2017年11月16日

人生100年時代も「不健康期間」は長いままだ

人生100年時代も
「不健康期間」は長いままだ
平均で男性9年、
女性は12年健康に支障がある
2017年11月13日 東洋経済

村松 容子
: ニッセイ基礎研究所保険研究部 准主任研究員

世界有数の長寿大国として知られる日本。
2017年7月公表の平均寿命は男性80.98年、女性87.14年と、いずれも過去最高となっている(厚生労働省「2016年簡易生命表」調べ)。

平均寿命とは、その年に生まれた0歳児が、平均して何年生きられるかを示す。
1986年の平均寿命は男性75.23年、女性80.93年だったので、この30年だけでも5年以上延びたことになる。
2016年生まれの男性の4人に1人、女性の2人に1人が90歳まで生きる計算だ。

大事なのは健康寿命
しかし、平均寿命が延びたとしても、健康で生きられる期間、いわゆる「健康寿命」が延びなくては、ありがたみがないだろう。
平均寿命だけでなく健康寿命も延びているのか。
また、今後、延びる余地はあるのだろうか。

統計から読み解いていこう。
どういう期間を「健康で生きられる期間」と考えるかは、国の定義に倣って「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とここでは定義する。
また、分析には厚生労働省が行っている「国民生活基礎調査」で3年おきに尋ねている「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」という質問の結果を用いる。

2016年の健康寿命は、簡易生命表と国民生活基礎調査の結果を使って筆者が計算したところ、男性72.14年、女性74.79年だった。
3年前は男性71.19年、女性74.21年だったことから、この3年間で、健康寿命は男性が0.95年、女性が0.58年延びたことになる。
その間の平均寿命の延びは、男性が0.77年、女性が0.53年であるため、健康寿命の延びが平均寿命の延びをわずかに上回っていた。

時系列でみても、2010年以降、健康寿命の延びが平均寿命の延びを上回っており、健康寿命と平均寿命の差、すなわち「健康上の問題で日常生活に影響がある期間(不健康期間)」はわずかながら改善傾向にある。
しかし、男性で約9年、女性で約12年と依然として長いことに変わりはない。
不健康期間というと、「高齢期に介護を必要としている期間」を想像しがちであるが、不健康期間はそれだけを表しているわけではない。

生まれてから今までに健康上の問題で日常生活に影響があった期間を足し合わせた結果を指している。
また、ここでいう「日常生活」とは、「日常動作」のほか、「外出」「仕事・家事・学業」「運動」などであり、必ずしも介護を必要としているわけではない。

高齢になればなるほど
男性のほうが元気
「健康上の問題で日常生活に影響がある」の割合は、全年齢平均で男性が12.0%、女性が14.7%だった。
年齢別にみると、当然年齢とともに高くなり、特に70歳以降で急激に上昇することがわかる。 男女を比較すると、60〜74歳を除くすべての年代で「日常生活に影響がある」割合は女性のほうが高い。
そのため、女性は平均寿命では男性を6.16年上回っているにもかかわらず、健康寿命ではその差が2.65年にまで縮小しているのだ。

また、健康上の問題で日常生活に影響がある割合を年齢別にみた場合、2004年と2016年を比較すると60歳未満の現役世代では、ほぼ横ばいで推移しているのに対し、60歳以上の高齢者では継続的に改善していた。
たとえば2016年の65〜69歳は2004年の60〜64歳と同水準となるなど、65〜79歳では、この12年間で5歳分程度、若返っているといえそうだ。
また、日常生活に影響がある割合の男女差は、70歳未満の世代では近年大きな変化はない。
しかし、70〜79歳では、女性の改善が著しく、男女差は縮小している。
一方で、80歳以上では逆に男性の改善が大きかったため、男女差が広がっていた。

「健康寿命」を延ばすには 健康寿命は、都道府県による健康格差を縮小するためや、保健医療に関する取り組みの計画や評価を行うために導入した指標であり、同じ条件で計算しているため諸外国や都道府県間、時系列で比較するのに適している

日本では、国民の健康寿命を2020年までに 2010年の値から1歳以上、2025年までに2歳以上延ばすことを目標としている。
今回の結果で2020年までの目標はクリアする見通しだ。

男性で約9年、女性で約12年という不健康期間は決して短くはない。
ただ近年、高齢者の健康上の問題で日常生活に影響がある割合は改善しており、今後の不健康期間の男女差の縮小や健康寿命の延伸に期待がもてる。

懸念を1つ挙げるとすれば、現役世代(60歳未満)の「日常生活に影響がある」割合にほとんど改善がみられないことだろう。
健康寿命というと、高齢者の問題だととらえがちであるが、延伸のためには若い頃からの健康改善も重要となる。
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☀| Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月15日

なぜ老人は「悪口」だけしっかり聞こえるのか

なぜ老人は「悪口」だけ
しっかり聞こえるのか
「介護疲れ」はこうすればラクになる
2017年11月08日 東洋経済

平松 類 : 医師/医学博士

介護疲れと、それによる悲劇が絶えず報道されています。
介護をする側は睡眠不足になりがちで、肉体的疲労も大きい。
それだけでなく、子育てと違っていつ終わるかわからない介護を続ける中で、精神的な疲労がたまることもしばしば。
そうやって介護をして「ありがとう」と感謝されればまだ頑張れます。
しかし、ありがとうの一言が出てこない。

それは、老人が「介護を受けることが当たり前だと思っている」あるいは「性格が悪くなっているから」。
そう思ってしまうのではないでしょうか。
「でもそれは、正解といえないことも多い」と言うのは、『老人の取扱説明書』の著者であり、シニア世代の新しい生き方を提唱する「新老人の会」会員でもある医師・平松類氏。

いったいどういうことか。
老人の困った行動の原因と対策を解説していただきます。

高齢者は、高音よりも
低音のほうがよく聞こえる

高齢者というとよく話に出るのが、
「本人に都合の悪いことは、まったく聞こえない」「
優しく話しかけても無視をされる」、けれども「悪口を話しているときは、なぜかしっかりと聞かれている」。

「地獄耳」なのではないか?とも思われますが、実はこれ、老化による聴覚の特徴的な変化が原因なのです。
老化によって聴覚が衰えるということは知られていますが、均一に衰えるわけではないのです。若い頃であれば、音が高いか低いかによって聞こえ方に大きな違いはありあせん。
しかし、高齢になると高い音のほうが著しく聞こえにくくなってくるのです。
低音(500Hz)に比べると高音(2000Hz)で伝えるには1.5倍の音量を必要とするという研究データもあるくらいです。

悪口や愚痴はたいてい、トーンを落として話しますよね。
すると声が低くなりますから、高齢者に聞かれやすくなってしまうのです。
逆に何かを熱心に伝えたいときこそ、感情が高ぶったりして声が高くなりがちですから、伝わらないことが増えるのです。
ただ、この「高音よりも低音が聞こえやすい」という特徴を上手に利用することもできます。
介護などでどうしても伝えたいことこそ、落ち着いて低めの声で話しかけてください。

一方で、介護をしているとどうしてもイライラして、悪口も言いたくなります。
そんなときは、「どうせ聞こえていない」と高をくくらず、本人の近くでは話さないようにしましょう。
これらに気をつけると、高齢者に何かを伝えるのはだいぶラクになるはずです。

それから高齢になると無口になりやすく無愛想で堅物。
そう思われがちですが、実は理由があります。
高齢になると声を出す声帯と声を出すための筋肉が衰えるため、どうしても無口になりやすいのです。
声の衰えは特に、男性に起こりやすい現象です。
加齢に伴い、声帯の萎縮が男性の67%、女性の26%に起こるといわれています。
定年までは仕事場で毎日会話をし声を出していたかもしれませんが、定年後、急に話す相手は妻だけになる人が多くいます。
すると声を出す機会が激減します。
そうすると「廃用性萎縮」といって使わない筋肉が衰えていき、会話するのが億劫になります。
夫婦間で距離ができてしまい、熟年離婚の原因につながるケースすらあります。

このような状態になっていないか、チェックする方法として、「最大発声持続時間」というものがあります。
「あー」という声をどのぐらい長く出せるか調べるのですが、平均は20〜30秒です。
男性ですと15秒、女性ですと10秒以下になったら赤信号です。

無口な老人を見て、社交性がないとか性格が悪いと決めてかかるのは早計です。
声に問題があるのかもと、意識的に見ることができれば、対応は大分変わるはずです。
会話を成立させるために“取り繕う”ことも ただ、スムーズに声が出せたとしても、また別の問題もあります。

それが「取り繕い反応」問題。
人が言っていることがわからなくても「ああ、あれね」と言ってしまったり、高齢になると覚えていないことが申し訳なくて、知っているふりをしてしまう場合があるのです。
「あれ」「これ」「それ」が増えたときには、この症状を疑ったほうがいいかもしれません。

「お昼はもう食べました?」と聞いて、「最近はすぐお腹がいっぱいになってね」と高齢者が答えたとしましょう。
「そうですか、お薬は飲みました?」と聞くと、「あれは大丈夫だよ」と高齢者は答えます。
一見会話は成立しているようですが、実際はお昼を食べたかの記憶があいまいで、薬も飲んだかあんまり覚えていない可能性があります。
けれども、会話を成立させるために、高齢者は気を使って当たり障りのない会話をするわけです。

このように取り繕うのは、認知症の前兆でもあることもあるので注意が必要です。
そして取り繕いをしていると、介護側との会話を理解していないことがあるので、せっかくの会話も空虚になってしまいます。
ここでしてはいけないのが、詳しく問い詰めること。
「あれって何なの?」「ちゃんと答えてよ!」と言ってしまうと、高齢者を追い詰めてしまいます。

高齢者は落ち込んだり、怒ってしまったりすることがあるのです。
こういった場合の解決策の1つは、自分が忘れたふりをしたり、「ちゃんと聞いていなくてごめんね」という感じで、もう一度聞いてみること。
高齢者が快く答えてくれる場合もあります。

ここまで会話の問題について取り上げてきましたが、身体面についても知っておくといいことがあります。
その1つが、遠近両方メガネについて。
階段などでの転倒については、遠近両用メガネが“転倒の原因をむしろ作ってしまう”ことがあるのです。
人は年を取ると老眼になってきますが、老眼になると手元から、より離したり、老眼鏡をかけないと見にくいものです。
そこで多くの高齢者が遠近両用メガネをかけて生活をしています。
遠近両用メガネをかけて下(手元)を見ると手元が見えやすいという便利なものですが、階段で同じように下(足元)を見ようとするとピントが合わず、正常な距離感で足元が見えにくくなってしまい、階段を踏み外して転んでしまうのです。

階段に行く際には、あごを引いて下を見るようにするか、メガネを遠近両用でないものにするのがよい方法となります。

トイレに連れていくほど、
頻尿になってしまう
 最後にトイレの問題にも触れておきます。
年齢を重ねると、おしっこが頻回になるというのは聞いたことがあるのではないでしょうか。
前立腺肥大などもありますが、高齢になると尿を濃縮するホルモンが少なくなるために頻尿になるといわれているのです。

ただし、だからといって就寝中にトイレに行かないで済むように、前もってトイレに行ってもらおうとやたらとトイレを促すと、逆効果になることがあります。
こまめにトイレに行くと、わずかに尿がたまっただけで尿意を感じるようになってしまい、逆にトイレに余計行きやすくなってしまうからです。
ですから、膀胱にしっかりと尿がたまってから、トイレに行ってもらうほうがいいのです。

高齢者が夜中に何度も起きると、介護する側も睡眠が取れず大変です。
なるべく起きてこないようにするためには、ほかにもできることがあります。
まずは、寝具の素材。
レーヨンやポリエステルを避けて、木綿やガーゼなどを使うほうがよいです。
というのは、高齢になると皮膚が弱くなるので、寝具がレーヨンなどだとかゆくなったりして、そのかゆみで起きてしまうことがあるからです。

エアコンの使い方も大切です。
エアコンは体に悪いと思われがちですし、高齢者はエアコンを嫌います。
しかし、しっかりと睡眠を取ってもらうにはエアコンが重宝します。
タイマー設定にして自動的にオフになるようにすればエアコンによる影響は軽減されますし、自動的に消えることをきちんと伝えれば、高齢者も話を聞いてくれやすくなります。

日本は世界で最も高齢化している国です。
ピンチととらえる人もいるかもしれませんが、高齢者に優しい国となれば、世界中から注目される国になるかもしれません。
そうなってほしいと願っています。
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☔| Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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