2025年08月08日

猛暑があぶり出すテレビの闇―ネットで話題の太陽光デマ、政治の劣化、食料危機etc、責任放棄の帰結

猛暑があぶり出すテレビの闇―ネットで話題の太陽光デマ、政治の劣化、食料危機etc、責任放棄の帰結
志葉玲
フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
8/7(木) Yahooニュース

 この夏は連日、凄まじい猛暑となっています。
今月5日、群馬県伊勢崎市では41.8度を記録。
国内最高気温を更新しました。
こうした猛暑を各メディアが取り上げる一方、とりわけNHKや民放各社によるテレビ報道では、猛暑の根本的原因である地球温暖化と関係づけた報道が極端に少ない傾向があります。
温暖化の影響がより顕著なものとして、人々の命すらも奪っている中で、日本のテレビ報道の在り方は非常に無責任かつ罪深いと言えるでしょう。

〇猛暑報道の中で温暖化に言及したのは何%?

 今回、筆者は、日本最大のビジネスデータサービス「G-Search」を使い、NHK及び民放のテレビ番組放送データで、「猛暑」「温暖化」といったキーワードを含むものがどれだけあるか、検索してみました。
対象期間は今年7月6日から8月6日までの1ヵ月としました。

 その結果、「猛暑」は1694件であるのに対し、「猛暑」と「温暖化」の両方を含むものは、わずか18件しかありませんでした。
つまり、猛暑報道の中で温暖化にも言及したものは、たった1%程度なのです。
また、キーワードを「温暖化」だけに絞ると、61件。
これは猛暑報道の27分の1。
「人が死ぬ暑さ」「不要不急の外出を控えるべき」がSNSのトレンドになる等、温暖化の猛威に人々が直面している中、そして、その猛威は温暖化対策を怠れば、さらに深刻なものとなることを気象庁も再三、報道向け資料(関連情報)として発信している中、テレビ報道における温暖化への言及は、やはり、あまりに少ないと言わざるを得ません。

 筆者が猛暑報道での温暖化の言及の有無に関心を持つきっかけとなったのは、昨年6月に各メディアで活躍している気象予報士や気象キャスターの44名が、「日常的な気象と気候変動*を関連づけた発信」を行おうという共同声明を発表したことでした。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000128060.html/

*気候変動は地球温暖化のより学術的な表現

 こうした気象のプロ、専門家達の姿勢は大いに評価されるべきである一方、テレビ番組の内容をどのようなものにするかは、気象予報士や気象キャスターではなく、原則として、ディレクターやプロデューサー等の番組制作スタッフに権限があります*。
つまり、日本のテレビ業界全体の傾向として意識が低すぎるということでしょう。
番組内容の決定権を持つテレビ報道関係者らは、気象のプロ、専門家達の声を、もっと真剣に受け止めるべきです。

*社内上層部やスポンサーの意向が番組内容を左右する場合もある。

 破局的な温暖化の影響を防ぐため世界平均気温の上昇を1.5度に抑えなくてはいけないとされる中、昨年全体で1.5度を超えて上昇するなど、温暖化は急速に進んでいるのに対し、メディア業界、とりわけテレビ業界の意識の変化が追いついていないことは、報道機関としての存在意義も問われる深刻な問題でしょう。https://x.com/reishiva/status/1829367183002226852?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1829367183002226852%7Ctwgr%5Ed981bea7041d75e83e4eab16b704186329782766%7Ctwcon%5Es1_c10&ref_url=https%3A%2F%2Fnews.yahoo.co.jp%2Fexpert%2Farticles%2F02cb95e77e9710310b6d8fb3f3a663c78bb41f54


〇温暖化報道の少なさの弊害?

 気象庁の発表資料等、科学的な根拠や関連する情報もあるのに、猛暑と温暖化を関連付けての報道が少ないことは、ネット上でデマが拡散される、一つの要因であるかもしれません。
ここ最近、SNS上では「熱を貯め込む」「ヒートアイランド現象と同じ」だとして、「猛暑は太陽光パネルのせいだ」というデマが盛んに拡散されています。

 温暖化は太陽光パネルのある場所での局所的なものではなく、日本及び世界全体で進行しているものですから、常識的に考えれば、猛暑が太陽光パネルのせいでないことは、子どもでもわかることですし、大量のCO2を排出する火力発電を太陽光発電に置き換えることは温暖化防止策でも最も効果が大きく、かつ優先度の高いものであることは、世界的な常識です。

 こうした粗悪なデマを発信する側やそれを真に受けて拡散する側に、まず第一の問題がありますが、SNSでデマが拡散されやすい昨今だからこそ、報道機関は猛暑と温暖化を関連付けての報道をしっかりと行うべきなのです。https://x.com/HuffpostJ_SDGs/status/1952565725002186825?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1952565725002186825%7Ctwgr%5Ed981bea7041d75e83e4eab16b704186329782766%7Ctwcon%5Es1_c10&ref_url=https%3A%2F%2Fnews.yahoo.co.jp%2Fexpert%2Farticles%2F02cb95e77e9710310b6d8fb3f3a663c78bb41f54

 また、ネット上だけでなく、現実社会においても、温暖化報道の少なさが影響していると思われる状況があります。
例えば、先の参院選で温暖化対策は争点になりませんでした。
実際には、米などの農作物が猛暑や豪雨、渇水などの異常気象で被害を受けていることが食料品の価格高騰にも直接関係しているだけに、政治はもっと温暖化対策に対し真剣になるべきであるし、そうした視点でメディア側も切り込むことが必要です。https://x.com/reishiva/status/1953265097411051854?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1953265097411051854%7Ctwgr%5Ed981bea7041d75e83e4eab16b704186329782766%7Ctwcon%5Es1_c10&ref_url=https%3A%2F%2Fnews.yahoo.co.jp%2Fexpert%2Farticles%2F02cb95e77e9710310b6d8fb3f3a663c78bb41f54

 また、温暖化対策については「がまん・節制」、「負担増」という従来のネガティブなイメージではなく、技術革新や新たな雇用の創出、エネルギー自給率の向上など温暖化対策のポジティブな面を報道することで、人々の関心と意欲を高めてもらいたいとも思います。

〇報道の在り方や優先度の見直しを

 なお、テレビ報道全体の中では、まだまだ少ないとは言え、温暖化やその対策について、評価すべき報道もあります。

“温暖化対策なし”なら 日本の平均気温4.5度上昇https://youtu.be/P6x32UcYtEA
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 世界平均気温が1.5度を超えて上昇したように温暖化は危険ラインに来ており、フェーズが明らかに変わりました。
温暖化の進行は国内外の食料危機や激甚化する異常気象など、日本の人々の生活を根底から覆しかねない極めて深刻な危機ですが、温暖化防止策には日本の経済の立て直しや地方の活性化等もできるメリットがあります。
報道機関としても、報道の在り方や優先順位の見直しが必要でしょう。

(了)

志葉玲
フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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