2019年09月07日

京急衝突事故を招いた“魔の四重禍”を放置した横浜市の大罪

京急衝突事故を招いた“魔の四重禍”を放置した横浜市の大罪
2019/09/06 日刊ゲンダイ

 起こるべくして起こったのか――。
5日、横浜市神奈川区の踏切で発生した13トン大型トラックと京浜急行線の衝突脱線事故。
神奈川県警によると、トラック運転手の本橋道雄さん(67)が搬送先の病院で死亡し、電車の乗客ら33人が負傷した。
県警はトラック側に過失があったとみて捜査しているが、事故の裏には行政の“怠慢”が透けて見える。
  ◇  ◇  ◇
「ドーン!」
 現場となった「神奈川新町第1踏切」の近隣住民は正午前、大きな衝撃音を耳にし、自宅2階から急いで事故現場を見下ろしたという。
「事故の直後、トラックから黒煙が立ち上り、すぐに焦げ臭いニオイが鼻をつきました。
トラックと脱線した電車の破片がまじったのか、黒煙の中に銀色がきらめいていました」(50代女性)

 事故が起きた踏切は、京急線・神奈川新町駅を横浜駅方面に向かってすぐ。
トラックは事故直前、線路沿いの細い一方通行から踏切を渡るため右折したが、道が狭すぎて線路内で立ち往生。
遮断機が下り始め、トラック後方に快速特急(快特)が衝突した。

“赤い彗星”とも称される快特の下りは京急川崎駅を出たら、神奈川新町など10駅をシャアーっと通過。横浜駅までの
@最高速度は時速120キロに上るため、ほぼフルスピードで衝突したとみられる。

「線路沿いの道は第一京浜と平行しているから、
A第一京浜が混んでいる時の抜け道として使われているけれど、道幅が4メートルしかない。
大型トラックだと通りづらいし、あの踏切の手前で右折しようにもハンドルを切り返しても一度では曲がりきれないでしょうね。
小学生も通る道だから、危ないとは思っていた」(近隣の70代男性)

B右折困難も禁止規制はなし。
ただ、狭い抜け道のせいで踏切を渡りきれなかったことだけが事故の原因ではない。
この踏切は、いつ大事故が起きても不思議ではない“魔の踏切”だったのだ。

■国交省は「開かずの踏切」と認定
 問題の踏切は上下線計4本の線路を横切るため、「朝の通勤時間帯や夜の帰宅時間帯はなかなか遮断機が上がらない時間があった」(前出の50代女性)という。
実際、国交省作成の<踏切安全通行カルテ>は「神奈川新町第1踏切」を、ラッシュ時間帯の1時間のうち40分以上遮断機が上がらない
C「開かずの踏切」だと認定している。

 ところが、同省の<改良すべき踏切道の指定>のリストには入っておらず、踏切を管轄する横浜市も「『開かずの踏切』ということは知っていましたが、安全対策を進めるべき対象には該当していません」(道路局建設課鉄道交差調整担当課長)とスットボケ。

要するに、国も市も問題アリだと分かっていながら、安全対策を怠ってきたというワケだ。
 横浜市では2013年、同じく京急線で、杖をついた高齢男性(当時88歳)が生麦駅前の「生見尾踏切」を渡りきれず、電車にひかれて亡くなる事故が起きている。
この踏切も京急線の他、JR3路線が走る「開かずの踏切」で、林文子市長は当時、歩道橋の整備を「スピード感を持って行う」とすぐに対応。

一方、今回事故のあった「開かずの踏切」は放置してきた。
 林市長といえば、「白紙」としていたカジノ誘致を一転させて話題となったばかり。
記者の追及にイラついて会見後に資料を放り投げた姿を報じられて以来、“ブン投げ市長”とヤユされている。

カジノ誘致こそさっさと“ブン投げ”て、市民の安全確保にカネを使ったらどうか。
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2019年09月06日

大臣なんて課長級? “官邸闇支配”内閣改造の茶番劇

大臣なんて課長級?
“官邸闇支配”内閣改造の茶番劇
2019/09/05 日刊ゲンダイ  

来週11日に行われる内閣改造。
野党が国会審議を要求しているのに、自民党はガン無視し、党内の関心は「進次郎は復興相か」などと、“組閣人事”一色となっている。
新内閣の発足まで1週間もあるのに、NHKまで<二階幹事長、岸田政調会長 留任>と、4日夜7時のニュースのトップで報じる始末だ。  

2012年12月の政権スタート以来、9回目となる今回の組閣は、安倍独裁の“総仕上げ”になるとみられている。
 自民党の中堅議員がこう語る。
「すでに7年間も総理総裁をやり、さすがに安倍総裁の4選はないだろう、というのが党内の共通認識です。
常識的に考えて、任期は2021年9月まであと2年です。
どんな政権も終わりが見えてくると求心力が落ちるもの。
最後まで求心力を維持するために、この先、安倍官邸は意図的に“解散風”を吹かせるはずです。
さらに、9・11の組閣では、岸田文雄、茂木敏充、加藤勝信といった“ポスト安倍”候補を主要ポストに就け、自分の下で“後継レース”を争わせるハラだとみられています。
忠誠心を競わせる。恐らく、禅譲を期待して自分を殺し、忠勤に励んでいる岸田文雄のように、ポスト安倍候補は、誰も安倍首相に逆らえなくなるでしょう。
“安倍1強”がさらに強まる人事になるはずです」

 前回、昨年10月に実施した内閣改造では、総裁選で支持してくれた主要派閥に配慮したが、今回は、派閥に配慮せず、一本釣りを多用すると予想されている。

■進次郎の“育休宣言”は“入閣拒否宣言”
 はたして新内閣はどんな顔ぶれになるのか。
大手メディアは「大幅改造になる」と期待をもたせているが、“サプライズなし”となる可能性が高い。
「入閣待機組」がざっと70人いるが、目玉になりそうな議員は皆無だからだ。
 ワイドショーが「厚労相か、復興相か」「ご祝儀入閣」などと騒ぎたてている小泉進次郎も入閣しない可能性が強まっている。
これまで進次郎は、2回、入閣の打診を断っている。
先月31日、「小泉進次郎の育休は何が良い形か。いろいろなアイデアを聞きたい」と、育休宣言したのは、入閣拒否宣言だとみられている。

 一方、安倍首相の方も進次郎を起用するつもりはないらしい。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。 「安倍首相には、進次郎を育てるつもりはサラサラないはずです。
なにしろ、過去の総裁選で進次郎は、石破支持に回り、一度も安倍首相を支持していない。
安倍首相は、そういうことを根に持つタイプです。
それに、いま進次郎を抜擢するメリットがない。
進次郎に頼らなくても支持率は高いですからね。
むしろ、入閣させた時のリスクを考えているはずです。
滝川クリステルさんと結婚した途端、週刊誌が女性問題を書き立てているからです。
大臣になったら、過去に関係した女性が実名で告発することだってあり得る。
安倍首相は第1次政権の時、閣僚のスキャンダルが続出して政権崩壊につながっただけに、スキャンダルを嫌う。
リスクがあるのに、わざわざ入閣させないのではないか」

 目を引きそうな女性大臣の候補も乏しい。
NHKを筆頭に大手メディアは、いまから一大ニュースとして取りあげているが、9・11内閣改造は、パッとしないものになるのではないか。

威を借りた官邸官僚がバッコする異常  
そもそも、なにもかも官邸だけで決めているこの政権に、内閣を改造することにどれほど意味があるのか。
安倍政権にとって、大臣など誰がなっても同じ、さながら課長人事のようなものだろう。
 実際、安倍政権は、内政も外交も、すべて官邸が決めている。
自民党内では、安倍と菅官房長官には逆らえないという空気が蔓延し、この7年間、大臣が自分の判断で政策を決めたことはほぼ皆無。
いまや「自民党に政治家は安倍・菅の2人しかいない」と揶揄されるありさまである。

異様なほど官邸支配が強まっている。
 官邸支配を象徴するのが、並の閣僚以上に力を持った“官邸官僚”たちだ。
各省庁のトップである事務次官をアゴで使い、官邸の威光をバックに絶大な権力をふるっている。

「官邸官僚」という造語をつくったノンフィクション作家の森功氏が、官邸支配の構図をこう語る。
「官邸支配の実動部隊となっているのが、首相秘書官、首相補佐官、官房副長官、官房副長官補ら、いわゆる官邸官僚です。官邸官僚は各省庁から官邸に出向した身分で、従来、出身省庁の利益のために働くのが役割でした。
ところが、安倍政権では一変しています。
彼らは省庁の枠を超え、次官クラスも動かす“スーパー官僚”になっている。
代表者が、経産省出身の今井尚哉首相秘書官です。
安倍政権の政策のほとんどは、今井秘書官が企画立案しているといわれています。
もちろん、秘書官である彼らに、本来権限はありません。
でも『総理の意向だ』の一言でなんでも通ってしまう。
官邸官僚のなかには、局長止まりの役人も多い。
それでも事務次官が従い、霞が関が反旗を翻さないのは、安倍政権が新設した“内閣人事局”が1府12省庁の幹部680人の人事を握っているからです。
その結果、霞が関は、直接の上司である大臣ではなく、首相官邸を見て仕事をするようになっています」

 官邸官僚のもう1つの特徴は、警察官僚が力を持っていることだ。
裏表、あらゆる情報を集め、安倍・菅に上げている。
政敵のスキャンダルも押さえる、その圧倒的な情報量が官邸支配をさらに強めている。

「官邸支配の大きな問題は、この7年間、ほとんどメンバーが代わらず、少人数で日本の行方を決めていることです。
権限が一極に集中している。
官邸が暴走してもチェック機能が働かないことも問題です」(森功氏=前出)

■大臣に能力を求めない政権  
権力は集中すればするほど腐敗していくものだ。
まして、権力者の側近が実権を握る「側近政治」は、確実に腐敗していくと歴史が証明している。
 加計疑惑でも、暗躍したのは、官邸官僚たちだった。
文科省の事務次官だった前川喜平氏に、「総理が自分の口から言えないから、私がかわっていう」と、加計学園の獣医学部新設を迫ったのも、官邸官僚である。

 政権発足後、7年間、権力を支える麻生、菅が代わらないのは、政権の暗部を共有しているからなのではないか。

最悪なのは、官邸官僚が中心となって手がけてきた政策は、ことごとく失敗に終わっていることだ。
トルコ、イギリスへの原発輸出はほぼ全滅。
「経済成長年3%」「出生率1・8」「介護離職ゼロ」も、1つも実現していない。
北方領土返還、拉致問題と外交にも関わったが、外務省との軋轢を生んだだけで、すべて頓挫している。

 官邸一極支配の政権で、大臣を選ぶことに、どんな意味があるのか。
内政も外交も、すべて官邸が決める政権では、内閣改造などセレモニーに過ぎない。
 政治評論家の有馬晴海氏が言う。
「いま、環境大臣が誰なのか、法務大臣が誰なのか、スラスラと名前が出てくる国民はほとんどいないでしょう。
なにしろ、安倍政権では、印象に残る仕事をしている大臣はほとんどいない。
目立ちやすい外相にしても、岸田外交、河野外交と呼ばれるものはなにも残っていない。
恐らく、安倍首相は、政権を支える麻生財務相と菅官房長官以外、大臣は誰でもいいと思っているのだと思います。
五輪担当相だった桜田義孝さんのように、まともに国会答弁できなくても、仕方ないと考えているフシがあります。
裏を返せば、大臣には能力を求めていないのだと思います」

 わずか7年間で、この国は大きく歪んでいる。
posted by 小だぬき at 07:56| 神奈川 ☁| Comment(3) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月05日

東京五輪が軍国主義の象徴・旭日旗を持ち込み許可する愚行

東京五輪組織委が旭日旗を持ち込み許可の方針!
大日本帝国・軍国主義の象徴を平和の祭典で拡散させる愚行
2019.09.04 LITERA編集部

正気の沙汰とは思えない。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が、「旭日旗」の競技会場への持ち込みについて、禁止せず許可する方針だというのだ。
 産経新聞、FNN、韓国メディアの報道によれば、旭日旗の使用に関連した韓国SBSの質問に対して、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、「旭日旗は日本で広く使用されるため、それを防ぐ理由がない」
「旭日旗自体には、どのような政治的意味も含まれていない。そのため禁止品目とは見なさない」などという内容の公式回答書簡を送ったのだという。
共同通信なども同様に伝えている。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会は「旭日旗自体には、どのような政治的意味も含まれていない」などとデタラメを吹いているが、「旭日旗」は紛れもなく戦前・戦中日本の軍国主義の象徴だ。

韓国や中国のみならず、日本が侵略したアジア諸国から反発が起こることは当然であり、しかも、まがりなりにも「平和の祭典」を標榜する五輪に持ち込むなど、国際社会の常識で考えればありえない判断だ。
  国際オリンピック委員会がこのまま看過するとも思えないが、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、安倍首相と思想ともにする極右仲間であることを考えれば、強行する可能性もゼロではないだろう。

 ここ数年、安倍政権は、「旭日旗」をめぐって、大日本帝国の軍国主義の象徴であるという負の歴史をネグり、正当化しようという動きに出ている。
 2017年、サッカーのアジア・チャンピオンズリーグの試合で、サッカーJ1・川崎フロンターレのサポーターが、韓国の水原三星ブルーウィングス戦で旭日旗を掲げ、アジア・サッカー連盟が、旭日旗を掲げる行為は人種や政治的な心情による差別を禁じる規定に違反するとして、川崎を処分。
 この処分にネトウヨたちが反発した。

単にネトウヨが頭の悪い妄言をがなり立てているだけならまだマシだが、なんと日本政府がこうしたネトウヨの妄言レベルのことを追認するような動きに出たのだ。
 2017年当時、菅義偉官房長官は「旭日旗は差別的ではないとの認識か」との質問に対して、「自衛隊旗や自衛艦旗だけではなくて、大漁旗やしゅっさん、節句の祝い旗など、日本国内で現在も広く使用されていると考えている」などと会見で述べるなど、事実上、旭日旗の使用は不適切ではないとの認識を示した。

「日本国内で現在も広く使用されている」と言うが、それは在特会とかのヘイトデモではないか。
 さらに、今年5月には、日本の外務省がホームページで「旭日旗」に関する説明文書をアップ。
「旭日旗」が大日本帝国・軍国主義の象徴であるという史実をネグり、“まったく問題ない”と強弁したのである。
 しかし、日本政府や東京五輪・パラリンピック組織委員会がどんなに「旭日旗自体には、どのような政治的意味も含まれていない」などと強弁しようとも、「旭日旗」が大日本帝国・軍国主義の象徴であるという史実は揺らがない。
むしろ「旭日旗」正当化は安倍政権の歴史修正主義の象徴なのだ。

 こんなものをオリンピック・パラリンピックという「平和の祭典」とも称される国際イベントの場に、持ち込むなど許していいはずがないだろう。
 本サイトでは、「旭日旗」が、現在の「海上自衛隊旗」も含め、いかに問題あるものか、検証したことがある。
以下に再編集して、掲載する。

「政治意味がない」などという東京五輪・パラリンピック組織委員会の説明がいかに欺瞞に満ちたものか。あらためて、ご一読いただきたい。 (編集部)
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外務省がHPで「旭日旗」正当化!
サッカー国際試合でも問題になる軍国主義の象徴を無理やり肯定する歴史修正主義
 慰安婦問題や徴用工問題などで「史上最悪」と言われる日韓関係。
そんななか、またもや安倍政権による歴史修正主義が韓国世論を刺激した。
2019年5月24日、日本の外務省がホームページで「旭日旗」に関する説明文書をアップ。
こんなふうに“まったく問題はない”と強弁したのだ。

〈旭日旗の意匠は、日章旗同様、太陽をかたどっている。
この意匠は、日本国内で長い間広く使用されている。〉
〈制定以来、自衛艦旗及び連隊旗は国内外の様々な場面で掲げられてきている。
これらの旗は、これまで半世紀以上にわたり、自衛艦または部隊の所在を示すものとして、不可欠な役割を果たしてきており、国際社会においても広く受け入れられている。〉

 ようするに、安倍政権は“旭日旗のデザインは自衛隊で長年使用されてきたもので、国際社会にも受け入れられている”と主張したのだ。
 周知の通り、現在でも海自・陸自の旗として使われている「旭日旗」を巡っては、戦前・戦中日本の軍国主義の象徴であることから、韓国をはじめ国際社会で強い反発を呼んできた。

 しかも、旭日旗は、スポーツの場でも何度も問題化してきた。
2017年には、サッカーのアジア・チャンピオンズリーグの試合で、サッカーJ1・川崎フロンターレのサポーターが、韓国の水原三星ブルーウィングス戦で旭日旗を掲げた。
アジア・サッカー連盟は、旭日旗を掲げる行為は人種や政治的な心情による差別を禁じる規定に違反するとして、川崎に執行猶予付き無観客試合や罰金などを命じた。
川崎は異議申し立てをしたがスポーツ仲裁裁判所には提訴せず、処分が確定。
だが、昨年のロシア・ワールドカップでも日本代表対セネガル代表戦で旭日旗が出されるなど、同じ事が繰り返されている。  

とりわけサッカーの試合を巡っては、世界的にもナチスのハーケンクロイツを掲げたサポーターやクラブ側に厳しい処分が出されている。
日本サッカー協会は「旭日旗に政治的な意図はない」などと主張しているが、先述したアジア・サッカー連盟の裁定をみてもわかるように、旭日旗はスポーツの場にふさわしくない「政治的」「差別的」な象徴としてはっきりと禁じられているのである。
 それを、よりによって戦中の旭日旗をそのまま海上自衛隊の旗にしている日本政府が〈国際社会においても広く受け入れられている〉と言い張ったのだ。

 だとすれば、何度でも、日本政府が隠蔽しようとする“旭日旗の歴史”を確認しておく必要があるだろう。
はっきり言うが、外務省の旭日旗をめぐる説明は歴史修正主義と呼ぶべきシロモノでしかないからだ。

戦中は「旭日旗=天皇の分身」だった! 旗手が軍旗もろとも自爆も
 まず、「旭日旗は日本の軍国主義の象徴である」という韓国など国際社会の批判は、べつに言いがかりでもなんでもなく歴史的事実だ。
旭日旗は、戦前・戦中に帝国陸軍の「軍旗」(連隊旗)および帝国海軍の「軍艦旗」として用いられた。
それぞれ形が異なるが、現在、海上自衛隊が艦旗として使用している旭日旗は、戦中の海軍から丸ごと引き継がれたものだ。  それら旭日旗は、戦前、どのように扱われていたか。

たとえば陸軍では、単なる連隊の標識にとどまらず「旭日旗=天皇の分身」として、軍旗に関する礼式、取り扱い等も規定された。
紛失したり、奪取されることなどもってのほかで、敗北・玉砕の際は連隊長が腹を切り、軍旗を奉焼の儀式にて灰にした(寺田近雄『完本 日本軍隊用語集』学習研究社)。

 歴史家の秦郁彦氏によれば、第二次大戦末期には爆薬によって旗手が軍旗もろとも自爆する処置までとられたという(『日本陸海軍総合事典』東京大学出版会)。
まさに“狂気”としか言いようがない。
実際、戦中、陸軍近衛歩兵第6連隊で旗手をつとめた作家の村上兵衛はこう書いている。

〈軍旗を失った歩兵連隊などというものは、もはや哂い者にすら価しなかった。
それは存在しないのである。
また存在させてもならないのである。
だから、わが陸軍においては「軍旗喪失」と「連隊全滅」とは数学的正確さを持った同義語に過ぎなかった〉(小説「連隊旗手」)

 一方、海上自衛隊にそのままの形で引き継がれた、帝国海軍の旭日旗はどのように扱われていたか。
1902(明治35)年に海軍少佐・奥田貞吉の名前で著された「帝國國旗及軍艦旗」は、その意匠に〈我帝國ノ武勇ヲ世界ニ輝カセ〉〈帝國ノ國權ヲ地球ノ上ニ發揚セヨ〉という意味があると説明している。

つまり、外務省は〈自衛艦または部隊の所在を示すもの〉と一面しか説明せず、完全にネグっているが、歴史的には、たんに船舶の所属を表すだけでなく、国威発揚や帝国主義の正当化を図る示威行為の意図があったのだ。

海上自衛隊の旭日旗復活には、“大日本帝國の思想性”復活の意図があった
 狂気の象徴だった陸軍の軍旗および海軍の軍艦旗、旭日旗は当然ながら、敗戦後は一度消滅する。
では、なぜそれが前述したように、海上自衛隊で自衛艦旗として復活したのか。
 それは「自衛隊艦旗と旧軍の旭日旗が違うもの」だからではない。
逆に、海上自衛隊がその「旧軍の旭日旗の思想性」を復活させたいと考えたからだった。

 現に、防衛省・自衛隊ホームページでは〈自衛艦旗は戦前の日本海軍の軍艦旗そのままのデザインですが、その制定にあたって海上自衛隊の艦旗はすんなりと旧軍艦旗と決まったわけではありませんでした〉と解説されている。
 1954(昭和29)年の自衛隊設置を前に、その前年から旗章が全面的に見直されることになったのだが、〈多くの部隊が希望している旧軍艦旗を採用することについても、情勢はこれを許す状況にはないのではないかとの議論〉があったというから、やはり、旭日旗が軍国主義を示すものであるとの認識は当時の関係者にもあったわけである。

 ところが、防衛省が説明するところによれば、〈各部隊・機関の意見を集めたその結果、各部隊等の大部分は旧軍艦旗を希望している意見が多いことが判明〉して、旧日本帝国軍の軍艦旗がそのまま制定されたという。
 元海軍軍人の大賀良平・第12代海上幕僚長(故人)が、かつて雑誌の「海自50周年」の記念特集に「旭日旗、再び」と題して寄稿した文によれば、1951年、吉田茂はサンフランシスコ講和条約締結と前後し、米国から艦艇の貸与を打診され、これを受け入れた。
その際、貸与艦をどう運用すべきかを検討する秘密委員会が設けられ、山本善雄元海軍少佐が主席となり、旧海軍側から8名が参加したという。

この答申によって、翌52年に海上警備隊が創設されたのだが、大賀元海幕長は当時をこう述懐している。
(この時、関係者が感激し狂喜したのは、かつての軍艦旗“旭日旗”が再び自衛艦旗として使えるように決まったことだ〉(「世界週報」時事通信社/2002年8月20・27日合併号)

 大賀元海幕長の言う「感激し狂喜した関係者」が、海軍出身者のことであることは疑いない。
自衛艦の「旭日旗」が、帝国海軍のメンタリティによって復活したことは明白だ。
つまり、海上自衛隊の自衛艦旗=旭日旗は、たんにそのデザインが戦中と同じというだけでなく、大日本帝国の思想性を継承したものに他ならないのである。

外務省の唐突な旭日旗正当化の背後に安倍首相周辺の極右政治家  
外務省は、このたび公表したHPでの説明のなかで、〈太陽から光線が放たれる旭日のデザインは、日本特有のものではない〉として、北マケドニア共和国の国旗などに〈類似のデザイン〉があり、〈世界で広く使用されている〉としている。
 だから何だというのか。
問題は「旭日」=朝の太陽の“デザイン性”にあるのではなく、「旭日旗」=帝国軍旗・戦艦旗という“史実”にある。

いまでも海自が使っている日本の「旭日旗」が、まさしく大日本帝国のミリタリズムを継承したものである以上、韓国など日本が植民地化したり侵略したアジア諸国が嫌悪するのは当たり前の話だ。
 外務省はいったい何のために、こんなタイミングで、無理やりな旭日旗正当化をHPで発表したのか。

 今回の問題を巡っては、安倍首相の覚えもめでたい自民党の山田宏参院議員がTwitterで
〈自衛艦旗に対し、韓国だけが「戦犯旗」などと的外れで無礼な非難を国際社会で繰り返しています。
そこで国際社会で正しい認識をしてもらえるよう、このたび防衛省と外務省のホームページで、旭日旗について日本語と英語での説明文を、本日17時に掲載することになりました〉(5月24日)と投稿している。

外務省HPでのプロパガンダは安倍首相周辺の極右勢力が主導したと考えて間違いないだろう。
 安倍政権が「旭日旗」を正当化しようとするのは、あきらかに戦前日本の帝国主義を肯定する歴史修正主義の延長だ。
ゆめゆめ騙されてはならない。
                                  (編集部)
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