に関する記憶で、例えば高校生活初日の思い出などだ。
OSAを患っている人は、意味記憶をなかなか思い出せなかったものの、エピソード記憶は維持できていた。

調査チームによると、自伝的な意味記憶を安定させるには良質な睡眠が不可欠であるため、OSAの人が意味記憶を維持できない原因は、呼吸で阻害されることにより睡眠が断片的になっていることが原因と考えられるという。

さらに、OSAとコントロールの両グループで、年齢が高いほど記憶が概括的(あいまい)であり、また、意味記憶が乏しいほどうつ病が強い、という傾向がみられたという。

ジャクソン博士は、OSAを治療しないと記憶処理にどのような影響が出るかについては「さらなる研究が必要」としながらも、「睡眠時無呼吸症候群の人の脳をスキャンすると、灰白質が著しく失われているのが分かる」と説明。
失われた部分は、自伝的記憶のネットワークと関わっている部分だという。

このネットワークがうまく機能しないことが記憶障害とうつの両方に関係しているのか、今後さらに調べる必要があると述べた。
ジャクソン博士は一方で、CPAP(持続陽圧呼吸療法)と呼ばれる機械を使ったOSAの治療法が、OSAによる認知機能障害を改善することが示されていると指摘。
次の研究ステップとして、OSAを治療することで、記憶障害の改善のみならず、忘れてしまった記憶を取り戻すことも可能か否かを見極めたい、と語っている。
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2019年02月20日

異常な寝すぎと食べすぎに要注意

ビジネスパーソンに蔓延の「冬季うつ」、異常な寝すぎと食べすぎに要注意
2019.2.19 ダイヤモンドオンライン
山中千絵:清談社

冬になると食べすぎてしまったり、いつも寝足りない感じがしたりするという人は多いかもしれない。
しかし、実はこれらの症状は「冬季うつ」の可能性が高いという。
一般的にはあまり聞きなれない「冬季うつ」とは何なのか。
原因と対策、効果的な治療法などを、冬季うつ外来を開設する東京都日野市・朝がおクリニック院長の工藤嘉久医師に解説してもらった。(清談社 山中千絵)
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多忙なビジネスパーソンに多い 寝すぎ&食べすぎの「冬季うつ」
 毎年冬の時期は、厳しい寒さのせいで布団から出られず、つい長く寝てしまうもの。
さらに、冬眠するわけでもないのに炭水化物や甘いものが無性に欲しくなりいくらでも食べてしまう、という人も多いのではないだろうか。
これらの症状が出るのは寒さのせいだと考えがちだが、実は冬の時期に引き起こされることが多い「冬季うつ」という疾患の可能性があるという。

『冬季うつ』は他の季節に比べて冬だけ異常に寝すぎてしまう、食べすぎてしまうという特徴を持つ季節性感情障害の一種です。
一般的にうつ病というと、不眠や拒食を想像しますが、冬季うつは真逆の症状が出ます。
症状は正反対でも『うつ』と名がつくだけあり、気分の落ち込みや集中力の低下などの抑うつ症状も現れる病気です」(工藤嘉久氏、以下同)

 一般的なうつ病は過度のストレスなどが原因として挙げられるが、冬季うつの場合、「光」が大きく関係するという。
「冬は日照時間が減るのに伴って、人々が浴びる日光の量も減少します。
すると、摂食行動や睡眠をつかさどるセロトニン神経機能が低下しコントロールがきかず、過食や過眠を促進してしまうのです。
日照量の減少が、冬季うつの原因と考えられています。
関東圏より北陸地域に冬季うつ患者が多いのも、日照時間の影響でしょう」

 日照量の減少が関係する冬季うつは、普通のうつ以上に幅広い人がなりやすい病気というわけだ。
老若男女にリスクが潜む冬季うつだが、仕事が忙しいビジネスマンはとりわけ注意すべきだという。
「仕事が忙しいビジネスパーソンは、日の出前に起き、日中はほぼオフィスで仕事、帰宅するのは日が落ちてからという、あまり光を浴びないライフスタイルの人が多いため、私の肌感覚ですが、冬季うつ罹患者が多いですね。

特に冬は、年末年始という極めて繁忙な時期を迎える関係で、メンタル的な不調も起こしやすい。
男性は女性より自分の体の変化に鈍感なので、一般的なうつを発症して病院にかかってから、冬季うつも併発していたことに気付く人が多いです」

スキマ時間に 光を見るだけで予防に
 職場にこもりがちのビジネスマンは日光こそ浴びないものの、蛍光灯や机上のライトなどは四六時中浴びている。
こういった人工の光では予防効果はないのだろうか。
「人工か自然光かは関係なく、冬季うつ予防には、“どのくらいの強さの光を浴びるか”が重要になります。
予防効果がある光の照度は2500〜1万ルクスといわれているため、最低でも晴れた日の室内に差し込む日差し程度の照度が必要なのです。
そう考えると、蛍光灯やデスクライトは1000ルクス程度と微弱なので、冬季うつの予防にはなりません」

 効果がないどころか、冬季うつの症状を引き起こしてしまう種類の光もあるという。
「スマートフォンやPCから発せられるブルーライトは覚醒作用があるので、入眠時間を遅らせ、結果として睡眠不足、睡眠の質の低下を招きます。
つまり、冬季うつ特有の症状を誘発し、病状を悪化させてしまうのです」

 残念ながら、手当たり次第に光を浴びれば予防になるわけではないようだ。
高照度の光を浴びれば不調を起こさないとは分かっても、それができないから発症してしまうのが冬季うつ。
忙しいビジネスマンでもできそうな対策を聞いてみた。

「少しの時間でも日光を“見る”ことを意識してください。
電車に乗っている数十分間でも窓から差し込む日光を目でとらえるだけで、予防の効果があります。
また、昼食の時間だけでも窓際で日光を浴びたり、外に出たりする習慣を作ることもおすすめですよ」

バナナやコーヒーは効果なし? 本当に効く治療法とは
 一般的なうつ病は、休養やカウンセリング、投薬といった治療法があるが、冬季うつの場合にも治療薬などはあるのだろうか。
「現在はまだ治療薬などはありません。
自然治癒以外では、自然光に近い高照度の光を専門機器で浴びる高照度光療法が唯一の治療法です。
機器が設置されている病院で光を浴びるほか、約3万円の機器を購入して自宅で浴びる人もいます。
医療機器ではないので誰でも購入できるのです。
ただし、自宅での使用の前に必ず専門医の指導を受けてください」

 冬季うつは光を浴びる以外に治療法がないというが、ネットで検索すると、「バナナを食べる」「コーヒーを飲む」といった治療法がヒットする。
しかし残念ながら、これらに治療効果はなさそうだ。
「これらの方法は対策としては有効ですが、治療法と呼べるレベルではないでしょう。
バナナはセロトニンのもととなるトリプトファンを多く含むので予防には適していますし、コーヒーも冬季うつの症状の過度の眠気を抑えることはできますが、どちらも病気そのものを治癒するほどの効力はありません。
繰り返しになりますが、光を浴びる、見るという以外に、冬季うつを根本から治す方法はないのです

 他にも、ネットには冬季うつに関するエビデンスのない情報が多数存在しているという。
「『蛍光灯は症状を悪化させる』『春や夏に生まれた人は冬季うつになりやすい』などさまざまな意見が見られますが、これらの情報に医学的な根拠はありません。
とにかく、冬場になると過眠や過食に悩まされたり、気持ちが落ち込む日が続く人は、積極的に日光を浴びてみてください。

それでも改善されない場合は、冬季うつに限らずメンタル系の疾患の恐れがあるので、医療機関で専門医に見てもらうことをおすすめします」

 うつ病は定義が曖昧な病気ではあるが、「1ヵ月のうち、増減どちらでも体重の5%の変動があれば医療機関受診のサインです」と工藤氏はアドバイスする。
 冬季うつは、春になると症状が改善され、完治するケースがほとんどだという。
気だるくて憂鬱な冬を乗り切るために、日々の生活の中に意識的に日光を取り入れるよう心がけてほしい。
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2019年03月02日

「普通の家庭の子」の精神が追い詰められるワケ

「普通の家庭の子」の精神が追い詰められるワケ
7年間、うつを経験した医師が語る実際
2019/02/28 東洋経済オンライン
宮島 賢也 : YSこころのクリニック 院長

最近、小中学生の間で、うつなど「心の不調」が増えているようだ。
ネットやSNSの普及による情報化が進んで、対人関係に代表される「大人と同じストレス」に遭遇しやすい世の中になったことに、その一因があるとも考えられている。
この記事では、今の小中学生を取り巻く生活環境をふまえながら、新刊『うつぬけ精神科医が教える 心が折れない子を育てる親の習慣』を著した精神科医・宮島賢也氏に、子どもの心を守るために「親はどう行動すべきなのか」を教えていただく。
この宮島医師自身、かつて7年間うつを患っていたという経験を持つ。
*************************
「ごく普通の家庭」で育っているのに…
「うちは子どもに愛情を注いで育ててきたつもりだ」
「自分で言うのもなんだけど、わが家はいい家庭だと思う」。
お子さんのことで悩みながらも、このように考える親御さんは少なくありません。

では、虐待があるわけでもない、夫婦ゲンカが絶えないわけでもない、いわゆる「ごく普通の家庭」で愛されて育ったお子さんでも、「心が折れてしまう」ことがあります。
いったいなぜでしょうか。

「母原(ぼげん)病」という言葉があります。
これは、母親の育児が原因で、子どもの病気や問題を引き起こしてしまうことを言います。
もちろん、お母さん方を責めるつもりはありませんが、子どもを愛しているのは事実でも、子どもを「囲ってしまう」ような愛し方に問題があるのです。

これは知り合いから聞いた話ですが、客船に乗っていた際、日本人の親と外国人の親の、子どもへの接し方の違いに驚いたと言います。
日本人の親は、子どもが船上で遊んでいると、危ないところに行かないようつねにそばにいる。
一方、外国人の親は、子どもを自由に遊ばせ、本当に危ないときにだけ、さっと駆けつけるのだそうです。
私は、子育てもこれに近いと思っています。

本当に危険なときは当然守るべきですが、危ない目や嫌な目に遭わないようにいつも先回りしたり、問題が起きたときに親のほうで解決したりすると、「生きる力が弱い子」にもなりかねません。

親自身が「親に愛されていなかった」
痛い思いや失敗を経験して、人は「生きる力」を育んでいきます。

例えば、公園で子ども同士が遊んでいてケンカをしても、最近はすぐ親が介入してしまいます。
おもちゃを取った取られたという程度のことでも、すぐに親が「謝りなさい」と言ったり、「だめでしょ!」と注意したりする。
なかには子どもに代わって謝ってしまう親御さんも。

もちろん、事の状況次第で解決策も変わるでしょうが、親の過度な介入は、子どもの「心の成長」の機会を奪うことになります。
では、本当に親御さんの育て方に問題があるのかというと、そうではありません。

実は「親御さん自身の育てられ方」に問題の根源があったりするのです。
クリニックで親御さんに話を聞くと、ご自身が「親に愛されていなかった」という方が多いと私は感じています。
愛されていなかったといっても、虐待や放任などだけではなく、親に育てられていくなかでそう思い込んでいった、というものです。

例えば「母はいつも兄ばかりかわいがっていた」とか「父はいつも怒ってばかりいた」というようなこともそうでしょう。
一言でいうと、親御さん自身も忘れている「過去の記憶」が、自分自身の子育てに影響しているのです。

過去の記憶は、コミュニケーションにおける1つのパターンになっていきます。
無意識に自分が親にされていた接し方を繰り返していることもあれば、逆に、親にされたことが嫌だったから、自分は子どもに同じことをしたくないと思っている場合もあります。
でも、どちらのパターンも親御さんが自分の親から影響されていることに変わりはなく、過去の記憶が蓄積した結果です。

親を反面教師にしている場合も、親にされたことをひっくり返しているだけ。
一見、愛にあふれているような子どもへの接し方も、実は、親御さん自身の「過去の記憶」の影響を受けているのです。

子どもを追い詰める「ダブルお母さん」
ところで最近、「2人のお母さん」がいるご家庭が目につくようになりました。
これまでは、「教育ママ」という言葉もあるとおり、子どもの塾や受験について調べたり、勉強に干渉したりといった、いわゆる「教育熱心」なのは母親がメインだったと思います。
私自身、母親が教育熱心すぎて、子どもの頃に苦しんだ経験があるのでよくわかるのですが、最近は「教育熱心な父親」も増えてきました。
それが「ダブルお母さん」現象です。

家の中に口うるさいお母さんが2人いる、そんな状態です。
子どもが家にいるとき、母親だけでなく父親もあれこれ干渉してくるとなると、子どもは家での居場所を失っていきます。

子どもに選択の余地がない状態にさせている
家に帰りたくないお父さん「フラリーマン」も最近話題になっていますが、フラリーマンは、家に居場所がなくても職場や外に居場所があります。
でも、子どもは家にも外にも居場所はなく、心が満たされない状態が続きます。

「ダブルお母さん」がいるご家庭は、両親が子どもによく接している分、周囲からは「いい家庭」に見えることもあります。それどころか、親御さんも「わが家はいい家庭」だと思っている。
でも、肝心な「子どもの心」は置き去りです。
子どもは親の「言葉以外の部分」を察している 「過保護」の親とその娘をユニークに描いた『過保護のカホコ』というテレビドラマがありましたが、親の過保護が「過干渉」までいくと、子どもの決定権はほとんどなくなってしまいます。

親が先回りしてなんでも決めてしまう。
あるいは、それしか選択できないような提案をしている場合も。
「こうしなさい」とは言わなくても、「こうしたほうがいいよね」「そっちがいいんじゃない?」と提案しているようでいて、結果的には子どもに選択の余地がない状態にさせていることがあるのです。

もちろん、「親の言うことを聞いてよかった」というお子さんもいますが、なかには自分の気持ちを押し殺し、ため込んでしまうお子さんもいます。
でも、たまったものは、いつか爆発します。
自分自身で爆発する子もいれば、ため込んだまま大人になり、自分自身の子育てのとき、そのお子さんのトラブルとなって爆発する場合もあります。

子どもは言葉以上に、親の言葉以外の部分を感じ取っています。
「私はなんでも子どもに決めさせている」と言う親御さんもいますが、「自分で決めていいんだよ」と子どもに言いながら、目つきや雰囲気で「選択肢はこっちしかない状態」にしていることもあるのです。
言葉に出さなくても、子どもは敏感に「こっちを選んでほしいんだろうな」という親の思いを読み取ります。

親が想像する以上に、子どもは親の気持ちを察しているのです。

親子の関係は、短く見積もっても10〜15年はあります。
その間、子どもは親の背中を見て育っていく。
ですから、口では言わないことも無意識のうちに感じ取りますし、すべて子どもの「潜在意識」の中に入っていきます。
子どもが何歳であっても、過度な干渉はおすすめしません。

小さい頃から干渉しすぎると、一見しつけはうまくいくかもしれませんが、親の顔色をうかがう子どもになってしまいます。どんなに小さな子どもでも、何もわからない人として扱うのではなく、生きる力を持っている1人の人として、自分の人生を自分で決めていくためのサポートをしていくことが大切だと私は思います。
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2019年05月13日

日本人の6割が“生きづらい病”「毎日だましだまし生きている…」

日本人の6割が“生きづらい病”「毎日だましだまし生きている…」
日刊SPA! 2019/05/09  

仕事や家庭などさまざまな場面で感じる「生きづらさ」が日本人に蔓延している。

30〜55歳までの男女2000人を対象にしたアンケート調査でも64.5%の人が生きづらいと感じている現代社会。
もはや国民病とも言える、その病理に迫る!

◆幼少期の親との関係で自己肯定感が低下する
 繊細すぎる感性を持つ『HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)』という気質や発達障害など注目を集めているが、精神疾患に分類される「複雑性PTSD」も生きづらさを生む要因とされている。

「阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件の後に『PTSD(心的外傷後ストレス障害)』が広く世に認知されましたが、命に関わるようなトラウマ体験に遭遇せずとも、家族との不遇な関わり、いじめなどを体験することで、本人の自覚のないうちに心に深い傷が残ることがあります。
こうした傷が積み重なると、他人への恐怖感や不信感、自己肯定感の低下に繋がることも。
これを『複雑性PTSD』と呼びます」(精神科医・坂本誠氏)

 生きづらさの要因になる複雑性PTSDは、親の離婚、厳しいしつけ、恋人との離別、親友の裏切り、教師からの過度な叱責など、誰もが経験しうることが原因で引き起こされることがあるという。
大手メーカーに勤める竹井正博さん(仮名・35歳)も複雑性PTSDによる生きづらさを感じる一人だ。

「物心つく頃から、家で両親がしょっちゅう喧嘩していて、子供ながらに親の機嫌をうかがいながら怯えて暮らしていました。
さらに母からは『お父さんみたいにならないよう頑張って勉強しなさい』と口酸っぱく言われ、テストでいい点が取れないと叱責される毎日。
『いい息子を演じ続けよう』とがむしゃらに勉強していました」  
おかげで学生時代の成績は常にトップクラス。
友人もできたが、竹井さんは「本当の意味で人と心を通わせたことがない」と語る。
「いつ相手の感情の矛先が自分に向くかわからないので、笑っていてもビクビクしているし、人を深く信頼できません。
それに幼少期から『こう言ったら相手が喜ぶだろう』『人からこう見られなきゃいけない』とその場その場で取り繕うようなことばかり考えていたので、ときどき自分の感情がわからなくなるんです」

◆入社4年目、上司からの叱責で「何かが壊れた」
 大学を卒業後に有名企業に就職。
順風満帆な経歴を送ってきたが、「だましだまし生きている」という感覚は日に日に強くなっていた竹井さん。
入社4年目、上司からの叱責で「何かが壊れた」という。

「強い叱責ではなかったと思うんですが、ふと涙が溢れ『もう俺は社会でやっていけないな』と感じたんです。
翌日には退職届を出し、引きこもるようになりました」
 その後何度か再就職するも、人間関係や仕事がうまくいかなくなるたびに自分を責め、フェードアウトする道を選んできた竹井さん。
現在は失業保険で生活を送る身だ。

「親にはそんな現状をまだ話していません。
まだ“理想の息子”でいたいのかな……」
「誰の心にもトラウマになりうる過去はある」という坂本氏。
生きづらさを克服するためには、自覚のないまま放置された過去の心の傷と向き合う作業も必要なのかもしれない。

◆複雑性PTSDのセルフ診断リスト

□ 特定の時期の夢を何度も見る
□ 喜怒哀楽の感情が薄いほうだ
□ 感情を他人に出すのが怖い
□ 思い出したくない過去がある
□ 「自分なんかどうなってもいい」と思うときがある
□ 昔の体験に関する人物(似ている人を含む)、場所、名前、時期に近づくのが怖い
□ 安心できる人に対して、つい攻撃的な感情が出る
□ 日々のなかで「現実感がない」と感じることがある
□ 夜になると怖い
□ 人を信じられない

<0〜2個> 0〜2個ならば複雑性PTSDの可能性は低いと考えられるものの、過去のトラウマに対する自覚があるならば医師に相談すべき
<3〜10個> 複雑性PTSDの可能性が高い。
すでに日常生活に支障が出ているケースも十分考えられるため、専門家への受診が推奨される

【精神科医・坂本 誠氏】
メンタルクリニック エルデ院長。
日本で実践できる医師が少ない対人関係療法をもとに、PTSD、うつ病などの患者と日々向き合う

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!5月7日発売号「[生きづらい病]の正体」特集より
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2019年05月22日

うつ病治療、医師との相性も大切 磁気など最新療法も

うつ病治療、医師との相性も大切
磁気など最新療法も
2019/05/20 NIKKEI STYLE
うつ病の治療は、薬物療法と対話を中心とした精神療法の双方を組み合わせて行われる。

最近、うつ病と双極性障害が区別されるようになってきた。

双極性障害(以前は躁うつ病と呼ばれていた)はうつの状態と躁(そう)の状態を繰り返す病気。

一方、うつ病は躁状態が見られず、うつの状態のみを示す。

近年、うつ病に様々な治療方法が開発されてきた。
前回「『うつ』と『うつ病』は違う 大事な受診のタイミング」に引き続き、
六番町メンタルクリニック(東京・千代田)の野村総一郎所長に最新のうつ病事情を伺った。

◇  ◇  ◇
悲哀の感情が強く、何もかもむなしく感じる。
思考がまとまらず、物事を理解できにくくなる場合もある。
食欲不振や頭痛、だるさなど様々な体の不調が出現している。
こうした症状が2週間以上続くのであれば、精神科や心療内科を受診しよう。

自然に回復する場合もあるが、治療しないでいると大きな苦しみを味わうことになり、前回記事「『うつ』と『うつ病』は違う 大事な受診のタイミング」で紹介したように自殺の危険すら出てくる。
ここで大切なのは、医師と患者の相性が重要だということ。

「長くかかることもあるため、医師との相性の善しあしは無視できないところです」と野村所長は指摘する。
意外なことだが、精神科の医師は治療のアプローチの仕方で「理系」と「文系」に分けられるそうだ。

「心の病気はつまるところ脳細胞の病理である」と考えるのが理系タイプで、薬物療法を重視する傾向が強い。
対して文系タイプは心を心として捉える姿勢が強く、人間関係や心の動きなど心理的な要素を重く見る傾向にある。
どちらも正しい考えだが、大事なのは長く付き合えそうかどうかを患者自身が判断することだ。

■薬物療法を中心に精神療法を組み合わせる
うつ病治療の中心になるのは薬物療法だが、心理面での支えとなる精神療法も重要だ。
薬物療法では、抗うつ薬を中心にいろいろな薬を使い、状態の改善を図る。
うつ病のタイプ別に個々の状態に合わせて使っていくことが主流だ。

精神療法は、患者が抱える問題を医師と患者がともに考え、患者本人が持つ力を引き出していく治療。
認知療法や行動療法、対人関係療法など様々な方法がある。
いずれの場合も治療の基本的な目的は、患者の訴えを受け止め、「そうした考えを進めていった場合の結果」に患者自身に気づいてもらうこと。

例えば、患者が他人のせいで自分がうつ病になったという思いが強い場合は、そうした考えを抱くようになった経緯やそうした思いにとらわれることの意味を患者自身に考えてもらう。
医師の役割は、あくまでその手伝いということになる。
患者によっては、「自分の考えを変えなければならない」という思いの一方、「満足がいく成果が出ない」と悩み、それがさらに焦燥を引き起こすという悪循環(野村所長は「ぐるぐる思考」と命名)に陥っている人もいる。

こうした思考パターンを客観視し、悪循環から抜けてもらうことが治療の目的になる。

またうつ病と診断された患者の中には双極性障害という別の病気が紛れ込んでいる可能性もある。
うつの状態と正反対の躁の状態を繰り返す病気だ。
患者数はうつ病より少ないが、普段では考えられないような高額の買い物をしたり、急に他の人を非難したりして信用や人間関係、財産を失うなど、典型的なうつ病より深刻な影響が出がちだ。

うつ病とは異なる病気だが、うつ状態のときに受診するとうつ病と誤って診断される可能性もある。
野村所長は「うつ病と双極性障害の区別は重要ですが、時に区別がしにくいことがあります。患者さんの方でも以前、普通では考えられないほど気分が高揚したり、怒りっぽくなるなど躁状態に陥ったことがあれば、必ず医師に伝えてほしい」と語る。

■うつ病治療では「休む」ことが何より大事
「うつ病にしても、双極性障害にしても、治療法の進歩によって改善率は上がっています。
発症後半数の方は6カ月以内に改善します」と野村所長は言う。
中には「治療のために長く会社を休めない」という方もいるだろう。
しかしうつ病はエネルギーが枯渇した状態なので、休養が大事だ。

「休めない」と思い詰めてしまうから、のっぴきならない状態に追い込まれてしまうともいえる。
「治療中に本人がやるべき最大の努力は休むこと。
しっかり休んで回復するほうが、その後のキャリアへの影響は小さくなります」(野村所長)
特に発症直後の急性期は、薬を飲んでしっかり休むことが何よりも大事だ。

休むとは何もしないで「薬を飲みながらゴロゴロする」こと。
元気なときには友人と遊ぶことも気晴らしになるが、心身のエネルギーが枯渇している状態では苦痛なだけ。
したがって、周囲の人も遊びに誘わないように配慮することも必要になってくる。

■回復期には日光、食事、睡眠が大切
十分に休養をとって、気力が戻ってきたと感じたら回復期だ。
うつ病になると生活のリズムが乱れがちだ。
生活のリズムをリセットし整えていくために必要なことは「日光」「食事」「睡眠」の3要素だ。

起床後は日光を浴びて体内時計をリセットする。
食事では栄養バランスの良いメニューを決まった時間にとるように心がける。
夜更かしは、生活リズムを乱す要因になるので、規則的に十分な睡眠を取ろう。

復帰を考えた場合は、一気に元に戻そうとはせずに、「できそうなこと」を1つずつ試みるようにしたい。
「やらねばならない」と考えるのではなく、「やってみよう」と思うことを優先するようにしよう。
職場への復帰にあたって、上司にはこまめに自分の状態や気持ちを報告するようにしたい。
このとき、服薬は継続する。
大切なのは無理をしないことであり、もっと大切なことは「他人の目を気にしないこと」だ。

前回記事「『うつ』と『うつ病』は違う
 大事な受診のタイミング」で他人と自分を比較して優劣を判断する「思考のクセ」がうつ病の原因になることを紹介した。「ノージャッジ」の姿勢が大切だ。
治療期間中、特に注意しなければならない問題に「アルコールとの付き合い方」がある。
つらくてたまらないときにアルコールに助けを求めることがある。
酩酊(めいてい)状態で一時的に幸せな気分になるが、酔いがさめると非常に苦しくなって、またアルコールに逃げるという悪循環に陥り、最終的には依存症になる人もいる。
「このような患者さんではうつ病とともにアルコール依存症の治療が必要になります。
治療もアルコール依存症の専門医と連携して行うことになりますが、そのようなケースは決して少なくありません」と野村所長は警鐘を鳴らす。

■研究が続くうつ病の新たな治療法
「精神科には薬物療法と精神療法しかないわけではなく、新しい治療法の研究も進んでいます」と野村所長は語る。
治療を続けても改善が見られない場合は、診断や薬の見直しに加え、新しい治療の追加も検討されることになる。
例えば、「改良電気けいれん療法」(mECT)。
頭皮に貼り付けた電極を通して1回につき10秒間くらいの通電を合計数回から10回程度行う治療法だ。
かつては、けいれんが起きるなど問題もあったが、現在はけいれんを起こさないように改良された方法が登場している。

自殺念慮が強い、薬の副作用が強く薬物療法が続けられない場合に行われる。
重症例を対象とした場合、有効率は60%と良好な成績が報告されている。
電流ではなく磁気をあてる「磁気療法」(経頭蓋治療用磁気刺激装置=rTMS)という方法もある。
2017年に薬事承認され、現在保険で治療できるように議論が続けられている。
また慶應義塾大学では先進医療として、治療を受けることが可能になっている。

瞑想(めいそう)によって症状が改善することもある。
さらに最近は運動療法も注目されるようになってきた。
どのくらいの運動強度で行うかなどはまだ明らかになっていないが、今後の発展が期待できる治療法だ。

野村所長の経験では、鍼灸(しんきゅう)で良くなる患者もいるという。
まだ決定的に推奨できるレベルではないが、データがまとまってくれば東洋医学的なアプローチが広く普及する可能性もありそうだ。
(ライター 小崎丈太郎)

野村総一郎さん
六番町メンタルクリニック所長。1949年広島県生まれ。
慶應義塾大学医学部卒業。
藤田学園保健衛生大学(現、藤田医科大学)精神科助教授、立川共済病院神経科部長、防衛医科大学校精神科教授、同病院長を経て、2015年より現職。
1985〜87年に米国テキサス大学医学部、メイヨー医科大学に留学。
日本うつ病学会第1回総会会長。
『うつ病の真実』(日本評論社)、『入門うつ病のことがよくわかる本』(講談社)など著書多数。
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2019年06月04日

高齢者に多いうつ 自然治癒は不可能、放置すれば悪化の一途

高齢者に多いうつ 
自然治癒は不可能、放置すれば悪化の一途
2019年06月03日 NEWSポストセブン

 老親のもの忘れが気になると、真っ先に疑うのは認知症だろう。
今や認知症は大きな関心事で、情報も数多く発信されるようになった。
 そんななかで見過ごされやすいのが“老人性うつ”。
脳内の神経伝達物質が減ることで起こる脳の病気だ。
 治療で治すことができるのに、認知症や老化と思われて治療に至らず、悪化するケースが多いと、長年、高齢者の精神科医療に携わる和田秀樹さんが警鐘を鳴らす。

◆認知症や老化に間違われやすい“うつ”の症状
「高齢者のうつでいちばん問題となるのは、必ずしも典型的な症状だけが、わかりやすく現れるわけではないことです」と、和田さん。

 一般的にうつは、悲観的になり、意欲が低下し、不眠になって心身ともにつらくなる。
 高齢者の場合、これら典型的な症状以外に、一見うつとは無関係のような症状が出ることも多いという。
特に多いのは記憶力の低下。
年齢的に認知症と間違われやすいのだ。
「認知症は高齢者に多い病気ですが、70代では、うつが認知症と同じくらいか、若干多いくらいの頻度です。
 それなのに70代でもの忘れがあると、今時はみんな認知症だと思ってしまう。

着替えや入浴を億劫がり、身なりにも気を使わなくなったりもするので、ますます認知症だと思い込むのです」

 また食欲不振や不眠はどの年代のうつにも多い症状だが、高齢者の場合はうつと気づかれにくいという。
いずれも高齢者には、年相応の症状としてよくありがちだからだ。

「痛みに敏感になり、腰痛や頭痛、息苦しいなどと訴えることもあります。
整形外科や内科で検査を受けても、異常は見つからず、結局、見過ごされる。
ところが、幸運にもうつが判明して治療薬をのむと、痛みなどがうそのように治るといったケースも少なくありません」

 このほかに“イライラして多弁になる”“不安でソワソワする”「病気に違いない(心気妄想)、人に迷惑をかけている(罪業妄想)、お金がない(貧困妄想)」といった“非現実的な妄想”なども老人性うつには多いという。

◆うちは治療できる…が放置すれば認知症リスクも
 脳に原因があり、症状もよく似たうつと認知症だが、根本的にはまったく違う病気だ。
うつの主な原因は、セロトニンと呼ばれる脳内の神経伝達物質が減ること。
悲しい出来事やストレスなど、心理的要因がきっかけになることは多いのですが、きっかけがなくても発症します
 セロトニンは、快楽・喜びに関係するドーパミン、覚醒や意欲、記憶に関係するノルアドレナリンなどをコントロールして、精神を安定させる働きがある。
別名“幸せホルモン”などとも呼ばれている。

「セロトニンは、高齢になるほど減る傾向にあります。
また高齢者は、子供の独立、配偶者や親しい人との死別など、インパクトの強いストレスや悲しみと向き合う機会も多い。
病気にまで至るか、どんな症状が際立つかは個人差もありますが、基本的に高齢者はうつになりやすいのです」

 一方、認知症も高齢になるほど増えていく病気だが、脳の中に原因物質がたまって脳細胞が萎縮、死滅するなど、不可逆的な変化によるもの。
残念ながら今のところ完治に至る治療法はない。

うつは認知症と違って脳細胞自体が壊れるわけではないので、減ったセロトニンを増やす薬物療法がよく効きます。つまりきちんと治療をすればよくなるのです」
 しかし前述のような理由から気づかず、受診に至らず放置されることも多いという。
高齢者の場合、自然治癒はまず望めません。放置すれば悪化の一途です。
脳の神経伝達がうまくいかないので、認知機能も低下します。
多くの調査から、うつが認知症のリスクを高めることも明らかになっています」  

さらに厄介なのは、悪循環に陥りやすいことだ。
「うつになると基本的に悲観的になりますが、悲観するとよけいにセロトニンの分泌が悪くなるのです。
また不眠になったり、食欲が落ちて栄養不足になったりすると、セロトニンが作られにくくなる。
こうして悪化すると、抜け出すのが難しくなります。

 実際にうつの人の話を聞いたところでは、高熱にうなされる時のようだと言います。
気力も食欲もなく、あちこち不調でだるい。
夜中に目が覚めていつも不安。
それがエンドレスで続く。
『生きているのが嫌になる』と。最悪の場合は、自殺にも至ります。
本当につらいだろうと思う。
うつこそ、早期発見、早期治療が大切なのです」

 ちなみにうつは女性の方がなりやすいが、自殺者は男性の方が多い。
今の高齢者は「迷惑をかけている」という思い込みからうつになるケースも多く、独居より、家族と同居する高齢者の方が自殺率が高いという。
※女性セブン2019年6月13日号
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2019年09月16日

「術後うつ」にならないために知っておくべき注意点

「術後うつ」にならないために知っておくべき注意点
2019年09月06日 NEWSポストセブン

 大病が見つかったら、すぐに手術や治療を受けることが肝要だ。
ただし、適切な処置が行なわれたとしても、術後・退院後に意外な落とし穴が潜んでいることがある。
それが「術後うつ」「退院うつ」のリスクだ。

 NPO法人うつ・気分障害協会代表理事の山口律子氏は、術後うつを発症する患者は少なくないと指摘する。
「大病の手術の後は、経験したことのない不安や体力の衰えを感じることがあります。
とくに高齢者の場合、術後は本人が思っている以上に心身にダメージを受けている。
手術は成功したはずなのに思うように動けない、寝つきが悪い、前よりも疲れやすくなった、といったことがストレスになり、うつ状態になってしまうことがあるのです」

 そんな術後うつ、退院うつにならないために、あらかじめ注意できるポイントがある。
銀座泰明クリニックの茅野分・院長(精神科医)がアドバイスする。
「手術や治療の前に、術後に痛みが伴うケースなどの情報を詳しく聞いておくこと(インフォームド・コンセント)が重要です。
 例えば、この手術の場合、患部の痛みはどれくらいの期間続くのか。
完全に治るまでにどのような痛みが出るのか。
痺れや麻痺などの後遺症が出る確率はどのくらいあるのか。
こうした情報を聞いておくことで術後への心構えができますし、それ以外の異変が生じた際に本人も家族も気づきやすくなります」

 あらかじめ肉体的ストレスの少ない「低侵襲手術」を受ける選択肢もある。
医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が語る。
「手術によって切除する場所が少なく、刺激も少ない手術のことを全般的に『低侵襲手術』と呼びます。

 例えば、大腸がんや胃がんなどに対しては、『腹腔鏡手術』が行なわれる機会が増えました。
お腹に小さな穴を開けるだけなので、従来の開腹手術と比べて体への負担がかなり軽くなったといえます。
 心臓疾患なら『カテーテル』を使った手術、ヘルニア関節手術では『内視鏡手術』が、より低侵襲の手術です。

 また、腹腔鏡手術をロボット支援の下で行なう『ダヴィンチ手術』は、より複雑で細やかな手技が可能になり、3次元の精確な画像情報を取得できるため、より安全かつ侵襲の少ない手術が可能になります。
 最先端治療のため保険適用外となる病気も多かったのですが、近年では胃がん、肺がん、直腸がんなどの患者数が多い疾患への保険適用が進んでいます」

 治療の選択では、「術後うつのリスク」よりも「治療の効果や必要性」を優先すべきことは言うまでもないが、治療の先に待つ“思わぬリスク”の存在を知っておくに越したことはない。

     ※週刊ポスト2019年9月13日号
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2019年11月17日

自分はうつ? と感じたときに試したい、1日3分の“うつぬけ”メソッド

自分はうつ? と感じたときに試したい、
1日3分の“うつぬけ”メソッド
2019年11月16日 SPA!

自分に自信がない、すぐに落ち込んでしまう、このままだとうつ病になってしまうのではないか……
そんな不安に押しつぶされそうになったことはないだろうか? 
 特に30代〜50代の男性は、バリバリの働き盛りでストレスが多く、気がついたら休養が必要なほどのうつ病を患っていた、というケースもある。

 そこで、今話題の“うつぬけ”メソッドが紹介されている『1日3分でうつをやめる。』(10月25日発売)の著者であり、うつ専門のメンタルコーチの川本義巳氏にインタビュー。
なぜ30代〜50代はネガティブ思考になりがちなのか、もしうつ病になりそうになったとき、どうすればいいのかを教えてもらった。

 実は川本氏自身も、うつ病で6年間も苦しんだ過去がある。
大手IT企業への転職を機に、38歳でうつ病を発症し、寝たきり状態になって1年2か月の休職を経験。
その体験をもとに“うつぬけ”メソッドを確立したのだ。

 川本氏曰く、うつになりやすい人には、共通する“思考のクセ”があるという。

◆「ポジティブにならなきゃ」という強迫観念
 共通点のひとつは、ネガティブになってはいけない、ポジティブにならねば、と考えること
「物事に関してネガティブに感じるということ自体は、正常な反応なんです。
だって、嫌なことを言われたら辛くなるのは当然です。
大事なのはネガティブに感じた“後”なんです。
ネガティブ思考が持続してしまい、何事もネガティブに考えるクセがついてしまうことが問題です」(以下、川本氏)

 ネガティブ自体にいいも悪いもない。
ただ、自分が今ネガティブだということを一旦冷静になって、客観的に知ることが大事だという

また、ネガティブ状態から抜け出せない人は、「ポジティブにならなければいけない」と強迫観念的な思いを抱くことも多いとか。
「ネガティブはよくない、という思いからポジティブにならなければいけないという焦りが生まれてしまうんです。
僕も過去に、自己啓発やスピリチュアルに手を出したこともあります(笑)。
だけど一時精神がいい感じの状態になったとしても、それが長続きすることはありませんでした。
 だから、ネガティブな感情に支配されたら、その感情を無理に打ち消そうとは思わず、まずは“今自分はネガティブなんだな”と自分の思考を客観視するクセをつけるのがズルズル落ち込まないコツです

◆パワハラ上司は「ジャイアン」と名付けよう
 こんな例もあったという。 「上司のパワハラに悩んでいるというクライアントさんに、上司を心のなかで(『ドラえもん』の)ジャイアンと名付けて、上司の声を頭の中でジャイアンの声に変換してみては、というトレーニングの提案をしたことがあります。
以前なら近寄ってくるだけで怖くて震えていた上司ですが、姿を見ると頭の中にジャイアンのテーマソングが流れてくるようになり、おかしくて徐々に上司の存在が気にならなくなってきたというのです。

 パワハラ上司を“好きになる必要はない”んです、ただ前ほど嫌じゃなくなれば楽ですよね。
これと同じで、ネガティブをポジティブに無理に変える必要はないんですよ」

◆原因を追究しすぎる人は、うつを呼びやすい
 また辛い目にあったときに「なぜ自分はこうなったのか」と原因を追究してしまう人が男性に多いとか
これも、うつになりやすい人に共通する考え方だ

「例えば会社で嫌なことがあったとき、自分はなぜこの会社に入ってしまったのか……などと考えてしまうんです。
 そうすると、会社に入った理由は大学の推薦だった。
じゃあなぜあの大学を選んだのか、高校時代の頑張りが足りなかった。
中学時代なぜあの高校を受験してしまったのか、親が塾に行かせてくれなかったから……などとどんどんさかのぼることになり、結局“親が悪い”というところに行き着きがちです(笑)。
 だけど、このように原因を究明したところで状況が回復するほど事態は単純ではありません」

 確かに、たとえ辛さの原因がわかったとしても、今の状況は変わらない。
親から「お前の育て方が悪かった」などと今謝られたとしても、現状抱えているトラブルがいい方向に回復する近道にはならないだろう。
「ネガティブを引きずったり、辛さの原因を追求したりと、うつになりやすい人は“うつを呼ぶ考え方”をしているんです。
もし今、鬱々としている状態から抜け出したいと思っている人がいたら、1日3分でうつ状態を“やめる”方法が、自著『1日3分でうつをやめる。』に書いてありますのでぜひ1度試してみてほしいです」

◆身近に辛そうな人がいても、無理して相談に乗らないこと
 また、自分の家族や友人に精神状態が辛そうな人がいたらどうすればいいのだろか?
「専門家のところに行くよう勧めてください。
もちろん相談に乗ってあげるのもいいですが、何度も何度もネガティブな悩みを相談されると、聞く方もだんだんとしんどくなってきて、結果友情関係などが壊れてしまうかも。
なので共感はしつつも、無理な頼みをされたら無理と言うしかありません。
大切な人が苦しんでいるのを見るのはつらいですが、“何かできることある?”といった“May I Help You?”の精神で接するのが一番です」

 川本氏はうつ病で休養中のクライアントに、はやく会社に戻りたいと相談されたときこのような言葉をかけているという。 「会社は生活の保証はしてくれるけど、人生の保証はしてくれないよ

 働き盛りの30代〜50代、もちろん仕事は大切だが、メンタルをないがしろにすると、取り返しがつかない事態に陥るかもしれないのだ。
日頃からマイナス思考だったり、卑屈な考えを持つ人は、今一度自分の心の状態を見つめ直してもいいかもしれない。

川本義巳さんプロフィール】
 うつ専門メンタルコーチ一般社団法人エフェクティブコーチング協会代表理事。
高校卒業後、SEとして20年以上メーカーに勤務。大手IT企業への転職を機にうつ病を発症、寝たきり状態になり、1年2か月の休職を余儀なくされる。
職場復帰後も6年間うつ病に悩まされ、さまざまな方法を試すが失敗。
2007年コーチングに出合い、うつ病を完全克服。
その体験をきっかけにうつ専門のプロコーチになることを決意し、現在のメソッドを開発。
9年間で1万件以上の相談、指導を行う。
                           <文/満知缶子>
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2019年12月24日

細川貂々『ツレうつ』から10年

細川貂々『ツレうつ』から10年
夫が無職のまま、子どもも生まれ…
「ツレが楽しいならそれでいい」
2019年12月23日 婦人公論.jp

貂々さん。当時はどんな苦しみや葛藤があったのでしょうか。
つらかった日々を乗り越え、10年以上が経った夫婦の今は──(構成=社納葉子)

自宅療養を始めると、どんどん悪い状態に
バリバリ仕事をしていたツレ(夫)がうつ病になったのは、2004年のことでした。
結婚8年目、彼が39歳で私が34歳。
自信満々だった彼が、ある朝突然「死にたい」と言ってきた時は驚きました。
すぐに病院へ行かせると、うつ病だと診断されたのです。

それでも無理して会社に通ったけれど、ミスがどんどん増えていく。
見るに見かねて、辞表を書いてとお願いし、会社を辞めてもらいました。
それから彼の言動は、以前とは180度変わってしまいました。

いつも前向きだったのに、何をしても何を見ても「自分はもうダメだ」「あの人たちに比べて自分は」と落ち込むばかり。
ショックというより、「人間って病気になることでこんなにも変わっちゃうんだ」という驚きのほうが大きかったですね。
それでもツレが図書館で本を借りてきて、「どうも3ヵ月ぐらいで治るらしいぞ」と教えてくれたので、「あ、その程度か」と。

退職金も失業手当も出るし、半年ぐらいはやっていける。
病院に行って薬も飲んでいるし、家で療養していればよくなって、また働けるだろうと楽観的に考えていました。
ところが、ストレスの原因だったはずの会社を辞めて自宅療養を始めると、逆にどんどん症状が悪化して……。
「これは思ったより大変かも」と感じました。

もともと真面目な人なので、「いろんなことができなくなった」「社会や人の役に立てない」「だからこんな自分はもうダメだ」という思考にすぐとらわれてしまう。
布団にもぐって出てこないツレを見ていて、これはしんどいな、と思いました。
母に様子を伝えたところ、「励ますのが一番よくないらしいよ」とアドバイスされたこともあり、励ますことには最初から慎重でした。

後になって、ツレから「てんさんが僕の病気を隠すことなく、やたら励ますこともなくいてくれたから助かった」と感謝されたんですよ。
それはもともと、私のほうがネガティブ思考だったからだと思います。

たいていの人は、うつ病になった人のネガティブさが理解できなくて、「そんなことを言わないで」「そんなふうに考えるのはよくないよ」と否定するんですよね。
でも私は「わかるわかる。
ネガティブなことを考えると、負の連鎖でどんどん落ち込んでいくよね」と共感できた。
もしかしたら、それがよかったのかもしれません。

「余計なお世話」をしてくる人が……
とはいえ、家族のなかに病気の人がいるというのは大変です。
実際、夫婦どちらかがうつ病になり、結果的に離婚される方も大勢いるみたいですし……。
私の場合はずっと仲よくしている友だちがいて、毎日メールをしていました。
しんどい気持ちをストレートに話せる人がいたのは本当によかったです。
逆にそういう人がいなかったら、困っていたかも。

また、私にとってのストレスはツレのうつ病だけではありませんでした。
余計なお世話をしてくる人がけっこういるんです。
うちの場合、一番「余計なお世話」だったのはツレの両親でした。
「電気療法を受けなさい」とか「気分転換になるから旅行をしなさい」とか。
「引っ越しなさい」とも言われました。

病気になったことが周りに知れ渡っているから、と。
うつ病になったのは恥ずかしいこと、だから隠れなさいという意味ですね。
ご批判もあるかもしれませんが、私はツレの両親に「もう会わないでください」と手紙を書きました。
「余計なお世話」はツレが直接言われることが多かったのですが、その後落ち込むことがすごく多くて。
私の手紙を読んだお義母さんは「話をしましょう」と私に会いに来られましたよ。
「キター!」と思ったんですが(笑)、言われれば言われるほど夫が落ち込み、状態が悪くなることを率直に話しました。「じゃあ、会えると言われるまで会いません」と納得してくれたので、よかったです。

あの時はどうやったらツレを守れるかをすごく考えていましたね。
大変さはありましたが、今振り返ると、つらかった時のことは覚えていないんです。
脳が忘れさせるようにしているのかもしれませんが、どちらかといえば「いい経験をした」という気持ちのほうが大きい。

ただ、そう思えるようになったのは寛解(症状は出ておらず治っている状態)してから3、4年経ち、「もう大丈夫」と思えるようになってからでした。

「なんで働いて助けてくれないのかな」
寛解したのは2007年です。
ただ、その後も台風が来れば寝込むし、低気圧がくると「ダメだー!」となるし。
「また再発したらどうしよう」と、しょっちゅう心配はしていました。
そんななか、なんと私の妊娠が判明。
結婚して10年以上子どもができなかったので驚きました。
それに正直言うと、私がツレのうつ病のことを書いた著書『ツレがうつになりまして。』はよく売れて、「やっと仕事がうまくいき始めたのに、どうしよう」と、困った気持ちのほうが強かった。

でもツレは「自分が育児をする」とすぐに決めたみたいです。
驚いたし、「そうは言っても、やっぱりお母さんが赤ちゃんを育てないとダメなんじゃないの?」という思いもありましたね。
そういう意味では、私のほうが“役割”にとらわれていたのかもしれません。

「「これでいいのかな?」と、つい最近まで思っていました」(細川さん)
出産して退院すると、そのまま自宅に戻り、親子3人の生活が始まりました。
私、母乳があまり出なかったので、すぐにミルクに切り替えたんです。
それでツレは「俺の出番だ」みたいな感じになり(笑)、それからずっと育児は彼がやっています。
実は、「これでいいのかな?」と、つい最近まで思っていました。

ツレは仕事が大好きで、「男は仕事をするものだ」というタイプだったから。
勤めていた会社はその後、倒産してなくなりましたが、いずれはしたいことが見つかって、また仕事を始めるんじゃないかと。

『ツレうつ。』が映画化された後、私の仕事がない時期もあったんです。
財政的にもちょっとしんどくて、「なんで働いて助けてくれないのかな」と思ったりもしました。
その気持ちを伝えると、やっぱりケンカになったりして。

「お金を稼ぐだけが仕事じゃない。どうしてそれをわかってくれないんだ」と言ってましたね。
彼が勤め人に戻らないという選択をしたことで、私の焦りは大きくなるばかりでした。
私が「仕事ください、仕事ください」とあちこちの出版社に頼んでも、逆に減る一方。

でもある時、「焦ってるからダメなのかも」と気づいたんです。
それで「流れに乗ってみよう」と発想を変えました。
声をかけてもらった仕事は、とにかく何でもやってみようと。
そうしたら体にいい食事やセクシュアリティ、宝塚歌劇団など本当にいろいろなテーマのお仕事をいただくようになり、どんどん世界が広がっていったんです。

あの時の直感は正しかった。
行き詰まった時は、流れに乗って身を任せるのが一番なのだな、というのが今の実感です。

人の役に立つことが生きがいに
うつ病に完治はないといわれています。
つまり寛解状態がずっと続くということ。
再発率も高いそうです。
だから今も疲れをためないよう、気をつけていますね。

この1年でガラッと変わった出来事というと、ツレが運動を始めたことです。
きっかけは自転車でした。
彼が乗りたいという自転車があって、店で「これに乗りたいんです」と言ったら、「あなたでは無理です。体重が重過ぎます」と言われたんですよ。
「今、80キロなんですけど、どれぐらい減らしたらいいですか」と訊くと、「ほんとは70キロぐらいがいいんですけど、まあ、せめて5キロは減らしてください」と。

それから一所懸命ジムに通い始めて、半年ぐらいで5キロ痩せました
そして最近、ようやく手に入れたんです。
でも、自転車ってお金がかかるんですね。
もう、「何それ」という付属品がいっぱいあります。(笑)
あとは山登り。
といっても坂道のウォーキングみたいなゆるさで、2時間ぐらいで帰ってこられるコースです。
山って、一人で行っても必ず誰かに会うんですよ。
それで「こんにちは」と挨拶したりするのも楽しいみたい。
とにかくよく運動していて、そのことでだいぶ安定してきました。

気圧の変化にもあまり左右されなくなってきて。
運動って心の健康にもいいのかなと思います。
安定してきた今だから聞けるというか、話してくれることもいろいろあります。

実は、働かないという選択については、本人もだいぶ葛藤したようで。
最近になって、そのことで悩んでいたと話してくれました。
それはそうだよな、と思います。
だって、あんなに仕事が好きで、いきいきと輝いていたのですから。
仕事をしないでいられるはずがない。

でも同時にツレはこう言ったんです。
「お金は稼いでないけど、家族のために働いている今の生き方が好きなんだ。
一応、人の役に立つことをしているということに生きがいを感じている」と。
それを聞いて、「ああ、ツレは心の底からそう思ってるんだ」とようやく納得できました。
本当はちょっと前から同じことを言っていたと思うんですが、たぶん私が「そうは言ってもいずれ働くでしょう」と聞き流していたんですよね。

私自身が素直に受け止められるようになり、今は「ツレが楽しいならそれでいいんじゃないか」という気持ちになっています。
実際、とても助かっているのは事実です。
私が仕事で行き詰まっているのを見計らってお茶を淹れてくれたり、そういうのを絶妙なタイミングでやってくれる、「よくできた妻」みたいな。(笑)

今、苦しい時期の真っ只中にいる人へ
一方で、私自身も変わったと実感しているんですよ。
ツレにも最近、すごくよく言われます。
「あんなにブツブツ文句ばっかり言って暮らしてたのに、本当に変わったよね」と。
最初にお話ししたように、私は自己肯定感が低くて、ネガティブ思考ががっちり身に付いてました。
だけどツレがうつ病になり、一緒になってネガティブでいたら自分も追い詰められる。
「あっちは病気だけど私は元気なんだから、私が自分のネガティブを何とかしなきゃ」と気がついたんですよ。

ネガティブな人って、全部が後ろ向き。だから行動と言葉をまず変えようと思いました。
考え方から変えようとすると難しいですからね。
しかも、その変化は自分にも周りにも見えにくい。

だからまずは言動──たとえば、みんなに挨拶するとか、笑顔でいるとか。
あと、何より自分を認めるのが大事なので、自分で自分を褒めたりもしました。
そうしていると、周りの人が「なんだか最近、変わったね」と言ってくれるようになったのです。
それがまた自信につながって、自分がどんどん変わっていきました。
子どもの存在も大きいです。

2人きりだと行き詰まっていたのが、もう1人いることで中和されるというのを、すごく感じています。
でもそう言えるのは、子育ての大半をツレがやってくれているからかもしれませんね。
ツレのほうは、子育てに行き詰まって、だいぶ悶々としておりました(笑)。

でも彼には開拓していく能力があるので、ママ友とつきあってみたり、パパ友をつくってみたり。
もともとコミュニケーション能力が高い人なのです。
ツレの両親との仲も、今はとっても良好です。

寛解して薬をやめ、出歩けるようになった頃に、ツレから連絡をとるようになりました。
子どもが生まれてからはもうバッチリです。
今、苦しい時期の真っ只中にいる人には、私たちの話が遠い世界の出来事のように思えるかもしれません。
うつ病って、先が見えないし、いつよくなるかもわからないですし。

かつての私たちも、1日1日、その時その時をどうしたら楽に過ごせるかだけを考えて生きていました。
ひとつ言えるとしたら、周りの人がストレスをためないで、充実して生きることが大事かな。
たぶんそれはご本人に伝わり、いい影響を及ぼすと思います。

「自分のせいで家族がつらい思いをしている」という罪悪感を減らせるので。
ツレがうつ病になったおかげで、私たちの人生は思ってもみなかった方向へと進んでいきました。

「流れに乗って身を任せる」というのは、うつ病とのつきあい方にも通じるような気がします。
今は、できることをしながら、生きることを楽しもうと思っています。
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2020年12月07日

「うつっぽい」と思った時に多い理由5つ【大人世代】

「うつっぽい」と思った時に多い理由5つ【大人世代】
2020.12.6 GLASSY

ウイルス感染の不安、対面のコミュニケーションの激減、不慣れなリモートワーク…。思いもよらないことだらけの今年、「うつっぽさ」を感じている人が増えています。
誰にでも起こりうる「うつっぽさ」の原因と対策をまとめてみました。

「うつっぽく」なる理由はいろいろあります
うつっぽくなってしまうのはどうして?
変化のめまぐるしい今の時代、どんな要素がうつにつながりやすいのか知っておきましょう。

理由1.人間関係によるストレス
うつの原因の中でも一番多いのが人間関係のストレス。
職場の上司、同僚との関係、恋愛や夫婦関係などによるストレスがうつのきっかけとなる場合が非常に多いです。
結局、人間が一番ストレスを感じるのは人間なのですが、それは生きている限り避けられないこと。
自分の心の持ちようや、人とのコミュニケーションの取り方を見直して、工夫していくことが大切です。(森下先生・以下同)

理由2.体の不調によるストレス
体の不調とメンタルは強く結びついていることを知っておきましょう。
特に胃腸の調子と睡眠は重要。
下痢が続くと気力、体力、意欲といった活力が低下します。
睡眠不足だと過敏性が増したり、感情的になって冷静に物を考えにくくなる傾向が。また低血圧の人は疲れやすく、気力や、やる気が出ない原因となります。
また女性は生理に伴う身体変化にも注意。
大きなきっかけがなくても体の不調からうつっぽくなってしまうこともあるので、まずは体調の改善を

理由3.真面目、完璧主義など性格によるもの
真面目な性格や完璧主義な性格の人は自分の体や心の状態へのケアが後回しになり、心身の不調を軽視してしまう傾向があります。
たとえば、働きすぎて体が疲れて参っているのに気づかない。
気持ちが落ち込んでいるのに、頑張らなくてはと無理をしてしまうなど。
自分の心と体に無頓着なことがうつの原因になりうるので、ふだんから自分の心身の状態を把握することを心がけて。

理由4.今年になって急増した「在宅うつ」
テレワークが浸透し、外出が極端に減ったことで登場した“在宅うつ”は、社交性と自立性の観点で説明ができます。
もっとも在宅うつになりやすいのは社交性が高く自立性の低い人。
今までは悩みを誰かに相談して解決できていたのに、人に会えないことでネガティブ思考から抜けられなくなることが原因です。
一方、社交性が低く自立性が高い人は自分の世界で満足できるオタク的な側面と、人に依存せず自分は自分という性格なので今の状況に強いと言えます。

理由5.「新型うつ」とよばれるもの
若い人に多い“新型うつ”。
これは“非定型うつ”の一種で、従来型のうつとは症状が異なります。
好きなことや興味があることをしている時は元気ですが、仕事など興味がないことをしているとうつっぽくなってしまうというもの。
プライドが高かったり、些細なことで傷ついてしまうタイプの人に多いとされています。

心当たりのある人は一度クリニックに相談してみるといいでしょう。

       監修/森下克也 取材/加藤みれい
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2020年12月11日

「誰も助けてくれない」うつ病特有の考え方が不眠を招く

「誰も助けてくれない」うつ病特有の考え方が不眠を招く
12/8(火) ハルメクweb

名古屋大学の尾崎紀夫教授が最新の研究結果を元に、体、脳、心の関係を伝える1話10分全6回の講義。
今回はうつ病と睡眠障害について。

「老年期うつ病」と認知症に伴う「うつ症状」の見分けが困難です。
またうつ病と間違えやすい睡眠時無呼吸も解説します。

「夢ばかり見ていた」眠ってもすっきりしない!うつ病の睡眠特性 うつ病についてです。
これも睡眠障害が必発で起こる病気です。
その背景には、否定的なものの捉え方や、鑑別上非常に重要な睡眠中の無呼吸があります。
それらについて、お話をしたいと思います。

うつ病の方の睡眠ポリグラフィは、これまで何度か報告があります。
一般の方に比べると、レム期の睡眠が非常に多い。
「夢を見てばかりいた」とよく言われるのは、こういったことにも反映されています。
それから、途中でよく目が覚めてしまう。
睡眠の維持ができない。
深い睡眠も少ない。
脳を休めて記憶を定着させる働きが少なくなっている。
したがって、朝起きたときにすっきりせずに、昼間のパフォーマンスが落ちてしまいます。

睡眠障害はうつ病の始まりの頃からよく起こり、治療していてもなかなかよくならない症状です。
そういう意味で、精密医療上でも睡眠を捉えることが極めて重要だろうと我々は考えています。

「誰も助けてくれない」
うつ病のものの捉え方が不眠を招くメカニズム
ここで一点、気を付けなければいけないことがあります。
実際にうつ病の方の睡眠は良くないのですが、ご本人の主観と機器で確認した睡眠との間に乖離があることです。
例えば、主観と睡眠検査で寝付きの時間を比較した古典的な研究が、1962年に遠藤四郎先生により報告されています。
うつ病の方は「寝つくまでに時間がかかって眠れない」と言われますし、夜間の睡眠全体の時間も実際より短く訴える傾向があります。
もちろん良くないのは確かですが、実際以上に寝付きが悪く夜の睡眠も悪いと捉えがちだということがあります。
そういう意味では、その人たちの睡眠を、簡易機器でしっかり捉えることが、経過を見る上で極めて大事になります。

睡眠に限らず、うつ病のポイントはいろいろなことを否定的に捉えるところです。
例えば、業務の負荷を過大に捉えてしまい、あれもこれも大変だと感じるので、心の中のストレスがどんどん増えるばかりです。
一方で、上司等のサポートについては、普段なら存在すると感じているのを過小評価してしまい、誰も助けてくれないと思って一人で抱え込むような否定的な捉え方もあります。
このように否定的な捉え方が起こると、先々のことには当然不安が募る一方となり、「眠れない」システムが駆動し始めます。

うつ病の「悪循環」と、その解消法
我々の研究結果でもわかっているのが、図のようなうつ病の悪循環です。
ここには、いろいろな出来事が重なってきます。
長時間労働になり、睡眠が取れずに脳機能の回復が不充分になることもあります。
そうすると、脳機能の変化によって、物の見方が否定的になり、取り越し苦労や悲観主義が起こります。
そうなると、周囲のサポートを過小評価し、負荷を過大評価してしまい、それにより不安が起こるので、またまた眠れなくなります。
このような悪循環が起きているのがうつ病だと、我々のこれまでのさまざまな研究の成果からわかってきました。
患者さんやご家族にもこのように説明をし、どう治療するかについては、この悪循環を一つずつ切っていくようにしています。

脳機能が変化していることについては、体ではなく脳や心の休息を取るということで、これが実はなかなか難しいところです。
睡眠をいかに調節するかが問題ですから、「睡眠と生活習慣」でお話ししたようなことを申し上げます。
また、患者さんは一人で抱え込む傾向があることをご本人にわかっていただき、周囲にも相談をしておく。
あるいは周囲からお声を掛けていただいて、重なっている出来事の優先順位や重み付けをしていただく。
時には脳に働く薬も使いますが、薬以外に「物の見方の整理をする認知行動療法をしてみましょう」というような形で、うつ病の治療についても悪循環をもとに説明します。

うつ病と間違われやすい「睡眠時無呼吸症候群」
さて、うつ病とよく間違われているのが「睡眠時無呼吸症候群」です。
中年男性に多いのですが、女性の方もいらっしゃいます。
肥満がリスクファクターで、例えばあごの辺りが二重あごや三重あごになってくると、眠っている最中に喉の奥を押さえることになります。
それから、夜間のいびきですが、これはご本人では気付かないので、周りの方が気付かないとどうしようもありません。

昼間の症状としては「何もやりたくない」という感じで、ぼーっとして意欲が起きません。
うつ病とよく似た症状を出されます。
例えば、朝起きたとき、なんとなく頭がぼーっとして、頭痛がするといった感じです。
春の花粉症シーズンに無呼吸が起きてしまい、うつ病だと間違われて受診された方も、今まで複数いらっしゃいました。
無呼吸とうつ病は、症状的に非常によく似ているのです。

睡眠薬の中で、睡眠を促進するGABA(Gamma-Amino Butyric Acid、γ-アミノ酪酸のこと)に働くタイプのベンゾジアゼピン系、あるいは同じくGABAにはたらくアルコールが無呼吸を悪化させます。
これらは筋の緊張を落としてリラックスさせてくれるのですが、一方で無呼吸は悪化させることがわかっています。
かえって睡眠薬はマイナスです。
もちろん昼間ぼーっとするので事故にもつながります。

睡眠時無呼吸症候群はマウスピースで改善できる
我々の研究でも、睡眠時無呼吸の方はどうも認知機能が落ちることがわかっています。
睡眠中、普通は交感神経が下がるので体内の血液中のノルアドレナリンが下がります。
しかし、以前に私が行った研究では、この人たちは少ない酸素を必死で体中に行き渡らせるため、交感神経が高まってノルアドレナリンが増える現象を起こしています。
これは、かなり無理をしていますから、脳血管障害や心臓病のもとになります。
実際に放置すると、特に心・循環器系疾患による死亡リスクが増加し、治療すると改善することもわかっています。

重症度が高くない場合の改善手段としては、私どもも勧めているのが、(動画の中の)画像のようなマウスピースを歯科口腔外科でつくっていただき、それをはめて夜を過ごしていただくことです。
旅行にも持っていける手軽さです。
口の中で舌の方を物理的に上げてやって、落ちないようにするという簡単な器具です。
もう少し重症度が高いと、これでは不十分なので、睡眠中に酸素の圧をかけて開けてやり酸素を体内に入れる方法になります。
CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)といいます。
昔は大きな機械で装着感が悪かったのですが、この頃はかなり改善されています。

「何もおいしくない」状態からの回復が治療の目標
ということで、うつ病およびうつ病と間違えやすい病気についてお話をしましたが、うつ病が良くなるとはどういうことなのでしょうか。
私の患者さんに主婦の方がいるのですが、その方が言われていた言葉を借りてお話をします。
睡眠とともに「食」も回復の指標だということです。

うつ病の症状の一つに、「何も楽しくない、何も関心がない」という症状が挙げられますが、食では「何もおいしいと感じられない」「おいしいものを食べたいとも思えない」と表れます。
そんな時期に、彼女なりに「食べないと駄目だ」と思い、必死で食べていたそうですが、そのうち食べることもできなくなり、やせてしまったといいます。
そういう頃ですから、自分がおいしいものを食べたくもありませんし、料理が嫌で嫌でしょうがなく、できなくなってしまった。
そして、そのように主婦としてやるべきことができない自分がもっと嫌になるという悪循環に陥っていたのです。
そんな状況でしたが、この方が言われたのは、「先日、夫から『料理の味が以前に戻ったね』と言われ、良くなったことを実感しました」ということです。
そのようなことが、うつ病回復の一つの目標であろうと思いながら、治療をさせていただいています。
                                    10ミニッツTV
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2020年12月12日

気持ちが落ち込みやすい人に試してほしい「心が軽くなる7つの質問」

気持ちが落ち込みやすい人に試してほしい「心が軽くなる7つの質問」
2020年12月11日 PRESIDENT Online
ジャーナリスト 笹井 恵里子

■お決まりのパターンで悩んでいないか
著名人の訃報、新型コロナウイルス感染への恐怖、今後の人生に対する漠然とした不安……今の時期、気持ちの落ち込む人が増えているかもしれない。
ただでさえ夏と比べて格段に日照時間の減る秋は、鬱っぽくなりやすい。

曇り空であってもなるべく外にいること、もしくは窓際で過ごすことを心がけよう。
日光に当たると、精神の安定を保つ作用のあるセロトニン(脳内神経伝達物質)が分泌されやすくなる。
そして気持ちが行き詰まってしまいそうなときは、自らの“思考”を見直すことをお勧めする。

思考が変われば物事の見方が変化し、これまで気づかなかった幸せや価値に目が向いたり、行動も変化しやすいだろう。
千葉大学医学部附属病院の清水栄司教授によると、悩みがあるというときに「お決まりのパターン」で考え続けている場合が少なくないという。
「体の姿勢に癖があるように、思考も同じ方向に傾きやすいのです。
考え方がパターン化していると決断が速いという利点があるため、心身が元気なときはそれもいいでしょう。
しかし落ち込みが長く続くようになったら、考え方を見直す必要があるかもしれません」

■早速「ぽじれん」から。これは「良いことを思い浮かべる習慣」
ストレスをためやすい考え方や行動の癖を修正する方法を「認知行動療法」と呼ぶ。
清水教授は心の健康づくりとして、「ぽじれん」「ここれん」という2種類の5分でできる簡易版・認知療法を提唱している。

早速「ぽじれん」から。これは「良いことを思い浮かべる習慣」だ。
「脳は悪いことを記憶して、良いことを忘れます。
怖いこと、嫌なことを2度と忘れないのは、古来動物として生存に有利だったためです。
しかし、現代人にとってはつらいことなので、『悪いこと』の思い出と同じ数、せめて『3つの良いこと』を思い出して心のバランスを保ちましょう」(清水教授)

具体的には1日(または1週間)を振り返り(1)できたこと、(2)楽しかったこと、(3)感謝することを書き出してみよう。
いずれも小さなことで構わない。

例として(1)朝、規則正しく起きることができた、(2)コーヒーが美味しかった、(3)家族がご飯を作ってくれた、同僚にテレワークで手伝ってもらった、といった具合だ。

もう1つの「ここれん」は、「7つの質問」(表)に答える形でストレスを捉えなおすもの。
まず自分のストレスや悩みは「何がどうなっていることか」を短文で書き出し、その“本当度”を数字で表す。
半信半疑を50%、絶対本当と信じているのを100%とすると、どれくらいの数字だろうか。
次にその悩みとあえて正反対の状況を想定し、そう言える“根拠”を探してみる。
例えば「誰々が自分を嫌っている(と考える)」ことが悩みなら「その人と仲が良い(その人が自分を嫌いではない)と感じられることはないか」と思いを巡らす。
「会えば挨拶をしてくれる」「質問したらメールを返してくれた」といったことがあれば、「それほど関係は悪くない」と思えるかもしれない。

「腰が痛い」という身体的な悩みであっても、「腰は痛くない」という反対の考えのもと「できたこと」を挙げてみよう。「散歩に行くことができる」「入浴後は痛みが軽くなる」などというように自分の生活を振り返り、「反対の根拠」を見つけたい。
「例文にあるように、仕事で失敗をして落ち込んでいる場合などでも、誰かが認めてくれたところがあるなら、それを根拠として『失敗ではない』と考えてもいいし、明らかなミスであれば『失敗は成功のもと』と切り替えるのもOK。
昔話の一休さんが『このはし(橋)、渡るべからず』と書かれているのを見て、はし(端)ではなく橋の真ん中を通るというトンチで返したように、発想を転換することが大切です」(同)

質問に答えることで気分が改善する人が多いという。
凝り固まった体を伸ばすようなイメージで、清水教授は「心のラジオ体操」と名付ける。
心の柔軟性を目指して毎日の習慣としたい。

■良い気分になることでストレスを解消する
さて何かストレスがかかる出来事があったとき、乗り切れる人もいれば、落ち込んでしまい、そこからしばらく抜けられない人もいる。
実は、ストレスはその要因の大きさと比例せず、前述したように物の見方にもよるし、その解消法、すなわちレジリエンス(回復力)によっても左右される。

日本医科大学特任教授で心療内科医の海原純子氏がこう話す。
「以前、気持ちを表現しない抑圧傾向の男性がストレスチェックを受けました。
本来めげてしまってもおかしくない状況でしたが、意外にも『心の元気度が高い』という結果でした。
話を聞くと、私が書いている毎日新聞のコラム『新・心のサプリ』を毎回切り抜き、体と心に良いことをいろいろ実践していると(笑)。
たとえストレスをためやすい弱点があったとしても、補うように工夫すれば乗り越えられます」

心の健康を維持するのに不可欠なものは、
(1)深呼吸
(2)適度に体を動かす
(3)睡眠
(4)気持ちを話せる仲間、友人、家族
(5)自然のふれあいの5項目。

海原氏は「いつも同じ手段を選択する人が多い」と指摘する。
「医者の場合、熱が出た患者を診察したときに、可能性がある病名をたくさん挙げ、その中から可能性が高いものを選べることが能力の高さだと言えます。
症状からさまざまなことを読み取る力があれば、患者を治癒に向けて導けます。

同じようにストレスを解消したいときや何かに迷っているときに選択肢が浮かぶ人ほど、問題にぶちあたったときに乗り切りやすくなるでしょう」(海原氏)
人は追い詰められるほど「この選択肢しかない」と思い込みがちだが、トレーニングを積めば複数の選択肢が思いつくようになるとのこと。
誰かと話す、動物を飼う、散歩をする、音楽を演奏する、料理をする、瞑想する、絵を描くなど、集中できる、または良い気分になれる“場所”や“こと”を少しずつ増やしていきたい。

お酒は気持ち良い程度であればいいが、嫌なことから逃げる、忘れるために飲むのは依存となるので注意したい。
海原氏は、自分なりのストレス予防策を立てたり解消することを「心の生活習慣」と呼んでいる。
「どうせ明日も会社に行けば体が汚れるからと、お風呂に入らない人はいないでしょう。
心も同じです。
大変だった日があれば、意識して心を洗いましょう」(同)

あなたは「心をきれいにする何か」をいくつ持っているだろうか。
気持ちをリセットし、ストレス予防や回復力につなげていこう。
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2020年12月14日

親しい人が「うつ病」になったら?知っておきたい症状と対応方法

親しい人が「うつ病」になったら?知っておきたい症状と対応方法
12/12(土) yoga(ライター/南 舞)

うつ病と聞くと皆さんはどんなイメージがありますか?
うつ病といっても実はさまざまな症状が現れると言われており、あなたの身近にも当てはまる人がいるかもしれません。
そんな時にどう対応していくと良いか、臨床心理士である筆者がお伝えします。

うつ病にも種類がある?
その違いとは 今や「心の風邪」と呼ばれるくらい、誰にでも起きる可能性が高いと言われているうつ病。
脳内にあるセロトニンやノルアドレナリンなどの心のバランスを保つ物質が減ってしまうことによりエネルギーが欠乏し、主に「強い憂うつ気分・意欲の低下・眠れない・疲れやすい」などの症状が現れると言われます。

実はうつ病の種類によって症状にも微妙な違いがあることを知っていますか?
今回は2種類のうつ病について取りあげます。

(1)メランコリー型うつ病
・「従来の典型的なうつ病」と言われるタイプのうつ病
・仕事や人間関係などへの過剰適応によって、エネルギーが枯渇した状態
・精神症状は一切気分が晴れない、気分の落ち込みは朝がピーク、過度の罪悪感など
・身体症状は食欲不振や体重減少、眠れない、早朝に目が覚めるなど

(2)非定型うつ病
・「新型うつ病」「現代型うつ病」などと呼ばれる新しいタイプのうつ病
・20代から30代の女性に多い
・気分の落ち込みがベースにあるが、楽しいことやストレスを感じない事に対しては気分が上がる(気分反応性)
・精神症状としては遊ぶ時などは一時的に気分が良い、他人を責める思考
・身体症状としては過眠、過食、身体が鉛のような重さがある メランコリー型うつ病と非定型うつ病。

基本の症状は同じなのですが、大きく違うのは「気分が一時的にでも上がるか上がらないか」「睡眠と食欲の状態がどうか」というところ。
非定型うつ病については、その症状の特徴から「わがままである」と思われてしまうことがあり、ついつい「もっと頑張ってみたら?」「やる気あるの?」などと言われて傷ついてしまうということも。

うつ病の人に出会ったら
1.十分に休むよう伝える うつ病の人に大切なことは、とにかく休むこと。休むことに罪悪感を感じてしまいがちなのですが、休むことが何よりも回復への近道です。
もし周囲の人にうつ病の人がいたら、休むように伝えてあげると良いでしょう。

2.病院に行くことを進める
心療内科・精神科というと、「行きづらい」「敷居が高い」というイメージを持たれがちですが、今は通いやすい雰囲気の病院の方が多いので、それもあって最近では様々な年代の受診率も増えてきています。
一人で行くのが抵抗がある場合は、家族など身近な人と一緒に行ってみることを勧めてみても良いでしょう。
病院では、お医者さんの診察によって薬を処方してもらえたり、状態によってはカウンセラーとカウンセリングをしていくこともできます。

3.アドバイスや励ましの言葉には気をつけて
もしあなたが症状のことやうつうつとした気持ちを話されたら「何とかしてあげないと」という気持ちになる人もいるでしょう。
ですが、うつ病の人にとって、良かれと思ったアドバイスや励ましの言葉が裏目に出てしまうこともあります。
無理に何か言葉を掛けようとしなくても、「うんうん」とうなづいてあげたり、「大変だったね、辛かったね」とか「何かできることがあったらいつでも言ってね」など安心できる言葉をかけてあげると良いでしょう。

メランコリー型うつ病も非定型うつ病も多少の違いはありますが、基本的には同じ対応で大丈夫。
うつ病と聞くと「どうやって対応したらよいか…」と悩むこともあるかと思いますが、無理に何かしようとしなくても、話を聞いてあげることだけでも十分なのです。
あなたの対応によって安心できる人がいるかもしれません。
できそうなことから実践してみてくださいね。
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2020年12月21日

「もし仲間がうつ病になったら何と声をかけるか」……俳優・安田顕が知った「うつ病」のリアル

「もし仲間がうつ病になったら何と声をかけるか」……俳優・安田顕が知った「うつ病」のリアル
12/20(日) 文春オンライン

 将棋棋士の先崎学九段が、自らの経験をもとに執筆したエッセイ『 うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間 』(文春文庫)。
この本を原作にした特集ドラマが12月20日、夜9時よりNHK BSプレミアムにて放送される。
 映像化にあたり、主役の先崎棋士を演じるのは安田顕さん。原作を読み、心を揺さぶられたという。

「『うつ病』というと重くなりがちなテーマですが、淡々とした語り口で、時には真面目に、また時にはユーモラスに、病気に立ち向かっていく姿が描かれています。
先崎さんの将棋に対する思い、病を乗り越えたいという気持ちが伝わり、ぐっときました」

 先崎氏がうつ病と闘っていたのは、将棋界のみならず日本中が藤井聡太ブームに沸いた2017年。
7月のある日、大切な順位戦の盤面に集中できなくなった。
頭のなかでは不安と死のイメージが駆け巡る。
家族は精神科医である兄の先崎章氏に相談、章氏はすぐに入院を勧める。
そこからおよそ8カ月、先崎氏は対局をすべて休み治療に専念することになる。

 安田さんはこの作品を通して、うつ病とはどんなものなのかを改めて知ったという。
「原作や脚本を読んで、うつ病の方がとらわれる希死念慮は『死にたい』ではなく、『死になさい』という脳からの信号なんだと知りました。
またうつ病の症状は人それぞれと聞き、実際に先崎さんご夫妻からお話を伺ったのですが、先崎さん視点で描かれている原作を読むことに加えて奥様の話を伺ったことで、演技への取り組み方が定まりました。
奥様からは、先崎さんがどう見えていたのか。そして何を感じたのか……。
大変デリケートなお話を伺ったのですが、最初にそういうアプローチをさせていただけたことは、とてもありがたかったですね」

もし親しい仲間がうつ病になったら……
 ドラマでは、兄の章氏が先崎氏の顔を見てすぐに入院を勧めるシーンや、病にかかってから初めて棋士仲間に将棋で勝利するシーンなど、安田さんの表情がポイントとなる場面が多い。
「回復期は、感情が戻ってくるということなので、今までやらせていただいた役柄とそれほど違いはありません。
しかし、病の状態が悪いときの無表情のほうは、つくりあげるのがすごく難しかった。
自分の解釈が合っているのか分かりませんが、無表情とはいっても、心は揺れている、しかしそれが表面に出てこない状態なのではないかと。
自分の思いと脳から出る信号が違っている。
改めて、怖い病気だと思いました」

 うつ病は当事者だけでなく、それを支える家族や身近な人にとって負担が大きい病気だ。
家族全員で先崎氏のうつ病と闘うなか、精神科医である章氏は、うつ病の症状に苦しむ弟に繰り返し「必ず治ります」と連絡したという。
うつ病がとても身近な病気である現代、安田さんは章氏のこの対応を心にとどめておきたいと語る。

「もし親しい仲間がうつ病になったら……
考えれば考えるほど涙が出そうになりますけど、医師でない自分が言えることがあるとしたら、『みんな待ってます』かな。この作品から、それを教えてもらいました」

やすだけん/1973年、北海道生まれ。
舞台、映画、ドラマなどを中心に全国的に活動。話題作に次々と出演し、硬派な役から個性的な役まで幅広く演じている。

INFORMATION 特集ドラマ「うつ病九段」

「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年12月17日号
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2021年04月06日

うつのサイン「見逃して重症化する人」の超盲点、不安緩和に効く妙薬は「何かに没頭する」こと

うつのサイン「見逃して重症化する人」の超盲点、不安緩和に効く妙薬は「何かに没頭する」こと
4/5(月) 東洋経済オンライン

昨年9月、インターネットを通じて1万人余りを対象に厚生労働省が行った「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査」によれば、「半数程度の人が何らかの不安等を感じていた(4月〜5月では6割)」ことが明らかになった。
世界的流行から約1年が経つが、いまだ出口は見えない。
落ち着くかと思えば、またぶり返す。
一体、いつまで続くのか――、そんなイライラが募る日々が続いている。
「不安に加え、いらだちを覚える方も少なくないです」 そう語るのは、うつ病のカウンセリングや依存症の認知行動療法を専門とする『ライフサポートクリニック』(豊島区)の山下悠毅院長。
不安とイライラにはどのような関係性があるのか、対処法を含め話を伺った。  

――抑制された生活が続くことで、小さなことでも「イライラ」してしまう人が増えているような気がします。

 イライラとは、状況や物事が上手くいかない際に出てくるネガティブな感情で、イライラしやすい状態を精神医学では「易刺激性」や「易怒性」と呼びます。
原因としては、不快な出来事が起きたとき(いわゆるストレス)や、体調を崩したとき、睡眠不足、あとはうつ病や躁うつ病、てんかんや認知症の症状として観察されることも少なくありません。

――コロナ禍が長引く中で、ライフサポートクリニックにもイライラが止まらない、なんて方が訪れることはありますか?   

たくさんいらっしゃいます。
最近では中間管理職のような役職の方が多い印象です。
新入社員のミスが気になってしまう、取引先の対応が悪くイライラしてしまうなど。
世間的にテレワークが推奨されているとはいえ、職場に行かないと仕事にならない方はいまだに多い。
規則を順守させたい企業と、「それでは仕事が進まない」といった個人との間にズレがあるようです。
そのギャップに戸惑い、物事がうまく進まないことに対して苛立ちを覚える方が少なくないようですね。
 一方、これは女性に多いのですが、テレワークが可能な職種にもかかわらず、出社を強要する組織や上司にイライラしている方も見受けられます。

■「お金がなくて自殺をする」わけではない
 ――不安を原因として、イライラしやすくなるというのは、よくあることなのでしょうか? 

 イライラとは、物事がうまくいかない際の不快感情のため、不安が募れば人は必ずイライラします。  

――では、イライラが原因で、精神疾患につながるといったことは? 
 過度なストレスによって、うつ病が引き起こされることは周知の事実でしょう。
そうした観点から、イライラがうつ病の発症リスクにはなりえる。
 うつ病で最も恐ろしいのは、自殺リスクの増加です。
人はうつ病を患うと、「死んだほうが楽」と考えてしまう症状が出現しうるのです。
コロナに限らず、「金銭的に困り自殺をした」といった報道は、誰もが耳にしたことがあるでしょう。
 しかし、精神科医が対応する自殺未遂者の多くが、「お金がなくて自殺をする」のではなく、うつ病を発症した結果、「自分はお金がないので死ぬしかない」という妄想(貧困妄想)から、自殺(未遂)に至った方が多いのです。  

――うつ病の初期サインとして、何が挙げられるでしょう? 

 睡眠障害が多いです。
特に、「明け方に目が覚めてしまう」(早朝覚醒)が続いていたならば、早めに専門家へ相談することが大切です。
また、もし「死にたい」といった相談を受けた方は、ただやみくもに止めるのではなく、この人は死にたいと表現してしまうほどのレべルで人生に絶望している――とその人の発言をくみ取り、「あなたが今とても辛い状況にあることは理解できました」と気持ちを受容したうえで、専門機関へつなげることが大切です。

■どうすれば「不安」から解放されるのか?   
――気持ちを理解することが大事なわけですね。イライラしている背景に不安がある……そういったケースでは、まず何から始めることがいいのでしょうか? 

 不安と恐怖を分けて考えることが有効です。
なぜなら不安には「対象」がなく、恐怖には「対象」があるからです。
高所恐怖、先端恐怖、閉所恐怖といった言葉があるように、恐怖には必ず対象が存在します。
それゆえ、人は、恐怖に対しては何かしらの対処や対策が可能です。
 一方、不安とは「対象なき恐怖」であり、自分自身がいったい何に恐れているのかを自覚することができていない状態です。
現在も、世界中の方が新型コロナウイルス(以下、コロナ)に恐怖を感じています。
 しかし、コロナはあまりにも未知なウイルスであるため、「コロナの何が怖いのか」については曖昧なんですね。
日本人は欧米人より本当に感染しにくいのか、収束するのはいつなのか、効果的なワクチンや治療薬はできるのか、仕事や学校はどうなるのか、コロナ以前の日常に戻れるのか……など、誰もがこうした悩みを複合的に抱えている状態は、まさに「不安」と表現できるのです。  

――なるほど。恐怖は理解できるのですが、不安は漠然としているだけに認識することが厄介です。自分が不安な状態にいる……、感覚的には理解している人は多いと思うですが、例えば生活に変化が生じるなどサイン的なものは表れるのでしょうか? 

 留意してほしいのは、「いつもと違う」という点です。
生活の中で、いつもと違う傾向が出始めると、軽度のうつ症状のサインと言えます。
症状は人それぞれですが、睡眠に関してなら、「明け方に目が覚める・お酒がないと眠れない・やたらと眠い」、食事に関してなら「食に興味がなくなる・食べたくないのに食べてしまう」などといった具合です。
こういった傾向が、ほぼ毎日、連続して2週間続いた際は黄色信号です。  

――そういった予兆を自覚した場合、どうすれば? 

 自分の中で抱えている悩みを片っ端からノートに書き出して、それが不安なのか恐怖なのか、仕分けすることが大切です。また、書き出す行為そのものが、マインドフルネス状態となるため不安が広がらなくなります。
そして、書き出したうえで、「解決できること」と「解決できないこと」に、さらに分けることも重要です。  

――「解決できないこと」は考えないようにする? 

 それは「落とし穴」になる対処方です。
なぜなら人は、「能動的に忘れようとしたり、考えないようにしたりすることはできない」からです。
「不可能なことにチャレンジした結果、さらに負荷がかかり、不安が悪化してしまっている方」も少なくありません。
 そうではなく、繰り返しになりますが、まずは悩みを整理し、「考えない」ではなく「置いておく」のです。
「解決できないこと」は文字どおり書いた紙を机の片隅に置いておく。
信じれないかもしれませんが、それをするだけで多くの方が感覚として2〜4割ほど楽になるのです。

■「なぜ」「いったい」といった言葉はNG  
――たしかに、考えないようにするなんてできない(苦笑)。自分に異変を感じるようになったら不安と恐怖を紙に書き出し仕分けする、さらに「解決できること」と「解決できないこと」を書き出して分ける、「解決できないこと」は置いておく……、視認できることもあって気持ちがぜんぜん違いますね。

 コロナのような閉塞感がある状況で、イライラしないためには、「なぜ」、そして「いったい」といった言葉は避けることも肝心でしょう。
「なぜ」は、過去への後悔。
「なぜ、こんなコロナに不向きな事業を始めてしまったのか」などは代表例です。
 しかし、その事業を始めようとした時点では、コロナについて知りえなかったわけですよね。
これでは、じゃんけんで「チョキ」を出して負けた際に、「なぜチョキを出してしまったのか」と悩むのと一緒です。
あまりにも不毛であり、イライラは増すばかりです。  

――「いったい」も良くないことですか? 

 「いったい」は、絶対に知りえない未来へ焦点が向いた質問です。
「いったい自分の仕事はどうなるのか」、「いったい、いつ治療薬ができるのか」……こうした問いの答えは、そのときにならなければ知りようがないため、やはりイライラが増幅してしまうんですね。
 大切なことは、「今を楽しむ」、「できることしかできないのだから、できることだけに取り組む」というマインドです。人は不安が高まると、すぐにでもその気持ちをゼロに近づけようとしてしまいがちです。
しかし、それは極めて困難なことであり、さらなる不安を生んでしまうのです。

■「何かに没頭する」だけで不安は減少する  
――未来への不安は未来にならなければ解消できない、と。やっぱり横に置いておくしかない。

 そのとおりです。
それどころか、未来ではそのまた未来への不安が、必ず出現します。
そこで有効なのがマインドフルネス思考と呼ばれる「今を楽しむ」という考え方ですが、難しく考える必要はありません。
好きな映画を観る、作りたかった料理にチャレンジする、好きな運動をする――、いま自分ができること、したいことに没頭するだけで、人の不安やイライラは少なからず減少します。
 一方で、「今を楽しむものが見当たらない」なんて方も患者さんの中にはいらっしゃいます。
そうした方に対して私は、無理をして新たな趣味を見つけようとするのではなく、「新型コロナウイルスが収束した際のやりたいことリスト」を作って貰っています。
 すると、実はその中に、コロナ禍の今でもできることが存在していたり、リストの中身について診察の中で話し合うことで気持ちが落ち着いたり、そもそもリストを作成すること自体が「できること」であるため、「やってみて良かったです」、「新型コロナが収束した後も、定期的にリストを作ってみたい」などと話される患者さんもいらっしゃるのです。
「今を楽しむ」ようにする一方で、「解決できないこと」にはしない。
それが気持ちを落ち着かせるうえで、大切なことなんですね。

山下 悠毅(やました・ゆうき) 1977年生まれ。
精神科医。ライフサポートクリニック院長。
専門は依存症全般、パーソナリティー障害。
さまざまな企業においてコーチングやマーケティングの研修講師としても活躍する。
極真空手の選手としても知られる。
著書に『いい子をやめれば幸せになれる』(弘文堂)など。

我妻 弘崇 :フリーライター
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2021年06月19日

うつの人が「小さいやる気」なのに大きく見せる技

うつの人が「小さいやる気」なのに大きく見せる技
できるだけ自動化し、すごい人のイメージを作る
2021/06/18 東洋経済オンライン
林 直人 : 「毎日学習会」代表

新型コロナウイルス感染症が流行する中、経済的に不安定な状況に追い込まれ、心身のバランスを崩す人も少なくない。
そのような人はどのように生きていけばよいのだろうか。
長年うつを患いながらも会社を経営してきた起業家の林直人氏は「起業もひとつの選択肢である」と説く。
著者『うつでも起業で生きていく』より一部抜粋してお届けします。

「小さいやる気」「波があるやる気」で生きていく
前回の記事「うつの人が苦しまずに仕事で力を発揮できる心得」(6月11日配信)では、「うつ病の人が実際に起業するにあたって、どのようなビジネスを選ぶべきか?」という話をしました。
今回は、うつの人はどのようにしてモチベーションを保てばいいのか?について、お話ししていきます。
私はそもそもモチベーションという言葉が嫌いです。
モチベーションがあるなしにかかわらず、危機感をベースとして、元気があるときはなにも考えずにどんどん仕事をするべきだと思います。

一方で、うつの人は体力に乏しく、なかなか膨大な量の仕事をすることが難しい側面もあります。
そこで、どのようにすれば、うつの人の「小さいやる気」「波があるやる気」でも仕事を成功させることができるかについて、ここでは考えていきたいと思います。

まず、うつの人が「小さいやる気」をどのようにして大きく見せるかという話をしたいと思います。
「小さいやる気」を大きく見せるために大切なのは、「限界費用ゼロ」という概念と、「錯覚資産」という概念です。
それぞれ重要なキーワードですので、順を追って解説したいと思います。

まず、「限界費用ゼロ」という概念ですが、そもそも「限界費用」とはなんのことでしょうか?
 「限界費用」とは「うつ病で限界」とかそういう意味の「限界」についての費用ではありません。
「限界」というのは経済学の概念で、「AとBのあいだ」ぐらいの概念です。
ここでの「限界費用」というのは「1単位増やすごとにかかるコスト」のことです。
もう少し具体的な例に落とし込んで説明していくと、たとえば、個別指導塾を経営している場合は、指導コマを1コマ1時間分増やしたら、1人の人間が1時間分余計に働かなければならなくなります。
ところが、YouTubeで授業を撮影しておいて「これを見ておいてね」という形で1時間分増やすとします。
YouTubeなんて、1人しか見なくても100人見ていたとしても、配信にかかるコストは変わりませんから、「限界費用」はゼロになります。
同じようにアプリを作っておいて、「これをやっといてね」という形で増やすのであれば、1人しか使わなくても100人が使っていても、かかるコストは変わりませんから、「限界費用」はゼロになります。

このように、うつの人は長く働くことはできないわけですから、なるべく「限界費用ゼロ」の世界で戦い、自分の「小さいやる気」を大きく見せることが非常に大事になってきます。

すごそうな雰囲気を見せることも大事
2つ目は、「錯覚資産」という概念が大切になります。
これは、人気ブロガーのふろむださんの言葉を一部借りますが、「錯覚資産」とはうまく自分に対する期待値をコントロールしたうえで、本を出したり、YouTubeに出たり、テレビに出たりしながら「すごい人」のイメージを作っていき、それによって仕事をやりやすくするという方法です。

うつの人でも手っ取り早くできる方法としては、名前をすごそうにするという方法があります。
私の塾は「毎日学習会」という名前です。
別に私が毎日長時間働いているわけではないのですが(体調が悪ければ10分だけシフト送信して、あとはスタッフに任せて寝ていることもあります)、なんだか毎日熱心に教えてくれる感じがする名前ですよね。
実際のところ、その日は元気なスタッフが誰かしら、代わる代わる熱心に指導することで、状態としては「毎日熱心に勉強を教えてくれる塾」になっているので看板に偽りはありません。
また、こういう状態を作ったうえで、本を大量に出したり、YouTubeに大量に投稿したり、サイトの記事を大量に出したりしていますし、今回はまたこうして本を書いて、この本がベストセラーになったらテレビにも出たいと思っていますので、そういう形でどんどん「錯覚資産」を増やしていくのです。
これも「小さいやる気」を大きく見せるうえで非常に大事な要素になります。

では、その次です。
まずそもそも本を出すにしてもYouTubeに動画をアップするにしても、それなりに働く必要があります。
では、うつの人はどのようにしてこれほど大量の仕事をこなせばいいのでしょうか。
その部分から考えていきましょう。

まず大前提として、元気がないときは仕事しないことだと私は思っています。
コロナウイルス対策と同じで、十分に収束していないときに、慌てて動くと余計ひどいことになります。
まずはそれなりに体調をよくすることが最優先です。
そのうえで、仕事をするわけですが、仕事をするときに考えてはならないことがあります。
それは「やる気」「モチベーション」です。

「今日はやる気があるのか?」「今日はモチベーションがあるのか?」を仕事する前に考えると「今日はやる気がないから明日からやろう」「今日はモチベーションがないから明日からやろう」という結論になります。
やれるならなにも考えずにどんどん仕事をこなす これが非常によくない。
大切なことは、やる気のことなど考えないことです。
それなりに元気で、少なくとも仕事ができないほど体調が悪くなければ、まずはやる。
1つ終わったら、なにも考えずに2つ3つ4つと連続でやっていくことが大事です。
休憩を挟むと、どうしても休憩がメインになってしまいますからね。
まずは連続して、なにも考えずにどんどん仕事をこなしていくことが大事です。

この「なにも考えずにどんどん仕事をこなしていく」という感覚はぜひ大事にしていただければと思います。
「メランコリー親和型」のうつの人であれば、仕事ができないほど体調が悪くなければ、できるはずです。
とにかくなにも考えずに、意識を飛ばして体力の限界まで仕事し続けるのです。
その結果として、また1日2日寝込むかもしれませんが、それでいいのです。
1日人一倍以上働いたら、次の日は寝込んでいても、トータルで見たら健常者とトントンか、健常者以上に仕事をしたことになります。
とにかく過剰労働と寝込むことを繰り返し、健常者に仕事の量と質で勝つことが大事です。

また、この量についても「限界費用ゼロ」と「錯覚資産」で盛り盛りに水増しすることが、極めて重要になります。
「うつの人の起業では、寝込みたいときはいくらでも寝込んでいい」という話をします。
いくらでも寝込んでいいのです。
寝込んでいるときは、元気になったら寝込んでいた分の仕事も取り戻そうとか、そういう真面目くんみたいなことは考えなくてもいいです。ただ寝ているだけでいい。
それがその人の仕事だと私は考えます。
事前に自動化さえできていればいい 多少元気が出てきたら、モチベーションとか難しいことは考えず、とにかく意識を飛ばして、仕事をどんどんノンストップにこなすことが大事となります。
そして疲れてきたら、また寝込めばいい。
そのときにまた、起きたら寝込んでいた分を取り戻そうとか、そういうことを考える必要はないです。
とにかく寝込んで寝込んで寝込んで、いつか元気になる日を待てばいいのです。
「こんなに寝込んでいて問題ないのか」と言う方もいるでしょう。
たしかに、AIとかARとかVRとか今流行りのビジネスだったり、トレンドブログのような芸能界のあれこれにすぐ反応しなければいけないブログを運営していたら、そんなに寝込んでいると潰れるでしょう。
ただ、世の中のたいていの商売、特にネットビジネスの場合は、事前に自動化さえできていれば、寝込みたいときは寝込んでいてもなんの問題もありません。

大事なのは「変化対応」していくことです。
ちょっとでも元気なときに勇気を出して行動することも「変化対応」です。
ただ、体調が悪いときにはちゃんと休むことも「変化対応」です。
寝込むことも、「うつ起業」することも「変化対応」として等しく価値があることです。
状況が悪いときはダンマリを決め込み、状況がいいときは徹底的に積極的に行動する、これはうつ病患者に限らず、起業全般に大切な起業の真理です。
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2021年09月14日

「本人も気づかないうちに進行する」"サイレントうつ"予備軍の5つの特徴

「本人も気づかないうちに進行する」"サイレントうつ"予備軍の5つの特徴
2021年09月13日 PRESIDENT Online

テレワークの常態化で、本人も気づきにくい「サイレントうつ」が深刻な問題になっている。
オンラインファシリテーターの小澤美佳さんは「画面上では元気に見えるのに、メンタル不調に陥っているというケースもある。普段から『ストレスを逃がすこと』を意識してほしい」という――。

■コロナで発生している「非対面の恐怖」
テレワークを導入する企業は増えたものの、周囲にトラブルを相談することができずにメンタル不調に陥る社員が出てきた――そんな事例が聞こえてくるようになりました。
こうしたメンタル不調に気づかずに放置していると、音信不通になるなど取り返しのつかないこともあります。

私が勤務するニットでは、33カ国に400名のメンバーがいますが、コミュニケーションはすべてオンラインです。
通勤がないためオン・オフの切り替えが難しいといった仕事上の悩みや、雑談ができないことによるメンバー同士の人間関係の構築が難しいといった対人関係の悩みはコロナ禍以前から存在していたため、社内で問題解決に向き合ってきました。
そのため、テレワークで心身に支障をきたしやすい人の生活や働き方の傾向がわかってきました。
そこで、非対面コミュニケーションから生じる心身の不調――「サイレントうつ」を回避する方法をお伝えしたいと思います。

■会社にも、自分にも、サイレントに進行する
「サイレントうつ」は当社が企業への注意喚起のためにつくった造語で、医学的な病名ではありません。
ただし、リモートワークによる社員のメンタル不調は、人事担当者の間で最近よく話題に上るテーマの一つです。
医師であり、産業医コンシェルジュを行うDr.健康経営の鈴木健太代表は「オフィスとは異なり、自宅など周囲に人が少ない状態でテレワークをしている人にサイレントうつは起こりがちです」と言います。

睡眠障害や慢性的な疲れといった身体的な問題が出ても気づきにくく、会社だけでなく自分自身でも「サイレント」で症状が悪化していくというわけです。
また、外でリフレッシュできないことなども、サイレントうつを引き起こす要因の一つでしょう。

サイレントうつの予備軍について、鈴木代表は下記のような傾向があるといいます。

・真面目すぎる
・完璧主義
・パソコン作業が多い仕事
・一人暮らしで人との会話が少ない
・趣味などの息抜きがない

オフィス勤務なら誰かが気づいてくれた不調でも、テレワークだと気づくのが難しくなります。
特にテレワークはテキストコミュニケーションがメインになるため、相手からの発信がなければ心身の状態が分かりにくいということが多くあります。

■サイレントうつを防ぐストレスの逃がし方
では、どうしたらサイレントうつを予防できるのか。
社内で試行錯誤した結果、最も良い予防策は「ストレスを逃がすこと」でした。
ニットで行っている施策を例に具体的なコミュニケーション方法をご紹介します。

(1)趣味や雑談など、仕事以外の息抜きができるオンラインの場をつくる
まず、オンラインで何でも話せる場をつくりました。
そうした場は、一つや二つでは足りません。
ニットではチャットルームを基点にした41個のオンラインコミュニティを設けています。
そのうち、「業務に関するコミュニティ」と、「業務外に関するコミュニティ」にわけてはいますが、自分の趣味や興味のあるものに何個入っても構いません。

「業務外に関するコミュニティ」はプロの占い師がいる占いのコミュニティをはじめ、韓国沼と呼ばれる韓国ドラマやK-POPが好きな人が集まるコミュニティ、キャンプ好きのコミュニティなど、多種多様です。
ニット代表の秋沢崇夫も、キャンプコミュニティで自身のおすすめグッズを披露しているようです。
このようなコミュニティの場は、非対面コミュニケーションしかできないメンバーにとって、心理的安全性の確保につながります。

(2)節目でオンラインイベントを実施する
昨年は「ZOOM飲み」という言葉も世間で話題になりました。
友達同士のオンライン飲み会季節の節目で忘年会や打ち上げ・ランチ会など、過去にイベントを実施していたタイミングで構いません。
ストレス発散と同時に、会社とのつながりを感じてエンゲージメントが上がります。
また、人事側でも社員の状況を定期的に見ることができるので、サイレントうつの予防につながります。

ニットではお花見など季節ごとにイベントを行ってきました。
一番盛り上がるのは「オンライン忘年会」で、例年100人ほどが日本全国、世界各国から参加します。
開催時間は午後9時。家庭のあるメンバーの子どもの就寝時間や、海外在住者の時差を配慮して設定しています。
ほかにも、ビンゴ大会やクイズ大会、絵しりとりなどまだ入社して間もない人でも楽しめるコンテンツにし、オンラインで完結する忘年会づくりをしています。

(3)困ったことがあったら相談できる窓口を用意する
テレワークだと後手になりがちですが、メンバーが何か困っていたらすぐに相談できる場をつくることはとても大切です。
ニットにはメンバーのケアや相談に乗ることがミッションの1つになっている「育成コーディネーター」がいます。
特に、新入社員や部署に配属されたばかりでまだなじみがない人に対し、最低でも入社時に1on1、その後3カ月は毎月1回の1on1を実施しています。

入社時のように、相談する相手もいない状況でのテレワークは不安が大きいものです。
相談する場をつくることは、メンバーの心理的安全性を確保することになり、「サイレントうつ」の防止につながります。
それだけではなく、メンバーがのびのびと力を発揮できる環境へとつながります。

業務で良いパフォーマンスを発揮するには、まずは心が健康でないといけません。
ストレスの原因が仕事量なのか、人間関係によるものかでも、ストレスのたまり方は違います。
企業としても様々な施策を用意することが大切でしょう。

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小澤 美佳(こざわ・みか) 株式会社ニット 広報
2008年、リクルート入社。10年間、HR一筋。
中途採用領域の代理店営業、営業マネージャーを経て、リクナビ副編集長として数多くの大学で、キャリア・就職支援の講演を実施。
採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に従事。
2018年中米ベリーズへ移住し、現地で観光業の会社を起業。
2019年にニットに入社し、営業・広報・人事を経験後、現在はオンラインファシリテーターとして活動中。
オンラインでのセミナー講師やイベントのファシリテーターを多数実施。
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2021年11月15日

「でも」「だって」「どうせ」の3Dを止めるだけで、問題の8割は解決する!

「でも」「だって」「どうせ」の3Dを止めるだけで、問題の8割は解決する!
そこそこ幸福に生きる40のコツ
バク@精神科医:精神科医

生きづらさの多くは、自分自身の考え方から生まれる
 生きづらさは、これまでの連載で述べてきた通り、大部分が自分自身の考え方から生まれています。
 だから生きやすくなるためには、物事のとらえ方や困ったときにどう動くかなどの考え方を変えるしかありません。
 でも、そんなに大変なことが簡単にできたら、この本を手に取っていないですよね。
 「明日から、こんなふうに考えてください。ラクになりますよ!」と言われ、「はい、わかりました。そう考えるようになりました。はい、ラクです!」……。
 なんて、それができたらこの世に悩みは存在しません。

 正直、私でもそんなことをいきなりやれと言われても、やれないと思います。
 ですからまずは、嘘でも構わないので無理やり「行動」を意図的に変更していってみましょう。

その第一歩は、「言葉づかい」をちょっとだけ意識して変えてみる、というものです。
 その中でも、最も効果が出るけれど、直すのが意外に大変なのが「3D」と私が呼んでいる言葉。
これをなるべく言わないように意識してみましょう

なぜ、「でも」「だって」「どうせ」を 使ってはいけないのか?
 この三つの言葉を話し始めで言わないようにするチャレンジを、ちょっとずつ練習しましょう。
1日ほんの数回からでもいいのでとりあえず始めてください。
 実際、「でも」「だって」「どうせ」を言わないように、と思うだけで結構つらい人は多いはずです。
しかし、これを使わずに会話をするといろいろ目に見えて変わります。
 大げさに言えば「人生が大きく変わります」。

 理由は簡単。この三つの言葉は、全部“否定”。
 すべてを打ち消してしまうという共通項があるので、開始からの否定を1回止めてみる、という会話スタンスの改革が行われるからです。
 今「人生が大きく変わります」と言われたとき、あなたはこんなふうに考えませんでしたか?
 「どうせ、私にはできっこないし……」  人生変えたい! とこの連載を読んでいるのに、その言葉が出てきた瞬間に、これから私が述べようとしていることが、全否定になってしまいます。

 やってみようという気力もごっそり落ちているし、どれだけ私が説明しても、頭が「できっこない」と受け入れ態勢ゼロになってしまっています。
せっかくここまで読んだのにひたすらお金と時間と体力の無駄です。もったいない。

 「でも」幸せになりたい! 生きやすくなりたい! ってまだ思えるなら、その否定はOKです。
ちょっとだけ読み進めてください。

患者さんの回答が「3D」で始まってしまうと、 アドバイスは受け入れてもらえない
 診察でもよくあるのですが、精神科医がどんなナイスでマーベラスなアドバイスをしても、患者さんの回答が「3D」で始まってしまうと、まぁアドバイスは受け入れてもらえません。
「上司の口調が、なんとなく自分を責めているような感じがするんです」
「では、上司の言うことをできるだけ無視する方法を考えましょう」
「でも、上司の席は私のすぐ隣なんですよ。無理に決まっているじゃないですか!」
 これでは、方法を考える余地もありません。

 疲れ切っている人は、こんなふうに即否定がクセになっていることが多いのです。
 だから診察の場で私は、「3D禁止」をしてみませんか? と患者さんに説明し、良い悪いは別として、どれくらい患者さんが「3D」を使っているかを一緒にチェックしてみます。
 「あ、今、『どうせ』って言いましたね?」という軽い感じでです。
 完全にクセになってしまっている場合は、いきなり全面禁止にしてしまうと会話ができなくなります。
 ですから、会話上、どうしても言う場合は、「先生、今これから、私は『でも』という言葉を使いますね」などと、先に宣言してもらうようにしています。
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2022年04月06日

「ちゃんとダラダラ休む」が人間に必要な納得理由

「ちゃんとダラダラ休む」が人間に必要な納得理由
メンタル不調から回復までにたどる4つの段階
2022/04/05 東洋経済オンライン
尾林 誉史 : VISION PARTNERメンタルクリニック四谷院長

「最近何だか元気が出ない」「気持ちが沈んで、何にも興味が持てない」など、春は気温や生活の変化でメンタルの不調が起きやすい時期です。
『元サラリーマンの精神科医が教える 働く人のためのメンタルヘルス術』より、メンタル不調を抱えた人が回復していくまでの4段階を紹介します。

前回記事:「何となく不調な人」が見過ごすと危ない4サイン ちゃんとダラダラ休むのが大事 メンタル不調には、うつ、抑うつ状態などいろいろな呼び方があります。
精神的・肉体的ストレスにより脳がうまく働かなくなっている状態が「うつ」といわれるもので、セロトニンなど神経伝達物質の枯渇によって、「心の水位」が下がってしまっているということです。
あせらず、きちんと治療に向き合えば、状態は以前よりもっとよくなります。

■第1段階・ちゃんとダラダラ休む
第1段階で、とにかくちゃんと休むことが必要ですが、これがなかなか難しいのです。
クリニックにいらっしゃる患者さんも、どう休んだらいいのかわからないとおっしゃいますので、ともかく初めの1か月間は、特に集中的に休んでくださいということから説明しています。
心の水位が下がる状態になる原因は、仕事の量が多すぎることや、人間関係などで、大きなストレスを抱えたことです。
それによって、脳疲労を起こしているのです。
脳科学的には、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどの不足・枯渇が原因だろうと言われています。
まずは、「ちゃんとダラダラ」休みましょう。

■第2段階・休むことに飽きてくる
第1段階でしっかり休み切ると、変な言い方ですが、休むことに飽きてくるものなのです。
それと同時に、少し気持ちの活動度が上がってきます。
そうしたら次のステップですね。
第2段階では、「なにかしようかな」という気持ちになってきますので、ウォーミングアップとして、ご自身の趣味とか、好きなことに時間を使い始めてもらいます。
漫画でも、動画の流し見でも結構、ストーリーが頭に入ってこなくても結構、ただ眺めるだけでもOK。
初めのうちは、そんな刺激の少ない活動であっても、30分もすると疲れて嫌になってしまうものです。
人によっては、「先生、今日はテレビを47分観られました」とか「今日は漫画を80ページまで読めました」という場合がありますが、そういうときは、「ちょっと頑張りすぎたんじゃないですか? まだ頑張りすぎちゃ駄目ですよ」とお話ししています。

第2段階の初めのうちは、頑張らないことを徹底していただきます。
そうして何かをやり始めていると、徐々に持続力や集中力が戻ってきます。テレビドラマや映画を観ても、ストーリーが頭に入ってこなくて、共感したりできなかったのが、徐々にできるようになってきます。
このときも、仕事のメール、チャット、電話などからは、まだ離れていてもらいます。
人によって変わっていくプロセスや期間は、まちまちになりますが、だいたいで言うと、第2段階は、1カ月〜3カ月ぐらいでしょうか。
第2段階の後半には、集中力・感受性なども高まり、充実してきます。
自分の好きなこと、興味関心のあることがだいぶできるようになってきて、自炊を始めたりもします。
睡眠も、前には日中12時間ぐらい寝ていたとか、1日合計15時間寝ていたのが、「最近、朝は7時ぐらいに起きています」というように、生活リズムが整い始めてくるものです。

働く意欲が出てきているか確認
■第3段階・意欲が出てくる
第3段階への移行の目安は、意欲が出てきているかです。
働く意欲、生活する意欲が出てきているかどうかを確認しましょう。
そしてこの段階で、リワーク的なものを始めることになります。
リワークとは、休職した場合のリハビリのことを言います。
定義は広いのですが、まずは、日中ちゃんと起きているとか、ある程度の作業負荷に耐えられるようにしていくということです。
たとえば、朝起きてから、食事などを終えたら、とりあえず机に向かう。 ネットで興味のあることを検索するだけでもいいのです。
作業をしているような姿勢と状況を作って、準備していくことです。
医療機関や就労移行支援・就労継続支援事業所などで、復職に至るまでの橋渡し的なシステムを用意しているところもあります。
ストレスの対処法や対人コミュニケーションを学ぶようなプログラムなど、その方の状態に合わせて選ぶことができます。
そうした施設を利用したほうがいいかどうかは、回復の上昇曲線によります。
特に後期になってくると、人によって回復の仕方はさまざまです。
一定のレベルに達してリワークを始められるようになってから、ある程度ゆっくり回復していく方は、こうした施設を利用してじっくり復職に向かっていったほうがいいでしょう。
逆に、後期にぐっと回復していくような方は、こうした施設を利用する必要はないかもしれません。

■第4段階・復職への準備を始める
第3段階で、以前の自分の生活リズムに近い過ごし方を疑似体験できたら、復職が目の前にやってきます。
主治医が、そろそろ休職から復職に向かっていくというゴーサインを出すことになります。
企業によって、復職の基準はさまざまです。
通勤訓練から始めることを認めている企業から、週5のフルタイムで働けないと復職を認めないという企業まであるわけです。そこで主治医は、その患者さんの勤務先が定めた基準をしっかりと踏まえて、復職の診断書を出さないといけません。

まず週に3日、会社に行って帰ってくるだけ
「だいぶ良くなってきたから、復職ですね」といった感じで軽い気持ちで診断書を出したことが、再発の大きな原因になることがあるのです。
なんとなくいい軌道に乗ってきたという段階の方に、急に週5のフルタイムで仕事を再開することを課したら、相当のダメージを受けてしまいます。
初めは、会社に行くというだけで大変です。
まず週に3日、月水金に会社に行って帰ってくるだけといったことから始めます。
最初の月曜日に会社の前まで行って帰ってきたら、疲れて真夜中まで泥のように寝てしまったというのはよくある話です。
自分がいた職場に近づくというだけでドキドキするものなのです。
そういう準備段階を踏まずに、いきなり週5フルタイムなど、絶対無理ということですね。

復職の前に、通勤訓練、模擬ワーク体験、会社の方とのやりとりなどを始めておかないといけない。
まずは、話しやすい人から部署の近況を聞くといったところから始めておく必要があります。
休職期間は何カ月であると決まっていても、制度を柔軟に運用してくれさえすれば、転職する人はかなり少なくなると思います。
主治医は、その患者さんが属している会社の休職期間が、何カ月と定められているのか、初めの段階で聞いておくべきでしょう。
例えば1年半と聞いて、「あなたは治るのに1年半かからないし十二分な期間だと思います。だからじっくりちゃんとやりましょう」と自信を持って言える場合もあります。
場合によっては、「2カ月しかないんですか。では、僕もしっかり産業医の先生や会社の担当者の方とも話しましょう。それは、ルールがきついです。
ともかくちゃんと必要な人に相談しましょう」ということになります。

不安を乗り越え、前よりもいい状態に 休職期間が終わって職場に戻ったとしても、そこから何もないわけではありません。
初めは、どんな方でも、やっぱりおそるおそるです。
久しぶりの社会復帰、同僚や上司との再会、緊張もするしうまくいくかもわからない。
また会社に戻っていくということは、不安で、エネルギーも使うものです。
そういう中で、「いや、もう治ったはずだから、同じことは起こらないはず」と頑張りそうになったら、それ自体がまだ回復していない発想だった、と思い出してみてください。
また頑張ってしまったら、その結果、後戻りしてしまうかもしれないわけです。

ひと言で言うと、正しく恐れるということが必要だと思います。
詭弁のように聞こえるかもしれませんが、正しく恐れるということをちゃんとやっていると、そんなに恐ろしいことにはならないのではないでしょうか。
いつまた何が起こるかわからないから、ともかく無理するのはやめようというふうに考えるのが、正しく恐れるということですね。
僕は患者さんに、リミッターをかけるとか、アクセルとブレーキのバランスという言い方をします。

第4段階に至るまで自分のことをしっかりと見つめ直し、自分のことを理解し、自分のことをいとおしく思う、そういう体験をしてきたわけですから。ここまででお伝えしてきたように、意味ある回復のプロセスをじっくり経ることができたのであれば、そんなに簡単に、また弱ってしまったりはしません。
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2022年05月12日

報道を見てつらい人の心の対処法

上島竜兵さん突然の訃報
 報道を見てつらい人の心の対処法
5/11(水) YAHOOニュース
海原純子博士・心療内科医・産業医・昭和女子大学客員教授

お笑いタレントでダチョウ倶楽部のメンバーの上島竜兵さんが亡くなったことが分かりました。
自殺とみられるとも報じられショックを受けたという声を聞きます。
最近は俳優の渡辺裕之さんがなくなったこともあり、働き盛りで元気に活躍していると思っていた方たちの突然の自殺ということで、実際に面識はなくてもテレビで活動を見て身近に感じていた方には衝撃になります。

身近に感じていた人の死に接した時、どのように心を保ち癒すかについて考えます。

まず気をつけたい「ネガティブな同一化」
実際に面識がなくても身近に感じている人の自死の場合、気がかりなのが「ネガティブな同一化」です。
上島さんの訃報報道を見て自分もゆううつになったという方はこうしたネガティブな同一化に陥っているリスクがあります。

身近な方の死により、身体的不調をきたしたり、自分も死にたくなったりすることが多くなることがあります。
これがネガティブな同一化です。
特に同じような年代の方にとって衝撃は大きく、コロナ禍の影響が続いたなかで過ごしてきた方は「上島さんのように元気そうに活躍している人が急に亡くなるということは、自分などはうまくいくわけがない」というように感じてネガティブな同一化を起こしてしまうリスクがあります。

どう対処すればいい?
まずは「言語化」をお勧めします。
言葉にしてつらい気持ちや悲しい思いを表現することが大事な癒しへの一歩になります。
「実際には知らないけれど身近に感じている人がなくなるとつらいね」というように、つらさを表現することは大事です。
同じ思いをしている方は多いと思います。
ただ「何かあったのか」「コロナ禍が影響したのか」など憶測や詮索をすると、さらに気持ちが落ち込む原因にもなります。

「言語化」が苦手な人はどう対処?
上島さんと同年代の男性の方はつらくても我慢して人に助けを求めたりつらいと言えない傾向が大きいといえます。
つらくても平気な顔をして振舞ったり、つらさを紛らわすためにアルコールの力を借りたりすることも多いものです。
また年代は異なっても、ご自分には気持ちを抑え込む傾向があると思う方は身体を動かすことも大事です。

言語化が難しい、つまり言葉で表現するのが苦手な方は、身体を動かすことが感情の表現になるからです。
5月の季節に気をつけたい自律神経の調節 ロシアのウクライナへの侵攻や、知床の遊覧船の事故など暗いニュースが多い昨今、しかも気温も定まらず身体が気候の変化に適応しにくい季節です。
また連休明けということもあり、自律神経の調整が難しい時期です。

自律神経の調整がうまくいかないと体調が定まらず身体の不調により心が落ち込むことが多いので体調管理が特に重要です。この時期に心をケアするために次のような対策があります。

1.深呼吸とストレッチを朝、昼、夜の決まった時間に5〜6分ずつ行う
2.朝窓を開けて太陽の光を浴びる
3.散歩したり運動したりする時間を毎日20分ほど作る
4.公園など自然と触れ合う時間を定期的に作る

特に太陽の光のバイオレットライトは脳代謝に影響し、うつ予防の効果があると報告されています。
晴れ間を利用して戸外を散歩することなどをお勧めします。
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2022年05月19日

『モーニングショー』精神科医、うつ病になりやすい患者に「嬉しい」発言で物議

『モーニングショー』精神科医、うつ病になりやすい患者に「嬉しい」発言で物議
2022年05月18日 リアルライブ

18日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)に出演した精神科医の発言が話題を呼んでいる。
 この日、組まれたのが「うつ病」特集。
最近特に、うつ病あるいはうつ状態になる人が増えているという。
そこで精神科医で赤坂クリニック院長という坂元薫氏が登場。
うつ病の症状や、その見分け方、さらには対処法を紹介した。

 まず、うつ病増加の背景として、同氏は「どの国の調査でも大体、コロナ禍の後で、2倍あるいは3倍に増えている」と言及。
続けて、「その理由はもう皆さんおわかりだと思うんですが、行動制限、自粛、人と人とのつながりが希薄になってしまった。あとは経済的な問題」と述べていた。
 他には、うつ病の診断基準を満たす症状も紹介。
「食欲減退または増加」や「塞ぎ込んだ状態が続く」など9つの基準のうち、5個以上の症状が2週間以上にわたって続くと、うつ病と認められるという。

 これを受けて、司会の羽鳥慎一アナウンサーがうつ病になりやすい人の特徴として、「仕事熱心、真面目、几帳面、責任感が強い、他人への気配りを忘れない」といった項目を挙げたのだが、これについて坂元氏は「こういう方は、最近あんまり多くないような気がします」とバッサリ。
 予定していた論調と違った羽鳥アナが慌てて、「いや、でも、イメージだとこう、こうですけど……現場だと実際は違う?」と聞くと、同氏は「もちろんこういう方がなりやすいんですが、ただ一般的に、こういう方が来ると嬉しいんです」とあらぬ発言。
その直後、「嬉しいというと変ですが、典型的な几帳面、(いわゆる)“メランコリー親和型”と呼んでまして、こういう方は確かにうつ病になりやすい」などと話していた。

 坂元氏の「嬉しい」発言の真意としては、こういう分かりやすい特徴の患者さんが来たら、救うことができるという意味で言ったのかもしれない。
そこでネットでは「治療もしやすいだろうからな」という声もあった一方、「うれしいって、、本音が出たな」「嬉しいってカモが来たってことか ひでーーーー」「この先生 言葉選びヤバい」「うつになりやすい真面目な人があまり多くないとか、こういう性格の人が嬉しいとか発言がおかしい」といった疑問が寄せられていた。  

 調べると、現在まで延べ2万5千人を超える方々の診療に携わってきたという坂元氏。
それほどの大家であれば、患者への言葉遣いも十分、気を付けているはずだが……。
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2022年06月08日

うつ病と認知症の症状は似ている?

うつ病と認知症の症状は似ている? 中年世代にも広がる“薬で治らない”メンタル不調
2022年06月07日  日刊SPA  

給料は上がらず、タスクと責任ばかりがのしかかる中年世代。
ストレスゲージは常に高値安定。
誰かがメンタル病んで休職なんて話を聞いても、「あぁ、またか」「明日はわが身か?」と思う人も多いだろう。

 しかし、メモリークリニックお茶の水の理事長で医学博士の朝田隆先生は、「メンタル不調の診断は簡単ではなく、さまざまな可能性がある」という。
「うつ病だと診断されて治療をしてきたけれど、実は若年性認知症だったという人がいれば、若年性認知症の疑いがあって調べてみると、発達障害があって周囲から孤立しメンタル不調が出たという人などいろいろです」
 メモリークリニックお茶の水は認知症を専門とし、朝田先生は認知症予防と脳画像診断の第一人者。

うつ病だと思ったら認知症!?
認知症だと思ったら発達障害⁉︎
 いったい、どういうことなのか?
うつ病の症状は認知症の初期症状と酷似

一般的にうつ病は、真面目で一生懸命、律儀で責任感が強い人のほうがなりやすいと言われる。
「こうした性格を『メランコリー親和型』あるいは『執着気質』と言い、昔からうつ病になりやすいことがわかっています。
いわば『保守本流』のうつ。
希死念慮を抱き、自殺しやすいのもこのタイプですが、一方で薬が効きやすい。
きちんと医者に行って服薬治療をしながら休養をすれば、数か月で回復していきます」

 ただメランコリー親和型の人は、真面目なだけに弱音を吐かず、我慢強いため発見が遅れがち。
周囲の人は「小さなミスが増えた」「元気がなくなり笑顔がなくなった」「好きだったことにも興味を示さない」「不眠がち」といった変化に気づいてあげるのが大切だ。
 が……実は、これらの症状は認知症の初期症状でもあるという。

「65歳以上なら真っ先に認知症を疑いますが、40代50代だとうつ病や精神的ストレスと診断されることも多い。
うつ病だと診断されて2〜3年、精神科に通い、抗うつ薬を飲み続けてもよくならない。そのうちに、記憶や認知に問題が出てきて認知症のテストをすると、すでに中度にまで進行していた……というケースは珍しくありません」

 認知症は初期に発見し、適切に対処していけば進行を遅らせることができる。
しかし、 “誤診”によって、その大切な時間が奪われてしまうのだ。
「認知症というと70代80代の高齢者がなるものと思っているでしょうが、27歳で発症したという人もいます。
それは稀なケースだとしても、働き盛りの40代50代でも無関係ではありません。
まずはそれを認識してほしいと思います」

対処法が異なる新型うつ
他方で、若年性認知症ではなく、真面目でも几帳面でもなくメンタルに不調をきたすケースもあるという。
仕事のやる気は出ないが、遊びや趣味は楽しめる、というタイプで、いわゆる「新型うつ」と呼ばれるタイプだ。
「医学的には『逃避型抑うつ』『ディスチミア親和型うつ病』などと呼ばれるタイプで、“保守本流のうつ“とは症状が違います。
従来型のうつは、常に気分が落ち込んでいるし、お酒を飲んでも気持ちは晴れず、酔うこともできない。
一方、新型うつ病は飲酒を含め楽しいことはきちんと楽しむことができる。
また、眠れないといううつ病の典型症状がないのも特徴です」

 加えて、もう一つの大きな違いは、従来のうつ病が「なにもかも私が悪い」と自らを責めがちなのに対し、新型うつ病は「悪いのは会社や上司。自分は悪くない!」と、あくまで他罰的であること。
「調べてみると、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症といった発達障害が見つかることがあります。
周囲とコミュニケーションがうまくいかず、トラブルばかり起こして、『私は理解されていない』『自分は評価されていない』という不満や疎外感から、メンタルの不調を引き起こすわけです」

 新型うつは抗うつ剤があまり効かない。
そのため、カウンセリングなども併用した治療が必要になるそうで、その対処法も異なるのだ。

ストレスチェックの問題点
 従来型のうつ病なのか、若年性認知症なのか、はたまた新型うつなのか? いずれにせよ、「早期に見極めることが大切」なのは間違いない。
 働く人のメンタルヘルスの不調を未然に防ぐため、国も2015年12月から50人以上が働く事業所でストレスチェックを義務づけている。
が、このストレスチェックの効果について、朝田先生は懐疑的だ。

 確かに、「眠れない」「元気がない」と正直に書いて、会社にメンタルが弱い人間だと評価されたくないと考える人はいるだろうし、正直、「めんどくさい」と適当に答える人もいるだろう。
「また、新型うつの人は『仕事の内容は自分に合っている』とポジティブに答えるでしょうし、『よく眠れない』ということもない。どうしても、現状のストレスチェックではスクリーニングできないんです。
また、ストレスチェックを受けたところで、診断は出せないのが現状。
産業医の9割が内科医で、脳の疾患やメンタル不調に対しての知識や理解が追いつかないという根本的な問題もある」

 うつ病も嫌だが、若年性認知症もおそろしい……。
どのケースでも治療の第一歩は「病気を自覚すること」。
まずは「メンタル不調もいろいろ」と知っておくことが大切なのかも。
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2023年02月14日

貧困妄想とは? 本当の貧困とは?

貧困妄想とは? 本当の貧困とは?
竹内成彦 心理カウンセラー(公認心理師)
2023/2/12 専門マスター

うつ病は、いろんな症状を発症させます。
「貧乏になったらどうしよう?」「お金がない…」と極端に思うのも、うつ病の症状のひとつで、それを貧困妄想とも貧乏恐怖症とも呼びます。

芸能人の高島忠夫さんも、以前に、うつ病から貧困妄想を発症させ、家族を非常に心配させたということがあります。
家族のうちの誰かひとりでも、うつ病に対する正しい知識を持っていれば、あのような混乱は避けられたと思うのですが、当時は、本当にお金がないと思い込み、子どもたちも、とにかく節約に励んだとのことです。

私のカウンセリングルームにも、時々、貧困妄想・貧乏恐怖症の人が訪れ、お金がないことやお金がなくなる心配を切々と訴えるのですが、本人はお金を使うことやお金がなくなることが何よりも心配なのですから、残念ながら、病院にもカウンセリングルームにも継続して通ってはくれません。
やがて貧困妄想の人は、もとはうつ病なので、じりじりと容態を悪くさせ、焦燥感にかられながらも、働く意欲や元気がなくなり、本当にお金に不自由するようになることが多いです。

周囲に、うつ病に対する正しい知識を持っている人がいれば、早め早めに対処できるかと思うのですが、うつ病という言葉がこんなにも有名になっているにも関わらず、うつ病の正しい知識を持っている人は、世の中にあまりにも少ない…というのが実情です。

貧困妄想は、貧乏恐怖症とも呼ばれ、次のような症状を示します。
@「お金がない」が口癖だ。
A 自分には、もうお金がないと感じる。
B お金を使うことが怖い。
C お金がなくなってしまうのではないかという不安を常に抱えている。
D 必要なお金でさえ、出し渋ることがある。
E お金を使いたくないばかりに、人との交流を避けるようになる。
F お金を使う瞬間に痛みを感じる。

問題の本質は、「お金がない」という事実ではありません。
問題の本質は、「お金がないと感じる」という心の様です。
それが証拠に、この心の病は、 貯金が何千万円とあり、年収が1千万を超える人でもなる時はなります。

貧困妄想は、うつ病から発症することもあれば、全般性不安障害で発症することもあります。
うつ病であれば、病院に行ってお薬を飲めば回復に向かうのですが、全般性不安障害であれば、病院に行ってお薬を飲んでも、なかなか回復には向かいません。
「だったら、カウンセリングに行って治せばいい、お金の不安を解消すればいい」ということになるのですが、カウンセリングに行ってお金を使うこと自体が恐怖なわけですから、貧困恐怖症の方は、なかなかカウンセリングに行こうとはしません。

貧困妄想は、脳という臓器の不調により発症させる人もいれば、 マイホームを購入してローンを抱えたことにより発症する人も少なくありません。
「お金の不安が、常に頭から消えない」と仰る人は、 1度、精神医学とお金の守り方に詳しいカウンセラーの許を訪れてみてはいかがでしょうか?
私(竹内成彦)は、あなたのご来室を心からお待ちいたしております。

本当の貧困とは、
1.稼ぐ能力がなく、
2.預貯金も資産もなく、
3.自分を助けてくれる人もいない。
上記3つの条件を満たしている状態にあることです。

私の知人で、稼ぐ能力もなく、預貯金も資産もない人がいますが、借りにAさんとしますが、Aさんから貧困のイメージは感じません。
それは、Aさんには、友人がいっぱいいるからだと思います。
万が一、Aさんが食えなくなったら、私はAさんを喜んで家に泊めてあげるだろうし、無料で飯を食わせてあげるだろうと思います。
Aさんの周りには、私のようなAさんを助けてあげたいと思っている人がいっぱいいます。
だからAさんは、貧困だと感じさせないのだろうと思います。

あなたは如何ですか?
願わくば、上記1〜3のうち、2つ以上は、まずまず合格点にいたいものですね。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
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2023年07月25日

9割が知らない!うつ病サイン7選

9割が知らない!うつ病サイン7選
2023/7/24 専門マスター

こんにちは、えらせんです。
最近涙もろくなったり、疲れているのに眠れなかったりすることはありませんか?
もしかしたら自分でも気づいてないうちに心が疲れているかもしれません。
うつ病は突然なるのではなく、じわじわ心が消耗していく病気です。
早めに心のSOSに気付けるように、うつ病の早期サインを紹介するよ。

1.集中力が15分続かない
頭がぼんやりとして、集中力が続かないと感じること。
仕事をしていても、学校で授業を受けていても、何をしていても15分もすると気が散ってしまう、そんな状態。
この状態が続くと、日常生活や仕事に支障をきたすこともあるよね。
これはストレスや過労、生活リズムの乱れが原因になることが多いし、うつ病の初期症状の一つでもあるんだ。

2.上手に笑えなくなる
普段なら笑えるはずのことが、何となく笑えなくなる。
これは感情が鈍くなってしまっている可能性があるんだ。
うつ病の初期症状としてもよく見られることだよ。

3.気づいたら涙が出ている
理由もなく涙が出てくることがあるなら、心の中にたまったストレスや苦しみが溢れ出てきている状態かもしれない。
こういった涙は、内面的な苦痛や感情のもつれを表していることがあるよ。

4.不眠または寝すぎる
睡眠パターンの変化もうつ病の一つのサイン。
不眠だけでなく、逆に寝すぎることもある。
ストレスや心身の疲労が原因で、睡眠リズムが乱れてしまうんだよ。

5.何もやる気が起きない
何をやっても楽しくない、やる気が出ないと感じること。それは心が疲れてしまっていて、普段楽しんでいたことに喜びや興奮が感じられなくなってしまっているんだ。
これはうつ病の一つの特徴で、日常生活に対する興味が薄れることを指すよ。

6.自分が価値のない人間だと感じる
自分のことが嫌いになる、自分には何も価値がないと思い込んでしまう。
自己否定感が強まっていて、自己評価が極端に低下してしまっている。
これもうつ病の特徴で、罪悪感が強くなることがあるんだ。

7.怒りやイライラが爆発する
ちょっとしたことで怒りが爆発したり、すぐにイライラしてしまったり。
感情のコントロールが難しくなっている証拠で、ストレスのせいで感情が過敏になってしまうことが原因かもしれない。
これもまたうつ病のサインとなることがあるよ。

これらの症状が当てはまっていたら、うつ病のサインかもしれない。
こういったサインを見逃さないように、自分の心と体の状態に気をつけて、早めに対策をとることが大切なんだよ。

有名な心理療法家カール・ロジャーズの言葉を思い出してみて。
「私たちが自分自身を理解し、自分自身を受け入れることができたとき、私たちが変わり始めることができる。」
自己理解と自己受容が心の健康にとって、とても大事なんだよね。
あなたが今、何かしんどいなあと感じていたら、無理に抑え込むのではなく、まずは自分自身の感情を受け入れてみて。
そして、もしも支えが必要なら、専門家への相談を恐れずに、自分自身のために一歩を踏み出してほしいと思います。
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2023年08月15日

これができないとメンタルが蝕まれていく…88歳医師が編み出した「不眠」を一発で解消する驚きの快眠法

これができないとメンタルが蝕まれていく…
88歳医師が編み出した「不眠」を一発で解消する驚きの快眠法
2023年08月14日  PRESIDENT Online

なかなか眠れない状態が続いたとき、どうすればいいか。
浜松医科大学名誉教授の高田明和さんは「実は「眠れない」状況に陥るのは脳の問題だけで、からだは勝手に眠った状態に誘導されていく。
私も、睡眠問題に悩んできた一人だったが、ベッドに入って寝つけないときは体のあちこちが徐々に休息モードになっていくのを感じると、いつのまにか脳も眠りに落ちているのだ」」という――。
※本稿は、高田明和『65歳からの孤独を楽しむ練習 いつもハツラツな人』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■薬物療法で廃れた対話療法の本当の効果
19世紀から20世紀にかけて活躍した精神分析のパイオニアだったフロイトが、うつ病などの患者に対してまず行なった治療は、「患者さんの話を聞く」というものでした。
患者さんの話を聞き、苦しみの根源がどのような過去の体験にあるのかを探る――それが現在の心療内科における「カウンセリング」的な治療法の出発点となりました。

その後、20世紀末になって精神医学が発達し、うつ病への「薬物療法」が始まったことで、フロイトが行なったような対話療法は、徐々に廃れていきます。
しかし近年、抗うつ剤のような薬物は、「それほどの効き目がないのではないか」とされはじめています。
「プラシーボ(偽薬。プラセボとも)効果」というものがあります。
「この薬は風邪に効きますよ」と言って、ただのビタミン剤などを患者さんに渡すと、その効果を信じた体が免疫力を上げ、風邪の症状などが治ってしまうことがあります。
これまでの抗うつ剤の成果とは、そうしたプラシーボ作用の範囲内ではないか、というのです。

実際のところは、プラシーボというのは言いすぎであり、自殺をしようとするような強度のうつ病に対して、抗うつ剤はそれを引き留める程度の効果はあります。
しかし、その前段階であれば、薬に頼らず、医者がその苦しみを聞きながら一緒に解決する「認知行動療法」が、昨今のうつや不安の治療法の主流になりつつあります。

■「心の内を語れるこんな相手」を確保しなさい
この心療内科の先生と同じような役割を果たしているのが、たとえばキリスト教などの宗教でしょう。
特にカトリックでは、教会で神父に罪や苦しみを打ち明け(告解)、「お前の罪は赦された」と告げられることで、心のケアをしている信者は大勢います。

人は苦しいとき、その心の内を人に聞いてもらうと、気持ちが楽になるのです。
だから、うつへの対策として、人と話すことは重要だ、と言いたいのです。
というわけで、「誰かに心の内を聞いてもらう」ことが、孤独感を抱かずに老化を遅らせることにつながります。
しかし、「そもそも、そうやって打ち明けられる人がいないから、孤独感を覚えるのでないか」と、お思いになるでしょう。 いえ、別に相談する相手は誰だっていいのです。
定期的にクリニックに通って相談するのでもいいし、もしも自分の話をしっかりと聞いてもらえるのなら、お坊さんの説教とか、キリスト教のミサに参加してもいいでしょう(聞いてもらえないなら逆効果になるかもしれませんが)。

市町村の催しには、カウンセラーや心理学の先生に相談できる機会があるかもしれません。
ただ、家族や親しい友人に相談すれば、相手の負担になりかねません。
相手だって、相談されたところで、どうしていいかわからないからです。

本格的にうつの傾向を感じるならば、それこそ心療内科の先生を訪ねてみてください。
心理的な問題のプロに頼むことが、孤独感への対策として重要なことでしょう。

■高齢になると「眠い」という感覚が得られなくなる
年を取ってから孤独感が増す原因には、寝つきが悪くなることも含まれます。
高齢になると、「眠い」という感覚が起こりにくくなります。
あなたがもし、ある程度の年齢の方なら、夜中に目が覚めてトイレに行ったら、その後なかなか寝つけずそのまま朝を迎えてしまった、という経験があるかもしれませんね。
子供のころは、目をつぶれば、ひたすら眠っていました。
遊び疲れたら自然に眠くなるのが普通でした。

ところが年を取ると、脳内で分泌される眠りをコントロールするホルモンの量が減り、「眠い」という感覚が得られなくなっていきます。
体は眠りを欲しているのに、心が眠気を受け付けないせいで、眠れなくなるのです。
「眠れない」という状況を放置しておくと、どんなにメンタルが強い人でも、やがて心が蝕まれていき、孤独感を強く抱くようになってしまいます。
ただでさえ人間関係や健康のことで孤独感が増しているのに、眠れなくなれば、くよくよと将来を憂える時間ばかりが増えます。
すると睡眠不足からうつになるなど、体に悪い影響が出てくることもあるわけです。
ですから、医師は「ハルシオン」などの睡眠導入剤を使うのですが、なかなか効果は現れません。
お酒に頼っても、飲酒はかえって睡眠を浅くしますので、余計に眠りにくい体質が強化されてしまいます。

次に解説する高田流快眠法で「よく眠る」ことが老化を遅らせます。
アルツハイマー型認知症が起こるしくみのところで述べた脳内に生じるゴミのようなタンパク質「アミロイドβ」は、寝ている間に脳から排出されます。
もしも、眠れなくて困っているという場合は、ぜひ、私が編み出した次の快眠法をお試しください。

■体のあちこちが徐々に休息モードになっていく
私も、寝つけない、眠れないという睡眠問題に悩んできた一人ですが、ようやくよい解決法を見出しました。
名づけて「高田流快眠法」です。

実は「眠れない」状況に陥るのは脳の問題だけで、「眠い」という意識や感覚がなくても、体のほう、つまり手や足、胃腸などはひとりでに眠った状態に誘導されていくのです。
だから、ベッドに入ったけれど寝つけない、というときは、目を閉じて、「もう手は眠っているな」「背中は眠っているな」と、体のあちこちが徐々に休息モードになっていくのを感じていくようにします。
するといつのまにか、脳も眠りに落ちていきます。

私はこの方法を編み出してから、毎日、快眠を楽しんでいます。
それまでは、「眠れない、眠れない」と焦るため、逆に意識がはっきりしていっていました。
何時間も坐禅を組んだこともありましたが、これまた余計に頭が冴えてしまい、そのうえふと過去の経験を思い出し、孤独感を蒸し返したりして最悪な心理状態になっていくことがありました。

もし、この入眠法を試しても眠れなければ、逆に起きてしまえばいいでしょう。
朝方にでも眠くなったら眠ればいい。
よくないのは、くよくよ考え続けてしまうことです。

■暇な毎日を繰り返すうちに喪失感と孤独感で頭の中がいっぱいに
孤独に対しても、老後の人生に対しても、男性よりも女性のほうがずっと強い精神を持っています。
一説によると、配偶者が亡くなった場合、妻を失った夫は平均して2年ほどしか生きませんが、夫を失った妻は平均して15年ほど生きるとか。
平均寿命も、2022年の厚生労働省の統計では、男性が81.47歳なのに対し、女性は87.57歳となっています。
ただし、女性のほうがアルツハイマー型認知症になる割合は高いので、必ずしも女性のほうが「老化に強い」ということではありません。

孤独感に関していえば、女性は近所の人などとの付き合いを広げやすく、料理や掃除など、たくさんの「やるべきこと」を見出しやすいようです。
だから決して毎日に退屈はしないし、生活のルーチンも楽しみやすい傾向があります。
男性の場合は、食事にしても出されたものを食べるだけで、自分で作ろうとはしない人が多く、そういう人は、妻が亡くなってからも、自分で献立を考え、料理をすることはほとんどありません。
外食をしたり弁当や惣菜を買ってきて食べるだけ。そして、15分くらいで早々に食べ終わってしまったら、あとはやることがない……。
そんなふうに、献立や調理手順に頭を使うこともなく、暇な毎日を繰り返しているうちに、喪失感と孤独感で頭の中がいっぱいになってしまうわけです。

■会社人間だった人は、家事にどんどん手を出しなさい
このような事実も逆算して孤独感対策に応用するならば、会社人間だった人は、年を取ったら今までやらなかった家事にどんどん手を出すようにしていけばいいのです。
買い物はもちろん、掃除や洗濯、料理に凝るのもいい。
アイロンがけだって裁縫だって、トライしてみればなかなか難しくて、それがまた面白いでしょう。
「家事を究める」も老化を遅らせることにつながるのです。
やってみればあらゆるものは奥深いし、上達することが生きがいにもなってきます。
たとえ自分だけしか食べない食事でも、凝りだせばだんだんと楽しくなります。

それでもどうしても淋しいのであれば、それこそSNSでも発信してみてください。
SNSは、たった数回で誰も反応してくれないとあきらめてはいけません。
もてあましている時間を味方につけて日々のアップ回数を多くし、数週間、数カ月と根気よく発信し続けていれば、やがて誰かが反応してくれるでしょう。

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高田 明和(たかだ・あきかず)
浜松医科大学名誉教授 医学博士
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2024年07月02日

「心の病かも」精神科の受診を検討する5つの基準、家族は「患者からのシグナル」を見逃さないで

「心の病かも」精神科の受診を検討する5つの基準、
家族は「患者からのシグナル」を見逃さないで
7/1(月)  東洋経済オンライン

日々、多くのストレスにさらされる現代社会では、「心の病」はけっして特別な病気ではないと、精神科医の広岡清伸氏は指摘します。
それでは、誰もがかかる可能性のある「心の病」を早期に発見し、有効な治療を受けるためには、どうすればいいのでしょうか。
これまで1万人を診察してきた経験をもとに、精神科への受診を検討する基準と、患者が送っている「心の病」のシグナルについて、広岡氏が解説します。
*本稿は広岡氏の著書『心の病になった人とその家族が最初に読む本』から一部を抜粋・編集してお届けします。

■家族が「心の病」になったら、まず何をすればいいか

 家族の誰かが心の病になったときに、気がかりなのが、心の病の患者となった当人とどのように接すればよいか、ということでしょう。

 アプローチの仕方は「家族間の関係性」「悩みの原因」「病状の重さ」「病気の認識の有無」によって異なってきますが、共通する大切なことがあります。

 もしも、家族の誰かが、近頃、様子がかなり変だと思ったら、精神科への受診を慎重に勧めてほしいのです。
精神科の専門医に相談すると、きっと苦悩をやわらげられることを丁寧に伝えてください。

 まず、家族は心が病んでいる人の味方になって、そばに寄り添うことが重要です。

 次に、家族は心が病んでいる人に「あなたが苦悩していることに気づいている」「家族として心配している」「力になりたいと思っている」ということを、伝えることが大切です。

 大半の患者さんは、何か原因があって苦しんでいます。
近所からの脅威に対して怯えていたり、学校でいじめを受けて苦しんでいたり、仕事で失敗したことで叱責を受けていたりします。
恋人との破綻で悩んでいることもあります。
家族は、何が原因で苦しんでいるのか理解しようとすることが大切です。

 そこで、「悩みを聞かせてもらえないか」「協力できることはないか」と話しかけま
ただし、根掘り葉掘り聞きだすのは良くありません。

 家族ができる範囲で、患者さんの症状を理解するように努めます。
なお、家族には話したくないけど、信頼できる他人にだったら話せる方も多いので、その場合は家族以外の誰かに協力を仰いでもいいでしょう。

 ここで留意してほしいことがあります。

 ・家族の温かな心と患者さんの病んだ心が触れ合うことで良い方向に向かいます。
 ・大切な家族であることを伝えます。仲間であることを伝えます。心の病の患者さんの味方であることを言葉で伝えます。
心の病の患者さんを守り、支えます。
 ・頭ごなしに、心の病の患者さんの言動を否定しない、見下さないでください。
 ・放っておかないことが大切です。
いつの間にか5年、10年経ってから相談される家族が多いのです。
できるだけ受診が早いほど、悪化を防ぎ、回復も早いのです。
 ・家族は、患者さんが精神科を受診できるように、くり返し説得し続けてください。

■病院での受診を拒まれたら、家族だけで抱え込まない

 ただし、症状が重いと、患者さん自身に「自分が病気である」ことの認識が乏しいために、家族からいきなり精神科への受診を勧めても受診を拒むケースがあります。

 このような場合、家族は頭ごなしに患者さんの言動を否定せず、何を恐れているのかを丁寧に聞いてあげてください。
家族は患者さんの苦しみを受けとめてあげるのです。
平常心を持った家族が、平常心の弱り切った患者さんと交流を持つことが大切です。
ポジティブな心と触れ合うことで患者さんの意識も変化します。

 家族のポジティブな思いが強ければ、患者さんの心の中に残っているポジティブな部分と共鳴して、患者さんも病院を受診してみようと思えるようになります。
心の病状を客観視できるようになるのです。自身の苦悩を精神科医によって取り除いてもらいたいと思うようになります。

 ただし、家族間の信頼関係が弱っていると、受診につながらない場合も多いです。

 受診を嫌がっている場合には、地元の保健所や精神保健福祉センターに相談するとよいです。
きっと、ケースワーカーや保健師や嘱託医が良い助言をしてくれるでしょう。

 私は、受診を拒んでいる患者さんの住所が近隣である場合には往診することがあります。
平常心を持ったドクターが、平常心の弱った患者さんと交流すれば、患者さんにも前向きな気持ちが芽生えて、その翌日精神科を受診することも可能になります。

 万が一、自殺の懸念がある場合や他人に著しい攻撃的な言動がある場合には、在宅生活の継続と在宅治療の導入は難しいので、必要に応じて一時的に入院治療を勧めます。
家族と主治医は、できるだけ、患者さんに入院治療が必要であることを理解してもらえるように働きかけます。

 緊急性がある場合には、都道府県の精神科救急医療システムを利用します。
そして、精神科救急情報センターや警察の協力を得て強制入院になります。
この場合でも、できる限り、患者さんに入院の必要性を理解してもらえるほうが、入院のトラウマが小さくなり、病状の回復が良くなります。

■精神科への相談を考える「5つの兆候」
 それでは、どういう症状が現れたら精神科医に相談するといいのでしょうか。
基準とされているのは5つです。
2週間以上前から、次の症状がある場合は要注意です。

 @多弁になったり、悲観したり、人と接するのが苦痛になるなど、心に何らかの異変が生じている
 Aイライラしたり、多量飲酒や過度の買い物をしたり、ふさぎ込んだりなど、行動に何らかの異変が生じている
 B眠れなかったり、おなかの調子が悪かったり、体がだるかったり、頭痛が続いたりなど、睡眠障害や食欲障害などがある
 C強い不安に怯えることがあったり、異様に強気になることがあったりなど、異常に情緒が不安定である
 D会社や学校に行けなくなったり、仕事がまったく手に付かなくなったりなど、日常生活、家庭生活、社会生活に支障をきたしている

 患者さん本人ではなく、身近にいる家族や友人に気づいてもらいたいのが、次の6つです。
患者さんが送られているシグナルと言ってもいいでしょう。

 @怒りやすくなっている、イライラしている
 A気がふさいで、会社や学校に行きたがらなくなっている
 B家族との会話がなく、部屋に閉じこもる
 C家族にあたってくる。家族にクレームが増える
 D多弁になったり、大騒ぎしたりなどの異常な行動が目につく
 E大量にお酒を飲んだり、異常な買い物をしたりなど、何か依存することがある

 うつ病かどうかを見極めるのも簡単ではありません。
というのは、患者さんに現れる症状は、うつ病の診断基準にある症状の一部であることも多いからです。

 ですから、患者さんや家族が、1つでも2つでも心の病の症状に気づいたり、おかしいなと思ったりしたら、クリニックを受診してほしいと思います。
そのためにも、心の病の症状や特徴を知ることはとても大切なことです。
とくに患者さんの家族は知っておくべきことだと思います。

■何よりも、気になったらまずは相談すること
 患者さんから送られているシグナルを心の病の症状として受け入れることができれば、治療にも前向きになれます。
比率まではわかりませんが、家族と一緒に受診する人はかなりいます。

 昔は、「お子さんは統合失調症ですから治療が必要です」と言うと、怒り出して診察室を出ていく親もいました。

 心の病に差別意識があった時代は、家系に心の病を患っている人がいると困るということで、精神科病院に預けっぱなしの親もいました。
 しかし、いまは心の病を専門とするクリニックはどこにでもある時代です。
 気になったら相談する。
家族は、患者さんをクリニックに連れてきた段階で成功だと思ってください。

 もし、患者さんが受診することに抵抗がある場合は、まず家族だけで相談に行くのもいいでしょう。

 一番大事なのは、あなたの悩みや相談に親身になってくれる医師を探すことです。

■「肯定的なマインド」を育んでくれる医師を探す
 ただし、一部の医師や精神療法家のなかには、自分たちが信じる療法を「絶対的に正しいもの」という前提で、患者さんの置かれている状況や、患者さんのたどってきた生き方を考慮せずに、マニュアル的に診療を進めてしまうケースもあり得ます。

 また、簡単な問診と薬を処方して、あとは経過観察だけという医師もいます。

 もしも、医師と話してみて、その医師が自分の悩みと向き合い、受け入れてくれないと感じたのならば、その場合は別の医師にかかることを検討してみてもよいかもしれません。

 患者さんの心に、肯定的なマインドを育める医師と向き合うのが、心の病を治す一番の近道です。
とはいえ過度な心配はいりません。
日本の精神科医の大部分は患者さんと真摯に向き合っています。

 世の中には、心の病を治すことを専門とする人たちがたくさんいます。治す方法もいろいろあります。

 しかし、大切なのは、どこまで患者さんに寄り添える治療者かどうかです。
そうした精神科医なら、きっと患者さんを心の病から救うことができるはずです。

広岡 清伸 :精神科医
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年07月07日

「うつ病の人がとる行動」の特徴をご存知ですか? 家族・周囲が気をつけるべきポイントを解説

「うつ病の人がとる行動」の特徴をご存知ですか? 家族・周囲が気をつけるべきポイントを解説
7/5(金) Medical DOC

「気分が落ち込む」「やる気がなくなる」といったような症状が起こる「うつ病」。
うつ病は患者自身が気づくことは少なく、受診や治療が遅れる原因になることも。
つまり、うつ病の早期発見には周囲の人が気づくことも重要なのだそうです。
そこで今回は、うつ病患者によく見られる行動や特徴、顔つきについて、公認心理師の鍋田さんに解説していただきました。

[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]

編集部:
うつ病の人がとる日常生活における行動、特徴について教えてください。

鍋田さん:
日常生活上では、下記の6つの行動がよく見られます。

・身だしなみが整わなくなる

うつ病を抱える方は気力や考える力の低下などにより、身だしなみを整えることへの関心が薄れ、日常生活の自己管理が難しくなる。お風呂に入れなくなることもある

・口数が減る

うつ病は活動エネルギーが低下している状態のため、コミュニケーションをとることが難しくなり、口数が減る


・今まで楽しめていたことが楽しめなくなる

趣味を楽しめなくなる、テレビを見なくなる、新聞や本を読まなくなるなど、これまで好きだった活動をおこなわなくなる
・出かけなくなる、人との交流を避ける

外出することや他者と交流することが億劫になり、家にこもりがちになる。社会的な繋がりが減少し孤立感が増す、楽しみが減ることなどで症状が悪化することもある

・眠れなくなる、規則正しい生活ができなくなる

寝付きが悪くなる入眠障害、夜中に起きる中途覚醒、早い時間に目が覚めてしまう早朝覚醒などの睡眠障害が出現する。
その結果昼夜逆転してしまうこともある。
うつ病になると不眠症状が出る可能性があり、不眠症状がうつ病を引き起こすきっかけとなることもある

・食欲がなくなる、過食になる

食欲が全くなくなることもあれば、逆に過食となってしまうこともある。
これにより、体重の大幅な増減が見られる。食欲の減少と繋がる特徴として、食べ物が美味しく感じなくなることもある

編集部:

なるほど。うつ病の人がとる仕事での行動、特徴についても教えて下さい。

鍋田さん:

仕事上では、主に4つの特徴が見られます。

・仕事のミスが増える

集中力が低下し、物事に対する注意が散漫になるため、仕事中にミスが増える。普段は簡単にできるタスクでも、うつ病の影響で思考が鈍くなり、ミスが目立つようになる

・遅刻や欠勤が増える

活動エネルギーの低下、先程お話した睡眠リズムが崩れることなどの影響により、朝起きること自体が困難になることがある

・仕事を手順良くできなくなる、能率が落ちる

うつ病に陥ると、物事を計画的に進めることが難しくなる。
仕事の手順を覚えることや、それに従って行動することが困難になるため、全体的な効率が低下する

・仕事に行きたくなくなる

職場環境への不安や自分の能力への自信の喪失など、うつ病に伴う様々な心理的要因が仕事に対する意欲を低下させる。
その結果、仕事へ行くこと自体を億劫に感じさせ、朝の出勤時に強い抵抗感を覚えるようになる
編集部:

その他、うつ病患者の特徴はありますか?

鍋田さん:

うつ病は気分や意欲の症状に思われがちですが、身体症状もあります。
先程の行動の部分でお話したことと重なる部分もありますが、息苦しさや動悸、全身の倦怠感、性欲の減退、生理不順、関節痛、胃のむかつきや吐き気、肩こり、頭痛、めまいなどが出ることもあります。

うつ病になると顔つきも変わる? 表情の特徴を解説

編集部:

先ほどはうつ病の人の行動の特徴を教えてもらいました。うつ病になると顔つきが変わると聞いたことがありますが、本当でしょうか?

鍋田さん:

はい。うつ病になり、表情や顔つきが変わる方もいます。
以前に比べて暗い表情、悲しい表情、無表情、作り笑いをして無理に笑う、になることがあります。
これらの表情が増えてきた場合はうつ病の可能性もありますし、そうでなくてもストレスが高まっている可能性がありますね。

編集部:

なるほど。行動、顔つきと聞いてきましたが、考え方や気持ちの部分の特徴についても教えて下さい。

鍋田さん:

うつ病になりやすい人は、「完璧主義」「真面目」「自責が強い」「頼み事を断れない」「〜すべきと考える傾向が強い」などといった特徴があります。
また、うつ病の思考の3パターンとして、「自分」「周囲」「将来」に対してマイナス思考になりがちということがあります。

編集部:

うつ病は心の病気と思っていましたが、体の症状含めていろいろな部分に影響があるのですね。

鍋田さん:

そうですね。うつ病=気分の落ち込みと考えられがちですが、実際には身体症状、行動、思考など様々な部分に影響が出る病気です。単なる落ち込みではないので、きちんと治療を受けることが大切になります。

「うつ病かも……」と思ったらどうすればいい? 家族や周囲は何をすればいいのか

編集部:

もし「うつ病かも……」と思ったらどうすればよいですか?

鍋田さん:

うつ病は「心の病気」であると同時に「脳の病気」です。
個人の努力だけで何とかなるものではなく、治療が遅れると影響も長引く可能性が高くなるので、うつ病か心配になった場合は早めに病院を受診した方がいいですね。
会社や学校に相談室がある場合は、まずそちらに相談するのもいいでしょう。

編集部:

身近にうつ病の方がいた場合、家族や周囲の方は何をしてあげたらいいですか?
うつ病の方にしてはいけないことも併せて教えてください。

鍋田さん:

まず、うつ病の方は意欲や思考力が低下しているため頑張れない状態、既に頑張っている状態と理解してください。
そのため、相手がしんどい気持ちやつらい気持ちを出した時は否定せずに相手の話を共感して聞いてあげてください。
ただ、信頼関係ができている場合、治る段階にあるのに症状が慢性化している人に対しては、一緒に頑張ろうというニュアンスの言葉や少し背中を押してあげる言葉が有効に働く場合もあります。
しかし、基本的には頑張ってという言葉は安易に使わない方がいいと思います。

編集部:

うつ病の治療について簡単に教えてください。

鍋田さん:

「休養」「薬物療法」「精神療法」「環境調整」が基本となります。
うつ病は心理的な要因、生物学的な要因、社会的な要因など様々なことが重なり発症すると言われているため、治療においても3方面から考えていく必要があります。
また、認知行動療法やマインドフルネス、rTMSなども効果があると言われています。
診断、治療は医師を中心に進めていきますので、詳細は病院を受診して医師に確認してもらえたらと思います。
どんな病気でもそうですが、治療が遅れると症状が長引く可能性が高くなるので、早期発見・早期治療がうつ病においても大切になります。

編集部:

認知行動療法について簡単に教えてください。

鍋田さん:

認知行動療法はうつ病や不安症、強迫症などの治療効果、再発予防効果があると言われています。
認知行動療法では、あるできごとがあった際の、「考え(認知)」「気持ち(感情)」「身体反応」「行動」という4つの側面に着目します。
これらは互いに影響し合っています。この中で身体反応と気持ちは自分でコントロールすることは難しいですが、考えと行動は自分でコントロールしやすい部分になっています。そのため、考え(認知)と行動にアプローチし、考えや行動の幅を広げ、結果的に気持ちや身体を楽にしていこうというのが認知行動療法になります。
自分の考えや行動の癖を知り、考えや行動の幅を広げていくイメージですね。

編集部:

生活習慣など日常生活に取り入れられそうなことでうつ病の予防、治療の助けになることについて教えてください。

鍋田さん:

一般的に健康にいいとされている生活習慣はうつ病に対してもいいと思います。
例えば、運動、栄養バランスのとれた食事、睡眠時間の確保などですね。
また、日光を浴びることはうつ病に対して効果を発揮します。
朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びることはお勧めです。
一点気をつけてほしいのは、うつ病の方は「〜すべき」「〜しなければならない」と考えがちです。義務感とならないように取り組んでもらえたらと思います。

編集部:

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

鍋田さん:

うつ病は心の風邪と言われることがありますが、風邪と比べると症状は比較にならないほど辛く、影響も極めて大きいです。
また、うつ病は生涯で15人に1人が経験するというデータもあり、誰でも発症する可能性があります。
しかし、早期発見・早期治療をすると短期間で治る可能性も上がります。
また、日々の生活習慣やストレス対処を見直すことで発症リスクを下げることもできます。
自分自身のうつ病を予防するためにも、うつ病かもしれない人と接した時に適切な対応をするためにも、正しい知識を身につけておけるといいですね。

編集部まとめ

うつ病の人がとる行動や特徴や顔つき、うつ病かもと思った時の対応方法などについて教えていただきました。
うつ病は誰でもなる可能性がある病気で心の風邪と言われていますが、実際は風邪と比較にならないほど影響が強いとのことでした。
ただ、早期発見・早期治療をすることで治療効果も高くなること、うつ病の予防にいい行動についても教えてもらえました。
うつ病についての正しい知識を身につけていき、心配な場合は病院を受診、周りに心うつ病かなと思う方がいたら受診を促してあげられるといいかもしれませんね。
本稿が、読書の皆様にとって「うつ病」について知るきっかけとなりましたら幸いです。

監修公認心理師:

鍋田 悠郎 さん(公認心理師)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月22日

あなたのメンタル、もう限界かも?「心が壊れる5つの前兆」とは

あなたのメンタル、もう限界かも?
「心が壊れる5つの前兆」とは
2024年9月22日 MELOS

心が壊れるほど限界な精神状態になる前には、前兆のようなものが起きることが多いようです。
当てはまることがないかチェックしましょう。
大阪カウンセリングセンターBellflowerの町田奈穂さんが解説していきます。

前兆1.何に対しても、意欲や活気が湧かない

・今まで楽しんでいた趣味に興味がなくなる
・週の中盤〜後半になっても、仕事へのやる気が全くでない

これらは、心が壊れる前兆として特に気になるサインです。
「これまで休日は映画を楽しんでいたけれど、寝て過ごすことが多くなった」なども心が壊れる前兆である可能性が高いです。

前兆2.食欲がない、あるいは、暴飲暴食をしてしまう

長期間食べることができないも、食べすぎてしまうのもよくありません。

食欲とメンタルは、非常に複雑で複数の要素が絡み合っています。
例えば、セロトニンやドーパミンなどの脳内の神経伝達物質は、食欲と精神面に密接に関連しているため、「ショックなことがあり食欲が湧かない」「ストレスで暴食してしまう」といったことが起こると言われています。

幸せホルモン「セロトニン」とは。増やす方法を探る!

前兆3.人に会うのが億劫になる

精神的に限界になると、人とのコミュニケーションを避ける傾向があります。

これには様々な要因が考えられますが、「自分のことでいっぱいだから、人と話す気力や体力がない」「人と話すとストレスが溜まると思い、無意識のうちに人と会うのを避ける」などのパターンが考えられます。

前兆4.眠れない

・布団に入ってもなかなか寝付けない
・そもそも眠くならない
・夜中に何度も目が覚める
・早朝に目が覚める

過度なストレスは、不安や興奮を引き起こすことがあるため、このような睡眠の乱れが起こることがあります。
中途覚醒とは。夜中に目が覚めたときのNG行動[薬剤師監修]

前兆5.些細なことにイライラする

以前は気にならなかったことが気になるようになっている状態が理由もなく続いているのなら、心が壊れる前兆かもしれません。

また、芸能人のスキャンダルなどに対して強い怒りや悲しみを感じるなど、自分に関係ないことなのに無性に腹が立ってしまうのも危険なサインのひとつです。
posted by 小だぬき at 15:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする