《大増税時代》は自分の身は自分で「守る」が基本。「貯金は安心で、投資は怖いもの」の考えから脱却できない人が知るべき「本当に怖いこと」
8/9(土) 東洋経済オンライン
「貯金は安心で、投資は怖いもの」という考え方から抜け出せない人は今も多いことでしょう。
そのような投資初心者のために、税理士であり、投資歴20年・運用総額10億円以上の投資家でもある永江将典氏は、「守り」を軸にした基本的なお金と投資の知識を身につけ、投資先さえ誤らなければ、誰でも手堅くお金を増やすことができる、と話します。
そこで永江氏の新著『頑張って稼いだお金を目減りさせない 税理士が教える 守りまくり投資術』より一部を抜粋、再編集し3回にわたってご紹介。第1回の今回は、多くの人が感じている「税金高すぎない?」について考えます。
■今後も増税で手取りがますます減る!
今回はお金を増やすうえでの大原則である「浪費」を抑えるための話をしたいと思います。
本題に入る前に、現在私たちを取り巻く状況がどうなっているのか、そしてこれからどうなっていくのかを共有しましょう。まずは、図1-1をご覧ください。
これは、2010年度と2022年度の歳入と歳出、つまり政府の収入と支出を載せたものです。
2010年度の租税収入が37.4兆円であったのに対し、2022年度の租税収入は65.2兆円と、およそ1.7倍に増えています。
つまり、2022年度は、私たちが12年前と比べて1.7倍の税金を納めた、ということです。
増税も問題ですが、国の借金が過去最大の1300兆円を超え、ひとりあたりの負担額が1000万円を超えた、というニュースがあった通り、国の借金が増え続けていることも大きな問題ではないでしょうか。
国の借金は、状況を考えればこれからも増える見込みです。
国としては借金を増やさずに返済したいと思っているはずなので、税金をさらに増やさなければならないというとんでもない状況に、現代の日本はなっています。
つまり、何もしなければ手取りがどんどん減っていくということです。
そこで私たちは、自らを守る努力をしなければならないのです。
■税金の支払額、把握していますか?
自分の身を守るには、現状を知らなければ対応できません。
まず、私たちはどれほどの税金を払っているのでしょうか。
一般的な会社員の人たちは、社会保険料や所得税、住民税、消費税といったものを国などに納めています。自宅を持っている人は、固定資産税も払っていますね。
社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料など)や所得税、住民税は給料から天引きされているためにあきらめて、ほとんど考えようとしないのかもしれません。
でも、その中身を知ると、「なんとかしなければ……」と危機感を持つ人も多いのではないでしょうか。
まず社会保険料は、給料(額面)の15%ほどを持っていかれます。
この社会保険料は、会社も社員と同じ額を負担してくれています。
そのため、実質的に年収の30%を社会保険料として国に支払っているようなものです。非常に高いですよね。
所得税や住民税、消費税はどうでしょうか? 1989年(平成元年)から始まった消費税は、当初の3%から5%になり、8%を経て、いまや10%です。
それでも国は、「世界のほかの先進国と比べると日本の消費税は安いから、まだ上げる」というようなことを言っています。
そして、国際通貨基金(IMF)という世界が金融不安にならないように研究している機関が、「日本は消費税を20%にしなければ滅びる」とも言っているのです。
ですから、消費税もこれから上がっていくでしょう。
年収500万円なら、少なくとも年に200万円程度は買い物をしていると思います。
すると、現在でも毎年20万円の消費税を支払っていることになり、これを20歳から60歳まで会社員としてお勤めしたとする♊
■「住宅ローン控除」も減らされている
また、住宅ローンを借りている人の所得税が安くなる「住宅ローン控除」という制度があります。じつは、これによる控除額が年々減っているのです。
2021年度までは、年末の住宅ローン残高の1%の控除を受けることができましたが、2022年度の税制改正によって0・7%に引き下げとなっています。
これは、控除額が実際の金利負担を上回る「逆ザヤ状態」を解消するための措置といわれています。
また、住宅ローン控除は「年末のローン残高×控除率」で計算するため、ローン残高が年々減るとともに控除額も減ることを忘れてはいけません。
私は2年ほど前に自宅を購入し、「ようやく住宅ローン控除を使える!」と思っていたところ、1年目は40万円控除できたのですが、2年目は35万円に減らされてしまいました。もう溜息しか出ません。
住宅ローン控除も、どんどん縮小(=増税)の方向に向かうことが予想されています。
税金ではありませんが、私がもっとも酷だと思っているのは、年金をもらえるようになる時期が段階的に60歳から65歳に変わり、2025年からは男性が、2030年からは女性が、65歳からでなければ受け取れなくなることです。
もらえる年金の1年あたりの平均額が180万円なのですが、5年繰り下げられたことで900万円が飛んでしまったわけです。次は、65歳から70歳に繰り下げられることもありえる話です。
一生で見ると、支払う税金の額がこの20年で1000万円ほど増えています。
そして、これから納税額はもっと増えていくでしょう。
その一方で、年金は減額されています。
これからを生きる私たちは、ますます自分で自分を守らなければならない、と感じていただけたでしょうか。
永江 将典 :公認会計士、税理士

