【コラム】1万円札の失墜
7/13(月) 中央日報日本語版
日本の近代産業の礎を築いた渋沢栄一(1840〜1931年)は、銀行、鉄道、百貨店など約500社の設立と東京証券取引所の創設に関わり、「日本資本主義の父」と呼ばれる。
日本は2024年7月から、渋沢を1万円札の新たな肖像に採用し、経済再飛躍への意志を強く示した。
しかし、新紙幣の流通開始から2年が経過した現在、1万円札の存在感は当初の期待とはかけ離れている。
円の地位は1985年のプラザ合意を転機に大きく変化した。
急激な円高は日本経済の黄金時代を象徴していた。
しかし、バブル経済崩壊後、円は次第に力を失い始めた。
「失われた30年」を経た現在、円の実質購買力は1995年のピーク時と比べて3分の1程度まで低下している。
また、円がもはや世界有数の安全資産と評価されなくなったことも新たな変化だ。
その背景には、度重なる拡張財政による影響が大きい。
国内総生産(GDP)の250%に達する政府債務が円安を固定化させている。
このような構造的な問題により、日本はインフレや戦争の影響で輸入物価が急騰しても、容易に金利を引き上げることができない。
最近、日本銀行は政策金利を1%へ引き上げたものの、円安に歯止めをかけるには力不足だ。
政府債務の利払い負担が急増するため、迅速かつ十分な利上げが難しいからだ。
日本銀行が政策金利を1%まで引き上げても、米国との金利差は依然として大きい。
米国では、むしろ追加利上げの可能性まで取り沙汰されている。
このため、低金利の円を借りて海外へ投資していた資金が日本へ戻る「円キャリー取引の巻き戻し」も本格化していない。
利上げによって国際金融市場に大きな衝撃が及ぶとの懸念も杞憂に終わった。
一方、ドルは基軸通貨としての地位を背景に、危機のたびに強さを維持している。
1万円札の失墜は、政府債務が膨らみ、成長の原動力が弱まれば、真っ先に揺らぐのは通貨であることを示している。
キム・ドンホ/論説委員

