2012年10月24日

発信箱:地に立つ視点

発信箱:地に立つ視点=滝野隆浩(社会部)
毎日新聞 2012年10月24日 01時20分

海上自衛隊の航空基地に近いせいか、自宅の上をよく哨戒機が飛ぶ。
毎日ではないが、下腹に響く騒音を感じる。米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが配備された沖縄のことを思う。
沖縄ではこの何倍も、深刻なのだと想像する。


 沖縄配備直前、他紙のベテラン記者2人による「オスプレイ搭乗記」が掲載され、興味深く読んだ。
最も事故が起きやすいとされる「ヘリ/固定翼」の転換モードについて、1人は「気づかないほどスムーズ」と書き、もう1人は「ガタガタと機体は揺れ」とした。
同じ防衛省主催の体験搭乗なのに正反対の感想。
取材する者の考え方によって、こうも感じ方が違うのかと考えさせられた。


 沖縄の米軍基地問題の本質は「視点」の問題だと思う。
安全保障の観点で空から必要性を説くのか、あるいは住民感情に心を寄せて空を見上げながら考えるか。
両方大事だろうが、いまは当然、より住民に近いところで考えるべきだ
配備に当たっては日米両政府が細かな運用ルールを決めた。
それが守られていないと、見上げる沖縄県が指摘している。
どうしてその感覚を共有できないのか


 米軍の「上から目線」が許せない。
見下しているから県の指摘は受け流し、こんな情勢の中でも米兵による強姦(ごうかん)事件が起きるのだ。
沖縄の感情を甘く見ている。
さらにこうした米軍のふるまいに強く出られない日本政府の姿勢はもっと許せない。自衛隊が同様のことをしたら、まず間違いなく新型機の配備も訓練も中止になる。

日米同盟が肝要だと本当に考えているのなら、日本の当局者は地に立て。
住民とともに怒れ。遠慮すべきでない。その先にしか、真の同盟関係はありえない

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2012年10月25日

記者の目:労組と若者=山下智恵(北海道報道部)

記者の目:労組と若者=山下智恵(北海道報道部)
毎日新聞 2012年10月25日 00時12分

◇働き方は自ら変えられる

 サービス残業、ワーキングプア、過労死・過労自殺、非正規雇用−−。
労働者を取りまく環境は悪化の一途をたどる。

札幌市東区の消防車などの特殊車両を製造・整備する会社の従業員が、先月21日、初の24時間ストライキを決行した。
20〜40代の男性24人で平均年齢29歳。
4カ月前に労働組合を結成したばかりだった。
25歳の私と同年代の若者が「おれたちは奴隷じゃない」と未払い賃金の支払いなどを求め立ち上がった姿をみて、働き方に悩みや疑問を抱えた時、自らの手で守るすべがあることを、働く若者はもっと知るべきだと痛感した。


 厚生労働省や総務省の統計によると、北海道は、非正規雇用者が雇用者に占める割合が10年で37.4%(全国平均34.3%)と高く、11年の固定給与額は27万9000円(同32万3000円)で47都道府県中31位。
全国平均以下の厳しい労働環境にある。


 労組メンバーによると、この特殊車両製造・整備会社では、残業代は定額しか出ない。
ある20代前半の組合員は月200時間近い残業をこなしても残業代は6万円ほど。手取り給与は約20万円で、時給換算すると道の最低賃金(時給719円)ぎりぎりの金額だ。繁忙期には35時間連続勤務もあったという。

 ◇地域労組が支援 有給取得も増加

 労組結成のきっかけは若手社員の行動だった。
今年3月、インターネットで残業代の仕組みを調べているうちに、中小企業の労働者を支援する札幌地域労組を知り、駆け込んだ。
同労組のアドバイスを受けながら、労働3法や労使交渉のルールを学び、5月に同労組の支部を結成。

団体交渉で会社側が管理してきた2年分のタイムカード開示に成功した。
有給休暇の取得率は約10%から約50%に伸びた。
残業代も会社側が一部未払いを認めた。
労組支部長の橋本良太さん(33)は「苦しんでいる20〜30代はたくさんいるはず。若い世代に権利の守り方を示すためにも頑張りたい」と語る。


 社内に労組がなくても組合に加盟する若者がいる。
札幌ローカルユニオン「結」は業種、雇用形態に関係なく、誰でも加盟できる。
札幌市内の女性(32)は不動産会社に勤めていた際、持病が悪化し有給休暇を取ったところ解雇された。

結に加盟し、解雇を取り消す仮処分を申請し認められた。現在は給料をもらいながら解雇無効を求める裁判の準備を進める。
05年に20人で始まった結のメンバーは現在、約500人に増えた。

厚労省の11年度の統計によると、精神障害での労災申請は1272人(03年比2.8倍)で3年連続、過去最高を記録した。
過労自殺の申請は202人(同1.7倍)、脳や心臓疾患の申請が898人(同1.2倍)と、こちらも急増している。
連合などは07年以降、中小零細企業や非正規雇用の支援を最優先する方針を決め、33年連続で減少していた組合の組織率は09年に上昇に転じ、10年も同率だ。


 一方、正社員の権利を守るため、「派遣切り」など、非正規雇用の問題に口を閉ざす労組がある。
労働問題に詳しい北海学園大(札幌市)の川村雅則准教授(労働経済)は「非正規雇用を受け入れる労組でも、会社側の立場に立って、不満を抑え込むための組織となる可能性がある。大切なのは労働者本人が権利を主張できると認識していること」と指摘する。


 厚労省は09年に「今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会報告書」をまとめた。
「労働者にとって、労働関係法制度の基礎的な知識を学ぶことは、自らの身を守るために最低限確保しておくべき手段」とし、学校などで労働者の権利の教育を徹底する重要さを説いている。
だが、実現は容易ではない。
 
NPO法人「職場の権利教育ネットワーク」は07年から、高校のキャリア教育や進路指導の一環として、道などと協力して弁護士や社会保険労務士などを学校に派遣する「出前授業」をしているが、代表の道幸哲也(どうこう・てつなり)・北海道大名誉教授(労働法)は「高校生は就職活動に興味はあるが、労働ルールには無関心」と語る。

◇事態の悪化招く労働者側の沈黙


 労働者が異議を唱えなければ、会社側の不当な行為を許しかねない。
サービス残業や過労死などの増加は労働者側が声を上げてこなかったことも一つの要因だ。
特殊車両製造・整備会社の労組員は争う理由を「これから生まれる子どものために」「家庭を築いた時のために」と話した。

 将来を担う若者が長時間労働、低賃金に苦しむ日々が続けば、日本社会全体の将来設計ができなくなる日が来る。声を上げることをためらう必要はない。
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2012年10月26日

坂村健の目:ネット犯罪の本質

坂村健の目:ネット犯罪の本質
毎日新聞 2012年10月23日 東京朝刊

 ネットを普通に使っていただけのごく一般的な人たちが被害にあったパソコン(PC)遠隔操作事件への社会の関心は高い。

しかし、この事件を「ネット時代の新犯罪」として恐れるなら本質を見誤るだろう。
今回の一つの手口は「トロイの木馬」と言われるものだ。
便利と思い無料ソフトをPCに入れたら勝手に脅迫文を送り出した。
ネットでは、情報の発信元を特定するIP番号が記録されるので、PCが特定され所有者が逮捕された。
しかし現実世界でも、家に招き入れた人に勝手にメールを打たれたら同じことが起こる。 

横浜市のホームページへの襲撃予告書き込みでは、「クロスサイト・リクエスト・フォージェリ」という、これもよく知られた手口が使われた。
たとえるなら郵便ポストの管理がルーズで、届いた封筒の中身を脅迫文に取り換えられたような話だ。
このようにネット絡みといっても、本質は魔法でも何でもなく現実世界の詐欺のトリックと似たようなものだ。
被害はネットの絡まない現実世界の詐欺の方がはるかに大きい。
映画「それでもボクはやってない」に出てくる現実世界の痴漢冤罪(えんざい)被害の方が、真犯人は名乗りでてくれないのでより深刻だ。

 ネット犯罪の特徴は手口や被害でなく、今回のように技術をもった人間にとって、実行もその後の勝ち名乗りもローリスクで行えるという点にある。
一方、ローリスクの後ろに隠れているネット犯罪者にとって、愉快犯的な他人のPCのデータ破壊や個人情報の抜き取りまでは、容易に行えても、物理的「実害」を及ぼすのは意外と難しかった。
ネット操作だけで人をエレベーター閉じ込めることは簡単にはできない


しかし「閉じ込め」攻撃が、皮肉なことに警察の力を借りて可能になってしまった。
ネットで予告後に凶行に及んだ何件かの殺害事件により、それまでは無視していたような脅迫文にまで、それがネット絡みだと特に過剰反応するという風潮が確立したからだ。

最近のネット犯罪は人をだますことで発動するようになってきている。
「トロイの木馬」も
「クロス〜」もまずユーザーをだまして(便利なソフトやサービスサイトに見せかけて)、ユーザーに「うかつな」操作をさせる。
その後の被害も警察の人をだますことにより実現した。
システムの最も弱いパーツは依然人間というわけだ。 

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2012年10月27日

「平均値に明日はない」=近藤勝重

しあわせのトンボ:「平均値に明日はない」=近藤勝重
毎日新聞 2012年10月26日 14時01分

 大阪社会部時代、夕刊を面白くしようと「Moreニュース」というタイトルの企画を同僚数人と始めた。 
 読者の「もっと知りたい」という欲求にかなう記事を、という狙いで「More」には「もっと」という意味の他に、「モレ」てる話の意味も込めていた。


この体験は、その後の「サンデー毎日」での仕事に多少生かせたが、週刊誌はその程度のニュース感覚でどうにかなるものではなかった。
「それ、それが知りたかったんだ」という特集を、と思ってはいても、お金を払って買ってくれる読者の欲求が正確につかめているかどうかは、別問題であった。


 今はぼく自身、電車の中づり広告を見て、読みたいなと思うと、売店で買ったりする。
つまりは一人のお客である。
しかし編集部にいる限り、そういう具合に反応するお客には成り難い。
この違いは大きく、今週はこれだろうと派手に打っても空振りだったり、逆に自信がないのに売れたりもした。


 週刊誌の後、夕刊編集部で再び新聞の仕事をすることになったが、読まれる夕刊とは?とここでも思案を余儀なくされた。
それやこれやの体験を通して思うのは、メディアで働く者としてどこに多くのお客さんがいるか、本当にわかっていたのだろうか、ということである。


 正直言ってぼくは、お客の中心に平均的な日本人を漠然とイメージしていた。
週刊誌の時は当時の日本人の平均年齢も意識して、40代がターゲットかな、と考えていた。
しかし平均年齢といっても、その年齢の人が多いわけではないし、40代は仕事に追われ週刊誌どころではなかったかもしれなかった。


 「平均値に明日はない」とは、ビジネスの世界で耳にする言葉である。
世の新しい流れは売上数量の単なる平均値からは読み取れない。
それより極端な値、言ってみれば異常値が出ているところに注意して時代を読み取るべしという意味が言外にある。
平均的日本人がお客の中心と思っていたぼくなどには、今さらながらなるほどと思える言葉である。


 経済の専門家であったか、30年たったら仕事の内容はほとんど変わっていると予想していた。
そうだとすると、変化の兆しを告げる異常値のアラームは今後ますます鳴り渡ることだろうが、それはそれとして、そういう世にブレーキがかかり、異常値も時たまの世を待望している自分もいる。
「3・11」以降、その気分が強い。
           (専門編集委員)


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2012年10月28日

近事片々:うらやましい

近事片々:うらやましい
毎日新聞 2012年10月27日 13時20分

 何かにつけ「これに引き換えアメリカ、では」と日本と比べ、嘆息まじりでかの国を理想のように言い募る“出羽守(でわのかみ)”ではないけれど、大統領選の熱い論戦だけはうらやましい。
        ◇    ◇
かの共和党にこの人あり、パウエル元国務長官が敵方オバマ大統領の支持を表明。
 いわく「自分は穏健派だが、それはすでに絶滅品種になってしまった」と自党の硬化傾向を憂い、直言する。
    ◇    ◇
 穏健で成熟した熱い議論、ぎりぎりの一致点を見いだす妥協と着実な前進。われらが日本、では、とうに絶滅品種か。
    ◇    ◇

 <手で顔を撫(な)づれば鼻の冷たさよ>
                                高浜虚子

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2012年10月29日

社説:自民が補選勝利 「勢い」と勘違いするな

社説:自民が補選勝利 「勢い」と勘違いするな
毎日新聞 2012年10月29日 02時31分

 次期衆院選の前哨戦として注目された衆院鹿児島3区補選は、自民党前職の宮路和明氏(公明党推薦)が国民新党の新人(民主党推薦)らを破って当選した。
自民党はこの勝利により、29日から始まる臨時国会で早期の衆院解散・総選挙を一段と強く求めていくと思われる。

だが、見逃してはならないのは、当初は宮路氏の圧勝と見られていたにもかかわらず、予想以上の接戦だったことだ

各種世論調査を見ても自民党が全国的に復調傾向にあるのは確かだが、それをもってして自民党への信頼が完全に回復したとはいえない。
むしろ、民主党への失望感が日々、増幅しているという「敵失」による勝利といった方がいいのではないか。自民党はそれを勘違いしてはならない


 「勘違い」の最たるものが、臨時国会冒頭で自民党など野党が何とも奇怪な対応をしようとしていることだ。

野田佳彦首相の所信表明演説は与党が多数を占める衆院では29日に行う日程が決まったが、野党多数の参院では演説を拒否するというのである。

先の通常国会終盤で、参院は首相に対する問責決議を可決したからというのがその理由だ。
首相演説に対する本会議での代表質問もしないという。
過去例のない異常な事態である。
ただし、審議の全面拒否は国民からの批判が大きいことは自民党も分かっているのだろう。その後の予算委員会質疑には応じるというのだから、ますます分かりにくい。


首相演説と代表質問拒否の法的根拠のない問責決議を乱用すべきではないと私たちはかねて主張してきた。
 前例ができれば参院不要論にもつながると、なぜ考えないのか。
野党は直ちに方針を撤回すべきだ。


 今回の補選は野田政権発足後、初であり、自民党総裁に安倍晋三元首相が返り咲いてから初めての国政選挙だった。
石原慎太郎東京都知事が新党結成を表明し、第三極の結集を呼びかけ始めた直後の投票ともなった。
ここで自民党が過信して不毛な強硬路線に走るようでは、今後、民主でも自民でもない第三極に再び有権者の期待が高まる可能性がある。


 今年度の赤字国債発行に必要な特例公債法案がいまだに成立していない影響が地方自治体では既に出始めている。
ところが自民、公明両党は年内解散を確約しないと成立させないとの立場を崩していない。この姿勢にも批判が強まろう。


 一方、民主党の「解散恐怖症」は収まる気配がない。しかし、もう腹をくくる時期だと改めて指摘しておく。
衆院小選挙区の1票の格差是正のための立法措置など、これ以上の先送りは許されない。

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2012年10月31日

「家族」憎む一方で執着 

香山リカのココロの万華鏡:「家族」憎む一方で執着 
毎日新聞 2012年10月30日 東京地方版

 兵庫県尼崎市で起きた連続遺体遺棄・行方不明事件。
3人の遺体が確認されているが、ほかにも多数、行方不明者や変死者がいるといわれ、前代未聞の大量殺人事件に発展する可能性もある。


 複数の家族とつながりがあり、ドラム缶詰め遺体事件で起訴された64歳の女性に人々の関心が集まっている。
それは、この犯罪が残虐さもさることながら、常に「家族」をめぐって起きているからではないだろうか。
これまでの調べやまわりの人たちの証言で、女性は目をつけた家庭に近づき、わずかな期間で家族のあいだに亀裂を生じさせ、関係が崩壊するよう仕向けていたことがわかっている。


 中には、家族どうしで暴行を加えさせたり、殺害にまで関与させたりしたケースもあるといわれる。
標的になったのは、いずれも「平凡で幸せな家族」。
女性は、そんな家族の姿に敵意でも抱いていたのだろうか。


 一方、こんな証言もある。
女性は夫、長男など自分の家族を異常なまでに大切にし、幼い孫娘にもブランドものを買い与えたという。
さらに取り巻きのような若者たちまで引き連れ商店街で買い物をしたり、スナックで飲み明かしたりするなど、とにかくいつも親しい人たちに囲まれていることを好んだ。


 “仲良し家族”を残虐な攻撃の対象としながら、自分は過剰なまでに“仲良し家族”を演じようとしたのかもしれない。
いずれにしても女性は、「家族」というものにこだわり、時にはそれを憎み、時にはそれを強く求めていたのではないか。


 もちろん、これは考えすぎで、女性は単に金銭への欲にかられ、犯行を重ねていただけかもしれない。
ただ診察室には、「家族が憎い、でも家族から離れられない」と家族に対しての矛盾した思いに苦しむ人たちが大勢やって来ることはたしかだ。


 本当に家族が嫌いなのであれば、さっさと見切りをつけて自分の人生を歩み出せばよいようなものだが、この人たちは「家族は愛し合うべき」と心のどこかで固く信じている。
だからこそ自分の家族につい期待をしたり、それが裏切られては怒りがつのり、最終的にはつい暴力的な行動に出てしまったりするのだ。


 今回の事件の女性が、なぜ「家族」ばかりを標的とし、同時に自分の家族に対してなぜ執着を持つようになったのか。
はたしてこれからの取り調べや裁判で、それが明らかになるのだろうか。

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2012年11月01日

フザケるな!石原 都知事時代は勤務平均59分 時給13万円

フザケるな!石原 
都知事時代は勤務平均59分 時給13万円
2012年10月30日 日刊ゲンダイ掲載

 29日、石原慎太郎(80)の辞職に伴う都知事選の日程が決まった。
告示は11月29日、投開票は12月16日。前回選挙から、たった1年8カ月で、老害知事の突然の「都政ブン投げ」のため、知事選に再び支出される税金は約50億円にも上る。
全くフザケた話だが、石原の税金ムダ遣いはこれだけじゃない。そもそも、高額報酬に見合うほど働いていないのだ。

 石原の08年11月〜09年10月の「知事日程表」を見ると、驚きの勤務の実態が浮かび上がる。
石原が都庁に姿を見せるのは1週間のうち、「2〜3日」だけ。
1日の平均執務時間を計算したところ、たったの「59分」だった。
これらは、都政問題に詳しいジャーナリストの田中稔、野田峯雄の両氏が2年前に分析した結果で、石原が登庁していたのは月に多くて15日程度。
つまり、1カ月の平均執務時間は約15時間しかない。

「知事報酬は、ボーナスも含めて年間約2400万円だから、月給約200万円にならすと、時給換算は13万円余りになります」(都政担当記者)

<国を憂う前に都民に税金返せ>

「老害知事」の時給が13万円余りとは開いた口がふさがらない。
辞職会見で、石原は「東京のために国政でいいことをやらなくちゃいけない」とエラソーに言っていたが、この男がブチ上げた政策が都民のためになったためしはない

1400億円を投じた新銀行東京や、4000億円をつぎ込んでも進展ゼロの築地市場移転、失敗した16年の五輪招致にも100億円を使ったりと、結局は巨額の都民のカネをドブに捨ててきたようなものだ。

「貧困都政」の著者で、元毎日新聞記者の永尾俊彦氏はこう言う。
「都知事という立場は、首相と違って番記者が付くわけではないため、国民の監視の目が届きにくい。
そのため、都民、国民は石原氏の実態をなかなか知りません。
石原氏は国政で思うようなことができなかったコンプレックスを都政で癒やしていただけです

 石原が99年の知事就任来、13年半で手にした血税はざっと5億円。
都政放り出しの4期目も「およそ約1700万円の退職金が支払われる」(都人事部)
というから、都民も甘く見られたものだ。
本気で「東京のため」と思うなら、自らの報酬を含めて、今まで使った税金を耳をそろえて返すべきだ。
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2012年11月02日

税金に殺されてたまるか 音の消えた町工場

税金に殺されてたまるか 音の消えた町工場 やるせなさビートルズに重ね
2012年11月2日 07時02分   東京新聞

 欧州や中国など海外経済の変調はデフレに苦しむ日本経済の立ち直りをさらに遠くしようとしている。
消費税増税、復興予算の流用問題…。
やるせなさは1960年代に英国政府への憤りと皮肉を歌ったザ・ビートルズの『タックスマン』に時を超えて同調する。そんな現場の怒りや苦痛に耳を澄ませて書きとめた、名もなきケイザイの唄を。 
(石川智規)


 そこに音はなかった。
十月下旬、ある水曜日の昼下がり。工場の扉は開け放たれていた。
機械油で黒ずんだスチール机の前に、部品加工業を営む社長(46)はいた。
うつろな目でぎこちない笑顔をつくる。
「連絡できずすみません。九月から急に仕事がなくなって…」


 東京・多摩地区に、その工場はある。
取材の約束はなかったが、私は構わずJR中央線に乗った。
頻繁に連絡をくれる社長の、音信不通が気になった。


 帳簿は斜線だらけだった。
取引先から発注があれば数字を書く。ゼロならば、線。
九月以降、取引先二十五社の半分から連絡がないという。
「リーマン・ショックの時よりひどい。最近、株価が上がる訳がわからない」


 顧客からの連絡を待つ日々。
電話が鳴った。
受話器から冷たい声が響いた。「法人税を滞納しています」


 設備投資で借金を増やした時以外、納税を怠ったつもりはない。

 この税務署員は何を言っているのだ?


 聞くと、今まで経費として控除が認められた社長自らへの未払い給与が、課税対象になったという。
売り上げが乏しく、自分の報酬は後回しにしていた。

 「滞納額三百万円を払ってください」


♪仕組みをお教えしましょう 私は税金取り そう 税金取りなんです


 社長の話を聞きながら、「タックスマン」の一節が頭に流れた。

 一九六六年、ジョージ・ハリスンが作詞した。
当時の英国労働党政権は富裕層に95%の税を課していた。
そんな政府を、税金を、皮肉った曲といわれる。

 「仮に」。社長は怒鳴ったそうだ。「税金を払ったとしても、復興予算みたいな変な使い方しかしないじゃないか!」


 電話口の向こうで、税務署員は淡々と話したという。
「それは私の担当じゃありません。各省庁です」

 その後も何度か電話があった。
書類を持って説明しに来てほしいと求めても、応じなかった。
「彼らはきっと形に残る証拠を残したくないんでしょう」


 ここにきて、景気が急速に減速し始めた。
九月の鉱工業生産指数は前月比4・1%減。
日銀の白川方明総裁は「海外経済の減速が強まっている。
日本の内需にも影響してくる」と述べ、追加金融緩和策と新たな融資制度の導入を決めた。
政府も緊急経済対策をまとめたが、デフレに陥る日本の人・モノ・サービスが回りだす気配はない。


 社長はあえいだ。「世の中を巡るのは、借金の金利と税金だけなんじゃないか…」。二〇一四年には消費税が上がる可能性がある。負担がまた、増える。

 機械の動かない工場に、社長の言葉が響いた。「税金に殺されるわけにはいかない


♪何に使うかなどとお尋ねにならないことです 税金額を増やしたくないならね そう 私は税金取り


 ビートルズは、今の日本をどう歌うだろうか。 

(東京新聞)
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2012年11月04日

近事片々:頭に入らぬ相関図

近事片々:頭にら入ぬ相関図
毎日新聞 2012年11月02日 13時04分

 家電業界の逆風、何のその。
腕に覚えの技師も技術もたっぷり。
そのスピリット、面白がりの町工場の原点に返ろう。
      ◇    ◇

 尼崎連続変死事件。
目を凝らせど頭に入らぬ相関図。
絶海の孤島ではなく、日常のにぎやかな都会の中、壁一枚隔てての不可解な異界。
   ◇    ◇

 「第三極」の相関図もとても難しい。
敵の敵は味方ならず。

   ◇    ◇
 「日本は先進国に仲間入りした途端に自国経済しか考えなくなった」。
本紙連載「日越100年の絆」でベトナムの日本語学校校長。
今しみじみ染み入る。
      ◇    ◇
<気のつかぬ隣の顔や暮の秋>太祇(たいぎ)

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2012年11月06日

「ちゃぶ台返し」という言葉

余録:ちゃぶ台を囲むだんらんが日本の代表的な家庭風景…
毎日新聞 2012年11月06日 01時23分

 ちゃぶ台を囲むだんらんが日本の代表的な家庭風景だったのは昭和10年代から40年代までの比較的短い期間だという
それ以前は家族それぞれの銘々膳(めいめいぜん)、以後はダイニングテーブルでの食事となった

▲なのに今も「ちゃぶ台返し」が若者言葉にあるのは、
一つは漫画「自虐の詩」の近年の映画化でダメ男が怒るたびにちゃぶ台をひっくり返したからだろう。
もう一つは一生懸命お膳立てした段取りを上の人の自分勝手でひっくり返されて頭にくる人が絶えないからだ

▲振り返れば民主党政権の「政治主導」を掲げたちゃぶ台返しもひどかった。
長年合意を積み重ねてきた政策を突然ひっくり返してはみたが、新たなテーブルが整えられるどころか、散らかった食事も食器も放り出したままだ。
後片付けは他人任せのちゃぶ台返しである

▲さすがに影をひそめた民主党流政治主導だが、どっこいここに来ての田中真紀子文部科学相の3大学設立不認可だ。
いずれも来春開校にむけ手続きと準備が進み、審議会のOKも出た大学だった。
だが大学が多すぎるという文科相による土壇場(どたんば)の政治主導復活である

▲なるほど大学の乱立と質の低下を憂え、設立審査制度見直しを求めるのは分かる。
ならば大臣なのだから必要な施策を段取りを踏んで実現すればいい。
何の落ち度もない学校や採用予定の教員、進学希望者たちに後片付けを強いる“開校返し”はいったい何のためか

▲「50年後、100年後の将来のため」とは文科相の言葉という。
何やら天下国家の大言壮語(たいげんそうご)はすれども、
目の前の家人の戸惑いや苦しみには無頓着(むとんちゃく)な亭主の「ちゃぶ台返しの家」が思い浮かぶ。
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2012年11月07日

強がりな人ほど心に弱さ

香山リカのココロの万華鏡:強がりな人ほど心に弱さ
毎日新聞 2012年11月06日 東京地方版

  都知事を辞任した石原慎太郎氏は、最後の登庁の日、報道陣に心境を尋ねられて「(寂しさは)全然ない。
心ウキウキ、ワクワクだ」と笑顔で語った。


 この言葉を聞いて「最近、ウキウキ、ワクワクしたのはいつだっけ」とつい考えてしまったのは、私だけではないだろう。
いまだに来春の就職先が決まらない大学4年生にきくと、「メールを開けば“残念ですが”という不採用通知だし、家族はうつ病になっちゃうし、好きなサッカーチームまで成績が悪くて、楽しいことなんてひとつもないですよ」とのことだった。


 では石原氏は、いったいどうして「ウキウキ、ワクワク」しているのだろう。
都知事の荷を下ろした解放感もあるかもしれないが、それだけではないはずだ。
日本維新の会の橋下徹代表は、結党のあいさつで「大いくさが始まる」と述べていたが、新党の発足を予定している石原氏もおそらく、“乱世”のいま、新党を率いて国政の場に打って出ることに高揚感や興奮を感じているのだろう。


 まさに戦国時代のように奮い立つリーダーたちの姿に、頼もしさを感じるべきなのだろうか。
それとも、あまりにも「一般の生活者とかけ離れている」と違和感を抱いてよいのだろうか
正直言って、私は後者だ。


 精神分析家フロイトの影響を受けたラスウェルという政治学者は、「権力と人間」という本の中で面白いことを述べている。
世の中には権力に目がない「政治的タイプ」と呼ばれる人間がいて、この人たちがしばしば政治家になるのだが、ラスウェルによるとその動機の多くは「子ども時代のイヤな思い出の克服」など個人的な動機に基づいているのだという。

ラスウェルは、このタイプの政治家について「個人的な動機を、公の目的にうまくすり替え、公共の利益の名において合理化できる人」といった説明をしている。


 すべての政治家が、「子ども時代のコンプレックスを晴らして世の中を見返すために」といった自分だけの動機で権力を目指しているとは思いたくない。
とはいえ、「強く見える人ほど、心の中に弱さを持っている」という真実は政治の世界でも生きているのか、と思うとちょっとおかしくなり、「あの政治家はどうなのだろう?」と心配になる。


 もちろん弱気なだけのリーダーばかりでは困るが、このむずかしい時代、やっぱり優しさや思いやりを忘れない人に社会を動かしてもらいたい。
そう思うのは間違いなのだろうか。

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2012年11月08日

逆説の落とし穴は意外に広い。そう心得るのが賢明だ。

天声人語
2012.11.7   朝日新聞


とある車のテレビコマーシャルを見てヒヤリとなった。
すると天野祐吉さんが、本紙連載の「CM天気図」でやんわりとそれを突いていた。派手によそ見をしながら運転し、あわやぶつかる寸前で自動的に止まる、という宣伝である

▼「飛び出すな、車は急に止まれない」なんていう交通安全標語は、これからは余計なお世話になるのかもしれない、と天野さんは言う。
その一方で心配する
「安全性が増したことで運転がお粗末になったりすることが、ないとは言えないだろう」

▼車の安全性の向上は著しい。自動ブレーキは前方の物体を感知して、時速30キロ以下ならぶつからずに止まるそうだ。
装着車は割高ながら、売れ行きはいい

▼ブレーキが間に合わないとき、自動でハンドル回避する装置も開発途上にある。
まぶたの動きなどで居眠りを検知する装置は、将来は自動で路肩に止める機能も加えるという。
他にもあれこれ、至れり尽くせりの助っ人たちだ

だが、世には「ジェボンズの逆説(パラドックス)」というのがある
省エネ技術が進むと逆に消費が増える、と述べる説だ。
平たく言えば、低カロリーのお菓子があると、気を許して食べ過ぎ、かえって目方が増えるという皮肉。
車も、せっかくの安全技術が野放図な運転を呼ぶようでは困ってしまう

▼今の時代、ケータイにせよスマホにせよ運転中の誘惑は多い。プロが飛ばす旅客機でも自動操縦装置を過信した事故はままある。
逆説の落とし穴は意外に広い。そう心得るのが賢明だ。
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2012年11月10日

在日米軍は国民に利益0 金出すのは他国で考えられぬとの指摘

在日米軍は国民に利益0 金出すのは他国で考えられぬとの指摘
2012.11.09 16:00    ※SAPIO2012年11月号

 尖閣問題など中国や韓国と領土問題がこじれて迷走しているが、それと同時に日米関係も極めて重要な問題を抱えている。
日本はいつも重大な外交問題の決定に際して、何もかも日米同盟を信じて米国に頼ってきた。
しかし、「今の時代に日米共通の目的はもはや存在しない」と語るのは、ジャーナリストのカレル・ヴァン・ウォルフレン氏である。


――日米同盟はポスト冷戦構造に対応していないということか。


ウォルフレン:冷戦時代は中国もロシアも共産圏であり日米共通の敵だったが、冷戦が終結して状況は変わった。

 しかし、米国は日本人にこれまで通り、「米国が必要だ」と信じて欲しい

なぜか。米国債を大量に保有しているからだけではない。
日本という国が地政学的に非常に重要だからだ。

経済的に力を付けている中国と天然資源で潤っているロシアに囲まれている。
そのため米国は、日本と中国に友好関係を結んでもらいたくない。
ロシアと日本の接近も同様に懸念している。
実際は米国が日本を必要としているのだ


 民主党政権発足直後、小沢一郎は、日中関係の促進に向けて、飛行機2機にアーティストや外交官を乗せて中国に赴いた。
しかし、鳩山政権が成し遂げようとした中国をはじめとするアジア諸国外交は米国にサボタージュされた。


 米国としては、日本が中国と問題を抱えていたほうが都合がいい。
その一方で、盛んにTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に日本を誘っている。TPPは経済戦略と思われているが、完全なる政治戦略だ。米国はロシアと中国を経済的に孤立させる道具として使おうとしている。そのことにほとんどの日本人は気づいていない。


――そして今も日米同盟を信じて疑わないということか


ウォルフレン:米国は、日本の島のことなどで中国と戦争するつもりは毛頭ない。
米ドルの価値を一定程度維持するためには、中国もまた必要不可欠だからだ。


――そもそも在沖縄米軍は日本を守る任務は与えられていないとも指摘される。


ウォルフレン:沖縄の海兵隊は、日本に万が一の危機が起きた時のために駐留しているという建前になっているが、彼らに北朝鮮の攻撃から日本を守ることなど不可能だ。
彼らはアラブ首長国連邦とアフガニスタンのための攻撃部隊だ。
現在はフィリピン駐留米軍の支援を行なっている。


 日本には何の利益もない。
それを日本の納税者たちが思いやり予算によって支えている。他国では考えられない。

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良心無き反社会的人物が多い職業 社長、弁護士、テレビ・ラジオマンの順

良心無き反社会的人物が多い職業 社長、弁護士、テレビ・ラジオマンの順
J-CASTニュース  2012年11月09日19時11分

「サイコパス(反社会的人格を持つ人)が就きやすい職業トップ10」が、イギリスの心理学者の著書によって明らかになった。
欧米での例なので日本には当てはまらないかもしれないが、インターネット上では共感の声も上がっている。

外科医が5位、新聞記者は6番目

「サイコパスが就きやすい職業トップ10」が書かれているのは、英ケンブリッジ大学の研究員で心理学者のケヴィン・ダットン氏の著書「The Wisdom of Psychopaths」だ。
それによると、「サイコパス」が多い職業は、上から順に社長、弁護士、テレビ・ラジオマン、販売員、外科医、新聞記者、警察官、聖職者、シェフ、公務員となっている。


これは、ケヴィン氏が11年に行ったオンラインアンケート「The Great British Psychopath Survey」から編み出した結果だと、著書の発売にあわせて行われた、アメリカの学術誌「Smithsonian」のインタビューで答えている。

また、ケヴィン氏はサイコパスの特徴について「無慈悲、大胆、精神的に強い、魅力的、口がうまい、良心と共感が欠如している」としている。


一方サイコパスが少ない職業として、ケアエイド(介護職の一種)、看護師、療法士、職人、美容師・スタイリスト、慈善活動家、教師、芸術家、内科医、会計士が挙げられている。

「弁護士だけど合ってる」「営業職には多いと思う」

アメリカの心理学者、マーサ・スタウト氏の著書「良心を持たない人たち」には、欧米では人口の4%にあたる人がサイコパスと言われているとある。

東アジア、とりわけ日本と中国ではかなり割合が低いそうだ。

とは言え、最近では結婚詐欺・連続不審死事件の木嶋佳苗被告、尼崎死体遺棄事件の角田美代子被告らがサイコパスと疑われており、日本でもよく耳にする単語になってきている。


インターネット上ではケヴィン氏のランキングを見た人が、「弁護士だけどだいたいあってるわ」「中の上くらいの営業職にはサイコパスが多い 同職種なら分かってもらえると思う」

「外科医の先生は…わかる。よくも悪くもいわゆる『普通の人』には務まらない。
人を人としてみるか、解剖学的な身体としてみるか」など、実感を交えた感想を書き込んでいる。

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2012年11月11日

人権救済法案 拙速な進め方は禍根残す

人権救済法案 拙速な進め方は禍根残す
2012.11.11 03:22 msn産経新聞

野田佳彦政権が、人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省の外局として新設する「人権委員会設置法案」(人権救済法案)を閣議決定して衆議院に提出した。


 法案は、言論統制や新たな人権侵害につながりかねないと批判されている。
原案通り成立すれば、将来に禍根を残す。決して急いではならない。


 人権委員会は、持ち込まれた事案を調査し人権侵害と認められれば、勧告や告発、仲裁などの措置を講じる。政府から独立した「三条委員会」となるから、公正取引委員会と同様、権限は強大だ。


 何が人権侵害に当たるかなど重要な判断を誤れば、その権限が不当に使われ、逆に人権侵害を招いたり、言論や表現の自由が阻まれたりする危険をはらんでいる。

 恣意(しい)的な解釈や運用を避けるには、人権侵害行為を厳格に定義しておくことが欠かせないはずだ。
にもかかわらず、「特定の者に対し、不当な差別、虐待その他の人権を違法に侵害する行為」としているだけで、曖昧この上ない。


 自民党の安倍晋三総裁らがかねて、「大切な言論の自由の弾圧につながる」と懸念してきたのも当然だろう。
だが、政府与党には、そうした不安を払拭しようという十分な努力はみられない。


 政府与党が、既成事実を重ね、なし崩し的に法案成立を図っているようにみえるのも問題だ。


先の通常国会で、政府は法案提出見送りをいったんは表明した。
だが、推進派の巻き返しもあり、会期末直前になって突然、「法案内容を確認する」(藤村修官房長官)ためとして、最初の閣議決定を行っている。
一部の慎重な閣僚が外遊で不在のすきを狙ったかのような姑息(こそく)なやり方だった。
 解散風が吹きだしたこの局面での法案提出は、選挙の人気取り政策にしたい思惑からではないか、という疑念も拭えない。

 法案の会期内成立は難しいとの見方もある。
しかし、本来、懸念を払拭するための修正が必要な重要法案である。それを駆け込み提出して採決に持ち込むような進め方は、言語道断だ。


 人権の尊重は普遍的な大原則である。
だが、人権救済法案は、自由な社会を維持する上で弊害が多い。

提出された以上、国会は「人権救済」の美名に惑わされることなく、法案の危険な本質を見据えて、慎重に取り扱うべきだ。

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2012年11月12日

小沢一郎代表、2審も無罪 「陸山会」の土地購入問題

小沢一郎代表、2審も無罪 「陸山会」の土地購入問題
2012.11.12 zakzak

資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で強制起訴された元民主党代表で「国民の生活が第一」代表、小沢一郎被告(70)の控訴審判決公判が12日、東京高裁で開かれた。
小川正持裁判長は無罪を言い渡した1審判決を支持、検察官役の指定弁護士側の控訴を棄却した。

 検察審査会の「起訴議決」を経て強制起訴された事件で、2審判断が示されたのは初めて。
指定弁護士は26日までに、最高裁への上告の適否を判断する。

 1審東京地裁は4月の判決で、
(1)小沢氏が陸山会に提供した4億円の「簿外処理」(2)平成16年10月の土地購入を翌年分の政治資金収支報告書に記載した「公表先送り」−をいずれも認定。さらに、会計担当の元秘書らと小沢氏の間に「報告・了承」があったと判断した。

 その上で、「小沢氏が虚偽記載の違法性を認識していなかった可能性がある」と指摘。
元秘書らとの共謀は認められないと結論付けていた。

 指定弁護士側は「代表の政治生命の存亡に直結する重大な問題で、秘書らが了承なく違法行為を実行することは考えられない」として控訴。
9月の初公判で、事件以前に秘書を務めた男性らの証人尋問実施や、捜査段階で作成された小沢氏の供述調書の証拠採用などを求めたが、高裁はいずれの請求も退けた。
小沢氏の被告人質問も行われず、控訴審は約1時間で即日結審していた。
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2012年11月13日

検察敗北 小沢裁判控訴棄却 5年越し謀略に決着

検察敗北 小沢裁判控訴棄却 5年越し謀略に決着
2012年11月12日 日刊ゲンダイ掲載

この国の権力は極度に腐敗している


長い裁判にようやく 決着がついた。
「国民の生活が第一」の小沢一郎代表の政治資金収支報告書の虚偽記載をめぐる裁判である。

東京高裁の小川正持裁判長は12日、1審の無罪判決を維持し、控訴棄却を言い渡した。
「本件控訴を棄却する」
裁判長が告げると、小沢代表は顔色を変えないまま、ゆっくり一礼した。
晴れて小沢の無罪が“決まった”わけだが、歴史家はこの日のことを特記すべきだ。

 これは紛れもない国家犯罪だからだ。
“加害者”は司法検察、マスコミ、そして、その裏でいつもチラついていたのが民主党執行部だ。
3つの権力が寄ってたかって、小沢一郎という政治家を葬り去ろうとしたのである。

「小沢さんがなぜ、やられなかったか。自分がこの闘いに負けるわけにはいかない、という岩のごとき信念があったからですよ。

国家というのは、国民の生活を守る責任がある。
政治家には品性が求められ、政治が果たすべきは正義です。

小沢事件は、すべてをひっくり返してしまった。
しかも、権力の側がこれほどおかしなことをやっているのに、メディアは批判するどころかお先棒を担ぎ、他の政治家も知らん顔です。

こんなデタラメを許していいのか。
そういう気持ちが小沢さんを支えていたわけで、無罪判決が出た以上、今後はきっちり、落とし前をつけてもらう。
小沢事件の徹底検証が必要になってくると思います」(ジャーナリスト・渡辺乾介氏)

 2008年11月の西松事件をスタートにすると、小沢の闘いは4年に及んだことになる。
この国の権力がどれだけ腐敗しているのか。それを明らかにしなければならない。

<狙いは魔女狩りプラス増税強行>

 今度の控訴審だって、ヒドイものだ。
日刊ゲンダイ本紙は一貫して小沢無罪を主張してきたが、捜査、裁判は日刊ゲンダイ本紙の予想通りの展開をたどってきた。

 つまり、検察は小沢の秘書をとっ捕まえて、ギュウギュウ締め上げたものの、裏金の証拠とか何も出てこなくて、2度も不起訴にせざるを得なかった。
それでも検察審査会が感情論で強制起訴したが、その裁判も1審は無罪になった。当たり前の話で、証拠は何もないからだ。


 この時点で小沢は3度、無罪になったようなものだ。
ところが、検察官役の指定弁護士は控訴を決めて、無理やり、裁判を長引かせた。
その結果、12日まで無罪確定が延びたのである。

 ふつう、無罪判決を受けた人間を控訴して、再度、被告人にするのであれば、それなりの証拠、隠し玉があるべきだが、何もなかった。
しかも、控訴の記者会見で指定弁護士は有罪への自信を見せて、小沢=有罪の印象を強調していた。
明らかな人権侵害、名誉毀損が白昼堂々行われたのだが、メディアはそれを垂れ流した。
「それだけじゃありませんよ。最初から勝ち目がない控訴審をなぜ、やったのか。
結局、この間、小沢氏の政治活動を封じ込めるためではなかったのか。当然、そういう疑惑が出てくるのです」(永田町関係者)

 1審の決着は今年4月。しかし、控訴されたため、小沢の無罪が確定せず、小沢は離党に追い込まれ、この間、消費税増税法案が可決した。

 魔女狩り裁判プラス増税謀略ではないか。
何という連中なのか、とゾッとするが、とりあえず、12日の控訴審決着は、ギリギリだ。
まだ選挙前。第三極の行方もこれから。今後はフリーハンドを得た小沢にフル回転で暴れてもらうしかない。
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2012年11月14日

古い政治の「対極」は共産党

原発反対は「情緒」 消費税は「11%」 TPPは「参加」 中身同じで「第三極」?
 古い政治の「対極」は共産党

2012年11月12日 11:40   しんぶん赤旗

 橋下徹大阪市長が率いる「日本維新の会」、
石原慎太郎前都知事の“新党”の母体とされる「たちあがれ日本」、
渡辺喜美代表のみんなの党…。
いま、「第三極」を名乗る勢力が、連携をにらんで合流・政策協議をめまぐるしく行っています。
果たして、民主党や自民党・公明党と対峙(たいじ)する「極」を名乗る資格はあるのか―。 
(政党取材班)


「いまのところは最大公約数で進めるということでニコニコしているが、具体的なテーマになったら、 憲法問題やTPP(環太平洋連携協定)の考え方をみても、支離滅裂になってしまう。大筋で合っていればいいという石原氏に乗れば、節操のない野合だ」

 「第三極」勢力に属するある国会議員ははき捨てるようにのべました。

 「政策の一致、価値観の一致がないと有権者にそっぽを向かれる」。

石原氏の都知事辞意表明直後(10月25日)、こうのべていた。
橋下氏も「僕と石原さんだって個人的にいろいろ話をしながら、近づいてきている」「政策、理念、価値観の一致といっても何から何まで最初に全部合意なんてできない」(8日)と変化。
「(石原新党が)消費増税をそのまま容認するなら話にならない」と突っ張っていた渡辺氏も、8日には満面の笑みで石原氏と握手し、政策協議入りを確認しました。

 橋下氏が「第三極のボス」ともちあげる石原氏は「なんで大連合を考えないんだ」「原発をどうするとか消費税をどうするとか、ある意味ささいな問題だ」(10月26日)と主張。それに「乗った」形です。


重要政策の「一致」が「ささいな問題」扱いされるのは、「維新」も「たちあがれ」も「みんな」も、自民党や民主党と同じ「古い政治」の仲間だという実態があります。

 石原氏が「センチメント(情緒)で原発反対をいうのは簡単なことだけど、恐ろしいこと。消費税反対もそう」(10月30日)といえば、
橋下氏は「感情的に(原発)ゼロといっても責任ある行政にはなりませんから。合理的な選択であれば納得してもらえる」(5日)と迎合。

消費税の地方税化でも、橋下氏は「消費税を11%にすれば5%が地方それぞれの独自財源、残りの6%が国全体の財政調整弁」(10月30日)と、増税を前提にしたものであることを認めました。

 違いが大きいとされるTPPについても、「TPPの交渉参加も石原さんは認めてくれています」(橋下氏、5日)と、日本の経済主権をアメリカに売り渡すTPP推進の立場を鮮明にしています

「たちあがれ日本」の平沼赳夫代表は「参院で統一会派を作っている自民党と組む選択肢もある」(「産経」9日付)と自民党との連携を口にしています。


 日本共産党の志位和夫委員長は、8日の記者会見で「第三極勢力」の動きについて「(自民、民主と同じ)『古い極』のなかの主導権争いにすぎません」と指摘したうえで、こうのべました。

「日本共産党は『アメリカいいなり』『財界中心』という古い政治の一番の害悪をもとから断ち切る改革に取り組む立場です。その点で、古い政治に対する『対極』を国民とともに堂々とすすんでいるのが日本共産党です」

「第三極」 人脈も「古い政治」

自民党政治の権化ズラリ

密室協議で主導権争い

 「第三極」が、自民党や民主党などと同じ「古い政治」の仲間だということは、人脈のうえでも明らかです。


 「日本維新の会」は、小泉「構造改革」を推進し、貧困と格差をひろげた竹中平蔵元金融相を候補者選定委員長にすえ、一時は安倍晋三自民党総裁を「維新」の「党首」にあおごうと画策したこともありました。
そして、橋下徹代表はいま「第三極のボスは石原さん」ともちあげます。
いずれも自民党政治の権化のような人物ばかり。

閣僚経験者も

 「たちあがれ日本」は、“靖国派”の総本山・日本会議を構成する日本会議国会議員懇談会の3代目会長・平沼赳夫氏が代表。
郵政民営化の際、自民党を脱落した人物ばかりで構成されています。
みんなの党の渡辺喜美代表も、自公政権の閣僚経験者。
父親は石原氏とタカ派集団「青嵐会」を結成した同志でした。

 しかも、「第三極」の連携協議はすべて密室の中。
京都市や都内のホテルや国会議員会館など場所は変われど、報道陣もシャットアウトです。自民党“全盛期”の「料亭政治」をほうふつとさせるほど。

だれが握っても

一方で激しくなっているのは、主導権争い。
一般紙も「維新 主導権狙い強気」(「読売」10日付)、「第三極の主導権争いが激しくなりそう」(「毎日」同)などと報じるほど。

 橋下氏は「石原さんの力は借りたいが、『たちあがれ』のメンバーの力は必要ない」「物事をどう解決するかの考えがなく思考停止」(1日)などと「たちあがれ」をガラクタ扱い。
その後も、「維新」側の国会議員数が多いことを念頭に、「どれだけ考え方が違っても多数決で決まったことには従おうということには賛同してくれた」(5日)と合流しても、主導権を握る考えを強調しました。


 これに対して、平沼氏は「『維新八策』をみると国家観がない」と批判しつつ、「最後は落ち着くところで大渦になる」(「産経」9日付)とじっと我慢の様子。
みんなの党は、「維新」が協議中にもかかわらず、各県の衆院1区に擁立方針だと報じられたことで焦りを強めているとされます。


 だれが主導権を握っても、アメリカいいなり・財界中心の「古い政治」の枠内にいるのは間違いありません。

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2012年11月15日

コンビニ批判に見る「地域社会」とコンビニとの深い溝

コンビニ批判に見る「地域社会」とコンビニとの深い溝
2012年11月14日(水)20時30分   夕刊ガシュット通信配信 

スーパーよりも高い値段の商品なのに、つい入ってしまう。
必要な物を買ったあと、思わず余計な一品を買ってしまう。
気になる店員さんの名前を、知らぬ間に覚えてしまう。
そう、コンビニエンスストアの話である。

そのコンビニを経営するのは、なかなかたいへんだという記事が、2012年11月13日付の東京新聞1面に掲載されている。
「コンビニ 地域密着に壁」という記事だ。
経営者は「年中無休」で働き、「高い経営指導料」、すなわちロイヤリティーを本部に支払う。

神社で祭があれば、町会が地元の商店などを回って「奉納金」を集める。
東京都大田区の神社で6月に例大祭があり、町会の副会長が大手コンビニの店舗を回ったところ、「200円しか出さなかったことにあきれた」。

副会長のこの声が投書として同新聞に掲載され、その反響が大きかったことから記者が取材を進めたようだ。
投書には、「地域の人たちをお客さんにしているコンビニ店が(少額の)200円とは理不尽ではありませんか」などとも書かれている。

理不尽なのは、副会長の方だと筆者は思った。
コンビニの厳しい経営事情を理解せず、「地域」や「町会」という同調圧力によって、一定以上の金額を商店などに請求する。
どんな事情があろうと、満足のいかない金額を出されると、文句を言って排除する。

住民や商店などが「自発的」に参加する地域コミュニティは、あった方がいい。
だが、「3丁目の夕日」の時代とは世相がまったく異なるいまの日本で、それをまともに機能させようとするのは困難なことである。
機能させるためには、何らかの「無理」が必要だ。

その「無理」こそ、同調圧力である。
まわりの店はこれだけの奉納金を出しているのだから、あなたの店も同じくらいの額を出せ。地域の行事には参加しろ。
「町の一員」なのだから、地域に貢献せよ……。
おやおや、戦時下の隣組ではあるまいし。

コンビニの経営が基本的に厳しいものであることは、「コンビニ 経営」などとネットで検索すればよく分かる。
コンビニ経営者が200円しか出せない理由も考えずに、満足のいかない金額を「奉納」したからといって、「理不尽」などと噴き上がる副会長のほうが、筆者にはよほど理不尽に見えるのだが。
(谷川 茂)

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党首討論、もう逃げられない民主党

いつも条件をつける野田首相・・・
もう退路はない!!


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2012年11月16日

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の第1回「デフレと情報の歪み」

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第1回「デフレと情報の歪み」
2012年11月15日 15時01分  "週刊実話"  

現在の日本の様々な問題が解決できないのは、日本社会における「情報の歪み」が原因である 。
マスコミで流される各種の情報に歪みが生じており、結果的に世論や政治家が間違いを犯し、状況を悪化させることを続けているのだ。

 典型的なのが「経済関連」の問題になる。
財政の悪化、若年層失業率の上昇、国民の所得減少、円高、社会保障の不安定化、さらには少子化や安全保障の危機に至るまで、全てはカタカナ三文字で表すことができる「真の問題」が主因なのである。
 すなわち「デフレ」だ。

 デフレで物価が継続的に下落する国は、GDP(国内総生産)が伸び悩む。
実は、GDPとは国内の「生産」の合計であると同時に、国民の「所得」の合計でもある
モノやサービスが生産され、誰かがそれに対し消費や投資として支払いを行ったとき、はじめて所得が生成されるためだ。
というわけで、デフレでGDPが伸びない国においては、国民の所得も伸び悩む。

 しかも、企業の投資意欲が乏しくなり、それどころかリストラが進展するため、国民の所得は物価以上のペースで下落していく。
'98年のデフレ深刻化以降、確かに日本の物価は下がり続けているのだが、それ以上のペースで平均給与が落ちていっている。
物価水準以上に所得(平均給与)の下落幅が大きいということは、要するに日本国民が次第に貧乏になっていっているという話である。

 デフレ環境下では、企業は設備投資を増やさない。
理由は果敢な設備投資をしても、儲からないためである。
結果、労働者が雇用される機会が減り、失業率が上昇する。

 さらに、基本的に政府の税収は「所得」から支払われる。
読者も給与所得などから所得税や住民税を支払っているはずだ。
税収の源泉は、国民の所得なのである。
というわけで、デフレで国民の所得が拡大しない国は税収が減り、財政がひたすら悪化していくことになる。

現在の日本の財政が悪化しているのは、デフレで国民の所得が伸びないためであり、「消費税が5%と低いから」といった理由からではない。
ちなみに、すでに事実上のデフォルト(債務不履行)状態にあるギリシャの消費税は23%だ。
消費税率と財政の悪化には、ほとんど因果関係がない。

 さて、世間は現代の若者に対し「元気がない」だの「草食化している」だの、勝手な悪口を言っている。
若年層失業率が高まり、所得が増えない以上、若者に元気がなくて当たり前だ。

また、失業率上昇と所得下落という二重苦の中においては、若い世代は結婚や出産に踏み切れない。結果、デフレの国では少子化が進む。

 現代の日本に限らず、例えば史上最悪のデフレ期であった世界大恐慌期のアメリカでは、出生率が25%も下がってしまった。
また、現在のアメリカでも、リーマンショック後に低所得の若者世代が結婚できなくなっており、婚姻率が下がってきている。

 世の中には面白い人がいるもので、現在の日本が「少子化だからデフレ」と主張したりする。
バカバカしい限りだ。
「少子化だからデフレ」が正しいならば、日本は少子化が継続する限り、延々と物価が下落を続けるという話になってしまう。
すなわち、インフレには決してならないわけだから、通貨発行し放題である。
日本政府は支出の全てを日銀の通貨発行で賄い、無税国家になれてしまう。

だから現実には「デフレだから少子化」が正しいのだが、因果関係を逆さまにして「出鱈目」を平気で主張する論者が後を絶たないわけだ。

 また、物価が下落するとは、反対側から見れば通貨価値が上昇するという話になる。
国内のモノやサービスに対し通貨価値が上がる状態をデフレと表現するわけだが、「外貨」に対して日本円の価値が高騰する現象は円高だ。
すなわち、円高とデフレは同じ「通貨価値が上がる」現象の表裏なのである。

現在の日本は「デフレで円高」なのではない。「デフレだから円高」が正しいのだ。
すなわち、我が国はデフレから脱却しない限り、円高問題を解決できない。

 逆の言い方をすれば、日本はデフレから脱却しさえすれば、円高、雇用環境の悪化、所得減少、少子化の進展、財政の悪化といった問題を一気に解決できるのである。
また、我が国のデフレ局面が終了し、名目GDPが順調に拡大する局面を迎えれば、税収増により社会保障が安定化する。
さらに、GDPに連動して自動的に防衛費も増えていくため、安全保障も強化される。

 上記の諸問題を小手先で解決しようとしても、無駄である。
根っこにあるデフレを何とかしない限り、そこから派生した問題もまた解決できない。

それにも関わらず、財務省は増税や公共事業削減といった、物価を押し下げる「デフレ促進策」ばかりを推進しようとしてくる。
さらに、経済学者たちは「規制緩和」「民営化」「TPP」など、やはり物価を下落させるデフレ促進策を声高に主張し、情報を歪めていく。

 日本の「根っこの問題」であるデフレを解決するには、国民一人一人が「国民経済」に関する正しい知識を身に着け、情報の歪みを正していかなければならない。さもなければ、現在の日本が抱える各種の問題が解決される日はやってこないのだ。

三橋貴明(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。 
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小室淑恵さん、私生活と労働

一人ひとりが 立ち止まって考えたい 小室さんのプレゼンテーション
特に リストラを大がかりに実行している 大企業経営者に・・

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2012年11月17日

衆院解散・総選挙 政権枠組み、視界不良

クローズアップ2012:衆院解散・総選挙 政権枠組み、視界不良

毎日新聞 2012年11月17日 東京朝刊

 与野党は16日、衆院解散を受け、事実上の選挙戦に入った。
民主党は政権批判の高まりに加え、解散当日も離党の動きが止まらず、防戦に追われる。
一方、自民、公明両党は政権奪還へと気勢を上げ、対照的な幕開けとなった。
日本維新の会など「第三極」勢力は共倒れを避けようと、離合集散を繰り返している。

 ◇民主、一枚岩になれず
民主党は内閣、党支持率の低迷に直面し、逆風下の選挙戦を強いられている。
09年の前回衆院選で308議席を獲得し、政権交代につなげたのに対し、今回の衆院選で野田佳彦首相(党代表)らの掲げた勝敗ラインは「比較第1党」。
党幹部は「単独過半数と言いたいが、ハッタリを言ってもしょうがない。
政権維持が最大の目標だ」と危機感を隠せない。
 
 民主党の輿石東幹事長は衆院解散後、記者団に対し「政権維持の最低条件は比較第1党だ。
単独過半数は既に離党者が60人も70人もいて、現実的に無理だ」と表明した。
首相の衆院解散表明以来、離党者の動きに拍車がかかり、候補者不在で「不戦敗」を余儀なくされる選挙区も相次ぐ見通し。
若手議員は「獲得議席は70〜90議席」との感触をもらす。


 「第1党」という高いハードルをクリアするため、民主党が全面に押し出すのが「党首力」の違いだ。

首相も16日の記者会見で、対中国強硬姿勢を強調する自民党の安倍晋三総裁を念頭に、「極論の先に真の解決策はなく、排外主義につながる」と批判。
その上で「『強い外交』という言葉だけ躍っても何の意味もない」と訴えた。


 「迷惑解散だ」「自爆テロ解散でしょう」

16日、国会内。首相に批判的な民主党の鹿野道彦前農相のグループの会合では、出席者から衆院解散を断行した首相への恨み節が続いた。
「古い政治に戻すことはあってはならない」と意気込む首相の足元で、民主党はなお「一枚岩」になり切れないまま選挙戦に突入する。【田中成之】

◇離党、半月で11人


 衆院が解散された16日、民主党では新たに3人の前衆院議員が離党届を提出した。
同党は今国会が開会した10月29日以降の離党届を受理せず棚上げにしており、16日までに離党を表明した前衆院議員は11人に上る。
09年衆院選で308議席を獲得した民主党だが、3年余りで過半数を下回る233議席まで減らして衆院解散を迎える形になった。

 初鹿氏は記者会見で「政策転換により、政権交代当時の民主党と違う党になってしまった」と離党理由を話し、今後については「反・新自由主義、リベラル勢力の結集に力を注ぎたい」と述べるにとどめた。
福田氏は新党「みどりの風」への参加を表明。
「格差拡大を阻止したい。今までにない受け皿を作る」と語った。
橋本氏は「野田佳彦首相は自民党、公明党の方ばかり向いてきた」と批判し「どこかの政党で頑張りたい」と述べた。【影山哲也】

◇自・公、政権奪還へ高揚

 自民、公明両党は「3年間待った」(自民党の安倍晋三総裁)衆院解散が実現し、政権奪還へ意気込んでいる。
自民党は民主党政権の失態を衆院選で攻撃する方針。
しかし、国政の停滞による既成政党不信も強まっており、自民党の改革姿勢が問われる選挙になる。

 安倍氏は16日、解散を受けた衆院本会議場での「万歳三唱」の際、大きく両手を振り上げた。
その後の記者会見では民主党政権について「美しい政策は誰でも掲げられるが、政治への信頼を失わせた。間違った政治主導での混乱に終止符を打ちたい」と批判した。


 安倍氏は16日の会見で、衆院選に向け、経済再生▽日米同盟など外交の立て直し▽震災復興−−などを訴えると表明。
集団的自衛権の行使はできないとする政府の憲法解釈の変更や教育再生など、保守色の強い政策も打ち出している。


 民主党政権が失速するなか、自民党の不安材料は高まる既成政党不信にある。
同党は防災のために10年間で総額200兆円を公共事業などに集中投資する「国土強靱(きょうじん)化」構想を提唱。
党内にも「古い発想」との批判がくすぶり、安倍氏は会見で「無駄遣いを排し、国民の命を守る点でかつての公共投資とは大きく変わる」と釈明した。


 公明党の山口那津男代表は16日、民主党政権について、記者団に対し「さまざまな試みが失敗に終わり、マニフェストも総崩れ状態だ」と批判。
一方、日本維新の会など「第三極」に関しては「国民の声が既成政党に届ききらないという思いがある」と不安ものぞかせた。【鈴木美穂】

 ◇第三極、仁義なき戦いに

 第三極結集を巡る動きは衆院解散の当日も激しさを増した。
太陽の党は日本維新の会とみんなの党が合意した共通政策を丸のみして解党。
13日の結党から1週間もたたずに消滅が決まった。
一方で15日に「合流を目指す」とした太陽と減税日本の合意は1日で「白紙」に。
選挙戦を目前に思惑と損得計算が交錯する駆け込み合流には第三極内部からも不協和音が出ている。

太陽の石原慎太郎共同代表は16日、国会近くのホテルであった維新の橋下徹代表との会談で、日ごろは批判的な「脱原発」などを盛り込んだ橋下氏の政策提言を即座に了承した。


 太陽の園田博之前衆院議員は「議論してみたらそんなに違っていなかった」と説明。
太陽幹部は「『大連合』を目指す石原さんの熱意に押し切られた」と明かす。太陽は知名度のある石原氏が頼り。
石原氏が「合流する」と言えば従うしかなかった。


 太陽の解党で今後の第三極は維新とみんなの連携を軸に動く。
しかし、みんな側からは維新と太陽の合流を懸念する声が噴出。
政策の隔たりを棚上げした合流が「野合」との批判を受け第三極全体のイメージに影響することを恐れているためだ。


 みんな幹部は「太陽が入ることで維新の新鮮なイメージが消えてしまう。
合流は消極的にならざるをえない」と語る。
みんなの渡辺喜美代表は記者会見で、維新との協議継続を表明しつつ、「みんなの党自身は変わらない」と合流には慎重な考えを示した。

 ◇戸惑う河村氏

 一方、減税は太陽から袖にされた。
維新が減税との連携に懸念を示していたことをふまえ、太陽が両者をてんびんにかけて維新を選んだ形だ。
減税代表の河村たかし名古屋市長は名古屋市役所で記者団に「石原さんが(4党)いっぺんにやろうと言った。
いっぺん確認してみる」と戸惑いを隠さなかった。【坂口裕彦、津久井達】

 ◇埋没恐れる共産・社民

 共産、社民両党は衆院選で、「脱原発」「消費増税反対」「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)反対」を掲げる。
しかしみんなの党が「原発ゼロ」を公約とし、国民の生活が第一も「消費増税の凍結、廃止」とするなど、「第三極」政党も重複する政策を訴えており、民主、自民と第三極のはざまで埋没する危機感を強めている。


 共産党の志位和夫委員長は16日の記者会見で、「第三極」について「選挙目当ての離合集散だ」とけん制。

社民党の福島瑞穂党首は記者団に「社民党が脱原発、反消費税、反TPPで本気で頑張る政党だと訴えたい」と差別化に努めた。【
佐藤丈一】

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2012年11月18日

大人の政治談議 総理大臣をどこまで遡って覚えておくべきか

大人の政治談議 総理大臣をどこまで遡って覚えておくべきか
2012.11.17 16:00
 NEWSポストセブン
 
     * * * 
 ご承知のとおりこの記事がアップされる頃には、予定通り解散が行なわれ、12月16日の総選挙に向けて、政治家のみなさんはあわただしく動いてらっしゃることでしょう。
          ******
野田佳彦首相は、1月14日に国会内で行なわれた党首討論で、安倍晋三自民党総裁に「16日に(衆議院を)解散します」といきなり宣言しました。
そして街でもメディアでも、ああでもないこうでもないと、政治談議がにぎやかにかわされているはずです。

 政治談議は、大人にとって諸刃の剣。

それらしい話は、常に「それらしい話をもっともらしく語るだけで、お手軽に自分が賢くなった気分を味わえます。

いっぽうで「得意気に語ってるけど、どっかで聞いたような話だな」と心の中で苦笑いされたり、「政治の話をすれば尊敬してもらえると勘違いしている痛い人」というレッテルを貼られたりしかねません。


 どこに行っても政治の話題が飛び出しそうなこの時期、うっかり墓穴を掘る事態を避けつつ、手堅く盛り上がり、しかもちょっと見直してもらえる「政治の語り方」を用意しておきたいところです。

オススメは、もしかしたらまた内閣総理大臣が交代するかもしれないことを見据えつつ「最近の総理大臣の顔ぶれ」の話に持っていくこと。


 まずは「野田の前は菅直人でしょ。
その前は誰だっけ?」と尋ねます。さすがに「菅の前は、鳩山由紀夫だったよね」ぐらいまではあっさり出てきても、さらに遡るとちょっと迷ってしまう人が増えるはず。

余談ですが、この3人が民主党です。
鳩山の前は、自民党の麻生太郎、福田康夫と来て、選挙の結果によってはまた総理大臣になるかもしれない安倍晋三。
ここまでの6人は、ほぼ1年ぐらいずつしか在任していません。
さらに、小泉純一郎が5年半と長くやっていて、その前の森喜朗も1年ぐらいでした。


 このあたりまでスラスラ出てくる人は、ほとんどいないでしょう。
しかし、この記事を読んでいるあなたは、もう大丈夫。
あらかじめ森ぐらいまでを頭に叩き込んで、お酒の場などでさりげなく話題を振ります。
みんなが悩んだり間違えたりしているのをよそに、ちょっと考えたフリをしつつ、正しい顔ぶれを次々にあげていきましょう。


 日頃は自分を軽んじている部下や上司も、たちまち一目置いてくれるはず。
さらに「森なんて2000年に首相になったんだよ。たった12年のあいだにすぐ思い出せないぐらいコロコロ変わるなんて、やっぱり変だよね」と呟けば、若い女性社員も狙っているキャバクラ嬢も、深い知性や見識にウットリしてうるんだ視線を向けてくること請け合いです。


 ただし、勢い余って、小渕恵三、橋本龍太郎、村山富市、羽田孜、細川護熙、宮沢喜一、海部俊樹……と、どんどん遡りすぎるのは危険。

心の中で「お前は、東海道線の駅名を全部言える小学生か!」と突っ込まれて、微妙な評価を受けることになるでしょう。
大人としては、ほどほどの大切さを忘れないようにしたいものです。

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もう“化けの剥"が剥がれた「第三極」

 もう“化けの皮"剥がれた「第三極」
2012年11月17日 11:26  BLOGOS 門田隆将
http://www.kadotaryusho.com/

私は、衆院が解散され、慌ただしく動く昨日の政界のニュースを「なんでこんなことをしたんだろう?」と首を傾げながら見ていた。
例の「第三極」について、である。

私も多くの有権者と同じく、既存の政党には、どこに対しても不満を持っており、それなりに「第三極」には期待を抱いていた。

しかし、昨日から今日のニュースを見ていると、石原慎太郎氏は、結党したばかりの「太陽の党」を解党して、「日本維新の会」に合流することを「決めた」というのである。

「ウソだろ」「なぜ?」と思い、私は正直、失望した。

これまで「日本維新の会」に尻っ尾を振りつづける政治家たちと、「石原氏も同じだったのか」と。


それぞれがそれぞれの理念・政策を掲げて選挙を戦い、国民の審判が下ったあと、政策に従って連合を組むなど、大同団結を果たせばよかったはずである。
政策も理念も違うもの同士が、ただ選挙に「勝つ」ために一緒になるのは「野合」にほかならない。

しかも、すでに“化けの皮”が剥がれかかっている日本維新の会に、必死で擦(す)り寄るのは、失望と落胆以外のなにものでもない。

今回の石原氏らの慌てぶりを見ると、自分の意志を直前まで隠し、電撃的な解散に打って出た野田首相の戦略が「功を奏した」と言えるのかもしれない。


消費税増税、TPPへの参加・不参加、脱原発、憲法改正、対中国政策……等々、国民の投票を決定づける「選択肢」は、多岐にわたる。

太陽の党は、そもそも「原発推進」の立場で、維新は「脱原発」だ。

TPPに関しても、太陽は「反対」で、維新は「参加」の立場だ。真逆である。


しかも、石原氏は、前日に河村たかし名古屋市長が率いる「減税日本」との合流を会見で発表したばかりである。
そのことを「忘れた」かのように、翌日、日本維新の会の橋下氏のもとに走ったことで、国民の期待は「失望」へと変わっていったのではないだろうか。


政治家とは、一瞬、一瞬の判断が「勝負」を分ける世界である。その意味で、政治の世界は、アスリートたちが極限まで鍛え上げた肉体で勝負をつけるスポーツの世界とも似ている。
石原氏は、その第一段階で、致命的な失敗を犯したと思う。


彼らがやるべきことは、それぞれの選挙区での「協力」であったはずだ。
「この選挙区では遠慮する」「ここでは応援してくれ」「この選挙区では、協力してこの人物を推そう」と、個別の協力をおこなうことは、何もおかしくない。

だが、政党として「すべてが一緒になる」などというのは、まさに「野合」以外のなにものでもない。

そもそも立候補を目指して地道に選挙運動をつづけてきた候補者たちはどうなるのか。
それぞれの選挙区で活動をしてきた多くの候補者が、“梯子(はしご)”を外されることになるだろう。


政策や理念も異なり、それと同時に、極めて“我(が)”の強い石原慎太郎氏と橋下徹氏の二人が、同じ政党の中で、どのくらい辛抱しながら相手を尊重していくことができるのだろうか。


「第三極」とは、太陽の党、日本維新の会などが、それぞれの強い地域で議席を獲得して、選挙後、政策ごとに協力していくそういう国民連合ともいうべきものだと私は勝手に思っていた。
民主主義の基本とも言えるダイナミックな政治を夢見ていた私は、昨日から今日にかけて、大いに落胆してしまった。


これで、今回の選挙の争点のひとつに「“野合”に対するスタンス」というものが浮上した。
選挙期間中、そのことへの「批判」をことあるごとに、私たちは聞くことになるだろう。


それは、「ああ、石原さん、あなたもか」ということである。

混沌とした政界の情勢は、期待、落胆、失望……の間を揺れ動きながら、これから「1か月」に及ぶ壮絶な闘いに突入した。

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2012年11月19日

風知草:選択の意味=山田孝男

風知草:選択の意味=山田孝男
毎日新聞 2012年11月19日 東京朝刊

 多過ぎる選択肢は必ずしも幸福をもたらさない。
米コロンビア大の女性人気教授、シーナ・アイエンガー(42)の研究結果である。
政党乱立の歳末選挙でそれを思い出した。


 教授は人間の選択行動を実験で確かめた。食料品店の試食コーナーに24種類のジャムを並べた時と、6種類のジャムを並べた時とで比較すると、6種類の時の方がよく売れた。


 なぜか。人間は、情報処理能力を超える過剰な選択肢を示されると当惑し、判断を保留する。
結果として間違った選択へ追い込まれ、より良い結論にたどりつけないことがある。


 選挙にも似た面がある。
せいぜい6党か7党の、従来のテレビ討論でさえ散漫なのに、今回は14党だ。
言い分を一通り聞くだけでも忍耐がいる。
耐えかねて判断を誤らぬよう、選挙後を左右する三つの勢力に絞って選択の意味を考えてみる。


 今回の総選挙は、自民党に言わせれば「未熟、無能の民主党から政権を奪い返す戦い」である。
民主党は「元のモクアミに戻させない戦い」だと反発している。
「何がなんでも石原慎太郎首相」をめざす「日本維新の会」は「中央官僚支配打破」が重要だと言っている。


 これらのスローガンの根底に見え隠れしている主題は「政治主導」である。
それは民主党の金看板だったが、もはや看板倒れがハッキリした。
民主党に木枯らしが吹きつのり、追い風に乗る自民党の周りで「維新」の竜巻がうなっている。


 民主党は「官僚操縦」と「官僚排除」を履き違えた。
会社の社長が、のべつまくなしに部課長と争えば会社は傾く。
不適格な部課長が幅を利かせる会社も傾く。トップダウンのツボは人事だ。
人事は経験と洞察力を要するが、民主党の首相、閣僚にはそれが欠けていた。


 自民党は官僚排除の愚は犯すまいが、逆に官僚に甘過ぎる傾向がある。
官僚は本来、邪悪な存在でないどころか、国を支えるエリート集団だ。
ただ、伝統と自負に根差す尊大さ、巨大組織にありがちな無責任体質がしばしば暴走を生む。
暴走に任せる自民党なのか、的確に手綱をさばく自民党なのか。


 官僚の暴走を、カリスマ人気のトップ2人がチェックするというのが「維新」である。
強い指導力が魅力だが、国政の全領域で問題を把握し、改革を進める準備があるか。
説得に必要な知識、経験、人脈をそなえた同志を結集できるのか。


 脱原発とTPP(環太平洋パートナーシップ協定)は政党間の争点とは言えない。
3勢力はすべて内部に正反対の意見を抱えている。
憲法や国境紛争ではある程度、各勢力の特色が出たが、スローガンだけで決めるには複雑過ぎる問題だ。

 アイエンガーは、インド移民のシーク教徒の両親のもとに生まれた全盲の社会心理学者である。
厳格な宗教的伝統を背負い、自由を尊ぶアメリカで学び、選択の研究を始めた。
「選択の科学」(邦訳・文芸春秋)は一昨年のベストセラーだ。


 教授の結論はこうだ。より良い選択にたどり着くカギは過去の選択の検証であり、情報に基づく直感である−−。

アイエンガー語録から、もう一節。
人生は選択と偶然と運命で決まるが、最も強力に作用するものは選択だ−−。


投票の基準も、過去の選択を踏まえた直感でしかない。明日の国会の構成を決めるものは偶然でも運命でもない。国民の選択である。(敬称略)

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2012年11月20日

大規模リコール 信頼は安全あってこそ

大規模リコール 信頼は安全あってこそ
2012年11月20日  東京新聞社説


 トヨタ自動車が大規模リコール(無料の回収・修理)を国に届け出た。
自動車業界は厳しい経営環境を背景に効率化やコスト削減に必死だが、運転者の安全や信頼を裏切ることがあってはならない。


 対象は主力のプリウスやカローラなど国内十三種、百五十二万台近くで、国内の一度のリコールでは過去最多。
海外分を含めると約二百七十七万台に上る。
事故の報告はないというが油断はできない。
不具合の一つは、部品の強度不足。
ハンドルを強くいっぱいに切る操作を繰り返すと、車輪とのつなぎ目がすり減り、走行中にハンドルが利かなくなる恐れがある。


もう一つは、ハイブリッドシステムの冷却用ポンプの欠陥で、走行不能になる恐れがあるという。
最悪の場合、生命にかかわる事故にもつながりかねない欠陥だ。
原因の徹底究明と、再発防止に手を尽くすのは当然だろう。


 トヨタは十月にも、パワーウインドーに不具合の可能性があるとして、世界で七百四十三万台のリコールを届け出たばかり。
自動車業界はリコールへの対応を厳格化しており、トヨタは「少しでも疑いがあれば、すぐに届け出る」方針のため、件数が増える傾向にある。
事故を未然に防ぐには評価できる姿勢だが、相次ぐとなれば、利用者の目も厳しくなる。

 いずれのケースも、規模が膨らんだのは、車種をまたいだ部品の共通化が要因だ。
海外ではフォルクスワーゲン(VW)、国内では日産自動車も進めており、自動車各社が取り組む流れとなっている。
円高や競争激化など厳しい経営環境の中、生き残りに向けて、徹底したコスト削減を図るためで、この流れは止まらない。


 共通化は、限られた部品の大量生産によるコスト引き下げと、部品の調達のしやすさによる効率化につながる。
半面、一つ不具合があれば、複数車種に広がるリスクもはらんでいる。
本来は、高品質の部品を安価に確保しやすくなるはずだが、リコール費用がかさめば効果も色あせる。


 トヨタの豊田章男社長は日ごろ「お客さまに喜んでもらえるクルマを」と語り、その結果が販売台数になり成長を生むのが重要との考えを示している。


 効率化やコスト削減を優先し、安全性が損なわれかねない欠陥が生じたのでは本末転倒だ。
自動車をはじめ各業界は対岸の火事などとはせず、顧客第一の原点をあらためて考えてほしい。

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香山リカのココロの万華鏡:政治家の本業は選挙?

香山リカのココロの万華鏡:政治家の本業は選挙? 
毎日新聞 2012年11月20日 東京地方版

衆議院が解散、総選挙となった。
テレビのニュース番組などにはいろいろな議員や政党の党首が登場して、選挙への意気込みなどを語っている。


 ちょっと不思議だな、と思うのは、どの政治家も表情や声が生き生きしていることだ。
「いよいよです」と笑顔で楽しいことが待っているかのような顔をする人さえいる。
有権者としては「この先、どうなるんだ」と不安でいっぱいなのに、と落差を感じる。
かつて政治の世界にくわしい知人に、「選挙が好きでないと政治家にはなれない」と聞いたことがあるが、もしかするとこの人たちは本当に選挙が好きでうれしいのかもしれない。


 いろいろ戦略を立てて選挙運動をやり、疲れと期待、不安がピークに達したあたりで投票日を迎え、ドキドキしながら開票速報を見守り、勝敗が決まって一気に緊張から解放される。

このプロセスは、買い物依存症の人たちに少し似ている。あれこれ考えながら商品を見てまわり、店員さんたちと話をし、「買おうか、やめようか」という迷いや緊張がピークに達したところで、「じゃ、買います!」と思いきった決断をして、自己嫌悪と解放感が混じったような心境に陥るのだ。


 一般に買い物依存症の人たちは、商品そのものではなくて、何かを購入するまでのプロセスの刺激に依存していると考えられている。
ハラハラ、ビクビク、ドキドキといった日常にはない刺激がないと、物足りなく思えてしまうのだ。


 さて、“選挙好きの政治家”はどうなのだろう。
まさか、選挙の刺激や興奮に依存しているからこの道を選んだのではないはずだ。
しかし、「いよいよ戦いだ」と言ってほおを紅潮させている人たちを見ると、「もしかしてあなたが政治家としていちばん力を入れている仕事は選挙?」とつい言いたくなってしまう。


 もちろん、刺激を避けてばかりの弱気な人が政治家になるのも問題だ。
とはいえ、「勝敗が決まる戦い」と言われるととたんに高揚し、やる気が全開になる人ばかりでいいのだろうか。
彼らは、争いごとを避けようとしたり傷つきやすかったりする人たちの気持ちなど、理解できないような気がする。

あるいは万が一、国際社会の中で日本が争いごとに巻き込まれそうになったら、「これは戦うしかない!」ととんでもない決断をしそうで怖い。

自分のことだけではなくて、本当に国民のことを思ってくれる政治家は、いったいどこにいるのだろう。

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2012年11月21日

橋下氏を「じじごろし」「年の差婚のしたたか女」 天声人語に「希代の悪文」と非難轟々

橋下氏を「じじごろし」「年の差婚のしたたか女」 天声人語に「希代の悪文」と非難轟々
2012年11月20日(火)15時24分配信 J-CASTニュース

朝日新聞のコラム「天声人語」に「差別的表現がある」「下品すぎる」などとして、インターネット上で批判の声が上がっている。


日本維新の会の橋下徹代表代行について「じじごろし」「何が目的か分からない年の差婚をした、したたかな女のよう」などと書いているのだ。

「橋下氏がおでこ出した。正統保守型だ」

問題の天声人語は、2012年11月19日付の朝日新聞に掲載されたものだ。
「髪形をいじるのは心機一転の表れでもある。
日本維新の会の橋下徹氏が、おでこを出す正統『保守型』に変えた。
この勝負髪で衆院選に挑むという。37歳上の石原慎太郎氏を新代表に迎え、しおらしく従う覚悟らしい」
「石原氏がほれたと公言する橋下氏は、政界でいう『じじごろし』に違いない。
新代表を最強のリーダーと持ち上げ、ヘアスタイルを変えた。

『何が目的か分からない年の差婚をした、したたかな女のよう』。
きのうの東京紙面にあった、山本貴代さんの見立てに納得した。
その縁の吉凶は知らない」などと書かれている。

2つ目の文は、11月18日付朝刊に掲載された、女性生活アナリスト・山本貴代さんの「河村さんから橋下さんに乗り換えた石原さん。結婚に置き換えると、そんな男性は信用できない。

橋下さんは、何が目的なのか分からない年の差婚をした、したたかな女のようだ」という話から引用している。

「差別表現使わなきゃ橋下批判できないのか」

インターネット上では、天声人語を読んだ人の「橋下の髪型を皮肉った下品な一文。
これが朝日の看板コラムなのだから呆れる」
「橋下を貶めるために『年の差婚をした、したたかな女のよう』という言葉を選択するセンスが気持ち悪い」
「橋下徹氏の髪型批判から始まって、『じじごろし』と結論づける今朝のコラムは、希代の悪文として名を残すだろう」など、非難のコメントが多く書き込まれている。

また、「『じじごろし』『何が目的か分からない年の差婚をした、したたかな女のよう』(山本貴代)これって女性蔑視の潜在意識がないとでてこないよね」「女は生きるためには歳の差なんて気にせずに金のために結婚する。ってこの文章言ってるよね?信じられないゴミ新聞だな」と、女性差別ではないかという指摘もある。

橋下氏と朝日新聞については、週刊朝日の連載に起因する騒動が記憶に新しい。
橋下氏の出自について書かれた連載の初回に橋下氏が激怒、朝日新聞社と朝日放送記者からの質問を一時的に拒否していた。
週刊朝日は連載を中止、編集長が更迭されるという問題に発展した。

この騒動と今回の天声人語の内容を絡めて、「橋下の批判するのに何かしらの差別表現使わないと何も書けないのかよwww」「相変わらず差別が好きな新聞社ですな」と揶揄するインターネットの書き込みもあった。

なお、橋下氏は天声人語の内容についてツイッターなどで言及していない。

ちなみに朝日新聞は18日の朝刊で、維新と太陽の合併合意については1面トップ、第1社会面をほぼ全面つぶすという破格の扱いで報じている。

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野田首相の“踏み絵”は憲法違反ではないのか

野田首相の“踏み絵”は憲法違反ではないのか
2012年11月20日 日刊ゲンダイ掲載

<民主党の執行部が野田首相の考えに反対する人は民主党の公認候補にしないという独裁的方針>

「野田首相の考え方についてこられないなら公認できない。
党で決めたら反対していても守ると誓約書を書いてもらう」

 解散直後から、あらゆる取材にこう息巻いているのが、民主党の安住淳幹事長代行(50)だ。
「TPP交渉への参加推進」や「消費増税」に反対する候補者に踏み絵を迫り、従わなければ党公認を剥奪する考えだ。
「党公認なら比例ブロックと重複立候補できます。
小選挙区で敗れても惜敗率の高さで復活当選の道が残りますが、非公認の無所属なら即、落選です。
候補者の“生殺与奪”を握っている執行部は、それをタテに自由な意見を封じ込めようとしているのです」(民主党関係者)

<郵政民営化選挙時の小泉自民のマネをしている野田民主の恐るべき反民主主義体質を糾弾する>

 19日はASEAN出席中の野田も、同行記者団に「どういう重たい立場だった人だろうが、そこはきちっと守っていただくことが公認の基準」と強調した。
民主からの立候補を表明しながら、増税・TPPに反対する鳩山元首相への牽制だろうが、この“やり方”は見たことがある。

 小泉自民の「郵政解散」だ。
その結果、この国の政治はどうなったか。
ワンイシューの踏み絵選挙が結局、政治の大混乱と政党の乱立、離合集散を招いたのだ。

 政治の原点は自由な議論なのに、純化路線でまとめようとすればムリが生じる。
北朝鮮じゃあるまいし、「党首に絶対」なんて民主主義と言論の自由の否定である。

「消費税増税やTPP参加には、国民の半数以上が賛同していません。
そんな国民の声を無視し、党内の意見も聞かずに“オレたちが執行部なんだから、言うことを聞け”というのは、民主的な手続きを踏みにじる行為です。

憲法が掲げた『国民主権』や『思想・良心の自由』の精神にも反しています。
しかも党内で仲間の思想行動を縛るのは、マニフェスト違反で国民を裏切った面々でしょう。
『民主党』とは名ばかりで民主主義のルールは一切無視。
狂気の権力者が支配する独裁国家さながらです」(立正大教授・金子勝氏=憲法)

 野田民主断末魔の狂気の行動を決して許してはいけない。
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2012年11月22日

コメ価格高止まりの原因は全農の「前払い金」値上げ?

コメ価格高止まりの原因は全農の「前払い金」値上げ?
2012.11.21 16:30  夕刊ガシェト通信(谷川 茂)

みなさんは、どれくらいの頻度で米を食べているのだろうか。
筆者は週に3回は自炊をし、その8割で米を炊いている。
パスタやうどんも茹でるし、パンも食べる。

だが、圧倒的に「おかずと汁と米」という組み合わせの食事が多い。

最近、食生活が多様化したことにより、あまり米を食べなくなった人が多いと聞く。

実際に、「国民1人当たりのコメ消費量は50年前の半分まで減った」のだと言う(東京新聞、2012年11月16日付)。

食生活の多様化とともに、米を食べなくなった理由のひとつとしてあげられるのは、その値段の高さである。

美味しい米は高い。例えば、1日2合の米を30日ほど食べ続けると、約9kgが必要となる。
安いお米なら10kgで3000〜4000円くらいだが、あまり美味しくない。

美味しいと思える米は、10kgで5000円くらいになってしまう。
米代で月5000円は、確かにちょっときつい。

豊作なのに、なぜ高いのか?

今年は、米が豊作である。

よって、「秋口には値下がりするとみられていた」が、豊作なのに、米の値段は高止まりしたまま(産経新聞、2012年11月13日付)。
おいしい米が安く買えると期待していたので、残念で仕方がない。

高値である原因のひとつは、全農による「前払い金」の上乗せだと言われている。

米の値段は、1942年から食糧管理法によって、同法が廃止される1998年までほとんど政府が決めていた。

廃止になってからは、生産者米価で政府が買い上げ、消費者米価で一般に販売されていたのが、コメ価格センター(正確には、全国米穀取引・価格形成センター)という農水省の外郭団体で入札され、コメの値段が決まるようになった。

そのコメ価格センターも今年3月に廃止となり、米の値段は市場の需要と供給のバランスに基づいて算出されるようになる。

市場に流通する米のうち、6割を農協の元締めである全農(全国農業協同組合連合会)が取り扱い、4割は生産者が独自のルートで流通させている。
そして、全農が扱う米には、米の原価のほかに「いくつもの手数料や金利」が含まれている。

■「前払い金」の値上げは組織の自己保存が目的?

生産者から米を買う際、全農は「前払い金」というお金を払う。
消費者が米を買う前に、生産した米の原価を生産者に払うのである。

その後、一定の期間が経過し、実際に販売した米の量が分かった時点で、次の「前払い金」から「いくつもの手数料や金利」を差し引いだ額が、全農から生産者に払われる。

全農は今年、生産者に対する「前払い金」を10〜20%ほど上乗せした。
この上乗せには、言うまでもなく全農が得る「いくつもの手数料や金利」の分も含まれている。

「前払い金」が上がれば、米の値段も上がる。
近年、流通を全農に頼らない生産者が増えたことから、全農が自己保存に必要な取り分を「前払い金」に反映させたようにも見える。

米の流通に関して、すでに全農の存在はお荷物になりつつあるのではないか。

専業で米を作る生産者の多くは、全農に余計な手数料や金利を払うことなく、独自のルートで米を流通させているのだ。
そうやって独自ルートで流通する米が、適正な値段の基準になるべきであろう

組織が自己保存のために徴収する手数料や金を含む6割の米の値段によって、米全体の値段が高止まりしているのではかなわない。

いずれにしても、国内の米の流通がこんな調子では、TPPに参加するのは時期尚早だと思わざるをえない。

仮に参加するにしても、まずは国内で無駄に高い米が流通しないようなシステム
を整備すべきではないか。
それから参加しても、決して遅くはないと思うのだが。
(谷川 茂)
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みどりの風 福田衣里子さんのブログ

私は、「福田衣里子」さんの芯の通った生き方を著作や国会中継で注目していました。みどりの風http://mikaze.jp/の舟山・行田・谷岡・亀井さんの質問にも共感を持っていたので 是非 福田さんブログやまだ未完成ですが「みどりの会」のHPも見ていただきたいと思い紹介します。
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みどりの風 福田衣里子のブログ.
http://blog.livedoor.jp/ennriko555/
 2012年11月21日. 解散から5日
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こんにちは。
衆議院の解散から5日が経過しました。
この数日間、これまでお世話になった皆さんのところへ、直接伺わせていただき、ご挨拶をさせていただいておりました。

突然の解散を受けての急な離党となってしまったことで、地元の皆様には、ご迷惑とご心配をおかけしたにも関わらず、お叱りの声もいただきましたが、それ以上に多くの温かい励ましの言葉もかけていただきました。

の日本は、待機児童の問題、ネットカフェ難民、ハローワークに毎日通っても職に就けない方、職にあっても、その4割は非正規雇用で、4人に1人が年収200万円以下であるなど、不安定な立場の方が、確実に多くなってきています

また、自殺者も年間3万人を超えており、生活保護受給者の増加を指摘する声がある一方で、それさえ受けられず、同じ国民であっても、終の住処が路上や刑務所となってしまう方すらもいます。

貧困・格差・高齢・障害・孤立から、様々な問題を抱えながら生きる人々が延々と増え続けていくという異常事態となっていると私は思います。

一方で、消費増税での3党合意のように、弱いものの視点が薄まり、強いものの都合の良い決め方によって世の中を決めていく流れができあがってしまっており、本当に政治の力を必要としている人々に、必要な政治の力が届いてないし、届きにくくなっている。

本当にこのままで良いのだろうか?というのが私の問題意識です。

私は、自分がこれまで歩んできた人生を踏まえ、
代議士としてすべきことは、弱いものを『守る』という視点ではなく、あくまで『同じ目線』『同じ視点』でもって、組織化することも出来ない方々の声なき声を『代弁』し徹底的に『議論』することだと考えています。
そして、その考えにもっとも近いのが「みどりの風」だと思い、入党を決意しました。

今回は、民・自・公と、日本維新の会のような第三極と呼ばれる政党も含めた、強いものの目線により政治を推し進める新自由主義「連合」との戦いになります。

医療や社会保障は「ほどこし」ではありません。

今おかれている状況が悪いのは「おまえの頑張りが足りない」と言って何でも自己責任に転嫁する政策は、日本人を不幸にしてしまうと思います。
いくら頑張ってもどうにもできないような様々な状況の個人や家庭が多くありますから。

別に社会主義国家を目指すつもりはありませんし、競わせる部分はどんどん競わせることが、日本経済の成長を図るためにも絶対に必要です。

ただ、どうしても守らなければならない部分は、社会全体でしっかりと守っていくため、必要な制度の構築や社会の雰囲気作りにしっかりと努めていく必要があると考えています。

日本人が日本で生きにくいと感じる世の中には絶対にしたくない。

これまで育てていただいた地元の皆様に対してはもちろん、日本の全国民の皆様に対して、本当の意味での恩返しができるよう、頑張らなければと決意を新たにする次第です。

どうか今後ともご理解を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

福田えりこ

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総選挙の前に、孫崎享「戦後史の正体」を・・・

保守のなかにも 「自立自律」派と 「対米従属」派がいることが わかりやすく書かれています。
本の論点が 下記インタビューでわかります。

小澤一郎氏が主張した「日米安保は 第七艦隊だけあればいい」という主張が 敗戦下でも「有事駐留」を主張した政治家が重光葵氏などの保守派にもいたというこが救いです。
*尖閣武力防御とか核ミサイル・国防軍・TPPなどをいう 老右翼的な人だけが保守でないことがわかりホッと安堵です。

対米従属・米軍の占領状態が続いている今、総選挙の前に「戦後史の正体」か 以下のインタビューをお聞きください。
孫崎氏は「防衛大学校の教授」までした 元外交官です。


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2012年11月25日

どこが勝つのか今回の選挙 もう一度小沢に投票か棄権か

どこが勝つのか今回の選挙 もう一度小沢に投票か棄権か
2012年11月24日 日刊ゲンダイ掲載

本当に悩ましい12月16日投票の今回の選挙

<選挙民の多くはどの党に投票すると予想されるのか>

 どのメディアもハッキリ書かないが、橋下・維新の会はもうオシマイだ。
石原慎太郎の太陽の党と組んだことで、完全にメッキが剥がれてしまった。
なにしろ、脱原発を引っ込めただけでなく、企業団体献金も容認なのだ。

「どこが改革政党なのか」と言いたくなるが、23日、東大の文化祭に招かれた元改革官僚の古賀茂明氏もこう言っていた。

「妥協に妥協を重ねて改革の目玉政策がなくなってしまった」「みんなの党との政策協議では改革の政策がズラリと並んでいたが、太陽と合併した途端、抜け落ちてしまった」

 古賀氏はそれでも橋下に期待しているというが、国民は違う。
落胆、失望は世論調査の数字にハッキリ表れていて、政党支持率は4%(朝日)という体たらくだ。
これは11月中旬の数字だが、おそらく、今はもっと下がっている。
さらに政策の迷走、候補者調整の混乱、ドタバタが露呈しているからだ。

<トップもトップなら候補者も候補者>

 維新の会をウオッチし続けているジャーナリストの横田一氏はこう言った。
「橋下氏は次の選挙で勝たなきゃ、ダメだと思っている。
だから、政策よりも石原氏との合併を優先させたのです。
しかし、これが完全に裏目に出ましたね。
これまでと主張を変えたのは脱原発や企業団体献金だけではないのです。

例えば、石原さんは知事として、八ツ場ダム推進の立場を取ってきた。
しかし、いち早く民主を飛び出し、維新入りした石関貴史衆院議員は維新の面談で“民主党は八ツ場ダムの建設中止をうやむやにしたから離党した”と語っていた。
群馬4区の維新候補はダム建設反対の本まで出しています。

橋下氏はあれだけ政策の一致が前提とか言っていたくせに、どう説明するつもりなのでしょうか。
維新は選挙の顔欲しさで石原氏と組み、その政策まで丸のみしたことで、完全に信頼を失ったのです」

 候補者も候補者で、よくぞ、こんなデタラメなトップを担いでいるものだが、要するに、コイツらだって、選挙目当て、看板欲しさ。
同じ穴のムジナなのだ。

橋下は「支持率はさらに下がるだろう」とか言って、計算済みと言わんばかりだが、石原と組んでさらに落ちるのは予想外だったはずだ。
支持率が4%よりも下がれば、もう泡沫政党になってもおかしくない。

<反省ゼロの自民党に戻すわけにはいかない>

 そこで、それじゃあ、今度の衆院選挙は、どこに投票すればいいのか、だ。
 国民の期待を裏切り、党分裂を招きながら、純化路線とか言い出し、居直っている野田・民主党は論外だし、敵失に乗じて浮上しているだけなのに、ニタついている安倍自民党もどうにもならない。

公認候補に2世議員をズラリと並べ、公約には教育改革とか、前回ブン投げた時と同じような政策を列挙する神経にもドン引きだ。

 ナーンにも変わっちゃいない自民党に政権を戻すわけにはいかないから、実に悩ましい選挙になるのだが、こうなると、選択肢は2つしかない。

やっぱり、小沢か、それとも棄権か。

 小沢には投票日までにぜひとも、維新以外の第三極をまとめて欲しいものだ。
そうすれば、小沢連合に入れた票も生きてくる。
しかし、そうならないと、国民は本当にドッチラケだ。

ここに入れれば、政治が変わる。暮らしが良くなる。そんなリアリティーを持った政党がひとつもなくなってしまうからだ。

 やっぱり、小沢しかないのである。
ニコニコ動画で、小沢氏とよく対談する政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「小沢一郎氏の『国民の生活が第一』は比例で善戦する可能性がある」とこう言った。

「脱原発、反消費税を明確に貫いているのは国民生活だからです。

新聞の世論調査では小沢新党は伸びていないが、ネットでは大きな支持がある。

それでなくても、小沢氏は自由党時代、比例で660万票をたたき出し、周囲を驚かせた。今回はもっと上積みが期待できると思います」

<リベラル第三極が結集すれば面白い>

 正確に言うと、小沢自由党は00年に分裂し、衆参50人の議員のうち、半数以上が保守党に回った。
小沢自由党に残ったのは24人で、メディアは盛んに「小沢は終わった」と書き立てたものだ。
しかし、00年の衆院選では660万票を獲得し、衆院の勢力を18人から22人に増やした。

 面白いのは、このときの小沢自由党の政党支持率で、時事通信の調査ではたった3.2%だった。
それでも小沢は22議席を奪い、選挙での強さを見せつけたのだ。

 生活はもともと衆院38人、きづな、大地を加えると49人。
00年よりはるかにポテンシャルは高い。

 そこにもってきて、
小沢が脱原発、反消費税、TPP慎重、国民生活第一などを掲げ、デタラメ既成政党とウルトラタカ派第三極に対抗する「軸」を打ち出せば、間違いなく、支持率は跳ね上がる。

選挙で一定の勢力を占めれば、今後の政局でさまざまな可能性が出てくるのである。
法大教授の五十嵐仁氏(政治学)は「そうならなければ、日本が危うい」とこう言った。
「小沢氏を中心とした三極がまとまれば、投票の際に貴重な選択肢になるし、そうならなければ大変ですよ。

安倍自民党は対中、対韓関係がこれだけ緊迫しているのに、憲法改正や国防軍設置、集団的自衛権容認に踏み込もうとしている。
日本維新の会や民主党が賛成すれば、憲法改正が現実になる。
そんな事態になったら、中国、韓国での経済活動は大打撃を被る。

ここはリベラルな第三極が結集して、何としてもこうした動きを阻止することが必要だし、ここを争点にすれば、支持は集まる。

タカ派かリベラルか。中国とケンカするのか、仲良くやるのか。それを問うのです。
リベラル第三極が衆院で3分の1を占めれば、憲法改正は阻止できる。
それくらいのつもりでやって欲しい」

 こういう展開になれば、国民も棄権票を投じなくても済むわけだ。

リベラル第三極が票を伸ばせば、どの政党も過半数を握れず、連立になる。自公で過半数を得られなければ、あらゆる組み合わせが考えられる。
そのとき、リベラル第三極に一定の数があれば、憲法改正はもちろんのこと、消費増税も阻止できる。

 今度の選挙は短いように見えて、時間が長い。
だんだん、政党、候補者の正体が露呈してきた。
今はドッチラケだが、これから争点が明確になる。
棄権を決めるのはまだ早い。

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2012年11月26日

もうだまされない<中> 公約トリック見抜け マジシャン警鐘

 もうだまされない<中> 公約トリック見抜け マジシャン警鐘
2012年11月26日  東京新聞夕刊


 トランプの山が二つ、テーブルに並ぶ。

「あなたの意思でどちらかを選んでください」。
ゆうきさんが記者にそう促しながら、紙に何かを書いて折り畳んだ。
「結果がメモに書いてあります。必ず当たります」

なんとなく片方の山を選ぶ。
「では、枚数を数えて。そして、メモを見てください」。
カードは五枚。
紙を開くと「あなたは必ず『5の山』を選びます」と書かれていた…。


 この短いマジックの中に、人間の心理を突いた数々の「だまし」が潜む。
タネは「5の山」という言い回し。
もう一つの山を見ると、枚数は四枚だが、いずれも「5」のカード。
どちらを選んでも「5の山」になる。


 答えを知れば「単純でばかばかしい」仕掛け。

でも、いざ目の前だと気付かない。
「視覚でなく思考をだますのがマジックです」。

メモに答えを書く思わせぶりな演出も、ミステリアスな空気を漂わせ、表現のあいまいさに気付かないようにするためだ。
 「マジックは必ず弱点(タネ)がある。それを突っ込まれたらおしまいなので、都合のいい部分だけ見るよう客を誘導します」


 業界でミスディレクション(誤った方向付け)と呼ぶテクニックは、無意識だろうが政治家もよく使っているという。

「財源や実効性に問題があるのに、良い面ばかり並べた公約を強調することも同じかもしれません」


 マジックは自信たっぷりに演じることが必須。
これは政治家の演説にも通じる。

「人間はおどおどした人を信用しない。


さも自分が正当で、すべてが決定事項のように振る舞う。劇的に演じ、考える時間を与えないことも重要です」


 「必ず当たる」などのフレーズを繰り返せば、相手の思考や行動を固定化する「キャナリゼーション(水路付け)」と呼ばれる効果も生まれる。

人間は信じたいという願望があり、よくできたパフォーマンスに弱い。
選挙も同じなんじゃないでしょうか」


 冒頭のマジックでは、最も恐るべき「だまし」も隠されている。相手の意思でカードを選ばせながら、実際は結論が用意されている「誘導」のトリックだ。これは日常でも使うことができる。


 例えば、営業マンがセールスしたい相手に電話で面会を申し込む際、「お伺いするのは明日が良いですか、それともあさってが良いですか」と問い掛ける。
「相手に選ばせるようで、最初から『会わない』選択肢を奪うわけです


 「郵政民営化に賛成か反対か」
「民主党か自民党か政権選択を」。
最近の衆院選で繰り返されたフレーズは、選択肢があるようで実は少なかった。

ゆうきさんは次の衆院選に向け、警鐘を鳴らす。


 「もし候補者が『今回は皆さんが○○か××かを選ぶ選挙です』と二者択一を迫ってきたら…。
あなたはすでに選択肢を奪われているかもしれません。

********************************
 ゆうき・とも 1969年、岩手県奥州市生まれ。本名は高橋知之。
トランプやコインを使って観客の目と鼻の先で演じる「クロースアップ・マジック」の専門家。
92年に「世界マジックシンポジウム」優勝、2004年に優れたマジシャンを表彰する「厚川昌男賞」を受賞。
「あなたにもできる! メンタル・マジックで奇跡を起こす本」「人はなぜ簡単に騙(だま)されるのか」など著書多数。

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2012年11月27日

デフレ不況からどう抜け出すか 共産党志位委員長街頭演説

デフレ不況からどう抜け出すか
カギは働く人の所得を増やし、内需を活発にすること
2012年11月26日(月
)  しんぶん赤旗
              (著作権は 日本共産党中央委員会)

 日本共産党の志位和夫委員長が24日、さいたま市の街頭演説でおこなったデフレ不況から抜け出す提案は以下の通りです。

デフレ不況からどう抜け出すかということが、総選挙の重要な争点になってまいりました。

この問題について、日本共産党はどうとらえているのか、どうやって解決していったらいいのかについて、お話しさせていただきたいと思います。
 
デフレ不況の問題――内需と家計消費を応援するどころか、壊してきた「逆立ち」政治

いまデフレ不況は、働く人の所得が減り、消費が落ち込み、内需が冷え込むという、たいへん深刻な悪循環に陥っています。何が間違ったのでしょうか。
 どんな国であっても、経済を発展させようとすれば、内需――国内の需要を活発にすることが基本中の基本なんです。

2008年の「リーマン・ショック」の後の対応でも、世界のどの主要国も、いかに内需を活発にしていくかに力を入れています。
そして、内需の圧倒的部分は働く人・国民の家計消費です。
毎日の売り買いは、一つ一つは小さいように見えても、あわせると経済の最大の土台なのです。

ところが、歴代政権は、家計消費を応援するどころか、逆に壊していく、「逆立ち」の政策を取り続けてきた。ここにこそデフレ不況の一番の根本問題があるということを、私は指摘したいと思うのです。(拍手)


「金融の無制限の緩和」――何の効果
もないばかりか、副作用だけしかない

 自民党の安倍総裁などは「金融の無制限の緩和」ということをさかんにいっています。
しかし、いま内需が冷え込んでいるわけでしょう。
内需が冷え込んでいるときに、日本銀行がどんどん一万円札を刷って、銀行にお金を供給しても、企業の投資にはお金はまわっていきません。

何の効果もないばかりか、余ったお金が投機マネーとなり、原油や穀物の高騰を引き起こすなど副作用しかありません。

 
 実体経済が悪いのに、そこを立て直す方策をとらずに、金融経済にてこ入れすれば、景気が良くなるなどというのは、経済のイロハを理解していない、まったく「逆立ち」した議論です。

暮らし、経済、財政を壊す消費税大増税を中止する

 それではどうしたらいいのか。
私は、国民の所得、働く人の所得を増やして、内需を活発にする――そうした政策転換をおこなうことこそ、デフレ不況から脱却する一番のカギがあるということを訴えたいと思います。(拍手)


 そのために、つぎの二つのことをただちに行うことを提案したい。

  第一は、暮らしを壊し、経済を壊し、財政を壊す消費税の大増税は断固中止させることであります。(「そうだ!」の声、大きな拍手)

 こんな大不況のもとで、国民から13・5兆円もの所得を奪う増税を実施したら、デフレの悪循環をいよいよひどくし、日本経済の底が文字通りぬけてしまいます。


 大増税の実施を中止するために、今度の総選挙では、国民への公約を裏切って、増税を強行した民主、自民、公明の3党の増税連合に対して、きびしい「ノー」の審判をくだしていこうではありませんか。(拍手)


 そして私は、ここでお約束いたします。
日本共産党は選挙後の国会に、増税中止法案を提出いたします。
成立のために全力をあげます。その仕事をやりとげるためにも、議席の倍増を勝ち取らせてください。どうかよろしくお願いいたします。(大きな拍手)


大企業の260兆円もの内部留保を雇用と中小企業に還元する政策を

第二は、大企業の260兆円もの内部留保――ため込み金を、雇用や中小企業に還元する政策を実行するということです。(拍手)


 私は、先日の衆議院の予算委員会で、いま、電機産業の大企業が強行している13万人もの首切り計画の問題を追及いたしました。

NECでは、労働者を呼び出して、4メートル四方の窓もない、通気口を鉄板でふさいだ部屋に閉じ込めて、上司が11回、12回も「あなたには仕事はありません」「もう座る場所はありません」、こういって退職を迫る、違法な退職強要がやられています。

日本IBMでは、会社が終わる終業時刻の直前に、突然、「解雇通知書」を読み上げて、まともな理由も示さず、「あなたは解雇です。
ただちに荷物をまとめて会社から出て行け。明日から出社禁止だ」、こんな無法なことがやられています。

こんな首切りを放置しておいて、日本の経済は絶対よくなりません(拍手)。
日本の産業の「復活」もありえません。
違法・脱法のリストラは、政治の力でやめさせようではありませんか。(大きな拍手)


 そしてみなさん、今度こそ労働者派遣法を抜本改正し、有期労働の規制、均等待遇のルールをつくって、非正規で働いている方を正社員にしていこうではありませんか(拍手)。
最低賃金を、中小企業のみなさんには支援の手立てをとりながら、時給1000円以上に大幅に引き上げをさせようではありませんか。(拍手)


 ヨーロッパでは当たり前の解雇規制法をつくって、NECや日本IBMで横行しているような横暴勝手をやめさせようではありませんか(拍手)。

中小企業と大企業との公正な取引ルールをつくって、下請け単価をまともなものに引き上げさせようではありませんか。(拍手)

 こうやって、働く人の所得、国民の所得を増やし、内需を活発にすることこそ、デフレ不況から抜け出す一番の大道です。

この問題でも、「財界中心」の政治を断ち切る改革をすすめる日本共産党をのばしてこそ、解決の道が開かれます。
私たち共産党にこの仕事をやらせてください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

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2012年11月28日

香山リカのココロの万華鏡:威勢のよい話より生活 

香山リカのココロの万華鏡:威勢のよい話より生活

毎日新聞 2012年11月27日 東京地方版

 病院にいると、「選挙など、どこの国のできごとか」という気がしてくる。
あたりまえかもしれないが、患者さんたちは自分の症状や日々の生活や仕事、身近な人間関係のことで頭がいっぱいなのだ。


 私には苦い思い出がある。
それは94年、今から20年近く前のことだから、個人が特定されないような形でここに書くことにしよう。
その頃、勤務していた病院の診察室はなぜかオープンな作りで、待合室のテレビの音声もよく聞こえた。

それは、パート先の対人関係からうつ状態になった中年の女性を診察しているときのことだった。
外のテレビから、「たったいま入ったニュースです。
北朝鮮の最高指導者・金日成氏が死去しました」という音が聞こえてきたのだ。


 私はびっくり仰天し、つい「いま金日成死去って言ってましたよね。これはたいへんな国際問題ですよ」と大声を出してしまった。

すると、目の前の患者さんはまったく表情も変えずに、こう言ったのである。「はあ、そうですか。でも先生、そんなことより先週パート先でトラブルが起きて、また頭痛がひどくなっちゃって……」


 当時まだ若かった私は、「アジアに混乱が起きるかもしれないのに、“そんなことより”と自分の問題を話し続けるなんて間違ってるんじゃないか」と思った。

しかし、その後、自分もさまざまな痛み、悲しみなどを経験して50代になった現在では、つくづく思う。
社会的な問題も重要だけれど、それよりもまず自分が直接、関係しているからだのことや身近な生活のことのほうが気にかかるのは当然だよなあ、と。


 そして今、世の中には政治や広く社会全般に関心を持ちながらも、「そんなことより私の問題を」と思わざるをえない人たちが大勢いる。

彼らは「いま解決しなくてはならない問題」をあれこれ抱えており、「日本の行く末は」などと言われても考える余裕がないのだ。


 そんな中で行われる今回の総選挙。各党は「日本再生」「誇りある国」と勇ましい言葉を連呼しているが、口に出すかどうかは別にして、「そんなことより」と言いたい人は少なくないはずだ。

いま目の前にある私の暮らし、仕事、医療や学校の問題、あるいは被災地の復興を少しでもなんとかしてほしい。

大がかりな話、威勢のよい話は、それからゆっくり考えればよいのではないか。
病院にいるとついこう思ってしまうのだが、これは間違っているのだろうか。

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2012年11月29日

選挙、政治変える好機 母親ら「国動かしたい」

選挙、政治変える好機 母親ら「国動かしたい」
2012年11月29日 07時01分 東京新聞

東京都知事選がきょう二十九日告示される。

東京電力の福島第一原発事故後、初の衆院選も間近だ。

東日本大震災が起きるまでは表舞台に出てこなかった母親たちは、放射能から子どもを守る活動を通して政治と関わるようになった。
新しい仲間とつながり、社会を変える好機と選挙を位置付ける。
 (柏崎智子)


 全国から集まった百人が、復興庁の担当者の言葉に耳を傾けた。
二十八日、参院議員会館で開かれた「原発事故子ども・被災者支援法」の集会。

「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク」の伊藤恵美子さん(49)=東京都豊島区=もその一人だ。

 「せっかくのいい法律が、選挙で国会議員が落ち着かない間に、官僚に骨抜きにされたら大変だから」


 支援法は六月、超党派の議員立法で成立した。
原発事故で被害を受けた子どもたちや住民に避難する権利を認め、医療費の減免や住宅確保、学習支援を保障する。具体策を決めるのはこれからだ。


 「自分が国会に足を運ぶようになるとは全く思わなかった」。
八歳から二十一歳まで四人の子どもの母親。
子育てのNPO法人の一員だが、政治に関わったことはなかった。
「世の中のメジャーにはならない立ち位置に慣れていたんです」


 原発事故で、そうも言っていられなくなった。
子どもを外遊びさせていいのか。
母乳を与えてよいのか。母親たちの不安は増すばかりだった。


 昨年六月、初めて区議会に陳情した。
放射線量測定や給食の食材の安全性チェックを求めたが、継続審査に。
全会派を回ったが、採択のめどは立たなかった。
その代わり、区の担当職員と直接話し合う機会が持てた。

都は、議会も行政も全く手応えがなかった。


 福島の母親たちともツイッターでつながり、しがらみで声を上げられない人もいることを知った。
国を動かそうと、手分けして国会議員を回った。
その中で一人の議員が「私案だけど」と見せてくれたのが、支援法の草案だった。


 参院復興特別委員会で法案審議を傍聴し、初めて政治の熱気を感じた。
参院本会議への提出が決まると、傍聴人から拍手がわき起こり、議員と握手する人もいた。
「立法府」の意味をかみしめた。


 活動する中で、手をつなぐことのできる仲間を見つけることの大切さを知った。
考えの違いで敵対しても、得られるものはない。

選挙でも、同志になってくれる候補者は誰かを探し、その情報を広めることで仲間を増やしたい。
「勝手連で動こうと思っています」

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2012年11月30日

日本IBM リストラ巡り社員に「ブラック企業」と指弾される

日本IBM リストラ巡り社員に「ブラック企業」と指弾される
2012.11.29   NEWSポストセブン

労働組合から「ブラック企業のメダリスト」との汚名が着せられている企業がある。
社員の大量解雇が囁かれている日本IBM(アイビーエム)だ。


「これまでに100人以上が解雇通知を受け取り、9月の1か月だけで200人という大量の退職者が出たと言われている。
現在1万4000人いる社員は、いずれ1万人程度、そして最終的には5000人規模にまで縮小されるとの噂も社内で飛び交っている」(IBM社員)


 現在、日本IBMではドイツ法人で大幅な人員削減を成し遂げ、“コストカッター”の異名を取るマーティン・イェッター社長指揮の下、事業整理や新たな顧客獲得などの経営改革を進めている。
前出の社員によれば、その過程で余剰人員の削減を急いでいるのでは? と経営陣に対する社内の不信感が高まっているのだという。


 強引な解雇手法も、労使間のもつれを大きくしている。
終業時刻間際に別室に呼び出され、紙切れ1枚の「解雇通知書」を読み上げられた末にそのまま職場から締め出される――。
いわゆる“ロックアウト型”の荒々しいリストラ手法は、『NEWSポストセブン』でも既報の通り(10月17日)である。


 IBMに噴出する労働争議は解決の糸口を見出せないまま、司直の手に委ねられた。
10月15日に同社社員3人が不当解雇撤回を求める訴訟を起こしている。年末から始まる公判を前に、11月27日には原告をはじめ、組合関係者ら350人以上が都内ホールで大規模な集会を開いた。


<許すな!「解雇自由化」ブラック企業のメダリストIBMの大量指名解雇に反撃する大集会>

 と題された集会では、IBM訴訟の原告らを支援する日本金属情報機器労働組合(JMIU)の関係者らが、相次いで社内の惨状を訴えた。


「会社は就業規則の解雇要件に該当するというばかりで、その具体的内容の説明を一切拒否しています。
こんなIBMのやり方がまかり通れば、他の日本企業にも『解雇の自由化』が一気に広まってしまう恐れがあるのです」(JMIU幹部)


 これまでも多くの企業で「成績不良」を理由にした解雇が横行しているが、その度に争点となってきたのが労働契約法に照らした判断基準である。


「裁判にでもなれば、ひたすら労働者の成績不良や勤務態度の悪さをあげつらう会社側と、経営に支障をきたすほどではないので『解雇権の濫用だ』とする労働者側の主張が平行線をたどり、長期化するケースが多い。

裁判が長引けば会社のイメージダウンも大きいので、ほとんどの“人減らし企業”が退職勧奨や配置転換で自主退職に追い込む手法を使うのです」(人事コンサルタント


 同社の広報部は一連のリストラ手法について、「係争中なのでコメントできない」としているため、会社側の主張は裁判の行方を見守るしかない。

 だが、IBMのようなドロ沼劇は、他の日本企業にとっても決して対岸の火事ではない。


「例えば、業績不振に喘ぐ日本の電機業界では、全体で13万人といわれる大規模なリストラの嵐が吹き荒れています。
いまや事業の再編に海外メーカーの存在も大きくなる中、IBMのようにいつまでも人材の再配置や流出をめぐってモメているようでは、再建のスピードは遅れるばかり。
ますます中国や韓国勢に水を開けられてしまうでしょう」(前出・コンサルタント)

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2012年12月01日

師走 「天声人語」

天声人語

2012年12月1日(土)付  朝日新聞

めくり忘れて痛い思いをしたわけではないが、日めくりの暦(こよみ)がどうも苦手である。
馬齢のせいか、目に見えて「残り日」が減るのが面白くない。
愛用者も多いけれど、24時間すごせる回数券を日々ちぎるような、デジタル的な喪失感がきつい

▼他方、ひと月ごとのカレンダーは、きょうとあすの間の余白に味がある。
アナログの安らぎとでもいおうか、消えていく時が見えにくいのがいい。
ただし月の変わり目には、喪失感がまとめてやってくる

▼壁のカレンダーがあと一枚になった。
「師も走る」とされる月だから、我々がせわしいのは無理もない。
賀状の準備に大掃除、忘年会。
今年は選挙も重なり、ざわついた年の瀬になろう

▼罪なのは年末ジャンボだ。
1等4億円が68本、前後賞を合わせ6億円と史上最高の賞金である。
その額に目がくらみ、買ってもいないのに胸が躍る自分がおかしい。
かくして、自治体の台所はささやかに潤う

▼鹿児島県に住む40代の女性が今年、「宝くじに当選させる」という電話を真に受け、何者かに計4千万円を振り込んだそうだ。
だます方が悪いに決まっているが、うますぎる話を聞いた時は途中で耳を塞ぎたい

▼見果てぬ夢を、くじではなく、真新しい手帳や日記に託す人もおられよう。
365日分の回数券がそこにある。
白いページの、なんとまぶしいことか――師走につられて先走りすぎたようだ。
まずは残る31枚を惜しんで使いたい。
「忙忙(ぼうぼう)」と吹きすさぶ北風に、心まで飛ばされぬよう。

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2012年12月02日

争点「復興」どこへ 衆院選・議論の外…被災地怒りと失望

争点「復興」どこへ 衆院選・議論の外…被災地怒りと失望
2012年12月02日日曜日 河北新報

東日本大震災後、初めてとなる衆院選(4日公示、16日投開票)で、政治が優先的に取り組むべき「震災からの復興」が争点からかすんでいる。

11月30日の党首討論会でも、被災地については議論が交わされずじまい。
国政の主要な課題に隠れ、埋没した感すらある。
「見捨てられた思い」「震災を忘れたのか」。
被災地に怒りと失望、落胆が渦巻く。


 岩手県釜石市平田の平田第6仮設団地の自治会長を務める森谷勲さん(70)は「被災地の復興は置き去りにされているようだ」と政治不信を募らせる。

 240戸ある同市最大の仮設団地には、野田佳彦首相をはじめ政府・与党の幹部が訪れた。
森谷さんはその都度、早期復興を訴えた。

 「社会保障も国の財政もしっかりしないと復興はままならない。だから、消費税の増税も賛成だ」と話す。
そうした被災者の覚悟とは裏腹に、各政党は「被災地の将来」を語らず、離合集散ばかりを繰り広げる。「エゴ、保身にしか映らない」

 福島第1原発事故で福島県南相馬市から宮城県亘理町のみなし仮設住宅に避難する女性(58)は憤る。

「古里を追われた 私たちに、政治は真剣に向き合わない。見捨てられた思いだ」

 民主党は「復興が最重点」、自民党は「まず、復興」、日本維新の会は「復興のための体制づくり」、公明党は「復興日本」とうたう。
共産党や社民党は復興予算の「流用」阻止を掲げる。

 しかし、各党が意見を戦わせるのは専ら、エネルギー政策としての原発、環太平洋連携協定(TPP)、経済政策だ。

 宮城県東松島市商工会の橋本孝一会長(64)は「選挙が近づくにつれ、復興が話題に上らなくなった。被災地がないがしろにされている」と言う。

 資材やマンパワーの不足、雇用の場の創出、復興予算の無駄遣い−と課題は残されたままだ。
橋本さんは「いずれも政治が解決すべき問題ではないのか」と訴える。

 自治体の首長からも注文が付く。奥山恵美子仙台市長は会見で、復興の議論が不足していると苦言を呈した。

 菅原茂気仙沼市長も「これからでも構わない。立候補者が被災地の直面する課題の解決方法を明確に示し、選挙戦に臨んでほしい」と話す。
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2012年12月03日

中央道トンネル崩落 後手に回った対応

クローズアップ2012:中央道トンネル崩落 後手に回った対応
毎日新聞 2012年12月03日 東京朝刊

◇老朽化対策、先月から 「経年劣化」の指摘も−−高速3社

天井板の崩落事故が発生した山梨県の中央自動車道・笹子トンネルは、供用開始から35年が経過しており、中日本高速道路など高速3社は先月、道路全般の老朽化対策について検討を始めたばかりだった。

専門家からは経年劣化の可能性が指摘されるとともに、点検方法の見直しや早期の原因究明を求める声が上がった。

 中日本高速道路によると、笹子トンネルは中央道の起点・高井戸インターチェンジ(東京都杉並区)から82・7キロの地点にあり、全長4784メートルで77年12月20日開通。
崩落した天井板はプレキャストコンクリート(PC)板と呼ばれ、板1枚は幅5メートル、奥行き1・2メートル、厚さ8〜9センチ、重さ約1・2〜1・4トン。
これを左右に1枚ずつ並べ、両端はトンネルの壁に固定し、中央部分はトンネル最上部からつり金具で固定していた。


 つり金具は板の奥行きと同じ1・2メートル間隔で設けられ、金具と金具の間には隔壁がある。

隔壁は天井の上の空間を左右に分け、片方はトンネル内の車の排ガスを換気機を使って排出する排気用、もう片方は外部の新鮮な空気を取り入れる送気用として利用しており、これは「横流(おうりゅう)換気方式」と呼ばれる。

 このトンネルの天井が約130メートルにわたり崩壊。
つり金具部分も落ちる一方、天井板の両端はトンネルに固定されたままで、V字形になった。
施工は76年8月から77年9月に大成建設と大林組の共同企業体が行い、点検は中日本高速グループの中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京(東京都新宿区)が担当していた。


 同社によると、天井の点検は技術者の目視と専用のハンマーを使った打音で行われ水門直仁・経営企画課長は「技術者はたたいた時の反発や音で劣化の有無についてある程度目安はつく。
一番信頼性が高い方法で、他のトンネルや業者でも同様だ」と説明した。

 一方、近年は天井がなく、ジェットファンや車の流れでトンネルの出入り口で換気する「縦流(じゅうりゅう)換気方式」が主流とされる。
横流方式には構造物が多くコストがかかる一方、縦流方式は安価なため普及したという。


 中日本高速は「トンネルの更新計画はなかったが、経済性や、天井板があると圧迫感があるので縦流方式の方が好ましいと考えていた。
でも工事には長期間の通行止めが必要なので、簡単ではない」と説明した。
【池田知広、神足俊輔】

 ◇建設30年以上、高速道36%

中日本、東日本、西日本の高速3社の管理する全国の高速道路は総延長(約8700キロ)の36%にあたる3200キロの区間が建設から30年以上たつ。
利用台数量は1日当たり約700万台、大型車の通行台数も約200万台に上り、老朽化や交通の多さから橋脚の鉄筋の腐食など急速に傷みが進み、補修が追いついていない状況だ。


 このため高速3社は先月、土木工学などの専門家による技術検討委員会を発足。
道路の大規模な修繕など老朽化対策について検討を始めたばかり。
ただし、具体的な検討は「これから入るところだった」(中日本の吉川良一保全・サービス事業本部長)という。


 また、笹子トンネルは70年代、会計検査院が高速3社の前身で当時の日本道路公団に対し、強度不足を指摘していたという。

吉川本部長は「指摘は承知している。土が軟弱で建設に苦労したトンネルだったが、指摘を受けて補強した。
今回の原因と直接結びつくとは考えていない」と述べた。


 建設省(現国土交通省)は74年、トンネルの建設や維持管理の基準として「道路トンネル技術基準」を策定。

日本道路協会が93年にまとめた基準の指針「道路トンネル維持管理便覧」は、高速道トンネルの定期点検頻度を2〜5年に1回程度とし、天井板については変形や破損、漏水がないか点検するなどの基準を示す。

実際の点検は各社がそれぞれ策定した要領に従って実施。
国交省は各社に、天井板の材質や構造について耐久性や維持管理可能な設計を求めているが、具体的な指導や監督はない。
【桐野耕一、樋岡徹也、石山絵歩】

==============
◇天井板が設置されているトンネル

 ※中日本高速道路の発表による


 <東日本高速道路>

 (1)圏央道   菅生トンネル(東京都)
 
  <中日本高速道路>

 (2)中央道   笹子トンネル(山梨県)
 (3)中央道   恵那山トンネル(長野−岐阜県)
 (4)東名高速  都夫良野トンネル(神奈川県)
 (5)新東名高速 富士川トンネル(静岡県)


 <西日本高速道路>

 (6)第2京阪道 京田辺トンネル(京都府)
 (7)第2京阪道 長尾東トンネル(大阪府)
 (8)第2京阪道 長尾台トンネル(同)
 (9)山陽道   志和トンネル(広島県)
(10)山陽道   安芸トンネル(同)
(11)山陽道   武田山トンネル(同)
(12)国道2号  関門トンネル(山口−福岡県)

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近事片々:安全神話の“経年劣化”

近事片々:安全神話の“経年劣化”
毎日新聞 2012年12月03日 12時59分

 トンネル最上部の結合部分、安全確認「目視」で。透視術のあらばこそ。

 重大事故が起きてから一斉緊急点検。
既視感がある、この風景。
安全神話の“経年劣化”は至るところに。

    ◇    ◇

 猫の目原発政策発言。互いにふらふらしながら、自分は不動で相手が揺れた、ぶれた、と言い募る奇観。
足元を固め、票の行方より、日本の行方を語れ。

    ◇    ◇

 北の揺さぶり「ミサイル外交」再稼働。
空より地を見よ、足元を、と説けど、いや足元が大変なので、みなの視線を空へ、といういつもながらの策か。

    ◇    ◇
 <みな黙りしときや枯葉の裏がへる>加藤楸邨(しゅうそん)
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2012年12月04日

衆院選きょう公示 悩み抜いた一票が力に

衆院選きょう公示 悩み抜いた一票が力に
2012年12月4日   東京新聞社説

 どの政党、候補者に政権を託すのか、実に悩ましい選択です。
でも、これだけは信じたい。悩み抜いた一票一票の積み重ねが政治を変える力になる、と。


 衆院選はきょう公示されます。
投開票は十六日です。
十二日間の選挙運動期間中、街頭も、われわれ新聞やテレビなどのメディアも多少騒々しくなりますが、私たちの今と将来を選択する機会です。
民主主義の「コスト」と思って、耳目を傾けることにしましょう。

 でも、自宅に届いた投票所整理券を見て、考え込んでしまいました。
どの政党、候補者に票を投じればいいのだろう、と。

◆民主の業績評価は

 初めて投票所に足を運んだ三十年近く前から、何回か国政選挙で投票しましたが、今回ほど悩ましい選挙はありません。
特定の支持政党や支持候補を持たない「無党派」有権者の多くが同じ思いをしているのではないでしょうか。


 その最大の原因は民主党にあります。三年前の衆院選で有権者は閉塞(へいそく)状況にあった自民党政治からの転換を民主党に委ねました。


 もちろん、この三年間にある程度前進したものもあります。子どもを社会全体で育てる理念や外交文書などの行政情報公開です。


 しかし、国民が期待する「政治家主導の政治」実現には程遠く、東日本大震災や原発事故では政権運営の未熟さも指摘されました。


 そして行き着いたのが、マニフェスト破りの消費税増税です。
国民の多くが増税はいずれ避けられないと覚悟していても、「一体」としていた社会保障の抜本改革は先送りされ、行政や国会の無駄遣い根絶もほとんど手付かずです。

 衆院選は政権政党にとって業績評価投票でもあります。続けて政権を託そうと考える有権者が少ないだろうことは、報道各社の世論調査結果が示しています。

◆原発排除せぬ自民

 では、自民党政権に戻せば、有権者の期待に応える政治が実現するのでしょうか。そう言いきれないところが悩ましいところです。


 例えば原発・エネルギー政策。
本紙の最新全国世論調査では原発稼働ゼロを求める意見は半数を超え、政府の討論型世論調査でも二〇三〇年の原発比率「0%」を評価する人が46%と最も多かった。

 政府が新エネルギー政策の策定に向けて実施したパブリックコメント(意見公募)でも約九割が原発ゼロを支持しています。
もはや原発ゼロは「国民の声」です。


 
人命を危うくし、故郷を奪う原発は、生きとし生けるものの命や生まれ育った故郷を大事にする日本人の精神構造と相いれません。

 自民党の政権公約は、原発再稼働の可否について三年以内の結論を目指し、十年以内に「電源構成のベストミックスを確立する」としています。
つまり原発稼働継続の選択肢を排除していません。


 ふるさとを大事にする保守を自任してきた自民党が、なぜ人々からふるさとを奪う可能性のある原発継続の道を残すのでしょう。


 原発は各党が公約しています。民主党が「三〇年代の原発ゼロ」、日本維新の会が「脱原発依存体制の構築」、日本未来の党が「十年以内の完全廃炉」などです。


 掛け声だけで脱原発は実現しません。省エネルギー推進や再生可能エネルギーの開発・普及、発送電分離など電力システム改革、使用済み核燃料問題など課題は山積です。
どの党の公約に実現性があるのか、見極める有権者の目も試されます。


 もう一点、気掛かりなのは憲法です。安倍晋三総裁の路線なのでしょう。
自民党は政府の憲法解釈で違憲とされる「集団的自衛権の行使」を認め、憲法改正で自衛隊を国防軍とすることを公約に掲げました。


 しかし、戦争放棄を定めた九条の解釈変更や改正は日本が戦後、平和国家として歩んできた「国のかたち」を変え、国益を著しく損なう可能性があると考えます。


 米国の誤ったイラク戦争に深入りすることを阻んだ憲法解釈を変えたり、国民に定着し、国際的にも認められた自衛隊を、国防軍にしたりする必要があるのか。


 憲法改正論議は突き詰めれば九条をどうするかに行き着きます。「改憲」か「護憲」か。古いようで実は、新しい争点なのです。

◆真贋を見極めたい


 社会保障、景気・雇用対策、消費税増税にも高い関心が集まります。
乱立する政党、候補の公約の真贋(しんがん)を見極めるのは大変な作業です。
投票日までは自分たちの生活と子どもたちの将来を考える期間と割り切ったらどうでしょう。


 ポピュリズム(大衆迎合)批判は声高ですが、主権者は日本国民たる私たちです。主権者の意に反する政治は民主主義ではありません。
われわれ新聞も読者とともに悩み、考えます。月並みですが、それが政治を変える、と信じて。

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2012年12月05日

距離感つかめる人選び

香山リカのココロの万華鏡:距離感つかめる人選び
毎日新聞 2012年12月04日 東京地方版

北海道でひとり暮らしの母親に電話をしたら、「今年は寒いし雪も早い」と言っていた。
風雪により大規模停電が起きて、寒い中、暖房器具も使えずに夜を送った人たちもいたようだ。
母も「近所のコンビニまで行くのもたいへんなのよ」と言っていた。
自然の猛威がすぐに“死活問題”にまで発展するのだ。

東京にいると、テレビのニュースでそんな北海道の映像を見ても、なかなかピンとこない。
私も母親がいなければ、「へー、たいへんね」という以上の関心も持たなかったかもしれない。

つまり、私たちにとって、自分に直接、関係のないできごとを理解したり気持ちを寄せたりするのは、とてもむずかしいことなのだ。
「人ごとだよね」と積極的に冷たい態度
を取らなかったとしてもどこかで「自分には関係ない」とそれ以上、考えるのをシャットアウトしてしまう。

しかし、これは私たちが自分を守るための知恵でもある。
遠い国や地域で起きている災害や紛争、事故にいちいち「もし私だったらどうなるだろう」「この人たちはどんな思いなのだろう」と感情を移入していたら、身が持たないからだ。
自分に直接、かかわらないことにはある程度、距離を置き、「私にはあまり関係ない」と言い聞かせることで、ちょっと安心することができる。

 自分以外のことに、どれくらいの距離を置くのか。
そして、どれくらい「この人たちはどんな気持ちなんだろう」と思いを寄せるのか。
このバランスは、それぞれが頭で考えて、自分で決めなければならない。

精神科の診察室で患者さんを診るということは、常にこの「距離の置き方」のバランスを考えるということでもある。
あまりにも接近しすぎて自分も動揺しないように、でも逆に距離を置きすぎて理解できなくならないように。

 さて、もうすぐ公示される選挙ではどうなのだろう。
それぞれの候補者たちは、有権者とどんな距離の置き方をするのだろう。
ひとりひとりの生活者たちとの距離を失って感情的になりすぎる人も困るが、とはいえあまりに高みから見下ろすような人も困る。

その「距離の置き方のバランス」が絶妙の人を探したいな、と思いながら、各党から立候補が予想される人たちの顔ぶれを見ている。


 「これぞ」という人が見つかりそうかどうか、それはここではあえて書かずにおくが、バランス感覚のある人探しは簡単ではないということは、誰にもわかるのではないだろうか。

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2012年12月06日

松葉づえ通勤で見えたこと=元村有希子

記者の目:松葉づえ通勤で見えたこと=元村有希子
毎日新聞 2012年12月06日 01時14分

 ◇せめて優先席は空けておこう

 右足を骨折し、退院後も松葉づえの生活を送った。
つえから解放されるまでの約3週間、地下鉄で通勤したが、席を譲られることはまれだった。
知人や同僚は「信じられない」「東京の人は冷たい」と憤慨してくれたが、私は譲らなかった人を責めることができない。自分も同じようなものだったと、けがをして初めて実感したからだ。


 復帰初日の帰路。車内に空席はなく、私はドアの横に立った。
右足はつま先しか地面につけられず、松葉づえだけだと揺れる車内で立っていられない。
左手に2本の松葉づえ、右手で金属製の手すりを握り、片足で立った。正面に座っていたのは30歳前後の男性。
眠っていた。5駅目で彼が降りた後、席に座るまでの約15分間、私は誰からも席を譲られなかった。


 翌日は優先席に近いドアから乗った。
優先席には既に先客がいた。
20代と見られる背広の男性はスマートフォンに熱中。
うたた寝していた中年男性は、一度起きて私と目があったが、すぐに視線をそらし、再び寝た。


 混雑する車内では、座っている人の視界はいろんなものに遮られ、困っている人が見えにくい。
それが譲られない主な理由だった。
混雑していなくても、多くの人が寝るかうつむいている。
結局、3週間で電車に46回乗り、席を譲られたのは5回だった。

 ◇悪気なき“占拠”ルール違反では

 インターネット調査会社のマクロミルが08年に公表した、交通機関のマナー実態調査結果によると、電車やバスの中で「寝る」人は51%、「携帯メールをする」人は47%(複数回答)。

実際に観察してみると、ある日は6人がけの座席の全員がスマートフォンや携帯音楽プレーヤーで何かを聴いたり、携帯電話でゲームやメールに熱中していた。


 「座っている自分の前に松葉づえの人とかお年寄りが立ったら、『今日は運が悪い』と思う」とは知人の弁。
そういう時どうするか聞いたら「こっちも疲れている。ごめんなさい、と心の中でつぶやいて寝たふりをする」。多くの乗客の本音かもしれない。


 松葉づえは、それだけで「席を譲ってほしい」というプレッシャーと「嫌な感じ」を与えているのだろうか。
私はなるべく優先席スペースに立つようにした。
とはいえ、優先席スペースも通勤時間帯は疲れた通勤客で埋まる。
ゲームやメールやうたた寝に忙しく、周囲を見回す様子はない。


 もとより優先席スペースでは「携帯電話(スマートフォンも)はOFF」がルールである。
なのにそれすら守られないのはおかしな話だ。
怒ったりあきれたりしながら、骨折する前の自分だって空いていれば優先席に座り、時にはうとうとしていたことを思い出した。

 だから「優先席には座らないようにしませんか」と提案したい。
松葉づえという分かりやすい目印があってもこの状況ならば、目印のない不自由を抱えている人はどれだけ困っているだろう。存在に気づかないまま優先席に座り続けることは、悪気がなくてもルール違反だと私は思う。


 優先席は1970年代、障害者の雇用を進める法律の改正を機に広がった。
障害者と高齢者を想定し「シルバーシート」と呼ばれたが、最近は「優先席」「思いやりシート」などと名前が変わっている。
若くても病気を抱える人や妊婦、赤ちゃん連れの人などに対象が拡大したためだ。

 ◇見えない不自由知らせるマーク

 東京都は10月末、人工関節や義足、内部障害など、外見からは分からない不自由を抱える人がかばんにつける「ヘルプマーク」を作った。
都営地下鉄大江戸線だけで試験的に導入し、3週間で希望者に4000個を配った。「マタニティマークのように広がってほしい」と、担当者は期待する。

「マタニティマーク」は06年、鉄道16社が一斉に導入。出産間際まで仕事を頑張りたい女性たちの通勤を支え、全国に普及した。


 優先席はその名の通り、配慮が必要な人のためのものだ。
03年に「全席優先席制」を導入し、全席で譲り合いを奨励した横浜市営地下鉄は今年、乗客の要望で優先席を復活させた。
都営地下鉄は全路線で優先席を倍増させた。善意だけに頼っては解決しない、という対応だが、さまざまな人が共存する都会では現実的な方法だろう。


 けがをして、多くの人の親切が身にしみた。
建物のドアを開けて待ってくれていた人。
空席に向かって歩いている私を見つけて反射的に立ち上がった人。
人には善意がある。
その善意を生かせる仕組みで、もっと電車は使いやすくなるはずだ。

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2012年12月07日

生活保護 埋没ダメ 給付基準下げに危機感

生活保護 埋没ダメ 給付基準下げに危機感
2012年12月6日 東京新聞朝刊 

 生活保護の利用者が、衆院選の行方に危機感を強めている。
門戸を狭める政府の見直しは中断したが、民主や自民など、保護費を抑える政党の主張が目立つからだ。
制度の利用を線引きする基準が下がれば、最低賃金など他の低所得者の制度にも影響するが、ほとんど話題にならない。
利用者らは、「重要な争点なのに」命の最低ラインを下げないで」と訴える。 (橋本誠)

「私たちの声を聞いてください」「最低限の生活を保障しろ」
 五日夜、冷え込む東京・永田町の歩道。
生活保護見直しに反対する利用者や支援者が、国会や首相官邸に向かって声を上げた。
財務省前でも「生活保護基準切り下げ反対」と訴えた。

 今でも、利用者の生活はぎりぎりだ。
先月下旬、東京・永田町で開かれた「全国生活と健康を守る会連合会」と厚生労働省との交渉に出席した毛利吉彦さん(78)=福岡県=は「近所付き合いもできない」と訴えた。
「お茶に誘われても断らなくてはならず、香典も出せない」というのが理由だ。

 家賃三万円のアパートで、病気がちな妻と二人暮らし。
二〇〇四年三月、脳梗塞で倒れ、三十年以上勤めた会社を解雇された。
直後、四十五歳の息子が肺がんで他界。
蓄えを治療につぎ込んでいたため、生活保護に頼るしかなくなった。
小泉改革で月約一万八千円の老齢加算が廃止に。
朝食は食パン一枚という。

 政府の見直し案では、働ける年齢層には「就労支援」の強化が叫ばれている。
札幌市内のシングルマザー(31)は「働きたくても仕事がないんです」と訴える。
二人目の子の妊娠で、生活保護を受給。
産後一カ月で就労指導を受けたが、子どもがいるだけで面接さえ受けられない企業が多かった。

 新宿区の男性(42)は、これまで首相官邸前などの抗議行動に参加した。
五年前、日雇い派遣先の仕事が無くなり、生活保護を受けるようになった
「貧困のことを知っている政治家に頑張ってほしい」と願う。

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人権守る話聞こえない 野宿者の排除進める中、選挙カー素通り

人権守る話聞こえない 野宿者の排除進める中、選挙カー素通り

2012年12月7日 東京新聞朝刊

衆院選と東京都知事選のダブル選挙のさなか、江東区が亀戸駅近くの竪川河川敷公園周辺で野宿する人たちの排除を進めている。
「どんな暮らしをしていても、生きる権利は平等なはず」。
選挙権も行使できない人たちのもどかしさは募る。 (小林由比)


  「これはいじめじゃないか」。
冬の冷え込みとなった五日朝。
首都高の高架下にある公園に、ヘルメット姿の区職員やガードマンが大挙し、公園の入り口を封鎖した。
野宿者たちのテントがある川堤との間に、高さ二メートルの鋼板が次々と取り付けられていった。


野宿者と支援者が区職員らともみ合っているわきを、選挙カーが通ったが、そのまま通り過ぎた。「地元で起きていることなのに、降りてもこない」。
一年半ほど暮らす男性(54)が吐き捨てるように言った。 」。


 公園の再整備を機に、区は三年ほど前から立ち退きを強く求めるようになった。
今は追い出された十人ほどが公園のわきで暮らすが、この日の「隔離」で、トイレや水道が使えなくなった。
郡司春彦さん(53)は「おれたちに人権はないのか」と悔しがった


二十年ほど前まで、横浜で荷役をしていた。
「そのころ区議選の投票をしたのが最後だな」。
以来、住所が定まらない生活をしてきた郡司さんの元には投票券は届かない。
「投票はしたい。でも、今は今日、明日の自分と仲間のことを考えるので精いっぱい」。
ラジオで選挙のニュースはよく聴いている。
「原発とかTPPも大事。でも根っこの話で、人権を守るのが大事ってことを言う人がほとんどいないもんな」


 仕事に就けなかったり、低賃金で貧困にあえぐ人がいる一方で、過労死するような働き方を強いられていることにも矛盾を感じる。
「少し賃金が下がってもさ、仕事を分け合う働き方もあってもいいと思うんだけど」


 公園わきで野宿する人の中には、東日本大震災の津波で母親と家を流された人もいる。
支援を続けている山谷労働者福祉会館の向井健さん(40)は「被災地に寄り添うのと同じ気持ちで、別の理由で家をなくした人々についても寄り添う社会になれば」と願う。
都市が抱える大きな課題に、多くの候補者が触れることがないのが気掛かりだ。
「有権者に関心を持ってもらうためにも話をしてほしい」


<竪川河川敷公園の野宿者への対応>
 江東区は2009年度から4年間の計画で、東西2キロの公園の改修を開始。
工事に支障があるとして、昨年度の工区にあった野宿者のテントに対し立ち退きを求める手続きを進め、今年2月、工区に残ったテント1張りに行政代執行を行った。
その後、工事が終わった場所に移った野宿者に対し再び撤去の手続きを開始。
テント1張りに対し、今月3日から7日に撤去を行政代執行すると警告していた。


 区は現在野宿者たちが暮らす場所も公共用地であるとして立ち退きを要求。
「一般の人が公園を使えるようにするため」として5日、公園に出入りできないよう工事した。

区は一連の手続きについて、「無料アパート提供や生活保護受給の手続きなど支援策は講じてきた。自主的に撤去してもらえずやむを得ない」としている。

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2012年12月08日

余録:1941年の対米英開戦の前…

余録:1941年の対米英開戦の前…
毎日新聞 2012年12月08日 00時18分

1941年の対米英開戦の前、政権を投げ出した近衛文麿(このえ・ふみまろ)の後継首相に東条英機を指名したのは内大臣の木戸幸一だった。
彼は戦後30年を経て「どう考えても僕にはあれしかなかった」
「東条推薦は失敗だというのは結果論だ」と語った

▲「結果論」といわれても、300万の国民とそれを上回る他国民の生命を奪うという途方もない「結果」だった。
およそ政治は結果責任がすべてならば、そこに政治
はなかった。
勝田龍夫著「重臣たちの昭和史」によると、木戸自身は次のように当時を回想している

▲「もう選択の余地がなくなっちゃったんだ。政治家はみんなどこかに隠れてしまって」
「東条は生真面目だ。政治家でもないんですよ、あの人は、軍人ですよ」「おそらく他の大臣を持って来ても戦争は始まったでしょう」「戦争すれば負けると思ったんだ、僕は」

▲こう見ると開戦必至で、敗戦は不可避だから東条にやらせたとも受け取れる物言いである。
何も今さら木戸の責任をあげつらいたいのではない。
「政治」というものの底が抜けた国がどんな運命をたどるか−−衆院選さなかの開戦の日を前にそれを思い起こしたのだ

▲現代の首相を選ぶのは内大臣ではなく、衆院選の有権者である。
では政治の求心力が失われ、責任の所在もはっきりしない国の迷走が続くというのは、はて昔の話か今のことか。
辛うじて、その先の運命を選べる私たちだ

▲「選ぶ政治家がいない」「誰がやっても同じ」「どうせ世の中は良くならない」。
どこかで聞いた嘆きをもらす向きもあろうが「結果」は自らにふりかかる。
まず政治の底を固める有権者の1票だ。
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真珠湾から71年 96歳の誓い 元ゼロ戦兵 非戦語る

真珠湾から71年 96歳の誓い 元ゼロ戦兵 非戦語る
2012年12月8日 東京新聞夕刊

太平洋戦争が開戦した七十一年前のきょう、長野市の原田要(かなめ)さん(96)は、零式艦上戦闘機(ゼロ戦)のパイロットとして旧日本軍によるハワイの真珠湾奇襲に参加した。
いまは語り部として講演で実体験を伝え、平和を守ることの尊さを訴えている。 
(森若奈)

「米国有数の軍港の攻撃に出られるとは、男冥利(みょうり)に尽きる」

 一九四一年十二月八日、二十五歳だった原田さんは武者震いしたという。
だが、与えられた任務は攻撃隊の上空護衛で戦闘の機会はなく、戦果を挙げて帰還した戦友が英雄視される姿を見て悔しさが込み上げた。


 翌年四月、英国軍の基地があったセイロン島(現スリランカ)の戦闘で初めて空中戦を経験。
敵機の一撃をかわして後方につき、仲間と一緒に五機を撃墜した。
瞬間は「自分がやられなくて良かった」という安堵(あんど)と「うまく当たった」という思いが広がった。
その後に、最期を悟った敵パイロットの恨めしそうな顔がよみがえった。


 その後も激戦を生き延びたが、ガダルカナル島の戦闘で撃墜されジャングルを二日間さまよって生還。
終戦は日本内地で迎えた。

今も「人を殺してしまった感覚は一生抜けない」という。


 戦後は地元に幼稚園を設立し、二年前まで園長を務めた。
「人をあやめた罪を償うとともに、平和を大事にする大人を育てたい」という願いからだ。


 「言うと思い出すから」としばらくは多くを語らなかったが、一九九一年の湾岸戦争が沈黙を破るきっかけになった。

 米軍の空爆映像を「テレビゲームみたい」と表現した日本の若者に「あの先で一番弱い人間が犠牲になっていることを分かっているのか」と危機感を覚えた。
以来、長野県内を中心に講演し、自らの厳しい体験を語り続けている。


 最近危惧するのは、対中関係悪化などで威勢のよい「ナショナリズム」を叫ぶ風潮が高まっていること。「武器を持てば、私がやったようなことになってしまう」と、非戦を貫く大切さをこれからも伝えたいという。
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2012年12月09日

政党紙配布判決 言論を封殺せぬように

政党紙配布判決 言論を封殺せぬように
2012年12月8日 東京新聞社説

 政党紙を配布した国家公務員二人に最高裁が、無罪と有罪の分かれた判決を出した。
ビラ配布を相次いで摘発した日本政府に国連が「懸念」を表明していた。
自由な言論が封殺されぬことを望む。

「憲法九条は日本国民の宝」

 そんな内容の新聞を配布しただけで、男性は逮捕された。
共産党の機関紙「赤旗」で、男性が旧社会保険庁の職員だったから公務員の政治的中立を求めた国家公務員法違反に問われた。


 逮捕は二〇〇四年だ。最高裁で「無罪」となるまで、実に八年間も要した。あきれるほど長い。


 捜査自体も異様だったといえる。
男性は二十九日間も尾行された。
多い時は十一人もの捜査員を繰り出し、四台の捜査車両を使い、六台のビデオカメラを回した。
そんな人員と税金を投入するほど、重大な事件なのだろうか。


 当時は、自衛隊のイラク派遣に「反対」と書いたビラを配布した市民団体や、政党ビラを配った僧侶らも相次いで摘発された。
いずれも政府批判の言論ばかりが、狙い撃ちされた印象だった


 国連の自由権規約委員会は〇八年に「懸念」を表明し、日本政府に表現の自由への不合理な制限を撤廃すべきだと勧告した。


 欧米などの先進諸国は、勤務時間外や勤務場所以外の政治活動は自由である。

公務と私生活を区別せず、全面的に政治活動を禁止し、反すると刑事罰を与えているのは、日本だけといわれる。

今回の無罪判決は、国家公務員法の「政治的行為の制限」に風穴をあけた意味を持つ。

 二人の裁判は「政治的中立性を損なう恐れが実質的に認められるか」が、判断の分かれ目だった。

厚生労働省の元課長補佐の場合は、その地位を重くみて、「行政の中立的運営に影響を及ぼす」とされ、有罪となった。


 だが、反対意見も付いている。
被告が「一市民として行動している」と考え、「無罪とすべきだだ。」と述べたのだ

同じ政党紙配布という行為でありながら、無罪・有罪と食い違ったのは、説得力に乏しい。


 そもそも公務員を完全に政治的中立とすること自体が、“虚構”の上に成り立っていないか。法改正も検討するべきだ。


 言論ビラの配布は、表現の自由の一手段だ。
政府への批判は、民主主義の“栄養分”である。国の行方が見えぬ時代こそ、モノを言う自由を大事にしたい。

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2012年12月10日

道路だけじゃない 老朽化原発にもアンカーボルトはワンサカある

道路だけじゃない 老朽化原発にもアンカーボルトはワンサカある
2012年12月6日  日刊ゲンダイ掲載


台湾では金属疲労で大騒ぎ

人が亡くなった中央道「笹子トンネル」の天井板崩落事故は、劣化した構造物のモロさと怖さをあらためて感じさせた。

中日本高速道路は、事故後、トンネル最上部と天井板をつっていた「つり金具」を固定するアンカーボルト(23センチ)が抜け落ちていた事実を明かし、これが事故の原因につながった可能性が高い。

 4日に崩落現場を視察した国交省の調査検討委員会によると、ボルト自体に目立った腐食は見られなかったといい、今後はボルトの埋め込みに使われた接着剤の劣化などを含めて詳細な調査を行う。

 アンカーボルトはトンネルに限らず、橋梁(きょうりょう)やビルなど、ありとあらゆる構造物に使われている。いわば「基礎」そのものだ。
基礎」を失った構造物がいかにヤワで壊れやすいか。今回の事故で、それがよく分かった。

 となると、当然、あの重大施設に使われているボルトの劣化が不安になってくる。老朽化した「原子力発電所」である。

40年近くにわたって原発問題に取り組んでいるNPO法人「原子力資料情報室」も原発で使われているボルトの耐久性について警鐘を鳴らす。

「笹子トンネルと同タイプではないにしても、タンクや配管、鉄塔などの固定にアンカーボルトは多く使われています。強度は計算されているでしょうが、地震が続けば耐久性が持つのかどうかは分かりません」

 原発施設で使用されているボルト劣化の懸念は決して大げさじゃない。実際、台湾第2原発では、3月にアンカーボルト7本の破損が判明して大騒ぎになった。台湾電力の調査で、原因は「金属疲労」だった

 日本では77年の笹子トンネル開通よりも前に運転を開始した老朽化原発がゴロゴロある。

事故を起こした「福島原発」や「敦賀原発」「美浜原発」「高浜原発」「玄海原発」などだ。
これらの施設に使われているボルトが原発稼働中に一斉に外れたら……なんて、考えただけでゾッとする。
やっぱり「廃炉」しかない
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私の視点 読者から 景気回復願う切実な声 衆院選

私の視点 読者から 景気回復願う切実な声 衆院選
産経新聞 12月8日(土)14時49分配信

■離合集散 政治家の姿勢に疑問符

多くの政党が、それぞれの争点を掲げて支持を訴える今回の衆院選。
有権者の方々に「私の視点」を募集したところ、多くの意見が寄せられた。
景気・雇用、原発、社会保障など個別の政策に加え、政治家の姿勢についても厳しい意見が相次いだ。

景気対策については、切実な声が相次いだ。

 「自分の勤めている会社は大企業からの受注で成り立っていて、景気の影響を受けやすい。景気が上がれば税収も増えるので、景気をよくする政策を打ち出す政党に期待している」と景気回復を願うのは千葉市美浜区の会社員、赤木久(ひさし)さん(58)。
 「景気対策が一番。景気の上昇に答えが出そうな政党に一票を託したい」という大阪市中央区の建築士、青木善雄さん(76)は「多くの党が卒、脱原発を発信しているが、雇用問題や操業短縮を強いられている製造工場などを検証した上での発言か首をひねりたくなる」。

京都市北区の大学生、山本佑子さん(20)は「原発がなくても安定的に電力が確保できるか不安。厳しい批判にさらされても原発を推進すべきだと主張する政党を応援したい」と、脱原発政策が景気や雇用に影響を及ぼすことを懸念する声が寄せられた。
一方、水戸市の鍼灸(しんきゅう)師、葛野隆紹(たかつぐ)さん(61)からは「開発費用や燃料費だけでなく、使用済み燃料の処理や事故後の除染などの費用も含め検討してほしい」と原発停止を求める意見も。

暮らしに密着する問題では、「働きながら3人目の子供を妊娠中」という名古屋市千種区の非常勤講師、加藤加奈子さん(31)から、「保育園の拡充や男性の育児休暇の取得など働く女性が子育てをしやすい環境を整えてくれる政党に期待したい」という声が届いた。

 社会保障については大阪府東大阪市の主婦、宮本恵子さん(72)が「戦後の日本を築いたのは私たちの年代。
辛抱を美徳としてひたむきに頑張ってきた。
今の政治家たちには私たちの気持ちは全く分かっていない」と高齢者の立場から政治家を批判。

支える世代の東京都世田谷区、会社員、持木瑛宏(もちき・あきひろ)さん(29)は「消費増税の賛否だけではなく、財源を確保して問題を解決するため現実的な計画が立てられているかを見極めたい」と持続可能な制度づくりを求める意見を寄せた。

 公示直前に政党が離合集散した今回の衆院選では、政治家の姿勢を問う意見も多く寄せられた。

 大阪市天王寺区の無職、宇田川美奈子さん(45)は「小泉チルドレンから始まり、わけの分からない人が国会議員になりすぎだ。もっと勉強した人がなるべきだ」。

同市東淀川区の自営業、川西英二さん(55)は「選挙では、どちらにつけば有利かなどしか考えていないのではないかと不信感が募っている」と、政治家の力量や姿勢に疑問を投げかける。

 政党が数多く名を連ねる状況には、同市住吉区の会社役員、熊佐恭造(くまさ・きょうぞう)さん(63)から「政党には党の目指すべき綱領を発表させることが必要。選挙目当てや政党助成金ほしさに徒党を組む政党を許してはならない」と野合を懸念する意見が寄せられた。

 一方で、新しい政治の動きに期待する声も届く。
京都市中京区の会社役員、田附剛士(たづけ・たけし)さん(63)は「(政党や政治家は)信念が確固たるものであればよい。

党や政策の下に集まっても、一人一人意見が違うのは当たり前。
心の底から信念を持って政策を述べているのならば、それで良いではないか」と、意見の対立を乗り越えて問題を解決していく政治家の出現を期待した。
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2012年12月11日

すっかり総理になったつもり ユルユル安倍総裁“選挙違反”騒動

すっかり総理になったつもり ユルユル安倍総裁“選挙違反”騒動
2012年12月10日  日刊ゲンダイ掲載


すっかりソノ気だ。すでに勝つ気で日米首脳会談を打診 

自民党の安倍晋三総裁が、来年1月中旬の訪米を米側に打診したという。
政権復帰を前提にしているとはいえ、オバマ大統領と「首脳会談」を行う方向で検討しているというから、おいおい、ちょっと待てよ、だろう。

「大マスコミが序盤から『自民党優勢』と報じたもんだから、安倍さんは『踊らされ、惑わされ、有頂天になるな』なんて文書を、公認候補全員に送ったんです。
それなのに当の本人がすでに総理気取りでは、引き締められるわけがない」(自民党関係者)
「過半数確保」を予測する大マスコミも複数あるし、「『安倍総理』誕生決定的!」なんて報じる週刊誌もある。

 安倍の頬がさらに緩むのも仕方がないが、世論調査とは打って変わって自民党が惨敗した98年参院選の例もある。

 投票まで残り1週間。00年の森元首相の「神の国発言」みたいに失言しないとも限らないのに、安倍は「緊張感が薄れているとしか思えません」(前出の関係者)。

それを象徴するような騒動が持ち上がっている。
10日発売の文芸春秋1月号。
「新しい国へ」と題した安倍の署名原稿が10ページにわたり掲載されている。

経済対策から日中関係、集団的自衛権など“政権構想”を展開しているのだ

もう勝った気なのだろうが、
このタイミングで詳細な政権構想を出すことに、はネットで「選挙違反じゃないか?」という声もある。

 「公選法では法定のはがきやビラ、パンフレット、書籍など以外の文書を選挙運動に使用することを禁じています。
だから個人のホームページの更新もダメなわけで、今回の安倍氏の寄稿も『法定外文書の頒布に当たるんじゃないか』という疑念です」(永田町事情通)

総務省は「内容を読んでいないのでなんとも言えない」と言っていたが、ま、これも浮かれすぎの安倍への批判と受け止めた方がいい。

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2012年12月13日

子育て、雇用忘れないで=身近な争点、埋没懸念―働く女性、求職者ら【12衆院選】

子育て、雇用忘れないで=身近な争点、埋没懸念―働く女性、求職者ら【12衆院選】
2012年12月13日(木)5 時26分配信 時事通信 

約2万5000人に上る待機児童、厳しさが続く雇用情勢に過去最多の生活保護受給者…。
暮らしを左右する身近な争点が、原発の是非や大盤振る舞いの景気浮揚策などに隠れがちだ。

働く母親や失業者らは見極めの視線を厳しくしている。

 埼玉県草加市の女性(31)は「1歳の長女を私立保育園に預けているが、給料の半分が飛んでしまう」とこぼし、増税で恩恵が感じられない
子供手当より、保育園を小学校に上がるまで安く使えるようにしてほしい」と望む。

東京都杉並区の鍼灸(しんきゅう)師の女性(30)も「区から待機児童が200人以上いると言われた」とあきらめ顔。
「未来の子供に借金するような給付金でなく、制度を整備してほしい」と注文した。

 3歳の長女を持つ目黒区の主婦(40)は「少子化と言う割に子育てに優しくない世の中だ」と指摘。
「3歳未満の保育所利用拡大は幼児教育無償化より女性の社会復帰に役立ちそう」と各党の公約を注視する。

 渋谷区のハローワーク。区内の男性(41)は「書類選考すら通らず厳しい」と肩を落とす。
「脱原発の主張ばかりだが、経済が後退してしまうのでは」と雇用環境悪化を懸念した。
今年4月にリストラされ、ようやく再就職が決まったという世田谷区の男性(57)は「まだ働ける。自分たちの年代の能力を生かせる受け皿を作って」と話した。 
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2012年12月14日

「国民よ、茶番選挙にもっと怒れ!!」

未来の党 小沢一郎激白「国民よ、茶番選挙にもっと怒れ!!
2012年12月11日  日刊ゲンダイ掲載

維新の会は“新選組”に過ぎない

 大マスコミの選挙予測ではあまり伸びていない「日本未来の党」だが、今度の選挙戦での役割は重要だ。

談合3兄弟といわれる民自公に石原・維新も連携をにおわせ、選挙後には超タカ派連合の“大政翼賛会”ができそうだからだ。

それを阻止すべく、旗揚げしたのが「未来の党」なのである。その立役者、小沢一郎に現状の分析、今後の戦い方、これからの日本の政治の行方を聞いてみた。
 小沢は10日、都内6カ所で街頭に立った。
「久しぶりのことだよ」と笑ったが、危機感の裏返しだろう。

危機感とは、「未来」の行方もさることながら、このまま新聞が報じるような自民圧勝の選挙結果になったら、日本がとんでもないことになってしまう
そんな危機感が小沢を突き動かしたのも間違いない。

「前回選挙も政権交代ということで、日本の議会制民主主義においては大事な選挙でした。しかし、今回は特別です。このままでは昭和史の大政翼賛会のようになりますよ」
と、いう小沢は「今の政治家は常識では考えられない」と切り捨てた。

「まず、野田政権がなぜ、解散したのかが不可解です。
ほぼ負けるって分かっているわけでしょ。
多くの同志が討ち死にする。野田さんはもちろん総辞職です。
何を目指して、解散したのか。そうしたら、一部の幹部が生き残って、また自民党と政権をつくるって。
(茶番選挙?)そうですよ。
よく分からんよ、単純な頭には。
とにかく、常識では考えられないようなことが起こっている。
民主党というのは驚くべき政党になっちゃったね。
何でもあり。どうでもいい。とにかく、自分の保身だけ。
それと自民党はいっしょになってんだから。
国民を愚弄していますよ。国民はもっと怒らなければいけない」

 だから、小沢は民主党と決別したのだ。小沢が与党を出るのは2度目だ。
「昔は派閥を出るのだって大変といわれたくらいです。私は応援してくれる人がいるが、同志は大変な決断をしてくれた。そのことを国民にはもっと知ってほしい」

 ただ政権与党にいたい。そんな保身目当ての民主党のメンメンとは違うのである。

 本来であれば、そんなデタラメ既成政党に対抗すべく、第三極を一本化するのが理想だった。
「一本化すれば、間違いなく勝てた。しかし、一・五極みたいになっちゃった。
維新の会は誤算でしたね。
もともと自民党的体質だということは分かっていたが、石原慎太郎氏と組むとは思っていなかった。
だって、筋論、論理からすると考えられないんですよ。
石原さんっていうのは旧体制の人だからね。
維新というのは革命を指す言葉なのに幕府の補完勢力になるんじゃ、新選組じゃないかって言っているんです。 もう少し(橋下さんは)自分の論理を押し通す人だと思っていた」

 そんな連中がこぞって、「核武装」みたいなことを言っているのだから、ゾッとするのだ。

<あてにならない世論調査>

「安倍晋三さんは核武装の議論をしなきゃいけないと言っていました。
石原ナニガシもまた核武装の話をしている。
野田さんも核武装を言ったことがある。
こういう人たちが一緒になって、日本はどうするんですか。
非常に心配ですね。
中国は政権が代わった。
北朝鮮もそうです。世界不況が長引く中、経済的な問題は即、政治的問題になる。そんなとき、対応する能力やプランのない政権がただ威勢のいい話ばかりして、対立をあおれば、事態を悪化させるだけです。
中国と戦争するんですか。とんでもない話です」

 だからこそ、「未来の党」に期待がかかるのだが、小沢は意外にも「手ごたえを感じる」と言った。

「新聞テレビの調査はあてにならないんですよ。
(2000年の総選挙でも選挙前)自由党の支持率は2%くらいだったが、比例で600万票を取った。
前回の政権交代のときも民主党は直前まで自民党にリードを許していた。あのときほどの熱気はないにせよ、今回もここにきて、非常に反応がいいという報告が来ています。
僕がやった街頭も事前に何の予告もせず、いきなり行って、人っ子一人いないところで始めたんですが、次第に50人、100人くらい集まってきた。
中野や板橋など、人通りの少ないところで、あれだけの人が集まるのは相当な割合です。
(選挙情勢は)新聞が書くほど悪くないと思っていますし、自民党の圧勝予測だって、別に自民党が変わったわけじゃなくて、消極的なあきらめでしょ? その結果、翼賛体制になってもいいのか。
自分の判断で投票して欲しいと思います」

 小沢がそう期待するのは、もうひとつ、理由がある。国民の成熟度。これが変わってきたという。


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2012年12月15日

勝谷誠彦氏「今こそ無知の知を自覚し、善い投票をしよう」

勝谷誠彦氏「今こそ無知の知を自覚し、善い投票をしよう」
2012.12.15 07:00     NEWSポストセブン

 投票を前に、あるいはもう国民の義務を済ませた向きには振り返るべきこととして、私は民主主義の祖国で偉大なる哲学者が語ったことを記しておきたい。


「自分自身が無知であることを知っている人は、自分自身が無知であることを知らない人よりも賢い」あるいは「真なる智への探求は、自己の無知を自覚することから始まるのだ」。

私がもっとも尊敬する先哲のひとり、ソクラテスの言葉だ。
彼の「ただ生きるな、善く生きよ」という警句は、私が座右としていることでもある。
そして、これらはすべて同じことを言っているのだと私は思う。
私なりの稚拙な解釈によれば「自分が何を見ているのか自覚せよ。呆然として流されることなかれ」ではないのか。


 今回の総選挙について、大マスコミは「複雑だ」「投票先がわからない」などとしきりに書き立てる。
普段ならばただの「あんたらにはわからないだろうね」という上から目線なのだが、今回に限っては、メディアもまた行方を読みきれずにいる。
あるいは、いた。結果が出たあとにこれをお読みの方が、そう感じてくれるかどうかはわからないが。


 先の二度の総選挙は「わかりやすい」選挙だった。
いや「わかりやすい」構造をメディアが作った。
郵政民営化、賛成か反対か。政権交代、賛成か、反対か。
結果、チルドレンと呼ばれるバッタものが大量に生産され、有権者はおおいに後悔することになった。


 だが本当に「わかりやすい選挙」だったのだろうか。
郵政民営化がされるとどういうことが起きるのかを、有権者ひとりひとりが正確に把握していただろうか。
民主党の党内ガバナンスがどの程度のものなのかを、わかって政権を任せたのだろうか。


 そうではなかったと私は思う。
煽り立てたメディアは確かに「第四の権力」として節操がなかった。
だが、彼らもたかが商売なのだ。
ひどい店でバッタものをつかまされたならば、買った方にも半分は責任がある。


 ソクラテスの言うところの「無知の知」を私たちはどこまで自覚していたか。
「そんなものは知らないよ」ですませ、「みんながあっちに行ったから、遅れないようについていこう」ではなかったか。
謙虚に「私はモノを知らない有権者だから、勉強しよう」と考えて投票所に行った人がどれほどいるのか。


 これは選挙に限ったことではない、この国はあらゆる場所で国民を甘やかしすぎてきた。
選挙でいえば有権者に「あんたはモノを知らないからもっと勉強して来い」などという勇気は政治家にはなかった。
いや、私が知る何人かの政治家はそうだったが、「傲慢だ」というレッテルを貼られ、不勉強を叱られた大マスコミはそろって叩きのめした。

実はこの国の失敗は「無知に甘かったこと」なのである
「子日わく、民は之に由らしむべし。之を知らしむべからず」と言った孔子が生まれた国は、まさに今もその通りの古代の闇の中を生きているが、私たちだって笑えたものではない。
長く続いた自民党一党独裁というのは、まさにそんな政治だった。


 しかし、私が名付けた利権談合共産主義が壊れ、大ボス小ボスから「利権のカケラをあげるかわりにここに投票してね」と言われなくなると、多くの有権者は呆然と立ちすくんだ。
そのとき必要なのは「お勉強」だったのだ。
この国の構造について学び、政治家ひとりひとりについて識り、国家の誇りとは何かを自覚する。
これは誰も教えてくれないことだ。あなたや、あなたが学ぶしかないのだ。


 せっかく「自立した個人としての有権者」として解放されながらも「誰かが教えてくれる」とキョロキョロしている間に、この国は二十年ほどもの歳月を失ってしまった。
もう、あとはない。今こそ覚醒するしかない。


 公示日の朝日新聞の一面に、政治部長が興味深いコラムを書いていた。
<わかりにくい衆院選である>と書き出される。
これまでであればそれを「賢い」朝日新聞が解説してみせるのだが、記事の半ばにはこんな記述があって私は驚いた。


<ブームを追いかけ、ときにあおり、物事を単純化しすぎた選挙報道をあらためるときだ。今回、世間が先に気がついた。>


 今さら何を言っているのかと批判することはたやすい。
しかし最後の一節は、私は現場を知るものの正直な認識だと思う。

少なくとも、人々は「無知の知」に気づきつつあるのだ。
ザバン、ザバンと揺すった盥の中の水のような「民意」がどれほど危険であるかを、この十年あまりで思い知ったのだ。


 一年を振り返って面白い現象が、師走になって報じられた。
今年は100 万部を超えるベストセラーがなかったと言うのだ。
多くの報道は書籍不況のせいにしているが、私はそれだけではないと感じている。
モノ書きの端くれとして「小泉劇場」のころからこのかた「なんでこんな本がこんなに売れるのか」と感じることが多かった。
本当に、買った人は読んでいるのか、とも。
なぜならば、それらの内容を受けての論議や社会現象につながっていっていなかったからだ。


 人々が立ち止まって「思考を開始した」ことと、このミリオンセラーの消滅とは、かなり近い現象のように私には思われる。だとすれば、出版社には申し訳ないが、決して悪いことではない。


 さあ、立ち止まり「無知なる有権者」の自覚のもとに、せいいっぱい考えよう。「ただ投票する」のではなく「善い投票」をしよう。自分のため、日本国のために。


 その意識をもって投じられた一票は、たとえ結果に繋がらなくとも、あなたや、あなたの中の財産として残るはずだ。
それはやがては政治に対する興味にもつながり、この国を動かしていく。


 投票行動とは民主主義によって与えられた学習機会である。それをきちんとこなすことが、タフな日本国民を育て長く惰眠をむさぼってきた「おまかせ民主主義」からの卒業証書をようやく貰えることになる。

※『メルマガNEWSポストセブンVol.44』
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2012年12月16日

衆院選投票日に考える 歴史に学ぶ「明日」を

衆院選投票日に考える 歴史に学ぶ「明日」を

2012年12月16日  東京新聞社説

 私たちの立ち位置、日本の将来、世界への貢献。
「震災後」初の国政選挙では、未来の日本人から有権者の選択が凝視されている気がしてなりません。


 「この国のかく醜くもなりぬれば捧(ささ)げし命ただ惜しまるる」


 先の大戦で夫を亡くした九十二歳の女性の歌。

今回の選挙戦で、この歌を随所で披歴したのは石原慎太郎日本維新の会代表ですが、維新の会や自民党が「改憲」「国防軍」などを公約に掲げたことに中国、韓国だけでなく米国からも懸念の声があがりました。


 生きていたら歌の女性より三歳年下の旧陸軍特別攻撃隊員・上原良司氏は六十七年前の「遺書」に次のように書いています。

◆自由主義こそが本性

 「私は明確に云(い)えば、自由主義に憧れていました。日本が真に永久に続くためには自由主義が必要であると思ったからです。
これは、馬鹿(ばか)な事に聞えるかも知れません。(中略)しかし、真に大きな眼を開き、人間の本性を考えた時、自由主義こそ合理的なる主義だと思います」(岩波文庫新版「きけわだつみのこえ」)

 一九四三年、上原氏は慶応大学生から特攻隊員になり、東京・調布飛行場で短期の訓練を受け、四五年五月、沖縄沖で米機動部隊に突入して戦死。
二十二歳でした。


 昨年、調布市内で開催された「上原良司と特攻隊」展で辞世の句(春雨や思ひすてたる身も散るる)とともに展示された「訓練ノート」を見ました。

「自分は全体主義ではない。自由主義を信奉する」との記述に、検閲した上官が「全体主義の重要性」を朱筆で細かく書き加えています。
鉄拳を加えられたか、間もなく出撃だからと大目に見られたかは分かりません。

 彼が自由主義を信奉したのはイタリアの哲学者・歴史学者ベネデット・クローチェ(一八六六〜一九五二)の影響でした。

◆未来に託した「散華」

 クローチェは同国上院議員に当選した頃はムソリーニ支持でしたが、次第に反ファシズムに転じムソリーニ攻撃を強めます。
「自由な心が欠如していれば、どんな制度も役に立たない。
自由な心が存在すれば、どんな制度もそれぞれの時代と場所に応じて立派に役立つ」
と強調しました。


 三九年に出版された「クロォチェ」(羽仁五郎著、河出書房)に上原青年は、もう一つの願いを託しました。
本のところどころに鉛筆で付けた○印の活字をたどると「きょうこちゃん 僕はきみがすきだった」と読めるのです。


 早稲田大学生から学徒出陣で陸軍に入営、四四年にフィリピン海上で戦死した吉村友男氏(二十二歳)もクローチェの影響を受けていました。
「クロォチェは批判ということを一番大切にしました。
歴史の正しい批判を現実に活(い)かすことによって、人々が幸福になれるのだと考えていました。
これは(中略)私たちの生活にも言えると思いますがりました。」(「きけわだつみのこえ」から)


 若者たちは「自由」「愛」「批判」などが尊重される社会を自らの命と引き換えに実現することを夢見て散華していきました。
「愛する日本を偉大ならしめられん事を、国民の方々にお願いするのみです」(上原氏の「所感」)


 昨年の東日本大震災は、敗戦以来の大変革期が来たことを私たちに告げました。エネルギー革命の主役だった原発が震災で制御不能に陥り「技術万能」神話が崩壊しました。

少子高齢化に伴う人口構造の劇的変化は、戦後の高度成長をもたらした「三種の神器」(終身雇用、年功序列賃金、企業別労組)では乗り切れないことを教えます。
国・地方の財政赤字は三年前の政権交代で減少するどころか、結局は増税で国民に付け回しという事態に直面しています。


 尖閣諸島など領土問題で近隣国との緊張が高まり、打開の糸口すら見えません。最近の右傾化ムードは日本を覆う閉塞(へいそく)感の打破を狙った焦りとも受け取れます。
大震災を機にもろもろの弱点や硬直した体質が一気に露呈し、政党政治が的確な対応能力を失っている状態です。
今回の多党化選挙も政党政治の劣化現象の一端を映し出しています。


 だが歴史が教えるように政党政治を見捨てては、もっと悲劇的になるでしょう。四〇年、斎藤隆夫氏(民政党)の反軍演説を境に各政党が軍部の前に膝を折り、解党して大政翼賛会という全体主義に突っ走った苦い経験を再現してはなりません。

◆立ち位置を考えながら

 過去を振り向けば将来の予測に役立つのと同様に、五年後、十年後、二十年後の日本に自らの身を置いてみて、いま日本が立つべき位置はどこかを冷徹に考えながら投票所に向かいましょう。

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2012年12月17日

国民をよく畏れよ 自民圧勝、政権交代へ

国民をよく畏れよ 自民圧勝、政権交代へ
2012年12月17日   東京新聞社説

三年前、民主党への歴史的な政権交代を成し遂げた民意は今回、野田佳彦首相に退場を迫った。


衆院選マニフェストに反する消費税増税の決定を強行し、国民を裏切ったからには当然だ。
「政治家主導の政治」「緊密で対等な日米同盟関係」など国民との約束も果たせずに終わった。

 かといって、民意はかつてのような自民党政治への回帰を積極的に支持したわけでもなかろう。
自民党が野党の三年間で自己変革を成し遂げ、磨き上げた政策への圧倒的な支持で政権復帰を果たしたわけではないからだ。


◆民主への懲罰投票 

今回、再び政権交代に至った要因に挙げられるのはまず、公約を破り、誠実さを欠く政権運営を続けた民主党には投票しない「懲罰的投票」が多かったことだ。


 同時に、民主党分裂や日本維新の会など第三極の候補者擁立で、この懲罰的投票としての民主党批判票が分散し、結果として自民党が「漁夫の利」を得た。


共産党が小選挙区で候補者を絞り込み、反自民票の多くが民主党に流れた前回衆院選とは逆のことが起こったのだ。


しかし、政権交代というの節目を迎えたにもかかわらず、三年前のような高揚感に乏しい。
そのことは、政党支持の指標となる比例代表の獲得議席数を見れば明らかである。
 例えば、自民党が圧勝した二〇〇五年衆院選の比例獲得議席は七十七、〇九年の民主党は八十七だったが、今回、自民党の比例獲得はそれらに及ばなかった。
自民党はまず、この厳しい現実を直視すべきである。

◆脱原発は引き継げ それでも勝利は勝利だ。


自民党内では投票日前から、安倍晋三「首相」の年明け訪米に向けた調整や、安倍「内閣」の閣僚就任を目指した猟官運動も始まっていた、という。


 円滑な政権移行には事前準備が必要だとしても、それ以前に考えておくべきことがある。
政権をどう運営し、政策を実現するかだ。


安倍氏は十六日、自公連立の上で「理念・政策が一致する党に協力をお願いする」と、政策課題ごとに野党と協力する「部分連合」で対応する考えを表明した。

 自公両党が衆院で三分の二以上の議席を得ても、参院では過半数に届かない「ねじれ国会」であることを考えれば妥当だろう。

国民が政治に期待するのは、生活がよりよくなるような政策を一つでも多く実現することである。


 これまでのねじれ国会では予算関連法案を人質にしたり、野党多数の参院で首相や閣僚の問責決議を乱発して政権を追い込んだりする手法が横行した。
党利党略による不毛な対立は見るに堪えない。


 民自両党がともに与野党双方の立場を経験して迎えた今回の政権交代を機に、悪弊を断ちきることができれば、日本の民主政治にとって一歩前進だろう。


 安倍自民党は勝利におごらず、野党の主張に耳を傾けて丁寧な国会運営に努め、地に足のついた政権運営を心掛ける必要がある。


集団的自衛権の行使容認など、党の主張は一時棚上げすべきではないか。
政治を機能させるための忍耐は、恥ずべきことではない。


野党側も不毛な政権攻撃を繰り返すだけでなく、建設的な提案と合意形成に努めるべきである。


 民主党は敗北したが、次期政権が引き継ぐべきものがある。それは原発ゼロを目指す方針だ。

 「脱原発」勢力は半数に達しなかったが、自民党も原発稼働継続を堂々と掲げて勝利したわけではない。
党内にも原発ゼロを目指すべきだとの意見もある。

そもそも、時期はともかく原発稼働ゼロは各種世論調査で常に半数前後を占める「国民の声」だ。
 野田内閣は「三〇年代の原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」との戦略を踏まえ、エネルギー・環境政策を進めることを閣議決定した。
原発ゼロを実現するには十分ではないが、閣議決定であり、特段の状況変化がない限り、後継内閣が方針を引き継ぐのは当然だ。

◆課題処理こそ試練
 巨額の財政赤字や、ずさんな原子力行政など「自民党は今の日本の課題を作り上げた張本人」(同党の小泉進次郎氏)でもある。

民主党の稚拙な政権運営に落胆した国民は、自民党がこれらの課題処理に政権担当能力をどう発揮するかにこそ注視している。
今回の政権交代は、政治は国民の手にあることを再び証明した。このことを自民党はもちろん、すべての議員が畏れるべきである。
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2012年12月18日

記者の目:安倍政権と歴史問題=西川恵(外信部)

 記者の目:安倍政権と歴史問題=西川恵(外信部)
毎日新聞 2012年12月18日 00時15分

 日本の右傾化が内外で話題となる中、その空気を体現するように党内右派の安倍晋三氏率いる自民党が総選挙で圧勝した。
安倍新首相の外交における重要なポイントは、前回と同様、歴史問題をどう管理するかだと思われる。

◇国際的公共益を念頭に外交を

 右こそ右を抑えられるといわれるといわれるように、首相時代(2006年9月〜07年9月)、安倍氏は信念の靖国神社参拝を自制し、小泉純一郎政権下で悪化した中韓との関係改善を果たした。

今回、領土問題で再び中韓、特に中国との関係が最悪に陥る中で再登板するめぐり合わせとなった。


 前回のように巧みにさばいてほしいが、衆議院で公明党と合わせ3分の2を超える議席を獲得し、独自色を打ち出すチャンスと安倍氏が捉える可能性もある。
ここで歴史問題全般に触れる余裕はないので、私が一つの懸念材料とみている従軍慰安婦問題を取り上げる。

◇河野談話見直し表明した安倍氏

安倍氏は、この問題で「おわびと反省」を述べた河野(洋平)官房長官談話(1993年)を見直す考えを明らかにしている。

「狭義の強制(いやがる女性を無理やり連行したこと)はなかった」とし、「これを正さないと将来の日本の人々に申し訳ない」という趣旨のことを述べた。


 私は以前、オランダで従軍慰安婦問題をかなり深く取材した。
日本軍がオランダの植民地だったインドネシアを占領した際、オランダ人女性を慰安婦にした問題だ。


 安倍氏は従軍慰安婦に対して不特定多数を相手にした公娼(こうしょう)所にいた女性のイメージを抱いていて、貧しさなどから働くようになった人もいて「狭義の強制はなかった」と言いたいのだろう。


 しかし、女性たち全員が公娼所のようなところにいたわけではない。

河野談話に基づいて95年に設立されたアジア女性基金は、韓国、台湾、フィリピン、
オランダを対象に従軍慰安婦への償い事業を行った。

オランダでは女性75人を従軍慰安婦と認定したが、中には日本人将校の愛人にされた人妻や、13歳の時に日本人将校に愛人にされ、子供を産んだ女性もいる。

 また当時、日本兵のホモセクシュアルの相手をさせられたオランダ人少年4人がいた。
アジア女性基金はこの4人も従軍慰安婦のカテゴリーに認定し、女性と同様に福祉・医療費支援を行った。
つまり従軍慰安婦といってもさまざまで、少女や少年もいた状況にあって、狭義か広義かの区分は意味をなさない。


 「愛人にされた女性は本来の従軍慰安婦ではない」との反論もあろう。
しかし今日、欧米は従軍慰安婦問題をすぐれて女性の人権にかかわる問題として捉えている。
強制連行があったかどうかに関係なく、女性を嫌悪すべき状況に置いたこと自体を人権違反と捉えている。


◇独りよがりでは日本は孤立する

 すでに07年、米下院本会議で日本に対し、慰安婦問題で謝罪を要求する決議案が採択された。
オランダ、カナダ、欧州連合(EU)も続き、同種の決議が議会で採択された。

領土問題で国際社会の支持とりつけに走り回っている日本外交にとって、この二の舞いは大きな打撃である。

 最近の右傾最化の空気で私が危惧するのは、国際社会の共通認識や価値観と乖離(かいり)したところで、独りよがりともいえる議論が時折、目につくことだ。
これは個人的な心情や倫理観を位相の異なる政治の場で扱おうとする態度にもつながっている。

 米国のある識者は「右傾化によって、日本は短絡的な見方しか持てなくなっているように感じる」と指摘した。

反中感情があおられ、長期的ビジョンを練る余裕がなくなっているというのだ。


 戦争の惨禍をアジアに及ぼした日本は二度と排他的利益を求めず、国際的な公共益に沿ったところで自国の国益を追求していくことを課せられていると思う。
ドイツが機会あるごとに「ドイツの欧州にはしない。欧州のドイツになる」と言うのと同じ脈絡だ。

 政府開発援助(ODA)や国連平和維持活動(PKO)はまさに国際的な公共益に貢献しつつ、日本の国益を広げてきた格好の政策である。
国際社会が日本に抱く好印象と高い期待も、国際的公共益を常に念頭においてやってきたことの結果といえるだろう。

 先の従軍慰安婦問題も女性の人権という公共益の中に位置付け、日本が主導権をとる形で解決できるはずだ。

アジア女性基金というノウハウも持っている。
国際的な公共益に背を向けるような「狭義の強制はない」といった主張は、日本を孤立させかねない。

posted by 小だぬき at 11:06 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月19日

「官製ワーキングプア」の実態 国や市町村の臨時職員の給料

「官製ワーキングプア」の実態 国や市町村の臨時職員の給料
2012年12月17日(月)16時50分配信  キャリコネ

 正社員なみにフルタイムで働いても、収入が生活保護の水準にさえ達せず、最低限の生活さえおぼつかない人たちがいる。
いわゆる「ワーキングプア」と呼ばれる就労層で、日本語にするなら「働く貧困層」だ。


 このワーキングプアが、民間企業に限らず、公共部門にまで広がっている。
自治体や省庁などで非正規職員として働く人たちが、著しい低賃金労働に置かれているのだ。


 こうした「官製ワーキングプア」の実態について、学問的なアプローチで実態解明に取り組んだ研究書が出版された。
それが「国・地方自治体の非正規職員」(早川征一カ・松尾孝一著、旬報社)だ。


 早川氏は法政大学の名誉教授で、公務員の賃金に関する研究者。「公務員の賃金」「公務員の制度と賃金」などの著書がある。
また、松尾氏は青山学院大学経済学部の教授で、公共部門の労使関係などを研究してきた。2人は言う。


 「国の非常勤職員の賃金に関しては、実はいかなる政府統計も存在しない」

 つまり、公共部門の非常勤職員が置かれている労働条件の厳しさについて、しっかりとして資料がないのである。本書は、この問題を、独自調査や各種の資料で克服しようと試みている。そこで明らかになった非正規職員の賃金や手当の実態はどんなものなのか、見てみよう。


1年間フル出勤しても年収は238万円

 まずは非正規職員の賃金の実態だ。著者らが例としてあげるのは、国土交通省における事務補助職員のケースだ。


 基本賃金は、人事院「給与指針」が規定する日額表によって定められる。地域手当を考慮しない場合の日額は、最低6080円だ。


 そして、1カ月に22日をフル出勤したとして、月額は13万3760円。ほかに、期末手当(1.75カ月×0.8)があり、これが18万7260円。年収にすると180万円になる。

 また、勤務地が東京になると、これに地域手当が付いて日額は7930円に上がる。しかし、フル出勤をしても月額17万4460円だ。期末手当が24万4240円としても、年収は238万円にしかならない。


 実際は、1年間を通じてフルに22日間を出勤することは難しいだろう。
そうなると、年収はこれよりも少なくなる。


 ほかの省でも同様だ。著者たちは法務省のデータもあげているが、地方勤務の場合は年収158万円。
公務員の同様の勤務をしていながら、年収200万円に満たないケースが普通に存在するわけだ。


150団体が時給700円以下 臨時職員の給与は正規の半分


 一方で地方自治体はどうだろうか。これについては総務省の「臨時・非常勤職員に関する調査」(2008年)がある。


 この調査によると、全国の自治体で臨時的任用職員の時給は平均808円。
フルタイムで働いて、平均月額は14万0056円だ。
しかも、時給700円以下という低賃金の自治体が、1212団体中150団体あるという。

 労働組合側のデータもある。自治労の「臨時・非常勤職員の実態調査」(2009年)によると、月給は14〜16万円がもっとも多い一方で、12万円未満の割合が15.9%もある。


 ちなみに一般行政職の正規職員の平均給与は月額31万1580円。
つまり、臨時職員の給与はこの半分以下に抑えられていることになるのだ。


自治体職員や研究者でつくる民間団体「官製ワーキングプア研究会」は、こうした厳しい状況の改善運動に取り組んでいる。同会はこう訴えている。


 「国に約15万人、地方自治体に約60万人の非正規公務員が働いているが、その多くが『働いてもなお貧しい』ワーキングプア層だ。
国、自治体自らがワーキングプアを生み出している」

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2012年12月20日

香山リカのココロの万華鏡:高齢者も若者も大変

香山リカのココロの万華鏡:高齢者も若者も大変
毎日新聞 2012年12月18日 東京地方版

 選挙が終わり、「さて私たちの暮らしはどうなる」と気になっている人も多いのではないか。


 選挙戦では「高齢者が安心して暮らせる社会を」と言う候補者もいれば、「若い人にツケを回してはいけない」と主張する候補者もいて、なんだか高齢者と若者、どちらに肩入れするかを選ばせようとしているようにも見えた。

実際には「高齢者も若者もどちらもたいへん」ということなのだが。


 しかも、この「たいへんさ」がもう目の前に迫っているところも、実は高齢者も若者も同じだ。

診察室にいると「高齢の親が入院中だが、病院からすぐ転院させて、と言われ行き場所がない」といった“介護難民”の家族からも、「ブラック企業でうつ病になり、退職したら再就職先もなく、生活保護も断られた」という“就職難民”というより“生活難民”の若者からも相談が寄せられる。

いずれも「今日、なんとかしないと」と切羽詰まった話ばかり。「さて、この国の未来はどうなる」などと悠長なことなど言っていられない。


 「この部屋を出たら次に行くところがない」と診察室で泣き崩れる人に「まずは役所に相談に行ってみて」などと退室を促しながら、なんだか自分がどんどん人間性を失っていくような気になる。
「私がなんとかしてあげる」と言いたいのだが、自分にはその度量も能力も心のゆとりもない。

「なんのために精神科医をやっているのか」と自己嫌悪に陥るのは患者さんたちのためにもよくないとわかっていても、どうにもならない。
かといってそこで立ち止まっては次の仕事にさしつかえるので、「これ以上、考えても仕方ない」とどこかで考えをストップせざるをえない。


 困難に直面している人に出会う。「なんとかしてあげたい」と思うが、自分にはどうにもできない。
無力感にさいなまれ、結局は「見なかったことにしよう」と切り捨ててしまう。


 こんなことを繰り返しているのは、私だけではないはずだ。
そして、そんな繰り返しの中で心がどんどんすり減るのを感じているのも、私に限ったことではないだろう。

今年の漢字は「金」だそうだが、自分の心にはそんな輝きはどこにも見つからない。

来年こそは「私の心にも金メダル!」と堂々と胸を張れる年になってほしいと心から願うが、今回、選挙で選ばれた人たちにはこの思いがどれだけ伝わっているだろうか。

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2012年12月21日

発信箱:7.9%=福本容子

発信箱:7.9%=福本容子
毎日新聞 2012年12月21日 00時51分

 アフリカのナイジェリアで、女性が政治家になるのは、まだとても難しい。
だから、国連開発計画(UNDP)が、候補希望者の教育とか、社会の意識改革とか、応援してあげている。
そのホームページにこうあった。「国会議員に占める女性の比率は、やっと全体の8%程度」。
あれ? 8%は今回の選挙で当選した日本の女性議員といっしょじゃない?

女性の衆院当選者は3年前の前回総選挙で11%と、初めて2ケタになった。
それが今回、16人も減り38人(7.9%)に。
10月末時点の各国比較(下院に相当する院)では、127位にあたる。
出生率の低さとか不名誉な国際ランクでよく肩を並べる韓国でさえ、15.7%だ。

女性大統領が誕生したから、「韓国でさえ」はいくら何でも不適切かな。失礼!

その韓国だけど、比例代表の候補者名簿で奇数の順位を全部女性にするよう法律で義務づけている。
日本よりずっと努力していた。
女性も、半端でない頑張りを続けている。
「世界ではる多くの女性が政治と経済を仕切っているのに、私たちだけ偏見によって女性の能力を腐らせていてはいけない」。
初の女性大統領となった朴槿恵(パク・クネ)さんの自伝にある言葉だ。


 自分のことを「○○ベイビーズ」なんて呼んでるようでは仕方ない。
一方、風の吹いている時だけ使っては捨て、も困る。
閣僚や首相になれる人材を育てるには、息の長い、意識的な工夫と努力が要る。


 内閣府の世論調査で、「女性がもっと増える方がいい職業や役職」の1位に「議員」がなった。
その議員の女性比率を2020年までに3割以上、という政府目標がある。
もう8年ない。
国連も助けてはくれない。
安倍さん、こういうので韓国と張り合うのは大いにアリですよ。

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2012年12月23日

特集ワイド:原発の呪縛・日本よ! 作家・澤地久枝さん

特集ワイド:原発の呪縛・日本よ! 作家・澤地久枝さん
毎日新聞 2012年12月21日 東京夕刊

<この国はどこへ行こうとしているのか>

◇「絶望した」言うまい−−澤地久枝さん(82)

 東日本大震災後初の衆院選だったにもかかわらず、「脱原発」は第三極の離合集散に埋没して争点から外れ、既存の革新政党は存続さえ危うい結果となった。
旧来型政治にノーを突きつけ政権交代を導いた09年の「民意」は、首相官邸前を埋め尽くした「市民」は、何だったのか−−。

 戸惑いを抱えたまま東京・恵比寿の自宅を訪ねた。澤地さんは久留米絣(がすり)の紺の着物姿、りんと背筋を伸ばして迎え入れてくれた。

16日の夜、何時ごろかしらね、大勢を知ってがっかりしましたよ。
憲法9条、脱原発……一生懸命に訴えてきたつもりだったけど、有権者は目の前の利益を守るために投票所に行ったんだなって。
しかも今の憲法になり、誰もが投票できるようになってから最低の投票率。
恥ずかしいことです。4割の人は政治に無関心というのか、飽き飽きしちゃったんですね」

不思議にも声の張りはみじんも失われていない。
「だって、こんな結果になったからこそ、いつまでもがっかりしてはいられないでしょう。
16日に全部が消えたわけじゃない。私は何があっても『絶望した』とは言いたくないの」

文壇きっての反骨の人は早くも「反攻ののろし」を上げようとしている。

2・26事件、ミッドウェー海戦、そして自ら情報公開訴訟の原告を務める沖縄返還を巡る日米密約文書……。
昭和史の中の声なき人の声を掘り起こし、歴史の真相を語り継ぐことを使命としてきた。
原点は、14歳で経験した中国大陸での敗戦と残留生活の辛酸。
戦争がどれだけ暮らしを踏みにじるか、国家がいかにやすやすと個人を見捨てるかを目の当たりにした。
戦争放棄、平和主義を定めた憲法を守ろうと訴える「九条の会」の呼びかけ人も務める。

そんな作家にとって、福島第1原発事故の被害と向き合うのは必然だった。
「雇用や補助金というしがらみにがんじがらめにされ、日本全体が抱える問題のツケを押しつけられる。
米軍基地を抱える沖縄と原発が立地する地域がダブって見えるんです」

 事故で放出された放射性物質は町の境、県の境を越え、さらに海を通じて他国にまで影響を及ぼそうとしている。
「原発事故の対応は一国だけにとどまるものではありません。他国で起きた場合もしかり。原発問題については視野を広げ、地球規模で考えないと。
その時に重要なのは他国との信頼関係であり、その根本となるのは、国際社会とともに生きると誓った平和憲法です。今こそ、その原点に立ち戻るべきなのです

その行動力は、とても80歳を超えた人とは思えない。
全国運動の「さようなら原発1000万人アクション」の呼びかけ人となり、作家の瀬戸内寂聴さん(90)らとともに経済産業省の敷地内で大飯原発再稼働阻止のためのハンガーストライキに参加。
「九条の会」の同志で作家の大江健三郎さん(77)らと首相官邸に行き、野田佳彦首相に脱原発を求める751万人分の署名の一部を渡した。

 実は今回の衆院選で、活動をともにする仲間内から、信頼できる独自候補を出そうという声もあった。
原発ゼロと福島の人たちの生活場所と仕事の確保をスローガンに掲げることまで煮詰めたが、準備期間や意見の違いで実現しなかった。
やれることは全てやればよかったかもしれない」と振り返る。

全国の集会にも足を運び、脱原発を訴え続ける。「集まって話を聞いてくれる人たちからエネルギーを受け取り、その力が私をまた次の場所に向かわせるの。人の気持ちが人を動かすのです

人を動かすのは人の気持ち−−そのことを教えてくれた一人が、07年に75歳で亡くなった作家の小田実さんだ。
「彼が今生きていたら何を言うかしらと、常に自問しています。例えばこの選挙結果」。
強い口調だった。「『前回、同じ選挙制度で政権交代させたんだから、新しい政権を厳重に監視して、また次に奪還すればいいんや』って、きっとそう言うでしょうね。
世の中を変えるのは大きな力を持つ人間じゃない、同じ志を持った小さな人間たちなんだというのが口癖だったから

 その「監視」すべき新政権は26日に誕生する。
自民党の安倍晋三総裁は国防軍構想を打ち出し「憲法を変える」と明言している。「前回政権担当時にも増して、日本を戦争のできる国に持って行こうとしていますね」。
原発については公明党との政策協議で「依存を減らす」としたが、脱原発への動きは鈍い。

 希望はある。
昨年の震災を経て、この国の市民社会は明らかに変わったという実感があるからだ。「分で考え、自分の意見を持ち、自分で動こうという人たちが一人一人立ち上がって官邸前に向かった。ああ、日本は変わると思いました
選挙の結果には結びつかなかったかもしれないけれど、政治家には非常な脅威だったはずですよ」

 街頭で見かけた若者たちが脳裏に刻まれている。
一人は奇抜なファッションで楽器を演奏しているが、よく見ると傍らに立つ別の一人が候補者の名前を書いた小さな紙片を持っている。
やがて少し離れた場所にその候補者が現れ街頭演説を始めたが、演奏はやまず、候補者が車で去った後も続いた。
はっと気付いて胸が熱くなった。「既存の選挙運動の外で、自分たちのやりたい方法でメッセージを伝えている。すごいことよね」

 満身創痍(そうい)の人でもある。
昨夏、自宅で転んでひざを骨折し、2カ月入院。年末には脳梗塞(こうそく)で倒れた。今年に入っても、経産省ハンスト後に受けた心臓ペースメーカーの検査結果が思わしくなく緊急入院した。
「この選挙中、少し無理したら体がむくみ、数日で体重が2キロも増えていたのね。もう思うようには動けない。でも、こんな選挙結果を突きつけられると、私のような病の身でさえ何かやらなきゃいけないと思います。
私だけじゃない、そう思う人たちが運動の核になればいい。その周りに人は増えていく。核になれる人はあちこちに、いや日本中にいますよ」

 このインタビューの前々日には日比谷であった脱原発デモに顔を出した後、避難生活中の震災遺族の話を聞く会に参加。
前日には言論の自由を考えるシンポジウムに出席した。
「動ける限りは動こうと思うの。病院からも毎回、なんとか生きて帰ってきている。あまり先のことは考えないんです。人はね、必要な間は生きているんですよ」。そう言って、ふふ、と笑った。

 立ち上る炎のような強さを感じた。出会い、言葉を交わした人すべてに思いは流れ込んでいく。人の気持ちが人を動かす。
            【藤田祐子】

==============
◇さわち・ひさえ
 1930年東京生まれ。4歳で家族と旧満州(中国東北部)に渡り、46年帰国。中央公論社に勤務しながら早大第2文学部を卒業。63年退社後、ノンフィクション作家に。「滄海(うみ)よ眠れ」など。

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2012年12月24日

社説:社会保障政策 医療・介護の改革を急げ

社説:社会保障政策 医療・介護の改革を急げ
毎日新聞 2012年12月24日 02時31分

 有権者の投票行動にどのくらい影響を与えたのかわからないが、今回の総選挙は「自立・自助」の自民党、「公助」路線の民主党という社会保障の理念をめぐる明確な争点があった。

自民が圧勝したことで、民主の金看板だった「最低保障年金」創設、「後期高齢者医療制度」抜本改革の挫折が決定的になった。


 もともと民主の社会保障政策は財源の裏付けがなく、実際に制度設計してみると現役世代に過重なしわ寄せがくることも判明した。
野田政権の「中間層を分厚くする」という方針とも矛盾するものであり、白紙に戻すのは当然だろう。
ただ、これらの政策はさまざまな社会的格差、貧困層の広がりに対する国民の不満を受けて掲げたものであり、その課題は今なお残っている。新政権がどのように取り組むのか注目したい。


 自民の公約で際立っているのが生活保護の1割削減だ。
民主のバラマキとの違いを鮮明にし、責任政党として持続可能な社会保障のために厳しい政策を掲げた意味は小さくない。

ただ、孤立や貧困に陥っている人に自立・自助を求めるだけでは、格差はますます広がり、貧困層はさらに苦境に追い込まれるだろう。
高齢者で生活保護を受給している人の割合はほかの世代に比べて著しく高い。
働くことができず、家族もいない高齢の貧困層をどうするのか、財源も含めて具体的に示すべきだ。


 子ども手当導入に伴って廃止された年少扶養控除の復活や多世代同居を進めるともいう。
戦後、大家族から核家族へ、さらに独居や夫婦2人だけの世帯が増えてきた。
都市に人口が集中し働く女性の増加に伴って人々のライフスタイルも変化してきた。伝統的な家族主義を志向する政策と現代人の意識はどのように折り合っていくのだろうか。
社会を支える側を立て直す点では、子育てや少子化対策は最重要の課題でもある。


 税と社会保障の一体改革に基づき、消費税は社会保障に全額を使うという方針は歓迎したい。
一体改革では手が付けられなかったのが医療と介護だ。
高齢になるほど疾病にかかる人は多くなり、1人当たりの医療費も高くなる。
来年は最も人口が多い団塊世代の大半が高齢者の仲間入りをする。
専門ごとに細分化している医療の供給体制を抜本的に変え、介護福祉との役割分担を大胆に進めないといけない。
高齢者の生活の質がおざなりになったのでは、何のための負担増かわからない。

 終末期をどのように過ごすのかはとりわけ重要だ。
終末期を迎える人は年々増えていく。
みとりの体制を充実させるとともに、私たち自身も深く考えないといけない
国民的課題として取り組むべきである。

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2012年12月25日

おばちゃんの逆襲

おばちゃんの逆襲
2012年12月19日   東京新聞「私説・論説室」

 各党の政策で最も合点がいったのは「全日本おばちゃん党」の「はっさく」だ。維新八策ではない。


 オッサン政治に反発して大阪のおばちゃんが中心となりネット上につくった市民団体である。


 その「はっさく」。一番目の政策は「うちの子もよその子も戦争には出さん!」。

 護憲とは言わない。
もっと心のど真ん中な訴え。これは国民が政治に求める最大の要求だろう。
二児の父親としては思わず「そういうこっちゃ」と慣れない関西弁?で頷(うなず)いてしまった。


 尖閣諸島問題への勇ましい主張を聞いて、オッサンなんぞに任せられないという危機感がひしひしと伝わってくる。


 「子育てや介護をみんなで助け合っていきたいねん。そんな仕組み、しっかり作ってや」と社会保障改革も掲げる。
目指すは支え合い社会。育児や介護に日々直面している実感がある。


 原発事故で放射能汚染に敏感に反応したのは、「子どもを守りたい」と切実に感じた女性たちだ。
「はっさく」も「核のごみはいらん。放射能を子どもに浴びさせたくないからや」と共鳴する。


 政治に当事者意識を持ち始めたおばちゃんの思いは、社会の根っこに確実に広がる民意だろう。
空中戦好きでどこかふわふわしたオッサンの主張より腹が据わっているようにみえる。
選挙は終わったが、本当の第三極はおばちゃんだったりしないか。 
               (鈴木 穣)

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2012年12月27日

総理大臣になると、見えなくなるものが三つある

筆洗 総理大臣になると見えなくなる・・
2012年12月27日  東京新聞

「総理大臣になると、見えなくなるものが三つある」。
二・二六事件で首相官邸を襲撃され、義弟が身代わりとなって、辛うじて難を逃れた岡田啓介首相が語っていた

▼何が首相の目をふさぐのか一つは「カネ」だ。
権力を手にすることで金には不自由をしなくなるという。
次に見えなくなるのは「人間」だ
取り入る側近に囲まれ、本当の人材を見失う。
そして最後には国民が見えなくなる」という(アスペクト編『総理の名言』)

▼自民党の安倍晋三内閣がきのう、発足した。
首相の再登板は戦後では吉田茂以来二人目。実に六十四年ぶりだ。
閣僚には、麻生太郎元首相、谷垣禎一前総裁ら実力者を起用し、挙党態勢への配慮をにじませた

▼来夏の参院選で衆参のねじれを解消するまで、憲法改正などのタカ派色は抑え、デフレ脱却などの経済政策に専念するとみられるが、気になるのは石原伸晃前幹事長を環境・原子力防災担当相で起用したことだ

▼総裁選で国会議員から多くの支持を得ながら相次ぐ失言で失速した。閣僚の失言がどれだけ政権の体力を奪うのか、これまで十分に学んできたのではないか

▼日米開戦後、東条内閣の倒閣を水面下で主導した岡田啓介の「国民が見えなくなる」という述懐は重く響く。
再登板する安倍首相は六十五代前の先達の言葉を胸に刻み、国民の声に謙虚に耳を傾けてほしい。
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2012年12月28日

原発維持方針 3・11をもう忘れたか

原発維持方針 3・11をもう忘れたか
2012年12月28日   東京新聞社説

 3・11は世界を変えた。ところが第二次安倍政権。
発足早々、何の議論もないままに、原発の早期再稼働はおろか、新増設にも含みを持たすとは。
福島の被害は続くのに、もうあの衝撃を忘れたか。


 あまりにも乱暴すぎる転換だ。自民党は何ら変わってはいないのではないか、そう思われても仕方ない。


 言いたいことは三つある。


 一つ目は、世界有数の地震国日本に原子力を持ち込んで、五十基を超す原発を立地したのは、ほかならぬ自民党政権だったということだ。
核のごみの後始末も考えないままに、である。

 自民党が進めた国策という土壌の中で原子力ムラが醸成され、安全神話が誕生し、福島の惨事につながったのではなかったか。
 福島の苦悩は終わっていない。多くの県民が仮設住宅で、二度目の新年を迎えることになる。

 半世紀以上に及ぶ自らの原子力推進政策への検証と反省もないうちに、拙速な再稼働を考えるのは危険であり、それこそ無責任ではなすか。

日本原子力発電敦賀原発は、原子力規制委員会が活断層の存在を確認し、大地震の影響を受ける恐れがあるとした場所だ。


 その敦賀原発にさえ増設の含みを残すとすれば、規制委員会の科学的判断と独立性を脅かす意図すらあるということか。


 次は、国民の多くは原発推進を支持していないという点だ。

 自民党は、先の衆院選には大勝した。
しかし、原発の是非を争点にするのを避けたのか、公約では「再稼働の是非は三年以内に結論を出す」と言葉を濁し、推進を打ち出してはいない。
国民の多数は原発推進を選択してはいない。

 一方、民主党の「二〇三〇年代原発ゼロ」は、各種世論調査でも国民の過半が支持した政策だ。
それを軽々しく覆すことこそ、背信といえるだろう。


 三つ目は、いま強引な再稼働を企てる前に、現実的な方策を示せということだ。
 核のごみは行き場がなく、使用済み燃料を再利用する核燃サイクルもままならない。
核不拡散など米国との交渉が必要というのなら、まず国民に向かって説明してほしい。
危険と隣り合わせにいるのは国民なのである。


 福島事故の収拾、被災者の早期救済、あるいは自然エネルギーの開発促進はもとより、立地地域の新たな雇用創出などこそ、最優先されるべきではないか。

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2012年12月30日

年のおわりに考える 「未定」で生きている

年のおわりに考える 「未定」で生きている
2012年12月30日   東京新聞社説

 東日本大震災から二度目の年の瀬です。
復旧復興はままならず、生活再建に遠い厳冬です。
被災者たちの「希望」の声に政治は応えねばなりません。


 浜辺にある巨大な白い漆喰(しっくい)壁は、山を背に、青い海に向かっています。氷点下の風が鳴り、打ち寄せる波が轟音(ごうおん)を立てます。

石巻市雄勝町(宮城)にある「希望のキャンバス」は、高さ四メートル、長さ四十メートルもあります。
がれきの木材などを骨格にして、地元の土が塗られています。
岐阜県の左官職人・挟土(はさど)秀平さんらが今月初めに作りました。


 <父さん 大波 小波に負けず頑張ります><じいちゃんから学んだこと(中略)生きる姿勢 継いでいきます>


 きっと家族を亡くした人なのでしょう。被災者たちの思いの言葉が墨で書かれています。

宮城県の左官業・今野等さん(45)も手伝いました。
石巻市にあった自宅は、大津波に流され、母親を亡くしました。
大勢の児童が犠牲になった大川小学校から約五百メートルの距離でした。


 「津波の後、船を出したら、周りは遺体ばかりでした。
中にはまだ生きている子どももいて、おんぶして、搬送しました」


 仙台や石巻のアパートから妻と子で、同県内の家に移ったのは今年五月です。父親はまだ仮設住宅に住んでいます。


 「約百四十人いた地区住民の半分は亡くなりました。
仮設の人の望みは何といっても、住む所です。
自立したいのに、代替地がない。
何年、待ったらいいのか…。海の人たちは強く、前向きですが、今は足踏み状態です。ストレスがたまっています」

 

◆心が「難民」の状態で

 今野さんは「みんな『予定』がなくなり、『未定』になった」と言います。

確かにわれわれは「予定」の世界で生きています。学校を卒業したら、結婚したら、定年を迎えたら…。将来を描き、予定を立て、日々を営んでいます。


 大震災はそんな「予定」をぶち壊し、先の読めない「未定」の世界に放り込んでしまったのです。


 福島第一原発の被災者たちも同じです。原発のある福島県大熊町の人々の96%は「帰還困難区域」に家があります。

「ほとんどの人は家に帰るのは、もう無理だと思っています」と語るのは、同町でただ一人の司法書士・菅波佳子さん(42)です。
各地に散りぢりになった町民の相談にのっています。


 相続登記や賠償金の案件が多いそうです。
不動産の所有者が誰かはっきりしないと、賠償金の支払いが受けられないからです。

 「問題は今後、自分がどこに落ち着いたらいいのか、わからないことです。
多くは役場機能にくっついて、会津若松(福島)やいわき(同)の仮設住宅に入っているだけです」


 大熊町の役場は出張所が会津若松市、連絡事務所がいわき市にあります。
でも、そこが自分の場所とは考えられないのです。


 「心が『難民』の状態なのです」とも菅波さんは言いました。
「自立したくとも、見つかる仕事は多くはアルバイト程度です。先が見えません。
これからどう生きていっていいのか、誰もが心が定まらないのです」


 原発被害の精神的損害への賠償がなされています。
その五年分を一括払いし、不動産も事故前の公示価格で買い取る案があります。
でも、「町民は誰も納得していない」と聞きました。

「なぜ公示価格なのか」「町ごと買い取ってほしい」などの声が上がっているそうです。根本はお金の問題ではありません。
むしろ、「今までの生活に戻してほしい」という気持ちが強いのです。


 原発事故の恐ろしさは、生活も環境もすべて根こそぎ壊したことです。
古里を喪失した理不尽さから逃れられないまま、「仮設」という中ぶらりんの空間で暮らしています。
だから、心が「難民」状態なのでしょう。

 菅波さんは「私自身も心が定まりません」とこぼします。

◆浜辺に書かれた古里

雄勝町の浜辺にある漆喰壁には、こんな言葉もありました。

 <ふるさと とわに>
 <現在・過去・未来。いつも いつでも 故郷はここ雄勝>

 お正月はとりわけ古里が恋しい季節です。
でも、大震災と原発事故は、古里の風景も、「予定」も奪いました。
いまだに避難者は約三十二万一千人もおり、約十一万四千人が仮設住宅で生活しています。
住宅や雇用、教育…。「未定」という空白を急いで埋める政策こそ、希望につながる道です。

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2013年01月01日

日本人なら知らないと恥ずかしい「初詣の参拝マナー」5つ

日本人なら知らないと恥ずかしい「初詣の参拝マナー」5つ
2012.12.31 20:00    NEWSポストセブン
                美レンジャー

みなさんは、新年を迎えたらまず最初に何をしますか? 
新年会やおせち料理を楽しんだり、久しぶりに会う家族や地元の友人、恋人と一緒に初詣に出かけたりするのもいいですよね。


日本では昔より、大晦日の夜から元旦にかけて参拝することを”二年参り”といい、高い功徳を積むことができ、縁起がいいといわれています。


そのため、真冬の寒空の下、積極的に神社へ出向く人が非常に多いのです。
ですが、 ただ神社へ行くだけでは、参拝をしたとはいえません。
初詣にもマナーがあるんです!

今回は、日本の美しい女性として、知らないと恥ずかしい初詣の参拝マナーについてお話していきます。

■1:鳥居をくぐるときは帽子を脱ぎ、服装を正して一礼する

神社やお寺は神聖な場所です。きちんと身なりを正してから中に入るようにしましょう。


■2:境内に入ったら端を歩く

参道の中央は、神様の通り道(正中)なので、端を歩くようにしましょう。


■3:本殿に向かう前に手水でお清め
参詣前に手水を使い、身を清めましょう。その方法は下記のとおり。


(1)右手で柄杓を持ち、水を汲み左手を清める

(2)柄杓を左手に持ち替え、右手を清める
(3)さらに柄杓を右手に持ち替え、左手に水をため、口をすすぐ
(4)最後に柄杓の柄を洗い、立てかける


■4:正しい参拝方法

拝殿前に来たら、心静かに参拝しましょう。


(1)一礼する

(2)自分の気持ちに見合った額のお賽銭を入れる
(3)鈴を2、3回鳴らす
(4)二礼二拍手をする・・・この拍手は、願いを叶えるために神様を呼び出したり、邪気を払うためなどの諸説があるので、大きないい音を出すようにしましょう。
(5)合掌して祈願
(6)最後に一礼
お寺を参拝するときは、鐘をつき、お賽銭をおさめてから合掌します。このときに、決して手は叩かないように! 


■5:帰宅時に鳥居をくぐるときは、振り返り一礼する

いざ初詣に行っても、マナーがわからず隣の人を見たり、キョロキョロするのはちょっと恥ずかしいですよね。

今年こそは、参拝マナーをしっかり覚え、これまでとは違う厳かな新年を迎えてみてはいかがでしょうか。

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年のはじめに考える 人間中心主義を貫く

年のはじめに考える 人間中心主義を貫く
2013年1月1日   東京新聞社説

安倍自民党政権が船出しました。
近隣に朴槿恵韓国大統領と習近平中国総書記。
多難を思わせますが、新しい年を人間中心主義の始まりに−が願いです。

 多くの国民の要請でしょう、安倍晋三首相の最優先政策は経済再生でした。
しかし、経済はだれのためのものか、それが問題です。


 本紙が「新しい人間中心主義」を訴えたのは、第一次安倍内閣の二〇〇七年の元旦社説でした。

◆若者、働く者に希望を

 〇二年からの「いざなみ景気」は「戦後最長の景気拡大」や「企業空前の高収益」とはうらはらに非正規雇用やワーキングプアを急増させ、死語だった「貧困」を復活させました。
収益は労働者に配分されず、企業に内部留保されたり、株式配当に回ったのです。経済は大企業や富裕層のものだったのです。


 七十三カ月のいざなみ景気はジョブレス・リカバリー。
賃金は下がり続け、労働は長時間化、一九九〇年に八百七十万人(全雇用の20%)だった非正規雇用は千七百五十六万人(同34%)に膨れました。
人間中心主義の訴えは空回りだったといえます。


 それでも経済は人間のためのもの。
若者や働く者に希望を与えなければなりません。まず雇用、そして賃金。
結婚し、子どもをもち家庭を築く、そんな当たり前の願いが叶(かな)わぬ国や社会に未来があるはずがありません。
それゆえ人間中心主義が訴え続けられなければなりません。


 脱原発への決断は再生可能エネルギーへの大規模投資と大量雇用を見込めます。
医療や福祉は国民が求めています。農業や観光も期待の分野。経済の再生と同時に人を大切にする社会とネットワークの構築が始まらなければ。

◆自然と共生する文明

 近代思想の研究家で評論家の松本健一さんが大震災後の東日本の海岸を歩き、復興のあり方を考えた「海岸線は語る」(ミシマ社)を著しています。
その復興構想「ふるさと再生」に共感しました。


 松本さんは大震災当日の三月十一日は内閣官房参与として首相官邸四階にいました。
一階の二百人の官僚たちは所属官庁の領域の対応に追われ、復興の全体構想を考える人物がだれもいなかったことから菅直人首相に復興ビジョン私案を提出しました。
その二年前、「海岸線の歴史」(同)を出版、東北地方の海岸を調べていたことから私案が作成できたのです。


 松本さんによれば日本民族は民俗学の折口信夫のいう「海やまのあひだ」に住まいしてきた民族。
海と山の豊かな自然が精神的細やかさや繊細な美的感覚を養い自然と共生する暮らしを選び続けてきたのですが、西欧近代思想を取り入れ発展するうちに自然と共に生きる日本人本来の思想を失ってしまった、というのです。


 西欧の近代は自然を制御、征服する思想。
今回の大震災はその西欧の限界を示しました。
巨大なコンクリートの人工堤防を簡単に破壊しました。
人間は自然を制御できない。

松本さんが復興を試みる「ふるさと」とは、人が生まれ、住み、死んでゆく人間存在の根の場所としてのふるさとです。


 近代思想や経済至上主義ではもう立ち行かない、自然と共生する文明のあり方を模索すべきではないかとも言います。
近代文明を考え直す。そこに人間中心主義が連なっています。


 「外交問題の処理に最大の禁物は興奮と偏見である。
公平を期する新聞でさえかなり不十分な報道をもって民間に無用の興奮をそそっている

 これは一九三一(昭和六)年九月十八日の旧満州(中国東北部)・柳条湖事件を報じた新聞報道を批判した中央公論の巻頭言。

現在の尖閣諸島や竹島の領土問題で新聞は冷静なのか、肝に銘ずべき切言です。


 日本の新聞の歴史で最も悔やまれ、汚名となっているのは満州事変を境にしてのその変節です。
それまで軍を批判し監視の役割を果たしていた各紙が戦争拡大、翼賛へと論調を転換させたのです。
国民を扇動していったのです。


 その中で時流におもねらず敢然と戦ったジャーナリストといえば東洋経済新報の石橋湛山でした。
帝国主義の時代にあって朝鮮も台湾も満州も捨てろと説いた「一切を棄(す)つるの覚悟」や「大日本主義の幻想」は百年を経てなお輝く論説です。
イデオロギーではない戦争否定の理念、ヒューマニズム、学ぶべきリベラリストでした。

◆非武装、非侵略の精神

 満州事変から熱狂の十五年戦争をへて日本は破局に至りました。
三百万の多すぎる犠牲者を伴ってでした。
湛山の非武装、非侵略の精神は日本国憲法の九条の戦争放棄に引き継がれたといえます。
簡単には変えられません。

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2013年01月02日

皇室:「支え合い困難克服を」 天皇陛下、年頭の感想

皇室:「支え合い困難克服を」 天皇陛下、年頭の感想
毎日新聞 2013年01月01日 東京朝刊

天皇ご一家は13年の新年を迎えられた。

天皇陛下は、年頭に当たって公表した感想で、東日本大震災から2度目の冬を迎えたことについて「被災者のことが、改めて深く案じられます」と心情を示した。

さらに、大震災の影響などで日本が厳しい状況に置かれているとした上で「皆が被災者に心を寄せつつ、互いに支え合って様々な困難を克服していくよう期待しています」と思いを記した。


 天皇陛下は今年、80歳の傘寿を迎える。
昨年は心臓のバイパス手術が成功し、公務などはほぼ手術前のペースに戻ったが、元日早朝の祭祀(さいし)は一部代拝となる。

皇后さまは、首の痛みや腕のしびれが出ることもあり、元日の新年祝賀の儀では、負担を軽くするためにティアラ(王冠)を着けないなどの対応を考えており、今年は両陛下のさらなる負担軽減が課題となる。


 皇太子さまは「日本スペイン交流400周年」の名誉総裁に就任したことから同国訪問が日程に上りそうだ。


 両陛下はじめ皇族方は、元日の祝賀行事に出席するほか、2日には一般参賀で皇居・宮殿のベランダに立つ。
午前9時半から午後2時10分まで皇居・正門(二重橋)から入門
できる。
                   【大久保和夫】

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2013年01月03日

年のはじめに考える 元気なシニアの出番だ

年のはじめに考える 元気なシニアの出番だ
2013年1月3日  東京新聞社説

団塊世代が六十五歳に差し掛かった時期に東京のリーダーが交代しました。
元気なシニアの出番づくり。
それが老いゆく首都を支える鍵になりそうです


 世の中に大量の“産業廃棄物”が発生していませんか。
定年後に部屋でゴロゴロして奥さんや子どもに煙たがられ、邪魔物扱いされている主に男性陣のことです。


 そんなきついジョークを飛ばすのは、都心で高齢者専門の人材派遣会社を手掛ける東京ガスOBで会長の上田研二さん(74)です。
 社名は「高齢社」。一線を退いた高齢者にもう一度働く場を用意し、生きがいを見つけてほしいと十三年前に創業しました。

◆生きがいと収入と

 入社資格は六十〜七十四歳。
定年制はなく、八十三歳を筆頭に五百三十人が登録しています。
名刺印刷や宛名書き、チラシ配布、ガス設備点検やマンション管理など業務は百種類に及びます。


 登録社員は月八万〜十万円を稼ぎ、年金の足しに。
家事や通院などの自己都合を最優先して出勤日を決め、二〜三人一組で一人分の仕事を分かち合う方式です。


 仕事に合わせて生活するのではなく、生活に合わせて働く。
その機会を提供するのが特徴です。
やりがいと収入をマイペースで両立させる。
円熟社会らしい人間中心の仕組みです。


 毎日が日曜日の高齢者には休日出勤手当は不要だ。
現役時代の豊富な経験は即戦力になる。
低いコストと丁寧な仕事ぶりが業績を押し上げています。
二〇一一年度の売上高は三億八千万円と〇三年度の十一倍に伸びました。


 東京ガス幹部だった一九九〇年代に少子高齢化による労働力の減少を見据え、高齢者を生かす会社の青写真を描きました。
父親の失業で困窮し、大学も諦めた苦い体験から社員を最も大事にする経営理念を掲げる。

◆大量引退の時代に

 「定年後に趣味やボランティア活動などに精を出す人は多いのですが、そのうちに仕事をしたくなるようです」。それが上田さんのこれまでの実感です。


 昨年来、団塊の世代が六十五歳を迎えつつある。六百六十万人に上る。
かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とうたわれた高度経済成長を担った人たちです。

 この世代を中心に一六年にかけておよそ一千万人余りが高齢者の仲間入りをします。東京では九十二万人の見通しです。


 大量の退職者が出て労働力が不足したり、熟練の技能が途絶えたりしないかと心配する声もあります。
七十万事業所を抱え、九百五十万人が勤める東京でも影響が出るかもしれません。


 けれども、内閣府の二〇〇八年の調査では、六十歳以上の71%は六十五歳を超えて働きたいという意志を示しています。
日本人の勤勉性が表れたのでしょうか。
労働意欲の高い人が相当います。


 今や「人生九十年時代」といわれます。旧来の保護されるべき社会的弱者という高齢者像は現実にそぐわなくなっています。


 東京では五人に四人は介護保険制度でいう支援や介護を必要としていません。
日常生活に欠かせない握力や上体起こし、歩行などの体力や運動能力は毎年向上し、若返りをうかがわせます。


 加齢につれて身の回りの出来事は忘れっぽくなる。でも、言葉の知識や経験に裏打ちされた知恵は厚みを増すのです。


 「アフリカでは、老人が一人亡くなると図書館が一つ消えるといいます」。〇二年の高齢者問題世界会議での演説で、前国連事務総長のコフィ・アナンさん(74)が述べた言葉はとても印象的でした。


 体力や気力、知力がみなぎる高齢者は多い。
現役世代が先細る中で、元気な高齢者には社会の支え手としての活躍が期待されます。

 その力を発揮してもらう仕組みを整える必要があります。


 生涯学習やボランティア活動などの場は充実してきたようです。
しかし、もっと増やし、広めたいのは個々のペースに応じて楽しめるような仕事です。


 例えば、企業はフレックス勤務やワークシェアリング、テレワークといった柔軟な働き方を工夫する。行政はカウンセリングやマッチングの機能を強化する。「東京都版シルバーハローワーク」の実現を急いでほしいものです。

◆遊びこそ仕事だ

 都知事に就任した作家の猪瀬直樹さんも六十六歳。
つまり高齢者です。
それでも、去年の東京マラソンでは六時間四十分で初めてのフルマラソンを完走しました。

 「老い故に遊びをやめるのではない。遊びをやめるから老いるのだ」。劇作家バーナード・ショーの金言です。成熟社会では遊びこそ仕事であり、生きがいなのでしょう。
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2013年01月04日

年のはじめに考える 原子力の時代を超えて

年のはじめに考える 原子力の時代を超えて
2013年1月4日   東京新聞社説

 総理、後戻りはいけません。国民の多くは、それを望んでいない。
原子力の時代を超えて「持続可能」へ向かう。3・11を真に乗り越えるためにです。


 ドイツの哲学者故マルティン・ハイデッガーは「原子力の時代」に懐疑的でした。一世を風靡(ふうび)した「存在と時間」の著者が、です。


 一九五五年、南ドイツの小さな町での講演で「いったい誰が、どこの国が、こういう原子力時代の歴史的進展にブレーキをかけ、それを制御しうるというのでしょうか。われわれ原子力時代の人間は技術の圧力の前に策もなく、投げ出されているようですと、核の脅威を語っています。

◆制御しがたい巨大な力

 日米原子力協定が調印され、東京で原子力平和利用博覧会が開幕した年でした。米ソの核競争が激しくなっていたころです。


 哲学者は続けます。

 「われわれの故郷は失われ、生存の基盤はその足もとから崩れ去ってしまったのです」と。

 核兵器と原発。
核は制御し難いものであることを、福島原発事故に思い知らされました。

理不尽な力に故郷を追われ、多くの人々が避難先の仮住まいで、二度目の新年を迎えることになりました。
哲学者が遺(のこ)した言葉は、予言のようにフクシマの心に迫ります。


 原子力の時代は、ヒロシマから始まりました。
生存者に「太陽が二つあった」といわしめた計り知れない核分裂のエネルギー。
その強大さに、唯一の被爆国さえも、いや、その力に打ちのめされた唯一の被爆国だからこそ、「平和利用」という米国産のうたい文句に魅入られたのかもしれません。


 戦災復興、そして高度経済成長へ。再び急な坂道を駆け上がろうとする時代。
時代を動かす強力なエネルギーが必要だった。

◆核のごみがあふれ出す

原子力の時代はヒロシマで始まって、フクシマで終わったはずではなかったか 。
水素爆発の衝撃は神話のベールを吹き飛ばし、鉄骨やがれきの山と一緒に横たわる、それまで見ないようにしてきたものが露(あらわ)になったはずだった。


 フクシマは教えています。

 人間はいまだ、自然の猛威にあらがう技術を持ちません。
これからも持ちうることはないでしょう。
雨風に運ばれ、複雑な地形の隅々にまで入り込んでしまった放射能を集めるすべはありません。


 ひとたび事故が起きたとき、電力会社はおろか、政府にも、広範で多様な損害を満足に償うことはできません。
補償は莫大(ばくだい)な額になり、安全のための補強にはきりがない。
ほかよりずっと安いといわれた原発の発電コストが、本当は極めて高くつくことも、福島の事故が教えてくれました。


 核のごみ、危険な使用済み核燃料の処分場は決まりません。各原発の貯蔵プールからいまにもあふれ出そうとしている。

 その上、原発の敷地内やその周辺からは、大地震を引き起こす恐れのある活断層が、次々に発見されています。
日本列島は地震の巣です。原発を安全に運転できる場所など、あるのでしょうか。


 このような欺瞞(ぎまん)や危険に気付いたからこそ、昨年の夏、前政権が全国十一カ所で開いた意見聴取会では約七割が、討論型世論調査では半数が「二〇三〇年原発ゼロ」を支持しています。


 原発の是非を外側から論ずるだけではありません。
人や企業は原発への依存を減らすため、自らの暮らしと社会を変えようとし始めました。

 電力会社があおる電力危機を、私たちは省エネ努力で乗り切りました。
節約型の暮らしは定着しつつあり、後戻りすることはないでしょう。
太陽光や風力など、自然エネルギーの導入を近隣で競い合う、そんな地域や町内も、もう珍しくはありません。

 原子力の時代を超えて、その進展にブレーキをかけようとしています。

◆地域が自立するために

 3・11以前、都会から遠く離れた原発の立地地域は、安全と地域の存続をはかりにかけて、悩み続けてきたのでしょう。


 交付金や寄付金頼みの財政は、いつまでも続きません。


 今ある港湾施設や原発の送電網などを利用して、新しいエネルギー産業を創設し、雇用を生み出すことができれば、本当の自立につながります。
ふるさとを未来へと進める仕組みを築く、今がそのチャンスです。


 原子力の時代の次に来るもの。それは、命や倫理を大切に、豊かな暮らしと社会を築く、「持続可能の時代」であるべきです。

発足早々、原発の新・増設に含みを持たす安倍政権には何度も呼びかけたい。
時代を前へ進めることが、政治家と政府の使命であり、国民の願いでもあると。

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2013年01月05日

年のはじめに考える 「環視」という政治参加

年のはじめに考える 「環視」という政治参加
2013年1月5日  東京新聞社説

 日本の政治が再始動しました。
今年夏には最大の「決戦」である参院選を迎えます。
政治が国民の望まぬ方向に進まぬよう、しっかり「環視」せねば。

 安倍晋三さんにとっては、六年ぶり二度目となる首相としてのお正月です。
年末年始の休みには十分英気を養い、今年一年、日本政治のかじをどう取るのか、構想を練ったことでしょう。


 公約を破り、政権運営にも誠実さを欠いた民主党から自民党への政権交代。
参院選までの約半年間に、国民の暮らしが上向く見通しを付けなければ、ねじれ国会による政治の混乱が続くという緊張感の中での始まりです。

責任の大半、自民に

 安倍内閣の仕事始めは恒例の伊勢神宮参拝と年頭記者会見です。


 首相は会見で、越年した二〇一三年度予算案の編成について「民主党政権で水膨れした歳出の無駄をカットし、内容を大胆に重点化する」と語りました。


 国と地方の借金が一千兆円近い危機的な財政状況では予算全体を見直し、無駄を削り、本当に必要な事業に投入するのは当然です。


 しかし、自民党政権にそれが本当にできるのか、完全には信用できない。
行政の無駄遣いを続け、国の借金をそこまで膨らませた責任のほとんどは、長年政権を担ってきた自民党にあるからです
民主党批判には何の意味もない。


 当面の注目は一二年度補正予算案です。
消費税増税の前提条件となる景気回復を確実にするためなのでしょう。
十兆円規模という大型ですが、公共事業のバラマキだけは避けるべきだ。


 公共事業は景気が一時的に回復しても、経済全体への波及効果は限定的。
消費税増税後に景気が冷え込み、国民の暮らしが疲弊しては目も当てられない。
策定中の緊急経済対策は、民間経済の活性化を重視する内容にすべきです。

「お任せ」を脱して

 昨年八月に消費税増税法が成立した後、どうも財政のタガが緩み始めてはいないか。


 東日本大震災からの復興とともに首都圏直下型や東海、東南海、南海三連動での地震が想定される中、防災・減災対策は急務です。


 「国土強靱(きょうじん)化」という呼び名はともかく、国民の命と財産を守るための社会資本整備という国の役割に、予算が正しく使われるのなら、国民も納得がいくでしょう。

 しかし、前政権で復興予算の流用が明らかになったように、どうも日本の行政組織は、隙あらば、自分たちの都合いいように予算を使う傾向があるようです。
 国民の負託を受けた国会議員がそれを監視するのではなく、官僚に丸め込まれて予算の膨張に手を貸すようなことは許されません。

長年、政官財癒着構造のど真ん中にいた自民党には正念場です。
自民党が「生まれ変わった」というのなら、建設業界や農業団体など、ときに自らの支持基盤にも、痛みを強いるような大胆な改革も必要ではないでしょうか。
それができないのなら「古い自民党」の看板を甘受するしかあるまい。


 もちろん選挙は国民の厳粛な選択です。
しかし、小選挙区制中心の衆院選挙制度は、政権交代の可能性を高める分、民意を正確に反映しないという欠点もあります。

国民が望む政治の実現には、選挙後はすべて議員に委ねるという「お任せ民主主義」を脱し、声を出し続けることが必要です。


 首相は年頭会見で原発の新規建設について「直ちに判断できる問題ではない。ある程度、時間をかけて検討する」とも述べました。


 自民党は昨年の衆院選で、三年間は最大限、再生可能エネルギー導入、省エネ推進を図り、持続可能な電源構成の組み合わせを十年以内に確立すると公約しました。

 原発稼働継続の容認と受け止められましたが、稼働継続を堂々と掲げて信任されたわけでもない。
原発稼働継続に批判が高まれば、自民党政権といえども再稼働強行や新設などできないでしょう。

 そのためにも国民が思いを声に出して、政治に携わるものに届ける。何よりも大切なことです。
 国民が無関心を決め込んだ瞬間、政治は暴走を始め、国民を苦しめる側に回ります。

主権者は国民自身

 憲法改正や集団的自衛権の行使容認を掲げる自民党ですが、参院選で勝つまでは、そうした「安倍カラー」は抑えるのでしょう。


 そんな政権の狙いに惑わされたり、ひるんだりする必要はありません。
国会議員の当落や政治の在り方を決めるのは、あくまでも主権者たる日本国民自身です。
国民の思いから遊離した政治などあり得ないし、許されてはならない。


 投票が終わっても政治の成り行きを「皆で見ているぞ」という政治参加、「環視」する態度こそが暴走を阻む力になるはずです。

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2013年01月06日

年のはじめに考える 会社は誰のために

年のはじめに考える 会社は誰のために
2013年1月6日   東京新聞社説

自分より他者の利益を優先する「利他」の輪が広がっている。
景気は低迷し、賃金や雇用はますます悪化しているのに。
そこに光明を見いだせないか。


 「一枚最低で三十円はする名刺に、注文が殺到しているのです。
会社の姿勢に共感してお客が追い掛けてくるからです」−。


 年の瀬も押し迫ったある夜、都内の小さな講演会をのぞかせてもらいました。
集ったのは地域の経営者や商店主ら九十人あまり。講師に招かれた大学の先生が、訥々(とつとつ)と社会貢献に前向きな企業を紹介していきます。

◆思いが詰まった名刺

 この高価な名刺は、札幌市の「丸吉日新堂印刷」という小さな印刷会社のもの。
名刺なんて勤務先から支給されるか、自前で買うにしてもわざわざ遠く離れた印刷所に頼むことは普通しないでしょう。
それが毎月新しい顧客が全国から約七百人ずつ増えているのだから驚きです。


 少しくすんだ名刺はバナナの茎が三割、古紙七割でできています。
アフリカの最貧国ザンビアから、果実を採った後に焼却処分されるはずの茎を買い付けている。
それは平均寿命が五十歳に満たない貧しい国への支援と、地球環境にも役立つからです。


 さらに目を引くのは、印刷会社ですから自社でも作れるのに障害者の作業所に高めの賃金で外注していることです。
正確さが必要な点字付き名刺もつくってもらう。出来上がった名刺を届けに来る障害者の方たちの表情は、実に生き生きしているといいます。


 売り上げ一枚につき一円が自動的に日本盲導犬協会に入る仕組みまで考案した。この取り組みが口コミで伝わって、応援したいと注文が相次いでいるのです。
若い人が多いというのもうれしい。

 先生が紹介した、きら星のごとく輝く会社はほかにもたくさんありました。

◆3・11で「利他」が急増

 壇上にいた先生は、法政大学大学院の坂本光司教授(65)=経営論。
四十年以上にわたって全国の約七千社を実際に訪問し、経営者や社員から話を聞いて「正しい経営」の企業を調べています。
それを講演や著書、表彰制度などで広めている。


 坂本教授は「3・11以後、『利他』活動ははっきり増えている。
困っている人に手を差し伸べずにはいられない感情が日本人には内在しているのでは」と言います。


 思えば、バブル崩壊からすでに「失われた二十年」。円高とデフレで日本中が「一円でも安く」とコストダウンに汲々(きゅうきゅう)としてきました。
さらに二〇〇八年秋、百年に一度の大恐慌「リーマン・ショック」で不況は一段と強まる。


 「豊かさを求めてきたのに、少しも幸せになれない」と疑問を抱き始めた時に3・11が起きた。
日本人の目を開かせ、一人一人が真剣に大切なものは何かと考えた。
そして家族や周りにいる多くの人の幸せが一番大事だと気がついたのではないか。


 一七五五年のリスボン地震は、約九万人の犠牲者が出る欧州史上最大の自然災害で、地震学誕生のきっかけや、ボルテールら啓蒙(けいもう)期の思想家に多大な影響を与えました。
日本人の価値観が3・11で大転換したかどうかは、後世の歴史家の判断に委ねますが、少なくとも「利他」の輪が広まったことは間違いありません。


 坂本教授が訪問した会社のうち一割、約七百社は「正しい経営」をしているといいます。
人を大切にし、人を幸せにする経営です。人とは社員やその家族、仕入れ先、顧客ら会社に関わる人たちです。


 そういう会社が、業績が高まり、成長していると説きます。
ところがリストラの名の下に大量解雇したり、円高を理由に仕入れ先に無理なコストダウンを強いるといった「人を不幸にする会社」が増えているのが悲しい実態です


 坂本教授の話は理想論にすぎるのでしょうか。
経営はそんなに甘いものではないのか。

 そうは思えません。
例えば、冒頭の名刺のような顧客が応援したくなる商品、感動する商品づくりを突き進めていく。
投資家や株主に「あの社長は本物だ」と認めさせる。すべては会社のあり方、経営の考え方が評価されるかです。


 一九九八年にノーベル経済学賞を受けたインドの経済学者アマルティア・セン氏の思想が今の時代に存在感を増しています。
「人が善い生活や善い人生を生きるために、どのような行動をとりたいのか」という潜在能力の概念です。

◆すぐできる社会貢献は

 私たち生活者でもできる行動は何か。
それは、ただ安いとかCMにつられるのではなく「利他」の会社を選んで商品を買ったり応援したりする。
そんな小さなことでも社会貢献になるのです。

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2013年01月07日

年のはじめに考える 瀬戸際に立たされる憲法

年のはじめに考える 瀬戸際に立たされる憲法
2013年1月7日  東京新聞社説

 太平洋戦争の敗戦から六十八年。
日本の近現代史では過去になく、戦争をしない日々が続きます。
年の初めに「平和だったはず」の戦後を振り返ります。


 一九五〇(昭和二十五)年十月九日、東京新聞夕刊の一面トップは「米軍38度線を突破」の見出しで朝鮮戦争の戦況を伝えています。
同じ面に「日警備艇も掃海へ」のベタ記事があります。
「日本の沿岸警備艇十二隻が米第七艦隊の指揮下で掃海作業に従事するため朝鮮水域に向け出発した」と短く報じています。

◆戦後にあった「戦死」
 
日本を占領していた米軍は日本政府に対し、日本近海で機雷除去をしていた航路啓開隊(現海上自衛隊)の朝鮮戦争への派遣を求めました。

同年十月から十二月まで掃海艇四十六隻と旧海軍軍人千二百人による日本特別掃海隊が朝鮮海峡へ送り込まれたのです。


 戦争放棄を定めた憲法は施行されていました。
戦争中の機雷除去は戦闘行為ですが、国際的地位を高めようとした吉田茂首相の決断で憲法の枠を踏み越えたのです。


 まもなく事故が起こりました。
掃海艇一隻が触雷し、沈没。
中谷坂太郎さん=当時(21)=が行方不明となり、十八人が重軽傷を負ったのです。
事故は長い間伏せられ、中谷さんに戦没者勲章が贈られたのは約三十年後のことでした。

 犠牲者が一人であろうが、家族の悲しみに変わりはありません。
葬儀で中谷さんの父親はひと言もしゃべらず、葬儀の半年後、五十歳代の若さで亡くなりました。

 朝鮮戦争に参加したのは旧軍人だけではありません。
物資輸送に日本の船員が動員されたのです。
八千人が日本を離れて活動し、戦争開始からの半年間で触雷などで五十六人が死亡したとされています(「朝鮮戦争と日本の関わり−忘れ去られた海上輸送」石丸安蔵防衛研究所戦史部所員)。

◆「国防軍」で何をする

 彼らの活動がサンフランシスコ講和条約の締結につながったとの説がありますが、確たることは分かりません。

政府見解に従えば、海上輸送は憲法違反ではないはずですが、行われたことさえ「確認は困難」(中曽根内閣の政府答弁書)というのです。
二度と戦争はごめんだという強い思いが事実を霧消させたのかもしれません。


 半世紀以上も憲法が変わらないのは国民の厭戦(えんせん)だけが理由ではありません。
一九九五年の「村山談話」の通り、植民地支配と侵略によって多大な迷惑をかけたアジアの国々に、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを示し続ける必要があるからです。


 心配なのは、こうした見方を自虐史観と決めつけ、憲法改正を目指す動きが盛り上がっていることです。
過去の“反省”を見直したうえで、自衛隊を「国防軍」に変え、集団的自衛権行使の容認に転じる。
「国のかたち」が変わって誕生する、古くさい日本を中国や韓国が歓迎するでしょうか。
歴史見直しは米紙ニューヨーク・タイムズも批判しています。

国際社会が力によって成り立つ現実を無視するわけではありません。
その力には政治力、軍事力などさまざまあるのです。


 例えば、二十年続く自衛隊の海外派遣は国際貢献の文脈で行われてきました。
国連平和維持活動(PKO)としてアフリカの南スーダンに派遣されている部隊は「国づくり」に貢献しています。


 国際緊急援助隊としての自衛隊は地震、津波などの被害に遭ったのべ十二カ国で活動してきました。
冷戦後、多くの国で国防費が削減され、軍隊の災害派遣が困難になる中で、自衛隊はむしろ積極的に活用されています。


 国際社会から「まじめで礼儀正しい」と高く評価されているのは、武力行使せず、「人助け」に徹してきたからです。
わが国は、自衛隊という軍事組織を使いながら、巧みに「人間の安全保障力」を高めてきたのです。


 衆院選挙で憲法改正を公約した自民党などは、そうした現実を無視するのでしょうか。
憲法を変えて何がしたいのか。
米国が始める戦争に参戦する、日本維新の会の石原慎太郎代表が主張したように拉致問題を解決するため武力で脅すなど不安な光景が浮かびます。

◆平和は国民の願い

 安倍晋三首相は夏の参院選挙までタカ派色は封印するようです。
不幸の先送りを隠す小手先の技と疑わざるを得ません。
平和憲法は瀬戸際に立たされています。


 朝鮮戦争で機雷掃海に駆り出され、無事帰国した今井鉄太郎さんは本紙の取材にこう言いました。

 「(戦争に)行かされる者からすれば、出撃命令がかからず、一休みしている状態がいつまでも続いてほしい」 
 平和を愛する国民の願いと考えるのです。
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2013年01月08日

集団的自衛権のトリック

集団的自衛権のトリック
2013年1月7日   東京新聞<私説・論説室から>

 安倍晋三首相らが憲法で禁じた集団的自衛権行使を容認するべきだと主張する際に持ち出す「自衛艦と並走する米軍艦艇の防御」「米国を狙った弾道ミサイルの迎撃」の二類型は、どう考えてもおかしい。


 日本海海戦のような密集陣形を想像しているのだろうが、現代の艦艇は潜水艦への警戒から点々と散らばり、無防備に並走しない。
攻撃に使われるのは魚雷と対艦ミサイル。
とくに魚雷は一発で撃沈させる威力があり、ひそかに狙われたら防御どころではない。


 米艦艇と並走するのは洋上補給の場面だが、ここで攻撃されたら自衛艦は集団的自衛権行使を意識するまでもなく、自らの防御のために反撃するだろう。


 米国を狙った弾道ミサイルを迎撃する手段が現状で存在しないことは前の自民党政権当時、久間章生元防衛相が国会答弁している。
迎撃できるようになるのは開発中の迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」がイージス艦に搭載可能となった後の話である。


 迎撃ミサイルを搭載できるイージス艦は自衛隊に四隻しかないが、米軍は二十六隻保有し、さらに増やす。
米政府には自前での対処をお勧めする。


より大きな疑問は世界中の軍隊が束になってもかなわない米軍にいったいどの国が正規戦を挑むのかという点にある。

ありもしない話はレトリック(修辞法)というよりトリック(ごまかし)である。 (半田滋)

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2013年01月10日

熱血!与良政談:再挑戦という大実験=与良正男

熱血!与良政談:再挑戦という大実験=与良正男
毎日新聞 2013年01月09日 13時17分

今度の政権は安倍晋三首相と麻生太郎副総理兼財務・金融担当相とが二人三脚で運営する「安・麻政権」だと称
した人がいる。


 確かに昨年の自民党総裁選で、当初苦戦が予想された安倍首相が浮上したのは、麻生氏が「安倍支持」を表明してからだった。
安倍首相もそれは忘れていないだろう。

閣僚や党役員、官邸の秘書官や参与など新政権の布陣を細かく見ていくと、麻生氏の意向とみられる人事が多々あるようだ。
「自分の内閣が倒れたら次は麻生氏に、と安倍首相は考えているのでは」との声まで政界では聞く。


 言うまでもなく、2人は首相経験者だ。
首相の返り咲きは戦後2人目。
首相経験者がその後、一閣僚に就く例もそうあるわけではない。
この「ダブル再挑戦」の意味を改めて考えてみる必要があると思う。


 かつて「歌手1年、総理2年の使い捨て」と自嘲気味に詠んだのは竹下登元首相だった。
 最近は首相も1年で交代する時代。
一方で、ある日突然、どこからか強力なリーダーが現れるわけではないことも私たちはこの数年で学んだ。


 そんな中、わずか1年で退陣した2人が今回、再チャレンジする。
これも一つの帰結、いや、この国の政治にとって新しい実験なのかもしれない。


 もちろん、それが吉と出るかどうかはこれからの話である。
安倍首相も前回の轍(てつ)は踏むまいと誓っているはずだ。


 そこで気になる点がある。

 首相は前回の失敗を教訓に、夏の参院選までは憲法改正や国防軍設置といった持論を封印していく腹だ−−という解説が、当たり前のように新聞やテレビでもされている。
でも「勝つまで本当にやりたいことは言わない」というのは有権者に対する一種のごまかしではなかろうか。
それを指摘しないメディアもおかしい。

 「だから持論をもっと明確にせよ」と言いたいのではない。
持論を抑えることでうまく政権運営ができて、有権者にも支持されるというのなら、参院選後、スタンスを変える必要はまるでない。
ずっと封印すればいいではないかと私は言いたいのだ。


 経済も外交も地に足をつけてやるべきことをこなしてほしい(それが難しいのだが)と願う。
実験の結果が出るまでそんなに時間はかからない。
使い捨ても困るが「使い回し」の時代となったらもっと悲劇的だ。(論説委員)

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2013年01月13日

すぐにできる!簡単で意外なインフルエンザ予防法5つ

すぐにできる!簡単で意外なインフルエンザ予防法5つ
2013.01.12 13:00  NEWSポストセブン

最近、めっきり寒くなって、風邪をひいている方が増えてきていますよね。
冬特有のインフルエンザも流行しています。
近くにいる人がインフルエンザにかかったと聞くと、ドキっとしませんか?


普通の風邪とインフルエンザの大きな違いは、高熱を伴い、症状が全身に及ぶことです。
お正月疲れが溜まって免疫力が落ちている方は、特にしっかり対策して、ウィルスから身体を守りましょう。

うがいや手洗い、マスクをすると風邪やインフルエンザ予防になるのは、皆さんよくご存じですよね。
今回は、その他にどんな予防法があるのか、意外で簡単にできるものを5つご紹介していきます。



■1:3つの首を温めて免疫力を上げる


冷えた身体は免疫力を落とします。したがって、免疫力を高めるためにも身体を温める工夫が必要。気温がさがってくると、人の身体は手や足先などから冷えてきます。風邪は「襟首、手首、足首の“3つの首”からひく」とも言われているんです。マフラーの代わりにショールを肩にかけているという人もいるかと思いますが、しっかりと首元に巻くようにして、温めてあげましょう。



■2:日中窓のカーテンは開け、夕方には閉める


昼間はなるべくたくさん太陽の光を取り入れて、室内の温度を上げましょう。
そのときガラスが汚れているとそれだけ室内に入る太陽の熱が少なくなりますので、普段からガラスは掃除しておくといいでしょう。
そして、夕方になったら厚手のカーテンをして、外に暖かい空気を逃がさないようにします。
ウィルスは、気温が高いところでは長く生存できないのです。



■3:加湿器をつける


ウィルスは低温と乾燥を好みます。
反対に気温が高く湿度が高いところでは、数時間で死んでしまいます。
室内では加湿器をおいて湿度を50〜60%に保ち、乾燥しない環境をつくることを心がけてください。



■4:のど飴を活用する


また、乾燥で呼吸器の粘膜が痛んでいると、感染しやすくなると言われています。
殺菌効果のあるのど飴を活用するのもいいでしょう。



■5:紅茶でうがいをする


紅茶でうがいするだけで予防になるなんて、ちょっと意外ですよね。
昭和大学医学部細菌学の島村忠勝氏の研究報告によると、インフルエンザのウイルスは、紅茶などのお茶に弱いといいます。
紅茶に含まれるカテキンがインフルエンザウイルスのトゲを包み込み、感染性を消すようです。
ちなみに、茶葉の種類はどれでもよく、また、ティーバッグでもいいようですよ。



インフルエンザになってから「こんなに辛いなんて……」と後悔しても遅いですよね。誰でもかかる可能性はありますが、未然に防ぐ努力は必要でしょう。
今できる対策はしっかりと行っておきたいですね。

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2013年01月14日

社説:成人の日 新たな関係を生きよう

社説:成人の日 新たな関係を生きよう

毎日新聞 2013年01月14日 02時30分


 今月、20歳になる人気歌手、きゃりーぱみゅぱみゅさんのヒット曲「つけまつける」でとても印象的な一節があった。
いつも同じ空だけれど、心の持ち方次第で見え方が変わってくるといった意味の歌詞だ。

 つけまつげで変身し、自信を取り戻して新しい世界を求めようと呼びかける。
今の人間関係に苦しんでいるのなら、思い切って違う人とのつながりを求めようよ、と背中を押すようにも聞こえる。
歌われているのは、密室状態に風穴を開けようとする切実な願望だろうか。


 「成人の日」を迎えた若者たちを祝福したい。
今年の元日時点で20歳の新成人は前年と同じ122万人(総務省の推計)。
3年連続で総人口の1%を割った。

就職難は相変わらずだし、政治的主張がなかなか通らないもどかしさを感じている人も少なくないだろう。
いらだちや虚無感を抱える人が多いのではないか。


 最近、気になるのは若者たちの自殺がしばしば報じられることだ。


 2011年の10〜20代の自殺者は3926人で前年より134人増えた(警察庁の調べ)。
就職失敗が原因とされたのは150人と4年前の2.5倍に。
重圧や不安に悩む若者はかなりの数になるだろう。
これらには、狭い環境で追い込まれたように感じ、行き詰まってしまった結果という側面もあるのではないか。


 作家の平野啓一郎さんが近年、提唱しているのが「分人」という概念だ。
聞きなれないが、「個人」に対置する言葉だ。

内部に実体(本当の自分)があると思うと生きづらくなる。そうではなくて、他人との関係の中で、そのつど、変わりゆくものとして、関係の数だけ、自分がいると思えばいいと
いうのだ(講談社現代新書「私とは何か 『個人』から『分人』へ」)。


 教室でいじめられている自分は、私の一部で、放課後は別の自分、家に帰れば、また別の自分がある。

私とは、そういった「分人」の集合なのだ。
新しい人間関係を誰かと結べば、また、別の分人ができる。
そうやって、危機をしのいで、前向きに生きていけないだろうか。


 昨年、「セカ就」という言葉が聞かれた。
「世界に向けた就職」の略語だ。
本紙の連載「イマジン」ではインドネシアで働く若者たちが報告されていた。
その国の経済成長に役立ち、必要とされ、生きがいを感じている姿が伝えられた。
起業をめざす人もいる。
新しい人間関係によって充実した人生を得た例だろう。


 社会が若者たちに閉塞(へいそく)感を与えている面はある。
でも、息が詰まる状態に身を置き続ければ、呼吸が苦しくなるばかりだ。
心の持ち方を変えて新しい関係を生きてほしい。

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2013年01月15日

<今年の花は/いつもと違う/一きわ美しく咲いているのに・・・

佐藤紫華子さんの詩集『原発難民の詩』(朝日新聞出版)
2013年1月15日  東京新聞「筆洗」

 <今年の花は/いつもと違う/一きわ美しく咲いているのに/そこから溜(ため)息が洩(も)れている>。
佐藤紫華子さんの詩集『原発難民の詩』(朝日新聞出版)にある「さくら並木」だ

▼この時期の寒さが厳しいからこそ、福島の野山の春の美しさは、格別だ。
無論、紅葉も見事ではあるけれど、紅葉の先には厳しい冬が待つ。
美しさのすぐ次に来る辛(つら)さを予感させる。
その冬から解き放たれて萌(も)え、花咲く野山は、北国に住む人々の喜びそのものだ

▼そんな里の光景を溜息なしで見ることができるようになるのは、いつの日になるだろう。
そのために多くの人々が除染作業に汗を流してくれているのだが、その現場のありようを知れば、また別な溜息が洩れてしまう

▼国が進める除染作業にあたる人たちの健康診断などの費用は国が負担することになっている。
だが現実は立場の弱い作業員たちに負担を強いる業者が横行している。
抗議されれば、仕事を干す。
放射能を防ぐマスクも用意しない。
そんな業者もいるという

▼<さくら並木のその中に/はぎ取られた/汚染土が おいてある/青いシートを被(かぶ)せられ/息がつけない様に/さくら並木の中にある/花びらが/涙となって/こぼれる〜>と、佐藤さんの詩は続く

▼弱い者は、どこまでも、しわ寄せを食う。
そんな姿を、原発事故は繰り返し繰り返し、見せつけ続けている。

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2013年01月17日

警察の違法発表 司法の無視に痛憤する

警察の違法発表 司法の無視に痛憤する
2013年1月17日   東京新聞社説


 警視庁の発表が裁判で「名誉毀損(きそん)にあたる」と判断された。
犯人が不明なのに、警察庁長官銃撃事件を「オウム真理教の組織的な犯行」と公表したからだ。
司法手続きを無視する行為は言語道断だ。


 警察の役目とは何か。犯罪があれば、捜査し、犯人を検挙する。検察官が起訴すれば、裁判で有罪か無罪が決まる。
当たり前の刑事司法の手続きが無視されたとしか言いようがない。
判決はそれを痛憤しているように読める。


 一九九五年三月末に起きた、当時の国松孝次警察庁長官が銃撃され、重傷を負った事件だ。
警視庁は当初から、オウム真理教に目を付け、捜査を続けてきた。


 二〇〇四年に「実行犯不詳」で、信者ら四人を殺人未遂容疑などで逮捕したものの、東京地検は嫌疑不十分で不起訴処分とした。
起訴するに足る証拠がなかったからだ。
この段階で、予断を排して捜査をやり直すべきだった。


 だが、公訴時効が成立した一〇年三月末に警視庁幹部が記者会見で「オウム真理教の信者グループが組織的、計画的に敢行したテロ」と発表した。
捜査結果の概要も、ホームページに掲載した。


 証拠がないのに、なぜそんな発表をしたのだろうか。
教団主流派の「アレフ」は、名誉を傷つけられたとして、東京都などを訴えた。
東京地裁は「公表は重大な違法性がある」と認めた。
「無罪推定の原則に反するばかりでなく、刑事司法制度の基本原則を根底から揺るがす」とも厳しい批判を加えた。当然の帰結であろう。


 警視庁は司法の原理原則から、大きく逸脱したのだ。
それが作為的だったのは当時、「教団のテロ再発防止のため、捜査結果を国民に知らせるのは公益性がある」と説明したことからも明らかだ。


 この裁判の過程でも、公表内容が真実だったかどうかは、警視庁側が主張せず、争点にならなかった。
「オウム真理教とアレフは法的に同一でない」という理屈だけで、責任を免れようとした。
自らが、後継団体と認定していながら、である。
警視庁にとって、必要なのは、むしろ失敗した捜査の検証ではないか。

 司法手続きを飛び越えて、警察が恣意(しい)的かつ独断的な発表をすれば、裁判にかけずとも、“犯罪人”はつくりあげられる。


 警察は法の執行機関である。それゆえ、真実の追求に真摯(しんし)でなければならない。
自己弁護の発表が、信頼を失わせたのである。
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2013年01月18日

香山リカ氏 憲法改正の盛り上がりは不安からの逃避に見える

香山リカ氏 憲法改正の盛り上がりは不安からの逃避に見える
2013.01.17 16:00  ※週刊ポスト2013年1月25日号

 憲法改正を掲げた自民党の安倍晋三政権がスタートし、憲法改正について議論が深まることが予想される。
そこで自民党の憲法改正草案について識者の考えを聞いた。
ここでは、精神科医の香山リカ氏の意見を紹介する。

 * * *
 憲法をより現状にマッチしたものに改正すること自体に反対するつもりはありません。
ただ、いまの憲法改正の盛り上がりは、精神科医の目から見れば不安からの逃避にしか見えない。


 日本の将来に対する不安から「憲法さえ変えればすべて良くなる」かのような幻想にとらわれているが、現実に向き合うのが怖く、目をそらしているだけでしょう。


 たとえば、自民党草案の3条には「国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする」とあります。
この条文を入れた理由は、日本人としてのプライドを高めるためと考えられます。

 しかし、現実にそうした効果は生まないのではないでしょうか。
むしろ「憲法に書かれているから」と、学校や役所などで国旗掲揚と君が代斉唱が強制され、国への忠誠心を試す“踏み絵”として使われることになる。
人は強制されればされるほど悪印象を持つものなのです。

 現実の問題から目を背けていては、憲法を改正しても何も変わらないということに気付かなければなりません。

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2013年01月19日

<二兎(にと)を追う者は一兎をも得ず>

<二兎(にと)を追う者は一兎をも得ず>

2013年1月18日   東京新聞「筆洗」

<二兎(にと)を追う者は一兎をも得ず>のことわざが浮かんだ。
低燃費で長距離飛行が可能という触れ込みで、日本の航空会社が世界に先駆けて導入した最新鋭旅客機ボーイング787が相次ぐトラブルに見舞われている

▼昨秋から、燃料漏れやバッテリー火災などが続出。
十六日には、山口宇部発羽田行き全日空692便が飛行中に機内で煙が発生し、高松空港に緊急着陸した。
重大事故につながりかねない深刻な事態である

▼アルミニウム合金よりも軽くて強い炭素繊維などを使用し、機体は軽くなった。
少ない燃料で長く飛ばすためにエンジンの設計も大幅に変更、油圧ポンプなど装置の多くを電気で動かすようになり、大容量のバッテリーが必要になった

▼今回、煙が出たのは、電気系統のトラブルで昨年秋に交換したばかりのメーンバッテリーだ。
「電気の化け物」と専門家が指摘する最新鋭機の弱点が露(あら)わになった。
日本のメーカーが機体の35%を手掛ける「準国産機」だけに心配だ

▼日航、全日空が当面の運航を停止にしたのに続き、米連邦航空局も米国内で運航する航空会社に安全性が確保されるまで運航を見合わせるよう命じた。

航空会社の経営には大きな打撃となるが当然の措置である

<進歩とは反省の厳しさに正比例する>と語ったのは本田宗一郎さん。
徹底した原因究明なくして運航の再開はあり得ない。

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2013年01月21日

生活保護 頼みの命綱がやせ細る

生活保護 頼みの命綱がやせ細る
2013年1月21日   東京新聞社説

 生活保護費がカットされそうだ。
そうなればギリギリの生活を続ける受給者だけでなく、自力で踏ん張る生活困窮世帯も追い詰めかねない。
子育て世帯への影響も心配になる。慎重に対応すべきだ。


 生活保護世帯の保護費が適切かどうか厚生労働省が検証した。
保護費のうち食費や光熱費などの生活費(生活扶助費)について、年収が百二十万円以下の一般の低所得世帯の消費支出と比べた。


 子どものいる夫婦の世帯や母子世帯では保護世帯の方が多かった。
逆に高齢者世帯は少なかった。


 実際の保護費の基準額は新年度予算の編成時に決まる。
だが、自民党は総選挙で基準額の一割カットを掲げた。
さっそく田村憲久厚労相は引き下げを表明した。
慎重だった公明党も容認する考えだ。


 本来、生活保護の目的は憲法の「健康で文化的な最低限度の生活」を守るためである。
所得の低い方に合わせるのではなく、憲法が求める生活の実現を目指すべきだ。


 ただ、保護に頼らず生きる人が働く意欲を失わない配慮は要る。
見直しはやむを得ない面はある。


 心配なのは子育て世帯だ。保護費のカットで就学の機会が減る懸念がある。
低所得世帯で育った子どもは就学機会が限定され、将来安定した仕事に就けず困窮したままになる「貧困の連鎖」が問題だが、それを断ち切れなくなる。


 保護世帯以外の低所得世帯にも影響が及ぶ。
子どもの学用品代などを支給する就学援助や地方税の非課税措置の対象世帯、最低賃金などは基準額を参考に決まる。
基準額が下がればこうした制度の対象から外れる世帯が出る。


 検証した厚労省の有識者会議の委員からも子育て世帯へ配慮を求める声が出た。
受給の状況も地域や家族構成、年齢などで個々に違う。
政府・与党は引き下げありきではなく、受給者の現状を見極めて慎重に検討する必要がある。


 生活保護の制度改革も検討されている。
不正受給防止を目的に、自治体の調査権限を強めたり、親族に扶養を断る理由を説明する責任を課すことが打ち出された。
不正受給は防ぐべきだが、これでは保護を受けにくくし、本当に必要な人を締め出してしまう。


 生活に困窮する人を幅広く対象にした自立支援策も検討されているが、実施には課題が多く時間もかかる。
支援策を口実に保護の門を狭めるだけだとしたら問題である。
生活保護は困窮者の「命綱」だ。
弱者切り捨ては許されない。

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2013年01月22日

Dr.中川のがんの時代を暮らす:米国型、押しつけに注意

Dr.中川のがんの時代を暮らす:米国型、押しつけに注意
毎日新聞 2013年01月21日 東京朝刊

米国民の健康状態を、日本や欧州など17先進国と比べたところ、米国は平均余命など多くの指標で最下位になったという報告書を、米国の研究機関が9日発表しました。
これは、米国民が医療費を出し渋っているためではありません。
逆に、米国の医療費支出は国内総生産(GDP)の17・6%と世界一で、日本(9・5%)の倍近くになります。


 外務省が海外に渡航、滞在する人向けに作ったホームページに、各国の医療事情を紹介するコーナーがあります(http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/index.html)

米国の医療費に関する部分を見ると、日本人には信じられない高額に驚きます。

たとえば、ニューヨークの病院で盲腸の手術後に腹膜炎を起こしたケース(8日入院)は7万ドル(約620万円)、
腕の骨折の手術(1日入院)で1万5000ドル(約130万円)、
貧血による入院(2日入院)で2万ドル(約180万円)などと紹介されています。


 ましてや、がん治療となれば数千万円の請求もまれではありません。

実際、米国ではがんになって破産する人が後を絶ちませんし、米国民の自己破産の半分近くが医療費支払いに伴うものと言われています。

米国の医療費が高い理由には、医療スタッフが充実しており、特に医師が高給であること、頻発する医療訴訟に備える必要があることなどが挙げられますが、根本的には医療が「市場原理」に従っている点が大きいと思います。


 米国には、日本のような公的医療保険制度がなく、高齢者や低所得者以外は民間の保険会社と契約します。
米国の医療保険は、日本人が入る任意の生命保険のようなもので、全員が加入するわけではなく、保障内容もバラバラです。

病院で受けられる医療も保険次第となり、多額の保険金を支払う高額所得者ばかり優遇される仕組みになっています。


 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の問題でも、米国型の医療を押しつけられることのないように注意が必要です。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)

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2013年01月23日

余録:「軍事行動が繰り広げられる場の4分の3は多かれ…

余録:「軍事行動が繰り広げられる場の4分の3は多かれ…
毎日新聞 2013年01月23日 01時16分

「軍事行動が繰り広げられる場の4分の3は多かれ少なかれ不確実性の霧によって覆われている」。
プロイセンの軍人、クラウゼビッツの言葉である。
いったん戦闘状態に入れば戦場は予測不能な事態が積み重なり「戦争の霧」がたちこめる

▲そんな霧の中に無防備な民間人が閉じ込められたようなアルジェリア人質事件だった。
世界中が息をのんだ犯人グループへの政府軍の攻撃だが、「作戦終了」発表の後も拘束された人々の安否についてなお情報が錯綜(さくそう)した

▲つのる不安の中、ひたすら無事を祈るしかない人質の家族にはあまりにむごい霧の中の時間である。
その果てに明かされた惨状はさらに無慈悲なものだった。
人質多数の死が明らかとなり、その中で日本人犠牲者が確認された。
人々の祈りを「戦場」は冷たく拒んだ

▲拙速(せっそく)に見える強襲にも相応の理由があったのかもしれない。
多くの人質を惨殺した犯人の非道より先にアルジェリア政府を非難しては倒錯になろう。
ただあまりに痛ましい結末を目(ま)の当(あ)たりにすれば、犯人掃討(そうとう)のために人質の犠牲をいとわなかった非情もうらめしい

▲思えば日本人も、他の国々の人質たちも豊かな未来に向けた資源開発をめざし、愛する家族と別れて砂漠のプラントへと出向いていた人々であろう。
だが、その砂漠はまた人の情をあざ笑うかのような荒々しい力が流血をいとわない闘争を繰り広げる世界でもあった

▲むろん砂漠とて異界でも何でもない。
私たちが暮らす平和な日常と同じ空気が満ちる同じ世界の一部である。
無残に断たれた犠牲者の志は、私たちがこれからの世界でなすべきことを問いかける。
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2013年01月29日

110%のやさしさ

110%のやさしさ
2013年1月28日    東京新聞「私設・論説室」

 「お願いします、あの子たちをこれっきりにしないでください。正社員として雇ってください。私たちが何でも手伝いますから」


 知的障害者らの雇用を半世紀以上も前から少しずつ増やしてきた川崎市のチョークメーカー、日本理化学工業。
その第一歩は、短期の就業体験をした少女二人の働きぶりに胸を打たれた社員の総意が、会社を動かしたことだったという


 休憩時間も持ち場を離れず、一心不乱にラベルを箱に貼る作業を続けた。
集中力と根気。
働ける喜びがひしひし伝わってきた。
周りの社員が刺激を受けないはずはなく
、会社の姿勢に賛同する取引先も増え、業績は伸びた。
今ではよく知られた会社だ。


 社員七十四人のうち五十五人が知的障害者。
重度も二十六人いる。
法定雇用率は重度の人数を二倍に換算するため、同社は110%という驚異的数字になる。


 企業に課せられる法定雇用率は1・8%だが、半数以上の企業が守っていない。
雇用率を向上させるのは喫緊の課題だが、重要なのは数字を達成することではなく、いかに生き生きと働ける場にするかだ。


 施設面から細かなサポート体制まで生易しくはないが、障害者は手帳所持者だけで人口の6%。
発達障害やうつの人を合わせれば、十人に一人と身近な存在だ。
積極的に受け入れて、職場や仕事の方を彼らに合わせていく。
そんな発想が企業にほしい。 (久原 穏)

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2013年02月01日

国民をバカにして戦争にかり立てる。自分は安全なところで偉そうにしてるだけ

国民をバカにして戦争にかり立てる。自分は安全なところで偉そうにしてるだけ

2013年1月31日   東京新聞「筆洗」

「地震の後には戦争がやってくる。
軍隊を持ちたい政治家がTVででかい事を言い始めてる。
国民をバカにして戦争にかり立てる。
自分は安全なところで偉そうにしてるだけ」。
昔、有名なロック歌手がそう書いていた

▼「日本国憲法第9条に関して人々はもっと興味を持つべきだ」という題名でつづったのは、四年前に亡くなった忌野清志郎さん。
雑誌で連載していたエッセーをまとめた『瀕死(ひんし)の双六(すごろく)問屋』(小学館文庫)に収録されている

▼書かれたのは阪神大震災から五年後。
ただ、よく見ると、「没原稿その二」とある。
事情があって雑誌には掲載されなかった原稿が、単行本化する際に復活したのだろう

▼欧米とは違って政治的発言を控える芸能人が多い中、レコード会社の横やりにも負けず、反核や反原発を訴える曲を発表してきたこの人が健在だったら、福島の原発事故の後、どんな行動をしただろうか、と想像してみる

▼衆院の代表質問で安倍晋三首相はきのう、憲法九六条の改正に強い意欲を示した。反発の強い九条は後回しにして、発議の要件を緩める既成事実をつくり、外堀から埋める戦術だ

▼「五十年以上もの間、戦争の無かった国は世界でも珍しいのだ。その点だけでも日本はすばらしい国ではないか」とも清志郎さんは書いていた。
それを誇りに思えない人たちが、残念ながら増えているらしい。

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2013年02月03日

もう始まった 円安→値上げラッシュ→貧困層窮迫の悪夢

もう始まった 円安→値上げラッシュ→貧困層窮迫の悪夢
2013年2月1日 日刊ゲンダイ掲載

アメ横ではオリーブオイル買い占めの動き

 世間はアベノミクスに浮かれているが、円安が進めば輸入価格が高騰し、給料が上がらなければ、庶民の生活は苦しくなる。

で、その傾向はもう出始めているのだ。
これから春にかけて、恐怖の値上げラッシュが始まる。

 総務省が先月25日、発表した2012年の消費者物価指数は99.7(2010年を100とする)で前年比0.1%下落、4年連続マイナスになった。

 こうしたマクロの指標を見せられると、日本はまだデフレの真っただ中にいて、インフレ懸念なんて関係なさそうに見えるが、そうではない。

 個別の物価指数を細かく見ると、すでに悪い値上げが始まっていることが分かるのだ。

 円相場は昨年11月の時点では1ドル=80.79円だった。
あっという間に10円以上、円安が進んだ。
単純計算で輸入価格は10%以上、値上がりすることになる。
今後、1ドル=95円、100円なんて展開になればなおさらなのだが、実際、去年の11月と比較するとスパゲティは消費者物価指数で94.3→106.8へ。
即席めんは97.7→98.5へ。ガソリン価格は去年の7月は135円(レギュラー、リッター)だったのが今月は144円である。

 それでなくても、生鮮野菜は86.3→106.2、ほうれんそうは81.6→124.5と高騰している。
これに小麦粉を中心とした輸入食料品の値上げが重なれば、家計を直撃することになる。

<オイルショックの再来も>

今後は非常に厳しい値上げラッシュになると思います。
すでに電気料金、灯油も上がっていますが、4〜5月にかけて、小麦粉や牛肉などの輸入価格が上がることで、パスタだけでなく、食パン、うどん、ケーキも値上げになるでしょう。
立ち食いそばやハンバーガー、牛丼も値上げになる。
これまでギリギリで価格競争をやってきたところほど、値上げしなければやっていけなくなる。
ファストフード店、牛丼屋、学校給食、社員食堂などです。

生活が苦しい人の財布を直撃することになると思います」
   (経済ジャーナリスト・有森隆氏)

 ちょっと前まで安売り競争をしていたのに、「すぐに価格に転嫁できるのか」と思うが、この背景には政治的思惑も絡む。

2%の物価目標を掲げる安倍政権だが、この数字の達成は難しい。
比較的値段がかさむ家電製品などに値上げの余地はないからだ。
物価を押し上げる主役は食料品になるとみられていて、「政治とのアウンの呼吸で、苦しい業界はなびくだろう。
大手数社が業界を独占している品物から値上げが始まる」(同)とみられている。

 値上げが確実視されているのはオリーブオイル、サラダ油、欧米の高級ファッション、ワイン、ミネラルウオーター、化粧品、バッグ、靴、輸入たばこ、トイレットペーパーなどなどだ、すでにアメ横あたりでは「オリーブオイルの買い占めの動きがある」(事情通)という。
そんな動きが広がれば、オイルショックの再来みたいになる。
安倍が無理やり仕掛けようとしている悪い円安は、大変な副作用を伴うのだ。
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2013年02月06日

困窮者支援 掛け声倒れは許されぬ

困窮者支援 掛け声倒れは許されぬ
2013年2月6日   東京新聞社説

活に困窮する人が増えている。
政府がその支援策をまとめた。

地域の力をうまく結集して生活保護に陥る前に自立につなげる。
実現に向け社会で取り組み、貧困の“防波堤”に育ててほしい。

 
 「遠くの親類より近くの他人」


 生活に困ったとき頼りになったのはかつては隣人だった。
地域の絆が弱くなった現在は、こうした支え合いは難しい。
 

一方、世帯の平均所得は十九年前から減り始め、現在二割が年収二百万円未満だ。
そこで生活保護に頼る前の困窮者の自立を後押しする。
厚生労働省の審議会がその支援策を報告書にまとめた。
 

自治体などに相談窓口を設けたり出向いて困窮者を見つける。
個々の事情に合わせた解決法を考え、力になる関係機関につなげる。
就労の場を提供したり、家計のやりくり、住宅の確保、健康管理、子どもの学習支援など自立力をつけるためきめ細かく支える。

支え手は自治体やハローワークなど公的機関にNPO、社会福祉法人、民間企業も加わる。お隣さん同士の助け合いの輪の代わりに、社会のいろいろな機能をつなげた輪で支えることを狙う。

介護を社会化した発想である。

 こうした支援は今、求められている。
自立できる人が増えれば生活保護費の削減にもつながる。 

支援の特徴は、困窮者が自立できるまでこの支援の輪のだれかが寄り添う伴走型サポートだ。
ただ、その具体像が不透明である。
「保護を受ける前に自立へつなげる」狙いを口実に、保護を利用させない新たな水際作戦になるとの懸念の声もある。

政府は地域で共有できる具体像を示すべきだ。
目指す理想像は分からないではないが、支援のカギは輪をつなぎ動かせるかだ。だが、関係機関の役割分担と連携の模索はこれからである。
人材や財源も要る。

 最大の課題は地域の要となる自治体のやる気だ。
報告書もいたる所でそれを指摘している。
NPOや企業が熱心でもなかなか輪にならない。輪をつなぐ“接着剤”になる自治体の人材が重要になる。
本腰を入れて取り組まねば、掛け声だけに終わりかねない。
政府は通常国会に関連法案を提出する。就労支援など一部は新年度予算案に盛り込まれたが、本格的な取り組みは数年先になる。

保護費の削減など生活保護制度の引き締め策だけでは困窮者を追い詰める。
寄り添う支援は一体で実現に努力すべきだ。
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2013年02月07日

石原前知事の思いつきに振り回されただけ 尖閣購入「寄付金返せ!」の苦情殺到

石原前知事の思いつきに振り回されただけ 尖閣購入「寄付金返せ!」の苦情殺到
2013年2月6日 日刊ゲンダイ掲載

 国有化で14億円が中ぶらりん


 やっぱりというか、東京都が尖閣諸島購入のために集めた寄付金が中ぶらりんになっている。
寄付した人から「返してほしい」という苦情電話が160件ほどかかってきているというが、そりゃ怒って当然だ。

 先月末で受付を終了し、集まった寄付金は総額14億8520万1967円(10万3602件)ナリ。

ところが、尖閣諸島は昨年9月、国が20億5000万円で買ってしまった。
で、船のチャーター代といった現地調査の費用など8000万円を差し引いた14億円を、「どうするの?」という話になっているのだ。

「国有化が決まった以降に集まった寄付金は1300万円ぐらいで、要するに99%の人は尖閣購入のために寄付をしたわけです」(都庁関係者)

 
肩透かしを食った寄付者にすれば、「ふざけるな!」だろう。
もう購入しないのだから、寄付金は返してもらえるのか。

 都の尖閣諸島寄附担当の言い分を聞こう。

「寄付金を受け付けた当初から、尖閣諸島の『購入』と『活用』に充てることになっています。
もう購入はできないので、活用にシフトしたわけです。

集まった寄付金は国に譲渡することになるでしょうが
、具体的な条件や日程は決まっていません。

苦情電話? 『尖閣諸島の活用のため』ということで、納得してもらっています。
寄付金の返還についても、当初から想定していない。
寄付者の志が早く有効活用されることを望んでいます」

 分かったような分からんような……。
はっきりしているのは、現時点で14億円は中ぶらりんということだ。

「昨年4月に尖閣購入を言い出したのは前知事の石原慎太郎氏ですが、寄付金のアイデアを出したのは当時副知事だった猪瀬直樹知事です。
買えるかどうかも分からないのに行き当たりばったりで始めて、結局このザマです」(前出の関係者)

 石原と猪瀬の思いつきに振り回された都民、国民は、ホントいい迷惑だ。
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2013年02月09日

集団的自衛権 解釈変更は本末転倒だ

集団的自衛権 解釈変更は本末転倒だ
2013年2月9日  東京新聞社説

 政府の解釈で憲法違反とされている「集団的自衛権の行使」。
それを認めるために置かれた有識者懇談会が再始動した。
憲法改正ではなく解釈変更で突破する手法だが、いかにも無理がある。


 集団的自衛権は自国と密接な関係にある外国への武力攻撃を、自らは直接攻撃されていないにもかかわらず実力で阻止する権利だ。
日本政府は国際法上、権利を有するが、行使は憲法九条が認める自衛権の範囲を超え、許されないと解釈してきた。


 安倍晋三首相は以前から解釈変更に意欲的だ。
第一次内閣当時の二〇〇七年四月に「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)を設置したが、同懇談会が行使容認の報告書を提出する前に退陣したため、報告書がお蔵入りとなった経緯がある。


 懇談会再開は首相には「リベンジ」なのだろう。
日本が集団的自衛権を行使すれば、米国への攻撃に日本が反撃できる。
米国が日本を守る片務的な日米安全保障体制は双務的となり、同盟は強化される−。こんな計算がうかがえる。


 しかし、政府解釈は歴代内閣が継承し、定着したものだ。
平和国家・日本の「国のかたち」を一内閣の解釈変更で変
えていいのか。


 憲法の有権解釈権は政府ではなく国会にあるとの意見もある。


 自民党は昨年、集団的自衛権の行使を一部認める「国家安全保障基本法案」を決めた。
行使を認める法律が成立すれば政府解釈は効力を失うとの論法だが、法律が憲法を上書きするのは本末転倒だ。
必要なら憲法改正を発議し、国民投票で是非を問うのが筋だろう。


 そもそも集団的自衛権を行使する事態が現実に想定されるのか。
首相が検討を指示した、近くの米艦艇が攻撃された場合、自衛艦は自らの防御として反撃するだろうし、米国に向かう弾道ミサイルを現装備で迎撃するのは困難だ。


 首相は今月下旬の日米首脳会談で行使容認の方針を伝える意向だったが、米国側は「中国を刺激する懸念がある」として支持表明に難色を示している、という。
現実から遊離した議論では、米国側からの支持も得られまい。


 日本は基地提供という日米安保条約の重い義務を負い、すでに双務性を果たしていると考えるのが妥当だ。

条約を効果的に運用したいのなら、沖縄県という一地域が負う過重な基地負担の軽減に、まず取り組むべきだろう。

 両首脳の「初顔合わせ」がその第一歩になるのなら意味がある。
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2013年02月10日

社説:柔道暴力問題 勇気ある告発者を守れ

著作権は毎日新聞社またはその情報提供者に属します。

社説:柔道暴力問題 勇気ある告発者を守れ
毎日新聞 2013年02月10日 02時30分


 「アスリートファースト(選手第一)」は2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会がしばしば強調するコンセプトだ。
招致を推進する人たちはスポーツ界の暴力根絶に向けて行動する際にもこのことを肝に銘じてほしい。


 柔道女子日本代表監督の暴力指導などを選手15人が告発した問題で、自民党の橋本聖子参院議員が先日、15人の名前は公表されるべきだと受け取れる発言をした。


 「プライバシーを守ってもらいながら ヒアリングをしてもらいたいということは、決してよいことではない」「あまりにも選手のプライバシーを守ろうとする観点から、15人の選手の氏名が表に出ていないことをどう判断するか。非常に大きな問題だ」


 この発言は告発への抑止効果を持つ。
柔道と同様の問題を抱えている競技で
告発を考えている選手の側に立てば、名前がさらされることで不利益を被ることを恐れて二の足を踏むことが十分予想される。


 元オリンピック選手で日本オリンピック委員会(JOC)の理事も兼ねる橋本氏は 今回の柔道暴力問題では選手の聞き取り調査をするためにJOCが設置した「緊急調査対策プロジェクト」のメンバーでもあることを自覚すべきだ。
選手の名前はすでにJOCが把握している。
だれに対して公表するのか。
公表するメリットは何か。
弱い立場に寄り添うというより、突き放すような態度の橋本氏に対して選手たちは心を開けるだろうか。

 その後、橋本氏は報道各社にコメントを送り、「氏名を公表すべき」とする発言は行っていないとしたうえで、「オリンピック強化には税金が投じられており、その公益性に対する一定の責任を理解すべきという指摘もあり、そうした意見を受けての発言」と釈明した。 

06年4月施行の公益通報者保護法は企業の法令違反や不正行為などを告発した労働者を保護する法律だ。
今回のケースが該当するかは別にして法の精神に照らして言えば、勇気ある告発に踏み切った彼女たちは保護されなければならない。
 確かに橋本氏が指摘するように強化費や遠征費などの名目で選手たちには税金が投入されている。

選手たちが競技だけでなく、相応の社会的責任を有することは言うまでもない。
社会の模範的存在として、例えば被災地などを訪れてボランティア活動などに励むことこそが責任を果たすということであり、告発に対する報復措置への不安が消えない中で名前を公表することではない


スポーツ基本法も「スポーツを行う者の権利利益の保護」をスポーツ団体に課していることを付け加えておく。

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2013年02月12日

社説:13年春闘 働く人に希望を見せよ

社説:13年春闘 働く人に希望を見せよ

毎日新聞 2013年02月11日 02時32分


 賃金は15年前から下がり続け、非正規雇用は全体の3分の1を占めるまでになった。
春闘の存在感が薄くなったと言われて久しい。
しかし、今年はデフレ脱却を目指す安倍政権の経済政策で企業業績に薄日が差し、連合は非正規社員の待遇改善を初めて前面に掲げての春闘だ。
ちょっと期待してみたい。


 経営側の財布のひもが固いのは、日本の給与水準がすでに世界トップレベルで、賃上げは社会保険料も連動するため国際競争力の足を引っ張るとの考えが根強いからだ。
円安・株高が続いたとしても具体的な成果が表れるのは先で、すぐに賃上げなどできないという。


 連合は今春闘で定期昇給の維持に加え、賃上げ・労働条件の改善として給与総額の1%を目安に配分を求めている。
デフレ脱却には内需の6割を占める個人消費が増えなければならず、それには所得増が不可避だ。

円安は輸出型産業には追い風だが、エネルギーや食料品は値上がりし、国民生活には打撃となる。
物価だけ上がって賃金が置き去りにされたのではデフレ脱却など絵に描いた餅に終わる、というのだ。


 安倍晋三首相も「業績が改善している企業には報酬の引き上げを通じて所得の増加をお願いしていく」と踏み込み、日本銀行審議委員も「物価2%上昇を目指すには4%程度の賃金の伸びが必要」と語るなど、賃上げを求める声は強まっている


 それでも経営側が慎重なのは、4月から雇用関係の改正法が相次いで施行され人件費増に対応する必要に迫られるからでもある。
改正高年齢者雇用安定法では企業に希望者全員の65歳までの雇用確保が義務付けられる。
また、改正労働契約法では非正規社員の通勤手当などをめぐる差別待遇禁止や無期雇用への転換が促されるようになる。
少しくらい業績が改善しても賃上げする余裕はないというのが本音だろう。


 連合は大手と中小企業の格差是正、非正規の正社員化へのルールや昇給制度の明確化、社会保険適用拡大なども今春闘の重点要求項目に掲げた。

大企業の正社員中心の連合が非正規の改善に本格的に取り組む意味は大きい。
社会全体から見た優先課題はここだ。
個人消費が拡大しないのは低賃金とともに将来不安から少ない収入を貯蓄に回しているからでもある。
経営側も協力して非正規社員の改善に取り組むべきだ。


 これまで春闘をリードしてきた企業が国際競争で苦戦するのは分かるが、業績を伸ばしている企業まで横並びで賃金を抑制するのは納得できない。
企業の内部留保はこの数年膨らみ続けてもいる。
働く人に将来の希望を実感させてほしい。

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2013年02月13日

憂楽帳:嫌な空気

憂楽帳:嫌な空気
毎日新聞2013年02月12日 西部夕刊

 何だか嫌な空気だ。
大陸由来の大気汚染物質のせいではない。

「3本の矢」とか「アベノミクス」とか言われる新政権の政策と因果関係があるのかどうか素人目には定かでないが、「円安」「株高」の見出しが新聞に躍る。
嫌な空気は近所に住むA子さんも感じていた。
私の母と同じ70代半ば。
なじみの居酒屋で時折一緒になる。


 この人は互いに写真でしか知らなかった男性と結婚した。
九州から自分と同じ年の叔母に伴われて列車で上京。
東京駅のホームで初めて対面した夫が、2人を交互に見て「どっちが俺の嫁さんか」と戸惑っていたのを懐かしそうに語る。
結婚後は経済成長をひた走る東京で、クリーニングの店を夫婦で切り盛りしていたのだという。


 山あり谷ありの日本経済の裾野を、泣き笑いを繰り返して歩んできたA子さんは現在、一人暮らし。

「私らにおこぼれがあるわけない。後が怖いね」と経済の先行きに懐疑的な意見だ。「そうですね」と相づちを打つと、店にいた誰かが言った。
4本目の矢を庶民に向けてはくれないか」。
一理あると思った。
ただ、くれぐれも射殺(いころ)さぬように願いたい
                       【下薗和仁】

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2013年02月22日

アベノミクス 値上げ地獄が始まった! 来月上旬ガソリンはリッター160円になる

アベノミクス 値上げ地獄が始まった! 来月上旬ガソリンはリッター160円になる
2013年2月20日  日刊ゲンダイ 掲載

電気代も青天井に

 世間はアベノミクスのバブル株価に浮かれているが、おめでたい話だ。
その間にも値上げラッシュの足音がひたひたと迫っている。

中でも見過ごせないのがエネルギーだ。
ガソリン代、電気代、ガス代。すでに上がっているが本番はこれからだ。
庶民の生活はもちろんのこと、企業の生産活動にも重大な影響を及ぼすことになる。

レギュラーガソリンの小売価格は今月12日、153.8円(1リットル)となった。
前週比2.1円増。10週連続の値上がりで、累計8.3円増。軽油は133.2円でこちらも11週連続、累計で7.6円も上がった。

 もちろん、円安の影響だが、実は為替の影響は3週間後くらいに小売価格に跳ね返る。
つまり、ここにきて急落した円安分は、まだ価格に組み込まれていなくて、本格的な価格上昇はこれからなのだ。
その場合、ガソリン価格はどれくらい上がるのか。

「来月上旬にはガソリンは158〜160円になります。
軽油は137〜140円に行く。これはほぼ確定です。
1月は1ドル=89円台だった為替レートが2月中旬には94円台の半ばまで行ったからです。
それでなくても原油は昨年10月比で6%以上上がっている。
そこに円安要素が加わった。
1ドル=100円なんて事態になれば、昨秋比で3割以上の値上げになります」(エネルギー関係のアナリスト)

 福田康夫内閣の時にガソリンは一時、156円になった。
このときは原油高騰・下請け中小企業に関する緊急対策がまとめられ、国会では民主党のガソリン値下げ隊が大暴れ、暫定税率が一時、引き下げられる騒ぎになった。

 それなのに、今回はアベノミクスに浮かれて、何もなし。
これじゃあ、庶民は見殺しにされるようなものだが、もうひとつ、見過ごせないのがLNG価格だ。

 日本はLNGを輸入する際、その価格は原油価格と連動する仕組みになっている。
電力会社がおかしな契約を結んでいるからで、そのため、日本は世界一バカ高いLNGを買わされている。
これが電気代に跳ね返ってくる。
言うまでもないがLNGは火力発電のエネルギーになる。
原発停止と円安がダブルパンチになるわけだ。

「日本のLNG輸入価格は16〜18ドル(100万BTU=英国熱量単位)で、主にカタールから輸入している。
これは法外な値段です。

シェールガスもあり、LNG価格は世界的に値崩れしているんです。
南米、西アフリカから米国向けは3〜3.5ドルです。
許せないのは日本と同じように原油連動型の欧州向けのLNGも9〜13ドル程度で、日本よりはるかに安いこと。
日本は吹っかけられているんです。
日本の電力会社はいくらコストがかかっても、電気代に上乗せできる。
向こうもそれを知っているから、強気。
日本はカモにされているんです」(電力会社関係者)

 これじゃあ、電気代は青天井だ。
すでに値上げを実施済みの東電のほか、関西電力、九州電力、東北電力も値上げ申請中。
四国電力、北海道電力も近く、値上げ申請する。
値上げ幅は約1割程度だが、もちろん、これは入り口に過ぎない。

 アベノミクスが続くと、庶民の暮らしはヘタってしまう。
浮かれていたらバカを見る。

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2013年02月23日

社説:視点 安倍政権と自助 頑張れない人どうする

社説:視点 安倍政権と自助 頑張れない人どうする
毎日新聞 2013年02月22日 02時30分

「頑張った人が報われる社会にする」と安倍晋三首相は言う。
自助・自立が自民党の社会保障政策の核だ。

頑張れない人はどうするのだと言いたいところだが、高齢化と人口減少を考えると、財源なしに甘い政策ばかり並べる時代ではないとも思う。
 
 「頑張る人」とはまじめに働いて税金や保険料を納める人、他人に負担をかけずに暮らす人を指すのだろう。
たしかに、高齢になっても誰かの役に立ち、社会貢献もしたいという人は多い。

しかし、頑張りたくても頑張れない人が自立するにはその前提条件がいる。

 これまでは家族や地域の互助・共助のクッションがこうした人を守り、自立できる環境を提供してきた。
その機能が弱った今、ただ自立を求められても頑張れない人は追い詰められるだけだ。

  「ブーツォルグ」という高齢者の地域ケアを担う非営利団体がオランダで注目されている。
看護師を中心に最大12人の小さなチームが各地に点在して町で暮らす高齢者を支えている。
一人の看護師が一人の高齢者のアセスメントから介護計画の作成、直接介護まで行う。
財政や職員採用、教育も各チームに任されている。
組織の拡大とともに分業が進んで職員が歯車化するよりも、個々の看護師が権限と責任を持って自律的に動くことが仕事へのモチベーションを高めるというのだ。
 
 
最大の特徴は、看護師が高齢者の自助の力を引き出し、家族や近隣住民を巻き込んで支え合う状況を作り出すと、自分たちは手を引いていくことだ。

頑張って成果を上げるほど仕事がなくなり収入は減るが、職員の満足度は同業者の中で最も高い。
高齢者にとっても日替わりで介護されるよりも、看護師とじっくり信頼関係を築き、家族や友人に囲まれて自立生活する方が満足度は高いという。
 
 設立6年目で計540チーム(看護師6500人)を擁する団体に成長したが、事務職員は最小限に抑え、絶えずネットを使って連絡を取り合いながら医療やケアの知識や技術を身につけている。
運営コストは極めて低く、政府関係者や企業から見学者が絶えないという。
 
 実は、日本でも似た活動は見られる。財政破綻で知られる北海道夕張市などでも地域の人々が参加する在宅医療・ケアの輪が広がっている。

 どの先進国も財政難の中で高齢化に直面しており、目指すべきものは共通している。
規制や既存組織の壁がないところでは理想が実現しやすいということではないか。  壁をなくす−−政治の役割はこのあたりにあると思う。
        (論説委員・野沢和弘)


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2013年02月25日

ふるさと:原発事故23カ月 2度、国に捨てられた

ふるさと:原発事故23カ月 2度、国に捨てられた
每日新聞 2013年02月24日 22時46分(最終更新 02月24日 22時56分) 

東京電力福島第1原発事故に見舞われた橘柳子(りゅうこ)さん(73)は、福島県浪江町権現堂の自宅から夫(76)と帰省中だった妹(63)の3人で避難する車の中で、旧満州(現中国東北部)から命からがら帰国した68年前の逃避行を何度も思い出していた。


 「戦争が終わっても、国からは具体的な引き揚げの指令は来なかった。
原発事故が起きた後も一緒。
人生で私は2度、国に捨てられ、棄民になった


 中国・大連で1939年に生まれた。
父は日本の国策会社・南満州鉄道で農作物の検査官をしていた。
「豊かな暮らしだった」。
しかし、広島、長崎に米国の原爆が落とされ、日本は降伏。
45年8月15日にハルビン(中国・黒竜江省)で天皇が終戦を告げたラジオ放送を聞いた。
その6日前、ソ連は満州へ侵攻を開始。
橘さんの家もソ連兵に押し入られた。
父親が一時捕らえられたが、隙(すき)を見て逃走。
言葉にできない苦労の末、家族全員が母親の実家がある浪江町にたどりついたのは11月ごろだった。


 東京の大学を出て、福島で中学校の英語教師になった。
60年代。
「出稼ぎしなくても働く場所ができる」と海沿いの浜通り地方では原発誘致が盛んだった。
歓迎ムードのなか、学習会などに参加し、「被爆国に原発はふさわしくないのでは」と考えるようになった。


 第二の浪江町に原発建設計画が浮上すると反対運動に加わった。
保護者には原発関係者も多かったが、「原発から放射能が漏れたら、どうなると思う?」と問いかけるなど、原発の危険性を考える授業にも取り組んだ。

それだけに、「事故が起きてしまったのは自分たちの力が足りなかったから」と自責の念に駆られ、今も落ち込む時がある。


 原発事故からの避難で、首をかしげたくなる国や県の対応を経験した。
甲状腺がん予防のため、避難所で子どもにヨウ素剤を飲ませるように訴えたが、聞き入れられなかった。

橘さんをはじめ多くの人が浪江町からの避難に使った国道114号方面には原発から高濃度の放射性物質が流れていて、そのことをSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)は示していたが、すぐには公表されなかった。


 「なにかあると、いつも苦しめられるのは民衆
終戦後と原発事故後の避難は、徒歩が車に変わっただけ」

 避難所など9カ所を転々とし、原発から7キロの自宅から50キロ離れた同県本宮市の仮設住宅に落ちつきはした。
でも、一時帰宅を巡って夫と意見が対立するなど、事故はあらゆるところに分断と
対立を引き起こした。
事故から2年近くたつが、静かな日常は戻らない。

 12年6月、東電幹部や国に対して刑事責任を問う福島原発告訴団の集団告訴・告発に参加した。
「安全神話を振りまいて原発を推進してきた国の責任は重い。怒らなくちゃ」
 
 告訴・告発状を受理した検察庁は、東電幹部らの事情聴取を進めている。
立件は困難との見方が報道されているが、「誰も責任を取らないのはおかしい」と、起訴を求める署名活動に取り組み、4万人以上の署名が集まった。

戦争の記憶は、つらすぎて封印してきたこともある。
でも、2度も
ふるさとを奪われた経験から、原発事故は決して忘れてはならないと肝に銘じている。


 「福島県民16万人の避難の歴史を、残さないといけない。国の責任を追及しないと、国策に苦しめられる人がまた生まれてしまうから」
     【三村泰揮】

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2013年03月02日

施政方針演説 弱者切り捨てでは困る

施政方針演説 弱者切り捨てでは困る
2013年3月1日 東京新聞社説



安倍晋三首相による施政方針演説は「自立」に貫かれた。

その大事さは理解するが、自立したくてもかなわない弱者にこそ手を差し伸べるのが政治の姿である。
基本を忘れてもらっては困る。

この国会二度目の首相演説である。
冒頭、福沢諭吉の「学問のすゝめ」から「一身独立して一国独立する」を引き、「誰かに寄り掛かる心を捨て、それぞれの持ち場で自らの運命を切り開く意志を持たない限り、私たちの未来は開けない」と訴えた。


 長期の経済低迷と巨額の財政赤字、本格的な少子高齢化社会の到来、東日本大震災と福島第一原発事故による甚大な被害、周辺諸国の日本領域への挑戦など、日
本が直面する課題は多く、深刻だ。

それらを克服するにはどうすればよいのか。
自立して懸命に生きる人同士が苦楽を共にして助け合う。
被災地での支え合いに感銘を受けた首相は、そうした姿こそが「強い日本」復活の原動力になると訴えたかったのだろう。


 自立心を持つことも、支え合って生きていくことも大事なことである。それ自体に異存はない。


 ただ危惧するのは自立を強調するあまり、自立できない人が置き去りにされてしまうことだ。
苦楽を共にできない人が支え合いの輪の外に置かれてしまうことだ。


 首相も演説で「どんなに意欲を持っていても、病気や加齢などで思い通りにならない方々がいる」と指摘した。
頑張りたくてもかなわない、立場の弱い人々を支えるのが、政治本来の役割である。そのことを忘れてほしくはない。


 社会保障と税の「一体」改革は消費税増税だけが決まり、社会保障制度改革は後回しだ。
有識者の国民会議は始動したが、議論の遅れも指摘される。
社会保障制度は今のままで、消費税増税だけが強行される事態は見たくない。
政治の覚悟が問われる場面だ。


 社会保障の在り方について、首相は「自助・自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べる」と主張し、民主党は先の党大会で決めた新しい綱領に「個人の自立を尊重しつつ、同時に弱い立場に置かれた人々とともに歩む」と明記した。


ニュアンスの違いはあろうが、個人の自立を重んじ、弱者を支えることでは同じではないか
ならば、社会保障のあるべき姿の議論を急ぎ、夏の参院選前に結論を出し、堂々と国民に問うべきだ。それが政治の責任でもある。
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「維新の会」内輪モメ激化 橋下市長が切られる日

「維新の会」内輪モメ激化 橋下市長が切られる日
2013年3月2日 日刊ゲンダイ掲載

<旧太陽系に乗っ取られた>

 日銀総裁人事をめぐってスッタモンダした日本維新の会。
国会議員団から「口を出すな」と言われて激怒した共同代表の橋下大阪市長は、「これから口は出さないが、以後、維新の会にはかかわらない。
どうぞお好きにやってください」とブチ切れメールを議員団に送りつけた。

この件について、橋下は28日、「解決した」と話し、表向きは収束したことになっている。だが、実際は溝が深まる一方だという。

「維新の国会議員団は、衆参で57人。
その内訳は、橋下代表代行に近い“大阪系”が40人、旧『太陽の党』の石原慎太郎代表ら“太陽系”が17人。
意見が対立しても、多数決で大阪系の声が大きくなるとみられていました。

ところが、いざ国会が始まってみると、老獪(ろうかい)なベテラン議員が多い太陽系が完全に主導権を握ってコトを進めている。
新人議員もずいぶん取り込まれ、いま多数決を取れば半々か、ヘタしたら太陽系の方が多くなりそうなのです」(維新の会関係者)

 党の役員を見ても、石原慎太郎代表、平沼赳夫国会議員団代表、片山虎之助政調会長、藤井孝男選対委員長兼総務会長と、主要な役職を旧太陽系が押さえている。
いくら大阪の橋下が共同代表といっても、国会の現場にいないのだから、旧太陽のペースになるのは当然だ。
おかげで、橋下の影響力は日に日に低下。
大阪以外ではテレビで取り上げられる機会も激減している。

 旧太陽系のある議員は、橋下についてこう言った。

「橋下さんには国民世論を味方につける発信力がある。
参院選で勝つには、橋下さんの人気が絶対に必要です。
しかし、国政のことは、やはり国会議員にしか分からない。
裏で握ったり、阿吽(あうん)の呼吸で落としどころを探ったり、長年の間に培われてきた政治手法がある。政治というのは、一方的なメールで済ませられるようなものじゃないんだよ」

 つまり、参院選でそこそこ議席を取れたら、もう橋下は用済みということ。
選挙には利用するが、橋下に政治の何が分かるのかと、完全に見下している。

旧太陽が維新を完全に乗っ取り、参院選後には橋下を追い出す日が来そうだ」。
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2013年03月05日

いつの間にか「原発再稼働」が前提となっている気持ち悪さ

いつの間にか「原発再稼働」が前提となっている気持ち悪さ
2013.3.4 21:14  NEWSポストセブン  谷川 茂

メルトダウンを起こし、広範囲に放射能を撒き散らした福島第1原発の事故から2年が経とうとしている。

事故直後から、世論は脱原発の方向へ舵を切った。
民主党政権は、世論に配慮しながらも、2012年7月には福井県の大飯原発を再稼働させた。
私たちは、自民党と政府、そして電力会社の「原子力発電所は安全です」という言葉を信じたが、福島第1原発事故でその言葉は裏切られた。
 

事故の検証は、いまだ完璧に行われたとは言えない。
そんな中で大飯原発の再稼働に踏み切った民主党政権に幻滅した読者も多いと思われる。

そして、政権が自民党に代わってみると、原発の再稼働が前提となる議論が、堂々となされるようになっている。


安倍晋三首相は、2013年2月28日の施政方針演説で、原子力政策では「安全が確認された原発は再稼働する」と明言した(産経新聞、同日付)。

同紙の記事によると、「エネルギーの安定供給とエネルギーコストの低減に向けて責任ある政策を構築」し、福島第1原発事故の反省を踏まえた上で「原子力規制委員会の下で妥協することなく安全性を高める新たな安全文化をつくる」と首相は説明した。

そうして、原発の再稼働を促そうとしている。まさに「喉元過ぎれば熱さを忘れる」である。


ずさんな安全基準で建設を促進し、その結果として原発は取り返しのつかない事故を起こした。
事故当時、たまたま民主党が政権を握っていたが、原発の安全基準がずさんであったことの責任は、主に自民党と、自民党が過去に運営してきた政府にあるのは自明のことであろう。


首相の「安全文化」という言葉が、筆者には「原子力発電所は安全です」と言う、かつて私たちをだました自民党の言葉と同じに聞こえるのは、筆者だけであろうか。

エネルギーの安定供給は重要な課題ではある。だが、安定供給が必要だから原発を再稼働するというのは、問題をすり替えていると言わざるをえない。


原発の再稼働がありえるのは、その安全性が完璧に確認され、国民がその安全性に納得いった場合に限定される。
どれだけエネルギーが不足しても、どれだけエネルギーの供給コストが高まっても、その原理原則を崩さないことが、福島第1原発事故を経験した私たちの「学び」なのだと筆者は思う。(谷川 茂)


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2013年03月06日

主権者である国民が国家権力に歯止めをかけるための役割が憲法

主権者である国民が国家権力に歯止めをかけるための役割が憲法
2013.3.6   東京新聞「筆洗」

天皇や摂政、国務大臣、国会議員、裁判官、国家公務員、地方公務員…。
憲法を尊重し擁護する義務を負う、と憲法九九条で規定されている人たちだ。
なぜ、国民はその義務を負わなくてよいのか、と不思議に思ったことがある

主権者である国民が、国家権力に歯止めをかけるための割がである
近代の立憲主義の理念では、国民は国政を担う人たちが憲法に反して暴走しないように「監視役」と位置づけられている。
それ故に、国民には憲法尊重擁護義務はないと学んだ

▼憲法は法律の親玉ではない。
理想とする国家像や伝統、価値観を政党が押しつけたり、ましてや国民に義務を課したりする規範ではない。
自民党の憲法改正草案を読めば、憲法の本質を理解していない人たちが考えたことが分かる

▼昨年末の衆院選に対する一票の格差訴訟の一審判決(二審制)がきょうの東京高裁を皮切りに、全国の高裁・支部で今月二十七日までに相次いで言い渡される。

▼異例のスピード審理の裏側は、最高裁から「違憲状態」と指摘されながら、制度を放置し続けた国会へのいら立ちもありそうだ。
違憲判決どころか、選挙の無効まで踏み込んだ判断が出る可能性があるという

違憲状態の選挙制度で選ばれた国会議員が憲法改正を訴えるのは、ブラックジョークに聞こえる
やるべきことをしてから、言ってもらいたい。
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2013年03月08日

衆議院選は「違憲」 もう異常事態はゆるされぬ

衆議院選は「違憲」、もう異常事態は許されぬ
2013.3.7   東京新聞社説

 昨年の衆院選を違憲と東京高裁が判断した。
最大二・四三倍もの格差で選挙をしたからだ。
限りなく平等な一票にすべく、早く政治は動かねばならない。


 「(最高裁判決で)強い警鐘が鳴らされたにもかかわらず、是正が早急に行われないままに選挙されるに至った経過は、看過することができない」


 東京高裁の論理は単純だ。最高裁は二〇一一年に、最大格差が二・三〇倍だった衆院選を「違憲状態」とし、選挙区割りの見直しを迫っていた。
だが、今回の選挙は、それを無視し、従前の区割りのまま行われた。
「違憲」は当然の帰結といえる。

◆レッドカードで芝生に

 ただし、原告が求めた「選挙無効」の訴えは、退けられた。
昨年十一月に小選挙区定数を「〇増五減」するなどの是正策を成立させたことを評価したのだ。

無効としたときの政治的混乱を配慮した結果でもあるのは間違いない。


 だが、この裁判所の配慮こそ、国会を甘やかし続けたのではないか。
違憲判決を突きつけるだけで、政治が敏感に動くかどうか疑問を覚えるのもその点だ。

 衆院選では、過去に最高裁で二度の違憲判決があるが、選挙無効は回避された。格差是正は図られてきたが、どれも弥縫(びほう)策ばかり…。
国会の怠慢が、選挙があるたびに一票の格差訴訟が起きる状態を招いているのだ。


 「違憲」はサッカーならレッドカードだ。
退場、すなわち「選挙無効」−。
そうしないと、国会は動かず、司法の権威と国民の納得が得られない。


 だが、無効となった場合、どうするかという方策が何も決まっていない。
国会の怠慢と、司法の消極姿勢が、レッドカードを受けた選手たちを芝生の上で走り回らせる−、そんな滑稽な光景を招いているのではないか。

◆同じ民主主義国なのに

 「一票の格差」を米国では、どうとらえているだろうか。
実は日米の間では、雲泥の差がある。


 米下院議員選挙で、ニュージャージー州の選挙区割りを違憲とした、一九八三年の米連邦最高裁判決がある。
ある選挙区の投票価値を「一」とした場合、ある選挙区は「一・〇〇七」だった。
わずか一・〇〇七倍の格差でさえ、連邦地裁は違憲と判断し、連邦最高裁もそれを支持したのだ。


 ペンシルベニア州の判決も極めて興味深い。
最大人口の選挙区と最小人口の差は、わずかに十九人だった。
一票の格差は、一・〇〇〇〇二九倍にすぎないのに、連邦地裁に提訴された。

 裁判所は州議会に対して、三週間以内に新たな区割り法を制定し、裁判所に提出するよう命じた。
〇二年のことだ。
そして、州議会は新たな区割り法をつくった。
その結果は驚くべき内容だった。最大人口の選挙区と最小人口の選挙区の人口差は、たった一人になったのだ。


 これらの事柄は今回の原告が、裁判所に提出した書面で明らかにしたことだ。
同じ民主主義国家でありながら、「一票」の価値に対する意識も実態も、まるで異なっているわけだ。


 代議制民主主義は、
(1)主権者は国民であること
(2)正当な選挙が行われること
(3)国会議員の多数決−の三つから成り立っている。

国民の多数意思は、正確に国会議員の多数決に結び付かねばならない。
そのためには、正当な選挙が行われることが大前提であるはずだ。


 憲法前文の冒頭は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し(以下略)」で始まる。

正当な選挙こそ、民主主義の根本である。
そうでないと、国会議員の多数決の結果は、国民の意思の多数決と矛盾する事態を招くからだ。


 米国での徹底ぶりをみると、われわれも一票について、もっと真剣に見つめ直さねばならない。
一票の格差とは、住んでいる土地によって、一票の価値が変わる、住所差別の問題であるからだ。


 男性が一票で、女性が〇・五票しかなかったら、間違いなく、違憲・無効の判決が出る。
住所で一票の価値がない人も、寛容でいられるはずがない。


 与野党それぞれで、選挙制度改革に乗り出している。
だが、比例選の定数削減は、格差問題とは無関係だ。
むしろ小選挙区の区割りで、限りなく平等な一票にすべく早く是正策を講じるべきだ。

◆“違憲議員”の正当性は

 全国の十六の高裁・高裁支部で起こされた訴訟で、初の判決だった。
今後、一つも無効判決は出ないのだろうか。

ただし、違憲判断が続出し、最高裁で確定したら…。
議員の正当性も、“違憲議員”がつくる法律の正当性にも疑問符が付くことに他ならない。
これこそ国家の異常事態だ。

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2013年03月09日

社説:再審開始認めず 疑問を抱かせる判断だ

社説:再審開始認めず 疑問を抱かせる判断だ
毎日新聞 2013年03月09日02時30分

1986年に福井市で起きた女子中学生殺害事件で、有罪が確定した前川彰司さんの再審開始決定を名古屋高裁が取り消した。

過去の裁判で開示されなかった証拠を精査して裁判のやり直しを認めた決定を覆すもので、再審制度にも適用される疑わしきは被告の利益に」という刑事裁判の原則に沿って検討されたのかどうか疑問の残る判断だ。


 前川さんと犯行を結びつける物証や目撃証言はなく、前川さんの関与を示唆する知人らの証言が唯一の証拠だった。
その証言の信用性を巡り、1審無罪、2審有罪と判断が分かれ、最高裁で懲役7年が確定した。
服役後の再審請求で名古屋高裁金沢支部が11年に再審開始を決めると、検察側が異議を申し立てた。


 再審請求審で検察側は、裁判所の勧告に従い、関係者の供述調書や解剖写真などを初めて開示した。

裁判所は、これらの新証拠を確定判決の根拠となった証拠と併せて検討し、現場に残されたものと違う凶器が使われた可能性や犯行後に前川さんが乗ったとされる車から血液反応が出なかった不自然さから、前川さんを犯人とするには「合理的な疑いがある」と結論づけた。


 最高裁は75年、「疑わしきは被告の利益に」の原則が再審にも適用されるという「白鳥決定」を出し、冤罪(えんざい)事件に再審の扉を開いた。

足利事件や東京電力女性社員殺害事件などで再審無罪が続き、その原則を適用する流れは明確になっている。

今回もDNA鑑定のような決定的証拠はないとはいえ、確定判決に疑問を抱かせる新証拠が示された以上、再審開始の決定は妥当と言えよう。


 ところが名古屋高裁は、これらを無罪にすべき明らかな証拠と認めなかった。
知人の証言が変遷した理由にも合理性があり信用できるとし、捜査による誘導の疑いも否定した。

日本弁護士連合会が「白鳥決定を無視し、不当極まりない」と会長声明を出したが、証拠に対する評価がこれほど異なると、司法の信頼性を疑われても仕方ないだろう。


 大阪市平野区の母子殺害事件の最高裁判決(10年)は、状況証拠のみで有罪認定するには「被告が犯人でなければ合理的に説明できない事実関係が含まれていなければならないとして、反証的な姿勢で厳しく証拠を吟味するよう求めた。

今回の決定で弁護側は最高裁に特別抗告するが、慎重な審理を望みたい。


 裁判員裁判が始まり、最高裁は、1審の判断を控訴審で覆すためには「論理則や経験則に照らして事実認定が不合理であることを具体的に示す必要がある」との見解を明らかにしている。
これは再審にも求められる原則ではないか。




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2013年03月10日

東京大空襲も忘れないで!!

「小だぬきのつれづれ日記」2012.3.10一部手直し

太平洋戦争時 アメリカの戦略空軍は 国際法規を無視した 軍事関連施設以外の無差別爆撃をして一般国民の大量殺りくをしました。

東京・神戸・横浜・北九州・那覇をはじめ 全国に渡って B-29爆撃機による焼夷弾(油をまき点火する 日本の木造家屋を念頭にした爆弾)爆撃です。
記録を読むと 日本の陸・海軍の防空戦闘も米軍パイロットに恐怖を与えるほど奮戦し 数百機の損害・撃墜を記録しているのですが、被害の甚大さを止めるにはいたりませんでした。

昭和20年3月9日の深夜から10日未明にかけての 東京下町地域に行われた大空襲では 数百機が大量の焼夷弾を地上の火災が円形になるよう爆撃し 住民の避難が出来ない状態を意図的に作りだして 20万以上の焼死者を出した悲惨な「戦争犯罪」爆撃でした。

一昨年の3.11の東日本大震災の米軍の「ともだち作戦」には 感謝するものの、67年前に敗戦が誰の目にも明らかになっていた日本本土に対しての無差別爆撃をされた事実は 決して風化させてはなりません。

「勝てば官軍」「不幸な過去を乗り越えて」などと 許したり忘却のかなたに消し去ることは 絶対にあってはなりません。

欧米の植民地政策、日本に対する無差別爆撃・一般市民への機銃掃射・火炎放射器使用・原子爆弾などを 問題にしなかった「東京裁判」の問題点なども しっかりと認識する必要があります。

戦争犯罪は 敗戦国だけではないはずです。

明日のマスコミが 3.11の「トモダチ作戦」に配慮して 太平洋戦争時の米軍の戦争犯罪を直視しないものになるのなら 独立国の報道機関とは言えないし、自国の歴史も事実を積み上げて客観的に評価する立場をも投げ捨てるものになります。

よく戦史は 勝者によって作られると言われますが、歴史を学ぶことは 現在の在り方をも決めるものです。

世界に唯一つ首都圏に 米軍が広大な基地を持ち、しかも戦後の委託統治期間(占領期間)に軍政の元 ブルドーザーで農地を踏みにじり設営した 世界一危険な沖縄普天間基地などに 主権国として対等な交渉が出来ない政府。

今の自衛隊を解釈改憲で防衛省設置までしたのなら、かって小沢一郎氏が述べたように 日本の国は自国の自衛隊が第一義的防衛をする。
米軍は 国内から退去し 第7艦隊で有事の場合支援してくれればいいと 国益にそった主張をした時に 日米安全保障条約の欺瞞・アメリカの世界戦略のためのものと浮き彫りになるでしょう・・・。

田中角栄元首相のロッキード事件失脚も アメリカの世界戦略を無視して 中国との平和条約締結をしたためによる アメリカ謀略説が消えません。

私たちは 3.11とともに 3.10という日も 風化させてはならない日です。

フィリッピンという国は十数年前 米軍駐留にNo!と毅然たる態度を示しました。それによって不利益があったでしょうか・・・。

最近 うつ症状がぶり返していて 思考がまとまらないことをお許しください。

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2013年03月11日

3・11から2年 人は必ず立ち直る

3・11から2年 人は必ず立ち直る
2013年3月10日  東京新聞社説

 二年がたちました。
だが、復興への充実の二年だったとは言えないでしょう。
原発事故の福島はこれからです。そして、それでも人は立ち直るのです。


 昨年の今ごろ、福島の地元紙福島民報の論説責任者は、こんなふうに言っていました。

 「福島の人口が減っているのですよ。
二百万県民が、原発事故後に三万人も減ったのです」

 人口が減るという恐怖は、外からはなかなか分かりません。何か身の細るような、知らないうちに大事なものが消えてゆくような怖さなのでしょう。
人口は、昨年も続けて減りました。

◆働き盛りが流出する

 総務省の人口移動報告では、昨年の福島県の転出から転入を引いた転出超過は一万三千八百四十三人。
前年の約半分。
しかし、十四歳以下の子供と、その親世代に当たる二十五〜四十四歳が計約七千人を占めた。
福島の未来を支えるべき人たちです。
人口減は全国最多、住民票を移さずに県外避難している人も多数います。


 原発の事故前、少子化などで毎年五千人ぐらいずつ減っていたのですが、今の理由はもちろん放射線量です。

 その怖さは住む者にしかおそらくは分からないでしょう。
正しく怖がる、などというのは机上のことかもしれません。


 福島市から太平洋へ至る県道を、車でよく通る住人に会いました。こう言いました。

 「走っていると、涙が出てくるんです。かわいそうで」
同じ道を車で走りました。


 緩やかな峠を越え、飯舘村に入ると景色の印象は一変します。

 道沿いの田は無人の枯れ野、家々の縁側の大きなガラス戸には一様にカーテンが引かれている。
庭に駐車場に車はない。
理髪店も薬局もスーパーも閉まっている。

◆人の権利が侵される

 いるべき人がいない。
そういう姿を見て、住人は同じ県民として涙がわいてくるというのです。


 そこにいるはずの人が避難を強いられ、狭い住宅に住み、慣れない土地で暮らしている。
そんな無理と不公平は、本来は人間の権利にかかわるべき事柄です。
憲法でいう人権や幸福追求権が奪われてしまっている状態です。
我慢は強いられているのです。


 昨年来、「仮の町」という言葉をよく聞きます。

 放射線量が高いので町に住めない。
だから一時的に別の場所に町をつくるというのです。

 人口約一万五千人の富岡町は県内避難が一万一千人、県外に四千五百人。
いわき市と郡山市の両市に仮の町をつくり、やがては本来の富岡町の低線量地区に町を戻そうとしています。
大熊や双葉、浪江の町も計画しています。
人は町とともに、町は人とともに生きるのです。


 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故では、住民は強制移住させられました。
共産主義国家では土地は国家のものだから、移住は国家の意思でなされます。
住民に選択の余地はありません。

 日本では、もちろんそうはゆきません。国民には一定の権利があるのです。


 飯舘村役場は現在、福島市に間借りしています。その臨時の役場で菅野典雄村長はこんなふうに言いました。


 「国は机の上で計算しているばかりだ。実態はここに来てみないと分からない。
例えば許容放射線量だって、厳密な数字ばかりでは測れない部分がある。
人の暮らしを大事にせねばならないところだって出てくるのです」

村長が言いたいのは人間を優先してほしいということです。それが政治の原点だということです。
 人の生き方はさまざまです。考え方も人それぞれです。


 福島では、福島に残ろうとする人がいて、同時に仕方なく去ろうとする人がいる。
その両方ともそれぞれに考え抜いた選択であり、そのどちらにも責められることなどあるはずもない。

憎むべきは、そのどちらにも抱かれかねない外部
からの差別です。
差別とは人間の最も卑しむべき感情です。

◆前よりずっと強くなる

 責められるべきは繰り返しますが、実態を知らず、支援を不十分なままにしている国などでしょう。
今の事態は人間の本然的な権利が侵された状態なのです。


 復興は歯がゆいほど遅れています。
岩手や宮城の津波被災地でも高台移転の合意などは容易ではありません。

しかし希望を見いだすのなら、住民の結束はより増し、住民の自治意識、デモクラシーはより強くなったのだと思いたい。


 二年がたちました。

被災者、また私たちは前よりずっと強くなったのではないでしょうか。
つまり人は必ず立ち直るのです。

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2013年03月12日

3月10日までは いい日だったね

3月10日までは いい日だったね
2012.3.11    東京新聞「筆洗」

<お母さんがいたら、いろんなことができたね。
ケーキとかつくったりできたよね。
保育園から帰ると、お母さんが作ったおやつを食べさせてくれたね。
3月10日まではいい日だったね>と、岩手の小学三年の女の子は書いた

▼『3月10日まではいい日だったね』は、震災遺児らを支援する「あしなが育英会」が出した作文集だ。
表紙は、あの一本松の絵。
お父さんが行方不明になった九歳の少年が描いた

▼彼は天に伸びる勢いの松を描いて、言葉を添えた。
<がんばれ一本松 ぼくのお父さん どこにいるか みえないかな。
 みえたら おしえて 一本松 おねがいするよ>

▼東日本大震災で親を失った子どもは千五百人を超える。
あしながの作文集を読めば、この千五百の心が抱えるだろう想(おも)いが、脈を打ち伝わってくる

▼宮城の小三の女の子はあの日、母さんとけんかして、謝りもせず学校に行った。「母はもう怒ってないだろうな」と思いながら家へ帰る途中、地震が起きた。
学校に戻り夜を明かした。
みんなには迎えが来たのに、母さんは来なかった。
死んでしまった

▼二年前のきょうは金曜日だった。少女は、書く。
<私はお母さんが見つかってから金曜日の2時46分に、ベルを鳴らしています。
そしてお母さんに「ゴメンネ」を送っています。
ちゃんと聞こえていたらいいです>。

きっと、聞こえているよ。
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2013年03月14日

心にふたをすると、中はうみでぐちゃぐちゃに

「心にふたをすると、中はうみで・・・」
2013.3.13   東京新聞「筆洗」
 

「心にふたをすると、中はうみでぐちゃぐちゃになる。
うみを出して縫い合わせる作業が必要なんです」。
宮城県名取市の心療内科医桑山紀彦さんには、被災者の多くはまだ津波に向き合えていない、という思いがある

▼開業していたクリニックが被災。
自家発電機を回して救援に当たった桑山さんは、ユーゴ紛争やスマトラ沖大地震などの医療支援にかかわり、被災者らに寄り添ってきた

▼命の危険を感じた人が心の傷を放置すれば、やがて心的外傷後ストレス障害(PTSD)という魔物になり心を蝕(むしば)む。
そんな現場を見てきた医師が引き受けたのは、住民の一割以上が犠牲になった閖上地区の子どもたちの心のケアだ

▼震災前の街並みや目撃した津波の光景を紙粘土などで再現してもらい、短編映画の制作などを通じ、埋もれた記憶を整理する手助けをしてきた。
「あの日」と向き合えるようになると、未来を描がく力湧く。
心配なのは大人なのかもしれない

▼「つらくて忘れたいのは当然。
でも、いつかふたを開け、あの日のことを吐き出さなければならないのに、忘れれば楽になる、と思っている被災者が多い」と桑山さんは心配する

▼記者に話をすることで、つらい記憶が整理される人もいるという。
被災者の言葉にひたすら耳を傾け、伝えてゆく。
地道な積み重ねが、風化を防ぐことにつながると信じている。

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2013年03月18日

検証できないニッポン

週のはじめに考える 検証できないニッポン
2013年3月17日  東京新聞 社説

イラク戦争の開戦から十年。
誤った戦争へと、なぜ突入したのか。
米英など各国は検証作業を進めましたが、日本は例外です。
それでいいのでしょうか。


 あの日から十年がたとうとしています。
二〇〇三年三月二十日。

日本時間で正午前、ペルシャ湾岸地域に二十八万人の兵力を展開していた米英軍が、イラクの首都バグダッドなどへの空爆を始めました。
イラク戦争の始まりです。


 当時のブッシュ米大統領が掲げた戦争の大義は、生物・化学などの大量破壊兵器を開発・保有するイラクの脅威から、米国や国際社会を守るというものでした。

◆誤った大義で開戦

 しかし、どれだけ探しても、大量破壊兵器は見つかりません。

 大統領は翌年二月、開戦前に得た大量破壊兵器の情報が正しかったのか否かを調べるため、前上院議員や元連邦判事らによる超党派の独立委員会の設置に応じます。
この委員会は一年以上かけて、米情報機関の情報収集・分析の在り方を検証しました。

 そして、開戦から二年後の〇五年三月、大統領に提出した最終報告書で、中央情報局(CIA)などの情報分析が「完全な誤り」だったことを指摘します。

大量破壊兵器などなかったのです。


 誤った大義で始まった戦争は多くの犠牲者を出しました


 非政府組織(NGO)「イラク・ボディー・カウント」によるとイラク戦争の開戦から、一一年十二月、米軍のイラク撤収までの死者は約十六万二千人。
このうち約八割が民間人で、約四千人は子どもの犠牲者です。


 有志連合として参戦し、二百人近い犠牲を出した英国、大規模戦闘終了後、治安維持目的で派兵したオランダでも、独立の調査委員会がつくられ、派兵の是非をめぐる検証作業が行われました。

◆米英では首脳聴取

 小泉純一郎元首相は米英両軍のイラク攻撃を支持し、復興支援を名目に自衛隊を派遣しました。
その判断は妥当だったのか。


 日本でも検証を求める動きはあります。
世界平和アピール七人委員会のメンバーで、翻訳家の池田香代子さんらが呼び掛け人となった「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」です。
政府に対して第三者検証委員会の設置を求める活動を、〇九年から始めました。


 イラク開戦にも反対した池田さんは「日本には執拗(しつよう)に追及する文がない。
名古屋高裁は航空自衛隊のイラクでの活動を違憲と判断した。
深刻に検証すべきだ。
水に流してはならない」と話します。


 国会にも検証が必要だと考えていた議員がいました。
その一人が民主党の斎藤勁(つよし)さんです。


 「自衛隊の海外活動、国際貢献の在り方が問われる時代、それを検証する国こそが、国際的に認知される国になると思う」

 こう語る斎藤さんは一〇年、第三者検証委員会の設置を求める議員連盟の会長に就きました。
英国にも調査に赴きます。


 実は、国会では〇七年にイラクへの自衛隊派遣を二年間延長する際、衆院特別委員会が、開戦支持の判断を検証するよう政府に求める付帯決議案を可決しています。
ただ、〇九年までの自民党政権時代、この決議は履行されません。


 政府側に動きがあったのが、民主党政権下の一一年八月末です。当時の松本剛明外相の指示で「検証」作業が始まったのです。

 しかし、この作業は外務省内の文書調査や職員の聞き取りだけでした。
報告書も要旨が発表されただけで全文は非公表です。
大統領や首相も聴取対象にして報告書なども公開している海外の検証とは大違いです。
外務省のそれは、とても検証と呼べない。


 しかも要旨の発表は昨年十二月二十一日。
衆院選で民主党が敗れた直後の政権交代期です。
当時、内閣官房副長官だった斎藤さんにも説明はなく、寝耳に水でした。


 斎藤さんは「官邸の中にいて、何もできなかった。忸怩(じくじ)たる思いはある」と話し、こう付け加えます。
「政党が非力だった。官僚が悪いというよりは、政党の側がしっかりしなければならない」

◆歴史に対する責任

 政府が動かないのなら、国会の出番です。
福島第一原発事故では憲政史上初の国会事故調査委員会がつくられ、原子力行政機構の機能不全などを指弾しました。
当時の菅直人首相らからも聴取し、報告書はすべて公表されています。

イラク戦争も同様に検証できないか。
政策判断の誤りを繰り返さないよう後世に引き継ぐ。
今を生きる者の、歴史への責任です。

 政府の開戦支持に同調したメディアがある中、本紙は反対を貫きました。
しかし、政府の支持表明や自衛隊派遣を止められなかった事実は重い。
私たち新聞も検証の責任から逃れてはならないのです
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2013年03月19日

来年4月の消費増税は橋本増税の二の舞・・

森永卓郎氏 来年4月の増税は橋本増税の二の舞演じると警鐘
2013.3.19  07:00   NEWSポストセブン


 来年4月から消費税が5%から8%に引き上げられる予定だ。

かつて橋本龍太郎内閣は阪神・淡路大震災の復興需要で景気が上向きかけた時(1997年)に消費税率を3%から5%に引き上げ、減税廃止、健康保険の窓口負担引き上げなど年間9兆円もの国民負担を増やした。

それをきっかけに景気は一気に落ち込み、日本経済は現在まで続くデフレに入った。


 経済アナリストの森永卓郎・獨協大学経済学部教授は「橋本増税の二の舞を演じようとしている」と警鐘を鳴らす。


「安倍晋三首相が予定通り来年4月に消費税を上げれば同じことが起きるはずです。
現在の日本経済は震災後の莫大な復興予算に支えられているが、それでも景気は低迷してきた。
安倍政権は新たに13兆円の景気対策を組んだものの、来年4月はその景気対策の効果が薄れ、復興予算も使い果たす最悪のタイミングなのです。

 安倍首相はそのことをわかっていて、それでも税率を上げるつもりでしょう。
アベノミクス金融政策政出動も、7月の参院選を乗り切り、増税を確実に実現するためのものなのです。

ちなみに消費税アップに加えて年少扶養控除といった減税廃止、厚生年金保険料のアップなど国民負担増が相次いでいることも橋本内閣当時と似ている。


 政府(内閣官房社会保障改革担当室)の試算によると、年収500万円の夫婦と小学生2人の4人世帯は、増税や控除廃止などを合わせると2016年には年間33万8000円もの負担増となる。
サラリーマンの手取り収入が7%アップしないとカバーできない金額だ。


 安倍首相は経団連はじめ経営者団体に対して、アベノミクスで業績が回復している企業の賃上げを要請し、麻生太郎財務相も、「連合に代わって給料を上げてもらう交渉をしている。

この10年間労働分配率は下がり、物価以上に給与が下がった。
企業の一番上の方々に決断していただく」と胸を張った。


 だが、経団連は春闘の指針で「ベースアップを実施する余地はない」としており、春闘の妥結内容を見ると、円安の恩恵を受ける輸出企業でさえボーナスが少し上乗せされた程度だ。


※週刊ポスト2013年3月29日号

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2013年03月20日

香山リカのココロの万華鏡:組織の構図、見直して

香山リカのココロの万華鏡:組織の構図、見直して 
毎日新聞 2013年03月19日 東京地方版

 この1カ月、全日本柔道連盟(全柔連)の暴力問題に関する第三者委員会委員として、調査や意見書作成に追われていた。
そして、委員全員が総力をあげて取り組んだ結果、なんとか意見書が完成して全柔連にわたした直後に、スポーツ振興センターからの助成金の不正徴収の問題が発覚した。

第三者委員会は、今回の問題はあくまで柔道の強化、指導をめぐる問題と考え、「どうすれば選手がのびのびと柔道に打ち込み、人生を充実させていけるか」という観点から聴き取りを行い、提言をまとめた。
私自身も、連盟幹部たちの語る「選手を勝たせたかった」との言葉にはウソはないと信じ、
すべての決定事項が上意下達で伝えられ、組織内のコミュニケーションが不足していたことが問題の原因と考えた。

まさか、そこにお金の問題までが絡んでいるとは思っていなかったのである。
もちろん、委員会の意見書にも「経理を明確にすること」とか「監査を入れること」といった文言はない。
あくまで選手が苦情を申し出られる窓口を設置するとか女性の指導者を育成するといった“スポーツ組織のお手本”を目指す形の意見書だ。

 しかし、今となっては「この意見書でよかったのか」と一抹のむなしさを感じている。いくら相談窓口を作ったり女性理事や指導者が数人、就任したりしても、組織が勝手にお金をプールして一部の人たちのために使う、といったいいかげんなことが当然のように行われている限りは、変化は見せかけだけのレベルで終わってしまうだろう。

「私たちのやった調査に意味はあったのか」と落ち込んでいたら、知人がこう言った
。「どの組織も、多かれ少なかれ同じようなものですよ。私がいる業界なんてもっとひどくて、上に立つ人の一存ですべてが決まり、セクハラ、パワハラも日常茶飯事。被害を受けた人はそっとやめるしかないんですから」

なぐさめのつもりでかけてくれた言葉だろうが、それを聞いてさらにめいってきた。

「柔道の世界だけがあまりに異常」ではなくて、本当に「どこの組織も同じようなもの」なのだろうか。
上にいる一部の人が権力や利益をひとり占めし、まじめにがんばっている人たちは尊厳を踏みにじられながら、ひたすら働かなければならない。
そんな理不尽な組織がほかにもあるとしたら、日本の社会の未来は暗いと言わざるをえないだろう。
この機会にぜひ、どの組織、どの企業も「ウチはどうだろう」と我が身を振り返ってみてほしい。
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2013年03月23日

茶色に染まり始めた朝

茶色に染まり始めた朝
2013.3.20   東京新聞「私説・論説室」久原 穏

 「事なかれ主義」がファシズム台頭を許すと警鐘を鳴らし、フランスでベストセラー、多くの国でも翻訳された短編寓話(ぐうわ)『茶色の朝』。

作者のフランク・パブロフ氏を仏グルノーブル市の自宅に訪ねたのは、邦訳が出版された九年前のこと。欧州で移民排斥など右傾化の嵐が吹き荒れ、日本も教科書検定問題など息苦しさが漂う時期だった。


 “茶色”とはナチスの象徴の色だ。
あらすじはこうだった。
ある日、毛が茶色以外のペットは法律で禁止された。
これを批判した新聞が廃刊となり、本や服装、政党名に茶色が強制されていく。

しかし、不自由のない日々だからと声を上げないでいると、過去に茶色以外のペットを飼った者まで逮捕される法律ができ、主人公に危険が迫る…。

 パブロフ氏は諭すように解説してくれた。
民主主義を花瓶に例えて「少しだけ欠けたのをほっておくと、ひびはだんだん大きくなる。
まあいいかと思っていると、いつの間にか割れてしまう」。
毎朝起きたら注意を払い時には行動しないと守れないものだ、と。

 夏の参議院選まではタカ派色を隠し、「国のかたち」を変えにかかるのは選挙後だろうと油断していると…。

武器輸出三原則は例外の積み重ねですでに骨抜きに。
集団的自衛権行使を模索する動きも、自衛隊の国防軍への改編や交戦権を認める新憲法づくりも、この国ではもう相当に前のめりなのだ。(久原穏)

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2013年03月24日

体罰容認はブラック企業を生み出す土壌である

体罰容認はブラック企業を生み出す土壌である
(SPA! ) 2013年3月22日(金)配信

◆体罰肯定論は、ブラック企業肯定論!

 言葉の暴力だけにとどまらず、連日のように社内で繰り広げられる残虐な暴力行為の数々。
労働問題の相談・サポートを行うNPO法人POSSE代表の今野晴貴氏は、「体罰そのものの質が変化している」と語る。

「これまでも“育てるための体罰”が伝統のように行われるような風潮がありました。しかし、それは終身雇用制度が主流だった時代の話。

現在の体罰は“相手を潰すためだけの体罰”です。
育てる体罰も日本の悪しき伝統ですが、ノルマを達成させるための脅しや恐怖を与える手段にすぎず、事態はより深刻になっています」

 当法人への体罰と呼べる暴力行為の相談件数は年に10件前後。大半の被害者は声を上げることもできずにもがき苦しんでいるという。

「被害者は『暴力を振るうような企業と争うのは怖い』『もう関わりたくない』と泣き寝入りしてしまうことが多いので、体罰自体あまり表沙汰にならないのが現状です」

 また、実際に「辞めたくても取り合ってもらえない」「社内の第三者に相談したことで、会社ぐるみの嫌がらせを受けるようになってしまった」という例もある。

「会社の規模にかかわらず、体罰に対して企業自体が無関心というところも少なくありません。
中には『辞めたら損害賠償を請求する』と脅されたという事例もありますが、法的な根拠はまったくありません」

 訴える際、いかに暴力の“証拠”を残しておくかが重要になる。

決して許される行為ではないのだ。

【今野晴貴氏】
NPO法人POSSE代表。2006年、学生・若手社会人を中心に「若者主体のNPO」を設立し、1000件以上の労働相談に関わる。近著に『ブラック企業日本を食いつぶす妖怪』(文春新書)

取材・文/青柳直弥・大貫未来(清談社) 青山由佳 吉岡 俊 八木康晴(本誌) 取材/藤村はるな 福田 悠 撮影/水野嘉之

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2013年03月26日

たやすく負けない存在は・・・

名大関とは横綱になれなかった力士・・
天声人語 2013.3.25 朝日新聞

いささか意地悪く言えば、名大関とは横綱になれなかった力士である。
だが、なったものの「へぼ横綱」と腐(くさ)されるよりは名大関の方が味わい深い。むろん最高位である横綱に「名」や「大」がつけば、土俵入りにも後光がさす。
この人の存在は、いまやゆるぎない

▼荒れた春場所、白鵬は他を引き離して13日目に優勝を決めた。
通算24回は史上4位タイで北の湖に肩を並べる。
憎らしいほど強いといわれ、負けると喝采がわいた昭和の大横綱である

▼これで37場所連続の2桁勝利となり、歴代1位の北の湖にここでも並んだ。
中日(なかび)の勝ち越しは26度目で、最多だった横綱千代の富士を抜いた。
めったに取りこぼさぬ強さは揺るがぬ山を思わせる

▼千秋楽でも偉業を果たした。9度目の全勝優勝は、極めつきの大横綱、双葉山と大鵬を超えて1位になる。
白鵬が敬愛してやまない両力士である。
「2人の上に立つことは、恐縮ですけど光栄です」。
上気した顔から謙虚な喜びが口をついた

▼74年前、69連勝の双葉山を負かした安芸ノ海は「オカアサン、カチマシタ」と郷里に電報を打ったという。
平幕が横綱を破る金星の、誇らしさの極みだろう。
金星の歓喜は横綱の強さに比例する。
たやすく負けない存在は、下位の力士にどれほど励みになることか

▼〈やはらかに人分け行くや勝角力(かちずもう)〉几董(きとう)。
きのう花道を引きあげる白鵬は、春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)として、肩に散りかかる桜を見るような思いがした。
孤高の強さを脅かす若手を、あとは待ちたい。
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2013年03月28日

謝る時の潔さもこの人の魅力なのかもしれない、と書こうと・・

謝る時の潔さもこの人の魅力なのかもしれない、と書こうと思っていたら
2013年3月27日 東京新聞「筆洗」

 謝る時の潔さもこの人の魅力なのかもしれない、と書こうと思っていたら、夜になったら前言を撤回していた。
まさに朝令暮改
なんとも感情的に流れる人である。
大阪市の橋下徹市長のことだ

▼大阪市が昨年二月、全職員を対象に実施した「思想調査」に対し、大阪府労働委員会が「組合活動に対する支配介入だった」と判断したのは一昨日(25日)の午前中だった。
今後このような行為を繰り返さない、とする誓約文を組合側に渡すよう命令した

▼府労委の決定は至極、当たり前の結論だ。
組合活動の詳細を根掘り葉掘り問うアンケートを市長の業務命令として実施、記名回答を拒否すれば処分の対象になると脅したのだから

▼「大変申し訳なく思っている。異議はなく、組合に対し謝罪しなければならない。
法に基づいた行政運営をしていく」。

橋下市長は神妙に謝罪し、不服申し立てをしない意向を明らかにしていた

▼ところが夜になって豹変(ひょうへん)した。
記者会見で組合側と弁護士が市長を厳しく批判したことに激怒。
組合と全面対決し府労委に再審査を申し立てるという

▼かつて小欄で「いくら問題の多い役所としても、密告を奨励するアンケートを強行する人権感覚には慄然(りつぜん)とする」と書いたが、その意見は変わらない。

潔く謝ったのは演技だったのだろう。
批判されて乱れるような安っぽい演技なら、しないほうがよかった。
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2013年03月31日

値上げ:相次ぐ春 ガス・電気・食品…円安で原材料価格上昇

値上げ:相次ぐ春 ガス・電気・食品…円安で原材料価格上昇
毎日新聞 2013年03月30日 東京朝刊
 

安倍政権の経済政策「アベノミクス」を受けた円安進行で、輸入品の価格が上昇し、家計や企業活動にも影響を与え始めている。

4月以降、ガス・電気料金や食料品などの値上げが相次ぐ見通しで、賃金が上がらなければ生活は苦しくなり、消費や景気にも悪影響を与えそうだ【柳原美砂子】 

「役員報酬や従業員の給与をカットしても、値上げは避けられない」。
ツナ缶「シーチキン」16品を5月1日から、2・2〜6・1%するはごろもフーズの広報担当者は苦渋の表情を浮かべた。

原料のマグロが世界的な需要拡大で高騰する中、生産効率の向上や経費削減で価格を5年半据え置いてきた。

しかし、円安で原材料価格はさらに上昇。4月から役員報酬を15〜30%、従業員の給与も5〜10%削減するが、値上げは避けられないと判断した。

 日清オイリオグループとJ−オイルミルズは4月1日から、家庭用食用油を1キログラム当たり30円以上、値上げする。

原料の輸入大豆や菜種の価格が天候不順などで高止まりしており、円安が追い打ちをかけた。
 製粉最大手の日清製粉や日本製粉は6月20日出荷分から、パンやラーメン用の強力粉を25キロ当たり145円するなど、業務用小麦粉の価格を上げる。

海外での不作に急激な円安が重なり、政府が4月1日から、製粉会社に売り渡す輸入小麦の価格を平均9・7%引き上げるためだ。

今後、幅広い食品や外食の値段に跳ね返る可能性がある。

 家庭用のガス・電気料金は、原油や液化天然ガス(LNG)の輸入価格上昇を受け、4月、5月と連続して上がる。
全国の電力10社は、4月の電気料金を標準家庭で前月比24〜131円、5月は同67〜221円

5月は再生可能エネルギーの普及のための上乗せ額も加わるためだ。

関西電力と九州電力は政府の認可を経て、5月にも本格的な値上げ
に踏み切るため、家計負担はさらに増す。


 ガソリン価格も高止まり。資源エネルギー庁によると、25日のレギュラーガソリン価格(全国平均)は1リットル155・5円。
3週連続で小幅に値下がりしたが、円安が進み始めた昨年11月末と比べると10円高い水準だ。

このほか、新日鉄住金は建材などに使う薄鋼板を4月出荷分から12〜18%
値上げする方針。
輸入している鉄鉱石や石炭の価格が上昇しているためだ。

日本製紙クレシアも「原料のパルプの価格が円安で値上がりした」として、ティッシュペーパーやトイレットペーパーを15%以上値上げする方針を取引先に伝えた。

量販店の安売り競争が激しいため、「すぐに店頭価格へ反映されることはない」(製紙業界)との見方が多いが、じわじわと家計に響いてくる可能性がある。 

◇消費者・企業に戸惑い

  「手取りの収入が増えている実感はないのに、食品や電気代が値上がりするのは困る」。
東京都内の主婦(40)は顔をしかめる。
 円安は、短期的には原材料の輸入価格を押し上げ、企業や家計の負担増という副作用をもたらす。

安倍晋三首相自らが経済界に賃上げを要請したこともあり、今年の春闘では自動車メーカーなどを中心に一時金増額が相次いだ。

しかし、業種や企業の規模などによって差があるのが現状で、賃金を抑えて原材料価格の値上がりを吸収するケースすらある。

うどん店などをチェーン展開する企業の幹部は「低価格競争が激しくて
 「アベノミクスを期待だけに終わらせないことが重要だ」と指摘する。
 
第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは、「生活必需品の値上がりは家計にマイナスだが、株価上昇による資産効果もある」と語り、消費が回復して景気が上向くことに期待を示した。

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2013年04月01日

生活扶助費 削りすぎ デフレ恩恵 保護世帯は少ないのに

生活扶助費 削りすぎ デフレ恩恵 保護世帯は少ないのに
2013年3月31日 東京新聞朝刊

 生活保護世帯の生活費として国が支給する生活扶助費が八月から引き下げられる問題で、下げ幅を決める基準になった消費者物価指数(CPI)の下落率が保護世帯の実態より大きく計算された可能性の高いことが分かった。

保護世帯が何にどういう割合で金を使っているかを厚生労働省が把握せず、一般世帯の消費支出割合を当てはめて指数を算出したため、扶助費が大きく引き下げられる形だ。 (白井康彦)


 本紙と日本福祉大(愛知県美浜町)の山田壮志郎准教授(公的扶助論)の調べで明らかになった。
野党も国会で追及する構えを見せている。


 厚労省は扶助費引き下げの最大の理由を、デフレによる物価の下落と説明する。その下落率を示すため、保護世帯のCPIを計算。
二〇〇八年から一一年までに4・78%下がったとの結果を出していた。


 計算に当たって厚労省は、CPI対象品目に対して保護世帯がどのくらい金を使っているかの割合を調べず、一般世帯の消費支出割合を使った。


 保護世帯は一般世帯よりも食料費の割合が高く、教養娯楽費が低いという消費傾向は、厚労省が一〇年に行った社会保障生計調査などで分かっている。

この傾向の違いをCPI計算で全く考慮しなかったことに、山田准教授は「今回のCPIは保護世帯の生活実態を正しく反映していない」と批判。

特に教養娯楽費に含まれるテレビやパソコンといった電気製品の影響が大きいと指摘する。

 〇八年から一一年にかけて値段が下がったCPI対象品目のうちの上位にはデスクトップパソコン(マイナス75%)、ノートパソコン(同73%)、ビデオレコーダー(同68%)など電気製品が並ぶ。


 生活扶助費の受給者らは「生活に余裕がなく、値下がりしてもパソコンやテレビはあまり買えない」と実情を訴えるが、CPIは一般家庭と同じ割合で購入するものとして計算された。


 山田准教授は「電気製品の購入割合などを数々のデータから推測すると、生活扶助受給世帯のCPI下落率はかなり圧縮される」と話し、本紙とともに行ったさまざまな試算では2%台以下になったものもある。

◆下落率の計算妥当

<厚労省社会・援護局保護課の話> 広く国民に定着しているCPIを用いており、今回の手法は妥当なものと考えている。

生活実態調査.jpg

画像クリックで原寸大に。
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2013年04月07日

低気圧発達:春の暴風雨、首都圏を直撃

低気圧発達:春の暴風雨、首都圏を直撃
毎日新聞 2013年04月07日 00時36分
         (最終更新 04月07日 01時12分)

  日本列島は6日、発達中の低気圧の影響で西日本から関東地方にかけて春の嵐が吹き荒れ、深夜から7日未明にかけ首都圏も「厳戒状態」となった。

神奈川県平塚市では約1万5000世帯に避難勧告が出された他、東京消防庁などによると、東京都町田市や神奈川県海老名市では浸水した車両に一時人が閉じ込められるなどの被害が相次いだ。
7日も広い範囲で大荒れとなるとみられる。飯田和樹、斎川瞳】

 ◇海老名1時間に102ミリ

 気象庁によると、海老名市では6日午後11時に1時間雨量が102ミリ、宮崎県青島でも同日午前11時に92ミリとなり、いずれも観測史上最多を記録した。


 海老名市では午後11時ごろ、浸水した2台の車両に人が一時閉じ込められた。
町田市つくし野などでも午後11時前後に計4件、車両に閉じ込められたり用水路に人が流されたりしたが、いずれも救助するなどされ無事とみられる。


 町田市南つくし野4の農業、久保田功さん(70)は6日午後10時過ぎ、「ゴー」という猛烈な雨音が気になり外を見た。
道路には水があふれ川のようになりマンホールを30センチほど突き上げるように水が噴き出していた。
すり鉢状の地形で一番低い所を用水路が流れており、消防車のサイレン音が鳴り響いて騒然となったという。
「年1回は大雨で水浸しになるが、ものすごい降り方で寝ていられなかった」と驚いた様子で話した。


 都内では東海道新幹線が新横浜−小田原間で一時運転を見合わせた影響で帰宅や乗り継ぎができない乗客が出たため、東京駅で車両が「列車ホテル」として宿泊用に開放された。
JR東海によると約100人が一夜を過ごすという。


 静岡県牧之原市では同日夜、萩間川、坂口谷川、勝間田川の3河川が氾濫する恐れがあるため、流域の約1200世帯3600人に避難勧告を出した。
市によると、住民約40人が一時近くの公民館などに避難。
同県島田市では国道1号バイパス上り線ののり面の土砂が崩れ、県警は一部区間を通行止めにした。
けが人は確認されていない。


 東京電力千葉支店によると、千葉県では強風で電線が切れるなどした影響で、旭市や山武市、千葉市美浜区で一時、計約1100世帯が停電した。

6日は四国・九州を中心に最大瞬間風速25メートルを超える地点が相次いだが、
7日も西日本や北日本で非常に強い風が吹くとみられ、

予想される陸上の最大風速は▽西日本、北日本20メートル▽東日本23メートルで、最大瞬間風速はいずれも35メートルの見込み。北陸、北日本では8日まで暴風が続く恐れがある。


 また、7日も全国的に太平洋側を中心に大気の状態が不安定となり、1時間に50ミリを超える非常に激しい雨が降るところがある。

7日午後6時までの24時間の予想降水量は多いところで▽北海道、東海200ミリ▽東北、関東甲信150ミリ▽近畿80ミリ。


 低気圧の中心気圧は6日午前9時時点で992ヘクトパスカル。
7日午前9時に日本海上で970ヘクトパスカルまで発達する見込み。

昨年4月に全国で被害をもたらした低気圧は、24時間で中心気圧が1006ヘクトパスカルから964ヘクトパスカルへと42ヘクトパスカルも発達したが、同庁は「今回はそれほどではない」とみる。

しかし別の低気圧と前線が本州の南岸を東北東に進み、8日朝までに北海道付近で一つにまとまりさらに発達する見込みのため、引き続き暴風、河川の増水、土砂災害などへ警戒が必要という。

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女子大生「阿呆なことしたらあかん」2000円で自殺志願男救う

女子大生「阿呆なことしたらあかん」2000円で自殺志願男救う
2013.04.07 07:01   NEWSポストセブン
 
 14年連続して3万人を超えていた日本の自殺者数が、平成24年は久しぶりに3万人を切る見込みだと警察庁は発表した。
しかし、いまだ交通事故死者の7倍という多くの人が自ら死んでゆく。
和歌山県白浜で、死のうとする人を保護する活動を15年続ける白浜バプテストキリスト教会の藤藪庸一牧師を、作家の山藤章一郎氏がたずね、リポートする。

 * * *
「いまどちらにおられますか」
「三段壁の公衆電話です」

〈いのちの電話〉を受けた白浜バプテストキリスト教会の藤藪庸一牧師は、深夜でも駆けつける。

 牧師はここに〈白浜レスキューネットワーク〉を置く。
この15年間で約660人を保護した。


 死にに来た人は、おしなべて、帰る家がない、おカネがない、仕事がない、家族がいない。
思いとどまらせるだけでは不備である。〈保護〉とは、ふたたび社会復帰できるまでの〈生活〉をいう。


 いまは、教会の長椅子をベッドに、隣りのアパートに、隣りの家にと、5人が分かれて共同生活をしている。多い時で、26人いた。


 朝、ゴミ出し、ミーティングののち、それぞれの仕事に出る。
旅館の厨房、配膳、弁当屋の皿洗い、警備。
仕事のない者は、自転車で1時間のハローワークに通う。
牧師はいう。

「しんどいけど、自立の第一歩の自転車通いです」


 食事はみなで一緒につくる。牧師の家族も、ともにいただく。
テレビはない。
互いに話し合ったり、新聞や漫画を読み、消灯10時。費用はNPOの寄付による。
5人で月に20万円。


「三段壁に来たひとは、もう誰もおらんという孤独感に打ちのめされています。
一方で、あの人に迷惑をかけた、この人に嫌われてしまったと、不安でしょうがない。
さらに、『頑張れ』といわんでくれという気持ちも強い。


 なんでそう頑張ったのかと、こちらが訊き返した人もいます。悪循環でもがいて死にに来たのです」


●65歳。元・製造業社長。

 連帯保証で多額の返済金がのしかかった。
債務者本人は逃げた。
追い詰められて、三段壁に来た。
だが、飛び込む勇気はない。
ここで野垂れ死ぬしかない。
弁当、カップ麺を買うカネもない。
〈いのちの電話〉の看板近くの公衆トイレの水だけを飲んで、三段壁に坐りつづけた。

真夏の炎天下、意識が朦朧としてくる。
もう水を飲みに行けない。頭は灼け、顔は変色し、唇は腫れてきた。
4日めの夜、女子大生のグループが自分の前を通り過ぎた。
ひとりが戻ってきた。

「おっちゃん、阿呆なことしたらあかんで。死んだらあかんで」


 朝になって気づいた。
手に2000円を握らされていた。
それでよろよろと土産物屋の食堂で食い、〈いのちの電話〉をした。


 共同生活を経て、ハローワークでホテル清掃兼ナイトフロントの仕事を見つけ、7年間働き、脳梗塞に罹り、がんを発症して死の病床についた。
だんだん無くなってきた力をしぼり、声を這わせた。


「センセ、わし、生きてきてよかった。
戻って2000円握らせてくれたあの子のおかげや。
人生を助けられた。死んだらあかん」


※週刊ポスト2013年4月12日号

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2013年04月08日

「1票の格差」で戦後初の選挙無効判決 筏津裁判長の染まらぬ正義

特集ワイド:続報真相 
「1票の格差」で戦後初の選挙無効判決 筏津裁判長の染まらぬ正義
毎日新聞 2013年04月05日 東京夕刊

 ◇船着き場も現場検証

 「保守的な司法界でこれだけ勇気のある判決が聞けるとは」と原告側弁護士は言った。
「可能性はあると思っていたが、まさか本当に出してくるとは」。
政府関係者はそうため息をついた。
選挙を無効とする−−。2012年衆院選の1票の格差をめぐる全国の裁判で、最高裁の警告を無視し続けた国会に司法の一撃が下された。
3月25日、戦後初の選挙無効判決を言い渡したのは広島高裁の筏津(いかだづ)順子裁判長(62)だ。
黒の法衣に包まれた人物像を探った。

◇キーワードは公平・熱意・誠実

 判決は小選挙区の区割りを違憲と判断し、広島1区と2区の選挙を無効とした。
ただ、混乱回避のために猶予期間がある「将来効判決」を採用し、新たな区割り作業開始から1年となる今年11月26日を過ぎて、無効の効果が発生するとした。

 「法廷では素人の主張を一つ一つ丁寧に聞いてくれました。
よく調べ、勝っても負けても納得のいく公平できめ細かな判決を書いてくれました」


 こう話すのは岐阜県山県(やまがた)市議の寺町知正さん(59)。
1990年代から50件近くの行政訴訟を弁護士に頼まずに本人訴訟で争ってきた。筏津さんとは、岐阜地裁の裁判官と原告として04年から3年間にわたって毎月のようにラウンドテーブル(円卓法廷)で向かい合った。


 「裁判官もいろいろです。
提出した書類の誤字脱字を叱責口調で指摘する人や、行政を訴える市民に偏見を持つ人もいました。
要するに上から目線の人が多い。でも筏津さんは違った」

  ■

 運営実態のない渡し船に県から委託料が支払われている−−。
長良川河口堰(ぜき)建設に反対していた寺町さんに匿名の告発があり、情報公開条例を使って調べた。
県道の代替として渡し船を運営する同県海津市と渡船組合に委託費が毎年支払われていた。
でも船着き場は荒れ放題、渡し船はボロボロ、船頭は何年も客を乗せたことがないという。


 寺町さんら住民10人は、海津市などに約2200万円を県に返還するよう求め、「船着き場を見れば、運営実態は一目瞭然」と現場検証を求めた。
だが裁判官はなかなか首を縦に振らない。
提訴から5年目、3人目の裁判官として筏津さんが着任した。


 「『それでは現場を見てみましょうか』と当然のように認めてくれました。数多くの訴訟を起こしてきましたが、現場検証が認められたのはこの一度だけです」

 結果は勝訴。
その後、高裁、最高裁を経て10年6月に勝訴が確定した。
地裁で筏津裁判長が認定した基本的な事実関係が上級審で覆されることはなかった。

「選挙無効判決のニュースをみてすぐ、ああ、あの人だと思いました」。
中華航空機墜落事故(94年)の民事訴訟で、遺族側代理人を務めた海渡雄一弁護士(57)はそう話す。
筏津さんは03年、名古屋地裁の裁判長として、中華航空に総額50億円余りの損害賠償を命じる判決を出した。


 「遺族感情に配慮し、非常に熱心に和解を勧めてくれたのが印象に残っています。結局、判決を出すことになったのですが、あの一件は筏津さんの判決と努力で解決したようなものです」。
解決を目指す筏津さんの「熱意」が印象に残った。


 筏津さんは3年前に那覇家庭裁判所長に就任した際、仕事観を問われて答えている。
「裁判所が扱う事件は、必ず当事者がいて見解の対立がある。裁判所は双方の言い分をよく聞いて公正な立場で判断する立場にいる。まずは聞くところから誠実に対応しなければならない」(10年1月14日付・琉球新報)

 「公平」「熱意」「誠実」。筏津さんの仕事ぶりを表現する言葉だ。

◇女性差別がひどかった30期

 筏津さんは名古屋大学法学部を卒業し、大学院修士課程2年目の75年に司法試験に合格した。
第1次石油ショック(73年)で高度成長が終わって「狂乱物価」や公害問題に日本社会が直面した時代。
司法修習(30期)をスタートした76年4月には、最高裁大法廷で1票の格差をめぐる戦後初の違憲判決が出ている。

それから37年。裁判所が選挙無効判決に踏み込むまでにかかった歳月は筏津さんの社会人生活とぴったり重なる。


 75年の司法試験合格者は男性436人に対し女性は36人で、全体の7・6%。
2年間の司法修習を終えて78年に裁判官に任官した女性は筏津さんを含めわずか6人だ。
当時の最高裁には、はっきり言って問題があった。


 「裁判官になろう、弁護士になろうなどと思わず、世間によく評価される奥さんになることが女性の一番の幸せだ。
日本民族の血を受け継ぐということは重要なことだとは思いませんか」。
発言の主は30期を担当した最高裁司法研修所の教官だ。
見学旅行の車中で、女性3人をひとりずつ呼び、30分前後をかけて説得したという。


 別の教官はソフトボール大会後の懇親会で「女子修習生は研修が終わったら、家庭に入って2年間の研修で得た能力をくさらせるのが女として最も幸福だ。
2年間が終わったら、結婚して家庭に入ってしまいなさい」と発言したといわれる。
当時、これらの発言について日本女性法律家協会が抗議声明を出している。

同期で東京経済大学教授の村千鶴子弁護士が証言する。
「30期は女性差別が一番ひどかったんです。
私は実務修習が名古屋で筏津さんと一緒でしたが、彼女の評価は高かった。
あの時代にあって、彼女は男女の性別を超えて評価されるほど優秀だったのです」。やはりただものではなかったようだ。


 修習中は外泊も許可が必要。
そんな窮屈な環境でも筏津さんはのびのびしていた。
休日には大学院の同窓で将来の夫となる安恕(やすひろ)さんと一緒にスキーに。
その後、安恕さんは母校の教授になり、筏津さんは裁判官として全国を転々。
05年に安恕さんが55歳で亡くなるまで年1度のヨーロッパ旅行を趣味にする仲の良い夫婦だった。


 研修所で同じクラスだった鴨田哲郎弁護士は「彼女は真面目でおとなしい人でした。
話をしたことはなかったと思います。
もっとも私は青法協で活動し、周囲にちょっと警戒されていましたが」と苦笑いする。青法協(青年法律家協会)とは、54年に護憲と平和・民主、人権を掲げて設立された若手法律家たちの組織。
司法研修所の官僚体質に極めて批判的だった。


 「彼女は裁判官になってから骨のある判決を結構出してね。
こんな芯のある人だったんだ、と後から印象を持ちました」と鴨田さんはいう。
若いころの彼女を知る男性の多くが同じような感想を語る。
長尾龍一東大名誉教授(法哲学)は「新婚のころ、ご主人と一緒に名古屋で食事をしました。
おとなしい感じの方だった気がします。
あんな豪胆な判決を出す方だとは」と驚く。

  ■

 昨年の衆院選をめぐる選挙無効の全国訴訟は14高裁・高裁支部で計16件の判断が出そろった。
「違憲状態」が2件、「違憲・有効」が12件で、広島高裁と同高裁岡山支部の2件が「違憲・無効」だった。

一般市民からはむしろ当然にも思える「無効」の判断だが、冒頭に紹介した原告側弁護士の「勇気ある判決」発言に見られるように、横並びの裁判所の体質を知る専門家からは驚きをもって受け止められている。
「変わった裁判官だ」「女性のスタンドプレーでは」。
そんな批判も報じられた。
一方、「将来効判決」を絶妙のバランス感覚と評価する声は多い。


 同期の村弁護士は言う。
「慎重な筏津さんですら、選挙無効の判断をせざるをえないほど問題が深刻になっていた、と重く受け止めるべきだと思います。
それに判決は3人の裁判官の合議。女性だからとか、スタンドプレーとか、そういうふうに受け止めたら時代を見誤ってしまいます

そして、こう続けた。
「違憲判決が少ないと言われる日本の裁判所にあって、裁判官として、現状に対して法的な正義を慎重に検討した上の誠実な結論だったのではないでしょうか」


 裁判官が着る黒い法衣は独立して職権を行う裁判官の象徴だ。黒は何色にも染まらないから。
染まらずに生きる、裁判官の正義が勇気ある判決につながった。【浦松丈二、小国綾子】

 ◇筏津順子さんの略歴

愛知県豊田市出身。
76年 司法修習生(30期)
78年 京都地裁判事補
88年 津地・家裁判事
92年 名古屋地・簡裁判事
97年 東京高裁判事
99年 名古屋地裁部総括判事
04年 岐阜地・家裁部総括判事
10年 那覇家裁所長
11年 広島高裁部総括判事
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2013年04月09日

またダダ漏れ!貯水槽から消えた120トンの行方

またダダ漏れ!貯水槽から消えた120トンの行方
2013年4月8日  日刊ゲンダイ掲載


東電 姑息な汚染水処理作戦
<敷地内に井戸、地下水脈に逆流>
 いよいよシャレにならない事態になってきた。
福島原発の放射能汚染水が地下貯水槽からダダ漏れしていた問題だ。

 6日までに120トン、7100億ベクレルもの汚染水が漏洩していたことが分かったが、7日、新たに別の貯水槽からも汚染水が漏れ出していたことが発覚した。
貯水槽の構造自体に問題がある恐れも高まり、さらなる“流出ドミノ”が懸念されている。

 それでなくても、汚染水は毎日400トンずつ増え続けている。
原発敷地内に並べた1000基の貯水タンクもパンク寸前だ。
梅雨のシーズンを控え、文字通り“背水の陣”なのに、東電は会見で「ない袖は振れない」とお手上げ状態。とことんフザケた連中である。

 気になるのはダダ漏れ汚染水の行方だ。
東電によると、「今のところ海洋への流出はない」という。
だったら、汚染水はどこへ消えたのか。

 疑いの余地がないのが地下水への流入だ。
それも、恐ろしい事態が起こりつつある。
先月7日の衆院予算委員会で、民主党の海江田万里代表がこんな指摘をしていた。

「東京電力は(原子炉建屋内に地下水が入らないよう、敷地内に)井戸を掘っている。
しかし、あまりたくさん水を汲み出すと、今度は(地下水の)水圧が低くなり、建屋の汚染された水が地下水に流れ込んでしまう恐れがある」

 補足すると、東電は先月までに敷地内に12本の井戸を掘っている。
地下水が建屋に入り込んで汚染される前にガンガン汲み上げてしまえ、というわけだ。

 確かにそれで汚染水は減るかもしれないが、何のことはない、実際は大量の汚染水を地下水に逆流させるだけ。
とんでもないインチキだ。加えて、地下貯水槽もダダ漏れだから最悪なのだ。

 環境ジャーナリストの天笠啓祐氏が言う。

「汚染水がいったん地下水に入ってしまうと、放射性物質の除去は困難になります。地下水脈を通じて汚染が拡大し、めぐりめぐって、どこからどういう形で影響が出てくるかも分からない。
当然、海にも流れ出すでしょう。問題は敷地内の汚染水を減らすことだけではない。放射性物質を環境中に出さないことが重要なのです。政府と東電はそこが分かっていないから、原発事故は終わったなどと言えるのです」

 汚染水ひとつとってもこのテイタラクなのに、安倍政権はもう原発再稼働に前のめりだ。
本当にどうかしている。
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2013年04月11日

憂楽帳:風化させない努力

憂楽帳:風化させない努力
毎日新聞 2013年04月10日 大阪夕刊

  2万人の犠牲者を出した東日本大震災の発生2年を大きく伝えた先月11日の毎日新聞朝刊(東京本社発行)に、東京都墨田区で前日に営まれた東京大空襲68年追悼法要の記事が小さく載っていた。


 1945年3月10日の米国による東京下町への空爆で、10万人の市民の命が奪われた。
震災犠牲者遺族の悲しみを伝える記事が載った紙面だけに、戦災の過酷さも思わずにはいられなかった。


 10年前のきょう、2003年4月10日の毎日新聞夕刊は、米国の先制攻撃で始まった戦争でイラクのフセイン政権が崩壊し、当時の小泉純一郎首相の歓迎する声を紹介している。

だが、
戦争は泥沼化。
開戦理由の誤りもその後判明する。
誤った戦争の結果、テロによる犠牲を含め10万人以上の市民の命が奪われた。


 この間、英国やオランダではイラク戦争が厳しく検証されてきた。
一方、兵員や物資輸送などで米軍に協力した日本政府は、外務省が「適切な対応だった」との簡単な報告書を公表しただけだ。


 戦災は人間の力で防止できる災禍だ。震災同様、いや、それ以上に風化させない努力が欠かせない。【湯谷茂樹】

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2013年04月12日

老いる大都市圏 介護の担い手をどう確保する

私は今日が 「50歳代」最終日。
昔なら 明日「還暦」で 老人の仲間入りですが
今は 老人とは 65歳の「年金受給開始」から老人扱いされるとのこと。
あと5年は「老人準備期間」なのか・・・。
政府の福祉政策の貧困で まだ若いとされる微妙な年齢に・・・
下記の記事は 身近な問題になってきました。

********************************
老いる大都市圏 介護の担い手をどう確保する
2013年4月12日(金)1時42分配信 読売新聞

大都市圏で急増していく医療・介護のニーズにどう対応するか。
 社会保障政策の重い課題だ。


 東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知――。
2010年から30年間で、65歳以上の人口が増える比率の高い都県だ。
国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「地域別将来推計人口」で明らかになった。


 中でも埼玉、神奈川両県では、医療や介護の必要性が高まる75歳以上の人口が倍増する。


 都市部の高齢化は、高度成長期に職を求めて地方から都会に出てきた世代が高齢期を迎えるためだ。
過疎化の進む農村部で先行していた地域社会の高齢化の波が、大都市圏にも押し寄せる。


 特別養護老人ホームなど高齢者施設の拡充が欠かせない。
限られた介護職員で多数の入所者をケアできるというメリットがある。

 ただ、地価が高い都市部で施設の新設は容易でない。施設不足は今後一段と深刻になるだろう。
 各自治体は、廃校になった校舎を活用するなど、施設整備に知恵を絞ってもらいたい。


 在宅で十分な医療・介護を受けられるようにすることも重要だ。
政府が昨年始めた「24時間型訪問介護サービス」への期待は大きい。
介護職員や看護師が高齢者宅を1日数回訪問し、緊急の呼び出しにも応じる仕組みだ。

 ところが、このサービスは普及していない。
導入した自治体は全体の1割に満たない。
夜間の呼び出しなどが負担で事業者が敬遠している。
参入条件である看護師の確保が難しいのも一因という。


 厚生労働省は、参入条件の緩和などを検討すべきだ。


 介護職員の確保も重要である。介護のノウハウを持っていても、結婚や出産で辞める人は多い。
保育所の待機児童の解消など、子育てをしながら働き続けられる環境を整えねばならない。

 他の産業に比べ低い賃金水準を改善する必要もある。


 都市部では今後、独り暮らしの高齢男性が女性以上に急増することが大きな問題となろう。
収入が低い非正規雇用の増加などで、現在30〜40歳代の男性の未婚率が上昇していることが要因だ。


 単身者は家族による介護が期待できない。近隣との結びつきが乏しく、孤立しがちだ。

 都市部の高齢化問題については雇用や賃金制度、さらに国民の負担のあり方も含めて検討することが欠かせない。

政府の社会保障制度改革国民会議は、こうした視点からも議論を深めてほしい。

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2013年04月14日

「動物農場」に学ぶ「世論」の危うさ、恐怖支配に永遠はない

恐怖支配に永遠はない
2013年 4月 13 日(土)付 朝日新聞「天声人語」
 
  ジョージ・オーウェルの『動物農場』は、豚をはじめとする動物たちが人間に反乱を起こして、解放される物語である。
だが、やがて豚が特権階級となって専制支配を敷き、他の動物は屈従を強いられる……。
作家が寓話(ぐうわ)に込めたのは旧ソ連のスターリン体制への批判だった

▼独裁権力の下では、政治が万事、大げさになりがちである。
言葉遣いから物腰まで、時に異様、時に滑稽と映る。
動物農場の豚は小難しい言葉を使いたがり、その頭領は自分で自分に「動物英雄勲一等」を授ける

▼そうした傾向が北朝鮮で極まっていることは、伝えられる映像などでおなじみだろう。
金正恩(キムジョンウン)第1書記が後継者として登場した時、「新世紀の偉大な太陽」「人民愛の最高の化身」などと表現された。
いま、その「卓越した知略と先軍指導」が世界中に迷惑をかけている

▼独裁体制とはどんなからくりで維持されるのか。
18世紀英国の哲学者ヒュームによれば、民衆がやすやすと支配されているという現象は驚きではあるが、実は指導者が頼みとしているのはつまるところ「世論」だけである。
このことは、最も専制的で最も軍事的な政府にもあてはまる
(「統治の第一原理について」)

▼たしかにソ連は消え、「アラブの春」は起こった。
世論、つまり人々の意識が変わり、独裁を葬り去った。
「王様は裸だ」という声はいつかは上がる

▼情報を遮断され、飢えや暴政に苦しむ北の人々に届かないのがもどかしい。
それでも恐怖支配に永遠はない。

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2013年04月17日

衆院、空転…0増5減巡り野党が審議拒否

衆院、空転…0増5減巡り野党が審議拒否
2013年4月17日12時19分  読売新聞

  衆院は17日、共産党を除く野党5党が審議を拒否して空転した。

野党が、衆院小選挙区定数の「0増5減」を実現する区割り法案(公職選挙法改正案)の特別委員会への付託を与党が賛成多数で16日に決めたことに反発し、9委員会で審議を拒否。
与党は19日に同法案を特別委で採決する方針で、後半国会は与野党対立が強まっている


 衆院は、内閣、法務、外務、文部科学、厚生労働、経済産業、国土交通の7常任委員会と、青少年問題、拉致問題の両特別委員会で野党側の欠席により、審議ができなかった。


 共産党を除く野党5党は17日午前、国会内で国会対策委員長らが会談し、同日午後の党首討論には参加するものの、討論で安倍首相(自民党総裁)が野党も含めた選挙制度改革の協議の場の設置に応じる考えを示すことを、審議復帰の条件とする方針を確認した。
会談後、民主党の高木義明国対委員長は記者団に、「不正常な状況を作ったのは与党だ。反省を求めなければいけない」と指摘した。


 これに対し、与党は17日朝、東京都内で幹事長や国対委員長が会談し、19日までに区割り法案を衆院政治倫理確立・公職選挙法改正特別委で採決する方針を確認した。
定数削減を含む衆院選挙制度改革の与野党協議を18日にも行うよう野党に呼びかけることも決めた。
会談後、自民党の石破幹事長は記者団に「非常にシンプルな法案なので、そんなに(審議)時間はかからないと思う。
今週中にメドはつけなければならない」と強調した。

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2013年04月18日

追悼・三國連太郎さん:徴兵忌避の信念を貫いた

追悼・三國連太郎さん:徴兵忌避の信念を貫いた
2013年04月15日  毎日新聞
(特集ワイド「この人と」1999年8月掲載)

 徴兵を忌避して逃げたものの、見つかって連れ戻され、中国戦線へ。
しかし人は殺したくない。
知恵を絞って前線から遠のき、一発も銃を撃つことなく帰ってきた兵士がいる。
俳優・三國連太郎さんは、息苦しかったあの時代でも、ひょうひょうと己を貫いた。終戦記念日を前に、戦中戦後を振り返ってもらった。【山本紀子】


 −−とにかく軍隊に入るのがいやだったんですね。


 ▼暴力や人の勇気が生理的に嫌いでした。
子供のころ、けんかしてよく殴られたが、仕返ししようとは思わない。
競争するのもいや。
旧制中学で入っていた柔道部や水泳部でも、練習では強いのに、本番となると震えがきてしまう。全く試合にならない。
それから選抜競技に出るのをやめました。


 −−どうやって徴兵忌避を?


 ▼徴兵検査を受けさせられ、甲種合格になってしまった。
入隊通知がきて「どうしよう」と悩みました。
中学校の時に、家出して朝鮮半島から中国大陸に渡って、駅弁売りなどをしながら生きていたことがある。
「外地にいけばなんとかなる」と思って、九州の港に向かったのです。
ところが途中で、実家に出した手紙があだとなって捕まってしまったのです。


 「心配しているかもしれませんが、自分は無事です」という文面です。
岡山あたりで出したと思う。
たぶん投かんスタンプから居場所がわかったのでしょう。
佐賀県の唐津で特高らしき人に尾行され、つれ戻されてしまいました。


 −−家族が通報した、ということでしょうか。


 ▼母あての手紙でした。
でも母を責める気にはなれません。
徴兵忌避をした家は、ひどく白い目で見られる。
村八分にされる。
おそらく、逃げている当事者よりつらいはず。
たとえいやでも、我が子を送り出さざるを得なかった。
戦中の女はつらかったと思います。

 ◇牢に入れられるより、人を殺すのがいやだった

 −−兵役を逃れると「非国民」とされ、どんな罰があるかわからない。
大変な決意でしたね。


 ▼徴兵を逃れ、牢獄(ろうごく)に入れられても、いつか出てこられるだろうと思っていました。
それよりも、鉄砲を撃ってかかわりのない人を殺すのがいやでした。
もともと楽観的ではあるけれど、(徴兵忌避を)平然とやってしまったのですね。
人を殺せば自分も殺されるという恐怖感があった。


 −−いやいや入ったという軍隊生活はどうでした?

▼よく殴られました。突然、非常呼集がかかって、背の高い順から並ばされる。
ところが僕は動作が遅くて、いつも遅れてしまう。
殴られすぎてじきに快感になるくらい。
演習に出ると、鉄砲をかついで行軍します。
勇ましい歌を絶唱しながら駆け足したり、それはいやなものです。
背が高いので大きな砲身をかつがされました。
腰が痛くなってしまって。
そこで仮病を装ったんです。


 −−どんなふうに?


 ▼毛布で体温計の水銀の部分をこすると、温度が上がるでしょう。
38度ぐらいまでになる。
当時、医者が足りなくて前線には獣医が勤務していました。
だからだまされてしまう。
療養の命令をもらって休んだ。
また原隊復帰しなくてはいけない時に、偶然救われたのです。
兵たん基地のあった漢口(今の湖北省武漢市)に、アルコール工場を経営している日本人社長がいた。
軍に力をもっていたその社長さんが僕を「貸してほしい」と軍に頼んだのです。
僕はかつて放浪生活をしていた時、特許局から出ている本を読んで、醸造のための化学式をなぜか暗記していました。
軍から出向してその工場に住み込み、1年数カ月の間、手伝いをしていた。
そうして終戦になり一発も銃を撃たずにすんだのです。


 −−毛布で体温計をこするとは、原始的な方法ですね。


 ▼もっとすごい人もいました。
そのへんを走っているネズミのしっぽをつかまえてぶらぶらさせたかと思うと、食べてしまう。
「気が狂っている」と病院に入れられましたが、今ではその人、社長さんですから。


 −−前線から逃げるため、死にもの狂いだったのですね。


 ▼出身中学からいまだに名簿が届きますが、僕に勉強を教えてくれた優しい生徒も戦死していて……。
僕は助かった命を大切にしたいと思う。そう考えるのは非国民でしょうか。


 −−三國さんのお父様も、軍隊の経験があるそうですね。


 ▼はい。シベリアに志願して出征しました。
うちは代々、棺おけ作りの職人をしていました。
でも差別があってそこから抜け出ることができない。
別の職業につくには、軍隊に志願しなくてはならない。
子供ができて生活を安定させるため、やらざるを得なかったのでしょう。
出征した印となる軍人記章を、おやじはなぜだか天井裏に置いていた。
小さいころ僕はよく、こっそり取り出してながめていました。


 −−なぜ天井裏に置いていたのでしょう。


 ▼権力に抵抗する人でしたからね。
いつだったか下田の家の近くの鉱山で、大規模なストがあって、労働運動のリーダーみたいな人を警察がひっこ抜いていったのです。
おやじはつかまりそうな人を倉庫にかくまっていた。
おふくろはその人たちのために小さなおむすびを作っていました。
またいつだったか、気に入らないことがあったのでしょう、おやじは駐在所の電気を切ったりしていた。
頑固で曲がったことの嫌いな人でした。


 −−シベリアから帰ってから、どんな職業に?


 ▼架線工事をする電気職人になりました。
お弟子さんもできた。
おやじは、太平洋戦争で弟子が出征する時、決して見送らなかった。
普通は日の丸を振って、みんなでバンザイするんですが。
ぼくの時も、ただ家の中でさよならしただけ。
でも「必ず生きて帰ってこい」といっていました。


 −−反骨の方ですね。


 ▼自分になかった学歴を息子につけようと必死でした。
僕がいい中学に合格した時はとても喜んでいた。
ところが僕が授業をさぼり、家出して、金を作るため、たんすの着物を売り払ったりしたから、すっかり怒ってしまって。
ペンチで頭を殴りつけられたり、火バシを太ももに刺されたりしました。
今でも傷跡が残っています。
15歳ぐらいで勘当され、それから一緒に暮らしたことはありません。


 −−終戦後はどんな生活を?


 ▼食料不足でよく米が盗まれ、復員兵が疑われました。
台所まで警察官が入って捜しにくる。
一方で、今まで鬼畜米英とみていたアメリカ人にチョコレートをねだっている。
みんなころっと変わる。
国家というのは虚構のもとに存在するんですね。
君が代の君だって、もっと不特定多数の君なのではないか。
それを無視して祖国愛を持て、といわれてもね。


 −−これからどんな映画を作りたいと思いますか。


 ▼日本の民族史みたいなものを作りたい。
時代は戦中戦後。象徴的なのは沖縄だと思います。
でも戦いそのものは描きたくない。
その時代を生きた人間をとりまく環境のようなものを描こうと思う。
アメリカの戦争映画も見ますが、あれは戦意高揚のためあるような気がします。
反戦の旗を振っているようにみえて、勇気を奮い起こそうと呼びかけている。

 ◇国家とは不条理なものだ

 三國さんは名前を表記する時、必ず旧字の「國」を用いる。
「国」は王様の「王」の字が使われているのがいやだ、という。
「国というものの秘密が、そこにあるような気がして」


 「国家というのは、とても不条理なものだと思う」と三國さんはいう。
確かにいつも、国にほんろうされてきた。
代々続いた身分差別からすべてが始まっている。
棺おけ作りの職業にとめおかれていた父親は、全く本意ではなかったろうが、シベリア出兵に志願して国のために戦った。
そうして初めて、違う職業につくことを許された。
この父との確執が、三國さんの人生を方向づけていく。


 学歴で苦労した父は、息子がいい学校に入ることを望んだ。
しかし期待の長男・連太郎さんは地元の名門中学に合格したまではよかったが、すぐドロップアウトしていく。
三國さんは「優秀な家庭の優秀な子供がいて、その中に交じっているのがいやだった。自信がなかった」という。


 時代も悪かった。
中学には配属将校といわれる職業軍人がいた。ゲートルを巻いての登校を義務づけられ、軍事教練もあった。

 学校も家も息苦しい。
だから家出した。中学2年のことだ。
東京で、デパートの売り子と仲良くなって泊めてもらったこともある。
中学は中退してしまう。
父は激怒した。中国の放浪から帰ってきた時、勘当された。
家の近くのほら穴で「物もらいと一緒に寝起きした」という。
道ですれ違おうものなら、父は鬼のような形相で追いかけてきた。


 その後、三國さんが試みた徴兵忌避は、不条理な国に対する最大の抵抗だった。後ろめたさはない。

圧倒的多数が軍国主義に巻き込まれていく中、染まらずにすんだのは、「殺したくない」という素朴な願いを持ち続けたためである。


 「国とは何なのか、死ぬまでに認識したい。
今はまだわからないが、いつもそれを頭に置いて芝居を作っている」と三國さんは話している。

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差別への怒り、芝居に迫力 三国連太郎さんを悼む

差別への怒り、芝居に迫力 三国連太郎さんを悼む
2013年04月17日    朝日新聞デジタル

 14日亡くなった俳優の三国連太郎さんは90年の人生を、差別や不条理が存在する社会への怒りをもって生き抜いた。
その怒りが、俳優としての破格の大きさになって結実していた。


 「三国さんは自分たち俳優を遊芸民と称していた」。
民俗学者の沖浦和光さん(86)は振り返る。
中世以降、芸能に携わる人々は、何も生産しない民としてしばしば差別を受けていた。


 長年親しかった三国さんとは「『芸能と差別』の深層」(ちくま文庫)という対談集を出している。
「観客を魅了したあの名演技は、闇の部分が多い複雑な実人生の投影であることが分かります」監督やプロデューサーに俳優として意見を言うと「あの河原者風情が」との陰口が耳に入ったという。


 この本の中で三国さんは、「親父(おやじ)の田舎」の由緒について触れている。


 「中学の頃からなぜ自分がのけ者にされるのか理不尽に感じていたと話していた
役者になってから、柳田国男や折口信夫をはじめ観阿弥・世阿弥など芸能史について幅広く勉強されていました」


 三国さんの思い入れが特に強かった映画は、今村昌平監督の「神々の深き欲望」(1968年)だったという。
「沖縄の土着的な文化と近代化の間に起こる差別を、初めてまともに描いた作品だと思う。
三国さんは、監督が完璧主義で納得いくまでOKを出さず、撮影に1年半かかった、と話していた」


 戦時下に日本へ強制連行された朝鮮人に扮した95年の「三たびの海峡」も三国さんらしい映画の一本だ。
神山征二郎監督(71)は言う。
「皇民化教育の時代に育ち、青春を送った人だから、戦争に対する憎悪はすさまじいものがあった。
抑圧されている者の怒りが、単に役柄を演じている以上の迫力でひしひしと感じられた」


 脚本の読み込みも尋常ではなかった。
「撮影のある日は毎朝、赤鉛筆で直した台本を見せられた。
そこまでこだわる俳優は、ほかに会ったことがない。
若い頃の苦労が俳優としての生き方の強いバネになっていたのでは」


 神山監督は、日本にはいないタイプの器の大きな俳優だったとも話す。
なぜ戦争が駄目なのか、という大きな思想をきちんと語れる方だった
マーロン・ブランドをほうふつさせる」


 ブランドの持つ存在感や威厳は、確かに三国さんに近いものがある。
「ゴッドファーザー」でアカデミー賞主演男優賞に決まりながら受賞を拒否したが、その理由は「ハリウッドの少数民族への差別」だった。

 「三国さんがもっと活躍できる幅の広さを今の日本映画が持てていなかった」と神山さんは残念がった。(石飛徳樹)
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2013年04月19日

サラリーマンは全員アルバイトになる 首切り法案 戦慄の中身と進行状況

サラリーマンは全員アルバイトになる 首切り法案 戦慄の中身と進行状況
2013年4月16日  日刊ゲンダイ掲載 

 閣僚答弁を信じちゃいけない

 高支持率に浮かれている安倍内閣がとうとう、悪魔のような正体をあらわにしてきた。
サラリーマンいじめの首切り法案が着々、進行中なのである。

カネで首を切る「金銭的解決」だけでなく、
いわゆる解雇の4要件、
(1)経営上の必要性
(2)解雇回避に向けた努力
(3)合理的選定基準
(4)労使協議の必要性――もなし崩しにしようという動きが急ピッチで進んでいる。こんなものを見逃していたら、サラリーマンは全員、アルバイトにされて、経営者の下僕にされてしまう。

 15日の衆院予算委員会の分科会。
首切り法案を徹底追及する山井和則衆院議員(民主党)が30分間にわたって甘利経済再生相を攻め立てた。

 この間、山井がしつこく聞いたのは「安倍内閣は解雇4要件の見直しを成長戦略の中に入れる可能性があるのではないか」ということだ。
産業競争力会議や規制改革会議で、こうした解雇ルールの見直しが公然と議論されているからである。

 甘利は国会答弁で「使用者側の勝手な都合で金銭の支払いによって解雇することは検討しない」と言っているが、いつもこうやって、「使用者側の勝手な都合で……」みたいな“条件”付きで答える。
果たして、15日も明確な否定答弁はなかったのだが、その裏では、えらいスピードで首切り法案の議論が進んでいる。

 それが資料で裏付けられている。

例えば、第4回、産業競争力会議で配られたペーパーにはこうある。

〈現状では大企業が人材を抱え込み、「人材の過剰在庫」が顕在化している。
大企業で活躍の機会を得られなくても、他の会社に移動すれば活躍できるという人材も少なからずいるはずであり、「牛後となるより鶏口となれ」という意識改革の下、人材の流動化が不可欠である〉

〈雇用維持型の解雇ルールを世界標準の労働移動型ルールに転換するため、再就職支援金、最終的な金銭解決を含め、解雇の手続きを労働契約法で明確に規定する〉

 労働者を「過剰在庫」呼ばわりだから、ヒドイ話だが、規制改革会議のペーパーも露骨だ。

〈勤務地や職種が限定されている労働者についての雇用ルールの整備〉が「優先的検討事項」として書かれているのだ。

 正社員ではなく、限定社員という新概念を導入しようというものなのだが、「雇用ルールの整備」と言いながら、この文章のタイトルはズバリ、「解雇ルールのあり方」とある。
つまり、正社員を限定社員にして、首切りをしやすくしようというたくらみなのだ

 15日明らかになった規制改革会議の雇用ワーキンググループの第1回会合の議事録にもあきれ返った。

 3月28日の会議の議事録が今頃出てくること自体がフザケているのだが、中身を見たら民間の委員が「解雇規制のあり方とか、こういう表現でいいのか。
労働契約のあり方とか働き方のあり方とかと変えて出した方がいい」なんて言っていて、要するに最初から「首切り法案をいかに、ごまかすか」に腐心していたのである

「結局、この内閣は大企業のための内閣なのですよ。
産業競争力会議に入っているのは経営者だけですからね。
甘利大臣は労働問題を話し合うときは労働者の代表を入れるべきだ、と言っていましたが、だったら、すぐにやって欲しい。
それをやらずに解雇のルールづくりを話し合っている。
いまは慎重答弁ですが、参院選が終わったら、首切り自由な国になってしまう可能性があります」(山井和則衆院議員)

 庶民も株高に浮かれ、安穏としていると、とんでもないことになる。
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しあわせのトンボ:問題意識=近藤勝重

しあわせのトンボ:問題意識=近藤勝重
毎日新聞 2013年04月19日 14時44分

   夕刊編集部に在籍して、特集の企画案を毎週提出している。
今、何が問題か、と考えての提案だが、そういう作業を通して改めて気付くのは、この国の問題の多さと問題の深刻さである。

無邪気に喜んだり、悲しんだりして気楽に過ごしていた日々が遠のいたことを思い知らされるばかりか、将来への不安に気もふさぐ。

巨大地震、未収束の原発事故、近隣諸国との不測の事態……と多々案じられ、祈りに似た思いがこもる時もある。


 いや実際、長い記者生活でもこんな気分に見舞われたことはあまりない。
記者になってしばらくは、目の前の事件に追われ、殺人事件なら犯人は?汚職事件なら黒い役人は?とその答えを追い求めていた。
どなたかの言い回しと思うが「人間の問題」より「問題の人間」が問題であったわけで、週刊誌に移ってからも、「問題の人間」が最大の関心事であった。


 その後、夕刊編集部での仕事に就いてからは「人間の問題」への関心も増し、「この国はどこへ行こうとしているのか」の特集を同僚と企画したのも、そんな問題意識の表れであったように思う。


 ところでぼくらの問題意識は、「問題だ」と一声発して募っていく。
しかし昨今、問題の判断基準が何だかぼやけてしまった印象だ。
かつてなら問題になったであろう政治家の過激発言も、今では頼もしさを感じる向きもあると知ってか、本人はどこ吹く風だ。
逆に過激な主張は控えて、穏やかさを演出する政治家もいたりするからややこしい。


 それで思うのだが、メディアがタカ派的持論を抑えた安倍晋三政権を「安全運転」などと評しているのはどうなんだろう。
参院選を前に本当はどんな運転をする政権なのか、みんな知りたいはずなのに、「安全運転」だなんて、と思ってしまう。


 ついでながら、次の川柳は毎日新聞(大阪)の「健康川柳」で紹介した作品だ。


 祖母が聞くアベノミクスは美味(うま)いんか


 祖母の口を借りての皮肉の句とも受け取れるが、ともあれアベノミクスなるものも本当のところは、と大いに気になる。
                     (専門編集委員)

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2013年04月20日

今の日本人 デフレのトラウマでインフレの怖さを忘れている

今の日本人 デフレのトラウマでインフレの怖さを忘れている
2013.04.19 16:00  NEWSポストセブン

  アベノミクスによって円安が進めば株価が上がる。
株価が上がれば景気が上向く──まさに「円安バンザイ」ムード一色だが、今こそ考えておくべきは「このまま円安が進んでいった場合に何が起きるか」である。


 円安による最悪のシナリオは、1ドル=120円を軽々と突破し、急激に暴落してしまうことだ。


 そこで思い出すのが、ベストセラー『日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日』(ベンジャミン・フルフォード著)だ。
この本は、「日本の未来が2002年に通貨危機を迎えたアルゼンチンのような状態になる」と書いて大きな波紋を呼んだ。


 かつてのアルゼンチンは国民1人当たりのGDPが世界4位と、南米トップの経済力を誇った。
だが、インフレ政策の麻薬にはまる。
カネを無計画に刷ってバラマキ政策を重ねた結果、1999年には500%のハイパーインフレと累積債務問題に直面。
2001年に政府支出を大幅に削ったことで労働組合がゼネストを敢行し、通貨と国債の暴落が発生した。


 まさに、安倍政権がアベノミクスによる財政出動に際して「国土強靱化」を掲げてハコ物建設を推進している一方で、財務省は消費増税に代表される財政健全化をこの機に乗じて実現しようと狙っている。
基礎的な国力の違いはあるにせよ、ジャブジャブにした後でいきなり蛇口を締めるという政策は、アルゼンチンと同じ道を辿る危険を内包しているといえるかもしれない。


 経済アナリストの朝倉慶氏は危機感を募らせる。

「相場は勢いがつきますから、120円を超えるような展開になると一気に円安に弾みがつきます。
そうなると160円、200円と思わぬ展開が訪れても不思議はない。
現にユーロはリーマンショック後に、1ユーロ=170円から110円近くまで一気に暴落しました。
主要通貨のユーロがこのような動きをしたのですから円でも似たような変動が十分に起こり得るのです。


 今の日本人は、デフレのデメリットばかりがトラウマとなり、インフレの怖さを忘れている
物価上昇が異常な段階に突入しても、それを察知する能力を失ってしまっています」


 朝倉氏は、安倍政権が明示する2%の物価高が実現した時が、円安の危険水域突破の始まりだと示した。


「政府や日銀をしても制御は不可能でしょう。
市場に介入するにしても、ドルを売って円を買わなきゃならない。
だけど、日本は米国債でしかドルをもっていないわけで、これを売るには米国の許可が必要です」


 アルゼンチンは2001年に対外債務の返済不履行宣言(デフォルト)を発する事態に陥っている。失業率は20%を超え、医療や食糧物資の深刻な困窮、銀行の預金封鎖、国民の海外流出……国力の低下は眼を覆うばかりとなってしまった。

※週刊ポスト2013年4月26日号

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新入生がカルト集団の餌食に…大学や駅で声かけ 予備校生も標的に

新入生がカルト集団の餌食に…大学や駅で声かけ 予備校生も標的に
2013.04.18   zakzak(夕刊フジ)


  新学期がスタートし、多くの学生が期待に胸を膨らませて大学の門をくぐった。
そんななか、大学関係者が頭を悩ませているのが、新入学生を狙うカルト集団の存在だ。

  教祖が信者への暴行で逮捕された団体やオウム真理教の後継団体「Aleph(アレフ)」などが手ぐすね引いて待ち受ける。
専門家も「最近は手口が巧妙になっている」と警戒心をあらわにしている。

 入学シーズンのこの時期、大学関係者はキャンパス内に紛れ込む侵入者がいないか、目を光らせる。
正体を隠しながらカルト団体が学生に近づき言葉巧みに入会させるからだ。

 「洗脳した上で教祖への絶対的な服従を強いたり、お布施の納付や物品の購入を強要したりする。

団体運営のために違法行為や反社会的行為を働かせることもいとわないだけに注意が必要だ」
 公安関係者はカルト団体の恐ろしさを説く。

 大学関係者によると、トラブルなどの相談が多いのは、教祖が女性信者への暴行容疑で逮捕された韓国発祥のキリスト教系組織「摂理」や霊感商法が問題になった統一教会系の組織、「アレフ』も増えている」と指摘する。

 公安調査庁の調査では近年、北海道でアレフが信者数を急増させた。
社会を震撼させたオウム事件を知らない若い世代の入信が多く、「ヨガサークルや親睦団体を装って学生を勧誘するケースが目立つ」(先の公安関係者)。

 被害学生を1人でも減らそうと4年前、「全国カルト対策大学ネットワーク」が立ち上がり、現在、全国162校の大学が加盟し、情報交換などを続けている。

 横浜市に学舎を構える横浜国立大学の学生支援課職員は「毎年、勧誘トラブルの報告を受ける。

注意喚起するチラシをキャンパス内に張ったり、ガイダンスで気をつけるように呼びかけるなどの対策をとっている」。
慶応義塾大学でも、文系学部の1年生が学ぶ横浜市の日吉キャンパスで『偽装勧誘・ダミーサークルに注意!』などの張り紙を掲示。
入学手続きの書類にチラシを同封するなどした。

 それでも勧誘・入信をめぐる事件、トラブルは後を絶たない。

 恵泉女学園大の川島堅二学長兼教授(宗教学)は「これまでは、キャンパス内でサークル勧誘に紛れ込むのがポピュラーだったが、最近は見回りが強化されて難しくなった。

それで大学の外や最寄り駅などでの声かけが目立っている」と危ぶむ。
“危険スポット”はキャンパスから駅前の喫茶店やファストフード店に移り、たむろする大学生を捕まえては「友だちになろう」「一緒にスポーツしよう」などと大学生信者が新入生を誘い出すという。

 「大学受験前の高校生や予備校生もターゲットにされている。
見るからに受験勉強している子に『受験勉強もいいけれど、たまには身体を動かした方がいい』などと誘いかける」と川島氏。

 都内に拠点を構えるあるキリスト教系のカルト団体はサークルに化けて勧誘中で、信者獲得のマニュアルを作成。
教団関係者は「信者同士で新規信者の獲得数を競わせ、目標に達しなければ木刀でお尻をたたくなどの体罰を与えている」と明かす。

 自分を変えてみたくはありませんか…。
こんな誘い文句に安易に乗ると救われるどころか、足をすくわれる。
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2013年04月21日

サブリミナル効果は真っ赤なウソだった!? 偽科学・珍学説の数々

サブリミナル 効果は真っ赤なウソだった!? 偽科学・珍学説の数々
2013年4月19日(金)11時50分配信 ダ・ヴィンチ電子ナビ

 「サブリミナル効果」。

人が知覚する意識と、知覚しえない潜在意識の境界領域より下に刺激を与えることで表れるとされている効果のことで、映像などで人が認識するかしないかのギリギリの瞬間に意図的なメッセージなどを挟み込むという方法がよく知られている。
しかし、なんとこれ、科学的確証のない、いわゆる偽科学らしいのだ。

 そんな情報や、
いまだに信じられている珍学説などの情報満載の本が、3月に出版された。それが『図説偽科学・珍学説読本』(グレイム ドナルド:著、花田知恵:訳/原書房)だ。

 たとえば、前述したサブリミナル効果について。
これを広めたのは市場調査の専門家ジェイムズ・ヴィカリー。

彼は1957年のニュージャージー州フォトリーの映画館において密かに行なった実験で
、すばらしい結果が出たと発表した。

その実験が、いわゆる「サブリミナル効果」そのもので、観客に「コカ・コーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」と指示するフラッシュ映像を混ぜた映画を見せ、その結果、映画館のロビーでコカ・コーラとポップコーンの売り上げがグンと伸びたと、広告業界の大物や製造業者などに伝えたらしい。
ここまでは、有名な話である。

しかし、本書によれば、1962年にヴィカリーは「サブリミナル効果」はペテンで、破綻しそうな自分のコンサルタント業を救済するためにでっちあげた、と認めたという。

 アメリカ式ならばReally!? 日本式ならば本気(マジ)で!? という声をあげたいところ。
というより、そんなに早くから「嘘」だと認めているのに、なぜ未だにみんな信じているのだろうか。

なんとじつは、ヴィカリーのその声は無視されたというのだ。
その理由としては単純で、「サブリミナル効果」があまりにも、人々の間に広がりすぎていたからだという。

ひとりの声は、多数の前では黙殺されるという、なんとも怖い例である。

ちなみに2006年の調査によると、アメリカ人の約80%が未だに「サブリミナル効果」の不気味な力を信じているらしい。
 でも、なぜそんなにも、人は偽科学を信じてしまうのだろう。

興味深い話が本書に載せられている。
 今や地球は球体だということが当たり前になっているが、昔の人々は「地球? 平面だろ」と本気で信じていた。
いわゆる「地球平面説」である。

その信者のひとりにマルティン・ルターがいる。
ドイツの宗教改革者で、歴史に残る、超重要人物のひとりだ。
そんな彼が、地球平面説を信じた根拠、それは「全人類は最後の審判の日にキリストの再臨を目撃することになっているのに、もし万が一世界が球体だったら、世界の半数以上がそれを見られないではないか」というものだった。

 
もうなんというか、たいしたソースでもないのに、こんな偉い人に血走った目で、前述したようなことをまくしたてられたら、だれでも信じてしまうのではないだろうか。

きっとそんな感じで、偽科学や珍学説が広まり、それを信じてしまう人が後を絶たないのかもしれない。
 しかし、そんな偽科学もときには最悪の事態を引き起すこともある。

本書によれば、その偽科学とは「骨相学」。

その創始者ともいわれるフランツ・ヨーゼフ・ガルの理論によると、脳は27個の部位の集まりで、それぞれが特定の機能、気質、性格に関わっているという。
そしてそれらは使えば使うほど肥大化する、ちょうど筋肉を鍛えると太くなるといった具合にだ。

ここまではまだ的外れでもないらしいのだが、彼の過ちはここからさらに理論を飛躍させたことにあるという。

それは、活用頻度の高い器官が頭骨を押し上げるため、頭の凹凸を調べれば性格がわかるというもの。
これは20世紀以降では否定された理論であるのだが、ルワンダにおいて、最悪なかたちで利用されることになる。

その発端となったのが、骨相学者でありルワンダを支配していたベルギーの国民的著名人であったポール・ボウツ。

彼は国中の監獄や病院を訪問し、手製の器具を使って、患者や囚人の頭を調べたという。
その結果をもとに誰が正常で、だれがそうでないかについて怪しげなレポートを提出したというのだ。

彼の器具は、ルワンダにおいて
、ベルギー植民地局の手で使用される、そこで、頭の凹凸をちょちょっと調べただけでツチ族がフツ族より優れた種族であると判断してしまい、優劣の差をつけてしまった。

そしてそれが「ルワンダ大虐殺」に繋がったらしいのだ。
この事件による被害者はおよそ50万人から100万人の間といわれている。なんとも恐ろしい話である。

 ほかにも、コカインやアヘンはかつて万能薬としてもてはやされ、赤ん坊にも大量処方されていたなどという話から16世紀初めから19世紀にかけて欧州ではタバコの煙による浣腸が流行していたという話、さらには地球空洞説やミッシングリンクなどのオカルトな話にも言及されているので、これらの言葉に反応してしまう人はぜひ手にとってみてはいかがだろうか。

(ダ・ヴィンチ電子ナビより)
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2013年04月22日

年金払う気ない?日本年金機構の仰天業務実態

年金払う気ない?日本年金機構の仰天業務実態
★嫌われ記者?比護義則が行く
2013.04.20   zakzak

 どうやら日本年金機構は国民にちゃんと年金を給付する気がないようだ。

年金受給権の時効を撤廃し、過去の記録ミスによる支給漏れ分を支払う「時効特例給付」が行われず、なんと約1300件、計約10億円の未払いが発覚した。

驚いたことに機構は職員から指摘があったにもかかわらず約1年も放置し無為無策のまま業務を継続。
年金未払いを引き起こした理由について「準備期間が短かった」「運用が正しいと思っていた」と子供じみた言い訳に終始している。
無責任極まる態度にあきれるばかりだ。

 平成19年2月、9年の基礎年金番号導入時に複数の番号を持つ人の記録を統合しなかったため5000万件の未統合の記録があることが判明。
国民から猛反発を受けた。

社会保険庁(日本年金機構の前身)や監督責任がある厚生労働省は猛省を促され、平成22年には装いも新たに日本年金機構が発足し、国民に信頼される年金給付を誓ったばかりだった。

 今回の年金未払い問題の原因の一つに、機構職員間で横行していた「事なかれ主義」がある。
未払い案件として昭和32年9月までに会社を辞めた経歴がある受給者の旧台帳の処理に絡み特例給付の対象としていないケースなどが発覚。
審査担当職員が平成24年1月、上司に指摘した。

 ところが、是正しないまま審査業務は約10カ月も続いた。
しびれを切らした審査担当職員が同年11月7日、総務省の年金業務監視委員会に告発。
厚労省年金局が事態を知ったのは、さらにその数日後だったというが公式見解だ。問題発覚を恐れた機構が事態の矮小(わいしょう)化を図り、同省への報告をためらったととられても仕方ない。

今年1月になって機構は弁護士らによる調査委員会を設置。
ここで初めて告発に基づく未払い年金の検証作業が始まった。
審査担当職員の指摘から実に1年が経過していた。
結果、約8万8千件に誤りがある可能性が分かり、うち8千件分の調査で今回の未払いが判明した。

 審査担当職員が外部に告発すれば問題が表面化し、いずれは組織として非を認めざるを得ない。
それでも、そのまま平然と業務を続けてきた機構職員に恐ろしささえ感じる。
不手際を認め正確な年金支給を実施することに、最後の最後まで抵抗する特異な文化が機構内で蔓延(まんえん)しているのだ。

 こんな状態だから、給付判断で迷うケースについて統一マニュアルが存在せず、判断が難しいケースの采配は個々の職員に委ねられることになった。
これでは年金受給者間で不公平が生じてしまう。
こんなずさんな業務を放置していた機構幹部はもちろん、監督責任がある厚労省幹部の責任は大きい。

 実は、こうした組織運営に危機感を覚えた同省の金子順一事務次官は昨年12月、内部通報制度について「ことが深刻な事態になるのを防ぐという意味で大事な仕組みだ」とするメッセージをひそかに厚労省職員に伝え、密告を推奨していた。
ただ無責任体質が染みこんでいる機構には、そう簡単に次官の気持ちは届かない。年金受給者には改めて年金の支給漏れがないかどうか自身でチェックすることを勧めたい。
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2013年04月25日

社説:不起訴不当議決 にじみ出た検察不信

社説:不起訴不当議決 にじみ出た検察不信
毎日新聞 2013年04月24日 02時30分

  無罪が確定した小沢一郎・「生活の党」代表の陸山会事件で、虚偽捜査報告書作成の元検事に対し、市民から選ばれた検察審査会が不起訴不当を議決した。

起訴相当ではないため、最高検が再捜査の結果、再び不起訴処分とすれば捜査は終結する。


 ただし、議決書の内容からは、検察の恣意(しい)的な捜査や処分に対する市民の根強い不信が見えてくる。
最高検は再捜査を尽くして処分を決め、説明責任も果たすべきだ。


 経緯を振り返りたい。

 検察審査会が小沢代表について起訴相当と1度目の議決をした後、元秘書の石川知裕衆院議員を東京地検特捜部の元検事が再聴取した。


 元検事が作成した捜査報告書には「ヤクザの手下が親分を守るためにうそをつくのと同じようなことをしたら選挙民を裏切ることになると検事から言われた。
これが効いた」と、石川議員の供述が記載された。


 この報告書も検討したうえで、改めて検察審査会が起訴議決をし、小沢代表は強制起訴された。


 ところがその後、石川議員がそんな供述をしていなかったことが判明した。石川議員がICレコーダーで取り調べを録音していたのだ。


 最高検は昨年6月、「勾留中の取り調べと再聴取の記憶が混同した」との元検事の説明を受け入れ、「思い違いの可能性が否定できない。
意図的ではなかった」などとして、虚偽有印公文書作成容疑などでの告発について不起訴処分とした。


 だが、審査会はこの結論に異議をとなえた。
記憶の混同は納得し難いとし、「意図をもって改ざんしたことがうかがえる」と、当時の審査会誘導の疑念を強くにじませたのだ。


 さらに報告書が2度目の審査に与えた影響に触れ、「実際の弊害として公文書の内容に対する公共的信用を害した」と結論づけた。
検察の刑事処分に対しても「ことさら不起訴にするために、故意がないとしている」と、返す刀で批判した。


 小沢代表の裁判で、東京地裁も元検事の説明を「信用できない」と一蹴した。
「故意がなかった」とあっさり結論づけた処分は、やはり説得力を欠く。
元検事の認識について、突っ込んだ捜査をすべきだ。


 検察不信はいまだに根深い。
ひとたびターゲットを決めたら、公文書を捏造(ねつぞう)しても起訴に持ち込もうとする。
起訴する権限を手前勝手に行使することもいとわない−−。
市民はそう見ている。

検察は自ら定めた倫理規定で検察権の行使について「独善に陥ることなく謙虚な姿勢を保つべきだ」と強調した。
ならば審査会の「より謙虚に更なる捜査を遂げるべきだ」との指摘を真正面から受け止める時だ。

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2013年04月27日

しあわせのトンボ:イエスかノーか=近藤勝重

しあわせのトンボ:イエスかノーか=近藤勝重
毎日新聞 2013年04月26日 13時44分

 大学のクラスの同窓会があった。
時の話題も話題になり、一人がアベノミクスについて「やってみなくちゃわからない。やってみなくちゃ」と声を上げた。
「そりゃそうだ」と笑って応じる声もある。

やってみたものの……となってからでは遅い気もするが
、議論にはならず、話はそれぞれの病気自慢に移っていった。


 帰途、学生時代を思い起こした。
ベトナム戦争、あるいは授業料値上げ反対のスト突入などをめぐって、キャンパスや教室ではすぐに議論の輪ができた。
しかし最後は「要するにどっちなんだ」と問い詰めるようなやりとりになった。
思い出してほろ苦くなるのは、議論でむしろ学生間の対立が深まったからだろう。


 今、年を重ねて自覚するのは、イエスかノーの答えが簡単に出せるほど物事は単純ではないということだ。

実際、世の中がいろいろわかってくるにつれ、是非善悪の判断一つも難しく思えてくる。
AかBかと迫られてはなおさらだ。
Aだと答えて、それが多数になると、Bの側の人は切り捨てられてしまう。

本来、Aの人もBの人も同等の権利を持っているはずなのに、と思うと、A、Bともに大事なのでは、と思ってみたりする。


 以前にこれとよく似た趣旨のコラムを書いて、ある弁護士さんからファクスをいただいた。その中にこんな言葉があった。


 <「味方と敵」「勝ちと負け」のある仕事を30年近くやってきてわかったのは、「勝つこと」より「解決すること」の大切さ


 コラムより深い理解に恐縮したが、その時、ふと思い浮かんだのは憲法だった。
弁護士さんの言葉には前文や9条の理念にどこか通じるものがあると思ったのである。


 付記しておくが、二者択一でも答えられるテーマが幾つかある。
憲法もその一つで、護憲か改憲かと問われれば、迷わず護憲と答えるだろう。
学生時代のゼミの論文に「憲法がある限り希望を持って生きられる」と書いた覚えがある。


 未収束の原発事故をはじめ、いろいろとひどい国である。
これで憲法がヘンなことになったら、どんな国になるのだろう。
案じられてならない。(専門編集委員)

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2013年04月28日

メーデー、背水の連合 問われる存在価値

メーデー、背水の連合 問われる存在価値
2013年04月27日22時55分   朝日新聞デジタル

【久保智、佐藤徳仁】労働組合の中央組織・連合にとって、27日は支持政党の民主党が下野して初のメーデーだった。
お祭りムードとは裏腹に、連合の存在感はいま一つ。「アベノミクス」で物価があがっても、賃金があがらなければ生活を直撃する。連合のあり方が問われている。


■「
賃上げ」奪われたお株


 「
デフレ脱却のために政府がやるべきは、国民の暮らしの底上げだ。行動しなければ社会は変わらない」


 27日、東京・
代々木公園であったメーデー中央大会で、連合の古賀伸明会長は呼びかけた。
東京の集会は例年、組合員が参加しやすいように大型連休の初日に開催している。
今年はさらに「
仮面ライダーウィザード」のショーを初めて企画。家族連れも目立ち、来場者は昨年を約5千人上回る約4万人にのぼった。


 だが、働く人に占める連合の組合員の割合は減り、いまや1割ほど。
団塊世代の正社員が定年で抜ける一方、パートなど非正規の働き手をつかめていない。
働き手のうち非正規の割合は3割超なのに、連合では非正規は約1割にとどまる。


 支援する
民主党が与党の間に腰が重くなり、「集会やデモで社会に訴える力が弱くなった」(連合関係者)との反省もある。
いまはNPOなどと連携して
草の根の活動に力を入れる。
格差をなくそうと訴える街頭キャンペーンも始めた。


 ただ、最大の見せ場は
賃上げ交渉。
なのに今
春闘で連合のメンツは丸つぶれだった。
4年続けて統一
賃上げ要求を見送ったが、安倍晋三首相の賃上げ要請に一部企業が反応したからだ。


 
春闘全体でも、「実績は昨年をわずかに上回る程度。
満足できるものではない」(古賀会長)。
中小企業での成果は大手より小さい。企業業績は上向き、これから物価も上がるかもしれない。
来年の
春闘で結果を出せないと、さらに求心力を失いかねない。


■進む民主離れ、自民は冷淡


 「我々は労働規制の改悪と戦う。
アベノミクスというよりアベノリスクだ」。
来賓あいさつで、
民主党海江田万里代表は、自民党政権との違いを強調した。


 その前日、都内のホテルで、古賀会長は海江田代表らに
アベノミクスへの対抗策をただしていた。
「期待は膨らんでいるが、生活は苦しい。対策を打ち出してほしい」。
支持率安倍政権への危機感が強いためだ。


 野党に転落した
民主党の低迷ぶりを前に、連合内では着実に「民主離れ」が進んでいる。

25日には連合傘下の「
全国ユニオン」の前会長が、「民主党は働く人の立場にたっていない」と、7月の参院選社民党からの出馬を表明した。

 一方で連合自身も政策への意見反映に向け、自民党に秋波を送る。
古賀会長は3月末に
石破茂幹事長を訪ね、首相と会談する政労会見の復活などを要請した。


 だが、
参院選を控えて民主党との対決姿勢を強調したい首相官邸の反応は冷たい。
首相に要請したトップ会談の見通しは立っておらず、メーデーへの首相出席も断られた。
ある
自民党議員は「連合が非自民の旗を降ろさなければ、関係修復は進まない」と突き放す。

 古賀会長は周辺にこう漏らす。「我々が民主から手を引く選択肢はない。次の政権交代まで10年はかかることを覚悟しないといけない」
     ◇
【メーデー参加者の声は?】
●公務系・男性(23)
 仮面ライダーショーで人集めとは、いかにもせこい。本質とずれている
●運輸系・男性(49)
 20年以上、参加してきた。形骸化が進み、形だけで労働者の結束を確認している印象
●サービス系・男性(34)
 動員のためのショーもいいと思う。人が集まれば、それが声にもつながっていく
●情報系・男性(43)
 デモ行進をするなら、代々木公園周辺ではなく、永田町霞が関でやるべきではないか
●農業系・女性(20代)
 ショーで集客するのは理解できる。来ないことには労組の活動を知ってもらえない
●サービス系・女性(39)
 いま労組専従。組合は中に入れば必要性が分かるが、外から見ると理解されづらい
●運輸系・男性(59)
 30年来ている。労組は大所帯になりすぎて働き手から遠い存在になった。もっと闘わないと
●メーカー社員・女性(20代)
 通りかかってビールを飲みに来た。メーデー? 知らない。組合? 入っていない
●通信系・男性(34)
 労働運動もメーデーも必要と思う。自主的に参加したが、家族サービス優先で式典は見ない
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日本の真の独立を思う

週のはじめに考える 日本の真の独立を思う
2013年4月28日 東京新聞「社説」

 きょう二十八日は主権回復の日。
天皇、皇后両陛下も出席されての初の式典開催ですが、沖縄の当然ともいえる反発があっては虚心にはなれません。 

 サンフランシスコ講和条約が発効した一九五二年四月二十八日はどんな日だったか。
データベースを検索して当時の新聞各紙を読み比べると、歓喜と不安が交錯する日だったことがわかります。



 六年八カ月の軍事占領からの解放。中日新聞(当時中部日本新聞)は一面に「雲ひらく」と題した横山大観画伯の大きな多色刷り富士山頂図を奮発しています。

◆歓喜と不安交錯の記念日

 朝日新聞は天声人語の「二つの日本に分割されなかった幸い」や「有史以来初の主権在民の独立国になったのである」に高揚感を漂わせます。
「自主独立が外交の基本」−夕刊紙だった東京新聞はこの朝の吉田茂首相と内閣記者団との一問一答を掲載しています。


 不安は東西冷戦に由来します。五〇年六月、北朝鮮軍の砲撃から始まった朝鮮戦争は、死者四百万〜五百万人、その大半が一般市民という凄惨(せいさん)な事態となりますが、まだ休戦に至っていません。
講和も旧ソ連や大陸の中国との締結のない単独講和でした。


 中日新聞に「独立に想(おも)う」を寄稿した社会学の清水幾太郎は「アメリカのソ連包囲網の一環になったまでのこと。
新しい大戦の危険は大きい」と不気味な予言。
「八千五百万人の日本人が独立の気力をもって現実に働きかければ」と期待しました。
「共産主義が歴史の必然」ともいわれた時代。世界の行方などわからないものです。


 講和条約と同時に発効した日米安全保障条約によって、西側陣営に立ち、反共の砦(とりで)の役割を担うことになった日本。
戦後社会をけん引したのは吉田首相の軽武装・経済重視の「吉田ドクトリン」路線でしたが、最近の昭和史研究や豊下楢彦前関西学院大教授の「昭和天皇・マッカーサー会見」(岩波現代文庫)は、外交、防衛、安全保障面で昭和天皇の果たした役割の大きさを明らかにしています。
昭和天皇の沖縄メッセージや講和条約交渉への天皇の介入は、沖縄の運命や日本の防衛や安全保障に決定的だったように見えます。

◆沖縄の犠牲に支えられて

 沖縄メッセージは四七年九月、天皇御用掛の寺崎英成氏が連合国マッカーサー総司令部に伝えた極秘メッセージ。
天皇が米軍の沖縄占領継続を希望し、占領は長期租借(二十五年ないし五十年、あるいはそれ以上)で−などの内容。
七九年の文書発掘は沖縄に衝撃を与え、その後、入江侍従長の日記で内容がほぼ事実と確認されたことで、沖縄の人々は大きく傷ついたといわれます。


 豊下前教授はダレス米国務省顧問を相手にした講和条約、安保条約交渉でも、吉田首相と昭和天皇の二重外交があったことを論証しています。

当時の天皇にとっての脅威は朝鮮半島にまで迫った共産主義でした。
共産主義から天皇制を守ることは日本を守ることでもあったのでしょう。
戦争放棄の憲法と非武装となった日本で天皇が頼ったのは米軍、それが沖縄占領継続の希望や基地提供でした。


 そこにはパワーポリティクスや外交的駆け引きの余地はなく、

ダレスに対日交渉での当初からの目論見(もくろみ
「望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利の確保」を勝ち取らせることになってしまいました。
およそ独立にふさわしくないこの条約は、今も日米地位協定の不平等のなかに潜まされ、変えられていません。


 講和条約三条で沖縄は本土から分離され米国の施政権下に移されました。
講和条約や安保条約の成立過程の検証は、本土の独立が沖縄の一方的犠牲の上に築かれていることを教えます。


 沖縄への理不尽は、世界一危険な普天間飛行場移転問題に集約的に現れます。沖縄の四十一全市町村長の反対にもかかわらず、政府は県内の辺野古移転を変えません。
米軍の移転候補基地の比較衡量で満点は「本土の自衛隊基地」。
辺野古への固執は本土移転回避の政治的理由としか思えません。


 日米安保の重要性は否定できません。
それなら負担は国民が等しく、本土でも米軍基地を引き受けていくべきです。
憲法改正に声高な政府や政治家が日米地位協定改定には及び腰なのはなぜか。

国民のために当たり前のことを主張し要求していくのが独立国の政府、
正しいことに勇気をもって立ち向かうのが独立国の国民。

◆日本全体で考える

 昭和を継いだ今上天皇の沖縄への思いはことに深いようです。
昨年十二月の七十九歳の誕生日のお言葉は「日本全体の人が沖縄の人々の苦労を考えていくことが大事」でした。
沖縄こそ真の主権回復の一歩にしたいものです。

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2013年04月29日

主権回復式典:沖縄「がってぃんならん」

主権回復式典:沖縄「がってぃんならん」
毎日新聞 2013年04月28日 22時08分
          (最終更新 04月28日 22時59分)

  政府が東京で主権回復を記念する式典を開催した28日、沖縄では、式典への抗議集会に1万人(主催者発表)が駆けつけた。

本土独立後も20年、米国統治が続き、復帰から41年たった今なお、全国の米軍専用施設の74%があり、米兵の事件事故が絶えない
「政府の式典は私たちへの侮辱」「沖縄には主権はない」「がってぃんならん(合点がいかない)」。
会場に、政府や本土への不信と悲しみが渦巻いた。【平川哲也、井本義親】

沖縄県宜野湾(ぎのわん)市の海浜公園屋外劇場であった「4・28政府式典に抗議する『屈辱の日』沖縄大会」は、席につけない立ち見の参加者の輪が二重三重にできた。


 「政府式典は、沖縄戦と、米軍による統治を強いられた私たちへの侮辱ですよ」。集会に参加した名護(なご)市の自営業、具志堅勝子さん(74)は言った。


 1945年の沖縄戦終結時は小学生。
校舎を米軍に接収され、地面をノート代わりに学んだ。
本土に復帰した時は喜びもあったが、その後も基地問題は変わらず「だまされた」。

名護市は日米両政府が米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾市)の移設先にしている。
基地を押しつけるばかりで私たちには主権もない」。
具志堅さんは語気を強めた。


 「政治家は歴史を学ぶべきだ」。舞台に立った名護市の稲嶺進市長の演説に、那覇市の大田朝成(ちょうせい)さん(85)はうなずいた。


 16歳で旧海軍予科練に志願して沖縄を離れた。
戦後間もなく帰郷する船から見た夜の古里は、米軍施設だけが光っていた。
「もう少しの我慢で米軍は出て行く」と考えていたが、サンフランシスコ講和条約発効で沖縄は切り離された。
そして今年、政府は沖縄分離の日に式典を開いた。
「歴史の受け止め方の違いも気付かない。
政府は沖縄の怒りをあおり独立させたいのではないでしょうか」といぶかった。


 会場には若い世代の姿も。
宜野湾市の高校1年、田原初(うい)さん(15)が3月まで通った中学は、米軍垂直離着陸輸送機オスプレイが配備された普天間飛行場の近くだった。

「屈辱の日」はテレビで初めて知ったといい「中学では米軍機が飛ぶと爆音で授業が中断することもあった。
そんな沖縄に主権はないと思う」と話した。

posted by 小だぬき at 05:55 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「権力の犠牲者」を「英霊」と美化する目くらまし

【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
「権力の犠牲者」を「英霊」と美化する目くらまし
2013年4月26日 ゲンダイネット掲載

危うい教育の中立性

 安倍内閣の閣僚や国会議員の靖国参拝が、また、中韓両国に日本批判の材料を与えている。

 安倍首相は「どんな脅かしにも屈しない」と強気だが、わざわざ両国との対立を激化させる必要はないだろう。
毎年、同じ問題で関係を冷えさせるのは知恵がない。
そろそろ問題の解決に向けて動くべきだ。

 これを恒例行事にするのは、愚かなことである。

 安倍首相の言い分も理解できない。

 24日の参院予算委で、「英霊に冥福を祈ることを批判されても痛痒(つうよう)を感じず、おかしいと思わないのがおかしい」と強調したが、靖国神社に祀(まつ)られているのは権力の犠牲者にほかならない。
強権力によって戦争に動員され、命を落とした人たちである。

それを英霊と呼び、英雄視するのは、権力の暴走を美化する目くらましだ。日本の近代史を塗り替える発言である。

 日清戦争、日露戦争、太平洋戦争は、いずれも他国の侵略に対抗するための防衛戦争ではない。
日本が海外に打って出た戦争だ。

 それを主導した連中によって亡くなった犠牲者を英霊とあがめるのは、国を危うくした政治指導者の間違った行為を正当化するものである。

到底受け入れられないし、靖国神社には、過ちを犯した指導者も一緒に祀られているのだからなおさらだ。

 教育再生実行会議は先日、首長に教育長の任命(罷免)の権限を与え、教育行政の責任者を合議制の教育委員会から教育長に移す改革案をまとめた。

 軍部が介入した戦前の反省から、政治からの独立性や中立性を重んじてきた教育制度が、根底から覆ろうとしている。
道徳の教科化も検討されているし、教科書検定のあり方にもメスが入る公算は大
きい。

 こうした教育改革が、近代の日本の戦争を反省せず、当時の政治指導者も否定しない首相の下で進められようとしている。

 果たして、その行き着く先はどうなるのか。
歴史を塗り替えて過去を正当化するために、戦争まで再チャレンジなんてことになりかねない。

 昨年の衆院選で自民党は、「日本を取り戻す」と訴えた。
これが意味するところは何だったのか。
戦前回帰だったとしたら恐ろしい。
【高橋乗宣】
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2013年05月01日

憲法を考える 沖縄が日本であるために

憲法を考える 沖縄が日本であるために
2013年5月1日    東京新聞「「社説」

 日本国民は憲法の下、基本的人権が等しく保障されなければなりません。
しかし、国内にはそう言い切れない現実を抱える地域もあります。
沖縄県です。


 四月二十八日、国会近くの憲政記念館で、政府主催の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」が開かれました。
六十一年前、サンフランシスコ講和条約が発効して、日本が敗戦後の占領体制から再び独立を果たした日です。


 同時に、沖縄県、奄美群島、小笠原諸島は日本から切り離されました。
沖縄県民には一九七二年五月十五日の本土復帰まで続く、苛烈な米軍統治の始まりでした。

◇生命は虫けらのごとく

 式典に沖縄県の仲井真弘多知事の姿はなく、高良倉吉副知事の代理出席です。

同時刻、米軍普天間飛行場のある宜野湾市では式典への抗議大会が開かれていました。

 この日を境に強いられた苦難を考えれば、沖縄が「記念」する気持ちになれないのは当然です。
 安倍晋三首相は式辞で「沖縄が経てきた辛苦に深く思いを寄せる努力をなすべきだ」と訴えました。


 自民党の衆院選公約では主権回復を「祝う」式典が、沖縄の苦難をすべての日本国民が考える契機となるのなら−。
式典に意義を見いだせますし、そうすべきです。


 激烈な地上戦の戦場となった沖縄では、本土復帰まで米軍統治が続きます。
人命や人権が全く守られない強権的な軍政や治外法権、米軍基地を造るための「銃剣とブルドーザー」による土地の強制収用、脆弱(ぜいじゃく)な経済基盤による貧困。

 後に沖縄県知事となった故西銘順治氏は衆院議員当時、復帰前の国会でこう訴えます。

 「日本の憲法の適用もない。
米国統治下に置かれながら米国の憲法で規定された人権は何ら擁護されていない。
沖縄人の生命は虫けらのごとく扱われている」

◇9条掛け軸に助けられ

 沖縄の人々にとって本土復帰は国民主権、基本的人権の尊重、戦争放棄を三大原則とする日本国憲法への復帰になるはずでした。


 かつて読谷村長、沖縄県出納長を務めた山内徳信さんは、村長時代から執務室に、憲法九条の全文を毛筆でしたためた掛け軸を掲げています。
参院議員の今もです。


 山内さんは村長当時、読谷補助飛行場などの米軍基地の返還を粘り強い交渉で成し遂げました。

 山内さんはこう振り返ります。

 「ものを言わない憲法の掛け軸がどれほど私を助けてくれたことか。
日本政府や米政府、米軍と交渉するときの理論武装の柱が、憲法の平和主義、人権尊重だった」

 その山内さんは、沖縄が今なお「憲法の埒外(らちがい)、憲法番外地に置かれている」と指摘します。


 在日米軍基地の約74%が沖縄に集中する不公平、在日米軍の軍人・軍属に特権的な法的立場を認める日米地位協定を指してです。


 普天間飛行場の名護市辺野古への県内移設などの形で沖縄になお米軍基地負担を押し付ける、地位協定は運用改善止まりで、改定を求める沖縄の求めは無視される。


 そうした現状を変えるには、もはや沖縄県が日本から独立する、「琉球独立」しかないという訴えも、沖縄では出始めました。

 石垣島生まれの松島泰勝龍谷大教授は「琉球、沖縄の人々の誇りを傷つける状況が続いている。
独立という言葉が少数派だけではなく、一般の人も語る状況になってきた」と話します。


 歴史をさかのぼれば沖縄は琉球国という日本とは別の国家でした。
一六〇九年の薩摩藩侵攻、一八七九年の琉球処分を経て日本の一部になったのです。

 沖縄は琉球国として再び独立することができるのか。
松島さんは「日本の中で議論すると多勢に無勢だが、国連という大きな世界的な力学を使えば、いろんな状況は変えられる」と言います。


 国連には「脱植民地化特別委員会」があります。
独立はその「非自治地域」リストへの登録を求める決議を、沖縄県議会が採択できるかどうかが出発点となります。


 現時点では、独立を求める県民が多数とは言えません。
地元紙、琉球新報が二〇一二年五月、本土復帰四十年を機に行った世論調査によると、復帰してよかったと答えた県民は80%に上ります。

 だからこそ、日本政府、国民が、沖縄県民の忍耐に甘え、米軍基地の過重な負担を押し付けたままでいいはずがありません。

◇国全体をよくする力に

 山内さんは「基地や原発を地方に押し付ける発想を封じ、どこに住んでも人間扱いされる国をつくる必要がある」と訴えます。


 沖縄が日本であり続けるには、法の下の平等や基本的人権の尊重など、憲法の理念が完全に実現する状況をつくり出さねばなりません。
それが沖縄のみならず、日本全体をよくする力となるはずです。

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2013年05月02日

(CM天気図)数の暴力? 天野祐吉

(CM天気図)数の暴力? 天野祐吉
2013年5月1日  朝日新聞デジタル

 世界で初めて人口調査をしたダビデ王に、神が怒って罰を科したとき、ダビデは一切弁解をせずに自分の罪を認めた……。
という話を枕に「スモール・イズ・ビューティフル」の著者シューマッハーさんは、こう言っている。

 「ダビデは、人間を一つの単位として取り扱うような人口調査には何か間違っているものがあることに気づいたのだ。
人間は、一人一人が一つの宇宙なのである


 いい話である。が、それから3千年たったいまも、人間がしばしば数字的な単位として扱われていることに変わりはない。


 大企業が社員を何千人も一度にクビにできるのは、社員を人間ではなく、顔を持たない数字として見ているからだし、

安倍さんが夏の参院選に自信満々なのも、政策や候補者の質で勝てると確信があるわけではなく、当選者の頭数を計算してのことだろう。
憲法の改定だって、これからじっくり議論を重ねて実現したいというよりも、議席の数で押し切れるうちに押し切ろうとする算段に見える。


 多数の暴力で、とはあえて言わないが(言っちゃった)、「消費税還元セール」という表現は許さん、なんて小売業界をおどすのも、調子に乗り過ぎている。


 これは業界の猛反対に遭って、「消費税」や「税」に触れなければ認めるということになったようだが、小売業の広告キャッチフレーズにまで口を出すのは、あまりにも出過ぎた話である。


 で、ここはひとつ、わが小売業界も国のおせっかいに感謝の気持ちをこめ、店内にこんなキャッチフレーズをかかげて話題を盛り上げたらどんなものだろう。


「政府ご公認3%値下げセール」

「消費増税に関係なく3%値下げセール、堂々実施中!」
 (コラムニスト)
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2013年05月03日

社説:憲法と改憲手続き 96条の改正に反対する

社説:憲法と改憲手続き 96条の改正に反対する
毎日新聞 2013年05月03日 02時30分

 上映中の映画「リンカーン」は、米国史上最も偉大な大統領といわれるリンカーンが南北戦争のさなか、奴隷解放をうたう憲法修正13条の下院可決に文字通り政治生命を懸けた物語だ。彼の前に立ちはだかったのは、可決に必要な「3分の2」以上の多数という壁だった。


 反対する議員に会って「自らの心に問え」と迫るリンカーン。
自由と平等、公正さへの揺るぎない信念と根気強い説得で、憲法修正13条の賛同者はついに3分の2を超える。
憲法とは何か、憲法を変えるとはどういうことか。
映画は150年前の米国を描きつつ、今の私たちにも多くのことを考えさせる。

 ◇「権力者をしばる鎖」

 安倍晋三首相と自民党は、この夏にある参院選の公約に憲法96条の改正を掲げるとしている。
かつてない改憲論議の高まりの中
で迎えた、66回目の憲法記念日である。


 96条は憲法改正の入り口、改憲の手続き条項だ。
改憲は衆参各院の総議員の「3分の2」以上の賛成で発議し、国民投票で過半数を得ることが必要と規定されている。
この「3分の2」を「過半数」にして発議の条件を緩和し、改憲しやすくするのが96条改正案である。


 憲法には、次に掲げるような基本理念が盛り込まれている。

 「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」(97条)


 「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」(98条1項)


 その時の多数派が一時的な勢いで変えてはならない普遍の原理を定めたのが憲法なのであり、改憲には厳格な要件が必要だ。ゆえに私たちは、96条改正に反対する。


 確かに、過半数で結論を出すのが民主主義の通常のルールである。
しかし、
憲法は基本的人権を保障し、それに反する法律は認めないという「法の中の法」だ。
その憲法からチェックを受けるべき一般の法律と憲法を同列に扱うのは、本末転倒と言うべきだろう。


 米独立宣言の起草者で大統領にもなったジェファーソンの言葉に「自由な政治は信頼ではなく警戒心によって作られる。
権力は憲法の鎖でしばっておこう」というのがある。

健全な民主主義は、権力者が「多数の暴政」(フランス人思想家トクビル)に陥りがちな危険を常に意識することで成り立つ。
改憲にあたって、国論を分裂させかねない「51対49」ではなく、あえて「3分の2」以上の多数が発議の条件となっている重みを、改めてかみしめたい。

外国と比べて改憲条件が厳しすぎる、というのも間違いだ。


 米国は今も両院の3分の2以上による発議が必要だし、59回も改憲している例として自民党が引き合いに出すドイツも、両院の3分の2以上が議決要件となっている。
改憲のハードルの高さと改憲の回数に因果関係はない。
問われるべきは改憲手続きではなく、改憲論議の質と成熟度だ。
改憲してきた国にはそれがあった。日本にはなかった。

 ◇堂々と中身を論じよ

 改憲案は最後に国民投票に付すことから、首相や自民党は、発議要件を緩和するのは国民の意思で決めてもらうためだと言う。
こうした主張は、代議制民主主義の自己否定につながる危うさをはらむ。


 
普遍的な原理規範である憲法を変えるには、まず、国民の代表者の集まりである国会が徹底的に審議を尽くし、国民を納得させるような広範なコンセンサスを形成することが大前提だ。
それを踏まえた発議と国民投票という二重のしばりが、憲法を最高法規たらしめている。

 
国民代表による熟議と国民投票が補完しあうことで、改憲は初めて説得力を持ち、社会に浸透する。
過半数で決め、あとは国民に委ねる、という態度は、立憲主義国家の政治家として無責任ではないか。


 衆院憲法調査会が8年前にまとめた報告書には「できるだけ国民の間に共通認識を醸成し、その民意を確認する手続きとして国民投票が行われるという過程になるように、国会議員は努力する責任がある」
「たとえ政権交代があった場合でもぶれることのない、一貫した共通のルールを作る視点が大事であり、そのためには国会で幅広い合意を得ることが重要だ」などの意見が盛り込まれている。

改憲を発議にするにあたって、国会が果たす役割と責任を強く自覚する姿勢である。


 そうした声は今、手っ取り早く憲法を変えようという動きにかき消されつつある。
憲法が軽く扱われる風潮を危惧する。


 私たちは、戦後日本の平和と発展を支えてきた憲法を評価する。
その
精神を生かしつつ、時代に合わせて変えるべきものがあれば、改憲手続きの緩和から入るのではなく、中身を論ずべきだと考える。
国会は堂々と、正面から「3分の2」の壁に立ち向かうべきである。

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2013年05月04日

憲法を国民を縛る装置に百八十度転換・・

憲法を国民を縛る装置に百八十度転換させて、多数派の横暴・・・
2013年5月4日 東京新聞「筆洗」
 

 日本でも公開が始まった映画「リンカーン」(スティーブン・スピルバーグ監督)は見どころの多い佳作だ。

奴隷解放をめぐって起きた南北戦争の終結前に、合衆国憲法修正一三条を議会で可決し奴隷制を廃止する−。
難関を正面突破したリンカーン米大統領の実像に迫っている

▼闘ったのは下院の「三分の二」の壁だ。
与党の共和党からも奴隷制を認めて和平を進めるべきだとの声が強まる中、あらゆる手段を駆使し野党・民主党を切り崩し、わずかな差で修正一三条を可決した

▼約百五十年後の日本でも、焦点は三分の二の壁だ。
改憲の発議に必要である「衆参各院の三分の二以上の賛成」を過半数に緩和する憲法九六条の改正が、参院選の争点に浮かび上がってきた

憲法の役割を、国家を縛ることだと位置づけるのが立憲主義の大原則である。
多数派の横暴を防ぐ知恵である三分の二の壁
を壊せば、国民投票しか残らない。
立憲主義は踏みにじられる

▼政権から下野したわずかな期間を除けば、多数派であり続けた自民党が改憲条件の緩和を求めるのには、いかにも裏がありそうだ。
その先に目指す社会像は、自民党の憲法草案に正直に書かれている

憲法を国民を縛る装置に百八十度転換させて、多数派の横暴に容易に歯止めが利かない社会。
憲法記念日に九六条改正の先を想像すると、息苦しい未来が見えてきた。
posted by 小だぬき at 09:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

近聞遠見:長老2人、名指しの「憂国」=岩見隆夫

近聞遠見:長老2人、名指しの「憂国」=岩見隆夫
毎日新聞 2013年05月04日 東京朝刊

 野中節が利いている。
野中広務元官房長官、87歳。
舌鋒(ぜっぽう)いささかも衰えない。
4月21日、TBS系列の政治番組<時事放談>で、野中はこう言った。


 「石原さん(慎太郎・日本維新の会共同代表)は公明党を切り捨てて、自民党と一緒にやろうとしているが、残念だ。


 私が小渕内閣の官房長官の時、石原さん(当時東京都知事)に頼まれて自公を結びつけ、都議会を与党多数にした。
石原さんは頭を下げたんだ。
いまごろ何を言っておるのか」


 公明切り捨てというのは、石原が先日の党首討論で、改憲問題に触れ、

 「公明党は必ずあなた方の足手まといになる」と安倍晋三首相に忠告、自公の離間をはかったことなどを指す。

さらに、野中は、 「アベノミクスの成長戦略というが、会議(産業競争力会議)に竹中さん(平蔵・慶大教授)や三木谷さん(浩史・楽天社長)が入っていることに危惧を感じる。
一体、この国をどうしようとしているのか」
と石原についで、竹中、三木谷も名指しした。


 「安倍さんはどこか危ないという感じが捨て切れない。どこかでバタッといかないか。
次から次とメニューが多すぎる。
間に硫黄島に行ったり、一生懸命にやっているのは立派だが、体が続くのか。
長く続くように、周囲が気を配っているのか」と、先輩らしい気遣いも。


 18年前になるが、当コラムに

 <野中は政権の「狙撃手」>のタイトルで書いたことがある。

当時、野中は村山政権の自治相・国家公安委員長、閣僚のなかでも特異な存在に映っていた。
どこが特異かといえば、野中や亀井静香運輸相ら通称武闘派の面々が村山富市首相の周りをがっちり固め、邪魔立てすると、さながら狙撃手のように言葉の矢を放つ。


 「円高に対して大蔵省・日銀の対応は鈍く、冷ややかだ。国民経済が破綻してもいいというなら、思い上がりも甚だしい。糾弾し戦わなければならない」などと激しかった。


 10年前、現役を退いてからも狙撃の姿勢は変わらない。
野中の言動は、核心をグサリと突くことがいかに大事かを教えている。

だが、最近の現役には野中タイプはいない。
野党の攻撃力も鈍っている。
そのせいか、野中ファンは野党に多い。
京都選出の民主党議員は、 「力が少し落ちたのかもしれないが、まだ大したもんだ。
<京都のドン>と言う人もいる。あの方は国士ですよ。
私のところにも、しょっちゅう電話がかかる」と言う。


 OBのなかでズケズケものを言う国士的な人物がもう一人いる。
村上正邦元自民党参院議員会長、80歳。
村上の発信レター<不惜身命(ふしゃくしんみょう)>の4月21日号は、スポーツ界の国民栄誉賞を厳しく批判した。

<長嶋茂雄氏はともかく、松井秀喜氏への授与には大いに疑問がある。
発表する菅義偉官房長官の顔が心なしかこわばっているように思われた……。


 政治とスポーツとビジネスは癒着しやすく、癒着を深めるほど3者とも堕落してゆくのは、それぞれの純粋性が蝕(むしば)まれるからだ>とあからさまだ。


 また、アマチュアスポーツを統括する団体として1911年創立された日本体育協会(体協)にも、村上は触れる。

会長は初代が柔道の嘉納治五郎、2代目はボートの岸清一。
しかし、47年以後、東龍太郎(東京都知事)、石井光次郎(衆院議長)、河野謙三(参院議長)、森喜朗(首相)がつとめている。
各種スポーツ団体も軒並み、会長は政治家だ。

村上は、 <スポーツ団体と政治が、補助金と票、政治的コネクションと名誉をバーターにして、権益や利権を漁(あさ)る構造になっている。
政治とスポーツの腐れ縁を断ち切らなければ、両方とも衰弱する一方だ>
と警鐘を鳴らしている。


 毒舌は現役のころからとどろき、<参院のドン>とか<村上天皇>と呼ばれた。しかし、2001年、KSD事件をめぐる受託収賄容疑で逮捕・起訴され、有罪確定後も無実を訴えている。


 そのころ、村上から聞いたことがある。

「政治には毒があるんだよ。だから政治家はスポーツに触っちゃいかん」


 87歳と80歳、2人の老政客に共通しているのは、いまも眼光鋭く、この国の行く末を憂えていること。

 
野中は回顧録のなかで、冒頭の<時事放談>の出演について、<故後藤田正晴先生から、「君が相手なら出るよ! お互いに言うべきことを述べようよ」とおっしゃっていただき、……>と記した。
後藤田逝って8年、言うべきこと、が大切だ。
(敬称略)=第1土曜日掲載

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2013年05月06日

昼間眠い原因はこれ!? 「睡眠時無呼吸症候群」の自己診断法

昼間眠い原因はこれ!? 「睡眠時無呼吸症候群」の自己診断法
2013.05.05 19:00   NEWSポストセブン

 睡眠中の呼吸が一時停止することで酸素が不足し、深い眠りにつけず昼間も眠くなってしまうばかりでなく、成人病を引き起こす原因にもなるのが、”睡眠時無呼吸症候群(SAS)”です。


太り気味の人に起こる症状だと思われていますが、実は骨格が関係しているため、なんと小顔女性にも起きている可能性があるのです。


今回は簡単にできるチェック項目を使って、自己診断をしてみましょう。

■あてはまるものを正直に選びましょう
・肥満傾向である(1.5点)
・いつもいびきをかくといわれる(1.5点)
・ 昼間極端な睡魔に襲われることがある(1.5点)
・夜中によく目が覚める(1点)
・起床がつらい(1点)
・飲酒をしていなくても睡眠時に呼吸が止まることがある(3点)


合計が0〜2.5点の人はSASの可能性が低いです。しかし合計が3点以上の人は、最寄りの医療機関で診断を受けてみてもよいかもしれません。

■SASの2大原因
睡眠時無呼吸症候群には、2種類のタイプがあります。


(1)中枢型睡眠時無呼吸症候群

なにかの要因で睡眠時呼吸の働きが低下してしまい、無呼吸となることです。


(2)閉塞型睡眠時無呼吸症候群

頻度が高いのはこちらで、舌が喉に沈下するなどして気道が塞がっていびきが発生し、無呼吸となります。治療をする場合のほとんどが、この閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。
■起床して4時間後に眠くなるのは睡眠不足

起床して8時間後と22時間後に眠気がくるというのが、体が理想的に働いている状態だといわれています。

短時間の睡眠であっても、起床して4時間後に眠気がでなければ充分睡眠がとれているサインだとも。

太り気味の中年男性に多いイメージのSASですが、一番の原因は骨格です。
あごが小さく気道が狭い日本人は、痩せていてもSASが発症する可能性が高いともいわれています。

昼間のパフォーマンスをあげるためにも、睡眠の質をよくすることは大切です。
不規則な時間に襲ってくる眠気を感じたら、早めに原因を探して適切に対処したいですね。

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2013年05月08日

安倍内閣は6年前と何が違うのか 自戒の念書きつづっていた「安倍ノート」

【政界ありのまま】安倍内閣は6年前と何が違うのか 
               自戒の念書きつづっていた「安倍ノート」
2013.05.08   zakzak(政治評論家・有馬晴海)

  安倍晋三首相が牽引するアベノミクスが順調であることは、株高・円安、失業率の減少など、誰も否定できない。
ゴールデンウイーク中の、ロシアや中東歴訪も、ビジネス面で成果を収め、評価できる内容だ。
内政では、補正予算を乗り切り、本予算は予定通り。被災地訪問やサラリーマンの賃上げ要請など、安倍首相はひっきりなしに動いている。

 6年前の第1次安倍内閣と、一体何が違うのか。

 さまざまな要素があるだろうが、一番は自信がついた点ではないか。
「安倍ノート」に自戒の念を書きつづっていたとか、「祖父(=岸信介元首相)超え」を誓ったと伝えられるが、それだけではあるまい。

民主党幹部が「人は失敗を経験して反省をすると、こんなに大きくなるのか…」と驚くほど、安倍首相は変貌を遂げた。

 加えて、3年3カ月の民主党政権が露払いをしてくれた。
第1次安倍内閣では、消えた年金問題をはじめ、閣僚のスキャンダルや失言が続出した。
今回も閣僚の失言はあるが、大問題にはなっていない。
国民の多くが「民主党では国家が立ちゆかない」
「他の野党も決め手に欠ける」と判断し、「安倍自民党に期待するしかない」と受け止めているのだろう。

 めぐり合わせもいい。
やっと決まった富士山の世界遺産登録や、巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄氏と、巨人や米大リーグのヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏への国民栄誉賞の授与も、安倍首相の手柄に映る。

 政党支持率で自民党が独り勝ち状態のなか、安倍首相は今年夏の参院選で、自公与党で参院過半数を獲得して、「衆参のねじれ」を解消するという狙いを定めている。
これも順調に行くようにもみえる。

 ただ、好事魔多し。
自民党内からは少しずつ、「憲法改正に強権的だ」「国会答弁が上から目線で雑」「すべてが性急すぎる」といった批判が出始めている。
政権発足直後の丁寧さが、薄れてきたのだろうか。
これがきっかけで、第1次内閣の二の舞いになりはしないかと懸念する。

 第1次内閣では、消えた年金問題について、安倍首相は当初、「記録が曖昧だから、全員にお支払いできない」と発言していたが、支持率急減で「お一人、お一人にお支払いするんです」と言い直す事態になった。

 今からでも遅くない。
何度も何度も「安倍ノート」を見直して、自らの言動を見つめ直すべきだ。
私は少し気になっている。
そのノートには「政治は国民以上でも以下でもない」と書いてあるのだろうかと。 (政治評論家・有馬晴海)
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2013年05月09日

弱い人たちと向き合うことで、弱かった自分に向き合うことができた

弱い人たちと向き合うことで、弱かった自分に向き合うことができた
2013年5月8日   東京新聞「筆洗」

 体の弱い、金持ちのぼんぼんで、落ちこぼれの寝小便たれ。
大学に入ってからも、友人から年賀状一枚も来ない。
社会派弁護士として鳴らし、八十三歳で逝去した中坊公平さんは「弱虫」だったという

▼父と同じ法曹の道を歩んでからも、後年の「平成の鬼平」というイメージには程遠かった。
社会問題に興味はなく、ビジネス一辺倒。
経済的には成功し、少年時代の劣等感も克服したと思っていた

▼そんな中坊さんを変えたのが、森永ヒ素ミルク中毒事件だった。
国や企業からは「解決済み」とされ、黙って後遺症に苦しむ被害者を救うために、裁判で闘う。
その弁護団長になるように頼まれた

▼国や企業相手に左派の弁護士たちと一緒に闘えば、ビジネスに支障が出かねない。
父も辞退を勧めるだろうと相談すると、一喝された。
「そもそも赤ちゃんに対する犯罪に右も左もあると思うのか。
お前は昔から人様のお役に立つことがなかった人間やないか。
引き受けるのが当たり前や」

▼この訴訟で中坊さんが気づいたのは、何の救いの道も見いだせぬ人の絶望感だった。
母親たちは国や企業への恨み言を封印し、毒入りのミルクをわが子に与えた自分を、ただ責め続けていた

弱い人たちと向き合うことで、弱かった自分に向き合うことができた、と中坊さんは述懐していた。
救われたのは彼らではなく、自分だったと。
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2013年05月10日

何がトップセールスだ!地震大国トルコに日本の原発を売る狂気

何がトップセールスだ!地震大国トルコに日本の原発を売る狂気
2013年5月7日   日刊ゲンダイ掲載

事故原因もわからないのに専門家はア然

 やはりこの男は何も分かっちゃいない。
外遊先のトルコで、エルドアン首相と会談し、福島原発事故以来、初めてとなる原発輸出の合意にこぎ着けた安倍首相のことだ。

 日本の大マスコミは「安倍首相が自らトップセールス」と持ち上げ、本人も地元通信社のインタビューに「世界で最も高い安全基準を満たす技術でトルコに協力したい」と自信マンマンに答えていたが、福島原発事故は収束はおろか、事故原因の究明さえもほぼ手付かずの状況なのに、一体、どうやって世界最高の安全基準を保証できるのか。

 加えて、売り込んだ相手は、よりによって周辺をユーラシア、アラビア、アフリカの各プレートに囲まれた地震大国のトルコなのだ。
神をも畏れぬ蛮行だ。

「トルコの地震頻度は日本のおよそ10分の1とはいえ、東南アジアや米国西海岸などと並ぶ世界でも有数の地震国です。

最大の理由は、東西約1200キロ以上にわたって横断している北アナトリア活断層で、今も活発に動いています。
99年にトルコ北西部で発生し、約1万6000人の死者が出たマグニチュード7.8の大地震もこの断層が原因とみられています」(元東大地震研究所准教授・佃為成氏)

 輸出計画は、黒海沿岸に原発4基を建設する内容だが、トルコ公共事業住宅省防災局地震研究部が作成した地震危険度マップでは、黒海沿岸を含む国土の大部分が危険度トップクラス。
西側のエーゲ海ではM6前後クラスの地震も頻繁に起きており、大津波が起きる可能性だって少なくない。

 そんな日本と並ぶ地震・津波国のトルコに原発を売り込むなんて正気の沙汰じゃない。

<事故が起きれば損失は数百兆円単位に>

 原子炉格納容器の設計に携わっていた元東芝技術者の後藤政志氏もこう憤る。
地震の揺れは非常に複雑で、何がきっかけとなって事故が起きるか分からない。
福島原発は地震に耐えた――というが、電源が失われたのは間違いないのです。
安倍首相は世界最高基準を言うが、それならなぜ、万全の安全基準を掲げていた福島原発事故は防げなかったのでしょうか。

事故が起きたら日本はどう責任を取るのか。
トップセールスといっても、たかだか3000億〜4000億円。
事故が起きれば損失は数十兆、数百兆円単位です。

酷事故を起こし、いまだに事故原因も分からない日本が他国に原発を売るなんて、道義的にも倫理的にも許されることではありません

 その電源喪失の理由も、津波なのか、地震なのかを国会事故調が原子炉建屋の非常用復水器を調べようとしたら、東電側は「暗くて見えない」「危ない」とウソを重ねて妨害した。

つまり、本当の事故原因は分かっていない。
五輪招致をめぐって暴言を吐いた東京都の猪瀬知事といい、“死の商人”と化した安倍首相といい、親日国で知られたトルコ国民も日本の政治家の“狂乱”ぶりに呆れているのではないか。
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2013年05月11日

ついに米議会からも嫌悪される安倍首相の断末魔

ついに米議会からも嫌悪される安倍首相の断末魔
2013年5月10日 日刊ゲンダイ掲載

「国益を害する」「強硬なナショナリスト」

「安倍首相の歴史認識は米国の国益を害する恐れがある」――。
米国の議会調査局が驚愕の報告書をまとめ、安倍政権に超ド級の激震が走っている。
これまで、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなど米紙が安倍の歴史発言を酷評する社説を載せてはいたが、
「議会」という米国のれっきとした立法府の機関が安倍にNOを突きつけたのだ。

 米国の議会局が日米関係の報告書を今月1日にまとめたことは、9日の東京新聞がスクープした。

 報告書では安倍首相のことを「強硬な国粋主義者(ナショナリスト)」として知られ「帝国主義日本の侵略やアジアの犠牲を否定する歴史修正主義にくみしている」と指摘。
「地域の国際関係を混乱させ、米国の国益を害する恐れがあるとの懸念を生じさせた」と容赦なくバッサリだった。

 菅官房長官は9日の記者会見で「誤解に基づくものだろう」「レッテル貼りではないか」と取り繕ったが、米国に嫌われたら安倍政権はもたない。
ホンネは焦燥の極みだろう。

報告書は三十数ページにわたるというが、そのサマリーを読んだ元外交官で評論家の天木直人氏はこう言った。

「ここまで書かれたら、内閣総辞職モノじゃないですか。前代未聞です。
日本は、戦後一貫して日米関係は最重要だと言い続け、そのために対米従属に終始してきた。
それを『米国の国益を害する』という表現まで使われるなんて、いまだかつてなかった。
だからといって、米国に頭が上がらない安倍首相は反論することなどできないでしょう。
例えば中国だったら国防省の報告書に自国の見解と違うことがあればすぐに反論している。
日本だって、この報告書の存在をもっと早く把握していたはずで、外交力があれば事前に修正もできたはずです」

<米中韓接近で日本は孤立>

 日本は日米同盟を金科玉条のごとく重視し、長年にわたってシッポを振ってきたのに、米国からハシゴを外された形だ。
報告書は、米議員が日本について議論する際の重要な判断材料になる。
ほとんどの議員は実際は日本のことをよく知らない。
「安倍首相はとんでもない右翼」というイメージだけがドンドン固まっていくことになる。

「TPP参加では米議会の承認が必要です。
今後の交渉においても、日本はますます米国にへりくだらざるを得なくなるでしょう」(天木直人氏)

 訪米した韓国の朴大統領をオバマ大統領が厚遇したが、米国は中国にも接近している。
「侵略の定義は国際的に定まっていない」と発言する安倍首相がトップでいる限り、日本は孤立するばかりだ。
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「健康に悪い」ニュースが人を病気にするノセボ効果 独研究結果

「健康に悪い」ニュースが人を病気にするノセボ効果 独研究結果
2013年5月11日(土)12時39分配信 マイナビウーマン

「携帯を使いすぎると脳に悪影響」や「運動不足はメタボのへの近道」など、メディアでは「○○をしたら」こんなに健康に「悪影響」が及びますよとの研究結果が頻繁に伝えられている。


ドイツ・マインツ大学のDr.ミヒャエル・ヴィットホフトによると、こういったニュースを読むことが、本当は何ら身体的負担がないにもかかわらず、病気のような気分にさせてしまう、といいます。
「メディアは、もう少しニュースがもたらす可能な影響について考慮してほしいです」とヴィットホフト氏。


Dr. ヴィットホフトは、ニュースとそれがもたらす心理的影響について次のような実験を行いました。
147人の被験者を2グループに分け、1つのグループには「携帯や無線LANが及ぼす健康リスク」についてのビデオを見せます。
もう一つのグループはテーマとは関係ないマテリアルビデオを見せました。


その後、被験者には15分間無線LANシグナルを浴びてもらうと説明します。
実際は、何も電波は流れないのですが、信じ込ませるために、アンテナ付きのヘルメットをかぶってもらいました。
その後、気分の変化があったかどうか回答してもらいました。


すると、半分以上の参加者(54%)に、不安、落ち着きがない、集中力の低下、体がかゆくなるなどの症状が現れたそうです。
中には実験を中断してしまった人もいたということ。


これをノセボ効果と言います。
例えば、全く効果のない薬でも思い込みで副作用が出てしまう、といった症状です。


実験前に、電波による健康被害についてのビデオを見たグループのリアクションは、もう1つのグループより明らかに高く、不安度高かったということです。


研究結果はウソではありませんが、あまり情報に振り回され、本当に気分や健康を損なわないように気をつけてくださいね!


※当記事は、ハイブリッド翻訳のワールドジャンパー(http://www.worldjumper.com)の協力により執筆されました。

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2013年05月14日

振り込め新名称 「母さん助けて」を疑え

振り込め新名称 「母さん助けて」を疑え
2013年5月14日  東京新聞社説

 名づけて「母さん助けて詐欺」−。
警視庁が公表した「振り込め詐欺」に代わる新しい名称だ。
お年寄りの注意を喚起する効果を期待したい。
捜査現場も手抜かりのないよう気を引き締めねば。


 振り込め詐欺が急増したのは十年くらい前だ。
息子や孫に成りすまして電話をかけ、現金自動預払機で指定口座に現金を振り込ませる手口が主流だった。
「おれおれ詐欺」と呼ばれるようになった。


 うその融資話を持ちかけて保証金を要求したり、架空の有料サイト利用料を請求したりする手口まで現れた。
そこで二〇〇四年に警察庁がまとめて振り込め詐欺と名づけたわけだ。


 最近では金融機関の警戒が厳しい。
おれおれ詐欺では息子や孫の知人をかたって現金を受け取りに来る方法が横行している。
名称と実態がそぐわなくなった。


 被害の抑止効果が見込めるような新しい名称を警視庁が募ったところ、全部で一万四千件余りが寄せられた。
最優秀作品に選ばれたのが「母さん助けて詐欺」だ。


 子を思う母親の気持ちにつけ入る悪質さが伝わる。
祖父母や父親は大丈夫かという異論も聞かれたが、被害に遭いやすいお年寄りへのアンケートで人気が高かった作品だ。
そのセンスを信じたい。


 警視庁はこの名称を啓発キャンペーンに用いる考えだ。
「だまされるとは思っていなかった」と悔やむ被害者が後を絶たない。
世間の防犯意識を呼び覚まし、協力して根絶を目指してもらいたい。


 東京であった昨年の振り込め詐欺は二千百一件で、被害額は五十九億円に上った。
過去最悪とされる〇六年の六十一億一千万円に迫る勢いだった。今年に入っても歯止めがかかりそうにない。


 おれおれ詐欺はそのうち千四百十一件で、お年寄りを中心に女性が被害者の八割を占めた。
「母さん助けて」とせがまれ、だまされた人が多かったのではないか。


 現金を直接やりとりする方法が一件当たりの被害額を増大させているとの見方が強い。
昨年は一千万円以上の被害が二百件を上回り、前年の二・六倍に達した。
大金を欲しがる相手はまず疑ってかかるべきだろう。


 振り込め詐欺は関東のみで全国の七割に及ぶ。
愛知や岐阜、三重などの中部は6%足らずだ。
しかし、核家族化が進み、お年寄り世帯が多い大都市では要注意だ。


 宅配業者やコンビニ店員らが被害を防いだ事例も目立つ。地域全体のまなざしと機転が大切だ。

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2013年05月15日

「沖縄本土復帰」41年目の今

「沖縄本土復帰」41年目の今
2013年 5月 15 日(水)朝日新聞「天声人語」

 そのハプニングで、沖縄県議会は丸一日空転した。
14年前の夏、国旗・国歌法案の公聴会が那覇市であった日。
本会議で保守系議員が身ぶりを交えて「天皇陛下万歳」と発言し、周囲を驚かせた

▼翌日、地元紙のコラムがこう書いていた。「時代錯誤か未来の図か県議会で天皇万歳……」。憂える筆の冴(さ)えに共感した記憶が、先月28日にふと浮かんだ。
政府主催の「主権回復の日」の式場で天皇陛下万歳の三唱が起きたと聞いてのことだ

▼沖縄にとっては本土と切り離された「屈辱の日」である。
首相ら多くが万歳する中、知事に代わって出席した高良(たから)副知事は加わらず、「慣れていなかったものですから、即座に反応できなかった」と話していた。
当たり障りのない言葉が、心中の複雑さをうかがわせた

きょうの「本土復帰の日」も、手放しで祝える日ではない。復帰に際して地元紙は「変わらぬ基地 続く苦悩」と書いた。41年たち、「要石(かなめいし)」と呼ばれる軍事拠点の現実は動かない

▼加えてこのところは、尖閣諸島をめぐる緊張が、沖縄の負担を案じる世論をしぼませている感がある。
安全保障に冷徹な戦略は欠かせまい。
とはいえ有事の空気を沖縄ばかりに吸わせる歪(ゆが)みを、本土はしっかり知る必要がある

▼それにしても、隣国との関係修復どころか、歴史発言や靖国参拝で事を荒立ててばかりの政治は情けない。
負担に加え、自己満足のツケまで小さな島に回す。万歳三唱の向こうに、自民主唱の「国防軍」が透けていないか。
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2013年05月17日

橋下氏発言 女性の尊厳踏みにじる不見識

橋下氏発言 女性の尊厳踏みにじる不見識
2013年5月16日01時46分  読売新聞「社説」

 公人としての見識と品位が問われる発言だ。


 日本維新の会の橋下共同代表が、いわゆる従軍慰安婦について、兵士によるレイプを抑え、「軍の規律を維持するには当時は必要だった」と記者団に語った。

 さらに、橋下氏が在日米軍幹部に、風俗業の「活用」を働きかけていたことも明らかになった。


 橋下氏は15日、慰安婦について「いま必要とは一切言っていない」と釈明した。
戦時中、旧日本軍以外にも類似した存在があったという指摘は、その通りだろう。


 とは言え、軍に慰安婦が必要だったと声高に主張することが、女性の尊厳を軽んじるものと受け止められても仕方あるまい。


 橋下氏の発言に対し、稲田行政改革相が「慰安婦制度は女性の人権に対する侵害だと思っている」と述べたように、強い反発の声が上がったのも当然である。


 今回の発言は、歴史認識をめぐる安倍内閣の姿勢に関連して、記者団の質問に答えたものだ。


 慰安婦問題に関する1993年の河野官房長官談話には、資料的な根拠もないまま、日本の官憲が組織的、強制的に女性を慰安婦にしたかのような記述がある。
そうした誤解を招くような記述は、事実を踏まえた見直しが必要だ。


 橋下氏は河野談話の見直しが持論である。
だが、戦時中の慰安婦の存在を「必要だった」と認めることは、逆に国際的にも誤解を広げることになるのではないか。


 橋下氏は、日本政府が1965年の日韓基本条約で慰安婦問題は法的に解決済みだとしていることを批判し、元慰安婦に「配慮すべきだ」とも語っている。
だが、何ら具体策もないのに、こうした主張をするのは無責任である。


 一方、「風俗業活用」発言は橋下氏が最近沖縄を訪問した際、在日米軍幹部に進言したという。

 兵士の性をどう制御するかは、いつの時代も軍の課題だとして、日本で合法的に行われている風俗業を活用してはどうかと語った。
幹部は、軍では禁じられていると答え、この話を打ち切った。


 米軍の規律に対する無理解であり、侮辱とも受け止められたのではないか。米国社会では、女性の尊厳が重んじられている。
日本の歴史問題の中でも、とりわけ慰安婦問題に対する視線が厳しい。


 沖縄などからも、女性を道具として扱う暴言と批判の声が上がったのももっともだ。

 なぜ、橋下氏がこうした提案をし、それを表明する必要があったのか。首を傾(かし)げざるを得ない。
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2013年05月18日

点検漏れ もんじゅ安全「優秀」? 文科省・自己評価「A」ばかり

点検漏れ もんじゅ安全「優秀」? 文科省・自己評価「A」ばかり
2013年5月18日 07時02分   東京新聞

もんじゅの大甘評価.jpg表をクリックで拡大


 高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の点検漏れ問題を引き起こした日本原子力研究開発機構と、監督官庁の文部科学省が、機構の安全管理の状況に関し、毎年「順調に実績を上げている」などと甘い評価を続けてきたことが分かった。

機構理事長の鈴木篤之氏が十七日に辞任し、一定のけじめをつけた形だが、現実を見ようとしない緩い組織の体質が改まるかどうかは疑問だ。 
      (加賀大介、榊原智康)


 機構の業務評価は二〇〇五年の発足以降、機構による自己評価と文科省の有識者委員会による二本立てで実施してきた。
安全面のほか、もんじゅ研究開発や業務効率など約四十項目ある。


 もんじゅの研究開発では、トラブル続きのため、順調であることを示す「A」ばかりとはいかず、努力が必要な「B」や改善が必要な「C」の評価も少なくない。


 しかし、原発の安全性を保つために不可欠な機器の点検などが含まれる「安全確保の徹底」の項目では、自己評価、文科省の評価とも、東海研究開発センター(茨城県東海村)の放射能漏れや隠蔽(いんぺい)が発覚した〇七年度の評価がBだったことを除けば、全てAの評価を付けていた。


 その一方で、点検漏れは一〇年八月ごろから拡大し、昨年十一月に発覚した段階では、安全上重要なものも含め約一万点の機器で点検時期が守られず、うち半分は点検されずに放置されていた。


 評価とは正反対の状況で、今月十五日の原子力規制委員会で「こういう組織が存続していること自体が問題」(島崎邦彦委員長代理)などと批判された。


 監督する文科省の問題もある。下村博文文科相は「一義的に機構の問題」とし、同省担当者の責任を問う考えはないとした。


 原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「機構は点検漏れを含め、最近だけでも七件のトラブルを繰り返している。これだけ度重なるのは、監督官庁が何もしてこなかったからではないか。相応の責任を問うべきだ」と指摘した。


◆関係企業に発注ずらり


 日本原子力研究開発機構をめぐっては、安全管理以外にも、機構出身者が役員を務めるファミリー企業との不透明な取引などの問題も指摘されていた。


 東京電力福島第一原発事故後の二〇一一年十一月、国の事業仕分けでその使い方がずさんと指摘された。
機構が業務を発注した先に、ファミリー企業がずらりと並んでいたためだった。

しかも、金額ベースで約二割が競争性のない随意契約で、発注先のほとんどは売上高の半分以上が機構からの受注に頼っていた。


 こうした指摘を受け、機構は一二年度から原則としてOB企業と随意契約をしないよう方針を変更。
「赤字の垂れ流し」と批判された原子力のPR施設の運用も見直した。


 その一方、機構は福島第一原発の事故で、除染や事故収束に向けた技術開発など業務を拡大している面もある。
国の原子力予算の約四割にあたる千六百六十七億円(本年度)を機構が握っている。

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「言いたい事を言う」と「言いたい放題」の違い

「言いたい事を言う」と「言いたい放題」の違い
2013年5月17日  読売新聞

石井苗子の健康術
(政治家は言いたいことを、どう言うかの商売です)


 いわゆる従軍慰安婦問題に関する橋下徹大阪市長の発言が、なぜ今このタイミングなのだろうかと思いました。

一説には、来年に韓国で大きな選挙があるため、韓国側が政治家主体で愛国心をアピールしていることに反応したとも言われていますが、もしそれがひとつの要因だったなら、もう少し違った言い方をしてほしかったと思います。


 不思議なことに、人は人の言葉を「情緒」という心の扉を開いて、聞いているものなのです。
内容が「論理的」「科学的」であることは、それ自体が独立したものであり、情緒とあまりつながりがありません。
人の感情から情緒を切り離して言葉を聞くことは、意外と難しく、訓練がいるものなのです。


 政治家ですから、言いたい事をどう上手に言って国民の理解を得るかが命です。
情緒にもっと気をつけなければならない。

失言は、言葉だけが独り歩きをしますから、「そういうつもりで言ったのではない」を繰り返しいい直しても、人々の印象を取り返すことが難しい。
政治家のストレスは、言い訳の難しさにあります。


 でもこれを上手に交わしてこそ、政治家です。
非難されることを避けて安全な言葉だけ言って歩いているだけでは政治家とは言えません。
時には強いこともいわなきゃならない。こうしたことは政治家の宿命なのかもしれません。


 昔、アメリカのドキュメンタリーの紹介番組をやっていたときに「鉄のカーテンの演説」で有名なチャーチル首相の名言集特番がありました。
辞書になるほど名言を残した人ですが、彼は第一次世界大戦で作戦失敗の責任を取って辞任しています。

その後不死鳥のように第二次世界大戦で首相に蘇っています。
戦時中ですから、あらゆる国から挑戦的なメッセージが届く中で、「イギリスのチキンネック(弱虫=チャーチルのこと)なんか、ひと捻りで息の根を止めてやる」に対して、「チキンネック、SOMEチキンネック」(「やれるものならやってみろ!」)と言ったとか。
でも、チャーチル独特のユーモアの物凄さというか、この英語の意訳をすれば「たしかに鶏の首かもしれませんが、なかなか手ごわい首ですぞ?」という意味なのだそうです。
「SOME」の中にそれが含まれていると教わりました。


 橋下市長の発言内容はネットを見れば載っていますが、「事実と違うことで日本国が不当に侮辱を受けていることにはしっかりと主張しなければならない」が一番言いたかったのでしょうし、「侵略の定義について学術上、きちんと定義がないことは安倍首相がいわれているとおり」とありますから、こういう正しい事にもっと目をむけるべきだと言いたかったのかもしれません。

日本政府としては従軍慰安婦問題に対しては言いたいことが山ほどあるのかもしれない。
でも本質的なところで、何をいっても腹を立ててくるのには、もはやフィーリング(心理)の領域の問題なのです。
言ってみれば「真実」は耳に残らないのかもしれません。


 それともうひとつ、発言者が男性だった場合、その人が女性に対してどんな感情をもっているかを直感的に感じ取るのかもしれません。
テレビという映像からくるイメージに嘘は通用しないということです。
いくら何を言っても、その人がどう思っているかが、画面を通して伝わってきてしまう。


 日本国の代表として強く出ていくことに勢いを感じる最近ですが、チャーチルではないですが、もう少し上手に交わす政治家がでてくることを期待しています。


 肩を持つつもりはありませんが、私は政治家にシンパシーを感じることがあります。

どちらかと言うと私も、言いたい事をわき上がってくる言葉だけで表現してしまいがちです。
これは、「言いたい放題」ということになってしまう。
たとえ内容に間違いがなくてもです。
これは最近学習したことです。

このブログを書いていて時々、マネージャーから「ここ誤解されやすいですからカットしたほうが〜〜〜」なんてメールが来ることがあります。
いつもそれで助かっています。
つまりは、どう表現するか、言い方の問題なのです。

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2013年05月19日

余録:あなたが無実の罪で逮捕され…

余録:あなたが無実の罪で逮捕され…
毎日新聞 2013年05月19日 00時05分

  あなたが無実の罪で逮捕されたとしよう。
裁判で無罪を勝ち取るためには何が必要か。

郵便不正事件で逮捕され164日勾留され、無罪となった厚生労働省局長の村木厚子(むらきあつこ)さんは弁護士からこう言われた

▲まず被告にとって「事件のスジ」が良いこと。
捜査当局のストーリーに無理があり、立証を崩せそうな手掛かりがあることだ。
2番目はタマ(被告のキャラクター)が良いこと。
裁判官の心証は重要だ。
見るからに人の良いおばさん風の村木さんはこの条件を満たしていた

3番目は検事の能力が低いこと。
4番目は裁判官が良いこと。
もちろん弁護士のやる気や能力も重要だ。
これだけ条件がそろえば無罪は確実と思われるだろうが、有罪率99%の日本の刑事司法は甘くない

▲この話、本紙「くらしの明日」の筆者である大熊由紀子(おおくまゆきこ)さんが主宰する「縁(えにし)を結ぶ会」で一昨年村木さんが語ったものだ。

毎年、プログラム発表と同時に参加申し込みが殺到する超人気の会で、今年は公職選挙法違反に問われた秋田県鷹巣(たかのす)町(現北秋田(きたあきた)市)の元町長、岩川徹(いわかわてつ)さんがえん罪を訴えた

▲村木さんのえん罪事件と似ているのだが、先駆的な高齢者福祉を実現した元町長は刑事裁判の被告席に座らされ続け、最高裁で有罪判決が確定した。
会場には政治家や官僚や医療・福祉関係者にまじって検察改革に取り組んでいる検察庁幹部もいて、岩川さんの話を聞いていた

▲村木さんの言う「無罪の条件」はもう一つある。数々の無罪判決を勝ち取った弁護士が挙げたのは「運が良いこと」。
どれだけ条件がそろっても、よほど運が良くなければ無罪判決は出ない、ということか。
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2013年05月20日

生活保護改正 弊害が出ないか心配だ

生活保護改正 弊害が出ないか心配だ
2013.5.20    朝日新聞社説

 貧困に陥った人を保護から遠ざける結果を招かないか。
国会審議を通じて、現場への影響を慎重に見極める必要がある。


 安倍内閣が生活保護法の改正案を閣議決定した。
今国会での成立を目指す。


 懸念が二つある。

 一つは、生活保護を申請するときのハードルである。
 改正法案では、申請時に収入や資産を記した書類を本人が提出することを明記した。


 当たり前のように思えるが、厚生労働省は08年に「保護を申請する権利を侵害しないこと」を求める通知を出し、事情があれば口頭の申請も認めた。


 というのも、福祉事務所では過去、保護費の膨張を抑えようと、色々と理由をつけて申請を受け付けない「水際作戦」が横行したからだ。困窮者の餓死事件を引き起こしたとされ、大きな社会問題になった。


 今回の改正案は、下げたハードルを再び上げたように映る。

 厚労省は「運用は変わらない。口頭での申請も認める」と説明する。
書類が必要なことは施行規則に書かれており、それを法律にしただけという。


 現場からは疑問の声も聞こえてくる。

 年金や医療保険は、本人が保険料を支払うことが給付の要件になる。
一方、「最後のセーフティーネット」である生活保護では、保護の必要性を証明する最終的な責任は行政側にあるとの認識が浸透してきた。


 しかし、申請書と生活困窮を証明する書類の提出が明記されることで、その立証責任が本人に移り、支給をめぐるトラブルの際、申請者側に過重な負担がかかりかねないという。


 もう一つの懸念は、役所が親族に収入や資産の報告を求めるなど、扶養義務を果たすよう働きかけやすくしたことだ。


 昨年、人気お笑い芸人の母親が生活保護を受けていたことなどをきっかけに、世間には怒りの声が満ちた。
それを受けた措置だが、親族の勤務先まで連絡がいく可能性があると知れば「迷惑がかかる」と、申請をためらう人も増えそうだ。


 こうした引き締め策は、悪意のある申請の抑止より、保護が必要で誠実な人を排除する弊害のほうが大きくならないか。


 自民党の議員からは「生活保護は運用を厳しくすれば減らせる」という声も上がる。

 だが、「水際作戦」で餓死が発生したら、世間の怒りはまた行政に向くだろう。バッシングの矛先が、受給者と行政を行き来する。不毛な繰り返しは、もう見たくない。
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2013年05月21日

マイナンバー法 踏みとどまる良識を

マイナンバー法 踏みとどまる良識を
2013年5月20日 東京新聞「社説」

 国民らに個人番号を付けるマイナンバー法案が衆院を通過し、参院で審議に入った。
個人情報流出の危険や国民監視の強化につながる懸念がある。
踏みとどまって、良識ある議論を尽くしてほしい。


 インターネット時代には、個人情報の取り扱いは、より慎重を期すべきものだ。
いったん外部に流出したら、取り返しがつかないためだ。
マイナンバー法が扱う個人情報は、氏名や住所など個人を特定する基本情報から、納税実績や年金・介護情報など幅広い。


 共通番号制とも呼ばれ、全国民や法人などに番号を付けて、税分野や社会保障分野の情報を結び付ける。
行政庁ごとに管理された個人情報をネットワーク基盤を通じてひもづけし、データマッチングさせるので、国に一元管理されるのと同じ状態になる。


 法案が成立すれば、二〇一五年から国民一人一人に番号が通知され、一六年から運用が始まる。
だが、拙速に制度導入を決めることに賛成できない。

中央官庁もハッカー攻撃を受ける時代だ。
マイナンバーで国民の情報を集積することは、かえって危険である。
さまざまな個人情報が番号とともに流出し、深刻なプライバシー侵害を引き起こす恐れがあるためだ。


 運用の監督をする第三者委員会が設置されるものの、情報流出を完璧に防げるとは限らない。


 社会保障番号を使う米国では、なりすまし犯罪が絶えず、その被害は年間に兆円単位にものぼっている。
韓国でもなりすましと同時にネット上で個人情報が売買の対象にもなっているという。

 国家が共通番号制で個人情報を管理することは、国民監視を強めることにもなる。システム構築すれば、特定人物の検索ができるからだ。

税分野に限った番号制度を持つドイツで、多目的利用を禁止するのは、人を集団管理する危険性を戦時中の歴史体験として持っているからだといわれる。


 初期投資に約二千七百億円かかり、毎年のランニングコストは約四百億円にもなる。
巨大な「IT箱モノ」なのに、この制度で大幅な税収増は見込めはしない。費用対効果が不明なままで、公共事業を進めていいのか。


 いずれ医療分野の“増築”や、民間利用も検討され始めれば、プライバシーはさらに深刻な脅威にさらされよう。
利便性の裏には危険性が潜む。国民への説明も不十分なままで、法案を成立させては、将来に禍根を残す。

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2013年05月22日

「頑張り」実る社会に

香山リカのココロの万華鏡:「頑張り」実る社会に
毎日新聞 2013年05月21日 東京地方版


 私が子どもの頃、中学の先生がよく言っていた。
「私立大学は授業料が高いけれど、国公立大なら家庭の事情に関係なく、実力主義で誰でも行ける。
だからみんな頑張って勉強するんだよ」


 もちろん、実際には国公立大への進学に一切、家庭の事情は関係がないというわけではない。
ただ、先生はそうやって生徒たちを励まし、勉強の意欲を持たせようとしたのだろう。


 しかし最近、東京大などの研究者の調査によって、国公立大への進学率にも保護者の年収が大きくかかわっている、という結果が明らかになった。
この傾向は、7年前の調査でははっきりしなかったという。


 家庭に経済力があるほうが、塾などの教育費を子どもにかけられる。
また、年収の高い保護者自身が国公立大や有名私立大を卒業しており、「わが子にも自分と同じ学歴を」と望むケースもあるはずだ。
国公立大が「自分の頑張りだけで行けるところ」ではなくなっているという現実は、いろいろな事情を抱える家庭の子どもにとっては、とても残酷だ。


 とはいえ、私立大も決して「裕福な家庭の子どもが集まるところ」ではなくなっている。
私は現在、私立大で教えているが、仕送りがまったくなくアルバイトだけで生活している学生。
実家住まいだが授業料を自分で払っている学生や、親に生活費を渡している学生。中にはどうしても学費が払えなくなり退学していく学生もいる。

何の心配もなく親がかりで学生生活をエンジョイする若者がいる一方で、なんて気の毒な、とも思うが、彼ら自身は「仕方ないですよ」と割り切って淡々としている場合が多い。


 この「割り切り」は心のバランスを保つ上では大切だが、同時に注意しなければならないものでもある。
本来、少なくとも「勉強したい」と望む子どもや若者には、その機会が平等に与えられなければならないはずだ。


 「大学でゆっくり勉強できるのは、恵まれた家の子弟だけ」ということになると、最初から諦める子どもも出てきて、社会の動きはそこで止まってしまうだろう。


 頑張っても大学に行けない。家庭などの環境が悪すぎて、頑張りたくても頑張れない。
「夢を大切に」というメッセージがあふれているいま、そんな子どもや若者も増えている。


 その昔、先生が語ったような「大学受験は実力主義。
頑張れば誰でも行けるんだ」というシンプルな社会は、もうやって来ないのだろうか。

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2013年05月23日

恥ずかしいぞ原発輸出 エコノミックアニマルから「野獣」へ

特集ワイド:相手国の民主化ブレーキも 
恥ずかしいぞ原発輸出 エコノミックアニマルから「野獣」へ
毎日新聞 2013年05月22日 東京夕刊

 トップセールスの売り言葉は「世界一安全」−−。

アベノミクスの成長戦略として原発輸出を掲げ、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)を訪れ、原発輸出を約束した安倍晋三首相。

いまだ16万人もの原発事故の避難者がいることを思えば、「恥ずかしいからやめてくれ」と言いたくなる。
なりふり構わず利益を追求する姿は、経済活動に血道を上げ、エコノミックアニマルとやゆされた時代よりも深刻ではないか。【庄司哲也】


 福島第1原発の事故後、官民一体で具体化させた4月30日からの中東歴訪。
安倍首相は現地で「原子力の安全向上に貢献していくことは日本の責務」と、原発輸出を成長戦略の柱に据える考えを強調した。
サウジアラビアでは「(日本は)世界一安全な原発の技術を提供できる」とアピール。

一方、国内向けには2月の施政方針演説(衆院)で「できる限り原発依存度を低減させる」と表明、国内外で言葉を使い分けている。


 「リコール中の自動車を他国で販売するようなもの。
日本独自の経済倫理思想のかけらもない。
たとえグレーゾーンであってももうければ良いという考えを私は『修羅の経済思想』と呼んでいますが、まさにそれです」。
中央大学総合政策学部の保坂俊司教授(比較文明論)は、原発輸出を切り捨てる。


 保坂さんによると、日本の伝統的な経済倫理思想を表す言葉は「三方善(よ)し」だ。
近江商人に由来するもので、経済活動は生産者、流通者、消費者それぞれが、自己の利益ばかりを優先せずに他者の立場で考えるという発想だ。


 エコノミックアニマルという言葉は1960年代後半から70年代にかけて、日本人が利己的に振る舞い、経済的利益ばかりに血道を上げることを示す言葉として流行した。


 保坂さんは「当時でも他者の利益を考え、その上で自らの利益を上げるという姿勢はまだ残っていた。
金が金を生むバブル経済の崩壊を経て『他者性』は失われました」という。


 例として挙げるのが、日本国内だけで独自の進化をしたといわれる携帯電話。
生産者側の価値観で作られ、利用者が使わない、使いこなせない機能がたくさんある。
「付加価値をつけることで単価を上げ、利益を得てきた」と指摘する。


 トルコとは、総事業費が2兆円超のシノップ原発建設の優先交渉権で合意した。
輸出する側には大きな利益だが、福島原発では、最近も汚染水漏れや停電による冷却システムの停止が起きている。

相手に「原発は有益」と胸を張って言い切れるのか。
保坂さんは「もしも原発事故があった場合に、他者(相手国)に対して製造者としての責任を果たせるのか。そういう視点を持っているのでしょうか」と疑問を投げかける。

核拡散防止条約(NPT)未加盟のまま核実験を強行してきたインドとの原発輸出の交渉は、損得勘定では済まない恐れがある。

この問題の調査を続けてきた岐阜女子大南アジア研究センターの福永正明・客員教授は「原発事故だけでなく、軍事転用やテロの危険性をはらんでいます」と、警鐘を鳴らす。


 インドは核保有国だが、核実験の強行で30年以上も国際社会から原子力関連貿易や技術移転の制限を受けている。
原発は老朽化し、ウラン燃料も不足する。
福永さんは「原発は核兵器に欠かせないプルトニウムを生む。インドに原発を売ることは核兵器開発の促進につながる」と語る。


 日本は民主党の菅直人政権の10年6月、原子力協定の締結に向けた交渉を開始した。
だが、「インドが再び核実験を行った際には協力を停止する」という日本側の示した条件にインド側が反発し交渉は中断。
その姿勢からは「核」の軍事利用へのこだわりが垣間見える。


 インドと敵対してきたパキスタンでは中国が原発建設を支援する。
インドへの原発輸出は地域の緊張感を高めることにも一役買う。
だが、大型連休中に麻生太郎副総理兼財務相はインドを訪問し、シン首相と会談。今月27日にはシン首相の訪日が予定されており、交渉の再開に向け協議するとみられている。


 倫理を捨てた“修羅”の事例はまだある。
安倍内閣は、航空自衛隊の次期主力戦闘機F35の部品の対米輸出を、武器輸出三原則の「例外」とした。
F35が米国からイスラエルに供与されれば、「紛争当事国に武器を輸出しない」とした三原則は崩れる。


 「通常の商品輸出、システム輸出と同じように原発の輸出を位置付けてしまう安易な政治。
それが地球的な危機を招いてしまうんですね」。
原発への警鐘を鳴らし続けてきた経済評論家の内橋克人さんは、そう語った。
輸出先の国を、原発事故とは異なる危機をはらんだ社会にしてしまうという指摘だ。


 「例えば、日本が原発を輸出しようとしている中東諸国は絶対君主制の国が多い。それらの国では王族周辺に利益が集中しやすい。
原発輸出は彼らの蓄財に手を貸すことで、裏を返せば市民社会の成熟、民主化にブレーキを掛ける。
これに日本が加担してしまうことになるのです」。つまり、原発の輸出は社会的な不安定要素を輸出することにもなるという。


 日本の原子炉の初の輸出先は台湾だった。
台北市から東に約40キロに建設中の台湾電力第4原発で、原子炉は日立製作所と東芝、タービンは三菱重工業が受注。
当初は04年稼働を目指したが、工事は進捗(しんちょく)率95%で中断している。

 00年の台湾初の政権交代で、民進党政権は工事凍結を打ち出した。
建設続行か凍結かを巡って、発足したばかりの内閣が瓦解(がかい)するなど政治は混乱。
その後も与野党対立の大きな軸となってきた。
現在、建設の是非を巡る住民投票実施案が審議されている。
台湾で日本の原子炉が生み出したエネルギーは、今のところ政治の摩擦熱だけだ。


 「デフレからの脱却」という安倍政権の掛け声のもと、円安・株高が進行し、企業ばかりでなく、庶民も沸いている。
経済にプラスなら、核保有国に原発を売り、武器輸出禁止の原則も捨て去るのであれば、それはエコノミックアニマル(動物)を飛び越え、ビースト(野獣)だろう。
少なくとも、政府が掲げる対外戦略のうたい文句「クール・ジャパン」(かっこいい日本)にはとてもみえない。

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2013年05月25日

生活保護法案 「貧困」から救えるのか

生活保護法案 「貧困」から救えるのか
2013年5月25日   東京新聞「社説」

 命を守る制度のはずだ。
政府の生活保護法改正案が閣議決定され国会に審議が移った。
保護費抑制や不正受給対策に力点を置いた改正だが、保護を必要としている人を制度から締め出さないか。


 北九州市で二〇〇六年、生活に困窮した男性が生活保護の申請を拒まれ餓死した。


 当時、
保護費を抑制するため、行政の窓口で相談に訪れた人に申請をさせず追い返す「水際作戦」が、各地で問題となっていた。


 会計検査院の調査によると、行政が受け付けた相談件数に対する申請件数の割合は、〇四年度の全国平均で30・6%だ。約七割の相談が申請に至っていない。
北九州市は15・8%と最低だった。


 保護が不必要なケースは見極めが要るが、生活保護法改正案は門前払いを拡大させる懸念がある。


 まず窓口での申請を厳格化することである。
申請の際、資産や収入の状況を示す書類の提出が義務付けられる。
保護費は税金だから困窮の状況を示すのは当然だ。


 だが、提出を義務付けるとその不備を理由に申請を受け付けない事態が増えかねない。
現行は、口頭での申請でも可能とされている。
日弁連は「違法な『水際作戦』を合法化する」と批判している。



 書類提出で申請者自身が保護の必要性を申請時に証明することを求められる。
路上生活者や家庭内暴力から逃げてきた人にとっては、証明書類の準備は難しい。


 次に、保護を受けようとする人の親族に、場合によっては扶養できない理由や収入などの報告を求めることだ。
親族の資産を調べられ、職場に照会が行くかもしれないとなると、迷惑がかかると申請をあきらめる人が出る。


 親族の支援は必要だが、関係が良好とは限らない。
子育て家庭など家計に余裕がないだろう。
少子化で親族も減る。

親族に厳しく扶養を求めることは国の福祉政策の責任転嫁ではないか。
生活保護は、集めた税金を困窮者に再分配する支え合いの制度だ。
私たちがいつこの制度に助けられるかもしれないことを忘れたくない。


 改正案では、受給中に働いて得た賃金の一部を積み立て、保護から脱却した際にもらえる給付金制度を創設する。

自立への後押しになるが、保護への入り口を絞っては、効果は限定的になる。


 
不正受給は許されないが、その対策や保護費抑制を進めるあまり、困窮者が制度からはじき出され餓死するとしたら本末転倒だ。

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2013年05月26日

首相公邸の幽霊??

首相公邸の幽霊??
2013.5.26 03:03 [産経抄]

  落語に幽霊はつきものである。
古井戸から毎晩現れて皿を数え、人気者となる『皿屋敷』の美人幽霊、お菊は最も有名だ。
他にも化けて出てきては負ける博打(ばくち)好きの幽霊や、軸を抜け出して酒を飲み三味線をひく女幽霊などユーモラスな面々が多い。


 ▼東京・永田町の首相公邸の幽霊をめぐっても、まるで落語のようなやりとりがあった。
昭和11年の二・二六事件のさい、ここで犠牲になった人の幽霊が出るとの噂がある。
そこで民主党の加賀谷健参院議員が「噂は事実か」と、大真面目で質問主意書を提出した。


 ▼答弁書は閣議決定されなければならない。
だから政府も「承知していない」という大真面目な答弁書を決定した。
発表した菅義偉官房長官は、記者会見で「幽霊の気配を感じたことは?」と聞かれ「言われればそうかな」と応じたそうだ。
なかなかの「オチ」である。


 ▼質問は一体どんな答えを聞きたかったのかと思いたくもなる。
だが加賀谷氏の名誉のために言えば「幽霊」は主意書のごく一部だ。
大半は8年前改修された後の首相公邸の使われ方への質問である。
特に安倍晋三首相が公邸に入らない理由をただすため噂を持ち出したのだ。


 ▼確かに大事件、大事故など緊急事態に備え首相は「通勤ゼロ分」に近い公邸に住むべきだ、とする意見がある。
一方で首相にもストレス解消は必要だと、私邸住まいを勧める声もある。
吉田茂ら、幽霊とは関係なく公邸へ入らなかった大物の首相も多かった。


 ▼もっともシェークスピアの『ハムレット』をはじめ、幽霊話は世界中に多い。
国際会議や首脳会談をやわらげる共通の話題として、首相公邸の幽霊も「大切に」残しておきたい気もする。
むろん二・二六事件の犠牲者には申し訳ないが。

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ありえない比喩による論理のすり替え、相手に考える間を与えないテクニック…

ありえない比喩による論理のすり替え、
      相手に考える間を与えないテクニック…
2013年5月26日   東京新聞「筆洗」

 ありえない比喩による論理のすり替え、相手に考える間を与えないテクニック…。『最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術』という本に書かれている駆け引きの実践例だ

▼日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が十年前に書いたこの本を読むと、弁護士として磨いた交渉術を今も活用していることが分かる。
古書店では元値の倍以上の値がつく人気だ

自分の発言のおかしさや矛盾に気付いた時は「無益で感情的な論争」をわざと吹っ掛けるとあった。
その場を荒らして決めぜりふ。
「こんな無益な議論はもうやめましょうよ。
こんなことやってても先に進みませんから」

▼橋下さんはきのう出演したテレビ番組
で、在日米軍に風俗業の活用を求めた発言について、米軍と米国民に謝罪、発言を撤回する意向を示した。
発言撤回に言及したのは初めてだ

言い負かせば勝ち、という価値観も国内外からの批判に揺らいだとみえる。
「(従軍慰安婦が)必要だったのは誰だって分かる」との発言を「その時代の人たちが必要と思っていたと述べた
」とすり替え「日本人の読解力」やメディアに責任転嫁した。
これらの発言も撤回すべきだろう

▼弁護士時代のように、感情的な議論を吹っ掛け、「無益な議論はやめましょう」とはごまかせない。
すべて自らがまいた種だ。
頼みにする「ふわっとした民意」が逃げてゆく。

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2013年05月28日

ブラック企業から身を守る法知識

ブラック企業から身を守る法知識
2013年5月27日 日刊ゲンダイ掲載

 長時間労働に、使い捨て……最近よく聞く「ブラック企業」の実態を描いたドキュメンタリー「ブラック企業にご用心!」が注目されている。

 居酒屋チェーン入社2カ月後に過酷労働で自殺した女性、コンビニで“名ばかり管理職”としてうつになった男性――。
ブラック企業をモチーフにした企業研修の寸劇を盛り込みながら、劣悪な労働実態を浮き彫りにした。

 監督の土屋トカチ氏が言う。
「一部の企業は、『労働法を守っていたら企業活動できない』と平気で言います。
『今の憲法ができる前から店やってるんだから、そんな法律に縛られないよ』なんて開き直るケースもある。

長時間労働は日本企業なら当たり前でした。
かつても同じように法律違反をしていたのです。
でも、頑張った分だけ昇給できたので救われていた。
今は、そうじゃない。
働きに見合う報酬は得られなくなっているだけに悲惨なのです」

<退職後2年は残業代請求可>

 では、どうすれば自分の身を守れるのか。
土屋氏は「労働法を知っておくこと」という。

1日の労働時間は8時間以内が基本(労働法32条)で、それ以上になれば残業代が発生する。
タイムカードは詐称する企業があるため、出退社の時間はメモも取りましょう。

親が残したメモも証拠になります。
同居のわが子が、毎晩遅くにヘトヘトになって帰ってくるのであれば、書き留めておくといい。
時給を15分、30分単位で計算する会社がありますが、実は1分ごとに計算できます(24条)。
また、会社を辞めた後でも、過去2年分は残業代や未払い賃金を請求できます(115条)」

 上司に暴言を吐かれた場合にも、内容と日時を記録しておけばパワハラで訴える際の証拠となるという。

 弁護士の長谷川裕雅氏のアドバイスはこうだ。

「まず、残業代についての36条です。時間外労働させた場合、基本給の割り増しが必要になります。
時間外は25%増し、休日労働は35%増し。これはキチッと請求すべきです。

39条の有給休暇は、1年目で10日以上が保証されている。
1年ごとに取れる休暇日は増え、最大で20日。
要件を満たせば、アルバイトでも取れます。

民法627条の労働契約の解除もよく問題になります。
ブラック企業では、『忙しいから辞めるな』と脅されたりすることもある。
でも、法律上は2週間前に言えば辞めることができます

 最も有効なのは、ブラック企業に入らないこと。
見分け方も知っておきたい。

「離職率や研修内容、過労死を出しているかといった情報は、ネットや過去の記事で簡単に知ることができます。

アットホームを売りにしているのも怪しい。
土日集合でボランティアを強制なんて例もあります。
『年俸制』とうたいモチベーションを上げさせる企業もありますが、新鮮な言葉には注意が必要です」(土屋トカチ氏)

 信じられるのは自分だけなのだ。
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2013年05月31日

慰安婦発言「誤報」の主張:橋下氏に反論する

慰安婦発言「誤報」の主張:橋下氏に反論する
2013年05月30日
=毎日新聞大阪本社編集局長 若菜英晴

 日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)が、従軍慰安婦を巡る発言の報道に対し、「誤報だ」と繰り返し主張している。

本紙に関しては、具体的にどの記事を指しているのか定かでないが、「自分の真意を伝えないメディアの報道がおかしい」という趣旨のようだ。

 
【橋下氏慰安婦発言】
記者団との一問一答(要旨)

 経過を振り返る。
今月13日に問題の発言があり、本紙は同日夕刊最終版(大阪発行)から報道した。

大阪発行の14日朝刊では、沖縄の米軍に「風俗業活用を」と話したことも含めて記者団との一問一答を掲載し、ネットでも公開した(毎日jpに一問一答記事を掲載)。

橋下氏は14日、自身のツイッターで「かなりフェアに発言要旨を出している。
毎日の一問一答がある意味全て」と書き込んだ。
しかし、17日の囲み取材で「大誤報をやられた」と語り、メディア批判をさかんに展開し始めた。


 橋下氏は「メディアは一文だけ聞いてそこだけ取る」「文脈をきちっと取って報道すべきだ」と言う。
では、14日の一問一答全体や文脈から何が伝わったのか。

沖縄の地方紙、琉球新報の18日社説はこう書いている。


 「『海兵隊の猛者の性的エネルギーをコントロール』するはけ口として、生身の女性をあてがおうとする発想そのものがおぞましいのだ
「(戦時中)『慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる』と述べたが、『分かる』はずがない」「沖縄の代弁者であるかのように装うのはやめてもらいたい」。
同感である。


 橋下氏は後に「風俗業発言」は撤回したが、文脈から伝わったのは、従軍慰安婦問題の見解や歴史認識以前の、橋下氏の人権感覚、人間観ではないだろうか。

国内外に批判が広がったのもこの点にある。
「報道で正反対の人物像・政治家像が流布してしまった」と橋下氏は言う。

しかし、流布した原因は橋下氏の発言、言葉そのものにある。
報道批判は責任転嫁だ。
ましてや、「日本人の読解力不足」との指摘はあたらないし、「他国も同じようなことをした」との主張は論点のすりかえと映る。       

 「バカ」「頭が悪い」……。
橋下氏はツイッターで毎日新聞や批判的なメディアに対してこのような言葉を繰り返しぶつける。
これにはいちいち反論もしないが、政治家であるならば、冷静で吟味された言葉で語るべきだ。
荒っぽい言葉を「本音」ともてはやすことは、人を傷つけるだけでなく、国益も損なうことを今回の問題は示している。

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2013年06月01日

 死刑囚にとって、地獄の連日

 死刑囚にとって、平日の昼食は、単なる食事ではない
2013年6月1日  東京新聞「筆洗」


 死刑囚にとって、平日の昼食は、単なる食事ではない。
死刑は、午前中に執行される。
だから、昼食が配られるということは、その日は絞首台に上らずに済むということだ

▼一九六一年に五人が死亡した名張毒ぶどう酒事件で、半世紀余もの間、無罪を叫び続けている奥西勝死刑囚(87)は、八十歳を前に出した再審請求の意見書で訴えた

<よく人は地獄を見たとか言いますが、私は確定判決以来、地獄の連日で、この三十三年間の生活は…午前中に処刑や獄死を二桁余りも見送るという目にあいました…
昼食の配給があるとホッとし、それ以外の時間帯は、地獄の中で生きているようなものです>

▼奥西死刑囚はその安堵(あんど)の昼食すら、もうまともにはとれない。
一年前に肺炎を患ってからは食べ物がのどを通らず、経管栄養に頼る。
先月初めには痰(たん)がのどに詰まって窒息し、危篤に陥った。
持ち直したのは奇跡的という

▼命はかろうじてつながれたが、酸素吸入の管を挿入する手術を受けたため、話せなくなっているという。
自分はやっていない」と訴え続けてきた、その声を失ったのだ

▼有罪の根拠とされた数々の物証を突き崩してきた弁護団は、裁判のやり直しを速やかに決めるよう最高裁に求めている。
再審とは、冤罪(えんざい)の人だけでなく、過ちを犯した司法をも救いうる機会。その機会が永久に失われるかもしれない。
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2013年06月02日

ワタミ会長が参議院選挙に・・。

ワタミグループは、長時間・サービス残業などで 自殺者もだしている企業と記憶しています。
下記の記事をみると さも健全企業のように主張していますが、正規雇用と非正規雇用の割合、待遇の違いなど本質的な所の反論にはなっていないと思います。
この人や芸能人・著名人は、専門分野ではプロかもしれませんが、政治家として適性があるかは別問題。
自民党は単なる「数」として立候補者を選択しているのであれば、国民・有権者をバカにしているとしか思えない。
*************************
ワタミ会長「ブラック企業じゃない」 批判に大反論!
2013.06.01   zakzak(夕刊フジ)

 夏の参院選で自民党から比例代表で立候補する飲食チェーン・ワタミ会長の渡辺美樹氏(53)が、自らのホームページで、一部から同社に向けられる「ブラック企業」との批判に大反論した。
安倍晋三首相が進めるアベノミクスに経営者の視点を取り込むために白羽の矢が立ったとみられるが、この問題は選挙戦にどう影響するのか。

 「私が創業し、取締役会長をつとめるワタミグループが一部で『ブラック企業』と呼ばれることについて、一度きちんと皆様にお話させて頂きたいと思っていました」

 渡辺氏は出馬会見を行った5月31日、HPでこう切り出した。

 1984年に居酒屋「和民」を展開するワタミを創業、居酒屋以外にも介護事業などを手がけ、学校理事長なども務めてきた渡辺氏。

2011年4月の東京都知事選に立候補し3位で落選したものの、約101万票を獲得した。
自民党は渡辺氏の経験と集票力を期待しているとみられる。
その一方で、ワタミにはネットを中心に「ブラック企業」との批判があり、これに反論したのだ。

 
ブラック企業とは、低賃金、長時間労働など社員に過酷な負担を強いる企業の総称をいう。

 自民党にはブラック企業の企業名を公表する動きがあるが、渡辺氏はこれに「大賛成」とした。
また、自らのブラック企業の判定基準について
(1)離職率(2)年収(3)時間外労働時間(4)メンタルヘルス不調による休業・退職の人数−を列挙し、自社の外食産業の実態を説明した。

 (1)については、「離職率(平成24年4月入社社員の3年以内離職率42・8%)は、厚生労働省公表(平成23年統計、以下同じ)の宿泊業・飲食サービス業の離職率(同48・5%)を下回っています」と説明した。
「飲食サービス業の離職率は、全産業(同28・8%)と比べると高い水準」として、「単純に、ほかの産業と横並びで論じることは、適切ではありません」とした。

 (2)については、「年収は、平成24年度において433万円であり、厚生労働省公表の宿泊・飲食サービス業平均年収370万円を上回っています」と述べ、(3)は「平成24年度月平均は38・1時間。これは、36協定で定めた上限45時間を下回っています」。
(4)も低水準だと主張している。

 そのうえで、ブラック企業批判を「到底、受け入れられるものではありません」としている。

 ブラック企業は大きな社会問題となっており、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、朝日新聞のインタビューで、自社へのブラック企業との批判を「誤解だ」と否定している。

 政治評論家の浅川博忠氏は渡辺氏の行動について、「今度こそ当選したいという強い意欲の表れだ。反論することで、かえって若者の反発を招く恐れもあるが、先入観を持っている人たちのうち、一定数の認識を改めさせる効果はあるだろう」と話している。
posted by 小だぬき at 09:45 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

人気とりに走る「みんなの党」

 暑さに負けて、ウトウトしていて、PCの電源をいれたら  下記のような「みんなの党」の政策案の骨子が目に入り 一気に目が覚めてしまいました。
支持できる点は、「消費税値上げ反対」のみ。

支持できない最大のものは、公務員制度を改悪し 事実上の「ブラック国家労働者」にすることです。
幹事長の江田憲司さんのキャリア公務員だった発想でしょうか?

問題点をいくつか指摘します。

@国家・地方公務員には、雇用保険(失業給付)の制度がありません。
リストラ即 完全失業者で無収入になります。

また、キャリアの高級官僚と 課長補佐までいけたら大出世のノンキャリアの身分制も残ったままです。
ノンキャリアの全国移動は 入国管理・航空管制・国税・海上保安庁・自衛官など 職務で異動するので、キャリアの昇格のための異動とは 訳が違います。
「国家公務員」制度・身分保障があるから 可能な勤務形態なのです。 

A収入は本当に高いのか?
私の経験から、人事院勧告は いつも民間水準より低めの答申がされます。
民間水準の悪化で「公務員の一過性名目賃金」が高いときにバッシングがあるのですが、バブルの時、景気が良い時には「公務員は「全体の奉仕者」だからと 給与表の大幅改定はありませんでした。
たしかに中小企業の方々からみれば高いと言えるのですが、@のように失業手当がない現状では 待遇面で著しく恵まれているとはいえません。


Bストライキ権の付与なし 労使交渉では意味がない
国家・地方公務員の団体交渉権で「賃上げ」はほぼ不可能です。
みんなの党は徹底した行政改革という限り、「賃上げ財源予備費」を認めるハズがありません。
その弊害が 現在アメリカ・イギリス・フランス・韓国などのように 大規模ストライキになっています。
どの程度の「予備費」を準備できるか、労働組合に労働条件悪化への抵抗権もなければなりません。
ストライキ権は 現業・事務公務労働者の最後のよりどころです。

C労働組合衰退化の現状で・・・
今、職場で過半数を組織している「組合」があるのでしょうか??
社会党(当時)・旧民社党系・共産党系と 政党の方針対立で 連合・全労連・全労協などに大分裂させてしまった総括をして 労働組合の再生統一がなければ 公務・民間を問わず 就業者の権利や待遇改善など望めません。
大企業の横暴に対するため 「中小企業者の経営者と労働者」も団結できる組織にする必要があります。
私は 管理職組合とかパート・バイトも個人で加入できる一般合同労組など可能性を大いに追究する必要があると思っています。

<憲法改悪の問題>

私は、未だ一度も「日本国憲法」の理念を 政権が誠実に遵守したことがないと思います。
解釈改憲と 憲法理念の形骸化に一番熱心だったのが 「政権与党」だったとおもっています。

96条の改正規定の緩和を望むまえに 
現憲法の理念を誠実に追究するか 反対かの「国民投票」こそ先と考えます。
実質、現憲法の理想・理念が政権によって 追究されるより 空洞化の歴史だったことは明らかです。
******************************
国家公務員を5万人削減、みんな参院選公約
2013年6月2日(日)8時54分配信 読売新聞


 みんなの党の参院選公約の原案が明らかになった。


 行財政改革のため5万人の国家公務員を削減するとしつつ、消費税増税には反対を続ける考えを打ち出した。
憲法改正の発議要件を定めた96条見直しも盛り込む方向だ。
4日の党役員会で決定する。


 原案では、公務員に労働基本権を付与するとした。
公務員の身分保障は撤廃し、降格やリストラを可能にする。「国家公務員の数を5万人削減し、給与、退職金、年金を民間水準に引き下げ、総人件費は2割削減する」とも明記した。


 消費税率引き上げ関連法は廃止し、「財政の健全化は、埋蔵金の活用および経済成長を通じた税収の拡大を通じて行う」とした。

国会議員は衆院で180人、参院で142人削減する。

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2013年06月03日

労組も守ってくれない 過重な残業「見ないふり」

労組も守ってくれない 過重な残業「見ないふり」
2013年6月3日 06時59分   東京新聞

 「すかいらーくの組合はもう労働組合として機能していない。会社のご用聞きだ


 外食大手「すかいらーく」の店長だった中島富雄さん=当時(48)=は二〇〇四年八月に過労死する直前、妻の晴香さん(57)に、こう漏らした。


 かつて労組幹部だった中島さんはサービス残業の改善を訴えたが、古巣の労組は冷たかった。
失望し、外部の個人加盟ユニオンに相談。
倒れたのは訴訟準備の最中だった。
晴香さんは夫の遺志を継ぎ、ユニオンの支援を受けながら、会社に職場の改善を約束させた。


 中島さんの労災が労働基準監督署に認められた二カ月後の〇五年五月に発行された業界専門誌に晴香さんは目を疑った。すかいらーく労組の委員長がインタビューに答えていた。
「店長は忙しさも半端ではありません。
しかし、本当にできる店長は、その中でも休みが取れるのです」


 夫の過労死が自己責任だと言いたいのか。
晴香さんは〇七年七月、「過重労働に見て見ぬふりをしてきた」として、労組にも過労死の責任があったことを認めるよう求め、武蔵野簡易裁判所に調停を申し立てた。


 労働基準法は一日の労働時間を八時間などと定める。ただ三六条は残業時間の上限について、労使間で協定(三六協定)を結んで労基署に届け出れば、残業させられるとしている。
すかいらーく労組は晴香さんの訴えを否定し、協定書の開示さえ拒もうとした。協議は決裂し、調停は成立しなかった。


 すかいらーく労組の山崎大輔事務局長は取材に「過重労働防止にはきちんと取り組んでいる」と反論する。


 当時のすかいらーく社長は初代労組委員長。歴代委員長も後に会社幹部になった。
晴香さんは憤る。「経営者の方しか向いていない労組なんて要らない


 厚生労働省は通達でおおむね月八十時間を超える残業を過労死との因果関係が強い「過労死ライン」とし、長時間労働の抑制を指導している。

しかし、大手百社に対する昨年七月の本紙調査では、七割の企業が八十時間以上の残業を容認。三六協定は労使合意が前提で、労組側は過重な残業を拒否できる建前だが、実際は防波堤の役割を果たしていない。


 労組の総本山の「日本労働組合総連合会(連合)」。
新谷信幸総合局長は「健全な労使関係がある企業は、三六協定の上限は高く設定していても、それとは別に規定を設け、長時間労働にならないようにしている」と説明。
その上で、「そもそも八十時間を超える協定を、なぜ労基署は受理するのか」と批判の矛先を行政に向ける。


 サービス残業や不当解雇など個別の労働紛争で、一一年度に全国の労働局に寄せられた相談は過去最多の二十五万件。
一方、労組の組織率は20%を切っている。

労使協調路線が趨勢(すうせい)となり、ストライキなどが減った上、労働者が抱える個々の問題に労組は関与せず、労組に加入する意義が薄れているとの指摘もある。


 独立行政法人「労働政策研究・研修機構」(東京)の〇七年の調査では、労組に期待しないと回答した労働者は47・5%。
理由のトップは「会社と同じ対応しかできない」(36・8%)で、「(労組に相談すると)会社から不利益を受ける恐れがある」(20・1%)との回答もあった。


 労組問題に詳しい甲南大学の熊沢誠名誉教授は「一人のために労働者が連帯すれば職場は変わる。働き過ぎやメンタルなど個人の受難に寄り添うことが、労組の復権につながる」と訴える。

    ■

 安倍政権の「成長戦略」が月内にも取りまとめられる。
「世界で一番企業が活動しやすい国」を目指し、労働分野の規制緩和も視野に入れる。
労働環境が急速に悪化する中、規制緩和で、働く人の健康や命を守るセーフティーネットは機能するのか。働く現場に迫る。 (中沢誠)


<労働組合> 憲法は、労働者が団結し、会社と団体交渉したり、行動(争議)したりする権利を保障している。
国内では企業ごとに組織する企業別労働組合が主流。
昨年6月末で、組合員約989万人のうち企業別組合の所属は約829万人。
全労働者に占める組合員の割合は1949年の55.8%をピークに年々低下し、昨年は過去最低の17.9%。
個別労働紛争の増加などで、近年は個人でも加入できる労働組合「ユニオン」が増えている。

posted by 小だぬき at 08:33 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月05日

名ばかり管理職今も 拡大解釈サービス残業助長

過労社会<中>
名ばかり管理職今も 拡大解釈サービス残業助長
2013年6月4日 朝刊   東京新聞

 十三カ月で休みは三日。残業代はなし。

 茨城県笠間市の和菓子メーカー萩原製菓の男性社員=当時(30)=は二〇一一年八月、帰宅後に倒れ、心室細動で亡くなった。

死亡直前の残業は月百時間を超え、昨年三月に労災が認められた。
会社は、残業に必要な労使協定を結んでいなかった。
会社は「労働基準法の労働時間規制の適用を除外される管理監督者だった」と水戸労働基準監督署に強弁した。


 労基署によると、男性は肩書こそ製造本部長だったが、仕事は出荷管理で、自ら菓子店に卸すこともあった。
労基署は権限も裁量もない「名ばかり管理職」だったとして、昨年十月、労基法違反の疑いで、会長と社長を書類送検した。


 名ばかり管理職は〇八年一月、東京地裁が日本マクドナルドの店長を「管理監督者に当たらない」と認めた判決で世間の注目を集めた。
残業代を削るために、実態が伴わなくとも「管理職」の肩書を与える−。
判決から五年余がたつ今も、個人加盟の労働組合「東京管理職ユニオン」には名ばかり管理職への相談が後を絶たない。


 中ノ郷信用組合(東京都墨田区)の元社員小池正明さん(60)も、相談者の一人だ。
得意先の中小零細企業を大手銀行に奪われ、信組も融資が伸び悩む。組織のスリム化で課が統合、小池さんは七年前、経理課長から部下のいない平社員に降格された。
だが、給与ランクは七等級のまま。
七等級以上は一律に管理監督者とされ、役職手当の代わりに残業代は出ない。
決算前の残業は月百時間を超えたが、小池さんに残業代は出なかった。
 小池さんの役職手当は最低の月二万五千円、〇八年度の年収は約六百八十万円。
残業代が出る一ランク下の社員十八人のうち十一人が小池さんの年収を上回り、最大で約百万円の開きがあった。


 信組は、マクドナルド判決後も労働条件を改めなかった。
 小池さんは一一年五月、未払い残業代の支払いを求めて東京地裁に提訴。
昨年七月、信組が二百九十五万円を支払うことで和解が成立した。
信組は本紙の取材に「給与待遇を見直したい」と答えた。

 小池さんは「収益確保のために制度を悪用して人件費を削る。従業員の弱みにつけ込む会社は結果的に駄目になる」と憤る。


 昨年、上場企業二百二十四社に行った民間調査では、51・0%の企業が課長代理クラスに残業代を支払っていなかった。
厳格に審査されれば、課長代理は名ばかり管理職の可能性が高い。


 神戸大法学部の大内伸哉教授は「国の管理監督者の要件があいまいで、法の趣旨に反した拡大解釈を生み、違法行為を助長している」と指摘。

残業時間の上限を定める三六協定のように、事業所ごとに労使間で具体的に管理監督者の適用範囲を決め、労基署に届け出る制度を提案する。



 名ばかり管理職の問題を放置したまま、安倍政権は、労働時間規制のもう一つの例外ルールである「裁量労働制」の適用拡大ももくろむ。
就業時間など働き方を労働者に任せる代わりに、一定時間働いたとみなして残業代を支給しない。

東京管理職ユニオンの鈴木剛書記長は「経営者に都合のいい制度にしようとしている。さらに長時間労働をまん延させかねない」と規制緩和に待ったをかける。


 <管理監督者> 労働基準法の労働時間(1日8時間、1週間40時間)規制の適用から除外され、残業代の支払いが免除される。
厚生労働省は通達で「経営者と一体的な立場にあり、人事や労働条件の決定権限が与えられている」「出退勤が自由」「一般の従業員より賃金が高い」といった要件を提示。
未払い残業代請求をめぐり管理監督者に当たるかどうかが争われた裁判では、管理職であっても管理監督者とは認めず、経営側に厳しい判断が相次いでいる。

posted by 小だぬき at 06:27 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

希望押しつけ無責任 若者に身を守る知識を

過労社会<下>
希望押しつけ無責任 若者に身を守る知識を
2013年6月5日   東京新聞

 「職場で理不尽な待遇を受けても、仕方ないとあきらめてしまう。かつての自分もそうだった」


 ウェブデザイナーの山口猛さん(32)=仮名=は振り返る。
東京都港区のIT企業で働いていた三年前、サービス残業を強いられた揚げ句、リーマン・ショックのあおりを受けて解雇された。


 残業代が出なくても当たり前だと思っていた。
これが会社なんだと。
同僚は月の労働時間が四百時間に及び、うつになった。


 泣き寝入りしなかったのは、後から転職してきた上司の存在があった。
上司はかつて個人加盟ユニオンで働いていたこともあり、労働知識が豊富だった。


 「これは違法だ。出退勤の記録を残しておけば残業代は取り返せる」。
上司のアドバイスに、在職中からタイムカードをコピーしたり、勤務時間をメモしたりして証拠を集めた。
雇用契約の書類は捨てずに残しておいた。
解雇後、上司の紹介でユニオンに駆け込み、未払いの残業代を取り戻した。


 山口さんは「労働の知識やトラブルの対処法を知っておくことの大切さを身をもって感じた」と話す。


 しかし、学校や職場で労働者の権利や制度を学ぶ機会は極めて少ない。

文部科学省が提唱するのは「働くことはこんなに素晴らしい」といった働く意欲を育むことに主眼を置いたキャリア教育だ。
学生のインターンシップ(就業体験)は盛んだが、そこで、入社後に実際直面する可能性のあるトラブルへの対処法を学ぶことはほとんどない。


 最近では無知につけこみ、過酷な働かせ方で若者を使い捨てにする「ブラック企業」の存在が問題視されている。
働くルールや権利を知らないまま、社会に放り出される若者はブラック企業の前に、あまりに無防備だ。


 厚生労働省の調査によると、二〇〇九年三月の大卒者で入社後三年以内に仕事を辞めた人は28・8%に上る。


 国は昨年、若者の雇用環境を改善しようと「若者雇用戦略」をまとめた。
ここでも議論の中心は、キャリア教育の充実や学生の大手企業志向と求人のミスマッチ解消ばかり。
根底にある過重労働やサービス残業など、働く現場の問題にまで踏み込むことはなかった。


 昨年五月、若者雇用戦略の最後の作業部会の席上、メンバーの上西充子・法政大学キャリアデザイン学部教授は、事務局が用意した原案に異を唱えた。
「厳しい環境はしょうがないという前提で、骨太の若者を育てるという雇用戦略がまとめられるのは、非常に大きな問題を感じる」


 上西教授は「労働法教育の普及に程遠い現状の中で、ブラック企業に入るのは自己責任であるかのように若者を追い込むのは酷だ」と訴える。


 社会保険労務士らでつくるNPO法人「あったかサポート」(京都)は、〇六年から大学や高校で労働法教育の出前授業を行っている。
労働条件を知るための求人票の見方など実践的な労働知識を教えるほか、困ったときの対処法や相談窓口を紹介している。


 あったかサポートの笹尾達朗常務理事は、偏ったキャリア教育に疑問を投げかける。
「これだけ若者の雇用が悪化しているのに、希望や夢だけ教えるのは無責任。
学校教育の中で、身を守るすべや働くリスクまで教えるべきだ」


 <キャリア教育> 
勤労観を身に付けるとともに、主体的に進路を選択する能力や態度を育てるための教育。
1999年の中央教育審議会の答申で初めて登場した。
若者のフリーターやニートの増加などから、学校での教育の必要性が叫ばれるようになった。
代表的な取り組みは中高での職業体験や、大学でのインターンシップ。
2011年度からは大学設置基準で、キャリア教育へ取り組むことが義務化された。

 (中沢誠が担当しました)
posted by 小だぬき at 10:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月06日

室井佑月氏 「ずいぶん舐められたもんだ」と憤る

室井佑月氏 「ずいぶん舐められたもんだ」と憤る
※週刊朝日 2013年6月14日号
(更新 2013/6/ 6 11:30)

 福島第一原発事故から2年過ぎた今でも、地元に戻ることのできない避難者たち。彼らの避難先の一部では、地元住民との不和が浮かび上がっているが、作家の室井佑月氏は、その矛先は違う場所にあると言及する。

*  *  *
 5月24日付の毎日新聞に、「共生遮る誤解の連鎖」という記事が載っていた。
福島第一原発事故後、多くの避難者を受け入れているいわき市の現状だ。
いわき市民と避難者との軋轢(あつれき)は、悪化の一途を辿っているという。

 もともといた住民が、市に苦情を送った件数は今年2月で約390件。
苦情の具体的な内容は、「賠償金をもらっている避難者で、働いていない人もいる。一方、いわき市民は賠償も少額で、みんな働いている。
公園や道路、公共施設などは避難者も使っているのに、税金が公平に取られないのはおかしい。
住民が増えたため、スーパーや病院が混雑している。
避難者は医療費が無料になっているのも混雑の一因ではないか」というものだった。

 べつに良い子ぶるわけじゃないけど、避難者と、もともといる住民、どっちの気持ちもわかる。

あたしが避難者だったら、べつにここに来たくて来たんではない、賠償金なんてどうでもいいから、事故前の生活に戻してくれよ、そう思う。

 地元民からしたら、いついつまでにこうするという期限もない中、避難してきた人たちに対し、徐々に心の余裕がなくなっていくのも当たり前な気がする。

 そうなんだよ。
結局さ、国が、「いついつまでに、こうする」と明言できないから悪いんだ。
いや、意見は出てきているらしい。
が、遅いし、弱い。
わざとかもね。
ほら、年金問題も、放射能汚染食品の話も、おなじようにして国民vs.国民の争いに持っていったじゃん。

 年金問題は、若者vs.年寄りに、
放射能汚染食品は、消費者vs.生産者に。
国民同士が揉めると、問題の根本、どこが腐っていたからこういう問題になったのか、という部分が誤魔化(ごまか)される。
本物の加害者は責任逃れをする。

 どうか、いわき市の地元民と、いわきに逃げた避難者は、喧嘩しないで欲しい。
怒りや不満のぶつけ先を、間違わないで欲しい。

なぜ、こういうことになったのか。それを考えれば、
いわきの地元民も、避難者も、怒りの矛先は一つじゃないか。
もちろん、あなたたちだけじゃない。
あなたたちの後ろには大勢の人間がいる。

 そうそう、毎日新聞に、「共生遮る誤解の連鎖」という記事が載った日、朝日新聞にはこんな記事が出ていた。「自民公約 あいまい」という記事だ。

 自民党は参議院選の公約の原案をまとめた。
憲法改正の姿勢を目立たせず、原発再稼働も、消費税にも触れない、あいまいな公約にしたそうだ。
沖縄の基地問題もはっきりしないしな。

 うちら国民はずいぶん舐められたもんだ。
はっきりさせると、それに伴う弊害があるもんね。
責任問題とかさ。
んでもって、最後は国民同士を喧嘩させ、いろいろ誤魔化す作戦か。
posted by 小だぬき at 14:25 | Comment(3) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月07日

今夏の値上げ「衣・食・住」ばかりか行政サービスにも拡大中

今夏の値上げ「衣・食・住」ばかりか行政サービスにも拡大中
2013.06.06 16:00 
※週刊ポスト2013年6月14日号


 この夏、電気・ガスなど公共料金から食品、外食産業、靴や鞄、家具にトイレットペーパーまで、これでもかと「大幅値上げされる。

いずれも円安による原材料費、燃料費、飼料代や物流コストの上昇が原因で、
「食」については、食パンなどは3〜6%、マーガリンは5〜10%、コーヒーも10%値上がりする。


「衣」や「住」は「食」より値上げ幅がさらに大きい。

海外ブランドはルイ・ヴィトンが2月に過去最大の平均12%値上げしたのをはじめ、カルティエやティファニーなど各社が円安で値上げに踏み切っているが、サラリーマンの必需品でも、アサヒシューズはビジネスマン向け「通勤快足」をこの秋から約10%値上げし、スーツケース類も平均6%値上げされている。


「住」では、大塚家具がこの4〜5月に輸入家具を平均4.8%値上げしたばかりだが、さらに6〜7月には輸入品4400品目を平均5.9%アップする。


 それ以上の上昇率を見せているのが建設資材だ。鋼材価格は前年比2割アップ、外壁用コンクリート、断熱材など軒並み大幅値上がり中なのだ。


 一級建築士で女子美術大学講師の佐川旭氏は、「今後、住宅・マンションの建設費は大きく上がる」と見る。

「鋼材やコンクリート材に加えて、壁紙やキッチンなどの内装材に多く使われるポリウレタンなど石油化学製品価格も高騰している。
さらに深刻なのは職人不足です。
リーマン・ショック後の建設不況で型枠大工などの職人が減ったうえに、震災の復興事業で東北に集中している。
職人不足で人件費は1割上がっています。
トータルでは建設費が15〜20%アップする。そうなると販売価格も値上げせざるを得ない」


 政府は来年4月からの消費税引き上げで住宅価格への課税が重くなることから、「今年9月までに注文住宅やマンションなどを契約すれば、完成が来年4月以降になっても支払う消費税を5%に据え置く」という特例措置をとることになったが、これほど資材価格が上がれば、その程度の“おまけ税率”など焼け石に水ではないか。


 その他、パソコンや車のタイヤからバイオリンなどの弦(ガット)まで一斉に上がり、トイレットペーパーや石、紙おむつ、生理用品などの日用品も今後の値上げ候補である。


 驚くべきは、値上げが行政にまで広がりを見せていることだ。
千葉県市川市は「行財政改革」すなわち財源確保を理由に、住民票や印鑑証明の発行手数料から動植物園や体育館、市民プールの入場料や斎場の使用料まで値上げを検討している。

実施すれば他の自治体にも波及していくことが予想されるが、これは円安とも原材料費上昇とも関係がない明らかな「アベノミクス便乗値上げ」だろう。


 まさに国民は「揺りかご(紙おむつ)から墓場(斎場)」まで値上げ攻勢にさらされている

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2013年06月08日

手取りアップと直結しない。肝心の点を首相は説明していない

手取りアップと直結しない。その肝心の点を首相は説明していない
2013年 6月 8 日(土)付   朝日新聞「天声人語」

 「爆発」というキーワードにいささか驚かされた。
安倍首相の5日の成長戦略第3弾スピーチである。
岡本太郎の懐かしい叫び、「芸術は爆発だ!」を引用し、芸術論を成長論につなげた

▼首相の言葉は高ぶる。
「一人ひとりが、それぞれの持ち場で、全身全霊をぶつける」「今こそ、日本人も、日本企業も、あらん限りの力で『爆発』すべき時です」。
景気は気から、とよくいう。
首相が人心を鼓舞しようとしているのはわかる

問題は、爆発した先の日本がどんな姿になっているのかだ。
首相はいくつかの将来像を数字を挙げて示したが、なかでも一番重要だとしたのは、聞き慣れない指標だった。

1人あたりの国民総所得(GNI)」という。
これが、10年後には今より150万円以上増えるのだそうだ

▼GNIを増やすことにより、働く人々の「手取り」が増え、「家計」が潤う。
首相はそういう。
とすると4人家族だと600万円も年収が増えるのか。ほんとうかね、というのが大方の反応ではないか

▼国民総所得の「所得」とは、一人ひとりの年収とは違う。
そこには日本企業の海外での稼ぎも入っている。
GNIが増えたとしても、会社がその儲(もう)けを出し惜しめば、給料は上がらず、家計も潤わない

GNIは手取りアップと直結しない。
その肝心の点を首相は説明していない。
だから、熱弁にも冷める。朝日川柳に〈倍増と言わないだけの思慮はあり〉とあった。
爆発せよと号令しても、された火薬の方は湿気(しけ)ている。
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2013年06月09日

大きすぎる「内部告発」のリスクとは

大きすぎる「内部告発」のリスクとは
(PRESIDENT Online ) 
                   2013年6月8日(土)配信

  食品メーカーの賞味期限の改ざん、不当表示など企業の不祥事がいくつも明らかになって以来、「内部告発」の重要性が叫ばれている。
しかし、そんなことをしたらクビが危ないのではないか。

2006年に施行された公益通報者保護法は、会社の違法行為を内部告発した社員が不当な扱いを受けないようにするための法律だ。

ところが、法律には内部告発(法律では「公益通報」)の定義や告発のルートについて厳しい条件がつけられており、実際には機能しない場合があるという。
まず、通報内容は犯罪行為に関わる事例でなければならない。

「たとえば、社長が愛人を秘書にして公私混同の経営をしているとします。
しかしこれは直接犯罪行為に結びつくわけではないので、告発しても法律の保護を受けられません」

神戸大学大学院教授(労働法)の大内伸哉氏が説明する。

また、社内への通報は保護を受けやすいが、監督官庁に通報するときは保護の条件が狭まり、報道機関など外部への通報の場合は要件がさらに厳格になる。

外部への通報が保護されるには、社内に通報すればほぼ確実に報復されるとか、証拠隠滅のおそれがある、社内通報では相手にされなかった、生命・身体に危害を加えられる急迫した危険がある、といった条件が必要だ。

一方で、内部告発を行った社員に対して「会社の名誉・信用を毀損した」という理由から会社側が懲戒処分を科すことも珍しくない。

たとえば、予備校の講師が理事長の不正経理問題に関して記者会見を開き解雇されたケース。

この裁判では、1審は解雇処分を無効としたが、2審は講師の行動を「雇用関係の信頼を踏みにじる行為」とし、解雇は有効と判断した。

判例を見るかぎり、まずは内部通報をするなど企業内部での解決を図っていない場合は、会社側の処分が有効となる可能性は十分にある」と大内教授はいう。

また、公益通報者保護法が禁じているのは、通報者への解雇や降格、減給といった、あくまでも目に見える形での報復処分。
仮に査定や昇進で不利な扱いをされても、それが不当であるかどうかは判断しにくい。

現状では、万全の保護を受けられるわけではないのである。

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神戸大学大学院 法学研究科教授 大内伸哉
1963年生まれ。東京大学法学部を卒業後、同大学院修了。
『労働条件変更法理の再構成』『どこまでやったらクビになるか』など著書多数。
近著『君は雇用社会を生き延びられるか』。
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久保田正志=構成
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2013年06月10日

老年期の意味=目標なく生きる重要性

時代の風:老年期の意味=京都大教授・山極寿一
毎日新聞 2013年06月09日 東京朝刊

◇目標なく生きる重要性−−山極寿一(やまぎわ・じゅいち)


 還暦を過ぎて感じることがある。
老いの時間は子どもの時間と違うということだ。
子どもたちと同じように、老年期の人間は何か差し迫った必要性を感じて時間を組み立てはしない。
時の流れとともに出合う出来事をそのまま受け止めている。

成長にかかる時間は子どもたちにほぼ一様に訪れる。
小学生のまま成長が止まることはないし、すぐに大学生になれるわけではない。
子どもたちは、同年齢の友だちが同じように成長していく姿を自分と比較しながら、自分の将来の姿を夢見ることができるのだ。


 一方、老いは一様にやってくるわけではない。足腰の衰えが先にくる人もいれば、急にボケが始まる人もいる。
急速に老けこんでいく人もいれば、年齢の割には若く見える人もいる。
病で早く亡くなる人もいれば、長寿を全うする人もいる。
自分があとどのくらい生きられるのかはっきりしたことはわからない。

子どもたちが将来の目標をもって
生きるのに対し、老人たちの視線は不確かな霧の中へ注がれているのだ。


 しかも、老いの受け止め方も千差万別だ。
物忘れや記憶違いが多くなってあわてる人もいれば、それをいいことにしてひょうひょうと生きる人もいる。
周囲から相手にされなくなって孤独に悩む人もいるし、これまでの人間関係を断ち切って新しい仲間を求める人もいる。
これまでの仕事にさらに磨きをかける人、全く違うことを始める人というように、老年期の過ごし方は人それぞれに異なっている。
それは老いの内容がそれまでの人生の過ごし方によって大きく異なるからだ。
老人は個性的な存在である。子どもたちと同じように、老人たちを集団で扱うことはできない。


 人類の進化史の中で、老年期の延長は比較的新しい特質だと思う。
ゴリラやチンパンジーなど人類に近い類人猿に比べると、人類は多産、長い成長期、長い老年期という特徴をもっている。

多産はおそらく古い時代に獲得した形質だ。
人類の祖先が安全で食物の豊富な熱帯雨林から出て、肉食動物の多い草原へと足を踏み出した頃、幼児死亡率の増加に対処するために発達させたと考えられる。

成長期の延長は脳の増大と関連がある。
ゴリラの3倍の脳を完成させるため、人間の子どもたちはまず脳の成長にエネルギーを注ぎ、体の成長を後回しにするよう進化したのである。
脳が現代人並みに大きくなるのは約60万年前だから、その頃すでに多産と長い成長期は定着していたに違いない。

しかし、遺跡に明確な高齢者の化石が登場するのは数万年前で、ずっと最近のことだ。
これは、体が不自由になっても生きられる環境が整わなかったからだと思う。
定住し余剰の食料をもち、何より老人をいたわる社会的感性が発達しなければ、老人が生き残ることはできなかったであろう。
家畜や農産物の生産がその環境整備に重要な役割を果たしたことは疑いない。


 ではなぜ、人類は老年期を延長させたのか。
高齢者の登場は人類の生産力が高まり、人口が急速に増えていく時代だ。

人類はそれまで経験しなかった新しい環境に進出し、人口の増加に伴った新しい組織や社会関係を作り始めた。
さまざまな軋轢(あつれき)や葛藤が生じ、思いもかけなかった事態が数多く出現しただろう。
それを乗り切るために、老人たちの存在が必要になった。

人類が言葉を獲得したのもこの時代だ。
言葉によって過去の経験が生かされるようになったことが、老人の存在価値を高めたのだろう。


 しかし、老人たちは知識や経験を伝えるためだけにいるのではない。
青年や壮年とは違う時間を生きる姿が、社会に大きなインパクトを与えることにこそ大きな価値がある。

人類の右肩上がりの経済成長は食料生産によって始まったが、その明確な目的意識はときとして人類を追い詰める。

目標を立て、それを達成するために時間に沿って計画を組み、個人の時間を犠牲にして集団で歩みをそろえる。
危険や困難が伴えば命を落とす者も出てくる。

目的が過剰になれば、命も時間も価値が下がる。
その行き過ぎをとがめるために、別の時間を生きる老年期の存在が必要だったに違いない。
老人たちはただ存在することで、人間を目的的な強い束縛から救ってきたのではないだろうか。その意味が現代にこそ重要になっていると思う。=毎週日曜日に掲載

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2013年06月11日

公のためという名の下で、いかに公のためにならぬことがなされたか

情報収集の実態
2013年6月11日    東京新聞「筆洗」


 私たちは、服を着て歩く。
自分のすべてをさらけ出し街に出たりはしない。
貴重なものは大事にしまっておく。
それを身ぐるみ剥がすのは、強盗の所業。被害に遭えば、当然気づく

が、インターネットの世界は違う。
知らぬうちに裸にされ、すべてを盗まれかねない。
米政府の情報収集力を知るIT技術者は、こう言っている

▼「すべて手に入る。電子メール、パスワードに通話記録、クレジットカードの情報でも何でもだ」
「その恐るべき力の前に、防御策などありはしない」

▼発言の主は、米中央情報局(CIA)などで働いてきたエドワード・スノーデン氏(29)。
その証言から米政府による情報収集の実態を暴いた英紙ガーディアンによれば、イラク戦争が起きると、彼は軍に入った。
「圧政に苦しむ人を助けるのは人としての義務」と思ってのことだ

▼現実は違った。「教官らの多くはだれかを助けるというより、アラブ人を殺すことに熱中しているようだった」。
幻滅は情報機関で仕事を重ねるにつれ、政府への不信となっていった。
公のためという名の下で、いかに公のためにならぬことがなされたか。公にしなければ

▼彼はいま、香港のホテルの一室にこもって、世界の人々が告発をどう受け止めたか、注視しているという。
盗聴と盗撮におびえ、布をすっぽりと被(かぶ)り、パソコンに向かっているそうだ。
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2013年06月13日

耳障りの良い言葉には注意しなきゃ

室井佑月氏 耳障りの良い言葉「限定正社員」には注意しなきゃ
※週刊朝日 2013年6月21日号
(更新 2013/6/12 07:00)

  今春、政府の規制改革会議でルール整備が提案された「限定正社員」制度。作家の室井佑月氏は、疑問を投げかける。

*  *  *
 最近、耳慣れない言葉を聞いた。
「限定正社員」だ。「限定正社員」とは、「勤務地や仕事内容、労働時間が限定された形で働く正社員」のことだという。

 政府の規制改革会議が、その「限定正社員」の制度化について話し合っているようだ。
 毎日新聞によれば、雇用のルールについて2013年度中に検討を開始し、2014年度に結論を出したいみたい。
非正規社員の正社員化を促すのが狙いだという。

 でも、新聞にはこうも書かれてあったぞ。
「(限定正社員のルールとして)一方で、工場や店舗閉鎖などの際、限定正社員を通常の正社員より解雇しやすいことも明確にするよう求めた」。

ん? ってことは、「限定正社員」はその会社で、仕事がなくなったら、それで終わりってこと? それじゃ、あたしたちが考える正社員じゃ、ぜんぜんない。

 非正規社員の生活は安定しない。
たとえば、労働者派遣制度の現行ルールでは、派遣労働者の受け入れ期間を最長3年に制限しているからね。
だから、みんな正社員になりたいのだ。
いちばん大切なのはそこ。
正社員とはいっても仕事がなくなったらそれでおしまいの「限定正社員」では、生活は安定しそうもない。
なら、「限定正社員」という身分を作ることにどんな意味があるというんだ。
政府が頑張り、非正規社員が少なくなって、正社員が増えた! そんな数字を出したいからか。

 なんかあたしは、2005年にできた「障害者自立支援法」(現・障害者総合支援法)を思い出した。
名前だけ聞けば、障害者を助け、健常者と同じように暮らしていける優しい社会を目指すのかと思う。
しかし、違った。
多くの障害者の福祉サービスに対する自己負担金が上がっただけ。

 この国を動かしている人たちの中には、天才的なコピーライターがいるようだ。
「限定正社員」や「障害者自立支援法」といった名前だけ聞けば、我々国民にとって、良いことのような気がしてしまう。

 けど、耳障りの良い言葉には注意しなきゃ。我々の不安や不満や怒りの根本を、どうにかするつもりがないから、わざわざ誤摩化(ごまか)すために耳障りの良い言葉を持ってくるんだもん。

「限定正社員」が決定したとして、きっと世の中ではこういう会話がなされる。
「この間、合コンで会ったあの人、××企業に勤めてるっていっていたのに、限定だったのよ!」
「正社員にはなれなかったから、とりあえず限定で食べてるんだ」というような。
でもって職場では、限定とそうじゃない者の格差問題が起こり……。

 だとしたら、今となにも変わらない。
新たに「限定正社員」を作ったところで、今の非正規雇用の問題が解決されるわけじゃない。
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2013年06月14日

「理由なき解雇」は違法

<はたらく>試用期間中 突然の通告… 
                       「理由なき解雇」は違法
2013年6月14日   東京新聞

 「試用期間中に突然、理由も告げられず解雇を通告された」との声が、本紙生活部に届いた。

たとえ試用期間でも、雇用主は合理的な理由なしに解雇できない。
納得がいかない場合は、きちんと理由を問いただし、労働組合や労働基準監督署などに相談し、地位保全を求めることもできる。(田辺利奈)


 愛知県の女性(23)は、二月中旬から県内の社会保険労務士事務所で、正社員として事務の仕事に就いた。
地元のハローワークで求人を見つけ、面接を受けて数日で採用された。
当初、試用期間は三カ月とされたが、「場合によっては、もっと長くなるかもしれない」と言われ、了承した。


 ところが、四月末の給与支給日に「試用期間満了の五月十七日を退職日とする」という書面を渡された。理由は書かれてなかった。
当日は雇用主がいなかったので後日、理由を聞くと、「求める人材と相違があったため」と回答した。


 女性は「解雇されるような原因は思い当たらない」と振り返る。
無断欠勤や大きなミスもなかった。
口頭での説明もないまま、「紙一枚で突然退職を告げられるなんて」とショックを隠さない。
雇用主は事務所に不在のことが多く、話し合う機会はなかったという。
納得はしていなかったが、期日が来てしまい、やむなく退職することになった。

     ◇

 労働者が合理的な理由なしに解雇されない権利は、労働契約法に規定されている。
労働問題に詳しい旬報法律事務所(東京都千代田区)の棗(なつめ)一郎弁護士は、「試用期間中の解雇は、本採用後より、やや緩く裁量権を与えられているが、実質的にはほとんど変わらない」という。


 試用期間を設けるかどうかや、その期間を定めた法律はないが、期間は六カ月以内で、二〜三カ月というのが一般的。
棗弁護士によると、試用期間でも、既に労働契約は成立しているという。


 解雇できる場合は、「無断欠勤が多い」「見習いレベルの仕事に対して能力が大きく不足し、指導しても改善されない」などと、具体的な理由が必要。
雇用主は、解雇理由証明書や退職証明書などで、その理由をはっきり示さなくてはいけない。


 また、従業員が常時十人以上の事業所は就業規則を作る義務がある。
規則には解雇時の条項があるので、理由があいまいな場合は、条文のどの項目に反したのか確認したい。
試用期間の延長は「一般的に一回なら許容される」(棗弁護士)という。
何度も繰り返し延長される場合は、違法性が認定されることもある。


 この女性のように、あいまいな理由での解雇は違法であり、本来は社員としての地位保全を求めることが重要。
しかし、万が一退職することになった場合、十四日を超えて勤務していれば、本採用後と同様、労働基準法に従った手続きを取ることになる。


 具体的には、事業主は三十日前までに解雇予告するか、三十日分以上の手当を払わなくてはいけない。
今回の事例は労基法にも違反していると思われる。


 試用期間中に不当に解雇された場合は、会社の労働組合や連合などの組織、弁護士などに相談することだ。
地域の労働基準監督署も相談窓口を設けている。この女性は今後、退職した事務所に何らかの補償を求めていく考えという。


 棗弁護士は「試用期間であっても、解雇権は乱用されてはいけない。納得いかない場合は声を上げて」とアドバイスしている。


 試用期間 本採用の前に、その人の勤務態度や能力などを評価し、雇うのに適した人材かどうかを、判断するための期間。
基本的には、労働条件や権利義務は本採用の社員と同じ。
その期間は就業規則などで事前に示されるが、短縮や延長されることもある

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暴言官僚 更迭

暴言官僚 「アニソン」「ゆるキャラ」趣味の意外
2013年6月14日 ゲンダイネット掲載

 要するに霞が関官僚の頭の中は、被災地の復興なんてナ〜ンも考えていないということだ。
ツイッターに繰り返し「暴言」を書き込んでいた復興庁の水野靖久参事官(45)が13日、更迭された。
日々の業務に追われ、疲れがたまっていたとしても、ネットに悪口を書いてウサ晴らしなんて幼稚すぎる。

〈左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる集会に出席。
感じるのは相手の知性の欠如に対する哀れみのみ〉――。

 官僚の中には、「オレたちは日本の頭脳」と上から目線の勘違い野郎がいる。
水野氏もそういうやからだったのか。

 自分の意にそぐわない国会議員の行動も許せないらしい。

ツイッターでは、社民党の福島瑞穂党首に対して〈20分の質問時間しかないのに29問も通告してくる某党代表の見識を問う〉と批判したり、共産党の高橋千鶴子衆院議員に〈通告出していないのはアンタだけ〉とブチ切れたり。

タクシー運転手からの釣り銭が多かったことをネットで明かした、みどりの風の谷岡郁子代表を〈釣り銭詐欺〉と呼び、自民党の森雅子・少子化担当大臣を〈我が社の大臣の功績を平然と『自分の手柄』としてしまう某大臣の虚言癖に頭がクラクラ〉とメッタ切りしている。

「ポッチャリ系の見た目通り、おっとりした人で、腰が低かった。
あんな毒を吐くようなタイプに見えなかったから、庁内が一番驚いています。
13日も普段通り出勤していました」(復興庁関係者)

 91年に旧総務庁に入庁し、情報公開法や個人情報保護法制度などに携わった水野氏。10年から約2年間、千葉・船橋市に出向し、副市長に就いている。

「ネットに詳しく、若い市議とネットを活用した議会運営などについて頻繁に意見交換していましたね。
傲慢なところは特段、感じませんでした。
今回のことを知って驚くと同時に、当時を思い出し、『議員の意見を穏やかに聞いていたが、ハラの中はバカにしていたんだろうなあ』と。
新年会でアニメソングを歌っていたのが印象的です」(船橋市議)

 クマのキャラクター「リラックマ」が好きで、ツイッターのアイコンや携帯ストラップに使っていたという水野氏。
いっそのこと、ネットやキャラクターに囲まれる職場に転職した方がいいのではないか。
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2013年06月15日

一度の過ちで人を見限る非寛容な社会

AKB48の正義の話を(大西隆)
2013年6月12日    東京新聞「私設・論説室より」


 中学生の娘が怒り心頭なのである。
アイドルグループAKB48の三十二枚目のシングルを歌うメンバーをファン投票で決める選抜総選挙で、さしこが首位の座を射止めたからだ。


 さしここと指原莉乃(さしはらりの)さんは、熱愛話が発覚して福岡・博多のHKT48に“左遷”された身だ。
まゆゆこと渡辺麻友さん支持の娘にとって、恋愛禁止のおきてを破ったさしこの戴冠が我慢ならないようだ。


 政治家を選ぶ公職選挙とは違い、カネ持ちファンは好きなだけ投票権を買い占められるシステムだ。
商業主義の芸能パフォーマンスに公平性やら透明性やらを期待する方がおかしい。


 それに、騒ぎは大きければ大きいほど宣伝効果が高まる。
順位の妥当性はどうであれ、ギョーカイはほくそ笑んでいるに違いない。


 にしても、不平等にも程があると言いたいらしい。
個々のメンバーの顔触れはもちろん、歌と踊りの実力を熟知していると称する娘は「誰かが裏で手を回したはずだ」といぶかる。


 地獄の沙汰もカネ次第とか、正直者がばかを見るとか。
善かれあしかれ、そんな社会の実相を学び取った雰囲気ではある。


 でも、反省して頑張ってきたさしこのけなげさが評価された可能性だって大きい。一度の過ちで人を見限る非寛容な社会への抗議の表れだったかもしれない。

 家庭で学校で、選抜総選挙が問いかけた正義の話をしてみては。 
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集団分極化による極端な論の噴出

2013年 6月 15 日(土)付 朝日新聞「天声人語」

 こんな経験はないだろうか。
あるテーマについて、同じような意見を持つ何人かで話し合いをする。
すると、みんなの意見がだんだんと極端な論に傾いていく

▼たとえば、歩道を走る自転車を取り締まるべきだと思っている人々が集まって「そうだ、そうだ」と言い合ううちに、「断固、厳罰に処せ」の大合唱になる。
こうした現象を「集団分極化」というそうだ

▼ネット上でもしばしば起こる。
たしかに激しい攻撃や差別、憎悪の噴出をよく目にする。
ネットの匿名性はこの傾向を強めやすい。ネットは「過激主義の温床になっている」(キャス・サンスティーン『インターネットは民主主義の敵か』)

▼こうした負の側面への警戒もあって長く実現しなかったネット選挙が、やっと7月の参院選から解禁になる。
立候補予定者らはすでに臨戦態勢である。
ツイッターやフェイスブックなどをどう使いこなすか、手探りしながらの知恵比べになる

▼発信すれば反応はある。
ただ、それがどれだけ票に結びつくかはわからない。
少なからぬ予定者の実感のようである。
むろん従来型の選挙運動も続く。
自民党の石破茂幹事長はおととい釘を刺した。
「握った手の数しか、歩いた数しか票は出ない、というのはこれから先も真理だ」

▼選ばれる側だけではない。選ぶ側にとっても初めてのことだ。
品定めのための情報は増える。有権者から発信もできるようになる。
ネットの負の側面を抑え、利点をどう生かすか。私たちも知恵が問われる。

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2013年06月16日

与党多数より 監視役の野党躍進を!!

東京都議選告示 首都の良識を示したい
2013年6月15日  東京新聞社説

 東京都議選が十四日に告示された。
七月の参院選の前哨戦として、各政党は一路邁進(まいしん)の様相だ。
有権者は国政の動きをにらみつつ足元の課題を考えたい。
首都決戦での一票は全国的な重みを持つ。


 十三年半ぶりに知事が交代して初めての都議選だ。
石原慎太郎前知事の陰に隠れ、見えにくい存在だった議会の仕事ぶりを厳しくチェックする好機と捉えたい。


 議員としての資質を備えているか。
この四年間に議員の提案で制定された政策条例はわずかに一件。
議員報酬と政務活動費だけでおよそ二千四百万円が毎年支給されているのにだ。


 先の知事選で、四百三十四万票近くを集めた猪瀬直樹知事の人気を前に、議会はほぼ“オール与党化”の傾向を強めている。


 十二兆円を超す本年度予算案は、選挙戦で猪瀬知事を支えた自民、公明、日本維新の会の三党に加え、自主投票で臨んだ民主党さえ賛成して難なく成立した。


 新銀行東京の経営や築地市場の移転、東京五輪の招致といったかつてのような明確な対立軸は見えてこない。
政策論争が下火だけに投票率の低下が気がかりだ。


 とはいえ、身の回りには喫緊の課題が山積している。
待機児童の解消や高齢者施設の充実、首都直下地震への備えなどは急務だ。
民主主義を鍛える道具として常設型の住民投票条例も必要だ。


 知事の政策を追認するばかりの議会では、二元代表制を土台とする地方自治が機能不全に陥りかねない。

より良い行政づくりに向けて知事と緊張関係を保ち、切磋琢磨(せっさたくま)できる議員を送り込みたい。


 都議選での政党の浮沈は直後の国政選を占う指標となる。


 前回は自民党が大敗し、民主党が第一党に躍り出た。
翌月の衆院選での政権交代を先取りした形となった。
今回は自民党が第一党に復帰し、公明党と共に与党として過半数を制するかが焦点だ。


 安倍晋三政権が発足して初めての大型選挙でもある。
都議選の結果は参院選に跳ね返り、衆参ねじれ国会の行方をも左右し得るのだ。


 だからこそ、有権者は国政が抱える重要課題も併せてしっかり考えねばならない。


 憲法九六条改正は必要か。
脱原発・エネルギー政策をどう描くか。
アベノミクスに生活を委ねて大丈夫か。
安倍政権の信を問う役割をも担っていると自覚したい。


 東京を変える。そして東京から国を変える。そんな実力を持った候補者を見抜いて投票しよう。

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次官内定の村木氏、本当に悲劇のヒロインなのか

次官内定の村木氏、本当に悲劇のヒロインなのか
2013年06月15日 21:55 ゲンダイネット更新

 政府は14日、厚労省の金子順一次官を退任させ、後任に村木厚子社会・援護局長を充てる人事を固めた。
女性の事務次官就任は、97年の松原亘子・旧労働事務次官以来2人目。

村木氏といえば、09年の郵便不正事件で大阪地検特捜部に逮捕、起訴されたものの、後に証拠品が改ざんされていたことが発覚。裁判で無罪が確定した。

 新聞テレビは、村木次官誕生について「女性の登用」を掲げる安倍政権の象徴のように報じているが、果たしてそうなのか。
村木氏は、冤罪事件の被害者ということで、霞が関でも“アンタッチャブル”の存在だが、そこは高級官僚でもある。
これまでも財政難を錦の御旗に数々の「弱者イジメ」政策に携わってきた猛女なのだ。

「05年に成立した悪名高き『障害者自立支援法』はその代表例です。
社会保障費を抑えるために導入された法律で、障害者に応益負担の原則を求める内容です。
中心になって関わったのが、当時、社会・援護局障害保健福祉部企画課長だった村木氏。
この法律の問題は、障害者に提供されるサービスを社会保障ではなく、保険と考えていること。
つまり、サービスを利用するなら相応のカネを払え――ということです。

 しかし、生まれつきや不慮の事故、病気などで障害者になった人の多くは働くことができず、無収入です。
『応益負担』など無理な話で、本来、そういう社会弱者に対する社会保障制度を充実させるのが国の役目。
それなのに村木氏は正反対の法律を作ったのです」(障害者団体関係者)

◆裏にシタタカな政府の深謀

 障害者自立支援法は08年から09年にかけて全国で違憲訴訟が続出。
10年に原告と政府・与党の間で「和解」となったものの、結局、法律の「一部改正」でウヤムヤに。
そのころ、村木氏は逮捕→無罪で「時の人」になったが、職場復帰すると社会・援護局長に就き、これまた「改悪」と批判噴出の「生活保護法改正」に走り回っている。

「今国会で審議された法案の中でも、改正生活保護法は侃々諤々(かんかんがくがく)となった。
露骨な弱者切りだからです。

この法案は村木さんが作ったのではなく、たまたま国会審議中に局長になって、答弁の役回りになっただけのこと。
とはいえ、“アンタッチャブル”な存在の村木氏を登用し、野党や国民からの反発をかわそうという下心は見えます。
今回の事務次官起用人事も、今後の焦点となる社会保障費抑制の世論からの批判を避けたい狙いがあるのではないか」(野党国会議員)

 いつまでも悲劇のヒロイン扱いしていると、国民は痛い目に遭うかもしれない。
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2013年06月17日

安倍さん、「左翼」って何ですか?

安倍さん、「左翼」って何ですか? 
2013年6月16日   朝日新聞デジタル 
(政治断簡)論説委員・松下秀雄

 安倍晋三首相のフェイスブックをみて驚いた。
東京都議選告示前の9日、渋谷で行った街頭演説について、首相はこう書いていた。


 「聴衆の中に左翼の人達が入って来ていて、マイクと太鼓で憎しみ込めて(笑)がなって一生懸命演説妨害してました」。
さらに、その「左翼の人達」を「恥ずかしい大人の代表」と断じている。


 一国の首相としては、ずいぶん激しい言葉だ。


 何があったのか。ネットで映像を探してみる。

 ハチ公前を埋め尽くす聴衆の傍らで、TPP(環太平洋経済連携協定)反対、自民はうそつき、などと抗議する人たち。首相は車の上から「選挙妨害」「恥ずかしい行為」と難じている。
    *

 抗議の声の主は「TPPを断固拒否する国民行動」。
呼びかけた都内の会社員、小吹伸一さん(44)に聞いてみた。
市民に訴えようと以前から告知していた演説会で、当日、そこに首相が来るとは思ってもいなかったという。


 あなたがたは左翼ですか?

 「左翼じゃありません。参加者はサラリーマンや主婦、非正規雇用の人、職人、レゲエのDJといった雑多な人たちです」


 ゆきすぎたグローバル化反対、といった主張は保守に通じるところもあるようにみえます。


 「『日本を守ろう』と唱えているのだから、その意味では保守的かな。ぼくたちが共通して思っているのは、弱肉強食の競争社会にすべきではないということです


 安倍首相をどう思います?

 「偽物の保守だと思う。
中国や韓国にはタカ派のポーズをとっても、米国には自分から譲る。
日本を守る人の行動じゃない


 聞いていると、どっちが保守かわからなくなる。
「行動」の映像には、日の丸を手に愛国の意味を説く参加者も映っている。

    *
 いまの時代、左右を分けて論じることに、どれほどの意味があるだろう。


 朝日新聞を左翼と呼ぶ人もいるが、私は共産主義者でも社会主義者でもない。
国やふるさとを愛するのも、人に無理強いするのでなければ、すてきなことだと思う。歴史を直視しようと唱える人は自民党にもいる。左右の境界はぼやけている。


 私が注目するのは「愛国」の実態だ。
それは自国への愛情か、隣国や隣人への憎悪か。
どちらに傾くかで、社会の健全さがわかる気がするからだ。


 フェイスブックの話に戻ろう。
首相の激しい言葉のあと、何百もの市民の投稿が続く。
隣国や在日韓国・朝鮮人、「左翼」への憎悪の表現がなんと多いことか。

 負の感情を生みやすい「生きづらさ」を緩める。
対立をあおらない。社会を癒やし、亀裂を埋めるのが政治の役割ではないのか。

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2013年06月18日

安倍首相 異常で異様な言論弾圧

安倍首相 異常で異様な言論弾圧
2013年6月15日 :ゲンダイネット掲載

野党はなぜ黙っているのか!?

<元外交官の論評に逆ギレ>

 コイツ、大丈夫なのか。
誰もが唖然としたのが安倍首相のフェイスブックだ。
元外務審議官の田中均氏のインタビュー記事(12日付毎日新聞)に激高し、フェイスブックに「彼に外交を語る資格はありません」と書き込んだ一件である。

 田中均氏といえば、2002年の小泉訪朝の際に、北とのパイプ役になった人物だ。
北との融和路線を模索し、日朝共同宣言を後押しした。
強硬路線だった安倍とは当時から対立しているのだが、それにしたって、安倍の過剰反応にはビックリしてしまう。
田中氏が語ったのはごくごく当たり前の論評だからだ。

「安倍晋三首相の侵略の定義や河野談話、村山談話をそのまま継承するわけではないという発言や、麻生副総理らの靖国参拝、日本維新の会の橋下徹共同代表の従軍慰安婦についての発言などで、(日本は)いわゆる右傾化が進んでいると思われだしている」

「飯島さんの訪朝がスタンドプレーだとは言わないが、そう見られてはいけない」

「日本が自己中心的な、偏狭なナショナリズムによって動く国だというレッテルを貼られかねない」

 別に田中氏の肩を持つわけじゃないが、主張はいちいち、もっともだし、的外れであったとしても、言論の自由だ。
なのに、安倍は「外交を語る資格がない」と田中の言論活動そのものを否定した。「外交官として決定的判断ミス(をした)」とも書き込み、ヒステリックに騒いだ。これはどう考えたって異常だ。

「安倍さんは興奮すると、抑えられなくなってしまう。とくに中国、北朝鮮にはナーバスで、“脅しに屈しない”などと騒いだりする。今度も、そんな危うさが見えてしまった」

 与党関係者ですら、こう言っているのだ。
当の田中氏にコメントを求めると、「この件では取材に対応しないことにしている」とスタッフが答えた。

元外交官の天木直人氏はこう言った。
「言論を否定するような書き込みは論外ですが、安倍首相にしてみれば、痛いところを突かれたのも間違いない。
本当は飯島訪朝で拉致問題を進展させたかったのに米国に釘を刺されて、動けなくなった。
そこをよりによって拉致問題で対立してきた田中氏に突かれたものだから、余計に冷静さを失ったのでしょう」

 いずれにしたって、安倍の書き込みは致命傷だ。
世界はますます、奇異の目で見るだろうし、野党は国会で徹底追及し、平気で言論弾圧する最高権力者を追放しなければウソである。
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安倍首相にささやかれる“もう一つの病”

安倍首相にささやかれる“もう一つの病”
2013年6月17日 日刊ゲンダイ掲載

こりゃ鑑定した方がいい

 安倍首相に対して不安の声が広がっている。
よほど余裕を失っているのか、ちょっと批判されただけで、相手構わず、片っ端から反論攻撃しはじめているからだ。
精神を病んでいるのではないか――。
そんな声まで上がりはじめている。

「聴衆の中に左翼の人達が入って来ていて、マイクと太鼓で憎しみ込めて(笑)がなって一生懸命演説妨害してました」――。
今月9日、安倍晋三首相が自身のフェイスブックにこう書き込んだ一件が注目されている。
渋谷駅前で街頭演説を行ったところ、現場にいたTPP反対のグループに批判されたため、ネットで反撃したのだ。

 首相が批判への反撃に躍起になったのはこれだけではない。
先週、元外務審議官の田中均氏に外交政策を批判された際は、11年前の田中氏の言動を持ち出して「外交官として決定的判断ミス」
「彼に外交を語る資格はありません」とこき下ろした。

 NHKにイチャモンをつけたこともあった。
「メキシコの様な親日的な国との首脳会談は、NHKも報道しないので、フェイスブックでお知らせします」と投稿。
ところがすでに報じていたことが分かり、「失礼しました」と訂正して赤っ恥をかいたのだ。

首相がどうかしているのは、事実関係も確認せずに相手を攻撃していることです。

たとえば首相は自分の演説を妨害するために左翼集団が渋谷まで来たと思ったようですが、市民団体の集会はもともと予定されていたもので、首相の方が後から乗り込んできたのが実情です。
それに彼らは左翼集団でもない。
メキシコの件だってNHKはきちんと報じている。
被害者意識が強すぎます」(政界関係者)

<気に入らない相手、ちょっとした批判にムキになって反論攻撃>

 この人の頭の中はどうなっているのか。
「北朝鮮のトップと同じ精神構造。
一種の攻撃型パーソナリティー障害です」と分析するのは明大講師の関修氏(心理学)だ。

「安倍さんの中には善と悪の2つしかないのです。
自分は正義を行う善、逆らう人は『左翼』という名の悪という考え。中間はいません。


北朝鮮が周辺諸国を威圧するように、安倍さんも反対勢力をすべて『左翼』とみなして攻撃し続けないと不安でしょうがない。
なぜなら今の人気が脆弱(ぜいじゃく)であることを知っているからです。
だから独裁政権にしたい。
そのためには今後も左翼呼ばわりはやめませんよ」

 北朝鮮を目の敵にしてきた印象の強い安倍首相が、実は金正恩と同じメンタリティーとは皮肉な話ではないか。

安倍さんはもともと自分に自信を持てず、気持ちに余裕がないのです。
だからほかの政治家みたいに批判的な意見に静かに耳を傾けることができない。
打たれ弱い性格なので、政策がつまずき支持率が落ちたら、また政権を放り投げるでしょう。
粘り腰で努力して責任を取ることはできないタイプ。
国民より、自分がかわいいからです」(関修氏)

 こんな人物に60%もの支持率。日本人は破滅の道を突っ走っているのか。
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2013年06月19日

「ありがとう」は疲れ癒やす 

香山リカのココロの万華鏡:「ありがとう」は疲れ癒やす
毎日新聞 2013年06月18日 東京地方版

 医療の仕事は大変だが、とても幸せな仕事だと思う。
それは「安定しているから」とか「収入が高いから」ではなくて、「患者さんや家族から直接『ありがとう』と言われるから」である。


 例えば、患者さんに「頭が痛くて」と言われ、診察の後に鎮痛薬を処方して、それがよく効いたとしよう。
そして、次の診察でその患者さんが「あのクスリで頭痛がピタリと治まった。
先生、ありがとう」と感謝を伝えてくれたとする。
こちらはいい気分になり、「私も腕が上がったな」などとひそかに悦に入るかもしれない。


 しかし、私は処方箋を書いただけで、一番感謝されるべきは「鎮痛薬を開発した人」だろう。
あるいは、その薬を製造した工場の人や薬局まで運んだドライバー、薬局で袋に詰めて患者さんに渡した薬剤師ら、関わっている人は他にも大勢いる。

その人たちも本来は「頭痛がよくなり助かりました」と感謝の言葉を伝えられてもいいはずだが、そういう機会はまずないだろう。


 「ありがとう」と言われるのと言われないのとで、そんなに違いがあるの、と思う人もいるかもしれないが、それが大違いなのだ。
同じストレスを受けても「お疲れさま」「よくやりましたね」と言われる場合と、まったく言われない場合とでは、その後の心身の回復には大きな差があるという医学的な仮説もある。
もっとわかりやすく言えば、「感謝は疲れを癒やす」のである。


 医師、看護師など直接、患者さんに向き合う仕事は、どんなに疲れていても「ありがとう、ラクになりました」と言われれば、心が満足感でいっぱいになり、「明日もがんばろう」という気にもなる。

だから、とても幸せな仕事だと言えるのだ。
そして、他の仕事や家事、介護に携わる人たちも、もっともっと「ありがとう」「いつもお疲れさま」「あなたの仕事で助かってますよ」と言われる機会が増えればいいのに、と思う。


 その前に私自身も反省しなければならない。
私は患者さんたちから感謝の言葉を伝えられるが、毎日、いろいろな仕事の人たちに「ありがとう」と言ったり、感謝の思いを持ったりしているだろうか。
決してそうとは言い切れない。
世の中には無数の仕事があって、そこで働く人たちがいるから私たちは毎日、こうして快適に生活できている。

それを忘れずに誰もが「みなさん、ありがとう」とつぶやきながら暮らせたら、もっと世の中のストレスも減るはずだ。

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右翼と言えない弱者いじめ

【右翼と言えない弱者いじめ】
<ヘイトスピーチ>法規制は言論の萎縮に 
       民族派団体「一水会」代表・木村三浩氏

(共同通信)2013/06/17 17:33

東京・新大久保などでの排外主義デモは「ネット右翼」が行っていると理解されているが。


 「領土問題を持ち出して韓国を批判するという点では『右翼的』と言えるが、その行動原理は右翼とは全く言えない。
例えば、右翼は日教組という組織を『偏向教育をやめろ』と具体的に批判して抗議活動をする。
しかし、『在日特権を許さない市民の会』(在特会)などがやっているのは、無差別に韓国人が多い地域の街頭で『死ね』『出て行け』といった言葉を放つことだけ。

世の不条理や既成権力と正面から向き合うという覚悟もなく、弱い者いじめの言動に終始している」


―デモでは日の丸も掲げられる。


 「日本には『和をもって貴しとなす』との精神があり、日の丸はその象徴。
そうした日の丸の前でヘイトスピーチ(憎悪発言)を行うのは、品位を著しく欠いた不届き者の行為だ。
そこには大義もなく、右翼思想としての鍛錬もない。
他人から認められたいという矮小(わいしょう)化された身勝手な承認願望だけが浮かび上がる。
本当に日の丸を掲げ、背負っていくだけの資格があるのか」


―日本と韓国、北朝鮮との現在の緊張関係を反映しているのか。


 「口汚くののしり、騒ぎ立てればいいという軽い発想しか感じ取れない。
韓国や北朝鮮との政治的対立について、それを批判すること自体は何の問題もない。
しかし『良い朝鮮人も悪い朝鮮人も皆殺し』などといった発言に対し、いったいどれだけの共感が得られるというのか。
大部分の人は不快感しか抱かない。

ネットの普及により、第三者の評価を受けずに自己の感情をそのまま表現できる場が生まれ、言論の質や内容が著しく低下した。
それを、そのまま路上で行っているのがヘイトスピーチだ」


―ネット右翼と呼ぶより単にレイシスト(人種差別主義者)と呼ぶべきか。


 「右翼の名に値しないおぞましい集団だが、本物のレイシストは、もっと理論武装して冷徹な行動をとる。
表面的に人種差別的な行動はとっていても、本質的にはレイシストではなく、いわば疑似レイシストだと考えている」


―ヘイトスピーチに法規制は必要か。


 「そうした意見が出てくるのは理解できるが、反対だ。
法律を掲げて国家権力が出張ってくれば、むしろ言論を萎縮させることにもつながる。
拡大解釈によって、政治家への抗議活動も規制されるようなことにもなりかねない。
また、法律をあえて破り、規制をかいくぐった陰湿な攻撃を仕掛けてくる集団が出てくるかもしれない。
結局はマイナス効果の方が大きいのではないか


―欧米などでは法規制がある。
ドイツなどでは憎悪犯罪としてただちに処罰される。


 「法規制のある国は、そもそも日本とは比べものにならないほど根深い人種間の対立がある。
社会の出発点と現在の状況が大きく異なるので、単純な比較はできない」


―では、どう対処すべきか

  「在特会などの主張がいかに荒唐無稽で恥ずべきものかを、社会全体で知らしめることが重要だ。
『こんな行動をとっても無意味で無駄だ』という自覚を促す。
徹底的に無視するのも一つの手段だろう。
そうなれば、自然と消滅していくのではないか」

   ×   ×

 きむら・みつひろ
 56年東京都生まれ。慶応大卒。
反米愛国などを掲げた新右翼「統一戦線義勇軍」初代議長などを経て2000年から現職。
著書に「右翼はおわってねぇぞ!」など。

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2013年06月20日

批判を受けた時こそ…

批判を受けた時こそ…
2013年6月19日 東京新聞「私設・論説室から」

 なぜ、こんな言い方しかできないのだろう。
なぜ、多くの人々の心に伝わるような話し方をしないのだろう。
問題が起きて当事者が釈明する会見を聞いていると、しばしばそう思う。

批判を受けて苦しいのはわかるが、最初からけんか腰になったり、切り口上で建前を繰り返すだけでは、かえって不信を増幅するばかりではないか。


 統一球問題が表に出て日本野球機構が開いた会見もそうだった。

現場で一部始終を見守っていたのだが、加藤良三コミッショナーは終始険しい表情、とがった声音を変えず、まるで吐き捨てるような調子で発言していた。
「私は知らなかった」「これは不祥事ではない」という主張もさることながら、そもそもそんな対応では真剣に耳を傾けようとする気もうせてしまう。
ファンや関係者に対して誠実に説明する義務を負う立場なのだ。
責任あるトップのとるべき態度とは到底言えない。


 全日本柔道連盟の上村春樹会長にもそれを感じる。
不祥事が相次ぐ中で会長の座にとどまり続けるのはなぜなのか。
こちらの会見でも、当然の疑問に真摯(しんし)にこたえようという様子は見えないように思う。

 もっとも、こんな見方もできるかもしれない。
批判を受けた時こそ、その人物の器量がわかる。
責任ある組織の長としてふさわしいかどうか、それこそ一目瞭然なのだ。
 

  (佐藤 次郎)
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沖縄にとって「6月23日」とは?

なるほど:沖縄にとって「6月23日」とは?
毎日小学生新聞 2013年06月20日

 23日(にち)は「沖縄慰霊(おきなわいれい)の日(ひ)」です。
この日(ひ)には毎年(まいとし)、沖縄県糸満市摩文仁(おきなわけんいとまんしまぶに)にある平和祈念公園(へいわきねんこうえん)にたくさんの人(ひと)が集(あつ)まって式典(しきてん)が開(ひら)かれます。
一体何(いったいなに)があった日(ひ)で、みんな何(なん)のために祈(いの)っているのでしょうか。
【文(ぶん)・竹花周(たけはなしゅう))】

◇ポイント

<1>沖縄戦(おきなわせん)で組織的(そしきてき)な戦(たたか)いが終(お)わった日(ひ)
<2>20万人(まんにん)を超(こ)える人(ひと)が亡(な)くなった
<3>死者(ししゃ)の半数近(はんすうちか)くが一般(いっぱん)の島民(とうみん)だった
<4>毎年(まいとし)、追悼(ついとう)の式典(しきてん)が開(ひら)かれている

◇沖縄(おきなわ)で組織的(そしきてき)な戦(たたか)いが終(お)わった日(ひ)

 太平洋戦争(たいへいようせんそう)が終(お)わる直前(ちょくぜん)、1945年(ねん)3月(がつ)26日(にち)にアメリカ軍(ぐん)が沖縄本島西側(おきなわほんとうにしがわ)の慶良間列島(けらまれっとう)に上陸(じょうりく)して沖縄戦(おきなわせん)が始(はじ)まりました。

島民(とうみん)を巻(ま)き込(こ)んだ3か月近(げつちか)い激戦(げきせん)の末(すえ)、旧日本軍(きゅうにほんぐん)を指揮(しき)していた牛島満中将(うしじまみつるちゅうじょう)が1945年(ねん)6月(がつ)23日未明(にちみめい)、摩文仁(まぶに)の洞窟(どうくつ)で自決(じけつ)(自殺(じさつ))しました。

沖縄(おきなわ)ではこの日(ひ)を旧日本軍(きゅうにほんぐん)の組織的(そしきてき)な戦(たたか)いが終(お)わった節目(ふしめ)ととらえ、戦争(せんそう)で亡(な)くなった人(ひと)の霊(れい)を慰(なぐさ)め平和(へいわ)を祈(いの)るための特別(とくべつ)な日(ひ)としてきたのです。

沖縄(おきなわ)がアメリカに占領(せんりょう)されている間(あいだ)は琉球政府(りゅうきゅうせいふ)が休日(きゅうじつ)と定(さだ)め、72年(ねん)に日本(にっぽん)に返還(へんかん)されてからも、学校(がっこう)はもちろん、県(けん)や市町村(しちょうそん)の役所(やくしょ)も休(やす)みになっています。91年(ねん)には、県(けん)が独自(どくじ)に条例(じょうれい)で休日(きゅうじつ)と定(さだ)めました。

◇沖縄戦(おきなわせん)では20万人(まんにん)も亡(な)くなった

 もっとも牛島中将(うしじまちゅうじょう)は自決(じけつ)する前(まえ)、部下(ぶか)に「最後(さいご)まで戦(たたか)え」と命(めい)じていたので、実際(じっさい)には戦(たたか)いはその後(ご)も続(つづ)きました。

「降参(こうさん)します」という文書(ぶんしょ)に沖縄(おきなわ)の旧日本軍(きゅうにほんぐん)がサインしたのは、終戦(しゅうせん)(8月(がつ)15日(にち))後の9月7日(がつなのか)。
(その間(かん)も、数多(かずおお)くの命(いのち)が失(うしな)われていったのです。

沖縄県(おきなわけん)の調(しら)べでは、沖縄戦(おきなわせん)で亡(な)くなったのはアメリカ兵(へい)も含(ふく)め約(やく)20万人(まんにん)。

うち沖縄出身者(おきなわしゅっしんしゃ)は、半数(はんすう)を超(こ)える約(やく)12万人(まんにん)にのぼります。
しかも、なんとその7割以上(わりいじょう)にあたる約(やく)9万(まん)4000人(にん)が、軍人(ぐんじん)ではない一般島民(いっぱんとうみん)でした。

◇悲惨(ひさん)な集団自決(しゅうだんじけつ)が繰(く)り返(かえ)された

 アメリカ軍(ぐん)は沖縄(おきなわ)の地形(ちけい)が変(か)わるほどすさまじく砲弾(ほうだん)を撃(う)ち込(こ)んだので、その様子(ようす)は「鉄(てつ)の暴風(ぼうふう)」と言(い)われました。

焼(や)け出(だ)された多(おお)くの住民(じゅうみん)は、ガマと呼(よ)ばれる洞窟(どうくつ)に逃(に)げ込(こ)んで隠(かく)れて暮(く)らすしかありませんでした。

でも後(あと)から来(き)た旧日本軍(きゅうにほんぐん)に追(お)い出(だ)されたり、アメリカ軍(ぐん)に追(お)い立(た)てられたりして逃(に)げ惑(まど)い、最後(さいご)は行(い)き場(ば)がなくなって手投(てな)げ弾(だん)などで集団自決(しゅうだんじけつ)するケースが後(あと)を絶(た)ちませんでした。

集団自決(しゅうだんじけつ)で亡(な)くなった人(ひと)の数(かず)は、諸説(しょせつ)ありますが、沖縄戦(おきなわせん)での一般島民死者(いっぱんとうみんししゃ)の1%あまりにあたる1000人以上(にんいじょう)と主張(しゅちょう)する人(ひと)もいます。

◇式典(しきてん)ではすべての死者(ししゃ)の霊(れい)を悼(いた)む

 毎年(まいとし)この日(ひ)は、激戦場(げきせんじょう)だった摩文仁(まぶに)に作(つく)られた平和祈念公園(へいわきねんこうえん)で、県(けん)などが「沖縄全戦没者追悼式(おきなわぜんせんぼつしゃついとうしき)」を午前(ごぜん)11時(じ)50分(ぷん)から開(ひら)きます。

公園(こうえん)には「平和(へいわ)の礎(いしじ)」と呼(よ)ばれる石碑(せきひ)が並(なら)び、そこには国籍(こくせき)や軍人(ぐんじん)、民間人(みんかんじん)の区別(くべつ)なく、沖縄戦(おきなわせん)などで命(いのち)を落(お)としたすべての人(ひと)の名前(なまえ)が刻(きざ)まれています。

その数(かず)は昨年(さくねん)の式典(しきてん)の時点(じてん)で24万(まん)1167人(にん)。
今(いま)も増(ふ)え続(つづ)けています。

式典(しきてん)では正午(しょうご)から、世界(せかい)の平和(へいわ)を願(ねが)って1分間(ぷんかん)の黙(もく)とうがささげられます。
今年(ことし)は皆(みな)さんも、少(すこ)しでいいから沖縄(おきなわ)のことを考(かんが)えながら一緒(いっしょ)に祈(いの)ってみませんか。


●ひめゆり
学徒隊(がくとたい


 沖縄戦(おきなわせん)の際(さい)、看護師役(かんごしやく)として沖縄陸戦病院(おきなわりくせんびょういん)に動員(どういん)された、沖縄師範学校女子部(おきなわしはんがっこうじょしぶ)と県立第一高等女学校(けんりつだいいちこうとうじょがっこう)の生徒(せいと)222人(にん)(15〜19歳(さい))と教員(きょういん)18人(にん)のことをひめゆり学徒隊(がくとたい)と呼(よ)びます。

兵士(へいし)らとともに南(みなみ)へと移動(いどう)していき、戦(たたか)いが劣勢(れっせい)になった1945年(ねん)6月(がつ)18日(にち)に解散命令(かいさんめいれい)が出(で)ましたが、半数以上(はんすういじょう)が亡(な)くなりました。
翌年(よくとし)、糸満市(いとまんし)に慰霊塔(いれいとう)の「ひめゆりの塔(とう)」が建立(こんりゅう)され、沖縄戦(おきなわせん)の悲劇(ひげき)の象徴(しょうちょう)として映画(えいが)や小説(しょうせつ)の題材(だいざい)となりました。


●アメリカ
世(ゆー


 太平洋戦争(たいへいようせんそう)が終(お)わった後(あと)も、沖縄(おきなわ)は長(なが)くアメリカの占領支配下(せんりょうしはいか)に置(お)かれました。

アメリカは沖縄(おきなわ)に琉球政府(りゅうきゅうせいふ)を置(お)いて統治(とうち)しましたが、朝鮮戦争(ちょうせんせんそう)やベトナム戦争(せんそう)などで沖縄(おきなわ)の重要性(じゅうようせい)が増(ま)し、アメリカ軍(ぐん)が農地(のうち)を無理(むり)やり軍事基地(ぐんじきち)に変(か)えていったため、住民(じゅうみん)と対立(たいりつ)することもしばしばでした。

1969年(ねん)の日本(にっぽん)とアメリカの話(はな)し合(あ)いにより、72年(ねん)に日本(にっぽん)に返還(へんかん)されました。
沖縄(おきなわ)では、この27年間(ねんかん)の統治時代(とうちじだい)を「アメリカ世(ゆー)」と呼(よ)びます。

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2013年06月21日

生活保護法改正(改悪)案

生活保護法改正案
記者の目:遠藤拓(東京社会部)
毎日新聞 2013年06月19日 10時39分

◇現場の不安に向き合え


 新しい「最後のセーフティーネット」は、各地で相次ぐ餓死や孤立死といった悲劇を未然に防げるのだろうか。


 1950年の施行以来初となる生活保護法の抜本改正案が、終盤を迎えた国会で審議されている。
働く受給者への支援を手厚くして生活保護からの脱却を促す一方、親族の扶養義務を強調する内容だ。

厚生労働省は「必要な人に確実に保護を実施する考えを維持しつつ、制度が国民の信頼に応えられるようにする」と説明するが、改正案は受給者への締め付けを強めたような印象を受ける。
必要とする人が受けやすくなったとは言い難いのではないだろうか。

◇バッシング受け、受給者引き締め

 改正案の中身はこうだ。
就労による自立を促すため、生活保護から脱却した時点で支給する給付金を創設する。
保護の申請時には、扶養義務がある親族の状況を記した書面の提出を義務付ける。
自治体については、親族に扶養状況の報告を求めることを可能とし、親族の財産や収入に関する調査権限も拡大する−−。


 民法の規定により、両親や祖父母、子ども、孫といった直系血族と兄弟・姉妹には、互いの暮らしを助ける義務がある。

保護の要件ではないが、改正案ではこの扶養義務が大幅に強調されることになった。
また、改正案は受給者に健康保持や家計管理の努力義務を課し、安価な後発医薬品(ジェネリック)の利用を促すとともに、不正受給に対する罰則を引き上げている。


 受給者側を引き締める条文が並んだ背景には、昨春から続く「生活保護バッシング」があるのだろう。
芸能人が生活保護を受ける母親への扶養義務を果たさなかったことが、不正受給であるかのように批判され、自民党も生活保護に厳しい姿勢を打ち出した。
厚労省は法改正が締め付け一辺倒とならないよう模索してきたが、流れを変えるものにはならなかった。


 これに対し、当事者や支援団体の声は一様に切実だ。
「国は『最後のセーフティーネット』を刑務所に任せようとしているのか」。

改正案が閣議決定された5月17日、ドメスティックバイオレンス(DV)被害にあった元受給者の女性は首相官邸前で抗議した。
改正が実現すれば、DVから逃げた自分のような女性は、元夫との接点ができることをおそれて受給をあきらめ、食べるのに困って犯罪に手を染めてしまうかもしれないという趣旨だった。

「法改正により、窓口で申請を門前払いする『水際作戦』が強化される」。
多くの支援団体はそう指摘する。

厚労省は否定するが、私もNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の協力で、何度か生活保護の申請に同行した経験から、同じ危惧を抱く。
生きる糧を失った人々にとって、自治体のケースワーカーは生殺与奪の権を握った「絶対権力者」だ。
悪意はなくても、彼らが扶養義務を強調すれば、家族との関係がこじれた人に申請を自粛させるのはそう難しくない。

◇「弱者だけ排除」担当者も懸念

 意外なことに、自治体関係者も、改正案を必ずしも肯定的にはとらえていない。
「就労による自立促進は評価できるが、扶養義務に関して調べることが増え、ただでさえ人手が足りない職場をさらに忙しくする」。
ケースワーカーを指導する立場にある中核市の査察指導員の感想だ。

東京都区部のワーカー経験者は「悪意のある不正受給を察知できないまま、立場の弱い申請者だけが排除されるおそれがある」と警鐘を鳴らす。

ある県の関係者は「しゃくし定規に運用すれば、間違いなく水際作戦の強化につながる」と認めた。


 立場こそ違うが、受給者側と自治体側は法改正の影響をもろに受けることになる。だから思う。

厚労省は本当に、こうした現場からの声を法改正に生かそうとしたのか、と。

振り返れば受給者も自治体の実務担当者も、制度見直しを議論する社会保障審議会(厚労相の諮問機関)特別部会の委員に含まれていなかった。
制度の抜本見直しにはそれで事足りると判断したならば、残念だというほかない。


 生活保護受給者は3月時点で216万人超と過去最多を更新し続けている。
改正案とセットで国会審議が続く「生活困窮者自立支援法案」が成立し、一歩手前で踏みとどまる仕組みが整っても、生活保護の重要性は変わらない。


 厚労省は改正案成立をゴールと思わず現場の不安や懸念に向き合ってほしい。
張り替えた安全網が機能不全を起こすのを見たくはない。

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2013年06月22日

室井佑月「安倍首相よ、女房の声に耳を傾けてみたら?

室井佑月「安倍首相よ、女房の声に耳を傾けてみたら?
※週刊朝日 2013年6月28日号
(更新 2013/6/21 11:30)

  福島第一原発事故を契機に注目度が高まった、
日本のエネルギー問題。
いまだ解決の道筋は見えないが、作家の室井佑月氏は安倍晋三首相に言いたいことがあるという。

*  *  *
 MSN産経ニュースによると、安倍晋三首相の昭恵夫人が6日に都内で講演し、「私は原発反対だ。(首相が)外に行って原発を売り込んでいるのに心が痛む」と語ったんだという。
なんだかあたしは、少し安心しちゃったな。
安倍首相のまわりにも、ちゃんとこういう意見の人がいるんだと思って。

 今の政府は、インドやトルコなどに日本の原発を売ろうとしている。
日本は2年前の東日本大震災で原発事故を起こし、その収束もうやむやなままなのに。
使用済み核燃料はどうする? 最終処分場は? てか、放射能はまだ漏れてるじゃん。

 福島の子供はこれまでに12人が甲状腺がんと診断され、さらに疑いのある子供が15人も出た。
通常、小児甲状腺がんが見つかるのは100万人に1〜2人程度。
福島の子供が甲状腺がんになる確率は、通常の85〜170倍だとする見方もある。

関東の鬼怒川支流で1万3300ベクレルの放射性物質を検出した、というのもニュースでやってた。
これについて、国土の20%が汚染されてしまったといっている人もいる。

 海外に原発を売るとき、こういう話はされているんだろうか。
それによって大金は手に入るだろうが、将来なにかがあったとき、責任は負えるんだろうか。

 その責任は今、行動を起こした人間が負うものじゃないかもしれない。
遠い将来、あたしたちの子供たちが背負わされるものかもしれない。
いいんだろうか。

 こういう話をすると、今、金を儲けなければ子供の将来も危うい、という人もいる。けれど昭恵夫人はこうもつづけた。
「(原発は)日本の大事な技術だと思う。
それは認めるが、原発に使っているお金の一部を新しいエネルギーの開発に使い、日本発のクリーンエネルギーを海外に売り込んだらもっといい
」と。

 女性らしい、すばらしい意見だと思った。
女は子供を産む性だから、今、そのときで将来を考えない。
将来とはあたしたちの子供、そのまた子供のことなのだと考える。
昭恵さんは子宝に恵まれなかったが、立派にこの国のお母さんだよ。

 安倍首相、最前線で今を戦っているのはわかるけど、女房の声にも耳を傾けてみたら?

 福島県漁業協同組合連合会と東京電力などの間で、福島第一原発の敷地内の地下水を海に放出するかどうかの話し合いがつづいている。
県漁連の組合長会議をネットで観たが、漁師さんたちの集まりだからか、男の人ばかりだった。
東電の説明者も男ばかりだし。両者とも家で女房に、「おまえはどう思う?」と聞いてみておくれ。賢明な答えが返ってくる気がする。

 いいや、この話は、東電や県漁連など一部だけでされてること自体がおかしいのであった。
海はつづいている。みんなのもの。子供だって知ってるさ。
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2013年06月23日

「島守」と慕われた(沖縄県)知事

週のはじめに考える「島守」と慕われた知事
2013年6月23日  東京新聞社説

 きょうは沖縄県の慰霊の日です。

激烈な地上戦で強いられた県民の犠牲を思うとき、「島守(しまもり)」と今も慕われる一人の知事を思い出さずにはいられません。


 島田叡(あきら)さん。
太平洋戦争末期、国内で唯一、住民を巻き込んだ大規模地上戦となった沖縄戦で散った、沖縄県最後の官選知事です。


 神戸市出身で東京帝国大学から内務省に入省した島田さんは主に警察畑を歩みます。
愛知県警察部長(現在の県警本部長に相当)、大阪府内政部長を経て、沖縄県知事就任の打診を受けます。
当時の知事は住民による選挙ではなく任命制でした。

◆死を覚悟した赴任

 一九四五年一月のことです。
すでに敗色は濃く、県庁のある那覇市も前年十月の大空襲で、市街地の大半が焼失していました。


 本土への進攻の途上、いずれ米軍が上陸し、地上戦の舞台となることが予想される、緊迫した戦況下での打診です。
死をも覚悟しなければなりません。


 いくら戦時中とはいえ断ることもできたでしょう。
しかし、大学野球のスター選手でスポーツマンだった島田さんには、逃げるに等しい選択肢はありませんでした。


 島田さんは赴任を即決し、その月の終わりには単身、沖縄県入りして、執務を開始します。

 戦時の知事として最も力を注いだのは県民の犠牲を最小限に食い止めることでした。
米軍の激しい攻撃にさらされながらも、県民の疎開と食糧の確保に尽力します。


 その仕事ぶりと人がらで、沖縄の人たちの信頼を得るまでに時間はかからなかったようです。


 四月に入ると米軍は沖縄本島への上陸を始め、日本の沖縄守備軍との間で激しい地上戦が展開されました。
しかし、物量に勝る米軍です。
守備軍は徐々に追い詰められ、南部へ撤退します。

◆「特別ノ御高配ヲ」

 島田さんも少数の県職員らとともに地下壕(ごう)を転々としながら南部に移動しますが、もはや県政の執行は困難です。
六月九日、県組織の解散を命じました。
命を無駄に投げ出さないように、と訓示して。


 沖縄戦では、海軍陸戦部隊を率いる大田実少将による海軍次官あて「沖縄県民斯(カ)ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」の打電が知られています。

 これは、本来報告すべき県組織がすでに通信手段を失っていたため、代わりに打電したものでした。

大田少将と島田さんとは「肝胆相照らす仲」だったといいます。
沖縄県民に対して後世特別の配慮を、というのは島田さんの願いでもあったのでしょう


 そして六月二十三日。
本島南部の摩文仁(現糸満市)に追い詰められた守備軍司令官の牛島満中将が自決し、日本軍の組織的戦闘は終わります。

島田さんもこの時期に摩文仁で最期を迎えたとみられますが、遺骨は見つかっていません。
四十三歳という若さでした。


 沖縄は、焦土と化した日本の中でも、原爆投下の広島、長崎とともに、特に大きな犠牲を強いられました。
約六十万県民の四分の一が亡くなったといわれています。


 日本の独立回復後も沖縄は七二年まで米軍統治下です。
「銃剣とブルドーザー」で土地が強制収用され、基地が造られていきます。


 本土復帰から四十年余りがたつ今も在日米軍基地の74%が沖縄に残り、県民は騒音や事故、米兵による事件など重い基地負担に苦しんでいます。

基本的人権の尊重をうたう日本国憲法よりも米兵らの法的特権を認めた日米地位協定が優先され、県民の人権が軽んじられるのが現状です。


 こうした状況の抜本的改善なくして、沖縄に本当の意味での「戦後」「復帰」は来ないのです。


 きょう、摩文仁の平和祈念公園で沖縄全戦没者追悼式が開かれ、安倍晋三首相が出席します。
今年は外相、防衛相も初の参列です。


 沖縄に寄り添う姿勢を示し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への「県内移設」に県民の理解を得たいのでしょう。
でも、県内で基地をたらい回ししても、基地負担は減りません。

◆犠牲を強いる構図

 米軍基地の重い負担を沖縄に押し付け、平和という果実を本土が享受する構図は、本土防衛の時間稼ぎのために沖縄を「捨て石」にした先の大戦と同じです。


 摩文仁には戦後、島田さんや県職員を慰霊する「島守の塔」が建立されました。
島田さんは沖縄のために尽力した「島守」と、今も県民に慕われています。 


 その島田さんが、沖縄の現状を見たら、何と思うでしょう。

 すべての国民が、沖縄の痛みを自分のこととしてとらえ、その改善に少しでも前進しなければなりません。
それが、死を覚悟して沖縄に赴任した島田さんの思いに応えることになると思うのです。

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2013年06月24日

「首相は憲法哲学を」古賀誠氏インタビュー

首相は憲法哲学を」古賀誠氏インタビュー
2013年6月23日 琉球新報
(聞き手 沖田有吾)

 23日の沖縄全戦没者追悼式に出席するため来県している日本遺族会顧問の古賀誠自民党元幹事長(72)が22日、琉球新報のインタビューに応じた。

派閥の領袖を務め、昨年引退した党の重鎮だが、父をフィリピン・レイテ島で亡くした戦争遺族としても知られる。
2日付の共産党機関紙のインタビューに応じ、憲法改正の発議要件を緩和する96条改正に反対したことが話題を呼んだ。
改憲問題や沖縄への思いについて聞いた。

 −なぜ96条改正に反対するのか。

 「国政に携わる人が憲法をきちんと勉強し、研究するのは当たり前のことだ。
しかし改憲の発議要件を過半数にするなど、ルールを勝手に変更するのはあり得ないことだ。
最高法規のハードルが高いのは当然で、一般法と同じようにする必要は何もない

 「戦後の廃虚から今の日本になったのは平和憲法が根底にあったからだ。
主権在民、平和主義、基本的人権の尊重という三つの精神を絶対に忘れてはいけないというのが私の哲学だ。
日本には立派な憲法があり、他国が何十回改憲していようと関係ない」

 −沖縄戦の慰霊祭に参列する意味は。

 「レイテ島を2000年に初めて訪れた。
父の無念さと憤りの声なき声を聞いたような気がした。
毎年沖縄で6月23日を迎えると、同じようにあの戦争はなんだったのかという気持ちになる。
国民を犠牲にするのは政治の最大の貧困だ。
平和の大切さを忘れないよう命ある限り毎年来たい」

 −戦争記憶の風化が課題となっているが。

 「ナショナリズム的なことに国民は格好良さを感じるところはあるが、我慢して耐えて耐えて次の世代にこの国に平和を残していくために何が大切かを発信する必要がある。
戦争を知らない人たちにきちんと伝えないといけない」

 「安倍晋三首相は右傾化しているとか軍国主義だとか言われるが、批判するのではなく、われわれが発信することで、安倍さんに国や憲法に対する哲学をつくってもらえればと思う。
大事な時だから、言うことは言わないといけない
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2013年06月25日

25日は朝鮮戦争の開戦から63年

余録:あす25日は朝鮮戦争の開戦から…
毎日新聞 2013年06月24日 02時00分

 あす25日は朝鮮戦争の開戦から63年になる日だ。
米軍占領下の日本の運命を激変させたこの戦争のことをもっと若者たちに知ってほしいが、近現代史教育の実情を見れば容易ではあるまい

▲戦場になった韓国での教育にはまた別の困難があるようだ。
先週、インターネットで見つけたニュースには仰天した。
ソウル新聞が高校生506人を対象に実施した調査で、約7割の生徒がこの戦争を「北侵」と回答したというのだ

▲これでは韓国が北朝鮮を先制攻撃したという話になってしまう。
実際にはソ連の支援を受けた北朝鮮軍の「南侵」だったことがソ連崩壊後の資料公開で確認済みなのに、史実に反する7割もの「北侵」回答はなぜなのか

▲この件で朴槿恵大統領は、左派系学者の影響があるとも言われる教育現場への不信がにじむ発言をした。
だが在京の韓国人記者やソウルの知人に尋ねると、違う種類の反応があった

▲「今どきの高校生は北侵、南侵なんて知らないのでは?」「言葉の意味が紛らわしくて、大人でも戸惑ったりする」「韓国史を入試の必修科目にしている大学はソウル大だけだ。
選択科目に選ぶ受験生も少ない」「先制攻撃したのは北か南かという設問なら大半は正答だったろう」

▲こんな話を聞けば韓国の高校生たちの「7割誤答」にもさほどの違和感がない。
もっとも朴大統領の見方も杞憂とは限らない。
北朝鮮はさっそく朴大統領を呼び捨てにした論評を発表し、大統領の発言を「民族反逆行為」などと非難した。
依然として朝鮮戦争は米国と結んだ韓国側からの「北侵」だったと強弁している。ため息が出るばかりだ。
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参議院戦、自公はどこまで減るか・・

私は今のマスコミ報道の 自公勝利などあり得ないと信じます。

彼らの傲慢さと民主主義の破壊勢力であることが 昨日・今日の参議院委員会ボイコットということで証明されました。

あと数日の会期なのに 「平田議長解任決議」の先行審議が先だと 屁理屈で委員会に出席しませんでした。

参議院厚生委員会委員長は、再三 与党と政府に出席要請をしましたが 応じませんでした。

今回私は、年金・障害者支援・生活保護・待機児童対策など重要課題が山積しているため 衆参の厚生委員会は 殆どネット中継でみていました。

政府委員がいなくても審議できる「丸川珠代厚生政務官」の労働者派遣会社のCM発言での「問責決議」を成立させたことが 良識の府の抵抗でしょう。

立憲民主主義・三権分立を蔑ろにした安部政権

参議院の自民党・公明党の出席拒否は 百歩ゆずって国会対策として黙認するとしても、行政府の内閣が 国会の出席要求を拒否することは、三権分立の立場からも認めるわけにはいきません。

どうせ 批判や問題点を追究されるのであれば 参議院の要請など無視して、衆議院で「みなし否決」→「再可決」でよいとでも居直っているのでしょうか・・・

与党がどうであれ、政府・行政は 真摯に委員会質疑に応じるべきなのです。
これは ファシズムともいえる危険な国会軽視です。

参議院選挙で大勝すればいい?

確かに世論調査やマスコミは 自公大勝としています。
今から 当落を 世論調査やマスコミ・御用学者などに予想されて、「有権者を馬鹿にするな!!」という気持ちになりませんか・・・・

自民党に何度も裏切られてきた支援団体の皆さん、今回も同じ過ちをするのですか。
創価学会の皆さん、「個人の苦難は 本尊への信心がたりない」と突き放され、弱者福祉の党ではなく 権力維持の手段と化した公明党を なぜ支持しなければならないのですか??

選挙権を放棄していた棄権者の方へ、私達の「国民主権」を実現する機会は 選挙権行使でしかできません。

本当の意味で 主権者として 議員・政党を選ぼうではありませんか?

今度の参議院議員選挙を 権力の監視のための良識の府「参議院」を守る上で みなさん一人一人に「国民主権」を行使していただきたいと思うのです。 

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2013年06月26日

内閣の憲法違反・疑義について

「最も恐れるべき罪は憲法に抵触すること」
みどりの会代表 谷岡郁子氏
2013年6月25日21時5分 朝日新聞デジタル

■谷岡郁子・みどりの風代表


 安倍晋三首相も私たち国会議員も、憲法99条によって憲法の擁護義務を課せられている。
私たちが最も恐れるべき罪は憲法に抵触すること。

(首相や閣僚が委員会審議に出席しないという)憲法違反、もしくはその疑義を看過するわけにはいかない。


 これを許すことによって憲法違反のハードルが低くなってしまえば、日本の立憲主義も法治主義もむちゃくちゃになる。

専制や人治主義の到来になってしまう。
これを国会会期末だから、と不問に付したら歴史の汚点になる。
(首相問責決議案を参院に提出後の記者会見で)



小だぬきみどりの風の議員の当選が危ぶまれています。
本来は 共産党の任務であるはずの 政策での共同行動を積み上げ、反TPPなどでの与野党の議員連盟結成の活動に大活躍。
民主党離党女子4名でスタートしました。
与党議員時代から「おかしいことはおかしい」「ダメなものはダメ」と切れ味のいい質問の数々。
大切に育てたい「みどりの風」です。

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衆参ねじれで働く「民主主義」

私は、今日の参議院本会議を見て 「平田議長不信任」案 否決、「安部首相問責決議」案 可決で
久しぶりに 参議院が「権力の暴走を食い止める防波堤」の役割を担ったと思います。

自公の与党議員は、マスコミのいう 「風」だとか「世論調査」で 優位だから 7月の参議院議員選挙で勝てると 選挙後の横暴の予行訓練を 参議院審議拒否・政府出席拒否でしたのでしょうが、
自公以外の 全野党を敵にしてしまい 野党議員にマスコミ予想を跳ね返し 選挙で勝つとの闘志に灯をつけてしまったのは誤算だったでしょう。

有権者の「考える仲間」のみなさん。参議院を衆議院のコピーにしてはなりません。

与野党のねじれ現象が、権力の横暴を阻止して 妥協点を探る「民主主義」の第一歩になるのです。マスコミ予想を 主権者の権利行使でハズさせようでは ありませんか・・・。

今、御用マスコミ・評論家・学者 総動員で 国政の安定のために「ねじれ解消」などと 大洗脳作戦にでていますが、安定・スピーディというのは 行政の思うがままの政治と同義語です。

「民主主義」は 少数意見や有権者の生活を守るためにも 話し合い妥協点を探す「時間」が必要な制度であることを忘れないようにしたいものです。(小だぬき)

**************************
また公認取り消し 自民党のユルすぎる“身体検査”

2013年6月26日 ゲンダイネット掲載

 26日で通常国会が閉じ、永田町は参院選モード全開。
そんな中、自民党にとっては幸先の悪いニュースだ。
安倍首相夫人の「アッキー案件」とされる候補者のひとりが、公認取り消しになることが分かった。
参院選の比例代表に立候補予定だったドッグトレーナーの田辺久人氏だ。

「昭恵夫人の関係ということで安易に公認してしまったのですが、週刊誌で教え子に対するパワハラやセクハラが報じられた。

過去には暴力団との交際もあったとされる。
党が調査したところ“どう考えてもアウト”ということになり、出馬辞退を勧告しました。
ところが本人がどうしても応じないため、公認を取り消すことになったのです」(自民党関係者)

 自民党は、つい先日も比例候補の田島みわ氏が出馬を取りやめたばかり。
暴力団関係者との交際報道が原因だった。
参院選まで1カ月を切ったこの時期になって、マル暴がらみで2人も公認取り消しなんて異例の事態だ。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏が言う。
「それだけ
タガが緩んでいるということです。
高支持率に浮かれて何でもかんでも擁立し、身体検査もろくにしていないから、今になって公認取り消しなんてことが起こる。
昔の自民党でも、ここまでヒドイ公認候補選びはありませんでした。
有権者をナメているとしか思えませんね

 25日の閣議後会見では、「(都議選に)勝って兜の緒を締めよという気持ちが重要」(古屋拉致担当相)、「そのまま参院選に行くほど選挙は甘くない」(麻生財務相)、「即座に参院選の圧勝に結びつくわけではないので気を引き締めないといけない」(田村厚労相)などと
慢心を警戒する発言が相次いだ。
裏を返せば、それだけ党内が浮かれているということだ。

<党内は派閥争い>

 自民党の中堅議員が言う。

「党内は『参院選で勝つのは当たり前、それより選挙後の主導権争い』という雰囲気です。
秋の党役員人事や内閣改造をにらんで、派閥の綱引きが始まっている。
麻生派と大島派は合流を模索しているし、谷垣さんも自分のグループを立ち上げた。

参院選では新人議員の大幅増も予想されるため、各派は公認候補の囲い込みに躍起です。
中でも強引なのが二階派。『国土強靭化計画』の公共事業バラマキをエサに衆院1年生を取り込み、所帯は29人にまで増えています。
参院選の比例候補に田島みわ氏をゴリ押ししたのも二階さんだし、比例区の70歳定年制も無視して71歳の大日本猟友会会長を公認候補にネジ込みました」

 守れないなら何のためのルールなのかという話で、さすがに党内からも批判の声が上がったが、二階は素知らぬ顔。
内輪の会合では「トシが1つ多いくらい何なのか。本当にバカバカしい」「敵は党内にいる」などと拳を振り上げていたという。

「結局、
自民党は何ひとつ変わっていないということです。すっかり昔の派閥政治が復活し、くだらない派閥争いを始めている。
公認取り消しや定年制の形骸化で分かるように、自民党の参院選戦略だって内実はガタガタなのです。
それでも、
野党が分裂したままでは自民党が勝ってしまう。
それで痛い目に遭うのは国民ですよ
(伊藤惇夫氏=前出)

 
こんな党に参院選で大勝させて本当にいいのか。有権者はよーく考えた方がいい。
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2013年06月27日

被災者置き去りを許すな!!

被災者置き去りで「20年東京五輪」
            に突っ走る政治家と大マスコミ
2013年6月26日  ゲンダイネット掲載

ブラジルは「W杯よりインフラ整備を!」と100万人デモ

<招致費用75億円>

 サッカーのコンフェデ杯が行われているブラジルが揺れている。
ワールドカップ(W杯)優勝は史上最多の5度。そのサッカー王国では今、1年後のビッグイベントを控え、100万人規模の反政府デモの嵐が吹き荒れている。

 今回のデモは、サンパウロのバスや地下鉄運賃の値上げに端を発したものだが、政府が来年のW杯に150億ドル(約1兆4700億円)もの巨費をつぎ込むことに対し「税金の無駄遣いだ」「もっと病院や教育施設に使え」と激怒しているのだ。

 政治家の汚職や福祉の遅れなどへの不満も募らせているとはいえ、ブラジルの人たちは、「W杯よりインフラ整備を」と言って立ち上がり、死者まで出している。

この現状を、東京に五輪を招致しようと躍起になっている人たちはどう見ているのだろうか。

 わが国は2年前の東日本大震災により、死者、行方不明者は2万人を超えた。
原発事故の影響などもあり、今も31万人以上の人たちが仮設住宅などで避難生活を強いられ、福島県内の除染も遅れている。
家も職も命までも奪われた被災者の惨状には目をつぶり、国や都は75億円もの大金をつぎ込んで「東京に五輪を呼ぼう」と必死だ。

 スポーツライターの工藤健策氏が言う。
「震災直後は日本中が東北のことを考え、たくさんの人が募金したり、ボランティアをしたりした。
時間とともに波が引くように現地の人たちへの関心は薄れていった。
そもそも東京電力の福島原発は関東圏に電力を供給するためのもの。
せめて東京近郊に住んでいる人たちだけでも、被災者に関心を持ち続けるべきではないか。
自宅で何ら不自由のない生活をしながら『東京五輪に賛成』というのはない。
石原前都知事は16年東京五輪実現を目指し、150億円の費用を使った。
猪瀬現知事はその石原都政を継承し、20年五輪の招致に税金を使い続けている。今やるべきことは五輪を呼ぶことより、被災者の環境整備です。
そういう声が大きくならないのが不思議でならない」

<五輪よりカネを使うことが山ほどある>

 東京農大客員教授でスポーツファンの松野弘氏は、「国民が黙っているのはメディアの責任も大きい」と言う。

今のメディアは権力と癒着している。
政府批判をすべき大手メディアが国民の立場に立っていないから、政策批判をしない。
朝日、読売、毎日などの大手新聞、テレビは政府の広報機関になっている。

五輪よりカネを使うべきことは山ほどあるのに、東京五輪が実現すればメディアもおいしい思いができるから推進派になっている。

昔は学生運動が政策批判をしたものですが、今の日本人は政府ベッタリのメディアに去勢されてしまった」

 25日、国際オリンピック委員会(IOC)は、20年五輪招致を目指す東京、イスタンブール、マドリードの「評価報告書」を公表。
東京は選手村から半径8キロ圏内に会場の8割以上を配したコンパクトな計画や輸送、財政などで良好な評価を受けた。

 ちなみに、20年五輪が東京に決まれば、競技会場や選手村などの建設費だけでも約3900億円かかるそうだ。
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2013年06月28日

立候補する人々 ぼくらはみんな「泡沫」だ 

(論壇時評)作家・高橋源一郎 
映画「立候補」
立候補する人々 ぼくらはみんな「泡沫」だ
 
2013年6月27日  朝日デジタル

 映画の試写が終わり、テーマ曲が流れ出した。
あれ?と思ったら、涙が出て止まらない。
こんなの何年ぶりだろう。


 「立候補」は、いわゆる「泡沫(ほうまつ)候補」たちを扱ったドキュメンタリーだ。
彼らは、奇矯な格好で登場し、時には演説や政見放送で、突拍子もないことを言って、失笑されるだけの存在だ。
正直にいって、ぼくも、そんな風に思っていた。

だが、彼らの選挙運動を追いかけたこの映画を見て、ぼくの浅はかな考えは打ち砕かれた。
彼ら「泡沫候補」の方が、映画の中に出てくる「有力政治家」の橋下徹や安倍晋三よりずっとまともに見えたのだ。

 
登場人物のひとり、マック赤坂はこう書いている。

 「『泡沫』候補なんて、選挙にはいない! みんながそれぞれ確かな信念と政策を持って、命がけで立候補している」

 ラスト近く、総選挙投票前夜の秋葉原、マック赤坂は、安倍晋三の登場を待つ万余の群衆の前に現れる。
そして、すさまじい罵声や「帰れ!」コールを浴びながら、たった一人で踊り続ける。その姿を見ながら、ぼくは気づいた。
あそこで「ゴミ!」と群衆から罵倒されているのは、ぼくたち自身ではなかったろうか。


 ぼくたちは、この世界は変わるべきだと考える。
だが、自らが選挙に出ようとは思わない。
それは誰か他の人がやることだ、と思っているからだ。

いや、もしどんな組織にも属さないぼくたちが選挙に出たら「泡沫」と呼ばれ、バカにされることを知っているからだ。
そんなぼくたちの代わりに、彼らは選挙に出る。そして、侮蔑され、無視され、罵倒されるのである。


 想田和弘との対談で、都知事選にも出馬した宇都宮健児は「制度として、市民自らが政治に参加しようにも参加できない仕組みが構造化されている」と言い、たとえば、「世界一高い供託金」のルーツは1925年に制定された普通選挙法に行き着くが、それは「当時の無産政党の国政進出を阻むため」だったのだ、と指摘する。

市民団体が政治に進出しようとすれば供託金の問題に直面し、逆に、既成政党は多額の政党交付金を受ける。

いまの政治制度が誰のために存在しているかは一目瞭然だろう。

    *
 参議院選挙が近づいているせいなのか、首相の安倍晋三が、さまざまなマスコミに顔を出し、発言している。


 たとえば、「少子化、人口減少にどう取り組みますか?」という田原総一朗の質問に対し「『女性が輝く日本』、仕事と育児が両立でき、生き生きと活躍できる社会の構築を打ち出しました」と安倍は答える。
そして、それを読んだぼくは、なんだかひどく憂鬱(ゆううつ)になる。
本気かどうか疑わしいから? ちがう。
この人に代表される「政治家」のことばが、よそよそしく聞こえるからだ。


 半世紀以上前、作家の武田泰淳は、ある政治家のことばに触れ、こんなことを書いている。

 「叱っている彼から、叱られているぼくらへ一本の路が通っているばかりで、叱られる者から彼への路は、全くとざされている。
この断絶のはなはだしさは、たんに彼ばかりでなく、ある種の政治家の文章が、たえずぼくらの頭上におっかぶせる暗さ、重くるしさである。


 『どうしてこのような、悲しむべき断絶が、人間と人間のあいだに起りうるのであろうか。
そして、まだまだこのような断絶から、ぼくらはしばらく、解放されそうにない』と言う、あきらめに似た不透明な霧のようなものが、ぼくらを包んでいる」


 既成の政治(家)への「あきらめに似た不透明な霧のようなもの」に包まれて、棄権票は不気味に増えている。
では、ぼくたちはどうすればいいのか。


 「オッサンくさい政治はもう飽きた」といって結成された「全日本おばちゃん党」は、いわゆる政党ではなく、インターネット上に存在するグループだ。

「大阪維新の会が出した『維新八策』の生活感のなさにあきれ」、対案として(果物のハッサクをあしらったイラストをつけて)「はっさく」を発表。
そこでは、「力の弱いもん、声が小さいもんが大切にされる社会がええねん」と主張されている。
橋下大阪市長の「従軍慰安婦」発言にも敏感に反応し、彼の発言を素早く各国語に翻訳し公開した。

怒りではなくユーモアを尊び、「ふつう」の人たちの感覚から離れない。
けれども、彼女たちの活動も、世間の「常識」からは「泡沫」といわれるのだろう。

    *

 最後に、先頃亡くなった、なだいなださんのことを書く。
なださんとは、同じ審議会の委員として月に一度、お会いする間柄だった。
深い経験に裏打ちされたなださんが話された後では、他の人たちの話が(ぼくも含めて)すべて薄っぺらに聞こえて困った。
そのなださんは、晩年、インターネット上に「老人党」を作り、平易なことばで、発言を続けた。
なださんは、絶筆の一つで、手術のできない癌(がん)にかかっていると告白した後、こう書いている。


 「正直言うと、どうせ死ぬんだから、ふがいない政治、今の社会をいっそ見放してしまえ、と冷めた気持ちになることもないとは言えません。
だけど私はやはり、生きている間は社会に責任があると思っています」


 なださんは「泡沫」がやがて大きな「波」になることを夢見つつ亡くなられた。
さようなら。お疲れさまでした。

    *
 〈1〉映画「立候補」(藤岡利充監督、29日〜公開)
 〈2〉マック赤坂『何度踏みつけられても「最後に笑う人」になる88の絶対法則』(6月刊行)
 〈3〉宇都宮健児・想田和弘 対談「政治を変えるために『選挙』を変える」(世界7月号)
 〈4〉安倍晋三インタビュー「憲法改正、靖国参拝 今日は本音で語ります」(聞き手・田原総一朗、中央公論7月号)
 〈5〉武田泰淳「二人のロシア通」(『政治家の文章』所収)
 〈6〉出田阿生「愛と勇気とおばちゃんが世界を救う!」(世界7月号、全日本おばちゃん党のサイトはhttps://www.facebook.com/obachanparty)
 〈7〉なだいなだ「人生の終楽章だからこそ“逃げずに”生きたい」(中央公論6月号)
    ◇

 たかはし・げんいちろう 
1951年生まれ。明治学院大学教授。
近刊は小説『銀河鉄道の彼方(かなた)に』。

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2013年06月29日

無風・しらけてはいられない参議院議員選挙

下記のような記事のように 私たち一人一人の有権者が「決意」すれば、自公勝利、参議院の衆議院コピー化を防ぐことができるのです。
「地殻変動は 可能なハズ」です。

共産党だけでなく 生活の党・みどりの風・みんなの党の現職は 絶対に参議院に戻したい。
生活の党の「森 ゆう子」新潟選挙区などは 是非 勝って欲しい。
みどりの風も 勝たせたい・・・・。

マスコミの洗脳「無風選挙」ではなく、「熱い選挙」にしましょう。

*************************
共産党 参院選も「大金星」の仰天情勢
2013年6月28日 日刊ゲンダイ掲載

選挙区で3議席獲得の可能性

 都議選で議席を8から17に倍増させた共産党。
満面の笑みの志位委員長は「自共対決の時代」と鼻息が荒い。

だが、さすがに都政と国政は違う。
小選挙区制の衆院選はもちろんのこと、参院選でも2001年を最後に共産党は選挙区で議席を獲得できていない。
今回もムリだろうと思ったら、想像以上の“地殻変動”が起きていた。

「参院選も都議選のような低投票率になりそうですから、共産党は選挙区でも3議席程度を獲得する可能性が出てきています。

自民党が行った最新の世論調査では、共産候補は東京(改選5議席)では4番目、大阪(改選4議席)でも4番目に入っていたそうです」(永田町関係者)

 東京と大阪に加えて、京都でもいい勝負になるという。

「東京では、現職を2人擁立する民主党が共倒れする可能性があり、みんなと維新の新人候補者は一定の知名度があるもののパッとしない。
票が分散し、共産が漁夫の利を得そうです。

自民、公明、維新、民主、共産の主要5党で4議席を争うことになる大阪でも、低迷する民主の間隙を縫って共産が浮上してきました。
改選2議席の京都はこれまで自民と民主で仲良く議席を分け合い、共産は圏外でしたが、今回はみんなと維新がそれぞれ候補を擁立したため大混戦。
当選ラインが大幅に下がりそうです。

京都は、過去に共産党府知事が出たほど、元来、共産が強い土地柄ですから、分かりませんよ」(前出の永田町関係者)

 民主が消費増税を先導し、維新やみんなは憲法96条改正に賛成。
安倍悪政と足並みを揃えているから、有権者にはこの3党は“対立軸”に見えない。で、共産党が批判票の受け皿になってしまうという構図なのだ。
政治評論家の野上忠興氏もこう言う。

「都議選を分析すると、組織票の戦いだったことがよく分かります。
自民は過去7回の国政選挙(比例)の平均の169万票より少ない163万票でした。公明も74万票に対し、10万票少ない64万票。
ところが共産は54万票に対し62万票でした。
つまり組織票にプラスアルファの自公批判票や民主批判票が上乗せされたと考えられます。
参院選でも同じことが起こるでしょう」

 自公圧勝予想に公示前からシラケムードの参院選。
驚きのニュースが共産の“大金星”ぐらいなら寂しすぎる。

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2013年06月30日

復興予算 デタラメ流用1兆円超

これを許していいのか お人好しの国民
2013年6月29日 日刊ゲンダイ掲載

<大震災復興のためと称して増税された所得税、住民税が官僚とヤクザに山分けされている>

 復興予算の流用がまた発覚した。
今度は電力会社の優遇策に消えていた。
28日付の朝日新聞がスッパ抜いたもので、原発停止による負担増の穴埋め策として、約100億円の復興予算を「基金」にプール。
電力会社が原発の代わりに火力発電所を稼働させる際、基金が新たな借り入れの利子分を肩代わりしていた。

 被災者を救うはずの税金を被災地をズタズタにした電力会社のために流用するとは、デタラメの極み。
原発事故の避難住民だけじゃなく、全国の納税者もこれを許していたらダメだ。

 復興予算の大半は臨時増税で賄われる。
今年1月から25年間もの長い間、所得税に税額の2.1%分が上乗せされ、さらに来年6月から10年間は住民税にも年1000円が加えられる。
震災復興のためと称して搾取されたカネを、こんな使い方をされたら腹の虫が治まらない。

 だいたい、政府は昨年秋に復興予算を「被災地以外では使わない」と決めたばかりだ。
自民党も野党時代には、沖縄の国道整備や反捕鯨団体の対策費などへの流用を批判していた。

 政権交代後に安倍政権は「5年で19兆円」という復興予算の枠を取り払って24兆円まで拡大。
根本復興相は「厳しく精査を行っている」と語ったが、その後も新たな流用はゾロゾロ。
復興予算のうち実に1兆1570億円が天下り法人や自治体が管理する「基金」に配られ、被災地以外で野放図に使われていた。

「特にヒドイのが、被災地以外の38都道府県の基金に渡った『震災等緊急雇用対応事業』です。
被災地向けの『緊急雇用』のはずが、雇われた被災者は全体の3%。
仕事の中身もゆるキャラやご当地アイドルのPR活動に、ウミガメを数える監視など、復興と無縁のものばかり。
こんなインチキ事業に約1085億円の復興予算が使われたのです」(野党関係者)

 安倍政権はこの問題で5月に参院決算委から警告決議を突きつけられた。
慌てて基金を運営する自治体や公益法人に、予算の執行停止と国庫への返還を指示したが、すでに手遅れ。
大半はすっかり使い切られ、わずかに残った金も「業者と契約済み」などと返還を渋られた。

 結局、戻ったのは1000億円ちょっとで、1兆円を超える復興予算がウヤムヤに消えてしまった。

「なぜ流用がまかり通るのか。
実態を明るみに出し、原因を徹底究明するのが納税者への務めです。

なのに安倍政権は今も流用実態にフタをし、ロクに調査も指示していません。
これでは流用を後押しするようなもの。
ただでさえ、基金に税金をプールされると、毎年の決算を免れ、チェックが届きにくい。
今後もひそかに流用される恐れは強いのです。

ここまでチェックが甘いと、目ざとい連中がかぎつけ、基金に巣くいかねません。
過去にも暴力団が基金を資金源として悪用した事件は多数あります」(流用問題を追及するジャーナリストの福場ひとみ氏)

 被災地のための血税を官僚とヤクザが山分けなんて冗談じゃない。
安倍は福島で参院選の第一声に臨む意向だが、「どのツラ下げて」と思えてくる。
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2013年07月03日

室井佑月「自分の立場を貶(けな)されたぐらいでキレんなや」

「水道橋博士さん、キレる所そこじゃねーから」
室井佑月 
週刊朝日2013年7月12日号

 テレビで共演した橋下徹大阪市長が「小金稼ぎのコメンテーター」と発言したことに怒り水道橋博士さんが番組降板を宣言した問題について、作家の室井佑月氏は問題にするところが違うと意見する。

*  *  *
 巷では、日本維新の会の共同代表の橋下徹・大阪市長と水道橋博士さんのテレビでのやりとりが話題になっている。
スナックに飲みにいったら、みんながその話をしていた。
やべぇ、完全に乗り遅れている?

 家に帰って、問題のテレビ番組をネットで観た。
6月15日放送の「たかじんNOマネー」という番組だ。

「橋下市長の『従軍慰安婦発言』問題アリ? 問題ナシ?」という質問に対し、コメンテーターは全員「問題アリ」と答えた。
ちなみに番組では視聴者投票も行っていて、そこでは約8割が真逆の「問題ナシ」だった。

その結果について橋下さんは、「やはり有権者の方は冷静だなと。小金稼ぎのためのコメンテーターとは違いますよ」と発言した。
その一言にムカついた水道橋さんは番組の最後に立ち上がり、「橋下さんが小金稼ぎといったので、僕、今日で番組を降ろさせていただきます」といって、スタジオから消えた。

 途中で帰ったら、小金を貰いはぐれちゃうよ。いいの?
 ええ、あたし、コメンテーターで稼いでおりますが、そのことでなにをいわれてもべつに構わない。
んじゃ、橋下さんがあたしの家族を食べさせてくれるのかって話で。

 ま、そんなことはどうでもいい。
今回の一連の橋下発言についてだ。

そもそものきっかけは、5月1日に橋下さんが沖縄県の米軍普天間飛行場を視察した際、そこの司令官に、「もっと真正面からそういう所(風俗業)を活用してもらわないと、海兵隊の猛者の性的なエネルギーをコントロールできない」などといったと、自らが記者団に明かしたことだ。

その話から従軍慰安婦問題にまで発展してしまった。
橋下さんが「従軍慰安婦は必要だった」とまでいって。

 それから、一部の人々やメディアが「橋下は女性蔑視である」と騒ぎ出したんだ。
海外からも文句いわれたしな。

女性蔑視? あたしは女だけどそう思わなかった。
もともとの橋下発言の意図は、この国にいるやりたい放題の米兵に対しての嫌味だったんじゃないの?

 慰安婦の問題にしても、それ自体があったかなかったかをメディアは蒸し返し盛り上げるのではなく、だから略奪やレイプが行われる戦争は厭(いや)だね、ってストレートな話になぜ進んでいかない?

 てか、橋下さんはそう思ってる?
 ならばなんで、憲法96条改正に賛成なの?

 とここまで書いて、ぶっちゃけ3万円じゃ。

あたしにとっちゃ大切な生活費だけどさ。
だから、叩かれたり嫌われたり、場合によってはすべての仕事を干されたりすることも想定している。
大事なのは、大金を積まれても意見を変えないこと。
3万と引き換えにしては怖いよ、この仕事。

 今の世の中でせっかく意見のいえる仕事をさせてもらっているのに、自分の立場を貶(けな)されたぐらいでキレんなや。
そこじゃねーから。
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2013年07月04日

障害者差別解消法 誰にも優しい社会へ

障害者差別解消法 誰にも優しい社会へ
毎日新聞社説 2013年07月03日 02時30分

 この国は障害のある人にとって優しい社会だろうか。
都市部の駅ではエレベーターの設置が進み、障害者雇用率も伸びている。
しかし、障害者への温かい視線や自然でさりげない助けを外国の街で見かけたりすると、考えてしまう。

グループホーム建設を周辺住民から反対される、障害を理由にプールの利用を断られる、「シンショー」と差別的な言葉を投げつけられる……。

そんな例は身近にいくらでもある。


 米国の障害者差別禁止法(ADA)が成立した1990年以降、同法制定の波は世界中に広がっていった。
2006年には国連障害者権利条約が採択され、すでに批准した国・地域は130を超えた。
日本はまだ批准していない。
政治体制や宗教や経済水準にかかわらず障害者差別は各国共通の課題なのである。
違うのは、差別の存在を認め取り組んでいる国なのか否かという点だ。


 遅れていた日本だが、障害者差別解消法がこの通常国会で成立した。
直接的な差別だけでなく「合理的配慮」義務も盛り込まれた。

例えば、入社試験で障害を理由に不利な判定をしないだけでなく、採用後に職場の段差をなくし障害特性に合ったコミュニケーション方法を導入するなどの合理的配慮を、過重な負担のない範囲で課すことを意味する。


 国や自治体など公的機関には合理的配慮を法定義務とした。
民間は努力義務にとどまるが違反した場合には監督官庁から指導を受ける。
虚偽の報告などには20万円以下の罰金が科されることがある。

教育、医療、福祉、公共交通、サービスなどの分野ごとに詳細なガイドラインを定め、合理的配慮を例示するという。


 これまではグループホーム建設などの際、行政は周辺住民の同意や説明会の開催を事業者側に求めてきたが、この法律では行政が住民の啓発や調整に責任を持つなど、国や自治体に差別解消の責務があることが明示された。
政府は差別解消の基本方針を定め、分野ごとに直接差別や合理的配慮の具体例を分かりやすく示したガイドラインを定める。


 中央には紛争解決機関を置かず、国のすべての出先機関と地方自治体が主体となる「差別解消支援地域協議会」を設置し、紛争になった際は障害当事者も交えて解決に当たる。


 3年後の施行に向けてガイドライン作成やモデル事業が実施されるが、混乱したり無力感に縛られたりして差別を自覚できない人も多い。

啓発や相談活動を通して潜在的な差別の掘り起こしに努めるべきだ。
それぞれの違いを理解し合い、多様性や包容力のある社会を目指したい。
障害者だけでなく、すべての人に優しい社会にしなければならない。

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2013年07月05日

参院選公示 お任せ民主主義、脱して

参院選きょう公示 お任せ民主主義、脱して
2013年7月4日  東京新聞社説

 きょう公示される参院選は、日本の将来を決める重要な選挙だ。
暮らしや憲法、原発をこの先どうするのか。岐路に立つとの自覚を持ち、論戦に耳を澄ませたい。


 今回は補欠選挙を除き、昨年十二月の第二次安倍内閣発足後初の国政選挙だ。われわれ有権者には安倍晋三首相がこの半年間に進めた政策や政権運営に対する「中間評価」を下す機会となる。

 今回からインターネットを利用した選挙運動も可能になる。
各政党の公約、候補者の発言を吟味して、二十一日の投票日には貴重な一票を投じたい。

◆経済、消費税が争点に

 争点の一つは、安倍首相が主導する経済政策の是非だ。


 首相は、デフレ脱却による日本経済再生に向けた「三本の矢」として、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を呼び込む成長戦略」を進めている。


 新政権発足後、市場は円安、株高に動き、輸出企業を中心とする収益改善で、経済指標に徐々に明るさが見られ始めたのは確かだ。


 しかし、首相自身が認めるように、国民が景気回復を実感するまでには至っていない。
民主党をはじめとする野党側は、賃金が上がらない中での物価上昇、住宅ローン金利の上昇など「強い副作用」が起きていると批判している。

 首相主導の経済政策をこのまま進めるのか否かは、投票の際の判断材料となるだろう。


 二〇一四年四月から二段階で5%引き上げが決まっている消費税増税の可否も問われるべきだ。
増税が景気に悪影響を与え、税収が落ち込んだら本末転倒だからだ。


 みんなの党、生活の党、みどりの風は凍結、共産、社民両党は中止を公約している。
増税を当然視するのではなく、その妥当性をあらためて議論すべきではないか。

◆憲法改正、脱原発を左右

 六年前の第一次安倍内閣当時、自民党は参院選で惨敗し、与党が参院で過半数に達しない「ねじれ」状態に陥った。
その後、首相が一年で交代する混乱が続く。

 首相は参院選を「親の敵」と位置付け、「ねじれに終止符を打つ責任が私にある」と必勝を期す。


 昨年十二月の衆院選に続いて、参院選でも勝利し、ねじれ状態を解消して初めて、政権奪還が完成すると考えているのだろう。


 首相は第二次内閣発足後、持論としてきた憲法改正や集団的自衛権の行使容認など、いわゆる「タカ派的」政策を極力抑え、デフレ脱却による経済再生を最優先課題に掲げてきた。


 内閣支持率の高止まりは、有権者が経済優先の政治姿勢をとりあえず支持しているためだろう。

 首相は今後三年間、経済優先の政権運営を続ける意向を示している。しかし、選挙結果次第では豹変(ひょうへん)するかもしれない。


 例えば、憲法である。

 首相は憲法改正に向けて、これまで参院選後の連携を視野に入れていた日本維新の会やみんなの党に加え、民主党の改憲派をも巻き込む考えを表明した。


 憲法改正の発議要件を緩和する憲法九六条改正論は、世論の反発でトーンダウンしているが、いつ息を吹き返すか分からない。

 憲法を改正すべきか否か。改正を主張する各党は、何を変えようとしているのか、果たしてそれは妥当なのかなど、判断の材料は多岐にわたる。
各党間の活発な論戦を期待したい。


 もう一点は、原発だ。自民党は衆院選で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」ことを公約したが、参院選公約には盛り込んでいない。

 その一方、原発再稼働に向けて地元自治体を説得することを公約に書き込み、首相自身は原発をトップセールスで海外に売り込む。


 「脱原発」をほごにしたのならそれは民主党の消費税増税強行と同じく、重大な公約違反である。

 同じ与党の公明党は原発ゼロを目指す立場を鮮明にする。政権としての整合性をどうとるのか。
 原発ゼロを公約した各党も、掛け声だけでなく、実現可能な代替エネルギー案を示す責任がある。


 憲法や原発は、国民の運命を決する重要課題だ。
候補者は所属する政党の大勢におもねらず、自らの考えを堂々と述べてほしい。

◆一票の積み重ねが力に

 今回はいつにも増して重要な参院選だ。
衆院解散がなければ三年間は国政選挙がなく、この機を逃せば当面、有権者が選挙で意思表示する機会はない。
自民党が勝てば、首相はフリーハンドを得る。

 棄権したり、何となく投票したりの「お任せ」民主主義を続けては、政治はよくはならない。

 暮らしを豊かにするのはどの政党、候補者か。
公約や人物を吟味して投じる一票一票の積み重ねこそが、大きな力となるはずだ。

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2013年07月06日

ネットの炎上は「集団パニック」

小倉千加子 ネットの炎上は「集団パニック」
※週刊朝日 2013年7月12日号

 誰もがネットを通じて、気軽に意見を発信できるようになった昨今だが、「炎上」が問題になることも多い。
心理学者の小倉千加子氏は炎上を一種の集団パニックだと仮定し、次のように説明する。

*  *  *
 テレビを見ていたら、ブログで「失言」をした岩手県議が自殺か、というニュースが流れてきた。
県議会で辞職勧告が決議されるかもという状態で、自分のしたことをさぞかし後悔しているだろうとは思ったが、自殺するとは思わなかった。

 しかし、一緒にテレビを見ていた父の驚き方は違った。

「何? 病院で怒った人が自殺した?」「まあ、日本中を敵に回したことになるし、県議を辞職させられるし」「何という弱い人か。
辞職しても生きていればいい。死ぬことはない。弱いねえ、弱いねえ」。

 89歳の父は食事の手を止めて溜息を吐いている。
『新潮45』6月号で、この県議のことを指したわけではないが、次のような文章を私は読んだばかりだった。

「興奮すると失言しやすい人や、SNSでプライバシーの公開範囲の調整の仕方が分からない人は、気軽にSNSに手を出し、軽はずみな発言をしない方がいいということである。

一部でツイッターが『バカ発見器』と呼ばれているのは、140文字の短い文字数が『興奮』を伝えるのに手軽なツールであり、誰しも『馬鹿な発言』をしてしまう可能性があるからだろう。

普段は言葉を選んでつぶやいているつもりでも、私たちは、酒を飲んだ時や、気分に変調をきたした時に、スマートフォンが手許にあるリスクを考慮に入れて生活する必要がある。
ウェブ上の世界は、一つの失言で赤の他人を『人生の落とし穴』に引きずり込もうとする『暇な人たち』であふれているのだ」(「ネットで人生台無しになった人たち」酒井信)

 県議が「人生の落とし穴」に引きずり込まれたのは「馬鹿な発言」をしたからだと考えることと、県議が引きずり込まれた「人生の落とし穴」に最後に自ら本当に落ちたことが「馬鹿な(=弱い)行為」だと考えることは全く違う。

 ネットの「炎上」を一種の集団パニックと見なすなら、この県議への辞職勧告決議や、ひょっとすると自殺までをも已(や)む無しと思った時点で、人は(=私は)集団パニックに陥っているということになる。

 集団パニックとは何か。集団が統率の取れている時には、個人の行動も感情も抑制されている。
軍隊であれば上官にあたるのが、個人の規範であり理性である
しかし、劇場で出火した時には集団の司令官はいなくなり、個人は強い感情を抑え込むことができなくなる。

「集団でありながら、集団の体をなしていない時の現象」、それがパニックである。
そこに表れ出てくるのは、「今まで抑圧されてきた、他人に対する容赦のない敵対的衝動」である。

 劇場の「炎上」ではなく、ネットの「炎上」では、誰かの「発言」が突発的に怒りに油を注ぐことで、個人は即座に司令官のいない状態に解体される。
今まで従属していた人物や配慮しなければならないとされてきた人物への攻撃は、無意識に抑圧されてきた分、なおさら容赦のないものとなる。

 ヘイトスピーチもDVも「炎上」も、同じ性質を持っている。
人間が個人として獲得してきたものの輪郭を常に明晰に保ち理性的な状態にとどめるためには価値体系としての司令官が必要である。

パターナリズム(父権主義)は集団を統率する上では非常に有効である。
ただし、パターナリズムは内部(家族)を守るために外部に敵を想定しなければならない。
安心のために人は闘わねばならない。

そういう二義性を日本人は選んでいる。
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2013年07月07日

<2013岐路> 国のかたち変えるのか

<2013岐路>憲法問題
                  国のかたち変えるのか
2013年7月6日  東京新聞「社説」

 参院選の大きな争点は、憲法問題だ。
改憲勢力が三分の二を制すれば、憲法改正が一気に現実化しうるためだ。
「国のかたち」を変えるのかが、問われている。


 社会が暗く、閉塞(へいそく)感が覆う。
格差社会は深刻だ。
低所得者があふれ、生活苦にあえぐ。
若者も未来に希望が持てないでいる。


 憲法改正によって、さまざまな社会問題や国際問題が解決するわけではない。けれど、そんな幻想がまとわりついていないか。危うさを覚える中での選挙だ。

◆3分の2のせめぎ合い

 自民党が憲法改正草案をつくり、堂々と公約に掲げている。
国防軍の創設をうたう九条改正や、改憲の発議要件を「三分の二」から「過半数」へと緩和する九六条改正…。
日本維新の会もみんなの党も、憲法改正をめざしている。


 自民と維新、みんなを合わせた改憲勢力は衆議院で、三分の二のハードルを越えている。
議席数で実に76%にも達し、発議要件を十分、満たしているのだ。


 安倍晋三首相は「次期国会で直ちに発議しない」と発言したものの、参議院でも三分の二を超えれば、憲法を改正する千載一遇のチャンスを与える。

 その意味で、こんな参院選は近年にない。改憲か、護憲か−。現実的な数のせめぎ合いになる。


 国民主権、基本的人権、平和主義などの骨格に支えられた憲法は、国民生活に深く染みいり、現実に戦後は平和で自由な社会を築いてきた。
選挙の結果次第で、この「国のかたち」が、変貌してしまうかもしれない。


 参院選は日本の岐路となる歴史的な選択なのだ。それゆえに、われわれは日本国憲法の意義をあらためて、かみしめるべきだ。

 「国民の手に憲法を取り戻す」と首相は語った。では、今まで国民は憲法を握っていなかったのか。

◆権力は鎖で縛らねば

 学校教育などを通じて、多くの国民が親しみを持つ法典である。
逆に、そもそも今、なぜ憲法改正が必要なのか。疑問に思う。


 むしろ、占領下の米国によってつくられた「戦後レジーム」からの脱却を唱えてきた首相が、改憲への風をあおり立てている。
「三分の一を超える議員が反対すれば、国民は指一本触れられない」とも首相は述べた。

 しかし、国会議員を投票で選んでいるのは、国民である。

憲法施行から六十六年間も、改憲を阻んできたのは、国民の意思表示と受け取るべきだ。


 「国民の手に憲法を取り戻す」という言葉とは裏腹に、まるで自民党の改正草案は「権力の手に憲法を」と主張しているかのような中身である。


 現行憲法の前文は「日本国民は」で始まるのに、改正草案は「日本国は」を主語に国家観が語られる。出発点から異質なのだ。


 「日本国民」を主語にした文脈では「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」「和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合う」ことが要求される。

 国民の自由と権利の条項には「常に公益及び公の秩序に反してはならない」と、言葉が加わる。義務がやたらと目につく。


 何よりも、まるで一般の法律のように、国家権力が国民を拘束しているかのようだ。立場は逆であるはずだ。


 国民が国家権力を拘束するのが、本来の憲法の姿である。立憲主義では、たとえ国民が選んだ権力であれ、力を乱用させない「権力を縛る鎖」なのだ。


 その憲法を国民の名を借りて、権力側が自らつながれた鎖をほどこうとする改憲などありえない。改正草案を見る限り、時計の針を古い時代に巻き戻しているような印象だ。


 果たして自民党のすべての議員が、改正草案を支持しているのだろうか。
戦争体験のある同党議員OBらは、公然と「改憲反対」を唱えている。
議員一人一人の考えを聞いてみたいものだ。


 民主党は九六条改正には反対するが、改憲自体には「未来志向の憲法を構想する」と述べ、国民との「憲法対話」を進めることにとどまっている。
やはり党内には、憲法に対する意見は、賛否両論が渦巻いているのだろう。


 公明党は、環境権や地方自治の拡充で新たな理念を加える「加憲」の立場だ。
政党によって、また議員個人の信条によって、憲法への考え方は多様である。

◆声をじっくり聞いて

 本紙は憲法を守る精神に立つ。
自由や平等など人類の英知を集めた憲法をより生かすことで、現在の苦境は乗り越えられよう。

「国のかたち」を変えうる国政選挙だけに、有権者は各立候補者が訴える声をじっくり聞いて、「一票」の判断をしよう。

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2013年07月08日

自民公約「ブラック企業対策」コッソリ削除

自民公約「ブラック企業対策」コッソリ削除
2013年7月6日   ゲンダイネット掲載

逃げるな安倍首相!

<ワタミがあてはまっちゃうからか>

「なぜ、公約からブラック企業対策を削除したのか」――。
自民党の参院選公約について批判が噴出している。
今年4月、ブラック企業対策を提言した自民党は、参院選の公約に反映させるとしていた。
ところが「マニフェスト」からすっぽり抜けているのだ。
ブラック企業の代名詞「ワタミ」の創業者、渡辺美樹(53)を公認したために、都合が悪くなり、土壇場で削除したのではないか。

<企業名「公表」の提言も消える>

 自民党の「雇用問題調査会」は4月、従業員に低賃金と長時間労働を強いているブラック企業に強く対峙する方針を打ち出していた。

〈サービス残業など法違反が疑われる企業には、労働基準監督署の立ち入り調査を行う〉〈企業名の公表について検討を行う〉と、ブラック企業名を「公表する」としていた。

 自民党の提言案に、ネット上は歓迎ムードが強かった。
20代、30代の多くの若者が、ブラック企業に苦しめられているからだ。
ところが、蓋を開けてみたら、自民党の公約には、ブラックのブの字も載っていないのだ。

 さっそく、ネット上では、ブラック企業「ワタミ」の渡辺美樹オーナーを公認候補としたから、公約から削除したに違いない、と批判の声が渦巻いている。

「もし、ブラック企業名を公表するとなったら、真っ先に上がるのはワタミです。
なにしろ、ワタミは2年連続〈ブラック企業大賞〉にノミネートされている。

全社員に渡されるワタミの理念集には〈365日 24時間 死ぬまで働け〉と書かれ、その結果、長時間労働でうつ状態になった26歳の女性社員が飛び降り自殺しています。
さすがに、自民党もブラック企業について公約で触れるわけにはいかなかったのでしょう」(政界関係者)

 要するに安倍自民党は、労働者が「ブラック企業」に酷使されようが、どうでもいいのだ。
渡辺美樹を公認したのだから、ブラック企業を肯定したも同然である。
しかし、このままでは、被害者は増える一方だ。
若者の労働相談に取り組むNPO法人「POSSE」の今野晴貴代表はこう言う。

「ブラック企業は、IT、外食、小売り、介護などの新興産業に圧倒的に多い。
古い企業は、労働時間や賃金など、労働環境を整備していますが、新興企業は無視しているケースがよく見られます。

ITなどの新興企業は、この10年間、利益を上げても労働者に還元せず、社員を使い捨てにすることで、さらに利益を拡大させてきた。

原因は、やはり労組がないことと、社会が批判しないできたことです。
社会から強く批判されれば、さすがに新興企業の経営者も考えざるを得ない。
ブラック企業だと非難されることの多いユニクロも、4月から店長の月給を3万円上げています」

 ブラック企業を一掃するには、政治が先頭に立つしかないのだ。
なのに、安倍首相はブラック企業とタッグを組んでいるのだから話にならない。
参院選で自民党に一票を入れようと考えている有権者は、よく考えるべきだ。
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2013年07月09日

日米安保が憲法の上位にあり続ける沖縄

古堅実吉(ふるげんさねよし)さん、  
  84歳は闘い続ける
2013年7月8日  東京新聞「私設・論説室」

 早朝に家を出る。沖縄県宜野湾市の普天間飛行場ゲート前に駆けつけると、米軍新型輸送機オスプレイの配備反対デモに加わる。

午前中はさらに北上し、飛行場の移設先とされる名護市辺野古の海岸で座り込む。

午後も北へ、ヘリ基地の新設工事が行われている東村高江で抗議に加わる。


 那覇市の元衆院議員、古堅実吉(ふるげんさねよし)さんの水曜はずっと「米軍基地反対」に費やされている。
自ら車を運転し、沖縄本島を縦断する。八十四歳になった今、体力的にきつくもあるが「沖縄は一つ。これ以上、基地は許さない」と心を奮い立たせる。


 原点は沖縄戦にある。
当時十五歳、師範学校の一年生だった。
「鉄血勤皇隊」の一員として戦場にかり出され、大勢の仲間を亡くした。
「命(ぬち)かじり(命がけ)」で、平和な沖縄をつくる−。

そう誓った古堅さんは
戦後、苦学して法律家となり、米軍統治に苦しむ沖縄の解放にかかわった。


 だが、祖国復帰後も、日米安保が憲法の上位にあり続ける沖縄では基地が集中し、米兵の犯罪が絶えない。
基本的人権というものは、軍隊のない平和があってこそ築かれるのです


 古堅さんは、戦後レジームからの脱却を唱え、改憲を掲げる政権の無謀さにあきれる。
名実共に「軍隊を持つ国」になってしまったら、耐えられない犠牲を払ったあの戦争の教訓はどこにいく−。
戦後の終わらない沖縄から、祈るように見詰めている。 
             (佐藤直子)

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2013年07月10日

公示後もべつに意見をいってもいいんじゃね

室井佑月「公示後もべつに意見をいってもいいんじゃね」
2013年7月10日(水)7時0分配信 dot.(ドット)
※週刊朝日 2013年7月19日号

  7月4日に公示された参議院選挙。作家の室井佑月氏は、マスコミが行ってきた公示後の自主規制に関して、次のように持論を展開する。
*  *  *

 この原稿を書いているのは7月1日。
あと3日で参議院選挙が公示される。
この原稿がみなさんの目に触れる頃には、選挙戦に突入している。
あたしは文章を書くようになって17年、テレビに出るようになって13年だが、公示後に選挙について語るのは良くないことだと業界の人々に教えられてきた(厳格にではないが、絶対であった)。
公示後、選挙について大っぴらに語ってよいのは、完全に中立をうたっている媒体だけ


 で、今までそれを守ってきたわけだけど、それは法律とかできちんと決められているわけじゃないんだね。
業界の暗黙のルールみたいなもん。

公職選挙法を調べてみたら「不特定多数への法定外文書図画の頒布」は禁止されているが、それは公示日から投票日前日までの候補者の情報発信が制限されるってことみたいだ。

特定の人物の応援や、特定の人物のスキャンダルでなければ、べつに意見をいってもいいんじゃね。てか、いうべきなんじゃね。


 そしてこの国がどういう方向の未来を目指すのが良いのかわかりづらい今、報道機関も個人で意見をいって飯を食っている人も、政党の批判や政策の非難は、もっとビシバシしつこいくらいにやるべきだとあたしは思う。
本気で、投票率を上げたいのであるのなら。


 メディアでは選挙前になると、「選挙に行きましょう」と盛んに報道する。
けど、それだけじゃ駄目なんだ。

国民が選挙に行くのは義務じゃない、権利なんだ。


 自分の権利をいちばん有効に使うにはどうしたらいいか、もっと詳しく教えてくれよ。

あたしの望んでいる未来について、この政党は真逆のことを考えていて、この政党はまだマシ、みたいなことだ。
選挙になればどこの政党も良い話しかしなくなるし、悪い話は隠そうとするから、できるだけその隠した部分を暴いて欲しい。


 たとえば原発について、TPPについて、この国の弱者について、あんたら本音ではどう思っているの? 
強烈に知りたくなるのは、やっぱ公示後だ。

普段は自分の生活にいっぱいいっぱいで、権利について考える余裕がないもの。

選挙カーが走り回っているのを見て、ようやく自分の権利について思い出す。
とにかく、公示後の意味の無い発言規制をなくして欲しい。
報道機関も中立にこだわるあまり、中立になっていないのではないかと思う。


 現状のままでは既存の力があるところが有利だろう。
だって、報道機関は公示前も記者クラブ制度などにより、報道が一律で一方通行なんだから。


 あたしもなんでもっと早くにこの問題について、書けなかったかな。
公示後の注意をされなきゃ、思い出せなかった。
書きたいことがほかにもたくさんありすぎて。

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2013年07月11日

で、参院をどうする?=与良正男

熱血!与良政談:
で、参院をどうする?=与良正男
毎日新聞 2013年07月10日 13時33分
            (最終更新 07月10日 13時34分)


  「参院選が近づくとかえって参院改革論議はしぼんでしまう」と本欄でぼやいたのは5月末だった。
悪い予感だけは、なぜか当たる。

案の定、参院選が始まって以降も「参院をどうすべきか」の議論はさっぱり盛り上がらない。


 なぜ、議論が必要なのか。
毎日新聞をはじめ報道各社の序盤世論調査によれば、自民と公明の与党2党が非改選を含めて参院で過半数を確保するのはほぼ確実な情勢という。
つまり、ここしばらく大問題になってきた「衆参ねじれ」がなくなる可能性が大きいということだ。


 そうなれば政府・与党が提出する法案は格段に成立しやすくなる。
首相に対する参院の問責決議など「政局の道具」も使えなくなるから今の安倍政権は安定するだろう。

だが、そうなったらなったで、今度は衆院と同じ結論になるのなら参院の存在意義はどこにあるのかという問題が改めて出てくるに違いない。


 フランス革命初期の指導者、シェイエスの有名な言葉がある。


 「第2院は何の役に立つのか。もし第1院に一致するならば不要であり、反対するならば有害である」


 第2院とは日本でいえば参議院のこと。

1989年の参院選で与野党が逆転する前は参院は衆院の「カーボンコピー」(今や死語に近いが)と言われたものだが、またその時代に舞い戻るかもしれない。


 ねじれようが、ねじれまいが、参院は何のためにあるのかという根本的な問題について、これまで与野党がきちんと議論してこなかったツケは大きいと今さらながら思う。


 かねて私は多数派の独走を抑える「抑制」と、衆院の議論の足らざる点を補う「補完」、あるいはよりよい結論にする「修正」が参院の役割だと考えている

例えばドイツの連邦参議院は公選を経ない地方代表で構成し、州に関する政策に権限を持たせている。
それも一つの方法だ。

そして憲法改正論議はこうした国会の仕組みの問題から始めた方がいいとも思う。議論の糸口はいくらでもあるのだ。


 今度の参院選では、みんなの党や日本維新の会が1院制への移行を公約に掲げているが、私たちメディアも含めて総じて関心は低い。
でも今からでも遅くない。何しろ当選した議員には6年間も第2院の審議を任せるのだから。(論説委員)

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この国で生きていこうとしたら、あきらめたら終わりです。

(インタビュー)生活保護とバッシング 
  マンガ原作者・行政書士の田島隆さん
2013年7月10日  朝日新聞デジタル

 生活保護たたきがとまらない。
「最後の安全網」であるはずの生活保護に、なぜ厳しい視線が注がれるのか。
「カバチタレ!」などのヒット作で知られるマンガ原作者の田島隆さんに聞いた。


 ――なぜ生活保護バッシングが止まらないのでしょうか。


 「バブル崩壊後の長い不況で、働いても働いても生活は楽にならない。
正社員になる壁は高く、将来の展望が描けない。
生活が苦しい人ほど、被害者意識のようなものが芽生え、自分よりも弱い立場にいる人を攻撃している気がしてなりません


 「生活保護の受給者の多くは高齢者や、病気で働けない人たちです。
バッシングしている人が健康であれば、いい仕事を見つけるチャンスは受給者よりも多いはずなんです。
最初から前提が違うから比べてはいけないはずなのに、単純に比較してしまう」


 ――生活保護に厳しい視線が注がれますが、生活保護の制度をどう考えますか。


 「日本は資本主義の国で、『弱肉強食』という負の面がどうしてもついてまわる。
何もせずに放っておくと、格差は果てしなく広がっていきます。
資本主義は重大な欠陥を抱えているのになぜ、許されるのか。

憲法25条で国民の生存権が認められているからだと考えています。
『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』。

バッシングが強まっていますが、この条文に基づいた生活保護は、機会も、結果も平等な社会を作るために、絶対に維持しなければなりません」


 ――どうして、そのような考えに至ったのでしょうか。


 「中学生のとき、生活保護を受けていました。
親が商売に失敗し、破産したためです。
両親は離婚し、私は妹と一緒に母親に引き取られました。
家にはクーラーはもちろん、電話やテレビもなかった。
だから、学校で歌番組『ザ・ベストテン』の話題が出ても会話の輪に入れず、孤立していました」


 「物心ついたころから貧しかったので、つらくはありませんでした。ただ、生活保護について指導する近所のおじさんに『義務教育が終わったら高校に進学せず、一家を養うべきだ』と言われた。
この一言は重かったですね」


 「結局、高校に進学しましたが、半年ほど経ったある日、母親に突然、家賃1万円のおんぼろアパートに連れて行かれ、『今日からここで暮らしなさい。自分で食べていきなさい』といわれました。
カーテンも冷蔵庫もない部屋でした。
その日のうちに、勉強道具と布団を運んで一人暮らしを始めました」


 ――理由は何だったのですか。


 「今となってはくわしい事情はわかりません。
新聞配達や土木作業員をして通学しましたが、両立は難しく高校を中退しました」


 「一家は離散しました。
ただ、生活保護を受けなければ、もっと悲惨だったでしょう。
餓死していたかもしれません。
人生の原点となった経験を通して、『生活保護は人間が人間らしく生きるための最後のとりで』だと思っています」


 ――政府は支給額を減らす方針です。


 「制度を維持する上で大切なのは国力です。
国力は落ちているかもしれませんが、支給額を削るのは本末転倒なんです。

厳しい時代だからこそ予算は維持すべきだし、増やすべきです。

国民という子どもの明日の食べ物がなければ、どんなことをしても用意するのが親の務めではないでしょうか。
そもそも国力が下がった責任は政治家にあります。
それを棚に上げ、支給額を削るという理屈は成り立ちません。
逆に国力を損なうことになります」

     ■     ■
 ――田島さんの母親が生活保護を受けていたころと今とでは、何が変わったのでしょうか。


 「当時は弱い人だからと哀れみ、見下すという空気だったように思います。
生活保護を受けていたころ、病院で(医療費が無料になる)医療券を差し出すと、『ああ、そうなの』という無言だが、さげすむ視線を感じた。
今は『働かずにうまいことやっていやがる』と敵視が強まった。
視線の種類が異なってきたように思います。
人間は理性と感情のバランスを取って生きていくものですが、感情が暴走している印象を受けます


 ――作品では、徹底して庶民の現実を描いています。


 「私が意識しているのは路地裏のリアリティーです。
マンガの王道は『ワンピース』のようなファンタジー。

私は異端児です。
現実を描くと、理不尽な場面がたくさん出てきます。
これを法律という拳銃で撃ち抜くストーリーをつくった。
理不尽さを我慢するのが庶民の知恵だったわけですが、そうじゃないと声高にマンガで叫びました


――作品には、生活保護を受けてもおかしくない人たちが多く登場します。
社会的に弱い立場の人たちにどんな目線を注いでいますか。


 「本音をいえば、愛憎半ばしています。
病気や家庭の事情などで働けない人は仕方がありませんが、そうではない人は『少しあがきが足りないんじゃないか』と思っています。
この国で生きていこうとしたら、あきらめたら終わりです。
あきらめずに、もっともっとあがくべきです」


 「働けるのに生活保護を不正に受給してパチンコにいったりする人は論外です。
行政は不正かどうかの見極めは厳格にしなければなりません。
本当に必要な人と、そうでない人をきちんとわけることは追求していくべきです


 ――そういう考え方自体がバッシングを助長していないですか。


 「バッシングする人は『愛憎』の『愛』の部分がないか、非常に少ないんだと思います。
私は、もっとあがいてと厳しく要求しますけど、努力をした上で力尽きた人は社会が支えるべきだと考えている。

人生は紙一重です。
もしかしたら、バッシングしている人も受給者になるかもしれない。
不正は憎むけど、弱い立場の人間は守るべきです」

     ■     ■
 ――バッシングをしている人にも「あがき」は必要だと。


 「はい。ただ、大海を漂流している人たちに『遠くのゴムボートを目指せ』といっても届かない。
現実感のない言葉には人は全力投球できませんから。

私はいつも、目の前のワラをつかめ、といっています」


 ――「おぼれる者はワラをもつかむ」のワラですか


 「明日を少しでもよくするためにワラをつかむのです。
案外、ワラよりマシな棒きれや漂流物が浮かんでいるものです。
それをつかみ、一呼吸してから泳ぐ。
少しずつでも進めば人生の選択肢があらわれる」


 「高校中退後は、一人で生きてきました。
親も親戚も、だれも助けてくれなかった。
普通は人生の夢に思いをはせる年ごろですが、私にとって将来を考えることは、怖いことでした。
目の前のワラを必死につかんで生きてきました」


 「いまの事務所を開いたころ、当時大好きだった連載マンガが、青木雄二さんの『ナニワ金融道』です。
ある時、ふと思い立って、海事代理士のアイデアを編集部に送ると、青木さんから『取材させて』と連絡が入った。

それが縁でマンガ原作者になった。
わらしべ長者のように人生が開けていった。
不安や悩みを他人にぶつけても何も解決しません。
『ワラをもつかむ』というあがきが突破口になった


 ――これまで生活保護に関する問題について作品で真正面から取り上げていません。なぜでしょうか。


 「マンガはエンターテインメントで、ジャーナリズムではありません。
生活保護をテーマにすると、不正で金もうけをする輩(やから)が登場するストーリーになりがちです。
誤読されてしまうと、受給者が肩身の狭い思いをしてしまう」


 「連載マンガの世界は人気が落ちたら、大作家でも容赦なく打ち切られてしまいます。
生活保護バッシングに迎合する内容を書けば、受けるかもしれない。
しかし、それは悪魔に魂を売り渡す行為です。

バッシングの風潮を利用して、人気取りを画策する政治家を私は認めない。
信念が読者に伝わらず、作品が支持されなければ潔く退場しよう。
そんな覚悟を胸に秘めながら『まんが道』を歩いています」

 (聞き手・古屋聡一)
     *

 たじまたかし
 68年生まれ。
高校中退後、ビル清掃業、営業マン、生花店、トラック運転手など約30種の職業を経験。
司法書士補助者を経て、91年に海事代理士試験に合格し、海事法務事務所を開業。
99年にマンガ原作者としてデビューし「カバチタレ!」「極悪がんぼ」などのヒット作を出す。8月末に自伝を出版予定。

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2013年07月14日

貞子&ワタミのコラボ企画に「シャレにならない!」の声

貞子&ワタミのコラボ企画に
             「シャレにならない!」の声
 
2013年7月13日(土)10時26分  日刊ゲンダイ  

   人気ホラー映画「リング」の最新作「貞子3D 2」の公開(8月30日)に先駆け、ワタミと貞子のコラボレーション企画が7月1日から始まっている。


 このキャンペーンは、ワタミ系の炭火だいにんぐ「わたみん家」223店舗で同月31日まで実施中で、「白ハイボール」「黒ハイボール」などの対象商品を注文すると、オリジナル商品「貞子ハイボール」と映画「貞子3D 2」の特別割引券をもらえるゲームに挑戦できるというもの。



 同時に、映画に登場する「貞子」が店のユニフォームを着て、どこかの店舗に登場するサプライズもあるのだが、このキャンペーンに一部で批判の声が噴出している。



 いまや“ブラック企業”の代名詞となったワタミでは、つい先日もグループ会社の介護施設で73歳女性が溺死していたことが発覚したばかり。

2008年には、入社2カ月の女性社員(当時26)が過労を苦に飛び降り自殺したことも知られている。



 それだけに、現世に未練や恨みを残して死んだ女性の幽霊「貞子」とのコラボ企画には「シャレにならない!」の声が上がっているのだ。



 ネット上では「死んでも働けということか」
「24時間365日働かされた貞子の怨念」「もともとコラボしてる」といった声のほか、

「く〜る〜、きっと来る〜」のテーマ曲の歌詞をもじり、「狂う〜、きっと狂う〜」などと、ワタミを皮肉ったブラックジョークが相次いで書き込まれている。


(日刊ゲンダイ2013年7月12日掲載)

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2013年07月16日

国、事故後も「安全」PR 原子力広報 まだ存続

国、事故後も「安全」PR 原子力広報 まだ存続
2013年7月15日   東京新聞朝刊

 東京電力福島第一原発事故の後、原発の安全性ばかりを強調して推進を図っていた国の原子力関連の広報事業を国自らが見直したはずなのに、事業に効果があるのかどうか分からないなど疑問符のつく事業が、いまだにいくつも存続していることが分かった。 (清水祐樹)


 本紙は、事故前の二〇一〇年度から、事故後で最新の一二年度までの経済産業省資源エネルギー庁と文部科学省の契約を調べた。


 事業数は一〇年度に約六十あったのが一二年度には二十五へと六割減り、事業費は約二十一億円から十一億円へと半減。

原発を宣伝するパンフレットや冊子などの製作は一掃された。
しかし、いまだ問題のある契約も散見された。


 その一つが、エネ庁が行っている青森県六ケ所村での「理解促進活動」だ。
村と地元企業が出資する第三セクターのスーパーで、原発や使用済み核燃料の再処理の仕組みを説明するパネル展示が主な内容で、〇〇年度から続く。
広報事業はこの三セクが請け負っている。


 展示に関心を示す人は少なく、買い物に来ていた主婦、佐々木幸子さん(36)は「展示は見たことがない。国のお金を使う必要があるとは思えない」と苦笑した。


 事業を請け負っている三セクの担当者は「事業の必要性は分からない」としながらも、「大きな収入源。国の発注がある以上、受注し続けたい」と話した。
来場者にアンケートも行っているというが、結果は非公開。
実情は三セクを潤すばらまきに近い。


 実用化のめどが立たない高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)についての文科省のPR事業も続く。
地元テレビ局の番組や住民との意見交換会で、もんじゅの安全性や研究成果などを強調する。


 「安全性向上対策をしています」「さまざまな成果を生み出しています」。
今年三月まで放送された広報番組を見ると、都合のいい内容ばかり。
厳しい実用化の現実や、発覚している機器約一万点の点検漏れには一切触れていなかった。


 エネ庁や文科省の広報事業は、このほか、六ケ所村周辺で自治体が主催するイベント時にブースを出し、放射線の専門家が常駐して来場者に放射能について説明する「隣接市町村等広報」や、放射線関連の講師の派遣、原発立地自治体での教職員向けセミナー、NPOの勉強会支援などの事業もある。


 国の担当者たちは「事故後、専門家の生の声を聞きたいという要望が高まった」と事業の存続理由を説明するが、事業を受託しているのは、いずれも従来の原子力推進団体。
「放射線をむやみに恐れる必要はない」との説明が中心だという。

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2013年07月17日

学校も新聞も、あっさり手のひら返したなあ

憂楽帳:落とし前
毎日新聞 2013年07月16日 大阪夕刊

  1945年6月29日朝、倉敷高等女学校2年だった母は、岡山県妹尾町(現・岡山市)の自宅から、いつものように岡山駅に向かった。

この日の未明、岡山市が空襲されたが、ラジオは「損害軽微なり」と伝えていた。
しかし、目の前に現れたのは、焼け野原となった岡山市街地の無残な光景だった。

「ああ、今まで新聞やラジオが言うた『損害軽微』は、こういうことじゃったんか。
うそばっかりじゃったんじゃなあ」。
13歳の少女はしみじみ思ったという


 満州事変の翌年に生まれた母は、子供時代がまるごと戦時下だった世代だ。
国民精神総動員政策に基づく国家主義教育をたたき込まれ、終戦後一転して民主主義教育の洗礼を受けた世代でもある。

当時の子供と教育については、母と同学年の児童文学作家・山中恒(ひさし)さんの「ボクラ少国民」シリーズに詳しい。


 以前、山中さんの本を読みながら「学校も新聞も、あっさり手のひら返したなあ」と言うと、穏やかな母から「そうじゃ! 何の説明もない」と激した声が返ってきて驚いた。
13歳の落とし前は、まだついていないようだ。
【岡田満里子】

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早死にする職業ランキング・元職種堂々9位

早死にする職業ランキング
週刊SPA! 7月16日(火)9時21分配信

 過酷な毎日を送る日本のサラリーマンにとって、生活の大部分を占めるのが仕事。それゆえ、職業選びは、人の寿命に大きく影響を与えているという
多数の企業で産業医として働く榛原藤夫氏はこう語る。

「事故が起こりやすい危険度の高い仕事などを除いた場合、職業が寿命と関連する要因は大きく分けて2つあります。

ひとつは、『裁量権の有無』。
自分で自分の仕事をコントロールできる人ほど、ストレスが低いので長生きする傾向がある。

もうひとつは、『過重労働・暴飲暴食』。
深夜までの残業や徹夜が当たり前の長時間労働や、接待続きなどの過剰飲酒は、当然体には悪い。

この2つに焦点を当てた際、一番早死にしそうな職種と言われれば大手広告代理店の営業マンです。
彼らは、徹夜仕事は当たり前の超激務ですが、裁量が少ない。
加えてお客との接待で連日大酒を飲むことも珍しくない。
給料やステータスは高いものの、体には負担ですよね」

 そして、同じく順位が高かった職業が「IT企業の下請けSE」や「チェーン飲食店店長」。

「どちらも長時間労働のうえ、給料も安い。
下請け会社のSEは基本的に親会社のムチャぶりには逆らえないし、店長も、結局は雇われなので裁量権はほぼありません」

 そして、意外なランクインを果たしたのが「若手官僚」だ。

「官僚はエリートで好待遇のイメージがありますが、それは年長者だけ。
基本は年功序列の縦社会なので、若手は給料も安いし深夜まで働かされるのが通例です。
実際、某省庁では入省した若手20人のうち、3人が10年以内に自殺したというデータもあります」

 また、上記2点に加えて「勤務時間が不規則」な職業も、かなり寿命に影響を及ぼすという。

「不規則な生活は、当然、身体に害です。
つまり、毎日ではなく、不定期に夜勤があるような仕事は健康に負担です。

たとえば、病棟勤務の看護師や会社勤務のタクシー運転手や長距離トラック運転手。
彼らは数日に1回は夜勤があるので体内リズムを崩しやすい。
さらには、どちらも上から管理される仕事なので、裁量権はなし。

CAの仕事も大手なら好待遇だしフライトとフライトの間には休みも取れますが、LCCのCAは経費削減のため、給料は安いし連日フライトが入ったりとかなりのハードワーク。命を削っていますよね」 

 いかに社会的ステータスや給料が高くとも、身体を壊してしまえば意味がない。
上記以外の職業に就いている人は、健康という側面では「勝ち組」なのかもしれない。
週刊SPA!7/16発売号では、さまざまなジャンルにおける「早死にする人ランキング」を公開しているので、チェックしてみてはいかがだろうか。
 <取材・文/週刊SPA!編集部>

【早死にする職業ベスト10】

1位 大手広告代理店の営業
2位 IT企業の下請けSE
3位 チェーン飲食店店長
4位 若手官僚
5位 病棟勤務の看護師
6位 タクシー運転手
7位 LCCの客室乗務員
8位 自衛官
9位 公立学校の教員(*小だぬき該当)
10位 トラック運転手

日刊SPA!

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2013年07月18日

消費増税(反対)意思示す最後の機会だ

<2013岐路>消費増税
                   意思示す最後の機会だ
2013年7月18日  東京新聞社説

 消費税を来年四月に引き上げるか、あるいは延期するか。
おそらく参院選は消費増税への意思を示す最後の機会である。
問題の多い増税にノーを突き付ける時だ。


 昨年八月に成立した消費増税法は消費税を二〇一四年四月に8%、一五年十月から10%に引き上げると定める。
ただ、付則で「景気を勘案する」との条項がある。


 一年半の間に5%から10%に倍増させる消費増税は、上向きかけた景気を腰折れさせるおそれがある。
一方で消費増税を延期した場合、財政再建に消極的だとして海外から不信を買う可能性はある。


 安倍政権は八月に発表される今年四〜六月期のGDP(国内総生産)速報などの経済指標をみて秋に最終判断をするという。
しかし、大事なのは官庁発表の数字よりも国民の生活実感である。
有権者の声にもっと耳を傾けるべきだ。


 今参院選は増税決定前の最後の国政選挙になるだろう。
本来なら、引き上げの是非のみならず消費増税そのものについて、活発な議論があってしかるべきだ。

自民、公明、民主、維新が賛成。
みんな、共産、生活、社民などは反対を主張するが与野党ともに低調なのはどういうわけか。


 それは安倍政権の態度がはっきりしないせいである。
決定は秋だとしても、延期しない場合に景気腰折れを防ぐにはどうするのか、延期の場合には財政再建にかける信認をどう取り付けるのかを示すべきである。

増税延期への期待をつなぎ留めつつ選挙戦を乗り切ろうというのであれば、これほど有権者をばかにした話はない。


 私たちは消費増税にずっと反対している。
逆進性のある消費税で社会保障費を賄うのであれば低所得層ほど重い社会保障コストを負担することになる。

健康保険や雇用保険などの社会保障は労使折半で負担してきたのに、消費税となれば企業の負担だけ軽減されることになる。
結局、企業や金持ちが優遇されるのである。


 行財政改革、例えば天下り先に巣くうシロアリ官僚の退治など、増税前にやるべきことがあるとも主張してきた。

復興予算の流用のように、血税が無駄な公共事業や利権に回る懸念もある。


 英国では付加価値税(消費税に相当)を一〇年から一年間に段階的に5%引き上げたところ、景気が減速し税収総額は増えなかった。

デフレ脱却のためにも、無理な消費増税は見送るべきだ。

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2013年07月19日

〈幸福も禍も一票から/決して棄てるな尊き一票〉

2013年 7月 19 日(金)付    朝日新聞「天声人語」

与党のポスターは威勢がよろしい。
〈不景気と貧乏神を追ひはらふは政友会〉。
野党も〈整理緊縮/真面目で押し行く民政党/内に漲(みなぎ)る堅実味〉と向こうを張る。
1928年、普通選挙法に基づく最初の衆院選での攻防である

▼男子に限られていたとはいえ、有権者の数は急増した。
投票へ行こうと呼びかけるポスターも多彩だ。
内務省は〈投票スレバ明(あかる)クナリ棄権スレバ暗クナル〉。
カラーの資料写真を眺めるだけで楽しい(玉井清『第一回普選と選挙ポスター』から)

▼このときのような盛り上がりを今回の参院選に求めるのは難しくても、
民主政治の土台となる一人一人の選挙権の重みは変わらない。

ところが、それにしてはと首を傾(かし)げたくなる事態が起きている

▼選挙当日の投票終了時刻は午後8時だ。
少しでも多くの人が投票できるようにと98年に2時間延ばした。
これを1時間なり2時間なり繰り上げる投票所が回を追って増えている。

今回は全体の約35%にも。公選法がいう「特別の事情」があると市町村が判断しているからである

▼確かに郡部などでは夜に投票する人は少ないかも知れない。
しかし、ゼロとは限るまい。
立会人の負担軽減、経費の節約。
色々事情はあろうが、投票機会を減らすほどに「特別」かどうか。
例外はありうるとして、3分の1を超えても例外か

▼もちろん私たち有権者も問われている。
1928年衆院選の際の東京市の啓発ポスターにはこうある。
〈幸福も禍(わざわい)も一票から/決して棄(す)てるな尊き一票〉

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自民党=庶民から吸い上げたカネを、「法人税減税」で大企業に還元。

参院選 国会のねじれ解消は
  旧来の自民党政治への回帰を意味
2013.07.19 07:00  ※週刊ポスト2013年8月2日号

  大メディア は自民党大勝による国会のねじれ解消を「決められる政治」と歓迎しているが、野党勢力が衰退し、政権の暴走を止めるストッパー役がいなくなれば、一体、どんな政治が始まるのだろうか。


 半年後のニッポンの姿はすでに見えてきている。
まず、「庶民から奪い、企業に還元する」政治が始まる。


 安倍政権は参院選が終わると、早速、この8月から生活保護費を引き下げ、住民税の課税対象を低所得者に拡大する。

来年4月には消費税率が8%に引き上げられ、70歳から74歳までの医療費窓口負担も1割から2割に倍増する。

そうやって庶民から吸い上げたカネを、公約で明記した「法人税減税」で大企業に還元するのだ。


「原発安全神話」もなし崩しに復活させようとしている。

選挙戦さなかの7月8日、電力各社が相次いで停止中の原発10基の再稼働を政府に申請した。
審査には半年ほどかかると見られており、来年早々から北海道から九州まで全国で原発が立ち上がる可能性が強い。


「国土強靱化」の名の下に公共事業も雨あられだ。
自民党の地域別の参院選公約には、山陰超高速鉄道や四国新幹線、紀伊半島一周高速道路、下北半島縦貫道路など、過疎地域の「夢のビッグプロジェクト」が目白押しだ。
疲弊した地方経済に公共事業で雇用を生み出そうという、旧来の自民党政治への回帰である。

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2013年07月20日

若年世代は1%の投票棄権でおよそ13万5千円の損!?

選挙棄権がもたらす損失試算に驚き
2013.07.19 17:07   NEWSポストセブン

  7月21日に投開票が行われる参議院選挙。
「ネット選挙解禁」から初となる国政選挙とあって、ネットになじみのある若年層の投票率に注目が集まるが、そんな若年世代の投票率と国家予算の関係についてのレポートが注目を集めている。


レポートを発表したのは、東北大学大学院経済学研究科の吉田 浩教授と経済学部加齢経済ゼミナール所属の学生だ。

若年世代は1%の投票棄権でおよそ13万5千円の損!?』年齢別投票率の違いが世代間の格差を拡大している可能性−」というタイトルが付けられた同レポートは、1967年からの衆・参国政選挙の年齢別投票率と国の予算の統計を集計し、2つの関係を分析したもの。


分析の結果、20 歳から 49 歳までの若年世代の投票率が低下するにしたがって、将来の国民負担となる国債発行額が増加し、社会保障支出も若年世代より50歳以上の高齢世代に多く配分されていることが判明したというのである。


レポートではさらに、若年世代の投票率が1%低下することで発生する若年世代1 人当たりの損失額も計算されている。

国債の新規発行額や社会保障支出の世代間の給付額の差を合わせて、年間およそ13万5000円分とのことだ。


このように、わかりやすい金額が提示されているということで、ネットユーザーたちの衝撃も大きく、以下のような声が多く書き込まれている。


「これは!選挙行こうぜ!」
「ほら!やっぱり数字に出とるんやんか!」
「これは、かなりでかい損失ですぞー、その損失を減らすには投票しよう!」
「やっぱ若者は投票すべきだね。高齢者投票率が高いから、高齢者に配慮した政策が通りがち」


ただし、このような声に対して、

「結果論であって、投票率と国債は関係ないような気がするが…」
「『年代が進むに連れて国債発行額が増し、高齢者の割合が増加している』ってだけじゃね、コレ?」

など、投票率の低下と損失額の因果関係を疑う声も少なくない。

しかしながら、

「数字の信憑性を論ずるのはおいといて、若者の投票率の低さが、高齢層が有利になる政治の大きな理由なのは確か。叫べ若者よ
(すべて原文ママ)

というコメントに代表されるように、大半のユーザーは選挙に参加することの重要性を認識したようだ。


レポートでは、「世代の声が国の政策に反映されるように投票に参加する行動を起こすこと」を目的としていると書かれており、研究チームの思いは多くのユーザーに伝わったといえそうだ。
(R25編集部)

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2013年07月21日

呉少女遺棄事件 あぜんとする命の軽さ

呉少女遺棄事件 あぜんとする命の軽さ
2013.7.19   中國新聞社説

 「1人でやった」という最初の告白から、構図が一転したことに驚かされた。


 呉市の灰ケ峰の山中で広島市の少女(16)とみられる遺体が見つかった事件。

自首の末に死体遺棄容疑で逮捕、送検された知人の少女(16)に続いて、6人が逮捕された。うち5人は同じ年齢の少年少女である。


 みんなで山に行き、暴行した、とする複数の供述も出ているようだ。
そんな場面を想像するだけでぞっとする。
広島県警は未成年者の人権にも配慮しつつ、事件の全容の把握を急いでもらいたい。

 そもそも遺体発見のきっかけは容疑者の少女の自首である。
それがなければ、事件解明が遅れていたのは確かだろう。
ただ自分1人で相手を殺害し、山に捨てたとの当初の供述はあまりに不自然だった。
仲間をかばおうとしたのかもしれない。


 周辺捜査によって、他の人物の関与が浮上するのは時間の問題だったといえよう。
容疑者たちは、今度こそ包み隠さず真相を明らかにすべきだ。


 今のところ事件の経緯については首をひねる部分があまりに多い。
何より動機だ。

 事件の関係者同士では、スマートフォンなどで気軽にメッセージをやりとりできる無料通信アプリのLINE(ライン)が主な連絡手段だったという。
それが今回注目されているのは、自首した少女が「ラインで悪口を書かれて腹が立った」と説明していたからである。


 ラインを含むインターネット上のやりとりは対面して話すより誤解を生じやすく、トラブルになりがちなことが、かねて指摘されている。
もし供述が本当なら、争いの発端になったとしてもおかしくはない。


 一方で容疑者の少女と被害者とみられる少女は同じ接客サービスに参加し、金銭をめぐって関係が悪化していたとも伝えられる。
それが背景にあったとすれば見方も変わるが、初対面もいたという容疑者7人の事件当日の行動と、どう結び付くのかははっきりしない。


 一ついえるのは、彼らにとって人の命があまりにも軽かったということだ。
自首した少女が、直前にラインに書き込んでいた中身が報じられている。
友人らへの感謝こそあれ、被害者の無念を思い、謝罪する言葉はなかったようだ。


 だがこの事件を、無軌道な若者による暴走ととらえるだけでいいものだろうか。


 このところ、子どもを自殺に追い込むいじめ事件も各地で後を絶たない。
生命の尊厳を重んじる。
そんな当たり前のモラルが若者たちの間で薄らいでいるとすれば、ゆゆしき問題だ。


 1万数千人が亡くなった東日本大震災を思う。
かけがえのない命を大切にし、苦難を乗り越えて生きる意味を、全ての日本人が教えられたはずである。


 この参院選では、教育政策も論じられている。
「グローバルな人材育成を」といった訴えが目立つ。
上から目線の教育論と厳しい現実との落差が、どうしても気になってくる。


 10代の半ばで学校にも行かず、仕事にも就かない。
そんな少年少女たちが、社会の片隅にいることにも思いを巡らせたい。
そして地域の中で、命の重みをもっと伝えていくための営みが欠かせない。

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1票に託す思いは・・育児、憲法、原発、燃油高、雇用

育児、憲法、原発、燃油高、雇用
                         … 1票に託す思いは
2013年7月21日1時40分   朝日新聞

 参院選の選挙戦最終日の20日、各党の党首や候補者が最後の訴えを繰り広げた。
景気回復、原発政策、憲法、年金……。
様々な争点があるなかで、有権者は何を基準に選ぶのか。
21日の投開票日を前に、各地で1票に託す思いを聞いた。

 20日午後6時、東京・新宿駅西口。
東京都板橋区の会社員古館志門さん(33)と妻あゆみさん(32)が、2人の子を連れて東京選挙区の候補者の演説を聴いていた。
「子どものことを考えてくれる政党がどこか知りたい」


 共働きで、子どもたちを保育所に預ける。
子育て政策は切実な問題だ。
公立の保育所に通う長男(3)と、都が独自基準で設けた認可外の施設に通う5カ月の長女では、保育料が5万円近く違う。


 志門さんは、
子どもたちのために1票を投じたいと考える。
「子どもたちが学校に行き、就職し、人間らしい暮らしができる国をつくってほしい」


 投票日を前に、各地の有権者はそれぞれの1票に思いを託そうとしている。


 さいたま市の黒田千代吉さん(88)は「国のあり方を映す憲法への姿勢を見極めて票を投じたい」。
第2次世界大戦末期に徴兵され、中国東南部に送られた経験を持つ。
飢えに苦しみ、死んだ戦友の乾パンを争うようにしてむさぼった。
そんな体験を若い世代に二度と繰り返してほしくない。


 今月、都内で開かれた催しでは、「戦後68年間続いた平和の意味を考えないといけない」と訴えた。


 東京電力福島第一原発の事故で、福島県浪江町から福島市の仮設住宅に避難している叶谷(かのうや)守久さん(73)は「脱原発の姿勢」で投票先を決める。

津波で自宅と妻(当時71)を奪われたのに、原発事故で避難を強いられ、1カ月以上遺体を捜しに行くことすらできなかった。
「こんな惨めな思いをする人が二度と生まれないよう、原発と手を切る政治を選びたい。
原子力政策を進める政治家に、被災地の復興や国民の生活を任せるわけにはいかない」


 青森県中泊町で代々イカ釣り漁をしてきた敦賀勝正さん(73)は
「第1次産業で働く者の生活をどれだけ真剣に考えてくれるか」で選ぼうと思っている。


 イカ釣り漁は経費の4割が燃油代のため、円安となった今、採算は厳しい。今年5月には東京まで出向き、燃油価格高騰の対策を求めるデモにも参加したが、まるで効果はなかった。


 妻、息子夫婦、孫3人と暮らす。イカ釣り漁の収入と年金で生活を切り盛りするが、イカの価格は「水もの」だ。
「第1次産業に対しての補助制度がほしい」


 千葉県船橋市のパート女性(51)は、専門学校生の長女(18)と高校1年の次女(15)がいる母子家庭。

経済的に苦しいが、子ども手当のようなばらまき政策には反対だ。
「財源は限られているのだから、難しいことは目に見えていた。
一部の人が得するのではなく、格差をこれ以上広げないような政策を実現してくれる候補者を選びたい」


 甲府市内の団地に住む雨宮登喜子さん(73)は年金暮らし。
4歳上の夫は定年前、勤めていたニット製品の会社が倒産し、70歳までアルバイトをせざるを得なかった。
子ども3人を育てあげ、蓄えは少ない。

夫とは「年金が減ったら、生活保護だね」とこぼしている。
何もかもを国や福祉に頼ろうとは思っていないが、「元気な高齢者に働く場を提供してくれる候補者や政党に投票したい」。


 就職が決まらないまま、昨春大学を卒業した群馬県太田市の男性(25)は、6月にアルバイトを辞めて求職中だ。
円安で好調な地元の自動車産業で働きたいが、求人は契約社員や派遣社員ばかり。
アベノミクスは「大企業など一部のためにしかなっていない」と思う。
「正規雇用の拡大につながる政策があるかどうか」で1票を投じるつもりだ。

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政治動かす審判のときが来た

主張
参院選きょう投票
政治動かす審判のときが来た
2013年7月21日(日)   しんぶん赤旗

 一票を争う大激戦を続けてきた参院選挙は、いよいよきょう投票日です。
昨年末、自民・公明連立で政権を復活させ、
憲法改悪まで持ち出してきた安倍晋三政権のこれ以上の“暴走”を許すのか、
それに歯止めをかけ、国民の所得を増やす景気拡大でも、憲法を守り生かす問題でも、国民の願いにそって政治を動かすのか、大事な審判のときです。

一票一票に、国民の暮らしと日本の政治の未来がかかっています。


暴走と対決、対案示す党

 参院選挙が始まってからの論戦を通じ、安倍首相の“暴走”ぶりはいよいよ明らかになりました。
首相が街頭演説などでとりあげたのはもっぱら経済政策の「アベノミクス」ですが、株価が上がった、企業のもうけが増えたと手柄話ばかりで、
生活必需品の物価が上がる一方、賃金や雇用が改善していないことを批判されるとダンマリです。

「そのうち実感が出てくる」といいますが、「アベノミクス」でやろうとしている雇用の改悪や消費税増税で、国民の暮らしがよくなるはずはありません。
大企業には減税、国民には増税というのでは、暮らしは悪くなる一方です。


 安倍首相は選挙中、原発の再稼働や憲法問題についてはほとんど語ろうとはしませんでした。
しかし実際には原発の「活用」を打ち出し、再稼働や原発輸出を推進しています。

選挙中には四つの電力会社から原発再稼働の申請が出されました。

憲法についても自民党は「憲法改正草案」を発表しており、安倍首相も選挙最終盤、民放テレビのインタビューで、憲法9条改定の議論を持ち出してきました。

原発でも憲法でも国民の前に本音を隠し、選挙が終われば思うままにやろうとすることこそ、“暴走”そのものです。


 問題はこうした“暴走”にどう立ち向かうのかです。

日本共産党は、「アベノミクス」の中止を求め、
賃上げと安定した雇用で国民の所得を増やして、景気を拡大するよう求めてきました。

原発の再稼働や憲法改悪にも反対です。
「原発ゼロ」を実現し、自然エネルギーに転換していくことや、憲法を守り生かすことを求めてきました。
安倍政権の“暴走”に反対するとともに、対案を示してこそ、“暴走”を食い止める力になります。


 自民、公明といっしょに消費税増税を進めた「増税3兄弟」の民主党には“暴走”は阻止できません。
民主党は「自民党の暴走を止める」などと言い出しましたが、“暴走”に手を貸した党に阻止する足場はありません。

憲法問題では公明党だけでなく維新の会も片棒を担ぎ、みんなの党も改憲を阻止する立場はありません。

みんなの党などは「共産党は何でも反対」などといいますが、事実に反するだけでなく、国民の利益に反する政治に反対したことがない党に、批判する資格はありません。


国民の声実現する政治を

 消費税の増税は中止してほしい、原発再稼働はやめてほしい、憲法9条は守ろう―。
国民の願いは明白です。
自民党や公明党は衆参の「ねじれ」をいいますが、こうした国民の声が政治に届いていないことこそ大問題であり、国民の声が生きる政治を実現すべきです。


 参院選の審判は、安倍政権の“暴走”を阻止し、国民の声で政治を動かす絶好のチャンスです。

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2013年07月22日

参院選:共産、批判票受け皿に

参院選:共産、批判票受け皿に
毎日新聞 2013年07月22日 00時57分

  共産党は、東京、大阪など大都市部の選挙区で議席をつかんだほか、比例代表でも健闘し、改選前の3議席から伸長した。

選挙区で議席を得たのは2001年
参院選の東京選挙区以来12年ぶりで、議席を17(告示前8)へと大幅に伸ばした6月の東京都議選の「自共対決」をアピールする戦術が奏功。
安倍政権批判の受け皿として存在感を示した。


 「自民党が多数の議席を得ることに、国民に危機感や不安感が広がっている。

憲法、消費税、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)といった問題で、国民の立場で堂々と対決できる共産党の役割は大きい」


 志位和夫委員長は21日夜、記者会見でこう語り、「東京、大阪で議席を確保し、反転攻勢の大きな一歩になった」と力を込めた。


 共産党は都議選から一貫して「自民、民主の2大政党制は廃れ、日本維新の会なども自民党の補完勢力だ」(志位氏)と訴え、他の野党との違いを際立たせる一方、「アベノミクスに国民の所得を増やす矢は一本もない。

原発の再稼働など論外だ」と自民党を徹底して批判。

憲法改正、TPP交渉参加、消費増税、原発などの政策で反自民の立場を強く打ち出した。


 都議選の勢いに乗り、今回は電話帳のデータから無作為抽出して支持を訴える電話作戦や、党の基本方針を説明するビラの配布を大々的に展開。
支持基盤を固めるだけでなく、無党派層への浸透に力を入れた。


 ただ、議席が伸びた背景には、民主党や維新など他の野党勢力の失速がある。

志位氏らは選挙戦で、政権批判だけでなく、大企業の内部留保を活用した賃上げや、憲法9条を生かした平和外交の展開など「対案路線」を掲げてきた。

今後は「対案」を政治に反映できるかどうかが問われる。
                  【光田宗義】

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2013年07月23日

池上彰の選挙特番・「宗教と政治」タブーも容赦なし

「宗教と政治」タブーも容赦なし
        池上彰の選挙特番に大喝采
2013年7月22日 ゲンダイネット掲載

<テレビ東京参院選特番>

“攻めすぎるキャスター”の前では、当選者ですら顔色をなくすしかなかった。

 21日に放送された「TXN選挙SP 池上彰の参院選ライブ」(テレビ東京)。
ジャーナリストの池上彰(62)が八面六臂(ろつぴ)の活躍を見せた。

 昨年末の衆院選開票特番に続いてテレビ東京の選挙特番のメーンキャスターを担当した池上はのっけから絶好調。

当選の報に白い歯を見せるアントニオ猪木に対して
「維新の会は猪木さんの人気頼みということですね」

「前回出馬したときは“消費税に延髄蹴り”と言っていたが変わったんですか」と切り込むと「まだ(政策は)打ち合わせしていない。

選挙に風を吹かせろと言われただけ。
へへへ」と、出馬要請に際して政策の共通理念も何もなかった“場当たりぶり”を本人の口から引き出すことに成功。

「政治と宗教」という他のテレビ局では触れない問題にも遠慮なく踏み込んでいて、公明党が創価学会信者の通称「F票」(Friend票)と呼ばれる組織票に支えられていることもわかりやすく説明。

公明党神奈川選挙区の美人候補、佐々木さやかに対しては
「学会の信者が公明党を応援することが功徳を積むことになると言っていたがそうなんですか?」
「公明党と創価学会の政教分離についてはどう考えますか?」
「あなたは創価学会の信者ですか?」と直球勝負。
弁護士でもある佐々木を顔面蒼白にさせていた。

<暴走老人は敵前逃亡>

 そんな“攻めダルマ”と化した池上に恐れをなしたのか、前回の選挙特番で「暴走老人」と呼ばれた石原慎太郎元都知事は番組に出演せず。

東京選挙区でトップ当選した自民党の丸川珠代も姿を現さなかった。

 丸川と直接対決できなかったことは池上も残念だったようで、「丸川さんにはぜひ、6年前の出馬の時に選挙人名簿に自分の名前がなかった件について聞きたかった」とコメント。
これは丸川がテレビ朝日時代に、ニューヨーク勤務から帰国後約3年間転入届を提出しておらず、投票権が消滅した状態だったことを指す。
このことにより、05年9月の衆院選も07年4月の都知事選も投票に行っていないことが判明したのだった。

「これは政治家丸川にとって痛恨の失態。
池上氏にテレビで追及されたら大恥をかくと思い、陣営サイドが個別出演を避けた。

石原氏は挑発されたら何を口走るかわからないため合同記者会見だけにとどめたそうです」(テレビ関係者)

 暴走老人も元女子アナも尻尾を巻いて逃げ出したのである。

 上智大教授の碓井広義氏(メディア論)はこう言う。

「他局は通常のニュース番組の拡大版というべき内容で、プラスアルファは感じられませんでしたが、テレビ東京は池上さんの“政治教室”と呼ぶべき素晴らしい内容でした。
政治に無関心な若い世代を意識して、一種の啓蒙活動を行っているようにも感じました。
それはNHKの記者出身でテレビの特性をよく知り、長年の取材で獲得した経験や知識という裏打ちがある池上さんだからこそ可能なワザ。
ぜひ、このスタンスを貫いてほしい」

 他局のキャスターは池上の爪の垢を煎じて飲むべきだろう。
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子宮頸がんワクチンは戦後最大の薬害事件

市議会議員「子宮頸がんワクチンは戦後最大の薬害事件」
※週刊朝日  2013年7月26日号
(更新 2013/7/23 11:30)

   「子宮頸がんの撲滅」をうたって国が勧めてきたワクチン接種(ワクチン名:サーバリックス)が、それまで健康だった若い女性たちに、激しい痛みやけいれん、歩行困難といった重い副作用を生んでいる。

 接種後、異常を訴える報告が続出した。
ほとんどが10代。それまでふつうに学校生活を送ってきた女の子たちだ。

今年3月までに接種した推定328万人のうち、製薬会社や医療機関が厚労省に報告した副作用発生者は約2千人。
このうち357人が「重篤」。
他のワクチンと単純に比べると、子宮頸がんワクチンの副作用の発生率はきわめて高い。

 共通する病状の一つは「痛み」だ。

接種した腕でなく、反対の腕や肩、つま先、ひざ、指先や背中などにも出る。
痛むときは、指先に触れても痛くて跳び上がる。
指先が痛むからペンが持てない、メールも打てない。
激しい頭痛に悩まされる人も多い。

子どもたちに言わせると、「スプーンで目をえぐられるような」「ハンマーで殴られるような」痛みだ。

 けいれんも多い。
びくんびくん、あるいはバタバタと、魚のように体がはねる。
貧乏ゆすりのように肩や足首が動き回る。
寝ているときに腕や足が勝手に動いて周りにぶつかるから、起きたときに青あざになっていることもある。
しびれや脱力、力が入らず、立てない、歩けない。失神を繰り返す人もいる。

 光がまぶしくて目がチラチラする人も多い。
ものがすべて二重に見え、本が読めない。
そして、不正出血、生理がなくなった……。
自分の体調の変化に絶望し、自殺未遂も自傷行為も報告されている。

 被害者連絡会は、そんな被害者と家族のための連帯の場だ。

代表は、東京都杉並区の松藤美香さん(46)。
中学生の娘(14)は2年近く中学校に通えない状態だ。
最近は突然意識を失い倒れる為、目を離せないという。

 娘につきそう松藤さんに代わり、連絡会の活動は、事務局長の東京都日野市の市議会議員、池田利恵さん(55)が率いてきた。
国や国会議員に働きかけ、子どもたちに直接書いてもらったメッセージを厚労大臣に手渡した。
医者や病院に働きかけ、被害者の集団診察も実現させた。

 6月14日、厚労省の副反応検討部会は、ワクチン接種後、「疼痛」に苦しむ43人の病例を検討し、「ワクチンとの因果関係を否定できない」として、子宮頸がんワクチンの定期接種の「勧奨の中止」を決めた。

43人のなかには、被害者連絡会への相談者のなかから、了解を得て厚労省に出した十数人の病例も含まれている。

 代表の松藤さんは、
「健康異常を理由に国が勧めないワクチンを、娘に打たせたい親がいるとは思えない。
事実上の中止に等しい。
被害の拡大を防げる貴重な一歩です」と話す。

国の方針転換を受けて、連絡会への被害者からの相談は、勢いを増しているという。池田さんはこう話す。

「これは間違いなく、戦後最大の薬害事件になります。
被害者は、私たちの娘。副反応はつきものとか、発生率は何万分の一とか言いますが、娘たちの人生や将来を犠牲にして、ワクチン接種でがんの撲滅なんて、あり得ません」
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2013年07月24日

いまごろ「汚染水流出」認める 東電の悪らつ

いまごろ「汚染水流出」認める 東電の悪らつ
2013年07月24日 18:25 ゲンダイネット 更新

 これまでの説明は何だったのか。
福島第1原発の海側の井戸水から高濃度の放射性物質が検出された問題で、東京電力は22日、汚染水が地下を抜けて海に流出している可能性を初めて認めた。

 福島原発では5月末、1、2号機付近の井戸水から1リットル当たり50万ベクレルのトリチウムを検出。
6月には近くの港湾内の海水から1リットル当たり1100ベクレルのトリチウムが検出された。

 さらに7月に入ると、今度は観測用の井戸から採取している地下水の放射性セシウム濃度が急上昇していることが判明。
原子力規制委員会が「高濃度の汚染水が地中に漏れ出し、海への広がりも疑われる」と指摘したが、東電は「判断できない」「分からない」などと海への流出をノラリクラリごまかしてきたのである。

 ショックを受けているのは地元の福島県漁連だ。
汚染水の海への流出をかたくなに認めなかった東電の説明を信用し、9月にはいわき沖で試験操業を決めていたのだから当然だ。
漁連の野崎哲会長は「前の説明と違う。
かなりショック」とカンカンだったのも無理はない。

 それにしても東電はなぜ、今になって海への汚染水流出を認めたのか。

「参院選が終わったからでしょう。
選挙前に流出を認めれば、漁協はもちろん、反原発の声は大きくなる。
電力会社でつくる電事連出身議員の多い自民党が東電にそんなことをさせるワケがない。
自民党圧勝となった今、少しぐらいマイナス情報を出しても影響はない、と考えたのでしょう」(反原発団体関係者)

 環境ジャーナリストの天笠啓祐氏は「汚染水がいったん地下水に入ってしまうと、放射性物質の除去は困難になる。
地下水脈を通じて汚染が拡大し、めぐりめぐって、どこからどういう形で影響が出てくるかも分からない」と指摘していた。
東電は海への流出は港湾内の範囲にとどまる、なんて説明しているが、一体、誰が信用するのか。

 自民の圧勝で、東電の隠蔽体質にますます拍車がかかりかねない。
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2013年07月25日

 電力会社が節電キャンペーンをしない理由

古賀茂明氏 電力会社が節電キャンペーンをしない理由を明かす
※女性セブン2013年8月1日号
2013.07.24 07:00

  記録的な猛暑が続く日本列島。
ところが、昨年までとは一転、意外なほど「節電」のかけ声が聞こえてこない。
なぜなのか──。


「実際に電力は足りているし、電力会社としても本音では節電キャンペーンはやりたくないんです」

 と、明かすのは、元経済産業省職員の古賀茂明さん(57才)だ。


「たしかに震災直後の2011年の夏は、突然原発が止まり、火力発電の設備も被害を受けたので、東京電力は大変でした。
しかし、2年目になると、小さな火力発電施設の電力を集めるなどして、電力不足をなんとか解消したんです」(古賀さん)


 この間の節電キャンペーンで、家庭でも企業でも節電が進み、企業では自家発電を導入するところも急増。
結果、この夏の猛暑日でも電力受給に10%以上余裕がある状態が続いている。


「だから、この夏に電力が足りなくなる可能性はほとんどありません。
原発の数が最も多い関西電力を中心に、電力各社は原発を動かしたいので、“電気は足りています”とは言いたくない。
しかし、原発を再稼働させると電気が余ってしまうから、実はどんどん使ってもらいたい。
節電をお願いしますと言いながら、本気で節電を要請したくないという、ジレンマに陥っているんです」(古賀さん)


 もちろん、エアコンの使用を我慢しすぎて熱中症になるような節電は無用。
“ほどほどの節電”でも、原発の再稼働なしでやっていけるのだから。

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フザケルな!今夏も始まった 国会議員6億円外遊

 フザケルな!今夏も始まった 国会議員6億円外遊
2013年7月25日 ゲンダイネット掲載

 参院選が終わったと思ったら、早速、外遊だ。
衆院予算委の与野党議員7人が24日、8日間の日程で欧州視察に出発した。
費用は随行する職員2人分も含めて約1300万円。
「財政難」と散々煽(あお)って国民に負担を求めながら、自分たちは身を切ることなく漫然と“お手盛り旅行”。そんなの許されない。

 外遊に出掛けたのは、山本有二、伊藤達也、岩屋毅、遠藤利明、西銘恒三郎(以上、自民)、石田祝稔(公明)、坂本祐之輔(維新)の7人。

 債務危機に陥ったポルトガル、アイルランド、スペインなどを訪問し、日本でも同じような混乱が起きないよう意見交換するらしいが、チャンチャラおかしい。
欧州危機はもう3年ぐらい続いている。
それほど危機感を抱いたのなら、もっと早く行くべきだろう。

 今さら衆院予算の「海外派遣経費」を使ってノコノコ訪問するとは、ムリヤリ理由をつくって“物見遊山”に出掛けるとみられても仕方あるまい。

 衆院に今回の外遊計画がいつ、どのように決まったのかを聞くと、この答えがまたビックリだ。
「恐らく先生方(議員)が計画したのだと思うが、担当者が同行しているので分からない」(国際部)

 つまり、議員と事務方でちょろっと打ち合わせしただけで外遊先が決まり、多額の血税が投じられるというわけだ。

<衆院は予算をわざわざ増額>

 そのうえ、ア然なのは、この衆院の「海外派遣経費」が今年度は4億5300万円と、昨年度から1200万円も増額されていることだ。

衆院予算は、東日本大震災の復興対応などで昨年度と比べて全体で3.3%マイナス。
それなのに『議員秘書関係経費』や『海外派遣経費』といった議員のカネは増えている。
国会議員の外遊は例年、国会閉会中の夏場に集中する。
他の委員会もこれから続々と外遊に出掛ける。
その人数は例年100人近くになります。
参院でも今年度、海外派遣費用として『議員旅費』が1億4800万円計上されているから、この1〜2カ月で計6億円余りがセンセーの外遊に消えることになるのです」(永田町事情通)

 フザケた話ではないか。
庶民は「復興」名目で今年1月から所得税が2.1%上乗せされ、来年6月からは住民税が一律年間1000円増で徴収される。
扶養控除は減り、年金保険料はアップするばかり。
さらに来年4月からは消費税率引き上げが待っている。

国立社会保障・人口問題研究所が24日発表したアンケート調査では、20代以上の男女の約4割が生活が「苦しい」と回答している。
そんな状況を少しでも改善するために知恵を絞るのが国会議員の仕事なのに、自ら税金をジャブジャブ浪費しているのだから呆れる。

 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士がこう言う。

「外遊の問題は、まず、本当に必要なのかどうかも含めた説明が国民に一切ない上、成果もほとんど公表されないことです。
こういう国民目線から遠いことばかりやるため、政治不信を招き、低投票率の原因になる。
全国の自治体でも公費視察が問題になっているが、皆、国会議員を真似しているのです。
国会議員は清貧と思われるようになるぐらい、襟を正すべきです

 生まれたときから税金でメシを食べている世襲議員ばかりだから税金の重みなんて分からないのだろうが、もういい加減にしてくれ。
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2013年07月26日

室井佑月が汚染水垂れ流しの“ぬるい回答”に問題定義

室井佑月が汚染水垂れ流しの“ぬるい回答”に問題定義
※週刊朝日 2013年8月2日号
(更新 2013/7/26 11:30)

  自民圧勝で終わった参院選。
作家の室井佑月氏は、選挙期間中に感じていた各候補者の違和感を指摘する。

*  *  *
 この原稿がみなさんの目に触れる時には、参議院選挙は終わっている。
選挙期間中、たくさんの候補者や政治家の演説をネットで観た。
まるで同時並行で二つの世界があるように思えたのは、あたしだけだろうか。

 ある政治家は、「日本の経済は間違いなくよくなってきている」と、力強く語った。
農業に携わっている人の多い県で演説を行い、「農業、農村の収入を10年間で倍増させる。
この計画を前に進める」と訴えた。
この方は、「1人あたりの国民総所得(GNI)を10年後に150万円以上増やす」ともいっていた。

 ある候補者は、「来年4月は消費税増税で、13兆5千億も国民の負担増になる。格差は広がっている。
今、非正規雇用は2千万人以上、働いている人間の38%、女性では58%です。
これで国民の暮らしぶりが良くなるわけがない」と訴えた。

 またある候補者は、「国の食品の安全基準は1キロあたり100ベクレル。
それは、東京電力原発事故の前、放射性廃棄物と同等でした。
黄色いドラム缶のなかに入れて、厳重に管理されなければならなかったものを、僕たちは食べさせられている。

流通できないものが出てきたとすると、生産者に対して、補償、賠償をしなくちゃいけなくなるから」と語った。

 はじめにあげた方は安倍首相で、
次にあげた方は共産党の西沢博さん、
そして最後の方は山本太郎さんだ。

3人ともおなじこの国の話をしている。
でも、そんなふうに思えない。まるで違う世界、二つの現実があるようだ。

 いや、そんなことはないのか。
無理矢理、二つの現実を結びつけようとすれば、安倍さんの語る現実は、そういう諸々のことに目を瞑(つぶ)り、国として大きな目標を持とう、ということなのかもしれない。

 そして、多くの人々はそちらを支持した。
(気の毒な人はいるかもしれないが、自分にはなにもできない、自分のことだけしか考えられない)と目を瞑るほうを選んだ。
目を瞑って、強い力についていこうと。

 12日付の東京新聞の記事にこんなものがあった。
「農業用水に汚染水340トン」。

 日本原子力研究開発機構が発注した除染モデル実証事業で、中堅ゼネコンの日本国土開発が、福島県南相馬市で生じた汚染水340トンを、農業用水として使う川に流していたそうだ。

日本国土開発東北支店南相馬工事事務所の現場代理人は、排水先が農業用水に使う川だと知らなかったといいながら、取材にこう答えている。
「(排水を)もうやっていいかなという理解だった」。

 なんだろ? このぬるい返答。
国民の健康や命にかかわることなのに、重要な判断を任された人たちも目を瞑っているのだった。
目を瞑って、目を瞑っている人についていくって怖くない?
posted by 小だぬき at 14:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月27日

消費税増税 課題を忘れていないか

消費税増税 課題を忘れていないか
毎日新聞社説 2013年07月26日 02時32分

 来年4月に消費税率を5%から8%に上げるかどうかの最終判断をめぐり、安倍政権内で綱引きが起きている。

安倍晋三首相は「秋に判断する」と従来通りの発言を繰り返すが、麻生太郎財務相は9月上旬にロシアで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議を念頭に、増税の決断を前倒しする考えを示した。

一方、政権のブレーンである浜田宏一・内閣官房参与は経済を成長軌道に乗せることを優先すべきだとの慎重論を繰り返している。


 私たちは、増大する社会保障費と危機的な財政を踏まえ、増税は避けて通れない道だと主張してきた。ただし、そのためには取り組むべき課題があることを改めて指摘したい。


 自公民3党は、税と社会保障の一体改革に関する合意で、増税とともに社会保障制度改革国民会議で議論を深め、安心できる年金、医療、介護などの具体的な将来像を描くことを約束した。

高齢化で社会保障費は毎年1兆円ずつ国の歳出を押し上げる。効率化は不可避だ。
ところが自民、公明両党の年金・医療改革は現行制度の手直しにとどまる。
国民会議でも年金の抜本改革の議論は深まっていない。
何のための増税なのか。その原点を忘れていないか。


 軽減税率の導入の道筋を明確にすることも急務だ。
自公両党は8%での導入見送りで合意し、2015年10月に10%に引き上げる際の導入が検討されている。

欧州諸国のほとんどが軽減税率を採用しており、食品のほか新聞や書籍類の税率をゼロや数%に低く抑えている。
多様なマスメディアや知識産業が存在し、だれでも情報を入手しやすい。
それが民主主義を支えているという社会的合意があるためだ。

毎日新聞が参院選公示前に実施した全候補者アンケートで、全当選者の53%が軽減税率導入に賛成し、反対の18%を大きく上回っている。


 増税への国民の理解も深まっていない。
毎日新聞が参院選投票日前に実施した全国世論調査で、消費税の8%への増税について「予定通りに引き上げるべきだ」との回答は21%にとどまった。
「引き上げるべきだが、時期は先送りすべきだ」の36%と「5%を維持すべきだ」の37%を合わせると73%になる。

経済政策・アベノミクスで円安、株高が進んだが、国民生活が楽になった実感はない。
そんな中で、自民党は参院選で国民に真正面から消費増税への理解を求めようとしなかった。
その説明不足が世論調査に表れているのではないか。


 増税の判断をめぐっては、今後公表される国内総生産(GDP)の四半期速報など経済指標が注目されているが、大事なのは国民が納得する環境を整えることだ。

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TPP初会合 やっぱり日本は「交渉余地」なし

TPP初会合 やっぱり日本は「交渉余地」なし
2013年7月27日 ゲンダイネット掲載

「主張しない日本」に他国は「シメシメ」

 何ともお粗末な内容だった。
マレーシアで25日まで開かれていた「TPP」(環太平洋経済連携協定)会合に初めて参加した日本交渉団。
閉幕後に会見した鶴岡公二首席交渉官は「重要で困難な案件にはまだ、各国に開きがある。
実質的な議論に参加することは可能」と涼しい顔をしていたが、とんでもない。
このままじゃあ、大惨敗確実だ。

 霞が関官僚100人を現地に派遣して初交渉に臨んだ日本。
大交渉団を組んだのは、初っぱなから、コメや麦、乳製品など日本が掲げる重要5品について他国にガンガン訴えるためなのかと思っていたのだが、そうじゃなかった。
1000ページ近くに及ぶ協定の原案文書を読み込む作業に忙殺されて終わったらしい。

 情けないのは、大新聞テレビが「タフ・ネゴシエーター(手ごわい交渉相手)」と持ち上げていた鶴岡首席交渉官だ。
会合では、初参加した日本だけに集中会合が設定された。
それなのに重要5品目の例外どころか、主張さえしなかった。
本人は会見で、「日本の立場を知らない人はいない」と逃げていたが、交渉事は初回が肝心。ガツンと言うべきことを言わないと、つけこまれるだけだろう。

「農水省は徹底抗戦の構えを見せているが、まとめ役の首席交渉官は米国の方ばかり見ている外務省出身。
日本の主張を通すことなど考えていないのでしょう。
余計な発言で他国を刺激したくない。
あまりに露骨すぎます」(東大教授の鈴木宣弘氏=農業経済学)

 他国の出席者は「主張しない日本」の代表者にクビをかしげていたというが、内心は「シメシメ」と喜んでいたに違いない。
一体どこが「タフ・ネゴシエーター」なのか。

 さらに唖然ボーゼンなのが、日本政府の交渉団が、現地を訪れた農業団体や財界、業界関係者に対し「守秘義務」をタテに交渉内容を明かさなかったことだ。

「『国益』を考えれば、官民連携は不可欠。

米国だって政府が経済界に対日要求を募集し、自動車や食品などの業界と密に連携を取りながら、交渉に臨んでいる。
他の参加国だって同様です。

それなのに日本は官民でバラバラ。
農業団体が『今後の展開が全く分からない。
重要5品目の聖域は本当に守れるのか』と不安を漏らすのも当たり前です」(経済ジャーナリスト)

 そもそも政府は、国民が「TPP」の情報公開を求めても「参加していないので分からない。だから早く参加したい」と説明してきた。それが参加したら「守秘義務」で明かせないなんてバカにするにもホドがある。

 元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう言う。

「今回の協議は実質的な日数が2日間しかなく、当初から結果は予想された。
国民の多くは、日本の大交渉団の姿を見て『交渉の余地あり』と思ったかも知れませんが、もはや交渉の余地は残されていません。

今の日本政府ができることは、協定の原案文書をきちんと国民に公開し、議論を促すこと。
国民生活に関わる重要な事柄が何ら明かされないまま、協議に突き進む。
主権国家としてあり得ません」

 次回会合は8月22日からブルネイで始まる。
交渉余地もなく、主張すらしない日本が「守るべきもの」を守れるはずがない。
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2013年07月28日

自分の理想を実現しようとすれば、〈俗物中の練達者〉とならなければならない

天声人語
朝日新聞 2013年 7月 27 日(土)付

 中曽根元首相によれば、政治はお世辞を抜きにしては語れない。
人に頭を下げ、時には道ばたの地蔵にまでお辞儀する。
俗物といえば俗物だろう。
だが、権力に近づくことで自分の理想を実現しようとすれば、〈俗物中の練達者〉とならなければならない(『政治と人生』)

▼俗物はさておき、練達という言葉に目がいく。
鍛錬を重ね腕を磨き、技を極める。
入神の境地に達することと説く辞書もある。
そこまで求めるのは無理としても、もう少し何とかならないものか。
参院選後の民主党のありさまにそう思う

▼きのうの両院議員総会をネット中継で見た。
意見は多く出たが、全体の取り運びがどうにも弛緩(しかん)している。
ある議員が、再建への熱を感じないと憤った通りだ。
腕や技を問う以前の、やる気の問題だろう

▼案の定、海江田代表が続投することへの批判が続いた。
一から出直すために代表選をやれという声である。
敗軍の将が、その引き際を問われるのは避けられない

▼欧米の政党は、野党時代に思い切った世代交代をして、起死回生を図ることがある。
英国のブレア元首相もキャメロン首相も若くして党首になった。
いまの民主党にもかなりの荒療治が必要なのではないか

▼中曽根氏は昔、南極で米海軍の砕氷艦に乗り、艦長に氷上での操艦の心得をたずねた。
忍耐、忍耐、また忍耐」との答えに、これは政治の要諦(ようてい)でもあるなと得心したという。

民主党も長い忍耐を覚悟し、その間に練達のリーダーを育てることである。
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生活保護基準 前例ない引き下げ ノー

生活保護基準  前例ない引き下げ ノー
「食費1日600円 さらに減額」全国会議が集会
2013年7月28日(日)    しんぶん赤旗

安倍政権による8月からの生活保護基準引き下げ(3年で最大10%)を目前に、法律家や市民などでつくる生活保護問題対策全国会議は27日、東京都内で設立6周年記念集会を開きました。
約170人が参加。その問題点を学び、基準引き下げなどの改悪にどう立ち向かうのか、活発に議論を行いました。

当事者や医療、労働、障害など各分野の支援者ら9人がリレートークで生活実態を訴え、引き下げを撤回させる運動への決意を語りました。


 横浜市の男性(49)は、障害年金を受給し、住宅扶助のみを利用。
1日の食費は600円を目安に生活しています。
「生活扶助基準の引き下げで住宅扶助、障害年金がともに減額になると聞き、利用者だけでなく国民全員の問題だと気づいた。
なんとしてもくいとめたい」と訴えました。


 立川市から参加した先天性骨形成不全症の障害をもつ車いすの女性は、学校に行けず、小学校は週に2回訪問教育を受けただけといいます。
「中卒では就労も難しく、門前払いでした。
生活保護は頼みの綱。
利用できないときがくるかも、と危機感でいっぱいです。

みんなでたたかおうと地域で団体をつくり勉強会を始めた」と話しました。


 花園大学の吉永純教授、中日新聞の白井康彦編集委員が、基準引き下げの「根拠」とされた厚生労働省独断の消費者物価指数のでたらめさを報告。

吉永さんは最低賃金や年金、就学援助適用などに連動する問題を指摘しました。


 全国会議代表幹事の尾藤廣喜弁護士が、「前例のない引き下げには前例のない対応が必要」と、

▽1万人を目標に「審査請求」運動で、引き下げの違法性を明らかにする

▽全国で身近な常設の相談場所をつくるなどの提起をおこないました。

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東北から九州で大雨警戒=日本海で前線南下―気象庁

東北から九州で大雨警戒=日本海で前線南下―気象庁
2013年7月28日(日)22時43分配信 時事通信

 山口、島根両県に猛烈な雨が降ったのは、日本海にあった低気圧に向け、南から暖かく湿った空気が集中的に流れ込んだのが原因だった。

29日は朝鮮半島付近から日本海に延びる前線がゆっくりと南下する見込み。

 気象庁は東北から九州の広い範囲で雷を伴う激しい雨が降り、突風が吹く所があるとして、警戒を呼び掛けている。

 29日午後6時までの24時間予想雨量は多い所で、東海が150ミリ、山陰と北陸が120ミリ、近畿が100ミリ、九州北部と山口県、東北が80ミリ。これまでの大雨で地盤が緩んでいる地域では土砂災害に厳重な警戒が必要。 
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2013年07月29日

言論の自由守るために=与良正男

熱血!与良政談:
言論の自由守るために=与良正男
毎日新聞 2013年07月24日 15時09分

 自民党が圧勝した参院選。
実は結果がどうなるかという前に、選挙戦の最中からずっと考えていたのは、これからの政治報道はますますしんどくなるなあということだった。


 象徴的だったのは自民党がTBSに対し「報道が公正さを欠く」と抗議し、党幹部への取材や幹部の番組出演を一時拒否した一件だ。
数日間で収拾したが、今後こうした「メディア制限」は増えそうな気がするのだ。


 TBSの報道は先の国会会期末、与野党の駆け引きの揚げ句に電気事業法改正案が廃案になったニュースを報じる際、改正案成立に期待していた財団関係者が「与党がもしかしたら法案を通す気がなかったのかも。
非常に残念ですね」と録画でコメントしたというものだ。


 言論には言論で応じるべきで、報道が気に入らないといって政権側が取材拒否や出演拒否に出るのはまったく行き過ぎである。

ただ一方で報道の脇が甘かったと私が感じたのも確かだ。
自民党に廃案の責任があるというのなら第三者が印象論を語るのではなく、記者自らが事実を積み重ねて報じるべきだったと思う。


 元来政治権力は都合の悪い報道を封じたがるものだ。

私が政治記者になった二十数年前は「でも権力をチェックして批判するのが君らの仕事だからなあ」と懐の深さを見せてくれる政治家が多かったが今や少数。


 民主党政権時代にも政権に批判的な報道があると「国会におたくの社長を呼んで問題にするぞ」と脅す閣僚もいたのだ。
政治権力側がメディアをより好みして選別する時代に入りつつあるといっていい。


 私たちが覚悟しなくてはならないのはそこだ。面倒なことになるから批判はおっくうになり、メディアが萎縮していく……。

そうならないためには、とりわけ批判するに際しては従来以上に客観性と論理性を持たないといけないと思う。


 もっと深刻なのは、政治家だけでなく自分の気に入らない意見には一切耳を傾けず、排除する風潮が社会全体に広がり始めていることだ。


 「私はあなたの意見には反対だ。
だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」という言葉がある。
これが民主主義の原則だと私は信じてきた。
この原則を守るためいっそう体を張っていかなくてはならないと決意している。(論説委員)

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節電社会は暗くない=山田孝男

風知草:節電社会は暗くない=山田孝男
毎日新聞 2013年07月29日 東京朝刊

  猛暑の夏だが、節電、節電と言わない。ほとんどの原発は止まっているが、電気は足りている。


 にもかかわらず、節電は大事だ。
経済成長の妨げどころか、国富を積み上げる力になる。
いまや原発に置き換わった火力発電用のLNG(液化天然ガス)の輸入量を減らせる。
「節電社会」は暗くない。


 そもそも、日本の夜は明る過ぎる。
先進国の中でも際立っている。
停電のおかげで星空に気づいた震災体験も今はむかし。


 ビルや道路の照明もさりながら、「蛍光灯付き冷蔵庫」と言うべき飲料の自動販売機が全国に256万台もある。
4万8000店のコンビニの95%が24時間営業。
自販機は震災後に微減したが、昨年また微増。
深夜営業のコンビニは一貫して増え続けている。


 産業界も、自民党もビカビカ、ギラギラの現状を改める気などないように見えるが、耳を澄ませば別の声も聞こえてくる。


 東京電力の経営方針を決める取締役会で、電力需給の将来予測をめぐり、二つの意見が対立した。


 ある役員が言った。

 「経済成長の伸びは消費電力量に比例する。従来もそうだったし、今後も変わらない。オール電化社会はさらに進化します」


 別の意見はこうだ。

 「日本は人口減社会であり、電力需要の落ち込みは避けられない。需要の縮小を前提とする生き残り策を探るべきでしょう」


 「電力消費はまだまだ増える」と声を上げたのが東電生え抜きの取締役、「減る方が自然」とたしなめたのが社外取締役であることは想像に難くない。


 東電の社外取締役の一人である三菱ケミカルホールディングスの小林喜光(よしみつ)社長(66)が、毎日新聞紙上でこう語っている。

 「……今後、日本経済が目指すべき方向は、これまでのような量的な成長ではなく、質的な成長だ」


 「質的成長・発展を目指すのは量的成長を目指すよりも困難だが、それを実現するパッション(情熱)こそ国民の活力になる。政治には、それを喚起する役割がある」(10日朝刊)


 先日の参院選で自民党が圧勝した理由ははっきりしている。
政府は巨大な精密機械であり、規律ゼロのアマチュア政党の手に負えるものではなかった。
今の自民党がプロ集団か、疑問は残るが、老舗の実績と柔軟性に期待が集まったと見て間違いないだろう。


 自民党の政権復帰で原発回帰は必定、原子力ムラは大喜び−−という解説が幅を利かせているが、決めつけるのはまだ早い。

 毎日新聞のアンケート調査によれば、当選した自民党参院議員の25%が「原発は必要だ」と答えたのに対し、「当面必要だが将来的には廃止すべきだ」が40%を占めた(23日朝刊)。
アベノミクスは経済成長と電力消費の関係について、まだ何も語っていない。


 電気を消して気がつくこともある。日没直後の「暮れ」とそれに続く「宵」の暗さは違う。
真夜中の闇はさらに深い−−。


 電気が普及する前の日本の建築、照明や美意識をめぐる谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」は世界で愛読されているが、高度成長以降の日本は、

「陰翳礼讃」とは懸け離れた、蛍光灯中心の暮らしになった。


 東電の最高首脳レベルでようやく、右肩上がりの電力消費を疑う声が上がり始めた。
電力会社の過大な需要予測に基づき、電力浪費型成長を求めるという、高度成長以来の悪循環を断つチャンスだ。
政治主導で踏み込んでほしい。

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2013年07月30日

記者の目:過労死防止基本法

記者の目:過労死防止基本法
                   =東海林智(東京社会部)
毎日新聞 2013年07月29日 14時30分

  ◇悲しみ根絶へ制定急げ


 過重労働問題に取り組む弁護士らのグループ「過労死110番全国ネットワーク」が活動を開始して25年。
今や「KAROSHI」は世界に知られる言葉になった。
だが、2012年度に脳・心疾患を発症して労働災害と認定されたのは338人(死亡123人)と高止まりしたままだ。
精神疾患の労災認定は475人(未遂を含む自殺は93人)で過去最多。
過労死は一向に減る気配がない。
状況を変えようと、過労死防止基本法の制定に向けて活動しているのは、他でもない遺族たちだ。
過労死を食い止めるために、遺族の悲痛な声に耳を傾けたい。

 ◇亡き父恋い慕う女の子の姿に涙

 忘れられない光景がある。
10年前、東海地方の過労死遺族に話を聞いた時のことだ。
自宅を訪ねると、当時3歳だった遺児の女の子が玄関にポツンと座っていた。
白いワンピースにレースの付いた靴下、赤いエナメルの靴を履いて着飾っていた。背筋を伸ばし、そろえた膝の上に、小さなバッグを乗せている。
「お出かけ?」と聞くと、こくりとうなずいた。
取材の約束があるのにおかしいなと思いながら、母親と向き合った。


 父親は月120時間を超える残業を1年近く続け、34歳の若さで突然死した。
労災を申請しようとしていたが、営業職だったため残業時間の立証が難しかった。
約2時間の取材を終えて帰ろうとすると、女の子は、まだ玄関に座っていた。
その理由を母親が涙声で教えてくれた。


 「土曜日はいつもおしゃれして玄関に座っているんです。
自分が可愛く良い子でいれば、お父さんが迎えに来て、お出かけに連れて行ってくれると思っているんです。
最後は疲れてその場で寝ちゃう。
せめて夢の中で、お父さんに会えればいいんですけどね」


 母親の言葉通り眠くなってきたのか、小さな背中が前後に揺れた。それでも必死にピンと背筋を伸ばそうとする。
まだ言葉で嘆くことも悲しむことも、できなかったのだろう。
小さな体全体で父を恋い慕う姿に涙が止まらなかった。
家族が引き裂かれる酷薄さを思わずにはいられない。

 ◇働いているのは血の通った人間

 企業社会は「働いているのは人間だ」ということに無頓着だ。
「24時間働け」という言葉が平気で語られる。
こなせるはずのない量の仕事を命じて「このくらいできないなら会社をやめろ」と追い詰める。
遺族の話を聞くと、過労死が減らない背景が見えてくる。

 人は機械ではない。睡眠は欠かせないし、プライベートも必要だ。
感情だってある。

だが、短期的利益の追求や社内外の競争激化という状況が、人には血が通っているという事実を忘れさせる。
経験が浅い若い世代が過重労働の犠牲になっている。
心身とも健康なはずの20〜30代の労災認定数が、精神疾患で全体の5割を超えているのは異常だ。

少子高齢化が進む今、若年労働者を粗末に扱うことは、日本の将来を粗末に扱うことに他ならない。


 11年の内閣府の自殺統計によると、動機・原因が勤務に関連していたケースは2689人。
12年度に過労自殺と認定された93人は、内閣府統計の3%程度に過ぎない。
過労死弁護団の川人博弁護士は「認定されているのは氷山の一角」と言う。
2689人がすべて過労自殺かどうかは分からない。
だが、一家を支える働き手の命が、手塩にかけて育てて社会に送り出した若い命が、理不尽に失われていることは間違いない。

現状を放置すれば「同じ悲しみを背負う人を増やさないで」との遺族の願いはかなわない。


 遺族や弁護士は、過労死防止基本法を制定することで過労死の根絶を目指す運動を続けている。
法の要は、国が「過労死はあってはならない」と宣言することだ。
過労
死防止のための基本計画の策定や調査研究、使用者責任の明確化も目指す。

法制定を求める署名は約44万筆も集まった。国会議員も呼応し、超党派で法制定を求める議員連盟が結成される予定だ。


 法制定に取り組む「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表は「人が尊重されて働き、家族と共に暮らしたい。あたり前のことを求めている。
けれど、残念なことに私たちの会の会員(遺族)は増える一方です」と話す。
働くとは何か。
遺族の思いを社会全体で共有し、一日も早い法制定につなげる必要がある。

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2013年07月31日

就活で自殺、ひどすぎる 吉良佳子氏

(参院の注目新人)
就活で自殺、ひどすぎる 吉良佳子氏
2013年07月30日23時17分  朝日新聞デジタル

 【聞き手・土佐茂生】
――選挙で就職氷河期の実体験を訴えていました。


 「60社ぐらいにエントリーして1社しか内定を取れなかった。
今の就職活動って、7、8次面接は当たり前。12次面接とかあるんですよ。
面接では『女性を採用するのはリスク』とも言われた。
就職ではこちらが圧倒的に弱い立場。
気に入られなければならない、と思うと、その面接官に何も反論できなくなって悔しい思いをしました」


 「役員面接まで行って『あと一押しだ。この会社に入るんだ』と思った会社にも落とされた。
人格を否定されるような思いだった。
両親に落ちたことを報告したら、泣いてしまいそうで、両親に心配をかけないように電話線を引っこ抜いて連絡を絶ち、本当に引きこもりのような思いをした」


――どうして政治家を志したのですか。


 「就活で自殺する若者が急増している。本当にひとごとではない。
一つ間違えば自分の身にも降りかかっていた。
いまの学生は、奨学金ローンを抱えて卒業する。
700万円とか。
それを返すあてもないし、就職も決まらない。
人生のスタートライン、社会人としての一歩目で挫折を味わわされる社会というのは、ひどすぎるんじゃないか、と。それが原点ですね


――最年少の参院議員ですね。


 「たかだか30歳で経験も浅いけど、原点の雇用問題、とりわけブラック企業の問題を実名をあげて訴えた。
すると『私の職場もブラックだ』という声がたくさん寄せられた。
一番あおりを受けていた世代なので同世代の声を届ける代表に見ていただけたのかな。
必然性はあったと思う」


――首相官邸前の脱原発デモにも、ほとんど皆勤賞で参加したそうですね。


 「一番最初は昨年の4月。
6月には初めてスピーチした。
それ以降、毎週通っています。
とくに年が明けてからは、演説会などの日程があったとしても、最初の5分間だけでも参加しよう、と。
本当に再稼働の方向に安倍政権が動いているなかで、原発反対の声をみんなと一緒にあげるんだという思いで通い続けてきた


 ――「キラキラサポーターズ」という応援隊ができたそうですね。


 「反原発や反TPP(環太平洋経済連携協定)で一緒に声をあげてきた無党派の幅広い方々が、本当に追いかけてくれて、『キラキラキラキラ』ってコールしてくれた。
これはネットで動画で流れて、各地域に広がった。
演説中に『こういう政策をやりたいんです』と言うと、『ドコドン!』と太鼓で合いの手が入る。すごくしゃべりやすくって」


 ――写真集も。


 「サポーターズの方々が作ってくれた。
選挙前に電車を降りるところや髪をかき上げるところなど日常的なシーンも撮りました。
共産党って1文字もない。
みなさんが手持ちで販売してくださって、300円ですが、1千部が完売しちゃって……ビックリしました」


――二大政党制の中で共産党は埋没していました。


 「イメージを変えていくことが重要だと思う。
私の同世代でも共産党に対する忌避感は意外にないんです。
私が立候補するって言うと、友達は『えーっ、吉良ちゃん、何で?』って。
でも『実は共産党という政党に入っていて』と言うと、『へえ』ぐらいの反応で。
『共産党?やめた方がいいよ』と言われるかと思ったんですけど。
そういう垣根というのは実は無いんですね。
原発問題でもブレないという政党像が浸透し始めている。
一緒に声を上げる政党なんだということも見えてきたのかな


――無党派からも支持を得た手応えはありますか。


 「大きな期待を感じている。国民の声がまっすぐに届く政治をつくりたいと訴えてきた。
ブラック企業の問題は真っ先にやりたい。原発再稼働ストップ、TPPストップも全力で頑張りたい。
市民と一緒に活動しながら、共産党と市民の接点になっていきたい

    ◇
 きら・よしこ 1982年、高知市生まれ。父は共産党の高知県議。早大卒業後に4年間、東京都内の印刷会社で勤務。参院選の東京選挙区で共産党として12年ぶりに議席を獲得した。
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2013年08月01日

「ナチスの手口に学べ」'舌禍'で片付けられない麻生の恐ろしさ

「ナチスの手口に学べ」
舌禍”で片付けられない麻生の恐ろしさ
2013年7月31日 ゲンダイネット掲載

 「ナチスの手法に学べ」――。
 麻生副総理の発言が波紋を広げている。
29日、都内の講演会で憲法改正について語り、「ワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。
あの手口を学んだらどうか。
(国民が)騒がないで、納得して変わっている。
喧騒の中で決めないで欲しい」と言った。
ナチスを参考にしろとは“舌禍男”の麻生らしい言葉だが、単なる失言で片付けるわけにはいかない。

 ワイマール憲法は1919年、第1次大戦に敗れたドイツで成立。
主権在民や男女平等の自由選挙などをうたった進歩的な内容だった。

 この憲法を骨抜きにしたのがヒトラー率いるナチスだ。
33年、ヒトラー政権が樹立し、「全権委任法」を可決させた。
この法律は内閣が自由に立法権を行使できるというもので、以後、ナチスは他国への侵攻やユダヤ人虐殺などに暴走し、ワイマール憲法は事実上消滅した。
麻生の発言は、同じ手法で日本国憲法を改定すればいいという意味に解釈できる。

「当時のドイツといまの日本は酷似しています」と言うのは政治評論家の本澤二郎氏だ。

「ドイツ人は敗戦で多額の賠償金を取られ、経済が停滞して意気消沈していました。そこに強い国家を標榜するヒトラーが登場。
国民の圧倒的な人気を得て政権を掌握し、ナチスの前に立ち向かったのは共産党だけという状況でした。

現在の日本も同じ。
長いデフレ不況で気分がふさいでいた国民は詐欺的なアベノミクスに引き付けられ、参院選で自民党を大勝させた。

安倍政権を真っ向から批判するのが共産党くらいという点も似ています


 行き着く先は「96条改定→平和憲法破棄」なのだが、いまの日本人はその危うさを理解しているのだろうか。 
社会学者で作家の岳真也氏が言う。

「長引く不景気の中で、日本人はアベノミクスに一筋の光を見いだし、何も考えずに心酔している。
批判精神も希薄になっています。
これは為政者にとってすごく好都合な状況。
大衆は安倍政権の操り人形みたいなものです」

 これぞ安倍―麻生の正体なのだ。
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「日米地位協定」再協議での国家主権回復が優先課題

2013年8月1日   東京新聞「筆洗」

 「日本がアメリカの準州か、何番目かの州になれば、沖縄にあんなに基地を置けないですよ。
アメリカの国内問題になるから」。
作家の沢地久枝さんが以前、アフガニスタンで井戸を掘ってきた医師の中村哲さんとの対談で語っていた

▼極論ではない。米ニューメキシコ州の基地では、新型輸送機オスプレイなどの夜間・低空飛行訓練に反対する住民に配慮し訓練は延期に。
ハワイでも歴史的遺産に与える影響や騒音に対する住民の声を考慮してオスプレイの訓練が事実上、無期延期になった

▼日本では、予定通り沖縄県の米軍普天間飛行場に追加配備されるオスプレイ十二機が米軍岩国基地に到着。
八月上旬にも普天間飛行場に移動し、配備済みと合わせて計二十四機態勢になる

▼さらに、新たに配備先として米軍の横田基地(東京都福生市など)が浮上したが、首都圏の巨大な空域を支配しているのはこの基地であることは意外と知られていない

▼羽田から西に向かう航空機は房総半島方面に離陸すると、狭い空域を急上昇し急旋回する。一都八県に及ぶ「横田ラプコン」を避けるためだ

▼「首都圏がこれほど外国軍によって占拠されているのは、おそらく世界で日本だけでしょう」(前泊博盛編著『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』)。沖縄だけの問題ではない。国家の主権とは何かを心底考えさせられる。

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2013年08月02日

悲しいときは泣けばいい=鎌田實

さあこれからだ:悲しいときは泣けばいい=鎌田實
毎日新聞 2013年07月30日 東京朝

 「夜回り先生」こと水谷修さんから、電話がかかってきた。
「今聞いておかなければいけない、日本の優れた宗教家の言葉を残したい。
協力してほしい」という。


 BS朝日で放送中の「いのちを語る」(日曜午前11時)という番組がある。
各界の著名人が「訪ねびと」となり、宗教家と命について語り合う。
これまで菅原文太さんやさだまさしさんらが訪ねびと役を務めてきたが、「鎌田さんも頼む」と出演を依頼された。


 出演料はゼロ。でも、人から頼まれるとNOとは言えない。
それに、水谷さんには「借り」がある。つい最近出した著書「がんばらないけどあきらめない」(集英社文庫)で、水谷さんに解説をお願いしたのだ。借りは返さなければならない。


 ぼくが訪ねる相手は、神戸・六甲修道院の高木慶子シスター。

実は2年ほど前、高木シスターから講演を頼まれたことがあった。
2005年、JR西日本福知山線脱線事故で100人を超す人が亡くなった時、ご遺族の方やJR西日本の社員、一般市民らが一堂に会して、悲しみを癒やすための「グリーフケア」の勉強会が行われていたが、その勉強会で講演してほしい、と頼まれたのだ。


 遺族のなかには当初、加害者側のJR西日本の社員を「絶対に許さない」と声を荒らげる人が多かった。
だが、勉強会を重ねるうちに、許せないという思いは徐々に変わっていった。
同じ空間のなかで、同じ空気を吸うことの大切さが分かる。


 東日本大震災では2万人近い人の命が奪われた。
悲しみがあふれている今、グリーフケア研究の第一人者である高木シスターに、改めてきちんとお話を聴きたいと思った。


 高木シスターは言った。


 「人生の3分の1は、悲しみの中にいます」

 驚いた。まさか、そんなに多いわけはないだろう。だが、シスターの説明を聞いて納得できた。


 人生で遭遇する悲しみは、震災や事故などの特別な出来事だけではない。
むしろ、日常的に遭遇する喪失体験によって、人は悲嘆に暮れる。


 仕事をなくした人。
プライドを傷つけられた人。
事故や病気で足や乳房を失った人。
高齢になり、今までできていたことができなくなっていくことも、喪失体験の一つだ。若者だって、失恋して喪失感にとらわれる。

生きていくことは、悲しみの連続である。


 「かつて日本の大家族には、喪失体験を癒やしてくれる人や、システムがありました。
今は核家族化し、人間関係が希薄になっています。
だから、専門的なグリーフケアの仕組みが必要なのです」


 高木シスターは震災の被災地を繰り返し訪れ、遺族の話に耳を傾けてきた。

被災地には今も「生き残り症候群」に苦しむ遺族が、大勢いる。

 津波に襲われた娘を腕の中で亡くした母親は「娘を救えなかった私の腕を切ってください」と自分を責める。
7人家族で1人だけ生き残った男性は、その苦しみを誰にも語ることができない。
語ればもっと楽になるのに、心の中に悲しみを閉じ込めている。


 高木シスターは、彼らに寄り添い、こう話している。

 「悲しい時には悲しんでいい。涙をこらえないでください。
希望はそこから生まれます」


 それは死を目前にした人も同じだ、と思った。

 ぼくは最近「大・大往生」(小学館)という本を書き、死について正面から考えた。
死のタブー視や、管理された病院死が多い現代で「死生観の空洞化」が起きていることに危機感を抱いたのだ。


 医療の現場は全く余裕がない。
日本では毎年120万人の人が亡くなっているが、病院でのみとりは豊かとは言えない。
がんで亡くなる毎年36万人のうち、多くは体の痛みや心の痛みを十分に取り去ることができていない。
社会的な痛みや霊的な痛みの多くが放置されている。


 だが、寄り添って自分の悲しみに耳を傾けてくれる人がいると、痛みは和らぐ。
死を受容することもできるようになる。


 グリーフケアの目的は、その人の人生を認め、肯定すること。
人生は喪失の連続だからこそ、私たちはやさしい心で支え合うことが必要なのだ。


 「誰か聴いてくれる人がいると、心が素直になっていくのです」。
高木シスターはこう語っていた。
「人間は、素直になれないと死ねません」

 深く納得した。(医師・作家、題字も)
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「嫌がらせをする普通の人が怖い」 室井佑月が憂う未来とは

「嫌がらせをする普通の人が怖い」
                        
 室井佑月が憂う未来とは
※週刊朝日  2013年8月9日号
(更新 2013/8/ 1 11:30)


 作家の室井佑月氏が自民党・石破茂幹事長の「国防軍」に関する発言、福島第一原発の作業員の甲状腺被曝について、このように持論を展開する。

*  *  *
 7月16日付の東京新聞の記事にびっくりした。
【平和憲法に真っ向背反】という見出しの記事で、自民党の石破茂幹事長が4月にテレビに出たときの発言について書かれてあった。

自民党は改憲草案で、憲法9条を変更し、自衛隊を「国防軍」にしたいといっている。
そして国防軍には、「軍事裁判所的なものを創設する規定がある」というのだ。
現在の自衛隊で隊員が上官に従わない場合の、自衛隊法の最高懲役7年では甘すぎるからだとか。

「『これは国家の独立を守るためだ。出動せよ』と言われたときに、いや行くと死ぬかもしれないし、行きたくないなと思う人がいないという保証はどこにもない。
だから(国防軍になったときに)それに従えと。それに従わなければ、国における最高刑に死刑がある国なら死刑。無期懲役なら無期懲役。懲役300年なら300年。

そんな目に遭うぐらいなら、出動命令に従おうっていう。人を信じないのかと言われるけれど、やっぱり人間性の本質から目を背けちゃいけない」(石破氏談)

 国防軍の隊員をそうしたいって話だよね。
でも、この国の政治家には「徴兵制を!」と声高にいっている者もいる。
そうなったら、この恐ろしい制度がどう関係してくるんだろう。

 19日付の朝日新聞には、福島第一原発の作業員で、がんが増えるとされている100ミリシーベルト以上の甲状腺被曝をした人が、去年12月の公表人数より10倍以上多い2千人に増えたとの記事があった。

 福島第一原発の収束にはまだまだかかるわけで、そうなると、そこで働く人間の数が必要になる。
専門職の人たちが軒並みいなくなると不味(まず)いから、その下で働くのは国に集められた普通の人にならないか。

 憲法が改正され、海外の戦地へ日本が軍を出すようになったとしでも、同じことがいえる。
日本にいて国を守る専門家(自衛隊? 国防軍?)も必要なわけで、海外の戦地へ行かせるのは半分専門家で半分徴兵制で集めた人になったりするんじゃないか。

 厭(いや)な予感がする。
あたしには息子がいるが、そんな恐ろしい出来事に巻き込まれるため産んだんじゃない。

けれど、この国で生きている以上、力ある者の恐ろしい考えに、巻き込まれ流されてゆく集団心理には負ける。

選挙の投票所入場整理券みたいに、愛する息子に徴兵制の誘いの封筒が送られてくるようなことがあったとして、「行くな! おまえをそんな場所に送るために、あたしは産んで育てたわけじゃない」。

そう正直に発言したら、あたしたち親子に嫌がらせや危害を加えるのは、普通の人でありそうなところが、じつはもっとも怖い。
ほんとうは一緒に、自らの立場を嘆くはずの人たちが簡単に洗脳される。
石破さんじゃないけど、人を信じないのか、といわれても、その部分は信用できない。
人間性の本質ってことで。
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2013年08月03日

ナチス発言 麻生財務相:どのツラ下げてG20に出るのか!?

ナチス発言 麻生財務相
   どのツラ下げてG20に出るのか!?
2013年8月2日 ゲンダイネット掲載

     もう辞めろ!

<釈明文の漢字も読み間違い>

 ナチス発言で世界中から袋叩きにあっている麻生財務相が1日、発言を撤回した。

「私の真意と異なり、誤解を招いたことは遺憾である」とか釈明していたが、驚いたことが2つある。
ひとつは釈明文を読んだ際、「真意」を「しんし」と読み間違えたこと。
もうひとつは、こんな紙切れ一枚で、幕引きが図れると思っていることだ。
バカにつける薬はない。

 さすがにヤバイと思ったのか、1日の麻生は報道陣に囲まれると、いきなり、釈明文を読み上げ、発言を撤回した。
ま、漢字の読み間違いはいつものこととして、釈明の理由は支離滅裂だ。

「憲法改正について、落ち着いて議論することが重要と考えている。
喧騒にまぎれて十分な国民的理解および議論のないまま進んでしまった悪しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法にかかる経緯を挙げた」

 まるで、誤解した報道が悪いと言わんばかりだったのだが、冗談じゃない。

麻生は「(静かにワイマール憲法を変えたナチスの)手口を学んだらどうかね」と言ったのである。正確に再現するとこうだ。

〈(靖国参拝が)わーわー騒ぎになったのはいつからですか? 昔は静かに行っていた。
(原因は)マスコミですよ。
騒がれたら中国も騒がざるを得ない。
韓国も騒ぎますよ。
だから静かにやろうや、と。
憲法もある日気がついたら、ワイマール憲法が変わっていて、ナチス憲法に変わっていた。
誰も気づかないで変わった。
あの手口に学んだらどうかね?
 わーわーわーわー騒がねえで。
重ねて言うが、喧騒の中で決めて欲しくない〉

 どこをどう読んだって、「静かに憲法を変えたナチスに学べ」としか聞こえないのだ。
苦し紛れの釈明は見苦しいの一語だが、麻生はこれで「幕引き」と思っている。
議員辞職はもちろん、財務大臣も辞めない気だ。
これまたとんでもない感覚なのだ。

 ビジネス・ブレークスルー大教授の田代秀敏氏が言う。

欧米は日本の財務大臣がバカでも問題にしないが、ナチスは絶対に許さない。
あんな発言をしたら、政治家はもちろん、社会生活も送れなくなりますよ。
それほどの大暴言です。
しかも、世界の金融市場はユダヤ人が握っている。
どんな顔をしてG20などの国際会議に出るつもりでしょうか。

麻生さんが発言したら、席を立つ閣僚やスタッフがいてもおかしくない。
もう国際社会で仕事はできないのです。

それでなくても、安倍政権は慰安婦問題で世界から奇異の目で見られている。麻生発言で奇異から忌避に変わると思う。
もうこの政権には関わりたくない。
そう見られると思いますよ」

 麻生は2日午前、「辞職するつもりはない」と話し、謝罪する考えもないと表明したが、粘っても無駄だ。
議員バッジを外すしかない。
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麻生氏ナチス釈明 独で批判次々 「そんな理解はしない」

麻生氏ナチス釈明 独で批判次々 
                      「そんな理解はしない」
2013年8月3日 東京新聞夕刊

【ベルリン=宮本隆彦】
麻生太郎副総理兼財務相が改憲問題をめぐる発言で、戦前ドイツのナチス政権を悪い例としてあげたと釈明したことを受け、独紙フランクフルター・アルゲマイネは二日「聞いた人はそんな理解はしないだろう」と批判的に報じた。


 記事は「ただの『誤解』だ」との見出し付きで麻生氏の釈明を引用。発言の詳細や経緯に加え、安倍政権が改憲を目指している状況や、韓国や中国が反発した事情も伝えた。


 フンボルト大で現代史を研究するマルティン・ザーブロ教授(59)は本紙の取材に「ヒトラーは反対する共産党を迫害しながら自身に権力を集中させる全権委任法を成立させた」と説明。
「ワイマール憲法がいつの間にか変わっていた」とする麻生氏の発言は誤りだと指摘した。


 その上で独裁の手口から学びたいとの欲求は、他人の人権を否定し、自らが民主政治に参加する資格をも失わせる」と批判した。


 ドイツでは、ナチスがユダヤ人大量虐殺を実行した反省から、ナチスを賛美する言動が刑法で禁じられている。
社会もナチスを肯定的に扱うことを許さない。

昨夏のバイロイト音楽祭では、出演予定のロシア人歌手が過去にナチスの象徴である「かぎ十字」の入れ墨をしていたことが発覚し、直前に降板した。

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2013年08月04日

内閣法制局長人事はナチスの手口

内閣法制局長人事はナチスの手口
2013年8月3日 ゲンダイネット掲載

この政権はとっくに学んでいる

「憲法改正はナチスに学べ」という麻生の妄言は“大バカ大臣の失言”で片付けてはダメだ。
なぜなら、安倍政権はとっくに「ナチスの手口」を学んでいる。
それが如実に表れたのが「憲法の番人」、内閣法制局のムチャクチャな人事だ。

 安倍は内閣法制局の山本庸幸長官(63)を退任させ、後任に小松一郎・駐仏大使(62)を充てる方針を固めた。
8日にも閣議決定されるが、憲法解釈を堅持する立場の内閣法制局は、改憲派の安倍にすれば「目の上のたんこぶ」。
そのトップ交代は安倍の独断専行、ゴリ押しで決まった。

「小松氏は一橋大を中退して、1972年に外務省に入省した変わりダネ。
条約課長や国際法局長を歴任し、国際法に精通しています。

国際法局長時代には、第1次安倍内閣が設置した集団的自衛権をめぐる有識者懇談会に事務方として参加。
解釈見直しを提言した懇談会の報告書の取りまとめにも深く関わりました」(外務省関係者)

 報告書は「公海上での米軍艦船の防護」や「米国を狙った弾道ミサイルの迎撃」などに、自衛隊の武力行使を認める内容で、「バリバリの日米同盟重視派」(同)という小松氏の思想がにじみ出ていた。

こんな人物を「憲法の番人」に抜擢する安倍の狙いは一つ。
従来の〈憲法9条で許される自衛権行使は、わが国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどまるべき〉とする政府解釈をかなぐり捨て、持論である集団的自衛権の行使容認に突っ走るハラだ。

<護憲派パージし改憲派押し込む恐怖政治>

「外務省出身者の長官も初めてなら、法制局未経験者の起用も初めて。

長官になるには、憲法解釈を内閣に答申する法制局第1部の部長を経て、法制次長を歩むという過去60年に及ぶ慣行があります。

職務の専門性や、行政、法律、憲法解釈の継続性を考えれば妥当なルールですが、安倍首相はなりふり構わず。
あくまで自分と同じ考えの長官起用にこだわったのです」(霞が関事情通)

 今回の人事について安倍サイドは、解釈変更に断固反対の公明党に一切、連絡を入れなかった。
さらに小松氏の手足となって働く法制局第1部の参事官には、安倍の地元・山口県庁に出向経験のある総務省の課長級キャリアを抜擢。
これだって法制局に「安倍流」を押し付ける人事だ。

 考えの異なる人物をパージし、自分に好都合な人材を後任に据えるためなら、どんな禁じ手も犯す。
この手口は、ナチス同然の恐怖政治そのものではないか。

「憲法9条の解釈変更に邁進(まいしん)する安倍内閣は、中国の海洋進出や北朝鮮危機を必ず結びつけようとする。
この姿勢もナチスを彷彿(ほうふつ)させます。

ナチスは第1次大戦の戦勝国である欧州諸国との対立を煽(あお)って、ドイツ国民を鼓舞。
ナショナリズムの狂騒のドサクサで、独裁を許した『全権委任法』を成立させ、事実上ワイマール憲法を葬り去ったのです。
麻生発言のように『誰も気づかないで変わった』わけではありません。
安倍政権はナチスの手口で平和憲法をなきものにする気なのでしょうか」(立正大教授・金子勝氏=憲法)

 安倍政権はナチスと同じ独裁の道を着々と前進している。
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憲法を変えられるのは主権者の多数意思だけだ

憲法を変えられるのは主権者の多数意思だけだ

2013年8月4日  東京新聞「筆洗」

 歴史観や国際常識に加え、国語力の欠如をもさらけ出した麻生太郎副総理の発言は世界中から批判が集まったが、活発な国民的な議論を経ずに憲法を変えてしまえばよい、というのは本音だろう

▼憲法改正は国会の発議だけでなく、国民投票が必要だ。
初めての体験である。
賛成、反対の立場から激しい議論が起きるのは必然だ。
侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を重ねることで国民はこの国が直面している課題への理解を深める

▼結果はどうあれ、その過程を経ることで民主主義は鍛えられるはずだが、「いつの間にか」変わっているのが理想らしい。
その発想は、安倍政権の動きと重なる

▼内閣法制局長官に外務官僚を起用する異例の人事が決まった。
集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の見直しに前向きな人物をトップに据える狙いは明白だ

▼自衛隊の海外活動を縛ってきた法制局の解釈は、長年にわたる国会での議論を踏まえ歴代政権が引き継いできた重みがある。
「内閣法制局長官が時の政権によって解釈を変更できるなら、企業のお抱え弁護士と変わらない」(阪田雅裕元長官

集団的自衛権の行使容認は究極の「解釈改憲」である。

国民が直接、意思を示す機会を与えないまま、過半数の国会議員の賛成だけで憲法は完全に形骸化する。
憲法を変えられるのは主権者の多数意思だけだ。
安倍首相は学び直した方がよい。

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2013年08月05日

選挙が終わった途端 社会保障カットの嵐

選挙が終わった途端 社会保障カットの嵐
2013年8月2日 ゲンダイネット掲載

とんでもない国民会議の最終報告

 これは紛れもない詐欺ではないか。
こう言いたくなるのが、8月上旬にも提出される社会保障国民会議(会長=清家篤・慶応義塾長)の最終報告書だ。
このほど、全容がもれてきたのだが、その中身には唖然だ。

言うまでもなく、社会保障改革は消費税増税の条件。
増税分は当然、社会保障の充実に向けられるものだと思っていたら、何から何までカット、カットの報告書なのだ。

これを受けて、安倍内閣は秋の臨時国会で改革法案を出す。
選挙では一言も触れなかったくせに、この政権のやることは本当に汚い。

 報告書は医療、年金、介護など幅広い分野で提言をまとめているが、その横串になっているのが、「少子高齢化のなかで社会保障を維持するためには徹底した重点化・効率化が必要」という考え方だ。

 結果、出てきたのが70〜74歳の医療費窓口負担引き上げの早期実施や、紹介状を持たずに大病院を受診する場合の初診、再診料の引き上げ、高額医療の限度額引き上げ、軽い要支援の介護者(約140万人)は介護保険の対象から外し、ボランティアに任せる――などの“冷血改革案”なのである。

 他にも目を剥く項目がたくさんあって、高所得者の介護保険料引き上げや、年金引き下げの仕組み作り、支給開始年齢の引き上げなども検討項目に入っている。
所得が高い人の給付見直しも盛り込まれた。
医療では大企業の健保組合は負担増になる。

 こんなもんが選挙後、たった10日で出てきたのだ。
社会保障問題を追及してきた民主党の山井和則衆院議員も驚いていた。

「3つの意味で、この提言には到底、賛同できません。

まず、選挙前に提言を出さず、選挙直後に社会保障大幅カットの提言を出してきた国民だまし。

当初の目的であった年金一元化や最低保障年金や後期高齢者医療制度の廃止など、制度改革の議論はすっ飛ばして、単なる給付減、自己負担増の提言になっていることもおかしい。

3番目は消費税増税を来年4月に予定しているのに、社会保障はカットなのか、ということです。自民党は財政難と言いながら、一方で、国土強靭化で10年間で200兆円もの公共事業を増やす。そのくせ、増税し、社会保障カットでは国民はたまりません」

 増税、社会保障の負担増、これに電気代値上げや輸入インフレが重なって、どうやって、個人消費を増やし、景気を回復させるつもりなのか。

この政権に任せていたら、国民生活に未来はない。
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核と人類は共存し得ない

核と人類は共存し得ない

2013年8月5日    東京新聞「筆洗」

 「放射線がいかに人間の体を痛めつけるか。
それを伝えるために生かされていると思っているんです」。
爆心から八百五十メートル余の旧制広島一中の校舎で被爆した児玉光雄さん(80)は静かに語る

▼還暦の時からがんの手術を十九回も受けた。
直腸、胃、甲状腺、十六回にわたる皮膚がん…。
至近距離で被爆した人に見られる「重複がん」と呼ばれる症状だ

▼あの日朝、通学した同期生約三百人のうち、生き延びたのは二十人足らず。
倒壊した校舎から奇跡的に脱出した児玉さんも四〇度を超える高熱や歯茎からの出血、下痢に苦しみ、頭髪が抜け落ちた。
生き残った仲間も多くが若くしてがんで亡くなり、今も健在なのは二人だけになった

▼五年前、放射線影響研究所で染色体を調べる機会があった。
画像を見ると、切断された一部が修復されずに、別の染色体につながってしまう転座という異常が起きていることが分かった

▼数値から推定すると、児玉さんが浴びた放射線量は四・六グレイ。
二人に一人が亡くなる半致死量のガンマ線四グレイを超えていた。
血液をつくる幹細胞が傷つけられたので治らないと専門家に言われ、「腰が抜けそうになるほど落ち込んだ」という

▼積極的に被爆体験を語るようになったのはこの後だ。
体験を次代に継承する育成講座の講師も務める児玉さんは命ある限り訴える。
「核と人類は共存し得ない」

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2013年08月06日

原爆が必要だったというのは幻想

原爆が必要だったというのは幻想…ストーン監督
2013年8月5日  読売新聞

  「プラトーン」「JFK」などで知られる米国の映画監督オリバー・ストーン氏(66)が4日、広島市内で読売新聞のインタビューに応じ、「原爆投下は戦争を終わらせるために必要だったというのは幻想だ。(米国人として)被爆者に謝罪したい」と語った。


 ストーン監督は昨年、第2次大戦前夜の1930年代からオバマ大統領登場までの米国の現代史について、独自の視点で描くテレビドキュメンタリーシリーズ「もうひとつのアメリカ史」を制作。

その中で、原爆投下はソ連(当時)へのけん制が目的で軍事的に不要だったと主張している。

今回は原爆忌に合わせ広島、長崎を初めて訪問、被爆者との対話などを予定している。


 インタビューで、ストーン監督は、原爆を投下した米国は英雄であると教わってきたと説明したうえで、「80年代までそうした幻想に疑問を差しはさむことはなかったが、歴史をもっと深く見るようになった。

私は歴史に対して建設的でありたい。

日本の人々も、米国の神話を受け入れず、なぜ原爆が落とされたのかを学んでほしい」と話した。

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人間としての理性をなくした日、悪魔のささやき

広島原爆慰霊の日(6468年め)
小だぬきのつれづれ日記 2009.8.6
改定2013,8,6

大江健三郎氏の「広島ノート」を中学時代に読み、喉に小骨がひっかかっているような気持ちが未だ拭えません。
また、選挙めあてでしょうが昨日の「原爆症認定訴訟」の国の方針も遅いとしか言いようがありません。

<原爆投下に関して>

・科学、化学者の姿勢として「仮説→実験→検証」という段取りがあります。

 私は、
アメリカの原爆開発のマンハッタン計画には、黄色人種として蔑んでいた日本人に対する「実験」
日常生活での爆発効果・被害調査を前提としたものではなかったのかと未だ思っています。

 米軍の日本上陸作戦の被害軽減策と科学者・化学者の「実験・検証」の誘惑、悪魔のささやきが 一致した結果の「広島」「長崎」を対象にした「人体実験だった」のではとの疑惑は捨てきれません。

・B29の焼夷弾による都市無差別爆撃で 焦土と化していた日本。その中でなぜ 軍港の広島・長崎・古都の京都・奈良などを 無差別爆撃から外していたか・・・・。

 日本政府が終戦の仲介をスイスやソ連に打診していたのにも関わらず、原爆投下にふみきったのか??
早期戦争終結のためなどという理由ではないことだけは確かです。

 原子爆弾そのものの威力検証を黄色人種で長期に米軍に多大な被害を与えた「日本人」にこそ 戦後を見据えて「実験・検証」をしたかった、一時「悪魔」に支配された国が 米国だったのでしょう。

 放射能被爆の被害が 6468年たっても消えない「悪魔の兵器」を マンハッタン計画に携わった科学者・化学者は 人間としての理性を失って 悪魔に魂を売り渡したとしかおもえません。

 日本の731部隊、俗称石井部隊の細菌研究・人体実験なども 人間としての良心より「実験テーマ」を追求した医学者の恐ろしさでしょう(殆どが戦後も大学教授に復帰した医師達です)

科学・化学の発達と兵器のより殺傷力を備えた発達??は表裏一体です。
国家指導者や政府の「理性ある歯止め」が無くなったときの悲劇が 広島・長崎原爆投下であると思います。

<防空戦闘機の出撃記録は・・・>
・戦記などでは B29のような重武装の爆撃機でも 編隊を組み相互で機関銃で援護し合わない限り、戦闘機からは機体を守るのは難しいと言われます。

・原爆投下したエノラゲイなどに対する 防空戦闘機部隊の出動の記録が不明なのはなぜかという素朴な疑問が湧くのです。

 松山には、最新式戦闘機で熟練パイロットのそろった「紫電改」部隊があったし、その他の部隊も合ったはずです。
 可動機がなかったのか、意図的に迎撃しなかったのか・・・

 喉に小骨が引っかかっている点が そこなのです。

 日本の防空隊は B29の搭乗員に恐怖を与えるほど 果敢に奮戦しています。
機体性能の貧弱さをパイロットの「祖国を守る」意思で 克服して、いろいろな戦闘法をとり 撃墜数でも相当な戦果を挙げています。

 なのに、広島と長崎の原爆投下機への迎撃記録を 私は読んだことがないのです。

 これは機材の問題なのか、命令の指揮系統の問題なのか、政治的判断なのか・・・・。

当時産まれたばかりの人で6468歳、働き盛りの人では80歳・90歳になろうとしている「慰霊の日」

 慰霊碑の言葉「二度と過ちはくり返しません」は、科学・化学者に対する強烈なアンチメッセージだと思います。

 
権力者が戦勝者が 学者が 人間としての理性を忘れた時、「悪魔」に心が操られるのでしょう。(最近の原発再稼働・輸出など・・)

私たち一人一人も
「人間としての良心・理性」を考える日として 絶対に風化させてはいけない日だと思います。
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2013年08月07日

犠牲はいつも弱者

犠牲はいつも弱者
2009.8.4(更新 2013.8.7)
小だぬきのつれづれ日記


日本の「太平洋戦争」などの戦記や記録を読んで痛切に考えることは、
特攻やバンザイ突撃などの無謀な「死を前提にした」作戦とも言えない作戦で、死に追いやられた兵士(補給・兵站の無視・死の美化)
命令した幕僚や高級士官の敗戦時の対応です。

軍令部や参謀本部、政府要人、現地司令部の高級幹部が 「君達の死はムダにしない」「後に続く」といいながらも 自決し責任をとったのは少数で、

多くの指導層は戦後発足した「警察予備隊」に入隊したり、戦後政治に復帰して「対米従属」をしています。

日本軍隊の靴に足を合わせろ式の不合理は 以前から指摘されていることですが、大尉以下の初級・中級幹部、兵卒と 佐官以上の戦死者の比率を知りたいものだと 最近特に思うようになりました。

撃墜王の名を轟かせた 坂井三郎氏の著作にも 前線で闘う兵士と幕僚達の食事の違いなどの憤りがでています。

いくら階級社会といえども 前線の兵士を優遇せず 自分達だけが士官食を食べて平然としていた体質の中に「敗戦」の原因があるように思います。

歴史にIfはないのですが、防衛省は「太平洋戦争」の教訓を 兵の立場からも分析して欲しいものです。
**********************
その
軍の体質を 今の霞ヶ関はもっているような気がしてならないのです。

国家債務の赤字は 国民にあるのですか・・・
年金記録喪失の責任は 国民にあるのですか・・・・
年金・保険財政の運用失敗の責任は 国民ですか・・・・
簡保の宿を含めての箱物赤字は 国民のせいですか・・・・
今の非正規労働・パート切りの失業は 個人責任ですか・・・・

後期高齢者医療に移行している人に介護保険料も徴収するなんておかしくありませんか・・・・

日々更新している「自殺者」の多さは、個人が弱いからですか・・・・・
*********************
いつの時代でも 権力者・指導層は「生き残り、贅沢」をして、しわ寄せはいつも個々の国民が負う社会はおかしくありませんか・・・・・。

何か怒りがこみ上げてくる小だぬきです。
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室井佑月氏 「政府も東電もマスコミも、グルだな」

室井佑月氏 「政府も東電もマスコミも、グルだな」
※週刊朝日 2013年8月16・23日号
(更新 2013/8/ 7 16:00)


 福島第一原発からの汚染水が海へ流出した問題。
公表が参院選後となったことに、作家の室井佑月氏は
「政府も東電も、原子力を規制する人間も、マスコミも、グルだな」と語る。

*  *  *
 7月22日。参議院選挙の翌日、福島第一原発敷地内の海側の井戸から高濃度の放射性物質が検出された問題で、汚染水が海に流出している可能性があると、東京電力がはじめて認めた。

これまで頑なに東電は、「汚染された地下水が海へ漏れているか判断できない」といっていた。
けれど、22日の会見では、「今年5月以降には(海への流出が)起こっていた可能性がある」といいだした。

 どうしてこのタイミング? やっぱ、選挙を意識したのか。

 原発事業を推進する自民圧勝ムードに影を差すことになる。
漁業団体の組織票も欲しいだろうし、なによりこんなことがニュースになったらヤバい。
反自民・脱原発を訴える候補者を調子づかせることになるしな。

 23日の共同通信によると、18日の時点で、東電は流出を裏付けるデータが存在する可能性や、観測用に掘った井戸の水位の数値を、経済産業省や原子力規制庁に伝えていたらしい。
ってことは、政府は知っていただろう。
なのに黙って選挙をしていた? それって国民を騙したことになるんじゃないのかな

 マスコミはどうだったのだろう。
 知らなかったわけないな。

 以前から、汚染された地下水が海に流れ込んでいるんじゃないかという噂はあった。
何カ月も前から、個人的にそのことを指摘している専門家がいたからだ。
しかし、そのことを積極的に調べ、暴こうとしたマスコミはなかったように思う。

 ということは、政府も東電も、原子力を規制する人間も、マスコミも、グルだってことになる

互いの暴走を見はらなきゃいけない立場の人間が、じつは味方同士。
彼らの目的は、いかに善良な国民を騙すかになっているようだ。

 26日の河北新報によると、25日、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長と福島、宮城、茨城3県の漁業団体代表が東電本店を訪ねたという。
東電の広瀬直己社長に、「海洋流出は全国の漁業者と国民への裏切り行為」という厳重抗議の文書を手渡したみたいだ。

 広瀬社長は、「操業再開を目指す大事なタイミングで流出が起き、本当に申し訳ありません」と謝罪した。

 だ・か・ら、なんで謝罪の対象が操業再開を目指す漁師さんたちだけになるんだよ。
できるだけ小さい問題にしたいのだろうけど、海は漁師さんたちだけのものじゃない。
全漁連の方々の怒りはわかるが、そこだけで東電と話し合いをつけないで欲しい。

全漁連の方々を含めた全国民との話し合いが必要だろう。

 そのためにはマスコミが頑張るべきなのだが(活動の輪を広げるために)、イマイチ信用できないんだよね。
国民から絶大な信頼感を得られれば権力とも戦うことができるけど、そこを諦め権力と結びついているんだもん。ものすごい悪循環。
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2013年08月08日

8月に思う「核兵器」の恐怖、核廃絶

2010.8.6  小だぬきのつれづれ日記
(更新 2013.8.8) 

高校生の時、胃がんのために死亡した伯母の命日と 当時内縁関係だった◇さんが「広島原爆手帳」の所持者。

伯母も可愛がってくれたし 叔父にあたる◇さんの重い原爆罹災体験も聞き 
「いつ白血病などがでるか解らない身で 小だぬき君の伯母さんには 申し訳なかったけれど 籍をいれる勇気がなかった」
「もちろん、二次被爆の不安で 子どももつくれなかった」と聞かされました。

未だに被爆し いつ放射能が暴れ出すか 不安な日々を送っている方のご長寿と心の平安を祈る気持ちです。

確かまだ高一だったと記憶しているのですが、伯母の胃がん入院(末期)まで 親しくしていなかった級友が「今日は見舞いに行くのかい」「良かったら迎えに行くよ」と いつも病院までバイクで送ってくれました。

入院初日にタクシーでいいやと待っている時、彼に会い 乗せてもらってから 約3ヶ月 事情の許す限りバイクで送ってくれた気持ちの有り難さに感謝したものです。

********************
また、読書嫌いだった私の中学校の読書感想文市内入賞が 大江健三郎氏の「広島ノート」だったのです。

選考委員に恵まれていたのか「原子爆弾のような兵器を平然と使ったアメリカは許せない、必ずアメリカ人にもその苦痛を味合わせてやる」とかなりな暴論でしたが 選評に「広島ノートを戦争を考えるキッカケにした点は素晴らしい。
成長とともに平和も考えて欲しい」と入賞させた先生方の勇気。

元職で私も何度か 選考委員をしましたが、時代とともに「あらすじ紹介」物が多く 私のような仕返し論のような暴論には出くわしませんでした。
********************
太平洋戦争については いろいろな視点がありますが、無差別爆撃は 明確な国際戦争法規違反です。

各地で民間人を目標にした焼夷弾(油を広範囲にまき着火させるもの)による無差別爆撃や原子爆弾は、明確に「戦争犯罪」です。

アメリカは早い段階で 軍事目標から 無差別爆撃に移行しています。

勝てば官軍方式で 戦勝国の戦争犯罪の究明をしなかった点が 戦後の日本およびアメリカを歪ませたと思うのです。

今考えれば TVなども昭和30年代・40年代は 健全で、原爆の記録映像・証言も放映されたし、アメリカ・中国の核実験の際 大がかりな軍事侵攻訓練をしている映像も観ました。

当時の爆心地に軍事突入訓練をした部隊・人民解放軍のその後は まだ「歴史の闇」の中です。

アメリカ軍の勝てばいいという奢りが イラクでの劣化ウラン弾の使用などで今も続いています。
********************
ブラックジョークのようですが、今日の新聞に アメリカは テロ指定国家にイランを上げ 北朝鮮は外したとのこと。

イランには原油がたっぷりあるが、北朝鮮では得るものがないという ご都合主義で「テロ国家指定」がなされているとしか思えない。

盛んに国会答弁で首相は「平和的核利用」と原子力発電を持ち上げますが、発電の際にでるプルトニュウムやウランの臨界期限が数百年以上あるということは、未来に責任を持つことになるのかも 今一度立ち止まって検証して欲しい。

地震大国の日本で稼働している原子力発電がメルトダウンや暴走、炉心崩壊など起こったら 自ら核ミサイルを爆発させるのと同じ被害を与えます。
「核」というものの危険性だけは 忘れない日でも合って欲しい。



(追記) 
今も以前の「小だぬきのつれづれ日記」で心配したことは 正しいと思います。
 ・被害者はいつも「弱者」の世界は、到底「民主主義国家」とは いえません。
 ・翌年の3.11 「福島第一原発事故」で 心配が現実になりました。
 ・核はいらない!!  即時廃炉が未来に責任をもつものだと思います。
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2013年08月09日

長崎原爆慰霊の日



今日で長崎に原爆投下されてから68年目の日を迎えます。

アメリカの有権者の61%が「原爆投下」を正当化している記事を見て、未だ「事実・現実」をきちんと国内に教育し その非人道性を知らせない米国の態度に呆れます。

と、同時に日本の「外務省」は、この68年間 本来は「非核化の先頭にたって広報すべき」なのに 何をしていたのか・・・・。

被爆された長崎・広島市民の方の放射能後遺症、一瞬にして命を絶たれた方々のためにも「非核」への努力は 日本こそすべきことでしょう。

政治家や自衛隊元幹部の間で「核兵器所持論」が 公然と主張される危険な時代に入っています。
どんな理由づけであっても 我が国や他国に第2、第3の「被爆被害」は出してはならないということだけは、頑固に守り通して欲しいと思います。

イラク戦争で米国が使用した「劣化ウラン弾」やベトナムでの「枯葉剤」の後遺症は 世代を超えて残っています。
カンボジアの地雷なども未だに被害を及ぼしています。

国民に知らされない膨大なODA(海外開発援助)の使途を 明らかにし、戦争の負の遺産の除去やアフリカなどの緑化計画にまわすのなら 一国民としても納得できますが・・・・。
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2013年08月10日

長崎市長平和宣言〈全文〉 長崎原爆の日



長崎市長平和宣言〈全文〉 長崎原爆の日
2013年8月9日11時34分   朝日新聞デジタル

 68年前の今日、このまちの上空にアメリカの爆撃機が一発の原子爆弾を投下しました。
熱線、爆風、放射線の威力は凄(すさ)まじく、直後から起こった火災は一昼夜続きました。
人々が暮らしていたまちは一瞬で廃虚となり、24万人の市民のうち15万人が傷つき、そのうち7万4千人の方々が命を奪われました。

 生き残った
被爆者は、68年たった今もなお、放射線による白血病やがん発病への不安、そして深い心の傷を抱え続けています

このむごい兵器をつくったのは人間です。
広島と長崎で、二度までも使ったのも人間です。
核実験を繰り返し地球を汚染し続けているのも人間です。

人間はこれまで数々の過ちを犯してきました。だからこそ忘れてはならない過去の誓いを、立ち返るべき原点を、折にふれ確かめなければなりません。


 
日本政府に、被爆国としての原点に返ることを求めます。


 今年4月、ジュネーブで開催された
核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会で提出された核兵器の非人道性を訴える共同声明に、80カ国が賛同しました。

南アフリカなどの提案国は、わが国にも賛同の署名を求めました。


 しかし、
日本政府は署名せず、世界の期待を裏切りました。
人類はいかなる状況においても核兵器を使うべきではない、という文言が受け入れられないとすれば、核兵器の使用を状況によっては認めるという姿勢を
日本政府は示したことになります。
これは二度と、世界の誰にも被爆の経験をさせないという、
被爆国としての原点に反します。


 インドとの原子力協定交渉の再開についても同じです。


 NPTに加盟せず核保有したインドへの原子力協力は、核兵器保有国をこれ以上増やさないためのルールを定めたNPTを形骸化することになります。
NPTを脱退して核保有をめざす北朝鮮などの動きを正当化する口実を与え、
朝鮮半島の非核化の妨げにもなります。


 
日本政府には、被爆国としての原点に返ることを求めます。

 非核三原則の法制化への取り組み、北東アジア非核兵器地帯検討の呼びかけなど、被爆国としてのリーダーシップを具体的な行動に移すことを求めます。


 核兵器保有国には、NPTの中で
核軍縮への誠実な努力義務が課されています。これは世界に対する約束です。


 2009年4月、アメリカの
オバマ大統領はプラハで「核兵器のない世界」を目指す決意を示しました。
今年6月には
ベルリンで、「核兵器が存在する限り、私たちは真に安全ではない」と述べ、さらなる核軍縮に取り組むことを明らかにしました。
被爆地は
オバマ大統領の姿勢を支持します。


 しかし、世界には今も1万7千発以上の核弾頭が存在し、その90%以上がアメリカとロシアのものです。
オバマ大統領プーチン大統領、もっと早く、もっと大胆に核弾頭の削減に取り組んでください。
「核兵器のない世界」を遠い夢とするのではなく、人間が早急に解決すべき課題として、核兵器の廃絶に取り組み、世界との約束を果たすべきです。


 核兵器のない世界の実現を、国のリーダーだけにまかせるのではなく、
市民社会を構成する私たち一人ひとりにもできることがあります。


 「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起(おこ)ることのないやうにする」という
日本国憲法前文には、平和を希求するという日本国民の固い決意がこめられています。

かつて戦争が多くの人の命を奪い、心と体を深く傷つけた事実を、戦争がもたらした数々のむごい光景を、決して忘れない、決して繰り返さない、という平和希求の原点を忘れないためには、戦争体験、被爆体験を語り継ぐことが不可欠です。


 若い世代の皆さん、
被爆者の声を聞いたことがありますか。
「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ウオー、ノーモア・ヒバクシャ」と叫ぶ声を。


 あなた方は
被爆者の声を直接聞くことができる最後の世代です。

68年前、原子雲の下で何があったのか。
なぜ
被爆者は未来のために身を削りながら核兵器廃絶を訴え続けるのか。
被爆者の声に耳を傾けてみてください。
そして、あなたが住む世界、あなたの子どもたちが生きる未来に核兵器が存在していいのか。考えてみてください。
互いに話し合ってみてください。あなたたちこそが未来なのです。


 地域の市民としてできることもあります。わが国では自治体の90%近くが非核宣言をしています。
非核宣言は、核兵器の犠牲者になることを拒み、平和を求める市民の決意を示すものです。
宣言をした自治体でつくる日本非核宣言自治体協議会は今月、設立30周年を迎えました。
皆さんが宣言を行動に移そうとするときは、協議会も、被爆地も、仲間として力をお貸しします。


 長崎では、今年11月、「第5回核兵器廃絶―
地球市民集会ナガサキ」を開催します。
市民の力で、核兵器廃絶を被爆地から世界へ発信します。


 
東京電力福島第一原子力発電所の事故は、未(いま)だ収束せず、放射能の被害は拡大しています。
多くの方々が平穏な日々を突然奪われたうえ、将来の見通しが立たない暮らしを強いられています。
長崎は、福島の一日も早い復興を願い、応援していきます。


 先月、核兵器廃絶を訴え、
被爆者援護の充実に力を尽くしてきた山口仙二さんが亡くなられました。
被爆者はいよいよ少なくなり、平均年齢は78歳を超えました。
高齢化する
被爆者の援護の充実をあらためて求めます。


 
原子爆弾により亡くなられた方々に心から哀悼の意を捧げ、広島市と協力して核兵器のない世界の実現に努力し続けることをここに宣言します。


 2013年(平成25年)8月9日

 長崎市長 田上富久
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戦場とは、人間の心の闇の深さをまざまざと映し出す鏡・・

2013年8月10日  東京新聞「筆洗」

 戦記とは…。<読者を司令官の気分にさせる書物。兵隊の気分になる読者はいない>。
筒井康隆さんの『現代語裏辞典』(文芸春秋)による皮肉たっぷりの定義である

▼確かに勇ましい戦記を読んだり、戦争映画を見たりすれば、虫けらのように殺される人たちではなく、英雄的な司令官や武将に感情移入するものだ

▼きょう公開される『最愛の大地』は、女優アンジェリーナ・ジョリーさんが脚本を書いて、監督した初の長編映画だ。
旧ユーゴスラビアで起きたボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を描いた戦争ものだが、この作品を見て、「司令官の気分」になる人はまずいないだろう

▼ボスニアでは、隣人として生きてきた人々が、民族と宗教とを対立軸に殺し合う日々が三年半続き、二十万の命が失われた。
それだけではない。
女性への性の暴力が、敵対民族を侮辱し攻撃する「兵器」として使われた。
五万人以上もの女性が犠牲になった、その現実を『最愛の大地』は直視している

▼映画で描かれるおぞましい場面の数々は、残念ながら過去の悲劇ではない。
内戦が続くシリアでは十万人が殺され、小さな女の子までが性の暴力にさらされている。
英紙によると、人質の女性らを裸にして並ばせ「人の盾」として使うようなことまでが、目撃されている

戦場とは、人間の心の闇の深さをまざまざと映し出す鏡なのだろう。

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2013年08月11日

これで国民の生命が守れると思ったのだろうか

【(戦争)当時の防空総本部】 
時を超え、東京電力福島第1原発事故をめぐる東電の姿勢にも重なる
【福島民友】<編集日記>2013/08/09 16:26

■これで国民の生命が守れると思ったのだろうか

1945(昭和20)年8月11日に当時の防空総本部が発表した「新型爆弾への心得」が「追補 明治・大正・昭和世相史」(社会思想社刊)に掲載されている

▼広島に原爆が投下されたことを受けたものという。
「落下傘ようのものが降下するから、目撃したら確実に待避すること」「鉄筋コンクリート造りの建物は安全度が高いから、これを有効に利用すること」とある

▼ここまではなんとか分かるが
「白い衣類は火傷(やけど)をふせぐために有効である
(但(ただ)し、白い着衣は、小型機の場合は目標となりやすいのでよく注意のこと)」とも記す。
これで国民の生命が守れると思ったのだろうか

▼広島の現地を視察した陸海軍をはじめとする軍事専門家たちの調査に基づく発表ともある。
すさまじい破壊力を目の当たりにしたはずだ。
事態を矮小(わいしょう)化しようとする意図も見え隠れする

▼時を超え、東京電力福島第1原発事故をめぐる東電の姿勢にも重なる。

染水の海洋流出問題でも原子力規制委員会が「海洋流出が疑われる」としたのに流出の判断を先延ばしし事態の重大性を認めてこなかった

▼国もようやく対策に乗り出すことになったが、対応の遅れに厳しい批判が相次ぐ。今も多くの人が県内外に避難し続け、放射性物質への不安を払拭(ふっしょく)できないでいる。

歴史は繰り返され、苦しみもまた繰り返されている。
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香山リカのココロの万華鏡:「撤回」簡単に言うけれど 

香山リカのココロの万華鏡:「撤回」簡単に言うけれど 
毎日新聞 2013年08月06日 東京地方版

 政治家の失言がまた問題になっている。
毎回、ちょっと不思議に思うのは「発言を撤回します」という言い方だ。
撤回とは「発言や意思表示を取り消すこと」で、民法でも定められている行為のようだが、
言ったことが消える」などということがあるのだろうか。


 診察室には、自分や誰かがつい口にした一言がきっかけで心が傷ついたり、うつ病にまでなったりという人が多く訪れる。

ある女性は30代になってから一念発起して語学の資格を取ろうと勉強していたが、母親に「今さら勉強したって遅いわよ」と言われたという。
彼女はそこから「本当にもう遅いの?」「じゃ、いつだったらよかったの?」「この先も何をやってもムダ?」と自問自答を繰り返し、ついには仕事にも行けなくなってしまった。


 診察室に来た彼女と相談し、母親にも来てもらって話し合いの場を持つことにした。
間もなく来院した母親は、「『若いころは、勉強しなさいと、いくら言ってもやらなかったのに』と、つい言ってしまった。
そんなに傷ついたなら取り消す」と“撤回”した。
しかし、彼女は「一度、口にしたことを消すなんて無理!」と納得せず、その後も心の傷はなかなか癒えなかった。


 もちろん、政治家の失言と家族間の失言を同じように扱うことはできないが、私はいつも「個人のレベルでも発言の取り消しは難しいのに、なぜ公のレベルで簡単に撤回ができるのか」と、違和感を覚える。

そして友人や同僚、家族といった日常のレベルでも時間を巻き戻して、「あの発言は言わなかったことにしよう」と取り消すことができたら、どんなに人の心は穏やかでいられるだろうか、などと想像してしまう。


 とはいえ、政治家の失言も撤回したからといって、すぐに誰もが「なかったこと」にしてくれるわけではない。

特に、国際社会からは厳しい批判、非難の声が寄せられている。
もしかすると政治家自身のみならず、国のリーダーがどんなに放言や失言をしても「まあ、あの人には実力があるのだから」と許し、見逃そうとする日本の社会そのものの評価が下がる危険性もある。

日常の中の「つい、うっかりな一言」には、私たちは「もう少し寛大でもいいのに。
あまり傷つかなくても」と思うことも少なくない。

しかし、政治家の失言に対しては「撤回したからもういいじゃないか」と、簡単に水に流してはいけないのではないか。
「政治家にはやさしく、身近な人には厳しく」では、話が逆だと思うのだ。

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2013年08月12日

安倍改憲戦略と麻生発言の本質

安倍改憲戦略と麻生発言の本質
丸山 重威 (寄稿)
(元関東学院大学教授・ジャーナリスト)
しんぶん赤旗 2013年8月9日(金)

 麻生太郎副総理の「ナチス発言」が問題になっている。
「ナチスを例に挙げたことが誤解を招いた。撤回する」と弁明しながら「謝罪」も「辞任」もしない。
菅義偉官房長官も「撤回したので一件落着」という。

しかし私は、実はこの発言が「本音」であり、安倍内閣の改憲戦略と密接に関わっていることを問題にしなければならないと思う。

記憶を忘れない独の取り組み

 今年はナチスが政権を獲得して80年。
私はこの春、ドイツとポーランドを訪問したが、ドイツでは、当時の記憶を忘れないようにしよう、とさまざまな記念行事が行われている。

実はそこで問題になっているのはまさに麻生副総理が言う通り「ヒトラーは、民主主義憲法の下で生まれてきた」ことだったと思うからだ。


 メルケル首相は1月30日、「ナチスの台頭は、彼らと共に歩んだ当時のドイツのエリートや彼らを黙認した社会があったため可能になった」
「数百万人に行われた犯罪や与えられた苦痛は決してなくならない。

どれだけ補償をしてもその事実は変えられない」「民主主義を守るため、警戒を怠ってはならない」と、国民の責任を強調した。


 つまりヒトラーは、最も民主的な憲法だとされたワイマール憲法の下で、合法的に政権を獲得した。

しかしその後、国会放火事件をでっちあげて共産党を弾圧し、大統領緊急令を使って議員を予防拘禁し、突撃隊や親衛隊が取り囲む中で、「全権委任法」というおよそ民主主義憲法下では考えられない法律を制定した。
この間、世の中は決して平穏ではなかったが「暴走」は止められなかった。


 麻生副総理は、ここで憲法が改正されなかったことをあげ「いつのまにか憲法が変わっていた」「これを見習わなければならない」と述べている。
撤回したと言うが、この発言は安倍政権の改憲戦略から見ると、これこそ立法改憲の具体論であることに気づく。


 安倍政権は、当初改憲要件を緩和する「憲法96条先行改憲」に取り組み、参院選で争点にしようとしたが、世論の反対でいったん引っ込めた。

そして参院選後の取り組みでは、もう一方の解釈・立法改憲路線を進めようとしているからだ。


 集団的自衛権の行使を可能にするため、まず安保法制懇の答申を得て、「集団的自衛権は認められない」とするこれまでの政府解釈を改め、その上で「国家安全保障基本法案」を成立させようというものだ。


 この法案は、憲法9条の精神も議論も「骨抜き」にしてしまう憲法違反の「下克上立法」だが、国会の多数で法律が成立すれば、まさにナチス政権下の全権委任法のように、違憲の集団的自衛権の行使も、「合法的」にできることになる。

ナチス「手口」に学んだシナリオ

 安倍内閣は既に防衛大綱見直しの中間報告で「専守防衛の転換」や「敵基地攻撃の検討」を打ち出している。

「専守防衛」や「集団的自衛権の否認」を基礎に憲法9条と自衛隊の存在を両立させてきた政府の憲法解釈を変えるため、内閣法制局長官も交代させた。


 まさにワイマール憲法下でナチス独裁が可能になった「手口」に学んで、日本国憲法下で、違憲の法律で「日本を戦争ができる国」にするシナリオだ。


 麻生発言は安倍改憲戦略と見事に符合する「本音」だ。
だから、麻生副総理は謝罪しない。ナチスの暴走を止められなかったのは、当時のドイツ国民だった。


 私たちは、私たち自身の誇りと歴史に懸けて、「麻生ナチス発言」を許すわけにはいかない。


 (まるやま・しげたけ)

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日本航空ジャンボ機が群馬県御巣鷹山に墜落して28年の歳月

「小だぬきのつれづれ日記」
2009.8.12(更新 2013.8.12)

若い人には 記憶にもないのでしょうが、日本航空ジャンボ機が群馬県御巣鷹山に墜落して28年の歳月が立ちます。
その前の年から 航空機事故が続き「旅客機」に対する安全神話が崩れそうになった時の出来事、

・航空自衛隊のF86戦闘機の戦闘訓練に全日空機を使い、空中衝突全員死亡事件。
・羽田沖で「逆噴射」と機長が叫び、墜落した事故。
・大韓航空機、ソ連戦闘機による撃墜事件

日本だけでなく諸外国でも「旅客機」事故が頻発している中で 日本航空大阪行き123便墜落事故がおきました。

この事故については 未だに米軍撃墜説が消えないほど不可解な事故として鮮明に記憶に残っています。
<小だぬきが大阪の研究会のため 3日前に日本航空ジャンボ機に乗り、事故当日の朝 夜行「銀河」で帰宅した夕方に起こった事故だったのです>

16時出発?の日本航空123便が 羽田離陸後 30分ほどでダッチロール(制御不能飛行)に入り 突然レーダーから消え 墜落が確実になっても 墜落した場所が特定できず 埼玉県・群馬県県警も確認出来ないとき、最初に発見・救援部隊出動の打診をしたのが米軍だったことから 「米軍関与」説が消えないでいます。

夜、群馬県御巣鷹山と確認されても 登山道もなく救難部隊の現場到着が大幅に遅れたこと。
警察・消防・自衛隊が出動し 凄惨な遺体や肉片を丁寧に集めた主力が自衛隊普通科部隊であったのにも関わらず、報道は警察発表のみ。

幸にも 3名の生存者が発見され、習志野の空挺団所属ヘリコプターで空挺団隊員に救助される場面を見て、自衛隊の姿がやっと見える状態でした(当時の反自衛隊報道主流のマスコミによって)

そのときの検証報道が後になり報道され、自衛隊の持つ災害対処能力が やっと認知されることになります。

歌手の坂本九さんや墜落する中で必死に家族への遺書を書いたサラリーマンの方の姿が 報道されて悲しみを深くしたものです。

520名の犠牲者を出した記録は、8・12連絡会(被災者家族の会)から 「おすたかれくいえむ」と題して毎日新聞社から出版され、多くの人の記憶に刻まれたものです。

小説家の横山秀夫さんが「クライマーズ・ハイ」の題で小説にし、映画・テレビでもご覧になった方が多いと思います。

事故調査委員会はジャンボ機の隔壁破損が原因と結論を出しましたが、パイロットの交信記録や突然の制御不能、初動の米軍の早さなどから いまだ「謎」として残っている事故です。

犠牲者・遺族には 申し訳なかったのですが、28年前の私の搭乗機でも起こりえたのかとゾーッとして しばらく搭乗機体を調べ ジャンボを外した記憶が 鮮明によみがえる 8/12 です

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2013年08月13日

「ブラック企業大賞」選考委員が語るワタミとこの国の病根

「ブラック企業大賞」選考委員が語るワタミとこの国の病根
2013年8月12日  ゲンダイネット掲載

 11日、「ブラック企業大賞 2013」の授賞式が都内で行われた。
不名誉な「大賞」を受賞したのは、下馬評通り「ワタミフードサービス」だ。
ネット投票では全体の7割を超える2万票以上の圧倒的な得票数を獲得。
当日投票でもワタミがぶっちぎりだった。

 ブラック企業大賞は昨年創設され、今年で2回目。
実行委員会は弁護士、大学教授など労働問題のエキスパート11人で構成されている。
委員でルポライターの古川琢也氏に選考の過程を聞いた。

実行委は4月下旬から労働法に抵触したり、パワハラなど暴力的強制を従業員に強いる企業をピックアップ。
6月27日にノミネート企業を発表しましたが、大賞はほぼ全会一致でワタミに決定しました。

08年6月に入社2カ月の女性社員が過労自殺しているわけですが、同社は遺族との面談を拒否しているうえ、その遺族を相手取って同社が払うべき損害賠償金を確定させようと調停を申し出た。

面会も謝罪もしないで、いきなり法廷で金銭解決とは冷酷です。
しかも、創業者の渡辺美樹参院議員は今月2日付の朝日新聞のインタビューで、自殺した社員の適性に問題があったかのように言っている。
遺族はどう思われたでしょう」

 とはいえ、ヒドイのはワタミだけではない。
今回、ワタミのほかにノミネートされた企業は「ベネッセコーポレーション」「西濃運輸」「東急ハンズ」など7社。

約50社から厳選したというが、昨年、全国の労働基準監督署は、法令違反の疑いがある13万件以上の企業に監督指導を行っている。
これだって、氷山の一角だろうから、ブラック企業の件数は何十万社になってもおかしくない。

「その中でノミネートした8社は知名度があり、企業イメージがいいのに、内情がまったく違う企業です」(古川琢也氏=前出)

 そうやって企業の労働者軽視をアピールしなければ、全国に広がるブラック企業の蔓延(まんえん)に歯止めがかからない。
実行委員会はそう言っていたが、ブラック企業がかくも幅をきかすのは、テレビと新聞にも責任がある。

「NNNドキュメント」のチーフディレクターを務め、現在は法大社会学部メディア社会学科教授の水島宏明氏はこう言っている。

「たとえばブラック企業大賞『業界賞』に選ばれたクロスカンパニーは、人気女優の宮崎あおいさんを起用して“earth music&ecology”というブランドのテレビCMと新聞広告を大量に出稿しています。
だから、テレビは過労死があっても報道しないし、新聞も小さなベタ記事程度。
きちんと問題を報道しないメディアは結果的にブラック企業を助長しているのと一緒です」

<これじゃサラリーマンは泣かされ続ける>

 ノミネートされた王将フードサービスにしたって、マスコミは一時期、「餃子の王将」で頑張ったバイトが店長にステップアップしていく“出世物語”をこぞって取り上げた。

中にはタイアップもあったとされ、実際、テレビが王将のネガティブ報道をすることはほとんどない。

政府の無策もブラック企業が増殖する原因だ。
田村厚労相は「きっちりと対応していきたい」と言い、9月は約4000社に立ち入り調査を実施するというが、期待できそうにない。

「行政の言う“対策”とは、マスコミ向けの一過性のポーズであることが往々にしてあります。
たとえば厚労省は5年前、違法派遣を繰り返していたとして、グッドウィルの全支店に事業停止命令を出しました。
ところが、違法派遣は今も抜本的改善はしていません。
折口雅博会長が自己破産して、うやむやになったまま。
ブラック企業問題も監視を続けなければいけません」(水島宏明氏=前出)

 さもないと、有名大企業から中小まで、労働者いじめが常態化することになる。
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2013年08月15日

戦争指導者の無能さの犠牲・・、直視を!!

2013年8月14日   東京新聞「筆洗」

 宮崎駿監督の最新作「風立ちぬ」に、工場で組み立てられた海軍の零式戦闘機が牛車に引っ張られていく場面がある。
不思議に感じた人がいるかもしれないが、創作ではない

▼零戦を製造していた三菱重工名古屋航空機製作所には隣接する飛行場がなく、完成した胴体や翼を四十八キロ離れた各務原飛行場まで運んでいた。
名古屋市を出ると、雨が降れば泥沼のようになる悪路が続く

▼機体を傷めずに運ぶには牛車を使うしかなかったのだ。
日没後、製作所を出た牛車は二十四時間かけて慎重に歩む。
機体には厳重にシートをかぶせ、要所には警官が立った

▼量産体制が整うと、牛の疲労が目立ち、疲労回復のために特配のビールを飲ませることも。
飼料が不足すると牛はやせ細り、やがて温和で力の強いペルシュロン馬が荷を引いた(吉村昭著『零式戦闘機』)

▼最新鋭戦闘機が牛馬に引かれていた事実は、未来の運命を暗示しているようにも思える。
戦況の悪化に伴い、零戦は二百五十キロ爆弾を抱き敵艦に体当たりする特攻機になる

▼「太平洋は、祖国の危機を救おうとねがう若者たちの壮大な自殺場と化した。
かれらの死は、戦争指導者たちの無能さの犠牲とされたものであると同時に、戦争という巨大な怪物の無気味な口に痛ましくも呑(の)みこまれていったものなのだ
」と吉村さん。
歴史に学ぶべきことはあまりに多い。
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社説:8・15を考える 積み重ねた歴史の重さ

社説:8・15を考える 積み重ねた歴史の重さ
毎日新聞 2013年08月15日 02時30分

 第一次大戦を描くバーバラ・W・タックマンの「八月の砲声」に、次のような一節がある。


 「人間はなんの希望ももたずに、これほど大規模で苦痛に満ちた戦争に耐えられるものではない。

 希望−それは戦争は極悪非道であるがゆえにふたたび起こるはずはないとする期待、また、なんとか結着を見るまで戦い抜けば、より秩序ある世の中の基礎が築かれるという希望である」(山室まりや訳、筑摩書房・ちくま学芸文庫)


 「希望」は「幻滅」に変わり、第二次大戦が起きる。

平和を壊すのはたやすい。保つには過去の歴史に学び、政治リーダーが大局的な判断力を持つことが必要だ。

 ◇希望を幻滅に変えるな

 日中戦争と太平洋戦争の死者は日本人で310万、アジアで2000万以上とされる。
戦争は政治の延長だとか、戦いは人間の本性だという声があるが、戦争は非人間的な残虐行為にほかならない。


 あのような愚行を再び犯さないこと。それが、平和への希望を託して死んでいった死者たちへの、私たちの世代の義務だろう。


 戦後、私たちは平和の果実を食べてきた。
だがいま、その基盤が崩れる不安が漂っている。


 直接の原因は、中国、韓国との絶え間ない摩擦である。

 中韓両国の政府や政治家が歴史や領土をめぐる問題で反日ナショナリズムを過度にあおれば、日本人の国民感情を刺激する。両国には、その抑制を強く求めたい。


 一方、私たちの側にも歴史認識のゆらぎが生じている。

 象徴的なのが、中国への侵略についての議論であろう。


 大平正芳首相のブレーンだった故猪木正道元防衛大学校長は「軍国日本は、一九三一年から中国への露骨な侵略を開始した」
「中国への侵略行為が国際社会のきびしい非難にさらされた背景には、戦争、平和、侵略などに関する人類の価値観がはっきり転換したという重大な変化があった」(「軍国日本の興亡」)と書いた。
こうした認識が、穏健保守の標準的な態度だった。


 第1次安倍政権下で始まり、3年前にまとまった日中歴史共同研究の報告書も、「日本軍の侵略」という言葉を使っている。
そして日本は既に、戦後50年の村山談話と戦後60年の小泉談話で、2度にわたって「侵略と植民地支配」への反省と謝罪を世界に表明している。


 それが第2次安倍政権になって、侵略を明確に認めようとしないかのような発言が政治家から出てきた。
さらには村山談話の見直し論が語られたりする。
A級戦犯をまつる靖国神社への首相参拝の是非も、再び国論を二分させている。

 背景には、戦争責任や戦後処理をあいまいにしたまま、新しい世代が政治の主流を占めるようになったことも影響しているだろう。

先の参院選の当選者の平均年齢は52.4歳。
70代以上はわずか7人(5.8%)である。
58歳の安倍晋三首相をはじめ、戦争を知る政治家は、いまやほとんどいなくなった。


 だが、戦後70年近くたっても過去の総括が定まらず、歴史の評価が政権によって左右されるような国は、健全だとはいえない。

 ◇村山談話は外交資産だ

 村山談話は、中韓だけでなく日本が占領したアジア全体を対象にしたものだ。

独善的なナショナリズムを排し、国際協調を促進するという未来志向の誓いも盛り込んでいる。
これは、世界からの信頼をつなぎとめる外交資産である。
見直せば、東南アジアなど日本に好意的な国々の支持まで失いかねない。


 安倍首相は2年後の戦後70年に新たな談話を出すというが、侵略と植民地支配という言葉を消すようなら無用な誤解を招く。
3度目の談話を考えるよりも、過去の談話を変えないことが大切だろう。


 靖国神社の首相参拝も、戦争の総括にかかわる問題だ。


 敗戦国の日本は、戦争責任者の責任追及と処罰を戦勝国による東京裁判にゆだねた。
その象徴がA級戦犯だ。
そして東京裁判を受諾した1952年発効のサンフランシスコ講和条約は、尖閣と竹島の領有権主張の根拠にもなっている。


 私たちは靖国神社や領土の問題を考える時、内向きの論理ではなく、そうした世界史的、客観的な視点で判断する必要がある。


 最近、韓国で日韓合意に反する賠償判決が相次いだ。
中国は尖閣付近の領海侵犯を繰り返す。
歴史と外交をからめ、過去の積み重ねを一方的に変えようとする動きだ。

だからこそ日本は、歴史の事実と解釈をゆるがせにしない姿勢を維持し、相手に歴史カードを使わせない賢明さを持たなければならない。


 安倍首相が目指す集団的自衛権の解釈変更の問題なども、日本が過去を謙虚に受けとめる姿勢を明確に示してこそ、内外の疑念を招かず論議できるのではないか。


 あの戦争が終わり、68年目の暑い夏がめぐってきた。
私たちは敗戦と引き換えに平和と繁栄を手にし、戦後の国際秩序を受け入れた。
8・15はその出発点だった。

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「敗戦の日」「無条件降伏の日」

2009.8.15 「小だぬきのつれづれ日記」
2013.8.15  更新

安部首相に問いたいのは 文化・歴史を大切にすることを自民党はしてきたか?ということです。
 
連休法なるもので 旗日になった根拠を曖昧にして 期日を動かす冒涜。
もういい加減 旗日を固定し 元の日にちに戻してはどうでしょう。

また、誰がつけたのか「終戦の日」の命名。
 戦争の悲惨さを薄める 見事な言葉遊びです。

68年前、ポツダム宣言を受け入れ「無条件降伏」をしたのですから、正確には「敗戦の日」でしょう。

多くの民間人・軍人、侵略先国民の死者を出した戦争、天皇陛下の「終戦の詔書」がでて 無条件降伏が決定した日です。

この「太平洋戦争」「大東亜戦争」には 序章となる列強の植民地拡大の思惑、日本への石油禁輸などの圧力があったこと。
当初 大本営でも短期決戦・早期和睦で開戦に踏切ながら 有利な「降伏」のチャンスを逸したこと。

まだまだ 謎の多い「開戦」「決断の遅さ」「大元帥である天皇陛下に正確な戦況を上奏していたのか」などの「開戦」と「敗戦」までの経過が 正確に総括されていないのではと疑問が残ります。

それなのに「日米安全保障条約」のもと「講和」後も 米軍の進駐・基地確保を許し 半占領下に置かれていても 恥じなかった政治ってなんだったのだろう・・・・。

しかも米軍に対する「膨大な思いやり予算」の支出。

フィリッピン政府が毅然と「米軍撤退」を要求し、実現したのに対し、日本政府はアメリカ追従のまま。

8/15の「敗戦の日」を いつも 日本は真の独立国か?? と考える日にしたいと思う小だぬきです。
そうでなかったら、戦争で亡くなった方々への「供養」はできないと思います。

またA級戦犯とされた方々は、戦争時 主要な政治指導の位置にいたとして「平和への罪」とされましたが、大日本帝国憲法では 理屈の上では「天皇陛下」の責任・命令のもと国策が遂行され 「陛下の代理としての戦争犯罪」ということになります。
この点でもA級戦犯とされた方々の 名誉回復は図られるべきでしょう。

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2013年08月16日

現地視察でわかった 福島原発のあふれ返る汚染水

現地視察でわかった 福島原発のあふれ返る汚染水
2013年8月15日 ゲンダイネット掲載

もうなすすべなし…

福島第1原発では今も、放射能汚染水が海に流れ出ている。
東電は泥縄式に岸壁近くの井戸から汚染水をくみ上げたりしているが、なにしろ、海に流れ込んでいる汚染水の量は半端じゃない。
東電は遮水壁をつくったり、地下水の流入を防ぐべく、凍土方式の検討を始めているが、どれもこれも場当たりで、いい加減で、福島県民をなめているのか、と言いたくなる。

 そんな中、14日、民主党の国会議員が福島第1原発を視察し、問題点をつぶさに見てきた。
福山哲郎、増子輝彦、大島九州男参院議員らがタービン建屋の状況などを視察したのだが、2つのことに驚いていた。

ひとつは事態の深刻さが何一つ、変わっちゃいないこと、
2つ目は、それなのに、東電のいい加減さだ。

<世界の知見を集めるしかない>

「汚染水の問題が報道されてから、与野党初めての視察ですが、止める、冷やす、封じ込めるの事故収束3原則が破綻していることが明らかになった。

すべてが後手後手、東電の隠蔽、改ざん体質は変わっていないと疑わざるを得ません。
作業員の方は頑張っておられるが、1日に膨大な汚染水がたまる。
東芝製のアルプスでクリーンにするはずだったが、3カ月で壊れてしまった。
凍土方式にも同じ疑問を持っています。
今回のような大規模なスケールでの実績がないから、同じ失敗をする恐れがある。東電任せではなく、世界中から知見を集める必要があります」(増子輝彦・参院議員)

 汚染水の海洋流出問題は事故当初から、言われてきたことだ。
それなのに、東電は今年5月に初めて、ボーリング調査に着手。
参院選が終わってから海への漏洩(ろうえい)を認めた。
これだけでも怪しいのに、出てきたのが凍土方式だ。
政府も金を出す。
抜本策に乗り出す。
そんな印象の報道が続いたが、まったく違う。

「東電が汚染水の漏洩に気が付いていたのか、いないのか。
これはひとつの大きな検証課題だと思います。
また、凍土方式がどういう経緯で出てきたのか。
実は事故当初から、この話はあったんです」(福山哲郎・参院議員)

 しかし、実現性に疑問符が付いて、実行には移されなかったのだ。

 福山は初期(平成23年)のロードマップを取り出し、記者に見せた。
そこにはハッキリ、「汚染水の工法の確認」「(遮水壁の)設計着手、構築」と書いてあった。
2011年12月の時点で汚染水漏洩防止が検討されていたのに、東電は有効な手を打たずに、ここまで事態の悪化を招いた。

 そのうえ、今になって再び、いったんはボツになった凍土作戦とは呆れてしまう。
つまり、放射能汚染水がジャブジャブ海に流れているのになすすべなし。
これが実情なのだが、安倍首相はというと、のんびりゴルフ休暇を楽しんでいる。
この無責任さは犯罪的と言うしかない。
(取材協力・横田一)
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2013年08月17日

「消費増税は中間層を貧困にする愚策」

「消費増税は中間層を貧困にする愚策」と
               気鋭の女性経済学者
2013.08.16 07:00  NEWSポストセブン

 来年4月に予定されている消費税増税だが、安倍総理は有識者会合を呼び掛けるなど税率アップの最終判断を下していない。
側近の経済ブレーンから増税に慎重論が出るなど、その是非については政府の腹も決まっていない状況だ。


「そもそも消費税はスタートしたときから、いびつな制度である実態すら
国民が知らないままで、ひたすら増税ありきでいいのでしょうか」と、税制そのものの欠陥を指摘するのは、国際金融市場に精通する大阪経済大学客員教授の岩本沙弓氏。そのカラクリについて解説してもらった。

 * * *
 消費税を引き上げるかどうかは、いずれ閣僚会議で決定されますが、私は消費税制そのものに反対の立場を取っています。


 それは最終消費者から税金を徴収するのが悪いとか、税金を払いたくないから言っているのではありません。

税制度としていびつで不公平なまま、導入したり引き上げをしたりするのがそもそもおかしいと考えているのです。


 たとえば、お医者さんの場合、診療報酬は非課税で患者さんからは消費税をとりません。
でも、白衣や脱脂綿、薬などはお医者さん側が消費税分を負担しています。
診療に必要なものだから当然だろうと思われるかもしれませんが、その一方で支払った消費税が戻ってくる業界もあるのです。
業界によって差があるのは税制として果たして中立と言えるのか

 輸出企業には支払ったとされる消費税は還付金として戻すという仕組みになっています。

どういうことか説明しましょう。

 消費税はその商品が消費される国で課税する、というのがGATT(関税および貿易に関する一般協定)の原則です。
日本の輸出企業が完成品をフランスに輸出すれば、フランスで付加価値税(消費税に相当)19.6%が課税されます。


 日本の輸出企業はフランス向けの製品を仕上げるために日本国内の下請け業者から部品を調達しています。
その際には、国内の下請け企業に対して、製品の価格+消費税を支払っていますので、GATTの原則に則れば、国内で支払った消費税はゼロになるよう調整されます。それが輸出還付金となります。


 輸出還付金の総額は、2012年度の予算で試算すると約2兆5000億円。
その半分は輸出企業の上位20社に渡っています。
消費税の歳入は年間10兆円なので、およそ4分の1に相当する金額が大企業に還付されています。
還付金は消費税率を上限として渡されますので、消費税が5%から10%となれば単純計算ではありますが、5兆円が輸出企業に渡されることになります。


 問題は果たして輸出企業が下請け企業にきちんと消費税を支払っているのかという点です。


 本来、下請け企業にしてみれば100円で売らなければ採算が取れないものを80円に値切られてしまえば、輸出企業は80円プラス消費税5%を払うだけです。
輸出企業は20円得したうえに5%の還付金まで戻ってくるわけです。
一方、下請け企業は20円分の収益がなくなってしまいますので、大変苦しい状況に変わりはありません。


 このように消費税は価格に埋もれてしまうという特徴があります。
会計処理上問題はなくても、大手が中小・零細企業に納入品価格の値下げの要求をする「買い叩き」の実態やお金の流れそのものに着目する必要があるのではないでしょうか。


 今年5月に「消費税還元セール禁止法案」が通り、大手小売業が反対したのは記憶に新しいでしょう。
一見すると消費増税分を値上げしないとする小売業の姿勢は庶民の味方のように思えますが、むしろ消費税分の値上げをしなかったしわ寄せは、大手小売り業者に製品を納入する下請け業者へといき、製品そのものの買い叩きにつながる。


 つまり、大手企業による中小零細企業への製品そのものの値切り、買い叩きは恒常的に存在していることを政府ですら認めたという何よりの証拠でしょう。
そうでなければわざわざ法案まで通す必要はありません。


 消費税を導入してから20年あまり、この間政府の税収は一向に増えていないにもかかわらず、そして今後消費税を増税しても税収が増加するのか疑問視されている中で、輸出企業への還付金だけは確実に増えるというおかしな状況となります。

 一握りの大企業が儲かれば、ひいては日本の経済をよくして国民全体の生活も次第に豊かになると信じている人もいるかもしれません。

かつてはそうした時代がありましたが、グローバル化が進む状況では、なかなかそうはいかないというのは、景気が上向いても給与がひたすら下がった2000年代で我々は既に経験済みです。


 いま実体経済の回復がまだまだ伴っていない状態で消費税を引き上げれば、1%のグローバル大企業と残り99%の庶民の格差は広がるばかりです。


 消費税の計算の仕方は、(売上高―経費)×税率5%となっています。つまり、経費の金額が大きくなればなるほど、納税額は少なくなります。
ここで重要なのは、経費の部分に非正規雇用の人たちの給与を入れることができる点です。
人件費を安くできるうえ、節税にもなるため、非正規労働者がさらに増えやすいということになります


 非正規が全労働者の約4割も占める状況が問題となっている現状で、消費税がさらに上がれば、これまで年収400〜600万円で雇われていた中間層の正社員が非正規社員になる割合が増え、賃金ベースも落ちていくのではないかと危惧しています。


 最高益を上げている日本の輸出企業でも、日本にほとんど投資をしないし賃金も上げない。
円安効果は「まだ分かりません」と国内に利益を還元しようとしない状況です。


 給与が上がらないまま円安がさらに進めば、ジワジワと生活へのプレッシャーがかかってくるのは当然です。
すでに、ガソリン価格の上昇とそれにつられてモノの値段が次々と上がっていることで、そのことを実感している人は多いでしょう。


 景気が立ち上がらないままインフレになることは「スタグフレーション」とされますが、それにさらに中間層が疲弊して貧困化する現象は「スクリューフレーション」と称されます。

そんな状況に追い込まれる中、わざわざ消費意欲をさらに減退させ経済活動の足を引っ張ることになる後ろ向きの消費増税が必要なのでしょうか?


 一方的に徴収されるばかりで、消費税の使い道は不公平。
しかも、消費税だけでは財政も改善しないことは、過去20年の歴史が物語っています。

ならば、もう少し内需拡大を促す税制度そのものの在り方を、いま一度議論し直すことが必要だと思います。


【岩本沙弓/いわもと・さゆみ】
経済評論家、金融コンサルタント。
1991年から日米豪加の金融機関でヴァイスプレジデントとして外国為替、短期金融市場取引業務に従事。
現在、金融関連の執筆、講演活動を行うほか、大阪経済大学経営学部客員教授なども務める。
近著に『バブルの死角 日本人が損するカラクリ』(集英社新書)などがある。
http://www.sayumi-iwamoto.com/


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2013年08月19日

自殺少ない地域 特徴を研究

こころ元気塾
自殺少ない地域 特徴を研究
(2013年8月15日 読売新聞)

弱音吐ける緩やかな交流


 毎年3万人前後もの人が自ら命を絶つ日本。
自殺が少ない地域にはどんな特徴があり、自殺を予防するどんな要素が導き出されるか――を調べた研究がある。
先月下旬には一般向けの本も出版された。
ポイントをいくつか紹介しよう。(山口博弥)

「悩み相談は恥でない」

 研究を行ったのは、和歌山県立医大保健看護学部講師の岡檀(まゆみ)さん。
全国でもきわめて自殺率が低い徳島県海部(かいふ)町(現・海陽町)で住民たちに聞き取り調査をしたうえで、同町を含む県内の旧9町村の住民3000人以上に質問票を配ってアンケートを行った。


 回答から、海部町の351人と、全国でも自殺率が高い同県A町の305人を比較・分析した結果、自殺を予防する要素として次の五つのキーワードが浮かび上がった。


〈1〉いろんな人がいてもよい、いろんな人がいたほうがよい


 海部町では赤い羽根募金が集まらない。
老人クラブの加入率も高くない。
「隣の人がやるから」という価値判断では行動しないという。
アンケートでは「相手が見知らぬ人でも、ほとんどの人は信用できる」と考える人が、A町の13%に比べて海部町は28%と高かった。
「均質化を嫌い、個を尊重し、身内意識が薄い」のが特徴だ。


〈2〉人物本位主義をつらぬく


 リーダー選出の条件として、「問題解決能力を重視する」のは海部町が高く、「学歴が高い方がよい」はA町が高かった。


〈3〉どうせ自分なんて、と考えない


 「自分のような者に政府を動かす力はない」と考える人が、A町では51%だったのに対し、海部町は26%と半分ほどだった。


〈4〉「病」は市に出せ


 海部町に古くから伝わる言葉。
「病」は病気だけでなく、家庭や仕事などにおける人生のあらゆる問題を指す。
「市」は市場、公開の場のこと。
病気や悩みなどは早めに大っぴらにすれば、だれかが助けてくれる――という意味だ。

 「悩みを抱えた時に、だれかに相談したり助けを求めたりすることを恥ずかしいと思うか」という質問に、「思わない」と回答したのは、海部町が63%、A町は47%だった。


〈5〉ゆるやかにつながる


 近所づきあいについて、「日常的に生活面で協力しあっている」のは、A町の44%に対し、海部町は17%と大きく下回った。
多いのは「立ち話程度」と「あいさつ程度」の付き合いに集中している。


 あまりに濃密な人間関係が固定すると、弱音を吐きづらくなる。
「監視社会」「ムラ社会」の生きづらさだ。
海部町のある住民は「よそから来た人に関心は持つ。
でも、関心と監視とは違う」と話したという。〈1〉と〈4〉にも通じるが、ゆるやかな結びつきが「生き心地の良さ」を生む。

                    ◇

 これら五つの要素は、海部町で長い年月をかけて培われた特徴。
他の地域で一朝一夕に取り入れるのは難しいかもしれない。
でも、岡さんはこう助言する。

 「海部町のまねを全部する必要はなく、『いいとこ取り』をすればいい。
個人でも地域でも、こっちの方向がいいな、と思ったら、そちらへ進めばいいのではないでしょうか」

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2013年08月22日

レベル3相当 新しい事故に等しい

レベル3相当 新しい事故に等しい
2013年8月22日  東京新聞社説

 たかが水漏れと侮っていたのだろうか。
レベル3。大事故に重なる大事故と言っていい。
福島第一原発内で
大量の高濃度汚染水が漏れていた。
止められる見込みもついていない。国は無責任すぎないか。


 これは新しい事故である。

 それも、ただの事故ではない。
原子力規制委員会は、国際的な尺度(INES)に合わせたこの事故の重大性の暫定評価をレベル1からレベル3まで引き上げる。


 レベル3は「重大な異常事象」と定義され、レベル4以上が「事故」ということになっている。

 しかし、一般の常識に照らせばそれは重大な事故であり、人災ではないのだろうか。


 レベル7の「深刻な事故」に分類される福島原発は、収束に向かうどころか、大事故の上に大事故を日常的に重ねている状態だ。


 これでは漁師たちだけでなく、周辺住民もたまらない。


 汚染水漏れを起こしたとみられるタンクは、二年前から応急的に導入された「フランジ型」と呼ばれるタイプである。

 鋼鉄の板をつなぎ合わせてボルトで留めたもの。
つなぎ目はゴムパッキンで埋めてある。

水漏れの危険があることは素人にも分かる。
近づくだけで人の命が危険になるような、高濃度汚染水の保管場所とは思えない。

二十五メートルプール一杯分もの水漏れを見逃していたずさんな管理体制のこともある。そのうち、海へ流せばいいと、高をくくっていたのではないか。


 国際的な影響も出た。


 韓国のアシアナ航空は十月以降、ソウル−福島間のチャーター便の運航を止めるという。このままだと波紋はさまざまに広がりかねない。


 溶接型のタンクを一基造るのに数カ月かかるとか、周囲を凍土壁で囲むのに一〜二年かかるとか、費用を負担するのは誰かとか、そんな悠長なことを言っている場合ではないはずだ。


 内外の不安に対してもっと真剣な危機感を持って対策を急いでもらいたい。
レベル3の事故を何とかせねば、レベル7を収拾できるはずもない。


 国民の東電への不信は、さらに高まった。
今や政府への不信も募りかねない。


 産・官・学の総力を挙げて地下水の流入箇所と流出場所を突き止め、ふさぐ努力をしてほしい。

 今この瞬間にもタンクから漏れ出ていくのは、この国の安全と信用なのである。
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2013年08月23日

「原発導入は政権獲得戦略だった」

【共同通信】<日本を創る>
<原子力の戦後史>「原発導入は政権獲得戦略だった」
西野秀、敬称略)=2011年10月18日

■対立はすぐ表面化 

「唯一の原爆被害国である日本が平和利用に積極的な活動を開始したことは世界的に大きな意義を持つ」。

1956年1月4日の首相官邸。原子力発電に道を開いた「原子力委員会」の初会合で、初代委員長の国務大臣、正力松太郎はこう力説した。

「原子力」を旗印に権力の階段を駆け上がろうとした正力は欧米からの原発輸入を急ぐ。
一方、委員会の顔として三顧の礼で迎えられた日本初のノーベル賞受賞者、湯川秀樹は自主開発が必要と考えていた。
対立はすぐ表面化する。

監視役

 「5年目までに採算の取れる原発を建設する。
原子力関係の動力設備、技術など一切を(海外から)受け入れたい」。
初会合で、全面輸入方針を盛り込んだ委員会声明を出したいと提起した正力は地元・富山に帰る列車の中で、その文案を同行記者団に説明し、既成事実化を狙った。


 湯川は「声明案は基礎研究なんてしなくていいと言っている。もう辞める」と憤った。
ほかの委員も反発し「5年間で原子力発電の実現に成功したい」との表現に押し戻した。
夫人らの説得で辞任を思いとどまった湯川だが、正力ペースで進む原子力委は気の重い仕事だった。
「性に合わない」と愚痴をこぼし、しばしば胃痛を訴えた。


 そもそも湯川の立場は微妙だった。45年の広島、長崎への原爆投下、54年3月のビキニ環礁での第五福竜丸事件を踏まえ、学界には原子力利用を否定する意見が強く、世論も同様だった。

 だが、湯川ら物理学者は研究意欲を静かに燃やしていた。
米大統領アイゼンハワーは53年12月、国連演説「アトムズ・フォー・ピース」で原子力の平和利用を宣言し、世界的に開発の機運が高まっていた。


 日本学術会議は54年4月、「情報の完全な公開」「民主的な研究体制」「外国に依存しない自主性」を条件に、原子力研究推進にかじを切る。

湯川は政府の監視役を期待された。
放射性物質の危険性を知る湯川には「災害防止に万全を期さなければ」との思いもあった。

政権戦略

 湯川起用に一番こだわったのは他ならぬ正力だった。
「湯川さんは学界で一番偉い人だ。
どうしても引っ張ってこい」と部下を〓咤(しった)し、若手議員だった元首相中曽根康弘も説得に一役買った。

湯川は国民的英雄であり核兵器廃絶論者。平和利用のイメージ作りにこれほど適した人物はいないという計算だった。


 戦前に警視庁、大政翼賛会の幹部や貴族院議員を歴任し、読売新聞社のオーナーでもあった正力は「当時の鳩山一郎首相や三木武吉、大野伴睦ら自民党幹部に位負けする気持ちはなかった」と、秘書を務めた元衆院議員の萩山教厳は証言する。


 69歳で初挑戦した55年2月の衆院選で掲げた公約は「原子力の平和利用による産業革命」。
電力の安定供給と経済成長をもたらす夢のエネルギーという位置付けだった。
ノンフィクションライターの佐野真一は「今ではこっけいに見えるかもしれないが、原発導入は正力にとって政権獲得戦略だった」と解説する。

つまずき

 正力は56年5月、米国に先んじて商業発電を始めた英国の黒鉛炉輸入に動きだした。
慎重論には耳を貸さず、付いた異名は「原子力独走居士」。
湯川は随筆で「イネを育てる下地をつくっている時に大きな切り花を買ってくるという話では困る。『急がばまわれ』だ」といさめたが、独走は止まらなかった。

57年3月に導入が確定的になると、湯川は体調を理由に委員を辞任した。


 その正力もつまずいた。原発の運営主体をめぐり自民党の実力者河野一郎と対立。
「民間主導」という正力の意見は通ったが、河野との反目で政治力を失い、58年6月の内閣改造で閣外へ去った。
「それから原子力の話はほとんどしなくなった」と萩山は振り返る。


 湯川は核兵器廃絶運動に力を注ぐ一方、原子力の平和利用そのものに疑いを挟むことはなく、60年には原子力委の核融合専門部会長を務めた。

長く湯川のそばにいた慶大名誉教授小沼通二も「核兵器廃絶の決意は固かったが、原子力政策の批判を聞いたことはない」と証言する。


 正力の執念で建設された東海原発は、不十分な耐震設計や事故補償の法整備の必要性が判明し、日本初の営業運転開始は66年7月にずれ込んだ。

英国黒鉛炉の輸入はこの1基だけで、米国軽水炉が主流になっていく。

原子力をめぐる主な出来事

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被災者支援法 国の不作為厳しく裁け

被災者支援法 国の不作為厳しく裁け
2013年8月23日  東京新聞「社説」

 「原発被災者支援法」に基づく支援を受けられないのは違法として、ついに被災者たちが国を訴えた。
成立から一年以上がたつのに支援は今もないに等しい。
司法はこの怠慢を厳しく裁くべきだ。


 国や東京電力から何の補償もなく、被ばくの影響を心配しながらの暮らし…。

東京地裁に提訴した原告の一人、造園業を営む伊藤芳保さん(50)=栃木県那須塩原市=は我慢の限界だった。


 原発事故から半年がたった頃、地元がホットスポットになっていることを知り、大学の専門家に測定を依頼すると、寝室や高校生の娘の部屋の放射線量が毎時〇・五マイクロシーベルト近くと高い。
被ばくの影響を心配し、妻と娘だけでも避難させたいと、線量が低めだった隣町にアパートを借りて住まわせた。
家賃など費用はすべて自己負担だ。


 本来は国がやるべきことなのに、苦しみばかりが押しつけられる。

原告の十九人は事故当時、国が決めた避難指示区域外にある福島県郡山市や福島市、隣県などに住み、事故後も住み続けているか、県外に自主的に避難した人たち。
その主張はいたって明快だ。


 被災者の医療や生活を支える支援法は昨年六月に成立した。
なのに政府が肝心な「基本方針」を策定しないのは違法であるとし、自分たちが法に基づく支援を受ける立場にあることの確認を求めている。

法の付則は成立から一年以内に基本方針を作ることを求めている。
訴えられるのは当然だろう。


 法の支援は原発事故によって「一定の基準」以上の放射線量になった地域に住む人を対象にしているが、この基準の線引きが壁になってきた。
原告は一般人の年間許容線量一ミリシーベルトを基準にし、それを超える地域を対象にすべきと主張する。

法律が成立した時点の線量に基づけば、原告は全員対象になる。
条文に「放射線が健康に及ぼす危険は科学的に十分解明されていない」と明記している趣旨を酌めば、不安を与えないような幅広い救済を目指すべきだ。


 政府が被災者と法廷で争うのは間違っていないか。
やるべきは基本方針を決めるために一刻も早く、被災者と協議を始めることだろう。

請求額が一円なのも、政府に不作為の罪を問うためだ。


 前例のない原発事故だからこそ、被害の救済も前例のない難しさがあるだろう。
しかし、救済を放置してきた政治は許せるものではない。
被災者の思いに司法は寄り添ってほしい。

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2013年08月24日

社会保障改悪計画・安心壊すプログラム案 撤回を

社会保障改悪計画
安心壊すプログラム案 撤回を
2013年8月23日(金)   しんぶん赤旗「主張」

 自民・公明連立の安倍晋三政権が、社会保障改悪のスケジュールを詰め込んだプログラム法案骨子を閣議決定しました。

社会保障制度改革国民会議の最終報告書が盛り込んだ消費税大増税と一体で行う社会保障の負担増・給付削減を確実に実行する狙いです


 安倍政権は骨子をもとに法案をつくり、10月の臨時国会冒頭に提出する構えです。
国民に犠牲を強いる制度改悪の段取りや日程をあらかじめ法律にするやり方は異常です。
国民の安心を支える社会保障を破壊するプログラム法案づくりは中止すべきです。

目白押しの負担増

 閣議決定された骨子では、国民に負担増と給付削減をもたらすスケジュールが目白押しです。


 まず始まるのは70〜74歳の医療費窓口負担の1割から2割への引き上げです。消費税率が8%にアップする来年4月から、70歳の誕生日を迎えた人たちが次々と2割負担となります。

まさにダブルパンチです。
70歳以上でも一定の所得がある人はすでに3割負担となっており、今回の2割負担は所得の少ない高齢者を直撃します。
「負担能力に応じての負担」(最終報告書)の建前にも逆行します。


 「要支援1・2」の人たちを保険給付の対象から外し、特別養護老人ホーム入居を「要介護3」以上に限るなどの介護保険大改悪は来年初めの通常国会に法案を提出し、再来年(2015年)に実行する段取りを描きます。

この年の10月には消費税増税第2弾の10%への引き上げも行われます。
この間、年金支給額も連続して減らされています。
中長期にわたって国民に二重三重の痛みを押し付けるスケジュールです。


 骨子が「個々人の自己努力」を強調しているのは、社会保障にたいして責任を果たさない国の姿勢を浮き彫りにしたものです。

安倍政権の経済政策「アベノミクス」の推進によって大企業の成長が優先され、その一方で庶民の暮らしがますます深刻になり、雇用破壊がすすむのと並行して、公的な社会保障制度が壊されれば、国民の暮らしはとても立ち行きません。


 医療・介護・子育てなどそれぞれ独立している社会保障制度の改悪スケジュールをひとまとめにして、その段取りを事前に決めてしまう法律を押し通そうとするやり方自体、きわめて乱暴なものです。


 社会保障制度の連続改悪で「医療崩壊」「介護難民」などの事態をもたらした小泉純一郎自公政権時代でさえ、医療、介護、年金などの改悪法をまとめて押し通すプログラム法はつくっていません。

今回のプログラム法案づくりは、消費税増税と社会保障大改悪をなんとしても強行したい安倍政権の執念を示すものです。

同時に、負担増ばかりが突出する改悪日程を先行させるやり方は、与党内からも批判や疑問がくすぶります。安倍政権の道理なき暴走は大きな矛盾を抱えていることは明らかです。

いまこそ国民共同を

 安倍政権は秋の国会にプログラム法案だけでなく、一度廃案になった生活保護法改悪案なども提出する姿勢です。

消費税増税は社会保障充実のためという口実は完全に崩れ去っています。

安倍政権の暴走を阻み、憲法が掲げる生存権保障にもとづく社会保障の再生・拡充へ転換する国民の共同したたたかいが重要です。

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宮根誠司も小倉智昭もお払い箱? 法改正でテレビ界激震

宮根誠司も小倉智昭もお払い箱? 
                         法改正でテレビ界激震
2013年8月24日 ゲンダイネット掲載


 ある日、突然、フリーの人気女性アナウンサーが説明もなく、テレビから姿を消す……。

いまテレビ局はこうした異常事態が予想される労働者派遣法の見直し問題で揺れている。
同法を議論してきた厚生労働省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」は8月20日、最終報告案をまとめた。

 これまでアナウンサーなどは「26種の専門職」に入り、無期限に働くことができた。業種の具体例を挙げれば、

●報道番組の司会及び進行
●ニュース番組その他の報道番組等におけるニュース等の原稿の朗読
●事件があった場合等の特別番組における実況中継またはインタビュー
     など。

 しかし、今後この「26種専門職」ルールが撤廃され、すべての派遣労働者を3年でクビにしないといけなくなるのだ。

 つまり、宮根誠司や小倉智昭といったアンカーキャスターから現場のリポーターまで3年を期限に入れ替えよというわけである。

 では、今回の改正案は局にとって都合がいいのかといえば、答えはノーだ。

テレビの現場はほとんどが派遣でもっている。
多くの派遣ディレクターはゼロから叩きあげられてきた。
それなのに、3年で入れ替えられ、社員プロデューサーが素人に近い派遣ディレクターと新たに組むとなれば、仕事の停滞を招く可能性も出てきます」(テレビ界事情通)

 午前4時から放送される早朝ニュース番組では多くが元地方局女子アナ出身で、派遣アナが担当している。
このようにつらい仕事ばかりを強いられているのが実情で、おまけに3年でクビなら仕事が雑になるだろう。

「今回の改正法は経営者の使いやすさだけを改善したに過ぎない。
しかし、派遣のベテランが現場を支えてきたテレビには深刻な問題です。
この改正法案は業界にとって悪法といえます」(芸能評論家の金沢誠氏)

 施行されれば、さらなる視聴率の低下も招きそう。波紋は大きい。
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2013年08月25日

汚染水漏れ:「タンク、金かけず作った」協力会社会長証言

汚染水漏れ:「タンク、金かけず作った」協力会社会長証言
毎日新聞 2013年08月25日 07時40分
       (最終更新 08月25日 09時24分)

  地盤沈下が原因で移設されていたことが明らかになった東京電力福島第1原発の汚染水タンク。
高濃度の放射性物質を含んだ汚染水約300トンの漏出は、この移設が原因なのか−−。
廃炉作業に参加している東電協力会社(福島県いわき市)の会長(72)は毎日新聞の取材に
「タンクは工期が短く、金もなるべくかけずに作った。
長期間耐えられる構造ではない」と証言した。


 同社は事故前から原発プラントの設計・保守などを東電から請け負い、同原発事故の復旧作業では汚染水を浄化して放射性物質を取り除く業務に携わっている。
このため汚染水を貯留しているタンクを設置したゼネコンともやり取りがあり、内部事情に詳しい。


 会長が東電幹部やゼネコン関係者から聞いた話では、今回水漏れを起こしたタンクは、設置工事の期間が短かった上、東電の財務事情から安上がりにすることが求められていた。

タンクは組み立て式で、猛暑によってボルトや水漏れを防ぐパッキンの劣化が、通常より早まる可能性も指摘されていたという。


 会長は「野ざらしで太陽光線が当たり、中の汚染水の温度は気温より高いはず。
構造を考えれば水漏れは驚くことではなく、現場の感覚では織り込み済みの事態だ。
現場の東電の技術スタッフも心配はしていた」と明かす。


 現在、タンク内にあるのは原子炉を冷却した汚染水から放射性セシウムを除去した汚染水。
今回のような事態が続くと住民感情が悪化しかねない。

会長は「そうなれば廃炉作業への影響も出る。
政府が前面に出た上で、早く敷地内への地下水の流入を防ぐ抜本的対策を講じるべきだ」と強調した。【袴田貴行】

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2013年08月26日

企業のモラルが問われている・正社員リストラ

正社員リストラ
企業のモラルが問われている
2013年8月25日(日) しんぷん赤旗「主張」

 正社員にたいする悪質で卑劣なリストラ・解雇が大企業職場を中心に横行しています。
昨年13万人の大規模な人員削減を強行した電機産業では、半導体大手のルネサスエレクトロニクスが8月末までに三千数百人の削減を目標に退職強要を繰り返しています。
同社は、昨年も5700人の目標を大幅に上回る七千数百人を早期退職させたばかりです。
労働者の自由意思を踏みにじり、何度も面談に呼び出して退職を強要するのは、明確な権利侵害であり違法です。
国民のくらしの土台である雇用を乱暴に奪う、企業の違法行為を許すことはできません。

「成長戦略」の先取り

 ルネサスの人員削減は、今後の大企業による正社員リストラの広がりを予知させる重要な内容がみてとれます。

課長職の労働者を総合職に降格させ、早期退職の対象者にするやり方は事実上の「指名解雇」にほかなりません。
多い人で8回も面談に呼び出して精神的に追い詰める手口、退職に応じなかったら会社都合による「整理解雇」を実施すると脅迫するなど、違法、横暴の総動員です。労働者を追い出すためなら何でもやるという姿勢があからさまで、モラルや社会正義のかけらも感じられません。


 退職に追い込む決め手として使っているのが「キャリア相談」です。
上司から「退職願」と「再就職支援サービス利用申請書」の用紙が渡されます。
申請書には、パソナ、ランスタッドなど5社の「再就職支援会社」の名があり、希望する会社を選択するようになっています。


 会社は、面談で労働者に「キャリア相談を受けろ」とくりかえします。
退職して新しい職探しの相談に行けという意味です。
パソナなどの「再就職支援会社」は、すでに社内で労働者が来るのを待ち構えています。
労働者を追い出す企業と、受け皿になる企業が一体になってリストラを推進する構図ができています。


 これは安倍晋三政権が「成長戦略」でめざす労働の流動化政策の先取りといえるものです。
安倍政権は、雇用を「維持型」から「移動支援型」に変える方針です。
これまで雇用を守る企業の支援に使ってきた1千億円を超える「雇用調整助成金」を、労働者を切り捨てる企業を支援するために使う、百八十度の転換をうちだしています。


 企業が、労働者の再就職を職業あっせん会社に委託する費用は、労働者1人100万円前後が相場だといわれます。
これが国の助成金の活用で企業負担が軽くなり、職業あっせん会社も利益が転がり込みます。
しかも労働者の再就職先は、待遇が悪化するケースが5割近くで、非正規雇用も少なくありません。
身勝手なリストラの横行で、雇用不安がますます深刻になることが懸念されます。

連帯の力ではねかえす

 安倍政権の「成長戦略」による雇用破壊と、これを先取りした大企業の無法なリストラや解雇から、雇用と人権を守るたたかいの重要性が高まっています。

日本IBMが労働者に「成績不良」のレッテルをはって突然、「ロックアウト解雇」するような無法も絶対に許すわけにはいきません。

退職強要や不当な解雇に断固反対し、労働者、労働組合の連帯の力ではねかえそうではありませんか。

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頑張っても報われない国

頑張っても報われない国
2013年8月26日   東京新聞「私説・論説室」

 今月初めに聴いた絵本作家、伊勢英子さんの講演が重くのしかかっている。


 3・11と福島原発事故の痛ましさに、しばらく絵筆を取る気になれなかったという伊勢さん。
考えて考えて、未来につながる希望を日本中の母子に伝えたいと、その年の夏、一冊の絵本を緊急出版した。
『木のあかちゃんズ』(平凡社刊)は、モミジなど二十種余りの樹木の種子を人間の赤ちゃんに擬して描き、ほほ笑ましい作品。

ただ「気がかりが一カ所あった」という。


 原発事故で数十年も苦難が予想される地域に思いを寄せて描いた「メマツヨイグサ」。
その種子は地中で三十年でも百年でも眠って芽吹きを待つ。
だが、帰還困難地域などで先の見えない状態が現実となった今、種子の特性をありのまま描いてよかったのか−と自問するようになったのだ。


 さらにショックが重なった。
本来、内陸に生えるメマツヨイグサが、岩手県内の海岸で群生していることを知った。
津波で種子が流されたらしく「移住を強いられた方々と重なって…」と声を震わせた。


 安倍晋三首相は「頑張った人が報われる社会に」という。

しかし、このどうしようもない格差固定社会では、いくら頑張っても非正規から抜け出せない人もいる。

出自に恵まれた首相には、そんな「機会の不平等」は見えないだろう。古里を奪われ、無縁の地で毎日を頑張っている人はいつ報われるのか。 
          (久原穏)

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2013年08月27日

子どもたちの夏休みが間もなく終わる…

子どもたちの夏休みが間もなく終わる…
毎日新聞「余録」 2013年08月26日 02時00分

 子どもたちの夏休みが間もなく終わる。残った宿題が気になる時期だろう。
そんな人には耳の痛い「マシュマロ理論」というのがあるそうだ

▲米スタンフォード大学が1960年代に4歳の子どもたちにマシュマロを1個ずつ与える実験をした。
一定の時間食べずに我慢できたらもう1個あげると約束する。
我慢した子としなかった子の学力を15年後に比べたところ、我慢した方の得点が平均2割近く高かった

目先の安楽に飛びつかず、将来の成果を求めて自らを律する人が伸びる。
やはり遊び回るのを我慢して、先送りせずに宿題を済ませた方が良いようだ

▲環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉会合が30日までブルネイで開かれている。
最大限の国益確保が政府に与えられた宿題といえる。
もっとも、遅れて合流した日本がコメ、麦など農産品の守りに徹していたのでは交渉の主導権は握れまい。
海外との競争に耐えられる農業の確立も政府の宿題である

▲「遠野物語」の著者である柳田国男は東京帝大卒業後、農商務省(現在の農水省と経済産業省)に一時在籍して農政の課題を説いた。

著書「農政学」では意欲ある者を支援して規模拡大を図る一方、自立する力のない者には離農を促すべきだと主張している。

宿題の中身は100年以上も前に示されていたわけだ

▲ところが先送りは続く。政府は零細農家の温存につながる戸別所得補償を来年度も維持する方針だという。
今の農家の支持がほしい。
だから将来の国民の支持につながる可能性があっても改革は後回し、では情けない。
もう、マシュマロを食べている場合ではない。
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消費増税の是非 民意は「反対」が大勢だ

消費増税の是非 民意は「反対」が大勢だ
2013年8月27日   東京新聞「社説」

 政府は、来年四月から消費税を5%から8%に引き上げるかどうかを判断する参考のため、有識者から意見聴取を始めた。
報道各社の世論調査で「反対」が大勢を占めた民意こそ重視すべきだ。


 消費税増税法は、来年四月に8%、再来年十月には10%に引き上げを定めているが、付則で経済状況次第で増税を見送る「景気条項」もある。

安倍晋三首相は、増税した場合にデフレ脱却が遠のくなどの景気への悪影響はどうか、逆に増税予定を変更した場合に財政再建への姿勢が問われ、金融市場が混乱することはないかなどの意見を求めている。


 有識者の顔ぶれは、財界やエコノミスト、経済学者のほか、幅広い業界や団体からの六十人に及ぶ。
それぞれの立場から多様な意見を求めるのは有意義だとしても、ともすれば自己の利益にかなった思惑先行となる懸念がある。


 増税賛成を表明している経団連なら、増税しても景気が落ち込まないよう法人税減税や投資減税を求めよう。
同様に、建設や不動産業界は公共事業の拡大を、
農協なら補助金をといった具合である。

そうなれば財政再建どころか財政バラマキで逆行となる。

財務省の御用学者といわれる大学教授や同省から天下りを受け入れたシンクタンクなどの意見も、推して知るべしである。


 明らかなのは、消費税を8%に引き上げた場合に、増税分と厚生年金、国民年金保険料の引き上げを合わせ、国民負担は年九兆円も増えることだ。
これは一九九七年に消費税を3%から5%に引き上げた時の、増税と医療費負担が重なった負担増と同水準である。


 しかも当時より経済規模(名目GDP)は9%も縮小している。
相次ぐ物価上昇が家計を直撃する中で景気へのショックは極めて大きいはずだ。
「十五年デフレ」の起点となった九七年消費税増税の二の舞いになる恐れは強い。


 報道機関が意見聴取に合わせ実施した世論調査では「予定通りに消費税増税を実施すべきか」に対し、共同通信社と全国紙三紙ともに反対が賛成を上回った。
共同では「予定通りの増税」は22・5%しかなく、現状維持と増税の時期や税率幅の見直しを合わせると73・8%に上った。


 そもそも消費税増税は、社会保障との一体改革として決まったのであり、社会保障の抜本改革なしの増税は許されないはずだ。

民意は消費税増税をする環境にないと判断しているのである。

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2013年08月28日

小泉純一郎の「原発ゼロ」=山田孝男

風知草:小泉純一郎の「原発ゼロ」=山田孝男
毎日新聞 2013年08月26日 東京朝刊

 脱原発、行って納得、見て確信−−。

今月中旬、脱原発のドイツと原発推進のフィンランドを視察した小泉純一郎元首相(71)の感想はそれに尽きる。


 三菱重工業、東芝、日立製作所の原発担当幹部とゼネコン幹部、計5人が同行した。
道中、ある社の幹部が小泉にささやいた。
「あなたは影響力がある。考えを変えて我々の味方になってくれませんか」


 小泉が答えた。

 「オレの今までの人生経験から言うとね、重要な問題ってのは、10人いて3人が賛成すれば、2人は反対で、後の5人は『どっちでもいい』というようなケースが多いんだよ」


 「いま、オレが現役に戻って、態度未定の国会議員を説得するとしてね、『原発は必要』という線でまとめる自信はない。
今回いろいろ見て、『原発ゼロ』という方向なら説得できると思ったな。ますますその自信が深まったよ」


 3・11以来、折に触れて脱原発を発信してきた自民党の元首相と、原発護持を求める産業界主流の、さりげなく見えて真剣な探り合いの一幕だった。


 呉越同舟の旅の伏線は4月、経団連企業トップと小泉が参加したシンポジウムにあった。
経営者が口々に原発維持を求めた後、小泉が「ダメだ」と一喝、一座がシュンとなった。


 その直後、小泉はフィンランドの核廃棄物最終処分場「オンカロ」見学を思い立つ。
自然エネルギーの地産地消が進むドイツも見る旅程。
原発関連企業に声をかけると反応がよく、原発に対する賛否を超えた視察団が編成された。


 原発は「トイレなきマンション」である。どの国も核廃棄物最終処分場(=トイレ)を造りたいが、危険施設だから引き受け手がない。

「オンカロ」は世界で唯一、着工された最終処分場だ。2020年から一部で利用が始まる。


 原発の使用済み核燃料を10万年、「オンカロ」の地中深く保管して毒性を抜くという。
人類史上、それほどの歳月に耐えた構造物は存在しない。

10万年どころか、100年後の地球と人類のありようさえ想像を超えるのに、現在の知識と技術で超危険物を埋めることが許されるのか。


 帰国した小泉に感想を聞く機会があった。

 −−どう見ました?
 「10万年だよ。300年後に考える(見直す)っていうんだけど、みんな死んでるよ。日本の場合、そもそも捨て場所がない。原発ゼロしかないよ


 −−今すぐゼロは暴論という声が優勢ですが。

 「逆だよ、逆。今ゼロという方針を打ち出さないと将来ゼロにするのは難しいんだよ。野党はみんな原発ゼロに賛成だ。総理が決断すりゃできる。あとは知恵者が知恵を出す」


 「戦はシンガリ(退却軍の最後尾で敵の追撃を防ぐ部隊)がいちばん難しいんだよ。撤退が」

「昭和の戦争だって、満州(中国東北部)から撤退すればいいのに、できなかった。『原発を失ったら経済成長できない』と経済界は言うけど、そんなことないね。
昔も『満州は日本の生命線』と言ったけど、満州を失ったって日本は発展したじゃないか


 「必要は発明の母って言うだろ?
 敗戦、石油ショック、東日本大震災。ピンチはチャンス。
自然を資源にする循環型社会を、日本がつくりゃいい


 もとより脱原発の私は小気味よく聞いた。
原発護持派は、小泉節といえども受け入れまい。
5割の態度未定者にこそ知っていただきたいと思う。(敬称略)

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2013年08月30日

「ナチス麻生」続投させる安倍の国際感覚

内閣改造見送り
 「ナチス麻生」続投させる安倍の国際感覚
2013年8月29日 ゲンダイネット掲載

 安倍首相が、9月末の自民党役員任期切れに伴う内閣改造の見送りを決めた。
外遊先で「政策を前に進めていくという観点から判断したい」と話していたが、周辺は「少なくとも年末まで改造はやらない。
見送りは既定路線」と話す。
10月中旬に召集される臨時国会は現体制で迎える方針だ。

 そうなると、「ナチスの手法に学んだらどうか」と話し、欧米諸国に衝撃を与えた麻生財務相も続投となる。
国際常識からすれば、考えられない事態だ。

 政治評論家の有馬晴海氏が言う。

「麻生大臣の発言は、欧州諸国に強烈な不快感を与えました。
辞任してもおかしくないレベル。
ただ、内政を担う財務大臣ですからね。
外務大臣と違って、国際社会からの圧力は受けにくいでしょう。

国会が夏休みで閉まっていたことも幸いしました。
いくら問題があっても、場外乱闘では追い込まれません。
なにしろ臨時国会は2カ月後です。
果たしてバラバラの野党に、この問題を蒸し返すエネルギーがあるかどうか。

TPPや消費増税といった内政問題でワーワーとなれば、いつまでもナチス発言を引っ張れるわけがない。
官邸側には、そんな読みもあったのでしょう」

 なんとも内向きの発想である。
国際社会を無視した判断だが、党内も静かなものだ。
麻生批判はもちろん、改造を求める声さえ聞こえてこない。

 自民党関係者が言う。

「菅官房長官が反安倍勢力を抑えているのです。
内紛の兆候を見て取ると『民主党の二の舞いだぞ』と諭すし、政策に文句を言いたい連中には官僚を向かわせ、粘り強い説明で口を封じているらしい。

おかげで、あれほどうるさかったTPP反対派も沈黙です。
それでも派閥に力があれば、改造圧力が高まったり、人事に口出しがあったりしたのでしょうが、今はそんな時代でもない。
拳を振り上げる人も見当たらないような状況です」

 おかげで日本は世界の孤児となるのである。
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2013年09月01日

「消費税ヒヤリング」ー壮大なガス抜きに終わった

出席の有識者が暴露
 「消費税ヒヤリング」のフザけた実態
2013年8月31日 ゲンダイネット掲載

やはり壮大なガス抜きに終わった

<1人の持ち時間は8分、政府からの質問なし>

 消費増税の是非を有識者に聞く、安倍政権の「集中点検会合」が31日に終了。
6日間ぶっ通しで総勢60人から意見を聞いたが、大半は「増税やむなし」。

反対派の声は数えるほどだ。
人選を任された甘利経財相は「職業・年齢・増税の考え方について、バランスよく配置した」と言っていたが、フタを開ければ、やはり「結論ありき」の壮大なガス抜きだった。

出席した有識者のひとりも、ヒアリングのあきれた実態を打ち明ける。

 6日間の会合とも報道陣に公開されたのは、各大臣の冒頭のあいさつまで。麻生財務相が会合の意義をテキトーに語り、甘利大臣が出席者の肩書を紹介すると、報道陣は会場から閉め出された。

増税を巡って、どのような議論が交わされたのか。真相は出席メンバーにしか分からない。

「ヒアリング後、数分ほど質疑応答の時間が用意されましたが、政府側からの質問はほとんどなかった。
誰も何も言わないから、私の方から『財務省は誤ったマクロ経済指標をいつまで使う気なのか』と逆に質問させてもらったほどです」

 そう会合のシャンシャンぶりを振り返るのは、出席者のひとりで、筑波大名誉教授の宍戸駿太郎氏(経済学)だ。
学者やエコノミストを招いた2日目の会合に参加し、「当面は増税を凍結して経済成長を優先すべきだ」という持論を展開した。宍戸氏が続ける。

「私どもの対面には、麻生・甘利両大臣がテーブルの中央にデンと席を構え、経済財政諮問会議の民間議員が横を固めていました。

私の参加日は、有識者9人が横一列に座らせられ、順に意見を述べましたが、1人の持ち時間はたった8分だけ。
参考資料をあらかじめ配布していたとはいえ、これだけの短時間で意見を伝えきるのは至難のワザ。
政府側に十分に伝わったのかも疑問です」

 残る8人のうち、宍戸氏のほかに「増税反対」をハッキリと唱えたのは、エコノミストの片岡剛士氏のみ。
エール大名誉教授の浜田宏一氏と、クレディ・スイス証券の白川浩道氏が「毎年1%ずつ上げていくべき」と主張したが、増税自体には賛成だった。

「いま増税すれば、経済成長の腰折れを招くのは自明の理。
私は経済学者として当然の意見を言っただけで、今回の有識者たちの意見が『増税賛成』に傾いているのは信じられません。

結局、政府が都合の良いメンバーを選んだに過ぎず、専門家の総意は反映されていないのです。

政府は私を『反増税の代表格』のように扱っていますが、私以上に激しく増税に反対している専門家は大勢います。

なぜ、経済評論家の三橋貴明氏やエコノミストの菊池英博氏、産経新聞編集委員の田村秀男氏などは選ばれなかったのか。政府は『バランスを重視した』と言うなら、彼らの意見も聞くべきです」(宍戸氏)

 今回の会合はしょせん「増税に向け、議論を尽くしましたよ」という安倍のポーズだ。
見え透いたアリバイ工作に利用された有識者たちは、怒った方がいい。

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関東大震災90年-災害に備え「人災」防ぐ政治を

関東大震災90年
災害に備え「人災」防ぐ政治を
2013年9月1日(日)   しんぶん赤旗「主張」
 

 きょうは、犠牲者が10万人を超えた関東大震災から90年にあたる、「防災の日」です。
大震災の教訓に学び、災害に備える催しが各地で取り組まれています。

世界有数の地震・火山国であり、台風も常襲する日本では、大災害が繰り返され尊い命が失われてきました。
発生2年半となる東日本大震災と原発事故の「複合災害」は約30万人に避難生活を強いるなど、いまも進行中です。
この夏の記録的豪雨による被害も深刻です。

国民の安全を守り災害に強い国土をつくる政治の役割と責任が重要です。

人口密集地の悲劇

 1923年9月1日午前11時58分、神奈川県沖の相模トラフ(海溝)を震源にマグニチュード(M)7・9の激しい揺れが関東一帯を襲いました。
死者・行方不明者は東京、神奈川など1都6県で約10万5千人にのぼりました。

犠牲者の約9割は東京市(当時)と横浜市で、ほとんどが焼死でした。
人口密集地域で木造家屋が倒壊し、昼食支度中の火災が多発したうえ、おりから低気圧の影響による強風で被害が拡大したのです。


 現在の両国国技館近くの旧陸軍被服廠(しょう)跡に避難していた数万人も、炎に囲まれ逃げ場を失い3万人余りが命を落としました。
いま横網町公園に整備された“悲劇の地”には焼けただれた鉄骨などが展示され、惨害のすさまじさを今日に伝えます。


 震災後、「井戸に毒を入れた」などというデマが流され、軍、警察、自警団によって罪のない多数の朝鮮人、中国人や日本人が虐殺されました。
被災者の救援活動をしていた日本共産青年同盟の初代委員長・川合義虎が虐殺された亀戸事件なども起きました。
歴史の汚点として記憶され、絶対に許されてはならない事件です。


 自然災害は避けることはできなくても、それに備えることで被害は減らせます。
都市であれ地方であれ、備えを欠いたことで被害が拡大するのは「人災」です。
それを防ぐのはまさに政治の責任です。


 関東大震災は都市化がすすむ人口急増地域でありながら、それに見合った防災の備えが追いついていなかったことにより引き起こされた大惨事です。
無秩序なまちづくりや乱開発をすすめることがいかに危険かを浮き彫りにしています。


 いま首都圏の居住者は90年前とは比較にならない規模に増大し、人の移動距離も広がっています。
建物の高層化や地下化もすすむ一方で、雑居ビルや老朽した木造住宅が混在するなど、都市は複雑化の様相を強め、災害による新たな危険を高めています。


 政府の中央防災会議は、切迫の危険が指摘されている首都直下地震や南海トラフでの巨大地震にたいする被害想定を厳しく見直し、防災や避難の体制を強化すれば被害を減少させることができるとの報告書をまとめました。
災害に強いまちをつくるためにいまこそ政治が役割を発揮するときです。

あらゆる危険の想定こそ

 木造住宅の耐震・不燃化、学校の耐震化などは待ったなしです。


 関東大震災を記憶にとどめ、5千人以上の犠牲を出した伊勢湾台風の翌年に決められた「防災の日」は、さまざまな災害を想定してその備えを総点検する日です。

地域の危険に見合った防災の仕組みは整っているのかなど、改善を求める取り組みが重要です。

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2013年09月05日

香山リカのココロの万華鏡:心の嵐、年とともに治まる

香山リカのココロの万華鏡:心の嵐、年とともに治まる
毎日新聞 2013年09月03日 東京地方版

 昭和を代表する大歌手、藤圭子さんが自ら命を絶った。
家族が発表したコメントによると、藤さんは感情が激しく変化する「心の病」に長い間苦しんでいたことがうかがわれる。

診断名などは書かれていないが、めまぐるしく揺れ動く半面、明るい時や歌手としてきちんと活動できる時もあったことから推測すると、不安定さを特徴とする「パーソナリティー」の障害だった可能性も考えられる。


 不安定なパーソナリティーを特徴とする心の病、たとえば「ボーダーライン性パーソナリティー障害」を持ち、頻繁に訪れる感情の波に苦しむ人やそれに翻弄される家族は少なくない。
そういう人たちは、今回の出来事にショックを受けているのではないだろうか。


 しかし、誰の場合でも不安定さがずっと続き、悲劇的な結末が待っているわけではない。

先日、ある学会で精神科医の岡野憲一郎氏の講演を聴く機会があった。
岡野氏は「ボーダーライン」と診断された患者さんを6年後に再び診断したところ、その7割が診断基準を満たさなかった、という米国の研究を紹介し、「パーソナリティー障害というと治りにくいもの、一生続くものという従来の常識は間違っている可能性がある」と話した。
岡野氏の経験でも、特に攻撃性や衝動性といった傾向は、年齢を重ねるうちに落ち着いていくことが多いという。

逆に「むなしさ」などは長く残ることがある。
一般の人でもそうだが、不安定なパーソナリティーも年齢とともに「枯れていく」のだ。


 私の経験では、もともと創造性の高い人が「ボーダーライン」などの不安定な人格を有していた場合、皮肉なことに「枯れ」のスピードが遅いように思う。
60代になっても鮮烈な色彩で激しい絵を描くアーティストは、その年齢でも思春期の頃と同様に、家族をののしったり夜の街に飛び出して行ったりしていた。


 ただ、これは幸いなことだと思うのだが、多くの人はそこまでのエネルギーを保てず、不安定さが押し寄せてきても怒鳴ったり暴れたりせずに、なんとかしのげるようになる。
「むなしさ」が心の中に残っていても、それを周囲と調和させることもできるようになるはずだ。


 今、自分の中で荒れ狂う不安定さに困り果てている人も自分に言い聞かせてほしい。
「この嵐は年齢とともに必ず治まっていくはず」。
そうならなかった藤圭子さんは本当に痛ましい。
せめて私たちが彼女の歌を聴き続けることで、その魂が安らぐことを祈りたい。

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福島原発に「竜巻」の恐怖、東電は危機意識ゼロ

福島原発に「竜巻」の恐怖、東電は危機意識ゼロ
2013年9月4日 ゲンダイネット掲載


現地で相次ぐ注意警報   

「あの竜巻が福島第1原発を直撃したら……」
 不安を感じた人も多いんじゃないか。
2日に埼玉、千葉を襲った竜巻は、頑丈にできている中学校の体育館の屋根まで吹き飛ばしていた。

 福島地方気象台は1日に、「竜巻注意情報」を2回発表している。
3日も、「雷と突風に関する気象情報」を発表して、「落雷、竜巻などの激しい突風、ひょう、急な強い雨」に注意を呼びかけていた。
福島で竜巻が吹き荒れる可能性は十分にあるのだ。

 実際、福島第1原発に程近い南相馬市では2010年に、小規模の突風が起き、ビニールハウス9棟に被害が出ている。

 気象庁によると、いまは地表付近が夏、上空が秋という状態で、寒暖差が激しく、竜巻のもとになる積乱雲が発生しやすい状況が全国的に続いているという。

「福島? 竜巻は、日本全国どこでも起こり得ます。
とりわけ台風シーズンの9月、そして沿岸部で多く確認されていますね」(同庁担当者)

 心配になって東京電力に問い合わせたら、「竜巻に特化した荷重設定はしていません。
それぞれの設備については建築基準法に基づいて設計し、安全性に支障がないことを確認しています」(広報担当者)とのこと。

<燃料棒1533本が大気中で燃え出す>

 何とも心もとない。
今回の竜巻で被害に遭った600棟以上の建物だって、建築基準法に基づいて建てられたはず。
それでも、体育館の屋根まで吹き飛んだわけだ。
“ハリボテ”の福島第1原発なんてひとたまりもないだろう。

 核廃絶を目指して活動を行っている元駐スイス大使の村田光平氏は、昨年3月の参院予算委公聴会で、こんなことを言っていた。

「(福島第1原発4号機の)核燃料プールが崩壊し、1533本の燃料棒が大気中で燃え出した場合、果てしない放射能が放出される。
もちろん、東京は住めなくなる」

 首都圏5000万人が避難する大パニック――悪夢が現実になる恐れは十分にある。
「竜巻に限らず、台風もある。
ゲリラ豪雨もあり得るのに、東電がどういう具体策を講じているのか、まったく見えてこないし、基準が甘すぎます。
最悪の事態を想定しているとは、とても思えません」(ジャーナリスト・横田一氏)

 竜巻より何より、東電の危機意識のなさが一番怖い。
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2013年09月06日

老人を食い物にする新聞勧誘の悪質手口

老人を食い物にする新聞勧誘の悪質手口
2013年09月05日 16:35 ゲンダイネット更新

<どーしてメディアは報じない>

 オレオレ詐欺も真っ青だ。
国民生活センターが8月下旬に新聞の訪問販売に関する苦情相談を公表したが、高齢者を狙った執拗で悪質な手口のオンパレードなのだ。

 国民生活センターの公表資料によると、新聞の訪問販売に関する苦情相談はここ10年間、毎年1万件前後と横ばい状態が続いており、今年度は4カ月間ですでに2540件に上る。
相談内容はどれもエグイものばかりだ。

〈12年先までの契約をさせ、解約を希望すると高額な景品代を請求された〉(近畿・60代女性)

〈老人ホーム入居のため、9年間の契約の解約を申し出ると、景品を買って返せと言われた〉(近畿・80代男性)

〈購読期間1カ月のつもりで契約したが、購読契約書には3年と書かれていた〉(九州・80代女性)

 国民生活センターは、新聞業界の勧誘方法のうち、他紙の購読期間が終わる前に、契約終了後の長期契約を結ばせる「起こし」「先起こし」といった手口が、トラブルの原因になっていると指摘。

中でも相談者の平均年齢が10年前(47.1歳)と比べて今年度は60.7歳と高齢化していることから、〈視力の変化や入院などの理由で新聞を読めなくなる可能性があるにもかかわらず、長期の契約を勧められている〉と問題視しているのだ。

 大新聞は日頃、高齢者を狙った悪質商法を問題視しているくせに、新聞勧誘の問題はまったく取り上げないのは、どういうわけだ。
これじゃあ、お年寄りは食い物にされる一方だ。
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2013年09月08日

社説:シリア情勢と日本 攻撃の根拠が知りたい

社説:シリア情勢と日本 攻撃の根拠が知りたい
毎日新聞 2013年09月07日 02時30分

  米国のオバマ政権が、化学兵器使用が疑われるシリアのアサド政権への軍事攻撃を検討する中、日本政府が難しい対応を迫られている。


 政府内では、米国が国連安全保障理事会の決議なしに攻撃に踏み切った場合、イランや北朝鮮など大量破壊兵器絡みで国際社会と対立する国々への影響も考慮して、米国の同盟国として支持や理解を表明すべきだという考え方が強い。

しかし、化学兵器が使われたのは間違いないとみられるものの、使用したのがアサド政権なのか反体制側なのかという、肝心な点がはっきりしない。

米国はまずアサド政権側が使用したと主張する明確な根拠を示してほしい。日本は米国に証拠提示を迫るべきだ。


 ロシアで開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議にあわせ、安倍晋三首相は、オバマ大統領と会談し、米国が計画するシリア攻撃について「非人道的行為を食い止める責任感に敬意を表する」と述べ、シリア情勢改善に両国が緊密に連携することを確認した。

踏み込むことを避けた首相の対応は、不明な点が多い現時点では妥当なものと言えよう。


 最大の不明点は、化学兵器を誰が使用したかだ。

米政府の報告書では、8月21日のダマスカス郊外での化学兵器使用疑惑について「アサド政権が使用したと強く確信している」としているが、断定できるのか疑問だ。
仏政府の報告書も同様だ。


 仮に化学兵器を使ったのが反体制側なら、「アサド政権に化学兵器使用を思いとどまらせる懲罰的攻撃」という米仏の攻撃の根拠は崩れる。


 2003年のイラク戦争で、当時の小泉純一郎政権は、安保理決議がない米英両軍の攻撃を支持し、復興支援で自衛隊を派遣したが、開戦の根拠となった大量破壊兵器は見つからなかった。

欧米では反省から検証が行われたが、日本では戦争支持の経緯や責任はうやむやのままだ。


 シリア攻撃に近いケースとされる1999年のコソボ紛争では、安保理決議がないまま、アルバニア系住民の保護という人道的介入を理由に北大西洋条約機構(NATO)がユーゴスラビアを空爆した。
日本は理解を示し、人道復興支援をした。
しかし、人道的介入の考え方には、拡大解釈を生むなど批判もある。


 シリア情勢は、安保理決議にロシアと中国が反対し、安保理が機能しない中、国際社会が紛争にどう対処するかという重い課題を突きつけている。

安保理決議なしの軍事攻撃が制裁の方法として妥当なものかは、なお議論が残るが、まずは最低限、明確な証拠の提示がなければ、攻撃の妥当性を判断しようがない。
政府は、米国がしっかりとした根拠を示すよう外交努力を強めるべきだ。

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震災関連死:福島県内で直接死上回る 避難生活疲れで

震災関連死:福島県内で直接死上回る 避難生活疲れで
毎日新聞 2013年09月08日 02時30分
(最終更新 09月08日 06時52分)

  東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災者の死亡例のうち、福島県内自治体が「震災関連死」と認定した死者数が8月末現在で1539人に上り、地震や津波による直接死者数1599人(県災害対策本部調べ)に迫っていることが、毎日新聞の調査で分かった。
少なくとも109人について申請中であることも判明。近く直接死を上回るのは確実だ。


 長引く避難生活で体調が悪化したり、自殺に追い込まれたりするケースがあり、原発事故被害の深刻さが裏付けられた。


 関連死の審査会を設置しているか、今年3月末までに関連死を認定したケースがある福島県内25市町村を調べた。
復興庁が公表した3月末の関連死者1383人から5カ月で156人が新たに増えたことになる。


 南相馬市が431人で最も多く、浪江町291人、富岡町190人−−の順だった。
年代別では回答が得られた355人のうち、80歳代以上233人(65.6%)▽70歳代79人(22.3%)▽60歳代32人(9.0%)などで高齢者が多かった。


 死因については多くの市町村が「今後の審査に影響する」と回答を避けた。

復興庁による昨年3月末のデータを基にした県内734人の原因調査では

「避難所などの生活疲労」33.7%
▽「避難所などへの移動中の疲労」29.5%
▽「病院の機能停止による既往症の悪化」14.5%など。
自殺は9人だった。


 宮城県では今年8月末現在で869人、岩手県は413人だった。
関連死申請の相談を受けた経験がある馬奈木厳太郎弁護士は「原発事故による避難者数が多い上、将来の見通しも立たずにストレスがたまっている。今後も増える可能性がある」と指摘している。
【蓬田正志、田原翔一】

◇ことば【震災関連死】

 建物倒壊による圧死や津波による水死など震災を直接の原因とする死亡ではなく、災害により長引く避難所生活の疲労や震災の精神的ショックなどで体調を崩して死亡したケースを指す。
明確な基準はないが、遺族が申請して市町村などが震災との因果関係を認定する。
東日本大震災では福島県の場合、申請の約8割が認定された。
市町村と都道府県、国から最高で計500万円の災害弔慰金が支給される。

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2013年09月09日

20年東京五輪:歓迎の一方、疑問の声も…震災被災地

20年東京五輪:歓迎の一方、
          疑問の声も…震災被災地
毎日新聞 2013年09月09日 11時06分

 東日本大震災からの復興をテーマに掲げる2020年東京五輪。被災地では開催を歓迎する声が上がる一方、本当に復興に役立つのか、疑問視する声も少なくない。

 ◇福島

 福島第1原発事故の影響で双葉町から避難し、福島市の仮設住宅に住む無職の鈴木トクさん(79)は「五輪が開かれれば、外国からも人が来て盛り上がるから良い。
経済効果が東北や被災地にまで及んでくれれば」と語った。

いわき市小浜町で、放射性物質検査のためアワビやウニなどを水揚げした漁業の丹野信一さん(77)も「素直に歓迎すべきだ」と話したが「汚染水問題が解決するか分からず、漁業の復興は道半ば。
福島へ支援の手が届くのか心配になる」と表情を曇らせた。


 富岡町で被災し、三春町の仮設住宅に家族5人で避難する派遣社員の萩原光代さん(45)も復興のアピールばかりで被災地をなおざりにしてもらっては困る」とくぎを刺した。

浪江町から避難し、福島市の仮設住宅で暮らす無職の岡和田温(あつし)さん(40)は「五輪は被災地の復興には役立たない。
汚染水対策を国が前面に出てやると言ったのだって五輪のためだろう。
避難者の生活や原発事故の収束を第一にやってほしい」と訴えた。
【田原翔一、五十嵐和大、猪飼健史】

 ◇岩手

 津波で自宅が流され、親族宅で生活を送りながら、がれきの分別の仕事をする大槌(おおつち)町の小松力(つとむ)さん(59)は「元気になるので気持ちの面では復興に役立つと感じた。
しかしお金もかかること。
2020年を迎えた時、五輪施設は完成したのに、被災地復興は道半ばとならないよう願う」と話した。


 津波で事業所や車両を失い、仮設事務所で運送業を営む釜石市の舟本常雄さん(67)は「五輪に向けて東京の魚市場が活気づき、三陸の浜から魚の運送も増えることに期待したい」。

自宅を流され、同市内の中古住宅で独居している釜石市の無職、大久保桂子さん(72)は「復興工事で不足している人手と資材が、五輪の工事に取られてしまわないだろうか」と漏らした。
盛岡市の教員、伊勢美和さん(37)も「安倍(晋三)首相は『復興した姿を見せる』と世界に約束したのだから、有言実行してほしい」と求めた。
【高尾具成、藤河匠、宮崎隆】

 ◇宮城

「なにか他の国の話のような感じがする」。
津波で自宅を失い、気仙沼市の仮設店舗で金物屋を営む鈴木敦雄さん(53)は東京五輪開催に首をかしげる。
「開催したことのないトルコ(イスタンブール)に譲ってもよかったんじゃないかとさえ思う。

日本は、もっと他に力を注ぐべきことがあるのでは。
震災復興を誘致の材料にしたんだったら、それを本当に加速させてほしい」と注文を付けた。


 名取市の自宅兼店舗が全壊し、仮設商店街で写真館を再開した斎藤正善さん(61)は「安倍晋三首相は原発問題に責任をもって取り組むと言ったが、福島、宮城、岩手の再生・復興にも取り組んでほしい」と注文を付けたうえで「7年後、関東は盛り上がるのだろうが、被災地が取り残されることは許されない
もっと被災地で競技をしてくれれば盛り上がれる」と話した

  東京五輪が決定した8日、仙台市内で開かれたジャズのイベントに来ていた大学生、山下愛さん(21)は、同市若林区にあった自宅を津波で流された。
「ロンドン五輪は見ていてわくわくしたので、東京開催は素直にうれしい。
もうチケット入手の話をしている友人もいる。

7年後は、世界はもちろん、日本でも被災地を忘れている人が多いと思う。
五輪が、そんな人たちが被災地に来てくれたりするきっかけになってほしい」
と期待していた。
【井田純、三浦研吾】

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2013年09月12日

寝ても覚めても:470億円を考える=冨重圭以子

寝ても覚めても:470億円を考える=冨重圭以子
毎日新聞 2013年09月12日 14時20分

  以前から、国や自治体の予算に関する記事は、読むのが苦手だった。
予算額が1億円を超えると、実感がないため思考停止し、金額が頭にとどまってくれないのだ。


 東京五輪の経済効果は招致委員会の試算で3兆円といわれても、あるいは副次的な効果まで含めると100兆円を超える、という説をきいても、ふーん、という感想しか出てこない。


 ただ「470億円」は、なぜか頭に残り、いまも気になる金額だ。
東京電力福島第1原発の汚染水漏れを収拾するために、政府が投入を決めた国費の額。
完全にコントロールするには、さらに増額しなければならないようだが、470億円でとりあえず止められるのなら、なぜもっと早く決断しなかったのだろう。


 国費投入の発表が国際オリンピック委員会(IOC)総会の直前だったから、東京招致への影響を考えた、という見方も出た。

だとしたら東京が立候補していなかったら、いまだに東京電力任せにしていた、ということ?


 東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まってから、国内は想像した以上の祝賀ムードに包まれている。
不動産、建設、観光など五輪関連株が大きく上昇し、都庁前での報告会は人の波で埋まった。


 スポーツ界にもいい話だ。
政府はスポーツ庁の設置を検討するという。
バラバラだったスポーツ行政が、ようやく一本化する可能性も出てきた。


 佐藤真海さんの見事な招致演説のおかげで、パラリンピックへの注目度も、これまでになく高い。
東京のバリアフリー化が進めば、きっと他の地域へも波及するから、高齢者も行動しやすくなる。招致成功はいろいろな好影響をもたらす。


 「だからさ」と福島県出身の知人は言う。
福島も、五輪を利用すればいい」。
五輪ありきの470億円だったとしても、ゼロよりはまし。

「健康問題に関して今までも、現在も、将来も問題はないと約束する」と見えを切った安倍晋三首相に「忘れた」と言わせないよう、折に触れて確認し続けよう、というのだ。


 最優先事項は五輪なのだから仕方がない、という諦観も含んだ提案に、言葉が返せなかった。

(専門編集委員)
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2013年09月14日

小出裕章氏「汚染水は制御不能。安倍首相の発言は恥知らずだ」

小出裕章氏「汚染水は制御不能。
    安倍首相の発言は恥知らずだ」
2013年9月13日 ゲンダイネット掲載

 「放射能は完全にブロックされている」「コントロール下にある」――。
IOC総会で、安倍晋三首相は福島第1原発の汚染水問題について、こう豪語した。
首相の言葉はすなわち、国際公約になったわけだが、現地では今も1日400トンもの地下水が壊れた原子炉建屋に流れ込み、海に漏れている可能性も否定できない。
安倍首相の言う「完全ブロック」とは程遠い状況なのだが、原子力の第一人者はどう見ているか。

<そんなに安全なら自分で現場に行けばいい>

――安倍首相のIOC総会での発言を聞いて、どう思われましたか?

「ほとほと呆れました。
一体何を根拠にコントロールできていると言っているのでしょうか。
冗談ではありません。
福島原発は今、人類が初めて遭遇する困難に直面していて、想像を絶する状況が進行しているのです。

そもそも、原発政策を推し進めてきた自民党政権は、原発を安全だと説明してきたが、安全神話は事故で崩れた。
それなのに『コントロール』なんて、よく言えたもので、本当に恥知らずです。そこまで言い切るなら、安倍首相自らが福島原発に行って収束作業に当たればいいと思います」

――汚染水の現状をどう見ていますか。

「これは予想できたことなのです。
事故が起きた福島原発では溶けた炉心の核燃料を冷却する必要があります。
水を入れれば核燃料に触れた水の汚染は避けられない。
福島原発は水素爆発で原子炉建屋の屋根が吹き飛び、地震と津波で、施設のあちこちが壊れている。
汚染水は必ず外部に漏れてくる。
それが原子炉建屋やタービン建屋の地下、トレンチといった地下トンネルにたまり、あふれ出る。
誰が見ても、当たり前のことが起こっているのです」

――小出さんは2011年3月の事故直後から、汚染水はタンカーで移送すべきだと提案していました。

「漏れた汚染水が原発の敷地内にたまり続け、今のように周辺からあふれるのは明白でした。
それなら一刻も早く汚染水を漏れない場所に移さないといけない。
そこで数万トンの容量があるタンカー移送を提案したのです。
新潟県にある世界最大の原発、東京電力柏崎刈羽原発には廃液処理装置があります。
柏崎刈羽原発は稼働停止中ですから、そこに運んで廃液処理するべきだと考えたのです」

――しかし、提案は採用されなかった。

「汚染水を海上輸送するので、地元漁協はもちろん、国際社会の反発が予想されるし、受け入れる新潟県の反対もあったのでしょう。

東電が柏崎刈羽原発に放射性廃棄物がたまり続けることを避けたかったのかも知れません。
私は2011年5月に原子炉建屋の周辺に遮水壁を設けることも提案しました。
地下水の汚染を防ぐためです。
しかし、東電側は『カネがかかり過ぎて6月の株主総会を乗り切れない』と考えたようで、結局、何もしなかった。
今になって遮水壁、凍土壁を設置すると言っていますが、バカにしているのかと思いますね」

<汚染水は許容値の300万倍、制御は不可能>

――政府の汚染水対策の柱は「凍土壁」と、汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去装置「ALPS」の増設・改良です。
「ALPS」が稼働すれば状況は改善されるのですか。

「動かさないよりも動かした方がいいに決まっている。
しかし、汚染水問題の根本解決は困難と言わざるを得ません。
なぜなら、汚染水の濃度があまりに高いからです。
汚染水に含まれている主な放射性物質はセシウム137、ストロンチウム90、トリチウムの3つだと思います。

この実験所をはじめ、国内の原発でストロンチウム90を廃液処理する場合、法令上の基準値は1リットル当たり30ベクレル以下です。

しかし、先日、福島原発の地上タンクから漏出した汚染水は1リットル8000万ベクレルと報道されていました。
つまり、許容濃度にするには、300万分の1以下に処理しなければならない。
私は不可能だと思っています。
さらに、トリチウムは三重水素と呼ばれる水素ですから、水そのもので、ALPSで除去することはできません」

――凍土壁は効果ありますか。

私は遮水壁は鉄とコンクリートで造るべきだと思っています。
耐久性があり、最低でも10〜20年は持つからです。
しかし、造るのに時間もカネもかかる。
待ったなしの状況を考えれば、急場しのぎの凍土壁も造った方がいい。

ただ、凍土壁が冷却に失敗したら地下に巨大な穴が開く恐れがある上、何年維持できるのか分からない。
最終的には、やはり、凍土壁の周囲を鉄とコンクリートの遮水壁で覆う必要があると思います」

――小出さんは最近、水を使った冷却をやめるべきと言っていますね。

「水を使い続ける限り、汚染水は増え続ける。
今のような状況は何としても変えなくてはなりません。
重要なことは冷やすこと。
つまり、冷やすことさえできれば、手段は問わないわけです。

東海原発の原子炉のように炭酸ガスを使って冷やす例もあります。
ただ、ガスだと今度は汚染ガスの問題が出てくるでしょう。
そこで、金属を使うことが考えられます。
仮に(融点の低い)鉛などを炉心に送ることができれば、最初は熱で溶けて塊になるものの、塊が大きくなるにつれて次第に熱では溶けなくなる。
その後は自然空冷という状態になると思います。
ただ、これが確実に有効な対策かと問われると正直、分かりません。
金属の専門家などを集めて知恵を絞るしかありません」

<チェルノブイリのように石棺にするしかない>

――福島原発はどうすれば廃炉できるのでしょうか。

「(1986年に事故を起こした)チェルノブイリ原発のように石棺しか方法はないと思います。
ただ、チェルノブイリ原発も事故から27年経った今、コンクリートのあちこちが壊れ始めている。
福島原発は事故を起こした原子炉が4基もあり、石棺にするにしても、使用済み核燃料プールにある燃料棒は必ず取り出す必要がある。
その燃料棒の取り出しに一体何年かかるのかも分かりません」

――簡易型タンクで急場をしのぐだけの東電の後手後手対応にも呆れます。

「現場は猛烈に放射線量が高く、一帯は放射能の沼のようになっていると思います。
その中で、貯水タンクを(壊れにくい)溶接型にしたり、漏出がないかどうかを24時間体制で監視すれば、確実に作業員の被曝(ひばく)線量が増える。
つまり、作業を厳格にしようとすれば、その分、作業員の被曝線量が増えてしまう。
だから、場当たり的な作業にならざるを得ないのだと思います」

――作業員の話が出ましたが、今後、数十年間は続くとみられる廃炉作業を担う作業員は確保できるのでしょうか。

「チェルノブイリ原発では、収束のために60万〜80万人が作業に当たりました。
27年経った今も、毎日数千人が作業しています。
原子炉1基の事故でさえ、この状況です。
福島は原子炉が4基もある。
一体どのくらいの作業員が必要になるのか見当もつきません」

――それなのに安倍政権は原発を再稼働する気です。

「町の小さな工場でも毒物を流せば警察沙汰になり、倒産します。
しかし、福島原発の事故では東電はいまだに誰も責任を問われていません。電力会社が事故を起こしても免責になることに国が“お墨付き”を与えたようなものです。
だから、全国の電力会社が原発再稼働に走るのです」

こいで・ひろあき 
1949年東京生まれ。
東北大工学部原子核工学科卒、同大学院修了。
74年から現職。
放射線計測、原子力施設の工学的安全性の分析が専門。
「放射能汚染の現実を超えて」(河出書房新社)、「原発のウソ」(扶桑社)など著書多数。
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2013年09月15日

【死んだっていい 俺も行く】菅直人前首相

【死んだっていい 俺も行く】
原発危機的状況に菅前首相 東電が発言詳細記録
2012/03/15 11:10  共同通信

 水素爆発が相次ぎ福島第1原発事故が危機的状況に陥っていた昨年(一昨年)3月15日未明、菅直人首相(当時)が東京電力本店に乗り込んだ際の「60(歳)になる幹部連中は現地に行って死んだっていいんだ。俺も行く」などとの発言を、東電が詳細に記録していたことが15日、分かった。

 菅氏の東電訪問は政府の事故調査・検証委員会の中間報告などでも触れられているが、記録からは、東電が第1原発から全面撤退すると考えた菅氏が、かなり強い口調でできる限りの取り組みと覚悟を迫っていたことがうかがえる。

 記録によると、本店2階の緊急時対策本部に入った首相は、政府・東電の事故対策統合本部の設置を宣言。

「このままでは日本国滅亡だ」
「プラントを放棄した際は、原子炉や使用済み燃料が崩壊して放射能を発する物質が飛び散る。
チェルノブイリの2倍3倍にもなり、どういうことになるのか皆さんもよく知っているはず」と強い危機感を示した。

 さらに「撤退したら東電は百パーセントつぶれる。
逃げてみたって逃げ切れないぞ」と迫った。

 東電の事故対応について「目の前のことだけでなく、その先を見据えて当面の手を打て」「無駄になってもいい。金がいくらかかってもいい。
必要なら自衛隊でも警察でも動かす」と、改善を求めた。

 15日未明の段階では、2号機も水素爆発の恐れがあった。
状況説明に対し、菅氏が「何気圧と聞いたって分からないじゃないか」といら立つ場面もあった。

 菅氏は対策本部に大勢の東電社員がいるのを見て「大事なことは5、6人で決めるものだ。
ふざけてるんじゃない。
小部屋を用意しろ」と指示、勝俣恒久(かつまた・つねひさ)会長ら東電トップと対応を協議した。

 菅氏が撤退を踏みとどまるよう求めた発言と、
対策統合本部の設置について、福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)は「(危機対応として)一定の効果があった」と評価している。

 今月14日の国会の事故調査委員会では、菅氏の東電訪問時の映像(音声なし)が残っていることが明らかになった。


▽菅氏の主な発言


 東京電力が記録していた昨年3月15日未明の菅直人首相(当時)の主な発言は以下の通り。

被害が甚大だ。このままでは日本国滅亡だ
撤退などあり得ない。命懸けでやれ
・情報が遅い、不正確、誤っている
・撤退したら東電は百パーセントつぶれる。逃げてみたって逃げ切れないぞ
・60になる幹部連中は現地に行って死んだっていいんだ。俺も行く
・社長、会長も覚悟を決めてやれ
・なんでこんなに大勢いるんだ。大事なことは5、6人で決めるものだ。ふざけてるんじゃない
原子炉のことを本当に分かっているのは
誰だ。何でこんなことになるんだ。
本当に分かっているのか

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福島第1―せきから水あふれる=タンク周辺、大雨で

せきから水あふれる=タンク周辺、大雨で―福島第1
2013年9月15日(日)20時29分配信 時事通信


東京電力は15日、福島第1原発で放射能汚染水の貯蔵タンクを囲むせき内にたまっていた水があふれ出たと発表した。

台風18号接近に伴う大雨で急激に水かさが増したため。東電は「あふれたのは雨水」としているが、漏出した水に放射性物質が含まれていないか、調べている。

 東電によると、せきはコンクリート製で高さ30センチ。同日午後1時10分ごろ、タンクを見回り中の同社社員が、4号機の山側にあるタンク群で水があふれているのを発見した。

 タンクから高濃度汚染水が漏出した際は、せきの排水弁を開けたままにしていたため、汚染水が外部に流出した。
東電はこれを受け、排水弁を閉じたが、せきの高さが足りないとの指摘も出ていた。 
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2013年09月16日

賃上げ対策:家計支援こそ景気回復のカギ

主張
賃上げ対策
  家計支援こそ景気回復のカギ 
2013年9月13日(金) しんぶん赤旗

 安倍晋三政権は、国内総生産(GDP)などの経済指標が上向いて来年4月からの消費税増税の環境が整ったという判断を強めているといわれます。これはとんでもない誤りです。

労働者の賃金は連続して下がり続け、家計の悪化が深刻な状態にあります。
賃金が下がっているところに増税をしたら、国民の暮らしはますます大変になり、日本経済がどん底に落ち込むことは誰でもわかることです。
いま政治がやるべきことは、消費税増税を中止し、賃上げ対策に全力をあげることです。


深刻な暮らしの指標

 賃金が上がらないのは、政府にとっても不安材料になっています。
このため安倍首相は「賃上げの好循環を加速させる環境づくり」のためとして、政府、労働者、使用者の代表による「政労使協議」の開催を甘利明経済再生担当相に指示しました。

今月中にスタートし、年内に一定の合意を得たいとしています。
この協議が賃上げを正面にすえた議論の場になるなら労働者は歓迎するでしょう。


 問題は「賃上げの好循環」という議論の方向です。

企業がもうかりさえすれば、やがて賃上げに回ってくるという「企業利益優先」の考え方が前提では、賃上げの環境はつくれません。

第1次安倍内閣当時、戦後最長の好景気で企業は利益を拡大し、巨額の内部留保を増やしたのに、賃金はまったく上がらなかった事実があります。
その反省もなく、「好循環」の環境づくりといって、企業減税や労働コスト削減の規制緩和など、企業の利益拡大のための協議の場にすることは認められません。


 政府は、経済動向を判断するなら、家計の実態に真剣に目を向けるべきです。
厚生労働省が発表した7月の毎月勤労統計調査では、ボーナスがわずかに増えて現金給与総額が2カ月連続で前年同月を上回りましたが、肝心の所定内賃金(基本給)は、7月も減って14カ月連続の減少になりました。

2000年と12年の月平均給与を比べれば、深刻さがさらによく分かります。現金給与総額は4万1347円の減少、基本給は2万2238円の減少です。


 家計の実態は、景気回復を実感するどころか、きびしい落ち込みが続いています。
内閣府の8月の消費動向調査は、消費者心理を示す消費者態度指数が3カ月連続の低下になりました。
賃金の伸び悩みに加えて食料品など生活必需品の値上がりが影響したとみられています

8月の景気ウオッチャー調査でも「やや悪くなっている」という比率が増え、景気の現状判断指数が5カ月連続で悪化しました。


政府の賃下げ方針中止を

 政府にいま求められているのは、賃上げによる景気対策に方向を転換することです。

まず国家公務員給与減額の即時中止、自治体への職員給与減額強要の中止など、政府自身の賃下げ方針を改めることです。

賃上げが「デフレ不況」打開のカギだといわれているとき、公務部門が足を引っ張る状態は異常です。
最低賃金は時給1000円以上に引き上げるべきです。
財界には、内部留保の一部を基本給の引き上げに活用するよう強く求めるべきです。

賃上げで国民の所得を増やす対策は、経済を立て直し、消費税増税に頼らずに財政危機を解決する道を開くものです。

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2013年09月19日

人の尊厳損なう報道=山田健太

月いち!雑誌批評:
人の尊厳損なう報道=山田健太
毎日新聞 2013年09月16日 東京朝刊

 世相を映すのが雑誌の力だ。
その中心は、まさにヒューマンドキュメントにほかならない。
一人の生や死は、まさにそのもっともわかりやすい形だ。

だからといって、興味本位で扱うことで、その人の尊厳を損なうことは許されまい。
それは編集者が最低限わきまえるべき規範のはずだ。


 だが、藤圭子さんの死をめぐっては、テレビ同様、週刊誌もここぞとばかり本人および家族周辺の情報をあぶり出し、書きたてている。

そこには大きく三つの問題があるだろう。

  一つ目は、「自殺報道」のあり方だ。

この点はすでに繰り返し指摘されていることで、世界保健機関(WHO)はメディア向けの自殺報道ガイドラインを作成し、有名人の自殺報道は影響が大きいので「目立つ位置に掲載したり、過剰に報道を繰り返したりしない」などの具体的なルールを示している。
「連鎖」が起きないための防止策であるが、8、9月発行号の各誌の報道がこれらに反することは明らかだ。


 二つ目は、原因について一定の取材には基づいてはいるものの、
結果的には臆測の範囲で故人の病状・人間関係を暴き立てている点だ。


 報道界は近年、自殺の場合は原則匿名とし、有名人をその例外としているに過ぎない。
今回の場合は、母子ともに有名人であるし、その家族も以前より報道の対象であったこともあり、プライバシーで保護される範囲が通常より狭いことは間違いない。
しかし、とりわけ健康状態を含め曖昧な情報を垂れ流すことの罪は大きい。そこには「何を言っても訴えられないだろう」という安心感がありはしないか。


 そして三つ目が、尊厳である。


 「フライデー」9月20日号はモザイクをかけた上ではあるが、転落直後の現場写真を掲載した。
おそらくこの写真は、家族も見ていないものに違いない。
もし、どうしても掲載するのであれば、その意味をきちんと説明できなくてはならないだろう。
それなしに興味本位で掲載すべきものとは考えられない。

「モザイクをかけたから許される」と考えるのであれば、わいせつ表現のそれとは違うことへの理解が、決定的に欠けているといわざるを得ない。
=専修大学教授・言論法

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2013年09月21日

余録:今の永田町はヒラメばかりだ…

余録:今の永田町はヒラメばかりだ…
毎日新聞 2013年09月20日 00時11分

  今の永田町はヒラメばかりだ、と自民党長老の一人が嘆く。
ヒラメといえば、海底にへばりつきながら目だけは上をうかがう魚。
要は、ポストほしさに人事権者の意向を上目遣いに気にする連中が多い、というのだ

▲ひどい例えだが、言い得て妙か。
400人を超える同党衆参両院議員に対してポストの数が追いつかない。
3年半の野党生活で粗食に甘んじてきた閣僚適齢議員たちからすると、久しぶりのごちそうを前にした心境だろう

▲かつての同党なら派閥領袖(りょうしゅう)の出番である。
人事権を握る安倍晋三(あべ・しんぞう)首相に対し有形無形の圧力をかけ、巣で待つ子分に餌を持ち帰る。
政策論戦を仕掛けてでも権力の分配を要求する。
それがまたこの党の活力になったものだが、そんな姿も今は昔。
領袖からそれらしき声の一つも出てこない

▲それもそのはず。
選挙制度改革、官邸機能強化で党の力が落ち官邸が強くなった。
カネ、ポストを集め、首相候補を送り出してきた派閥が本来の機能を失った。
これに加え、衆参両院選圧勝、アベノミクス、五輪招致成功と快進撃中の安倍官邸に異を唱える向きはない

▲その安倍首相が、党役員と閣僚を来夏まで代えない、と決断した。
確かに人事とは、喜ぶ者が1人いれば、ポストを追われる者、つけなかった者らから複数の不満が出る。
長期政権を誇った中曽根康弘(なかそね・やすひろ)、小泉純一郎(こいずみ・じゅんいちろう)内閣も骨格人事は変えなかった

▲安倍首相も政権長期化を視野に置き始めたか。
結構なことである。
首相の1年交代劇はこりごりだ。
ただし、党内総ヒラメ化の持ち越しもいかがか。
せめて与党として目が覚めるような政策論争を期待したい
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2013年09月22日

消費増税で年収500万円の4人家族なら年間18万円負担増の試算

消費増税で年収500万円の4人家族なら
          年間18万円負担増の試算
2013.09.21 16:00   NEWSポストセブン

 好景気だといいながら、アベノミクスが私たちの生活に与えた影響は、値上げの波。
消費増税も控えた今、私たちを救う節約術とは?


「スーパーに行って、ここ1年で値上がりしていない商品を探すほうが難しい」

 と話すのは、経済評論家の平野和之さん。

なぜ物価は上がってしまったのだろうか?

「猛暑や豪雨、雨不足といった天候不順による農作物の不作が招く野菜価格の高騰。
加えて原油高、さらにアベノミクスによる円安の影響ですね。


 円安は輸出企業の収益を改善させる効果はありますが、日本は食料のおよそ6割を輸入に頼っているため、輸入価格の値上がりは、そのまま食卓に跳ね返ってきます」(平野さん・以下「」内同)


 また、中国など新興国の人件費が高騰しているといった付随要因もあるという。


 これに加えて、来年4月に消費税が8%になれば、怒濤の値上げラッシュが続く。
もし消費税アップが現実となったとき、家計はどうなるのか。

「年収500万円の4人家族」を例に、平野さんに試算してもらった。

「消費税が8%になると年間約7万円の負担増となります。
また、国が目標としている物価上昇率2%アップを想定すると、さらに約11万円のプラス。
つまり今より約18万円、余分にかかるという計算です」


 さらに2015年10月からの消費税10%が実現すると、11.5万円の負担増。
さらに物価は毎年2%ずつ上がっていくという想定があるため、毎年11万円ずつ出費が増える。


「こういった“値上げ”を上回る賃金上昇がなければ、どの家庭も年々貧乏になっていくでしょう」


 しかし、現実には、給料がアップしているという話は聞こえてこない。


「アベノミクスとは企業の収益を上げて、給料に反映させるというプロセスを踏むため、この経済政策が成功しても、賃金が上がるまでにはタイムラグがあるんです」


 たとえアベノミクスが成功しても、豊かさの実感にはほど遠い見通しだ。

「しかも、企業が儲けたお金は給料ではなくボーナスで社員に還元する会社が多いでしょうから、安定的に生活が潤うのには相当な時間がかかると思います


※女性セブン2013年10月3日号


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