2026年04月02日

何歳になっても脳は使えば使うほどよくなる…

何歳になっても脳は使えば使うほどよくなる…世界的神経科医が「脳は他の臓器と全然違う」と断言する根拠
4/1(水) プレジデントオンライン

過去の研究では、成人になると脳は変化しないと考えられていた。
だが、脳について多くの著作を持つ神経科医のリチャード・レスタックさんは「脳は生涯にわたって変化しやすく、頭を使い続けることで認知症リスクを下げるが使わなければダメになる」という――。

 ※本稿は、リチャード・レスタック『いくつになっても頭はよくなる 記憶力・集中力・思考力・創造力 全部高まる28の習慣』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

■今日始めれば脳は今日から変わる

 かつて神経科学者たちは、人間の脳は大人になるまで成長し、それから数十年は変化せず、やがて当然のように構造と機能が低下していくと信じていました。
また、失われた脳細胞は新しいものと置き換えられないとも信じていました。
ですが、この金科玉条のような古い教えは、今では真実とは考えられていません。

 最近の研究により、学習と記憶を司(つかさど)る海馬では脳細胞が増えつづけることがわかっています。
さらに、脳は静的な組織ではありません。
豊富な経験を積んでいけば、時とともに優れた可塑性を見せます。

 たとえば、プロの音楽家は、脳内の音楽に関する部位のニューロンをふつうの人よりたくさん使うので、音楽を聴いているだけでも多くのニューロンが活性化します。
その変化の程度は、音楽を学んだ年数によって違ってきます。
とはいえ、音楽的能力を司る部位を強化するのに、遅すぎるということはありません。
ですから、今日あなたが楽器を手に取れば、その後の練習量に応じて脳が変化していくでしょう。
こうした可塑性が、脳の基本的な働きの一つなのです。

■40代以降の実践でも遅くない

 脳のこうした複雑化は、動物界にも見られます。
ハエの脳でも経験によって違いが現れます。
カリフォルニア州ラホヤにある神経科学研究所の上級研究員、ジョージ・L・ガボール・ミクロスがこう述べています。
「入念な分析により、ハエの脳には顕著な構造的可塑性があることがわかった。
特定の生息条件を与えられると、脳の大きさだけでなく、ほとんどの部位がたえまなく再編される」

 食物連鎖上ハエより高等な生物であるラットでは、おもちゃや仲間、広々とした生息条件を与えられると、さらに脳細胞が増えます。
そして賢くなり、行動試験での成績もよくなります。

 ですから、知的な課題に継続して取り組めば、脳の重要な部位で細胞が増えつづける可能性があるのです。
脳のことを、一生かけてつくっていく作品だと考えてください。
あなたの思考と行動によって脳はつねに変化しています。
その変化が働きや能力を高めてくれるのです。
しかも何歳であっても、また、どれほど遅くから始めても同じことが言えます。
ケース・ウェスタン・リザーブ大学医学部のロバート・P・フリードランダーの研究によると、20代と30代に知的活動を多く行った人は、アルツハイマー病になるリスクが大幅に減少しました。
さらに、40代以降に知的活動を増やした人でもリスクが減少したそうです。

■アルツハイマー病、認知症予防にも

 「知的活動」も従来の学問にかぎられるわけではありません。
図表1は、アルツハイマー病を防ぐ効果のある知的活動を示したものです。
ここには、読書や手紙のような学究的なものから、ゲーム、パズル、そして編み物のように指先を使うものまで含まれています。

 はっきりわかっていることが1つあります。
学びを生涯の課題とし、人々や出来事に対して好奇心や知識欲をもちつづけ、本書ですすめる練習をすれば、アルツハイマー病やその他の認知症にかかるリスクを減らせます。

精神的に活発であるように努力すれば、新しいニューロンを発達させ、ニューロン接合や神経回路を維持して増やせる可能性が大きくなるのです。
このことは、知的能力が非常に高い人々に対して行われた陽電子放射断層撮影法(PET)による研究で明らかになりました。

 その研究によって、プロの音楽家は、ピアノの音を記号化するのに用いられる脳の部位が、楽器を演奏したことのない人より大きいことがわかりました。
双方のグループにピアノの音を聴かせると、音楽家の脳内の反応のほうが他方より25%大きかったのです。

■脳は心の持ち方でも変化する

 さらに、早い時期から楽器を始めた人ほど、大きな反応を示しました。
長く訓練を積んできたため、音楽を処理するニューロンをたくさん使うのでしょう。
また、ピアノの音に合わせて演奏することにも秀でています。

 脳の変化は、心に抱いた考えから生じることもあります。
一瞬一瞬の思考が脳の機能に影響を与えます。
本章を書く数時間前、わたしは1人の患者の話に耳を傾けていました。
彼女はある人の不注意のせいで頭を強く打ち、しばらく意識を失ったそうです。
初めは事故のようすを冷静に語っていました。
しかし、彼女に怪我(けが)をさせた人の「愚かさと無分別」について話しだしたとたん、怒りで顔が真っ赤になり、急に痛みだした頭を両手で押さえたのです。

■脳内物質まで変える「思い込み」

 多くの人がこの患者のように、考えや言葉、他者の行動に対して身体と心が反応します。
身体の反応には、薬並みに強力な化学変化が関与しています。
たとえばPETスキャン研究では、悲しいことを考えた場合とうれしいことを考えた場合とで、脳内の化学物質が変わることがわかっています。

 そして腹が立つことを考えると、わたしの患者のように身体症状が出ることもあります。
同じように、ある薬が病気の不快な症状に効くと強く信じれば、その思い込みだけで脳内の化学物質が変わるのです。
ただし、その変化によって治るかどうかは、病気の性質や重さによります。
薬、偽薬、奇跡にはさまざまな説がありますので、惑わされないようにしてください。

■いくつになっても進化する脳

 実際に、脳に関するあらゆる新しい研究によって、今何歳であっても脳を改善するのに遅すぎることはないと示されています。
というのも、脳は他の臓器とは違うからです。
肝臓、肺、腎臓は一定の年数がたつと衰えますが、脳は使えば使うほど活発になります。まさに、使うことでよくなるのです。

 さらに脳細胞の機能の性質は、経験によって成人してからも生涯変わりつづけます。
どうして、そんなことがわかるのでしょう?
 それは、サルによる実験と、人間の点字学習における脳画像検査で明らかになったからです。

 神経科学者たちはサルの脳で、指の刺激に反応する大脳皮質の部位の大きさを測定しました。
まず、サルにある作業に特定の指を使うよう教えこみ、その作業を数千回繰り返させます。
すると、その指に対応する脳細胞の数が、使っていない細胞を犠牲にして増えることがわかりました。

 使い方に応じたこの改良は人間の脳でも行われ、しかも一生続きます。
たとえば目が不自由なため点字を読む人の脳でも、サルの実験で測定したのと同じ部位が大きくなります。
それは時とともに指先が、字を表す点のパターンのかすかな変化を精密に感じとれるようになるからです。

 さらに興味深いことに、指先からの刺激を受け取る脳部位の活性は短期間で変化します。
たとえば、週末に点字を読むのを休むと、その部位が小さくなります。
そして、また読みはじめると再び大きくなるのです。

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リチャード・レスタック
神経科・精神神経科医
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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