2017年06月20日

安倍政権に“96億円カツアゲ”された今治市、地元住民の声【加計学園問題】

安倍政権に
“96億円カツアゲ”された
今治市、地元住民の声【加計学園問題】
2017.06.19  日刊SPAニュース

愛媛県今治市の加計学園獣医学部新設で、「総理の意向」が働いたかどうかが大問題になっている。

その「意向」は文科省だけでなく
現地にも及んでいた!?
 地元住民を直撃、その声をリポート。
貧乏自治体にお金を出させて、国は1円も出してくれない!?
 今治市は愛媛県北東部、瀬戸内海に面した人口約16万人の都市。
陸部と島嶼部をつなぐ「しまなみ海道」はサイクリングの聖地としても知られる。
そんなのどかな地方都市が今、加計学園問題に揺れている。
加計学園問題は、国による地方の“カツアゲ”です!

 そう憤るのは、今治市民で「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表の黒川敦彦氏。
「国がお金を出して獣医学部をつくってくれると勘違いしている今治市民もいます。
でも実は、国は1円も出してくれないんです
今治市は今年3月に37億円相当の土地を加計学園に無償譲渡し、さらに最大で約96億円、つまり獣医学部建設費の半額を税金から拠出することになっています。
これは市の歳出の12%にも当たります」

 今治市の財政状況は全国でも最低レベルで、本来は財政健全化に注力しなければならない状況なのだという。
「今治市の試算では、獣医学部誘致によって年間3000万円の税収増が見込めるというのですが、これでは元が取れるまで320年もかかってしまいます。
私たちは、千葉県銚子市と同じような状況になることを危惧しています。
銚子市の財政は破綻寸前ですが、その大きな原因となったのが、加計学園系列の千葉科学大学を設立するための補助金支払いでした」(黒川氏)

 千葉科学大学建設による銚子市の税収増は、水道利用料などの財政効果が年間2億6000万円ほど。
一方、建設費支払いのための地方債負担は年間4億6000万円で、年間2億円の負債を20年間分増やす要因になった。
「結局、銚子市は千葉科学大学のために77億5000万円を投じたあげく、40億円も赤字を増やして財政破綻寸前まで追い詰められました。
同じことが今治市でも起きない保証はありません」(同)

 先月、「今治加計獣医学部問題を考える会」では今治市民を対象とした電話世論調査を行った。
その結果、莫大な市税を大学誘致に使うことに疑問や不安の声が多かったという。
「『大学の誘致より住民のために市税を使ってほしい』という意見が全体の62%、『多額の市税を誘致に使うことに不安』という意見は80%に上りました」(同)

 すでに今治市の財政は逼迫していて、多くの行政サービスが十分に提供できていない状況だ。

例えば、地元商工会が求めている「しまなみ海道での自転車レース」も、わずか数十万円の予算が確保できずに開催できていない。
子供の医療費補助もなく、生活保護申請も水際で拒否されるケースが多発している。
「先日も老夫婦が生活苦から無理心中するという事件が起きました。
それなのに、加計学園のためには土地の無償提供を含めて100億円以上をポンと出すなんて、到底納得がいきません。
どうせ税金を使うなら、もっと地元のために使うべきです。
例えば、島嶼部の人々は病院などに通うために陸部に来ると、橋の通行料を往復で3000円近くも取られるんです。
生活に不可欠な道路なのですから、通行料への補助を行ったほうがよっぽど住民のためになります」(同)

「安部総理がやってくれる」
         という言葉で市長が説得!?
 そんな逼迫した財政状況のなか、事業の見通しの詳細や、地元議会や住民などへの説明が置き去りにされ、獣医学部の建設だけが急ピッチで進められている。
その背景には、「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っている」といった圧力が、文科省だけでなく今治市に対してもあったのではないか?との疑問が上がっている。

というのは、流出したとされる文科省の内部文書だけでなく、今治市側の資料にもそれが散見されるのだ。
 例えば、昨年9月26日付の今治市国家戦略特区特別委員会の議事録には、「平成30年4月の開学」を急かす内閣府の意向を受けて、同市企画課の課長が「スピード感を持って臨んでまいりたい」と発言した記録がある。
 さらに、菅良二・今治市長は自身の支持者や市議会議員に「加計学園のことは安倍総理が全部やってくれる、地元が口をはさむ余地はない」と説明していたという。
 菅市長をよく知る後援会関係者はこう証言する。


「市長が件の発言をするようになったのは、昨年の秋頃からだったと思います。
国家戦略特区の公募は今年1月でしたから、その前に決まっていた可能性が高い。
昨年10月には、まだ事業者に認定されていないのに、市有地でボーリング調査を行っています。
“出来レース”と言われたら、そうなのかもしれませんね。
菅市長も73歳と高齢で、次の市長選には出ないでしょうから、最後に実績を残したかったのかもしれません」(A氏)

 この発言について記者が問い合わせたところ、市長は「そういった発言をしたことはございません」と否定。
 しかし、今治市政関係者のB氏も「そうした発言を市長がしていたということは、私も聞いています」と語る。
「私だけでなく、地元議員など複数の人がその発言を聞いています。
市側にとってもほとんど情報もなく、不安の多い獣医学部新設を説得するためには『安倍首相がやってくれる』としか言うことができなかったのだと思います」

なぜ獣医学部なのか
……住民には何の説明もなし
 獣医学部設立をめぐる説明不足も不安を招いている。
B氏は「大学誘致自体は、今治市政が長年取り組んできたことです。
でも、獣医学部設立が果たして今治市のためになるかどうか……」と表情を曇らせた。
「内閣府とともに加計学園建設を進めている今治市の企画財政部は、『年間20億円の経済効果がある』などと発表していますが、加計学園の具体的な事業計画については、市の担当者も実はよく知らないのです。
市議会にもまったく説明がありません。
獣医学部建設での建築の見積もりや図面も提出されていない。
『世界でも先駆的な獣医学部をつくる』という話なのですが、教授陣すら誰であるかもわからない状況です。
他大学をリタイアした先生や、まだ経験の浅い若手の先生が来るとも聞いていますが、詳しいことは知らされていません」

 今治市出身の愛媛県議である福田剛氏も説明不足を指摘する。
「加計学園の獣医学部設立については、愛媛県も最大で約30億円を支出するという話がまことしやかに流れていますが、県の地域振興課に問い合わせても『今治市からそうした要請は今のところ来ていない』とのことです。
我々のまったく知らないところで、話がどんどん進んでいるようです」
 おそらく、国家戦略特区での他の大学設置の事例と同様に、市や県で共同負担をするというプランを国がトップダウンで決めてくるというやり方なのだろう。
「県議会にろくに説明もしないまま建設だけが進むというのは、いかがなものかと思います。
昨年11月に、菅良二・今治市長に県議らが呼ばれ『加計学園についてよろしくね』とは言われましたが、それ以降は連絡なしです」(福田氏)

 さらに地元では「そもそも、なぜ獣医学部なのか」という疑問の声も上がっている。
「今治市周辺は牧場などが少なく、むしろ造船や繊維など、全国有数の工業地域です。
工科大学ができるなら地元にも大きなメリットがあると思うのですが……。
獣医学部では学生が集まるのかどうかの見通しもなく、卒業したとしても就職口がないので外に出ていってしまいます。
やはり『加計ありき』ということで獣医学部だったのかもしれません」(同)

 前出の黒川氏も呆れ顔でこう語る。
「市民に対する説明会が行われたのは、今年4月に入ってから。
そのときはもうすでに学校建設が始まっていました。
『なぜもっと早く説明会をしなかったんだ』と、多くの市民が疑問に思っています。

民進党の調査チームが5月19日に今治市に来た際も、市の担当部署は聞き取りのための面会を拒否。
建設現場の職員にも、『敷地の中には一歩たりとも入れるな』と上から指示が出ていたそうです」。
 さらに地元住民たちにとっては、獣医学部の「最先端研究」も不安材料の一つだと黒川氏は言う。
「バイオラボではウイルスや病原菌の研究を行うという話です。
『バイオセーフティレベル3』という、最高レベルのひとつ下、例えばSARSなどかなり危険な病原菌を扱う施設になるそうです。
それについても地域住民にはほとんど説明がなく、市議会でもこの問題はたった2分しか語られませんでした」

 国会だけでなく、建設地でも異論・不満が高まりつつある加計学園問題。
自身の「意向」が、安倍総理の首を絞めることになりそうだ。
  取材・文/志葉 玲 横田 一
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2017年06月19日

追悼…野際陽子が語った戦争の悲惨

追悼…野際陽子が語った
戦争を知らない政治家への
       メッセージ
「戦争の真実を知ってほしい」
2017.06.17 LITERA編集部  

女優の野際陽子さんが今月13日に亡くなっていたことがわかった。
死因は肺線がん。
81歳だった。
3年前よりがんを患い、闘病しながら仕事を続けており、現在放送中のドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日)にも出演していた。
『キイハンター』、『ずっとあなたが好きだった』、『ゲゲゲの女房』など多くの人気作品に出演し、日本の映画・ドラマには欠くことのできない名女優だったことは誰もが知る通りだが、彼女にはもうひとつ重要な顔がある。

 野際は、特定秘密保護法や安保法制など、戦争へと突き進む昨今の社会状況に向けて反対の意を表明し続けてきたことでもよく知られている。
 2013年には高畑勲や山田洋次らが呼びかけた「特定秘密保護法案に反対する映画人の会」に賛同、法案に対して反対の意思を示した。
 また、安保法制が国民的な議論を巻き起こしていた2015年には、「映画人九条の会」などによる安保関連法案への反対意見に賛同。
大竹しのぶ、吉永小百合、是枝裕和、周防正行、井筒和幸、山本晋也、高畑勲、山田洋次、大林宣彦といった映画人らとともに安倍政権が強権的に進める安保法制に異議を申し立てた。

 野際がこのような意見表明を起こした背景には、1938年生まれの彼女が体験した戦争の記憶を後世に語り継がなくてはならないという思いがあるのは間違いない。
 2007年、上戸彩が主演した『2夜連続ドラマスペシャル・李香蘭』(テレビ東京)で、現在の李香蘭役を演じた際、番組の公式ホームページに掲載されたインタビューで彼女は、戦争に翻弄された李香蘭の人生を通じて、若い世代にも戦争の恐ろしさを知ってほしいと訴えかけていた

「戦後60何年たちまして、もう総理大臣も戦争を知らない人になってしまったし、どんどんあの戦争が忘れられていく中で、あれは何だったんだろうか?
何でこういう李香蘭のような運命を引き受けなければならない人が出たんだろうか?
とか、それをどういう風に我々は受け止めて、活かしていかなきゃいけないのかなっていう…
戦争を知らない人たちにもあの時代にあったことのできる限りの信実を知って欲しいという気持ちはしますね、私自身も知らないことはたくさんありますし、知っていることが真実なのかどうかもよくわかりませんけれども、あの戦争の中を生きて、少しは今の若い方たちよりはあの時代のことを想像することができます。
李香蘭の境遇は想像するしかないんですけれども、それを想像することはできるので、それをお伝えしたいし、そこから色んなものを見ている方に汲み取って頂きたい。
あの時代のことをもう一度思いだして頂きたいと思いますね。」

野際陽子が語った自らの空襲体験
 その思いはそれから先も変わらなかった。
15年9月に放送された『ザ・インタビュー〜トップランナーの肖像 戦後70年特別編 戦争を語り継ぐ人たち』(BS朝日)では、千玄室大宗匠(茶道家元)、倉本聰(脚本家)、奈良岡朋子(女優)、藤城清治(影絵作家)、瀬戸内寂聴(作家)といった人々に戦争体験を聞くインタビュアーを務めていたのだが、そのなかで彼女自身もこのように自らの戦争体験を話していた。

「私は、天沼っていう荻窪に(ある町に)住んでいて。
夏でしたかね、いったん疎開先から(東京に)帰ってきてから、次に(疎開先に)行くまでの間、11月に空襲にあったんですよ。
そのときにダーンって(爆弾が落ちて)。
うちはまだ防空壕ができていなかったので、押入の布団を全部出して、押入の前に布団を積んでそのなかに隠れるっていう方式をとってたんです。
(中略)よくB-29のお腹がこう、ずっと行くのを見ていました」

 野際は、戦中に見た忘れられない光景について、「革新懇ニュース」(全国革新懇)11年9月号でこのように語っていた。
「私自身は戦争の悲惨な体験はありませんが、小学3年のとき、東京の自宅で空襲にあいました。ドーンというすごい音とともに縁側に面したガラスが割れ、びっくりしました。
(中略)  戦争が終わって12月に東京に戻り、東京駅から中央線に乗ると、焼け野原が広がり、驚くような光景でしたね。
 集団疎開していた東京の下町の6年生は、国民学校を卒業するので疎開先から帰ってきて、すぐに3月10日の空襲で犠牲になりました。
後年その話を聞き、とてもショックでした。
本当にかわいそうです」

野際陽子は瀬戸内寂聴とともに
戦争へ向かういまの日本を憂いていた
 このような光景を実際に目の当たりにしているからこそ、野際は戦争を知らない世代が社会を動かすようになり、戦争に向かいかねない状況に危機感を募らせたのだろう。
 2015年に放送された前掲番組『ザ・インタビュー』で野際は、
いまは昭和17年(1942年)ぐらいの感じですね。
どんどんどんどん戦争に向かっていっている。
それはとても気持ちが悪いですね」、
「いまの政治家は戦争を知らない人たち」と危惧を語る瀬戸内寂聴の言葉に大きく頷き、「(戦争中は)私はまだ小学生だったんですけど、時々ね、ふっとあの頃のことを思い出すことがあるんですよね」と語っていた。

 戦争を体験した世代がどんどん鬼籍に入っていく。
ここ数年でも、水木しげる、野坂昭如、永六輔、大橋巨泉、愛川欽也など、実際に戦争を体験し、その悲劇を語り継ぐことで反戦の思いを訴えていた人々が次々に亡くなっている。
 安倍政権の強権的な姿勢を支持する人がいる背景に、そういった戦争の悲劇を学んでいない人間が多く存在するという事実は確実にあるだろう。
だからこそ、我々は彼らが送り続けていたメッセージを改めて読み深め、代わりになってその体験を発信し続ける義務がある。

 野際は平和への思いをこのように語っていた。
その言葉を噛み締めながら、ご冥福をお祈りしたい。
「いま核兵器をもっていても、使うと地球はたぶんおしまいです。
「平和にしよう」と考えている人はいっぱいいるわけですから、戦争をなくすことはできないことではないと思います」(前掲「革新懇ニュース」11年9月号)
(編集部)
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2017年06月18日

<通常国会>失言、疑惑、隠蔽三昧 「安倍1強」ゆがみ露呈

<通常国会>失言、疑惑、隠蔽三昧
 「安倍1強」ゆがみ露呈
6/16(金) 21:42 毎日新聞配信  

◇政権、強引に国会「閉会」
 第193通常国会は16日、事実上閉会した。
安倍政権が最重要法案と位置づけた改正組織犯罪処罰法は参院法務委員会の採決を省略する乱暴な国会運営によって成立した。
5カ月間の会期中は政権側の疑惑や失言が相次ぎ、その影響を抑えようと、情報隠蔽(いんぺい)と強弁が繰り返された。
常に安倍晋三首相の意向をそんたくして動く与党と官僚。
「安倍1強」のゆがみがあらわになった国会だった。
【政治部編集委員 平田崇浩】

 国会が開会した1月はトランプ米政権の誕生を注視する緊迫感に包まれていた。
首相が訪米した2月、国会では二つの疑惑が政権を襲った。
南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣されていた陸上自衛隊の日報隠蔽と学校法人「森友学園」の国有地取得を巡る政府対応が問われた。  

「私や妻が関わっていたら首相も国会議員も辞める」。
森友問題の国会答弁で首相はたんかを切った。
その首相を守るため、夫人付職員の財務省への問い合わせは「個人」の行為だったなどと政府は強弁を重ねた。
 「働きかけて決めているのであれば責任を取る」。
3月には学校法人「加計学園」の獣医学部新設に絡む疑惑も浮上し、首相は関与を全否定した。その後、「総理のご意向」などと記した文部科学省の内部文書も見つかったが、政府は閉会直前まで文書の存在を否定する強弁を続けた。

 「共謀罪」の構成要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法の成立を政権側は強引に急いだ。
野党からの加計問題追及に幕を引く「加計隠し」だ。
会期延長を回避するために委員会採決を飛ばした暴挙が日本の民主主義の歴史に刻まれた。

 ◇長期政権におごり
 天皇陛下の退位を実現する特例法にめどがついたタイミングで、首相は憲法改正の加速へとかじを切った。
 「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」。
5月3日の憲法記念日、首相は改憲派集会に寄せたメッセージで、憲法に自衛隊を明記する「9条加憲」を提起した。
 衆参両院憲法審査会の頭越しで首相が改憲方針を表明したことに野党は反発した。
自民党は「国防軍」を明記した改憲草案を発表済みだが、首相の意向に沿って年内に改正案をまとめる方向に転換。
来年の通常国会での発議も視野に「安倍改憲」が始動した。

 今国会中には今村雅弘復興相と務台俊介内閣府復興政務官が失言で辞任し、東日本大震災からの復興に取り組む政権の姿勢に疑問の目が向けられた。
中川俊直経済産業政務官は不倫問題で辞任。
いずれも政権のリスクを減らす更迭人事だった。

 首相の意向に逆らわず、そんたくするのが政権内のならいとなっている。
「安倍1強」であるがゆえに批判を許さない雰囲気の強まった国会だった。
 野党の批判を封じるためには情報を隠し、強弁を弄(ろう)し、議論もさせない。
長期政権のおごりが後味の悪さを残し、18日の会期末を迎える。
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2017年06月17日

国民見くびるな 野党も責任重大

国民見くびるな 野党も責任重大
6/16(金) 11:11神奈川新聞「社説」配信

 安倍首相はなぜこれほどまでして「共謀罪」法の成立を急いだのか。
 近ごろはしばしば、役人の保身のための手だてとかいう疑惑絡みの用いられ方をして口にするのもシャクな言葉だが、忖度(そんたく)してみたい。
 国会を早く閉じ、腹心の友や、かつて考え方に共鳴するところのあった方が関わった、日増しに不可解さが募る、あるいは事の本質が置き去りの疑惑に幕を引きたい。
 そうすることで、告示日の迫った都議選への自民党への悪影響を、総裁として最小限に食い止めたい。
 その前に、野党と鋭く対立している「共謀罪」法の会期内成立は必須である。
 そんなところだろうか。

政治に思惑が先行し、ガタのきているのが否めない。
 英国の哲学者ベーコンが言っている。
〈物事が実行に移されたら最後、迅速に匹敵する秘密保持はない〉

 「共謀罪」法を巡る国民の懸念や不安にきちんと答えずに審議を切り上げた姿勢は、「秘密」を積み残したとされても差し支えあるまい。
疑惑に正面から答えようとしなかった態度は言わずもがなである。


 犯罪者でもない身に「共謀罪」法など関わりあるはずがない。
果たしてそう言い切れるか。
 言論統制時代の悪法「治安維持法」も拡大解釈が重ねられることで犠牲者が広がった。
学ぶべき歴史の教えはすぐ傍らにある。
 世間の憤怒や非難は一時的なもので、時がたてば分かってくれる。
いや、忘れてもらえる。
首相の物言いはそんな考え方に根差しているのではと思わせることが間々ある。

 しかし、これって国民を見くびっていないか。
今の国会の勢力は国政選挙によってもたらされたものだ。
過去の強行採決も支持率にさほど影響はなかった。
だから、と首相が受け止めていないとも限らない。
もっと怒るべきだ。

 そも国民の代表である国会も、衆参共に与党が多数を制しているとはいえ、首相のほとんど言うがままである。
行政府の行き過ぎを正す責務を果たしているとは言い難い。
「1強」も一皮むけば「他にいい人がいない」というのが国民の本音だ。
野党はとりわけ責任重大である。

 東京五輪・パラリンピックの成功と「共謀罪」法の必要性が結び付けられたのは不可解だった。
しかし、開催の年の改正憲法施行を目標に置く首相の思考回路は分かりやすい。
民主主義は本来、熟議を伴う迂遠(うえん)なものだ。
催事に合わせるスタンプラリーにも似た政治手法に惑わされまい。
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「共謀罪」法が成立 「私」への侵入を恐れる

「共謀罪」法が成立 
「私」への侵入を恐れる
2017年6月16日 東京新聞「社説」

 「共謀罪」が与党の数の力で成立した。
日本の刑事法の原則が覆る。
まるで人の心の中を取り締まるようだ。
「私」の領域への「公」の侵入を恐れる。
 心の中で犯罪を考える−。
これは倫理的にはよくない。
不道徳である。
でも何を考えても自由である。
大金を盗んでやりたい。
殴ってやりたい−。
 もちろん空想の世界で殺人犯であろうと大泥棒であろうと、罪に問われることはありえない。それは誰がどんな空想をしているか、わからないから。
空想を他人に話しても、犯罪行為が存在しないから処罰するのは不可能である。

◆犯罪の「行為」がないと
 心の中で犯罪を考えただけでは処罰されないのは、根本的な人権である「思想・良心の自由」からもいえる。
何といっても行為が必要であり、そこには罪を犯す意思が潜んでいなければならない。
刑法三八条にはこう定めている。  
罪を犯す意思がない行為は、罰しない
 そして、刑罰法規では犯罪となる内容や、その刑罰も明示しておかねばならない。
刑事法のルールである。
では、どんな「行為」まで含むのであろうか。

 例えばこんなケースがある。
暴力団の組長が「目配せ」をした。
組員はそれが「拳銃を持て」というサインだとわかった。
同じ目の動きでも「まばたき」はたんなる生理現象にすぎないが、「目配せ」は「拳銃を持て」という意思の伝達行為である。
 目の動きが「行為」にあたるわけだ。
実際にあった事件で最高裁でも有罪になっている。
「黙示の共謀」とも呼ばれている。
ただ、この場合は拳銃所持という「既遂」の犯罪行為である。
 そもそも日本では「既遂」が基本で「未遂」は例外。
犯罪の着手前にあたる「予備」はさらに例外になる。
もっと前段階の「共謀」は例外中の例外である。

◆市民活動が萎縮する
 だから「共謀罪」は刑事法の原則を変えるのだ。
 「共謀(計画)」と「準備行為」で逮捕できるということは、何の事件も起きていないという意味である。
つまり「既遂」にあたる行為がないのだ。
今までの事件のイメージはまるで変わる。
 金田勝年法相は「保安林でキノコを採ったらテロ組織の資金に想定される」との趣旨を述べた。
キノコ採りは盗みと同時に共謀罪の準備行為となりうる。
こんな共謀罪の対象犯罪は実に二百七十七もある。
全国の警察が共謀罪を武器にして誰かを、どの団体かをマークして捜査をし始めると、果たしてブレーキは利くのだろうか。
暴走し始めないだろうか。
 身に覚えのないことで警察に呼ばれたり、家宅捜索を受けたり、事情聴取を受けたり…。
そのような不審な出来事が起きはしないだろうか。
冤罪(えんざい)が起きはしないだろうか。
そんな社会になってしまわないか。
それを危ぶむ。
何しろ犯罪の実行行為がないのだから…。

 準備行為の判断基準については、金田法相はこうも述べた。  
「花見であればビールや弁当を持っているのに対し、(犯行場所の)下見であれば地図や双眼鏡、メモ帳などを持っているという外形的事情がありうる」
 スマートフォンの機能には地図もカメラのズームもメモ帳もある。
つまりは取り調べで「内心の自由」に踏み込むしかないのだ。
警察の恣意(しい)的判断がいくらでも入り込むということだ。
 だから、反政府活動も判断次第でテロの準備行為とみなされる余地が出てくる。
市民活動の萎縮を招くだろう。
こんな法律を強引に成立させたのだ。
廃止を求めるが、乱用をチェックするために運用状況を政府・警察は逐一、国民に報告すべきである。
 ロシアに亡命中の米中央情報局(CIA)のエドワード・スノーデン氏が共同通信と会見し、米国家安全保障局(NSA)が極秘の情報監視システムを日本側に供与していたと証言した。
これは日本政府が個人のメールや通話などの大量監視を可能にする状態にあることを指摘するものだ。
「共謀罪」についても「個人情報の大規模収集を公認することになる」と警鐘を鳴らした。
日本にこれまで存在していなかった監視文化が日常のものになる」とも。
 大量監視の始まりなら、憲法の保障する通信の秘密の壁は打ち破られ、「私」の領域に「公」が侵入してくることを意味する。

◆異変は気づかぬうちに?
 そうなると、変化が起きる。
プライバシーを握られた「私」は、「公」の支配を受ける関係になるのである。
監視社会とは国家による国民支配の方法なのだ。
おそらく国民には日常生活に異変は感じられないかもしれない。
だが気付かぬうちに、個人の自由は着実に侵食されていく恐れはある。
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