なぜ暑い日は眠くなる?しっかり寝たのに眠気や疲れを感じる“納得の理由”
MELOS -メロス-
2025年8月5日
暑い日に「ちゃんと寝たはずなのに眠い」と感じたこと、ありませんか?
これは単なる「寝不足」だけが原因ではありません。
実は、暑さによる身体へのストレスや体温調節の影響が、眠気を引き起こす大きな要因となっているのです。
林外科・内科クリニック理事長・林裕章先生が監修、コメントしてくれました。
暑い日はなぜ眠くなるのか?そのメカニズム
きちんと寝たにもかかわらず、猛暑日は不思議と眠い。その理由はいくつか考えられます。
1.体温調節によるエネルギー消耗
人間の身体は暑いとき、汗をかいたり血管を広げたりして体温を下げようとします。
これは無意識のうちに行われていますが、実はこの体温調節にかなりのエネルギーを使っているのです。
その結果、身体は思った以上に疲れていて、眠気を感じやすくなると考えられます。
2.意外と睡眠の質が下がっている
「7時間寝たのに眠い」という場合、寝ている“時間”より“質”が問題かもしれません。
人間は深い睡眠に入るとき、体温が自然に下がる必要があります。
ところが、室温が高いと体温がうまく下がらず、深い眠りに入りにくくなります。
そのため、浅い睡眠が続いてしまい、翌日に眠気が残るのです。
「環境省の節電指針28 ℃」は目安ではありますが、20〜25 ℃で睡眠効率が最良という最新の報告があり、疲れが取れないときは少し室温を下げてみるのもいいかもしれません。
3.自律神経の乱れ
暑さや湿度は、身体の「自律神経(交感神経と副交感神経)」のバランスを崩しやすくします。
この自律神経が乱れると、体のリズムがうまく整わず、日中の眠気やだるさにつながります。
また、外が35℃、室内が23℃なんていう環境を行き来していると、身体はそのたびに体温調節のために自律神経をフル稼働させます。
自律神経は、心拍や血管の収縮、汗の分泌などをコントロールしていますが、頻繁な温度変化にさらされると調整が追いつかず、疲労感や眠気、だるさを引き起こします。
そして冷房の効いた室内に長時間いると、血管が収縮して血流が悪くなりやすいです。
とくに手足が冷える、むくむ、頭がボーっとするといった症状もこれが原因と考えられます。
4.強い日差しが目に刺激を与えて「脳が疲れる」
紫外線は、目(角膜)にもダメージを与えることがあります。
目が強い光にさらされると、脳はそれを処理するために疲れやすくなります。
とくにサングラスをかけずに屋外で長時間過ごす、反射の多い場所(海やコンクリート道路など)では疲労を起こしやすく、それが眠気につながることも。
5. 食欲が減少することによる体力の低下
夏は以下などの理由で食欲が低下し、結果として体力が落ちてしまいます。
@ 体は熱を逃がすために皮膚血管を拡張し、その分、胃腸への血流が減る
A 暑熱環境では交感神経が優位になりやすく、胃粘膜血管の収縮や蠕動抑制が続く
B 冷房と屋外の寒暖差も加わると自律神経が乱れ、さらに食欲不振が悪化
C 発汗で失った水分を一気に冷たい飲料で補うと、胃壁が冷え、膨張して早期満腹感が出る
D 脱水による倦怠感も「食べたくない」感覚を強めやすい
暑い日の眠気を引き起こしたくない! 自分でできる対策は?
では、こうした暑い日の眠気を予防するには、どんな方法があるでしょうか。
・ぬるめのお湯に浸かる
寝る1〜2時間前にぬるめのお湯に浸かりましょう(38〜40 ℃・10分・就寝90分前)。
いったん体温を上げることで、その後の自然な体温低下を促し、深い眠りに入りやすくなります。
また、血流もよくなるため疲労回復しやすくなります。
どうしてもシャワーで済ませたいときは、ストレッチなどをとり入れると血流促進が期待できます。
・寝室の「室温と湿度」を管理する
理想は室温25〜28℃、湿度50〜60%。エアコンや除湿機、サーキュレーターを使って、快適な環境を整えましょう。
冷感パッド、冷却ジェル枕、アイスノンなども活用すると、部分的な冷却で快眠サポートになります。
・冷房で体を冷やしすぎない
外と室内の寒暖差を減らすため、冷房で冷えている室内では羽織ものを着る、お風呂上がりに急に冷房で体を冷やさないなど、「寒暖差」に注意するのも自律神経の乱れ予防に有効です。
・熱中症対策をきちんと行う
UVカットの上着で肌を隠し、物理的に熱や紫外線を遮ったり、サングラスをかけたりすることで目から光や紫外線が入ることを防ぎましょう。
また、眠気の原因には軽い脱水症状も関係していることがあります。日中の水分補給も欠かさずに。
暑さで夏バテを起こし、食欲が出ず体力を消耗している場合、食事を工夫することで、体の中から夏バテ対策ができます。
●ビタミンB1を積極的に
糖質をエネルギーに変えるのに不可欠な栄養素です。
豚肉やうなぎ、大豆製品に豊富に含まれます。不足すると疲れやすさやだるさの原因になります。
●クエン酸で疲労回復
梅干しやレモン、お酢などに含まれるクエン酸は、疲労物質である乳酸の分解を助けます。
●タンパク質で体力維持
筋肉や血液の材料となるタンパク質が不足すると、体力が落ち夏バテしやすくなります。
肉や魚、卵、豆腐などを毎食バランス良く摂りましょう。
体温調節や日中の活動で消耗したエネルギーと栄養素を「食事で補う」ことは、夏バテ予防の基本です。
・睡眠をしっかりとる
昼間に眠くならないためには、夜はしっかり眠ることが大切です。
寝る前のカフェイン、ブルーライト暴露は控え、夕食は就寝2〜3時間前までに。
高脂肪食は深部体温低下を妨げるので避けましょう。
15〜20分程度の昼寝をするのも効果的です(30分以上は逆効果)。
<林先生に聞いた! 医師が行っている夏の体調管理術>
1)水分管理を“ルール化”
外来中や会議中も、常に水分を手元に置き、喉の渇きによらず少しずつ水分を摂取するようにしています(推奨は1日で体重kg×30mlを目標)。
2)夜間の室温
暑くて目が覚めると翌日きつくなるので、寝室は少し低めに室温23 ℃を目安にしています。
3)15分間の夕方仮眠
お昼休みや外来終了後に短時間の仮眠を取れたら取るようにしていますが、実際には手術や入院患者の管理などでなかなか難しいところです。

