2024年01月12日

刃物を持った人間と遭遇したとき、生死を分ける「初動」とは?

JR山手線車内刺傷事件の教訓
刃物を持った人間と遭遇したとき、生死を分ける「初動」とは?
松丸俊彦:セキュリティコンサルタント
2024年01月11日  ダイヤモンドオンライン

刃物で強襲されたとき、生死を分けるのは「初動」。
極限の状況で取るべき行動は何か、わからない人の方が多いのではないだろうか。
1月3日に山手線内で発生した殺傷事件は、いつどこで起こるかわからない。自分や大切な人の命を守るためには、事前に知識を持っておくことが肝心だ。
「刃物から身を守る方法」と「犯人から逃げるときの注意点」をこの記事で確認してほしい。(防犯コンサルタント 松丸俊彦)

事件に巻き込まれない ための「準備」
 刃物で強襲された時の対処法や犯人と距離を取る方法はもちろん大事ですが、不審者をいち早く見つけ、 至近距離で事件に巻き込まれないようにすることが前提です。
 そのために重要なのが、周りに注意を配るということです。
当たり前のことですが、スマートフォンを使ったり、イヤホンをして音を遮断していたりする人が多く見受けられます。
これでは、不審者に襲われた時にどうしても初動が遅れてしまいます。 

 実際に、21年10月31日に京王線内で起きた殺傷事件の映像で、乗客が隣の車両から走って逃げてきているにもかかわらず、 ヘッドホンをしていて逃げ遅れている人が映っていました。
イヤホンをするにしても片耳は空けた状態にしたり、スマホをずっと眺めるのではなくて頻繁に顔を起こしたりすることで、初動への反応スピードを上げることができます。  

では、不審な人物はどのように特定すればいいのでしょうか。第六感を使ってください。
皆さんも電車内などで「何かが怪しい」と感じる人と遭遇したことがあると思います。
そうした、言葉には表せない直感が非常に重要です。
思い込みや差別に基づいた判断には気をつけながら、感覚的な気づきを得られるように周りに気を配ってください。
 不審な人物を見つけた場合は、 その人物を意識に留めておいてください。
そして可能であれば 距離を取るようにしてください。

いつも乗るお気に入りの車両を諦めて、少し離れた車両に移るとよいでしょう。
この方法は、突然襲われた時だけではなく、 ストーカーや痴漢といった 継続的な犯罪を防止することにもつながります。
家や職場を出る時に違和感を感じた人物や普段見かけない車がいれば、それらを気に留めておくのです。

 公安時代の私の経験で言うと、こうした習慣を継続することで日常に潜む違和感への感度を徐々に高めることができます。 皆さんの生活にもぜひ取り入れてみてください。
まずは日頃から被害を未然に防ぐための準備が肝心です。

交戦してはいけない 
 普段から気を配っていても、殺傷事件に巻き込まれない可能性はゼロではありません。
では、刃物を振りかざす人間に遭遇したとき、どのような対応を取ればよいのでしょうか。
先ほど言ったように、最も大切なのは初動です。ここで、その後の結果が大きく変わります。

 警察官は至近距離から刃物で急襲されたときの対処法の訓練をします。
そこで徹底的に叩き込まれるのも初動の動きなのです。
 それは、モノで犯人の刃物を叩くことです。
モノというのは、外出先では身につけているバッグや買い物袋などです。
交番では、机の上にメモ板が置いてあることが多いのでそれらが使えます。

 初動で最優先されるのは、相手の第一撃を防ぐことです。
したがって、ここでの叩くという動作は攻撃ではなく防御を目的とします。
その際に、攻撃の軌道から自分の体を外すことが重要です。
とても高度な話になりますが、凶器を叩きながら自分の体を犯人に対して閉じて正面を見せないようにできると攻撃を受ける確率を下げることができます。
 相手の第一撃を交わしてもまた襲ってくる場合、基本的にはこの動きを繰り返すことになります。
よほど武道の修練を積んでいる人でない限り、打突や投げで相手を制止しようとしないほうがいいでしょう。
かえって危険です。
 私は警察官で武道経験があるので、いざとなったらタックルなどで相手を制止することも考えますが、一般の方は控えてください。

アメリカの国務省が出しているテロ対策では「ラン(Run)・ハイド(Hide)・ファイト(Fight)」という原則が掲げられています。
まず、走って逃げる、次に隠れて身の安全を確保する、そして、最終手段として戦うとしているのです。
犯人検挙や正義のためにファイトすることは、絶対にやめてください。
あくまで何もしなければ座して死を待つのみという状況になった場合のためのファイトです。

欧州の国々では、「ファイト」を勘違いする人がいることを懸念して、「ラン・ハイド・テル(Tell)」と通報を呼びかけるだけで、攻撃は推奨していないくらいです。
まずは逃げることを考えてください。

犯人から「伏せろ」と言われたらどうする?
 犯人に遭遇した瞬間に絶対にしてはいけないことが2つあります。
 1つ目は、声をあげることです。悲鳴は押し殺してください。犯人のターゲットになりやすくなるからです。
犯人を刺激することだけは絶対に避けてください。
例えば、こう着状態になったときに説得を試みることも犯人にとって刺激となる恐れがありますので、やめてください。
逆に犯人からの指示には従ってください。
「床に伏せろ」と言われたら伏せてください。指示に反抗して犯人にストレスをかけることは避けましょう。
 監禁状態で犯人と人質との間に信頼関係が発生する現象をストックホルム症候群といいます。
電車内ではあまり起きないと思いますが、監禁状態で人質になってしまったときは、ストックホルム症候群を積極的に起こすようにしましょう。生存確率を上げることができるからです。
しかし、その際も自分から信頼関係を築こうとしてはいけません。犯人を怒らせる可能性があります。
ひたすら犯人の言うことを聞き、話しかけられたときだけ話すようにしてください。

 2つ目は、背中を向けて逃げること。
目の前に刃物を持った人間がいて一目散に逃げ出したくなるのは理解できます。
しかし、それでは犯人の攻撃からも目をそらすことになります。
背後から襲われると初動で最も重要な防御をすることもできません。
凶器による攻撃が届く範囲にいる場合は犯人のほうを見ながら、後ずさりしてください。
常に犯人を視界に留めていてください。
犯人の攻撃範囲から出て、距離を取ることができて、なおかつ犯人が背中を見せたタイミングで逆方向に全速力で走ってください。
 皆さんが刃物を持った人間に遭遇する可能性はかなり低いと思います。
しかし、いざというときに備えておかないと、適切な対応を取ることができず、命を落とすことに繋がりかねません。

犯人に遭遇しないための予防と遭遇した場合の対処法をしっかり押さえて、自分の命を守る行動をとってください。
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2024年03月10日

読書をしたいけどする暇がない…なぜ? “時間泥棒”の正体とは?

読書をしたいけどする暇がない…なぜ? “時間泥棒”の正体とは?
3/9(土)  オトナンサー

読書の時間を増やすには?
 「読書をしたいけど、時間がない」と感じる人は、多いのではないでしょうか。
コラムニストである筆者は、多忙な中でも記事執筆のために年間1000冊の本を読んでいます。
そこで、今回は自著の「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)を基に、読書の時間を増やす方法を解説したいと思います。

スマホの利用時間は1時間超
 結論からいうと、読書の時間は日々のスマホの利用時間を見直すことで簡単に増やすことができます。

 例えば、NHK放送文化研究所が2021年に実施した、スマホの利用時間に関する調査によると、「スマートフォン・携帯電話」の利用時間は、世代全体で1日当たり平均1時間18分だということです。

 20代は男女とも3時間半近く使っています。
30代以上では、年層が上がるほど、利用時間が短くなっていきますが。
男女30代で2時間以上、男女50代でも1時間以上利用しています。
全体の1時間18分のうち、自宅外での利用時間が27分なのに対し、自宅内での利用時間が51分と、自宅内での利用時間の方が長いという結果も明らかになりました。

 特に20代の男女は、いずれも自宅外での利用が1時間13分ですが、自宅内での利用時間は、男性2時間13分、女性2時間15分と、自宅外での利用時間よりも1時間以上多くなっていました。

 これらの結果から、若年層に限らず、さまざまな年代の人が、スマホを主に自宅で利用していることが分かります。
現代において、スマホはコミュニケーションや情報収集を効率化するだけでなく、エンターテインメントを提供してくれる最も身近なツールであり、自宅の中で楽しんだり、くつろいだりするときに欠かせないものになっています。

 そのスマホを1日の中で一定時間触れない時間を決めたり、目の見えない場所に置いたりしておけば、本を読む時間をつくることが可能です。

活字離れなんて言わせない
 ところで、現代は活字離れの傾向が著しいと指摘する識者がいます。
その根拠に、多くの調査結果では「本を読まなくなったこと」「出版不況」を活字離れの理由にしていますが、このような解釈には違和感を覚えます。

 スマホで音楽を聴くときは別として、ゲームや漫画、雑誌などは活字を多く含みます。文字を読まなくなったわけではありません。
つまり、活字離れをしたわけではなく、活字の利用状況が変化していると考えた方が分かりやすいでしょう。

 活字媒体の利用状況は、時代とともに変化しています。
かつては、書籍や新聞が情報収集や娯楽の中心的な役割を果たしていましたが、近年ではインターネットやスマホの普及により、動画や音声などの非活字媒体の利用が拡大しています。
そのため、活字媒体の利用時間が減少しているように見えるかもしれませんが、必ずしも「活字離れ」が進んでいるとは限りません。

 また、活字媒体は、情報を正確かつ客観的に伝えることができ、思考力を養うことができます。
学校や仕事の現場で活字が使われなくなることは考えられません。
活字媒体の利用状況は変化しているものの、活字媒体の価値は変わらず、人々の生活に欠かせないものとして存在し続けています。

 今から30年以上前は、スマホはおろか、ガラケーやパソコンも一般家庭に普及していませんでした。
ただ、そんな時代でも、不自由さを感じませんでした。
私たちは、これらのツールの普及とともに、時間を割り当てるようになりましたが、これからは、スマホの代わりに読書の時間を割り当てればいいのです。活字離れなどは発生していません。

 何度も言いますが、スマホの利用時間を減らすことで、本を読む時間に充てることができます。
活字媒体は非活字媒体よりも情報の正確さや思考力の向上に優れており、時代に関係なく価値があります。
ぜひスマホを置いて、本を手に取りましょう。

コラムニスト、著述家 尾藤克之
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2024年04月21日

【思考力チェック!】天使は必ず真実を言い、悪魔は必ず嘘をつき、人間はランダムに真実や嘘を言う。A「私は天使ではない」、B「私は悪魔ではない」、C「私は人間ではない」。それぞれの正体は?

【思考力チェック!】
天使は必ず真実を言い、悪魔は必ず嘘をつき、人間はランダムに真実や嘘を言う。
A「私は天使ではない」、B「私は悪魔ではない」、C「私は人間ではない」。それぞれの正体は?
野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター
2024年04月20日 ダイヤモンドオンライン

「天使は必ず真実を言い、悪魔は必ず嘘をつき、人間はランダムに真実や嘘を言う。A、B、Cの発言から、それぞれの正体がわかるか?」
これは知識や計算はいっさい不要で、「考える力」のみが問われる「論理的思考問題」のひとつ。
論理的思考問題はGoogle、Apple、Microsoftといった超一流企業の採用試験でも出題され、「スティーブ・ジョブズ超えの天才」と言われたあのピーター・ティールも自社の採用試験に取り入れた。
これまでの正解が通用しない時代に必要な「思考力」を鍛える「最高の知的トレーニング」でもある。

そんな論理的思考問題の傑作を世界中から収集し、解説した書籍が『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』だ。
「論理的思考」「批判思考」「水平思考」「俯瞰思考」「多面的思考」が身につく67の問題を紹介。
「頭のいい人の思考回路」がわかり、読むだけで、一生モノの武器となる「地頭力」が鍛えられると話題。
この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「論理的な思考ができる人」だけが解ける問題を紹介する。(構成/石井一穂)

■矛盾のない真実を導けるか?
 論理的に考える感覚をつかむために、まずは論理的思考問題で最もオーソドックスな問題を考えてみましょう。
 次のページで、正解と考え方をお伝えします。

*************************************
<正解>
 A:人間 B:悪魔 C:天使

 いつも本当のことを言う「天使」と、いつも嘘をつく「悪魔」。
 彼らが登場するこの形式は「天使と悪魔のクイズ」とも呼ばれ、さまざまな類問が存在します。

 今回は最もシンプルで、難易度はかなりやさしいレベル。
 小学生でも解けるためヒントはありません。

 1人ずつ順を追って、発言とその特徴に注目していきましょう。

仮定からはじめよう
 問題文を読んで「1人ずつ地道に正体を考えていくしかないのかな……」「めんどくさいな」と思った方もいるのではないでしょうか?

 ええ。残念ながら正解です。

 論理的思考とは一瞬で何かを解決してくれる魔法ではなく、正しい答えを地道に導くための武器です。

 よって論理的思考の基本は、
「もし○○だったら……」と、仮定と検証を繰り返すことです。

 というわけで考え方としては、「もしAが天使だとしたら」「悪魔だとしたら」「もしBが」「もしCが」と仮定して、矛盾が起きるパターンを消していきます。

 さて、基本はこれで大丈夫なのですが、この問題をややこしくしている「人間」という存在には注意が必要です。
「人間」はランダムに真実や嘘を言うため、発言がヒントになりにくく、消去法で見つけるしかありません。

 そこで、まずは発言がつねに一貫している天使や悪魔について考えていきましょう。

1人目の正体は?

 まず、Aが天使だと仮定した場合。

「私は天使ではない」の発言は「真実」となります。
 つまり、Aは「天使ではない」ということに……。

 Aを天使だと仮定すると、仮定と発言に矛盾が生じてしまいました。
よって、Aが天使ということはありえません。

 では、Aは悪魔なのか?

 その場合、Aの「私は天使ではない」の発言は「嘘」となります。
つまり、Aは「天使である」ということに……。
 Aを悪魔だと仮定すると、仮定と発言に矛盾が生じてしまいました。

 つまりAは悪魔でもありません。

 残された可能性はたったひとつ。
 Aは「人間」です。


2人目の正体……?

 次に、Bの正体を考えてみます。
 Bが天使だった場合、「私は悪魔ではない」の発言は「真実」ということになります。
ここに仮定との矛盾はありません。

 ではBが悪魔だった場合は?
「私は悪魔ではない」の発言は「嘘」であり、Bは悪魔だということになります。

 ここにも仮定との矛盾はありません。

 つまり、
Bが天使か悪魔のどちらかは、まだ特定できません。


3人目の正体へ

 Bが特定できないため、Cについて考えてみます。

 Cが天使だった場合、「私は人間ではない」の発言は「真実」ということになり、「Cは天使である」という仮定との矛盾はありません。

 では、悪魔だった場合はどうでしょう。
「私は人間ではない」の発言は「嘘」であり、Cは人間だということになります。
これでは、「Cは悪魔である」という仮定と矛盾します。

よって、Cは「天使」でしかありえません。

 そして、最後に残ったBが「悪魔」ですね。


「思考」のまとめ

 とてもシンプルですが、「仮定して考え、矛盾のない真実を導く」という、論理的思考のエッセンスが詰まった良問です。
わかっていることから思考をはじめて、論理がつながるかどうかを確かめていく。
 これが論理的思考の基本となります。

 加えてこの問題では、「正体がわからない人物」をいったん排除して考えることも重要なポイントでした。
「不確定な情報」を見抜くことも、論理的に考えるうえで大切なので、覚えておくとよいでしょう。


 ・わかっている情報を手がかりに考えるのが「論理的思考」の基本
  ・ひとつずつ仮定しながら、論理が成り立つか考えていく

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

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2024年04月22日

【思考力チェック!】それぞれ「E」「R」「2」「9」と書かれた4枚のカードがある。「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数である」というルールが成立しているか確認するには、どの2枚を裏返せばよい?

【思考力チェック!】
それぞれ「E」「R」「2」「9」と書かれた4枚のカードがある。
「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数である」というルールが成立しているか確認するには、どの2枚を裏返せばよい?
2024年04月21日 ダイヤモンドオンライン
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【思考力チェック!】
それぞれ「E」「R」「2」「9」と書かれた4枚のカードがある。「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数である」というルールが成立しているか確認するには、どの2枚を裏返せばよい?
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「“母音が書かれたカードの裏はかならず偶数である”というルールが成立しているか確認するには、どの2枚を裏返せばよい?」

これは知識や計算はいっさい不要で、「考える力」のみが問われる「論理的思考問題」のひとつ。
論理的思考問題はGoogle、Apple、Microsoftといった超一流企業の採用試験でも出題され、「スティーブ・ジョブズ超えの天才」と言われたあのピーター・ティールも自社の採用試験に取り入れた。
これまでの正解が通用しない時代に必要な「思考力」を鍛える「最高の知的トレーニング」でもある。

そんな論理的思考問題の傑作を世界中から収集し、解説した書籍が『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』だ。「論理的思考」「批判思考」「水平思考」「俯瞰思考」「多面的思考」が身につく67の問題を紹介。
「頭のいい人の思考回路」がわかり、読むだけで、一生モノの武器となる「地頭力」が鍛えられると話題。
この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「慎重な判断ができる人」だけが解ける問題を紹介する。(構成/石井一穂)

■証明にひそむ罠に気づけるか?
 これまでとは少し毛色の違う、「証明」についての問題です。
 確実な答えを得るために確認すべきことを、直感を疑って考えてみましょう。

<正解>
「E」と「9」を裏返す

 またしてもカードの問題ですが、今回は確率の問題ではありません。
 どちらかというと、純粋な論理力が試されます。

 かなりシンプルな答えになりそうですが、ちょっとした発想の転換が必要になります。

直感で答えると……

「E」と「2」を裏返せばいいのでは?
 そう思った方が多いかもしれません。

 先に言ってしまうと、「E」は正解ですが「2」は間違いです。

「E」を裏返すことが正しいのは明白です。

「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数である」というルールが成立するには、当然、母音である「E」の裏に偶数が書かれていなければいけません。
 なので、このカードを裏返すのは確定です。

 そして多くの人が「2を裏返して、そこに母音が書いてあればルールを証明できる」と考えます。
 ですが……残念ながら不正解です。

 ここで見落としがちなのが、「9」の存在。

 仮に「2」の裏に母音が書かれていたとしても、
「9」の裏にも母音が書かれていたら、ルールは成立しません。 

ルールの見落とし
「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数」
 このルールが成立しているかどうかを確かめるのが本問の趣旨です。

さて、ここからが重要なのですが、
「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数である」
というルール、これは「偶数が書かれたカードの裏もかならず母音である」という意味ではありません。

 たとえ偶数の裏が子音であっても、「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数」というルールには違反しません。

 すなわち、
 偶数が書かれたカードの裏は母音でも子音でもかまわないのです。

確認すべき2枚目は「9」
 一方で、奇数が書かれたカードの裏はかならず子音でなければいけません。

 奇数のカードをめくって、そこに母音が書かれていたら、「母音が書かれたカードの裏はかならず偶数である」のルールが破綻するからです。
 よって、裏返して確認すべきなのは奇数である「9」です。

 以上より「E」と「9」を裏返すことで、この4枚のカードにおいてルールが成立しているかどうかを確かめられます。


「思考」のまとめ
 世界的に有名な認知心理学者ウェイソンが考案した「ウェイソンの4枚カード問題」がもとになった問題です。
 当時、正解率は10%未満だったことでも知られています。

 この問題、じつは過去に習ったことが役に立ちます。

 高校の数学で習った「対偶」を覚えているでしょうか。
「AならばBである」が成り立つとき、「BでないならばAではない」も成り立つという法則です。

 たとえば「人間ならば動物である」が成り立つとき、「動物でないならば人間ではない」も成り立つということです。

 この対偶の概念を、今回の問題に当てはめて考えてみましょう。


 命題:片面が母音ならば、その裏面は偶数である
 対偶:その裏面が偶数でないならば、片面は母音ではない


 こうしてみると、「偶数でないカードの裏を確かめる必要がある」と、わかりやすいですね。
学生の頃、「こんな勉強が何の役に立つんだろう」と思った人は多いと思います。
 ただ、いっけんあまり役に立ちそうにない知識でも、思わぬかたちで役に立つものです。

 私たちが一生懸命努力して勉強してきたことは、将来にも何かしらの力になっていくはずです。


 ・「何が確認できればいいのか」だけでなく、「何が確認できなければいいのか」という視点で考えることも大事


(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)


野村裕之(のむら・ひろゆき)

都内上場企業のWebマーケター
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2024年05月15日

ローマ字表記70年ぶり改定へ

ローマ字表記70年ぶり改定へ
2024年05月14日 TBS NEWS DIG

ローマ字表記の原則見直しへ 文部科学大臣が文化審議会に諮問 「し」の表記は「si」? それとも「shi」?

70年前に定められたローマ字のルールをめぐり、文部科学大臣が文化審議会に対し、ローマ字表記の在り方などを検討するよう諮問しました。

ローマ字について、日本には「し」を「si」と表記する「訓令式」「shi」と表記する「ヘボン式」の2つの表記があります。


一般的に地名などをローマ字で表記する場合には「ヘボン式」が使用されている一方で、1954年の内閣告示で「一般に国語を書き表す場合」に「訓令式」を使うと定められているため、学校ではローマ字の学習の際に「訓令式」が使われています。

しかし、それから70年が経ち、日本語を母語としない外国人への配慮や、英語のつづりに近い「ヘボン式」が浸透してきたことなどを踏まえて、「訓令式」をローマ字表記の基本としてきた原則を見直す方向で議論されてきました。

こうした議論を踏まえて盛山文科大臣はきょう、文化審議会に対し、ローマ字表記の在り方などを検討するよう諮問しました。

今後、文化審議会からの答申を受けて、内閣告示が改定される見通しです。
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2024年06月06日

「誰に何を聞くか」しだいで人生は大きく変わる

「誰に何を聞くか」しだいで人生は大きく変わる
知りたいことがあれば、臆せず聞きに行こう
多田 智裕 : AIメディカルサービスCEO
2024/06/05 東洋経済オンライン

今、世界的に注目されている医療AIスタートアップ「AIメディカルサービス」。
内視鏡AI(人工知能)という技術で世界に挑もうとしている。
創業者の多田智裕氏は、東京大学病院を30代で辞め、埼玉にてクリニック開業後、スタートアップという別世界に身を投じた。
そうした人生の転機にあたり、いろいろな人に話を聞きに行ったことが役に立ったという。
他人に学び、自分の力とするにはどうすればよいのか?
2024年5月に発売した著書『東大病院をやめて埼玉で開業医になった僕が世界をめざしてAIスタートアップを立ち上げた話』から抜粋・編集してお届けする。

経験していない人に話を聞いても意味はない
東大病院をやめて埼玉で開業医になった僕が世界をめざしてAIスタートアップを立ち上げた話

あまりご存じないかと思いますが、日本には、クリニックを開業しようとする医師のために、たくさんの開業コンサルティング会社が存在しています。
物件選びや資金繰り、看護師やスタッフは何人雇えばいいか、広報はどうしたらいいかなど、わからないこともたくさんありますから、開業コンサル会社にお願いする人も少なくないようです。
しかし、私は使いませんでした。なぜでしょうか。

実はずっと以前から、ファイナンシャルプランナー(FP)に資産運用を相談する人がいると聞くにつけ、私は不思議でなりませんでした。
そのFPが自分の資産運用に大成功した人であるのであれば、そのやり方を聞くのに私にも疑問はありません。
ただ、そんな人はFPとして働くことをとっくに辞めて、投資家になるなり悠々自適に暮らすなりしているはずです。

実際は、相手のファイナンシャルプランナーの運用実績さえ知らないまま、大切なお金についての相談をする人が多いのではないか。私はそれが疑問だったのです。

開業コンサルも同じです。実際にクリニックを開業して成功した人が開業コンサルをやっているのならいいのですが、ほとんどはそうではありません。
開業で成功した経験のある医師が行うコンサル会社もあるにはありますが、数えられるくらいしかありません。

開業コンサルは、普通のビジネスパーソンです。
開業してきた人たちをかたわらでたくさん見てきたかもしれませんが、実際に開業した経験があるわけでは決してありません。実際にすべてやったのと、脇からその一部を見ているのは雲泥の差があります。
コンサートの歌手と観客くらい身につく実力が違うでしょう。

そういう人たちの言いなりになり、アドバイスをもらうだけならまだしも、大切な判断を任せるというのは、私には理解ができませんでした。
場合によっては数百万円にもなる高額の手数料を払って、アドバイスをもらう意味がどうしても見出せませんでした。

すでに成功している先輩に話を聞きに行った
では、私はどうしたのかというと、クリニックの開業に成功している大学の先輩方に会いに行ったのです。

「ちょっと話を聞かせてもらえませんか」とお願いすると、多くの方が快諾してくださり、すぐに会ってくださいました。

もちろん手土産くらいは持っていきますが、それで1〜2時間、いろいろためになる話を無償で聞くことができたのです。
皆さん実際の経験者であり、開業に成功している人たちですから、コンサルよりはるかに学びになったと思います。

当時はまだ東大卒の開業医が少なかったこともあって、「こっちの世界に来るの? ようこそ、おいでよ」という雰囲気でした。
「こっちの世界」と言いましたが、医師にとって勤務医から開業医になるということは、鏡の反対側に行くようなものです。

どういうことかというと、給料をもらう側から払う側になるということです。
ボーナスももらう側ではなく、支払う側になるわけです。

給料を払う側になれば、いろいろなリスクも発生しますし、カバーする業務範囲も増えますし、雇われているときには必要とされなかった税務や会計の知識も学ばねばなりません。

その一方で、大学で雇われている医師にはできない医療ができます。
自分がこだわった医療機器をそろえるのも、最高のスタッフを時間をかけて厳選して採用するのも、思いのままです。

自分のやりたい医療ができる。
先輩方の経験談を聞くにつけ、開業への意欲はますます高まっていきました。

成功者はいつもウェルカム
お願いすると、すぐに会ってもらえたと言いましたが、私は別に強力なコネクションを持っていたわけではありません。
もし勝因があるとしたら、「頼んでも、きっと教えてくれないだろう」と尻込みせず、まず門をたたいてみたことでしょう。

自分が本当に話を聞きたいと思うような人物だったら、門前払いなどせず、きっと門戸を開いてくれるはずだ!
 そう信じて、まずはメールでも電話でもしてみることです。
意外に相手はすんなりと応じてくれるはずです。

のちに起業するときも、このスタンスで通しました。
実際に起業し、数十億の大型資金調達を成し遂げた人に会いに行って、起業のやり方のアドバイスをもらいました。

その中には、それまで会ったこともない方も多くいました。

なぜ面識も何もない人間が、聞きに行って教えてもらえるのでしょうか。
私も、自分から話を聞きたいと言っておいてなんですが、彼らが私と会うメリットがどこにあるんだろうとは思っていました。

しかし、実際に話をしてみて感じたのは、「こんなふうに会ってくれるような人だからこそ、成功しているのだ」ということです。
損得抜きに、同じ業界に入ってくる後進の面倒を見るような人だからこそ、成功をつかんでいるのです。

逆に言えば、人をむげに扱ったりするようでは、成功はおぼつかない、ということなのでしょう。

ですから皆さんも、何か知りたいことがあったなら、恐れず聞きに行くべきです。
礼儀さえ守ればあなたが思う以上に門戸は開かれている

「そうはいっても、自分は、相手に役立つ情報を何も持っていない。
本当にアドバイスを聞くだけの面会になってしまって、失礼ではないだろうか」という人もいるかもしれません。

それでも、「私はこういう現場で、こういうことを実践しています」とか、「僕はこんな研究をしていて、今のところこんな結果が出ています」とか、少なくとも「私はこのようなことをやりたくて、このような計画をしています」ということくらいは話せるでしょう。

私も今、話を聞かれる立場になって思いますが、そういう新しい取り組みの話を聞くだけで、相手は十分なのです。
それで年代の違う人からの視点や、最新情報を得られるだけで十分対等な取引になると思います。

ただし、一度会ったあとは、その後どんな展開や進捗があったかを連絡したり、報告したりしておくのが礼儀です。
聞きっぱなしで、「その後どうしたんだろう?」と思わせるのが一番失礼です。

特に、誰かを紹介してもらったときは、会ってどうだったかももちろん報告してください。
紹介した先との関係もありますから、こちらが思う以上に首尾を気にしているものです。
こうした礼儀さえ守れば、会いに行くことを恐れないことです。
あなたが思う以上に門戸は開かれています。
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2024年06月17日

恥かきました〜!読み間違いあるある

恥かきました〜!読み間違いあるある
6/16(日) たまひよONLINE

●6月16日は「和菓子の日」

西暦848年の平安時代。
日本では疫病がはやっていたため、当時の天皇が6月16日に16の数にちなんだ菓子、餅などを神前に供えて、疫病を除け健康をお祈りしました。
厄を払って福を招くこの行事は、室町〜江戸時代くらいまで盛んに行われていました。
豊臣秀吉が恒例行事として祝っていたという記録もあるそうです。
この行事を由来に、和菓子の日が制定されました。

おいしい最中=おいしい、さいちゅう??

和菓子には季節を感じさせるものも多く、その名前も風情や赴きがあります。

たとえば、雪の下から新芽が萌え出る様子を表現した「芽吹き(めぶき)」、11月には茶色に白い粉糖を振った「初霜(はつしも)」などなど。そんな和菓子の名前ですが、昔から伝わっていることもあり、どう読めばいいのかわからないものが多々あります。

その代表的なのが「最中」。
さいちゅうと読んでしまった人もいるのではないでしょうか?
口コミサイト『ウィメンズパーク』でも、間違えて読んで恥ずかしい思いをしているママや、子どものおもしろい読み間違いが並んでいました。

「娘がスーパーで『お正月に食べ過ぎたから、“だんしょく”した方がいいかも』と。男色? なぜ男色?とビックリしましたが、断食(だんじき)の事でした。周りのおばさまに笑われてしまいました」

「チラシの求人募集を見た息子、『オネエを募集してるよ』。
男女募集中でした。おとこおんなと、読んだらしい(笑)」

「幼稚園の息子がテレビの教育番組を観ていて『小学生なまものって何?』と。 “小学生、生物(せいぶつ)”と書いてありました」
確かに小学生はなまものですが(笑)。

「子どもが『“だいにんきない”ってなに?』と聞いてきて、???。正解は“大人気ない(おとなげない)”でした」

言われて気付きましたが、だいにんき と おとなげ って同じ字なんですね。

「中学3年生の娘が『友だちの履いてるニケの靴、買って〜』。はい、NIKE(ナイキ)のことです。
友達の前で言わなくてよかったね、と思う母でした」

大丈夫!ナイキが日本に上陸した頃は、そう読んでしまった大人がとてもたくさんいましたよ。

大人だって間違えます(恥)


「天気予報を見て、私が『明日は、さむけが強いんだって』と何の疑いもなしに言うと『えっ?ママ、マジで言ってんの? それ、カンキやし…』と呆れられました」

「『ねぇ、“こまめ”って何の豆かな?』と夫に言うと、『いや、あずきやから…、恥ずかしいから大声で言うのやめて…』と言われましたぁ〜」

「英語のテスト用紙のnameの欄。『おお、“なめー”かあ、先生、江戸っ子かい?』と思ってたら“ネーム”だったよ…。テストの結果は、推して測るべし(泣)」

“愛猫”を“あいねこ”と読んでました。正しくは“あいびょう”ですよね。人前で口にしなかったのが唯一の救いです」

ゲッ!知りませんでした!

「まだマルイが東京にしかない頃、上京してマルイを探していたんですが、『オイオイならあるけどマルイはないなぁ』とすっとぼけたことを友だちに言ったら目の前に。OIOIをオイオイって読んでました」

上京あるあるですね。

カタカナの“”ってまぎらわしい!
口(くち)を、カタカナのロと混乱するパターンも。

関口メンディーを、“せき ろめんでぃー”と読んでました〜」

「お菓子を勝手に開けて食べていた息子を注意すると『だって、あけロ(あけろ!)って書いてあるから』と逆ギレ。いや、あけ口(あけくち)なんだけどね。4歳にして確信犯です」

「ある日、駐車場から車を出す際、誘導表示に従っていたときのこと。
私が『この駐車場なんで命令口調なわけ?感じ悪っ!『出口(でろ)って書いてある』と夫に言うと、『……出口でしょ』。
夫には呆れられましたが、私はツボにはまってしばらく笑いが止まらなかったです」

コントか!?

「ハガキが来て、担当者の名前を見たらシエロさん?外人か?江口さんでした

髪染め液のシエロありますよね。売り出し広告を見て“江口”と読んでいました
「鶏肉のパッケージ。ロ”(ももモモ一口”(ももひとくち)を、“モモろ-)と読んで、ずっと新種の鶏肉かと思っていました」

日本語って難しい!

読み方に自信のないときは、声に出して言わないようにしないといけませんね。
特に、子どもの前では特に。

(文・井上裕紀子)

■文中のコメントはすべて、『ウィメンズパーク』(2022年1月末まで)の投稿からの抜粋です。
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります
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2024年08月21日

「ほとんどの人が勘違いしていることは何?」というお題で出てきた、わかりみが深い回答・ベスト1

「ほとんどの人が勘違いしていることは何?」というお題で出てきた、わかりみが深い回答・ベスト1
2024年08月20日 ダイヤモンドオンライン

「とにかく面白い!」「頭の体操になる!」

それくらい話題になっている「大喜利」。
大喜利のように「斜め上の発想を出す」というスキルは、「面接での一言」「LINEでのうまい返し」「新企画のアイデア」などに使える“万能スキル”でもある。
そんな大喜利について、世界で初めて思考法をまとめた話題の著書『大喜利の考え方』では、「どうすれば面白い発想が出てくるのか」「どんな角度で物事を見ればいいのか」などを超わかりやすく伝えてくれている。
そこで、この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、大喜利的な思考法を詳しく解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

■「大喜利」に取り組んでみよう

 世の中は大喜利ブームです。
 そして、みなさんにもぜひ大喜利に取り組んでほしい。

 そうはいっても、どうやって大喜利に取り組めばいいのか、わかりませんよね。

 ここで、1つの補助線を引きましょう。
 それが、「お題 → 素材 → 加工」というステップです。

 まずは、「お題から連想する素材」をどんどん出すことです。

<お題>

「ほとんどの人が勘違いしていることは何?」選手権
 というお題を元にしましょう。

 どんな回答を思いつきますか?

 まずはなんでもいいから思いついたものを出してみてください。
 それらが大喜利の「素材」になります。

<回答>

 ニュースでの「乗客の中に日本人はいませんでした」というコメントは、「日本人さえ無事ならいい」という意味ではなく、大使館などに問い合わせが殺到するのを防ぐため

 いかがでしょうか。

 このように、世の中で「けしからん」と言われていることにも「ちゃんとした理由」があるはずです。

 それをあらためて考えてみると、このお題に対して、「いい回答」が出てくるはずです。

 大喜利で大事なのは、いきなり面白いことを考えることではなく、とにかく素材の「数を出す」ということです。

 その素材を上の例のように加工することで、回答に出すことができます。

 世の中で勝手に「けしからん」とされていることを伝えながら、正しいことを言う。

 そんな「1つだけひねりを加える」という方法が隠れていますね。

 こういうテクニックには、いくつかパターンがあるので、ぜひ身につけてみましょう。


(本稿は、『大喜利の考え方』から一部抜粋した内容です。)
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2024年09月02日

親が気付ける“心のSOSサイン”を児童精神科医を取材

親が気付ける“心のSOSサイン”を児童精神科医を取材
2024年09月01日 女子SPA!

夏休みが終わり新学期がスタートする時期にかけて、小中学生の子供の自殺が多くなる傾向があるといわれます。

 内閣府作成「平成27年度自殺対策白書」の18歳以下の自殺者における過去約40年間の日別自殺者数をみると、夏休み明けの「9月1日」にもっとも自殺者数が多くなっていることがわかります。

『児童精神科医が「子育てが不安なお母さん」に伝えたい 子どもが本当に思っていること』の著者「精神科医さわ」こと塩釜口こころクリニックの河合佐和院長は「夏休み明け前後は、とくに子どもをよく観察してほしい」といいます。

 夏休み明けに子どもの自殺が増える理由や、親が気をつけるべきポイント。
また、夏休み明けに子どもが「学校に行きたくない」と言い出したときの親の対応などについて、さわ先生に聞きました。

◆子どもにとっては学校が“世界のすべて”

――夏休み明け前後は、なぜ子どもの心が不安定になりやすかったり、自死が増えてしまうのでしょうか。

さわ:
大人でも、休み明けの月曜に「会社に行くの嫌だな」と思うことがありますよね。
子どもの夏休み明けの感覚は、それと似ているんだと思います。
友人関係の悩み、教師との関係など、学校に行きたくない理由は子どもによってさまざまですが、大人と子どもが決定的に違うのは、先の見通しが立てられないということです。

大人は、小学生時代の人間関係がその後の人生に影響することはほとんどないことを知っています。
私自身、小学校の頃の友達との付き合いはほぼありません。
でも子どもにとっては、学校が世界のすべてなのです。
そこで問題が生じると、未来の見通しが立てられなくて「死ぬしかない」となりやすいのが自死の要因の一つだと思います。
長期休み明けは、特に心の負担が大きくなりやすく、死という選択肢しか考えられなくなってしまうことがあります。

――心が不安定になっている子どもが発するサインにはどのようなものがありますか? 親が気づくにはどうしたらいいのでしょうか。

さわ:
「あと◯日で終わってしまう……」とカウントダウンをしながら、夏休み明けに向けて少しずつ元気がなくなり、表情が暗くなっていく子どもは多くいます。
「学校に行くの嫌だな」とポツリと言うこともあります。

また、ご飯を食べる量が減ったり、夜寝付きが悪くなったりすることもあります。
不安が強い子は不眠の症状が出ることが多く、私は診察でよく、ベッドに入ってから寝付くまでの時間を聞くようにしています。
親御さんにはまず、本人の表情を見てあげてほしいですね。

――子どもが夜遅くまでゲームをしたり漫画を読んだりするのは、不安を感じて寝付けないせいという場合もあるのでしょうか。

さわ:
そういうケースもあると思います。
「学校に居場所がない」と感じている子どもの中には、漫画やゲーム、インターネットの世界に心の居場所を求める子どもが一定数います。
そういう子どもたちに対して、理由を聞かずに真っ向から漫画やゲームを否定してしまうと「唯一の心の拠り所さえも奪われてしまった」ということになりかねません。
なぜ、それが必要なのか、その子にとってどういうものなのか、耳を傾けてあげないといけないと思います。

◆「学校に行く」以外の選択肢を示してあげてほしい

――夏休み明けに、子どもが「学校に行きたくない」と言い出したときは、どんな対応が望ましいのでしょうか。

さわ:
「何言ってるの、行きなさい!」とすぐに子どもの言葉を否定して登校を促すのではなく、「どんなことが不安なの?」「何が嫌なの?」と具体的に対話をすることがとても大事です。

ただ、子どもは大人よりも気持ちを言語化することが苦手です。
人間の脳は年齢とともに発達していくので、小中学生の子どもはまだまだ未発達。
うまく言えないことが多いので、できるだけ表情からも心の不調を察してあげてほしいと思います。

子どもは「学校は行かなければいけないもの」と思っているために、「行けないから死ぬしかない」と思ってしまうことがあります。
「学校に行く以外の選択肢もあるんだよ」と教えてあげてください。
教育支援センターやフリースクールなど、学校に行けない子どもたちの居場所が今はたくさんあります。
定められた要件を満たしていれば出席扱いになることもありますよ。

また、「しんどくなったら2限目で帰ってきてもいいんだよ」とか、「給食だけ食べに行こうか」と言ってあげるのもいいと思います。
低学年のうちは、親御さんが付き添い登校をするのもいいでしょう。
子どもは大人より、こういった選択肢が思い浮かびにくいので、いろんな選択肢を示すことが大切です。

◆頭ごなしに怒ることが習慣になっている家庭は要注意

――小学校高学年や、思春期の中学生に対する接し方のアドバイスはありますでしょうか。

さわ:
ある程度自分の気持ちを話すことのできる小学校高学年以上の子どには「何か困っていることある? あなたのこと助けたいと思ってるよ。
お母さん(もしくはお父さん)にできることはある?」と聞くように親御さんに伝えています。

低学年だとそう聞かれてもうまく話すことが難しかったりするので、高学年以上の子どもにおすすめしているアプローチです。「この人には何を相談してもいいんだ」という関係性を作り、親自身が子どもの安心できる居場所になることが重要だと思います。

そして、求められていないのに、過度に干渉するのはやめましょう。
親には秘密にしておきたいことも出てくる年頃です。
助けを求められる環境を用意して、あとは子どもが話してくるのを待つこともとても大切です。

――子育てをしていると、つい子どもに対して怒ることが増えてしまうことがあります。
普段から怒ってばかりだと、子どもが親に相談できないと感じることもあるのでしょうか。

さわ:
もともと、子どもを頭ごなしに怒ることが習慣になっているご家庭は要注意だと思います。
そもそも、怒らなくても子どもに伝えることはできます。
常日頃から、本人の存在を肯定するような声かけをしておく必要があると思います。

「何を言っても怒られる」と子どもが感じていると、何かあったときに親に助けを求めることができません。
「どうしていいか分からない」と追い詰められてしまう子どもには、そういった家庭の背景があると思います。

◆学校が嫌な理由を探るより、大切なこと

――さわ先生なら、夏休み明けに不安を感じている子どもにどんな言葉をかけますか?

さわ:
私の場合は、「先生も月曜日に仕事に行くのめっちゃ嫌なんだよね、家にいたほうがいいよね」と、学校に行くのが嫌だという気持ちに共感することが多いです。
そこで、「だけど、学校って楽しいこともあったりしない?」と聞くと、子どもによって違うのですが友達と遊ぶことや、給食の時間なら好きだと言ったりします。

夏休み明けは、学校で楽しかったことを忘れてしまって嫌なことばかり思い浮かべてしまうことがあるので、楽しいことを思い出させてあげながら話を聞くことがありますね。
ただ、子どもが10人いたら10人答えが違いますから、「楽しいことがあるなら、行きなさい」というような伝え方はしないようにしています。

一番大切なのは、子どもが「学校に行きたくない」と言い出したときに「そんなこと言わないで行ってきなさい」と頭ごなしに否定しないことです。
子どもに話も聞かずに追い詰めるのはやめてほしいなと思います。

――親が子どもの話を聞くときに、どんなことを心がけるといいのでしょうか。

さわ:
「学校が嫌な理由が分からなくてもいい」「話せそうだったら話してね」という前提で話を聞くことが大事だと思います。

でも、学校に行きたくない理由なんて本人でもわからないことが多いんです。
あるお母さんから「明確な理由がないのに休ませていいんですか」とご質問をいただいたことがあるのですが、大人でもモヤモヤした感情の理由が分からないことがありますよね。

 そこで「理由がないなら認めない」「そんな理由なら学校にいきなさい」という対応をするのではなく、子どもの気持ちに寄り添って話を聞いてあげてほしいと思います。

◆まずは公的な窓口に相談を

――「お母さん(お父さん)には話したくない」と言われてしまった場合はどうしたら?

さわ:
相談相手はかならずしも親である必要はありません。
例えばスクールカウンセラーなど「お母さん以外の人に相談することもできるよ」と提案してあげるのもいいでしょう。
スクールカウンセラーはほとんどの小学校、中学校、高等学校に配置されていて、子どもたちだけでなく保護者や教職員に対する相談にも対応しています。

子どもがスクールカウンセラーと話したくないという場合は無理強いせず、親御さんだけで相談に行ってみてもいいと思います。
また、学校の担任の先生と連携が取れているなら、先生に学校での様子を聞いてみると、事情がわかるかもしれません。

学校以外にも相談先はあり、厚生労働省のサイトには「いじめや不登校、ひきこもりなどの相談窓口」として児童相談所や、児童家庭支援センター、教育センター、引きこもり地域支援センター、発達障害者支援センターなどが紹介されています。

子どもの状態から医療のケアが必要だと判断された場合には、こういった相談窓口から私たちのような医療機関を紹介されることもあります。
各専門機関の連携が取れているという意味でも、まずは公的な窓口を利用してもらいたいと思います。


【精神科医さわ】
児童精神科医。精神保健指定医、精神科専門医、公認心理師。名古屋市「塩釜口こころクリニック」院長。
開業直後から予約が殺到し、現在も毎月約400人の親子の診察を行っている。
これまで延べ3万人以上の診察に携わっている。
2023年11月医療法人霜月之会理事長となる。
近著に『児童精神科医が「子育てが不安なお母さん」に伝えたい 子どもが本当に思っていること』

【都田ミツコ】
ライター、編集者。1982年生まれ。
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2024年09月04日

「クリアファイル」捨てたら損!何度も書き直せる“意外なもの”に変わる!

「クリアファイル」捨てたら損!何度も書き直せる“意外なもの”に変わる!
9/3(火)saita

こんにちは、整理収納アドバイザーの三條凛花です。

モノを捨てる前に「なにかに使えないか?」と考えてから処分するようにしています。

今回は余った「クリアファイル」を使ったアイディアをご紹介します。

クリアファイルは「透けるホワイトボード」に生まれ変わる

自宅で眠っている「クリアファイル」はありませんか?

今回紹介するのはクリアファイルを「透けるホワイトボード化」するアイディアです。

ホワイトボードの「何度も書き直せる」特性を持ちつつ、透明のクリアファイルを使うことで、自分で何度も同じことを書かなくてもいい仕組みづくりができちゃうんです。
さまざまなシーンで使うことができますよ。


材料
材料は2つだけ。

・クリアファイル(透明のもの)

クリアファイルは、会社のロゴ等が入っていてもいいのですが、必ず「透明」のものをご用意ください。

・ホワイトボード用ペン

ホワイトボード用ペンは、100円ショップでも入手できます。
「細字」タイプがおすすめ。


活用例1 子どものテスト勉強に

1つ目は、子どものテスト勉強に使う活用例です。

A4サイズに収まるプリントやページであれば、本体に書き込まず何度でも解き直すことができます。間違った問題だけ本体にしるしをつけていけば、自分だけの「間違いやすい問題集」が作れますよ。

活用例2 チェックリストに

2つ目は、チェックリストとして使う方法です。

A4サイズの用紙に、手書きでもパソコンでもいいので、あらかじめ内容を書いておきます。
あとはクリアファイルにはさめば、何度でもチェックしなおせるリストが簡単に安価でつくれますよ。

この方法のいいところは、「たまにしか使わないもの」や「突発的な持ち物」を書いたり消したりできること。「プールバッグ」は夏しか使わないので、印刷してしまうと不要なものがずっと載っている状態に。
必要な時だけ書き足すことができるので便利です。

活用例3 項目が書かれたメモに

献立やスケジュールなど、何度も考える必要がある内容はまっさらなホワイトボードよりも「項目」が記載されているほうが考えやすいですよ。

たとえばこれは1日のスケジュールをメモするものです。
時間帯別に分けてあり、ざっくりメモできます。

右側はデザインアプリでつくったもの。左側は7歳の子どもがつくったもの

時間帯を書けばすぐに作れます。
よりわかりやすくするなら、紙を四つ折りにしたり、線を引いてもOK。そこまで手間ではありません。

こちらは献立を記入するためのシートです。

常備菜なども一緒に調理していると、何を作る予定だったか忘れたり、必要な材料をその都度冷蔵庫から取り出したりと手間がかかっていました。
作るものが分かる状態になっていればその時間がなくなります。

「透けるホワイトボード化」したクリアファイルの活用法は無限大です。

日常の中で「何度も書いている」「何度も考えている」ことがあれば、この方法でうまくいくかもしれません。
ぜひ試してみてくださいね。

三條 凛花/エッセイスト、整理収納アドバイザー
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2024年09月23日

黒板の「書き写し」、教科書に「蛍光マーカー」は意味がない…最新研究でわかった「頭がよくなる科学的な勉強法」

黒板の「書き写し」、教科書に「蛍光マーカー」は意味がない…最新研究でわかった「頭がよくなる科学的な勉強法」
2024年09月22日 PRESIDENT Online

効率よく学習を進めるにはどうすればいいのか。
アメリカの医師国家試験にトップ1%の成績で合格した米国内科専門医の安川康介さんは「長時間勉強しても、非効率な勉強を続けていれば成績は上がらない。
黒板や参考書を書き写したり、教科書に蛍光ペンで線を引いても、勉強した気になっているだけの可能性がある」という――。

■「効率の悪い勉強法」は今すぐ見直したほうがいい

――長時間勉強しても成績が伸びない、と悩んでいる人は多いと思います。まずは効果的ではないNG勉強法を教えてください。

効果的ではない勉強法はいくつかあります。
まず、教科書や参考書にハイライトや下線を引くことですね。
これは多くの学生が行っている一般的な勉強法ですが、実は効果が低いことが研究で明らかになっています。

アメリカの大学生を対象とした研究では、8000語の文章をハイライトするグループ、ハイライトしないグループ、他の人がハイライトしたものを読むグループに分けて実験を行いました。1週間後、10分だけ文章を見直してからテストを行ったところ、どのグループでもテストの点数に差がなかったのです。

さらに、別の研究では、下線を引きながら読むグループのほうが、推論問題の点数が低くなるという結果も報告されています。これは、下線が引いてあるところだけに気が向き、全体の内容を関連づけて理解することが阻害されてしまった可能性があります。

ノートの取り方に関しては、教科書や参考書の内容をただ書き写したり、まとめたりすることも効果が低い勉強法の一つです。アメリカの高校生180人を対象にした研究では、文章をそのまま書き写した生徒は、ただ文章を読んだ学生と変わらない結果でした。

これは、脳で負荷のかかる処理がほとんど行われないためです。

■「書き写す」より「自分の言葉で言い換る」がいい

一方で、自分の言葉でパラフレーズしたり、短く要約したりした生徒のほうが、ただ読んだ学生や書き写した学生よりも高い点数を取りました。

ただし、要約の質には個人差があります。
要約するのが上手い人がいる一方で、要約があまり上手くない人もいます。
ある研究では、研究に参加した約3分の1以上の大学生は、学習内容についてきちんとした要約ができていませんでした。
的確に情報を捉えた質の高い要約をしている学生では、テストの点数がより高かったことが報告されていますが、要約が得意でない人はある程度の訓練が必要です。

また、一夜漬けなど、一度にまとめて勉強しただけでは、長期的な記憶形成に結びつかないことが多くの研究結果で明らかになっています。
テストに受かるためだけならいいかもしれませんが、記憶の定着を考えるとこうした間隔をあけずに一度に続けて勉強する「集中学習」では、本質的な学びにはなりません。
テスト前に頑張って詰め込んだのに、2週間後にはほとんど忘れてしまっていた、という経験は多くの人にあるのではないでしょうか。

――多くの人が効果的だと信じている勉強法で、実は効果が低いものはありますか。

はい、実は多くの人が良いと思っている勉強法の中に、効果が低いものがあります。
特に意外かもしれないのが、「好みの学習スタイルに合わせる」という方法です。

よく「勉強法は人それぞれ。自分の好きな学習スタイルで勉強するのが一番効果的だ」と言われることがありますよね。
例えば、視覚情報が好きな人は図やグラフや映像などの視覚的な情報を中心に学習し、耳から聞くのが好きな人は音声教材などの聴覚の情報を中心とした学習を行うというものです。

■「自分にあった勉強法」はあてにならない

しかし、こうした学習者の好みの学習スタイルを判別し、学習方法を変えたほうが効率的なのかについては、今のところ科学的根拠はあまりないのです。

著名な認知心理学者たちが学習スタイルの効果についてまとめた論文では、学習者の学習スタイルを判別し、それに合わせた学習をしたほうが良いとする科学的な根拠は現時点では不十分であり、いくつかの研究では、それを裏付けない結果が出ていることが報告されています。

例えば、解剖学のコースを履修する大学生426人を対象とした研究では、自分の学習スタイルと合う勉強法を行った学生の成績は、自分の学習スタイルとは異なる勉強法を行った学生と比べて高くなかったことがわかっています。

むしろ、あまりに「自分にはこの勉強法が合っている」と囚われてしまうと、本当に効果的な勉強ができない可能性があります。

――学習スタイルに合わせない勉強は無駄だと聞いたことがあります。これは本当でしょうか。

その考え方は実は誤解です。
「自分は視覚型だから、図や表を使わないと効果がない」とか「自分は聴覚型だから、音声教材でないと学習効率が悪い」といった固定観念は、むしろ学習の可能性を狭めてしまう危険があります。

確かに、自分の好きな学習スタイルで勉強することがモチベーションにつながる面はあります。
しかし、それだけに頼ると、他の効果的な学習方法を見逃してしまう可能性があるのです。

■科学的に裏付けのある勉強法を継続してみる

例えば、学習者にアンケートと空間認識能力のテストを行って「視覚情報を好む視覚型」か「言語型」に分け、視覚情報を中心とした学習と文字情報を中心とした学習のどちらかをしてもらい、その効果の違いを調べた研究があります。
この調査では、それぞれの学習スタイルに合わせた学習を行っても、特に学習効果は上がりませんでした。

重要なのは、自分の好みや固定観念に囚われすぎず、科学的に効果が検証されている学習方法を柔軟に取り入れることです。

アクティブリコール(勉強したことや覚えたいことを、能動的に思い出す勉強法)や分散学習(学習を時間的に分散させて行う方法。いすれも後述)など、本当に効果的な勉強法は、必ずしも自分では効果が実感できないものもあります。
試してみた時の感覚では「これはあまり良くないなあ」「あまり覚えられていないなあ」と感じる学習法が、実は長期的にみればより効果が高いということもあるのです。

ですから、「自分には合わない」と決めつけずに、科学的に効果があるとされている学習方法を柔軟に試してみることが大切です。そうすることで、より効果的な学習が可能になり、結果的に学習効率が上がる可能性が高くなります。

■「非効率な勉強法」が広まった理由

――なぜこのような効果的ではない勉強法が広まっているのでしょうか。

不思議なことに、今の義務教育では、勉強すべき内容は教わりますが、「どうしたら科学的根拠に基づく効果の高い勉強ができるのか」という勉強法そのものは、あまり教えてくれません。
そのため、多くの学生が効果的ではない勉強法を知らずに実践してしまっているのだと思います。

また、ハイライトを引いたり、ノートを取ったりすることで、「勉強した気」になってしまうという心理的な要因もあります。これは「流暢性の錯覚」と呼ばれる現象で、実際には内容を記憶し深く理解していないにもかかわらず、自分の知識や習熟度を過大評価してしまうのです。

■「白紙勉強法」と「分散学習」がオススメ

――効果的な勉強法にはどのようなものがありますか。

効果的な勉強法としては、まずアクティブリコールがあります。
これは、勉強したことや覚えたいことを、能動的に思い出すことです。私が医学生の頃から実践してきた「白紙勉強法」は、このアクティブリコールを活用した方法です。

具体的には、覚えたい情報(英単語帳、教科書、参考書など)をまず読み、その後、その情報を見ないで、覚えたい内容を白い紙にできるだけ書き出します。

記憶の手掛かりがない状態で頑張って記憶から内容を引き出した方が、ヒントが与えられた状態で思い出すよりも記憶の定着が良いことを示唆する研究もあるため、何も見ないでまず書き出してみる、ということを行います。
効果の高い勉強のためには、アクティブリコールのように、脳により負荷がかかる「望ましい困難」が必要だとされています。

覚えにくい内容は声に出しながら書き、さらに誰かに教えているフリをしながらアウトプットすると効果的です。
声に出した方が黙読するよりも記憶の定着が高まる現象は「プロダクション効果」と呼ばれています。
誰かに教えることで、理解が深まることは「プロテジェ効果」と呼ばれており、私はアクティブリコールとこうした方法を組み合わせています。

書き出せなかったり、思い出せなかったりした情報は、また元の情報を見直して確認(フィードバック)します。
アクティブリコールも、こうしたフィードバックがある方が効果が高いことが分かっています。

もう一つ重要な勉強法として、分散学習があります。
これは、学習を時間的に分散させて行う方法です。
同じ時間勉強するにしても、時間を分散させたほうが長期的に記憶に残ることが多くの研究で示されています。

例えば、2時間続けてある範囲の英単語を勉強するよりも、今日は1時間、別の日に1時間と分散したほうが、時間が経ってテストした時に、覚えている単語の数は多くなります。
この効果は、大人から子どもまで、数学、外国語、歴史、生物学などを含めた幅広い分野の勉強において確認されています。

■黒板を書き写すだけではダメ

――効果的なノートの取り方として「コーネル式ノート術」を推奨されていますね。

効果的なノートの取り方として、私がお勧めするのはコーネル式ノート術です。
これは、ノートのページを3つのセクションに分けて使う方法です。

具体的には、ページをA・B・Cの3つのセクションに分けます。
Aのセクションには覚えたい内容を書き、Bのセクションにはその内容に関した質問やキーワードを書きます。
そして、Cのセクションには自分の言葉で短くまとめを書きます。

復習する際は、Aのノートの部分を隠して、Bの質問やキーワードからアクティブリコールできるか試します。
このようなアクティブリコールができるノートのほうが、普通に読んで復習するだけのノートよりも効果的です。

――安川さんご自身の経験も踏まえて、スキマ時間を効果的な学習時間に変える方法を教えてください。

スキマ時間は素晴らしい勉強時間だと考えています。
例えば、通勤時間や通学時間といった隙間時間も、勉強に最適です。私も学生の時は、電車の中で勉強や読書することが習慣化されていて、1人で電車に乗ることが勉強開始の合図になっていました。

たとえ満員電車で本が開けないような状況でも、昨日覚えたことを頭の中で思い出す(アクティブリコール)という効果的な勉強ができます。
思い出せなかったところは、電車を降りたあとに確認し、フィードバックします。

■勉強の効果は、本人には実感しにくい

アメリカの医師国家試験の勉強をした時は、トイレに薬理学のフラッシュカードなど、短時間でも進められる教材を常に置いていました。
現在でも、子どもの習い事の待ち時間などのスキマ時間をできる限り勉強や仕事に活用しています。

――最後に、読者へのアドバイスをお願いします。
効果的な勉強法を始めたものの、すぐに効果が感じられずに挫折してしまう人も多いと思います。
長期的に見て成果を出すために、どのような心構えや工夫が必要でしょうか。

はい、重要なポイントがあります。
それは、「勉強の本当の効果は、勉強している時、本人には実感しにくいことがある」ということです。

例えば、アクティブリコールを行った学生は、勉強直後は他の方法で勉強した学生よりも自信がなかったという研究結果があります。
しかし、実際のテストでは最も高い点数を取っていたのです。
ですので、科学的に効果的な勉強法を地道に続けることが重要になるのです。

(米国内科専門医 安川 康介
       取材・構成=昼間たかし)
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2024年10月04日

三日坊主必見! 勉強を習慣化する3つのステップ

三日坊主必見! 勉強を習慣化する3つのステップ
2024年10月03日 ダイヤモンドオンライン

成績アップ率、驚異の95.7%を誇る、門外不出の勉強法をついに解禁! 小学生から社会人まで世代に限らず、「こんな勉強法があるなんて知らなかった!」という声が続々。
なぜ、ストレスフリーになると、勉強で成果を出せるのか。
そこには「一瞬で覚えられる」「10分の1の勉強時間で」という魔法のような方法はありません。
最新の脳科学に裏付けられた、誰でも効果が出る『ストレスフリー勉強法』よりすぐに使えるノウハウを紹介する。

■好きなことと一緒に勉強すると、習慣化がはやい
 習慣化したいことと、自分の「好きなこと」を一緒に行なうことで、勉強を習慣化することができます。

■1.活動を明確にする

 まず、あなたが習慣化したい活動を明確にします。
「毎日30分間の数学の勉強」や「週に3回、英語の単語を覚える」といった具体的な目標を設定しましょう。
目標をはっきりさせることで、何に対して適用するのかが明確になります。

■2.好きなことをリストアップする

 次に、自分の「好きなこと」をリストアップします。これは、「音楽を聴くこと」「特定のテレビ番組を見ること」「好きなスナックを食べること」など、あなたが楽しんで行なう活動です。このステップでは、勉強や習慣化したい活動をする前や、その最中に楽しむためのものを選ぶことがポイントです。

■3.2つを組み合わせる

 最後に、習慣化したい活動と「好きなこと」を組み合わせます。
「数学の勉強を30分やったら、その後で15分間お気に入りの音楽を聴く」といった具合に、勉強やタスクの前後に楽しい活動を配置します。

 同時並行できるものなら、「お菓子を食べながら勉強する」のようにしてもよいでしょう。

 この組み合わせにより、勉強やタスクを始めるモチベーションを高めるとともに、終えた後の満足感や報酬も得られます。

 この3ステップを繰り返すことで、徐々に勉強やタスクが習慣化され、最終的には「好きなこと」なしでも、活動を自然と行なえるようになります。

 重要なのは、はじめは小さな目標から始めて徐々にステップアップしていくことです。
これにより、挫折することなく、習慣化に成功しやすくなります。

(*本記事は、『科学的アプローチで勉強がとまらなくなる ストレスフリー勉強法』より一部抜粋し、再編集したものです)
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2024年10月06日

科学的アプローチで勉強がとまらなくなる「超・1分勉強法」

科学的アプローチで勉強がとまらなくなる「超・1分勉強法」
10/5(土) ダイヤモンド・オンライン

成績アップ率、驚異の95.7%を誇る、門外不出の勉強法をついに解禁! 小学生から社会人まで世代に限らず、「こんな勉強法があるなんて知らなかった!」という声が続々。
なぜ、ストレスフリーになると、勉強で成果を出せるのか。
そこには「一瞬で覚えられる」「10分の1の勉強時間で」という魔法のような方法はありません。
最新の脳科学に裏付けられた、誰でも効果が出る『科学的アプローチで勉強がとまらなくなる ストレスフリー勉強法』よりすぐに使えるノウハウを紹介する。

● 勉強をなかなか始められない人は、 とりあえず1分頑張る
++
 長時間勉強しなければならない!という思い込みは、勉強の習慣化から程遠いものです。
そこで、「1分」区切りで勉強するのです。やり方はとっても簡単です。

1.やるべき教材を目の前に広げる
2.タイマーを1分にセットする
3.タイマーが鳴るまで勉強を続ける

 たったこれだけです。
タイマーが鳴ったら、勉強を終了してOK。
でも、もし「もう少しできるな……」と思ったら、そのまま続けてみましょう。

 この方法で、これまで教えてきた数多くの生徒が、勉強を習慣化することができました。

 「1分でもいいと思うとすごく始めやすい。
1分でほんとにやめちゃうことも多いけど」

 これは、北海道大学に合格した生徒が実際に言ってくれた言葉です。

 ここに至らない人には、さらに効果的な方法を教えましょう。

 1分もいりません。数秒です。
この方法を用いることで、勉強に対するハードルがものすごく下がります。
やることはたった2つ。

1.教科書や参考書を開く
2.ペンを持つ

 以上です!2まで進んだら、そこで勉強をやめても構いません。

 「でも、本当にやめてしまったら意味ないですよね?」という質問をよく受けます。
ですが、本当にペンを持った後、勉強をやめてしまってもよいのです。

 行動の模倣といって、習慣化したい行動の「マネ」をすることで、その行動を実際に行なうことへの抵抗感が減ることが研究で明らかになっています。
これは本当に誰でもできる方法ですので、ぜひ取り入れてみてください。

 (*本記事は、『科学的アプローチで勉強がとまらなくなる ストレスフリー勉強法』より一部抜粋し、再編集したものです)

粂原圭太郎
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2024年10月16日

短時間で集中的に覚えた内容は脳が忘れやすい!忘れにくくなる4つの勉強タイミング

短時間で集中的に覚えた内容は脳が忘れやすい!忘れにくくなる4つの勉強タイミング
10/15(火) THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)

勉強が続かなくて悩んでいませんか? 
オンライン個別指導塾「となりにコーチ」の代表講師・粂原圭太郎氏の著書『科学的アプローチで勉強がとまらなくなる ストレスフリー勉強法』によると、「脳科学的に正しい勉強法がある」と言います。
一体どんな方法でしょうか? 本書から一部を紹介します。

4つのタイミングで勉強すると、忘れにくくなる

皆さんは、「一夜漬け」をしたことはありますか?
 定期テストの前にやった、もしくは今もやってしまう人もいるでしょうか。
私も、一夜漬けに頼っていた時期があります。
しかし、一夜漬けをしたことがある人も、勉強内容が身についた経験はあまりないでしょう。
短時間で集中的に覚えた内容は、脳が忘れやすいからです。

では、一夜漬けが長期的な学習として効果がないなら、その「逆」はどうでしょう?
 逆とは、一夜漬けのように一気に勉強するのではなく、一定の期間を空けて勉強することです。
実は、間隔を空けて勉強するのは記憶の定着に非常にいいとされています。
この効果を「スペーシング効果」と呼びます。

スペーシング(spacing)とは、「間隔を空ける」という意味。
情報や内容を短期間ではなく、時間を空けて繰り返し学習すると、長期記憶の向上につながるのです。
スペーシング効果は、「エビングハウスの忘却曲線」で知られるドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが発見しました。忘却曲線とは、時間が経つにつれて記憶したことを忘れてしまう様子を表した曲線です。

一度覚えたはずの数学の公式が1週間後にはおぼろげになり、1か月後には完全に忘れてしまう経験は誰しもあるでしょう。
一定期間を空けながら分散・反復で勉強していくことで、なるべく忘れないように効率を上げていくのが狙いです。

エビングハウスの忘却曲線から導き出される復習の最適なタイミングは、「1日後」「1週間後」「1か月後」の31回。
私は、ここに「ある時間帯」をプラスした合計4回をおすすめしています。
それは、覚えた日の「寝る前」です。

人間の脳は、寝ているときに記憶を整理します。
睡眠中は何もしていないと思ってしまいますが、脳はしっかり働いています。
寝る直前にインプットした記憶は、脳の中で整理され、定着するのです。
新しいことを覚えるときには、次の4つのタイミングで復習するのが効果的です。

効果的な復習の4つのタイミング

(1)初めて学んだ日の寝る前(就寝の30分前)
(2)翌日
(3)1週間後
(4)1か月後

たとえば、新しい英文法を覚えたとします。
まずはその日の寝る前に学習したことを思い出しながら要点をノートにまとめてみます。
まとめ方のおすすめは2種類あり、「学んだことを時系列で書き出す」か「印象に残ったことから順番に書き出す」のいずれかがいいでしょう。

時間がない場合は「その日の学習で得た一番大きな気づき」を1つピックアップするだけでもOKです。
翌日にそれを見返しながら、関連する文法なども併せてインプットします。
1週間後には少し忘れているので、まず要点を思い出そうとしてみて、うまく出てこなかった部分を中心に学習し直してみてください。

練習問題を解いたり、自分で問題を作ってみたりするのもおすすめです。
自分で問題を作ることで、本質的な理解が深まります。
1か月後のタイミングでは億劫に感じてしまいますが、やるのは作った問題を解くだけです。
このように繰り返し学習すると、記憶に定着するだけでなく、その単元でどこが弱いのかが把握できるようになります。

タイミングごとにまったく同じやり方で復習するのではなく、いろいろな形で思い出すことによって脳をマンネリ化させないのがポイントです。
復習のタイミングを忘れてしまう人に、おすすめのアプリがあります。
それは「Google Keep」というGoogle のメモ帳アプリ。
メモ帳とは言ったもののリマインダー機能と一体になっており、勉強の管理に非常に便利です。

リマインダー機能で毎日決まった時間に「復習タイム」のアラートを設定しておき、メモの部分に「何日に何をやるか」の詳細を書いておけば忘れません。
復習を4回も行なうのは多すぎだと感じるかもしれません。
しかし、新しいものをいくらインプットしたとしても、覚えたそばから忘れていっては元も子もありません。

今日新しく覚えたことを、1か月後に果たしてどれだけ鮮明に覚えているでしょうか?
 今日覚えた公式は、復習しなければ1か月後には「100%」忘れます。
何度も復習して土台を固めていくのは効率が悪いように見えますが、まったく復習せずゼロから新しく覚え直すほうがよっぽど非効率です。
たとえ少しずつでも、着実に身につけていきましょう。

実際に、定期テストの前に一夜漬けで勉強したときに英語が55点だった生徒は、スペーシング効果を利用して細かく時間を分けて勉強したときには80点を取ることができました。
勉強した総時間数はほぼ同じなのに、後者のほうが圧倒的にテストの点数がよかったのです。
同じ勉強時間で勉強効率が変わるなら、やらない手はありません。

実は、その生徒は、成績が向上しただけではなく、「勉強が楽しくなってきた」と言って、以前より意欲的に勉強するようになったのです。
これは、結果が出たことで勉強に対するストレスが軽減されたことの表れでしょう。
十分な復習時間がないときは、「こんな内容を学んだ」と軽く触れるくらいでも問題ありません。寝る前にざっと確認しただけのときは、翌日にしっかり振り返るといいでしょう。

とにかく時間を空けて「刻む」ことが大事です。
これができると、それまでの定期テストなどで一夜漬けだった人も、コツコツやる習慣がついていきます。
「自分ってコツコツやることもできたんだ」と自信にもつながり、勉強のモチベーションが上がるなど、いいことだらけです。

粂原圭太郎
オンライン個別指導塾「となりにコーチ」の代表講師
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2024年11月04日

和田秀樹「競争なんてしなくていい」で育つ子どもの不幸 学校では「勝ち負け不要」でも実社会は競争だらけ

和田秀樹「競争なんてしなくていい」で育つ子どもの不幸 学校では「勝ち負け不要」でも実社会は競争だらけ
11/3(日) 東洋経済オンライン

「幼児教育でもっとも大事な点は、子どもにどう向き合うかという親の意識」ーー。
長年、受験指導にあたり、教育に関する書籍を多数出版してきた精神科医の和田秀樹氏は、変化の激しい時代・正解のわからない時代において、子どもたちをどのように育てるか、という点を、さまざまな視点から論じてきました。

本記事では、和田氏の著書『5歳の壁: 語彙力で手に入れる、一生ものの思考力』から一部を抜粋し、競争を避けたがる保護者の増加など近年の風潮と、そのことによってどのような影響があるかについて考えていきます。

■「やさしくて性格の良い子」に安心する保護者

 子どもたちの受験指導をしていて感じるのは、最近の保護者には非常に神経質になっている方が多いということです。

 最近では我が子が自信過剰だとか、負けん気が強いと人から思われることを恐れている親御さんも少なくありません。
やさしくて性格の良い子だと言われると、安心する親も多いです。

 また、我が子が友だちに勝ったことで得意になっていたり、負けたことを悔しがったりすると、「性格が悪いって言われるから、そんなことは言ってはいけない」とか「あまり勝ち負けを考えない方がいいよ」などと言って、負けん気の強い子を潰してしまう親もいるようです。

 しかし、負けん気が強いというのは、実はとても大切な特性なのです。

 子ども時代から何かあったらすぐに自信をなくしてやる気をなくしてしまうようでは、これから先の長い人生を生き抜いていくことは難しくなります。
「絶対に自分は負けない」「負けてたまるか」という強い気持ちが、この先に待ち受けているかもしれない困難を乗り越える原動力になるのです。

 もちろん、勝つためには何をしてもいいという考えはよくありませんが、根底に「人に勝ちたい」「負けたくない」という気持ちがなければ、子どものやる気は育ちません。
ましてや格差社会が進む社会では、負けん気の強い方が「何とかして生き延びよう」という力が高くなるのは確かです。

 ですから、我が子の負けん気が強くても親御さんは気にする必要はないと思います。

 日本というのはダブルスタンダードな社会です。
今の学校では傷つく子どもを減らそうという意図から、競争が極力避けられるようになっています。
そのため学校では「競争はしなくていい」「勝ち負けは不要」などと言われて育ちますが、実際に社会に出たらそうはいきません。

 学歴による選別が行われ、社会に出た後も競争を強いられます。
そこで負ければ叱責されたり、減給されたり、リストラされることもあります。
競争なんてしなくていいと言われて育ってきたのに、実際には超競争社会。それが今の日本社会です。

 言葉は悪いですが、それは大事なペットとして育てた動物をジャングルに放つようなものと言えるでしょう。
子ども時代は絶対に傷つけないような配慮をされていた子どもが、いざ社会に出てうまくやっていけると考えるのは甘い考えなのではないでしょうか。

 子どもが大人になってからジャングルの中でもたくましく生き延びてほしいのであれば、多少は競争に慣れさせて育てたほうがいいと考えています。

■社会に出てから困るのは子ども

 それから親御さんの懸念という意味では、負けん気が強い、あるいは自信の強い子どもの場合、我が子が周りから嫌われてしまうのではないかと気にする親御さんも多いのですが、よほど極端な子でなければ、社会に出ると性格が丸くなっていくものです。

 たとえば、レベルの高い学校に入ると、自分よりも成績のいい人がたくさんいることを知って「これはまずい」と危機感を感じます。

 社会人になって現実を見れば、自分の足りなさに気づくこともあります。

 私自身もそうでしたが、社会経験を積むことによってどんどん角が取れていく人も多いです。
社会で成功して恵まれた環境にいるうちに気持ちの余裕が出てきて、性格が鷹揚(おうよう)になっていく人も少なくありません。

 その反対に、「競争なんてしなくていい」「やさしければいい」と言われ、最初から勝負することをあきらめて育った結果、社会に出てみたら、自分の希望する職に就けないし、待遇のいい企業にも入れないという現実を知って絶望し、世間や社会に対して不満を抱くようになる可能性もあるのです。

 自分に自信を持てないせいで社会でうまくやっていけないという人も、精神科医としてたくさん見てきました。

 競争なんてしなくていいと言われて育った結果、社会に出てから競争社会の厳しい現実に直面する。
それは、ある意味では不幸と言えるのではないでしょうか。

 もちろん、その子ができないのに、厳しい競争を強いて苦しい思いをさせるのはよくありません。
そのためにも、親は小さい頃から子どもの得意なことを見つけて育て、子どもに自信をつけさせる必要があるのです。

■子どもの「負けん気」は伸ばしてあげて

 とはいえ、子どもの気質というのはそれぞれに違います。

 人に負けたら悔しいという感情を素直に表に出す子と、それほど出さない子がいます。
また、表には出さないだけで悔しさを内に秘めている子もいますし、そもそもあまり悔しいと思わない子もいます。

 しかし少なくとも、家でも親が「競争なんてしなくていいよ」と言っていたら、子どもの負けん気は育ちません。
むしろ私は、子どもの負けん気のタネを見つけたら、どんどんそれを伸ばしてあげた方がいいと思っています。

 たとえば子どもが「あの子には負けたくないな」と言ったら、親は「その気持ちは大切だよ」と子どもを応援してあげて、勝ったら一緒に喜んであげる、負けたら一緒にどうして負けたのか、次はどうしたらいいかを考えればいいのです。

 近年は、日本の国際競争力の低下が問題となっていますが、子どもの頃から競争を回避させるような教育が進めば進むほど、そうした傾向が進むのも当然です。

 たとえば、2024年のIMF(国際通貨基金)による世界の1人当たり名目GDP(国内総生産)ランキングでは、日本は38位。
ついに、韓国(35位)や台湾(34位)にも抜かれ、3年連続で過去最低ランクを更新しています。

 他の先進国や新興国と違い、日本だけが数十年にわたって成長していないというのは異常な事態といえるでしょう。
成長が停滞しているどころか、現在の円相場は1ドル160円を超えています(2024年7月1日時点)が、急速に進んだ円安は日本の競争力が急激に低下していることを示しています。

■科学の世界でも競争力が低下

 科学の世界でも、日本の競争力の低下が指摘されています。

 文部科学省の「科学技術指標2023」によると、注目度の高い論文数ランキング(引用回数の多い論文数の比較調査。論文の注目度と質を表す指標として用いられている)で、2005年まで世界4位をキープしていた日本は年々順位を落とし、2023年の発表では13位になりました。

 これはデータが残っている1981年以降でもっとも低い順位であり、人口が半分の韓国(10位)より下回りました。
ちなみに、中国は日本と反対にどんどんランクを上げ、2022年からは2年連続で1位です。

 「人に勝つこと」「貪欲に学ぶこと」を良くないことと考える社会では、やはり国としての競争力も伸びていかないのも当然ではないでしょうか。

 精神分析学者のコフートが言うように、本来、子どもには人から褒められたい、認められたいという野心があります。
その野心を満たしてあげることで、子どもの健全な自信や負けん気を育てることが大事なのです。

 「人に負けたくない」という気持ちは、人間として自然な感情です。
その自然な感情を親が支え、育てることで、子どもの内面からやる気が湧き上がってきます。

 子どもの負けん気や自信を育てることは決して悪いことではないし、子どもの成長につながることなのです。


和田 秀樹 :精神科医

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2024年11月05日

日本シリーズ「3つ負けられる」で4連敗、小久保裕紀監督「発言」に嘆き 「余計なことを」「短期決戦で言ったらだめ」

日本シリーズ「3つ負けられる」で4連敗、小久保裕紀監督「発言」に嘆き 「余計なことを」「短期決戦で言ったらだめ」
11/5(火) J-CASTニュース

 プロ野球パ・リーグ覇者ソフトバンクが、DeNAとの日本シリーズに対戦成績2勝4敗で敗れ、日本一を逃した。

■2連勝からまさかの4連敗で日本シリーズ敗退
 日本シリーズは2024年10月26日にDeNAのホーム、横浜スタジアムで開幕。
ソフトバンクは初戦を5−3で取ると、第2戦は6−3で勝利し、敵地で2連勝を飾った。

ところが29日から舞台をホーム福岡に移すと、日本シリーズ2試合で11得点の打線が沈黙した。
第3戦を1−4で落とすと、第4戦は0−5、第5戦は0−7で大敗。

2試合連続完封負けでホーム3連敗を喫し、DeNAに「日本一」王手をかけられた。

 背水の陣で臨んだアウエーでの第6戦。
先発・有原航平(32)が3回につかまった。
先頭・筒香嘉智外野手(32)にソロ本塁打を浴び、その後、桑原将志外野手(31)のタイムリーで計3点を失った。

 チームは4点ビハインドの4回に2点を返すも、5回に7点を失い、流れはDeNAに大きく傾いた。
結局、ソフトバンクは5回以降得点できず2−11で大敗。
2連勝からの4連敗で日本シリーズを終えた。

「3つ負けられるなんて考える監督はおらんよ」

 試合後、インターネット上では小久保裕紀監督(53)の過去の「発言」が大きな注目を集めた。

 話題となったのは、小久保監督が初戦の試合後に発したコメントだ。

 勝利監督インタビューで小久保監督は、「チームとしても日本シリーズで繋いできた白星が13連勝になりました」との質問に、「いや、3つ負けられるのが日本シリーズなんで、あまりそこは気にせず一戦一戦やっていきます」と答えた。

 2連勝からまさかの4連敗という結果に、一部のファンは怒りの矛先を小久保監督の発言に向けた。

 Xでは「短期決戦『3つ負けられる』は言っちゃアカン」
「ホンマに余計なこと言ってるなと思ってた」
「3つ負けられるなんて考える監督はおらんよ」
「一戦必勝でとにかく目の前の試合を勝ちに行くベイスターズと全然姿勢が違った」
「3つ負けられるというのが随所に見られた采配だったなぁ」などの声が寄せられた。

 スポーツ紙の報道によると、日本シリーズ敗退が決まった試合後、小久保監督は「敗戦の責任は全て僕にある」と潔く認めたという。
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2024年11月06日

生まれつき。こっちは正義で、相手は不義と思う人たち。自分は正しくて、相手は間違っていると思う人たち。

生まれつき。こっちは正義で、相手は不義と思う人たち。自分は正しくて、相手は間違っていると思う人たち。
竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)
11/4(月) 

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


今日のテーマは、「こっちは正義で、相手は不義と思う人たち」です。

「自分は正しく、相手は間違っている。もしくは、自分は良くて、相手は悪い」
と思う人たちです。

私(竹内成彦)は、長きに渡って、生まれつき性格を研究しているカウンセラーなのですが、「こっちは正義で、相手は不義」と思い込みやすい性格の持ち主は、ズバリ、お母さんタイプ(エニアグラムでいうところのタイプ2)であることが多いです。

※ エニアグラムには、様々な流派があります。

 私は、1番、キャラ診断アドバイザー協会の教えを信頼しています。

「よーし、戦争するぞ! 相手国は悪いのだから…」と思うのもお母さんタイプですし、「戦争は絶対に反対だ。そうだ、デモ行進しよう!」と考えるのもお母さんタイプです。
そう、お母さんタイプは、自分は正しく、相手は間違っていると思い込みやすいタイプなのです。

しかも、お母さんタイプは、感情タイプであり、好き嫌いがハッキリしているので、「自分が好きなものはいいもの」「自分が好きなものは正しいもの」と思いこみやすい…という特徴があります。
そして、困ったことに、そんな特徴に、自分自身が気付いてないことがほとんどです。

私は、防御型の末っ子タイプなので、嫌いな人がいると、そぉーと逃げたり隠れたりすることが多いのですが、お母さんタイプは、自分の嫌いな人がいると、「自分が正義」とばかりに、相手を攻撃することが多いです。

実際、いじめっこ集団のリーダーは、ほとんどがお母さんタイプです。
そしていじめを阻止しようと頑張るのもお母さんタイプです。
両者は、やっていることが、まるっきり真逆ですが、自分のやっていることに正義を感じている…という点においては、まるっきり一緒です。

だから、お母さんタイプの子どもには、小さい時から、やっていいいこと悪いことをしっかり、しかも厳しめに、教えたほうがいいです。
「道徳観をしっかり植え付ける」こと、それがお母さんタイプの子どもを育てるコツです。

最近は、『叱らないしつけ』が流行っていて、「誰にも厳しく指導されたことがない」と言うお母さんタイプの人が世の中に増え、私はホント、困ったものだなぁと思っています。

私は、お母さんタイプとつきあうときは、いつも『攻撃されるリスク』を抱えている…と承知しているので、なるべくお母さんタイプからは、嫌われないよう気をつけています。
そして、出来る限り、好かれるような言動を取るよう心掛けています。
そして、最悪、嫌われそうになったら、極力、距離を置くよう注意しています。

今、大切なことをサラッと言いました。

1.攻撃型のお母さんタイプには、嫌われないよう仲良くすることを心掛ける。

2.攻撃型のお母さんタイプには、嫌われそうになったら、そっとバレないよう、距離を置くに限る…です。

それでも、それでもお母さんタイプから攻撃されるようでしたら、こちら側も別のお母さんタイプの人を見つけ、その人に相談し、その人から早めから自分の身を守ってもらいましょう。

そう、お母さんタイプに対抗できるのは、やっぱりお母さんタイプだけなのです。

そのためには、私たちは、日頃から、優しいお母さんタイプからは、可愛がられるよう、お利口さんでなくてはなりません。
ええ、そのあたりは、十分にエネルギーを注ぎたいところです。

ここまで、お母さんタイプから、嫌われない方法、攻撃されない方法、攻撃されたらどうするか? について語って来た私ですが、お母さんタイプから好かれることについても言及しなければなりません。

お母さんタイプから必要以上に好かれると、それはそれで厄介です。

何故なら、精神状態が後退方向にあるお母さんタイプは、人を愛する能力もスキルもないくせに、人を見ると、面倒を焼きたがる傾向、好きになった人を自分の子分にしたがる傾向があるからです。
後退方向にあるお母さんがタイプが焼く世話は、ホント、大きなお世話であることが多く、迷惑そのものです。

と、ここまでお母さんタイプを悪くばかり言ってきた印象の強い私ですが、成長方向にあるお母さんタイプは、本当に頼もしい、愛あふれる菩薩様のような存在です。
成長方向にあるお母さんタイプは、思わず拝みたくなるような、本当にありがたい存在です。

お母さんタイプが成長方向にあるか後退方向にあるかは、反省する習慣があるかどうかで決まります。
「自分にやってきたこと、自分のやろうとしていることは、本当に正しいのだろうか? 間違ってはないだろうか? 相手の迷惑になってないだろうか?」とお母さんタイプが考えられるようになったら、言うことなし、間違いなし、本当に最高です。

世の中には、人の数だけ、自分の正義があります。

あなたは、自分が正義で、相手は不義だと思ってないでしょうか?

あなたは、自分は正しく、相手は間違っていると思ってないでしょうか。

このあたりは、ホント、十分に、注意したいところです。

というわけで、今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。

心から感謝申し上げます。
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2024年11月18日

意外と気づかない、裕福な家庭と低所得家庭の「体験格差」は何が問題なのかという「重大な論点」

意外と気づかない、裕福な家庭と低所得家庭の「体験格差」は何が問題なのかという「重大な論点」
11/17(日) 現代ビジネス

習い事や家族旅行は贅沢?子どもたちから何が奪われているのか?
低所得家庭の子どもの約3人に1人が「体験ゼロ」、人気の水泳と音楽で生じる格差、近所のお祭りにすら格差がある……いまの日本社会にはどのような「体験格差」の現実があり、解消するために何ができるのか。
発売たちまち6刷が決まった話題書『体験格差』では、日本初の全国調査からこの社会で連鎖する「もうひとつの貧困」の実態に迫る。

*本記事は今井悠介『体験格差』から抜粋・再編集したものです。


第一部では、全国2000人以上の小学生の子どもをもつ保護者を対象に実施した調査の結果をもとにしながら、日本における子どもの「体験格差」の実態を描く。以下のような問いを立てながら、現状を見ていこう。

・親の経済状況と子どもの体験にはどのような関係があるか「お金」と体験格差


・スポーツや文化芸術など、主に放課後に行われる習い事やクラブ活動ではどのような格差が生じているか【「放課後」の体験格差


・自然体験や旅行など、主に週末や長期休みに行われるレジャーや活動ではどのような格差が生じているか【「休日」の体験格差】


・都市部と地方とでは、子どもの体験の状況にどんな違いがあるか【「地域」と体験格差


・親の子ども時代の体験のあり方と、その子どもの体験のあり方には、どんな関係があるか【「親」の体験格差


「体験」がなぜ重要なのか

そもそもの前提として、なぜ「体験」が子どもたちにとって重要なのだろうか。
言い換えれば、「体験」にはどんな価値があるのだろうか。

まず、「体験」は往々にして楽しいものだ。
海は楽しい。動物園は楽しい。サッカーは楽しい。絵を描くのは楽しい。旅行に行くのも楽しい。

もちろん、プールで泳ぐのが楽しくない子どもはいるし、ピアノの練習が楽しくない子どももいる。
すべての「体験」が、すべての子どもにとって楽しく感じられるわけではない。
だが、それぞれの子どもにとって楽しいと感じられる「体験」が、一つはきっと存在するだろう。

さらに、「体験」の価値はその時々の楽しさだけではない。
例えば、「体験」は子どもの社会情動的スキル(非認知能力)にも関係するとされている。
つまり、子どもたちへの短期的な影響(楽しさ)だけでなく、かれらの将来に対する長期的な影響もある。

だからこそ、その格差を放置しておけないわけだ。
たまたま裕福な家庭に生まれた子どもたちばかりが様々な「体験」の機会を得られ、それによって大人になってからの収入などの格差が再生産されているとすれば、とてもフェアな社会とは言えないだろう。


沖縄県で長く子ども・若者の貧困問題に取り組み、不登校状態の子どもたちを支援している金城隆一さん(NPO法人ちゅらゆい代表理事)は、様々な困難を抱える子どもたちを連れて北海道へ旅行に行ったときのことを次のように語る。

子どもたちにとって初めての旅行でした。
でも、子どもたちは北海道の現地に着いても、沖縄の地元にあるようなアニメショップやゲームセンターなど、普段の生活とまったく同じことをやりたがる。
食べ物も全国チェーンの寿司屋に行きたいと言う。
これまで色んなことを体験したことがないから、「北海道に来たらこれをやってみたい」とか、そういう選択肢がそもそも頭に思い浮かばない。
貧困とは「選択肢がない」ということです。
私は、子どもの貧困問題の中心にあるのが、体験格差だと思っています。

何かを一度もやったことがなければ、それが好きか嫌いかもわからない。
何かを一度も食べたことがなければ、それが好きか嫌いかもわからない。
どこかに一度も行ったことがなければ、その場所が好きか嫌いかもわからない。

子どもたちにとっての想像力の幅、人間にとっての選択肢の幅は、大なり小なり過去の「体験」の影響を受けている。
貧困状態にある子どもたちは、「過去にやってみたことがあること」の幅が狭くなりがちだ。
そして、そのために「将来にやってみたいと思うこと」の幅も狭まってしまいがちなのだ。

体験格差とは、今を生きる子どもたちにとっての楽しさや充実感の問題でもあり、将来の人生の広がりに関わるより長期的な問題でもある。
そのどちらも極めて重要だ。
そうであるにもかかわらず、子どもたちの「生まれ」によって「体験」の機会に格差があることは、この社会ではあたかも仕方がないことのように捉えられてきてしまったのではないか。

今井 悠介(公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事)
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2024年11月24日

今日から完璧主義を卒業するたった1つの習慣

今日から完璧主義を卒業するたった1つの習慣
11/23(土) ダイヤモンド・オンライン

 同じような商品・サービスを扱っているにもかかわらず、楽しそうにラクラクと稼ぐ人がいる一方で、思うように稼げず苦悶にあえぐ人もいる。

その違いは、年齢や経験、持って生まれた才能によって生まれているとは限らない。

稼げない人も、稼げる人と同じように努力はしているだろう。しかし、結果には大きな違いが出る。

その原因は、ほんの一語の違いにあったのだ。

その一語の違いをまとめたのが、この道25年「日本のトップマーケッター」~田昌典氏による、一番やさしい、すぐ使えるコピーライティングバイブル『【スーパーパワーアップ版】稼ぐ言葉の法則 ── 貧す人が稼ぐ人に変わる「売れる法則85」』だ。

本書では、たった一語の差で、貧す人が稼ぐ人に変わる「売れる法則85」が公開されている。

今回は本書より一部を抜粋・編集しながら、たった一語で天国と地獄に分断される「怖さ」と、一語変えるだけで大きく現実が変わる「面白さ」を見ていこう。

● 【貧す人】と【稼ぐ人】の決定的な一語の違い

 今回紹介するのは、「2割8割の法則」である。

 【貧す人】成果を出すためには、完璧にやらなければ
【稼ぐ人】成果を出すためには、重要な2割をやらなければ

 【貧す人】は、思ったことの半分も達成できない。その原因は、はっきりしている。
 それは「完璧主義」。

 完璧主義を貫くから、目標の半分くらいしか達成できないのだ。
 だから、まずは、完璧主義を手放す。

 それができないと、継続して成果が上がらず、達成感が得られない。

● 【稼ぐ人】の思考法

 では、「完璧主義」をやめるにはどうしたらいいか?

 「2割8割」で考え、2割の重要なポイントにフォーカスする。
 すると8割の結果が得られる。
 これが「2割8割の法則」。

 2割の重要なことにフォーカスし、8割の結果が出たら、次に行けばいい。

 最初から最後まで完璧主義を貫こうとすると、今の変化の激しい時代はなかなか前に進めない。

 それより自分が理解している2割だけをやり、あとの8割は他人に教えて手伝ってもらう。

 やり抜く喜びを、自分一人で独占するのではなく、まわりと分かち合う。これが重要だ。

● さらに重要な2つのこと

 そして、もう1つ重要なポイントがある。「褒美」と「罰則」だ。

 やり抜くためには、やり抜いたときのご褒美が大切。

 「終わったらパーッと一杯やる」
「ほしかったジーンズを買っちゃおう」
 などでいい。

 ご褒美は確実なインセンティブとなり、大きなやる気につながってくる。

 ところが、これだけだと、はじめにご褒美を買ってしまう人が出てくる。

 「これは、これから頑張るためのご褒美だ」となってしまうと本末転倒だ。


 だから、ご褒美だけではダメで、「罰則」が必要。
 自分を罰することも考えてみよう。

 「できなければ腕立て伏せ100回」でもいい。

 自分なりの罰則を設けると、一生懸命やるようになる。

 このように褒美と罰則、アクセルとブレーキをうまく使い分けると、やり抜く喜びを常に感じられるようになる。

 【貧す人】は、ムダな8割に集中し、重要な2割を捨てる。
【稼ぐ人】は、重要な2割に集中し、ムダな8割は捨てる。

 そうやって、やり抜いた結果、8割の人に喜ばれるのだ。

 (本稿は『【スーパーパワーアップ版】稼ぐ言葉の法則 ── 貧す人が稼ぐ人に変わる「売れる法則85」』の一部を抜粋・編集したものです)

神田昌典/衣田順一
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2025年01月05日

「これしかない」は危険信号!環境の変化に強い人が必ず持つ『複数の選択肢』

「これしかない」は危険信号!環境の変化に強い人が必ず持つ『複数の選択肢』
2025年01月03日 ダイヤモンドオンライン

変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。
必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。
『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。
著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)でIGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏。
業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていくこれからの時代。
組織に依存するのではなく、私たち一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルになることが求められる。
本連載の特別編として書下ろしの記事をお届けする。

■単一の選択肢がもたらすリスク

 将棋界を代表する棋士の一人である羽生善治九段は、どんな局面でも柔軟に対応する「オールラウンダー」として名高い存在です。
特定の戦法に固執せず、対局ごとに最適な手を選び取るそのスタイルは、現代の不確実なビジネス環境にも多くの示唆を与えてくれます。

 予測不可能な今の時代、私たちは日々変化する環境の中で意思決定を迫られています。
そうした中、最終的に選べるのは一つだとしても、最初から選択肢が一つしかない状況では、環境の変化に対応できず、結果として成功を手放してしまうリスクが高まります。

 例えば、「一つの専門スキル」だけに依存する人は、そのスキルが需要の高い時期には非常に効率的に仕事をこなせるように見えます。

 しかし、技術が陳腐化したり、業界が変化すると、仕事を失うリスクが高まります。
一方で、他のスキルや資格も身につけていれば、新たなキャリアチャンスをつかむ余地が広がります。

 選択肢を一つしか持たないことは、一見すると効率的に見えるかもしれません。
しかし、変化が常態化している現代では、それがかえって大きなリスクとなり得るのです。

■複数のオプションを生み出す「戦略的思考」

 環境の変化に適応するためには、複数のオプションを戦略的に生み出す思考法が重要です。
思いつきで選択肢を増やしても効果は限定的なため、ここで役立つのが「軸」を活用したフレームワーク思考です。

 例えば、旅行プランを考える場合、目的地を「国内」「海外」「近場」、目的を「観光」「リラックス」「アクティビティ」、期間を「日帰り」「1泊2日」「長期滞在」、さらに予算を「高級」「節約」「バランス型」と設定すると、多様な選択肢が効率よく洗い出せます。
これらの組み合わせにより、近場でリラックスする日帰りプランや、海外でアクティビティを楽しむ長期プランなど、幅広い案が生まれます。

 この手法はビジネス戦略の策定にも応用可能です。
「誰に」「何を」「どうやって」を軸に整理すれば、顧客層、提供価値、実行手段の観点から多角的に考えられるようになります。

 こうした戦略的思考を日常的に取り入れることで、単なるアイデア出しから一歩進んだ、具体的で実行可能な選択肢を生み出せるようになります。

■選択肢を持つことがもたらす未来

 複数のオプションを持つことは、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代において、成功確率を高めるだけでなく、不測の事態への対応力を強化します。

 選択肢が複数あれば、一つの方法が失敗しても、すぐに次の手に切り替えることができます。
また、新たな視点や軸を取り入れることで、さらに多様な選択肢を生み出すことが可能になります。

 選択肢を持つための第一歩は、意思決定の前に「軸」を整理し、その軸に基づいて多様なオプションを検討する習慣を身につけることです。
軸に基づき情報を集め、整理し、比較・評価するというプロセスを通じて初めて、論理的な意思決定が可能になります。


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2025年01月09日

【問題】マイナスにマイナスを掛けるとなぜプラス?「抜け毛」問題で考えると即納得だった!

【問題】マイナスにマイナスを掛けるとなぜプラス?「抜け毛」問題で考えると即納得だった!
1/8(水) ダイヤモンド・オンライン

 洋菓子店を営む30代女性・マリさん。
1年前に独立したものの、数学が苦手だった彼女はいろいろな壁にぶち当たっていた。
そこで大人向けの数学塾を経営する堀口先生に教えを請い、救いの手を求めることに。
今回は「マイナスとマイナスをかけると、なぜプラスになるのか」という数学の疑問をわかりやすく紐解いていく。
※本稿は、堀口智之『1杯目のビールが美味しい理由を数学的に証明してみました。』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。

● マイナス×マイナスはなぜプラス?
誰もが最初につまずく数学の疑問

 マリさん
 マイナスでつまずいたところを思い出しました!「マイナスとマイナスをかけるとなぜプラスになるのか」という疑問です。

 堀口先生
 たしかに。これは、誰もがつまずくところですよね。では、学んでいきましょうか。

 まず、マイナスをかけ算する前に、かけ算の意味について考えていきましょう。
3×4と4×3はなぜ等しいんだと思いますか?

 マリさん
 え、かけ算は順番を入れ替えても答えは変わらないんですよね?

 堀口先生
 はい。それは学校で習いましたよね。でも、その理由は?

 マリさん
 3個のリンゴが4皿と、4個のリンゴが3皿か〜。うーん等しいのはわかりますが、なぜと言われると混乱します。

 堀口先生
 その「●●が●●個ある」っていう考え方も、基本としてとても大切です。
しかし、型として覚えているだけなので、理由を聞かれても困るかもしれませんね。

 マリさん
 はい。困りました。

 堀口先生
 実は、歴史を振り返ってみると、かけ算は面積を測ることと重要なつながりがあるんです。
それこそ紀元前3000年頃から始まったエジプト文明。
ナイル川の氾濫や洪水が頻繁にあったと言われています。
そんなとき、自分たちの土地が流されて、どこからどこまでが自分の土地と言えるのかわからなくなったことがあったわけです。
だから、土地の面積を測る必要がありました。
かけ算を活用したら面積は測れますよね。つまり、縦×横です。

● かけ算の順番を変えても答えは変わらない でも、−2個ってどういう意味?

 堀口先生
 例えば、その面積が3m×4mと、4m×3mって面積は違いますか?

 マリさん
 いえ、同じです。

 堀口先生
 立つ場所を変えれば、どちらが縦でも横でもよいですね。
 面積は簡単に求めることができるわけです。

 堀口先生
 これが、かけ算の順番を変えても答えが変わらない理由です。

 マリさん
 なるほど、納得しました!

 堀口先生
 では、次に、こんな問題を出してみましょう。
 先ほど3×4を、3個のリンゴが4皿、と解釈されましたが、同様に考えると、(−2)×3っていくつになると解釈できそうですか?

 マリさん
 えっと、−2が3個あるから、−6ですか?

 堀口先生
 はい。その通り!じゃ、3×(−2)は?

 マリさん
 あれ?3が−2個分って……?よくわからなくなりますね。

 堀口先生
 ですよね。でも、かけ算って順番が逆になっても答えは一緒ですよね。

 ということは、先ほどと同じ問題になります。
3×(−2)=(−2)×3なので、答えが同じ−6にならないとおかしいですね。
3がマイナス2個分と考えると混乱しますが、答えは−6とならざるを得ないわけです。
一度そのような法則やルールを決めたら、そのルールに従うように演算の答えも考えていく必要があるんですね。

 マリさん
 なるほど。数学が論理って言われている理由が理解できる気がします。

● マイナス●個がわからないなら 数値線上で考えてみよう!

 堀口先生
 もう少し式を変形してあげると、その式の持つ意味がより深くわかってくることでしょう。
3×(−2)についてもう少し説明しますね。
−2=(−1)×2ですから、つまり−2は、−1が2個分といえます。
よって、3×(−2)=3×(−1)×2=3×2×(−1)と変形できますね。つまり、6×(−1)となるわけです。

 ここで−1をかけるということがどういうことにつながるのかを一緒に考えていきましょう。数直線で考えます。

 堀口先生
 6×(−1)は数値線上で6が−6に移動することになります。
つまり、6が−1個あるとは、原点を中心に180度回転する、もしくは、原点について対称となる位置にその数を移動させることなんです。
つまり、−1個あるとは、回転だったのです!

 マリさん
 −1個ある、と考えてしまうと混乱しますが、マイナスは数直線上においての回転、と考えるということですね。
つまり、「×(−2)」は、「2×(−1)」と考えてしまえば、2倍したものを回転させる、となるわけですね。

 堀口先生
 その通りです!つまり、(−1)×(−1)はどのように考えるんでしょうか。

 マリさん
 −1にある点を原点を中心にして回転させるのであれば、1に戻る……!すごい!!

 堀口先生
 はい。素晴らしい!(−1)×(−1)=1になる理由がわかりましたね。

● マイナス同士のかけ算は 日常的な話でも説明は可能!

 マリさん
 マイナス同士をかけ算すると、プラスになることはわかりましたが、でも、日常的な話ではなくて、数学で説明しているだけのようにも聞こえます。
ああ、数学が嫌だった理由を思い出してきました……!

 堀口先生
 数学は合理的にできているので、先ほどのような説明をしたのですが、たしかに数学的すぎましたね。
でも、現実でもきちんと説明できるんですよ。
先ほどマイナスは、時間軸を想定するからこそ考えられるという話をしました。
では、時間が経つと、減っていくものって何があるでしょう。

 マリさん
 時間が経つと減る……?お金ですか?

 堀口先生
 お金も減りますね。あと、最近私、抜け毛がひどいんですよ。悲しいことに。

 マリさん
 先生もそういったこと気にされるんですね。

 堀口先生
 いや、人からどう見られるかってやっぱり大事じゃないですか。
もちろん、髪の毛が減っても、自信は減らないのですが(笑)。
視線は多少気になるわけです。
で、この抜け毛ってマイナスのかけ算で計算できるんですよ。

 マリさん
 えっ!いきなりきましたね。

堀口先生
 1日10本ずつ髪の毛が減っていくとしたら、3日後にはどうなりますか?

 マリさん
 10×3=30本減っているでしょうか。

 堀口先生
 そうですね。今、減る方向で考えているので、このように式を立てましょうか。

 (−10)×3=−30

 となるわけですね。
では、3日前ならどうなりますか?

 マリさん
 3日前ってことは未来ではなく過去だから、−3日とおけばよいってことですかね。

 そうすると、

 (−10)×(−3)=30

 となりましたね。

 つまり、過去は30本ほど今より毛量が多かった?

 堀口先生
 はい、その通りです。マイナスとマイナスのかけ算がこれでできましたね。

● 企業コストで考えれば さらにわかりやすくなる!

 マリさん
 すごい。現実に応用できましたね。わかりやすかったです!

 堀口先生
 もっと事例はありますね。
例えば、企業でも様々なコストがありますが、そのコストを減らすと結果的に企業にとってみればプラスに働きます。
わかりやすいように具体的に数字を入れてみましょうか。

 売上100万円。コストが90万のとき、利益は10万円ですね。

 数式に落とし込めば、

 100万−90万=10万となります。

 では、コストを5万円下げてみましょう。すると、どうなるでしょう。


 100万−(90万−5万)となるわけです。

 2種類計算方法があります。

 100万−85万=15万

 と、もう一つ。分配法則を使えば、

 100万−90万−(−5万)

 となるわけですね。この3つ目の項が−(−5万)となります。

 −(−5万)=(−1)×(−5万)=+5万と解釈できますから、コストを下げると、利益に対してプラス5万円として働くことは理解できるのではないでしょうか。

 マリさん
 こんな風にマイナスとマイナスのかけ算がプラスになる事例を考えたことはありませんでした。

 堀口先生
 マイナスをかけるとなったとき、マイナス個ある、という風に解釈されるとよくわからなくなりますが、時間軸で考えてみたり、コストが減る、というシチュエーションを考えてみれば、現実的にも理解できますね。


堀口智之
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2025年01月19日

分数の割り算はなぜひっくり返して掛けるのか? 子どもに聞かれてわかりやすく説明する方法

分数の割り算はなぜひっくり返して掛けるのか?
 子どもに聞かれてわかりやすく説明する方法
1/18(土) 東洋経済オンライン

分数の割り算は、分母と分子をひっくり返して掛け算にする。
それは知っていてもなぜかと聞かれるとうまく答えられない大人も少なくないのでは? 
 算数のなかでもややこしい「分数の割り算」とそれを学ぶ理由について、東大教授で渋滞学の第一人者である西成活裕先生と文系ライターの郷和貴氏の会話形式で解説します。

※本稿は『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく算数を教えてください!』から一部抜粋・再構成したものです。

■分数の割り算を攻略! 〜分数で割る〜

 西成先生:
分数の割り算は、四則演算の中では別格のラスボスです。
分数の割り算の解き方はわかっていても、その意味をちゃんと理解している人って、大人でもそう多くないと思います。

 郷さん:
仲間がいてよかった(笑)。

 西成先生:
たとえば「6 ÷1/2」を考えていきましょう。ガムをイメージしてください。「ガム6枚の中にガム1/2枚分のカタマリがいくつあるか」。

 郷さん:
ガム1/2枚分のカタマリ……。あ、ガムを半分にちぎるということですか! 

 西成先生:
はい。1枚を友だちと分けるとすぐに味がなくなるし、ちっちゃい風船しかつくれなくてイラっとするやつです(笑)。
ちょっと質問を変えましょうか。

 「ガムが6枚あります。それぞれ半分にすると何枚になりますか?」。

 郷さん:
え……。半分にするから2枚になる。それが6セットあるから、「6×2」で12枚ですか? 

 西成先生:
そうです。質問を変えましたが、実はさっきと同じことを意味しています。
つまり「6÷1/2=6×2=12」というわけです。
このように、1より小さい分数である数を割ると、割られる数よりも増えるんです。まずこのイメージをしっかり持ってほしいと思います。

 郷さん:
なるほど。

 西成先生:
ここで分数の割り算の計算式を紹介しておくと、「÷A/B」とあったら、「×B/A」に変換するだけ。
分数をひっくり返して、割り算を掛け算にするんです。

 郷さん:
そういえばアメリカの学校だと「keep,change,flip(そのまま、変える、ひっくり返す)」というフレーズをひたすら覚えさせられるって聞いたことがあります。

 西成先生:
詰め込み教育ですね(笑)。
たしかにそうですね。割られる数はそのままで、÷を×に変え、分数はひっくり返す。この手続きさえ覚えていれば分数の割り算は計算できます。

 1問、例題を解いてみますね。

■分数の割り算を攻略! 〜整数で割る〜

 郷さん:
分数を整数で割るときは? 

 西成先生:
整数を分数に置き換えて、ひっくり返して掛け算をすればOKです。

 西成先生:
このような解き方もあるし、「2等分されたものをさらに3等分する」という式の意味からちゃんと考えていくと、実は先ほどやった分数と分数の掛け算の話にいきつきます。つまり、2等分したものの1つを、さらに3等分したと。

 郷さん:
あ、そうか。「2×3」だから6等分ですね。

 西成先生:
正解です。

■分数の割り算を攻略!〜計算を真に理解〜

 西成先生:
計算式はいま教えた通りですけど、大事なことは「なぜ?」ですね。
仮に計算式を忘れても、自力で計算式を導きだせるように説明をします。

 まず、割り算は分数に変換できますよね。
割る数が整数だろうと分数だろうとその原則は変わりません。
だったら思い切って分数の形にしてみましょう。

 郷さん:
だいたんな発想! 

 西成先生:
「A÷B=A/B」ですから、「1/2÷2/5」を分数にするとこのような分数になります。

 郷さん:
分数の中に分数はあり? 

 西成先生:
全然ありです。こういう分数を連分数といいます。
真ん中の横線を長めに書くとちょっと数学者っぽくなります。
ちなみにこの状態で答案用紙に答えを書いても数学的には正解ですが、先生によっては怒るかもしれません(笑)。

 分母の2/5をすっきりした形にしたいと思います。
ここで、6年生で習う武器を伝授します。
「逆数」というものです。「A×□=1」の□にあたる数のことを、Aの逆数と呼びます。
Aが整数の場合、Aの逆数は1/Aです。なぜかわかりますか? 

 郷さん:
えっと……□を逆算すると、□=1÷Aだから。

 西成先生:
あるいはもっと単純に「Aに1/Aを掛けたら、約分でAとAが消えて1しか残らないから」と考えてもかまいません。

 そしてAが分数x/yの場合、Aの逆数はy/xです。分数をひっくり返したものですね。こちらも、x/yにy/xを掛けたらxとyが両方とも約分で消えて、1しか残らないからです。

■逆数を掛けると分子だけがすっきり残る

 西成先生:
では、改めて分母の2/5をよく見ます。
この連分数を一番すっきりさせる方法は、分母を1にすること。分母を1にすれば分子しか残りませんからね。では2/5を1にするにはどうすればいいのか。

郷さん:
あ、ここで逆数を掛けるのか! 

 西成先生:
そう。2/5の逆数は5/2です。
しかし、分母だけ掛け算すると意味が変わるので、分子にも同じように5/2を掛け算します。すると分母は1になり、「1/2×5/2」という分子だけが残ります。

 郷さん:
だから逆数を掛けるんですね!  ちょっと感動。

 西成先生:
ほかにもいろんな説明のしかたがありますけど、たぶんこれが一番納得感があると思うんです。

 郷さん:
「分母をすっきりさせるために逆数を掛けた」で説明できますからね。これを娘に説明する日が待ち遠しい(笑)。

 西成先生:
「逆数」とか「分数の性質」とか、教科書では断片的に知識を学んでいくことになるので、「これってなんの役に立つの?」と思う場面が多いと思います。
でも、そういう知識って、ロールプレイングゲームでいうアイテムや武器みたいなもので、分数の割り算のようなラスボスと戦うときに使うことになるんです。

西成 活裕 :東京大学先端科学技術研究センター教授
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2025年01月21日

「加工」してない「正直」は食えたものじゃない

「加工」してない「正直」は食えたものじゃない
1/20(月)Books&Apps

「正直者は得をする」という言葉がある。
素晴らしい言葉だし、事実でもあろう。

「正直」の対義語は「うそつき」だろうが、少なくともうそつきは世渡りの大敵であり、これは是が非でも避けなければならない。
極端な例外を除いて、うまく世渡りを続けている人は皆、正直さを大切に思っていると私は確信している。

ただし、「正直」はただ積み重ねれば得をするものではないとも思う。むしろ、無思慮に正直を積み重ねてまずいことになったり、損をすることも多いと思う。

では、どう「正直」であるべきか?

私は、正直ってやつはそのままではロクなもんじゃないと思っている。

いわば、「加工」してないと「正直」は食えたものじゃない、という側面もあるように思うのだ。
まずは以下をご覧いただきたい。

とある日の生放送中、5分休憩から戻ってモニターに目をやった瞬間、寒気がするほどの罵詈雑言の数々が、殺意を持って画面上から這い出てきた。

『生きている価値ないよ』『はよ消えろ』『ゴミクズ』『存在価値ないよ』

5分足らずで100件近く、この類いのブラックワードが立ち並び、僕に襲い掛かった。

中には通報したら逮捕されるのではないか、という度を超えたものも存在したため、数人をその場でBAN制裁した。

上掲は、子どもを相手取ってネットの実況をやっていた方の記事からの抜粋だ(残念ながら、この方のブログは消滅してしまって、私の手元に残った文章はこれだけである)。

ここに書かれている子どもたちの反応は、きわめて「正直」なものだ。
子どもの正直はときに残酷で、誰からも咎められるおそれがないとわかった時、その残酷さが剥き出しになる。

しかし、このような反応は世間で許されるものではない。
たとえ「正直」でも、こういう物言いを繰り返している人は損をするし、子どもはそのことを学んでいかなければならない。

小中学生が動画の荒れたコメント欄に書き込む時の「正直」と、社会人が世間で期待される「正直」には大きな違いがある。

これは、何かを非難する時に限ったことではない。
「カネが欲しい」「異性が欲しい」「承認欲求をみたしたい」といった欲求はどこにでもあろうが、その「正直」を無加工でゴロンと目の前に差し出された時、人はしばしばドン引きする。

プリミティブな欲求に正直であることは決して悪いことではないが、アウトプットする時、世間や第三者に受け入れられやすいかたちで「加工」できなければ、その正直さが仇になることもあるだろう。

ちなみに、「正直」の「加工」とは、「嘘」をつくことではない。

嘘をつけば、他人に対して嘘を貫かなければならなくなる。
嘘がばれなくても、隠しとおすために精神的負荷や記憶的負荷がかかり続けるのは大問題だ。
だから「正直」を「加工」したつもりで嘘をついてしまう人は、じきに行き詰まる。

もちろん、「正直」の「加工」が自己欺瞞であってもならない。

自己欺瞞は、自分自身に対して嘘をつく所作である。これにも精神的負荷がかかるし、(精神分析でいう)防衛機制のメカニズムから考えて、自分自身の認知や認識に盲点をつくってしまうおそれが高い。

だから、自分の内心にある「正直」の一番似つかわしい部分を点検したり、社会的に最も似つかわしい姿にフォルムチェンジさせたりして、自己欺瞞に陥らず、なおかつ自分自身と「正直」が喧嘩しないような均衡点を探さなければならない。

人のなかの「正直」とは、必ずしも一面的ではない。たいていは多面的だ。そのことを利用すれば、「正直」の「加工」は決して無理ではない。

たとえば「カネが欲しい」の場合、カネが欲しいという正直を無加工でゴロンと差し出すのでなく、カネを稼ぐ過程でやりたいことや、自分が得意なことと関連付けて語ったり考えたりしたほうが良い場面がある。

そうした関連づけを自分の内心と矛盾しないかたちでできる人と、関連づけできずに無加工で差し出してしまう人では、主観的には同じ正直者でも、社会や第三者に受け入れられる確率、その正直が報われる確率は違ってくる。

加工に失敗し、嘘をつかざるを得なくなってしまうのは厳しいことだ。
つい、他人や自分自身に嘘をついてしまう人のなかには、正直の加工がうまくないせいでそうなっている人が一定の割合でいるように思う。

「異性が欲しい」「承認欲求をみたしたい」なども同じだ。
これらの正直を、無加工で出して構わない場面が無いわけではない。
とはいっても、多くの社会関係のなかでは、適切に加工ができていなければその正直はひんしゅくを買うだろう。ろろろろろ

自他に嘘をつかないかたちで・これらの正直をうまく加工して出せる人ほど、異性や承認にかえって手が届きやすい。

たとえば嘘をつくことなくモテている人は、だいたい正直の加工やフォルムチェンジが上手い。
彼らが正直を積み重ねて得をしているのは事実だが、その正直とは、まるで精密機械部品のようにしっかり加工されていて、しかも、社会関係のなかでの正直の積み重ね方も上手いのである。

逆に、どれほど正直を積み重ねていても、無加工の欲求を無分別に言い散らかしているだけの人は、絶対にモテない。異性や承認がどんどん遠ざかってしまうだろう。世の中は、だいたいそんな風にできている。

「正直」の社会化

ここまで、正直を加工するという表現を使ってきたが、もう少しそれらしい表現をするなら、正直の社会化、ということになるだろうか。

プリミティブな欲求やエモーションを生のまま出すのでなく、場面のTPOや相手の立場や理解力などに即したかたちで加工してはじめて、正直は人間関係のなかで受け入れられるものになる。
あるいは、受け入れられる確率の高いものになる。
め社会的動物としての人間は、そうやって正直の適切な加工を幼少期から学び始めて、生涯をかけて学び続けていく。

こうした正直の社会化は、年齢が高くなったり社会的立場が変わったりすると求められる度合いが高くなるため、小中学生に求められる度合いと就活中の若者に求められる度合いとアラフィフの中年に求められる度合いはかなり違う。
SNSなどでも、フォロワー数が1000人と10000人と100000人では違うだろう。

正直を適切に加工する技量が年齢や社会的立場に追随できなくなると、正直をとおして得をするのは難しくなり、損をしやすくなる。

社会人の生え抜きコミュニティでは、えてして、そういう正直の加工がハイレベルに行われ、それが当たり前になっていたりする。

なるほど、彼らは正直を積み重ねて得をしている。
だが単に正直だから得をしているわけではなく、正直を精密機械部品のように加工し、社会関係のなかで注意深く運用しているから得をしているのである。

「正直者が馬鹿を見る」という言葉もあるが、馬鹿をみやすいのは、正直の社会化がうまくやれない人や、正直の社会化に失敗したあげく嘘をつかざるを得なくなってしまう人ではなかったか。

正直の社会化の程度や技量が、絶えず、皆に問われているのだと思う。

コミュニティの背景をよく読み、節度を守って。

なお、正直を加工すると言っても限度があるし、どんな加工がどの程度まで許容されるのかは、コミュニティの背景によってかなり変化し得る。

たとえばBlueskyのタイムラインで許容されやすい正直の加工と、X(旧twitter)のタイムラインで許容されやすい正直の加工は、おそらく異なっている。
時代や政治情勢によっても左右されるかもしれない。
だからコミュニティの背景や状況をしっかり踏まえておくのも、正直の加工に際して大切なことだと思う。

とはいえ、そうやって周りをキョロキョロ見渡しながら、自分のうちにあったはずの正直に加工を加えすぎてしまうと、やがて、自己欺瞞や嘘とどこが違うのか、甚だ怪しい境地にたどり着いてしまうかもしれない。

過ぎたるは猶及ばざるが如し。やりすぎて嘘になってしまっては元も子もありません。


――『シロクマの屑籠』セレクション 2018年11月31日投稿 より

***
【プロフィール】
著者:熊代亨
精神科専門医。「診察室の内側の風景」とインターネットやオフ会で出会う「診察室の外側の風景」の整合性にこだわりながら、現代人の社会適応やサブカルチャーについて発信中。
通称“シロクマ先生”。近著は『融解するオタク・サブカル・ヤンキー』(花伝社)『「若作りうつ」社会』(講談社)『認められたい』(ヴィレッジブックス)『「若者」をやめて、「大人」を始める 「成熟困難時代」をどう生きるか?』『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』(イースト・プレス)など。

twitter:@twit_shirokuma
ブログ:『シロクマの屑籠』
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2025年02月25日

12歳の少年が見た昭和41年 「紫電改のタカ」と戦争体験「祖父はあの時代を語らない」 プレイバック「昭和100年」

12歳の少年が見た昭和41年 「紫電改のタカ」と戦争体験「祖父はあの時代を語らない」 プレイバック「昭和100年」
2/24(月) 産経新聞

<当時の出来事や世相を「12歳の子供」の目線で振り返ります。
ぜひ、ご家族、ご友人、幼なじみの方と共有してください。>

近所の駄菓子屋のおじさんは元海軍の飛行機乗りで、戦時中にゼロ戦で活躍した話を子供たちによくしてくれる。
一番すごいのは太平洋上で米軍機3機に囲まれたが、全部撃ち落として帰還したという話だ。
学校でも戦記漫画がはやっていて、僕は「紫電改のタカ」や「0戦はやと」などが大好きだ。

定食屋のおじさんも陸軍で大陸にいたが、後方で食事などを作っていたらしく、面白い話は少ない。
やはり花形はゼロ戦だろう。
ただ、担任の先生は、自分が戦争に行ったわけでもないのに、そういう話が嫌いらしく、「おまえは戦争に賛成なのか」などと言う。
別に賛成しているわけじゃないし、漫画の主人公やおじさんたちだって、そんなこと一言も言ってない。

そう言えば、僕のおじいちゃんも南方のどこかの島に行っていたらしいが、詳しい話は聞いたことがない。
娘であるお母さんもあまり聞いたことがないらしく、僕にも聞くなというので聞いてない。

今年は6月にザ・ビートルズという英国のバンドが来日して騒ぎになった。
学校ではよく知らない子も多かったが、いとこのお姉さんは会場の日本武道館の近くまで行ったらしい。
2年前の東京五輪のときにできた武道の聖地を外国人が使うことに批判もあった。
僕もあんなに髪を長くしてガチャガチャした歌を歌う人たちはあまり好きではない。

それよりもこの年は飛行機の事故が5件も起きたのが大きなニュースだった。
2月に羽田沖に全日空機が墜落して133人が死亡、3月はカナダの旅客機がまた羽田で着陸に失敗して64人が死亡、その翌日に英国の旅客機が富士山上空で乱気流に巻き込まれて墜落、124人が死亡した。

英国の旅客機は前日の事故でコース変更があって、その影響で富士山の上を飛ぶことになったという。
さらに8月には訓練中の日本航空機が羽田空港を離陸直後に墜落して5人が死亡、11月には再び全日空機が四国の松山沖に墜落して50人が亡くなった。

旅客機のパイロットには元軍人さんも多いらしいが、旅客機とゼロ戦は全然違うのだろうか。
今年から日本人の海外旅行の回数が年に1回から無制限になり、外国に行く人も増えているというが、僕はやっぱり飛行機が怖い。ゼロ戦になんか死んでも乗れないと思う。

ただ、この年は交通事故死者数が年間1万3千人を超えて、日清戦争の戦死者1万7千人に近づいたことから「交通戦争」という言葉も流行語になった。結局、空も陸も安心できない。


やはり羽田だけでは狭いらしく、7月に新空港の建設地が千葉県成田市の三里塚という所に決まった。テレビで見たら田畑があって人も住んでいて、こんな場所に広い空港が本当に造れるのか心配になった。

学校では先日、「戦争の悲惨な話を周りの大人から聞いてきなさい」という宿題があって、「またか」と思った。
僕がひねくれているのかもしれないが、なぜ悲惨な話だけなのか。もし僕があの時代に生きていたら、本当に悲惨な経験なんて子供に聞かせたくないと思うし、あらためて思い出したくもないと思う。

駄菓子屋のおじさんの話が誇張されていることぐらい子供だってわかっているし、武勇伝にしないと、きっと悲しい経験を思い出してしまうのだと思う。

それでも先生がうるさいので、勇気を出して僕のおじいちゃんに聞いてみた。
おじいちゃんは嫌がる様子もなく、「どこに行ったかも、何をしたのかも、ぜーんぶ忘れてしまったよ」と笑っていた。

※ 昭和40年代には戦争で戦った人たちが普通にいた。
総務省の恩給統計によると、当時は125万人前後だったが、平成23年度に10万人、令和元年度に1万人を割った。
昨年度末では1千人程度となっている。
「戦記漫画」も昭和40年代には「少年マガジン」「少年サンデー」などで人気だったが、市民団体などから「戦争賛美」との声が上がり、急速に減っていった。
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2025年02月28日

「本を読んでも何も残ってない」…勉強熱心な人ほど犯しやすい「絶対にしてはいけないこと」

「本を読んでも何も残ってない」…勉強熱心な人ほど犯しやすい「絶対にしてはいけないこと」
2/27(木) 現代ビジネス:哲学者・山野弘樹さん

先行きが見えない「答えのない時代」を生きる私たちにとって、「自分の頭で考える力」は必須です。
でも、何をどのように考えれば良いのか、どのように勉強すれば良いのか、具体的な方法がわからない人も多いでしょう

気鋭の哲学者・山野弘樹氏が、自分の頭で考えて学びを深めるための方法=「独学の思考法」をわかりやすく解説します。
※本記事は山野弘樹『独学の思考法』(講談社現代新書)から抜粋・編集したものです。

「何も考えられていなかった」学生時代の体験

実は昔、「考えるってどういうことなのか」という問題に強烈な仕方で直面したことがありました。
この実体験は、「考える」という営みについて根本的に考え直すきっかけを私に与えてくれたものなので、このエピソードをお話しすることを通して、「考えるとは何をすることなのか」という問いに答えていきます。

私は勉強があまり得意ではなかったのですが、高校生のときから世界史の授業だけは好きでした。
まるでたくさんの映画を観ているような気持ちで学ぶことができたのです。
そんな私が上智大学の史学科に入れたことは幸運なことでした。
そしておそらく、私は史学科生の中でもとりわけ真面目に講義を受講していた学生の一人でした。

私は大学という環境で自分の知力を高めていくために、とにかくたくさんの本を読もうと決心しました。
そして、今思い出すと恥ずかしいのですが、私は古本屋で買いあさった本を片っ端から読んでいくと、それを次々に塔のように積み上げていったのです。

読了した本の高さが高くなればなるほど、私は自分の知力も向上しているような気がしました。
今思えばただの自己満足なのですが、当時はその光景を見ると、心の底から満足することができたのです。

大学2年生の夏休みのある日、私は友人と3人で大阪旅行に行きました。
私は東京駅から友人と新幹線に乗り、お喋しゃべりをしながら大阪に着くのを楽しみにしていました。
そのときにも、当時読み進めていた歴史学の本を持参していました。

道中、「何を読んでいるの」という話になり、その本の内容を紹介しているうちに、私は話の流れで「17世紀のヨーロッパは進歩していた」と述べました。
それに対して、その友達が次のように質問をしてきたのです。
「どうして17世紀のヨーロッパが進歩していたと言えるのか?」。

本を読んでいる「つもり」になっていた

今思えば、例えば科学史や政治史の観点から「進歩」について何らかの説明を加えるということもできたように思います。
ですが、すっかり「読書愛好家」になっていた私の頭は、「その話は、どの本の何ページに書いてあっただろうか?」という発想しかできなくなってしまっていました。
まるで様々な著者の主張を切り張りしたかのような頭の中身だったのです。

しかも人間の記憶力は脆弱なので、本に書かれている表現がどのようなものであったのかを覚えているわけがありません(終始「えーっと、あの本にはなんて書いてあったかな……」という状態です)。
すなわち、このときになって、初めて私は「自分の頭で何かを考える」ということがまるでできないという事実に直面することになったのです。

それでは、私はその間、一体何をしていたと言うのでしょうか?

さらに連載記事<「何を、どのように勉強すれば良いのか」…意外と知られていない「思考力を高める方法」>では、地頭を鍛える方法について解説しています。ぜひご覧ください。

山野 弘樹(哲学研究者)
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「人のせいにする教育から自己決定できる教育へ…」

「人のせいにする教育から自己決定できる教育へ…」松坂桃李さん主演のドラマ「御上先生」監修のアドバイザーが講演会で教育制度の変革を訴え 長野・上田市
2/27(木) SBC信越放送

学校教育のあり方を問う話題のドラマ「御上(みかみ)先生」。
そのドラマの監修も務めている教育アドバイザーが26日、上田市で講演しました。

教育関係者などおよそ230人が拍手で迎えたのは、教育アドバイザーの工藤勇一(くどうゆういち)さん。
工藤さんは、松坂桃李さんが主演してSBCで放送中のドラマで、日本の教育のあり方を問う「御上先生」の学校教育監修を手掛けています。

都内の中学校などで校長を務めていた際には、定期テストや宿題を廃止するなど学校改革にも取り組んできました。

工藤さん:
「教育というのはキーワードは自己決定です。
子どもの自己決定をどれだけ繰り返すことができるように支援をするか。
これが教育なのに、自己決定させなければ人のせいにする子どもしか育ちません」

急速に進むデジタル化や人口減少など社会構造が変化し、先が見通せない時代を生きる上で、自分で物事を判断し、行動に移す能力が欠かせないという工藤さん。

しかし今の日本の教育は、教師や親が子どもに手をかけすぎて、主体性が育たないと指摘します。

工藤さん:
「特に日本の教育は社会性を重視して、人に迷惑をかけるなということをものすごく重視する教育なので、あれをするなこれをするな、そうすると子どもたちはそのうちこう聞いてきます。
お母さんこれやっていいのと聞きます。
なぜかというと臆病になってしまうので、リスクを負うことをやりたがらないから、やっていいかと確認をとるんですね。
人のせいにできますよね、自分で決定してないので。人のせいにできるという教育ですね」

教育する側から押し付けるのではなく、子どもが何を学びたいか選べる仕組みづくりが重要と話しました。

工藤さん:
「僕らは命令形をやめようって決めたんですよ。
そこで考えたのがこの3つのセリフですね。
飛び出していった子どもをつかまえて『どうした』って『あの先生大嫌いだから』ってめちゃくちゃなこと言うんですよ。
それに対して『どうするよこの後』っていうと、びっくりしますね。
子ども言われたことないんですよ。
でも自己決定した子どもは先生に感謝するんですよ。
その場所を僕らは与えてあげるってことをやっていくんですね」

根本的に国の教育制度の在り方を変えていく必要があると訴える工藤さん。

そのうえで教員一人一人が教育とは何か主体的に考えることで日本を変えていけるとメッセージを送りました。

信越放送
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2025年03月22日

これは「地獄の大増税」への布石である…政府が進める「私立高校無償化」の甘美なウソにだまされてはいけない

これは「地獄の大増税」への布石である…政府が進める「私立高校無償化」の甘美なウソにだまされてはいけない
3/21(金)  プレジデントオンライン

公立・私立を問わず、所得制限なしに、高校の授業料が無償化されることになった。

早稲田大学公共政策研究所の渡瀬裕哉さんは「教育の無償化ではなく『税負担化』だ。増税につながるだけでなく、教育の質を悪化させる愚策ではないか」という――。

■私学の教育無償化が全国で行われることに

 自民・公明・日本維新の会が来年度予算に賛成したことで、私学の教育無償化が全国的に行われることになった。
そして、日本維新の会はさらに大学無償化まで実現するように推し進めるという。

 この教育無償化は「教育税負担化」と言い換えて良い。
石破首相は「歳入・歳出両面の措置を徹底的に行い、安定的かつ恒久的な財源を見いだすことは政府の責務だ」としている。このような発言は将来的な増税によって賄うシグナルのようなものだ。

 大阪府で私学の教育税負担化を行ってきた大阪維新の会(≒日本維新の会)は「増税ではなく行政改革で予算を捻出してきた」と主張している。
大阪府は来年度予算でも高校や大阪公立大学の授業料税負担化のために約297億円を計上している。
ただし、実際にはアベノミクスによる税収増や消費税増税効果による歳入増があり、なおかつ教育税負担化予算を計上しなければ一部見直しが可能であった過去から継続する法人税超過課税を放置している現実を無視した話なので「行革で云々」は話半分だ。

 そして、大阪府はみずからが導入した教育税負担化について、国による高校授業料無償化の拡充によって府の財政負担は、2025年度に約37億円、2026年度に約254億円を削減できるとしている。
つまり、大阪府は自分勝手に始めた政策の負担を最終的には国に背負わせることに成功したということだ。
すでに高等教育の税負担化を実現している東京都の予算額である約600億円を足し合わせると、約900億円弱の負担が東京・大阪の二大都市から消えることになる。

■結果として、永遠に続く「サブスク払い」となる

 日本全体で私立高校の教育税負担化を実現するためには約6000億円が必要とされている。
東京・大阪の約900億円は全予算の約15%を占めているが、他の道府県はそのような過剰な予算捻出は予算の優先順位等の観点から行われていない。
都市部の金満自治体の感覚をそのまま他の道府県にまで押し付けた場合、本来はそのような予算が無かった地域にも新たな予算バラマキが行われることになる。

 当たり前であるが、政府与党はこのような恒久的な予算支出を増税の好機と捉えるであろう。
教育税負担化の約2倍の恒久的支出である防衛増税は、今回の自公維の賛成によってしっかりと恒久増税化の道筋がつけられていることからもお察しだ。
結果として、この手の予算支出は永遠に続くサブスク払いとなって国民全員の税負担となって返ってくるものだ。

 仮に日本維新の会が「行政改革によって予算を捻出する」というなら、今すぐ与党入りして来年度の骨太の方針にその旨明記し参議院議員選挙で審判を受けるべきであるが、その見通しも無さそうだ。
実に無責任な政治の有様であり、政府与党による増税の仕込みは着々と進むだろう。

■そもそも、日本の高校進学率は98%超

 さて、教育税負担化は実際にはどのような効果が期待できるのであろうか。
そもそも日本の高校進学率は98%超であるため、教育税負担化を実施したところで統計的に有意な差がもたらされないだろう。

 むしろ、これ以上の高校進学率の上昇を望むならば、6000億円もの予算を投じて私立高校の授業料を税負担化するよりも、国民に対する義務教育の延長や奨学金の拡充によって達成するほうがはるかに合理的である。
誰がどう見ても当たり前の話であり、その教育税負担化のための予算の一部でも使って公立学校の環境改善に投じたほうが良い結果が得られるだろう。

 筆者は親が教育に支出する行為は、社会規範や道徳心を育むことにつながると考えるため、教育に対する過剰な税負担にはそもそも反対の立場であるが、私立の教育税負担化という天下の愚策に比べればはるかにマシである。

■塾・予備校への実質的な「補助金」

 次に、教育の質という点ではどうだろうか。
世界の15歳の子どもたちの学習到達度を図るPISAにおいて、日本はほぼ常に上位国となっている。
2022年ランキングでは日本は数学リテラシー5位、科学リテラシー2位、読解力3位である。日本よりも上位の国はシンガポール、マカオ、香港、台湾、アイルランドなどの小都市国家のみだ。
つまり、現行の日本の中学校までの教育水準は諸外国と比べてほぼトップの成績を残している。

 日本の公立教育が優れているのか、それとも日本人自体の資質がそうさせるのかはわからないが、このような状況が高校進学した途端に激変するとは到底思えない。
したがって、現在の教育システムを変更して、新たな税負担を講じて私立学校に通わせる必要があるとは言いがたい。

 一方、私立高校の授業料税負担化は、中長期的にその教育内容を悪化させていくことになるだろう。
これは何も難しい話ではなく、当たり前の商売の常識を持っていればわかることだ。
価格は商品の良し悪しを判定するためのツールである。
したがって、授業料の価格システムが破壊された場合、親の学校教育に対する期待値の判定は、ブランドネームのみに左右される極めて権威主義的な状態が蔓延することになる。

 ただし、最初はある程度は学校選択の方法として機能するかもしれない。
しかし、私立学校の売り上げの大半を占める授業料が政府の税金で賄われる以上、本来の顧客である家庭よりも政府の顔色が重視され、授業内容はおざなりになっていくだろう。

 そして、元々私立学校に通わせる親はさらに予備校・学習塾にも通わせており、結果として予備校・塾産業がさらに栄えるだけになる。
なぜなら、そちらは「価格」がついていて、その価値がわかるようになっているからだ。
そのため、教育税負担化は、私立の腐敗が蔓延するだけでなく、学習塾・予備校への実質的な補助金になるだろう。
まさに学校の破壊に拍車をかけるものだ。

■子育て・教育以前に、結婚する若者の人数が減少

 一部の政治家は、私立学校の教育税負担化で「公立学校が淘汰されることになるから良いのだ」という人々もいる。
たしかに、彼らの本音が、公立学校の土地を売り払いかつダメ教員を削減したい、ということであれば、多少は気持ちが分からんでもない。
しかし、上述の通り、不必要かつ無用な問題を新たに生み出す行為に追加で予算を投じることは間違っている。

 よりオブラートに包んだ「少子化で学校が過剰に存在しすぎるようになるため」という建前を掲げる場合はなおさらだ。
それらの話を住民に説明して納得を得ることが地方自治であり、国の制度化することによって一気にそれを進めることを是とするなら、その政治家は地方自治を語る資格がない。早々に地方自治体が持つ全権限を国に移譲して問題を解決してもらうべきだ。

 最後に、教育税負担化は「少子化対策に寄与する」ので、全国民が税負担することは当然だ、という主張にも疑問を呈したい。
子どもが生まれない原因は、若者の手取りが減少して子育て・教育以前に結婚する若者の人数が減少しているからだ。
労働法制の硬直化による年功序列制度、若者に対する税金・社会保険料の過剰請求、これらによって彼らの給与・手取りは異常に安い価格に抑えられている。
仮に石破首相が恒久的な支出に対する恒久的な財源(=増税)で、教育税負担化を賄おうとするなら本末転倒甚だしいことだ。

■「少子化対策に寄与する」はウソである

 また、少子化の原因は女性の高学歴化・高キャリア化が進むことで晩婚化・晩産化が進んでいることにもある。
女性のキャリア志向が高まる中で、そのキャリアを一時中断するコストとリスクは非常に高い。
したがって、キャリア形成に重要な若年段階で子どもを持つことは忌避されるのは当然だ。
これは単なる構造問題であって良い・悪いという問題ではない。
その結果として長子の晩産化が進みつつある中、「第二子・第三子を私立高校に税負担で通わせられるようになったから子どもを産みます」ということを期待することは妥当だろうか。

 現在でも高校進学率98%超であり、結局は学習塾・予備校産業に追加で家計支出が行われる可能性に鑑み、私立高校の教育税負担化が出生率に影響を及ぼすとは考えがたい。

 以上のように、私立高校の教育無償化=教育税負担化には日本国民の公益に追加で資するメリットらしきものが見当たらない。
むしろ、デメリットのほうが大きいように考えられる。
この政策を推進する人々が夏の参議院議員選挙で大敗し、私立高校の教育無償化という愚策が撤回されることを望んでいる。
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渡瀬 裕哉(わたせ・ゆうや)
早稲田大学公共政策研究所 招聘研究員
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2025年03月23日

犯罪なのに…日本で「いじめ」がなくならない「本当の理由」

犯罪なのに…日本で「いじめ」がなくならない「本当の理由」
3/22(土) 現代ビジネス

いま日本はどんな国なのか、私たちはどんな時代を生きているのか。

普段本を読まない人も「意外と知らなかった日本の論点・視点」を知るべく、日本・日本人の謎や難題に迫る話題書『日本の死角』を読みはじめている。

「学校」という病

最近、また「いじめ」が大きなニュースとなっている。なぜいまだに根本的な解決にいたっていないのだろうか。

話題書『日本の死角』では、「日本の学校から『いじめ』が絶対なくならないシンプルな理由」という論考でそのテーマを深く掘り下げている。一部を紹介したい。

***
最も根幹的な問題は、「学校とはなにか」ということであり、そこからいじめの蔓延とエスカレートも生じる。

わたしたちが「あたりまえ」に受け入れてきた学校とはなんだろうか。
いじめは、学校という独特の生活環境のなかで、どこまでも、どこまでもエスカレートする。

先ほど例にあげた横浜のいじめが、数年間も「あたりまえ」に続いたのも、学校が外の市民社会とは別の特別な場所だからだ。
社会であたりまえでないことが学校で「あたりまえ」になる。

学校とはどのようなところか。

日本の学校は、あらゆる生活(人が生きることすべて)を囲いこんで学校のものにしようとする。
学校は水も漏らさぬ細かさで集団生活を押しつけて、人間という素材から「生徒らしい生徒」をつくりだそうとする。

これは、常軌を逸したといってもよいほど、しつこい。
生徒が「生徒らしく」なければ、「学校らしい」学校がこわれてしまうからだ。

たとえば、生徒の髪が長い、スカートが短い、化粧をしている、色のついた靴下をはいているといったありさまを目にすると、センセイたちは被害感でいっぱいになる。

「わたしたちの学校らしい学校がこわされる」

「おまえが思いどおりにならないおかげで、わたしたちの世界がこわれてしまうではないか。どうしてくれるんだ」

というわけだ。

そして、生徒を立たせて頭のてっぺんからつま先までジロジロ監視し、スカートを引っ張ってものさしで測り、いやがらせで相手を意のままに「生徒らしく」するといった、激烈な指導反応が引き起こされる。

この「わたしたちの世界」を守ることにくらべて、一人ひとりの人間は重要ではない。
人間は日々「生徒らしい」生徒にされることで、「学校らしい」学校を明らかにする素材にすぎない。

多くのセンセイたちは、身だしなみ指導や挨拶運動、学校行事や部活動など、人を「生徒」に変えて「学校らしさ」を明徴するためであれば、長時間労働をいとわない。

その同じ熱心なセンセイたちが、いじめ(センセイが加害者の場合も含む)で生徒が苦しんでいても面倒くさがり、しぶしぶ応対し、ときに見て見ぬふりをする。私たちはそれをよく目にする。

ある中学校では、目の前で生徒がいじめられているのを見て見ぬふりしていたセンセイたちが、学校の廊下に小さな飴の包み紙が落ちているのを発見したら、大事件発生とばかりに学年集会を開いたという(見て見ぬふりをされた本人〈現在大学生〉の回想より)。こういったことが、典型的に日本の学校らしいできごとだ。

こういった集団生活のなかで起きていることを深く、深く、どこまでも深く掘りさげる必要がある。

学校では自由が許されない

さらにそれが日本社会に及ぼす影響を考える必要がある。
学校の分析を手がかりにして、人類がある条件のもとでそうなってしまう、群れたバッタのようなありかたについて考える必要がある。

学校で集団生活をしていると、まるで群れたバッタが、別の色、体のかたちになって飛び回るように、生きている根本気分が変わる。
何があたりまえであるかも変わる。こうして若い市民が兵隊のように「生徒らしく」なり、学習支援サービスを提供する営業所が「学校らしい」特別の場所になる。

この「生徒らしさ」「学校らしさ」は、私たちにとって、あまりにもあたりまえのことになっている。
だから、人をがらりと変えながら、社会の中に別の残酷な小社会をつくりだすしくみに、私たちはなかなか気づくことができない。

しかし学校を、外の広い社会と比較して考えてみると、数え切れないほどの「おかしい」、「よく考えてみたらひどいことではないか?」という箇所が見えてくる。

市民の社会では自由なことが、学校では許されないことが多い。

たとえば、どんな服を着るかの自由がない。
制服を着なければならないだけでなく、靴下や下着やアクセサリー、鞄、スカートの長さや髪のかたちまで、細かく強制される。
どこでだれと何を、どのようなしぐさで食べるかということも、細かく強制される(給食指導)。社会であたりまえに許されることが、学校ではあたりまえに許されない。

逆に社会では名誉毀損、侮辱、暴行、傷害、脅迫、強要、軟禁監禁、軍隊のまねごととされることが、学校ではあたりまえに通用する。
センセイや学校組織が行う場合、それらは教育である、指導であるとして正当化される。

正当化するのがちょっと苦しい場合は、「教育熱心」のあまりの「いきすぎた指導」として責任からのがれることができる。生徒が加害者の場合、犯罪であっても「いじめ」という名前をつけて教育の問題にする。

こうして、社会であたりまえに許されないことが、学校ではあたりまえに許されるようになる。

現代新書編集部
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2025年03月26日

意外と知らない、レポート・論文が書ける人と書けない人の「大きな違い」《「絶対知っておきたいコツ」の正体…!》

意外と知らない、レポート・論文が書ける人と書けない人の「大きな違い」《「絶対知っておきたいコツ」の正体…!》
3/25(火) 現代ビジネス

学期末や卒業前になると噴出する「レポート・論文ってどう書いたらいいんだろう」という疑問――。

テーマをどう選べばいいか、なぜ文章が書き出せないのか、良い論文と悪い論文の決定的な違いとは、絶対やっちゃダメなこととは……新刊『ゼロから始める 無敵のレポート・論文術』では、指導経験豊富な大学教授が「極意」を書き尽くしている。

テーマをどう選ぶか

論文やレポートを書くとき、まずは「テーマ」をどうするか。ここに悩む人が多そうです。

では書ける人はどんなことを考えているかというと……。

〈文系の論文を書くにあたって、テーマ決めは、ある意味、最重要ポイントです。
論文を書く作業が楽しくなるかどうか、また最終的に良い論文が仕上がるかどうかは、すべてこの一点にかかっているといっても過言ではありません。
ですから、論文のテーマを決める際には、細心の注意が必要です。

テーマを決める際の心得は、実は一つしかありません。それは何かと申しますと……

自分にとって興味のあることについて書く

これです。そして、これ以外ないです。

論文というのは、どのような種類のものであれ、それを書く前段階として相当長い時間をかけてコツコツと調べものをしなければならないのですから、うっかり自分の興味から外れたテーマを選んでしまったりすると大変。
「論文、書かなくちゃ……」と思うだけで苦痛を感じるようになってしまいます。
それだけに、テーマを決める際には「自分はこのテーマに本当に興味が持てるだろうか?」と繰り返し自問することが重要です。
間違っても、「人からすすめられて……」といった安易な決め方をしてはいけません。
あくまで自分本位に決めてください。〉(『ゼロから始める 無敵のレポート・論文術』より)

2つの型がある

テーマが決める際に、論文の「型」も知っておくと便利です。

『 ゼロから始める 無敵のレポート・論文術 』では2つの型を紹介しています。

自分に合った型があるかもしれませんので、知っておくとよいでしょう。

〈大まかな話をしますと、文系/文化論系の論文には二つのタイプがあります。
「論争型」と「伝記型」です。

まず論争型論文について説明します。

これは私がこれまで生きてきた中で得た実感の一つなのですが、およそ天の下のことにはたいてい、表と裏の二面があり、その二面のどちらにもそれなりの正当性がある、というところがあります。
もっと簡単にいえば、どんな話題にせよ、それぞれ相応の説得力を持った賛否両論が成り立つものだ、ということですね。

たとえば、この本を書いている私はかなり真面目な人間でありまして、それは間違いなく私の長所だと思います。
しかし、真面目な人間であるがゆえに損をすることもたくさんある。
一部の人たちは、私のことを「真面目なばかりで、付き合いが悪い。つまらん奴だ」と思っているでしょうし、自分でもそう思うことがあります。
実際、真面目であるために、豪放なことができない。人の目を気にするあまり、自分の思うような生き方ができないところもある。
つまり真面目であることは、私にとって大きな短所でもあるわけです。

とすると、一般論として真面目であることは長所であるともいえるし、また短所であるともいえることになる。
同じことに対して、二つの正反対の評価を下すことができて、しかもその両方とも、ある意味では当たっているということです。

ことほどさように、世の中のことにはたいてい賛否両論があり、そのそれぞれの言い分にまっとうな根拠があることが多いんですね。だからこそ、双方の立場から論争をすることができる。

(中略)

賛否両論が巻き起こっているような社会問題を取り上げるのではなく、特定の国(本書の場合はアメリカ)の歴史や文化に関連の深い人物や事物について、その伝記的な事実を掘り起こしていくタイプの論文だってあり得るはず。

主に伝記的な事実を扱うので、とりあえずこれを「伝記型論文」と名づけておきますが、私のゼミ生がかつて取り組んだ卒論のテーマでいいますと、「ブルース音楽が白人社会に与えた影響」「アメリカ初の全国紙USA TODAYの成立史」「ブロードウェイ・ミュージカルの歴史」「ラルフ・ネーダーと消費者運動」「雑誌広告の変遷」「ボーイ・スカウト運動の発展史」「マクドナルドの歴史」「アメリカ現代写真とフォトジャーナリズムのルーツ:アンリ・カルティエ=ブレッソンからロバート・フランクまで」「ソウル・ミュージックの歴史」「アメリカにおける女子教育の変遷」「スミソニアン博物館の歴史」「ジョン・ケージの音楽」「保安官制度から見るアメリカ警察組織」「カリフォルニア・ワインの歴史」といったあたりが伝記型論文の代表例ということになるでしょうか。
またこれは人物・事物ではありませんが、「アメリカにおける清潔概念」といったテーマも伝記型論文の範疇に入ります。〉『ゼロから始める 無敵のレポート・論文術』

一文目をどう書き出すか

こうしてテーマや型を決めたら、どう書き出すか。一文目をどう書いたらいいかわからないという人もいるでしょう。

〈ゼミ生に卒論指導をしていて、一番てこずるのは、実際に本文を書き出させることです。
テーマ決め、資料収集、ネタ・カード作り−ここまでは割と順調に進むのですが、「では、そろそろ本文を書いてみなさい」というと、途端に渋り出す。急に頑固になって、なかなか書き出そうとしない……。

ま、その気持ちはわからないでもありません。ゼミ生たちとしても、何しろ一生に一度の卒論ですから、「傑作を書きたい」という気持ちがあるのでしょう。
で、そんな思い込みがあるゆえに、最初の一行を書くのが逆に怖くなってしまう。
はたしてこの一行が「傑作」の名に値する一行か? と考え始めると、途端に不安になって、書いては消し、書いては消し……。

わかります。よーくわかります。
なぜなら、我々プロの研究者も同じだからです。
論文を書く度に、今度こそ傑作を書こうと思い、その思いが余って最初の一行が書き出せない。その繰り返しです。

私はゼミ生たちに次のようなアドバイスをすることにしています。

自分が書こうとしている論文の内容を、口頭で、友人に説明してみなさい

このアドバイスのポイントは「口頭で」というところにあります。
論文の書き出しに迷ったら、まず筆(パソコン)を措いて、口で説明してみろ、ということですね。
しかも指導している私に対してではなく、もっと気楽に話せる友人に。もちろんこの場合、本物の友人でなくてもかまいません。
頭の中に思い浮かべた空想上の友人でもいい。
とにかくその友人に向かって自分が卒論で何を調べているか、またその過程でどんなことがわかったかについてざっくばらんにしゃべってみる。

人間、人に向かって何かをしゃべるとなると、自然に話に起承転結をつけるものです
つまりごく自然にストーリーを作って、それを上手に物語るものなんですね。
逆に、起承転結のない話を人にするのは至難の業。
ですから、「仮に今、自分が調べていることを友人に説明するとしたら、自分はいったいどこから、どういうふうに話し出すだろうか……」と考えることは、とりわけ論文の書き出しを決めるときには非常に参考になるんです。

ただ、その際に重要なことは、あなたが語りかけようとしているその友人には、あなたが論文のテーマに選んだ事柄についての予備知識がまったくない、と仮定することです。
つまり、何も知らない人に向かって自分が書こうとしていることを説明するつもりになる、というところがミソなんですね。〉(『ゼロから始める 無敵のレポート・論文術』より)

現代新書編集部
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2025年03月29日

テストの点数でも、足の速さでもない…成績表で"5"を取るために教師が小学生に求める「理不尽な評価基準」

テストの点数でも、足の速さでもない…成績表で"5"を取るために教師が小学生に求める「理不尽な評価基準」
3/28(金) プレジデントオンライン

日本の学校は、テストの結果だけで子供の成績をつけなくなった。
公平性が増したように見えるが、どのような問題があるのか。
木村草太『憲法の学校 親権、校則、いじめ、PTA――「子どものため」を考える』(KADOKAWA)から、木村さんと教育社会学者の内田良さんの対談の一部を再編集して紹介する――。(第4回)

■“子供に寄り添った授業”がやりにくくなる

 教育現場では、今まさに劇的な変化が進んでいる。
全国の自治体や学校では、授業の進め方やルールなどを統一する「授業スタンダード」と呼ばれるものが広がりつつある。
教師の長時間労働などの背景を研究し、現場のリアルな声を発信してきた教育社会学者の内田良(うちだりょう)さんと議論した。

 【木村】
気になっているのは、「授業スタンダード」の導入です。
授業方法から挨拶などの生活指導まで、「こういう方法でやりなさい」というスタンダードが下りてきて、教師の裁量が低下する。
裁量性が広い双方向・探究型授業を行おうとするがゆえに、ノウハウが求められて、結果的にスタンダードが導入されるという事態になっています。

 ただ、教育法学でも憲法学でも、現場の教師の裁量は非常に重要だと言われているんです。
裁判官は子ども一人ひとりの顔は知らないし、どんな子なのかも分からない。
他方で現場の教師は、その教室の専門家として、時間をかけて子どもたちへの理解を積み重ねている。
その専門家としての判断を裁判官や法律家は尊重する必要があるし、裁判所にとっても、授業の方法が裁量を逸脱しているかどうか、違法性を認定することには非常に慎重になる。

 ところが、授業スタンダードが設定されると、「この子はもう少しゆっくり喋(しゃべ)ってあげた方がいいな」とか「この子たちは、この知識がないから、それを定着させてから次のプロセスに入ろう」といった判断が許されなくなってしまう。

■保護者に説明しやすいメリットもあるが…

 「メガホン」というウェブメディアが実施した教職員向けアンケートを目にしたのですが、それを見ると、現場の教員は、スタンダードに関して、メリットよりもデメリットを強く感じているようです。

 唯一のメリットと言えば、保護者に説明が出来ることぐらいだと。(メガホン「【教職員アンケート結果】学校や自治体で授業のやり方を統一する「授業スタンダード」どう思う?)」

 【内田】
授業スタンダードのメリットはその1点なんですよね。
「管理しています」という証拠として説明責任を果たせる。
例えば、鉛筆が1本なくなったと低学年の子どもが言い出すことがあります。こういう時のために、持ってくる鉛筆は5本と決めて、毎朝本数を確認しておく。すると、日中に1本消えたのだから学校で落としたと言える。

 こうした明確な説明がつきやすいと、何かトラブルが起きた時の説明もしやすいんです。「ちゃんと指導しています」という証拠になる。
そのため、嫌がる教師がいる一方で、コミットしてしまっている教師も多い。

■子供が“教師の顔色”をうかがうようになる

 【木村】
探究型・双方向型授業の問題点と重なるのが、全人格的評価です。

 【内田】
かつてテストの点数だけで評価していたのをやめて、観点別評価に変えていきましょうという仕組みですね。
子どもの力はテストだけで測定しちゃいけないだろうと。
具体的には、関心、意欲、態度が重視されるようになりました。
この子は授業中、こんなに元気よく発表しているじゃないか、それを評価に組み込んで評価の枠を広げましょうという趣旨です。
 この仕組みはおっしゃる通り問題があって、要するに教師の権限が広がって、子どものあらゆる側面を評価できるようになってしまうんです。
態度が悪い子どもを指導する、あるいは指導しなくとも、子どもは教師の顔色をうかがいながら学校生活を過ごすようになる。

 【木村】
じゃあ、どんな子どもが高いスコアを取れるかというと、実はテストが得意な子どもなんです。
評価軸ごとにノウハウを磨いて、それを満たすように振る舞うには、テスト対策と同じ能力が必要ですから。もともと目指していたものとは、乖離していく。

 【内田】
例えば苦手な教科は終わった後に質問しに行くことで意欲をアピールして、みたいなテクニックが生まれます。
それでスコアを上げて、推薦入試を狙うと。

■“体育が得意”なだけでは「5」が取れない

 【木村】
私の子ども時代には、「体育」が「5」の子どもはクラスのスポーツのヒーローだったわけですが、今「体育」が「5」の子どもは違います。
技能が出来るだけでは「4」までしか取れなくて、その後の振り返りで、「目標は◇◇だった」「○○の点ができなかった」「今後は、それを改善するために、△△に取り組みたい」みたいなことを表現できないといけない。
これはやはりずれていると思うんです。人格の評価は、技能の評価とは別で考えないといけない。

 【内田】
テストの点数だけで評価すると言うと冷たく聞こえますが、裏返すと「それ以外は自由でいいよ」という話じゃないですか。最低限の知識はテストで評価させてもらうから、他は好きにしていいよ、と。
この方が子どもにとっても良かったんじゃないかという感覚があります。

 テストの点数は悪くても意欲がある子どもに対しては、例えば教師が休み時間に声をかければいいわけですよね。
「この前の発表、良かったよ」とか。声をかけて褒めてあげれば、すごく自信が付くし、前向きに生きていけるはずなんです。「テストはダメだったけど、先生に褒められたもん」と思える。
それを数字化しようとするからおかしなことになる。「全人格的にあなたは『1』です」とか……。

 【木村】
たまったものではないですよね。

■教育は「技能を身に着けること」が目的である

 【木村】
『虎に翼』というドラマに道男(みちお)くんというキャラクターが出てきます。
戦災孤児が生活のために犯罪を犯してしまったのだけれど、更生していくという設定なのですが、寿司職人になって料理の技術は上がっても、接客と経理は出来るようにならない。

 普通のドラマだったら、彼は努力を積み重ねて成長するところでしょうが、『虎に翼』では無理なものは無理。
すると、「じゃあ私が手伝うわ」って他のキャラクターが出てくる。
得手不得手があって、個性を補い合いながら社会で生きている。人間って、そういうものであるはずなんです。

 それなのに全人格的評価は、「技能も人格も全部優れていて初めて高く評価されます」という仕組みになっていて、逃げ場がない。
教育は技能を身に着けることが目的であって、プロセスは自由でいいという発想に立ち返る必要があります。

■子供も教師も幸せにならない

 【内田】
こういう主張をすると、「テスト至上主義」というレッテルを貼られてしまいます。

 【木村】
「テスト至上主義」という批判は、多くの場合、批判対象がずれているんです。
昔、大学入試共通テスト改革で「1点刻み」の入試から抜け出す、という主張があったのですが、合格者の定員が決まっている以上、合否を分ける最後の線引きが1点差になるのは必然です。
「1点刻み」をやめたいなら定員を無くすしかない。

 【内田】
テストや偏差値が悪者扱いされてきた歴史には、確かにそれなりの理由がある。
では今が良くなっているかというと、そうは思えない。
現状は、偏差値がなくなったわけではなくて、すべてが偏差値になっているだけなんですよね。

 【木村】
そうなんです。教師側の負担も増えることになります。これまでは期末試験をやって採点すればよかったことが、毎日出欠を取って、手を上げた回数とかを記録しなければいけない。誰も幸福じゃないんです。

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木村 草太(きむら・そうた)
東京都立大学大学院法学政治学研究科教授
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内田 良(うちだ・りょう)
教育社会学者、名古屋大学大学院 教授
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年03月31日

【習慣化のコツ】「三日坊主で終わる人」と「努力が続いていく人」の決定的な違い

【習慣化のコツ】「三日坊主で終わる人」と「努力が続いていく人」の決定的な違い
2025年03月30日 04時06分ダイヤモンドオンライン

「毎朝1分間日記を書くだけで、奇跡のように人生が激変する」と語る人がいる。
コーチングスクール「ホリシニクスアカデミー」学長で、1分朝活グループを主宰する三宅裕之氏だ。
その真偽はさておき、こう言われたときにそもそも「毎朝1分日記を書く」こと自体、非常にハードルが高いと感じた人も多いのではないだろうか。
しかし、三宅氏は「毎朝1分日記は誰でも続けられる」と語る。
それはいったいなぜか。三宅氏の著書『奇跡が起きる 毎朝1分日記』をもとに、その理由を解説する。(文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)

■毎日日記を書き続けるのは難しい

 地道に物事を継続できる人とできない人がいる。

 筆者は完全に後者だ。三日坊主ならぬ「一日坊主」で、「今日からこれをするぞ!」と決めても、その日だけで終わるという経験が多々ある。

 なんなら世の中の大半のことはきちんと継続できたら達成できるのではないか、と思うくらいに物事を続けるのは難易度が高いものだ。

 大手筆記具メーカーがX(旧・ツイッター)で行ったアンケートでは、日記をつけたことがある人は86%もいた一方、全体の80%の人が「三日坊主で終わった経験がある」と答えた、と本書には書かれている。

 納得の回答である。むしろ、続けられる人が稀有な存在と言ってもいいだろう。

 しかし、三宅氏は「毎朝1分日記にはそんな心配はありません。誰でも、必ず続けられるのが毎朝1分日記なのです」と語る。

 その理由はなんだろうか。

■書くことが決まっていると、日記は続けやすい

 日記を続けられるかどうかの鍵を握るのは「習慣化のメカニズム」である、と三宅氏は指摘する。

「毎朝1分日記が、誰にでも続けられる理由はここにある」と語る三宅氏。
その理由の1つに、「1分しかかからないから行動がたやすい」ことを挙げる。

 用意するのは、ノートとペンの2つだけ。家にある普通のノートでいいそうだ。

 そして、日記に書き込むのは次の2つだけでいい。
 このように、書くことが決まっているというのもポイントだ。

■朝のルーティーンに組み込むことで習慣化を

 次にポイントになるのは「毎朝」1分日記であることだ。

 これは前述した人が行動できるかどうかの3要素、「実行しやすさ」「モチベーション」「きっかけ」のうち、「きっかけ」と関係しているという。

 また、習慣を身につけるには、同じような状況(時間、場所)で同じ行動を繰り返すと、より習慣になりやすいという研究結果があるのだそうだ。

 そのため、会食があったり、帰宅時間がまちまちだったり、お酒を飲んで酔っ払ってしまったりと、なかなかルーティーン化が難しい夜の時間帯よりも、朝の方が「状況の安定性」を最も手に入れやすい。

 だからこそ、三宅氏は、「習慣化に最適なタイミングこそ、朝なのです」と主張する。

■脳のゴールデンタイムにクリエイティブな作業を

 日記を朝に書く理由は、他にもある。

 脳科学の世界では、目覚めてからの約2時間を「ゴールデンタイム」と呼ぶそうだ。

 これらのことから、三宅氏は「毎朝1分日記は朝書くからこそ、続けることができ、自分自身の感情を自分でコントロールでき、ポジティブでクリエイティブな内容にすることができるのです」と語る。

■毎朝1分日記を書く習慣が集中力アップにつながる

 さらに、毎朝1分日記には副次的な効果もあるという。

 毎朝1分日記は、1分という限られた時間で、自分の思考をノートに書き込むものだ。

 そのため、「1分間に集中して物事を考え、ページ上に整理する。
そんな訓練を毎朝続けるうちに、脳はいきなり集中力を高め、エンジン全開で走り始める方法を学ぶ」というのだ。

 他にも、SNSで「毎朝1分日記を始めます!」と宣言してしまったり、「毎朝続けられたら○○する」というごほうびを意識したりすることで、毎朝続けることができるようになるそうだ。

 そして何より、「実行できない日があっても、次の日にまた実行すれば、OK」というのもいい。
ただし、実行できない期間が1週間を超えると、習慣作りが難しくなるそうなので、そこだけ注意したいものだ。

 こうしてみると、「毎朝1分日記を書くこと」のハードルは思ったより高くなさそうだし、続けることのメリットも大きいように感じる。

 三日坊主の筆者ではあるが、これなら続けられるかもしれない。
何より、フリーランスであるが故に、朝ダラダラしてしまう生活習慣を変えるきっかけになるかもしれないと感じられた。

 いつまで続けられるかわからないが、ひとまず明日から始めてみようと思う。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする