2026年09月08日

「人に迷惑をかけたくない」「ピンピンコロリで逝きたい」と言う人が周りの負担を劇的に大きくしてしまう“納得の理由”

「人に迷惑をかけたくない」「ピンピンコロリで逝きたい」と言う人が周りの負担を劇的に大きくしてしまう“納得の理由”
9/7(月) 文春オンライン

「人に迷惑をかけたくない」「ピンピンコロリで逝きたい」――老後についてそう願う人は多い。
しかし厚生労働省のデータによれば、平均寿命と健康寿命の間には約10年もの、人の手を借りて生きる期間が存在する。

 誰の世話にもならずに老いて死ぬことは困難。
それにもかかわらず「迷惑をかけたくない」という遠慮をしていると、周囲の負担を大きくしてしまうこともしばしばだ。

では、どうすればいいのか。ライフネット生命保険の創業者、出口治明氏の著書『 老いと死をファクトで考えてみた 』(扶桑社新書)より一部を抜粋して紹介する。

◆◆◆

「人に迷惑をかけたくない」は、無理です

 なぜ、僕たちは「老いること」に過剰に反応してしまうのでしょうか。
すると、必ずと言っていいほど出てくる言葉があります。

 それは「人に迷惑をかけたくないんです」という一言です。

 体が不自由になれば、当然生活に支障が出てきます。
子どもに迷惑をかけたくない。配偶者に負担をかけたくない。介護で誰かの手を煩すくらいなら、ぽっくり逝きたい。
周囲の人から、この種の言葉をおっしゃる人は、数え切れないほどいるでしょう。みなさん、じつに切実にそう考えているのだと思います。

 なにしろ、理想の自分の最期を尋ねると「ぴんぴんころり」を選びたいという人も少なくありません。
死ぬ直前まで元気に暮らして、ある日ころりと逝く。たしかに見事な死にざまではありますが、データを見れば、そう都合よくはいきません。

 厚生労働省の調べによれば、2022年度の日本人の平均寿命は、男性が81.05歳、女性が87.09歳です。
一方で、健康寿命というものがあります。
健康上の問題で日常生活が制限されることなく暮らせる期間のことで、こちらは同年の調べでは、男性が72.57歳、女性が75.45歳です。

 平均寿命と健康寿命のあいだには、男性でおよそ9年、女性でおよそ12年の開きがあります。
つまり平均像で言えば、人生の締めくくりには、10年前後の「人の手を借りて生きる期間」が、あらかじめ組み込まれているのです。

 ぴんぴんころりは宝くじのようなものです。
当たれば幸運。しかし、当てにして人生の設計を立てるようなものではありません。

 では、話を戻して、「人に迷惑をかけたくない」という願いに、僕はどう答えるか。いつも同じ一言です。

「それは、無理です」

 冷たく突き放しているように聞こえるかもしれませんが、違うのです。

 これは意地悪ではなく、歴然たる事実だからです。

どの年代でも他人に頼って生きるのが人間

 人間は、誰にも頼らずに老いて死んでいくことが、そもそもできない生き物なのです。
できないことを目標に掲げるから、苦しくなる。

 登れない山を「登らなければ」と思い込んでいる人には、まず「その山は誰にも登れませんよ」と教えてあげるのが親切というものでしょう。

 考えてみてください。
あなたは人生の入り口で、どうやって生きていましたか。
生まれたばかりの赤ん坊は、100%、他人に頼って生きています。
おむつを替えてもらい、乳を与えてもらい、夜泣きをしてはあやしてもらう。
あなたも僕も、例外なくそうやって生き延びてきました。誰ひとり、自力で育った人はいません。

 では、大人になってからはどうでしょう。
自立して、誰にも頼らず生きてきたつもりかもしれませんが、本当でしょうか。
あなたが食べてきた米は誰かが作ったものですし、着ている服も、住んでいる家も、通った道路も、全部他人の仕事です。
病気になれば医者に頼り、法律のもめごとがあれば専門家に頼る。人間はどの年代でも、他人に頼って生きています。

 老後に人の手を借りることは、その延長線上にある、ごく自然なことにすぎません。
人生の入り口で100%頼ってきたのですから、人生の出口で100%誰かに頼ったからといって、何の不都合があるのでしょうか。

 だから僕は、はっきりこう言います。頼っていいのです。
それも、遠慮がちに2割や3割程度頼るのではなく、必要なら100%頼っていい。

人は順番に支え合う

 また、人の世話をするという営みには、負担と同時に、意味や張り合いが宿ります。
ご自身のお子さんを育てたときに、はたまたご自身の親を介護したとき、あるいは周囲の友人を看病したときに、「迷惑をかけられた」などとは思わなかったはずです。

 だとすれば、こんどはあなたが世話される側に回ったとき、相手にはただ「迷惑」だけが残る、と考えるのは、いささか相手に失礼な想像だと思いませんか。
あなたが周囲から張り合いを受け取ったように、あなたの世話をする人も、何かを受け取るのです。

 支え合いには、もうひとつ大事な性質があります。
時間差で成り立つ、ということです。
逆にいえば、あなた自身も、家庭や仕事を通して、誰かの人生を手助けして生きてきたといえるでしょう。当たり前のことですが、人は一人では生きられませんから。

 人は同時にではなく、順番に支え合います。
子どものときに世話になり、働き盛りに支える側に回り、老いてまた受け取る側になる。
今のあなたが誰かの手を借りることは、長きにわたって繰り広げられてきた「順送り」のようなものなのです。

「頼るにしても、せめて相手の負担にならないように、何か気をつけることはありませんか」と聞かれることもあります。

 僕はいつも「何もありません」と答えています。

 頼り方の作法を考えて身構えるより、ありがとうと言って、にっこり笑っている方が、よほどお互いのためになります。

払ってきた介護保険料に応じた当然の権利

 もうひとつ、日本には介護保険という制度があります。
40歳を過ぎたら、あなたも僕も、毎月保険料を払ってきたはずです。
保険というのは、みんなで少しずつお金を出し合って、困った人が出たときにそこから支払う、支え合いの仕組みです。

つまり介護保険を使うことは、「迷惑をかける」ことではなく、払ってきた保険料に応じた当然の権利を行使することです。
火事になったのに、遠慮して火災保険を使わない人がいたらどう思いますか。
「もったいない、何のために払ってきたの」と言うでしょう。介護もまったく同じです。堂々と使えばいいのです。

 そもそも保険というのは、人類のじつに優れた発明です。
中世ヨーロッパの職人たちはギルドという組合を作り、仲間が病気になったり亡くなったりしたとき、みんなで積み立てたお金から支払う仕組みを持っていました。
大航海時代には、船の沈没に備える海上保険が生まれました。
一人では抱えきれないリスクを、大勢で薄く分け合う。
「お互いさま」を制度の形にしたもの、それが保険です。
ですから、保険を使って生きることは、人類が何百年もかけて磨いてきた知恵の、正しい使い方にほかなりません。
保険を生業にしてきた人間として、これだけは自信を持って言えます。

結論は一つ、「早めに、軽いうちに、頼る」

「でも、使う人が増えたら制度が持たないのでは」と心配する人もいるでしょう。

 それは、順序が逆というものです。
使われない制度は育ちません。需要がはっきり見えるからこそ、そこに人も予算もついていくのです。
遠慮は、制度のためにもならないのです。

少し怖い話もしておきます。「迷惑をかけたくない」という言葉には、実害があるのです。
この言葉が口癖の人ほど、助けを求めるのが遅れてしまいます。
体の異変を我慢し、一人で無理をして、家の中のことを抱え込む。その結果どうなるか。小さな不調が大きな病気になってから見つかる。
転ばなくてもいい場所で転んで骨を折る。老老介護の共倒れも、多くはこのパターンです。

早めに頼っていれば軽く済んだことが、遠慮のせいで重くなる。
つまり「迷惑をかけたくない」という遠慮は、めぐりめぐって、周りの人の負担をいちばん大きくする選択なのです。
皮肉なものだと思いませんか。

周りを本当に思いやるなら、結論は一つです。早めに、軽いうちに、頼ることです。

 迷惑をかけないことを、あきらめてください。
あなたが人の手を借りて生きることは、迷惑ではありません。
みんなが通ってきた道であり、みんながこれから通る道なのですから。
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睡眠の質を下げるNGチェックリスト。快眠のために抑えるべきポイント6つ

睡眠の質を下げるNGチェックリスト。快眠のために抑えるべきポイント6つ
9/7(月) ESSE-online

残暑に快眠できる環境づくりのポイントを紹介

老けないためによい眠りは不可欠。
そこで今回は医学博士で睡眠研究の第一人者、柳沢正史先生に残暑でも快眠できる、理想の睡眠環境について教えてもらいました。
睡眠の質を下げるNGリストもあわせてご紹介。

よく眠ることで、仕事や家事もはかどる!

「睡眠不足が続くと、肌荒れなど見た目の老化につながるだけでなく、仕事のパフォーマンス、認知能力、免疫力も下がり、体の老化を早めます」と語る柳沢先生。

睡眠を削ると老けに直結するのはもちろん、命を削ることにもなるのです。

「まずはしっかり睡眠時間を確保することから始めましょう。
睡眠に関する正しい知識を身につけ、気軽に取り組めば、日々のパフォーマンス向上にもつながりますよ」(柳沢正史先生、以下同)

残暑こそ!快眠できる環境づくりを

まずは寝るときの環境づくりのポイントを6つ紹介します。

●1:換気を行う
換気をして新鮮な空気を取り込む。換気装置のない寝室の場合はドアをあけておく。

●2:エアコンは朝まで消さない
エアコンは朝まで消さずに一定の湿度・温度を保つ。風が直接体に当たらないように調整を。

●3:室温は24〜26℃程度に
エアコンの設定温度を過信せず、温度計を設置。夏は24〜26℃を目安に快適な温度をキープ。

●4:夏でもかけ布団はマスト
体温調節できるよう、夏でも薄いかけ布団を。夫婦で寝る場合も布団はそれぞれ分ける。

●5:遮光カーテンで光を遮る
日の出の早い日本の夏は、遮光カーテンを使わないと、早く目覚めすぎてしまう。

●6:観葉植物でストレスを軽減
観葉植物や花、木製の家具などはストレスを軽減する効果が。好みの香りをたくのもよい。

睡眠の質にかかわる3つの要素とは?

睡眠の質に関わるおもな要因は、光、音、温度。

夜は雰囲気のいいレストランのような暗めの照明にして、寝室は完全に真っ暗が理想です。
聴覚は眠っている間も働き、とくに人の話し声には覚醒作用があるので要注意。

夏は朝までエアコンをつけて自分にとって快適な温度を保ち、体温調節できるように薄かけ布団を使いましょう。

寝る前のスマホは、リラックスする動画や音楽を聴く程度ならOKですが、SNSやゲームは覚醒作用があるので避けて。寝つけないときは一度布団から出て、場所を変えてリラックスするのが効果的。

●睡眠の質を下げるNGチェックリスト

・寝室が暗くない
・寝るときに周囲の音が聞こえる
・寝室が暑い、または寒い
・薄かけ布団をかけていない
・夜のリビング・ダイニングが明るすぎる
・寝る前のカフェインやアルコール
・寝室以外での寝落ちが習慣化している
・眠れないのに布団の中にとどまる
・寝る前にストレスフルなことを考え続ける
・寝る前にスマホでSNSやゲームをする

自分の睡眠を知ることが、質のいい睡眠への第一歩

就寝時間や起床時間、睡眠の質、日中の眠気や疲労感などをノートやアプリで記録すると、自分の睡眠の問題点や傾向を可視化でき、自分に合った睡眠環境を整えることにつながります。

ESSE編集部
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年09月07日

これ以上「増税」で家計を苦しめないために、国民が絶対に知っておくべき「常識」

これ以上「増税」で家計を苦しめないために、国民が絶対に知っておくべき「常識」
9/7(月) ダイヤモンド・オンライン

 失われた30年――。
度重なる消費税増税や社会保険料の引き上げによって、国民負担率は45%を超える水準に達した一方、賃金はなかなか増えず、中間層の家計貯蓄率は低下の一途をたどってきました。
日本経済は、まさに壊れてしまったのです。
これ以上、家計負担を重くしないために、国民が知っておくべき「常識」とは何か?
高市政権の経済ブレーンである会田卓司氏と松本賢氏に、わかりやすく教えていただきました(この記事は、『何が日本経済を壊したのか 「失われた30年」の謎を解く18の経済講義』(会田卓司+松本賢・著)をもとに作成されたものです)。

● 「日本経済」は壊れてしまった

 いま、日本経済は重大な岐路に立っています。
「失われた30年」に終止符を打ち、国民全体が豊かさと希望を実感できる経済を実現するのか。
それとも、さらなる停滞を許し、「失われた40年」へと突き進んでしまうのか。

 地政学的リスクが高まる世界のなかで、日本が「強い経済」を取り戻し、国民の暮らしと国家の安全を守り抜くことができるのか。
私たちはいま、日本の未来を左右する歴史的な選択を迫られているのです。

 1990年代に深刻な低迷に陥ってから約30年、日本経済は惨憺たる状態が続きました。
第二次世界大戦後、これほど長期にわたって経済停滞とデフレに苦しんだ先進国は、ほかに類を見ません。

 かつて世界第2位を誇った名目GDPは長年にわたってほぼ横ばいを続け、中国、ドイツに抜かれ、世界第4位へと後退しました。
一人当たりGDPに至っては、世界第36〜38位にまで落ち込んでいます。

 度重なる消費税増税や社会保険料の引き上げによって、国民負担率は45%を超える水準に達した一方、賃金はなかなか増えず、中間層の家計貯蓄率は低下の一途をたどってきました。
日本経済は、まさに壊れてしまったのです。

● 経済は「数字」だけでは語れない

 この長期停滞が残した傷は、数字だけでは語れません。
景気が悪化するなか、経済的な理由から自ら命を絶つ人が急増し、若者は将来に希望を持てず、結婚や出産をためらうようになりました。
少子高齢化は加速し、日本経済そのものに対する悲観論が社会に深く根を下ろしていきました。

 GDPや失業率、物価といった数字の向こう側には、一人ひとりの暮らしがあり、人生があります。
経済政策の失敗は、ときに人の命さえ奪うのです。
では、なぜこのような事態に陥ってしまったのでしょうか。

 その根本には、「間違った常識」の蔓延があります。
「国の借金が大変だ」「国債発行で将来世代にツケを回すな」――。
こうした事実に基づかない「常識」が国民の間に深く浸透し、その誤解に基づく世論が、政府の誤った経済政策を正当化し続けてきました。
その結果が、「失われた30年」だったのです。

● 「国債は将来世代へのツケ」という間違った常識

 たとえば、「政府の借金である国債は、税収(政府の収入)で返済しなければならない」「新たな国債を発行して返済を先送りすれば、将来世代へのツケになる」といった話をよく見聞きしますが、これも典型的な「間違った常識」です。

 もちろん、「借りたお金は返さないといけない」というのは間違いのないことですし、「個人がお金を借りたときには、自分の収入を借金返済に充てなければならない」のも当然のことです。
そして、もしも、「その人の寿命が尽きるまでに完済できなければ、次の世代(子どもや孫)が返済しなければならない」のも事実です。

 しかし、国家の経済政策を、個人や企業と同じ次元で考えるのは、絶対にやってはいけない初歩的な過ちです。
なぜなら、政府は通貨を発行する権限をもつという点において、企業や家計とは根本的に異なる存在だからです。

 企業や家計は通貨を発行できないので、自分が稼いだ収入を借金返済にあてなければなりませんが、通貨を発行する権限をもつ国家にその必要はなく、新たな国債(借換債)によって通貨を発行して借金を返済すればいいだけなのです。

● 日本が「財政破綻」しない“当然すぎる理由”

 「そんな“打ち出の小槌”のようなうまい話があるわけがない。
そんなことが許されるならば、財政破綻などあり得ないではないか! じゃ、ギリシャはどうして財政破綻寸前まで行ったんだ?」と思うかもしれません。

 しかし、ギリシャが財政破綻寸前までいったのは、ギリシャが自国通過「ドラクマ」を放棄して、ユーロ圏の共通通貨である「ユーロ」を採用していたからです。
ユーロを発行できるのは欧州中央銀行だけであって、ギリシャ政府はユーロを発行できません。
だから、ギリシャ政府がユーロ建て国債を償還するには、最終的にはユーロを現金で用意しなければなりません。
そのため、これができなかったら財政破綻に追い込まれることになります。

 一方、日本は自国通貨である「円」を発行している国であり、日本政府が発行している国債はすべて円建てだから、国債を償還するときには、新たに借換債を発行することによって、新たに自国通貨を生み出して支払いにあてればいいのです。

 つまり、アメリカやイギリス、日本のように、自国通貨を発行している国は、何らかの理由で政府が支払いを拒まない限り、財政破綻は原理的には起こり得ないのです。

 これは財務省の公式見解でもあります。
2002年に外国の格付け会社が日本国債の格付けを下げたときに、財務省は「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。」という意見書を出しています。

 そもそも、国(政府)は永続的な存在であり、個人のように寿命があるわけではありません。
ある時点で借金(債務残高)をすべて返さないといけないような返済期限も当然ないのですから、借換債の発行で永続的に借り換えをすることになんら問題はないのです。

 実際、アメリカやイギリスをはじめとする先進各国は、税金を使って政府債務を返済するなどということはせず、国債の満期が来るたびに借換債を発行しています。
「国債の返済の原資は国債」というのが世界の常識だし、それは日本でも普通に行われていることなのです。

● 「60年償還ルール」という“謎ルール”

 ここでこんな疑問をもつ人もいるかもしれません。
「しかし、日本には『国債の60年償還ルール』があるから、60年かけて税金で借金返済(減債=債務を減らす)をしているのでは?」と。

 たしかに、日本には「国債の60年償還ルール」というものが存在しています。
たとえば、10年国債の償還日が到来したとき、その全額を一度に償還するのではなく、発行額の6分の1(60年のうち10年が経っているため)にあたる現金を、政府の一般会計予算からの繰入れ等を原資として償還し、残りの6分の5については、新たに発行する借換債によって調達した資金をあてます。
このサイクルを6回(60年)繰り返すことによって、最終的に国債をすべて現金で償還し、債務をゼロにするというルールです。

 ところが、このルールは日本独自のもので、他の先進国にはこんなルールは存在しません。
なぜなら、必要ないからです。
繰り返しになりますが、財政収支が赤字である以上、政府債務はずっと借り換えを続けるのが常識だからです。

 そして、日本でもずっと借換えを続けているのであって、この「60年償還ルール」は、政府債務全体を60年かけて実際にゼロにする仕組みとして機能しているわけではなく、実質的な意味は乏しいのです。

 実は、このルールをつくった財務省も、「あくまで公債政策に関する政府の節度ある姿勢を示すために導入されたものであり、文字通りの減債、すなわち国債発行残高の減少を目指すものではない」と公に説明しています(自由民主党「防衛関係費の財源検討に関する特命委員会」の提言(2023年6月8日)、9ページの3-5参照)。

 つまり、「あくまでもポーズにすぎない」というわけです。

● 「間違った常識」が国民を苦しめる

 いかがしょうか?

 ここまでの説明を読んでいただければ、「政府の借金である国債は、税収(政府の収入)で返済しなければならない」「新たな国債を発行して返済を先送りすれば、将来世代へのツケになる」というのが、いかに間違った「常識」なのかをご理解いただけるのではないでしょうか?

 もちろん、財政規律は重要です。
野放図に国債を発行しまくって、財政支出を過剰に膨らませると、過度のインフレを引き起こすなど、深刻な問題を引き起こしますから、適切な規律によって財政を管理していくことは不可欠です。

 とはいえ、「将来世代にツケを回すのは無責任であり、責任ある政治家は増税から逃げず、国民に負担をお願いすべきだ」などという「間違った常識」に基づいて、「増税」や「社会保険料の増額」などが繰り返され、すでに日本人の国民負担率が45%を超える水準まできていることは看過すべきではありません。

 そのために、多くの国民が経済的に苦しい生活を余儀なくされ、家計消費が増えないことから企業業績も苦戦を強いられてきました。
「間違った常識」にとらわれることで、私たち日本人は「失われた30年」を招き寄せていたと言えるのです。

 このたび、私たちが執筆した『何が日本経済を壊したのか――「失われた30年」の謎を解く18の経済講義』(ダイヤモンド社)では、このように、30年にわたって日本経済を壊し続けてきた数々の「間違った常識」を一つひとつ丁寧に検証し、その誤りを正面から覆すことを試みました。

 専門用語を極力避け、問答形式で分かりやすく解説していますので、誰もが「なんだ、そういうことだったのか!」と腑に落ちていただける内容になっているはずです。
「もう日本は成長しない」という暗い思い込みを捨て、明るい未来を切り拓くための「正しい知識」を、本書を通じてともに確かめていただければ嬉しく思います。

会田卓司(あいだ・たくじ)
クレディ・アグリコル証券チーフエコノミスト、日本成長戦略会議構成員

松本 賢(まつもと・けん)
クレディ・アグリコル証券マクロストラテジスト
posted by 小だぬき at 09:33 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする