2013年09月22日

権威に弱い新聞は大誤報しても“俺たちも被害者”と開き直る

権威に弱い新聞は大誤報しても  
       “俺たちも被害者”と開き直る 
2013.09.22 07:00  NEWSポストセブン

 大新聞は、昨年1月、「4年以内にM7」という報道を行なった。
しかし、その根拠となった試算は、2年前に「30年以内に98%」という数字とともに東大地震研究所が発表していた。
権威の発表を鵜呑みにして煽る。


 権威に弱いと言えば、「iPS細胞での移植」大誤報(読売新聞2012年10月11日付)も挙げられる。
「ハーバード大の研究者」という虚偽の肩書を信じてありもしない研究成果を報じた。
このケースでは自らの誤報を検証するのではなく、当のインチキ研究者を袋叩きにすることで“俺たちも被害者”という顔をした点も醜悪だった。
 
 誤報が報道被害を生むケースは多い。
古くは1968年の3億円事件報道で、別件逮捕された青年が犯人視され、新聞であらゆるプライバシーが暴かれた。
 
 1974年の松戸OL殺人事件報道では、起訴(のちに無罪判決)された男性が当時起きていた首都圏連続女性殺害事件の犯人だと決めつけられるような書き方をされた。
 
 1994年の松本サリン事件報道でも、同じ過ちが繰り返された。いずれも捜査当局のリークに基づき、自ら検証取材もしないまま報じた同じ失敗である。

※SAPIO2013年10月号

*小だぬき
松本サリン事件については、今 ヤフーの無料動画GyaO!で「日本の黒い夏 ENZAI」中井貴一主演映画で 捜査・報道のあり方、人の思いこみの恐ろしさと行動が検証されています。
重たいテーマですが、善意の人でも悪魔になりえる怖さを考える一助にしていただければ・・・

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2013年09月23日

全世界で生産される食料の三分の一は捨てられている。

映画もったいない!』は、日本を含めた世界各国での
食料廃棄の実態に迫ったドキュメンタリー映画

2013年9月21日    東京新聞「筆洗」

 日本では、一年で一人当たり年に六十キロほどの米を消費するという。
では、この国で、一年間に捨てられる「まだ食べられる食品」は、一人当たりどのくらいだろうか。
政府の推計では、これもまた六十キロほどだという

▼つまり、一年で大人一人の体重と同じくらいの重さの食べ物を、無駄にしている。
貧しい国への食料援助の量は世界全体で四百万トンほど。
この二倍近い食べ物が、日本では捨てられている。
「もったいない」としか言いようがない現実だ

▼きょうから東京や名古屋で公開される映画『もったいない!』は、日本を含めた世界各国での食料廃棄の実態に迫ったドキュメンタリー映画だ。

大きな箱の中にちょっと悪くなったものがあるだけで箱ごと捨てられる果物を見て、アフリカから欧州に移住した女性が、嘆く。
「私の国では、高くてめったに食べられないものなのに…」

全世界で生産される食料の三分の一は捨てられている。
今も十億人近くが飢えで苦しんでいるが、欧米の食品廃棄物は、そんな人々を三回救えるほどの量だという

▼食料生産には、膨大なエネルギーが費やされているから、世界の食品廃棄を半減させれば、自動車の数を半減させるほどの、温室効果ガスの抑制効果があるともいう

▼世界は、個人ではどうしようもないような矛盾や争いに満ちているが、食卓で取り組める問題もある。

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2013年09月26日

「△」を探すことが民主主義=鎌田實

さあこれからだ:
「△」を探すことが民主主義=鎌田實
毎日新聞 2013年09月24日 東京朝刊

  10月の大筋合意に向け、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉が大詰めを迎えている。
だが、国民の間できちんと議論されないままの合意には納得できない


 安倍晋三首相は3月、TPP交渉への参加を正式に表明した。
交渉参加国12カ国のGDP(国内総生産)を合わせると、世界のGDPの38%を占める。

最終合意すれば、一大貿易圏ができる。
そこに日本が参加しなければ、貿易立国として大きなダメージを被るのは間違いない。だから、TPP参加は正論である。


 しかし、正論や正解だけで割り切れない問題がある。


 ぼくは最近「○に近い△を生きる 『正論』や『正解』にだまされるな」(ポプラ新書)という本を出した。

もっと、TPPの問題を多角的に考えるべきではないだろうか。
正論や正解に縛られず、日本の状況に合った「△」を探すことが大事だと思う。
「○」と「×」の間にあるさまざまな「△」を探すことが、民主主義の根幹だと思う。


 医療の分野では、混合診療の全面解禁や、営利企業の医療機関参入、医薬品や医療機器の価格規制の撤廃など、日本の医療制度に影響を及ぼすことが懸念されている。


 混合診療が全面解禁されると、保険診療のほかに、外国で行われている最先端の医療などが「自由診療」として受けられるようになる。

一見、患者さんにとってメリットが大きいように見えるが、決してそうとは言い切れない。
まだ科学的根拠が十分にない治療法が持ち込まれる可能性がある。

自費で医療費を負担することができる高所得者だけに医療の選択の幅が広がる、ということも起こり得る。


 一部のがん患者さんからは、混合診療の全面解禁を強く望む声も聞かれる。
「新しい治療を受けたい」という必死の思いも理解できる。
今行われている管理された混合診療の枠を広げ、認可のスピードを速める努力をするのが、まっとうなやり方だと思う。


 混合診療の全面解禁は規制緩和の一つだが、医療は他の領域と違う特殊性がある。

米国では、医療の規制緩和を徹底して行った結果、医療費が高騰した。
1人当たりの医療費は日本の2・6倍である。
しかも、16%の人が無保険である。
医療制度に関しては、米国のようになって良いとは思えない。


 米国の通商代表部は毎年、大統領や議会に対し、米国の営利企業の日本の医療への参入を訴えている。
すでに、米国の大きな保険会社のがん保険が、日本郵政の2万近い郵便局で販売されるという契約が結ばれた。
米国企業に大きな「うまみ」を持って行かれるだろう。


 農業も心配だ。
TPP参加に前のめりの政府は、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の原料の農産5品目の関税を守ることだけは明言している。
また、農業の集約化や企業の農業への参入を図り、有機農法などの高い付加価値をつければ、農産物を輸出して戦うことができると考えている。


 一面では正論である。しかし、こんな考えもある。


 長野県は、男女ともに長寿日本一になった。
しかも、医療費が安い。
国民健康保険中央会が中心になって、その秘密を探った。
「離婚率が低いから」「持ち家率が高いから」「保健補導員という民間ヘルスボランティアがいるから」など、たくさんの観点から調査されたが、最も大きな影響を与えていると考えられたのは「高齢者の就業率が全国1位」ということだった。


 80歳を過ぎても、小さな農業で収入を得る。
そのお金で日帰り温泉に行き、孫に小遣いをあげたりする。
生きがいが生まれる。
作物の成長を見ながら働くと「幸せホルモン」のセロトニンが出やすく、ストレスもためにくくなる。


 日本中が長野県のようになれば、地域が健康になり、医療費も低く抑えられ、国民皆保険制度を守っていけるのではないか−−委員会ではそんな議論をした。


 だが、集約化と大規模農業に期待が寄せられ、小さな農業がなくなってしまえば、人と人とのつながりや文化、健康といったものまで崩壊してしまいかねない。


 TPPは日本の経済を考えれば無視はできない。
だが、経済以外のさまざまな角度から議論する必要がある。
妥結した後に国民に対し「後は我慢してくれ」というのでは、納得できない。


 「○に近い△」を探す民主主義の原点を、政府は忘れないようにしてほしい。(医師・作家)

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2013年09月29日

JR事故判決―経営陣に罪はないのか

JR事故判決―経営陣に罪はないのか
2013年 9月 29 日(日)付  朝日新聞「社説」

 企業トップの罪を問う難しさが、またも示された。


 107人が死亡した05年のJR宝塚線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長に対し、神戸地裁は無罪を言い渡した。

 利益を追求し安全をおろそかにした経営陣の姿勢が事故につながったのではないか。そうした遺族の思いを受け、検察審査会は強制起訴にもちこんだ。

 だが公判では、現場カーブに安全装置を付けなかったことだけが争点になった。
裁判所は、元社長らは個人として事故を予見できなかった、と判断した。


 この3人とは別の元社長は検察に起訴されたが、昨年、無罪が確定した。過失犯では個人の責任しか追及できない現行刑法の限界といえる。


 遺族らは判決後、法人を処罰できるよう、法改正を訴えた。


 英国は07年、注意を怠って死亡事故を起こした法人に刑事責任を問い、上限なく罰金を科せる法律を制定した。


 80〜90年代に船舶や鉄道で多くの人が亡くなる事故が続いた。
だが、大きい企業ほど経営陣は有罪とならず、世論の批判が強まったためだった。


 日本でも、高度成長期に起きた公害や85年の日航ジャンボ機墜落事故で、法人処罰の導入を求める声が上がったが、刑法改正には結びつかなかった。


 鉄道や航空、船舶事故は、運輸安全委員会が調査し、原因を究明する。
日本では捜査との線引きが厳格ではない。
このうえ法人の刑事責任も問えることにすれば、関係者が事故調査に真相を語らなくなる、という慎重論も専門家の間で根強い。


 だが、JR西という巨大企業のトップが、市民代表の検察審査会の判断で裁判にかけられた意義を考えてみたい。


 現在の鉄道のように安全システムが高度化するほど関係者は多くなる。
その裏返しで、事故が起きても頂点の経営責任があいまいになる事態が繰り返されてきた。
福島第一原発事故を防げなかった東京電力や、トラブルが続くJR北海道もそうだ。


 宝塚線事故の遺族は、JR西を長く率いた井手正敬元社長に公判で質問を重ねた。
井手氏は「担当者に任せていた」と繰り返し、遺族をあきれさせた。


 企業が対策を怠って事故を起こせば、トップの刑事責任も問えとの民意は今後強まろう。
経営者は常日頃からしっかりと向き合うしかない。


 安全管理責任をより確かなものにするため、法人処罰の導入の是非も、国レベルで議論を深めていってもらいたい。

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2013年10月01日

10月 値上げが家計直撃:↑牛乳・ごま油・清酒・パン・麺類… ↓基本給は14カ月連続

10月 値上げが家計直撃
↑牛乳・ごま油・清酒・パン・麺類… 
↓基本給は14カ月連続
消費税増税なら大打撃
2013年10月1日(火)  しんぶん赤旗

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」のもと、円安や原材料価格の高騰で10月から食品の値上げが相次ぎます。
賃金が減り続けているもと、負担が家計を直撃します。


 牛乳などの乳飲料、ごま油、清酒などの出荷価格が10月1日から引き上げられます。

輸入大豆の高騰で豆腐も値上げの動きが広がっています。
輸入小麦の政府売り渡し価格が平均4・1%引き上げられるため、今後、パンや麺類の値段に波及しそうです。
家庭用の電気・ガス料金も高止まりしています。


 年金支給額は10月分から1%引き下げられます。
政府は「物価スライド特例分」の解消を口実に3段階で2・5%の年金削減を決めています。

全日本年金者組合は年金切り下げに抗議して全国いっせいに行政不服審査請求を行います。


 8月の消費者物価指数は1年前と比べ0・8%上昇。
一方、基本給は14カ月連続で減り、社会保障の改悪が続いています。

安倍政権が来年4月から消費税率を5%から8%に引き上げることを強行すれば、国民の負担増は約8兆円。
苦しい家計にさらなる大打撃を与えることになり、消費税増税の中止を求める運動が広がっています。

*表はクリックで拡大します。

10月からの暮らし
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2013年10月02日

東京新聞社説:増税の大義が見えない 消費税引き上げを決定

増税の大義が見えない
      消費税引き上げを決定
2013年10月2日  東京新聞「社説」

 安倍晋三首相が来年四月から消費税の8%への引き上げを決めた。
終始、国民不在のまま進んだ大増税は、本来の目的も変質し、暮らしにのしかかる。


 一体、何のための大増税か−。疑問がわく決着である。
重い負担を強いるのに、血税は社会保障や財政再建といった本来の目的に充てられる保証はない。
公共事業などのばらまきを可能とする付則が消費増税法に加えられたためだ。
肝心の社会保障改革は不安が先に立つ内容となり、増税のための巨額の経済対策に至っては財政再建に矛盾する。
増税の意義がまったく見えないのである。

◆正統性ない決定過程

 わたしたちは、現時点での消費税増税には反対を唱えてきた。
何よりも、この増税の決定プロセスには正統性がないと考えたからである。始まりは、民主党の「マニフェスト(政権公約)違反」であった。


 消費税増税をしないといって政権に就いたにもかかわらず、突如として増税に舵(かじ)を切った。
一千兆円もの財政赤字の現状から、国民にいずれ消費税引き上げはやむを得ないとの覚悟があったとしても、手続き違反だし、国民への背信行為である。


 民主党は「天下りや渡りを繰り返すシロアリ官僚の退治なしの増税はおかしい」とも訴えながら、結局、行革も自ら身を切る改革も反故(ほご)にしてきた。
政治には信頼が必要なのである。


 その民主と組んで昨年八月に消費増税法を成立させた自民、公明も年末の総選挙や七月の参院選で増税を堂々と争点に掲げることはなかった。
消費税増税が政治的に国民の理解を得たとはいえない。


 それもそのはずである。自公は消費増税法案の付則に「成長戦略や事前防災、減災などの分野に資金を重点的に配分する」と追加し、消費税の使い道を公共事業など何でもありに変更した。

◆変質した増税の理念

 国土強靱(きょうじん)化や減災構想のためとみられている。
社会保障目的ならまだしも、「何でもあり」を表だって問えるはずがない。


 消費増税法の原点は「社会保障と税の一体改革」であり、毎年一兆円ずつ増え続ける社会保障費の財源確保が目的だったはずだ。
国民の多くは今でもそう望んでいるだろう。
しかし一体改革であるはずなのに、増税だけが先行して決まった。
そのうえ年金制度など社会保障の抜本改革は見送られた。


 本来なら「社会保障改革のために財源がこれだけ必要となり、そのために消費税を何%引き上げる必要がある」と国民に理解を求めるのが筋である。
財政再建を理由に、先に増税ありきの財務省が描くシナリオに乗るから齟齬(そご)を来すのである。
消費税増税の理念は変質し、国民に負担を求める大義も失ってしまったといっていい。


 消費税は1%で二・七兆円の税収があり、3%引き上げると国民負担は八兆円を超える。
財務省にとっては景気に左右されず安定的に税収が確保できるので好都合だ。
だが、すべての人に同等にのしかかるため、所得の低い人ほど負担が重くなる逆進性がある。


 さらに法人税は赤字企業には課せられないが、消費税はすべての商取引にかかり、もうかっていなくても必ず発生する。
立場の弱い中小零細事業者は消費税を転嫁できずに自ら背負わざるを得ない場合がある。
このままでは格差を広げ、弱者を追い込む「悪魔の税制」になってしまう。


 消費税を増税する一方、法人税は減税を進めようというのは大企業を優先する安倍政権の姿勢を物語っている。

消費税増税で景気腰折れとならないよう打ち出す経済対策も同じである。
五兆円規模のうち、企業向けの設備投資や賃上げを促す減税、さらに年末までに決める復興特別法人税の前倒し廃止を合わせると一・九兆円に上る。公共事業などの景気浮揚策も二兆円である。


 国民から吸い上げた消費税を原資に、財界や建設業界といった自民党支持基盤に還流されたり、減税に充てられる構図である。
過去に経済対策と銘打って公共事業をばらまき、借金を積み上げた「古い自民」の歴史を忘れてもらっては困る。
このままでは社会保障の充実も財政再建もかなわないまま、消費税率だけが上がっていくことになりかねない。

◆安心できる社会保障を

 安倍首相は「持続可能な社会保障制度を次の世代にしっかりと引き渡すため、熟慮の末に消費税引き上げを決断した。
財源確保は待ったなしだ」と理由を述べた。


 そうであるならば、やるべきことは、安心できる社会保障制度の将来像を具体的に描き、その実現のために無駄な財政支出を徹底的に削減し、公平な負担を確立する。
それなしに国民の理解は得られるとはとても思えない。

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2013年10月05日

小泉氏のゼロ論 原発問題の核心ついた

社説:小泉氏のゼロ論 
       原発問題の核心ついた
毎日新聞 2013年10月05日 02時32分

 核心をついた指摘である。
政界を引退している小泉純一郎元首相が原発・エネルギー政策に関連して「原発ゼロ」方針を政府が打ち出すよう主張、注目を浴びている。


 使用済み核燃料問題などを正面から提起し、政治が目標を指し示すことの重みを説いた小泉氏の議論にはもっともな点がある。
安倍内閣が原発再稼働や輸出に前のめりな中だけに、原発からの撤退を迫る忠告に政界は耳を傾けるべきだ。


 かつて「改革の本丸」と郵政民営化に照準を合わせたことを思い出させるポイントを突いた論法だ。

小泉氏は1日、名古屋市での講演で「放射性廃棄物の最終処分のあてもなく、原発を進めるのは無責任」と指摘、福島第1原発事故の被害の深刻さにもふれ「原発ほどコストの高いものはない」と政府・自民党に原発ゼロにかじを切るよう求めた。


 原発をめぐる小泉氏の主張は毎日新聞のコラム「風知草」(8月26日付)が取り上げ、強い関心を集めるようになった。
<注.小だぬきのつれづれ日記 8/28付けに全文>

東日本大震災後、原発政策に疑問を深めた小泉氏は8月中旬、フィンランドの核廃棄物最終処分場「オンカロ」を視察、使用済み核燃料を10万年も地中に保存するという処理策に「核のゴミ」は管理不可能だと確信したのだという。


 小泉氏が今後、何らかの政治的な行動を取るかは不明である。
しかし、指摘は真剣に受け止めるべきだ。


 まず「トイレのないマンション」と言われる核廃棄物問題について、小泉氏が言うように、政府は責任ある答えを示していない。

使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し再利用する核燃料サイクルは、その要とされた高速増殖原型炉「もんじゅ」実用化のめどが全くたたない。

再処理工場(青森)の稼働を急いでも、余剰プルトニウムがたまるばかりだ。

私たちはこの点からも原発推進の無責任さをかねて主張してきた。


 もうひとつは国策にかかわる問題はなし崩しに対応せず、旗印を掲げることが重要だと再認識させたことだ。

小泉氏は「今、ゼロ方針を打ち出さないと将来も難しくなる」という考えだ。
原発は日本の経済、社会に組み込まれ、これを変えるのは容易ではない。
現実には政治が大きな方向を示さなくては代案も作りにくく、状況は動かないのではないか。


 解せないのは、なお侮れぬ発信力があるはずの元首相の発言に対し、「原発ゼロ」路線をことあるごとに批判してきた勢力から、正面きった反論があまり聞かれないことだ。


 よもや嵐が過ぎ去るのを待ち、黙殺しようとしているわけでもあるまい。
とりわけ、小泉氏を政治の師としていた安倍晋三首相にはぜひ、見解を聞かせてもらいたい。
<注.小だぬき、今も水は汚染され続け 海水汚染は拡大か。水俣の悲劇を忘れない>

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2013年10月06日

JR横浜線踏切事故:学ぶべきものは

JR横浜線踏切事故:学ぶべきものは
2013年10月5日(土)11時25分配信 カナロコ by 神奈川新聞

  横浜市緑区の踏切で、倒れていた男性(74)を助けようとした会社員村田奈津恵さん(40)=同区台村町=が電車にひかれて亡くなった事故で、安倍晋三首相は「勇気をたたえる」として書状を贈ることを決めた。

県と横浜市も知事と市長の名で「感謝状」を贈るという。弔意を示すことはあり得るだろう。
しかし、命が失われた事故を美談にすることで、大切なものが見落とされるのではないか−。そう感じている人もいる。


書状を贈る理由について、菅義偉官房長官は語った。
「勇気ある行動をたたえる」「他人にあまり関心を払わない風潮の中で、自らの生命の危険を顧みずに救出に当たった行為を国民とともに胸に刻みたい」。
そして、「総理もぜひたたえたいという話をされていた」。


■言葉見当たらず

 2005年に母親を踏切事故で亡くした加山圭子さん(58)=同市神奈川区=はしかし、同じ言葉を口にすることはできない。

事故翌日の2日、事故現場の踏切に献花に訪れた。
「『お悔やみ申し上げます』とか『ご冥福をお祈りします』とか、簡単には言えなかった。
やり切れない気持ちでいっぱい」

母は、保安係が誤って手動式の遮断機を上げたため、踏切内に入ったところを電車にはねられた。

全国の踏切事故の遺族でつくる「紡ぎの会」代表を務め、事故のたびに花を手向けてきた。
公共の場であり、安全であるべき踏切で悲劇が繰り返されないことを願ってきた


事故の形態はさまざまだが、大切な人を失った悲しみに違いはない。
自身の過去と重なるだけに、なおさら言葉は見当たらない。
「今はまだ、現実を受け止められないかもしれないし」


強調したいのは、警報器や遮断機があっても踏切の中に簡単に入れてしまうという、そもそもの問題だ。

「小さい子どもや認知症の高齢者が迷い込む危険性もある。
高架にするなど踏切自体をなくせないものか」。
弱者が被害に遭うという今の社会を象徴する問題であるとも感じている。


国土交通省によると、2012年度に発生した踏切事故は295件。121人が死亡し、99人が負傷している。


■まず非常ボタン

 ある鉄道会社の男性社員は危惧を抱く。
「今回の行動が正義なのだということになれば、同じような事故が起こる可能性もあるのでは」


鉄道各社は「人の立ち入りを見つけたら、非常ボタンを押してほしい」と口をそろえる。
「社員であってもまずは電車を止めるための行動を取る。
『どうして助けないんだ』と思うかもしれないが」。
電車を止め、あるいは少しでも速度を落とすことで衝突によるダメージを減らすことができるからだ。


線路内にいる人を助けようとするより、非常ボタンを押す方が早くできる。
だが、男性は「今はそういうことを口にすれば、ひどい人と言われそうなタイミング。
美談としてエスカレートしていくのが怖い」とも感じる。

「『線路に入らないで』とは言えても『人を助けないで』とは言えない。
危険だから助けに入ることは絶対に禁止、と伝えていくしかない」


■目の前の対策を

 目撃者の証言によると、村田さんに救助された男性は自殺を図ろうとした可能性もあるとみられている。


自殺対策に詳しい横浜市こころの健康相談センターの白川教人センター長は、「もし自殺者を救った事案であるならば、これを機に国としての自殺対策をもう一段踏み込んで発信することが、国民の助けになるのではないか」と話す。


自分を救助した女性が亡くなり、それを国を挙げて美談とするなら、自殺願望があった可能性のある男性が精神的に追い詰められることは想像に難くない。
村田さんの母親も取材に対し、「男性のフォローもお願いしたい」と語っている。

男性が線路に横たわっていた経緯は明らかにはなっていないが、自殺未遂者は同じ行動を繰り返すことが指摘されている。
白川センター長は「男性が抱えていた問題を探り、支援する必要がある」とも訴える。


■「美談」のあとで

 事故現場から車で数分の団地に、その表札は見当たらなかった。


01年1月、JR山手線新大久保駅のホームから転落した男性を助けようと、居合わせた韓国人留学生とカメラマンが線路に飛び降りた。
救助は間に合わず、3人とも死亡した。


カメラマン関根史郎さん=当時(47)=は母千鶴子さんと、この団地で暮らしていた。
事故後、勇気ある行動をたたえようと国や市の関係者が相次いで訪れ、賜杯や顕彰状を手渡していった。
千鶴子さんは無言で説明を聞き、深々と頭を下げた。


「息子を静かに弔ってあげたい。
本当はそっとしておいてほしい」。

同じ団地に住む女性(72)は千鶴子さんがそう漏らすのを聞いた。
女性は続く言葉が忘れられない。
「美談であろうが何であろうが、息子が死んでしまったことに変わりはない」

事故から数年後、一人自室で息を引き取っていた千鶴子さんが近隣住民らによって発見された、という。


◆JR横浜線踏切内での人命救助と事故の経緯 

1日午前11時半ごろ、横浜市緑区中山町のJR横浜線の踏切内で倒れていた無職男性(74)を会社員村田奈津恵さん(40)が助けようとし、電車にひかれ死亡。
男性も鎖骨を折るなどしたが、命に別状はなかった。
村田さんは父親(67)の乗用車に同乗し、電車が通過するのを待っていた。線路に横たわっていた男性を2本のレールの間に動かして救助したとみられ、男性の上を電車が通過して助かった可能性が高い。

        ◇

■批判封じる 空気怖い、精神科医・香山さん

 事故の犠牲になった村田さんをたたえる安倍晋三首相の書状をどう見るのか。精神科医の香山リカさん(53)に聞いた。


非常に違和感を覚えている。
長嶋茂雄さんと松井秀喜さんの国民栄誉賞をはじめ、安倍首相はことさら光の当たる場面に登場しようとする。
その延長で、今回はヒューマニズムの感動に自分の姿を刻もうとしている。


パフォーマンスだとの批判も想定しているだろうが、その声を上げると「長嶋さんを認めないのか」「村田さんの死を非難するのか」という議論のすり替えで、逆に攻撃に遭う。
微妙に、絶妙に批判しづらい対象を選んでいる。

本来は短絡的な賛成反対では語れないことのはずなのに。

深読みかもしれないが、自己犠牲を推奨し、誰かのために命を省みないことを全面肯定しているかのようだ。

両親からすれば「生きてほしかった」と思っているだろうし、救助自体にも多様な意見があってしかるべきなのに、そういった議論を封じ込めてしまう。


政府は本来、事故防止など現実的な方向を示すべきなのに、精神論に入っていこうとする
「こうあるべきだ」という規範を押し付けようとする空気が怖い。


ご両親にしたって、悲しくてやりきれないだろうに、英雄視されることで、きちんと悲しめなくなるのではないか。
それは戦争でわが子を失った親と同じ。
死んでほしくなかったと言えない苦しみを与えてしまう。


いまの社会は、いつ自分が少数派になるか分からないという不安感がある。

そこに陥るとはい上がれないという恐怖から、多数派を見つけて、そこに属することで安心しようとする。
そういう意味では「今はこれが正しい」というトレンドをつくり出すゲームの中で、社会を覆う不安感が政権運営に利用されてしまっているのかもしれない

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2013年10月07日

花田紀凱:革マル・金欠「JR北海道」の闇

革マル・金欠「JR北海道」の闇
2013.10.6 19:07  IZA産経デジタル

【花田紀凱の週刊誌ウォッチング】


 列車火災に脱線事故、267カ所にも及ぶレール異常の放置と不祥事続きのJR北海道について、『週刊文春』『週刊新潮』(ともに10月10日号)が揃(そろ)って取り上げている。


 「JR北海道社員の8割以上が『革マル系労組』所属」(『文春』)

 「なぜ『JR北海道』はここまでデタラメな組織なのか?」(『新潮』)


 組合が革マル系の北鉄労(北海道旅客鉄道労働組合)に握られ、〈会社と組合の力関係が逆転〉(『文春』)、アルコール検査でさえなかなか実施できなかったことに原因があるとした点は両誌共通。


 だが、理由はそれだけではないと、深く掘り下げているのが『新潮』。


 理由のひとつは会社の金欠状態にあると解説するのは関西大学社会安全学部の安部誠治教授。


 〈「分割民営化する時点で、JR北海道が年間500億円以上の赤字を垂れ流すことは想定されていました。
(中略)そこで、国の主導のもと、6800億円の“経営安定化基金”が設けられ、その運用益で赤字を穴埋めする仕組みがつくられたのです」〉


 ところがデフレ経済下の低金利で利回りが7・3%から4%程度に下落。
年間500億円あった運用益は300億円にまで減少。


 〈「差し引き200億円分は社員数を削減(1万3000人→7100人)したり、保線や機材の交換をケチったり」〉


 『新潮』の結論は〈もはや、もう一度、“国鉄”に戻る以外に打つ手なし〉。


 その『新潮』、亡くなった山崎豊子さんの追悼記事は、〈山崎作品を支えたのが、山崎さんの取材への執念〉〈取材魔といわれる〉など大甘。
いつもの皮肉なタッチは皆無。
度重なる“盗作”“無断引用”問題など一切触れていない。


 ま、遺作連載中で〈山崎作品の新潮文庫の総計は2000万部を超える〉というのでは致し方あるまい。

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2013年10月08日

暑い秋、台風ラッシュ 夏に続き…いつもと違う空模様

暑い秋、台風ラッシュ 
夏に続き…いつもと違う空模様
2013.10.8 10:12  iza産経デジタル

 10月になっても30度以上の真夏日を各地で記録し、台風も平年の年間発生数に迫る24個。
異常気象の夏が終わっても、いつもと違う秋が続く。

 気象庁が「異常気象だった」と位置づけた今夏だったが、秋になっても例年と違った空模様が続いている。

10月に入っても各地で30度以上の真夏日を記録。
台風もハイペースで発生し、このままいけば最近10年で最多となる30個に到達する可能性も。
日本の空で今、何が起きているのか。(行場竹彦)


 高知県四万十市で観測史上最高の41度を記録するなど全国的猛暑となった8月に続き、9月も平均気温が平年を上回った日本列島。

10月に入っても気温は下がらず、6日までの平均気温は関東甲信地方や近畿地方などで、10月上旬としては集計を始めた昭和36年以降で最高となっている。


 7日も各地で気温が上昇。
927ある観測点のうち24道府県の78地点で10月の観測史上最高を更新した。

 熊本県玉名市では33・2度を記録。
30度以上の真夏日は131地点で、10月としては平成22年の集計開始から最多だった。

気象庁によると、東海上には現在、8月前後にしか見られないような発達した太平洋高気圧が張り出しており、日本全体が暖かい空気に覆われている。

これは、9月以降に多数発生した台風によって起きた気流が、高気圧の発達を助けてきたためという。
台風23号や24号が、九州などに暖かい空気を送り込んだことも影響したようだ。


 さらに今年は偏西風が日本付近で北へ蛇行し、例年なら冬に近づくにつれて日本列島に向け下がってくる冷たい風が北にとどまっていることも、高温の一因となっているという。


 気象庁によると、週明けにいったん気温が平年並みに下がるところもあるが、それも一時的で、来週末ごろまで再び暑い日が続く見込みだ。

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2013年10月10日

TPP:国民への約束違反―自民党

国民への約束違反―自民党
2013年10月9日 東京新聞「
筆洗

気味が悪いほど暑い。
八日、東京都心の気温は三〇度近くまで上がったという。
この陽気の中キンモクセイの匂いとは妙なものだ。
暑い秋にどうも調子が狂わされてしまう

▼本来、そろそろ熱かんでもという季節になっているはずなのにこう暑くてはそんな気にもならない。
調子が悪くなる話はこれだけではない

政府・自民党から環太平洋連携協定(TPP)交渉で関税撤廃しないと約束をしていた「聖域」の一部をあきらめるような発言が出てきた。
交渉ごとである以上、日本の主張がすべて通るほど甘くはないのは分かっていた

▼無理な約束だったのかもしれない。
それでも自民党は約束したのである。
具体的な交渉が進まぬうちに用意されていたかのように譲歩の白旗が出てくることがおかしい

▼酒と約束といえば、こんな小話がある。
むこう一年酒を断つと神様に約束した男にその飲み仲間が誓いを破れと説得する。
「こうしてはどうか。
酒を断つのをもう一年延ばして二年にしてもらえ。
その代わり夜だけ酒を飲むというのは」
「そいつはいい。思い切って三年に延ばして昼間も飲むか」。約束は形だけ

▼半面、政府と自民党は交渉の年内合意に熱心だ。
年内挙式と言われれば、親としては最初の約束が妙な具合になっても反対しにくい。
日本の国民は物分かりの良さを自民党に付け込まれている気がする。
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2013年10月11日

知識は尻から抜けてもいい。知恵が血肉となって残るなら

知識は尻から抜けてもいい。
  知恵が血肉となって残るなら
2013.10.10  朝日デジタル「天声人語」

 季節違いをお許しいただくとして
、〈学問は尻からぬける蛍かな〉の句が蕪村にある。
滑稽味が漂うが、50代半ばになった我が身を思えば笑ってもいられない。
読んだもの、覚えたはずのものが、体中の穴から抜けていく。
そんな中、少し励まされる調査結果が出た

▼経済協力開発機構(OECD)が16〜65歳を対象に、社会生活で求められる能力を調べた。
24カ国・地域で行った初の「テスト」の結果、日本は読解力と数的思考力で1位になった。
義務教育で学んだ基礎は、しっかり血肉になっているらしい

▼文科省は「成人力調査」と呼んでいる。戦後の教室で蒔(ま)いてきた種の出来は、「良」なのだろう。
何の意味があるのかと冷めた声も聞こえるが、人間が最大の資源という国である。
結果が良いに越したことはない

▼しかし気がかりもある。
15歳を対象にOECDが行った4年前の調査で、日本は読解力で8位、数学的な応用力で9位だった。
次代の子らを案じる向きは少なくない

▼教育には誰にも一家言がある。
「教育とは、学校で習ったすべてを忘れたあとに残るものをいう」との格言もあった。
知識は尻から抜けてもいい。知恵が血肉となって残るなら。
そんな意味だろうか。
理想といえば理想である

▼教育熱心ならいいが、点数に汲々(きゅうきゅう)とする「教育結果熱心」は似て非なるものだ。
種を蒔いて収穫まで、人は成長の緩い植物だと思う。
遅速もまた人それぞれ。裏を返せば、どの年齢も伸びしろはある、という希望になる。
続きを読む
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2013年10月12日

室井佑月氏 JR福知山線事故に怒りをあらわ

室井佑月氏 
JR福知山線事故に怒りをあらわ

※週刊朝日 2013年10月18日号
更新 2013/10/11 16:00

  669人もの死傷者を出したJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷の罪に問われていたJR西日本歴代3社長に無罪が言い渡された。
組織の責任を問えない現在の法律に、作家の室井佑月氏は怒りをあらわにする。

*  *  *
 JR福知山線事故は平成17年の4月に起こった。
電車が脱線し、107人もの方がお亡くなりになり、562人もの方が怪我をした、大変痛ましい事故だった。

 そのことに対し、安全対策を怠ったとして、JR西日本の歴代の社長3人が強制起訴されていた。
その判決が9月27日に下された。
神戸地方裁判所は、「事故を具体的に予測することはできなかった」と、いずれも無罪判決を言い渡した。

 事故が起こるまで自動列車停止装置(ATS)を整備することは法律で義務づけられていなかった、
電車が脱線する危険性があるカーブを個別に判断してATSを整備していた鉄道事業者はいなかった、
なので歴代社長3人は脱線事故が起きることを具体的に予測できた可能性は認められない、ということみたいだ。

 あたしはこの判決に納得がいかない。
事故が起こるまでATSの設置が法律で義務づけられていなかったといっても、歴代社長たちには乗客を安全に目的地に運ぶということについて責任があったはずだ。

そういう立場から、それが専門であるはずの、ATSを整備する、ATSの専門家を雇う、という考えになぜ及ばなかったのか。

 責任者として、ATSを知っていて設置しなかったとしても、勉強不足でそれをまったく知らなかったとしても、どちらも問題なのじゃないか。
そりゃあ、ATSを取り付けるのも、ATSを整備する人を雇うのにも、お金がかかる。
歴代社長3人が考えたのはそこだよな。

 この国では企業が犯罪を犯しても、企業の責任者はほとんど罪に問われない。
原発事故、イタイイタイ病、みんなそうだった。

 だからだろう。責任者はいちばん大切なことを置き去りにし、会社の儲けばかり考える。

 法律を変えないといけないんじゃないか。
このままでいたら、これから先も儲け優先の企業が多くの犠牲を出すことになるだろう。

 個人が手にかけるのはせいぜい2、3人だ。
そして2、3人、殺せば死刑になる。

企業による犠牲者はもっと多くだ。JR福知山線事故では107人もの方がお亡くなりになった。
犠牲者の数と法律の重さが合っていない。

 裁判長は最後に、「誰一人として刑事責任を問われないことをおかしいと思うのはもっともなことだ。
しかし、企業の責任ではなく、個人の責任を追及する場合は厳格に考えなければならない」と述べたようだ。

 ならば、企業の中には、役員も社長もいらないってことになる。
全員、責任を取らなくて良いヒラ社員でいい。

 高給取りの役員や社長がいなければ、利益も上がるはずだ。
そしたら、法人税をやたらと下げることもないんじゃね。

 多くの国民を犠牲にしても企業が勝てばそれで良いという考え方は、最悪な戦争と似ている。
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喜ぶ顔求め、福祉活動54年−−杉良太郎さんインタビュー

イマジン:第4部 はぐくむ 番外編
喜ぶ顔求め、福祉活動54年−−
            杉良太郎さんインタビュー
毎日新聞 2013年10月10日 東京朝刊


 デビュー前の15歳の時に兵庫県の刑務所を慰問してから半世紀以上にわたり、福祉活動を続ける歌手で、俳優の杉良太郎さん(69)。
寄付やボランティアが育む社会の支え合いについて語った。


 −−刑務所の慰問だけでなく、ベトナムでの親善活動、東日本大震災の被災地支援など、数え切れないほどの福祉活動を、なぜここまで続けるのか。


 ◆なかなか自分でも説明が難しい。
おそらく、突然変異的に生まれた妄想家なのだろう。
そういう人もいる。
自分でもやり過ぎだと思うけど、止められない。
もちろん、簡単に、安易に、無計画には福祉活動はできない。
最終的に自分が思い描くところまで持っていくのは、ものすごく大変だ。
善意を伴う行為は、血の涙を流さないとできないと思っている。


 ●お金なければ時間


 −−資金の支えがないと活動できない。


 ◆かかるね。何をするにも、お金がかかるよ。
俗っぽい言い方だが、金の切れ目が、福祉活動の切れ目にもなる。
結局、どこから生み出すかだ。
僕はお金が使える時は、お金を寄付してきた。
資金的に余裕がない時は、その場に赴いて、自分の空いた時間を寄付した。お金がある人は簡単に寄付できるのに、そういう人ほどしないものだ。


 −−お金や時間のない人もいる。


 ◆お金がある人は、お金を寄付する。
お金がない人は、時間を寄付する。
お金も時間もない人は、福祉や慈善活動をしている人たちの応援団として理解を示す。
僕はそれでいいと思う。あくまで心の問題だから。


 −−相当な私財を投入されたのでは。


 ◆10年ほど前で数十億円。
その後も活動は続いているが、そろばんをはじいて計算したことがない。
今も妄想している。


 −−原点のような経験があるのか。


 ◆別にない。
自分でも覚えているが、幼稚園に上がるぐらいの頃から、困っている人がいると、「その人に何かあげてくれ」と、泣いてその場を動かなかった。
結局、生まれつきの性分だ。


 ●ルール作りも大事


 −−国も地方も財政難だ。新しい社会の支え合いとして、寄付やボランティア文化は広がるか。


 ◆一番良くないのは、政治が経済的に「どんぶり勘定」を続けていることだ。
結局、税金を「人のお金」と思っているから、大ざっぱになり、お金の行方が不透明になる。
東日本大震災でも、政府は莫大(ばくだい)な復興予算をつけたが、国民から見て十二分に納得のいく、即効性ある使われ方がされただろうかと疑問に思っている。
被災者の方々はまだずっと仮設住宅にいらっしゃる。
そんな状況で(多くの人が)ボランティアや寄付、慈善活動を広げましょうとなるのか。
「やめといた方がいいよ」と僕が言いたいぐらいだ。憤りを覚える。

−−どうすればいいか。


 ◆たとえば学校を建設した時に、寄付をした人の名前を刻む。
ある程度の金額からでいいが、そうしたルールとシステムを作ることが大事だ。
そうでないと、寄付してくださいとはなかなか頼みにくい。


 ●明日は我が身


 −−日本は、積極的に活動する人の足を引っ張る風潮が残っているのでは。


 ◆僕も、過去には売名という言葉がつきまとった。
でも、1995年の阪神大震災の頃から
「あいつは寄付して格好つけている。いい気になっている」とは、あまり言われなくなった。
今は、安定した生活が突然、崩れてしまう時代。
「明日は我が身」の感覚が、だんだん浸透してきたからかもしれない。


 −−活動は生涯現役ですか。


 ◆(考え込んで)いや、わからない。
来年で福祉活動は55年。
「十分だよ。よくやったから、自分のこと考えろ」と、このごろ、自分に言って聞かせる時もある。
そんなことを考えたことなかったのに。
でも、「こうしたら相手は喜ぶかな」「こうしたら相手は助かるかな」と妄想もしてしまう。


 −−ベトナムで里親事業も続けている。


 ◆(笑顔で)今、78人。子だくさんだ。
お金を振り込むだけでは駄目だ。現地に足を運んでいる。
子どもだから、けがも、病気もあるし。
学校が終わるまでの「あしながおじさん」ではない。
               【聞き手・坂口裕彦】

==============

 ■人物略歴
すぎ・りょうたろう

 1944年神戸市生まれ。
「遠山の金さん」など約1400本のドラマに出演。
76年には歌手として「すきま風」をヒットさせた。
2009年紫綬褒章を受章。
民間人として初の法務省・特別矯正監を務める。
妻は歌手の伍代夏子さん。

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2013年10月16日

いまや下着とマスクは使い回し“現代の蟹工船”福島原発の惨状

いまや下着とマスクは使い回し
  “現代の蟹工船”福島原発の惨状
2013年10月16日 日刊ゲンダイ掲載


 今月に入り、福島第1原発で立て続けにトラブルが起きている。
ほとんどが「タンクにゴムパッドを置き忘れた」といった単純ミスだが、原因は作業員の人手不足と士気の低下だ。
事故の年は3万円近かった日当が今では半分以下に。
なのに、国と東電が「急げ、急げ」とプレッシャーをかけるから、ミスが増えるのも当然だ。

 士気の低下はカネのせいだけじゃない。
福利厚生面の待遇悪化が作業員のやる気をそいでいるという指摘がある。

 以前は線量オーバーで離職した作業員は、無料で健康診断や人間ドックを受けられたが、今ではよほどの高線量を被曝(ひばく)しなければ認められないという。
作業員の取材を続けているジャーナリストの布施祐仁氏が言う。

「東電のコストカットで、事故直後は温泉旅館やホテルだった作業員の宿がプレハブみたいな仮設住宅になりました。
しかも個室ではなく相部屋がほとんど。
これではプライベートを保てないし、疲労回復は望めないでしょう」

 作業員は床にマットを敷いただけのプレハブ内で雑魚寝をして休憩する。全面マスクと防護服で包まれた作業員はいつも汗でビッショリ。
そんな男たちが集まれば、異臭もするし食事どころではなくなる。

しかも、以前は新品の下着が毎日支給されていたのに、今は洗濯して再利用するようになった。
他人の臭いが残っている場合があるという。

<ムワッと漂う男臭で仕事どころじゃない>

「作業員が口を揃えて『クサイ』と訴えるのがマスクにこびりついた臭いです。呼吸口のフィルターは毎回交換しますが、ヘルメット部分は事故直後から使い回しているものがあるそうです。
かぶった瞬間、ムワッとした男の臭いで息苦しくなるといいます」(布施祐仁氏)

 福島原発はただでさえ危険な現場だ。
給料が安いうえ環境が不衛生では、腕のいい働き手が集まらなくなるのは当然といえる。
蟹工船みたいな労働環境の改善は喫緊の課題だ。
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2013年10月18日

「平成の姥捨て法案」始動<貧乏な年寄りは死ねということ>

「平成の姥捨て法案」始動
2013年10月17日 日刊ゲンダイ掲載

介護・医療・年金…負担増の改悪次々


<貧乏な年寄りは死ねということ>

 政府がいよいよ弱者イジメの改悪法案の成立に向けて本格的に動き出した。
臨時国会に提出された「社会保障制度改革プログラム法案」のことである。

法案の趣旨は、あくまで「社会保障制度改革の全体像やスケジュールを決めるもの」だが、その中身はどれも国民にとっては見過ごせない負担増ばかりだ。

 法案は、社会保障制度改革国民会議の審議結果を踏まえて閣議決定された「骨子」を具体化した。
「個人の自助努力を喚起する仕組みを導入」をスローガンに掲げ、介護・医療・年金などの分野で、これまでの「互助」や「扶養」からの大転換を図っている。

 中でも影響が大きいのは「介護分野」だ。
全国で約150万人いる「要支援1、2」(一部に助けが必要な人)の保険サービスを見直し、15年度中に市町村事業に「切り離す」のだ。

「政府は『市町村が地域の実情に応じ、柔軟かつ効率的なサービスを提供できる』などと説明しているが、要は『国ではもう面倒見ないから自治体でお願い』という押し付け以外の何物でもありません。
市町村事業になれば財源やマンパワーなどで地域間格差が出る可能性もある。
結局、家庭でやってくれとなる恐れは強いのです」(厚労省担当記者)

「要支援」の“切り離し”に成功すれば、次は「要介護」だ。
国の介護負担削減の“本命”とみられているのは「要介護」で、これも市町村に押し付けられる公算は大だ。

実際、今回の法案では、「中重度の人に手厚くする」なんて名目で軽度の「要介護1、2」の高齢者を特別養護老人ホームから締め出そうとしている。

所得に応じて自己負担率を1割から2割に引き上げる案の検討も進んでおり、
4年後ぐらいには金持ち以外はロクな介護サービスを受けられないなんて事態もあり得るのだ。

 70〜74歳の自己負担率を来春、1割から2割に引き上げることを目指している「医療分野」も無視できない。
消費税率が5%から8%にアップするタイミングだから、対象となる高齢者は大打撃だ。

「70〜74歳の自己負担は法律上は2割ですが、選挙対策の特例措置として1割に軽減してきました。
それを2割に戻す内容です。
不満続出を恐れた政府は対象者を来年度に70歳になった人からとする“マヤカシ策”を考えた。
それでも猶予は1年だけです」(前出の厚労省担当記者)

<麻生副総理の“本音”が現実化>

「年金分野」も狙われている。
今回は具体策まで踏み込んでいないものの、支給開始年齢の引き上げなどについて「必要な措置を講じる」としている。
負担増は確実だ。

 すでに厚生年金は今年度から支給開始が61歳に引き上げられた一方、保険料率は2017年9月まで18.3%に上がり続けることになっている。
それでもまだ足りないというのだ。

全日本年金者組合の田中寛治氏はこう言う。

「全額を社会保障費に回すと言った消費増税分はどこに消えたのか。
税金は上がり、医療費負担が増えるばかりでは、病気になっても医者にかかれず、介護サービスを利用することもできない。
高齢者は極貧生活にまっしぐらです」

 麻生副総理は今年初めの社会保障制度改革国民会議で、高齢者の終末医療について「いいかげん死にたいと思っても『生きられますから』なんて生かされたんじゃ、かなわない。

さっさと死ねるようにしてもらわないと」と思わず“本音”を漏らしていた。
それを実現する法案が、今回の法案。

トシを取ってもカネがなければ介護サービスを受けられず、病院にもかかれず、年金も手にできない。
貧乏な年寄りは死ねということ。
まさに「平成の姥捨て法」なのだ。
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2013年10月22日

社説:特定秘密保護 この法案には反対だ

社説:
特定秘密保護 この法案には反対だ
毎日新聞 2013年10月21日 02時30分

  安全保障に関わる国家機密の情報漏えいに対する罰則を最長で懲役10年にまで強化する特定秘密保護法案について、政府・与党が最終合意した。今週中にも閣議決定し、今国会に提出する。


 修正された最終案では、「国民の知る権利の保障に資する報道・取材の自由」への配慮をうたう。
公明党の主張を受け入れたものだ。


 だが、広く定義された特定秘密を行政機関の裁量で指定でき、指定が適切かどうかをチェックできないまま、半永久的に国民の目にさらされない恐れが依然残る。

 ◇国会の監視届かぬ懸念

 特定秘密に接触する国会議員へ罰則の網も広くかけている。
国会による政府への監視が利かない懸念があり、国会を国権の最高機関とする憲法の規定に照らしても疑問だ。


 「知る権利」が条文上書かれていても、実質的に国民の「知る権利」が保障される内容にはなっていない。
こうした骨格が変わらない以上、法案には反対だ。


 国民の「知る権利」や「報道の自由」に配慮することは、憲法上当然のことだ。
厳しい罰則のため、取材に対する萎縮効果が生まれる可能性は極めて強い。


 日本と米国の軍事的協力関係が深まり、機密の共有化が進む。
サイバー空間での情報戦が国際的に激しくなる中、情報を安全に管理することが信頼関係を保つためには欠かせない。
それは責任ある国家の姿勢として当然のことだ。


 だが、市民活動を通じ、情報を取得しようとする側も処罰の対象だ。
公務員だけでなく、広く国民が刑事罰に問われかねない立法によって担保されるべきかどうかは別問題だ。


 特定秘密の対象となる分野は、防衛はじめ外交、スパイ活動、テロ活動と4分野にわたり、別表で規定された項目は極めて広義だ。
定義の仕方があいまいなものも含まれる。


 防衛秘密については、米同時多発テロ事件後の2001年10月、自衛隊法が改正され、法的な手当てが既にされている。
防衛省の職員などが指定された防衛秘密を漏らせば、5年以下の懲役が科せられる。


 特定秘密保護法案が成立すれば、外務省が所有する外交文書、あるいは警察情報などが新たに次々と指定される。
国民には何が特定秘密か分からない。
5年ごとに更新可能だ。
30年目に内閣の承認があればさらに延長でき、歯止めにならない。


 政府・与党修正で、特定秘密の指定や解除に当たっての統一基準を定めることと、その際に有識者の意見を聞くことを義務づけた。


 だが、あくまで統一基準作りに関与するだけで個別の指定の適否が判断できるわけではない。
行政機関、特に官僚の判断で都合よく拡大解釈できる余地が残るのだ。

一方、解除後の文書の扱いや保存について、法案の条文では触れられていない。
そもそも行政機関で集めた情報は国民の公共財だ。
短期的には伏せられても、将来的に国民の「知る権利」に応えて公開すべきものだ。


 だが、日本の政府や官僚機構が歴史的に情報公開に後ろ向きだったのはまぎれもない事実だ。


 象徴的なのが、沖縄返還に伴う密約問題である。
沖縄が1972年に米国から返還されるのに伴って日本政府の金銭負担があった。
米国で公開された外交文書によって明らかになった後も、日本政府は文書の存在を認めていない。

 ◇公開の仕組みこそ必要

 防衛省は、防衛秘密の指定期間が過ぎた文書全てを保存せず大量に廃棄している。
こうした隠蔽(いんぺい)体質がある以上、行政機関の判断をそのまま信じることは到底できない。


 情報公開法や公文書管理法などを見直し、公文書を適切に保管し、国民が情報を入手しやすいシステムをしっかり構築することこそ、まず取り組むべきことだ。


 民主党は、政府による公文書の不開示決定の是非を司法がチェックする仕組みを盛り込んだ情報公開法改正案を今国会に提出する方針とされる。
しっかり議論してもらいたい。

 民主党政権時代の11年、政府の有識者会議は、機密性の高い情報を取り扱う政府機関の情報保全システムについて報告書をまとめた。


 その中では、ITの進展に伴う情報漏えい対策について、物理的持ち出しや外部通信など具体的ケースごとにとるべき措置を提言した。
外務、防衛両省や警察庁など関係省庁は当時、着実な実行を申し合わせた。
高度な機密情報を持つ行政機関が内部統制をまず徹底させることが重要だ。
それが機能しているかを常に検証し、改善を重ねていくことが最優先されるべきだ。


 議会制民主主義の下で、国民の代表者としての国会議員の役割が制約され得る点について重ねて指摘しておきたい。


 国会議員が特定秘密を知った場合、その内容に問題があると考えても、同僚議員や政党、あるいは学者ら専門家に相談や照会することができない可能性が強い。
結果として議論は封じられ、議員の役目を果たせない。
議員はその深刻さをしっかり認識し、法案の審議に当たってもらいたい。

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2013年10月23日

元首相発言―トイレなき原発の限界

元首相発言―トイレなき原発の限界
2013年 10月 22 日(火)付  朝日新聞「社説」

 小泉純一郎元首相が、ここにきて積極的に「原発ゼロ」を訴えている。


 放射性廃棄物という「ごみ」の始末に道筋がついていない以上、原発を続けるのは無責任。
自然エネルギーや省エネを生かした循環型社会を目指すべきだ――といった内容である。


 「トイレなきマンション」になぞらえられるこの問は、私たちも社説で折に触れて指摘してきたところであり、小泉氏の主張はもっともだ。


 日本のエネルギー政策を見直すうえで、根源的かつ早急な対応を迫られている課題である。
そのことを、政府はしっかり認識してもらいたい。


 安倍首相は今国会で、野党の質問に答える形で「可能な限り原発への依存度を下げる」と繰り返している。


 だが、発言とは裏腹に、政府内で進められている議論は「原発回帰」が鮮明だ。


 年末に向けたエネルギー基本計画の見直し作業でも、原発の必要性を強調する議論ばかりが先行している。
原発の後始末にかかる政策は、いっこうに具体化が進んでいない。


 とくに、放射性廃棄物を深く地中に埋める「地層処分」の候補地については、02年から公募を続けているが、手をあげる市町村がない。
福島の原発事故を目の当たりにしたのだから、なおさらである。


 安倍首相はきのうの国会答弁で、地層処分について技術面でさらなる検討を加える意向を示したが、問題の根本は原子力政策そのものへの国民的合意がないことにある。


 脱原発とセットで廃棄物処理の具体策を検討すべきだ。


 その点で、日本学術会議がまとめた提言は参考になる。


 まず、廃棄物を地表か浅い地中で暫定保管する方針に切り替える。
そのうえで、ごみの量が増加し続けないよう総量の上限を設ける。


 私たちは核燃料サイクル事業もやめるべきだと考える。
使用済み燃料棒は不安定なプールではなく、「乾式キャスク」と呼ばれる強固な入れ物に移し、地表で暫定管理する。


 そうした環境を整え、最終処分法についての研究や社会の合意形成をじっくり進めていくのが現実的だろう。


 暫定保管とはいえ、安全基準を定め、法律を整備し、貯蔵のための設備を製造・構築するにも時間がかかる。
条件を満たせない原発は運転を認めない、といった規制も必要になる。


 後始末なき原発回帰は、「国の責任」からほど遠い。

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熱血!与良政談:「小泉賛同者」なぜ出ない=与良正男

熱血!与良政談:
「小泉賛同者」なぜ出ない
=与良正男
毎日新聞 2013年10月23日 14時25分

 この人が後に首相になろうとはおそらく本人以外、誰も考えていなかった1990年代前半の話だ。
私は小泉純一郎さんに面と向かって何度もこんな議論をふっかけた。


 「結局、小泉さんは自民党の延命に役立っているだけではないか」


 当時の小泉さんは自民党内では単なる「変わり者」といった存在だった。
だが、政権や自民党に不祥事や難問が浮上するたびに、テレビに出演して時の首相や党執行部を激しく批判し、正論・異論を唱える小泉さんを見て、世の人々は「自由で幅広い意見がある自民党は、やはりいい政党だ」と感じたはずだ。
「延命」とはそんな意味だった。


 同時に、小泉さんが自民党の主流になれるとも、あのころの私には思えなかった。
が、その都度、小泉さんは「まあ見てろって。いつか小泉が正しいという時代がくる」とニヤニヤ笑いながら語ったものだ。


 後の小泉政権の功罪については話をおく。
しかし、「放射性廃棄物の最終処分のあてもなく原発を進めるのは無責任」「今、政治が原発ゼロ方針を打ち出さないと将来も難しくなる」という原発に関する最近の発言はまったく正論だと私は思う。


 その小泉さんが先週、講演会にテレビカメラが入るのを許した。
一連の発言の火つけ役となった本紙コラム「風知草」で山田孝男専門編集委員が今週、「計算ずくの挑発」と書いている。
その通りだろう。

「小泉発言は見識を疑う」とまで読売新聞に社説で批判されたこともあって「少し戦闘モードに入ってきたのかなあ」とも長年の小泉ウオッチャーである私には思える。


 そこで考え込むのだ。
なぜ、小泉さんに賛同し、呼応する動きが自民党に出てこないのか、と。

20年前、確かに小泉さんは変わり者だったけれど、党内には「小泉さんの言い分には一理ある」と同調する声が必ず出た。

それが今はない。
かといって正面切って小泉さんを批判するわけでもない。
自民党は随分、息苦しい政党になってしまったものだ。


 「すわ小泉新党?」といった政局話には本人も関心はないだろう。
発言が注目されるのは核廃棄物問題など、ひとえにことの本質を突いているからだ。
静観、無視を決め込むのは、本質の議論を避けたいからだといってもいい。(論説委員)

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2013年10月25日

室井佑月「リアル半沢直樹、いないの?」

室井佑月
「リアル半沢直樹、いないの?」
※週刊朝日  2013年11月1日号
(更新 2013/10/24 16:00)

作家の室井佑月氏はドラマ「半沢直樹」と日本の現実社会の違いを感じ、こう嘆く。

*  *  *
 遅ればせながらビデオに録っておいた話題のドラマ、「半沢直樹」を一気に観た。

 面白かった。
人気が出たのもよくわかる。
最終回、主人公の半沢営業第二部次長が、常務取締役の不正を銀行の取締役会で暴く。その台詞に考えさせられた。

 その朝、東京新聞の「原発事故賠償 備え不足」という記事を読んだばかりだったしね。

 福島第一原発事故で賠償や除染の事業費は、少なくとも5兆円かかることがわかった。
でも、電力会社が備えているのは、一原発当たり上限1200億円の保険のみ。

 2011年8月、国会で原子力損害賠償法を「1年をめどに見直す」と決議したけど、期限を過ぎてもほとんど検討が進んでいない。
なのに電力各社は再稼働申請をしている。住民は不安だ――という記事だ。

 今から「半沢直樹」の最終回の主人公の台詞を書くから「銀行」を「国」、もしくは「電力会社」に置き換えて読んでみてよ。

「『銀行』は決して潰れてはならない。
私たちはそのことに拘るあまり、いつの間にか自分たちのことしか考えない集団になっているんじゃありませんか。

弱い者を切り捨て、自分たちの勝手な論理を平気で人に押し付ける。
問題は先送りされ、誰一人責任を取ろうとしない。

くだらない派閥意識でお互いに牽制し合い、部下は上司の顔色をうかがって正しいと思うことを口にしない。
―中略―

彼ら(普通の人々)を裏切りつづけるなら、私たちはもう存在していないも同然じゃないですか。
これ以上、自分たちを誤魔化しつづけるのは止めましょう。
黒は黒、白は白です」

 ちょっと長くなっちゃったが、あたしは日本の大きな組織の闇が、この台詞にすべて集約されている気がした。

 この国の官僚や政治家、大企業に勤める人々は、みんな「半沢直樹」を観るべきよ。
ひょっとして反省できるかもしれないから。

 余談だが、小泉元首相が講演などで原発ゼロ発言を頻繁にしだしている。

放射性廃棄物の最終処分のあてもなく、原発を進めるのは無責任」「原発ほどコストの高いものはない

 安倍首相がやる気になれば出来る、とまでいった。

 10月6日付の北海道新聞によると、このことについて、「(自民)党内には小泉氏を尊敬する議員も多く、表立って批判しづらい。

政府高官は『思うことがあっても言えない』とため息をつく」だそうだ。
自分で考える頭がないんなら、税金で飯を食うのを止めていただきたい。
馬鹿みたいなことでうだうだしている時間があるなら、ドラマ「半沢直樹」を観ていただきたい。

 そうそう、小泉さんの息子の内閣府兼復興政務官である進次郎さんは、「父は父だ。私は政府の一員だ」といっていた。

 リアル半沢直樹が見れるかもと思ったのに。
ビジュアル的にも適任なのに。ああ、残念。
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2013年10月27日

絶好調共産党のアイドル・吉良よし子議員の前途多難

絶好調共産党のアイドル
吉良よし子議員の前途多難
2013.10.24 12:02   週刊文春ネット

安倍内閣に不安と危機感を持つ多くの国民と手を携えて暴走に歯止めをかける


15日に開会した臨時国会。
18日の代表質問で、高支持率を維持する安倍政権に真っ向から対決姿勢を見せたのが共産党の市田忠義書記局長だった。

15日には早速、ブラック企業規制法案を参院に提出。
共産党単独での法案提出は9年ぶりのこと。
参院選で躍進し、10議席を越えたため提出が可能になった。


NHKが実施した10月の世論調査でも政党支持率は自民党、民主党に続く第3位に。
民主党が過去最低の5.2%だったのに対し、先月より0.8%アップの4%と野党第1党を脅かす勢いだ。


「民主党の代表質問の最中には『共産党に負けるな!』と自民党席からヤジが飛ぶ始末です」(政治部記者)


そうした躍進のシンボルが、31歳の吉良よし子参院議員
今夏、東京選挙区から出馬し、70万票を獲得して3位当選を果たした。


「彼女が獲得した票は、全共産党員数の倍以上。
党活動で目立った実績もなく、都議選の落選歴もある彼女のような人物を、東京で擁立するのは異例です」(同前)


選挙戦ではワタミなどのブラック企業を厳しく追及。
「ワタミ・キラー」と呼ばれる一方、ファンが選挙前に写真集を作ると1000部が1週間で完売するなどアイドル的な人気で無党派層にも支持を広げた。


9月中旬には都内のライブハウスで「ファン感謝祭」を開催。
80人以上が詰めかけたが、半数が共産党員ではなく、雰囲気はまるでアイドルイベントのようだったという。


「質疑応答で『結婚の予定はない』と断言すると、皆安堵の笑みを浮かべていました(笑)。
2日後が誕生日なので、最後にはケーキを前にハッピーバースデーを合唱。彼女がロウソクを吹くと、一斉にカメラのシャッター音が響きました」(参加者)


国会前で反原発デモがあると必ず現れるため、吉良氏見たさの参加者もいるほどだ。


国会では、自民党から当選したワタミ創業者の渡辺美樹氏と直接対決したいと意気込んでいたが、所属は総務委員会に決まった。


共産党は党内序列が物をいい、秘書が議員を叱るなんてこともよくある。
人気者だけに、やっかみも含めた党内からの“監視”の目が厳しくなるでしょう」(前出・記者)


ブラック企業追及のアイドルは、共産党の小泉進次郎か、それとも杉村太蔵か。

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2013年10月31日

熱血!与良政談:「秘密法案」を廃案に=与良正男

熱血!与良政談:
「秘密法案」を廃案に=与良正男
毎日新聞 2013年10月30日13時49分

 内閣官房の官僚から「特定秘密保護法案について意見をうかがいたい」と言われたのは9月初旬だった。
長時間、話をしたが、私が言いたかったのは詰まるところ以下の点だ。


 安全保障上の観点から一定期間、機密が必要なことは私も認める。
しかし、20年、30年たったらいずれ情報は公開するという原則を確立するのが出発点ではないか−−と。


 米国などに比べ、日本はこの点がまるでお粗末だ。
機密情報にせよ、秘密交渉にせよ、いつかは公表されると分かっていれば、当事者は自分の行動が後の評価に堪えるかどうか、自制が働く。

ところが、その原則がないから、平気で都合の悪い書類は破棄し、重要会議の議事録も残さない。

まずそんな体質を転換する。
それこそが、国民の「知る権利」を守ることだと私は思う。


 その後、与党との協議で多少は検討されたのだろう。
法案には30年を超えて秘密指定を続ける時には内閣の承認が必要との条件が加わった。

だが、私の言う「30年経過したら原則公開」とは似ても似つかぬ話であるのは、もうお分かりだろう。

これでは逆に内閣が承認すれば未来永劫(えいごう)、秘密は解除されないとのお墨付きを与えたようなものだ。


 毎日新聞社説(26日付)でも紹介したように福島県議会は福島第1原発事故の際、放射性物質の拡散予測情報の公開が遅れた点を例に挙げて原発事故情報がテロ防止の名目で特定秘密に指定されることに懸念を示し、法案への慎重対応を求める意見書を出した。
当然の指摘だ。


 今回の法案は米国からの要請でもあったという。
米国は確かに情報公開の先進国で、一定期間後の機密解除など見習うべき点は多々ある。


 ただし、その米国は今、メルケル独首相の携帯電話盗聴問題で揺れる。
政治権力は元来、そういうことをしたがるものだと私たちは再認識する必要がある。
そして、そんな深刻な事態が明らかになっても、私たちの国は「(安倍晋三首相の携帯電話は)まったく問題ない」と菅義偉官房長官が一言語っただけで済ませようとしていることも。


 特定秘密保護法案の国会審議が間もなく始まる。
どう考えても、今ある法律で十分だ。
何としても廃案にすべきである。
みなさん(世論)の後押しがほしい。
(論説委員)

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2013年11月01日

社説:最高裁を軽視ー自民党は思い上がるな

社説:最高裁を軽視
     自民党は思い上がるな
毎日新聞 2013年10月31日

 憲法で保障された最高裁の違憲審査権に異議をとなえ、軽視するかのような自民党の姿勢にあきれる。


 最高裁が9月、結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分を結婚した男女間の子の半分とした民法の相続格差規定について、違憲判断を示した。

それを受け、政府は規定を削除し、差別を是正する民法改正案の今国会提出を目指している。
だが、自民党の法務部会が「伝統的な家族制度を崩壊させる」として、法案の提出を了承せず、今国会での是正が不透明な状態になっている。


 憲法14条の「法の下の平等」という国民の基本的人権の擁護に基づく最高裁の結論だ。
三権分立に照らしても、司法の判断をないがしろにすることは許されない。
早急に党内手続きを進め、今国会で法改正を成し遂げねばならない。


 29日の部会での発言を紹介したい。
「国権の最高機関が、司法判断が出たからといって、ハイハイと従うわけにはいかない」
「自民党として最高裁の判断はおかしいというメッセージを発するべきではないか」
「違憲審査権があるからといって、オートマチックには受け入れられない」
「最高裁決定によれば、安心して婚外子を産めるようになってしまう」−−などだ。


 もちろん、個々の議員の意見だ。自民党総体としての考え方ではないだろう。
最高裁の判断に従うべきだとの声も一部であった。
だが、全体として反対意見に押され、部会の結論がまとまっていないのは確かだ。


 自民党よ思い上がるな、と言わざるを得ない。


 日本は法治国家として、憲法の規定で立法、行政、司法の役割や権限を定めている。

三権が互いにチェック機能を働かせる中で、国民主権の実現を目指す仕組みだ。

違憲審査権に基づく最高裁判断を立法府が尊重するのは当然のことだ。
1票の格差問題にも通じるが、三権の一角である司法判断への鈍感さは目に余る。


 自民党の憲法改正草案では、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。
家族は、互いに助け合わなければならない」との規定を新設する。
そうした考えに基づき、正妻の相続分の引き上げなどを主張する意見も部会で出た。


 法務省にそれを検討させることを条件に、民法改正案を了承しようという動きもある。
だが、交換条件はなじまない。

まず、司法の最終結論を立法府が重く受け止める。
その上で、必要ならば別途検討するのが筋ではないか。

菅義偉官房長官は最高裁の決定後、「厳粛に受け止め、立法的な手当てを早くしたい」と述べていた。
自民党総裁である安倍晋三首相のリーダーシップが問われる。

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2013年11月02日

NYタイムズ 社説で「日本版NSC」「秘密保護法」断罪の波紋

NYタイムズ 社説で
「日本版NSC」「秘密保護法」断罪の波紋
2013年11月1日 日刊ゲンダイ掲載

日本の新聞より激しい

 安倍首相が成立に躍起になっている「日本版NSC設置法」と「特定秘密保護法」。
言うまでもなく、米国の“猿マネ”だが、その米国のメディアがこの法案を断罪した。
それも記者個人のオピニオンではなく「社説」でだ。

 米ニューヨーク・タイムズ(電子版)の29日の社説のタイトルは「日本の反自由主義的秘密法」。

記事では、<日本政府が準備している秘密法は国民の知る権利を土台から壊す>
<何が秘密なのかのガイドラインがなく、政府は不都合な情報を何でも秘密にできる>
<公務員が秘密を漏らすと禁錮10年の刑になる可能性があるため、公開より秘密にするインセンティブが働く>
<不当な取材をした記者も最高5年の懲役>

<日本の新聞は、記者と公務員の間のコミュニケーションが著しく低下すると危惧している>
<世論はこの法律に懐疑的>――と問題点を列挙している。

 ただ、ここまでは朝日や毎日など日本の一部新聞の主張と同じだが、NYタイムズはさらに踏み込んだ批判を展開。

秘密保護法とセットの「日本版NSC」の事務局である国家安全保障局に「総括」「同盟・友好国」「中国・北朝鮮」「その他(中東など)」「戦略」「情報」の6部門が設置されることを問題視して、こう書くのだ。

<6部門の1つが中国と北朝鮮。
他は同盟国やその他という分類なのに、である。
こうした動きは、安倍政権の中国への対立姿勢やタカ派外交姿勢を反映しており、これが市民の自由を傷つけ、東アジアにおいて日本政府への不信感をさらに高めることになる>

 日本版NSCと秘密保護法がアジアの安定を脅かす可能性にまで言及しているのである。

 米国事情に詳しいジャーナリストの堀田佳男氏がこう言う。

「安倍首相は9月に訪米した際、シンクタンクの講演で
<私のことを右翼の軍国主義者と呼びたいのなら、どうぞ呼んでくれ>と言いました。
あの発言で、米国のリベラル系メディアは、ますます安倍首相を危険視するようになりました。

このまま中国を刺激し続けると、日中間で戦争になってしまうのではないか、と本気で恐れているのです。安倍首相に対する危機意識は相当高まっています」

 安倍の危うさを米メディアの方がよっぽど分かっている。
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2013年11月03日

山本議員「手紙」 軽挙慎み脱原発を前へ

山本議員「手紙」   
      軽挙慎み脱原発を前へ
2013年11月2日 東京新聞社説

 脱原発を掲げる山本太郎参院議員が天皇陛下に手紙を渡し、「天皇の政治利用」と批判されている。

儀礼を欠き、脱原発運動に水を差しかねない軽挙だが、批判する側に処分する資格があるのか。


 山本氏が差し出した手紙は、東京電力福島第一原発事故の現状を伝える内容だという。
山本氏は「子どもたちの被ばくや、原発の収束作業員が最悪の労働環境で作業している実情などを知っていただきたかった」と説明した。


 「日本国民統合の象徴」として国民生活の安寧を祈る天皇に、原発を取り巻く厳しい現状を伝えたい気持ちは分からなくもない。


 しかし、山本氏は主権者たる国民の代表である。

「国政に関する機能を有しない」天皇に、高度に政治的なテーマと化している原発問題で何かを期待するのは、日本国憲法の趣旨に反する。


 子どもを被ばくから守り、原発作業員の労働環境を改善し、国のエネルギー政策を脱原発に導くのは山本氏自身の仕事だ。

国民の負託を受けた以上、どんなに困難でも、やり遂げる責任がある。


 原発推進派は早くも「天皇の政治利用」との批判を強め、議員辞職を求める声すらある。

山本氏の行動は、脱原発を求めるうねりに付け入る隙を与え、運動全体にマイナスとなりかねない。慎むべきだった。
まずは自覚を促したい。


 参院議院運営委員会は山本氏から事情を聴いた。
具体的な処分を来週、検討するという。


 ただ、山本氏を批判する自民、民主両党に「天皇の政治利用」を断罪する資格があるのか。


 最近の例だけでも、自民党が衆院選で開催を公約した「主権回復の日」式典への天皇陛下出席、東京五輪招致に向けた国際オリンピック委員会総会への高円宮妃久子さま出席も、天皇・皇族の政治利用ではないか、と指摘された。


 民主党政権時代にも、天皇陛下と習近平中国国家副主席(当時)との会見を急きょねじ込み、同様の批判を浴びたことがある。


 自らの行動を顧みず、無所属議員を追い詰めるのなら、多数派の横暴、との誹(そし)りは免れまい。


 政府と国会に求められているのは、除染や補償を含む原発事故の収束に全力を挙げる、
原発の危険性を認識し、使用済み核燃料の最終処分場のめどもないのに、原発政策を進めることの不合理性に一日も早く気付くことだ。


山本氏の処分問題に政治的エネルギーを浪費している場合ではない。
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余録:海底に潜む太古の怪獣が水爆実験で目を覚まし…

余録:海底に潜む太古の怪獣が
               水爆実験で目を覚まし…
毎日新聞 2013年11月03日 00時17分

 海底に潜む太古の怪獣が水爆実験で目を覚まし、東京に上陸して町を破壊し尽くす。
ご存じ、映画「ゴジラ」の第1作が封切られたのは1954年11月3日だった。初日、劇場前には長い列ができ、映画は大ヒットとなった

▲この年3月、米国のビキニ環礁(かんしょう)水爆実験で日本の漁船が「死の灰」を浴びて被ばくした第五福竜丸(ふくりゅうまる)事件が起き、これが映画のモチーフとなった。
終戦から10年足らず。広島、長崎の記憶も鮮明だった時代である

監督の本多猪四郎(ほんだ・いしろう)さん(93年死去)は3度軍に召集され、終戦の翌年、帰国した経験を持つ。

中国から船で九州・門司港へ。汽車で東京に向かう途中で原爆で廃虚となった広島を目の当たりにする

▲「広島にはね、草木1本生えてないんだよ」
「俺は何のために戦っていたんだろう」。

妻の本多きみさんが昨年末、出版した「ゴジラのトランク」(宝島社)によると、本多さんはきみさんとの再会直後にこう語り、「ゴジラ」の監督を引き受ける際には「被爆地をこの目で見た者として伝えられることがあるはずだ」と言っていたという

核の恐ろしさと、それを生み出した人間の愚かしさという重いテーマが第1作に貫かれているのはそのためだろう。
後にゴジラは時折愛嬌(あいきょう)もふりまく多少ゆるいキャラに変身していく。
それは私たち日本人が放射能への恐怖を忘れていった歴史とも重なる

▲本多さんは「進みすぎた科学ってやつは人間をどこへ連れていくんだ」とも憂えていたそうだ。
ゴジラ誕生から59年。
本多さんなら福島第1原発の事故をどう語り、どんな映画を作っていただろうかと思わずにはいられない。
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2013年11月05日

「秘密」は秘密って ばかな話 作家・沢地久枝さん

「秘密」は秘密って ばかな話
             作家・沢地久枝さん
2013年11月4日 東京新聞朝刊

 機密を漏らした公務員らへの罰則を強める特定秘密保護法案に、強い懸念が広がっている。

一九七二年の沖縄返還をめぐる日米密約を、著書で取り上げたノンフィクション作家沢地久枝さん(83)は「この法律が成立したら、密約の当時よりもっとひどいことになる。

憲法がどんなことを定めていても全部吹っ飛ぶのではないか」と憂える。


 「とんでもない法案だとあきれました。
こんなに内容が分からない法案は初めて見た。
具体的な部分で『政令で定める』と書いてある箇所がいくつも出てくる。政令は、政府がいくらでも出せるものです


 特定秘密とは、安全保障に著しい支障を与える恐れがあって特に秘匿する必要のある情報で、防衛相ら行政機関トップが指定する。

「一般の人には、自分が特定秘密に触れているのか分からない。
文章を書く人が取材した後、これは特定秘密だと言われたらアウト。

特定秘密の秘密とは何ですかと聞いても『それは秘密です』なんて、こんなばかな話はない」


 政府は今国会中の成立を目指しているが「戦争中の法律よりひどいのではないか。
当時、軍事機密に触れるようなことは一般の人も予測できた。

今度の場合、想像ですが、何が特定秘密かはだいたい米政府との話し合いで決まるのではないか。
今急いでいる理由は、日米関係を特に軍事面で円滑にするため、日本はこうしますという約束を米国に見せようとしているんだと思いますね」


 沖縄返還の日米密約に迫った新聞記者が逮捕された外務省機密漏えい事件を、著書「密約」で取り上げ、密約の文書開示請求訴訟にも原告として加わった。

「法案が成立すれば警察国家のようになる。
特定秘密の保護措置として警察庁長官はいろんなことができる。
戦争中の日本人は『警察ににらまれたらまずい』と思いながら話していた。
そういう時代に戻る可能性が非常に大きい」


 罰則で、公務員らが特定秘密を漏らすと最高十年の懲役に、漏らすよう働き掛けた場合も五年以下の懲役となる。

「公務員は恐ろしくて何も言わなくなるし、情報提供を受ける側も取材しにくくなる。
おかしいと思うことを調べ、社会のためだと思って発表しても、特定秘密を公にしたと認定されれば罪に問われるかもしれない。

記者やライターがさらし者になり、公務員も被告になるのです。
われわれがこれも特定秘密かと用心深くなっていけば、この国の言論は窒息します。
それが法案の狙いかと思います」


 法案は、平和主義や国民主権、基本的人権の尊重という憲法の基本原理に対する反動とも指摘する
「明らかな憲法違反です。
米国の戦略の中で戦争に向かう約束をしても、秘密といえば分からない。

この法律が通った瞬間に日本は別の国になる。
それほど悪い法律で、憲法を変えなくても何でもできる。
憲法九条や九六条を変えると言えば反論できるが、特定秘密の内容には反論できない」


 安全保障に関する情報を守るのが目的としているが「安全保障自体がはっきりしたものでないから、どれがその情報か分からない。
みんな特定秘密にしてしまえば国は答えなくていいし、憲法も無視できる。こんな法律のある国を、次の世代に渡せますか」。

   ×   ×

 さわち・ひさえ 三〇年東京生まれ。中央公論社を経て「妻たちの二・二六事件」でデビュー。
「火はわが胸中にあり」で日本ノンフィクション賞。
ミッドウェー海戦の克明な調査で菊池寛賞。

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2013年11月07日

室井佑月 汚染水問題に「今さら騒いでもしょうがないってこと?」

室井佑月 汚染水問題に
「今さら騒いでもしょうがないってこと?」
2013年11月6日(水)16時0分配信 dot.(ドット)

 福島第一原発の汚染水対策に関して、作家の室井佑月氏は、この問題が延々とつづくことを危惧している。
*  *  *
「今さら騒いだって、しょうがない」

 みなさんはこの台詞を使ったこと、もしくは使われたことがあるだろうか。 あるよね、きっと。普通に生きてりゃ、よく聞く台詞だ。
どういう時に使われる? 駄目駄目な人や物事に対してなんじゃないか。


 大事なテストが近づき、前日まで遊びほうけていた息子に。
酒が大好きで、毎日たくさん飲みすぎて、肝臓を痛め通院することになってしまった親父に。
給料以上に金を使い、多重債務者になってしまった友人に、あたしはいったことがある。


 ちなみにあたしは最近、糖尿病になってしまったのだが、「どうしよ、ヤバいよ」と騒いだら親や友人から、
「今さらだよね。しょうがないじゃん。これまでの生活考えれば」みたいなことをいわれた。


 まあ、そういわれても納得する。
膵臓を摘出し、医者から再三、「糖尿病には気をつけろ」と注意されていたが、酒も食べ物も自重できなかった。自己責任だろう。


 でも、これはどうなの?

 10月25日付の毎日新聞に、民主党の汚染水対策の調査結果に関する報道が載っていた。

『民主党の東京電力福島第1原発対策本部は24日、政権与党当時の汚染水対策の調査結果を発表した。
地下水を食い止める遮水壁の設置が遅れたことをめぐり証言が食い違っていることなどには触れず、公表済みの汚染水対策を列挙するだけの内容となった』


 たしか遮水壁を巡って、原発の陸側と海側双方に設置する案を、東電が金をケチって海側だけにしたと、馬淵澄夫元首相補佐官が告白したんだよな。東電は「事実を確認できない」と誤摩化しているけれど。

 新聞によれば、馬淵氏と東電の主張の違いに関して、「平行線で書いても意味がない」(党幹部)からと盛り込まなかったそうだ。
ええーっ! それって「今さら騒いでもしょうがない」ってこと?


 福島第一原発事故に関しては、なぜ事故が起きたのか、そして事故後の対処は本当に最善を極めたのか、まだまだわかっていないことが多い。
というか、これからも延々とつづくのだ、この問題は。
日本中、世界中の人々が関わる重い問題に、あの台詞を出してきちゃいけないよなぁ。


 20日の豪雨で、汚染水を貯蔵するタンクの周りを囲った堰から汚染水が溢れ出た。
なんでも、気象庁が降雨量を約10ミリと発表していたから、東電は約20ミリの雨量に対応できるよう準備していたんだという。
で、現実では雨量は100ミリを超えてしまった。


 今現在(10月25日)台風27号、28号が近づいているが、対処のしようがないというニュースもあったり。

 あの便利な台詞があるから大丈夫ってか。
それで最後は乗り越えるってか。


※週刊朝日 2013年11月15日号
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2013年11月08日

食品偽装40社でも動かず…消費者庁にヤル気はあるのか

食品偽装40社でも動かず…
   消費者庁にヤル気はあるのか
2013年11月6日 日刊ゲンダイ掲載

 後を絶たないメニュー偽装発覚で、「何やってんだよ!」とブーイングなのが、消費者庁だ。

 消費者のための役所なのに、アクションを起こす気配がまるでないからだ。
 阪急阪神ホテルズの偽装発覚時には「本格的な調査に乗り出す」と鼻息荒かったが、まさかこれほどメニュー偽装がゾロゾロ出てくるとは、想像もしていなかったようだ。

「メニュー偽装のホテルやデパートは、北海道から沖縄まで全国で40カ所以上。
消費者庁の現場は人手が圧倒的に足りずテンヤワンヤで、手が回らない状態です」(事情通)

 同庁に調査態勢を問い合わせると、「こちらの手の内を業者側にさらすことになるのでお答えできない」(表示対策課)と、もっともらしいことを口にしたが、本当なのか。

 ネットでは「中途半端」「ザル法だ」とやり玉に挙がる「景品表示法」にも、同庁は問題意識を持っていないようだ。
違反した場合、メニュー表記を差し止めたりするなどの措置命令を出すが、

「業者側から自主的に報告があり、その後の調査で改善が確認されれば、行政処分や措置命令は出さない」(同課)と大甘。

これじゃあ「自首して更生していれば大目に見るよ」と言っているも同然だ。

「期待外れだったのが、昨年8月に就任した阿南久(ひさ)消費者庁長官(63)ですよ。
消費者庁の発足を求めてきた消費者運動出身ですが、いざ長官に就いたら、何もできない。
なにしろ就任時のインタビューでは〈単身で乗り込んでどこまでできるか〉と不安を口にしていたし、東京新聞(10月24日)のインタビューでは、
〈縦割りと闘っています〉
〈課同士の連携もうまくいかず、情報共有ができませんでした。
改善されてきましたが、十分とはいえません〉と、泣きゴトを漏らす始末です」(社会部記者)

 長官は、ボーナスを合わせて年間1900万円も給料をもらっている。
トップがこうでは、いつまでたっても消費者は「誤表示」する側のいいカモだ。
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2013年11月10日

事故処理に税金投入 やはり脱原発しかない

事故処理に税金投入 やはり脱原発しかない
毎日新聞「社説」 2013年11月09日 02時30分

 原発を国策として推進しながら、事故が起きたら民間の電力会社がその処理費用をすべて負う。
そんな無理な政策が行き詰まった。

政府は原発政策を早急に見直し、原発に依存しない社会への見取り図を描く必要がある。


 自民、公明両党が近く、東京電力福島第1原発事故からの復旧・復興を加速するよう安倍晋三首相に提言する

汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設や除染への国費投入を求める。
政府もその方向で検討する。
事故処理費用を全面的に東電負担としてきた政府方針の転換を意味する。

 ◇「安い電源」は崩壊した

 提言は原発事故被災地の復旧・復興が遅れている現状への強い危機感を示し、汚染水対策や除染などに国費投入を求める。
その規模は数兆円に上るとみられる。


 首相は「福島の復興が最重要課題」と宣言してきた。
しかし政府は、財政負担がどこまで膨らむか見通せないことなどから、東電の陰に隠れ続けてきた。
その結果、汚染水対策は遅れ、被災地の復旧・復興は進んでいない。


 事故の後始末を東電だけに任せておけないことははっきりしている。

国策として原発を推進し、立地や建設費調達が円滑に進むよう支援してきた政府が、責任逃れを続けることは許されない。
国費投入は避けられない選択といえる。


 国民の税金である国費を投入する以上、同じ過ちを繰り返すことがあってはならない。
政府は原発政策の誤りを認め、見直す必要がある。

原子力損害賠償法は原発を運営する電力会社に無限責任を負わせている。

しかし、業界最大手の東電でさえ、その負担に耐えられなかった。
今の仕組みは、現実性のないことがはっきりした。


 だからといって、電力会社の賠償責任に上限を設けても問題は解決しない。
上限を超える被害の救済は、国費でまかなうしかないからだ。
つまり、重大事故が起きれば膨大な国民負担が生じることは避けられないということだ


 全国で、原発の代替電源として火力発電がフル稼働し、天然ガスや石油などの燃料費が年間3兆円以上余計にかかっている。
それだけ原発は割安だ、というのが原発推進論の根拠の一つになっている。

首相の経済政策アベノミクスで、デフレから脱却する兆しが見え始めたばかりの日本経済にとって、足元の経済性は無視できないだろう。


 しかし、それは原発で重大事故は起きないという「安全神話」を前提にして成り立つ話である。
神話が崩壊した以上、経済性でも原発の優位性は崩れたといえる。


 そうであれば、再生可能エネルギーなど代替電源の開発・普及や省エネを進めながら、できるだけ早く脱原発を進めるべきだ。
政府は、その道筋をきちんと描く必要がある。

今回の提言は、国費投入の名目を「福島復興のためのインフラ整備」と位置づけている。
「東電救済」との批判を回避する狙いも透けて見える。
しかし、安全性を軽視して重大な事故を起こした東電の責任は重い。
国費の投入が、東電の安易な救済に終わるようでは国民の理解は得られまい。

 ◇東電破綻回避の説明を

 国費を投入する前提として、東電を破綻処理すべきだとの主張がある。
一般の事業会社であれば、当然そうなるだろう。
株主や、社債や融資で資金を提供している金融機関などの債権者より先に国民が責任を負う道理はないからだ。


 しかし、電力会社の場合は特殊事情がある。
原発などの設備投資を進めるには、社債で巨額の資金を調達する必要があった。
そのために政府は法律で社債の返済が最優先されることにしている。
今回はどこまで債務が膨らむかの見通しもつかない。


 茂木敏充経済産業相は国会で「(社債を保有する)投資家が被害者への賠償や協力会社への支払いよりも優先され、廃炉・汚染水対策が滞る危険もある」と説明した。

提言も東電の存続を前提にしている。


 それでもなお破綻処理を求める声は与党内にも根強い。
身内も説得できないようでは国民の理解は得られまい。
破綻処理を回避するのであれば政府は説明を尽くす必要がある。


 さらに東電に対し、国費投入に国民の理解を得るための経営改革を求めるべきだ。
東電は、政府の認定を受けた現行の再建計画を上回る合理化を実施していると説明する。
しかし会計検査院の指摘では資材調達などにまだまだ無駄が隠れている。資産売却の余地も残る。
徹底した合理化、身を切る努力が一段と強く求められることを自覚する必要がある。


 提言は東電に対し、廃炉事業部門の分社化や独立法人化を選択肢として例示した。
しかし、肝心なのは会社の形ではないはずだ。


 経営改革で目指すべきは、
困難な作業が続く現場の士気を維持して事故処理の確実な進展を図ることや国民負担を少しでも軽くするために安全性を犠牲にしない範囲で合理化を進めること、さらに電力の安定供給を果たすことだ。

 そのために最も合理的な経営形態を検討する必要がある。
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2013年11月12日

社説:秘密保護法案を問う テロ・スパイ捜査

社説:秘密保護法案を問う
                   テロ・スパイ捜査
毎日新聞 201311月10日02時35分

◇歯止めが利かぬ懸念


 特定秘密保護法案では、防衛や外交分野だけでなく、テロ活動防止とスパイ活動防止に関する捜査や調査の情報も特定秘密の対象となる。

その指定を担うのは主に警察庁と公安調査庁で、指定の権限を持つ「行政機関の長」は、警察庁長官と公安調査庁長官だ。

両者の判断で特定秘密の指定に加えて5年ごとの延長が決められる。それは内閣の承認が必要となる30年まで続く。


 監視活動が主体の公安捜査はともすれば行き過ぎる傾向にあり、国民の人権上の観点からも看過できない。
両庁の指定は問題が大きい。


 2001年の米同時多発テロ以降、テロ捜査での国際協力が推進され、外国の捜査機関との情報共有が進んだ。
テロ防止に関する情報漏れを防ぐ必要性も強調された。


 08年に当時の自民党政権が、秘密保全法制について検討チームを作った。
具体的な内容を検討する作業チームには、内閣官房や外務、防衛両省のほか、警察庁と公安調査庁のメンバーが加わった。
今回の法案作成に関して、両庁が当初から主導的な役割を担っていたのだ。


 そもそも、テロ・スパイ活動防止のために特定秘密の指定が不可欠なのか。

警視庁公安部の国際テロ捜査に関する内部資料が10年、インターネット上に大量流出した事件があった。
外国情報機関からの提供情報も多数含まれ、警視庁は面目を失った。
だが、内部とみられる犯人の逮捕に至らず、先月時効を迎えた。


 漏えいの罰則を最高懲役10年に引き上げたところで、抑止力になるとは限らない。
情報取扱者の限定と厳重な警戒など、まず部内での情報管理を徹底させる方策に力を入れるのが最優先だ。


 特定秘密を隠れみのに、公安捜査が暴走し、歯止めが利かなくなる恐れはないか。そちらの方が心配だ。


 流出した国際テロ捜査資料には、在日イスラム教徒や捜査協力者約1000人分の名前や住所、顔写真、交友関係などの個人情報も含まれていた。

法案別表の規定によれば、特定秘密への指定が可能だ。
問題なのは、こうして集められた個人情報にテロとは無関係のものが多数含まれていたことだ。
国際結婚したり、イスラム教徒だったりしただけでテロリストと結びつけられた例があった。


 スパイ活動の防止にも同じことが言えるが、人を監視することによって得られる情報は、国民の人権やプライバシーと衝突する危険性をはらむ。

両庁以外の目が入る仕組みがなければ、市民生活が脅かされる。

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2013年11月13日

「秘密保護法案」を本気で批判しない大メディアの弱腰

「秘密保護法案」を
本気で批判しない大メディアの弱腰
2013年11月12日 日刊ゲンダイ掲載
 
 平成の治安維持法といわれる「特定秘密保護法案」が衆院特別委員会で実質的な審議に入った。

 11日は、捜査の過程で報道機関が家宅捜索の対象になるかが問われ、谷垣禎一法相は「検察で判断すべきもので、一概に申し上げるのは難しい」と答弁、
古屋圭司国家公安委員長も「家宅捜索を含む強制捜査は捜査機関の判断に委ねられる」との認識を示した。

 要するに報道機関だって「ガサ入れ」されるわけだ。
すべて捜査機関の胸三寸。
サジ加減で何でも決まるということである。
戦前の「特高警察」復活は時間の問題だ。

 これに強い危機感を募らせるのが、外国メディアである。

日本外国特派員協会は11日、会長名で
<法案は報道の自由および民主主義の根幹を脅かす悪法であり、撤回、または大幅修正を強く求める>と断固反対の姿勢を表明。

<報道の自由はもはや憲法で保障された権利ではなく、政府高官が『充分な配慮を示すべき』対象に過ぎないものとなっている>

<取材において『不適切な方法』を用いてはならないといった、ジャーナリストに対する具体的な警告文まで含まれている>と断じた。

 米NYタイムズも先月29日(電子版)の社説で、
<ジャーナリストに対する最長5年の懲役刑を脅しとして、政府がより不透明になる>と指摘していた。
ともに報道機関として極めてまっとうな抗議表明だが、対照的なのは日本のメディアだ。

 日本新聞協会は「『特定秘密の保護に関する法律案』に対する意見書」と題し、見解を公表している。
しかし、その中身は
<報道機関の正当な取材が運用次第では漏洩の『教唆』『そそのかし』と判断され、罪に問われかねないという懸念はなくならない>と腰が引けているのだ。
なぜ真正面から「脅しだ」「廃案にしろ」と叫ばないのか。あまりに情けない。

 政治評論家の森田実氏はこう言う。

「新聞、テレビは本格審議の段階になって騒いでいるが、報道機関を標榜するなら、もっと早い段階で反対するべきです。

リアクションが遅いし、その主張も社説などでちょろっとアリバイ程度で書くだけ。
まったくどうかしている。
今の新聞、テレビは完全に政府御用機関と化している。
自分たちも体制側だと勘違いしているのです。
メディアがこんな体たらくだから、日本は戦前のファッショ帝国にまっしぐら。それを海外メディアは相当、警戒しているのです」

 大新聞、テレビは報道機関の看板を下ろすべきだ。
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2013年11月14日

熱血!与良政談:もっとテレビも報道を「特定秘密保護法案」

熱血!与良政談:もっとテレビも報道を
与良正男 論説委員
「特定秘密保護法案」
毎日新聞 2013年11月13日 15時25分

 何でもかんでも「秘密」に指定し、それを未来永劫(えいごう)、保護する法案。

国会で審議が続く特定秘密保護法案を私は最近、テレビやラジオでこう呼んでいる。

それが決して大げさな言い方でないことは、みなさんにも理解をいただき始めていると思う。


 私たち報道に携わる者にとって深刻だというだけではない。
一般市民も巻き込まれる恐れが十分ある。


 よく挙げられる例を一つ。

居酒屋で官僚ら特定秘密の取扱者が特定秘密に関わる会話をしているのをたまたま聞いてしまったとする。

その事実が判明すれば漏らした官僚は恐らく逮捕。
聞いてしまった市民は逮捕されないかもしれないが、警察に事情聴取され、家宅捜索を受けて携帯電話やパソコンを押収される可能性がある。


 一方、万一起訴され裁判になった場合でも特定秘密は明らかにされない。自分がどの情報を聞いたのが罪になるのかさえ分からないのだ。


 秘密の分野が防衛や外交だけでなく「特定有害活動(スパイ活動など)の防止」に拡大したことで、警察当局が日ごろ、私たち市民に対して、どんな情報収集活動をしているのか、ますますチェックしにくくなるという問題もある。


 政府・与党は「日本は情報がダダ漏れで、これでは米国から防衛(=軍事)情報をもらえない」と説明する。

最近は米国の方がダダ漏れだと突っ込みたい気もするが、百歩譲って日本側に問題があるというなら、まずコンピューターなどのセキュリティーシステムの強化にお金をかけるのが先ではないか。

「米国の要請」を錦の御旗(みはた)にして警察当局などが便乗し、秘密の範囲拡大を図ろうとしているとしか私には思えない。


 私も出演したので少し手前みそになるが、TBS系「朝ズバッ!」では週初めの11日、自民党の中谷元氏、民主党の渡辺周氏らを交えてこの法案を特集した。
十分とはいえないが、少なくとも数々の問題点は浮き彫りになったと思っている。


 それにしても他の放送局はなぜ、とりわけ朝の番組であまり取り上げないのだろう。
重要性はないと考えているのか。
難しそうな話だから視聴率が上がらないと考えているのか。

新聞はもちろん、難しそうな話を分かりやすく解説するのがテレビの役割じゃないのか。

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2013年11月16日

社説:秘密保護法案を問う 報道の自由「配慮」では守れない

社説:秘密保護法案を問う 
報道の自由「配慮」では守れない
毎日新聞 2013年11月15日 東京朝刊

 報道の最大の使命は、国民の「知る権利」に応えることだ。

私たちが取材や報道の自由を訴える根拠も、そこに根ざしている。


 特定秘密保護法案の国会提出直前、「報道や取材の自由への十分な配慮」が条文に加わった。

だが、法案には、捜査当局による捜査手法に限定を加える規定はない。
強制捜査を含め、最終的には捜査側の判断次第なのだ。
「知る権利」を脅かす恐れが強いと指摘せざるを得ない。


 一つ例を挙げたい。
報道機関が特定秘密に指定された情報を入手し、国民に知らせるべきだと判断すれば、報道に踏み切るだろう。
その場合、取材源は明かせない。
取材源を守ることで、国民の信頼を得ることができ、自由な取材も可能になる。


 一方、捜査側はどう対応するか。家宅捜索で記者のパソコンや携帯電話を押収し、漏えいした公務員を割りだそうとする可能性が高い。

そうなれば、多くの取材先に迷惑が及ぶ。
記者や報道機関の信頼は地に落ちる。

たとえ刑事訴追の段階で、法案の配慮規定に従い記者が起訴されなくてもダメージは大きい。
取材先を守れなければ、その後の取材活動は続けられないかもしれない。


 報道機関に家宅捜索が入る可能性が今週の国会審議で取り上げられたが、政府答弁は一貫性に欠けた。

森雅子特定秘密保護法案担当相は当初、配慮規定を理由に「入ることはない」と述べたが、谷垣禎一法相や古屋圭司国家公安委員長は、捜索の可能性を否定しなかった。


 実は捜索をめぐる事件が2005年、ドイツで起きた。
国家秘密とされるテロリストの情報が月刊誌に掲載されたのだ。

ドイツの法律では、記者に証言拒絶権を認めている。
だが、捜索を禁じる規定はなく、当局は捜索を行った。
その是非が争われ、憲法裁判所は違憲と判断した。


 ドイツでは昨年、刑法や刑事訴訟法が改正され、秘密漏えいがあっても記者本来の仕事である情報の入手や公表ならば、刑事責任は問われず、取材源割り出しを目的とした捜索もできないことになった。


 一方、日本では取材源を秘匿するための記者の証言拒絶権や、差し押さえ禁止の規定が刑事法令にない。

そうした状況下で、「そそのかし」のようなあいまいな規定で罰せられる可能性がある。

森担当相は後に、「(取材が)著しく不当な方法と認められない限り、捜索は入らない」と述べたが、不当かどうか捜査当局が決める根っこは変わらない。
やはり法案は問題だ。

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2013年11月18日

消費税もNO アッキー夫人が首相を“痛烈批判”の波紋

消費税もNO アッキー夫人が
      首相を“痛烈批判”の波紋
2013年11月17日(日)
10時26分配信 日刊ゲンダイ

 口を封じられないか――と、首相周辺が困り果てている。
安倍首相(59)の昭恵夫人(51)が、公然と政権批判を始めているからだ

これまでも「私は家庭内野党」と公言していたが、どんどんヒートアップしているのだ。


 12日に行われた北海道新聞主催の講演会では、安倍首相の原発政策を、こう批判している。


〈自分の国の事故が収束していないのに、海外に売り込むことに対し、私は『どうなんだろうな』と思っている〉〈主人にも『いま、売り込むべきではない』と言っているが、聞いてもらえない〉


 さらに、消費税率アップについても、自分が始めた小料理屋の経営の厳しさを挙げて、

主人には『小さいところは大変なので消費税は上げないで下さい』と毎晩言っていた〉


 先月末には衆院議員会館で開かれたフォーラムに参加し、被災地に建設予定の巨大防潮堤について、
〈本当に造っていいのか、本当に美しい日本の復興なのか、考え直して欲しい〉と正面から否定しているのだ。

しかも、近くの居酒屋で行われたフォーラムの打ち上げでは、ボロボロと涙を流して挨拶したという。


 これまで官邸は、昭恵夫人の奔放な言動を「政権にとってマイナスじゃない」と放置してきた。


「首相のブレーキ役と国民には映り、むしろ安心感を与える」
「女房の自由勝手を許す寛大な夫に見える」と、なかば歓迎していた。

昭恵夫人が暴走しないようにと女性キャリア官僚2人をお目付け役としてつけている。
ところが、さすがに、ここにきて頭を抱えはじめているらしい。


「ただでさえ小泉元首相から“総理が決断すれば原発ゼロはできる”と名指しで批判され、安倍首相は困惑しています。

アッキーの発言と結びついて“脱原発”が盛り上がり、首相が批判のターゲットになったらたまらない。

心配なのは、どこまでアッキーをコントロールできるかです。

もともと、2人は仮面夫婦とみられている。
女性記者との女子会でアッキーは、〈夫には『私の存在が邪魔でしたら、どうぞ病院に入れて下さい』と言っているの〉と漏らしています。

要するに、邪魔だったら、いつでも離婚しますよ、ということ。
イザとなったら、夫が困ることを気にせず突っ走る恐れがある。
女性官僚2人のコントロールが利かなくなったときが怖い」(官邸事情通)


 安倍政権が崩壊するなら、昭恵夫人の暴走は大歓迎だ。


(日刊ゲンダイ2013年11月16日掲載)

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2013年11月19日

風知草:秘密との、つき合い方=山田孝男

風知草:秘密との、つき合い方=山田孝男
毎日新聞 2013年11月18日 東京朝刊

 敵に漏れれば国の安全が脅かされる情報を、国が秘密にするのは当然のことである。

国を守るため、情報漏れの処罰法を整えるという政府の意図が本質的に暗黒だとは思わない。


 政府が特定秘密保護法案の成立を急ぐ理由の一端は、第1次安倍内閣の2007年に起きたイージス艦情報漏れ事件にある。

出入国管理法違反容疑で神奈川県警に逮捕された中国人の女性(当時33歳)宅からイージス艦の構造図面、レーダーの捕捉距離など最高度の機密を含む外付けハードディスクが見つかった。


 イージス艦は強力なレーダーとミサイルで同時多発の敵襲を迎え撃つ高性能の護衛艦だ。
イージス(Aegis)はギリシャ神話に登場する神の盾。

米海軍にあっては空母の用心棒、海上自衛隊の6隻は日本のミサイル防衛の要である。


 その最高機密が中国へ流れた可能性が浮上、日米両国政府はあわてた。


 情報の流出元は横須賀基地でコンピューターのプログラム管理に携わる3等海佐だった。
先輩に当たる広島県江田島の術科学校(教育機関)教官が、アクセスする資格がないのに3佐に頼んで入手。

教官の部下が無断で大量コピーして仲間に配り、自慢した。
受け取った一人が中国人女性の夫の2等海曹だった。


 スパイ事件ではなく、中国政府に流れたわけではないが、漏らした3佐は逮捕され、懲役2年6月(執行猶予付き)が確定。
3佐を含む3人が懲戒免職という自衛隊史上最悪の情報漏れ事件になった。

イージス艦に守られながら、イージス艦の秘密保持には無頓着という日本の矛盾を、この事件は浮き彫りにした。


 3佐は日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法違反に問われた。
同法は自衛隊にのみ適用される。
仮に情報が経済産業省(ここも武器を扱う)から漏れても刑事責任は問えない。

 そもそも、法律と規則が整った自衛隊さえ、ゆるフン状態なのである。


 軍事情報史の労作「インテリジェンス」(12年ちくま学芸文庫、小谷賢著)によれば、アメリカも昔はゆるゆるだった。
東西冷戦で鍛えられた。

イギリスの007の伝統は、第一次大戦以来、ドイツとの確執を通じて培われたものである。
日本にも旧軍の伝統が残っていたが、1970年代を境に絶えた。


 これらの歴史を顧みることは時代錯誤だろうか。
イージス艦無用、日米安保無用、渡る地球に敵などいないと考える人々にとってはそうかもしれない。

 私はそうは思わない。
国際社会の波風はますます強く、しかもアメリカが警察官役から退いていく。日本の自立・自衛が問われている。
軍事は邪悪、秘密は暗黒という過度の思い込みを改める必要がある。


 秘密保護法案の最大の論点は、官僚が秘密を乱造し、闇へ葬るという不信だ。
その恐れは十分にある。
アメリカは秘密も多い(多過ぎて流出が続く)が、2500人を擁する国立公文書館の権限が大きく、管理が分権的だ。

日本の公文書館はわずか40人で、霞が関の抵抗を覆す力はない。


 秘密保護法案の問題は多いが、規制が緩いままではかえって社会の安全が脅かされる側面もある。


 日本で活動し、日本を観察した旧ソ連のスパイに警句がある。
「確かに民主主義は開放的な制度だが、民主主義そのものを損なうほど開放的であってはならないのだ−−」(「KGBの見た日本/レフチェンコ回想録」84年)

 味わうべきだと思う。(敬称略)
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(秘密保護法案)警察・公安情報は除外を 江川紹子氏

(秘密保護法案)
警察・公安情報は除外を 
ジャーナリスト 江川紹子氏
2013年11月18日18時29分 朝日デジタル

 警察や公安調査庁だけでも、特定秘密保護法案の対象から外すべきだ。

防衛省、外務省の秘密は大臣が責任を持つので、政権交代があれば顔ぶれは変わる。

だが、警察庁や公安調査庁の組織の長は官僚。永遠に組織優先の判断がなされる。


 共産党に対する盗聴事件など、警察や公安は違法な捜査も隠せるとなればやる。

私自身、オウムを取材していたときに、盗聴されたと感じることがあった。

五輪を控え、テロ防止が最大の目標になる。
多くの人を盗聴し、メールを盗み見るのではないか。
広く網をかけて絞り込むのが、彼らの手法だから。


 安倍政権を信頼して、恣意(しい)的な運用はないという人には、その人にとって最悪の政権ができたときにこの法律がどう機能するかと聞きたい。
法律はいったんできたら、どう使うかは権力者次第だ。


 中曽根政権の国家秘密法案のころは、戦争体験者がたくさんいて、戦争のにおいがするものに敏感に反応した。

新聞はこぞって批判し、私も神奈川新聞で連載した。
いまはその動きが弱まっている。メディアも動きが遅かった。
論調が違っても共闘できる部分はあるはずだ。


 報道に関して言えば、「出版または報道の業務に従事する者」の取材の自由を保障するとは言っている。
私のように継続的に活動しているフリーランスも報道に従事する者と認定されるようだ。

じゃあ、新人は。ライター志望者が、他の仕事で生計をたてながら潜入ルポをしたら処罰の対象になるのか。
ブログやフェイスブックで情報発信する人もいる。
いまの時代にそぐわない。


 いまの状況で廃案にするのは難しい。
各種世論調査では反対が多数派だが、政権は、これで世論を押し切っても影響はないと思っているだろう。
では、警察も公安調査庁も機密の対象になるような最悪の事態を避けるためにどうするか、という現実路線も必要。
あきらめたら終わり。より悪さを少なくするのも大事だ。
      (聞き手・古田大輔、林幹益)

     ◇

 えがわ・しょうこ
 1958年生まれ。ジャーナリスト。
新聞社勤務を経てフリーに。
坂本弁護士事件などオウム真理教問題の取材で菊池寛賞を受賞。
冤罪(えんざい)問題にも詳しい。

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2013年11月22日

特定秘密保護法案 捜査が暴走し始める

特定秘密保護法案
     捜査が暴走し始める
2013年11月21日 東京新聞「社説」

 普通に生活する町のクリーニング業者が、まさかスパイであるはずがない。でも、米軍の機密情報を入手したとして起訴され、有罪判決を受けるという、信じ難い出来事が過去にあった。


 米海軍の横須賀基地(神奈川)に所属する軍艦の乗組員を相手に商売をしていただけだ。
クリーニング店の支配人は、営業上の必要から、基地に勤務する軍人を料理店でもてなしたりした。
そして、基地に出入りする軍艦の入港予定日や時間などを記したペーパーをもらっていた。


 これが米海軍の機密にあたるとされた。
「不当な方法で、探知し、または収集した」とし、一九五七年に横浜地裁は、懲役八月執行猶予二年の判決を出したのだ。
罪名は日米地位協定に伴う刑事特別法違反である。


 安全保障条約に基づく法律で、機密漏えいばかりでなく、探知も陰謀、教唆、扇動も処罰する。

最高刑は懲役十年である。
陰謀は共謀と同じだ。
骨格が今回の法案とそっくりなのだ。
もてなしも「不当な方法」と認定された。


 特定秘密保護法案は防衛や外交、特定有害活動やテロリズムの防止−の四つの分野を対象にしている。
しかも、「その他の活動」や「その他の重要な情報」など、「その他」の言葉が、三十六回も散乱する。

いかなる解釈もできるよう、官僚が意図して曖昧に書いているのではないだろうか。


 社会の幅広い場面で法律が適用される懸念は大きい。
しかも、何が秘密であるかも秘密にされる。
必然的に、どこまで処罰の範囲が広がっているのか、国民には全く手掛かりがつかめない。


 民間人が秘密に近づく事前行為さえ処罰する。
「話し合い」は共謀であり、「呼び掛け」は扇動となる。

近代刑法は犯罪の実行を要するのに、その前段階で取り締まることが可能なのだ。


 刑事裁判の場合も、秘密は公開されないはずだ。
「外形立証」という、秘密指定の理由や手続きなどの審理だけで、「実質的に秘密に値する」と認める手法だ。


 被告人は内容を知らないまま罪に問われる。
無実の証明は困難になるだろう。
「裁判の適正手続きを侵害する」などと、刑事法学者らも反対の声をあげている。

 捜査当局は新たな“武器”を得るのに等しく、どんな運用をするかもわからない。
歯止めのない法律は、やがて暴走し始める。 
       (論説委員・桐山桂一)

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2013年11月23日

〈秘密保護法案〉落合恵子さん:私たち一人ひとりの問題 

〈秘密保護法案〉落合恵子さん
 私たち一人ひとりの問題 
2013年11月21日22時39分 朝日デジタル

 ■作家・落合恵子さん


 3・11後、脱原発運動を続けてきました。
1986年にチェルノブイリ原発事故が起きてささやかな勉強会を開きましたが、長続きしなかった。
そのことへの反省があります。


 いま、同じ思いで特定秘密保護法案の反対を訴えています。

法律ができて言論が弾圧された戦前のような取り返しのつかない状況を迎えた時、どうしてもっと力を尽くさなかったのかと悔いたくはないからです。


 この法案について、近所の人から「(処罰される対象になる)公務員じゃないから大丈夫」と言われたことがあります。
そうでしょうか。

私たちは、東京電力福島第一原発事故で情報の隠蔽(いんぺい)をさんざん経験し、今も味わっています。


 テロ対策を名目に原発に関する情報はますます出なくなると思います。

秘密が広がり、大切な情報が市民に届かなくなる。
そうなれば、一人ひとりが多様で正確な情報に基づき判断するという民主主義の基礎が壊れてしまう。
私たち一人ひとりの問題なのです。


 歴史を振り返れば、いつの時代でも世界のどこでも権力は情報を隠します。
政府が情報をどれだけ開示するかが民主主義の成熟度を示すものですが、日本の情報公開は米国などに比べはるかに遅れています。

政治が取り組むべきは、秘密保護ではなく情報公開です。

 法案の修正ではなく、廃案しかありません。
     ◇

 秘密が増えて私たちの身の回りが息苦しくならないか。
暮らしにはどんな影響が出るのか。
国会での審議が大詰めを迎えている特定秘密保護法案に反対する動きが広まっている。

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藤原紀香だけじゃない! 超美人アナも「秘密保護法」に反対

藤原紀香だけじゃない!
超美人アナも「秘密保護法」に反対
2013年11月22日 日刊ゲンダイ掲載

 女優の藤原紀香がブログで特定秘密保護法案に反対して話題をまいたが、それに続く美人女子アナが現れた。
NHKなどで活躍したフリーアナウンサーの安田真理氏(35)で、今月15、16日、〈「特定秘密保護法案!?」と「西山太吉さん!!」〉と銘打った文章をアップ。
法案に疑問を投げかけた。

 さっそく、安田さんに話を聞いてみると――。

「16日に沖縄密約を暴いた元毎日新聞記者の西山太吉さんの講演を聞きました。
『外務省は密約文書を破棄し、今でも“密約はなかった”と嘘をついている』『秘密保護法案が成立すると、こうした政治犯罪がまかり通る』などと語られ、最後に『(政府を)底辺から突き上げて欲しい』と訴えられました。

まさに私たちが底辺で、何もしない日本人だったのだろうと思い知らされたんです」

 安田さんは鳥越俊太郎氏らが呼びかけたジャーナリストらの反対決起集会にも参加した。

「秘密保護法案について、もっと詳しく知る必要があると思いました。

本当に、スパイ行為などから自国を守るものなのか、それとも、国民を戦争に駆り立てるものなのか。
この法律の下、自分の夫や息子が戦争に駆り出されることになった時に『こんなはずじゃなかった!』と言っても遅いわけですから」

 先日は日経新聞が主催した「日米同盟」をテーマにしたシンポジウムにも参加した。

「日米同盟を強化して日本も武力武装する、自国を守るためには戦争も仕方がないのだという流れを強く感じました。
戦前の軍国主義が復活するような気がして、怖いですね

 キー局のアナウンサーも声を上げるべきだろう。
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2013年11月24日

秘密保護法案―これで採決などできぬ

秘密保護法案―これで採決などできぬ
2013年 11月 23 日(土)付 朝日新聞「社説」

 特定秘密保護法案は、表現の自由という基本的人権にかかわる法案だ。たった2週間あまりの審議ですませるなど、とうてい認められない。


 自民、公明両党と修正案で合意した日本維新の会も含め、野党側は、与党が求める26日の衆院通過に反対している。当然である。


 仮に、採決を1日や2日延ばしたところですむ話ではない。
さらに時間をかけた徹底審議が必要だ。


 与党と維新、みんなの党の4党修正案には、あまりに不可解な点が多い。


 特定秘密の指定期間について、与党は「原則30年」といっていたのが、いつの間にか実質的に60年に延びてしまった。
しかも、60年を超えられる幅広い例外が認められている。


 また、法施行から5年の間に秘密指定をしなかった役所には指定権限をなくすという。
秘密指定ができる役所を絞るためだというが、これでは逆に多くの役所に秘密づくりを奨励するようなものではないか。


 こんな矛盾や疑問を4党はどう説明し、政府はどう運用しようとしているのか。
一つひとつ明らかにしていくだけでも、相当の時間がかかる。


 加えて、民主党が独自の対案を5本も出しているのだ。
時間をかけるのは当たり前だ。


 審議入りから約10日後の民主の対案提出に、与党は「遅すぎる」と批判する。
だが、審議にたえる法案をつくるには時間がかかる。
この批判こそ、与党の性急さをかえって浮き彫りにしているのではないか。


 与党が各党と修正協議をしている間、特別委員会での審議は、たるみ切っていた。


 与党側には空席が目立ち、野党の質問に森雅子担当相は「修正協議の内容にかかわるので控える」と繰り返す。
議場での質疑より密室での取引のほうが大事だと言わんばかりである。


 こんな茶番が続く一方、国会の外ではこの法案に反対する声が強まっている。


 東京・日比谷でおととい開かれた集会には、主催者発表で約1万人が集まり、法案への反対を訴えた。
同様の集会は、大阪、名古屋でもあった。


 この法案が単に取材をめぐる政府と報道機関の関係にとどまらず、市民社会にも大きく影響する問題をはらんでいるとの認識が広まっている表れだ。


 衆院特別委は来週、福島市で公聴会を予定している。
これだけに終わらせず、中央公聴会も開いて一人でも多くの国民の声を聴くべきだ。

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2013年11月25日

政権による社会的抹殺を助長する特定秘密保護法

高橋乗宣の日本経済一歩先の真相
政権による社会的抹殺を助長する
特定秘密保護法
2013年11月22日 日刊ゲンダイ掲載

都合が悪ければ口封じ

 参院選の争点にもならなかった特定秘密保護法案が、ロクな審議もされないまま成立しそうだ。

この間、多くの国民はアベノミクスの打ち上げ花火に目を奪われていた。

改憲をめぐり、「知らないうちに変わっていたナチスの手法を見習えばいい」と強調したのは麻生副総理。
国民に騒がれないよう静かに進めればいいとの主張だったが、この法案をめぐる動きを見ていると、ナチスのやり方を実践しているようだ。

 メディアでは、「国民の知る権利が損なわれる」といった警戒感が目立つ。それも確かだろう。

法案には、「その他」という表現が36回も出てくるそうだ。

合法的に隠される秘密は無限に広がる恐れが強い
「テロに狙われている」と規定すれば、福島原発の情報も「特定秘密」になる。
「高濃度の放射性物質が漏れている」と公表すれば、懲役を食らうわけだ。知る権利など、お題目に過ぎなくなる。

 それよりも恐いのは、政府に都合の悪い意見を言う人たちが、社会的に抹殺される恐れがあることだ。

 10年以上前、ある経済の専門家が突然メディアに出なくなった。
犯罪を犯したわけでもなければ、自ら引退を決めたわけでもない。
活躍の場を与えられなくなったのだ。
通信社や商工会議所が主催する講演にもお呼びがかからなくなった。
その結果、表舞台からパッタリと消えたのである。

 その人物は、政権を批判するスタンスを取っていた。
どうやらそれが、ときの政権にとって都合が悪いとなったらしい。

 なんでも陰謀で片づけようとするのは好きではないが、知り合いの役人によると、日本には政権批判する勢力をパージする仕組みがあるという
歯に衣着せぬ物言いが目障りになり、活躍の場を奪われた可能性が高いようだ。

 こうした下地がある中で、特定秘密保護法が施行されればどうなるか。
特定秘密によって、勝手に「テロに関わっている」と判断されれば、家族や友人まで監視される。
最終的に地位を失うこともあるだろう。

それによって不利益を被ったとしても、名誉を回復する方法はない。
裁判を起こしたところで、政府が何をやったかは秘密にされるのだ。
60年後に、そうした事実が明らかになったところで、失われた時間を取り戻すことができるわけではない。

 このままでは、自らの考えに基づいて表現したり主張したりして生きていくという民主主義の原点が失われるだろう。
【高橋乗宣】
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2013年11月26日

秘密保護法案を問う ツワネ原則

秘密保護法案を問う ツワネ原則
毎日新聞「社説」 2013年11月25日 02時35分

◇世界の流れも知ろう

 国家機密の保護をめぐる規定は各国さまざまだが、一つの指針として今年6月にまとまった50項目の「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」が注目されている。

国連関係者を含む70カ国以上の専門家500人以上が携わり、2年以上かけて作成された。
発表の場が南アフリカの首都プレトリア近郊ツワネ地区だったため「ツワネ原則」と呼ばれる。

人権問題などを協議する欧州評議会の議員会議が10月、この原則を支持する決議を採択した。


 ツワネ原則は、国家機密の必要性を認めながらも、国が持つ情報の公開原則とのバランスに配慮すべきだと勧告している。

公開の規制対象は国防計画、兵器開発、情報機関の作戦や情報源などに限定し、
(1)国際人権・人道法に反する情報は秘密にしてはならない
(2)秘密指定の期限や公開請求手続きを定める
(3)すべての情報にアクセスできる独立監視機関を置く
(4)情報開示による公益が秘密保持による公益を上回る場合には内部告発者は保護される
(5)メディアなど非公務員は処罰の対象外とする−−などを盛り込んだ。


 また、情報を秘密にする正当性を証明するのは政府の責務であり、秘密を漏らした公務員を行政処分にとどめず刑事訴追できるのは、情報が公になったことが国の安全に「現実的で特定できる重大な損害」を引き起こす危険性が大きい場合に限るとしている。


 日本の特定秘密保護法案をめぐる審議に、この新しい国際的議論の成果は反映されていない。


 法案の狙いである違反者への厳罰化も疑問だ。

欧米では敵国に国家機密を渡すスパイ行為は厳罰だが、これに該当しない秘密漏えいの最高刑は英国が禁錮2年、ドイツが同5年までだ。

日本の法案と同じ最高懲役10年の米国は、欧州諸国と比べて厳しすぎるとの指摘がある。


 欧米は近年、むしろ情報公開を重視する方向に進んでいる

米国では2010年、機密指定の有効性を厳格に評価する体制作りなどを定めた「過剰機密削減法」が成立した。
秘密情報が増えすぎて処理能力を超えたことが逆に漏えいリスクを高めているという反省もある。

また英国では3年前、秘密情報公開までの期間が30年から20年に短縮され、議会監視委員会の権限が今年から強化された。

こうした世界の流れから日本は大きくはずれている。

審議中の法案は廃案とし、国家機密保持と情報公開の公益性のバランスについて十分な議論を尽くすべきだ。

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2013年11月27日

秘密保護法案 不十分な審議、強引な採決は許されぬ

秘密保護法案 
不十分な審議、強引な採決は許されぬ
毎日新聞「社説」 2013年11月26日 02時30分

 政府・与党は、特定秘密保護法案について、みんなの党や日本維新の会との修正協議がまとまったことを受け、26日にも衆院通過を図る可能性がある。緊迫した状況だ

 だが、法案の審議はまだ尽くされていない。
ましてや、修正協議は密室で行われており、国会で十分に議論されたわけではない。


 国民の「知る権利」など、憲法上要請される大切な権利を侵害する恐れのある法案だ。

徹底的に国会で審議を重ねるのは、国民の代表者としての国会議員の責務だ。会期末の近い今国会での成立に突っ走り、強引に採決するのは到底許されない。


 25日に福島市で開かれた衆院特別委員会公聴会では、地元の首長や学識者、弁護士ら7人が意見を述べた。

萎縮効果で情報が流れなくなることや、国民に必要な情報が隠されることへの懸念が示され、「まず情報公開を進める法制を」との声も強かった。
今国会成立への賛成はなく、大半の人が廃案か慎重審議を求めた。


 東京電力福島第1原発事故の際、放射能の影響を予測するSPEEDIが当初非公開だったため、地元住民は避難の方向を誤った。

テロ活動防止の観点から、原発の警備実施状況も特定秘密に指定される可能性が大きい。
それ以外の原発情報も隠されはしないか。
そういった福島の人たちの心配は、もっともだ。


 公聴会の意見を重く受け止めれば、審議に時間をかけるしか道はない。
そうでなければ、意見を聞く場をアリバイ的に設けただけだと批判されてもやむを得ない。

 法案がやっと国民に浸透し始め、反対や疑問の声がじわじわと広がりつつある。
21日夜、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂で開かれた反対集会には、主催者発表で約1万人が参加した。
入りきれなかった多くの人が音楽堂を取り囲んだ。

年配の人が目立った。
軍事秘密を守るために過酷な取り締まりをした軍機保護法や治安維持法など戦前戦中の法制と、特定秘密保護法案を重ね合わせる人は少なくない。杞憂(きゆう)というのならば、政府は、もっと丁寧に説明すべきだ。


 ジャーナリストや弁護士会だけではない。NGOや市民団体、学者、作家など、反対の意見表明は日を追うごとに増えている。

世界100カ国以上の作家やジャーナリストで作る「国際ペン」も、「政治家と官僚が、市民の情報と言論の自由を弱体化させようとしている」と、異例の声明を出した。

他の地方や中央での公聴会も開き、謙虚に国民の声を聞くべきだ。

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秘密保護法案 採決強行 秘密 政権意のままに

秘密保護法案 採決強行 
         
秘密 政権意のままに
2013年11月27日 07時07分  東京新聞

 特定秘密保護法案は二十六日夜の衆院本会議で、自民、公明の与党とみんなの党の賛成多数で可決、参院に送付された。

法案は国民の「知る権利」を侵す恐れがあり、違反すれば重い罰則を科される。
法曹界や言論界には廃案を求める声が大きかったが、与党は根幹部分を変えることなく、採決の強行という手段で衆院を通過させた。

法案がこのまま成立すれば、政権が意のままに秘密を指定し、国民に都合の悪い情報を隠せるようになる。


 採決では、民主、共産、生活、社民の四党が反対した。

日本維新の会は与党と修正合意したが、審議が不十分だとして棄権した。

法案への反対を表明していた自民党の村上誠一郎氏は退席。

みんなの党では江田憲司前幹事長が退席し、井出庸生(ようせい)、林宙紀(ひろき)両氏が反対した。


 本会議に先立ち、与党は午前の衆院国家安全保障特別委員会で、質疑を打ち切る緊急動議を提出して採決を強行。

与党とみんなの党の賛成で可決した。
みんなを除く野党は反発。

民主、維新、共産、生活、社民五党の国対委員長が伊吹文明議長に本会議を開かないよう要請するなど抵抗したが、最終的に与党が押し切り、議院運営委員会で本会議開催を決めた。


 本会議の討論では、反対の会派が法案の問題点を追及し、

生活の玉城デニー氏は「国が扱う情報は国民の財産で、公開されるべきだ。
厳罰規定もあり『知る権利』を著しく侵害する」と主張。

共産党の赤嶺政賢氏は「政府によって秘密が勝手に決められ、国民には何が秘密かも知らされない」と批判した。


 法案の衆院通過を受け、参院議院運営委員会は夜の理事会で、二十七日の本会議で趣旨説明と質疑を行うことを与党などの賛成多数で決めた。

(東京新聞)
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2013年11月28日

秘密保護法案衆院通過 民主主義の土台壊すな

秘密保護法案衆院通過 
     民主主義の土台壊すな
毎日新聞「社説」 2013年11月27日 02時30分

 あぜんとする強行劇だった。

 衆院国家安全保障特別委員会で特定秘密保護法案が採決された場に安倍晋三首相の姿はなかった。

首相がいる場で強行する姿を国民に見せてはまずいを与党が選んだという。


 与党すら胸を張れない衆院通過だったのではないか。
採決前日、福島市で行った地方公聴会は、廃案や慎重審議を求める声ばかりだった。
だが、福島第1原発事故の被災地の切実な声は届かなかった。


 審議入りからわずか20日目。
秘密の範囲があいまいなままで、国会や司法のチェックも及ばない。
情報公開のルールは後回しだ。


 国民が国政について自由に情報を得ることは、民主主義社会の基本だ。
法案が成立すれば萎縮によって情報が流れなくなる恐れが強い。
審議が尽くされたどころか、むしろ法案の欠陥が明らかになりつつある。


 この法案について首相はさきの参院選で国民に十分説明せず、今国会の所信表明演説でも触れなかった。

ところが今、成立ありきの強硬路線をひた走っている。
衆参のねじれ状態が解消して4カ月での与党のおごりである。


 一部野党が安易な合意に走ったことも消せぬ汚点だ。

日本維新の会、みんなの党両党との修正合意は法案の根幹を何ら変えていない。
維新の会と「検討する」と合意した秘密指定の妥当性を判断する第三者機関の設置も確約されたとは言えない。


 秘密指定の最長期間が60年となるなど、改悪となりかねない部分すらある。
これではまるで与党の補完勢力ではないか。


 衆院は通過したが、法案の必要性を改めて吟味する必要がある。


 国の安全が脅かされるような情報を国が一定期間、秘密にするのは理解できる。


 情報漏えいを禁じる法律は、国家公務員法、自衛隊法、日米相互防衛援助協定(MDA)秘密保護法があり、懲役の最高刑はそれぞれ1年、5年、10年だ。
一方、政府は、過去15年で公務員による主要な情報漏えい事件が5件あったとの認識を示した。
この三つの法律の枠内で、起訴猶予になったり、最高刑を大幅に下回る刑の言い渡しを受けたりしている。


 現行法の枠内で、情報が漏えいしないような情報管理のシステムを各行政機関内で構築して規律を守ることが先決だ。


 法案では、防衛・外交情報のほか、テロ活動防止などの名目の公安情報も特定秘密の対象となる。
監視活動が中心の公安捜査は、国民の人権を制約する。


 情報を知ろうとする国民が処罰されるような強い副作用を覚悟の上で、新たな法律を今作る必要が本当にあるのか。


 「知る権利」に対する十分な保障がなく、秘密をチェックする仕組みが確立されていないなど問題点や疑問はふくらむばかりだ。

参院では一度立ち止まり、この法案の問題点を徹底的に議論した上で危うさを国民に示すべきだ。


 民主主義の土台を壊すようなこの法案の成立には反対する。

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2013年11月29日

参院審議入り 賛成政党も「拙速」懸念

参院審議入り
 
賛成政党も「拙速」懸念
2013年11月28日 東京新聞朝刊

 

国民の「知る権利」が侵害される恐れのある特定秘密保護法案は二十七日、参院本会議で審議入りした。

質疑では、与党の自民、公明両党と衆院で賛成したみんなの党の議員が法案への懸念を示し、慎重な審議を求めた。

会期が残り十日に満たない今国会での成立にこだわる政府・与党の異常さを「身内」が批判したものだ。

だが、与党は二十七日、参院国家安全保障特別委員会での審議入りを職権で決定。国会での発言と国会運営がかけ離れる「言行不一致」となった。 (金杉貴雄)


 「成立ありきの拙速な審議とのあらぬそしりを受けぬよう国会論戦をお願いする」

 「国民にいまだ不安や懸念があることを、政府は真摯(しんし)に受け止めなければいけない。
法案が不可欠な理由を説明しきれていない」


 参院で最初に質問に立った自民党の宇都隆史氏は苦言を呈した。
与党自身が多くの野党と合意のないまま衆院で採決し、参院で審議入りさせた姿勢と矛盾するが、国会周辺で法案反対のデモが連日続き、衆院で採決を強行したことへ批判が高まっていることを意識した発言だ。


 宇都氏は法案の必要性を主張する一方で、問題点も指摘。
「政府に都合の悪い情報を恣意(しい)的に指定し、隠蔽(いんぺい)を図る行為は漏えいと同様に罪が重い」と、政府が不正に秘密を指定することへの罰則を設けるよう求めた。


 公明党の矢倉克夫氏も「特定秘密の定義は主観的基準が多い」「過失での漏えいまで処罰される」と法案を批判した。


 みんなの党の真山勇一氏は、衆院での採決強行を「(議論に)水を差した」とし「国民は不安を抱いている。急がず審議を」と慎重審議を求めた。
党内には、十分な成果を得ぬまま与党と修正合意したことに不満を持つ参院議員も少なくない。


 こうした発言は、衆院で可決された法案にこだわらず、参院が「良識の府」として熟議を尽くすべきだと訴えているようにも聞こえる。

だが、政府・与党は民主党など野党との合意を得ずに、強引に特別委での審議を進めようとしている。

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2013年11月30日

陸自、独断で海外情報活動/首相や防衛相に知らせず/文民統制を逸脱/民主国家の根幹脅かす

陸自、独断で海外情報活動
      首相や防衛相に知らせず
文民統制を逸脱
       民主国家の根幹脅かす

共同通信47ニュース 2013/11/28 14:30

 陸上自衛隊の秘密情報部隊「陸上幕僚監部運用支援・情報部別班」(別班)が、冷戦時代から首相や防衛相(防衛庁長官)に知らせず、独断でロシア、中国、韓国、東欧などに拠点を設け、身分を偽装した自衛官に情報活動をさせてきたことが27日、分かった。


 陸上幕僚長経験者、防衛省情報本部長経験者ら複数の関係者が共同通信の取材に証言した。


 
自衛隊最高指揮官の首相や防衛相の指揮、監督を受けず、国会のチェックもなく武力組織である自衛隊が海外で活動するのは、文民統制(シビリアンコントロール)を逸脱する。


 衆院を通過した特定秘密保護法案が成立すれば、自衛隊の広範な情報が秘密指定され、国会や国民の監視がさらに困難になるのは必至だ。


 陸幕長経験者の一人は別班の存在を認めた上で、海外での情報活動について「万が一の事態が発生した時、責任を問われないように(詳しく)聞かなかった」と説明。

情報本部長経験者は「首相、防衛相は別班の存在さえ知らない」と述べた。


 防衛省と陸自はこれまで別班の存在を認めておらず、 小野寺五典防衛相は27日夜、「陸幕長に過去と今、そのような機関があるのかという確認をしたが、ないという話があった」と述べた。


 関係者の話を総合すると、別班は「DIT」(防衛情報チームの略)とも呼ばれ、数十人いるメンバー全員が陸自小平学校の「心理戦防護課程」の修了者。
同課程は諜報(ちょうほう)、防諜活動を教育、訓練した旧陸軍中野学校の後継とされる。


 別班の海外展開は冷戦時代に始まり、主に旧ソ連、中国、北朝鮮に関する情報収集を目的に、国や都市を変えながら常時3カ所程度の拠点を維持。
最近はロシア、韓国、ポーランドなどで活動しているという。


 別班員を海外に派遣する際には自衛官の籍を抹消し、他省庁の職員に身分を変えることもあるという。


現地では日本商社の支店などを装い、社員になりすました別班員が協力者を使って軍事、政治、治安情報を収集。
出所を明示せずに陸幕長と情報本部長に情報を上げる仕組みが整っている。
身分偽装までする海外情報活動に法的根拠はなく、資金の予算上の処理などもはっきりしない。


 冷戦時代の別班発足当初は米陸軍の指揮下で活動したとされる。

陸幕運用支援・情報部長の直轄となった現在でも「米軍と密接な関係がある」と指摘する関係者は多い。
    (共同通信編集委員 石井暁)


 【解説】 
陸上自衛隊の秘密情報部隊「別班」が独断で行ってきた海外活動は、
政府や国会が武力組織を統制して暴走を防ぐ文民統制(シビリアンコントロール)を無視するもので、民主主義国家の根幹を脅かす。


 これまで元別班員らが出版などを通じ、冷戦時代の活動の一端を語ったことはあるが、防衛省と陸自は別班の存在すら認めてこなかった。


 今回、陸自トップの陸上幕僚長経験者と、防衛省で軍事情報の収集や分析を統括する情報本部長経験者らが別班の存在を認め、海外展開を初めて明らかにした。


 万が一発覚した場合に備え、陸幕長にも海外の展開先や具体的な活動内容をあえて知らせず、自衛官の身分を離れて民間人などを装った佐官級幹部が現地で指揮する。


 
首相や防衛相が関知しないまま活動する不健全さはインテリジェンス(情報活動)の隠密性とは全く異質で、「国家のためには国民も欺く」という考えがあるとすれば本末転倒も甚だしい。


 関東軍の例を挙げるまでもなく、政治のコントロールを受けず、組織の指揮命令系統から外れた部隊の独走は、国の外交や安全保障を損なう恐れがあり、極めて危うい。


 日米同盟を強化し、機微な情報を共有するには秘密保全が必要だとする政府は、国家安全保障会議(日本版NSC)発足と特定秘密保護法案の成立を急いでおり、その先に米中央情報局(CIA)のような対外情報機関の新設も見据えている。


 
だが、特定秘密保護法案は恣意(しい)的な運用の歯止めがなく、別班のような「不都合な存在」は歴史的経緯も含め、永久に闇に葬られる懸念がある。


 別班に目をつぶったまま、秘密保全や対外情報活動の強化を進めるのは公明正大さを欠く。

政府と国会は別班の実態を徹底的に調べて国民に明らかにし、民主国家の基本原理である文民統制の機能回復を図る責任がある。

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(記者有論)自衛隊と秘密 「言ったら懲役」の深刻さ 園田耕司

(記者有論)自衛隊と秘密 
「言ったら懲役」の深刻さ 園田耕司
2013年11月30日05時00分 朝日デジタル

 特定秘密保護法案の審議を見ると、防衛省担当記者として「秘密」の実態が知られていない、と懸念を覚える。


 「そんなこと言ったら懲役を食らっちゃうんですよ! 言えるわけないじゃないですか!」。

電話の向こうから、いつもは温厚な取材相手に、激高した口調でまくし立てられたことがあった。


 今年6月、北朝鮮の弾道ミサイル発射に備えた破壊措置命令の解除をめぐる自衛隊関係者とのやりとりだ。

正当な取材であっても、これを話すと処罰されると、取材相手本人が伝えてきたのだった。
私は初めて問題の深刻さに気付いた。


 この破壊措置命令をめぐる政府の対応は奇妙だった。
過去3回は公表しているのに、「手の内を明かすことはない」(菅義偉官房長官)として命令の発出を一切認めなかった。

防衛省がある東京・市谷のグラウンドには迎撃のためのPAC3部隊が大々的に展開し、本紙を含め、メディアが破壊措置命令が出ていると報じているのに……。

 取材相手を激高させた理由は、破壊措置命令そのものが防衛秘密に次ぐレベルの秘密事項「省秘」に指定されていたからだった。

これが秘密指定されているということを教えるのも秘密漏洩(ろうえい)で、懲役1年以下の罰則がある。

命令の存在が秘密だから、解除時期も含めて秘密。
秘密が新たな秘密を生み、この話題になると関係者は口をつぐむ。
小野寺五典防衛相は「(命令は)あったかなかったかは公にしない」と言う。


 国会で野党が質問しても、安倍晋三首相は「言わない方がいい」と説明を拒む。
解除後も政府の判断や対応が適切だったか議論すら出来ない。
これが秘密の実態だ。


 特定秘密保護法が成立すれば、防衛省が抱える多くの秘密事項が「特定秘密」へ移行する。

法案には将来の情報開示が盛り込まれているが、「政令で定める重要な情報」を例外扱いとしており、開示される保証はない。
なぜ秘密指定したのか、政権に説明責任はなく、外部が妥当性をチェックすることも不可能だ。


 特定秘密漏洩の罰則は懲役10年以下。
「通常の取材行為は処罰対象とならない」(森雅子・同法案担当相)と言われても、取材相手の身の安全が保障されなけば取材そのものが成立せず、国民に事実を伝えることはできない

防衛省の取り組みが他省庁に広がれば、官僚らに与える心理的な萎縮効果は絶大だろう。

 (そのだこうじ 政治部)
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2013年12月02日

反対コールを「テロ」呼ばわり:自民・石破幹事長ブログで暴言

反対コールを「テロ」呼ばわり
自民・石破幹事長ブログで暴言
2013年12月1日(日) しんぶん赤旗


 自民党の石破茂幹事長が、秘密保護法案に反対する国民を“テロリスト”呼ばわりしていることが明らかになりました。


 石破氏は29日、自らのブログで
「今も議員会館の外では『特定機密保護法絶対阻止!』を叫ぶ大音量」「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」と書いています。


 秘密保護法案反対の行動が広がり、国会周辺でも連日とりくまれています。
こうした高まる国民の声を「大音量」「絶叫戦術」「テロ行為」としか受けとめない石破氏。


 「『知らせない義務』は『知る権利』に優先する」(『中央公論』2012年8月号)と公言してきた石破氏は秘密保護法制定の旗振り役で、自衛隊を「国防軍」にせよと主張しています。


 今年4月には、テレビ番組で「出動命令に従わなければ(軍法会議で)死刑、無期懲役、懲役300年」と発言。憲法改悪へ暴言を繰り返しています。

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2013年12月03日

秘密保護法案は知る権利へのテロ 国会周辺、市民ら反対集会で結集

秘密保護法案は知る権利へのテロ
    国会周辺、市民ら反対集会で結集
2013/12/02 20:55 【共同通信】

 特定秘密保護法案に反対する集会やイベントが2日、国会周辺で相次いで行われた。
法案こそが『知る権利』へのテロだ」。

石破茂自民党幹事長が反対運動をめぐり「絶叫戦術はテロ行為と変わらない」とブログにいったん記載したことへの批判の声も次々に上がった。


 東京・永田町の参院議員会館前では、「国会前キャンドル行動」が実施され、多くの市民らが集まった。

「秘密保護法反対」「知る権利を侵害するな」とシュプレヒコールを上げた。

衆院第1議員会館では、作家の落合恵子さんらが女性たちの反対集会を開いた。

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「テロ」と石破氏 デモの重み感じぬ鈍さ

「テロ」と石破氏 デモの重み感じぬ鈍さ
2013年12月3日 東京新聞「社説」

 デモ活動がテロ行為であろうはずがない。
デモは有権者による意思表示の重要な手段で、憲法も表現の自由を保障する。
デモの持つ重みを理解していないのなら、あまりにも鈍感で、政治家失格だ。


 政権与党の幹部が、国会周辺で繰り広げられているデモ活動をどのように見ているのか、本音がよくうかがえる発言ではある。


 自民党の石破茂幹事長が自身のブログに、デモ活動を「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思う」と記した。


 その後、「党の責任者として、行き届かなかった点があったことをおわび申し上げる」と陳謝。
テロ部分の表現を「本来あるべき民主主義の手法とは異なるように思う」と修正したが、デモ活動を批判する姿勢は変えなかった。


 国会周辺のデモは「国会議事堂・外国公館等周辺地域の静穏保持法」や東京都の集会条例で規制されている。
デモが憲法でその自由が認められた活動とはいえ、法治国家である以上、法律や条例を順守して行われるのは当然だ。


 そう考えると、特定秘密保護法案や原発再稼働に反対するデモ活動が、警備の厳重な国会周辺で今も行われているのは、法律や条例に違反していないからだろう。
ベテラン政治家なら、その程度のことはご存じのはずではないのか。


 有権者にとって政治家や政策を選択する最大の機会は選挙だが、白紙委任をしたわけではない。

政治が自分たちの思いと違う方向に進もうとしているのなら、声を上げるのは当然だ。


 石破氏は、デモ活動が民主主義社会で果たす役割をどこまで理解しているのか。
政権与党の幹部なら、自らの政策への痛烈な批判と受け取るべきでなかったのか。


 石破氏の記述を見過ごせないのは、安倍内閣が国民の声に耳をふさぎ、特定秘密保護法案の成立を強行しようとしているからだ。


 この法案はテロの定義があいまいで、「主義主張に基づき、国家もしくは他人にこれを強要」する行為も、テロに該当するかのように読めてしまう。


 正当なはずのデモ活動が「主義主張を強要した」としてテロに認定され、取り締まりの対象になってしまうとしたら、そんな国家が民主主義体制と言えるのか。


 石破氏はデモに対する誤った認識を撤回し、自ら責任を明らかにすべきだ。

種々の懸念が指摘されるこの法案が、廃案とすべき悪法であることは、言うまでもない。

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秘密保護法案:参考人全員が懸念 石破氏発言に批判も

秘密保護法案:
参考人全員が懸念
 石破氏発言に批判も
毎日新聞 2013年12月03日 
12時51分(最終更新 13時33分)

  参院国家安全保障特別委員会は3日午前、特定秘密保護法案に関する参考人質疑を行った。

意見陳述した3人の参考人全員が法案への慎重姿勢を表明。

自民党の石破茂幹事長が自らのブログで法案に反対する市民団体らのデモを「テロと本質的に変わらない」と批判したことについて、日本弁護士連合会の江藤洋一秘密保全法制対策本部長代行は「言論弾圧、政治弾圧に利用される可能性を示唆している」と述べ、廃案にすべきだと主張した。


 新聞労連の日比野敏陽委員長も「石破氏は(ブログを)撤回したが、事の本質が解決したとは思えない。
当局が処罰対象を恣意(しい)的に運用するのは確実だ」と懸念を表明。
法案にある取材・報道の自由への配慮規定については「捜査当局に配慮してもらうため、『良い子でいろ』と記者に言っているようなものだ」と語り、法案を廃案にするよう訴えた。


 全国地方銀行協会元会長の瀬谷俊雄・東邦銀行相談役は「国家権力に対して、民間までが処罰の対象になるのは疑問だ」と述べ、法案が民間人を処罰対象としていることに疑問を呈した。

その上で「国益の範囲を極力絞って、集中的に適用されたらいいのではないか」と述べ、法案の慎重審議を求めた。


 一方、菅義偉官房長官は3日午前の記者会見で、石破氏のブログによる特
秘密保護法案審議への影響について「今後の進行に影響はない」と強調。

森雅子同法案担当相は3日の記者会見で「市民のデモは法案の『テロリズム』に当てはまらない。
表現の自由は何より大切だ」と説明した。


 与党側は参院国家安全保障特別委員会での参考人質疑を終え、採決の環境は整ったと主張し、今国会会期末の6日までの法案成立を目指している。

自民党は3日午前の同特別委理事会で、採決の前提として、4日午前に安倍晋三首相が出席する質疑を行い、同日午後からさいたま市で地方公聴会を開催する日程を提案。野党側は「聞いていない」と応じず、引き続き協議することになった。

【木下訓明】
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秘密法案、再び採決強行も 審議不十分と野党反発

秘密法案、再び採決強行も 
        審議不十分と野党反発
2013年12月3日 19時17分   共同通信

 自民、公明両党の参院幹部は3日、機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案について、5日に参院国家安全保障特別委員会で可決し、国会会期末の6日の参院本会議で成立させる方針を確認した。

野党側は「十分な審議が必要だ」と反発しているが、与党は衆院通過時と同様に採決強行を辞さない構えだ。


 参院特別委は3日夕の理事会で、4日午前に安倍晋三首相が出席する質疑を行う日程を提案。

野党側が反対したため、中川雅治委員長(自民党)が職権で決定した。

その後の委員会で、4日午後にさいたま市で地方公聴会を開く日程を決めた。

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2013年12月04日

映画愛する皆さん 秘密法案反対を 高畑勲監督ら

映画愛する皆さん
秘密法案反対を 高畑勲監督ら
2013年12月3日 18時13分 共同通信

  「映画を愛する皆さんが反対の声を上げてくださるよう、心から呼びかけます」。

日本の映画監督や俳優ら269人が3日、成立の可能性が高まる特定秘密保護法案に反対するよう、映画人やファンに求める呼びかけ文を発表した。


 高畑勲、山田洋次の両監督ら5人が連名で呼びかけ文を作成。

2日までに、是枝裕和、宮崎駿の両監督や俳優の吉永小百合さん、大竹しのぶさんら日本を代表する映画人を含む264人の賛同が集まった。

高畑監督らは3日に「特定秘密保護法案に反対する映画人の会」を結成し、廃案を目指すとしている。
**************************************
(資料 呼びかけ文)

私たち映画人は、「特定秘密保護法案」に反対します!

今臨時国会において安倍政権は、「特定秘密の保護に関する法案」を提出し、国民多数の反対の声を無視して、その成立を強引に推し進めようとしています。
私たちは、この「法案」の内容、および拙速なその審議のありように大きな危惧と怒りをもって、この法案にたいし反対の声を上げるものです。
戦前、心ならずも戦争に対する翼賛を押し付けられた映画界の先達の反省に立ち、その苦渋と悔悟の思いを受け止め、日本映画界は戦後の歩みを開始しました。そのことを思うとき、「知る権利」を奪い「表現の自由」を脅かすことになりかねないこの法案は、民主主義の精神にてらしあわせて、とても容認することはできません。
私たちは、この法案に反対することを表明するとともに、
広く映画界で活躍される皆さん、映画を愛する皆さんが
反対の声を上げてくださるよう、心から呼びかけます。
  2013年11月28日
      「特定秘密保護法案」に反対する映画人の会(準備会)
  【 呼びかけ人 】
     新藤 次郎 (映画製作者)
     高畑 勲  (映画監督)
     羽田 澄子 (記録映画作家)
     降旗 康男 (映画監督)
     山田 洋次 (映画監督)
         (あいうえお順)

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秘密保護法案:6日参院本会議の採決強行 自公が方針確認

秘密保護法案:
6日参院本会議の採決強行
              自公が方針確認
毎日新聞 2013年12月04日 11時44分
(最終更新 12月04日 13時39分)

 国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案について、自民、公明両党の幹事長・国対委員長は4日午前、東京都内で会談し、5日の参院国家安全保障特別委員会で可決し、6日の参院本会議で強行可決・成立させる方針を確認した。

4日午前は参院国家安全保障特別委員会で安倍晋三首相が出席して質疑を実施。

首相は法施行までに、情報公開や報道などの専門家による情報保全諮問会議(仮称)と、首相によるチェックを補佐する事務次官級がトップの保全監視委員会(同)の新設を表明。

一方、質問に立った民主党の福山哲郎氏は同日午後に予定されている地方公聴会について「前日に突然決めるのは前代未聞だ」として中止を要求した。


 特別委は冒頭で、野党側が与党による審議強行に抗議する中、中川雅治委員長(自民)が審議開始を宣言した。


 首相は「特定秘密の指定・解除などの状況を首相が諮問会議に毎年報告し、会議の意見を付けて国会に報告する」と説明。

諮問会議は首相の報告を通じる形で、恣意(しい)的な特定秘密の有無を監視できるとの認識を表明。

また、政府による特定秘密の恣意的な指定や情報隠蔽(いんぺい)を防止する方策について、秘密指定・解除の基準作りで有識者の意見を聞くと改めて説明し、「諮問会議への首相報告は今までなかったルールだ。チェックがしっかり利く」と指摘。

第三者機関にあたる諮問会議は秘密指定を行う各省庁を直接監視する権限を持たず、首相の補佐機関にとどまることになる。保全監視委員会は内閣官房に設置するとした。


 さらに首相は、秘密指定が解除された情報などの管理について「公文書が勝手に廃棄されないよう、廃棄の可否を判断する」と説明。
政府内に審議官級の「独立公文書管理官」を新設する考えも示し、「三重のチェックを設ける」と述べた。自民党の佐藤正久氏への答弁。


 一方、同法案の国会答弁を担当している森雅子法案担当相は、法案成立から1年後の施行まで、自身が準備作業を担当することを明らかにした。

福山氏は「森氏が施行準備を担当する指示を受けたのは11月下旬だ。
衆院審議で答弁していた時、森氏に成立後の権限はなかった」などと指摘。政府側の対応を批判した。

法案の採決日程について、自民党の石破茂幹事長は「法案の論点は衆参両院の審議を通じて明らかになった。
採決の時期が来つつある」と記者団に述べた。
ただ与党幹部は参院で野党が反発して6日中の採決が困難になった場合、短期の会期延長を行う可能性も示唆した。


 同特別委は4日午後、さいたま市で地方公聴会を開催するが、共産を除く民主、みんな、日本維新の会、社民の野党各党は欠席する方針だ。

民主党は4日午前に参院議員総会を開き、郡司彰参院議員会長は与党の審議強行について「数の横暴だ。

自民、公明のやり方は日を増して理不尽さを増している」と批判。
法案成立阻止へ徹底抗戦を指示した。
また榛葉賀津也参院国対委員長は、与党と法案修正で合意している維新、みんなを含む野党各党と連携する方針を強調した。
     【木下訓明、高橋恵子】

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2013年12月06日

不可解な自民・公明党の強権的委員会運営、焦りはなぜ??

秘密保護法案:
ドタバタぶり露呈…参院委審議
毎日新聞 2013年12月04日 23時33分
(最終更新 12月05日 00時39分)

  参院審議入りから1週間あまり。
与党は5日、特定秘密保護法案を参院の特別委員会で採決する構えだが、

4日の委員会では安倍晋三首相が「保全監視委員会」という機関の新設を突然言いだして、野党側を当惑させた。
審議不足で法案の不完全な姿やほころびが露呈する中、法案に反対する市民が国会議事堂を取り巻いた。【青島顕】

 ◇新機関名に「何?」

 「いま何て言った」−−。
4日午前10時過ぎの参院特別委員会。やじが飛び交う中、自民党議員の質問に答えた安倍首相は秘密をチェックする「第三者的機関」として「保全監視委員会」、有識者会議として「情報保全諮問会議」の新設を突然言い出した。

衆参の審議で初めて登場する機関名で、議場は騒然。
福山哲郎氏(民主)は「初めて聞くぞ」と、周囲の議員と顔を見合わせてメモを取った。


 法律運用に密接に絡む機関だが、政府・与党は法案修正をしない方針だ。どう位置づけるのか。

与党の責任者の一人、公明党の大口善徳衆院議員は「(法律の下で行政機関の裁量で決める)政令で定めればよい」と説明。

山田健太・専修大教授(言論法)は「場合によっては政令で定めてもよい会議体もあるが、法律の基本構造に関わる会議体はきちんと法律に定めるべきだ」と批判する。

 ◇自治体へ有事伝達は?

 武力攻撃や大規模テロに見舞われた際、住民を守る仕組みとして国民保護法(2004年成立)がある。

知事が国、警察、自衛隊などと情報共有して避難指示を出したり警戒区域を設定したりする。

09年まで秋田県知事を務めた寺田典城(すけしろ)・みんなの党参院議員は「法案が成立したら、県警本部長で特定秘密の情報が止まり、知事に提供されなくなる。
知事が緊急事態対応をするのは困難だ」と話し、法案に反対する意向だ。


 内閣官房内閣参事官時代に国民保護法を担当した礒崎陽輔首相補佐官は「特定秘密を具体的に決めるのはこれからだが、知事に提供しなければならないものはあるかな」と首をかしげた。


 秘密保護法案の「原形」とされる09年の内閣官房の資料では、特定秘密は有事を想定して地方自治体を含めて共有されることになっていた。
しかし、審議中の法案では秘密を扱うのは、国と都道府県警らに限定された。

 ◇国会への秘密提供は?

 国会が国政調査権を発揮して、特定秘密の妥当性をチェックする仕組みの実現を危ぶむ声もある。

衆院の修正協議では「必要な措置を講ずる」と定めた付則が加えられた。
しかし、実現のハードルは高い。

国会法や議院規則を改正して、非公開の「秘密会」設置のために、出席議員に守秘義務を課す必要がある。

憲法が国会議員に保障する院内の発言に責任を問われない規定を制限することになるため、異論が出るのは確実だ。

しかも審議する議院運営委員会は「全会一致が望ましい」(衆院事務局)。修正に加わった山田宏衆院議員(維新)も「法案を作る以上に大変だ」と認める。


 南部義典・慶応大大学院法学研究科講師は「法案が
成立すれば、野党側から秘密の内容を追及される秘密会設置に与党側は消極的になる。
議運は動かないだろう」と予想する。

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2013年12月07日

特定秘密保護法案 知らされぬ国民の悲劇

特定秘密保護法案 
知らされぬ国民の悲劇
2013年12月6日 東京新聞「社説」

 特定秘密保護法は「知る権利」を脅かす本質を持つ。
正しい情報を知らされない国民は、正しい判断ができない悲劇の主権者に落ちる可能性がある。


 <日本は、陸海軍ともに勝利をおさめたが、ロシア側は日本陸軍の兵力がロシア軍と対決できぬほど弱体化していることを察知し、強硬な態度で会議を推しすすめるにちがいなかった。

しかし、日本の民衆は戦争継続を叫び、講和がむすばれた折には多額の賠償を得られると信じている>


 吉村昭の小説「ポーツマスの旗」では、日露戦争に勝利した当時の状況をそう描いている。

◆無知の民衆は暴徒に

 一九〇五年のポーツマス条約では北緯五〇度以南の樺太の割譲と、租借地であった中国の遼東半島の日本への移譲を認めたが、賠償金は得られなかった。


 国民の不満は高まり、東京の日比谷公園で行われた集会をきっかけに、各地で騒動が起こった。
暴徒化した民衆は、内務大臣官邸や交番などを焼き打ちにした。


 新聞も「斯(こ)の屈辱」「敢(あえ)て閣臣元老の責任を問ふ」とし、軟弱外交だと責めた。
国民新聞は条約容認の社説を掲載したため、数千の群衆に社屋が取り囲まれ、投石を受けた。戒厳令が敷かれたほどだ。


 吉村はこう記した。

 <人々がそのような感情をいだいたのは、政府が戦争の実情をかたく秘していたことに原因のすべてがあった>


 安倍晋三首相も著書「新しい国へ」で同じエピソードを引いた。


 <外務大臣・小村寿太郎の「弱腰」がそうさせたのだと思いこんで、各地で「講和反対」を叫んで暴徒化した(中略)こうした国民の反応を、いかにも愚かだと切って捨てていいものだろうか。
民衆の側からすれば、当時、国の実態を知らされていなかったのだから、憤慨して当然であった>

◆三権分立からの逸脱

 正しい情報を与えられない国民は、正しい判断ができないことをよく示している

この状態は日露戦争にとどまらず、太平洋戦争に至るまで引きずる。


 国民主権原理とは、国家の在り方を最終的に決定する力のことだ。民主主義の土台で、憲法を貫いている根本の精神である。


 個人個人が政治や社会を動かしていくために、「表現の自由」が定められている。
国民が正しい判断をするには、正しい情報を得る「知る権利」が欠かせない。

報道もその一翼を担う。


 「報道は民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、いわゆる知る権利に奉仕するものである」と、最高裁判例にある。


 特定秘密保護法は、この原理の基本である「知る権利」に絶対的にマイナスに作用する。

いわゆる「沖縄密約」など、政府の違法秘密も隠蔽(いんぺい)できる。
秘密にしておきたい「核密約」などの情報も意図して「特定秘密」に指定し、秘匿化できる。


 公正なチェックは受けない。
「保全監視委員会」などが置かれても、政府の一機関にすぎないから、客観性が担保されないのは当然である。
秘密の指定、保管、解除の重要なプロセスにいまだ欠陥を抱えたままだ。


 「安全保障上の支障」というだけで、国会への情報提供もブロックされる。司法権の監視も受けない。
判断権はすべて行政府が握る仕組みは、三権分立からの逸脱に等しい。
まさに行政権に白紙委任する“装置”である。
重要情報を独占する官僚制はやがて独善に陥り、暴走する。


 中国や北朝鮮などを眺めても、正しい情報が伝えられない国民が悲劇的であるのは明らかだ。

言論統制が敷かれた戦前の日本も同じ状態だった。
治安維持法で検挙された事件のうち、裁判に至ったのは一割程度という。


 罰せずとも検挙するだけで効力は抜群だった。
今回の法律も特定秘密に接近しようとしただけで処罰の規定がある。
「話し合い」が共謀に当たるのだ。
容疑がかかるだけで、家宅捜索を受け、パソコンなどが広く押収されうる。


 しかも、「主義主張を国家や他人に強要する」活動が、テロリズムと解せられる条文だ。
どのように法律が運用されていくのか、暗然とするばかりだ。


 国連の人権高等弁務官が「表現の自由への適切な保護規定を設けずに法整備を急ぐべきでない」と懸念を表明したのに、政府は無視した。
国内の研究者や文化人らの反対にも聞く耳を持たない。

◆空洞化する国民主権

 安倍首相は「民衆の強硬な意見を背景にして有利に交渉をすすめようとするのは、外交ではよくつかわれる手法だ」とも書いた。


 国家は民衆の声すら自在に操る力を持つわけだ。
国民主権が空洞化する懸念を持つ。

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2013年12月08日

秘密保護法が成立 民主主義を取り戻せ

今日は、情報が正確に「国民に知らされる」ことなく、日本機動部隊の真珠湾攻撃により米国との戦争に突入した日。
**********************

秘密保護法が成立
           
民主主義を取り戻せ
2013年12月7日  東京新聞「社説」

 国会の荒涼たる風景に怒りを禁じ得ない。
国民の代表である「国権の最高機関」で、民意が踏みにじられる異常さ。取り戻すべきは、民主主義である。


 いったい、この臨時国会は何だったのか。

召集日の十月十五日を振り返る。
安倍晋三首相は、所信表明演説で「この国会は、成長戦略の『実行』が問われる国会です」と強調していた。


 しかし、決意は、その後提出された特定秘密保護法の今国会成立に、いつの間にか塗り替わってしまう。
与党の国会運営の強引さばかりが目についた。

◆公約で触れぬ瑕疵

 防衛・外交など特段の秘匿が必要な「特定秘密」を漏らした公務員らを厳罰に処す特定秘密保護法は、その内容はもちろん、手続き上も多くの瑕疵(かし)がある。


 まず、この法律は選挙で公約として掲げて、有権者の支持を得たわけではないということだ。


 首相らは同法を、今月四日に発足した国家安全保障会議の設置法と一体としてきた。


 しかし、昨年十二月の衆院選、今年七月の参院選の選挙公約で、自民党は会議の必要性は訴えたものの、特定秘密保護法にはひと言も触れていない。


 第二次安倍政権の発足後、国会では計三回、首相による施政方針、所信表明演説が行われたが、ここでも同法に言及することはなかった。


 選挙で公約しなかったり、国会の場で約束しなかったことを強行するのは、有権者に対するだまし討ちにほかならない。


 選挙公約に掲げて有権者に判断を仰ぎ、それを実行できたかどうか、次の選挙で評価を仰ぐのが、民主主義の健全なサイクルだ。


 特定秘密保護法の成立を強行することは、民主主義を愚弄(ぐろう)するものだとなぜ気付かないのか。自民党はそこまで劣化したのか。

◆国民を「奴隷」視か

 安倍内閣は国会提出前、国民から法案への意見を聴くパブリックコメントに十分な時間をかけず、反対が多かった「民意」も無視して提出に至った。


 国会審議も極めて手荒だ。


 同法案を扱った衆院特別委員会では、地方公聴会の公述人七人全員が法案への懸念を表明したにもかかわらず、与党は翌日、法案の衆院通過を強行した。


 「再考の府」「熟議の府」といわれる参院での審議も十分とは言えない。
参院での審議時間は通常、衆院の七割程度だが、この法律は半分程度にすぎない。


 審議終盤、政府側は突然「情報保全諮問会議」「保全監視委員会」「情報保全監察室」「独立公文書管理監」を置くと言い出した。


 これらは公文書管理の根幹にかかわる部分だ。
野党側の求めがあったとはいえ、審議途中で設置を表明せざるを得なくなったのは、当初提出された法案がいかに杜撰(ずさん)で、欠陥があったかを物語る。


 しかもこれらの設置は本来、法律などで定める必要があるが、法案修正には踏み込まなかった。

参院で修正すれば、衆院で再び審議する必要があり、会期内成立が難しくなるからだろう。
とにかく今国会成立ありきなのだ。


 弥縫(びほう)策がまかり通るのも国政選挙は当分ないと、安倍政権が考えているからだろう。

今は国民の批判が強くても衆参ダブル選挙が想定される三年後にはすっかり忘れている。
そう考えているなら国民をばかにするなと言いたい。


 人民が自由なのは選挙をする間だけで、議員が選ばれるやいなや人民は奴隷となる−。
議会制民主主義の欠陥を指摘したのは十八世紀の哲学者ルソーだ。


 特定秘密保護法や原発再稼働に反対するデモを、石破茂自民党幹事長は「テロ」と切り捨てた。
国民を奴隷視しているからこそ、こんな言説が吐けるのだろう。


 しかし、二十一世紀に生きるわれわれは奴隷となることを拒否する。

有権者にとって選挙は、政治家や政策を選択する最大の機会だが、白紙委任をして唯々諾々と従うことを認めたわけではない。


 政治が自分たちの思いと違う方向に進もうとするのなら、声を上げるのは当然の権利であり、私たち言論機関には義務でもある。

◆改憲に至る第一歩

 強引な国会運営は第一次安倍政権でも頻繁だった。
この政権の政治的体質と考えた方がいい。


 首相は集団的自衛権の行使、海外での武力行使、武器輸出などを原則禁じてきた戦後日本の「国のかたち」を根本的に変えようとしている。

その先にあるのは憲法九条改正、国防軍創設だ。特定秘密保護法はその第一歩だからこそ審議に慎重を期すべきだった。


 日本の民主主義が壊れゆく流れにあったとしても、われわれは踏みとどまりたい。

これから先、どんな困難が待ち構えていようとも、民(たみ)の力を信じて。

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太平洋戦争きょう72年 秘密保護法 また統制か

太平洋戦争きょう72年
 秘密保護法 また統制か
2013年12月8日 東京新聞朝刊

 太平洋戦争の開戦から、きょう八日で七十二年。

平和憲法を次世代に伝える活動をする「国民学校一年生の会」世話人の一人、前田波雄さん(79)=東京都大田区=は、その朝のことをはっきり覚えている。
官憲を恐れ、自由な発言ができなかった苦い記憶とともに。
拡大解釈の恐れがある特定秘密保護法の成立に、「言論統制の時代がまた来るのでは」と危機感を強める。 (樋口薫)


 「いよいよ始まったか−」。
一九四一年十二月八日の朝七時、ラジオの臨時ニュースを聞いた両親の会話で、前田さんは日米開戦を知った。


 当時は八幡国民学校(現・世田谷区立八幡小学校)の一年生。
「お国のために」と軍国主義をたたき込まれた少年にとっては、胸躍るニュースだった。

だが直後、父が漏らした一言に驚いた。

 「もしかすると負けるかもしれない」。

母の顔色が変わった。「子どもが学校で話したらどうするの。
憲兵が来るよ」。
朝食の手を止め、ものすごいけんまくで責め立てた。


 「船乗りの父は世界の情勢を知っていたのだろう」と前田さんは振り返る。

その朝の出来事は「気をつけて物を言わないと」という恐怖感を子ども心に植え付けた。


 長野県飯田市に集団疎開中の五年生の時にも、苦い思い出がある。
洋画好きの母から渡された白人女優のブロマイドを、万が一の時の形見にしようと大事に持っていた。
それを同級生に見つかってしまった。


 当時、洋画などの「敵性文化」はご法度。
みんなに「おまえの母さんはスパイ」とはやし立てられた。
うわさが広まれば、母は特別高等警察(特高)に逮捕される。
平気な顔をしてすぐに破り捨てたが、その夜はふとんの中で泣き明かした。


 周囲がお互いの言動を監視し、疑心暗鬼になった戦時中の生活を、前田さんは最近よく思い出す。
六日に国会で成立した秘密保護法のせいだ。


 「国民は、何が秘密かも分からないまま『秘密情報を得ようとした』と逮捕される恐れがある。
戦況の悪化を伏せ、国民に『戦争反対』を言わせなかった時代が繰り返されるのではないか」


 一方で、闇の中に希望も見いだす。
友人に誘われて今春から始めたフェイスブックを介し、若者たちの中に秘密保護法反対の輪が広がる様子を目の当たりにした。


 「お上の言うことを信じ切っていた当時とは違う。
多くの人と危機感を共有するため、自分もまだまだ学ばなければ」

    ◇

 秘密保護法や解釈改憲など、民主主義や平和主義を脅かす動きが強まっている。
戦争体験者の声に耳を澄まし、今の社会を見つめ直すシリーズ「伝言」を随時、掲載します。


<国民学校一年生の会>
 従来の小学校よりも愛国心教育の色合いが強い国民学校が設置された1941〜46年度に、初等教育を終えた学年の同級生らが中心となり、99年に結成。
「軍国主義教育を繰り返してはならない」と、定期的に勉強会などを続ける。会員は全国の約420人。
特定秘密保護法が国会審議中だった11月には「治安維持法による暗黒の時代を再現させる」と、廃案を求める決議を国に送った。

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2013年12月09日

秘密保護法 法廃止へ揺るがず 監視国家 広がる「反対」

秘密保護法 法廃止へ揺るがず
        監視国家 広がる「反対」
2013年12月8日 東京新聞朝刊

クリックで拡大します。
秘密保護法反対.jpg

 国民の「知る権利」を侵す恐れのある特定秘密保護法は六日深夜の参院本会議で、与党の賛成多数で可決、成立した。

野党は慎重審議を求めたが、与党が採決を強行した。

だが「秘密保護法案反対」を訴えていた人たちの声は、消えることはない。法律廃止」へと変わるだけだ。
国民の権利を守ろうという全国の幅広い層による活動は続く。
 (城島建治、関口克己)


 法成立に強く反対してきた「特定秘密保護法案に反対する学者の会」は七日、名称を「特定秘密保護法に反対する学者の会」に変え、活動継続を宣言。
学者の中には、法律は違憲立法だとして法廷闘争に持ち込む準備を始める動きもある。


 女性関係の三十六団体でつくる「国際婦人年連絡会」は、法成立を受けて近く集会を開催する。
戦争体験を持つ女性が多く所属しており、秘密保護法が脅かしかねない平和の尊さを広く訴えることの重要性を確認する。


 連絡会の世話人で、女性の地位向上に尽くした政治家の故市川房枝氏の秘書を務めた山口みつ子さんは、秘密保護法が成立したのは「昨年末の衆院選と今年の参院選の低投票率の弊害だ」と分析。
「有権者が政治への関心を高めないと、権力的な政治がさらにまかり通る」と訴える。


 アイヌの有志でつくる「アイヌウタリの会」は、法律廃止への賛同を広く募っていくことを決めた。


 弁護士有志による「自由法曹団」も法律の廃止を求めた。
自民党の石破茂幹事長がデモとテロを同一視した問題を挙げ「政府に反対する声がテロとして排斥され、密告・監視が横行する。
こんな国と社会は許されない」と訴えた。


 日本ジャーナリスト会議も、衆参両院での採決強行を「憲政史上、前例のない最悪の暴挙」と非難。

安倍政権を「国民の目と耳と口をふさぎ、民主主義を否定する」と批判し、衆院を解散して国民に信を問うべきだと主張した。

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2013年12月12日

室井佑月が「お隣さんってムカつくね」の心理を指摘

室井佑月が
「お隣さんってムカつくね」の心理を指摘
週刊朝日 2013年12月20日号

 最近、上海を旅行した作家の室井佑月氏。上海の街を歩き「そういえば」とこんなことに気がついた。

*  *  *
 中国が尖閣諸島を含む東シナ海に、勝手に防空識別圏を設定した。
そして、全日空や日本航空に、飛行計画を提出しろといってきた。

 このことについて安倍首相は、「全く受け入れることはできない。
自制を求める」と当たり前だが猛反発だ。

 菅官房長官も、「官民一致して対応すべく、あらためて国土交通省から、それぞれの航空会社に対し、飛行計画を中国当局に提出しないよう、協力要請をした」と怒った。

 んで、11月26日の夜、国交省に航空会社側から、今後、飛行計画書を中国当局に提出しないとの報告がなされた。

 まあね、日本の主張では、日本の飛行機は日本の防空識別圏内を飛んでいる。
それなのに、中国に飛行計画書を提出しなきゃならないっておかしいもん。

 26日のニュースでは、この空域を飛行する航空会社のうち、アメリカや韓国などの30社は、飛行計画の提出要求を無視しているといっていた。
中国側に応じたのは、日本と台湾、中東のカタールのみだとか。

 ほんでもって同じく26日には、米軍のB52戦略爆撃機2機が、中国が勝手に設定した空域内を通告なしで飛行した。明らかな威嚇だな。

 しかし、それから4日後、30日のことだった。
ロイター通信によると、米国の航空大手3社は飛行計画を、中国当局に事前提出していることが明らかになったというではあーりませんか。

 どういうこと? アメリカは軍と民間で考え方が違うってか?

 勝手に喧嘩に割り込んできて、このやり方は汚くないか。

 そうそう話は変わって、日中問題が熱くなっている最中、女友達3人と上海旅行にいってきた。

 向こうで親切にしてくれたのは、友人の仕事仲間の中国の方々だった。

 上海ではマスクをしている人は一人もいなかった。
PM2.5で大変なことになっているんじゃないのか?

 ニュースでは、マスクをしている中国人の群れが何度もしつこく流れていた。
中国は広いから上海は大丈夫なの? あたしがそう訊ねると、

「大丈夫ってことはないでしょうけど、気にしているのは意識の高い一握りの人でしょうね。
それより日本の放射能汚染は、すっごいことになってるんでしょ。
大丈夫ですか?」 と逆に訊ねられた。

あたしたちはお互いに顔を見合わせゲラゲラ笑った。

 国内では、お隣の国の問題をデフォルメしニュースでバンバン流す。
これって国内の不満ガス抜きの常套手段だ。
「お隣さんってムカつくね」、そういう気持ちで家族(同じ国の人)は結束すると信じられているらしく。

 そういえば、原発事故が起こってからかも、ニュースで盛んにPM2.5について騒いでいるの。おかしくね?
 PM2.5はいきなりすごいことになったわけじゃないのに。
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【共謀罪】日常会話も捜査対象に「監視国家」懸念高まる

【共謀罪】 日常会話も捜査対象に
 
「監視国家」懸念高まる
2013/12/12 11:47  共同通信

 政府は、犯罪の実行行為がなくても謀議に加われば処罰対象となる「共謀罪」新設の検討に入った。

市民の日常会話やメールが捜査対象となる恐れがあり、
特定秘密保護法と併せ「監視国家」化が進むとの懸念が高まっている。


 日本の刑事法では、実際に犯罪が行われて初めて処罰されるのが原則だが、共謀罪は実行の前に、複数の人が話し合い、合意すること自体を処罰の対象とする。
このため処罰の範囲が曖昧で、拡大していく恐れが付きまとう。


 村井敏邦(むらい・としくに)大阪学院大法科大学院教授(刑事法)は「共謀を証明するには(捜査当局が)共犯者を抱き込んで話を聞いたり、会話を傍受したりといった手段が必要になる」と説明。

現行の通信傍受法は薬物、銃器、集団密航、組織的殺人の4分野に限り、捜査機関が電話やメールなどを傍受することを認めているが、対象拡大へ法改正する可能性があるとみる。


 さらに「例えば、共謀罪反対を掲げる市民団体が、危険な組織と見なされて中心メンバーが尾行され、事務所への人の出入りも監視される可能性もある。
政府に反対する動きをすれば、自由を制限されることになりかねない」と語る。


 日弁連秘密保全法制対策本部の江藤洋一(えとう・よういち)本部長代行も「関係のない人まで巻き込み(捜査の範囲を)どんどん広げていく可能性がある」と危惧する。

「秘密保護法は、戦前と同じような、政府による大本営発表だけになる危険性と、処罰による“萎縮効果”があるが、共謀罪はその萎縮をさらに広げていくだろう。
監視社会、息苦しい社会になる」と強調する。


 法案提出となれば、担当するのは法務省。
ある幹部は、共謀罪が野党の反発などで繰り返し廃案になってきた経緯に触れ「今回もすんなりいくわけがない。

内閣支持率が低下した今、あえて冒険する必要はないのでは」と指摘。

ただ「国際組織犯罪防止条約」の署名後、10年以上たっていることに「異常といえば異常。
早く法成立させなければいけない、との危機感は常にある」と話す。


 日弁連の山岸憲司(やまぎし・けんじ)会長は11日の定例記者会見で「政府が法案提出のチャンスを狙い続けていたのは間違いない。

秘密保護法や国家安全保障会議(日本版NSC)創設とセットで、事実上の解釈改憲を推し進め、新しい秩序をつくっていくつもりなのだろう」と分析。

「到底受け入れることはできず、反対の声を上げていきたい」と語気を強めた。

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2013年12月13日

おごれる者は久しからず

【私説・論説室から】
おごれる者は久しからず
2013年12月11日 東京新聞

 過酷事故の後始末もできないのに「原発再稼働」を目指す。
公約違反の「TPP交渉参加」を決める。
バラマキもやめないで「消費税増税」する。
民主主義を壊しかねない「特定秘密保護法」を強引につくる…。


 「民意」の多くに反する重大事案をさも平然と決めていく。

安倍政権は国政選挙さえ勝てば「やりたい放題」の免罪符を得ると勘違いしているのではないか。


 もっとも、「民意」と政権との大きなズレは選挙結果で分かっていたことだ。

一年前の総選挙で自民党は大勝したが、それは低投票率や小選挙区制の特性のおかげだった。
全有権者でみれば自民の得票率は小選挙区で24%、比例代表はわずか15%。
四分の一以下の「民意」しか得ていない。


 「ナチスの手口を学んだらどうか」「デモはテロ」という政権である。

以前、この欄で触れた寓話(ぐうわ)『茶色の朝』の世界に、いよいよ近づいたと感じる。
ファシズムの怖さを原体験に持つ作者パブロフ氏は言った。


 「民主主義は壊れやすい花瓶と同じ。小さなひびを放っておくと、いつの間にか割れてしまう」。
氏は多くの人に伝えたいと印税を放棄し、寓話の原書は一ユーロ(約百四十円)で販売された。
フランスでは学校教材としても広く読まれた。


 道徳を教科化するというなら、この国も教材に採用してはどうか。
いや、「不都合な真実」を「秘密」にしておきたい政権には望むべくもないか。 (久原穏)

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2013年12月14日

石破氏発言 報道を統制する発想だ

石破氏発言 報道を統制する発想だ
2013年12月13日  東京新聞「社説」

 秘密保護法の特定秘密を報道することに「抑制が効いてしかるべきだ」と石破茂自民党幹事長が発言した。
後に訂正したが、本音を吐いたのだろう。
報道機関を統制する発想には、強く抗議する。


 事実関係を整理してみよう。
十一日に会見で、報道機関が特定秘密を入手し、公表したケースについて、石破氏はこう述べた。


 「(処罰は)最終的に司法の判断になる。
報道することで、わが国の安全保障に極めて重大な影響を与えるものをどう評価するか。
常識論でみて、開示する行為は抑制が効いてしかるべきだ」


 だが、秘密保護法には「報道又(また)は取材の自由に十分に配慮しなければならない」と書かれている。
取材についても「著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とする」とも記されている。


 合法的に情報を得て、報道しても、刑罰の対象になりえない。
そもそも、公務員が「これは特定秘密だ」と言わない限り、記者には内容が秘密かどうかもわからない。

石破氏は十分に法律を理解しているとは思えない。


 後に「漏えいした公務員は罰せられるが、報道した当事者は処罰の対象にならないので、訂正させていただく」と撤回した。
「抑制は求めない」とも付け加えた。

だが、さらに十二日のラジオ番組で「国の安全に大きな影響があるとわかっているが報道する。
大勢の人が死んだとなれば、それはどうだろう」と語っている。


 どんな情報を指しているのか。空理空論の世界ではないか。

むしろ、特定秘密を報道することに重ねて疑問を呈し、自制を求めているのだ。
秘密保護法は情報統制色を帯びているが、報道をも統制する意思が潜むのだろう。


 仮に他国が日本に核ミサイルを撃ち込もうとしている秘密情報を得れば、早く国民に知らせる。
日本政府が極秘に核武装計画を進める情報を入手すれば公表し、国民の議論に付す−。
報道機関として当然ではないか。


 政府が秘密だとしても、報道機関は「報道に値する」と判断すれば、公表する。
それが報道の使命である。

石破氏は報道機関を政府の宣伝機関と勘違いしていないか。
防衛相を務めた安全保障の論客が、「絶叫デモはテロ行為と変わらない」とブログで書いた。


 「表現の自由」も「知る権利」も踏みにじる悪法は、やはり廃止すべきである。

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2013年12月16日

週のはじめに考える 「議論する国会」に立ち戻れ

週のはじめに考える 
「議論する国会」に立ち戻れ
2013年12月15日 東京新聞「社説」

 慎重審議を求める国民の期待に背いた形で、特定秘密保護法が先の臨時国会で成立しました。
ここで、あらためて政府と国会の関係を考えてみたい。


 時計の針を去年の一月に戻します。
当時の野田佳彦政権は国会の施政方針演説で「決められない政治からの脱却」を訴えました。

衆議院と参議院で与野党の多数派が入れ替わった結果、政治が前に進まない。
その状況をなんとか脱しようという趣旨でした。


 このフレーズを後押ししたのは消費税増税を目指した財務省だったと思いますが、マスコミの中にも「決める政治」への転換を期待する向きがありました。

◆「決める政治」の危険性

 特定秘密保護法の成立はまさに「決めた政治」です。
それも異例なスピード審議で。
これが可能になったのは、根本的には「ねじれ国会」が解消したからです。

では、今回の展開は民主党や一部のマスコミ、多くの国民が望んだ政治だったのでしょうか。
そうではない、と思います。


 今回に限りません。
もしも決める政治が大事というなら、特定秘密保護法に限らず、集団的自衛権の見直しや憲法改正をめぐっても、どんどん結論を出そうという話になりかねない。


 多くの国民はそんな事態を望んでいないと思いますが、一方で「民主主義は多数決なのだから、国民が選んだ与党と政権が政策を決めていくのは当然だ」という声もあります。

さて、どちらの声に耳を傾ければいいのでしょうか。


 まず、いまになって思い知るのは「決められない政治からの脱却」というスローガンが、実は大変な危険性をはらんでいた、という現実です。

それは根本的な誤りだったと言ってもいい。


 なぜかといえば、民主主義は「決めること」、それ自体に価値があるわけではないからです。

◆与党が一歩引いてこそ

 結論を先取りして言えば、本当は「議論する」ところに価値があるはずなのです
少数派の意見にも耳を傾け粘り強く説得し、あるいは言い分を取り入れて、より良い結論に導いていく。
そんなプロセスが民主主義の核心です。


 この視点から今回の事態を眺めると、何が言えるでしょうか。


 なんといっても政府・与党は急ぎすぎました。

自民、公明の与党案に対して、野党のみんなの党と日本維新の会が修正案を出して合意ができると、あっという間に採決に持ち込んでしまった。


 しかし肝心の国民はといえば、修正案がまとまった後も懸念を抱いていました。
各種世論調査によれば、七割から八割の国民が「今国会にこだわらず慎重審議を」と望んでいました。
大幅な会期延長か次の国会に審議を継続したらどうか、と考えていたのです。


 法案への反対ないし慎重論は報道機関は言うに及ばず、法律や文化、芸術、学問にかかわる有識者たちにも広がっていました。
異例な展開です。
こうしたとき、国会はどうすべきだったのか。


 鍵は野党ではなく、与党にあったのではないでしょうか。

ずばり言えば、自民と公明の与党こそが一歩下がって早く大幅延長か継続審議を決断すべきだった。


 たしかに議院内閣制の下では、与党は通常、内閣が提出した予算案や法律案に賛成するのが役割と考えられています。
国民は選挙で多数を得た政党に内閣を作らせているのですから、政府が決めた政策を与党が国会で賛成するのも一括して政府・与党に委任していると言ってもいい。


 しかし、今回の審議で国民の懸念がかつてなく高まっていた事情を考えれば、与党といえども「国民の代理人」たる国会議員の本旨に立ち戻って徹底論議を尽くす姿勢を示してほしかった。
「国会は政府とは違う」。
その意地を見せるべきだった。そう思います。


 与党がいつも政府の後押しに徹するだけなら、意地悪く言えば、単なる賛成投票マシンに堕してしまうではありませんか。
そんな国会議員でいいのでしょうか。


 みんなの党と日本維新の会が修正案を共同提案しておきながら参院採決で棄権に回ったのも一見、矛盾しているようですが、議論続行を望む国民の声を最優先したと考えれば納得できます。


 今回ほど、政府とは違う国会の重要性を考えさせられた機会はめったにありません。
法案は成立しましたが、課題は残っています。
国会が秘密をチェックする仕組みがまだ整っていません。

◆国会のプライドを示せ

 自民党は法施行までに国会が秘密の扱いを監視する制度を議員立法で法制化する方針を決めました。
問題は特定秘密だけに限りません。

本来、政府ではなく国会こそが望ましい政策と法案に仕上げていくべきなのです。
ぜひ国会のプライドを取り戻してほしい。

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十大ニュース:秘密保護法1位…在京8社の社会部長が選考

十大ニュース:秘密保護法1位
    …在京8社の社会部長が選考
毎日新聞 2013年12月16日 18時48分

  新聞之新聞社主催の「今年の十大ニュース」の選考会が16日、共同通信社など在京8社の社会部長らが出席して開かれ、

1位に「特定秘密保護法成立、『知る権利』論議に」を選んだ。

(2)20年東京五輪・パラリンピック決定
(3)異常気象相次ぐ、伊豆大島で土石流
(4)徳洲会事件摘発、都知事にも波及
(5)参院選で自民大勝
(6)原発汚染水など震災の影響なお深刻
(7)1票の格差に初の違憲・無効判決
(8)東北楽天が日本一、マー君24連勝
(9)アルジェリア人質事件で日本人も10人死亡
(10)スポーツ界で体罰問題相次ぐ
                     (共同)

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2013年12月18日

室井佑月、ボランティアしたら警察呼ばれた?

室井佑月、
ボランティアしたら警察呼ばれた?
※週刊朝日 2013年12月20日号

 東京電力が再稼働をもくろむ柏崎刈羽原発は、この人の同意なしには動かない。
原発問題の「最前線」で戦うキーパーソン、新潟県の泉田裕彦知事の本心は、どこにあるのだろうか。
週刊朝日の連載で原発問題を鋭く指摘し続けている作家の室井佑月さんが、得意の“ぶっちゃけトーク”でズバリと切り込んだ。

*  *  *
泉田:私が通産省(現・経産省)に入省したのは、1979年のスリーマイル事故の後なんですよ。
アメリカは事故が起きる前提で規制を作り、住民の避難計画を作っている。当然、日本も同じことをしなくちゃいけないと思ったのに、残念ながらそうならなかった。

室井:「日本製は安全だから」って言うんですよね。

泉田:実際は日本製のほうが危ない。
フランスなどの最先端の原発にはメルトダウンした燃料を受け止める「コアキャッチャー」がついている。
フランスの技術が入った中国の原発にもついています。
ところが、日本の原発にはこれがついていない。
世界は、メルトダウン事故を前提に対策を立てているんです。

室井:そういうことが、これまではおかしいって言えなかったんですよ。
与党が強行採決した特定秘密保護法案も心配です。
どこの大手新聞もこれまで書かないできて、今から言ってもしょうがないタイミングになってから書き始めて。
卑怯だと思いません?

泉田:あの法案は、具体的な中身が伝わってこないですからね。
われわれ地方自治体は、これまで核燃料の輸送ルートなどについて安全協定に基づいて情報をもらっていた。
ところが特定秘密保護法では、地方自治体が情報を取り扱う担当に入ってない。
情報がズポッと抜ける懸念があります。

室井:それ絶対おかしいですよ。
いちばん最初に被害を受けるのが、その地域に住んでいる一般の人たちじゃないですか。

泉田:新潟県警は県の組織だけど、国の機関である警察庁から情報を渡されている。
そうすると県警までは情報を伝えてOKだけど知事に教えてはダメ、となる可能性もあるんです。

室井:泉田知事は「県民の命と安全と財産を守るのが役目だ」って、すごく簡単なことを言っているだけなのに……。
結局、国は末端の人たちを切り捨てていいと考えているって、今回の事故でわかった気がします。

泉田:さまざまな場面で、いかに情報が出ないようにするか、という力が働いているのを感じますね。
例えば事故当時、福島県から要請があったので放射能測定の機械と専門知識のある職員を送ったんです。
するとしばらくして、「新潟県の機械を汚したら申し訳ないから、やっぱり結構です」と言い始めた。
「汚れてもいいです」と言っても、「結構ですから測らないでください」と。

室井:私も似た経験があります。
事故直後、手に入りにくかった放射能の測定器を入手して、ボランティアであちこち測りに行ってたんですけど、千葉県の小学校に父母と一緒に行ったら、そこの先生に警察を呼ばれそうになりましたからね。
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室井佑月 的外れな政治家に「どひゃー」の衝撃

室井佑月
的外れな政治家に「どひゃー」の衝撃
※週刊朝日 2013年12月27日号

 成立した特定秘密保護法。
政府は国民に十分な説明をせず全く安心させてくれないと感じている作家の室井佑月氏は、官房副長官の言葉に思わず、こんな声を上げた。

*  *  *
「賛成か反対の意見を強いるのではない。
でも、傍観して自分の意見を言わないことは中立とは言えず、権力に力を与え続ける暴力行為だ」

 これは国際基督教大学2年生の小林叶(かなう)さんの言葉だ。
小林さんは12月6日、「秘密保護法を考える全国学生緊急大集会」を企画して開いた。
そこでの言葉。なんでも300人もの学生が集まったとか。

 良いこというね。あたしもそう思う。

 特定秘密保護法が6日の深夜、参議院本会議で採決され、賛成多数で成立した。
参議院の本会議の前には、衆議院本会議があったわけで、その時は今ほどマスコミは騒いでいなかったような気がする。

 話し合いが参議院に移ってからだ。
ぎゃあぎゃあ騒ぎ出したのは。前からわかっていたことなのに、反応が遅すぎやしないか。

 国際基督教大学の小林さんがいうように、そういったマスコミの動きの悪さが、権力にさらに力を与える暴力行為になっているとあたしは思う。

7日になされた朝日新聞の全国緊急世論調査によると、76%の人々は国会審議が十分ではないと答えていた。

 だわな。
ぜんぜん秘密の中身が見えてこないもん。

今のままではどうして駄目で、なぜこんなに急いでこの法案を通さなきゃいけなかったのか。
きちんと説明してくれた議員はいなかった。
テレビに出てくる識者も。

 問題点が出てくると「これからやる」という。
秘密は秘密で、疑問は疑問のままだ。

 6日付の東京新聞の夕刊に、「秘密がこれ以上増えれば、私たちの暮らしはどうなるのか」という沖縄と福島の人々の声が載っていた。
特定秘密保護法案に反対する人たちの声だ。

〈沖縄では安全が不安視されるオスプレイが上空を飛び交う。
「抗議して写真を撮れば『防衛機密だ』とされ、ゲート前に座れば『テロ活動だ』と言われることになる」と懸念する〉

 福島の方も、今でさえ原発の情報が十分に伝わらない現状に不満をもっているのに、この法案について、「怖い。国民に目を向けてない法律だ。
国民を守るためにある憲法を変えるための過程じゃないのか」と感じたという。

 この国は、福島第一原発事故後に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム 「SPEEDI」の情報を、「国民を不安にさせてはいけない」と隠したぐらいだからね。
んじゃ、国は国民を安心させるにはどういうことを考えているかというと、

「ある人に『特定秘密保護』という法案の名前が良くないんじゃないかと言われた。
昔『後期高齢者』という名前で大変怒られたことがあるが、言われてみるとそうかもしれない」(加藤勝信官房副長官)

 こんなこと。信じらんない。どひゃー!
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2013年12月21日

ジャーナリスト保阪正康氏「安倍政権は保守政党ではなく、右翼化した全体主義政党だ」

ジャーナリスト保阪正康氏
安倍政権は保守政党ではなく、
    
右翼化した全体主義政党だ」
※週刊朝日  2013年12月27日号

  特定秘密保護法が野党の反対を押し切りとうとう可決、成立した。
ジャーナリストの保阪正康氏は、右翼化した自民党の暴挙とこう危惧する。

*  *  *
 この法律は、平時から戦時へと移行する法体系の一部なんです。
憲法改正、集団的自衛権の行使容認、日本版NSCの創設。
これらが構成する法体系です。

 今までの日本は、もし戦争が起こったら、という枠組みがない、平時の法体系でした。
安倍首相は、この法体系そのものを見直しているのです。

 日本の戦争は、1945年に終わりました。
原爆や無差別爆撃で多くの非戦闘員が戦死しました。

しかし戦後は、軍事で復讐しない、問題を戦争で解決しないと選択したんですよ。
それを、戦争が終わってから68年間続けている。
世界史的な実験と言えるのです。
私たちの誇りなのです。
自衛隊は一人も殺していないし、殺されてもいない。

法体系を変えるという選択は、歴史的に、この実験を疑われることになります。

 そういう選択をしないという誇りを日本の保守政党、自民党が守ってきたのです。

伊東正義、松村謙三、前尾繁三郎、三木武夫、後藤田正晴……。
やりすぎだぞ、とチェックを働かせる代議士がいっぱいいた。
戦争を体験した世代です。
後藤田などは護憲だって言ってましたから。
「あんな戦争はやるべきじゃない」と。
そういう人たちが、どれだけ保守政党が右翼化しないためにがんばってきたか。

もちろん自民党の中にも右翼はいましたけど、バランスを取っていたのです。それが自民党政権の良さだった。

 今は、それがまったくない。
党内のバランスがまったく働かない。
右翼化した政党になってしまった。

 戦前に法体系が変わるときには、治安維持法ができました。

これは、もともと共産主義者を取り締まる法律でした。
ところが、共産党員は、逮捕されたり、転向したりして、いなくなった。
すると、次に自由主義者、今度は宗教家、さらに純正右翼、と対象がいなくなるたびに範囲を広げていった。

 なぜ拡大解釈したか。

 治安維持法を運用するため、警察機構の中に一つの組織ができた。
これが特高警察(特別高等警察部)です。

ひとたびできてしまうと、逮捕する対象がいなくなっても組織があるわけだから、仕事を作っていくわけです。

一つの法律を運用し始めると、そこにできた組織が、自動的に増殖していくのです。

 今度の法律でも、取り締まる部署ができるでしょう。
取り締まる連中は、特定秘密を扱うから身元調査される。
それは、ある意味でエリート意識を与えられることになる。

お前たちは国を守っているんだ、などと言われるでしょう。
張り切って、人を捕まえてきて調べて、調書を法律に引っかかるように作っていかなきゃいけない。
そのときには、強制、威圧、拷問、脅かし、いろんな手が使われると思うね。かつての特高警察と類似のね。

 特高警察のようなものは社会の病理です。
特定秘密保護法の成立は、我々の社会にとっては、くしゃみが出るようなもの。

ほかにも、教科書に政府見解を入れること。集団的自衛権で自衛隊が地球の裏側まで行くこと。
そういうことが重なって、熱が出て、カゼを引く、肺炎になる、というように、徐々に社会の体力が弱まっていく。

 そうなれば、民主主義社会の権利が侵害されて、みんな黙ってしまう。
権力を怖がる。
それが病気、つまり、社会の衰退です。

やがて戦時体制に移行するのではないでしょうか。

 今すぐ戦争をやるわけではありません。
でも、ゆくゆくは、太平洋戦争の前にできた国家総動員法みたいな法律を平気で考え出すのではないかと心配です。
今の自民党は、保守政党じゃなくて右翼化した全体主義政党ですから。
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2013年12月22日

「見知らぬ親戚」から扶養をせまることも 改正生活保護法の怖さ

「見知らぬ親戚」から扶養をせまることも
 改正生活保護法の怖さ
※週刊朝日  2013年12月27日号

  特定秘密保護法が国会を騒がせるなか、12月6日に改正生活保護法がひっそりと成立した。

改正法では、生活保護の事務を担当する都道府県や市の福祉事務所が、生活保護の申請者や受給者の親戚を対象に、収入や就労状況などについて厳しく調査できるようになった。

 これまでは扶養の強い義務を負うのは原則、夫婦間と未成熟の子に対する親で、それ以外は、余裕があれば援助すればよいとされていた。

それが改正法によって、親やきょうだいが援助を拒否した場合、福祉事務所はその理由を説明するよう求められるようになった。

 そもそも民法が定める扶養義務者の範囲は広く、配偶者間や直系血族、きょうだいが当てはまる。
家庭裁判所の審判によっては、3親等内の親族、つまりは、おじ・おば、おい・めいなども扶養義務を負うことがある。

改正法で、この規定が厳格に適用されるのではないかと危惧されているのだ。

 英仏では、扶養義務があるのは夫婦間と未成年の子に対する親のみだ。

子が成人すれば、お互いに扶養義務はない。

独では成人した子と親の間にも扶養義務はあるが、扶養する側が高齢者や障害者の場合は、年収が10万ユーロ(約1410万円)を超える人だけに限られる。
「見知らぬ親戚」を行政が探し出し、扶養を迫ることはほとんどないのだ。

 それに対して日本ではある日突然、「見知らぬ親戚」の扶養を福祉事務所から求められる。
断るには詳しく説明しなければならない。

勤務先や銀行には、収入や資産の調査が入っているかも……。
生活保護の受給者は9月時点で約215万人おり、誰にでも、ふりかかりかねない話となった。
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(どうする?秘密法)命より重い情報ない 三上智恵さん

どうする?秘密法)
命より重い情報ない 三上智恵さん
2013年12月21日21時17分 朝日デジタル

 ■琉球朝日放送キャスター・三上智恵さん


 多くの人は「国防上の秘密があるのは仕方ない」とか「スパイ容疑で罰せられるのは映画の世界」と思っているのではないでしょうか。

しかし、沖縄では機密を知っていたために死に追いやられた住民がたくさんいました。


 情報を漏らすものは極刑という軍機保護法があった沖縄戦でのことです。

住民は軍人と同じ屋根の下で暮らし、陣地の構築や奉仕にかり出されました。
軍の編成や動向など軍事機密に通じていました。

だから、敵が上陸し捕虜になって情報が漏れることを恐れた日本軍から「スパイか」と切りつけられ、自決に追い込まれた。
自分の身を守るため「あいつがスパイだ」と密告する人もいました。


 特定秘密保護法は軍機保護法の再来です。

いまも米軍や自衛隊と隣接して生活する沖縄の住民が、いつまた不都合な存在となり、処罰の対象にされるかと危惧しています。


 事故の多いオスプレイが使う着陸帯の建設に反対する東村(ひがしそん)高江の住民たちが主人公のドキュメンタリー映画「標的の村」を制作しました。

家の近くに何がどのくらい飛来するのか、命を守るために知ろうとするのは当然です。しかし、「秘密を保有する者の管理を害する行為」とされて監視対象になりかねません。


 軍事機密の漏洩(ろうえい)を厳罰化した先にもたらされた悲劇を知るこの島から、法の危うさを何度でも訴えていきたい。

人の命よりも先に守るべき情報などあるはずはありません。

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2013年12月23日

中国防空識別圏設定も2005年の日米合意で米軍は尖閣守らない

中国防空識別圏設定も
     2005年の日米合意で
         米軍は尖閣守らない
2013.12.23 07:00
※SAPIO2014年1月号

 中国が尖閣諸島を含む空域に「防空識別圏」を設定した。
 
 ところが日本の保守派には、この種の問題で冷静さを欠いた論調が多い。

情報より感情が先に立ち、
例えば読売新聞は社説(2013年11月26日付)で、〈今回の行動は、東シナ海などを勢力圏として囲いこみ、米軍の接近を拒否する軍事戦略を具現化したものとも言える〉と危機を煽るのだが、本当にそうなら東シナ海だけで識別圏を設定しても戦略的に全く意味がない。


 同じ社説では、アメリカのヘーゲル国防長官が、〈日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを改めて強調した〉といういつもの論理で“アメリカが黙ってないぞ”と虎の威を借りてすごむ。
これまたミスリードだ。


 読売同様に“親米ポチ路線”を是とした小泉政権時代の2005年に、日米両政府は「日米同盟 未来のための変革と再編」という合意文書を作成し、明確に、
日本は、弾道ミサイル攻撃やゲリラ、特殊部隊による攻撃、島嶼部への侵略といった、新たな脅威や多様な事態への対処を含めて、自らを防衛し、周辺事態に対応する〉と決められた。


 同じ合意で日本が米軍に基地や資金を提供することが約束される一方で、アメリカの日本防衛義務を「本土への通常兵器による軍事行動」に限定した“不平等条約”なのである。
米軍は尖閣を守る気などない。


 中国の行動は受け入れ難い暴挙だが、アメリカを頼んで中国を必要以上に危険視する一部の単純な保守勢力には、短絡的で好戦的な危うさがある。不当な挑発に毅然と正しく対応するためにも、より慎重でインテリジェントな情報収集・分析が求められる。

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2013年12月24日

JR東海 女性運転士増加 命預かる責任 激務でも誇り



JR東海 女性運転士増加 
       命預かる責任 激務でも誇り
2013年12月23日 東京新聞朝刊

 JR東海道新幹線に女性運転士が誕生して今年で10年。

当初の4人から現在は三桁となり、ホームの風景にも溶け込んできた。
車掌や指令なども増え、JR東海は来年以降も「女性が活躍する分野は広がっていくだろう」としている。
現役運転士と1期生に話を聞き、歩みをたどった。 (栗田晃)


 革のかばんを手に、りりしい制服姿でホームを行く。
一編成当たり乗客千三百人の安全を預かり、週二回の泊まりもある激務だが、運転士歴二年半の根本浩未(ひろみ)さん(30)は「男性と比べて苦労があるとすれば、身支度のために早起きすることぐらい」と笑顔を見せる。


 就職活動中、偶然、東京駅のホームで見掛けた女性運転士の制服姿にピンときた。
「女性でも運転士になれるなんて格好いい」。
夢をかなえ、「先輩方に、いろいろアドバイスしてもらえたおかげ」と話す。


 一九九九年の労働基準法改正を機に女性の深夜勤務が可能に。
JR東海では二〇〇三年に女性運転士がデビュー。
年々割合は増え、現在、新幹線乗務員(車掌も含む)約千六百人のうち二百人余りが女性だ。


 「挑戦しないのはもったいないし、後に続く人もいなくなる」。

女性運転士の一期生、阪口杏沙(あずさ)さん(36)=現新幹線鉄道事業本部運輸営業部=は振り返る。


 三年間の車掌経験をへて、国家試験の免許取得に向け、四カ月の研修生活を送った。
運転士は列車運行の総責任者。
多岐にわたる故障対応を学ばなければならない。
「電車の模型で遊んだこともないし、電気回路や車両構造なんて、ちんぷんかんぷんだった」。
男性の同期の協力も受け、女性四人の初合格者の一人となった。


 初乗務は〇三年六月、名古屋駅から新大阪駅へ向かうひかり。
「お客さんの命を預かる気持ちでいっぱいだった」。
天候や乗車率で、ブレーキのタイミングは微妙に変わる。
京都駅で停車位置を守ることができ、ほっとした。


 阪口さんは運転士時代、記念撮影を頼まれたり、小さい子から手紙を渡されたりすることが誇りと励みになった。
安全運行への責任は男女同じだが、イメージアップに貢献できる女性ならではの面もあると感じる。


 運転士を目指す後輩から相談されると「やってみるべきだよ」と背中を押す。
責任が重い、と尻込みせず、挑戦することが大事。これからもっと増えてほしい」と期待する。

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2013年12月25日

秘密保護法 自民の「反論」は正当か

秘密保護法 自民の「反論」は正当か
2013年12月23日 東京新聞社説

 特定秘密保護法を批判する報道に対し、自民党が「反論」と称する文書を同党の国会議員に配布した。
反論権は十分に認め、謙虚でありたい。
それを踏まえても、中身には疑問を持たざるを得ない。


 文書のタイトルは「特定秘密保護法に関する誤った新聞報道への反論」だ。
東京新聞(中日新聞東京本社)や朝日新聞、毎日新聞の報道や社説を二十三本、取り上げて、それぞれ逐条的に「反論」を加えている。


 例えば、「『行政機関の長』が、その裁量でいくらでも特定秘密を指定できる」と書いた新聞について、「反論・事実に反します」と冒頭で記す。

さらに「特定秘密は、法律の別表に限定列挙された事項に関する情報に限って指定するもので、(中略)恣意(しい)的な運用が行われることはありません」と記している。


 問題なのは、肝心の別表の中身があまりに茫漠(ぼうばく)としていることだ

外交分野では「外国の政府との交渉」と書いてある。
こんな言葉では、どんな交渉も含みうる。
拡大解釈も、恣意的な運用も可能であろう。
どこが「限定」していると言えるのか、不可解というほかはない。


 「国会や司法のチェックも及ばない」と書いた新聞にも、「反論・事実に反します」とし、「国会の求めに応じ、特定秘密を提供しなければならず、国会で必要な議論ができます」と書く。


 この記述は、議員が誤解しよう。
たしかに国会の秘密会に提供する定めはある。
だが、行政機関の「長」が「安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき」に限られる。


 そもそも特定秘密とは「安全保障に著しい支障があるため、特に秘匿するもの」である。
支障がないと行政側が判断する情報は元来、特定秘密になりえない。法を読む限り、論理矛盾でないか。


 テロリズムの定義をめぐっても、「反論」があった。

政府とは異なる解釈ができる条文の書き方で、根源的な問題である。
法律自体が欠陥なのだ。


 自民党の文書は「一部の新聞は誤情報を流して国民を不安に陥れています」と記している。
批判に背を向ける姿勢がうかがえる。


 報道機関は良心に従い、権力を監視し、問題点があれば、報道し、言論を述べる。野党も追及する。
国民もデモなどで声を上げる。
民主主義社会では正常な風景である。
国民を不安に陥れるのは、秘密保護法そのものである。

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PKOで弾薬提供 説明なき転換を危ぶむ

PKOで弾薬提供 説明なき転換を危ぶむ
毎日新聞「社説」 2013年12月25日 02時30分


 極めて疑問の残る決定だ。
政府は、治安が悪化している南スーダンの国連平和維持活動(PKO)で、陸上自衛隊の弾薬1万発を国連を通じて現地の韓国軍に無償提供した。

武器輸出三原則に抵触することから、例外扱いにした。
日本の武器・弾薬が外国軍に譲渡されるのは初めてだ。

それなのに政府の説明は不十分で、理由にあげた緊急性・人道性がどの程度のものか、代替手段はなかったかなど、政策の妥当性を判断する材料が乏しい。
戦後の安全保障政策をなし崩し的に転換することのないよう、納得いく説明を求めたい。
 

◇三原則さらに骨抜きに 

南スーダンでは今月15日から政府軍と反大統領派の戦闘が続き、治安が急速に悪化している。
現地でPKO活動をする国連南スーダン派遣団(UNMISS)には、韓国軍工兵隊280人が参加しているが、避難民1万5000人とともに武装勢力に周辺を取り囲まれている。


 そんな中、約150キロ離れた首都に展開中の陸上自衛隊に、韓国軍とその要請を受けたUNMISSから「弾薬が不足している」と申し入れがあった。

陸自は2012年1月から道路や橋の建設などの活動をしている。
決定を受けて、5・56ミリ小銃用の弾薬1万発を提供した。


 弾薬提供には、二つの点で懸念がある。
武器輸出三原則を骨抜きにしかねないことと、武器・弾薬の提供を否定した国会答弁との整合性だ。


 武器輸出三原則は、11年に野田内閣が、平和貢献・国際協力や国際共同開発・生産のケースについて輸出を認め、大幅に緩和した。

これにもとづきハイチのPKOでは、自衛隊はブルドーザーなどを提供したが、武器や弾薬を提供したことはなかった。

またPKOでの武器提供は、参加国との政府間取り決めが前提で、現行では国連など国際機関は対象外だ。
韓国政府との取り決めは結べず、例外扱いにした。


 三原則は、憲法の平和主義を支えてきた基本原則だ。
例外を重ねて形骸化してきたが、その都度、国会などで議論されてきた。

今回は、三原則がさらに骨抜きになりかねない重要な政策変更にもかかわらず、政府は国家安全保障会議(NSC)と持ち回り閣議を開いただけで弾薬提供を決めた。
発表はA4判1枚の菅義偉官房長官談話を出しただけだ。
野党には全く連絡がなかったという。


 官房長官談話は、韓国隊員と避難民の生命・身体の保護に一刻を争うことや、現地で自衛隊だけが同型の弾薬を持っているとして、緊急性・人道性を強調している。

また弾薬は韓国隊員と避難民の生命・身体の保護だけに使われ、国連の管理下で武器移転が厳しく制限されるとして、理解を求めている。

韓国国防省報道官は24日、国内の批判を意識したのか「予備量を確保するため臨時で借りた。
(銃弾は)不足していない」と語った。日本政府の説明と食い違う。


 だからこそ安倍晋三首相は自ら記者会見できちんと説明すべきだ。
国会も安倍政権の政策判断が妥当かどうか、現地情勢や決定の経緯などを検証すべきだ。
一部野党は閉会中審査を求める考えを示している。当然のことだ。


 一方、過去に武器・弾薬の提供を否定した政府の国会答弁との整合性にも疑問がある。

 ◇国会で閉会中審査を


 政府はかつて「国連側から要請があるとは想定しておらず、仮にあったとしても断る」と述べていた。

この点について今回、政府は「緊急時の例外的提供は排除していない」とし、PKO協力法25条の物資協力の規定を適用したと説明している。


 そもそも物資協力に弾薬が含まれるかどうかの規定はない。
あいまいにしてきたのは、弾薬提供などの支援をした他国部隊が武力行使する場合、日本が直接武力行使しなくても一体とみなされ、憲法9条に違反する可能性があるためとみられる。


 PKO要員の生命・身体を守るための武器使用は憲法の範囲内だが、相手が国や国に準ずる組織であってPKOの任務妨害を排除するために武器を使用することは憲法に違反する恐れがある。
これが政府が積み上げてきた憲法解釈だ。


 このため談話では、弾薬は韓国隊員と避難民の生命・身体の保護のためだけに使われると説明している。

しかし武器使用の区分は、憲法の制約から生まれたもので、韓国軍は認識していない。
まして韓国側から生命・身体の保護目的だけという担保をとっているわけでもなく、日本側の想定に過ぎない。
状況次第で憲法に抵触する可能性をはらんでいる。


 安倍首相は24日の自民党役員会で「積極的平和主義にのっとって行った。
万が一断ったら国際社会から批判される」と語ったそうだ。

首相は積極的平和主義の名のもと、今回のような集団安全保障と呼ばれるPKO活動の拡大や、集団的自衛権の行使容認を目指そうとしている。


 緊急性・人道性が差し迫ったものであったとしても、今回のやり方はあまりに乱暴だ。
例外で既成事実を積み重ね、なし崩し的にことを運ぶようなやり方は容認できない。
政府のしっかりした説明と早期の国会審議を求める。

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2013年12月26日

PKO武器提供 銃弾で平和は得られない

PKO武器提供 
      
銃弾で平和は得られない
新潟日報モア【社説】
2013/12/25 08:57

 人を殺傷できる銃弾の提供が、平和に寄与する活動といえるのだろうか。到底容認できない。

 安倍政権は、内戦の危機にある南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に参加している陸上自衛隊の銃弾を、国連経由で現地の韓国軍に供与することを決めた。

 1万発の銃弾が無償譲渡される。
他国の軍に日本が武器を提供するのは初めてのことだ。
要請を受けた翌日に国家安全保障会議(NSC)で即決したのには、驚くほかない。

 武器輸出三原則に抵触するはずだが、緊急性や人道性が高いとして、菅義偉官房長官が三原則の「例外」とする談話を出した。

 安倍晋三首相が掲げる「積極的平和主義」とは、軍事行動に加担することを意味するのか。

三原則を見直すため、既成事実を積み重ねる行動に出たとも考えられよう。

 PKO協力法は25条で、他国への物資協力を定めてはいる。
だが、歴代の政権はPKOでの武器の譲渡は否定してきたのだ。

 人道的な国際機関は、その活動のために「武器や弾薬を必要とすることは万が一つにもない」とし、「仮に要請があっても断る」と政府は答弁してきた。重い言葉だ。

 安倍政権は十分な議論もなく、「例外」や「緊急性」を強調して、従来の政府方針からの転換をNSCで即断したのである。
もっと明確な説明を求めたい。

 南スーダンは長い内戦を経て、2011年にスーダンから分離独立した。
PKOの目的は、新しい国の安定と国造りへの支援のはずだ。

 日本は12年1月から、部隊派遣が本格化し、約400人が首都ジュバで、道路や滑走路などのインフラ整備に当たっている。

 しかし、国内の政情は不安で、今月に入って大統領派と前副大統領派の武力衝突が起きた。
治安が悪化していることは否めない。

 韓国国防省も日本からの銃弾提供は「万が一の事態に備えた」と述べているが、メディアは安倍政権の「積極的平和主義」を正当化するとの警戒感を示している。

 今回の武器支援で、あつれきが生じている日韓関係の改善につなげたいという首相の思惑があるのなら、本末転倒ではないか。

 NSCの設置、それに伴う特定秘密保護法の公布、「国家安全保障戦略」の決定と、安倍政権は保守的な政策を力ずくで押し進めている。

 その先にあるのが武器輸出三原則の見直しであり、集団的自衛権の行使容認まで見据えているのは明らかだ。
今回の武器支援も独走的な政策展開の一環に映る。

 主権者である国民の代表、国会が武力の問題を統制する文民統制(シビリアンコントロール)は民主主義の大原則だ。
これが形骸化するという批判が出るのは当然だろう。

 「例外」を前例とするのは、決して許されることではない。
武器の輸出、提供がなし崩し的に広がることが危惧されよう。

 国際貢献という意味を、首相は自らに問い直してほしい。
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時代の風:多忙すぎる日本の教師=元世界銀行副総裁・西水美恵子

時代の風:多忙すぎる日本の教師
=元世界銀行副総裁・西水美恵子
毎日新聞 2013年12月22日 東京朝刊

◇授業は十分な準備必要

 教育制度の在り方が盛んに議論されているようだ。
国づくりは人づくり。
うれしいことだが、さまざまな意見や改革案を聞くたび、教壇に立つ人の視点から考えてほしいと、切に願う。


 帰国中、全国各地の大学や小中高等学校の招待に応ずることが多い。
そのつど教師が事務や雑務に費やす膨大な時間にあぜんとし、危機感を抱く。


 私自身の経験は、米プリンストン大学で経済学を教えた数年のみ。
日本の教育問題に関しては素人同然だ。
しかし、その体験から、教えるために十分な準備時間をとることは教育の品質向上に不可欠だと知った。


 1足す1は2と言いきれる学問分野は少なく、経済学でもほとんどの問題に正解はない。

だからか、深い学びは、時事問題を教材にして学生と議論を交わす時に訪れた。
問題の本質を見極め、多様な観点から掘り下げ、解決策を見いだしていく。学生の意見を深く聴き、時には挑発しつつ、私も一緒に考える授業だ。


 そういう対話型授業を体験した学生は、知識欲が旺盛になる。経済理論や統計学を学ぶ動機が高まり、経済思想史や、思想を変えた背景まで知りたがる。
2時間の授業の準備に丸1日費やすのは、普通だった。


 プリンストン大学は、いい授業はいい研究を生むという主義を貫いていたように思う。
教師に研究者プラス教育者としての努力を求め、特に期末に実施される学生の授業評価は、教員査定に相当の影響を与えた。

例えば、将来ノーベル賞候補かと有望視されていた友人は、不熱心な授業をとことん嫌われ、当大学での未来はないと言い渡された。


 しかし、教育者としての努力を惜しまぬ者には、最高の環境を与えてくれた。
研究時間はもとより、教えるための種々準備時間を十分に確保できた。

授業量は、毎学期1〜2課目、週に2〜4時間のみ。
秘書のおかげで、事務などにとられる時間はないも同然だった。


 日本の先生方は、まるで口をそろえたように「事務や雑務のノルマをこなし、授業の準備時間を十分確保するとなると、1日24時間では足りない」と嘆く。

それでも学習品質の向上に情熱を注ぐ多くの教師に出会っては、頭を下げている。


 この秋ゲスト講師に招かれた神奈川県立荏田高等学校でも、深い感動を覚えた。
国語科のK先生が、拙著「国をつくるという仕事」(英治出版)を選択科目「現代文の探求」の教材に選んでくれたのだ。

科目の目的は「生徒を優れた日本語の担い手に育てるとともに、将来、社会の一員として自ら考え、行動できる市民にすること」。

教材の読解演習のみではなく、それを起点に社会とつながり、「人に学ぶ」機会を与えたいと、生徒と著者の対話型授業が計画されていた。


 その日まで生徒がたどる学習の道は、先生が写真付きのメールで頻繁に報告してくれた。
そこには、3クラス約70人の生徒が本から学び、お互いからさらに学び合う、「読書駅伝」という仕組みが描かれていた。


 順番に読まれた本は、著者の「人間性」と出会ったページに付箋が貼られ、感想文も添えられて、生徒から生徒へと渡りながら新たな出会いを生んでいく。

そうして皆が共有できるエピソードを選び、著者や登場人物の心情とその背景について話し合い、読みを深める。
「言葉を通して人間の生き方を考える文学教育」だと、先生に教わった。


 生徒たちは、この過程から得た学びを記述問題として表現。
出来上がった問題を自分たちで解きながら、さらに読みを深めていく。

K先生は、「受験テクニックを超えた学習に、生徒は素直な知的好奇心を示しています」と、しごくうれしそうだった。


 待ちに待った対話の日。
澄んだ目に光る星と、深く聴く姿勢、まっすぐな問答、どっしりとした存在感に、君たちは本当に高校生かと驚き、ならば母国の未来は大丈夫と、感じ入った。


 授業の後、K先生が「この若者たちは、将来きっと、自分をそして社会の他のメンバーを引っ張っていくリーダーシップを発揮してくれる」と言われた。
それほどまでの成果を生んだご苦労を思い、涙が出た。


 「先生が県のスーパーティーチャーに選ばれたんだよ!」と、胸を張る生徒たち。
喜びを共にしながら、そっと祈った。

この表彰が、先生の負担をこれ以上増やさないようにと……。

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2013年12月28日

安倍首相靖国参拝:国際的孤立へと突進する暴挙:

安倍首相靖国参拝
国際的孤立へと突進する暴挙
2013年12月27日(金) しんぶん「赤旗」主張

 安倍晋三首相が政権発足から1年を迎えた日に、日本の侵略戦争を肯定・賛美する靖国神社へ参拝したことを、きびしく糾弾します。

首相としての靖国神社参拝は小泉純一郎氏以来というだけでなく、安倍首相はこの1年、日本がかつて侵略した中国や韓国と首脳会談を開くことさえできず、そうしたなか、国家安全保障会議(日本版NSC)や秘密保護法をつくり、集団的自衛権の行使をたくらむなど、軍備増強と戦争体制づくりを進めています。

安倍首相の靖国神社参拝は、内外の批判を踏みにじり、「戦争する国」へ突進する暴挙というしかありません。

政権に復帰以来の執念

 東京・九段にある靖国神社は、戦前は軍の管理で、日本の侵略戦争を「自存自衛の正義のたたかい」
「アジア解放の戦争だった」と正当化する、特殊な施設です。

日本の政府を代表する首相や閣僚が靖国神社を参拝するのは、そうした侵略戦争肯定・美化の立場に自ら身をおくことを認めるものであり、戦争で犠牲になった「英霊に尊崇の念を示す」「不戦の誓い」などという言い分は通用しません。


 安倍首相は靖国神社参拝後、これまでの首相も参拝を続けてきたといいはりましたが、侵略戦争を肯定・美化する靖国神社への首相や閣僚の参拝が、侵略戦争は繰り返さないと誓った国内世論の批判を招いてきたのはもちろん、中国や韓国からもきびしい反発を呼んできたのは歴史の事実です。

だからこそ2006年の小泉氏以降、首相は参拝しなかったのです。


 ところが安倍氏は、06〜07年の第1次政権時代に靖国神社に参拝できなかったことを「痛恨の極み」と公言し、昨年末の第2次政権発足後、ことあるごとに参拝の機会をうかがってきました。

春と秋の靖国神社の例大祭には総理大臣名で供え物の真榊( ま さかき)を、8月15日の終戦記念日には代理を派遣して自民党総裁名で玉ぐし料を奉納したのはその証明です。

政権1年の日を選んだ参拝は、安倍首相の異常な執念を浮き彫りにするものです。

 首相や閣僚の靖国神社参拝には、かつて日本に侵略された中国や韓国だけでなく、連合国として戦前の日本とたたかったアメリカも懸念を示してきました。

ことし10月来日したアメリカの国務長官と国防長官がそろって千鳥ケ淵の戦没者墓苑に献花・黙とうしたのは、首相の靖国神社参拝をけん制したものと受け取られています。

 国内からも、海外からも反発が確実視されたのに、安倍首相があえて参拝を強行したのは、政権発足以来進めてきた「戦争する国」づくりへの新たな決意表明以外の何ものでもありません。

日本版NSCや秘密保護法を決めた後、「国家安全保障戦略」や「防衛計画の大綱」を策定、来年度予算案では軍事費の2年連続増額を決めるなど、安倍政権の動きは矢継ぎ早です。

暴走を食い止め、「戦争する国」をやめさせることが急務です。

中韓米…相次ぐ批判

 安倍首相の靖国神社参拝は直ちに中国や韓国の憤激を呼んでいます。
アメリカからも「失望した」と異例の反応が出されています。


 戦前の日本が戦争に突き進んだのは朝鮮半島や中国東北部への侵略を強行し国際的に孤立したのが背景です。

国内外の批判に耳を貸そうとしない安倍政権の暴走も国際的孤立と自滅を招く道です。

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2013年12月30日

「デフレ脱却=景気回復は問題のすり替え」と女性経済評論家

デフレ脱却=景気回復は
問題のすり替え」
と女性経済評論家
2013.12.29 07:00 NEWSポストセブン

 国民はデフレ脱却をどれだけ期待しているのだろうか。


 政府(内閣府)が12月24日にまとめた月例経済報告。その中で、物価に関する判断として2009年11月以来、4年2か月ぶりに「デフレ」の表現が削除された。


 それを受けて、日銀の黒田東彦総裁は講演先で「経済や人々の期待などに好転の動きがみられており、千載一遇のチャンスだ」とデフレ脱却に向けた決意を新たにしたという。


 アベノミクス3本の矢にもなった「物価目標2%」は、政府・日銀にとって至上命題。
日本経済再生に欠かせない処方箋と捉えているのである。


 だが、本当にそうなのだろうか。「デフレ脱却=景気回復にすり替えられている危うさがある」と話すのは、経済評論家で大阪経済大学経営学部客員教授の岩本沙弓氏だ。


「デフレは不景気を示す経済用語ではありませんし、逆にインフレは好景気を表しているわけでもありません『デフレ=モノの価値が下がる=通貨価値が上がる』は、結果として発生している経済現象であって、そこに経済悪化の原因を求めても本質的な問題の解決にはなりません。


 いま、国民の多くが不安に思っていることは賃金や所得が増えないという点。
そうした中で単に物価だけが上昇すれば、広く一般の国民の生活は苦しくなるばかりです。
雇用の確保と賃金の増加があっての好景気になること、その結果として適度なインフレ率を伴うことが理想なのです」


 岩本氏はかねてより、賃金や所得が上がらないまま物価と金利が上がれば、中間層が疲弊する「スクリューフレーション」という現象を起こし、所得格差が広がることでかえって日本経済を停滞させると警告を発してきた。


 巷では、企業業績の回復から賃金やボーナスアップの声も聞こえた1年だったが、広く庶民まで潤ったわけではない。

岩本氏が続ける。


「厚生労働省が発表している『毎月勤労統計調査』の賃金指数をみると、確かに『現金給与総額』や『きまって支給する給与』は上がっていますが、これは賞与・一時金・残業代などが増加した結果で、実態経済への長期的な影響としては心許ない。
まだ基本給などの『所定内給与』が上がってくる段階にはないのです


 こうした経済不安に加え、来年4月以降の消費税増税が「タイムラグを伴って実態経済を圧迫する可能性が非常に高い」と岩本氏は指摘する。


“景況感”ばかりがダラダラと続く日本経済。2014年はその真価が厳しく問われる年となる。


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2013年12月31日

年のおわりに考える 民主主義は深化したか

年のおわりに考える
 
民主主義は深化したか
2013年12月30日 東京新聞「社説」

 今年も残すところあと一日。
振り返れば、久々に首相交代のない一年でもありました。
安倍晋三首相の下、日本の民主主義は「深化」したのでしょうか。


 今年、日本政治最大の変化は、参院で政権与党が過半数に達しない国会の「ねじれ」状態の解消です。

民主党政権の一時期、解消されたことはありましたが、二〇〇七年から六年ぶりのことです。


 ねじれ国会では与党が法案を成立させようとしても、野党が反対すれば不可能です。
内閣提出法案の成立が滞り、政策を実現できない「決められない国会」に、国民のいらだちは高まりました。


◆ねじれ解消したが 

ねじれ国会のこの六年間は頻繁な首相交代の時期と重なります。
ねじれが政治不安定化の一因になったことは否めません。


 では、ねじれ国会が解消されて日本の政治は本当によくなったのでしょうか。


 経済再生、デフレ脱却を最優先に掲げてきたはずの第二次安倍内閣が「本性」を現した象徴的な政治的出来事が、年末になって相次いで起きました。


 その一つが、特定秘密保護法の成立を強行したことです。


 この法律は、防衛・外交など特段の秘匿が必要とされる「特定秘密」を漏らした公務員らを厳罰に処す内容ですが、国民の知る権利が制約され、国民の暮らしや人権を脅かしかねないとの批判が噴出しました。


 しかし、安倍首相率いる自民党政権は衆参で多数を占める「数の力」で、採決を強行します。


 首相は「厳しい世論は国民の叱声(しっせい)と、謙虚に真摯(しんし)に受け止めなければならない。
私自身もっと丁寧に説明すべきだったと反省している」と述べてはいます。

しかし、首相が国民の声に本気で耳を傾けていたら、成立強行などできなかったのではないでしょうか。


◆「自民一強」の慢心

そして、第二次内閣発足一年に当たる二十六日の靖国神社参拝です。
第一次内閣で参拝できなかったことを「痛恨の極み」と話していた首相ですから、積年の思いを果たしたということでしょう。


 国の命による戦死者を、指導者が追悼し、慰霊するのは当然の責務とはいえ、首相の靖国参拝にはさまざま問題があります。


 靖国神社が一宗教法人であるという政教分離の問題に加え、
極東国際軍事裁判(東京裁判)のA級戦犯が合祀(ごうし)されている靖国神社への首相参拝は、軍国主義礼賛と受け取られかねないからです。


 首相の参拝には、国内はもとより、日本軍国主義の犠牲となった中国、韓国をはじめ近隣諸国から激しい反発が出ています。
東アジアの火種を避けたい米政府も「落胆した」と批判しています。


 足元の自民党内の一部や友党である公明党の反対を押し切っての参拝強行です。
そこには多数党の頂点に立つ首相なら何をやっても乗り切れる、という「慢心」があるように思えてなりません。


 その翌日には、沖縄県の仲井真弘多知事が米軍普天間飛行場の県内移設に向けて、名護市辺野古沿岸部の埋め立てを承認します。


 知事に承認させるため、政府と自民党は手を打ってきました。

年間三千億円の沖縄振興予算という「アメ」と、
世界一危険とされる普天間飛行場が固定化してもいいのかという「ムチ」です。


 県民の多くが求めた国外・県外移設を、安倍政権は一顧だにしません。
県選出の自民党国会議員には県外移設の公約撤回を迫る周到ぶりです。


 これらはたまたま時期が重なっただけかもしれません。


 しかし、いずれも民主主義とは相いれない、自民党「一強」ゆえの振る舞いです。
野党の言い分や国民の間にある異論に耳を傾けざるを得ない「ねじれ国会」であれば、躊躇(ちゅうちょ)したはずです。


 今夏までのねじれ国会では歩み寄りの努力を怠り、ねじれ解消後は議会多数の「数の力」で押し切り、異論をねじ伏せる。そんなことで自由、民主主義という価値観をほかの国と共有すると、胸を張って言えるでしょうか。

◆大事なことは面倒 

 引退を表明した世界的なアニメ作家、宮崎駿さんは「世の中の大事なことって、たいてい面倒くさいんだよ」と指摘します。


 多様な意見があり、利害が交錯する現代社会では、意見を集約して方向性を決めることは手間のかかる作業です。

選挙結果を金科玉条に、多数で決める方が議員にとって、はるかに楽でしょう。


 最後は多数決で決めるとしても少数意見にも耳を傾ける。
議論を尽くして、よりよい結論を出す。
説明、説得を怠らない。


 民主主義を実践するのは面倒です。
しかし、その地道な作業に耐える忍耐力こそが、民主主義を深化させる原動力になるのです。

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大晦日に考える 日本人らしさよ

大晦日に考える 日本人らしさよ
2013年12月31日  東京新聞「社説」

 「日本を取り戻そう」と安倍首相は言いますが、それよりも「日本人らしさを取り戻そう」と言いたい。

そんなことを思ったこの一年でもありました。


 ことし印象深かった光景のひとつに、俳優高倉健さんの文化勲章を受けた時の会見がありました。

 こう言いました。
 「日本人に生まれて本当によかった…」

 それを聞いてじつに新鮮な感じを受けました。
最近、聞いた覚えがなかったからです。


 ご承知のように健さんは、期待のニューフェースとして映画界入りしたものの作品に恵まれず任侠(にんきょう)映画でやっと人気を博す。

 少々脱線するようですが、当時の熱気あふれる映画館では、終幕に殴り込んだ健さん、その背後に敵の刃(やいば)が迫る、すかさず客席から銀幕に声が飛ぶ。
 「健さん、うしろだ」
 間髪入れず、健さん、振り返って、バッサリ…。


 今ではおよそ考えにくい光景でしょうが、その映画館の掛け声とは、自分がそうありたい日本人に向かって思わず叫んだ声援ではなかったでしょうか。



 記者会見で、健さんはこうも言いました。

 「一生懸命やっていると、ちゃんと見ていてもらえるんだなあ」


 日本人の倫理観を見事なほど簡潔に述べています。
勤勉を尊び、仕事は公正に評価される。
うなずきつつ聞いた人もいたでしょう。


 目下、格差社会といわれます。

 こんな言い方があります。


 日本政府は、外国の企業・投資を呼び込もうとしている。
そのために企業の税金を安くする。
同じ恩恵は日本の企業も受けるが、厳しい競争のために経営効率を上げる。社員の給与を抑える。
非正規労働者を増やす。

ではそれは一体だれのための政策だろうか。


 こういう中に、日本人らしさはあるでしょうか。


 現実には二つの対応があるようです。

一つは、少なからぬ企業が苦しい中でも格差をできるだけ抑制しようとしていること。
経営者から日本人らしさが消えたわけではありません。


もう一つは、競争を理由に格差を進んで認めるような企業のあることです。若者を使い捨てるブラック企業が典型でしょう。
日本人らしくもないことです。

◆司馬さんの日本人論

 政治の世界でも、政治参加の権利をめぐって格差に似たものが生まれつつあるのかもしれません。
政治と民意とが離れすぎた。


 例えば、揺れに揺れた特定秘密保護法。


 情報を独占する国家と、情報を知らされざる国民。
もう少し踏み込んで言えば、支配する者と支配される者。

歴史の教えに従うなら、国家と国民の分離はその国の未来を不安定にしかねません。
少なくとも民主国家からは遠ざかるでしょう。


 日本人論と言えば、作家の司馬遼太郎さんは、こう語っていました。
一九九一年、文化功労者に選ばれた時の会見で。


 「どうして日本人はこんなにばかになったんだろう。昔はちがったろう。ここから(ぼくの)小説(を書くこと)は始まった」


 彼によれば武士道から来たストイシズム、禁欲主義。江戸の商人たちが到達した合理主義。
その二つが明治で合体し、よき明治人をつくり上げたとなる。


 司馬さんは、明治人を書くことで、無謀な戦争の愚かさや、戦後の土地バブルのようなことは、断じて日本人らしくはない、とさとそうとしたのでした。


 古い日本人をふりかざそうとは思いません。
しかしそれは私たちの先人の知恵であり、振り返る価値のあるものです。


 どの国にも国民性はあります。
アメリカにはアメリカ人らしさ、中国には中国人の、日本には日本人の…。
それは変わらないようで時に変わったようにも見えます。
政治や経済が曲げることがあるからです。


◆自信喪失状態の選択は


 私たちは、やはり時々自分を見つめ直さねばなりません。


 冒頭の健さんの言葉に戻せば、その「日本人に生まれて本当によかった…」という言葉は、私たち自身を問い直すよい機会を与えてくれたような気がします。


 私たちは経済的に豊かな日本を取り戻すのか、それとも精神的に豊かな日本人らしさを取り戻すのか。
そこが見るべき岐路です。


 日本は今自信喪失状態のようです。
しかし政治にせよ、経済にせよ、日本人らしさを忘れているだけなのではないでしょうか。

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2014年01月01日

年のはじめに考える 人間中心の国づくりへ

年のはじめに考える 
 
 人間中心の国づくりへ
2014年1月1日 東京新聞「社説」

 グローバリゼーションと中国の大国化に「強い国」での対抗を鮮明にした政権。
しかし、経済や軍事でなく人間を大切にする国に未来と希望があります。


 株価を上昇させ、企業に巨額の内部留保をもたらしたアベノミクスへの自負と陶酔からでしょう、安倍晋三首相は大胆でした。

就任当初の現実主義は消え、軍事力増強の政策にためらいは感じられませんでした。


 多くの国民の懸念をふり払って特定秘密保護法を強行成立させた後は、初の国家安全保障戦略と新防衛大綱、中期防衛力整備計画の閣議決定が続きました。


◆強い国への疑心暗鬼


 今後十年の外交、防衛の基本方針を示す安保戦略は、日米同盟を基軸にした「積極的平和主義」を打ち出し、戦後の防衛政策の転換をはかりました。

先の戦争への反省から専守防衛に徹する平和国家が国是で国際貢献も非軍事でしたが、積極的平和主義は国際的紛争への積極的介入を意図し、軍事力行使が含意されています。



 米国と軍事行動を共にするには集団的自衛権の行使容認の憲法解釈変更は前提で憲法九条改正は最終の目標です。

このままでは米国の要請で「地球の裏側」まで自衛隊派遣の義務が生じかねません。


 安倍政権が目指す「強い国」は「急速な台頭とさまざまな領域へ積極的進出」する中国を念頭に自衛隊を拡大、拡充します。

それは他国には軍事大国の脅威ともなるでしょう。
疑心暗鬼からの軍拡競争、いわゆる安全保障のジレンマに陥ることが憂慮されます。


 強い国志向の日本を世界はどうみているか。

昨年暮れの安倍首相の靖国参拝への反応が象徴的。
中国、韓国が激しく非難したのはもちろん、ロシア、欧州連合(EU)、同盟国の米国までが「失望した」と異例の声明発表で応じました。

戦後積み上げてきた平和国家日本への「尊敬と高い評価」は崩れかかっているようです。

◆人には未来と希望が

 アベノミクスも綱渡りです。
異次元の金融緩和と景気対策は大企業を潤わせているものの、賃上げや消費には回っていません。

つかの間の繁栄から奈落への脅(おび)えがつきまといます。
すでに雇用全体の四割の二千万人が非正規雇用、若き作家たちの新プロレタリア文学が職場の過酷さを描きます。
人間が救われる国、社会へ転換させなければなりません。


 何が人を生きさせるのか−。
ナチスの強制収容所で極限生活を体験した心理学者V・E・フランクルが「夜と霧」(みすず書房)で報告するのは、未来への希望でした。

愛する子供や仕事が、友や妻が待っているとの思い、時には神に願い、誓うことさえ未来への希望になったといいます。


 人はそれぞれがふたつとない在り方で存在している。
未来はだれにもわからないし、次の瞬間なにが起こるかもわからない。
だから希望を捨て、投げやりになることもないのだ、というのもフランクルのメッセージでした。


 社会にも未来と希望があってほしいものです。

四月から消費税率引き上げとなる二〇一四年度の税制大綱は企業優遇、家計は負担増です。
企業には復興特別法人税を前倒しで廃止したうえに、交際費を大きく減税するというのですから国民感情は逆なでされます。


 税もまた教育や医療と介護、働く女性のための育児や高齢者福祉サービス、若者への雇用支援など人間社会構築のために振り向けられなければなりません。
そこに未来や希望があります。


 所得再配分は国の重要な役目。
政府が信頼でき、公正ならば国民は負担増をいとわないはずです。
高度経済成長はもはや幻想でしょう、支え合わなければ生きられない社会になっているからです。


 脱原発も人間社会からの要請です。
十万年も毒性が消えない高レベル放射性廃棄物の排出を続けるのは無責任、倫理的にも許されません。
コスト的にも見合わないことがはっきりしてきました。


 「原発ゼロ」の小泉純一郎元首相は「政治で一番大事なことは方針を示すこと。
原発ゼロの方針を出せば、良い案をつくってくれる」「壮大な夢のある事業に権力を振るえる。
結局、首相の判断と洞察力の問題」と語りました。
首相の洞察力は無理なのでしょうか。


◆涙ぐましい言論報道 

特定秘密保護法でメディアの権力監視の責任と公務員から情報を引き出す義務はいちだんと重くなりました。
それにもまして大切なのは、一人ひとりの国民の声に耳をすまし伝え、できれば希望になることです。

画家の安野光雅さんは、それを「涙ぐましい報道」と表現しました。
涙ぐましい努力を続ける報道言論でなければなりません。
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2014年01月02日

これからの日本に期待することランキング2014

これからの日本に
期待することランキング2014

2014年1月1日(水)19時0分配信 
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 さあ、いよいよ2014年が幕を開けました。
国内の政治や世の中の動きなど、最近は気になることがいろいろありますが、今回はみなさんに新年らしくこれからの日本に期待することは何か聞いてみました。

 1位には《税金が正しく使われる国》が選ばれました。
今年実施される消費税増税が頭にあった人が多かったのかもしれませんが、今後も少子高齢化が加速する日本。

増税するのはいたしかたないとしても、「税金の無駄遣い」のニュースを見るたび、「せめてちゃんと国のため、みんなのために使ってくれ〜」という気持ちになりますね。

なお、2013年の同調査では3位だった《老後は年金で暮らしていける国》は、2014年は7位と順位を落とす結果に。

年金だけで老後を悠々自適に暮らしたい…という希望はあっても、現実的にそれが「できる」と考える人は減ってきているのかもしれません。

 2位は《治安のよい国、そして3位は《国民のマナーが良い国》となりました。

観光庁の発表によると、2013年の日本への外国人観光客の数は過去最高の1000万人前後となり、今後日本は「観光立国」として年間2000万人の外国人旅行者を誘致するべく、さまざまな取り組みをするそうです。

訪日した外国人が、日本の治安の良さや日本人のきめ細かな配慮に感激するという話を耳にすることはありますが、せっかく日本に来てくれた外国人に楽しんでもらうためにも、日本の良いところはぜひ維持していきたいですね。

 ほかにも、4位《ストレスなく働いていける国5位《子どもを産みやすい/育てやすい国》など、納得の回答がランク・インしましたが、忘れてはならないのは、明日の日本を築くのは私たち自身だということ。

人任せにするのではなく、自分には何ができるのか、みんなが考える社会になれば理想的ですね。

調査方法:
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(株)提供の「NTTコム リサーチ」モニターに対してアンケートを行い、その結果を集計したものです。
調査期間:2013 /10/31〜2013/11/1
有効回答者数:1,060名
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アメリカ交渉団の黒幕正体 TPP「日本イビリ」衝撃深層

アメリカ交渉団の黒幕正体
 TPP「日本イビリ」衝撃深層
週刊大衆01月06・13年末合併特大号

「列島植民地計画」進行中

全国の農業関係者が固唾を飲んで見守るTPP加盟交渉。
目標の年内妥結には至らず、14年への持ち越しが決まった――。

「日本の主張する農産物5品目の関税維持を、米側が完全にシャットアウト。日本側が"関税撤廃率を93・5%まで引き上げる"と譲歩しても、米国はまったく譲らない。
これ以上の譲歩は、日本の"敗北"も同然です」(全国紙外信部記者)

12月8日の閣僚会合では、米通商代表部のフロマン代表と1時間近く会合したが、決裂。
翌日の会談時間はたったの10分で、
「もう米側は日本の要求を無視し始めた」(官邸関係者)との見方まで浮上している。

かつてない"日本イビリ"に安倍政権も頭を抱えているが、なぜ、こうも米側は高圧的なのか?

「米側はオバマ大統領ではなく、フロマン代表独自の考えで動いている。
フロマンは、アメリカのみならず世界経済を牛耳るロックフェラー一族の意向で政権入りし、"オバマよりも力がある"との噂も。

世界的金融機関・シティグループの要職や、米国の外交政策に絶大な影響力も持つ外交問題評議会の出身です。
つまり、日本は米政府ではなく、"米財界の伝書鳩"と交渉しているようなものなんですよ」(前同)

TPP交渉は、日本市場のさらなる開放を強行したい米企業連合との経済戦争だったのだ。
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2014年01月03日

やり直せる充実感 36歳の高校生

(教育2014 埼玉)
やり直せる充実感 36歳の高校生
2014年1月1日03時00分  朝日デジタル

 勉強なんて大嫌い。
バイトの方がおもしろいし、授業に出なくても高卒の資格がもらえればいい。まあ何とかなるでしょ。
 そう思っていた。20年前の、高校生の自分は――。
    ◇

 「では、プリントに当てはまる言葉を教科書から拾ってみて下さい」。
大宮中央高校単位制の教室。
現代文のプリントに目を落とし、静かにペンを走らせる。
荒井健二郎さん。
36歳の、高校生だ。


 2012年、2度目の高校生活をスタートさせた。
3年間で卒業に必要な74単位の取得を目指す。
欠席はほとんどなく、黒板に向けるまなざしは真剣そのもの。
「今は、勉強が楽しい」


 最初の高校生活では楽しいどころではなかった。
勉強でつまずいたのは中学時代。
サッカー部も顧問の先生と合わずに辞めた。
将来の夢も描けぬまま、入間市の私立高校に入学した。


 夜遅くまでカラオケに入り浸ったり友人宅に泊まったり。
遅刻が重なり、2年生に進級する前に、学校から退学か転学かの選択を迫られた。


 そうして転学した先は大宮中央高校の通信制。
週1回の通学とリポート提出をこなせば、4年で卒業できるはずだった。

しかし、授業についていけない。
友人のリポートを写していたのは、最初の2、3カ月。
次第に提出すらしなくなり、アルバイトに明け暮れた。
16歳、高校生の身分を投げ出した。


 アルバイトや海外でのワーキングホリデー。
「何とかなる」とぼんやり考えながら、20代前半まであっという間に過ぎた。

    ◇

 ワーキングホリデーの足で、東南アジアを回った。
2、3カ月の「貧乏旅行」の途中で、心身に異変が起きた。
幻聴が聞こえ、周りの人が悪口を言っているような不安に駆られた。


 帰国後、病院から処方された薬で症状は落ち着いた。
24歳で結婚。

「自分には学がないので、これしかない」と、2年間、カイロプラティックの学校に通い、自分の施術院を開いた。
技術は劣っていないはずなのに、客足は遠のく。
子どもが生まれ、焦りが募った。


 再び影が忍び寄ってきた。
薬が効かず、眠れない。
仕事もままならず、離婚が決まった。
30代で、引きこもりになった。


 2年以上も引きこもった後、強制的に病院へ連れて行かれた。
4カ月間、苦しい入院生活の中で、ここを出て何かをしたいという思いが膨らんだ。
退院のときに気持ちは固まった。「高校にでも、行ってみるか」

    ◇

 大宮中央高校には、総合学習の時間に「おさらい塾」がある。
漢字の書き取りや100マス計算、時事用語など基礎的な問題に取り組む。

授業中でも、数学の二次関数の授業で一次関数の復習をするなど、中学レベルの内容を振り返る。
つまずきを少しでもなくすのが狙いだ。


 荒井さんも、おさらい塾や漢字検定3級取得などで、授業を受ける土台と自信を培ってきた。
「積極的にノートをとって、質問して、意見を言って。
こんなに勉強するのは初めて」


 16歳の自分と変わったのは、勉強する目的があるからだ。
高卒の資格がないと、働き口がない。
稼ぎが少ない。
現実を痛感してきた。
「子どもの教育費を払う。その目標があるから、学業に集中できるんです」


 学びながら、もう一つ目標ができた。
理学療法士や看護師として、患者を支え、退院まで見守る仕事に就くこと。
それをかなえるには進学が必要になる。
もっと勉強をしたいと思うなんて。
自分でもびっくりだ。


 息子を見守ってきた両親はもっと驚いている。
「テストで100点を取ってきたこともある。
本人も私たちも戦ってきた。
病院や学校に、感謝、感謝です」と母の道子さん(68)。
父の一夫さん(70)も「目標を持てたことで頑張れている」。


 10代、20代が多い教室で、少しずつ友達もできた。
まじめでこつこつ、穏やかな性格だから、周りになじめるのでは」と、教員らもそっと目を配る。


 政経を学んだおかげか、ニュースの言葉がすんなり頭に入るようになった。生物では、施術院のころに知らなかった人体の構造を学んだ。

成績表は4や5が並ぶ。
ただ、体育だけは、5分ほどのランニングで息が上がる。
「10代のころは得意科目だったんですけどね」と笑う。


 20年前の自分に会ったら、言い聞かせたい。いつかテレビかどこかで聞いた、こんな言葉を。「楽を思うから、苦がつらい」

    *

 36歳の高校生は身をもって教えてくれます。
「学ぶチカラ」は生きる力そのものだと。

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「集団的自衛権とは米国が自衛隊を傭兵的に使うシステム」

集団的自衛権=米国が自衛隊をタダで我々の税金で傭兵として使うシステム/
日米地位協定=金とりサギ

孫崎享氏のつぶやき
http://ch.nicovideo.jp/magosaki
★ テレビ朝日番組で、
「集団的自衛権とは米国が自衛隊を傭兵的に使うシステム」と説明

モーニング・バード内にある「玉川ソーケン」は12月31日、
生激論スペシャル!「そもそも 日本はアメリカとの関係を今のまま続けていいのか?」を放映。

日米関係をまず4段階に分ける。

第一段階 「日本を戦争をさせない国にする」 戦後〜1950年代
第二段階 「日本をアメリカの軍事基地に」1950年代〜1980年代半ば
第三段階 「米軍の費用の一部を日本負担に」1980年代半ば〜 現在まで
第四段階 「自衛隊を米軍の傭兵として使いたい」

第一段階 「日本を戦争をさせない国にする」

戦後〜1950年代ではポツダム宣言などで日本の軍備を解除させたが、
米国は日本に経済力をつけさせないことで、軍事国家にならないことを意図。

対日賠償委員会のポーレー団長が訪日しているが、
彼が「日本経済の最低限度を維持するに必要でないすべてのものを日本から取り除く方針」だとし、
さらに 「最低限度とは日本が侵略した諸国の生活水準よりも高くないこと」だという声明を出した。

つまり戦争を二度とできない国にするために経済的に 戦争ができないような国にしてしまえという方針だった。

第二段階 「日本をアメリカの軍事基地に」1950年代〜1980年代半ば、現在

日米安保条約を作るときのアメリカ側の特使でのちに国務長官になったダレス氏の発言がある。

この文章は アメリカが日本とサンフランシスコ講和条約・日米安保条約を調印する半年前の1951年1月にアメリカ側のスタッフ会議で

「我々は 我々が望むだけの兵士を 我々が望む日本国内の場所に我々が望む期間 置く権利を得られるか否か それが主要な問題だ」と
発言しているんです。

アメリカ側としては自分たちの軍隊を日本の好きな場所にいつまででも置けるということが講和の条件で
日米安保条約を結ぶにあたり一番大事なことだった。

問題はこの状態が今日まで続いていることである。

これに対し、宮家氏から、「日米安保条約はアメリカと欧州諸国が結んでいるNATOなどと内容的にほぼ同じもの。
ということは日本が対米追随なら 欧州も対米追随ということに」との反論。

これに対し、私より次の反論。

ドイツとアメリカでは同様に地位協定(ボン補足協定)があるが、1993年改定があり次のような規定がある。)

基地の返還について・

第48条5:軍隊又は軍属機関による施設区域の返還については、次の規定を適用する。

共同の防衛任務に照らしてもその使用よりもドイツ側の利益が明らかに上回る場合には、
ドイツ当局の当該施設区域の返還請求に適切な方法でこれに応ずるものとする。

(「ドイツ側」の「利益」という基準は、合意議事録ではいっそう明確に表
され、「ドイツの非軍事部門の基本的な必要性、特に国土整備、都市計画、自然保護および農業上、経済上の利益に基づく」と表現されている)

基地の運用について

53条:排他的使用に供される施設区域内において、当該施設区域の使用に ついてはドイツの法令が適用される。

(合意議事録ではいっそう具体的に明確化されて、駐留軍隊当局はドイツの 連邦、州および地方自治体の有権的当局が公務を遂行できるように
するため、原則として事前通告後という条件の下に基地内への立入りを含めドイツの利益を保護するために必要なあらゆる適切な援助を与える、
と定められている。)

施設区域の上空に関して執られる措置にも準用する。
ただし、航空交通の妨害となるような措置は、ドイツの当局との調整を経た上でのみ執られるものとする。

 機動演習及び訓練の目的で連邦共和国内に移動する部隊による野外演習区域、駐屯地訓練区域及び駐屯地射撃場の使用は、
権限あるドイツの当局に事前に通知して、その許可を得るものとする。

第三段階 「米軍の費用の一部を日本負担に」1980年代半ば〜 現在まで。

私からの説明。

 日米地位協定では実は日本はお金を出す必要は全くないんです。
日米地位協定 これはいまも生きているのですが
この24条は
「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか
この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される」

玉川氏より、「 「2」とは 基地の所有者への地代などで施設の修繕費や 人件費などは 地位協定上全てアメリカ側が負担することになっている」と補足。

「思いやり予算」は当時の金丸防衛庁長官が「思いやり」と発言し始まったアメリカ軍の日本駐留費用の一部肩代わりなんです。
1980年代半ばまでの線と比べてみても1985年ごろから明らかに急増している。

欧州との関係では、ドイツは米軍経費の30%弱ですが日本は80%弱まで負担をしている。

第四段階 「自衛隊を米軍の傭兵として使いたい」ということです。

当時 国防総省の日本部長だったポール・ジアラ氏などが日米同盟の未来について書いた論文ですが、

この中で、「平和維持活動(PKO)などはグローバルな範囲での日米協力を視野に入れたもの」だと書いています。
そして「(PKOなどは)緊張度の高い地域有事への作戦準備としても絶好の訓練」 と言っているんです。

つまりアメリカは 集団的自衛権で 自衛隊を米軍の傭兵として使いたいという思惑があるんです。
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2014年01月04日

社会保障の解体ねらう安倍政権:共同広げたたかう年

社会保障の解体ねらう安倍政権
        共同広げたたかう年

2014年1月3日(金)  しんぶん赤旗

 安倍政権のもとで2014年は社会保障と雇用、教育に対する攻撃が本格化します。
「戦争する国づくり」と「弱肉強食の経済社会」をつくる狙いですが、国民との矛盾をいっそう深め、反撃のたたかいが重要になります。(深山直人)
 
自助・自立で憲法25条侵害


 昨年12月に成立した社会保障プログラム法は、政府の任務を「自助・自立のための環境整備」と規定しました。

社会保障の「向上及び増進に努めなければならない」と定めた日本国憲法25条を乱暴に踏みにじるものです。


 これを受けて通常国会で安倍内閣は、社会保障解体を進める法案を次々と出そうとしています。


 介護保険法改悪は、「要支援者」から訪問介護と通所介護を取り上げ、特別養護老人ホームから要介護1・2の人を締め出すなど“保険あって介護なし”が極まるものです。


 医療法改悪では、急性期病床(入院ベッド)の削減など“患者追い出し”や、安上がりの医療をめざして大病院の外来診療の縮小などを進めようとしています。

4月からは消費税増税の一方で、昨年に続いて年金1%削減と70〜74歳の医療費2割負担を強行します。


 社会保障削減の「構造改革」が「介護難民」や「医療崩壊」を生み、国民の猛反発を呼んだことに反省もなく、同じ路線を暴走しようとしています。

しかし、介護保険改悪をめぐっては審議会段階で市町村などが猛反発し、見直しに追い込まれました。国民との矛盾は避けられません。

労働法制緩和「賃下げ」暴走

 安倍首相は「世界で一番企業が活動しやすい国」(日本再興戦略)を掲げて、賃上げより企業の収益拡大を優先させ、労働法制の規制緩和による「賃下げ」へと暴走しています。


 昨年末に出された政労使会議の合意文書では「まずは企業収益の拡大」とうたい、企業の中に過度にため込まれた内部留保を賃金と中小企業に還元する姿勢はありません。


 派遣労働を無期限・無制限に使い続けられるようにすることや、低賃金で解雇がしやすく、正社員とは名ばかりの「限定正社員」や、残業代ゼロのただ働き正社員をつくる「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入を打ち出しています。


 これらの規制緩和は、労働者の約4割に達する低賃金の不安定雇用をさらに増やし、長時間労働とタダ働きをひどくするものです。


 第1次安倍内閣のときにホワイトカラー・エグゼンプション導入をねらい、労働者から猛反発を食らって頓挫したことへの反省はありません。
労働者からの強い批判は必至です。

戦後の民主的教育制度壊す 

安倍首相が「経済再生と並ぶ日本国の最重要課題」として執念を燃やすのが、教育制度の改悪です。

通常国会には、憲法のもとで戦後つくられた民主的諸制度を壊す法案を矢継ぎ早に出す計画です。


 戦前の軍国主義教育の反省から生まれた教育委員会を政府は、首長の付属機関に変える狙いです。
教育委員会制度の改悪は、橋下大阪市政のような首長による教育介入をいっそうひどくします。


 「慰安婦」の否定など、ゆがんだ歴史認識を子どもたちに教え込むために教科書検定制度の大改悪や、道徳の教科化による上からのいっそうの統制強化も狙っています。
日本の教育をゆがめている統制と行き過ぎた競争主義に拍車をかけるものです。


 高校・大学の段階的な無償化を定めた国際人権規約条項の留保を撤回したにもかかわらず、安倍政権は高校無償化を廃止します。
所得制限によって締め出される高校新入生は25万人、295億円にのぼります。


 憲法を踏みにじり、アジアと世界の流れに逆らう安倍首相の本性があらわになっています。
社会保障切り捨ての自民党政治をストップさせるため国民の共同を広げて、政治の転換へたたかう年です。

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時代を読む〜政治学者・中島岳志さん

時代を読む〜若手論客に聞く
政治学者・中島岳志さん
        
まるで共産主義体制
 2014年1月3日  神奈川新聞

 自民党が政権に返り咲き1年が経過した。
その振る舞いを政治学者の中島岳志さん(38)は「保守思想が批判してきた共産主義体制のようだ」と批判する。

安倍晋三政権が推し進めようとする憲法改正や集団的自衛権の行使容認、そして強行採決された特定秘密保護法案に靖国神社参拝、拡大を続ける格差社会−。
「決める政治」が見落とす、あるいは見て見ぬふりをするものとは。

■保守から逸脱

 安倍内閣は保守政権と言われるが、僕からすれば全くの逸脱で、どんどんと離れていくように見える。

 保守思想の根本は、近代啓蒙(けいもう)主義などに基づいた革命思想に対する反発。

ベースにあるのはエリートや、何人かの人間の理性によって、世の中が良くなるという完成可能性に対する批判です。

 人間はどうしようもない誤謬(ごびゅう)や知的・倫理的限界を持っている。だから、保守は個の理性を超えた価値を見いだそうとする。

過去に多くの人が集団的に、かつ時間をかけ、そして歴史の風雪に耐えながら形成されてきた集合的な経験知に依拠しようとする。

世の中はどんどんと変わっていく。
だから単なる反動ではなく、徐々に変化させていく。
保守するための改革、永遠の微調整というのを積極的に受け入れるのが、保守の考え方です。

 ところが安倍政権は世論の反対を押し切り成立させた特定秘密保護法の決定過程からも明らかなように、大きな変革を上から断行しようとする。

自分と立場の違う人たちの言葉に耳を傾けるのではなく、自分にとって都合のいい人たちの言うことだけを聞いて、独断的に物事を進めていく。

 この姿はまさに、保守が20世紀をかけて批判し続けてきた、共産主義体制そのもの。

あなた方は中国共産党政権を批判しているけども、本当はああいうふうになりたいんじゃないかと言いたい。

 前の第1次安倍内閣と今の安倍さんは、ずいぶん違うと思います。
前はいろんな人の言うことを聞きすぎて、足を引っ張られたと思っているんでしょう。

■ポピュリスト

 安倍首相は極めてあざといポピュリスト(大衆迎合主義者)です。
「世論」という言葉には本来、二つの意味があった。

「パブリックオピニオン(公的な意見)」を輿論(よろん)、
「ポピュラーセンチメント(大衆的な気分)」を世論(せろん)と呼び、区別してきた。
安倍さんが依拠しようとしているのは明らかに大衆的気分、つまり世論の方です。

 いろいろな意見を聞きながら自分自身の葛藤を経て方向性を見いだすより、気分的なものに乗ってある層の支持を集めながら、独断的に物事を進めようとする。
そういう独裁的な方向を、安倍さんは無自覚に歩んでいる。

■浮遊する個人

 これは日本政治に20年にわたって横たわってきた問題です。
小泉純一郎元首相に始まり、橋下徹・大阪市長のブームもそうだし、繰り返しやってきた。

 社会が流動化し、底が抜け、みんなが大衆的な気分に偏って、社会的な中間的な立場・居場所がなくなり、特にテレビ的なポピュリズムに一体化していく。

 人間は本来、「トポス的な存在」です。
トポスというのは「自分が生きていくための役割があると実感できる場所」です。
トポスを失った大衆社会は、みんな自分の存在意義が分からず、人は大勢いるのに個々人は孤独だという問題を抱える。

 意味付けを失い、ただ個人として浮遊しているような社会は極めて熱狂的になりやすく、過去の経験知に学ばず、他の人が言うことには耳を傾けない。

社会学者が言うところの「カーニバル化した社会」です。
瞬間的熱狂、断片的熱狂が繰り返し表出し、そこに何らかのイデオロギーや思想は存在しない。

 だから、いま社会全体に右傾化が起きていると言われているが、それよりみんなで盛り上がれるネタで「祭り」が起きている状態に近い。

保守にはこういう熱狂的社会に対する違和感が強くあるはずなのに、安倍さんはむしろ乗っかろうとする。
だから彼は、ネットやフェイスブックをやって、誰かを攻撃したりしていますよね。

■大衆との対決

 メディアは時に、その大衆的な気分に対決する覚悟を持たなければならない。
世論が中国との戦争を支持しているからといって、礼賛するかといったら違うわけでしょう。

 メディアは単に報道だけではなく、政治というアリーナの一つのプレーヤー。
自分たちの意思と主体を持ち、政治はこうあるべきという公論の場をつくるべき。
僕は客観的報道なんて信用していない。
何かを書くこととは、何かを書かないこと。
「これは書きにくい」と思うことは有識者に言わせて、その有識者だってチョイスしているでしょう。

 そのことを踏まえ、いわゆる多数派である意見に違うんじゃないかと言う役割もある。
マス(大衆)にすり寄ることがマスメディアではなく、マスの側が「気分」で間違いを犯しているのではないかと思ったら、それを指摘するのも大切な役割。われわれ政治学者と同じ。
マスを恐れるな、迎合するな、すり寄るなということです。

■永遠の微調整

 こうした大衆的な気分によって専制的政治を支える「群衆」から、公的な意見を持った「公衆」になるために必要なのが、僕は「中間領域」というものになると言っている。
NPOでも習い事でも、複数の人間集団に所属しているという重要性です。

 意見や考えが違う人たちと、さまざまなプロセスを経て合意形成していく場が社会の中にどれだけあるか。

意見の違う他者と折り合う、それが政治というもの。
でもいまはそういう、国家と個人の間にある空間がすっからかんになっている。
これをとにかくさまざまな形で、創り出していくしかない。

 これからは成長社会ではなく、成熟社会へ向かう。

どう考えても、もう経済成長は望めない。
小規模化しながら、成熟へと向かっていくしかない。
つまりお金はそんなに稼いでいないけども、どこか充実していて、生きがいがあって、自分の役割があって、という社会に向かっていくしかない。

 民主主義は、ちゃんとやろうとすると本当に面倒な制度です。
どこかにものすごい答えを持っている大思想家がいるなんて、幻想にすぎない。
僕らが長い間積み重ねてきた経験知の方が、案外まともなんです。

 僕たちだって生活が激変すると困るでしょう。
次は車買うためにお金貯めてとか、ちょっとずつですよね、生活が変わっていくのって。
結論は一歩一歩で地味ですが、漸進的前進こそが保守思想の根本。
だから僕は、永遠の微調整しか信じません。

◆なかじま・たけし
 1975年、大阪府生まれ。政治学者。
北海道大准教授。
2005年の「中村屋のボース」で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞受賞。言論誌「表現者」「週刊金曜日」で編集委員を務め、近著に「保守のヒント」「血盟団事件」「『リベラル保守』宣言」など。
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2014年01月06日

年のはじめに考える 福島への想い新たに

年のはじめに考える 
福島への想い新たに
2014年1月4日  東京新聞「社説」

 時間を押し戻そうとするかのような北風が、年の瀬を駆け抜けました。

三度目の年頭。もう一度、心に深く刻まなければなりません。
福島を忘れない。


 オランダの首都アムステルダムの街を歩くと、三つ並んだ十字の印を至る所で見かけます。


 赤い地の真ん中に、黒っぽい横線が一本、その上に白い十字が横に三つ並ぶのは市の旗です。


 そして、二頭のライオンに挟まれて、十字が縦に三つ並ぶのが市の紋章です。


◆十文字が意味するもの


 三つの十字の意味はと言えば、その昔、街を襲った三つの災い、洪水、火災、感染症を表しているそうです。



 起こりうる災いの怖さを子々孫々まで語り継ぎ、常に備えを怠ることがないように、あえて十字を掲げています。


 江戸時代からオランダに多くを学び、近代化の礎にしたこの国も、災厄を歴史に刻む方法までは、教わらなかったと言うのだろうか。
首都東京の中心が、忘却の波に沈み始めているようです。


 福島の事故現場は収束に向かうどころか、混迷を深めています。

 爆発を免れた4号機では、傷ついていない核燃料の取り出し作業が始まりました。


 しかし、1〜3号機から溶け出した燃料は所在さえつかめません。
原子炉格納容器の外に溶け落ちた恐れもある。
無事故でも一基百年といわれる廃炉、解体への道は、緒に就いたとも言い難い。


 汚染水は年末年始もお構いなしに流れ出ています。

 熟練の作業員は、被ばく線量が限度に達して次々に現場を離れ、作業の質は低下する。


 自治体に丸投げされた、有事の際の避難計画作りは一向に進みません。計画はできたとしても、目に見えない放射線からどこへ逃げれば安心なのか。

 使用済み核燃料の捨て場所は、どこにも見つからないでしょう。リサイクルの計画も夢物語の域を出ていません。
 十字、いやバツ印をいくつ付ければいいのでしょうか。


 これだけ多くの災いの種を抱えているにもかかわらず、政府は前政権の「二〇三〇年代原発ゼロ」から一転、原発を「重要なベース電源」と位置付けました。


 ベース電源とは、二十四時間、しかも安価に稼働させられる電源です。震災前は、原発と揚水発電以外の一般水力。
そして石炭火力がそうでした。


◆原発こそ不安定では

 電力需要時に足りない分を補うのが、ピーク電源と呼ばれるLNGや石油火力です。


 原発は、出力調整が極めて難しく、一度運転を始めたら、二十四時間最大出力で、突っ走るしかありません。


 今、国内に五十基ある全ての原発が、再び停止しています。

 天候に左右されやすく、出力が不安定な風力や太陽光には、ベース電源の重責を担えないといわれています。


 だとすれば、無限大の安全管理が必要な、扱いにくい原発こそ、最も不安定な電源なのだと考えなければなりません。


 原発を動かさないと、LNGや石油火力の燃料費がかさみ、電力会社は年間三兆六千億円の負担増、百万キロワット級の原発一基を稼働させれば、温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)を、一年で0・5%減らせるとされています。


原発は、本当に割安なのか。


 政府によれば、福島の賠償と除染、さらに廃炉や汚染水対策に、少なく見積もって約二十兆円の費用がかかります。


 東電の負担なら電気料金への転嫁、国が持つなら税金です。
結局つけは国民に回ります。
どれだけお金を使っても、福島の人たちの暮らしや風景は、もう元へは戻せません。


 現在十六基の原発が、原子力規制委員会に再稼働の申請を出しています。
政権は今年を、再稼働の年にしたいのでしょう。


 原発は金のかかる危険なものだということに、国民の多くはもう気づいているはずです。


 温暖化対策ならば、再生エネルギーの普及の方が王道です。
私たちは“太陽と風の年”をめざしましょう。



◆フクシマを心の地図に


 ドイツでは、再生可能エネルギーへの転換が着々と進んでいます。
総電力の約二割を賄い、温室効果ガスを一九九〇年比で二割以上減らしています。



 市民自ら電力会社を設立し、再生可能エネルギーでつくった電力だけを地域へ供給するという、エネルギー自治も進んでいます。


 なぜでしょう。

 スリーマイルとチェルノブイリとフクシマを、心の地図にしっかりと、刻みつけているからです。
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2014年01月07日

原発政策―政治の無責任は許されぬ

原発政策―政治の無責任は許されぬ
2014年1月6日(月)付  朝日新聞「社説」

 福島第一原発の事故に苦しむ日本が、脱原発に向かうのか、それとも元の道に戻るのか。


 今年はその分岐点になる。


 原発の再稼働に対し、新しい規制基準にもとづく原子力規制委員会の最初の判断が、春ごろ示される見通しだからだ。


 これまでに規制委に審査を申請したのは、7電力会社の9原発16基。
東海地震の想定震源域にある中部電力の浜岡原発(静岡県)についても、近く申請される予定だ。


■目に余るご都合主義


 歩調を合わせるように、自民党内では「早期再稼働」の声が大きくなっている。

 昨年12月25日には、原子力規制に関する党内チームの座長を務める塩崎恭久衆院議員が規制委に出向き、田中俊一委員長に、もっと国会議員や立地自治体の首長、電力会社らの意見を聴くよう迫った。


 規制委の設置にあたり、民主党政権が出した法案に「独立性が足りない」と詰め寄り、今の形に修正したのは、塩崎氏をはじめとする自民党だ。


 ところが、規制委が活断層の調査や規制基準の策定に厳格な姿勢を見せるや、原発推進派の不満が噴出する。
自民党が政権に返り咲くと、影響力を行使しようとする流れが加速した。


 ご都合主義が目に余る。


 自民党の長期政権下で原発の安全神話を増長させ、必要な対策を怠ってきたことへの反省はどこへいったのか。


 ただでさえ、急ごしらえの規制委は人材が不足し、財政面での制約もある。むしろ、そうした態勢面の充実をはかることが政権党のつとめだろう。


 安倍政権は、表面的には「原発比率を下げる」と言いつつ、原発を「重要なベース電源」と位置づけ、規制委の基準に適合した原発は動かす方針だ。


 しかし、規制委が判断するのは科学的な根拠にもとづく最低限の安全確認にすぎない。
事故リスクがゼロにならない以上、口先だけではなく、「原発比率を下げる」手立てを総合的に講じるのが政治の役割だ。


 そうした見取り図も示さず、再稼働の判断はすべて規制委に丸投げし、そこへの圧力めいた動きは放置する。なし崩し的な原発回帰と言うほかない。


■採算なき再処理事業


 再稼働への政権の姿勢が原発政策を無責任に「元に戻す」典型だとすれば、「元のままでやり過ごす」無責任の象徴が、使用済み核燃料を再処理して使うサイクル事業の維持である。


 巨額のコストがかかり、資源の有効活用という意義がなくなった核燃サイクル事業は、「撤退」が世界の流れだ。


 政府は、非核保有国として唯一、再処理を認められた事情から「日米による原子力協力」を掲げる。


 だが米国には、日本が海外での再処理によって核兵器数千発分のプルトニウムをため込んでいることが、他国のプルトニウム保有の口実になりかねないことへの強い懸念がある。


 再処理や核拡散問題に詳しい海外の研究者ら5人も、青森県六ケ所村にある再処理工場の稼働中止を求め、それがすぐに決められない場合は長期間棚上げすべきだ、などとする共同提案をこのほど朝日新聞に寄せた。


 「再処理しないと使用済み燃料があふれる」との政府の説明も説得力に欠ける。


 将来、地中に埋めることを前提に、当面は「乾式キャスク」という容器に入れて地上で保管する方法が海外ではすでに確立している。
日本学術会議もこの方式を提言している。


■政策転換への機会に


 福島第一原発の事故収束や老朽化した原発の廃炉、代替電源の開発、送電網の再構築など、電力産業が今ほど資金を必要としているときはない。


 一方で、巨額の設備投資を電気料金で確実に回収できる総括原価方式は、廃止が決まっている。
巨大な「金食い虫」になることが確実なサイクル事業を続ける余裕はないはずだ。


 政府内では過去にも政策転換が模索されてきた。
それが実現しなかった背景には、使用済み燃料を再処理への「資源」として受け入れてきた青森県に「廃棄物の処分場にはしない」と約束してきた経緯がある。


 再処理をやめれば、各原発が青森県から使用済み燃料の引き取りを求められ、原発の稼働に支障が出るという恐怖心だ。


 だが、これだけ大きな原発事故を起こしたのである。
切るに切れなかった不良債権を処理する機会にすべきだ。


 もちろん青森県にはていねいに説明する必要がある。

乾式貯蔵についても電力消費地を含めた協議が必要だ。
必要な費用を誰がどう負担するかなど課題は山積している。
それでも、意味のないサイクル事業を続けるより、はるかに建設的だ。


 原発事故の後始末で、国は一歩前へと出る決断をした。
原発政策全体についても、責任放棄は許されない。

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牧太郎の大きな声では言えないが…:「赤紙」という人さらい

牧太郎の大きな声では言えないが…:
「赤紙」という人さらい
毎日新聞 2014年01月07日 東京夕刊

  お正月の報告。

元旦、東京・下町の自宅から約2キロ歩いて「日本橋」に行く。
五街道の出発点。我が国の「道路元標」が埋め込まれている。


 「日本魁新聞社」という小さな新聞社を経営していた実父・小林春吉は、第二次世界大戦がはじまった1939(昭和14)年「日本橋総覧」という700ページ弱の本を出した。
僕にとって“特別の橋”の上で、新年を迎えるのは「初詣」のようなものだ。


 地元の人から「日本橋=二本橋」という珍説を聞かされた。
NHKのクイズ番組「私だけが知っている」に出演して、タレント教授の“走り”と言われた元慶応大学文学部教授、池田弥三郎さんが自著「日本橋私記」の中で「粗末な二本橋は江戸の町の造成が進み、立派に改修され、誰言うとなく日本橋と呼ぶようになった」と書いている。


 二本橋=日本橋説の根拠は……江戸時代の地誌「紫(むらさき)の一本(ひともと)」に「一つ橋、二本橋ありて、三本橋なきはいかに」という記述があること。
当時、漢字の「日本」は「にっぽん」と読むのが普通なのに「日本橋」はなぜか「にほんばし」。

 この池田学説に従えば「二本橋」は「日本」の冠をつけて、繁栄が約束された。
ネーミング変更の妙である。


 年末、安倍晋三首相の電撃参拝で話題になった靖国神社にも足を延ばした。ここにも「ネーミングで一変」がある。


 もともとは、一般の神社と違う「東京招魂社」という軍の組織。
「正規な神社へ改めよう!」と軍当局は明治天皇の裁可を得て1879(明治12)年6月4日に「靖国神社」と改称した。

「靖国」は「春秋左氏伝」第6巻僖公23年秋条の「吾以(われも)つて国を靖(やす)んずるなり」に由来する。
戦争の犠牲になった兵士をまつる軍の組織は、この改名で「神社」になった。


 多くの若者が(赤紙に印刷された)召集令状一枚で戦地に赴き、第二次世界大戦で犠牲になって約213万柱(人)が「靖国」に帰ってきた。


 軍は「靖国」を利用して「戦争のための人的資源」を確保したのだろう。


 安倍さんの「靖国利用」が気にかかる。
これは中国、韓国、その他の国の言い分とは関係ない。


 日本人は戦争が大嫌いだ。

 昔むかし「赤紙」という人さらい−−という川柳を思い出した。
 (専門編集委員)

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2014年01月08日

香山リカのココロの万華鏡:今なお苦しむ多くの人

香山リカのココロの万華鏡:
今なお苦しむ多くの人
毎日新聞 2014年01月07日 東京地方版

 年末に福島県いわき市へ行ってきた。
東日本大震災以来、細々と続ける「自治体職員の心のケア」に関係したセミナーを開催したのだ。

自治体職員は大震災が発生してからというもの、十分な休みも取れずに激務をこなしている。
特に福島県では原発事故により、多くの住民が避難していたり役場そのものも離れた市町村に移っていたりしていて、職員の疲労も尋常ではない。


 セミナーの前、多くの住民が避難を続けている富岡町や楢葉町などを訪ねた。
足を踏み入れられるのは「避難指示解除準備区域」や、立ち入りはできるが避難が求められている「居住制限区域」だ。


 あちこちで除染作業が行われていた。
重機や高圧洗浄機を使っている人もいるが、ほとんどの人が手作業で行っている。

竹ぼうきやすきのような道具で落ち葉を集めたり土を削ったりしている。
広い公園や長い道路でも、作業に携わっている人は数人ずつに見える。
これでは1日に作業できる面積は、ごくわずかなはずだ。

作業員も一生懸命働いて、ふと顔を上げてまだまだやっていない場所が残っているのを見たら「いったい、いつ終わるのだろう」と、大きな疲れを感じるのではないだろうか。


 もちろん、「いつ終わるのか」と思っているのは作業員だけではない。
8万5000人近い避難区域からの避難者は除染作業が終わらないと帰還できない。


 ちょうど私が避難区域を訪れている時に、乗っていた車のラジオから「国直轄の除染について、作業期間を最大で3年間延長すると環境省が発表した」というニュースが聞こえてきた。

2012年1月に環境省が示した工程表によれば、11市町村すべての対象地域で13年度中に作業が終了することになっていたのだ。


 日本の10以上の市町村に人が住むことのできない地域、立ち入ることさえできない地域がある。
まだ大勢の人たちが避難生活を余儀なくされている。

これは毎年の重大ニュースでトップになり続けてもいいほどの問題だ。


 それなのに、「除染作業終了が3年延長」は、その時聞いたラジオニュースのトップではなかった。
トップは安倍総理の靖国神社参拝だったのだ。


 世界の中で日本がどうあるべきか。
もちろんこれは大切な事だ。
しかし、日本の中にも苦しんでいる人や、失望している人が大勢いる。
今なお大震災や原発事故の影響の真っただ中にいる人も少なくない。

新しい年も、その事は忘れないようにしたいと思う。

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2014年01月09日

年のはじめに考える 財政再建はなぜできぬ

年のはじめに考える
 
財政再建はなぜできぬ
2014年1月8日  東京新聞「社説」

 いよいよ三カ月後に消費税増税が待ち受けます。
暮れの膨張した政府予算案をみると、いくら増税しても財政再建は実現しないのではと不安が募ります。


 予算は政治そのものといわれます。
やや難解ですが、予算とは限られた資源の分配をめぐる政治的な調整にほかならないからです。

どういうことでしょうか。


 身近な町内会で考えてみます。
収入は町内会費や住民の寄付金、支出はお祭りや慶弔ごと、寄り合い所の備品購入などでしょうか。

◆業界団体への高配当


 高度成長期やバブル期であれば、住民は増え、寄付も多く、町内会費は潤沢です。
祭礼でお神酒を大盤振る舞いし、寄り合い所に大型テレビを購入、慶弔費だって弾んでいいかもしれない。
その差配はさほど難しくないでしょう。


 ところが時代は変わり、人口減と低成長時代です。
住民は減り、不況で寄付も集まらなかったら、どうでしょうか。
限られた町内会費だから支出は厳しく査定する。

よく話し合い、説得や妥協を重ねて優先順位をつける。場合によっては町内会費の値上げも必要かもしれない。

こうした分配をめぐる一連の政治的な調整作業こそが予算の本質です。


 話は戻り、過去最大の九十六兆円(一般会計総額)に膨張した政府予算案の問題は何でしょうか。

それは低成長・少子高齢化時代にもかかわらず高度成長期のようなバラマキ型分配を続けていること、
分配先が選挙で自民党を支援した業界団体への手厚い配当(公共事業、農業、診療報酬など)や安倍晋三首相肝いりの防衛費に向けられている。
増大する社会保障費で余裕などないのに。


 こんな予算をいつまでも続けられるはずはありません。
国と地方の借金残高は一千兆円を超え、政府の利払い費だけで年間十兆円に上ります。
しかもこれは日銀が異次元の金融緩和で人為的に金利を抑え込んだおかげで低い額で済んでいるといえます。

◆予算制度に問題あり 

しかし、政府が財政再建に本腰を入れずに日銀の人為的な金利抑制策に頼り続けていては、いずれこの国の財政を見限って、おカネが海外に逃げて行きかねません。
市場の番人である日銀が市場を大きくゆがめている「危うさ」も忘れてはならないでしょう。


 アベノミクスには「手本」ともいえる政策があります。
昭和初期、大恐慌時のデフレを収束させた大蔵大臣、高橋是清による「高橋財政」といわれる一連のリフレ政策です。

金本位制から離脱して通貨発行量を無制限に増やす大胆な金融緩和、禁じ手とされる日銀の国債引き受けを利用した積極財政。
アベノミクスの第一、第二の矢とそっくりです。


 高橋は日本経済を回復軌道に乗せましたが、出口戦略に取り掛かった途上で非業の最期を遂げます。
健全財政に舵(かじ)を切り、軍事費を削減しようとして軍の恨みを買い、二・二六事件の凶弾に倒れたのです。

安倍政権の行く末を案じるつもりはありません。
言いたいのは、異次元の政策をやれば、避けては通れない困難な「出口」が待っているという教訓です。
アベノミクスが正念場を迎える日はそう遠くありません。


 では、これまで財政再建がなぜ実現できなかったのでしょうか。
「財政再建に失敗している根源的な問題は予算制度にある。
それを放置してきた政治家や官僚、さらには国民も」というのは大蔵省(現・財務省)出身で各国の財政に詳しい田中秀明・明治大学公共政策大学院教授です。


 実は日本は一九九〇年時点では先進七カ国(G7)の中で財政の健全性は最上位でした。
しかし、バブル崩壊を経て二〇〇〇年には最下位に転落。

一方、九〇年代に予算制度改革に着手した欧米諸国は劇的に財政赤字を減らしました。
国の取り組みによって財政再建の成否は分かれたのです。


 田中教授によれば、そもそも日本の財政法には目的規定すらなく、また財政再建の道標となる「中期財政計画」をつくっても単なる見通しでしかない。

財政法を財政責任法に改め、そのときの政権が財政目標を定め、達成状況を定期的に検証することを義務づけるべきだといいます。


 過去に財政危機を経験したスウェーデンや豪州、韓国、さらに先進各国にならって予算制度の改革が必要と主張します。

◆問題解決への第一歩


 財務省の予算の説明資料は専門家がみてもよくわからないといいます。
そうはいっても財政が厳しさを増す少子高齢化は待ってくれません。

危機が顕在化して辛苦を味わうのは国民です。
難しくても関心を持ち、政治家や官僚が危機感を抱くよう監視していくことが問題解決の後押しになります。

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2014年01月11日

血税2億円…杉本容疑者に“浪費”した神奈川県警のお粗末

血税2億円…杉本容疑者に“浪費”した
神奈川県警のお粗末
2014年1月10日 日刊ゲンダイ掲載

 丸2日間逃走し、9日に逮捕された杉本裕太容疑者(20=集団強姦容疑などで送検)は、地元の川崎で札付きのワルだった。

「目立ちたがり屋のお調子者だったけど、運動神経抜群でサッカーもやっていたから、小さい頃から女のコには人気があった。
小柄だけど、ダルビッシュ似のイケメンだし。

地元(多摩区)の小中学校に通って、偏差値40ぐらいの県内の私立高に進学したけど、問題を起こして退学。
その後少年院送りになったなんて悪いウワサも聞いてます」(元同級生)

 高校退学後は定職にも就かず、地元の不良仲間とつるんでブラブラしていたようだ。

「杉本には、同い年の妻と1歳の娘がいる。
妻とは高校の同級生みたいですが、どうやら杉本のDVが原因で、最近は別居していたらしい。
妻がブログでそんなことをにおわせていました」(捜査事情通)

 杉本は2日未明、川崎市麻生区の路上で、同い年の塗装工と2人がかりでOL(21)を車の中に連れ込んで強姦。
さらにコンビニのATMで15万円を引き出させて奪ったとされる。

 6日に逮捕され、7日に横浜地検川崎支部から逃走したのは、ご存じの通り。
漫画に出てきそうな札付きのワルだ。

「スクーターに乗って逃げる杉本と男女3人の姿が川崎支部付近の防犯カメラに写っていたので、仲間が連携して手引きしたんじゃないかという見方もありますが、スクーターに関してはたまたま通りかかった後輩に乗せてもらったと供述しているようです」(前出の捜査事情通)

 9日午後、横浜市泉区の雑木林で身柄を確保された杉本はうなだれた様子で「もう逃げません。疲れました」と捜査員に話したという。

■パトカー900台、捜査員4000人、県警の4分の1態勢で

 警察は、パトカーなど900台、4000人態勢で杉本を追った。
ちなみに、神奈川県警には1万6000人の警察官がいる。つまり4分の1の人員を割いたわけだ。

「神奈川県警の年間の人件費は約1500億円、日割りで4億円、捜索した2日間で8億円。
4分の1を割いたとすれば、単純計算で2億円のコストがかかったことになります」(県庁関係者)

 
うっかり逃がした脱走犯1人を確保するのに血税2億円…。冗談にもならない。
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2014年01月13日

あいまい規定の防衛大綱

あいまい規定の防衛大綱
2014年1月13日 東京新聞「私説・論説室」

 安倍政権が年末に閣議決定した日本防衛の指針「防衛計画の大綱」。

意味不明の「グレーゾーン」という言葉が七回、「シームレス(継ぎ目がないこと)」が五回登場する。


 ふたつ合わせて、略すとこんな言い方になる。
「グレーゾーンの事態にシームレスな対応をする」。
理解できる人がいるだろうか。

文中に「平時でも有事でもないグレーゾーン」とあるが、法的には自衛隊に防衛出動が命じられる有事か、それ以外の平時しかない。
その中間のグレーって、どんな事態だ。


 なし崩しの自衛隊出動を連想させる「シームレスな対応」もおかしい。
平時から有事に移行するには首相が国会の承認を得て防衛出動を下命する必要がある。
今後は状況次第で現場指揮官が判断するのだろうか。


 新大綱からは中国への対抗意識が色濃く読み取れる。
尖閣諸島をめぐり緊張が高まる事態をグレーゾーンと珍解釈して、臨機応変に対応すればよいというのでは、シビリアンコンロールを放棄するのに等しい。


 新大綱には「積極的平和主義」も登場した。
憲法の平和主義とはまるで違う「武力行使もあり」の考え方だ。

特定秘密保護法でみられたように安倍政権はあいまい規定がお好きだ。
目的や命令に解釈の幅があってはならない軍事にもかかわらず、この書きぶり。
なぜあいまいにしたのか意図が疑われ、危険がにおう大綱といわれても仕方ない。 (半田滋)

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2014年01月14日

「失望」「時代錯誤的」「歴史修正」…止まらない安倍政権批判

靖国参拝・秘密保護法 
「失望」「時代錯誤的」「歴史修正」・・・
       止まらない安倍政権批判
米国が問題視するわけ
2014年1月12日(日) しんぶん赤旗

アジアの新たな問題国に


 批判や論評で触れられているのは、首相が参拝した靖国神社は第2次大戦でのA級戦犯が合祀(ごうし)され、侵略戦争を正当化する象徴的存在であるということ。

そこへの参拝は大戦で大きな被害を受けた中国、韓国の批判を巻き起こし、近隣諸国との緊張が高まるというものです。


 ヘーゲル米国防長官は4日、小野寺五典防衛相と電話会談し、近隣諸国との関係改善措置をとるよう強調。
それに加えて、「地域の平和と安定という共通の目標に近づくための協力推進」を求めました。


 これより先の2日、米国務省のハーフ副報道官は、新藤義孝総務相が安倍首相に続いて靖国神社を参拝したことに関連し、「われわれは日本に対し、近隣諸国と共同して対話を通じた友好的な方法で歴史(認識)をめぐる疑念を解消するよう働きかけ続ける」と表明。

首相や閣僚の靖国参拝が、米国にとって見逃すことができない問題であるとの認識を改めて示した形となりました。


 米国の同盟国、日本について、ニューヨーク・タイムズ昨年12月27日付は、「日本は安定した同盟国になるどころか、中国との論争が原因で、米国高官にとってアジアの新たな問題国になってしまった」と厳しく批判しました。


極右的な偏向した解釈

「(靖国神社に祭られている)戦没者には、大日本帝国軍の暗黒時代を象徴する東条英機元首相ら14人のA級戦犯も含まれる。

安倍首相の靖国参拝は、中国、韓国、米国という奇妙な連合による批判を招いた」と分析したのは、有力経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル社説(12月28日付)です。


 同社説は、安倍首相の靖国参拝の結果、米国の同盟国間の協力を損なうことになり、「外交的不和がもたらす影響は極めて大きい」と表明。

日本の一部有力政治家の個人的信条で、「慰安婦」や戦時の残虐行為についての真実をごまかし続けるのは問題であるとし、「真実を損なう行為により、同じ志の国が平和で自由な地域秩序を推進できなくなる時、日本にとって戦略的負担となる」と指摘し、外交的にマイナスであることを強調しました。


 同紙27日付には「東アジアの主要な自由主義国は反目しあい、共通の懸念である北朝鮮問題で協力できない状態となっている」と懸念を表明する論評もありました。


 靖国神社にある軍事博物館「遊就館」について、米誌『アトランティック』2日付電子版は、20世紀の出来事をめぐり「日本を被害者」とする「信じられないほど偏向した解釈を提示している」と報じました。


 さらに遊就館を訪ねた欧米人の「(展示内容は)極右陣営の観点から戦争(の歴史)を書きかえたのも同然だ」「中国人や韓国人だけではなく、ほとんどだれもが不快に感じるだろう」との声を紹介しました。


 7日ワシントンで開かれたケリー米国務長官と韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相との会談後の会見でも、尹外相は「歴史問題が北東アジア地域の和解と協力を妨げている」と語り、名指しは避けながらも、安倍首相の靖国参拝を批判しました。


戦後体制否定の危険な構想

 米国のメディアのなかで、安倍政権の体質について、「時代錯誤的」「戦後民主主義を清算する」という批判が目立つようになったのは、昨年12月の秘密保護法強行前後からです。

 ニューヨーク・タイムズ12月16日付社説は、安倍首相が秘密保護法によって日本を作り変えようとしている方向について、「国民に対する政府の権限を拡大し、個人の権利の保護を減らすことを構想している」と指摘。

さらに「安倍氏のねらいは、『戦後体制からの脱却』である」「それは時代錯誤的であり、同時に危険なビジョンである」と批判しました。


 秘密保護法については、米国の「オープン・ソサエティー財団」の上級顧問で元政府高官のモートン・ハルペリン氏が「21世紀に民主的な政府が検討した法律の中で最悪レベルのもの」と指摘しました。


 同財団は「秘密保護」と「知る権利」の両立をはかるために作った国際基準、「ツワネ原則」の導入を主導してきました。

日本の秘密保護法については、国家の安全保障と国防に関しての国民の知る権利を厳しく制限している点で国際基準にほど遠いと述べ、「深い懸念」を表明しています。

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2014年01月15日

香山リカのココロの万華鏡:「ポスト定年世代」考える

香山リカのココロの万華鏡:
「ポスト定年世代」考える
毎日新聞 2014年01月14日 東京地方版

 東京都知事選が行われる。
23日の告示まではまだ間があるが、現時点で立候補意思を示したり、話題になったりしている人たちの中心は65歳以上。
70代
や80代の人もいる。
会社勤めならとっくに定年退職しているはずの年齢だ。


 新年にテレビを見ていたら中曽根康弘氏と渡辺恒雄氏の対談番組を放映していたが、このお二人は95歳と87歳だ。

保守派といわれる方々だが、国際協調や平和に対しての強い思いがあり、発言には強い説得力があった。


 10代から30代の若い世代は、自分たちは不況が始まってから生まれ、少子高齢化のあおりも受け、損ばかりしていると言う。

年金も受給できる保証がないし、組織の重要なポストにも年配者が居座って、なかなか自分たちにチャンスが回ってこない。
それどころか、正社員の仕事さえ見つけるのが難しい。
若者は、上の世代のことを「既得権益にすがる老害」などと呼ぶこともある。


 しかし、いざとなると「よっしゃ、私が」と出てくるのは、結局のところ“ポスト定年世代”。
若い人には声がかからないからだ、と言う人もいるが、あちこちから「30代の人に組織の代表を、と依頼したけれど固辞された」
「下の世代から委員長を募ったけれど、手が上がらなかった」といった声が聞こえてくる。


 責任ある立場についても「労多くして実り少なし」なのではないか、ということが情報量の多い若い人たちには読めているのかもしれない。

「失敗して恥をかきたくない」「地位よりも自由がほしい」と思っている人もいるのだろう。
とはいえ、いつまでも「何かがあると表に出てくるのは65歳以上」ではあまりにも寂しい。


 そんなことを知人に話したら、
「ちょっと待って。若者が表に出てこないと言う前に、間の世代に当たるあなたたちはどうなの」と言われた。

確かに、私のような50代やすぐ下の40代からも、考えてみれば橋下徹大阪市長以降、「社会を背負って立つ」と意気込むリーダーが出てきていない。


 “アンダー60”の私たちも組織での役割から解放される年代になれば、「私がひと肌脱ごう」と立ち上がるのだろうか。
それとも、幾つになっても、「いや、私は矢面には立ちたくないんで」と尻込みし続けるのだろうか。

いずれにしても「責任ある役割は、ポスト定年世代にお任せ」という風潮をどこかで変えるためには何をすべきかについても、私たちはもっと考えていく必要があるようだ。

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2014年01月16日

雇用破壊ー非正規が中心の社会にするな

雇用破壊
非正規が中心の社会にするな
2014年1月15日(水) しんぶん赤旗「主張」

 労働者派遣法と労働契約法を見直す議論が厚生労働省の労働政策審議会ですすんでいます。
派遣など非正規雇用を拡大し、正規雇用を不安定化する安倍晋三政権の大企業応援政策の具体化です。
早急に成案をまとめ、通常国会に法案を出す方針です。


 非正規雇用の労働者はいまや1900万人を超え、役員を除く雇用者全体の37・2%に増えています(総務省「労働力調査」)。

正規雇用に比べて賃金が低く、短い契約の反復更新という不安定な働き方の労働者を拡大する政策は、絶対に認めるわけにはいきません。


不安定な働き方が続く


 労働者派遣法の見直しは、昨年末の審議会に公益委員案が示され、すでに骨格が明らかになっています。
最大の問題点は、専門的業務指定を撤廃し、派遣期間制限を緩和したことです。


 派遣業は、労働基準法と職業安定法で禁止されている「人貸し業」を、労働者派遣法で一定の制約のもと例外として合法化したものです。
「臨時的・一時的な働き方」に限定し、派遣先の正規雇用の代替にしないことが原則です。

専門的業務の指定(現在26)とその他の一般業務の使用期間制限(原則1年、最長3年)は、この原則を保障する重要な規制です。


 専門26業務を撤廃し、使用期間も3年単位で継続使用を可能にするという公益委員案は、派遣法の原則を投げ捨て、「人貸し業」を野放しにする根本改悪です。

製造業を中心に横行している派遣法違反のほとんどは、専門26業務と期間制限の違反です。
この規制を取り除くのは、企業が正社員を減らして自由に派遣を利用できるようにすることにほかなりません。


 派遣労働者の雇用安定のためだとして派遣会社への無期雇用をすすめ、その労働者は派遣期間を無制限にするという案も、でたらめきわまる空論です。

労働者を無期雇用で雇い、世間並みの賃金、ボーナス、社会保険を保障できる財力をもった派遣会社がいったいどれだけあるというのでしょうか。

結局、多くは有期雇用で、3年交代を繰り返す不安定な働き方が続くだけです。
公益委員案の撤回を強く求めます。


 一方、昨年4月に施行されたばかりの改定労働契約法を見直す異常な議論が、昨年末から審議会の特別部会で始まりました。

改定法で、有期雇用契約を繰り返して5年を超えた労働者に、無期雇用への転換を申し出る権利が与えられました。
企業は拒否できません。
その「転換権」に、適用除外の例外を設けて権利を行使できなくしようという不当な検討です。


 短期契約を更新しながら、契約打ち切り不安を抱えて働く労働者にとって、「転換権」は正社員への道を開く希望です。
これを奪うことは許されません。


正社員への道開く


 安倍首相は、6日の年頭会見で「有効求人倍率が6年ぶりに1倍を回復した」と胸をはりました。

しかし主な要因はパート求人の増加です。
雇用不安は増すばかりです。

「企業が世界で一番活躍しやすい国」をめざし、企業が利益を拡大すればすべてうまくいくという政治では、働く人を大切にした雇用の拡大は期待できません。


 労働法制改悪に反対し、安心して働ける正社員への道を切り開くたたかいの強化が急がれます。

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2014年01月17日

東電再建計画 原発頼みは筋が通らぬ

東電再建計画 
原発頼みは筋が通らぬ
2014年1月16日  東京新聞「社説」

 政府が認定した東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)は国の支援を強化し、東電の事故負担の軽減を図って再建を確かにする狙いがにじむ。

フクシマの反省や教訓はどこへいったのか。


 いわば国と東電が二人三脚で作った再建計画である。
エネルギー基本計画で原発を「重要なベース電源」と位置付ける政府と当事者である東電の合作では、なし崩し的に原発再稼働が盛り込まれるのは予想できた。
だが、過酷事故を忘れてしまったかのような、あまりに無神経な計画の内容ではないか。


 再建計画では、被災者への損害賠償は従来通りに東電が支払うが、電力会社が除染など事故処理の費用をすべて負担する枠組みを見直し、国と東電の役割分担を明確化した。

除染のうち、実施・計画済みの費用は国が保有する東電株の売却益を充て、東電の負担を軽くする。


 確かに、一企業では背負いきれない巨額費用を東電に押しつけるだけでは事故収束が進まないおそれがある。
国も原発を国策として推進してきた以上、国費の投入はやむを得ないとの声はある。


 しかし、国費投入とは、原発と全く関わり合いがない沖縄県民も含め、国民負担が何兆円も生じることである。
東電への融資や投資で利益を上げてきた金融機関や株主の負担を求めるのが本来の筋である。
原発を推進した経済産業省などの関係者が誰一人として責任を問われていないのもおかしい。


 再建計画では、東電の収益体質の強化も柱の一つとしている。
燃料調達の改善や海外投資などの改革も描くものの、切り札は相変わらず原発である。
今年七月以降、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を順次目指すとした。


 福島原発の汚染水問題すら収束せず、今なお十五万以上の人に避難を強いていながら、収益優先で原発に固執する姿勢は到底理解を得られまい。


 汚染水の貯蔵タンクで溶接費を節約したばかりに大量流出を招いたように、東電がこのまま収益重視の経営を続ければ、安全対策はおろそかになろう。

再稼働の議論より先に、フクシマの検証と総括もやはり必要だ。


 二〇一六年度からの電力小売り自由化をにらめば、ガス販売や原発に代わる新エネルギー事業へシフトし、原発は再稼働より廃炉に専念、国の支援もそこに力点を置く。
それが福島事故を経験した東電の生き残る道ではないか。

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2014年01月18日

石井苗子の健康術ー「原発事故」という現実を突きつけられる辛さ

石井苗子の健康術
「原発事故」という
現実を突きつけられる辛さ
2014年1月17日 読売新聞yomiDr.

(心の傷がどこまで修復されたかは、見えないものです)


 阪神淡路大震災で被災された方々の生活が、現在どこまで修復されたかについて勉強させていただく機会がありました。
東日本大震災の復興支援活動をしている人もいらしたのですが、心の傷というテーマのところで意外なことを言われました。

「福島県の場合は、阪神淡路の時と何も同じではないと思われた方がいい」


 原発が存在したこと、その恩恵をこれまで被っていただろうという目で社会から見られるという現実を突きつけられた人たちの心の傷が、時間で癒やされたかどうかなんて外から見えるものではありません。

「突きつけられた現実を受け入れる」


 心理学の分野ではこの言葉をよく使いますが、福島県の原子力発電所の事故は津波で起きました。

たとえそれが人災だったとしても、何か別な原因であったとしても、突きつけられた現実に違いはありません。
原因で人生を諦められるものではないのです。


 突きつけられた現実を受け入れ、その先がどうなるかなんて本人にも分からないものです。
社会や他人がどう対応してくれても、自分自身がどうなるか、それが分からない。

 たとえ人生は自分で切り開いていくものだと仮定しても「時間が経(た)てば心構えも元に戻ったでしょう」という考え方は、間違っている。

過去の辛い現実を受け入れたことから、立ち直られた人とできなかった人の差は、時間という平等に与えられた素材をどう使ったかによって大きな差を生み出す。

そこまでは分かったとしても、では個人がどうすればよかったのか、なぜそれができなかったのかまでは分からないのだと説明されました。


 立ち直るキッカケがつかめた人とつかめなかった人。
生活態度の違いという点だけでそれが後になって見えてくる。
見えるということはそれだけなのです。


 はっとしました。


 仮設住宅から自立して生活を始められた人、
借り上げ住宅と呼ばれる場所で最初から独りで生活をしていらした方、
一家がバラバラになった人、
狭い所に一緒に暮らしている家族、

私たちは生活の状況だけを観察して、人々の気持ちを整理しようとしていました。

そうしないと私たちの頭の中や気持ちが整わないからそうしてきただけで、そんな調査は実施できても、人生設計については誰も責任をとっていません。


 自分の手の中に自分の人生がないような、そんな気持ちで今日も生かされていると思っている人もいる。


 勉強会の翌日、私は福島県に向かう新幹線の中で頭をかかえてしまいました。


 寒いからとジッと家の中に居て、昼間からお酒を飲み、寝ころんでいるか食べているか、あとはパチンコしか興味を示さない被災された高齢男性をどうすればいいか、そうした方々の持病のケアをどうすればいいかなどを保健的視野から考えるプロジェクトの相談が今回の目的です。

でも実際は予算獲得の確認に行くのではないか?とか思ってしまい、こんなに頭の中が迷っていてどうするのだろうかと悩みながら郡山駅に着きました。

 地元の保健師さんが車で迎えに来てくださっていて、向こうから手を振っている。
それに応えながら、凍てつくような寒さの体験も4年目なのかと思いました。時間というものがいかに曖昧(あいまい)、そして味方につけることが難しいものかも手を振りながら味わっていました。

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2014年01月21日

社説:名護市長選 移設反対の民意生かせ

社説:名護市長選 
移設反対の民意生かせ
毎日新聞 2014年01月20日 

  沖縄県名護市長選で、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する現職の稲嶺進氏が、移設推進を掲げた新人の末松文信氏を破り、再選を果たした。


 政府は昨年末、仲井真弘多(ひろかず)・県知事から辺野古沿岸部の埋め立て承認が得られたため、選挙結果にかかわらず、予定通り移設を進める方針だ。

しかし、基地受け入れの是非が真正面から問われた地元の市長選で、反対派が勝利した意味は極めて重い。


 地元の民意に背いて移設を強行すれば、反対運動が高まるのは確実で、日米同盟の足元は揺らぎ、同盟はかえって弱体化しかねないだろう。


 ◇振興策の手法は限界だ


 安全保障上の必要性を踏まえつつ、本土が広く基地負担を分かち合うことを含めて、地元の民意をいかす道はないのか。

政府はもちろん、日米安全保障体制の受益者である私たち国民の一人一人が自分の問題としてとらえ、解決策を模索すべきだ。


 日米両政府が1996年に普天間飛行場の返還に合意して以来、名護市長選で辺野古移設の是非が問われたのは5回目だ。

最初の3回は、政府の手厚い経済振興策もあって、容認派が勝ったが、鳩山政権下で行われた2010年の前回市長選で反対派が初めて勝利した。


 今回は、知事が埋め立てを承認してから初の市長選だった。
保守系候補が「容認」でなく「推進」を掲げたのも初めてだ。
移設の是非がこれまで以上に明確な争点となった市長選を反対派が制したことに対し、政府は真摯(しんし)に耳を傾ける責任がある。


 選挙戦で末松氏は、再編交付金を活用した経済振興や住民サービスの向上を強調した。
再編交付金とは、米軍再編で新たな基地負担を受け入れる自治体に対し、政府が進み具合に応じて交付金を出す制度だ。
名護市は稲嶺市政の4年間で計約40億円分の交付を凍結されている。


 稲嶺氏は、再編交付金は政府が新基地を受け入れさせるために一時的に支払うカネだと批判し、子どもたちの未来のために辺野古の海にも陸にも新基地は造らせないと訴えた。


 選挙戦では、県外移設の公約に矛盾する辺野古移設を承認した仲井真知事への批判も多く聞かれた。
知事は昨年末、政府が21年度まで毎年3000億円台の沖縄振興予算を確保する方針や基地負担軽減策を示したことを評価して辺野古埋め立てを承認した。
県議会は「米軍基地と振興策を進んで取引するような姿が全国に発信されたことは屈辱的」との知事辞任要求決議を可決した。


 政府が振興予算を大盤振る舞いしたにもかかわらず、反対派が勝利したことは、振興策と引き換えに基地受け入れを迫る手法がもはや通用しなくなったことを示している。


 鳩山政権の県外移設方針の挫折や、本土の関心の低さを見せつけられて、沖縄の人たちの失望は深まり、沖縄への「差別」だという声が頻繁に聞かれるようになった。
基地反対の民意は、4年間で後戻りできないほど強まったようにみえる。


 安全保障は国の専管事項だと政府はいう。
確かにそうだが、それは地元の意向を軽視していいということではない


 政府は、今後1年かけて辺野古移設のための調査・設計を行い、その後5年間で本体工事をして、機材・施設の整備などを経て、計約9年で移設を完了する計画だ。 

◇日米で将来像の議論を 

  稲嶺氏は、代替基地への燃料タンク設置など工事に名護市長の許可などが必要なものが10項目あることから、市長の権限を使って基地建設を阻止する構えだ。

反対派住民による徹底抗戦も予想され、国が工事を強行すれば流血の事態を招きかねないとの話が地元ではささやかれている。
それは避けなければならない。


 ではどうすればいいのか。
 普天間飛行場の危険を一日も早く除去するため基地負担軽減策を着実に進めるとともに、

普天間の固定化を回避するためには辺野古への移設という選択肢しかないのか、今一度、再検討の必要があると私たちは考える。


 在日米軍がアジア太平洋地域の安定に果たす役割は大きい。それに悪影響を与えるような選択はすべきでない。

一方で、代替基地の建設が計画通り進んだとしても完成するのは9年後だ。その時の中国や朝鮮半島情勢がどう変化しているかを見通すのは難しい。
15年後、20年後はどうか。
普天間の海兵隊のための代替基地が沖縄に必要な状況だろうか。


 政府はこれまで、こうした国際情勢を踏まえた将来的な海兵隊の必要性の議論を、ほとんどしてこなかった。

国民への説明も、対米交渉した形跡もない。
外交・安全保障政策の司令塔を担うために創設された国家安全保障会議(日本版NSC)などを活用し、骨太な議論と新思考の政策を進めよう。


 今年で戦後69年、沖縄の本土復帰42年を迎える。

沖縄は太平洋戦争で地上戦の場となり、戦後は米軍の施政権下に置かれ、復帰後も米軍基地の集中に苦しんできた。

振興策と引き換えの基地押しつけでなく、発想を変える必要がある。

沖縄の人たちの理解と納得を得る政策を打ち出さなければ、日米安保体制は持続可能なものになり得ないだろう。

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現代史探検:特別攻撃隊

現代史探検:特別攻撃隊
毎日新聞 2014年01月14日 東京朝刊

◇記憶の継承が課題 
推進者さえ「外道」と断じる作戦

 70年前の1944年、太平洋戦争で劣勢だった日本軍は、爆弾を積んだ飛行機などで兵士が敵艦に体当たりする特別攻撃(特攻)を始めた。

敗戦までに約6000人が戦死したとされ、推進者さえ「統率の外道」と断じた。
出撃した若者たちはどんな気持ちだったのか。
いかに語り継ぐべきなのか。生還者たちを訪ねた。
              【栗原俊雄】


 「今でも、生き残ってしまったという気持ちがあるんです」。
昨年末、海軍OBらによる公益財団法人「水交会」(東京都渋谷区)。
日差しがまぶしいロビーで、野口剛さん(88)はそう話した。


 零戦に乗った野口さんの前方を、海軍の特攻機「桜花」をつり下げた一式陸上攻撃機の編隊が飛んでいた。
1945年3月21日。鹿屋(かのや)基地(鹿児島県)から沖縄の米軍を攻撃すべく向かっていた。
突然、尾翼に敵弾を浴びた。
「前の編隊を守る意識が強すぎて、後方がおろそかになった」。
南大東島に着陸して助かったが、出撃した一式陸攻18機は全機撃墜され、護衛の零戦搭乗員も合わせて160人が戦死したことを後で知った。

 特攻隊が海軍によって初めて編成されたのは44年10月、フィリピン戦線だった。陸軍も続いた。
隊員は、建前は志願制だったが断ることは難しかった。
成功が兵士の死を前提とするもので、推進者の一人だった大西滝治郎海軍中将さえ「外道」と断じた“作戦”だ。


 それでも、野口さんは「当時としては仕方なかったと思う。
国のために命をささげるという教育をずっと受けてきた影響は大きかった」と話す。

江名武彦さん(90)は44年12月、早稲田大在学中「学徒出陣」で海軍に入った。
特攻隊員となり翌年4月29日、3人乗りの「97式艦上攻撃機」の機長として、串良(くしら)基地(鹿児島県)から出撃。22歳だった。

「顔が引きつっていたと思います」。一緒にいく16歳の搭乗員に「笑って死にましょう」と励まされた。
だが搭乗機のエンジンが不調で引き返した。
5月に再出撃するも、またもやエンジントラブルで一命を取り留めた。


 特攻隊の基地といえば陸軍の知覧(ちらん)(鹿児島県)が有名だが、国内最大の特攻基地は鹿屋だった。
「桜花」の部隊が配備された。
同じ特攻機でも自力で飛べれば帰還は可能だ。
だが「桜花」は違った。
1・2トンの爆弾を搭載し、母機である一式陸攻から投下され、敵艦を目指す。母機を離れたら「九死に一生を得る」ことさえできない「十死零生(じゅっしれいしょう)」だった。


 野口さんは、何度も護衛のため出撃した。
こうした特攻隊員らをみても、感傷は湧かなかった。
「いずれ自分も死ぬ」と思っていたからだ。
後に自らも特攻待機になり、戦友と「同期の桜」を歌うと気分が高揚したという。


 特攻には「人間魚雷・回天」などの水中特攻、ベニヤ板製のボート「震洋」(海軍)や「マルレ」(陸軍)による「水上特攻」もあった。

最も大規模な水上特攻は、「戦艦大和」など10隻からなる第2艦隊だ。

45年4月、連合艦隊は沖縄に上陸した米軍を撃退すべく、同艦隊に「水上特攻」を命じた。
だが大和以下6隻が米軍機に撃沈され、艦隊全体で約4000人が戦死した。


 特攻の戦死者は「2階級特進」が原則だ。
たとえば少尉は中尉を飛び越えて大尉に昇格する。

だが同艦隊の戦死者は「大和」艦長の有賀幸作を除き特進しなかった。
理由は謎だ。
「大和」から生還した川潟光勇さん(2013年に92歳で死去)は生前、記者に「国を守るために戦っていた。昇進したくて戦争していたわけじゃないが、なぜ死んでまで差別されるのか。納得できない」と話していた。


 特別攻撃隊慰霊顕彰会(現・公益財団法人特攻隊戦没者慰霊顕彰会)は90年、戦没者名簿などを掲載した「特別攻撃隊」を編さんし03年までに4版を重ねた。

特進していない第2艦隊の戦死者は、名簿に加えられなかった。
だが08年、戦死者を「準特攻」として、新たに刊行した「特別攻撃隊全史」の名簿に加えた。
旧海軍関係者から「特攻戦没者とみなすべきだ」との声が多かったからだ。

生き残った者にとって「特攻」は、戦後も終わらなかったということだ。


 生還者や遺族が高齢化する中、特攻の記憶はどのように継承されていくのか。
亡くなった戦友を思い、野口さんは戦後長く特攻体験を語らないでいた。
江名さんも「慰霊は心の中で静かにすべきだと思っていた。
言葉にすると自分が生き残った喜びを語るような気がして」と、口を閉ざしてきた。


 しかし、近年は2人とも取材に応じている。
「若い人たちに特攻で死んでいった人たちのことを知ってほしい」という気持ちからだ。

「マルレ」の中隊長として、沖縄・渡嘉敷島から生還した皆本義博さん(91)も、「自分たちがいなくなっても、慰霊を続けてもらいたい。
学校でも特攻隊のことを伝えてほしい」と話している。


 特攻は戦後、今日に至るまで映画や小説、ノンフィクションなどで繰り返し取り上げられてきた。

知覧特攻平和会館には年間約50万人が、海上自衛隊鹿屋航空基地史料館には5万7000人が訪れる。

20歳そこそこの少年の面影を残した遺影。
親や妻、幼い子供らへの思いをつづった遺書……。
見る者に強い印象を残すこうした資料館は、特攻の歴史を語り継ぐ上で重要な役割を果たしている。


 「『特攻』と日本人」などの著書があるノンフィクション作家・保阪正康さんも、涙を禁じ得なかったという。
「彼らへの哀悼の気持ちはもちろんありますが、特攻を美談にしたり、特攻隊員を英雄に祭り上げたりすべきではない。

非人間的な命令を下した組織や個人の責任がぼやけてしまう。
冷静に史実を追うことが、後世の我々の役目です


==============


◇特攻を巡る主な動き


1941年12月 8日 太平洋戦争始まる

  44年10月 1日 「桜花」などの「第721航空隊」(通称・神雷部隊)を編成
        17日 米軍がレイテ島上陸
        21日 海軍神風特攻隊が初出撃
        25日 特攻隊「敷島隊」5機が出撃、米護衛空母を撃沈
     11月    陸軍の航空特攻始まる
  45年 4月 1日 米軍が沖縄上陸
         7日 「戦艦大和」以下10隻の水上特攻隊のうち6隻が撃沈され、作戦は失敗
      6月23日 沖縄守備隊の組織的戦闘が終了
      8月15日 終戦。「玉音放送」後、海軍の沖縄航空特攻を指揮した宇垣纏(まとめ)中将が11機23人で出撃、18人が死亡
        16日 海軍の特攻を推進した大西滝治郎中将が割腹自殺
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2014年01月22日

吉野弘さん:生の意味をていねいに問い、やさしく言葉を紡いだ

吉野弘さん:
生の意味をていねいに問い、
             やさしく言葉を紡いだ
2014年1月21日  東京新聞「筆洗」


 小鳥に声をかけてみた/小鳥は不思議そうに首をかしげた。/わからないから/わからないと/素直にかしげた/あれは/自然な、首のひねり/てらわない美しい疑問符のかたち…

▼吉野弘さんの詩「素直な疑問符」だ。
首をかしげた小鳥の姿に、美しい「?」を見て取る。
そんな目の持ち主にかかると、
「母」という字のちょっと傾いた姿からも小さな物語が生まれる

▼<母は/舟の一族だろうか。/こころもち傾いているのは/どんな荷物を/積みすぎているせいか>。
舟とは、母という字の下の方が愛の積み荷が多過ぎて水に浸っている形。
詩人にはそう見えたという

▼吉野さんは二度、生死の境から生き延びた。
召集され、死を覚悟して入営する数日前に終戦を迎えた。
戦後は肺結核と闘った。
「二度も助かったから、生きなくては申し訳ない」。
だから、日々の暮らしの中で生の意味をていねいに問い、やさしく言葉を紡いだ

▼例えば、「幸」と「辛」という字は「一」だけの違い。
その「一」とは何か。
<幸いの中の人知れぬ辛(つら)さ/そして時に/辛さを忘れてもいる幸い。/何が満たされて幸いになり/何が足らなくて辛いのか>

▼八十七歳で逝くまで、「?」を大切にし続けたのだろう。
冒頭の詩はこう結ばれる。

<時に/風の如(ごと)く/耳もとで鳴る/意味不明な訪れに/私もまた/素直にかしぐ、小鳥の首でありたい>

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大企業向け減税ー国民へのつけ回し 筋が通らぬ

大企業向け減税
国民へのつけ回し 筋が通らぬ
2014年1月22日(水) しんぶん赤旗「主張」  

安倍晋三政権が20日、今年初めての「産業競争力会議」と「経済財政諮問会議」を開き、「産業競争力」の強化など、「アベノミクス」の加速を打ち出しました。

中でも見過ごせないのは、法人税減税の具体化を持ち出したことです。


 経済財政諮問会議では、現在約35%の法人実効税率を10%も引き下げる案まで出されました。
国民には今年4月からの消費税率の8%への引き上げに続き、来年10月からは10%に引き上げようとしているのに、法人税率は大幅に引き下げるというのは筋が通りません。

どこまで国民へのつけ回しと“たかり”を続けるのでしょうか。


恩恵は一握りの大企業


 国税と地方税を合わせた法人への実効税率は繰り返し引き下げられており、東京を例にとると現在35・64%です。

3年間の時限措置で上乗せされていた復興特別法人税は、1年前倒しで廃止されることになっています。

さまざまな租税特別措置や設備投資などの政策減税もあるので、実際の税負担はもっと軽くなっています。


 法人税はもともと赤字の企業には課税されないので、法人税減税の恩恵を受けるのは一握りの大企業だけです。

安倍政権は、法人税を減税し大企業のもうけが増えれば、雇用も賃金も拡大すると経済の「好循環」を売り物にしてきましたが、実際にはもうけが増えても内部留保に回す大企業がほとんどで、雇用や賃金の改善には結びつきません

年明けのマスメディアなどの調査でも、今年売り上げや利益が増えると見込む企業が大半でも、従業員の賃金を上げるという企業は5社に1社以下です。

7割の企業が「未定」というありさまです。法人税が下がり、利益が増えても、経済が「好循環」する保証はありません。


 経済財政諮問会議で企業経営者や学者などの民間議員は、日本国内への投資を拡大するため、法人税を「アジア諸国並み」に引き下げると言い出しました。

日本の法人実効税率は、アジア諸国よりは高いものの、アメリカよりは5%も下回っています。
社会保障のための負担を含めれば、欧州諸国さえ下回ります。

企業が投資するのは賃金などのコストや近くに市場が確保できるかなどの条件によるもので、税金さえ下げれば投資が増えるというのは幻想です。
「投資拡大」の口実も成り立ちません。


 法人税を減税すれば税収が減り、ただでさえ赤字が続く財政がさらに悪化するのは明らかです。

さすがに麻生太郎財務相は、法人税率を10%引き下げれば約5兆円も税収が減ると指摘しました。
しかし安倍首相は、「レベニューニュートラル(増減税同額)」でなくても検討は進めると、法人税減税に前のめりです。
まず法人税を減税し、そのつけはあとからというのでは危険このうえありません。


大企業応援政治の転換を


 万一、法人税減税の穴埋めに消費税の税率が10%を超えさらに増税される事態にでもなれば、それこそ国民の暮らしも経済も破綻してしまいます。

大企業への大盤振る舞いのつけを国民に転嫁し、国民にたかって穴埋めするなどというのは絶対に許されません。


 大企業応援の政治から暮らし応援の政治に抜本転換すべきです。
理屈の立たない法人税減税は中止し、消費税増税の中止など、国民の暮らしと経済を改善すべきです。

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2014年01月23日

現代史探検:零戦

現代史探検:零戦
毎日新聞 2013年08月13日 東京朝刊

◇強く美しく悲しく


 第二次世界大戦で、日本海軍の主力戦闘機となった零戦(零(れい)式艦上戦闘機)がいま再び注目を集めている。

設計者・堀越二郎(1903〜82)をモデルにした主人公が活躍するアニメ映画「風立ちぬ」が封切られ、零戦に関するイベントも各地で盛況だ。
約70年前に役割を終えた戦
闘機が、なぜ現代でも人気なのか。
零戦の今昔を追った。【栗原俊雄】


◇最高水準の装備、運動性とデザイン 栄光の裏で散った命


 7月末、藤岡歴史館(群馬県藤岡市)を訪れた。
企画展「堀越二郎の軌跡」(7月13日〜9月8日)が開かれているため、平日にもかかわらず、大人や家族連れでにぎわっていた。

生誕110年の堀越は地元出身で、設計に使った道具やメモ、堀越が手がけ、零戦の後継機として期待された「烈風改」の青焼き図面など、初公開の資料約200点を展示している。


 年間入館者は約7000人だが、同展が始まってから1カ月ほどで1万人を超えた。
企画展を担当した同市教育委員会の軽部達也さん(49)は「零戦は日本の物作りの原点で、その設計者・堀越さんは地元の英雄。若い人にも知ってほしい」と話す。


 所沢航空発祥記念館(埼玉県所沢市)では今もアメリカから里帰りした零戦52型が展示されている(8月31日まで)。
昨年12月1、2日に行ったエンジン始動見学会には、延べ1万人が集まった。

またプラモデルメーカー大手のタミヤ(静岡市)は1973年に販売したプラモデル「零戦21型」(48分の1)を、今も同じ金型で製造販売している。
広報担当の山本曉(あきら)さんは「40年も続くのは売れるからこそ。零戦は断トツの人気」という。


 1937年10月、日本海軍は主力の96式艦上戦闘機の後継機開発を三菱重工業などに発注。

要求は「重武装と長い航続距離、高速と運動性」という相矛盾したものだった。

航続距離を長くするには、燃料を大量に積まなければならない。
そして重武装。
いずれも機体が重くなる。

重くなるほど動きは鈍くなる。

三菱は堀越を設計主任に据えて挑んだ。

堀越は東京帝国大工学部航空学科を卒業し、27年に入社した期待のエースだった。


 堀越の長男雅郎さん(76)によると、
堀越は戦後、海軍の要求について、「棒高跳びの選手に、砲丸投げでも短距離でもマラソンでもいい成績を取れというようなものだった」とふり返った。


 しかも日本のエンジン開発は欧米に大きく立ち遅れており、1000馬力がやっと。
同時代の他国の戦闘機に比べ2割程度小さい。


 このため堀越は機体を徹底的に軽量化し、空気抵抗の少ないデザインを追求した。
完成した戦闘機は40年、海軍に制式採用された。

初陣は同年9月13日の中国戦線。零戦13機は、中国軍のソ連製戦闘機27機をすべて撃墜し、全機帰還という大戦果を上げた。

零戦は改良を重ね終戦までに約1万500機が生産された。
20ミリ機銃2丁を積んだ武装は、世界最強の水準にあった。
一方で運動性が高かった。
しかも航続距離は最大で約3300キロに及んだ。


 太平洋戦争初期も、零戦の高性能と熟練の搭乗員たちの技量が相まって、連合国軍を圧倒した。

搭乗員だった原田要さん(97)は41年の真珠湾奇襲作戦や42年のミッドウェー海戦、激戦地ガダルカナルなどで戦った。
「零戦はかじの利きが良くて、操縦が楽だった。
それまで乗っていた96式艦戦に比べて視界も広かった。
敵に負ける気がしなかった」とふり返る。


 だが戦争が長期化するにつれ、弱点が露呈。
軽量化を追求した結果、防御力を犠牲にし、搭乗者を守る防弾鋼板が省かれた。
燃料タンクの防御も弱く、一発の被弾が致命傷ともなった。

堀越や三菱の責任ではなく、元々海軍はこうした防御装備を要求しなかった。

 「零式戦闘機」「零戦燃ゆ」などの著作があるノンフィクション作家、柳田邦男さん(77)は日本はパイロットを守ることを優先したアメリカとは、設計哲学が違った。
パイロットを育てるには長い時間がかかる。
生き残れば貴重な財産になったのに」と話す。


 零戦が国民に広く知らされたのは、戦争末期の44年11月23日だ。
同日の毎日新聞は「新鋭」の零戦が「阿修羅の奮戦」により米軍の戦略爆撃機B29を撃墜したと報じた。

だが、実際は初陣から4年がたち、時代遅れになっていた。
搭乗員が爆弾もろとも敵艦に突っ込む特攻でも使用された。


 敗戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の占領下で、旧日本軍を懐かしんだり、顕彰したりすることは難しかった。

零戦も、書籍などで公に取り上げることは難しかった。

柳田さんは「独立後、元パイロットらによる手記が雑誌などで目につくようになった」とふり返る。

53年には「撃墜王」と呼ばれた元パイロットの回顧録「坂井三郎空戦記録」が刊行された。
後に加筆して刊行された「大空のサムライ」はベストセラーとなった。

「太平洋戦争航空史話」などの著書がある現代史家の秦郁彦さん(80)は、零戦人気の火付け役となったのは、坂井だという。
「海外の主要空港に行くと、翻訳本が必ず売られていた」


 また68年には、作家の吉村昭が零戦の開発から最期までを、綿密な調査に基づいてふり返った「零式戦闘機」を発表。

柳田さんは「優れた記録文学で、一部のファンにとどまっていた零戦への関心を広めた」とみる。


 航空機の歴史に詳しいジャーナリストは、零戦人気の理由について「飛行機としての、デザインの美しさ」を挙げる。

軍事史関係書籍の老舗、潮書房光人社の坂梨誠司・第2出版部部長(52)は「5年も第一線で戦ったことが大きい。

また、
滅びようとする国家を支えた零戦とパイロットは、江戸時代末期に、倒れようとする徳川幕府を守ろうとした新選組に似ている」と解説する。


 一方で、新選組には討幕派の志士たちを多数殺害するなど、暗い側面もある。


 世界にその名をとどろかせた栄光の半面、敵味方たくさんの命とともに散った。
「零戦の光と影は、ずっと語られてゆくでしょう」。
柳田さんはそう話している。

==============
◇零戦を巡る主な動き



1936年 堀越二郎が設計主任を務めた96式艦上戦闘機を海軍が制式採用
  37年 日中戦争開始。海軍が96式艦戦の後継機として、12試艦上戦闘機(のちの零戦)の開発を三菱重工業などに要請
  39年 堀越が設計した12試艦戦試作1号機が初飛行に成功
  40年 12試艦戦が制式採用。神武天皇即位の年を元年とする「皇紀」2600年の末尾をとって「零(れい)式艦上戦闘機」と命名。初陣の中国戦線で一方的勝利
  41年 太平洋戦争始まる
  44年 零戦などが爆弾ごと敵艦に突入する神風特別攻撃隊創設。新聞で初めて零戦の名が報じられる
  45年 終戦
  52年 サンフランシスコ講和条約発効、日本が独立。戦争体験者らによる回顧録の刊行が進む
  53年 「坂井三郎空戦記録」刊行
  68年 作家の吉村昭が「零式戦闘機」を発表

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2014年01月25日

現代史探検: 戦争被害受忍論

現代史探検:
戦争被害受忍論
毎日新聞 2013年07月09日

◇民間人の補償に壁


 第二次世界大戦が終わってから68年が過ぎようとする今もなお、国家に補償を求めて闘っている人たちがいる。

行政は、民間の戦争被害者救済に腰が重く、司法による被害者救済の見通しもきわめて困難だ。
司法から解決を促された立法も、なかなか応えない。

「戦争被害受忍論」と三権に翻弄(ほんろう)されてきた、戦争被害者たちの戦後をたどった。【栗原俊雄】


◇司法は財政への負担を懸念
 

 空襲被害者、救済求め連携

 「戦争被害受忍論を打ち破るぞ」「死ぬまで闘い抜くぞ」。
5月10日午後、東京大空襲の被害者ら約30人が、最高裁判所(東京都千代田区)前で抗議の声を上げた。


 2日前の8日、最高裁第1小法廷(横田尤孝(ともゆき)裁判長)では、国に補償を求めた彼ら原告側の敗訴が確定していた。


 第二次世界大戦で、米軍は全国約200都市を空襲し、およそ50万人が亡くなったとされる。
1945年3月10日の東京大空襲だけで、約10万人の命が奪われた。


 国は53年以降、旧軍人・軍属や遺族に対し、恩給などで現在までに累計約50兆円に上る補償や援護を行った。
民間の空襲被害者にはそうした措置がなされていない。

軍人や軍属には「国との雇用関係」があったが、一般の民間人にはなかった。それが国側の言い分だ。


 国が始めた戦争で被害に遭った点では、軍人・軍属も民間人も一緒だ。
法の下の平等に反する」「差別なき戦後補償を」。
東京大空襲の被害者たちは2007年、国に補償を求め東京地裁に提訴した。原告は132人に上った。


 しかし、地裁は09年、東京高裁は昨年、訴えを退けた。
そして今回、最高裁は理由を示さず、原告側の上告を“門前払い”した。


 星野弘原告団長(82)は「司法がこれほど冷酷だとは思わなかった」と悔しがった。
また、中山武敏弁護団長(69)は「イギリスとフランス、日本と同じ敗戦国のドイツやイタリアでも民間の被害者に補償している。
なぜ日本ではできないのか」と憤った。


 新聞各紙は、最高裁の決定を9日付夕刊で報じた。
1面トップから社会面1段見出しのベタ記事まで扱いはさまざま。
この問題への意識の差が浮き彫りになった。


 大阪大空襲の被害者23人も08年、国に補償を求めて大阪地裁に提訴したが11年に敗訴。
控訴審の大阪高裁でも今年1月に敗訴した。現在、最高裁に上告中だ。


 空襲に限らず戦争被害者が国に補償を求める訴訟で、原告に大きな壁となったのは「戦争被害受忍論」である。

「戦争で国民みんなが被害にあった。だからみんな耐え忍ぶべきだ」という「法理」だ。


 受忍論の起源は、1968年の最高裁大法廷の判決にある。

原告が、戦争によって失った海外の財産について政府に補償を求めた訴訟だが、退けられた。

さらに87年、名古屋空襲の被害者が国に補償を求めた裁判でも、最高裁第2小法廷で受忍論が踏襲された。


 受忍論に基づく判決は、しばしば立法による救済を国会に促してきた。

70〜80年代、社会党など野党が「戦時災害援護法案」を計14回、国会に提案したが実現しなかった。
行政側が、民間人に補償を拡大すると、国家財政に支障を来すと懸念したことが背景にあった。
それは司法にも通じている。

例えば、東京大空襲訴訟で東京地裁は「一般戦争被害者を含めた戦争被害者すべてに救済、援助を与えようとすれば、それは膨大な予算が必要となる可能性がある」とした。


 東京大空襲訴訟で1、2審は、一般戦争被害者に対しても救済や援護を与えるのが国の責務という原告の主張に対し「心情的理解」を示した。
原告らの深刻な被害も認定した。
それでも救済はしなかった。

中山弁護士は「裁判所に心情的理解や同情を求めたわけではない。
個人の人権侵害を救済するという、司法の役割を放棄している」と批判する。


 司法の限界が明らかになる中で、救済に漏れた人たちが連携し、立法を目指す活動が進んでいる。

2010年8月、各地の空襲被害者によって「全国空襲被害者連絡協議会」が発足した。
東京都内で開かれた発足集会には全国から300人が駆けつけた(現在は約50団体と個人会員600人)。


 翌年には、国会議員有志が援護法立法を目指す議員連盟を設立した。

議連は民主、共産、自民党などによる超党派で、同協議会と話し合い、「空襲被害者等援護法」(援護法)の素案をまとめた。


 主な内容は、死者1人につき遺族に100万円▽15歳未満で孤児になった人に100万円▽負傷や病気になった人に、程度により40万〜100万円−−を支給する。


 試算では、最大で対象者65万人、予算額6800億円。

巨額だが約50兆円に上る旧軍人・軍属らへの手当に比べれば、はるかに少ない。
背景には、空襲被害者が高齢化し加速度的に減っている現状がある。
「国家財政に支障を来す」という財政論は説得力に乏しい。


 また、国は引き揚げ者や被爆者、沖縄戦で被害を受けた民間人らに対し、不十分ながらも補償や援護をしてきた。
さらに10年5月、民主党を中心とする議員立法で「シベリア特措法」が成立した。


 抑留経験者1人に25万から150万円の特別給付金を支給する内容だ。
金額の低さなど課題は多いが、国が拒み続けていた国家補償を事実上実現した点で、画期的といえる。

戦争被害に遭った国民全員が耐え忍ぶべきだという受忍論には、大きな矛盾があるのだ。


 援護法が成立した場合、財源となるのは国費であり税金だ。国民に「未完の補償」の実態を知らせ、支持を得なければならない。


 空襲の被害者たちは粘り強く立法運動を続けている。
杉山千佐子さん(97)は、名古屋空襲で左目を失った。
40年以上、国会議員への働きかけや講演、著書などで補償実現を訴えてきた。

今年6月、立教大(東京都豊島区)での講演会に名古屋から車椅子で参加。

立法がかなわない現状について「これが日本かと思うと情けない。みなさん、どうか支援してください」と呼びかけた。


 「このまま受忍論がまかり通ったら将来、国策の誤りで膨大な数の国民が被害を受けた場合、救済措置がないがしろにされるかもしれない。

70年近く前の昔話ではない」。中山弁護士は、そう警鐘を鳴らしている。

==============
◇戦争被害受忍論関係年表

2012.2.29    -放送

1945年 米軍が日本各地を無差別爆撃

  46年 民間戦争被害者を支援していた戦時災害保護法が廃止
  53年 敗戦後停止していた軍人恩給が復活
  67年 「引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律」が成立
  68年 戦争に伴う在外財産の補償請求訴訟で、最高裁が「戦争被害受忍論」の判断を初めて示す
  81年 元シベリア抑留者による国への補償請求訴訟
  87年 名古屋空襲訴訟で最高裁が受忍論を踏襲
  89年 抑留訴訟で、東京地裁が受忍論をもとに訴えを退ける(97年最高裁で原告敗訴確定)
2007年 東京大空襲、シベリア抑留の両被害者がそれぞれ国に補償を求めて提訴。いずれも1、2審で敗訴
  10年 全国空襲被害者連絡協議会が結成される
  13年 最高裁で両訴訟の敗訴が確定
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2014年01月26日

通常国会始まる 国の針路を誤らぬよう

通常国会始まる
 国の針路を誤らぬよう
2014年1月25日 東京新聞「社説」

 きのう始まった通常国会を、安倍晋三首相は「好循環実現国会」と位置付けるが、集団的自衛権や原発政策、特定秘密保護法など重要課題が山積だ。

国の針路を誤らぬよう、議論を尽くしてほしい。


 首相は、今後一年の内政・外交方針を示す施政方針演説で「この国会に問われているのは『経済の好循環』の実現だ。
景気回復の実感を、全国の津々浦々にまで、届けようではないか」と強調した。


 経済の好循環実現は重要だ。
各種経済指標に好転の兆しはあるものの、国民の多くは景気回復を実感するに至ってはいない。
四月には消費税が増税され、景気の腰折れも懸念される。


 政府はこの国会に、経済成長を促すための三十二法案を新たに提出する。国民が暮らし向きの向上を実感するにはどうすべきか、まずは徹底的に議論すべきである。


 ただ、この表看板に惑わされるわけにもいかない。
国の針路を決める重要課題が山積だからだ。


 まずは第二次内閣発足後、首相が初めて国会演説で言及した「集団的自衛権の行使」である。


 首相は、有識者懇談会の報告を踏まえて「対応を検討する」と表明したが、第一次内閣で始動したこの懇談会はかつて行使容認の報告書を出したことがある。


 その後、メンバーの入れ替えもなく、四月にも提出される報告でも、行使容認となる見通しだ。


 集団的自衛権の行使について、歴代内閣はこれまで、憲法九条で許容される自衛権の範囲を超えるとの見解を堅持してきた。
先の大戦の反省から、専守防衛に徹してきた「国のかたち」でもある。 


 それを一内閣、それも私的な懇談会の報告書を基にして変えることなど許されようはずがない。
国会での徹底追及を期待したい。


 原発について、首相は「原子力規制委員会が定めた世界で最も厳しい水準の安全規制を満たさない限り、再稼働はあり得ない」と述べたが、同規制委の手続きさえ経れば再稼働させることと同義だ。


 国民の運命を左右する原発政策は、東京都知事選でも争点化しており、なし崩しの再稼働容認は許されない。
国会を含めた国民的な議論に付すべきである。


 与党が昨年、成立を強行した特定秘密保護法に、首相は演説で全く触れなかったが、法律の乱用や人権侵害の懸念は解消されず、首相自身も説明不足を認めている。


 民主、共産両党は廃止法案を提出する予定だ。
法案の要不要も含めて審議し直すべきである。

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2014年01月28日

「辞めたって行くとこないよ… 」「地獄の中高年ブラック企業」闇実態 vol.01

「辞めたって行くとこないよ… 」
「地獄の中高年ブラック企業」闇実態

週刊大衆02月03日号vol.01


家族のため、生活のため――そんな弱みにつけこんで、あの手この手で搾取する手法と対策をすべて書く!
社員をボロ布のように酷使して、擦り切れたらポイと放り出す。
採用時に示した有給休暇や各種保険は大ウソで、残業代すら、ろくに払わない――。

現在、深刻な社会問題となっているブラック企業。
2013年の流行語大賞ベストテンにも選ばれるほど、それは日本中で猛威を振るっている。

『ブラック企業被害対策弁護団』事務局長の戸舘圭之弁護士によると「最近は【いかに安く働かせるか】が会社を成長させるビジネスモデルと考える人事担当者もいます」と言うから恐ろしい。

新人を数百人単位で採用し、1年後には半分も残っていない――。
こうしたケースをよく耳にするためか、ブラック企業の餌食となるのは若手社員だと思われがちだが、実際はそうではない。

日本労働組合総連合会によれば、昨年1年間で1万7000件以上の労務相談を受けたが、このうち最も多かったのは、40代の労働者だという。

そして、同連合会・非正規労働センターの村上陽子総合局長は、中高年の労働者ならではの傾向があると話す。

「会社から労働強化や残業代を払わないなどの理不尽なことをされた場合、若ければ辞めるという選択が多いかもしれませんが、中高年であれば、次の就職先を探すのが難しいこともあり、我慢するしかないというケースも多いようです」

従来の"新人使い捨て型"ではない、中高年の弱みを利用したブラック企業とは、いったい、どのようなものなのか?

本誌は、その被害者である大藤功さん(53=仮名=以下同)から話を聞くことができた。

大藤さんが30年近く営業職として働き続けてきた電気機器部品メーカーが倒産したのは、3年前のことだった。

妻と当時、高校生だった娘を養うため、毎日ハローワークに通い続けたが、再就職先は一向に見つからなかったという。

「資格も手についた職もない50代の私が応募できる会社は、ほとんどないんです。
なんの進展もなく、ただハローワークに通い続けるだけの日々は絶望的でした」

その影響は家族にも及んだ。
スーパーでパート勤務をしていた大藤さんの奥さんは勤務時間を大幅に増やし、電車で高校に通っていた娘も「健康にいいから」と自転車通学に変えていた。
「そうした家族の優しさと私の無力さのギャップで余計に辛くなって、自殺すら頭をよぎりました」

そんな折に就職情報誌で見つけた現在の会社の募集は、一筋の光に思えた。
「中古車販売業なんですが、年齢制限がなく、条件面は前の会社とほぼ同じ。すぐに電話しました」

採用が決まり、再就職先探しの苦しみから、やっと逃れられたかに思えた大藤さんだったが、違った。

「不慣れな面はありながらも、初めの半年は問題なく働けていました。
ところが、次第にノルマが厳しくなり、労働条件の変更を余儀なくされたんです……」

毎月設定される販売台数をクリアできずにいると、「ウチは慈善団体じゃないから、このまま雇い続けることは難しい」と給料を下げられていったのだ。

「その後、販売目標を2カ月連続で達成できたときに会社に給料改善を申し出たところ、"いまは、そんな余裕はない。カネが欲しいなら、ほかに転職しなよ"とあしらわれました。
同じ理由で、いまは交通費も出ません」

転職の苦しみを二度と味わいたくない。
その思いがあるため、大藤さんはいまの会社を辞められずにいる。

「再就職できないという弱みがあるので、会社の一方的な不当要求を飲み込むしかないんです……」

そんな中高年の心理を逆手に取った酷使に悩まされているのは、首都圏の運送業者でトラック運転手をする手束肇さん(46)も同じだ。

手束さんが高校卒業後、トラック運転手を目指していまの会社に就職したのは、父への憧れからだった。

「ぶ厚い背中とゴツい手。
オレが小さい頃に死んじまった親父の印象です。
親父と同じ職業に就けば、オレもあんな男になれるんじゃないかって思ったんです」

交通量の少ない夜中を中心に、全国を走り回るこの仕事は決して楽ではなかった。
ひとたび運転を誤れば命の危険にも繋がりかねないが、20数年続けてきた。

しかし、この数年で会社の経営環境は大きく変わっていた。

「ガソリン代がバカ高くなったでしょ。それで、"これからは高速を使わないように"って会社から言われるようになったんだ。
しかも、給油料金にも制限が出て、決められた額以上のガソリン代は自腹だよ」

事実上の減給と同時に、一般道を走るために労働時間が長時間化。
休憩時間はおろか、普段の睡眠時間すらまともに取れないようになると、一人、また一人と同僚が退職していった。

「社員の人数が少なくなっても、会社全体の仕事量は変わらない。結局、残ったオレらの仕事量がグンと増えたんだ」

それが労働環境のさらなる悪化を招き、ついに手束さんは事故を起こしてしまった。

01月28日公開のvol.02に続く・・・。

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「辞めたって行くとこないよ… 」「地獄の中高年ブラック企業」○闇実態 vol.02

「辞めたって行くとこないよ… 」
「地獄の中高年ブラック企業」
○闇実態 vol.02
2014年1月28日(火) デジタル大衆

  居眠り運転による、道路標識への接触事故。
幸い、ケガはなかったが、トラックの修理代などはすべて給料から天引きするというのが、会社の判断だった。
「何から何まで最悪だよ。そんなオレの事故への会社の対応を見て、辞めていったヤツもいたしな」

しかし、手束さんは転職という道を選ばなかった。

「認知症になったおふくろが施設に入っていて、そのカネがいるんだよ。
貯金もないし、トラックの運転しかできないのに、事故ったオレをほかで雇ってくれるか、わからない。
この年で新しい職種なんて考えられない。クビになったら困るから、会社に何か言うこともできないよ

再就職への不安を抱える中高年に不当な要求を飲ませる例は、大藤さんや手束さんだけではない。

「時間外手当を基本給に含むようにされた」(40代=サービス業)、
「記入式のタイムカードの時間を少なく書かないと、上司からハンコをもらえない」(50代=小売業)、
「"賞与を辞退します"と一筆書くように強制された」(40代=製造業)

こうした場面に遭遇した労働者のうち、中高年の労働者ほど会社に従っているケースが多いことが本誌の調査で判明した。

そこで本誌が調べたブラック企業対策術をまとめた(vol.03)。

労働問題に取り組むNPO法人『POSSE』の代表で、『IT企業という怪物組織が人を食い潰すとき』(双葉社)の共著がある今野晴貴氏は「記録を残すことは特に大事」と言う。

「補償を勝ち取るには記録が必要です。
メモだけでも有効なので、争うにせよ争わないにせよ、労働時間や日々遭遇する違法行為の記録を残しましょう」

続けて推奨するのが専門家への相談だが、その際には注意点がある。

「"本当に自分の味方"となる組織に相談することです。
社労士や産業医は会社に雇われているので、自分の味方にはならない可能性があります」(前同)

再就職という不安につけこみ、不当要求と過酷労働を中高年に突きつけるブラック企業。
その無間地獄がなくなることを本誌は祈るばかりだ。

01月29日公開のvol.03に続く・・・。
週刊大衆02月03日号
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2014年01月29日

「辞めたって行くとこないよ… 」「地獄の中高年ブラック企業」闇実態 vol.03

「辞めたって行くとこないよ… 」
「地獄の中高年ブラック企業」
闇実態 vol.03
2014年1月29日(水)デジタル大衆

○会社を知る
職選びの際に、その会社の離職率や成長度、待遇条件を知ることはもちろん、就職後も就業規則などを知ることは重要。

○わからないことは聞く
ブラック企業は規則や会社方針、従業員への説明を抽象的な表現にすることが多いので、不明点はわかるまで聞くべし!

○記録を残す
「残業代不払いや、違法な解雇、パワーハラスメントに対する補償を勝ち取るには、記録が必要です」(今野氏)

○専門家に相談
一人ではわからないことが多い。弁護士のほか、無料で相談できるNPO法人などもあるので、積極的に活用したい。

○腹を決める
「会社と争うなら腹を決めて徹底的に。中途半端に争うと、逆に待遇が悪化するだけ」(今野氏)。強い気持ちで!

週刊大衆02月03日号
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雇用と賃金ー独りよがりがひどい首相演説

雇用と賃金
独りよがりがひどい首相演説
2014年1月29日(水)しんぶん赤旗「主張」

 安倍晋三首相が施政方針演説で雇用と賃金が改善しているという認識を示したことに驚きました。

有効求人倍率が、あの20万人を超える大量非正規切りで雇用崩壊におちいった2008年のリーマン・ショック時から回復したとか、昨年冬のボーナスが連合調査で前年比3万9千円増えたとか、「アベノミクス」が着実に成果をあげているかのような言いぶりです。


 これらの数字は実際は、成果として自慢するべきことではなく、むしろこのままでは「デフレ不況」から脱却できないという危機感こそ持つべきものです。


きびしさ増す実態 

 安倍首相がのべた昨年11月の有効求人倍率が6年1カ月ぶりに1倍を回復したという数字は、まったく喜べるものではありません。

正社員の求人倍率はわずかによくなっているものの0・63倍です。
正社員の仕事を求めている人1人にたいして、募集が0・63人分しかないということです。

1倍になったのは、パートタイムの求人倍率が1・16倍に0・16ポイント増えたのが大きな要因です。


 求人が増え、雇用が拡大していると首相はいいたいのでしょうが、実態はパート求人の増加です。

仕事探しをあきらめ、求職者数が前月比0・6ポイント減っているなどの事実を含めて詳しく分析すれば、雇用は不安定化し、きびしさを増しているのが実態です。
首相は、まずこの認識を明確にもつべきです。


 昨年の民間企業の冬のボーナスが前年冬より3万9千円増えたというようなことを、施政方針演説で成果であるかのように強調するのは実に奇異です。
政府の努力で賃金がプラスに転じたといいたいのでしょうか。


 連合の集計を使ったのも意図的です。
厚生労働省も経団連も結果を発表しています。

経団連が2万7千円増、厚労省は2万2千円増です。

大手製造業の労組が多いため一番高くなる連合の集計を使って高額に見せるずるい手法です。


 もともとボーナスは、そのときの経済情勢や経営者の判断で上下するもので、前年は夏冬ともに下がり、ここ数年は交互に上下しています。

したがって家庭の将来が見通せる安定した収入こそ重視すべきです。毎月の賃金を上げるベースアップこそ必要です。


 安倍首相は、連合の調査を持ち出すなら、昨年春闘の賃上げ回答が前年比マイナス36円だった事実を直視すべきです。

安倍首相は施政方針演説で「企業の収益を、雇用の拡大や所得の上昇につなげる」と相変わらずの企業収益優先論をとなえました。
これでは賃金は上がりません。


 大企業は270兆円もの内部留保をため込んでいます。
賃上げの資金は十分あります。
大企業にたいして「内部留保の活用で賃上げを」と強く要請するとともに、
政府ができる最低賃金の大幅引き
上げと、そのための中小企業支援などに力をそそぐべきです。


賃下げ政策とたたかう


 企業収益優先論を改め、賃上げと安定した雇用を拡大する経済政策への転換なくして、経済の「好循環」はつくれません。

安倍政権は今国会で、労働者派遣法改悪案などの雇用破壊法案を通そうとしています。

非正規雇用の温存、拡大による賃下げ政策にほかなりません。
賃上げと雇用の改善を求める大運動が求められます。

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2014年01月30日

増税、インフレ、社会保障の縮小で家計も破綻する?!

増税、インフレ、社会保障の
縮小で家計も破綻する?!

2014年1月29日   文 関口一喜

 
アベノミクスはいま家計のどのあたりまで来ているのだろう。
足音らしきものは聞こえるのだけれど、それが近づいているのか、遠ざかっているのか……。
安倍内閣の経済政策を評価するエコノミストからは「給料が上がるまでにはしばらくかかる」「2年、いや3年待て」とお預けを食ったままだ。


 ところが、アベノミクスの恩恵などたちまち吹き飛んでしまうと『週刊朝日』(1月31日号)は身も蓋(ふた)もない。

<大負担増であなたの家計も破綻する!>と警告していて、ファイナンシャルプランナー・藤川太氏は「これまでは(負担増は)年間で数万円でしたが、今回は月に数万円です」なんていう。
月に数万円ということになったら、給料がドンと増えてもまだ追いつかない。


 負担増の要因は3つ。
増税、インフレ、社会保障の縮小だ。

まず
増税はこの4月から消費税が8%になり、来年10月にはさらに2%上げることになっているが、これに加えて相続税の基礎控除縮小がある。

ウチには相続するような財産はないという話ではない。
親からマイホームを引き継ぎ、これまでなら相続税を納めなくて済んだ人が、来年1月からは課税対象になるかもしれないということだ。

1.5倍になる軽自動車税、年収が1000万円を超えたら給与所得控除の縮小もある。


 2つ目のインフレについては日本銀行は物価安定目標を2%に定めていて「このとおりになれば商品やサービスの値段が年2%ずつ上がっていくので、今年100円ならば来年は102円、再来年は104.04円となります」(藤川氏)という。

その程度で済むだろうか。政府は来年度の消費者物価見通しを3.2%としているから、食品や日用品の値上がりはもっと大幅かもしれない。


 社会保障については面倒を見ている老親(70〜74歳)の病院窓口での自己負担10%特例が廃止され20%になろうとしている。
会社員は厚生年金の保険料が上がり続け、協会けんぽの保険料引き上げも待ったなしだという。


 これら一切合財で、具体的にどのくらい負担が増えるのか。

藤川氏の試算では、
ともに45歳の夫婦(うち一人が会社員)と子ども2人(中学生と小学生)の世帯で、年収500万円なら5年後に家計負担は2013年に比べて年間43万2879円増、年収700万円なら56万9507円増だ。

月平均にすると、たしかに数万円である。しかも「年収が下がるほど、そして年収が同じであれば世帯人数が少なくなるほど、年収に対する負担増の比率が大きくなる」(藤川氏)というから、30代夫婦で子どもは一人という世帯の打撃はいよいよ大きい。


 『週刊東洋経済』(2月1日号)も<大増税がやって来る!!>と特集していて、
やはり増税と社会保障の改正で、30代世帯に多いと思われる「夫・正社員、妻・パート、子ども2人。

年収600万円」の世帯は、13年の可処分所得518万8800円が16年には20万5600円減って498万5300円になると予測している。
やはり大幅負担増である。


 エッ、酒税も上がるかもしれない? カンベンしてほしい。
******************** 
関口一喜(せきぐち・かずのぶ)
1950年横浜生まれ。
週刊誌、月刊誌の記者をへて76年に創刊直後の「日刊ゲンダイ」入社。
政治、経済、社会、実用ページを担当し、経済情報編集部長、社会情報編集部長を担当後、統括編集局次長、編集委員などを歴任し2010年に退社。
ラジオ番組のコメンテーターも10年つとめる。
現在はネットニュースサイト「J-CAST」シニアエディター。
コラムニスト。


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2014年02月03日

普天間基地移設に使われる税金数千億円のムダ

普天間基地移設に使われる
     税金数千億円のムダ

(SPA! ) 2014年2月2日(日)配信

 1月に行われた沖縄県名護市長選では、普天間飛行場移設(辺野古埋立による新基地建設)に反対する現職の稲嶺進市長が、賛成派の末松文信候補(前県議)を破って再選された。

選挙戦では、小泉進次郎政務官をはじめ石破茂幹事長や高市早苗政調会長ら自民党国会議員が次々と沖縄入りし、「沖縄振興予算の増額」や「500億円の名護振興基金設立」など“札ビラ”攻勢で末松氏への支持を訴えた。

しかし名護市民は稲嶺市長を当選させ、基地移設拒否の民意を示したのだった。

 ところが安倍政権は「普天間基地の固定化を招く」と強調しながら移設(埋め立て)を強行する方針だ。
これに対して稲嶺市長は「地方自治の侵害、名護市民の人権にかかわる」と反発、移設阻止活動の先頭に立つと宣言している。

 一方、自民党内にも異論が出ている。
小泉純一郎元首相をはじめ歴代自民党政権で安全保障政策を担当した柳澤協二・元内閣官房副長官補は、「政府の思考停止状態が移設問題の解決を遅らせている」と名護市での講演会で語った。

「日本政府は『抑止力』のために辺野古に海兵隊用の新基地を造ろうとしていますが、米軍は『沖縄は中国のミサイル射程圏にあり、近すぎる』と考え、海兵隊をオーストラリアやグアムにシフトさせようとしています。

『沖縄の米軍基地は、いざという時には使えない』『沖縄の米軍基地にはローテーション部隊しか残らないだろう』と見られているのはこのためです。

『尖閣などの離島防衛が大変』とも言われますが、日米ガイドラインには『自衛隊が尖閣などの離島防衛を担う』と書かれており、『海兵隊がいないと離島防衛に支障が出る。
抑止力維持のために辺野古に新基地が必要』という論理は成り立たない。

またオスプレイの導入で航続距離が4倍となったので、沖縄に海兵隊がいる必然性はさらに薄れた。

それなのに防衛省は全く見直そうとしません。
『抑止力』が“バカの壁”になって(辺野古移設見直しを)深く考えないのです」(柳澤氏)

 普天間移設には埋め立て利権も絡んでいる。
名護市の建設会社で砂利採取場を有する「東開発」の仲泊弘次会長は、推進派候補として出馬表明していた島袋吉和前市長に出馬断念を働きかけた人物。

「候補者を一本化して推進派市長を誕生させ、埋め立てを進めよう」という狙いが透けて見える。

こうした沖縄の米軍の“基地既得権”を見直せば、約4000億円と見積もられている辺野古埋め立て事業費に加えて、「那覇空港滑走路増設事業」(総事業費2000億円)も必要がなくなる。

これは安倍政権が仲井眞弘多知事に基地移設を承認させるため450億円を増額したもので、今回の「沖縄振興予算」の目玉だ。

「那覇空港の滑走路建設を今すぐに始めても、使えるのは早くて2020年。それよりも、4000m級の滑走路が2本もある『米軍嘉手納基地』を軍民共用化するのがいちばん手っ取り早い。

または現在那覇空港を使用している自衛隊をここに移すという方法もある。

嘉手納基地は2本とも軍用機が四六時中使用しているわけではなく、十分余裕があるからです。
これを阻んでいる原因も、米軍の既得権を聖域にしている日本政府の弱腰です」(基地問題に詳しい地元紙記者)

 こうして基地問題は何らの進展をみせることもないまま、着々と予算執行に向けて必要性が疑問視される公共事業が進行中。

「沖縄振興」「基地対策」の名のもとに、税金が湯水のごとく投入されている。

こうした“アメとムチ”の基地政策は、一部の業者や関係者に税金が流れる利権構造を温存するだけだ。
普天間基地移設のために使われるこれら数千億円の税金について、本当に必要な支出なのかどうか、注視していく必要がありそうだ。 
<取材・文・撮影/横田 一>

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2014年02月05日

過去の蔑視発言に激怒! 女性と老人に舛添離れの異変

過去の蔑視発言に激怒!
女性と老人に舛添離れの異変
2014年2月5日 日刊ゲンダイ掲載

 2月9日の都知事選の投票日まで4日。
世論調査でリードしている舛添陣営に異変が起きている。

舛添要一(65)を担いでいる自民、公明の支持者が“舛添離れ”をはじめているというのだ。
舛添の過去の発言を知った「女性」と「高齢者」がカンカンになっているらしい。波乱が起きそうだ。

 街頭演説をしても聴衆が集まらない舛添元厚労相は、自民、公明の支持者を固める「組織選挙」に徹している。
230万票ある自公の基礎票を固めれば勝てると計算しているらしい。

 選挙運動のスケジュールも、街頭演説よりも公民館などに自民党支持者を集める「ハコモノ」での演説を重視。

4日は、日野市、立川市、昭島市、東久留米市、東村山市の5カ所で「ハコモノ演説」している。
自民党都議には「ハコモノ演説会」に500人の支持者を動員するように指令が出ているという。

「自民党支持者の多くは、本当はあまり舛添さんが好きじゃない。

でも、知り合いの都議や市議から『舛添さんをお願いします』と頼まれ、都知事選では一票を投じるつもりでいます。
世論調査の数字がいいのも、自民党支持者が『マスゾエ』と答えているからでしょう」(政界関係者)

■過去の発言がバレた

 ところが、自民党の支持者に衝撃が走っている。

舛添要一が「女性」や「老人」をバカにする発言をしていたことがネットで騒がれ、“本性”を知った支持者が怒っているのだ。

 実際、舛添は女性に対して雑誌「BIGMAN」で、
〈女性は政治に向かない〉
〈あのオバタリアンは全部“あがった”人ばかり〉
〈女は生理のときはノーマルじゃない。異常です〉などと、聞くに堪えない罵詈(ばり)雑言を連発していた。

ネット上には「舛添に投票する男とセックスしない女達の会」まで立ち上がっている。

 さらに、バラエティー番組では高齢者を「ヤツら」呼ばわりし、蔑視していた。

〈(国民全体の)1400兆円の(金融資産の)うち半分の700兆円はジジイババアが持ってんだよ〉
〈ヤツらはカネ持ってんですよ〉
〈消費税上げたら年寄りからも取れるんだよ〉

 舛添は選挙演説ではニコニコしながら「若い子もいいけど、おばあちゃんも大好きですから、おばあちゃんに人気あるんですよ」「私は母親の介護で九州まで7年間通いました。

大変さは、やった方でないと分かりません」と、いかに高齢者を大切にしているかをアピールしている。

「自民党支持者は、マジメで素直な人が多い。

舛添さんから『おばあちゃんも大好きですから』『母の介護を7年間』と聞き、応援してあげよう、と思っている人が多い。

ところが、女性と高齢者をバカにしていた。

まだ自民党支持者の1割も発言に気づいていないようですが、もし知ったら一斉に『反舛添』に回るはずです」(自民党事情通)

 舛添要一の選挙事務所に聞くと「この先の影響は分かりません。
まだ抗議はありません」(広報)とのことだった。

 投票まで残り4日。
どれくらいの自民党支持者が舛添の本性に気づくかが、選挙結果を左右しそうだ。
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2014年02月09日

社説:ソチ五輪開幕 メダルが全てではない

社説:ソチ五輪開幕
 メダルが全てではない
毎日新聞 2014年02月07日 02時30分

 第22回冬季オリンピック大会がロシア南部の保養地ソチで開幕する

テロの恐怖にさらされ、平和を象徴するスポーツの祭典が厳戒警備の中で行われるのは皮肉だ。

東京で2度目の夏季大会が開催されるのは6年後。
日本選手に注目するだけでなく、政治との関係やオリンピックの意義やあり方についても考えたい。


 ソチ大会はプーチン政権が威信をかけた国家事業になっている。
ロシアは今回、「スポーツ大国」の復権を狙い、世界3位以内の金メダル数を目標に掲げている。
達成のため、メダルを獲得した代表選手に報奨金(金は約1240万円、銀は約775万円、銅は約527万円)を授与する。日本の4〜5倍だ。


 「スポーツ立国」を目指す日本も2020年東京大会で世界3位以内の金メダル数を目標に掲げている。

先月末、大会組織委員会の森喜朗会長が強化費の充実を要望した際、安倍晋三首相は12年ロンドン大会で英国が金メダルを29個獲得したことを挙げ、「英国は日本より人口が少ないのだから、日本はそれ以上取らないといけない」と激励したという。


 だが、国家による関与はいいことばかりではない。


 ロシアは10年バンクーバー大会で金メダル数が3個と過去最低の成績に終わった。
当時のメドベージェフ大統領がロシア・オリンピック委員会会長やスポーツ相のほか、複数の競技団体幹部の辞任を要求する問題に発展した。
選手の強化に巨額の資金を投入したが、見合うだけのメダル数を獲得できなかったというのが政治介入の理由だった。


 ロシアのようなことは日本では起こり得ないにせよ、行き過ぎたメダル主義がもたらす弊害には留意しなければならない。


 日本は今回、メダル総数で10個を獲得した1998年長野大会を上回ることが目標で、スキー・ジャンプ、フィギュアスケート、スピードスケートなどへの期待が高い。


 メダルの数は評価の基準だが、全てではない。
ベストを尽くしても相手が上回ることはよくある。


 観戦する側も自国の選手を応援するだけでなく、対戦相手であっても素晴らしいプレーは称賛したい。


 オリンピックはスポーツを通して相互理解を深め、平和な社会を推進するという崇高な理念を掲げた競技大会であることを改めて強調したい。
そこが世界選手権やワールドカップとの大きな違いなのだ。


 日本選手は選手村において多様な価値観を持つ他国の選手と積極的に交流し、生涯の付き合いとなるような友人をつくってほしい。

帰国後はソチでどんな出会いがあって、何を学んだのかを語ってほしい。

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2014年02月10日

強行なら「報復措置」と公文書に 米国は日本の消費税増税大反対

強行なら「報復措置」と
公文書に米国は
日本の消費税増税大反対
2014年2月7日 日刊ゲンダイ掲載

 消費税が上がれば、暮らしが苦しくなるだけでなく、米国からも報復を受ける
こんな物騒な事態になるらしい。
「アメリカは日本の消費税を許さない」を出版した岩本沙弓氏(大阪経済大客員教授)がこう言うのだ。

「消費税を採用していない米国にとって、消費税は“差別的”だという認識があります。

消費税5%が10%に引き上げられると、日本で製造・消費される商品だけでなく、輸入品の価格も全て5%上昇します。
ところが、日本から米国に輸出される製品は上昇しません。

消費税の場合は、国内と相手国での二重課税を避けるため、商品が輸出された時点で消費税分を企業に還付するシステムを導入していて、実質免税となる。その分、日本の国際競争力は増し、米国の競争力は低下します。
これが米国が消費税を“差別的”“非関税障壁”と捉えるゆえんです」

 2012年度に日本の輸出企業が手にした還付金は2兆5000億円だったと試算され、消費税が10%へ引き上げられると、還付金も5兆円に増え、日本の競争力はさらに増す。
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2014年02月14日

朝日訴訟 承継50年ー権利はたたかう者の手に

朝日訴訟 承継50年
 権利はたたかう者の手に
2014年2月14日(金) しんぶん赤旗

 岡山県の重症結核患者、朝日茂さんが1957年に、低すぎる生活保護費は憲法違反だとして国などを訴えた「朝日訴訟」。

茂さんが亡くなる直前の64年2月14日、朝日健二さん夫妻は茂さんの養子になって訴訟を承継しました。

あれから50年―。
安倍晋三・自公政権の暴走が社会保障分野をはじめ強まる中、朝日訴訟の今日的な意義を振り返りました。
              (岩井亜紀)


安倍政権の異常な動きは、朝日訴訟の前夜を彷彿(ほうふつ)させます」。朝日訴訟を承継した朝日健二さん(78)は、こう指摘します。


 安倍政権は昨年末、多くの国民が反対の声を上げる中、秘密保護法や国家安全保障会議設置法を強行成立しました。
その上、憲法改悪をもくろみ、戦争できる国づくりにひた走っています。


 一方で、社会保障を「自助・自立」を基本とするものに変質させる大改悪に着手。

先行して行われたのが、保護基準の引き下げなど生活保護改悪です。

社会保障給付全体を引き下げるには、その“物差し”である保護基準の引き下げを行う必要があったのです。

縮まった格差

 朝日訴訟(57年提訴)の“前夜”は、どんなは状況だったのか。
 吉田茂内閣は54年、軍事力増強を趣旨とした日米相互防衛援助協定(MSA協定)の締結や自衛隊創設と同時に、社会保障の全面削減を打ち出しました。


 これに対し、保育・患者・労働団体などが大蔵省(当時)に押し寄せ猛反撃。
健二さんは「大蔵省の煙突に登り、三日三晩、赤旗を振り続けて励ました労働者がいましたよ」と目を細めます。


 吉田内閣は社会保障費の国庫負担率引き下げは撤回したものの、予算案はそのまま成立。
生活保護の打ち切りや診療報酬のマイナス改定などが行われました。


 こうした中で、茂さんは訴訟に立ち上がったのです。
「長く続いた暗闇の中にともされた“一点の火花”として歓迎されました」と健二さん。
「労働者や市民、学生など幅広い人々の中に訴訟の『守る会』がつくられ、国民運動に発展しました」と振り返ります。


 東京地裁(浅沼武裁判長)は60年10月、国の予算は最低生活を保障するために指導支配されなければならないとして、茂さん勝訴の判決を出しました。

 その翌年から、生活保護基準は連続23年間引き上げられました。

さらに、保護基準を“物差し”として最低賃金や社会保障全体の水準が引き上げられ、国民の所得格差を縮めました。


 ところが、転機となったのは、中曽根内閣の「土光臨調」(81〜83年)です。民主党政権をはさみ、第2次安倍内閣の税・社会保障「一体改革」まで引き継がれます。

例ない広がり

 「国民は黙っているわけではありません」と強調する健二さん。


 昨年8月に行われた保護基準引き下げに対し、全国の1万人を超す人たちが不服として審査請求しました。

「生活保護史上例をみない大きな広がりです」と健二さんは評価します。

同年12月から引き下げられた年金支給額に対しては、12万人以上の高齢者が立ち上がりました。


 「いま、1万人、12万人の“朝日茂さん”が社会保障改悪を許さないたたかいに立ち上がっている」と健二さん。

「社会保障は労働者階級の基本的権利として、雇用主の搾取に反対して多年にわたって勝ち取った成果です。

権利はたたかう者の手にある」と強調します。

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2014年02月16日

少ないおにぎり分け合い…大雪、物流にも影響

少ないおにぎり分け合い…
          大雪、物流にも影響
2014年2月16日17時50分  読売新聞

 東日本を中心とした大雪による交通網の寸断は16日も続き、食料品などの物流に影響が出た。

  スーパーでは生鮮品が売り切れ、立ち往生したドライバーは、購入可能な数少ないおにぎりを分け合い、空腹をしのいだ。


 山梨県では東京方面との間をつなぐ中央道が通行止めとなり、国道も渋滞が続いた。

甲府市内のあるスーパーでは、生鮮品や総菜、パンなどに品切れが目立ち、カップ麺などのインスタント食品には1世帯5個限りといった制限も。
食肉売り場では、店員が商品をカートで運ぶと、棚に並べる前に大勢の客が手に取り、すぐに売り切れる場面もあった。


 同市の会社員、木之瀬朋子さん(44)は「道路の除雪が進まず、車で外出できないので、生鮮品が売り切れる前に買おうと思って来た。
こんなに品物がないとは」とため息をついていた。


 同市のガソリンスタンド「コスモ石油セルフステーション荒川」では、16日朝から灯油を買いだめしようとする客が相次ぎ、売れ行きが通常の約1・5倍となった。
タンクローリーでの補充は通常、2日に1回だが、14日を最後に途絶えており、樋川友也店長(26)は「東日本大震災以来の販売制限も検討しなければならないかも」と話した。


 大雪で通行止めとなった群馬県安中市の国道18号(碓氷バイパス)では、立ち往生した車のドライバーらが食料を求め、1時間以上歩いてコンビニ店に向かった。

30時間以上足止めされた富山県のトラック運転手の男性(33)は「コンビニ店の食料はほとんどなく、他人同士が数人で、おにぎりなどを分け合っている」と話した。


 福島県では16日、通行止めの東北道と並行して走る国道4号に車が集中し、大渋滞となった。

沿線のコンビニ店では、渋滞に巻き込まれたドライバーらが弁当やおにぎりなどを次々に購入する一方、配送トラックが到着せず、品切れ状態が続いた。
福島市の「セブン―イレブン福島競馬場前店」の村上まゆみ店長(42)は「いつ商品が入るかわからない」と表情を曇らせた。

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2014年02月17日

政府宣言のデフレ脱却 実態は悪いインフレが起きているだけ

政府宣言のデフレ脱却 実態は
  悪いインフレが起きているだけ
2014.02.17 07:00 ※SAPIO2014年3月号

  政府は昨年12月24日に発表した月例経済報告で「デフレ」という表現を約4年ぶりに削除した。
1月末に総務省が発表した全国消費者物価指数(12月分)では生鮮食品を除いた物価(コアCPI)が前年同月比で1.3%上昇。
7か月連続で前年を上回ったと報じられた。

安倍政権はこれをもってデフレ脱却とし、日本経済は増税に十分に耐えられると言いたいのだろうが、実態は違う。


 デフレは「物価が持続的に下落する状況」と定義される。
安倍政権の嘘を見抜くためには、まずデフレの何が問題なのかを理解する必要がある。中央大学経済学部教授・井村進哉氏が解説する。


「デフレは商品やサービスの供給に比べて需要が少なくなってしまう状態です。
賃金が抑制され、モノの値段が下がる。
それに伴って企業の売り上げは落ち、収益は圧迫されて再び従業員の賃金が抑えられる。
それで消費が抑制されてまた需要不足が生まれるというスパイラルに陥り、経済がどんどん縮小します。


 日本では1998年から賃金がなだらかに下がり続け、企業の投資意欲やサラリーマンの消費意欲が強く抑制されてきました。
デフレ脱却とは、そうした負の連鎖の克服を指します」


 つまり、単に物価が上がればいいわけではないのだ。物価上昇=インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」がある。


「目指すべきデフレ脱却(=良いインフレ)とは
『商品やサービスの需要が増加する→供給能力を増強するために企業が投資し、雇用を増やす→人材を確保するために賃金が上がる→需要が増える』という好循環を作り出すことです。
これをデマンド・プル型のインフレと呼びます。


 一方、輸入価格や原材料費が高騰したことで物価が上がっただけの状態がコスト・プッシュ型と呼ばれる『悪いインフレ』です。

企業は生産能力を増強できず賃金も上げられないのに、物価だけが上がる。
新聞各紙は『デフレ脱却』と報じていますが、これは安倍政権に寄り添った大本営発表であり、実態は『悪いインフレ』が起きているに過ぎません」(井村氏)

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2014年02月20日

大雪の猛威 忘れてはいけない備え

大雪の猛威 
忘れてはいけない備え
2014年2月19日  東京新聞「社説」
 

 記録的な大雪が各地を襲い、地域の孤立や道路の通行止めなどの被害が出た。
雪に慣れない地域での防災に課題も浮き彫りとなった。
被害を最小限に食い止めるには油断せず備えることが必要だ。


 関東甲信地方では積雪で道路が寸断され山間部を中心に各地で住民が孤立した。

 中部地方でも愛知県豊根村が一時孤立した。
停電も重なり住民を不安にさせた。自治体は迅速な復旧作業に全力を尽くしてほしい。


 大雪被害で問題となったのは高速道路での車の立ち往生が続いたことだ。東名高速では最大約五十キロの大渋滞を招いた。
除雪車両が入れず復旧を大幅に遅らせた。


 高速道は物流の大動脈だ。
早期復旧は欠かせない。
通行止めの判断を早められなかったのか。道路情報の周知は十分だったか。
政府や道路管理者は再検討すべきだ。


 一般道も重要なインフラだ。
物流だけでなく患者の救急搬送や在宅の高齢者への医療・介護サービスが滞る事態は避けたい。


 道路での放置車両は地震や風水害などの場合でも救助活動や避難の障害になる。
政府は放置車両を撤去するための法改正の検討を表明した。検討は必要だろう。


 ドライバーにも油断はなかったか。
東名高速では通常のタイヤを装着していた車が最初に立ち往生した可能性がある。
チェーンやスコップが必要な状況だったろう。
個々人の判断ミスが混乱を拡大させる要因になるとの自覚を持ってほしい。雪ならハンドルを握らない勇気も要る。


 東急東横線では雪でブレーキが利きにくくなったことによるとみられる追突事故が発生した。
各地で体育館やアーケードの屋根が雪の重みで倒壊する事故も起きている。
運行ルールや建物の耐雪基準の見直しなどが求められるのではないか。


 住民自身も備えができる。


 降雪前に凍結防止剤を路面にまいて備えた商店街があった。
雪かき作業を住民同士が協力して行った地域もあろう。
自治会やマンションの管理組合、学校のPTAなどで除雪作業のルールや連絡方法を決めておけば役立つ。
震災時の共同の下地にもなる。


 今後もまたいつ降雪があるか分からない。
警戒が必要だ。ゲリラ豪雨や竜巻、大型台風など自然災害の頻度は増している。


 「経験のない災害」はいつでも起こり得ると危機感を持つべきだ。想定外の被害を次に生かす意識を忘れたくない。

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2014年02月21日

あなたにも、起こるかもしれない話・・

小林多喜二の忌日
2014年2月20日  東京新聞「筆洗」


 古い怪奇映画なんかのおしまいにこんなナレーションがよく入る。
「あなたにも、起こるかもしれない話なのです」。
現実かもと警告する。これが実に怖い

▼「あの鉛色の物体がいつあなたの庭に落ちてくるかもしれないのです。
明日、目が覚めたら、まず庭をご覧ください」。
「ウルトラセブン」の「緑の恐怖」。
おびえた記憶がある。
庭を見ろ。
具体的な指示が一層怖さを強める。
そんなはずはない。でも

▼<多喜二忌や糸きりきりとハムの腕>秋元不死男(ふじお)。
二十日は『蟹(かに)工船』の作家小林多喜二の忌日である。

一九三三年二月二十日、特高警察に逮捕され拷問死した。
軍国主義に反対する危険思想の持ち主。
そんな理由で人が殺される。
わずか八十一年前のことである

▼<糸きりきりとハムの腕>。
「きりきり」という、オノマトペ(擬音語)が醸す恐怖。
小林が死んだ八年後の四一年に秋元も新興俳句弾圧の京大俳句事件で特高に検挙された。
きりきりは自分の痛みでもあろう

▼前の俳号は、東(ひがし)京三。
並べ替えると共産党。
<冬空をふりかぶり鉄を打つ男>。
鉄は資本主義。それを打つので革命だ。
いずれの特高の言い掛かりも狂気である

日本は今どっちへ向かう。
平和か。
小林や秋元の時代か。
<戦争が廊下の奥に立つてゐた>。
秋元と同じ時期に摘発された渡辺白泉(はくせん)。
明日、目が覚めたら、まず廊下をご覧ください。

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2014年02月23日

舌禍続く安倍政権の知的レベル

舌禍続く安倍政権の知的レベル
2014年2月21日 日刊ゲンダイ掲載

 もう少しマトモな側近はいないのか。
安倍首相の“身内”の言動が、立て続けに物議を醸している。

 衛藤晟一首相補佐官が、安倍の靖国参拝をめぐる米国の反応に「むしろわれわれのほうが失望だ」とケンカを売った動画が問題になったが、
今度は安倍政権の経済政策ブレーンを務める本田悦朗内閣官房参与の発言が、国際社会に波紋を広げている。

 19日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)電子版が「戦時中の話を熱く語るナショナリスト」として、本田氏のインタビュー記事を掲載したが、その中身たるや、日本人ものけぞるものなのだ。

<本田氏は、「アベノミクス」の背後にナショナリスト的な目標があることを隠そうとしない。
日本が力強い経済を必要としているのは、賃金上昇と生活向上のほかに、より強力な軍隊を持って中国に対峙できるようにするためだと語った>

<神風特攻隊が米空母に体当たりするさまを頭の高さに上げた左手を落として表現した。
「日本の平和と繁栄は彼らの犠牲の上にある」と、目を真っ赤にさせながら言い、「だから安倍首相は靖国へ行かなければならなかったのだ」と語った>

経済担当のブレーンが、「中国と対峙するため」とはブッタマゲだ。

NHKの籾井勝人会長といい、経営委員の百田尚樹氏や長谷川三千子氏といい、安倍の周りは、そろいもそろって、こんな連中ばかりなのだ。

「これでは日本が極右の国と思われてしまう。
世界中が驚き、眉をひそめていると思います。
欧米先進国から危険視され、価値観を共有できない国だと遠ざけられることは外交上の大きなマイナスです」
(元外交官の天木直人氏)

 本田氏は「発言趣旨と違う」「アベノミクスが軍事目的とは言っていない」と反論しているが、一方で、「<靖国神社とはそういうものだ>ということをオフレコでざっくばらんに説明しようと思った」とも話している。
ここに、この問題の核心がある。

■今や全世界からこの国の知的程度が笑われている

「どんな思想信条を持とうと自由ですが、国際社会は安倍首相が戦後レジームをひっくり返すつもりなのかと危惧している。

ナチス・ヒトラーと同類と見ているのです。
そこに側近の物騒な発言が続けば、<やっぱりそうか>と思われる。

衛藤氏も籾井会長も発言を撤回しましたが、立場のある人間が好き勝手に発言しておいて、それが問題になると<個人的見解だ>というのは国際社会に通用しません。

ましてや、<偏向報道だ>とメディアに責任転嫁するのは大間違いです。

発言が個人的な見解であろうと、こういう歴史観の持ち主が集まった政権だということ自体を世界は不安視しているのです(政治評論家・森田実氏)

 事実、WSJも<安倍首相は周囲に率直な物言いの側近を集めており、その多くは日本政治の右派だ。

彼らは重要な問題について首相の考えを知る手がかりを提供している>と書いていた。
側近の発言は、そのまま安倍の考えと受け取られる。当然のことだ。

 元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏は19日の朝日新聞で、安倍側近の問題発言の背景にあるのは「反知性主義」だと言っていた。

自分の主義信条というか、狂信的とも思える極右思想にコリ固まり、異なる考えを排除し、物事を客観的に見ることができない。

佐藤氏は<自分が理解したいように世界を理解する「反知性主義のプリズム」が働いているせいで、「不適切な発言をした」という自覚ができず、聞く側の受け止め方に問題があるとしか認識できない>と分析する。
正鵠を射た指摘だろう。

 取り巻きがこれだから、トップのオツムの程度も知れる。

というか、首相がバカだから同じレベルの人間を集めてしまう。

かくて、知性のカケラもなく、合理的な判断能力もない連中が、国の舵取りを担うことになる。
ゾッとすると同時に、国民として情けなくなる。
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2014年02月24日

福島原発“敷地ごと崩壊”危機

汚染水で脆い地盤がユルユル…
福島原発“敷地ごと崩壊”危機
2014年2月22日 日刊ゲンダイ掲載

 ソチ五輪のお祭りムードを吹き飛ばす驚愕のニュースではないか。
福島原発の貯水タンクから高濃度の汚染水100トンが漏水していた問題だ。

 事態を20日に公表した東京電力によると、原発敷地内の「H6」というタンク群の1基(容量1000トン)で、ふたと側面の継ぎ目付近から漏水し、周辺の地面に流れ落ちているのが確認されたという。

東電は「海への流出はない」なんてノンキなことを言っているが、冗談ではない。

 漏水に含まれる放射性物質のストロンチウム濃度は1リットル当たり2億4000万ベクレルで、国の基準値のナント、400万倍だ。

「海に流れていないからOK」で済む話ではないし、敷地の地中に染み込んだこと自体も大問題なのだ。

 もともと福島原発の下は大量の地下水でユルユルだという。そこにどんどん水が入れば、プラントはグラグラになってしまう。

「67年に発行された『土木技術』(22巻9、10号)の『福島原子力発電所土木工事の概要』を読むと、福島原発は地下水が豊富で、地盤がもろいかが分かります。

著者は当時の佐伯正治・東電福島原発土木課長で、〈土工事にとって最も重要な問題は排水処理である。

当所でもこの問題には大いに悩まされた〉と振り返り、福島原発の設置工事は湧水続きで難しかったことが記されています。
地盤についても〈湿潤化した場合泥土化してゆるくくずれやすくなる〉とも書いています」(科学ジャーナリスト)

 民主党の辻元清美衆院議員は、昨年10月の経産委員会で福島原発の地下水問題を取り上げ、〈地下水の水圧に押され(略)建屋が浮いてこないように1日850トンもの水を汲み上げて(略)防いできた地層〉と指摘していた。

これが本当なら、福島原発はプールの中に箱が“浮いている”ようなもの。

汚染水のダダ漏れで“プールの水位”が上昇を続ければ、ある日突然、福島原発は敷地ごと“崩壊”しかねない。

原子炉ごと海に向かって倒れ込み、誰にも制御できないまま沈んでしまう危険性もある。

 タダでさえ、地下水がジャブジャブな敷地に大量の汚染水をあふれさせるなんて愚の骨頂だ。
まったく「アンダーコントロール」されていない。
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2014年02月25日

日本選手の奮闘をたたえたい

ソチ五輪閉幕 
日本選手の奮闘をたたえたい
2014年2月24日付・読売新聞社説

 ソチ冬季五輪が閉幕を迎えた。


 テロの脅威にさらされる中での異例の五輪だったが、大きなトラブルがなく競技が実施されたのは、何よりだった。


 日本選手は、金1、銀4、銅3の計8個のメダルを獲得した。

 金5個を含む10個のメダルを取った長野五輪(1998年)以上という目標には及ばなかったが、それに次ぐ上々の成績である。
選手たちの奮闘をねぎらいたい。


 大会終盤、スノーボード女子パラレル大回転で竹内智香選手が銀メダル、新種目のフリースタイルスキー女子ハーフパイプで小野塚彩那選手が銅メダルに輝いた。


 スキージャンプの葛西紀明選手(41)は、冬季五輪の日本勢で最年長メダリストとなった。外国選手に「レジェンド」(伝説)と敬われる葛西選手の存在は、日本選手団の誇りと言える。


 フィギュアスケート女子の3人は、メダルに届かなかった。


 浅田真央選手は、ショートプログラムでの失敗が響いた。
それでも、気持ちを入れ替えてフリーの演技に臨み、自己最高得点をマークしたのは立派だった。


 ひたむきにスケートに打ち込む姿から、多くの人が元気をもらった。
誰もが、親しみを込めて「真央ちゃん」と呼んだ。
金メダルの夢はかなわなかったが、これまでの実績が色あせることはない。


 浅田選手のほか、フィギュア男子の高橋大輔選手、フリースタイルスキー女子モーグルの上村愛子選手らが、今大会を競技生活の集大成と位置付けた。


 高橋選手を追いかけて成長し、日本に今大会唯一の金メダルをもたらした19歳の羽生結弦選手ら、10代の若い力の活躍が目立ったことは、心強い。

 それぞれの競技を牽引(けんいん)してきた選手が一線を退いた後、世界に通用する選手をいかに育てるか。

4年後に向けて、日本オリンピック委員会(JOC)や各競技団体の重要な課題である。


 圧巻だったのは、スピードスケートでのオランダの強さだ。
日本が得意とした男子500メートルでも表彰台を独占した。


 オランダ選手は、日本の滑走技術を参考にしたと言われる。
オランダの技術者が製氷した今大会のリンクは、軟らかく、パワーのあるオランダ勢に有利に働いたという指摘もある。


 各競技の関係者は、好成績を残した国の取り組みや、今大会での採点の傾向などを分析し、対策を練ることが大切だ。

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2014年02月26日

2・26事件 陸軍青年将校がクーデター、戒厳令下の4日間

2・26事件 
陸軍青年将校がクーデター、
戒厳令下の4日間
2012年12月11日  毎日新聞

  第一次大戦後の激変する世界情勢の下、陸軍は国力を高めるために、軍と国家の近代化を図ろうとしていた。

しかしその方法について、軍部の統制を強化することで国力の増強を図る統制派と、天皇親政に戻すことで国力を回復させようと図る皇道派に分かれ、陸軍内部で抗争が続いてきた。


 1935(昭和10)年8月、皇道派であった真崎甚三郎教育総監が更迭されたことで、皇道派は陸軍の主要ポストから締め出された。

このことについて相沢三郎中佐が永田鉄山軍務局長を日本刀で惨殺する事件が起きる。
これは「永田が皇道派弾圧の中心である」と相沢が信じたために起こった事件であった。


 この事件は青年将校の心を大きく動かし、1936(昭和11)年2月26日未明、東京駐屯の歩兵第1、第3連隊を主軸とする陸軍の青年将校らが尊皇と討奸(とうかん=天皇の側近である重臣・統制派軍人・財閥・官僚などを討伐すること)を掲げクーデターを起こした。

彼らは首相官邸などを襲撃し、斎藤実内相や高橋是清蔵相などを殺害。岡田啓介首相は女中部屋に隠れて助かったが、身代わりに秘書の松尾伝蔵予備役陸軍大佐が殺害された。


 また反乱軍は永田町一帯を封鎖し、警視庁・陸軍省・参謀本部・陸相官邸などを占拠した。
これを受け27日早朝、九段軍人会館(現在の九段会館)に戒厳司令部を設置。
政府は都心に戒厳令を発表した。

当時の紙面では「宵・盛り場の灯は消え、劇場や映画館は早仕舞い」とある。
いつもはネオンが輝く銀座も、この時は静かな宵闇に包まれた。


 29日早朝に戒厳司令部より「反乱軍を鎮圧する」との発表があり、一部の地域の住民には避難勧告が出されたので、都心で戦闘が行われるのではないかとの臆測を呼んだ。

一方で陸軍は反乱軍に対し投降を促すビラをまいたりラジオ放送を流すなど相打ちを避けるように努めた。

その結果反乱軍の投降が相次ぎ29日にクーデターは鎮圧。
皇道派は完全に敗北し、後に、首謀者となった青年将校は、軍法会議で銃殺刑に処せられた。


 この事件以降、統制派を中心とした軍部の政治に対する発言力が増し、やがて日中戦争・太平洋戦争へと進んでいくことになる。

※参考文献:決定版昭和史7(毎日新聞社刊)
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2014年03月01日

大雪予想の関東甲信 

天気:大雪予想の関東甲信 
2日朝まで多摩10センチも
毎日新聞 2014年03月01日 10時55分

 日本の南岸を低気圧が発達しながら東に進む影響で、関東甲信地方は2日未明から3日にかけ、山沿いを中心に広い範囲で大雪が予想されている。

気温が低くなった場合には東京都心など、平野部でも積雪が見込まれる。
気象庁は雪崩や交通の乱れ、路面凍結に警戒を呼び掛けている。


 大陸からの寒気の影響で冷え込みが強まり、2日午前6時までに予想される降雪量は多い所で、関東北部山沿いで15センチ
▽甲信で10センチ
▽神奈川・箱根、埼玉・秩父で10センチ
▽東京・多摩西部で5センチ。

2日の予想最低気温は、山梨県河口湖で氷点下1度、甲府市で2度。埼玉県秩父市0度、熊谷市2度、さいたま市4度。東京23区と横浜市は各5度。


 同庁によると、大雪になった先月8〜9日、同14〜15日と比べると、今回は低気圧が南に離れており、予想される地上付近の気温も高い。

このため、降雪は山沿いが中心になる見込み。
昨年10月に土石流災害が発生した伊豆大島など伊豆諸島では大雨も予想され、同庁は「土砂災害や河川の増水に注意が必要」としている。
                                         【斎川瞳】

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2014年03月02日

ビキニ60年 「死の灰」は今も、の怖さ

ビキニ60年 「死の灰」は今も、の怖さ
2014年3月1日   東京新聞「社説」

 米国が太平洋ビキニ環礁で行った水爆実験で日本の漁船が「死の灰」を浴びた惨禍から六十年。被ばくした元乗組員や周辺の島民らの苦悩は今も続く。
核は許されない、その思いを新たにしたい。


 東京・井の頭線渋谷駅の連絡通路に巨大壁画がある。
岡本太郎さんの「明日の神話」。
水爆さく裂の瞬間がマグロ漁船「第五福竜丸」とともに描かれた代表作だ。


 「福竜丸」は一九五四年三月一日、中部太平洋のマーシャル諸島で行われた米国の水爆実験で、放射能を含む「死の灰」を浴びた。

威力は広島に投下された原爆の約千倍。
二十三人の乗組員は全員急性放射線障害を発症し、四十歳だった無線長の久保山愛吉さんが半年後、入院先の東大病院で亡くなった。
生き残った多くの人もその後肝臓がんなどで亡くなり、生存する七人も病魔と闘っている。


 水爆実験で被災した日本漁船は福竜丸だけではない。
米ソ冷戦下、四八年から五八年まで行われた実験は六十七回に及び、日本政府の調査では少なくとも八百五十六隻の被ばくが判明している。
福竜丸の被ばく後も実験を知らない漁船が海域で操業していた。


 しかし、福竜丸が強調される一方で、他の被災漁船の乗組員の被ばくは軽視され、事件は矮小(わいしょう)化された。

五五年に米政府が日本政府に支払った慰謝料は、汚染魚の買いとりや廃船費などに充てられたが、乗組員の健康について追跡調査などは行われなかった。


 ビキニ事件は広島、長崎の原爆投下に続く核被害として、核廃絶運動の原点となりながら実態は明らかにされず、九五年に施行された被爆者援護法の対象にもならなかった。

一部の被災漁船の乗組員の調査ではがんによる死亡が多発し、内部被ばくによる晩発性の障害に苦しんでいた。


 何の補償も、救済もない。
差別や偏見を恐れ、被ばくの事実を語れずに生きてきた。

仲間を失い、高齢になって健康調査に協力を申し出た人も出ている。
時間との闘いだ。
ビキニの被害は今も続く。
忘却してはならない。


 死の灰で苦しむのは実験地にされた太平洋の島民も同じだ。
米国の進める帰還政策に従う間に甲状腺異常や白血病などが広がった。

福島原発事故の被害も過小評価し、同じ轍(てつ)を踏んではならない。


 大切なふるさとを奪い、健康や生活を壊す。生きる権利を蝕(むしば)む核−。
この問題とどう向き合うのか。静かに考えてみたい。

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2014年03月04日

米国家安全保障会議職員「安倍晋三は危険なナショナリスト」

米国家安全保障会議職員
「安倍晋三は危険なナショナリスト」

2014.03.03 07:00    NEWSポストセブン

 米ワシントンDCのホワイトハウスに近いレストラン。
ここで日本を巡る熱い議論が交わされたのは安倍晋三首相の靖国参拝(2013年12月26日)から間もない今年1月のことだった。


 集ったのはアメリカの最高意思決定機関の一つ、国家安全保障会議(NSC)のアジア担当の現役職員とOBたちだ。

これまで彼らが扱うテーマといえば、米国の描く国際秩序をかき乱す中国の国家戦略が主だった。しかし、出席したOBの1人は、「今回のテーマは日本分析だった」と語る。

「そのほとんどは安倍政権に厳しいものでした。なかには、『日本の右傾化を防ぐには歴史教育を徹底させなければいけない』といった批判もあった。


これまで中国が日本政府にしてきた批判と瓜二つですよ」


 出席した現役職員は強い調子で吐き捨てた。

「安倍晋三は、危険な歴史修正主義のナショナリストだ」


 歴史修正主義とは、第2次世界大戦後、米国が中心となって構築してきた世界秩序を否定しようとする動きを指す。
安倍首相がその烙印を押された要因は、やはり靖国参拝にある。


 安倍首相は靖国参拝について、「A級戦犯といわれる方々を讃えるためではない」という持論を展開する。
しかし一方で、「A級戦犯は東京裁判で戦争犯罪人として裁かれたわけだが、国内法的には戦争犯罪人ではない」と語っている。

早稲田大学大学院客員教授の春名幹男氏はいう。

「安倍首相は理解していない。中国や韓国が靖国参拝に対して敏感に反応するから、オバマ大統領は厳しい態度を示すわけではない。

米国の怒りの理由はもっと基本的な問題にある。東京裁判は米国が主導した裁判であり、戦後の世界秩序を形づくる起点と考えている


『A級戦犯は国内法的には戦争犯罪人ではない』と主張する安倍首相が靖国に参拝することは、突き詰めれば米国が作った戦後体制の否定ということになります」


 衛藤晟一・首相補佐官や籾井勝人・NHK会長の失言も相次ぎ、日本への視線は厳しさを増すばかりだ。
※週刊ポスト2014年3月14日号

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2014年03月05日

汚染水漏出 「管理下」に大きな疑問

汚染水漏出 「管理下」に大きな疑問
2014年3月4日  東京新聞「社説」

 福島第一原発で、また高濃度の放射能汚染水があふれ出た。
配管系の故障なのか、人為的な事故なのかも定かでない。
敷地の外へは出ていないというものの、「管理下」というには程遠い。


 とても危険な状態だ。


 放射性物質の濃度が極めて高い汚染水が、また、タンクの外にこぼれ出た。

 漏れ出た量は約百トン。
一リットル当たり二億四〇〇〇万ベクレルのストロンチウム90などが検出された。
原発外に放出できる上限の八百万倍の濃度だ。


 謎めいた出来事だ。配管を通して移送される汚染水が、間違って満杯に近い別のタンクに注入されてしまったのだという。


 途中に取り付けられた三つの弁が、なぜかすべて開かれており、問題が発覚した後、うち一つが閉じた状態に戻っていた。
操作ミスか、それとも故意か。わかっていない。


 水位の高さを知らせる警報は鳴ったが、九時間以上、放置されていた。
何のための警報か。

 弁の操作ミスに原因不明の故障、その上ずさんな管理体制が重なった三重のトラブルだとすれば、これは深刻な事件である。

 一日四百トンという地下水の流入は止まらない。


 敷地内には、膨大な汚染水をため込んだ約千基のタンクが立ち並ぶ。
そして増えていく。
つまり、危険の程度は増していく。
作業員の疲労は募るばかりだろう。
四十年とされる長い廃炉への工程は、まだ緒についたとも言えない状況なのにである。


 トリチウム(三重水素)以外の放射性物質を取り除くことができるという「多核種除去設備(ALPS)」も、先月末に水を送るポンプが故障を起こすなどトラブルが相次いでおり、試運転の域を出ていない。


 安倍晋三首相は施政方針演説で、対策には「国が前面に立つ」と約束した。
しかし、事態は悪くなっている。とても「アンダーコントロール(管理下)」とは言い難い。


 作業態勢の見直しや、見回りの強化は当然必要だ。
だが最優先するべきは、持てる技術を総動員して、一日も早く根本治療を図ること、地下水の流入を食い止めることではなかったか。


 水回りの管理すらおぼつかない政府と電力会社。
これが「国策」だと胸を張れるのだろうか。
とてもじゃないが、再稼働を急ぐ資格はない。

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自衛隊災害派遣 訓練重ねて「想定外」を防ごう

自衛隊災害派遣 
訓練重ねて「想定外」を防ごう

2014年3月5日01時27分  読売新聞「社説」

 大規模災害の被害を極小化するには、災害対処訓練の教訓を対処計画や初動体制に着実に反映させて、様々な事態に備える必要がある。


 東日本大震災で被災者救出・支援活動の司令塔となった陸上自衛隊東北方面総監部(仙台市)は先月4〜6日、震災対応の総合図上訓練を実施した。


 宮城沖でM9・0の地震が発生し、最大10メートルの津波や市街地火災、原子力発電所での電源喪失が起きた――。
そんなシナリオの下、陸自と自治体・警察・消防の関係者ら約960人が参加した。


 コンピューター上で被害状況は刻々と変化する。
電話が不通で被害を把握できず、「霧の中を手探りで進む」ような初動対応を迫られたのは大震災時と同じだ。


 
正確な被害情報を迅速に入手して、一人でも多くの人命を救う。
そのためには、平時から自衛隊と自治体、警察など関係機関が連携し、効果的な情報共有と人員・機材運用の体制を構築すべきだ。


 図上訓練では課題が明確になった。
状況の変化に応じた柔軟な部隊運用や、自衛隊以外の機関が持つ能力の有効活用だ。
例えば、自衛隊と関係機関のヘリコプターが同じ場所で重複したり、逆に、どちらも行かなかったりした。


 実際、ある陸自のヘリ操縦士は「情報がないため飛べなかった時のことが今も悔やまれる」と、大震災時の救援活動を振り返る。


 自衛隊と関係機関の人員と機材の能力を最大限発揮するには、今回の訓練の教訓を踏まえ、双方の役割分担や調整手続きを議論し、定めておくことが大切である。


 無論、実際の災害が事前の想定通りになるとは限らない。
「想定外」の展開もあるはずだ。


 だが、基本を押さえてこそ、応用問題にも対応できる。

図上や実動の訓練を通じて、対処計画を検証し、その結果を基に計画を修正して、また訓練に臨む。
そのサイクルを繰り返す地道な努力が「想定外」を最小限に抑えよう。


 自衛隊、特に陸自は、軍事的知見に基づく緻密な計画策定と部隊運用を得意とする。
自治体も、そのノウハウを共有したい。


 防衛省は大震災後、首都直下地震と原子力災害の対処計画を改定し、新たに南海トラフ地震対処計画を策定した。

高速道路会社やNTTなど民間企業との災害時の協力協定も大幅に増やしている。


 南海トラフ地震などでは、3年前以上の被害が想定される。
防衛省は従来以上に、関係機関との連携に力を入れねばならない。

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2014年03月07日

南京大虐殺は「なかった」 百田発言は世界の非常識

これが歴史の真実 成り立たない「靖国」派の言い分
南京大虐殺は「なかった」
     百田発言は世界の非常識
2014年3月6日(木)  しんぶん赤旗

 「1938年に蒋介石が日本が南京大虐殺をしたとやたら宣伝したが、世界の国は無視した。
そんなことはなかったからです」。
NHK経営委員の百田尚樹氏は東京都知事選の応援演説で言いました。
一部マスメディアもこの発言を肯定する論説を掲載しました。
本当はどうだったのか。

世界のメディアが当時も残虐性批判


 南京大虐殺(南京事件)は、1937年12月、中国への侵略戦争の中で旧日本軍が当時の中国の首都・南京を攻略・占領し、中国軍兵士だけでなく、捕虜や一般市民を虐殺した事件です。
女性の強(ごう)姦(かん)、略奪をはじめ数々の残虐行為が行われました。


 虐殺のとき、南京にいたジャーナリストは、それぞれが惨状を記事にしています。


 ニューヨーク・タイムズのF・T・ダーディン記者は「大規模な略奪、婦人への暴行、民間人の殺害、住民を自宅から放逐、捕虜の大量処刑、青年男子の強制連行などは、南京を恐怖の都市と化した」「犠牲者には老人、婦人、子供なども入っていた」「なかには、野蛮このうえないむごい傷をうけた者もいた」(37年12月17日電)、
「塹壕(ざんごう)で難を逃れていた小さな集団が引きずり出され、縁で射殺されるか、刺殺された」(同年12月22日電)と報じています。


 シカゴ・デイリー・ニューズのA・T・スティール記者は「(われわれが)目撃したものは、河岸近くの城壁を背にして三〇〇人の中国人の一群を整然と処刑している光景であった。
そこにはすでに膝がうずまるほど死体が積まれていた」「この門(下関門)を通ったとき、五フィート(約一・五メートル―訳者)の厚さの死体の上をやむなく車を走らせた」(37年12月15日電)、
「私は、日本軍が無力な住民を殴ったり突き刺したりしているのを見た」(同年12月14日電)と報じます。


 イギリスの新聞マンチェスター・ガーディアンの中国特派員H・J・ティンパーリーは報道した内容をもとに『戦争とはなにか―中国における日本軍の暴虐』をまとめ、38年にロンドンとニューヨークで発行しています。


 事件当初から、「世界は無視をした」どころか、日本軍の残虐性を批判していました。


 米国などの南京駐在外交官も本国に事件の詳細を報告しており、それが東京裁判で南京事件を裁いた際の裏づけとされました。

 (『南京事件資料集(1)アメリカ関係資料編』青木書店)


 日本では報道統制がしかれたため、国民には事件は伝わりませんでした。
しかし、一部高級官僚や軍部は南京の惨劇を知っていました。


 南京事件当時、外務省の東亜局長だった石射猪太郎は日記に「上海から来信、南京に於ける我軍の暴状を詳報し来る、掠奪(りゃくだつ)、強姦目もあてられぬ惨状とある。
嗚呼(ああ)之れが皇軍か」(38年1月6日)(伊藤隆・劉傑編『石射猪太郎日記』中央公論社)と書いています。


旧陸軍将校親睦の機関誌も「詫びる」


 現場にいた日本の兵士も証言や日記を残しています。
なかでも旧陸軍将校の親睦団体・偕行社(かいこうしゃ)の機関誌『偕行』に1984年4月〜85年3月に掲載された「証言による『南京戦史』」は注目されます。


 「大虐殺の虚像」を明らかにする狙いで偕行社が募集したものでしたが、寄せられた証言は虐殺の実態を生々しく伝えます。

 松川晴策元上等兵は「(中国の)便衣兵が一列にならばされ、(日本の)兵士が次から次へと銃剣で突き刺したり、あるいは銃で撃っているのを見ました。
その数は百や二百ではなかった」「土のうと死体が一緒くたになって、約一メートルぐらいの高さに積み重ねられ、その上を車が通るという場面を見ました」と証言しています。


 佐々木元勝元上海派遣軍司令部郵便長は日記に「道路近くでは石油をかけられたのであろう。(死体が)黒焦げになり燻(くすぶ)っている。
波打際には血を流し、屍体(したい)が累々と横たわっている」(37年12月17日)と書き残しています。


 最終回の85年3月号で、編集部の加登川幸太郎氏は「(死者の)膨大な数字を前にしては暗然たらざるを得ない…この大量の不法処理には弁解の言葉はない」と虐殺の事実を認め、「旧日本軍の縁につながる者として、中国人民に深く詫(わ)びるしかない」と謝罪しています。


日中政府の歴史共同研究でも


 「日本の近代史の研究者の中で、南京で相当数の不法な殺人・暴行があったということを認めない人はほとんどいない」(『外交フォーラム』2010年4月号)。

2006年に第1次安倍政権が着手した「日中歴史共同研究」で安倍首相の指名で日本側座長となった北岡伸一国際大学学長は、共同研究の成果と課題をまとめた論文で述べています。


 北岡氏は日本の侵略を認めたうえで「不快な事実を直視する知的勇気こそが、日本の誇りなのであって、過去の非行を認めないのは、恥ずかしいこと」とも言っています。

 (若林明)
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2014年03月08日

<田母神氏>61万得票の意味 背景に若者層の不安、危機感?

<田母神氏>61万得票の意味
 背景に若者層の不安、危機感?
毎日新聞 3月7日(金)16時40分 yahoo配信

  東京都知事選挙で元航空幕僚長の田母神俊雄氏(65)が得た61万票が、なお話題になっている。
「ネットの影響」「若者の右翼化」とかまびすしいが、何だかふに落ちない。
本当はどうなのか、これからの政治に影響しうるのか。
田母神氏に投票した人の声を追いながら「田母神票が意味するもの」を考えた。

【講演会の動画では田母神節がさく裂】

 「未来が見えるかどうかがすごく気になりました。
脱成長って言われても『あなたたちは確かにいい時代を見てきたから、それでいいかもしれませんけどね』としらけましたね」

 学習塾を経営する慶応大2年の今井美槻(みつき)さん(21)はそう話す。

都知事選前、若者8人で誰に投票するか討論したら、4人が「田母神」だった。

「僕らは自衛隊にも共産党にもアレルギーはない。
何かおもしろいことをしてくれそうな期待感、現状維持ではダメだという思いが一番大きかった。政党や組織、既存の制度を守るために動く政治家が多いが、彼は違うと思った。
田母神さんの思想的な部分はあまり気になりません」と説明する。

 別の男性会社員(31)は奨学金で専門学校を卒業、派遣社員を経験した。

アルバイトが外国人労働者に取られている現状や、就職が決まらない友人の姿をみてきた。
「政策の善しあしとは別に、リーダーが強力で支持率が高い時は景気が上向き、国が前を向くと思う。
田母神さんはそうした強いリーダーシップが取れるはず」。
都政と国政は別だと思いつつ、原発維持の政策にも共感した。
「経済的に考えて一番無難だと思う」

 ほかに支持する政治家を2人に聞くと、「橋下徹」や「小泉純一郎」が挙がった。

小泉さんの構造改革路線と、「公共事業でインフラ整備」を訴える「タモガミクス」は正反対だ。「思想ではなく、現状を打破してくれそうな改革のイメージを重要視した」(今井さん)というので、
IT会社役員、家入一真氏(35)はどうかと問うと
「全然。だって彼は成功者じゃないですか」と一蹴された。
「支持のツボ」がどこにあるのか、まるで分からない。

 ◇「中韓への譲歩、理解できない」

 61万票は極めて大きい。

2013年の参院選東京選挙区は、投票率53・51%で、5人目に当選した自民党の武見敬三さんは61万2388票だった。

強固な組織票を持つとされる共産党で70万票、山口那津男・公明党代表でも80万票弱だ。とても「泡沫(ほうまつ)候補」とは呼べない。

 「日本型排外主義−在特会・外国人参政権・東アジア地政学−」の著者、樋口直人・徳島大准教授(44)は
「03年の都知事選で石原慎太郎さんは300万票以上を得ました。
そこから石原氏の行政経験を評価する票と、作家としての知名度による票を引いた右派的な支持者の票が田母神票と重なると考えられます。
そうすると、ここ十数年の延長として右派が60万票としても驚きはない」と話す。

 樋口さんは毎日新聞の出口調査を分析し「若年層(20〜30代)は田母神さんに投票した比率が高いが、投票率が低いので票数としては多くない。
田母神さんは幅広い世代から票を得ているとみるべきです」と語る。

支持者を若年層とそれ以外に分けると、後者は「保守の中で相対的に右の人が、田母神さんに入れたという解釈が可能」で、若年層は「既成政党によらない新鮮味を与える候補者で、リーダーシップを感じたところにひかれたのでは」とみる。

 一方、普段は選挙に行かない層を田母神さんが動かした形跡がある。
「老人福祉とか子育てとか、これまで政策に全く興味がなくて選挙にはほとんど行ってません。
田母神さんが出て、初めて入れてもいい人が出てきた感じだった」と一流会社に勤める男性会社員(39)は話す。

別に政策にピンときたわけではない。
「中国や韓国に外交上つけ込まれ何となく損をしている」という思いに、田母神さんがはっきりと応えてくれると感じた。
「日本はこれまで中国や韓国に謝罪し、お金も出してきた、それでも文句を言われ続けている状況が納得できません。

靖国参拝も何が問題なのか。外国にとやかく言われることではない。
大手メディアは『謝罪し続けなくてはいけない』との論調ですが、ネットで情報を集めるとそれはおかしいとよく分かります」と話す。

 憲法9条改正でも田母神さんの主張に同意する。

「9条というお題目を唱えれば国が守れるワケではない。
冷戦下の世界情勢の中で戦争をしなくて済んできただけ。
田母神さんの言うように戦争の抑止力として軍備を拡張しなければ、弱い国は侵略される。
9条のせいで自分たちの生命が脅かされるのが本当に許せない」と淡々と語る。

 年間1億円以上を稼ぐ男性個人コンサルタント(39)は
「田母神さんの言葉で一番納得したのは『日本は自国をおとしめる発言は自由でも、自国を高める発言に自由はない』です」と話す。

韓国人や中国人の友人がいるが「個人としてはいい人でも、国としてはこちらが譲歩すれば強く出てくると分かっている。
なのにどうして譲歩するのか全く理解できない」と言い切る。

国防軍にも賛成だ。「小学生の頃から、自衛隊って単なる軍隊でしょ、って思ってました。
世界から見ればちゃんとした軍です。
摩擦をおそれて、問題を避け続けてどんどん国が弱くなっていくのが一番嫌いなんです

 樋口さんは「若い世代は、近隣諸国との関係が悪くなって政治的な問題も出てきたこの10年ぐらいの時勢に影響を受けている。
天皇制が大事だとか靖国神社を参拝すべきだといった国家主義的な意識より、排外意識の方が強い傾向がある」と解説する。

 「ももクロ論」でアイドルに夢中になる現代社会の閉塞(へいそく)感を指摘した早稲田大の清家竜介助教(43)はこうみる。

「個人としてではなく首相や閣僚が靖国参拝する歴史的、外交的意味に考えが及んでいない人が多い。
ただ冷戦以後の世界情勢の劇的な変化の中で、9条護持を唱えるだけの平和主義では危機感を持った彼らを説得できない。

平和憲法は、日米安保条約と日米地位協定という繭の中で維持されてきた。
その中から平和を訴えても『きれい事だ。このろくでもない世界を作り出したのは誰だ』と思われがちだ。
田母神さんの訴えは、非常にシンプルでそういう人たちに届きやすいのでは」とみる。

 さらに、若年層を中心とした「アンダークラス」化が田母神支持の増加の一因ではないかとみる。

アンダークラスは、労働者階級よりさらに下の階級。
結婚して子どもを持つことも難しい。
非正規雇用の拡大で増えた「アンダークラス」は未来に展望が持てず、不安感からはっきりものを言ってくれる人や強い国家イメージにひかれる傾向を持つ。

清家さんは、このクラスの増大に伴い、権威に追従することを欲し、排外的で攻撃的な「権威主義的パーソナリティー」を持つ人が増えているのではと指摘する。

「権威主義的パーソナリティー」はナチスのファシズムを支持した大衆心理を分析して出てきた概念だ。

「文脈を深く掘り下げず、敵を設定し、わかりやすく攻撃する」という権威主義的パーソナリティーの特徴は小泉氏、橋下氏、田母神氏にも共通している。

 ◇強い国になり「損を取り戻す」

 田母神氏本人を直撃した。

「当選するとは期待していなかったが、日本を真剣に取り戻そうと考えている人がどれぐらいいるかは分かると思っていた。
30万票取れればと思っていたが、低投票率で61万票。
目的は達成できた」とにこやかに話す。

「自民党の右側に柱を立てて、自民党に『ちゃんとやれ』と迫る野党が必要。
その党首になりたい。
とりあえずは次の国政選挙を意識しながらの政治活動になります」

 「核武装して世界で発言力を持つ国」を目指す田母神氏に「そんな国をつくって何をするのか」と聞いてみた。

諭すようにこう言われた。
「世界で発言力を持てば自分たちが得をする。
米国がやっているように、他国にお金を出させて自分たちの金は自分のために使った方がいいでしょう。
今は核保有国の言われるがままにお金を出している。
それでいいと思いますか」

 そういえば、話を聞いた人たちは「損をさせられている」という感覚が共通していた。
相手は中国・韓国だったり、米国だったり、上の世代だったり……ひょっとして「日本を取り戻す」のではなく「損を取り戻す」が支持のツボなのか。
だとしたら、強い国になって何を「得する」つもりなのか。

 もし「取り戻す」まで「田母神的なもの」の支持が続くなら、次の選挙でも一定の支持が集まりそうだ。【田村彰子】
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2014年03月09日

東京大空襲:88歳で語り部になる決意「地獄でした」

東京大空襲:
88歳で語り部になる決意「地獄でした」
毎日新聞 2014年03月08日 14時00分
(最終更新 03月08日 14時42分)

  一夜にして10万人が亡くなったといわれる1945(昭和20)年3月の「東京大空襲」から10日で69年。

19歳で被災した坂本邦男さん(88)は、大空襲翌日に召集され、終戦後約3年3カ月のシベリア抑留を強いられた。

まぶたに焼き付いた大空襲の状況は、あまりに悲惨すぎて口にしづらかったが、「風化させてはならない」と、米寿を迎えて語り部になることを決意。

8日、東京都墨田区のすみだ郷土文化資料館で行われた空襲画ギャラリートークで自身の体験を語った。


 大空襲当時、坂本さんは現在の亀戸中央公園(江東区亀戸)の敷地内にあった工場で働いていた。
あの夜、家族と共に近くの自宅で寝ていた時、轟音(ごうおん)で跳び起きた。
「外は焼夷(しょうい)弾の炎で昼間みたいに明るくて、B29がその炎で真っ赤に光っていた。本当に不気味だった」


 熱で道路のアスファルトは溶け、木製の電柱は燃え盛る。
真っ赤になったトタン板が爆風で飛び交う中、必死に自宅近くの北十間(きたじっけん)川まで逃げ、父と川の水をかけ合って熱をしのいだ。

奇跡的に家族全員が無事だったが、母や妹が避難した学校でコンクリート造りだったため熱がこもり、多くの人が蒸されるようにして亡くなったと聞かされた。


 朝日が昇った時には見渡す限り焼け野原。
銀座のデパートまで見通せたという。
それだけ悲惨な状況なのに、戦時下の市民にはさらに過酷な運命が突き付けられる。

避難した葛飾区内の伯父宅に翌11日、召集通知が届き、約1カ月後、中国大陸へ。
そして終戦。
凍えるようなシベリアでの抑留生活が待っていた。

入隊時に約60キロだった体重は約40キロに。
出征時に「空襲犠牲者の敵討ち」と意気込んでいたという坂本さんだが、京都・舞鶴港の土を48年秋に踏んだ時、「生きて戻れた」と万感胸に迫り、涙が止まらなかったという。


 空襲の夜のことを忘れることはなかったが、ほとんど語らずにいたという坂本さん。
家族にめぐまれ4人の子どもが成長する中、「家族には決して戦災の被害者にも、加害者にもなってほしくない」との思いが湧き、2003年、一枚の絵を描いて同資料館に寄贈した。

 消火用の水槽にまるで風呂に入るようにつかったまま亡くなった人。
既に白骨の状態だった。
その忘れられない状況を描いた絵だ。

 今は8人の孫と2人のひ孫もいる。
みんなに伝えるため、人前で話すことにも挑戦することにした。

約40人が集まったギャラリートークでは、約1時間にわたり当時の様子を説明。
「人々が逃げ込んだ市電がそのまま燃え上がった。
この世の地獄でした」などと切々と語り、そして呼び掛けた。
「多くの方の犠牲の上に、今の平和があることを忘れてはいけない」
【木村敦彦】

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2014年03月10日

「戦争の惨事 ないこと願う」 東京大空襲69年語り継ぐつどい

「戦争の惨事 ないこと願う」
東京大空襲69年語り継ぐつどい

2014年3月9日 東京新聞朝刊

 市民ら約10万人が犠牲になったとされる1945年の東京大空襲から10日で69年となるのを前に、「語り継ぐつどい」が8日、都内で開かれ、約400人が参加した。

家族を失った女性らが証言し
「戦争の惨事がないことを願ってやまない」と、平和の大切さを訴えた。


 たまたま母親の疎開先の千葉市にいて無事だった中村俊子さん(84)=千葉県勝浦市=は、四十五歳の父と十三歳の弟を亡くした経験を、自作の紙芝居を見せながら証言。
空襲直後に入った東京は、建物が焼け続けていて熱気に包まれ、やけどをした遺体が路上にあふれていたと振り返った。


 四十九日目に、公園に埋められた千体以上の中から二人の遺体を発見した様子も、時折声を詰まらせながら語った。


 その上で
「国と国の戦いは悲しい惨事をもたらす。二度と戦争が起きないよう祈る」と訴えた。


 主催団体の一つ、東京大空襲・戦災資料センターの館長で作家の早乙女勝元さん(81)は、憲法解釈変更を掲げる安倍政権を念頭に「戦後の平和と民主主義に重大な危機が訪れている。
戦争になったら民間人はどうなるかを伝えることがブレーキになる」と強調した。


 集会では、別の被災者の証言映像が流されたほか、教育評論家の三上満さん(81)も講演した。

 東京大空襲では、三百機を超える米軍の爆撃機が大量の焼夷(しょうい)弾を無差別に投下し、下町を中心に焦土と化した。
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「原発ゼロ」こそ被災地の願い

福島第1事故3年
「原発ゼロ」こそ被災地の願い
2014年3月10日(月)しんぶん赤旗「主張」

 「福島の原発事故は今も続いている」
「なぜ国はすぐ廃炉にさせるといえないのか」―。

東日本大震災と東京電力福島第1原発の事故から3年を前に東京で繰り広げられた「原発ゼロ 大統一行動」は、「福島を忘れるな! 再稼働を許すな!」の声が、官庁街や国会、首相官邸を包みこむものとなりました。

事故は収束するどころか拡大しています。

にもかかわらず安倍晋三政権は原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、全国の原発再稼働を急いでいます。
国民の声で政権を包囲し、「原発ゼロ」を実現することこそ、被災地の願いに応えることになります。

事故「収束」に程遠い


 「『原発ゼロの日本の実現を』の声と行動を強めるのは今」
「『原発ゼロ』の一点で手をつなぎ、力と知恵を寄せ合わせ、原発再稼働を許さない大きなうねりをつくり出していきましょう」。
大統一行動の集会アピールです。
集会では事故の深刻さを訴える福島からの発言が大きな反響を呼びました。


 福島原発から1年もたたないうちに当時の民主党政権は事故を「収束した」と発表しました。

その後政権復帰した自民・公明連立の安倍政権も、「収束」とはいえないと認めたものの「収束」宣言そのものは撤回していません。


 東日本大震災の際の地震と津波で電源を喪失し炉心が破壊された福島第1原発は、高い放射能のため1〜3号機ではまだ原子炉に近づくことさえできず、4号機からの核燃料取り出しも始まったばかりです。

放射性物質で汚染された水は増え続け、屋外のタンクからたびたび漏れ出して地上や海を汚しています。

事故やトラブルも後を絶ちません。事故は拡大しており、安倍首相の汚染水は「ブロック」されているということばはむなしく響くばかりです。


 原発周辺ではいまだに13万5千人を超す住民が避難生活を余儀なくされています。

長引く避難が被災者の心身をむしばみ、福島県内の震災関連死は震災で直接亡くなった人を上回りました。

東京電力による賠償は遅れ、避難区域などの政府の一方的な線引きが被災者を不安に突き落としています。


 福島原発事故は原発がいったん事故を起こせばコントロールできず、長期間広範囲にわたって被害を拡大することを浮き彫りにしました。東京電力が福島第1原発の1〜6号機の廃炉を決め、いまや全国48基のすべての原発が運転を停止しているのは当然です。


 安倍政権が、原子力規制委員会が「安全」と認めた原発は再稼働させると公言し、今月末に閣議決定しようとしている新しいエネルギー計画で原発を「重要なベースロード電源」と位置づけようとしているのは、まさに被災地の現状に反するものです。

再稼働は中止し、新しいエネルギー計画案は撤回すべきです。


被災者と手を携えて


 事故から3年にあたる「原発ゼロ」を求める行動は、東京だけでなく、福島でも静岡でも関西でも大きな規模で取り組まれています。

「原発即時ゼロ」の決断を求め、原発の再稼働に反対する国民の声は事故直後と変わりません。


 全国からの世論と運動こそ、原発事故で日々苦しめられている福島への支援です。
被災者と手を携え全国津々浦々に「原発ゼロ」の声を広げようではありませんか。

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2014年03月12日

春闘:非正規の命つなぐ要求…誰もが時給1000円なるか

春闘:非正規の命つなぐ要求
    …誰もが時給1000円なるか

毎日新聞 2014年03月12日 12時46分
(最終更新 03月12日 15時53分)

 「満額回答」「過 去最高水準のベースアップ(ベア)」など景気のいい話も出始めた2014年春闘

アベノミクスの掛け声の下、新たな政労使の枠組みも誕生し、ベア実現に注目が集まる今春闘だが、労働者の4割近くを占めるに至った「非正規」の待遇改善が日本のカギになるとの声も多い。長年デフレ下で耐えてきた人たちに本当の春は来るのか−−。


 「500円のワンコインランチを嘆く人がいるけど、私は100円のワンコインで昼食を済ませています」


 出版労連の個人加盟労働組合「出版ユニオン」(約250人)に参加している加藤義紀さん(37)=東京都北区=は、生活の苦しさをそう訴える。


 加藤さんは2009年3月から書籍取り次ぎ大手の物流センターで契約労働者として働いている。
仕事は注文のあった本のピックアップや入庫作業。
午前8時から午後4時まで働き、休みは週1日しかない。
それでも月収は約16万円。
家賃や社会保険などを払うと、生活に使えるお金は5万円程度しか残らない。

食事を含め1日に使えるお金は1683円にしかならない計算だ。
昼は100円ショップのカップ麺などでしのぐ。
親から3万円の仕送りを受け、ぎりぎりの生活を続ける。


 雇い止めを心配しながら、2カ月ごとに契約を更新して働いてきた。
仕事を始めた時890円だった時給は、この間一度も上がっていない。
少しずつ上がっている東京都の最低賃金(869円)にいつの間にか近付いてきた。


 加藤さんのような非正規労働者は、12年の総務省調査で労働者全体の38.2%、約2043万人にまで達した。

連合は、非正規の待遇改善が労働界全体の課題として、今
春闘で「誰もが時給1000円」を掲げる。


 加藤さんは、長く働いても有給休暇もないことに疑問を持つなどして昨年10月、同ユニオンに加入。
ようやく社会保険加入や有給休暇取得を認めさせた。

そして、大手企業がベアを打ち出した今年の
春闘で初めて賃上げも求めた。
時給が1000円になれば、収入は月1万9300円増える。消費税が上がることを考えれば、「生活を破綻させないようにするぎりぎりの額」に過ぎないが、「親からの仕送りを減らしたい」という。

 12日に集中回答を迎えた金属労協の幹部は「正社員のベア獲得の報告が次々入っているが、連動する形で非正規の賃上げの報告も入っている」と手応えを語る。

だが、どこまで他の産業や中小企業に広がるかは未知数だ。
加藤さんの交渉を支援する出版労連の平川修一副委員長は「物価、消費税が上がろうとする中、命をつなぐための要求だ。
声を上げた彼らの切実な要求を全力で支援したい」と話している。
【東海林智】

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2014年03月13日

「核と人は共存できない」 対談で語った吉永小百合の本気度

「核と人は共存できない」
対談で語った吉永小百合の本気度
2014.3.11  日刊ゲンダイ 掲載

 吉永小百合(68)が本気のようだ。
 
 11日発売の女性誌「女性自身」で瀬戸内寂聴(91)と対談し、安倍政権への怒りと原発再稼働反対への思いを改めて話している。

 記事は全8ページの長文で、カメラ撮影は篠山紀信という豪華版。

そこで吉永は、地震がないような国なら事情が違うと言いつつ、「原子力の平和利用なんてない、核というものは、人間とは共存できないものなんだということを、事故で初めて自覚した」と明言している。
また、憲法改正、特定秘密保護法などに動く安倍政権の危険性にも目を向けるのだ。

「先日、テレビのニュースで見たのですが、〈集団的自衛権が成立したとき、あなたは戦争に行きますか?〉と、若い人たちに質問していたんです。

すると躊躇(ちゅうちょ)なく、〈僕は戦争に行きますよ〉と、答える人もいて……。
そう答えた人の頭の中にある戦争は、ゲームやコミックスで知っている戦争ではないかと思うのです」

吉永も戦争を知らない世代だが、ライフワークの原爆詩朗読会を通じ、平和への思いがさらに強まっているようだ。また、
被災地の悲しみを忘れ、東京五輪に浮かれる世相にも疑問を投げかける。

 彼女は、先の都知事選では反原発を訴える細川候補への支持を表明したばかり。
政治色を嫌う女優が多い中、稀有(けう)な存在と言える。

 だが、番組スポンサーから睨まれるのを避けるのなら、政治的な発言は控えるのが賢明だと思うが……。

 芸能評論家の肥留間正明氏がこう言い切る。
吉永さんの反戦、原子力否定の考えは、昨日今日のものではありません。彼女は大震災のずっと前から同じことを主張している。他の俳優にも続いて欲しい。スポンサーに気兼ねして発言を控えるようなケチな芸能界にはなって欲しくありません」

 吉永のこういった批判精神は、彼女いわく、「婦人画報」の元編集者で平和活動家だった叔母の川田泰代さんから受け継いだものだという。
耳を傾ける価値は十分ある。
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2014年03月14日

中高年に恩恵なし 春闘「ベアラッシュ」騒ぎのカラクリ

中高年に恩恵なし
春闘「ベアラッシュ」騒ぎのカラクリ

2014年3月13日 日刊ゲンダイ掲載

 
2014年春闘の集中回答日だった12日は、“ベアラッシュ”だった。
ドーカツしてまで企業に賃上げを求めていた安倍政権は“戦果”に大喜びだ。
しかし、今回のベアにはカラクリが隠されている。
恩恵にあずかることができるサラリーマンは一握りしかいない。

■実施はたった16%

 日産は組合要求の月3500円に対して満額回答。
トヨタ、ホンダはそれぞれ2700円、2200円で妥結した。

日立、パナソニック、東芝、富士通など電機メーカーは2000円、新日鉄住金、三菱重工、IHIなども賃上げに踏み切った。

 この一斉回答を受けて、甘利経財相は「期待以上に経営側が応えてくれた」と大ハシャギ。
菅官房長官も「近年にない賃上げが実現しつつある」と胸を張った。

 しかし、今年の春闘、華々しいのは、12日限りになりそうだ。

これから中小企業の回答が始まるが、とても期待できそうにない。

東証1部、2部の労働組合と人事・労務の責任者にアンケートした財団法人「労務行政研究所」の調査にはビックリだ。担当者が言う。

「新聞には<賃上げラッシュ>という見出しが躍っていましたが、ものすごく違和感を持ちました。
われわれの調査では、回答があった161社のうち<ベアを実施する>と答えた企業は26社。たったの16.1%です。

恐らく、きのうの自動車、電機、鉄鋼で打ち止めになるでしょう。

しかも、久々のベアなのに、ほとんどの企業が2000円、3000円と金額自体は小さい。
平均すると800円台にとどまると試算しています」

 
 ベアの中身も、野村ホールディングスや大和証券のように全従業員が対象ではなく、20代の若手社員に限定する企業が大半だ。

12日ダイハツ工業とスズキも若手の賃金是正分として月800円の賃金改善を実施すると発表した。
中高年サラリーマンには恩恵のないケースが多いのだ。

■来年は「ゼロ回答」

 東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏が言う。
 
「今回の春闘で賃金が上がるのは限られた人だけです。
40〜50代だとベアがないケースがある。
しかも、円安で利益をあげた一部の大企業が中心だから、トータルの賃上げ率は0.2%程度にしかならないでしょう。


消費増税で3〜4%の物価上昇が予想されているのに、これでは実質マイナスです。
おまけに、ベアは今年だけの可能性が高い。

今回のベアは安倍政権の要請に協力した“特例”です。
来年以降はまったくの白紙で、<ゼロ回答>に逆戻りでしょう」

 そもそも、労働者の4割に達している非正規にはベアは無関係の話だ。
「ベアラッシュ」と騒いでいる大新聞・テレビは、きちんと実態を報じるべきだ。
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2014年03月16日

石井苗子さん:受け止める 迷いはしない

石井苗子さん:
受け止める 迷いはしない

2014年3月10日 読売新聞)


 空気の張りつめた道場で竹刀を手にすると、背筋がスッと伸びた。
1メートル69の長身がさらに大きく見える。


 竹刀を振り下ろす姿には気迫が漂う。
「素振りする時間は、心を整理するのにちょうどいいの」。
汗ばんだ顔に笑みを浮かべた。


 剣道に出会ったのは、不惑の年を過ぎてから。
女優業の傍らで看護大学に入り、人生で取り組むべき仕事の「芯」を探していた
若い同級生と試験や実習をこなすなか、「体力も精神力も必要」と感じてもいた。


 その矢先、紹介されて警視庁築地警察署の稽古に通うことになった。
ところが、道場では初日から気持ちがくじけた。
入り口のスノコに土足で上がり、叱り飛ばされたからだ。


 やめる勇気もなく、素振りに通ううちに負けん気が頭をもたげた。
気付くと道場通いは15年を超え、三段の腕前に。
仕事や学業がつらい時、いつも剣道が気持ちを奮い立たせてくれた。

              ◇

 東京・浅草の生まれ。高校時代は医者を目指し、医学部を受験したものの失敗。
進むべき方向が定まらない娘を父親が案じ、米国の牧師宅のホームステイを勧めた。
18歳で渡米し、ボランティアをして地元大学に通った。
帰国して上智大学を卒業し、専門学校で英語を磨いて同時通訳になった。


 日米漁業交渉で通訳を務めたが、交渉が決裂して失職。
勧められてオーディションを受け、33歳でテレビキャスターになった。
「語学ができる知的な女性」がもてはやされ、司会や女優の仕事が次々舞い込んだ。


 そんな華やかな顔とは別に、私生活では苦闘した。
20歳代で両親をがんで相次ぎ亡くし、妹の生活を支えてきた。
妹は筋萎縮症などの難病を患い、結婚後も同居して世話をしてきた。


 追われるように生きてきて、不安にかられたのは40歳を過ぎた頃だった。
人生で本当にすべきことは何か。
「専門」と誇れるものを身に着けたい。妹にもっと良いケアもしたいと、看護大学の門をたたいた。


 5年かけて看護師と保健師の資格を取得したが、それを生かせる道が見つからず迷っていると、「知名度を生かして健康管理の重要性を伝える仕事をしてほしい」と教官から言われた。
予防保健の専門家が少ないとわかり東大大学院へ。53歳で博士号を取った。


 妹への接し方も変わった。
「人が尊厳を持って生きるには社会との接点が必要」。
そう学び、自分一人で世話するよりヘルパーを頼むようになった。
楽しげに会話する妹を見て、世間から隔ててきたことを反省した。


 「お姉ちゃん、もういいから」。4年前、こう言い残し、妹は49歳で永眠した。
その数年前から妹の表情が明るくなったことが喜びだった。
笑顔の記憶と最後の言葉が慰めとなった。

            ◇
 深い喪失感に沈んでいた時、東日本大震災が起きた。自分の知識が役立てばと、被災地に看護師らを送り込む支援を手がけ、自らも被災者の健康状況を聞き取り助言する活動にあたった。


 都内のクリニックで始めたカウンセリングでも、様々な不調で悩む患者の話を聞き、専門機関につなぐ仕事を続けてきた。
「あなたにこの気持ちはわからない」と言われても、静かに受け止められるようになった。


 深い葛藤を経て、剣道にも鍛えられ、つらさを受け止める精神力がついた。
「悲しい時は悲しさに浸ればいい。後で必ず経験が生きてくる」。
心を込めて助言できるようになった。


 女優の仕事にも欲が出てきた。
「まだやりつくしていないから、どんな役も断らない」。2月に還暦を迎え、人生の「芯」をつかんだ手応えを感じている。
                     (樋口郁子)

************************
 いしい・みつこ 
1954年生まれ。女優、ヘルスケアカウンセラー。
通訳を経て、テレビキャスターとして芸能界入り。映画「あげまん」で女優デビュー。
50本以上の映画、ドラマ、舞台に出演。2002年に聖路加看護大を卒業し、東大大学院博士課程を修了。保健学博士。

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原発再稼働の前に必要な事故原因の解明と再発防止策

【大前研一のニュース時評】
原発再稼働の前に必要な
事故原因の解明と再発防止策
2014.03.16   ZAKZAK

  東日本大震災の8日後の2011年3月19日、「大前研一ライブ」の公開収録で、「福島第一原発で何が起こり、今後どんなリスクが想定されるのか」を解説した。
あれから3年がたち、原発の周辺はどうなっているのか。振り返ってみる。

 私は当時、「炉心が溶融して、燃料が格納容器の底まで抜け、メルトダウンしている」と主張し、この収録をユーチューブにアップした。

これを見た当時の菅直人首相から「原子力安全委員会(当時)の言うこととは全然違う。
説明に来てくれ」と頼まれ、官邸に行った。
当時のことを覚えているが、やはり菅さんの周りには原子炉のことがわかる人はいなかった。
政府は司令塔が不在で、東京電力も機能不全だった。

 5月になって、政府はやっと燃料棒の一部損傷を認めたが、東電が全炉心の溶融を認めたのは12月だった。

 同年6月、「ストレステストの結果次第で、ほかの原発を再稼働させる」と経産省および保安院が主張した。

私は「あれだけの事故を経験した国民が、コンピューターの解析だけで賛成するとは考えられない。
福島の事故原因とそれから出てくる再発防止策を説明しなければいけない」と、民主党の細野豪志議員に言った。
数週間後、細野さんが原発担当大臣になり、「その作業をやってほしい」と頼まれた。

 私の“1人事故調”には、東電の他に原発メーカーの日立、東芝からも人を集めてもらい、福島第一原発事故の検証結果や再発防止策に関する報告書を9月に提出した。

この中で私は「どんなことが起きても過酷事故は起こさないという設計思想や指針がなかった。
天災ではなく人災だ」と指摘し、原発再稼働への教訓として「いかなる状況でも電源と原子炉の冷却源を確保すること」を求めた。

BWR(沸騰水型軽水炉)だけではなく関電などが採用しているPWR(加圧水型軽水炉)の分析も同年12月までにまとめた。
480ページに及ぶリポートは全て無料で公開されている。

 2012年の秋になって私は東電の原子力改革監視委員会の委員に任命され、東電のチームと事故の分析をした。

 私のリポートのすべての指摘事項を東電側に検証させ、「間違っている部分があったら指摘してほしい」と言ったのだが、「まったく、このとおり」ということだった。

東電はこの検討結果をホームページで公開している。
多くの項目に関しては初めから知っていたが、政府も東電も2年間にわたって認めなかった、ということだ。

 この大事故についての関係者の反省の言葉は、今日まで国民の前でなされていない。

それなのに、自民党政権は「原子炉再稼働」に前のめりになっている。

その前に、国民に何が起こったのか、どういうことをすれば再発防止が可能なのか、という納得のいく説明をしなければならない。

特に事故が発生した時の私の提案した「政府側の責任体制、自治体との意思決定のルール作成」などの作業は全く進んでいない。

 かつて私は大阪市の橋下徹市長に対し自分のリポートを送り、「十分に検討して対策を取れば、再稼働は可能」と説得して、関西電力の大飯原発3、4号機(福井・おおい町)を動かすのを手伝った。

 しかし、再稼働の鍵を握る規制委員会が福島の分析をし、それに基づいて安全基準を作成した形跡はない。

このまま政府側に何の反省もなく、国民に対しても事故原因の解明と再発防止策の説明もなく、ただ単に「エネルギー問題として原子炉が必要だから」といって再稼働するのは、「反対」と言わざるを得ない。

 ■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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2014年03月17日

きょうの潮流ーコピペ

きょうの潮流
2014年3月16日(日) しんぶん赤旗 

「コピペ」。
パソコンの画面上でのデータの切り貼り(コピー・アンド・ペースト)の略称です。
マウスで範囲を指定した後、クリック一つで大量の文書を移動できる、便利な機能です

▼「生物界の常識を覆す発見」と注目された「STAP(スタップ)細胞」の論文に、海外の論文から一部を「コピペ」(盗用)していたことなどが発覚。

一昨日、筆者の小(お)保(ぼ)方(かた)晴子さんらが所属する理化学研究所の調査委員会は、論文の撤回を勧告しました

▼調査委員会によれば、小保方さんは盗用の有無について、「引用元は覚えていない」と答えたといいます。
ただ、海外の研究機関がインターネット上で公開している論文に酷似した記述があります。
論文の執筆過程で「クリック一つ」の手軽さに誘惑されてしまったのか

▼確実に言えるのは、論文筆者らの研究者としての倫理観や、他の研究者の努力に対する敬意の欠如です。

同時に、今回の問題はインターネット時代における知の扱い方を考えさせられました

▼実は、報道の世界でも、「コピペ」事件が多発しています。
目立つのは、他社がホームページに速報で出した記事をコピーし、自分の記事に無断盗用するパターンです

他者の知識に学ぶことなしに新たな知識は生まれません。
ただ、そこには真(しん)摯(し)な姿勢が求められます。

筆者が学生時代、文章力向上のために新聞のコラムを切り抜きしていましたが、当時の指導教官から「切り抜きだけではだめだ。ノートに書き写せ」と言われたことを思い出しました。
posted by 小だぬき at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月18日

反安倍首相の論客が干される TV局が官邸の監視にビビる現状

反安倍首相の論客が干される
 TV局が官邸の監視にビビる現状
2014.03.18 16:00   NEWSポストセブン

 NHKについては、安倍晋三首相肝いりで籾井勝人・新会長が就任以来、番組内容が政権寄りに偏っていることが取り沙汰されてきた。

最近のニュースでは、野党の質問より安倍首相の答弁の時間が圧倒的に長いのが定番化しており、なかには首相の答弁だけで構成されていた日もあった。


 森喜朗・元首相が浅田真央選手について「あの娘、大事な時には必ず転ぶんですよね」と発言したことをNHKだけが取り上げようとしなかったりといった、放送内容をめぐる「異変」も起きている。


 NHKが着実に「安倍色」に染まりつつあるなか、実は他の民放でも官邸の影響力は強まっている。
その証拠に、ニュース番組やワイドショーから、反安倍派のコメンテーターが次々と外されているのだ。


「テレビ朝日系『ワイド!スクランブル』では、この4月、古賀茂明氏やなかにし礼氏などの反安倍派の論客がレギュラーから外されることになった」(テレ朝関係者)


 古賀氏を直撃すると、「外されたのは事実だが、出演者は全員見直しだと聞いている」とのことだった。
政府の原発再稼働などに反対する古賀氏のレギュラー出演は、関西ローカルの朝日放送だけになる。


 反安倍的な主張によってニュース番組から外された人はほかにもいる。経済アナリストの森永卓郎氏もそのひとりだ。


「一部で、『森永卓郎はビビッてニュースやワイドショーに出ない』という指摘が出ていたんですが、それは事実ではなく、テレビの方が使ってくれないということなんです。

バラエティ番組には出ているので、露出は減っていないのですが、間違いなく、ニュースやワイドショーには使ってもらえなくなっている。


 例えば今後の景気について私は、『4月から奈落の底になる』とずっと言い続けてきました。が、そうした見解は、テレビは一切取り上げてくれない。

放送されているのを見ると、ベアが次々に行なわれているので、景気も明るい兆しが出ているというふうな内容にしたがっていることがよく分かります。


 
結局、はっきりモノを言う人間を使わなくなったのでしょう。
その結果、当たり障りのない人がコメンテーターに選ばれるようになったわけです」


 いまやどの番組を見ても、NHK同様、安倍政権側の言い分をストレートに垂れ流すだけ。
しかし、それには事情があった。


「数字がちょっとでも違ったり、首相の発言のニュアンスの微妙な違いだけでも『そういう言い方はしていない』と官邸サイドからクレームが入る。
首相本人が話しているVTRでも、『なんでこの部分をカットしたのか』とまでいってくることも」(民放ディレクター)

 安倍官邸の監視の目にテレビ局側がビビッているわけだ。
 


※週刊ポスト2014年3月28日号

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2014年03月20日

著名エコノミストの「警告」に市場騒然 株大暴落「3月危機」

著名エコノミストの「警告」に
  市場騒然 株大暴落「3月危機」
2014年3月19日  日刊ゲンダイ掲載
  

3月危機が市場で騒がれ始めた。
「この時期になると毎年のように危機説が流れますが、今年は本当にヤバイ」(市場関係者)という。

3月末に向け悪材料がテンコ盛りなうえ、著名な外国人エコノミストが「次の金融危機の震源地は日本」と指摘したのだ。
市場の衝撃は計り知れない。

 英フィナンシャル・タイムズ紙や英エコノミスト誌で執筆し、現在はロイターでコラムを担当するカレツキー氏は17日、次のように警告した。
 
「世界経済の回復基調をぶち壊すのに十分な金融危機を起こす可能性のある国はどこか。
いつも名前が挙がるのは中国と南欧だが、筆者の考えでは、最も怪しいのは日本だろう」

 要は、期待先行のアベノミクスが完全崩壊するという内容だ。
同氏は、「消費増税で景気が落ち込んだ場合、日本には説得力のある選択肢が何もないように思われる」とも書いている。

 もっともな意見だが、これに兜町は慌てた。
ただでさえ3月は決算期を控え、企業が保有株売却を進めるため、株価は低迷しがちだ。

「“日本発の金融危機”報道で、大暴落を恐れる投資家が続出しています。
現在の日経平均は低調とはいえ、昨年3月末に比べると2000円ほど高値にある。

企業は、利益の出るうちに保有株を売却しようとします。
そうなると、相場は『売り一色』になってしまう。
いつ暴落が起きてもおかしくない」(市場関係者)

■クリミア問題、中国リスク、
   超円高予測と悪材料だらけ


 クリミア半島を巡る米ロの対立も市場を震撼させている。
すでに市場関係者は米ロの軍事衝突を想定し出した。
 
ロシアにとってクリミア半島は中東に睨みをきかせる意味で重要な軍事拠点です。
シリアの内戦は4年目に入りましたが、ここでも米ロの綱引きは続いています。
もしロシアがクリミアを失うと、中東情勢もガラリと変わる。
だから、ロシアはクリミアにこだわり続けるでしょう。
軍事的な衝突が起きれば、金融市場は大混乱に陥ります」
(ロータス投資研究所代表の中西文行氏)

大半の企業は、金融パニックが起きる前に、外国に置く資金を日本に戻そうとする。
「3月は決算期なので、海外のドル資金を円に戻す動きが加速します。

今年はクリミアの政情不安や中国リスクが加わるので、例年以上に円への還流が激しくなるでしょう。
つまり円高傾向が顕著になるということです
(経済評論家の杉村富生氏)

 超円高が暴落の引き金を引く恐れもあるのだ。
 

「リーマン・ショック時は高値の1万8000円から、7000円台まで約60%下落した。
直近高値は昨年末の1万6320円です。
60%下落で6528円。そこまでの暴落は十分にあり得ます」
(市場関係者)

 3月危機をナメてはいけない。

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2014年03月21日

消費増税に間に合わない企業続出 「ベア実施」の真実

消費増税に間に合わない企業続出
      「ベア実施」の真実

2014.3.19   日刊ゲンダイ

大手企業を中心にベア実施が相次いでいる。
大メディアは、4月の消費増税で増える家計負担をまるでベアでまかなえるかのように報道しているが、本当にそうか。

 何しろ、ここ10年ほど、サラリーマンはベアと無縁だった。
日本を代表する優良企業、トヨタ自動車にしてもベア実施は6年ぶり、ローソンは12年ぶりだ。外食産業に勤める20代社員は、「ベアそのものを知らなかった」と言う。

 ベアは定期昇給とは異なり、物価上昇分などを考慮して給与に上乗せするもの。

中小の機械関連メーカーが多く加盟する「ものづくり産業労働組合」(JAM)の集計によると、17日時点で回答のあった398組合のうち、ベア実施は198組合。
平均額は1630円(月)となっている。

 ただ妥結したからといって、4月の給料からベア分が上乗せされるとは限らないのだ。

 トヨタやローソンなどの大手は4月分からのアップが多いが、なかには、「5月分からで妥結した」(製造業)という企業もある。

「組合ごとにベアの実施時期はバラバラです。
6月からの支給開始でも、4月分まで遡って支払う会社もあるし、4月分、5月分はベアなしで、6月から上乗せという中小企業もあります」(JAM関係者)

 要するに、消費税アップの4月に間に合わない会社が続出するのだ。

数カ月間は負担増だけを強いられる。

安倍政権にベッタリの大メディア報道に乗せられるとヒドい目に遭いかねない。
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2014年03月23日

沖縄戦69年 子孫に語り継ぐ命ど宝

沖縄戦69年 子孫に語り継ぐ命ど宝
2014年3月22日 東京新聞「社説」

 第二次大戦末期、本土防衛の捨て石とされ、住民を戦闘に巻き込んだ沖縄戦から六十九年。
南国の光あふれる島に刻まれた戦禍の歴史を受け継ぎたい。


 那覇市から西へ約四十キロ、慶良間諸島の東端に位置する渡嘉敷島。
島の中央にある村役場に近い山裾に、その穴は残っている。


 近くに住む小嶺正雄さん(84)が造った防空壕(ごう)。
三人も入ればいっぱいになる小さな壕だが、米軍が沖縄本島に大規模な空襲を仕掛けた一九四四年秋、決戦が近いと聞いて一人で掘り上げたのだ。


◆島に刻まれた記憶

 そんな壕も米軍の圧倒的な火力の前では何の役にも立たなかった。
四五年三月二十三日から、同諸島を取り囲んだ数百の艦艇が空襲と艦砲射撃を始めた。


 二十六日には座間味島に、二十七日には渡嘉敷島に米軍が上陸。

逃げ場を失った島の人々は山の中に集められ、軍の手りゅう弾を使い、肉親の間で手にかけていった。

本土決戦を覚悟した日本軍部が時間稼ぎのために沖縄を捨て石としたとされる戦闘。
県民の四人に一人が亡くなった「鉄の暴風」の中で、悲惨さを象徴する集団自決である。


 千人以上ともいわれる沖縄戦での集団自決の犠牲者のうち、七百人が座間味、渡嘉敷の島に集中したのは、日本軍の海上特攻基地があったためである。

秘密保持のため島民は島外に出られなかった。
沖縄本島では行われた子どもや女性の県外疎開も、島ではなかった。
情報も交通も閉ざされた島で、「生きて虜囚の辱めを受けず」と教えられた島民は命を絶つしかなかった。

 四五年八月の敗戦から七二年までの二十七年間、米軍政下に置かれた沖縄。
その戦後は「基地の島」として始まった。


◆捨て石にしない決意


 沖縄をアジア戦略の重要拠点と位置づけた米国は、サンフランシスコ平和条約の発効によって日本が独立した後も、軍用地のための強制的な土地収奪を続けた。

圧政に対する沖縄の怒りは五〇年代半ば「島ぐるみ闘争」と呼ばれる抵抗運動に発展する。


 復帰後の今も基地の周辺では米兵の性犯罪など事件が絶えない。
だが、日米地位協定によって不十分な捜査と処罰しかできない。

沖縄戦を学徒兵の一員として戦った元衆院議員古堅実吉さん(84)は「沖縄は今も、日本の憲法の下に復帰したとは言えない」と話す。


 九五年に起きた米兵による十二歳の少女暴行事件を発端に、「世界一危険な基地」といわれる米軍普天間飛行場(宜野湾市)の返還が約束されたが、その移設地として名護市の辺野古に新たな基地建設が進められようとしている。


 県選出の自民党国会議員、同党県連が「辺野古容認」へと立場を翻し、「県外移設」を公約して再選した仲井真弘多知事も昨年末、政府の要請を受け入れる形で辺野古の埋め立て申請を承認した。


 与野党がともに県外移設を求める「オール沖縄」は崩れたが、今年一月の名護市長選では、辺野古移設に反対する稲嶺進氏(68)が再選、地元の強い意思を示した。


 沖縄は今年、島の将来を決める重要な政治決戦を迎える。
その天王山は十一月に予定される知事選だ。
沖縄を半永久的な基地の島としない、負けられない闘いだ。


 日米両政府の普天間返還合意から十八年たっても、なお混迷を深める移設問題が、戦後六十九年を迎える沖縄の現実を物語る。

 それはこの間、本土が沖縄の思いを忘れ、こたえようとしなかった裏返しでもある。


 地元の合意がないままの基地建設など許されるはずがない。
今こそ、あの戦争で捨て石とした沖縄を、二度と捨て石にしないという決意を持ってこたえるべきではないだろうか。


 二〇〇七年の教科書検定で、集団自決への「軍の関与」が削除されようとしたとき、小嶺さんら体験者は証言に奮い立った。

自らは手りゅう弾が不発に終わって生き延びた。
このままでは歴史の事実がいつか本当になかったことにされてしまう。そう感じたのだ。


 元中学校校長の吉川嘉勝さん(75)も危機感は同じだ。
定年後は再び故郷の渡嘉敷島に戻り、島に残る戦跡の保存に駆け回る。


◆残さなければ消される


 過去の歴史を覆い隠し、再び戦争のできる国へと舵(かじ)を切ろうとする大きな力への抗(あらが)いでもある。


 小嶺さんが詠んだ歌がある。


 < 戦さ場ぬ憶(うむ)い 忘る時ねえらん 子孫(くぁんまが)に語(かた)て 平和願(にが)ら 命(ぬち)ど宝 > 


 希少な生物が生息し、サンゴ礁の海に囲まれた慶良間諸島は今月、国立公園に指定された。

明るい光に包まれた島々の記憶を、小嶺さんは三線(さんしん)をつま弾きながら語る。
鎮魂の季節を迎えた沖縄。
底に流れる思いをかみしめたい。

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緊急:小だぬきの怒りー「政府広報」

皆さん、私は今日の新聞折り込み広告の中にあった 消費税値上げの「社会保障と税の一体改革」という政府広報に心の底から怒りを感じます。

@政府広報といいながら、発行省庁・発行日が明示されていない。

内閣府でしょうが、国会で強行採決し決定していたのに なぜ税金を使って 値上げ直前の今なのか?
広報の作成・発行日時の明示もない。
これでは、「怪文書」と同じ。

A全て 広報費用は税金ですよね。

衆議院・参議院での強行採決に 理性も道理もなかった証明ではないですか!!
強行採決したものの 国民に納得を得られていない証拠物ですよね。

Bこのような手法が 強権・恐怖政治です。
なぜ、今 政府広報が必要となる 国会運営をしたのか、自民党・公明党・霞が関の責任が問われる。

C広報の内容と国会審議で明らかになりつつある 使用先や大企業減税・福祉切り下げの説明はない。

朝の寝ぼけた頭ですが、改めて消費税値上げに道理がないことがわかりました。
私は 広報の税金額公表と直前に「怪文書」的文書を出さざる得ない 消費税増税に改めて「反対」を表明します。
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2014年03月24日

消費税増税 介護サービスにも影響

参議院本会議 田村智子議員の予算反対討論



消費税増税 介護サービスにも影響、
    食費の値上げを迷う事業者
2014.3.20 16:59   iza産経デジタル

 4月からの消費税率引き上げに伴い、介護保険のサービスも大半が1回当たり数円の利用者負担増となる。

本来は消費税は課税されないが、増税によって施設や事業者の仕入れコストが増える分の補填(ほてん)措置として、介護報酬が全体で0・63%引き上げられるためだ。
入所施設やデイサービス(通所介護)では保険外の食費を値上げする所もありそうだ。
(佐藤好美、寺田理恵)


 ◆おやつ代節約も


 「近隣の施設では食費を値上げする所と据え置く所がある。
うちはまだ決めていないが、値上げとなれば利用者の家族が家計を見直す中で、希望者に月4700円で出しているおやつを節約したり、洗濯を月6千円で業者に頼んでいたのを持ち帰って洗ったりするお宅もあるかも」


 首都圏にある介護老人保健施設(老健=自宅へ帰るために機能回復訓練を行う入所施設)の担当者はこう話す。


 この老健の個室(従来型)に要介護3の人が入所する場合、食費や居住費、介護保険から給付される基本サービス費の利用者負担(1割)などで月額約23万2千円がかかる。

このうち、介護報酬の引き上げで値上げとなるのは基本サービス費。
利用者負担は現行の月額約2万6千円から約190円上がる。


 ◆食費のコスト増


 消費税増税に伴い、施設側のコスト負担増の影響が大きいとみられているのが、利用者が自費で支払っている食費。
食材費や調理の委託費に増税分が反映されるためだ。


 この老健の場合、現行の食費は1日1630円。
入所定員100人の約4割を占める低所得者には介護保険から給付があるが、給付の基準額が1日1380円と決められており、差額の250円は老健側が負担している。

介護報酬の引き上げによる増収分で老健側のコスト増を補えるか、細かい試算はこれからだという。


 東日本にある特別養護老人ホーム(特養)では、増税によるコストの負担増が年額約120万〜130万円に上る見通し。
うち半分が食材費の値上がりの影響だ。

一方、介護報酬の引き上げによる増収を約130万円と見込んでおり、施設長は「大きな設備や器具が壊れなければ増税の影響はあまりない」と見る。


 だが、施設によって事情が異なり、西日本のある特養では「光熱水費が上がっているうえ、食事の調理委託費と食材費も上がる。
施設長の間で食費を上げる話が出ていた」と話す。

介護報酬が全体のサービスにわたり細かく引き上げられているため、正確な試算が難しく、「本当のところは1年過ぎてみないと分からない」(別の特養)のが実情のようだ。

◆在宅も上がる


 在宅サービスの介護報酬単価も変わる。
例えば、要介護2の利用者が入浴介助も含めて7時間以上9時間未満のデイサービス(通所介護)を月に10回受けた場合、利用者負担(1割)の月額は現行の8610円(1単位=10円で計算)から60円増える。


 個々の利用者への影響額は利用するサービスや居住地によって異なり、周知は遅れ気味だ。

東京都内のケアマネジャーは「来月の利用メニューを差し上げ、『費用は後からお知らせします』と説明している。
上がることは利用者も分かっているので、混乱はないはず」。


 ただ、介護保険からの支給上限額ぎりぎりまで介護サービスを利用している人は不安がある。

介護サービスを受ける際は支給上限額が要介護度に応じて定められており、この額に収まれば利用者の負担は1割、上限を超えた分は全額が自己負担となる。

上限ぎりぎりだと各サービスの報酬単価が上がった結果、その合計額が支給上限額を上回る可能性があるからだ。


 こうした極端な負担増を避けるため、上限額も4月から引き上げられる。

だが、現行の上限額を超えて利用している人は全国で7万人超。
要介護度が重くなるほど上限額を超える人の割合が多く、負担が増えるからといってサービスの利用を減らす節約は難しそうだ。


■支給上限額も引き上げ


 消費税の増税で生じる事業者のコスト負担増を補うため、介護報酬は4月から0・63%引き上げられる。
これに伴う介護サービスの単価の引き上げ幅は種類によって異なる。
増税による影響の度合いに差があるためだ。


 例えば、定員31人以上の特養(新型ユニット)に要介護4の利用者が入所する場合、1日の費用は872単位から877単位に上がる。

標準的な地域では1単位10円で換算され、1日当たりの値上げ額は50円。
このうち利用者負担は1割の5円で、残りの45円は公費と保険料で賄われる。

在宅サービスでは、訪問介護のうち1時間弱の身体介護が402単位から404単位になる。
標準的な地域では20円の値上げとなり、利用者負担は2円上がる。


 要介護度に応じた支給上限額も平成12年の制度開始以来、初めて引き上げられる。
サービス単価の引き上げにより、合計額が上限を超過し、全額自己負担の部分が生じる利用者を出さないように配慮された。


 また、増税の影響が大きいとみられる食費は、低所得者に対する給付の基準額が据え置かれる。これについて、厚生労働省は「各事業所の経営実態を調査した結果、事業所が食費にかけている費用は、基準額を決めたときよりも下がっている」と説明している。


【消費税増税に伴う介護保険の支給上限額の引き上げ】

 要介護度   現行    4月から
 要支援1  4970単位  5003単位
 要支援2 10400単位 10473単位
 要介護1 16580単位 16692単位
 要介護2 19480単位 19616単位
 要介護3 26750単位 26931単位
 要介護4 30600単位 30806単位
 要介護5 35830単位 36065単位
 ※1単位はおおむね10円。利用者負担は1割
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2014年03月25日

すき家強盗「自分もできる」最悪の連鎖に・・

すき家強盗「自分もできる」最悪の連鎖に…
 牛丼店被害の8割以上が集中
2014. 3.24 zakzak

  牛丼チェーン店「すき家」を狙った強盗事件が、いまだに後を絶たない。

警察庁のまとめなどによると、全国で起きた牛丼店を狙った強盗事件(未遂も含む)は、8割以上が同店に集中している。

警察庁の指導を受けた運営会社側は対策に乗り出しているが、従業員確保がままならず、深夜の複数勤務は完全実施に至っていないという。

 少し前の話になるが、1月20日午前2時50分ごろ、大阪市住吉区の「すき家住吉遠里小野(おりおの)店」で、強盗事件が起きた。
店に入ってきた男が、アルバイトの男性店員(19)に包丁をつきつけて「金を出せ。袋に入れろ」と脅し、レジにあった現金約5万円を奪って逃走した。

 1週間後の27日、大工見習いの男(22)が大阪府警住吉署に出頭し、強盗容疑で逮捕された。
捜査関係者によると、男は「他のすき家の強盗のニュースを見て、自分もできると思った」と供述したという。

 すき家強盗の多発が“犯行の連鎖”を起こしていた。

 警察庁などによると、牛丼店を狙った強盗事件は、2011年にピークに達し、未遂も含めて90件を数えた。
そのうち、78件がすき家で実に87%を占める。

12年は32件、13年は34件と発生件数は減ったが、それでも、すき家を狙った強盗事件は約85%を占めた。

 すき家は1982年に横浜市で1号店をオープン。
近年の急成長で、吉野家、松屋とともに牛丼店「御三家」と呼ばれる。
牛丼だけではない多彩なメニューが人気で、一気に店舗数で業界トップにのし上がった。

同店を狙った事件が頻発していることに、運営する「ゼンショー」(東京)は警察庁などと連携して防犯対策に乗り出した。
すき家はすでに全店に防犯カメラを設置。
深夜時間帯は複数勤務にする店舗を順次拡大していき、一部の店舗では券売機を試験導入した。

 ゼンショーの親会社「ゼンショーホールディングス」(東京)は11年10月に、12年3月末までに全店で深夜の複数勤務を実施すると発表した。
しかし、目標とした全店での複数勤務完全実施は難しく、いまだに深夜未明の時間帯は従業員が1人の店舗もある。

 同社広報担当者は「地域や時間帯によっては難しいところがあるのは事実。
各店で採用している人数にばらつきがあり、1人になってしまう場合がある」と説明する。

 また、警察官立ち会いのもと大阪市など都市圏で店長やアルバイト従業員を集めて防犯訓練を実施。
防犯マニュアルも作成して異変があれば店内のボタンを押してゼンショーに連絡、ゼンショーから警察に通報するようにした。

 しかし、この防犯マニュアルについて、住吉区の事件で被害者となった従業員は上司らから指導を受けていなかったことも判明。
ゼンショーHDは「対策を強化する」とし、新たな防犯対策に取り組む方針だ。

 同じ「御三家」でも、松屋は食券販売のため従業員は現金に触れることはほとんどない。
吉野家はすき家と同じレジ形式を採用しているが、深夜未明の時間帯には原則複数の従業員が勤務している。
すき家強盗に待ったはかかるか。
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政府広報の偽り 4月消費税増税を正当化

政府広報の偽り
4月消費税増税を正当化
2014年3月25日(火)しんぶん赤旗

「社会保障と税の一体改革」に関する政府広報が新聞折り込みでいっせいに配られました。
4月からの消費税増税を正当化する広告です。
並んでいるのは「増収分はすべて社会保障のために使う」「所得の低い方に対策を行う」など、破綻ずみのうそばかりです。

社会保障財源が5兆円増える?
実際は5000億円、改悪次々
 

 政府広報は「増収分5兆円はすべて子育て・医療・介護・年金といった社会保障のために使われます」と書き、消費税増税で社会保障財源が5兆円増えるかのような印象を振りまいています。
しかしこれは欺まんです。


 実際には、増収分のうち4兆2千億円については、他の税金などによる財源を消費税に置き換えるだけ。
さらに2千億円は増税による物価上昇で消えます。


 新たに社会保障に回るとしている財源は、わずか5千億円にすぎません。

それすら、「待機児童解消」の名による保育の質の引き下げや、「病床の役割の分化」の名による入院患者の追い出し強化などの制度改悪と一体です。
社会保障は「充実」などしません。


 社会保障制度を「だれもが安心して利用できるようにする」という宣伝文句に至っては、真っ赤なうそです。


 安倍内閣は、70歳になった人の患者負担(74歳まで)を、4月から順次2倍(1割↓2割)にします。
年金支給額も昨年10月分の1%削減に続き、4月分からさらに0・7%減らします。
介護保険では、要支援者向けの訪問介護と通所介護を保険給付から外すなど、制度創設以来の大改悪法案を今国会で押し通す構えです。


 さらなる改悪メニューも目白押しです。
「社会保障を利用できなくして国民を不安に陥れる」というのが「改革」の実態です。

景気冷え込み対策に5.4兆円?

大企業だけが潤う

 消費税増税は景気後退を招き、経済も財政も悪化させます。
1997年、消費税率を3%から5%に引き上げた後も税収はかえって減りました。


 政府広報は、消費税増税後の景気冷え込み対策として「5・4兆円の新たな経済対策」を実施するといいます。
13年度補正予算のことです。
しかし、その中身は(1)復興特別法人税を1年早く廃止(2)社会保障切り捨てを本格化(3)新規大型開発事業に3000億円以上(4)1200億円の軍事費計上―です。

大企業だけが潤い、中小企業や国民には負担を押し付けるものばかりです。


 低所得者や子育て世代に1万円の給付金を支給すると言いますが、給付は1回だけ。

消費税増税による負担は毎日です。
国民全体で8兆円、民間研究所の試算で「年収300万円未満の世帯で約5万7000円」(みずほ総研)という大きな負担増を減らすにほど遠い“対策”です。
低所得者や子育て世代の負担増を心配するなら、消費税増税そのものをやめるべきです。


 政府広報には給付金について問い合わせの電話番号が載っていますが、22・5秒に10円かかる有料ダイヤルです。
3分話しただけで80円。
低所得者給付の問い合わせにお金を取る非常識ぶりです。

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2014年03月27日

座標軸が右にぶれすぎだ

【私説・論説室から】
座標軸が右にぶれすぎだ
2014年3月26日 東京新聞  

私は彼を「右傾化を無批判に追認する保守派」、
彼は私を「時代遅れの左翼ジャーナリスト」と、互いに決めつけあってきた。

 取材先で親しくなって二十年来の付き合いになる友人がしきりと挑発してくる。

 「安倍(晋三政権)は強い。
スキャンダルがないしライバル不在。来年の自民党総裁選は安倍再選だ。そう思わないか」と。  

政界、一寸先は闇さ、この先なにがあるかわかんないよ、と私。

だって、首相肝いり人事だった内閣法制局長官にしてもNHKの経営委員も会長も、こんな物議を醸すだなんて誰も想像しなかったろうに…。

 彼はひるむことなく、言い返す。
「安倍はああいう人たちが好みなんだ。類は類を呼んで共振する連中が集まる。だからといって野党は攻めきれてないじゃないか。左翼が衰えて国会に緊張感のないのがむしろ心配だ

 彼の高揚の根拠は五割前後から六割近くを保つ内閣支持率にある。

一強多弱の国会、元気なのは共産党ぐらいとなれば、座標軸がいよいよ右ぶれしている感を強くする。

 本格化する集団的自衛権の論議も反対を唱える勢力は数えるほどで、聞こえてくるのが憲法解釈変更は慎重に丁寧に、の声ばかりでは、彼の言うとおり、結果が見えそうだ。

 国の針路が変わりかねない大事な局面である。身構えて熟慮しなくてはいけない。
わが友と、この点では一致する。 (谷政幸)
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進む貧困化に大増税が直撃

進む貧困化に大増税が直撃
消費税5%増税から17年
「貯蓄なし」3倍 賃金70万円減
2014年3月27日(木) しんぶん赤旗

安倍晋三・自公内閣は、4月1日から消費税率8%への増税を強行しようとしています。

消費税率を3%引き上げれば8兆円の大増税です。
年金削減や社会保険料引き上げという社会保障などの改悪を合わせれば10兆円の負担増。
史上空前の大増税です。(佐久間亮)

 消費税が5%に増税されたのが1997年です。
この17年間で国民の貧困化が進みました。

 正規雇用が不安定で低賃金な非正規雇用に置き換えられました。
非正規雇用の割合は、97年の23・2%が今年1月には37・6%まで上昇。

3人に1人が非正規雇用という状況が生まれています。

 働いているのに年収が200万円に届かない貧困層が1090万人に達しています。
97年と比較すると276万人の増加です。

 「貯蓄なし世帯」は、97年の10・2%から昨年は過去最高の31%に3倍化しました。  

労働者の年平均賃金は97年には446万円でした。
現在は377万円。約70万円も減少しました。

雇用者報酬(雇用されている人の賃金と社会保険料の企業負担分の総額)は30兆円のマイナスです。

 消費税の8%への増税は、貧困化が進んだ国民生活を直撃します。

国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費が冷え込み、景気が悪化します。
景気悪化に対応しようと企業がさらなる雇用破壊を進めれば、内需の低迷は決定的となり、負の連鎖を生み出します。

 大企業はうるおっています。
経常利益は15兆円から26兆円に増加。内部留保にいたっては140兆円から272兆円にほぼ倍増しています。

 消費税率が引き上げられる半面、大幅に下がったのが法人税率です。
97年に37・5%だった法人税率は、98年以降除々に引き下げられ、いまでは25・5%になっています。

法人税収も13・5兆円から10・1兆円へ、3兆円以上少なくなっています。

 安倍内閣は、消費税増税の一方で法人税のいっそうの減税に着手しました。
“大企業栄えて民滅ぶ”の経済政策への暴走を食い止めることが必要です。
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2014年03月28日

税金使って増税押しつけ 政府広報

税金使って増税押しつけ 政府広報
12.6億円 テレビ・新聞・ネット
2014年3月27日(木) しんぶん赤旗

安倍晋三政権は消費税増税を押しつけるため政府広報に、国民の血税12億6000万円を費やしていることが、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の調べで分かりました。

 佐々木議員の調べによると、政府広報はテレビスポット、新聞・雑誌広告、新聞折り込み広告、ラジオCMなど多岐にわたります。

インターネット上の広告にあたるウェブバナーや駅貼りポスター、コンビニ有線放送CMを活用するなどありとあらゆる階層にいきわたるように広報を展開しています。

 この中で安倍政権は、消費税増税への反発を抑えるために、「5・4兆円の新たな経済対策」を実施するなどとした宣伝を行っています。

 ポスターでは「消費税率の引上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます」としています。

しかし、2014年度予算では、国と地方合わせた消費税の増収額は5兆円を見込んでいるのに対して、「社会保障の拡充」にあてられるのは5000億円程度です。

しかも、「保育の拡充」に1・1兆円が必要と試算したのにもかかわらず、7000億円の予算しか確保できなかったために、内容を削減するありさまです。

事実と異なる中止すべきだ  

日本共産党・佐々木憲昭衆院議員の話 

消費税増税を国民に押し付けるために、政府が税金を使って宣伝を行うなど、とんでもないことです。
国会論戦では、国民にとっては消費税増税に加えて社会保障も削減されることや、消費税増税をすればかえって財政が悪化することなどが明らかになりました。
消費税増税そのものを中止すべきです。
事実と異なる宣伝はやめ、そんなカネがあるなら、福祉にまわせと言いたい。
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2014年03月29日

すき家閉店続出

すき家閉店続出
  人員不足のため、18時に閉めます
1人勤務、新メニューで過重負担
青年ユニオンが指摘 「賃上げ・増員を」
2014年3月28日(金) しんぶん赤旗

外食産業最大手ゼンショーグループが全国1985店舗を誇る牛丼チェーン「すき家」に一時閉店が相次いでいると話題になっています。
過酷な労働で人員不足におちいっている「すき家」の実態が浮かびあがってきました。
 (前田智也、田代正則)

 東京都内ですき家を探し歩くと、「年中無休24時間営業」のはずが店内真っ暗となっている店舗がそこかしこにあります。
 3月中旬から、すき家閉店がインターネット短文投稿サービスのツイッターなどで話題となりました。

ゼンショーは24日、公式ホームページに「リニューアル(改装)工事」を順次開始すると発表しました。

ゼンショー広報は、現在、全国百数十店舗がリニューアル閉店中だとしています。
はっきりと貼り紙  公式ホームページで営業中となっているのに閉店している店舗も。
はっきり「人員不足」と貼り紙されているところもあります

 八王子市の八王子東町店は、21日午後6時〜22日午前9時まで、人員不足で閉店していました。
 武蔵野市の「井ノ頭通り吉祥寺店」は、21日に「機器メンテナンスの為、閉店させていただきます」と貼り紙していました。
24日には「人員不足の為、カウンター席のみの営業となっております」と書いてありました。

 ツイッターには、全国各地で突発的に閉店した店舗の画像が投稿されています。
24時間連続シフト  職場はどうなっているのか。

深夜の勤務シフトを終えた女性店員は「24時間続けてシフトに入っていました」と悲鳴をあげました。

 「新メニューの牛すき鍋定食がとにかく負担なんです」。
牛丼などの従来メニューは、工場である程度調理しておき、店舗で仕上げて提供していました。
牛すき鍋定食は、店舗での仕込みの手間が格段に求められるといいます。

 「同じ時給でもっと楽な仕事があるので、店員がやめていくのではないでしょうか」とも。

 すき家は、店舗にぎりぎりの人員しか配置しないことで有名でした。
その時間帯の売り上げによって、人員配置数を決めているため、仕込みにかかる手間が考慮されていない、との不満の声が店員からあがっています。

 この女性の働く店舗は、近隣店舗が一時閉店になっており、営業中の同店に客が集中しているといいます。

組合員のいる店は  首都圏青年ユニオンの山田真吾事務局長は「すき家は、深夜帯に『ワンオペ』といわれる1人勤務をさせるため、休憩が取れない、体調不良でも休ませてもらえない、という訴えがありました。

強盗が頻発する問題もありました」と指摘します。

 会社は一時期、青年ユニオンとの団体交渉を拒否していましたが、現在は和解し、昨年から団体交渉に応じています。

組合員たちの昇給差別が是正され、一気に時給20円〜30円引き上げとなりました。
組合員のいる店舗で閉店は起こっていない、といいます。

 青年ユニオンは、すべてのアルバイトの時給水準引き上げ、休憩のとれる人員配置で、人間らしく働ける職場にするよう会社に要求。
会社都合の閉店時の賃金補償について、店員の相談に応じるとしています。

 ゼンショー広報は、本紙に対し、リニューアルによる一時閉店は、人員不足とは別問題だとしつつ、「イレギュラー(不規則な事態)による閉店は、過去から起きていた問題です」と回答。

1人勤務体制が閉店を起こしやすい原因ではないかとの質問に、「そういうところを含めて、対応したい」と答えました。
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ゆるんだ国会 昭恵さんが奪う対立軸

社説:視点:ゆるんだ国会
 昭恵さんが奪う対立軸
毎日新聞 2014年03月29日 

 国会論戦が不評だ。
単に与党ペースで日程が淡々と進んでいるためではない。
空気がゆるみ、メリハリがないのだ。

 戦後3番目の早さの2014年度当初予算の成立にあたり、最も注目されたのは石原伸晃環境相の国会遅刻問題だった。

象徴的なのは、答弁に立つ政府側が与党議員である委員長や理事に注意される場面が今国会は目立つことだ。

 25日の参院外交防衛委員会で小松一郎内閣法制局長官が持ち込み禁止の携帯電話でメールを見ながら答弁、末松信介委員長(自民)から注意され陳謝した

体調不安を抱える小松氏だが、答弁資料を携帯画像で渡す事務方も、それを読み上げる小松氏もやはり軽率だった。

 参院予算委員会はNHK問題をめぐり新藤義孝総務相が安倍晋三首相の代わりに指名無しで答弁に立とうとし、山崎力委員長(自民)が「ちょっと待って」「お待ちください」と10回以上連呼、速記も止める場面があった。

政府とは異なるが、衆院予算委員会では参考人の籾井勝人NHK会長が野党の質問にまともに答えず、見かねた二階俊博委員長(自民)が強い調子で答弁を催促した。

 野党も論戦を結束して提起できず低調国会に加担している。

日本維新の会やみんなの党は安全保障政策で与党の応援団の印象だ。

民主党も個別には深掘りした質疑はあるが、広範な関心を呼ぶ対立軸を示せない。

 そんな民主党議員の多くは首相夫人、安倍昭恵さんが「家庭内野党」として脚光を浴びることに複雑な思いを抱く。

このところ昭恵さんは防災対策の巨大防潮堤計画の見直しに熱心だ。
その発信力はもしかすると海江田万里代表以上かもしれない。

 政治家でない昭恵さんの発言にはもちろん、さまざまな評価がある。

ただ、存在感が際だつのは原発政策、公共事業問題など民主党が打ち出しきれない対立軸をわかりやすく示しているためではないか。

 防潮堤の場合、筆舌に尽くしがたい犠牲を生んだ被災地での整備はなかなか複雑な問題だ。

だが、全国的な防災の課題として景観、減災などの観点から考えた場合、「コンクリートから人へ」を掲げた民主党こそ、そのあり方をいち早く問題提起すべきだったと思う。

 政権失敗の痛手から民主党がいつまでも立ち直れず、いわゆる第三極勢も空中分解寸前という状況下に昭恵さんの現象がある。 

野党が自らの責任と受け止めない限り、後半国会もゆるんだ論戦をよそに「家庭内野党」が異彩を放ち続けるだろう。
         (論説委員・人羅格)
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2014年03月30日

消費税来月8% 被災者の輪 増税が裂く

消費税来月8% 
被災者の輪 増税が裂く
2014年3月29日 13時52分 東京新聞

 四月一日の消費税増税を前に、東日本大震災や原発事故の被災者が「今よりさらに生活が圧迫される」と不安を募らせている。

家族が離ればなれに避難している人も依然多く、二重生活による交通費や光熱水費のアップがのしかかる。

増税で、親類同士の行き来や冠婚葬祭への参加を控えようとする傾向がみられ、被災者の孤立を進めかねない状況だ。

 福島県桑折(こおり)町。JR桑折駅近くの仮設住宅で、東京電力福島第一原発事故で離散した福島県浪江町民三百三十人余りが避難生活を送る。

 夫婦二人で四畳半二間の狭さ。コタツとテレビを置くと寝転がる余裕はない。

集会所に集まっていた五十〜七十代の女性十人に消費税アップを尋ねると、「先行きや老後の生活の見通しが立たない以上、一円でも節約したい」と口々に語った。

 故郷に戻れるのか。復興公営住宅の入居や家賃はどうなるのか。
「必要な情報がないから、生活を切り詰めるしかない」という声が多い。

 原中セイ子さん(75)は夫と二人暮らし。
同居していた息子夫婦は茨城県に移住し、近所にいた姉(91)は福島市の介護施設に入った。息子や姉の元へ夫の運転する車で行くことになり、ガソリン代も月一万円ほどかかるようになった。

 「姉は寂しがって、行くと喜ぶ。
でも食費は削れないから、姉や息子のとこへ行く回数を減らすしかねえかな」。

光熱水費と電話代以外の支出は毎月五万円以内と決めている。
食費やガソリン代が多く占める。

 出費で意外に多いのが親類・知人の葬儀に参列する際の香典代。
月に二、三回あるという。

離散した浪江町民の葬儀は各地で開かれるため、出向けば交通費やガソリン代がかかる。
なじみの顔と会える貴重な機会だが、「増税後は我慢して欠席するしかねえな」と寂しそうにつぶやいた。

 仮設住宅の別の女性(65)は家計簿をつけており、試算すると、増税分は三千百六円になった。
福島県二本松市の仮設住宅で暮らす母(86)と弟夫婦の元に月二、三回通うが、電車なら運賃と手土産代で一回に約二千円使う。
「増税分とほぼ同じ。行くのを月一回減らすとか考えないと」という。

 阪神大震災の際、兵庫県社会福祉協議会が仮設住宅入居者にした調査がある。

支出で切り詰めていたのは衣服費がトップで、娯楽費が三番目、交際費が六番目に入った。

調査は「周りの人たちとかかわりをもつことで人間らしく暮らせる。
娯楽費や交際費を切り詰めることは社会的な孤立に通じる」と指摘した。

 津波で家を失い、原発事故で故郷を離れたまま、長期の避難生活を強いられる被災者は今なお約二十六万七千人。

消費税3%アップが被災者の活力を奪いかねないとの懸念が高まっている。
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2014年03月31日

社説:消費税8%へ 増税の原点、再確認せよ

社説:消費税8%へ 
増税の原点、再確認せよ
毎日新聞 2014年03月30日 02時30分

 全国各地のスーパーや家電量販店などは、4月1日の消費税増税を目前にして買い物客でにぎわっている。

税率5%のうちに日用品や保存のきく食料品などをまとめ買いしたり、家電製品を駆け込み購入したりする人たちだ。

 消費税8%となる2014年度の家計の負担はふくらむ。
みずほ総合研究所によると、年収300万円未満の世帯で年間平均5万7529円、年収600万〜700万円の世帯で9万5562円、それぞれ増える見込みだ。

◇国民裏切るかけ声倒れ  

負担増をやわらげようと、消費者は生活防衛を図る。

それに比べ、税の効果的な使い道を考え、国の財政のかじ取りを任された現政権には、節約の発想も、やりくりの工夫も見られない。

 安倍晋三首相は昨年10月の記者会見で消費税増税を表明し、国民に「歳出のむだは不断に削減していく」と約束した。

ところが、実際にはかけ声倒れが続いている。

 昨年末にまとめた新年度予算の政府案は、公共事業費をはじめ、防衛、農業関連などの主要な経費がそろって増額だった。
予算規模は95兆円を超えている。

 今年になって国会で成立させた13年度補正予算は「だまし討ち」のようなことが起きた。
政府の行政改革推進会議が「むだ」と判定し、新年度予算からそぎ落とした事業の多くを復活させたのである。

 自らの身を削って、えりを正すための改革もできていない。

 「国民に負担増を求める以上、身を削る必要がある」と自民、公明、民主3党が、衆院の大幅な定数削減で合意して1年4カ月もたつ。
しかし、定数を「0増5減」する応急手当てだけで、放置したままだ。

 今回の負担増が、社会保障制度の充実や将来の不安解消に大きな力となるならば、まだいい。実際のところ、税率8%で生まれる財政のゆとりはわずかで、借金を穴埋めするのにも不十分だ。

新しい対策はほとんど始められない。

 法律に定めた通り15年10月に消費税率を10%に引き上げ、財政の余裕度をもう一段高めることが、将来につけを回さず、次世代への責任を果たすうえで欠かせない。

だが、むだを見直さず、自らの身を削ろうとしないまま現政権がそれを言い出しても、国民は納得しないだろう。

 今、求められるのは消費税増税の二つの原点の再確認である。

 まず社会保障を持続可能なものにすることだ。

制度改革の骨格となるプログラム法は昨年末に成立した。
所得に応じて負担を上乗せしたり、給付を減らしたりする新しい考えに基づいている。

痛みを伴う方針転換だけに、強い反発があるだろう。
だが、圧力に負ければプログラム法を肉付けする個別分野の法改正が遅れ、給付の抑制が進まない。
政治的な困難さを克服して着実に実行すべきだ。

 緩んだ財政規律を改め、むだを削る姿勢を国内外に明らかにすることも非常に大事だ。

 国の借金残高は昨年6月、ついに1000兆円を超えた。借金増加の勢いは衰えない。
一方で、民間も含めた国としての「稼ぐ力」である経常収支は12年度まで黒字だが、その黒字額は小さくなる傾向にある。

「双子の赤字」が現実味を帯び、内外の市場関係者が今後の動きと政府の対応を注目している。  

◇不可欠な弱者への配慮

 こうした中で次の15年度予算編成に向けた議論が6月ごろに始まる。
増税による経済の停滞が心配になる時期でもあるが、一時的な動きにとらわれて公共事業などの歳出をふくらませる方向を目指さず、長期的な視点に立って歳出膨張に歯止めをかける姿勢を明確にすべきである。

 重要なことがもう一つある。かつての消費税増税時に比べ、目配りしなくてはいけない経済的な弱者が増えている点だ。

 政府は今回、低所得者対策として住民税を払っていない2400万人に1万円を給付する。
条件は異なるが、同じ狙いだった消費税導入の1989年度は対象者563万人、5%に上げた97年度は890万人だった。

四半世紀で、それだけ生活に苦しむ層が増えているわけだ。

 食品など生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の導入を急がなくてはいけない。

自民、公明は5月までに「基本的な考え」をまとめる方針だが、10%に引き上げる段階での導入を可能にするため、具体的な制度設計に早く取り組むべきだ。

 食品のほか新聞、書籍類の税率も欧州各国のほとんどがゼロや数%に抑えている。

「知識には課税しない」という考えは、だれもが情報を入手しやすい環境を整え、民主主義を支えるうえで不可欠である。

 17年ぶりの消費税増税は、国民の日々の暮らしに大きな痛みを伴う。

この痛みが未来の明るい展望につながるならば、まだ我慢できる。
しかし、政治の怠慢によって無になるならば、腹立たしい限りである。

 そのためにも消費税を含めた税金の使われ方、さまざまな政策の進め方をしっかり監視し、はっきり意思表示していかなくてはならない。
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2014年04月01日

人事異動や転職で不安…新天地で「成功する人」「失敗する人」

人事異動や転職で不安… 
新天地で「成功する人」「失敗する人」
2014.3.30 日刊ゲンダイ

 ヤル気マンマンで転職人も、飛ばされたと沈んで異動する人も、等しく新年度を迎える。

ヤル気があっても、中高年なら心のどこかに不安もあるはずだ。

新天地で成功する人は、何が違うのか。
出向先でこれでしくじった  転職も異動も、中高年は成果が求められる。
10年前と大きく違うのは、スピード感。特に中高年の転職だと、スタートダッシュが肝心だ。

「中高年の転職は年齢的に中間管理職で、なおかつ新天地が中小企業のケースがほとんどです。今のご時世、中小企業は社員1人の売り上げで、黒字か赤字が分かれたりする。
10年前なら、成果を出すまで半年くらい待っていてくれた企業も、今は3カ月が精いっぱい。

古巣の取引先や大学の仲間、親戚など、使える人脈はだれでも頼り、とにかく早く結果を出す。競争が激しい時代だから、よく思わない人を認めさせるためにも重要です」(キャリアコンサルタント・新田龍氏)

新天地でガムシャラに仕事をやるのは大切だ。
だが、やり方は考えた方がいい。
経験を積んだ中高年ほど失敗しやすい。

「同じ社内でも部署が違うと、勤務時間や連絡の取り方、決裁の仕方が変わります。
転職ならなおさらです。

異動する人は事前に同僚や新しい上司に暗黙のルールを確認しておくといい。

転職する人は、社長や上司に素直に教えてもらうこと。
でも、年下上司に『ご指導ください』なんて仰々しくすることはありません」
(人材コンサルタント・菅野宏三氏)

■上から目線はご法度

 大企業から中小企業への転職の場合は、さらに注意点がある。

「大企業は、仕事が大きい半面、社員一人一人の役割はそれほど大きくはありません。
しかし、中小企業だと、一つ一つの仕事は小さくても、一から十まですべて一人でやるケースが多い。
そうすると、責任の取り方が違ってくるのですが、理解不足の“大企業病”の人が少なくありません。

この点は、転職直後の成否を左右する大きなポイント。
部下の仕事を承認したり、上司に承認されたりしたら、その仕事すべてを承認したことになるのです」(新田氏)

仮に転職した人が管理職なら、必要以上の指示は部下に疎まれる。
だからこそ、やり方やルールを事前に確認しておくことが重要なのだ。

 では、異動や出向の人はどう動くべきか。

 パッとしない人が異動や出向すると、たとえ上司でも、受け入れる側は「オレたちがオマエを食わせてやってるんだ」と内心軽く見る。社内やグループ内でも競争が激しい今、その傾向が強まっているという。

「常に謙虚な姿勢が大事で、上から目線はご法度です。
異動にふてくされたりすると、意外とそれができない。
逆に謙虚さを勘違いして、下手に出過ぎてビビったりする。

ウソだと思うかもしれませんが、ドラマ『半沢直樹』で出向した経理部長が異常に臆病に描かれているのは、それがエスカレートしていることの動かぬ証拠です」(菅野氏)

 中小企業は、OLを雇う余裕がない。女子社員だって総合職の戦力だ。転職後にうっかり、「お茶、よろしく」なんて言おうものなら、陰で何を言われるか分からない。

お客さんのお茶は自分で用意する。
家に帰ると妻に何でもやってもらうような人は、この手のうっかりを連発しやすい。要注意だ。
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2014年04月03日

消費増税が正規雇用者を減らすカラクリ 女性経済学者が解説

消費増税が正規雇用者を減らすカラクリ
 女性経済学者が解説
2014.04.02 07:00 NEWSポストセブン

国民生活に負担を強いる消費増税が実施された。
国は3%の増税で約7.5兆円の収入増をあてこみ、「社会保障費への捻出」「物価上昇による景気拡大、雇用創出」などバラ色の未来を描いているようだが、そんなにうまくいくのだろうか。  一貫して「消費税は公平を謳いながら、実は不公平な税制」と指摘する大阪経済大学経営学部客員教授の岩本沙弓さんが、消費増税“賛成論”のウソを暴く。
 * * *
 消費税増税の推進する向きからは、賛成する理由として賃金に対して直接の負担を求める社会保険料に比べても雇用の創出に中立的だから、という点があげられています。

果たして本当に中立的なのかどうか、ここは大きな疑問が生じます。

 消費税の納税額の算出方法を簡略化すると、「(売上―経費)×消費税率」ということになります。
消費税の納税義務のある事業主としてみれば、いかに「経費」の部分を多く積み上げられることができるか、それ次第で消費税の納税額が変わってきます。

 ポイントはこの「経費」に人材派遣業社などへの支払いを含めることができるということ。
言葉は悪いですが、非正規労働者や契約社員はモノのように扱われることで「経費」の一部と見なされ、「売上」から引くことが可能となります。

 その結果、消費税の納税額を減らすことができる、という仕組みとなっています。
つまり、消費税を導入すればするほど、そして税率が上がれば上がるほど正規雇用者の数はますます減少しやすくなるのです。

 消費税導入、橋本政権下で3%から5%へと引き上げの歴史と、非正規労働者が増加の時期は、もちろん小泉政権下での雇用の規制緩和も併せてということになりますが、重なっていると言っても過言ではないでしょう。

 正規雇用を減らし、非正規雇用を増やす作用のある税制度が果たして雇用の創出に中立的と言えるのでしょうか。

 また、今回の消費税の増税法案が「社会保障と税の一体改革」と命名されていることが示すように、増税の目的は社会保障費の捻出とされています。

しかし、消費税が果たして社会保障費の捻出となり得るのか。
これも消費税導入からの経緯を踏まえると疑問を投げ掛けざるを得ません。

 消費税を採用してから20数年あまり、一向に財政再建にはなりえなかったという証拠は財務省が公表している「一般会計における歳出・歳入の状況」を見れば一目瞭然です。

 消費税導入をした年を起点として、歳出(社会保障費など政府から出ていくお金)は増える一方で、歳入(税金なご政府に入ってくるお金)は減少が始まっています。

 さらに、消費税を引き上げた1997年以降は一段と歳入と歳入の差が拡大しています。
消費税だけで財源確保しようと思っても無理がある、というのがありありとわかってしまうのです。

 つまり、「消費税だけで社会保障費を捻出するような財源確保」の発想にそもそも限界があるのです。
増税をする前に、そのあたりからまず分析をし直す必要があるのではないではないかと当局には申し上げたいと思います。

岩本沙弓/いわもと・さゆみ
経済評論家、金融コンサルタント。
1991年から日米豪加の金融機関ヴァイスプレジデントとして外国為替、短期金融市場取引業務に従事。
現在、金融関連の執筆、講演活動を行うほか、大阪経済大学経営学部客員教授なども務める。
近著に『アメリカは日本の消費税を許さない』(文春新書)、『あなたの知らない日本経済のカラクリ』(自由国民社)などがある。
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2014年04月04日

香山リカのココロの万華鏡:医療特区の理想と現実

香山リカのココロの万華鏡
 医療特区の理想と現実
毎日新聞 2014年04月01日 首都圏版

文部科学省は、世界の医療分野をリードする人材を専門に育てる「国際医学部」が必要と判断して、医学部新設の検討を始めたそうだ。

政府は世界最高水準の医療を提供できる国家戦略特区の設置を計画しており、そのための人材育成を目的としているとのことだ。

 日本の医療水準は現在でも世界有数を誇っているが、世界で活躍する教授らと優秀な学生が集まる国際医学部は、どれほどの高レベルになるのだろうか。

もちろん公用語は英語で、スタッフは「明日はパリで講演、週末はロンドンで手術」と、世界を飛び回るのだろう。

世界からセレブが超一流の健康診断や治療を求めてやって来て日本経済の後押しもしてくれるに違いない。

 夢のような華やかさだが、ふと現実に引き戻されると手放しで喜ぶわけにもいかない、という気分になる。

日本では今、あちこちの医療現場、特に地方では深刻な医師不足にあえいでいる。

地域医療の中核を担うはずの公立病院からも常勤医がいない、外来を閉鎖せざるをえない、という声が聞こえてくる。
また、都市の病院であっても、小児精神科などまだまだ人材不足に悩む科も少なくない。

 私は現在、東京で民間の診療所に非常勤で勤務しているが、パソコンのメールボックスを開くと、毎日のように医師の転職情報サービスからメールが届いている。

私自身、転職などまったく考えていないのだが、「年収も休日もたっぷり」「都心で働きませんか」といった魅力的な誘い文句を日々見せられるとなんとなく気になってくる。

もし今、地方で多忙な病院に勤めていたら、きっと誘いに乗ってしまったのではないかと思う。そう考えると、激務を離れて都市のクリニックに移る医者を責める気にはとてもなれないのだ。  

文科省が考えている「国際医学部」はどうなのだろう。
世界水準で腕を試したい、という野心を持つ医者や学生は、そこでの勤務や勉強を希望するのではないだろうか。
向上心は否定されるべきではないが、その分、一般の地域医療に“空席”が生じることになる。

 もちろん、理想は最高水準の医療も地域医療も、ともに充実することだ。

とはいえ、それが現実的でないことは誰の目にも明らか。

となると、少数のセレブが恩恵を受ける「世界最高」と無数の人のための「地域一般」、どちらのレべルを優先すべきか、ということになるのではないか。

 その答えはあえてここには書かず、みなさんはどう思いますか、と尋ねたい。
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2014年04月05日

論文のイロハを知らない理系研究者

【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
論文のイロハを知らない理系研究者
2014.4.4 日刊ゲンダイ

小保方さんは「捏造」「改竄」なのか

エコノミストの領域ではないが、研究者のひとりとして看過できない問題だ。
STAP細胞の研究論文に関して、理化学研究所の調査委員会が「捏造(ねつぞう)」と「改竄(かいざん)」を認定した。  

はたして、この調査結果は正しいのか。

研究をリードした小保方晴子さんが未熟だったのは間違いないだろう。
まだ30歳の駆け出しだ。
かばうつもりはないが、ミスをすることだってある。

 特に彼女の場合は、論文の書き方を知らなかったことにありそうだ。

基本やイロハを知っていれば、非難されることではなかっただろう。
実際、調査委員会はSTAP細胞の存在を否定していない。

そこも無責任な話だが、画期的な結果をもたらした研究内容についての判断は留保した。
これから1年かけて検証するそうだ。
それなのに「捏造」だ「改竄」だと一刀両断するやり方は異常だ。

小保方さんが「承服できない」と不服申し立てをする構えなのも当然だろう。

 実験にのめり込んでいる理系の研究者の多くは、論文を書く機会が極めて少ない。
そこが文系の研究者と違うところだ。

文系であれば、論文を書き慣れているしトレーニングも積んでいる。
どのように表現するのが適切かも理解しているから、この手の失敗は起こさない。

 小保方さんの論文は、博士論文と画像が酷似している点が「捏造」とされたが、論文の作成で引用は決して珍しいことではない。
広く行われていることだ。
ただ、誰の何を引用したのかは、きっちりと明記しなければならない。
そのルールさえ守っていれば、他人の研究を自分の研究に生かすことは許されている。

むしろ、いろんな研究を踏まえて研究しなければ、新しい扉も開けない。

小保方さんは、画像の引用が必要だったのなら、論文の中で説明すればよかったのだ。
「改竄」と指摘された画像の切り張りについても同じである。
加工した理由を明記していれば、何ら問題にならなかったはずだ。

 この程度のミスを断罪し、研究者としての生命を絶とうとする調査委員会のメンバーも、理系の研究者を中心に構成されている。
やはり小保方さんと同じで、論文のイロハを知らないのだろうか。
あるいは知っていながらも、組織を守るために個人をバッサリと切ったのだろうか。

 いち文系の研究者には理解できない騒動である。
          【高橋乗宣】
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2014年04月06日

教科書 複眼的思考力を養おう

社説:教科書 
複眼的思考力を養おう
毎日新聞 2014年04月05日 02時32分

 薄くて地味、といった昔のイメージは今の教科書にはあてはまらないだろう。

小学校で来春から使われる今回の検定教科書はますます厚くなり、写真、イラスト、図解などで彩り豊かだ。

だが、肝心なのは教科書の体裁より、どう生かすかだ。
よくいわれる「教科書『を』教えるのではなく、教科書『で』教える」ことが問われている。

 学校教育の基準とされる現行学習指導要領は、学力低下論を背景に脱「ゆとり」の方向にかじを切ったもので、学習内容を増やした。
ページ数で見ると、小学校では初回の検定(2009年度)で25%、2回目の今回はさらに9%厚くなった。

  しかし授業時間が比例して増えはしない。
そうした中で教科書を活用するとは記載をすべて消化することではなく、子供の学習進度などを見ながら、授業の組み立てや目標に即して内容に選択や強弱を工夫することにほかならない。
簡単ではない。

 また、全教科を通じて討論や意見発表などの言語活動を活発にし、その力を伸ばすという学習指導要領の基本方針から、話し合いやノートの取り方、自分の意見と他人の意見の違いの整理、調べ学習の方法などを細かに例示した。

 また新聞記事の読み比べや、東日本大震災をめぐるさまざまな政治や社会の動きなど、同時代的テーマも工夫されている。

 近年注目され、日本の学校教育にも反映されつつある経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査(PISA)で見る読解力や数学的、科学的活用力。

それは学校の教科別知識ではなく、教科の枠を超え、日常生活にも結びつくものだ。

 言語活動はその一環と位置づけられるが、厚い教科書をその活発化に生かしたい。

 今回の検定では社会科を扱った全社が「領土問題」を記述した。
尖閣諸島に対し「中国が領有を主張しています」と記す教科書もあるなど客観的だが、小学校段階では簡略だ。

 今後、言語活動の比重が増す中学、高校で、お仕着せではなく、歴史や世界に関心を広げて複眼的で掘り下げた論議、思考にもつながる教科書の記述や学習になるかが肝心だ。

 団塊の世代の退職と入れ替わるように、学校では若い先生の割合が高まった。

教科書会社によると、授業の進め方がわかりやすい教科書を求める声もあるという。

 しかし、教科書の活用については実践の中で工夫され、それが経験の浅い若い世代にも伝えられ、共有されることが重要だ。

そしていずれ、教材がもっと多様化し、検定教科書も唯一の存在ではなく「主たる教材の一つ」となるのが望ましい。
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2014年04月07日

民主主義のルールとは

週のはじめに考える
 民主主義のルールとは
2014年4月6日 東京新聞「社説」

「一強多弱」の政治状況です。
多数決を用いれば、「一強」は何でも決められます。
でも、民主主義には多数派のおごりを覆すダイナミズムもあります。

 三人が昼食に行こうとしています。
Aさんは和食がいいと言い、Bさんは洋食、Cさんは中華を望んでいます。
決まりません。

 そこで好む順番を考えました。
Aさんは和食、洋食、中華の順。Bさんは洋食、中華、和食。Cさんは中華、和食、洋食の順です。
好む順番にそれぞれ三点、二点、一点を与えると、和・洋・中、すべて六点の同数になってしまいます。

要するに何を食べるのか、決まらないのです。

◆少数意見に意義がある

 これに似た状態を「コンドルセのパラドックス(逆理)」と呼んでいます。

コンドルセは十八世紀のフランスの社会学者で、数学者でもありました。
哲学者のルソーと同時代を生きた人です。

 昼食をめぐって、民主主義的な投票をしたわけですが、決めることができない…。
でも、きっと三人は話し合って、この日の昼食を決めたことでしょう。

 重要なポイントは、それぞれ異なる好みや意見を持つ人たちが率直に話し合うことでしょう。

民主主義のルールとは、まず第一に話し合いといえます。

 国を動かす一つ一つの政策には、当然、政府とは異なる意見を持つ人々がいます。
議論の過程で、少数意見を十分に尊重し、くみ上げることが肝心です。

 一九四八年に旧文部省(現文部科学省)が高校生向けに出した教科書『民主主義』には、次のように書かれています。
 <民主主義を単なる政治のやり方だと思うのは、まちがいである。
民主主義の根本はもっと深いところにある。
それは、みんなの心のなかにある。
すべての人間を個人として尊厳な価値をもつものとして取り扱おうとする心、それが民主主義の根本精神である>

◆「空疎」と排除するな

 少数意見を押し切らず、交流しあうことが大切です。
面倒であっても、熟した議論は避けられません。
民主主義を多数決だと思い込んでいる人は、再考すべきです。

 現在使われている教科書『現代社会』(教育出版)の中には、二つの基本原理が書かれています。

一つは「全メンバーの承認に基づいて社会を結成すべきであること」、もう一つは「社会の運営にあたって、個人をとことん尊重すべきであること」です。

民主主義とは、この二つを同時に実現しようとする企てなのです。

 翻って、安倍晋三首相の政権運営はどうでしょう。
昨年暮れには特定秘密保護法を強行可決しました。
集団的自衛権をめぐる憲法解釈の変更でも、強引に閣議決定してしまう可能性が濃厚です。

 そのための首相の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は、近いうちに報告書をまとめる予定です。
でも、このメンバーは首相の「お友達」といわれる人の名前が並んでいます。

 この点について、安倍首相は国会で「空疎な議論をされている方は排除している」と述べました。

空疎な議論をする人とは、どんな人でしょう。
おそらく反対意見を持つ人のことではないでしょうか。

反対派を排除し、賛成派ばかりで構成する会議の結論は見えています。
公正さも、議論の深まりも期待できないでしょう。

 反対意見を「空疎」と断じる政治姿勢は民主主義的とは到底、言えません。

 内閣法制局長官も、首相の意に近い人物を据えました。
このような手段には、異論をはさませぬ姑息(こそく)さを覚えます。

 確かに民主主義の手続きには、多数決があります。
これが第二のルールでしょう。

でも、多数決とは「51対49」の場合もありえます。
「49」の意見を無視する冷徹な仕組みでもあるわけです。

 しかも、多数派の意思決定が必ずしも正しいとは限りません。

世界史を振り返っても、多数の横暴が民衆を苦しめる結果になったケースはいくらでもあります。
 そのとき、持ち出すべきは、第三のルールである検証だと考えます

多数派がなぜ判断を間違えたのか、きちんと検証すべきなのです。

すると、少数派だった意見が、今度は多数派を占めるダイナミックな転換を呼ぶはずです。
これが民主主義の醍醐味(だいごみ)でしょう。

◆独裁に走らせぬために

 英国の元首相チャーチルは、次のようなウイットに富んだ演説をしたことがあります。

 <民主主義は最悪の政治形態だ。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けばだが…>
 少数意見の尊重と検証のルールを怠ると、多数派は多数決を乱発し、独裁に走りかねません。
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2014年04月08日

「子供たちにこの国を渡して死ねない」(上)

瀬戸内寂聴さん
「子供たちにこの国を渡して死ねない」(上)
2014.4.6 日刊ゲンダイ

  極端に右傾化する安倍政権に「怖さ」を感じる人は大勢いる。

なかでも戦争を知っている世代ほど「戦前とそっくりだ」と警鐘を鳴らしている。

「人間は情けないから50年くらいたつと忘れてしまう」
「安倍政権の中には戦争を知っている政治家はいないんですよ」

−−寂聴さんの言葉は鋭く、重い。
 ぜひ、安倍首相に読んで欲しい。

■安倍さんのクスリは興奮剤じゃないの?

−−都知事選の応援の際、これは脱原発の戦いだけでなく、安倍政権をストップさせる戦いだ、とおっしゃった。
しかし、その後も安倍政権はイケイケドンドンという感じで、集団的自衛権の行使容認に向けて突き進んでいますね。

 どうして、あんな元気なんでしょう、あの人は。
病気だったんでしょ? もう出てこないと思ったら、とてもいいお薬が見つかったってね。
そのお薬の中に興奮剤が入っているんじゃないかしら。

−−靖国参拝や河野談話見直しの動きなど、周辺諸国を刺激するような言動ばかりが目立ちますね。

安倍政権の人は、自分たちの祖先はそんな悪いことしてないと思っているのかもしれませんが、しましたよ。

朝鮮人を連れてきて、炭鉱でこき使って殺しているじゃないですか。

私は北京にいましたから、食べ物まで差別したのを見ています。
慰安婦の問題だって、もともとあってはならないことなんですよ。

−−NHK会長の言動にも呆れましたね。

 あの人事は安倍さんでしょ? なんですか、あの人。

あんなムチャクチャな人をトップにいただけないでしょ。
NHKの職員は辞めさせられないの? デモでも起こせないんですか?

■戦争を始めれば日本は消えてなくなります

−−この政権の危うさは日に日に強まっているような気がします。

 もし、戦争が始まったら、米国が助けてくれると思っているでしょ。
日米安保という契約があるから。
そんなもん信じられないんですよ。

先の大戦の時に、ソ連が裏切ったじゃないですか。
あれだって、(不可侵の)契約があったんですよ
人間の契約なんて、あてにならないんです。

私は戦争が始まったら、すぐにアメリカと中国は仲良くなると思いますよ。
日本は沖縄みたいに両方からやられてしまう。

戦争が終わったら、日本の半分は米国のなんとか州、もう半分も中国のなんとか省になっているんじゃないですか。
戦争なんてすれば、国はなくなるんですよ。
それなのに政治家は日本は永久に続くと思っている。

−−同盟関係による軍事的な抑止力なんて、あてにならない。
それよりも、いかに戦争を阻止するか。そちらに傾注するべきだと?

 日本にはせっかく、戦争しないという憲法があるんですよ。
それを戦争できる憲法にしようとしているんですよ。
米国から与えられた憲法だって言うけれど、その憲法で戦後70年間、誰も戦死していないんです。
これは凄いことなんですよ。

−−なぜ、安倍首相はそこまでして、軍事力を行使できるようにしたいのでしょうか?

 権力の場に立つと、男は変わるんですよ。
権力第一になる。
自分が思う通りになると気持ちがいいんでしょう?

−−それで、その権力、武力を誇示したくなる。

それが権力の狂気だとして、周囲にいさめる人が見当たらないのも悲劇的です。
 戦争を知っている人が安倍政権にはいないじゃないですか。
戦争の悲惨さを知らないし

−−そうやって、どんどん戦争準備法案みたいなものが通っていますね。
特定秘密保護法など。この辺は戦前と似ていますか?

 あっという間に国って変わるんですよ。
特定秘密保護法もとても怖い。
戦前、ものを書いちゃいけない、と言われましたが、そこまで行きますよ。同じです。

−−しかし、世論にはそうした危機感がない。

 当時もね、われわれ庶民にはまさか戦争が始まるという気持ちはなかったですよ。
のんきだったんです。
袖を切れとか、欲しいものを我慢しろとか言われるようになって、ようやく、これは大変だと思いましたが、女学校の修学旅行は朝鮮、満州に行ったくらいだし、真珠湾攻撃の日は女子大にいたんです。

ちょうど翌日から学期試験で勉強していた。
そうしたら、みんなが廊下を走ってきて「勝った」「勝った」と騒いでいる。
私は明日は試験がなくなると思って「しめた」と思って寝ました。

試験はちゃんとありましたけど、こうやって国民が知らない間に政府がどんどん、戦争に持っていく。
そういうことがありうるんです。
みんな、今の政府での立場を良くしたい。
そうしたら、誰も反対しませんわね。

−−特に当時は大本営発表の情報だけでは何もわかりませんね。

 真珠湾で何があったのかもわからなかったし、なぜ、そうなったのかも知らなかった。
自分たちはいいことをしていると思っていましたからね。

 今は情報は豊かになりましたが、イラク戦争のときはすべて、多国籍軍サイドの情報でした。

私は前の戦争で懲りていますから、自分の目で見なければわからないと思って、イラクに薬を持っていきました。
そうしたら、やっぱり、それまでの報道と実態は違っていました。(つづく)

▽せとうち・じゃくちょう
 1922年生まれ、91歳。小説家、天台宗の尼僧。東京女子大卒。代表作は「花に問え」(谷崎潤一郎賞)や「場所」(野間文芸賞)、「風景」(泉鏡花文学賞)など。「源氏物語」に関連する著作も多い。2006年文化勲章。2012年5月には経済産業省前で脱原発のハンガーストライキに参加した。
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「子供たちにこの国を渡して死ねない」(下)

瀬戸内寂聴さん
「子供たちにこの国を渡して死ねない」(下)
2014.4.6 日刊ゲンダイ

−−今も大メディアは安倍政権の批判をしない。
瀬戸内さんも含めた文化人の方々が脱原発で訴えても、メディアは大きく報じない。
そういう怖さも感じませんか。

 本当に大きな新聞はあまり書きませんね。
以前、経済産業省前の原発反対のテント村に来てくれと言われて、足が悪かったので、車椅子で行ったことがありました。

それまではみんな知らん顔して通っていたけど、私がいると、寂聴さんがいるってなるわけですよね。
それまで無関心だった人が原発反対の字を見てくれる。
それだけでも役に立ったかなと思ったんですよ。

 そうしたら、報道の人が来て、「(こうやって反対していれば)再稼働しないと思いますか」って聞くんです。

周りで座っている人は「しないと思う」って言いましたが、私は「するかもしれない」と言ったんです。
それじゃあ、なぜ、座っているのか、と聞かれて、「もし再稼働しても歴史に残った時に誰も反対しなかったと思われるのが嫌だ。
反対者がいたという証拠で座っている」と言いました。

−−そこまでしないと、取材にすら来ない。

これだけ地震が多い国なのに、信じられないような世相ですよね。

 原発を動かせば、儲かる人がいるんです。その人たちの力が強いから、政府はその人たちと手を結ばざるを得なくなる。

■神も仏もなくて拝金主義

−−命より金儲けですね。こうしたモラルダウンはいつからなんでしょうか。今の政治家が劣化したのでしょうか。

 前も同じようなところはあったように思いますが、今はちょっとひどいような気がしますね。でも、そんな政治家を選んだのは庶民ですからね。

戦争に負けて、日本はもっとひどくなると思ったら、すごい活力でよみがえったでしょ、日本人は。
家を建て、着物を買って、その家に飾るものを欲しくなる。
全部、お金ですよ。
戦後くらい、拝金主義になった時代はないですね。

そうやって日本人は戦争の怖さを忘れちゃったんじゃないですかね。
全てはお金。
そのために目に見えない心とか、神とか仏とかどうでもよくなったんですね。

−−これだけ就職難で、正社員になれないのに、若い人にも妙な満足感があるのか、おとなしい。

 なんとなく食べられて、昔より豊かに暮らしているでしょ?
 国民全体が自分が底辺だと思っていないわけですよ。

本当に貧乏で、困っていたら、もっと騒ぐと思う。
どこかのどかなんですね。

職がないのに。昔は学生が騒ぎましたよね。
世界の歴史を見ても、革命を叫ぶのはいつも若い人たちだったんですよ。
それが草食系とかいって、女ともできないって、そんなことばっかり。

−−なぜ、そうなってしまったんでしょうか?

 こっちが聞きたいですが、やっぱり教育でしょうね。
その教育にも安倍さんがまた手を出そうとしている。

こうして見ていくと、いいことひとつもないですね。
私はすぐ死ぬからどうでもいいけど、子供たちにこのまま、この国を渡して死ねないという気持ちです、怖くて、かわいそうで。

今の若い人にはしっかりと目覚めて欲しいです。
自分のことじゃないみたいな顔をしていちゃダメですよ。
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2014年04月09日

増税に加え社会保険料の負担増は「盗人に追銭」の国家的な詐欺

増税に加え社会保険料の負担増は
 「盗人に追銭」の国家的な詐欺
2014.04.08 07:00 ※週刊ポスト2014年4月18日号

  4月1日から消費税が5%から8%に引き上げられたが、消費増税には、納税者が忘れてはならない公約がある。

 増税を決めたのは、野田民主党政権時代(2012年6月)に交わされた民主、自民、公明の三党合意だが、この時に「増税分はすべて社会保障に充てる」というのが国民に対する約束だった。

  安倍晋三首相も消費税率が3%引き上げられた4月1日の朝、改めて「国の信認を維持するためのもの。全額を社会保障費に充て、子育て支援の充実にも使う」と明言した。

 家計が多少苦しくなっても、年金や保険制度が充実するなら仕方ない──そう思って消費増税を渋々容認した有権者は少なくない。

 だが、4月から社会保障費は軒並み値上げされた。

 国民年金の支給額は昨年10月から段階的に減額されており、昨年4月の支給額と比較すると今年4月はマイナス1141円の6万4400円。

一方の保険料の値上げも段階的に進められ、前年4月から月額210円増だ。厚生年金は平均的世帯で保険料が月額約425円アップ、支給額は4015円ダウンである。

 医療費も跳ね上がる。

この4月の診療報酬改訂に伴い、初診料は従来の2700円から2820円に上がった。

消費増税を上回る4.4%の値上げだ。
医療費は消費税対象外のはずだが、医療機器やシーツ代の増税による値上げに対応するためだという。

さらに今年4月以降に満70歳を迎えた高齢者は、医療費の自己負担が1割から2割へと2倍になる。
金額ベースで計算すると平均で2万9000円の負担増だ。

 協会けんぽ(全国健康保険組合)の介護保険料も引き上げられる。

介護保険の納付は40歳以上に義務づけられているが、今年3月から負担率が0.17%アップ(月給24万円の場合、月額204円)となった。

 そうした保険料の引き上げラッシュによって、2014年度の国民負担率(国民所得に対する税と社会保障費の割合)は過去最高の41.6%となる見通しで、安倍政権発足時の2012年から比べて1ポイント上昇している。

 社会保障制度の充実のために増税を強いられながら、各種の社会保険料の負担増まで強いられるのだから、まさに“盗人に追銭”。
国家的な詐欺というほかない。

政治家が約束を守らないから、国民は「こんなはずではなかった」と増税前に買いだめして自己防衛するしかない。
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毎年20万人が中絶 女性が働きながら出産の環境が貧困な日本

毎年20万人が中絶 
女性が働きながら
出産の環境が貧困な日本
2014.04.09 11:00 NEWSポストセブン

保育園は不足し、ベビーシッターに関する法整備も充分とはいえない日本の社会。

子供を育てるのもそう簡単ではないが、それ以前にそもそも、産みづらいという現状もある。  

昨年は、女性の妊娠には年齢の限界があることを周知し、若いうちの出産を奨励する『女性手帳』の配布論議や、不妊治療の助成費を年齢で打ち切る論議が「国が女性に子供を産むよう強制している」と猛反発を招いた。
そこまでやらないと少子化対策は難しいのだろうか。

少子化対策と子育て支援を担当する内閣官房参与の吉村泰典慶應大学名誉教授は言う。

「マスコミに主旨が理解されないまま、一方的に報道されてしまったのですが、女性が50才になっても妊娠できるんじゃないかと思っているなど、あまりにも教育ができていない現状を変えたかったんです。
国が妊娠を強制するわけにはいきませんから、日本産科婦人科学会で、男女両方に渡せる冊子を作ろうと思っています」

 吉村さんがいまだ日本が「産めない社会」だと感じるのは、中絶の多さからだ。

「今、中絶件数は年間20万件ですが、そこには、経済的な理由や結婚していない等の理由から、やむをえず中絶されている人も多いように感じています。
例えば、シングルマザーでも、社会が子供を育てていくという考え方をしていれば、子供を産んでくださると思うんです」

 特に、今求められているように、働きながらだとなおさらだ。
吉村さんが続ける。

「日本の少子化の要因は、女性のキャリア形成に伴う女性の社会進出です。
それが未婚化、晩婚化、晩産化につながっていくんですが、なぜそうなるかというと、女性が働きながら妊娠、出産、育児ができないから。
インフラも制度も全く整っていない。
社会にも企業にも、そういう意識がないんです」

 そのことは、専業主婦やパートの主婦よりも、バリバリ働く女性の人生を直撃している。

これからは女性の時代、女性も働いて一人前。そう言われそう信じて、仕事に一生懸命で、結婚や子供を後回しにしてきた女性たちは、今になって、若くして子供を作らなかったことを社会から責められている。
慌てて不妊治療に通っても、自業自得という目を向けられる。

 労働経済ジャーナリストで『ルポ産ませない社会』(河出書房新社)の著者・小林美希さんはこう指摘する。
もし妊娠すれば、女性は事実上の解雇に遭ったり、つわりがひどくても残業を強いられるマタニティハラスメントが横行している実態があります。
無理をして働いて、流産してしまう人も少なくありません。
安倍政権は労働者派遣法を改正して、さらに非正規雇用を増やそうとしています。
結局それは、安い賃金で人を使おうということ。
働く側にとっては不安が広がるばかりで、安心して妊娠や出産ができる環境にはありません」

※女性セブン2014年4月17日号
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2014年04月14日

週のはじめに考える 冤罪はだれが防ぐ

週のはじめに考える 冤罪はだれが防ぐ
2014年4月13日 東京新聞「社説」

 冤罪(えんざい)にかかわるニュースを聞くと、少なからぬ人がこう思うでしょう
一体、裁判所は何をやっていたのか。
ましてや今は裁判員時代であるのに、と

 先日の袴田事件の再審決定では、決定理由が捜査機関の証拠の捏造(ねつぞう)にまで言及していたことに、多くの人が驚いたでしょう。

 しかしながら、この事件の裁判のもう一つの驚きとは、最初に死刑を言い渡した一審・静岡地裁判決の裁判官三人のうちの一人、熊本典道さんがのちになって、判決は誤りだった、自分は無罪を主張していた、と公表したことでしょう。
自責の念からです。

◆一審判決の強い疑念

 本来なら裁判の評議の秘密は漏らしてはならないとむろん知りつつも、判事を辞めたあと、長い沈黙を破って胸の内を明かしたのでした。

 一審判決を振り返ると、特別な付言のあることに気づきます。

 こう述べます。  …自白を得ようと極めて長時間にわたり取り調べ、物的証拠に関する捜査を怠ったため、結局は「犯行時着用していた衣類」という重要な部分について、虚偽の自白を得、これを基にした公訴の提起がなされ…。

 要するに、証拠の捏造は当初から強く疑われていたのです。
 それにもかかわらず有罪とされたのはなぜか。
大多数の証拠を退けつつ、検察官作成のたった一通の「自白」調書を採用したからです。

もし冤罪であるのなら、その「有罪」は被告側から見れば、警察、検察、裁判所の共同的な作業の結果ということになるでしょう。

 中でも、刑事裁判の大原則、疑わしきは被告人の利益に、を実行すべき裁判所の役割は一体どこへ行ってしまったのか。

 同じような体験は、日本刑法学の泰斗で、二年前に亡くなった元最高裁判事団藤重光さんもしています。

◆団藤氏の一抹の不安

 余談のようになりますが、団藤さんは、旧制の小中校で二年の飛び級をして通常より若く東京帝国大学法学部を首席で卒業。
二十三歳で助教授、三十三歳で教授となった人物。

教え子でのちに作家となる三島由紀夫は団藤講義の論理性に魅せられた一人です。

 団藤さんの体験とは、最高裁判事の時のもので、著書「死刑廃止論」に書いています。

 大要は以下のよう。
 …ある田舎町で起こった毒殺事件で、被告人は捜査段階では自白していたかとも思いますが、少なくとも公判では一貫して否認。
よくある型の事件です。
しかし状況証拠はかなりそろっており、おそらく間違いないだろうと、心証はとれるのです。  

しかしながら、被告人、弁護人の言い分を聞いてみますと(捜査の不十分から)一抹の不安がどうしても払拭(ふっしょく)できなかった。
そして死刑を言い渡した時、傍聴席から罵声(「人殺しっ」)が飛んだ。
たまたま私の主任事件ではなかったが、胸に突き刺さった…。

 著書は事件名を明かしてはいませんが、それといわれる事件は状況証拠しかなく、毒物の入手先や所持の事実すらはっきりしないということでした。
この被告、元死刑囚は獄死しています。

 団藤さんはこの裁判を機に死刑廃止論者となります。
もともと誤判の恐れを抱いていたのです。

 しかし、以上の告白は、日本刑法学の巨人であり、戦後、新刑事訴訟法をつくりあげ、のちに文化勲章を受章した人物ですら、疑わしきは罰せず、という裁判の鉄則を守り切れなかったという、一つの事実でもあります。

 最近、足利事件などDNA鑑定の進歩による冤罪の証明がいくつか出てきています。

 米国ではもっと早く死刑囚の釈放が続々と現れました。
過去の科学鑑定の誤りや隠された証拠が見つかったのです。
陪審のある国ですから、市民が誤った有罪を言い渡した事例もあるでしょう。

 米国の民間団体「死刑情報センター」(DPIC)の調査では、一九七〇年代半ばからこれまでに百人を超す死刑囚の無実が判明し釈放されている。
その理由とされた、拷問による自白、証拠の不開示、警察の不正は残念ながら日本でも繰り返されてきたことです。

◆「裁判員」時代だから

 日本は裁判員時代にあります。

 市民裁判員が、もしも熊本さんや団藤さんのような立場になった場合、一抹の不安は果たして生かされるのか。
一抹の不安を生じさせないための、取り調べの可視化や証拠の開示など捜査側の改革はまさに急務です。

 誤判の根絶は難しいかもしれない。
しかし、なくすためには、繰り返すようですが、疑わしきは罰せず、の鉄則をまず裁判所がしっかり守るしかありません。

*****************************
小だぬき
この「社説」の大筋は賛成ですが、大事な冤罪発生の原因に言及していないのが残念です。
マスコミの「警察発表垂れ流し」報道、推定有罪とも思えるプライバシーの暴露報道。
マスコミのスクープ合戦の犠牲者がいることを直視して欲しいと思うのです。
逮捕され「被疑者」になった人の立場にたって 検証報道をする必要があります。
「疑わしきは 罰せず」「推定無罪」は、マスコミ報道にも強く求められています。
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2014年04月15日

鳥インフル対策よりゴルフを優先させた安倍首相の“非常識”

鳥インフル対策より
ゴルフを優先させた安倍首相の“非常識”
2014.4.14 日刊ゲンダイ

 熊本県の養鶏場で高病原性の鳥インフルエンザ(H5型)が発生し、13日は朝から大騒ぎだった。

 熊本県はすぐに2養鶏場のニワトリ11万2000羽の処分を開始し、隣接する宮崎県など九州の自治体でも相次いで対策会議が開かれた。

 政府も農水省に対策本部、官邸内の危機管理センターに情報連絡室を設置。
午前11時には、関係閣僚会議が緊急招集された。

 3年前の鳥インフル発生時は9県に感染が拡大。
180万羽が処分され、鶏肉に対する風評被害も広がった。
今回も、これからGW明けごろまで渡り鳥の移動時期のため、感染拡大が懸念されている。

■緊急招集
「関係閣僚会議」は安倍首相不在

 そのため、緊急の閣僚会議には総務相、農相、国交相、国家公安委員長らが出席、「政府一丸となって、感染防止拡大のため万全の対応を取る」ことが確認されたのだが、これを仕切ったのは菅官房長官だった。

“政府一丸”なのに安倍首相は不在。
なぜなら、山梨の別荘近くで大好きなゴルフに興じていたからだ。

首相動静によれば、安倍は別荘を午前7時16分に出発し、同20分に「富士桜カントリー倶楽部」に到着。
ヒッチンズ駐日英大使や日枝久フジテレビ会長らとゴルフをたっぷりフルで楽しんで、ゴルフ場を出たのは午後2時44分だった。

 本人もさすがにマズイと感じたのだろう。
ゴルフ場出発直前の記者団の取材に、「午前8時に秘書官を通じ、政府として情報を収集するよう指示した」と早期対応を力説したうえ、「この後、再び農水省から報告を受けたい」とわざわざ強調していた。
だが、午前8時に対応できたのなら、そこでゴルフを中断して帰京すれば、午前11時の緊急の閣僚会議には十分間に合ったはずだ。

■JR東海のリニア売り込み

 この週末の安倍は、JR東海のリニアモーターカーの売り込みで、ケネディ駐日米大使と実験線に乗車し、山梨の雪害を視察、別荘に1泊して、翌朝ゴルフというスケジュールだった。

「インフラ輸出という金儲けのため、“お友達”の葛西敬之・JR東海名誉会長のためなら自ら出ていく。
しかし、養鶏業者にとって死活問題であり、食の安全にも関わる鳥インフルは後回し。
<命よりカネ>の安倍首相の姿勢がよく出ていますよ」(野党議員)

安倍のゴルフは2週連続だ。先週は突然の雷とみぞれでちゃんとホールアウトできなかったから「今週はよっぽどやりたかったんだろう」(自民党関係者)という皮肉まで聞こえてくる。

 政治評論家の野上忠興氏がこう言う。
「日曜に<緊急>の閣僚会議を開くのです。
自分の配下の大臣を緊急招集するのですから、せめて会議に遅れたとしても、ゴルフを途中で切り上げて駆けつけるのが、総理大臣のあるべき姿です。

最高指導者としてのモラルの問題。
<指示をしてあるから大丈夫。文句あるか>という姿勢ですが、ゴルフが全部終わった後に格好をつけても仕方ありません」

 こんな非常識首相に国民はいつまで高い支持率を与え続けるのか。
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イギリスと日本で違う「小保方さん問題」の報じられ方

イギリスと日本で違う
「小保方さん問題」の報じられ方
2014.04.15 07:00 newsポストセブン

 日本中の話題をさらった万能細胞の「STAP細胞」捏造疑惑。

先日、行われた理化学研究所(理研)の小保方晴子ユニットリーダーの記者会見の生中継は、各局で高視聴率をマークするなど注目を集めました。

会見での小保方さんの説明は不明瞭な部分も多く、専門家や視聴者からは不満の声も聞こえています。

 一方、報道陣から「(理研の)笹井芳樹副センター長と不適切な関係にあったと報道されている。
どう感じたか」といった、研究とは直接関係のない質問も飛び、それはそれで「本質的ではない質問」、「マスコミの報道姿勢もおかしい」と疑問を呈する人もいるようです。

 そもそもSTAP細胞が発表された当初、祖母からもらった割烹着を着て実験を行う姿や、ピンク・黄色に塗り替えた研究室の壁、好きなキャラクターはムーミン……と、小保方さんの女性らしい一面が、研究内容以上にフォーカスされた側面があります。

  たとえば朝日新聞は「泣き明かした夜も STAP細胞作製、理研の小保方さん」という見出しで快挙を報道。

読売新聞は「論文一時は却下…かっぽう着の『リケジョ』快挙」といったスポーツ紙のような見出しで記事を掲載しています。

 もちろんこれらの記事では研究内容にも触れてはいますが、業績に関係ない彼女の「女子力」がクローズアップされすぎています。

スポーツ紙やワイドーショーならこれでも構わないかもしれませんが、新聞社や報道番組が同じ方向で報じるのはいかがなものでしょうか。

 当時から、そういった日本の報道に疑問をぶつけているのが、書籍『日本の女性がグローバル社会で戦う方法』の著者・谷本真由美さんです。

現在、ロンドンに住む谷本さんは、STAP細胞発見の初報をイギリスのニュース番組で知り、その後、日本での報道をネットで見ることになるのですが、その紹介のされ方の違いにびっくりしたそうです。

「BBCでは、テレビ放送でもウェブでも、まずこの発明が何であるか、なぜ画期的なのかが紹介され、イギリスの研究者の解説を盛り込み、医学などにどのように貢献するか、ということが明記されました。

また小保方博士に関しては「Dr Haruko Obokata」と明記されているだけで、年齢や性別には触れていません(なお、イギリスでは博士号がある人のことはドクター何々と呼ぶのが当たり前です)。

 イギリスの他の主要新聞でも、この発見が何なのか、どのように貢献するのかに記事のスペースが割かれ、小保方博士の年齢、性別、服装、ラボの装飾に関しては一切書かれていません。

倫理問題に触れた記事があるのも日本と違うところです」(『日本の女性がグローバル社会で戦う方法』より)

 件の会見でも、小保方さんの「泣くことを想定してマスカラを控えたメイク」や、清楚に見えるファッション、訴えかけるような声色など、見事なまでの「女子力」に注目が集まりました。もちろん、彼女が「そういう人」だという事実はあるでしょう。

 ただ、それを差し引いても、日本のマスコミはその部分に流されすぎているのではないでしょうか。

 とはいえ全てマスコミのせいにすることもできません。
「マスコミは国民を移す鏡」とも言われ、読者が知りたい情報をマスコミは追いかけているのです。
我々、視聴者、読者もそのことを改めて認識すべきかもしれません。
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2014年04月20日

3億円事件モンタージュ写真 1人の男性の顔写真をほぼ流用

3億円事件モンタージュ写真 
1人の男性の顔写真をほぼ流用
2014.04.19 07:00 ※SAPIO2014年5月号

 3月末、「袴田事件」で死刑が確定していた袴田巌元被告に対する再審が決定し、袴田氏は釈放された。

  袴田事件の他にもグリコ・森永事件(1984〜1985年)、
国松警察庁長官狙撃事件(1995年)など、未解決事件は多数存在するが、その陰には警察の重大な問題が潜んでいる。

「国松事件」では、長官狙撃を“自供”した現職巡査長の存在を公安警察が隠蔽したが、身内の疑惑を隠蔽しようとするのは公安警察だけではない。

白バイ隊員に扮して日本信託銀行の現金輸送車を奪った東京・府中市の「3億円事件」は、1968年12月10日の事件発生以来、多くの小説やドラマの材料になった。

 白バイのヘルメットを被った男の「モンタージュ写真」は事件の象徴として広く知られるが、実は、この写真は「モンタージュ(組立)」ではない。

その事実を突き止めたジャーナリストの近藤昭二氏は言う。

「モンタージュというのは、沢山の写真の中から目撃者の証言に合わせて目や口のパーツを切り抜き、それらを組み立てて一枚の写真を作ることを言います。

しかし、かの有名な『モンタージュ写真』はすでに亡くなっていたSという男の写真を、ほとんどそのまま流用したものでした」

 その理由は、有力な容疑者として浮上した当時19歳の青年Aの「属性」にあるという。
「驚くべきことに、青年Aは、現職の交通機動隊中隊長の息子だった。
しかも事件の5日後に自殺してしまったのです。

そのため刑事警察は少年Aによく似たSという無関係な人間の写真を少しだけ加工し、モンタージュ写真として公表しました。

 もちろん、この事実は幹部クラスしか知りませんでした。
現場で聞き込みをする刑事たちは本物のモンタージュ写真だと思って捜査していたのですから、この隠蔽工作で捜査が大きくねじ曲げられてしまったことは間違いない」

 さらに警察の失態は続いた。3億円事件では、現金輸送車を奪う際に乗り捨てた偽の白バイや、輸送車から現金を移し替えた逃走用の車両など、153点もの遺留品が発見されたが、それが逆に足かせになった。

「遺留品が多かったので、必然的に多くの捜査員が投じられました。
そうなると、今度は『あっため報告』が頻発するのです

自分の掴んだ情報を捜査会議の場で出さない。
他の捜査員に手柄を取られるのが嫌で、幹部にだけこっそり報告して点数を稼ごうとする。
これでは捜査会議の意味がない」(近藤氏)
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2014年04月21日

照れも遠慮もない。車内の好奇の目も気にならない。母親を楽にしてやりたいという気持ちしかなかった

筆洗
2014年4月20日 東京新聞

 混み合う通勤電車の中で風体のよからぬ中年の男に声を掛けられた。
三十年ほど前の話である。
若い時の川谷拓三さんに似ていた。
たまたま、自分は座っていた。
「学生さんか」「ええ」「席をかわってくれねえか」

▼男は健康を害しているようには見えない。
むしろ頑強そうである。
厚かましいなとは思ったが、断れば面倒なことになる気もした。
席を立った

▼自分が座るのかと思っていたらそうではなかった。
車内の奥から年老いた小柄な女性を連れてきた。
「かあちゃん、席をかわってもらった」。
母親はすみません、すみませんと何度も頭を下げた。
男は、オロナミンCを自分に差し出した。「疲れちゃうからさ」

▼この男を恐れた自分を恥じた。
男のようにあっけらかんと生きたいとさえ思った。
男には照れも遠慮もない。車内の好奇の目も気にならない。母親を楽にしてやりたいという気持ちしかなかった。
あの母親にはいつまでも長生きしてほしいと本気で思った。
あの男のために

▼韓国南西部の珍島(チンド)沖。
沈没した船の中に大勢の人が閉じ込められている。
つらい。
本当につらい。
日本政府は支援を申し入れたが、韓国側は今は必要ないといっている

▼事情もあるのだろう。海域が混み合うことを心配しているのかもしれないが、もし変な遠慮であれば、それはあまりにも悲しい。
あの男と母親はどうしているか。
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2014年04月22日

NHK籾井会長を追い詰める受信料「支払い凍結運動」の威力

NHK籾井会長を追い詰める
受信料「支払い凍結運動」の威力
2014.4.21 日刊ゲンダイ

居座っているNHKの籾井勝人会長(71)も、これでギブアップするのではないか。

 市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」が、籾井会長が4月中に自ら辞任しない場合、受信料を半年間支払わないよう視聴者に呼びかける運動をスタートさせたからだ。

21日、NHKの担当者と面会し、籾井会長の辞任を求め、運動を開始することを通知する。  運動の特徴は、受信料の「不払い」ではなく「支払い凍結」。

籾井会長が辞めた場合は、支払いを再開するとともに、滞納分も支払うように呼びかける。

 市民団体には「受信料を払う気になれない」「口座の引き落としを止めたいがどうしたらよいか」という問い合わせが殺到しているという。

「もし、受信料の支払い凍結運動が大きくなったら、籾井さんは辞めざるをえないでしょう。
なにしろ、NHKの事業収入6997億円のうち、受信料収入は6725億円と96%を占める。

単純計算でも契約者の1割が1カ月間“支払い凍結”しただけで56億円の収入が途絶え、NHKの業務はマヒしてしまう。

かつてNHKのドンと呼ばれた海老沢会長も“受信料の不払い”が急増したことで辞任に追い込まれています」(NHK関係者)

気になるのは“凍結運動”に賛同した場合のリスクだ。

最近、NHKは受信料を払わない個人に対して容赦なく支払いを求める訴えを起こしているからだ。
弁護士の紀藤正樹氏はこう言う。
「訴えられたら負ける可能性はあります。

ただ、果たしてNHKが裁判に訴えられるかどうか。
判決が出るまで、普通は5カ月程度はかかる。
半年後には支払う可能性が高いのに、わざわざ裁判を起こすのかどうか。
しかも、賛同者が数万人になったら裁判費用は巨額になる。

1人当たり1万円程度の受信料のために、訴訟費用だけで赤字になってしまう。
なにより、裁判沙汰になったら、世論を喚起し、運動が拡大する可能性がある。

損得を計算したら訴えるとは考えづらい」

 市民団体側は、半年後にいったん受信料を支払い、また半年間の運動を開始すればいい。
辞任するまで永遠に運動を続けられる。

籾井会長が追い詰められるのは間違いない。
「政府が右と言ったら右だ」とNHKを政府の宣伝機関にすると宣言している籾井会長。
国民の手でクビを取れたらスゴイことだ。
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2014年04月23日

担任の入学式に欠席した女性教諭はなぜ責められるのか

石井苗子の健康術
担任の入学式に欠席した
女性教諭はなぜ責められるのか
2014年4月22日 読売新聞yomiDr.

(その時、息子と夫はなんと言ったのか)

 「○○らしくしなさい」とは、子どもの頃に目上の人からよく言われた耳慣れた言葉です。
「男らしく、女らしく」が代表的でした。

「女らしく」とは何かといえば、男性から好かれるような女性のかわいさだったり、誰からも愛される女性という答えが返ってくる。

「母親らしく」といえば、子どものためには命をかける覚悟があるかなんてことまで引き合いに出され、それが美徳と教育される。

そんな時代を見ていたであろう50代の女性教諭が、勤務する高校の入学式に休暇届を出し、担任となった学級の生徒や父母にお詫わびの手紙を残し、自分の息子の別の高校の入学式に出席したことは、意味あるできごとでした。

 これを「らしく」で表現すると、「母親らしいが教員らしくない」だったり、仕事に一生懸命「らしさ」に欠けるといったところでしょうが、いずれにしても、曖昧な言葉です。

有給休暇の平等性の視点から見れば、休暇は休暇で話は終わりなのです。

何々だったらいいが、何々ならダメという視点は、どうしても偏見の匂いがします。

 ずいぶん昔になりますが、楽屋に自分の子どもを連れて来たある外国人の芸能人を、女性小説家が批判し、「論争」にまで発展したことがありました。

他の出演者に配慮が足りないといった内容だったように記憶していますが、「時代だな〜」と、今回のニュースで久しぶりにあることを思い出しました。

 故・伊丹十三監督のスタジオで私が通訳のアルバイトをしていた時、妊娠中の女性スタッフが辞めさせられたことがあり、外国から来ていたスタッフに「妊娠が理由か?」と、かなり不思議がられました。
まるで悪いことをしたみたいじゃないかと。

撮影現場は危険だからという日本人的な愛情表現があったのでしょうが、外国の方には「そんなことは自己責任」とさっぱり意味が分からない様子でした。
「妊婦したから仕事を取り上げるとは何ごとだ!」とのこと。
夫がいるなら仕事をする必要がどこにあると言っていた日本女性のスタッフと対立していました。
そういう時代が90年代まであったのです。

 詳細なことはわかりませんが、その女性教諭の夫はどうしていたのか。
彼女はシングルマザーなのか、息子がどうしても来てほしいと言ったのかなど、深い事情を知りませんから、こういう場合は許可が取れたならそれ以上は何も問わないのが常識だろうと私は思うのです。

 最近、「モンペ」と呼ばれるモンスターペアレンツから、「忙しい親が入学式に来ているのに、担任が休暇を取るとは何ごとかと批判した」とネットの記事で読みました。

私が育った古い時代もどうかと思いますが、「忙しい親が出席しているのに」とまで発言される現代の教員ストレスもコントロールが大変です。

 私がもし現役の親で、「主役は子どもなんだし、明日になったら出てくるのだからいいじゃないか。
親に自己紹介が遅れたぐらいでガタガタ言うな」なんてコメントをしたらどうなっていただろうと思いました。

 東京大学では、入学式・卒業式に両親と祖父母まで参加し大人数になってしまうので、大学側が参加ルールを作るしか方法がなかった例があります。

親族が行きたいと言えば学生は来るなとは言えない時代なのかもしれません。
子どもの健康管理の名目で親が受験に付き添うので、受験生がバスなどに乗り遅れ、試験開始時間に間に合わないとうハプニング?も最近ありました。

これは「母親らしい」ことなのか、それとも利己主義の部類に入るのでしょうか。

 小学生高学年になれば、気持ちを表現する子もいるでしょう。
「一度しかないことだから来てほしい」と言うか「来なくてもいいから」というかは、その子どもの性格かもしれません。

 私個人としては、苦労してひとりで育てていれば、有休を取って息子の入学式に参加していいと思ってしまう。

もう先生は静かに教室に戻っているでしょうから、今後、騒ぎ立ててほしくないと思います。
間違っても彼女がテレビの画面に出てくるような事態にならないでほしい。
ストレスフルな顔を見なくてすみますように、静かにしてあげてほしいと思います。
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2014年04月24日

憂楽帳:避難する権利

憂楽帳:避難する権利
毎日新聞 2014年04月23日 中部夕刊

 ここ1カ月、ずっと引っかかっていることがある。
「避難する権利」。
福島県から子どもと愛知県に自主避難している母親の言葉だ。

東日本大震災から3年の3月、愛知県内であった集会に参加した母親に取材をした時に聞いた、涙ながらの訴えだった。

 震災後、家族や親戚と愛知にやってきたという。
時がたつに連れて家族らは帰り、今は母子2人だけ。

母親は「帰ろうという気持ちはあるけれど」。
だが、小学生の子どもへの影響はどうなのか、放射能汚染への不安が今も除かれないでいるのだ。

 福島から来た他の避難者が言っていたことを思い出した。
帰らない人に、厳しい視線が同郷人から向けられることがあると。

また、母子は、避難先の集合住宅で、住民から「帰れ」と罵声を浴びせられたこともあるという。

 そんな3年間だから、口を突いて出たのだろう。
「避難する権利を認めてほしい」。

人々はまだ渦中にある。
この時の実感が、今も時々よみがえる。
思いを伝えてほしいとの思いが筆を動かす。
                     【清藤天】
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残業代ゼロ案 際限なく働かせるのか

残業代ゼロ案
 際限なく働かせるのか
2014年4月24日 東京新聞「社説」

 安倍晋三首相の指示で検討が進む「残業代ゼロ」案は、サラリーマンの長時間労働を助長しかねないものだ。

過労死や「心の病」を減らそうとする社会の流れに明らかに逆行する。
看過できない。

 報酬につながらない残業を強い、成果が出るまで際限なく働かせる。
そんな「ブラック企業」を助長するような労働法制の改悪案である。

第一次安倍政権の二〇〇七年に世論の批判で導入を断念した経緯がある「ホワイトカラー・エグゼンプション」という成果報酬の仕組みを、対象を一般社員に拡大して実現しようというのだから驚きを禁じ得ない。

 安倍首相は政府の産業競争力会議と経済財政諮問会議の合同会議で「労働時間ではなく、成果で評価される新たな仕組みを検討してほしい」と指示した。

つまりは企業にとって都合の良い成果主義の賃金体系を広める狙いといっていい。

目玉政策が乏しい成長戦略の柱にする意向である。

 基本的な考えは、働く人が労働時間を自分で決める代わりに、残業代や深夜・休日勤務などの割増賃金をもらえなくする。

労働基準法は労働時間を「一日八時間、週四十時間」と定め、それを超える場合は役員や管理職を除き、残業代の支払いを企業に義務付けているが、この規制を外すのである。

 成果さえ出せば短時間で仕事を切り上げられる可能性はある。
しかし、厚生労働省が懸念を示すように、日本は使用者側である企業の立場が著しく強い。
「成果」や「賃金」が企業のさじ加減で決まりかねず、結局は労働者が成果を求められ過剰労働や解雇など不利益を被るおそれがある。

 長時間労働が背景にある過労死や過労自死、うつ病などの「心の病」が社会問題化する中で、時代に逆行するものである。

超党派の国会議員が「過労死等防止基本法案」を国会に提出しているが、その努力に反しはしないか。

 働き手を守る労働規制を緩める場合には、細心の議論があってしかるべきだ。

しかし、安倍政権は労働法制をあしき「岩盤規制」とみなすなど大きな勘違いをしている。
派遣労働の固定化につながる労働者派遣法の改正や、解雇しやすい正社員を増やすおそれがある「限定正社員」、不当解雇を正当化する「解雇の金銭解決」の検討など企業偏重ぶりは目に余る。

 働く人の権利も尊厳も無視して企業だけが利する。それは社会の「ブラック化」にほかならない。
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2014年04月26日

安倍首相の俳句の“破壊力”とは

安倍首相の俳句の“破壊力”とは
※週刊朝日  2014年5月2日号
(更新 2014/4/25 07:00)

 消費税も8%に上がり、日本国民の財布のひもは、ますます固くなっている。
そんななかで安倍晋三首相が披露した俳句を見て、作家の室井佑月氏は全身の力が抜けたという。
*  *  *
「給料の 上がりし春は 八重桜」

 この俳句、どうよ?
   安倍さんが12日、彼主催の「桜を見る会」で自分で作って披露した俳句だ。

 あたしは新聞でこの記事を見つけたとき、全身の力が抜けた。
てことは、一瞬「?」と思うけど、じつは非常に破壊力のあるすっごい俳句なのだろうか。

俳句素人のあたしにはわからない深い意味でも入っていたり。
覚えたくないけど、すぐ覚えてしまうよ。

 あたしは友達の歌人・枡野浩一さんに電話をかけた。
この俳句、どうよ?と。
枡ちゃんは、電話口で一瞬黙った。

そして、いった。
「……室井さんが作ったの?」
「いや、あたしじゃない安倍総理」
「ふうん」 「で、どうよ?」

俳句や短歌は、誰が作ったかが込みで評価されるものなんだよ。
読み人知らずってあるけど、あれはわざとそうやっているわけだし、そのことに意味が……」  

桝ちゃんの話を聞きながら、あたしは考えていた。
「給料の……」俳句になぜ破壊力があるのか。
それは安倍さんが作ったものだからだ。

 13日付の産経新聞には、「今年の春闘で、大手企業のベースアップ(ベア)が相次いだことを念頭に、政府の賃上げ要請の成果に自信を示した」と書かれてあった。

 とすれば、首相のまわりに生えている桜の木と、あたしたちのまわりに生えている桜の木は、おなじであっても見え方が違う。

でも、首相という立場の人間であれば、物価も消費税も上がり、財布の中の千円札を散りゆく桜の花びらに見立てている人たちのことも把握していないといけない。

 この句に破壊級の何かを感じるのは、一国の首相、全体を把握していなきゃならない方が(しかも、生活が大変な方が多数だ)、かなり管見であるということだ。

 安倍さんのお花見の前、8日発売の「女性自身」にはこんな記事が載っていた。

「4月1日を境に“アベノミクス餓死”がますます増える!!」という見出しで。
「アベノミクスによる好況が伝えられているが、日本人の『餓死』は特殊なことではなくなりつつある。

2011年の国内の餓死者は栄養失調と食糧の不足を合わせて1746人。
およそ5時間に1人が餓死しているという状態だ」

 餓死の問題は、以前は路上生活者によるものだったが、近年では一般家庭や若者にも広がっているらしい。

 安倍さんの俳句から、自分が小学生のとき作った俳句を思い出した。
京都にて作った俳句だ。

「八つ橋と 柴漬け食べて お茶飲んで」

「京都まで連れて来てやって、そうじゃないだろ」と先生に怒られた。
ほんとうにおまえは馬鹿だな、と。

 安倍さんには「首相なのに、そうじゃないだろ」、そういって怒ってくれる人はいないのか。その後の言葉も……。
一国のトップがあの俳句ってさ
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2014年04月27日

湯山玲子氏「首相の周りに有能なスタッフいるように見えない」

湯山玲子氏
「首相の周りに
有能なスタッフいるように見えない」
2014.04.26 16:00 NEWSポストセブン
※女性セブン2014年5月8・15日号

女性セブンが20代から80代の女性500人に行ったアンケートによると
「嫌いな男ワースト10」の1位は安倍晋三。
2位にみのもんた、3位に木村拓哉という結果だった。

 視野が狭くて、自分の世界だけで生きている男が嫌いだというのが、近著に『文化系女子という生き方 ポスト恋愛時代宣言』(大和書房)がある著述家の湯山玲子さん。
アンケート結果を受けて、湯山さんが「嫌いな男」について語る。
 * * *
 安倍首相は、“今、なんでこんなことをしちゃうの!?”みたいな行動が多くて、ハラハラするじゃないですか。

この間、発表した俳句、『給料の上がりし春は八重桜』。
誰も発表を止めなかったのかしらね。

 例えば、嫌いな隣人や上司とはつきあいたくないし、文句言ってやれと思っても、いい大人は実際はやらないでしょ。

国だって同じで隣国とは、妥協をしつつ、均衡を保っていくしかないのに、彼の勇ましい言葉の連発を聞いていると、この人、大丈夫なのかなって思います。

 周りに有能なスタッフがいるように見えないのも怖いですよ。

 あと、政治献金問題で辞任した猪瀬直樹前東京都知事(67才)。
以前、テレビ番組に出ていた時に、一生懸命話している人を、フンって顔で笑ったのを見て、“性格がよくないな”と。

テレビから伝わるぐらいだから、都庁の部下やマスコミにも伝わっていたんじゃないかな。

“5000万円献金問題”が出たら、一気に味方がいなくなって孤立。
しおしおとして、ごめんなさいでしょう。
打たれ弱すぎる!

 攻めている時は強くても、攻撃されるとすぐ謝って辞める。
自分が正しいと思ったら闘わないと。
でも、味方がいないのは悲しいですよね。
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介護職:低い賃金で疲弊 相次ぐ離職「仕事夢ない」

介護職:低い賃金で疲弊 
相次ぐ離職「仕事夢ない」
毎日新聞 2014年04月27日 
08時38分 (最終更新 04月27日 09時45分) 

 過酷さの割に賃金が低いと指摘される介護職。
政府も手は打ってきたものの、依然、他業種との格差は埋まらない。
人材確保には、賃金アップか外国人の活用か−−。ここへきて国の姿勢も揺れている。
【遠藤拓、佐藤丈一、中島和哉】

 常夜灯がぼんやり照らす廊下を、おむつやタオル、ごみ箱を積んだ台車が行き来する。
11日深夜。東京都葛飾区の特別養護老人ホーム(特養)「葛飾やすらぎの郷」に勤めて3年目、生活援助員の宮崎梓さん(22)の夜は長い。

 1フロアには約40人が入居する。
大半は80〜90歳代で7割は認知症だ。
同僚と2人、一晩で4回は巡回し、おむつを替え、トイレを介助し、体位を変える。
消灯後も徘徊(はいかい)する人はいるし、繰り返し呼び出しボタンを押す人もいる。

 ひと息つけるのは午後11時の食事と2時間の仮眠の間だけ。

「朝方トイレに行きたくなりそう。でも、呼ばないようにする」。

そう気遣う女性入居者に、宮崎さんは「気にしなくていいんですよ」とほほ笑んだ。

 月4〜5回の夜勤日は、午後5時前から翌朝10時前までの勤務。
しかし、この日は引き継ぎ書類の記入やシーツの交換に追われ、朝食にありつけたのは昼近くになっていた。

 ◇平均を9万円下回る

 正規職で介護福祉士の資格を持つ宮崎さんの月給は、手取りで約18万円。
15万円を切るという同業の友人よりは「恵まれている」と感じる。

とはいえ、介護労働者の賃金は他業種に比べて低い。
全国労働組合総連合のアンケート調査(昨年10月)では、手当を除く正規職の平均賃金は20万7795円。
厚生労働省調査の全産業平均(29万5700円)を約9万円下回る。

 長らく介護は主婦による家事労働とみなされてきた。
職業としての確立が遅れ、低賃金から抜け出せない。

介護労働安定センターによると、介護職の離職率は17.0%(2011〜12年)で、全産業平均(14.8%)を上回る。

求職者1人に働き口がいくつあるかを示す2月の有効求人倍率は2.19倍。
全産業平均(1.05倍)の2倍だ。

「家族を養えないからな」。
首都圏の介護施設に勤める30代の男性介護福祉士は、結婚を機にそう言って「寿退社」していく仲間を大勢見送ってきた。

この道7年目。専門学校の同期80人のうち、続けているのは十数人。
自身の手取りは初任給から2万円ほど上がり、ようやく月約23万円となった。
が、同業の妻は初めて産んだ子の育休中。共働きでなければ生活は成り立たず、保育所を確保できるかが不安でならない。

「仕事に夢を見られない。このままなら、なり手はどんどんいなくなる」

 日本海に臨む金沢市郊外の特養「やすらぎホーム」。
入居する母(83)の昼食介助に隣の石川県野々市市から訪れる主婦(64)は通ううちに介護職員の疲弊を知り、入居者の家族と職員の処遇改善を求める署名に取り組むようになった。

 母親が入居したのは06年10月。
脳梗塞(こうそく)で半身不随となり、食事、排せつなどすべてに介護が必要だ。

感情が高ぶるとパジャマを歯で切り裂く。そんな母をてきぱき世話してくれる職員たちも、入居当初からの顔なじみは3人に1人ほど。
慣れた頃にはいなくなるからだ。

この主婦は訴える。
「親の面倒を見るかのようにしてくれた職員が、どんどん辞めている。
専門職にふさわしい給料が必要です」
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公明「平和の党」正念場 安保政策 結党時から変遷

公明「平和の党」正念場
 安保政策 結党時から変遷
2014年4月27日  東京新聞朝刊

集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲に公明党が反対の姿勢を強めている。

結党当初は自衛隊の存在も認めず「平和の党」を看板にしつつも、徐々に現状を追認。
連立政権参加後は自民党に足並みをそろえてきた。

しかし、海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使を認めてしまえば、党の存在意義を失うとの指摘は党内外に多い。

公明党は傷だらけの看板を守ることができるのか。

 公明党は結党五年後の一九六九年の党大会で「すべての国際紛争は、絶対に武力によらず外交手段で解決すべきだ」との「絶対平和主義」を掲げ、日米安保条約の段階的解消と完全中立を主張。
自衛隊は「正当防衛の名で他国基地攻撃を是認している」と認めず、代わりに「国土警備隊」創設を提案した。

 方針が変わるのは八一年の党大会。安保条約は現実的にやむを得ないと容認。
自衛隊は「日本の領域を守ることに限定する」ことで認めた。提起以来、四年の議論を経た結果だった。

 九〇年代、国連平和維持活動(PKO)協力法に慎重姿勢をみせたが、条件付きで賛成した。  九九年からは自民党と連立政権を組む。

米国の「テロとの戦い」に際し、公明党は自民党にひきずられるように、インド洋で活動中の米軍など多国籍軍への海上自衛隊の給油活動を可能にするテロ対策特別措置法や、イラクでの陸上、航空両自衛隊の人道支援や多国籍軍支援を可能にするイラク復興支援特別措置法に賛成した。

 連立参加後の公明党は、自民党にむげにされてもついていく「げたの雪」と揶揄(やゆ)されることがある。
しかし、政権にとどまり、自衛隊の活動を集団的自衛権の行使に当たらないように憲法九条の解釈の枠内にとどめるよう主張し、実際に収めてきたと公明党は自負している。

 公明党としては、日本が攻撃されていないのに海外で武力を行使できるようにするのは、憲法の平和主義の変更に当たり、越えてはならない一線との思いが強い。

 安倍晋三首相が行使容認の解釈改憲に意欲的なのに対し、山口那津男代表は二十三日のBS番組で「海外で武力を使う(ことが可能になる)のは大きな変化。
政府が憲法解釈を変えましたと閣議決定してしまうことには異論が大きい」と指摘。
解釈改憲は「憲法の精神にもとる」と批判した。

 党代表として、何事にも慎重に発言してきた山口氏がこれほど強い表現で考えを示すのは異例だ。

 山口氏は周辺にも「海外で武力行使する本質を理解すべきだ」と語り、危機感を募らせている。党幹部は「これを認めたら『平和の党』ではなくなる。絶対譲れない」と話す。
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2014年04月28日

認知症事故訴訟 介護への影響は甚大だ

認知症事故訴訟 介護への影響は甚大だ
2014年4月28日 東京新聞「社説」

  認知症の男性の事故で鉄道会社に生じた損害を家族が負担すべきかが争われた裁判の控訴審は、妻のみ賠償責任を問われた。

認知症が急増する社会に沿った判断か。
公的な賠償制度も検討すべきだ。

 家族側に全面的賠償を命じた一審の判断は適正か。
介護現場の注目を集めた裁判だった。

 愛知県大府市で二〇〇七年、認知症の男性=当時(91)=が徘徊(はいかい)中に列車にはねられ死亡し、JR東海が男性の遺族に振り替え輸送代など約七百二十万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は男性の妻(91)と長男(63)に全額支払いを命じた一審判決を変更し、妻に対してのみ約三百六十万円の賠償を命じた。

 遠方で暮らす長男への請求を棄却し、新たにJR側に対して、「駅の利用者への監視が不十分だった」などと安全対策の不備に言及し、賠償を半分に減額した。
この点は一定評価ができるだろう。

 しかし、妻だけであっても、家族に賠償責任を負わせる点は一審と変わらない。
民法が定める監督義務者として配偶者の責任は免れないという考え方である。

 夫婦が互いに協力し、助け合っていくことが大切なのはもっともだが、配偶者というだけで常に責任を負わされるなら、精神的にも、経済的にも追い詰められる。
在宅介護は立ちゆかなくなる。

 認知症を患う人は、今や高齢者の七人に一人、予備軍もあわせて四人に一人に上る。

高齢者が高齢者を介護する「老老介護」も増え、高齢ながらできる限りの介護に尽くしている人は大勢いる。

 事故で亡くなった男性は「要介護4」だった。
妻がまどろんだ数分の間に家を出た。

 同じような事故はほかでも起こる。認知症の徘徊対策として玄関に開閉センサーをつけても、ヘルパーに頼んでも、行動予測の難しい人を二十四時間、一瞬も目を離さず見守ることは不可能だ。

在宅であれ、施設であれ、部屋に閉じ込めることなどできない。

 この判決が前例になれば、ほかの事故でも損害賠償裁判で責任を問われる。

亡くなる人は被害者でもある。

家族だけに賠償を押しつけない、鉄道会社の責務や、社会的な救済制度が考えられるべきだ。
保険料は運賃に上乗せし、事故の時は保険から支払われる仕組みがあってもいい。

 認知症の事故は列車に限らず、自動車などでも起きる。
事故による負担を社会全体で分かち合う、そんなシステムをつくりたい。
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2014年04月29日

増税賛成、組織率2割…賃上げも政府頼み「連合」の存在価値

増税賛成、組織率2割…
賃上げも政府頼み「連合」の存在価値
2014.4.28 日刊ゲンダイ

参加者はア然としたに違いない。
26日に東京・代々木公園で行われた連合(日本労働組合総連合会)主催のメーデー中央大会。

壇上で古賀伸明会長と仲良く座っていた来賓のひとりが、安倍首相だったからだ。

 自民党の首相として13年ぶりに出席した安倍は「働くみなさんが景気回復を実感できるように全力を尽くす」なんて挨拶していたが、シラジラしいにもホドがある。

やっていることは、過労死を助長させる「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入など、労働者イジメの政策ばかり。

「労働者の祭典」に最もふさわしくない出席者だったはずだ。

「“敵地”に乗り込んだ安倍首相が余裕シャクシャクだったのは、『官製春闘』といわれた今春闘は、自分の力で賃金アップを実現したと思っているからです。

連合にしてみれば“お株”を奪われ、自分たちが果たせなかった賃上げを首相にやられてしまった形です」(政治ジャーナリスト)

 どうりで「打倒・安倍政権」のシュプレヒコールが上がらなかったワケだ。
それにしても、自分たちで賃上げを勝ち取る力量もない連合に存在意義があるのか。

■月間330億円

「連合傘下の組合員の月額組合費は平均約4900円です。
組合員数は675万人なので、動くカネは月にざっと約330億円。

これだけ巨額の闘争資金を集めながら、連合はここ数年、ストすらしていない。

それどころか、消費増税法案が浮上した野田政権の時は早々と賛成し、反対派議員の切り崩し作戦まで展開した。
経営者の“別動隊”のような動きを見せたのです」(事情通)

 経営者や時の政権にスリ寄る「御用組合」。
今や労組の組織率は17.7%に落ち込んでいる。ジリ貧になるのも当然だ。
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スピード違反で捕まったら旅行が台無し!「覆面パトカーの見分け方」5つ

スピード違反で捕まったら旅行が台無し!
「覆面パトカーの見分け方」5つ
2014/04/28 19:45 by今野裕幸
WooRis(ウーリス)

世間はゴールデンウィークまっただ中。
今年は、最大11連休になるという方もいるみたいですね。

家族や仲間と、車で旅行やドライブに出かける人も多いでしょう。
しかし、気分がいいからといって高速道路でスピードを出しすぎると、“スピード違反で捕まってしまう”とい思わぬ落とし穴が待っています!

 これでは、折角の気分も台無しですね。
そこで今回は、高速道路で行われるスピード違反の取り締まりを未然に防げる(……かどうかはわかりませんが)ための知識として、フクメンパトカー研究家の櫻井健さんに、
“覆面パトカーの見抜き方”の5つのポイントを教えていただきました。

■1:車種は“セダンのクラウン”が多め

「覆面パトカーの多くは、見た目は普通のセダン、車種ではトヨタのクラウンなどが多いですね。
排気量が大きめで、独特のカスタムをしているものの、見た目は大人しめ。
さらに、色は、白、紺、銀といった景色に溶け込みやすい車両が使用されています」

■2:アンテナに注目

「以前は、カーナビ等に見られるV字のアンテナが主流でしたが、今は、通称“ちょんまげ”といわれるユーロアンテナが無線受信用に装着されています。
設置場所は、後方から見ると一目瞭然。
リアウィンドウの真上辺りにちょこんと生えています」

■3:目隠しのスモークなど加工が多い

「後部から車内が見えないように、リアウィンドウはスモーク処理がされています。
覆面パトカーの車内は、反転式警告灯や、助手席用ダブルミラーなど、通常の車両には見られない加工が車内に施されています。
目隠しのために、スモーク処理をされているのも特徴です」

■4:急な加速や減速を繰り返す

「バス停留所や、待避所に止まっていたり、急な加速減速を繰り返す、大型トラックの間に割り込むといった行動が見られるセダンには要注意。
獲物を狙うために隠れていたり、または獲物を追尾している際に見られる動きだからです」

■5:覆面パトカーを追い越してみて車内をチェック

「覆面パトカーかなと思ったら、追い越すときは注意して、車内を見てみましょう。
制服に身を包んだ警官が2名乗車していたら覆面パトカーです。
アポロキャップと言われる帽子を着用している場合もあります。
なので、この時点でスピードを出しすぎていたら、すぐに減速しましょう」

以上、フクメンパトカー研究家の櫻井健さんによる“覆面パトカーの見抜き方”5ポイントをご紹介しましたが、いかがでしたか?
 覆面パトカーだからといって、完全に覆面ということではなく、所々にその特徴は垣間見えるのですね。
もちろん、無茶なスピードの出しすぎは絶対禁物です!

 安全運転を心がけて、楽しい連休をお過ごしください。
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2014年04月30日

香山リカのココロの万華鏡:はたらけどはたらけど 

香山リカのココロの万華鏡:
はたらけどはたらけど 
毎日新聞 2014年04月29日 首都圏版

 「たくさん働けば、その分生活もラクになるはず」。
こう信じてがんばっている人も多いと思うが、これからの時代はそうもいかなくなるかもしれない。

 政府の産業競争力会議が提出したプランには、会社勤めの人の「働く時間」と「賃金」とが直接結びつかない新しい制度の導入が盛り込まれていたのだ。

その中には賃金はあくまで仕事の成果で決まり、いくら働いても成果を上げられなければ残業代は出ない、といった仕組みも含まれていた。

安倍晋三首相もこの提案を受けて「時間ではなく成果で評価される働き方にふさわしい、新たな労働時間制度の仕組みを検討してほしい」と前向きな発言をしたといわれる。

 もちろん、まだ提案の段階であり、「労使の合意と本人の希望選択をもとに適用され」とあるので「会社員の残業代はすべてゼロ」という法律がただちにできるわけではない。

ただ、早くも「会社側が若手社員にまでこの制度を選択させ、達成が不可能な高い成果を要求し、報酬につながらない残業を延々とさせることになりかねない」といった懸念の声が上がっている。

 私は「成果に応じて」という考え方自体がくせものだと思う。
以前、日本の会社が年功序列制度を捨てて「就業年数や年齢に関係なく成果に応じた報酬や地位を与える」という成果主義を導入した時期があった。
一見、収入アップや昇進のチャンスに思えるが、同じ会社や部署内でも激しい競争を強いられることになり、結果的にストレスから心身をこわす社員が激増した。

努力したのにタイミングなどの問題で成果を上げられず、無残に低い評価をつけられ、うつ病になる人もいた。
成果主義の導入で生き生きと活躍できた社員は、ごくわずかだったのではないか。

 私だって、結果を出した人が高い評価を受けることには反対ではないし、何もせずにダラダラしているのに残業代が支払われるのはおかしいとも思う。

ただ、たとえすぐに成果につながらなくても、がんばって働いた人にはその時間分、賃金が支払われるのはやはり当然なのではないか、と思うのだ。

その仕組みまで変わってしまったら、戸惑う人、傷つく人、そして何より生活ができなくなる人や働けなくなる人がさらに増えるのではないだろうか。

 石川啄木は「はたらけどはたらけど猶(なお)わが生活楽にならざりじっと手を見る」と詠んだが、そういう人が世の中にあふれる日がやって来ないように、と祈るばかりだ。
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2014年05月01日

第85回メーデー:「一点共闘」総結集する日に

第85回メーデー
「一点共闘」総結集する日に
2014年5月1日(木) しんぶん赤旗「主張」

  今日はメーデー、労働者・国民の団結と国際連帯の日です。

 安倍晋三政権の暴走は、消費税大増税の強行、医療・社会保障改悪、労働法制改悪、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加、原発推進、「秘密保護法」強行、集団的自衛権行使容認策動、沖縄の新基地建設など、とどまるところを知りません。

しかし、どの課題でも反撃の国民的共同は日に日に広がり、勢いを増しています。

第85回メーデーを、「一点共闘」総結集の日、安倍暴走政治阻止の総決起の場としましょう。

安倍暴走政治阻止を

 日本軍「慰安婦」問題などで歴史を偽造し過去の侵略戦争を賛美する、歴代内閣の憲法解釈を公然と覆し集団的自衛権行使容認を策動する―。

暴走を続ける安倍政権は、国際秩序も戦後の保守政治も否定する「極右政権」ともいうべきものになっています。

良心的な保守の人々も批判しています。

 TPP問題では、譲歩に譲歩を重ねる安倍政権に、全国各地で、これまで保守の基盤だったJA(農協)や医師会が厳しい批判の声をあげ、自治体ぐるみのたたかいが広がっています。

原発ゼロをめざす運動でも、秘密保護法や集団的自衛権行使に反対する運動でも、かつてない広範な無党派の人々が草の根から自発的で粘り強いたたかいを繰り広げています。

 「企業が世界一活躍しやすい国」をかかげる安倍政権は、法人税減税の一方での消費税大増税と社会保障切り捨てとともに、雇用と労働の一段の規制緩和に乗り出しています。

派遣労働の大前提である「常用雇用代替禁止」「臨時的・一時的業務に限定」の原則を投げ捨て、「生涯ハケン」「正社員ゼロ」社会への道を開く派遣法の大改悪案を提出しました。

国民的批判で一度は断念を余儀なくされた「残業代ゼロ」「解雇自由」の復活も、性懲りもなくねらっています。

 規制破壊ともいうべき策動に反対して、労働組合のナショナルセンターの違いをこえた共同行動がすすんでいるのも当然です。

全労連、全労協、MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)の三者が事務局団体をつとめる「雇用共同アクション」が、持続的にたたかっています。

昨年12月には、日本弁護士連合会が主催する「市民大集会」に、全労連、連合、全労協、中立系が勢ぞろいするという画期的出来事が起こりました。
春闘でも、要求の一致が広がっています。

 生活と権利、平和と民主主義を脅かし、戦後国際社会での日本の立ち位置さえ揺るがす悪政の連続に直面し、政治的立場や団体の枠を超え、団体に所属しない人も政治に無関心だった人たちも含め、全国津々浦々で「一点共闘」による反対運動がかつてない規模で広がっています。

階級的民主的労働組合が、こうした国民的たたかいの土台ともなり要ともなって大きな役割をはたしています。

「新しい統一戦線」へ

 これらのたたかいは、アジアと世界に日本の良心の健在を示し、国際連帯を広げる点でも重要です。

たたかいの発展につれ、どこでも「アメリカいいなり」「大企業中心主義」の根本の枠組み―「二つの異常」に突き当たってきています。

一致点を大切にし、お互いの立場を尊重しあいながら、日本の政治を変える新しい統一戦線へと発展させようではありませんか。
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2014年05月02日

消費増税:「財源が足りないから取る」は馬鹿でもできる政策

 消費増税
「財源が足りないから取る」は
     馬鹿でもできる政策
2014.05.01 11:00 NEWSポストセブン
※SAPIO2014年5月号

政府はアベノミクスによる景気回復で消費増税も耐えられると見ているが、本当に日本経済を活性化させるなら、増税よりも減税が必要だと説くのは国際ジャーナリストの落合信彦氏だ。
以下、同氏がレーガノミクスで経済成長を遂げたアメリカの例をもとに解説する。

 * * *
 4月から消費税率が5%から8%に引き上げられたが、愚かと言うほかない。
今の日本に必要なのは増税ではなく、「減税」である。

 不況下の増税によって景気に冷や水を浴びせれば、個人も企業も収入が減り、結果的に税収も減ってしまう。

「財源が足りないから取る」というのは馬鹿でもできる政策である。

 むしろ世界の優れたリーダーたちは思い切った「減税」によって景気を回復させ、税収を増やしてきた。

歴史と経済を真剣に学べばわかることだが、安倍をはじめ自民党の政治家と財務官僚、新聞など大メディアはそれがわかっていない。

 安倍が手本にすべきリーダーを一人挙げるとすれば、第40代アメリカ合衆国大統領のロナルド・レーガンだろう。

 アベノミクスとはそもそもレーガンの経済政策である「レーガノミクス」になぞらえて名付けられたものだが、レーガノミクスはアベノミクスとは正反対の政策であった。

財政危機のなかで思い切って減税を断行し、既得権集団の抵抗を排して利権を解体していく改革だったからである。

 レーガンが1981年に大統領に就任した時、アメリカ経済は瀕死の状態にあった。
2度にわたるオイルショックなどにより不況下のインフレ(スタグフレーション)が起き、失業率は7%を超えた。

 前任のカーターをはじめ1970年代の大統領たちは景気を刺激するためと言っては政府支出を野放図に拡大させ、各種税率を上げていった。
またエネルギー資源の価格規制など、政府の権限を大きくして経済をコントロールしようとした。
つまり安倍と同じことをして、ことごとく失敗したのである。

そんな中で登場したレーガンはそれまでの政権とは180度転舵し、減税と行政のスリム化、そして規制緩和を掲げた。

議会や専門家の反対に屈することなくレーガンは所得税の最高税率を70%から段階的に28%に引き下げるといった大胆な減税を断行したのだ。

 その効果は目覚ましいものだった。
レーガン政権一期目の後半にはアメリカ経済は復活の軌道に乗り始め、1984年に経済成長率を7.2%まで急伸させた(就任前の1980年はマイナス成長だった)。

 またレーガンは8年間の任期を通じて減税という政策の軸を変えなかったが、その間にアメリカ政府の歳入は24%も増加したのだ。

逆に日本は1997年に消費税を3%から5%に引き上げたが、それ以降で政府の歳入が1997年の水準を上回ったことは一度もない。これが世界の常識である。

 一方で、レーガンはソ連に対抗するために軍事支出を増やしたので財政赤字は拡大してしまった。
それをもってレーガノミクスを批判する人間は多いが、それはおかしい。

 軍拡競争に対応できなくなったソ連が西側に歩み寄ったことで1989年に冷戦は終結。その後、1990年代にアメリカが「平和の配当」による経済成長を遂げたことを考えれば、やはりレーガンの方針はアメリカ国民に多大な利益をもたらしたと言えるだろう。
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2014年05月03日

温暖化なのか大地震の前兆なのか…不気味なほど全国で豊漁

温暖化なのか大地震の前兆なのか…
不気味なほど全国で豊漁
2014年5月1日  日刊ゲンダイ

「いやー不思議だね、天変地異でも起こらなきゃいいね」

 福井・越前町漁業協同組合の小倉孝義専務は、そう言って首をかしげた。

先月18日からの数日間、越前町沖の定置網にだけ大量のマフグがかかっていたという。 「21、22日をピークに1日30〜40トン引き揚げた。
普段は多くて5キロ程度なのに。
で、24日にはパッタリです」

 ところ変わって愛媛・八幡浜市沖では、回遊魚のサワラが近年にない大漁だ。
八幡浜市水産港湾課によれば、「3月は例年の3〜4倍、4月は現時点で6倍の水揚げ量。他の魚は全体的に減少傾向のなか、珍しい現象です」(担当者)

 隣県の高知・室戸岬沖の定置網には深海魚「ホテイエソ」が引っかかって騒ぎになった。

「過去に捕獲例がなく、昨年の1匹が室戸での初記録。
ところが、先月21日は9匹、22日は105匹、24日は159匹も取れた。

海自体は、例年より水温が低いこと以外に異常はない。
原因を究明中です」(付近の海洋生物の生態に詳しいNPO「日本ウミガメ協議会」)

■海水のバランス崩れ

 全国の海に広がる奇怪な現象は温暖化の影響か。
それとも大地震の前触れなのか。

北大名誉教授の尼岡邦夫氏(魚類学)はこう見る。
「マフグやサワラ、ホテイエソが普段なら捕獲例のない場所で大量に水揚げされているのは、恐らく海水温の低下が原因のひとつ。

また、日本全体の積雪量が増え、川から大量の淡水が海に流れ込み、塩分濃度が変化した影響もあるでしょう。
海水のバランスが崩れて“常識”が通用しなくなっているのです。

だから、温暖化の影響とも考えにくい」

 北海道では、暖流を好むブリが豊漁。
一方、前出の越前町沖では、名産のホタルイカ漁が不調とか。日本の食卓が大きく変わるかもしれない。
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憲法を考える 9条と怪人二十面相

憲法を考える
 9条と怪人二十面相
2014年5月3日 東京新聞「社説」

国が曲がり角にあります。
カーブの先は…。
他国のために戦争をする国でしょう。

憲法九条が破壊されるのに、国民が無関心であってはなりません。

 <そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました>

 不気味な書き出しです。江戸川乱歩の探偵小説が出版された一九三六年には、陸軍の青年将校らが反乱を起こした二・二六事件がありました。
翌年には泥沼の日中戦争が始まる時代でした。

◆「解釈改憲」は変装だ

 新聞紙面をにぎわす怪人二十面相はとびきり変装が得意です。

安倍晋三政権が宣言している「解釈改憲」もメディアを連日にぎわし、驚くべき変装術を見せてくれます。

憲法九条は専門家が研究しても、集団的自衛権行使など認めているとは、とても考えられません。
それを政権が強引に解釈を変えようとする変装です。

 解釈改憲も集団的自衛権も難しい言葉です。
でも、「お国」を守ることが個別的自衛権なら、他国を防衛するのが集団的自衛権でしょう。

憲法は九条一項で戦争放棄を宣言し、二項で戦力の不保持と交戦権の否認をしています。

一項は一九二八年のパリ不戦条約が基とされ、先進国では常識です。

 平和憲法の核心は、九条二項にあるのです。
日本は近代戦を遂行する戦力を持ってもいけません。

ドイツの哲学者カント(一七二四〜一八〇四年)も「永遠平和のために」の中で、「常備軍は、時とともに全廃されなければならない」と訴えました。

 <なぜなら、常備軍はいつでも武装して出撃する準備を整えていることによって、ほかの諸国をたえず戦争の脅威にさらしているからである>

◆専守防衛で国民守る

 軍隊を持たねばいいというカントの考えは明瞭です。
とくに日本国憲法はヒロシマとナガサキの悲劇を経てつくられました。

大国同士が核ミサイルを撃ち合ったら、滅亡しかありません。
ヒロシマの約四十日前にできた国連憲章と比べても、戦力を持たせない同条二項は先進的です。  

でも、国民を守るため、自衛の実力は必要だと過去の政権は考え、自衛隊がその役割を担いました。
諸外国のように他国防衛もできる戦力ではなく、「専守防衛」の実力のみです。
憲法の読み方のぎりぎりのラインなのです。

 中国や北朝鮮の脅威がさかんに唱えられていますが、もちろん個別的自衛権が使えます。
でも他国防衛など、憲法から読み取るのは不可能です。
無理筋なのです。

 集団的自衛権行使を封じることこそ、九条の命脈と言っても過言でありません。
でも、政権はこの無理筋を閣議決定するつもりです。
事例を限定する「限定容認論」という変装術も使います。

 五十五年も昔の最高裁判決を持ち出すのも変装です。
個別的自衛権のことを言っている判例なのに、「集団的自衛権を認めている」と“誤読”するのです。

 政策は憲法の枠内でしか行えませんが、それを逆転させる変装術です。
閣議決定されれば、九条二項は存在しないことと同じです。
多くの有力な憲法学者に見解を聞く手続きが不可欠です。

恐らくみんな「憲法は集団的自衛権を認めていない」と言うでしょう。

 米国は日本が手下になってくれるので、「歓迎」します。
でも、自衛隊が海外へ出れば、死者も出るでしょう。

わざわざ平和憲法がそんな事態が起きないように枠をはめているのに、一政権がそれを取り払ってしまうというのです。
ここは踏みとどまるべきです。

 急“転回”を人ごとと思う空気こそ危機であるともいえます。
危険を覚えるのが、限られた人々だけでは困ります。
お天気のあいさつでもするように、みんなが「解釈改憲」を語るべきです。

 それどころか、護憲集会に自治体の後援拒否の動きが広がっています。
大学でもそうです。
学生が「憲法改正反対」を唱え、教室で集会を開こうとしたら…。
明治大学は「思想色が強い」と判断し、集会は「認められない」。
慶応大学も「学生有志による教室利用や集会は、理由にかかわらず認めない」と回答しています。

 若者の血が流れても「反戦集会」さえできないのでしょうか。

◆戦争を考える悪者は

 乱歩は別の作品で、怪人二十面相に戦争批判を語らせています。
 <まだ戦争をやろうとしているじゃないか(中略)そんなことを、考えているやつは、おれたちの万倍も、悪ものじゃないか>

 憲法解釈をおろそかにし、戦争に道を開けば、天下の大泥棒から悪者扱いされます。
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2014年05月04日

弁護士が語る 3等海佐が「告発」決意した自衛隊の隠蔽体質

弁護士が語る
3等海佐が「告発」決意した自衛隊の隠蔽体質
2014年5月2日 日刊ゲンダイ掲載

海自いじめ裁判  

海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」の乗組員だった1等海士の男性(当時21)の自殺をめぐる裁判で先月23日、東京高裁は国側に約7300万円の損害賠償を命じた。

1審から大きく進展したウラには3等海佐の告発があった。

1審では自衛隊側の「指定代理人」をしていた3佐の心を動かしたのは、自衛隊の隠蔽(いんぺい)体質だ。

岡田尚弁護団長が振り返る。
「裁判の依頼を受けたときに考えたのは、最大の課題は自衛隊側からどれだけの情報を入手できるかでした。
普通の民間対民間の裁判と違って、原告と被告のスタート地点が違う。
自衛隊側が圧倒的に情報を独占していた。

それで、2006年5月31日の第1回裁判以前に『証拠保全』の申し立てなどをしたのですが、裁判所は『自衛隊が証拠を隠したり、改ざんしたりするということは考えられません』とあっさり棄却したのです」

 1審の横浜地裁では「自殺の予見可能性」を認められず、440万円の支払い命令にとどまった。

「がっくりしていたところ、1週間もしないうちに3等海佐から手紙が来たのです。

正直、国のスパイかなと思ったし、向こうもそう思われるでしょうねと。

私は1年以上、告発の事実を内緒にしていました。
彼が免職になるんじゃないかと考えて、報道関係者や裁判所にも明かせず、私が法廷で彼の告発をもとに話していました」  

12年4月18日の控訴審第5回裁判で、3佐が「海自が文書を隠している」と陳述書を提出。
隊内の「公益通報窓口」への訴えが退けられた上での決断だった。

このことが報道で公になり、同年6月に海上幕僚長が記者会見で謝罪。勝訴への転機となった。

■内部告発を萎縮させる秘密保護法

「一方で、13年6月には3等海佐を懲戒処分の対象にするという手続きがはじまった。
しかし、彼は弱音を吐くこともなかったし、公務員は国民のために働くものだと一貫してました。
勇気ある行動だと思います」

 だが、「特定秘密保護法」の施行で、3佐のように告発する人はいなくなるかもしれない。

「『アンケートは防衛秘密じゃないから、特定秘密保護法とは関係ないじゃないか』というのは誤りです。
今回はアンケートの中身がわかったからそう言えるだけ。

もし、特定秘密保護法に違反したと刑事裁判で起訴されたとしても、そこに何が書いてあるか具体的には、少なくとも弁護士や被告側に見せちゃいけないことになっている。
だから、皆、罰を恐れて内部告発をしなくなるでしょう。

第1回裁判の直前のこちらの申し立てに対し、自衛隊側は『国家の安全等に該当する情報』と言って出し渋ったんですが、実はそれが『いじめアンケート』だったんです」

 これだけでも、秘密保護法がいかに危ない法律かがわかるというものだ。
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2014年05月05日

拳銃自殺の蒲田署巡査長が遺書で訴え 上司の度を超えたパワハラとは…

拳銃自殺の蒲田署巡査長が遺書で訴え
 上司の度を超えたパワハラとは…
産経新聞 5月4日(日)12時0分配信

 警察官が自らに向けて拳銃の引き金を引いたのは、上司の度重なるパワーハラスメントが原因だった。

警視庁蒲田署で2月、拳銃自殺した同署地域課の男性巡査長=当時(44)=が自殺前日、上司だった同課係長の男性警部補(52)から辞職するよう迫られていたことが発覚した。

警部補は周囲から「仕事熱心」と評価されており、巡査長を含む約10人の部下にパワハラを繰り返していたことは見過ごされていた。
「指導」というには度を超えた振る舞いと、巡査長が遺書で残した決死の訴えとは−。

■「許せない」…
遺書で実名告発、両親に相談も

 前日からの雪が降り積もったままの2月15日。
東京都大田区の蒲田署1階男子トイレの個室内で午後2時45分ごろ、巡査長が頭から血を流して倒れているのを同僚が発見した。
巡査長は病院に搬送されたが、ほぼ即死状態で、間もなく死亡が確認された。

 巡査長はこの日午後2時半から交番で勤務する予定だった。
署内で制服に着替え、1階の拳銃保管庫で自分の拳銃を取り出し、銃弾を込めた後、トイレに向かって自ら拳銃で頭を撃ち抜いたようだ。

巡査長のそばに拳銃とともに置かれていた遺書には、衝撃の告白がつづられていた。

 「こんなに仕事がいやになったのは初めて」

 遺書は両親にあてられたもので、上司の警部補の実名を挙げて「許せない」とも記されていた。

 警視庁の監察部門が確認したところ、警部補が数日前、巡査長を含む数人に対して、職務質問による実績が上がっていないことを責め、「1年間見てきたが、おまえらは駄目だ。身の振り方を考えて家族に相談しろ」と辞職を強要する暴言を繰り返していたことが発覚した。

 警部補は前日の14日にも、「家族に身の振り方を相談してきたのか」と追及を強めた。
巡査長が同じ日に実家を訪れ、両親に「実は上司からパワハラを受けている」と告白。
心配する両親に「自分で何とかする」と話していたことも明らかになった。

■「仕事熱心」の評価…
被害者は約10人、休職者も

 確かに、警部補が蒲田署地域課の統括係長となった平成24年9月以降、係の検挙実績は上がっていた。

 それだけに「仕事熱心」という評価を受けていたが、実績を挙げられない部下には指導が厳しいという一面もあった。

警視庁幹部は「自殺した巡査長だけが狙い撃ちされたのではない」と打ち明ける。

 蒲田署でのパワハラが始まったのは、昨年春ごろ。

「被害者」は確認できただけでも約10人に上る。

電話をすぐに取らなかった新人は、ジュースの紙パックを口が開いた状態で投げつけられ、「お前は警察官に向いていない」と怒鳴られたという。

 勤務表を間違って記載した別の部下はその紙を破り捨てられ、紙を拾おうとしたしたら頭をたたかれた。

50代の警部補は仕事の覚えが悪いとして、「降格を申し出ろ」などと迫まられた。

昨年11月には、部下の1人が警部補のパワハラが原因で休職に追い込まれたという。

 警視庁は巡査長の自殺の原因がパワハラだったと判断。
ほかの部下への人格否定や辞職強要の言動もパワハラにあたると認め、4月21日に警部補を減給100分の10(3カ月)の懲戒処分とした。

 警部補は「パワハラの認識はなかった。責任を痛感している」と話し、巡査部長への降格を申し出た上で、「係員の個性を把握した上で指導するべきだった。
適正な範囲を超えていた」と後悔の弁を並べているという。

■同僚のパワハラも認定…類似事案も

 統括係長だった警部補の圧力は、部下の係長だった40代の警部補にも波及。
部下数人から始末書を受け取る際、末尾に「今後、同じことをすれば辞職します」と書かせていた。

 この警部補は「統括係長の前に係長が並ばされて怒鳴られたことがあった。
部下がきちんとしていないと、自分が怒られるので厳しくあたってしまった」と釈明しているといい、警視庁からパワハラと認定され、訓戒処分を受けた。

 また、一連のパワハラを見過ごしていた署幹部も監督責任を問われ、当時の地域課長(54)が訓戒、署長(58)ら7人が口頭厳重注意の処分を受けた。

 警察社会のパワハラをめぐっては、大阪府警で上司からのパワハラやいじめを受けた四条畷署刑事課の男性巡査長が昨年自殺していたことが今年3月に発覚し、上司ら4人が懲戒処分を受けるなど、類似事案が後を絶たない。

 神奈川県警OBの小川泰平氏は「職務怠慢が人命に関わることもあるので、警察社会に厳しい指導が残っていることは事実」とした上で、「自殺に追い込んだのなら、よほど度を超えた指導だったのだろう。
指導とパワハラは違う。それは本人が一番分かっていると思う」と指摘する。

 処分前日の4月20日には、蒲田署長が巡査長の実家を訪れ、両親ら遺族を前に謝罪した。

上司のパワハラが原因だったことを告げると、両親らは切実にこう訴えたという。

 「こんなパワハラが今後二度と起こらないようにしてほしい」
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2014年05月06日

アベノミクスの帰結…国民は1%の人たちに踏みつけられる

アベノミクスの帰結…
国民は1%の人たちに踏みつけられる
2014.5.4 日刊ゲンダイ

「資本主義の終焉と歴史の危機」
    の著者・水野和夫氏

 1990年のバブル崩壊で、日本が成長する時代は終わりました。

それからの20年は、だましだましです。
ただ、過去の蓄積が大きいから、(1)ゼロ金利(2)ゼロインフレ(3)ゼロ成長でも、クラッシュさせずにやってこられた。

1人当たりGDPで比較すれば、ユーロ圏で独り勝ちといわれるドイツをいまだに上回っています。
もちろん英仏よりも豊かで、3つがゼロでも十分に暮らしていけるのです。

 そんな状態を良しとせず、ゼロから引き剥がそうとしているのがアベノミクス。
2%のインフレ目標を掲げ、GDP成長率や金利も2〜3%程度を目指しています。

「経済を立て直し、成長する日本を取り戻す」のだと勇ましい。

 でも、今の日本に「成長」の余地はあるのでしょうか。
手狭な公団住宅が当たり前だった時代は終わりました。
車は一家に1台、テレビは1人に1台です。温水洗浄便座やスマホの普及率もすさまじい。
ほとんどの商品は、行き渡るところまで行き渡ってきています。
「フロンティア」は残っていません。

 飽和状態の中で無理やり成長しようとすれば、バブルが生成されます。

実際、実物経済の低成長を金融分野で穴埋めしてきた米国では、ITや住宅のバブルが発生しました。
その後はリーマン・ショックです。
バブルの成長分を超える信用収縮に見舞われました。

 得をするのは、その間に稼いだ1%の富裕層です。
たとえバブルが崩壊しても、公的資金で救済されるため、彼らの痛手は小さい。

一方で何ら恩恵を受けていない中間層は、リストラされて職を失った上で、救済のための負担を強要されます。
富裕層はまんまと逃げ切り、99%がバカを見る。
それが「成長」の帰結です。

 アベノミクスで成長を求めれば、だれかを踏み台にするしかありません。

勝ち組となるには負け組が必要です。
多くの人は、「自分は勝ち組になれる」と思っているのかも知れません。
でも、それは、知らず知らずのうちに近くの誰かを突き落とす行為。

いずれはみんな1%の人たちに踏みつけられるのです。
投資が行き渡った現在、高度経済成長の再来は望めません。
成長は近代の病気です。
「頑張れば成長する」は幻影に過ぎない。
取り憑(つ)かれるとひどい目に遭うのです。

 このままアベノミクスを続ければ、日本という国家も経済も立ち行かなくなるでしょうね。


▽みずの・かずお 
1953年生まれ。
日大国際関係学部教授。
早大大学院経済学研究科修士課程修了。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミストを経て、内閣府大臣官房審議官、内閣官房内閣審議官を歴任。
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2014年05月08日

善良な市民が危ない!? 「冤罪・誤認逮捕」はこうして起こる!

善良な市民が危ない!?
「冤罪・誤認逮捕」はこうして起こる!
日刊大衆 2014年05月07日08時00分

世界一治安がいいと称賛される、わが国・日本。
その治安を守っているのが日本の警察なのだが、時として、無実の国民を犯人にしてしまうことがある。

たとえば、大阪府警では昨年7月から3月までの9カ月間に、なんと8件もの誤認逮捕の失態を演じている。
冤罪事件に関しても、誤認逮捕に比べれば数は少ないが、近年でも最高裁での無期懲役刑の確定から一転して、無罪になったケースもある。

なぜ、無実の罪で国民が逮捕されたり、罰せられるような事態が起こってしまうのだろうか。

その理由を探っていくと、警察組織の杜撰な捜査の実態があった――。

第一に、誤認逮捕と冤罪の違いについて説明しよう。

この2つ、似ているようで、実は大きく違うものなのだ。

誤認逮捕は、無実の罪の者を誤って逮捕してしまうこと。
ただし、起訴はされずに保釈されたケースを指す。
逮捕した時点では容疑者であり、犯人と断定していないため、警察側にはいかなる罰則もない。

しかし、逮捕の時点でマスコミに、あたかも犯人かのような報道をされるうえに、最大20日間、留置場に勾留され、取調べを受ける苦痛は想像を絶するものがある。

一方の冤罪は、容疑が確定し、起訴されて裁判にかけられたケースだ。
その結果、有罪・実刑となれば刑に服することになるが、晴れて無罪が証明されれば、国から補償金が出る。

しかし、その額は勾留1日あたり最高で1万2500円と、受けるダメージの大きさを考えれば微々たるものだ。

法治国家において絶対に起こってはならない誤認逮捕と冤罪は、どのように起きているのか。

まずは誤認逮捕の例を見ていこう。

2010年に、大阪で発生した強制わいせつ未遂事件。
逮捕されたのは大阪市内に住む男性だった。
現場付近で被疑者のものと似た車が目撃されていたことや、被害者女性の"この男性の顔が犯人に似ている"という証言から、大阪府警は逮捕に踏み切った。

ある朝、男性の自宅に突然、警察官が現れ、家に入り証拠品を探し出した。

身に覚えのない男性は必死に犯行を否定したが、捜査員はその場で男性を逮捕。
警察署に連行し、犯行を認めるように迫ったという。

しかし、逮捕から数日後に、男性は、事件発生時刻に医療機関に行っていたことを思い出し、診療記録からアリバイが成立、釈放された。

明確な証拠がないなかでの警察官の決めつけと、思い込みで捜査を行っていた杜撰な実態が透けて見えてくる。

次に、冤罪事件の例を挙げよう。

冤罪事件と聞いて、真っ先に思い浮かぶのが足利事件だろう。
90年、栃木県の足利市で幼女が誘拐され、殺害された事件で、逮捕された菅家利和さんは00年に、最高裁で無期懲役刑が確定。

逮捕の決め手となったのは、本人の自供と、当時、捜査に導入されるようになったばかりのDNA鑑定だった。
しかし、後に自供は、当時の取調官の圧力に屈した菅家さんがやむなくしたものであること、現場に残されたDNAと菅家さんのそれが一致していた当初の鑑定結果が、再鑑定では覆ったことなどから、10年3月、再審で無罪を勝ち取ったのだ。

無実の菅家さんは17年半にわたって、勾留、刑務所生活を余儀なくされ、その間に実の母親を亡くしている。

捜査員が土下座しようが、国家賠償が支払われようが、決して埋め合わせがつくものでないことは言うまでもない。

だが、冤罪事件は足利事件のようにマスコミの注目を集めた事件だけではない。
その例を、いくつか紹介しよう。

  12年、恐喝の容疑で逮捕されたのはA氏(40代)。
一審判決で懲役2年とされたが、東京高裁での控訴審で無罪判決を勝ち取った。

「A氏の容疑は有力暴力団Xの名を出すなどし、11年、飲食店会社社長・B氏らから同社応接室にて50万円を脅し取ったというものでした。
だが、そのように脅したという証拠は、社長と社長室長2人の供述しかなかったんです」(事件に詳しいジャーナリスト)

被害者側の証言だけで有罪判決を下すとは、なんとも危うい話だが、一審判決後に、B氏が恐喝されたとされる直後、A氏と寿司店、韓国クラブを訪れていたが、B氏のクレジット決済の履歴と、韓国クラブの従業員の証言から発覚したのだ。

「恐喝をされた直後に、当事者2人で飲食店を訪れるなんてことはあり得ないでしょう」(前同)

実は、B氏の経営する飲食店の店舗が、A氏が管理する東京・六本木のビルに入っており、ビルの建て替え工事に伴う店舗立ち退きの件で、2人は揉めていたのだ。

「この背景から見えてくるのは、建て替えに際する立ち退き料などの交渉を有利に進めるべく、B氏側が事件をデッチ上げたという構図が見えてきます」(同)

それにしても、なぜ、警察はB氏側の主張を一方的に信じ、逮捕にまで至ってしまったのだろう。

そこで浮かび上がってくるのが、警察庁の大号令の下、推し進めている暴力団排除運動だ。

「A氏が有力暴力団Xの名前を出したと聞いて、"これは手柄になる"と警察官は舞い上がってしまったんでしょう。
真偽はともかく、Xの関係者を有罪にまで持っていければ、その警察官は大手柄ですからね」(全国紙社会部記者)

  A氏はいま、虚偽告訴罪や国賠訴訟などを準備中だ。
暴力団と聞けば、裏づけ捜査も十分にせず、逮捕してしまう……。
なんとも驚くべき事例だが、さらに、とんでもないケースも存在している。

汚職警官とヤクザがタッグ!?

昨年、ある有力暴力団の元組長が暴行などの容疑で逮捕された事件だ。
これは、そこの所轄署が組長(当時)を暴行容疑で逮捕に行った際の家宅捜索で、拳銃と覚醒剤が出てきたというもの。
だが、この事件には不審な点が多い。

まず、逮捕のきっかけとなった暴行罪だが、当初は一般人とされていた被害者だが、第二審で元組長の組の構成員だったことが判明。
つまりデッチ上げだったことが証明され、暴行罪に関しては逆転無罪となっている。

次に拳銃と覚醒剤に関して、元組長が衝撃的な証言をしている。
「実は、組織のナンバー2・若頭が組長の座を狙い、警官と結託。
元組長宅に拳銃と覚醒剤を仕込んだと主張しているんです」(暴力団事情に詳しいジャーナリスト)
確かに、発見されたブツから、元組長の指紋もDNAも一切出てこず、元組長の体からも覚醒剤反応は出なかった。

となると、元組長が法廷で主張していた若頭と汚職警官の陰謀説の信憑性が増してくるように思える。
この事件の取材を続けているジャーナリストは、こう指摘する。

「今回の事件の捜査に当たった警官は、暴力団との癒着疑惑が出て、所轄署に異動させられた人物なんですが、本部復帰を熱望していた彼が、有力組織の組長を逮捕するという手柄を立てれば、本部への復帰に大きく近づく。

そう考え、組長の座が欲しい若頭と結託して、元組長を陥れようとした可能性が考えられます」

さらに、こう続ける。
「しかし、大物組長の拳銃、薬物所持ともなれば、所轄署ではなく、いきなり本部の出番になってしまう。
そこで考えたのが、所轄署でも捜査ができる暴行罪をデッチ上げるということだったのでは?」 まさか……。

元組長は銃刀法違反、覚せい剤所持の罪で懲役6年の実刑を言い渡され、現在、刑務所に服役中だ。
組長の座を巡って、若頭と汚職警官が現役の組長を陥れようとしたのが真実であるならば、まさに北野武監督の映画『アウトレイジ』を地で行く実態だ。

冤罪・誤認逮捕の裏に隠された検挙数至上主義

汚職警官の存在は特別だとしても、警察の思い込みや決めつけによる先入観で、捜査もそこそこに不当な逮捕が行われている実態があるのであれば、それは衝撃的な話。

なぜ、このような事態が起こってしまうのだろうか。
そのひとつの理由として、警察組織に根づく「強いタテ社会」という体質が挙げられるという。

「各警察署には、同僚や部下、幹部からも大きな信頼を得ているエース捜査官が存在します。
警察は実力の面でもタテ社会です。

エースに異論を唱えることは、相当な"勇気"が必要になります。
となると、組織全体が"エースが、この男が犯人だと言うのだから間違いない"という思い込みが大きくなってしまうんです」(警察事情に詳しいジャーナリスト)

さらに、その思い込みで犯人を逮捕するのに、都合のいい事情もある。

それは、警察の捜査書類は聞き込みの内容をすべて検察官などに提出する必要がないのだ。
「実際、容疑者がほぼ特定できた場合、捜査官は必死に裏づけ捜査に走ります。

このとき、容疑者が犯人ではないとする証拠が出てくることも多いんですが、それらの証拠は捜査書類にて報告されることはありません」(前同)

また、冤罪、誤認逮捕を生み出すもう一つの温床が、警察組織全体に蔓延している検挙率至上主義という体質だ。

各警察組織には、ノルマとも言える1年間の検挙数に関する「努力目標」もしくは「目標数値」が存在する。
たとえば、「検挙率○%以上」「検挙率前年比○%以上」といったものだ。

実際の検挙数は警察署ごとに警察庁が毎年発行する警察白書で公表される。
「それがいわば、警察署にとっての成績表のようなもの。1、2年ごとに異動する警察の署長にとってみれば、愛着もない土地の治安よりも、この数値が自身の出世に大きく関わるので、数字に関して異常なまでに敏感です」(同)

検挙率アップが至上命題の警察が強引な捜査で逮捕に踏み切る一方で、警察が被害届を"にぎる"ということもある。

"にぎる"とは警察内での隠語で、被害届の受理を拒否することを指す。
そこには犯罪認知件数の低下が、日々のパトロールなどの活動で犯罪を未然に防いだことの証しとして評価される背景があるのだ。

神奈川県警厚木署では、10年に、夜間の当直中に被害届の受理が10件を超えた場合、当直者全員にペナルティーを課していたことが発覚し、大問題となった。

これでは「被害届を受理するな」と言っているようなものだ。

そんな警察の怠慢ともいえる体質が招いてしまった大惨事が、99年の桶川ストーカー殺人事件だ。
「元交際相手からストーカー被害を受けていた被害者は、何度も警察に足を運び、告訴状(被害届とは違い、相手に処罰を求めるもの)を出していたんですが、あろうことか警察は、告訴状の改竄、さらには、告訴の取り下げを被害者に要請していたんです」(前出・社会部記者)

  11年に起きた長崎でのストーカー殺人事件でも、同じ過ちが繰り返されている。
ストーカー被害を受けていた家族は、被害届を出しに警察を訪れたのだが、「1週間、待ってほしい」と突き返された。

「実はその2日後に、ストーカー犯罪の責任者である生活安全課の課長、被害届受理を断った刑事課の係長が揃って、北海道へ慰安旅行に行っていたことが発覚しています」(前同)

その後、ようやく被害届は受理されたのだが、そのわずか2日後に事件は発生してしまった。
もし、被害届を出した時点で警察が慰安旅行を取りやめ、捜査に乗り出していたら……。

『本当にワルイのは警察〜国家権力の知られざる裏の顔〜』(宝島社刊)などの著書もあり、警察の不正に詳しいジャーナリスト・寺澤有氏は、被害届の不受理について、こう指摘する。

「以前、私も知人から、警察が被害届を受理してくれないと相談を受けたことがあります。
そのときは、ビール券を渡したらどうかとアドバイスをしました。
もちろん本来オススメできるような方法ではありませんが、実際、これで被害届が受理されたそうです」

検挙率アップのために、裏づけ捜査もおろそかにして、強引な逮捕に走ることもあれば、犯罪認知件数低下のために、被害届を握りつぶすこともあるという警察。

国家の治安を守るための「逮捕」が、こうような基準で執行されているとなると、この国の治安は本当に大丈夫なのかと不安になる。

これらが一部の特異な例で、大多数の警察官は我々を懸命に守ってくれていると信じたいが……。
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2014年05月11日

ワタミ赤字転落で崩壊寸前 ブラック企業のビジネスモデル

ワタミ赤字転落で崩壊寸前
ブラック企業のビジネスモデル
日刊ゲンダイ 2014年05月10日10時26分

 ブラック企業の“ビジネスモデル”は、もう限界ということではないか。

 大手居酒屋チェーンのワタミが1996年の上場以来、はじめて赤字に転落した。
8日に発表した14年3月期連結決算は純損益が49億円の赤字。
前年は35億円の黒字だったから、天国から地獄の様相だ。

「売上高は前年比3%増の1631億円でしたが、営業利益が68%減の29億円だった。
アルバイトの時給上昇が業績の重荷になったようです。

もっとも、ブラック企業の風評もあり、時給を上げても求人が埋まらない。
人手不足で今年度中に全店舗の約1割にあたる60店舗の閉鎖を計画していて、21億円の特別損失を計上したことも響きました」(経済紙記者)

■時給を上げても人が集まらない

 ワタミといえば、無理のきく20〜30代の若者を低賃金でコキ使うことで成長してきたブラック企業の代表格だ。

 求人情報会社によれば、飲食店のアルバイトの平均時給は12年1月の920円から25カ月連続で増えていて、942円に上がったという。

バイトの給料がちょっと上がっただけで、経営が立ち行かなくなってしまう。

 ワタミの桑原社長も、決算発表の会見で「われわれの成長戦略が曲がり角に来ている」と認めていた。
“ブラックビジネスモデル”は崩壊寸前ということだ。

「すき家」のゼンショーホールディングスも、人手不足を理由に今年2月から4月にかけて123店舗を休業し、124店舗が深夜・早朝営業を休止した。

 人手不足は外食、サービス、建設業界などに広がっている。
時給を上げても応募が増えないという。
自業自得だが、とくにブラック企業の烙印を押された会社には、アルバイトが寄りつかない。  

そもそも、人件費を安く抑えて、労働者を酷使してボロ儲けしようという発想が間違っていたのだ。

 ところが、安倍首相はさらに人件費を安くしようとしているのだから、どうかしている。

「安倍首相は<有効求人倍率が上がった>と自慢していますが、そのほとんどは短期雇用の非正規社員です。
アルバイトの平均時給が上がる一方で、正社員の所定内給与は22カ月連続で減少している。

アベノミクスで給料が増えるなんて大ウソだし、クビ切り自由の“限定正社員”や残業代ゼロの“ホワイトカラーエグゼンプション”を導入して、企業が安く使い捨てできる労働力をさらに増やそうとしているのが安倍政権です。

サラリーマンの給料が上がらなければ、お父さんの小遣いが減って、居酒屋にも行けなくなる。
いまやワタミで飲めるサラリーマンは恵まれた人たちなのです。
それで外食産業の業績は悪化し、正社員の給料も上がらない。
こういう悪循環に陥っているように見えます」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)

 アベノミクスの矛盾がここにも表れている。
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生きて税金、死んでも税金!? 政府が「死亡消費税導入」を検討

生きて税金、死んでも税金!?
政府が「死亡消費税導入」を検討
日刊大衆 2014年 05月11日07時00分

いったいどこまで国民から搾り取るつもりなのか?

 この4月に8%へアップされた消費税は、来年10月にはさらに10%になる予定。

そして今年の6月からは復興特別住民税の徴収も始まる。
さらに来年には所得税や相続税も控除額が引き下げられ、実質的な増税となり、さらには国民年金保険料も上がり続け、国民健康保険料も一部自治体では大幅な値上げとなっている。

怒涛のように続く増税ラッシュ。
しかし政府はまだまだ増税の手をゆるめようとはしない。

政府内では社会保障精算税、いわゆる「死亡消費税」の導入が検討されているのだ。

これは死亡時に残した財産から一定の税率で税金を徴収するというもので、膨らみ続ける高齢者医療費の対策として提案された。

要するに生きている間に医療費を負担させては不満がつのる。
でも死んでからなら不満もないでしょ、という理屈だ。

「ゆりかごから墓場まで」とは、かつてのイギリスの手厚すぎる社会保障を揶揄した言葉だが、日本では厳しすぎる税制度を揶揄する言葉に置き換えられるだろう。

5月9日には国の借金が過去最大の1024兆円にまで膨らんでいることが発表された。今のところは検討段階の死亡消費税だが、実際に導入される日も近いかもしれない。
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2014年05月12日

政府は「集団的自衛権はすでに行使されている」を隠し続け中

政府は
「集団的自衛権はすでに行使されている」
            を隠し続け中
2014.05.11 16:00 NEWSポストセブン

北朝鮮が韓国を攻撃し、米国が韓国を助ける状況になったとき、日本はどうするか。

この問題に関連して、産経新聞が3月18日(電子版)に興味深いニュースを報じた。
日本政府関係者が韓国との協議で「日本は米国との事前協議で米軍が国内の基地を使うのを認めないかもしれない」と発言したというのだ。

 言うまでもなく、日韓関係は従軍慰安婦問題で冷えきっている。
国民感情を考えると、韓国を無条件で支援するとは限らないぞ。
そう聞いて、韓国側は「凍り付き言葉を失った」と報じている。
この話は日本の集団的自衛権問題を考えるうえでも核心部分を突いている。

 まず前提になる事実関係をチェックしよう。
日米安保条約はもちろん日本を守るのが使命だが、同時に「極東の平和と安全」に寄与する役割も担っている。つまり朝鮮半島有事への備えだ。

 1960年に条約が調印されたとき、日米両国は「米国が韓国防衛のために日本の基地を自由に使える」という密約を結んでいた。

この密約は民主党政権時代に大問題になったが、外務省の調査では1969年に当時の佐藤栄作首相が日本は米軍の基地使用を「前向きに」検討する方針を表明したので事実上、失効したと結論付けている。つまり基地使用を容認した。

 以来、自民党政権はもちろん民主党政権でも米軍の基地使用を見直した形跡はない。
それどころか、1999年には周辺事態法を作って有事には後方支援をする枠組みを決めている。だから、冒頭の発言が本当になったら大変だ。

 そんなことは百も承知のはずだから、発言者の意図は「韓国が反日姿勢を続けるなら、ひどいことになるぞ!」と一発かましたのだろう。

 それはともかく、ここで注目したいのは、1960年当時から日本は韓国防衛に出撃する米軍への基地提供を事実上、約束していた事実である。
それこそ、集団的自衛権の行使容認ではないか。

 北朝鮮が韓国だけでなく日本も攻撃する意図が明白なら、個別的自衛権の発動でもOKだろう。
だが韓国の救援に出動する米軍が日本の基地で武器弾薬を補給するのを認めるのは、集団的自衛権の行使でないと説明できない。
仲間を助ける行為だからだ。

 当時の岸信介首相は国会で「他国に基地を貸して自国のそれと協同して自国を守るようなことは従来、集団的自衛権として解釈されており、日本として持っている」と述べている。
当時の内閣法制局長官も同じ国会答弁で、米軍への基地提供を集団的自衛権という言葉で理解すれば「(それを)日本の憲法は否定していない」と明快だ。

 つまり、日本を守るために米軍に基地を提供した段階で集団的自衛権は容認されていた。
いまはそこから事態が進んで、日本そのものではなく韓国を救援する米国の支援が眼目だ。
そうであれば、ますます「集団的」と考えられる。

 周辺事態法以来、国会では与野党が「外国の武力行使と一体化していれば集団的自衛権の行使」という前提で議論を続けてきた。
マスコミもそれに乗ってきた。
だが、そんな話は虚構ではないか。

 間違いの始まりは「密約」からだ。
韓国防衛には基地を使わないかのように国民を欺いてきたから、その後の政権は集団的の「しゅ」の字も言えなくなってしまった。
いい加減でタブーを解禁し「日本の平和は極東の平和から」という安全保障の基本に立ち返った議論を望む。

文■長谷川幸洋:
東京新聞・中日新聞論説副主幹。
1953年生まれ。
ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。
政府の規制改革会議委員。
近著に『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)。

※週刊ポスト2014年5月23日号
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3週に1度ペース…なぜ安倍首相はゴルフに狂っているのか

3週に1度ペース…
なぜ安倍首相はゴルフに狂っているのか
2014.5.12 日刊ゲンダイ

ムキになっているのか、それとも反省ができないのか。

鳥インフルエンザの発生後もゴルフを続け批判された安倍首相が、10、11日と連チャンでラウンドした。
10日の夜には番記者に焼きそばを振る舞い、普段なら「国家機密だ」とケムに巻くスコアまで披露。
「きょうはよかった。最後43だからね。前半は49だったから、92か」「最初の2オン? ああいうのをテレビで使ってくれるといいんだけどね」とお気楽に話したのだ。

 第2次政権下でのゴルフはこれで21回になる。
記者に「外遊の回数を超えた」と教えられると、「シャングリラ(シャングリラ・ダイアローグ=アジア安全保障会議・シンガポール=5月末)とG7(ブリュッセル=6月)で挽回する」と強調。

「でも、その前にゴルフを入れちゃったらダメだね」と軽口をたたくのだから、まだまだコースに出続ける気らしい。

「第1次政権の失敗後、安倍首相は中曽根元首相をまねて、気づいたことをノートに書き留めるようになりました。

そこには、首相にカムバックした際の“課題”もまとめてあり、
月イチでやるべきこととして(1)外遊(2)福島(被災地)視察(3)地方視察に加え、(4)ゴルフを入れた。

外遊や視察は、マスコミを通じて動いている姿を国民に見せるため。
ゴルフは健康管理が目的でしょう。
病に倒れた失態を再び演じたくないのです」(政治評論家・有馬晴海氏)

いやはや、なんとも自分勝手な男である。
課題はすべて自分にプラスとなるものばかりだ。

国民のことを第一に考えたテーマは皆無である。

 百歩譲って、外遊や視察の人気取りパフォーマンスは政治活動だとしても、ゴルフまで入れる感覚が分からない。

しかも、外遊回数を超えたことでも分かるように、4つの課題で最も積極的に取り組んでいるのもゴルフである。
なにせ月イチどころか、3週間に1度のハイペース。
まるで半分リタイアした中小企業のオーナーみたいだ。

 第1次政権でのラウンドは、昭恵夫人との1回だけ。
それが今回はタガが外れたようである。
本人は「やった方がいいと気づいたんだよ。やっぱり気分転換になるね」と説明しているが、
政権を放り出したのはゴルフをやらなかったせいではないはずだ。

知恵も力もないのにトップに祭り上げられ、幼稚な政権運営を続けた揚げ句、自滅したのである。

 前回の失敗を理由にしてまでやりたいのなら、一日も早く引退してゴルフ三昧の日々を送ればいいだろう。
国民はだれも困らない。むしろ大歓迎である。
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2014年05月13日

つながらない評論家 世に広がる「絆」至上主義に一石を投ず

つながらない評論家 
世に広がる「絆」至上主義に一石を投ず
2014.05.12 16:00 NEWSポストセブン
※週刊ポスト2014年5月23日号

 人との「つながり」に飢えているのは、携帯電話やインターネットに精通する若者たちだけではない。
定年退職を迎えたシニア世代こそ、地域デビューや趣味サークルなどに「つながり」を求め、もがいているように見える。
だが、つながることは、果たして人間にとって必要なものなのか。
「つながらない」評論家・呉智英氏が、世に広がる「絆」至上主義に一石を投ず。

 * * *

 三年前の東日本大震災によって、日本の精神風土は、じわりと変化した。
あれだけの大惨禍に遇って、逆に日本人は自信を深めた。
大震災の直後、絶望的な状況にもかかわらず、略奪騒ぎも暴動も起きず、日本全体が復興を支援した。
むろん、大破した原発処理を含め、今も未解決の課題はあるし、個別の不祥事はいくらでも指摘できるだろう。
しかし、総じて文明の成熟度が明らかになった。これは日本が世界に誇るべきことである。

 このことは、震災後十日の二〇一一年四月一日号の本誌で、私も既に一文を草している。

だが、翌々週の本誌では、苦言のコメントを出さないではいられなかった。
ちょうど花見のシーズンだったが、これを自粛しようとする奇妙な同調圧力が日本中に広がっていたからである。
「つながろう、日本」の目に見えぬ強制であった。

確かに、被災者たちは復興へ力強く歩み始め、ボランティアたちも尽力している。
しかし「よい人、よい事」の前に、何も言えなくなるのも不健全ではないか。人間の営みは、もっと複雑で多様であり、その上に文明の成熟は築かれるのである。

 私が当時、そして今、ますます気になるのは、「絆」の横行である。
なぜ誰もこれを批判しないのだろう。
「絆」ってそもそも「よい事」なんだろうか。

本来これは「動物をつなぎ止める綱」のことである。
語原は「首綱」が考えられている。
当然、意味は「束縛」「執着」「しがらみ」である。

 昨今ではあまり読まれなくなったイギリスの小説家にサマセット・モームがいる。
代表作は『人間の絆』だ。
この書名は、人と人が手を取り合い、連帯してゆこう、という意味では全くない。

家族との軋轢、愛人との感情のもつれ、その中でもがく作者自身の半自伝的小説である。
つまり「人間社会の束縛」という意味なのだ。

 原題を見れば分かる。“Of Human Bondage”である。
ofがついているのは「人間の束縛から離れて」の意味だろう。
作者も本作を書くことによって、長年の心理的葛藤から解放されたとしている。

思ひ出ポロポロならぬ、思ひ出ドロドロが人間の絆なのだ。

 絆とは束縛であり、しがらみである。それを承知の上で、社会には束縛も必要であり、人間にはしがらみもある、という意味で「絆」が叫ばれているのだろうか。
どうもそうは思えない。
そもそも言葉の意味さえ分かっていない浅薄で平板なスローガンが横行しているのだ。
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2014年05月15日

美味しんぼ批判 行き過ぎはどちらだ

美味しんぼ批判
 行き過ぎはどちらだ
2014年5月14日 東京新聞「社説」

 被災者の切実な声が届くのか。
それとも風評被害を増すのだろうか。
漫画「美味しんぼ」が物議を醸している。
何事にせよ、問題提起は必要だ。
だがその表現には、もちろん思いやりも欠かせない。

 「美味しんぼ」は一九八三年から週刊漫画誌上で連載されており、昨今のグルメブームの発信源とされている。
東日本大震災後は、被災地を取り巻く食の問題などにほぼ的を絞って、問題提起を続けてきた。  前号で、主人公の新聞記者が東京電力福島第一原発を取材直後に鼻血を流す場面が論議を呼んだ。

 そして今週号では、福島第一原発のある双葉町の井戸川克隆前町長や関係する学者らが実名で登場し「大阪が受け入れたがれきの焼却場周辺でも眼(め)や呼吸器系の症状がある」「福島にはもう住むべきではない」などと訴えて、騒ぎはさらに広がった。

 福島県の佐藤雄平知事は「風評被害を助長するような印象で極めて残念」と強く批判した。  

漫画作品だけに、創作部分も多いだろう。
表現の隅々にまで、被災者の心と体に寄り添うような細心の注意が必要なのは、言をまたない。その意味で、配慮に欠けた部分もある。

 しかし、時間をかけた取材に基づく関係者の疑問や批判、主張まで「通説とは異なるから」と否定して、封じてしまっていいのだろうか。

 東電が1号機の格納容器から大量の放射能を含んだ蒸気を大気中に放出するベント作業をした後も、住民にそれを知らせなかった。
「そうとは知らず、われわれはその放射線を浴び続けてたんです」と、前町長は作中で訴える。  

SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)による放射能の拡散情報が、住民に伝えられなかったのも事実である。

 またそれよりずっと以前から、原発は絶対安全だと信じ込まされてきたというさらに強い疑念がある。
それらが払拭(ふっしょく)できない限り、被災者の心の底の不安はぬぐえまい。

素朴な疑問や不安にも、国として東電として、丁寧に答える姿勢が欠かせない。
情報隠しの疑念こそ、風評の温床なのである。

 問題提起はそれとして、考える材料の提供である。
登場人物が事故と被害をどう見ていくのか。
作品を通じ、作者は社会に訴えようと試みる。
行き過ぎはないか。もちろん、過剰な反応も。
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2014年05月16日

消費税増税1月半:過小評価は再増税するためか

消費税増税1月半
過小評価は再増税するためか
2014年5月15日(木) しんぶん赤旗「主張」

 消費税の税率を、17年ぶりに5%から8%に引き上げた増税から1カ月余り―。

政府や財界、一部のマスメディアは、「増税の影響は想定内だった」「落ち込みは一時的だ」という宣伝に躍起です。
しかし、増税が強行されて約1カ月しかたたず、その影響はいよいよこれから現れるというのに、「想定内」も「一時的」もあったものではありません。

こうした消費税増税の影響を過小評価するような宣伝は、来年10月から税率を10%に引き上げる再増税に道を開くことを狙った危険なものです。

「街角景気」は大幅悪化  

消費税が増税されて以降、客足が途絶えた。
新しい商品を投入し、品ぞろえを変え、売り上げを維持するのに必死になっている―街の中小の商店では、増税の影響を何とか切り抜けようと懸命です。

内閣府が「街角景気」と称して発表している景気ウォッチャー調査でも、4月の景気の現状判断DIは41・6(5段階で評価しそれぞれ点数をつけて計算、50が好不況の分かれ目)と、3月に比べ16・3ポイントも悪化、50を割り込んで2カ月ぶりの低下となりました。

 4月は、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連と、すべてのDIが低下しました。
下落幅は東日本大震災が発生した2011年3月以来の大きさです。
駆け込み需要の影響があったことを考えても、増税後の販売や生産の低下による落ち込みは明らかです。

 原則としてあらゆる商品の販売やサービスの提供に課税され、新たに3%の税率を価格に上乗せすることになる消費税増税は、暮らしに打撃を与え、消費を冷え込ませ、売り上げを減少させます。
食料品など生活必需品にも課税されるため、低所得者ほど負担が重くなる逆進性は深刻です。
その打撃を「想定内」だの「一時的」だのと過小に見せようとは、なんと国民に冷たい態度か。  

一部のマスメディアなどの世論調査は、大企業を中心にした企業のアンケートをもとに「減速『一時的』」などと伝えていますが、増税分を値上げに転嫁して大企業はもうけを回復しても、国民の所得が増税に見合って伸びなければ、暮らしは悪化します。

それでなくても安倍晋三政権がすすめる「アベノミクス」で円安が進み、物価は上昇しています。
経済の「好循環」がいわれていますが、大企業のもうけは増えても、労働者の収入は増えていません。

厚生労働省の統計では、労働者の所定内給与は丸2年にわたって減り続けています。
物価の上昇と収入の伸び悩みに増税が加われば、暮らしが悪化するのは目に見えます。

再増税やめさせるために

 大企業でなく、国民を対象にした世論調査では消費税増税の影響がくっきり現れています。

消費税増税で家計のやりくりが「非常に厳しくなった」が16%、「少し厳しくなった」が43%(NHK調査)、負担増を「非常に感じている」が24%、「多少は感じている」が54%(「読売」)―。

国民の実感は「想定内」どころの話ではありません。

 安倍政権は消費税増税の打撃を「一時的」と思わせ、年内には来年10月からの再増税実施を決めようとしています。
しかし、再増税反対は「読売」調査でも66%。国民の圧倒的な世論に応え再増税をやめさせるためにも、増税を過小評価させるわけにはいきません。
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2014年05月17日

過去に学ばず、どんな未来に向かうというのだろう・・・

過去に学ばず、
どんな未来に向かうというのだろう
2014年5月16日 東京新聞「筆洗」

 今そこに、大量破壊兵器や弾道ミサイルの脅威が差し迫っている。
そう言って始めたイラク戦争の大義がまやかしだったと分かった時から、英国ではこの戦争の検証が始まった

▼強い権限を持つ調査委員会が機密文書を調べ、公聴会も重ねてブレア元首相らにも証言を求めた。
検証の一つの焦点となったのが、英政府の「法の番人」たる法務長官を務めたゴールドスミス卿の言動だった

▼彼は当初、イラクへの武力行使は、国際法上「違法」だと明言していた。
だが二〇〇三年二月に訪米したことで考えを変える。
ブッシュ政権の法律担当者らに「合法」だと説得されたのだ

▼英外相らからも再考を促されていた長官は、ついに英国の参戦に青信号を出した。
法の番人が政治家や米国の言いなりとなって法解釈を歪(ゆが)めたことで、〇三年三月二十日、英国は泥沼の戦争に突入した

▼日本政府の法の番人・内閣法制局長官は集団的自衛権の行使は憲法が許さないと言ってきた。
その番人を自分の意を汲(く)む人物にかえた安倍首相はきのう、これまた自分の意を汲んだ有識者らの提言を受け、集団的自衛権行使に向け舵(かじ)を切った

▼日本も米国の求めでイラクに航空自衛隊などを派遣した。
後に裁判所は空自の活動は違憲だったと断じたが、政府はあの戦争の検証すらまともにしていない。
過去に学ばず、どんな未来に向かうというのだろう。
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2014年05月19日

心を穏やかに保つための4つのアドバイス

心を穏やかに保つための4つのアドバイス
2014年5月18日(日)22時26分配信 モデルプレス

予定が詰まりに詰まっていると心の余裕もなくなってくるものですよね。

イライラしたり、やっちゃいけないと分かっているものの、誰かに八つ当たりしてしまったりなどなど、心の余裕がないといいことがありません。
そこで、心に余裕を持たせ、穏やかに保つためのとっておきの4つのアドバイスをご紹介します。

1.忙しいのは自分だけではないことを理解する

自分だけが時間や仕事に追われて忙しくて押しつぶされそうだと嘆いていませんか?
周りを見てみましょう。

みんな同じ一日24時間の中でやらなければならないことをやりくりしているんです。
忙しいのはあなただけではありません。
まずはそれを理解しましょう。

2.出来ないことは他の人にお願いしよう

今あなたが抱えている、やらなければならないことは、本当にあなた自身がやらなければならないことですか?

他の人にお願いできることもあるのではないでしょうか?
自分が不得意なことは、友人や家族でその事柄を得意としている人にお願いして助けてもらうようにしましょう。

3.やるべきことを紙に書きだして順位をつける

頭の中だけでは整理しきれないことってあるんです。

そういうときは、やらなくてはいけないことを全て紙に書きだしてみましょう。
そして、2でお話したように他の人にお願いできるものはお願いする。
その後、自分でやるべきことに優先順位をつけてこなしていきましょう。

4.合間合間で自分を褒める

心の余裕がなくなってしまうほど忙しいあなたはきっと、色んなことをがんばっている証拠なんです。
そんな中で、自分が達成したことや、がんばっていることを褒めてあげるようにしましょう。

そうすることで。やる気がまた湧いてくるものです。
いかがでしたか?忙しくがんばるあなたに、心の穏やかさが加わればもっと魅力的な人になれるはずですよ。(モデルプレス)
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2014年05月20日

裁判員制度5年 冤罪防ぐ法整備を急げ

裁判員制度5年
 冤罪防ぐ法整備を急げ 
毎日新聞「社説」 2014年05月19日 

 裁判員制度が始まって21日で5年になる。
3月末までに全国で約6500件の裁判員裁判が開かれ、約4万9000人の国民が、裁判員や補充裁判員として裁判に参加した。

 「市民感覚」を生かしながら、まじめに裁判や被告と向き合う姿は、法曹界から高く評価されている。

 インターネット利用が広まる中で、裁判や評議に関する情報の漏えいが心配されたが、そういった事案も起きていない。
国民の司法参加は、おおむね定着しつつあるといっていいだろう。

 ただし、裁判員裁判は、死刑や無期の懲役・禁錮が言い渡せる殺人など重大事件が対象だ。

裁判員に与える心理的負担は大きく、万が一、判決後に被告の冤罪(えんざい)が明らかになれば、筆舌に尽くしがたいほどの衝撃を裁判員に与えるだろう。
裁判員制度を一層安定させるには、冤罪や誤判を防ぐさらなる法整備が必要だ。

 この5年の間に、東京電力女性社員殺害事件で被告の再審無罪が確定し、袴田事件の再審開始決定も出た。

両事件では、被告に有利な証拠をなかなか出さなかった検察の姿勢が批判された。
裁判員裁判開始前の両事件ではあるが、改めて現行の刑事司法手続きへの不安が募る。

 裁判員裁判では、公判の前に法廷外で検察と被告・弁護側が争点や証拠の整理をする手続きが実施される。
このため、確かに以前より検察の証拠開示範囲は広がった。

だが、検察の裁量は今も残り、被告に有利な証拠が必ずしも法廷に出てくるとは限らない。
そうした場合、裁判員の判断を誤らせる可能性は残る。

 取り調べの録音・録画(可視化)も警察、検察が裁判員裁判対象事件で試行的に実施しているが、取り調べ側の裁量で行う面は今も残っており、完全可視化とは言えない。

 証拠の全面開示も可視化も法制化をめぐり、法制審議会の部会で議論が進んでいる。
だが、こうしている間も裁判員裁判は日々、行われている。
政府は法制化を急ぐべきだ。

 もう一つ、袴田事件で浮き彫りになったのは、究極の刑である死刑のあり方に目を向けるべきではないかということだ。

 死刑廃止国が大多数を占める欧州の国々などが、死刑執行を続ける日本に向ける目は厳しい。

存廃はもちろん重大問題だが、現行制度を前提としても、どういったケースで死刑を言い渡すべきか確たる基準はない。
裁判員の悩みは深いだろう。

裁判員制度見直しの議論では、死刑言い渡しの評決は全会一致とすべきだとの意見もあったが、採用されなかった。

 死刑囚の処遇や執行の様子など情報公開をさらに進めるべきだ。
死刑についての議論も深めたい。
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2014年05月24日

成果主義「死を招く」 残業代ゼロ制度なら

成果主義「死を招く」
 残業代ゼロ制度なら
2014年5月24日 07時09分 東京新聞「社会」

  働いた時間の長さではなく、「成果」に応じて報酬を支払う「残業代ゼロ」制度の導入が政府の産業競争力会議で検討されている。
労働時間と報酬を切り離せば、長時間労働を減らすことにもつながると強調。

しかし、現状でも長時間労働を強いられながら、応分の残業代を支払われていない労働者からは「成果が出るまでさらに働かせられることになる」と不安の声が上がる(小林由比)

 猛暑が続いた昨年八月半ばの深夜、東京都目黒区のピザ宅配店で店長を務める男性(28)=大田区=は、歩いて帰る途中で吐き気と頭痛に襲われ、救急車で運ばれた。
四カ月間、深夜まで働く日が続いていた。過労と診断されたが、点滴を受けて翌朝はいつも通り出勤。
「とにかく仕事に行くことしか考えられなくなっていた」

 念願の正社員として昨年四月に入社。
ハローワークの求人票には残業は一日最大二時間と示されていた。
だが、就職後に会社からは「もっと頑張るなら」と、どれだけ働いても月五十四時間とみなし、固定残業代六万九千円余りを支払う提案があった。

 疑問に思いながらも応じた後は、午前十時から少なくとも閉店の午後十一時まで働いた。店にいる正社員は自分だけで、事務処理などが終わらず日付をまたぐ日も。

アルバイトには昼食休憩を一時間取らせるが、自分は仕事の合間にゼリー飲料を流し込む。
滑舌が悪くなり、食事や入浴をする気力もなくなった。

 残業時間は、厚生労働省が過労死ラインとする月八十時間を大幅に上回る月百四十時間以上。だが、固定残業代以上の残業代が払われたことはない。

売り上げ目標に届かない店では、それさえ削られると店長仲間から聞いた。
「成果報酬になれば、売り上げが達成できるまで、泊まり込んででも働くことになると思う。
死ぬ人も出てくるのでは」

 都内の中堅外食会社に約一年勤務した調理師の男性(25)も長時間労働の結果、立っていられないほどの腰痛や難聴などの症状が出て休職。
精神科で今月、抑うつ状態と診断された。

 年間の休日は五十九日、残業は月百四十〜百七十時間に上った。
支払われた固定残業代の月六万二千円は、何時間分とみなされたのかも不明。
月給を労働時間で割ってみると、時給は都の最低賃金八百六十九円を割り込む八百五十円程度だった。

 産業競争力会議で制度を提案した長谷川閑史(やすちか)経済同友会代表幹事は、一般従業員に適用する場合、労使と本人の合意が前提と強調。
違法な長時間労働などを強いるブラック企業に悪用されることはないとした。

 しかし、若者の労働相談に乗るNPO法人「POSSE」代表の今野晴貴さん(31)は「現在でも労使協定さえ結ばず、違法にサービス残業をさせていても刑事罰を受ける会社はほとんどない」と指摘。
残業代ゼロ制度が広がれば「労働者が自分の身を守る手段は何もなくなる」と批判する。

<残業代>
 労働基準法は労働時間を「1日8時間・週40時間」と定める。
長時間労働を抑制するため、法定労働時間を超えた時間外や休日の労働には、企業は割増賃金を支払わなければならない。
 労働時間の配分を個人に委ねる制度としては、デザイナーなどの専門職や企画部門などで働く人を対象とした裁量労働制がある。
労使協定で定めた時間を働いたとみなし法定労働時間の8時間を超えた分は割増賃金が支払われる。
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2014年05月25日

ダダ漏れは数字で歴然…汚染水「ブロック」はやっぱり大ウソ

ダダ漏れは数字で歴然…
汚染水「ブロック」はやっぱり大ウソ
2014年5月24日 日刊ゲンダイ

 やっぱり、安倍首相の発言は大嘘だったのか。
大きな話題を呼んでいるのが福島沖30キロの汚染データだ。

国は「財団法人海洋生物環境研究所」などに委託し、海水中の放射性セシウム137などの濃度を調べているが、この値が2〜7ミリベクレル/リットルで、いまだに原発事故前の数倍、場所によっては数十倍のレベルが続いているのだ。

 事故直後は通常の20万倍もあったから、それに比べれば急減しているが、専門家によれば問題は低下のスピードが鈍化していることだ。
事故から3年たっているのに元の水準に戻らないのは、「福島第1から外洋へのセシウムの流出が続いている」と考えるべきなのである。

東京海洋大の神田穣太教授が言う。
「調査方法は海水20リットルに試薬を入れて、セシウムを吸着させた粉末を集めて調べる精緻なものです。
このレベルであれば、環境や魚に影響が出ませんが、セシウム137は自然界に存在しない。
その値が事故前の水準に戻らないのは、今も何らかの形で供給が続いているということです。
福島原発の港湾はシルトフェンスで取水口などが覆われていますが、完全に遮断できるものではない。
海水は入れ替わるので、遮断されていれば、外洋と汚染レベルが一緒になりますが、今も港湾内の汚染レベルは高い。
つまり、今も汚染水が流出していると考えるのが妥当なのです

■漏洩箇所はいまだ不明

 福島沖ではいまも規制値を超える魚が出ることもある。

「これもどこかから放射性物質が入り込んでいなければ、説明がつきません。
エサかも知れないし、岩陰のホットスポットのようなところがあるのかもしれない。
しかし、我々はそれを見つけられていないのです」

 神田教授によれば、流出をストップさせるには、漏洩箇所を突き止めなければいけないが、「建屋の地下なのか、トレンチなのか、他の滞留箇所があるのか。
ソースはわからない」という。

 安倍首相は「汚染の影響はブロック」という曖昧な言い方をしたので、「科学者は間違いだとは言えない」(神田教授)と言うが、ズルイ表現だ。現実はダダ漏れが続いている
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2014年05月26日

死亡消費税構想 棺桶から税金もぎとる年金収奪のメカニズム

死亡消費税構想
棺桶から税金もぎとる
    年金収奪のメカニズム
2014.05.25 16:00 NEWSポストセブン
※週刊ポスト2014年5月30日号

 田村憲久・厚生労働大臣は、受給者の選択によって年金受給開始年齢を75歳まで遅らせて繰り下げ受給ができるようにして、その分、金額を割り増す制度を検討することを表明した。

また、政府の経済財政諮問会議の有識者会議「選択する未来」委員会は70歳までを労働人口に位置付ける提言を発表した。

2つを合わせると、国民をできるだけ長く働かせ、年金支給を大幅に遅らせようという意図が透けてくる。

 国民にとって、政府の年金75歳支給に対抗する方法は、長生きしてできるだけ長く年金をもらうことくらいしかない。

 そうはいっても、人間には平均寿命とは別に、日常活動に支障をきたさないで生活できる「健康寿命」がある。

厚労省(厚生科学審議会)の資料によると、日本人の健康寿命は男性約70歳、女性約73歳であり、それ以降は〈日常生活に制限のある「不健康な期間」を意味します〉とされている。

 70歳を過ぎるまで働き、受給開始を遅らせて年金の割り増しを受けても、健康寿命が尽きて体の自由がきかなくなってからでは趣味や生きがいのためにお金を使いたくても難しくなる。

「健康寿命は大切だとひしひしと感じる」。
そう語るのは今年80歳になるAさん。
大手メーカーの営業部長として定年を迎えた。50代までゴルフはシングルの腕前だったという。

「70代前半までにたまにコースを回っていましたが、最近はめっきり足腰が弱くなり、血糖値が高いから病院通い。
趣味のゴルフにも行けなくなりました。
いまの楽しみは盆と正月に遊びに来る中学生と高校生の孫たちにお小遣いを渡して喜ぶ顔を見ることですね。
幸い、多少の蓄えはあるから、孫の教育費くらいは遺してやれるかなと思っています」

 ところが、政府は高齢者がコツコツ貯めた年金にまで手を伸ばそうとしている。

政府内で「75歳の年金支給」、「70歳労働」とともに検討されているのが、「死亡消費税」の導入だ。

提唱者で首相ブレーンの伊藤元重・東京大学教授は、社会保障制度改革国民会議で内容を次のように説明している。
「亡くなられた段階で消費税をいただくというもの。60歳で定年されて、85歳でお亡くなりになられるまでに、一生懸命、消費して日本の景気に貢献された方は消費税を払ってお亡くなりになっておられる。

 しかし、60歳から85歳まで、お使いにならないでひたすら溜め込んだ方は、消費税を払わないでお亡くなりになられて、しかもそれが相当な金額にならない限りは、遺産相続税の対象にならない。

ですから、生前にお支払いにならなかった消費税を少しいただく。
それを、後期高齢者の方の医療費に使わせていただくというものです」

 高齢者がカネを使わずに貯め込むのは経済にマイナスだから、亡くなってから相続税とは別に“消費しなかった罰則税”をかけるという論理だ。

 この「死亡消費税」はただの増税論ではない。
政府がやろうとしている3つの政策をセットだと考えると、そこから怖ろしい企みが浮かんでくる。

 国民を70歳を過ぎて健康寿命が尽きるまで働かせ、体の自由がきかなくなってくる75歳になるのを待って「使えるものなら使ってみなさい」と年金を払い、仕方なく孫や子のために貯金すると、「消費に回さなかったあなたが悪い」と棺桶から税金をもぎ取る。

明らかに、意図的な年金収奪のメカニズムをつくろうとしている。
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2014年05月27日

中国機接近でも宴席ハシゴ…首相の「国民の命守る」は方便か

中国機接近でも宴席ハシゴ…
首相の「国民の命守る」は方便か
2014年5月26日 日刊ゲンダイ

中国機が24日午前、自衛隊機の30〜50メートルにまで異常接近した。
自衛隊機は東シナ海で行われている中国とロシアの軍事演習を監視していたという。
それに対して中国機が緊急発進(スクランブル)し、際どい状況になったという。

だが、そんな緊急事態にもかかわらず、安倍政権の対応はのんびりしたものだった。

■当日は大臣の「コメント」発表のみ

 安倍首相は解釈改憲の検討を表明した15日の会見で、「東シナ海では、海上保安庁や自衛隊の諸君が、高い緊張感を持って24時間態勢で警備を続けている」とし、「いかなる事態にも対応できるよう、日ごろから隙のない備えをする」と訴えた。

 まさに、その東シナ海の公海上空で、一触即発の事態が発生したのだ。
現場は騒然となったはずで、職員や隊員は頭と体をフル回転で対応したことだろう。

ただ、首相や防衛大臣の対応は、「隙のない備え」から程遠かった。
自衛隊機がスクランブルを掛けられたのは、24日の午前11時と正午ごろという。
だが、防衛省で緊急の会議が開かれたのは夜になってから。

小野寺防衛相は、深夜に「偶発事故の発生につながりかねない危険な行為だ」とのコメントを出して終わりだ。
翌25日の午前になって初めて「常軌を逸した近接行動だ」と記者団を前に話したが、本当に異常なら、その日のうちにカメラに向かってメッセージを発信すべきだろう。

■2001年には米軍機と接触墜落

 軍事評論家の神浦元彰氏もこう言う。
「中国機の行為は、悪質な嫌がらせです。
レーダーを照射しロックオンしていないため、威嚇まではいかないが、衝突や接触の危険性はある。
実際に2001年には、米軍機にスクランブルを掛けた中国機が接触し墜落しています。

今回、中国軍の現場の兵士は<日本人に怖い思いをさせてやれ>と遊び半分だったのかもしれませんが、墜落すれば一大事。
日本側の厳重抗議は当然です。

ところが、防衛省の対応を見ると、当日は夜に事実関係の発表をしただけ。
大臣が姿を見せて口を開いたのは翌日です。
なぜ、当日ではなかったのか。政権の危機管理体制には不安を覚えざるを得ません

15日の会見で「内閣総理大臣である私は、いかなる事態にあっても国民の命を守る責務があるはずだ」「みなさんのお子さんやお孫さんがいるかもしれない場所で、政府が何もできないということでいいのか」などとエラソーに言っていた安倍も緊張感ゼロ。

 小野寺防衛相は「引き続き、しっかりした態勢を取っていただきたいと指示があった」と話したが、安倍が報告を受けたのは24日夜の会議のときだ。
それまでは何も知らされていなかった。

 実際、24日の安倍は、正午過ぎからお友達の根本復興相の長男の結婚披露宴に出席。
夜にはホテルの日本料理店で知人と食事をしている。

 はたして、これが「国民の命を守る責務」を持った人物が、異常事態の発生当日にとるべき行動なのか。
 安倍は、集団的自衛権の行使ができなければ、「お子さん、お孫さんを守れない」と言う。

だが、憲法解釈を変えたところで、安倍に国民は守れない。
「国民を守るため」は解釈改憲の方便に過ぎないということだ。
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世界一トヨタ、5年間法人税を払っていなかった! どんなカラクリがあるのか、と怒りの声 

世界一トヨタ、
5年間法人税を払っていなかった!
どんなカラクリがあるのか、と怒りの声 
  J-CASTニュース 2014年05月27日13時58分

クルマの年間販売台数「世界一」のトヨタ自動車が法人税を納めていなかった。

最近、巨額の利益を上げているはずなのに、なぜこんなことができるのか、とインターネットで怒りの声も出ている。

トヨタの豊田章男社長は2014年3月期の決算会見で、09年3月期分から納めていなかった法人税を、14年3月期から支払えるようになったと語った。

「企業は税金を払って社会貢献するのが存続の一番の使命」??

トヨタ自動車の2014年3月期連結決算によると、グループの世界販売台数が世界で初めて年間1000万台を突破。
売上高は前期比16.4%増の25兆6919億円、営業利益は6年ぶりに過去最高を更新して、73.5%増の2兆2921億円。
税引き前当期純利益は73.9%増の2兆4410億円の好決算だった。
まさに、トヨタは「世界一」の自動車メーカーになった。

この結果に、豊田章夫社長は「一番うれしいのは納税できること」と喜んだ。
豊田氏が社長に就任したのが2009年6月。
「社長になってから国内では税金を払っていなかった。
企業は税金を払って社会貢献するのが存続の一番の使命」と語り、「納税できる会社として、スタートラインに立てたことが素直にうれしい」と話した。

トヨタ自動車は、たしかに法人税を払っていなかった。
そのことは広報部も「この5年間は払っていません」と認め、「13年度分を、この6月に納めます」と話している。
こうした実態に疑問を呈する人も出ている。

共産党の佐々木憲昭議員は自身のオフィシャルサイト(5月20日付)で、「トヨタは税金を払っていなかった!?」と取り上げた。
しかも豊田社長の就任後の5年間、ずっと払っていないというのだから、「いったいどうなっているのか」との思いがあったのだろう。

佐々木氏は「これまで、繰越欠損税制や連結納税制度などをフルに使って税逃れをしてきたということでしょう。
税金も払わず『社会的貢献のできない会社』だったということを自分で認めたかたちです」と指摘。

さらに、トヨタが新聞広告で4月からの消費税率の引き上げについて、「『節約はじつは生活を豊かにするのだと気がつけば、増税もまた楽しからずやだ』などと述べている。

自分は、税金を払わないが、庶民が払うのは『楽しからずや』だなんて、庶民感情を逆撫でするものだと言わなければなりません」としている。

研究開発費や外国での納税… 法人税の「控除」は多岐にわたる

トヨタ自動車の豊田章夫社長の発言に、インターネットには、 「ホントに払ってないのか??」 「世界のトヨタが言うと嫌みにしか聞こえない。傲慢さが出てるね」
「1円も税金払っていないことを抜けぬけとトップが自慢げに言うとは。あくせく働いて税金を払っている一般国民を小ばかにしたような発言ではないか」
「クルマも売れて、戻し税のおかげもあってウハウハで、ついポロリと本音が出たのであろうか。
この発言で点数下げたことは確か」 といったコメントが寄せられている。

とはいえ、基本的に利益があって、配当している上場企業は法人税を払っているはずだ。

トヨタの2009年3月期の税引き前当期利益は5604億円の赤字だったので、このとき法人税が払えないのはわかる。
しかし、10年3月期のそれは2914億円の黒字。
以降、5632億円、4328億円、13年3月期には1兆4036億円もの黒字を計上してきた。
法人税を納められないほど「体力」がないわけではない。

一方で、じつは法人税にはさまざまな「控除」項目がある。
たとえば、欠損金の繰越控除額(期間7年、大手企業の場合は80%)。
ただ、2010年以降利益を上げているので、これだけでは「ゼロ継続」の説明はつかない。

子会社からの配当や研究開発費、海外に進出している企業が海外で納めた税金分を、日本に納める法人税から控除することもできるし、地方税の部分については工場誘致などを理由に免除していることもある。

いろいろ優遇措置を使って、法人税を払わずに済んでいる企業は少なくない。
おそらく、トヨタも税金を納めなくて済むよう、いろいろと「遣り繰り」したことは推測できる。
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2014年05月30日

集団的自衛権 説得力欠く首相の答弁

集団的自衛権
 説得力欠く首相の答弁
毎日新聞「社説」 2014年05月29日

  なぜいま集団的自衛権の行使を認める必要があるのか。
この根本的な問いに対し、安倍晋三首相は衆院予算委員会の集中審議で、安全保障環境の変化に対応し、国民の命と平和な暮らしを守るため、日米同盟を強化しなければならないと強調した。  

だが、その方法がなぜ集団的自衛権でなければならないのか、首相から納得のいく答えは示されなかったように思う。

 この日の審議は、首相が私的懇談会・安保法制懇の提言を受け、行使容認に向けた検討を正式表明してから初の本格的な国会論戦となった。

 朝鮮半島有事を念頭に、取り残された在留日本人を日本に向けて輸送中の米軍輸送艦を、自衛隊が集団的自衛権を行使して防護する事例などで、激しいやり取りがあった。

 例えば、民主党の岡田克也議員はこう主張した。集団的自衛権の概念を使うから米国艦船にだけ対処するおかしな結果になる。
自衛隊の海上警備行動と似た概念で、日本人が乗っている船舶を国籍にかかわらず守れる仕組みを作るべきだ。

 安倍首相は「米国の船以外は駄目と言ったことはない」と反論した。

 だが、その国が武力攻撃を受けていなければ、日本は集団的自衛権を行使できない場合がある。
そのとき、日本人を乗せた米国以外の船舶をどう守るかという問いに首相は直接、答えなかった。

 集団的自衛権を行使する際の要件や歯止めがあいまいなことも、改めて浮き彫りになった。  安保法制懇の提言では「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性」がある場合に、政府が総合的に判断して行使できるよう求めている。

 審議では、米国の要請を断れず、正当性を欠いたまま集団的自衛権が乱用される恐れなどが指摘された。

 首相は、行使には法律の歯止めがかかるとしたうえで、行使は「権利であって義務ではない」「慎重に判断する」と述べたが、これでは安心して政府に判断を任せられない。

 政府は、ホルムズ海峡などシーレーン(海上交通路)での機雷掃海活動への参加も事例にあげている。

シーレーン封鎖による原油供給の停滞という経済的理由を「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性」ととらえ、集団的自衛権行使にまで広げていいのかという疑問も出された。

 首相は、戦闘行動が目的ではなく、機雷除去という限定的行使だとして理解を求めた。

 だが、戦闘中の機雷除去は武力行使にあたるため反撃され、自衛隊が戦闘行動に入らざるを得なくなる可能性がある。
戦争とはそういうものだ。
どう歯止めをかけるつもりなのか、首相はきちんと示してほしい。
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2014年06月02日

流されていく怖さ=近藤勝重

しあわせのトンボ
流されていく怖さ=近藤勝重
毎日新聞 2014年05月29日 東京夕刊

 初夏の空に伸び上がるように立つケヤキは、いつ見ても見飽きることがない。
左右に広がる枝先の新緑は風まかせながら、日の当たる加減で濃淡2色に早変わりする。

 見ていて、ケヤキを好んで書いた藤沢周平氏がふと浮かぶと、城山三郎、吉村昭両氏の顔も浮かんでくる。
そして思ってみたりする。

この人たちが存命なら、今日の政治状況をどうおっしゃるだろうと。

 昭和2(1927)年生まれで、青春が戦争と重なっていた3氏の作品は、今もよく読む。
そんな中で吉村氏の「白い道」の次の一節は、いろいろと考えさせられる。

「あの戦争は軍部がやったんだ」という見方に、氏はこう反論している。

 <しかし、こんな小さな島国で、あれだけの大戦争をいくらなんでも軍部だけでやれるわけがない。
庶民も一緒になって戦争をやっていた。
軍部だけでなく日本人自身が戦争をやっていた。
それをまずはっきりしておかないと戦争の実態はつかめないのではないか>

 氏は、だから日本人と戦争というものをテーマに「戦艦武蔵」を書いたのだとも語っている。  そうかと思う一方で、軍部だけでなく、「戦争をやっていた」のが「日本人自身」だと言われると、何か認めたくない気持ちも働く。

しかし安倍晋三首相と自民党が、憲法9条の解釈改憲による集団的自衛権行使容認へと突っ走り、かつそのことに一定程度の世論の「支持」があると知ると、時の権力の意向を映しがちな時代の空気や風潮を思い知らされもする。

 3氏は戦時下をもくぐり抜けた世代である。
その体験ゆえに、日本と日本人を見つめる目は冷静だ。
3氏が共通して案じ、警戒していたのは、時代に流されやすい日本人であり、世に流されていく怖さであった。

 9条の解釈改憲に対して公明党の山口那津男代表は、昨年末のぼくのインタビューに「周囲の安全保障環境が厳しくなったから変えます、だけでは到底乗り越えられません」と答え、否定的だったが、与党協議がどうなるか。

安倍政権の意気込みを思うと、公明党も油断はできまい。

 梅雨に入って、黒雲が垂れこめる事態にならないことを願い、城山氏の言葉を書き留めておきたい。
 「平和のありがたさは失ってみなければわからない」(客員編集委員)
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2014年06月04日

牧太郎の大きな声では言えないが…:「物言い」の勇気

牧太郎の大きな声では言えないが…
:「物言い」の勇気
毎日新聞 2014年06月02日 東京夕刊

2012年の大相撲11月場所9日目。
珍事が起こった。

 結び前の一番。
前日まで8戦全勝の関脇・豪栄道と1敗の横綱・日馬富士戦。
豪栄道が“まわし”を取って白房下に寄ると、赤房下の湊川審判(元小結・大徹)が手を挙げた。「日馬富士の左足が出た」というのだ。

 立行司の39代式守伊之助は慌てて、2人の背中をたたいた。“待った!”の合図である。  

両力士が分かれてから、伊之助は湊川審判が指さす土俵際をジッと見つめる。
勝負審判全員が土俵に上がり、協議が始まった。

 その結末は……「向こう正面審判が、日馬富士の足が出たと勘違いして手を挙げてしまいました。
従ってやり直しという形にします」と審判長。
前代未聞の「誤審」だった。

 「やり直し」の一番は、日馬富士が寄り切りで勝ったが、せめて「水入り」のように、取組途中の「形」をつくってから再開しなければ……豪栄道には気の毒だった。

 「あれ以来、物言いは慎重に!という雰囲気」と漏らす親方もいた。

 今年の5月場所12日目、結びの一番、また珍事が起こった。

 皮肉なことに、あの誤審に泣いた?関脇・豪栄道が横綱・鶴竜に挑んだ一戦。
鶴竜をはたいて転がし、豪栄道に軍配が上がったのだが……“勝ち残り”だった横綱・白鵬が右手を挙げた。
「物言い」である。

豪栄道が鶴竜のまげを引っ張ったのではないか?

 「まげつかみ」は反則である。

 審判団が協議した結果は……行司軍配差し違え。
豪栄道の反則負けになった。

 「物言い」は5人の勝負審判のほかに、東西の控え力士にも認められている。
白鵬は「審判が誰も手を挙げなかったから」と話したが「物言いが出ないのはおかしい!」と思ったのだろう。

 幕内の取組で控え力士が物言いをつけたのは、実に18年ぶりのこと。

結果的に審判は「何しているの?」と笑い者にもなりかねない。
そう考えると「力士の物言い」には覚悟がいる。

 安倍晋三首相に「日本を守るため、平和憲法の解釈を変える」と言われて、賛成するのか、反対なのか?

 千々に乱れ……ロクに「物言い」も言えない「とある野党」の面々を見るにつけても……さすが、白鵬は大横綱である。(客員編集委員)
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2014年06月09日

人員整理のツケ…トラブル頻発のJALに迫る業務改善命令

人員整理のツケ…
トラブル頻発のJALに迫る業務改善命令
2014年6月7日 日刊ゲンダイ

 JALがまたトラブルだ。
5日午前9時ごろ、貨物重量管理システムで障害が起こり、復旧したのが午後5時過ぎ。
羽田空港発着便を中心に国内線174便が欠航、1万4000人に影響が出た。

 国交省の指導は原因究明と再発防止の指示にとどまったが、JALのダメージは決して小さくない。
「異例の頻度でミスが起きている」と叱り飛ばされたばかりなのだ。

 理由は昨年10月から今年5月にかけて起きた16件の整備ミス。

運航に支障は出なかったものの、着陸時の減速に使う逆噴射装置の部品を付け忘れたまま1カ月飛ばし続けていたり、主脚部品の付け忘れもあった。
無資格の整備士が最終確認していたケースまであった。

「ほとんどが単純ミスによるもの。まさにヒューマンエラーです」(航空アナリスト)

 こうした事態を受け、JALは5月19日から23日にかけて羽田の整備を休止。
管理職と整備士らが作業の見直しを検討した。

「国交省による業務改善命令を回避するため、慌てて立て直しを図ったようです。
人手不足に苛立つ現場と経営サイドは激しくぶつかっています。

昨年7月に整備態勢が変更され、配置転換があったのですが、作業効率アップと工期短縮の名目で夜勤が増えた。
意思疎通がうまく図れず、それぞれの負担が増えたことがミスを誘発したようです」(航空関係者)

 2010年1月に経営破綻したJALは、全社員の3割にあたる1万8000人をリストラした。

■“親方日の丸”ふたたび

 航空評論家の秀島一生氏はこう言う。
「LCC参入を後押しするため、国交省が安全規制を緩和したので整備回数が減り、1回のチェックが重みを増しています。
にもかかわらず、人員整理のあおりで、JALには経験豊富な熟練技術者が少ない。
ヒューマンエラーが起こりやすい環境にあるのは疑いようがないでしょう」

 JALは3500億円もの公的資金を投入され、銀行団も5215億円の債権放棄に応じた。国を挙げた再建支援が奏功し、12年9月には再上場。

14年3月期の売上高は前年同期比5.7%増の1兆3093億円に上った。
「業績が回復したことで、経営陣の顔色は良くなり、言葉に力が戻ってきた。

“親方日の丸”時代を知る部長クラス以上は、ぬるま湯にどっぷり漬かった旧体質に戻りつつある雰囲気を感じます」(前出の航空アナリスト)

 安全は大丈夫か。JAL社内に一体何が起きているのか。
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2014年06月10日

着工1週間で暗礁…専門家も危惧する原発「凍土壁」の重大欠陥

着工1週間で暗礁…
専門家も危惧する
原発「凍土壁」の重大欠陥
2014年6月9日 日刊ゲンダイ

 2日に着工したばかりの福島第1原発の「凍土遮水壁」の工事が、わずか1週間で暗礁に乗り上げようとしている。

埋設しようとしている約1500本の凍結管のうち、約170本が地下の埋蔵物とぶつかることが分かり、東京電力と工事を担当する鹿島建設が対応に頭を抱えているのだ。

 元大阪市立大学大学院教授(環境政策論)の畑明郎氏がこう言う。

「安倍政権は威勢良く啖呵(たんか)を切って着工したわけですが、もともと、何人もの専門家が凍土壁の工事は不可能だと指摘していました。
ただでさえ全長26.4メートルもある凍結管を1メートル間隔で1500本も埋設しなくてはならない難しい工事なのに、地震の影響で建屋の地下の配管が複雑に絡み合い、デコボコになっている。
埋蔵物が見つかった場合に避けて凍結管を埋設するのか、貫通させるのかといった方針を固めず、“やってみないと分からない”と見切り発車してしまった。

こんな工事に320億円も税金を使うとは信じられない話です

 1500本の凍結管のうち、1割以上の170本が埋設できないとなったら、凍らせて「壁」を造ることは難しいだろう。
そもそも凍土壁は2011年6月当時、民主党政権がやろうとして立ち消えになったプランだ。

凍土壁はトンネルなどの工事に一時的に使われる技術で、これだけの大規模な工事は前例がない。
「地下の配管を避けたりして、凍結管の“1メートル間隔”が狂えば、当然、凍りにくい場所が出てくるでしょう。
工事の終盤になって『壁』がガラガラと崩れたら元のもくあみです」(畑明郎氏)

 凍土壁が完成したところで“副作用”が懸念されている。
凍土壁の内側の地層に含まれる地下水が減ることで地盤沈下を招き、建屋が傾きかねないという。

 今からでも遅くない。取り返しがつかなくなる前にギャンブルをやめて、別の解決策を見いだすべきではないか。
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2014年06月11日

集団的自衛権 理解できぬ首相の焦り

集団的自衛権 理解できぬ首相の焦り
毎日新聞「社説」 2014年06月10日

 安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈変更を今国会中に閣議決定しようと、動きを加速させている。

首相の正式な検討表明を受けて始まった自民、公明の与党協議の議論は深まっておらず、国会の議論も極めて不十分だ。

あと2週間以内に閣議決定するのは、あまりに拙速過ぎる。

 首相はなぜこんなに急ぐのか。
戦後の安全保障政策の大転換を閣議決定という一内閣の判断で決めようと突き進む首相のやり方からは、焦りを感じる。

 首相は5月初めの記者会見で、閣議決定について「期限ありきではない」と語っていた。
それが今月初めの記者会見で、軌道修正した。

年末の日米防衛協力指針(ガイドライン)改定に触れ「それに間に合うように方針が固まっていることが理想的」と述べ、みんな、維新の両党の名をあげて公明党をけん制した。

 1カ月のうちに、首相が目指す決定時期が「秋の臨時国会前」から「今国会中」へ前倒しされたようだ。

 ガイドライン改定に間に合わせるためという理由は、集団的自衛権の検討を急がせる方便に見える。
ガイドラインは自衛隊と米軍の役割分担を定めたもので、中国の海洋進出を念頭に置く日本に対し、米国は幅広く議論したい考えで、ずれがある。
米側は期限にもこだわっていない。

 首相が閣議決定を急ぐことにしたのは、与党協議で説明に立った政府内の足並みが乱れ、公明党が慎重姿勢を崩さないことから、このままではほころびが露呈し、反対論が勢いづくと判断したからではないか。

そんな疑念を抱かせるほど協議の進め方は問題が多い。

 与党協議で、武力攻撃に至らない侵害への対応をめぐっては、離島や公海上での武装集団の不法行為に対し、自衛隊の海上警備行動の発令手続き迅速化などの現行法の運用改善で対応することで合意した。

 自衛隊を前面に出す法改正を選択しなかったことは評価できる。
だが、運用改善に文民統制上の問題はないのか、警察、海上保安庁、海上自衛隊の連携をどう強化するのかなど、議論は深まっていない。

 多国籍軍などへの後方支援の見直しでは、政府が与党協議に4基準を示しながら、公明党の反発を受けるとわずか3日後に撤回し、新たに3基準を提示し直す泥縄ぶりだ。

 集団的自衛権にいたっては、まだほとんど議論されていない。

 これらは本来、与党だけでなく与野党が国会で徹底的に議論すべき問題だ。
首相は国民の理解を得る努力を強調してきたが、これでどうやって胸をはって閣議決定できるというのだろうか。 
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2014年06月12日

「子ども減少社会」希望奪う大本の転換こそ必要

「子ども減少社会」
希望奪う大本の転換こそ必要
2014年6月11日(水) しんぶん赤旗「主張」

 昨年日本で生まれた赤ちゃんは102万9800人となり、2年連続で過去最少を更新しました。

合計特殊出生率(女性1人が生涯で産む子ども数の推計値)は1・43へ微増したものの、現在の人口を維持できる水準2・07には及ばず、少子化の流れに歯止めがかかりません。

結婚件数も戦後最少の66万594組でした。

結婚・出産がきわめて困難な国のままでいいはずがありません。

政治は、子育てが安心してできる社会への転換に真剣に力を注ぐときです。

痛切な声にこたえぬまま

 欲しい子どもの人数は2人が53・8%、3人が26・9%―。

内閣府が3月に公表した既婚者(20〜49歳)の意識調査です。

未婚者への調査では「結婚したい」と7割以上が回答しています。
国民の希望は、はっきりしています。

 問題はそれを妨げている現実です。
結婚を決心する状況として挙げた回答のトップは「経済的な余裕」でした。

子どもを持つ場合の条件の問いには、「子育てできる職場環境」との答えが1位で、「教育にお金があまりかからない」がそれに続きました。
当然すぎる願いです。

この国民の意識は、歴代政府が「少子化対策」を掲げ始めた約20年前からほとんど変わっていません。
若者や子育て世代の痛切な声に政治や社会が正面からこたえず、むしろ深刻化しているところに事態の根深さがあるのです。

 非正規雇用は増加を続け、いまや若者の2人に1人です。
一生懸命働いても生活は不安定で低賃金におかれています。
正規雇用になっても、異常な長時間労働を強いられています。

若者を文字通り使い捨てる「ブラック企業」がまん延しています。
社会人になると同時に「奨学金返済」の借金を負わされます。

 出産前後に半数以上の女性が仕事をやめる現実が続いています。
保育所不足が「保活」の激化に拍車をかけています。

 今月政府がまとめた「子ども・若者白書」の7カ国比較調査では、「早く結婚して家族を持ちたい」と願う日本の若者(13〜29歳)は45・8%と、欧米諸国より高いのに、「40歳になったときのイメージ」についての問いで「結婚している」「子どもを育てている」と答えた割合は最低に転落しました。

「自分の将来に希望がある」と答えた日本の若者が6割台にとどまり欧米諸国の8〜9割を大きく下回った結果は、日本の若者をとりまく現実が、世界でも過酷なことを浮き彫りにしています。

 若者をこれほど粗末に扱い、余裕のない暮らしに追い込み、結婚・子育てに希望をもてない事態を生み出した「雇用破壊」「構造改革」などをすすめてきた歴代政権の責任がきびしく問われます。

願いに逆らう安倍政権

 安倍晋三政権は今月閣議決定する「骨太の方針」「成長戦略」に「少子化対策」「人口減克服」などを掲げる予定ですが、「成長戦略」の柱は、若者にさらに犠牲を強いる「雇用破壊」の加速という逆行そのものです。

「少子化」「人口減少」を“脅し文句”に不安をあおり、消費税増税・社会保障破壊などの悪政を国民におしつけるやり方に大義も道理もありません。

 国民の願いに逆らう政治をやめさせ、若者・子育て世代が未来への展望を持ち、安心できる政治・社会へ踏み出すことが急務です。
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2014年06月15日

拙速な解釈改憲が開く第3次大戦の戦端

【高橋乗宣】
拙速な解釈改憲が開く第3次大戦の戦端
2014年6月14日 日刊ゲンダイ

ヒト、モノ、カネが自由に往来するグローバル時代は、共存共栄の形を深化させると思われた。

だれかが勝手な振る舞いをすれば、みんなが迷惑する。
他者を理解し尊重しなければ共倒れ。
そんな時代になると思われた。

 だが、グローバル化の中から生まれたのは、新しい冷戦だ。

資本主義と共産主義が対立した昔と違う。
ロシアや中国はエネルギーや資源を求めて領土、領海の拡張を目指し、隣国と衝突を繰り返している。
遅れてきた帝国主義が幅を利かせているのだ。

 そんなときに安倍首相は、「日本を取り巻く安保情勢が変わった」と、大急ぎで憲法解釈の変更に踏み出した。

世界の流れに便乗し、国民の気持ちを軍国化容認に向かわせる腹積もりだ。

11日の党首討論でも、「政府として立場を決定し閣議決定する」と強調。
22日までの今国会中に閣議決定する姿勢を見せていた。

だが、アジア情勢の緊迫化には、安倍首相も深く関わっている。

靖国神社を参拝する一方で、国際会議などの場で中国を攻撃。直接の対話はせず、敵対関係をあおるだけ。
そんな中で、集団的自衛権の行使容認に踏み切れば、対立は先鋭化する。
自衛隊機と中国機の異常接近が繰り返し伝えられているが、一歩間違えば戦端が開かれることになりそうだ。

 なぜ、安倍首相は、解釈改憲を急ぐのか。それで不安定なアジア情勢が落ち着くというのならまだしも、事態が悪化するのは確実である。
拙速に決める必要性はない。

公明党が求めているように、じっくりと時間をかけるべきだろう。

 しかも、安倍首相には私的な動機があると聞く。
祖父の岸信介氏がやれなかった自主憲法制定を成し遂げたいという思いだ。

集団的自衛権の行使容認を足がかりにして、憲法改正の機運を高め、いずれは自主憲法の制定にこぎつけたい。
そんな野望である。

もしこれが事実なら、われわれ国民は、極めて私的なリベンジに付き合わされるわけだ。

はたして国家の命運が個人の意趣返しで決められていいのか。
それによって中国との戦端が開かれ、第3次大戦が始まり、世界中で多くの犠牲者が出れば、安倍首相は世界を混乱させた人物として歴史に名を残すことになる。

 安倍首相に、その覚悟はあるのだろうか。
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2014年06月17日

役所職員 鬱で退職の生活保護申請男性に「仕事すれば治る」

役所職員 
鬱で退職の生活保護申請男性に
「仕事すれば治る」
2014.06.16 16:00 NEWSポストセブン
※週刊ポスト2014年6月27日号

 生活保護の申請をはねつける厳しい審査が、増えているという。

背景には、増え続ける受給者数と生活保護予算がある。

今年3月時点の保護受給者数は217万人。
世帯数も160万世帯を超え、ともに過去最多だ。

生活保護費も年々増え続け、2014年度予算では国と地方を合わせて約3.8兆円に達し、国家財政を圧迫している。

 危機感を持った政府は昨年12月、改正生活保護法を成立させた(今年7月から施行)
これまで申請者は収入などを口頭で伝えるだけでもよかったが、今後は「無収入申告書」などの提出を求められるなど、審査の厳格化が打ち出された。

 そうした流れの中で、予算を削りたい役所と増え続ける申請者のやりとりは以前にも増して壮絶なものになっている。

生活保護の相談に乗る弁護士などによると、窓口では「払え」「払わない」の激しい攻防戦が行なわれている。

 北関東に住む34歳の田所信也さん(仮名)は、16年間勤めた事務機器メーカーを昨年12月に退職した。
一昨年に行なわれた人員整理に伴い、抱える仕事量は激増。
始発に乗って出社し終電で帰る生活を半年以上続けた結果、うつ病を発症し、自己都合退職した。

 失業保険が切れた今春、近くの役所に生活保護の相談に訪れ、こう切り出した。

「病状が回復し、働けるようになるまでの期間だけでも生活保護を受給したい」

 職員はこう応じた。
「あのね、仕事すれば、うつなんてすぐ治るの。
ハローワークに行って仕事見つければ解決するから」

 愕然としつつも、田所さんは食い下がった。
「医者からは、いま無理に働くと病状が悪化するからダメだといわれている」
「逆なんだって。仕事がないから、うつになるの」
「うつで仕事ができないんです」
「だからァ、仕事すれば治るんだって」

 応酬が続くも、職員は「ハローワークに行け」の一点張り。
田所さんは生活保護の申請を諦めざるを得なかった。
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2014年06月18日

民主主義の危機だ!=与良正男

熱血!与良政談:
民主主義の危機だ!=与良正男
毎日新聞 2014年06月11日 東京夕刊

 日本維新の会の分党で私が一番驚いたのは、石原慎太郎共同代表が結成する新党に23人もの議員が参加するということだった−−。

コメンテーターとして出演している大阪・毎日放送のニュース番組「VOICE」で先週、こんな話をした。

 石原氏側についた議員の一部には「今後、自民党と選挙協力ができるかも」という願望もあるようだ。
だが私からすれば石原氏の新党は戦後政治史の中で恐らく最も右寄りに位置する政党となるはずだ。

そこに当初の予想を大きく上回る23人もが参加する時代になるとは……。

 私はしゃべりながら最近の政界の軸足自体がますます右に寄ってきている現実を改めて思い知った。

 石原氏らの新党は集団的自衛権の行使を認める憲法解釈変更をはじめ安倍政権に協力姿勢を示していくだろう。
「自民党1強」状況は強まる一方だ。

対する橋下徹氏らが合流を目指す結いの党は今度の解釈改憲に慎重姿勢を示しているが、橋下氏らは元々前向きだ。
これをどう調整していくのかはっきりしない。

 野党第1党の立場をかろうじて守っている民主党も集団的自衛権の問題では相変わらず党内が一致せず、海江田万里代表が夏以降も続投するかどうか、内向きの争いが続く。

共産党と社民党は解釈改憲に猛反対しているが国会内では少数勢力だ。

 皮肉なことに、こうして見ていくと今最も野党らしい役割を果たしているのは、集団的自衛権の問題を一つ一つチェックしている与党の公明党かもしれない。
番組で私はこうも話した。

 しかし、与党協議にはおのずと限界がある。
今国会中の閣議決定を急ぐ安倍晋三首相は急速に圧力を強め、政府は行使容認に向けた閣議決定の原案を早々とまとめたそうだ。
今後は国民に見えにくい水面下の調整が進む可能性がある。

 わずか衆参1日ずつだったが、この問題に関する先月末の国会集中審議は、さまざまな問題点や矛盾点を国民の前に明らかにしてくれた。
それにもかかわらず、まるで議論を無視するかのように戦後安保政策の大転換があれよあれよという間に進もうとしているのである。

 これは野党の危機ではない。議会制民主主義の危機である。「野党再編」の主導権争いなどしている場合ではない。(専門編集委員)
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2014年06月20日

問題生徒を「仕分け」て校外で指導

石井苗子の健康術
問題生徒を「仕分け」て校外で指導
2014年6月17日 読売新聞yomiDr.

(「どうしたらいい子になりますか?」と医師に質問する親の心理)

 学校が大変なことになってきているようです。

 児童生徒にランクをつける。
「成績ランキング」ではなく、「態度ランキング」なのです。

 大阪市教委は来年度から、服装を守らない生徒から始まり、過激な暴力を繰り返す生徒まで問題行動を5段階にレベル分けし、先生たちが問題児と思われる児童生徒を「仕分け」し、指導する方針を決めました。

手を挙げて叱しかることは絶対にならないという教育ルールがあるから、子どもたちの乱調ぶりを止めることができない先生たちが次に要求されたことが「観察力」だったわけです。

 これはいたちごっこです。
レベル分けされないように生きる生徒とそれを追いかける先生。
両者の精神的な距離は遠くなっていく一方です。
このようなランク分けの仕事に、どんな愛情がうかがわれると言うのでしょう。

 保護者から「学校の指導がなっていないから、いじめの問題や暴力事件が解決しない。
自殺する生徒はまだいるではないか!」と責め立てられるので、先生たちは正確な観察力を要求されることになりました。
でも結果が悪ければ観察が足りなかったと指摘されるので、その前に問題生徒にランクをつけて昔でいう「札つき」にする。

言葉遣いはジョークと受け取っていただきたいのですが、学校全体でこれに似たようなことをやっているのと大差ないと私は思います。

 そして最終的には他の生徒の邪魔にならないように、経験豊富な教員らが専門的に指導する「個別指導教室」(仮称)を設置する教育方針も出てきています。

 学業成績は軽視されてきているのかといえば、相変わらず受験競争は過熱する一方です。

 大学名で就職が決まらない時代になったとメディアは言いますが、本当にそうでしょうか。
有名大学の志願者人数割れとかいうニュースは聞きません。

少子化なら、とっくにそうなってきてもいいはずなのにです。

 企業が採用時に重視するのは、本人のコミュニケーション能力、協調性、挑戦力になりつつあるといいますが、だったら「新卒がいい」なんていわないはずです。

上記3つの資質を試験や面接で判断するのは、ベテランのカウンセラーでも難しいと思います。
過去にどんなことをやってきたかを話してもらい、その人間にコミュニケーション能力や協調性、挑戦力といったものがあるかなんて、面接官にどんな能力があったらいいのでしょう。

そもそも協調性と挑戦力は相反する側面をもった精神性です。

コミュニケーション能力は職種によって必要とされるものが異なります。

弁護士と看護師では、必要とされるコミュニケーション能力が異なるように、通り一遍の解釈では採用試験ができません。

 今の学生は、やっと合格したと思ったら大学で2年生から就職活動を始める。
なんのために受験勉強をしたのか、子どもたちが一番大変です。
成績も良くなければ一流の会社に行けない。
いつ倒産するかもわからない経済状態だからこそ、安定したサラリーのところにまずは行きたがる。

わかりやすい心理です。
入社しても辞めていく社員が多いと嘆かれますが、彼らはむしろ自分自身しか信用できないのですから、目先のことに一生懸命になることを誰にも止めることはできません。

 カウンセリングで「うちの子はどうしたら、いい子になってくれるでしょうか」という親御さんの顔には、苦労がにじみ出ているように感じます。

しかし、今の日本社会は大人が子どもを助けることが、果たして出来るのだろうかと私は疑いたくなるほど、昔の教育例が参考になりません。

 振り返れば「詰め込み教育」の反省から始まった「ゆとり教育」です。
企業もあと何年かすれば同じ業種のものがなくなっているかもしれません。
新しい業種に就職する若者が増えていきます。

病院だって変化の一途にあります。
総合病院に行けばすべて安心という時代ではなくなりつつあります。

自分たちの地域をどう守るかの医療の時代です。
大きな病院はあるけれど、働いてくれる人がいないという状態の地域もあります。

 私もそうですが、「詰め込み教育」で育った人々は、自分で考えて行動するより、人様から外れないように生きることを良しと教育されてきました。
ですので、「方針をハッキリしてほしい。でないとどうしていいかわからない。指導者側に責任がある」が口癖になっている。これをまず反省しなければいけません。

 子どもは子どもなりに一生懸命考えていることを忘れてはならないのです。

 助けを求めているのは、指導ではなくて、愛情なのです。
愛情の種類はひとつではありません。自分たちの過去は反省して、彼らの未来を励ますことも必要です。
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ヘイトスピーチ危惧 松本サリン20年 中傷に耐えた河野さん

ヘイトスピーチ危惧 松本サリン20年
 中傷に耐えた河野さん
2014年6月19日 東京新聞朝刊

 オウム真理教が起こした松本サリン事件から二十年を迎えるのを前に、夫婦で毒ガス被害を受けながら容疑者扱いされた河野義行さん(64)がインタビューに応じた。

中傷に耐え続けた経験は「根拠のない批判は怖い」との教訓となって生き、真相を確かめることの大切さをかみしめる。
偏見に基づいて差別的な言葉を叫ぶ「ヘイトスピーチ」が広まる最近の世相に危機感を抱く。 (勝股大輝)

 「私にとっての事件は六年前に妻が亡くなった時に終わっている」。
二十年の節目を淡々と受け止める。

 河野さん夫婦は、サリン発生現場近くの自宅にいた。
妻の澄子さんは十四年間意識を回復することなく死亡。
河野さんも重症で入院したが、自宅の写真現像用薬品から容疑がかかり、警察の家宅捜索を受けた。

 翌年三月、東京で地下鉄サリン事件が起き、真犯人としてオウム真理教が浮上するまで警察、マスコミから容疑者扱いされた。
看病と闘病に加え、見知らぬ人の誹謗(ひぼう)中傷に耐える日々が続いた。

 「世間という漠然として訳のわからないものが、歴然たる力を持っている」と思い知らされた。

「人殺し」「町から出て行け」。
ののしりの電話が午前二時、三時にも普通にかかってきた。

 そんな日々の中でも澄子さんの回復を第一に考え続けた。

「妻が元通りに戻ったとき。あるいは、亡くなってしまって努力のしようがなくなるときが、自分にとって事件の終わるとき」と思って生きてきた。

 妻の死から六年。「事件以前と同じスタンスで、自分の好きなように生きている」。
四年前には鹿児島市に移り住み、「恨みは、人生をつまらなくする」と穏やかに暮らす。

 教団元幹部の上祐(じょうゆう)史浩氏が設立した団体「ひかりの輪」の依頼を受け、二〇一一年に活動を監視する外部監査人となった。

「周辺住民は中身を知らずに不安がっている部分がある。知らないから怖いのなら、知ってもらえばいい。不安をなくすための橋渡しになると思った」

 教団の犯行であることが判明してからは、教祖の子女、信者への人権侵害的な行政の対応、世間の中傷があからさまだった。

「(オウムに対してなら)明らかに法の筋に外れたことまで許されて。
世の中は怖い」

 最近気になるのは、韓国人や中国人への偏見に満ちた一部世論の高まりだ。

「根拠のない排除は許されない。
このような主張がはびこってきたのは理不尽だし、怖いなと思う」。
ヘイトスピーチに反対する団体の共同代表にも名を連ねた。

 請われれば、体験を基に講演することにしている。
当たり前のことが、当たり前に通る世の中になってほしい」と願うからだ。

 <松本サリン事件>
 1994年6月27日深夜にオウム真理教信者が長野県松本市内の住宅街でサリンをまき、8人が死亡、586人が中毒症状を訴えた。
警察は第一通報者の河野義行さんを容疑者扱いし、報道各社も犯人視報道を続けた。
翌年3月20日に東京都心で地下鉄サリン事件が発生し、オウム真理教の犯行であることが判明。
報道各社は河野さんに謝罪した。
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2014年06月21日

視点 集団的自衛権「普通の国」論

視点 集団的自衛権「普通の国」論
毎日新聞 2014年06月20日  

◇「特殊な国」ではダメか

 安倍晋三政権が昨年暮れから進めていることは、総じていえば外交・安全保障政策における「普通の国」路線である。

国家安全保障会議(NSC)設置、特定秘密保護法制定。
そして今回の集団的自衛権の行使容認で完成体にしようというのか。

 普通の国論議が声高になったのは、1991年の湾岸戦争以来である。
あの時多国籍軍が侵略者であるイラクを制裁、その際に日本が武力行使に参加できず、お金だけでしか貢献できなかった特殊な国としての屈辱がトラウマ化したものだった。

 ところで、この間議論してわかったことは、特殊な国の背骨は、憲法9条という条文の強力な規範力(あるべき姿を強制する力)にある、ということだ。

 9条の「戦争放棄」(1項)、「戦力不保持」(2項)をどう読んでも、武力行使として許されるのはぎりぎり個別的自衛権止まりであろう。
その証拠に歴代首相も内閣法制局も、他衛権たる集団的自衛権については一貫して封じ込んできた。

 自公政権は、そこに風穴をあけようとしている。
59年の砂川判決や72年の政府見解の中で集団的自衛権が必ずしも全否定されているわけではない、との脆弱(ぜいじゃく)な理屈を根拠に、具体的にどういう事例をその行使の対象にするか、線引きを実施中だ。

 国民はこの政治過程の本質が事例を限定することではなく、穴をあけることにあると直感的に気づいている。
アリの一穴とでもいおうか、この種の穴が際限なく広がるのは歴史の教えるところだ。
9条が規範力をそがれ、ある意味無力化していくことも覚悟しなければならない。

 失うものが二つあるだろう。

 第一に、「大東亜戦争の遺産」(故上山春平京大名誉教授)を失う。
上山氏は9条成立の背景を、大西洋憲章(41年)、ポツダム宣言(45年)、極東委員会対日管理政策(47年)という非戦モラルの高い国際的協定と300万人の犠牲者を出した日本国民の選択(国会議決)という極めて特殊な状況下で作成された国際的文書と位置づけた。

 第二に、この規範力は節目にその役目を果たし日本を武力行使の誘惑から救ってきた。
湾岸戦争だけではない。99年周辺事態法での後方地域支援への限定、2003年イラク特措法の非戦闘地域限定しかり、である。

 遺産という古くて新しい視点。

国民の血税である経済支援が本当に評価されなかったのかという検証。
加えて外交能力の向上など別手法での対応がまだ考え尽くされたわけではない。
これで特殊な国としての生き様を捨てるのはいかにも惜しい。
(論説委員・倉重篤郎)
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女性蔑視やじ 知らんぷり許されない

女性蔑視やじ 知らんぷり許されない
2014年6月21日 東京新聞「社説

怒り、落胆、情けなさ。

女性を蔑(さげす)んだ東京都議会の「やじ騒動」が議会の内外に波紋を広げている。
発言は品位に欠けるだけではない。
事の本質をまったく分かっていないのではないか。

 「心ない野次(やじ)の連続」。
塩村文夏都議(みんなの党)が自身のツイッターに投稿したところ、二万回を超えるリツイート(転載)があった。
都議会には一千件を超える批判が寄せられた。
インターネットの署名サイトでは、発言者の特定と処分を求める抗議の声が広がっている。

 事の発端は十八日。放送作家でもある塩村氏が晩産化や非婚化の進む中、妊娠や出産に悩む女性への支援策を質問したのに対し、「早く結婚しろ」「産めないのか」と男性議員のやじが飛んだ。

 みんなの党は「やじが自民の席の方から聞こえた」と抗議したが、自民側は「自民の議員が述べた確証はない」として、発言者を特定しない意向を示した。

 議場での発言は自由で、刑罰が科せられるわけではないが、うやむやに終わらせてはいけない。
やじは塩村氏個人への攻撃では済まず、議会の品位をおとしめ、議会に対する信頼を失わせる。  

人々は思うのではないか。
笑い声も起きて、人格を傷つける言葉を許容するような議会に、大切な議論を任せられない、と。

 妊娠や出産というデリケートな問題が女性議員への嫌がらせの言葉で片付くはずもない。
男性に原因がある場合もある。
晩産や非婚の背景にある、厳しい雇用や低賃金などの問題にこそ向き合うべきだ。

女にも男にもかかわる問題なのに、心ない発言者は有権者の代表として、考えることや議論することを投げ出している。

 みんなの党は議場映像から声紋分析を行い、発言者を捜し出すと主張する。
しかし、調査を待つ話ではない。
知らんぷりをしている議員は名乗り出て、やじが適切でないと思うなら謝るべきだ。

 政治家の女性を蔑視した発言をめぐっては、二〇〇三年に太田誠一衆院議員が早大集団レイプ事件について「元気があるからいい」と発言し、〇七年に柳沢伯夫厚生労働相が「女性は産む機械」と述べて批判を浴びた。
いずれも次の国政選挙で落選した。

 やじには、事の本質を突いて議論を盛り上げる適切なものもないわけではない。
しかし、女性への侮蔑に限らない、品位を欠き、人格を傷つけるやじは、国会からも地方議会からも追放したい。
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2014年06月22日

「集団安保」自民提示 政府対応、場当たり的 先月首相会見と矛盾

クローズアップ2014
「集団安保」
自民提示 政府対応、場当たり的 
先月首相会見と矛盾
毎日新聞 2014年06月21日 東京朝刊

自民党は20日、集団的自衛権の行使を容認する自衛権発動の「新3要件」案を適用し、国連の集団安全保障による武力行使も可能だと閣議決定に明記することを公明党に提案した。

だが、集団安全保障への自衛隊の参加を憲法解釈の変更で認めれば、活動範囲が際限なく広がる懸念は拭えず、公明党は反対の姿勢だ。

憲法9条を骨抜きにしかねない安保政策を大転換する議論が大詰めになって飛び出し、政府・自民党の場当たり的な対応を印象づけた。
【高本耕太、宮島寛】

 「集団安全保障をやるなら一からの議論になる」。

公明党の北側一雄副代表は20日、自民党が「新3要件」案を適用して国連の集団安全保障措置で武力行使は可能になるとの考えを示したことに対して、不快感をあらわにした。

 政府・自民党が集団安全保障の武力行使として、自衛隊の参加を想定しているのは、政府が示した15事例のうち、ホルムズ海峡封鎖を念頭に置いたシーレーン(海上交通路)に機雷が敷設されたシナリオだ。

武力行使国が敵国の艦船を沈める目的で機雷を敷設することは国際法上は武力の行使にあたる。機雷を除去して、武力行使国の行動を妨害する行為も武力行使とされている。

 安倍晋三首相は5月15日の記者会見で「自衛隊が武力行使を目的として、湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してない」と明言した。
しかし、その後、発言を軌道修正し、今月9日の参院決算委員会では、武力の行使には2種類あると説明。

「爆撃を行ったり、部隊を上陸させて戦闘させたりする行為」である武力行使は行わない一方、「受動的かつ限定的な行為で性格を異にする」機雷掃海は行うべきだと主張した。

 限定的に集団安全保障の武力行使を容認するとの考えで、自民党の石破茂幹事長も20日のテレビ番組で、「無限定に、何でもやるぜというものではない」と強調した。

 20日の与党協議会では、自民党の高村正彦副総裁らは、集団的自衛権を行使し機雷を排除しているさなかに国連安保理が武力行使容認決議を採択し、集団安全保障に切り替わった場合の対応を持ち出した。
「自衛隊が活動をやめるわけにはいかない」と主張し、例外的に集団安全保障への参加として認めるべきだと訴えた。

 だが、「限定的な参加」にとどまる保証はどこにもない。
政府・自民党は閣議決定原案にある「武力の行使」に「集団安全保障が含まれる」と解釈することで集団安全保障の武力行使を可能にしたい考えだ。

安倍政権で「機雷除去」のみを例外的に容認したとしても、政府方針としていったん閣議決定してしまえば、歯止めがきかず、後の政権が「集団安全保障の武力行使は認められている」と、活動拡大を模索する動きが出てきても縛りは何もない。

本格的な戦闘に参加することに道を開く「アリの一穴」になる可能性は否定できない。

 一方、集団的自衛権を行使して機雷掃海を開始した場合、国連の集団安全保障措置が発動されても「日本は集団的自衛権の行使を継続」し、機雷掃海を続けるという案も浮上している。
国内的に説明がしやすいとの思惑からだ。

しかし、国連憲章は、集団的自衛権の行使が容認されるのは、集団安全保障措置が講じられるまでの間と定めており、集団的自衛権の行使を続けることは国連憲章に抵触する恐れがある。  

[自]ハードル上げ駆け引き/[公]「与党協議で取り上げぬ」

 集団的自衛権の「限定容認」で自民、公明両党の協議が大詰めになる中、「集団安全保障での武力行使」は唐突に浮上した。

だが、政府・自民党内に集団安保を是が非でも公明党に認めさせようとする姿勢は乏しかった。背景には、公明党の反対で集団安保の全面参加を見送った形をつくり、「同党に配慮した印象を与える材料に使おう」という思惑がちらついている。

 首相が戦時の機雷掃海に強い意欲を示したことを受け、自民党幹部や外務省は「集団安保でも機雷掃海をできるようにすべきだ」と、憲法解釈の根本的変更に踏み込む「悲願」をむきだしにした。

 公明党幹部も水面下では一定の理解を示していたが、党内や支持母体である創価学会からの批判をおそれ、20日の与党協議では「首相の5月の記者会見と矛盾している」などと態度を硬化させた。

 同党幹部は「ぴしゃっと言った。与党協議で今後取り上げられることはない」と強調。
自民党も「できないものはできない」(幹部)と配慮を示し、閣議決定原案に集団安保は明記されない見通しだ。

ただ、集団安保を巡る議論が唐突に浮上した動きを見ると、政府・自民党が譲歩を演出するために、一段高いハードルを設けて妥協してみせる意図が透けてくる。

 さらに、政府が20日の与党協議で示した閣議決定原案にも、集団的自衛権の行使容認に関する表現に、自公両党の綱引きを演出するかのような仕掛けがほどこされた。

自民党の高村正彦副総裁が示した自衛権発動の3要件は、「他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆されるおそれ」がある場合、集団的自衛権の行使を認めることが柱だ。

 これに対し、公明党からは「他国」が日本以外の全ての国とも読めるため、日本と「密接な関係がある他国」などと修正する案が浮上している。

ただ、「密接な他国」としたところで、その範囲は不透明。
自民党幹部は「修正しても全く問題ない」と話す。

 「おそれ」についても、公明党は「切迫した事態」などへの修正を求める構えだ。
政府が「おそれ」と判断すれば幅広い行使容認につながるという懸念が拭えないためだが、自民内では「切迫事態としても容認の範囲は縛れない」との見方が強く、「集団的自衛権の8事例が全てできる表現なら修正に応じる」(幹部)と余裕の声が出ている。
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2014年06月23日

沖縄戦:「今の命、虫のおかげ」 おばぁの飢餓体験伝える

沖縄戦:「今の命、虫のおかげ」
 おばぁの飢餓体験伝える
毎日新聞 2014年06月22日 

 京都府京田辺市の玉城(たまき)裕美子さん(45)は、沖縄県読谷村(よみたんそん)の村史編さんに携わり、沖縄戦などの証言収集を続けている。

数々の証言から浮かび上がるのは、戦火を逃れ、山中に避難した住民を襲った「飢え」の恐ろしさだった。

多くが息絶え、生存者はカタツムリや虫を食べてしのいだ。
「『命をつないでくれた』と今も自然への感謝を忘れないおばぁたちの思いや、戦争のおろかさを伝えたい」。

23日の「沖縄慰霊の日」に京田辺市の小学校で子供たちに語る。
【高尾具成】

 玉城さんの祖母は戦前、沖縄から本土に渡った。
玉城さんは京都府生まれの「沖縄3世」で、沖縄にルーツのある男性と結婚。
1995年春から夫の実家がある沖縄本島南部で暮らし始めた。

 95年7月、読谷村の村史編集室嘱託職員に採用され、同村に転居。
以後12年間、戦争体験者の証言に耳を傾けた。
難解だったウチナーグチ(沖縄方言)の単語帳を自作し、記録を続けた。

 読谷村の資料などによると、米軍が沖縄本島へ上陸した45年4月以前から中・南部の高齢者や子供ら推定約3万人が北部のヤンバル(山林地帯)へと逃げ始めた。

疎開した同村民5429人のうち657人が死亡。
その7割以上が栄養失調や病気が原因だった。

「ヤンバルでの飢餓は(旧日本軍の組織的な戦闘が終結したとされる)6月23日以降も続いた」と玉城さんは言う。

 家族らと山中に避難した看護師の女性は飢餓体験を語った。
「誰かの畑の芋を無断で掘った。
『命をつなぐためなんです』と畑の神様に手を合わせた」。

カタツムリを炊いて口にし、木の葉を食べて下痢が続いた。
山を下り、米兵に連れて行かれた収容所でも悲惨さは変わらなかった。

子供たちは栄養失調で、皮膚に黒い斑点ができ、肉が腐っていた。
(食べ物を)かむ力もなくおなかがふくれ上がり、ばたばたと亡くなった

 「抱いたまま息絶えた子に子守歌を歌い続けた」と語ったおばぁは体験のつらさから村史への記録を拒んだ。

別のおばぁと一緒に避難経路をたどった際には「ヤギが食べる草が私たちも食べられる草の基準だった」と聞いた。

夫の転勤で京田辺市に転居した今も、村史編集室調査員として関西に住む沖縄の人たちの証言を集める。

爆撃を免れたのに、なぜ飢餓で亡くならなければならなかったか。

沖縄戦の壮絶さは避難民の体験証言の中にもある」と語る。

2007年に証言を題材にした絵本を出版したほか、学校などで子供たちに証言内容を伝えている。

 あるおばぁの言葉が忘れられない。
庭いじりをしながら「虫を殺すことはしないの」と植物に付いた虫を手のひらに乗せた。
「虫のおかげで命をつないだわけさぁ」

 「戦争で怖いことって何だと思う?」。

23日は沖縄の楽器「三線(さんしん)」や歌も交え、児童らにこう語りかけるつもりだ。
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2014年06月24日

なぜ個人情報はすぐに漏れるのか

サイバーリテラシー研究所(代表 矢野直明
なぜ個人情報はすぐに漏れるのか
(PRESIDENT Online )
2014年6月23日(月)配信

■個人、企業、国家が個人情報を収集している

「漏れないデジタル情報はない」――。
これは、二重の意味において妥当する。

第一は、私たちのデジタルデータが、個人によって、企業によって、国家によって収集されているということである。

個人レベルで言えば、友人に送ったメールが知らないうちに他人に転送されているという経験をした人も多いだろう。
つきあっていた彼に頼まれて撮って送った自分のあられもない姿が、交際を絶ったあとで、いわば報復的にネットに上げられてしまう(リベンジポルノと呼ばれたりする)。

紙の封書には一応「信書の秘密」といった考えがあり、他人の手紙の封を切って読んだり、それを差出人の許可なく他人に見せたりはしないというたしなみが、デジタルの便利さの前に雲散霧消している。

リベンジポルノについて言えば、フィルム写真でそのような写真を撮るという発想がふつうにはわかなかった。
フィルムは現像に出さざるを得ず、どうしても第三者の目にふれるから、いくら好きな彼氏に頼まれても、その種の写真を撮ったり、撮らせたりするということはめったとなかったのである。

企業レベルで言えば、これは個人情報、顧客情報の収集である。

グーグル、フェイスブック、アップル、アマゾンといった大手企業は、個人情報を収集するためにこそ、すぐれて魅力的なアプリケーションソフトを惜しげもなく、無料で提供している。

ユーザーのメールの中身、フェイスブックで「いいね!」ボタンを押した内容、オンラインショッピングの履歴、ウエブの閲覧記録などなど、それらの情報は分析されて、車好きには最新の車、高級別荘を買いそうな顧客にはリゾートマンション、ピンク色が好きな人にはピンクの下着を、といったように、ターゲットをより絞った広告が配信される。

■スノーデンが暴露した米国政府の個人情報収集

スマートフォンを通して従業員の行動を逐一把握するためのツールも開発されている。

「仕事の見える化」を促進できると宣伝されているあるアプリケーションは、それをインストールしたスマホを従業員に持たせれば、彼らがいまどこにいるかの位置情報、どのようなメールをだれと受発信したかの履歴とその内容、添付ファイルの中身、電話の送受信と音声内容、途中で利用したウエブアクセス履歴、サイトのURLとキーワード、使用したアプリケーション履歴などが完全にログとして管理できる。

従業員のプライバシーは風前の灯である。

そして、国家レベルでの個人情報収集となると、これは2013年に明らかになったアメリカNSAの大規模盗聴事件にとどめを刺すだろう。

元CIA職員、エドワード・スノーデンに接触してその告発を英ガーディアン紙で報じたアメリカのジャーナリスト、グレン・グリーンウォルドは最近、そのいきさつを綴った『暴露 スノーデンが私に託したファイル』(新潮社、原題はNO PLAEC TO HIDE、世界24か国で同時刊行)を著した(スパイ小説並みのおもしろさ、いや怖さである)。

それによれば、NSAはアメリカ国中の通信会社や大手IT企業の多くのサーバーに直接アクセスして、日常的に個人情報を収集していたらしい。
もちろん日本人のものも含めて、電話による通話、フェイスブックのチャット、グーグルの検索履歴、ヤフーのEメールなどが令状もなく収集されていたのである。

もちろん日本語で書かれたメールの中身を彼らが日常的に読んでいることは物理的にもあり得ないが、何かの意図で調べようとすれば調べられる材料が常に用意されているわけである(こういうユビキタス監視装置の是非が『暴露』のテーマである)。

■デジタル情報が生みだしサイバー戦争

ことほどさように、情報はデジタル化された途端、漏れるのを防ぐのは難しい。
これは情報を収集している側にも言える。

これがサイバーリテラシー・プリンシプル(2)の第二の側面である。
NSAの膨大な極秘文書がNSA委託会社に働く若者によってごっそりと持ち出されたのも、それらがデジタル情報だったからである。

2010年に話題になったウィキリークスによる米情報の大量暴露も同じである。
22歳の米技術兵、ブラッドリー・マニングはイヤホンをつけ、レディー・ガガの曲を口ずさみながら機密情報を掘り起こした(マニングはその後逮捕、投獄されたが、『暴露』によれば、その後女性として生きていくことを宣言し、チェルシー・マニングと改名した)。

日本においても尖閣諸島沖衝突事件の映像が一海上保安官によって公開され、多くの人によってネット上で転送された。

2014年5月、米司法省はアメリカ企業の原子力発電などに関する機密情報が中国によって盗み出されたとして、中国人民解放軍の将校5人を告発したけれども、熾烈なサイバー戦争もまた当然、デジタル情報ならではの話である。

漏れない情報(秘密)はない、という一般論で言えば、もちろんデジタルに限らないわけだが、デジタル情報だからこそ漏れやすいというのがこのプリンシプルの意味である。

この漏れやすいデジタル情報を封じ込めるために、漏洩したものを激しく罰する法強化が叫ばれがちだが、それが世の中を息苦しいものに変えていくことに注意したい(一方で、権力による情報収集は野放しに近いというのが、スノーデンの告発したことだった)。
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2014年06月25日

法人減税の負担は庶民へ 「携帯税」の次は「パチンコ税」浮上

法人減税の負担は庶民へ
「携帯税」の次は「パチンコ税」浮上
2014年6月24日 日刊ゲンダイ

代替財源を決めないまま法人税を引き下げる方針を決定した安倍政権が、いま、財源探しに躍起になっている。

突如、持ち上がった「携帯電話税」に続き、今度は「パチンコ税」まで浮上。

法人税減税で大企業を喜ばせる一方で、取りやすい庶民から搾取するつもりだ。

 パチンコ税は会期末ギリギリに審議入りしたカジノ法案に合わせて浮上したもの。

 パチンコ業界は市場規模20兆円といわれる。税率1%でも2000億円の税収になると、政府・自民党はソロバンをはじいている。

 現在、パチンコは風営法で直接の換金が禁じられているため、いったんホールで景品をもらったあと、景品交換所で現金を受け取る“3店方式”になっている。
税金をかけるとなれば、当然、合法化が必要になる。

 具体的には、合法化してホールでの換金を認めたうえで店が納税する方式や、景品交換所から徴収する方式などが検討されているというが、いずれにしろ、新たに税金が課せられたら、換金率が悪くなり、間接的に客が税金を払うことになるのは明らかだ。

■市場は縮小傾向

 パチンコ業界に詳しいフリーライターの高山数生氏はこう言う。

「パチンコ市場は縮小傾向で、実際は20兆円を切っています。
そのうえ、ホールの真水の利益は、よくて3%という薄利多売。
税金をかけたら客がもっと減るでしょうから、業界は10分の1程度まで吹っ飛んでしまいかねません」

 実は「携帯電話税」と「パチンコ税」は、2011年の復興増税の際も新たな財源として議論されている。
当時は「なぜ復興と関連するのか、説明が難しい」などの理由で断念されたが、法人税減税の代替財源探しに必死の安倍政権なら、理屈など関係なしにやりかねない。

「あの時は、パチンコだけでなく、競馬や競輪に『射幸税』をかける話や、たばこ税の増税、第3のビールと発泡酒の税率アップなども検討されました。
法人税減税の財源としてそうした税金も今後、浮上してきそうです」(霞が関関係者)

 大企業優遇で庶民の懐ばかりアテにするのは、もういい加減にしてほしい。
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2014年06月28日

幕引き都議会 惰眠の府が演じた醜態=人羅格

幕引き都議会 
惰眠の府が演じた醜態=人羅格
毎日新聞「社説・視点」2014年06月27日

 反省どころか隠蔽(いんぺい)に等しい。
東京都議会の女性蔑視ヤジ問題は発言議員は懲罰を受けず、他のヤジの発言者も特定されないまま「再発防止決議」で議会が幕引きを図る事態となった。

 首都の議会が演じた醜態は地方議会全体の問題でもある。
だが、都議会が都道府県議会の中でもとりわけ改革努力に乏しく惰眠をむさぼってきた議会であることは指摘しておきたい。

 人権侵害のヤジを制止するどころか、笑い声すら起きた議場そのままの決着だ。
一部報道によると、発言を認めた鈴木章浩議員に議場での謝罪を求める動きに「人権侵害だ」と反対があったというのだからおそれいる。
幕引きを急いだ都議会自民党を支えたのは数の力でうやむやにする発想だろう。

 議会の自浄能力の欠如を象徴したのが、ヤジを受けた塩村文夏議員が地方自治法133条に基づき当初提出した発言者の処分を求める要求書を議長が受理しなかったことだ。

「発言者が特定できない」ことが理由というが条文上、受理は可能だった。
その後鈴木議員が発言を認めたが、今度は会議規則に「(懲罰動議は)事犯があった日から3日以内に提出」とあるため懲罰は封じこまれてしまった。

 「首都の言論の府でさえこれでは……」とは多くの人が抱く印象だろう。
だが、現実は都議会は全国的にみても改革が遅れた議会だ。

早稲田大マニフェスト研究所が情報公開、住民参加などから毎年集計する地方議会の改革度で都議会は47都道府県中42位に過ぎない。

 1990年度以降、議員提案で制定された政策に関する条例は二つだけだ。議会改革に向け、多くの地方議会が定める議会基本条例も未制定だ。
つい最近も議員提案で四つの政策条例を可決した横浜市議会などと比べ、活動には雲泥の差がある。

 「国会議員を目指しての腰掛け気分や、気位ばかり高い議員が多い」とある首長は手厳しい。首都・東京が待機児童対策や超高齢化への対応で立ち遅れてきたのは都議会の怠慢にも責任の一端があるのではないか。

 都議会事務局はここ数日、抗議電話の対応に忙殺されている。だが、都議127人を昨年、過去2番目に低い投票率で選んだのは都民自身でもある。

 鈴木議員が一転、発言を認めた要因はネットなどを通じた批判の広がりだろう。
年間約1700万円の報酬に値する行動を議員に促すのであれば、住民が関心を持続する以外にない。
住民の直接請求による議会解散、議員解職手続きも地方自治法にはちゃんと定められている。(論説委員)
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2014年06月29日

与党協議決着の裏に公明の作戦ミス

山口代表「私が辞めればいいんだろ…」
 与党協議決着の裏に公明の作戦ミス
2014.06.28 ZakZak

集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更をめぐる与党協議は、慎重姿勢だった公明党が降りる形で事実上決着し、自公の緊張関係はひとまず解消された。

政府・自民党はあの手この手で公明党への説得作業を行ったが、結末は公明党の「作戦ミス」が招いたものだった。(水内茂幸、岡田浩明)

 「細かい事例に拘泥するのではなく、どういう歯止めをかけるのかが重要だ」

 27日、山口氏は公明党の会合の最後にこう訴え、行使容認への理解を求めた。

 5月20日から始まった「安全保障法制整備に関する与党協議会」で、具体的事例から議論に入ったのは公明党の意向だった。
しかし山口氏は、事例にこだわると党内への説明が厄介になると踏んだ。

 公明党内で6月中旬、山口氏が周囲に漏らしたこの一言に衝撃が走った。
 「私が辞めればいいんだろ…」

 公明党は、集団的自衛権の行使を容認せざるを得ない環境に追い詰められていた。
後は、行使への「歯止め」をどれだけ勝ち取ることができるかで、政府・自民党と最後の攻防を繰り広げている最中だった。

山口氏が辞任すれば、全面敗北を認めたことになる−。
党幹部や支持母体、創価学会の関係者は慰留に努めた。

 これに先立つ6月10日の国会内。
山口氏は井上義久幹事長、北側一雄副代表と三者会談に臨んだ。北側氏は山口氏に報告した。  

「代表が『政府の憲法解釈の基礎』と位置付ける昭和47年の政府見解を自衛権発動の新3要件に盛り込むよう、自民党の高村正彦副総裁に言っておきました」

 47年見解は、わが国が自衛権を行使できるのは「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される」場合とし、「集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」と結んでいた。

北側氏はこの要件を新3要件に盛り込むことで、個別的自衛権と集団的自衛権の接点を見いだそうとした。
「う〜ん…」

 党の先頭に立って行使容認に「断固反対」などと主張してきた山口氏は、北側氏の報告にうなった。
それでも、北側氏の論理を認めざるを得なかった。

 かねて「肌合いが合わない」とされた安倍晋三首相と山口氏。
集団的自衛権の行使容認をめぐり、2人の緊張関係は頂点に達するとみられていた。

 ところが、2人の勝負は「今年1月の時点で決まっていた」との見方は少なくない。
通常国会召集の1月24日、首相が施政方針演説で集団的自衛権について言及すると、山口氏は記者団にこう語った。

 「政策的な違いだけで連立離脱は考えられない」

 「連立離脱カード」を早々に封印してしまったことで首相を揺さぶることができなくなり、今でも「痛恨の一言だった」(党幹部)と言われている。

 漆原良夫国対委員長が2月25日付のメールマガジンで「国民の声を聴くとの一番大切な部分が欠落している」と首相を公然と批判したが、もはや首相が動揺することはなかった。

 山口氏が辞意を漏らしたのは、党内が収まるのかという不安や「作戦ミス」の責任もあったとみられる。

 山口氏が26日夜のNHK番組で憲法解釈変更の容認を表明すると、政府高官はうっすらと笑ってみせた。

 「ついに山口さんが言ってくれたか。これで、公明への説得作業は終わった」

 とりあえず辞意は撤回した山口氏は27日夜、和歌山市内での会合で、支持者らを前に行使容認について胸中を吐露した。

 「米国を守るためではなく、日本を守るための武力行使に限られる。やむを得ない…」
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学校エアコン拒否 千葉市議「年収1560万円」のデタラメ

学校エアコン拒否 千葉市議
「年収1560万円」のデタラメ
2014年6月29日 日刊ゲンダイ

「エーッ」という子供たちの悲鳴が聞こえてきそうだ。

千葉市議会の6月定例会で、市内小中学校の教室にエアコン設置を求める請願が不採択になり、保護者らの間に動揺が広がっている。

 請願は「扇風機では限界を超えた暑さに太刀打ちできない」などと、熱中症対策としてエアコンの設置を求める内容だ。
千葉市教委の試算によると、必要なエアコン台数は計175校で約2800台。費用は約76億円。

 千葉市は一般、特別会計を合わせた予算規模が8100億円を超える政令指定都市だ。
子どもの体調を考えれば、70億〜80億円の支出なんてワケないだろう。
と思ったら、アッサリ「不採択」である。

しかも、特別委員会で審査した際には、自民党議員から「耐える能力を鍛えることも必要」なんて精神論を唱える発言も飛び出したらしい。

「俺たちの時代は扇風機もなかった。甘えるな」と言いたいのだろうが、ナンセンス。

昔と今ではまったく環境が違うのだ。

 銚子気象台によると、昨年7〜9月の千葉市内の最高気温の平均は30.8度。

ここ20年間をみると、市内で最高気温が30度を超えた「真夏日」は年平均42.3日にも上る。
今や室内でも熱中症で人がバタバタ倒れる時代だ。

「アチィー、アチィー」と苦笑いしてやり過ごせる時代ではないのだ。

■ハコモノ行政のしわ寄せ

 議会の“ホンネ”は市債(借金)残高が7000億円を突破して公債費比率が上昇し、クビが回らなくなったようだが、本はといえば議会が野放図なハコモノ行政を認めてきたからで、子どもたちには何ら関係ない話だ。

 そもそもカネが問題なら自分たちが身を削ればいい。
千葉市議は議員報酬や期末手当で年間約1240万円ももらっているほか、「政務活動費」が1人当たり約320万円もある。

今こそ市民、市政のために報酬の大幅削減をするべきだろう。

千葉市内の市民オンブズマンがこう言う。
「市議会は『議会改革推進協議会』をつくり、6月の定例会でやっと議員定数54人を4人削減することを決めました。
でも、そもそも、そんなに多くの議員はいりませんよ。
カネが足りなくなるのも当然です」

 まさかとは思うが、千葉市議はエアコンの効いた涼しい議場で議案を審議しているのではあるまいな。
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2014年06月30日

「自己責任」論で暮らし壊すな

社会保障解体方針
「自己責任」論で暮らし壊すな
2014年6月29日(日) しんぶん赤旗「主張」

 安倍晋三内閣が閣議決定した経済財政政策の基本となる「骨太の方針」と「改訂成長戦略」には、国民が安心できる社会保障の土台を掘り崩す政策が次々と盛り込まれました。

医療、介護、年金、生活保護などの大幅な給付減と負担増の強化ばかりでは、暮らしはとても成り立ちません。

お金のない人が必要なサービスを受けられなくなる「営利化」の方向も露骨です。
国民生活を壊す「骨太の方針」と「改訂成長戦略」の具体化を許さないたたかいが急がれます。

「公助」を消し去る

 社会保障費の削減・抑制方針を列挙したのが「骨太の方針」です。
高齢者人口の増加などにともない必要となる社会保障費の「自然増」までも「聖域なく見直し」「徹底的に効率化・適正化」することを容赦なく宣言しています。

 社会保障費の伸びを無理やり抑え込む政策は、2000年代前半に小泉純一郎政権が強行し、日本中に「医療崩壊」「介護難民」などの事態を引き起こしたものです。

深刻な傷はいまなお残されたままなのに、またも過酷な削減・抑制路線に突き進むことは、逆行そのものです。
国民の命と健康、暮らしに甚大な被害を与えかねない危険きわまりない方針です。

 昨年の「骨太の方針」にはあった「自助、共助、公助のバランス」という記載が、今年の「骨太の方針」では消し去られたことは重大です。

代わって強調するのが「自助・自立のための環境整備」です。

なりふり構わぬ社会保障費削減路線を推進する安倍政権の姿勢を象徴しています。

先の通常国会で強行した医療・介護総合法に盛り込んだ「軽度」の要介護者を公的制度から締め出すなどの仕組みづくりをさらに加速するものです 。

 国の責任を大きく後退させ、個人や家族に負担と犠牲を強いる“自己責任による社会保障”の考えを前面に掲げたことは、憲法25条にもとづく国民の生存権保障や社会保障の向上・増進にたいする国の責任放棄に等しいものです。

 公的な社会保障を解体することと一体で、社会保障を「産業化」「営利化」の舞台に塗り替える方針を掲げたのが「改訂成長戦略」です。

「公的保険外のサービス産業の活性化」
「ヘルスケア産業を担う民間事業者等が創意工夫を発揮できる市場環境の整備」など健康・医療・介護関連企業が大もうけできるための手厚い対策が書き込まれています。

民間企業が行う健康・疾病予防サービスの利用者を増大させる具体策などを掲げています。
社会保障の分野で「世界一企業が活躍できる」条件づくりであることは明らかです。

 高額な治療費が支払えないと受診できない「混合診療」の拡大に道を開く危険のある仕組みの導入も提言しました。

お金の有無にかかわらず、必要な医療を受けられる「国民皆保険」原則を突き崩すことは、許されません。

国民を優先する政治こそ

 国民の安心・安全を支える公的な社会保障の仕組みを壊して、財界・大企業のもうけの場として差し出そうとする安倍政権の政策は、異常というほかありません。

 大企業の大もうけを保障するために、国民の生活を痛めつける政治では日本経済そのものも成長できないことは明らかです。

国民の暮らしを最優先にする政治への転換こそが必要です。
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自殺をセンセーショナルに伝えてはいけない

自殺を
センセーショナルに伝えてはいけない
アゴラ 2014年06月30日 00:01

石井孝明 ジャーナリスト
メール:ishii.takaaki1@gmail.com
ツイッター:@ishiitakaaki

焼身自殺と報道

1963年6月の南ベトナムの首都サイゴンの大通りでの光景だ。

当時のゴ・ジン・ジェム大統領は、反政府運動の巣窟になっているとして、仏教徒を弾圧した。
社会混乱が起きて数百人の人が殺害された。

73歳の高僧ティク・クアン・ドック師が抗議のために焼身自殺を行った。
当時、ニューヨーク・タイムズのサイゴン特派員だったデイビッド・ハルバースタムは、現場を目撃し、苦悩を込めてこの情景を伝えた。

彼はのち米国の代表的なジャーナリストになる。
私が個人的に目標とする人物だ。

「後にその様子を見る機会もあったが一度で十分だ。
炎が体から舞い上がり、体はどんどん小さくしぼんでいき、頭は黒く焦げていった。
あたりは皮膚が焼ける臭いがたち込めた。
人間というのは驚くほど早く燃えてゆく。
私の後ろからは集まったベトナム人のすすり泣きが聞こえた。
泣くにはあまりにショックで、書きとめたり疑問を投げかけるにはあまりに混乱し、うろたえて、考えることすらできなくなった。
燃えていく彼は微動だにせず、声も発さず、彼の落ち着きはらった様子は周りの泣き喚く人々とのコントラストを醸し出していた」

大統領の弟で、秘密警察を仕切っていたゴ・ディン・ヌー夫人のチャン・レ・スアンが焼身自殺事件の直後、米国テレビのインタビューに答えた。
ゴ大統領が独身だったため、彼女がファースト・レディーのように扱われていた。
彼女は放言した。

「単なる人間バーベキューよ」
「西欧化に抗議しているのにガソリンを使うなんて矛盾している」。
そして南ベトナム政府批判を続けるハルバースタムを「食べてやりたいぐらい憎たらしい」と暴言をはいた。

発言はベトナム国内と米国で大騒ぎになり、同国政府は民衆と米国政府の支持をさらに失った。

1963年11月に軍事クーデターが起き、ゴ兄弟は殺害され、マダム・ヌーは亡命した。
なんでこの話を紹介したか。自殺という行為の影響の大きさを示すためだ

この論考では、自殺と情報について考えたい。

人の命の情報を
いいかげんな気持ちで扱うな

6月29日午後、新宿駅南口の人通りの多い場所で50−60代の男性が焼身自殺を図ったそうだ。
一命を取り留めたそうだが、よかった。

この男性は、集団的自衛権批判などの主張をしていたそうだ。
自由な日本社会では死を選んで政治主張をする必要はない。
自殺は、この人物の心の病の問題である可能性が高い。
人の命は尊重するべきだが、誤った手法による政治主張は取り上げる必要はないだろう。

それよりも私が問題にしたいのは、この情報の拡散の仕方だ。

ツイッターやフェイスブックなどのSNSに、現場で撮影した画像が流れていた。
その中には人が燃えている写真があった。
中には面白がってそれを加工したり、豚の丸焼けや、熱い男松岡修造氏の画像を添えたりして、笑いのネタとして伝える人もいた。

人の命をネタにして、自分のツイッターやフェイスブックの閲覧数を増やしたいのだろうか。
恥ずかしい行為だろう。
これを見て、社会の一部に死を伝えることの意味を真剣に考えない人がいることを改めて知った。
死というものが日常から遠くなり、他人事のように扱われ、人間の宿命でやがて自分に訪れる厳粛なものであることを忘れているのであろう。

ただし騒いだ人、自殺情報を楽しんだ人も、悪い人ではなかろう。
ちょっと立ち止まって、マダム・ヌーの醜さを知り、気づいてほしい。
15年ほど前までは、こういう暗い情報を扱うのは、メディアの仕事だった。
個人的な意見だが、一般の人は必要なければこうした情報は触れない方がいいと、筆者は思う。

伝える仕事は専門のメディアにまかせておいた方がいい。
なぜならば、こうした情報を扱うことで自分と他人の心を汚してしまう可能性があるからだ。
筆者は記者として、何度も人の死を伝えた。真面目に考えると、大変気の滅入る仕事だ。
相手のことを取材したり、知人だったりした場合はなおさらだ。

記者は普通の市民生活では経験することのないことにぶつかることが多くある。
事件を担当すれば、殺人、強盗などの情報に接し続け、それに不感症になる。
筆者はたいして優秀でなかったが事件取材をして自分の変化に恐ろしさを感じたことがある。

犯罪被害者やその親族、場合によっては遺族に「今の気持ちは」などと、記事のために聞いた。後から振り返り、自分の行為は仕事とはいえ「鬼畜の所行」だと、ぞっとした。

インターネットとモバイル情報端末で「誰でもメディア」になったのはとても良い事である。

報道という職業に関して、垣根がなくなってしまった。
しかし普通の社会生活を送る私たちが、既存のメディアに内在するセンセーショナリズムを真似したり、非日常を追求したりする必要はない。
また情報は、関係する人々の思いが絡み付いた重いものだ。

人の死という情報を扱うことは、本当は凄まじくしんどい行為であることを認識した方がいい。
特に、人の自殺などは、その人の心の持つ暗闇、それを生み出した社会の問題と向き合うことになる。

いくら報道でプロとアマチュアの垣根がなくなったとはいえ、自らそうしたおぞましい世界に気楽な気持ちで飛び込み、ジャーナリズムや評論家を気取ることはなかろう。
そして他人の自殺情報を楽しむのは、その楽しむ人の心がすでに汚れているか、もしくはこれから汚れる事を示すだろう。

こういう内面の崩壊は本人が自覚するのが多くの場合に遅れてしまう。
気をつけた方がいい。

「暗闇をのぞくものは、その暗闇からのぞかれていることを知るべきだ」(ニーチェ)。

これは記者として、筆者が常に念頭に置く言葉だ。
私たちの一般生活でも当てはまる格言であろう。

自殺の情報面での扱い方 日本ではここ数年、年間3万人の人が自殺する。
とても深刻で痛ましい話だ。
これを「政治のせい」と主張する意見が散見される。
また自殺の理由と経済的困窮の広がりを、結びつける意見も多い。
しかしそれは一因であっても主因ではない。

自殺は多くの場合に心の病と連動している。
また、報道を注意深く読めば分かるが、現場で「酒瓶が転がっている」という描写がよくある。
酩酊状態にあって、発作的に自殺をしたという例が多い。
飲酒や麻薬などの酩酊、興奮など、外部の要因によってもたらされることがある。

(余談ながら、民主党の衆議院議員だったN氏の自殺の記事でも、自殺現場にウィスキーの瓶が転がっていたという報道があった。
この人は「メール事件」で世の批判を集めてから不眠に悩まされたそうだ。
同僚の民主党議員が寝酒を勧めたというが、間接的にその議員がそのアドバイスを悔いていたと聞いたことがある。)

多くの場合、死の意思に凝り固まる人は少ない。
自殺は、精神病の治療、ならびに本人と周囲の人の気づきと配慮で思いとどまらせることができる。
「予防」が可能であるそうだ。
(以下、素人の私が間違えたことを言う危険があるので、取材したことのある筑波大学高橋祥友教授の「自殺のサインを読み取る(改訂版)」など、専門医の著書を参考にしていただきたい。)

これまで示した通り、自殺をめぐる情報に私たちは影響を受けてしまう。
そして自殺が連鎖して増加するなどの影響が出てしまう面がある。

17世紀のベストセラーで主人公が自殺するゲーテの小説「若きウェルテルの悩み」の影響で、西欧諸国で自殺が激増したときから、この問題は観察される。

そのためにWHO(世界保険機関)がメディア関係者のためのガイドラインを提供している。

「自殺をセンセーショナルに扱わない」「問題解決法であるかのように扱わない」など、当たり前だが、忘れがちのことが書いてある。
自殺報道指針.png





(「自殺予防 メディア関係者のための手引き
(2008年改訂版日本語版)」・内閣府ホームページ)

日本のメディアはセンセーショナル報道が好きだ。
自殺報道でも、過剰なものが時おり観察される。
もし中にいる記者に良心があるなら、そして報道の仕方を知らないなら、このガイドラインを参考にしてほしい。

今は「誰でもメディア」の時代だ。
自殺をめぐりネットやSNSの情報がメディアや世論を引っ張る可能性がある。
この戒めは私たち一人ひとりが心に留めるべきであろう。
自殺をめぐる情報について、慎重な報道をしているメディア、そしてその情報を慎重に扱う個人は、情報の発信者として、信頼できる存在と評価できるだろう。

年間3万人もの日本人が、自殺で亡くなっている。
もちろんこれで自殺の問題すべてが解決するわけではない。

しかし、私たちが慎重に情報を扱えば、その人々の一部でも救えたかもしれない。
そしてこれから救えるかもしれない。
そして心の病は誰にでも生じることだ。

死をめぐる情報をいい加減に扱わないことは、私たち自らの命を守ることにもつながる。
自分と他人の命を大切にすることは、充実した人生の前提になる。
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2014年07月01日

「集団的自衛権」1日閣議決定 国民は黙って見過ごすのか?


「集団的自衛権」1日閣議決定
国民は黙って見過ごすのか?
2014年6月30日 日刊ゲンダイ
  
やめろと言わないのは
     “許した”のと同意

 安倍政権が1日、集団的自衛権の行使を認める閣議決定を強行する意向を固めた。
菅官房長官が会見で明らかにした。
この日程も安倍首相の外遊優先。
豪州に出発する前の4日までに決めてしまおうというハラで、こんな乱暴な発想で平和憲法のもとで徹してきた「専守防衛」の看板を外すなんてムチャクチャ。

憲法学界の重鎮は「国民は恥辱を受けたままでいいのか」と怒りの声を上げている――。

■戦争屋の“手品”にはめられ恥辱を受けたままでいいのか

「メンバーの中では議論が熟してきた」

 27日に行われた与党協議の後、自民党の高村副総裁がヌケヌケとこう言った。

これまでに行った与党協議の回数はわずか10回。
それも1回が2、3時間程度のもの。
しかも、この数週間で論点はあちこちに飛び、収拾がつかない状態だった。

これには専門家の間からも、「手品を見せられているようだ」と戸惑いの声が出ている。

憲法学者・小林節氏(慶大名誉教授)はこう言う。

「本来は、集団的自衛権の議論だったはずが、いつの間にか、『集団的』も『個別的』も区別できていない15事例の検討に移り、それが終了していない段階で、自衛権行使の新3要件の議論になった。
さらにそれも決着しないうちに、国連軍や多国籍軍の戦争にも参加させろという集団安全保障の話にすり替わった。
あまりに論点がコロコロ変わるので、多くの国民には理解できなかったはず。

うっかりしていると、専門家である我々でさえ、これが憲法議論であったことさえ忘れるほどでした」

 論点のすり替えは、与党協議に“正義”がないためだ。

安倍首相は、他国の戦争で母と子が逃げ遅れ、アメリカの艦船に助けられた場合……といった机上の空論を持ち出して議論を混乱させたばかりか、新3要件では、集団的自衛権を否定した1972年の政府見解をねじ曲げた。

 公明党も、国民の生命、自由に「明白な危険がある場合」は集団的自衛権を発動、つまり“戦争をしていい”と追認したが、何が明白な危険であるかは時の政権の考え方次第だ。

逆にどの場合に行使が認められないかについては、何ひとつ具体例を出さない。
そもそも国民の生命に「明白な危険」があるなら、現行の個別的自衛権で十分である。

 30日、小林節氏も名を連ねる「国民安保法制懇」が、「集団的自衛権行使は立憲主義の否定である」という緊急声明を発表する。

「今さら解釈変更に反対しても遅いという人もいますが、追いはぎや強盗に遭っているのに声を上げないのは、“許した”のと同意になります

黙って見過ごすのと、声を上げたけど、張り倒されてとられちゃったというのでは、やっぱり意味が違う。

多勢に無勢で、恥辱を受けて押し切られたという状況をつくる。

そうすることで歯止めにもなるし、解釈改憲論者たちは言い訳を始め、ボロを出すのです」(小林節氏)

 1日の閣議決定で「戦争できる国」へ一気に加速する。
国民は恥辱を受けても最後まで嫌だと抵抗すべきなのだ。
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2014年07月02日

集団的自衛権強行 安倍首相に「最高司令官の資格なし」の声

集団的自衛権強行 安倍首相に
「最高司令官の資格なし」の声
2014年7月1日 日刊ゲンダイ

 安倍政権は1日、海外での武力攻撃を禁じた憲法9条を無視して、午後の臨時閣議で集団的自衛権を認める閣議決定を強行した。

 歴代政権は、9条の下では集団的自衛権の行使は許されないという立場だったが、憲法を改正することなく、時の政権の憲法解釈を変更するだけで済ますムチャクチャだ。

 そんな亡国首相にストップをかけようと、憲法学者らでつくる国民安保法制懇は30日、「平和主義を捨て去る重大事。
一政権の恣意的な憲法解釈の変更で、(集団的自衛権を)認めることは、立憲主義の否定だ。
閣議決定の断念を強く求める」との声明を発表した。

 専門家が怒るのも当然だろう。
メンバーの一人、小林節慶大名誉教授はこう言った。

「与党協議の流れを分析しようとしましたが、分析できないくらい議論が壊れています。

自民党の高村副総裁が1972年の政府見解を持ち出したのは、
<あなたは美しいから好きだという命題を、美し過ぎるから嫌いだ>と見方をひっくり返した程度の理屈。
分析しようがないのです。

彼らも9条との整合性を見つけようとしたのでしょうが、論理的な説明が無理だと分かり、
<だったらどうでもいいから、やりたいようにやろう>としているようにしか見えません。
憲法の破壊、無視です

 憲法9条が自衛隊を海外に派遣することも、交戦権も禁じていることは小学生だってわかっている。
それを都合よく覆そうとするから、そのときによって、「集団的」を「個別的」にすり替えたり、「国の存立や国民の命」といった大義名分を持ち出したりする。

 しかし、元内閣法制局長官の阪田雅裕氏は、こう批判する。
「国の存立が危うくなることは、外国から直接武力攻撃を受ける以外ありません。
それ以外の可能性を含めたら、『限定的行使』とはいえず、政府判断でどうにでもなってしまいます」

 安倍首相は、限定的な行使容認の事例として8つをイメージしている。
それが歯止めといわんばかりだが、そんなことはない。

「8つが許されるなら、限界がないに等しい。歯止めはありません」(弁護士・伊藤真氏)

 アフガンでのテロとの戦いで、多国籍軍の文民統括を指揮した経験がある東京外大教授の伊勢崎賢治氏は、もっと手厳しい。

「自衛隊が海外に派遣されたときに想定される活動のひとつは、“国家と準ずる組織”に向き合いながら住民を保護する活動です。

そういう紛争地だと、住民と敵との区別が難しく、自衛隊員が住民を殺したり、反発する住民に殺されたりする恐れは十分あるのです

 自衛隊はこれまでもPKOなどで派遣されているが、殺されてもいないし、殺してもいない。だから、多国籍軍が国旗を隠すのに、自衛隊だけ日の丸を掲げても、現地で恨みを買うことなく、活動ができた。
問題はそこからだ。

「紛争地での自衛隊員は、国連地位協定などにより、万が一でも現地法で裁かれることなく、訴追免除になります。

現地住民には、『われわれの厳しい軍法で裁くので、申し訳ないが納得してほしい』と説得するのが、世界の常識です。
ところが、自衛隊は警察の延長線上にある組織のため、軍法も軍事法廷もない。
刑法は国外犯規定があり、過失致死での立件はできません。

つまり、派遣先で罪を犯しても、自衛隊員を裁く法律が地球上のどこにもない。

すると、どうなるか。派遣先で、米軍問題で揺れる沖縄と同じようなことが起こる。
こういう無責任な状態で自衛隊を海外に出すなら、安倍首相は最高司令官を名乗る資格がありません」(伊勢崎賢治氏)

 集団的自衛権の行使を認める閣議決定がなされても、安倍政権の暴走を止める手立てはある。
今からでも、国民は立ち上がるべきだ。
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9条破棄に等しい暴挙 集団的自衛権容認

9条破棄に等しい暴挙
 集団的自衛権容認
2014年7月2日 東京新聞「社説」

政府がきのう閣議決定した「集団的自衛権の行使」容認は、海外での武力の行使を禁じた憲法九条を破棄するに等しい。
憲政史上に汚点を残す暴挙だ。

 再登板後の安倍晋三首相は、安全保障政策の抜本的な転換を進めてきた。政府の憲法解釈を変更する今回の閣議決定は一つの到達点なのだろう。

 特に、国会の「ねじれ」状態解消後の動きは速かった。

 昨年暮れには、外交・安保に関する首相官邸の司令塔機能を強化する国家安全保障会議を設置し、特定秘密保護法も成立させた。
外交・安保の基本方針を示す国家安全保障戦略も初めて策定した。

◆軍事的な役割を拡大

 今年に入って、原則禁じてきた武器輸出を一転拡大する新しい三原則を決定。
今回の閣議決定を経て、年内には「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)も見直され、自衛隊と米軍の新しい役割分担に合意する段取りだ。

 安倍内閣は安保政策見直しの背景に、中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発などアジア・太平洋地域の情勢変化を挙げる。

 しかし、それ以上に、憲法改正を目標に掲げ、「強い日本」を目指す首相の意向が強く働いていることは否定できない。

 安保政策見直しは、いずれも自衛隊の軍事的役割と活動領域の拡大につながっている。

 その先にあるのは、憲法九条の下、必要最小限度の実力しか持たず、通常の「軍隊」とは違うとされてきた自衛隊の「国軍」化であり、違憲とされてきた「海外での武力の行使」の拡大だろう。

 一連の動きは、いずれ実現を目指す憲法改正を先取りし、自衛隊活動に厳しい制限を課してきた九条を骨抜きにするものだ。
このことが見過ごされてはならない。

◆現実感が乏しい議論

 安保政策見直しが、日本の平和と安全を守り、国民の命や暮らしを守るために必要不可欠なら、国民の「理解」も進んだはずだが、そうなっていないのが現実だ。

 共同通信社が六月下旬に実施した全国電話世論調査では「集団的自衛権の行使」容認への反対は55・4%と半数を超えている。
無視し得ない数字である。

 政府・与党内の議論が大詰めになっても国民の胸にすとんと落ちないのは、議論自体に現実感が乏しかったからではないか。

 象徴的なのは、政府が集団的自衛権の行使などが必要な例として挙げた十五事例である。

 首相がきのうの記者会見で重ねて例示した、紛争地から避難する邦人を輸送する米艦艇の防護は、当初から現実離れした極端な例と指摘され、米国に向かう弾道ミサイルは迎撃しようにも、撃ち落とす能力がそもそもない。

 自民、公明両党だけの「密室」協議では、こうした事例の現実性は結局、問われず、「海外での武力の行使」を認める「解釈改憲」の技法だけが話し合われた。

 政府の憲法解釈を変える「結論ありき」であり、与党協議も十五事例も、そのための舞台装置や小道具にすぎなかったのだ。

 政府自身が憲法違反としてきた集団的自衛権の行使や、海外での武力の行使を一転して認めることは、先の大戦の反省に立った専守防衛政策の抜本的な見直しだ。

 正規の改正手続きを経て、国民に判断を委ねるのならまだしも、
一内閣の解釈変更で行われたことは、憲法によって権力を縛る立憲主義の否定にほかならない。

 繰り返し指摘してきた通りではあるが、それを阻止できなかったことには、忸怩(じくじ)たる思いがある。

 ただ、安倍内閣による安保政策見直しの動きが、外交・防衛問題をわたしたち国民自身の問題としてとらえる機会になったことは、前向きに受け止めたい。

 終戦から七十年近くがたって、戦争経験世代は少数派になった。
戦争の悲惨さや教訓を受け継ぐのは、容易な作業ではない。

 その中で例えば、首相官邸前をはじめ全国で多くの人たちが集団的自衛権の行使容認に抗議し、若い人たちの参加も少なくない。

 抗議活動に直接は参加しなくても、戦争や日本の進むべき道について深く考えることが、政権の暴走を防ぎ、わたしたち自身の命や暮らしを守ることになる。

◆国会は気概を見せよ

 自衛隊が実際に海外で武力が行使できるようになるには法整備が必要だ。
早ければ秋に召集予定の臨時国会に法案が提出される。

 そのときこそ国権の最高機関たる国会の出番である。
政府に唯々諾々と従うだけの国会なら存在意義はない。
与党、野党にかかわらず、国会無視の「解釈改憲」には抵抗する気概を見せてほしい。

 その議員を選ぶのは、わたしたち有権者自身である。
閣議決定を機に、あらためて確認したい。
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2014年07月03日

アベノクーデター 警察が国会議員を暴力で排除

アベノクーデター
 警察が国会議員を暴力で排除
田中龍作2014年07月01日 23:46

 アベシンゾウの目指す「戦争ができる国」が完成に近づいた。
政府批判を封印する「特定秘密保護法」も昨年末、強硬に決められている。

 「憲法破壊のクーデター」が7月1日に決行されることは、マスコミ報道やネットで広く知れ渡っていた。

 危機感一杯の市民たちが朝から断続的に首相官邸前で抗議の声をあげた。

 30代のパート主婦は武蔵野市在住。
4歳の男の子を連れて参加した。

 「原発や秘密保護法の時も官邸前に来た。子どもを戦争に連れて行かれたりすると困る」。
子どもに「戦争にいかされちゃうよ」と話すと、「痛いのはイヤだ」という。

 「TVの中のことだと思っていて、まだ現実味がないが、あれよあれよのうちに突き進んでしまった」。

 メトロ出口付近で話を聞いた。男子大学生は都内在住の19歳だ。

 「秘密保護法の時も抗議行動に来た。
学生だが、徴兵制になったら(戦争に)行く可能性があるので、集団的自衛権の行使はイヤだ。友人達もみな心配している」。

 午後5時20分ごろ、「集団的自衛権の行使容認」を閣議決定したことが伝わると、どよめきが起き「安倍やめろ」の連呼になった。

 この頃、車道を隔てて反対側の国会議事堂通用門前で事件が起きていた―

 国会議事堂通用門前は首相官邸と対角線上にあることから「政権にもの申す場」として有名だ。

 誰もが抗議の声をあげることができる場所で、山本太郎議員が集団的自衛権に反対する演説を行おうとしたところ、警察に排除された。

 山本議員はじめ数人の市民が警察に押し倒されたり、腕をねじあげられるなどした。山本議員はアスファルトの地面に2度も尻もちをつかされた。

 山本議員らは議事堂の歩道上を30メートルほど後退させられた。
制服警察官はピケを張り通せんぼした。

 「元の場所(議事堂通用門前)まで戻せ」。
事件を知り駆けつけた人々が警察に抗議した。

 国会議員が、公道上で倒され通せんぼされている状況は、ツイキャスなどで広く伝えられた。フリージャーナリストたちも事態を記録した。

 30分ほど抗議が続いた。
警察は事実上の衆人環視で分が悪いと判断したのだろうか。
山本議員らが議事堂通用門前まで戻ることを認めた。

 だが、警察は「きょうはここではやらないで下さい。
あちら(国会記者会館側)でやって下さい」。
あくまでも方針は変えなかった。

 「警察は暴力で僕たちを排除した。これが安倍政権の姿です」。
山本議員は訴えた。

 国会議員に演説もさせず、押し倒して、30分間に渡り行く手を阻む。

政権の言うことを聞かない者は国会議員であろうが警察による弾圧の対象になる。
治安維持法の時代に入ったことを私たちは自覚しなければならない。

 アベシンゾウが次に狙うのは共産党非合法化ではないだろうか。
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2014年07月04日

公明党に少しでも期待をかけた不明を恥じる

永田町の裏を読む/高野孟
公明党に少しでも期待をかけた不明を恥じる
2014年7月3日 日刊ゲンダイ

 私も、集団的自衛権解禁に突き進む安倍政権の暴走に歯止めをかけるのは(民主党が役立たずである以上)公明党しかないのではないかと、わずかな期待をかけたひとりである。
それは、まったくの幻想に終わった。

 創価学会について長年取材しているジャーナリスト乙骨正生は「マスコミ市民」7月号の対談で、
「今のメディアの創価学会認識は、あまりにもお粗末です。
創価学会を平和団体というのは、彼らが一方的に主張するプロパガンダであり、事実認識が決定的に欠けている」

「自公連立発足以来、公明党は政権のブレーキ役になると強調してきましたが、実際にはアクセルの役割を果たしています」と言い、それは過去の通信傍受法、イラク特措法、昨年の特定秘密保護法の成立過程を見れば分かるだろうと一刀両断的に指摘する。

そう言われればその通りで、少しでも公明党に期待をかけた自分の不明を恥じるしかない。

しかしねえ、池田大作名誉会長は過去に繰り返し「絶対に第9条だけは変えてはいけない」
「憲法の精神を守り抜きたい」と言っていて、それは戦前の学会会長=牧口常三郎が治安維持法違反と不敬罪で捕まって獄死したという痛切な歴史に根ざした本当の気持ちだと思っていた。

しかも、個人的に言うと、1979年イラン革命の後、井上義久幹事長と太田昭宏国交相がまだ30歳代で学会の総務部長と青年部長だった時代に、彼らが主宰する「宗教と社会変革」についての内輪の勉強会に呼ばれて肝胆相照らしたことがあって、35年経った今でもその残像が私の胸に残っている。

 結局、そのような側面はタテマエにすぎず、そもそも学会が64年に公明党を創って政界に進出した初志はともかく、その後69年の言論出版妨害事件への世間の怒りや、75年の共産党との創共協定に対する自民党の危機感に基づく「池田国会証人喚問」や学会に対する「税務調査」「宗教法人課税」の圧力にさらされる中、“学会防衛”というホンネの側面がどんどん大きくなって、それがこの十数年間の自公連立政権を通じて、何が何でも与党の立場を手放さないという同党の政局オンリーの堕落につながってきたのだろう。

こうして、公明党は「平和の党」という看板を下ろしながら今秋の結党50年を迎えるという悲惨に陥ったのだが、
より深刻なのは、それによって創価学会もまた原点であるアイデンティティーを失い、何のための巨大組織なのか分からなくなって、漂流を始めるだろうということである。


〈たかの・はじめ〉
1944年生まれ。「インサイダー」「THEJOURNAL」などを主宰。
「沖縄に海兵隊はいらない!」ほか著書多数。
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2014年08月15日

敗戦から学ばない政府・政治家

今日は敗戦から 69年目の「終戦記念日」

太平洋戦争時、陸海軍の占領地 各諸島の戦闘において 補給線が維持できなかったために 各島の戦闘において悲惨な玉砕・全滅で多くの民間人・軍人が 飢えと病死で亡くなった史実を 政治家は学んでいないらしい。

今 奄美への自衛隊駐屯や各離島に自衛隊駐屯を目指す方針が 権力によって推進されようとしています。

また 自衛隊員を孤立させ 戦死させる気かと怒りさえ覚えます。

兵力・武器・弾薬・食糧などの集積、輸送を真剣に検討した上での「離島防衛」なのか、疑問なのです。

1度の反撃・持久戦・ゲリラ戦で 自衛隊員を闘わせようというのであれば 局地戦すら全滅は時間の問題です。

全面戦争を避け 局地戦で済ますには 仮想敵に戦争を決意させない緻密な計画と圧倒的な兵力の機動展開で「仮想敵」の戦闘力を上回る必要があります。

今の自衛隊にその能力があるのか、また勇ましく「離島防衛」をいう政治家にその覚悟があるのか 疑わしい限りです。

「仮想敵」に想定しているのは、中国・北朝鮮でしょうが、共に弾道ミサイルを持つ国です。

その国との戦いに 島での局地戦・上陸阻止で終わると考える頭の構造が理解できないのです。

現代、防衛戦を決意するばあい 太平洋戦争時の「沖縄戦」を 全土に拡大して想定しなければ 軍事的にも政治的にも「戦争ごっこ」で 真に国民の命は守れません。

スイスのように 全国民が退避できるシェルター、ゲリラ戦・正規戦を戦う 全国土・全国民の武装化が最低限の条件になります。

今の日本は、真面目に防衛を考えているとは 到底いえないと思うのです。

離島防衛は 補給の確保が課題ですし、本土では 国民の避難や継戦能力維持のためのインフラ整備が課題になります。

どれ一つ、歴代政権は まともに議論した形跡はなく、外洋型の「旧帝国陸軍・海軍」の変形でしかない「自衛隊」整備で終わっている。

日本の軍隊の欠陥であった 国民の生命・財産の保護の観点がスッポリと抜け落ちているのです。

今日の「終戦記念日」という呼称すら 太平洋戦争の悲惨な惨禍を 風化させるものと考えます。

今の時点で 国民的な議論が必要なのは、「固有の自国防衛権」の内容や質です。

富士の陸上自衛隊の火力演習や各自衛隊の訓練が 真にいきるためには、その想定のもとで 国民をどう避難させ守るかが土台になければなりません。

本来の政治家の役目とは、勇ましい軍事議論の前に 国民保護のための施策の検討でなければなりません。

そうでなければ 現場の自衛官は「防衛」のための武力行使はできないと 冷静に議論をすることです。

「武力のみで国民をまもれるのか?」との根源的な問いをする1日であって欲しい。
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2014年09月29日

「悪人はさらし者」社会でいいのか 神戸女児遺棄事件を前に 

「悪人はさらし者」社会でいいのか
 神戸女児遺棄事件を前に 
2014.09.28 16:00 NEWSポストセブン

 人権がいとも簡単にないがしろにされているのではないか。
フリー・ライター神田憲行氏は「当たり前のことを主張するのに勇気が要る社会」という。
 * * *
 神戸市長田区の女児に対する殺人・死体遺棄事件は衝撃を多くの人に衝撃を与えた。

わずか6歳の小さな女の子の遺体を切断して無造作に捨てるという犯人の所業に、極刑を望む声がネットで目に付いた。

極論を煽って注目を集めるのは一部の人の「楽しいネットライフ」なのはもう知っているのでいまさらナイーブに反応はしないが、ふと、亡くなった私の大学の先輩を想い出した。

今から10年以上前の昔話になるが、少し付き合っていただきたい。

 先輩はとある事件の被告人の弁護人をしていた。
大勢の人が死んだ有名な事件だ。

まず事件が起きた地元の弁護士会が中心になって弁護団をまとめ、先輩は地元ではなかったがマスコミ対応が上手かったので、そのスキルを買われて弁護団に参加した。

 マスコミ対応の弁護士だからメディアの窓口になる。
しかも被告人が容疑を否認していたので、メディアが少しでも被告人を犯人扱いしたり、事件と関係ない被告人の家族を取材しようとすると、先輩は粘り強くひとつひとつに強く警告を出していった。

「大悪人をかばう弁護士」というわかりやすいレッテルを貼られた。

事務所員の女性が外に出た途端、フリージャーナリストからバシャバシャと写真を撮られて、先輩が取っ組み合いをしたこともある。

 しかし先輩がいちばん憤ったのは、メディアの取材ぶりではなかった。

ワイドショーのコメンテーターに出演していた弁護士が「被告人はかなりの保険金を入手していますから、弁護士もそれが目当てでしょう」と言い放ったことだった。

 その事件では先輩も弁護団も、手弁当で参加していた。
「保険金目当て」で弁護を引き受けるなどとは誤解も甚だしい。
人権の基本をないがしろにする発言が同業の弁護士から出たことも許せなかった。

 凶悪事件が起きると、逮捕された容疑者・被告人に対して、「奴等を早く吊せ」と叫ぶ人たちから「石」が投げつけられる。

その家族にも石が投げられる。
弁護する弁護士にも石が投げられる。
その石が弁護士からも投げつけられた。

 今回の神戸の事件に戻る。
事件に関して流れてくるツイートを見ていて、ショックなものがあった。

今回の事件で逮捕された容疑者の名前が最初匿名だったことに対し、若い新聞記者の方が、 「このような凶悪な事件の場合は、加害者の名前を出すべき」といった趣旨のことをツイートしていたからだ。

容疑者の名前が当初伏せられたのは、その責任能力に疑問があったからだろう。
それを踏まえてもなお記せという。

そこにあるのは犯罪報道おける実名主義という報道の考えではなく、「悪人」をさらし者にせよという報復感情だけである。

先輩はいわゆる「人権派弁護士」ではなかった。

神田、自分が食えへんかったら、困ってる人も助けられへんでぇ」といって企業の顧問弁護士も普通に受けていた。

ただ「法治主義」「推定無罪」という当たり前の原則を法律家の立場から貫こうとしていただけだ。

 あれから10年以上たって、原則はさらにないがしろにされている。

 憲法で保障された生活保護制度を問題にする政治家がいる。
路上で警官隊に守られながら在日韓国人の方々に差別的言辞を弄する集団がいる。

私はヘイトスピーチを非難するツイートをして、集団と意見を同じにする人々からしつような罵倒のツイートが飛んできた経験が何回かある。
職業柄私はそういうものには馴れているが、そうでない人々に萎縮効果を与えるだろう。

 いつのまにか私たちは「人権を守れ」という当たり前の主張をするのに、勇気が要る社会にしてしまった。
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2014年09月30日

神戸女児遺棄 どこで遺体切断?なぜ診察券が?…深まる謎

神戸女児遺棄 どこで遺体切断?
なぜ診察券が?…深まる謎
2014年9月27日 日刊ゲンダイ

逮捕から2日目で、捜査は大きく進展した。

 神戸市長田区の市立名倉小1年、生田美玲ちゃん(6)のバラバラ遺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された無職君野康弘容疑者(47)の自宅からきのう(26日)、美玲ちゃんが行方不明時に持っていたとみられるリュックサックが見つかった。

さらに自宅近くの草むらでは、遺体の一部とみられる肉片も新たに3つ発見されている。

 ようやく君野容疑者の関与を裏づける物証が出てきたわけだが、それでも残された謎は多い。

今ごろ、自宅からリュックサックというのも解せない話だ。

加えて、いつ、どこで、どうやって美玲ちゃんの遺体を切断したのか。これがハッキリしないのだ。

県警は25、26日と容疑者宅の捜索を続けたが、「目立った血痕は見つからなかった」(捜査事情通)という。

杏林大医学部法医学教室の佐藤喜宣教授はこう言う。

「今の日本の科学捜査において、遺体の切断現場で、血液や尿などの痕跡が何ひとつ見つからないということは考えられない。
どんなに丁寧に洗い流しても、です。少なくとも、君野容疑者の自宅が切断現場ではない、と思いますね」

 遺体が発見された雑木林で切断された痕跡もない。

生活保護を受けていた君野容疑者が、自宅以外のどこで切断できたのか。

そもそも凶器も見つかっていない。

「君野容疑者は16日前後に、アパートの隣人に『洗濯機が2台あるから1台いりませんか』と持ちかけている。

何かの証拠を隠滅しようとしたのかもしれませんが、だったらなぜ、リュックサックは捨てなかったのか。それも謎です」(地元マスコミ関係者)

 捜査関係者によると、現場近くに住む君野容疑者は、美玲ちゃんの遺体発見が報じられた翌日(24日)未明、酒に酔った状態で雑木林の方に歩いていた。

捜査員が見つけて、任意同行を求めたという。

「遺体発見で騒然となっている現場になぜ、わざわざ向かったのか。
犯人ならむしろ避けたいはずでしょう」(前出の地元マスコミ関係者)

 何より遺体と一緒に名前入りの診察券や、たばこの吸い殻、公共料金の書類などを残していたのも不可解で、「捕まえて」と言わんばかりなのに黙秘というのも妙だ。

 捜査は前進したとはいえ、県警の強引ともいえる捜査手法には批判の声も上がっている。

「実は、君野容疑者以外に不審人物とされた男性が捜査線上に浮上し、県警の捜査員が18日に自宅へ聞き込みに行っていた。

その際、捜索令状がないのに、部屋の中までズカズカと上がり込もうとしたそうです。

男性はカンカンで、県警に抗議したらしい。

16日に容疑者宅を訪れた時も、強引に風呂場まで調べていた。

もっとも君野容疑者は動揺するでもなく、『そこまで見るんですか』と、逆に呆れていたといいますが」(県警事情通)

 物証が乏しい事件で、捜査に落ち度があったとすれば、今後はどんな展開になってもおかしくない。
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2014年10月04日

兵士を「駒」扱い 愚劣な軍事指導者たち 

戦没者230万人:
兵士を「駒」扱い
 愚劣な軍事指導者たち 
半藤一利さんインタビュー
2014年08月15日 毎日新聞

 「戦没者230万人」という数字を、私たちはどのように読み解けばいいのだろうか。
昭和史の著作が多い「歴史探偵」こと作家の半藤一利さん(84)に聞いた。
【聞き手・高橋昌紀/デジタル報道センター】           

◇  戦前の日本は近代国家の体をなしていなかった。

「戦没者230万人」という数字はそのことを端的に示していると思います。

国民を戦地に送り込むならば、国家は責任を負わなければなりません。
いつ、どこで、どのように戦没したのか。
確実に把握していなければならない。

ところが、「戦没者230万人」という大枠のみが残り、具体的なデータは部分的にしか残っていません。

厚生省(当時)は戦後、戦域別で戦没者数を算出しましたが、そこまで。死因までは分類できていない。

230万人というざっくりとした数字も、私は過小評価ではないかと疑っていますよ。

 詳細が分からないということは道義的にはもちろん、軍事的にも非常に問題があります。

前線に送り込んだ部隊のうち、戦闘に耐えうる兵士は何人なのか。
あるいは戦傷、戦病者は何人いるのか。
正確な戦力を測れずして、作戦を立てることはできません。

そもそも、前線に送らなければならない武器弾薬、糧食、医薬品などを算出するためにも、絶対に必要です。
それができていなかったのではないか。
 兵站(へいたん)を軽視した、あるいは無視したのが日本軍でした。

「輜重(しちょう)が兵隊ならば チョウチョ、トンボも鳥のうち」というざれ言があります。輜重とは兵站部門のことです。

そもそも、陸軍参謀本部や海軍軍令部のエリート将校にとって、兵卒はしょせん、1銭5厘(当時のはがき代)で集められる存在。

作戦時には3日間分のコメ6合など25キロの荷物を背負わせ、前線へとおっぽり出した。
食糧がなくなれば、現地調達しろと。
降伏はありえないのだから、負け戦になれば玉砕しかありえません。
敗残兵の消息など気にもとめなかった。

 これに比べ、米国の手厚さは語るまでもないでしょう。
あるエピソードがあります。
ブッシュ元大統領(第41代ジョージ・H・W・ブッシュ、第43代大統領の父)は戦時中に小笠原諸島の父島沖で撃墜されました。
元大統領は救助されましたが、この時に捕虜になった同僚がいました。

戦後、米軍の調査団が父島を訪れ、彼が埋葬された墓地を掘り返したんです。
すると、遺骨の首は切断されており、日本軍に処刑されたことが明らかになった。
一兵士に対するまで、その死をないがしろにしない。
国家としての責任を果たしているんですね。

日本軍は自己の実力を顧みず、攻勢の限界線をはるかに越えました。
餓死者が続出するのは当然のことです。

私は戦没者のうちの7割が、広義での餓死だと思っています。
このような軍隊は古今東西にありません。
人間をまるで、将棋の駒のように扱っている。

 海上を移動中に乗船が沈められ、死亡した陸軍将兵は18万人にも上ると見積もっています。これも補給軽視、つまりは人命軽視の表れです

開明的とされている海軍ですが、陸軍とそんなに違いはありません。

レイテ沖海戦で、小沢艦隊はおとりになりました。
基幹の空母4隻に搭載した航空機は定数をはるかに下回る100機余りしかなかったのに、整備員は必要もないのに定数を乗せた。
帳簿上の員数合わせだけを気にする官僚主義としかいいようがない。

 軍の指導者たちは無責任と愚劣さで、兵士たちを死に追いやりました。

特攻作戦も同様です。
特攻隊員たちの純粋な気持ちを利用した。

「日本的美学」などと言われるが、とんでもない。
立派な作戦であるような顔をして、机の上で「今日は何機出撃」などと記していた参謀らを許すべからずです。

 集団的自衛権の行使について、容認する声があります。
何を言ってんだ、と思いますよ。

戦後の日本は平和だった。
その権利を行使しなかったため、何か問題があったのでしょうか。  

太平洋戦争を巡り、これまで各国の将軍、提督たちを数多くインタビューしてきました。
みんな、偉い人は生きているんですよ。
戦争とはそういうものです。

「戦没者230万人」の犠牲のうえに日本は成り立っています。
その数が示していることは何か、考えてみるべきじゃないでしょうか。
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2014年10月05日

御嶽山と大違い 犠牲者ゼロだった有珠山噴火の「対応」

御嶽山と大違い
犠牲者ゼロだった有珠山噴火の「対応」
2014年10月4日 日刊ゲンダイ

御嶽山の噴火による犠牲者は戦後最悪の47人。
1991年に行方不明者も含め43人が犠牲となった雲仙普賢岳を上回る規模になった。

 問題は“異変”があったのに対処しなかったことだ。

御嶽山噴火の2週間前には、群発地震が増加していたが、気象庁の噴火警戒レベルは1。
関係自治体も策を講じなかった。

 そんな中、00年に噴火した北海道の有珠山は「観光地」でありながら、自治体が学者の予知を優先し、犠牲者を出さなかった。
火山噴火史上の“奇跡”として再注目されている。

 当時、周辺自治体は、2日前に近隣住民ら約1万人を避難させた。
おかげで、噴火の際には噴煙は約3000メートル、国道が寸断される被害に見舞われたが、人的被害はなかった。

■反対の声押し切りハザードマップ作成

 背景には、自治体と北大教授ら学者陣との連携がある。

周辺自治体のひとつ壮瞥町によると、1910年の噴火の際には東京帝国大の大森房吉教授が壮瞥町に地震計を設置、観測を行った。

以後、噴火時には学者が地元と協力してきた。
77年の前回噴火直前には、北大有珠火山観測所を設置した歴史がある。

 00年の“奇跡”を導いたのは、NPO法人環境防災総合政策研究機構理事で、北大名誉教授の岡田弘氏だ。

岡田氏は81年から21年間、北大有珠火山観測所に勤務。
83年からは小学生を対象にした火山教室や、住民に向けた登山会を開くなどして、地域の“信頼”を得てきた。

観光地ゆえ「ハザードマップなんてとんでもない」という声もあったが、ハザードマップを作り、防災体制を整える重要性を訴え続けてきたのである。

改めて、岡田弘氏は「御嶽山は予知できた」とこう言う。
「御嶽山のマグマのシグナルは、典型的な水蒸気爆発の予兆と捉えることができます。
06年3月に噴火した北海道の雌阿寒岳の噴火直前の群発地震と同じ性質の群発地震が、今回、御嶽山で起きていました。

水蒸気爆発は予知が難しいともいわれますが、それは50年以上前から分かっていたことです。また御嶽山は、1979年以来、小噴火が2回起きています。

気象台には、記録の集積があった。
過去、水蒸気爆発も経験している。

本来なら、もっと担当職員に火山の勉強をさせて対策をとらせるべきでした」

 岡田氏は「活火山を抱える自治体には『専門チーム』が必要」と言う。
歴史を学び、自然と共存していることを再認識する時期に来ている。

*この有珠山爆発の直前まで 小だぬき一家は 洞爺湖温泉に宿泊していて揺れも体験しました。爆発は 函館の湯の川温泉宿で知りました。
数年後、洞爺湖温泉に宿泊した時、噴火の大規模さで 知っていた町並みの激変・被害に声を失いました。
親父が 「俺たちは 何かに守られたようだ」とポツリといった言葉を思い出します。
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2014年10月06日

活火山に囲まれる川内原発 再稼働すすめる安倍政権の狂気

活火山に囲まれる川内原発
再稼働すすめる安倍政権の狂気
2014年9月30日 日刊ゲンダイ

 監視していたのに、専門家も予兆をつかめなかった御嶽山の噴火。

御嶽山の噴火で改めて懸念されているのが、安倍政権が「再稼働」させようとしている九州電力の「川内原発」だ。

川内原発の周辺には、活火山群が分布しているからだ。
かつて周辺で噴火が起き、現在の原発敷地内まで火砕流が流れ込んでいる。

 鹿児島県にある「川内原発」は、もともと全国の火山学者が「巨大噴火の被害を受けるリスクがある原発」のワースト1位に選んだ危険な原発。
なにしろ、川内原発の南東にそびえる桜島は、活発な噴火活動を続けている。

 ところが、原子力規制委員会は「新規制基準に適合している」と認め、安倍首相も「世界一厳しい審査をクリアした」と再稼働させるつもりでいる。

■全電源喪失リスク

 原発問題に詳しいジャーナリストの横田一氏が言う。

「九州電力は<巨大噴火が起きる可能性は低い><噴火は監視できる>と主張し、噴火の兆候があれば核燃料を外に運び出すと主張しています。

しかし、本当に巨大噴火の可能性は低いのか、噴火を予知できるのか、疑問です。

御嶽山の噴火は、専門家も予測できなかった。

もし、突然、大噴火が起き、川内原発が火砕流に直撃されたら大惨事になるのは必至です。

直撃されなくても、火山灰が原発内に入り込んだら、何が起こるか分からない。

福島原発のように“全電源喪失”に陥り、メルトダウンが起きるかもしれない。

安倍首相は御嶽山の噴火を、警告と考えるべきです」

 危険だと分かっているのに、川内原発を再稼働することは、自殺行為というしかない。
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2014年10月07日

百貨店、流通、飲食ボロボロ…消費増税で繰り返す「あの惨状」

百貨店、流通、飲食ボロボロ…
消費増税で繰り返す「あの惨状」
2014年10月4日 日刊ゲンダイ

百貨店やスーパーなどで9月度売上高(速報値)の公表が始まった。
前年同月比を見るとマイナスのオンパレードで、9月に入っても消費はまったく回復していないことがハッキリした。

 大丸松坂屋やそごう・西武の8月度売上高は前年比プラスだったが、9月は再び減少に逆戻りだ。
「ここへきて消費を手控える動きが顕著になっています。

消費増税の影響を受けた4月と同じような雰囲気が漂いだした」(百貨店関係者)

 野菜や肉、生活雑貨などを扱うスーパーのユニーや、ドラッグストアのカワチ薬品、「かっぱ寿司」で知られるカッパクリエイトなど、庶民生活を支える小売業も軒並み前年割れとなった。通販のニッセンは17.5%減だ。

 2日に決算発表したセブン&アイHDの村田紀敏社長も、「前回の消費増税時と比べ、売り上げの戻りが遅い」と嘆いていた。

第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏はこう言う。

「8月の家計調査によると消費支出は4.7%減少でした。
消費増税や円安進行による輸入物価の上昇に、賃金アップが追い付かず、実質賃金は14カ月連続の減少です。
こんな現状では、今後も消費が上向くとは思えません

■低価格品も高級品も売れない

 流通各社の8月の売り上げは悲惨だった。
家電量販店や外食、コンビニなどで前年割れが続出し、100円商品がウリの「ローソンストア100」も6.8%マイナスに沈んだ。

 低価格品を売る店から、高額品を扱う百貨店まで売り上げ減少に直面。

それが9月になって、さらに悪化ということだ。

どこを見渡しても、消費回復の兆しすら見えないのに、安倍首相は消費税率10%への引き上げを決行しようとしている。

「予定通りに消費税率引き上げが行われたら、リーマン・ショック後に日本経済が陥った『実感なき景気回復』が繰り返されることになるでしょう」(東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏)

 さまざまな経済指標は政府の意図的な操作によって好調に推移するだろうが、実体経済が伴っていないから、庶民生活はますますヒドくなる。

 GDPの6割を占める個人消費がこの惨状で、消費増税などムチャクチャというしかない。
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2014年10月11日

法改正で「発明は企業のもの」…政府が中村教授の“怒り”無視

法改正で「発明は企業のもの」…
政府が中村教授の“怒り”無視
2014年10月10日 日刊ゲンダイ

「科学技術立国」なんて夢のまた夢だ。

政府は9日、職務発明の特許を「社員のもの」とする現行制度から、「企業のもの」に変更する方針を固めた。

「発明の対価」をめぐる企業の訴訟リスクを減らしたい経団連などの要望に沿ったわけで、早ければ開催中の臨時国会で法案提出するという。

 発明に貢献した社員に報酬を支払う社内ルールを条件にするというが、企業の理屈や利益を優先していたら、優秀な技術者は当然、海外に逃げてしまう。

企業側は研究費の面倒をみているなどと言うだろうが、有望な研究であれば、投資するファンドは世界にいくらでもあるのである。

 ノーベル物理学賞を受賞した中村修二米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)は、2001年、青色LEDの開発の対価「2万円」を不服として、勤務先を相手取り提訴。

最終的に請求額を大きく下回る8億4000万円で和解したが、これだって少ない。

だから中村教授は日本を飛び出し、米国籍を取得し、“怒り”で研究を続けたのである。
政府はそのへんの事情がまったくわかっていない。

大企業ベッタリで、完全にトチ狂っている。
経済ジャーナリストの井上学氏が言う。

「職務発明制度の見直しについては前からいわれていましたが、このタイミングで政府方針を固めたのは中村さんの影響でしょう。

『発明の対価は個人に帰する』というノーベル賞受賞者の言葉が世論を作る前に“先手”を打った形です。

安倍首相は、財界の意向をくんだつもりになっているかもしれませんが、これでは中村さんのような優秀な科学者であればあるほど逃げてしまうでしょう。

政府は『優秀な外国人研究者を招いてイノベーションを創出したい』とも言っていますが、そもそも優秀な人材が『権利は会社のもの』などという国に行くわけがありません」

 中村氏の“怒り”の感情を逆なでする政府。「科学立国」の二枚舌には呆れるばかりだ。
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2014年10月12日

究極の景気対策は「消費減税」10%を見送り8%を5%に戻す

究極の景気対策は「消費減税」
10%を見送り8%を5%に戻す
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
2014.09.25 夕刊フジ

4月の消費増税後、経済指標の悪化が著しくなっている。
消費増税をやらない方がよかったのは明らかであるが、事ここに至って景気対策を行う場合、金融政策や財政政策などの中で何が最善策であろうか。

政治的な実現可能性を抜きにして、純粋に経済政策として考えてみよう。

 消費増税したい人は、経済が低迷することを読めなかったので、指標の悪化は天候不順のせいだという。
そのため特に経済対策は不要であるとすることが多い。
しかしながら、さすがに景気が悪くなっているので、従来ながらの公共事業による景気刺激策を求めることもある。

 もっとも、公共事業ははかどっていない。
国土交通省が17日に発表した7月分の建設総合統計によれば、公共事業の未消化工事高は16兆7333億円になった。
通常は10〜12兆円程度であるが、人手不足が続き、公共事業予算がついても工事のペースが上げられない状況だ。

公共事業の入札さえままならない入札不調も起こっている。

 消費増税が経済低迷の原因であるのは、消費動向をみればすぐわかる。

所得階層別にみれば、消費増税で影響をうけると思われるところで消費低迷が起きている。

 となれば、それに対する経済対策は簡単だ。

4月の5%から8%への消費増税をなかったものにするだけだ。

つまり、来年10月の消費税率10%への再引き上げを見送るのは当然として、現状の8%からただちに5%へ減税するのだ。

かつて筆者が国会で述べたことがあるが、すべての品目に軽減税率を導入して5%にするのもいい。

 消費減税ではなく、それに近い政策として所得税減税と給付金を組み合わせるというのもある。
この場合でも、もちろん10%への再増税を見送るのは当然であるが、消費増税3%分に相当する所得減税・給付金を行う。

1997年の5%への消費増税の際、景気の落ち込みを考慮して先行して所得税が減税され、レベニューニュートラル(増減税同額)としたことがあるが、今度は事後的な所得税減税を行うというわけだ。

 一方、同じ減税でも、法人税減税になると、消費税増税の相殺になるかどうか、ちょっと危うくなる。しかも、消費税3%分を相殺するには、法人税率を現行から15%も引き下げて、20%程度にしなければならない。

政府がもくろんでいる29%程度への引き下げではとうてい足りないのだ。

 消費増税を相殺するのだから、減税政策が良い手になるが、次善、三善の策として、増税分をカバーする財政支出も考えられる。

ただ、公共工事などには前述したような供給制約があり、有効需要を作りにくい。

 それでは金融政策をさらに緩和するというのはどうだろうか。

金融政策の効果は、タイムラグ(時間のずれ)が大きく財政政策ほどに即効性はない。
このため、短期的な景気変動の対応策としては財政政策に比べて力不足になってしまう。
金融政策だけでは無理だが、財政政策との併用は当然ながら望ましい。 
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2014年10月13日

常任理事国入りより「敵国条項」削除が先

【地球儀俯瞰 安倍外交の挑戦】
常任理事国入りより「敵国条項」削除が先
2014.10.12 ZAKZAK (ジャーナリスト・長田達治)

 安倍晋三首相は9月25日、国連総会の一般討論演説に立った。

来年の国連創設70年をにらみ、国連安全保障理事会の改革を訴え、「ふさわしい役割を担っていきたい」と、日本の常任理事国入りに意欲を示した。

 2005年には、日本とドイツ、インド、ブラジルの「G4」が、安保理を15カ国から25カ国にする決議案を提唱したが、アフリカ連合(AU)との改革案一本化に失敗した。
日本の常任理事国入りを嫌う中国や、常任理事国を増やしたくない米国の反対で、採決すらされずに挫折した。

 10年ぶりのリベンジだが、勝算はない。

確かに、国連安保理は、混迷を深めるシリアやウクライナ情勢になすすべもなく、失望は強まっている。
国連総会の構成国の3分の2以上の賛成で採択される。
 だが、米国、ロシア、英国、フランス、中国の全5常任理事国の批准がなければ発効しない。

中国は依然反対だ。
韓国、イタリア、メキシコなど「G4」近隣国でつくる「コンセンサス連合」の反対も根強い。外務省幹部も「目算は立っていない」と話す。

 1945年に創設された国連の英語名は「ユナイテッド・ネイションズ(UN)」。
日本語訳は国際連合だが、英訳では「連合国」、つまり第2次世界大戦で、日本やドイツなどの「枢軸国」と戦った国々のことだ。

国連憲章にはいまでも「敵国条項」が残る。
ある国を攻撃する場合は必ず国連安保理の承認が必要なのだが、旧枢軸国に再侵略の企てがある場合は先制攻撃が可能で、国連安保理の承認は不要という規定だ。

 94年11月の国連総会第6委員会では、旧敵国条項削除を憲章改正特別委員会に求める決議が採択された。

95年12月の国連総会では「53条と107条の国連憲章からの削除を求める決議」が採択されたが、正式手続きには至っていない。

 このまま敵国条項を放置するのは危険だ。
中国は、民主党政権が断行した沖縄県・尖閣諸島の国有化を「日本は中国への侵略を行っている」
「日本の行動は、戦後の国際秩序と原則への重大な挑戦だ」などと批判している。
敵国条項で日本を追い込もうとする思惑が透けてみえる。

 ただ、78年に結ばれた日中平和友好条約第1条第2項は
「日中双方は、国連憲章の原則に基づいて、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力または武力による威嚇に訴えないことを確認する」と規定している。

この条約が、中国による先制攻撃を違法とする根拠になっている。

条約がなければ、日本は最も攻めやすい国なのだ。

 常任理事国入りは理想だが、まずは、この「敵国条項」削除が先ではないだろうか。
国家安全保障を重視する安倍政権は真剣に検討してほしい。
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2014年10月17日

“第五の権力”になった「ネット匿名勢力」の危険性

“第五の権力”になった
「ネット匿名勢力」の危険性
2014.10.14 デジタル,ニュース
週刊SPA!連載<第二次正論大戦>
      〜 城 繁幸「頭打ち社会への処方箋」 〜

◆“第五の権力”になった
ネットユーザーの持つ危険性とは?

 先日、大阪のファミリーマートを舞台に、複数の人間が店員を恐喝するという動画がネットで公開され、波紋を広げた。

土下座までさせる様子も含まれていて、胸糞が悪くなった人も多いはず。

 実は筆者自身、学生時代にファミリーマートで深夜バイトをしていて、やはりクレーマーに絡まれた経験があるので、他人事とは思えずにウオッチしていた。

 ちなみに筆者は「万引するふりをして、注意されると逆切れする」というパターンでイチャモンつけられたが、「文句あるなら昼間来い」でなんとか追い払えた。
それでもすごい徒労感だったし、とにかく腹が立って仕方なかった。

 でも、今はネットという、その場に居合わせなくても誰でも繋がれるインフラがあり、かつ、今回は犯人サイドの人間が自らそこに動画を投稿するというミスも犯してくれた。

こうして、深夜のコンビニで誰にも知られずに行われたはずだった犯行は万人の知るところとなり、結局、ネット上での反響に恐れをなした犯人自らが出頭するという幕引きとなった。

 内容が内容だけに、すかっとした人も多かったのではないか。他人事とは思えなかった筆者も、思わず手をたたいた一人である。

◆ネットの力は制御できるのか?

 ただし、筆者は同時に、ある種の不安も感じてしまった。
だって、警察による捜査を経ることなく、というか、コンビニ側の被害届すらない段階で、犯人自らが警察に出頭せざるを得なくなるほどのプレッシャーを、ネットの匿名勢力は持っているわけだ。

 その力が暴走しないように誰かがコントロールできるのだろうか。
そして誤った使い方をされた場合、誰が責任を取るのだろうか。

 そういう意味では、10年以上にわたって執拗にネットで中傷され続けたお笑いタレントのスマイリーキクチ問題を筆者はどうしても思い出さずにはいられない。

過去の刑事事件について、匿名のネットユーザーが原告も警察も司法も不在のまま「あいつが犯人の一味らしい」「みんなでやっつけよう」とネットで中傷しまくり、出演メディアやスポンサーに抗議まで行っていた問題だ。

 一応、警察が動いて摘発したものの、全員不起訴で損害賠償はもちろん、謝罪すら行われていない。
はっきりいって、キクチ本人からすれば完全なヤラレ損である。

 今回は胸がすくような勧善懲悪の起承転結を見せてくれたネットだが、その力が常に正義を示してくれるとは限らない。

良くも悪くも我々はそうした“第五の権力”と隣り合わせにいるということを肝に銘じなければならない。

<処方箋>
× “第五の権力”を正しく使え
              ↓
○それは正しいこともあれば誤ることもある

【城 繁幸/じょうしげゆき】
’73年生まれ。
人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表。
『若者はなぜ3年で辞めるのか』(光文社新書)が40万部突破のベストセラーに。
『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』が発売中
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2014年10月19日

実質賃金の低下 14カ月連続の重み受け止めよ

実質賃金の低下
14カ月連続の重み受け止めよ
2014年10月18日(土) しんぶん赤旗「主張」  

これはもう、「危険水域」というしかありません。

厚生労働省が17日発表した毎月勤労統計調査(毎勤統計、8月分確報)で、勤労者の賃金が物価上昇分を差し引いた実質で、14カ月連続のマイナスとなったことが確定したのです。

1年以上にわたって実質賃金が減り続けているというのは異常このうえなく、勤労者の暮らしはじりじりと悪化しています。

企業がもうけを増やせば賃金も上がると、安倍晋三首相が唱える経済の「好循環」はまったくウソです。

賃金を引き上げ、実質賃金を改善するとともに、消費税の再増税は直ちに中止すべきです。

「アベノミクス」の破綻

 8月分の確報によれば、実質賃金は1年前にくらべ、3・1%の減少です。
マイナス幅は、9月末に発表された速報での2・6%減よりさらに悪化しました。

 実質賃金は、勤労者の現金給与総額(名目)から消費者物価の上昇を差し引いたものですが、昨年6月に0・3%の増加になったのを最後に、14カ月連続のマイナスです。
しかも昨年から今年4月までは1%台からせいぜい2%の減少でしたが、消費税増税があった今年4月に3%を超すマイナスに落ち込み、春闘などがあった以降も減少が続いています。

 実質賃金の落ち込みは4月の消費税増税前から始まっており、「アベノミクス」を自称する、安倍政権の経済政策の影響は明らかです。

「アベノミクス」は、インフレ政策で物価を上昇させることを目標にした金融政策と、公共投資など財政支出の拡大、さらに「世界でもっとも企業が活躍しやすい国」を掲げた規制の緩和・撤廃などが柱です。

その結果が大企業のもうけと内部留保を増やしただけで、国民の暮らしはよくならず、食料品やガソリンなど消費者物価を上昇させているのです。

安倍政権が発足してからほとんどの期間に実質賃金の低下が続いているのは、「アベノミクス」が「好循環」を生むどころか、百害あって一利もないことを証明しています。

 それに加えて4月からの消費税増税が、暮らしに打撃を与えています。
消費税率の5%から8%への引き上げは、消費者物価を一気に上昇させ、実質賃金を大幅に低下させました。

毎月3%もの実質賃金の目減りが続けば、国民の暮らしは目に見えて悪化します。

消費が落ち込み、商店などの売り上げが減り、工場などの生産も落ち込んでいくのは明らかです。
経済が「好循環」するどころか、いま賃金の伸び悩みと実質賃金の低下、消費の低迷、生産など経済全体の落ち込みという、まさに「悪循環」に突入しています。

悪循環を断ち切ってこそ

 こうした悪循環を断ち切ってこそ、国民の暮らしもよくなり、経済も再建できます。

大企業のもうけと内部留保を活用して賃金を引き上げ、雇用を拡大すること、大企業と大金持ちに応分な負担を求めて財源を確保し、社会保障の切り捨てから充実へ抜本転換することが不可欠です。

 何より重要なのは、来年10月からの消費税率の10%への引き上げを中止することです。

消費税増税の強行は、暮らしも経済も破綻させます。

大企業のもうけ一辺倒でなく、国民の所得を増やす経済政策へ転換することが、日本経済を立て直すために求められます。
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2014年10月20日

神風編成 きょう70年 特攻の無念 語り継ぐ

父の月命日、下記の記事に寄り 18歳で一式陸攻特攻要員だったことを改めて認識。
*************************
神風編成 きょう70年
 特攻の無念 語り継ぐ
2014年10月19日 東京新聞朝刊

 太平洋戦争終盤のフィリピンで、体当たり攻撃に若者の命を投じる神風(しんぷう)特別攻撃隊が編成されてから、十九日で七十年を迎える。

各地の戦争記念館では、体験者らが「戦争を風化させない。後世に伝えなければ」と訴えている。 (土門哲雄)

 戸張礼記(とはりれいき)さん(85)=茨城県阿見町=は、二〇一〇年に開館した予科練平和記念館(阿見町)で、歴史調査委員として来館者に戦争体験を語っている。

「このまま死んでしまったら、家族や国の平和を願い、命を落とした先輩たちに申し訳ない。
戦争体験を語り継がないと歴史から消えてしまう」と危機感を持ったからだ。

 一九四四年六月、十六歳で土浦海軍航空隊に飛行予科練習(予科練)生として入隊した。

だが、飛行機に乗らないまま、翌年七月から青森県の海岸で、爆弾を抱えて戦車の下に潜り込む特攻作戦「土竜(もぐら)」の訓練を繰り返した。
「体を隠すため、砂浜に掘った『たこつぼ』が自分の墓穴になるのかと悲しくなった」と振り返る。

 終戦後は約四十年間、中学の理科教諭を務めたが、戦争体験を語る機会はなかった。
退職後に語り始め「まず戦争の事実を知り、平和のためにどうすべきかを考えてほしい」と訴える。

 川野喜一さん(88)=大分市=は不動産業を営みながら、八八年に自宅の一部を改造して「予科練資料館」を開館。

特攻隊員の遺影や遺品、文献などを公開し、体験を伝えている。
 四五年七月、千葉県の木更津基地で特攻隊に編入された。
「最初から覚悟はできていた。日本が助かるために身を投げ出すことしか考えていなかった」  八月十三日、特攻に行く先輩から「新しい服で死なせてくれ」と頼まれ、飛行服を交換した。
十六日に出撃するはずだった川野さんは終戦で生き延びた。

「死に損なった。戦友に後れを取った」と感じた。

 「戦友を慰霊し、国を平和な方向に導く仕事をすることが生き残った者の務め。もう二度と、戦争や特攻で命を落とすことがあってはいけない」と訴える。

 茨城県笠間市で陶芸ギャラリーを経営する金沢大介さん(44)=水戸市=は、地元有志が営む「筑波海軍航空隊記念館」の事務局長を務める。

映画「永遠の0」のロケ現場となったことをきっかけに、解体の危機にある旧司令部庁舎を残せないかと考えた。
県との協議で戦後七十年となる来年八月までは使用できる見込みだ。

 長女(14)の誕生時に妻を亡くしており、戦争での人の生死に強い関心を持った。
遺族らからも話を聞き、「若い人たちに戦争や特攻を伝える場所にしたい」との思いを強めている。

◆各記念館の連絡先  
問い合わせは予科練平和記念館(茨城県阿見町)=029(891)3344、
筑波海軍航空隊記念館(同県笠間市)=0296(73)5777。
入館料は予科練平和記念館が一般500円、小中高生300円。
筑波海軍航空隊記念館は一般500円、小中高生350円。
いずれもホームページあり。
予科練資料館(大分市)は入館無料で、詳細はホームページ参照。
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2014年10月21日

牧太郎の大きな声では言えないが…:「極端」は嫌いだ!

牧太郎の大きな声では言えないが…:
「極端」は嫌いだ!
毎日新聞 2014年10月20日 東京夕刊

 「ついに」と言うべきか「もはや」というべきか……ともかく70歳になってしまった。  

頼みもしないのに、例の新聞嫌いの悪友が「酒債は尋常行く処(ところ)に有り、人生七十古来稀(まれ)なり! お祝いだ!」と言ってやって来た。

 「来なくていいのに。誕生日、冥土の旅の一里塚……。
めでたくないんだから。酒のツケが増えるだけだ」

 「そう言うな。俺がおごるから」
 「そうか……赤ワインある?」
 「生ビールじゃないのか?」

 「フランス人は動物性脂肪の摂取量が多いのに、心臓病の死亡率は低い。
理由は、赤ワインに含まれているポリフェノールが動脈硬化を防ぐから。
これ、常識だ!」

 「健康番組の司会者だった、みのもんたの受け売りだろう?」
 「まあな(笑い)。みのさんも70になった」


 「でも、赤ワインは百薬の長、という説は怪しいぞ。
5年ぐらい前、フランス政府は“赤ワインを常飲すると、がんの罹患(りかん)率は最大168%増になる”と発表した。
心臓病は防げても、がんは予防できない」

 「本当か?」

 「お茶の間の健康番組は極端すぎる。

菜食主義はがんにならない!というのも怪しい。
T大放射線科のN准教授は“肉も野菜も食べた雑食ネズミの寿命は1020日だったが、菜食ネズミは555日だった”と、どこかに書いていた」

 「Nさん? ああ、彼のお父上と同じ病院の同じ病室に入院していたから、存じ上げているけど、そういえば、チョイポチャが良い!と言っていた」

 「70になって、長生きしたい気持ちは分かるが、食べるものは野菜オンリー、酒は赤ワイン……なんて……」

 「要するに、いろいろな学説があるってこと?」

 「そうだ。日本人は何かにつけて極端に走る

例の慰安婦問題で誤報した朝日新聞をよってたかって国賊扱いする。
やりすぎだ」

 「珍しいな。お前さんが新聞の味方になるなんて」

 極端が嫌いなんだ。
正義ぶる新聞も嫌いだが、それを潰そうとする権力はもっと嫌いだ!」  

「そうか……そんなセリフを聞くなんて……
生きてて良かった。
いつものように生ビール!」(笑い)
                               (客員編集委員)
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うっかり火を出したのは二人を選んだ首相

筆洗
2014年10月21日 東京新聞

江戸の町火消しで、主力となったのは鳶(とび)の者たちだった。
本来は建築業の鳶が火消しの担い手となったのは、その時代の消火方法と関係がある

当時は消火よりも延焼を防ぐため火元周辺の家屋を倒す「破壊消火」が中心。
一刻も早く壊すため、家の構造を熟知した鳶の知恵と技術が必要になった

▼現場に駆けつけた火消しの頭は風の強さや方向を見て、どの辺りまでの家を壊していくかを判断し、指示を出す。
乱暴に聞こえるかもしれないが、当時はこれが最も効果的な消火方法だった

▼同じ日に二人の閣僚がお辞めになった。
前代未聞の大失態である。
「黒い芝居見物」の小渕さんの方は辞任の見通しが濃厚になっていたが、
「黒い団扇(うちわ)」の松島さんの同時辞任には驚いた

▼二人の他にも、野党が「不始末」を追及する閣僚がいる。
辞任ドミノがささやかれる中、これ以上の「延焼」を防ぐため、松島さんの「家」も早めに破壊した。そんなところだろう

▼それでも、この火事は当分消えまい。世間はアベノミクスの「夢」から目が覚めつつあり、支持率も下がってきた。
火の手は広がりやすい。
そもそも「火元」は小渕さんではない。
うっかり火を出したのは二人を選んだ首相である。
消火どころか、半鐘の音は火元の遠い「じゃーん、じゃーん、じゃーん」から危険の迫る「擦り半」の「じゃじゃじゃじゃじゃ」に変わった。
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2014年10月24日

安倍内閣 「女性輝く」口実にパート主婦の配偶者控除廃止へ

安倍内閣「女性輝く」口実に
パート主婦の配偶者控除廃止へ
2014.10.24 07:00
週刊ポスト2014年10月31日号

「女性が輝く社会」を謳う安倍晋三首相だが、いまや女性が「輝く」「活躍」とさえ掲げれば、何でもできると考えている。

女性の「ブラックパート量産」、「女性のために」を口実にした大企業へのバラ撒きだけでなく、女性から税金、年金を奪い取ろうとしていることは許し難い。

 まず標的になったのはパートの専業主婦だ。
政府税調はこの10月からいよいよ財務省の悲願だった「配偶者控除」廃止の議論をスタートさせた。

 現行制度では年収103万円までのパート主婦は給料に課税されない。
そのため、働く時間を減らして給料が上限を超えないようにするケースが多く、「103万円の壁」と呼ばれる。

政府は「壁があるから女性の働く機会を奪っている」という理由で控除を廃止し、パート主婦から税金を取ろうとしている。
 しかし、これは社会進出とは逆の政策だ。

もし女性にもっと働いてもらうことが目的なら配偶者控除をもっと引き上げて年収200万円から250万円くらいまで非課税にした方が、壁があるから働きたくても勤務時間を減らしていたパート主婦は喜んでフルタイムで勤務するようになるはずだ。

元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授が指摘する。
「それでも配偶者控除を廃止しようというのは、本当の目的が女性の社会進出ではなく、増税にあるからです

 年金財政がピンチの厚労省もパート主婦からの年金保険料徴収に動いた。
現在、夫がサラリーマンで年収130万円(週30時間勤務)未満のパート主婦(第3号被保険者)は年金保険料を徴収されない。

 同省はこれを「130万円の壁」と呼び、配偶者控除同様、「社会進出の障害になっている」「フルタイムで働く女性と比べて不公平な制度だ」と批判を煽って段階的廃止を目指している。

第一段階として2年後から年収106万円(週20時間勤務)以上のパート主婦は厚生年金に加入して保険料を払わなければならなくなった。

 この論理もまやかしだ。
第3号被保険者の制度ができた1986年の年金制度改正では、サラリーマンが負担する年金保険料は「その被扶養者たる第3号被保険者が共同で負担したものであることを基本認識とする」(厚生年金保険法)と定められ、全体の保険料が引き上げられた。

専業主婦は保険料を免除されているのではなく、サラリーマンの夫が代わって2人分を払っているというのが事実なのだ。

 家事と子育てといった専業主婦の「内助の功」の社会的、経済的価値を法的に位置付けた当たり前の認識である。
 それを廃止・縮小して保険料を払わせるのは、保険料の二重取りである。女性の社会進出とは次元が違う問題だ。
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2014年10月25日

特攻70年:「特攻は日本の恥部、美化は怖い」 保阪正康さんインタビュー

特攻70年:
「特攻は日本の恥部、美化は怖い」
 保阪正康さんインタビュー
2014年10月24日 毎日新聞

特攻とは何か。
特攻隊員たちの遺書が自身の執筆活動の原点というノンフィクション作家、保阪正康さん(74)に聞いた。
【聞き手・高橋昌紀/デジタル報道センター】       
 ◇        ◇
 ある元海軍参謀にインタビューをした際、戦時中の個人日誌を読ませてもらったことがあります。

特攻隊についての記述があり、「今日もまた、『海軍のバカヤロー』と叫んで、散華する者あり」と記してありました。
部外秘の文字も押されて。

この元参謀によると、特攻機は離陸した後はずっと、無線機のスイッチをオンにしているそうなんですよ。
だから、基地では特攻隊員の“最後の叫び”を聴くことができた。
「お母さーん」とか、女性の名前もあったそうです。

「大日本帝国万歳」というのはほとんどなかった。
ところが、そうした通信記録は残っていない。
故意に燃やしてしまったに違いありません。

“軍神”が「海軍のバカヤロー」と叫ぶ。
それは当局にとって、隠蔽(いんぺい)すべきことだったでしょうから。

 高校時代に「きけわだつみのこえ」を読みました。
それが特攻隊について、考えるようになった契機です。
その後、生き残りの隊員や遺族らに取材を重ねてきました。

学徒出陣した上原良司氏(陸軍大尉。1945年5月、沖縄で戦死)の妹さんは、兄と仲間たちの会話を手帳に残していました。

彼らは「向こうの奴(やつ)ら(=米軍)何と思うかな」「ホラ今日も馬鹿(ばか)共が来た。こんな所までわざわざ自殺しに来るとは間抜けな奴だと笑うだろうよ」と言い合っていたそうです。

取材後の彼女の何気ない言葉は重く、響いています。
「指揮官たちは『後に続く』と言いながら、誰も飛び立たなかったそうです。
その言葉を信じた兄たちが事実が分かったら、どんな気持ちになるでしょう」

 高級参謀をはじめ、日本の職業軍人とは何者だったのでしょうか。
英国は階級社会ですが、国を守るという点では王族・貴族もありません。
戦争で死ぬということについて、平等性がある。
戦争に貴賤(きせん)なしです。
日本でも高松宮さまなどは前線勤務を希望していたようです。

ある陸軍大学校出身の元参謀には「息子を入学させるなら、陸大だよ」と言われました。
彼の同期50人ほどのうち、戦死は4人だけだったそうです。
エリートは前線に行かず、戦争を美化するんです。

 兵士への危険負担を限りなく、低くすることが本来の指揮官の役割です。

国民的バックグラウンドの下で、西洋の民主主義国家にはそれがあった。
彼我の戦力を客観的に分析する。
物量主義も、兵士を死なせないためにあるんです。

日本にあったのは生煮えの軍事学です。
仏独に学んだ上っ面だけの西洋軍事学に“日本精神”である武士道を乗っけた。
「武士道と云(い)ふは死ぬこととみつけたり」(「葉隠」)の文言だけを取り出し、都合良く利用した。

 特攻は日本の恥部です。
命を慈しむ日本の文化や伝統に反することです。
命中率99%であったとしても、だめなんです。

志願を建前としていましたが、実際には強制でした。
本人が望んでいない死を要求し、死なせる。
こんなものは軍事ではない。
国家のため、大義のためという、自己陶酔でしかない。

戦争とは人の生死をやり取りする闘争です。
ロマンなどないんです。

特攻は米軍に畏怖(いふ)心を与え、日本本土上陸をためらわせた−−との説がありますが、とんでもない。
米軍は暗号名「コロネット」「オリンピック」などの上陸作戦を着々と準備していました。

一方の日本軍は「義勇兵役法」で国民の根こそぎ動員を決め、1億総特攻に駆り出そうとしていた。
国民一人一人が特攻要員だったんです。

 「特攻隊員は我々である」との視点が必要です。
あの時代に生きていれば、あの時代が繰り返されれば、自分も特攻隊員になるかもしれない。
特攻を考える時、必要なのは同情ではなく、連帯感です。

隊員の苦衷、苦悶(くもん)が分かれば、美化することなどできないはずです。

「特攻で死んだ人に失礼ではないか」「彼らのおかげで今の日本がある」などと言ってくる人がいます。
どうして、そんな軽々なことを言えるのか。
特攻を命じた指揮官たちと変わりませんよ。

 クラウゼビッツ(プロイセンの軍事学者)は戦争を「他の手段をもってする政治の延長」と位置付けました。
本来は政治こそが、軍事の上になければならなかった。
日本が陥った軍部独裁は政治家たちだけの責任でもありません。
国民も軍をもてはやし、甘やかした。

勝つことこそが軍の目的ですから、負けると分かっても戦争をやめることなどできなかった。
行き着いた先が特攻です。


 特攻について、時に涙が止まらなくなるほどの感傷を持っています。
それとともにわき上がるのは軍への怒りです。

この二つがあってこそ、特攻に向き合えるのではないでしょうか。
どちらかに傾いてもいけない。
特攻は時代を測るメルクマールだと思っています。

いたずらに美化することは非常に怖いことです。
集団的自衛権によって、自衛隊が海外派兵される可能性が高まっています。
良くも悪くも、軍隊というものには国民性が表れます。

今こそ、旧軍について、十分に検証すべきです。
それが無くては、特攻というシステムを採用するような組織が再び、生まれてしまうかもしれません。

◇ほさか・まさやす
1939年、札幌市生まれ。
74歳。同志社大文学部卒。
出版社勤務を経て、著述活動に入る。
「昭和史を語り継ぐ会」主宰。
長年の昭和史研究で2004年に菊池寛賞を受賞した。
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2014年10月30日

熱血!与良政談:既成事実化3点セット

熱血!与良政談:
既成事実化3点セット=与良正男
毎日新聞 2014年10月29日 東京夕刊

 政治の世界は何が起こるか分からないと改めて思う。
誰もが反対しにくい「地方創生」と「女性の活躍」を掲げ、安倍晋三首相が無難に乗り切ろうとしたこの国会の様相が一変しているのはご承知の通りである。

 女性閣僚2人のダブル辞任の後も「SMバー」やら、閣僚らのあきれた話が次々と明らかになっている。
北朝鮮による日本人拉致被害者らの再調査問題も首相の思い通りに進んでいるとは到底見えない。
そして12月には消費税を予定通り再引き上げするかどうかの決断を首相はしなくてはならない。
 安倍首相にとっては「逆風3点セット」といっていいだろう。
第2次安倍政権ができて以来、初めて迎えたピンチである。

 ただし本題はここから。
連日報じられるこれらのニュースの裏で着々と進んでいる話もある。
それを私たちは決して忘れてはいけない。

 昨年、あれだけ反対論がある中で成立した特定秘密保護法は12月10日に施行されることが決まった。
施行日と合わせて閣議決定した運用基準は、依然として行政が情報を恣意(しい)的に秘密指定できる余地が残り、監視機関の権限も強くない。
そんな中でスタートしてしまうのである。

 あるいは集団的自衛権の問題。
行使を容認する閣議決定を受け、年末の合意を目指す日米防衛協力の指針(ガイドライン)の改定作業は、既に水面下で相当進んでいるという。
これまた、日本による米軍支援が地理的にも内容的にも際限なく拡大する懸念が残ったままだ。  しかも、肝心の国内法整備は来春以降に先送りするというのだ。

国会という表の場での議論を避けて国民の目をそらしたいと考えているとしか思えない。

 原発再稼働に向けた動きも止まることはない。

安倍首相が小渕優子氏を経済産業相に起用したのは、彼女のソフトなイメージで再稼働を進める狙いがあったと思う。
もくろみは外れて宮沢洋一経産相に交代し、しかも宮沢氏が東京電力株を保有している問題も出てきた。
にもかかわらず政府の方針は変わりそうもない。

 私はこの三つを「既成事実化3点セット」と呼んでみたい。
いったん決まってしまうと、マスコミもつい忘れがちになり、報道も小さくなってしまう。
それでは政権側の「思うつぼ」である。(専門編集委員)
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2014年11月01日

過去から未来へと続く問い掛け

過去から未来へと続く問い掛けに
2014年10月31日 東京新聞「筆洗」

 この問題はもう過ぎ去ったこと、終わったことなのだと言う人もいる。
沖縄の普天間飛行場をどこに移設させるか、本当に名護市の辺野古沖でいいのか。
そういう問題である

▼きのう告示された沖縄県知事選の大きな焦点となる問題だが、菅義偉官房長官はこう言っていた。
「この問題は過去のものだ。争点にはならない」。
昨年末に沖縄の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事は辺野古の埋め立てを承認した。
それで区切りは付いたとの見解だ

▼だが当の知事自身が「まさに今進行中の課題」と言っていた。
仲井真氏を含め出馬した四人全員がきのうの第一声で辺野古の問題を取り上げた。
過去のものとする官邸と、現在進行形のものとして向き合う沖縄の人々。
このずれにこそ、問題の本質はあるのかもしれない

過去を見れば、戦争中に「本土の捨て石」とされて県民の四人に一人が死に、戦後も「基地の島」とされてきた事実がある。

未来に目を向ければ、辺野古の美しい海を我々の代でつぶしていいのか、次の世代に渡さなくていいのかという疑問がある

過去から未来へと続く問い掛けに対して「過去の問題だから、争点にはならない」と言うのは、答えになっているのだろうか

▼先日八十八歳で逝去したドイツの作家ジークフリート・レンツ氏はこんな言葉を残している。<過去は去り行かない。それは現在にあって、我々を試している>
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2014年11月04日

風知草:「SMバー」で見えたこと

風知草:「SMバー」で見えたこと=山田孝男
毎日新聞 2014年11月03日 東京朝刊

 政治資金疑惑、続編の意表を突く舞台は「SMバー」だった。
宮沢洋一経済産業相(64)の秘書の探訪が露見、宮沢は「私は行ってない」と釈明した。

 どうにも止まらぬ調査発掘報道の中でも滑稽(こっけい)味あふれる逸話として、好奇の目が注がれている。
 だが、問題の核心は主役の性的嗜好(しこう)ではない。
政治資金とその公開制度に対する政治家の無関心、無防備だ。
雇い主と世間をナメてかかった秘書の無自覚、無規律である。      

       ◇
 経産相(参院広島選挙区選出)の政治資金管理団体「宮沢会」から、広島市内のSMバーに「政治活動費1万8230円」の支出があった。
2010年の収支報告書を洗った共同通信の特ダネである。

 毎日新聞によれば、それは「下着姿の女性をロープで縛り、客も参加するショー」を見せる店だ。
男性4000円、女性2000円で飲み放題。

経産相は「地元秘書が情報収集目的で利用」と説明した。

 どう見るか。政治資金の実務を知る政治家、秘書に聞くと、異口同音、宮沢の監督不行き届きと説明のまずさを指摘した。

中でも秘書時代から百戦錬磨、自ら訴追され、服役もした鈴木宗男元衆院議員(66)がこう言っている。

 「SMバーに私は行ってませんってね、そんなこと言ってどうすんだって。
オマエが行ってどうすんだって話ですよ。

『宮沢さんが行ったんですか』って興味本位で聞くマスコミもどうかと思うけどネ。

問題の本質は、自分で報告書を見ていない、監督責任を果たしてないってことです。申し訳ない、私がチェックしていなかったと認めて謝ったらいいんですよ

 民主党政権でも似た騒ぎがあった。09年、閣僚や参院議長の政治活動費にキャバクラなどの代金が含まれていたことが発覚。
10年には閣僚の事務所費にキャミソール(女性用下着)の購入代金が記載されていたことが暴かれ、いずれも批判、嘲笑を浴びた。


 一般に地盤が安定して選挙が楽な議員の事務所ほど緩みが出る。
なまめかしい醜聞の背後に暗い秘密があるとは限らない。
      ◇
 宮沢は東京電力株を600株(時価約20万円)持っていた。
経産相は東電の株価に影響を与え得る立場であり、保有はご法度だ。
指摘されて信託銀行に預けたが、感度が鈍過ぎると鈴木が首をひねった。

 「私なら就任の記者会見で自分から言うね。必ず突かれるポイントですよ。情報の透明性が大事なんだから。秀才なのに、なんで頭が回らないかネ」

 もう一つ。宮沢は、外国人が50%超の株を保有する企業から40万円の寄付受領を指摘され、返却した。
その企業は地元のパチンコ店運営会社である。

 11年、民主党政権の外相が似た問題で辞任した。
法律は政治活動への外国人の寄付を禁じているが、定住している人の、巨額とも言えぬ寄付を国事犯のように騒ぎ立てる追及がまかり通れば、わざと政敵に寄付して葬ることも可能。
微妙な問題をはらむ。

 政治資金疑惑は、他の閣僚に飛び火し、首相をいらだたせ、追及する野党へ燃え移り、疑わしいものと難癖に近いものが入り交じって鳴動している。

 世論の深層を突き動かすものは、暴かれる不祥事の数ではなく、質だ。

消費税再引き上げの是非を問う折から、指導的地位にある人々の、浪費、公私混同に厳しい視線が注がれるのは当然である。
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2014年11月07日

政府 「正社員へ道」 「実効性疑問」 野党

政府「正社員へ道」「実効性疑問」野党
2014年11月6日 東京新聞朝刊

現行で最長三年となっている企業の派遣労働者の受け入れ期間制限を撤廃する労働者派遣法改正案は五日、衆院厚生労働委員会で本格審議が始まった。

塩崎恭久厚労相は「派遣で働く人の待遇の改善を図る一方で、正社員への道が開かれる」と主張したが、民主党などは「一生、派遣労働を続けることを認める内容だ」と批判した。

 民主党などは改正案で、派遣先の会社が三年ごとに労働組合の意見を聞けば、派遣労働者を入れ替えながら同じ職場で使い続けられるようになる、と指摘している。

これに対して政府側は、派遣期間を終えた労働者が直接雇用されるように派遣会社が派遣先に依頼するほか、キャリアアップに向けた対策を義務付けていると反論している。

 委員会で、民主党の長妻昭元厚労相は「(派遣という働き方が)一時的、臨時的ではないことに踏み出す法案だ」と指摘。
法案の欠点を認めるよう迫ったが、塩崎氏は「正社員になる支援をするように派遣元に義務を課している。一生派遣を認めているわけではない」と強調した。

 同党の山井和則元厚労政務官は「派遣先に直接雇用を頼むだけで本当に雇ってもらえるのか」と実効性に疑問を呈した。

塩崎氏は「派遣先に雇ってもらえない時は、新たな派遣先の紹介や派遣元での無期雇用も義務付けている」と述べた。

 政府・与党は七日の厚労委で安倍晋三首相も入った質疑をした後、今月中旬に衆院を通過させたい考え。

ただ、野党側の反発は強く、共産党の高橋千鶴子氏は委員会で「法案の精査には時間が必要。徹底審議を求めたい」とくぎを刺した。
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2014年11月08日

余録:日本の安全保障上の選択肢は大まかに四つあると…

余録:
日本の安全保障上の選択肢は
           大まかに四つあると…
毎日新聞 2014年11月04日 00時19分

日本の安全保障上の選択肢は大まかに四つあると、米国の国際政治学者ジョセフ・ナイ氏は言う。
(1)憲法改正による完全な再武装と核兵器保有
(2)中立を追求し国連憲章に頼ること
(3)中国との同盟
(4)米国との同盟維持

▲氏が推奨するのは無論(4)だ。
(1)は莫大(ばくだい)なコストがかかり、(2)は十分な安全保障とならず、(3)は日本への中国の影響力が大きくなりすぎるという。氏の新著「大統領のリーダーシップ」(東洋経済新報社)から引用した

▲日本は軍事や経済力に加え文化などのソフトパワーを活用して「世界民生大国」をめざせという提案は興味深い。
が、きょうは米国の中間選挙の投開票日。衰えがいわれる超大国の動向が気になるのも確かだ

▲各種世論調査では、共和党が下院の議席増と上院での過半数奪取を狙う。仮に上下両院で同党が多数派になれば、民主党のオバマ大統領のレームダック(死に体)化が進み、政権は急速に求心力を失いかねない

▲大きな出来事が人々の結束を促し指導者の人気を高めることを「ラリー効果」と言うそうだ。2012年の大統領選では投票日直前のハリケーンへの対応が好感を呼び、オバマ大統領再選の「神風」ともいわれた。が、今回はエボラ出血熱や「イスラム国」への対処が評価されてラリー効果を呼ぶとは考えにくい

▲「退任症候群」も足を引っ張る。
クリントン前国務長官やゲーツ元国防長官に続いてパネッタ前国防長官が10月に回顧録を出版し、3人とも中東政策などを批判している。
神風ならぬ逆風が吹く中、大統領が世界の難問解決への強い指導力と選択肢を保てるか。
まずは米国民の選択を見守ろう。
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2014年11月09日

増税の一方で…税金2800億円をドブに捨てる役所のデタラメ

増税の一方で…
税金2800億円を
ドブに捨てる役所のデタラメ
2014年11月9日 日刊ゲンダイ

 まったく懲りない連中である。
役所の巨額の無駄遣いが明らかになった。

会計検査院は7日、官庁や政府出資法人など2013年度の決算検査報告書を安倍首相に提出。

指摘された税の無駄遣いは595件、2831億円に上った。

 無駄遣いのトップは“常連”の厚労省で、金額は実に約888億円に上る。
長期失業者に職業訓練を行う人材育成支援事業では、使う見込みのない基金約752億円が未返納だった。

 使途をめぐって以前から問題が指摘されている復興予算関連では、福島原発事故で被害を受けた農家への交付金595億円が未使用で、国庫に返納されていなかった。

 6年後の東京五輪関連では、日本オリンピック委員会(JOC)傘下の11団体が、約2億7000万円の国庫補助金について「不当」との指摘を受けた。

国からの選手強化費をチョロまかしていたようで、今後も不正の温床になるともいわれている。

消費税、軽自動車、第3のビールと庶民は増税される一方で、役所は無駄遣いばかり。
到底許されるものじゃないだろう。

経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。
「安倍政権は『強きを助け、弱きをくじく』の典型例で、とても容認できるものではありません」

 安倍首相はまず、穴の開いたバケツをふさぐことに全力を注ぐべきだ。
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2014年11月11日

バラマキに怪文書…沖縄知事選エゲツない自民党の悪あがき

バラマキに怪文書…沖縄知事選
エゲツない自民党の悪あがき
2014年11月10日 日刊ゲンダイ

  16日の投開票まで残り1週間。
沖縄県知事選は、「オール沖縄」で基地反対を訴える翁長前那覇市長がリードを保ったままだ。

追う立場の仲井真現知事を全面バックアップする安倍政権は、お得意のバラマキに中傷ビラ、有権者だまし…と何でもアリ。
なりふり構わぬ選挙戦を展開し始めた。

 8日には菅官房長官が沖縄入り。
沖縄電力内で開かれた「経済界総決起集会」に出席し、仲井真支持を訴えた。
地方選挙の応援に官房長官が入るなんて異例だ。

 自民党は、南北縦貫鉄道の建設や国際医療拠点構想、カジノを含む総合リゾート開発など、これでもかとバラマキ振興策を打ち上げてきた。

果ては、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの誘致を「政府として支援する」と菅官房長官が空手形を切った。
例によって、「県民の心をカネで買う」作戦だ。

 10月30日の告示日には谷垣幹事長が出陣式に出席。
9日は小泉進次郎議員を投入するなど、国政選挙並みの態勢だが、頼みの公明党は知事選で自主投票を決めている。

共同通信の世論調査によると、翁長氏50・5ポイント、仲井真氏25・4ポイントとダブルスコア。
挽回は難しい。

「自民党の調査でも大きく水をあけられていて、逆転は不可能。
あとは負け方の問題です。
ダブルスコアで負ければ、基地の辺野古移設問題などに影響が出てくる。
接戦は無理でも、今後のことを考えたら、少しでも票差を縮めておく必要があります」(自民党関係者)

■巧妙な有権者だまし

 知事選と同日投開票の那覇市長選も9日に告示され、自公推薦の与世田候補の出陣式には、公明党の斉藤幹事長代行が駆け付けた。

そこでは巧妙な“有権者だまし”が行われていた。
仲井真知事、与世田氏、斉藤氏のスリーショット撮影だ。
その写真を見たら、有権者は仲井真知事も自公推薦候補だと誤解しかねない。

 斉藤氏に「那覇市長選も県知事選も自公推薦候補という誤った印象を与えるのではないか」と聞くと、
「事前に聞かされていなかった。仲井真さんに握手を求められたので拒否するわけにいかなかった」と、予定外の撮影だったことを認めた。

劣勢の仲井真陣営は、公明票を獲得するためにペテン的な手法まで使うつもりなのか。

<カツラアタマはインチキ人間><県民欺く金権体質>などと、翁長氏を誹謗中傷する怪文書も出回っている。
自民党の県連関係者は、悪びれるふうもなく「幸福実現党に怪文書を配布してもらっている」と話していた。
 本当に自民党はやることがエゲツナイが、それだけ安倍政権が追い詰められている証左でもある。 (取材協力=ジャーナリスト・横田一)
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「横田めぐみさん他殺報告書」の驚くべき内容

全容入手
「横田めぐみさん他殺報告書」の驚くべき内容
2014年11月11日 10時26分 日刊ゲンダイ

「横田めぐみさんは殺された」
――韓国の東亜日報が報じた記事について、日本政府は「信憑性がない」(菅官房長官)と黙殺の構えだが、日刊ゲンダイ本紙は報道の根拠となった報告書を入手した。

報告書は9ページに及び、日本政府の「拉致問題対策本部事務局」が作成した7つの質問と、それに対する脱北者の答えが書かれている。
脱北者の答えは手書きだ。

 報告書の最後には韓国拉致家族会の崔成竜会長の署名と名刺、日本側の拉致問題対策本部の担当者1人と内閣事務官2人の名刺が添付されている。

 これは紛れもない公の資料なのである。

報告書が作られたキッカケは、韓国拉致家族会の崔会長が今年7月、横田めぐみさんの入院生活や病状を知っていた北朝鮮の病院関係者が脱北したことを知ったことだ。

2006年から、日本政府に協力して、拉致被害者の調査をしてきた崔会長はただちに日本政府に、この事実を教えた。

そこで日本の拉致問題対策本部事務局が動いた。
崔会長に仲介を依頼し、9月11日に質問状を送り、同月24日に手書きの答えを受け取った。受領の確認として、担当者らは領収書もつけている。

 もちろん、こうした調査が行われたことは前の拉致担当、古屋圭司大臣も山谷えり子現大臣も了解済み。

それだけに菅官房長官が「信憑性がない」と言うなら、根拠も聞きたいところだ。
日本政府の対応には崔会長も不信感を強めている。

本紙の取材に「日本政府が報告書の存在を否定するような言動をしていることは絶対、納得いきません」と憤っていた。

■入院先と投薬内容の詳細情報

 確かに、このタイミングでめぐみさん死亡説が出てきたのは、北側の情報操作かもしれない。疑いだせばきりがない。
とはいえ、報告書がかなり具体的であることも事実なのだ。

 たとえば、日本政府はこれまでめぐみさんが入院していたのは高級幹部専用の病院、ボンファ診療所だと信じていた。
だから、ボンファにやってきたときのめぐみさんの状態をまず聞いた。

ところが、脱北者はボンファにはめぐみさんは入れないと否定、入院していたのは最寄りの駅から徒歩で数時間もかかる「平壌49予防院」だと証言。
そこは国家保衛部が常に監視しており、訪問者も遮断していた」と答え、病院内の詳細な配置図についても回答している。

 めぐみさんは隔離病棟に収容されていたといい
投与されていた薬についても
<@デイアジェパム0・002 1錠容量。一日二回から三回。一回当たり2錠から5錠を内服。精神病患者の鎮静目的で処方。
Aハイミナル0・1 1錠容量。一日二回。一回当たり2錠から4錠程度内服。強力な睡眠作用がある。
Bアミナジンをタブレットや注射など>とかなり具体的に答えている。

 興味を引くのは、日本政府のこの質問だ。
「横田めぐみの主治医は誰でどんな経歴をもつ医者なのか? その主治医はめぐみに対してどのような治療をしたのか?
横田めぐみの看護を担当した看護員がいたならば、名前、住所、職責、地位などを説明してください」

 これに対して、脱北者からある住所が提示されたというのである。
「拉致に進展なし」と言い続けている安倍政権だが、何かを知っていて隠しているのではないか。
この報告書の存在だって東亜日報がすっぱ抜かなければ、スットボケていた。
拉致関係者の間では安倍不信が広がっている。
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2014年11月12日

低所得高齢者はもっとカネを払え! 15年度予算案で「社会保障の見直し」次々と

低所得高齢者はもっとカネを払え! 
15年度予算案で「社会保障の見直し」次々と
2014/11/10 11:30 J-CAST

2015年度予算の焦点の一つである社会保障費の削減で、高齢者の負担増や給付削減を求めるメニューが次々に浮上している。

高齢者の中での格差拡大が叫ばれるなか、14年4月の消費税増税で僅かな年金に頼るような高齢者の生活は苦しくなっており、これに追い打ちをかける負担増となれば反発が強まるのは必至だ。

消費税の10%へのアップ(2015年10月)の是非とも絡み、14年末に向けての予算編成の過程で厳しい議論が戦わされそうだ。

後期高齢者医療制度の見直し
増えていくのは「負担」ばかり...

安倍晋三内閣が負担増を計画しているのは、まず、75歳以上の後期高齢者医療制度。

厚生労働省は10月15日の社会保障審議会・医療保険部会で軽減の特例措置を廃止していく改革案を示した。
同制度の保険料は個人単位で計算し、全員が払う定額の「均等割」部分と、一定の年収(年金で153万円)を超える人が所得に応じ手払う「所得割」部分からなるが、低所得者の保険料が過重にならないよう、定額部分は、年収によって2〜7割減額される仕組み。

しかし、制度導入時に「高齢者切り捨て」批判を浴びたことなどから、上乗せの軽減措置が取られ、最大9割減額されている。

今回、この上乗せ軽減分を、早ければ2016年度から段階的に廃止するという方針を打ち出した。
対象は865万人で、廃止により低所得層に約800億円の負担増になる。

次が年金だ。伸びを物価や賃金の伸びより低く抑える仕組み(マクロ経済スライド)を2015年度から徹底する方針で、厚労省は同15日の社保障・年金部会に示した。

公的年金は前年の物価に連動し、例えば物価が1.5%上昇したら年金も同率増える。
しかし、2004年の制度改革で、年金財政が安定するまでこの原則を凍結するとして導入したのがマクロ経済スライドで、2007年度から年金の伸び率を、物価上昇率から少子高齢化による財政悪化分(2014年度の厚労省試算で1.1%)を差し引いた数値に抑えることになった。

つまり、物価が1.5%上がっても年金は0.4%しか増えないということだ。
ただ、物価が下落するデフレを想定していなかったため、実際には適用されず、年金は減額されていない。

厚労省は今回、物価の上下にかかわらず財政悪化分の1.1%をフルに適用する方針を打ち出した。
そうなれば、物価が1%上昇でも年金は0.1%減に、物価が0.5%上昇なら年金は0.6%減、物価0.5%下落なら年金は1.6%減る。

消費増税も絡む 介護でも、厚労省は29日の社保審・介護給付費分科会に、特別養護老人ホーム(特養)の相部屋の室料を、一定の収入以上の人については2015年4月から全額徴収する案を提示した。

特養の入居者約52万人のうち、月5万円程度の室料を払っている個室利用者を除く約32万人が4〜6人程度の相部屋を利用。
この人たちの室料は介護保険から給付され、利用者からは徴収していない。

厚労省案では、うち、住民税非課税の世帯を除く人から室料を徴収するとし、金額は月1万5000円程度を想定しているという。
対象は最大6万人程度とみられる。

医療、年金、介護のいずれも、超高齢社会をにらみ、「持続可能な制度とするためには、一定の負担増は不可欠」というのが政府の立場。

一部は低所得者に配慮するなどして理解を得たい考えだ。
一方で、高齢者間の格差拡大、「老後破産」の増加などが社会問題化。

個人金融資産の6割を持つ高齢者の消費マインドが冷えれば景気にも大きなマイナス」(エコノミスト)という問題もある。
15年10月の消費税10%引き上げを実施するかも含め、年末に向け、安倍首相は難しい判断を迫られる。
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派遣法改正 「受け入れ制限撤廃」で貧富の差はますます拡大

派遣法改正 
「受け入れ制限撤廃」で
貧富の差はますます拡大
2014.11.12 07:00 NEWSポストセブン

“ハケンの品格”はどこまで保たれるのか――。

 柔軟な働き方を促す狙いで安倍政権が目指している「労働者派遣法」の改正案が、野党の猛反発を受けながら11月12日にも衆議院で強行採決が図られる見通しだ。

 改正案の大きなポイントは、派遣労働者の受け入れ期間の制限が事実上、撤廃されることにある。

 これまで企業はソフトウェア開発、秘書、通訳など「専門26業種」以外は、同じ職場で派遣社員を受け入れる期間は原則1年、最長で上限3年と決められていた。
それが改正されると、業種の括りを廃止したうえで、3年経っても“人を入れ替えれば”永久に派遣社員に仕事を任せることができるようになる。

 企業にとってみれば、派遣社員を交代するだけで安い労働力を継続し、業務を継続できるメリットは大きい。
もし、仕事のできるベテラン派遣社員に4年目以降も同じ業務をしてもらいたかったら、派遣社員が派遣元の会社と無期雇用契約を結べば、それも可能になる。

 だが、この改正によって派遣社員の待遇が良くなり、安定した仕事が回ってくる保証はどこにもない。

社会保険労務士の稲毛由佳氏が話す。
3年ごとに仕事を失うリスクは職種の枠が外れることでむしろ高くなっていきますし、仮に同じ職場で引き続き働けたとしても、今回の改正法で推進されているようなキャリアアップや昇給は望めません。
 また、働いていた部署自体がなくなってしまうようなことがあれば、派遣元と派遣先間の契約解除で新たな派遣先を探さなくてはならず、給料や勤務地の条件が悪くなることも十分に考えられます

 そもそも派遣社員の待遇改善なしに規制緩和に突き進むのは危険だ。

 厚労省の調べでは、派遣労働者の平均時給は40代後半で1200円と安く、正社員の4割ほど。年収も300万円未満の人が多い。
いくら正社員と同じ仕事内容で長く働けたとしても、これでは満足な生活が送れない。

前出の稲毛氏もいう。
「20代、30代の独身世帯ならまだしも、40代以上で一家の大黒柱ともなると生活するのもギリギリ。
たとえ派遣社員同士の夫婦が共働きしても年収600万円がせいぜい。
これで子供2人の学費を払って大学までいかせ、住宅ローンを払ってということになると厳しいでしょう」

“派遣は臨時的な雇用形態”という大原則を崩すことによって、正規・非正規雇用の貧富の差はますます広がっていくというわけだ。

「あくまでも派遣社員は正社員の産休・病欠などの代替要員として臨時的に働きたい人の受け皿になるような制度改革をすべきだと思います。

 ただ、それとは別に安定雇用やキャリアアップが約束されるような施策づくりをしなければ、将来は派遣社員だらけになって消費も伸びず、引いては企業にとってもマイナスだと思うのですが……」(稲毛氏)

 いま、日本には127万人の派遣社員が働いている。
雇用の流動化で再び“ハケン切り”が横行すれば、景気回復のシナリオは一層狂うことになるだろう。
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2014年11月13日

沖縄知事選 “劣勢”仲井真陣営が度を越した「ネガキャン」

沖縄知事選 “劣勢”仲井真陣営が
度を越した「ネガキャン」
2014年11月12日 日刊ゲンダイ

 沖縄県知事選で劣勢とされる現職・仲井真弘多知事陣営のなりふり構わぬ「ネガティブキャンペーン」が激しさを増している。

リードする翁長雄志・前那覇市長が共産党の推薦を受けていることを針小棒大に攻撃しているのだが、「ウソ」を広めてまで票を減らそうとしているのだから、ア然とするしかない。

 9日に豊見城市内で行われた、右派の論客、櫻井よしこ氏を招いての講演でのことだ。
「翁長さんはずいぶん変な人だと思います。元自民党の大物なのでしょう。
自民党の大物がなんで共産党と組むのですか」

 こう話した櫻井氏は、さらに翁長氏を支援する稲嶺進・名護市長をヤリ玉に挙げて、こう続けた。

「名護は、辺野古移転に反対の方(稲嶺進市長)が通りました。
共産党の支持を受けました。
それで、いま副市長さんは共産党なんですってね。
教育長さんも共産党なんですってね。
(共産党が)選挙で応援して勝ったから<俺たちにこのポジションを寄こせ>と言って、そのような重要なポジションを取っているわけです。
沖縄はそんなふうになっていいのでしょうか。いいはずがないですよ」

共産党主導の役所になってしまっている─―、と言っているようだが、この幹部人事についての指摘は事実誤認が濃厚だ。

■4年前に初就任、再選

 今年1月の名護市長選で稲嶺市長は再選されたが、親川敬副市長が就任したのは4年前。
仲井真知事支持の名護市議ですら、
「市長再選の翌月に副市長は市議会の全会一致で再任されました。
4年前の就任時には元共産党という噂が流れて賛否は割れたが、今回は<元共産党としても過去の話>と再任に反対した市議はゼロでした」と言うのである。

 教育長共産党説についても「初耳」「勘違いではないか」と複数の仲井真氏支持の市議が首をかしげた。
教育長は小学校の先生を皮切りに校長も務めた教育畑一筋。
副市長も市職員OBで、2人とも共産党員の経歴はない。

 稲嶺市長は「根拠がないことを言っている。
事実無根」と呆れていた。
 ウソを広めて候補者を落選させようとした公選法違反の可能性も出てくる。
政権政党が支援する現職陣営が、そこまでやるのか。
(取材協力=ジャーナリスト・横田一)
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増税先送りで解散総選挙になると予想する4つの理由

増税先送りで解散総選挙になると予想する4つの理由
(楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト 窪田真之)
マイナビニュース 11月13日(木)10時5分配信

12日の日経平均は、72円高の17,197円と続伸し、年初来高値を更新しました。

午前中は、来年の消費増税の延期があたかも決まったかのような勢いで急伸し、13時4分に319円高の17,443円まで上昇しました。

しかし、その後「消費増税の先送りが決まったわけではない」と要人発言が相次ぐと、日経平均先物に売りが増え、大引けにかけて上げ幅を縮める展開となりました。

○(1) 確かに、まだ消費増税の延期が決まったわけではない

12日の前引け間際に、自民党の菅官房長官が消費増税の先送りを「ありえない」と発言したことが伝わると、先物に売りが入りました。

午後に、日銀の黒田総裁が衆院財務金融委員会で、追加緩和について「2015年10月に予定される消費税率10%への引き上げを前提に実施した」と述べ、国全体として財政再建の取り組みが大切であると指摘したことが伝わると、先物への売りが増えました。

この委員会で、麻生財務・金融相も「(消費増税の)先延ばしが決まったかのような話だが、そんなことはまったくない」と発言しています。

○(2) 増税延期が決まるならば、早ければ来週にも発表される

来年10月に消費税を10%へ引き上げるか否かは、7-9月の国内景気の状況を見た上で、10-12月に決定することになっています。

菅官房長官は当初、12月8日に発表される7-9月のGDP改定値を見てから決めると発言していましたが、それが早まる可能性が出ています。

早ければ、11月17日(月)に発表される7-9月のGDP速報値を見た上で、来週中に決定されます。
11月17日に発表されるGDP速報値は、7-9月の法人統計がまだ発表されていない段階での試算なので、設備投資の数字が正確とは言えません。

改訂値で設備投資の数字が大きく修正されることは時々起こります。
そういう正確性が担保できない速報値で増税の判断をするのは、本来は望ましくありません。

ところが、消費増税の先送りを決定して、年内に衆院の解散総選挙をやるとなると、改定値が出る12月8日まで待っていられません。「増税先送り」を決定するならば、早い時期の決断が必要です。

○(3) 増税先送りで解散総選挙の可能性が高いと予想する4つの理由

最後の決断は、安倍首相の腹の中にあり、どう転ぶかわかりません。
ただし、今、自民党が置かれている政治状況を考えると、私は増税を1年半または2年半延期した上で解散とする可能性が高いと考えます。

これには4つの理由があります。


[1]2015年に自民党が予定する経済改革がやりやすくなる

2012年の衆院解散総選挙で、自民党は地滑り的勝利を収めました。
したがって、今、解散総選挙をやっても、今以上の議席を得るのは困難です。
やれば自民党の議席はいくらか減少するでしょう。

それでも、今、解散総選挙をやることは自民党にとって有利と考えられます。
今、総選挙をやってしまえば、4年後の2018年まで衆院選挙はやらないで済むからです。

解散総選挙をやらないと、衆議院は2016年に任期(4年)切れに伴う総選挙を行わなければならなくなります。
2016年には参議院選挙(半数改選)も予定されていますので、2016年が衆参ダブル選挙の年となります。
2015年10月に消費税を10%に引き上げた上で、2016年にダブル選挙をやるのは、自民党にとって不利と考えられます。
こうなると、2015年は選挙が気になって思い切った経済改革ができなくなります。
安倍内閣の支持率は発足当時よりかなり下がりましたが、それでも今解散総選挙をやれば、公明党とあわせて過半数の議席は獲得できると考えられます。
議席を減らしてでも解散総選挙をやって衆院過半数を確保すれば、2015年に、選挙を気にしないで思い切った構造改革ができると考えられます。

[2]電撃解散で、野党に選挙協力のための話し合いの時間を与えなければ、選挙で優位になる

日本は、衆院選で小選挙区制をとっています。
これは少数政党に不利と言われています。
1人区(当選者が1人しか出ない選挙区)では得票トップの候補しか当選しないからです。
もしすべての政党が独自候補をたてると、少数政党ではトップを取ることはまず不可能となります。
野党の票が割れれば、最大政党の自民党が当選する可能性が高くなります。

したがって、1人区では、野党は大同団結して、候補者をしぼり、自民党に一騎打ちを挑む体制を作らなければなりません。
ところが、野党同士でも政策主張が異なるので、政策のすり合わせを十分にしないことには、選挙協力はできません。
それには時間がかかります。
2012年の解散総選挙では、当時民主党の野田首相がサプライズとなる電撃解散を行いました。そのため、少数政党は選挙協力を話し合う間がなく、ばらばらに候補者をたてざるを得ませんでした。
その結果、1人区で自民党が圧勝しました。
今回も、野党が選挙協力のための話し合いを十分にできないうちに今、電撃解散を行えば、選挙戦で自民党が有利になると考えられます。

[3]10月以降も個人消費や中小企業の景況感は低調

街角景気指数の低下に表れているように、10月以降も、中小企業の景況感は低調です。
また、個人消費も停滞が続いている模様です。
全国津々浦々まで景気回復を実感できるというには程遠い状況です。
消費増税延期を決め、さらに追加の景気対策をたくさん出しながら、選挙戦を戦う口実が、今ならばあると言えます。

[4]増税延期・解散総選挙の観測が出て、株が急騰したこと

もし、予定通り増税と発表すれば、今度は株価が暴落することになるでしょう。
株価を気にする安倍首相は、株の反応を見たことで、増税延期に気持ちが傾く可能性もあります。

○執筆者プロフィール :
窪田 真之
楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト。
日本証券アナリスト協会検定会員。
米国CFA協会認定アナリスト。
著書『超入門! 株式投資力トレーニング』(日本経済新聞出版社)など。
1984年、慶應義塾大学経済学部卒業。
日本株ファンドマネージャー歴25年。
運用するファンドは、ベンチマークである東証株価指数を大幅に上回る運用実績を残し、敏腕ファンドマネージャーとして多くのメディア出演をこなしてきた。
2014年2月から現職。
長年のファンドマネージャーとしての実績を活かした企業分析やマーケット動向について、「3分でわかる! 今日の投資戦略」を毎営業日配信中。
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2014年11月15日

地球温暖化は「最悪の大量破壊兵器」である――米国の姿勢が変わりつつある背景

地球温暖化は「最悪の大量破壊兵器」である―
―米国の姿勢が変わりつつある背景
2014.11.14 ニュース 日刊SPA

 集中豪雨や巨大台風、異常な暑さや寒さ……毎年のように起きる異常気象は、地球温暖化の進行によるものだったとの見方が強まっている。

既に温暖化地獄は始まっていたのだ!

◆地球温暖化は「最悪の大量破壊兵器」。

世界中で異常気象
 今、地球温暖化が原因とみられる気候カオスが世界を脅かしている。
異常気象
今年の夏に広島や兵庫、京都など西日本各地で甚大な被害をもたらした記録的な大雨について、気象庁の異常気象分析検討会は、「数十年に一度の異常気象だった」と結論づけた

今年2月、米国のケリー国務長官は講演の中で危機感を露わにし、各国に対策の必要性を呼びかけた。

温暖化対策に後ろ向きである米国の姿勢が変わりつつある背景にあるのは、頻発する気象災害だ。

気象庁・気候情報課の竹内綾子調査官は「個別の災害の直接の原因を、温暖化であるか否か断定するのは難しい」と前置きしながらも「毎年、世界各地で大規模な気象災害が起きていることは事実」と認めた。

「’05年夏に米国南東部を襲ったハリケーン『カトリーナ』は、死者1300人以上、被害額およそ1470億米ドル(当時のレートで約16兆3000億円)と、すさまじい被害をもたらしました。
’12年には米国中部は高温・少雨により干ばつとなり、世界の穀物価格が過去最高に高騰。米国南西部は昨年から雨量が激減し、野菜や果物、酪農などの主要な生産地であるカリフォルニア州では、昨年1月から今年5月までの統計で雨量が平年の3〜4割程度となっています。

さらに、昨年末から今年1月、上空を流れる偏西風が大きく蛇行したことで、北極側の寒気が流れ込み、米国各地でマイナス30℃前後まで気温が低下、さらには強風で数十万軒が停電になるなどの被害が出ました」

 気象災害に襲われているのは、米国だけではない。

「欧州では、昨年5月から6月にかけ広範囲で大雨が降り、チェコとドイツでそれぞれ2万人以上が避難しています。

アフリカ東部では、’11年に1000万人以上が食料不足に苦しんだ大干ばつが発生、
アジアでは’08年に巨大サイクロン『ナルギス』がミャンマーを襲い、13万人以上が死亡したと報じられています。

昨年11月にフィリピンを直撃した超巨大台風『ハイエン』は、死者・行方不明者合わせて7000人以上、被災者約1600万人という被害をもたらしています」

 また、気象庁・気候情報課の石原幸司調査官は「温暖化による悪影響は既に現実化しているというのが世界の専門家の間の共通認識」と語る。


「気候のメカニズムはまだわからないことも多いのですが、はっきりわかったときは手遅れ。
予防原則に基づき、温暖化対策を急ぐ必要があるでしょう」
                         取材・文/志葉 玲
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2014年11月16日

消費再増税延期は朗報?トンデモ時限爆弾仕込む財務省の愚行、露呈した専門家らの出鱈目

消費再増税延期は朗報?
トンデモ時限爆弾仕込む財務省の愚行、
露呈した専門家らの出鱈目
文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授
2014年11月15日 14時0分 ビジネスジャーナル

そもそも、経済悪化の下での増税はセオリーでない。
経済が悪い時には減税、良い時には増税が常識だ。

何しろ4月の5%から8%への消費増税は、従来の消費増税と異なり、他の減税なしでの増税だった。
引き上げ幅も3%と諸外国に比べて大きかったので、筆者の予想通り景気は悪化した。

安倍首相は経済を重視しているので当然の判断ができるわけだが、再増税をしたい財務省に媚びて誤った内容を伝えるエコノミストやマスコミが多すぎる。
そういった人たちの邪推を打ち砕く意味でも延期の意義は大きい。

●財務省が狙う景気条項削除

 今、財務省と首相官邸との間では激しいやりとりが行われている。
財務省は、1年半の再延長を認める代わりに消費増税法に含まれる景気条項を削除せよと要求しているのだ。

景気条項とは、再増税の条件として判断時の景気を見極めることを明記するものだが、これを削除するということは1年半後がいかなる経済状況でも自動的に再増税される時限爆弾といえる。

経済政策としては信じ難い内容だが、経済が生き物だということを肝に銘じながら、弾力的な対応ができるよう法整備をしておく必要があることはいうまでもない。

 前述の通り、今回の消費再増税延期は日本経済にとっては朗報である。
ここ数日間株式市場が上昇トレンドをみせているのは、4月の消費増税で景気が低迷していた分を取り戻しているためであろう。

消費再増税を延期すると日本売りが進むという専門家の見方は早くも外れた。
延期で当面経済が良くなるわけで、政府はその間に本格的な経済成長策を仕組める。
さらに世界経済への貢献という点でも、日本経済が好調なほうがいい。

 ちなみに、「海外は消費再増税を国際公約とみなしているので再増税を実行すべき」という意見もあったが、米国財務長官など海外からは「見送るべき」という声も寄せられており、国際公約ではないことが明らかとなった。

このように出鱈目な意見が露呈するという意味でも、再増税の見送りは評価されるべきだといえよう。
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2014年11月17日

課題山積の安倍首相 解散している場合?

特集ワイド:
課題山積の安倍首相 解散している場合?
毎日新聞 2014年11月17日 東京夕刊

 衆院解散・総選挙に向けた各党の動きが慌ただしくなってきた。
確かに決定権は安倍晋三首相にあるのだが、どうにも唐突感が拭いきれない。
国民は景気の回復を実感できず、社会保障や財政再建など課題も山積する中、あえて政治空白をつくる意味はあるのだろうか−−。
識者3人に聞いた。
【聞き手・小林祥晃、江畑佳明】  

◇解釈改憲に通じる自制心欠如−
−中北浩爾さん(一橋大教授)

 安倍首相が近く解散に踏み切るとすれば、極めて異例といわざるを得ない。

前回の総選挙から2年に満たないのに、国民を納得させられる正当な理由がないからだ。

 自民党が結成された1955年以降、衆議院で任期半ば前に解散したのは、大平正芳首相の「ハプニング解散」(80年)と、小泉純一郎首相の「郵政解散」(2005年)しかない。

前者は野党提出の内閣不信任案が自民党の反主流派の同調で成立したため、後者は看板政策の郵政民営化法案が参議院で否決されたため、民意が問われた。

それに対して今回の「消費増税先送り」は、景気悪化時に増税を一時停止できる消費増税法の弾力条項に従って進めればすむので、正当な理由とはいい難い。

 衆院議員の任期は4年だから、3年を過ぎると任期満了が見えてくる。
しかし、任期半ばの2年よりも前は、さすがに早すぎる。
そこで、首相が追い込まれ解散を避けるとすれば、2年半以降というのが常識的なラインになる。

年末解散が与党に有利だとしても、来年夏以降ではないかという観測が従来強かったのは、それゆえだった。

今回の解散が問題なのは、大義がないということだけではない。
このような常識を壊してしまうことにある。

 衆議院の解散は、首相の専権事項とされる。議員の政治生命を一瞬にして断ち切る「伝家の宝刀」を与えられた首相は、自制心を失わず、常識を尊重しなければならない。
国民を納得させられる正当な理由がないまま、自らに有利というだけで解散権を振り回すならば、首相の権威を毀損(きそん)しかねない。

 安倍首相は、集団的自衛権の行使容認のために、憲法解釈の変更という立憲主義を否定するような手法をとった。
最高権力者としての自制心の欠如という点で、今回の唐突な解散論にも相通ずるものを感じる。  

◇苦しむ庶民、選挙より成長を−
−荻原博子さん(経済ジャーナリスト)

 消費税率引き上げの「先送りの賛否」を問うのが解散の大義だと言われている。

既に大勢の人たちが「先送りしろ」と言っているのに、今さら信を問う話だろうか。
政権の狙いは、この国が抱えている課題を覆い隠すための「ステルス解散」なのではないか。  

円安であらゆる物の値段が上がり、庶民の生活は苦しくなった。
実質賃金は15カ月連続の前年比マイナスで、消費支出は前年を下回っている。

そんな中、国は年金積立金を株で運用する枠を拡大する方針を打ち出した。
私たちの年金を株にさらにつぎ込むなんて、不安なことこの上ない。
財布のひもが固くなるのは当然だ。

 安倍首相は「賃金を上げる」なんて言っているけれど、やろうとしていることは全く逆。
非正規労働者を増やそうとしたり、移民や女性をこき使おうとしたり、どれも給料を下げる政策ばかりだ。
 アベノミクスで一部の大企業は潤ったかもしれないが、中小企業は苦しいままだ。
国は「これから恩恵が行き渡る」と強調するが、モノが売れず、新たな需要も喚起できない中では期待できない。

日本の産業を支えてきた自動車(四輪車)でさえ、円安なのに輸出台数が前年比マイナス続き。親会社は円安による為替差益で利益があるが、下請けからは材料費の高騰などで悲鳴が上がっている。
 今やるべきは解散ではなく成長戦略、つまり新たな産業の育成だろう。
なのに、これといった戦略は全く出ていない。原子力に代わる再生可能エネルギーが新たな産業に成長しそうだったのに、安倍政権は原発推進にかじを切り、成長の芽をつぶした。

 こんなことを続けていたら貧富の差が広がるだけだ。株を持つ人はますますもうかり、そうでない大多数はますます負担が増える。

 総選挙の経費は約700億円。使い道をもっと考えてほしい。  

◇与党の筋書きに逆らえぬ屈辱−
−諏訪哲史さん(作家)

 なぜ今、解散しなければいけないのか。
最初は意味不明だった。
消費増税はもちろん、沖縄の基地問題、脱原発と議論すべきことは山ほどあろうに、と。

しかしある夜、布団の中でわき上がってきたのは、安倍首相率いる与党が政治のシステムを巧妙に利用していることへの怒りと「これは『民主主義』の名のもとに国民が喫した敗北だ」という屈辱感だった。

 首相には解散権がある。
議会制民主主義のルールだが、サッカーに例えれば、キックオフの笛を吹く権利を特定のチームが握っているようなものだ。

今回、国民は突然笛を吹かれ、12月の寒風吹きすさぶ中、投票所にかり出される。

私も含めて、積極的に1票を入れたい候補者や党が見当たらないという人が多いのではないか。その場合は「せめて今より悪くならないように」と消極的、現状維持的な選択をせざるを得ない。
与党が有利に決まっている。

 その結果、与党は米軍普天間飛行場の辺野古移設や原発の再稼働といった施策を推し進めるに違いない。
選挙では「再稼働には反対だが、消費税の先送りは賛成」といった政策ごとの意思表示はできない。
幕の内弁当のおかずを選べないのと似ている。
後で「そこまでは賛成していないんだけど」と嘆いてみても、もう遅い。

 表向きは民主主義でも、これは「選挙勝利至上主義」と呼ぶべきものだ。
権力者に都合が良く、より大きな自信を抱かせるための選挙に、私たちは無理やり参加させられようとしている。

 筋書きが完全にできあがっている中で踊らされる滑稽(こっけい)さ。
それこそ屈辱でなくて何だろう。

 もし選挙になったら、この屈辱感を深く、深くかみしめながら投票しなければならない。
屈辱の記憶の刻印だけが国民を軽視する政治を突き崩し、私たちの手に取り戻す、次への道なのだ。
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2014年11月18日

自民大敗…安倍政権に鉄槌を下した沖縄県民の凄まじい怒り

自民大敗…安倍政権に鉄槌を下した
沖縄県民の凄まじい怒り
日刊ゲンダイ2014年11月18日号(17日発行)から一部抜粋


 安倍政権は今度こそ、沖縄県民の怒りのすさまじさを思い知ったのではないか。

16日、投開票された沖縄県知事選は、夜8時の開票とほぼ同時に当確が出た。
米軍基地の辺野古移設反対を掲げる翁長雄志・前那覇市長(64)が推進派の仲井真弘多知事(75)を10万票差で蹴散らした。

 沖縄の憤激が炸裂したような選挙結果だったが、今度の選挙で政権与党の自民党は、辺野古推進派の仲井真氏を当選させるために、それこそ、ありとあらゆる禁じ手を繰り出してきた。

 もともとは移設反対派だった仲井真氏を札束で頬を張るような形で変節させ、しかし、仲井真氏の苦戦が伝えられると、なりふり構わぬニンジン作戦やネガティブキャンペーンを展開したのだ。

「沖縄南北縦断鉄道の建設やユニバーサル・スタジオ・ジャパンの誘致、カジノを含むIR開発、国際医療拠点建設構想など、ありとあらゆるバラマキ策をぶら下げたのが自民党です。

菅官房長官を筆頭に幹部が何人も沖縄入りし、業界関係者を集めた秘密会合でアメ玉を配った。

かと思うと、自主投票だった創価学会を動かすために、同日投開票だった那覇市長選の応援に来た公明党の斉藤鉄夫幹事長代行の演説場所に仲井真さんが現れて、一緒に写真に納まったり、事実誤認に基づく共産党との癒着キャンペーンなど、その選挙戦はエゲツなかった。

それでも、これだけの差がついたのですから、安倍首相は、この民意を厳粛に受け止めるべきです」(現地で取材を続けてきたジャーナリストの横田一氏)

■それでも埋め立て強行が既定路線

 基地問題を争点にした沖縄の選挙は名護市長選に続く連敗になる。
今度こそ、思い知ったか、自民党――。
こう言いたくなるのだが、狡猾な自民党は県知事選で負けることを想定、選挙結果に左右されず、辺野古埋め立て、基地建設を強行するつもりだ。

 16日の選挙結果を聞いた自民党の茂木敏充選対委員長はイケシャーシャーとこう言っていた。
「普天間の危険性除去に向け、政府・与党として準備を進めていく」

 要するに、普天間移転=辺野古埋め立ての計画にいささかの変更もないということだ。
裏切り者の仲井真氏が公有水面埋立法に基づく埋め立てをすでに承認しているからだ。

 実際、辺野古の海では今年8月、海保の巡視船が広範囲に制限海域を設定、反対運動を展開している地元民のカヌーを蹴散らし、ボーリング調査を強行した。
それも「確保、確保」と叫んで、抵抗する住民を岸に投げだし、非国民のように扱っていた。  

沖縄平和運動センター議長の山城博治氏は本紙の取材に「まるで明治時代の沖縄併合が戻ってきたのか、と思った」と話していたが、そうやって、既成事実をどんどん推し進め、反対派をあきらめさせようとしたのが安倍政権だ。

それに対して、今度の選挙で県民は改めて、明確な「ノー」を突きつけたわけである。

 それでも安倍政権は埋め立てを強行するのか。
間違いなくそのつもりだろう。
集団的自衛権の行使容認でも原発再稼働でも、平気で民意を無視するのが安倍首相のファッショ政治だからだ。

今度の総選挙では、政権をひっくり返すほど負けさせるしかない。
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2014年11月19日

安倍首相の解散総選挙決断 内閣のスキャンダル隠すのも目的

安倍首相の解散総選挙決断 
内閣のスキャンダル隠すのも目的
2014.11.18 07:00 週刊ポスト2014年11月28日号

消費増税の先送りについて国民の審判を仰ぐという解散・総選挙。
解散に「大義」はないが、狙いははっきりしている。

安倍政権の失政を隠し、「国民を騙せるうちに選挙をしてしまおう」というのだ。

 安倍首相が解散に傾いた大きな要因がスキャンダル隠しである。
政治資金疑惑や公選法違反疑惑で大臣を辞任した小渕優子、松島みどりの両氏に続いて、「3人目の辞任」が出れば政権に赤信号が灯ることは間違いない。

 しかも、閣内には「辞任予備軍」の疑惑大臣らがウヨウヨいる。
中でも真っ黒なのが「口利きメール疑惑」の塩崎恭久・厚労相とファミリー企業を通じた「政治資金私物化疑惑」の西川公也・農水相である。
本来はとっくに辞任して当然の問題大臣だ。

 口利きメール疑惑は、塩崎氏の地元・愛媛県松山市で、特別養護老人ホームが市から許可が下りず、特養を運営する社会福祉法人の理事長が地元市議を通じて塩崎事務所に相談。
秘書が厚労省に「口利き」したもの。

 政治資金私物化疑惑は西川氏の政策秘書の息子や親族が社長を務める会社に、「タイヤ代」「お歳暮」などとして計100万円近くを流していた疑惑。

安倍側近議員の1人が首相の胸中をこう代弁する。
「これ以上のドミノ辞任となれば政権がもたないから疑惑に目をつぶって庇うしかないが、それにも限界がある。
だから総選挙後の組閣で疑惑が出た政務三役を一掃するしかない」

 しかし、解散で「疑惑の根」を断てるわけではない。
相次ぐスキャンダルの背景にあるのは、野党転落時代の自民党議員たちがカネに困窮して政治資金を私物化し、政権に返り咲いてからは一層、票のために地元への利益誘導に励む金権体質が強まったことだ。

仮に内閣のメンバーを入れ替えても、また次々と疑惑が噴出しかねない。
新スキャンダルの「種まき解散」になるだけなのだ。
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2014年11月20日

「自分の1票を死に票にしない」ための3つのステップを紹介

「自分の1票を死に票にしない」ための
    3つのステップを紹介
2012.12.04 07:01週刊ポスト2012年12月14日号

 今回の総選挙では政党が乱立し、2〜3割の得票率でも当選する可能性がある。
逆に言えば7〜8割もの「死に票」が出てしまうのだ。

では「1票を死に票にしない」ためにはどうすべきか。
そのための投票行動のポイントは、次の3つのステップに整理できる。

【STEP1】:「当選させたくない政党、候補者」を選ぶ

 投票の大前提として、政党別の政策を知る必要がある。
もちろん公約は守られなければ意味がない。
公約違反に裏切られた有権者にとって「実行力」を見極めることが重要なのはいうまでもない。

【STEP2】:投票する政党、候補者の「足切り」をする

 政党の足切りをして落としたい候補に勝てる「次善の候補」を選ぶには、選挙情勢を知らなければならない。
その簡単な方法がある。
新聞各紙が行なう情勢調査だ。
選挙情勢を特別の符牒、表現で報道するため、それを知ることで各候補がトップと何ポイント差かを読み解くことができる。

STEP3】:政権の組み合わせを考えて政策実現(阻止)可能性を追求する

 この3ステップを踏むことで、有権者の1票の価値を上げることができる。
************************
小だぬき
今の福祉削減、増税などの制度改悪に対抗するために 一番筋の通っている政策を持つ「日本共産党」に期待します。

ただ残念なのは、小選挙区全立候補方針です。
各県 重点区を決めて 47人当選を目指すことが 今求められているような気がします。
将来 政権を担う覚悟があるのなら 比例代表優先の方針とともに小選挙区でも勝利する力量が求められます。

共産党には 申し訳ないですが、革命政党と思っているのは 共産党と公安警察しかないのではと思います。
最近は「議会中心政党」という方が 実情に近いのかもしれません。

小選挙区全立候補方針は、自民党・公明党の当選をまねく 利敵行為にならないか心配です。
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2014年11月21日

政治評論家・森田実氏が緊急寄稿「大義なき解散は憲法違反」

政治評論家・森田実氏が緊急寄稿
「大義なき解散は憲法違反」
2014年11月20日 日刊ゲンダイ

安倍首相が21日、解散に踏み切ります。
大マスコミ報道では「解散は首相の専権」という表現が目立ちますが、冗談じゃありません。大義なき解散は安倍首相の職権乱用どころか、「憲法違反」なのです。

 日本国憲法は衆議院の解散について69条で規定しています。
定めた条件は「内閣不信任決議案の可決」、あるいは「信任決議案の否決」に限られる。

形式的には時の内閣が衆議院を解散させますが、直接的な権限を有するのは「不信任」「信任」を決める議会です
日本は議会制民主主義を採用し、議会の構成を決めるのは国民です。
69条の定めは、憲法が「国民主権」の大原則を尊重していると言えます。

■吉田内閣が前例つくった「抜き打ち解散」

 この原則は戦後の占領下ではかたくなに守られました。
GHQが解散は69条の条件に限定するとの立場だったためです。

ところが、1952年に日本の主権が回復すると、8月に吉田内閣は天皇の国事行為を定めた憲法7条3項に「衆議院の解散」が含まれるのを根拠に、いわゆる「抜き打ち解散」に打って出ました。

 天皇は内閣の助言によって衆議院を解散できるとの解釈ですが、憲法4条に天皇は「国政に関する機能を有しない」とある。
天皇に議会を解散させるのは「国民主権」の原則を破るのではないか。
当時はそう考える人が多く、政府は解散で失職した議員に「違憲裁判」を起こされ、最高裁まで争ったのです。

 しかし、当時の最高裁の判断は「衆院解散は極めて政治性の高い統治行為であり、裁判所が有効無効の審査をすることは権限の外にある」としてウヤムヤ決着。

裁判長は田中耕太郎氏です。
安倍政権が集団的自衛権容認の論拠に持ち出した「砂川事件」の裁判長も務め、59年12月の最高裁判決で1審の米軍駐留の違憲判断を覆し、「憲法9条は自衛権を否定しない」と認めた張本人。
当時から「政府ベッタリ」で知られる人物でした。

 それから60年以上も曖昧な司法判断は放置され、歴代政権は「抜き打ち解散」の悪しき前例を踏襲してきました。
解釈改憲に突っ走る安倍首相の「違憲解散」を許していいのか。今こそ国民は憲法の大原則に立ち返って考えるべきです。
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2014年11月22日

激変 政党構図 共産党の勢いに注目

激変 政党構図
共産党の勢いに注目与党行き詰まり
 「第三極」四分五裂
2014年11月21日(金) しんぶん赤旗

 衆院が21日に解散され、総選挙(12月2日公示、同14日投票)に突入します。
前回総選挙は、自民党が政権復帰を果たし、維新、みんな、未来など「第三極」がもてはやされました。
あれから2年。政党構図は激変しています。

 国民の世論と運動に追い詰められ安倍晋三首相は、解散に打ってでるものの「議席を減らす考えも承知。厳しい選挙となる」(18日の会見)と引き締め。
政策的に行き詰まりをみせています。

  民主党は政権時に手をつけた消費税大増税、原発再稼働、沖縄新基地建設、環太平洋連携協定(TPP)など悪政もあり、「対決」の足場を失ったまま。
現在、小選挙区候補の擁立は149とようやく過半数に届く程度にとどまります。

みんなの党は衆院解散前に“解散”するなど「第三極」は四分五裂。

前回、維新、みんな、未来で集めた2093万票の比例の「行方が読みにくい」(「朝日」20日付)といわれます。

 この中で注目されているのが日本共産党の「勢い」です。
民主党が支持率を落とし、維新、みんなが0〜1%と低迷するなか、共産党だけが支持率を伸ばす流れ。
報道各社の調査で野党第2党です。
2年前の解散直前の支持率と比べて2倍になっています。

 16日投開票の沖縄県知事選挙では、日本共産党も一翼を担う島ぐるみのたたかいが、新基地建設阻止を掲げた翁長雄志候補の圧勝を勝ち取りました。

 混迷する「第三極」の議員からも「共産党には歴史と明確な足場がある」と評価する声が寄せられます。

 1月の党大会以降の新入党者は8300人。
今月はじめに開いた「赤旗まつり」には15万人が参加して大成功し、憲法や原発問題でのパネルディスカッションには「一点共闘」を共にたたかう無党派市民のメンバーも参加して、幅広い交流を進めました。
「歯車がかみ合った政党の力を見せつけられた思いだ」(日刊スポーツ4日付コラム)との評も。

 日本共産党の志位和夫委員長は10月、韓国の高麗大学で「北東アジア平和協力構想」をテーマに講演し、安倍政権の戦争する国づくりを批判すると同時に、憲法9条を生かした平和外交をすすめる対案を提起。
さらに消費税、集団的自衛権、原発など、どの問題でも対決・対案・共同の姿勢を貫いています。

 かたや、首相の奇襲解散にあわて、その場しのぎの「選挙協力」「再野合」にはしる民主党と維新ら。

「野党がだらしない」
「共産党以外に、胸を張って堂々とたたかう姿は全くない」
(野中広務元自民党幹事長、16日の民放番組)との指摘もあります。
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2014年11月23日

法が民意にきちんと基づいているかが肝心

法が民意にきちんと基づいているかが肝心
2014年11月22日 東京新聞「筆洗」

 永田町の大音声の万歳でかき消されそうだが、しかと覚えておきたい万歳がある。
わずか六日前、沖縄で響いた万歳だ

▼普天間飛行場の辺野古移設が焦点となった知事選で万歳をしたのは、移設に反対する翁長(おなが)雄志さんだった。
推進派の現職候補に十万票の差をつけた勝利は沖縄の民意を明確に示したが、官房長官曰(いわ)く「法治国家として(移設を)粛々と進めていく」

▼今の知事が既に辺野古の埋め立てを認めているのだから、法的には何の問題もないとの言葉だ。
だが翁長さんは承認手続きに法的な過ちがなかったかを見直し、場合によっては承認を撤回すると言っている。
法の理と民意にかなう姿勢だろう

▼いま心配するのは、より根本的な「法治」をめぐる問題だ。
法治国家を『日本国語大辞典』で引けば、<国民の意志によって制定された法律に基づいて、国家権力を行使しようとする政治理念>とある。
つまり、法が民意にきちんと基づいているかが肝心だ

▼そのためには公正な選挙が欠かせないのに、一票の不平等が根本的に正されぬまま、再び総選挙となった。
投開票が終わればまた、「この選挙は違憲で無効ではないか」を問う裁判が各地で始まる

▼衆院選が違憲と判断されれば、国会でつくられる法律自体の正当性が大きく揺らぐ。
そういう「法治国家」の危機を思うと、永田町の万歳の響きもむなしい限りだ。
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実は間違い!風邪の季節にあなたがしている6つの勘違い「室内にこもる」「厚着する」

実は間違い!
風邪の季節にあなたがしている6つの勘違い
「室内にこもる」「厚着する」
2014年11月23日 11時40分 マイナビウーマン

あなたが風邪をひかないように良かれと思ってやっている行動、実は勘違いでマイナス効果になっているかもしれません。

「Best Health」のウェブサイトが教えてくれる、多くの人がしている風邪予防の勘違い6つ。あなたはいくつやっているかぜひ確認してみましょう。

1. 室内にこもる:
外気が寒くなってくるとついつい増える室内での行動。
お休みの日も映画館やデパートなど外気に当たらずにすむところに出かけがちですが、こういった場所は空気の循環も悪いし、ゴホゴホと風邪の菌は撒き散らしている人も多いもの。

思い切って公園にウォーキングに行ったり山登りをしたりと、外でのアクティビティーにも目を向けましょう。

2. 厚着する:
風邪はウィルスが原因でかかるもので、薄着で外出してもかかりません。厚手の生地の服を着込むのではなく、ナチュラル素材やスポーツ用の速乾性のある素材を選んで重ね着をすることで、調整が効きやすくより快適に過ごすことができます。

3. くしゃみ・咳を手で防ぐ:
くしゃみや咳をするのは人の体の自然な行為。
しかし、くしゃみや咳をするときに手で口をふさぐのは大きな間違いです。

その手で他の人に触れたり、食べ物を食べたり、オフィス機器を使ってしまえば風邪のウイルスはどんどん広がるばかり。
口をカバーしたい時は肘の内側を使うようにしましょう。

4. ビタミンCをとる:
風邪を引いたらビタミンC……これって常識でしょう?と言いたいところですが、実は科学的実証はありません。
それよりも風邪のひき始めには「エキナセア(ムラサキバレンギク)や「ジンク・ロゼンジ」と呼ばれるサプリメントが効果的だそうです。
こういったサプリメントは1回飲んでお終いではなく、継続する必要があります。

5. 隔離しない:
家の中に風邪ひきさんがいるときに大切なのは「隔離」。
病人自身の隔離はもちろんですが、タオルや食器なども風邪ひきさん専用を決め、他の人がうっかり使わないよう気を使いましょう。
また症状が重くなってからではなく、「風邪っぽいかも」と感じたらすぐに隔離状態に入るのも重要です。

6. ビタミンDをとらない:
免疫システムを強くしてくれるビタミンDは日光に当たることによって体内で作り出されます。外で日光に当たる機会が減ってしまう冬はこのビタミンDが不足しがち。

専用のサプリメントを冬の間定期的に摂ることで、風邪をひきにくい強い体を作れるそうです。

上記の6項目はもちろんですが、基本として忘れたくないのが手洗い・うがい。
とても基本的な行為ですが、やっぱり効果は抜群。

今年の冬は今日得た知識を生かして、ぜひ風邪しらずの冬になりますように!
続きを読む
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2014年11月25日

投票はサバイバルのための権利行使だ

和田秀樹 サバイバルのための思考法
投票はサバイバルのための権利行使だ
2012年11月30日 日経BPネット

 政治の季節である。
 選挙予想ばかりがいろいろなところで報じられるが、忘れてはいけないのは、選挙というのは、国民が自分たちの要求を通すための権利だということだ。

ブームに乗って一票を投じると損する

 たとえば、原発を日本からなくしたいという要求があるなら、脱原発を公約にかかげる政党に入れることになるし、尖閣問題を解決してほしいなら、それができそうな政党や候補者に投票することになる。消費税を上げられては困る人は、下げろと言っている人に票を入れることになる。

 要するに人気取りとか、ブームに乗って、選挙で一票を投じてしまうと、自分の要求が通らない、税金を払っている人にとっては損をすることになる。

 民主主義というのはそういうものだ。

 官僚が邪魔をするかもしれないが、原則的には選挙に勝てば好きなことができるし、それを付託するのが投票行動だ。
気に入らない候補が勝って、気に入らない政策を行われても、税金を返せとは言えない。

 民主主義の歴史の長い国では、そのために自分の好きな政治家や政党のために一般大衆が選挙運動のようなことをする。
オバマを勝たせるために莫大なネット寄付が集まったり、車に自分の支持する候補のステッカーを貼るなど当たり前に見られる光景だ。

日本だと、労働組合が強かったころは、そういうこともしていたようだし、今でも宗教団体が応援する候補などに対しては後援者が積極的に動くが、むしろ例外のように思われている。

企業内福祉が衰えてきた日本

 よくよく考えてみると、日本人は意外に政治に頼ってこなかった。

 教育政策が悪ければ、親のほうで勝手に塾に行かせた。

 バブル前くらいまでは、今ほど高齢者も多くなかったから、福祉予算もそんなにいらなかったし、失業も少なかったので、貧しい人への給付もそれほど必要なかった。

 それ以上に、企業内福祉がしっかりしていた。

 会社に入れば、家族的経営で、定年になるまでまずおいてくれるし、子どもの教育とか、自分が中高年になって医者通いの必要が出てくるなど、金がかかる年代になるにつれて、給料も半ば自動的に上がっていった。

 だから、少々苦しくても、家のローンが組めたし、子どもを塾にやり、大学にやることもできた。
 国民皆保険のほかに、会社の組合のほうで健康管理もよくやってくれた。


 日本という国が、世界的にみると、教育予算も、福祉予算も(生活保護など世界最低レベルだ)少ないのに、子どもたちの学力が高く、生活に苦しむ人も少なく、平均寿命が長いのは、私のみるところ、企業内福祉のおかげではないだろうか?

 その企業が、国際競争の激化もあって、そこまで従業員の面倒が見られないということになってきた。

高齢化時代を考えて投票しないといけないのだが……

 だったら、政治に頼らざるを得ない部分が大きい。

 失業しなくても、給料が年齢とともに上がらないのなら、子どもを大学に行かせるのも大変だろう。

ヨーロッパは、若い人も中高年もおおよそフラットな賃金体系と言われるが、その代わり教育費も医療費も原則無料だ。
企業があてにできないなら、政府が面倒をみる。
その代わり税金が高いという構図である。

 アメリカの場合は、企業が面倒をみてくれないと医療費が払えない人もざらにいるし、大学の授業料が高いこともあって、子どもを大学にやれない親も多い。
軍隊に入ると奨学金が出るので、徴兵制を廃止しても若年の志願兵が後を絶たない。

 時代が変わり、高齢者も増えたのだから、その辺のことを考えて、投票行動をしないといけないのに、「企業が面倒を見てくれない時代になったので、税金は高い代わりに、政治でしっかり面倒をみます」というような党が見当たらない。

 また、東京だけで70万人も一人暮らしがいて、日本中で認知症が300万人、親の介護のために仕事を辞める人が年に20万人もいると言われるのに、たとえば、高齢者政策をどうするという党も見当たらない。

 もちろん、中流の上以上で、子どもの教育費の心配もいらないし、親の介護についても十分に有料老人ホームが買えるという層の人なら、税金を上げられるより、弱者切り捨ての政党を選んでもよい。

 アメリカだって共和党の支持者はそんなもんだろう。
ただ、それでは選挙の上では少数派になってしまうから、貧しい層をだますテクニックも必要になる。

アメリカの場合は、金持ちや企業に金をもたせたほうが、雇用が促進されるというものだった。多くのアメリカ大衆は、その言葉を信じ、本来なら貧しい人の多い中西部でむしろロムニーのほうが票を稼いだ。

2位争いしたところが次の政策や選挙を動かす

 いずれにせよ、サバイバルという視点から考えると、「自分にとって得な」政策を訴える政党や候補者を支持するのは、決して私利私欲とはいえない。
それが選挙民主主義の本質とさえ言える。

自分にとっては損だけど、「国のために」と勇ましい発言をする人に入れるのは、自殺が3万人を超える国ではむしろ自殺行為だ。

 「そうは言っても勝つ政党は決まっている」という声は強いだろう。
 確かにそうなのだが、参議院選挙も来年に控えているし、次の選挙がいつあるかわからない状況を考えると、選挙に負けても、「思ったよりたくさん」票を取る政党や政治家というのは注目を集める。

 今の時期だから、あえて党名や人名は出さないが、脱原発をかかげる政党が予想よりずっと票を取ったということになると、仮に自民党が勝っても原発の再開に慎重になるだろう(ちなみに、私個人は、原発を止めることは貧しい人ほど苦しい思いをするので反対である)。

 それと同様に、原発だの、TPPだの、尖閣が話題になっているが、高齢者福祉を大事にしろとか、格差の是正を訴える政党が思ったより票を取ったという話になると、次の参議院選挙では、それを売りにする政党が出てくるはずだ。

 東京都知事選挙でも、2位争いのほうが私は面白いと思っている。
高齢者福祉の充実を訴える候補が2位とか、予想外の得票をすれば、都議選挙などでちょっとは争点に戻ることになる。

 日本というのは、不思議な国で、高齢者がずっと少なかった1970年前後のほうが、はるかに福祉が票になった。
高齢者が3000万人もいるのに、その票を掘り起こそうとする政治家や政党がいないようにも見える。

日本は世界最高の弱肉強食の国か

 政治になんか頼らないですむ人間になるというのも、サバイバルのために必要なことだろう。  実際、日本という国は、2007年の国際世論調査で、
「自力で生きていけない人達を国や政府は助けるべきだ」という項目に、「そうは思わない」と答えた人が、世界最多の38%もいた。
弱肉強食の国とされるアメリカでさえ、28%だというのにである。


 要するに、日本という国に産まれたのが不幸なのだから、負け組に絶対になってはいけないということも肝に銘じるべきだし、選挙のときに38%の人は福祉はいらないというような考えをもっていることも忘れてはならない。

 そのために、私は、よその人に勝って、自分だけは生き延びられる方法をあれこれ、このコラムで提示してきた。

 しかし、その一方で、選挙なんてと諦めてしまうのであれば、自分の払った税金が政治家や官僚に好きに使われることになるし、自分がうまくいかなくなったときのセーフティネットも用意されないことになる。
それでは、サバイバルはうまくいかなくなる。

各党の政策を読むくらいのことはしたい

 やはり、選挙というのは、自分や自分の子ども、自分の親に得になるかどうかを判断の基準にしてもいいだろうし、そういう発想でないとサバイバルは困難だ。

 自分の子どもということを考えた時に、国があまりに三流国家になっていると、いくら教育をつけてサバイバルできるような人間に育てても、自国では活躍の場がないということだってあり得る。

 たとえば、フィリピンは1950年代まではアジアでいちばん豊かな国で、大学進学率も高かったが、独裁政権や経済政策の失敗で、エリート層はみんなアメリカに流れたという。

能力が高いと逆に国を捨てることになるというのも哀しいし、親の立場としてもつらいだろう。  

ムードに流されずに、サバイバルのための権利行使なのだと思って、まじめに各党の政策を読むくらいのことはしてもいいのではないか?
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2014年11月26日

有権者はいいのか? 無党派層が棄権なら「自民大勝」の悪夢

有権者はいいのか?
無党派層が棄権なら「自民大勝」の悪夢
2014年11月26日 日刊ゲンダイ

選挙区に戻った自民党議員は、思わぬ逆風にさらされているという。

 選挙戦はスタートしたばかりだが、有権者から「大義もないのに、なぜ700億円も使って選挙するのか」
「暮れの忙しい時に商売あがったりだ」と文句を言われ、釈明に追われている。

地方ではアベノミクスの成果について演説すると、ヤジが飛ぶそうだ。

 それでも“自民優勢”という選挙情勢になっているのは、有権者の関心が薄く、まれにみる低投票率になりそうだからだ。

朝日新聞の調査では、選挙に「大いに関心がある」は21%しかなかった。
05年選挙は47%、09年は49%、12年は39%だったから半分である。

このままでは、無党派層はほとんど棄権しそうだ。

投票率が下がれば、組織がしっかりしている自民、公明が圧倒的に有利だ。

 安倍首相を支えている大新聞は、低投票率にするために、わざと選挙前に「自民300議席へ」という記事を1面に掲げる予定だという。
無党派層に「もう勝負はついた」「投票に行ってもムダだ」と諦めさせる狙いだそうだ。

 しかし、12月14日の総選挙を棄権したら、安倍首相の思うツボだ。
「ほとんどの国民は、安倍首相の政策を支持していないはずです。むしろ、不安に思っている国民の方が多いと思う。自民党に一票を入れようと考えている有権者も、積極的な支持ではなく、ほかに入れる政党がないから、といった消極的な理由でしょう。

しかし、それでも選挙で過半数を獲得したら、安倍首相が『私は国民から信任を得た』と勝ち誇るのは目に見えている。

この先、4年間、暴走するのは間違いない。
有権者は本当にそれでいいのか。
安倍首相の暴走をストップさせるチャンスは、この年末選挙しかない。
国民は棄権してはダメです」(政治評論家・本澤二郎氏)

 無党派層が動かずに低投票率になったら、税金で食べるために政治家になっているような連中が、また大挙して国会に戻ってくることになる。

日本の民主主義のどうにもならない限界を象徴する選挙結果になりかねない。
まだ時間はある。国民は絶対に放り投げてはいけない。
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2014年11月27日

「解散批判」学生にマジ切れ 深刻さ増す安倍首相の精神状態

「解散批判」学生にマジ切れ
深刻さ増す安倍首相の精神状態
2014年11月27日 日刊ゲンダイ

 深刻な「人格障害」を疑った方がいいのではないか。

ネットで小学生を名乗り、衆院解散を批判した大学生にマジ切れした安倍首相。
つい先日も、生出演したテレビで一般人のインタビューに向かって「おかしい」と怒鳴り散らし、視聴者から「アタマは大丈夫か」と批判の声が出たばかり。

最高権力者である首相が感情ムキ出しで民間人に噛みつく姿は、かの国の「首領様」とソックリだ。

 コトの発端は、NPO法人「僕らの一歩が日本を変える」の代表理事だった大学生(20)が、21日に衆院解散を疑問視するウェブサイトを開設したことだ。
サイトでは当初、「10歳の中村」を名乗る小学4年生の投稿として「どうして解散するんですか?」といった疑問が掲示されたが、翌22日に大学生が小学生を装っていたことをサイトで告白。
これを知った安倍首相は25日、フェイスブックで<子供になりすます最も卑劣な行為>と激しく批判したのだ。

安倍首相のフェイスブックのコメント欄には、タカ派の“お友達”からの<目的のためなら手段を選ばないというのはテロリストと同じ>なんて称賛の声であふれているが、ちゃんちゃらおかしい。

今も汚染水タレ流し状態の福島原発を「アンダーコントロール」と大ウソをつき、国民の大多数が反対している集団的自衛権の行使容認を解釈改憲でスリ抜ける安倍首相の姑息さの方がよっぽど重罪だからだ。

そもそも、大学生が書き込んだのは「なぜ今、解散なのか」というまっとうな見解だ。
その疑問にマトモに答えず、一国の宰相が公然と民間人を罵倒するなんて、一歩間違えれば「言論封殺」とも受け取られかねない異常行動だ。

■専門家は「自己愛型の人格」

 安倍首相は昨年6月も、毎日新聞で外交政策に否定的な見解を示した田中均・元外務審議官に激怒。
今回と同様、フェイスブックで名指しし、「彼は外交を語る資格はありません」と執拗な個人“口撃”を繰り広げている。

心理学者の矢幡洋氏は、感情の抑制ができない安倍を「自己愛型の人格」と分析しているが、ここまでオカシイと単なる性格の問題ではない。

こんな男が「最高責任者は私だ」と大威張りで国会を闊歩しているのだ。

トップに居座り続けたら、敗戦確実にもかかわらず「帰ってくるな」と特攻隊を次々出撃させたあの暗黒の時代に逆戻りだ。

政治評論家の山口朝雄氏がこう言う。


「2年の任期を残して今、なぜ解散するのか。大多数の国民が思っている疑問でしょう。
小学生を装った質問だから何だというのでしょうか。
激しく反論する姿勢に幼児性を感じるとともに、<俺のやることに文句を言うな>と言わんばかりの傲慢さもうかがえます」

 もはや狂乱政治家には一刻も早く引退してもらった方がいい。
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2014年11月28日

“大義なき選挙”の費用「血税700億円」はどれほどの金額?

“大義なき選挙”の費用
「血税700億円」はどれほどの金額?
2014年11月23日 日刊ゲンダイ

 安倍首相の身勝手な解散・総選挙に投じられる税金は約700億円に上る。

 最も費用がかさむのは、投票所の運営や投票用紙の印刷、開票作業にかかわる人件費など「選挙執行管理費」。
立候補者が有権者に送るハガキや選挙カー、選挙ポスターなども公費が使われる。

「大義のある解散・総選挙ではないのに、これだけ血税が投入されるのは納得がいかない。
憤りを感じている市場関係者は大勢います」(株式評論家の倉多慎之助氏)

 700億円と言われても庶民感覚ではピンとこない。
いったい、どのぐらいの規模なのか。

「日銀が年間で買い入れるREITが900億円。それとほぼ同規模ということになります」(第一生命経済研究所エコノミストの藤代宏一氏)

 14年度補正予算で復興加速化に約500億円を投じるというが、それ以上の金額を選挙で使うのだ。

住宅エコポイントの予算(09年度2次補正)は1000億円。

「生活者に役立つ税の使い道はいくらでもある」(市場関係者)

 700億円あれば、会社だって丸ごと買える。
21日の株価(終値)をベースに単純計算すると、ハンバーガーでおなじみのモスフードサービス(時価総額677億円)や、ファミレス「ロイヤルホスト」のロイヤルHD(同692億円)、スーパー「マルエツ」(712億円)がポンと手に入る。

■錦織の賞金なら46年分に相当
 年間売上高でみると、デパート「三越銀座店」(695億円)に匹敵。
コンビニ「ローソン」の営業利益は681億円(14年2月期)だ。
従業員6336人が1年間、必死に働いて稼ぎ出す金額が“大義なき選挙”に使われるのだ。  

競馬好きなら、ダービーの売上額243億円(14年実績)と比較すると分かりやすい。
700億円はダービー3回分に相当する。
ちなみに23日の「マイルCS」は127億円(13年)。

名騎手、武豊は2010年に獲得賞金700億円(本人の取り分は5%程度)を突破したが、実に26年の年月を費やしている。

 テニスの錦織圭の年収は賞金(約4億6000万円)を含め約15億円。
今年の大活躍を10年間続けて、ようやく150億円だ。
700億円に到達するには46年以上かかる計算となる。

 タレントの嵐やSMAPらが所属するジャニーズ事務所の年間売上高(グループ)も、700億円程度と報じられたことがある。

 一般的なサラリーマンの生涯収入は約2億円。
350回生まれ変わらないと700億円には届かない。
人生70年だとして、2万4500年かかる。

 総選挙に投じられる血税は、そういう金額だ。
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2014年11月29日

財務省御用学者に安倍首相が激怒 増税延期と総選挙決断の舞台裏

財務省御用学者に安倍首相が激怒 
増税延期と総選挙決断の舞台裏
2014.11.28 zakzak

小欄での主張通り、安倍晋三首相は来年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げを先送りした。
首相はさらに衆院解散・総選挙に踏み切って、国民の信を問う。
現行の消費税増税関連法には「景気弾力条項」があり、首相は経済状況次第で、増税実施を見送ることができた。
なのになぜ、解散総選挙にまで突き進んだのか。

 11月4日から18日まで5度にわたって消費税再増税の是非を討議した政府主催の点検会合はその謎を解く鍵になる。
会合メンバー人選は財務官僚主導である。
その原案では昨年の消費税増税点検会合で「増税反対」を明確に唱えた学者・エコノミストは全員が外されていた。

不公正ぶりに安倍首相は激怒し、「賛成・反対を50対50にしろ」と見直しを急遽(きゅうきょ)、スタッフに命じたが、時すでに遅し。

本田悦朗内閣参与が奔走したが、増税反対派の若田部昌澄早大教授、若手エコノミスト片岡剛士氏、そして宍戸駿太郎筑波大学名誉教授を追加するのが関の山だった。

 会合では財務官僚の筋書き通り、地方自治体、労働界、財界、中小企業団体、消費者団体の各代表の圧倒的多数が増税やむなしだった。
これらの多くは増税による財源という「アメ」に弱い利害関係者に過ぎない。

 問題は経済学者やエコノミストである。
財務省寄り学者は「増税見送りの政治コストが大きい」(伊藤隆敏政策研究大学院大学教授)と「政治」を引っ張り出すザマだったし、吉川洋東大教授は脱デフレ策を聞かれると「1、2時間では説明できない」と逃げた。

財務省寄りの金融機関系エコノミストは7〜9月期の「想定外のマイナス成長」について「天候不順」はもとより「エボラ出血熱」まで持ち出すありさまだった。

 これらの要因で景気が悪化し、デフレになるというなら、財政・金融政策も、経済理論も無用であろう。
御用学者が支離滅裂な論拠を持ち出さざるをえないほど、今年4月の消費税増税ショックはすさまじかったのだ。

 再増税を見送っても、消費税率8%の後遺症は重く、消えない。
昨年初め以来増え続けてきた実質GDPはこの7〜9月期年率で5・7兆円減った。
アベノミクス開始以降の年2%台の実質経済成長率を維持していれば、16兆円以上増えていたはずなのに、逆ブレした。
このまま何もしなければ、今年度の実質経済成長率は前年度に比べてマイナスに落ち込みそうだ。

 グラフが示すように、過去の自公政権は成長率が高くなると有権者の支持を集め、マイナスになると民主党が躍進した。

安倍首相が今回のタイミングの総選挙を逃すと、来春以降は支持を大きく減らし、ひいてはアベノミクスそのものが雲散霧消する恐れがあった。
 安倍首相は総選挙の賭けに出た。

アベノミクスが日本再生を実現する唯一の道である以上、大義は安倍首相にある。
民主党は「アベノミクス失敗」を騒ぎ立てるが、財務官僚の言いなりになって増税法案を通した責任は頬被り。
なんとも、お粗末だ。
 (産経新聞特別記者・田村秀男)
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2014年11月30日

お金持ちだけの問題ではないー相続税

親と子の相続税
来年1月改正、広がる課税対象
2014年11月29日 読売新聞

基本押さえ簡単に把握

来年1月の税制改正で相続税が上がる。

都市部を中心に課税対象の拡大が予想され、「お金持ちだけの問題でしょ」とも言っていられなくなりそうだ。

 ただし、財産を残す親も、引き継ぐ子も安易な対策は禁物だ。
相続税の基本を押さえ、親子で将来のことを話し合っておきたい。

 東京都葛飾区の区民相談では、相続の相談が突出している。

2013年度の「区政・一般」相談の6598件のうち、相続・贈与関連は1487件。
2位の離婚(821件)に大差をつけている。

 相談員の福田幸一さんによると、多くは「親が亡くなった。どうしたらいいか」といった、相続に直面した人からのもの。
だが最近は、「相続税が上がるって聞いたが、うちはかかるのか」といった相談も目立ってきたという。

 相続税に関心が高まっているのは、税制改正により、15年以降、課税される人が増えると言われているためだ。

 相続税は通常、故人の財産総額が多い場合に課せられる。
土地や建物の評価額、預貯金など全財産を合計し、借金や葬儀費用などを引いたものが財産総額。
さらに、この総額から一定額を引いた額が課税対象となる。
この一定額は「基礎控除」と呼ばれる。

 今回の改正の最大のポイントは、この基礎控除を4割引き下げる点だ。
計算式だと、現行の「5000万円+1000万円×法定相続人数」が、
改正後は「3000万円+600万円×法定相続人数」となる。

課税対象額はその分増え、これまでは課税なしでも、改正後は課税されるケースも出てくる。
 
 相続財産の多くは土地なので、地価の高い都市部ほど課税される可能性は大きい。

 不動産コンサルティング会社、スタイルアクト(東京)によると、平均的な敷地面積を持つ人で比較した場合、首都圏では千葉市やさいたま市などで、関西圏では神戸市内や、兵庫県内の大阪寄りの地域で、土地だけでも新たに課税対象となる人が出そうだ。

 子としては、親の財産が課税対象かどうかが気になる。
それを知るには、財産総額を調べる必要がある。

親から聞き出せればいいが、親子の間でも財産の話はしにくい。
 ファイナンシャルプランナーの山田静江さんは、親に直接聞かずに財産が課税対象になるかどうかの見当を付ける方法を提案する。

 まず、法定相続人の数を調べて基礎控除を計算する。
次に土地の評価額を調べる。
国税庁ホームページで調べた親の家の住所地の路線価に面積を掛けた額だ。

さらに、建物の評価額も。
固定資産税通知書に記載された評価額で、市町村などで調べられる。

 これら評価額の合計が基礎控除を超えれば、その時点で課税の可能性がある。
下回るなら、基礎控除から評価額の合計を差し引いた額よりも、預貯金や株など、親の金融資産が多いか少ないかを考える。

「親の昔の年収や生活ぶりから、大体の見当を付けておきます」と山田さん。

 預貯金や株などが2000万円以内なら納税は不要。
上回れば場合によって、納税が必要になる。
もしそうでも、現金化しやすい金融資産の範囲内で課税されるので、納税資金の心配はいらない。

 「相続の話は親にとって気持ち良いものではない。
子の側から無理に話を持ち出して親子関係を悪化させないように」と山田さんは助言する。

相続のわかり易い図表
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2014年12月01日

「アベノミクスは絵空事」亀井静香が政権を斬る

「アベノミクスは絵空事」
亀井静香が政権を斬る
2014/11/30 18:00 新刊JPニュース

11日21日、自ら「アベノミクス解散」と称して、衆議院解散を決定した安倍晋三総理だが、下がり続ける支持率や、最優先としてきた経済政策の効果がいまだ見えないことから、「アベノミクスの失敗隠し」とも噂され、強い逆風にさらされている。

 そんな中、安倍総理の父、晋太郎氏(故人)の薫陶を受けていた縁で、晋三氏を弟のようにかわいがってきたという衆議院議員、亀井静香氏が、著書『晋三よ!国滅ぼしたもうことなかれ〜傘張り浪人決起する〜』(メディア・パル/刊)を刊行。

間もなく成立2年になろうとしている第2次安倍内閣をぶった切る。

■公的資金の流出を招いただけだった
            「異次元の金融緩和」

 このところ、その効果が否定的に語られることの多い「アベノミクス」だが、亀井氏が「絵空事」と切り捨てているように、「3本の矢」はどれも外れたと考えざるを得ないようだ。

 1本目の矢「異次元の金融緩和」によって、金は確かに世の中に溢れ出したが、その金が向かった先は株式市場だ。

亀井氏は、日経平均株価が15000円を割りそうになるたびに、必ずといっていいほど政府が株価維持目的で公的資金を注ぎ込むというのを、ファンドなど投機筋は見抜いていると指摘している。

そのタイミングで株価が戻るわけだから、彼らからしたら日本の株式市場は「損をしないで博打ができる、夢のような賭場」というわけだ。

 企業への融資と生産活動の活発化を目論んだ「第1の矢」だったが、その結果が、国民年金や郵便貯金といった公的資金の海外金融資本への流出では成功とはとても言えない。

■地方の建設業が激減した今、
         「公共事業」の意味は…

 2本目の矢「機動的な財政出動」だが、これは大ざっぱにいえば「政府から民間の会社に公共事業を発注する」ということを意味する。

しかし、亀井氏が問題点として指摘するのは、今この「公共事業」が成り立たなくなってきていることだ。

 公共事業は多くの場合、政府から大手ゼネコンに発注され、大手ゼネコンから各地方の中小建設会社に振り分けられる。

バブルの時代ならばそれでよかったのかもしれないが、最終的に工事などの実作業を請け負う中小の建設会社は小泉改革前後から激減している。

つまり、公共事業を政府が発注しても、遂行できる会社や職人がいないのだ。
これでは、公共事業をどれだけ発注しても、儲かるのはゼネコンだけ。

地方経済を活性化させる具体策なしに、ただ金をばらまいただけだと言われても仕方のないところだろう
 余談だが、これは東日本大震災の被災地復興も同様で、格好だけ予算を割り当てても、実際に働く人や企業がないために4割近くが未執行になっているという。

 そして、3本目の矢「成長戦略」については、今にいたっても「よくわからない」という人は多いはずだ。

このあたりの事情についても、亀井氏は本書でかなり辛口な評価を下し、「集団的自衛権」「新自由主義」といった、安倍政権を彩るキーワードについても政治家としての豊富な経験と、その経験から導き出される洞察力を元に「大変なことをやってしまった」「とんでもないことになる」と厳しい口調で非難している。

  今は無所属と“浪人”の身分である亀井氏だが、かつては閣僚として引く手あまただった切れ者中の切れ者だ。

本書では、同氏がこれまでの政治活動を振り返りつつ、対米関係や経済、政界といったトピックについて述べるとともに、今後日本が進むべき針路についても重要な提言を行っており興味深い。
その政治観は、総選挙を控えて安倍政権への是非が問われている今、異彩を放っている。                
(新刊JP編集部)
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アベノミクス審判/ 暮らし置き去りからの転換を

アベノミクス審判
暮らし置き去りからの転換を
2014年12月1日(月) しんぶん赤旗「主張」

安倍晋三首相は「アベノミクスを進めるのか、止めるのか」と強調し、経済政策「アベノミクス」だけが総選挙の大争点といわんばかりです。

原発再稼働や集団的自衛権などが注目されるのを避けたい思惑からですが、格差拡大と景気悪化をもたらした「アベノミクス」を売り物にすること自体、安倍政治の深刻な行き詰まりを示すものです。

総選挙では「アベノミクス」ノーの審判を下し、国民の所得を増やす暮らし最優先の政治へ転換することが求められます。

「この道」は大企業応援

 「アベノミクスで企業が収益を上げ、雇用が増え、賃金が上がれば、消費が拡大し、景気が回復する」―。

安倍首相が街頭演説やテレビ討論で繰り返す宣伝文句です。

大企業は株高や“円安効果”でもうけを増やし、富裕層は株高などでうるおっています。
しかし、賃上げの動きは鈍く、消費者物価が上昇したため、実質賃金は15カ月連続の減少です。
中小企業の「円安倒産」も相次いでいます。

 4月からの消費税増税で国内総生産(GDP)が2期連続で後退するなど「増税不況」が深刻化し、安倍政権は、来年10月からの消費税再増税を1年半先延ばししました。
そんな状態なのに「アベノミクス」をさらに続ければ、来年も再来年も賃上げになって景気が回復し、増税ができるようになるといわれても、「そうですか」と信じる国民はまずいません。  

「アベノミクス」が何より問題なのは、大企業や富裕層のふところを豊かにする対策が第一で、暮らしをよくする対策がないことです。

大企業がもうければ、雇用や賃金が増えるという「トリクルダウン(滴り落ち)」は、世界でも日本でも成功したことはありません。

 「アベノミクス」は暮らしを立て直すどころか、いっそうの暮らし破壊です。
消費税増税と社会保障の「一体改革」は、医療も介護も年金も引き下げのオンパレードです。

安倍首相が「アベノミクス」第2弾に持ち出しているのは、大企業のために法人税の大幅減税をする一方で、雇用、医療、農業などの各分野で規制緩和・撤廃をさらに推進することです。

 富める者をさらに豊かにし庶民に生活苦を押し付ける「アベノミクス」をストップさせなければ、国民の暮らしは立ち行かず、日本経済の健全な成長もできません。

 日本共産党は、「アベノミクス」にかわって、国民の暮らしを第一に、経済を立て直す道を明確に示しています。

(1)人間らしく働ける雇用ルールの確立
(2)暮らしをささえ、人間としての尊厳を守る社会保障
(3)TPP交渉からの撤退、農林水産業、中小企業と地域経済の振興―です。

暮らしの土台を支え豊かにする政策への転換です。

国民を応援する政治へ

 日本経済の6割近くを占める家計消費を温めてこそ、日本経済も低迷から脱却できます。

 首相が「この道しかない」と「アベノミクス」に突き進むのは経済無策ぶりを示すだけです。

「規制改革」を推進してきた民主党は口先で「転換」といっても対抗の足場がありません。
「アベノミクス徹底」をいう維新の党は文字通り首相の補完勢力です。

 「暮らし第一」を掲げる日本共産党を大きく伸ばし、大企業応援政治から国民を応援する政治へ切りかえようではありませんか。
posted by 小だぬき at 12:36 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

セブン-イレブン“タブー“の現実...週刊誌の社員自殺報道も潰された!

セブン-イレブン“タブー“の現実...
週刊誌の社員自殺報道も潰された!
2014年12月1日 10時2分  LITERA/リテラ

 国内約1万7000店を超え、営業利益は2127億円(2014年2月期)をたたき出すコンビニエンスストア業界最大手のセブン-イレブンジャパン(以下、セブン)。

マスコミにとっては、セブンだけで524億円という広告宣伝費(2014年2月期)を投入してくれる大スポンサーなうえに、新聞・雑誌の重要な販売網を握られている存在だ。

 だからなのか、垂れ流しされるのは、セブンの親会社であるセブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長・最高経営責任者(CEO)を務める鈴木敏文氏のカリスマ経営ぶりばかり。

鈴木氏はセブンを国内小売店業界最大手にまで育て上げた人物で、"流通の神様""カリスマ経営者"などとマスメディアは持てはやしている。

 一方で、都合の悪いことは報道されにくい。
本部に有利なフランチャイズ契約、自殺者続出の加盟店オーナー、24時間営業の過酷な就労状態......これだけでも本来ならば、ブラック企業の筆頭に挙げられるべき企業だろう。

 さらに、本来ならばマスコミがこぞって報道するような不祥事なども報道されにくいというのが現実なのだ。

 たとえば、13年2月、セブン&アイのグループ会社・セブンネットショッピングが入る千代田区・麹町(東京)のビルで飛び降り自殺があった。

飛び降りたのは12年4月に入ったばかりのセブンネットショッピングの新入社員Sさん。
「彼は真面目な性格のエンジニアタイプで、体育会系の社風についていけなかった。
彼のSNSに『生きている意味がない』『そろそろ人生の終わりも近いか』などという書き込みが目立つようになり、家族にも『この会社はやばい』と漏らし、ふさぎこみがちになっていたようです。

自殺する前日は夜10時30分に帰宅し、朝7時には会社に出社。
そのまま自分のフロアではエレベータを降りずに、社長室のある10階まで行き、11階との非常階段の踊り場で飛び降りたのです。
社内は徹夜組が働いていましたが、パトカーが何台もきて、やっと自殺に気がついた状態だったようです」(Sさんをよく知る人物)

 そもそも、この会社は体育会系でブラック企業の体質だった。

「『業革、業革(業務改革)』『コスト削減のための内製化』が最優先。
社員がシステム開発もするために徹夜作業も多い。
それでも翌日は定時出社が原則。
しかも、トップダウン経営、いわゆる社長のワンマンで思いつきの朝令暮改の部署移動、席変えも多い。

出社時間も9時30分だったものが8時30分に前倒しされました。
労働基準監督署からの指導もあったようですが、朝8時30分から終電まで働き詰めの日々では、精神的に耐え切れない。
自殺したSさんの同期は約20人いましたが、その時点ですでに半数は退職しています。

2月はセブンネットショッピングの決算期でかなりピリピリしていました」(前出)

 しかも、このセブンネットショッピングの代表取締役である鈴木康弘氏は鈴木敏文会長の次男なのだ。
鈴木康弘氏は1987年、武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部電気工学科卒業後、富士通に入社、ソフトバンクを経て、99年、34歳のときにソフトバンクとセブンが中心となって設立した、ネット上で書籍を販売するイー・ショッピング・ブックの社長に就任(同社は09年にセブン&アイのグループ会社になり、社名をセブンネットショッピングに変更)。

"流通の神様"鈴木会長の「ネットを制するものがリアルを制する」という掛け声の下、業界内では、「ネットビジネスで次男に結果を出させて、いずれ持ち株会社の取締役に引き上げる。

次男は今年82歳になる鈴木会長の後継ナンバー1候補」(業界関係者)と見られているのだ。  

しかし、セブンネットショッピングのネット通販業界内での立ち位置はかなり厳しい。

それまでの5年連続赤字から、2011年度に黒字に転じたものの、ネット通販の強者・楽天、アマゾンを前に大苦戦中。
12年夏には、これまで別々のサイトで展開していた西武・そごうのe.デパート、イトーヨーカドーのネットスーパー、セブンの宅配サービス・セブンミール、赤ちゃん本舗のネット通販などというグループ各社のネットショッピングサイトをセブンネットショッピングに集約・一本化。

12年度でも黒字を出すべく決算期にあたる2月に向けて社内は相当ハッパをかけられていた。
その矢先にSさんの飛び降り自殺が起きたのだ。

「鈴木ジュニアは会議を開きたがるが、そこでは富士通時代や孫正義ソフトバンク社長の自慢話ばかり。
社員には新規事業を考えよといいながら自分は『勉強会』と称して秋元康と会って大風呂敷を広げているだけです。
鈴木会長は『ネットを制するものがリアルを制する』という持論があるならば、ネット事業は別にいる適任者をあてたほうがうまくいくと思うのですが......」(元社員)

 後継者と目される鈴木会長の次男の会社がブラック企業で、新入社員が飛び降り自殺ともなれば、週刊誌の格好のネタだ。

「週刊現代」(講談社)「週刊新潮」(新潮社)はこの情報を入手し、取材を進めたという。ところが、記事掲載はストップ、いつのまにか立ち消えになってしまったのだ。
 いまや、書店に代わって、コンビニは週刊誌の有力な販売チャネル。紙メディアにとってはセブンに置いてもらえるかどうかは死活問題になってくる。
ヘソをまげられてはたまらないということか。

さらに、鈴木会長は大手取次会社「トーハン」出身であり、現在、トーハンの取締役を務めている。
 00年に発売された『鈴木敏文 経営を語る』(江口克彦/PHP研究所)では「いまではチェーン全体の書籍と雑誌と年間売上げは約一四〇〇億円。
基本的にセブン‐イレブンで売っている出版物はすべてトーハン経由ですから、トーハンの売上高の約一割はセブン‐イレブンのもの」と語っているほどだ。

00年当時2兆円だった全売上高は現在3.7兆円になっており、よりセブンの存在感が増していることは容易に想像できる。

 かつて、鈴木会長の独裁体制による社内の閉塞状況をあばいた『セブン-イレブンの正体』(古川琢也、金曜日取材班/金曜日)が取次より配本拒否にあった過去もある。

出版社としてはコトを荒立てたくないのだ。

結局、セブンネットショッピングの自殺記事もコンビニ売りが少ない月刊誌「サイゾー」(サイゾー)で簡単に掲載されただけだった。
出版関係者もこう話す。

「出版社では雑誌の中でも『セブン』という名前をできるだけ使わないという自主規制が働いています。
広告が大量出稿されるラジオ番組でも『東京電力の批判はOKだが、セブン批判はNG』になっています」

 いまや、メディアは報道できないどころか、事実上、セブンのブランドイメージはセブンだけがコントロールできる状態になっているのだ。
          (小石川シンイチ)  
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2014年12月02日

衰弱死3歳児の腸からアルミ箔…捜査員も絶句した「育児放棄」の残酷 なぜ「予兆」は見逃されたのか

【衝撃事件の核心】
衰弱死3歳児の腸からアルミ箔…
捜査員も絶句した「育児放棄」の残酷
 なぜ「予兆」は見逃されたのか
2014年12月1日 11時17分 産経新聞

 寒空の下、裸足で立ちすくむ女児からのSOSは届かなかった。

 難病を抱える長女(3)に十分な食事を与えず衰弱死させたとして、大阪府茨木市の大工の義父(22)と無職の母親(19)が11月20日、大阪府警に殺人容疑で逮捕された。

やせ細った長女の体内から見つかったのは、アルミ箔(はく)やロウソクのロウ、タマネギの皮。
空腹を満たすために口に入れたとみられる。
自宅周辺では、女児が真冬に玄関前に裸足で立たされたり、ベランダの手すりに両手を粘着テープで結びつけられたりする姿が目撃されていた。
しかし、こうした「異変」は行政や地元保健所などに届かず、事態は最悪の結末を迎えた。


皮と骨…体重は半分、顔面や頭に打撲痕も

 「えっ!?」  幾多の捜査に携わってきた捜査員でさえ、遺体のむごたらしい状況に思わず言葉を失ったという。

 長女は発見時3歳10カ月。普通であれば15キロ程度あるはずの体重は、半分の約8キロしかなかった。
骨が浮かぶほど極端にやせ細り、髪は抜け落ちていた。捜査関係者は「強いストレスがかかっていたのだろう」と推測する。

 「寝ていた3歳の娘が息をしていない」
 事件発覚のきっかけは、今年6月15日昼、後に殺人容疑で逮捕される義父からの119番だった。
自宅浴室で倒れていた長女は病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された。

 司法解剖の結果、死因は低栄養による衰弱死だった。
空腹に耐えかねたのだろうか、腸内からアルミ箔やタマネギの皮などが見つかった。
それだけではなく、顔面や頭部には打撲痕が見つかり、硬膜下血腫などのけがも確認された。  数々の状況は事件を示唆していた。

ただ、虐待事件は家庭の中で起きる「密室の犯罪」だけに、殺意などの立証が難しいとされる。大阪府警は立件に向け、慎重に捜査を始めた。

虐待「無縁」と判断

 長女は平成22年8月生まれ。
筋力低下や発達・発育の遅れがみられる難病「先天性ミオパチー」の疾患があった。
この治療のため、生後間もなくから入院していたが、23年3月に退院。
24年6月には1人で歩けるようになるなど、「順調な回復ぶりがうかがえた」(府警の捜査員)。

 難病をきっかけに、大阪府茨木保健所もこの家庭に関与。担当者が定期的に自宅を訪問し、母親に子育てのアドバイスを送るなどしていたという。

 保健所によると、当時は長女と母親、祖母(52)の3人暮らし。
祖母が熱心に長女の子育てにかかわっていたといい、「長女の面倒をよくみていたのは祖母だったが、母親も虐待するような人ではなかった」。
保健所は育児放棄などとは無縁の家庭とみていた。

 だが昨年4月、母親が養父と結婚、長女を連れて自宅を出ることに。
この結婚と独立を機に、長女の周辺では数々の?異変?が見受けられるようになる。

増え始めた目撃情報

 昨年10月上旬、ある情報が茨木市に寄せられた。
 「(長女が)やせていて元気がない。顔や足首にもあざがある」
 長男(1)の予防接種で茨木市の保健センターを訪れた母親と長女を見かけた人が異変に気付き、後に市に連絡したのだった。

 保健所は面会を求めたが、「都合が合わない」「体調が悪い」と母親にたびたび延期を求められ、面会が実現したのは通報から2週間が経過した10月21日だった。

 その際、長女の体にあざはなかった。すでに消えていたのだろうか。
長女は難病の影響でよく転倒することは保健所も把握しており、「あざがあったのならば転倒によるものだろう」と判断。
府吹田子ども家庭センター(児童相談所)への通報も見送った。

 だが、府警によると、同じ昨年秋ごろ、長女が自宅ベランダの手すりに、両手を粘着テープで結びつけられているのを近隣住民が目撃していた。

12月には、近隣の40代女性が自宅玄関前に裸足で立っている長女を見かけた。
女性は「寒いから部屋の中に入りな」と話しかけたが、長女は動かなかったという。

目を腫らし虐待否定

 「食べさせすぎや!」
 今年2月末、祖母が長女に食事を与えたことを知った母親は激高し、声を荒らげた。
これをきっかけに、母親は祖母を長女から遠ざけ、会わせなくなった。
府警はこのころから育児放棄がエスカレートしたとみている。

そして6月15日、長女は変わり果てた姿で病院に搬送され、死亡する。

 葬儀で母親は、親族の1人に「何でこんなことになったのか」と尋ねられ、目を腫らしながら「現実を受け止められない。虐待なんかしていない」と訴えたという。

 しかし5カ月以上に及んだ府警の捜査で、2カ月に1回のペースだった長女の診察を、2月末を最後に受けさせていない
▽両親以外の第三者が長女と接触した形跡がない
▽遺体の状況から長期間の低栄養状態が続いた−などが判明。

 また、女児が患っていた「先天性ミオパチー」は筋力低下の症状がみられるが、複数の医者から、衰弱死と病気の因果関係はないとの所見も得られた。

 府警は11月20日、両親を長女に対する殺人容疑で逮捕。
2人は「亡くなる数日前から急にやせ始めた。虐待はしていない」(義父)、「(死亡は)難病が悪くなったとしか思えない。

3食与えており、低栄養は好き嫌いが激しかったから」(母親)と、容疑を否認しているが、府警は、長女が死んでも構わないという「未必の故意」による殺意があったとみている。

?通告?にためらい

 「非常に痛ましい事件が起こった。もう少し踏み込んだ対応が検討されるべきだった」

 両親の逮捕を受け、記者会見を開いた茨木保健所の高山佳洋所長は肩を落とした。
事件を「重く受け止める」として、対応の問題点などを検証する方針を示した。

 保健所によると、長女の虐待を疑う情報が寄せられたのは前述の昨年10月の一度のみ。
市役所や府警も虐待情報を把握できていなかった。

 長女がベランダに閉め出される姿を目撃した近隣住民は取材に対し、「気にはなっていたが、通報までは考えなかった」と振り返り、「うちにも子供がいる。通報が知られて子供に危害を加えられたらと考えるとこわかった」とも打ち明けた。

 子供の虐待問題に詳しい関西学院大の才村純教授(児童福祉論)は「複数の目撃情報がありながら、通告(情報提供)が1回にとどまったことが最大の問題」と指摘。

問題の解消には、児童相談所側の啓発・周知に対する努力が欠かせないという。

 「『通告』という言葉がネガティブな印象を持たれるなら『相談』に置き換えるなど、制度を分かりやすく啓発する。

また、通告したことで逆恨みを買うことを恐れる人もいるが、児童虐待防止法で個人情報は守られると規定されており、制度の仕組みもしっかり説明していくべきだ」
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ブラック企業 社員を辞めさせないための「洗脳行為」も横行

ブラック企業 
社員を辞めさせないための「洗脳行為」も横行
2014.12.02 07:00 NEWSポストセブン

 労働時間の規制を取り払って企業の生産性を上げようというホワイトカラー・エグゼンプション(WE)。
その強引な制度化は、かえって労働者のサービス残業を増やして「ブラック企業」をのさばらせるだけだ――。

 労働者の権利が失われかねない事態に当サイトも度々警告を発してきたが、働く者を“使い潰す”ブラック企業の手口は、国の有効な対策もないままに、より巧妙化している。

 11月28日に連合(日本労働組合連合会)が発表した『ブラック企業に関する調査』によれば、<長時間労働が当たり前><仕事に見合わない低賃金><有給休暇が取得できない>との理由から、勤務先がブラック企業だと感じている人が4人に1人いることが判明した。

 しかも、驚くべきことに、ブラック企業だと感じていながら、<誰にも相談したことがない>と答えた人が46.8%と半数近くいることが分かった。
その理由はなぜか。

『辞めたくても、辞められない』(廣済堂新書)の著書もある人事ジャーナリストの溝上憲文氏が語る。
「本当に劣悪で耐え難い労働環境ならば、労働組合の相談窓口や、国の労働基準監督署、弁護士のところに駈け込めば未払いの残業代などを取り戻すことも可能です。
でも、会社と争うことは『退職』も覚悟しなければならないと思い込み、たとえ理不尽でも我慢している人が多いのです。

 中には常識離れの仕事量を押し付けられているにもかかわらず、『就業時間内に終わらず残業になったのは自分の能力が足りないから』と過度な自己責任意識を抱き、心身ともにボロボロになるまで働き続ける人が依然多いのが実態なのです」(溝上氏)

 最近は企業側もブラック認定されることにビクビクしていることに加え、人手不足から人材を簡単に切り捨てられない事情もあり、“アメとムチ”を巧みに使い分ける傾向が強くなっているという。

もっとも多いのは、労働者に『辞めるのは悪だ』と思い込ませる“洗脳”です。

退職届を出しても上司から『もう少し一緒に頑張ろう』『いま辞めたらせっかくのチャンスを逃すことになる』などと説得されるケースです。

 集団的心理の根強い日本の組織の中で、繰り返し説得されるうちに辞める行為に罪悪感を抱きはじめ、最終的には会社の言いなりになってしまうのです」(前出・溝上氏)

 脅して転職活動を妨害したり、執拗なパワハラや暴力で労働者を縛り付けたりすれば立派な犯罪で表面化もしやすいが、そうならないようにブラック企業側も策を講じているのである。

 洗脳がもっと進めば、もはや新興宗教に近い“マインドコントロール”も施される。
過去の事例の中には、研修と称した泊りがけのセミナーを開き、社員をローソクだけの暗い部屋に閉じ込め、社長の“ガンバリズム”を植え付けたケースも報告されている。

「特にオーナー経営者のカリスマ性が目立っているような会社は、これまでも労働法律知識に関係なく生きてきたので、悪い意味で人心掌握術に長けています。

『社長は3日徹夜してこの仕事をやり抜いた』とか、『死にもの狂いで偉業を達成した』など、熱心な“信者”の幹部社員がオーナーのご託宣を並べて社員の気持ちをコントロールする。
素直で従順な若者なら、『私も立派な仕事人にならなきゃ』と思い込んでしまうのです」(溝上氏)

 ブラック企業被害対策弁護団の代表を務める佐々木亮弁護士(旬報法律事務所)は、ブラック企業の対処法を常々こう述べている。

<非正規雇用が拡大している中、ブラック企業は転職不安につけこんで過酷な労働条件を押し付けてきます。
今の雇用情勢では、ブラック企業なのに辞められない事情も汲まなければなりません。
「辞めないほうが悪い」という言い方は、ブラック企業の存在を肯定したうえに、その責任を働く側に押し付ける冷酷な物言いなのです

 柔軟な働き方が求められている今だからこそ、冷静に考えてみるべきだ。
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2014年12月03日

「最近の老人たちは」と公共の場で若者が眉ひそめる例が増加

「最近の老人たちは」と
公共の場で若者が眉ひそめる例が増加
2014.12.01 16:00 NEWSポストセブン

 人生の手本であったはずの高齢者にどうも「異変」が見られる。

金融機関に勤める30代会社員A氏は外回りの途中、東京を東西に貫く中央線で運よく座ることができた。
次の取引先訪問に備えて資料をカバンから取り出して読み始めたが、その席が悪かった。


「60代後半か70代と思われる女性グループが、私の横や向かい側に点在して座っていて、大声で喋っていたんです。
目の前の通路には立っている人も何人かいるのに、それを飛び越えるように話していて……。
しかも会話の内容も嫁の悪口や近所の噂話で、聞くに堪えませんでした」

 電車内で携帯電話を使って大声で話す、ドアの脇を占拠して人が乗り降りしようとしているのに一歩も動かない、そんなマナー違反を目撃することも増えたように感じる。

 少し前は、公共の場で配慮ができない存在といえば「若者」が定番だった。

「最近の若いもんは」とはいつの時代も年配者が若者の姿を憂えていう言葉だったが、いまは分別をわきまえているはずのシニア世代が「最近の老人たちは」と若者から眉をひそめられる。

「目撃談」が圧倒的に多いのは、冒頭のように公共交通機関でのマナー違反だ。

20代の電子部品メーカー社員の男性は、朝のラッシュ時にこんな経験をした。
「駆け込み乗車してきたおじいさんが、電車のドアに挟まったんです。
痛そうだったので最初は心配していたのですが、ドアが開いたとたんに、後ろにいた友達と思しきおじいさんに『今なら乗れるぞ!』と声をかけた。
すると今度は2人目がドアに挟まったんです」

 出勤を急ぐ周囲のサラリーマンたちは冷ややかな視線を浴びせていたが、当人たちは「乗れてよかった」と満足げだったという。

※週刊ポスト2014年12月12日号
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政治参加あきらめないで 

香山リカのココロの万華鏡:
政治参加あきらめないで
毎日新聞 2014年12月02日 首都圏版

 精神科の診察室では症状とは直接関係ない雑談も大切な要素だ。

「そろそろ冬ですね」「最近は釣りに行ってますか」。
何気ない会話で周囲への関心や生活の様子がわかり、そこから心のコンディションがうかがえる。

 以前は患者さんの口から時事問題が語られることも多かった。
「飛行機事故に驚きました」「また日本からノーベル賞が出ましたね」。

選挙の前後には当然、その話題が出ることもあった。

 ところがここ数年、とくに政治や経済の問題が診察室の雑談として語られることが、ほとんどなくなった。

こちらに気持ちのゆとりがなくなったからかと思い、あえて「もうすぐ選挙ですね」などと持ちかけてみたこともあったが、「はあ、まあ」「あまり関心ないんで」といった答えばかり返ってくる。

 もともと無関心だったのだろうか。そんなことはない。
新聞やテレビのニュースをよく見るという人もいる。
ただ、政治や経済の世界があまりに遠く感じられているのだ。

その理由は、自分が今うつ病などで療養中だから、だけではないだろう。
「政治って、私とはまったく関係のないところで決まったり何かが行われたりしているんでしょう」と思っているのだ。

経済についても、「私は株も持っていないし、いくら震災の頃から2倍になったと言われても関係ない」と距離を感じている。

「考えてもムダ」とあきらめきっているようにも見える。

 もちろん、これは診察室内での私の印象にすぎない。
これがただの思いすごしにすぎず、ほかの人たちは政治家は有権者が選ぶものとして民主主義の可能性を信じ、来る総選挙に向けて政権公約をチェックしたり自分の考えをまとめたりしているのであれば、そうあってほしい。

しかし、メディアの調査でも総選挙に関心がある人の割合は、そう高くない。
投票率も低迷が続いている。

 政治や選挙に無関心な人の中には、「このままで何も問題ないから」という人もいるだろう。

ただ、診察室で私が感じているように「どうせ自分の意見なんて通らない」「何を言っても決めるのは向こう」と政治との距離を感じ、参加をあきらめている人もいるのではないだろうか。  

誰が有権者に政治参加をあきらめさせたのか。
それをここで追及しても仕方ないし、診察室ではその人たちに指示的なことは言えないが、この場ではぜひ言いたい。

選挙による政治参加をあきらめないで、と。
            (精神科医)  
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2014年12月04日

テレ東以外は起用できない?「池上彰氏の選挙特番」

テレ東以外は起用できない?
「池上彰氏の選挙特番」
2014年12月3日 16時0分 東スポWeb

 ジャーナリストの池上彰氏(64)が2日、司会を務めるテレビ東京「池上彰の総選挙ライブ」(14日午後7時50分)の制作発表会見を都内で行った。

池上氏にとってテレビ東京での選挙特番は4回目。
前回の2013年の参院選特番で民放トップの10・3%の視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、テレビ東京を大躍進させた。

 この高視聴率について池上氏は「視聴者が聞いてほしいと思っていることを代弁しているだけ。
聞くべきことを聞いているだけ」。
中継で政治家へ鋭い質問を浴びせる姿がインターネット上では「池上無双」とも呼ばれているが、今回もこのスタンスに変わりはない。

 池上氏はテレ東の選挙特番を「独自路線が支持されている」と分析したが、自身が高視聴率の立役者であることは明白。
他局からも引っ張りだこかと思いきや、そうではないという。

「前回まではオファーがありました。
でも『テレビ東京でやりますので』と断っていたら、今回はまったくなかった。
池上はテレビ東京というイメージが定着したのでしょう」

 他局の選挙特番で確定しているのは、フジテレビが安藤優子キャスター(56)と宮根誠司(51)のコンビ。
テレビ朝日は古舘伊知郎(59)と、それぞれ局の“看板”司会者を立てる。

ある民放関係者は「発表されてない局も、そう代わり映えはしないと聞いている」。

 となると、高視聴率男・池上氏にオファーをかけなかった時点で、選挙特番の視聴率争いは「勝負あった」と言っても過言ではない。

 ただ、前出の関係者によると「前回の特番では『池上無双』に恐れをなして、テレ東の中継に出なかった政治家もいたといわれている。

視聴率は欲しいけど先々、議員との関係を考えれば怖くて起用できない。
他の局もそんな懸念があったと思うよ」。

「争点が見えない」と盛り上がりに欠ける選挙戦を池上氏が熱くさせてくれるはずだ。
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衆院選スタート 投票先に悩むアナタへ…「戦略的投票」のススメ

特集ワイド: 衆院選スタート 
投票先に悩むアナタへ…
「戦略的投票」のススメ
毎日新聞 2014年12月03日 東京夕刊

師走の衆院選がスタートした。
自分が心から支持する候補者に1票を投じる……それができれば一番いい。

だが「自分が望む政策と同じ公約を掲げる党がない」「与党も野党も信用できない」「小選挙区に意中の候補がいない」……そんな時、棄権するしかないのか、何かできることはないのか。
専門家に聞いた。【田村彰子】  

◇アベノミクス「判断しなくてもいい」
         党首の好き嫌いでもいい

 今回、安倍晋三首相は「消費増税先送りの是非を問う」として、争点にアベノミクスの評価を掲げた。先送りには野党も賛成で、「解散の大義がない」と批判している。

 北海道大の吉田徹准教授(政治学)は「今回の総選挙は争点の設定やタイミングなどすべてが現政権が有利になるよう非常によくできている」と指摘する。

「アベノミクスに反対の人は増税にも反対の人が多いので、延期は望ましい。アベノミクスに賛成の人は、安倍政権を支持する。
だから賛成の人も反対の人も与党に投票しやすい。

しかも小泉(純一郎)元首相の時の郵政選挙とは違い、意見が分かれないので熱狂的な選挙にはなりにくく自民党に有利です」

 野党側は集団的自衛権や原発再稼働への賛否など、意見の割れる「分断的争点」を作りだそうとしている。
だが吉田さんは「各政党がばらばらに争点を言い出した時点で、実は有権者の判断は難しくなる」と話す。
 
混沌(こんとん)とした状況で、自分の1票を生かすにはどうしたらいいのか。

考え方を整理するためまずは、ゲーム理論に詳しい早大の船木由喜彦(ゆきひこ)教授を訪ねた。
 船木さんによると、自分が最も支持する候補者に1票を投じる、これをゲーム理論では「真実表明」と呼ぶ。
そして、それ以外の投票方法を「戦略的投票」と呼ぶ。

 典型的な戦略的投票の一例はこうだ。

例えば小選挙区で、AとBの候補者がいて自分はどちらも支持していない。
棄権をしたくなるが、こうした場合でも、どちらがより支持できないか、どちらがより嫌いかを考える。
最も嫌なのがAなら、Aを倒すためにBに入れる。

 ほかにも例えば、A、B、Cの候補者がいて、自分はAの候補者を支持しているけれどもとても当選しそうにないという場合。
BとCを比較してよりAに近い考え方を持つBに投票する−−これも戦略的投票だ。

船木さんは「人々は事前の支持率調査などを見て周囲の投票行動を予想しつつ、最も支持する候補者の当落を予想します。

投票に行くことは、それだけで時間と労力のコストがかかるので、そのコストを勘案したうえで、自分の利益を最大にする、あるいは不利益を最小にする選択をすることがゲーム理論で言う『合理的行動』といえます」と話す。

 棄権には意味がないのか?

 「自分が支持する候補者が大勝すると分かっている時は、コストを最小にするため、投票に行かないことが合理的な行動になります。
しかし、人は必ずしも合理的な行動を取るとは限りません」と説明する。

 実際には私たちは、複数の物差しで、政党や候補者を選び出している。

選挙制度に詳しい学習院大の平野浩教授は
「有権者は主に
▽政策に対する考え方が近い
▽政権の評価▽党首の好き嫌い−−で選択する傾向があります」と話す。

このうち最も重視されているのが「現政権の評価」だ。

 「小選挙区制度の考え方は政権につく政党を選ぶこと。その過程では小政党は不利になるが、それでいいという考え方で、有権者が死票を避けようとすれば、必然的に『戦略的投票』をするシステムになっています
一方、政党がより大勢から支持を得ようとすれば、有権者の多くが望むことを訴えようとするので、政策が似てきます。
政策に大差がなくなれば、現行の政治への評価が重要な決め手になります」と解説する。

 そこで浮上するのがアベノミクスの評価だが、「アベノミクスは専門家でもまだ判断が分かれるのだから、有権者に判断を求めるのは酷だ」と吉田さんは言い切る。

平野さんも「経済分野では、成功するかどうかはやらないと分からない。
一般の有権者には分からないと思います」と同調する。

 ならば、どうしたら? 吉田さんは「そもそもアベノミクスは定義もはっきりしない。
有権者がその是非を判断する必要はありません。

むしろ、現在の政治によって自分の生活が良くなっているか、将来的な不安が解消されつつあるかなど、自分の現状を踏まえて判断することが大事です」と訴える。

平野さんも「現政権の2年間、特定秘密保護法成立や集団的自衛権の行使容認、沖縄の基地問題、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)などさまざまな政治的な問題がありました。

自分にとって大事な争点を選び、政権が下した決定と現状を自分なりに評価してみてください」と話す。

その結果、総じて与党が及第点だと思うのなら与党へ、そうでないなら対立軸となる野党に入れる。

無党派層は5割前後もおり、決して影響は小さくない。

 ところで、好き嫌いでの投票はどうなのか。
平野さんは「政治心理学の視点で考えると、好きか嫌いかで選ぶのは間違いではない」と話す。

人間はある人についての情報や事象に無数に接して、好き嫌いを決めている。
例えば、安倍首相が集団的自衛権行使の問題でどんな発言をしたか、どんな外交をしたかなど、有権者は具体的に覚えてはいない。

しかし、その都度「いい」か「悪い」かの感覚が残り、「安倍首相が好きか嫌いか」の感情が形成される、という。

「特に党首が好きかどうかは、その党が政権を取った時に日本の首相になるので、大事なことと考えられます」
 仮に自分が望む政策がまるでないなら、やはり棄権するしかないのか。

吉田さんは「本来、政策はお上が示すものではなく、自分たちで作るもの。
不満や問題点を、仲間と共に声を上げて直していくのが『政策』になる」と強調する。

 日本人は、政治の話をあまり好まないと言われる。
選挙以外にデモや集会に参加する「政治参加率」は、フランス43%、アメリカ36%に対して日本は14%。

吉田さんは「決して個人が政策を合理的に判断し、投票するだけが理想ではありません」。

例えば、仲間で考え方の近い候補者を探し「100票を集めて入れるので、この政策を公約に」と求めれば候補者は動く。

 「民主主義は手間がかかる。でも、それを惜しむほど自分たちの理想と離れていき、不満と不信が降り積もります

 家族や友人と「誰に入れたいか」を話し合うことからはじめるしかない。
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菅原文太さんが残した“遺言” 「日本はいま危うい局面にある」

菅原文太さんが残した“遺言”
日本はいま危うい局面にある
2014年12月1日 日刊ゲンダイ
【連載「注目の人直撃インタビュー」2013年8月29日号より】

 集団的自衛権を巡る憲法解釈の見直しや自衛隊の海兵隊化――と、参院選後の安倍首相は露骨に右傾化を強めている。
そうしたきな臭い状況に危機感を抱くのが元俳優の菅原文太さんだ。
この夏80歳を迎えた老優は日本の何を危惧しているのか――。

■「今の日本は真珠湾攻撃をした時と大差ない」

毎年8月になると太平洋戦争を思い出します。
日本が戦争に負けた昭和20(1945)年当時、私は小学6年生で、宮城県栗原郡(現・栗原市)の小さな村に住んでいました。

 敗戦が近づいた頃のこと、仙台の街がB29の空襲を受けましてね。
家の屋根に上ってかなたを見ると、夕暮れの薄暗がりの中で爆撃機がパラパラと焼夷弾を落とし、一面に炎が立ち上る光景が見えました。

仙台とは100キロも離れているのに、無数の爆弾がまるで七夕の銀色の短冊のようにキラキラ光り、街全体を炎で赤く染めていたのをよく覚えています。

 空襲は受けたけど、怖いとは思いませんでした。
都会から離れたところに住んでいたこともありますが、大人の話を聞いて日本は勝つと信じていたからです。
敵艦を何隻轟沈したという発表が幾度もあり、大人たちが「日本は勝ってる」と言うものだから、子供心に「日本は強いんだ」と信じていたんです。

 ところが8月15日になり、いきなり玉音放送で「負けました」となった。
ガーガーと雑音を発する祖母のラジオを叩きながら天皇のお言葉を聞いて、本当にびっくりしました
あとで聞いたら、大本営のウソの発表を疑問視する人たちもいたとか。

「こんな戦争負けるよ」と言いたいけど、警察が怖くて言えない状況だったんですね。

 だけど、考えてみると敗戦の兆しはあったんです。
私の村でも出征のたすきを掛けた若者が「行ってまいります」と戦地に出かけ、その多くが命を失いました。

現代では考えられないことですが、私も大人も、死に対する感覚が麻痺し、「戦争なんだから死ぬのは当たり前」というような錯覚に陥っていた気がします。

私の父の弟は37歳でルソン島に派兵されたのを最後に、いまもって行方が分かっていません。戦死扱いとされていますが、どんな死に方をしたのか遺族も知らされていないのです。
父の兄は外地から復員するも、戦地で患ったマラリア熱が完治できず、死ぬまで発作に苦しみました。

 私の父は中支(中国)で軍事物資を運ぶ輜重隊の隊長を務めたのち生還しましたが、戦争については一言も話しませんでした。
あの時代、沈黙を通した人は父だけではありません。
みんな、悲惨な現実を語りたくなかったのでしょう。

 国外のあちこちで日本軍は米軍に押しまくられ、「救援を送れ」と要請しても兵隊は来ない。兵士は軍と国に見殺しにされ、昭和18年ごろからはアッツ島を皮切りに兵士の玉砕が繰り返されました。
沖縄では兵隊のほかに大勢の民間人が巻き添えになりました。

それなのに、軍隊のある参謀などは玉砕が怖いので「本土に用事があるから」と口実をもうけて沖縄を離れました。
命惜しさのあまり部下と民間人を置き去りにして逃げたのだから、あきれた話です。

言い出したらきりがありませんが、すべては当時のリーダーたちが無謀な開戦に突っ走った結果です。

 しかし現実の日本はどうでしょうか。私の目には、日本はいま非常に危うい局面にあるように見えます。
 安倍政権は内閣法制局長官を交代させてまでして集団的自衛権の解釈の見直しをはかり、憲法を改定して自衛隊を国防軍にしようとしています。

平和憲法によって国民の生命を守ってきた日本はいま、道を誤るかどうかの瀬戸際にあるのです。
真珠湾攻撃に猛進したころと大差ありません。

 いつの時代も為政者は国民を言葉たくみに誘導します。
問題になっている沖縄の基地の件だって、彼らに利用されかねません。
「沖縄に米軍は要らない」という国民の言葉を逆手にとって、政府が「米軍がいなくても大丈夫。
自衛隊が国防軍になり、海兵隊の役割を果たしてくれるから安心してください」と言えば、国民はコロリとだまされ、国防軍化を許してしまうかもしれないのです。

 その結果、自衛隊は本物の軍隊になり、米国が始めた戦争にいや応なく巻き込まれてしまいます。
しかも米国は日本を自分の属国と見ているのだから始末が悪い。

「俺たちに逆らったら、締め上げるぞ」と恫喝されたら最後、日本は逃げられなくなります。
こうした数多くの悪要因の中で、日本が世界に誇る平和憲法が骨抜きにされ、戦争に突き進んでしまいかねないのです。

「まさかそこまで?」と笑われるかもしれませんが、いまの自民党は「ナチスに学べ」というバカな発言をした副総理を更迭できないほど自浄作用を失っています。
実に恐ろしい状態です。

 改憲派の政治家はよくこう言って現行憲法を否定します。
「いまの憲法は戦後、GHQに与えられたものだ。
なぜ、進駐軍にもらった憲法を守らなければならないのか。
そろそろ自分たちの憲法を持つべきだ」
 この認識は正しいとはいえません。

知り合いの学者に聞いた話ですが、いまの憲法は、日本人が作成した草案を参考にして作られたそうです。
社会統計学者で社会運動家だった高野岩三郎や法学者の鈴木安蔵らの「憲法研究会」が、敗戦の年に発表した「憲法草案綱領」がそれです。
 この草案には「主権在民」や「基本的人権」という民主的な概念が盛り込まれていました。

GHQのある将校は非常に優れた憲法草案だと高く評価し、新憲法作成の下敷きにしました。  いま大切なのは、われわれ国民が政府のデマゴギーにそそのかされず、自分で考えることでしょう。

書物や新聞を読み、多くの人の話を聞いて、平和を維持するために自分は何をするべきかを模索する。
熟慮の末に真実を知れば、戦後ひとりの戦死者も出していない憲法9条がいかに素晴らしいものであるかが分かるはずです。
 戦前のようにタカ派政治家たちの言葉に踊らされてはいけません。
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2014年12月05日

言論弾圧? 逮捕された女性作家は安倍批判“急先鋒”だった

言論弾圧?
逮捕された女性作家は
安倍批判“急先鋒”だった
2014年12月4日 日刊ゲンダイ

 何だか戦前の「特高」事件のようでイヤ〜な感じだ。

 3日、作家の北原みのり(本名・渡辺みのり、44)、漫画家の「ろくでなし子」(本名・五十嵐恵、42)の両容疑者が警視庁保安課にわいせつ物公然陳列の疑いで逮捕された。

ろくでなし子容疑者の女性器をモチーフにした作品がわいせつ性が高いと判断され、それを都内のアダルトショップで並べていた北原容疑者がそろって御用となったのだ。
2人は警視庁の調べに対し、容疑を否認しているという。

 この事件、そもそも、そんなに目くじら立てるコトなのか大いに疑問だが、気になるのは、北原さんが安倍政権批判の「急先鋒」として知られていたこと。

<安倍の自信が気持ち悪くて重たい気分だったけど、安倍が語れば語るほど馬脚を現しまくりで、なんだかこのまま消えてくれる可能性もありるのかしら>
<総理はお金の話ばかりだったな。辺野古や原発や集団的自衛権や特定秘密保護法を争点にして下さいって言えないなんて、小さい男ね。>――。

北原さんのツイッターは、安倍首相の痛烈批判のオンパレードなのだ。

■インタビューで安倍首相を“お子ちゃま”扱い

 今年6月の朝日新聞のインタビューでは、こうも話していた。
<だれが安倍さんを支持しているのか。
(略)『安倍さんは子どもなんだ』と思い至った。

(略)まったく役にも立たないことを、子どもならではの大胆さでやろうとしている。
ヤンキーのケンカさながらに(略)『大人の政治をしなさい』と言いたいですね>

 安倍首相を完全に“お子ちゃま”扱いだった。逮捕直前のツイッターでは<さよなら安倍政権>と書き込み、「自民党議員100人落選キャンペーン」サイトを推奨していた。

 北原さんの指摘はどれもまっとうなものばかりだが、批判を一切許さない“オレ様”の安倍首相は面白くなかったに違いない。

すでにネット上では「不当逮捕」を指摘する声が続出。
ろくでなし子さんの弁護士である山口貴士氏も<今回、警視庁が彼女を逮捕したことは明らかに不当であり、間違っている>と投稿するなど騒ぎになっている。

検察の裏金を暴露しようとして突然、逮捕された元大阪高検公安部長の三井環氏はこう言う。

「今回の逮捕のケースが当てはまるかどうかは別として、権力側は何でもできる。微罪であっても、逮捕することで社会も萎縮する。そういう“効果”があるのです。恐ろしいことです

 安倍首相が絶叫する「この道」の先が心配だ。
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2014年12月07日

『高齢受刑者』急増!出所しては舞い戻るの繰り返し...食っていけずまた犯罪「負の連鎖」

私見「クローズアップ現代」
『高齢受刑者』急増!
出所しては舞い戻るの繰り返し...
食っていけずまた犯罪「負の連鎖」
2014/12/ 6 12:00 J-CASTニュース

*NHKクローズアップ現代
(2014年12月4日放送
「犯罪を繰り返す高齢者〜負の連鎖をどう断つか〜」)

全国の刑務所で高齢の受刑者が急増している。
65歳以上が20年前の5倍、2200人にもなり、介護施設並みのケアも必要になっている。
深刻なのはこれら高齢受刑者の大半が再犯であることだ。

出所後、社会に受け入れられず、貧困からまた罪を犯す、負の連鎖の果てだ。
どうしたらこれを断ち切れるのか。


3回服役したという千葉の70代の男性は典型だ。
初犯は65歳のときだった。
20年間経営してきた会社が倒産して、生活のためくず鉄を盗んだ。
2年間服役して出所したが、前科者に就職口はなかった。
家族からも疎外されて、生活保護も知らず、70歳、73歳とさい銭泥で捕まった。

府中刑務所の65歳以上400人!10年で2倍―認知症や介護など9割が要治療

先月(2014年11月)に発表された犯罪白書では、昨年65歳以上の検挙者は4万6243人。
全体の数は減っているのに、高齢者は増えている。

高齢者の犯罪には2つの特徴がある。
万引きや無銭飲食などの軽犯罪の積み重ねと再犯だ。

7割が5年以内に刑務所に舞い戻る。
負の連鎖から抜け出せないのだ。
受刑者数で全国一の府中刑務所の65歳以上の受刑者は400人。
10年で2倍だ。
9割が何らかの治療を受けている。
認知症もいる。要介護者もいる。

職員が体を拭き、おむつを交換する。あたかも介護施設である。
亡くなった受刑者は5年間で78人。
引き取り手のない人の供養も刑務所が行っている。
医療費、特別食、外部入院の世話と、職員の負担も限界に近い。

出所後、振り込め詐欺グループに取り込まれた例もある。
昨年逮捕された71歳の男性は現金の受け取り屋だった。
公開手配された者もいる。

3回逮捕された80代の男性は「簡単な仕事だ」と誘われた。
やはり出所後に仕事のない連中だったという。
「生活のためやむをえず」と話す。

元刑務所勤務で龍谷大学大学院の浜井浩一教授は、「日本の司法制度は罰を与えて罪を償わせる。
そこで終わりなんです。

司法が社会制度から孤立していて、受刑者の更生という観点が薄い。
社会に戻った時どうするか、罪の原因を考えないと再犯防止にならないと思います」と語る。

東京地検は社会福祉士を採用―服役前から生活支援

司法と福祉を連携させる取り組みは始まっていた。
長崎県の地域生活定着支援センターだ。
出所者を福祉事務所につなぎ、生活保護や医療の手助けをする。
5年前に国のモデル事業としてスタートし、NPO法人が運営している。
ここで立ち直った高齢者は少なくない。

いま老人ホームにいる78歳の男性は、生活苦から盗みを重ね、15回服役した。
センターの支援で4年前、受け入れ先が見つかって落ち着いた。
「お世話になったから」と毎日3時半に起きて、ホーム内に新聞を配る。
「ありがとうといわれるのがうれしい」と屈託のない笑顔をみせていた。

府中刑務所は出所間近の高齢者に、社会で孤立しないための訓練と教育をしている。
「2度と帰ってこないように。刑務所が試されている」という。

東京地検はさらに進んで、全国に先駆けて社会福祉士を正規採用した。
服役させる前からの支援である。
60代後半のホームレスの置き引き事件があった。
身寄りもなく弁済もできない。
社会福祉士は「生活保護があれば立ち直れる」と社会福祉事務所につなぎ、事件は起訴猶予になった。
これまでに500人を福祉事務所につないで社会復帰させた。

浜井教授は「受刑者で、刑務所に入る前に幸せだった人は一人もいない」という。

刑務所で受刑者の貧困に始まる「負の連鎖」を見た。

「(再犯を)止める人がいないから」 老人ホームの男性だって支援がなければ16回目の服役になっていたことだろう。
彼らの社会復帰を自分のこととして考えはじめた人がいた。
日本人も捨てものではない。 ヤンヤン
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◇若者よ、選挙に行こう

Listening:<記者の目>
格差社会の衆院選=野沢和弘(論説室)
2014年12月05日 毎日新聞

若者よ、選挙に行こう

 どのような仕組みで世の中が成り立っているのか分からないと、政治や選挙に関心を持てないかもしれない。
たとえ自分が理不尽な状況に置かれていても、努力が足りない、運がないと思ってしまう。

 努力は大事だが、個人の努力だけではどうにもならないこともある。
法律や税金の使い道を変え、理不尽な状況をなくす方法がある。
たとえば選挙だ。
世の中を変えるのは簡単ではないが、ほかに代わるべき方法もそうはない。  

「体調を崩し胃痛がひどくてご飯も食べられず栄養は点滴のみ!みたいな生活を送っていました」
 今年大学を卒業し保育施設で働いている女性(23)からメールが届いた。
いきなり20人以上の5歳児クラスを1人で受け持った。
親から怒鳴り込まれ、同僚との人間関係に神経を使い、発達障害の子の対応に悩む。
朝から夜まで働いて月収は15万円程度。

奨学金の返済で手元にはほとんど残らない。
学生のころは勉強も福祉サークルの活動も熱心で、複数の保育所で実習し、それなりの情報も覚悟も持って選んだ就職先だった。

 安倍政権は保育の充実や女性の活用を看板に掲げるが、従業員をつぶすブラック企業のような現場も少なくない。
 それでも正社員はまだいい。派遣労働やパートなど非正規の仕事を掛け持ちでこなし、低賃金の長時間労働で体を壊す人は多い。

いつ解雇されるかわからず、慣れない仕事の連続でキャリアを積むこともできない。
国民年金と国民健康保険(国保)の保険料を個人で負担しなければならず、国保は扶養家族が多くなるほど負担が重くなる。
これで結婚して子どもを育てろというのは無理な話だ。

◇母子世帯の半数、「相対的貧困」層

 日本のシングルマザーの就労率は先進国の中で最も高い。
ところが、未成年の子がいる母子世帯の約半数は、国民の平均的な収入の半分に満たない「相対的貧困」層に属する。
幼い子を預ける保育所がなければ、働くことすらできない。

 さらに悲惨なのは子どもだ。
給食費が払えず修学旅行に行けない、進学もできない。
貧困家庭の子には珍しくない。

親が長時間労働を強いられているため日常の世話ができず、栄養不足や劣悪な衛生で心身の健康が危機に瀕(ひん)している子もいる。

 もしもあなたがそういう若者だとしたら、あるいはそうした若者が身近にいるのであれば、知ってほしい。

日本は若い世代の福祉や教育に充てられる予算の率が極端に低い国であることを。
税や保険料の多くは年金や医療・介護など高齢者に使われてきた。

 幼児教育から大学まで入学金も授業料もない国は多い。
デンマークは親の仕送りやアルバイトもなく、政府の給付金で生活している学生が多い。
卒業後も留学やボランティアをして別の大学に入ったりするため、職業に就く平均年齢は27〜28歳という。
 ただし負担は重い。
消費税25%、車の取得税は約200%だ。
最近は医療や高齢者福祉の効率化・削減も迫られており、週14時間以上ヘルパーが必要になると施設入所を勧められるという。

隔離収容型ではなく地域での生活を基本とするノーマライゼーションの発祥国とは思えない、高齢者に厳しい政策である。  

◇社会保障政策の改善へ重い1票

 誰がそのような政治を行っているのかといえば、王様や独裁者ではなく、国民が選挙で選んだ政治家なのである。
デンマークも高齢化は進んでおり、年金や高齢者福祉を削減する政策は選挙では歓迎されないはずだ。
しかし、「きちんと必要なことを説明すれば国民はわかってくれる」と担当相のクラウ氏に言われた。

30歳の女性で、2人目の出産のため半年公務を休んだという。
こういう政治家を大臣にする政府を選んだのも国民なのである。

 日本だってチャンスはある。
子ども手当、給付型奨学金、非正規雇用への厚生年金の適用拡大、子育て新制度など、若い世代向けの社会保障政策が政治の場で議論され、その一部は実施されてきた。
しかし、まだ不十分であることも事実だ。
どうすればもっと改善できるのか、選挙こそ絶好の機会ではないか。

 各政党の公約を眺めても、似たような表現で有権者受けしそうなものが総花的に並べられているだけでよくわからないかもしれない。

財源の裏付けがなければ絵に描いた餅に終わる。
それでもあきらめずに関心を持ち続けていると、どの政党が本気で、どの候補者に期待できるのかぼんやりわかってくる。

 たかが1票ではあるが、みんなの1票で政治は選ばれるのだ。
やっぱり選挙に行こうよ。
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2014年12月08日

千の証言:開戦、消えた天気予報 真珠湾攻撃の日、データ暗号化 機密扱いの恐れ、今も

千の証言:仲間売った、悔い 
「積乱雲で帰還」うそに反論 
飛行隊の元気象士官
毎日新聞 2014年12月07日 東京朝刊

 結果的に、仲間を売ってしまった。

太平洋戦争末期に気象担当だった元海軍少尉が、苦しい胸のうちを語った。
米艦船を目指し飛び立った爆撃機1機が、悪天候を理由に基地へ引き返した。
予報を誤ったと上官になじられ、悔しくて後日、データを見せて反論した。
それが図らずも、死の恐怖にとらわれた操縦士の「うそ」を証明することになったのでは……。
痛恨の思いは戦後69年間、消えずにいる。
              【川上晃弘】

 「なぜ、あんなことをしたのかなあ」。
京都在住の増田善信さん(91)は、しみじみと言った。


 戦前の「気象技術官養成所」(今の気象大学校)を経て召集され、1945年6月に島根県出雲市の海軍基地に配属。
沖縄の米艦船を目指し飛び立つ爆撃機「銀河」の操縦士に、航路の天候を伝えるのが任務だった。
 途中に積乱雲や台風があれば、出撃は即中止。積乱雲に入れば機体が空中分解しかねない。
悪天候で戻れば貴重な燃料が無駄になる。
誤りは許されなかった。
 制空権を奪われて攻撃は夜間に限られ、気象説明はいつも夕方。
黒板に張った天気図を指さし、雲の高さや風向きを伝えた。
操縦士たちは張り詰めた表情で終始無言。
「かかれ」。
上官の号令で機に乗り込む。
遺書を残して飛び立つ者もいた。
 米軍の火力は圧倒的で、攻撃は困難を極めた。宮崎・都井(とい)岬を越えると、無線が途絶え始める。
「やられたか……」。
通信途絶は大部分、撃墜を意味した。


 ある日、1機が「前方に積乱雲」と連絡を入れ、引き返した。
飛行隊を統率する中佐に怒鳴られた。
「貴様! 予報を間違ったな。なけなしの燃料だぞっ」
 そんなはずはない。数日後、機が引き返した奄美大島付近の気象データをひそかに取り寄せた。
積乱雲はなかった。
資料を持って中佐の部屋に押しかけ、「私は間違っていない」と訴えた。


 しかし、中佐は「もういい」と遮った。
そして、ぽつりと言った。
「帰ってくることもあるんだよ」

 増田さんは、自分を初めて恥じた。
「誰だって死にたくはない。
自分だってそうだ。
中佐もうすうす気づいていたんだ」。
飛行隊との接触はなく、操縦士の名前も、その後の安否も知らない。

開戦、消えた天気予報 
真珠湾攻撃の日、データ暗号化
 機密扱いの恐れ、今も

 元海軍少尉の増田善信さん(91)は戦後、気象研究に打ち込む傍ら、原爆投下直後の黒い雨の降雨分布を独自に調べた。
原爆認定訴訟では「(国側は)黒い雨の地域を狭くしようとしている」と証言するなど核問題に積極的にかかわった。
その原点には、島根の海軍基地での体験がある。
 だがもう一つ、戦争と気象を巡る忘れがたい体験があった。
今月8日で丸73年となる日米開戦だ。      
              ◇
 増田さんは、故郷の京都府宮津市の測候所で予報官人生をスタートさせた。
その最初の年、気象業務が平時から戦時体制に切り替わる瞬間を目の当たりにした。
18歳だった。

 日本時間の1941年12月8日未明(米時間では7日)。
旧海軍機動部隊がハワイの真珠湾を攻撃し、日本は米国に宣戦布告した。
その日の夕方、測候所で中央からの気象電報を待っていた。
ふだんは正午現在のデータが午後6時ごろ流れてきて、それをもとに天気図を作る。
勤務は当番制で他に職員はいない。


 電報では風向き、風速、気圧、気温、雲形などが順に数字で送られ、天気図に記入していく。ところが、この日は意味不明の数字や言葉の羅列だった。
驚き、約200メートル離れた所長の家まで走った。
報告を聞いた所長は取り乱すふうもなく、測候所の金庫から赤表紙の乱数表を取り出した。
 この時、気象情報が機密となり暗号送信に切り替わったと知る。
天気予報は消え、台風が近づいても住民に注意を促すことができない。
「ここまでやるか」。
戦争は恐ろしいと初めて思った。      
              ◇
 島根県で敗戦を迎えた増田さんは、復活したラジオの天気予報を聴いて、「やはり平和のシンボルだ」と思った。
その後、気象技術官養成所(今の気象大学校)に入り直し、気象庁に採用される。

 ところが、戦争と気象の結びつきは戦後も終わらなかった。
日米安全保障条約に基づいて52年に結ばれた日米行政協定は、日本側が国内の気象情報を米軍に提供する、と定めた。
規定はそっくり60年の日米地位協定にも引き継がれ、今に至っている。

 「これを見てください」。
そう言って1枚の地図を広げた。
2001年9月20日のアフガニスタン周辺の天気図だった。
周辺国に風速や風向きなどが記載されているが、アフガニスタンだけは真っ白で、異様な印象を受ける。
当時タリバンが実質的に支配し、同時多発テロを受けた米国などによるアフガン攻撃が始まる直前だった。
気象情報はいつでも軍事機密となり、また戦争の混乱で一般の人びとの手の届かないものとなる。
それを天気図が物語っている。

 増田さんは、「中央気象台」(現在の気象庁)が戦時中に作った「戦時気象通報規定」も見せてくれた。
内部ルールだが、天気予報など国民への気象情報提供はなくす一方で、「軍への気象通報は許す限り積極的に実施する」
「実施の可否に迷った場合にはまず実施し、その後必要な方策を講じる」などと、軍部への協力をうたう。
 増田さんは実際の天気を観察しながら、時代の「雲行き」も眺めてきた。
「日本周辺で戦争が起きれば、再び同じ状況になる」と危惧する。
           【川上晃弘】
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日米開戦:政治の未熟が招いた真珠湾 五百旗頭真さんインタビュー

日米開戦:
政治の未熟が招いた真珠湾 
五百旗頭真さんインタビュー
2014年12月08 日 毎日新聞

 真珠湾攻撃という選択肢しか、日本にはなかったのか。元防衛大学校長で、歴史家の五百旗頭真さんに聞いた。
【高橋昌紀/デジタル報道センター】

 日本が真珠湾攻撃に踏み切った1941年12月8日、それは欧州の東部戦線でドイツ軍によるモスクワ攻略の失敗が明らかになった直後でした。
近代戦の要は首都攻略です。

これにより、ソ連が早期降伏する見込みはなくなり、ドイツは対イギリスの西部戦線も抱え、第一次世界大戦と同様に「二正面作戦」に陥った。
日本はドイツ、イタリアと三国軍事同盟(1940年9月)を締結することで、米国やイギリスをけん制しようとしましたが、頼みの綱のドイツが致命的な敗北を被ったわけです。

 歴史に「もしも」はありません。
しかし、ドイツ敗退との戦況が対米開戦の決定前に伝われば、日本政府にどのような影響を与えたでしょうか。

その場合、日本は「スペイン・オプション」を歩むことになったと思います。
スペインのフランコ政権は内戦でドイツとイタリアの支援を受けたにもかかわらず、枢軸国側での参戦を見送りました。
スペインは戦禍、敗戦を免れ、フランコの死(1975年)を経て民主化へと向かいます。
もし日本が「真珠湾」を決断しなければ、この「スペイン・オプション」を選ぶことになったと思います。
参戦していない強国日本を両陣営が味方にしたいと考え、日本は有利な立場を得たことでしょう。

 戦争を回避するチャンスはぎりぎりまでありました。
1941年11月26日のハル・ノート(米国の対日文書。日本軍の中国からの撤兵などを要求した)について、日本政府は米国政府は最後通牒(つうちょう)を突きつけてきたと判断しました。
その時、親英米派の吉田茂(当時は外務省待命大使)が人を介し、東郷茂徳外相に意見具申をしました。
「あなたは薩摩の末裔(まつえい)だろう。大久保利通らが築いた国を滅ぼす気か」
「ハル・ノートは言い値だ。これをたたき台にすればむしろ、交渉を継続できる」。
そして、外相辞任も考慮すべきだと極言します。

政変となれば東条内閣は厳冬になる前に対米開戦する機会を失います。
しかもドイツの敗退を知ることになります。

 しかし、東郷はとどまりました。
広田弘毅(元首相、外相)の「後任には軍国主義者が選ばれるかもしれない。
(開戦後の)講和交渉のためにも、辞任すべきではない」との助言を重視したからです。

東郷は外相就任(1941年10月)以来、軍部を相手に非常に頑張っていたと思います。
自身の努力で日米暫定協定の成立を期待していただけに、ハル・ノートにはがっくりときてしまった。

 日米交渉を振り返れば南部仏印進駐(1941年7月)を決定したことによって、破局を招いたと思います。

決定を聞いた幣原喜重郎(当時は元外相、戦後に首相)が衝撃を受け、首相の近衛文麿に「天皇陛下にお願いして、取り消しせよとの命令を出してもらえ」と忠告しました。
それは近衛にとって「今さらできない」ことだった。

幣原の危惧したとおり、米国は石油の対日全面禁輸で応じます。
近衛は聡明な才子でしたが、政治的本能化した判断力を欠いていた。
軍の先を行くこと(「先取論」)で、主導権をとり、威信を高めようとしました。
しかし、それは結局のところお先棒を担いだだけの結果に終わりました。

 米国、イギリス、中国、オランダの「ABCD包囲陣」によって、日本は追い詰められたとの日本被害者論があります。
見当違いも甚だしい。
日本が経済制裁を受けるようになったのは、中国への軍事的侵略を繰り返していたからです。「暴支膺懲(ぼうしようちょう)」などと暴言して。

ルーズベルト(米大統領)が日本を戦争に引きずり込んだとの陰謀論もあります。
仮にそうだとしたら、日本はまんまと引っかかったことになる。
自らの未熟さ、間抜けさを認めたようなものです。
国家指導者の資格はありません。

国際政治とは「力の体系」であり、「利益の体系」であり、「価値の体系」です。
甘いものではない。自身の行動が招いた結果責任を引き受ける「覚悟」が政治指導者には必要です。

 真珠湾攻撃を立案した山本五十六は若き駐米武官時代にダラスやテキサスの工業・油田地帯を視察し、米国の国力を承知していた。
海軍次官として日独伊三国軍事同盟に反対しながら、連合艦隊司令長官になると国の決定の下で、軍人として最善を尽くそうとした。

しかし、真珠湾で米国の士気をくじくことはできませんでした。
山本が期待したように緒戦で1勝したからと言って、米国は早期講和などに応じるはずもなかった。
かえって、リメンバー・パールハーバーと燃え上がった。

 唯我独尊の軍人を作り出してしまった旧軍の反省に立って、自衛隊幹部が「広い視野・科学的思考・豊かな人間性」を培うよう防大教育を展開し、また「シビリアンコントロール」(文民統制)を徹底してきました。

防衛大学校資料館内に設置した槙智雄初代学校長の記念室には「服従の誇り」という言葉が掲げられています。
それは国民と政府に対する服従を意味しています。
戦争を始めるのも、戦争を終わらせるのも、政治です。

 それを前提としたうえで、今、自衛隊は21世紀の多重化した安全保障に立ち向かおうとしています。
日本の領土をうかがう外国も脅威ですが、大災害も国民の生存にとって脅威です。
さまざまなレベルの脅威から国と国民を守るには軍と民の入り交じった努力が必要となっています。
最終的に自衛隊がしっかりと働けるよう、研究と訓練を積まねばなりません。
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2014年12月09日

開戦73年の決意 平和貫き「戦争する国」許さず

(小だぬき)
衆議院議員選挙のマスコミ予想は、低投票率を前提にして「自民・公明党 圧勝」予測を紙面に掲載しています。
もし棄権する・興味ない・めんどくさいなどと思っている「無党派」の方々、皆さんでマスコミ予測に挑戦してみませんか??
 自分が 反与党に投票して 高投票率になってもマスコミのいう「予測」通りになるかを・・・。
自分の投票権という権利を使って 政治を動かせるか

 まわりにも声をかけて「国民をなめるなよ」「まさか俺の投票は 予想していないなんて言わせないぞ」と散歩がてら 与党当確者と言われている人に一泡ふかせてみませんか??
今、無風選挙などといわれていますが、違いますよね。
生活でいっぱいいっぱいで 疲れているだけですよね。
何か 「俺たちを無視すると マスコミ予測など 吹き飛ばすぞ!!」と
 いい意味での遊び心で投票してみませんか??
少なくとも投票率を限りなく80%に近づけてみましょうよ。


開戦73年の決意 
平和貫き「戦争する国」許さず
2014年12月8日(月) しんぶん赤旗「主張

 歴史的な総選挙のさなか、1941年12月8日のアジア・太平洋戦争の開戦から、73年を迎えました。
日本がマレー半島とハワイを突然攻撃した日です。
その10年前に始めた中国東北部への侵略から45年の敗戦まで、310万人を超す国民と2000万人以上のアジアの人びとが犠牲になりました。

国民が戦後の憲法で、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」ことを誓ったにもかかわらず、安倍晋三政権は「海外で戦争する国」への道を突き進んでいます。

平和を貫き「戦争をする国」を許さない決意を実行していくことが重要です。

国民の目・耳・口ふさいで

 73年前の開戦と同じ日、全国の特別高等警察(特高)と軍の憲兵隊が、外国への諜(ちょう)報(ほう)の容疑で多数の国民を逮捕したのをご存じでしょうか。

ほとんどが身に覚えのないものでしたが、なかでも北海道大学教師のレーン夫妻と北大生の宮沢弘幸氏らが逮捕されたのは、誰でも見られる海軍飛行場のことを宮沢氏がレーン氏に話したのが、軍機保護法に違反するというものでした。
まったくの冤(えん)罪(ざい)です。

 「宮沢・レーン事件」として知られるこの冤罪事件は、開戦を進めた当時の政府が、国民の目、耳、口をふさぐために、どれほど乱暴な行為を重ねたかを示すものです。

宮沢氏は敗戦後釈放されますが、身体はぼろぼろで、すぐ亡くなります。
27歳の若さでした。

 安倍政権が昨年末成立を強行し、選挙中の10日に施行しようとしている秘密保護法は、「安全保障」に支障があるからとの政府の勝手な理屈で「特定秘密」を指定し、公務員だけでなく出入りの民間企業の従業員にまで厳罰を科すものです。
国民も「共謀」「教唆」「扇動」などの罪に問われかねません。
戦前の軍機保護法や国防保安法の再現です。
施行を許さず廃止に追い込むことが必要です。

 安倍政権は、秘密保護法の制定にとどまらず、事実上の“戦争司令部”になる「国家安全保障会議」の設置、「国家安全保障戦略」の策定、武器輸出の全面解禁、従来の憲法解釈を踏みにじる集団的自衛権行使容認の閣議決定など、日本をアメリカといっしょに「海外で戦争する国」に変える策動を重ねています。

選挙後にはアメリカとともにたたかう「ガイドライン」を改定し、集団的自衛権行使などの法整備をするとしており、改憲も視野に置いています。
まさに「戦争か平和か」の歴史的岐路です

 戦後の世界は、日本などの侵略行為を許さず、紛争は話し合いで解決することを原則にしてきました。
そうした世界の流れに逆らい、国民の平和の決意をないがしろにする「戦争する国」の策動に、総選挙での審判が不可欠です。

反戦平和貫く日本共産党

 戦前の暗黒政治のなかでスタートした日本共産党は、朝鮮半島や中国への侵略の企てに反対し、命がけで国民の暮らしと平和を守ってたたかってきました。
多くの日本共産党員や支持者が弾圧で獄につながれ、開戦の翌日にも「共産主義者」へのいっせい検挙が行われました。
共産主義者の名は戦争反対とつながっていたのです。

 反戦平和を貫く日本共産党を総選挙で躍進させることこそ安倍政権の「戦争する国」づくりへの最も厳しい審判です。
あと1週間力を尽くそうではありませんか。
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【無念!失われた老人票】〜施設に入っている人は投票出来る?出来ない?〜

【無念!失われた老人票】
〜施設に入っている人は
          投票出来る?出来ない?〜
Japan In-Depth 12月9日(火)15時0分配信


うちの母親は97歳である。
95歳までマンションに一人暮らしでピンピンしていたが、腕の骨を折ってから要介護2になり、ヘルパーさんの世話が必要になった。

その後1年半前に東京都世田谷区内の老人ホームに入ることを決意した。
高齢者がいつこうした施設に入るのか、実はタイミングが実に難しい。

誰しも健康で自立している時は、施設には入りたくないものだ。
イメージとして、老人ばっかりで気が滅入る、と思うのだろう。

しかし、寝たきりになってからでは手遅れだ。
受け入れてくれるところも限られてくる。

では自宅で看れるのか、という問題に子供は直面する。
かといって、本人に入る気がないのだから、これまた簡単にはいかないのだ。

政府は、「介護は家庭で」、という方向らしいが、ことはそう簡単ではない。
親の介護の為に離職したり、下手をしたら老老介護に疲れ果て無理心中などということになったらこんな悲劇はない。

さて、話は今回の選挙である。
結論から言うと、母親は投票をあきらめざるを得ない。

なぜか?当然、母が現在居るのは老人ばかりの施設である。
普通、老人ホームの中で投票できるのかと思うのが自然だろう。

実際、病院や老人ホーム等に入院・入所している有権者が、投票日当日に投票所へ行けない場合、その施設内で不在者投票をすることが出来る制度がある。


しかし、実態は違う。

まず、その老人ホームが東京都選挙管理委員会の指定がいる。
世田谷区内のすべてのこうした施設が指定を受けているわけではないのだ。
理由は様々あろう。
施設が出来たばかりで申請していなかった、だとか、申請はしたが認可が下りる前に総選挙になってしまった、とか。

筆者が区の選管に聞いたところ、身体障害者手帳を持っている人と、要介護5の人は、在宅投票が例外的に出来るという。

うちの母は要介護3である。
健康な人にはわからないだろうが、要介護3だと一人で期日前投票所に行くことは容易ではない。
自動車と車いすで行けばいいではないか、と思う人がいるかもしれない。
しかし、この冬空に気温の変化が激しい室内と外の行き来など、考えられない。

頭はしっかりしていてどの候補者か、どの政党か選ぶ能力がある母の選挙権がこんなにたやすく奪われてしまうことに驚いた。

母親は今も投票できると思いこんでいる。
施設からの説明もなかったし、区の選挙公報にもそんなことは何も書いてない。
還暦目前の自分を含め、団塊の世代諸氏もそう遠くない将来、施設入りだろう。
自分たちの投票の権利を確保する為にもこうした実態に目を向けるべきだ。

注)世田谷区の選管は、こうした選挙に関する制度は絶えず変わるので将来的にどうなるかはわからない、と説明した。

. 安倍宏行(Japan In-depth編集長/ジャーナリスト)
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2014年12月10日

人工知能で人類は滅亡する?  ホーキング博士の警告で議論再燃

人工知能で人類は滅亡する? 
ホーキング博士の警告で議論再燃
AFP=時事 12月9日(火)13時13分配信

AFP=時事】映画『2001年宇宙の旅(2001: A Space Odyssey)』に登場した狂気のコンピューター「HAL9000」。
『アイ, ロボット(I, Robot)』で、主人である人間を襲い始めたヒューマノイドたち。
そして、『ターミネーター(The Terminator)』で、未来の世界を支配する機械たちの脅威となる男を産んだ母親を抹殺するため、過去に送り込まれた殺人ロボット──。

こうした暗く陰鬱な人工知能(AI)に対する見解が、英理論物理学者のスティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士の発言によって再びメディアを賑わせている。

ホーキング博士、天国を否定 「暗闇が怖い人間のための架空の世界」

「われわれがすでに手にしている原始的な人工知能は、極めて有用であることが明らかになっている。
だが、完全な人工知能の開発は人類の終わりをもたらす可能性がある」と、ホーキング博士は先日、英国放送協会(BBC)に語った。

「ひとたび人類が人工知能を開発してしまえば、それは自立し、加速度的に自らを再設計していくだろう」

 しかし、AFPが取材した専門家たちの意見は分かれている。
人工知能の脅威は切迫したものではないにしても真剣に向き合うべきだとして、博士に同意する者もいれば、博士の警告は大げさだと反論する者もいる。

「ハードサイエンス分野の化学者が声を上げたことをうれしく思う。
私は何年も前から同じことを言ってきた」と、スイスのローザンヌ大学(University of Lausanne)の人類学者ダニエラ・セルキ(Daniela Cerqui)氏は言う。

 人工知能開発分野での進歩は、人間の能力をしのぐ機械を作りつつあると、同氏は主張する。
このままいけば、人命に関わる責任を機械に任せることになるだろうと、彼女は予測する。
「SFのように思えるかもしれないが、いま起きていることを見れば、それは程度の問題だ。
私たちはホーキング博士が警鐘を鳴らす道を一歩ずつ進んでいる」

 一方、英オックスフォード大学(Oxford University)で未来技術の影響に関するプログラムを率いるニック・ボストロム(Nick Bostrom)教授は、人工知能が人間を超えるという脅威は切迫していないと語る。
同氏は軍用無人機や自動運転者、工場で働くロボットなどを挙げ、現在使用されている応用法や、近い未来で使用される見込みの応用法では、人工知能はまだ人間の手中にあると指摘する。  

とはいえ、同氏は「機械の知能は最終的には生物の知能を超えるだろう。そしてその過程で人間の存在が大きく脅かされる危険性もある」とも語っている。

 他の専門家たちは、人間になりすまし創造的に考えることができるマシンとして定義される「真の人工知能」が完成するのは何十年も先の話だとして、ことさら騒ぎ立てるべきではないと注意を喚起する。

 この分野が1956年の会議で確立されて以来、「人工知能が向こう15〜25年以内に完成するという予測が唱えられてきた」と、オックスフォード大の研究者スチュアート・アームストロング(Stuart Armstrong)氏は言う。

「私たちが最近伝えられた何か壮大なニュースを見逃していない限り、今のところ(人工知能は)いずれもその域に到達していない」と、同氏は書著『Smarter than Us: The Rise of Machine Intelligence(われわれを超える知能:機械知能の台頭)』で記している。

 仏ピエール・エ・マリー・キュリー大学(Pierre and Marie Curie University)の人工知能専門家で道徳哲学者のジャンガブリエル・ガナシア(Jean-Gabriel Ganascia)氏は、ホーキング博士の警告は「大げさだ」と言う。

「私たちの生活を変える人工知能をめぐる多くのことは、動揺や不安を呼び起こす。
ホーキング氏は、人間とはかけ離れたところで自ら進化する技術になると語ったが、その証拠を提示していない。
根拠となるようなデータはない」

 英ブルネル大学(Brunel University)でコンピューターサイエンスの講師を務めるアラン・タッカー(Allan Tucker)氏によれば、人工知能が直面する最大の障害は、機械はしょせん機械でしかないということだ。

「私たちは何千年もかけて進化したおかげで今がある。
その原動力はサバイバル(生存)にある。
私たちに生来組み込まれている原動力だ。
人工知能にとってもカギとなるだろうが、実装するのはとても難しい」
【翻訳編集】 AFPBB News
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秘密保護法施行 息苦しい社会にするな

秘密保護法施行 息苦しい社会にするな
毎日新聞「社説」 2014年12月10日 02時30分

 ウォーターゲート事件でニクソン米大統領を辞任に追い込んだ記者を支え、10月に亡くなった米ワシントン・ポスト紙の元編集主幹、ベンジャミン・ブラドリー氏は「政権と政府はうそをつくものだ」という言葉を残している。

きょう特定秘密保護法が施行される。
歴史に照らせば、政府にうそはつきものだ。
この法律がそれを後押しすることを懸念する。

 自民、公明両党は2012年の前回衆院選で法の制定を公約として掲げなかった。

だが、国民各層の懸念の声を振り切って昨年12月、不十分な審議で法を成立させた。
衆院選の最中だからこそ、秘密法のもたらす影響について目を凝らしたい。  

◇解除後には一律公開を

 政府は、秘密法の制定に当たり、「外国と情報共有する上で必要な法律だ」と説明してきた。
だが、原案の協議過程で内閣法制局が「実際の秘密漏えいが少ない」などと立法の必要性に疑問を投げかけていた。

 私たちは、安全保障上必要な国の情報を一定期間、秘密にすることの必要性は理解する。

しかし、この法律は民主主義の基盤である国民の「知る権利」を阻害するなど副作用が大きすぎる
政府内の議論も踏まえれば本来なら廃案にすべきだが、施行された以上、マイナスを最大限減らさねばならない。

 国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあるとの理由をつければ、行政機関は意のままに特定秘密という箱に情報を放り込むことができる。
そこがこの法律の本質だ。
対象は防衛や外交、スパイ活動防止やテロ防止の4分野55項目に及ぶ。

 しかも、秘密指定は5年ごとの更新で30年、60年と延長でき、例外に該当すれば60年超でも秘密のままだ。
箱から情報を取り出すのは容易ではない。
国の情報は国民の公共財であるとの視点が欠けている。

 最大の問題は、政府の不正行為や腐敗を隠蔽(いんぺい)するために秘密指定がなされる可能性があることだ。

 1972年の沖縄返還に伴う密約を思い起こしたい。
日本が米国に財政負担することを両政府が合意した密約について、日本政府は米国立公文書館で密約を裏付ける文書が見つかった後も、文書の存在を認めなかった。

あるものをないとする体質がある以上、秘密法の下で文書の廃棄がされ「政権と政府のうそ」が一層巧妙に隠されるのではないか。

 政府は審議官級の独立公文書管理監のポストを新設し、秘密指定の妥当性をチェックするという。
だが、管理監から情報の開示や資料提供を求められても、各省庁は安全保障上著しい支障を及ぼすと主張すれば拒否できる。
このような小さい権限ではまともな判断は期待できない。

主権者である国民に正しい情報を知らせる。そうした立場で監視役が動ける仕組みに改めるべきだ。

 秘密の箱を開けたが、何も入っていなかった−−。
そうした事態も起こり得る。
公文書管理法の規定では、作成から30年以下で指定を解除された秘密文書は、首相の同意で廃棄できる。
首相が直接目を通すわけではなく、所管庁の意向に沿って廃棄が決まるのが大半だ。
 国民に公開すべき情報が永遠の秘密にならぬよう公文書管理法を改正して法の穴を埋めるべきだ。  

◇内部通報者を保護せよ

 秘密法は、自由な言論や健全な情報の流れが保障された民主主義社会の空気を変える恐れもある。
厳罰で人を縛る法律だからだ。

 特定秘密を漏らした公務員には最高懲役10年が科せられる。
秘密に迫ろうとした側も、「そそのかし」「あおりたて」「共謀」があったと当局にみなされれば、最高懲役5年だ。
これは、ジャーナリストか市民かを問わない。

記者の取材や議員、市民グループからの資料要求に対し、法の足かせで公務員が萎縮し、抑制的になることが当然予想される。

 政府は10月に閣議決定した運用基準で、違法な秘密指定を通報した者への配慮を盛り込んだ。
だが、特定秘密そのものを通報した場合、過失漏えい罪で処罰される余地が残る。
保護措置は極めて不十分だ。

 安倍晋三首相は衆院解散時、秘密法に触れて「報道が抑圧されるような例があったら(首相を)辞める」と述べた。
そこまで首相が言うのならば、法の拡大解釈などによる抑圧はないと信じたい。
ただし、いったん法が施行されれば、立法時の意図と無関係に動くこともある。

 戦前の軍機保護法は、国家の存亡にかかわる軍事機密を漏らした者を罰するためにできた。
だが、旅先で見かけた海軍飛行場のことを友人の外国人教師に話した学生や、遠くの島に大砲が見えたことを仲間に話した漁師が実刑判決を受けた。

 「そそのかし」といったあいまいな規定がある秘密法も警戒が必要だ。
逮捕・起訴しなくても、捜索だけで十分、威嚇効果はあるだろう。

 徐々に自由な言論の場が狭められていく息苦しさが社会を覆うことを恐れる。

権力から独立して国民の「知る権利」を守るべき報道機関の責任と役割が一層問われる場面だと自覚したい。

10年、20年後、秘密法の施行が時代の転換点になったと振り返ることがあってはならない。
posted by 小だぬき at 06:52 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

池上彰氏が日本の借金に警鐘 国のサービスを受けられなくなる?

池上彰氏が増え続ける日本の借金に警鐘を鳴らす
「国民の預貯金全額の没収しかない」
2014年12月9日 16時23分 トピックニュース

8日放送の「ここがポイント!!池上彰解説塾 3時間スペシャル」(テレビ朝日系)で、池上彰氏が、日本の借金の行く末について強く警告した。

番組では、池上氏が日本の借金問題を取り上げて解説した。
番組によると、国の借金は2014年9月の時点で約1,038兆円に及ぶが、政府の保有資産を差し引くと、実際は約400兆円だとみられる。

しかし、池上氏は番組中、対GDP比での「2014年度債務残高ランキング」を見せて解説を始めた。
このランキングでは国の経済力も加味されており、日本は対象31ヶ国中、財政難が伝えられるギリシャやイタリアを抜いて1位となっている。

また、池上氏は「他の国は増えたり減ったりしているのに、日本はひたすら右肩上がりで増えている」と指摘した。
この状態が続くと、政府が発行する国債の買い手がいなくなるため、これ以上の借金が難しくなるそうだ。
この場合、国のサービスを一切受けられない事態になるのだが、池上氏はこの悪夢のシナリオについて「遠い将来無いとはいえないよ」と予測した。

さらに「このままでは、国民が保有する1,000兆円分の預貯金を全額没収するしかない」と警鐘を鳴らした。

そして、日本と同じく借金漬けで「ヨーロッパの病人」と呼ばれたドイツの解決策を紹介した。ドイツ政府は「失業保険の削減」「健康保険の自己負担額引き上げ」などの大胆な施策を採り、大幅に持ち直したという。

池上氏は「さあ、日本にこれができますか?」と痛みへの覚悟を問いかけた。
posted by 小だぬき at 14:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする