「ほかの国では考えられない」 日本へ移住した外国人 暮らしてみて驚いた“当たり前”とは
3/17(月) Hint-Pot
世界的に見ても、ユニークな文化を持つ日本。
移住してくる外国人は、どのようなことに驚くのでしょうか。
2024年、外交関係を樹立して60周年を迎えたカリブ海に浮かぶトリニダード・トバゴ共和国出身のニコラスさんは、日本に住んでトータル6年近くになります。
母国から約1万4400キロ離れた日本を訪れて驚いたことは、なんだったのでしょうか。
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まったく新しいカルチャーに飛び込むためJETに応募
幼い頃から他国のさまざまなカルチャーを学ぶことが好きだという、トリニダード・トバゴ出身のニコラスさん。
ニコラスさんが日本へ移住したきっかけは、JETプログラム(The Japan Exchange and Teaching Programme/語学指導等を行う外国青年招致事業)の存在を知ったことでした。
地球のほぼ裏側に位置する日本とトリニダード・トバゴですが、日本行きへの迷いは一切なかったといいます。
それというのも、トリニダード・トバゴでは毎週、日本を紹介するドキュメンタリー番組が放送されており、ニコラスさんもよく視聴していました。
そして、まったく違う文化を持った未知の国である日本に、とても深い関心を抱いていたといいます。
日本を「行きたい国」リストにずいぶん前から入れていたそうです。
「日本はとても遠く、なかなか簡単に行くことができません。JETプログラムへの参加は、本当にマジカルな機会を掴んだと思いました」
日本はゴミの仕分けが細かすぎる?
こうしてALT(Assistant Language Teacher/外国語指導助手)のサポートをする仕事で、大分県に派遣されたニコラスさん。
ドキュメンタリーを観ていたこともあり、日本の文化にはある程度慣れ親しんでいましたが、日本での暮らしは当初、驚きの連続だったそうです。
「驚いたことは本当にたくさんあって数え切れませんが、ナンバー1はゴミの分別でした。
母国ではゴミを仕分けることがなく、なんでもまとめて捨てていたんです。
しかし、日本ではかなり細かく仕分ける必要があり、捨てる曜日も決まっていることに驚きました」
多くの外国人が日本での生活で苦労することのひとつといわれるのが、ゴミの分別です。
日本では、自治体ごとに細かなルールは異なりますが、可燃ゴミや不燃ゴミの違いがわからなかったり、指定の袋を使用することを知らなかったりと、トラブルになりがちです。
また、住んでいる場所によっては、前日の夜に出してはいけないといったルールも。
日本のゴミ分別に関する決まりの厳密さは、世界でもトップクラスだといわれています。
そのため、日本へ来る前にアメリカにも数週間滞在していたニコラスさんでも、戸惑いを隠せませんでした。
「他人のことを思いやる国民性だと思いました」
さらに、日本の交通事情にも驚いたといいます。
「日本には車、バス、電車、自転車などさまざまな交通機関があり、そこまでひどい渋滞が起こらないことにもびっくり。
電車やバスがほぼ遅れずに来るという点は、本当に素晴らしいですね。
母国では、ほとんどの人が車を使います。
自転車に乗る人はほぼいませんし、大人も子どもも歩かず車で移動します。
そのため、どこもかしこも渋滞ばかり。
日本では、通学や買い物のために歩く人が多いことにも驚きました」
かつては、トリニダード島全域に政府が運営する鉄道がありましたが、1968年にすべて廃止され、現在は車や小型バスでの移動がほとんどだといいます。
車での移動が多いため、クラクションの音が街中に響き渡るのも日常の風景です。
「日本は、本当に静かです! クラクションの音はもちろん、バスや電車の中でうるさく話をする人がいないし、夜になったら掃除機をかけたり、洗濯機を回したりもしない。
法律で決まっているわけではなく暗黙のルールがあり、それを守っている人が多い。
ほかの国では考えられないくらい、他人のことを思いやる国民性だと思いました」
チップがないのに日本の接客はすごい
そして、やはり驚いたのは、日本のホスピタリティの高さです。
トリニダード・トバゴのホテルやレストランでは、10〜20%程度のチップを渡す必要があります。
一方、日本ではチップ文化がないにもかかわらず、素晴らしい接客を受けることができることに感激したそう。
「ファストフード店ですらも、日本は接客が素晴らしい。チップがないのに、こんなにいいサービスを受けられるなんて、日本以外にはないと思います。
驚いたといえば、レストランで店員さんを呼ぶときに、他国なら『すみません!』とアピールする必要があります。しかし、日本では呼び出しボタンを押せばいいだけの店が多いことにびっくり。初めてそのシステムを見たときは、信じられませんでした」
日本人にとっては当たり前のサービスでも、ニコラスさんが驚いたことはほかにも。
「コンビニエンスストアで税金が支払えるシステムが整備されている点も、驚きでした。
母国では、役所などに行かないと税金が払えないんです。日本では光熱費など、なんでもコンビニで支払えて、本当に便利だと思いました」
日本の利便性の高さに、移住早々から度肝を抜かれていたというニコラスさん。
和栗 恵