2018年01月14日

安易な統一会派は大政翼賛会への道 希望に巣食う与党の毒

安易な統一会派は
大政翼賛会への道
希望に巣食う与党の毒
2018年1月13日 日刊ゲンダイ

 1月22日に召集される通常国会まで1週間。
結局、「立憲」「希望」「民進」の野党3党による“統一会派結成”は、実現しそうにない。  

昨年末から民進党が呼びかけていたが、
立憲の枝野代表は「希望とは理念、政策が異なる。終わった話だ」と拒絶。
NHKの討論番組で、民進の大塚代表から「野党が結束することは義務だ」と重ねて連携を求められ、希望の玉木代表から「野党がバラバラではダメだ」と迫られても、「希望の党丸ごとと組むことは自己否定につながる。とても考えられない」と改めて否定している。
 野党3党は、バラバラのまま通常国会に突入する可能性が高い。

 しかし、立憲民主が統一会派を拒絶するのは当たり前の話だ。
立憲と希望は、ほんの3カ月前、民進党が分裂し、仲たがいして生まれた政党である。
選挙では激突している。
政策は百八十度違う。
「はい、分かりました」と、カンタンに一緒になる方がおかしい。

 そもそも、統一会派という発想自体、国民不在もいいところだ。
政治評論家の森田実氏が言う。
「民進党も、希望の党も、なぜ昨年秋の衆院選で希望の党が大敗したのか、まだ分かっていないのではないか。
最大の原因は、いつも民進党議員は、国民を置き去りにしたまま、『あいつは好きだ、嫌いだ』でまとまらず、揚げ句の果てに、テレビマスコミに踊らされ、節操なく“小池新党”に駆け込むという醜い姿をさらしたからです。
嫌気が差した有権者は『この人たちは信用できない』と確信した。
いま統一会派の結成に動いているのも、あの時とまったく同じ発想です。
国民を置き去りにし、理念も政策も度外視して数合わせに走っている。
彼らはまったく懲りていない。反省ゼロですよ」

 統一会派の結成に動いている理由は、すべて保身だ。
「民進党が野党結集に動いているのは、単独では来年の統一地方選も参院選も大敗必至だからです。
希望は希望で、統一会派結成を党勢回復のきっかけにしようとしています」(野党関係者)
 国民は眼中にないということだ。

自民の補完勢力は一つになればいい  
まかり間違っても、立憲民主党は、民進や希望の誘いに乗ってはダメだ。
 国民も野党統一には反対している。
日経新聞の調査では、「ひとつにまとまる必要はない」が61%に達している。
 それに、希望の党も民進党も、支持率はたったの1%である。
国会内の数を多少増やしたところで力にならない。
 むしろ、統一に動いたら、立憲民主党は国民の支持を失うだけだ。

立憲が高い支持率をキープしていることについて、ジャーナリストの高野孟氏が本紙の連載コラムでこう書いている。
<ひとことで言うとスッキリ感だろう。
前原誠司をはじめ長島昭久、細野豪志、松原仁ら、本来なら自民党から出たかったような親米保守派や改憲タカ派が希望に行ってくれたので、立憲としては9条改憲反対を何のためらいもなく掲げられるようになった。
それで、『どうも民進党はまざり物が多くてハッキリしないなあ。
仕方がないから共産に入れるか』と思っていた広範なリベラル層が一挙に戻ってきたのだろう>  

せっかく、党の主張がスッキリしたのに、希望や民進と一緒になったら、元のもくあみである。  それよりなにより、安易な野党統一は、「大政翼賛会」への扉を開けることになる。
ハッキリ言って、希望の党は野党じゃない。
安倍自民党の毒が回っている。
はやくも長島昭久あたりは「スキャンダル追及に延々と時間をかけることはしない」と宣言しているくらいである。
安倍首相とケンカする気はゼロだ。

 もし、希望の党と統一会派を組んだら、野党全体に毒が回り、野党勢力は完全に死んでしまうだろう。
「野党3党の統一会派結成は、安倍首相を喜ばせるだけです。
まず、『理念、政策が違うのに一緒になるのは野合だ』とカサにかかって責めたててくるでしょう。
野党3党は、政策をスリ合わせるだけでも相当なエネルギーを取られますよ。
とくに、今年は“改憲”が一大テーマになる。
安倍首相が、野党3党の違いに目をつけ、手を突っ込み、揺さぶってくるのは間違いない。

最悪なのは、希望の党の議員は、細野豪志や長島昭久などのチャーターメンバーを中心に安倍首相の考え方と極めて近いことです。
統一会派を組んだら、野党全体が彼らに引っ張られかねない。
統一会派を組んだら、どうしたって他党に気を使わなくてはならなくなりますからね。
立憲民主が『安倍首相による改憲には反対だ』と訴えても、希望の党が『いや、改憲の是非を国民に聴くべきだ』と異議を唱えることは目に見えています」(法政大学名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

なぜ、希望の党の支持率は1%に低迷しているのか。
それは、たとえ小池都知事が去っても、自民党の毒が回っていると国民が見抜いているからだ。立憲民主党は、絶対に毒を口にしてはいけない。

 野党が取るべき道はハッキリしているはずだ。
 前原誠司や細野豪志、長島昭久たちを排除し、残ったメンバーだけで一緒になることだ。
安倍政権の暴走にストップをかけ、野党が政権を奪取するためには、それしかない。
野党が一本化すれば、32ある参院選の「1人区」も、野党が17奪うことが可能になるという試算もある。

「やはり野党が選挙に勝つためには共闘が不可欠です
異分子を排除したうえで、可能な限り手を結んだ方がいい。
たとえば、希望の党のなかにも、大串博志など、立憲民主と考え方が近い議員が何人もいます。同じ考え方の議員がまとまり、安倍自民党と対峙すべきです。
自民党と対決するリベラル勢力が1つに結集すれば、共産党も選挙協力をしやすくなるでしょう。
前原誠司や細野豪志たちは、維新の会と一緒になればいい。
自民党の補完勢力が一緒になれば、有権者にも分かりやすくなります」(五十嵐仁氏=前出)  

もう、国民は野党の数合わせにウンザリしている。
民進党が崩壊したのも、自民党よりも右の議員を抱え、意見がまとまらなかったからだ。
 枝野代表も、躍進した衆院選をふり返り、「政権交代のために(野党が)一つにまとまること(という発想)が、いかに有権者に嫌われているか痛感している」とメディアの取材に語っていたはずだ。

 野党が数合わせに走ったら、安倍首相の思うつぼである。
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2018年01月13日

憲法で労働三権が保障されている意味

ストライキが単に
「迷惑」と言い切れない理由
憲法で労働三権が保障されている意味
2018年01月12日 東洋経済

戸舘 圭之 : 弁護士

長崎県長崎市に本社を置き、フェリーや高速船を運航する海運会社の九州商船で昨年末、労働争議が繰り広げられた。
12月25日朝から、長崎市や佐世保市と五島列島を結ぶ旅客船の全便が船員のストライキのために一時運休。
同25日午後にストライキは解除され、同26日から通常通りの運航を再開したと複数のメディアが報じている。

ストライキを実施したのは九州商船の船員からなる労働組合(全日本海員組合)。
離島の重要な交通手段がストライキによって運航停止となれば、関係者の生活には多大な影響が出る。
「公共交通機関に所属する労働者がストライキをして利用者に迷惑を掛けるのはけしからん」といった意見も少なくなかったようだ。

労働者に認められた権利であり
尊重しなければいけない

一方で、ストライキは労働者に認められた権利であり尊重しなければいけないという専門家らのコメントも多数ネット上では現れている。
ストライキとは、同盟罷業(どうめいひぎょう)とも呼ばれ、一定数の労働者が集団で同時に一定期間業務を停止し、使用者の経営に打撃を与える争議手段である。

ヨーロッパ諸国等では、ストライキで飛行機や電車などの公共交通機関が運休になるようなニュースをよくみかける。
厚生労働省によればストや事業所閉鎖などの「争議行為を伴う争議」は2015年で86件。
総参加人数は7万6065人。
全国の企業数や労働者数から考えるとわずかな規模かもしれないが、日本でもしばしばストライキは行われている。

一般的には、労働組合と使用者との団体交渉が決裂した場合に労働組合側が要求を実現するためにストライキを行い、それによって使用者側の譲歩を引き出す形で行われる。
多くの場合は、ストライキの実施を事前に通告しながらぎりぎりまで交渉を行い妥結に至り、結果的にストライキが回避されることも多いが、今回の九州商船のケースのようにストライキが実際に敢行されることもある。

ストライキが実際に実施されると会社の営業はストップしてしまいたとえ短期間であっても企業経営にとっては相当な打撃を与えることが可能となる。
そもそも労働組合は、労働者が使用者と対等な交渉力を持つために集団の力で使用者と対峙し交渉を行い労働条件の向上を目指している。
労働組合が行うことが可能な手段のうち最も強力なものがストライキだ。
「いざとなれば、いつでもストライキをするぞ!」という姿勢を使用者に見せることは労働組合の交渉力を大きく高める。
もちろん、不誠実な対応や組合差別などがあった場合に労働委員会を通じて救済を求めることができる不当労働行為制度の存在なども、労働組合の交渉力を担保している重要な制度ではある。

ただ、労働組合がストライキを行えるという権利を持っていることで、「何かあれば、労働組合にストライキをやられてしまう」という危機感を使用者側は持つ。
ストライキは、憲法が保障した「憲法上の権利」である。
憲法28条は「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と定め、ここでいわれている団結権団体交渉権団体行動権は「労働三権」などと呼ばれる。
中学、高校時代に社会科の授業で教わった記憶のある読者も多いだろう。

「団体行動権」が憲法上で
   保障されているのはなぜか
ストライキは、この中の「団体行動権」の最も典型的なものとして憲法上保障されている。
こうした団体行動権は、なぜ、わざわざ憲法上の権利として保障しているのか?
ストライキなどの労働組合の団体行動は、必然的に誰かに迷惑を掛ける可能性があるだけでなく、場合によっては、刑法が定める犯罪類型に形式的に抵触しかねない行為でもある。
そこまでには至らなくても素朴な市民感情などに流されて、社会的にもストライキを行う労働組合に非難の目が向けられかねないこともある。
そのため憲法できちんと権利として保障することにより、法律によってもストライキをする権利を侵害できないことを明言しているのである。

ストライキをする権利に限らず憲法上の権利として保障されている行為は、一般には「なんでそのような権利を保障する必要があるのか」と素朴に疑問に思えるものも多い。
しかし、これらの権利は、素朴な感情からは受け入れられにくく、憲法によって保障しておかないと、いつでも破棄されてしまいかねないものだからこそ憲法が保障しているのである。

それは、長い歴史の中でさまざまな出来事を通じて、労働組合の役割、ストライキの意義が結晶化されて、ようやく権利として承認されてきたものであることを意味する。
もともと、労働組合は国家権力から敵視されがちで、労働組合の結成そのものが犯罪として処罰される時代もあった(イギリスでは共謀罪が労働組合処罰のために用いられていたという歴史もある)。

その後紆余曲折を経て、
労働組合を結成する権利(団結権)、
労働組合が団体交渉をする権利(団体交渉権)、
労働組合がストライキをする権利(団体行動権)も憲法上保障されるに至ったのである。

公共交通機関の場合がわかりやすいが、ストライキは、多くの一般市民、利用者にとっては「迷惑なもの」であることは間違いない。
かつては現在のJRである国鉄が1975年に8日間にわたるストライキを実施して大混乱に陥ったこともあった。
法律上、ストライキ(同盟罷業)は労働組合が使用者に対して行う争議行為の一つであるが労働関係調整法という法律では争議行為は以下のように定義されている。

労働関係調整法7条 「この法律において争議行為とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行ふ行為及びこれに対抗する行為であつて、業務の正常な運営を阻害するものをいふ」
このように、ストライキなどの争議行為は、「業務の正常な運営を阻害する」ことに本質があるのであるから「迷惑なもの」であることはむしろ当然なのである(逆に言うと「迷惑でない」ストライキはストライキとして無意味である)。

過疎地で普段利用しているバスが運休になったり、離島へ行く唯一の交通手段である船舶が運航停止になったりすれば、誰だって不満を持つだろう。
労働組合の組織率が年々低下し、労働組合の力が弱まってきているともいわれストライキが行われることが珍しくなってきてはいるが、それでも労働組合にとってストライキは「伝家の宝刀」でもある。
ストライキの批判は労働組合に向けられがちだが、労働組合が正当な要求をしている場合に使用者側がこれを受け入れずにストライキをしているのであれば、使用者側にも非難される要素がある。

労働組合・ ストライキの存在意義、歴史的重要性、 憲法的価値を踏まえた上で労働組合がいかなる理由でストライキを 敢行しているのかといった背景にまで意識を向けることの重要性は強調しておきたい。
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☀| Comment(4) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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