2025年03月15日

「自分のやり方に固執する人」をどう説得するか?

「自分のやり方に固執する人」をどう説得するか?
変化が苦手な人には「3つのバイアス」がある
西 剛志 : 脳科学者(工学博士)、分子生物学者
2025/03/13  東洋経済オンライン


どんな職場にも、「昔ながらのやり方」を頑なに変えない困った人はいるものですが、脳科学者の西剛志氏によれば、変化が苦手な人には特有の3つのバイアスがあるそうです。

自分のやり方に固執する人の背中をそっと押してあげるにはどんな方法があるのでしょうか。

西氏の著書『結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』から一部を抜粋・編集して、3つのバイアスへの対処法を解説します。

「人生を変えることができるんでしょうか?」

そんな質問をされたことがあります。

質問した人は、ずっと人生を変えたいと思いながら、変えられないことに苦しんでいるというのです。

「人生を変えたい」
そう願っている人も多いと思います。

一方で、
「人生を変えることには怖さがある」

そう思っている人も多いと思います。

変化することには、期待と不安が両立しています。

だから、変わりたいけど、変われない。

仕事で何か新しいことにトライしたい。
そう思っても、これまでのやり方をなかなか変えられない人もいると思います。

転職する、結婚する、離婚する、引っ越しする……、したいけどできない。

変化することが苦手な人にはどんな脳の特性があるか、それを知ることが変化することの第一歩です。


変化が苦手な人に特有のバイアスがあります。

そのバイアスがあることを理解しておくと、他人のことでも、そしてそれが自分のことでも、変化への対策を練ることができます。

変化が苦手な人が持っているバイアスは主にこの3つです。

1 現状維持バイアスが強い
2 サンクコスト効果が強い
3 確実性効果が強い

もし会社で自分の部下や上司がこの3つのバイアスを持っているようであれば、あなたがいくら「新しいことに挑戦しよう!」「変化していくことが大切です!」と伝えたとしても、たぶん伝わっていません。

まずは、この3つのバイアス所持者かどうかを知るところからスタートです。
そのうえで、どう伝えていくかを考えていく必要があります。

長いスパンで見れば「やって後悔したほうがいい」

現状維持バイアスとは慣れ親しんだ状態を変えることを嫌う心の傾向のことをいいます。

「やらずに後悔するくらいなら、やって後悔したほうがいい」という言葉がありますが、現状維持バイアスが強い人にはこの言葉は当てはまりません。
理由は、やって後悔のほうが、やらずに後悔より痛みが大きいからです。

現状維持バイアスが生まれるのは、行動することでの後悔(痛み)を避けたいからです。
ただし、この後悔は時間軸で変わります。

人は、最近あったことを振り返るなど、短期的な視点では「やった後悔(行為後悔)」を思い出しやすいのですが、人生を振り返るといった長期的な視点では「やらなかった後悔(不行為後悔)」を思い出しやすいことがわかっています。

これは現状維持バイアスが強い人でも、その傾向があるのです。
なので、長いスパンで見ると、「やらずに後悔するくらいなら、やって後悔したほうがいい」という言葉は、正しいということになります。

後悔しないように現状維持したのに、長期的には現状維持したほうが後悔につながってしまうのです。
なので、現状維持バイアスが強い人に挑戦や変化を促すときは、時間軸を変えて、長いスパンで話をしていくことが効果的です。
(出所:『結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』より)

ちなみに、このバイアスが相手や自分にあるかどうかを調べる方法があります。
日々の行動を観察すると、現状維持バイアスが強いかどうかがわかります。
以下の項目にあてはまるかどうか、チェックしてみてください。

現状維持バイアス度チェック】

□レストランに入ったときに定番ものを注文しがち
□最新の商品にあまり興味がない
□ファッションや髪型がここ最近変わっていない
□つい、いつもと同じ場所や宿泊先に旅行しがち
□ルーチンワークが好き

3つ以上チェックがつくようなら、現状維持バイアスが高いと思われます。

「未来」から逆算して「現在」を見る

変化が苦手な人が持っているバイアスの2つめはサンクコスト効果です。このバイアスはコツコツと努力をしてきた人ほど強く持っているバイアスです。

サンクコスト効果とは、信じてコツコツと積み上げてきたことがもし間違いだったと明らかになっても、かけてきたコストがムダになることを恐れて、いまの行動を正当化しようとする脳の働きです。

たとえば、レストランで料理を頼みすぎてしまい、途中でお腹がいっぱいになっていても、もったいないと無理して食べることも、サンクコスト効果です。

仕事で進めてきた案件が、このままだとうまくいかないと明らかになっても、ここまでやってきたのだからとストップせずに続ける選択をする。これもサンクコスト効果です。

「もうここまで来たから後戻りできない」

そんなドラマの台詞に出てきそうなバイアスが、サンクコスト効果です。

人生においても、「ここまで自分の人生で蓄積してきたものを捨ててまで新しいことに挑戦するのにはハードルがある」と考えるのも、サンクコスト効果が影響しています。

ちなみに、この場合、「現状維持バイアス×サンクコスト効果」という感じで、ひとつのバイアスだけが判断や選択に影響しているわけではなく、いろいろなバイアスがそこに影響を与えているのです。

サンクコスト効果は多くの人が持っているバイアスです。
なので、自分も、相手もサンクコスト効果を持っているという前提でいたほうがいいと思います。

「サンクコスト効果が働いている」と思ったときは、視点を変えることがポイントです。

サンクコスト効果は、いってみれば過去から現在までに視点をあてたバイアスです。でも変化は未来にあります。

この先1年後、3年後、10年後を考えたときに、目の前にあるバイアスがどう未来に影響を与えるか、を考えてみるとバイアスの影響を逃れられる可能性があります。

たとえば、このままの状態でいったら3年後にはどうなっているか? そのイメージを明確にしていきます。
変化が苦手な人には、未来に視点をあてて伝えていくのです。

過去から現在を見るのではなく、未来から逆算して現在を見るのです。それが変化をしていく第一歩です。

現状維持バイアスも、サンクコスト効果もそこから逃れるには、視点を未来に向けることです。未来から見て「いまはこのままでいいのか」を考えることなのです。
(出所:『結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』より)

「高確率と思える」ほうを選択したくなる

変化を阻害するバイアスの3つめは確実性効果の強さです。このバイアスにはこんな特徴があります。

くじを引いて当選したら5万円がもらえるとします。そのとき、当選確率が変化するとしたら、どれが一番うれしいですか?

1 90%から100%に上がったとき
2 40%から50%に上がったとき
3 1%から11%に上がったとき

多くの人は1と答えます。あたりまえといえばあたりまえなんですが、確実にもらえるほうがうれしいわけです。

しかし、当選する確率の上がり幅が同じであっても、成功率の上昇率がまったく異なります。

1 90%から100%に上がったとき→11%の成功確率アップ
2 40%から50%に上がったとき→25%の成功確率アップ
3 1%から11%に上がったとき→1100%の成功確率アップ

確実性効果が高い人は、ビジネスの分野でも1をとる人が多くなり、2や3はほとんど選びません。

しかし、ビジネスの世界では、サブスクや動画配信、AIなど従来なかった産業やビジネスが大きく発展しています。

「成功体験」よりも、今後伸びる「可能性」

確実性効果が高い人は、過去に成功している既存のビジネスをやろうとしますが、新しいビジネスはなかなかやろうとしません。

確実性効果が低い人ほど、成功体験ではなく今後伸びる可能性があれば、そこに投資しようと思います。

結果よりも伸びる可能性を見ることで、新しいビジネスでは成功しやすくなります。
過去の成功体験に固執してしまうのも、この確実性効果によります。

成功する確率が高そうなほうを選択したくなる。
でもビジネスの場合、その確率が高いものは、その分利益が薄くなることが往々にしてあります。

また、前回の成功が今回の成功につながるかわからないケースも多々あります。

それでも、高確率と思えるほうを選択したくなる。
でも伸び率が高いもののほうが、長期的に大きな利益を生むことがあります。
こういったバイアスが選択を誤らせることもあるのです。

西 剛志 脳科学者(工学博士)、分子生物学者

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2025年03月14日

「日本財政破綻は真っ赤な噓」「ただ搾取で終わるのに憤り」勢い増す怒りの財務省解体デ

「日本財政破綻は真っ赤な噓」「ただ搾取で終わるのに憤り」勢い増す怒りの財務省解体デモ
3/13(木) 産経新聞

東京・霞が関の財務省前で同省の政策を批判するデモが12日夕に開かれ、参加者が減税や積極財政主義への転換を口々に訴えた。
同様の活動は複数の個人・団体によって行われ、地方にも広がっている。

「財務省解体デモ」としてネットでも注目が高まり、石破茂首相も国会で言及。「反財務省」の動きが勢いを増している。


この日のデモは、「元祖!財務省前デモ」という名称で2023年9月から、活動を行っている政治経済評論家の池戸万作氏(41)が主催。

千葉県知事選に立候補した候補者が財務省前で選挙活動を始めたり、雨が強まったりするというトラブルもあったが、約30人が参加した。

池戸氏は冒頭、「『日本はこのままだと財政破綻する。だから国債発行をしてはいけない』ということがしきりに財務省を中心にいわれているが、こうしたことが真っ赤な噓だということで活動を行っている」と話した。その後、参加者が次々とマイクを握った。

千葉県の大学2年の女性(20)は「これだけ日本人が汗水たらして働いているのに、ただ搾取されて終わるのに憤りを感じた」と初めて参加した。

演説では、「1995年からの推移ではほかのG7(先進7カ国)の実質賃金は上がっているが、わが国は上がっていない。うちらばっかり、なぜお金を払わされるんだ!」と訴え、今後の選挙では減税を訴える政党に投票するよう呼び掛けた。

石破首相が4日の衆院財務金融委員会で「国民の皆さまのご不満、お怒りというものが体現されている」と述べるなど、デモの存在感が高まっているが、池戸氏は政治家への浸透を課題に挙げる。

「国会議員に関してはまだ(浸透が)薄い。国会議員が活動に出てきてもらってかまわないと思っている。

そうした活動にしていきたいし、夏の参院選で財務省を分割だったりとか、財務省関連の法律改正を訴える政党が伸びてくるような状況をつくりたい」と話した。
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2025年03月13日

サラリーマンに大ピンチ! 退職金増税であなたの退職金はいくら減る? 政府の説明に専門家は「詭弁、ないしはウソ」と断言

サラリーマンに大ピンチ! 退職金増税であなたの退職金はいくら減る? 政府の説明に専門家は「詭弁、ないしはウソ」と断言
3/12(水) デイリー新潮

 給与所得者を狙い撃ちする「退職金増税」、いわゆる“サラリーマン増税”について石破茂首相が国会で言及した。
そもそも退職金税制とはどのような仕組みなのか。
なぜ財務省は「優遇制度見直し」を諦めないのか。
「雇用の流動化が促進される」という説明について、専門家は「詭弁、ないしはウソ」と断言する。

 ***
 財務省がもくろむ「退職金税制の見直し」についての質問が国会で飛んだのは、3月5日のこと。

「拙速な見直しはいたしませんが、慎重な上に適切な見直しをすべきだ」
 石破首相はそう答弁し、将来的な見直しを否定しなかったのだった。

 現行制度では、退職金から控除額を差し引いた金額の2分の1に所得税と住民税が課せられる。勤続20年までは1年あたり40万円の控除額だが、勤続20年を超えると、控除額が毎年70万円に拡大される。

 この「勤続20年の壁」を取り払い、20年以降も控除額を一律40万円とする案などがこれまで検討されてきた。
もちろん、当の退職者にとっては大幅な増税となる。

退職所得に課税の軽減措置が取られている理由

 税理士で「不公平な税制をただす会」共同代表の浦野広明氏が解説する。

「退職所得に課税の軽減措置が取られているのは、退職金が会社に長年勤務したことに対するねぎらいであるとともに、老後の生活資金だからです。
また、他の所得などと合算して課税してしまうとその年の所得だけが跳ね上がり、納税額が増えてしまうのは不適当だからという配慮もあります」

 最近は早期退職制度で割増金が上乗せされることがあるが、その割増金も「退職金」に含まれる。
小規模企業共済や個人型確定拠出年金(iDeCo)など、契約に基づいて受け取る一時金も同様である。

退職金2000万円の場合、101万円の増税

「政府が退職金課税の軽減措置の見直しを検討している背景には、労働市場が流動化し、転職する人が増えていて実態にそぐわないこと、また成長分野への労働移動の円滑化を目指すという目的もあるようです」
 と、浦野氏が続けて語る。

「報道を見ていると、勤続20年を超えた場合でも退職所得控除を1年あたり40万円に据え置くよう見直すことばかりが注目されていて、『2分の1課税』についてはほとんど言及されていません。
この『2分の1課税』もなくなる可能性は大いにあります」

 退職金への税金は退職金から控除額を差し引いた“2分の1”に課せられる。
この「2分の1課税」が撤廃されると、退職金から控除額を差し引いた金額全てに税金が課せられることになる。
それに加えて控除額優遇もなくなった場合のシミュレーションは以下の通りである。

「勤続38年、退職金2000万円だと、現行制度での退職所得控除額は〈40万円×20年〉+〈70万円×18年〉=2060万円ですから、納税額は0円。
一方、見直し後(2分の1課税もなくなる場合)の退職所得控除額は〈40万円×38年〉=1520万円まで引き下がり、2000万円-1520万円=480万円が課税対象となり、所得税は53万2500円、住民税は48万円で、合計101万2500円の増税となります」(同)

「2分の1課税」の優遇措置が残されたとしても約40万円の増税。実際に見直しが実行される際には「激変緩和措置」が取られるようだが、当事者にとっては看過し難い負担増である。

「国の増収額は2000億円から5000億円」

 一方、
「平均的なサラリーマンの増税額がおよそ40万円だとすると、国の増収額は2000億円から5000億円ほどになるでしょう」

 そう話すのは、京都大学大学院教授で元内閣官房参与の藤井聡氏。同氏は、この見直しにより「雇用の流動化が促進される」という政府の展望に疑問を投げかける。

「そもそも人が『転職するか否か』という重い決断をするにあたっては、実にさまざまな要因が存在します。
現状への不満、新天地への期待が主要因であると考えられますが、『退職金の課税額』がその中で主要な役割を果たすとは到底考えられません。
従って、『雇用の流動化』は相当に無理のある理由であり、おおむね詭弁、ないしはウソと断定せざるを得ない」

 3月13日発売の「週刊新潮」では、増税ばかり推し進めようとする財務省の思惑について詳しく解説する。

「週刊新潮」2025年3月20日号 掲載

posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする